あえての”ノンアル派”が急増中! プロが教える「ノンアルコールビール」の選び方

ノンアルコールビールといえば、”クルマを運転するときに選ぶ”という消極的な理由で飲むものだと思っていませんか? 実は、最近はそういったシチュエーションだけでなく、食事中やお風呂上がりなど日常生活で飲む人も増えているそうです。

 

とはいえ、「できるだけビールに近い味がいい」と思うのがビール好きの本音。かくいう筆者もノンアルはめったに飲まないので、”ビールに近いかどうか”が基準だと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。

 

そこで、日本ビアジャーナリスト協会でも活動しているビアライターの富江弘幸さんに、ノンアルコールビールを飲み比べながら選び方のポイントを教えていただきました!

↑1975年東京生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。卒業後は出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、新聞社勤務。現在は日本ビアジャーナリスト協会ウェブサイトや『ビール王国』などで記事を執筆するほか、ビアジャーナリストアカデミーの講師も務める

 

 

一番搾り麦汁の香りと旨みが際立つ「キリン 零ICHI」

最初に富江さんに飲んでもらったのが、「一番搾り製法」を採用した「キリン 零ICH(ゼロイチ)」です。麦汁をろ過する際の二番麦汁を使わず、最初に流れ出た一番搾り麦汁だけを使用しています。

↑キリンビールの「キリン 零ICH(ゼロイチ)」

 

「ノンアルコールビールには珍しく、麦の香りや味がしっかり感じられます。一番搾りに比べると、スッキリ感がありますね。香りもフルーティー。全体的にはビールに近い印象ですが、甘みは控えめ。食事に合わせるのに良さそうです」(富江さん)

 

富江さんがビールとの違いについて触れましたが、その味に違いがあるのは当然のこと。なぜなら、ノンアルコールビールは普通のビールからアルコールを抜いているわけではなく、”まったく別の製法でビールに近いものを作っている”からなんです。そんな飲料をビールに近い仕上がりにする一番搾り製法は、技術革新の賜物と言えそうです。

 

 

透明な「オールフリー オールタイム」はサイダー感覚で

全国のコンビニ限定で販売されているサントリーの「オールフリー オールタイム」は、職場でも気兼ねなく飲めるようにと「透明」「ペットボトル入り」の2つの特徴を持ったノンアルコールビール。この見た目のインパクトで記憶している人も多いでしょう。

↑サントリーの「オールフリー オールタイム」

 

 

「香りはサイダーのようなフルーティーさがありますね。飲んでみると麦の感じはほとんどせず、酸味が少し強いめなのでスッキリします」(富江さん)

 

筆者も実際に飲んでみましたが、たしかにこれはサイダーみたい! ホップ由来の苦みも加えられているのですが、ほのかなライムフレーバーや強めの炭酸がサイダーのように感じさせるのかもしれません。

 

「視覚や嗅覚は味覚に影響を与えるのですが、オールフリー オールタイムはビールっぽさを求める人には少し合わないかもしれません。逆に、スポーツのあとや仕事の合間など、リフレッシュしたいときにいいですね」(富江さん)

 

 

フルーティーな香りが際立つ「サッポロ 麦のくつろぎ」

発酵由来の香り成分を組み合わせる「ナチュラル香味製法」で、ノンアル特有の「人工的な香りや後味」を改善したという「サッポロ 麦のくつろぎ」。富江さんもこのフルーティーな香りが気に入ったそうです。

↑サッポロビールの「サッポロ 麦のくつろぎ」

 

「サッポロといえば『サッポロ生ビール黒ラベル』がフラッグシップブランドです。黒ラベルはホップの爽やかな香りが立つ印象ですが、それに近いフルーティーな香りがします。この香りのおかげで、ビールの味にも少し甘みがあるように感じますね」(富江さん)

 

また、麦芽を使わずに苦味料でホップに近い苦味を出すなど、ビールっぽさをかなり意識しているようです。富江さんによると、「ビールよりは苦味が弱いものの、この苦味のおかげで喉が引き締められて次のひと口に切り替えやすい」とのこと。

 

 

苦味でビールらしさを演出する「アサヒ ドライゼロ」

ビールにはやっぱり苦味を重視するという人におすすめなのが、「アサヒ ドライゼロ」。普段から「アサヒ スーパードライ」を好んで飲んでいる人であれば、この再現性の高さに気付くはず。

↑アサヒビールの「アサヒ ドライゼロ」

 

 

「ほかのノンアルコールビールと比較すると、苦味が強いです。こうすることでビールらしさを出しているのでしょう。香りもスーパードライに近いですし、麦芽を使わないのにここまで近付けているのには驚かされます」(富江さん)

 

また、アサヒビールでは「アサヒ ドライゼロスパーク」という商品も8月末まで期間限定発売していました(現在は店頭在庫のみ)。ドライゼロと比較すると、炭酸の強さを130%に高めたペットボトル入りとなっています。

↑アサヒビールの「アサヒ ドライゼロスパーク」。8月末で販売終了

 

「味わいはドライゼロとほぼ同じですが、炭酸は非常に強いです。缶ビールや瓶ビールはグラスに注ぐ前提で作られているので、炭酸が強めに入っているのですが、これはグラスに注いでも缶から飲んでいるかのようですね」(富江さん)

 

 

どのビールの味に近いかで満足感が変わる

今回は5種類のノンアルコールビールを富江さんに飲み比べてもらいましたが、いずれもはっきりと特徴が異なりました。これだけ違うと、どう選べばいいのかがピンと来ていない人もいるでしょう。そこで富江さんが提案するのは、「自分がどのビールの味が好きかを知っておくこと」だといいます。

 

「そもそも”ビールの味”とひとことで言っても、アサヒスーパードライとサントリー ザ・プレミアム・モルツでは苦味、甘み、酸味、のどごし、香りがまったく異なります。そうなると、自分がどんなビールが好きなのか、どういった特徴をビールに求めているのかを意識することが重要なんです」(富江さん)

 

自分の好みを知るためにも、まずはいろんなビールに触れてみることが大切。さて、今夜も自分を知るためにいろんなビールを飲んでみるしかありませんね!

ビアライターが飲み比べてわかった!コスパ最強な「高アルコールビール」の正しい選び方と飲み方

 

巷で大ブームの高アルコール飲料。1缶飲めばある程度気分良く酔えるので、家飲みでのコスパの高さは最強といわれています。

 

最初は「RTD(Ready to Drink)」と呼ばれる”注いですぐ飲めるお酒”、その代表例である缶チューハイで高アルコールブームに火が付きましたが、ここ最近はビールにおいても高アルコールのものが続々と登場しています。とはいえ、チューハイとは違い、ビールの味の違いは飲み比べないとわかりづらいもの。

 

そこで、日本ビアジャーナリスト協会でも活動しているビアライターの富江弘幸さんに、主要メーカーの高アルコールビールを飲み比べてもらいました。そこで判明したのが、高アルコールビールの意外と知られていない新たな飲み方だったんです!

↑1975年東京生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。卒業後は出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、新聞社勤務。現在は日本ビアジャーナリスト協会ウェブサイトや『ビール王国』などで記事を執筆するほか、ビアジャーナリストアカデミーの講師も務める

 

 

アルコール感の強さや麦っぽさに違いがある

今回飲み比べるのは、「キリン のどごし STRONG」「アサヒ グランマイルド」「サントリー 頂〈いただき〉」「サッポロ LEVEL9贅沢ストロング」の4種類。日本メーカーの一般的な缶ビールが4〜5%なのに対し、これらは7〜9%のアルコール度数となっています。

 

普段はクラフトビールを飲む機会が多いという富江さん。 そんな富江さんはどのようなジャッジをするのでしょうか?

 

 

キリン のどごし STRONG(アルコール度数:7%)

↑黒い缶が目を引く「キリン のどごし STRONG」。酒税法上の区分は「リキュール」。キャッチコピーは「ガツンときてスカッと爽快」

 

 

「通常の5%のビールに比べると、アルコール特有のピリッとした感じがします。いわゆる、第三のビールらしい味わいですね」というのが富江さんの第一声。そう、今回紹介する高アルコールビールの多くが、「ビール」ではなく「リキュール」に分類されているのです

 

「アルコール度数が高いお酒は味のバランスを保つために甘みを強くすることが多いのですが、これも少し甘みを感じます。最初に麦っぽい味わいはほとんど感じませんが、あとから穀物の味わいを感じます。発酵度を高めて甘味を強くしすぎないことで、後味がスッキリしている印象。軽い苦みを感じるので、次のひと口に進みたくなりますね」(富江さん)

 

【特徴】
パンチ力あり。アルコールがガツンと来るものの、軽い苦みが次のひと口を誘う。

 

 

アサヒ グランマイルド(アルコール度数:7%)

↑今回登場したラインアップのなかで唯一「ビール」に分類される「アサヒ グランマイルド」。キャッチコピーは「続くやわらかなコク」

 

「アサヒ グランマイルド」が登場した背景には、今年4月に酒税法が変更になったことが挙げられます。スパイスや果物などこれまでに認められていなかった副原料を使ったものも「ビール」と呼べるようになったので、ビールメーカー各社がさまざまな副原料を使用したビールを登場させており、その流れのなかで誕生した銘柄です。

 

「アルコール度数が7%というだけあり、しっかりしたビールの味わいです。とはいえ、アルコールの香りをレモングラスで上手くマスキングしていて、同じ7%のビールのように”ガツン”と来るアルコール感はありません」(富江さん)

 

また、高アルコールビールは一気に飲み干さずに少しずつ飲むことから、時間が経ってからの飲み心地も富江さんはチェック。

 

「通常、ビールは時間が経つと嫌な苦みや香りが出やすいのですが、アサヒ グランマイルドはそういったことはないですね。同社のアサヒ スーパードライともまったく違いますし、ビールの新しい可能性を感じさせてくれるビールです」(富江さん)

 

【特徴】
アルコールを感じすぎず、ちびちびと飲みやすい。爽やかさもあってバランスがいい。

 

 

サントリー 頂〈いただき〉(アルコール度数:8%)

↑「サントリー 頂〈いただき〉」の品目は「リキュール」。キャッチコピーは「最高峰のコク刺激」

 

今回飲み比べたなかで、富江さんが万人受けしそうだと話していたのが「サントリー 頂〈いただき〉」です。以前は7%だったアルコールを今年2月から8%にして、使用する麦芽を増量するなどのリニューアルを加えています。

 

「麦っぽくて甘みが強いですね。アルコールの刺激は舌にピリッと感じます。甘みとアルコールをしっかり感じられるので、満足する人は多そうです」(富江さん)

 

ちなみにパッケージには「コク」が強調されているのですが、ビールにおけるコクとはどういうことなのでしょうか?

 

「いろいろな味が複雑に絡み合っていることを指す場合が多いです。たとえば、出汁をそのまま飲んでもコクはありませんが、味噌や醤油で味付けするとコクが生まれます。ビールの場合は、ベースに甘みがあって、そこに苦みや酸味が加わることで”コクがある”と言うんです。このビールもまさにそうですね」(富江さん)

 

【特徴】
甘みとアルコール感が強い。味の良さとアルコール度数の高さを求めるときに◎。

 

 

サッポロ LEVEL9贅沢ストロング(アルコール度数:9%)

↑今回紹介するなかではもっともアルコール度数の高い「サッポロ LEVEL9贅沢ストロング」。分類は「リキュール」

 

「アルコール度数9%だけあり、アルコール感がしっかりあります。とはいえ、それに負けない麦感もしっかりあって、”麦のお酒”という感じがすごくしますね」と、「サッポロ LEVEL9贅沢ストロング」を飲んだ富江さんは語ります。

 

「アルコールの刺激はほかのものよりも強いので、ビアカクテルや氷を入れて飲むのがおすすめです。ほかの高アルコールビールよりも甘みが控えめなので、割っても味を邪魔することはないはず」(富江さん)

 

【特徴】
アルコールの刺激や麦感を求める人に向く。ビアカクテルとして飲むのもアリ。

 

 

ビアカクテルという選択肢が増えるのも高アルコールならでは

高アルコールビールは、柑橘系のジュースで割ってもいいですし、ジュースを凍らせて氷を作り、それをビールに浮かべてもいいのだとか。

 

「オレンジジュースやレモネード、グレープフルーツジュースなどを使うのがおすすめ。氷をジュースで作ることで、味が徐々に変化していくのを楽しめます。ほかにも、トマトジュースで割ってレッドアイにしてもいいでしょう。トマトの青臭さが消えて、トマトジュースが苦手な人でも飲めるはずです」(富江さん)

↑ビアカクテルを作る際は1対1の配分がベスト。もともとのアルコール度数が高い高アルコールビールなら3.5〜4.5%になる

 

 

高アルコールビールは”酔いたいときのお酒”という認識が強いので、富江さんのこの提案はなかなか意外じゃないですか? また、「ビールに近いかどうか」を選ぶ基準にするものだと思っていた人にとっても、「自分がおいしいと思えるかどうか」を軸にすれば、その選択肢の多さに気付くはず。楽しくおいしく酔えるお気に入りの高アルコールビールを探してみませんか?

 

 

 

ビール好き外国人は「ノンアルコールビール」をどう評価する? 大手4社の代表作で検証してみた

日本の伝統料理や国民食、またはトレンドフードなどを様々な国の人に試食してもらう企画が本連載です。今回は透明色が出て再注目されている、ノンアルコールのビール風飲料でテスト。ビール好き外国人の評価はいかに?

 

新商品を中心に各メーカーのノンアルビールが集結

【左】ドイツ:チャン・ゼルコ さん

ブラウンシュバイク出身。ノンアル含め、週4〜5缶程度ビールを飲みます。

【中央】フランス:ヴァネッサ・ゴメス さん

パリ出身。週に約2〜3缶ビールを飲みますが、ノンアルコールは未体験。

【右】アメリカ:コリン・カナレ さん

ハワイ出身。毎日ビールを約2杯飲みます。ノンアルは体験済み。

 

 

【エントリーNo.1】

アサヒビール

アサヒドライ ゼロスパーク

実売価格201円/500㎖/0kcal

ビールらしいキレはそのままに、従来品比130%の高炭酸刺激に。8月までの限定商品でした。

 

【5点満点で評価】

チャンさん:3.5

ヴェネッサさん:4.0

コリンさん:4.0

→total=11.5/15.0

「バブリーでホップの香りも◎。一番ビールに近いのはコレかな」(コリンさん)

「炭酸が強くてフレッシュ。味は、最初は薄く感じたけど余韻はイイ苦みだね」(チャンさん)

 

 

【エントリーNo.2

キリンビール

キリン 零ICHI(ゼロイチ)

実売価格147円/350㎖/31.5kcal

独自の一番搾り麦汁を使用。麦のうまみを丁寧に引き出したおいしさを実現しています。

 

【5点満点で評価】

チャンさん:3.5

ヴェネッサさん:3.0

コリンさん:3.0

→total=9.5/15.0

「色味や炭酸の強さは悪くないわ。でも香りはもっと強いほうが好き」(ヴェネッサさん)

「ドイツに似た味の銘柄があるよ。少し甘みを感じるけどおいしいね」(チャンさん)

 

 

【エントリーNo.3】

サッポロビール

サッポロ 麦のくつろぎ

実売価格147円/350㎖/0kcal

発酵由来の香り成分を組み合わせる製法を採用。フルーティな香りと麦の味を実現しました。

 

【5点満点で評価】

チャンさん:2.5

ヴェネッサさん:2.5

コリンさん:2.0

→total=7.0/15.0

「惜しい! バナナガムのような甘いフレーバーが気になるよ」(コリンさん)

「これはドイツの白ビールのイメージかな。もっと自然な香りだとイイね」(チャンさん)

 

 

【エントリーNo.4

サントリービール

オールフリー オールタイム

実売価格147円/380㎖/0kcal

透明色で気軽に飲めます。ビールらしい味にほのかなライムフレーバーが加わり、爽やか。

 

【5点満点で評価】

チャンさん:3.5

ヴェネッサさん:3.5

コリンさん:3.0

→total=10.0/150.0

「見た目とのギャップが面白い! ビールの味は弱いけどおいしいわ」(ヴェネッサさん)

「甘くないトニックウォーターみたい。苦みがもっとあるといいかも」(コリンさん)

 

 

再注目を集めるノンアルコールビール、一番のお気に入りは?

今年のノンアルコールビールは強炭酸や透明ドリンクブームの影響を受けた新作が登場し、再注目を集めています。そこで今回は大手4社の代表作を集め、ビール好きの外国人に試飲してもらいました!

 

「アサヒとキリンはビールの味に近いけど、サッポロとサントリーは独自路線だね」(コリンさん)

特に「オールフリー オールタイム」には3人ともビックリ。

「最もビールの味からは遠いわね。でも味や香りの完成度は高いと思うわ。飲みやすいし、リフレッシュには最適ね」(ヴァネッサさん)

 

そして総合的に高評価を得たのは、今回の4本のなかで最も新しいあの限定商品でした。

「アサヒはキレのある苦みと強炭酸が心地よかった。日本のビールっぽかったよ!」(チャンさん)

 

日本一のビール「アサヒ スーパードライ」を有するアサヒビール。その開発力はダテじゃりませんでした!

 

 

【今月の1番人気!】日本一のビール作りがノンアルにも生きている

日本で一番飲まれているビール「アサヒ スーパードライ」。このクリアな辛口が外国人のイメージする日本のビールだとすれば、同社のノンアルが高評価なのは納得できます。

 

 

LIFE PEPPERとは?

外国人ネットワークを活用し、日本企業の海外進出支援とインバウンド観光支援を行う。市場調査からWeb広告までサービスの幅は広く、外国人のアサインもできる総合マーケティング企業です。

 

 

文/中山秀明 イラスト/マガポン 撮影/石上 彰(gami写真事務所)

 

 

これが酒税法改正の恩恵だ! 終わらない暑夏に飲むべきビールは副原料にこだわったニュータイプ

これまでビール飲料は、原料の違いによって「ビール」「発泡酒」「第三のビール」などと分けられてきました。ビールとは「麦芽比率が67%以上で副材料は米、麦、トウモロコシのみに限定されるアルコール飲料」のことです。そこに果実や香味料が含まれるものは、発泡酒。また、麦芽以外の原料でつくられたビール風味の飲料は、第三のビールと呼ばれ、新ジャンルを確立してきました。ところが、2018年4月の酒税法改正によってビールの定義が変わり、多くの副原料が認められるようになったことで、市場は新たな盛り上がりを見せています。

 

ビールがよりおいしく感じるシーズンに、その動向は気になるもの。そこで、今回の改正が消費者にどんな影響を及ぼすのか、どのようなビールが新登場したのか、フードアナリストの中山秀明さんに聞きました。

 

酒税法改正でビール飲料の価格差がなくなっていく

酒税法とは、そもそもお酒の税率について定められた法律。お酒は、原材料の比率やアルコール度数などによって、税率が変化します。

 

「これまでビールは約77円、発泡酒は約47円、第三のビールは約28円が酒税でした(すべて350mlの場合)。今後は2020年から段階的に、ビールの減税が計画されています。反対に他2種類は増税し、最終的に2026年には、すべてのビール類の税率が55円に一本化される予定なんです。この改正によって、商品の価格差がなくなっていくので、『ビールより安いから発泡酒を飲もう』という発想は変わるでしょうね。また、これまでのビールの価格も2020年以降安くなっていくと思うので、ビール党の人にはうれしい改正となります」(中山さん、以下同)

 

認められるようになった副原料は10種類

今回の新税制にともない、ビール類飲料に認められる原材料も見直されました。たとえば、これまで果実やハーブなどを副原料に使うと、ビールとして認められず発泡酒扱いになっていたのですが、今後は副原料を添加しても、その重量が麦芽の5%以下であればビールと認められるようになったのです。

 

「今回認められたのは、下記の10種類です。今までは、レモンを使用したものに“レモンビール”という商品名をつけることはできませんでしたが、これからはビールという名称が使えるようになります。これを受けて、副原料を使ったビールがより多く発売されており、消費者としてはバリエーション増によって選ぶ楽しみが増えるでしょう」

 

【ビールへの添加が認められるようになった副原料】
果実/コリアンダー・コリアンダーシード/胡椒や山椒などの香辛料/ハーブ/野菜/ソバやゴマ/はちみつや黒糖といった含糖質物・食塩・みそ/花/茶・コーヒー・ココア(これらの調製品を含む)/牡蠣・昆布・わかめ・かつお節

 

各社の新ビールは香りや味が豊か!

酒税法改正を受け、どのようなビールが発売されているのでしょうか? 早速、各社の商品を見ていきましょう。

 

・飲みやすいのに高アルコールの「アサヒ グランマイルド」

4月に発売されたアサヒビールの新しいビール「アサヒ グランマイルド」は、「ゆっくり時間をかけて楽しむお酒」をテーマに作られており、飲みごたえのあるアルコール分7%であることが最大の特徴。

 

「7%とアルコールはやや高めなのでパンチは強めですが、アルコール臭が控えめなので、とても飲みやすい印象があります。ビール独特のアルコール臭を軽減させ、飲みやすさを考えて副原料にスターチやレモングラスを使用しているのだとか。レモングラスの風味は意識しないと感じないレベルで、定義拡大ビールというよりは、正統派ビールに近い印象です」


アサヒビール「アサヒ グランマイルド 350ml」
225円(編集部調べ)
アサヒビールお客様相談室 Tel:0120-011-121

 

・ほうじ茶を使った香ばしい味わいの「HOJICHA Brown Ale」

キリンビールのクラフトビールブランドであるSVB(スプリングバレーブルワリー)のファンクラブ「CLUB SVB」の会員と、直接コミュニケーションを取りながら共創したビールです。旨味に着目して昆布や炒り玄米などの副材料を使って開発を進め、焙煎した麦芽とほうじ茶の香ばしさを感じられるように作られました。

 

「キリンは自社のクラフトビアブランドを持ち、個性的なビールの開発を積極的にしながらバリエーションを増やしています。また、お茶という意外な副原料を使っていながらも、ビールを飲んだという感覚をしっかり感じられます。飲んだ後に喉の奥から鼻に抜けるほうじ茶の香ばしさと、柔らかく漂う麦芽の風味が特徴的で、特にお寿司や和菓子などに合いそうです」


SVB「HOJICHA Brown Ale(330ml×6本)」
2332円
キリンビールお客様相談室 Tel:0120-111-560

 

・塩と胡椒が麦の旨味を引き出す「Innovative Brewer グルメビア」

マイルドな塩味でお馴染みの岩塩・アルペンザルツと、皮を削ってシャープな辛味になった黒胡椒で麦のおいしさを引き出したビールです。ライムピールを加え、爽やかな味わいが楽しめます。

 

「Innovative Brewerブランドは、昨年10月の立ち上げ以降、既存のビール概念に縛られない自由な発想でビールを発売しています。塩胡椒という挑戦的な味わいも、この会社ならではでしょう。一見、塩と胡椒でトガった味というイメージを持つかもしれませんが、塩胡椒は縁の下の力持ち的な立ち位置で、一口目から複雑さを持ったどっしりとした旨味を感じられます。また、ライムの酸味による後キレのよさがあり、余韻が爽快です」


ジャパンプレミアムブリュー「Innovative Brewer グルメビア 350ml」
288円(編集部調べ)
サッポロビールお客様センター Tel:0120-207800

 

・カリブ海を思わせる爽やかさ「海の向こうのビアレシピ〈柑橘の香りの爽やかビール〉」

6月から数量期間ともに限定で、コンビニエンスストアのみで発売されているこちらのビールには、数種類のホップとフレッシュな香りが楽しめます。

 

「サントリーは、新ブランドを立ち上げ、チャネルや数量を限定して多彩なスタイルを市場投入しています。こちらのビールも数量限定で、コンビニエンスストアのみの販売に絞っています。味は軽やかでスカッと爽快。シトラスがほんのり香るフレーバービールという印象です。フルーティさよりも、フレッシュさを強調するために柑橘が使われているように感じました。メキシコのピルスナービールの飲み方でおなじみの、ライムを入れて飲むビールを彷彿とさせる爽やかさです」


サントリー「海の向こうのビアレシピ〈柑橘の香りの爽やかビール〉350ml」
220円(編集部調べ)
サントリーお客様センター Tel:0120-139-310
※限定商品ですので店頭にない場合もございます。

 

このほかにも、各社からさまざまなビールが登場しています。たとえば、高知の生姜や静岡のわさび、緑茶、和歌山の山椒、沖縄の黒糖など、地元の名産を使ったビールなども新発売に。この夏は、たくさんのビールを飲み比べる楽しみがありそうですね。

 

【プロフィール】


フードアナリスト/中山秀明さん

フードアナリスト・ライター。なかでもビールに関する執筆が多く、大手メーカー、マイクロブリュワリー、ブリューパブ、クラフトビアレストランなど、小売り、外食問わず全国各地へ取材に赴いている。

 

取材・文=吉川愛歩 撮影=矢部ひとみ 構成=Neem Tree

 

GetNavi webがプロデュースするライフスタイルウェブメディア「@Living」(アットリビング)でくわしく読む

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アサヒ、サントリー、キリンの定番ビールを徹底比較! 担当者に聞く「泡」へのこだわりとは?

大手各社のド定番ビールが、実は「泡」にこだわっていることをご存じですか。 しかも、なかには専用の簡易サーバーまで用意するブランドも。各担当者から泡へのこだわりを聞くとともに、フードアナリスト・中山秀明氏が実力をチェックしました!

 

泡持ちに寄与する成分が向上してさらにクリアに!

アサヒビール
スーパードライ
実売価格225円

辛口やキレ以外に、泡のおいしさも魅力。しかも今春新たな醸造管理技術を導入し、ビールの泡持ちに寄与する成分を約1割高めることに成功。より洗練されたクリアな味に進化しました。

 

【こだわりポイントをメーカー担当者が解説】

アサヒビール・マーケティング第一部
松葉晴彦さん

新たな醸造管理技術で泡持ちと切れ味がアップ!

仕込み・発酵・ろ過の工程において新たな醸造管理技術を導入しています。さらにビールの泡持ちに寄与する成分を従来品に比べ約1割高め、キレ味が向上するように脂質酸化物も低減させています。

 

【缶にかぶせるだけのオリジナルサーバーを試してみた】

ギフトセットなどでゲットできる、「うまさ実感サーバー」を使用。乾電池で駆動するタイプで、缶にセットしワンプッシュで注げます。

 

↑左がそのまま注いだもの。右がオリジナルサーバーで注いだもの 

クリーミーな泡と、スーパードライのキレのある味とのメリハリが楽しめます! 抽出部がソフトなプラスチック製となっていて、着脱や洗浄が簡単な点も秀逸。ドライのファンはぜひ入手しましょう!(フードアナリスト・中山秀明さん)

 

 

うま味や香りの豊かな素材が生み出すコク深く華やかな味

サントリー
ザ・プレミアム・モルツ
実売価格231円

うま味豊かなダイヤモンド麦芽やアロマホップを独自の技で醸造し、コク深く華やかな香りを実現。そのこだわりの製法と、注ぎ方で実現したクリーミーな泡を「神泡」と呼びます。

 

【こだわりポイントをメーカー担当者が解説】

サントリービール・プレミアム戦略部
中野景介さん

厳選された麦芽と製法でクリーミーな泡を実現

きめ細かな泡には麦芽由来のたんぱく質が必要不可欠。そのため、麦芽100%であるとともに、たんぱく質が豊富なダイヤモンド麦芽を使っています。ダブルデコクション製法(※)で素材の良さを引き出すのもポイントです。

※麦芽本来のうま味とコクを余すことなく引き出すための製法。一部の麦汁を仕込み釜で2回煮出し、濃厚な麦汁を作る。

 

缶にかぶせるだけのオリジナルサーバーをお試し!

キャンペーン中の「神泡体感キット」を使用。このキットには電動式と手動式があり、今回はより手軽にゲットできる後者で試してみました。

↑左がそのまま注いだもの。右がオリジナルサーバーで注いだもの

おいしいのはもちろん泡を付けるのが楽しい

店レベルとまではいきませんが、サーバーを使った方がきめ細やかでもちのいい泡が作れます。味もよりまろやかになり、口あたり良好。自分で泡を付けるという所作も面白くてイイですね!(フードアナリスト・中山秀明さん)

 

うまさの長持ちする麦芽が泡をもきめ細やかに!

サッポロビール
黒ラベル
実売価格211円

世界中の生産者と協働契約栽培に取り組む同社独自の「旨さ長持ち麦芽」を採用。味や香りを新鮮に保ち、うま味と爽やかさに加え、きめ細やかな泡も魅力です。

 

【こだわりポイントをメーカー担当者が解説】

サッポロビール・ブランド戦略部
田邊稔博さん

独自開発した麦芽が味と香りと鮮度を保つ!

独自開発した「旨さ長持ち麦芽」は、味と香りを新鮮に保ち、泡持ちの良さをアップさせます。この麦芽は2011年のクオリティアップから黒ラベルで一部使用していて、ご家庭でも生ビールのクリーミーな泡を楽しんでいただけます。

 

ビール泡品質向上への取り組み

酵母や原料の研究に始まり、工場・流通・店までの一貫した取り組みが農芸化学会技術賞を受賞。それらの卓越した技術が集結し、品質が保たれているのです。

 

【こちらも注目!】

世界150か国で愛される“泡の代名詞”的存在「ギネス」

ほかのビールとは異なる特殊な方法で泡を作るビールがあります。それがギネス。世界150か国で愛飲され、「クリーミーなビール」といえばギネスを思い浮かべる人も多いでしょう。そんな唯一無二の泡の秘密を紹介をします!

 

 

キリン
ドラフトギネス
実売価格303円

1759年に誕生し、いまや世界150か国以上で愛されている黒ビール。ロースト麦芽による香ばしい風味とクリーミーな泡が、リッチな味わいを生み出しています。開栓時に、缶の中に入っている独自のボール型ウィジェットの穴から窒素ガスと炭酸ガスが放出され、シルキーな泡を生みだしているのです。

 

 

 

 

 

 

 

流行りのクラフトや新感覚の発泡酒などが勢ぞろい! 花見の季節に味わいたい新発売&限定のお酒4選

春の恒例行事といえば「花見」。多くの人とお酒を飲み交わせる楽しいイベントですが、事前の準備が大変ですよね。「どんなお酒を用意しようか」と悩んでいる人は新しく発売された商品などをチェックするのがおススメ。そこで今回は花見の季節にぴったりの新発売&限定のお酒4選を紹介します。珍しい商品をピックアップしたので、花見の時に買っていけば周りの人から注目されるかもしれませんよ。

 

ご当地ならではの果実を使用した“クラフトチューハイ”

出典画像:「宝酒造」公式サイトより出典画像:「宝酒造」公式サイトより

宝酒造
寶CRAFT <京都ゆず>

宝酒造の「寶CRAFT <京都ゆず>」は、地域限定で発売された“クラフトチューハイ”です。希少性が高いご当地ならではの“京都府水尾ゆず”をまるごと搾っており、透明化処理や濃縮還元を行わない「ストレート混濁果汁」を採用。京都の伏水で丁寧に仕込んだお酒を味わってみてはいかが?

 

<注目ポイント>

・希少性が高い「京都府水尾ゆず」を使用

・透明化処理や濃縮還元を行わない「ストレート混濁果汁」

・果実のおいしさを最大限に引き出す「ひとてま造り」製法

“京都府水尾ゆず”はわずかな農家で栽培している希少な果実。寒さが厳しい地域で育っているため、香りが強く豊かな味わいが楽しめます。手間を惜しまず作られた「ひとてま造り」製法で、果実のおいしさを最大限に活用。クラフト好きの人にぴったりの味わいなので、ぜひチェックしてくださいね。

 

「蜂蜜」と「ハーブ」がコラボしたやさしい味わい

出典画像:「養命酒製造」公式サイトより出典画像:「養命酒製造」公式サイトより

養命酒製造
かりんとはちみつのお酒

自然で濃密な甘さが特徴的な「かりんとはちみつのお酒」。果実酒によく使われる「かりん」に山田養蜂場の有機蜂蜜と10種類のハーブを組み合わせています。蜂蜜の濃厚な味わいと贅沢に配合した果汁のフルーティーな後味が魅力。リラックスしながら“ココロうるおう”やさしい味をじっくりと堪能しましょう。

 

<注目ポイント>

・山田養蜂場の有機蜂蜜と10種類のハーブを配合

・人工甘味料・着色料・香料は全て無添加

・リラックスできるやさしい味わい

使用しているハーブには「レモンピール」「カモミール」「ナツメ」「クコの実」などが入っています。素材の風味だけを活かして作られているため、人工甘味料・着色料・香料はすべて無添加。同商品の公式サイトには、おいしく飲める「おすすめレシピ」が掲載されているのでお見逃しなく!

 

アレンジ方法が豊富なピーチリキュール

出典画像:「養命酒製造」公式サイトより出典画像:「養命酒製造」公式サイトより

養命酒製造
養命酒製造×カレルチャペック紅茶店 桃の紅茶酒

人気紅茶店と養命酒製造が共同開発した「桃の紅茶酒」は、スリランカの“ルンビニ茶園”で採れた「ルフナ茶」と7種類のハーブ、白桃果汁を足したリキュールです。甘い香りとハーブの上品なテイストが楽しめるだけでなく、「ピーチミルク」や「ホットピーチ」などにアレンジすることも可能。好みのドリンクを作って癒しのひと時を満喫してみては?

 

<注目ポイント>

・人気紅茶店のティーテイスターが選んだ「ルフナ茶」を使用

・厳選した7種類のハーブと白桃果汁配合

・アレンジ方法が盛りだくさん

公式サイトで紹介されているおススメの飲み方は、ソーダで割る「ピーチスカッシュ」。きめ細かい風味に大胆な喉ごしが特徴的な“オトナのカクテル”が出来上がります。冷やした豆乳を入れる「ピーチソイ」は、コクのあるなめらかな口当たりが楽しめるそう。1本あるだけでさまざまなドリンクが作れるのもうれしいですね。

 

もも香るフルーティーな新ビールテイスト

出典画像:「サッポロビール」公式サイトより出典画像:「サッポロビール」公式サイトより

サッポロビール
サッポロ ピーチベルグ

数量限定で発売された発泡酒「サッポロ ピーチベルグ」。麦やホップなどに加えてもも果汁を発酵させており、もものまろやかな香りが溶け込んだ新たな味わいを実現しています。パッケージには、甘い味覚をイメージさせるピンクとビールテイストのゴールドを採用。新感覚の味を堪能できるので、気になる人は売り切れる前にゲットしましょう!

 

<注目ポイント>

・もものまろやかな香りが溶け込んだ新ビールテイスト

・ベルギーのフルーツビールと同様の製法

・欧州のビアスタイルを採用

同商品は醸造時にもも果汁を加えており、ベルギーのフルーツビールと同様の製法で作られています。さらにベルギー産の麦芽を使用。欧州のビアスタイルをとり入れているので、異国情緒漂うカフェやバーなどのシーンにもぴったりです。これからの花見シーズンにじっくり味わうのもいいかもしれませんね。

いま、ビール市場は大きく変わりはじめている! 各社の施策で見えた最新トレンドとビールの未来

ビール類全体が減少しているなか、「クラフト系は伸びている」という話は酒好きなら知っている話題かもしれません。筆者もその動向を逐一チェックしているひとりで、今秋はいくつかの面白いトピックスが見られました。そこで本稿では、各社の新商品や取り組みを中心に共通点を探り、ビールの未来を考察していきたいと思います。

 

国内クラフト王者の進化と新作にはホップが大きく貢献!

まずは、国内クラフトビール界のトップランナー「ヤッホーブルーイング」の展開から。実は今秋、「よなよなエール」がリニューアルしたのです。日本で最も有名なクラフトビールといえる同商品ですが、1997年の発売以来初めてレシピが大幅刷新されました。

↑左が旧で右が新(価格は変わらず267円)。パッケージの「香りのエールビール」が「クラフトビール」に変更された部分にも注目です。これは「クラフトビールが一定の知名度を得た」といえる証かもしれません↑左が旧で右が新(価格は変わらず267円)。パッケージの「香りのエールビール」が「クラフトビール」に変更された部分にも注目です。これは「クラフトビールが一定の知名度を得た」といえる証かもしれません

 

味わい面で大きく変わったのが、使用するホップです。よなよなエールの特徴である柑橘類を思わせる香りを最大限に引き出すため、「カスケード」と呼ばれるアロマホップを増量。さらに、これまで使用していたホップの品種を見直し、「カスケード」をより引き立てるためのホップブレンドに変更しました。

↑飲んだ感想としては、香りの輪郭がくっきりとした印象。爽やかな苦みのなかで、グレープフルーツやレモン系の柑橘フレーバーがより明るく鮮やかに広がります↑飲んだ感想としては、香りの輪郭がくっきりとした印象。爽やかな苦みのなかで、グレープフルーツやレモン系の柑橘フレーバーがより明るく鮮やかに広がります

 

さらに、今秋のトピックスとしてヤッホーブルーイングからはもうひとつ、予想外の新商品が発表されました。カエルのイラストが印象的なあのブランドからのニューカマー、「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」です。

↑10月24日より、ローソン系コンビニとポプラで発売されている「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」。価格は288円です↑10月24日より、ローソン系コンビニとポプラで発売されている「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」。価格は288円です

 

もともと「僕ビール、君ビール。」は、普段ビールを飲まない20~30代の若い世代に新たな味の体験を提供することを目指した商品。味の特徴はズバリ「思わずハッとする個性的な味わいと香り」で、ここにきてさらに攻めた商品を投入したのです。ビアスタイルは「ホッピーアンバー」。鮮烈なホップの香りと桃を思わせるフルーティなフレーバー、そしてモルト由来のスウィートなキャラメル感が際立ちながらスムースで飲みやすい味わいです。

↑味の秘密は5種の麦芽とホップ使いにあり。ホップは爽やかな香味の「シムコー」とフローラルな「コメット」が中心(写真の粒はホップのペレット)。さらに、ホップを添加するタイミングを2回に分け、それぞれの使用量を変えて苦味を残さないようにしています↑味の秘密は5種の麦芽とホップ使いにあり。ホップは爽やかな香味の「シムコー」とフローラルな「コメット」が中心(写真の粒はホップのペレット)。さらに、ホップを添加するタイミングを2回に分け、それぞれの使用量を変えて苦味を残さないようにしています

 

「フレーバーホップビール」という新カテゴリーが誕生!

つづいては、サッポロのグループ企業「ジャパンプレミアムブリュー」の新商品を紹介。同社はこれまで「Craft Label THAT’S HOP 伝説のSORACHI ACE(ソラチエース)」などの意欲作を発売しており、今回は「既成概念にとらわれない、ビール新カテゴリー創造への挑戦」と銘打った注目の内容でした。なんと、クラフトビールでもプレミアムビールでもない新ブランド「Innovative Brewer」が立ち上がったのです。

↑ブランドの第1弾となる「Innovative Brewer THAT’S HOP Nelson Sauvinの真髄」と「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」。1都6県に加え、山梨・長野のファミリーマートとサークルK・サンクスで10月3日から先行販売されています。価格はどちらも288円↑ブランドの第1弾となる「Innovative Brewer THAT’S HOP Nelson Sauvinの真髄」と「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」。1都6県に加え、山梨・長野のファミリーマートとサークルK・サンクスで10月3日から先行販売されています。価格はどちらも288円

 

商品名そのままですが、第1弾のテーマは「ホップそのもの」。フレーバーホップビールという新カテゴリーで、ホップを主役にした観点で企画されています。それはつまり、「〇〇ビールの商品である」「クラフトである」「〇〇というビアスタイルである」といった既存の選び方ではなく、ビールの原材料であるホップの種類で選ぶという新提案。

↑使われているホップの乾燥球花を比較。左の「対照ホップ」に比べ、右の「ネルソンソーヴィン」はグリーン系のみずみずしさのなかに、白ブドウや青リンゴのような爽やかで甘いアロマが感じられます↑使われているホップの乾燥球花を比較。左の「対照ホップ」に比べ、右の「ネルソンソーヴィン」はグリーン系のみずみずしさのなかに、白ブドウや青リンゴのような爽やかで甘いアロマが感じられます

 

実際にテイスティングしてみると、その個性がよりよくわかります。「ネルソンソーヴィンの真髄」は苦みが抑えられていて華やかかつ爽やか。クリアながらも上品なフルーティ感があって、飲み応えは十分といった印象です。一方の「絶妙のモザイク&シトラ」は、グレープフルーツなど柑橘系の清涼感が豊か。ただ、アメリカを中心に人気の明るく弾けるような柑橘フレーバーとは異なる繊細なニュアンスです。アルコール度数も4.5%で飲みやすく、確かに“絶妙”といえるおいしさですね。両商品とも日常的な料理に合わせやすく、個性派ビールの入門にもオススメです。

↑液色はほぼ一緒ですが、ファーストインパクトの風味と余韻はけっこう違います。販売チャネルはファミマ系コンビニが中心ですが、ぜひ試してみては↑液色はほぼ一緒ですが、ファーストインパクトの風味と余韻はけっこう違います。販売チャネルはファミマ系コンビニが中心ですが、ぜひ試してみては

 

これまでの2社の新商品に共通するものーーそれはホップです。これはすなわち、ビールのいち原料として語られてきたホップにより注目が集まっているといえるでしょう。そして、ホップへの取り組みでいえば、キリンビールとその傘下のスプリングバレーブルワリー(SVB)にも注目です。前者は毎年「一番搾り とれたてホップ生ビール」を発売していますが、今年も10月24日から数量限定で岩手県遠野産ホップ「IBUKI」を使用した一番搾りを発売中。

↑350ml缶は207円、500ml缶は275円(ともに参考価格)。通常の「一番搾り」よりみずみずしく、華やかな香りが特徴です↑350ml缶は207円、500ml缶は275円(ともに参考価格)。通常の「一番搾り」よりみずみずしく、華やかな香りが特徴です

 

そして後者でいえば、SVBが中心となって秋に「FRESH HOP FEST」という国産ホップの収穫イベントを開催しており、その規模は年を追うごとに拡大しています。

↑今回も大盛況だった「FRESH HOP FEST」。今年は5つの会場で開催され、31ものブルワリーが参加するほどに裾野が広がっています↑今回も大盛況だった「FRESH HOP FEST」。今年は5つの会場で開催され、31ものブルワリーが参加するほどに裾野が広がっています

 

そして個人的には、サッポロビールの新ジャンル「麦とホップ」の存在も見逃せないと感じています。なぜなら、麦とホップは「魅惑のホップセッション」「夏空のホップセッション」「秋の薫り麦」「赤」「彩のモルトセッション」などなど、頻繁に季節限定商品を発売しているからです。価格のリーズナブルな新ジャンルで、ここまで意欲的に挑戦的な味をカジュアル層に提案しているブランドも珍しいでしょう。

↑11月28日から数量限定で全国発売(350ml缶で145円/実勢価格)される、麦とホップ 「彩のモルトセッション」。ミュンヘン麦芽とカラメル麦芽に加え、小麦麦芽と計3種の麦芽を使っており、なめらかな飲み口が特徴のようです ↑11月28日から数量限定で全国発売(350ml缶で145円/実勢価格)される、麦とホップ 「彩のモルトセッション」。ミュンヘン麦芽とカラメル麦芽に加え、小麦麦芽と計3種の麦芽を使っており、なめらかな飲み口が特徴のようです

 

クラフトビール同様にホップの一般的な浸透は道半ばですが、ビール業界全体でホップが有力視されていることは間違いありません。今後、よりホップを効果的に使った新商品の登場や取り組みの開催に期待したいと思います!

いま、ビール市場は大きく変わりはじめている! 各社の施策で見えた最新トレンドとビールの未来

ビール類全体が減少しているなか、「クラフト系は伸びている」という話は酒好きなら知っている話題かもしれません。筆者もその動向を逐一チェックしているひとりで、今秋はいくつかの面白いトピックスが見られました。そこで本稿では、各社の新商品や取り組みを中心に共通点を探り、ビールの未来を考察していきたいと思います。

 

国内クラフト王者の進化と新作にはホップが大きく貢献!

まずは、国内クラフトビール界のトップランナー「ヤッホーブルーイング」の展開から。実は今秋、「よなよなエール」がリニューアルしたのです。日本で最も有名なクラフトビールといえる同商品ですが、1997年の発売以来初めてレシピが大幅刷新されました。

↑左が旧で右が新(価格は変わらず267円)。パッケージの「香りのエールビール」が「クラフトビール」に変更された部分にも注目です。これは「クラフトビールが一定の知名度を得た」といえる証かもしれません↑左が旧で右が新(価格は変わらず267円)。パッケージの「香りのエールビール」が「クラフトビール」に変更された部分にも注目です。これは「クラフトビールが一定の知名度を得た」といえる証かもしれません

 

味わい面で大きく変わったのが、使用するホップです。よなよなエールの特徴である柑橘類を思わせる香りを最大限に引き出すため、「カスケード」と呼ばれるアロマホップを増量。さらに、これまで使用していたホップの品種を見直し、「カスケード」をより引き立てるためのホップブレンドに変更しました。

↑飲んだ感想としては、香りの輪郭がくっきりとした印象。爽やかな苦みのなかで、グレープフルーツやレモン系の柑橘フレーバーがより明るく鮮やかに広がります↑飲んだ感想としては、香りの輪郭がくっきりとした印象。爽やかな苦みのなかで、グレープフルーツやレモン系の柑橘フレーバーがより明るく鮮やかに広がります

 

さらに、今秋のトピックスとしてヤッホーブルーイングからはもうひとつ、予想外の新商品が発表されました。カエルのイラストが印象的なあのブランドからのニューカマー、「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」です。

↑10月24日より、ローソン系コンビニとポプラで発売されている「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」。価格は288円です↑10月24日より、ローソン系コンビニとポプラで発売されている「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」。価格は288円です

 

もともと「僕ビール、君ビール。」は、普段ビールを飲まない20~30代の若い世代に新たな味の体験を提供することを目指した商品。味の特徴はズバリ「思わずハッとする個性的な味わいと香り」で、ここにきてさらに攻めた商品を投入したのです。ビアスタイルは「ホッピーアンバー」。鮮烈なホップの香りと桃を思わせるフルーティなフレーバー、そしてモルト由来のスウィートなキャラメル感が際立ちながらスムースで飲みやすい味わいです。

↑味の秘密は5種の麦芽とホップ使いにあり。ホップは爽やかな香味の「シムコー」とフローラルな「コメット」が中心(写真の粒はホップのペレット)。さらに、ホップを添加するタイミングを2回に分け、それぞれの使用量を変えて苦味を残さないようにしています↑味の秘密は5種の麦芽とホップ使いにあり。ホップは爽やかな香味の「シムコー」とフローラルな「コメット」が中心(写真の粒はホップのペレット)。さらに、ホップを添加するタイミングを2回に分け、それぞれの使用量を変えて苦味を残さないようにしています

 

「フレーバーホップビール」という新カテゴリーが誕生!

つづいては、サッポロのグループ企業「ジャパンプレミアムブリュー」の新商品を紹介。同社はこれまで「Craft Label THAT’S HOP 伝説のSORACHI ACE(ソラチエース)」などの意欲作を発売しており、今回は「既成概念にとらわれない、ビール新カテゴリー創造への挑戦」と銘打った注目の内容でした。なんと、クラフトビールでもプレミアムビールでもない新ブランド「Innovative Brewer」が立ち上がったのです。

↑ブランドの第1弾となる「Innovative Brewer THAT’S HOP Nelson Sauvinの真髄」と「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」。1都6県に加え、山梨・長野のファミリーマートとサークルK・サンクスで10月3日から先行販売されています。価格はどちらも288円↑ブランドの第1弾となる「Innovative Brewer THAT’S HOP Nelson Sauvinの真髄」と「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」。1都6県に加え、山梨・長野のファミリーマートとサークルK・サンクスで10月3日から先行販売されています。価格はどちらも288円

 

商品名そのままですが、第1弾のテーマは「ホップそのもの」。フレーバーホップビールという新カテゴリーで、ホップを主役にした観点で企画されています。それはつまり、「〇〇ビールの商品である」「クラフトである」「〇〇というビアスタイルである」といった既存の選び方ではなく、ビールの原材料であるホップの種類で選ぶという新提案。

↑使われているホップの乾燥球花を比較。左の「対照ホップ」に比べ、右の「ネルソンソーヴィン」はグリーン系のみずみずしさのなかに、白ブドウや青リンゴのような爽やかで甘いアロマが感じられます↑使われているホップの乾燥球花を比較。左の「対照ホップ」に比べ、右の「ネルソンソーヴィン」はグリーン系のみずみずしさのなかに、白ブドウや青リンゴのような爽やかで甘いアロマが感じられます

 

実際にテイスティングしてみると、その個性がよりよくわかります。「ネルソンソーヴィンの真髄」は苦みが抑えられていて華やかかつ爽やか。クリアながらも上品なフルーティ感があって、飲み応えは十分といった印象です。一方の「絶妙のモザイク&シトラ」は、グレープフルーツなど柑橘系の清涼感が豊か。ただ、アメリカを中心に人気の明るく弾けるような柑橘フレーバーとは異なる繊細なニュアンスです。アルコール度数も4.5%で飲みやすく、確かに“絶妙”といえるおいしさですね。両商品とも日常的な料理に合わせやすく、個性派ビールの入門にもオススメです。

↑液色はほぼ一緒ですが、ファーストインパクトの風味と余韻はけっこう違います。販売チャネルはファミマ系コンビニが中心ですが、ぜひ試してみては↑液色はほぼ一緒ですが、ファーストインパクトの風味と余韻はけっこう違います。販売チャネルはファミマ系コンビニが中心ですが、ぜひ試してみては

 

これまでの2社の新商品に共通するものーーそれはホップです。これはすなわち、ビールのいち原料として語られてきたホップにより注目が集まっているといえるでしょう。そして、ホップへの取り組みでいえば、キリンビールとその傘下のスプリングバレーブルワリー(SVB)にも注目です。前者は毎年「一番搾り とれたてホップ生ビール」を発売していますが、今年も10月24日から数量限定で岩手県遠野産ホップ「IBUKI」を使用した一番搾りを発売中。

↑350ml缶は207円、500ml缶は275円(ともに参考価格)。通常の「一番搾り」よりみずみずしく、華やかな香りが特徴です↑350ml缶は207円、500ml缶は275円(ともに参考価格)。通常の「一番搾り」よりみずみずしく、華やかな香りが特徴です

 

そして後者でいえば、SVBが中心となって秋に「FRESH HOP FEST」という国産ホップの収穫イベントを開催しており、その規模は年を追うごとに拡大しています。

↑今回も大盛況だった「FRESH HOP FEST」。今年は5つの会場で開催され、31ものブルワリーが参加するほどに裾野が広がっています↑今回も大盛況だった「FRESH HOP FEST」。今年は5つの会場で開催され、31ものブルワリーが参加するほどに裾野が広がっています

 

そして個人的には、サッポロビールの新ジャンル「麦とホップ」の存在も見逃せないと感じています。なぜなら、麦とホップは「魅惑のホップセッション」「夏空のホップセッション」「秋の薫り麦」「赤」「彩のモルトセッション」などなど、頻繁に季節限定商品を発売しているからです。価格のリーズナブルな新ジャンルで、ここまで意欲的に挑戦的な味をカジュアル層に提案しているブランドも珍しいでしょう。

↑11月28日から数量限定で全国発売(350ml缶で145円/実勢価格)される、麦とホップ 「彩のモルトセッション」。ミュンヘン麦芽とカラメル麦芽に加え、小麦麦芽と計3種の麦芽を使っており、なめらかな飲み口が特徴のようです ↑11月28日から数量限定で全国発売(350ml缶で145円/実勢価格)される、麦とホップ 「彩のモルトセッション」。ミュンヘン麦芽とカラメル麦芽に加え、小麦麦芽と計3種の麦芽を使っており、なめらかな飲み口が特徴のようです

 

クラフトビール同様にホップの一般的な浸透は道半ばですが、ビール業界全体でホップが有力視されていることは間違いありません。今後、よりホップを効果的に使った新商品の登場や取り組みの開催に期待したいと思います!