約半年前、IKEAが、日常生活の掃除や配達、引っ越しなどを代行してくれる労働力を手配するスタートアップ・サービス「TaskRabbit」を買収して話題になりました。
「IKEAの家具組み立て代行サービスに使うのではないか」と多くの人が推測していたわけですが、先日IKEAが公式に「組み立て&取り付けサービス」の開始を発表。TaskRabbitを使ったこのサービスは、IKEAで購入した家具の組み立て代行を注文できるというもので、なんと購入の24時間後からの予約が可能となっています。IKEAのウェブサイトにも既に特設ページができていますが、まずはニューヨークとサンフランシスコの合計6つの店舗で始めるとのこと。
価格はアイテム毎に設定されたフラット料金。事前にいくらかかるかも把握でき、課金はちゃんと家具が完成したときに行われるという点も安心です。最低価格は36ドルとのこと。下の写真はウェブサイトに掲示されているソファーの組み立て代行の料金表です。
ソファーの価格が300ドル未満であれば組み立て料金は89ドル、3000ドル以上になると779ドルかかります。アメリカで気になるのは、これにチップが含まれるかどうか。恐らくシステム上はチップを払う必要はないけれども、慣習で現場に来てくれたスタッフにチップを払う人は多いように思います。
本サービスではテレビを壁に設置するといった作業もできる一方、サービス対象外の商品もあります。主にキッチン家具やバス家具がそれに当たり、電気の配線や水道管回りなどの工事が必要な家具は専門の業者に頼んでくださいということのようです。
どのアイテムが組み立てサービスに対応しているかはウェブ上で確認できます。商品のページ上に「assembly」の表示があれば対応可。本サービスの開始により、オンラインで購入し、自宅まで持って来てもらい、TaskRabbitで組み立ててもらうという贅沢なことも可能になりましたね。ちなみにIKEAはARやVRを素早く取り入れて、自宅における商品シミュレーションも発展させつつあるので、将来的にはお店に行かずに家具を購入することも一般的になるかもしれません。
AIを活用した「代行サービス」が主流へ
IKEAのように店舗で家具を販売している企業が組み立てや設置のスタッフを手配するというサービスは最近のトレンドでもあります。今回のIKEAの発表に合わせたかのように、WalmartもHandy.comを利用してテレビを壁に設置したり、本棚などの家具を組み立てたりするスタッフを派遣するサービスを始めました。
ウォールストリート・ジャーナルでTaskRabbitのCEOが語ったところによると、タスカー(作業を代行する労働力)とタスク内容のマッチング作業も、いずれは人ではなくAI主導にしようとしているようです。現在マシーンラーニングでそのアルゴリズムを開発中とのこと。
既にTaskRabbitはAmazonエコーの音声コマンドでタスク代行を注文できるようにシステムを開発しているとのこと。最終的にAIによって自動的にタスクの振り分けが可能になれば、仲介部分を完全にマシーンに任せて、音声アシスタントに「部屋の掃除をしてほしい」と注文すればスタッフが現れるなんてことが可能になるわけです。
このような適材適所の人材派遣には、これまでは経験と知識を持った派遣会社の社員たちの協力が必要だったわけですが、マシーンラーニングの成果でそれもどんどんと効率化されつつあるようです。IKEAの家具組み立て代行サービスにもその片鱗が感じられますね。