裸の付き合いは国境を越える! 「サウナ」から見るロシア人と日本人の共通点

日本人の風呂好きは世界でも周知の事実ですが、ロシア人の熱いサウナ愛についてはご存知でしょうか? ロシアのサウナは湿度が高く「蒸し風呂」とも呼ばれ、都市部ではアパートに「一人用サウナ」がついているほど。今回はこのロシア式サウナの特徴と、モスクワっ子が憧れるサウナの聖地「サンドゥニ」をご紹介します。日本人なら理解できるところも多いロシア人のサウナ文化を見ていきましょう。

 

日本人もびっくりロシア式サウナとは?

ロシア人にとってサウナは日本人のお風呂のようなもの。ロシア人は家に洗面所ほどの大きさの一人用サウナを設置してしまうくらい、サウナが大好きな国民なのです。

 

サウナの滞在時間も3~4時間ほどと非常に長め。その理由にはロシアの独特な入浴スタイルがあり、休憩室のようなスペースで、食事やお茶をつまみながら、休憩スペースとサウナを行き来するのです。

 

一般的には休憩スペースに大きなテーブルが置いてありますが、高級な所になると「プール」や「ジャグジー」、さらに「ダーツ」や「ビリヤード」まで設置しているところも。そこでロシア人は仲間たちと語らい、お茶やお酒を酌み交わし、ゲームをするのです。これは、いわゆる「裸の付き合い」で、日本人の銭湯の感覚にも似ていますね。

 

ロシアのサウナでは欠かせないものが「フェルトの帽子」「敷物」「白樺の葉」の3つです。熱い石のうえに水をかけて蒸気を充満させるロシア式は、湿度や温度がフィンランド式サウナより高く、温度は90~100度に設定されています。

 

高湿度のため体感温度はさらに暑く、フェルトの帽子なしでは熱気が直接頭に当たってクラクラしてしまうほど。小さい座布団のような敷物は自分が座る場所に敷くために使う一方、白樺の葉は血行促進用で、それを使って身体を叩くのがロシアの習慣。後述する高級サウナの「サンドゥニ」では、「叩き師」なる方たちが白樺で利用者の身体を万遍なく叩くそうですが、その加減がとても上手で、まるでマッサージのようだと評判。

 

日本同様、ロシア式サウナでもサウナ後に必ず水風呂に入ります。ロシアの場合はサウナの後にシャワーで冷水を浴びたり、冷たいプールに入ったり、または冬ならそのまま雪に飛び込むということもあります。

憧れの聖地「サンドゥニ」とは?

そして、モスクワっ子憧れの聖地「サンドゥニ」。1808年にサンドゥニ夫妻が「貴族たちの交流場」としてサウナを始め、200年以上にわたってナンバーワンの座を不動のものとしています。ランク別の3つの男性用サウナと2つの女性用サウナがあるほか、8つのジャグジーやプール付きの個室も完備。

 

いまでこそ民間に開放されましたが、それでもやっぱり「高級サウナ」、入場料だけで2800ルーブル(約5600円)します。タオルなどは200ルーブル(約400円)で借りられるので、手ぶらでも大丈夫。また、サンドゥニのロゴが入った「サウナ用の帽子」(300ルーブル〔約600円〕)が人気で、思い出に買って帰る人も多くいます。

ちなみに、サンドゥニは19世紀建造のロシア最高峰の建造物で、その優雅な内観は現在も多くの人たちを魅了し、癒し続けています。

 

サウナで深まる家族や友人との絆

ロシア式サウナは、汗を流すことにより得られるリラックス効果はもちろん、フィンランド式よりも湿度が高いので喉にも良く、風邪などにもよいと現地では言われています。また、休憩スペースを行き来するその独特なスタイルは、ただのサウナというよりも1つの完成された娯楽。家族や友人と楽しい時間を過ごすことができるでしょう。

 

一昔前は日本でも良く耳にした裸同士の付き合い。それがロシアでは現在も日常的に行われていることに少し驚きつつも、日本人としてはロシア人との共通点を感じずにはいられません。ロシアにお越しの際はぜひサウナに行ってみてください。

「日本のサウナはカリフォルニアロール状態!」 日本式と本場・フィンランド式サウナの根本的な違い

寒い毎日が続いていますが、こういうとき、サウナに行ってガッと汗をかいてぐっすり眠りたい……そう考える人も少なくないはず。

 

しかし、一般的な日本式サウナは本場フィンランドのそれとは大きな違いがあるようです。「日本のサウナは、言わば外国の寿司屋で食べる、カリフォルニアロールのようなものだ」と提唱するのは、都内でサウナ+カプセルホテル機能を持つ施設、ドシー(℃)を運営する株式会社ナインアワーズ代表の油井啓祐さん。

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今回はその油井さんに、フィンランドと日本のサウナの違いと、フィンランド式のサウナの在り方を取り入れた施設、ドシー(℃)について話を聞きました。

 

 

本場のサウナは水風呂がない!? スポーティーに楽しむフィンランド式

――油井さんが考える日本式とフィンランド式のサウナの大きな違いはどういったところでしょうか。

 

油井啓祐さん(以下:油井) もともと私がフィンランドのサウナに興味を持ったのは建築家の長坂 常さんがきっかけ。実際にヘルシンキに行って本場のサウナを体験してみると、日本のサウナとまったく違うことに驚きました。

 

まず、日本のサウナは温浴というニュアンスが強いですが、ヘルシンキではもっとスポーティーなイメージです。まず、水風呂というものがないんです。例えば森の中や、海沿いにあるサウナですと、サウナで汗をかいた後、目の前が湖だったり、海だったりするので、いきなりそこに目の前に飛び込むわけです。

 

または街中にあるサウナですと、目の前に水場がないのですが、汗をかいた後、ただ外に出るだけなのです。北欧で寒いためから、そのまま外に出るだけで十分身体が冷却できるから……という意味です。

 

つまり、本場では水風呂という機能はサウナ側では提供しておらず、「汗をかいたら、外で身体をリフレッシュしてくれ」というフローなんですね。日本式サウナに対し、特に衛生面で疑問を持つところが多々ありましたので、このフィンランド式に僕はとても納得感動しました。

 

IMG_9261 - コピー↑油井さんが納得感動したというフィンランドのサウナ。後述のドシー(℃)のサウナ室にそっくりです

 

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IMG_9275 - コピー↑豊かな自然の中に突然現れる森のサウナ。サウナで汗をかいた後は、そのまま目の前の湖に飛び込むというスポーティーな仕組み

 

 

日本式サウナは、海外の寿司屋のカリフォルニアロール状態!?

――油井さんが日本式サウナに疑問を持っていたのはどういうところでしょうか?

 

油井 例えば、天然水の肌あたりの良い軟水が豊富に湧き出るような場所であれば、水風呂も気持ち良いと思いますが、自分が知る限り、日本全国でそういうところは2つ3つしかありません。

 

普通の日本式サウナは、塩素を加えた水を使い、循環・濾過させて水風呂を用意しているわけですが、自分の衛生基準としてはあまり好めるものではないと思っていました。

 

また、一般的なサウナ施設は、スーパー銭湯のように温浴とセットになっていて、飲食をする場所も複合しているケースが多いですよね。だから、一般的に「サウナに泊まる」と言うと、お酒を飲んだ後、ベロベロになってサウナに入ってそのまま寝るということになるわけですが、これもあまりヘルシーじゃないと思っていました。

 

ですから、ヘルシンキの健康的でオープンなサウナを知って「これだ!」と思ってサウナの良さを見直したわけです。

 

海外のお寿司屋さんに行ったら、カリフォルニアロールが出てきて「え?」となるようなものが、いわゆる日本式サウナじゃないかと思うんです。日本にサウナが入ってきたのは前の東京オリンピックのころで、まだ本場の情報が乏しかった。もともとあった日本の温浴文化のおまけとして加わって独自に確立していったというのが日本式サウナだと思うので仕方ないことかもしれませんが、これが僕はどうも親しめなかったんです。

 

それよりもサウナ自体をスポーティーに捉え、レクリエーションの一つとして親しんでいるのが本場式です。ヘルシンキのサウナでは休憩の合間にビールは飲むこともないですし、そもそもアルコール類はいっさい売っていません。僕から見ればどちらかと言うとスポーツジム感覚で楽しむものと映りました。ドシー(℃)ではそれを敷衍させ、これからジョギングする人がビールを飲んだりしないのと同じ感覚で、サウナにお酒は要らないと思ったんです。だからアルコール類の販売はしていません。

 

IMG_9306 - コピー↑海沿いにあるサウナの屋外部。油井さんのコメントの通り、日本式サウナとは違いモダンな印象です

 

 

本場ヘルシンキのサウナが、街中に3軒しかない理由

――その本場ヘルシンキですが、街中のサウナは何軒くらいあるのでしょうか?

 

油井 聞いた話ですけど、ヘルシンキ市街だけで言うと3軒だけだそうです。

 

――本場なのに……ですか?

 

油井 街自体が小さいということもありますが、何故それだけ少ないかと言うと、フィンランド人はサウナ設備を持っている家が多いからだそうです。それだけフィンランド人にとってサウナは身近なものですから、やはり僕らがイメージする日本式サウナというのはちょっと変わっているんだと思います。

 

――そういう状況を打破するために、油井さんが代表を務めるナインアワーズで、都内にドシー(℃)を開店させたわけですね。

 

油井 そうです。もともとカプセルホテルのオペレーションをやっていたわけですが、前述の通り、我々が望む品質の温浴サービスは日本、特に都内ではまず難しいだろうと。そこで本場フィンランド式のあり方に、ナインアワーズ独自の衛星基準や品質に対する考え方を加味して、日本人にとっては全く新しいフォーマットのサウナを提供出来ないかと思って始めたのがドシー(℃)だったわけです。

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doshii_tennnai_03 - コピー↑ドシー(℃)恵比寿の店内。恵比寿駅から徒歩1分の好立地にあるサウナ+カプセルホテルの施設です。確かに一般的な日本式サウナと違い、スポーティーでお洒落な内装

 

 

ミントの水蒸気でスッキリとしたロウリュを!

――確かにドシー(℃)はサウナですが、水風呂がありませんね。

 

油井 それはさっき言った理由からですね。本当はサウナで汗をかいていただいた後、水風呂ではなく外気浴でリフレッシュして欲しいとも思ったのですが、高温多湿の東京では難しいわけです。

 

ですので、サウナで汗をかいた後のリフレッシュには、ウォームピラーというものを浴びていただこうと思い、設置しています。一本の水の柱が頭上から流れて出てくるシステムなのですが、冷たい水が好きな人もいれば、苦手な人もいますので、浴びる水の温度を15℃~30℃、さらに常温を用意しています。

 

――サウナの中には自分で出来るロウリュもあります。

 

油井 ロウリュは元々はドイツのサウナには欠かせない習慣で、熱したサウナストーンに自分で水をかけ、水蒸気を発生させることでさらに発汗作用を促すものです。

 

ですが、日本式サウナだと、ある一定の時間に、サウナの中にスタッフが来て「いまからロウリュやります!」みたいな流れですよね。これも差別化したくて、ドシー(℃)ではお客様自らがいつでもご自身でロウリュできるシステムにしています。

 

――ここも本場式というわけですね。

 

油井 はい。自分でロウリュが出来ないサウナというのはフィンランドでは考えられません。また、ドシー(℃)のロウリュの水は独自のアメニティでご協力いただいているTAMANOHADAさんが生産する生ミントを使ったミントウォーターを使っているので、水蒸気はミントの香りがします。これここもドシー(℃)独自のものですね。

 

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rouryu_and_warmpirrer_04 - コピー↑ミントの香りでスッキリしたロウリュを行い、サウナを浴びた後は、このウォームピラーでリフレッシュ。ウォームピラーのほかに、ドシー(℃)限定の独自開発のボディソープ、シャンプーなどがあるシャワールームもあります

 

 

スポーツジム感覚で気軽にサウナに触れて欲しい

――これまでの日本式サウナとは違うドシー(℃)ですが、カプセルホテルもあるので、宿泊はもちろん仮眠などの使い方も出来そうです。

 

油井 逆に一般的な日本式サウナのような、ゆったりダラダラ過ごすせるようなスペースはドシー(℃)にはないんです。だからこそ本当にスポーツジム感覚で、「ちょっと時間が空いたからリフレッシュしよう」というような使い方をしていただける施設だと自負しています。仕事の合間、ササっと気軽にサウナを味わって、リフレッシュしたら、また仕事に戻るというような……。

 

実際、今ドシー(℃)を利用してくださっているお客さまは比較的若い、20代~30代の方で、健康志向の強いオシャレな方が多いのです。きっとそうやって気軽にサウナを使ってくださっているのではないかなと思っています。

 

doshii_tennaimap - コピー↑現在、ドシー(℃)は恵比寿駅近くに1店舗を展開していますが、今年春には五反田もオープン予定です。本文にもある通り、仕事やプライベートの合間に、スポーツジム感覚で本場式サウナを体験出来る画期的な施設です

 

 

取材終了後、筆者もドシー(℃)のサウナを体験させていただきましたが、確かにこれまでの日本式とはまるで違いました! 何よりミント水でのロウリュが気持ち良かったです。日本人にとっては新しい、本場式をベースにしたサウナ、一度体験されてみてはいかがでしょ