重さわずか約125g! 世界初のSnapdragon AR2搭載XRグラス「MiRZA」

NTT QONOQ Devices(NTTコノキューデバイス)は、メガネ型XRグラス「MiRZA(ミルザ)」を発表しました。個人向けは全国のドコモショップやドコモオンラインショップ、各ECショッピングサイトなどで2024年秋より順次販売される予定で、実売価格は24万8000円(税込)。

 

記事のポイント

メガネのように軽い装着感ながら、高性能チップセットAR2搭載によりスマホとの連携性を高めたXRグラス。SF映画のように、目の前の空間にバーチャルディスプレイが表示される体験は話題を呼びそう。今後のコンテンツ拡充にも注目したい。

 

ミルザは、デバイス上の様々な情報を目前の空間にバーチャル表示させることができるXR(クロスリアリティ)グラス。世界で初めてクアルコムのチップセット「Snapdragon AR2 Gen1」を搭載し、スマートフォンとワイヤレス接続して機能を連携させられることが特徴。

 

約1000nitsの明るさとFHD(1920×1080)の高画質で画像を表示し、グラスを通して現実空間を実際に見ながら3D空間もクリアに視認可能。それにより、手軽に6DoFコンテンツ(現実空間の位置座標や物体を認識し、バーチャルなコンテンツをあたかも現実空間に存在するように配置できる)を体験・活用できるとしています。

 

活用例として、XRAI(エックスレイ)が提供する文字起こし・通訳機能アプリ「XRAI Glass」を利用することで、140以上の音声言語を即座に通訳して字幕に変換・表示し、円滑な外国語コミュニケーションが可能になることが挙げられています。このほかにもSnapdragon Spacesに対応したアプリの利用も可能です。

 

重量は電池搭載ながら約125gと軽量。メガネに近い重量バランスや厚みを抑えた光学レンズの採用により、長時間使用しても疲れにくい装着感を実現しています。また、パリミキ・アイジャパンとの協業により、視力補正用レンズを装着することも可能です。

 

NTTコノキューでは、XRグラスミルザの今後の利用シーンやソリューションの拡充を目的とし、法人パートナーを募集し新たなコンテンツ開発を行っていくとしています。

 

NTTコノキューデバイス
XRグラス「MiRZA(ミルザ)」
2024年秋発売予定
実売価格:24万8000円(税込)

Apple Vision Pro廉価版は来年発売? アップルのスマート眼鏡も登場するかも

Apple(アップル)がスマートグラス(スマート眼鏡)の開発を継続していることを、 Bloomberg(ブルームバーグ)が報じています。また、空間コンピューター「Apple Vision Pro」の廉価版も来年発売されるようです。

↑eduardonunez / Shutterstock.comより

 

今回の報道によれば、AppleのスマートグラスはMeta(メタ)とRay-Ban(レイバン)のコラボレーションによる「Ray-Ban Meta Smart Glasses」に似ているとのこと。つまりレンズへの画面表示機能はなく、音声で操作するデバイスとなるようです。

 

一方で、レンズに情報を表示できるスマートグラスについては「真のAR(拡張現実)メガネを作るというアイディアは、技術的な課題のため棚上げになっている」とも付け加えています。

 

さらに、Apple Vision  Proの廉価版も「おそらく来年早々に」出荷する予定だと指摘しています。これについて報道では、「このカテゴリのデバイスはまだ消費者の心を掴んでおらず、廉価版が1500ドル(約22万円)未満にならない限り、ニッチな製品のままでしょう」と、懐疑的な見方をしています。また第2世代のApple Vision  Proの開発も継続しているものの、リリース時期は不明だと伝えています。

 

Apple Vision Proは国内価格が59万9800円と極めて高価な製品でしたが、廉価版はせめてその半額程度で発売されて欲しいものです。

 

Source:  Bloomberg via 9to5Mac

Vision ProにAIガジェット、2024年のデジタル製品を語る上で欠かすことができない3つのキーワード

前回は「2024年上半期ベストヒット」として、デジタルガジェットのトレンドやヒット製品を紹介しましたが、今回はその下半期版として、「次に何がくるのか?」というネクストトレンドを3つのキーワードでまとめました! デジタル編は、今回もガジェットライターの湯浅顕人さんに解説をしていただいています。

キーワード01【Apple Vision Pro】

2024年6月にAppleが“空間コンピュータ”というコンセプトで発売した新型デバイス「Apple Vision Pro」。湯浅さんはなぜこの製品をネクストトレンドにピックアップしたのでしょうか?

 

「自分が他メーカーのVRゴーグルを使用していて、すごく気に入っているんですよ。ゲームをしていても楽しいし、映像を見ても臨場感が高い。でも、VRゴーグルは魅力に対してあまり普及していないと感じています。

 

Appleってデジタルミュージックプレイヤーがそれほど普及していない時期にiPodを出したり、スマートウォッチもAppleが普及させたり、そうした成功体験があるんですね。このVision Proも使った人がすごいと思えるもので、VR全体を押し上げる力があると期待しています」(湯浅さん)

 

価格はおよそ60万円とまだまだ高価ですが、今後の普及には何が必要でしょうか?

 

「たった1つのネックが価格だと思っています。ですので、アミューズメント施設やショールーム的なところで使ってもらうなど、買わずに体験できる工夫が重要かなと思います。たとえば街や博物館でその場所をARで案内してくれるアプリを見かけますよね。Vision Proもそういったアプリが増えたらいいかなと」(湯浅さん)

キーワード02【AIデバイス】

業務や日常でAIの活用が当たり前の時代になってきました。とはいえ「AIデバイス」はまだ馴染みが薄い概念。湯浅さんに解説していただきました。

 

「AIデバイスは、AIを利用した機能を提供してくれる単体の機械のことを指します。たとえば翻訳機や、名刺を読み取って文字にしてくれるスキャナーなどですね。スマホでもできますが、それが単体であることで、アプリを立ち上げたりせず簡単に使えます」(湯浅さん)

 

ソースネクストが2022年1月に発売した「AutoMemo S」は、AIが音声を認識して文字に起こしてくれるという、AIデバイスのひとつの形です。今年前半話題になったアメリカのスタートアップrabbitのAIアシスタントデバイス「rabbit r1」や、アメリカのHumaneの「AI Pin」もAIデバイスに当たります。また、Metaの次世代スマートグラス「Ray-Ban Meta」もそうでしょう。

 

「Ray-Ban Metaは常時カメラが起動しているので、『今見ているものは何?』と聞いてスピーカーで教えてもらうこともできます。スマホカメラでもできますが、繁雑な起動が必要ですから、常に起動してるという点もAIデバイスのメリットです」(湯浅さん)

 

何気ない日用品にAIが組み込まれ、AIデバイスとして当たり前になる時代が来るかもしれません。

キーワード03 【スマートリングで指の奪い合い】

かざすだけでキャッシュレス決済ができる日本のスタートアップ・EVERINGの「EVERING」など、日常生活を便利にしてくれる指輪型デバイスが注目を集めています。今後、各メーカーによる”指の奪い合い”が起きそう、と湯浅さんは予測します。

 

「今、体の状態を記録するデバイスの主流はスマートウォッチですが、『スマートウォッチを使うと腕時計ができない』という不満を持っている方が多いですよね。スマートリングの場合、単純に指は10本あるので付けられる場所が多い」(湯浅さん)

 

腕や耳の穴と違い、指にはフロンティアが広がっています。スマートリングで今年下半期の本命モデルとして湯浅さんがイチオシなのは、この7月に発表されたサムスンの「Galaxy Ring」です。

 

「いまだ詳細なスペックは分かってないんですけど、出ることは確実でいろいろな情報が入ってきています。『Galaxy Ring』は、スマートウォッチという身体の状態を感知する器具において大きいシェアを占めるブランドが作ったというのが重要ですね。それによってスマートリングの認知も高まって、市場が活発化するのではないかと」(湯浅さん)

 

Galaxy Ringがヒットすれば、AppleやGoogle、ソニーといったノウハウがあるメーカーも黙っていないはず。まさに指の奪い合いが始まりそうです。

 

 

まとめ/柚木安津

【西田宗千佳連載】Meta Quest 3がMRで本気を出すのはいつなのか?

Vol.132-4

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはMetaが発売を開始したVRデバイス「Quest 3」。発売当初、Mixed Realityの注目機能がない理由と、本気を出してユーザーに提供する時期はどれくらいなのかを探る。

 

Meta

Quest 3

実売価格7万4800円〜

↑Quest 2よりも処理速度が大幅に向上したが、それ以上に進化したのがデュアルRGBカメラと奥行きセンサー(デプスプロジェクター)による高度な Mixed Reality(MR)表現。高度な操作が可能なコントローラーも付属する

 

Metaの「Meta Quest」シリーズの特徴として“ソフトウェアアップデートが頻繁である”という点が挙げられる。しかも、アップデートのほとんどは機能アップであり、セキュリティアップデートなどではない。そのため、ハードウェアの出荷時と1年後、2年後では、機器の機能や使い勝手が大きく変わってしまう。

 

このような「ソフトで進化するハード」は、過去から存在した。古くはPlayStation 3あたりがそうだし、いまのスマートフォンやPCも、OSのアップグレードで機能が変わる。

 

ただ、いま一番「劇的なアップグレードが立て続けに出てくるハード」と言えば、やっぱりMeta Quest 3ということになるだろう。MetaのCTO(最高技術責任者)であるアンドリュー・ボスワース氏によれば、すでに「発売から30日・60日・90日・120日で行なうアップデートの内容は決まっている。どれも機能アップ」とのことなので、期待して良い。

 

特に注目して欲しいのが、「発売120日後」以降のアップデートとして、Mixed Reality機能の大幅な拡張も用意されている点だ。

 

このアップデートでは「オーグメント」という機能が追加される。オーグメントとは、簡単に言えば「現実の空間に、ウインドウや3Dオブジェクトを好きに配置する」もの。壁に音楽アプリや写真を貼っておいたり、棚の上に現実にはない3Dの物体を置いておいたり……といったことが可能になる。

 

MRは「周囲が見える」機能だと思われているが、本当はそうではない。現実の空間にコンピューターが生成した画像やウインドウ、オブジェクトなどを配置し「現実とコンピューターの世界を混ぜる」ものだ。

 

こうした要素は、マイクロソフトの「HoloLens」が実現していたもので、2024年にアップルが発売する「Vision Pro」にも搭載されている。ヘッドセットをかぶったまま「現実とコンピューターの世界が混ざった世界」で暮らしたり仕事をしたりするには必須の要素、といってもいい。

 

Meta Quest 3は発売時にそんな必須要素を搭載していないのだが、2024年1月から2月にかけてオーグメントを搭載するアップデートが実行されると、また状況が変わるだろう。

 

ではなぜMetaは、そんな必須機能を搭載しないで出荷したのだろうか? 理由は「動作検証が大変だから」だそうだ。

 

MRは利用者の環境によって精度が変わる。Meta Quest 3は、Metaにとっては初めての「高機能なMRが搭載された機器」なので、家庭での利用状況はわからない。そこでまずMeta Quest 3を出荷し、一般家庭でどう使われたかを検証してからオーグメントをチューニングして搭載したかった……ということのようだ。

 

そして、来年春までには、アップルがVision Proをアメリカで出荷することになる。いよいよ、両者が同じ市場で激突するわけだが、Metaとしてもそれまでにオーグメントを搭載し、「MR機器としてアップルと対抗できる状況」にしておきたいのではないか、とは考えてしまう。どちらにしろ、来年になるとMeta Quest 3は大きく変わることになるだろう。

 

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【西田宗千佳連載】MRは「長い時間着ける」のが本質、でもMeta Quest 3には迷いが見える

Vol.132-3

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはMetaが発売を開始したVRデバイス「Quest 3」。MRの本質を掘り下げていく。

 

Meta

Quest 3

実売価格7万4800円〜

↑Quest 2よりも処理速度が大幅に向上したが、それ以上に進化したのがデュアルRGBカメラと奥行きセンサー(デプスプロジェクター)による高度な Mixed Reality(MR)表現。高度な操作が可能なコントローラーも付属する

 

Meta Quest 3のMixed Reality(MR)機能は、多くの人にとって驚きのものだろう。周囲の状況が自然にわかるので、動画やWebを見ながら部屋の中を歩いたり、ちょっとした家事をしたり……といった使い方ができる。

 

ただ周囲が見えればそれでいいか、というとそうもいかない。安全に、快適にVR機器を使うには、MRがあったほうが望ましい。目を覆ってしまう機器なので、周囲の状況が一切わからないのは危険だし、飲み物を飲んだりするときに毎回ヘッドセットを外すのも面倒だ。

 

また、MRを使った「現実空間の中で遊ぶゲーム」は楽しいだろう。だが、ゲームは没入する部分の多いものなので、すべてのゲームがMR対応にはならないし、MRに向かないものも多い。

 

一方で、Meta Quest 3を仕事に使うとしよう。VRを使ったシミュレーションや講習のような特殊な用途ではなく、もう少し一般的な作業だ。

 

空間に大きく複数のディスプレイを表示して作業をしたり、誰かと仮想空間の中でミーティングをしたりという使い方は、もう十分に可能となっている。ただそのような使い方をするなら、何時間も着け続ける可能性が出てくる。その場合、周囲の状況がわかったり、キーボードやマウスが見えたり、着けっぱなしでスマホの通知を確認したりできないと不便に感じるはずだ。

 

すなわち、MRの本質は「周囲の状況を確認できること」なのだ。体験自体の新鮮さ・おもしろさも非常に重要だが、それ自体はそのうち当たり前のものになる。

 

すなわちMRとは、ゲームをしているときだけヘッドセットをつけるのではなく、いろいろな作業をするときや映像を見るときなど、「日常のなかでできるだけ着けっぱなしになる時間が長くなる」ようにするための必須機能と考えていいのだ。逆に言えば、これまでのVR用ヘッドセットは、そういう必須機能が欠けた状態で使われていたので利用頻度が上がりづらかった……いうこともできるだろう。

 

一方で、Meta Quest 3には多少「Metaの迷い」も見える。

 

Meta Quest 3が標準で採用しているバンドは、安価ではあるが頭を絞め付ける構造になっている。そのため長時間の利用にはあまり向かない。長時間着け続けるなら、Meta Quest Proのように「頭を締め付けず、顔にもパッドを当てずに負担を感じさせない」構造が望ましい。

 

だが、頭や顔に負担をかけない構造は、スポーツ的に激しく動くゲームと相性が悪いうえに、ハードウェアコストも高くなりがちだ。Meta Quest 3は本質的にゲーム機であり、同時にMRを使った未来のPC的なデバイスでもある。

 

Metaはそこでどうしても、Meta Quest 3を、いまのビジネスである「ゲーム」の方に向けざるを得なかった。価格を抑え、ゲームが快適に遊べることが、まず商品として重要であるからだ。

 

そのため、Meta Quest 3を長時間使う場合は、社外品を含めた別のバンドを使うのがオススメになっている。Meta自身がもっと使い勝手のいいバンドを用意してくれてもいいのでは……とも思う。

 

なお、発売時点でのMeta Quest 3のMR機能はまだ完全ではない。毎月アップデートし、2024年以降により本格的な機能が公開されることになっている。それはどういうもので、どう変わるのか? その辺は次回のWeb版で解説する。

 

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【西田宗千佳連載】簡単そうに見えて難しい、「リアルなMR」を実現するまで

Vol.132-2

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはMetaが発売を開始したVRデバイス「Quest 3」。開発までの経緯、特にMR機能の実現にいたるまでを解説する。

 

Meta

Quest 3

実売価格7万4800円〜

↑Quest 2よりも処理速度が大幅に向上したが、それ以上に進化したのがデュアルRGBカメラと奥行きセンサー(デプスプロジェクター)による高度な Mixed Reality(MR)表現。高度な操作が可能なコントローラーも付属する

 

Meta Quest 3の最大の特徴は、外部の様子をカラーかつ立体感のある形で見られる「Mixed Reality(MR)」を重視したことだ。

 

MetaのMRへの取り組みは、2021年から始まる。Meta(旧Oculus) Questは外部認識のために搭載されているセンサーを使い、自分の周囲の様子を表示する、「パススルー」するところからスタートした。もともとはカメラとして搭載されていたものではなく、あくまで「センサー」であり、モノクロで解像度も低い。それを複数組み合わせ、ディスプレイ側にはモノクロによる周囲の映像が見えるように工夫した……という流れだ。

 

その後、Metaが採ったアプローチはスタンダードなものになり、多くのVR用HMDで使われた。そもそもMetaの発想自身、完全なオリジナルというわけではなく、いろいろな企業や研究者が試したものでもある。

 

コストをかけずに「周囲の安全を確認したい」というニーズを満たすには良いやり方だが、一度「外の様子もわかる」となれば、カラーかつ自然な表示を求めたくなるもの。そこで、多くのHMDがカラーカメラの搭載によるMR機能の搭載へと進んだ。

 

ただ、カラーで画質が良く、さらに立体感が自然なMR機能となると、ハードルは一気に高くなる。

 

理由のひとつはもちろんコスト。きちんとした立体感を実現するには、前提条件として、カラーで画質の良いカメラを「目に近い位置に2つ」搭載する必要がある。モノクロで解像度の低いセンサー向けよりもパーツのコストは当然上がる。

 

だが問題はそれだけではない。2022年秋に発売された「Meta Quest Pro」は、発売当初22万円(1500ドル)と高価だった。カラーカメラを搭載しても問題ない価格であり、実際カラーのパススルー機能を搭載してはいたが、画質も立体感もいまひとつだった。

 

その理由は「処理能力」にある。ただし、CPUやGPUの性能だけが問題なのではない。それらとカメラ、メモリーをつなぐ経路である「バス」の性能も重要だ。

 

VR機器とPC、スマートフォンの最大の違いは、つながっているセンサーの数にある。

 

たとえばPCの場合、カメラはついていてもせいぜいひとつか2つ。スマートフォンは2つから5つくらいに増えるが、どれも常に動いているわけではなく、必要なときに使うだけだ。

 

だがVR機器の場合、カメラ(センサー)は5つから6つ搭載されている。それがほぼ常に動作しているので、CPU・GPU・センサーとの間では、大量の情報が「流れ続けている」ことになる。経路であるバスが太く、コントロールも容易な形になっていなければ、いくらCPUやGPUが速くても、クオリティの高いMR機能は実現できないのである。

 

Quest Proに使われていたプロセッサーである「Snapdragon XR2+ Gen 1」では、カラー+3DのMR機能をコントロールするには性能が足りなかった。そのため、モノクロの立体映像に解像度の低い色映像を乗せるような形で再現されていた。

 

一方Quest 3では「Snapdragon XR2 Gen 2」が採用され、性能が劇的に向上した。最も目立つのはGPU性能の向上なのだが、カメラを複数コントロールするためのバス性能なども上がっている模様だ。そのため、クオリティの高いMR機能が実現できている。

 

なお、アップルが2024年に発売を予定している「Vision Pro」は、Quest 3よりもさらに高画質で自然なMRが実現されている。カメラは5つ搭載されていて、どれも高画質なものと見られる。Vision Proはカメラとディスプレイのコントロールのため、メインのプロセッサーである「M2」とは別に「R1」という、カメラやディスプレイをコントロールする専用の新プロセッサーが搭載されている。だから高画質なのだが、それは35万ドル(約52万5000円)という高価なハードウェアだからできることでもある。

 

では、MR機能はどんな可能性を持っているのか? 次回はそこを解説していく。

 

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【西田宗千佳連載】MRでアップルに先行する「Meta Quest 3」

Vol.132-1

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはMetaが発売を開始したVRデバイス「Quest 3」。アップルのVision Proとほぼ同時期に発表したMetaの思惑は何か。

 

Meta

Quest 3

実売価格7万4800円〜

↑Quest 2よりも処理速度が大幅に向上したが、それ以上に進化したのがデュアルRGBカメラと奥行きセンサー(デプスプロジェクター)による高度な Mixed Reality(MR)表現。高度な操作が可能なコントローラーも付属する

 

アップルを意識してほぼ同時期に発表

Metaは10月10日から、新しいVRデバイス「Meta Quest 3」を発売した。

 

9月27日にMeta米国本社で行なわれた発表会にて、同社のマーク・ザッカーバーグCEOは、「いままでにないものを発表することでイノベーションを起こすこともある。だが時には、素晴らしいが超高価なものを、誰にでも手が届くように、あるいは無料で提供できるようにすることで、イノベーションを起こすこともできる」と語った。

 

このフレーズは、アップルの「Vision Pro」を意識してのものだ。

 

Quest 3は、外界の様子を本体に搭載したカメラで取り込み、そこにCGを重ねる「複合現実(MR)」技術を搭載する。

 

Vision ProもMRを搭載し、“空間コンピューティング”としてアピールしている。筆者はデモを体験しているが、圧倒的に高画質で、時に“装着していることを忘れる”ような体験ができる。

 

ただし、Vision Proは価格が3500ドル(約52万円)と非常に高価だ。多くの人がすぐに買えるものではない。

 

一方、Quest 3は499ドル(日本では7万4800円から)と、7分の1の価格で買える。「誰にでも手が届く」とザッカーバーグCEOが強調するのは、この安さがゆえだ。しかも、来年まで待たずともすぐ買える。

 

まず期待されるのはゲーム機としての成功

もちろん、価格が違うのには相応の理由がある。

 

MRの品質・精度では、Vision Proの方がはるかに上だ。だがそれは、高価なパーツと凝った構造という、高価な製品だからできる要素の積み重ねがあって実現できるものだ。一方Quest 3は、画像の荒さや立体感の歪みなどもあり、Vision Proほどのリアルさは実現できていない。

 

とは言うものの、Quest 3が実現しているMRの品質もまた“ほかの機器では体験できなかったレベル”のものであることに変わりはない。価格を抑えつつ、いままでにない体験を実現しようとしているのがQuest 3の美点だ。

 

差別化したのは価格だけではない。“発売タイミング”も相当気にした様子が見える。

 

Quest 3のウリであるMR機能だが、発売当初からすべての機能が実装済みというわけではない。30日単位で機能をアップデートしていき、デモ映像などで出てくる機能がひととおり実装されるのは2024年になってからと見られる。

 

その理由について同社は、「消費者の利用環境を見ながら、慎重に実装するため」としている。

 

一方で、商戦期の関係も大きいのは間違いない。Quest 3は「VRゲーム機」でもあるので、クリスマス商戦を外すわけにはいかないのだ。

 

VRを使ったゲーム機として、一定以上の成功を収めているメーカーはMetaくらいしかない。MetaのQuest向けアプリストアは20億ドル以上を売り上げており、Quest 3もMR以上に“ゲームでの成功”がまず期待されているのだ。

 

では、Quest 3はどう開発されたのか? 同社の過去製品とどう違うのだろうか? そうした部分は、次回以降解説していく。

 

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ゴーグルなしでVR体験できる! 「世界最大の球体」MGSスフィアが本格的にテスト開始

米ラスベガスに建設され「世界最大の球体」として注目を集めるMSG(マディソン・スクウェア・ガーデン)スフィアが、いよいよ本格的なテストを開始しました。

↑MGSスフィア

 

MGSスフィアの広さは1万4864平方メートルで、1万7600人の収容が可能なアリーナ。その最大の特徴は、内側と外側を高精細のLEDパネルが覆い尽くしていること。外側のLEDは約5.4万平方メートルで「世界最大」、内側は約1.5万平方メートルで「世界最高の解像度」が謳われています。

 

これにより会場の外からもコンサートが楽しめる(宇宙空間からも視認できるとのこと)一方で、最大の魅力は内側のディスプレイでライブ・エンターテインメントに囲まれて没入できることです。

 

MSGのジェームズ・ドラン氏とデヴィッド・ディブル氏は『Rolling Stone』誌に、「ゴーグルなしでVR体験ができたら最高じゃないか。それがスフィアなんだ」と語っています。

 

クリエイターらは特殊なカメラにより、観客を包み込むような映像を制作できるとのこと。また特定の音を分離したり、特定の観客だけに対象を限定できる16万4000個のスピーカーもあり。たとえば、スペイン語のセリフを一部の客席だけに聞かせることもできます。

さらに約1万の座席には冷気や熱気、風やアロマを顔に吹き付けるオプションもあり、4Dシアター的な楽しみ方もできるそうです

 

この会場は9月29日に初公演が行われ、アイルランドのロックバンドU2がライブを開催する予定です。すでにチケットは完売しているため、スフィアの初回公演がどうなるかはSNSでの報告を待つしかなさそうです。

 

MSGスフィアの建設は2019年に始まりましたが、新型コロナ禍や建設の難しさにより、コスト総額は23億ドルに膨れ上がると見積もられています。これはラスベガスでも史上最高額の会場となり、MSGが投資を回収できる保証はありません。

 

とはいえ、全世界を見渡しても、唯一無二の空間であるのは確かなこと。eスポーツ大会や総合格闘技の試合のほか、様々な用途に活用されると期待したいところです。

 

Source:Michel(Twitter),RollingStone
via:Engadget

アップル史上最もレア? ヘッドセットが極端に出回らないらしい

まもなくアップルが長年掛けて開発したAR/VRヘッドセットが発表されると噂されていますが、その価格は約3000ドル(約40万円)とみられています。そうした高価格もあり、2023年内の出荷台数はわずか10万台未満になる可能性があると、台湾の市場調査会社TrendForceが報告しています。

↑発表間近と言われているアップルのヘッドセット

 

アップル初のヘッドセットは、高いコストや製造の難しさのほか、主に開発者向けとされるため「今年の販売は予約販売に限られる」と主張しています。公式オンラインストアでの予約申込みのみで、店頭での一般販売はないと仄めかしているようです。

 

このヘッドセットは、AR/VR製品カテゴリーでの新たな需要を掘り起こす可能性はあるものの、やはり3000ドル程度とされるお値段の高さは、より広い市場に育てる上で大きなカベとなるようです。その結果、年内の出荷台数は10万台に及ばず、アップルも生産を30万台以下に留めるかもしれないとのことです。

 

昨年初め、アップルはサプライヤー向けに、初年度のヘッドセット販売台数を700万~1000万台を想定しておくように通達したと報じられていました。しかし最近では、300万台に引き下げられたようです。

 

昨年秋、アップルの未発表製品に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏は、アップルが2023年内に約150万台の出荷を計画していると発言していました。が、数か月後には「50万台以下」に下方修正しています

 

またアップルの社内事情に詳しいMark Gurman記者は、アップルは直営店で1店舗あたり、1日1台しかヘッドセットを販売しない可能性があり、年間販売台数は18万台強だと予想していました。本製品は、史上最もレアなアップル製品の1つとなるのかもしれません。

 

Source:Trendforce
via:MacRumors

Appleのヘッドセットが発表間近? 複数の商標が出願

Apple(アップル)が「AR/VRヘッドセット」に関連すると思われる、「xrProOS」「realityproOS」「realOS」といった商標を出願していたことが、海外報道により判明しています。

↑MacRumorsより

 

AppleのAR/VRヘッドセットは6月の開発者向け会議「WWDC 2023」での発表が期待されています。またこれまでにも、「realityOS」「xrOS」といったOS内の文字列や商標出願が確認されています。

 

まずxrProOSという商標は、デラウェア州のDeep Dive LLCという会社をとおして出願されたものです。同社はアルゼンチン、トルコ、フィリピンにてxrProOSを出願しており、また以前にはxrOSを出願したこともあることから、Appleのシェルカンパニー(ペーパーカンパニー)であることが予測されます。

 

そしてrealityproOSとrealOSは、ニュージーランドにてImmersive Health Solutions LLCという会社から出願されたものです。この会社も以前に「Reality One」や「Reality Pro」といった商標を出願しており、その背後にAppleがいると考えられているのです。

 

このようにさまざまな商標が出願される背景には、AppleのAR/VRヘッドセットの発表や販売が近いことが予測されます。関係者業界の重鎮が「素晴らしい出来だ」と語る、同製品の登場を楽しみにしたいものです。

 

Source: MacRumors 1, 2

AppleのAR/VRヘッドセットのコストは約21万円前後に?

Apple(アップル)からの投入が噂される「AR/VRヘッドセット」の製造コストが1500ドル(約21万円)前後になることを、海外ニュースサイトのXRDailyNewsが伝えています。

↑MacRumorsより

 

Appleのヘッドセットは、来月に開催される開発者会議「WWDC 2023」での発表が期待されています。また両目に4K解像度ディスプレイを搭載し、アイトラッキング/ハンドトラッキングが可能な一方で、販売価格は3000ドル(約41万円)とかなり高価になるとも噂されています。

 

XRDailyNewsが伝えるAppleのAR/VRヘッドセットの製造コストによれば、一番高価なmicro LEDディスプレイが280ドル~320ドルになるとのこと。そして14個のカメラモジュールも160ドルと、高価な部品となります。2個のプロセッサは120ドル~140ドルで、組み立て費用は110ドル~120ドル。これらを合計すると、その総コストは1400ドルで、送料などを含めると約1600ドルになると伝えているのです。

 

また別の中国筋の報道では、AR/VRヘッドセットの総コストは1509ドルになるとの情報や、約1290ドル~1300ドルになるとの情報もあります。また製品の名称は「Apple Reality Pro」になるとも伝えられています。

 

かなり革新的なAR/VRヘッドセットとなりそうな本製品ですが、その製造コストもかなりお高いものとなりそうです。

 

Source: XRDailyNews via MacRumors

Metaの次期ヘッドセット、製品名は「Quest 3」? Proモデルの半額以下でMR体験を実現かも

Metaの次期ヘッドセットは今年(2023年)後半に発売予定であることは、公式に発表されています。これまで仮名で呼ばれていたデバイスの製品名が、本当に「Meta Quest 3」である手がかりが発見されました。

↑ヒネリのない名前に?

 

海外のVR関連ニュースサイトUpload VRは、「突然、全てのQuestストアVRアプリでサポートされていると表示されるようになった」と報告しています。おそらくMetaは今年秋の「Connect」イベントでまで情報を出さないと見られていたので、驚きを持って受け止められています。

 

たしかにQuestストアのVRカテゴリーには、右から左にスクロールする文字列のなかに、「Quest 3」というテキストが確認できます。

 

現行モデルも「Quest 2」と呼ばれているので、次のヘッドセットが「Quest 3」になっても意外ではありません。すでにMetaはQuest Proも投入していますが、これはクリエイティブのプロ向けヘッドセットであり、一般ユーザーへの普及を意識したモデルではありません。

 

そしてQuest 3の価格は300~500ドル(約4万1,000円~6万9,000円)だと、ザッカーバーグCEO自らが予告していたこともあります。Meta Quest Proは当初の1,499ドルから999ドルに値下げされましたが、その半額以下ということです。

 

Quest 3に関しては、現行のQuest 2より2倍薄く、少なくとも2倍の性能を持ち、前面カメラで現実世界を取り込んで複合現実(MR)体験を実現するとMeta社内で公表されたとの報道もありました。また、新たなMR体験を含めた41の専用アプリとゲームも準備中だとも噂されています。

 

アップルも6月の世界開発者会議WWDCにてAR/VRヘッドセットを発表すると予想されていますが、そちらは3,000ドル(約40万円)以上とみられています。そちらの方が高性能であることは間違いありませんが、お手ごろ価格のQuest 3の方が普及しやすそうではあります。

 

Source:UploadVR(Twitter) 
via:BGR

いよいよアップル製AR/VRヘッドセットの発表準備? 文字商標「xrOS」の登録が発見される

アップルは来月6月、同社初のAR/VRヘッドセットを発表すると噂されています。とてもリッチな仕様となり、価格は3000ドル~4000ドル(約40万円~54万円)などのリーク情報は伝えられていますが、製品名などは依然として不明なままです。

↑文字商標「xrOS」を発見!?

 

そんなななか、今年初めに“xrOS”を商標登録したアップルが、今度は同じ名前のワードマーク(文字商標)を登録したことが明らかとなりました。

 

このxrOSとは、アップル製ヘッドセット専用OSの名前として有力視されているものです。数年前にはrealityOSだと推測されていましたが、同社の内部情報に詳しいBloombergのMark Gurman記者は「社内では最近、OSの名前を“realityOS”から“xrOS”に変更したと聞いた」と報じていました。

 

xrOSの「XR」とは、拡張現実を意味しているとのこと。一般的にXRとはAR(拡張現実)やVR(仮想現実)、MR(複合現実)などの総称であり、これら全てを実現するというアップル製ヘッドセットには相応しい名前かもしれません。

 

さてTwitterユーザーのParker Ortolani氏によれば、ニュージーランド知的財産局は今月初め、”xrOS “というワードマークの登録を受け付けたとのこと。申請したのは、おそらくアップルの持つシェルカンパニー(実体のないペーパーカンパニー)。同じ会社が、今年1月にニュージーランドで「xrOS」の商標を登録していました。

 

アップルは秘密主義ゆえに、未発表製品の商標や特許を登録するために、複数のシェルカンパニーを持っています。そうすることで、アップルとリーク情報を結びつかないようにするためです。

 

しかし、今回の「xrOS」というワードマークには、アップルが作ったSan Franciscoフォントが使われています。これはiOSやmacOS、watchOS、tvOSといった他のアップル製OSのロゴと一致しているのです。

 

アップルが6月5日(米現地時間)に開催する世界開発者会議WWDCまで、あと1か月を切りました。有名アナリストMing-Chi Kuo氏は、同社が「新型デバイスの発表に向けて、十分な準備を整えていると思います」と述べていましたが、アップルとしては珍しく見切り発車に近いとの趣旨も報じられており、正式発表後も色々と起こるのかもしれません。

 

Source:Parker Ortolani(Twitter) 
via:9to5Mac

Appleの第2世代ヘッドセットは2モデル、販売台数が大幅増加?

Apple(アップル)が2025年にハイエンド版とローエンド版の「第2世代ヘッドセット」を投入すると、著名アナリストのMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏が報告しています。

↑MacRumorsより

 

 

Appleが第2世代の廉価なヘッドセットを開発していることは、Nikkei Asiaも以前に報じていました。これは、6月に開催される開発者向け会議「WWDC 2023」での発表が期待されている、「AR/VRヘッドセット」の後継製品に位置づけられるようです。

 

Kuo氏によれば、Appleの第2世代のヘッドセットにはハイエンド製品とローエンド製品が存在し、その出荷台数は第1世代の10倍程度になると予測しています。これは、iPhoneに「Pro」モデルとそうでない標準モデルが存在するように、より幅広い顧客層へとアピールするという狙いがあるのかもしれません。

 

一方で第1世代のAR/VRヘッドセットについては、小売店1店舗につき1日で1台の販売しか想定されておらず、1年間で700万台〜1000万台の販売が予測されています。これは、製品が3000ドル(約41万円)と高額なこと、そして製品が開発者などのプロフェッショナル向けに設計されていることが原因のようです。

 

もしAppleの第2世代ヘッドセットに廉価版が登場すれば、私達でも気軽に購入できるようになるかもしれません。第2世代ヘッドセットの登場が実現するためにも、第1世代ヘッドセットの成否が注目されそうです。

 

Source: MacRumors

Appleのヘッドセット、来月の発表に向け準備万端か

Apple(アップル)からの投入が期待されている「AR/VRヘッドセット」について、その発表に向けて十分に準備が整ったことを、著名アナリストのMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏が報告しています。

↑MacRumorsより

 

AppleのAR/VRヘッドセットについては、両目に4K解像度ディスプレイを搭載し、アイ/ハンドトラッキング機能を採用するなど、非常に高性能な製品になることが予測されています。また製品は、6月に開催される開発者向けイベント「WWDC 2023」にて発表されるようです。

 

Kuo氏によれば、AppleがAR/VRヘッドセットを来月発表することは、サプライチェーンの株価にとって「良い兆候だ」としています。また4KマイクロOLEDディスプレイはソニーが、「M2」ベースのデュアルプロセッサはTSMCが、ヘッドセットの筐体はEverwin Precisionが、ハンドトラッキング用の12個のカメラはCowellが、外部電源はGoertekが提供すると伝えています。

 

なおAppleのAR/VRヘッドセットは3000ドル(約41万円)となることから、一般消費者向けではなく、開発者やコンテンツ制作者、プロフェッショナル向けのデバイスとなることが予測されています。すでに高い完成度が噂されている同製品ですが、私達の生活をどのように変えるデバイスとなるのかに注目です。

 

Source: MacRumors

アップル製AR/VRヘッドセット、VR業界の大物が「とても良い」と激賞!

アップルが開発中と噂されるAR/VRヘッドセットは、6月の開発者会議WWDCにて発表されることがほぼ確実だとみられています。そんななか、あるVR業界の重鎮から「とても良い」とお墨付きをもらいました。

↑VR業界の大物もベタ褒め!?

 

アップル製ヘッドセットは実際に体験した社内のテスターから「圧倒的な体験だった」との証言はあるものの、同社の秘密主義のためか社外の人間が試してみたとの証言はほとんどありません。

 

しかし、かつて存在したVRテクノロジー企業・Oculusの創業者であるパルマー・ラッキー氏が「アップルのヘッドセットはとても良い」と簡潔にツイート。同氏はそれ以上何も言っておらず、フォロワーからの返信にも応えず、発言はこれだけです。

 

ラッキー氏はVRヘッドセットを世に送り出した後、Oculus Rift社をMeta(当時はFacebook)に売却し、Meta Quest 2やMeta Quest Pro2の基礎を築き上げた人物です。実際にアップルのヘッドセットを手に取ってみたか、頭に被って体験してみたかは不明ですが、これまでの業績がこの言葉に重みを与えています。

 

また、ラッキー氏はFacebookに在籍した当時、自社のVRヘッドセット対応につきハイエンドGPUを搭載した「良いコンピューター」を優先し、それまではMacをサポートしないとも語っていました。つまりアップルに対して甘いわけでもなく、技術的には率直な物言いをする人物と思われます。

 

このアップル製ヘッドセットは、スキーゴーグルのような形で外付けバッテリーが必須、高解像度8Kディスプレイ2枚と、手の動きや目線を追跡するため外側に多くのカメラやセンサーを搭載し、価格は3000ドル(約40万円)以上になると予想されています。

 

これほど高価な製品を買う人はそう多くはなさそうですが、何百万ものiPadアプリが動くとの噂もあり、買った人には大きな満足感をもたらしそうです。

 

Source:Palmer Luckey(Twitter)
via:AppleInsider

Appleのヘッドセットは「競合製品を圧倒する」らしい……

Apple(アップル)からの近日のリリースが期待される「AR/VRヘッドセット」について、「ライバル機をはるかに上回る」との感想を、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)が伝えています。

↑MacRumorsより

 

AppleのAR/VRヘッドセットは、両目に4K解像度ディスプレイを搭載し、アイ/ハンドトラッキングが可能など、高性能かつ高価な製品になることが報告されています。また腰にバッテリーを装着するなど、意欲的な設計も取り入れられるようです。

 

The Wall Street Journalによれば、WWDC 2023ではAR/VRヘッドセット向けのソフトウェア開発に関連したセッションが多く行われるとのこと。一方で製造の遅れにより、製品の量産は9月までは開始されないようです。またヘッドセットには外向きのカメラが搭載され、内部スクリーンにオーバーレイ表示する「Mixed Reality」と呼ばれる機能も利用できます。

 

AR/VRヘッドセットでは「FaceTime」「Apple Fitness+」「ゲーム」が、主な使用例になると述べています。そしてMeta(メタ:旧フェイスブック)のVRヘッドセット「Quest Pro」のような競合デバイスよりも、「より高いレベルのパフォーマンスと没入感」を提供するといわれているのです。

 

一般向けにはなかなか製品が普及しない、VRヘッドセット。AppleのAR/VRヘッドセットがどのようなアプローチで、市場へと切り込むのかが注目されます。

 

Source: The Wall Street Journal via MacRumors

Appleのヘッドセット、外部バッテリーは専用コネクタで装着?

Apple(アップル)からの投入が噂される「AR/VRヘッドセット」では、新型の独自充電コネクタが外用されるとの情報を、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じています。

↑MacRumorsより

 

AppleのAR/VRヘッドセットに関しては、以前にも腰に装着する外部バッテリーの存在が、海外メディアのThe Informationにより報じられていました。同サイトによれば、外部バッテリーはマグネット式の「MagSafe」により電源ケーブルを接続し、1回の充電で2時間の利用が可能だと伝えられています。

 

Bloombergによれば、AppleのAR/VRヘッドセットにはデータ転送用のUSB-Cインターフェイスと、外部バッテリー用の新しい独自充電コネクタを含む、2個の外部ポートが搭載されているとのこと。この充電ケーブルは先端が丸く、やはり磁石で接続すると報じられています。

 

外付けバッテリーについては、iPhone向けの純正モバイルバッテリーこと「MagSafe」のような外観で、iPhoneのような大きさと厚みがあるとしています。またUSB-C経由で充電できるように設計されており、MacBook Proの電源アダプターが利用可能です。

 

1個のバッテリーではAR/VRヘッドセットを約2時間駆動することが可能で、2個のバッテリーを交換しながら連続で使用することも可能。追加のバッテリーパックは別売もされるようです。

 

バッテリーを外部接続すれば、本体重量が減り疲労感の軽減が期待されます。AppleのAR/VRヘッドセットがどれだけスタイリッシュな外観に仕上がるのか、注目したいものです。

 

Source: MacRumors

アップルのAR/VRヘッドセット、実際に体験したテスターが「圧倒された」と証言! 6月に発表の見通し

アップルは長年かけて開発したAR/VRヘッドセットを、6月5日(現地時間)に開催される世界開発者会議WWDCにて発表すると予想されています。このヘッドセットを実際に使った経験のあるテスターが「圧倒された」という証言が伝えられています。

↑圧倒的体験!?

 

このヘッドセットについては、先日BloombergのMark Gurman記者が詳しい情報を述べていました。すなわちスポーツやゲーム、ウェルネス体験アプリが開発されており、VR読書やビデオ会議も可能、高度な視線およびハンドトラッキングも実現されるとのこと。これほどの高性能だけに、価格も3000ドル(約40万円)もするといわれています。

 

そうしたハードウェアやソフトウェアの情報は数多くありましたが、これまで「実際に使ってみた」という感想はまったく聞こえてきませんでした。

 

そんななか、有名リーカーEvan Blass氏のツイートによると、アップルの第1世代XR(ARやVRなどを統合した概念)ヘッドセットのデモを何回か体験した知人がいるとのこと。すでにBlass氏のアカウントには鍵がかけられていますが、米AppleInsiderはスクリーンショットを公開しています。

↑当該ツイートのスクリーンショット

 

その知人は、以前はヘッドセットの能力にガッカリしていたものの、最新のハードウェア/ファームウェアがもたらす体験に「圧倒される(blown away)」ようになったそうです。

 

これはアップルが初めてAR/VRヘッドセットの分野に足を踏み入れ、試行錯誤を重ねてきたと考えると、非常に理に叶っています。同社がまもなく発表する最終的な製品にいたるまで、様々な試作機を作ってきたことは間違いないでしょう。あるテスト機は、小さなクレーンで吊り下げながら着用しなければならないほど重かったとの報告もありました

 

今のところ本製品はWWDCで発表されるものの、外部の開発者にアプリを作る時間を与える必要があるため、実際の発売は数か月先になると見られています。それでも今回の証言が本当であれば、待つ価値は十二分にありそうです。

 

Source:Evan Blass(Twitter) 
via:AppleInsider

Appleのヘッドセットはスポーツやゲーム、フィットネスに焦点?

Apple(アップル)からの投入が期待されている「AR/VRヘッドセット」が、スポーツやゲーム、フィットネスに焦点をあてられていると、Bloomberg(ブルームバーグ)が報告しています。

↑MacRumorsより

 

6月に開催される開発者会議「WWDC 2023」での発表が予測されている、AppleのAR/VRヘッドセット。ハイスペックで高価なだけでなく、将来は目が不自由な人を助けることができるとも噂されています。

 

Bloombergの報道によれば、AppleはAR/VRヘッドセット向けの魅力的な体験を提供するために、スポーツやゲーム、ウェルネス、コラボレーションなどの専用アプリを開発しているとのこと。まず「Fitness+」アプリでは、VRの中でインストラクターを見ながらエクササイズができ、「Health」アプリではVRによるグラフィックやサウンド、ボイスオーバーにより瞑想へといざないます。また、VR上で動画を見るための専用TVアプリが用意され、MLBやMLSのコンテンツも提供されます。

 

AR/VRヘッドセットではiPadのアプリを調整し、3Dインターフェイスを通じてApp Storeにアクセスできるそうです。またSafari、カレンダー、連絡先、ホーム、ファイル、メッセージ、メモ、写真、音楽、リマインダーなどがヘッドセット向けに最適化され、搭載されます。複数のアプリを同時に実行したり、ユーザーが別の部屋にいるときにアプリを切り替えることも可能です。

 

というわけで、スペックだけに終わらない、かなり高機能な製品になりそうなAppleのAR/VRヘッドセット。一般ユーザーでも、かなり楽しめそうな製品となりそうです。

 

Source: Bloomberg via MacRumors

実写3D写真を撮影してもらえる!「JINNAN MARKET」で実写3D視聴&撮影体験会を開催

アルファコードは、4月28日~30日の3日間、渋谷区立北谷公園一帯で開催される「JINNAN MARKET #06」に「Blinky 3D VR BOOTH」として出展。ブース内では、最新の「実写3D VRコンテンツの視聴体験」や、希望者を対象にした「実写3D VR撮影体験会」を提供します。

 

Blinky 3D VR BOOTHの出展は、4月29日12時~17時、4月30日12時~18時です。

 

実写3D VRコンテンツの視聴体験では、従来の3D映像では表現しきれなかった、表現者の動きや各ファッションアイテムのディテールを現実に限りなく近い感覚で体験できる、実写3Dコンセプトコンテンツ「VR×FASHION+SPORTS Innovation」を、最新の高精細4K VRヘッドマウントディスプレイで楽しめます。

 

国内外のモデル・タレント・アスリートが所属するマネージメントオフィスのバークインスタイルとの共同制作で、同コンテンツには、中道理央也さん、竹林さよはさん、助川恵里佳さんが出演。

 

実写3D撮影体験会では、ブース内特設スペースにて専属のカメラマンが「CANON EOS R5C FISHEYE LENZ」や「Z CAM K1 PRO」など、3D VR専用の高性能カメラを用いて、希望者を実写3Dで撮影します。撮影した3D映像データは、後日編集を施し、「JINNAN COLLECTION 2023 SPRING(仮)」として、VRプラットフォーム「Blinky(ブリンキー)」で配信します。

 

Blinkyでは、手持ちのスマートフォンに、市販のスマートフォン用VRゴーグルを利用することで3D VRコンテンツが楽しめます(視聴にはBlinkyの無料会員登録が必要)。

大丈夫? Appleヘッドセット、一筋縄ではいかぬ。組み立てメーカーが契約解除

Apple(アップル)からの投入が噂される「AR/VRヘッドセット」で、独占契約を結んでいた組み立てメーカーのPegatronが契約を解除されたと、台湾紙のDigiTimesが報じています。

↑画像はMacRumorsより

 

報道によれば、AppleはPegatronに対してAR/VRヘッドセットの組み立てを別メーカーのLuxsharaに引き渡すように要請したとのこと。なおこの手続きは、3月に終了しています。変更の理由については、Pegatronが生産能力の一部を中国から他地域に移管し、上海工場をLuxshareに売却したことがあげられています。

 

Luxshareは中国を拠点とするメーカーで、一部のiPhoneやApple Watch、AirPodsを生産しています。これまでのAppleの新製品は台湾メーカーが生産を担当していたので、AR/VRヘッドセットは最初から中国企業が生産を担当する、初の製品となりそうです。

 

一方で、AppleのAR/VRヘッドセットはその生産量が少量とみられているため、今回の組み立ての移管は、Pegatronにとっても痛手ではないことが予測されています。

 

WWDC 2023で発表され、3,000ドル(約39万円)とかなり高価になりそうなAppleのAR/VRヘッドセット。そのデビューは、一筋縄ではいかないようです。

 

Source: DigiTimes via MacRumors

なんと…WWDCではAppleのヘッドセットは披露されない?

Apple(アップル)の「AR/VRヘッドセット」が開発者会議「WWDC 2023」では発表されず、また量産が延期されたことを、著名アナリストのMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏が報告しています。

↑MacRumorsより

 

AppleのAR/VRヘッドセットに関しては、両目にそれぞれ4K解像度ディスプレイを搭載し、アイ/ハンドトラッキングが可能など、ハイエンドな製品となることが予測されています。また、以前にはWWDC 2023での発表の可能性も報告されていたのです。

 

Kuo氏によれば、AppleのAR/VRヘッドセットは量産時期が2023年第3四半期の半ばから終わりにまで延期されたとのこと。またそれにともない、WWDC 2023での発表も不確実となったと報告しているのです。さらに製品の出荷台数の予測も、50万台から20~30万台へと減らされています。

 

現在AppleのAR/VRヘッドセットに関しては、景気後退をきっかけとした市場からの反響の悪さ、ハードウェアのスペックの妥協、デバイスの重量、エコシステムとアプリケーションの準備不足、価格の高さが懸念材料となっています。そして製品価格も3000ドルから4000ドル、あるいはそれ以上になるだろうと予測されているのです。

 

AppleのAR/VRヘッドセットについては以前にも、その投入時期を巡って社内が二分されているとの報道が登場してます。同社にとってAR/VRヘッドセットという新たな市場への参入は、それなりのリスクを伴うものとなりそうです。

 

Source: MacRumors

Appleがヘッドセットを幹部にお披露目? 従業員からは疑問の声も…

Apple(アップル)が「AR/VRヘッドセット」を幹部に披露したことを、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じています。一方で、そのリリースに関しては社内から疑問の声もあがっているようです。

↑MacRumorsより

 

Bloombergの報道によれば、Appleは2018年からAR/VRヘッドセットのデモを社内向けに実施してきたとのこと。しかし今回のデモは「洗練され、華やかで、エキサイティング」な、非常に重要なものだったそうです。

 

一方でAppleのAR/VRヘッドセットは、「明確なキラーアプリがなく、コンテンツが限られ、外部バッテリーを数時間ごとに交換する必要があり、一部のテスターは不快と感じるデザイン」といった、潜在的な問題を抱えているとのこと。さらに、その価格も3000ドル(約39万円)とかなり高額になるようです。

 

そしてThe New York Times(ニューヨーク・タイムズ)によれば、Appleの一部の社員はAR/VRヘッドセットの有用性や価格について、懸念を表明しているとも報じています。さらに、実用的なiPodやiPhoneとは異なり「問題点を洗い出すためにリリースされるのではないか」という疑問の声もあがっているそうなのです。

 

さらにAppleの従業員だけでなく、幹部のなかにもAR/VRプロジェクトの将来性を疑問視する者がいるとも報じられています。たしかにARやMRヘッドセットはまだ十分な市場を開拓するには至っておらず、Appleの製品がそんな風潮を変えることができるのかどうかが気になります。

 

Source: Bloomberg, The New York Times via MacRumors 1, 2

ややっ!? 「realityOS」文字列がApple公式からまたも発見

Apple(アップル)が公式に提供するソースコードに「realityOS」への言及があったことが、海外テックメディアの9to5Macにより報じられています。

↑9to5Macより

 

realityOS(あるいはxrOS)は、Apple(アップル)からの投入が噂される「AR/VRヘッドセット」に搭載される予定のOSです。以前にはWindows向けのApple公式アプリからも「Reality OS」「xrOS」の文字列が見つかっており、その正式発表が近づいていることが予測されています。

 

今回のrealityOSという文字列は、AppleがGitHubにて開発者向けに公開しているソースコードから発見されました。コードには「iOS」「macOS」「watchOS」といったプラットフォームとともに、realityOSや「Reality Simulator」「Wolf(プラットフォームのコードネーム)」が併記されていました。

 

両目に4K解像度ディスプレイを採用し、アイトラッキング/ハンドトラッキングや多数のカメラ、M2チップなどの搭載が噂される、AppleのAR/VRヘッドセット。3000ドル(約40万円)とかなり高価になるという噂もありますが、あるかもしれないWWDCでの発表を楽しみにしたいものです。

 

Source: Aaron / Twitter via 9to5Mac

Apple「AR/VRヘッドセット」部品、ついに初リークか 

Apple(アップル)の「AR/VRヘッドセット」のものとされる部品画像がリークされたと海外メディアが報じています。なおリークアカウントのMr.White氏がTwitterでリークしたとみられていますが、現在アカウントは非公開です。

ARVR-headset
↑画像はMacRumorsより

 

AppleのAR/VRヘッドセットは、2023年6月のWWDCでの発表と、年内の発売が噂されていました。製品は4K解像度ディスプレイやハンド/アイトラッキング、M2チップや多数のカメラを搭載するなどかなりハイエンド志向で、3,000ドル(約40万円)での発売が予測されています。

 

今回リークされた画像は、ユーザーの目の周りに設置されるリボンケーブル状のものです。おそらく、ディスプレイ部品を接続するために利用されるものとおもわれます。

↑画像はMacRumorsより

 

もう1つは、ケーブルに沿って何らかのセンサー、あるいはカメラを搭載するためのもののようです。

 

残念ながらAR/VRヘッドセットの全貌を知ることは、今回の画像からは難しいでしょう。しかし年内の発売に向けて、着実に製品開発が進められているようです。今後もさらなる製品リークや情報公開がすすむことを期待したいものです。

 

Source: MacRumors

Appleのヘッドセット、投入時期を巡り社内が二分?

Apple(アップル)からの年内の投入が噂される「AR/VRヘッドセット」について、その発売時期をめぐりCEO(最高経営者)や重役、そしてデザインチームの意見が別れていたことを、Financial Times(ファイナンシャル・タイムズ)が報じています。

↑9to5Macより

 

AppleのAR/VRヘッドセットに関しては、Bloomberg(ブルームバーグ)によれば6月の開発者会議「WWDC」にて発表され、年内にも発売される見込みです。また製品は高解像度ディスプレイやハンド/アイトラッキング、M2チップや多数のカメラを搭載し、3000ドル(約40万円)とかなり高価になると予測されています。

 

今回のFinancial Timesの報道によれば、幹部のJeff Williams(ジェフ・ウィリアムズ)氏が率いるオペレーションチームは、たとえデバイスが高価であっても、先進的なヘッドセットをできるだけ早く出荷したいと考えていたそう。一方でデザインチームは、軽量な「ARスマートグラス(メガネ)」が実現可能になるまで、製品投入を待ちたかったそうなのです。

 

そしてAppleを率いるTim Cook(ティム・クック)CEOは、Williams氏による製品の早期投入を支持。たとえ製品が高価であり、また消費者へのアピールが大きくなかったとしても、今このタイミングで市場に参入すべきだと判断したようなのです。

 

これまでの噂が正しければ、AppleのAR/VRヘッドセットは消費者向けというよりも、業務での使用を意識した製品となりそうです。はたして同社の賭けが吉と出るか凶と出るか、今後を見守りたいものです。

 

Source: Financial Times via 9to5Mac

アップルのヘッドセット、ジェスチャーでiPhoneの操作を引き継げる?

アップルからの投入が期待される「AR/VRヘッドセット」にて、「Continuity」「Handoff」といった機能が利用できる可能性を、海外テックサイトのPatently Appleが伝えています。

↑9to5Macから

 

ContinuityとはMacやiPhoneによる複数の連携機能を意味します。ワイヤレスファイル転送機能「AirDrop」やテザリング機能「Instant Hotspot」、アプリの作業内容をほかのデバイスに引き継ぐ「Handoff」などがこれに相当します。

 

アップルが出願した特許によれば、ユーザーはMacでドキュメントを作成し、その内容をAR/VRヘッドセットに引き継ぐことができます。また、視線とジェスチャーだけでオーディオのHandoffを操作する方法も説明されています。

 

具体的には、AR/VRヘッドセットでiPhoneを見るもしくは何らかのジェスチャーで、開かれているドキュメントがiCloud上で共有され、ヘッドセットでも開かれるというのです。また、iPhoneから「HomePod」でオーディオを転送する操作でも、ヘッドセットが活用できるとしています。

 

以前の報道によれば、AppleのAR/VRヘッドセットは空中タイピングが可能だったり、あるいは目が不自由な人を助けることができたりするとも伝えられています。同社のヘッドセットは、産業用に終わらない未来を実現しようとしているのかもしれません。

 

Source: Patently Apple via 9to5Mac

アップル、目が不自由な人々を助けるAR / VRヘッドセット新機能を開発中か

アップルは初代AR / VRヘッドセットを開発し、早ければ年末までに発売すると予想されています。その後も第2世代などシリーズ化していくと思われており、将来のバージョンでは目の病気を持つ人を助けることができるかもしれません。

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↑スマートグラスでARアプリケーションを使用する図

 

アップルの内部情報に詳しいBloombergのMark Gurman記者によると、同社内には最重要機密を扱うグループXDG(Exploratory Design Group)があり、そのエンジニアが次世代ディスプレイ技術や人工知能、そして視覚的な問題を抱える人々を支援するAR / VRヘッドセットの機能などに取り組んでいるそうです。

 

それ以上の詳細は不明ですが、アップルにとってアクセシビリティ(どんな人でも同じように利用できること)は常に重要な分野です。同社は誰もが自社製品を使えることを目指しており、iPhoneやiPad、Macでもさまざまな視覚、聴覚、身体機能につき支援するアクセシビリティ設定が用意されています

 

アップルの初代AR / VRヘッドセットは、10以上のカメラを内蔵し、その一部は周囲のマッピングに使われると噂されています。これにより、目の不自由な方に周囲の状況を音声案内できる可能性がありそうです。

 

また米MacRumorsは、加齢黄斑変性症(AMD)のような視界に死角ができる病気の人を対象にした機能があるかもしれない、と指摘。例えばARグラスの「Oculenz for AMD」は、すでにAMD患者の視界を補う仕組みが取り入れられています。

 

今のところアップル製AR / VRヘッドセットにつき、具体的なアクセシビリティ設定の情報はないようです。が、将来的にiPhoneに取って代わるほどの普及率を狙うなら、「誰しも使えること」は何よりも重視されるはず。アップルならではの独創性あるアプローチを期待したいところです。

 

Source:Bloomberg
via:MacRumors

Appleのヘッドセットは「空中タイピング」が可能かも

Apple(アップル)からの投入が予測されている「AR/VRヘッドセット」において、空中でのタイピングが可能だと、Bloomberg(ブルームバーグ)のMark Gurman(マーク・ガーマン)記者が報告しています。

↑MacRumorsより

 

AppleのAR/VRヘッドセットに関しては、今年6月に開催されるWWDCでの発表が予測されています。また「SiriでARアプリが作成できる」など、かなり意欲的な新機能が盛り込まれるようです。

 

今回の報道によれば、AppleのAR/VRヘッドセットには目の動きとハンドジェスチャーを利用したテキスト入力方式「In-air typing」が搭載されているとのこと。これによりiPhoneとペアリングをしなくても文字が入力できるのですが、一方で「まだ、iPhoneのタッチスクリーンでのキーボードを使用したくなるかもしれない」と、その完成度の低さも指摘しています。

 

AppleのAR/VRヘッドセットはセットアップに「iPhone」を必要とせず、「iCloud」のユーザーデータを独立してダウンロードすることができます。また2024年には第2世代のAR/VRヘッドセットや、廉価なAR/VRヘッドセットも投入されるようです。

 

ヘッドセットを装着し、空中で文字が入力できると聞くと、まるで映画のワンシーンのようにも感じられます。入力の快適さも含め、製品リリースまでにその完成度が高まっていてほしいものです。

 

Source: Bloomberg via MacRumors

アップルの廉価ヘッドセット、2025年にハイエンドモデルと同時登場?

アップルが2025年に第2世代となるハイエンドヘッドセットとローエンドヘッドセットを投入するとの予測を、著名アナリストのミンチー・クオ氏が報告しています。

↑MacRumorsより

 

アップルが廉価版のヘッドセットを開発していることは、以前にも海外テックサイトのThe Informationにより報じられていました。またNikkei Asiaによれば、この廉価版ヘッドセットはフォックスコンが開発しており、大量生産と生産効率の向上に焦点が当てられているようです。

 

今回のクオ氏の報告によれば、第2世代のハイエンドヘッドセットとローエンドヘッドセットはそれぞれLuxcaseictとフォックスコンにより製造されるとのこと。そして、両製品の投入時期は2025年になると伝えているのです。

 

アップルの第1世代となるハイエンドヘッドセットに関しては、3000ドル〜5000ドル(約40万円〜67万円)とかなり高価になることが予測されています。一方で第2世代のローエンドヘッドセットは「ハイエンドMacと同等の価格」となるようです。現在のiPhoneのように、第2世代では通常モデルと「Proモデル」が登場するのかもしれません。

 

アップルの第1世代ヘッドセットは、今年6月の開催が期待される「WWDC」での発表が予測されています。デュアル4K解像度ディスプレイや十数個のカメラ、高度なアイトラッキングとハンドトラッキング機能の搭載が期待される同製品ですが、はたして私達一般消費者にもメリットのあるプロダクトとなるのかどうかが気になります。

 

Source: Medium via MacRumors

アップルの廉価な第2世代ヘッドセットはフォックスコン製?

↑画像提供/MacRumors

 

フォックスコンが、アップルの廉価な第2世代ヘッドセットの開発をしていると、Nikkei Asiaが報じています。

 

アップルのヘッドセットといえば、6月に開催される開発者向け会議「WWDC」にて、「AR/VRヘッドセット」を発表するとの予測があります。一方で、プロセッサーやディスプレイ解像度をおさえた廉価なヘッドセットが2024年〜2025年に投入される、との報道も出ているのです。

 

Nikkei Asiaの報道によれば、アップルの最初のヘッドセットは3000ドル〜5000ドル(約40万円〜67万円)と「非常に高価」な製品になるとのこと。一方で第2世代のヘッドセットは「ハイエンドなMac」と同等の、より手頃な価格帯になるようです。

 

アップルの第2世代ヘッドセットでは価格をおさえるために、大量生産と生産効率の向上に焦点があてられるとしています。なお、具体的なスペックや価格に関する情報は報じられていません。

 

まだ最初の製品が発表されていないにもかかわらず、第2世代の廉価モデルが噂される、アップルのヘッドセット。それだけアップルがXR(ARやVR)分野に真剣なのか、あるいはまだまだ計画が定まっていないのかは、気になるところです。

 

Source: Nikkei Asia via MacRumors

約40万円のアップル製ヘッドセット、実は大人気? 関連企業が「需要の急増」に備えている噂

アップルが開発中と噂のAR/VRヘッドセット発表が、6月のWWDC(世界開発者会議)まで延期されるとの予想が報じられたばかり。そんななかで、約3000ドル(約40万円)するとも言われているこの高額ヘッドセットについて、なんとアップルのサプライヤーは需要の急増に向けて準備を整えているそうです。

↑アップルのヘッドセットは6月の登場が噂されています

 

台湾の電子部品業界情報誌DigiTimesの有料記事によれば、光学コンポーネントとモジュールサプライヤーは、新型の拡張現実(XR)デバイスによる需要の急増に備えているとのこと。また、アップルが「今年(2023年)後半」に複合現実(MR)ヘッドセットを発売するとも述べています。

 

ちょうど先週の半ば、アップルの内部情報に詳しいMark Gurman記者が「当初は4月にヘッドセット発表イベントを開催する予定だったが、6月のWWDCまで延期された」と報じていました

 

「WWDCで新型ヘッドセットを発表し、今年後半に発売」というスケジュールは、実はとても理に叶っていることです。つまり、WWDCでヘッドセットとともに開発ツールを公表し、サードパーティの開発者たちがアプリを作る準備を整える。そして数か月後、ヘッドセット本体がお店に並ぶ頃には各種のアプリも揃っている……という状況が理想的なためです。

 

アップルのAR/VRヘッドセットは「Reality Pro」と呼ばれ、左右の目ごとに4Kディスプレイを搭載、度付きメガネの装着にも対応するとの噂話もありました。また側面にはApple Watchのようなデジタルクラウンがあって回すだけでデジタル世界と現実を行き来できるほか、Mac並みの強力なプロセッサーも搭載。それだけにバッテリーの消耗も激しく、1回の充電につき2時間だけ使えるといわれています

 

これだけリッチな仕様であれば、3000ドルという高価格も避けにくいはず。しかし、業界筋が「需要の急増」を予想しているとすれば、その価格を超えた素晴らしい体験をもたらすのかもしれません。

 

Source:DigiTimes
via:iMore

どんな形状に? SamsungがXRデバイスの開発を表明

Samsung(サムスン)は「Galaxy Unpacked」イベントにて、Qualcomm(クアルコム)のプロセッサとAndroid OSを搭載した「XR(VRやARの総称)デバイス」を開発していると明かしました。

↑Samsungより

 

先日には、新型スマートフォン「Galaxy S23」シリーズと新型ノートパソコン「Galaxy Book3」シリーズを発表した、サムスン。同社は以前に、Galaxyスマートフォンを差し込むタイプのVRヘッドセット「Galaxy Gear VR」を販売していたこともあります。

 

SamsungのTM Roh氏はThe Washington Post(ワシントン・ポスト)の取材に対し、同社がXRデバイスの開発に取り組んでおり、「そう遠くないうちに実現する」と語りました。なお、製品が具体的にどのようなものになるのかについては、明かされていません。

 

Roh氏によれば、SamsungのXRデバイスでは「ウェアラブルディスプレイなどのデバイスに特化した、未発表バージョンのAndroid OS」が動作するとのこと。Googleの広報は「私たちはパートナーと協力して、次世代のイマーシブ・コンピューティング体験を構築することに興奮しています」と語っています。

 

SamsungのXRデバイスには、4nmプロセスで製造されるARデバイス向けプロセッサ「Snapdragon AR2 Gen1」が採用されると予測されています。また、Meta(メタ)やMicrosoft(マイクロソフト)とも提携してサービスを提供する予定です。

 

現時点ではわからないことだらけのSamsungのXRデバイスですが、ライバルのApple(アップル)とともに、今後の業界を盛り上げてほしいものです。

 

Source: The Washington Post via 9to5Google

ひと癖あり。2画面合体PCやおしっこ分析デバイスなど、CES 2023で出たユニークガジェット7選

1月上旬に米ラスベガスで開催されたテクノロジーの見本市「CES 2023」。今年は世界の国や地域から3200社が参加する大規模な展示会で、PCや家電、モビリティなどさまざまな分野で、新しい製品や技術が次々と発表されました。

 

多数の製品や新技術が発表されたCES 2023の中から、とりわけユニークな7個の製品をピックアップして紹介します。

 

2画面ディスプレイをフル活用できるLenovo「Yoga Book 9i」

CESでまず注目したいのがPC分野。Lenovo、ASUS、Acer、HPなど複数のPCメーカーが多くの新機種を発表しました。IntelやAMD、NVIDIAなどのチップメーカーも新製品を投入しています。

 

見切れないほどの新製品群の中でも、ひときわ目を引いたのがLenovoの「Yoga Book 9i」。使うシーンに合わせて自在に形状を変化できる2画面搭載のPCです。

↑Lenovo Yoga Book 9i

 

2つの13.3型ディスプレイがヒンジでつながれた形状で、持ち歩くときはたためば普通のノートPCと変わらない地味な見た目になります。画面を開いて、脱着できる物理キーボードを下画面に重ねて設置すると、正統的なノートPCのスタイルに。

 

ヒンジは360度まで回転可能。テントのような形でディスプレイを外側に向けて表示すれば、相手にサブ画面を見せながらプレゼンテーションをする使い方も簡単です。

 

机のスペースを取れる場所なら、2つのディスプレイを縦向きにして置くだけで、デュアルディスプレイ環境が展開できます。さらに、横向きに2画面並べて配置することも可能です。倒れないかハラハラしそうですが、付属の折りたたみスタンド付きケースがしっかり本体を支えてくれるようになっています。

↑2画面、外付けキーボード、ペン対応で形状自在です

 

LenovoのYogaシリーズではこれまでも折りたたみディスプレイを備えた「ThinkPad X1 Fold」など、形状自在な製品が発表されています。Yoga Book 9iは折りたたみディスプレイではなく2画面によって、同じような機能性をより実用的な価格で実現する製品となりそうです。

 

Yoga Book 9iは2023年6月から世界各国で発売予定。価格は2099.99ドル(約27万円)からとなっています。日本向けに投入されるかどうかは、現時点では明らかにされていません。

 

人力でPCを充電するエアロバイクデスク「Acer eKinekt BD 3」

テレワークの普及により、ここ数年は在宅勤務が増えたという人も多いことでしょう。一日中自宅のPCに向かっていると気になってくるのが、運動不足です。Acerが多数のPCとともに発表した「eKinekt BD 3」は、この悩みに正面から答えてくれます。

↑Acer eKinekt BD 3

 

eKinekt BD 3は、エアロバイクを合体させたPC用デスクです。ペダルを回す足こぎ運動ができるうえに、エアロバイクで発電してPCを動かすこともできます。

 

たとえば、1秒間に1回転の電力で回し続けると、1時間で75Wの電力を生成可能としています。背面にUSB Type-Cポート1つとUSB Aポート2つを備えており、スマホやノートPCを充電できます。運動不足を解消しつつ、環境にも優しいというわけです。

↑こいだエネルギーでPCを充電できます

 

直立姿勢を取れる仕事モードと、自転車のような前傾姿勢でこげるスポーツモードの2つの形状に変えることができ、専用アプリでは走行距離や速度などを確認できます。ドリンクホルダーとバッグ掛けも備えているなど、細部まで考え抜かれた作りになっています。

 

北米では999ドルで発売予定。台湾では4月発売で、ヨーロッパ・アフリカ諸国では6月発売としています。日本での展開予定は明らかにされていません。

 

VRコントローラーを置かずに飲み物を持てる「FlipVR」

CES 2023ではVR分野の新製品が相次いで発表されました。たとえば大手メーカーの一角であるHTCは、フラグシップモデルの「HTC Vive XR Elite」を発表しています。

 

日本企業の動きも活発です。ソニーも「PlayStation VR2」の発売日を正式に発表。また、シャープは独自のディスプレイを搭載した軽量型VRデバイスの技術展示を実施しました。

 

日本のVR関連スタートアップの中でも勢いがあるのが、パナソニック系のシフトールです。同社はVR Chatなどのメタバース空間に“入り浸る”人向けの製品を多く投入しています。

 

シフトールがCES 2023で新発表したのが、VRコントローラーの「FlipVR」。一般的には手のひら側にボタンが固定配置されているコントローラーを、手の甲側にずらせるという機構を追加した製品です。ちょっと飲み物を取ったりキーボードを使ったりするときに、コントローラーを手に置かずに済み、VR空間上で“手がだらんと下がって見える”という悲劇も防げます。FlipVRは2023年内の発売予定としています。

↑シフトールのFlipVR。VRコントローラーを手放さずに飲み物を持てる製品です

 

シフトールはまた、CES 2022で初公開したメガネ型VRデバイス「MeganeX」を正式に発表しました。パナソニック独自開発のパンケーキレンズを搭載した軽量設計が特徴で、価格は24万9900円(税込)。2023年3月~4月頃に日本市場で発売されます。同社の口ふさぎ型Bluetoothマイク「mutalk」やフルトラッキングツール「HaritoraX」と組み合わせると、メタバース空間をどっぷり楽しめる重武装ができそうです。

↑シフトールはメガネ型VRディスプレイ「MeganeX」も発表しています

 

クッションが息している!? ユカイ工学の「フフリー」

毎年、CESでユニークなロボットを発表しているユカイ工学。CES 2023では呼吸するクッション「fufully(フフリー)」のプロトタイプモデルを公開しました。

 

フフリーは、抱きかかえられる大きさの雲のような形のクッションです。電源を入れると膨らんだり、縮んだりと、まるで寝息を立てている動物のような動きをします。

↑ユカイ工学の「fufully」

 

動物には、仲間の呼吸につられて呼吸をする「呼吸の引き込み現象」があると知られています。フフリーを抱きかかえることでもこの現象が発生し、ゆったりとした深い呼吸になるそうです。

 

フフリーは東京大学の研究をベースに、JT、博報堂、ユカイ工学の4者で開発を進めています。商品化の時期や価格は発表時点では未定とのこと。

↑ほかの生き物の呼吸のペースに合わせようとする「呼吸の引き込み現象」でリラックス状態へ導きます

 

電子ペーパーで変幻自在なクルマ「BMW i Vision Dee」

CESでは毎年、電気自動車も新製品やコンセプトモデルが多数発表されています。CES 2023では、ソニーとホンダが共同開発しているEVの新コンセプト「AFEELA」が話題を集めました。両社はAFEELAをベースとした市販EVを2025年に開発し、受注を開始する予定です。量産モデルに近いコンセプトカーということもあり、装飾的な要素が少ない洗練された見た目に仕上がっています。

 

AFEELAとは対照的に、ひときわ目を引く外観を持っているのが、BMWのコンセプトカー「BMW i Vision Dee」です。 BMWはCES 2022のコンセプトモデルで白黒の電子ペーパー(E Ink)に覆われたクルマを展示していましたが、今年はカラーE Inkにステップアップしました。

↑BMW i Vision Dee

 

Deeのスポーツ・セダン型のボディは全体がE Inkで覆われていて、数秒でボディ全体の色が変わります。まるでレースゲームで塗装変更を試すかのように、現実世界のクルマをカスタマイズ可能です。

 

さらに、Deeにはクルマが感情を持ち合わせているかのような表現も盛り込まれています。フロントマスクのグリルが、まるで瞬きするかのように表示が変化します。また、音声アシスタントを搭載し、流ちょうに会話しながらクルマを操作できるというコンセプトも持ち合わせています。

↑電子ペーパーで自在にカラーチェンジ。色を保持しており、電気を消費しないため、環境にも優しいとしています

 

置くとディスコになるカラフル冷蔵庫、LG「MoodUP」

LGが冷蔵庫に搭載した「MoodUP」は、冷蔵庫の前面ドアが高輝度LEDパネルとなっており、発光する色をアプリで指定できます。また、冷蔵庫にBluetoothスピーカーを内蔵しており、スマホで再生した曲に合わせてリズミカルに色を変えることも可能。まるでディスコライトのように空間を演出します。

↑LGの「MoodUP」冷蔵庫

 

光るドアは単によく目立つだけではありません。夜間に人を検知すると、ドアが光って足元を照らすほか、冷蔵庫が開けっ放しになっているときに点滅して知らせる機能を備えています。また、上部ドアの1か所は透過型のディスプレイになっており、中に入れたドリンクなどの様子を、ドアを開けずに確認できます。

 

CES 2023ではPANTONEとコラボしたMoodUP冷蔵庫の限定色モデルもお披露目。また、スマート家電の共通規格「HCA 1.0」への対応も発表されました。

↑音楽に合わせて光る機能を使えばキッチンがダンスフロアに早変わり

 

世界初の家庭用尿センサー「Withings U-Scan」

スマートヘルスケア製品を手がけるフランスの Withingsは、世界初という個人向けのハンズフリー型尿検査キット「U-Scan」を発表しました。

 

U-Scanはトイレに設置する尿検査キットで、110gの小石のような機器にカートリッジを内蔵しています。デバイスを通して尿を分析した情報はWi-FiやBluetooth経由で、スマホのアプリに送信することができます。

↑Withings U-Scan

 

カートリッジは栄養状態を分析する「U-Scan Nutri Balance」と、女性の月経周期を分析する「U-Scan Cycle Sync」の2種類。2023年前半にまずは欧州で発売し、米国でも保健当局の承認後に販売される見込みです。カートリッジ1個付きのスターターキットの価格は499.95ユーロ(約7万円)となっています。

↑毎日のトイレタイムで健康を確認できます

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

アップルのAR/VRヘッドセット、Siriで誰でもARアプリが作成可能に?

アップルからの投入が噂される「AR/VRヘッドセット」について、音声アシスタント「Siri」経由でARアプリが作成できるとの情報を、海外テックサイトのThe Informationが報じています。

↑MacRumorsより

 

アップルのAR/VRヘッドセットは、年内の発表とリリースが噂されています。スペックとしては両目に4K解像度ディスプレイを搭載し、アイトラッキングなど高度な機能を搭載するものの、3000ドル(約39万円)とかなり高額なデバイスになることも予測されています。

 

今回の報道によれば、アップルのAR/VRヘッドセットは開発者と顧客の両方が、ARアプリケーションを作成できるように設計されているとのこと。具体例として、Siriを利用することでグラフィックのデザインやアニメーションをプログラムし、バーチャルな動物が現実の物体の上を動き回る……といったアプリを作れるというのです。

 

アップルは2017年に、モントリオールを拠点とするFabric Softwareを買収しており、ARアプリの開発には同社の技術が活用されます。ただし今回のレポートは、2021年に同ツールを見たというレポートを元にしているため、現在はその内容に変更が加えられている可能性もあります。

 

アップルはiPhoneやiPad向けに、AR作成ツールとして「Reality Composer」などをすでに提供しています。その拡張として、AR/VRヘッドセットでも敷居の低い開発ツールが提供されるのかもしれません。

 

Source: The Information via MacRumors

AppleのAR/VRヘッドセットはMacの画面になり、映画鑑賞モードも搭載!?

Apple(アップル)からの投入が期待されている「AR/VRヘッドセット」について、AR/VRの切り替えやMacのディスプレイとしても使えるとの情報を、Bloombergが報じています。

↑MacRumorsより

 

すでに数多くの情報が登場しているAppleのAR/VRヘッドセットですが、いよいよ今年の春の発表秋の発売が期待されています。一方で片目4K解像度のディスプレイを搭載するなどハイエンドなスペックとなり、3000ドル(約39万円)とかなり高価になる、との予測も伝えられているのです。

 

Bloombergによれば、AppleのAR/VRヘッドセットはやはり約3000ドルにて投入され、Meta(メタ)のライバル製品のおよそ2倍の価格になるとのこと。そして、「視線と手の追跡機能が大きなセールスポイントとなる」と報じているのです。これは外部カメラによるユーザーの手の分析や、内部センサーによる目の動きの読み取りが可能になることを意味します。そしてユーザーは画面上のアイテム(ボタンやアイコン、リストの項目)を見て、選択することができるのです。ユーザーは親指と人差し指のピンチ動作でデバイスを操作し、手ぶら(コントローラーなし)での利用が可能です。

 

Digital Crown(デジタルクラウン)を利用してAR/VRを切り替え、ARモードではユーザーは現実世界に囲まれたような体験ができます。バッテリーは加熱を防ぐためにポケットに入れて利用し、ヘッドセット本体とはケーブルで接続することになります。さらにヘッドセットの加熱を防ぐため、冷却ファンも搭載される予定です。バッテリー1個では約2時間の利用が可能で、バッテリーのサイズは「iPhone 14 Pro Max」を2台重ねたくらいのサイズ、ともしています。

 

Macのディスプレイ機能は、仮想現実でMacの画面表示を見ながら、トラックパッドやマウス、キーボードでコンピューターの操作が可能。ブラウザやメール、Apple TVなどさまざまなアプリが対応します。文字入力にはAIアシスタント「Siri」か、近くにあるiPhone、Mac、iPadを利用。手を使って入力をする機能も開発中です。本体外部には装着者の目を表示する曲面ディスプレイを搭載。ディズニーやドルビーなどがパートナーとして参加し、巨大なスクリーンで映画を楽しめる「ビデオ鑑賞専用機能」も用意されているようです。

 

このように、かなり先進的な製品になりそうなAppleのAR/VRヘッドセット。ビデオ機能やコンテンツ開発にも力を入れていることから、もしかすると一般消費者でも楽しめる製品になるのかもしれません。

 

Source: Bloomberg via 9to5Mac

もう? アップルのAR/VRヘッドセットのレンズが2月出荷の報道

アップルのAR/VRヘッドセット向けのレンズが早ければ2月にも出荷されるとの情報を、台湾紙のDigiTimesが報じています。

↑MacRumrosより

 

AppleのAR/VRヘッドセットの情報に関しては、今年の春に発表されて秋にも発売されるとの情報があります。また、公式アプリには「Reality OS/xrOS」の文字列も登場。一方で、廉価なAR/VRヘッドセットが開発されているとの報告も伝えられています。

 

DigiTimesによれば、Genius Electronic Optical(GSEO)というメーカーが「Reality Pro」とも呼ばれる、アップルのAR/VRヘッドセット向けのレンズモジュールを来月から出荷するとのこと。GSEOはアップルのAR/VRヘッドセットのレンズモジュールを供給することになります。

 

アップルのAR/VRヘッドセットに関しては、BloombergのMark Gurman記者が「6月のWWDC前に製品が発表される」と報告していました。そして続くWWDCでは、先述のxrOSの詳細が開発者向けに紹介され、秋にヘッドセットが出荷されるとしているのです。

 

開発者やプロフェッショナルを対象とし、3000ドル前後(約39万円)と高価でニッチな製品になるとも予測されている、アップルのAR/VRヘッドセット。今後のARやVRを含めた「メタバース業界」がどのように発展するのかを占うという意味でも、大事なプロダクトとなりそうです。

 

Source: DigiTimes

ヘッドセットが登場間近? 「Reality OS/xrOS」文字列をApple公式アプリで発見!

Apple(アップル)の公式アプリの内部に「Reality OS」「xrOS」の文字列が含まれていたことが、開発者のAaron氏によって報告されています。これは、近日の登場が噂される「AR/VRヘッドセット」の投入が近いことを示唆しているのかもしれません。

↑MacRumrosより

 

AppleがAR/VRヘッドセットの投入を準備していることは、以前から何度も報じられてきました。最新の報道では今年の春に発表され、秋にも発売されるとの情報も。また、そこで動作するOSの名称が「xrOS(仮称)」になることも、Bloomberg(ブルームバーグ)によって報じられていました。

 

今回文字列が見つかったのは、Windows向けアプリ「Apple Devices Preview App」のプレビュー版です。このアプリはWindowsパソコン上でAppleデバイスを管理するためのもので、このことからも新たなAR/VRヘッドセットの投入が近いことを期待させるものです。

 

2000ドル(約26万円)以上の高価な価格になることや、高解像度ディスプレイに高度な表示機能、調整機能を搭載するとされているAppleのAR/VRヘッドセット。また、腰に装着するバッテリーが用意されるなど、なにやら一般向けというよりも業務用の製品になりそうな様子です。今は、同ヘッドセットがどのように既存のApple製品と連携して動作するのかに期待したいものです。

 

Source: Aaron / Twitter via MacRumors

AppleのAR/VRヘッドセット、発表は今春にも!?

Apple(アップル)の「AR/VRヘッドセット」の正式発表が、毎年6月に開催される開発者会議「WWDC」に先駆けて春にも開催される可能性を、Bloomberg(ブルームバーグ)のMark Gurman(マーク・ガーマン)記者が報告しています。

↑AppleのAR/VRヘッドセット予想図(画像提供/MacRumors)

 

AppleのAR/VRヘッドセットに関しては、著名アナリストのミンチー・クオ氏が「生産の遅れにより、投入が今年秋に遅れる」と報告していました。また2000ドル(約26万円)を超えるかなりのハイエンド製品になることや、腰に巻きつけるためのバッテリーが登場するとの報告も登場しています。

 

Gurman記者によれば、AppleのAR/VRヘッドセットに関してはプロトタイプのハードウェアが、すでに少数の開発者向けに配布されているとのこと。しかしデバイスの完成度は低く、ハードウェアとソフトウェアの連携に関する改善が必要だと指摘しています。さらに、他の部門から開発者やリソースが投入されているようです。

 

一方で発表スケジュールについては、以前は今年の1月が予定されていました。しかし、その予定は変更されたとしています。また春に正式発表した後、6月のWWDCでは開発者向けの詳細やリソース、ツールを提供するようです。

 

というわけで、もしかすると数か月以内にもお披露目となるかもしれない、AppleのAR/VRヘッドセット。業務用のハイエンド製品なのか、あるいは私達でも購入できるような製品となるのかに、注目したいものです。

 

Source: Power On newsletter via 9to5Mac

アップルのAR/VRヘッドセット、開発遅れで投入は今年秋に?

Apple(アップル)からの投入が噂される「AR/VRヘッドセット」について、その投入が今年の秋に遅れる可能性を、著名アナリストのミンチー・クオ氏が報告しています。

↑AppleのAR/VRヘッドセット予想図(画像提供/MacRumors)

 

AppleのAR/VRヘッドセットに関しては、これまで2023年前半の投入が噂されてきました。また最新の報道では、本体に「Digital Crown(デジタルクラウン)」が搭載され、腰に巻き付けるタイプのバッテリーが登場するとの報告も登場しています。

 

今回のKuo氏の報告によれば、AppleのAR/VRヘッドセットではソフトウェア開発ツールや落下テストの問題から、デバイスの発表は毎年6月開催される開発者イベント「WWDC」を含めた、春か夏になるとのこと。そして製品のリリースは今秋になると予測しているのです。

 

またKuo氏は、開発者がAR/VRプラットフォーム向けのアプリケーションを作成できるように、Appleがソフトウェアツールの仕上げに取り組んでいるとも報告しています。一方で、アプリケーションの配布は製品発表から遅れて実施される可能性もありそうです。

 

もしAppleが参入すれば、まさにゲームチェンジャーとなりそうなヘッドセット業界。一方でAppleの製品は2000ドル(約26万円)にもなると噂されており、その価格が若干心配でもあります。

 

Source: Ming-Chi Kuo / Tiwtter via 9to5Mac

2023年内にはiPadやAirPods、Apple Watchの大幅なアップデートなし? AR/VRヘッドセットに集中するため

アップルは2023年内にiPad、AirPods、Apple TVおよびApple Watchの大幅なアップデートは予定していないとの有力情報が届けられています。

↑AR/VRヘッドセットに注力?

 

この情報の発信源は、アップル社内の事情に詳しいBloombergのMark Gurman記者です。そのニュースレターPower On最新号によると、同社は噂のAR/VRヘッドセット「Reality Pro」を6月のWWDC(世界開発者会議)前に発表し、今年秋には出荷予定とのこと。そちらに力を入れるため、ハードウェアおよびソフトウェアの技術者を集めており、他のプロジェクトに支障が出ていると伝えられています。

 

まずiPadについては、直近の新製品は2024年前半の11インチおよび13インチiPad Proになるとのこと。また2023年内にはiPad mini、iPad Air、そして無印iPadの小幅なアップデートがあるかもしれないそうです。

 

またAirPodsシリーズも、今年は「特筆すべき」アップデートはないでしょう、とのこと。第3世代AirPodsは2021年10月、第2世代AirPods Proは2022年9月にリリースされたことから、最上位モデルのAirPods Maxは最も古いAirPods製品となっています。つまり、暗に「AirPods Max後継モデルは2023年には出ない」と仄めかしていると推測されます。

 

そしてApple Watchについても、若干の性能アップを除けば大きな変更はないそうです。こちらは昨年春、やはりGurman氏が「今後2年ほど、新型Apple Watchには注目の健康関連センサー(血圧や血糖値など)が搭載されそうにないと述べていたことの再確認ではあります。

 

とはいえ、「Apple Watch Series 9(仮)」やApple Watch Ultraのマイナーアップデートは期待できそうです。ほか、2023年内に新型Apple TVもないと予想されていますが、逆にいえば現行のアップル製品が型落ちになる心配なしに使っていけるかもしれません。

 

Source:Bloomberg
via:MacRumors

HTCの新型ヘッドセット「Vive XR Elite」はXRもPC VRも楽しめる!

HTCは新型ハイエンドVRヘッドセット「Vive XR Elite」を国内外にて発表しました。

↑HTCより

 

Vive XR Eliteは90Hz駆動の4K解像度ディスプレイを搭載し、110度の視野角(FOV)を実現。外部には広視野カメラを4台搭載し、外部センサーなしでインサイドアウトの空間トラッキングが可能となっています。製品には2個のワイヤレスコントローラーが付属し、ハンドトラッキングに対応。また外部のフルカラーカメラにより、仮想空間に現実空間を融合させる「MR(複合現実)」的な表示も可能です。

 

ヘッドセットの重量は、ホットスワップ可能なバッテリーを含めて625g。満充電状態で2時間の利用が可能で、USB-C経由で30Wの急速充電に対応しています。ヘッドセットの右側面に充電ケーブルが収納されているので、ケーブルを持ち運ばなくていいのも特徴です。また、スピーカーには指向性があります。搭載レンズは視力に合わせた調整ダイヤルが搭載されており、メガネなしでの利用が可能。アドオンアクセサリーの「Face and Eye Tracker」も、今年後半に登場します。

 

Vive XR Eliteはワイヤレス/USB-CケーブルでPCに接続することで、SteamやViveportのVRゲームのプレイが可能。スマートフォンからコンテンツをストリーミング転送することもできます。また、スマートフォンゲーム向けのコントローラーも利用できます。さらにVive XR Elite向けに、100タイトルのゲームやコンテンツが用意されます。

 

Vive XR Eliteの国内向け価格は17万9000円(税込)で、2月15日まで事前予約を実施。発売日は未定ですが、事前予約により100ドル(約1万3000円)以上のコンテンツがプレゼントされます。HTCにとって久々となるコンシューマー向けVRヘッドセット、その完成度に期待したいものです。

 

Source: HTC via Engadget

2022年はソーシャルVRで文化の醸成が加速、2023年はインフルエンサーが登場するかも

2021年頃からインターネットを中心に注目を集めてきた「メタバース」というキーワード。

 

アバターの姿でネットのバーチャル空間に集まり、世界中の人と交流できるという内容で、なかでもVR機器を装着して別世界に行ったような体感が得られる「ソーシャルVR」(VRSNS)の新しさに注目が集まっている。そんなメタバースの2022年を振り返り、2023年の可能性を予測していこう。

 

同じメタバースでも全然違う「ソーシャルVR」

まずは体験したことがない方に向けて、ソーシャルVRについてもう少し前置きを語っておきたい。キーワードは「身体性」だ。

 

メタバースという言葉が指す範囲はとても広く、バトルロイヤルゲームの「フォートナイト」やオンラインゲームプラットフォーム「ROBLOX」といったよく挙げられるサービスだけでなく、「FF14」のようなMMORPG、「ZEPETO」をはじめとするアバターを使うソーシャルアプリなども含める場合がある。

 

ソーシャルVRもその中の一つで、海外なら「VRChat」や「Rec Room」、国産なら「Cluster」「バーチャルキャスト」「VARK」「XR CLOUD」「Vket cloud」などさまざまなサービスが登場してきている。

↑VRChatのWebサイト

 

ジャンルとしての始まりはここ1、2年のメタバースムーブメントより古く、安価なVR機器が大々的に市販された2016年の、いわゆる「VR元年」前後に立ち上がっている。2021年10月にFacebookが社名をMetaに改名し、メタバースに本腰を入れるという発表のインパクトもあってか、やってることは同じだがラベルだけVRからメタバースに変わったという印象だ。

 

そんなソーシャルVRが、ほかのメタバースと大きく異なるのは、自分=アバターそのものという感覚を得られる点にある。

 

VR機器とモーションキャプチャーが現実とアバターの体の同一化を加速

VR機器をかぶったことがない人に説明しておくと、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着すると視界の端まですべてCGの世界で覆われ、頭を上下左右に振ると、そのまま自然に周囲を見回すことができるようになる。コントローラーを持った両手の位置にはCGの手が出現しており、目の前のものを自分の手で掴んだり動かしたりすることが可能だ。

 

つまり、今までタッチパネルやゲームコントローラー、キーボードとマウスなどを使っていた操作が、自分の体を使って現実世界と同じ感覚で指示できるようになる。たとえば、ソーシャルVR内で知り合いを見つけたら手を振ってアピールしたり、握手やハグで親密さを伝えたり。リアルでは目の前にいないはずなのに、会っている感覚がある。この非言語コミュニケーションを多分に含む交流を自然にできるのが、ソーシャルVRならではの強みだ。

↑たとえばこのように複数人で集まって打ち合わせなども可能

 

さらに民生用のモーションキャプチャー機器の登場が、現実とアバターの体の同一化を加速させる。通常、VR内におけるユーザーの姿勢は、頭部のHMDと両手のコントローラーの3点から推測している。つまり下半身は「多分こんな感じだろう」と予測した状態なのだが、たとえば足を組んだり、寝たりするなどの反映されにくい動きもある。リアルと同じ感覚で動かせるアバターだからこそ、きれいに見せたい……。

 

そこで腰や下半身にモーションキャプチャー機器を装着することで、全身の動きをアバターに反映できるフルボディトラッキング、通称「フルトラ」を導入するユーザーも出てきた。元来、モーションキャプチャーというのは完全に業務用のものだったが、キャラクターの姿で動画投稿や生配信を行なうVTuberのムーブメントもあり、2017年の「VIVEトラッカー」あたりから数万円で購入できる製品も登場してきた。

↑2021年に登場した最新のVIVEトラッカー(3.0)(プレスリリースより)

 

まだまだ嗅覚や味覚は得られないものの、物語の中で夢見られてきたフルダイブ型のVRに近いものに触れられる。2022年においてメタバースはさまざまな角度で語られているが、このソーシャルVRの体験の新しさは外せない要素になる。

 

企業はメタバース上のイベントが目立つ。リッチな体験をオンラインで提供

さて、2022年のソーシャルVRは、地固めの時期だったと思われる。新しいハードやサービスが大々的にヒットしたというよりは、企業発とユーザー発というふたつの矢印から文化の熟成が進んだ印象だ。

 

企業発では、メタバース上でのイベントが引き続き目立った。2018年よりVR法人のHIKKYが実施し、世界最大級をうたうメタバース上のイベント「バーチャルマーケット」は、「VRChat」と「Vket Cloud」にて夏と冬の2回開催。この12月に開催した「2022 Winter」では、クリエイターの出展とは別に、パリ、名古屋、札幌を模したメタバースのワールドに、JR東海、ヤマハ、ビームス、大丸松坂屋百貨店など約70の企業がブースを展開した。自社製品の世界観を体感してもらったり、リアルの店舗で働くスタッフがメタバース上で接客したりと、来場者にブランドをアピールしていた。

↑ビームスの出店は5回目。なお、この画像は開発段階のもの(プレスリリースより)

 

同じVRChatでいえば、日産が電気自動車の「日産サクラ」、モスバーガーが「月見フォカッチャ」の発売に合わせて、VRChat上で独自のワールドを用意してPRする展開もあった。

 

国産メタバースである「clsuter」では、KDDI/一般社団法人渋谷未来デザイン/一般財団法人渋谷区観光協会が2020年より展開する「バーチャル渋谷」のイベントが、ゴールデンウィークやハロウィンに合わせて実施されていた。

↑「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2022」(プレスリリースより)

 

コンテンツホルダーのメタバース立ち上げも目立った。具体的にいえば、テレビ朝日の「光と星のメタバース六本木」、テレビ東京の「池袋ミラーワールド」、小学館の「S-PACE」(スペース)など、枚挙にいとまがない。バンダイナムコも2月に発表した中期計画で150億円規模をメタバースに投資すると発表し、「ガンダムメタバース」の構想を発表している。

 

たとえば、商品の概要や値段を調べたかったらWebサイトで事足りるが、生の声や細かい使い勝手を聞きたければ店舗を訪れてスタッフに聞いた方が早い。……といったように、単純に情報を知る以上のリッチな体験をオンラインで提供できるのがメタバースのメリットになる。広い文脈では、イベントや店舗のDXとも言えるわけで、この流れは来年も加速していきそうだ。

 

アバターファッションの販売と購入が加速

ユーザー発では、語りたいことはいろいろあるが、特に注目したいのがアバターファッションにおける経済圏の拡大だ。いわゆるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の流れで、個人や小規模チームがつくったアバターやファッション小物がオンラインで販売され、それをユーザーが購入して着用して楽しむという流れが加速した。

 

ソーシャルVRのUGCの中心にいるのは、おそらくVRChatだろう。VRChatは、当初からアバターやワールドなどでユーザーがカスタマイズできる範囲が広く、それこそ「Blender」などのCG作成ツールでアバターを作り、ソフトウェア開発プラットフォームの「Unity」を介してアップロードして、完全オリジナルな体で活動することができた。そうした背景から、CGやVRのクリエイターを惹きつけてきた。

 

一方で、クリエイター気質ではないユーザーが増えてくると、アバターの体をゼロからつくるのはハードルが高すぎるけど、好みのものを選択して、自分らしくカスタマイズして使いたいというニーズが生まれていく。ここ2、3年でピクシブが運営するオンラインストアサービス「BOOTH」にて、CGクリエイターがアバターやそのファッション小物を売り、ユーザーが「改変」して使うという流れが強固になってきた。

↑BOOTHのWebサイト

 

5年前なら、オリジナルのCGキャラクターをデータで売るというのはそもそも成立しなかった。元来、こうしたアバターファッション市場は、ゲームのスキンやアバター交流アプリなど、ひとつのサービスに閉じた中で展開されてきたが、オープンになり、UGCのクリエイターが参入できるようになったのが新しい。

 

電通が12月に発表した「メタバースに関する意識調査2022」によれば、15〜26歳の「Z世代」の男性において、「アバターやアバターアイテムの購入」を行なっているのが54.5%、前年の22.6%と比較して2.4倍も伸びている。clusterもユーザーが作成したアイテムを売買できる「ワールドクラフトストア」を今年9月にオープンさせた。

 

ソーシャルVRなら「かわいい」になれる

なぜアバターファッションが伸びているのか。それはソーシャルVRが生活に根付いてきたことの裏付けだろう。

 

前述のように、ソーシャルVRではアバターの体を自分の体として認知させる特性がある。そしてアバターの体は、写真加工アプリで補正するというレベルではなく、文字通り性別や種族を超えてなりたい姿を選べるわけだ。

 

そこでたとえばかわいいアバターをまとえば、男性の体ではなかなか難しい、かわいいという褒め言葉を目の前の人からもらえるし、実際ソーシャルVRの中で写真を撮ってもかわいいと自認できる。ネットでシェアしても注目してもらえて承認欲求も満たされる。そしてモテる。

 

TwitterやInstagramをはじめとするSNSは、自分は誰かにとって価値のある存在だと認められたいという欲望も飲み込んで成長してきた。ソーシャルVRは、その注目の矢印を直接自分の体に向けて、さらには自己イメージを上書きできる点が強みになるだろう。もちろん、単純にかわいくなれたから、かわいいファッションを身につけて楽しくなりたいというニーズもあるだろうが……。

 

2022年は前述のビームスだけでなく、アダストリアがVRChat向けアバターをリリースしたり、フェリシモがクリエイターとコラボしたりと、アパレル企業がメタバースファッションに興味を示した年だった。そしてアバターを美しく動かすモーションキャプチャーに関しても、2023年1月ソニーが「mocopi」(モコピ)を発売するなど、より一般化が加速しそうだ。

↑モバイルモーションキャプチャーデバイス「mocopi」(プレスリリースより)

 

2023年はそうしたアバター周りの土壌が整ったうえで、クリエイターだけでなく、アバターを使いこなすおもしろい人が集まり、ソーシャルVR発のインフルエンサーが増える年になるかもしれない。企業発の動きとともに、こうしたユーザー発の動きも見逃せない。

 

ソーシャルVRに関しては、一度HMDをかぶって体験しないと絶対にその価値がわからない。まだという方は、時代の最先端を知るという意味でも、ぜひどこかで体験しておいてほしい。

 

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2022年のガジェット業界を振り返り! 来年見逃せない「ウワサ」と共に。

2022年ももう間もなく終わり! 今年のデジタル業界にもさまざまな新製品やサービスが登場しました。本記事ではグローバルで話題となったガジェット関連のトピックスと2023年以降の噂を、日々海外の最新ニュースに触れている筆者の視点で振り返ってみます。

 

本格化するGoogleの多デバイス展開

↑Googleより

 

2022年のデジタル業界で、最も多くの話題をさらったのはGoogleでしょう。同社は今年、初となるスマートウォッチ「Pixel Watch」を発表。さらに2023年には、久々となるタブレット「Pixel Tablet」の投入も予定しています。スマートフォンにくわえてスマートウォッチ、タブレットとラインナップを広める同社は、サムスンやAppleとシェアの取り合いをする準備を整えています。

 

さらに現時点では未発表ですが、Googleが2023年に折りたたみスマートフォン「Pixel Fold」を投入するという情報もあります。また、2025年には横折りスマホと縦折りスマホの2機種が登場するという噂も…。今後も、Googleのハードウェアビジネスには大いに注目する必要がありそうです。

 

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折りたたみスマホも着実に世代交代

↑サムスンより

 

今年は数多くの折りたたみスマートフォンが各社から登場しました。折りたたみスマホのカテゴリーを牽引するサムスンの「Galaxy Z Fold4」「Galaxy Z Flip4」だけでなく、モトローラシャオミOPPOからも新モデルがデビュー。どの製品もスペックが向上しただけでなく、ヒンジ構造やディスプレイ素材を進化させることで、折り目が目立たなくなるなど使い勝手が向上しています。

 

さらに2023年には、ファーウェイOnePlus、またGoogleから折りたたみスマートフォンが登場するという噂も。また、Appleが折りたたみタブレットを準備しているという情報もあります。近い将来、折りたたみスマートフォンはますます身近な存在となりそうです。

 

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MetaはVR市場を拡大できるか?

↑Metaより

 

今年、さまざまな分野で導入への試みが見られた「メタバース」。そんなメタバース業界を牽引するMetaから新たに投入されたのが、ハイエンド向けの「Meta Quest Pro」です。どちらかといえば開発者向けの製品ではありますが、より求めやすいオールインワンVRヘッドセット「PICO 4」も登場するなど、選択肢が増えるのはいいことです。

 

そして来年に向けて最も登場が期待されているのは、ソニーのPlayStation 5向けVRヘッドセット「PlayStation VR2」でしょう。こちらはゲーム機向けながら本格的なVR表示やコントローラーが付属するなど、かなり気合の入った出来になる模様。さらに、Metaから次期VRヘッドセット「Meta Quest 3」も登場予定です。また、もしAppleからもAR/VRヘッドセットが投入されれば、業界が盛り上がること間違いなしですが…はたして、どうなることやら。

 

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巻き返しなるか、Androidスマホのプロセッサー

 

↑クアルコムより

 

Androidスマートフォン業界を下支えする、クアルコムの「Snapdragon」シリーズ。今年はハイエンド向けとなる「Snapdragon 8+ Gen 1」から「Snapdragon 8 Gen 2」、ミドルレンジ向けの「Snapdragon 6 Gen 1」や「Snapdragon 782G」、そしてスマートウォッチ向けの「Snapdragon W5」など、多様なプロセッサーを投入。長らく放置されていたスマートウォッチ向けのプロセッサーを刷新されたので、Googleの「Wear OS」を搭載したスマートウォッチのさらなる新機種の投入に期待したいものです。

 

別の大きな流れとして、サムスンが独自プロセッサーの開発に乗り出したという情報も。Googleも「Pixel」スマートフォンに独自プロセッサー「Tensor」を採用していますし、今後はAndroidメーカーによるさらなるクアルコム離れが進むのかもしれません。

 

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衛星通信がさらに身近に

↑Appleより

 

2022年に何度も聞いた、「衛星通信」という言葉。ロシアによるウクライナへの侵攻でも、インフラが破壊された現地にてSpaceXの衛星インターネット「Starlink」が活躍しました。さらに、「iPhone 14」でも衛星通信による緊急通報が追加され、2023年には対象国が拡大される予定です。

 

さらに2023年には、サムスンのフラッグシップスマホ「Galaxy S23」にも衛星通信機能が搭載されるという噂も。また次期OS「Android 14」でも衛星通信が標準サポートされるという情報も伝えられており、来年はさらに多くの衛星通信対応スマートフォンが登場するのかもしれません。

 

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Meta Quest 2のグラフィック処理がよりパワフルに! GPU周波数を引き上げるアップデートを実施

MetaはVRヘッドセット「Quest 2」のGPU処理能力が7%向上するアップデートを行ったことを発表しました。

↑アップデートでGPU処理能力強化!

 

アプリ開発者にとっては、このパワーアップにより「目標フレームレートを達成するために解像度を大幅に下げることなく、より高いピクセル密度を活用する能力が向上します」とのこと。要するに「解像度の品質を犠牲にせず、アプリのビジュアルがさらに良くなる」ことだと説明されています。

 

こうしたグラフィック能力の改善は、GPU周波数がこれまでの490MHzから525MHzに上がることで可能となるもの。特に開発者がコードを修正する必要はなく、Meta社の「動的クロッキングシステム」により、アプリが利用できることを検知すると自動的に周波数が上がる(処理能力がアップする)とのことです。

 

もっとも、しばらくは少し使い勝手が悪いかもしれません。なぜなら現状の「v47」ビルドでは、電源オフ/オンか電源ボタンを2回クリックしないと有効にならないため。しかし、今後の「v49」アップデートからは、ヘッドセットを起動すれば手動の操作は必要なくなるそうです。

 

GPUの周波数が上がれば、引き換えに消費電力が大きくなり、バッテリー持ちが悪くなることも心配されます。

 

しかしMeta広報によれば、バッテリー持ちへの「顕著な影響」は予想していないとのこと。あくまで「増える電力消費は小さく、追加のGPUコンピューティングが積極的に必要となる場合にのみ限られる」ため、と述べられています。

 

なぜQuest 2の発売から2年以上も経った今のタイミングで? とも思われますが、Metaは「消費者と開発者の利益を評価し理解するために、このロック解除/機能の実験に数か月を費やした」と答えています。これに先立ち、Quest 2はソフトウェア更新で音声コマンドを追加したり、画面リフレッシュレートを90Hzから120Hzに引き上げられたこともありました。

 

次世代の「Meta Quest 3」は2023年後半に発売が予告されており、あと1年以上も待つことになります。が、Quest 2も少しだけパワーアップしたことで、しばらく第一線で活躍し続けられそうです。

 

Source:Meta
via:The Verge

「観光DXの切り札」は歴史遺産にアリ。VR&ARで加速する「歴史DX」の最前線

金融、医療、物流、防災……。幅広い分野で「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が叫ばれるなか、観光の切り札として俄然注目を集めているのが「歴史DX」。失われた城や建物、かつての街並みなど観光資源である歴史的資産をデジタル技術で精密に再現し、VRやARで体感してもらうという「過去」と「現在」を結びつける新しいツールです。

 

観光立国のカギを握る「歴史DX」とは?

近年、文化庁では文化芸術のDX化を推進しており、令和5年度予算の概算要求の柱として「文化芸術のグローバル展開、DXの推進、活動基盤の強化」(令和5年度要求・要望額:301億円+事項要求/前年度予算額:223億円)が掲げられています。また、歴史的な文化財をDX化によって積極的に活用していくことを観光庁が推進している流れとも合わせ、歴史再現系のデジタルコンテンツは、2030年に訪日外国人旅行者数6000万人を目指す「観光立国」のカギともなるでしょう。

↑文化庁が公表している令和5年度予算の概算要求では、文化芸術のグローバル展開、DXの推進、活動基盤の強化などに力を入れていることがわかる(文化庁資料より)

 

今回のインタビューでは、歴史DXをいち早く手掛けてきた株式会社キャドセンター(以下、キャドセンター)の担当者、綱木 俊博さん、宮下 真一さん、岡本 小夏さんに、歴史的資産を再現する意義や、歴史DXを成功させる秘訣について伺いました。

↑株式会社キャドセンターの綱木 俊博さん、宮下 真一さん、岡本 小夏さん

歴史的資産のデジタル化はいつから盛んになったのか?

そもそも、デジタル化によって歴史的資産の観光価値を高めようという試みは、「Oculus Rift」や「PlayStation VR」といったヘッドマウントディスプレイが市場に出揃い「VR元年」と呼ばれた2016年頃から盛んになってきました。キャドセンターの場合、従来からの技術の蓄積があって参入がスムーズだったといいます。

 

「歴史関連のコンテンツでしたら、弊社は20年以上前から扱っています。メイン事業は建築のCGですので、基本的に建物が完成した後の未来の姿を描くことが多いのですが、それは“今ないものを描く”という意味で歴史の再現とも親和性が高いんです。また、デジタルアーカイブという技術も、ちょうど20年ほど前に確立されました。物体をレーザー計測して点の集合体『点群』を取り、形状そのものをデジタル化して残すという技術です。例えば、点群データから新薬師寺の仏像をデジタル化し、さらに現在色が落ちている部分の彩色を再現するといったコンテンツも手掛けていました」(綱木さん)

 

特に大手の印刷会社など、歴史的な建物や造形物のデジタル化を手掛けてきた企業は同様の傾向が見られるそう。さらにキャドセンターの場合、VRコンテンツのノウハウも蓄積していたとか。

 

「実は20年以上前から今で言うVR的なものはあったんですよ。要はゲームと同じようなもので、PCでリアルタイムにレンダリングしていくインテラクティブ性のあるCGのことです。そういったVR的なコンテンツを、20年以上前から手がけていたことが技術の蓄積に大いに役立ちましたね」(綱木さん)

 

「みえない世界遺産」を見える化せよ!

それまで学術的・学問的なニュアンスが強かった歴史資産のデジタルアーカイブ化に、VRで楽しむというエンタメ色が加わっていく先駆けとなったケースが、2015年から公開された佐賀県三重津海軍所跡の「三重津タイムクルーズ」です。

 

「私たちが関わった歴史系デジタルコンテンツで、非常にエポックメーキングとなったのが『三重津タイムクルーズ』という事例です。今は地中に埋まってしまった明治の海軍所をCGで復活させ、賑わっていた当時の様子もVRで体感できるという仕掛け。この「三重津タイムクルーズ」の試みは、文化庁のガイドブック「文化財の観光活用に向けたVR等の制作・運用ガイドライン」(2018年)にもモデルケースとして取り上げられ、評価されました。これ以降、自治体や施設からのVRやARを使ったコンテンツへの問い合わせが、圧倒的に多くなりましたね」(綱木さん)。

↑2015年から公開された産業革命遺産 佐賀県三重津海軍所跡の「三重津タイムクルーズ」。今は地中に埋まってしまった海軍所の往年の様子をVRでリアルに体験することができる

 

これをきっかけに、同じく世界遺産の平泉の文化遺産を体感できるVRコンテンツ「平泉タイムスコープ」など、さまざまな自治体から歴史系デジタルコンテンツの依頼が舞い込むようになったといいます。

 

「平泉は、中尊寺の金色堂以外にも世界遺産の構成資産が実は7か所ほどあります。それらはほぼ現存しておらず、回遊してくれる人も少ないのでなんとか増やしたいとのことで、平泉町から依頼を受けました。「平泉タイムスコープ」は、無量光院跡というお寺があった場所などを巡ってVRゴーグルを覗いて、平安時代の平泉を体験できるコンテンツになっています。」(綱木さん)

 

この「平泉タイムスコープ」では、コンテンツ内で平安時代の雰囲気をリアルに再現するために、地元の方々の協力を得て時代衣装を身にまとった人物を撮影してモデリングをするといったこだわりもあります。撮影には、キャドセンターのグループ会社である立体造形工房の技術である、360°ぐるりと設置した100台のカメラを使い、瞬時に3Dデータ化する3Dスキャンシステム「瞬撮」が用いられています。

↑100台のカメラを使い瞬時に3Dデータ化する3Dスキャンシステム「瞬撮」での撮影風景。モデルとして参加したのは地元の人たちだ

 

「私は学芸員資格を持っているのですが、歴史学を専門にしている監修の先生と細かくお話ししたうえで、京都の老舗の貸衣装屋さんにも相談して、きちんとした平安時代の衣装を用意していただきました」(宮下さん)

 

建築物や衣装はもちろんのこと、こうした当時の光景の再現には、これまでの歴史研究の結果とのすり合わせが重要となってきます。

 

「監修の研究者の方に、『今はこうだけど、実際の道幅はもっとこうでしたよ』と詳細な地図をいただいて、それをインプットしていきました。建物に関しても、研究が進んだデータをお持ちの先生がいらっしゃって、それをもとにさらに作り込んでいくというケースもあります。建築学の先生、民俗学の先生、さまざまな研究者の方と関わりながら進めています」(宮下さん)

 

「人物の動きに関しては、たとえば実際の雅楽を継承されてる方の動きをモーションキャプチャーしています。バーチャルではありますが、極力リアルに見せる努力をする。まるでそこにいるような体験をしていただきたいと思っています」(綱木さん)

↑「平泉タイムスコープ」では、当時の暮らしぶりはもちろん、道幅まで緻密に再現されている

 

高いモデリング技術に基づいたリアルな3Dデータがあるからこそ、VRによって臨場感の高い体験が可能になる。そして、現在と過去を比べることで、そこにかつて何があったのかを認識でき、時代の移り変わりもイメージできる。単なる歴史文化財の再現に留まらない、これぞタイムトリップといえるのではないでしょうか。

 

プロジェクトの制作期間は意外と短い!?

デジタル上とはいえ、現存していない建物や施設を作り出したうえに、当時の風景や空気感も再現するプロジェクトには、一体どのくらいの期間がかかるのでしょうか。

 

「ほとんどのプロジェクトは1年未満ですね。公募があってから納品までがほぼそれくらいです。ただ、多くの場合、監修の先生が入られて、さまざまな部分に監修が及ぶので、その期間も待たなければなりません。そうなると実際の制作期間は半年ほどですかね」(綱木さん)

 

「最初の半年で、どういったものを見せるか、シナリオのようなものを監修の先生と決めて、そこからデータを作っていく作業に移ります」(宮下さん)

 

史実と照らし合わせながら入念な計画を立て、その後精密なCGを半年で仕上げる。これはまさに職人芸と言えるでしょう。そして何より、コンテンツを作るうえで忘れてはならないのが地元の方との協力だそうです。

 

VR化することがゴールではない

これまでの話からもわかるように、歴史DXと一口にいっても、歴史資産をただVR化することがゴールではありません。VRにする意義や、VRにすることで何を楽しんでもらいたいのか? そうした視点がないと歴史DXは上手くいかないと岡本さんは言います。

 

「文化財を観光資源化するということは、観光に来た方にとっても、地元の方たちにとっても、その場所にある歴史や文化を深く理解できる状況を作るということなのです。エンタメ系の演出がそれを手助けする場合もありますし、シリアスな用途で歴史体験を行いたいというケースもあります。ただ当時を再現するだけでなく、そこに意味を付与する。そのコンテンツがどういった意味を持っているかという部分を意識して常に制作しています」(岡本さん)

 

たとえば広島市の平和記念公園をVRで巡る「広島 PEACE PARK TOUR VR」では、被爆経験を語る証言者の高齢化による歴史の伝承という課題解決に挑みました。ただし、VRがもたらす臨場感はそれを体験する人によっては刺激が強すぎる場合があるため、開発に際しては被爆者の方の証言や過去の写真などの史実をベースに再現しつつも、2つの異なるバージョンを用意したそうです。

↑「広島 PEACE PARK TOUR VR」では、被爆当時の状況や復興に向けて立ち上がる広島市民の想いを体験できる

 

「VRでリアルに再現したい』という思いだけが目的化してしまうわけですけど、そこになるべく人間味を付与しつつ作るということをキャドセンターではやっていけたらと思っています」(岡本さん)

 

歴史的な事実、地元の方々、観光に訪れる方、それぞれが持つ背景を理解しながら、再現という枠を飛び出さないように体験コンテンツとして仕上げていく。デジタル技術だけでは成立しない中身の濃さが歴史DXの真髄なのでしょう。

 

2022年12月17日~18日には国内最大級のお城ファンの祭典「お城EXPO 2022」にて、「仙台城VRゴー」、そして初となる「お城バンジー」などのVRコンテンツを出展予定というキャドセンター。

 

「「お城バンジー」はエンタメに振った話題性の高いコンテンツになっていると思います。CGデータがあれば、観光向けにこうしたインパクトのあるものも作れるんだという方向性を見せられれば嬉しいですね」(綱木さん)。

 

お城の新しい楽しみ方として「お城バンジー」は今後定着していくのか。ぜひとも体験してみたいコンテンツです。

 

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まとめ/卯月鮎 撮影/中田悟(人物)

まだまだ先? アップル製AR/VRヘッドセットに出荷遅れの噂

アップルによる開発が噂されているAR/VRヘッドセットについて、その出荷が2023年後半に延期さる可能性があるとの情報を、著名アナリストのミンチー・クオ氏が報告しています。

↑9to5Macより

 

アップルのAR/VRヘッドセットについては、これまで2023年のリリースを示唆する情報何度か伝えられてきました。ただし、その出荷時期の予測はたびたび後送りされてきたという経緯もあります。

 

クオ氏によれば、アップルのAR/VRヘッドセットでは「特定できないソフトウェア関連の問題」が発生しており、その量産時期が延期される可能性があるとのこと。ヘッドセット用の部品製造は2023年前半に始まる可能性が高いのですが、製品の組み立てと出荷はやはり2023年後半になるだろうと予測しているのです。

 

クオ氏は以前、アップルが来年1月のメディアイベントでAR/VRヘッドセットを発表し、第2四半期(4月〜6月)に発売するだろうと主張していました。もし製品出荷が2023年後半になるとすれば、発表から発売までの時期がずれてしまい、売り上げに影響する可能性も指摘されています。

 

3000ドル(約41万円)のハイエンド向けデバイスになるとも噂される、アップルのAR/VRヘッドセット。その開発も、一筋縄ではいかないようです。

 

Source: 郭明錤 (Ming-Chi Kuo) / Twitter via MacRumors

VRで盛り上がったTGSを振り返りながら、2023年のVR・メタバースを考える

ゲーム業界のトピックスといえばニンテンドースイッチ(任天堂)や、PS5(ソニー)の話題が中心…と思う方も多いだろうが、実は第3の勢力としてVR機器・VRコンテンツ陣営の存在感が高まっている。

 

2022年秋に開催された東京ゲームショウでも、VRに注目する流れが伺えた。VR専用会場、本会場ともに、VRカルチャーの盛り上がりを感じられたので、遅ればせながら、今回は東京ゲームショウを振り返りつつ、2023年のVRがどうなるか考えてみたい。

 

VR専用会場であるTGS VR 2022にはゲームメーカーのブースごとに、ゲームキャラの3Dモデルや大型ポスターが展示されたほか、ゲーム要素を持つコンテンツが用意され、スタンプラリーのように会場を巡りながら最新ゲームの情報を得ることができるゲームデザインとなっていた。

↑TGS VR 2022

 

このTGS VR 2022の総来場者数は39万8622人。VR機器を使うことで世界中から時間も旅費もかけずに訪れることができるとあって、かなりの人気を集めていた。

 

東京ゲームショウ本会場となる幕張メッセ会場にも、多くの人々が来場した。体験のための待ち時間が120分を超えたブースもあったほどだ。

↑本会場(幕張メッセ)の様子

 

実際の総来場者数13万8192人。前回のリアル開催となった2019年の26万2076人からはほぼ半減となったが、基本的にチケットは事前のオンライン販売のみだし、徹底したコロナ対策がとられていたこともあったことから、健闘したといっていいだろう。

 

待ち時間120分という長蛇の列を作ったのが、Meta Questのブースだ。Meta Quest 2本体と、VRを活かしたリズムゲームや現在開発中のVRコンテンツが体験できるとあって、高い注目を集めていた。

↑Meta Questブース

 

ブース内はいくつもの小部屋にわかれており、それぞれの部屋の中でスタッフがついてMeta Quest 2の装着方法や操作方法から細かく教えられた。ゲーマーであれば使い慣れたジョイパッド・ジョイスティックと平面ディスプレイの組み合わせとは異なり、ゴーグル式で周囲が見えなくなることから、体験者が不安に感じることを考慮してデバイスそのものの解説に時間を割いていたとみられる。またVR酔いが起きることを懸念してか、頻繁に体調を確認していた。

↑Among Us VRを体験できた

 

特にプッシュしていたのが、Meta Quest版の「Among Us VR」だ。宇宙人狼ゲームと呼ばれるAmong Usは2020年頃より大ヒット。クルー(人狼でいう村人側)陣営とインポスター(同人狼側)陣営にわかれて、協力と疑いと裏切りの連鎖を繰り返すトークゲームだ。Meta Quest 2で遊べるVR版はゲームステージとなる宇宙船の中をFPS視点で歩き回り、自分に課せられたタスク(仕事)をこなしていくのだが、他のプレイヤーがきちんとタスクをクリアしているか、それとも怪しげな行動をしているかを目撃することもできる。

↑Meta Quest 2を装着したクルーと緊急ボタン

 

ただし見下ろし視点のオリジナルと比較して、周囲が確認しにくくなっているために、ルールは簡単なれどかなりの緊張感を持つゲームとなっている。

 

Meta Quest 2よりも安価なスタンドアローン型VR機器をリリースしているPICOも、大きなブースで展示を行っていた。こちらもPICOシリーズに対応している最新作のプレイアブルなコーナーを多く用意し、常に多くの来場者が集まっていた。

↑PICOブース

 

行列はあったものの回転が速く、待ち時間は短め。そしてMeta Questブースの真横にあったこともあり、Meta Questの体験列から離れてPICOブースに移動する来場者も目立った。

↑ゲームだけでなくフィットネスも

 

PICOシリーズはMeta Questシリーズと同様にAndroidベースのOSを使っているが、細部は異なる。また利用できるアプリストアも別だ。そのためMeta QuestアプリをPICOシリーズで使うことはできない。そういう背景からか、「PICOで楽しめるタイトルはこちら」と対応アプリをわかりやすくアピールしていた。

↑「RUINS MAGUS」などを楽しめた

 

日本のVRゲーム会社Thirdverseは、最大5人vs5人のチーム戦ができるマルチプレイVRタクティカルシューター「X8」をデモ展示。X8は特殊能力を持つキャラクターを選択可能で、VRで楽しめるVALORANTといったところ。ステージ内の移動はジョイスティックだが、しゃがんだり遮蔽物の影に隠れながら身を乗り出して銃撃したりと、各種センサーによって自分のフォームを仮想空間内のキャラクターに投影できるVR機器の没入感を活かした設計となっていた。

↑Thirdverseブース

 

MyDearestブースは、ビジュアルノベルゲームの最先端系といえる「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」を展示。アニメの世界に身体ごとダイブしたような感覚で、特別監察官として「ありえない殺人事件」の謎を解いていくタイトルだ。

↑作中に登場する研究所のようなブースで、カプセルのような椅子に座って試遊ができた

 

日本発のソーシャルVRとして人気を集めているclusterも出展。Robloxのような箱庭ゲームが作りやすい環境でありながら、雑談や演劇、ライブ、DJパーティなども楽しめるメタバースとしても注目を集めており、展示も様々な活用法や遊び方があることを提案するものだった。

↑clusterブース

 

インディゲームブースにもVRコンテンツを展示しているベンチャー企業があり、開発者からもVR市場が注目されていることを実感できた。

 

2023年のVRやメタバースは

VR元年と言われた2016年から6年。Meta Quest 2やPico 4など、約5~6万円で単体利用が可能なVRヘッドセットが購入できる時代となり、ソニーはグループをあげてメタバースに取り組むと発表して、来年初頭にはソニーPS5と連携して使えるPSVR 2の販売も予定されている。バンダイナムコグループもガンダムの世界観を楽しめるメタバースの構築を進めているという。

 

もちろんまだハードルが高い分野でもある。現在のVRヘッドセットの技術では3D映像を間近で見ることからVR酔いという、乗り物酔いに近い状態になる人も多いと思われる。スマートフォンやコンシューマーゲーム機のゲーム市場と張り合える規模になるのはまだ先のことだろう。

 

しかしVRの没入感と一体感を活かしたハードウェア&コンテンツを企業もユーザーも求めてきている感覚は強い。2023年の段階ではニッチ市場にとどまるかもしれないが、世界を巻き込むコンテンツフィールドとなる期待は抱ける。

アップルのAR/VRヘッドセット、動作するのは「xrOS」?

アップルによる開発が噂されるAR/VRヘッドセットでは「xrOS(仮称)」が動作するとの情報を、ブルームバーグのMark Gurman記者が報じています。

↑9to5Macより

 

アップルのAR/VRヘッドセットについては、2023年のリリースを示唆する情報何度か登場しています。また製品は3000ドル(約41万円)のハイエンド向けデバイスとなり、虹彩認証機能が搭載されるとの情報もあります。

 

今回の報道によれば、アップルはAR/VRヘッドセットのOSの名称を「realityOS」からxrOSに最近変更したとのこと。また、xrOSの「xr」は「Extended Reality(拡張現実)」だとも説明されています。このことは、アップルのヘッドセットがAR(拡張現実)からVR(仮想現実)までを含めたMR(複合現実)に対応することを示唆しています。

 

アップルのAR/VRヘッドセットの開発にはPages、Keynote、Numbers、Notes、Apple Newsなどの開発責任者が関与しているとのこと。このことから、アップルがハードウェアだけでなくアプリやサービスの開発も重視している可能性があります。

 

VR業界ではメタが「Meta Quest Pro」を発表した一方、3次元コミュニケーション空間「メタバース」関連事業の失速も伝えられています。アップルが本当にAR/VRヘッドセットをリリースするのなら、どのような業界を狙って投入するのかが気になるところです。

 

Source: ブルームバーグ via 9to5Mac

PS VR2の先行予約開始! 購入条件にご注意を

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は次世代VRヘッドセット「PlayStation VR2 “Horizon Call of the Mountain” 同梱版(以下、PS VR2)」の先行予約応募の受付を開始しました。

↑ソニーより

 

PS VR2は4K解像度/HDRディスプレイや110度の視野角、90/120Hzのフレームレートを実現した、次世代のVRヘッドセット。コントローラーには新型モデル「PlayStation VR2 Senseコントローラー」が採用され、フォービエイテッド・レンダリング(プレイヤーの中心視野ほど高解像度になり、視野の外側に行くに従い低解像度で描画する手法)などの新機能も搭載されています。

 

PS VR2は2023年2月22日に7万4980円(税込)で発売されます。なお今回の応募販売では、応募数が販売予定台数を超えた場合は抽選となります。また、以下のような販売条件がもうけられています。

1.日本のソニーアカウントを持っていること

2.応募するソニーアカウントでサインインしたPS5またはPS4で2021年11月1日から2022年10月31日までの期間に20時間以上のゲームプレイがあること

3.応募するソニーアカウントがMy Sony IDとサインインID共通化されていること(2022年1月19日以降にMy Sony IDを新規登録された方はすでに共通化されています)

 

PS VR2の応募はこちらの公式ページから、2022年11月27日(日)午後11時59分まで受け付けています。当選結果は、2023年1月10日(火)から1月末までにかけて段階的に連絡される予定です。購入手続きはオンラインのソニーストアのみとなり、クレジットカードでの支払いのみが利用可能です。

 

Source: ソニー

アップル、AR/VRヘッドセットのOS開発を一旦完了?

アップルがAR/VRヘッドセット向けのOS開発を一旦完了したことを、ブルームバーグが報じています。

↑hilalabdullah/shutterstock.comより

 

アップルのAR/VRヘッドセットについては、2023年のリリースを示唆する情報何度か登場しています。また、3000ドル(約42万円)もするハイエンド向けの製品になるという噂もあります。

 

ブルームバーグの報道によれば、アップルはAR/VRヘッドセット「Oak(コードネーム)」で動作するOSの最初のバージョンの開発が「内部で終了している」とのこと。そのため、「来年の新ハードウェアに対応できるはずだ」と指摘しているのです。

 

さらにアップルはARやVR技術に取り組むチーム「TDG(Technology Development Group)」の採用を引き続き強化しており、新規採用だけでなく昨年退社したエンジニアの採用なども行っていると指摘しています。

 

また求人情報によれば、アップルはデバイスにおけるコンテンツを強化する作業に力を入れているようです。具体的には3Dコンテンツ関連のビデオサービスやサードアプリの参入、そして「メタバース」的な展開も想定しているようです。

 

ということで、現時点ではさまざまな将来がありえそうな、アップルのAR/VRヘッドセット。いつの日か、私達が気軽に購入できる価格帯の製品につながることに期待したいものです。

 

Source: 9to5Mac

モバイルゲーム機とVRヘッドセットが合体? 夢のマシン「Pimax Portal」発表

PC向けのハイエンドVRヘッドセットで知られる中国Pimax社は、新たな携帯ゲーミングデバイス「Pimax Portal」を発表しました。まるでNintendo SwitchやSteam Deckのような本体だけでゲームがプレイできるとともに、別売りのアクセサリーと合体させてVRヘッドセットにも変身できるとのことです。

↑Image:Pimax

 

Pimax Portal本体は、ディスプレイを内蔵したコア部分の左右にコントローラーを磁力で取り付ける、スイッチを思わせる構成となっています。画面サイズは5.5インチで、最上位モデルはHDR対応、4KのQLED(ミニLEDバックライト使用)でリフレッシュレートは144Hzという、モバイル機器としては破格の仕様です。

↑Image:Pimax

 

搭載プロセッサはSnapdragon XR2で、Meta Quest 2と同じもの。なんと5つものカメラが搭載され、うち4つは背面にあり。これらはインサイドアウト(VRデバイスに内蔵されたカメラで周囲を分析し、位置を測定する)方式のの6DoF(頭や首の回転や傾き+移動を認識)トラッキングやAR体験を実現するそうです。

 

さらに別売りのモバイルVRヘッドセット「Portal View」も用意。これにPortalの画面部分を取り外して差し込むことができ、左右のコントローラーもアダプタに取り付けてVR用コントローラーに変えられ、まるでMeta Quest 2のように使えます。もっとも、この状態では4Kディスプレイも片目当たり1920×2160とQuest 2並みになるようです。

↑Image:Pimax

 

またVRヘッドセット用のレンズも2タイプが付属しており、1つは100度の視野があるゲーム用のもの。もう1つは映画用で、視野角は60度と狭くなっています。

 

本製品は11月15日にKickstarterで先行販売され、Portal本体(ヘッドセットなし)の米国向け価格は299ドル(約4万3000円)から、VRアクセサリー一式のPortal Viewは449ドル(約7万1000円)から。

↑Image:Pimax

 

クラウドゲーミング対応も謳われていたり、様々な応用ができそうなこともあり、日本での販売も期待したいところです。

 

Source:Pimax,YouTube
via:Road to VR

トラッキングが進化? Meta Quest 3は来年後半に登場へ

メタ(旧フェイスブック)CFOのDave Wehner(デイブ・ウェナー)氏は決算説明会にて、次期VRヘッドセット「Meta Quest 3(仮称)」を2023年後半に投入すると発表しました。

↑rafapress / Shutterstock.com

 

メタが展開するVRヘッドセット「Meta Quest」シリーズでは現在通常モデルの「Meta Quest 2」と、ハイエンドモデルの「Meta Quest Pro」が販売されています。また、以前に同社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、次期モデルのMeta Quest 3は300〜500ドル(約4万4000円〜7万3000円)で2022年より後に登場し、顔と目のトラッキング機能が大きな特徴となるとも発言していました。

 

今回の決算発表の場での発言では、Meta Quest 3の発売時期が2023年後半に確定したことになります。メタはこれまで秋のイベント「Connect」にて新しいVRヘッドセットを発表しており、同ヘッドセットも同時期の発表が期待できそうです。

 

なお今回は、Meta Quest 3の価格情報は明かされていません。現行モデルのMeta Quest 2が最初は299.99ドル(約4万4000円)、その後値下げされ399.99ドル(約5万9000円)で販売されたことを考えると、Meta Quest 3もそれに近い価格になるのかもしれません。

 

アップルがメタバースに消極的な発言をするなど、将来を予測するのが難しいVRヘッドセット。個人的には、あまり値上げをせずに気軽に購入できる製品になってほしいものです。

 

Source: Engadget

アップルのAR/VRヘッドセットは虹彩認証搭載? 支払いなどが便利そう

アップルが開発中と噂されている「AR/VRヘッドセット」について、虹彩認証機能が搭載されるとの情報や、ヘッドセット向けに「メッセージ」アプリが再設計されているという情報が、海外で伝えられています。

↑Ian Zelboより

 

2023年の登場が噂されている、アップルのAR/VRヘッドセット。搭載ディスプレイに関する噂いくつか登場していますが、その実態はいまだ謎に包まれています。

 

The Informationによれば、アップルのAR/VRヘッドセットの虹彩認証機能は、アカウントへのログインや決済機能に利用されるとのこと。さらに虹彩認証機能により、一人が複数のヘッドセットを所有していても、同一アカウントを簡単に利用できるとしているのです。

 

ヘッドセット内部には虹彩認証とアイトラッキングのための、カメラを搭載。注視している部分以外のグラフィックの解像度を下げて、パフォーマンスを向上する機能も採用されています。さらにユーザーの足を撮影する2個のカメラを含めた14個のトラッキングカメラにより、より正確なジェスチャーのトラッキングが可能だとしているのです。

 

さらに、ヘッドセットの中にメガネのレンズを磁気クリップで取り付けられる、装着者の表情を見られる外部ディスプレイが搭載される、「スキーのゴーグル」に似た薄型軽量デザインになるなども報じられています。

 

一方でリークアカウントのMajin Buは、新たなメッセージアプリではARを活用したチャット機能を搭載し、ヘッドセットと同時に来年にもリリースされると伝えています。またそのほかにも、新しいホームビューやチャットルーム、ビデオクリップなどの機能が搭載されるようです。

 

というわけで、あれこれ機能満載なデバイスになりそうなアップルのAR/VRヘッドセット。先日には米メタから「Meta Quest Pro」が登場しましたが、アップル製品もそれに負けじと劣らない高額な製品となりそうです。

 

Source: The InformationMajin Bu/Twitter via MacRumors 1, 2

アップルのAR/VRヘッドセットは虹彩認証搭載? 支払いなどが便利そう

アップルが開発中と噂されている「AR/VRヘッドセット」について、虹彩認証機能が搭載されるとの情報や、ヘッドセット向けに「メッセージ」アプリが再設計されているという情報が、海外で伝えられています。

↑Ian Zelboより

 

2023年の登場が噂されている、アップルのAR/VRヘッドセット。搭載ディスプレイに関する噂いくつか登場していますが、その実態はいまだ謎に包まれています。

 

The Informationによれば、アップルのAR/VRヘッドセットの虹彩認証機能は、アカウントへのログインや決済機能に利用されるとのこと。さらに虹彩認証機能により、一人が複数のヘッドセットを所有していても、同一アカウントを簡単に利用できるとしているのです。

 

ヘッドセット内部には虹彩認証とアイトラッキングのための、カメラを搭載。注視している部分以外のグラフィックの解像度を下げて、パフォーマンスを向上する機能も採用されています。さらにユーザーの足を撮影する2個のカメラを含めた14個のトラッキングカメラにより、より正確なジェスチャーのトラッキングが可能だとしているのです。

 

さらに、ヘッドセットの中にメガネのレンズを磁気クリップで取り付けられる、装着者の表情を見られる外部ディスプレイが搭載される、「スキーのゴーグル」に似た薄型軽量デザインになるなども報じられています。

 

一方でリークアカウントのMajin Buは、新たなメッセージアプリではARを活用したチャット機能を搭載し、ヘッドセットと同時に来年にもリリースされると伝えています。またそのほかにも、新しいホームビューやチャットルーム、ビデオクリップなどの機能が搭載されるようです。

 

というわけで、あれこれ機能満載なデバイスになりそうなアップルのAR/VRヘッドセット。先日には米メタから「Meta Quest Pro」が登場しましたが、アップル製品もそれに負けじと劣らない高額な製品となりそうです。

 

Source: The InformationMajin Bu/Twitter via MacRumors 1, 2

アップルのAR/VRヘッドセットは虹彩認証搭載? 支払いなどが便利そう

アップルが開発中と噂されている「AR/VRヘッドセット」について、虹彩認証機能が搭載されるとの情報や、ヘッドセット向けに「メッセージ」アプリが再設計されているという情報が、海外で伝えられています。

↑Ian Zelboより

 

2023年の登場が噂されている、アップルのAR/VRヘッドセット。搭載ディスプレイに関する噂いくつか登場していますが、その実態はいまだ謎に包まれています。

 

The Informationによれば、アップルのAR/VRヘッドセットの虹彩認証機能は、アカウントへのログインや決済機能に利用されるとのこと。さらに虹彩認証機能により、一人が複数のヘッドセットを所有していても、同一アカウントを簡単に利用できるとしているのです。

 

ヘッドセット内部には虹彩認証とアイトラッキングのための、カメラを搭載。注視している部分以外のグラフィックの解像度を下げて、パフォーマンスを向上する機能も採用されています。さらにユーザーの足を撮影する2個のカメラを含めた14個のトラッキングカメラにより、より正確なジェスチャーのトラッキングが可能だとしているのです。

 

さらに、ヘッドセットの中にメガネのレンズを磁気クリップで取り付けられる、装着者の表情を見られる外部ディスプレイが搭載される、「スキーのゴーグル」に似た薄型軽量デザインになるなども報じられています。

 

一方でリークアカウントのMajin Buは、新たなメッセージアプリではARを活用したチャット機能を搭載し、ヘッドセットと同時に来年にもリリースされると伝えています。またそのほかにも、新しいホームビューやチャットルーム、ビデオクリップなどの機能が搭載されるようです。

 

というわけで、あれこれ機能満載なデバイスになりそうなアップルのAR/VRヘッドセット。先日には米メタから「Meta Quest Pro」が登場しましたが、アップル製品もそれに負けじと劣らない高額な製品となりそうです。

 

Source: The InformationMajin Bu/Twitter via MacRumors 1, 2

「Meta Quest 3」は300~500ドル、2023年に登場? ザッカーバーグCEOが明かす

10月12日の「Meta Connect」イベントでは高級VRヘッドセット「Meta Quest Pro」が発表されたものの、安価なQuest 2の後継モデル「Quest 3(仮称)」は姿を現しませんでした。

↑Imge:Bradley Lynch

 

しかしMetaのザッカーバーグCEO本人が、Quest 3の価格は300~500ドルで、2022年内に出ることはないと述べたことが明らかとなりました。

 

これはザッカーバーグ氏がマイクロソフトのサティア・ナデラCEOとともにインタビューを受けた際に、発言したことです。いきなり同氏は「今年ではないが、Quest 3が登場し、その価格は300ドル、400ドル、500ドル、そのあたり」と言い放っています。

 

ここから、おそらくQuest 3は次のMeta Connect(年次開発者会議で10月頃に開催)、ないしは別の単独イベントで登場する可能性が高いと推測されます。

 

ちょうど先日、VR関連リーカーのBradley Lynch氏がQuest 3の「CAD画像」をYouTubeで公開したばかりです。

 

Lynch氏も2023年発売の可能性が高いと言っており、ザッカーバーグ氏の発言で裏付けが取れた感があります。Quest Proが高価なために廉価モデルに期待が集まっていましたが、あと1年待ちになるかもしれません。

 

Lynch氏が語っていたQuest 3のハードウェア仕様は、ざっと以下の通りです。

 

  • Quest 2のような布ストラップ、背面バッテリー非搭載
  • 6自由度トラッキング用カメラ×2
  • 外部カメラはBW(白黒)×2とRGB×2
  • 深度センサー
  • LCDディスプレイ×2
  • メカニカルIPD調整
  • パンケーキレンズ
  • アイトラッキングとフェイストラッキングは非搭載
  • 冷却用にシングルファン搭載
  • SoCはクアルコム社製「Snapdragon XR2(第2世代)」
  • ドック充電用コネクター

 

米国で300~500ドルであれば、日本では4万5000円~7万5000円といったところでしょう。「だいたいPS5と同じ価格」に留まるなら、VRヘッドセットの中では人気機種となりそうです。

 

Source:Stratechery
via:UploadVR

VRヘッドセット「PICO 4」、予約受付開始! 約1万円分のゲームがおトクにゲットできる購入キャンペーンも

PICOは、10月7日に発売を予定しているオールインワンVRヘッドセット「PICO 4」の予約受付を開始しました。税込価格は、128GBが4万9000円、256GBが5万9400円です。

 

同製品の発売を記念したキャンペーンも実施。キャンペーン期間中に、指定販売店で同製品を購入し、アカウント登録とPICOストアでのログインを完了すると、もれなく9188円相当の有料ゲーム3タイトルをプレゼント。キャンペーン期間は10月16日23時59分まで。詳細は、PICO公式サイトの当該ページ( https://bit.ly/3Chypnd )をご確認ください。

 

今後PICOでリリースを予定しているタイトルは、日本発のVR魔法アクションRPG「RUINSMAGUS~ルインズメイガス~」。同作は、様々な魔法と盾アクションを駆使し、遺跡に秘められた世界の真相とその謎の解明を目指す、VR×魔法×本格派アクションRPGが、PICOストアにまもなく登場します。VRアクションアドベンチャーゲーム「オノゴロ物語 ~The Tale of Onogoro~」も、今秋リリース予定。同作は、気の力と蒸気機関が融合した和風伝奇スチームパンクという独自の世界観で、フィールドに仕掛けられた謎解きや、巨大生物「カミ」との大迫力のバトルなど、プレイヤーと巫女「ハル」の、2人の冒険を描く、VRアクションアドベンチャーです。

 

日本オリジナルの施策として、UUUMとの長期パートナーシップを締結し、UUUM制作による、インフルエンサーVRチャンネルが、PICOのプラットフォームに登場します。第一弾は「あなたの推しは、PICOの中にいる。」です。インフルエンサーが、PICOの中で目の前に現れます。リリース時期は未定となっていますが、第二弾、第三弾と、続々コンテンツを展開していく予定とのことです。

「観光DX」が進まないのは、「ただのデジタル化」がゴールになるからである

も“観光立国”を目指す日本。政府は計画として、「2030年の訪日外国人6000万人、旅行消費額15兆円」という具体的な数値を掲げています。そうしたなか、「観光DX」もキーワードとして取り上げられることが多くなってきました。「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、デジタル技術によって製品やサービス、ビジネスモデルを変革すること。

 

観光庁の予算も観光DX関連は年々増額され、ポストコロナを見据え、旅行者の体験価値向上やリピーター層の定着などを図るため、令和4年度予算では「DXの推進による観光サービスの変革と観光需要の創出」に7.81億円が割り当てられています。しかし、観光DXのジャンルはまだノウハウの蓄積が少なく、取り組みが難しいのが現状です。

 

↑こちらは令和3年度のDX事業採択案件。「顧客管理」「移動・物流」「リアルタイムデータ取得」「周遊促進」「消費促進」「決済」「観光コンテンツ・体験」など、観光DXの領域は多岐にわたることがわかる(観光庁資料より)

 

そこで今回は観光DXのなかでも特にコンテンツ領域のDX化にいち早く取り組み、様々な事例を蓄積している株式会社キャドセンターの担当者、岡本小夏さん、綱木俊博さんに観光DXの現状と今何をすべきかについてお話を伺いました。

岡本小夏さん、綱木俊博さん。このほかに同社でさまざまな観光DX案件に取り組む川上晋也さんにも話を聞いた

 

「コンテンツ型観光DX」が切り札になる

上記の通り、観光DXにはいくつかのジャンルがあります。一般的には予約検索ツールの導入による効率化といった事例が目立つなか、キャドセンターでは観光コンテンツ型のDXを手掛けています。

 

「旅行は、わかりやすくいうと旅前・旅中・旅後の3つに分けられます。主に手掛けているのは旅中のコンテンツの部分ですね」(川上さん)

 

事前に観光情報などを収集して準備する「旅前」、旅先を印象深いものにする「旅中」、体験したことをSNSなどでシェアする「旅後」、それぞれモチベーションを高めたり、リピート率を上げたりと、コンテンツ領域の観光DXでは重要な位置づけにありますが、観光地側が何をするべきか正解が見出しづらいDXともいえます。

 

一方で、キャドセンターが得意とするのは自治体が持っている観光コンテンツをVR(バーチャルリアリティ)やAR(拡張現実)などでDX化すること。

 

「たとえば、かつてお城があって今は跡地だけの場所に、VRやARで当時お城が建っていた姿を見せることができます」(岡本さん)

↑2020年9月から11月まで公開された、NTTコミュニケーションズ株式会社が実施した「首里城VRゴー」。消失した首里城正殿などをVRとARで再現。キャドセンターはコンテンツ制作を担当、同社のxRソリューション「旅するトビラ」がベースになっている

 

観光資源が現物としては残っていない場所や公開時期が限られている文化財、季節や天候に左右される自然現象もVRやARによっていつでも体験可能になるのです。「旅中」にこのような特別な体験ができるコンテンツを用意することで、自治体や事業者にとっては「旅前」のプロモーションに活用できるうえ、旅行を検討している人にとっては参考にもなります。また、「旅後」にシェアしたくなる思い出となり、拡散されることで新しい観光客へとつなげていくことが可能。

 

しかし、「闇雲にDX化しても上手くいかない」とキャドセンター側は捉えています。自治体や観光施設が行うDX化は、思うような成果が上げられないケースがあることも。そこには陥りやすい5つの落とし穴があるといいます。

①DXではなくて単なるデジタル化に留まっている

②人材の担い手がいない(DXおよびVRやARへの知見が少ない)

③コンテンツ不足(デジタルとリアルの融合になっていない)

④予算の不足

⑤長期的な戦略の欠落(点の施策に留まっている)

観光DXを手がけてきた経験が長いキャドセンターとしては、①と③と⑤の問題が特に大きいと考えているようです。

 

「自治体が持っている情報や伝えたいことが、実施するDXとかみ合ってるかどうかが重要です。基本情報をそのままデジタルに落とし込むのが正解なのか、違う形で見せたほうがいいのか。とにかくDX化をしてみたいということで、単純にVRにして、VRであること自体にコンテンツ性があると考えていると厳しいでしょう」(岡本さん)

 

デジタルに落とし込むことだけを目的とした場合、そこで止まってしまい、一番大事な「観光客に伝える」という部分が抜け落ちてしまいがちです。「自治体のほうでも、観光資源をよりよく見せる方法はないか相談していただくと、対応しやすいと思います」とキャドセンター。観光資源を分析し、DXでその魅力をどう高められるか。DXにすることで“化ける”観光資源は日本中にあるはずです。

 

成功した観光DXのビジネスモデルとは?

では、上記の課題点をクリアしている成功事例には、どのようなものがあるのでしょうか。キャドセンターが手掛けた例としては、あべのハルカスと東京タワーに設置され、ビジネス的にも成功しているVRコンテンツ「バンジーVR」が挙げられます。

↑東京タワーバンジーVRのイメージ映像。東京タワーからの風景を3DCGで再現。VRゴーグルを装着し、専用の機器に乗ることで本物さながらバンジージャンプを体験できる。サービス企画開発運営を株式会社ロジリシティが行い、キャドセンターはVR制作を担当

 

「『ハルカスバンジーVR』は今年7月20日にオープンして、弊社のサイトへのアクセスも2か月間非常に高い状況でした。運営側からも常に人が並んでいるというご報告がありました。1日で多いときは約200人の方に体験していただけたそうです。9月末までの開催予定でしたが、大変好評のため、12月11日まで期間延長が決定しました。同じく東京タワーでの『東京タワーバンジーVR』も人気のアトラクションとなっています」(綱木さん)

 

「あべのハルカスも東京タワーも展望台自体に入場料があり、さらに追加で料金を払っていただけているので、体験したいと強く感じていただけたのだと思います」(岡本さん)

↑ハルカスバンジーVRの映像を切り出したもの。地上300mの風景がリアルに映し出されている

 

リアルなバンジージャンプは1回の料金が1万円を超えるものも多いなか、緻密な3D都市グラフィックを使い、1000円ほどでビルが密集する都市のなかをバンジー体験できる。椅子に座ったままでも可能で、高齢の方も挑戦できるとあって人気が集まっています。「今後はダムを持っている都道府県などに、バンジーVRを設置して集客するといった方向性に展開していきたいと考えています」(川上さん)。

 

また、他社の事例では観光バスの窓をモニターとして活用し、DX化したケースもあるそうです。

 

「バスツアーなんですが、車窓がモニターになっているんです。そこにVRやARが映し出され、景色が面白く演出されたり、タレントの方が同行してくれたりする。アトラクション感覚があって、既存のバスツアーが発展したケースですね」(岡本さん)

 

バスツアーではもともと乗務員がガイドを行い、旅行の価値を高めることは行われてきました。それがVRやARを駆使して一気に進化。当たり前と思っていた観光や体験のスタイルがコンテンツのDX化によって劇的に変わった瞬間でしょう。

 

「コンテンツは一様に同じものを導入すればいいというわけではないので難しい面はありますが、さまざまな領域で工夫のしがいがあるのがコンテンツ型の観光DXの特徴といえます」(岡本さん)

 

現状そのままを観光客に提示するのではなく、ここで何を伝えたいのか、どう楽しんでもらいたいのか、その本質をARやVRで補完して価値を高めていく。今後コンテンツ型の観光DXは、観光立国の切り札になりそうです。

 

【関連記事】

過去にも未来にも、名画やアニメの世界にも行けるーー「観光DX」は時空と次元を超える深みがある

 

まとめ/卯月鮎 撮影/鈴木謙介(人物)

【西田宗千佳連載】10月発売の「Project Cambria」でMetaは「次世代のPC」を目指す

Vol.118-4

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはFacebook改めMetaが手がけるVRヘッドセット。現在開発中のハードウェア「Project Cambria」に迫る。

↑Meta Quest 2。実売価格5万9400円(128GB)から。Meta社が買収したことにより、それまでのOculus Quest 2から名称を変更したVRヘッドセット。完全ワイヤレスによる操作が可能で、ゲームやフィットネスで展開されるVR空間、さらに昨今注目されているメタバース空間での移動もより自由度を増すデバイスとなっている

 

前回解説したように、Metaは「メタバースを毎日使う」ことを目的に、PCのようにビジネスシーンで使う用途の開拓に取り組んでいる。Meta Quest 2でもその片鱗は体験できるのだが、ゲーム機として使うことも想定し、価格を抑えて開発したものなので、多少無理があるのも、また事実だ。

 

そこでMetaは現在、「Project Cambria」と呼ばれるハードウェアを開発中だ。噂では、製品版は「Meta Quest Pro」になる、とも言われている。8月25日、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、アメリカの人気ポッドキャスト番組に出演し、「10月に新デバイスが登場。カンファレンス”Connect”の場で詳細を説明する」とコメントした。彼のいう「新デバイス」こそがProject Cambriaだ。

 

Project Cambriaはカラーのカメラを内蔵し、外界の風景を「カラー画像」として捉え、3D CGを重ねて表示する機能を持つ。いわゆるARが実現できるわけだが、いままでのAR機器と違い、視界全体を覆う映像になるので、より自然でわかりやすい表示になる。実用的なARが実現すると、周囲を見つつ安全に作業もできる。カメラを使うARの場合、必要ならカメラをオフにして「VRとして没入する」こともできる。

 

また、視線や表情を認識する機能もあり、それも自然な表現にはプラスだ。アバターに自分の表情を反映させることにも使える。

 

それでいて、Meta Quest 2よりも小さくつけやすくなると想定されており、毎日仕事のために使うにはMeta Quest 2より良いものになるのでは……と期待している。

 

ただし、これはMeta側も公言していることなのだが、Project Cambriaは「高くなる」とされている。Meta Quest 2はゲーム機として売れる・普及する価格帯を目指して作られたが、Project Cambriaは業務向け・ビジネス市場向けなので、そこまで安くする必要はない。ハードウェアの中身も単純なMeta Quest 2の後継機的な路線ではなく、業務に使える最新の要素を備えたものになるので、高くなるのが必然なのだ。

 

現在は発表前なので正確な価格はもちろんわからない。だが噂では、千数百ドルになると予想されている。ゲーム機・単体のHMDとしては高額な部類だが、PCや業務用機器の代替としては納得できる価格帯である。それどころか、マイクロソフトの「HoloLens」など、過去の業務用AR機器は3000ドルから5000ドルといった価格なので、本当に1000ドル代で出てくるならバーゲン価格、といっても良いくらいである。利益率も確保しやすいので、Metaの「長期戦略でメタバースビジネスを開拓する」という戦略とも合致する。アップルなどの他社に先駆ける意味でも、ここで競争力のあるデバイスを出すことは重要だ。

 

円安が直撃する日本では、かなり高めの値付けがされそうな予感はするものの、10月が楽しみになってきた。

 

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【西田宗千佳連載】なぜMetaはVRやメタバースをビジネスで使うPCのようにしたいのか

Vol.118-3

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはFacebook改めMetaが手がけるVRヘッドセット「Meta Quest 2」。ビジネスツールとして可能性を感じているMetaの思惑にせまる。

↑Meta Quest 2。実売価格5万9400円(128GB)から。Meta社が買収したことにより、それまでのOculus Quest 2から名称を変更したVRヘッドセット。完全ワイヤレスによる操作が可能で、ゲームやフィットネスで展開されるVR空間、さらに昨今注目されているメタバース空間での移動もより自由度を増すデバイスとなっている

 

前回、MetaがVRデバイス「Meta Quest 2」を、VRを使ったゲーム機として販売しつつも、ビジネスで使う「PCの代替」のような存在に育てようとしている……という説明をした。

 

では、なぜ、ビジネスツールとしてのVRデバイスを育てる必要があるのか? そこには2つの理由がある。

 

ひとつは、ビジネスツールは大きなお金が動くからだ。PC市場を見ても、コンシューマ向けよりも企業向けの方が数量・金額ともに多い。企業が働くための道具として買うようになれば、そこにはハードウェアとソフトウェアのサービスに加え、システム構築などのビジネスもついてくる。オフィスにPCが普及して30年が経過し、マイクロソフトなども新しいワークスタイルとして、メタバースの活用を検討している。見ているところは皆同じなのだ。

 

もうひとつの大きな理由は「VRやメタバースを毎日使う理由になる用途が必要」だ、ということがある。

 

VR用HMDを買ったが、それを毎日つけている人はまだ少数派だ。現状HMDを毎日つけているのは、「VRChat」のようなコミュニケーション・サービスにハマってしまった人が大半ではないだろうか。ただ、あのような世界に全員がハマるわけではなく、よりシンプルでわかりやすい用途も必要になる。

 

ゲームはなかなか難しい。毎日ゲームをするような熱心なゲーマーであっても、毎日VRゲームだけをするわけではない。多くの人は、気になるゲームがあるときや、週末にプレイするくらいではないだろうか。ゲームに絡めて「フィットネス」もアピールされているが、これはそもそもニーズ・効果が高いというだけではなく、「フィットネスならば毎日使ってもらえる」という考えがあるからだという。

 

では、仕事の道具ならどうか? PCのようなデバイスになるなら、当然毎日使うことになるだろう。そのことは、Metaを含むメタバース・サービスを展開する企業にとってプラスであり、新しいサービスの種となる。PCも、仕事の一部で使われたり、家庭で年賀状の印刷に使われたりするだけならここまで普及しなかった。インターネットが一般化し、文書作成やコミュニケーション、エンターテインメントの道具として「毎日あたりまえに使う」ものになって、はじめて大きな成功を収めた。

 

現状、メタバースにしろVRにしろ、最大の課題は「毎日使う理由が希薄である」点にある。次の段階にブレイクするには、まずこの課題をクリアする必要があり、そのためにも、ビジネスで毎日使う路線を開拓していくことは、必須であり急務であるとも言える。

 

とはいうものの、いまのMeta Quest 2がすぐにPCの代わりになるか、というとそうではない。現在できるのは「Webアプリをいくつか同時に使う」「良いネット会議システムとして使う」「マルチディスプレイの代わりに使う」くらいのものだ。

 

実は、Metaがそのあたりを見据え、先の世界を考えて作っているのが「Project Cambria」と呼ばれるデバイスである。それがどのようなものになるかは、次回解説する。

 

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「Quest Pro」画像がリーク? メタ待望の次期VRヘッドセットか

米メタ(旧:フェイスブック)の次期VRヘッドセット「Quest Pro」のものとされる動画を、FacebookユーザーのRamiro Cardenasが共有しています。

↑Ramiro Cardenas/Facebook

 

メタは10月11日に「Connect」イベントの開催を計画しており、その場でQuest Proの発表が期待されています。このVRヘッドセットは「開発コード:Project Cambria」と呼ばれており、より高級路線の製品になることが予測されています。さらにメタCEOのマーク・ザッカーバーグ氏によれば、「アイトラッキング」や「フェイストラッキング」といった機能が搭載されるようです。

 

ホテルの部屋においてあった(?)とされる今回のQuest Proは、現行モデルの「Meta Quest 2」から本体とコントローラーのデザインが刷新され、ヘッドセットの前面には3個のカメラが搭載されています。またパッケージには、「Meta Quest Pro」のラベルも存在します。

 

今回のQuest Proが発見された経緯は若干不自然ではありますが、以前にも発売前の「iPhone 4」がバーに置き忘れられていたり、「Pixel 7」がeBayで販売されていたりと、前例がないわけではありません。

 

仮想空間を活用したメタバースビジネスにおいて、必要不可欠なVRヘッドセット。社名をフェイスブックから変更したメタによる、次期ヘッドセットに期待が高まります。

 

Source: Ramiro Cardenas/Facebook via The Verge

【西田宗千佳連載】MetaがVRでゲーム以上に可能性を感じている部分とは?

Vol.118-2

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはFacebook改めMetaが手がけるVRヘッドセット「Meta Quest 2」。Metaはこの製品、ひいてはVRのどこに可能性を感じているのか。

↑Meta Quest 2。実売価格5万9400円(128GB)から。Meta社が買収したことにより、それまでのOculus Quest 2から名称を変更したVRヘッドセット。完全ワイヤレスによる操作が可能で、ゲームやフィットネスで展開されるVR空間、さらに昨今注目されているメタバース空間での移動もより自由度を増すデバイスとなっている

 

Metaが主力VRハードウェア「Meta Quest 2」を値上げしたこと、そして同社の第2四半期売上高が上場以来初の減少となったことから、「Metaは、すぐに売上のたたないメタバース事業を減速するのではないか」との観測がある。

 

だが、実際に彼らが展開していることを見ると、そうでないことはわかる。決算説明でも投資自体を減らす、という言及はしていない。ハードウェア事業の赤字を減らし、より安定的なビジネスを考えるようになったのだろう。これは、9月15日から値上げされるPlayStation 5とはかなり事情が異なる。

 

PS5は急速な「ドル高」の影響からアメリカ以外の国での販売価格が極端に安いものになり、需給バランスをさらに崩す可能性があったために価格を変えた。日本人からすると「売っていないうえに値上げ」な訳でかなり微妙な話なのだが。

 

話をMetaに戻そう。彼らは「東京ゲームショウ」など多くのイベントでMeta Quest 2をアピールする予定であり、ゲーム機としてのHMDも展開する。

 

ただ、いまのVRを考えた場合、ゲーム以外にも大きな可能性があり、Metaはそこにも目を向けている。むしろ、将来的なビジネス規模としては、ゲーム以外の方が大きいと思っている節がある。

 

その方向性とは「ビジネスツール」としての価値、別の言い方をすれば、PCと同じように仕事で使う道具としてのVR機器だ。

 

Meta Quest 2はゲーム機として使えるが、ほかのゲーム機と違う点として、「システムソフトウェアが恐ろしい勢いで進化している」ということが挙げられる。現在のソフトウェアを使うと、机とその上に置かれたキーボードを認識し、複数のWeb画面を開いて「HMDを被ったまま」仕事をすることや、スマホの通知を把握したり、メッセンジャーで他人と会話したりすることも可能になっている。

 

Metaがテスト中の会議サービス「Horizon Workrooms」も、現状ではMeta Quest 2を使う前提で開発されたサービスだ。

 

Metaのメタバース投資はハードウェアだけに限ったものではない。むしろ、ソフトウェアやサービスに関わる部分の方が大きいくらいだ。Meta Questはよくできたハードウェアだが、決して高性能ではない。Metaはそのハードウェアに独自開発したAI技術を加え、「ビジネスに使えるVR機器とはどんなものなのか」を世の中に示すテストベッドとして活用しているわけだ。

 

ガジェット目線で言えば、ゲームやVRそのものにあまり興味がなくても、「OSのアップデートで進化し続けるガジェット」のひとつとしてチェックしておいて損はない。

 

では、なぜMetaは「ビジネスでの活用」に大きな可能性を感じているのか? そして、その路線でのこれからの武器は何になるのだろうか?そのあたりは、次回解説しよう。

 

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【西田宗千佳連載】Meta Quest 2大幅値上げの背景は円安だけじゃない

Vol.118-1

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはFacebook改めMetaが手がけるVRヘッドセット「Meta Quest 2」の価格引き上げ。この改定にはどんな思惑があるのか。

↑Meta Quest 2。実売価格5万9400円(128GB)から。Meta社が買収したことにより、それまでのOculus Quest 2から名称を変更したVRヘッドセット。完全ワイヤレスによる操作が可能で、ゲームやフィットネスで展開されるVR空間、さらに昨今注目されているメタバース空間での移動もより自由度を増すデバイスとなっている

 

円安だけが背景ではない全世界での価格改定

Metaは同社のVR対応ヘッドセット「Meta Quest 2」を、8月1日から値上げした。理由は材料費・製造コストの高騰と円安だ。

 

円安による値上げはアップルがiPhoneで発表しており、シャオミも日本での値上げを発表した。だからMetaが同じことをしても不思議ではない、ということもできる。

 

だが、違う点が2つある。

 

円安のために日本だけで値上げされるなら、日本人としては微妙な気持ちだが、ある意味仕方がない。だが今回は、すべての国での値上げだ。アメリカでは価格が100ドル上がり、日本では2万5000円近くも値上げ。値上げ前には3万7180円(税込み)で買えたものが、8月以降は5万9400円(税込み)になってしまった。世界じゅうで値上げされた、という点が大きい。

 

もうひとつは、Mata Quest 2は実質的に家庭用ゲーム機であり、家庭用ゲーム機が発売後に大幅に値上げした例はほとんどない、ということだ。

 

ゲーム機は時に赤字で売られる。ソフトなどからの収益で利益を得られるからだ。もちろん、ずっと赤字のゲーム機は成功しない。技術の進化や量産効果で“できるだけ素早く赤字の時期をくぐり抜ける”ために、初期は赤字であることを許容しつつ、とにかくたくさん普及させて早急に利益水準を高めるのが、ビジネスモデルの根幹である。

 

メタバース事業の普及により注力する手法を探る

今回のMata Quest 2のように値上げをすると、当然普及にはブレーキがかかる。Metaもそのことはわかっていての価格改定だったはずだ。価格改定に関する発表文のなかでMetaは次のように述べている。

 

「価格を調整することによって、Metaは革新的な研究と新製品開発への投資をさらに進めることができます」

 

現状Metaのハード事業は赤字とされている。長期的な開発が続くなか、赤字幅を圧縮していかないと厳しい、という判断なのだろう。同社の第2四半期売上高は288億ドルで、上場以来初の減少となった。主因はメタバース事業ではなく、FacebookやInstagramからの広告売り上げ減少だ。メタバースからの売り上げが短期で急拡大するとも思えない。

 

ここまでの投資を生かすためにも、このあとに構築されるであろう市場をリードするためにも、多少計画を練り直し、赤字拡大のペースを緩める必要があると同社は判断したのだろう。製造コストが上がっているのも確かだが、他社と異なり価格を据え置く判断を下せなかった、という点が重要だ。

 

こういう話をすると“メタバース自体の可能性が怪しい”と思う人もいそうだ。だが少なくとも、Metaはそう考えていない。今年の秋には新製品「プロジェクト・カンブリア(コード名)」の発表も予定しており、メタバースへの投資は継続される。ただ、VRゲーム機としてのビジネスを主軸としつつも、無理な普及は目指さず、ビジネス向けを含めたより堅調な市場が短期に見込めるところへ先進性を武器に切り込もうとしているのだ。

 

それはどのような点からなのか? ほかの「メタバース向け機器」は今年どうなるのか? その予測は次回以降で解説する。

 

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HTCスマホが約4年ぶりに日本発売! 10月1日発売「HTC Desire 22 pro」

HTC NIPPONは、約4年ぶりの日本発売となるスマートフォン「HTC Desire 22 pro」の予約販売を開始しました。

 

カラーバリエーションは、チェリーブロッサム、ダークオーク、サルサ・レッドの3色。発売日は10月1日(サルサ・レッドのみ10月末予定)で、税込価格は6万4980円です。

 

同製品は6.6インチディスプレイを搭載。1080×2412の解像度と、120Hzリフレッシュレートで、動画やゲームを、くっきりなめらかに表示します。

 

カメラは、6400万画素のメインカメラ、1300万画素のウルトラワイドカメラ、500万画素の深度センサー搭載の背面カメラ、3200万画素のフロントカメラを採用。AIシーン認識やビューティモードなどを活用することができます。

 

対応周波数は、3G・LTE・5G(Sub6)の、日本国内すべての帯域をカバー。バッテリー容量は4520mAhで、高速充電、ワイヤレス充電に加えて、VIVE Flowなどへの給電に対応。対応機器へのワイヤレスリバース充電も利用できます。

 

そのほか、IP67の防水・防塵性能や、「おサイフケータイ」対応など、日本独自の機能も搭載しています。

 

また、HTC VIVEの超軽量小型VRグラス「VIVE Flow」に最適化されており、組み合わせて使うことで、リラクゼーションやパーソナルシアターなど、様々なコンテンツを楽しめます。VIVE Flowのセット版は11万4900円。

待ってました! PlayStation VR2は2023年初頭に発売決定!

プレイステーション公式アカウントは、次期VRヘッドセット「PlayStation VR2(以下、PSVR2)」を2023年初頭に発売すると発表しました!

↑プレイステーション公式/Twitterより

 

PlayStation VR2は2016年に発売されたVRヘッドセット「PlayStation VR」の後継モデルで、4K HDRディスプレイや110度の視野角、90/120Hzのなめらかなフレームレート、フォービエイテッド・レンダリング(プレイヤーの中心視野ほど高解像度になり、視野の外側に行くに従い低解像度で描画する手法)などの先進技術を搭載。さらに、新型コントローラー「PlayStation VR2 Senseコントローラー」もデザインと機能が一新されています。

 

 

ゲームタイトルとしては、『バイオハザード ヴィレッジ』『Horizon Call of the Mountain』などの投入を予定。さらに、ヘッドセットを装着したままで周囲を見渡せる「シースルービュー」などの新機能も追加発表されています。

 

今回のアナウンスでは、具体的な発売日や価格は明かされていません。投入地域についても言及はありませんが、日本語でのアナウンスということもあり、日本でも真っ先にローンチされることを期待したいものです。

 

Source: プレイステーション公式/Twitter

元FacebookのMeta、メタバースで成人向けコンテンツを解禁! ワールドに18禁のタグが追加

元FacebookのMeta社はVR(仮想現実)プラットフォーム「Horizon Worlds」について、ポリシーを改訂し、これまで禁止されていた成人向けコンテンツを提供できるようにしました。「成熟した視聴者」を対象とした新たなレーティングシステムが導入され、各クリエイターが作成したワールドに「18歳以上(Mature)」というタグが付けられるようになります。

↑メタバース上で成人向けコンテンツが解禁に

 

MetaがHorizonユーザーに送ったメールによれば、クリエイターは自分のワールドが全年齢向けか、それとも18歳以上向けかを意思表示しなければならないそうです。もし何もしない場合は、自動的に18歳以上に制限されるとのことです。

 

今年4月時点でのポリシー更新後のそれを見比べると、禁止されていた成人向けコンテンツが許されるようになったとわかります。

 

以前のHorizonでは、裸に近い状態など性的なものを示唆する内容や、マリファナやアルコール、タバコや賭博など年齢制限のある活動、血のりなどを含む暴力的な表現は禁止されていました。しかし今では「18歳以上」とマークすれば、それらを含めても問題ありません。

 

ただし完全なポルノはダメで、「ヌードや露骨な状態の描写、性的に挑発的だったり暗示的な内容や世界観」はやはり禁止されています。また「違法薬物や処方箋薬の乱用」を勧めることもできません。また、激しいまたは過度に暴力的な「フィクション」はOKですが、現実の暴力を見せることもNGです。

 

とはいえ、性的に“示唆する”ものと“挑発的”な表現の違いはどこにあるのか。また米国ではマリファナも違法薬物とされている地域が多く、どこで線引きするかについてMetaとクリエイターが議論する余地は残されていそうです。

 

Metaは、Horizonが「誰にとっても安全で歓迎される環境」にするために、さまざまな工夫を重ねています。たとえばベータ版でセクハラまがいの行為があったと苦情を受けて、VRアバター同士が近づきすぎないようにするシステムを導入。またフレンドではない人の声を聞こえなくして、バーチャルな公共空間での嫌がらせを封じたというぐあいです。

 

そもそもVRヘッドセットが広まり始めたのも、アダルトVRが充実してきたからとの声もあります。個人で楽しむ分には問題なさそうですが、現実の人と人とが交流するメタバース空間では困ったトラブルが起きないよう、運営側がひどく苦労することになりそうです。

Source:UploadVR
via:The Verge

アップルやメタのAR/VRヘッドセット、サムスン製マイクロLEDディスプレイが入ってる?

米アップルとメタ(旧:フェイスブック)による開発が噂されるAR/VRヘッドセットに、韓国サムスンのマイクロLEDディスプレイが搭載されるとの情報を、韓国語ニュースサイトのThe Elecが伝えています。

↑Ground Picture/Shutterstock.comより

 

マイクロLEDとは、微細なLEDをディスプレイの一つ一つの画素として利用する技術。これにより、従来の液晶ディスプレイや、LEDをバックライトとして利用する「ミニLED」と比べて、さらなる発色の良さや薄型化が期待されます。また以前にメタは、現在開発中のVRヘッドセットの試作機を多数公開するなど、新製品の投入への期待が高まっています。

 

今回の報道によれば、サムスンによるマイクロLEDディスプレイの利用に意欲をみせているのはアップルやメタだけでなく、サムスン(親会社のサムスン電子)も含まれるとのこと。また、部品はガラス基板ではなくシリコン基板を利用することになります。

 

一方で収益性の低さが予測されるために、サムスンはマイクロLEDディスプレイの部品製造を避けてきたという経緯も伝えられています。これはAR/VRヘッドセットの市場規模が、スマートフォンと比べて非常に小さいことも要因の一つです。

 

現時点での噂では、アップルは来年末までにAR/VRヘッドセットを投入するとされています。またこちらは独自開発の「M2」チップを搭載するなど、かなり高性能な製品となるようです。さらに、メガネ型の「ARスマートグラス」や、AR/VRヘッドセットの第2世代モデルの噂も伝えられています。

 

「メタバース」という言葉に代表されるように、これからの発展が期待されるVR/ARヘッドセット。近いうちに、より使いやすくて高性能な製品が登場することを期待したいものです。

 

Source: The Elec via 9to5Google

性能アップに期待! メタの次期VRヘッドセットは「Quest Pro」になるかも

米メタの次期VRヘッドセットの名称が「Quest Pro」になるとの情報を、ブルームバーグが報じています。

↑Abel Brata Susilo/Shutterstock.com

 

Project Cambria」として開発がすすめられている、メタの次期VRヘッドセット。その外観や仕様はまだ公開されていませんが、メタによれば800ドル(約11万円)よりも大幅に高い、プレミアム市場(あるいは開発者)向けの製品になるとのこと。さらに、リーク情報として3Dレンダリング画像予測スペック情報も報じられています。

 

さてブルームバーグの報道によれば、Quest Proという名称はOculus(フェイスブックのVR向けの旧ブランド)のモバイルアプリのコードから発見されたそう。なおメタは、Quest Proという名称が実際に製品に採用されるかどうかについては、コメントを拒否しています。

 

現在メタはVRヘッドセット「Meta Quest 2」を販売しており、その上位モデルの名称は「Quest 2 Pro」になると予測されていました。ブルームバーグが伝える情報によれば、Quest Proではフルカラー表示のパススルーカメラや深度センサーを搭載することで、周囲のものをよりわかりやすく把握できるようになるとされています。

 

フェイスブックがメタへと名称変更をしてから、初の製品リリースとなる予定のQuest Pro。フェイスブックは将来的に「視覚的チューリングテスト」、つまり仮想現実と現実の境目をなくすことを目標としており、Quest Proはそのための第一歩となるのかもしれません。

 

Source: Bloomberg via TechCrunch

PlayStation VR2、アイトラッキング大手Tobii社と提携! 「中心視野だけ高解像度」により動作がサクサクに?

ソニーのPS5用次世代VRヘッドセット「PlayStation VR2」が、視線追跡(アイトラッキング)技術を専門に手がけるTobii社と公式に提携することが明らかとなりました。

Image:Sony

 

このことは、Tobii社が7月1日のプレスリリースにて発表したことです。それによれば同社はソニーからPS VR2のパートナーに選ばれ、その革新的なアイトラッキング技術が次世代ヘッドセットに搭載されるそうです。

 

Tobii社のアナンド・スリヴァッツァ(Anand Srivatsa)CEOは、「PlayStation VR2は、没入型VRエンターテイメントの新たな基準を確立し、世界中の何百万人ものユーザーがアイトラッキングの力を体験できるようになるでしょう」と述べています。すでに同社は前払い収益を受け取っており、2022年における収益の10%以上を占めると予想されています。

 

今回のニュースは、ソニーがPS VR2につき公式に他社と協力を発表した初のケースとなります。これまではリフレッシュレート120Hz対応や片目4K解像度など、ハードウェアの仕様はほぼ公開されていましたが、どの会社から技術を提供を受けるかがようやく判明したしだいです。

 

Tobii社の公式サイトを見れば、同社のアイトラッキング技術がどんな形で活用されてきたかが分かります。たとえば『Microsoft Flight Simulator』と協力したり、『American Truck Simulator』や『Euro Truck Simulator』などドライビングシミュレータとも提携しているという具合です。

 

以前、人気VRゲーム『Moss』の開発者は、PS VR2のアイトラッキングを利用したフォービエイテッド・レンダリングは「パフォーマンスを向上させ、忠実度を高めることができる」と述べていました

 

フォービエイテッド・レンダリングとは、人の中心視野は高解像度で、視野の外側に行くほど低解像度で描画する技術のこと。つまり「プレイヤーが注意して見ている箇所は細かく、気にしてない部分は粗く」して重要な部分だけしっかり描き、マシンの馬力を無駄にしないわけです。

 

PS VR2もこのアイトラッキング技術を活用して、サクサク快適に動くVRゲームを実現すると期待したいところです。

 

Source:Tobii
via:Gamesradar

元FacebookのMeta、VRヘッドセットの試作機を一挙に公開! 目標は「バーチャル世界と現実の区別が付かなくなる」こと

Metaは17日(米現地時間)、Metaの研究開発部門についての情報公開イベント「Inside the Lab」をメディア向けに開催しました。その場で、数々のVRヘッドセット試作機を公開するとともに、マーク・ザッカーバーグCEO自らが最終的な目標は「視覚的チューリングテスト」、つまり仮想現実が現実世界と見分けが付かなくなることだと述べています。

Meta

 

ザッカーバーグ氏と研究部門Reality Labs(旧Oculus)のチーフサイエンティストであるマイケル・エイブラッシュ氏によれば、完ぺきなVRヘッドセットに必要な条件は、まず処方メガネなしに20/20のVR視力が得られるような高い解像度。さらに可変焦点深度や視線追跡が必要で、近くにも遠くにも簡単に焦点を合わせたり、現在のレンズに付きものの光学的歪みも修正できる、という具合です。

 

さらに、これらの要素をすべて軽くて装着しやすいヘッドセットに入れ込む必要があります。今回のイベントで日の光を見たプロトタイプも、その目標をめざすまでの道のりであり、どれだけ進歩してきたかが示されたわけです。

 

まず網膜に近い解像度、つまり人の目レベルの解像度をテストした試作機が「Butterscotch」です。これは視力検査表の一番下を、VRで読み取ることができるというもの。しかし、そのためにはMeta Quest 2の水平視野角を半分にする必要があり、実用には耐えないとの判断だったようです。

Meta

 

そして「Starburst HDR」は、HDRをVRで実現しようとするものです。電源ケーブルやファンなどを束ねた電子機器の集まりであり、最大2万ニトの輝度を実現できるとのこと(Quest 2は100ニト)。これは頭に装着するには大きすぎて重すぎるようで、取っ手を持って双眼鏡のように覗き込まれていました。

 

これらの機能をなるべく(全てではない)詰め込みつつ、かなり洗練されているのが「Holocake 2」です。これまでで最も薄い上に完全に機能する実機であり、PCに接続した状態であらゆるVRゲームをプレイできるそうです。

Meta

 

さらに次世代製品のコンセプトとして紹介されたのが「Mirror Lake」です。ホログラフィックレンズやHDR、機械式バリフォーカル(可変焦点)レンズ、視線追跡などを搭載した実機はまだないものの、Metaが数年がかりでめざす理想像が確認できます。

Meta

 

この「Mirror Lake」はハイテクなスキーゴーグルのような見かけで、レーザーバックライト付きのLCD画面を搭載する予定とのこと。また、前側に外部ディスプレイを搭載し、目線や表情を外に見せる方法も開発しているそうです。

 

Metaが年内に発売予定の高級VRヘッドセット「Project Cambria」は年内に発売される予定ですが、「顔にかぶるノートPC」として仕事もできるとの噂話もありました。そちらは10万円以上になると見られていますが、より高度な「Mirror Lake」はそれどころではないはず。メタバースの野望を叶えるためにも、コストダウンが実現できるよう祈りたいところです。

 

Source:Engadget

ストレスが溜まっているなら、「Meta Quest 2」を試す価値アリ

各ジャンルの有識者たちに“栄誉ある”金字塔的アイテムを聞き込み。最新のテクノロジーを結集したベストバイをドドンと紹介していく!!

 

トレンドのデジタルガジェットを、各ジャンルに精通するプロがレコメンド。新商品のなかでも、後世に残る“傑作”の数々を紹介する。いま何を買うべきか、迷った際の指針にしてほしい! 今回はVRヘッドセット「Meta Quest 2」だ。

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ほかの追随を許さないアプリ数で多様な楽しみ方が広がる

【VRヘッドセット】

Meta

Meta Quest 2

実売価格3万7180円(128GB)

完全ワイヤレスのオールインワン型VRヘッドセット。VR機器として世界トップシェアを誇る。昨年8月には、64GBモデルに代わり、価格据え置きで128GBモデルが登場し、実質的な値下げとなった。

 

SPEC●充電時間:約2.5時間●稼働時間:2〜3時間●RAM:6GB●ディスプレイパネル:高速スイッチLCD●ディスプレイ解像度:片目あたり1832×1920ピクセル●サイズ/質量:W191.5×H142.5×D102mm/503g(ヘッドセット)

 

私が激推しします!

デジタルライター

武者良太さん

VR SNSやメタバースなどに詳しいライター。近著に「メタバースの歩き方」(往来ブックス)がある。

 

VRデバイスに精通する武者さんも、Meta Quest 2は傑作だと評する。

 

単体で使えるアプリの豊富さが圧倒的。『Oculusストア』と『App Lab』を合わせると1100以上のアプリが配信中で、ライバル機をまったく寄せつけない領域に達しています。例えば、ソーシャルVRアプリの『VRChat』なら、リアル空間を再現したワールドや、異世界感たっぷりのワールドが目白押しで、開放的なバーチャルツアーを楽しめます。長期化するステイホームでストレスが溜まっている人は、一度試す価値アリです」

 

活用の幅はエンタメ以外にも。

 

「2DのブラウザーやAndroidアプリ画面の複数表示も可能。対応するワイヤレスキーボードと併用すれば、マルチモニター環境をどこにでも持ち歩き仕事できます」

 

VRの課題である“酔い”も本機では改善されているという。

 

「本機はゲーミングPCと接続時に、最高120Hzのフレームレートの映像を表示。高品質で滑らかな映像体験ができ、酔いにくさにもつながります。マッチするなかで最廉価なのが、ASUSのゲーミングPC。GPUの高騰が続いているので、手ごろに入手できるいまが買いどき!」

 

↑プレイエリアを設定できる「ガーディアン」機能を搭載。室内でも家具などにぶつからないように、安全に楽しめる

 

↑解像度が向上したディスプレイで映像に没入できる。ヘッドセットに内蔵されたスピーカーが臨場感あるサウンドを鳴らす

 

ゲーミングPCと接続すればVRコンテンツがよりリッチに!

ASUS

TUF Gaming F15 FX506HM

実売価格18万9800円(FX506HM-I7R3060BEC)

Core i7搭載のゲーミングPC。GPUはNVIDIA GeForce RTX 3060を採用し、専用ケーブル「Oculus Link」と接続すればPCVRを楽しめる。メモリ16GB、ストレージ512GB(SSD)。

 

↑冷却システムと通気口を備え、長時間に及ぶ白熱したプレイにも最適。内部にホコリが溜まるのも抑える

アップルのAR/VRヘッドセット、大手有機ELメーカーが受注争い? 韓国LGが製造準備を始めたウワサ

アップルが開発中と噂されるAR/VRヘッドセットは、先日のWWDC 2022(世界開発者会議)でも姿を現しませんでした。しかし、「韓国のLG Display(以下「LG」)が、そのメイン画面用のマイクロOLEDパネルの受注を目指している」という、いよいよ量産が近づいていることを裏付けるサプライチェーン情報が届けられています。

 

韓国の電子業界情報誌The Elecによると、LGはSunic SystemにマイクロOLED(OLED=有機EL)を製造するための蒸着機を発注する見通しとのことです。その目的は、アップルのMR(複合現実/ARとVRを合わせ持つ)ヘッドセット向けにマイクロOLEDパネルを供給することだそうです。

 

アップルがマイクロOLEDパネルにつきソニーと緊密に協力していることは、数年前から噂されていたことです。The Elecによれば、アップル製ヘッドセットではそれがメイン画面に使われる一方で、外側の画面(またはインジケーター)にはLGが通常の有機ELパネルを提供する見込みとのことです。

 

そこでLGは外側の画面だけではなく、内側のメイン画面も受注するため準備を始めた、というわけです。

 

マイクロOLEDパネルは従来のガラス基板を使う有機ELと異なり、シリコン基板を使うもの。もっぱらアップル製ヘッドセットのようなVRやAR、MRデバイスに広く使われていくことが期待されている技術です。

 

The Elecいわく、ソニーもマイクロOLEDをPlayStation方面に使う可能性があるため(ちなみにPlayStation VR2は通常の有機ELパネル)アップルは将来的にLGの技術を好んで使う可能性があるとのことです。

 

有機ELパネル製造の大手であるLGも動き出したとなれば、アップルのAR/VRヘッドセットが量産に向かっていることも確実と思われます。また2024年後半にはメガネ型のARグラスが発売されるとのアナリスト予想もあり 、やはり新型のMRヘッドセットを準備中のMetaとアップルがメタバースで激突する日も遠くはなさそうです。

 

Source:The Elec 
via:9to5Mac

PCのVRコンテンツだけでなく、スタンドアロンでも楽しめる2in1! VRデバイス「Pico Neo3 Link」

VRデバイス「Pico」を製造・販売するPico Technology Japanは、最新フラッグシップモデル「Pico Neo3 Link」を6月24日に発売。現在、予約を受け付けています。税込価格は4万9280円。

 

同製品は、デバイス単体で使用できるオールインワンVRデバイスでありながら、PCと接続して、PC VRのコンテンツも楽しむことができる2-in-1VRデバイス。ディスプレイケーブルを用いることによって、PC接続の際に4Kディスプレイが画像圧縮されることなく楽しめるのが特徴。

 

SteamVRから6000タイトル以上、Pico Storeから100タイトル以上のスタンドアロンゲームや50以上の非ゲームコンテンツがプレイ可能(2022年6月10日時点)。

 

「PC VRモード」では、「Half-Life: Alyx」「Star Wars:スコードロン」「ザ エルダースクロールズV:スカイリム VR」などSteamVRのタイトルを、付属品のディスプレイケーブルで対応するPCに接続することで、画質劣化なく低遅延で楽しめます。

 

スタンドアロン「オールインワンモード」では、スマートフォンに「Pico VRアプリ」をインストールし、Pico Storeからコンテンツを購入可能。6DoFゲームのラインナップは、「All-In-One Sports VR」「Manny Boxing VR」「After the Fall」「SUPERHOT VR」「Eleven Table Tennis」「Demeo」「ALTDEUS: Beyond Chronos.」など。2022年夏、Picoデバイスを所有しているユーザー全員に、3D映画を無料で楽しめるサービスをローンチ予定です。

噂のアップル製「AR/VRヘッドセット」はしばらくおあずけ? 他社にマネされることを防ぐためか

ここ数ヶ月、アップルのAR/VRヘッドセットの噂が盛んとなっていますが、いつ発表・発売されるかはいまだに不明です。そのOSらしき「realityOS」の商標登録も見つかっていましたが、まもなく開催される開発者会議WWDCではお披露目されず、公式発表はずっと先になるとのアナリスト予想が届けられています。

Ian Zelbo

 

アップルの未発表製品に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏のツイートによると、噂のAR/VRヘッドセットの量産が始まるまでには、しばらく時間がかかるそうです。そのため、WWDCでは本製品もrealityOSも発表されるとは考えられないとのこと。

 

なぜ、アップルはAR/VRヘッドセットをお披露目するつもりがないのか。Kuo氏が(量産がまで間があること以外に)挙げている理由の1つは、競合他社に機能をコピーする十分な時間を与えてしまうからです。アップル純正品が店頭に並ぶ2023年までに、その素晴らしいアイディアをライバルが喜んでマネしてしまうというわけです。

 

実際、クラウドファンディングなどで発表された製品が、いち早く他社に(未熟な形であれ)コピーされて市場に出されてしまい、本家本元が完成する頃にはアイディアが古くさくなっているのはよくあることです。

 

ほかHaitong International SecuritiesのアナリストJeff Pu氏も、本製品が2023年の第1四半期まで遅れると予想していました。またアップルの内部情報に精通するMark Gurman記者も、WWDCで発表は期待しにくいと述べています

 

とはいえ、AR/VRヘッドセットのような革新的なハードウェアをいきなり発売して大ヒットに持って行けるとも考えにくく、早めに発表して一般ユーザーにどういう製品かを知らせておく必要もあるはず。かつて初代Apple Watchでそうしたように、2022年後半に発表し、2023年初頭に発売するのかもしれません。

 

Source:Ming-Chi Kuo(Twitter)
via:9to5Mac

PlayStation VR2は2023年初めに発売? 有名アナリストが予測

ソニーはPlayStation 5用の次世代VRヘッドセット「PlayStation VR2」の情報を小出しにしつつ、先日もローンチ時に20作以上の「主要」タイトルを用意すると発表しています。しかし「いつ発売するか」は、いまだに明らかにしていません。

ソニー・インタラクティブエンタテイメント(SIE)

 

そんななか、PS VR2の量産は今年後半に始まり、まず150万台を量産して2023年の第1四半期に発売する可能性が高いとのアナリスト予測が報じられています。

 

これはアップル未発表製品の正確な予想でおなじみの有名アナリスト、Ming-Chi Kuo氏がTwitterで述べていることです。Kuo氏によると、PS VR2の発売時期はゲーム開発のスケジュール次第ながら、ファーストスタジオ(SIE傘下の開発スタジオ)とサードパーティー両方から20以上のタイトルが準備されているため「良い」スタートを切ることができると考えているそうです。

さらにゲーム業界におけるソニーの地位やリソースは、AAA (超大作)のVRゲーム開発(『Horizon Call of the Mountain』など)を加速させ、VR市場の成長に恩恵をもたらす、とも予想されています。

 

またKuo氏はサプライチェーンに精通する人物だけに、PS VR2に6つの光学モジュール(カメラ)が使われていることがGenius Electronic Opticalなどのレンズサプライヤー(iPhoneにもレンズを供給)に恩恵をもたらすことも予想しています。こうしたレンズは先進的なAR/VR機器には不可欠だけに、ソニーの大量発注が部品の値下がりにつながり、メタバース産業の成長を加速させることになりそうです。

 

ソニーは6月3日午前7時から動画配信番組「State of Play」を放送し、その中で、PS VR2向けに開発中のタイトルも少しだけ紹介すると予告しています。そこでユーザーの期待が高まるほど、PS VR2本体の発売日が明かされないことや、プレイの前提となるPS5が手に入りにくいことへの不満が寄せられるのかもしれません。

 

Source:Ming-Chi Kuo(Twitter)
via:Wccftech

「Among Us」も!? PlayStation VR2では20本以上がローンチタイトルに!

ソニーの投資家向け説明会で、VRヘッドセット「PlayStation VR2(PS VR2)」発売時には、20本以上のローンチタイトルが用意されることが明らかになりました。

↑ソニーより

 

初代モデルの「PlayStation VR」に続く後継モデルとして発表された、PS VR2。本体デザインやコントローラーを一新し、ゲームへの没入感「センス・オブ・プレゼンス」を向上。具体的なスペックとしては4K HDRディスプレイと90/120Hzの滑らかなフレームレート、110度の視野角、フォービエイテッド・レンダリングなどが発表されています。

 

そしてソニーによれば、ローンチタイトルとしてはファーストパーティタイトルとサードパーティタイトルの両方が提供されます。ただし現時点ではすでに発表済みの『Horizon Call of the Mountain』をのぞいて、どのようなタイトルが用意されるのかは発表されていません。

 

一方でゲームデベロッパーのSchell Gamesによれば、PS VR2のローンチタイトルとしては『Among Us VR』やCyan Worldsの『Firmament』、そしてnDreamsやCoatsinkからのタイトル投入も噂されています。

 

さまざまな周辺情報が明かされているものの、発売日はいまだ発表されていないPS VR2。年末商戦の目玉になるのか、あるいはそれ以降に先送りとなるのか、ゲーマーとしては実に気になるところです。

 

Source: Engadget, Schell Games / Twitter

ジョニー・アイブのせいで開発に苦労? アップル製ヘッドセットにまつわる噂

アップルがAR/VRヘッドセットを開発中であり、取締役会でデモを行って発表も間近かもしれない、との噂が報じられたばかりです。その形はスタンドアローン、つまりMeta Quest 2など他社製品と同じく「(ワイヤレスを含め)外付け機器を必要とせず、単体で動作する」と見られています。

 

なぜ、開発が難しいスタンドアローンが選ばれたのか。それは「元デザイン最高責任者のジョナサン・アイブ(ジョニー・アイブ)氏がそう望んだから」という、詳しいレポート(そこから生じた技術的な問題を含めて)が届けられています。

 

今回の報告は、有料メディアThe Informationが先週伝えたレポートに続く第2弾。それによれば、2019年にジョニー・アイブ氏はヘッドセット開発チームに対して、ベースステーション(外部サーバー的な機器)と連携する設計を捨ててスタンドアローンで機能する、性能は低いがシンプルな製品にするよう意見したそうです。

 

この話は、2020年に米Bloombergが報道したことと一致しています。その報道では、当初はウェアラブル製品としては前代未聞のグラフィックスと処理速度を備えながらも、かなりの熱が発生するために固定式ハブ(ベースステーション)とセットにする計画が語られていました。

 

さてThe Informationの報告に戻ると、ティム・クックCEOとジョニー・アイブ氏は、2つのアプローチ(スタンドアローン版とベースステーション版)がどう違うかを示す試作機でVRデモを見た幹部の中にいたそうです。

 

ベースステーション版は、写真のようにリアルなアバターを含む優れたグラフィックスを表示する一方で、スタンドアローン版は漫画のキャラクターのような描画だったそうです。AR/VRチームを率いるマイク・ロックウェル氏は、上層部がスタンドアローン版の低品質なビジュアルを受け入れないと考え、ベースステーション版を支持したとのこと。

 

が、ジョニー・アイブ氏はプロジェクトの初期からスタンドアローン版を推しており、最終的にアップルの上層部もジョニー・アイブ氏に味方したそうです。それでもロックウェル氏は「(ベースステーション版で)素晴らしい製品を作ることができる」と抵抗したものの、結局はスタンドアローン版の開発が進められたとしています。

 

この決定により、ヘッドセットチームは「バッテリーの持ち時間と性能のバランスを取りながら、デバイスを装着している人がヤケドしないように熱を最小限に抑える」ために、多くの苦難に直面してきたと述べられています。またスタンドアローン版では「(ロックウェル氏が)アップル幹部らに伝えた高品質の複合現実体験」を提供できなかったことが、この製品が何度も発表を先延ばしされた主な理由だと報告しています。

 

もう1つ興味深いのは、ジョニー・アイブ氏がアップルを退社した後も、ヘッドセット開発チームの中には「変更の承認」をもらうため彼の家に行かなければならない人もいた、という下りです。同氏が独立したデザイン会社「LoveFrom」を設立した後もアップルと取引関係があることはわかっていましたが、具体的な仕事が明かされたのは珍しいことです。

 

BloombergとThe Informationともに、アップルのAR/VRヘッドセットの価格は2000ドル~3000ドル(約25万円~38万円)の範囲で検討されている、と伝えています。もしも本当であれば、少なくとも第1世代は(より安くなった第2世代を開発中との噂もあり)庶民とは縁遠い製品となりそうです。

Source:The Information
via:9to5Mac

アップルのAR/VRヘッドセット、まもなく発表? 取締役会でデモを行ったとの噂

アップルは長年にわたりAR(拡張現実)/VR(仮想現実)ヘッドセットを開発中と噂されており、その間にiPhone向けの安いVRヘッドセットを諦めたとの報道もありました

 

そんな苦難の道のりを経て、ついにアップルの取締役会で次期AR/VRヘッドセット製品のデモが行われたと報じられています。

 

米Bloomberg報道によれば、このことはプロジェクトが「進行した段階」にあり、一般向けの製品発売も間近に迫っているようです。同誌は前に、ヘッドセットの発売は過熱やソフトウェアの問題があるために2023年まで遅れるかもしれないと報じていましたが、前倒しになっている模様です。

 

また今回の記事では、ここ数ヶ月でヘッドセット用OSの開発が急ピッチで進められているそうです。そういえば数か月前、アップルのオープンソースコードやApp Storeのアップロードログから、それらしき「realityOS」に関する記述が見つかっていました

 

またBloombergいわく、アップルはヘッドセットの中核となるiPhoneアプリのAR版だけでなく、「没入型コンテンツのストリーミングや仮想会議の開催などのタスクを処理する新しいアプリに取り組んできた」そうです。先進的なヘッドセットも、役立つアプリがなければただのかぶり物ですが、買ったその日から使いものになるのかもしれません。

 

アップル製ヘッドセットの「第1世代」は、8Kディスプレイ×2枚や高性能チップを搭載(14インチ/16インチMacBook ProのM1 Proと同等になるとの説も)、高度なセンサーを備えつつ、かなりかさばる高価な製品になると予想されています。具体的には1000ドルをはるかに超えるとの噂もあり、主にAR/VRに熱心な人達や開発者コミュニティ向けの製品になるのかもしれません。

 

もっとも、有名アナリストMing-Chi Kuo氏は、すでに後継モデルが開発中とも述べていました。アップルの長期的な目標は、ふだん使いできるほど軽いARメガネ(通称「アップルメガネ」)を作ることと見られていますが、おそらくあと数年は実現できないと思われます。

 

もしかすると、6月6日(米現地時間)から開催される世界開発者会議WWDCにて、AR/VRヘッドセットが発表されるのかもしれません。もし仮にそうだとしても、単なるお披露目だけで、発売は数か月~半年後という初代Apple Watchのようなパターンになりそうです。

 

Source:Bloomberg
via:9to5Mac

Metaの高級VRヘッドセット、「顔にかぶるノートPC」として仕事もできる? お値段は10万円以上かも

元FacebookのMeta社は、ハイエンドVRヘッドセット「Project Cambria」を年内に発売する予定です。同社からは公式な続報はありませんが、「顔にかぶるノートPC」といった目標や、いくつかの詳細なリーク情報が伝えられています。

Meta

有料ニュースメディアThe Informationによると、Cambriaは社内では「顔のためのラップトップ(ノートPC)」または「顔のためのChromebook」と呼ばれているそうです。すなわちChromebookに近いスペックを持ち、AndroidをベースにしたMeta独自のVR向けOSを採用すると見られています。

 

さらにWebベースのツールやサービスのほか、一部のMeta Quest(旧Oculus Quest)アプリにも対応する見込みであり、Meta社としては未来の仕事用デバイスとして売り込むつもりだそうです。

 

搭載されるディスプレイは高解像度であり、ヘッドセットを着けたままテキストをはっきりと読むことができ、電子メールを送ったり、コードを書いたり(プログラミング)できるかもしれない。つまり、プロフェッショナルな用途に使える可能性があると述べられています。

 

またCambriaは外向きカメラを通じて周囲の景色を見ることができるとのこと。この機能は「フルカラーパススルー」と呼ばれ、複合現実感のある体験が可能になるそうです。現行のMeta Quest 2にも4つの外部カメラがあり、一応は外の景色を見られますが、低解像度の白黒にすぎません。

 

そしてMetaがCambriaを発表した際に約束した「視線トラッキングと顔の表情を認識する機能」も実現する模様です。ソーシャルVRサービス『Horizon Worlds』やビジネス会議用VR『Horizon Workrooms』等では、アバターにユーザーの表情や見ている場所が反映されると伝えられています。

 

本製品には大容量バッテリーが搭載されるため、Quest 2よりも重くなる見込み。ただし、バランスを保つためにバッテリーは後部に配置されているそうです。ちなみに現在のQuest 2向けにも、バランス改善も兼ねて後部に着けるサードパーティ製の外付けバッテリーパックが発売されています。

 

このCambriaは、9月頃に店頭に並び、価格は799ドル(約10万円)以上になるとのことです。はじめは昨年に発売する予定だったものの、新型コロナ禍によりサプライチェーンが混乱したため延期されたそうです。

 

さらにMetaは今後、メタバースの野望を推進すべく、数年以内に(Cambriaとは別の)3つのヘッドセット製品を投入する予定だとされています。まず2023年と2024年にQuestヘッドセットを発売し、翌2024年にはCambriaの後継機(社内コード名は「Funston」)をリリースする見通しとのことです。

 

ほかテックメディアThe Vergeは、Metaが2024年に同社初のメガネ型ARデバイスも発売するとの噂を報じていました。同社は9日にメタバースではなく現実の店舗をオープンする予定ですが、将来的に自社ハードウェア製品をズラリと並べるつもりかもしれません。

 

Source:The Information
via:Engadget

元FacebookのMeta社、メタバースではなく現実の店舗を5月にオープン。VRゲームをプレイできる大画面ディスプレイもあり

元FacebookのMeta社は、5月9日(米現地時間)に同社初の実店舗をオープンすることを発表しました。同社が熱く推進しているメタバースの中ではなく、米カリフォルニア州バーリンゲームにあるキャンパス内にて物理的なショップが営まれることになります。

 

これはMeta社が仮想世界に軸足を置きながらも、ハードウェア事業の比重が増していることを表す動きでもあります。「Meta Store」はReality Labs(AR(拡張現実)とVR(仮想現実)を研究する部門)の近くにあり、同社のVRヘッドセット製品であるMeta Quest 2や、スマートグラスの「Ray-Ban Stories」 のほか携帯デバイスが展示され、お客は従業員とビデオ通話したりVR体験をしたりとインタラクティブなデモが楽しめる予定です。

 

Meta社にとって実店舗は、単にハードウェアを売るだけでなく、より多くの人にVRとARの技術を知ってもらうための位置づけです。店頭でのVRデモは「壁から壁までの」巨大なLEDディスプレイで行われ、たとえばヘッドセット内に表示されている『ビートセイバー』のゲーム画面などが現実の視界いっぱいに広がるというぐあいです。

Meta

 

また、マーク・ザッカーバーグCEOも、自らのFacebookページにてMeta Storeを予告しています。「私たちの製品が人々をつなぎ、メタバースを構築していくなかで何が起こるかが分かる素晴らしい体験です」とのことです。

 

最初の店舗は1550平方フィート(約144平方メートル)という控えめなものですが、米The New York Timesは昨年秋、Meta社が世界中にリアル店舗を開くことを検討していると報じていました。同社のメタバース部門は2021年に100億ドルの損失を出していましたが、粘り強い努力を期待したいところです。

 

Source:Meta

2022年のバズワード「メタバース」とは何か――メタバースとVR・ARとの違いって?

メタバースとは、自分のアバター(分身)を作って自由に活動できる仮想空間のことだが、いまいちピンとこない人が多いだろう。“メタバース”はフワッとした言葉であり、実態がわかりにくい。どのような世界をメタバースと言うのか。VRやARとは何が異なるのか。普及に向けてどんな要素が必要なのかを明らかにしていく。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

メタバースとは何か

↑VRを使った会議サービスの様子。しかし、こうしたサービス=メタバースそのものではない

 

私が解説します!

ジャーナリスト

西田宗千佳さん

得意ジャンルはPC、デジタルAV・家電。そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。

メタバースとは新しい生活圏を作ること

いきなり結論なのだが、メタバースに明確な定義はない。色々な人が多様な観点からメタバースについて述べているが、これが正解という話があるわけでもないのだ。だが、あえて定義をするなら「デジタル空間に人間の新しい生活圏を作ること」と言えるだろうか。

 

メタバースというと我々は、3DCGで作られた空間に、ヘッドマウントディスプレイを装着して入り込む姿を想像する。それも確かにメタバースのひとつではある。VR技術を使うと、我々の視覚や聴覚を簡単に奪うことができるからだ。自宅のリビングにいたはずなのに広大な砂浜に移動していたり、たくさんの人々と一緒にコンサート会場にいたりという体験をするには、VR技術の活用が不可欠だ。

 

一方で、もっとシンプルな話もある。メタバースを「人工の生活圏」と定義するのであれば、いまのSNSだって十分に「人工生活圏」なのだ。日常の何割かをそこで過ごし、人々と交流し、ときにはショッピングもする。これが“生活”でなくて何なのだろう?

 

ただ、さすがにテキストメインのSNSでは新しさに欠けるし、できることの限界も大きい。だが、VR技術を使ってコンピュータのなかに空間を作り、そこを生活の場として活用するのであれば、可能性ははるかに大きくなる。

 

土地の広さや重力の有無など、現実世界の制約から解き放たれ、自分の姿をはじめ、性別も容姿も違う、別のキャラクターとして時間を過ごすことができるなら、それは「新しい生活の場」と言える。

 

SNS最大手であるフェイスブック社が「メタ」に社名変更し、メタバース事業への注力を始めたことから、「メタバース」という言葉は一気にブーム化したわけだが、これも新しい生活圏をいち早く作ることが目的だ、と考えると納得しやすい。彼らは、フェイスブックやインスタグラムといったSNSの先にある存在としてのメタバースを重視しているのだ。

 

↑2021年10月に、Facebookがメタバース事業への注力を宣言し、社名をMetaへと変更。毎年100億ドルの開発投資を行うと発表した

 

重要なのは「相互接続性」だがいまはまだまだ道半ば

一方で、いまの「VR」や「AR」とメタバースの関係はわかりづらくなっている。VRやARにより、我々は“現実とは違う世界”を体験できるが、それだけでメタバースと言えるわけではない。

 

例えば、メタが提供している「Horizon Workrooms」はVRを使った、非常に実用性の高い会議サービスである。だが、Horizon Workroomsがメタバースか、というとそうではない。あくまでひとつの会議サービスだ。同じように、VRでコミュニケーションを行う「VRChat」もあくまでコミュニケーションのためのサービスに過ぎず、メタバースそのものではない。各種ゲームも同様だ。

↑Metaが提供する「Horizon Workrooms」。自分のアバターで参加し、バーチャル上の同じ空間で会議を行うことが可能となっている

 

なぜメタバースと言えないのか? 理由は、メタバースの「メタ」という言葉の部分にある。メタとは“上位の”という意味を持ち、複数のサービスが相互につながっている様を表している。

 

ゲームやコンサート、会議室などのサービスがそれぞれバラバラに存在していても、大きな成長は難しい。アバターを共通で使えたり、ゲームからコンサートへシームレスに移行できたりすることで、VRサービスの集まりは、本当の意味での生活圏になっていく。それぞれのサービスがつながれば、着飾るようにアバターのアイテムを集めておいたり、友人を呼んでチャットするためにメタバース内に“家”を持ったりと、各サービスの主たる目的とは異なる要素が出てくる。その部分が出来上がってはじめて、我々はコンピュータの世界に新たな生活空間を持ったと言えるのである。

 

それを実現するには、どこかが1社サービスを作れば良い、という話ではない。相互接続性や金銭のやり取りなどの仕組みは出来上がっておらず、検討すらこれから始まる段階だ。メタをはじめとして、メタバースに真剣に取り組んでいる企業は、5年先、もしくは10年先に向けた開発を進めている。インターネットの次の段階としてメタバースが生まれるには、まだそのくらいの時間が必要であり、各社の協力体制も必要だ。いまのブームはその一部がようやく見えた段階に過ぎないのである。

 

メタバースはVRやARと何が違うのか

 

「VR(仮想現実)」とは…

VRゴーグルを装着して現実に近い世界に没入

VRは「Virtual Reality」の略。VRゴーグルを装着すると、限りなく現実に近い世界に没入できる感覚が得られる。ゲームやライブなどのエンタテインメントの世界が先行しているが、教育分野や、遠隔地から手術や治療を支援する医療や介護などにも活用が広がっている。

 

↑没入するためにはVRゴーグルが必須。初期のモデルは映像と音声の遅延による“酔い”が課題だったが、最新モデルでは改善されている

 

「AR(拡張現実)」とは…

実風景に視覚情報を重ねて目の前の世界を拡張する

ARは「Augmented Reality」の略。VRが作られた映像などの世界に没入されるのと異なり、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を“仮想的に拡張する”というもの。代表的なものに「ポケモンGO」がある。

 

↑ARは家具やファッション業界が注目。スマホアプリを利用してバーチャルで導入イメージをつかむことができ、購入前の検討に役立つ

 

「メタバース(仮想空間)」とは…

アバターを作って生活する人工的な生活空間

「Meta」と「Universe」を組み合わせた造語。自身のアバターを作成し、ネット上に構築された人工的な生活空間で行動するのが基本。相互にコミュニケーションしながら買い物をしたり、メタバース内で商品を製作・販売したりといった経済活動を行うこともできる。

 

↑自分が設定したアバターを仮想空間のなかで自由に動かせる。現在はゲームの世界が一歩リードしているが、ビジネスシーンなどにも活用可能

 

メタバースの世界でよく出てくるワードを解説

 

【Word 1】アバター

メタバースの世界では自分の姿は自由に選べる

自分の分身として活動するキャラクター。メタバースの世界では、自分のアバターを作成することが第一歩となる。自分の姿をリアルに再現する必要はなく、顔や肌の色、服装なども自由に選べ、仮想空間での“自分”となる。

 

↑メタバースプラットフォーム「cluster」でのアバター作成シーン。顔のパーツは細かく選ぶことができる。服装も自由に設定可能だ

 

【Word 2】プラットフォーム

メタバースの土台となる基本的な実行プログラム

メタバースの世界を構築するために必要なプログラム。Metaやマイクロソフトなども参入し、その覇権争いは激化中。ただしメタバースが普及するには、特定のプラットフォームに頼らないオープンソースのサービスが必要にもなる。

 

↑プラットフォームのひとつであるVRChatを使用した、バーチャルマーケット。好きな空間で他のアバターとの交流が楽しめる

 

【Word 3】XR

VRやARなどを統合したメタバースに必須の技術

XRとはクロスリアリティの略で、VR、ARに加えてMR(複合現実)の総称。デバイスの進化による解像度の向上や5G回線などによる高速通信により、現実の映像とバーチャルの世界の融合が進んでいる。メタバースには欠かせない技術だ。

 

↑XRがより進化すれば、実物と見分けがつかない立体映像をホログラムで表示できるようになる。メタバースの発展に欠かせない要素だ

 

【Word 4】デジタルツイン

現実世界の環境をコピーし仮想空間のなかで再現する

リアル(物理)空間にある情報をIoTなどで集め、送信されたデータを基に仮想空間でリアルの空間を再現する技術。現実世界の環境を仮想空間にコピーする鏡のなかの世界のようなイメージで、“デジタルの双子”の意味の通りだ。

 

↑デジタルツインの導入効果が期待されるのが製造業。物理空間の情報を反映した仮想空間のなかで製品を試作することが可能だ

VR体験の敷居を下げる可能性? メタ、ウェブ版「Horizon Worlds」の開発と販売手数料に言及

米Meta(旧Facebook)でCTOを務めるAndrew Bosworth氏は、同社がVR(仮想現実)アプリ「Horizon Worlds」のウェブ版を開発しており、また同サービスでのコンテンツ販売手数料が廉価に抑えられるとの見通しを発表しています。

 

画像引用元:shutterstock

 

Horizon Worldsは以前は「Facebook Horizon」と呼ばれていたサービスで、ユーザーはアバターを利用してVR空間にて他人と交流したり、ゲームやショッピングを楽しむことができます。また現時点では、Horizon Worldsの利用にはVRヘッドセットが不可欠です。

 

 

しかしBosworth氏はツイートにて、将来的にウェブ版のHorizon Worldsがリリースされることに言及。ただしその詳細は明かしておらず、VRヘッドセットが必要なのか、あるいは通常のパソコンやスマートフォンからアクセスできるのかは不明です。

 

Horizon WorldsのようなVRワールドはユーザーが仮想空間を楽しむためにも、VRヘッドセットが不可欠。これがウェブ版としてパソコンの2次元的なディスプレイに表示されるとすれば、その体験は損なわれてしまいます。一方で、高額かつ装着の負担が大きいVRヘッドセットを用意しなくていいのは、ユーザーにとって大きなメリットでもあります。

 

またBosworth氏はウェブ版のHorizon Worldsでは、コンテンツの販売手数料が25%となり、他のプラットフォームに比べて大幅に抑えられるとも言及しています。これはVR版のHorizon Worldsにて47.5%もの手数料を徴収することへの批判に応えたもので、ウェブ版Horizon Worldsのリリースはコンテンツ提供者にとってもメリットのあるものとなりそうです。

 

Image: rafapress / shutterstock.com

Source: Boz / Twitter via Engadget.com

レノボ、「Snapdragon XR1」搭載スマートグラス「ThinkReality A3」を発売! エンタープライズ向けに展開

レノボ・ジャパンは、エンタープライズ向けAR/VRソリューションブランド「ThinkReality」シリーズから、スマートグラス単体の「ThinkReality A3 PC Edition」、ARソリューションセット「ThinkReality A3 Industrial Edition」を発売しました。

 

ARスマートグラス「ThinkReality A3」は、CPUにQualcomm Snapdragon XR1を搭載。片眼1080pの高解像度ディスプレイに、トラッキング用のデュアルフィッシュアイ、8MPカメラを採用しています。防水規格のIP54に準拠。ステレオスピーカーと3つのマイクを備えています。6DoFに対応し、ルームサイズの空間トラッキングが可能。重さ130gで、折りたたんで持ち運ぶことが可能です。

 

ThinkReality A3 PC Editionは、「Virtual Display Manager」をインストールした、グラフィックチップ搭載のハイエンドなノートPCと接続することで、バーチャルモニターとして利用できます。最大5つの画面を表示でき、スペースが限られた場所でも広い画面領域で作業が可能。周囲の人に画面を見られることがないので、秘匿性が高いデータを扱う際にも活用できます。

 

ThinkReality A3 Industrial Editionは、主に生産現場での作業支援やリモートアシストにより、フロントラインワーカーの業務サポートを目的としたモデル。ThinkReality A3と、スマートフォンmotorola edge30 PRO、アタッチメントパーツのIndustrial Kit、Industrial Frameのハードウェアに加え、2つのソフトウェアソリューション「ThinkReality Cloud Portal」「holo one sphere」、オンラインサポートがセットとなっています。

 

税込価格は、A3 PC Editionが19万2500円、Industrial Editionが54万4500円です。

ハンドトラッキングで直感的な操作が可能! VRで世界遺産や名所旧跡を楽しむアプリ「Meta Diver」

ワールドスキャンプロジェクトは、ハンドトラッキングを使った直感的な操作で、臨場感のあるVR世界が体感できるVR動画視聴アプリ「Meta Diver(メタダイバー)」を、App StoreとGoogle Playで提供開始しました。

 

同アプリは、高精度の3Dスキャンによりデジタルアーカイブ化されたエジプトや、日本の奈良など、様々な世界遺産・名所旧跡をVR動画で視聴できるスマートフォンアプリ(iOS/Android)。現実では行くことのできない場所や角度から、自由に遺跡を鑑賞、体感できます。音声ナビゲーションで、歴史や背景などの解説も行います。VRゴーグルをつけて使用するVRモードでは、自分の指先の動きを検知できる「ハンドトラッキング」で、グローブやハンドコントローラーがなくても、動画の「一時停止」や「早送り」などの操作が可能です。

 

同社はこれまで、ドローンと3D化の技術を使って、エジプトのピラミッドや神殿、サイパンの戦車や零戦など、現存する世界中の様々な遺産や遺跡を、学術データとして利用可能なmm単位の精度で計測し、3Dデータで保存してきました。今後は、ハンドトラッキングだけでなく、身体の傾きや、立つ、しゃがむなどの動きを検知し、VR空間内の移動も可能となる「6DoF」(6軸自由度)の実装を予定しています。

 

今後のアップデートでは、3Dスキャンをした日本各地の神社仏閣をスマートフォン上で参拝できるコンテンツの提供も予定。ハンドトラッキングの技術によりVR上で「二礼二拍手一礼」の動きを検知するなど、自分の動作がVR上で反映されるインタラクティブな体験も可能になります。また、四国八十八カ所霊場を巡礼するお遍路巡りのコンテンツ提供や、デジタル上での御朱印の発行なども予定しているとのことです。

丸みを帯びたスタイリッシュな“オーブ型”デザイン! 「PlayStation VR2」デザイン公開

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、PlayStation 5(PS5)向け次世代VRシステムPlayStation VR2(PS VR2)と、PlayStation VR2 Senseコントローラーの最終デザインイメージを公開しました。

 

同製品のヘッドセットは、PS VR2 Senseコントローラーとマッチするオーブ型のデザインを採用。丸みを帯びた形は、プレイヤーがバーチャルリアリティの世界に入ったときに感じられる360度の視界を表現しています。

 

デザインは、PS5製品群のプロダクトデザインにもインスピレーションを受けており、PS5のデザイン時から既に次世代VRシステムのヘッドセットデザインも念頭に置いていたため、ビジュアルから感触まで、PS5と共通した特徴が感じられるデザインになったそうです。PS5本体はフラットなデザインである一方、PS VR2ヘッドセットは、常に手に取って触れることを想定し、DualSense ワイヤレスコントローラーや、PULSE 3D ワイヤレスヘッドセットとも一貫性を感じられるデザインになっています。PS5本体やDualSense ワイヤレスコントローラーのデザインにあしらった小さなシェイプス(△〇×☐)も、ヘッドセットのバンドの前後に採用。

 

リビングルームに溶け込むようなスタイリッシュなデザインであることに加えて、使っていることを意識せずにゲームの世界に没入できるものを目指しており、エルゴノミクス(人間工学)に基づいたデザインを重視し、様々な頭の大きさのユーザーが快適に使えるように検証が重ねられたのこと。現行のPlayStation VRで好評だったヘッドセットの重量バランスや、1本のバンドだけで頭部に固定する構造は、PS VR2でも踏襲。既にPS VRを利用中のユーザーでも違和感なく使えるよう、ヘッドセットのスコープ部分と顔の距離を調整するためのスコープ調整ボタンや、ステレオヘッドホン端子の位置も共通して配置しています。

 

また、さらに快適な使い心地を追求するため、両目のレンズ間距離をプレイヤーの目の間隔に合わせることができるレンズ調整ダイヤルを搭載。ヘッドセットの振動用モーターなど、独自の新機能を追加しながらも、よりスマートなデザインに仕上げたことで、若干軽量化されています。

パリのアーティストによる浮世絵を360度体感! VRで楽しめるオンライン番組も配信中

角川文化振興財団は、角川武蔵野ミュージアムにて開催中の企画展「浮世絵劇場 from Paris」をオンライン視聴できる番組を、2022年1月20日までの期間限定で配信しています

 

同企画展は、角川武蔵野ミュージアムのオープン1周年を記念し開催。「SPIRIT of JAPAN」は、フランス・パリを拠点とするアーティスト集団「ダニーローズ・スタジオ」が手掛け、浮世絵をモチーフにしたプロジェクションマッピングで、1100平方メートルを超える大空間に12幕の異なる映像シーンが音楽とともに映し出されます。扇が時を刻み、提灯が宙を舞い、桜の花びらが風に揺れ、荒波がリズムにあわせて頭上を駆け巡り、浮世絵を全身で体感できる、360度体験型コンテンツです。

 

オンライン配信番組「浮世絵劇場 from Paris ライブ配信ツアー」は、原田鮎歌さんをナビゲーターに迎え、会場からライブ配信を行います。ナビゲーターの映像解説により、初めて見る人だけでなく、実際に会場で見た人も、より深掘りして楽しむことができます。※番組によってナビゲーターが変更となる場合があります。

↑原田鮎歌さん

 

映像は、360度カメラで会場撮影を行い、全体を映像に囲まれた会場さながらに臨場感を味わうことができます。配信は「Blinky」で実施、視聴は主要VRゴーグルのほか、スマートフォン、タブレット、PCのブラウザなどでも可能。会場とはひと味違う視点・内容で、企画展を楽しむことができます。

 

チケット料金は税込999円。配信スケジュールは、12月24日~25日は22時開演、12月26日~31日は19時開演です。1月以降の配信スケジュールや視聴チケット購入は、12月27日ころ、発表を予定しているとのこと。詳細は番組ページをご覧ください。

2021年、「5G」が大化けするために不可欠な「3つのパートナー」

世代高速通信の「5G」が本格的に始動したことで、関連市場にも新しい風が吹き込んでいる。5Gであることが前提になる2021年以降、社会に起こるだろう変化をここで予測しよう。

 

【解説してくれた人】

 

モバイルライター・井上 晃さん

モバイル製品に精通するライター。自宅で、Oculus Questを使ってリズムゲームやイラストを楽しむ。

 

【その1】5G×VR

2021年のVRは映像がより高精細化。5Gが普及することで、ライブストリーミングなどの提供基盤も整い、新たな体験が生まれていく!

 

VRの高解像度化を次世代通信が支える

ここ数年で個人向け機器が普及し、VRは身近な存在となった。その次なるトレンドは、高解像度化だ。解像度が限られたディスプレイでは、仮想空間の映像にドットなどの粗が目立ってしまい、どうしても臨場感に欠けた。

 

しかし、次世代のデバイスでは、これが目立たなくなり、さらにHDRにも対応するなど、進化を遂げそうな兆しがある。例えば、20年10月に発売されたOculus Quest 2も、従来機よりも大きく解像度を向上している。また、同年1月に米国で開催した技術見本市「CES」で参考出品されたパナソニックの有機ELVRグラスは4K・HDRをサポートしていることで話題となった。

 

↑パナソニック/HDR対応 UHD眼鏡型VRグラス(仮)/価格未定

 

↑Facebook/Oculus Quest 2/実売価格3万7180円〜。ディスプレイの解像度が約1.5倍になり、初代よりも精細な映像が楽しめる

 

こうしたVR用のコンテンツ供給には、5Gが貢献する場面も出てくる。高解像度が進めば進むほど、通信量は膨大になるためだ。従来はこうした大容量の通信にはどうしても有線ケーブルが必要だった。例えば、有線ケーブルが引きにくいスポーツやライブの会場などの屋外施設から、高解像度の360度映像などをライブストリーミング配信するといった場面では、Wi-Fi 6や5Gの高速な無線通信の力が不可欠となろう。

↑スポーツ観戦では選手や審判がウェアラブルカメラを装着。すると、彼らと同じ目線で、これまでにない臨場感あるVRスポーツ観戦が可能に

 

↑ライブ視聴では会場の特等席からVRでライブを視聴できる。また、リアルタイムにCG合成を行うことで、いままで見たことのない演出も

 

【ネクストヒットの理由】
VRはワイヤレス化がヒットのカギを握る

「ケーブルに縛られず、美しい映像世界に入り込めることで、VRの没入感や汎用性が高まります。高速・低遅延な5Gが普及すれば、VRクラウドゲーミング等の実現にも近づきます」(井上)

↑プレイする場所が限られやすいVRゲームは、ワイヤレス化で課題が一気に解決する

 

【その2】5G×Arm PC

2021年は、高性能で省電力性に優れると言われるARMベースのPCが存在感を強める。消費電力を抑えやすく、5Gとの相性もピッタリだ。

 

スマホの頭脳の設計図がPC市場でも力を発揮

「Arm(アーム)」についてを知らなくとも、多くの人がすでに恩恵を受けている。スマホに組み込まれたSoC(システムオンチップ)が、このArm社が設計したアーキテクチャーのライセンスを使っているからだ。スマホ市場で高性能化&省電力化を果たした設計が、PCに逆輸入されるのだ。

 

Armベースの製品は数年前からあったが、マイクロソフトやアップルがモバイルPCに採用したことで話題に。今後は、5G通信対応型が登場すると予測でき、外出先でも有線と変わらない環境で仕事を行えるようになるだろう。

 

↑アップルが搭載するM1チップはArmがベース。MacBook Airのほか、13インチ MacBook ProとMac miniが新搭載。ラインナップ拡充も期待される

 

↑2019年10月発表のSurface Pro Xは、クアルコム社の技術を採用した「SQ1」なるArmベースのSoCを搭載。2020年10月に「SQ2」にアップグレード

 

【ネクストヒットの理由】
新型プロセッサーと出会うことで5G対応PCがより実用的に

「5Gに対応したノートPCはすでに登場していますが、高速通信使用時は電力消費量が大きく、スタミナが課題に。省電力なArmプロセッサーは、5Gの普及とともにその存在感を強めそうです」(井上)

 

【その3】5G×格安スマホ

安価なMVNOでも5G通信サービスがスタート。通信速度においては、大手キャリアのそれに劣る部分はあるが、安価に利用できる点で注目だ。

 

大手キャリア以外でも5Gの選択肢が登場

最新ハイエンドスマホを、大手キャリアの大容量プランで運用するという従来の5G のイメージはすでに変わりつつある。安価な端末が増え、MVNOの5Gプランを含んだ選択肢が生まれているからだ。

 

5G対応のSIMフリースマホはすでにミッドレンジ帯が中心に。例えば、11月に発売した「TCL 10 5G」は4万円ほどの価格ながら5G通信をサポートしており、背面カメラも4基を備える。

↑TCL 10 5G/実売価格3万9800円。国内向けTCLブランドの製品としては初の5G対応モデルで、バンド「n77」「n78」に対応

 

通信プランでは「mineo」が5G通信オプションを提供。「IIJ」も法人向けサービスで5G対応プランを提供している。

↑mineo(マイネオ)は、オプテージが提供するMVNOの通信サービス。2020年12月1日よりトリプルキャリアに対応した「5Gオプション」の提供を月額200円で開始

 

【ネクストヒットの理由】5G黎明期ゆえの“お試し”に格安モデル&プランが◎

「真の意味で高速大容量な5G通信を利用するには、大手キャリアのプランのほうが適していますが、対応エリアが限定的などの課題も。安価に試せるMVNOの5Gプランも注目です」(井上)

 

「手羽先センセーション」3周年記念ライブがVR配信中。新メンバーお披露目も!

withコロナの時代になり、ライブやイベント、スポーツ観戦のあり方が急速に変わる中で、VRを使ったライブイベントが続々と登場しています。アイドルグループ「手羽先センセーション」の3周年記念ライブが、7月29日よりマルチアングルVRサービス「REALIVE360」でアーカイブ配信されています。

 

同コンテンツでは、6月24日にNAGOYA ReNY limitedで行われた、手羽先センセーション3周年&新メンバー・佐野いちかさんのお披露目となった記念すべきライブが、ステージ上に設置された超高精細な11KVRカメラ3台による大迫力の映像で楽しめます。VR版限定コンテンツとして、佐野さんのステージからのご挨拶と、同メンバー6人に360度取り囲まれての限定特典映像を収録しています。

 

収録楽曲は、「夏情気性」「ウノウクノウカノウサノウ」「革命のセンセーション」「ニコピの方程式」「ハロー、ブランニューミー」「I’m Believer」「始まりのシグナル」「君キミ、恋病」「あしたのはなし」の9曲。

 

視聴料金(REALIVEチケット=シリアルコード)は、ライブが5000円(税込)、ライブ+限定特典映像(楽屋映像)が7000円(税込)、選抜3曲セットが2000円(税込)。視聴期間はシリアルコード入力から1年間となっています。

 

アフターコロナを見据える「新しい演劇」を作り出す−−「STAGE GATE VRシアター」の挑戦

創業以来30年間、舞台演劇の制作に携わってきたシーエイティプロデュースとVR撮影、VRサービスを提供するアルファコードがVRを使用した新たな観劇スタイル「STAGE GATE VRシアター」にて「ディファイルド」を公開しています。

 

コロナ禍にあって、演劇のスタイルが問われる今、VRと演劇が融合することで、どんな作品に仕上がっているのか、シーエイティプロデュース代表取締役江口剛史氏と、アルファコード代表取締役社長CEO VR事業統括 VR/MR コンテンツプロデューサー水野拓宏氏に話を聞いてきました。

 

江口剛史氏(右)と水野拓宏氏(左)

 

舞台の中に入り込むVR観劇

――演劇とVRの融合と言われてもどんなものか想像つきにくいのですが、ライブコンテンツをVRでどのように表現するのでしょうか。

 

水野拓宏氏(以下水野):VR(ヴァーチャルリアリティ)と言うとゲームやCGの世界を思い浮かべる人は多いと思いますが、私としては、VRは体験だと考えています。たぶん、VRで観劇というと、観客席のもっとも良い席にカメラが設置してあって、VRゴーグルを使用して視聴すれば、すべての人が一番良い席で観られると言う印象だと思います。

 

今回は、体験がテーマなので、舞台上に3つのカメラを用意し、犯人側、刑事側、中央と立場を変えて観ることができます。今回の舞台は朗読劇に近いので、そもそもVRで舞台を観る必要があるのかと問われると、たぶん、一般的な考え方で言えば必要性は低いと思います。

 

しかし、体験としてのVRに意味があると思います。舞台では犯人と刑事のふたりしか登場せず、その会話が中心となってストーリーは進んで行きますが、VRで観ている人は、そのどちらかの相棒や部下のような立ち位置として劇に入り込めます。また、自由に犯人側、刑事側とスイッチングができるので、どちらか一方に偏ることなく観られます。

 

江口剛史氏(以下江口):VR観劇と言っても、実際に劇場では観客が入っています。コロナ禍ですので、十分に席の間を作り、収容人員を抑えています。無観客でVRのみの配信も考えましたが、舞台役者にとってお客さんの反応は大事なので、そういう意味でも観客を入れて公演することにしました。

 

劇場で観ているお客さんはいつも通りの演劇として観て貰えます。劇場でVRゴーグルをかけて観劇するわけではありません。VR配信の方は舞台の中に入り込むイメージなので、単純に舞台をカメラに収め、動画で配信するものとは違うわけです。なので、劇場で観劇した人もVR配信を観るとまったく違ったものとして観ることができます。

 

――VRではライブ配信ではなく、数日後に配信されると聞きましたが。

 

水野:ライブ配信は挑戦してみたかったんですけど、今回は録画したものを配信しています。今回の公演は全部で39回あります。毎回キャストが変わるので、配信も舞台と同様に毎回違うキャストで配信されます。まだVRでの配信は始めたばかりで、39回すべてをライブ配信するとなると、かなりのリスクとなってしまいます。

 

そこで、すべての回をVRで配信する代わりにライブ配信は諦めました。ただ、配信はアーカイブスとして残るわけではなく、劇場と同様に決まった時間から始まり、見逃すと観られなくなってしまいます。好きな時間から見始められるわけではないので、ある意味ライブ感がある仕様となっています。

 

 

江口:VR配信は19時から行われており、上演時間は約70分です。VRに集中して観られる限度内の時間にしました。先ほど水野さんがおっしゃったように朗読劇に近いので、舞台上で役者が大きく動くわけではないですが、役者と同じ舞台に立って観られるので、役者の表情とかがよく分かるようになっています。

 

 

新しい演劇の価値を提供するためのVR

――そもそも演劇をVRで配信しようと考えたのでしょうか。

 

江口:現在、コロナ禍で現実離れした経験をしています。演劇界も緊急事態宣言やソーシャルディスタンスなどで、ほとんどが中止や延期に追い込まれました。つまり、今まで現実でできたことができなくなったわけです。演劇もこれまでと同じことをしようとしても、もうできないので、これまで以上のことをし、これまで以上の価値を提供しなくてはならないと思っています。その一環としてのVRです。

 

水野:ただ、演劇にVRを入れるのはまだまだ難しいところもあります。VRは、まだまだ完成の域にあるものではなく、現実とヴァーチャルの区別が付かなくなる程には至っていません。今回の舞台も撮影自体は11Kで行っていますが、配信では4Kまで落としています。11Kで配信したいけど、それはまだ難しいわけです。観る側もOculus GoやPico G2のような専用ゴーグルで観る人も居れば、スマートフォンで観る人も居ます。多くの人に観て貰うには低いスペックで視聴される可能性も考慮した結果です。

 

 

江口:今回の「ディファイルド」は、9.11のころに書かれた作品なんですが、コロナ禍の現状とすごくマッチしているんですよね。そういった部分を読み取って貰えると面白いと思います。なので、VRであるなし以前に十分に面白いコンテンツにはなっています。

 

水野:観劇の新しい形として、面白い試みではありますが、VRをヘビーに使って居るユーザーからみればVRにする意味があるのかって言われそうではありますね(笑)。ただ、VR配信をすることになって、改めて人がものを観ることを考えた時、人はあまり視点を大きく動かさないんですよね。なので、ゲームやCGのVRのように、仮想空間の中を自由に動けると言うわけではないですが、決まった画角の映像を観る通常の舞台中継配信とは、視聴者の感じ方や見方はその人次第となるわけです。

 

――なるほど、コロナ禍が新しい演劇の形を生み出したわけですね。コロナ禍が過ぎたあと、VR演劇はどうなっていくのでしょうか。

 

江口:そうですね。コロナ禍の現在としては、ウィズコロナとして、劇場での観劇のガイドラインを作り、それを遵守することで、公演をしていきたいと思っています。今回のVR演劇は客席数を減らしただけでなく、VR配信用のカメラは据え置きで、カメラマンなどのスタッフは配置していません。いかに密にならないかを考えています。

 

コロナ禍が終息したとしても、VR演劇は続けていきたいですね。演劇の稽古は密になりがちなので、集まって稽古をする必要のない朗読劇となりましたが、コロナ禍終息後は通常の舞台劇でVR配信をしてみたいです。

 

コロナ禍が終息しても地方の劇場で演劇をするのはしばらく難しいと思います。なので、どの場所でも観られるVRが地方のファンへの対応のひとつになるのではないでしょうか。

 

水野:舞台の上で行われている演劇をそのまま撮るだけでなく、VRならではのCG合成などの加工を入れて現実を超えるような体験を創ってみるのも面白いですよね。

 

STAGE GATE VRシアター vol.1 『Defiled-ディファイルド-』

・会場・日時:DDD青山クロスシアター 7月1日(水)~8月2日(日)39公演
・作:LEE KALCHEIM
・翻訳:小田島恒志
・演出:鈴木勝秀

・出演キャスト(総勢19名の出演者が2名1組となり、毎日日替わりで上演します)

猪塚健太/ 伊礼彼方/上口耕平/加藤和樹/岸 祐二/小西遼生/章平/鈴木壮麻 /成河/千葉哲也/中村まこと/羽場裕一/東 啓介/前山剛久/松岡 充/三浦宏規/水田航生/宮崎秋人/矢田悠祐 (※ 50 音順)

・主催/企画制作:株式会社シーエイティプロデュース
・撮影/技術協力:株式会社アルファコード

・ストーリー
ハリー・メンデルソン、図書館員。自分の勤める図書館の目録カードが破棄され、コンピュータの検索システムに変わることに反対し、建物を爆破すると立てこもる。目まぐるしく変化する時代の波に乗れない男たちが、かたくなに守り続けていたもの。神聖なもの。それさえも取り上げられてしまったら…。 交渉にやってきたベテラン刑事、ブライアン・ディッキー。緊迫した空気の中、巧みな会話で心を開かせようとする交渉人。拒絶する男。次第に明らかになる男の深層心理。危険な状況下、二人の間に芽生える奇妙な関係。果たして、刑事は説得に成功するのか。

・配信日時:2020年7月6日(月)19時~8月14日(金)19時(予定)
・配信方式:時間指定ストリーミング配信
・視聴料金:3500円 (税込)
・販売方法:チケットぴあにて販売(チケットぴあURL:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2019376

公式サイトはコチラ

 

■BlinkyLiveご利用方法

1. アプリストアにて「Blinky」のアプリをダウンロードしてください
・iOS版ダウンロード(http://apple.co/2XcmUI5
・Android版ダウンロード(http://bit.ly/3dW7VbY
・Pico Store (https://www.pico-interactive.com/jp/detail.html?id=164
※Pico G2 4Kはプリインストール済み
2. アプリ起動後、マイページから無料会員登録を行なってください。
3. ログイン後、ホーム画面や検索機能からお好きなコンテンツを選択しご視聴ください。
4. 有料コンテンツの視聴や有料スタンプを使用するにはポイント購入が必要になります。なお、コンテンツによっては、外部決済サービス(チケット会社等)の利用も可能です。

 

撮影/我妻慶一

最新技術と古典芸能の融合により、新たな「攻殻機動隊」が動き出す−−「VR能 攻殻機動隊」の魅力を担当者に訊く

人気SFマンガと最新VR技術、そして能が融合した新たなエンターテインメント『VR能 攻殻機動隊』。コロナ禍の影響で開催が危ぶまれましたが、予定通り8月22・23日に世田谷パブリックシアターで開催されます。すでにチケットは完売しており、この記事を読んで興味を持った人は、今回の舞台を観ることは叶いませんが、能と言えばロングランで公演するのが常なので、今後観る機会はあるはず。

 

 

今回は「VR能 攻殻機動隊」で脚本を担当する藤咲淳一氏と3D技術を担当する明治大学教授・福地健太郎氏、VR技術を担当する東京大学教授・稲見昌彦氏に話を聞く機会を得たので、VR能とは、攻殻機動隊と能がどのように融合するのかなど、聞いてきました。

 

まずは脚本担当の藤咲氏から。

 

能によって新しい「攻殻機動隊」の世界が開けていく

↑藤咲淳一氏

 

――VRと能と「攻殻機動隊」と言う組み合わせを聞いても、容易にどんな舞台か想像がつきませんが、どういったものなのでしょうか。

 

藤咲淳一氏(以下藤咲):実はすでに「攻殻機動隊ARISE」で立体視を使った3Dの舞台を演出の奥 秀太郎さんと一緒にやっているんです。さらにVRで能を表現することは、奥さんがすでにやっていました。そんな中、VR能で「攻殻機動隊」をやりたいと言う話がでまして、まあ面白半分で聞いていたんですけど、講談社が許可を出したわけです。まさか、実現するとは思っていませんでしたが、やることになりました。

 

――能で「攻殻機動隊」の世界を表現するのは難しそうですね。

 

藤咲:今回はアニメではなく原作を能にすることにしました。能は初めて観る人はたいてい寝てしまうんですけど、その段階を超えて能を理解しはじめると新しい世界が開けてきます。「攻殻機動隊」もネットが新しい世界として広がっていく話なので、そこは繋がるのではないかと思っています。「攻殻機動隊」を題材にしていますけど、見た目は普通の能なので、言葉もすべて能の世界に置き換えています。「攻殻機動隊」の話なんですけど、どこか日本の神話を観ている感じに捉えられるのではないでしょうか。

 

――いわゆるアニメを題材にした歌舞伎や舞台劇とは違い、基本的には能なんですね。

 

藤咲:話が「攻殻機動隊」なだけで、基本的には能ですね。現代能の新作と言う感じです。なので、脚本的にはアクションシーンをほとんどなくし、素子がバトーなどに出会う話がメインになっています。たぶん、上演時間は40分くらいかな? 公演自体は2時間くらいあって、古典の能なども上演されます。なので、「攻殻機動隊」をきっかけに能に触れて貰えればと思っています。

 

――能の世界や言葉を理解するには初見では難しそうですが、VR能を観る前に準備しておくことはありますか。

 

 

藤咲:そうですね。「攻殻機動隊」をいくつか観ておいていただけると良いですね。「攻殻機動隊」の話を知っていれば、能に変換されていても、あ、ここはあの場面だってわかります。話がわかると能の動きや所作などに注目できますので、そこに注目して欲しいですね。わからないと言うよりは、いろいろな想像ができ、個々でそれぞれに解釈できるようになっていますので、観た人なりの解釈で完結していただければと思います。

 

――最後にVR能の見どころをお聞かせください。

 

藤咲:ちゃんとバトーも素子もでます。原作を大事にしたうえで能に落とし込みました。攻殻機動隊が能になったとき、どうなっているのか、是非体験して欲しいです。ただ、初見での能は睡魔との戦いになるので、観に行く前日は夜更かしせず、しっかり睡眠をとっておいてください(笑)。

 

■プロフィール
藤咲淳一(ふじさく・じゅんいち)

1967年茨城県生まれ。代々木アニメーション学院卒。脚本家・演出家・小説家。プロダクションI.G所属。専修大学、デジタルハリウッド大学非常勤講師。 TVアニメでは『攻殻機動隊』『BLOOD』シリーズ、『ダイヤのA』『ポケットモンスター サン&ムーン』、映画「劇場版BLOOD」シリーズ、「アップルシードXIII』『攻殻機動隊 ARISE border1-4』など様々な作品のシリーズ構成・脚本を担当。 BLOODシリーズ、攻殻機動隊シリーズの小説版のほかオリジナル小説作品も手がける。漫画、ゲーム、舞台などメディアを横断した構成・執筆で活動。

 

 

次にVRゴーグルを使わずにVRを実現する技術、「ゴーストグラム」を開発した稲見氏と福地氏に、VR能とはどんな映像技術を使い、どんな演出が可能なのかを聞きました。

 

 

最初の5秒間だけ、技術的なことを見て欲しい

↑稲見昌彦氏(左)、福地健太郎氏(右)

 

――一般的にVRと言うとVRゴーグルを使用し、仮想空間を体験するものですが、それとは意味合いが違うのでしょうか。

 

福地健太郎氏(以下福地):一般的なVRはゴーグルを装着しているひとりひとりの視点が違いますよね。今回はVRゴーグルなしの裸眼で映像体験をする映像演出として使われています。なので、観客席のどの位置から見ても、基本的に同じものが見えるようになっています。もともとVR(ヴァーチャルリアリティ)は演劇用語でして、舞台装置としての言葉でした。

 

――では、VRやARなど、現在使われている映像技術としてのVRとはちょっと意味合いが違うのですね。実際の役者に3D演出を加えることは難しかったのでしょうか。

 

 

稲見昌彦氏(以下稲見):3Dの演出自体はそれほど難しいことはしてません。感覚的には特別な映像ではなく、いつも目で見ているものが3Dですよね。VRの演出としては、その見えているものが消えてしまうと脳が勝手に解釈することを利用しています。普段ありえない動きや映像を見せることで、最初は驚き、そのうちリアルか映像かの差がわからなくなってしまうのです。そこがVRになるんです。例えば、壁に手をかざすと壁が手に遮られて、壁の一部が見えなくなってしまいます。その手に壁の映像を映し出すことで、手と壁が同化して、奥にあるはずの壁が見えるような気がするんです。つまり手が消えたように脳が解釈するわけです。このあたりが、「攻殻機動隊」でもお馴染みの光学迷彩に繋がってきたりします。

 

福地:能は舞台道具などがなく、何もない空間で役者が演じ、役者の動きも小さいんです。舞台も暗めなので、すべてがVRで演出するのに適していると言えます。舞台のどこに映像を投影しているなど3D映像に関しては一応企業秘密と言うことで(笑)。

 

――VRと能と「攻殻機動隊」と言うと、接点がなさそうですが、意外と相性がよさそうですね。

 

稲見:「攻殻機動隊」の世界では、現実と虚構(ネットの世界)の区別がつかなくなっていますよね。それが今回のVR能にマッチングしていると思います。現実世界も「攻殻機動隊」の世界に近づきつつありますし、フィジカルとデジタルが融合したVR能は、映像を画面で見た時とは違った体験になります。

 

――VR能では役者の動きにあわせてリアルタイムで映像演出が行われるとのことですが、どうやって役者の動きを判断しているのでしょうか。

 

 

福地:今回はサーモグラフィーカメラを使用しています。先ほども言いましたが、能は役者以外に何もないので、サーモグラフィーで役者の動きを捉えやすいんです。何か他に熱源があったりすると、役者ひとりに合わせるのは難しいので、そこも相性が良かったですね。

 

――VR能を技術的な観点として注目して欲しい点はありますでしょうか。

 

稲見:最初の5秒間だけで良いので、技術的なことを観て欲しいです。どんなことをやっているのか、あの映像はどうやって映しているのか、など。あとは能と攻殻機動隊の世界観を感じて欲しいですね。技術はあくまでも能や攻殻機動隊の世界を彩る手段なので、意識下から抜けていって欲しいんです。観ているときは能や話に集中し、凄かったと思って貰えれば良いですね。個人的には舞台照明は注目して欲しいところです。

 

 

■プロフィール
稲見昌彦(いなみ・まさひこ)

1972年東京都生まれ。東京大学総長補佐・大学院情報理工学系研究科教授。専門はインタラクティブ技術、複合現実感、ロボット工学、リアルメディア。漫画『攻殻機動隊』に登場する技術「熱光学迷彩」をモチーフとした、再帰性反射を利用した光学迷彩を実際に開発した研究者として世界的に有名。米国『TIME』誌 Coolest Inventions of the yearに選定。著書に『スーパーヒューマン誕生!』がある。

 

福地健太郎(ふくち・けんたろう)

1975年東京都生まれ。東京工業大学理学部卒。明治大学総合数理学部教授として、インタラクティブメディアの研究に従事。インタラクティブ広告や舞台演出のためのソフトウェア開発を手がける。担当科目は「アカデミック・リテラシー」「メディア基礎実験」「映像・アニメーション表現」など。著書に『図解でわかる! 理工系のためのよい文章の書き方 論文・レポートを自力で書けるようになる方法』がある。

 

VR能 攻殻機動隊 – VR Noh ‘THE GHOST IN THE SHELL’

■スタッフ・キャスト

原作:士郎正宗(講談社)
出演:坂口貴信 川口晃平 谷本健吾(観世流能楽師)
大島輝久 (喜多流能楽師) ほか
演出:奥秀太郎
脚本:藤咲淳一
3D技術:福地健太郎(明治大学教授)
VR技術:稲見昌彦(東京大学教授)
製作:VR能攻殻機動隊製作委員会

 

■公演日

2020年8月22日 (土)
・13時30分開場 14時開演
・18時30分開場 19時開演

2020年8月23日 (日)
・10時30分開場 11時開演

 

■会場

世田谷パブリックシアター

公式サイトはコチラ

 

撮影/我妻慶一

【西田宗千佳連載】似て非なる「3DoF」と「6DoF」、VRらしいアプリの開拓はこれから

「週刊GetNavi」Vol.67-4

現状、スタンドアローンVR機器のビジネスにおいて、「Oculus Go」は、ライバルに一歩先んじているのは間違いない。理由は、「低価格」を実現し、そのうえで「この価格で実現できる新しい体験をすばやく提供する」ことに知恵を絞った作りになっているからだ。「ごろ寝VRシアター」で映像を見たり、VR空間で友人とチャットをしたり、ちょっとしたゲームを楽しんだりするのであれば、Oculus Goは十二分な性能を備えている。

↑Oculus Go

 

だが、低価格を実現し、映像体験に軸を絞ったがゆえに、Oculus Goは、スマホVRからあまり大きくジャンプしなかった。それに対し、レノボとGoogleがタッグを組んで開発した「Mirage Solo」は、スマートフォン用のVR技術を使いつつも、より本格的なVR体験を目指した技術が搭載されている。

↑「Mirage Solo」

 

違いは「ポジショントラッキング」にある。

 

Oculus GoもMirage Soloも、そして、ほとんどのスマホ用VRも、自分を中心に「向いた方向の映像が見える」点に変わりはない。頭を中心に360度、どちらを向いても位置は把握できる。これを「3 Degree of Freedam(3DoF)」と呼ぶ。これだけでも、かなりリアルなことは間違いない。

 

だが、3DoFでは「頭やからだの位置」は把握していない。部屋の中を自由に歩き回るには、頭の位置を正確に把握すること、すなわち「ポジショントラッキング」が必要になる。3DoFにポジショントラッキングを追加した状態を「6 Degree of Freedom(6DoF)」と呼ぶ。PC用のハイエンドVRやPlayStation VRは、この6DoFに対応している。そして、Mirage Goも、6DoFに対応する「WorldSence」という技術が使われている。

 

といっても、Mirage Soloの場合、HMDをつけていると外の様子は見えない。だから部屋を歩き回ると、現実問題として危険だ。そのため、自分を中心に半径75cmの距離しか移動できないようになっている。

 

「そんな狭いんじゃ意味がない」

 

そう思われそうだ。確かに、映像を見るだけなら、こんなに移動範囲の狭い6DoFはあまり意味がない。

 

しかし、冷静に考えてみてほしい。座ったまま「手前にあるものをのぞき込む」動作をする時、頭はどう動くだろうか? 頭が前に動くはずだ。椅子に座って上半身しか動かないような場合であっても、人間の自然な動きとしては、「頭の位置に沿った視界」が再現されるほうが望ましい。すなわち、より自然でリアルな体験を実現するなら、6DoFは「あるほうが望ましい」のである。

 

いまはまだ、Mirage Solo向けのアプリが少ない。しかし、今後6DoF対応のアプリが増えていくのであれば、「自然なVR体験」としては、Oculus GoよりもMirage Soloのほうが有利になる。PC用のハイエンドVRの代わりに使うなら、Mirage Soloのほうが機能差が少なく、アプリ開発は容易である。そのため、個人向けとしてはOculus Goが有利だが、企業で専用アプリケーションを作ったり、アトラクション用に大量導入したりするならば、Mirage Soloのほうが向いているのでは……という分析もある。

 

現在VR用HMDを開発している企業の間では、6DoF対応のものを作るのが主流だ。それがVRとしてはより望ましいからである。今年後半から来年にかけて出てくる機器では、Mirage Solo以外にも「スタンドアローン型で6DoF」のものが増えてくる。2年もすれば、6DoF搭載型が主流になっているだろう。

 

だが、Oculusもそれは十分わかっている。それでもOculus Goが3DoFであるのは、「完璧ではないが、それでも体験に足る製品を、とにかく低価格で出して広げること」が重要だ、と判断したからであり、そこに向けて商品を磨いたからである。

 

Mirage Soloはここからの成長によって、大きく化ける可能性がある。その過程を楽しむのもまた魅力だと思う。一方で、価格はOculus Goより高い。両者を分けたのは、「いまを採る」か「明日を採るか」なのだ。

 

●次回Vol.68-1は「ゲットナビ」8月号(6月23日発売)に掲載予定です。

 

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【西田宗千佳連載】「シアター」から「コミュニケーション」へ広がるVRの可能性

「週刊GetNavi」Vol.67-3

スタンドアローンVR機器において、最初の重要なコンテンツはなにか、といわれれば、筆者は「ごろ寝シアター」だ、と答える。VR機器は、視界のすべてを映像で置き換えるものだ。そこに「自分しかいない映画館」を作り、数百インチの大画面で映画を観るのは快適で新鮮な体験だ。特にOculus Goは、頭に機器を固定するためのバンドがゴム製で、寝転がってもゴツゴツとした感触がない。だから、ベッドやソファに寝転がれば、手軽に「天井方向に映画館のスクリーンがある」ような体験ができる。

↑Oculus Go

 

こうしたパーソナルホームシアターは、1996年に発売されたソニーの「グラストロン」が目指していた方向性であり、2013年にOculus Riftが登場するまで、「頭につけるディスプレイ」全般が目指していた未来そのものである。実際、これまでにもスマホ用VRがある程度人気を博し、「映像を見る」用途で広がったが、こうした市場はアダルトコンテンツが中心。結局のところ、さほど大きなビジネスには成長していない。

 

スタンドアローンVR機器が拓く「ごろ寝シアター」であれば、あらゆる映像をシアターの中で楽しめる。映像配信サービスの普及により、ネットにさえつながっていれば映像が楽しめるようになったことが、こうした機器の可能性を広げているのだ。そういう意味では、「今の世の中だから可能になった」、スタンドアローンVRならではの使い方と言えるだろう。

 

とはいえ、ごろ寝シアターだけがスタンドアローンVRの価値ではない。次に大きな価値となるのが「コミュニケーション」だ。Oculus Goには純正アプリとして「Oculus Rooms」というものが用意されている。これは、友人同士がバーチャル空間内に作った部屋に集まり、音声でのコミュニケーションを行う、というものだ。部屋の中では、写真や動画を一緒に見ることもできる。

 

バーチャル空間でのコミュニケーションは、これまでのビデオ会議よりも「一緒にいる感覚」が高い。バーチャル空間での自分は、簡素化された3Dのキャラクターになる。映像のほうがリアルだろう……と思えるが、実はそうではない。話に合わせて顔が動いて視線があったり、手を動かしたりできると、とたんに「実在感」が高まる。人間の脳が「そこにいる」と感じる際には、映像のリアルさよりも、会話に合わせて身振り・手振りがあるといった、非言語的なコミュニケーションが成立することのほうが重要なのだろう。

 

気軽にバーチャル空間で会えるようになると、コミュニケーションのあり方は変わる。ビジネス的な視点だけで見ても、「ミーティングの形の変化」は、大きな金銭的価値を持っているはずだ。

 

バーチャル空間でのコミュニケーション要素を持ったアプリは意外と多く、「一緒に映画を見る」「一緒にライブ中継を見る」といったアプリも登場し始めている。ただ、Oculusが標準でこうしたコミュニケーション系サービスを複数用意した一方、Mirage Soloのプラットフォームを提供するGoogleは、それらを用意していない。OculusのほうがVRビジネスの将来について、明確なビジョンを持っているため、こうした差が生まれているのではないか……と思える。

 

では、Mirage SoloはOculus Goに対して一方的に劣っているのだろうか? 実際には、そうではない。両者の違いについては、次回のVol.67-4で解説する。

 

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【西田宗千佳連載】VRはスマホの隆盛から生まれた

「週刊GetNavi」Vol.67-2

5月に相次いで登場した「スタンドアローンVR機器」である「Oculus Go」と「Mirage Solo」には、共通の技術的特徴がある。それは、スマートフォン由来の技術が使われている、ということだ。両機種とも使っているプロセッサーはQualcommのSnapdragonシリーズ。OSのコアとしてはAndroidを採用しており、そこからカスタマイズしたものになっている。そもそも、Mirage SoloはGoogleがスマホ向けVRプラットフォームとして作った「Daydream」を使っているし、Oculus Goの元になったのは、サムスンのGalaxy向けに開発されたデバイスである「Gear VR」である。

↑Oculus Go

 

コンパクトでそれなりにパワフルな機器を作るには、現状、PCのアーキテクチャでは無理があり、スマートフォン由来のものを使うのが理に適っているというわけだ。

 

だがそもそも、VRの技術進化はスマートフォンと大きく関係しており、今回のスタンドアローンVRの登場も、その流れのなかにある。

 

現在のVRは、2012年に初期の開発者向けバージョンが公開された「Oculus Rift」が源泉だ。1990年代のVR機器との最大の違いは、とても「安い」ことだった。理由は、スマホの普及によって、ディスプレイパネルやモーションセンサーの価格が落ち、それらを流用してVR機器が作れるようになったことにある。その後、スマホを差し込む簡易型の「スマホVR」が登場したが、これも、Oculus Riftが実現した仕組みが「スマホそのものでも実現可能なものであった」ことに起因している。

 

一方で、現在のハイエンドVR機器やスタンドアローンVRは、スマホの部品をあまり流用していない。モーションセンサーやプロセッサーは共通のものを使うが、肝心のディスプレイパネルは「VR専用開発」のものが主流である。

 

なお、技術的な素性は似ているが、スマホに最適なディスプレイとVRに最適なディスプレイは異なる。その背景には、VRはこれから数が増えると想定されており、ディスプレイメーカーがVR専用パネルの製造を行うようになっていることがある。しかも、それらは、スマホ向けの需要を見込んで用意したが、技術の進化で時代遅れとなった設備や、生産量の関係で余剰となった製造ラインを流用する形で作られている。Oculus GoもMirage Soloも、ジャパンディスプレイの同じVR用液晶を採用しているとみられているが、これはまさに、古い世代のスマホ向け液晶ディスプレイのラインを大幅に改修し、VR用液晶のラインに転用したもので作られている。

 

スマートフォンの増加によって、様々な最先端部品の製造コストが変化した。スマホ以降に登場したデジタルガジェットは、その影響を受けて作られているのだが、VR機器は特に直接的な関係があり、「VRはスマホの子ども」的な部分があるのだ。

 

では、「スマホの子ども」であるVRの先端に位置するスタンドアローンVRは、どんなコンテンツやサービスを我々にもたらすのだろうか? その点は次回のVol.67-3以降で解説していきたい。

 

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【西田宗千佳連載】スタンドアローンVRがもたらす「ごろ寝シアター」の世界

「週刊GetNavi」Vol.67-1

 

相次いで登場してきた独立型VRデバイス

5月1日、Facebook傘下のOculusは、PCやスマホと接続する必要がなく、単体で使える「スタンドアローンVR」機器の「Oculus Go」を発売した。同日米国で開催されていたFacebookの開発者会議「F8」で、本機が発表されると、いきなりウェブ上で販売が開始された。そのOculus Go発売と時を同じくして、レノボもスタンドアローンVR機器の「Mirage Solo」を投入。こちらは、GoogleのVR向けプラットフォームである「Daydream」準拠の機器である。どちらも非常によくできたデバイスであり、VRの世界を大きく変えるのは間違いない。

↑Oculus Go

 

↑Mirage Solo

 

これまでVRは、PCやPS4とつないで使う「ハイエンドVR」か、スマートフォンを簡易的なヘッドセットに差し込んで使う「スマホVR」の2つに大別できた。前者は、最先端の環境で、リッチな体験ができる。しかし、ケーブルが邪魔で、PCなどとヘッドセットの接続は面倒。トータルのコストも高く、「誰でも気軽に、日常的に」という世界ではなかった。

 

一方でスマホVRは、誰もが持っているスマホをそのまま使えて、簡易的なぶん、ヘッドセットが安価なことなどが魅力だった。しかし、画質が悪く、体験も「ちょっと映像を見るだけ」で、VRとしての深みがない。このタイプのVRを体験した結果、「VRってこんなもんか」と落胆した人もいたはずだ。

 

だが、Oculus GoとMirage Soloは、それら2つのあいだに位置する存在だ。価格はハイエンドVRより安く、ケーブルなどもないので気軽に使える。一方でディスプレイやレンズなどの設計が最適化されているため、スマホVRと比べると段違いの画質で、ハイエンドVRにも見劣りしない。ハイエンドVRほどできることに幅がなく、アプリも高度ではないが、それでも、いままでのスマホVRよりもずっと本格的なVRアプリが楽しめるのだ。

 

独立型VRデバイスはAV機器としても魅力的

「ああ、ゲームの話ね」

 

そう思った人は、ちょっと認識を改めて欲しい。VRが気軽になることは、我々に新しい価値をもたらす。それは「ホームシアター」だ。VRの本質は、自分の視界を映像で置き換えることで、360度すべてをディスプレイにしてしまうことにある。映画館のような巨大なスクリーンを配置し、「自分だけの映画館」を手軽に作れるというわけだ。ハイエンドVR機器では実現されていた要素だが、これがスタンドアローンVRでは、さらに実用的になった。特に、ヘッドバンドがやわらかいゴム製のOculus Goは、「寝転がって天井方向に巨大なスクリーンを出す」という使い方に向いているため、自分だけの「ごろ寝シアター」を簡単に生み出せる。これは、過去のどのAV機器にもなかった魅力だ。

 

この時期に、単体で使える新しいVRプラットフォームが相次いで登場してきたことには、実は理由がある。

 

その理由とはいったい何なのか? レノボとOculusの違いは? 将来AV機器はどうなるのか? こうした点については次回のVol.67-2以降で解説する。

 

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