“潰れたガムテ”がこんなに便利なんて! ヤマト「アウトドアテープ」がキャンプでも災害時も活躍する理由

2020年7月の豪雨水害は、本当に大変なものだった。全国1府34県で、浸水や損壊を含めた住宅被害が1万8000軒以上、甚大な人的被害も発生した。被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。実のところ筆者も、佐賀県在住の知人から「近所で土砂崩れに巻き込まれかけた」という話を聞いて、ゾッとしたものだ。

 

こういう自然災害は、いつどこで発生するか分からない。せめて備えだけは、普段からしておくべきだろう。皆さんも、非常用持ち出し袋など防災セットの準備は万全だろうか? 10月は上陸するような強い勢力をもつ台風が頻発する時期なので、今回は、防災セットに入れておくと助かるかもしれない文房具を紹介しておきたい。

 

持ち運べるコンパクトな粘着テープが役に立つ

飲料水やライト、防災ラジオはもちろん防災セットのマストだが、意外と忘れてならないのが、粘着テープ(布ガムテープ)だ。

 

緊急時の止血や骨折時に添え木を固定したり、割れた窓をふさいだり、避難所でダンボールを組んでパーテーションを作ったり。あとは油性マジックで書き込んで伝言を貼ったり、名札代わりにしたり。とにかく応用範囲がものすごく広いのである。

 

ただ、容量が限られた持ち出し袋の中に入れておくには、ちょっとかさばる。そこでオススメなのが、ヤマトから7月に発売された「アウトドアテープ」だ。

ヤマト
アウトドアテープ(全8色)
各590円(税別)

 

なにがオススメかといえば、それは見ての通り、コンパクトな形状が、である。モノとしてはごく普通の布粘着テープだが、一般的な製品と比べるとこれほどコンパクトなのだ。

↑並べて置くと、25m巻の粘着テープが巨大に見えるほど

 

サイズは約70×50mmの平巻きで、厚みも15mmほど(実測値。公称18mm)と薄い。1~2巻くらいは無理なく防災セットの袋に詰め込んでおけるはず。重量も1つがたかだか50gほどだ。

 

従来の粘着テープも、押し潰して芯を抜いて……という手を加えればコンパクト化はできる(筆者もそうして備えていた)のだが、それでも一般的な25m巻は思ったほど平たくはなってくれない。「アウトドアテープ」は3m巻とかなり短いが、それでも緊急時に持っておけるか分からない25mよりも、確実に携帯できる3mのほうが価値があるのは間違いないだろう。

↑引き出す時はこんな感じ(これで80mm)。もちろん手でビリッとまっすぐ切れる

 

平巻きでちょっと面白いなと感じたのが、テープの取っかかりが見つけやすい、というところ。巻きの端で切ると決めておけば、次に使う際にもテープ端がすぐ見つかる。グルグルと芯を回しながら「どこから使えるのかな……」と探す手間がないのだ。

 

また、端から端まででだいたい70~80mmになるので、長さを把握しやすいのも面白い。これなら、梱包時にやたらと長くテープを出し過ぎて無駄にする、というミスも減らせるかもしれない。

↑ダンボールの梱包にももちろん活用できる。3mと短いので、あっという間に使い切ってしまうのだが……

 

もうひとつ、ありがたいのがパッケージ。ゴム系粘着剤のテープは裸のままで長期保管しておくと、側面に染み出した粘着剤に埃が付着しがちだし、そうなると粘着力も確実に低下する。

 

「アウトドアテープ」は、ジップ付きの密閉袋にパックされた状態で販売されているので、このまま保管しておけば、少なくとも埃の付着は防げるし、携帯するにしても粘着のベタベタが他のものに付いてしまう心配がない。いざという時に使えない! のが致命的な防災グッズとして、これはかなり重要なポイントと言えよう。

↑パッケージはそのまま密閉できる保存袋として使える。粘着のベタベタも気にせず携帯できるのだ

 

↑テープの上から、油性マーカーや鉛筆で書き込み可能。被災時は伝言を書いて貼っておくなどするといい

 

もちろん、防災用としてだけでなく、名前通りアウトドア……キャンプや登山用としても、携帯しておくと便利。テントやシュラフの穴をふさいだり、汚れた衣服を圧縮パッキングしたり、などなど使えるケースは多いのだ。

 

なにより、グラム単位で荷物を軽くしたい登山行において、コンパクト&軽量さは圧倒的な正義だ。

 

↑我が家の防災袋にもすでに備えてある。粘着テープはアレコレ応用が利くので、邪魔にならないなら持っていて損はないのだ

 

それ以前に、ここまでコンパクトならば、オフィスデスクの引き出しとか家庭のリビングとか、もうどこにでも置けるし、見た目にも邪魔じゃない。ただ、価格的にはいささか普段使いはしづらいので、やっぱり「いざというときにあって助かる」系のツールだとは思うのだが。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
https://getnavi.jp/tag/kidate-review/

 

大型台風は早めに避難! でも避難しない場合、家ですべき準備と行動とは?

毎年夏から秋にかけて、台風が発生します。とくにこれからの時期は、強い勢力を保ったまま日本列島に接近したり上陸したり、油断できません。とくに近年は台風の勢力が増しており、甚大な被害をもたらすようになってきています。

 

近隣の河川の氾濫や土砂災害などのリスクがあるときは、早めに自宅を離れる必要がありますが、避難せずに自宅で過ごす場合、備えがあれば安心して過ごすことができます。在宅での台風対策としておさえておくべきことを、防災士の小西玲奈さんに教えていただきました。

 

秋になると、なぜ、台風の接近が増えるのか?

※資料=ウェザーニュース

 

そもそもなぜ、“秋は台風シーズン”となるのでしょうか?

「台風は、夏から秋にかけて多く発生しますが、夏は図のように日本の上空を太平洋高気圧が覆っているので、台風が入り込みにくくなっています。しかし秋になり、太平洋高気圧の勢力が弱まると、偏西風に乗って日本本土に台風が接近し、上陸しやすくなるのです」(防災士・小西玲奈さん)

 

大型台風は今後も増える可能性が高い!

では、ここ数年、台風の被害が増加しているのはなぜでしょうか? 記憶に新しいところでは、全国100カ所の観測地点で最大瞬間風速の観測史上最大値を更新した、平成30年(2018年)の台風第21号、千葉県や神奈川県で大規模な停電が発生した令和元年(2019年)の台風第15号“房総半島台風”がありました。そして同年の台風第19号“東日本台風”では、記録的な豪雨で東京の多摩川が増水し、武蔵小杉駅周辺の浸水や東京世田谷区、大田区の浸水など、甚大な被害が出ました。

 

「日本近海の海水温が上昇しているので、台風が勢力を弱めることなく日本に接近し、被害が大きくなる傾向が見られます。台風は今後ますます大型化する可能性があり、注意と対策が必要です」(小西さん)

 

台風が発生したら避難のタイミングを逃さないこと

※資料=ウェザーニュース

 

今は、日本全国どの地域に住んでいても、避難のタイミングや避難場所を把握しておくことはとても大切だと、小西さんは強調します。2018年の「平成30年7月豪雨」時に、気象庁や自治体からさまざまな災害に関する情報が発信されました。しかし、自治体からの注意喚起が住民には「伝わらない」「理解されない」といった状況が発生しました。多くの住民が避難のタイミングを逃してしまった結果、200人を超える死者・行方不明者が出るという大惨事に。

 

その教訓から、 2019年3月に内閣府の「避難勧告に関するガイドライン」が改訂され、国や都道府県が出す「防災気象情報」を5段階に分けた表に沿って発表されるようになりました。

 

「『警戒レベル』を参考にすることで、災害時にどう行動するべきかや、避難のタイミングがわかりやすくなりました。避難するタイミングは、家族構成や自宅がある地域の災害リスクによって変わりますが、警戒レベル5は、すでに災害が発生している状況なので、警戒レベル4までの段階で必ず避難を完了させてください。高齢者や乳幼児のいるご家庭では、警戒レベル3の段階で避難を開始するようにしましょう。警戒レベルに沿った、注意報や警報の内容、段階に合わせた取るべき行動の詳細は、国土交通省気象庁のホームページで確認できます」(小西さん)

国土交通省 気象庁HP「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html

 

続いて、台風に負けない部屋づくり、事前に行いたい準備などのノウハウを具体的に教えていただきます。

 

大型台風に備えておくべきこと・もの

続いて、台風に負けない部屋づくりのノウハウを、具体的に見ていきます。「台風への対策は、普段から備えておくことと、台風の発生後に準備することの2段階があります。『今週末、もし大型台風が来たら……』とシミュレーションしながら、ひとつずつチェックしていきましょう!」(小西さん)

 

対策1. 窓ガラスの補強

大型台風が発生したときにマンションの被害で多いのが、窓ガラスの破損。これは、強風そのものの影響というよりも、強風によって飛ばされたものが窓にぶつかることで起こります。

 

「対策としては、シャッターや雨戸を閉めるのが一番です。シャッターや雨戸がない場合は、リフォームで取り付けたり、窓ガラスを防犯ガラスに変えたりすることをおすすめします。それらの対応が難しい場合は、『飛散防止フィルム』や『防犯フィルム』を用意し窓ガラスに貼りましょう。こうすることで、万が一、窓ガラスが割れてしまっても、ガラスの飛散を最小限に抑えられます。

 

シャッターや雨戸がなく、防犯ガラスや防犯フィルムなどの窓ガラス破損対策が間に合わない状態で台風が接近した場合は、応急処置として段ボールを使った窓ガラスの飛散対策を行ってください。窓ガラス全体を覆うように屋内側から段ボールを敷き詰め、後で剥がしやすいような布製のガムテープか養生テープで貼り付けます。また、強風注意報が出たら、建て付けの悪い網戸は、家の中へ入れておきましょう」(小西さん)

 

窓ガラスの飛散には、次のようなグッズを活用しましょう。

 

・窓ガラスが粉砕するのを防ぐ「飛散防止フィルム」

アサヒペン「UVカット防災超強飛散防止シート(BH-1) クリア透明 46cm×2m」
2178円(税込)

窓ガラスが割れるとガラスの破片が飛び散ります。台風の強い風が吹き付ける中で窓ガラスが割れるようなことがあれば、破片が部屋の中で舞い散る可能性があり、とても危険。こちらのポリエステル製の透明シートを窓ガラスに貼ることで、飛散物が当たって窓ガラスが割れた場合に、ガラス破片の飛び散りを防げます。食器棚などの家具のガラスに貼ることで、地震対策としても有効です。

 

・窓ガラスの強度も上げる「防犯フィルム」

ノムラテック「保険付・透明ガラス専用防犯フイルム 360ミクロン A3 2枚入」
3002円(税込)
※実売価格につき販売店舗により異なります。

防犯フィルムとは、窓ガラスを割って鍵を開け、部屋に侵入しようとする犯罪者への対策目的のアイテム。窓ガラスをハンマーで叩いても簡単に割れない強度が保てるので、台風時の飛散物による窓ガラスの破損防止にも効果的です。こちらは自分で貼れるタイプで、手頃な金額が魅力です。専門の施工業者に依頼するオーダータイプもあります。

 

対策2. ベランダや庭の片付け

台風が接近、または上陸する前日までにベランダや庭にある植木鉢や物干し竿、ゴミ箱、パラボラアンテナなどを家の中にしまいます。

 

「これらが台風に飛ばされると、自宅だけではなく、近所の窓ガラスを割ったり、避難途中の人にケガをさせてしまったりする危険があるので、早めに対応してください。また、排水口にゴミや落ち葉砂などが詰まっていると浸水のリスクが高まるので、詰まりがあれば台風が居住区に接近する前日までに掃除をしておきましょう」(小西さん)

 

対策3. 車・バイク・自転車の避難

大型台風の発生時には、車やバイク、自転車の駐車状況のチェックも欠かせません。

 

「屋外や冠水の危険がある場所に駐車している車は、できるだけ“高台にある屋内”に避難させましょう。車を移動した後、公共交通機関や徒歩での帰宅が必要になるので、台風が接近し上陸する半日前までに対処しておきます。車を避難させるタイミングで人も避難するという選択肢もあります。
バイクや自転車は、台風が接近する半日前までに、できるだけ地下ではない屋内へ避難させましょう。そのような対応が難しい場合は、バイクや自転車を横に倒しておく、もしくはロープなどで柱に固定してください」(小西さん)

 

台風では、暴風や浸水による被害のほか、停電などライフラインが寸断されることも想定しなければなりません。それにはどう備えればいいでしょうか?

 

対策4. ライフライン寸断への備え

台風で飛ばされた物が電線を損傷したり、大雨による土砂崩れで電柱が倒れたりすると、停電が起こります。送電線の破損がひどい場合は、数週間の停電になる可能性も……。

 

「大型台風の上陸が予想された段階で、ペットボトルに8割ほどの水を入れて凍らせ、停電中の冷蔵庫内の保冷キープに備えましょう。溶けた水は飲料になります。乾電池の予備やライト、ろうそく、カセットコンロやガスボンベのストックを確認し、手に取りやすい場所に常備しておきます。リスクを分散するために、2階や玄関などに複数の場所に備えておくことも大切です」(小西さん)

大型台風が近づき3〜4時間後に居住区を通過することが予想される場合は、入浴や食事を済ませてください。停電が起きたりライフラインが止まったりする場合に備えて、簡易に食べられる物を用意します。災害に特化した非常食でなくても、おにぎりやパンなどでもいいですよ。これにより、保存食に手をつけずに数日分の食事を確保できます」(小西さん)

 

対策5. 食糧の備蓄

長期化する停電や高範囲に渡る被害が出ると、救援物資が届くまでに日数がかかります。日頃から日持ちのする食材ストックを確保しておくことが大切です。

 

「水道、電気、ガスといったライフラインが使えなくなった場合に備えて、食糧と水を最低でも3日分、できれば1週間分ストックしておきましょう。免震構造などの対策が充分に施されているタワーマンションや築浅マンションの場合、倒壊や全壊のような被害は少ないので、避難せずに自宅で過ごせる可能性が高くなります。とはいえ、エレベーターが使えないことで物資不足が起こりやすくなるので、非常食や水などのストックは多めに備えておいた方がいいでしょう」(小西さん)

 

対策6. 生活必需品の備蓄

停電になると、電気やガスだけではなく、トイレやお風呂も使えなくなってしまうことがあるので、非常時に使うアイテムは手に取りやすい場所に保管しましょう。

 

・ランタン……停電した際のリビング、キッチン、トイレなどの照明に。3個以上はあると便利。
・非常用トイレ……下水道が使えなくなったときのトイレとして。
・マスク……数十枚入った使い捨てタイプの箱入りのものが好ましい。
・アルコール消毒スプレー、ハンドジェル……普段用のストックを兼ねて3~5本を常時しておくと安心。
・カセットコンロとガスボンベ……ガスボンベ1本で約1時間の加熱調理が可能。
・ラジオ……スイッチを入れたらすぐにラジオが聞けるようにチューニングを済ませておく。
・ポリタンクとキャリーカート……ポリタンクに断水時の水を入れ、キャリーカートを使って運ぶことを想定。マンションのエレベーターが使えない場合を想定し、階段移動に使える大きめのリュックも備えておきたい。
・口腔ケア用のウエットティッシュ……水道が使えなくなった際に歯ブラシ代わりとして使用。口の中に入れられ、アルコール不使用なので、体や食器拭きなど、多用途で使える。「災害時は水や口腔ケア用品不足で、口腔ケアが疎かになりがちです。その結果、口の中にバイ菌が繁殖し、感染症や肺炎を引き起こす可能性もあります。必ず、多めにストックしておきましょう」
・ラップ……断水時にお皿に敷いて使う。応急手当や体に巻いて防寒具としても使える。
・カイロ……雨に濡れたり、避難所生活をしたりすると体が冷えやすいので必要。

 

「災害用伝言ダイヤル171」を活用しよう

災害時は、通信障害が起きることもあります。普段、スマホで簡単に連絡が取れる生活に慣れているので、急にネット環境が途絶えてしまうと、パニックになりかねません。

 

「一番連絡がとりやすいのは『災害用伝言ダイヤル171』です。平時は利用できませんが、毎月1日や防災週間などに体験利用ができるので、試してみるといいでしょう。ほかにも、『避難などで家を離れるときは、ここにメモをおいておくね』などと、アナログでできる連絡手段を共有しておくこともおすすめです」(小西さん)

 

『災害用伝言ダイヤル171』体験可能日
・毎月1日、15日 0:00~24:00
・お正月三が日(1月1日 0:00~1月3日 24:00)
・防災週間(8月30日 9:00~9月5日 17:00)
・防災とボランティア週間(1月15日 9:00~1月21日 17:00)

 

【伝言を録音する場合(暗証番号なし)】
1.「171」に電話をかける
2.「1」を押す
3. 被災地の方の「市外局番からの電話番号」または「携帯電話番号」を押す
4.「1」を押す(ダイヤル式電話の場合はそのまま待つ)
5. 伝言を録音する
6.「9」を押す(ダイヤル式電話の場合はそのまま待つ)

 

【伝言を再生する場合(暗証番号なし)】
1.「171」に電話をかける
2.「2」を押す
3. 被災地の方の「市外局番からの電話番号」または「携帯電話番号」を押す
4.「1」を押す(ダイヤル式電話の場合はそのまま待つ)
5. 伝言を聞く(次のメッセージを聞く場合には「3」を押す)

災害用伝言ダイヤルの使い方
https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/index.html

 

ほかにも、普段から備えておくこととして、避難場所や避難経路を確認しておく、家屋や車などが被害に遭ったときの補償はどうなっているか「火災保険」「車両保険」「傷害保険」などの条件や補償の範囲、最高補償額をチェックしておくことも大切だと小西さん。

 

「日頃から大型台風に備えた準備や対策をしておくことで、台風が近づいてきたときに、自分がどう行動するべきか、冷静に判断できるようになります。情報キャッチ力も上がっていくので、ご近所のみなさんをサポートできたり心強い協力体制が育まれたりします。まずは、できることから始めていきましょう」

 

【プロフィール】

防災士 / 小西玲奈

ひょうご防災リーダー ・ 応急手当普及員。危機管理室と協働で小学生の親子向け減災教室や乳幼児を子育て中のママ向けの減災セミナーを開催しているほか、これまでに2700人以上を対象に90回以上の講演活動やワークショップを行う。一児の母。

 

危険箇所をチェック!マンション防災士が教える、賃貸物件にも使える「地震対策」

日本列島全体の地殻に大きな影響を与えた2011年の東日本大震災を境に、全国で地震活動が活発化しています。今年4月〜5月に発生した震度3以上の地震回数は昨年と比べ2倍以上となっており、専門家からは、「日本は『大地変動の時代』に入った」という声も聞かれます。

 

「ここ数年間は北海道から九州までいろいろな場所で地震が起きており、日本列島のどこで地震が起きるかわからない状況です。また、歴史的にみて首都直下地震や南海トラフ地震などの巨大地震災害が近い将来に起きることは間違いありません」と語るのは、マンション防災士の釜石 徹さんです。

 

迫りくる巨大地震を見越して、大切な命を守るために、私たちはどのような備えをするべきなのでしょうか。“死傷者を出さない備え”を柱に減災対策を展開している釜石さんに、自宅で行うべき地震対策について聞きました。

 

住まいでの地震被害から身を守る上で最も重要なことは?

ジャストシステムが行った「新型コロナウイルスと、地震対策に関する実態調査」(調査期間 2020年6月19日〜21日・調査対象 20歳〜69歳の男女1000名)によると、自宅で何らかの地震対策を行っている人の割合は5割に届かず、43.7%という結果に。では地震対策を行っている人に自宅で実施している地震対策を聞くと、もっとも多かったのが「非常食や飲料水の備蓄」で64.8%、次いで「家具の転倒防止対策」が57.7%、「非常用持ち出し袋・リュックの用意」が51.5%でした(複数回答あり)。

 

上記の地震対策はどれも大切なことですが、住まいで命を守るために最も大切な対策はどのようなことでしょうか?

 

もっとも重要なのは、耐震性のある家に住むことです。せっかく防災対策を備えていたとしても、耐震性のない家が倒壊したら防災対策は何の役にも立ちません。耐震性がない家は、耐震性がある家と比べて揺れが格段に違います。賃貸アパートやマンションの場合、『震度6~7でも倒壊しないこと』という新耐震基準を満たしている建物を選ぶことです。1982年までに建築された建物は要注意です。賃貸契約の前に、必ず『この建物は新耐震基準を満たしていますか?』と聞いて耐震性のある建物を選んでください」(マンション防災士・釜石 徹さん、以下同)

 

家の中で死傷しないためにまずすべきことは?

次に、家の中ではどのような対策を行うべきなのでしょうか?

 

「まず、各部屋の家具や家電の転倒・落下防止を行ってください。冷蔵庫や本棚などが頭や胸の上に倒れてくると、頭部打撲や胸部圧迫により重症を負う可能性があるからです。阪神淡路大震災のときには、大型タンス、食器棚、冷蔵庫や書棚の転倒、大型ブラウン管テレビ、パソコン本体やモニター、電子レンジ等の落下、ピアノの暴走衝突もありました。普段の生活の中で、リビングなど長い時間いる場所と寝ている場所に転倒・落下するような家具や家電があれば、そこが危険な場所になります」

 

また、大型家電や家具の転倒は、震度で決まるものでないと釜石さんは続けます。

 

「震度4でも10階以上の高層階では家具や家電は転倒・落下します。また、地震の揺れ方や床や台の滑り具合でも変わります。したがって、震度6強くらいの震度でも転倒落下しないように固定しておくことが必要になります。家電の転倒・落下防止以外にも、食器棚などガラスを使った家具へのガラス飛散防止フィルム貼付、冷蔵庫など開き扉への耐震ラッチの設置、ガラス照明などの非ガラス化などの対策が重要です」

 

首都直下地震では家具が跳ね上がる!?

首都直下地震は、緊急地震速報が鳴ったと同時か鳴る前に、突然大きな揺れが襲ってきます。

 

「首都直下地震の揺れはとても激しいもので、自分の身を守ることで精一杯となるでしょう。そして停電、断水、ガス停止などがいっせいに起こると思われます。揺れがおさまれば家の中はグチャグチャとなり、足の踏み場もない状態になっているでしょう。さらに首都直下のような巨大地震では、テレビや家庭用プリンタ、電子レンジなどが飛び跳ねて、頭に当たれば大けがをします。あるいは体が吹っ飛ばされるかもしれません。一歩も動けずにしゃがみ込むしかできない状態かもしれません。

 

このため、賃貸物件であっても、家電の転倒・落下防止を中心とした、家の中の地震対策が重要なのです。近頃は賃貸物件でも壁や床、天井を傷つけずに対策できるグッズが充実していますので、そういったものを使いながら、対策していきましょう」

 

プロが伝授!具体的な家具の転倒・落下防止対策

ここからは、神奈川県内の7階建賃貸マンションの2階に家族4人で暮らす岡本さんのお宅のキッチン、リビング&ダイニングを例に挙げ、すべき地震対策について、マンション防災士・釜石さんにポイントを解説いただきながら、必要な家具の転倒・落下防止グッズを紹介します。グッズはいずれも、部屋を傷めずに使えるものです。

 

●キッチン

旦那さんが転勤族ということもあり、自宅の地震対策はほとんどしていないと話す岡本さん。まずはキッチンをチェック。釜石さんが最初に目をつけたのが、ガスコンロの背後にある冷蔵庫です。

 

「大きな地震では冷蔵庫の扉が開き、バランスが悪くなって冷蔵庫本体が倒れてきます。冷蔵庫が倒れると大けがする心配があるだけでなく、食品が飛び出たり、配置によっては通路を塞いだりと、地震後の被災生活にも支障をきたします。そのため、冷蔵庫の転倒防止と冷蔵庫の扉に自動ロックを取り付ける必要があります」

 

【冷蔵庫の転倒防止対策 1】
家具や天井を傷つけずに設置できる伸縮棒

アイリスオーヤマ「家具転倒防止伸縮棒2本セット(3S~L)」
参考価格1408円~1865円(税込)

「冷蔵庫をはじめ、本棚や食器棚、タンスなど背の高い家具と天井とをガッチリ固定し、転倒を防止します。工具を使わずに簡単に取り付けできますし、天井にも傷がつきにくいので、賃貸でも安心して使えます。使用にあたっては、天井までの距離が100㎝未満であることが条件です。ただし突っ張り棒が長くなれば強度が弱まるため、天井までの距離は、60cm以下であることが望ましいですね」

 

↑「伸縮棒は、壁側いっぱいに、2本が並行になるように取り付けます。伸縮棒の使用には、取り付ける天井に突っ張っても大丈夫な強度があることも条件になっています。もし天井がブヨブヨとした柔らかい素材であれば、次に紹介する『ガムロックnewBB』で固定してください」

 

【冷蔵庫の転倒防止対策 2】
最大300kgに対応!大型家電や大型家具の転倒&滑り防止に

アイディールブレーン「ガムロックNew BB」
実売価格:6050円(税込)

「強粘着ゲル剤が変形し、家電や家具、壁への衝撃を1/4に低減し、転倒を防止します。家具や家電の種類によって選べるガムロックシリーズの中でも、こちらのNew BBは、シリーズ最大の300kg対応で、冷蔵庫のような大型家電に最適です。前述の通り、天井の材質で、冷蔵庫の転倒防止に突っ張り棒が使えないご家庭へもオススメしています」

 

↑「なるべくベルトが水平になるよう注意しながら、冷蔵庫の天面と壁に、プレートをそれぞれ貼り付けます。ポイントは、ベルトがわずかにたるむ程度に固定することです。尚、冷蔵庫の両サイドにつけてくださいね」

 

【冷蔵庫の扉開放防止対策】
地震を感知して自動で扉をロックする耐震ラッチ

リンテック21「ロックヤモリ」
実売価格:1650円(税込)

「大きな揺れで冷蔵庫の扉が開くと、中の食品が一斉に飛び出すのは前述の通りです。それを防ぐために扉開放防止策が必要です。こちらは、震度5以上の地震を感知すると、自動的に扉をロックする耐震ラッチです。強力接着パッドによる設置で、冷蔵庫を傷つける心配なく簡単に取り付けることができます。電源は不要なので、電池切れや停電の心配がいらないのもポイントです。もちろん、通常の開閉で作動することはなく、普段は何の支障もなく使用できます」

 

↑「片扉の冷蔵庫の場合は1個、両扉の場合は写真のように2個をそれぞれの扉に設置してください。台座付きの本体部を冷蔵庫の天板に、扉用ラッチを冷蔵庫扉に接着固定して使います。冷蔵庫の食料品は、被災時の食生活を支えます。ご自宅の冷蔵庫を食料備蓄庫として考え、非常時にも使える備えをしておきましょう」

 

次に釜石さんが指摘したのが、シンクの背後にある、食器棚の上に置かれた電子レンジです。

重量もあるので、岡本さんも気になっていたのだとか。「洗い物をしているときに大きく揺れたら、電子レンジが飛び跳ねて頭や体に当たれば、大けがをする危険性があります。ネジを使わない転倒&滑り防止器具による固定が必要です」

 

【電子レンジの転倒防止対策】
強力接着パッドで簡単に設置!

リンテック21「リンクストッパーT型(4本入り)<LS-484>」
実売価格3080円(税込)

「電子レンジなど家電製品の側面に強力固定し、地震による転倒と落下を防止します。電子レンジのように、底面に隙間がある家電に向いています。電子レンジを置いたキッチンボードや食器棚を固定していても、そこに置いた電子レンジは固定していないというご家庭が見受けられます。必ず両方を固定してください」

 

↑「電子レンジの側面四隅に接着して使います。別売りの専用剥離工具でキレイに剥がすことができるで、気軽に使えます」

 

電子レンジが置かれた食器棚は、ガラス戸になっています。

「大きな揺れでは、食器棚の中の食器が、食器棚が倒れる前に前面のガラスを破ってガラスと食器の破片が飛散してケガをする可能性があります。ですから、まずは食器棚が倒れないように、壁に固定しましょう。また、食器棚自体は倒れなかったとしても、中の食器が飛び出してケガをする可能性があるので、ガラス面にはガラス飛散防止フィルムを貼ることが大切です」

 

【食器棚の転倒防止対策】
壁も対象物も傷つけずに転倒を防止!

サンワサプライ「耐震ストッパー(2個入り)<QL-78>」
標準価格3278円

「特殊素材ポリウレタンフォームが振動を吸収し、キャビネットなどの転倒を防止する耐震ストッパーです。ネジなどを使いませんから対象物も壁を傷つけずに転倒
&滑りを防止する設計なので、賃貸にお住まいの方でも安心して使えます。繰り返し使える特殊粘着素材という点もポイントです」

 

↑「ストッパーの小さい方の面を対象物の角から5cmくらいのところに貼り付け、もう一方の面は壁側に貼り付けます。いずれも3〜4回押し付け、しっかり固定してください。ストッパーは左右2箇所に貼ります。食器棚を壁面から20cmほど離すと、固定しやすいですよ」

 

【こちらもおすすめ!】
食器棚専用のガラス飛散防止シート

ニトムズ「食器棚用ガラス飛散防止シート<M6130>」
実売価格638円(税込)

UVをカットしながら地震や台風によるガラスの飛散を防止する、ニトムズのガラス飛散防止シート。5種類のバリエーションがあるうちの、こちらはキャビネットや食器棚のガラス面の幅に合わせやすいサイズの食器棚用です。キレイに貼れる専用ヘラ付きで、初心者でも気泡が入りにくく、キレイに貼れると定評があります。

 

ほかにも、キッチンで釜石さんが気になった場所があります。

「シンク上、観音扉の作りつけ棚の観音扉ですね。揺れると扉が開いて中のものが飛び出します。特に炊飯器が危険です。最も有効な対策は、耐震ラッチを取り付けて、揺れたらロックがかかり、開かないようにすることです。加えて、使わない炊飯器は処分するか別の場所に移動することをおすすめします」

 

続いて、リビング&ダイニングをチェックしてみましょう。

●リビング&ダイニング

首都直下地震のような巨大地震では、ダイニングの写真に写っているものすべてが跳ね上がることが予想されると話す釜石さん。

 

「跳ね上がって飛んでくれば、それが頭や体に当たって大けがをします。残念ながらテーブル椅子を確実に固定する器具がありません。揺れがそれほど大きくなければ机の下にもぐって机の脚をつかんでいれば飛んでくるものから身を守ることができますが、首都直下地震の場合は、テーブルごと飛ばされるでしょう。また、電球がガラスである場合、大きく揺れて天井に当たると電球が割れてガラスの欠けが部屋中に飛散する危険性があります。照明器具を非ガラスのLED照明に交換することをおすすめします」

首都直下地震では、液晶テレビ、テレビボードが跳ね上がり、テレビを見ている人に向かって飛んでいくことが予想されます。「万が一、それが頭や体に当たってしまったら、大けがかそれ以上のことが起こる可能性が高いです。ご自宅の中でもリビングは、お子さんをはじめご家族が長く過ごすことの多い場所ですから、液晶テレビもテレビボードも、壁にしっかり固定していただきたいと思います」

 

【テレビとテレビボードの転倒防止対策】
壁から離れた家具や家電をしっかり固定

アイディールブレーン「ガムロック SB」
実売価格6600円(税込)

「バックル付きベルト2本とゲルパッドがセットになっています。40cmのベルトで壁から離れた家具、家電の転倒防止に役立ちます。パイプラック支柱のループ固定にも使えます。青いバッドは、家電等の滑り防止に使います。台の部分に貼り付け、液晶テレビをテレビボードの上にしっかりと固定しましょう」

 

↑「強粘着ゲル剤のプレートに付いたベルトで液晶テレビの後ろ側と壁をつないで固定します。前からは見えませんので、景観を損ねない点も魅力です。また、バックルでの取り外しができるので、掃除のときに邪魔になりません」

 

↑「テレビボードの固定には、食器棚の転倒防止対策でご紹介した、耐震ストッパーを使います。こちらのご家庭のテレビボードは前面がガラス戸になっていますが、テレビボード自体を固定させればガラスが割れる可能性が低くなります。また、テレビボードの隣にある絵本棚も、耐震ストッパーで固定してください。絵本棚は重そうなので、耐震ストッパーを上部と側部に取り付けて壁に固定させましょう」

 

キッチンとダイニングを仕切る壁には飾り棚が取り付けられ、キッチンカウンターにはドライフラワーや雑貨類が並びます。

リビングの窓辺には、青々としたグリーンが置かれていました。

インテリアをおしゃれに演出し、暮らしを豊かにするアイテムは、私たちの生活に欠かせませんが、どのような地震対策をすればいいのでしょうか?

「キッチンカウンターの上にあるもので、飛んで頭に当たってケガをする物は、次に紹介するガムロックPLのようなでゲルパッドで固定します。窓辺の植木鉢や、ソファ周辺の地球儀、音楽プレーヤーも飛んできて、当たったらケガをしますので、同様にゲルパッドで固定してください」

 

【グリーンや小物の転倒防止対策】

アイディールブレーン「ガムロック PL」
実売価格2200円(税込)

「大きな揺れによる衝撃を吸収し、対象物の滑りを防止するゲルパッドです。小物類だけでなく、プリンタや背の低い家具、家電などの下に敷いて使うこともできます。5cm弱と小さいですが、200kgの重さのものまで対応します」

 

↑「対象物の底面に貼り、建物にしっかり固定された家具の上などに貼り付けます」

 

↑「ソファの横に置いてあるガラス製の花瓶は、台と一緒に飛んできて当たってケガをしますし、割れてガラスの破片が散らばってもケガの原因になるため、固定できない台の上に置くことは避けましょう」

 

↑「花瓶は、グリーンを置いた窓辺の棚やキッチンカウンターなど、作りつけの家具や建物にしっかり固定された家具などにゲルパッドで固定することをおすすめします」

 

後悔しないためにも家庭の防災対策の徹底を

「“地震国”に住みながら、ほとんどの方は、自分や家族が地震で死傷するとは思っていません。ところが、内閣府・防災情報サイトの『一日前プロジェクト』では、大災害で大ケガをしたり、家族を亡くしたりした人が、“災害の一日前に戻れるとしたらあなたは何をしますか”という問いに答えています。

『地震のことをもっと知っておきたかった』『タンスを固定しておけばよかった』『テレビが飛ぶことを教えてくれればテレビの前では寝させなかった』『寝ている子どもの上に本棚が倒れるとは、置き場所を変えておくべきだった』など、そこには防災対策をしておけばよかったという反省の言葉ばかりが並んでいます。

みなさんには、大切な家族を失ってから後悔することがないことを願います。また、お子さんが、将来経験する大災害にもしっかりと対応ができるように、みなさんが防災対策を実践しながらぜひ伝えていただきたいと思います。人生に悔いを残さないために、家族みんなが笑顔で無事で生きていけるように、家庭の防災対策を今一度見直していただくことを切に願います」

 

いつ来るかわからない地震への備えは、おろそかになりがちです。しかし、「家具や家電の転倒防止をしていてもけがをしますが、重症になる可能性は低くなります」と釜石さんは言います。まずは、1日のうちで最も長く過ごす場所から、転倒や落下の危険があるものを取り除いていきましょう。

【プロフィール】

マンション防災士 / 釜石 徹

金融機関に勤務しながら防災対策の研究を続けていたが、防災コンサルタントとして独立後、大地震でも死傷者を出さない備えや長期在宅避難の覚悟と備えに重点をおいて、防災講演やセミナーを通して防災対策の普及に取り組んでいる。

 

地震に台風…危機管理アドバイザーが教える、女性のための防災講座

防災と聞くと、「災害時のために食品の備蓄をしておく」とイメージする人もいるかもしれません。しかし実は食料のことだけでなく、他にもさまざまな準備が必要です。命を守れるよう準備することはもちろん、実際は命の危険がなくなったあとも、多くの困難が待ち受けることを想定しておく必要があります。

 

特に女性は、避難所での性犯罪被害など二次被害を受けるケースが後を絶たず、災害のたびにニュースで報じられています。また、衛生面が保たれない状態で過ごす日が続くなど、精神的な苦痛も。命の危険に比べたらそのくらい、と思えるかもしれませんが、何週間、何ヶ月と続いたり、終わりが見えなかったりしたらどうでしょうか。備えは万全にしておきたいものです。

 

今回は、女性の防災に詳しい危機管理教育研究所代表の国崎信江さんに、女性がすべき防災準備について教えていただきました。

 

災害が起こる前に考えておきたい4つのこと

災害が起こったとき、冷静な判断をするのはなかなか難しいものです。そこで、ゆとりのある日常を過ごしているときに、自宅や通勤路などに目をやり、災害時のことを想像してみましょう。ここでは日頃から意識しておきたいことを紹介します。

 

1.持って行きたい荷物をリストアップ

非常食をはじめ避難生活で必要となるアイテムが入った非常持ち出し袋を備えている人はいても、衣類や洗面用具、さらにどうしても持って行きたい大切なものまで用意している人は少ないでしょう。災害時は当然、そこまで気がまわりません。そこで、普段から数日分の宿泊セットと、どうしても持って行きたい大切なものを、旅行鞄に詰めて置いておくか、リストアップしておくと慌てずにすみます。

 

「服や下着などは2〜3日分の準備をしておきましょう。動きやすく、そのままでも眠りやすいものがよいと思いますが、どうしても失いたくない大切な服を詰めるのがよいでしょう。お金を出せば買えるものは諦めて、代わりのきかないものを持って行きます。また、契約書などの重要書類はいつもひとまとめにして置いておき、何かあったらすぐ持ち出せるよう準備しておいてください。荷物は、地震で扉が開かなくなってしまう可能性がある場所ではなく、ベッドの下などすぐに取り出せる場所に置いておきましょう」(国崎さん、以下同)

 

2. 自宅や会社の地盤や耐震性は?

自宅や会社など、よくいる場所の地盤や耐震性を確認しておくことも重要です。同じ程度の耐震性のある物件でも、どんな土地に建っているかで被害状況は違いますし、地盤や耐震性を知ることで、会社にいるより自宅の方が安全、あるいはその逆、といったことが判断できるようになります。

 

海や川などに近い土地では、その場所が海抜何メートルなのか、川が氾濫した場合の避難場所なども調べておきます。最近は台風被害も多いので、浸水しやすい場所も知っておきましょう。

 

「土地の安全性や地盤については調べるとすぐにわかりますし、建物の耐震性は、賃貸であれば不動産業者やオーナーに電話一本で確認することができます。自分のいる場所がどのくらい危険なのか、どこに行けば安全なのかは常に周りを見渡して確認しておきましょう」

 

3.外で被災したときに避難できる場所は?

外にいると、家にいる家族やペットのこと、自宅のことが気にかかって、何時間歩いてでも自宅に帰ろうとするものです。しかし、徒歩で帰宅することで命の危険にさらされる場合もあるのです。

 

「歩いている最中に火災や地割れなどに遭遇したり、ガラスが降ってきたり、混乱した人混みの中では怪我や事故が起こる心配もあります。夜な夜な暗くなった道を歩き続けるのも不安です。無理に帰ろうとせずに、近くのホテルやデパートなど、寝食やトイレに困らなさそうな場所に飛び込んで避難させてもらい、事態が落ち着いてから行動しましょう。和室がある公民館や、個室がありプライバシーが守られる漫画喫茶などでも構わないので、日頃から避難できそうな場所をいくつも考えておいてください」

 

4.被災地から出る「震災疎開」の方法は?

災害が起こると、ライフラインに影響が出るのはもちろんのこと、地震の場合はいつまで続くのかわからない余震や、減っていく食料への不安など、精神的な苦痛がたくさんあります。被災したらまず避難所、ではなく、代替輸送機関を利用する手段も考えながら交通機関が麻痺しないうちに、その場を離れるのもひとつの手。

 

「被災地に留まっていると、不安を感じたまま日々を過ごさなくてはなりませんし、東京など大都市では避難所に人が入りきらない可能性があるとも言われています。仕事のことなど、考えなくてはならないことがいろいろあるとは思いますが、まずは自分の命を守ること、精神的ストレスがなるべくなく過ごせることを第一に、『震災疎開』という考え方をしてみましょう。疎開先にできる親戚や友人の家など、すぐに身を寄せられる場所をリストアップしてみてください。安く泊まれるカプセルホテルやウィークリーマンションなどもありますから、動けるならば早いうちに、通常の生活を送れる土地に疎開しましょう」

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日常的にできる、命の危険がない部屋づくり

災害が起こったとき、考えるべきことは「プライバシーの守られた場所で、いつも通りの生活ができるかどうか」だと国崎さんは言います。

 

「女性は避難所に行くよりも、できれば慣れた自宅で過ごせるよう、日常的に被害の少ない部屋づくりを心がけましょう。ガラスや陶器、重い木でできた家具などは、どんなものも凶器となりますから、日頃から防災に意識を向けて、ものを選ぶときはなるべく“割れないもの”“軽いもの”“柔らかいもの”を意識して購入します。たとえば我が家では、壁掛け時計も紙製のものを使用したり、食器類も割れないセラミックやアルミ製のものを揃えたりしています」

【すぐにできる防災準備】

・食器や部屋の装飾品はガラスや陶器のものを避けて、割れないものにする
・壁に飾る絵は落ちたり飛んできたりするので、ウォールシールにする
・花瓶や雑貨などを飾るときは、滑り止めシートを使う
・食器棚には必ず滑り止めシートを使い、ロックを忘れない
・本棚の本は、地震のとき落ちてこないよう、隙間なくびっしり詰める
・本棚の本は、手前だけに滑り止めシートを貼る(全面に貼ると本が取り出せなくなってしまう)
・大きな家具はすべて固定する
・キャスターつきの家具は、動きにくいよう対角線上にロックをしておく
・トイレや風呂場など閉じ込められやすい場所には、笛やペットボトル飲料を常備しておく
・入浴中の被災に備えて、風呂場にはワンピースなど、すぐに着られる服を備えておく
・生理用品を常に3枚ほどハンドバッグに入れておく
・普段から缶詰の食品やレトルトのものを買い置きし、保存食も2日分くらい準備しておく

横浜岡田屋のおいしく食べられる保存食「HOZONHOZON」

かわいいパッケージとおいしい非常食として人気のあるHOZONHOZONは、鯛めしやトマトごはんなど、種類も豊富。「非常食は、残念ながらおいしいものがとても少ないなと感じます。ストレスフルな環境のときこそ、おいしい食事に救われますし、賞味期限が近くなってきたら食べることを考えると、なおさら、非常食を買うときは味についても吟味したいものです」

 

避難所に行ったら早く仲間をつくり協力体制を

学校の体育館や役所などを開放した避難所は、多くの被災者を受け入れてくれる大切な場所です。しかし一方で、停電した広い体育館で、見ず知らずの大勢の人と隣り合わせでずっと過ごさなくてはならない環境は、女性にとって過酷でつらいもの。

 

「女性の場合は特に、真っ暗闇で誰に何をされるか不安でたまらない時間が続くと思ってください。レイプ被害などの他にも、眠っているとき毛布の中に手が入ってきたとか触られた、ということも大変多く聞きます。そのような状況下では、眠れないばかりか正気を保っていられなくなるので、まずは同じような境遇の方に声をかけ、協力し合える関係をつくりましょう。男性と一緒にいる方が性被害に遭いにくいとも言われていますので、数名の女性が集まったところで、信頼できそうな男性にサポートをお願いすると安心です」

 

ここまで、災害への備え、また災害時に気をつけるべきことをまとめましたが、続いて、外出先でも対応できるよう、いつもバッグに入れておきたい「防災7つ道具」をご紹介します。

バッグにいつも入れておきたい7つ道具

外出先で被災したとき、ちょっとの備えがあるとその場をしのげるものです。いつもバッグに携帯しておきたいものを、国崎さんに伺いました。

 

1.止血パッド
「外出先で怪我をしたとき、『助けて』と周囲に言っても聞いてもらえる余裕はありません。ガラスなどでざっくり切ってしまうことを考えて、持っておくと安心です」


昭和技研「止血パッド」/危機管理教育研究所
8000円(小サイズ・10枚)

 

2.携帯トイレ
「被災すると、トイレはどこも長蛇の列だと思ってください。ハンドバッグにも入るサイズの携帯トイレを持っていれば慌てず我慢しなくてすむでしょう」(国崎信江さん)


マイレット「マイレットmini-1」
170円

 

3.携帯電話の充電器
「ソーラーパネルつきのモバイルバッテリーがオススメです。また、万が一閉じ込められたときにSOSを発信できるアプリをスマホに入れておくと役立ちます」

 

4.マスク
「できれば粉塵用のマスクがいいですが、普通のものでも構いません。ビルの倒壊などで粉塵を吸い込む可能性もあるのでマスクは必須でしょう」

 

5.ウェット手袋
「手袋の形をしたウエットタオルで、頭皮を揉むように洗うことができます。泡も出ませんし拭き取りも不要なのにすっきりと落ちるのでおすすめです」


四国紙販売「水のいらない泡なしシャンプー「ウェット手袋」
3000円(10枚)

 

6.水電池
「水を入れるだけで発電する道具で、飲料用水だけでなく、雨水や尿でも発電できる優れものです。懐中電灯や携帯電話などの充電ができるよう常備しておきましょう」


ナカバヤシ「NOPOPO」
648円

 

7.レインポンチョ
「雨天だけでなく寒さ対策や粉塵から身を守るなどのときにも使えるので、小さく折りたためるものを持っておくとよいでしょう」(国崎信江さん)

 

今年6月18日には大阪府北部を中心に最大震度6弱の地震が発生しました。そして9月6日には、最大震度7を観測し41名の犠牲者を出した北海道地震が発生。この北海道地震では、一時道内全世帯に停電が及びました。また、南海トラフ地震が起こる確率を政府や研究機関は「30年以内に80%」と発表しており、来るべき震災のための備えが急がれています。

 

災害時、女性は特に二次被害に遭わないためにも、プライバシーが守れる環境を手に入れることが大切です。少しでも安心して過ごせるように日頃から周囲の環境をよく知り、安全を確保することが命を守ることにつながります。

 

【プロフィール】


危機管理アドバイザー / 国崎信江

危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。地震調査研究推進本部政策委員会などの国や自治体の防災関連の委員を務める。
http://www.kunizakinobue.com/

 

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誰でも目にしたことがある避難器具「オリロー」で実際に降りてみた

本日9月1日は「防災の日」。様々なメディアで防災グッズが紹介されていますが、GetNavi webでは少し視点を変えて身近なあるものに注目してみました。それがマンション、ビル、ホテルなどでよく設置されている避難器具メーカー、「オリロー」。わかりやすくかわいい名前と、徹底した安全機能で、避難器具全体での国内シェアはなんと6割オーバーだそうです。

 

誰でも一度は目にしたことがあるこのオリローですが、しかし、実際にこの避難器具を使って降りたことがある人は少ないはず。

 

今回は、そのオリローの知られざる歴史と真実を、同社・家崎典久さん、山越 貢さんにお聞きしながら、実際に避難器具を体験させてもらいました。

 

 

↑オリロー株式会社広報部・家崎典久さん(左)、営業部・山越 貢さん(右)。同社の避難器具、安全基準を熟知されたお2人

 

 

オリローの名のルーツには、箱根駅伝と関係があった!

――マンション、ビル、ホテルなどでオリローの避難器具をよく目にします。ただ、「災害の当事者になっていない」ということで言えば幸いですが、実際にどういった歴史、避難器具の種類があるのかはあまり知りませんでした。

 

家崎典久さん(以下:家崎) もともと弊社は松本製作所という、消火器や農業衛生噴霧器を作る会社が始まりです。やがて松本機工という会社になり、そこから避難器具を作るようになり、今日に至っています。

 

ちょうど、最初の松本製作所から今年で90周年になのですが、これを機に“オリロー株式会社”と、社名変更をしました。

 

――それまで“オリロー”は避難器具の商品名で、企業名ではなかったんですね。

 

山越貢さん(以下:山越) そうです。最初は避難器具以外も作っていましたが、避難器具が会社の主流になっていきました。そこで社名も商品名と同じ“オリロー”にしたんですね。

 

おかげさまで現在では避難器具全体での国内シェアは6割以上となりました。

 

――この名前は「降りる」が語源ですよね?

 

家崎 はい。ただ、これには裏話があります。弊社の松本という顧問が昔、立教大学の応援団をしていたのですが、学生時代、箱根駅伝を応援しに行ったところ、雪が降ってしまい、乗っていたバスが雪で滑ってしまい立ち往生したことがあったそうです。

 

その際、松本顧問が応援団の後輩に「バスを降りろ! 降りてバスを押せ! 降りろ! 降りろ!」と叱咤したらしいのですが、この「降りろ!」を、商品名「オリロー」とし、採用したようです。

 

 

一口に“避難器具”と言えど、8種類ものカテゴリが

――そんなオリローですが、一口に避難器具と言っても、様々な種類がありますね。

 

家崎 国家検定に準じると、8種類あり、避難はしご、固定はしご、救助袋、緩降機、滑り台、滑り棒、避難ロープ、避難橋です。

 

――ということは、あらかじめ国が定めた基準に応じて開発をしていくということですね。

 

山越 そうです。国が提示する厳しい基準を受けて、開発をし、検定を受けるという流れです。

 

――そうなると、奇想天外な避難器具、斬新な避難器具は開発しにくそうですね。

 

家崎 そうです。ただ、その基準内であっても、より使いやすく安全性の高い避難器具を日々研究しています。設置する建物自体もどんどん変わっていっていますから、当然避難器具も日々進化させないといけないわけです。

 

■折りたたみ式スライドはしご

↑緊急時、降下地点に万一障害物があっても避難可能な工夫がなされています

 

■固定はしご

↑どの階からも避難が可能。さらに沿岸地域などでは津波対策として上階へと避難することもできます

 

■救助袋

↑袋本体にらせん状に降下する滑降布を縫着。安全に地上へと避難することが可能

 

■緩降機

↑使用者が他人の力を借りずに自重により自動的に連続交互に降下することができる機構を有するもの

 

■滑り台

↑病院、学校、幼稚園、老人ホームなどで採用されている。馴染みのあるカタチなので、誰でも簡単に避難することが可能

 

■避難ロープ

↑その名もオリロープという器具で、取り付けが簡単で軽くて使いやすいもの

 

■避難ハッチ

↑チャイルドロックを付け、日常での安全性を高めながら、万一の際には簡単に開けられます

 

■滑り棒

映画「ゴーストバスターズ」でも登場した、垂直固定の棒をつたって避難します。

 

半年に一度はメンテ会社が避難器具を点検しなければいけない

――国の基準をクリアし、日々進化も続けるオリローですが、ただ、器具自体を実際に使ったことがある人は少なそうです。

 

家崎 たとえばマンションなどでオリローの設置登録をしていれば半年に一度、必ずメンテナンス会社、運営会社が点検し、一定期間内に消防署へ報告するという義務があります。

 

本来、こういった点検の際に合わせて、住民の方や、万一の際に使うであろう方々の避難訓練もやっていただきたいですね。万一の際、せっかくの避難器具の使い方がわからない……となったら意味がありませんので。

 

――ということで、今回はその体験をさせてください。

 

家崎 もちろんです。本当は高さ50メートルの緩降機をはじめ、すべての避難器具を体験していただきたいですが、今回は救助袋型の避難ハッチをやってみましょう。

 

↑これが救助袋型の避難ハッチ。実際の体験動画はさらに下をご参照!

オリローで実際に降りてみた

――ハッチを開けた瞬間、袋がありますね。

 

家崎 この袋の中に入って避難します。まず、ハッチのフチに腰掛けていただき、膝から足を先に入れます。そしてハッチのフチの両脇を掴み、腕力で体を支え、態勢を整えた後、上のベルトに手を移します。その後、手を離し、一気に体を救助袋の中に入れていく……という流れです。

 

――救助袋に入った後、そのまま体が下へストンと落ちていきそうで、すごく恐いんですけど。

 

家崎 大丈夫です。この救助袋はらせん状の構造で、下にそのまま落ちるわけではなく、袋の中で体を緩やかに回しながら、地面に着地し、逃げられる構造になっています。

 

――では恐いですが、実際に手を離してみますね。

 

↑一連の流れを家崎さんに解説していただきながら、筆者も体験。袋の中に身体を入れた後、最後のベルトから手を離すのが恐いですが、見ての通り、体は緩やかに下降していきます。

 

――恐かったですが、確かに救助袋の中で安全に着地することが出来ました。

 

家崎 これは実際に体験したことがあるとないとでは、万一の避難時に大きく影響しますから、本当はもっと多くの人に体験していただきたいんです。

 

――他の避難器具ももちろんそうですね。火災などの際、そうでなくても頭がパニックになっていると思いますから、こういった機会はもっと多くあったほうが良さそうです。

 

山越 ただ、個人的に勝手に使うのはダメです。必ず保安会社の方、メンテナンス会社をされる方など、有資格者や識者と一緒に避難訓練をしてください。そういった避難訓練の場で、避難器具に触れ、構造を知っていただくだけで、万一の避難時のスピードが大きく変わると思いますから、これはぜひお願いしたいです。

 

↑避難はしごの開閉も体験しました。片手で簡単に開閉が行えます

 

↑はしご型の避難ハッチも体験しました。ご覧の通り、短時間で気持ち良いほどにはしごが伸びます

 

 

オリローの実例データは!?

――実際に、なんらかの災害の際、オリローが活躍したという事例はありますか?

 

家崎 この話はよく聞かれますし、実際どこかで必ず役立っているはずなのですが、こういったデータは国が発表しないので、わからないんです。

 

――しかし、6割以上のシェアということですから、やはり現場レベルでは、なんらかの口コミがありそうですが。

 

家崎 例えば、口コミレベルの話で「オリローが設置されているビルで火災が起き、全員避難出来て無事だった」と聞いても「オリローで避難出来たから」と言い切れません。だから、こういったデータは全く持っていないのが現状ですね。

 

――そうであっても、他社製品よりもオリローが優れていて、多くの支持を受けている理由は何だと思いますか?

 

山越 やはり、常に開発を繰り返し、安全性を高めているところだと自負しています。

 

家崎 本当は火災が絶対に起きないような世の中になれば良いと思います。でも、それは難しいでしょうから、常にそれまでよりも使いやすい器具を開発し、より安心して避難していただける器具をご提供できるよう、これからも研究、開発を重ねていきたいと思っています。

 

 

↑避難器具の素人にもわかりやすく解説してくださった家崎さんと山越さん。どうもありがとうございました!

 

オリローのストイックで実直な避難器具開発は、家崎さん、山越さんのお話からも随所に感じられました。お話の通り、実際に避難器具に触れたことがあるかないかでは、万一の際に大きく変わります。避難訓練などで、器具に触れられることがあれば、ぜひあなたもご参加されてください!

 

【備えの1冊】防災バッグの中に何を入れる? 命を守る5点セットとは――『りすの四季だより』

これまで幾度となく言われてきているが、日本は災害大国である。今や、日本中どこに居ても安全は確保できない。最近では北大阪地震、西日本豪雨。竜巻だって起こる。いまこの瞬間に被災するかもしれない。

 

だからこそ、日頃から備えておくことが大切だ。

 

「そんなこと、何百回何万回と言われてるから、わかってるって!」というそこのあなた。では、いざというときに持って逃げるためのバッグに何を入れたらいいか、ご存知だろうか?

 

 

 

命を守るために、バッグに入れておきたい5アイテム

コラムの冒頭だが、いきなり答えを言ってしまおう。

 

1.スマホや携帯電話

緊急地震速報や情報収集のための必須アイテム。手動タイプの充電器があると、なお良し。

 

2.ホイッスル

軽く吹いても大きな音が出せて、中に玉が入っていない、壊れにくいものがベスト。子どもたちにも、防犯ブザーより電池要らずのホイッスルを持たせたい。

 

3.LEDライト

イマドキ電球タイプの懐中電灯はナンセンス。LEDタイプの、できればヘッドライトが◎。

 

4.ピンセットや小型ナイフなどがついたマルチツール

日常生活の中でも役立つものが多いので、ぜひ携帯を。ただし、銃刀法に触れない刃渡り5.5cm未満のものでも、正当な理由なくしては持ち歩けない。「子どもの爪を切るため」「今からキャンプで使う」などはOKだが、「防災・防犯のため」は正当事由にならないのでご注意を。

 

まずは、この4点。すでにお手元にあるだろうか。

 

実は先日、アウトドア防災ガイド・あんどうりすさんの防災講座に参加したのだが、内容が本当に目からウロコというか、「お~!!!!」と感動することしきりだったため、すぐにりすさんの著書を購入。いまご紹介した4アイテムは、『りすの四季だより』(あんどうりす・著/新建新聞社・刊)からピックアップした。

 

もちろん、自宅に非常用の持ち出し袋を用意、水やレトルト食品などを常備しておくことは大前提だが、それらすべてをバッグに入れたため荷物が重すぎて逃げられないなんて、本末転倒で悲しすぎる。

 

着の身着のまま逃げるとき、また外出先で被災した場合のために、普段から持ち歩ける防災用のバッグも用意しておきたい。

 

アウトドア用の軽いリュックを普段使いしてもいいし、スーツに合わないのであれば、ビジネスバッグの中に折りたたんで入れておいてもいい。毎日の外出時から、軽いバッグと上記4点を入れて持ち歩くことがおすすめだ。

 

 

何より大切なのが「知恵のある自分自身」!

さて、では最後の1アイテムは何だろうか。答えは5.知恵のある自分自身

 

今回りすさんの講座を受け、著書を読み、もっとも大きな気づきだったのが、「マニュアルに頼りすぎていること」を自覚したことだ。

 

たとえば、東日本大震災以降、スーパーのレジ袋でおむつを作る方法が広まった。私も子育て講座で教えてもらったことがある。レジ袋の左右の端を切って広げ、中に布などをあてるというものだ。けれど、自分の子どもたちが大きくなり、おむつが必要なくなったので、この知識はもう自分には不要だと思っていた。頭の片隅に追いやっていた。

 

だが、このおむつの知識から得られることは、スーパーのレジ袋がなければ作れない! ではなく、赤ちゃんがいないから関係ない! でもなく、防水素材と吸収素材の組み合わせが非常時に役立つということだ。

 

おむつの外側はポリエチレンなどの防水素材を探せばいい。それさえ知っておけば、レジ袋だろうがラップやポケットティッシュの外袋だろうが、撥水のガムテープだろうが、すべてOKなのだ。

 

その防水素材の内側に、吸水できる素材のものをあてればいい。この組み合わせは、赤ちゃんのおむつに限らず、生理用品にだって、非常時のトイレにだって活用できる。

 

「○○と○○を使って△△を作る」というマニュアルだけを頭に入れるのではなく、仕組みを理解することで、いくらでも自分で活用していけるというわけなのだ。

 

以前「ツナ缶でろうそくができる」という災害時のアイデアが話題になったが、「ツナ缶とこより」とだけ丸暗記していると、水煮のツナ缶を用意してしまうという事態が起こりうる。「油をティッシュなどのこよりに染み込ませて燃やす」という仕組みを理解していれば、ツナ缶でなくても、オイルサーディンでもいいと気づけるのである。

 

仕組みを知れば、臨機応変に行動できる。今後、様々な防災のアイデアを目にしたときは、ぜひその「仕組み」に着目することをおすすめしたい

 

「防災用」をあえて揃えるのではなく、日常でも使えるものをチョイスしよう

もうひとつ、りすさんの教えで気づいたことは、「防災は日常生活の延長線上にあってこそ、役立つ」ということ。

 

たとえば雨を伴う非常事態の場合、レインウエアがあるとかなり助かる。だが、100均のものでは心もとない。

 

おすすめは、透湿防水素材でできているアウトドア用レインウエア。普段使いにも便利で、そのまま災害用としても使えるからだ。お手入れすれば10年はもつので、確かに初期投資は必要だが、結果的には良いものを長く使うことの方がお得なのではないだろうか。

 

さて、ここで迷うのが、子ども用だ。すぐにサイズアウトしてしまうことを考えると、上下セットで6000円は高すぎないだろうか?と悩む人も多いだろう。

 

そこで、りすさんはこうひらめいた。

 

アウトドア用レインウエアは、世界中どのメーカーでもYKKのファスナーが使われていることが多い。そのため、製造番号が同じであれば、大人用と子ども用をジョイントできるのだ。

 

赤ちゃんを前で抱っこするときは、ママと子どものコートをジョイントして、ママコートに。歩けるようになったら、上だけ着せてレインコートに。もっと背が伸びたら、上下で着せる、といったように、120cmサイズの子ども用レインウエアを0~6歳まで使い倒したとのこと! このアイデアならば、1000円程度のすぐに濡れてしまうようなものを成長にあわせて買い換えるよりも、ずっと経済的だ。

 

災害用をあえて用意するのではなく、普段使いできる自分のお気に入りを揃えておくこと、そしていろいろなアイデアを持って活用することが、何より大切なのである。

 

 

「やらなきゃいけない」が「やってみたい」に。楽しみながら防災対策をしよう

『りすの四季だより』には、子どもでも大人を助け出せる古武道を使った救出術や、川遊びに必須の滑りにくい靴の作り方、寒さ暑さに対応する着こなし術、災害直後のトイレ問題、部屋の中の耐震化と家具固定法などなど、ぜひ家族で一度読んでおいてほしい内容が満載である。実際、私も実家の両親に1冊送ったほどだ。

 

ポイントは、いつ起こるかわからない災害に恐れるが故に「防災対策は嫌なこと」とネガティブに捉えるのではなく、「ちょっと試してみたい、普段から楽しみながら挑戦できるポジティブな防災アイデア」ばかりだということ。

 

もちろん、この本さえ読んでいれば必ず助かる!のではなく、りすさんから学んだ知識を応用できる知恵を身につけることが最大の目標だ。

 

備えあれば憂いなし。楽しみながら備えて防災を日常にし、心にゆとりを持って毎日を送りたい。

 

 

【書籍紹介】

りすの四季だより 家族の笑顔を守る暮らしの知恵

著者:あんどうりす
発行:新建新聞社

「やらなければ」が「やってみたい」に変わる! 口コミで年間100回以上の講演依頼がある伝説の防災講座、初の本格書籍化! 本書では、防災をマニュアル化するのではなく、アウトドアの知恵と技術を使って「読者と生き延びるための『知恵』を分かち合う」ことを目指しています。

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【朝の1冊】予算は数十円。かんたん「緊急用トイレ」の作り方――『東京防災』

日本は、災害の多い国です。どこに住んでいても、地震、台風、豪雨などによって被災するおそれがあります。

 

心の準備をしておきましょう。とりあえず「緊急用トイレの作り方」と「日常備蓄リスト」を知っておくことをオススメします。食べなければ生きられず、清潔でなければ耐えられないからです。

 

参考にしたのは、『東京防災』(東京都総務局総合防災部防災管理課・編/東京都・刊)という、無料配布のハンドブックです。

 

緊急用トイレの作り方

【排水できない既存トイレ】
便座を上げ、ポリ袋ですっぽり覆います。2枚目のポリ袋を便座の上からかぶせ、細かく砕いた新聞紙を重ねます。

(『東京防災』から引用)

 

使うのは「45Lサイズのゴミ袋」です。中身を見たくないので、なるべく不透明度の高いものを備えましょう。「新聞紙」を使うのは、水分を吸収したり悪臭を抑えるためです。定期購読をしなくても、せめて社会的な大事件やスポーツ大会で盛り上がったときに買って、取っておけば、あとで役立ちます。

 

「汚物凝固剤」や「尿とりシート」があれば万全ですが、「ペット用の砂(吸水力が高いもの)」を代用できます。ネコやイヌを室内飼いしている家庭ならば、多めに備えておいても損はないでしょう。予備の「消臭スプレー」もお忘れなく。

 

災害に備えるコツは、「普段づかいしているモノ」を流用することです。お気に入りの日用品ならば、けっして買い忘れることがなく、被災したときの「困った!」を防ぐことができます。

 

 

小さな備えが、大きな助けに

もしものとき、自分や家族の身を守るのは、たったひとつの知識、たったひとつの道具、たったひと言のコミュニケーションかもしれません。小さな備えが、大きな助けになるのです。

(『東京防災』から引用)

いちばんの備えは、本書『東京防災』のようなハンドブックを手元に置いて、ときどき読んでおくことです。

 

さらに、知識だけではなく「避難訓練」をおこないます。ものごとは、反復練習しなければ身につかないからです。絶望的な災害に遭ったとき、頭よりもカラダが先に動いてくれたら、九死に一生を得られる可能性が高くなります。

 

災害のすぐあとに、五体満足で助かったとしても……。食べ物や飲み物が尽きてしまったら、やがて命を失います。電気・ガス・水道が止まっても、せめて「1週間」を生き抜くための備えが必要です。

 

無理なく続けやすい「日常備蓄」を紹介します。

1週間を生き抜くための「日常備蓄」

大きな災害が起こり、インフラが寸断された場合(中略)、支援が届くまでの少なくとも1週間は、誰にも頼らず暮らせるように備えることが「備蓄」です。なくなったら困る物を買い置きして、古い順から使うようにすればいいだけ。

(『東京防災』から引用)

飲料水のペットボトル、レトルト食品、缶詰、チョコレートなどは、誰でも想像がつきます。本書『東京防災』では、野菜ジュース、かまぼこ、チーズ、調味料(しょうゆ、塩)なども「最小限備えたいアイテム」としてリストアップしています。

 

開封前のパッケージを「常温保管」できるものが備蓄しやすいです。レトルト食品、ペットボトルや缶入りの野菜ジュース、魚肉ソーセージ、おつまみ用のチーズ、お弁当用の使いきりミニ醤油。賞味期限にあわせて、1〜2ヶ月ごとに新旧を入れ替えます。日常備蓄の一例です。

 

平和は、永遠に続かない

ご紹介している『東京防災』ハンドブックには、お手本があります。ヨーロッパのスイス連邦が作成した『民間防衛』(原書房編集部・翻訳/原書房・刊)という冊子です。

平和と自由は、一度それが確保されたからといって、永遠に続くものではない。(中略)計画を立てるというのは、明日のことを考えることである。

(『民間防衛』から引用)

 

スイス連邦は「永世中立国」です。災害はもちろんのこと、他国からの脅しや侵略に屈することなく、自分たちの「自由」や「生命」を堅守するという信念があります。

 

『民間防衛』ハンドブックは、侵略や災害に備えるために、スイス国内の全世帯に配られたものです。それを参考にした『東京防災』ハンドブックにも、大地震や台風豪雨だけではなく、火山噴火、テロ・武力攻撃、パンデミック(感染症)などの対処法を解説しています。生き残りたいのなら、目を通しておいて損はありません。

 

 

ダウンロード・購入方法

本書『東京防災』は、2015年に東京都が製作して、都下の全世帯に向けて750万部を配布しました。冊子版が欲しければ、全国の一部書店で取り扱いがあります。

「東京防災」冊子版の販売店リスト(1冊・税込140円)
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/1002147/1002317/index.html

2018年現在では、公式ウェブサイト(会員登録なし)からPDFファイルを無料ダウンロードできます。

「東京防災」PDFファイル(無料)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2015/08/20p8l300.htm

電子書籍を利用している人は、KindleストアやiBookstoreなどの主要な電子書店において、0円で購入できます。お試しください。

 

【書籍紹介】

東京防災

著者:東京都総務局総合防災部防災管理課
発行:東京都

東京には、さまざまな災害リスクが潜んでいます。東京の多様な地域特性、都市構造、都民のライフスタイルなどを考慮してつくられた、完全東京仕様の防災ブック。それが「東京防災」です。本書には、知識をつけるだけではなく、今すぐできる具体的な“防災アクション”を多く掲載しています。もしものときに備えて、身を守る力をつけましょう。

kindlleストアで詳しく見る
楽天Koboで詳しく見る

3.11を前に再確認を! 非常食はストックしたくなる美味しさで選ぶ

災害はいつ起こるかわからないから、家族4人分の防災グッズは、押入れの中に準備万端。でもその中の非常食は、あくまで緊急用だから味も見た目もイマイチなのよね……。災害時に必要だから必ずストックしておいて、賞味期限が来たら買い換えるようにしているけれど、乾パンや缶詰は家族みんな、あまり好きじゃなくていつも余っちゃう。賞味期限切れで捨てるのはもったいないし……。長期保管ができて、しかも食卓の一品にもなるような“おいしい非常食”はない?

 

参ったなぁ……と、いつも困っている「参田家(まいたけ)」の面々。きょうはお母さんがなにやら困っているようです。

参田家の人々
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ちょっと気弱なお父さん、元気でしっかり者のお母さん、もうすぐ小学生の娘、甘えん坊の赤ちゃん、家族を見守るオスの柴犬の4人と1匹家族。年中困ったことが発生しては、宅配便で届いた便利グッズや、ご近所の専門家からの回覧板に書かれたハウツー、知り合いの著名なお客さんに頼って解決策を伝授してもらい、日々を乗り切っている。
https://maita-ke.com/about/

 

そんなお母さんには「IZAMESHI CARRY BOX Deli(イザメシ キャリーボックス デリ)」をおすすめします。消費しながら備蓄することをコンセプトとした、長期保存食です。

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肩にも掛けられる紐付きボックスに入っているので、いざというときの持ち運びもラクラク。さらに、ボックスは簡易テーブルとしても活用でき、紙皿とスプーンが同梱されているのがうれしいポイント。

 

内容は「濃厚トマトのスープリゾット」「きのこと鶏の玄米スープごはん」などのご飯ものから「梅と生姜のサバ味噌煮」や「名古屋コーチン入りつくねと野菜の和風煮」などのおかずまで、バリエーション豊かなラインナップ。化学調味料不使用で、栄養バランスを考えられているので、大人から子どもまで安心しておいしく食べられます。

 

災害時だからこそ、美味しい食事をいただこう

step.1
ミシン目に沿って紙皿とスプーンを取り外す

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↑箱から、同梱された厚紙から皿とスプーンを取り出す。ミシン目は簡単に外せるようになっているから、間違って破ってしまう心配もなし!

 

step.2
紙皿もスプーンも折れ線に合わせて組み立てるだけ!

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↑台紙から外したお皿とスプーンを、折れ線に合わせて組み立てていきます。「IZAMESHI CARRY BOX Deli(イザメシ キャリーボックス デリ)」にはスプーン4つとお皿2枚が同梱されているので、家族で食べるときも安心

 

step.3
ボックスは小さなテーブルに早変わり!

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↑高さ6センチほどの箱は、蓋を閉じれば即席の簡易テーブルとして使うことができるんです! 紙皿は深さがあるため、リゾットやスープなどの料理でも余裕を持って入れることが可能です

 

食材本来の味を楽しめ、3年間の保存がきく「IZAMESHI(イザメシ)」」。たとえ被災時でも、おいしい食事を楽しんでいる時間は、心に平安をもたらしてくれそう。また保存食としてはもちろん、家族でピクニックやキャンプに行くときや、夕食に1品足したいときなど、活用できるシーンはさまざま。オンラインショップでは、1パックから販売しているので、賞味期限に合わせて消費して、中身だけ新しいストックに買い換えることもできます。

 

緊急時にも、普段使いにも重宝。キッチンや押入れの隙間に常備しておけば、何かと役に立つはずです。

 

【商品情報】

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杉田エース「IZAMESHI CARRY BOX Deli(イザメシ キャリーボックス デリ)」
価格5000円
http://izameshi.com/carry-box/

 

日々の「参った!」というお悩みを5分で解決!「参田家(まいたけ)のおうち手帖」

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