【ホントは怖いSNS】読むだけじゃダメだった…!?“しんどくならない”Facebookの使い方

米Facebookは昨年12月、嫌がらせ対策の一環として2つの新機能を発表した。ブロックした相手が別アカウントから接触することを防ぐ機能と、見たくない相手からのメッセージを無視する機能だ。なぜFacebookはこのような機能を追加しなければならなかったのか。その背景と、Facebookとの「適切な付き合い方」について考えていきたい。

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■「現実」に即しつつあるFacebook

「Facebookが快適じゃない」――近頃、そう感じる人は少なくないだろう。理由の一端は実名制にある。同僚・上司・友人・家族・恋人などさまざまな関係の人と同じアカウントでつながらなければならなくなったからだ。

 

仕事用、プライベート用、両方のプロフィールを用意すべきだという意見は当初からあった。それに対し、Facebook共同創業者兼会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグは「仕事上の友だちや同僚とそれ以外の知り合いとで異なるイメージを見せる時代は、もうすぐ終わる。2種類のアイデンティティを持つことは不誠実さの見本だ。現代社会の透明性は、一人が二つのアイデンティティを持つことを許さない」と反論した。

 

ところがある時以来、Facebookは堰を切ったように「現実に即した機能」を実装し続けている。たとえば、特定の友達が閲覧できる投稿を制限する「制限リスト」機能(リスト追加した友達は全体公開投稿以外の投稿を見られない)、特定の友達の投稿を30日間非表示にする「スヌーズ」機能。友達の状態を解除しないまま自分の投稿を相手から見えなくしたり、相手の投稿を非表示にしたりする機能まで登場したのだ。

 

「アイデンティティはひとつ」どころか、しがらみとか人間関係とかいろいろな現実を取り込んでいるのが現在のFacebookなのだ。では、なぜポリシーを変えたのだろうか。

 

■ユーザー数が増えた結果……

Facebookの月間アクティブユーザー数は全世界で20億に上る。ユーザー数の増えすぎは、その理由の1つと言えるだろう。実名制かつ顔写真登録が一般的なFacebookでは、お互いが知り合いかどうか判定する機能の精度も高い。共通の知り合いが一人もいない「元彼氏」「元奥さん」が、「知り合いかも」欄に表示されたという話を聞いたのは、一度や二度ではない。

 

そのような性質を持っている以上、本心ではつながりたくなくても「つながらざるをえない」パターンが増える。こうなると、ユーザー体験は悪くなる一方だ。また、実名制のもとではほとんど起こりえないはずの嫌がらせ行為も、ユーザー数の激増にともない防ぎきれなくなってきた。こうした理由で、運営側も今回のような機能を追加せざるをえなかったわけだ。

 

■それでもFacebookを「快適に」使いたい人へ…

Facebookの研究者であるデビット・ギンズバーグ氏、モイラ・バーク氏の論文は興味深い。自分から投稿・コメントをしない、ニュースフィードを読み続けるだけのユーザーはFacebookから悪影響を受ける可能性があるという。逆に、ソーシャルメディアを「人との交流」に活用すると、良い影響があるそうだ。

 

Facebook社の初代CEOショーン・パーカーは、「Facebookは社会的評価を求める人間心理の脆弱性を利用するもので、中毒性があることをザッカーバーグも理解していたのに、あえてサービスを立ち上げた」と批判的に語っている。

 

SNSは、社会的評価や自己承認欲求に飢えた人の心に強い中毒性をもたらす。同時に、劣等感や嫉妬心も呼び起こす。また、実名制は人間関係上の問題もSNSに呼び込んでしまった。

 

今のFacebookはおそらく、多くの人にとってあまり快適じゃないはずだ。けれど、それでも、やはり使いたくなってしまうのが人間というもの。Facebookは今回追加したような機能を、今後またどんどん追加するだろう。「最近あまり楽しめていない」という人はこのような機能をうまく取り入れてほしい。ただ読むのではなく、積極的に交流してソーシャルメディアのメリットを甘受してほしいと思う。

 

【著者プロフィール】

ITジャーナリスト 高橋暁子

元小学校教員。Webの編集者などを経て独立、現職。
書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。SNSやスマホの安心安全利用等をテーマとして、テレビ、雑誌、新聞、ラジオ等のメディア出演経験も多い。

「めんどくさすぎ!」Facebookが「顔認証」で偽アカ排除に乗り出すもユーザーは動揺

顔認証は空港のような一部の場所でしか使用されない――そんな時代は終焉を迎えつつあるのかもしれません。生活のいたるところで顔認証が求められる時代が来ています。そんなことを感じさせるニュースが飛び込んできました。

 

Facebookのスポークスマンは、同ソーシャルメディア上でスパム活動をするボットとリアルなユーザーとを区別するため、ユーザーに顔写真の提出を求める可能性があると発表しました。

 

フェイクニュースをばらまくボットを排除せよ!

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Facebook上で大量のボットが偽アカウントでユーザーに友達リクエストをしたり、広告を出したり、投稿したりとスパム活動が問題となっています。

 

また、ロシアの組織が偽アカウントを大量に作って人種や移民などのテーマで米国社会を分断するような政治的メッセージを大量に投稿したことがFacebook社の調査で発覚。この工作が昨年度の米国大統領選挙の結果にも影響したのではないかと言われています。

 

Facebookは単なるソーシャルメディアではなく情報をユーザーに伝えるニュースメディアとしての責任も問われるようになってきています。そのため虚偽の情報を大量に流通させるボットを排除する必要性が出てきているのです。

 

従来、ボットとリアルなユーザーとを区別するために歪んだ文字や数字の入力をユーザーに求める認証手段「CAPTCHA」が活用されてきました。しかしながら、これも最新のマルウェアによって突破されることがあるようです。

 

顔認証はボットとリアルなユーザーを区別するためのセキュリティ強化策として検討されているのです。Facebookはボットによる偽アカウントが好き勝手する状態を抑えたいのでしょう。

 

Facebookはこの顔認証をいつ実行するかは明かしていません。しかし、すでに一部のユーザーの間でFacebookにログインできなくなり、再開のために顔写真をアップロードするよう求められたという証言があります。

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ウェブサイトのReddit(上のイメージ)を見てみると「偽アカウントでもないのにアカウントを凍結されて顔写真をアップロードするように求められた」「めんどくさすぎ!」「Facebook最悪!」といった不満の声が多くのユーザーから挙がっています。偽アカウントとそうでない一般ユーザーのアカウントを見分けるのは容易ではなさそうです。

 

Facebookは企業理念として「Bring the world closer together(世界の絆を強める)」を掲げています。社会の分断を助長するかのようなスパム活動を含む工作に対しては徹底的な態度で臨むでしょう。

 

もはや人々の情報インフラとして欠かせなくなったFacebook。その影響力はかつてないほど強くなっています。社会的責任をどう果たしていくのか。今後も試行錯誤が続きそうです。

 

あなたの運命はデータ次第!? 世界で実用化が進むAIを使った自殺予防と予防医学

アメリカでは、大統領選挙におけるFacebookでのフェイクニュース拡散の影響について、いまだによく語られています。炎上を扇動するような内容のコメントやツイート、動画がロシアから大量に投稿されていたことが判明し、それを目にしたFacebookユーザーは1億2600万人いたというニュースが連日話題に。

 

もはやただのSNSの規模を越えて社会的な責任を大きく問われるようになったFacebookですが、フェイクニュース防止への取り組みに加えて、他にも色々なプラットフォーム改善を図って社会に貢献していることをアピールしています。その1つが「コメントをAIで分析してユーザーの自殺願望を事前に検知・通知する」という取り組み。小規模でのテストは以前から行っていたようですが、この機能を大規模に拡大することが11月末に発表されました。

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どうやったらFacebookのコメントから自殺願望が分かるのかと疑問に思ってしまいますが、分析するのは本人の投稿だけではなく、そこについた友人たちからのコメントも分析されるようです。「大丈夫?」「何か助けになれる?」といった心配のコメントを検知するわけですね。危険性をAIが検知するとFacebookの自殺予防の専門家チームに通知が行くようになっています。人間の専門家が「これは助けを差し伸べる必要がある」と判断すれば、ユーザーのもとに「『あなたには今、特にサポートが必要なのではないか』と思った人から私たちのもとに連絡が来ました。私たちはあなたを助けたいと思っています」とメッセージが届き、サポートが開始されるようです。

 

もちろん、自殺をめぐる背景は非常に複雑なもの。Facebookによるアルゴリズムも常に改良が加えられていて複雑なものになっており、対象が人の命とプライバシーに大きく関わることから詳細は公開されていません。

 

AIが病気を検知。命を救うことも

もちろん、すべての自殺をこれで検知できるわけではないでしょう。そもそもSNSがうつ病を促進しているのではないかという指摘もあります。しかし、AIを使ったこういった取り組みは医療分野でどんどんと実用化されています。

 

Googleは検索サービスを自殺予防に役立てようとしています。自殺に関連した特定の言葉を検索すると自殺防止ホットラインの番号が表示されるようになりました。Microsoftは同社の検索サービスBingを使って、「検索ワードのログから膵臓ガンにかかっているかどうかを高確率で当てられる」という研究を発表しています。さらにこれをMicrosoftによる音声アシスタント「Cortana」と組み合わせることで広範囲のユーザーの病気予防へと貢献できる、という展望を論文で語っているのです。

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マシーンラーニングやビッグデータに関するテクノロジーとコンピューターの処理速度が向上している今日では、検索ログやSNS上の言動といったデータからユーザー自身のことが驚くほど多く分かるようになってきているのです。

 

フィットネストラッカー「Fitbit」に記録されていた心拍数データが緊急救命の大事な手がかりとなって人命を救うという事態も起きています。自分自身に関するデータをどう活用しているかが命を救う時代なのですね。

 

ちょっと探せば、この分野では驚くほどたくさんのプロジェクトが進行されていることが分かります。日本でも日立と慶應大学がパートナーシップを結んでAIを使った病気の検知を研究しています。障がい者雇用・就労移行支援を行っている団体LITALICOはビッグデータ解析事業UBICの人工知能エンジンKIBITを活用して精神障がい者の自殺予防対策に取り組んでいます。

 

スマート聴診器「Eko」は心音と専門家による診断のデータベースをもとに、マシーンラーニングによる高精度な診断に取り組んでいます。このデバイスを使えば誰でも世界一の診断が受けられるようになるかもしれません。

 

データを隠すのは良くない!

そうするとFacebookやMicrosoft、GoogleやApple、Amazonといった大手プラットフォームやプラットフォームがデータを活用した医療分野に取り組む意義がよく見えてきますね。GoogleホームやAmazonエコーといった音声アシスタントが日本にも進出してきましたが、日常のデバイス操作やデータ管理を1つのプラットフォームで行うということには大きなメリットがあります。

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ウェアラブル・デバイスを通じて睡眠データや運動のデータも集められ、食べ物、薬などの購入データもあり、インターネットで何を検索しているかもデータとして蓄積される。ビッグデータのお陰で自分が「病院に行かないと」と考える前にデジタル・アシスタントが「○○の可能性があるので専門家に見てもらってください」と促してくれるという世界もすぐに実現されるかもしれません。

 

もちろん、こういったデータ利用はプライバシーの問題と大きくつながり得ます。前述のFacebookによる自殺予防テクノロジーに関しても、専門家からは「詳細を公開して透明にしてほしい」という声があがっています。AIの研究をリードする米国の大手テクノロジー企業がデータや知識をどれくらい公開するのか。注目が集まっています。