ミニチュア職人は、伝統工芸職人だ! 玉袋筋太郎が特殊造形・美術制作の世界に迫る!!

〜玉袋筋太郎の万事往来
第23回マーブリング・プランニング

 

全日本スナック連盟会長を務める“玉ちゃん”こと玉袋筋太郎が、新旧の日本文化の担い手に話を聞きに行く連載企画。第23回目のゲストは、ミニチュアを使用した特殊撮影を中心に、映像・展示作品などの美術制作を一手に請け負うマーブリンググループから、「マーブリング・プランニング」の美術デザイナー・木場太郎さんと、代表取締役・岩崎敏子さんが登場。日本が誇るミニチュア特撮の技術を目の当たりにして玉ちゃんも感動の嵐!

 

【公式サイト:https://www.marbling-grp.com/

 

(構成・撮影:丸山剛史/執筆:猪口貴裕)

●美術デザイナー・木場太郎さん(左)、代表取締役・岩崎敏子さん(右)

 

古くて傷だらけの建物が重なっていくと、立体感やリアリティが出てくる

玉袋 (取材場所に入るなりセッティングしてあったジオラマを目の当たりにして目を輝かせながら)うわ! すげえ!!

 

木場 ぐちゃぐちゃに置いてるだけに見えると思いますが、撮影現場でカメラを置いてから成立するための飾りなんです。仮に今ここにスマホを固定すると……。

 

玉袋 本当だ! ちゃんと街になってるよ。

 

木場 奥に東京タワーが見えて、あの隙間に人間が立ったら、巨大な何かがいる、みたいな。

 

玉袋 確かにこれ(スマホ)がなかったら、雑に置いてあるなって思ったんだけど、画角が入るとすごいな。実際の街のレイアウトじゃないですもんね。寸分違わず街を再現するっていう形じゃないんだな。

 

木場 街をリアルに再現することもあるんですけど、たとえば『ウルトラマン』シリーズだと、1日に30~40カットを撮る日もあるんです。いちいち時間をかけていたら成立しないから、こんな感じでガチャっとセッティングします。もちろん、いい加減な訳ではなく、いろいろ角度や距離、高さなどを替えたりして、街らしく見せるために考えていますけどね。いちいち計算していると終わらないので、絵を描く感覚と一緒です。

 

玉袋 ウルトラマンマニアはたくさんいると思うけど、ミニチュアマニアも絶対にいる訳でしょう。たとえば『ブレードランナー』(1982)にはTheYukon Hotelが何度も出てくるけど、何回も入れ替えて作ってるじゃないですか。そういうところに俺も注目しちゃうもんな。高校生の時に、『ブレードランナー』のオープニングに出てくるタイレル社本社ビルのミニチュアがPARCOに展示されていて、観に行った思い出があるよ。

 

木場 光ファイバーで点々と光るビルですよね。それで巨大に見せているという。

 

玉袋 そうそう。今はフルCGが普通だと思うけど、やっぱ違うよね。俺はこっちだな。

 

木場 そう言ってもらえると、作っている人間としてはうれしいですね。

 

玉袋 セッティングにはどれぐらい時間がかかるんですか?

 

木場 5~10分ですかね。5、6人でササッとやります。

 

玉袋 お、「玉袋筋太郎」と「GetNavi」の看板も作ってくれてるよ。いちいち、ありがたいね(笑)。これは感動した、俺もスマホで撮っておこう。

木場 ライティングしてもらったら、もっとドラマチックになりますけどね。ライティングってすごく大事なんです。たとえば、このミニチュアの建物の中に、アイランプっていうクリップが付いたタングステンの玉を入れるんです。光が強すぎないようにフィルターやトレーシングペーパーを貼って調整するんですけど。

 

玉袋 LEDの時代になってどうですか?

 

木場 すごく楽です。ガンガン使っています。LEDは何がいいって、電池も使えるところです。もちろんコードも使いますけど、手前でがちゃがちゃ動かす時は電池でやっちゃうんです。タングステンを入れると熱で溶けたりしたんですけど、電池はボルテージが低いので、それがないですし。しかも軽いし、安いしで、いいことづくめですね。

 

玉袋 雨を降らせる時はどうするんですか?

 

木場 どうしてもって時はやりますけど、建物の一部がふやけちゃうんです。だから全体に降らせるのではなくて、ミニチュアの手前に雨を降らせて、芝居をする人間にも雨を降らせて撮ることが多いですね。

 

玉袋 昼間のシーンと夜間のシーンではどっちがやりやすいですか。

 

木場 デイ(昼間)ですね。というのもナイター(夜間)になると、ライトのコードを入れる必要があります。1日1カットならいいけど、何カットも撮る時にコードを入れ替えるのはすごく大変なので、なるべくナイターのシーンは絞り込んで撮ります。

 

――ざっくり建物一つを作るのに、どれぐらいかかるんですか?

 

木場 1週間以上はかかりますね。ここにセッティングしているものを一から作るとなると大変ですよ。だから使いまわしで、中には10年以上使っているものもあります。窓が壊れたら修理して、色が剥がれたら塗り直しての繰り返しです。新しいのもいいんですけど、古くて傷だらけの建物が重なっていくと、立体感やリアリティが出てくるんですよね。それで深みも増していくんです。

 

玉袋 よく見ると、「これは何だ?」ってパーツもあるよね。この屋上に置いてあるパーツなんて、わざわざ一から作った訳じゃないでしょう?

木場 まさに会社の屋上に落っこちていたものを、そのまま屋上に置きました(笑)。

 

玉袋 『2001年宇宙の旅』(1968)なんかも、よく見ると宇宙船内にホームセンターに売っているような普通のダクトみたいなのがあるんだ。ああいうのを見つけるのが俺は好きなんだよね。『エイリアン』(1979)のノストロモ号や『エイリアン2』(1986)の医務室なんかも、日常にあるようなものを使ってるなって思った記憶がある。

 

木場 意外と弁当箱を使ってたりしますね。

 

玉袋 そうそう! 弁当箱でも妙にSFチックでかっこいいんだ。

 

木場 弁当箱をバーッと並べるだけでも、色が塗ってあったら分からないんですよ。

 

玉袋 街を壊したりもするじゃないですか。あれはどうしているんですか?

 

木場 壊す時は、別個にそれ用のものを作るんです。昔ながらのやり方ですと、石膏を水でぐじゃぐじゃに溶かして、壊れやすく作ったものに傷を入れて、そこに火薬を仕込んでもらって、ぶつかると同時にバーン! って破壊するんです。

 

玉袋 一発勝負だ。NGが出せないから大変ですよね。

 

木場 みんな集中してますから、意外とNGは出ないものなんです。

 

――マーブリングさんには、画期的な壊れ方をするビルがあり、それを唯一作れる職人さんがいるとお聞きしました。

 

岩崎 実際の現場で使ったことはないんですが、社内でいろいろな壊れ方を研究しようよという呼びかけがあって。ワイヤーの組み合わせを工夫して、みんなでワイヤーを一気に引くと、各階がバラバラに落ちて行く壊れ方をしたんです。そういう研究を好きな職人がいて、いろいろなバージョンを作っています。

 

『男たちの大和/YAMATO』の大和は当時の設計図を基に制作

玉袋 マーブリングさんの会社設立はいつなんですか?

 

岩崎 1972年に前身の「アースアート」を設立したので、2022年でちょうど50周年でした。

 

――設立当時から調布市国領町にあるんですか?

 

岩崎 世田谷区の砧、狛江市、現在の調布市と転々とはしているんですけど、今の場所になって40年近く経ちます。当時は全然道路も整備されていなくて。

 

玉袋 調布は撮影スタジオが近いから選んだんですかね?

 

木場 それが一番です。もともと円谷プロさんが砧にあって、先代の社長は会社設立前から円谷さんとお仕事をしていたんですよね。砧は東宝(スタジオ)もあるし、調布には日活(調布撮影所)もあるし。この辺は、うちみたいに古くから映像制作に関わっている会社が多いです。

 

――『ウルトラマン』シリーズには、いつごろから関わっているんですか?

 

木場 『ウルトラマンタロウ』や『ウルトラマンレオ』あたりからデザイナーとして入っていた人間がいて、怪獣のデザインもしていました。

 

玉袋 たかが30分の子ども番組って思う人もいるだろうけど、一つの作品にはスーツアクターもいれば、こういう造形を作る人や、背景を描く人もいて、すごい技術が結集しているんだよな。

 

――最近の『ウルトラマン』シリーズは2クールですか?

 

木場 大体そうですね。だから半年分です。撮影はもうちょっと長くかかりますね。全24回あったとしたら8か月ぐらい。ドラマパートと特撮パートは別々に撮りますけど、どうしても特撮パートは時間がかかります。

 

玉袋 マーブリングさんが手がけた、最初に大規模なミニチュアを作った映画は何ですか?

 

岩崎 『夜叉ヶ池』(1979)です。

 

――去年、4Kデジタルリマスター版のBlu-rayが出ましたよね。

 

岩崎 当時としては、ものすごい額の予算を特撮にかけて、何トンもの巨大な鉄の入れ物を作って、そこに水を貯めて、街を流したんです。

 

木場 昔の映画は規模が大きい作品が多かったみたいですね。今は時間も予算も限られてくるので、なかなか規模が大きいのができないんですよね。

 

玉袋 木場さんは、マーブリングさんに入ってどれぐらいですか?

 

木場 約20年です。今50歳なんで、会社と同じ年なんですよ(笑)。

 

玉袋 もともと造形が好きだったから入社したんですか?

 

木場 芸術系の学校は出たんですけど、なんで入っちゃったんでしょうね(笑)。たまたま九州で先代の社長に出会って、東京に出てきた時に、「来ないか?」と誘ってもらって今に至ります。

 

岩崎 彼は美術デザイナーになる前に、『山のあなた〜徳市の恋〜』(2008年)という映画でミニチュアを作ったんですけど、アメリカに「ビジュアルエフェクトソサエティ」っていう裏方の人間たちによる裏方の人間たちのためのアカデミー賞みたいな賞があって、それに日本の作品なのに応募したんです。そしたら、ちゃんとノミネートしてくれたんですよ。サイズの大きいものだったんですが、映像で見ていただくと本当にミニチュアって分からないんですよ。

 

玉袋 子どものころからジオラマなんか作ってたんですか?

 

木場 いや、全然です。むしろ子どものころは見たことがなかったぐらいですね。仕事を通して技術を覚えていったんです。

 

玉袋 ジオラマというと、俺なんか鉄道模型を思い出すけど。

 

木場 うちでも鉄道ジオラマはよく作っていますよ。

 

岩崎 どうしても特撮がフィーチャーされがちなんですけど、いろいろな造形だったり、鉄道ジオラマだったり、何でも幅広くやらせていただいています。展示物だと小田急電鉄さんのロマンスカーミュージアムで、小田急線沿いの街を作っています。

 

玉袋 新しいビルができると、エントランスにミニチュアが置いてあったりするよね。

 

木場 そういうものも制作します。

 

玉袋 そうなんだ。そっちは、さっき見せてもらったミニチュアと違って、縮小して寸分違わず作る訳でしょう。

 

木場 そうです。だから大変ですよ。

 

玉袋 前に取材で森ビルが作った東京都の模型を見させてもらったんだけど、あれもすごかったもんな。

 

岩崎 森ビルさんの模型は今も進行中で、どんどん足されているはずですよ。

 

――映像と、それ以外のお仕事の割合ってどれぐらいなんですか?

 

岩崎 半々ぐらいですね。一時期よりも映像の仕事が少なくなってるんですよね。ミニチュアを使うこと自体が少なくなっていますから。

 

――『男たちの大和/YAMATO』(2005)に出てくる戦艦・大和もマーブリングさんが手がけたんですよね。

 

木場 映画版の大和は私が作ったんですけど8メートルぐらいあります。呉の大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)に置いてある大和もマーブリングが作っていて、こちらは違う者が手がけたんですが、その大和は26.3メートルあるんです。

 

玉袋 もう実際の船を作っているのと一緒だよ(笑)。

 

木場 実際、下は本物の船舶なんです。海から運ばないといけないから、そうしないとダメなんですよね。

 

玉袋 最高だね。ワクワクしちゃうよ。

 

岩崎 大和繋がりで言うと、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010)のイベントを赤坂サカスで開催した時に、うちが宇宙戦艦ヤマトを制作して、赤坂サカス前に展示させていただいたんです。

 

玉袋 キムタク(木村拓哉)が古代進を演じた映画だな。

 

――イベントだけのために作ったんですか?

 

木場 そうなんです。それも20メートルぐらいと大きかったです。

 

玉袋 ここのファクトリーじゃ作れないですよね。

 

木場 遠方に倉庫を借りて作りました。もうミニチュアじゃないですよね(笑)。

 

玉袋 何人ぐらいで作ったんですか?

 

木場 この時は10人ぐらいで、3か月はかかったと思います。ただ『男たちの大和/YAMATO』の大和よりは、コストダウンな作り方なんですよ。発泡スチロールがベースだったので、強い衝撃を与えると壊れちゃうんです。

 

玉袋 (当時作成した宇宙戦艦ヤマトの写真を見せてもらって)発泡スチロールには見えないね。ものすごい完成度だよ。マニアで譲ってくれって人もいるでしょう?

 

木場 いますけど、これは大き過ぎて運ぶことができない。確か現場でパーツをくっつけちゃったはずです。だから解体して捨てるしかないんです。

 

玉袋 その儚さもいいよね。花火みたいというか。ちなみに常設で展示しているミニチュアって埃がくっついちゃったりするじゃない。それってどうするんですか?

 

木場 たまにメンテナンスに行って、掃除するんです。大和ミュージアムにも年に一回は行ってます。やっぱり作った人じゃないと、構造が分からないですし、大砲がいっぱいありますから、周りを歩いただけでボキッと折れる可能性もありますしね。

 

玉袋 大和は当時の設計図から作ったんですか?

 

木場 ずっと大和の研究をしてらっしゃる方がいて、その方に資料を借りて、そこから設計図を起こしました。ただ私の作った映画版の大和は大砲のプラモデルを100個ぐらい買って。もちろん主砲は作らないといけないんですけど、細々した大砲はそれで代用しました。大和ミュージアムの大和は、そこからブラッシュアップして一から作っているので、さらにクオリティが高くなっています。

 

玉袋 有名なパイプオルガン職人が趣味でミニチュアの大和を作っていて、見せてもらったことがあるんだけど、緻密に作ってあって感心したんだ。でも、木場さんの作った大和は、ある意味、緻密に見せなきゃいけないんだけど大雑把なところも必要でしょう。

 

木場 そうですね。

 

玉袋 そこのさじ加減がプロなんだよね。

 

木場 映像にした時の見え方で考えますからね。おそらくパイプオルガン職人の方は細部までこだわって完璧に再現しているんでしょうけど、極端な話、僕らの作った大和は見えない部分はいらないんです(笑)。

 

ミニチュア好きの若い世代は増えている

――海外も日本みたいに、今もミニチュア文化ってあるんですか?

 

木場 先ほどお話しに出た『山のあなた〜徳市の恋〜』あたりで、ほぼ消滅していると思います。

 

玉袋 商売あがったりじゃないですか。

 

岩崎 そうなんです!

 

木場 円谷プロ様々ですよ(笑)。ずっと現役で、今も映像でミニチュアをやっているのは、円谷プロと東映さんぐらいだと思います。たまにコマーシャルでミニチュアをやりたいって依頼はありますけどね。

 

玉袋 海外からの発注はあるんですか?

 

岩崎 海外は昔からないですね。

 

玉袋 さっき話に出た『ブレードランナー』や『2001年宇宙の旅』、スピルバーグで言えば『未知との遭遇』(1977)のマザーシップとか、『1941』(1979)の観覧車とかさ、今観ても面白いのはミニチュアだからなんだよね。やっぱCGじゃ面白くないんだよな。

 

岩崎 うちの会社が設立した70年代は、『大地震』(1974)を始め、海外でもたくさんミニチュアを使っているんですよね。

 

玉袋 パニック映画全盛期だからね。『タワーリング・インフェルノ』(1974)や『ポセイドン・アドベンチャー』(1972年)なんかもそうだ。

 

岩崎 最近だとクリストファー・ノーラン監督がミニチュア好きで、『インターステラー』(2014)でもミニチュアを使っていますけどね。

 

玉袋 マーブリングさんは、若い職人は育ってるんですか?

 

木場 徐々にですけど育ってます。ただ数は少ないですね。応募数は多いんですけど、長持ちする人が少ない。しんどい仕事ではありますからね。それでも今はずいぶんよくなってきてるんです。以前は平気で夜通しやって、それが連日みたいなこともあったけど、それを今はなしにして、最後のほうだけ徹夜しようか、みたいな。それにしても、しんどいらしいです。

 

玉袋 そうして苦労して作り上げたミニチュアだから、本番でモニター越しに見た時、「やった!」っていう気持ち良さがある訳でしょう?

 

木場 気持ちいいですね。それが、やりがいですから。

 

――社員数はどれぐらいなんですか?

 

岩崎 今は25、6名ですかね。社員はそのぐらいで、あとはプロジェクトに応じて、外部のスタッフに集まっていただいています。

 

――映像班と、それ以外の班みたいに、セクションは分けているんですか?

 

岩崎 基本は全員どれもこなせるんですけど、最近は社内で精鋭化しようということで、「マーブリング・プランニング」(造形・デザイン・企画・美術進行)、「マーブリングファインアーツ」(模型・木工)で分けています。チーム間で助け合っていますけどね。

 

玉袋 「ここのミニチュアを直せ」みたいな感じで、うるさい監督もいますか?

 

木場 監督が細かいことを言えるレベルじゃないぐらい、現場は慌ただしいんですよ。僕らはそれを邪魔しないように確実に置いていけば、現場が止まることもないんです。コマーシャルだったら、すごくこだわって、ミリ単位でずらしたりもしますけど、一日に何十カットも撮るのに、1個1個のセットを細かく修整できないですからね。

 

玉袋 いわば預けられる訳だね。

 

木場 そうです。ちゃんと考えて、やるべきことをやって違いを見せていく。そうしないと終わらないですから。予算をかけた大作映画なら時間もかけられるでしょうけど、『ウルトラマン』のようなテレビ番組は時間との勝負ですからね。

 

玉袋 期間と予算が決まってる訳だしね。そういう厳しい条件でも、ちゃんと仕事をしているから、子どものころに見た作品でもミニチュアがしっかりと記憶に残っているんだよね。すごい仕事ですよ。

 

岩崎 そうおっしゃっていただけるとうれしいです。『ウルトラマン』だと、どうしてもウルトラマンや巨大怪獣に注目が集まりますけど、特殊撮影のすごさも伝播してほしいという気持ちがあるんです。

 

玉袋 見たら伝わりますよ。確かに子どものころは何気なく見ていても、年を重ねていくと、「お! この技術すげーな」って思う訳じゃない。技術の素晴らしさをお父さんとお母さんが教えなきゃ駄目だな。そうしたらミニチュアを作ってみたいって若者も増えるだろうし。

 

岩崎 だといいんですけどね。

 

木場 今もミニチュア好きの若い人たちは多いんです。求人をかけると、僕らよりも知識がある人たちがいっぱい来ますから。ただ好きなほうがいい場合と、僕みたいに知らないほうが意外に良かったりする時もあるので、どちらがいいとは言えないですが、確実に間口が広がって入りやすくなっていると思います。ただ、なかなか長続きしてくれないから悩んでいます(笑)。それはミニチュアに限らず、この世界で古くからやっている会社さんは、どこもそうみたいです。

 

玉袋 伝統工芸職人として東京都が認めなきゃ駄目だよ。ミニチュア職人は、伝統工芸職人であるってことを発信したほうがいいな。俺もここから発信しますよ。今日、スマホ越しにミニチュアを見せてもらった時の感動は、それぐらいすごかったよ。

 

木場 少数ながらも若い人たちは育っていますけど、この仕事自体の需要が今後もあるかというと怪しいですからね。どうしてもCGのほうに流れていますから。

 

玉袋 同じ風景をCGで作るのと、ミニチュアで作るのでは、どっちがお値段はかかるんですか?

 

木場 クオリティにもよりますが、まだまだCGのほうが全然高いんですよ。だからミニチュアに目を向ける人もいると思います。個人的にはミニチュアとCGを上手くミックスさせていくことが大切だと感じていて、『ウルトラマン』はその辺を上手いことやっていますし、円谷さんはミニチュアを大切にしてくれています。

 

岩崎 ミストウォーカーという会社で、『ファイナルファンタジー』シリーズの生みの親である坂口博信さんが『FANTASIAN』という携帯用の新作ロールプレイングゲームを作られたんですけど、背景グラフィックの多くは弊社が作ったジオラマなんです。

 

木場 ジオラマをCGに取り込んでいるんです。『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)もそれに近いことをやっているんですけど、そこに可能性を感じていますね。

 

――2022年11月1日に開設したばかりのジブリパークにも関わっているんですよね。

 

岩崎 そうなんです。『天空の城ラピュタ』(1986)の飛行艇と、『借りぐらしのアリエッティ』(2010)エリアの「床下の家」でも多くのアイテムを弊社が作りました。

 

玉袋 ジブリパークは空想の世界だけど、本物の造形と両方できるのがすごいよ。

 

岩崎 ジブリパークは2Dから立体に起こすところがデザイナー陣の腕の見せ所なんです。ジブリさんが他の会社さんと違うところは、たとえばディズニーだと設計図が届いて、デザインから色指定まで言われた通りにやらないといけないんです。ジブリさんはアニメの絵を切り取って、もちろん厳しく監修は入りますが、自由にやってくださいというスタンスなので、 それぞれの人たちの特徴が出ますし、作り手たちは楽しいんですよ。

 

玉袋 ジブリパークでマーブリングさんの作品を見て、自分も作ってみたいって憧れる子どももいるだろうしね。国が「クールジャパン」とか安っぽく言ってるよりも、全然こっちのほうがクリエイティブだし、世界に誇れる技術ですよ。

 

――最後に今後の抱負をお聞かせください。

 

岩崎 海外をターゲットにしていきたいと考えています。日本のキャラクターは世界的に人気がありますし、特にジブリさんは海外人気も高くて、中国でもプロジェクトを進めさせていただいているんです。以前、カナダでジブリさんとは別のプロジェクトに携わった時は、現地に行って工房をたくさん見て回って、そこで気に入った職人さんに声をかけて、臨時の工房を作ったんです。そうすると現地受けしやすいニュアンスに変わって、ローカライズされるんですよね。輸出入の手続きもいらないし、メンテナンスも現地の人間が対応できるので、すごく可能性を感じました。あとは映像のサポートです。以前、中国で中国放映用の特撮を撮影したのですが、今後も海外で映像のサポートをやっていきたいですね。

 

 

玉袋筋太郎

生年月日:1967年6月22日
出身地:東京都
1987年に「浅草キッド」として水道橋博士とコンビを結成。
以来、テレビ、ラジオなどのメディアや著書の執筆など幅広く活躍中

一般社団法人全日本スナック連盟会長
スナック玉ちゃん赤坂店オーナー(港区赤坂4-2-3 ディアシティ赤坂地下1階)

<出演・連載>

TBSラジオ「たまむすび」
TOKYO MX「バラいろダンディ」
BS-TBS「町中華で飲ろうぜ」
CS「玉袋筋太郎のレトロパチンコ☆DX」
夕刊フジ「スナック酔虎伝」
KAMINOGE「プロレス変態座談会」

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「テリア」初のカプセル搭載! IQOS ILUMA専用たばこスティック「テリア オアシス パール」などを順次発売

フィリップ モリス ジャパンは、加熱式たばこIQOS ILUMA(イルマ)専用たばこスティックの「テリア」から、「テリア ボールド レギュラー」と「テリア オアシス パール」を、順次発売します。

 

テリア ボールド レギュラーは、全国8店舗のIQOSストア、ヤマダデンキ一部店舗のIQOSショップ、ドン・キホーテ系列一部店舗などのIQOSコーナー、コンビニエンスストアを含む全国たばこ取扱店で1月23日から、IQOSオンラインストアでは1月24日から、順次販売を開始します。税込価格は580円。

 

テリア オアシス パールは、「テリア」では初となるカプセルを搭載。全国8店舗のIQOSストア、ヤマダデンキ一部店舗のIQOSショップ、ドン・キホーテ系列一部店舗などのIQOSコーナー、コンビニエンスストアを含む全国たばこ取扱店で2月6日から、IQOSオンラインストアでは2月7日から、順次販売を開始します。税込価格は580円。

↑「テリア オアシス パール」カプセル構造

映画監督・足立紳、年に一度の豪華な食い散らかしを妻になじられ2022年最後のケンカに突入する12月

「足立 紳 後ろ向きで進む」第33回

 

結婚20年。妻には殴られ罵られ、ふたりの子どもたちに翻弄され、他人の成功に嫉妬する日々——それでも、夫として父として男として生きていかねばならない!

 

『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、『喜劇 愛妻物語』で東京国際映画祭最優秀脚本賞を受賞。2023年のNHKの連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本も担当。いま、監督・脚本家として大注目の足立 紳の哀しくもおかしい日常。

 

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12月1日(木)

朝、息子を学校まで送りそのままいつもの喫茶店にて仕事。まったく進まない。

 

シナリオを書いていると、自分の構成力のなさを呪う。次にどんなシーンがくれば効果的なのかというのが毎度毎度わからない。脚本は国語力よりも数学力が必要と聞いたことがあるが、私は国語も数学も苦手だ。というか得意な教科はない。

 

それにしても、シナリオを書いている人はなにが楽しくて書いているのだろうか。構成なのかセリフなのか? 人それぞれだろうが私は面白いシーンを思いついたときが一番幸せだ。今、書いているとあるシナリオに、夫と妻と小学校低学年の娘が「赤あげて、白あげて」ゲーム(そんな名前ではないだろうが)をやっている場面がある。

 

娘が「赤あげて、白あげて、赤さげないで、白さげない」などと言い、いつもは不機嫌な妻がムキになって旦那に勝とうとするがぜんぜんダメで、娘がバカ笑い、旦那がニタニタしていることから夫婦ゲンカになるのだ。書いているだけで私はすごく笑えるのだが、こうして日記に書くと面白くもなんともない場面に思える。

 

いずれにせよ私は、見ている人にはどうでもいいような場面とか、あるいは低俗な会話を書いているときが一番楽しい。が、近ごろはそういうシーンなり会話なりは不快なだけと思われがちな気がしてならない。ますます私の出番は減るような気がする。

 

夜、近所にお住いの俳優Uさんと飲んだ。飲みましょう、飲みましょうと会うたびに言いながら、そういう口約束を実現する能力がゼロの私にかわって誘っていただいたのだ。とても楽しい時間だった。

 

会えば「今度、飲みましょうよ」という口約束だけして、その今度は永遠にない生き方をしてきたが、考えてみればそれは「ない」よりは「ある」ほうがいいから、「今度って約束、いつにしましょうか」と私も少しは積極的に生きてみようと思った。

 

12月2日(金)

朝、息子の行き渋りがいつもよりややひどい。来週、社会科見学で浅草に行くのだが、その不安が今から発生しているのだ。今日は同級生の友達が迎えに来てくれたのでなんとか行った。

 

12月4日(日)

日曜は喫茶店が混んでいてうるさいので、家で仕事をすることが多いのだが、やはり家だと、今日もYouTubeを見ながらその合間にわずかに仕事をする感じだ。

 

野球の乱闘シーンや野生動物のケンカや古いプロレスの試合、AV女優さんたちのトークや世間の評価は高いが私としては理解できなかった映画(たくさんある)の解説をしてくれているチャンネルなど見ながら、その合間にわずかに仕事をすすめる。

 

夕方、家族で近所の回転寿司に行くために、保育園時代の友だちと公園に遊びに行った息子を迎えに行くと、息子が一人、公園で怒り狂っていた。なんでも他校の子に「クズ扱いされた!」とのことで興奮している。

 

「なんで?」と聞いてもよく分からない。興奮していと眉毛が八の字になってかわいい息子は「クズ扱いされたんだよ!」の一点張りだ。「今度クズ扱いされたらやり返しちまえ」などと言いながら、妻と娘の待つ回転寿司に行った。

 

今日は娘と息子が行きたいというから来たのだが、妻は相変わらず外食に来ると不機嫌になり(ちげーし。外食は好きだし。食い意地張ってるアンタを見るのが嫌なだけだし。by妻)、中トロを頼もうとすると息子には「マグロでいい」。私がなにか注文しようとすると「ほら、パパがきっと金のお皿頼むよ、よく見ときなさい」などと言ってこちらの食欲をそいでくる。その甲斐あってか娘も「パパ、また金のお皿?」などとつまらぬことを言ってくる。彼氏ができたときにどんなデートになるのか、私は今から心配している。

 

12月6日(火)

今日は息子の社会科見学の日だ。昨晩から脳調がすこぶる悪くなり、行きたくない行きたくないと連呼していたが、今朝はブツブツと文句を言いつつも行った。これはすごいことだ。絶対に無理だと思っていた。私も気分よく仕事場にしている喫茶店に行けた。

 

昼に妻と合流して、中華を食べた。ニラソバと餃子とイカとセロリの炒め物を食べながら、最近私がクヨクヨしているとある事柄に関して、妻にそのクヨクヨを漏らしたのだが、「どうしようもないじゃん。考えてもどうにもならないことをなんで考えるの。時間の無駄じゃん」と言われてしまう。クヨクヨするとは、どうにもならないことや終わってしまったことをいつまでも悩み続けることだが、その性分でない妻がうらやましい。時間の無駄なことは私だって重々わかっている。でも、どうにもならない。

 

※妻より

私だってクヨクヨしまくります。でも、それを他人に垂れ流して、ダークサイドに引きずり込んだりはしません。一人でクヨクヨクヨクヨして、どうにか抜けられるように生きるしかないのです。夫は巻き込み型なので質が悪いです。案の定、私もクヨクヨに引き込まれてしまい復活に時間がかかりました。

 

夕方、息子が社会科見学から帰って来る。浅草は楽しかったようだ。が、疲労と頭痛を訴え、格闘技教室と塾を休みたいとのこと。もしかしてこの引き換え条件を考えて、朝は必死に出て行ったのかもしれないと思った。

 

12月8日(木)

昨日の疲れが残っている息子が学校に行かないことで、娘が不機嫌になる。自分は学校でいろいろあっても頑張って行ってると娘は言う。なのに弟は行きたくなければ行かないでいいとなっているのがズルい、と。娘の気持ちもわかるのだが、ここで上手な言葉を娘にかけることができない。「弟は行けなくてかわいそうだろ」とか「行きたくなければお前も休めばいい」とかの言葉はなんだか違う気がする。

 

昔の親なら「だったら行かなくていい」の一言だったかもしれない。親の中での優先順位が子どもが一番ではなかったのだ。子どもは宝だと思うが、今の世の中、子どもに気をつかいすぎではないだろうかと思ったりする。やつらはもう少し荒っぽく扱ってもいいような気がするのだが。といっても私は荒っぽくも扱えず、かといって細やかにも扱えず、自分の機嫌に左右されながら子どもと接しているという有り様だ……。

 

12月10日(土)

娘と息子、テレビのチャンネル権争いで大ゲンカ。ちょっと前まで息子は姉に合わせていたが、近ごろは自我が出てきて、自分の見たいものを主張する。『チェンソーマン』は2人で仲良く見てくれていたのだが……。

 

12月11日(日)

娘は朝からV模擬へ。その後に、妻と合流してランチして買い物に行くというので、私は息子と『ブラックアダム』(監督:ジャウム・コレット=セラ)を見る。今の子にとって、というか、私の息子にとってはドウェイン・ジョンソンとか、ジェイソン・ステイサム、あるいはマ・ドンソクが、私にとってのスタローン、シュワルツェネッガー、ジャッキー・チェンなのかもしれない。

 

息子はドウェイン・ジョンソンの眉毛の動かし方(上下になるやつ)をマスターしたいようで一生懸命練習している。そしてドウェイン・ジョンソンが出ているだけでその映画は息子の中で傑作となる。私もスタローンの映画を親が否定するとムキになって怒っていたのだが、そんなことをと書いていると、ふと「映画少年」と「映画青年」の違いについて書かれていたとある文章を思い出した。

 

「映画少年」とは幼少期に映画が好きになって、そのまま止まっている人、「映画青年」とは青年期に映画の魅力に取りつかれた人で、そこから映画について深く考え抜いて生きていく人だそうで、だから「映画少年」はダメなのだと。実際にそう書かれてはいないが、私にはそう感じた。

 

私は思いっきり「映画少年」のほうだ。そして、今の世界の映画界をけん引するのは「映画青年」たちだと思う。が、そこに一矢報いたい気持ちは沸々とある。

 

12月15日(木)

妻と朝一で近所のPCR検査場に行って久しぶりの検査。17日から長崎に行く予定があるのだが、そのための陰性証明が必要なのだ。

 

こういう街場というのか、簡易的な場所で検査するのは初めてなのだが(まったくすっぱくなさそうなレモンと梅干しの絵がたくさん貼ってあった)、どこでそういったバイトの募集をしているのか知らないが、金髪のお兄ちゃんとか、大学生のような女の子とか、やたら若い子たちが仕切って楽しそうにやっていた。若いころに散々やっていた日雇いバイトを思い出した。

 

2階に住むSさんが家賃を持ってきた。仕事をすることもできず、寄付で生活する中からわずかばかりでも払いたいとのこと。Sさんの誇りを尊重していただくことにする。

 

12月16日(金)

午前中、仕事。午後から我が家にて打ち合わせで、14時半スタートくらいだったから、14時10分くらいから神業的に掃除をしようと思っていたら、その14時10分くらいにお客さんたちは到着してしまい、妻が私に「なぜ掃除していないのか!」とキレた。

 

※妻より

私は銀行と区役所の用事で外出していたのでギリギリの帰宅になると事前に夫に言ってあったのにもかかわらず、夫はごみ部屋で、ハナクソほじりながらテレビ見ていたのでした……信じられん……。

 

おまけに今日は息子が学校に行っていない。散らかった部屋にお客さんを招き入れ、息子にはとりあえずゲームを持たせて自分の部屋に行かせたのだが、なぜか息子はこういときに限って「ボクねー、今日学校行ってないんだけど、今から外に遊びにいっていいー?」などとヘラヘラとやって来る。打ち合わせに来ていた方たちのお子さんも、それぞれに不登校気味で、理解がおありで良かった。

 

12月17日(土)

8時15分発の飛行機で長崎へ。私の数少ない自慢の一つに、市川森一脚本賞受賞というのがあるのだが、その市川森一脚本賞を主催している市川森一財団が解散し、市川森一脚本賞もなくなることになった。最後のシンポジウム的なものを市川森一さんの故郷である長崎で催すこととなり、なぜか私が受賞者を代表して(おそらくもっとも声をかけやすかったのかと)行くことになったのだ。

 

到着した長崎は東京よりもだんぜん寒かった。中華街で妻と腹ごしらえをしたのち、近くだったのでグラバー園へ路面電車で行く。ウロウロするも私はとにかく歴史に疎いのでよくわからない。しかもめちゃくちゃ寒い。妻と写真を撮っていただく。しかし園の真っただ中のようなところに普通の民家もあったりして、こんなところに住んでいるとどんな気分なのだろうか。

 

帰りの坂をおりていると、お土産物屋などがたくさん並んでいて、なぜか長崎まで来て息子に『マッドマックス』のようなゴーグルを買い、娘には妻の選んだ手作りネックレスを買った。(息子は大変気に入り、習い事にしていくようになった)

 

 

夕方、軽く明日の打ち合わせをして(私は少し挨拶程度の言葉を述べるだけなのだが)、夜は妻と寿司を食いに行った。久しぶりに夫婦仲良くすごし、かなう確率3%未満の夢を私が大口で語り、妻が「絶対いけるよ、それ」(※そんな風には言っていないが、夢物語に思わずうつつを抜かしてしまうのは私のダメなところだ by妻)などとまるで『喜劇 愛妻物語』の寿司屋のようなバカなシーンを演じていることにはたと気づく。何年たっても変わらないというのか、成長がない。映画のようにろくでもない電話がかかってこなくてよかった(ご覧になっていない方はまったくわからない内容ですみません)。

 

12月18日(日)

朝起きると雪が降っていた。しかも大降りだ。まだ真っ暗な6時前にのこのこ起き出した私は雪の中、ウォーキングに行った。10分も歩いていると、靴の中までビショビショになってしまった。もう何年もはいていてボロボロの靴だから雨の日などすぐ中まで濡れてしまう。濡れた靴で挨拶したくないと妻にダダをこねて、宿の近くにあったABCマートで靴を買ってもらう約束をして、私は昼まで宿で仕事。妻はどこかにブラブラと雪の中を出かけて行った。

 

昼、ABCマート前で待ち合わせて靴を買っていただき、すぐ近くにある「吉宗」というお店で昼飯を食った。東京にもある茶碗蒸しが有名なお店だが茶碗蒸しがバカでかい。私は卓袱定食、茶わん蒸し好きの妻は茶碗蒸しと刺身定食。美味しくてバッテラも8個追加して妻と食べた。

 

注文したらお店の人に「え?」と聞き返されました(多分、量が多すぎて)。

 

その後にシンポジウムの会場に移動。私はシンポジウム前に市川森一脚本賞をいただいたころの話(そのころ、まったく仕事がなかった)などをさせていただいたのだが、その後のシンポジウムはとても面白かった。

 

以下は私のSNSからの転用。

 

市川森一財団は、市川森一さんが亡くなられたとき、大河ドラマ『黄金の日日』の演出部の方々の語らいから発足した。

 

解散式のシンポジウムを聞いていると、市川森一の脚本というのは演出家や俳優にものすごく愛されていたのだなあとしみじみ思った。

 

これをどうやって撮るんだ? どう演じるんだ? と挑発してくるような脚本を演出家や俳優、プロデューサー、評論家の方々が予定時間を大幅にオーバーしながら嬉々として語り合っている姿を見ると、ああそういう脚本を自分も書きたいなあと心から思った。

 

日曜劇場で放映された『バースディ・カード』という作品は、札幌のジャンプ台を舞台になにかドラマを作れないかと思った北海道の製作スタッフが市川森一さんをジャンプ台に連れて行き、飛距離は出るがいつも着地に成功しない選手の話をしたところ、それでいこう! となり、あがってきたシナリオを読んで度肝を抜かれた。刑務所から脱走してきた男がジャンプ台から飛ぶ話だったらしい。私なら安易にスポ根モノを書きそうだ。なぜこんな話があがってくるんだと演出された方がすごく嬉しそうに話されていた。

 

ちなみに、市川森一脚本賞をいただいた私は、長崎を舞台になにか書いてほしいと言われ、数年前に3泊4日で長崎をシナハンした。バカな私はその旅に家族を同行させ、当時4、5歳だった息子がシナハンを案内してくれた方の膝の上からおりなくなり、行く先々で裸になって走り回ってしまい、妻はブチ切れ、娘は不貞腐れ、私は思考停止に陥るという、史上最悪のシナハンになってしまった。連れて行っていただいた海水浴では、我々家族は水着を忘れてきてしまい、海の家で買おうとしたのだが、妻が持ち前の節約根性を発揮して、海の家の人に、「忘れ物の水着はありませんか?」と聞いたのは人生で五指に入る恥ずかしい瞬間だった。

 

そんな長崎だったのだが、不勉強な私は市川森一作品をほとんど見ていない。

 

真っ先に思い浮かぶ作品も、『異人たちとの夏』(監督:大林宣彦)だ。大好きな映画で何度も見たが、原作が山田太一だから、市川森一のオリジナリティが存分に発揮されているのかどうか私にはわからない。シンポジウム前に3本ほど市川森一作品の上映があったというのに、私は1本も見ずに仕事をしていた。一日くらい仕事を休んで(どうせ半分以上はボケっとしているのだから)どっぷりとつかるべきだったとシンポジウムを拝聴して大後悔した。

 

市川森一作品の上映会場に行けばよかったと本当に後悔でした。写真は5年前の長崎五島列島のシナハン。息子は下半身マッパ by妻

 

12月19日(月)

朝一で東京に戻り、そのままいつもの喫茶店で仕事。

 

12月20日(火)

朝から仕事、午後Zoom会議。歯が痛い。

 

12月22日(木)

大阪にて仕事。帰りに武正晴監督から、「iPadで書いていたシナリオがすべて消えてしまいました。絶望的な気持ちになったので連絡しました。それだけです」とメールが来て、申し訳ないが笑ってしまった。

 

武監督も私と同じ機械音痴だ。iPadの文面をコンビニのコピー機でコピーして、真っ黒にしかならないと言っていたことがあった。どういう事情で消えてしまったのかわからないが、その様子を想像すると笑うしかない。

 

かくいう私も、妻に打ち込んでもらったシナリオをパソコン上で直しているときに、理由はわからないがすべて消えてしまったことがある。慌てて妻がパソコン屋に持って行ったが、もうどうやっても消えた文書は帰ってこないと言われた。

 

私は悔しさのあまり、パソコンを叩きつけそうになったが、それは踏みとどまってパソコンを罵倒した。「お前、バカだね。賢い振りしてさっきのシナリオもう出せないんだ。なくしちゃったんだ。ほんとバカだね。バーカ! バーカ!」と思いっきり言ってやった。別にすっきりはしなかったが、こちらのちょっとミスで二度と文書を戻せないなんてポンコツもいいとこだろう。人間は、思い出しながらそれを書くことができるのだ。その時も思い出しながら書いたが、あまりの絶望で書いていたものの十分の一くらいのクオリティになってしまった。

 

12月23日(金)

『雑魚どもよ、大志を抱け!』の予告編が今日からご覧になれます。

 

公開は来年の3月24日です。出演者は無名の子どもたち、作り手も無名の大人たちでとにかく後ろ盾がない。厳しい勝負になりますがどうか一人でも多くの人に観ていただきたいです。まずは映画の存在を知っていただけたらと!

 

12月24日(土)

妻が実家からかっぱらってきたオーブンでチキンの丸焼きを作った。娘と息子と食い散らかした。とても美味しかった。

 

寝る間際になって、サンタへの手紙を書き直すと息子が言い出して聞かなくなる。丁寧に書かないと伝わらないぞと私が言ったからだ。余計なことを言うなと妻から言われる。

 

息子のサンタへの手紙は自分の名字以外は漢字がない。アルジャーノン状態でとても読みにくい。

 

「さんたさんへ。ぼくのクリスマスプレゼントはだいらんとうすまっしゅぶらざーすのかせっとです。まえにもっていたけどなくしてしまいました。りゆうはかぞくみんなでやりたいからです。とくにともだちです。ぼくのすきなことはゲームとほんです。とくにからださがしです。きらいなことはおこられることです。あしたをたのしみにしています。4ねん2くみ 足立〇た。あしたからしゅくだいやります。かんじでかいてなくてすみません」

 

※妻より

ようやく宿題やる気になったのか…それにしても字が汚くて読めない……。

 

12月25日(日)

朝、枕元にあるクリスマスプレゼントを息子はなかなか発見できず、やはり来なかったとパニックを起こしかけたので、そこにあるだろうと教えたら、私と妻がサンタになりかわって書いた手紙には目もくれず、置いてあったスマブラをはじめた。

 

昼から妻と娘が特殊造形の飯田さんの工房でケーキとクッキーを焼いてきて、私と息子で食い散らかした。手作りピザもとても美味しかった。

 

 

12月26日(月)

喫茶店で仕事をしていると冬休み中の娘が昼飯を食いに来る。私が仕事をしている喫茶店の隣の隣が娘の通う塾で、高校受験を控えた娘は今、冬期講習中なのだ。なのでたびたび昼飯を食いに来るのだが、中3の娘にとっては純喫茶というのがちょっと珍しくて楽しいようだ。

 

サンドイッチのメニューも豊富なので、いつも違うものを注文しては「いいなあ、パパはこんなとこで美味しい物を食べながら仕事して。私はクソ勉強だよ」などと言っている。

 

私はここぞとばかりに父親ぶって「こういうところで仕事したければ、パパみたいになれ」などと意味もなくエバりくさって言うと、娘は「高校生になったらこういうとこでバイトしようかな」と成り立っていない受け答え。

 

そして食ったあとは突っ伏して昼寝して、「あーあ、イヤだなあ」と言いながらまた塾に戻って行く。偉いなあと私はそんな娘の姿を見て思う。

 

私が中3の冬休みはなにをしていただろうか。行きたかった私立高校があったのだが(新設だったので一期生になれるということだけが志望理由だった)まったく勉強はしていなかった。結果その私立は落ち、公立高校も志望校には手が届かずだった。

 

12月29日(木)

我が家で忘年会。『雑魚どもよ、大志を抱け!』に出演した俳優さんたちが集まってくださった。そして私の大先輩の方が、素敵な恋人を連れてきてくださった。昼から楽しく飲んでいたが、私は夕方に一度中座して、今年最後の打ち合わせに行く。打ち合わせは軽めで終わり、その近くでやっていた知り合いの忘年会に30分ほど顔を出す。その後、『拾われた男』チームの忘年会にも顔を出す。なかなかできていなかった忘年会が今年はぐっと増えた。

 

長居はせずに自宅に戻らなければと思っていたのだが、その忘年会が楽しく、しかも打ち上げ的な様相も呈して、結局終電過ぎまで残ってしまい、帰宅したときには当たり前だが誰もいなかった。

 

12月30日(金)

今日は今井雅子さん宅にて忘年会。私が『嘘八百』でご一緒してできた縁だが、今では妻がすっかり今井さんと仲良しになってしまっていて、時おり度を越した私への文句などをぶちまけているし、私の娘も今井さんの娘さんの1学年下で名前も一文字違いで仲良しだから、ほぼ毎年末家族で伺って私は食い散らかし、妻は飲み散らかしている。

 

ちなみに今年は、映画狂の地上げ屋であるTさんが差し入れてくれた最高級牛肉のステーキが死ぬほどうまくて、お腹がびっくりしてしまい、帰りの電車で地獄を見そうになったが、途中下車した駅でズボンを脱ぎながらほとんどフルチン状態でトイレに駆け込みギリギリセーフだった。

 

12月31日(土)

朝、少しだけ掃除。その後、最後の仕事。それから、近所の簡易施設で家族4人でPCR検査。

 

明日の元旦に西武遊園地に行き「ゴジラ・ザ・ライド」に乗る予定なのだが、陰性証明書を出せば一人1000円引きになるという情報を妻がゲットしてきて検査に行ったのだ。検査場で息子が興奮して走り回った。

 

検査後、家族で銭湯に行く。私がいつも行っているサウナ付きのところだが、そこは反社会的勢力らしきお客さんも多く、以前息子を連れて行ったときに、「ねえ、背中に絵描いてるねえ」と話しかけるものだから、連れて行くのを避けていたのだ。

 

だが、今日はそこにした。近ごろ息子は、理由はわからないが入れ墨にモーレツに興味を持っており自分も入れたいなどと言っているから、入れ墨だらけの人がいたら興味津々だろうなあと思ったら、入れ墨だらけの人が2人ほどいて、息子はさすがにもう話しかけるようなことはなかったがガン見。そして私のところに来て普通にその人たちに聞こえる声で「ねえ、今日は手下の人もいるよ。ねえ、ほら。オチンチン以外、全部入れ墨だねー」とうるさい。やはりここの銭湯には息子と来るべきではない。

 

銭湯を出たあとにオオゼキで買い物。大晦日だから豪勢なものがたくさん売っている。私はついつい年の瀬にハメを外したくなるタイプだから、普段は買わないようなものをガンガン買った。妻は見る見る不機嫌になったが、年末くらいはいいだろうとそんな妻を見て見ぬ振りして、娘や息子にも好きなものを選ばせた。

 

それらを食い散らかしながらダラダラとお笑い番組など見ていたが、妻の機嫌は戻らず、(年に一度の)飽食極まりない私たちに嫌味を言うものだから、ついつい口論に。妻は食べおわるとさっさと2階へあがってしまった。このケンカは明日に持ち越すことはもう間違いない。西武遊園地が今から憂鬱だ。

 

※妻より

だって一人でウニやら牛やら大量の寿司やら食い散らかしてるんですもの。もうブクブク太って、病気にでもなんでもなってしまえばいいと思います。

 

息子は妻にくっついて行ってしまったため、娘とお笑いを見ていたが、娘も11時には「寝る」と言って自室に戻り、私は録画していた『未解決事件 松本清張と帝銀事件』を一人で見ながら年を越すという訳のわからない年越しになってしまった。

 

やっぱり大晦日には「笑ってはいけない」を見ながら、だらだらと年を越したい。

 

今年1年もご愛読ありがとうございました。これがアップされるのはきっと正月気分もまったくなくなったころでしょうが、良いお年をお迎えください。

 

 

【妻の1枚】

【過去の日記はコチラ

 

【プロフィール】

足立 紳(あだち・しん)

1972年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経てシナリオを書き始め、第1回「松田優作賞」受賞作「百円の恋」が2014年映画化される。同作にて、第17回シナリオ作家協会「菊島隆三賞」、第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。ほか脚本担当作品として第38回創作テレビドラマ大賞受賞作品「佐知とマユ」(第4回「市川森一脚本賞」受賞)「嘘八百」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」「こどもしょくどう」など多数。『14の夜』で映画監督デビューも果たす。監督、原作、脚本を手がける『喜劇 愛妻物語』が東京国際映画祭最優秀脚本賞。現在、最新作『雑魚どもよ、大志を抱け!』は2023年に公開予定。著書に『喜劇 愛妻物語』『14の夜』『弱虫日記』などがある。最新刊は『したいとか、したくないとかの話じゃない』(双葉社・刊)。

2023年に開運する「風水」を部屋別・運気別に風水師が解説

新型コロナウイルスの感染拡大から丸3年になる2023年。2022年からの物価高の影響もあり、2023年はいったいどんな年になるのか、期待と緊張が入り混じった思いで、新しい年を迎えた人も多いのではないでしょうか。この混沌とした時代に仕入れておきたいのが、「風水」の知識です。なぜなら風水とは、住環境や持ち物など身の回りを整えるといった “自分の力” で運気を引き寄せることができる “学問” だからです。

 

2023年は二極化が進み、「成長して開花する人と、立ち止まって枯れる人との差が歴然とする」と話すのは、風水師の愛新覚羅ゆうはんさん。2023年をよりよく過ごし、自らの力で人生を切り開いていくために実践すべきことを伺いました。

 

2022年「破壊と再生の年」を振り返る

 

ゆうはんさんは、昨年の記事で「2022年は破壊と再生の年」と話していましたが、実際に “破壊” という言葉を連想させる世界情勢となりました。

 

「2022年は、風水家相と深い関わりのある九星気学において、『五黄土星の年』でした。これに当たる年のテーマは『破壊と再生』『終わりと始まり』。おっしゃる通り、2月にはロシアによるウクライナ侵攻が始まってしまいました。

 

また、古代中国から伝わる十干十二支(じっかんじゅうにし)では、壬寅(みずのえとら)の年でした。この壬寅(みずのえとら)の年というのは金融が動く年でもあり、2022年に一時は1米ドル=150円という歴史的な円安水準に達したこともうなずけます。そして2022年後半にかけては、自分自身の基盤を見直し、再生に向かって考え、行動していく時期に突入しました」(風水家・愛新覚羅ゆうはんさん、以下同)

 

【関連記事】 2022年は「破壊と再生の年」! 開運する「風水」を間取り・運気別に解説

 

2023年は「成長せざるをえない年」

2023年はどのような一年になるのでしょうか?

 

「癸卯(みずのと・う)の年である2023年は、ようやく雪が解けて、土から木の芽が出始め春が訪れます。春を迎えるためには、私たちが進化し、成長していくことが大前提です。いよいよ、私たちは何が起きても前に進まなくてはならないという段階に入ってきました。

 

九星気学では、今年は四緑木星が中宮に入ります。四緑木星は『成長・整う』がキーワードになっています。枝葉・花も象徴としてありますが、『癸卯』の意味を重ね合わせると、芽が出て若葉の状態から青々とした枝葉が成長していきますが、若葉の頃はもろく、ちょっとつつくとポロっと取れてしまいます。一方で、水と養分をしっかり吸収し、太陽の光を浴びればぐんぐんと上に伸びて硬く強い葉になり、やがて花を咲かせます。そんなふうに、過ごし方によっては若葉を枯らしてしまう人もいれば、花を咲かせることができる人もいるような二極化が進んでいきます2023年は、成長せざるを得ない、進まないと逆に置いていかれる一年になるでしょう」

 

【関連記事】日本独自の正月の風習「鏡餅・鏡開き」に込められた意味とすべきこと

 

2023年の開運ライフスタイルと開運アクション

続いて、2023年の日常の暮らしにおいて開運するためにとるべきアクションを、風水の視点から運気別に教えていただきました。

 

全体運

「2023年は『成長』が鍵になる年ですが、部屋の中で成長する場所というのは太陽が昇る『東』。2023年、重要な方角は東と東南です。また、四緑木星には『風』という象徴があります。このため、十分に換気することと、風が出入りする窓付近や玄関を美しく清潔に保つことが大切です。色でいうと、若葉のようなフレッシュなグリーンが吉。癸卯(みずのと・う)の年なので、ブルーがかったグリーン、青緑もおすすめです。

 

ラッキーアイテムは観葉植物。ただし、自分の背丈以上に伸びないものを選んでいただきたいですね。木というのは、大きくなりすぎると人間の気を吸い取ってしまうことがあります。大きくなりすぎないよう、剪定することが大切です。

 

邪気を払うには、青緑のパワーストーンを持つといいでしょう。ターコイズやプレナイト、クリソプレーズが吉。ターコイズは旅行のお守り石としても人気ですが、今年は旅行やレジャーも活発になってくると思いますので、おすすめです」

 

【開運キーワード】
・東、東南の方角
・十分な換気
・窓や玄関を清潔に保つ
・フレッシュなグリーン、青緑
・観葉植物
・ターコイズ、プレナイト、クリソプレーズなどのパワーストーン

 

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金運

「2023年はお金との向き合い方や使い方を考え直すことが重要になってきます。また、貯め込むよりもお金を回すことがポイントに。『成長』がテーマの一年ですので、スキルアップのために勉強するなど、自己投資にお金を使い、それを糧にして新たなお金を生み出すということが吉です。NISAやつみたてNISAで資産運用していくことも『成長』につながりますので、とてもいいですね。ただし大金ではなく、あくまでお小遣いの範囲内で、少額からコツコツ積み立てていくのが理想的。お財布はグリーンや青緑がおすすめです」

 

仕事運

「2023年はアウトプットすることが重要な意味を持ちます。SNS発信から新たな仕事につなげたり、副業を始めたりするなど、自分から積極的に仕事を生み出していく姿勢が仕事運のアップにつながります。また、仕事は人から運ばれてくるもの。だからこそ、今年はより人との交流を密にしていくことが重要です。交際費は節約しないこと。取引先やクライアントへの手土産が吉です。相手の好きなものをリサーチしてお持ちすることは最高の開運アクションとなり、関係性を発展させます」

 

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恋愛運

「2023年の重要な方角である、東や東南を味方につけましょう。東や南の方角を向いてメイクすると、魅力アップにつながります。東南にいる時間を増やしたり、自宅から東南にあるデパートやファッションビルで服やファッション小物を買うことも恋愛運アップにつながります。また、キッチンを清潔に保つことも重要です。キッチンには火と水という、相反するものがありますよね。火と水は男女の象徴でもあるため、男女間の不和が起きやすい人は、キッチンが汚れているなど、何らかの不具合があることが多いんです」

 

家庭運

「家庭運でも、キッチンを整えることは重要な意味を持ちます。とくに気をつけていただきたいのが、傷んだ生鮮食品や賞味期限切れの調味料などをそのままにしないこと。これを心がけるだけでも、家庭運はかなりアップします。キッチンマットは、四緑木星の木の枝を連想させる長細い形で、ラッキーカラーのフレッシュなグリーンや青緑のものを選ぶのがベストです」

 

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対人運

「調和の象徴であるリビングルームの家具に金属やプラスチックのものが多いと、人間関係が冷え込みます。ですから、リビングは木など天然素材のものやファブリックなど、温かみを感じさせるインテリアで揃えていただきたいですね。金属やプラスチックの家具がある場合はその上に布をかぶせたり、近くに観葉植物を置いたりするといいでしょう」

 

健康運

「寝室やリビングのソファベッドなど、リラックスする場所を整えることが大切です。清潔感のある心地良い空間に保つことができていればOK! また、トイレも重要ですね。私がいつもすすめているのは、トイレの蓋をきちんと閉めること。トイレの蓋を開けっぱなしにしていると、溜まっている水の陰の気が空間に充満してしまうので、使用する時以外は必ず閉めてください」

 

ひとり暮らしやふたり暮らし……コンパクトな部屋の開運風水

自宅は毎日の暮らしの中でもっとも長く過ごす場所だからこそ、自分にとって最大のパワースポットにしたいもの。1Kや1LDKなど、コンパクトな住まいの開運ポイントや開運アクションについて、風水の視点から部屋ごとに教えていただきました。

 

玄関

「ひとり暮らしやふたり暮らしのコンパクトなお部屋の場合、玄関には十分なスペースや収納がない場合がほとんどでしょう。『風』がキーワードの今年は、とくに風の入口である玄関を清潔にキープすることが重要なので、玄関に靴が散乱しているのはNG。出しておくのは1足までに。また、コンパクトなお部屋は玄関を開けるとキッチンが丸見えだったり、玄関から一直線のところにユニットバスがあったりすることも。玄関から入ってくるエネルギーがキッチンに影響しないよう、パーテーションで目隠ししましょう。良い気は玄関から入ってきます。良い気がユニットバスに流れ込むと財が逃げるので、玄関から一直線のところにあるユニットバスのドアは必ず閉め、良い気が部屋に流れていくようにしましょう」

 

ユニットバス

「ユニットバスは恋愛運が下がるとか、湿気がこもりやすく悪い気が部屋中に充満しやすいなどといわれていますが、ユニットバスにも利点はあります。すべての水場がまとまっているので換気を一気に行えますし、バストイレ別よりも掃除が簡単です。ポイントは、意識的に換気すること。換気扇は常時つけておきましょう。また、入浴中にリラックスできないようであれば、シャワーカーテンを使いましょう」

 

居室

「コンパクトなお部屋の場合、くつろぐ部屋と寝る部屋が同じということも多いと思います。このとき重要になってくるのがベッドの位置。まず、部屋の扉に頭を向けないこと。クローゼットの扉などにも頭が向かないようにしましょう。寝ている時に玄関が視界に入るのもNGなので、ドアがあれば就寝時には必ず閉めてください。ドアがない場合は、パーテーションなどで目隠しを。また、鏡やテレビの画面に寝ている姿が映るのも避けて。やむを得ずベッドの近くに鏡やテレビを配置する場合は、布をかぶせてください」

 

その他のコンパクトな部屋の開運アクション

・空間を分ける

「風水では、食べるところと寝るところを分けることが大切だとされています。コンパクトな部屋ではそれが難しい場合も多いですから、ぜひパーテーションや家具などを上手に使って空間を仕切りましょう。パーテーションはラタンや木、布など、天然素材のものを選ぶと温かみのある部屋に。対人関係もよくなります」

 

・ファブリックは明るめカラー&同じ色味で統一

「コンパクトな部屋の中には窓が小さく、日中でも薄暗い部屋が少なくありません。スリッパやクッション、ベッドカバー、ラグ、カーテンなどのファブリックは明るい色を選びましょう。今年はフレッシュなグリーンがいいですね。なお、ファブリックの色味は統一した方がいいですね。部屋も広く見えますし、リラックスして過ごせます」

 

・部屋を明るくする

「暗い部屋は気がよどみがちになるので、風水的にNG! 採光面積が低く日当たりの悪い部屋は、窓からもっとも遠いところに照明を一つ置きましょう。また、少しでも太陽の光を多く取り込むためにも、窓ガラスはきれいにしておきましょう」

 

・床掃除をする

「2023年は『風』がテーマになってくるので、窓を開けよく換気することが大切であることは、さきほどお伝えした通りなのですが、風通しをよくすると、床に埃が溜まりやすくなります。床掃除はこまめに行いたいもの。毎日フロアワイパーなどでサッとひと拭きして、清潔を保ちましょう」

 

・クローゼットの風通しもよく

「風通しをよくするのは部屋だけではありません。クローゼットや引き出しの中も、空間をつくって風が通るようにしましょう。不要なものは手放し、物を持ちすぎないようにすること、詰め込みすぎないようにすることも2023年はより重要になってくるでしょう」

 

【関連記事】「予防掃除」生みの親に聞く「大掃除不要な家」にあらかじめ整えておく方法

 

知識を身につけ、暮らしに生かしていくことで運気を引き寄せることができる風水。自分の力でいかようにも運勢を変えていけるところがその醍醐味です。『成長』が大きなテーマである2023年。風水で部屋をアップデートし、ご自身の自己成長や自己実現につなげていきましょう。

 

プロフィール

風水師 / 愛新覚羅ゆうはん

風水師だけではなく、占い師、開運ライフスタイルアドバイザーとしても活躍。中国黒龍江省ハルビン市生まれ。映画「ラスト・エンペラー」で知られる清朝の皇帝・愛新覚羅一族の流れをくむ。5歳のときに来日し、幼少期から備わった透視能力に加え、タロットカードや占星術なども活かし占い師「ジョカ」としてデビュー。15年間で延べ20,000人以上を鑑定。『神様とやるすごい運トレ』『お金の引き寄せ方は魂だけが知っている』(日本文芸社)、『腸開運』(飛鳥新社)、『いちばんやさしい風水入門』(ナツメ社)など著書多数。近著に『眠れなくなるほど面白い ヤバい風水』(日本文芸社)がある。
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眠れなくなるほど面白い ヤバい風水
愛新覚羅ゆうはん / 日本文芸社

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

幸福学研究者が説く、仕事に没頭する効果と没頭するようになる考え方

「幸福学」とは、幸福について研究する学問のこと。世界中で「幸せとはなにか」「人はどうしたら幸せになれるのか」など、「幸せ」に関する研究や実験が日々おこなわれています。つまり、科学的に証明された「幸せになれる方法」はたくさんあるのです。

 

幸福学の研究者、前野隆司さんと前野マドカさんのふたりが導き出した、日々の暮らしに取り入れられる「幸せになるための習慣」とは? 忙しい毎日に疲れてしまった人へ、ふたりの共著『そのままの私で幸せになれる習慣』から、お届けします。

 

【関連記事】「幸福学」研究者に聞く、幸せ格差が広がる時代のコミュニケーション術とは

 

習慣9.「没頭」できる仕事をする

たとえば、私なら文章を書いているときに、気づいたら「あ、もう3時間もたっていた」ということがあります。大好きな「書く」ことに集中して、時間を忘れている状態です。

 

フローとかゾーンといわれる「していることに完全に浸り、精神的に集中している感覚」になれる仕事ができれば、創造性も生産性も高まります。それはとても幸せなことです。

 

もし、あなたがそんな仕事に就いているなら、その状況を満喫してください。

 

「いまの仕事ではゾーン状態になれない」という人も少なくないと思いますが、その場合には、没頭できる仕事を探すのも一考です。

 

しかし、自分が何を得意とし、何が本当にしたいのかがわからないと、そうした仕事を探すのも難しいでしょう。

 

その場合は、新たな仕事を探す前に、いまの自分の仕事をもう一度、見直してみませんか?

 

あなたは、仕事をするとき、何か工夫をしていますか? 何かを少し変えれば、ワクワクするようになるとか、この仕事はたしかに誰かのためになっている、という自覚を持つだけで、仕事に対する認識が変わります。

 

ゾーン状態になる条件は「難しさはあるけれど、難しすぎない」こと。かんたんすぎるとつまらないし、難しすぎるとストレスになってしまいます。

 

少しはストレスを受けるけれども、成し遂げられるような仕事がいいと思います。そんなふうに仕事を進められたら、人生はとても豊かになるでしょう。

 

出典=ミハイ・チクセントミハイ『フロー』

 

科学が明かした「幸せ体質」になる50の習慣

●いつもと違う習慣で楽しみを見つける習慣
1. 小さなことに声をあげて笑う
2.少しだけ上を向いて、いつもより大股で歩く
3.きれいな植物やかわいい動物と触れ合う
4.一杯のお茶をじっくりと味わう
5.頭をからっぽにして、散歩やジョギングをする
6.スマホとテレビから少し離れてみる
7.お気に入りの音楽を聴く
8.7〜8時間の質のいい睡眠をとる
9.誰かのために小さな親切をする
10.自分のためよりも、人のためにお金を使ってみる
11.なんでもないことを「満喫」する
12.自分だけの“オリジナル作品”をつくってみる
13.あえて、いつもと違うことをしてみる
14.誰かと、またはひとりでハグをする
15.「やってみたかったこと」をやってみる
16.「最後のひと月」であるかのように過ごす

●人とのつながりで温かさを感じる習慣
17.会いたい人に連絡してみる
18.「ありがとう」を記録する
19.自分と違うタイプの友達を持つ
20.人のいいところをうわさする
21.なんでもいいからグループ活動に参加する
22.嫌いな人にうそでも同情してみる
23.周りの人を信じて「期待」する
24.悩んでいる友達の話を聞いてあげる
25.いつもの店員さんにひと言かけてみる
26.感謝している人に気持ちを込めた手紙を書く

●合格点を下げてラクになる習慣
27.小さくて、できそうな目標を立てる
28.「やらねばならないこと」をやめてみる
29.結果は気にせず、その過程を楽しむ
30.100%を目指さず、70%くらいでよしとする
31.迷ったときは「これでいっか」と妥協してみる
32.「没頭」できる仕事をする
33.こだわりすぎず「適度」にこなす
34.ネガティブなことをポジティブにとらえてみる

●自分の素直な気持ちを受け止める習慣
35.今日あった「いいこと」を3つ書き出す
36.ほほえんでしまうようなことを思い出す
37.「自分の持っているもの」を数える
38.子どもの頃にワクワクしたことを思い出す
39.人生のターニングポイントを振り返る
40.前向きにやろうと思うことを3つ挙げる
41.素直になれていないことを並べる
42.今日あった「いいこと」「悪いこと」を書き出す
43.わからないことは「わからない」と受け入れる
44.イライラ・もやもやしている自分を受け入れる
45.どんなに小さなことでも「夢」を3つ挙げる
46.いちばん大切にしている「価値」を探る
47.目の前の「やるべきこと」をはっきりさせる
48.自分にとって「最高の未来」をイメージする
49.楽しかった日々を再現して味わう
50.ポジティブな思い込みをする

全50の習慣は、こちらの本で網羅されています。

 

Book Info

『なんでもない毎日がちょっと好きになる そのままの私で幸せになれる習慣』(WAVE出版)
前野隆司さんと前野マドカさんの共著による最新作。「幸せになれる」と科学的に証明された方法の中から、日々の小さな習慣で「幸せ」を感じとれる、誰でも簡単に実行できる50の習慣を紹介しています。

 

プロフィール

慶應義塾大学大学院教授 / 前野隆司

1962年山口生まれ。1984年東工大卒。1986年東工大修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長を兼任する。著書に、『錯覚する脳』(筑摩書房)、『幸せのメカニズム―実践・幸福学入門』(講談社現代新書)、『幸せな職場の経営学』(小学館)など。妻である前野マドカさんとの共著も多数ある。

慶應義塾大学大学院研究員 / 前野マドカ

EVOL株式会社代表取締役CEO、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員、一般社団法人ウェルビーイングデザイン理事、国際ポジティブ心理学協会会員。サンフランシスコ大学、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)などを経て現職。著書に『月曜日が楽しくなる幸せスイッチ』(ヴォイス)、『家族の幸福度を上げる7つのピース』(青春出版社、2020年)などがある。

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

親子で楽しむ東京新名所! 今から知っておきたいランドマーク施設はどこ?

東京の街は新たな姿へと日々進化を続ける。今年、そして来年はビルの跡地や再開発エリアに、新たな大型施設がオープン。親子連れでの楽しみ方もひと足早くチェックした!

 

※こちらは「GetNavi」 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私がチェックしました!

本誌レジャー担当

金子麻衣子

ママ編集者。週末に子どもと出かけるのが楽しみ。都心の景色を味わうなら「SKY BUS」がオススメです!

 

【その1】東京ミッドタウン八重洲

 

2023年3月オープン

JR東京駅に直結した複合施設で、9月に一部店舗が先行オープン。地下4階、地上45階立てで、注目は日本初進出となる「ブルガリ ホテル 東京」。イタリアンレストランやチョコレートブティック、スパなども入り、オープン時に話題を集めそうだ。

 

親子連れはココで楽しめる!

地下1階で東京駅とつながっているので雨天でも行きやすい。屋上テラスでテイクアウトランチや、アート作品が置かれたタワーの周囲をぐるっと散策するのもオススメ。

 

↑思い思いに楽しめる2階の「ヤエスパブリック(通称ヤエパブ)」。立ち飲みスポット、物販・休憩スペース、路地裏エリアの3ゾーンを設ける

 

↑7〜39階のオフィスフロアでは、ロボット「RICE」によるデリバリーサービスなど最新技術を導入。清掃や運搬ロボットも導入して省人化を図る

 

【その2】東急歌舞伎町タワー

 

2023年4月オープン

国内最大級のホテル×エンタメ施設複合タワーに。映画館や劇場、アミューズメント施設とフロアごとに異なるエンタメを楽しめるのが魅力だ。5階は“美と健康”をテーマにしたウェルネスエンタメ施設で、こだわりの食材を揃えたレストランも併設。

 

親子連れはココで楽しめる!

バンダイナムコが展開する3階の「アミューズメントコンプレックス」や4階の次世代型アトラクション体験施設で最新技術×エンタメを体感。小学生以上がオススメ。

 

↑「祭」をテーマに食、音楽、映像が融合するフードホールには全10店舗が集結。恵比寿横丁や渋谷横丁などを展開する浜倉的商店製作所が手がける

 

↑バンダイナムコの新業態「アミューズメントコンプレックス」。大きく3つのエリアを設け、同社が取り扱うIPコンテンツを様々な角度から体験できる
(C) Bandai Namco Amusement Inc.

 

【その3】ワーナー ブラザース スタジオツアー東京−メイキング・オブ・ハリー・ポッター

●エントランス イメージ図
‘Wizarding World’ and all related names, characters and indicia are trademarks of and (C) Warner Bros.
Entertainment Inc. – Wizarding World publishing rights (C) J.K. Rowling.

 

2023年オープン

としまえん跡地にオープンするアジア初のウォークスルー型施設。映画「ハリー・ポッター」や、「ファンタスティック・ビースト」シリーズに携わった職人によって造られたセットや小道具などの展示を通して、映画制作の舞台裏を体験できる。

 

親子連れはココで楽しめる!

映画に登場する魔法動物の彫刻が置かれた造園エリアもあり、緑豊かな園内は散策するだけで気持ち良い。レストランやカフェでひと休みしつつ、作品世界を楽しもう。

↑アトラクションはなく、制作チームにより設計されたセットの数々を設置。名シーンが蘇る!(写真はスタジオツアーロンドン)

 

↑ホグワーツ魔法魔術学校の大広間(写真はスタジオツアーロンドン)。小物も細部までしっかり作られ、見応えたっぷり。限定グッズが購入できるショップも併設
‘Wizarding World’ and all related names, characters and indicia are trademarks of and (C) Warner Bros. Entertainment Inc. – Wizarding World publishing rights (C) J.K. Rowling.
Warner Bros. Studio Tour London – The Making of Harry Potter.

 

【その4】豊洲千客万来施設

 

2023年度冬オープン

ゆりかもめの市場前駅から徒歩4分の場所で、豊洲市場に隣接。敷地内には江戸の街並みが再現され、魅力的な店舗が集まる商業棟と日帰り温泉施設、宿泊施設を設ける。展望足湯も造設予定で、都心の風景が一望できるのでは……と期待が高まる。

 

親子連れはココで楽しめる!

早起きして豊洲市場の雰囲気を味わい、豊洲千客万来施設に移動して江戸風情を感じ、隣接の豊洲ぐるり公園で遊び、日帰り温泉に寄って帰ればあとは寝るだけ!

↑築地市場が培ってきた文化を継承・発展させ、活気や賑わいを生み出すことを目的に開発。江戸の街並みを再現した商業棟の建物は瓦屋根の木造になる予定だ

 

↑日没後はベイサイドの夜景を満喫できるなど、朝から夜まで楽しめる施設となりそうだ。時間があれば、東京湾を眺めながらのウォーキングもオススメ

 

【その5】渋谷サウナス

 

2022年12月オープン

「マンガ サ道」の作者であり、サウナ大使としての顔をもつマンガ家・タナカカツキ氏が総合プロデュースするサウナ施設。サウナファンが求める設備はもちろん、新しい潮流やニーズを創出したサウナスペースは必見だ。8種類9つのサウナ室と2種4つの水風呂、外気浴スペースを用意。

 

 

 

 

↑建物を西(ウーズ=森)と東(ランピ=池)で区別し、男女の使用エリアを毎日入れ替え。施設内にはワーキングスペースや、ヴィーガンフードを提供するレストランもある

 

↑都市型サウナでは貴重な外気浴スペースも完備する。サウンドシステム搭載のサウナ室や関東最深級の水風呂など趣向を凝らしたラインナップ

 

グッズもCheck!

↑11月30日までクラウドファンディングを実施していた。全3色のキーホルダーセット2200円

いま注目のウォーキングを始めるならチェックしたい最新シューズ

リフレッシュや運動不足解消のために若年層のウォーキング人口が増加。ランニング人口の約3.6倍と言われ、大手メーカーから専用シューズが続々と登場している。

 

ウォーキングシューズはじめの一歩。

ニューバランスの新定番「UA」シリーズをはじめ、スタイリッシュなデザインとウォーキングしやすい機能性を両立した最新シューズをピックアップ。この冬、日常に「楽しく、快適に歩く」という新習慣を取り入れてみては?

 

※こちらは「GetNavi」 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】New Balance 快適な歩行性を追求した機能とスタイリッシュなデザインを融合

 

ニューバランス

UA900

9900円

 

NBらしいスタイリッシュなデザインに、ソフトで弾む感覚を提供するミッドソール「ダイナソフト」を搭載。散歩や通勤などアクティブな毎日をサポートする。外側にカーブしたヒールシェイプで脱ぎ履きも簡単。

 

↑アウトソールは、摩耗しやすいかかと部分を補強して耐久性をアップ。踏み付け部分には安全面を考慮し、防滑性に優れたラバーを備えている

 

↑つま先部分に、縫い目のない「ノーソウチップ」を採用。摩擦による足へのダメージを軽減しつつ、つま先をしっかりガードしてくれる

 

実際に履いてみてわかりました!

厚めのソールは、適度な弾力で、雲の上を歩いているような履き心地。つま先にかけて反り上がった構造のため、踏み込むときの動きがスムーズです。私は甲高で足が痛くなりやすいのですが、薄く柔らかいアッパー素材による足を包み込むようなフィット感のおかげで、ストレスを感じません!

編集長

川内一史

ランニングは苦手だがウォーキングは大好きな38歳。休日の散歩のほか、仕事帰りに最寄りの手前の駅で下車して歩くのも趣味だ。

 

【その2】ASICS ランシューで培った技術を基に効率的な歩行を実現

 

アシックス

ゲルライドウォーク ライト

9900円

 

軽やかで弾むような履き心地が特徴の一足。同社のランニングシューズにも搭載される「ガイドソール」機能で歩行時の足首の屈曲を減らし、歩行効率を高める。コーデを選ばないシンプルなデザインも魅力。

 

↑靴底前部に「フラットゾーン」を設置。転がりすぎによるエネルギーロスを抑え、ウォーキングに特化したエナジーセービングを行う

 

【その3】MIZUNO 身体への負担を軽減してくれる本革仕様の上品なシューズ

 

ミズノ

LD40 VI

1万5400円

 

クッション性と安定性を両立した波型プレート「ミズノウエーブ」をソールに内蔵。長距離歩行でのヒザや腰への負担を軽減してくれる。履くたびに馴染む天然皮革のアッパーを使用し、上品な印象に。

 

↑インソールは足裏の3つのアーチを包み込む設計で、足にぴったりフィット。着地時の衝撃を吸収し、重心をスムーズに移動できる

 

【その4】Reebok 高い推進力を発揮しながら足裏を支えるソールを搭載

 

リーボック

デイリーフィット DMX

8800円

 

独自のテクノロジー「DMXダイナミックエアクッショニング」を搭載。3つに分かれたエアポッド内を空気が循環して推進力を生み出しつつ、土踏まずをサポートする。清潔感のあるカラーのため、幅広いシーンで活躍。

 

↑かかとを包み込むように装備されたヒールクッションが特徴。サポート力を高めると同時に、デザインのアクセントにもなっている

 

【その5】歩き疲れた足を癒すリカバリーサンダルも一足欲しい !

 

ホカ

オラ ラックス

1万1000円

 

ホカの定番サンダル「オラ リカバリー」が進化。サトウキビ由来のEVAミッドソールを備え、クッション素材とメッシュを組み合わせた調整可能なストラップを採用した。超軽量で柔らかい着用感が魅力だ。

 

ウーフォス

ウーアー

7480円

 

リカバリーシューズブランドのパイオニア「ウーフォス」の代名詞的な一足。衝撃吸収力の高い素材「ウーフォーム」を使用した厚みのあるソールが足にしっかりフィットする。靴下を履いたまま使用可能。

男性ライターが眉&ネイルサロン体験、「顔の印象が変わった!」

マスクの常用化などをきっかけに、男性の美容意識が向上。顔の印象の8割を決めると言われる眉毛や、清潔感を左右する手元をケアする男性が増加している。

 

メンズ専用サロンでネイル&眉ととのいました!

爪や眉毛をどうやって手入れしたら良いかわからないといった悩みはプロが解決。そこで、いままで手入れをしたことがないがイケオジを目指していきたい男子が、話題のサロンで実際に体験してみた!

 

※こちらは「GetNavi」 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が体験しました!

AVライター

湯浅顕人さん

本誌AV・PC機器のテスターとしてお馴染み。眉のケアはしたいと思っていたが、自分に似合う形がわからなく放置。今回が初サロンになる。

 

今回、お邪魔したのは……

【ネイルサロン】 一人ひとりの悩みに応えて施術するメンズネイルサロン

 

 

メンズネイル総本店・オトコネイル

2012年に創業した、日本初の男性専用ネイルサロン。ユーザーの趣味や悩みに合わせて専門スタッフが手作業で最適な施術をしてくれる。爪切りや甘皮処理などを行い、健康的でキレイな手元に導く。

 

Menu

●健康コース(50〜60分) 7150円

●健康プレミアコース(65〜75分) 7700円

爪切りから縦筋軽滅、甘皮処理、ささくれ処理、艶出し、ハンドマッサージまでが通常セット。本企画では「健康コース」を行った

 

【眉毛サロン】 ユーザーの良さを最大限に引き出す理想の眉毛を実現

 

 

Men’s REVERSE(メンズリバース)

東京都品川区東五反田1-4-10 山口ビル2F

眉毛や顔の脱毛、毛穴改善などフェイスケアに特化したメンズ専用サロン。眉毛は、ユーザーの骨格や顔のバランスなどから似合う形を提供する。眉の毛流れを整えるHBL(ハリウッドブロウリフト)も扱う。

 

Menu

●リバースブロウリフト(眉毛スタイリング込み) 5480円

●ハリウッドブロウリフト(スタイリング込み) 6980円

●メンズ眉毛スタイリング 4480円

「リバースブロウリフト」は価格が安く若年層に人気。低刺激の「ハリウッドブロウリフト(スタイリング込み)」を今回は体験した

 

はみ出た眉毛をたまに切るだけでした……

「私の眉は太くてボサボサなので整え方がわからず、基本的には放ったらかし。眉毛が変な方向に跳ねているときだけハサミで切っていました」(湯浅さん)

 

 

「眉のまわりの毛を抜くワックス剥がしや、間引きは痛かったですが、耐えられないほどではありません。声かけもしてくれたので安心でした!」(湯浅さん)

 

「流行りのHBLを施術する際に、スタッフさんが丁寧に説明してくれたのでリラックスして受けられました。私には液剤が染みなかったのも◎」(湯浅さん)

 

約5日に1回爪を切るだけでした……

「ライターという職業柄か、キーボードに爪が当たるのがイヤで約5日に1度は爪を切っています。気になるささくれは、小さいハサミでカット」(湯浅さん)

 

 

「ささくれや甘皮の下に溜まった角質をキレイに除去。手作業でやさしく行ってくれるので痛みもゼロです。これだけで手元が美しくなりました」(湯浅さん)

 

「趣味がアウトドアということを考慮した施術に。ツヤを出すだけでなく、爪が割れにくいように保護剤であるトップコートを塗ってもらいました」(湯浅さん)

 

“失敗ができない”から確実なサロンへ足を運ぶ

コロナ禍をきっかけに、男性の美意識が変化。男性向け化粧品市場の伸びが加速し、30〜40代男性のメンズ専用サロン利用も増えている。その理由は、自分に自信を持ちたい、そして“失敗できない”にある。プロに施術してもらえば手入れ後の翌日も不格好な姿で仕事せず、自信を持って働けるのだ。

 

「爪は、常に自分の視野に入る部位なのでキレイだと気分が上がりますね。眉は、希望通り自然な感じにしたのですが、散髪以上に顔全体の印象が変わりました。施術後に会った人に指摘されるのも楽しいです。大事な仕事や予定の前にまた利用したい!」(湯浅さん)

 

【Check】 ローンチしてわずか1年で急拡大!ZOZOCOSMEメンズ人気商品ベスト3

ECサイト「ZOZOCOSME」は、ローンチから1年で商品取り扱い高を57億円に拡大。多くの男性も利用するなか、ZOZOCOSME担当者にメンズ人気商品ベスト3を聞いた!

 

ZOZOCOSMEって?

年間購入者が1000万人超えのファッションEC「ZOZOTOWN」のコスメ専門モールとして2021年に展開した「ZOZOCOSME」。600以上のコスメブランドを揃え、コスメをスマホで試せる「ARメイク」や、肌の色を計測できる「ZOZOGLASS」などサービスも充実する。

 

【その1】 CICAエキスをたっぷり配合し肌のゆらぎにアプローチ!

 

VT COSMETICS

VT CICAデイリースージングマスク (30枚入り)

2420円

累積販売数600万個以上のCICAヒアルロンTM成分入りシートマスク。ゆらぎ肌に働きかけ、しっとりうるおう素肌を実現する。「30枚入りと高コスパ。マスクを付けるだけの手軽さが男性にもウケています」(ZOZO担当者)

 

【その2】 高いうるおい成分を配合したベタつかない化粧水

 

IPSA

ザ・タイムR アクア<医薬部外品>

4400円

乾燥状態でも、高いうるおい成分でみずみずしい肌を実現する化粧水。有効成分を入れ、肌荒れやニキビも防ぐ。「ベタつかず、肌馴染みが良いので男性にも人気のアイテムです」(ZOZO担当者)

 

【その3】 オトコのためのバームで肌環境をキレイに整える!

 

DUO

DUOMEN デュオメン ザ ウォッシュバーム 90g<クレンジング>

3960円

植物成分を配合した「ブルーブラックフォース」を採用したバーム。毛穴汚れを落とし、オトコの肌環境を整える。「肌トラブルにも対応するなど高性能なので、売り切れることも」(ZOZO担当者)

日本独自の正月の風習「鏡餅・鏡開き」に秘められた意味とすべきこと

毎年正月に家庭で飾られている「鏡餅(かがみもち)」。近年はコンビニエンスストアでも手軽に入手できますが、なぜ「鏡」なのか、それをどうして家の中に飾るのか、本当の意味を知っているでしょうか?

 

「鏡餅」の由来や飾り方、その餅をいただく「鏡開き(かがみびらき)」の風習について、和文化研究家の三浦康子さんに詳しく解説していただきました。

 

「鏡餅」とは? 新年にお迎えする「年神様」の依代となる場所

「鏡餅」とは、丸餅を2段重ねにした正月飾りのひとつ。その由来は、日本の伝統的な正月行事の意味と密接に結びついています。

 

「日本の正月行事は、『年神様(としがみさま。歳神様、歳徳神ともいう)』という新年の神様をお迎えする行事です。新年を司る年神様は、農耕の神様でありご先祖様でもあると考えられていて、元旦に子孫の家々にやってきます。『鏡餅』はお迎えした年神様の居場所であり、その魂が宿る依代(よりしろ)なのです」(和文化研究家・三浦康子さん、以下同)

 

新年の「恵方(えほう)」からやってくるといわれる年神様。その年神様の魂が宿る鏡餅は、言い換えると新年の魂であり、人が生きる力そのものであると三浦さんはいいます。

 

「日本には古来、『人の魂は元日に更新されて、新たな1年を生きるための力が与えられる』といった考え方があります。つまり日本のお正月は、家族みんなで新たな魂=生きる力をいただくための行事なのです。そう考えると『鏡開き』の理屈もおのずとわかってきます。年神様が宿った『鏡餅』を『開いて食べる』ことによって、その力を身体に取り込み、ご加護を受けるという意味があるのです」

 

ところで、神様の依代をなぜ「鏡餅」と呼ぶのでしょうか? その由来は「鏡」という言葉にヒントがありました。

 

「伊勢神宮をはじめ、神社に鏡が祀られていることは広く知られていますが、それは鏡が『三種の神器』のひとつだからです。鏡は日の光を反射して輝くことから、太陽神・天照大神(あまてらすおおみかみ)の魂が宿る依代と考えられています。昔の鏡は銅鏡で、丸い形をしていました。同時に日本人は、古代からの主食であるお米を、霊力が宿る神聖な食べ物とみなしてきました。餅はその米を一生懸命について霊力を凝縮した食べ物ですから、丸い鏡を餅で表現した『鏡餅』は、年神様の依代としてふさわしいというわけです」

 

ちなみに、結婚式や企業のパーティなどお祝いの席でも、酒樽の蓋を叩き割る行為を「鏡開き」と呼びますが、これも関係があるのでしょうか?

 

「考え方は同じですね。清酒の原料もまたお米ですから、酒樽の丸い蓋を鏡に見立て、神様の力が宿ったお酒を皆で飲み交わして新たな門出を祝うのです」

鏡餅は、平安時代の時点ですでにその概念が存在していたそう。

 

「古くは『源氏物語』に鏡餅の記述があります。ちなみに2段重ねの形には、陰と陽、月と太陽を表しているという説があります。万物は相反する性質をもった陰と陽の相互作用によって成り立つという、古代中国伝来で日本文化に深く関わってきた陰陽思想に基づいていると解釈できます」

 

割ることで運を開く、「鏡開き」の意外なルーツ

では、なぜ鏡を「開く」と言うのでしょうか?

 

「『鏡開き』のルーツは武家(武士の家系)にあるとされています。武家では毎年お正月になると、武士の魂である鎧や兜にお餅を供え、1年の無事を祈る『具足祝い(ぐそくいわい)』をしていたそうです。正月が明けたら餅をおろし、皆で分け合っていただく『刃柄祝い(はつかいわい)』という風習がありました。これが『鏡開き』の起源です。

このとき、餅を切る行為は武士にとって『切腹』をイメージさせて縁起が悪いため、木槌で叩き割ることにしました。さらに縁起の良い『開く』という言葉が当てられ、『鏡開き』になったといわれています。当初は『はつか』にちなんで、毎年1月20日に行われていました」

 

現代では1月7日に松の内が明け、11日を鏡開きの日とする地域が多くを占めています。実はこの日にちを早めたのは、江戸幕府だったそう。

 

「徳川家の第三代将軍・家光が4月20日に死去したため、その月命日に被らないよう配慮したといわれています。ただし、京都など伝統を継承している地域では、現在でも1月15日までをお正月とし、20日に鏡開きを行うところもあります」

 

鏡餅は12月28日までにお供えするのがベター

由来がわかったところで、次に鏡餅の飾り方をおさらいします。毎年12月になると、しめ縄などのお正月飾りと一緒に店先に並ぶ鏡餅。いつごろ飾るのが “正解” なのかは気になるところです。

 

「12月13日を『正月事始め』といい、すす払いなど正月を迎える準備を始める日とされています。年神様という尊いお客さまをお迎えするわけですから、まずは家中をきれいに掃除し、場を清めておく必要があります。家が清浄な空間になったら、玄関に結界としての『しめ飾り』を施し、さらに年神様の案内役となる門松を立てて、床の間や神棚などに鏡餅をお供えするという流れです。

鏡餅をお供えする日に明確な決まりはないのですが、12月28日までを目安にするといいでしょう。28は末広がりで縁起のいい数字です」

 

とはいえ、現代人の師走は年の瀬ギリギリまで多忙なケースも珍しくはありません。

 

「そうですね。どんなに遅くとも、できれば12月30日には準備を終えたいところです。31日は一夜飾りで年神様に失礼なので避ける慣わしがありますし、余裕をもって準備をしたほうが、気持ちよく年が越せるのではないでしょうか。

ちなみに12月29日は、29が『二重苦』『苦持ち=苦餅』に通じるので縁起が悪いとする考えがあります。しかし、一方で29は『ふく=福』とも解釈できることから、12月29日についたお餅を『福餅』と呼び、福を呼ぶので縁起が良いととらえる家もあります。何が正解かはその家によってケース・バイ・ケースだと思います」

 

一般的には12月28日ごろを目安にお供えする鏡餅。供える場所や置き方などの作法についても、正解を知っておきましょう。

 

「昔はお客さまをお迎えする床の間や神棚にお供えするのが一般的でしたが、それらがない現代の家では、皆が集まるリビングにお供えするのがいいでしょう。ただしテレビや冷蔵庫の上のような騒がしい場所や、人が見下ろすような低い位置は避けてください。飾り棚など目線が高くて落ち着いた場所にお供えするようにしましょう」

 

餅の上の「橙」にはどんな意味がある?

鏡餅といえばお餅の上に乗せる「橙(だいだい)」もポイントですが、実はこの橙にもちゃんと意味があります。

 

「橙の実は木から落ちずに成長し、1本の木に代々の実がなります。そこから代々家が続く、子孫繁栄といった意味で用いられていますが、実が大きくお餅のサイズに合わないことも多いため、現代ではみかんも代用されています。そもそも柑橘類の『きつ』が『吉』に通じるので、おめでたいモチーフとして古くから着物や書画に描かれてきました」

 

鏡餅に乗せる橙は、先ほど出てきた「三種の神器」でいう「勾玉」にも見立てられているそうです。

 

「餅が『鏡』、餅の上に乗せる橙が『勾玉』。そして残る『剣』を表しているのが、西日本でよく用いられる串柿です。串柿は橙と同様、お餅の上に乗せて飾ります。また鏡餅は、『三方(さんぽう)』という供物を乗せる台に飾るとより丁寧です。そこに白い和紙か四辺を赤く染めた『四方紅(しほうべに)』という紙を敷き、さらに『裏に黒い心がない』といった意味を示す『裏白(うらじろ)』という常緑のシダ、神様の降臨を表す『紙垂』を敷いてから鏡餅を置き、『喜ぶ』という意味の『昆布』、橙を乗せれば、本格的なお飾りになります」

 

ただし、必ずしもすべてを揃える必要はないそう。

 

「大切なのは、お供えする場所を清浄に保つこと。気持ちさえこもっていれば、白い和紙などを敷いて鏡餅を置き、柑橘類を乗せるだけでもじゅうぶんです」

 

木槌で割り、神様の力をいただこう

松の内が明ける頃、お供えしてある鏡餅にはだんだんとヒビが入ってきます。11日になったらお供えを下げて、いよいよ「鏡開き」です。

 

「餅は刃物で切るのではなく、家族みんなで分け合って食べられる大きさになるまで木槌や手で割ります。木槌がなければ金槌でもいいでしょう。結構な力が必要なので、丈夫なテーブルや畳の上などに敷物を敷いて行ってください。どうしても割れない場合は、半日ほど水につけてふやかしてから、レンジで温めて手で千切ってもかまいません」

 

開いた餅は、ひとかけらも残さずいただくことが大切だそう。

 

「年神様が宿ったお餅ですから、残してはいけません。食べ方は、お雑煮はもちろん、お汁粉にしてもおいしくいただけ、細かいかけらも入れて煮ることができます。ちょっと気分を変えたいなら、さっと揚げて『かきもち』にするのもおすすめです。実は『かきもち』の名前の由来は、鏡餅を小さく欠いた『欠き餅』からきているんですよ」

日本人の多くは、幼いころから漠然と正月の風習と触れ合いながら育ちます。しかし、家に年神様をお迎えする、鏡餅に神様が宿るといった正月行事の意味合いは、あまり知らない人も多いのではないでしょうか。

 

「まずは、意味をきちんと知ることが大切だと思っています。たとえば年末の大掃除というと、現代ではその手法にばかり注目が集まりますよね。しかし、そもそも正月を迎えるためになぜ大掃除をするのかに目を向けてみると、年神様をお迎えして1年の健康や幸せを祈るという、古くから大切に受け継がれてきた日本人の精神性に触れることができます。コロナ禍によって家の中での過ごし方に関心が集まっているいま、こういった風習をあらためて学ぶことは、人生の豊かさにもつながるのではないでしょうか」

 

今時はコンビニや100円ショップでも手に入れられる鏡餅。この正月は、鏡餅から新年のパワーをいただいてはいかがでしょうか。

 

プロフィール

和文化研究家 / 三浦康子

古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとる。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、監修書『季節を愉しむ366日』(朝日新聞出版)ほか多数。
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「予防掃除」生みの親に聞く「大掃除不要な家」にあらかじめ整えておく方法

また今年も、大掃除の季節になりました。一年分の頑固な汚れを取り去るのは大変で、憂鬱。そんな掃除はもう終わりにしたいですよね。これからは「予防掃除」で、手間がかかる掃除のいらない家をつくりましょう。「予防掃除」の生みの親でもある知的家事プロデューサー・本間朝子さんに、すぐに実践できる予防掃除術について教えていただきました。

 

「予防掃除」とは?

そもそも予防掃除とは、家が汚れないように工夫したり、掃除自体を減らす努力をしたりすることを言います。実はこの単語は「掃除が大の苦手」と話す知的家事プロデューサーの本間さんが、どれだけ楽に掃除を済ませるかを考えた末に生まれたのだといいます。

 

「もともと私は家事が苦手で、なかでも掃除が大嫌いでした。どうしてもキレイな状態を保つことができず途方に暮れていたとき、たまたま予防医療のことを知ったんです。そして『怪我や病気を防ぐ』という予防医療の考え方を掃除にも応用できるかもしれないとひらめきました。
その後、2013年に受けた雑誌の取材で『汚れを防ぎ、掃除を楽にする方法』をご紹介したとき、何気なく『予防掃除ですね』と言ったんです。そうしたら、それを見たテレビ関係者などから取材の依頼が来て『予防掃除』という単語が瞬く間に広まり、いつの間にか一般化していきました」(知的家事プロデューサー・本間朝子さん、以下同)

↑知的家事プロデューサーの本間朝子さんは、「予防掃除」生みの親でもありました。

 

予防掃除の5つのポイント

予防掃除には覚えておきたい5つのポイントがあります。まずはこれらを参考に、自分の家のどこに手を加えるべきか考えていきましょう。

 

1. 汚れるものの使用をやめる
物が多ければ多いほど掃除する箇所も増えてしまいます。例えば、三角コーナーや歯ブラシスタンドなど、なくても困らないものをなくせば、その分掃除をする手間が減ります。

 

2. 汚れに強いアイテムを選ぶ
予防掃除は買い物の時点から始まっています。バスルームやトイレで使うアイテムは「抗菌仕様」のものにするなど、何かを買うときはできる限り汚れにくいものを選びましょう。

 

3. 汚れがたまる場所をなくす
汚れがたまるのは掃除が行き届いていないから。大きな家具家電を置くときには、掃除道具の届く隙間をつくることが重要です。

 

4. 汚れないようにカバーする
大きな家具家電の上や手の届きにくい細かな部分などは、どうしても掃除しづらくなります。取り替えやすい紙や布でカバーし、汚れがたまったら交換するだけの状態にしましょう。

 

5. 掃除したくなる道具を揃える
1~4を実践しても汚れを100%防ぐことは不可能……。だからこそ頑固な汚れになる前にささっと掃除をすることが大切です。動線の中にフロアワイパーを置いたり、汚れが落ちやすい最新の道具や掃除を楽しくするアイテムを買ってみたり、「ささっと掃除」を習慣化する工夫をしてみましょう。

 

■本間さんおすすめ!掃除をちょっと楽しくするアイテム

・アース製薬「らくハピ マッハ泡バブルーン 洗面台の排水管」オープン価格(実勢価格650円前後)
ジェット噴流の泡が排水管を一気に洗浄! オーバーフロー穴から泡が噴き出てくる感覚は爽快です。

 

・花王「キッチンマジックリン 泡ジェット」オープン価格(実勢価格600円前後)
一度レバーを引くだけで数秒間泡が出続ける優れもの。コンロやシンクなどの大きな面を掃除する際も、一気に洗剤を広げることができます。

 

・ライオン「ルックプラス 泡ピタ トイレ洗浄スプレー」オープン価格(実勢価格400円前後)
レバーの引き方で泡の形状が変化するスプレー。ゆっくり引くともこもこした泡、すばやく引くと液体に近い泡が出てきます。

 

今すぐ真似できる予防掃除術

今回は「リビング」「キッチン」「洗面所」「バスルーム」「トイレ」の5つのエリアについて、すぐに実践できる予防掃除術を教えてもらいました。

 

リビングですべき予防掃除術 3

1.大きな家具家電はキャスターで動かしやすくする

フロアワイパーや掃除機などでさっと掃除できるように、大きな観葉植物や空気清浄機などはキャスター付きの台に乗せておきましょう。

 

2.細かな汚れがたまる場所はマスキングテープで保護

窓のサッシやゴミ箱のフチは、マスキングテープで保護して汚れを防ぎましょう。また、スイッチガードに貼ることで、細かな溝にたまる汚れや表面の黒ずみを防止できます。

 

3.ダイニングテーブルと壁の間にすき間をつくる

クイックルワイパーや掃除機のサイズに合わせてすき間をつくっておくことで、部屋の隅々までさっと掃除ができます。

 

キッチンですべき予防掃除術 3

1.料理をするときは1口コンロ用のアルミガードを使う

料理をするとコンロの周囲2mに油がはねると言われているため、アルミガードは必須です。1口コンロ用にすることで、油がはねる範囲がぐっと狭まるうえ、折り畳めばシンク下などに収納できます。

 

2.冷蔵庫やレンジフードの上にラップを敷く

冷蔵庫やレンジフードの上にたまったほこりは、料理中に出る蒸気や油が混ざってべたべたとした頑固な汚れに……。ラップを敷いて1年に1回交換するだけでOKな状態にしておきましょう。
※冷蔵庫の上部に吹出口などがある場合には、その部分を避けてラップをしてください。

 

3.冷蔵庫のドアポケットにキッチンペーパーと紙コップを活用

ドレッシングやソースの液だれが、ドアポケットの汚れの原因に。底にキッチンペーパーを敷いたり、紙コップを収納ケース代わりに活用したりして、汚れてもすぐに取り換えられるようにしましょう。

 

洗面所ですべき予防掃除術 2

1.ゴミ受けをパンチングタイプに変更

髪の毛などが絡まり、ぬめりを生じる排水溝。複雑な形状のゴミ受けは掃除をするのもひと苦労のため、つい見て見ぬふりをしてしまう人も多いのではないでしょうか。パンチングタイプのゴミ受けなら、中央のくぼみにごみがまとまるので、さっと拾うだけで掃除が完了します。

 

2.洗濯機のホースにラップを巻く

そうそう掃除することのない洗濯機まわり。特にホースの溝に入った汚れはなかなかとれないため、ラップを巻いて汚れを防ぎましょう。

 

バスルームですべき予防掃除術 3

1.バスグッズはとにかく浮かす

ラックや床にバスグッズを置くと、水がたまってカビの原因になってしまいます。フックなどを使って床から離して保管するようにしましょう。バスルームの壁は磁石になっていることも多いので、磁石でくっつくラックやタオルバーを使えば保管場所を追加できます。

 

【関連記事】埃・水垢・ヌメリと決別!家事を時短できる「浮かせる収納」のコツと便利グッズ

 

2.最新カビ防止アイテムを取り入れる

カビ防止アイテムを使うかどうかでバスルームの掃除頻度が大きく変わります。近年、カビ防止アイテムはさらに進化しており、最近は置いておくだけでOKなものが増えてきました。より手軽に取り入れられるようになった今こそ、一度試してみてはいかがでしょうか。

 

3.湯船に重曹を入れる

重曹は入浴剤として使えるうえ、浴槽に汚れをつきにくくする効果もあります。そのため重曹を溶かした湯船に浸かり、お湯を抜いて軽くスポンジでこすればお風呂掃除が完了。洗剤などでゴシゴシ洗う必要がなくなります。

※余分な皮脂を落とす効果もあるため、重曹入りの湯船に浸かりすぎると乾燥につながります。多くとも2~3日に1回程度にしましょう。

 

トイレですべき予防掃除術

1.トイレットペーパーでトイレ用洗剤を浸す

トイレの便器の内側にトイレットペーパーを敷き詰め、その上からトイレ用洗剤を吹きかけて5分放置します。トイレ用洗剤の効果が便器全体にいきわたって汚れを落とし、あらたに汚れがつくのも防止できます。

 

「アイテムを揃えたり、ラップやマスキングテープを貼ったり、予防掃除も最初は少し面倒に感じるかもしれません。しかし一度がんばって取り組めば、その後は汚れたときに交換するだけになります。来年は大掃除ではなく “ノー掃除” で年を越せるように、ぜひ予防掃除にチャレンジしてみてくださいね」

 

プロフィール

知的家事プロデューサー / 本間朝子

フードプランニング会社のチーフディレクターを経て独立。自分自身が仕事と家事の両立に苦労した経験から、時間と無駄な労力を省く家事メソッド「知的家事」を考案。「時間がない」「家事が大変」と嘆く多くの主婦の悩みを解決している。NHK「あさイチ」や日本テレビ「ヒルナンデス! 」などのテレビ、「クロワッサン」「ESSE」「レタスクラブ」などに出演。著書に『60歳からの疲れない家事』『写真で分かる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり』(ともに青春出版社)、『ムダ家事が消える生活』(サンクチュアリ出版)、『ゼロ家事』(大和書房)、『名もなき家事を楽しく減らす法』『ざんねんな片づけ』(王様文庫)他、全12冊。オンライン上で仲間と交流を深めながら、楽しく家事をするコミュニティ「家事トモ☆サロン」主宰。音声メディア「Voicy」パーソナリティ。

 


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2023年のブラボーなネクストヒットはコレだ! 「家電大賞2022-2023」中間発表も……GetNavi2・3月合併号は本日発売!!

月刊誌「GetNavi(ゲットナビ)2・3月合併号」は本日、12月22日(木)発売です!

 

ブラボー! 2023年トレンド予報

各ジャンルの賢人たちがネクストトレンドを本気で大予想。年が変わればトレンドも変わります。2023年はどんな“新しい景色”が見えてくるのか? 乗り遅れたくない人は隅々までチェックしてください。

 

「家電大賞2022-2023」中間発表!

白物家電専門サイト「家電 Watch」とのコラボ企画、一般投票で家電の年間王者を決める「家電大賞」はいよいよ大詰め! 今回は投票の途中経過を発表します。現在のトップがこのまま逃げ切るのか? それとも意外な大逆転があるのか!? 3月の最終結果発表まで目が離せませんね。

 

アラフォー男のRUN学ことはじめ

年始の駅伝大会をテレビで見て刺激を受け「今年こそはランニングを始めよう」と意気込む方も多いはず。しかし、ただ走るだけとはいっても、ビギナーには意外とハードルが高いもの。基本の走り方やギア選びなど、いまさら聞けない基本の「き」を紹介します!

 

【商品概要】

GetNavi(ゲットナビ)2・3月合併号

本体価格:709円+税

判型:A4変型判

江戸時代も歩きたばこは禁止だった!?「たばこと塩の博物館」ほぇ〜連発の蘊蓄6選

「たばこと塩の博物館」は東京スカイツリーの近く、本所吾妻橋にある、JTが運営する企業博物館である。「渋谷の公園通りになかったっけ?」と思った人はなかなかの物知り。1978年から2013年までは渋谷の神南にあったが、2015年に現在の場所に移転。引き続き、たばこと塩に関する資料の収集、調査や研究を行なっており、その所蔵点数は約4万という膨大な数を誇る。

 

これまで取材会場として何度か足を運んだことはあったが、今回改めて「たばこと塩の博物館」の展示を見る機会を得た。常設展や特別展の展示物は約4万点のうちのごく一部。それでもボリュームがたっぷりで、最低でも半日、ゆっくり見たら1日では見終わらないぐらいの情報量だ。

 

本記事では、そのなかで思わず「ほぇ〜、なんか知って得した」という蘊蓄を紹介。愛好家にとっては定番のネタもあるかもしれないが、知的好奇心をくすぐるものを6つピックアップしたので、ぜひ楽しんで欲しい。

 

【その1】かつてたばこは、神との交信を媒介する神聖なものだった

人間がいつからたばこを摂取するようになったのか、というのは実はよくわかっていない。最も古い文献として残っているのは、7〜8世紀のマヤ文明。メキシコ・チアパス州にある世界遺産「パレンケ遺跡」に、たばこをくゆらす擬人化された神のレリーフが遺されており、少なくとも1300〜1400年の歴史があると言われている。

 

マヤの人々は、祭祀や儀式、占いといった神との交信のほか、病気の治療にも広くたばこを用いていたという。それが時代を経るにつれ、徐々に嗜好品へと変化していく。

 

なお、たばこと塩の博物館ではこのパレンケ遺跡の一部のレプリカ(上写真)があり、たばこ常設展示室最初の展示物になっている。原寸大で再現されており、存在感は抜群である。

 

【その2】江戸時代にも歩きたばこは禁止だった!?

現代において「歩きたばこ」が禁止されたのは2002年の東京都千代田区が最初とされている。が、それより300年以上前、江戸時代の元禄期にはすでに「歩きたばこ」が禁止されるという法令がみられたことをご存知だろうか?

 

1693年(元禄6年)10月に、江戸城下馬所における喫煙の禁令が発令され、10年後の1703年(元禄16年)には将軍の休息所付近でも喫煙の禁令が出ている。これは、風紀の乱れに加えて、失火に対する対応策として実施されたもの。失火、という点が実に江戸らしい。

 

ただ、江戸時代初期にはたばこの「喫煙」「売買」「耕作」自体が禁じられており、犯したものには厳罰が処されていた点も触れておきたい。たばこは鉄砲の伝来とともに日本国内に入ってきたという説もあり、庶民の嗜みとして普及。

 

風紀の乱れや火災のほか、税制面(次項参照)でも権力者を悩ませる存在となり、禁制が敷かれるようになった。だが、これらの処罰は実態に則しない部分が多いことから元禄のころには「歩きたばこ禁止」といった現実的なルールが設けられた、といった流れである。

↑たばこが一般に普及していくと、独自のブレンドを販売するお店も人気を博していく

 

【その3】江戸時代にはたばこ税があった

「歩きたばこ」ついでに「たばこ税」についても触れてみたい。中世・近世を通じて、年貢として納められる米(や麦)は経済活動の土台であった。

 

しかし「歩きたばこ」の項で触れたように、喫煙が庶民の愉しみになってくると既存の田畑でたばこ耕作を行う農家が出現。1660年代には毎年のように本田畑(江戸前期に検地を経て年貢高を定められた田畑/出典:旺文社日本史事典 三訂版)でのたばこ耕作が禁じられるなど、幕府や藩でも対策に乗り出していた。

 

禁令の流れとは別に、1630年代以降、たばこ関連の産業自体に税金をかけてしまおうという流れも発生した。幕府が一律で行っていたわけではないうえ、地域ごとにルールも異なっていたため一概には言えないが、藩が買い取って流通させたり、土地と肥料を与えてできたものを納めさせたりするといった手法が取られていたようだ。

 

【その4】たばこが専売制になったのは欧米に対抗するため

日本でたばこが専売制となったのは1904年のこと。同年に可決された煙草専売法案が施行されたのだ。この時代、世界のたばこ産業は英米の企業によって寡占化が進み、その影響は日本にも及ぼうとしていた。

 

日本国内では、岩谷商会や千葉商会、村井兄弟商会といった企業が大手のたばこ製造業者として名を馳せていたが、村井兄弟商会は米国のアメリカ・タバコ社と資本提携を結び株式化。海外企業が国内企業を乗っ取り、国富が流出する懸念が高まったのだ。この年は日露戦争が開戦した年であり、国のキャッシュが流出するのは避けたい。こうした流れで国は専売制へと舵を切っていた。

↑明治期を代表する国内たばこ産業のキーマンとなった3人

 

【その5】ハイライトのパッケージには採用されなかった幻のデザインがある

ハイライトは1960年(昭和35年)に販売を開始。現在も存続する、JTの長寿銘柄のひとつである。パッケージは、日本を代表するイラストレーターでありグラフィックデザイナーであった和田誠がデザイン。「ハイライトブルー」とも称されるコバルトブルーが特徴的だ。

↑正式採用されたパッケージ(写真提供:JT)

 

このハイライト、デザイン段階で提案された別案が存在する。こちらも和田が作成したもので、黒を基調にゴシック文字でHI-LITEの文字が入っている。採用されたものとは印象が大きく異なるが、和田の中での本命は「黒に銀」だったという。

↑和田誠によるデザイン案(写真提供:JT)

 

たばこと塩の博物館でこの展示がある箇所は壁一面に、明治から現代までのパッケージやポスターが掲示されており圧巻のエリア。昔懐かしいビジュアルや広告も見つけることができるだろう。

 

【その6】ライターは戦争の影響を色濃く受けるプロダクト

取材したタイミングは特別展として「ヴィンテージライターの世界 炎と魅せるメタルワーク」も開催されており、そちらを見学することも叶った。この特別展では、たばこの必需品であるライターの歴史を知ることができ、こちらも興味深い内容であった。

 

ライターの基本構造は火花を起こして、その火花を燃料に移して燃やすというもので、それをいかに簡単に安全に行うかを試行錯誤して進化してきたプロダクトだ。現在のライターの基礎になっているオイルライターが登場したのは20世紀に入ってから。

 

それまでのライターは大きさ的にも構造的にもポケットに忍ばせて手軽に使えるものは少なかったが、第一次世界大戦期に、戦場に持って行って使える「ポケットライター」が普及。

↑第一次世界大戦期のポケットライター。1点1点が手作業で作られている

 

第一次世界大戦が終わり、世界に安定が訪れると、戦争で普及した金属加工技術が転用され、大量生産が行われるようになっていく。ハンドメイド品から大量生産できる工業製品としての性格を持つようになるのだ。

 

第二次世界大戦時もライターは戦争の影響を色濃く受けている。例えば、ライターブランドとして高い知名度を誇るジッポー社は1941年、アメリカが第二次世界大戦に参戦すると一般向けの販売を全て取りやめて軍の支給品に振り向け、ビジネス的にも大きな成功を収める。

ベトナム戦争でもジッポー社は軍にライターを支給。兵士たちはその表面に思い思いの加工を施すのが流行った。これはベトナム・ジッポーと呼ばれ、戦争に対するメッセージや信念が記されるなど、文化面にも大きな影響を与えている。

 

このほかにも、喫煙具は国や地域によって材質も形状も大きく異なるものであったり、ファッションブランドとして有名な「ダンヒル」は喫煙具やたばこのブランドでもあったりと、知っておくと世界の見識が広がりそうな話題がそこかしこに散りばめられている。

 

特別展は12月25日までとなるが、常設展は開館時ならいつでも見られる。また、今回は見学できなかったが「塩」の展示も豊富である。場所は東京スカイスリーの足元とも呼べる場所なので、東京スカイツリー観光&ショッピングと併せて訪れるのもよいだろう。

 

【たばこと塩の博物館 施設概要】

所在地:東京都墨田区横川 1-16-3

入館料:一般・大学生 100円、小・中・高校生 50円、満65歳以上の方(要証明書) 50円

開館時間:10時~17時(16時30分入館締切)

休館日:月曜日(月曜日が祝日、振替休日の場合は直後の平日)

年末年始の休館:2022年12月29日~2023年1月3日

冬至(2022年12月22日)の「ゆず湯」の意味と「かぼちゃ」のおいしい調理法

すっかり日が短くなり、まだ早い時間なのに外を見ると真っ暗で驚くことも。もう少しで昼の時間が一年でもっとも短くなる「冬至(とうじ)」がやってきます。

 

冬至といえば「ゆず湯(柚子湯)に浸かって、かぼちゃを食べる日」。でもそもそもなぜゆず湯に浸かり、かぼちゃを食べるのでしょうか? さらにかぼちゃをおいしく調理するコツとは? 和ごはん研究家の麻生怜菜さんに教えていただきました。

 

冬至とはどんな日?

冬至とは、一年のうちで太陽が出ている時間がもっとも短く、夜が長い日のこと。立春や夏至、秋分などと同様に、太陽の動きをもとに1年を24等分してつくられた二十四節気のひとつです。

 

「もともとは古代中国で『太陽が生まれ変わる日』とされてきた文化が遣唐使とともに日本にやってきて根付いたもの。昔は真っ暗な時間は黄泉の世界とつながっているという感覚があったので、一番夜が長いというのは一番悪い日。そしてこの日を境にどんどん良くなっていくということから、別名『一陽来復(いちようらいふく)』とも呼ばれています。その境である日に邪気払いをしたり、良い方向に向かうことをしたりしようというのが、冬至の風習です」(和ごはん研究家 麻生怜菜さん、以下同)

 

ちなみに、冬至とは昼がもっとも短い日であり、日の出がもっとも遅いのは1月上旬(2022年度は東京で1月2日から13日の6時51分、)、日の入りがもっとも早いのは(同 11月29日から12月13日の16時28分)で、地域によって異なります。

 

冬至の日は毎年変わる! 2022年は12月22日

「冬至は必ずしも毎年同じ日ではなく、地球と太陽の位置関係から決定されます。12月20日から23日の間であるとされていますが、2022年の冬至は12月22日。この日から春分(3月21日)までが冬とされています」

 

また、クリスマスと冬至には、意外にも深いつながりがあるのだそう。

 

「北欧ではキリスト教が伝わる前の時代から、『ユール』と呼ばれる冬至のお祭りを行っていました。もっとも夜が長く、太陽が再び力を取り戻す日として、神々へお供えなどをして祝ったそう。北欧の国々にはその頃の風習の名残があって、クリスマスツリーやブッシュドノエルなどはユールの祝祭に由来します」

 

冬至に行うべき風習とは?

1.「ゆず湯」で無病息災を願う

冬至といえばゆず湯。古くから「この日にゆず湯に浸かると一年間風邪をひかない」という言い伝えがあります。この風習はなぜ始まったのでしょうか?

 

「ゆずは寿命が長い木。それにあやかって、ゆず湯で長寿や無病息災を願ったといわれています。また昔の人は、水で自分のけがれを払うという儀式を事あるごとに行っていました。運を呼び込む前に邪気払いをするという意味で湯につかる。その湯にゆずを入れることで、邪気払いと無病息災という二つの願いが込められているのでしょう」

 

丸ごとか、輪切りか。ゆず湯の楽しみ方

ゆず湯といって思い浮かべるのは、丸ごとのゆずが湯船にいくつもプカプカと浮かんでいるさま。色も鮮やかで風情を感じます。自宅でお風呂に入れるときは、どのようにするといいのでしょうか?

 

「後処理がもっとも楽なのは、丸ごと入れる方法。ただし、そのままだとあまり香りが出ないので、爪楊枝で何か所も穴を開けたり、包丁で切り込みを入れるのがおすすめ。ゆずを選ぶときは、ハリがあって押したときに実が締まっているものにすると香りも良いですよ。一人暮らしなどで、いくつもゆずを買うのはちょっと……という方は、ゆず1個を輪切りにして使いましょう。ただ、湯の中で果肉や種が出てきてボロボロになってしまうので、ネットやお茶パックなどに入れるとお掃除が楽です」

 

冷凍でストックすれば簡単。余ったゆずを普段の料理に取り入れるには

せっかく購入したゆずは、風呂に入れるだけでなく料理でも使いたいもの。

 

「我が家ではゆずを買ったらまずは搾って、お醤油や少しの出汁を入れて自家製ポン酢をつくります。皮は全部むいてわたの部分をそいだら、それを小分けにして、ラップに包んで冷凍庫へ。ゆず皮の冷凍ストックがあると、使う時に刻んでサラダの上にかけたり、炊き込みご飯の上に散らしたりと重宝します」

 

2.「かぼちゃ」を食べる

冬至が近づくとスーパーの目立つ位置にかぼちゃが置かれます。かぼちゃを食べる日というイメージは定着していますが、ではなぜかぼちゃを食べるのでしょうか?

 

「昔の人の知恵でしょうね。夏に収穫して冬まで備蓄できる食べ物は少なかった。その中でかぼちゃは長期保存できて栄養価も高い。冬を乗り切るための食べ物として重宝されていたんだと思います」

 

βカロテンが多く含まれていて、カリウムも豊富なかぼちゃ。鉄分や食物繊維も多いので、とくに女性にとっては今の時期に食べるのにもぴったりの野菜だそう。

 

かぼちゃのほかにも「ん」がつく食べ物で運気アップ!

「名前に『ん』がつくものを食べて運気を盛る『運盛り』という考え方があります。かぼちゃはもともと南京(なんきん)と呼ばれていたので、『ん』がつきます。『ん』が二つついてたくさんの運気を呼び込むことができるとされているのが、南京、れんこん、にんじん、銀杏(ぎんなん)、金柑(きんかん)、寒天(かんてん)、うどん。これらは『冬至の七種(とうじのななくさ)』と呼ばれています。このあたりの食材をかぼちゃに追加で食べるのもおすすめですよ」

 

冬至に作りたい、かぼちゃの「いとこ煮」

冬至にかぼちゃを食べるなら、邪気払いによく使われる小豆と一緒に煮る「いとこ煮」がおすすめ。小豆で邪気を払い、かぼちゃで運を上げる、冬至に作りたい料理の筆頭です。かぼちゃと小豆でなぜ「いとこ煮」というのかというと、これには諸説あるそう。

 

「小豆は煮るのに1時間ほどかかります。小豆が煮えたところに追ってかぼちゃを入れるとおいしくなるため、 “追々” 煮るからそれを “甥と甥” にかけたという説。それから、小豆とかぼちゃを同時ではなく、めいめいに煮るから “姪々” とかけたという節もあります」

 

かぼちゃの煮物をおいしく仕上げるひと手間とは?

「かぼちゃは一口大に切りますが、このとき包丁で角を浅く削る『面取り(めんとり)』をするのがおすすめ。これをすることで角がなくなり、まんべんなく火が通ります。また、かぼちゃ同士がぶつかった際に煮崩れするのを防ぐので、きれいに仕上がるという効果も」

 

いとこ煮は、かぼちゃが煮えたら別でゆでておいた小豆と醤油を加えて煮るというシンプルな料理。美味しく仕上げるには煮あがったあとが重要だそう。

 

「煮汁がほとんどなくなったときに火を止めてすぐに食べるのではなく、少し時間を置くことを『鍋止め(なべどめ)』といいます。これをすると味がしみて、ぐっと深まりますよ。それから、火をとめる直前にみりんとお醤油を入れると照りが出て、香りも残ります。下味とは別に、最後に追加でパッと入れて火を止めるのがポイントです」

 

慌ただしい時期だからこそ、ちょっと立ち止まって

年の瀬も押し迫り、何かとせわしない時期。だからこそ、冬至の日くらいはちょっと立ち止まり、ゆず湯にゆっくり浸かったり、かぼちゃを食べたりして季節に目を向けたいですね。

 

「今はスーパーがあるので、年中いろいろな食材が手に入ります。でも、その時期ならではの旬のものを食べて四季の移り変わりを感じるというのは、大切なこと。季節の行事とそれに関連した旬の食材は何かという知識は、身につけておいて損はありません」

 

あまり難しく考えず、できる範囲で気軽に取り入れてほしい、と麻生さん。

 

「今日は冬至だからゆずの香りの入浴剤を入れてみよう、かぼちゃのサラダを買ってみよう、くらいでもいいんです。ふと思い出して、そのとき自分のできることをちょっとやってみるだけで、暮らしが豊かになります。慌ただしく過ぎていく毎日だからこそ、少し立ち止まって季節のめぐりを感じてみてください」

 

プロフィール

和ごはん研究家 / 麻生怜菜

全国を転々とした幼少時代を過ごし、旅行好きの両親の影響もあり47都道府県すべての地域食材、郷土料理を食べて成長する。結婚後、夫の実家がお寺であったことをきっかけに、お寺の行事食に関わり、伝統的な和食(特に精進料理)に興味を持つ。日本食文化史に精通し、日本の伝統食、特に精進料理の考え方や調理法、食材を若い世代や子どもたちに継承していくことを決意。伝統的な調理法や食材を現代のトレンドと融合した食文化の発信する場として、2011年より「あそれい精進料理教室」主宰。生徒数はのべ2600人。今まで考案したレシピ数は5000を超える。食品のランキングや比較も得意とする。著書に『寺嫁ごはん 心と体がホッとする“ゆる精進料理”』(幻冬舎)、『おからパウダーでスッキリ腸活レシピ』(主婦の友社)などがある。
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安田忠夫の映画を夢想し、金魚すくいにハッスルしてしまう映画監督の日常

「足立 紳 後ろ向きで進む」第32回

 

結婚20年。妻には殴られ罵られ、ふたりの子どもたちに翻弄され、他人の成功に嫉妬する日々——それでも、夫として父として男として生きていかねばならない!

 

『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、『喜劇 愛妻物語』で東京国際映画祭最優秀脚本賞を受賞。2023年のNHKの連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本も担当。いま、監督・脚本家として大注目の足立 紳の哀しくもおかしい日常。

 

【過去の日記はコチラ

 

11月4日(金)

近所の酉の市(一の酉)に久しぶりに家族で行く。去年一昨年は出店がなかったが、今年は復活したので息子も娘もついて来た。4人で神社に並んで去年の熊手を奉納し、いつもの業者さんから熊手を買う。柏手を打ってもらい、息子は大喜び。娘は照れている。我が家はゲン担ぎに最も力を入れているので、これは毎年大切な行事だ。

 

その後、娘と私と息子は出店で買い食い祭り。妻は私たちの散財に激しくストレスを感じるようでずっと文句を言い続けている。大盛ヤキソバに喜んでいると、「入れ物が小さいだけだ」、娘がたこ焼きを欲しがると「私が作ったほうが絶対美味しいから家まで我慢しろ」、息子がお面を欲しがると「そんなものすぐに壊れる」、私が牛串を買うと「あんな冷凍肉の塊、まずいに決まってる」とイチイチうるさい。祭りを楽しむ気は1ミリもない妻の言動にこちらもゲンナリしてくる。

 

楽しかったのは息子がやった金魚すくいだけだ。1回300円で2回、私は見ていただけだが息子はすいすいと8匹すくった。もしかしたら金魚すくいの才能があるのかもしれない。家に帰って、メダカの水槽に金魚をいれた。私は金魚を飼うのは初めてだが、見ていてまったくあきない。熱帯魚にはまる人たちの気持ちも少し分かった。「魚 睡眠」などと検索までしてしまった。

 

11月5日(土)

とある都立高校の学校見学に娘と。受験生の娘がいくつかピックアップしてきた中では偏差値が高めの学校なのだが、自由な校風で化粧もオッケー。こういう文章を書くと「キモイ親父」と言われるのは覚悟だし、正真正銘のキモイ親父なのだが、その高校の女生徒はいわゆる「ケバい」子が多いように見受けた。私のような古い価値観のキモイ親父としては、偏差値が高くてケバいというのは二刀流のような気もして、いいじゃんこの学校などと思ったのだが、陰キャの娘はいまいちこの学校に乗らないようだった。

 

しかし、もう何度も書いているが都内は高校が多い。学校見学だけでも大変に疲れる。基本的に学校見学は行ける限り私が行くことにしている。それはなぜかというと、今現在ややバタバタしており、妻と比べて私は子どもと過ごす時間が少ない。あとになってからいろいろと知らなかったと言いたくないから、なるべくついて行けるときは行きたいと思うのだ。帰りに夕飯の材料(羊とたまねぎ)を買って帰る。

 

11月6日(日)

息子の誕生日の夕食会が延期につぐ延期になっていて、今日行った。息子が選ぶのは焼き肉か近所のステーキ屋さんなのだが、今日は焼き肉とのことで行ったのだが、とにかく「上」とつくものを注文すると妻がすぐに不機嫌になるので子どもたちが不憫でならない。たまにのことなんだから好きなものを食わせろと思う。「食い意地だけはりやがって」と妻は言うのだが、そういう妻は「飲み意地」がものすごい。

 

※妻より

結局いつも食べ切れない量を注文して、子どもが残すのが嫌なんです。それを「もったいない、もったいない」と食べて、私一人がブクブク太る……。私は頼んだ酒は1ミリも残さずに飲み切りますから。

 

11月7日(月)

昼、娘の中学に3者面談に行く。進路の話。それにしても、高校受験など学校側が手続きとかやってくれるのかと思っていたが、面倒な事務作業がいろいろとある。事務作業が極度に苦手な私は説明を受けてもまったく頭に入って来ない(それで何度もバイトや仕事を逃げた)。妻に行ってもらうべきだった。

 

その後、夜に外出する予定があったので、新宿の喫茶店で仕事をした。そういう時に限って、その喫茶店に資料を忘れたことを帰宅してから気づいた。明日、取りに行かねばならないが、めちゃくちゃ面倒くさい。

 

11月8日(火)

こみずとうさんのお店に昼飯を買いに行く。久しぶりのとうたりんぐ祭り。ついつい食べ過ぎてしまう。唐揚げ好きの私だが、とうたりんぐの唐揚げが一番好きだ。味付けから肉の部位から最高なのだ。娘と息子も大好きなので、彼らのぶんも買ってきてやる。

唐揚げも、カレーもハヤシも本当に美味しかったです!!

 

その後、忘れ物を新宿の喫茶店に取りに行ったついでに、その喫茶店で夕方まで仕事をする。私よりちょっと年下くらいの40代半ばあたりの男性ふたりが、子どもに英語を習わせるタイミングのことで熱く語っていらした。ひとりが、娘が2歳になったら習わせようと思うと言うと、もうひとりは、ウチは3歳から習わせてインターナショナルスクールにも通わせたが、その結果、日本語も英語も中途半端なコミュニケーションしか取れなくなったと話していた。その娘はまだ5歳とのこと。

 

帰りに夕飯の材料(牛肉とサンマと刺身)を買って帰る。

 

11月10日(木)

妻とケンカ。理由は私が書いた脚本を読んだ妻が、「ここ、わからない。ここ、いらない。ここ、つまらない」と正直に意見を言ったからだ。

 

正直に言ってほしいと頼んだのは私なのだが、批判を受け止めることができず、私はムキになって「え、なに? じゃ、どう直せばいいの? じゃ、アキが書いてよ! そんだけ言うなら、アキが解決してよ!」と言ってしまった。

 

開き直るつもりはまったくないのだが、これは立派なパワハラである。他人からの指摘を受けきれず、ムキになって唾を飛ばして反論してくる人が皆さんの周囲にもいると思う。 私はいつもそういう人を見ては、「ああはならないようにしよう」と思っていたのだが、意外と(でもないか)私もそっち系の人間なのである。

 

妻はそんな私に鬼の表情で「ファーック!! おめえファーック!!! 死ねよ! 今すぐに死ねー!!!!!」とおきて破りの逆パワハラで返してくるのでまだいいのだが(よくない)。

 

最近、私が書いているシナリオにお寺の和尚さんの登場があったので、勉強のために和尚さんのありがたい言葉を聞くYouTubeを見ることが多くなっていたのだが、YouTubeを見ている間は和尚さんの言葉に私も改心を誓ったりした。しかし、その誓いは3秒と持たない。やはり永平寺あたりにせめて一泊修行にでも行かないと私という人間は変わらないのかも知れない。

 

妻に「出て行け! パワハラ野郎とは一秒たりともいたくない!吐き気がする!」と言われ、そのまま私は脚本を書いていた映画の撮影現場に陣中見舞いに行き、先日NHKのシナリオチームに200倍の競争率を突破して受かり、一緒に脚本を書いた山口智之君と酒を飲んで帰った。

 

11月11日(金)

朝、一応、妻に謝る。が、この「一応」というのを完全に見抜かれている。

 

妻に「あんたはイライラの矛先を間違えている。外で言いたいことは飲み込んで、その苛立ちや怒りを家で八つ当たりするのは人間失格だ。DVだ。パワハラでモラハラだ。本当に弱すぎる! どこまでも天までも弱くみっともなく情けない人間だ! 気持ちが悪い!」と言われ、またも途中で受けきれなくなり、言い返してしまい、口論へ。

 

今日は妻が出て行き、この日、帰宅せず。娘と息子に豪勢な夕飯を作ってやると、ふたりとも「うますぎる!」と言いながらバクバクと食べた。

 

※妻より

喧嘩の詳細は書きませんが、こーいうことをいちいち書くところが腹立ちます。子どもらは「うますぎる!」なんて思ってやしません。不穏な家庭内の空気に気を使っただけです。そーいうところに気が付かないと……。

 

11月12日(土)

息子の小学校の音楽発表会。息子は常日頃から非常に緊張しいの上に不器用なので楽器を弾くことが大嫌いで、毎年音楽発表会のこの時期はいつもに増して「絶対に休む!」と言っていた。だが、今回は合奏する「オブラディ・オブラダ」を理由は分からないがいたく気に入ったようで、家の誰も使っていないピアノで弾いたりもしていて、楽しみにしていた。そんな息子の姿を夫婦で仲良く観に行きたかったが、妻は昨日出て行ったまま帰って来ず。

 

今日は映画『あなたの微笑みに』(監督:リム・カーワイ)を一緒に観に行く約束を前々からしており、初日舞台挨拶のチケットも取っていたので、まあ、どうなるのかな今日は…みたいに思いながら息子の学校へ行くと、妻も音楽発表会の片隅にいた。

 

しょうがないので、妻の横にヘラっと行く(しょうがないってなんだよ! BY妻)が、妻は見向きもしない。

 

息子たちはマスク越しにまずは合唱。なぜか息子はずっとニタニタとしている。その笑顔はとてもかわいい。笑顔のまま「レッツゴー・タマゴ」を歌う。続いてマスクを外し「オブラディ・オブラダ」の合奏。一生懸命ピアニカを吹いていた。終わるとまた笑顔になった。いろいろと生きづらさを抱える息子ではあるが、基本的に日常生活では笑顔が多い。その笑顔をうっすらとでもいいから浮かべ続けて生きていける人生を歩んでほしい。それがなにかを誤魔化す笑顔だったとしても、私はしかめっ面よりは息子に似合っていると思う。ただし、笑顔よりもしかめっ面のほうが似合っている人もいる。

 

合奏が終わると、妻がさっさと会場から出て行くので私もそのあとを追う。とりあえず、学校から駅までダッシュ、駅の乗り換えでダッシュ。駅から劇場までダッシュしまくった。ダッシュしながら「昼食何食べようか?」と聞くも、「お前とは食べたくない」と即答。返事をしてくれただけでも、この喧嘩を続ける気がないのがわかった。

 

『あなたの微笑みに』はとても面白かった。渡辺紘文さん扮する主人公の映画監督が(渡辺さん自身が映画監督でもあり俳優でもある。私の『喜劇愛妻物語』にも出演してくださった)自作の映画をかけてもらえないかと全国のミニシアターを回る物語だ。映画監督版『男はつらいよ』といった趣で爆笑しつつ、その自由な作り方も心底羨ましくなる。

 

見終わったあと、私は思わず妻に「『喜劇愛妻物語』の続編は自分たちでやろう! もともとそういうつもりだったでしょ?」と言ったら、妻は「まあ、それもありか……」とつぶやいた。そのつぶやきを、私は自分のSNSに「映画を観終わったあとに妻が『喜劇愛妻物語』の続編は私たちでやるしかない!と言った」と書いたら、これが妻の逆鱗にまたも触れてしまい、せっかく仲直りできていたのがまたオジャンになってしまった。

 

※妻より

こーいう、適当なウソの積み重ねが本当にムカつきます……。

 

夜、俳優の眼鏡太郎さんとマネージャーのWさんと久しぶりにお会いして少し飲む。おふたりの話を聞く予定だったのに、我々夫婦の話しを聞いていただいてしまった。というか無理やり聞かせてしまった。

 

眼鏡太郎さんから絵を頂きました! 我が家の縁起物がまた増えて嬉しい!

 

11月13日(日)

息子と妻が保育園のころからの友達たちとピクニックに行ったので、久しぶりに日曜日を丸まる仕事にあてた。

 

夕方、疲れたので近所のいつものサウナに行くと、「え!?」と引くくらい激混み。日曜はこういう状態なのか……。入店せずにそのままこれもよく行く近所のマッサージ屋さんへ。いつものパクさんに予約が入っていて空いておらず、代わりに女性の方にやっていただいたのだが……かなりご年配の方。もっと強く! 強く! と何度もお願いするが、まったく強くならない……。「もう……これ以上無理……」と死にそうな声でおっしゃるので私も諦めた。

 

11月17日(木)

昼まで仕事をして、その後にシナリオ作家協会のシナリオ倶楽部に久しぶりに顔を出した。チームライティングを考える的なテーマで先日、NHKのシナリオチームに受かった山口智之君が話すということで、数年ぶりに参加した。

 

正直、連続ドラマなど長い物はチームで書いたほうが私もいいと思う。だがそのためには企画の芽の段階からライティングチームとディレクションチームとプロデュースチームががっちりスクラムを組んでいく必要はあるかと思う。そういうプロジェクトに私も参加してみたいと思うし、そういう企画を考えてもみたい。

 

とりあえず今、私は元大相撲力士でのちにプロレスに転向した安田忠夫さんをモデルにしたドラマを作ってみたい。安田忠夫さんはギャンブルにはまり、大相撲をやめてプロレスに転向、その後総合格闘技を何試合かして、自殺未遂などもしたあげく、後輩のレスラー(ケンドー・カシン)の実家の養豚場で働くもそこもやめてしまう……。相撲やプロレスなどの今まであまり描かれることのなかったコアな部分を描くことができるのと、安田さんの人間性を描くことで現代社会が抱えているハラスメントの構造や、人が人を見捨てる問題なども描けると思うのだ。もちろんすごいエンターテイメントにもなると思う。西村賢太作品と同様に「いつかは……」と思っている企画だ。

 

11月19日(土)

今日も娘と高校の説明会。先日の偏差値高いけどケバい高校よりも、偏差値は少し低いけど落ち着いた雰囲気みたいな高校の見学だ。女子サッカー部とかソフトボール部とかの見学もできて、娘的にはかなりテンションがあがり「この学校を第一志望としたい」とのこと。中学時代は(今も中学生だけど)野球のことや部活のことでも大いに悩んだりしたから、高校時代はひたすら楽しいといいなあと願う。帰りに学校近くの商店街の焼き鳥屋で10本焼き鳥を買って私が6本、娘が4本食べた。

 

家に戻ると、妻が息子含めて何人かの男の子たちを怒鳴りつけて家から追い出していた。大人が家にいないときは、家には入らないという約束を破り(各家庭でお母さんたちがそういう協定をしている。そういうところでも父親はダメだ、世間話はするがそういうコミュニケーションは取らない)息子が友達を入れていたのだ。

 

「そんな怒鳴らくても」と言うと、猫を追いかけまわしたり子どもたち同士もうまくやっていなかったりで騒がしく、仕事が出来なくなりブチ切れてしまったとのこと。私が子どものころには近所に怖いおばさんがいたが、近ごろはいなくなったから妻がそうなってもいいかもしれないと思った。私だけに怖いのはどうかと思うし。

 

11月21日(月)

1か月ぶりの教育支援センター。近ごろの息子の様子を相談するも、ほとんど我々親の心の持ちようの相談と化す。話の流れから、支援センターの先生が格闘技好きと分かって、20年くらい前の格闘技界の話でも盛り上がった。

 

11月23日(水)

息子、2か月振りのマンツーマンの療育へ(先月は行く途中で癇癪が出てしまい、牛歩したり、コンビニに隠れたり、挙げ句動けなくなり、お休みしてしまったのだ)。

 

久しぶりで緊張したのか、気恥ずかしかったのか、先生のPCを抱え込んで返さなかったり、時計を隠したり、漫画から顔をあげず先生の顔を見なかったり明らかにいつもと違う行動。見ていられない……。

 

先生から「最近学校どう?」と聞かれると「話したくない」とのこと。学校はやはりあまり(と言うかまったく)楽しくないのだろう。

 

そう言えば、近ごろはランドセルからものを出した形跡もない。想像するに、ずーっと心を無にして6時間椅子に座っているのだと思う。それは面白くないだろう。帰りに夕飯の材料(豚肉とサンマ)を買って帰る。

 

11月24日(木)

午前中から昼すぎまで脚本のオンライン打合せ。

 

その後、夕方から映画『わたしのお母さん』の杉田真一監督と渋谷ユーロスペースにて上映後にトーク。渋谷駅が分からなさ過ぎて、いつもと違う出口から出たら迷いに迷いまくってユーロスペースまで全力疾走。

 

作品は、うっすらとうっすらと娘の心を無意識に削り続けた母親とその娘の話。実はこういう重苦しいのに、なんとなくそれを重いと言うのはちょっと憚れるかも……というような関係の親子、兄弟、姉妹は多そうな気がする。これが赤の他人ならば距離を置けばいいのだが、肉親だと「距離を取れ」と言われても、うまくそうできない人もいる。そういう人たちに寄り添いに寄り添った映画だと思う。

 

11月25日(金)

午前中、いつもの喫茶店で仕事。この喫茶店を仕事場にしてから1か月くらいたった。私はいつも同じ場所に座っているし、そろそろ私のあだ名がついていそうな気がする。

 

「ハナクソ」「スポニチ」「ハゲ」「ヒゲ」あたりか。どう考えてもポジティブ系は思い浮かばない。あ、「トマトジュース」というのが一番マシか。

 

夜、「城山羊の会」、鑑賞。相変わらずの面白さ。来年放送の『ブギウギ』でご一緒させていただく趣里さんも出演されていて、やはりとても面白いお芝居をされていた。

 

11月26日(土)

本日も朝から娘と高校の説明会。もう毎週末怒涛の説明会だ。昼飯を高校周辺のハンバーガー屋で食べた。ハンバーガーにしてはやや高い店だが、寿司ならば「え、こんなに安いの!?」という値段だ。娘は「美味しい!!!!! こんな美味しいハンバーガは食べたことがない!!!」と感動していたので、久しぶりに父親気分に浸った。

 

午後から、『雑魚どもよ、大志を抱け!』の取材。久しぶりに主演の池川侑希弥君と会った。会うたびに大人びて行く。私はどう思われているだろうか。「会うたびに禿げていくな」と思われてはいないだろうか。周囲はAGA治療でフサフサになっている人が何人かいるので私も行ってみようと思っているのだが、面倒くささと性欲減退の副作用があるという説に負けて今のところ先送りしている。私から性欲を奪ったらなにも残らない。が、この日記のネタのためにも年内には行ってみようと思う。

 

11月28日(月)

5時間授業だったので、息子の友達が3人きて、居間でホラー映画鑑賞会。私が2階で仕事をしていると、キャーキャー悲鳴が聞こえる。それはとても心なごむ音だった。

 

夜、妻が筋トレのジムに行くので息子とふたりで三の酉へ。息子とともに出店で大いに食う。すると友達と来ていた娘と出会い、まだ一口も食べていなかったチーズ揚げを巻き上げられた上に、1000円もかつあげされた。「だってママが400円しかくれなかったんだもん」とのこと。確かに中3娘が祭りに行くのに400円はあんまりだろう。

 

※妻より

前日に2000円渡してます。当日も「金クレ」と来ましたが、手持ちが400円しかなかっただけです。あげ過ぎ。

 

そして一の酉同様に金魚すくいへゴー。なぜか100円値上げされており400円になっている。妻が来ていたら絶対に店員さんというのかテキヤのお兄さんに文句を言っていたであろう。

 

今日は私も数年ぶりに挑戦したのだが、え、金魚すくいってこんなに面白かったっけ!? と思うほどで、息子4回、私3回で計2800円使ってしまった。

 

が、前回よりもゲットした獲物数はへった。デメキン2匹、金魚4匹をゲット。息子は念願のデメキンをゲットしたので興奮しているが、私的には数が少なく残念だったねと息子と話していると、前を歩いていた高校生のカップルが突然振り返り「あの、すいません」と話しかけて来た。

 

私は咄嗟に、やばいカツアゲされるのか!? とビビったが、カツアゲする相手に敬語を使うわけはなく、そのカップルは「よかったら、これどうぞ。うち飼えないから」と金魚を5匹くれた。息子は大喜びで、「あの子かわいかったね」と言った。確かに可愛かった。

 

家に帰ると、息子が妻に金魚すくいですごいお金を使ったと報告してしまい、私は「領収書をもらって来い」と妻から言われた。「出店でも領収書はくれる、私はもらったことがある」と言うのだが、本当だろうか……(貰えるはず by妻)。

 

そしてウチの猫が金魚の水槽からしか水を飲まなくなった。

 

11月30日(水)

朝8時半から喫茶店で仕事。ひたすらに書きまくる。右の肩甲骨の菱形筋(りょうけいきん)というところがもう何年もこりつづけているのだが、今日はそこが痛くてたまらず2時間も机に向かっていると我慢できなくなった。右腕まで冷えて痺れたような感覚になってくるのだ。たまらずいつものマッサージに駆け込んだ。今日は無事パクさんにほぐしていただける。2時間のコースで1時間50分はひたすらに菱形筋をグリグリしていただいて、涎を垂らして寝た。

 

それにしてもなぜに右だけなのか。パクさんがおっしゃるには鉛筆を持っているからだとのことだが、鉛筆なら小学生のころから持っている。なのに45歳くらいまではなんともなかった。たまにバランスをとるために左手にペンを持って書いてみることがあるが、良いセリフが思い浮かぶことがたまーにある。

 

夕飯の材料(鶏肉)を買って帰る。

 

 

【妻の1枚】

 

【過去の日記はコチラ

 

【プロフィール】

足立 紳(あだち・しん)

1972年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経てシナリオを書き始め、第1回「松田優作賞」受賞作「百円の恋」が2014年映画化される。同作にて、第17回シナリオ作家協会「菊島隆三賞」、第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。ほか脚本担当作品として第38回創作テレビドラマ大賞受賞作品「佐知とマユ」(第4回「市川森一脚本賞」受賞)「嘘八百」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」「こどもしょくどう」など多数。『14の夜』で映画監督デビューも果たす。監督、原作、脚本を手がける『喜劇 愛妻物語』が東京国際映画祭最優秀脚本賞。現在、最新作『雑魚どもよ、大志を抱け!』は2023年に公開予定。著書に『喜劇 愛妻物語』『14の夜』『弱虫日記』などがある。最新刊は『したいとか、したくないとかの話じゃない』(双葉社・刊)。

最旬SNSインフルエンサー4人に学ぶ、ライフハック術!

暮らしにちょっと豊かさをプラスするライフハックを学べば、QOLアップ間違いなし。マネー、トラベル、 ガジェット、レストラン・カフェの各ジャンルの発信者から、時代の先端を走り続けるコツを教えてもらおう。

※こちらは「GetNavi」2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです

 

【その1】ジェレミー注目のNEXTTREND

[Jeremy / ストーリー芸人]

Jeremyさん

日本育ちの中華系アメリカ人。米大手投資ファンドに就職後独立し、日本でUber Eatsの立ち上げや民泊事業に参画。現在はFIREし、毎日数十本もの有料級ライフハックや愛犬との日常を投稿。「ストーリー芸人」として発信活動をしている。

Instagram @jeremytsa フォロワー 6万人

 

【1】3Dプリンターの住宅

海外では平屋建て1戸が、日本円換算わずか120万円で販売された事例も。日本でも導入が始まっており、住宅事情が一変するかも!?

 

【2】アダム・ニューマンの新事業

コワーキングスペース「WeWork」創業者アダム・ニューマンが何やら新会社を設立。特有のビッグマウスも相まって話題にこと欠かない!

 

【3】アート投資

NFTの流行で投資目的のアートがグッと身近に。ギャラリーに足を運んで現物を鑑賞すれば、次第に審美眼を養え文化的にも楽しめる。

 

<about Jeremy>金融リテラシーを底上げして“みんなお金持ち”が理想

実業家・投資家を経て、ジェレミーさんは“ストーリー芸人”としての可能性を信じていると言う。

 

「Uber Eatsの立ち上げもそうですが、新しい概念を試してみたい、良いモノは共有したいと常に考えています。日本にはフィンフルエンサー(※)がいなかったので、自分がやろうと。個人で事業の利益を追求しても、動かせるお金は最大で数十億円。でも6万人のフォロワーさんが、自分の発信をきっかけに1人当たり100万円の利益を上げたら、累計600億円もの経済効果を生んだことになるんです。『こっちの方が遥かに夢があるし、面白いじゃん』って。同じ動機で、いまは月に100件ほど不動産のコンサルを無報酬で引き受けたりもしています」

↑“クレカ占い”という企画でバズったことも。「使っているクレカから、独断で性格診断。診断結果は好き勝手言っているだけですが、クレカを見直す機会になっていればうれしいです」

 

読者に身近なところで、まず取り入れるべきライフハックは?

 

「クレジットカードの最適化一択! 正しい知識と少しの実践でざくざくポイントが貯まり、ラグジュアリーなホテルへのポイント泊など成功体験に直結します。規定の年会費へのリターンが情報として公開されているので、言わば“消費で確実に得をする投資”なんです。しかも投資マインドが身につけば、生涯にわたって資産を守り運用できる。オールジャンルのライフハックにつながりますね」

 

投資というと物々しい印象で、二の足を踏む人もいるだろうが、ジェレミーさんは一刀両断する。

 

「日本の金融リテラシーは発展途上だと強く感じています。でも裏を返すと、情報を整理すれば比較的容易に経済的に前進できる“ボーナスステージ”とも言える訳です。そんな現状で『共有しないと申し訳ない』、『活用しない意味がわからない』レベルの情報を日々発信しています。最初は『なんだこのアヤしい外国人は(笑)』くらいの興味本位で覗いてもらって、それで実益が出たらラッキー。みんなのファンドマネージャーを目指して、発信を続けていきます」

※:ファイナンスとインフルエンサーを合わせた造語で、金融知識をコンテンツ化して発信する。欧米ではZ世代がTik Tokなどで投資を学ぶのも一般的な光景だ

↑クレカの招待特典だけで、使いきれないほどのポイントが貯まったそう。「これまで、のべ1万人は招待しました。招待依頼のDMには自ら手動で返しているのでいつも腱鞘炎気味(笑)」

 

【その2】Halohalo注目のNEXTTREND

[Halohalo トラベラー]

Halohaloさん

毎日旅をしながら、施設・交通機関・サービスのお得な情報や現地の景観を発信。年間200日ホテルに宿泊し、おすすめホテル宿の投稿にはいつも大きな反響が。
Twitter @halohalo_travel フォロワー 31万人

 

【1】アジアのリゾート地

海外リゾート地定番のハワイが円安の影響をモロに受け、代替の候補地としてアジアに注目。アクセスが良く、比較的物価も割安だ。

 

【2】一休.com

AIを活用しておすすめする宿をパーソナライズする旅行予約サイト。宿泊で獲得したポイントを即時利用できるのも魅力だ。

 

【3】沖縄北部のテーマパーク事業

USJの再生で知られる森岡 毅が、2025年開業に向け推進。ホテルの新設など、沖縄観光業のさらなる発展に期待が高まる。

 

<about Halohalo>年間200泊するトラベラーの投稿が旅行のパンフレット代わりに!

↑リーズナブルなホテルブランドからオススメをリスト化。「ホテル選びに時間がかかるという声に応え、“ハズさない”ホテルのみを厳選。共感や応援のコメントを多数もらいました」

 

↑全国旅行支援に関するツイートは約700万インプレッション。「Go To トラベル以来、満を持しての実施だったので『待ってました!』という反応が多く、注目度の高さを実感しました」

 

 

【その3】ゆき注目のNEXTTREND

[ゆき|オシャレカフェ 【東京・神奈川】]

ゆきさん

東京と神奈川エリアを中心に、オシャレなカフェを年間365店舗巡り紹介。美麗な撮影写真のファンも多い。フォロワーは横浜市民が約25%を占めている。
Instagram @yuki_cafe7 フォロワー 9万人

 

【1】Voicy

通勤や家事をしながら利用しやすい音声プラットフォーム。有名な発信者からの鮮度の高い情報も、“ながら聴き”で取得できる。

 

【2】Instagramで収益化

コストゼロで誰でも始められるので一般化しそう。いまやフォロワー数を効率的に伸ばすノウハウなどの情報も巷に溢れている。

 

【3】花のサブスクサービス

定期的に配達までしてくれるサービスが人気。温かみのある室内空間を実現し、在宅時間を華やかに演出してくれる。

 

<about ゆき>フォトジェニックで快適な空間を紹介

↑1人で入りやすい、かしこまりすぎないオシャレなカフェを紹介。「初探訪のオシャレカフェって、入店のハードルが高いですよね。自分も以前はそう感じていたので、需要は高いかなと」

 

↑みなとみらいエリアの投稿は特に人気で、152万人にリーチ。「写真から“素敵な時間”を感じてもらいたい。利用客の迷惑にならないよう配慮も欠かさず、撮影にはこだわっています」

 

【その4】たい。注目のNEXTTREND

[たい。|Appleアイテム・iPhone便利術]

たい。さん

Apple製品、特にiPhoneユーザーが知りたい情報を発信。便利なアプリや知れば作業効率がアップする裏ワザ、お買い得なデバイスなどテーマは多彩だ。
Instagram @taichinooheya フォロワー 21万人

【1】iPhone 14 Pro / Pro Max

画面上部で動作する新機能「Dynamic Island」が特に鮮烈。想像を凌駕していくプロダクトの登場に、来年も期待される。

 

【2】眉毛サロン

たい。さんは行きつけの店舗に月1回通っているという。メンズで眉毛までケアが行き届いている人は少ないので、第一印象アップ!

 

【3】コワーキングスペース併設サウナ

全リモートワーカーに推したい、“ワーク×サウナ”スタイル。疲れたら上質なサウナ浴で、究極の“ととのう”を味わえるはず。