Apple Watchでジム活が捗っちゃうなあ! 日本上陸した「GymKit」でジム通いへの意識がさらに高く

Apple Watchについて、watchOS 4で導入されたテクノロジー「GymKit(ジムキット)」をご存知でしょうか? これは2017年6月のApple 世界開発者会議 (WWDC)で発表されたもので、ジムに設置された対応フィットネスマシンとApple Watchを連携できるようにするためのプラットフォームのこと。実は、オーストラリア、米国、ヨーロッパ、中国、香港に続き、3月15日から日本でも利用できるようになりました。

 

 

Gymkitについては、「テクノジム」「ライフ・フィットネス」「シュウィン」など、世界シェアトップクラスの7メーカーとパートナーシップが結ばれています。今回はまず、ライフ・フィットネス社製のマシンが日本に導入されたということで、筆者も早速体験しにいってきました。なお、同社が提供するマシンでは、「トレッドミル」「エリプティカル」「インドアバイク」「ステッパー」で対応しています。

 

LifeFitness社PresidentのJaime Irickさんは、「LifeFitnessでは、世界中のフィットネス愛好家の方、フィットネスクラブ、そしてパートナーにとって最適なプラットフォームであることを目指している。その3者にとってGymKitのテクノロジーは最高の成果を提供してくれるだろうと考えている」といった旨をコメント。また、「LifeFitness のマシンでは年間約10億のワークアウトが行われている。将来的にこの大部分がApple GymKitで使われるだろう」とも述べています。

 

↑GymKit対応マシンの例。リカベントタイプのインドアバイクで、Apple Watchを連携できる

 

今回訪れたのは、24時間年中無休で使えるフィットネスジム「エニタイムフィットネス」の恵比寿店。同ジムでは、ひとつのキーを用いて国内および海外にある3500以上のジムすべてを利用できるのが特徴です。店舗により異なり、利用頻度の高い店舗の価格が適用される仕組み。なお、恵比寿店の場合には、9180円/月となります。

 

そもそも、ジムでトレッドミル(ランニングマシン)などを利用すると、Apple Watchに表示される心拍数や消費カロリーと、マシン側に表示されるデータが異なってしまうという課題がありました。さらにトレーニングが終了した際に、せっかくマシン側で測定したデータを、持ち帰ることができませんでした。GymKit対応のフィットネスマシンが普及すると、こうした状況の改善が期待されます。

 

国内のANYTIME FITNESSのメインフランチャイザーであるFast Fitness Japan 代表取締役社長COOの土屋 敦之さんは 「GymKit導入は、利用者にとっての快適さをさらに高めるサービスであり、ジム・日常生活問わずApple Watchを通じて運動や健康状態をモニタリングできるようになれば多くのお客様に喜んでもらえるのではないかと思う」とコメントしています。

 

フィットネスマシンを実際に使ってみた

まず、Apple Watchを対応マシンに近づけるとNFCが反応して、両者がBluetooth経由で接続されます。NFCとBluetoothの2段階になっているので、不要な自動接続を防げます。

 

初回は確認画面が表示されるので、「続ける」をタップ。トレッドミルの場合、その後「室内ランニング」か「室内ウォーキング」を選択。Apple Watchではワークアウトアプリが起動し、マシン側には集約された情報が表示されます。

 

↑マシンにある「NFC」のマークにApple Watchを近づけてから、ウォッチ画面上で確認操作を行う。するとワークアウトアプリが起動し、マシン画面にデータが共有される

 

Apple Watchからトレッドミルへは身長・体重、心拍数などのデータが送られます。一方、トレッドミルからApple Watchへは、ランニングのペースや傾斜などの情報が送られます。Apple Watch側では、消費カロリーが計算され、それがトレッドミルへと送り返されてモニターに表示される仕組みです。

 

↑ワークアウト中に表示されるマシン側の画面。「時間」「距離」「カロリー」「心拍数」「ペース」「メッツ」「傾斜率」「速度(KPH=km/時)」「経過時間」「アクティブカロリー」「合計カロリー」が確認できる

 

マシンの画面左下にある停止ボタンをタップすると、一時停止状態に。そのまま終了を選択すれば、測定が終わり、サマリー画面が表示されます。この状態で、Apple Watchにもデータが共有されていることがわかりました。

 

接続を解除するとトレッドミルにある個人情報は消去されるようになっています。また、測定データはiPhoneの「ヘルスケア」アプリや「アクティビティ」アプリで管理できます。

 

↑iPhoneの「アクティビティ」アプリからワークアウトの結果が確認できる。LifeFitnessのマシンを使ったことも記録されていた

 

ついに日本上陸を果たしたGymKitですが、連携具合はとても滑らかでした。使い勝手もよく、筆者の通うジムにも早く導入されれば良いのに、と願うばかり(笑)。今後も普及が進めば、多くのジムで見かけるようになると思うので、Apple Watchをお使いの皆さんは、ぜひ試してみてくださいね。

テクノロジーはスキーを救うか? 減少の一途を辿るスキー人口を増やす、3者からの提案

ここ数年、耳にする機会が増えた「IoT」という言葉。これは、「モノ」がインターネットにつながる仕組みや技術のことを表しており、これまで埋もれていたデータを収集・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されています。最近では、企業にかぎらずさまざまな分野でこうしたITのテクノロジーを取り込んでいこうという動きが見られます。そのひとつが、スキー業界です。

 

スキー人口は長期にわたって減少傾向にあり、現在ではピーク時の3分の1まで減ったと言われています。スキー場の閉鎖も相次いでいるようです。こうした現状を打開しようとしているのが、オリンピックでの入賞経験があり、現在はプロスキーヤーとしてだけでなく、全日本スキー連盟の常務理事を務めている皆川賢太郎氏です。

 

ここでは、皆川氏がファシリテーターを務め、ITのテクノロジーを使ってスキー産業をいかに活性化していくかが議論されたイベント「スキー未来会議」の模様をレポートしたいと思います。

 

スキー未来会議とは?

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「スキー未来会議」は、スキー用品のメーカーやホテル、販売店などスキー産業に関わる人たちが集まり、いかにスキー産業を盛り上げていくかを討論するシンポジウムです。過去に3回開催されており、第1回目では国内外に向けたスキーの映像コンテンツをどう発信していくか、第2回目では小売店の活動やスキー産業全体についての話し合いが行われました。11月末に開催された第3回目では、スキー産業にテクノロジーを導入することで得られるメリットについて議論されました。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑全日本スキー連盟常務理事・皆川賢太郎氏

 

このシンポジウムは2部編成となっており、第1部では皆川氏がスキー産業の現状を語りました。「インターネットの活用やデジタル化を行うことで、スノースポーツの興行化に繋がる」と皆川氏が提唱した背景もあり、今回はITに特化した話し合いが行われました。第2部では、IT関連のパネリストが3名登壇し、テクノロジーの活用方法について語りました。

 

なぜ、テクノロジーがスキー産業の今後の”鍵”となるのか。それは、スキー産業の現状と直面している課題を知ることで見えてきます。

 

スキー産業が抱える課題と取り組み

現在、国内のスキー人口は800万人弱。国内のスキー場数は600か所以上と世界トップクラスを誇る一方で、スノーボードを含めたスキー人口は1998年の約1800万人をピークに年々減少の一途を辿っています。スキー人口を増やすこと、そしてスノースポーツの種目をいかに興行化するかが、大きな課題となっています。

 

↑第1部では、皆川氏がテクノロジーによって解決できるスノー産業の3つの課題を説明した↑第1部では、皆川氏がテクノロジーによって解決できるスノー産業の3つの課題を説明した

 

1つ目の課題は、スキー人口を正しく把握できていないこと。現在のスキー場の仕組みでは、正確な利用者数をカウントできていないと皆川氏は指摘します。それは、”リフト券の販売数”や”駐車場の車の台数”などの曖昧な基準によって、利用者を算出しているためです。

 

2つ目は、チケットレス、キャッシュレスの遅れ。アメリカなどの他国では、財布を持ってスキーをするという概念がほぼないにも関わらず、日本ではいまだに紙のリフト券を使用している所を多く見かけます。また、現金での支払いがメインのスキー場では、滑っている間に現金を落とすというリスクもあります。

 

3つ目が、スキー産業とホテルや小売店などの周辺産業とのつながりが希薄であることです。横のつながりと連携しやすくするため、スキー未来会議や全日本スキー連盟など、全体の情報を集約・管理するプラットフォームをつくる必要性が高まっているとのこと。

 

スキー産業は上記のような課題を抱えていますが、ITのテクノロジーを使った取り組みも行われています。2016年2月13~14日に、新潟県の苗場スキー場でアルペンのワールドカップ「アルペンワールドカップ苗場」を、NTTドコモや富士通、パナソニック、シスコと協力して開催。サッカーや野球と違い、スキーは山のふもとからはるか高いスタート地点を見上げる形になります。

 

そのため、試合全体の様子が見えづらく、選手の情報を詳しく知ることがなかなか難しいのが現状です。この大会では、大会やレースに関する情報や、選手の詳細情報などをインターネットを通じて観客に提供するサービスを実施しました。皆川氏は、「お客さんからも良い反応があり、インターネットの活用は非常によかったと感じる」と当時のことを振り返りました。

 

課題を解決するために、テクノロジーがどう活躍するのか?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑楽天 グローバルデータ統括部 データインテリジェンスマネジメントグループ・楽天野球団 事業企画部 杉浦和代氏(左)、ユーフォリア 代表取締役 宮田誠氏(中央)、ITジャーナリスト 井上晃氏(右)

 

第2部では、ITのエキスパートである3名のパネリストが、スポーツにおけるITの活用事例を紹介しました。

 

楽天からの提案-アプリを使ってファンも団体も盛り上げる

 

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楽天の杉浦氏は、スポーツを興行化するうえでのキャッシュレス決済の普及の重要さなどを述べました。東北楽天ゴールデンイーグルス専用球場の「Koboパーク宮城」では、グッズやスタジアム内でのドリンク購入の際に、売店での決済方法としてクレジットカードやEdy、楽天ポイントなどが利用できます。キャッシュレス化により、現金でのやりとりが減り効率的になっています。

 

また、ファンクラブと楽天IDのデータベースを連携することで、利用者はアプリで球場にチェックインをしたり、楽天市場で応援グッズを買ったり、映画やアニメなどが視聴できる動画配信サービス「Rakuten TV」で試合のハイライトを観たりと、さまざまなコンテンツにアクセスしやすくなります。

 

そのほか、試合の映像や試合予想ゲーム、選手の情報、スタジアムでの出前サービスなどを利用できるアプリ提供なども、スポーツを興行化するための大事なツールだと杉浦氏は述べました。

 

ユーフォリアからの提案―スポーツをデータ化する

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スポーツ領域におけるITソリューションを提供するユーフォリアの代表取締役である宮田氏は、選手育成の観点からスノースポーツの盛り上げを提案しました。

 

ユーフォリアでは、アスリート向けの体調管理システム「ONE TAP SPORTS」を提供しており、ラグビー日本代表を筆頭にバレーボール、テニスなどさまざまなスポーツで250以上のチームに導入されています。このシステムは、スマホやパソコンなどから利用できるクラウド上のソフトウェアで、選手のコンディションやトレーニング、食事データの管理などを行います。

 

選手のアクティビティやコンディション、結果をデータ化することで、良い結果を生み出すフローができあがるとのこと。「客観的なデータだけでなく、体調や睡眠の質などアスリートの主観的なデータも収集することが大事」(宮田氏)とスポーツをデータ化する重要性を解説しました。

 

ITジャーナリストからの提案―Apple Watchでキャッシュレス化に貢献

 

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最近では、ウェアラブル製品に対する関心が高まり、スポーツへのウェアラブル製品の導入が盛り上がっています。特に、スマートウォッチはランニングや水泳時に身に付けながら運動量の把握や目標の設定ができ、スポーツと相性が良好。なかでも、連絡手段としても使えるApple Watchは、一石二鳥なITデバイスです。井上氏は、このApple Watchを活かすことで得られるメリットを3つ提案しました。

 

まずは連絡手段としての活用。最新のApple Watch series 3には、通話・通信モバイル機能が搭載されているため、スマホを持たずにApple Watchだけで通話やメッセージの送受信ができます。スキーやスノボで滑っている間に家族や友人とはぐれてしまったというときにも、慌てず連絡が取れます。スマホを取り出して操作する必要もなくなるため、リフトからスマホを落とす心配もありません。

 

また、ウィンタースポーツに特化したアプリでモチベーションをアップすることもできます。滑走時の移動距離や最高速度、消費カロリーなどを記録したり、その数値を友人と競いあったりと楽しみ方はさまざまです。

 

Apple Watchは皆川氏が最も期待する”キャッシュレス化”にも貢献します。スマホをかざすだけで支払いができるサービス「Apple Pay」を使えば利用者は現金を持ち歩く手間が省け、スマートに支払いができます。一方、店舗側は売り上げ状況の確認や分析が簡単にできるPOSレジアプリの「Airレジ」を使うことで、顧客や売上の管理がしやすくなるメリットがあります。

 

現在、紙のリフト券を販売しているスキー場は数多くあります。そこで、決済と同じようにApple Watchをかざすだけでゲートを通るシステムが開発されれば、将来的にはリフト券のチケットレス化を実現できる可能性もあります。

 

一見、テクノロジーとは無縁と思えるスキー産業。しかし、今後生き残っていくためには、スキーに限らずどの分野でもITの力は必要になることでしょう。