“仕事は全部選んでる!” 50年目のハローキティが世界130カ国で愛される理由

「ハローキティ」。日本に数あるキャラクターのなかでも、その代表格として、国内だけでなく世界中で愛される存在です。1974年に誕生し、2024年で50周年を迎えました。

 

50年の歴史を振り返りながら、幅広い世代から支持され続けるその魅力について、株式会社サンリオでハローキティ50周年のPRを担当する山本淳美さんにお話をうかがいました。

 

ハローキティ50周年仕様のエントランスでお出迎え。

 

エントランスの装飾は、山本さんが企画をしたそう。

 

女の子の永遠の憧れ
「ハローキティ」とは?

まずはハローキティがどんなキャラクターなのか、おさらいしておきましょう。

 

プロフィール

名前=キティ・ホワイト
誕生日=11月1日
生まれた場所=イギリス・ロンドンの郊外
明るくてやさしい女のコ。身長はりんご5個分、体重はりんご3個分。趣味はクッキーづくりやピアノを弾くことで、ピアニストか詩人になることが夢。家族はパパとママと、双子の妹ミミィ。好きな食べものはママが作ったアップルパイ。

 

プロフィールを見ると、“女の子”が憧れる要素がぎゅっと詰まったキャラクターであることがわかります。りんごで身長と体重を表現するところも、とってもキュート。子どもの頃、りんごを積み上げて、「キティちゃんはこれくらいかな」とイメージしていた人もいるのでは?

 

ハローキティ誕生の秘密!
1970~1980年代を振り返る

ハローキティが生まれたのは1974年。最初の商品が発売された時は、まだ名前がなかったといいます。

 

「ハローキティの最初の商品は、『プチパース』という小さなビニール製の小銭入れでした。ほかにもいくつかデザインがあるなかで、そのかわいらしさから大人気となり、売り上げも一番だったそうです。

人気が出たことから、名前をつけることになりました。名前のモデルにしたのが、ルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』に登場するキティというネコ。そこにハローをつけて、『ハローキティ』となったのです」(株式会社サンリオ・山本淳美さん、以下同)

 

サンリオは創業当時からギフト商品を扱っていました。ハローキティも誕生後は、ギフト商品を中心にグッズ展開をしていきます。

 

「サンリオは『スモールギフト、ビッグスマイル』をスローガンに掲げ、『小さくてかわいい、贈って笑顔になれるもの』を販売していました。プチパースはそのスモールギフトのうちの一つでした」

 

当時発売されたプチパース。キティちゃんの上には「Hello!」の文字が。この頃は手書きでデザインされていました。

 

「1980年代に入ると、贈り物だけでなく、電話やドライヤー、カメラといった日用家電も販売するようになっていきました」

 

キティちゃんの家電グッズ。「見たことある!」という人もいるのでは?

 

1990年代は女子高校生を中心に
“キティラー”が続出!

1980年代後半~1990年代には、ファッショントレンドを意識したグッズ展開を開始します。

 

「1980年代後半は、ファッショントレンドとしてモノトーンやタータンチェックが流行った時期。ハローキティもそれに合わせたデザインが生まれました」

 

ちょっぴり大人な雰囲気のモノクロキティは、1987年にデザインされたもの。

 

その後もファッショントレンドをデザインに取り入れていき、1996年にハイビスカスを付けたハローキティが登場。結果、当時の女子高校生を中心にキティグッズの大流行が起こり、「キティラー」という言葉も生まれました。サンリオのキャラクターが若者のあいだで流行ったのは初めてだったといいます。

 

「入園・入学や進級のタイミングでキャラクターグッズのペンケースやノート、お弁当箱や水筒などを買ってもらって、そのキャラクターと一緒に育った、という方は少なくないと思います。
ですが、次第にキャラクターものを卒業する時期がやってきます。『自分が小さい頃に持っていたものは子どもっぽい』と思うようになる方もいたと思います。中高生になり、キャラクターものを卒業した後はファッションブランドなどのアイテムを持ち始めるという流れもあったなかで、当時のハローキティが『ファッショントレンド』を意識した商品開発をしていたことが、女子高校生や、その上の世代に支持された要因の一つだと考えています。『大人が持ってもかわいくて今っぽい』と思っていただけたのかなと」

 

ハイビスカスをつけたキティちゃん。30代~40代なら「懐かしい!」と感じるはず。

 

当時、たくさんの女子高校生がサンリオショップを訪れ、グッズを購入したり、ショップ内にあるハローキティのプリクラで撮影したりしていたそうです。また、携帯電話が一般に普及し始めていた時代ということで、携帯電話の関連グッズが大人気だったとか。

 

2000年代からは世界に進出!
海外ブランドやセレブたちが火付け役に

2000年代に入ると、キャラクター×キャラクターや、キャラクター×ブランドのコラボが盛んに。この頃から海外でもハローキティ人気が高まりました。

 

「2005年に、台湾のエバー航空とのコラボレーションで、ハローキティジェットが就航しました。航空機にハローキティが大きくプリントされたことが、海外への認知度拡大に一役買ったのかなと思っています。
ほかにもスワロフスキーなど、ワールドワイドに展開するブランドとのコラボ商品が生まれました。日本だけでなく海外で販売されたことも、世界的に人気が広がる要因だったと感じています。同じく2000年代以降、海外セレブたちがハローキティグッズを身に付け、その様子がメディアで報じられるという流れが起こったことも印象的な出来事でした」

 

今では130の国と地域で、年間約5万種類もの商品が展開されているといいます。イギリスでは英兵スタイル、ハワイでは日焼けしたデザインなど、それぞれの国を感じさせるハローキティグッズも。海外旅行の際は、その国や地域のハローキティグッズを探してみるのも楽しいですね。

 

かわいいのにどこかシュール?
ハローキティの変身スタイル

海外限定のハローキティもありますが、国内でも“ご当地キティ”を旅行先の至る所で見かけますよね。なかには山梨名物のほうとうから顔を出していたり、熊本の阿蘇山を背負っていたり……。一部のファンのあいだでは「キティちゃんは仕事を選ばない」なんて声も!? かわいいけれどどこかシュールなところに、大人も心を動かされるのかもしれません。

 

ハローキティは、いつからさまざまなものに“変身”するようになったのでしょうか?

 

「初めてハローキティが変身したものは、実は『ハチ』なんです(笑)。きっかけは、ハローキティの担当デザイナーがファンに向けてサイン会を行っていたときです。あるファンの女の子から『キティちゃんはハチになったらかわいいと思う』と言われたそうで。そこからハチになったハローキティをデザインしてみよう、ということで1998年に誕生しました」

 

ファンの声から生まれた、初めての変身キティ。ハチスタイル、たしかにとっても似合う!

 

「ほかのキャラクターだったらやらないようなデザインに変身するなど、常に新しいことにチャレンジし続けるのがハローキティかなと思います。多様なコラボレーションをして、みんなを驚かせたり、アップデートし続けたりするのが、ハローキティの魅力ですね。
サンリオのキャラクターたちは『みんななかよく』という言葉を届け、人と人とを繋ぐために生まれてきています。そのなかでもハローキティは、自身の活動やチャレンジを通して、『世界中のみんなとなかよくなりたい。みんなの笑顔が見たい』というメッセージを届け続けているんです。サンリオそのものが大切にしているメッセージを、ハローキティがたくさんの人に届けてくれています」

 

「キティちゃんは仕事を選ばない」という声に対し、「過去にキティ自身が「むしろ全部“選んで”る」と言っていましたよ(笑)」と山本さん。

 

過去も未来も想像できる
50周年のロゴをデザイン

50周年アニバーサリーのロゴは、赤いリボンに青のオーバーオールを着た、いつもの見慣れたハローキティのスタイルで描かれています。このデザインにした意図は?

 

「ハローキティ50周年アニバーサリー」の特設サイトでは、キティちゃんからのメッセージと共に、未来を予感させるキービジュアルを公開しています。

 

「デザイナーによると、『1人1人が抱いているハローキティ像はきっとさまざま。そのなかで、ポップカルチャーのアイコンとしてのハローキティを表すために、オーソドックスなデザインを選んだ』とのことでした。
このロゴマークを見たときに、例えばおばあちゃんにぬいぐるみを買ってもらったなという過去のハローキティとの記憶を思い出したり、これから先の未来に、自分の子どもにグッズを買ってあげたいなと思ったり……。キティとの思い出や未来を思い浮かべていただくきっかけになればうれしいですね」

 

サンリオのキャラクターたちも、キティちゃんになりきって50周年をお祝い!

 

また2024年は、50周年アニバーサリーを記念してさまざまなイベントを開催!

 

・全国のサンリオショップをキティが“巡業”?

 

50周年アニバーサリーイヤースタートとともに、ハローキティがファンに直接会うため、日本全国のサンリオショップ100店舗を回るチャレンジ企画。めざせ100店舗! だいすきなみんなに会いにいくよ!『ハローキティ50周年全国ツアー』

 

「『アニバーサリーイヤーに改めてありがとうを伝えたい』というキティの思いから、キティとお友達との出会いの原点でもあるサンリオショップを回ることを企画しました。グリーティングや撮影会、館内をキティが練り歩くなど、各ショップにより内容はさまざまです」

 

・ハローキティが「MAISONdes」に入居し楽曲をコラボ

“どこかにある六畳半アパートの、各部屋の住人の歌”をコンセプトに、楽曲ごとに「歌い手」「作り手」を替えて発表し、Z世代に絶大な人気を誇る「MAISONdes(メゾン・デ)」。音楽配信サービスでのストリーミング総再生回数6億回、SNSでの楽曲総再生回数50億回を超える、今もっとも注目されている音楽プロジェクトです。今回、なんとハローキティが新たな入居者に!

 

「3月22日に、キティがMAISONdes の1101号室へ入居し、新曲をリリースしました。作詞・作曲はトラックメイカーである原口沙輔さんが担当。ポップコーンの歌でお馴染みの『ハローキティ』をサンプリングした楽曲をお届けしますよ」

 

一度聴いたら耳に残る、あのポップコーンの歌が新鮮に響きます。

50周年となる2024年は、ほかにもさまざまなイベントが企画されているそう。そのほか、今しかゲットできないグッズもたくさん販売されています。昔好きだったという人も、今も大好きという人も、キティちゃんとの思い出に浸りながら、50周年をお祝いしてみてくださいね。

 

ハローキティ50周年アニバーサリーイヤー特設サイト

©’24 SANRIO 著作(株)サンリオ

連載開始から50年…手塚プロ社長が語る『ブラック・ジャック』の魅力と誕生秘話

言わずと知れた、手塚治虫氏による医療マンガの金字塔『ブラック・ジャック』。週刊少年チャンピオンで1973年に連載を開始してから、2023年で50周年となります。これに合わせ、10月6日(金)から11月6日(月)まで、六本木ヒルズ森タワー52階・東京シティビューで史上最大規模の展覧会「手塚治虫 ブラック・ジャック展」が開催中です。

 

原作の魅力をたっぷり感じることができる展覧会の開催を機に、名作『ブラック・ジャック』の魅力について、手塚プロダクション社長の松谷孝征さんにインタビュー。手塚治虫氏のマネージャーを務めていた当時の裏話や同氏が作品に込める思いなどを伺いました。

※手塚治虫の「塚」は旧字体。

 

5回の連載から代表作に。
『ブラック・ジャック』誕生の背景

『ブラック・ジャック』は、無免許の天才外科医ブラック・ジャックを主人公に繰り広げられる医療ドラマです。医療を軸に、生と死、命の尊さについて考えさせられる多種多様なストーリーが1話完結型(一部例外あり)で描かれ、今なお多くの医療関係者からリスペクトされています。

 

そんな同作品が連載を開始したのは、今から50年前の1973年。当初は長期連載ではなく、短期間の読み切り作品として終了する予定だったそうです。松谷さんが手塚プロダクションに入社したのも1973年のこと。連載当初の裏話を語っていただきました。

 

©Tezuka Productions

 

「連載が始まった1973年は、アニメーション制作会社の『株式会社虫プロダクション』と、版権や出版関係を扱っていた『虫プロ商事株式会社」の2つ会社が倒産した、手塚治虫にとって大変な時期でした。ちょうど会社のごたごたが収まりかけた秋口に、『週刊少年チャンピオン』の編集長から連載のオファーが来ました。それが、『ブラック・ジャック』の始まりです。最初は長期連載ではなく、1話完結型の話を5週やってみませんかという依頼で始まった作品でした。しかし、2~3週もすると、人気が跳ね上がっていったんです。結局その後も連載が続き、『ブラック・ジャック』は手塚治虫の代表作のひとつとなりました」(手塚プロダクション社長・松谷孝征さん、以下同)

 

経営破綻を報じる当時の新聞記事。展覧会では、漫画家・手塚治虫氏が逆境のなかにあった姿も伝えている。※展覧会の展示物より

 

借金を抱え、大変な時期でもあった手塚氏。しかし、落ち込む様子も見せず、漫画に打ち込む氏の姿がそこにあったといいます。

 

「2つの会社が倒産した後だったこともあり、先生にとっては逆にすっきりしたのかもしれませんね。とくに1972年~1973年頃は、以前より漫画を描いていない時期でもあったので、『漫画を書きたい』という思いがとりわけ強かったのだと思います」

 

東京・高田馬場にある、現在の手塚プロダクション本社。アトムの看板が出迎えてくれる。

 

約20ページで、
命の尊さ、医療の意義を問うストーリー

 

5回の短期連載で始まった『ブラック・ジャック』は、その後5年間にわたって連載が続き、連載終了後も14話の読み切り作品が発表されています。同作の魅力を、松谷さんに伺いました。

「絵柄も魅力ですが、なによりストーリーが素晴らしいと思います。週刊誌で約20ページの1話読み切りだから読みやすいんです。時として次の週まで続く話もありましたが、基本的には1話で終わるので前の号を読まなくてもストーリーに入り込める、というのは人気のひとつだと思いますね」

 

『ブラック・ジャック』第1話「医者はどこだ!」から、読者の前に初めて姿を現したシーン。※展覧会の展示物より
©Tezuka Productions

 

200話以上もあるエピソードには、どれも「命の尊さ」や「医療とはなにか」といったテーマが盛り込まれ、今なお私たちの心を揺さぶるものばかりです。なかでも松谷さんが印象に残っている話として挙げるのは、ブラック・ジャックが人も動物も、命は平等であるという問いを投げかけた『オペの順番』というエピソードです。

 

第241話『オペの順番』は、船の上で同時に怪我をしたヤマネコ、赤ん坊、代議士の誰からオペをすべきかをブラック・ジャックが判断するというストーリー。お金を持っている代議士は、『多額の謝礼金を支払うから優先的に手術しろ』と要求するのですが、ブラック・ジャックは症状の重い順に、ヤマネコ、赤ん坊、代議士の順にオペを行います。

 

「この話では、権力に対する忖度やお金があるから優先ということではなく、何より『命を助ける』ということが重要だと伝えたかったのだと思います。また、戦争を経験した手塚先生は、『ブラック・ジャック』以外の作品でも戦争の悲惨さや命、平和の大切さを訴えていました。人も動物も植物も、すべて命ある尊い生き物であると考えていたからこそのエピソードだと感じます」

 

『ブラック・ジャック』第241話「オペの順番」より。動物も人も同じ命であると考え、ヤマネコを懸命に治療するブラック・ジャックの姿が見受けられる。※展覧会の展示物より
©Tezuka Productions

 

他にも、「せっかく治療したのにその患者がそのあとすぐに死刑になってしまうエピソード(『ブラック・ジャック』第5話「二度死んだ少年」)や、『医者は何のためにあるんだ』(『ブラック・ジャック』第51話「ちぢむ!!」)という有名なシーンも印象に残っています」と松谷さん。こうした医療や医師の意義を問うエピソードも多い『ブラック・ジャック』。作品を通してあらためて“医療とは何か”という根本的な問いに向き合い、考えるきっかけにもなるはずです。

 

『ブラック・ジャック』第18話「二度死んだ少年」より。瀕死の殺人犯をブラック・ジャックが助けるも、その後死刑宣告をされてしまうというエピソード。「死刑にするために助けたんじゃない」という悲痛な叫びから、医療のあり方を考えさせられる。 ※展覧会の展示物より。 ©Tezuka Productions

 

作品を盛り上げる、魅力あふれるキャラクター

 

主人公の天才外科医ブラック・ジャックはもちろん、ブラック・ジャックの奥さん兼助手を務める自称18歳の女の子ピノコや、安楽死を専門とするドクター・キリコなど、『ブラック・ジャック』には魅力あふれるキャラクターが登場します。そうしたキャラクター達も作品の魅力だと、松谷さんは語ります。

 

©Tezuka Productions

 

「私が一番好きなキャラクターは、やはりピノコです。かわいらしくて、息抜きにもなりますよね。とあるエピソードで、ブラック・ジャックが寝ているピノコを起こさないように家を出ようとするのですが、扉を開けたらピノコがカバンを『はい』と渡すシーンがありまして。かわいらしさだけでなく、ピノコの献身的なやさしさにはとても惹かれます」

 

『ブラック・ジャック』第13話「ピノコ愛してる」より。ピノコのひたむきな愛情と、ブラック・ジャックとの絆を感じるエピソードだ。 ※展覧会の展示物より。
©Tezuka Productions

 

主人公ブラック・ジャックについても聞いてみたところ、連載当初松谷さんは、大人の「医者」が主人公ということに驚いたそうです。

 

「ブラック・ジャックは、莫大な手術費用を請求するというようなダークな一面も持っていますが、きちんと自分の正義を根底に持っていて、かっこいい主人公だなと思います。しかし、それまで少年誌といえば、格闘技や柔道などの熱血物が人気なイメージでしたので、主人公が大人の医者ということに当初は驚きました。自身が医学博士だったこともあると思いますが、先生が作品を通して子どもたちに『命の尊さ』を伝えるには、医者がぴったりだと考えたんでしょうね」

 

「自分が納得いかないものは、描き直す」
手塚治虫の漫画に向き合う姿勢

 

ストーリーやキャラクター以外で『ブラック・ジャック』を読む際に注目してほしい点について聞いてみたところ、「手塚治虫がこの話を通して何を子どもたちに伝えたかったのか、その裏側に込めた思いに注目してほしい」と、松谷さん。その熱意を感じる手塚氏のエピソードを語ってくださいました。

 

 

「ある時、あと1ページで完成するという状況で、手塚先生がアシスタントに『今回の話どうでしたか?』と問いかけたことがあります。アシスタントの1人が『イマイチですね』と答えると、『8時間ください』と言い残し、自分の部屋にこもってしまったんです。それが夜の12時。担当の編集者、印刷会社、写植屋を待たせている状況だったのですが、そこから8時間で20ページすべてを描き直したというエピソードが残っています。

 

手塚先生は、よく、『漫画は子どもたちが見るものだからこそ、自分で満足いかないようなものを出すわけにはいかない』と語っていました。だからこそ、あと1ページで仕上がるという状況であっても、誠心誠意漫画に向き合う姿勢を崩さなかったのだと思います」

 

手塚治虫作品が時代を超えて愛される理由

 

『ブラック・ジャック』はもちろん、手塚治虫の作品は今なお多くの人々に愛され、読み継がれています。長く親しまれる理由を、松谷さんも身をもって実感したことがあるのだとか。

 

「手塚プロダクションに入社する前、私は出版社で漫画雑誌のグラビアや読み物ページを担当していました。そんななか、1972年にとあるきかっけで手塚治虫の担当になってしまったんです。子どものころは『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』といった作品を親しんでいたのですが、担当になったころはほとんど手塚先生の作品を読んでいませんでしたね。

 

担当として2ヵ月半ほど手塚先生の仕事場に泊まり込むようになったころ、手塚作品を読み直してみたんです。その時、子どもたちに伝えたかった強いメッセージに気づき、あらためて手塚治虫のすごさを実感しました。手塚治虫作品は、戦争の悲惨さ、命の尊さ、平和の大切さといった、いつの時代にも通ずる普遍のテーマが込められており、手塚先生はそれらを子どもたちへ伝えなくてはならないという使命感を持っていたのでしょうね。どんな時代にも変わらない良さがあり、読み返す度に新しい発見や感動を得ることができる。それが手塚治虫作品の魅力だと思います。

 

手塚プロダクションはこれからも、手塚先生が生涯をかけて訴え続けてきたメッセージを世界中の子どもたちへ届けていきたいと考えています」

 

500点を超える原画が登場する
『手塚治虫 ブラック・ジャック展』

 

©Tezuka Productions

 

10月6日(金)から11月6日(月)まで、六本木ヒルズ森タワー52階・東京シティビューで開催されている『手塚治虫 ブラック・ジャック展』は、松谷さんが語る『ブラック・ジャック』の作品の魅力だけでなく、手塚氏が子どもたちへ伝えたかった思いを存分に感じることができる貴重な展覧会です。

展示される原画は531点。200以上のエピソードを取り上げ、多種多様なストーリーの世界を余すことなく体感しながら、『ブラック・ジャック』のあらたな魅力を発見できる内容となっています。

ブラック・ジャックとピノコが過ごした家を再現したフォトスポットや豪華ラインナップのグッズなど、ファンにはたまらない要素も盛りだくさん。50周年というこの機会に、『ブラック・ジャック』の魅力に浸ってみてはいかがでしょうか。

 

©Tezuka Productions

 

『手塚治虫 ブラック・ジャック展』

・会期:2023年10月6日(金)~2023年11月6日(月)
・開館時間:10:00-22:00(最終入館21:00)
・会場:東京シティビュー(東京都港区六本木 6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階)
・入館料:一般<平日 2,300円・土日祝 2,500円>
学生(高校・大学生)<平日 1,700円・土日祝 1,800円>
子ども(4歳~中学生)<平日 900円・土日祝 1,000円>
シニア(65歳以上)<平日 2,000円・土日祝 2,200円>
※料金はすべて税込です。
※障がい者手帳をお持ちの方(介助者1名まで)は無料です。
※本展は事前予約制(日時指定券)を導入しています。

 

Profile

手塚プロダクション 社長 / 松谷孝征

1944年横浜生まれ。実業之日本社で手塚治虫の担当編集者を務めた後、マネージャーとしてスカウトされ、1973年に株式会社手塚プロダクション入社。1985年4月に、同社代表取締役社長に就任。『火の鳥』『ジャングル大帝』等、プロデューサーとして数多くの手塚治虫原作アニメーション制作に携わり、現在に至る。

レトロブームで躍動!「モンチッチ」が50年も日本と世界で長生きしている理由

1974年の発売当初から日本で大ブームを巻き起こし、その人気が海外へと広がっていったモンチッチ。2023年の今なお世界で愛され続け、いよいよ2024年には “50歳” を迎えます。なぜモンチッチはこれほど人気者なのか?___誕生した背景から隠された魅力、そして今若者の間でどのように受け入れられているかまで、モンチッチを生み出した玩具メーカー、セキグチを直撃し、解き明かします。

 

「まったく新しい人形」として受け入れられたモンチッチ

↑発売当初のモンチッチ。「製造が難しいこともあり、実は今でもモンチッチ以外で、ボディはぬいぐるみ、顔と手足はソフトビニールで作られている商品はあまり見かけません」

 

モンチッチは、1974年にセキグチから発売。ボディはぬいぐるみ、顔と手足はソフトビニールで作られている点が「今までにない」と話題になり、たちまちブームになったといいます。ヒットの要因となった “新しさ” はどのようにして生まれたのか、まずはモンチッチ誕生の背景に迫ります。明かしてくれるのは、株式会社セキグチ マーケティング部 シニアマネージャーとして、モンチッチのコラボレーション企画やライセンス業務、広報など、モンチッチに関わる業務を担当している幡野友紀さんです。

 

「セキグチは1918年に創業し、昔からソフトビニールを使った人形の製造販売を行ってきました。そんな当社がぬいぐるみにチャレンジし始めたのは、1960年代の後半ごろ。当時から人形を海外にも輸出していたのですが、世界に幅広く展開していくためには、人形だけでなく、動物やかわいらしいキャラクターのぬいぐるみにもチャレンジしたほうが良いのでは、と考えたことがきっかけでした」(幡野さん、以下同)

 

とはいえ、最初は苦労も多かったのだとか。

 

「人形とぬいぐるみは作り方がまったく異なるため、最初は苦労することも多かったようです。その状況を打破するきっかけになったのが、現・会長が当時のヨーロッパで見かけたというぬいぐるみ。しっかりとした型紙で作られていない、クタッとしたぬいぐるみのかわいらしさに感銘を受けたのだそうです。その後、当社でもそれをヒントにぬいぐるみ作りが行われるようになりました。しかし、ぬいぐるみの “表情” を作ることはどうしても難しかったため、当社がこれまで人形の会社として培ってきた技術を活かして顔はソフトビニールで作ることに。そして1972年に、ボディはぬいぐるみ、顔と手足はソフトビニールで作られた『くたくたシリーズ』が誕生しました。これがモンチッチの前身となるぬいぐるみです」

↑1972年に誕生した「くたくたモンキー」

 

『くたくたシリーズ』の翌年に発売した『マドモアゼル ジェジェ』も、モンチッチの誕生を語る上で欠かせない存在。

 

「ジェジェは、ソフトビニールで作った人形で、表情の愛らしさはもちろん、指しゃぶりをしているところがかわいいと評判になりました。指しゃぶりの仕草を取り入れたのは、当時女性が外に働きに出ることが増え始め、『お母さんを待っている間に指しゃぶりをする子どもが増えた』と言われていたから。こうした社会的な背景を取り入れたところも、人気の理由の一つになっているのではないでしょうか」

↑1973年に誕生した「マドモアゼル ジェジェ」

 

「そして1974年、赤ちゃんをイメージした新たな『くたくたシリーズ』を作る際に、ジェジェの指しゃぶりの仕草をヒントにして誕生したのがモンチッチです。フランス語で『私の』を意味する『モン』と『小さくてかわいいもの』を意味する『プチ』、またモンキーのモンとおしゃぶりをチュウチュウ吸っているところから、『モンチッチ』と名付けられました

↑クマ、タヌタヌ、チムたん、チャムは、「くたくたシリーズ」の時からいるキャラクター。現在も「モンチッチフレンズ」としてグッズなどを展開している

 

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海外でも人気者に! モンチッチが愛される理由とは?

↑リニューアルを経た、現在のモンチッチ

 

モンチッチは国内での発売後、海外にも輸出され、世界中で人気者になりました。そんなモンチッチの特徴の一つが、詳細なプロフィールが作られていないこと。その理由について、幡野さんに伺いました。

 

「ぬいぐるみはたとえ量産品であっても、自分の家に迎えた一体に名前をつけたりかわいがったりしていくうちに、替えのきかない存在になっていきますよね。モンチッチも、手にした方それぞれに自由にかわいがってもらいたいという思いから、詳細なプロフィールは決めていないんです」

 

さらに、モンチッチが長年愛されてきた背景には、時代やトレンドにあわせて少しずつアップデートしてきたことがあるのだとか。

 

「モンチッチはこれまで大きなリニューアルを2回行っています。1回目は1985年で、それまでブルーだった目の色を茶色に変えました。当社ではもともと西洋的な人形を作っていたためモンチッチもブルーアイだったのですが、日本生まれだということがより伝わる茶色にしようと考えたことが、変更した主な理由です。

 

2回目は2016年で、時代やトレンドに合わせたビジュアルへと進化しました。例えば今の若者たちにも受け入れてもらいやすいよう、肌の色を赤みをおさえたナチュラルな色に調整しています。また、ぬいぐるみの生地もトレンドにあわせて変更。現在は柔らかくてふわふわした触り心地のぬいぐるみが人気になっているため、硬めの手触りだったモンチッチも、洋服を着せられるくらいの硬さは残しつつ、触ったときになめらかさを感じられるようアップデートしました」

 

イベントやコラボ企画を通して、モンチッチと出会うためのきっかけをつくる

時代やトレンドに合わせて進化してきたモンチッチは、これまでさまざまなイベントやコラボ企画なども実施してきました。とくに代表的・特徴的なものを幡野さんに聞きました。

 

「モンチッチの歴史の中でも大きな挑戦だったのが、2010年にエアギターの日本大会に出場したこと。このときのことは、社内でも社外でも今なお語り継がれています(笑)。きっかけになったのは、モンチッチがたびたび売り場応援に行っていたお店で、エアギターのデモンストレーションイベントが開催されることになり、『モンチッチもやってみない?』と誘われたこと。迷いながらもステージに立ってみるとイベントは大いに盛り上がり、大会にも出場することになったんです。その後、モンチッチ自身が懸命にエアギターを練習した甲斐もあって、予選1位で日本大会に出場することができました。しかし世界大会への出場をかけて挑んだ日本大会は、1位と0.1ポイント差の準優勝という結果に……。私自身もすごく悔しかったのですが、エアギターに挑戦したことでモンチッチのパフォーマンスの幅が広がり、それ以降さまざまなイベントに参加するようになりました」

↑2010年エアギター日本大会決勝に出場したときの様子

 

「そのほか、さまざまなコラボレーション企画も行っています。例えば、2019年に実施したのが『男はつらいよ』とのコラボ。作品の舞台である葛飾は、セキグチがオフィスを構える場所でもあり、『葛飾柴又寅さん記念館』で、寅さんの衣装をまとった『寅チッチ』のグッズを販売したり、イベントを実施したりしました。また、ティーンズメディアとのコラボでは、女子高生たちと一緒に商品開発を行ったことも。女子高生たちのアイデアを取り入れた『JOLモンチッチ』を制作しました」

↑寅さんとコラボレーションした「寅チッチ」。©松竹 ©SEKIGUCHI

 

↑女子高生たちのアイデアを取り入れて生まれた「JOLモンチッチ」

 

モンチッチのイベントやコラボレーションで意識しているのは、あまり縛りを設けず前向きにやってみる、ということ。モンチッチはぬいぐるみ商品なので、商品自体を手に取ってもらえなくなると、モンチッチが存在していることを伝える手段がどんどん減ってきてしまうからなんです。実際、お客様のなかにはコラボレーショングッズを購入して、そこからスタンダードのモンチッチを好きになってくださった方もいらっしゃいます。さまざまな層にアプローチできるようなイベントやコラボレーションを行うことで、今後もモンチッチと出会うためのきっかけづくりを積極的に行っていきたいです」

 

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いよいよ50周年へ。 “レトロの象徴” を強みに、若者にもアプローチ!

2023年6月からスタートした、モンチッチの50周年プロジェクト。プロジェクトの具体的な内容や、若者を中心としたレトロブームとの親和性など、「モンチッチの今」について伺いました。

 

「2024年のモンチッチ50周年に向けて、今年6月に『株式会社モンチッチ』を設立し、『レトロで元気ッチ!プロジェクト』を発足しました。このプロジェクトは、 “レトロの象徴” であるモンチッチが、少子化や高齢化といった課題を抱える日本の地域・地方を元気にするために、全国のレトロ文化を支援しようというもの。第一弾として、6~7月に浅草でスタンプラリーを実施しました。今後もさまざまな場所でイベントを開催していく予定です」

↑浅草で実施された「レトロで元気ッチ!プロジェクト」の様子

 

「モンチッチは今の時代、『レトロを象徴する存在』『昭和を代表するおもちゃ』として捉えられることが多く、モンチッチを見た人からは必ずと言っていいほど『懐かしいね』と言われてきました。しかし、『懐かしい』という言葉にはポジティブな意味もある反面、『昔の方が良かった』『今の印象が薄い』という意味もあるような気がしていて……。今でも新たなグッズを販売し、さまざまなイベントやコラボ企画を実施している私たちからすると、昔のブームを追い越せていないのではと課題に感じていました。

 

しかしここ最近でレトロブームが到来し、昔のものが逆に新しくてかわいいと捉える人が若者を中心に増えていますよね。モンチッチがこれからも長く愛されるキャラクターでいるためには、若者への認知を広げていくことが不可欠なので、私たちは今の状況を大きなチャンスだと捉えています。そのため今は、50周年プロジェクトとしてレトロを全面に打ち出した企画を実施したり、レトロなテイストをグッズに取り入れたりと、 “レトロの象徴” であることを強みとして活かしていく方法を考えているところです。レトロは一過性のブームではなくカルチャーになりつつあると感じているので、今後もレトロが好きな層に向けたアプローチも続けていきます」

 

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モンチッチのおすすめグッズを紹介!

最後に、現在販売されているモンチッチのグッズの中から、幡野さんのおすすめをピックアップ、それぞれのおすすめポイントについても教えていただきました。

 

・50周年記念の第1弾

「レッツ!パレードモンチッチ」シリーズ
レッツ!パレード モンチッチ やわらかL 男の子 9680 円 (税込)
レッツ!パレード モンチッチ S 男の子/女の子 各3300 円 (税込)
レッツ!パレード ベビチッチ S 男の子/女の子 各3080 円 (税込)
レッツ!パレード モンチッチ 顔でかSSキーチェーン 男の子/女の子 各 2420 円 (税込)
レッツ!パレード モンチッチ マスコット 770 円 (税込)
レッツ!パレード モンチッチ ポーチ 1980 円 (税込)

「50周年記念の第1弾として販売しているシリーズ。『50周年の始まりを皆で行進して始めよう!』というイメージで、パレードのコスチュームを着たモンチッチや仲間たちのグッズを展開しています。ぬいぐるみのほかに、キーホルダーやポーチなども!」

 

・ポップなカラーリングとさらりとした肌触りが特徴

「モンチッチCOLORS キーチェーン」
左から、パープル・イエロー・ピンク
各1980 円 (税込)

「ポップなカラーリングとさらりとした肌触りが特徴の手のひらサイズのキーチェーンです。柔らかいボディなので、座らせることもできますよ。カラーは、パープル・イエロー・ピンクの3種類です」

・素材サイト『いらすとや』とコラボ

©Takashi Mifune ©SEKIGUCHI

「いらすとや×モンチッチ 顔でかSSキーチェーン」
(左から)うさぎ・いぬ・ねこ・くま
各2420円

「大人気の素材サイト『いらすとや』さんとコラボし、おなじみのキャラクターである、うさぎ・いぬ・ねこ・くまの着ぐるみを着たモンチッチのキーチェーンを展開しています。また、いらすとやさんに作画いただいたLINEスタンプも販売中です!」

 

50周年を迎え、さまざまなグッズが販売されたり、イベントが開催されたりと、盛り上がりを見せているモンチッチ。昔からのファンも新規のファンも、その魅力にあらためて触れてみてはどうでしょうか?

モンチッチ 公式サイト

グッズやグルメも大充実! 7つのポイントで楽しむUSJ「スーパー・ニンテンドー・ワールド」

1985年に誕生して以来、いまや国民的な人気を誇る、任天堂の「マリオ」シリーズ。2016年のリオデジャネイロオリンピック閉会式に、当時の安倍晋三首相がマリオのコスプレで登場して沸かせるなど、一ゲームを超え、キャラクターとしても全世界で愛されています。

 

生誕35周年となる2021年、構想から6年近くを経て、ついにユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に「スーパー・ニンテンドー・ワールド」がオープンしました。今回は、@Livingのスタッフがオープン前日&当日にUSJに乗り込み、エリアの様子から、ここだけで楽しめるグルメと多彩なグッズを、詳細にお伝えします。

オープンセレモニーの様子。マリオの生みの親、宮本茂氏や、合同会社ユー・エス・ジェイ社長CEO J.L.ボニエ氏も参加して盛り上げました。

 

1. エリアに入る前から満載の仕掛けを楽しむ

スーパー・ニンテンドー・ワールドは、USJ内「ウォーターワールド」の隣に位置します。エリア入り口まで進んでいく通路には、見覚えのあるハテナブロックや土管が!

 

↑マリオといえばハテナブロック。叩いたら何のアイテムが出てくるのかな? なんて、気分はすっかりマリオです

 

↑おなじみの緑の土管。効果音と共に、マリオやルイージが飛び出してきそう

 

足元に目を向けると、何やら数字が描かれています。マリオ関連のゲームをやったことがある人なら、このフォントに見覚えがあるはず。そう、スコアをあらわす数字です。歩いていると、時折コインをゲットしたときの音が聞こえてくるので、エリアに近づくにつれて、まるで自分がどんどんスコアをアップさせているかのよう。

 

↑200点ゲット。ここからどんどん点を重ねていきます

 

気分良く歩みを進めていると、途中から数字が変わりました。今度は何を意味しているのか考えていたら、スタッフの方が「スーパーマリオに関する重要な年月が記されているんですよ!」とコッソリ教えてくれました。なんでも、ゲームソフトの発売日などが記されているのだそう。コアなマリオファンが泣いて喜ぶ仕掛けです。

 

↑最後の数字は、スーパー・ニンテンドー・ワールドのグランドオープン日

 

粋な演出に、期待は高まる一方。そしてついに、エリアの入り口「スーパースター・プラザ」に到着です。

 

↑ロゴ、色づかい、そして土管……すべてがマリオの世界そのもの

 

↑土管から顔をのぞかせて「ハイポーズ」。絶好の記念撮影スポットなので、お見逃しなく

 

それではいざ、エリア内に進んでいきましょう。

 

2. 土管を通ってワープすると……眼前に広がる世界観を楽しむ

マリオの世界に欠かせないもののひとつが、先程の道中にもあった緑色の土管。エリアに入るには、この土管を通ってワープします。

 

↑ゲームでは描かれていない土管の内側の世界。任天堂&USJのクリエイティブチームによる、こだわりの演出です

 

さて、どこにつながっているのでしょうか? 土管を抜けるとそこは……ピーチ城のエントランスでした。

 

↑絵画は、見る角度によってあらわれる絵が変わります。ゲームファンならおなじみの、あの絵柄です

 

流れているBGMが「スーパーマリオ64」の音楽だったり、ゲーム内に登場する絵画が飾られていたり、扉にクッパからのメッセージが記されていたりと、細部まで凝りに凝った演出に感動です。

 

↑ピンクを基調とした気品あふれる外観は、麗しいピーチ姫にピッタリ

 

↑ピーチ姫を描いたステンドグラスにもぜひご注目を

 

↑運が良ければ、ピーチ姫に会えるスポットも

 

そして、ピーチ城を出てすぐ、目の前に広がるのは、まさしく「マリオの世界」そのもの。そのあまりの再現度には、鳥肌が立ったほど。

 

↑思わず「すごい……」と感嘆の声が漏れてしまった、スーパー・ニンテンドー・ワールドの全貌がこちら。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

↑巨大なパックンフラワー。これに食べられたら、ひとたまりもありません。ファイアフラワーをゲットして、ファイアボールを投げなきゃ!

 

↑最初に出会う敵キャラ、クリボーたちも愛しい。可愛すぎて踏み潰すのを躊躇してしまいます

 

↑高らかとそびえ立つマウント・ビーンホール。旗のてっぺんから滑り落ちて、高得点をゲットしたい

 

↑何度見てもキュートなスターたち。眺めているだけで無敵のパワーが湧いてきそう

 

↑可愛いキノコマークも、いたるところで発見できます

 

↑疲れたら、キノコの椅子でちょっと休憩を。こだわり抜いたディテールと世界観は、一見の価値ありです

 

3. 心躍るアクティビティの数々を楽しむ

ここからは、大興奮のアクティビティ&アトラクションの一部をご紹介していきましょう。まずは、このスーパー・ニンテンドー・ワールドをより楽しむために、パワーアップバンドを購入しておくことをおすすめします。

 

遊ぶ前にパワーアップバンドを手に入れよう

↑パワーアップバンドは、マリオ・ルイージ・ピーチ姫・デイジー・キノピオ・ヨッシーの全6種類。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

パワーアップバンドとは、エリア内でさまざまなチャレンジに参加できたり、あちこちに隠れているコインやスタンプを集めたりと、実際に自分が遊び回った結果がスコアとして残せるアイテムです。

 

↑パワーアップバンドをつけた腕でハテナブロックを叩くと、コインがたまります。アクティビティやアトラクションの結果もちゃんと残り、次回来たときにスコアを更新していける仕組み。何度来ても楽しめる、リピーターにうれしいシステムです

 

エリア入り口の「スーパースター・プラザ」内のカート、またはエリア内のカートにて購入できます。どのキャラクターになりきって楽しむか、迷ってしまいますね。

 

↑パワーアップバンドの裏に書かれているQRコードを読み込むだけで連携完了。キャラクターには、好きな名前をつけられます

 

さらに、パワーアップバンドをユニバーサル・スタジオ・ジャパン公式アプリと連携させると、その日に集めたスタンプやスコア、ランキングなどが確認できます。パークに行く前に、公式アプリをダウンロードしておくとスムーズです。

 

連鎖のタイミングを計算するのがコツ「ねらえ! ノコノコ・POWブロックパンチ」

↑タイミングをはかって、POWブロックをパンチ!

 

パワーアップバンドを装着したら、いよいよアクティビティに挑戦していきましょう。まずは、「ねらえ! ノコノコ・POWブロックパンチ」にチャレンジ。POWブロックをパンチして、うまく連鎖させると甲羅が上に飛び、土管の上で歩いているノコノコがひっくり返るというゲームです。

 

↑見事タイミングが合うと、このように甲羅が土管から飛び出してきます。このあとノコノコが可愛くひっくり返りました

 

アクティビティにチャレンジするときは、パワーアップバンドをMマークにかざすことを忘れずに。

 

絶対に起こしちゃダメ!「とめろ! パックンフラワー・アラームパニック」

↑あちこちでリンリン鳴り出す時計たちに、ついつい焦っちゃう……!

 

ランダムに鳴り出す12個の目覚まし時計を、時間内にすべて止める「とめろ! パックンフラワー・アラームパニック」。4人まで参加できるので、家族やお友達同士で協力しあって、眠っているパックンフラワーを起こさないように気をつけて。

 

チビマリオになった気分を味わえる「あつめろ! ボムへい・バラバラパズル」

↑何やら怪しげな雰囲気の地下ステージ

 

地下ステージでは、「あつめろ! ボムへい・バラバラパズル」に挑戦を。ここで注目は、ボムヘイの爆発によって、自分の体が小さくなっちゃう体験ができること。まさに、マリオからチビマリオになった感覚です。

 

↑さっきまで普通の大きさだったハテナブロックがこんなに巨大に! 思いきりジャンプしないと、パンチできない!(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

出口までに元の大きさに戻れるか、ハラハラドキドキの体験をぜひ。

 

いざ最後の戦いへ!「とりかえせゴールデンキノコ! クッパJr.ファイナルバトル」

今回ご紹介したもの以外にも、全部で5種類の楽しいアクティビティがあります。それぞれをクリアすると特別な鍵(キー)がもらえ、3つ揃えるとファイナルステージに挑戦できます。

↑体全身を使って、クッパJr.と戦おう!

 

最後の戦いは、クッパJr.の待つ「とりかえせゴールデンキノコ! クッパJr.ファイナルバトル」。敵キャラを両腕で払ったり、しゃがんで攻撃をかわしたりして、ステージクリアを目指します。自分の影をゲーム内のキャラクターに見立てて戦うなんて、新感覚で楽しすぎました。

 

↑全力で戦ってアイテムを手に入れ、ゴールデンキノコを奪い返そう!

 

4. マリオと一緒にレース! 念願の「マリオカート」を楽しむ

スーパー・ニンテンドー・ワールドには、2つのアトラクションがあります。そのうちのひとつが、まさに本エリアの目玉とも言える「マリオカート~クッパへの挑戦状~」。このアトラクションを心待ちにしていたという人も多いのではないでしょうか。

 

↑見るからに怖そうなクッパ城。あなたは一歩を踏み出す勇気がありますか!?

 

舞台となるのは、クッパ城の内部。勇気を振り絞って中に入ってみると……。

 

↑赤絨毯が敷かれた階段の上には、巨大なクッパ像。すごい迫力! でも、ここを通らないとカート乗り場には行かれません。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

クッパ城の中は、想像を遥かに超えた世界が繰り広げられています。何段降りたかわからないほど、地下深くまで続く階段。まわりを見渡せば、ゲームでおなじみのモニュメントが飾られていて、たとえ待ち時間が長くても飽きることなく過ごせそう。いえ、むしろ、どんどんと期待値が高まることでしょう。

 

↑とにかく広いクッパ城内部。もはやどこをどう歩いているのか見失うほど。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

↑マリオカート好きならピンとくるトロフィーの数々。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

↑クッパの書斎らしき部屋も通っていきます。本のタイトルまで凝ってる!(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

↑ピーチ姫の写真が飾られているあたり、クッパも可愛いところがありますね。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

ついに、カートに乗り込むときがやってきました。ヘッドバンドを装着し、ゴーグルをはめて準備万端です。ここから先は、体験した人だけのヒミツということで……。

 

↑ヘッドバンドはメガネをしている人でももちろん大丈夫。ですが、ヘッドバンドを強めに固定しておきましょう。レース中にメガネがずり落ちてくる危険を回避できますよ

 

ARやプロジェクションマッピング、空間演出などの最新技術が織りなすマリオカートの世界は、言葉を失うほどのクオリティですよ。

 

もうひとつのアトラクションは、小さな子どもでも乗車できる「ヨッシー・アドベンチャー」。おなじみヨッシーの背中に乗って、お宝探しの冒険に出発します。

 

憧れのヨッシーの背中に乗って冒険に出発!「ヨッシー・アドベンチャー」

↑ここから、可愛くて楽しい冒険が始まります。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

↑宝の地図。このどこかに、お宝やかわいいあの子たちの姿が……。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

↑何色のヨッシーに乗れるかも、ワクワクドキドキのお楽しみ

 

途中、エリア内が見渡せる絶景もあるようですよ。ぜひチェックしてみてくださいね。続いて、気になる「スーパー・ニンテンドー・ワールド」オリジナルのグルメとグッズを紹介します。

 

5. 見た目も味も格別!「キノピオ・カフェ」でグルメを楽しむ

↑コロンとした外観が可愛い「キノピオ・カフェ」。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

スーパー・ニンテンドー・ワールドには、魅力的なグルメもいっぱい。エリア内にある「キノピオ・カフェ」では、世界でここにしかいないキノピオシェフがつくる料理がいただけます。働き者のキノピオたちが一生懸命つくってくれたお料理は、どれも絶品。なんと、ドリンクに使う氷までキノピオたちが作ってくれているなんて、想像しただけで、きゅんです!

 

↑入り口近くで、キノピオシェフがお出迎え。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

↑ドリンクで使う氷を作るキノピオたちの様子も覗けます。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

↑カフェの中は、キノコをモチーフにしたキュートすぎるデザイン。天井も要チェック。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

マリオやルイージなど、各キャラクターをイメージしたメニューは、どれも完璧な再現度。さらに、味も最高です。食べれば一気にパワーアップしちゃうこと間違いなし!

 

↑どれもおいしそうで、迷ってしまいます

 

↑肉のジューシーさがたまらない「マリオ・バーガー~ベーコン&チーズ~」(2000円)。マリオのピックはお持ち帰りOK!

 

↑グリーンカレーの風味が新鮮&絶品「ルイージ・バーガー~グリーンカレー・チキン~」(2000円)。ルイージのピックもぜひ持ち帰って

 

↑野菜とチーズでパックンフラワーを再現した「パックンフラワー・カプレーゼ」(1300円)。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

↑中のアイテムは全3種類。何が出るかはお楽しみ!「ハテナブロック・ティラミス」(700円)

 

↑シュワッと爽やか! 色とりどりのゼリーもおいしい「スパースター・レモンスカッシュ」(600円)

 

お腹も心も満たされたら、もう一度エリア内を駆け巡りましょう!

 

6. 大人買い必至!“可愛い”が大渋滞した「オリジナルグッズ」を楽しむ

↑入り口やレジは、土管をイメージ。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

アトラクション、グルメときたら、忘れてはいけないのがオリジナルグッズ。キノピオが作った工場「ワンナップ・ファクトリー」内に所狭しと並んでいるグッズたちは、どれもデザイン性が高く、全部欲しくなってしまうほどのクオリティです。

 

↑マリオと仲間たちのグッズがいっぱい。思わず目移りしてしまいます。(写真提供=ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 

気になるグッズがたくさんある中から、おすすめをピックアップしてみました。気になるものはありますか?

 

↑「スーパースター・ポップコーンバケツ」。バケツ内のボタンを押すと、スターが光ります

 

↑「1UPキノコのドリンクボトル」。このボトルでドリンクを飲めば、1UPも2UPもしちゃう!?

 

↑「ファンシーボックス・クッキー」はキノコ型のボックスに入ったクッキー。表面はファブリックになっていて、乙女ゴコロをぎゅっと掴む仕様

 

↑「アソートスウィーツ ハテナブロック」。エリア内でもたくさん目にして、たくさんパンチしたハテナブロック型のボックスの中には、いろいろな種類のスウィーツが。ワンナップ・ファクトリーのスタッフさんいわく「1番人気です!」とのことでした

 

↑「アソートスウィーツ ハテナブロック」。エリア内でもたくさん目にして、たくさんパンチしたハテナブロック型のボックスの中には、いろいろな種類のスウィーツが。ワンナップ・ファクトリーのスタッフさんいわく「1番人気です!」とのことでした

 

↑「チケットホルダー(マリオ)」。こちらはマリオのチケットホルダー。いつでも持ち歩きたくなるキュートさ

 

↑「イヤリング(マリオ)」。ふわふわのマリオ型イヤリング。存在感バツグンです

 

↑「イヤリング(ルイージ)」。こちらはルイージのイヤリング。あなたはマリオ派? ルイージ派?

 

↑「リング(キノコ)」。ふわふわ可愛いキノコのリング。他にはテレサ、スター、クリボー、プクプクも。サブキャラ好きにぜひ身につけてほしい!

 

↑「ダテメガネ(マリオ)」。カチューシャをするかわりに、こんなユニークなメガネはいかが? ルイージやキノコ、ヨッシーもあります

 

↑「ボールペン(パックンフラワー)」。周りの視線を独り占め間違いなし!なパックンフラワーのボールペン。口がパクパク動きます

 

このほかにも、可愛すぎるグッズが勢揃い。ワンナップ・ファクトリーだけでなく、パーク内のハリウッド大通りにある「マリオ・カフェ&ストア」にも、ここでしか手に入らないグッズやフードがあるので、ぐるりと巡って、とっておきのアイテムを見つけてみて。

 

7. 合言葉は「WE ARE MARIO!」 マリオやルイージとの遭遇を楽しむ

行けば誰もがマリオの世界に夢中になる、スーパー・ニンテンドー・ワールド。しばらくの間は、「エリア入場確約券」もしくは「エリア入場整理券」が必要なので、事前に確認してから向かうとスムーズです。

 

とにかく、素晴らしい世界で最高! の一言でした。本当かどうかは、ぜひ実際にマリオの世界に突入して体験してみてくださいね。

 

【Information】

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン / スーパー・ニンテンドー・ワールド

所在地=大阪府大阪市此花区桜島2-1-33
最寄駅=JRゆめ咲線・ユニバーサルシティ駅

https://super-nintendo-world.usj.co.jp/ja/jp/home
https://www.usj.co.jp/web/ja/jp/areas/super-nintendo-world

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