もうグリル掃除は怖くない! 「おそうじDr.グリル&トースタークリーナーB」

靴の通販サイト「ヒラキ」には、窓のサッシの汚れをかき出すものや、水筒などのパッキンの隙間の汚れを落とすものなど、細かい用途別の掃除道具も多数揃います。今回は、それらの中から「おそうじDr.グリル&トースタークリーナーB」をご紹介。さて、その使い心地は?

 

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●特殊な形でグリルの汚れをしっかりキャッチする「おそうじDr.グリル&トースタークリーナーB」(ヒラキ)

健康のためになるべく取り入れたい魚料理。焼き魚にするのが手軽ですが、調理後のグリルの掃除が嫌で躊躇する人も多いのではないでしょうか。そんな悩みを解決してくれたのが、ヒラキの「おそうじDr.グリル&トースタークリーナーB」(108円/税込)です。

 

全長約16×厚さ2cmのコンパクトながらも、手にしっくりと馴染んで握りやすいサイズ。先端のスポンジ部分は長さが約3.5cmあります。スポンジはしっかりと硬さのあるタイプ。力を入れてゴシゴシと擦りやすいのが良いですね。

 

「グリル&トースタークリーナー」ということで、まずはトースターの受け皿を洗ってみました。幅広のスポンジが、受け皿にぴったりフィット。安定感のある接地面で、しっかり汚れを落とせます。角の部分も先端を立てるようにして動かせば、ちゃんと洗えました。

 

じつは当商品、スポンジが2つに割れた形状をしています。一体何のために? と思いきや、これはグリルなどのワイヤーを洗うため。2つに割れたスポンジでワイヤーを挟んで擦るだけで、気持ちよく洗えます。いつも普通のスポンジで苦労していたのが嘘のように、汚れを落とせました。

 

一度グリルを掃除したらかなり汚れてしまいますが、1本108円とリーズナブルなので気兼ねなく取り替えられるのもポイント。常に何本か常備しておきたいですね。

 

洗うのが億劫なグリルやトースターの受け皿を、スッキリ洗える「おそうじDr.グリル&トースタークリーナーB」。購入した人からは「持ち手があるから、手が油で汚れないのがGOOD!」「あるようでなかった形で、本当にグリルがキレイになる」と大好評です。グリルやトースターのお掃除に頭を悩ませていた人は、ぜひ一度試してみてください!

 

通販サイトでは在庫切れの場合もあります。在庫切れだった場合は、店舗で見かけたときは逃さずにぜひゲットしてください。

アメリカ人は「洗濯乾燥機」を使わない。まったく便利と思わない理由とは?

日本ではすっかり定番となっている洗濯乾燥機。2023年の調査では、日本で洗濯乾燥機を持っている人は51.9%という結果が出ており、 その人気の高さがうかがえます。一方、米国ではいまだに洗濯機と乾燥機は別々でサイズも大きく、両方並べて置くとかなりのスペースになります。なぜ米国では便利な洗濯乾燥機が浸透しないのでしょうか?

↑洗濯乾燥機、日本では人気だけど…

 

日本と違って米国で洗濯乾燥機が浸透しない背景には、三つの理由が挙げられます。

 

1: 多機能型より特化型が好まれる

米国では、多機能を備えた家電よりも、一つの機能に特化した家電が好まれます。あれこれ機能がついていても使い切れない、それよりも一つの用途で優れたパフォーマンスを発揮して欲しい、との考えからです。米国人は必要な機能ごとに家電を買うので、家が家電だらけというのはよくある話です。

 

機能がシンプルだと、故障しにくいというメリットもあります。DIYの国の米国では、持ち物が壊れたら、まず自分で直そうとします。多機能型家電は構造が複雑ですし、修理に出せば値段も高くつきます。そのため、丈夫で直しやすい特化型家電が好まれるというわけです。

 

2: パワフル&大容量が必須

米国では、洗濯物を外に干す習慣がありません。ほぼ100%乾燥機に頼っているので、大量の洗濯物を一気に仕上げられるようなパワフルかつ大容量の乾燥機が求められます。

 

米国にも洗濯乾燥機はあるのですが、パワーが弱く、全工程が完了するまでおよそ3〜6時間もかかってしまいます。米国の洗濯機の平均稼働時間は50分〜1時間、乾燥機は45分ですから、洗濯物を移す手間がかかっても別々に買う方がいいと考える人が多いのもうなずけます。

 

また、米国の洗濯乾燥機は容量が少なく、平均1.5~5立方フィート(42.5~142リットル)程度です。一般的な洗濯機は平均5~5.8立方フィート(142~164リットル)、乾燥機は7~7.4立方フィート(198~210リットル)入るので、容量差があることも少なくありません(※)。

※一般的に日本の洗濯機の容量は、1回分で入れられる洗濯物の重さ(kg)を表示しているのに対し、米国では洗濯機に入る最大水量を表示します。

 

3: 置くスペースに困らない

↑洗濯機と乾燥機は分ける

 

ご存じの通り、米国の戸建ては広いので、洗濯機や乾燥機を置く場所に困りません。洗濯乾燥機専用の部屋がある家もありますし、ガレージに置いて使っている家もよく見かけます。米国では「省スペース」が売り文句にならないのです。

 

ニューヨークなど都市部の狭いアパートに住んでいるなら、洗濯乾燥機を検討する余地はあるでしょう。それでも、スペースの問題なら洗濯機の上に乾燥機を積み上げれば解決するので、洗濯乾燥機はなかなか選ばれないようです。

 

日本の洗濯乾燥機には、「省スペース・エコ・手間いらず」といった魅力がありますが、米国が求めるのは「シンプル・パワフル・大容量」です。ここまで違うと、洗濯乾燥機が米国で浸透しないのも納得ではないでしょうか。

 

執筆/長谷川サツキ

とろサーモン・久保田&ウエストランド・井口が“本音”で斬り込むこの先「テレビ業界に激震が走る可能性があります」『耳の穴かっぽじって聞け!』

“毒舌M-1王者”とろサーモン・久保田かずのぶ&ウエストランド・井口浩之のコンビが本音で斬り込む赤裸々音声バラエティ『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日 毎週火曜 深夜2時34分~2時54分)。「文は人なり」をコンセプトに、芸人やタレントなどあらゆる人が書いた文章を音声化し、悩みや葛藤、怒りなど、その生々しい本音を送る。

『耳の穴かっぽじって聞け!』左から)井口浩之、久保田かずのぶ ©テレビ朝日

 

今回は同番組でMCを務める久保田さんと井口さんにインタビューを敢行。“解散した芸人シリーズ”をはじめ、毎回放送後にSNSやネットニュースをにぎわせている同番組だが、“音声”ならでは魅力や印象に残っているゲスト、今後の見どころなどを聞きました。

 

◆この番組が始まると聞いた時の心境は?

井口:レギュラー番組が始まるということも、久保田さんと一緒にやれるということもうれしかったです。ただ、地上波だと思ってウキウキしていたのですがよくよく話を聞いたら配信番組のようなニュアンスだったので、頑張って地上波に昇格したいなと(笑)。

 

久保田:早く出世しよう。あと、僕も井口さんとだったら本音で飾らず話せそうでいいなと思いました。相方同士もキャンプ好きっていう共通点があるし。ただ、僕のところの相方がいま山に行っていて、もう20日間ぐらい連絡が取れてないのでそこは心配ですね(笑)。

 

井口:えっ?(笑)。でも、久保田さんとは2人でトークライブをやって、YouTube番組をやって…とずっといい流れがあるんですよ。あと、“我々はM-1チャンピオンなんだ”というのを常に言っていきたいです。

 

久保田:忘れられがちですから。Aマッソとかは特に忘れてる(笑)。

 

井口:そうですね。この番組を通してそういう人たちを見返していきたいです(笑)。

 

◆人々の本音を“音声で聞く”というところにどういう魅力を感じますか?

久保田:スタッフさんはいいように言っているのですが、僕のニュアンスでお伝えしていいですか?仕事で地方に行き、ホテルに泊まり、自分の部屋に向かっている時にいやらしい声が聞こえてきたら足を止めますよね?そんな感じです。

 

井口:ははは!確かにそういう感じかもしれません(笑)。

 

久保田:聞いたらいけないものを聞いている背徳感というか。

 

井口:それはありますね。当初は「あいつらがただ悪口言うだけの番組だろ」とも言われていたのですが、なんなら僕らの方が引いてますから(笑)。初回の元ゾフィー・上田(航平)さんからそうでしたけど、思っていたよりヘビーなものも来るので。文章にすることで気持ちを整理できたり、顔を出すより本音を言いやすいのかな。

 

◆放送が始まり、周囲からどのような反響が寄せられていますか?

井口:やはり芸人仲間は結構見てくれていますね。ただ、この番組を今後広げていくとなったときに芸人やお笑いファンの方以外で誰が見てくれるんだろうと(笑)。実はお笑いの話だけでなく他の部分と通じることもあるので、お笑いに興味がない方にも一度見て見ていただきたいです。

 

久保田:はい。今後はジャンル問わず、俳優さんとか声優さんとか子役の子とか…とにかく悩んでるやつ全員来いという感じで。

 

井口:確かに(笑)。どんどん駆け込んできていただきたいですし、幅を広げていけたらいいなと思っています。

 

◆毎回登場するゲストの方々はお2人の意向もあるのでしょうか?

井口:僕らからも気になる方を挙げさせていただいて、都度スタッフさんが当たってくれています。なので勝手に決められたり、全く興味がない方が来るということはないですね。僕らの場合、そういう方が来られたら極端に顔に出てしまいそうですし(笑)。

 

久保田:はい。例えば、何か収録している時に「すごくきれいになれる美容品です」と言われて品物を出されても、自分に合わなかったら「合わへんやん」って顔ができるタイプなので(笑)。いや、どこか他の番組のことを言っているわけじゃないですよ!

 

◆今後、本音を聞いてみたい方を挙げていただくと…?

井口:僕は子役の子の本音を聞いてみたいです。大人ではなく、子供だからこその本音というのも面白そうなので。

 

久保田:確かに。でも芸能界って、「この人何者?」と思うような方が常に存在するんですよね。つまり叶姉妹です。僕は叶姉妹の本音が聞きたいです。

 

井口:久保田さんは「バラバラ大作戦」の会見の時から「叶姉妹の4時間相撲大会」という企画案を出していましたから。いつかはあるかもしれないですね(笑)。

 

◆それでは、これまでの放送で印象に残っている回は?

井口:僕は兼光(タカシ)さんの回ですかね。収録中に急きょ電話をかけて出ていただいたりもしたので。本当にいろいろ話してくださって、お笑いファンのみならず、誰かしらを応援している方には何か伝わるものがあったんじゃないかなと。解散を告げられた側、炎上していない側の気持ちって意外と流されがちなので、「一緒にまた漫才やってくださいって言葉がつらい」とか、この回を見て初めて知るようなことも多かったんじゃないかなと思います。

 

久保田:そっち側にフォーカスが当たることってあまりないからね。

 

井口:あと、個人的には街裏ぴんくさんの回が…。

 

久保田:ですね。これが放送されたら結構炎上すると思います(笑)。

(※取材時は放送前)

 

井口:いやいや、まさかあんな展開が待っているとは思わないから!本当にすてきな奥さまで、ぴんくさん宛のお手紙もすごく良かったのですが、感動で泣いている久保田さんを横目に僕は別の意味でも涙を流しました(笑)。

 

久保田:ははは(笑)。でも、僕も兼光さんの回と、ぴんくさんの回は本当に良かったなと。芸人ならではの泥くささといいますか、支えて支えられて…っていう。“芸人ってみんなこれやねんで”というのを感じていただけていたらいいなと思います。

 

◆今後番組を通してやってみたいことは?

井口:ちらっと“お客さんを集める”っていう話はしたことがあって。でも、今のところ誰が見て誰が聞いてくださっているかが全く分からないので、集める怖さもあるんですよ(笑)。

 

久保田:もしそれがかなった場合、オードリーが東京ドームなら僕らはもう川っぺりの空き地とかでいいかなと。

 

井口:杭だけ打って場所作って、そこに黒ずくめの皆さんが…みたいな感じで(笑)。でも、いつかはそういうこともやってみたいなと思います。

 

◆最後に、今後の見どころのアピールをお願いします。

井口:収録スケジュールを見る限りすごい方が登場されます。これは7月の頭ぐらいにテレビ業界に激震が走る可能性がありますね。

 

久保田:予言者みたいになってるやん(笑)。

 

井口:あと、近いところだと濱田祐太郎君の回も良かったなと。今までとは違ったテイストの本音をお届けしているので。

 

久保田:確かに。ただ、僕としてもやはり7月の頭(放送回)ぐらいですね。ここに光が当たった時に皆さんがどういう反応をするのか…。

 

井口:正直まだその回の収録はしていないのでその人の本音も聞いていないのですが、とんでもないことになる気がします。

 

久保田:全国って47都道府県だと思うんですけど、「えっ、48県目あったの!?」くらいの衝撃が走るんじゃないかな(笑)。

 

井口:黄金郷がね(笑)。でも、本当にいろいろな方が協力してくださって本音を届けてくれていますし、お笑い以外の分野にも通ずるところがあるので、お笑いに興味がない方にもぜひ見ていただきたいです。あと、とにかくTVerでたくさん見て、お気に入り登録をしてください(笑)。

 

久保田:本当にガッと集中して見るとかそんなんではなく、タバコを吸いながらでも、なんならうんこをしながらでも見て聞いて楽しめる番組だと思うので、ぜひフラットにチェックしていただけたらうれしいです。

 

PROFILE

久保田かずのぶ(とろサーモン)

●くぼた・かずのぶ…1979年9月29日生まれ。宮崎県出身。O型。

 

井口浩之(ウエストランド)

●いぐち・ひろゆき…1983年5月6日生まれ。岡山県出身。B型。

 

番組情報

『耳の穴かっぽじって聞け!』

テレビ朝日 ※関東ローカル

毎週火曜 深夜2時34分~2時54分

※ABEMA、TVerで無料配信。聴くテレ朝(Spotify)でMCラジオも配信中。

TELASAではこれまでの放送回も見逃し配信中。

 

番組公式X:https://twitter.com/miminoana_tv

 

●text/片岡聡恵

【西田宗千佳連載】デザイン重視の「Nothing」は日本市場に本気

Vol.138-1

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはイギリスに拠点を置く「Nothing」が日本市場に投入するスマホ。上位メーカー数社が大きなシェアを占める日本での商機はあるか。

 

今月の注目アイテム

Nothing

Phone(2a)

実売価格4万9800円~

↑ロンドンを拠点とするNothingが日本市場に投入するスマホ。画面は6.7インチのAMOLEDディスプレイを採用。OSは「Nothing OS 2.5 Powered by Android 14」を採用し、多彩なNothingウィジェットを利用できる

 

FeliCaを搭載し、日本向けに販売体制も強化

イギリスに本拠を置くデジタル機器メーカーである「Nothing」が日本に本格進出した。同社はスマホの「Nothing Phone」やイヤホンなど、特徴的なデザインを採用した製品で知られるメーカー。日本でも2年ほど前から製品を展開しているが、海外で売っているものをそのまま導入する形だった。

 

だが今年からは変わる。同社CEO(最高経営責任者)のカール・ペイ氏は「いままでは日本市場に合わせた製品も用意していなかった、お試しのようなもの。ここから本格的に展開する」と語る。

 

その一例が、同社製最新スマホである「Nothing Phone(2a)」だ。2024年4月から流通を開始した製品だが、過去と異なり、日本市場向けは他国向けと機能が異なる。いわゆる「おサイフケータイ」に対応するために、NFCだけでなくFeliCaも搭載した。日本でより多く売るには必須と判断したためだ。

 

さらに、マーケティング・販売・サポートなどのチームを本格的に立ち上げる。日本チームのトップとなるのは黒住吉郎氏。黒住氏はソニーモバイルでXperiaに関わり、その後楽天モバイル・ソフトバンクと携帯電話事業者でも勤務し、さらにAppleでも経験を重ねたという、日本のスマホ業界全体を見た経験を持つ、稀有な人物だ。十数年に渡り取材してきた、筆者にとっても顔なじみのひとり。そうした人物を雇用したことからも、同社の本気度が伝わってくる。

 

消費者側から見ると、長年にわたって不景気な日本のどこに魅力があるのか……と感じるが、Nothingは、それだけ日本市場に可能性を感じているのだろう。

 

コスパの高さを武器に選ばれるスマホを目指す

理由は複数ある。

 

ひとつ目は、“大手以外があまり定着していない”こと。ご存知のように、日本はiPhoneのシェアが高い。それ以外となると、GoogleのPixelにサムスンのGalaxy、シャープのAQUOSやソニーのXperiaといったところだろうか。

 

それ以外のメーカーはシェアが小さい。携帯電話事業者以外で流通する「オープン市場」(俗にいうSIMフリー製品。現在は携帯電話事業者もSIMロックをかけていないので、呼称としては正しくない)の規模も大きくない。メーカーそれぞれにファンもいるのだが、大手に食い込めるほどの存在感になっていないのが実情だ。

 

体制という意味ではNothingもまだまだなのだが、数年かけてブランド認知を高めれば、“指名買いされるスマホ”のひとつになり得る……と分析したのだろう。

 

特に同社が商機と感じているのは、おそらく「コスパ」だ。ハイエンドスマホがどんどん価格を上げていくなかで、デザインとコストパフォーマンスで目立つことができれば、十分商機があると見込んだのだろう。

 

では、高コスパで売れるスマホの条件とはなにか? ハイエンドと高コスパスマホはどう棲み分け、結果としてスマホ各社はどう生き残っていくのか? そのあたりは次回以降に解説していくことにしよう。

 

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汗をかいてもサラリとした着心地をキープする!吸湿速乾機能オムニウィック搭載コロンビア×フジロックTシャツ

コロンビアは、オフィシャルサポーターを務める日本最大規模の野外ロックフェスティバル「FUJI ROCK FESTIVAL ’24」とコラボレーションしたTシャツ「Lee Renown Graphic SS Tee(リーレナウングラフィックTシャツ)」を6月14日よりコロンビア直営店、コロンビアオンラインストアにて発売します。

 

アーティスト長場雄の個性的なアートワークが光る

FUJI ROCK FESTIVAL ’24 とのコラボレーションTシャツは、汗をかいてもサラリとした着心地をキープする吸湿速乾機能オムニウィックを採用し、野外で行われる音楽フェスをより快適に楽しめるための機能を搭載しています。「音楽」「自然」「人」などアウトドアフィールドで音楽を楽しむフジロックならではの要素を、アーティストの長場雄さんが個性的なアートワークで表現。フロントにはコロンビアとフジロックの文字をプリントし、背面にはフジロックを象徴するアイコンをデザイン。シンプルなホワイトとブラックの2色展開です。

↑「Lee Renown Graphic SS Tee」5500円(税込)

 

■アーティストプロフィール

長場雄

アーティスト。1976 年東京生まれ。シンプルなラインのみで描かれた作品で知られる。国内外での作品発表やアートフェアへの参加など、アーティストとしての活動を行うほか、広告やアパレルブランドとのコラボレーションなどでも活躍している。

 

 

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カナダの看護師の年収は日本より高い? 働きやすさの点でも差がつく日本と海外~注目の新書紹介~

こんにちは、書評家の卯月鮎です。150回以上続いてきた本連載も今回で残念ながら最終回。1000円前後で未知の扉を開けてくれる良質な新書をピックアップしてきましたが、最後は実際に未知の扉を開けて、海外に飛び出した人たちのルポを紹介します。

 

私も大学卒業後、海外移住が頭をよぎりましたが、ふわっとした夢物語で終わりました。当時は治安はもちろん、経済的な面でも日本が世界のトップクラスに位置する時代。日本から出るのはかなりの覚悟が必要でした。しかし、現在は……。

 

なぜ彼らは海外で働くことを決めたのか?

今回紹介する新書は『ルポ 若者流出』(朝日新聞「わたしが日本を出た理由」取材班・著/朝日新書)。朝日新聞が2023年1月~8月にかけて掲載した「わたしが日本を出た理由」の本編、反響編、海外編に、新たに取材を加えて構成・加筆したものとなっています。

 

カナダの看護師の年収・待遇は?

企画のきっかけは、堀内京子記者がツイッター(現X)のタイムラインで、カナダで働く日本人看護師のツイートを見たこと。その後、SNSで検索すると、同じように海外で働く日本人がさまざまな発信をしていたそうです。日本で人手不足が叫ばれている保育士や看護師、教員といった職種の人たちが、なぜ海外で働くという話題で盛り上がっているのか?

 

働く場としての日本の魅力が薄れていることを感じたという堀内記者。確かに十数年前は海外移住というと物価の安さが主に取り上げられていましたが、ここ数年で賃金の高さ、待遇の良さがフォーカスされていますよね。

 

では、実際にどのような人々が日本を離れ、どう海外で働いているのでしょうか。本書ではなかなかじっくりと聞くことができない、日本を出ることを決意した人たちの本音が明かされています。

 

第1章「『日本では未来がつぶれてしまう』――働きづらい国からの脱出」に登場する一人目は、2016年にカナダへ小学校5年生の娘と渡った看護師のMikiさん。英会話を学び、オーストラリアの病院へ研修に行った際に、医師や看護師など職種での上下関係がないことが新鮮で、海外で働くという選択肢が頭に浮かんだとか。結局、小児看護では最先端の国であることも後押しとなり、カナダに決めたそうです。

 

日本では収入面が厳しく13年働いても年収500万円台。しかしカナダではカレッジで2年間学び看護師資格を取ったあと、就職4年目で早くも年収は約800万円に。採血、食事の配膳、患者を検査室へ連れて行くなど日本で看護師が担う仕事の多くは専門の職種があり、看護に集中できる環境が整っています。誰かが病欠したときのために待機している看護師もいて、気を使わずに休めるそうです。

 

読んでいて思うのは、カナダでは看護師が、専門性の高い職業としてはっきりと認識されていること。これは制度の違いなのか、それとも職業観の違いなのでしょうか……。

 

ほかにも、カナダで保育士と寿司職人になった元警察官と自衛官の夫婦、5歳の長女の教育のため大手通信会社を辞めてマレーシアへ移住した男性、日本の過酷な医療現場を目の当たりにしドイツの大学病院で働き始めた女性医師……。さまざまな理由で日本を飛び出した人々の生き方がそこにあります。

 

今の職場環境や日本社会そのものに閉塞感を抱いている読者にとって、この本は風穴を開け、ポジティブな気持ちにさせてくれる一冊。

 

もちろん、本書のようにうまくいく例ばかりではなく、海外でより厳しい現実を知るケースは多数あるはず。それでも、若者にとって賃金や将来性の面で日本が魅力を失いつつあることは否定できないでしょう。仕事とは? 幸せとは? 自己実現とは? 日本の良さとは? さまざまなことを考えるきっかけになるルポでした。

 

今回で新書紹介の連載は終わりです。本は人生を照らしてくれる灯り。またどこかでお会いしましょう。

 

【書籍紹介】

ルポ 若者流出

著者:朝日新聞「わたしが日本を出た理由」取材班
発行:朝日新聞出版

「少子化」「人手不足」に陥る日本から今、なぜ人々が出て行ってしまうのか——。海外に拠点を移し、外国の永住権をとった日本人は過去最高57万4千人。働き盛り世代でも子育て世代でも「若者流出」は着実に進む。賃金の安さ、過酷な職場環境、多様性を欠く社会、公教育の危機……海外に移住した人たちへのインタビューを重ねるなかで、浮き彫りになったのは、日本社会の「現在地」だった。

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【プロフィール】
卯月 鮎
書評家、ゲームコラムニスト。「S-Fマガジン」でファンタジー時評を連載中。文庫本の巻末解説なども手がける。ファンタジーを中心にSF、ミステリー、ノンフィクションなどジャンルを問わない本好き。

岩田剛典、物語のキーマン・緋山役は「表情だけでストーリーをつなぐ役目なので難しかった」『アンチヒーロー』インタビュー

長谷川博己さんが主演を務める日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系 毎週日曜 午後9時~9時54分)で、緋山啓太役を演じる岩田剛典さんにインタビュー。役作りについてや撮影現場の裏話などを聞いた。

『アンチヒーロー』緋山啓太役の岩田剛典©TBS

 

長谷川さんが演じるのは、「殺人犯をも無罪にしてしまう」“アンチ”な弁護士・明墨正樹。「弁護士ドラマ」という枠組みを超え、視聴者に“正義とは果たして何なのか?”“世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける、前代未聞の逆転パラドックスエンターテイメントだ。

 

岩田さん演じる緋山啓太は、羽木精工の元社員。羽木社長殺人容疑で起訴されたが、明墨の手によって無罪に。そして、明墨が追う事件に何やら関わっている様子で…。

 

◆本作が初めての日曜劇場への出演ということですが、感想を教えてください。

緊張感あるシーンが続く作品ですし、出演されている出演者の皆さんも本当にいろんな作品で重要な役どころを演じてきた方々ばかりなので、日曜劇場だなという感じがしています。これまであまりこの髪の明るさでドラマに出たこともなかったですし、いわゆる1話、2話のゲストのように見せかけて、後半でまた出てくるという役どころは初めてでした。12年前と現在がすごく入り組んだ脚本のキーマンというのも新鮮です。

 

◆脚本を読んでの感想を教えてください。

台本が面白いというのはすごく役者にとって魅力があるなと思います。そして作品に入る前に8話、9話ぐらいまで台本が出来上がっていたので、どっしりと安心感のある、信頼できる現場だなと感じました。なかなかそこまで台本がそろった状況で現場にクランクインすることは少ないので。台本がないうちに芝居するのと、台本があって理解した上で芝居するのとでは雲泥の差なので、先を計算しながら芝居ができてよかったなと思っています。

 

◆計算したのはどのシーンでしょうか?

(北村)匠海君演じる赤峰との対話のシーン。緋山というキャラクターを作っていく上で非常に重要な、人となりだったり、過去がようやく分かるというところです。

 

◆そこに向けて、序盤から変化をつけていたイメージでしょうか?

シーンの逆算というよりは、振り返って見たときに1話、2話の緋山の感じに納得していただけるかなというところです。1話、2話では視聴者の皆さんをだまそうと思ってお芝居をしていたわけではないですが、8話、9話、10話と見ていただくと、自然と1話、2話はそういう流れになりますよねと納得できるかなと。そういうところが脚本に隙がないと思います。

 

◆緋山を演じるに当たって、心掛けたことはありますか?

過去に起きた出来事が緋山にとても影響していて、実は1話の冒頭のシーンから伏線が張られているんです。脚本を読んだだけの印象と、実際に1話、2話の脚本ではまだ描かれきっていない部分を、先に自分の中できちんと整理してから、クランクインのシーンに臨んだので。本当に脚本がある状態でこういう役柄を演じられたことがすごくありがたかったです。役作りでは、決して根が明るい青年ではなかったので、たたずまいであったり、目の奥の光のなさであったり、口調も意識しながら演じています。

 

◆ここは難しかったなというところはありますか?

僕は皆さんに比べてせりふが多い役柄ではなかったので、大変と言っていられない感じですが、強いて言えば表情だけでストーリーをつなぐ役目なので、そういうところは難しかったです。それと、この数か月、初日に決めた緋山の表情と声色をずっと維持して演じることも難しいかもしれません。

 

◆今回、殺人事件の容疑者役というところで、印象に残っている撮影シーンはありますか?

法廷のシーンは、人が多いので非常に大変です。それは1話、2話でも感じましたし、今日の撮影でもあらためて感じました。カット数もすごくて、本当にワンシーンにつき、100近いカット数があるんです。その間、スタッフ、キャストを含め、集中力をキープするチーム力が試されているような撮影が続いています。

 

◆撮影裏話も教えてください。

2話の緋山が血の付いた作業服の上着を捨てている場面は雨降らしのシーンで、山奥だったのでまあまあ寒くて。しかも、クレーン車とタンク車が来るぐらい、結構大掛かりな撮影だったので、すごく記憶に残っています。匠海君とびしょびしょになりながら頑張りました。

 

◆その際、北村さんとは何かお話されましたか?

匠海君が優しくて、カップラーメンを持ってきてくれました。寒い中、外でパイプ椅子に座って2人で食べて、その撮影をどうにかやり過ごしました。

 

◆これまで寄せられた反響を教えてください。

やっぱり殺人事件の容疑者というところで、実際に罪を犯しているのか犯していないのかという部分で、特に2話のラストシーンはちょっとうやむやにさせる脚本になっていましたから、かなりいろんな考察が盛り上がった1話、2話だったのかなと思うんですけども、そんな作品のキーマンを演じられて、この仕事の冥利に尽きるなという気がしています。またこの先のストーリーを見て、結構予想外だったりすることや事実がきっと出てくると思うので、そういう意味で言うと、1話、2話の反応を見ている限りだと、このチームの作戦通りに進んでいるのかなっていう感じはしています。

 

◆個人的に好きなキャラクターはいますか?

明墨です。視聴者の皆さんは最後まで見ないと明墨という人物が分からないと思いますが、内に秘めた強い思いを不言実行する感じがいいですよね。まだ今の時点では登場人物全員がなんとなくしか伝わっていないと思いますが、この先本当に見事にパズルのピースがはまっていくので、楽しみにしてもらいたいです。

 

◆あらためて長谷川さんの印象を教えてください。共演して刺激を受けたことはありますか?

明墨という役柄を演じるのは本当に大変なことだと思いますし、憑依しているかのような芝居に感服するばかりです。僕がコメントするのもちょっとおこがましいんですが、本当に大変な現場で、役柄だと思いますし、それをこのスケジュール感の中、やり切るという人間力の高さをそばで見ていてすごく感じます。

 

◆長谷川さんと何かお話はされましたか?

法廷の撮影のときはアメリカのオスカー賞の話をしたり、ご飯屋さんの話だったり、撮影から前室に戻ってきたときはパッと切り替えて、いろんなお話をさせていただいています。弁護士事務所の皆さんは、1日中現場に缶詰みたいな日が続くこともあると思うのですが、チームワークが出来上がっていて、すごくアットホームな雰囲気でいい現場だなと。

 

◆特にどんなところでいい現場だなと感じられましたか?

前室ではわりと和気あいあいとしていますが、シリアスなシーンで長回しも多いと、カメラが回る前にあまり談笑している場合じゃないなと感じるピリッとした空気感になったりすることがあるんです。そんなとき、「ちょっと静かにしよう」と誰かが言うわけでもなく、皆さんその雰囲気を分かって、本番に向けてぐっと集中力が高まっていく感じ。すごく丁寧に撮影が進んでいきますし、そこは日曜劇場らしいなと感じます。

 

◆対峙するシーンは事前に話し合われていますか?

たくさんします。監督の演出で「ここはこう撮りたい」ということもありますが、基本的には役者が段取りでやった芝居を撮って、スタッフがカット割りから話し合ってくださっているので、各々を作ってきたキャラクターが味になっている作品だと思います。

 

◆監督さんとのやりとりで、何か印象に残っていることはありますか?

僕が普段しゃべっているトーンよりも、監督に求められたトーンがだいぶ低かったです。想定よりも低かったのですが、「なるほど」という感じでした。

 

◆朝ドラの役とのギャップに反響も大きかったと思いますが、ご自身はどう捉えられていますか?

たまたまオンエアがかぶったので、視聴者の方は混乱してしまうかもしれませんが、全然違う役どころなので。ですが、同じ時期に真逆の役ができたというのは自分にとってすごくラッキーなのかなと思います。

 

◆作品の全体としての魅力は?

作品の魅力は、重厚な脚本です。脚本が面白いというのが作品の良しあしを決める一番大きな要素になってくるとも思うので、まずはそこが盤石であることが、視聴者の皆さんの満足度につながっているのかなと思います。あとはすごく撮り方が丁寧だなと感じていますし、あとは上がってきた映像が映画っぽい質感になっていて、そこも好きです。第2話の上映会で映画館のスクリーンで流れたのを見て、その時に感じました。

 

◆ここまでの放送で、“追いアンチ”してほしいところはありますか?

物語の理解度を高める上で、何度もご覧になっていただくことはとても重要だと思っています。きっと何度見ても気づけないところもあると思いますが、この先各キャラクターが話をまたいでシンクロしていくんです。5話で緋山が登場したこともそうですが、ただ登場したわけではなく、全部これからのことにつながっていくんです。それは緋山の事件の裁判だけではなくて、この先も全てつながっていくので、最後までご覧になっていただけると、ほかでは得られない満足度がある作品だと思います。

 

PROFILE

岩田剛典

●いわた・たかのり…1989年3月6日生まれ。愛知県出身。B型。EXILE、三代目 J SOUL BROTHERSのメンバーとしても活躍。現在、日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)にも出演中。

 

番組情報

日曜劇場『アンチヒーロー』

TBS系

毎週日曜 午後9時~9時54分

 

<配信>

◆Netflix 世界配信

日本国内配信中

その後、海外にて順次配信を予定

 

◆U-NEXT Paraviコーナー

各話初回放送直後配信

 

◆TVer・TBS FREE

各話初回放送終了直後から最新話を無料配信

 

<キャスト>

長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎 ほか

 

<スタッフ>

プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵

演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野

脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

音楽:梶浦由記、寺田志保

主題歌:milet「hanataba」(ソニー・ミュージックレーベルズ)

 

番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antihero_tbs/

番組公式X(旧Twitter)&Instagram:@antihero_tbs

 

©TBS

「お客さんは上手にまとめたものが見たいわけではないと思う」映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』柴山智隆監督に聞く作品の見どころと監督として大切なこと

スタジオコロリドの長編アニメーション第4弾となる映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』が、2024年5月24日(金)よりNetflix世界独占配信&日本劇場公開される。本作は“嫌われたくない”高校生の男の子・八ツ瀬柊(やつせひいらぎ)と、“嫌われてもいい”鬼の少女・ツムギが織りなす青春ファンタジー。ある日、柊が人間の世界に“母親を探しに来た”という鬼の少女・ツムギと出会うところから、物語は始まる。

『好きでも嫌いなあまのじゃく』場面カット ©コロリド・ツインエンジン

 

本作の監督を務めたのは『泣きたい私は猫をかぶる』で長編監督デビューを飾った柴山智隆。柴山は、「今の生きづらさを感じている人たちの背中をちょっと押してあげられたら」と、作品に込めた思いを語ってくれた。

 

◆アニメーターとしても数々の作品で活躍してきた柴山監督。そもそも、アニメ業界で働こうと思ったきっかけを教えてください。

理由はいたってシンプルで、子供の頃から絵を描くのが好きだったからでして。そこから、好きを仕事にできるならと思い東京造形大学に入学しアニメーションについて学ぶなかで、さらに興味を持つようになりました。ただ、自主制作のアニメじゃ食っていけないよなと思い、商業アニメを制作する会社に就職しようと思うようになったんです。

 

◆そうして、スタジオジブリの門を叩いた。

当時はアニメに詳しくなくて、「スタジオジブリ」しか知らなかったんです(笑)。採用いただけて本当によかったです。最初は作画担当ではなかったのですが、絵を描くのが好きだったので、しばらくしてからアニメーターに転向しました。

 

◆いつかは監督をやりたいという気持ちもあった?

それはなかったですね。僕は本作の主人公である柊と同じように、自己肯定感がめちゃくちゃ低いタイプなんです。「自分なんかができるわけない」と思っていたので、監督をやろう、やりたいと考えたことすらありませんでした。ただ、絵を描くことが楽しくなくなっていた時期に「演出をやりませんか」というお話をいただけて。実は、演出をやってみて楽しくなかったら業界をやめようと思っていたんです。結果的に演出の仕事に面白さを見出すことができて、続けているうちに表現したいことも生まれてきて。それで、ご縁もあって監督を務めることになったという経緯です。

 

◆小さい頃から好きだった絵を描くのが億劫になってしまった理由は何だったのでしょうか?

子供のときは、絵を描いて褒められるのがうれしかったんですよね。その体験があったから、25歳というアニメーターとしてスタートするには遅い時期でも転向しようと思ったんです。一流のアニメーターになりたいという思いで必死に頑張りましたし、勉強もたくさんしました。ありがたいことに周りの方からも認めていただき、アニメーターとしてはいろいろなお仕事をやらせていただける立場になりました。ただ、そのときに「あれ、何だか楽しくないな」と思っちゃって。今思えば、当時はオリジナル作品をやれていなかったからかもしれません。アニメーションは人の絵を描く仕事が多く、それが自分の表現したいこと、求めていたクリエイティブなこととは違ったのかもしれないです。

 

◆もしかしたら、演出や監督という仕事のほうが自身のやりたいことと合っていたのかも。

潜在的にはそうだったんでしょうね。自分では気づいていませんでしたが、実際にやってみて、ようやく気づきました。

 

◆そうやって監督としてもアニメに関わるようになった柴山さん。本作と同じくスタジオコロリドさん制作の『泣きたい私は猫をかぶる』(以下、『泣き猫』)では共同監督という形で長編映画デビューを果たしました。

『泣き猫』のときは佐藤順一さんという偉大な監督さんと一緒にやらせていただいたんです。佐藤さんは本当にお客さんに寄り添い続けている監督で、僕もいろいろと学ばせていただきました。今回一人でやるにあたって、オリジナル作品をゼロイチで作る難しさを痛感しています。

 

◆難しさを感じるなかで、どういった点にこだわって作品を制作されましたか?

いっぱいありますね(笑)。

 

◆そうですよね(笑)。では、まずシナリオ面でこだわったことを教えてください。

柊とツムギのロードムービーとして、ふたりの感情の流れをあまりご都合で作らないように意識しました。今回は「隠す」がテーマになるので、あえてセリフで気持ちを直接的に伝えないようにしています。絵と雰囲気で感じてもらえればと思って制作しました。

 

◆続いて、映像面でのこだわりについて教えてください。

柊とツムギの時間・シチュエーションに合った表情を繊細に切り取ることにこだわりました。あとはリアリティ。隠(なばり)の郷という鬼の住む場所が出てきたり、夏に雪が降ったりとファンタジーな面もありますが、日々の風景から地続きになっていると感じられる「リアリティのある嘘のつき方」を意識して制作しました。

 

◆音楽面では、管楽器などが多めに使われているように感じました。

そうですね。窪田ミナさんにとても贅沢に音をつけていただきました。ただ、とくに前半では派手に見えるアクションシーンでも、音楽はあまり劇的にはしていません。絵と同じ意味を重ねるのではなく、情感をフォローしていただいてることは多いと思います。

 

◆なるほど。

本作では、窪田さんにシーンの意味を汲み取ってもらいながら音楽を制作いただきました。例えば隠(なばり)の郷の音楽。日本的な要素もありつつも、ちょっと多国籍のエキゾチックな感じにしたいと窪田さんに話したところ、絶妙な音楽を作ってくださって。厳しくも魅力的な鬼の世界を見事に表現してくださいました。

 

◆キャストの起用についてはいかがでしょうか?

柊役の小野賢章さんとは『泣き猫』のときにもご一緒させていただき、信頼感がありました。賢章さんの声・お芝居からは、誠実さのなかに、ちょっと奥底に何かを思っているような奥深さを感じて。柊は自分の気持ちを隠しちゃっているけど、自分でもそれに気づいていない人物なんです。そこからツムギと出会って、「自分はこんなことを感じていたんだ」と気づいていく。その成長していく過程も含めて、まさに賢章さんに表現していただけるのではないかと思い、お願いしました。

 

◆ツムギについてはいかがでしょうか?

ツムギ役の富田美憂さんは、唯一無二のとてもすてきな主役声だと思います。大胆で強い性格のお芝居をしても、その中にはちゃんと繊細さが感じられるんです。お二人の人柄だと思うんですけど、優しさが芝居の奥にあるんですよね。だから、柊とツムギのロードムービーをあたたかく見ていられるというか。説得力を与えてもらったなと思っています。

 

◆監督が本作を見た方に伝えたいこと、伝わればいいなと思っていることを教えてください。

本作の企画会議で、「最近はインターネットでいろいろな情報を集めながら、学校や家庭では大きくぶつかることもなく、無難にやり過ごしている人って多いんじゃないのかな」という話をしていたんです。そういう生活を送っていると、自然と自分の気持ちを隠すようになってしまい、そのことに自分でも気づかなくなってしまうのかもと思って。本作は、そういう方々に「自分の気持ちを伝えても大丈夫だよ」ということを伝えたくて作りました。気持ちを伝えることで変わることもあるし、見えてくるものもあるんじゃないかって。映画をエンタメとして楽しく見てもらいたいですが、作品を通じて、ちょっと元気になってもらえたらなとも思っています。

 

◆個人的にはツムギの「できない理由ばかり探している」という言葉がとても刺さりました。

僕も常々自分で気を付けているところではあって。すぐに見つけちゃうんですよね、できない理由を。そこに逃げないようにしないといけないとは思っているんです。ただ、説教くさい感じにはしたくなくて、サラッとセリフの中に入れました。伝わっていてよかったです。

 

◆些細なシーンでグッとくるセリフが散りばめられているのも、本作の魅力だと個人的には感じています。

そう言っていただけるとうれしいですね。

 

◆スタジオコロリドさんとタッグを組んで制作した本作。監督が思うスタジオコロリドさんの魅力や特徴を教えてください。

若いスタッフが多くて、デジタル化も業界のなかでかなり進んでいるほうだと思います。柔軟に最新技術を取り入れる会社というのが強みなんじゃないかな。コロナ禍でも、リモートにすぐ移行して対応していました。あとは働いている人が横並びで、みんなが意見を出しやすいところも特徴だと思います。今回も本当にスタッフのみんなに意見をもらい、助けてもらいながら作り上げました。一人じゃ絶対に作れなかったですね。

 

◆では、本作を通じて、改めて監督を務めるうえで大切だと感じたことを教えてください。

先ほどの話にも繋がりますが、僕から出てきたものだけで作品を作っても、あまり面白くならないんじゃないかなと思っています。だから、スタッフのみんなの意見を聞くのは本当に大事だと思いますね。あとは、自己満足にならないように気をつけつつ、作品に尖った部分を残すこと。お客さんって、決して上手にまとめたものが見たいわけではないと思うんです。だから、自己満足にならない程度の尖りみたいなものは残しつつ、エンタメとしてちゃんと昇華させるというバランスが、監督を務めるうえで気をつけているところですね。

 

◆上手にまとまっていることと、伝えたいことを伝えるというのはまた違う話というか。

そうなんです。

 

◆最後に、監督が思う本作の見どころを教えてください。

柊とツムギが山形を舞台に、いろいろな場所でいろいろな人と出会って成長していきます。いま生きづらさを感じている方々の背中をちょっとでも押せたら、ちょっとでも元気になってもらえたらという思いで制作しました。劇場作品ならではの見応えのある映像表現も多いと思います。ぜひ最初は映画館で観ていただいて、その後はNetflixで何度も楽しんでいただけたらうれしいです。

 

●text/M.TOKU

 

作品情報

映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』

2024年5月24日(金)よりNetflixにて世界独占配信&日本劇場公開

 

【スタッフ】

監督:柴山智隆

脚本:柿原優子/柴山智隆

キャラクターデザイン:横田匡史

キャラクターデザイン補佐:近岡 直

色彩設計:田中美穂

美術監督:稲葉邦彦

CGディレクター:さいとうつかさ

撮影監督:町田 啓

編集:木南涼太

音楽:窪田ミナ

音響監督:木村絵理子

配給:ツインエンジン・ギグリーボックス

企画・製作:ツインエンジン

制作:スタジオコロリド

 

【キャスト】

八ツ瀬柊:小野賢章

ツムギ:富田美憂

ほか

 

【ストーリー】

高校1年生の柊(ひいらぎ)は、“みんなに嫌われたくない”という想いから、気づけば“頼まれごとを断れない”性格に。毎日“誰かのために”を一生懸命にやってみるも上手くはいかず、親友と呼べる友だちがいない。

 

季節外れの雪が降った夏の日、柊はツムギに出会う。また頼まれごとを頑張ってみたものの、何かが上手く行かず「なんだかな」と思いながら家に帰る途中、泊まるあてがないというツムギを助けるが…その夜、事件が起きる——。

 

とあることで、お父さんと口論になりそうになるも、 “本当の気持ち”を隠してしまった柊。「なんだかな…」という気持ちを抱えながら、部屋で居眠りをしてしまうが…寒さで目を覚ますと、部屋が凍りついていて⁉

 

さらには、お面をつけた謎の化け物が襲い掛かってきて—…

 

異変に気付き、助けに来たツムギとふたりで部屋を飛び出す。

 

一息ついた先でふとツムギの方を見ると…彼女の頭には“ツノ”が⁉

 

ツムギは自分が鬼で、物心つく前に別れたお母さんを探しにきたという。そして、柊から出ている“雪”のようなものは、本当の気持ちを隠す人間から出る“小鬼”で、小鬼が多く出る人間はいずれ鬼になるのだと…。

 

柊はツムギの「お母さん探しを手伝ってほしい」という願いを断り切れず、一緒に旅に出ることにするのだが—…。

 

時を同じくして、ツムギの故郷・鬼が暮らす“隠の郷(なばりのさと)”でも事件が起きていて──。

 

©コロリド・ツインエンジン

「一番の見どころだった!」エムバペがF1モナコGPに登場!予想外の展開にファン歓喜

5月26日に行われたF1第8戦モナコグランプリ決勝で、チェッカーフラッグを振った人物が話題となっている。その大役を務めたのは、サッカーフランス代表選手のFWキリアン・エムバペだ。この予想外の展開に、米スポーツ専門メディアらも注目。ファンは「チェッカーフラッグ担当だったの!?笑」「なんだかワクワクしたよ」などと、SNS上でザワつきを見せた。


F1で伝統の一戦とも呼ばれるモナコグランプリ。かつてエムバペはASモナコでプロデビューを飾ったこともあり、ここモナコはゆかりの地だ。米スポーツ専門メディアESPNのF1公式Xは“エムバペがモナコGPでシャルル・ルクレールのチェッカーフラッグを振った”と投稿した。


F1公式アカウントのXでは“Oh hi, Mbappe”の文面と共に、パドックを歩くエムバペの写真を投稿。DAZN JAPAN公式Xでもその姿を見ることができた。


この姿にファンからは、「元祖モナコのスター!」 「まさかチェッカーフラッグを担当するとは思わなかったよ」 「レースも面白かったけど、エムバペのチェッカーが一番の見どころだった!」 「(旗を準備する姿を見て)少し緊張してるのかな?」 、また日本のファンからは「南野選手も一緒に来てほしかった」などと、多くのコメントが寄せられた。

 

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なお、レースを制したのはモナコ出身で、フェラーリ所属のシャルル・ルクレール。母国初優勝を果たした彼にエムバペは「歴史的な時間だ。おめでとう、兄弟」とinstagramのストーリーズにポストし祝福。モナコでの時間を有意義に過ごすことができたようだ。

 

エムバペは今季限りで所属のパリ・サンジェルマンから退団を表明。今後の移籍先を巡り、世界中で注目を集める“怪物ストライカー”からしばらく目が離せなさそうだ。

思い出がホーム画面で甦る……お気に入りのアルバムをウィジェットで楽しむには【iPhoneの“知っトク”便利技】

Mac Fanは1993年創刊の老舗のApple専門誌。Appleの最新情報はもちろん、基本的な使い方から、ディープな解説記事まで幅広く網羅しています。

 

ここでは、Mac FanのYouTubeチャンネル「Mac Fan TV」で配信しているTIPS術をお届け。「そんなことできるの!?」「聞いたことあるけど使ったことなかった」といった便利術を動画とともに紹介していきますので、日々のAppleライフの参考にしてみてください。今回のテーマは「ホーム画面のウィジェットに「写真」アプリ内のアルバムを置く方法」です。

 

 

iOS 17では「写真」アプリのウィジェットが進化し、特定のアルバムを指定して表示させられるようになりました。改めて、ウィジェットの使い方をおさらいしながら、設定方法を解説しましょう。

 

まず「ウィジェット」とは、iPhoneのホーム画面に配置して、アプリの情報の一部を常時表示させておける機能です。たとえば「天気」や「カレンダー」アプリなどのウィジェットを配置しておくことで、アプリの最新の情報を一目で確認できます。

 

では、iOS 17でアップデートされた「写真」アプリのウィジェットを使って、指定したアルバムを表示させる方法を説明しましょう。

 

ホーム画面を長押しし、編集可能な状態になったら左上の[+]をタップ。ウィジェット一覧が開いたら、「写真」を選択します。するとポップアップが開くので、画面を右から左へスワイプして「アルバム」のウィジェットを表示させ、好みの形状のものを選んだら[ウィジェットを追加]をタップします。

 

すると、ホーム画面に「写真」ウィジェットが追加されるので、好きな場所に配置し[完了]をタップしましょう。これでホーム画面にウィジェットが追加できました。

 

続いて、配置したウィジェットを長押しして[ウィジェットを編集]を選択。

 

アルバム名をタップして、アルバムのリストから、表示させたいアルバム名を選びます。余白をタップしてポップアップを閉じましょう。すると、指定したアルバムがウィジェットに表示されるようになりました。

 

ウィジェットをタップすると、そのアルバムにワンタップでアクセスできるのも便利なポイントです。

 

記事前半に埋め込んだ動画では細かい手順などのムービー形式で解説。また、「Mac Fan TV」では毎週、便利な活用術を配信中しています。それ以外にもアプリ解説やインタビューなども配信しているのでぜひチェックしてみてください。

 

【関連リンク】
Mac Fan
Mac Fan TV(YouTube)

アディダスのランシュー「ADIZERO SL」にアップデートモデルが登場! 日々のジョグに軽さを求めるなら打ってつけ

アディダス ジャパンは、1秒でも速いベストタイムを目指して走るランナーのためのランニングシリーズ「ADIZERO(アディゼロ)」より、優れた軽量性と安定性を両立させたトレーニング用ジョグに適したランニングシューズ「ADIZERO SL 2(アディゼロ エスエル ツー)」を2024年6月1日に発売。

 

トップアスリートのペース走から、シリアスランナーの日々のジョグ練習まで幅広く

アディダスは、2022年12月の発売以来、「ADIZERO」のなかでもあらゆるシーンで使用可能なランニングシューズとして、幅広いレベルのランナーから高い支持を受けてきた「ADIZERO SL」を今回大幅刷新し、「ADIZERO SL 2」として新たに発表。足への負担を軽減する軽量設計と、反発を効率的に推進力に変えるミッドソールで、トップアスリートのペース走や、フルマラソンで自己ベストを目指すランナーの日々のジョグを支えます。

↑「ADIZERO SL 2」1万4300円(税込)。重量(27.0cm):232g

 

 

ミッドソールには、今まで前足部のみに採用されていた「LIGHTSTRIKE PRO(ライトストライク プロ)」を、つま先からかかとまでフルレングスで配置。クッション性、反発性、弾力性、軽量性など全てをハイレベルで実現した低密度高反発素材を全面に配置することで、優れた軽量性はそのままに、安定した着地と、よりスムーズな前方推進やペースアップを実現しています。

 

またアッパーには「ENGINEERED MONO MESH(エンジニアード モノ メッシュ)」素材を新たに採用し、柔らかく足を包み込む優れたフィット性と高いサポート性を提供。

 

そしてアウトソールに搭載された「ADIWEAR RUBBER(アディウェア ラバー)」は、その高いグリップ性と耐摩耗性で、何度も繰り返されるジョグ練習やペース走でも、安定したパフォーマンスを発揮できるようサポートします。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

ちょっ、光源氏ってただのモテ男じゃないの? 大河ドラマと合わせて読みたい『傷だらけの光源氏』

みなさんは『源氏物語』と聞いて、どんなイメージが浮かびますか? 煌びやかな平安時代を描いた美しい作品、モテモテな光源氏が織りなす恋愛作品、日本が誇る古典文学といったところでしょうか。今年度のNHK大河ドラマ『光る君へ』は紫式部を主人公にしたものということもあり、書店でも『源氏物語』や紫式部に関連した書籍が多く並んでいますよね。

 

今回ご紹介する『傷だらけの光源氏』(大塚ひかり・著/辰巳出版・刊)は、何度「えっ?」と言ったかわからないほど、『源氏物語』への新しい解釈を与えてくれる一冊でした。『源氏物語』を読んでう〜んと唸った方、大河ドラマから『源氏物語』を読み返し満足している方……、もっと光源氏について知りたくありませんか?

 

『源氏物語』はリアリティを描いた革命的な小説だった!

今回ご紹介する『傷だらけの光源氏』ですが、できれば『源氏物語』を読んでから読むことをおすすめしたい! 登場人物も多いですし、「あ〜モテ男の話か」くらいのレベルだとこの本の面白さを堪能できないからです。

 

学習マンガや小説、教育番組できちんと『源氏物語』のあらすじを把握してから読んでみてください。私も高校生ぶりに源氏物語を読み返してみたのですが、光源氏ってクズでしたね〜(笑)。ただ、大人になってから読む『源氏物語』は最高でした! 平安時代にSNSや週刊誌があったら面白かったのに……とちょっぴり下世話な妄想もしてしまった次第です。

 

ちなみに、『源氏物語』はどんな時代に生まれた小説なのかってご存知でしょうか? 著者の大塚さんは以下のように記しています。

 

『源氏物語』以前の物語の主人公は、天人や動物のパワーを身につけ、文字通りの「超人的な活躍をする」といった設定が主流だったのだ。

だから、彼らは衰えないし、基本的に死にもしない。『古事記』『日本書紀』といった記紀神話は、「歴史書」という建て前で書かれているから、歴代天皇は死んでいくが、「死ぬ」とは言わずに「神になる」と表現している。初期の天皇などは、百二十歳や百四十歳という、べらぼうな長寿とされるケースも多い。

こういう物語を見慣れた当時の人にとって、年もとれば死にもする、奇跡も起こさぬ源氏は、「生身の体」をもった画期的な主人公として、共感を呼んだはずなのである。

(『傷だらけの光源氏』より引用)

 

今でこそ当たり前のことですが、平安時代にこの発想ができた紫式部ってすごすぎる……。当時を思うと、光源氏の恋愛を通じてあーだ、こーだ言うのがきっと楽しかったんだろうなぁとも想像しますが、もしも紫式部が『源氏物語』を書いていなかったら、歴史は大きく変わっていたかもしれませんよね。

 

紫式部が現代にいたらこんな人!

『傷だらけの光源氏』の第一章は「感じるエロス」というタイトルで、源氏物語ではどのようなエロスが描かれていたかが紹介されています。また第二章では、平安時代のリアリティがどんなものであったかが探究されており、時代背景も含めて源氏物語の魅力を掘り下げていくことができます。読み進めていくと「紫式部ってどんな人だったのだろうか?」というのも気になってくるんですよね。その中で思わず笑ってしまったのが、第三章に登場するこの文章でした。

 

こういう記述を見ていると、『紫式部日記』とは、どういう日記なんだろう。紫式部とは、どんな性格の女なのだろう。と不気味に思う。彼女のやっていることというのは、

「私が勤める会社には、こんなに美人がいるんですよ」

と、同僚の女性社員の容姿を詳しくあげつらったうえで、

「でも、彼女たちのほとんどは男性社員とデキているのよね。みんなこっそりやっているから知られずにいるけれど、この私は知っているんだよね」

と日記やブログに書くようなもの。こんなようなことをしている女子社員というのは、ちょっと怖い。

(『傷だらけの光源氏』より引用)

 

現代にもいそう……(笑)。

 

よく紫式部はネガティブだったとかネクラだったと言われていますが、大塚さんのこの表現ですごく合点がいきました。そんな紫式部が書いた『源氏物語』、どんどん読みたくなってきますよね? まだ読んでいない方、今からでも間に合います! 『源氏物語』を読んで、『傷だらけの光源氏』で理解を深めていきましょう。

 

本当に光源氏はいたのでは? と思える不思議

ネタバレも何もないのでお伝えしてしまいますが、美男子として生まれた光源氏は、たくさんの女性と恋をしていきますが、誰かひとりと人生を添い遂げるような感じではなく、後悔ばかりしながらひとりぼっちで暗い晩年を過ごします。これだけ聞くと「辛い恋愛だったのね〜」と同情してしまいますが、『傷だらけの光源氏』を読むことでなぜ、そんな主人公にしたのか? 登場する女性たちに託されたものや、紫式部が抱えてきた思いについても深く知ることができます。

 

今まで「『源氏物語』は平安時代に創作された恋愛小説」と思っていましたが、『傷だらけの光源氏』を読んでからは「平安時代のリアルを詰め込んだ恋愛ドラマ」と思うようになりました。光源氏も実在したのでは? と思ってしまうし、紫式部が描きたかったこともより理解が深まりました。

 

大河ドラマで紫式部に感情移入しつつ、どんな時代背景で『源氏物語』を書いていたのか、より詳しく知りたい人には『傷だらけの光源氏』が本当におすすめです。個人的にはゴシップ好きな人にも源氏物語と合わせて読んでほしい……(笑)。当時の恋愛模様がリアリティをもって感じられるはずですよ!

 

【書籍紹介】

傷だらけの光源氏

著者:大塚ひかり
発行:辰巳出版

2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』の主人公・紫式部が生み出した、日本古典文学の傑作「源氏物語」。本書は、「源氏物語」の全訳本も刊行し、『本当はエロかった昔の日本』『女系図でみる驚きの日本史』『くそじじいとくそばばあの日本史』といったヒット作品も多く執筆している古典エッセイスト・大塚ひかり氏による“源氏物語”論になります。 登場人物の「カラダ」と「ココロ」に着目し、あふれるストレス死、モノのように扱われるカラダ、拒食に走る女性、モラハラ男とホモソーシャル社会…といった現代社会にも通じるリアルな世界として「源氏物語」を捉え直していきます。『光る君へ』がより楽しくなるのはもちろん、新しい視点で「源氏物語」を楽しむことができる一冊です。

※本書は、2002年に刊行されたちくま文庫『カラダで感じる源氏物語』を改題のうえ、大幅加筆修正したものになります。

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丸山礼×八村倫太郎インタビュー「自然と笑みがこぼれるような番組作りに貢献できるように頑張っていきたい」『王様のブランチ』に新加入

放送29年目を迎える情報バラエティ番組『王様のブランチ』(TBS系 毎週土曜 午前9時30分~)の新レギュラーメンバーとして、丸山礼さん、八村倫太郎(WATWING)さんが4月から加入。ブランチファミリーとなり、1か月弱がたった今の心境や、今後挑戦したいロケなどを聞きました。

『王様のブランチ』左から)丸山礼、八村倫太郎

 

◆今の心境いかがですか?

丸山:本当にうれしいです。私は3年間ぐらい「トレンド部」コーナーのロケにお邪魔させてもらって、藤森(慎吾)さんからバラエティのノリの良さやリアクションを間近で学ばせてもらいました。そして土曜のこの朝からお昼にかけてスタジオにいられることは、芸能界のピラミッドでも上の方に到達したのかなと感じています(笑)。スタジオの雰囲気もよくて、こんなにマイルドな空気のスタジオは経験したことがないです。特に面白くできなくても温かく迎えてくださるというか、全部を受け止めてくださるんです。(佐藤)栞里さんや藤森さん、ニッチェさん、ブランチガールの方たちもすごく良くしてくれて、ロケをしていても勉強になることが多いので、毎日の豊かさはブランチから作り出されているなと感じます。

 

八村:そう思います。ブランチから作り出されていますよね。僕、初めて『王様ブランチ』のロケに呼んでいただいたのが「トレンド部」だったのですが、そこで藤森さんと礼さんにお世話になって、お2人からブランチの雰囲気を教わりました。

 

丸山:え、そうなの!

 

八村:藤森さんと礼さんが作る雰囲気が楽しすぎて、僕が初回からはっちゃけられたのは、お2人あってのことだなと思いますし、その場にいてくださったスタッフの皆さんのおかげだなと。そこでだんだんと自由でいいんだというのを教えていただきました。前回がレギュラーになって初めてのスタジオ出演だったのですが、すごく緊張して「生放送だ」と固くなってしまったんです。ですが、皆さんが作り出す雰囲気がハッピーで温かいおかげで、後半はすごく居心地がよくて、今日のスタジオもとても楽しかったです。

 

丸山:自然体でいられるんですよね。大体が緊張して、何をどうしようみたいになりますが、この『王様のブランチ』のスタジオは緊張しない方がいいんだと。八村さんはニッチェさんに息子のようにかわいがられていますし、ファミリー感が強いなと思います。

 

◆レギュラーになってからの反響はいかがでしょうか?

八村:ライブのスタッフさんや友人たちから「テレビ見たよ」「土曜日、出てたね」などと声を掛けていただく機会が増えました。僕も土曜日のお昼と言ったら『王様のブランチ』というぐらい慣れ親しんでいた番組だったので、SNSやファンの皆さんからの声も届いていて、あらためて大勢の方が見る番組なんだなと実感しました。

 

丸山:土曜日のこのちょっと気の抜けた時間帯に、ぼーっとテレビをつけていたら「礼ちゃんがいた」みたいな、そういう存在になれたことがすごくうれしいです。

 

八村:ぼーっとしているときにいる存在ってすごいですよね。

 

丸山:生放送なので、その前日の夜に一緒に遊んでいた友達に「さっきまで一緒にいたよね」と言われることもあります(笑)。

 

◆初のブランチレギュラー出演の際、何か準備したことはありましたか? また収録を終えて反省したことはありましたか?

丸山:何度か出演させてもらっていましたが、初回は結構緊張しました。VTRもたくさんありますし、とにかくリアクションをし続ける番組だと思うので、リアクションをしていたのですが、物件の映像を見ているときに「この部屋、広いんだろうな」と言った後に「そうだよね」と自分で自分に返答しまって(笑)。

 

八村:何しているんですか!

 

丸山: 4時間半の生放送だと、自分で自分に返答し始めてしまうんだと(笑)。リアクションをし過ぎてしまったのか分かりませんが、それにはちょっとびっくりしました。隣にいた横澤夏子さんも(物まねしながら)「何やってんの。自分で自分にツッコんでる(笑)」と笑っていましたね(笑)。

 

八村:それは笑いますよ(笑)。今も自分で夏子さんになっているじゃないですか(笑)。

 

丸山:ピン芸人なので、自分で解決しがちなんですよね(笑)。何か言ったら、自分で笑うというのが出てしまったので、そこはちょっと反省でした。

 

八村:僕は土曜日のこの時間帯に長い時間、テレビ番組で人前に出続ける経験がなかったので、「やばい」と変な汗もかきながら緊張していました。ですが、栞里さんが全部の発言を拾ってくれるし、礼さんをはじめとした皆さんも反応してくださるからもうしゃべりたくなっちゃうんですよ。しゃべっていたら、緊張もどこか行くし、とても楽しいからいいこと尽くしだなと。なので、うるさくなろうと思います。

 

丸山:もう十分なくらいですよ。

 

八村:うるさいじゃないですか。でも、礼さんもですよ(笑)。

 

丸山:分かる(笑)。

 

◆番組公式TikTokで八村さんは佐藤栞里さんのことを太陽、藤森さんをジェントルと言われていましたが、皆さんと接してみていかがですか?

八村:変わりなく、むしろ増しているような感覚があります。でも栞里さんは太陽ほど遠くなく、(親近感があって)とても近くにいてくれるような感じです。太陽は近かったら焼けると思うんですけど、焼けないです。藤森さんも小さい頃から見てきて、「武勇伝」とチャラいイメージがあったんです。ですが、僕のフォローをしてくださるぐらい紳士なんですよ。次にワイプでここ抜かれるとか、カンペを見て、「そこのカメラだよ」と。まだ慣れてなくてちょっと緊張するんです。そんな時に、「倫太郎、いけるよ」と声を掛けてくださるので、「ついていきます」となっています。

 

丸山:経験値がある人は優しいですよね。ブランチガールの方たちもロケに慣れているから、すごくいろんな面で助けてくださって、仲良くしてもらっています。ニッチェさんも、ずっとツッコんだり、ボケたり。ロケや中継が特にすごく面白くて「タイフェス」のロケも本当に面白かったです。

 

八村:ビールを飲んだ後のリアクションがすごかったですよね。

 

丸山:私たちも今度、あれぐらいやらないとだね。栞里さんとは、初めてこんなにガッツリと番組で一緒になるのですが、栞里さんのような普通に会話するぐらいの声量のほうがこの時間帯は落ち着くんだなと学んでいます。私たちは逆に声を出しすぎていたのかもしれないと思いました。それに栞里さんはすごくマイペースで、それが持ち味となっているのですごい才能を持っているなと思いました。藤森さんは締める時は締めて、チャラつくときはチャラつくというか。1つキャラクターがあると芸能界は渡っていきやすいんだなと、自分はまだ模索しているので学んでいます。

 

◆ブランチファミリーの皆さんは個性豊かな方たちが多いですが、ご自身がこれなら絶対に負けないぞというところは?

丸山:瞬発力がすごいので、頭の回転ですね。あと、物まねをやりきる覚悟です。

 

八村:声と体の大きさ。

 

丸山:やばいって。それはバカだと思われる。

 

八村:ダンスでいきましょう。

 

丸山:これが愛され力だなと思います(笑)。ダンスもっとやろうよ。

 

八村:踊ってもいいんですかね。本当に自分の強みを、今みたいに「やりなよ!」とプッシュしてくださる現場だと思うので、今後自分の強みを出していけたらと思います。

 

丸山:藤森さんや、ブランチのスタッフさんたちとWATWINGの武道館のライブを見に行ったとき、すごく楽しくて。ブランチで見せている顔と違うというか。ブランチのときは無邪気なんですが、ライブになるとマイクパフォーマンスがすごくて。「次の曲行くぜ、ついてこい!」みたいな感じで、「この顔もあるんだね」と藤森さんと言ってたので、ちょっとそこを私と藤森さんで掘っていきたいです。

 

八村:もう十分掘られている気がします(笑)。

 

◆何かブランチでやってみたいことや、ロケで訪れたい場所はどこかありますか?

丸山:北海道へ行きたいです。私が北海道出身なので全員をアテンドします。ぜひ冬の時期に流氷とかを見に豪華客船とか借りて行きたいですね。

 

八村:いいですね。

 

丸山:冬の動物園も最高ですし、私の地元へ行って、名物の塩焼きそばを食べるとか、ぜひお連れしたいです。

 

八村:ぜひ行きましょう。僕は海外へ行ってみたいですね。たまにロケで行かれているじゃないですか。あの人選はどうされているんだろうと気になっています。

 

丸山:あれ、争奪戦らしいよ。

 

八村:そうですよね。だから、ここでアピールしておきます、海外行きたいです!前回、生放送が終わった後に、LiLiCoさんに楽屋の前でお会いして、「八村君は英語がしゃべれるの?」と言われて、「Can you speak English?」みたいな感じで軽く英語のジャブを投げられたときに、対応しきれなかった自分がいたので、反省しています。しっかりと腕を磨いて、英語でのインタビューにもチャレンジしたいなと思います。

 

◆丸山さんも短期留学の経験があるそうですが、英語はいかがですか?

丸山:フィリピンに2週間だけ(笑)。フィリピンは英語をしゃべる方が多いということで、フィリピンの大学で2週間ほど行って。井戸水を汲んで、火にかけて、それを浴びるというシャワー方法を学びました(笑)。

 

八村:英語は?

 

丸山:little bit.(少しだけ)

 

八村:僕もLiLiCoさんに言われたときに、同じこと言いました(笑)。

 

丸山:ちょっとエセなんですけど、もしよければって感じですね。一応英検2級は持っているので。

 

八村:え!すごいじゃないですか。一緒に行きましょうよ。

 

◆では、ロケへ一緒に行きたい方はいらっしゃいますか?

丸山:私、まだニッチェさんとロケへ行ったことないので、行ってみたいですし。夏子さんと栞里さんととても仲良しなので、お2人の間にも入りたいですね。いろんなところへ行っているけど、大人のキッザニアみたいな、職業体験できるような場所へ行きたいです。

 

◆八村さんは?

八村:栞里さんってロケへ行かれることがあまり行かないと聞いたので、もしロケへ行くレアなチャンスがあるんだとしたら、ご一緒したいです。あと(櫻井)海音さんと(一ノ瀬)颯さんの3人で行きたいです。

 

丸山:めちゃくちゃ視聴率が上がりますよね、これは絶対に。

 

八村:お2人方は僕よりも先輩なので、きちんとごあいさつしたいですし、仲良くなれたらいいなと思っているので、ロケへ一緒に行けたらいいなと。

 

丸山:じゃあ、私もADで行きます!

 

八村:普通に一緒に行ってもいいんじゃないですか(笑)。

 

◆番組内で個人的に好きなコーナーや、今担当されているもの以外で担当してみたいなコーナーはありますか?

丸山:私は物件リサーチがすごいなって。すごくいい物件へ行ったりとか。とにかく誰も住んでいない家に入るのって特権じゃないですか。それすごくいいなと思いますし、ロケの腕の磨き場所だと思うので、私の身を削る修行になるんじゃないかなと思っています。

 

八村:いいですよね!

 

丸山:あと買い物の達人の法被を着たい。

 

八村:僕も着たい。

 

丸山:2人でやる?

 

八村:じゃあ、僕は太鼓をやります。

 

丸山:しゃべらないの!?太鼓の役割、ちょっと見たことないよ(笑)。

 

八村:僕は、今いろんなロケに呼んでいただくことが多いのですが、全部楽しいんですよ。この前のニッチェさんと一緒に行った旅は、ニッチェさんのあの空気感が僕もすごく好きで、本当に居心地が良くて。僕は、1つに決められないんですけど、いろんなことにチャレンジしてみたいです。

 

◆視聴者として見ていた際の番組の印象は?

丸山:私はとにかく視聴率ランキングを見るのがとても楽しみでした。あれが大好きで、やっぱりブランチの醍醐味だなというふうに思っていて。1週間の番組をちょっとずつ見られて、これが人気なんだとか思いながら、テレビを見ていたのはすごく記憶にあります。だから今スタジオで見ていると感慨深いです。

 

八村:本当にお茶の間との距離が近い番組だなと思っているので、そこがすごく魅力的だなと思うのと、僕は買い物の達人をすごく見ていたんですよ。でもレギュラーになったら、あっち側に行けないっていう話を聞いたので、僕がパイオニアになります。

 

丸山:あら。買いたいんだ。

 

八村:買い物の達人になりたい。それで、NGワードとか選んで、「えー、マジか」と言いたいです(笑)。

 

丸山:勝手に言ってよ(笑)。

 

八村:「うわ、それだったんだ」「たくさん言っちゃった」と。

 

丸山:買い物メインじゃなくて、「やっちゃった」がメインなんだ(笑)。

 

八村:途中で回復できるところがあるじゃないですか。あれでちょっと腕を見せたい。芸能人の方々、みんなカッコよかったんで、それになりたいです。

 

◆最後にメッセージをお願いします。

八村:見ている人たちが自然と笑顔になってしまうような、すごく温かい番組でもあると思うんですけど、自分が入ることによって、また違う味が出したいです。そのためにも呼んでいただいたんだろうなと思っているので、自分が求められていること、自分がしたいことを十二分に発揮して、自分が感じていた以上に「この番組、すごく温かいな」「距離が近いな」と思ってもらえるように、自然と笑みがこぼれるような番組作りに貢献できるように頑張っていきたいです。

 

丸山:土曜日のリラックスしている時間なので、なるべく奇声を発しないように気を付けながら。あとは、生放送なので顔に炎症を作らない。ネットにも炎上を作らない。

 

八村:炎症と炎上、うまいこと言ってますね。

 

丸山:かけさせていただいたきました(笑)。すごくチームワークが垣間見える番組だと思いますし、他のバラエティ番組のスタッフさんにも「ブランチがとても合っているね」と言っていただけたりするので、“ブランチの礼ちゃん”というふうに世間の皆さんに認識してもらえるぐらいになれたらうれしいなとは思います。ぜひ毎週楽しみにしていただけたらうれしいです。

 

PROFILE

丸山礼

●まるやま・れい…1997年4月1日生まれ。北海道出身。AB型。

 

八村倫太郎

●はちむら・りんたろう…1999年7月28日生まれ。神奈川県出身。A型。WATWINGのメンバー。

 

番組情報

『王様のブランチ』

TBS系

毎週土曜 午前9時30分~午後2時

 

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/brunch/

公式X:@brunch_TBS

公式Instagram:@brunch_tbs

 

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