花粉に効く空気清浄機はどれだ? 家電のプロが「選択の最重要ポイント」と「穴がない」オススメモデルを発表!

いよいよ都内では花粉が飛び始めました。花粉飛散のピークは3月の見込み。さらに、春先は風に乗って大陸からのPM2.5が日本に届くため、そちらの対策も必要です。最悪の状況を避けるべく、ここは最新の空気清浄機を導入し、室内を花粉フリーかつ空気がウマイ楽園にしませんか? というわけでIT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏にお願いし、今回から3回にわたって、空気清浄機選びのポイントを伝授してもらおう、というのが本企画。第1回となる本稿では、空気清浄機選びで最も重要なポイントと、個人的にオススメするモデルを教えてもらいました!

 

教えてくれるのはこの人!

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安蔵靖志(あんぞう・やすし)

IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」に出演中。その他ラジオ番組の家電製品リサーチや構成などにも携わっています。

 

空気清浄機で最も重要なのは「邪魔に感じないこと」

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――今回から3回に分けて、花粉の季節の空気清浄機の選び方について、お話をうかがっていきます。早速ですが、空気清浄機を選ぶうえでもっとも、大事なことは何でしょうか?

 

安蔵 部屋に置いていて「邪魔に感じないこと」。これがいちばん重要なんです。空気清浄機を既に持っている方ならご賛同いただけると思うのですが、空気清浄機って邪魔じゃないですか。

 

――あわわ、最初から爆弾発言ですか……?

 

安蔵 いやいや。邪魔というのは必要ないという意味ではないですよ(笑)! むしろ、空気清浄機は絶対にあったほうがいい。ただ、空気清浄機というのは、楽しい体験や利便性を提供するツールではなく、イヤなもの、不快なものを防ぐためだけのもの。汚れた空気というネガティブなものをキレイに変換するツールなのに、部屋の目立つ場所に置いておかなくてはなりません。だからこそ、置いていて「邪魔に感じないこと」が重要なんです。

 

――あまり存在感がないほうがいい……ということでしょうか?

 

安蔵 もしくは、見るたびに触りたくなるくらいインテリア映えしているかですね。私はこの「邪魔に感じないこと」を、空気清浄機選びの最重要項目だと考えています。具体的には、デザインや質感、サイズといった点ですね。私自身、これを軽視して何度失敗したことか……。おかげで、家には使わなくなった空気清浄機がゴロゴロしていますよ。

 

――なるほど。機能ではないという点が意外ですね。ほかにはどんな基準がありますか?

 

安蔵 予算に余裕があれば、ぜひ加湿機能付きを選びたいところ。別途、加湿器を置く必要がないのは大きなメリットです。もうひとつ、スマホアプリなどで「空気の見える化」に対応する製品もオススメ。空気がキレイになっていることが視覚的に分かると、長期的な満足感につながります。

 

――なるほど。効果が実感できないと、だんだん使わなくなってしまいそうですが、空気がどれだけキレイになっているのかが分かると、使いたくなりますよね。

 

安蔵 はい。空気清浄機がアプリに対応していると、外出先から室内の温度や湿度がモニターできます。この数値をもとに、例えば、スマートスピーカーを利用して、外出先からエアコンのON/OFFができるようにしておけば、Wi-Fi対応のエアコンに買い換えなくても遠隔操作のメリットが享受できます。要は、空気清浄機をモニター代わりにするという用途ですね。特に家にペットがいる家庭など、この機能があると安心感が違うでしょう。あとは自分の住環境にあわせて、予算、サイズ、デザインのバランスを取って決めていけば、後悔しない製品選びができると思います。

 

「とにかく一台」と言われたらダイキンMCK70Uを挙げる

――では、まず安蔵さんのイチオシの空気清浄機から教えていただけますでしょうか?

 

安蔵 あれこれと細かい条件抜きで、「とにかく一台推薦してくれ」と言われたら、ダイキン工業の加湿ストリーマ空気清浄機「MCK70U」をすすめます。次点で、その下位モデル「MCK55U」ですね。こちらは縦長でフットプリント(接地面積)が狭く、部屋の隅に置けるので邪魔になりません。くどいですが、これは本当に重要です。

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ダイキン工業

加湿ストリーマ空気清浄機 MCK70U

実売価格4万8640円

従来機の2倍のストリーマユニットを搭載。有害ガスの分解速度や脱臭性能が従来機の2倍に高められているほか、微小な粒子のホコリを除去するTAFUフィルターを搭載しています。アクティブプラズマイオンを搭載し、イオン放出により、カビ菌やアレル物質などを分解できます。本体カラーはホワイトとビターブラウンを用意。

 

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ダイキン工業

加湿ストリーマ空気清浄機 MCK55U

実売価格4万4220円

スクエアフォルムのスリムタワー型で270×270mmと、さらに狭いスペースに設置できます。本体カラーはホワイト、ディープブラウン、フォレストグリーンの3色を用意しており、インテリアに合わせて選べます。

 

「ストリーマ」が花粉を分解するので、花粉対策にもぴったり

――機能の面ではいかがでしょうか?

 

安蔵 高速電子を放出する空気浄化技術、「ストリーマ」がウイルス、カビなどの有害物質のほか、花粉を分解できるので、花粉対策にはもってこいです。加湿機能も付いていますし、その加湿のための水をストリーマで除菌できるのは同社製品だけの強みですね。

 

――こちらは、さきほど挙げた「空気の見える化」には対応しているんでしょうか?

 

安蔵 スマホと連携するMCK70Uのみ、対応しています。室内のPM2.5、ホコリ、ニオイの3種類の汚れを6段階のレベルで見える化できるほか、運転のON/OFFやタイマー設定などの遠隔操作も可能です。なお、MCK55Uのさらに下位に「MCK40U」というモデルもありますが、こちらは適用床面積が19畳までと狭くてカラーもホワイトのみ。というわけで、4万円台とお買い得なMCK70Uか、スマホを使わないなら、省スペースなMCK55Uがバランスが取れていてオススメですね。

↑ダイキンのアプリ画面↑MCK70Uが対応するダイキンのアプリ画面。PM2.5やホコリ、ニオイのほか、温度や湿度も表示されます

 

↑MCK55Uは従来機より世知スペースが少ないのが魅力↑スリムタワー型のMCK55Uは、従来機より設置スペースが少ないのが魅力

 

――なるほど、MCK70Uは安蔵さんが重視する条件、「邪魔にならない」「加湿機能」「見える化」のすべてを備えていますね。

 

安蔵 はい。ほかにもこの3要素を備えた製品はあるのですが、もっともバランスが取れていて、空気清浄機として穴がない製品だと思います。

 

【MCK5570U、MCK55Uのスペック】

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※電気集じん……吸引した粒子を帯電させ、フィルターに吸着させる技術。目詰まりしにくく、集じん力が長く続くメリットがあります

 

次回は花粉対策に重点を置いた製品や、2台めとしての利用にオススメな製品を見ていきます!

家電のプロが「もっとも勢いがある」と感じたメーカーは? 2017年「注目の家電」と「業界の流れ」を振り返る!

2017年も各社からさまざまな家電製品が登場しました。なかでも、家電のプロの目から見て、いったいどんなアイテムが印象に残ったのでしょうか。前編では、IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏に調理家電について語っていただきました。後編となる今回は、調理家電以外で注目したアイテムや、2017年の業界の流れについてお話を聞いていきましょう!

 

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安蔵靖志(あんぞう・やすし)

IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」に出演中。その他ラジオ番組の家電製品リサーチや構成などにも携わっています。

 

パワー、持続力ともに高い「コードレスキャニスター掃除機」がいよいよ出てきた

――2017年、調理家電以外で「これは!」と思ったものはありますか?

 

安蔵 いよいよ出てきたな! と思ったのは、シャープと東芝から相次いで登場したコードレスキャニスターのクリーナーです。実は以前にも発売されたことがあったのですが、当時はパワーとバッテリー容量がいまひとつなのに、価格も安くなかったので普及しませんでした。今回、シャープと東芝から出た製品は、パワー、バッテリーともしっかり確保されていて、実用性は十分です。

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シャープ

コードレスキャニスター掃除機

RACTIVE Air(ラクティブ エア) EC-AP700

実売価格6万9480円

紙パック式のコードレスキャニスター掃除機。本体質量1.8kg、標準質量2.9kgの軽量ボディが特徴です。着脱式のバッテリーを採用し、予備バッテリーを用意すれば連続して運転できます(自動モードで約30分×バッテリー2個=約60分)。バッテリーパックは本体と離れた場所で充電が可能。サイクロン式の「EC-AS700」もあります。

 

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東芝

コードレスキャニスター VC-NXS1

実売価格10万9190円

独自開発のモーターにより、強力な吸引力を実現。自走式のパワーヘッドで、スイスイお掃除できます。標準モードで最長約60分の運転が可能。裏表のない二面式の本体も特徴。また、大容量のダストカップを装備したダストステーションが付属しているので、本体のダストカップのゴミ捨てが不要です。

 

――今回は普及すると思われますか?

 

安蔵 訴求の仕方次第ですね。コードレスキャニスターで裾野を広げるためには、新しモノ好きのユーザーに訴求するだけでなく、高齢者を含めたマジョリティに訴えねばなりません。そのためには、今までのキャニスターと同じ使い勝手を実現して、高齢者でも迷わず使えるようにし、なおかつ充電は「充電台に置くだけ」というシンプルさが求められます。シャープも東芝もここはクリアしているので、あとは「いかに認知を広げるか」ということではないでしょうか。

 

ロボット掃除機ではパナソニックのRULOが他社と差別化できていた

――ロボット掃除機市場はいかがでしょうか。

 

安蔵 色々と出ましたが、どれか1台を選ぶならパナソニックの「RULO(ルーロ)」を推します。

 

――あ、センサーを増やした新モデルでしたよね。

 

安蔵 はい。特に上位モデルのMC-RS800は、人工知能も搭載して、マッピングしながら間取りを学習して効率よく掃除します。このマッピングが面白いんですよ。一度間取りをマッピングすれば、スマートフォンの専用アプリから「エリア指定モード」を利用して、掃除してほしくない場所を指定できるんです。例えばペットがいる家庭なら、エサの置き場所を指定すれば、そこを避けて掃除してくれます。ルンバの場合はバーチャルウォールという機材を設置する必要がありますし、その他のメーカーでは、磁気テープを貼る必要があることも。磁気テープだと、さすがにリビングの見栄えがね……。その点、RULOならリビングに余計なモノを置くことなく、除外エリアを指定できます。これは、大きな差別化ができているポイントですね。

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パナソニック

RULO MC-RS800

実売価格12万9220円

独自の三角形状を採用し、部屋の隅のゴミにも強いのが特徴です。新機種ではレーザー、超音波、赤外線の3種類の障害物検知センサーを搭載し、壁や障害物にぶつからないようにお掃除。スマートフォンからの操作にも対応します。

 

エアコンではアイリスオーヤマのWi-Fi搭載が衝撃的

――空調関連ではいかがでしょう。印象的な製品はありましたか?

 

安蔵 ユニークさという意味では、日立の凍結洗浄エアコンは印象的ですね。なかなか真似できないだと思います。しかし、なんといってもエアコンで衝撃的だったのは、新規参入したアイリスオーヤマがWi-Fiを標準搭載したこと。パナソニックやシャープも最上位のシリーズでは無線LANを内蔵していますが、アイリスオーヤマは8万~10万円台の低価格帯でWi-Fi搭載を実現し、業界を震撼させました。

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日立

ステンレス・クリーン 白くまくん

プレミアムXシリーズ
実売価格税込30万230円(※14畳タイプRAS-X40H2)

熱交換器の自動お掃除機能「凍結洗浄」は、熱交換器をいったん凍らせて霜を蓄え、一気に溶かすことで、従来取り除くのが難しかったホコリやカビを洗い流す新方式。エアコン内部をキレイにして清潔な空気を送り出します。[くらしカメラ AI]で部屋を検知し、人がいない時間を選んで自動で洗浄するのも特徴。

 

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アイリスオーヤマ

IRW-2817C(10畳用)

実売価格10万7780円

Wi-Fiと人感センサーを標準搭載し、屋外からのスマートフォンでの遠隔操作を実現したルームエアコンです。低価格とWi-Fi搭載で大きな注目を集めましたが、現在は販売終了。

 

安蔵 エアコンを遠隔操作しようという動きは2012年ごろからあったのですが、当時は法律の問題で電源ONができず、普及に弾みがつきませんでした。法改正を受けて、各社とも電源オンに対応するようになったのですが、これまでずっと「オプション(別売)対応」でした。そこにアイリスオーヤマが先陣を切ってWi-Fiを標準搭載し、パナソニックとシャープが続いた形です。パナソニックとシャープは最上位モデルのみですが、来年は下位モデルにまで広げて欲しいところですね。もちろん、他のメーカーも追随してくるでしょう。

 

――遠隔操作とは、それほど便利なものなんですか?

 

安蔵 もちろん。できたほうが誰にとっても便利です。家に帰る前に部屋を涼しくしておきたい、あるいは暖かくしておきたいとは誰しも思うでしょう。ましてやペットを飼っていると、春先の気温が落ち着かない時期などは「暑くて苦しんでいないかな……」などと心配してしまいます。この心配がなくなるだけでも、導入する価値がありますね。個人宅だけでなく、アパートやマンションなどの集合住宅に導入すれば、賃貸物件のアピールポイントの1つになるはずです。ペット可の賃貸物件とは、特に相性がいいのではないでしょうか。

 

もうひとつ、遠隔操作といえば、洗剤と柔軟剤を自動投入するパナソニックの洗濯機が良かった。こちらもスマホとの連携が可能なうえ、洗剤の量を自動で計量してくれるので、帰宅時間に合わせて洗濯が終了するよう、スマホで設定できるようになっています。

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パナソニック

ななめドラム洗濯乾燥機 NA-VX9800

実売価格35万3620円

液体合成洗剤や柔軟剤をあらかじめ入れておけるタンクを搭載し、洗濯の際は最適な量を計算してタンクから自動で投入。手間が省けて洗剤の入れすぎなどもなくなります。外出先からスマートフォンで洗濯の仕上がり時間などを設定可能。

 

2017年は「見える化」の機運が高まった

――空気清浄機の分野ではいかがでしょう。

 

安蔵 これは、家電業界全体にも言えるのですが、2017年は「見える化」の機運が高まってきた印象があります。そもそも、空気清浄機というものは、本当に効いているのかがわかりづらい。メーカーもその点に配慮して、例えば運転状況が屋外からスマホで確認できるようにし、スマホアプリで空気の状況を示すことで、空気清浄機の効果を見せる……といった形で「見える化」を進めてきた印象ですね。ダイキン、シャープ、ダイソン、ブルーエアなどがこれに対応していますが、例えばダイキンの加湿空気清浄機「MCK70U」は、PM2.5、ホコリ、ニオイの3種類の汚れを6段階のレベルで「見える化」しています。今後はパナソニックなども当然対応してくるでしょう。

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ダイキン

MCK70U

実売価格5万7070円

独自のストリーマ技術を強化し、有害ガスの分解スピードや脱臭性能が2倍になりました。0.3μmの微小な粒子を99.97%除去するTAFUフィルターを新たに搭載。ルームエアコンと同じアプリで、スマートフォンから室内の空気を見える化。遠隔操作も可能です。

↑ダイキンのアプリ画面↑ダイキンのアプリ画面

 

安蔵 「見える化」という意味では、「部屋干し3Dムーブアイ」を搭載した三菱電機の衣類乾燥除湿機「サラリ」が抜群に良かった。衣類乾燥除湿機では「一択」と言っていいと思います。

 

――「一択」ですか! どこがそんなにいいんでしょうか?

 

安蔵 「光ガイド」という機能がいい。これは、濡れた部分だけ検知して緑色の光で照らし、重点的に温風を当ててくれる機能です。これがあるだけで、「ちゃんと働いてくれているな」と、確認できるので、安心感がまるで違います。発想が面白いうえに理に適っている、という極めて良いプロダクトですね。また、フィリップスの電動ハブラシは、スマホと連携して正しく磨けているか、コーチングできるものが出ています。こちらも「見える化」のひとつと言えるでしょう。

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三菱電機

サラリ MJ-120MX

実売価格4万3090円

経済的なコンプレッサー方式を採用する衣類乾燥除湿機。約180cmのワイド送風で、洗濯物を一気に乾燥できます。温度、湿度、赤外線センサーを用いて乾き残りを見つけ、緑色の「光ガイド」を照射しながら集中乾燥します。

↑除湿をスタートしてから約5分ほど経過すると、濡れた箇所だけ検知して重点的に送風するのが特徴だ↑除湿をスタートしてから約5分ほど経過すると、濡れた箇所だけ検知して緑色の光で照らし、重点的に送風します

 

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フィリップス

sonicare(ソニッケアー) HX9964/55

実売価格3万8880円

4種類の高性能ブラシヘッドを備えた電動ハブラシ。スマートフォンの専用アプリで歯磨きをリアルタイムに追跡し、きちんと磨けているかどうかをセンサーでチェックします。

 

メーカーで「勢いがあるな」と感じたのはパナソニックとシャープ

――ちなみに、2017年、安蔵さんが「勢いがあるな」と感じたメーカーはどこですか?

 

安蔵 まずはパナソニックですね。先述の「ロティーサリーグリル&スモーク」「洗剤を自動投入する洗濯機」をはじめ、創業100周年で気合いの入った商品が数多く発表されました。私は毎週、家電を紹介するラジオ番組をやっているんですが、面白いモノを立て続けに出すものだから、紹介したいのがパナばかりになってしまって。こんなに続けて大丈夫か……と思ったこともあります。

↑前編でも紹介したパナソニックのパナソニック ロティサリーグリル&スモーク NB-RDX100(実売価格5万1230円)↑前編でも紹介したパナソニックのパナソニックの「ロティサリーグリル&スモーク NB-RDX100」(実売価格5万1230円)。かたまり肉を回転させて焼くことができるほか、オーブン、トースター、燻製器としても使用可能

 

もうひとつ際立っていたのが、実はシャープだと感じています。もともと、どん底の時期に「蚊取空清」や「ロボホン」などのチャレンジングな商品を出していましたが、これは凄いことですよ。2017年も、そのチャレンジ精神は健在。先述のコードレスキャニスター掃除機のほか、冷蔵庫の分野では大容量の500Lクラスで左右どちらでも開く「どっちもドア」を実現したモデルや、AIoT(※)に対応したモデルを開発しています。どっちもドア&AIoTモデルが出なかったのはちょっと残念でしたが、いずれ開発されるでしょう。また、効果は床置きの方がいい部分もあるとは思いますが、発想の面では天井に取り付けることで邪魔にならないLEDシーリングライト付きの空気清浄機、「天井空清」も面白いですね。さらに勢いのあったメーカーの次点を挙げるとすれば、低価格でWi-Fi搭載エアコンを出したアイリスオーヤマでしょう。

AIoT……AI(人工知能)とIoT(モノがインターネットを通じてクラウドやサーバーに接続され、情報をやりとりすること)を組み合わせたシャープの造語。単なるIoTではなく、ユーザーの好みを学習して提案するなどが可能となります

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シャープ

SJ-GX50D

実売価格30万5680円

クラウドサービス「COCORO KITCHEN」に対応したAIoT冷蔵庫。献立や食品保存方法などを教えてくれます。チルドルーム内を清潔に保つ高密閉構造の「プラズマクラスターうるおいチルド」を新採用。

 

――では最後に、2018年の家電がどのように進化していくか、予想をお願いします!

 

安蔵 意外性に欠けると思いますが、やはり期待したいのは家電のスマート化。いま、スマートスピーカーは一部のギークが楽しんでいるだけですが、できることが増えると魅力も増していきます。メーカーには、他社が対応したら自社も……というのではなく、「何が何でも対応してやろう」くらいの意気込みで対応してほしいです。極端な話をすれば、情報をやりとりするインターフェイスさえしっかり作っておけば、アプリの開発やアップデートはある程度「後追い」でもできるはず。そんなイメージで、開発スピードをどんどん上げていってほしいですね。

 

――魅力的な調理家電が数多く登場し、「遠隔操作」「見える化」などがキーワードとなった2017年。2018年も、「何だコレ!」と、我々の度肝を抜くような、斬新な家電に登場してほしいところ。みなさんもぜひ、新たなアイテムの登場に期待してみてください!

 

2017年の注目の調理家電を紹介した前編はコチラ

なぜ空清は伸び悩んでいるのか? ダイキンが「市場低迷の要因」と「対策アイテム」を発表!

インフルエンザの季節がやってきました。通勤電車やオフィスの中でもマスク姿が目立つようになり、予防の意識が高まっています。空気が汚れ、乾燥が進むとウイルス感染症のリスクが高まる…ということで、家電メーカーからは空気清浄機と加湿器の発表会の案内がひっきりなしに届く今日このごろ。今回は、「ストリーマ」などの独自技術で定評のある空調機器メーカー、ダイキン工業の個別説明会に参加してきました。

 

買い替えユーザーをターゲットにタイプの異なるモデルを発売

↑左から「MCK70U」、「MCK55」、「MC55U」↑ダイキンが発売した空気清浄機のラインナップ。左から「MCK70U」「MCK55」「MC55U」

 

国内の空気清浄機市場は2012年をピークに下がり続けています。2012年は花粉の大飛散や、初めてPM2.5が報道されたことなどにより、メーカー各社が増産体制を敷いても需要に追い付かないほど、爆発的に売れました。一方で、メーカー各社はフィルター性能を高め、「10年間の交換不要」を謳ったがために、買い替えサイクルが伸びてしまうことに。それがここ数年間、市場が低迷している理由ですが、ここにきて2012年以前に購入したユーザーの買い替え需要が動き始めています。

↑空気清浄機ぼ国内市場は2012年をピークに右肩下がり。2017年は買い替え需要により若干プラスを予想↑空気清浄機ぼ国内市場は2012年をピークに右肩下がり。2017年は買い替え需要により若干プラスを予想

 

個室向け&空清のみのモデルで普及率アップを狙う

空気清浄機の需要が伸び悩んでいるもう一つの要因に、個室や単身世帯への普及の遅れがあります。

 

「一般世帯への普及率が42.4%なのに対して、単身世帯は25.1%。また、1世帯あたりの保有台数は1.34台となり、まだまだ個室への導入は進んでいません。個室や単身世帯の潜在ニーズはあるので、そこに合った製品を投入し、普及率を上げていきます」と、同社の桜田宇洋氏は語りました。

↑空調営業本部事業戦略室コンシューマー営業担当部長の桜田宇洋氏↑空調営業本部事業戦略室コンシューマー営業担当部長の桜田宇洋氏

 

↑空気清浄機の単身世帯への普及が進まず、ファミリー層でも保有台数はまだ平均1.34台↑空気清浄機の単身世帯への普及が進まず、ファミリー層でも保有台数はまだ平均1.34台

 

↑ダイキンでは、ファミリー層の買い替え、単体空清需要、個室ニーズに3つのラインアップで攻める↑ダイキンでは、ファミリー層の買い替え、標準空清(加湿機能のないもの)の需要、個室ニーズに対して3つのラインアップで攻めます

 

上記を踏まえ、投入したモデルのひとつが個室向けのスリムタワー型加湿機能搭載モデル「MCK55U」タイプ。加湿機能搭載ながら、設置面積は270×270mmと省スペースで、狭い個室やワンルームに置いても邪魔になりません。同時に、加湿機能がない「MC55U」も発売。両者とも11月17日から発売しています。

 

「空気清浄機購入者のうち8割が加湿機能タイプを選んでいますが、実はその中の28%は空清機能のみが欲しくて購入しています。空清単体モデルに満足できる機能・性能がないため、しかたなく高性能な加湿モデルを選んでいるのです」(桜田氏)。

 

そこでダイキンでは、10年ぶりに空清単体モデル「MC55U」を発売することに。「MC55U」は「MCK55U」の加湿機能のみを取り外したものなので、設置面積は同じですが、高さが200mm低い500mmになっています。コンパクトなので、本棚やタンスの上にも設置可能です。

20171020_y-koba33-8_R↑MCK55U

 

↑MC55U↑MC55U

 

最上位機種は「ツインストリーマ」で従来比2倍の脱臭性能を実現

また、買い替えユーザーをターゲットに、高機能なリビング向け加湿搭載モデル「MCK70U」も11月17日から発売しました。

20171020_y-koba33-15_R↑MCK70U

 

「ダイキンの空気清浄ユーザーの多くが、脱臭性能を評価してダイキンを選んでいます。一般的な空清は活性炭フィルターで脱臭していますが、飽和状態になるとそれ以上のニオイ成分を吸着できなくなるし、熱を加えると逆にニオイを放出するという欠点がある。当社のモデルは、ストリーマで臭いを分解し、常にフィルターを再生しているので脱臭性能が低下しません。新製品ではその強みをより強化し、従来比2倍の脱臭性能を実現しました」(桜田氏)

 

先述の「ストリーマ」とは、プラズマ放電の一種「ストリーマ放電」によって生じた高速電子が空気中の窒素や酸素と衝突・合体してOHラジカルなど分解力を持つ4つの分解素を生成。これがニオイ分子や花粉を分解したり、有害物質を抑制したりするもの。ダイキンの空清では、このストリーマを脱臭フィルターやHEPAフィルターに照射しているのです。

↑ストリーマの仕組み↑ストリーマの仕組み。ストリーマ放電によってOHラジカル、酸素ラジカル、レイキ酸素、レイキ窒素などの4つの分解素を作ります

 

「MCK70U」では、従来の2倍のストリーマユニット「ツインストリーマユニット」を搭載しました。これにより脱臭性能と有害物質の分解スピードが2倍となり、フィルターの除菌も半分の時間でできるようになりました。

↑右が従来モデルに搭載されているストリーマユニット、左が「MCK70U」に搭載したツインストリーマユニット↑右が従来モデルに搭載されていたストリーマユニット、左が「MCK70U」に搭載したツインストリーマユニット

 

ハスの繊維を使用し汚れが広がらない「TAFU」フィルターを新採用

さらに今回、ダイキンは新しいフィルターも開発しました。従来の静電HEPA(ヘパ)フィルターの場合、フィルターに汚れが付着するとフィルターの繊維上に汚れが広がり、フィルターの静電力が徐々に低下し、汚れが捕集できなくなってしまうそうです。フィルターの初期性能を100とした場合、10年後には50%に半減してしまうとか。ダイキンは静電HEPAフィルター+電気集じん方式を採用しているモデルもあり、こちらは汚れ自体を帯電させてフィルターに吸着させるので、フィルター性能の低下は防ぐことができ、10年後でもフィルター性能は70%程度に抑えることができます。ただ、静電力が強いため汚れも多くなり、メンテナンスが大変というデメリットがありました。

 

その点、今回「MCK70U」に採用した新型フィルター「TAFU(タフ)」にはHEPAと同じ静電フィルターながら、素材にロータス(蓮)繊維を使用。蓮の繊維は撥水性・撥油性があるので、付着した汚れが広がらず、フィルターの静電力が落ちないとのこと。メンテナンスも不要で、10年後のフィルター性能は72%と電気集じん式より若干高くなっています。

↑HEPAフィルターとTAFUフィルターの見た目は全く同じ↑TAFUフィルター(左)とHEPAフィルター(右)の見た目は全く同じ

 

↑従来のフィルター方式と新TAFUフィルターの違い。TAFUフィルターは経年劣化が少なく、メンテナンス不要とメリットが大きいです↑従来のフィルター方式と新TAFUフィルターの違い。TAFUフィルターは経年劣化が少なく、メンテナンス不要とメリットが大きいです

 

↑水滴を垂らしてみると、HEPAはじわーっと広がるが、TAFUは水玉を弾いている↑水滴を垂らしてみると、HEPAフィルターは水がじわーっと広がりますが(左)、TAFUフィルターは水玉を弾きます(右)

 

さらに、Wi-Fi機能を採用し、スマートフォン接続機能も搭載しました。部屋のPM2.5とホコリ、汚れを6段階でスマホ画面に表示するほか、1日および1週間の積算グラフを表示し、いつ、どのタイミングで部屋が汚れるかが把握できます。スマホから空気清浄機本体のオン/オフ、コース設定が外出先からもコントロールでき、加湿タンクの給水タイミングも通知。ただし、いま話題のスマートスピーカーにはまだ対応していません。

 

意外に知られていないのが残念! ダイキン空清の2つのメリット

「意外に知られていないのですが、ダイキンの加湿空清のこだわりは、加湿運転時も空気清浄能力が落ちないこと。他社のモデルには2割ほど空清能力が落ちるものがありますが、当社は加湿時も空清時も能力は変わりません。さらに、加湿時の風が冷たくないのも大きな特徴。ダブルパスミキシング方式を採用しており、2つの空気経路から加湿された空気と室温そのままの空気を混ぜるので、吹き出し温度は室温のマイナス3°程度で済むんです」(桜田氏)

 

冬場はずっと加湿機能をONにすることもあるので、加湿時に空気清浄能力が落ちない点は魅力。また、部屋が潤ったとしても、寒くなるのは困りものなので、「加湿時も空気清浄能力が落ちない」「風が冷たくない」という2つのメリットは、意外に重要なのがわかります。

 

新モデルはすべて「ストリーマ+イオン放出」のダブル方式を採用

ちなみに、ダイキンの空気清浄機は、空気を吸い込んで分解するストリーマ方式と、イオン放出系の「アクティブプラズマイオン」のダブル方式を採用。上記の3モデルもすべてダブル方式です。加湿タイプは、加湿フィルターと加湿水もストリーマで除菌しているのが特徴です。放出系のアクティブプラズマイオンはシャープの「プラズマクラスター」やパナソニックのナノイーに比べると知名度が低いのが悩みの種。その点について桜田部長は、「有害物質を確実にスピーディに分解・除去できるのはストリーマ方式。ただ、空間やカーテン等に染み付いたものにはアクティブプラズマイオンが有効です。ダブル方式はダイキンの強みなので、新しいTAFUフィルターとともに、今シーズンはもっと強くアピールしていきたい」と意気込みを語りました。

 

空気は我々が24時間365日、常に吸い続けているもの。特に喚気がしづらい冬こそ、空気の質には十分に注意したいところです。その点、ダイキンのダブル方式による空気清浄能力、脱臭力は魅力的ですね。

↑ダイキンはストリーマと放出イオンのダブル方式↑ダイキンはストリーマと放出イオンのダブル方式

 

【SPEC】

MCK55U(スリムタワー型加湿機能搭載モデル)

●実売想定価格:4万8800円(税別)●サイズ/質量:W270×H700×D270mm/9.5kg●タンク容量:約2.7L●適用床面積:空気清浄運転時が25畳まで、加湿空気清浄運転時の空気清浄が25畳まで、加湿は木造が8.5畳まで、プレハブが14畳まで

MC55U(加湿機能非搭載コンパクトモデル)

●実売想定価格:3万8800円(税別)●サイズ:W270×H500×D270mm/8.5kg●タンク容量:約2.7L●適用床面積:空気清浄運転時が29畳まで

MCK70U(リビング向け加湿搭載モデル)

●実売想定価格:5万2800円(税別)●サイズ/質量:W395×H600×D287mm/12.5kg●タンク容量:約3.6L●適用床面積:空気清浄運転時が31畳まで、加湿空気清浄運転時の空気清浄が31畳まで、加湿が木造11畳まで・プレハブ18畳まで