ロシアの「ザ・シベリアン・タイムズ」紙(10月11日付)が、驚愕のニュースを報じた。寺院に安置されているはずの即身仏が、夜な夜な寺院内を徘徊している様子が、監視カメラに捉えられたというのだ。その寺院とは、ロシア連邦ブリヤート共和国にあるチベット仏教僧院イヴォルギンスキー・ダツァン。歩き回る即身仏とは、19世紀に活動したチベット仏教のラマ僧ダシ=ドルジョ・イチゲロフだという。
監視カメラに捉えられた人影はダシ=ドルジョなのか?
公開された動画には、確かにヒトが移動する様子が映っている。しかし、奇妙なことに、着衣がラマ僧の袈裟ではなく、迷彩柄のジャケットのようで、さらには両手にビニール袋を抱えているのだ。これは本当に安置されている即身仏なのだろうか?
通常、即身仏はガラスケースに収められて鎮座しているはずだが、仮にそれが徘徊するとなると世にも怪奇な現象が起きていることになるのだが……。
同寺院のダンバ・アユシェフ師は、被写体がダシ=ドルジョに違いないと信じているようで、次のように語る。
「すぐには受け入れがたいが、その可能性はあると考えています」
警備員がたまたま映りこんだだけだという指摘もあるが、同寺院の広報ツゥブデン・バルダノフもまた、監視カメラが捉えた映像に映っているのはダシ=ドルジョだと信じている。
この現象の真偽はひとまず措くとして、実はダシ=ドルジョに関しては、さらなる驚愕の現象が起きているのである。
腐敗せず生命反応まで示した遺体
1927年6月15日。75歳のダシ=ドルジョ・イチゲロフは、不死が嘘ではないことを実証すべく、ヒマラヤスギの棺に自ら入り、
「30年後に掘り出してくれ」
といって弟子たちに別れを告げた。
そして1955年、その遺体が掘り起こされた。棺の中を見た弟子たちは思わず息を飲んだ。なんと、ダシ=ドルジョの遺体が30年前に蓮華座を組んだそのままの姿で鎮座していたからだ。
ダシ=ドルジョのミイラ。それだけではない。
防腐処理の類はいっさい施していないのに、腐敗の跡はほとんど見られなかったのだ。当時の関係者の証言では、死臭さえもしなかったという。発掘当時、ロシアが厳しい宗教上の規制をかけていたため、弟子たちは遺体をその場で再び埋葬せざるを得なかった。その後、1973年にも発掘されたが、やはり腐敗しておらず再度埋葬されている。
2002年、ロシアの規制がなくなり、ダシ=ドルジョの遺体が改めて発掘された。まるで背筋をピンと伸ばし姿勢を正した遺体には、やはり腐敗の兆候は見られなかった。それどころか皮膚も柔軟で、関節も容易に動かすことができたという。顔もまた腐食しておらず、生前のままだった。まさしくとうてい科学的に説明ができそうにない奇怪な現象が起きたのだ。
ダシ=ドルジョの遺体はその後、密封されたガラスケースに収められ、イヴォルギンスキー・ダツァン寺院に運ばれて安置された。この時も遺体には防腐処理など施されず、2003年にロシアの仏教全体会議によって、「即身仏」と認定されている。
その後、数年にわたり医師たちをはじめ、専門家が遺体を検視した。そして皮膚や髪の毛、爪などを採取して調べたところ、驚くべき事実が発見された。信じがたいことに、それらの細胞がいまだに分裂し続けていたのである。体重の増減さえ認められ、さらには体温も、常に18~34度に保たれているというのだ。
当然ながら、この現象を説明できる科学者はだれひとりいない。それから15年後経った現在でも、遺体は画像のとおり、変わらず綺麗なままだ。
チベット仏教僧院イヴォルギンスキー・ダツァンで眠るダシ=ドルジョ。
遺体が安置されたイヴォルギンスキー・ダツァン寺院は、大勢の仏教徒が訪れる有名な巡礼地となっているが、噂ではダシ=ドルジョが時折、目を開けるという。
しかし、いくら高徳の僧侶とはいえ、ミイラになってからも生命反応があり、しかも動き出すことなどありえるのだろうか?
これが事実とすれば、現在の科学では計り知れない“奇跡が起きている”と考えるしかなさそうだ。
生前のダシ=ドルジョ・イチゲロフ。
(ムー2017年12月号 特集「超常現象FILE2017」より抜粋)
文=並木伸一郎
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