恐るべし「インク沼」! 透明軸万年筆で楽しみたい自分色インクの世界

【きだてたく文房具レビュー】調合で自分好みの色を作るインクと、色を外から楽しむ透明軸万年筆

昨年夏にパイロットの万年筆「カクノ」の透明軸が登場して以来、文房具ファン全体に「透明軸万年筆、いいじゃん」という声がグッと広がっている。

 

透明軸は、中に入っているインクの色が楽しめるということで、もともと古くからの万年筆ユーザーに一定の人気はあった。そこへ、カクノから万年筆を覚えた新しい人たちが「万年筆って書き味がいいよね」と加わり、そこからさらに「インクもいろいろ遊ぶと面白いよね」というステップに進んだのだろう。

 

文具好きの間ではおなじみの“インク沼にはまった”、というやつだ。

 

そこで今回は、透明軸と一緒にインク沼でちゃぷちゃぷ楽しく遊ぶのに向いたツールを、紹介したい。

↑プラチナ万年筆「ミクサブルインク ミニ」20ml 全9色 各1080円

 

2011年にプラチナ万年筆から発売された「ミクサブルインク」は、9色のラインナップからさらに自分で色を混ぜてオリジナル色が作れるというインクだ。

 

ただ、このミクサブルは大きめの60ml瓶入りということもあり、「ちょっと遊んでみたい」ぐらいの感覚では量を持て余す、という意見もあったらしい。そこで新たに発売されたのが、20mlの小瓶サイズ「ミクサブルインク ミニ」だ。

↑ミクサブルインク ミニとミクサブルインク。元のミクサブルインクは60mlで1296円とお得サイズだが、量が多すぎとの意見も

 

万年筆のインクは、例えば普通のブルーインクも「青」という単一の色素だけで作られているわけではない。複雑にいくつもの色素を重ねることで、あの発色をしている。つまり、単純にブルーとイエローのインクを混ぜてグリーンを作ろうと思っても、実際には予想外に濁った変な色になってしまうことがありえるのだ。

↑ペーパークロマトグラフィによる色素の分離。同じ緑系のインクでも、普通のインク(左)は赤などが混ざっている。対してミクサブル(右)はシンプルに青と黄だけのシンプル構造

 

対してミクサブルインクは、1色が可能な限り少ない色素で構成されているため、混色したときに比較的イメージした通りの色になってくれる、という仕組み。

 

とはいえあまり何色も混ぜると、やはり濁ったドブ色とか、単なる黒になってしまうので注意。メーカー推奨でも、最初は2色から混ぜてみましょう、ということになっている。

↑混色するときは、スポイトで何メモリ、と量りながら混ぜていくこと

 

ポイントは、最初から「こんな感じの色にしたい」というイメージを作っておくこと。ただ漠然と混ぜるのではなく、「エルメスのあのオレンジ色」「鹿島アントラーズのあの赤」「阪急電車のあの茶紫色」のように、自分の推し色を目標に据えておくとやりやすいはず。

 

別売りのインク調合キットには、スポイトや空ボトル、うすめ液が入っているので、インクと一緒に買っておくと作業がスムーズ。特にうすめ液は「ちょっと色が濃すぎるなー」という時に少し調整ができるので、あると便利だ。

 

このスポイトで1色につき1メモリずつ取って小皿(100均の紙皿でOK)で混ぜると、1:1の混色インクが出来上がり。

↑別売りのインク調合キットは1296円。インクを薄めるときは水ではなく、防腐作用のある専用の薄め液を使いたい

 

このとき、スポイトは使う度に毎回水で洗浄すること(最重要)。紙コップに水を入れておいて、こまめに中まですすがないと、残ったインクのせいで妙な混色ができてしまう。

 

あとは、使った色と比率を“レシピ”として記録しておくのも重要。レシピさえあればいつでも色が再現できるので、面倒くさがらずにきちんとメモしておくと良い。

 

できた混色インク、イメージと違う……といって、流してしまうのはちょっと気が早い。これが実際に紙に書いてみるとまったく印象が違ったり、さらには乾くとまた全然別の色に見えたりすることも、ままあるのだ。

 

ということで、混ぜたインクはまず試し書きをしてみよう。

↑コツは、まず薄い色から混ぜていくこと。濃い色は一気に入れず、1滴単位で混ぜる方が良い

 

試筆はガラスペンがあると便利なのだが、そんな洒落たモノを使わなくても、爪楊枝や割り箸で充分に代用になる。これで思ったような描線になったら、オリジナルインクの完成だ。レシピ通りの比率で量産しよう。

 

さて、インクができたら、やるべきことがふたつある。インクを保存する、と、万年筆に入れる、だ。

 

保存に関しては、調合キットの空ボトルや100均のミニボトルでも構わないが、ミクサブルインク ミニの空インク瓶も発売されている。気分的にはこちらの方が“インク作った感”が強いので、余裕があればぜひ。

↑プラチナ万年筆「プレピー クリスタル」432円+「コンバーター 銀」756円。コンバーターは金色(540円)もある。金・銀とも機能は同じ

 

万年筆に関しては、せっかく作ったインクだもの。この稿の最初で述べた通り、透明軸の万年筆に入れて使いたい。

 

いまはカクノを始め、1000円前後の低価格帯万年筆でも透明軸が出揃っているが、中でもコスパという点で最強なのは、ミクサブルインクと同じくプラチナ万年筆の透明軸「プレピー クリスタル」だ。なんと432円で充分に万年筆の書き味が楽しめるローコストっぷり。オリジナルインクを入れるコンバーター(インク吸入タンク)を足しても、1000円前後で済むのは素晴らしい。現時点では、世界で最も安く揃う透明軸万年筆なのだ。

 

さらにプレピーは、キャップをしたままなら1年放置してもインクが干上がらないスリップシール機構を搭載しているのも、ありがたい。

 

オリジナルインク作りにハマると、だいたい次々と新色を作っては万年筆に入れて並べてみたくなるもの。そういう意味でも、高コスパな透明プレピーは使いやすいだろう。

↑阪急電車の車体色を再現したオリジナルインクを、プレピーに入れて試し書き。レシピはフレイムレッド3:シルキーパープル1:アースブラウン1.2。電車好きはぜひお試しあれ

 

ぶっちゃけた話、ミクサブルインクもミニボトルとはいえ全色+調合キットを揃えて遊ぶとなると、金額的には1万円を超えてしまう。あまり“安価に楽しむ”というレベルではないかもしれない。とはいえ、インク沼にハマって次々と新しいインクを買ってしまうぐらいなら、自分の理想の色を混ぜて作ってしまう方が手早いし、安く済む可能性もある。

 

なにより、色を混ぜて遊ぶというプリミティブな楽しさは、ホビーとしてかなり魅力的なのだ。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。近著にブング・ジャムのメンバーとして参画した『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

「ガールズ&パンツァー 最終章」からオリジナル万年筆が登場! アニメファンも納得するそのディーテルとは?

 

ガールズ&パンツァーとは、2012年に始まり、現在まで続く人気アニメーション。茶道や花道などとならび大和撫子の嗜みとして、戦車に乗り込み試合を行う「戦車道」が、学校授業でも取り入れられている架空世界での物語。架空とはいえ、舞台が茨城県東茨城郡大洗町に設定され、街並みの描写や人々の生活にもリアリティがあふれた作品となっています。戦車の細部や登場キャラクターのかわいらしさなどと相まり、多くのアニメファンの心を鷲掴みにしているタイトルなのです。

 

そんなガールズ&パンツァーの「最終章」、つまり完結編とも言える最新作の第1話が、12月9日に全国の映画館で封切られました。スクリーン内を所狭しと動き回り、戦車道に青春の毎日を捧げる女子高生たちの生活を垣間見ると、自身の甘酸っぱくも心地よい高校生活を思い出す諸兄も多いかも知れません。

 

アニメファンも納得!? 「戦車道」へのこだわりが溢れる万年筆

今回、同作の世界観を詰め込んだ「大洗女子学園謹呈オリジナル万年筆」が登場しました。本万年筆は、本作の中で高校生活を戦車道に捧げた女子高生たちが、大洗女子学園から貰う記念品をイメージして作られたもの。

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「学校から贈られる万年筆」のため、高校の必修科目でもある戦車道に関わるあしらいが随所にちりばめられています。そのため、大洗女子において、戦車道の隊長車として採用されているⅣ号戦車の意匠をふんだんに取り入れたデザインになっているのが特徴。なかでも万年筆の軸色がⅣ号戦車の装甲色をイメージしており、校章が刻印されたペン先は14Kで高級感溢れる仕様となっています。また、ペン先の形状は“細字”を採用しており、美しくきめ細やかな文字を書くことが可能です。

20171225_Y02↑ペン先は書き味を追求した14kを採用。大洗女子の校章も刻印します。もちろん一本一本にシリアルナンバーも刻印

 

 

20171225_Y03↑天冠部には起動輪をイメージした印刷が施されます

 

プラチナ万年筆協力のもと、万年筆ファンも納得の1本に

また天冠部は、履帯の起動輪を模した印刷があしらわれ、リング部分にも履帯痕をデザインするなど、ガルパンファンにはうれしいこだわりが満載となっています。数量を限定した製作につき、個体別にシリアルナンバーも刻印。気になる製造メーカーは、万年筆メーカーの老舗・プラチナ万年筆によるもので、アニメグッズと一括りにできない、クオリティの高い1本です。ガルパンファンやアニメファン以外の方にもぜひ使ってもらいたい万年筆といえるでしょう。

 

20171225_Y04↑軸部には履帯と車底部をイメージした意匠を印刷

 

この「ガールズ&パンツァー オリジナル万年筆」は、2018年1月末までに予約を申し込めば、まだ3月末の受け取りに間に合うとのこと。価格は税込2万5000円で、下記で予約を受付中です。

 

https://item.rakuten.co.jp/gakkensf/h23001/
「ガールズ&パンツァー 最終章」オリジナル万年筆(大洗女子学園)
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■商品概要
「オリジナル万年筆」(大洗女子学園)
●体裁:キャップ装着時 140mm×直径13mm
●価格2万3148円(税別)

(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt