ワイングラスの正しい持ち方って? ワイングラスの基礎知識とマナーを身につけよう!

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

カジュアルな場ではあまり気にする必要はありませんが、おしゃれなレストランでの食事やビジネス関係の会食では、食事のマナーに気を付けたいものです。カトラリー一つ一つに使い方の決まりがあるように、ワイングラスの持ち方にもマナーがあります。

正しい持ち方は一緒に食事をする人を不快にしないだけではなく、ワインをおいしく飲むためにも重要なポイントです。

今回は、そんなワイングラスの正しい持ち方を紹介します!

 

 

 

【正しく! きれいに!】ワイングラスの持ち方

レストランやパーティーなどで、ワインを飲む機会に会った方はいるのではないでしょうか。そんなときに、ワイングラスの基本的な持ち方を知っておけば、よりワインのおいしさを味わうことができますよ。

 

ワイングラスの構造

ワイングラスの正しい持ち方を解説する前に、独特の形状から成るワイングラスの構造や部位ごとの名称を紹介します。

ワイングラスは以下のとおり、4か所の名称を覚えておくと良いでしょう。

・ワイングラスの淵「リム」
・ワイングラスの真ん中部分「ボウル」
・ワイングラスの脚「ステム」
・ワイングラスの底「フット」

ワイングラスが独特な形状をしているのは、ワインの豊かな香りを最大限に引き出し、グラスを傾けた時に口内へ流れ込んでくる味の感じ方も計算しているからです。

また、ワイングラスには様々な種類があり、ワインをよりおいしく飲むためには、最適な形状をしたワイングラスを選ぶことも重要です。

ワイングラスの種類については、以下の記事で詳しく紹介しています。

「ワイングラスの種類を知っておこう!選び方のポイントも紹介」

 

基本は「ステム」を持つ

ワイングラスを持つ時は、脚部分つまり「ステム」を持つスタイルが基本です。親指、人差し指、中指の3本でステムを支えます。

ステムを持つ理由としては、手の温度がワインに伝わらないようにするためです。

ワインの試飲温度として最適なのは、上限18℃までです。一方、人間の体温は36℃前後あり、ボウル部分に触れているとグラスに注いだワインへ徐々に体温が移ってしまいます。体温の影響でワインの温度が変わってしまえば、本来の風味を楽しめません。

また、ステムを持てばボウルに注いだワインの色をしっかりと確認できるのも理由の1つです。飲み方がエレガントに見える持ち方でもあるため、ワインを飲む時はぜひ意識してみてください。

 

ワイングラスはステムで持たないといけない?その真相は?

ワイングラスの持ち方について、「海外と日本では違う」という話を耳にしたことのある方も少なくないでしょう。確かに海外のカジュアルな場面ではボウルを持つスタイルがメジャーですが、実際はTPOに応じて使い分けることが多いため、どちらの持ち方が正解とは言い切れません。

そのため、海外と日本で区別するよりも、国内外問わずTPOに合わせて使い分けるのがおすすめです。周囲に迷惑が及ばなければ、ワイングラスは自由に持っても良いでしょう。

 

知っておきたいワイングラスのマナー

ワイングラスに関するマナーとして、持ち方よりも重視したいことがいくつかあります。ワイングラスの持ち方は上記のとおり比較的自由の効く部分ですが、「ワインを注がれる時」と「グラスを回す時」のマナーは覚えておきたいところです。

最後にどのような場面でもスマートにワインを楽しめるよう、覚えておきたい2つのマナーを紹介します。

 

注がれる時はグラスを持たない

ソムリエのいるレストランなどでは、ワインはお店のスタッフに注いでもらうスタイルが一般的です。ワインを注いでもらう時、少しでも注ぎやすいようにとグラスを持ち上げたり傾けたりしたくなる方もいますが、グラスには触れないようにしてください。

ワイングラスは持ち上げず、テーブルに置いたままの状態でワインを注いでもらうのがマナーです。持ち上げることは国際的なマナーとしてはふさわしくないため、注意しましょう。

とはいえ、立食スタイルのパーティーなどワイングラスを手に持ったまま談笑する場では、近くにワイングラスを置く場所がないこともあります。ワイングラスを置く場所がない場合は、手に持ったままで問題ありません。利き手とは逆の手をフットに添えて、スマートにワインを注いでもらいましょう。

 

回す時はステム下部を持つ

ワインの香りを楽しむためにワイングラスを回しますが、この時もグラスを持ち上げずにテーブルの上で行います。ステムのみを指でつまむと不安定になるため、台座部分(フット)を手のひらで固定するようにステム下部を持ってください。回す方向はワイングラスを持つ手によって、以下のとおり異なります。

・右手で持つ場合…左回し
・左手で持つ場合…右回し

このように回すことで、万が一こぼしてしまってもかかるのは自分だけで済む場合が多く、他の人にかけてしまうリスクが少ないです。

また、ワインを楽しむためのマナーについては、以下のページでも詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください!

「レストランで役に立つ!ワインの基本的なマナーを押さえよう」

「ワインを回すスワリングの意味とやり方を解説」

 

まとめ

ワイングラスの持ち方など基本的な部分を意識すると、公的な場でも周囲にスマートな印象を与えることができます。せっかくのパーティーを楽しむのであれば、参加者がお互いのマナーで眉を寄せることなく、料理やワインも心から味わいたいですね!

よく海外と日本ではワイングラスのマナーが違うといいますが、実際は厳密な違いはありません。海外においても日本国内でも、ワイングラスはTPOに合わせた持ち方を選びます。場面に合わせた使い分けで、ワインを楽しんでくださいね。

ウイスキーなのに「酵母と発酵」に着目した「余市」と「宮城峡」。すでに希少ないま、バーへ急げ!

とどまるところを知らない、世界的なウイスキーブーム。なかでもシングルモルト(単一の蒸溜所で生まれるモルトウイスキー)、特にジャパニーズウイスキーのシングルモルトは大人気で、国内外から注目を集めています。

 

今回紹介するのは“日本のウイスキーの父”と呼ばれ、いまも語り継がれる朝ドラ「マッサン」の主人公でもある竹鶴政孝氏が創業した、ニッカウヰスキーのシングルモルト「余市」「宮城峡」の限定品。お酒好きならぜひチェックしていただきたい、本プロダクトの魅力を開発者インタビューとテイスティングでレポートします。

↑左が「シングルモルト余市 アロマティックイースト」、右が「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」。ともに9月27日発売で価格は各2万2000円、各2万本(その内1万本は海外)限定です

 

醗酵工程で酵母が生む多様な香りに着目

今回の限定品は、2024年に創業90周年を迎えるニッカウヰスキーのアニバサリー企画の一環。昨年「マジ旨!ピートの効かせ方を真逆にした「余市」「宮城峡」の限定ウイスキーを試飲」で第1弾を紹介しましたが、その第2段にあたるのが「シングルモルト余市 アロマティックイースト」と「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」です。

↑ニッカウヰスキーの資料より。「NIKKA DISCOVERYシリーズ」は、壮大なプロジェクトなのです!

 

「余市」「宮城峡」ともに「アロマティックイースト」と銘打たれていますが、これこそが今回のテーマ。そう、アロマティックなイースト(酵母)に着目したシングルモルトとなっているのがポイントです。

 

開発の舞台裏を教えてくれるということで、それぞれの香味設計などに携わった主席ブレンダーにインタビュー。まずは、ウイスキーにおける酵母について聞きました。

↑左が「シングルモルト余市 アロマティックイースト」に携わったニッカウヰスキーの綿貫政志さん。右が「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」を担当した同社の渡邊健太郎さん。ともに主席ブレンダーを務めています

 

筆者は普段、様々なお酒を取材するなかで酵母の話もよく見聞きしますが、よく登場するのは日本酒やビール、ワインなど。なかでも日本酒では「きょうかい酵母」という日本醸造協会が頒布している酵母が有名で、秋田の新政酒造が発見した6号酵母、長野の宮坂酒造(代表銘柄は「真澄」)が発見した7号酵母などは広く知られています。また、ビールでは「アサヒスーパードライ」の318号酵母がビッグネームでしょう。

 

一方、ウイスキーで酵母が積極的に語られることはあまりありません。それもあって、今回の「余市」と「宮城峡」が酵母に着目したというのは気になるところ。背景から聞きました。

 

「アロマティックイーストでは、とりわけ醗酵工程で酵母がつくり出す多様な香りに着目しました。約90年の歴史のなかで数々のトライがあり、その足跡を残すうえでも魅力的な原酒は使っていきたいなと。当社ではウイスキーに適したディステラーズイーストのほか、ビール酵母やパン酵母、あるいは自然界にある野生酵母など多彩な株をストックしており、試験的に使うこともあるんですね。そうしたコレクション酵母を用いた原酒のなかから、狙った香味をもったタイプをブレンドしたのが『シングルモルト余市 アロマティックイースト』です」(綿貫さん)

↑綿貫さん曰く、「私の推測ですが、ジャパニーズウイスキーのルーツであるスコッチでは酵母よりも製法、熟成環境、ピート(泥炭による燻香)の強弱、水質などで原酒の個性を差別化してきた歴史があるため、酵母に重きを置いた銘柄が少ないのかもしれません」とのこと

 

限定の余市は洋なしを思わせる吟醸香が芳しい

↑「シングルモルト余市 アロマティックイースト」

 

数ある原酒のなかから、綿貫さんの想像力を刺激したのが吟醸香(日本酒でよく用いられるフルーティな香り)にも似た華やかさ。酵母の働きによって麦芽が発酵する際に生まれる、フルーティなエステル香に特徴をもつ原酒をブレンドし、味わいを組み立てていきました。

 

「もともと余市には華やかなエステル香があるので、よりその魅力をきれいに出すかという点は苦労しました。また、余市はピート感も特徴ですから、スモーキー香を出しつつエステル香をマスクしないようにと。そのため、樽に関しても熟成香が強すぎるものは使わず、ユーズド樽と活性樽(焼き直した樽)を中心に、主張しすぎない樽の原酒を選びました。これら、全体バランスの調和がブレンドのカギとなっています」(綿貫さん)

 

吟醸のニュアンスをもったエステル香に、余市ならではのスモーキーさとは非常に好奇心をくすぐられます。ということで、スタンダードな「シングルモルト余市」と「シングルモルト余市 アロマティックイースト」とで飲み比べつつテイスティング。今回も、ディスカバリーというシリーズ名にも納得の発見がありました!

↑スタンダードの「シングルモルト余市」(右)は、甘やかかつ豊かなボディに心地よいピート香がじんわり。加えてオレンジを思わせるビターであたたかな果実味も

 

今回の「シングルモルト余市 アロマティックイースト」は、ピートのコクやビター感もありつつ、りんごやバナナなどの明るいフルーティさも。さらに洋なしを感じさせるフレッシュな果実味は、確かに吟醸香のように凛々しく上品。ラストは、マーマレードを思わせるビタースイートな余韻が心地よく続きます。

 

宮城峡はアプリコットの果実味が絶妙に調和

↑「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」

 

一方の「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」については、渡邊さんが解説してくれました。キーとなったのは、アプリコット(杏)を彷彿とさせる、甘く魅惑的な香りを生む酵母。また「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」では、酵母の種類はスタンダードでありつつも、発酵時に工夫をすることで個性的な香りが出る特性を活用しているそうです。

 

「スタンダードの宮城峡は、青りんごなどエレガントな果実味が魅力のひとつ。アロマティックというテーマを踏まえ、持ち前のキャラクターをベースに、より個性をお伝えできる味わいをイメージしました。そこで目指したのは、フルーティでありつつもキャラクターが異なる果実感です。そこでひらめいたのが、発酵時の工夫で生まれたアプリコットの香味をもつ原酒。20年以上も眠っていたコレクションから今回抜擢した形となります」(渡邊さん)

 

とはいえアプリコット香の原酒はキャラクターが非常に立っていて、そのコントロールが苦労点だったとか。あるポイントを超えると宮城峡らしい華やかさが弱まってしまう一方、ポイントを下回れば香りそのものが消えてしまう。このバランスに気を配りながらブレンドをしたと渡邊さんはいいます。

↑原酒の熟成年だったり、樽の種類や新旧だったり、ピートの強弱だったり。様々なキャラクターの原酒を組み合わせて、アプリコット香が上手に開くよう設計したそう

 

「例えば、樽に関してはユーズドを多めに使っています。そのぶんスタンダードの宮城峡よりも、シェリー樽など香りの強いタイプは多少減らしました。また、ピートの強い原酒を加えてスモーキーさを出しつつ、アプリコットの甘みを引き締めてマスクしすぎないように調整しました」(渡邊さん)

↑こちらも飲み比べながらテイスティング。スタンダードの「シングルモルト宮城峡」(左)は、上品な果実味のなかにフラワリーな華やかさもあり、ほのかに樽由来のバニラ香やビター感が続く心地よさ

 

そして今回の「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」をチェック。なるほど、明るみがあって熟した果実のニュアンスは、確かにアプリコット。その奥には、ほのかにベリーの甘酸っぱさやチョコレートのコクやビターなテイストも感じます。甘みとともにほどよいピートや樽の香りも続き、「シングルモルト宮城峡」より大人な印象を受けました。

 

アルコール度数が高い理由とペアリングを解説

スペックに関する補足として、「シングルモルト余市 アロマティックイースト」はアルコール度数が48%、「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」が47%と、スタンダードの45%より少し高くなっています。この理由は、「ノンチルフィルタード」といって、あえて冷却ろ過をしていないから。

 

多くのウイスキーでは澱(おり)を除去するため冷却ろ過を行いますが、澱は味や香りに厚みをもたせる成分も含んでいて、できれば残しておきたい要素。そこで、アルコール度数を高めて澱を溶け込ませるのです。その最適なパーセンテージが今回の場合、48%と47%だったのです。

↑それぞれ飲み比べると、アルコール度数の若干の違いも感じられます

 

最後にフードペアリングについて聞きました。まずは「シングルモルト余市 アロマティックイースト」から。

↑用意いただいたのは、ドライマンゴー、マカダミアナッツ、チョコレート

 

「余市の原酒自体が香ばしさや穀物の甘みをもっていますので、今回のように華やかなアロマを立たせるうえでは、コクの豊かなナッツがオススメです。フルーツはドライマンゴーを用意しましたが、ほかのドライフルーツでも、またはフレッシュフルーツでもおいしいですね。あとは余韻のビター感、オレンジ系の柑橘感を楽しむにはチョコレートが合うかなと思います」(綿貫さん)

 

↑「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」には、サラミとビーフジャーキーをペアリング

 

「『シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト』は比較的甘みを際立たせているので、しょっぱいおつまみとペアリングすると、その甘みがより際立ちます。サラミやビーフジャーキーは、それに加えオイリーなニュアンスが合うと思いますし、牛脂の甘さはアプリコットの甘さと親和性があります。また、その他のしょっぱい系のおつまみやナッツとも好相性なので、例えば柿の種やピーナッツなどもオススメです」(渡邊さん)

 

今回紹介した「シングルモルト余市 アロマティックイースト」と「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」、ともに国内では1万本限定ということもあり、プレミア的な価値が付いていますが、バーなどで飲むことはできるはず。見つけた際はぜひチェックを。そして、2023年にも登場するであろう次回の「NIKKA DISCOVERYシリーズ」も、いまから要チェックです!

 

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国内クラフトジンの先駆け「季の美」とは?蒸溜所がある京都はバーシーンも盛り上がっていた

いま、ウイスキーと並んでアツい蒸溜酒といえばジンが挙げられます。なかでも昨今は、小規模の蒸溜所でつくられるクラフトジンが世界的に人気。その日本におけるパイオニアが「季の美 京都ドライジン」です。

 

↑「季の美 京都ドライジン」。700mlボトルで参考小売価格5500円

 

本稿では生産現場の京都を訪れ、蒸溜所やブランドストア、有名バーにおける取材を通して「季の美」の原材料や味わいなどの魅力をお伝えします。

 

クラフトジンが盛り上がっている理由

ジンをとりまくシーンがここまで盛り上がっている理由のひとつが自由度の高さ。熟成を必要とせず、国や地域にしばられることもないうえ、果実、スパイス、ハーブといった様々なボタニカルを使って多様な味わいを生み出せるお酒がジンというわけです。

 

特に大きなポイントは、ボタニカルが自由であるため、その土地ならではの恵みを生かせること。日本であれば和山椒やゆずなど。そして京都といえばお茶。「季の美」もそういった地元のボタニカルを積極的に使い、京都らしい優美な味わいに仕上げていることが特徴です。

↑ジンに欠かせないスパイス、ジュニパーベリー(右下)はマケドニア産ですが、ゆず(左上)、山椒(左下)、玉露(右上)は日本の京都産を使用

 

というわけでまずは、普段見学を受け付けていない生産拠点の京都蒸溜所へ。こちらは2014年、歴史ある京都のクラフトマンシップに感銘を受けて設立されました。場所は京都駅から南西に車で10分強の、京都市南区にあります。当初はもっと駅の近くに建てたかったそうですが蒸溜所は前例がなく、また高濃度のアルコールを扱う施設ということもあって行政の許可が下りず、いまの場所に建てられました。

↑現在のヘッドディスティラー・プロダクト マネージャーのリアム モリッシーさん。アイルランド出身で、以前はウイスキーの蒸溜に携わっていました

 

また酒づくりにかかせない水は、京都・伏見の銘酒「月の桂」で知られる増田徳兵衛商店のやわらかな仕込み水を使用。そして「季の美」といえば、ベースにライススピリッツを用いていることが大きな特徴です。

↑京都蒸溜所の心臓部といえる場所。ドイツ、クリスチャン・カール社製の精巧なポットスチル(単式蒸溜機)が2基並んでいます

 

ライススピリッツとは読んで字のごとく、お米由来のスピリッツ。多くのジン(ラムなども)はサトウキビやてんさいエキスの副産物である糖蜜「モラセス」をベースのスピリッツとしますが、「季の美」では比較的高価なライススピリッツを用いることで、ほのかに甘くまろやかな味わいを芯にもっています。

 

そしてボタニカルは、前述の素材を含む計11種を採用。これらは60種以上にも及ぶなかから評価し、最もふさわしいものとして厳選されたボタニカルです。

 

では11種のボタニカルは、それぞれどんな香味特徴をもっているのでしょうか。より具体的にその魅力を知るべく、次に訪れたのが「季の美House」。京都市内の中心エリア・河原町に2020年開業した施設で、「季の美」のセミナーなども開催されているブランドストアです。

↑「季の美House」。築100年以上の町家をリノベーションした2階建ての施設となっています

 

ジンの歴史や製法も学べる

「季の美House」の1階は、3つのゾーンで構成。限定品を含む様々な「季の美」を販売する「お店の間」、「季の美」のカクテルや飲み比べを楽しめる「季の美の間」、さらにビンテージのジンも楽しめる会員制のバー「ジンパレス」となっています。

↑手前が「お店の間」で、中央が「季の美の間」。奥には美しい坪庭が設えられ、その先にある個室が「ジンパレス」です

 

↑「季の美House」でしか買えない限定品の「季の美 ハウスジン」は700mlボトルで6000円。お土産にもオススメな一本です

 

2階は、ジンの歴史や種類、製造工程などをパネルで見られる「展示の間」と、テイスティングやブレンディングをセミナー形式で学べる「混和の間」。ここでその一部を体験させてもらいました。なお、この「季の美テイスティングセミナー」は通常3000円(要予約)で体験できます。

↑「混和の間」。「季の美」のキーエッセンスとなるエレメント原酒が棚に並べられています

 

「季の美」では11種のボタニカルを6つのエレメントに分けて蒸溜し、得られた中溜区分を原酒にしてブレンド。そのエレメントは「礎」「柑」「凛」「辛」「茶」「芳」となり、この6つを味わったりブレンドしたりしながら「季の美」の奥深い魅力に触れられるのが、テイスティングセミナーの醍醐味です。

↑「季の美」公式サイトより。「礎 べ―ス」のオリスとは、シャネルの「No.5」にも使われているアイリスの根のことです

 

テイスティンググラスに入れられた原酒がシート上に並べられ、中央には完成品である「季の美 京都ドライジン」のほか、お茶のエッセンスを引き出した「季のTEA 京都ドライジン」と、英国スタイルを踏襲した力強い「季の美 勢 京都ドライジン」も。このように、きわめて贅沢な体験が3000円というのは驚きです。

↑中央の「季の美 京都ドライジン」「季のTEA 京都ドライジン」「季の美 勢 京都ドライジン」に6つのエレメント原酒を含む、計9種のスピリッツをテイスティング

 

エレメント原酒はどれも個性的なフレーバーで、なかでも単一ボタニカルの「辛(生姜)」と「茶(玉露)」は魅力がわかりやすい印象。個人的には山椒と木の芽による「凛」が好みでした。

↑「季の美 京都ドライジン」に、山椒と木の芽で蒸溜した「凛」の原酒をブレンド。ピリッとしたアクセントが加わり、エッジの効いた味わいになりました

 

数種のテイスティングやブレンディングを体験して実感したのは、完成品のバランスのよさ。事実、「季の美 京都ドライジン」「季のTEA 京都ドライジン」「季の美 勢 京都ドライジン」の3つは非常に飲みやすく、アルコール度数が高めながら飲み干すかの勢いで堪能している自分がいました。

↑セミナー後は1階「季の美の間」で「季の美 ジンソーダ」(1000円)を満喫。加水で滋味深いフレーバーが開き、炭酸の心地よい刺激が爽快な余韻を演出します

 

バーシーンも熱い京都

「季の美」の魅力は、バーテンダーの技やカクテルによっていっそう花開きます。ということで、京都市内きっての人気バーでそのおいしさを体験。1軒目は木屋町にある「BAR K6(ケーシックス)」へ。

↑「BAR K6」の西尾博之マネージャー。限定の「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」を使った「天橋立 ホワイト・レディ」を作ってくれました

 

今回のバー訪問の目的はもうひとつ。それは10月3日から京都を中心とした関西エリアで限定発売されている、「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」(700mlボトルで参考小売価格1万1000円)を味わうというものです。こちらは丹後半島「天橋立ワイナリー」で使用されたワイン樽で熟成された特別な「季の美」。京都産ネーブルオレンジと橙由来の柑橘系風味も加えられており、シトラスとバニラ香のほか、かすかにスパイシーさも感じられます。

↑左から、「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」と「天橋立 ホワイト・レディ」(1980円)、同店定番の「ジン&トニック~スダチ~」(1320円)

 

「天橋立 ホワイト・レディ」は、凝縮感のある甘みと酸味を、少量の赤ワイン塩がキュッとまとめ上げ、余韻は心地よいビターテイストが大人な印象に。「ジン&トニック~スダチ~」はスダチの和柑橘フレーバーが「季の美 京都ドライジン」と調和し、京都らしいはんなりとしたニュアンスが絶品でした。

 

そして次に訪れたもう1軒は、祇園エリアにある「祇園FINLANDIA BAR(フィンランディアバー)」。京都最大の花街・祇園甲部にある町屋バーです。

↑「祇園FINLANDIA BAR」。店先の小さな看板が目印で、この主張しない密やかな設えもたまりません

 

同店で提供いただいたのは「天橋立 マルティネス」。こちらは妖艶な甘みとビター感のあとに、シトラスが清涼感を演出する技アリな一杯。

↑「祇園FINLANDIA BAR」の世古昌弘代表

 

さらにガーニッシュとして添えられたオランジェット(柑橘チョコ)がベルモットと響き合い、「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」のシトラス感を浮かび上がらせます。和と北欧の要素が交じり合うこの空間で飲むと、このおいしさはいっそう豊かなものに。

↑同店では「天橋立 マルティネス」を1550円程度で提供しています

 

なお、「季の美」では「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」の発売に伴って、“京都に染まる”プロモーションを実施。京都では10月31日まで、府内のバーを中心とする飲食店で京都らしさを表現した各店舗のオリジナルカクテルを提供します。

 

また、東京・横浜・大阪エリアでは11月30日まで、オーセンティックバーを中心とする飲食店で各店舗のオリジナルカクテルを提供(「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」のカクテルは京都エリアのみでの提供)。

↑風情あふれる街中を闊歩しながら、京都ならではのジンの魅力に触れる旅も格別です

 

秋の京都は紅葉が最高ですが、旅行するなら食も愛でたいところ。「季の美ハウス」は体験できるスポットでもあり、訪れるべき価値にあふれています。旅行を計画中の人は、ぜひ参考に。また東京・横浜・大阪在住の人も、“京都に染まる”プロモーションは要チェックです。

 

“京都に染まる”プロモーション 概要紹介ページまたは季の美のInstagramをご覧ください。

https://www.bar-times.com/contents/105859/

https://www.instagram.com/kinobi_jp/

 

[お問い合わせ先]

ペルノ・リカール・ジャパン株式会社

[TEL.] 03-5802-2756

http://www.pernod-ricard-japan.com/

 

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女子受け間違いナシ! ロゼワインの楽しみ方

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

ワインには白と赤のほかに「ロゼ」があります。名前のとおりバラ色のワインで、ピンク色の透き通った色合いには思わず目を奪われてしまいそうです。
そんなロゼワインの特長や美味しい飲み方を紹介します!

 

 

 

ロゼワインの特長とは

ロゼワインは赤ワインと白ワインの製法をミックスして造られたもの。白ワインのフレッシュさと赤ワインの飲み応えを楽しめます。両方の良さを併せ持ったロゼワインはジャンルを問わず、どんな料理にも合わせられるのが特長です。ロゼワインは、白ワインと同様に辛口・甘口で味わいを表記します。

ロゼワインには主に3つの製法があります。

 

・セニエ法
赤ワインを造る際にも用いられる製法です。
原料は黒ブドウ。

まずは皮もついたままのブドウを軽くプレスしてつぶしてタンクに入れます。そして種や果皮を漬け込むところまでは赤ワインと同じ。

ただし赤ワインよりは早めに色がついたところで、タンク下から果汁だけを引き抜いて、発酵させるという製法。

ブドウの皮と接している時間が他の製法と比べると長いため、濃い目のロゼワインが完成します。

 

・直接圧搾法
こちらも原料は黒ブドウですが、製法は白ワインと同じです。

黒ブドウを皮がついたまま軽くプレスしてつぶしてから、果汁だけを絞り出し、発酵させます。黒ブドウをつぶす時に色が付きますが、ブドウの皮と接している時間は短いので、セニエ法よりは薄い色付きのロゼワインになります。

 

混醸法
黒ブドウと白ブドウをはじめから混ぜて、発酵させます。製法は白ワインと同じ。ドイツのロートリングが有名ですね!

基本的に赤ワインと白ワインを混ぜてロゼワインにすることはありません。

EUの規定でも禁じられていますが、唯一の例外がシャンパーニュ地方のロゼ。醸造過程で、白ワインに赤ワインを混ぜてから発酵させる製法が認められています。

 

ロゼワインの産地

ヨーロッパなど北半球のロゼワインの新ヴィンテージの出荷はいつかご存知ですか。実は春なんです。前年の秋に収穫したブドウを醸造して瓶詰されたできたてのフレッシュなロゼは春に楽しめるようになります。とにかくフレッシュなロゼを楽しみたい!というヨーロッパの方は春に新ヴィンテージをチェックするそうですよ。

ヨーロッパでロゼワインが一番楽しまれるのは、初夏。毎年、夏至にあたる6月には、第4金曜日が「ロゼワインの日」として親しまれています。近年はヨーロッパに限らず、香港やマイアミなど世界各地でロゼワインの日にちなんだイベントが開催されるほど、身近なものになってきました。

そんなロゼワインの有名な産地は、南フランスのプロヴァンス地方。フランスで生産されているロゼワインのうち、実に4割もの生産量を占めています。毎年夏至が訪れると、特産品のロゼワインを、地域をあげてみんなで楽しむのが古くからの慣習です。

プロヴァンスはヨーロッパの人たちにとっての憧れの避暑地の一つ。プロヴァンスのロゼワインといえば、夏のバカンスを象徴するイメージも持っているそうですよ。

プロヴァンス産のロゼワインの多くが、キリリとした辛口の味わいをしています。ロゼワインは甘口で初心者向きの飲みやすいワイン、というイメージを持っている日本人にとっては、意外性があるのではないでしょうか。

 

ロゼワインの消費量

ロゼワインが世界でどれだけ親しまれているのか、詳しく解説します。

 

世界のロゼワイン消費量

1位 フランス
2位 アメリカ
3位 ドイツ

消費量のシェアはフランスが36%と圧倒的に多く、次いでアメリカが15%、ドイツが7%を占めています。

出典:Observatoire internatiounal du Rose CIVP/FranceAgriMer-Dowel strategie ,2018

2017年のロゼワインの消費量は2340万ヘクトリットル(hl)で、同年の生産量2020万hlを大きく上回りました。これだけ見ても、ロゼワインが世界的にはブームになっていることが分かるでしょう。

2002年から2017年の15年間で、世界のロゼワインの消費量は30%も伸びてきていますので、このブームは一過性のものというわけではありません。

フランスでは、1990年以降ロゼワインの消費量は年々増加を続け、今ではワイン全体の30%を占めるまでになっています。白ワインの消費量は17%なので、ロゼワインが白ワインよりもかなり売れているということです。

アメリカでもロゼワインの売上は年々伸びてきていて、2017年には前年比で53%もの増加を記録しています。

大幅な伸びをしてはいるものの、テーブルワイン市場でロゼワインが占める割合はアメリカではまだ低いので、これからさらに伸びることが予想されます。

フランス、アメリカに限らず、カナダ・イギリス・香港・スウェーデンといった国でも、ロゼワインの消費量は大幅に伸びてきています。

 

世界ではロゼワインがブーム!

ロゼワインのブームは、1980年~2005年にかけて生まれたミレニアル世代が火付け役になったといわれています。

ミレニアル世代は、10代のころからインスタグラムやツイッター、フェイスブックといったSNSを使いこなしてきた世代。

ロゼワインの色合いがインスタ映えしやすいという要素もあり、ミレニアル世代の女性たちがロゼワインの写真を拡散したことで、一気に人気が広がりました。

また、赤ワインや白ワインとは違い、気軽に楽しめる雰囲気がロゼワインにあったのも、ブームになった要因のひとつです。

ニューヨークでブームとなった「フロゼ」(フローズンとロゼを組み合わせた飲み物)はその象徴といえます。

フランスでは、夏場は昼からよく冷えたロゼワインを飲むことがちょっとした流行になっていて、気軽に飲める雰囲気が形成されてきているようです。こうした変化も、消費量が増えている理由なのかもしれません。

赤ワインや白ワインよりも、ワインの知識がなくても自由に楽しめるというイメージがあるのがロゼワイン。人生を楽しもうとする最近のトレンドとロゼワインの気軽さがしっくりはまったのが、ブームを巻き起こしたといえるかもしれませんね。

 

ロゼワインの美味しい飲み方

ロゼワインを美味しく飲むには温度とグラスがポイント。ロゼワインの適温の目安は6~10℃。辛口の白ワインと同じくらいです。

ワインクーラーに氷水を入れて15分くらい、冷蔵庫では3~4時間冷やしましょう。

甘口ほど冷やした方がすっきりし飲みやすくなります。グラスは気温の影響を受けにくいボウルが小さいタイプを。ステム(持ち手)が長ければ手の熱が伝わりにくくなりますよ。

ロゼワインはそのままでも美味しいですが、飲み方によって違った味わいを楽しめます。

例えばオン・ザ・ロック。氷が解けるにつれて微妙に口当たりや香りが変化します。光を反射したロゼ色の氷は宝石のようです。

カクテルにするならサングリアみたいにフルーツを加えてみましょう。赤いイチゴやラズベリーがぴったり!

グラスの中で潰したら柑橘系のジュースを30mlほど注ぎ、ロゼワインでグラスを満たします。

甘味が欲しければガムシロップを。ジュースの代わりにピンクグレープフルーツを絞ると、ピンク色が強調されてほんのりビターな味わいになります。

ロゼワインと色合いが近い梅酒と同量ずつ割っても彩りがきれいでほのかに甘いカクテルができます。

 

ロゼワインに合う料理とは

赤ワインなら肉料理、白ワインなら魚料理が定番ですが、ロゼワインは肉料理にも魚料理にも合わせられるのが特長です。さらに日本食や洋食、中華など幅広い料理に向いています。逆に合わない料理を探すのが難しいくらいです。

特に相性がいいのは味噌や醤油、トマト、チーズなど旨み成分が豊富な調味料や食材。発酵食品との相性も抜群です!

お刺身や味噌田楽、酢豚、ピザ、漬物(ピクルス)などのお供にすれば両方の味わいが引き立ちます。同じロゼワインでも脂っこい料理なら辛口、スパイシーな料理には甘口がオススメです。

初心者さんは、ロゼワインの色合いに合わせて料理を選ぶのが、料理にピッタリのロゼワインを選ぶコツ。

色の淡いロゼワインは、白ワインのように爽やかな口当たりをしています。なので、魚料理やサラダ、スイーツなどと合わせると間違いないでしょう。

逆に、色の濃いロゼワインは、渋みや香りが強く感じられるので、肉料理や中華料理など、味つけの濃い料理と合わせていただくのがベストです。

また、ロゼワインの発祥地、プロヴァンスの南仏料理に合わせてみるのもいいでしょう。

トマトやツナ、アンチョビなどを使ったニースサラダや、魚介類のエキスたっぷりのブイヤベースは、ロゼワインとの相性が抜群です。トマトベースのスープに野菜がたっぷりと入ったラタトゥイユと、ロゼワインとの組み合わせもなかなかいけます。

さすがにステーキやビーフシチューのようながっつりした牛肉料理は赤ワイン、カルパッチョや昆布締めのようなさっぱり薄味に仕上げた魚料理は白ワインに軍配が上がります。その中間ならロゼワイン1本で満足できるでしょう。

料理に合わせるワインに困ったときの強い味方になりそうです。

 

ロゼワインに合う料理のレシピを紹介

・牛肉とピーマンのしょうがオイスター炒め

材料(4人分)

牛切り落とし肉 400g
しょうが 100g
パプリカ 1個
ピーマン 4個
サラダ油 大さじ4
粗挽き黒こしょう 適量

●A
酒 大さじ2
塩 小さじ1
片栗粉 大さじ2

●B
オイスターソース 大さじ2
酒 大さじ2
砂糖 小さじ1

 

作り方

1.幅1センチの細切りにした切り落とし肉をボウルに入れて、Aを加えて混ぜます。皮をむいたしょうがは、幅2、3ミリの細切りにして塩をまぶしておきます。しんなりしてきたら水で洗い水気を切ってください。パプリカ、ピーマンは種を取ってから、幅5、6ミリになるように縦に切ります。

 

2.フライパンにサラダ油大さじ2入れて、しょうがを中火で炒め、香りが出てきたらパプリカとピーマンを入れて炒めます。

 

3.野菜を端に寄せて、空いたところにサラダ油大さじ2を入れて、牛肉をほぐしながら炒めていきます。肉に火が通ってきたら、Bを加えて全体的になじませましょう。お皿に盛ってから、仕上げに粗挽き黒こしょうを適量かけてできあがり。

 

・はまぐりのクリームソース

材料(4~5人分)

はまぐり(砂抜きしたもの) 600g
玉ねぎ 1個
にんじん 2/3本
白ワイン 200ml
バター 40g
生クリーム 400ml
塩 適量
こしょう 適量
パセリ 大さじ4

 

作り方

1.殻と殻をこすり合わせるようにしてはまぐりを洗います。洗い終わったあとは、水気を切っておきましょう。玉ねぎ、にんじんはみじん切り(5ミリ角くらい)にします。

 

2.はまぐりを鍋に並べ、玉ねぎとにんじんを上にのせます。白ワインを回し入れて、バターを加えます。フタをして、はまぐりの口が開くまで中火にかけて蒸し煮にします。

 

3.生クリームを加え、塩・こしょうで味のバランスを整えます。お皿に盛ってから、仕上げにパセリを振りかけましょう。

 

まとめ

ロゼワインは赤ワインと白ワインの良さを併せ持っているので、ワイン好きならすぐに馴染めるはず。

赤ワインより軽く、白ワインよりしっかりした味わいはどんな料理にでも合わせられます。そのまま飲んでも、カクテルにしても見た目の美しさも際立ちますね。いろんな飲み方や料理との組み合わせを楽しんでみましょう。

泡立ち2倍以上の「生ジョッキ缶大生」誕生! 担当者が明かす物づくりの裏側

2021年のビール市場における最大のヒットといえば「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」(以降、生ジョッキ缶)。今年10月25日(火)から大容量の「生ジョッキ缶大生(だいなま)」(以降、大生)が仲間入りし、2サイズ展開になります。

 

2022年春には「アサヒスーパードライ」(以降、スーパードライ)が発売36年目で初のフルリニューアルを実施したことで、中味のおいしさにも磨きがかかっており、ますます見逃せません。「生ジョッキ缶」のヒットと「大生」の気になるポイントについて探っていきましょう。

アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶大生

開栓するときめ細かい泡が自然発生し、飲食店の生ジョッキのようなおいしさが楽しめる世界初(※1)の商品。新作の缶485mlは、既存の缶340mlより泡立ちが2倍以上(※2)となり、満足感もアップ。

 

ふくらむ泡の楽しさや樽生ビールのようなおいしさで大ヒット

2021年4月に発売されると、たちまち社会現象ともいえる売れ行きを記録した「生ジョッキ缶」。想定を上回る注文に対し商品供給が追い付かず、一時休売となったことで“幻のビール”となったことも記憶に新しいでしょう。

 

ヒットの背景にあったのは、シルキーな泡が沸き出るようにふくらむ楽しさや、まるでお店で生ジョッキを飲んでいるかのような体験。コロナ禍によって、飲食店でビールを楽しみづらくなったことが、ニーズを掘り起こしたという側面もあります。

 

画期的な発明が生まれた舞台裏にある5つのこだわり

では、記憶に残る大ヒット作はどのようにして生まれたのでしょうか? アサヒビールの担当者に、物づくりへのこだわりを聞きました。

↑アサヒビール株式会社 マーケティング本部 ビールマーケティング部 宇都宮 敬(うつのみや けい)さん

 

1.泡立ちの仕組みはシャンパングラスと同じ発想だった

↑プルトップを開けた途端、白くきめ細かい泡が沸き上がる様子は見た目にも楽しめます

 

まず気になるのは、なぜ「生ジョッキ缶」はここまでクリーミーな泡が出続けるのか? ということ。その秘密は、特別に設計された缶にありました。

 

「ビールに限らず、炭酸飲料でも泡は出ますよね。あの泡は、開封時の気圧差による部分が大きいのですが、液体に含まれる炭酸ガスはデリケートで、刺激に敏感。その性質を最大限に生かしたのが『生ジョッキ缶』なんです」(宇都宮さん)

 

例えば、ガラス製で内面がツルツルのグラスと、陶器でザラザラしたグラス、それぞれにビールを注いだ場合、より泡がふくらむのは後者。また、シャンパングラスに注いだスパークリングワインの泡が底からきれいに上昇するのも同様の性質を利用したものであり、こうした構造が「生ジョッキ缶」にも活用されているとか。

 

「シャンパングラスの底をよく見ると、実は小さな傷がついているかと思います。液体内の炭酸ガスがこの凹凸に反応することで、泡が出続ける仕組みになっているのですが、こちらを応用しました。『生ジョッキ缶』も、缶の内部にきわめて小さなクレーター状の凹凸を設けることで、細かな泡が自然発生するのです」(宇都宮さん)

 

なお、この泡は通常の缶からグラスに注ぐときにできる泡の約1/5サイズのきめ細かさ! クリーミーな泡のテクスチャーによって、いっそう生ジョッキで飲むような口当たりが実感できるのです。

↑「生ジョッキ缶」の内側は、実は特殊な構造となっているんです

 

↑左はそれぞれ缶の内側を200倍に拡大した画像。上が一般的な缶の内側で、下が「生ジョッキ缶」の内側。アルミに特殊な塗料でクレーター状の凹凸を設け、沸き出るような泡立ちを実現しています

 

2.2つの独自技術が組み合わさって日の目を見た!

外観からも一見して“違い”を感じさせワクワク感を高めるのが、広口のフタ。

 

宇都宮さんに特殊な缶が生まれたきっかけを聞くと、それは約10年前にさかのぼるとか。開発秘話を教えてもらいました。

 

「私たちはビールをもっとおいしく、楽しくしたいという思いで、味に限らずさまざまな開発を行っています。そのなかで、10年ほど前に当社の研究所が生み出した技術が、全開できる缶ブタでした。ただそれだけでは実用には至らないということで、ひとつのアイデアとして温存することに。そこから約6年後、また新しい技術が開発されたことで、以前の遺産が生かされることになったのです」(宇都宮さん)

 

その新技術は、泡が自然と沸くように発生させる前述の凹凸構造。このときは一般的な缶ブタの小さい穴から泡を出す想定でしたが、やがて開発チームは「あれ、待てよ?」とひらめくのです。それが、全開できる缶ブタと組み合わせてダイナミックに泡を沸き出す発想でした。

 

「お客様調査のなかから、コロナ禍によって浮かび上がってきたのが『外で飲めない時期だからこそ、お店で飲むようなビールを自宅でも飲みたい』という声でした。お店で飲むビールのおいしさには、クリーミーな泡が欠かせません。その体験を、私たちの技術を組み合わせることで、叶えられるのではないかと。そうした経緯から、『生ジョッキ缶』が生み出されたのです」(宇都宮さん)

 

3.泡がさらに!?「大生」は泡立ち2倍以上(※2)で楽しめる!

↑大容量になった「大生」では、泡立ちがさらにアップしています

 

10月25日に新発売となる「大生」は、既存の340mlサイズの「生ジョッキ缶」よりも泡立ちが2倍以上(※2)に。飲み口全体が泡で覆われるまでの時間が大幅に短縮し、より開封してすぐに泡の魅力を楽しめるようになっています。

 

では、なぜ泡立ちを2倍以上(※2)にできたのでしょうか? その答えは、意外にもシンプルなものでした。

 

秘密は、缶の大きさです。缶340mlより缶485mlのほうが表面積は大きいですよね。そのぶん増幅させる面積も大きくなるので、泡立ちの勢いも増すのです。大容量な分、満足度も高いですから、ぜひゴクゴクと楽しんでいただきたいですね」(宇都宮さん)

 

泡立ちに関して、宇都宮さんは「“泡が泡を呼ぶ”イメージ」と言います。ビールの泡は、泡と接触すると増幅する性質があり、その泡の数が多くなる缶485mlのほうが、泡立ちのスピードも速くなるのだとか。

 

4.飲料缶で世界初! エッジには口や手が切れない構造に

↑缶ブタはきれいに取り去れます。このエッジにもアサヒビールの技術が注がれていました

 

缶のフタがフルオープンすると聞いて、気になるのが飲み口の安全面ではないでしょうか? その点も「生ジョッキ缶」は問題なし。縁の部分に特別な安全構造を採用することで、口や指を切ってしまうことはありません。

 

「飲み口の安全面に関しては、もともと存在した技術『ダブルセーフティ構造』を採用しております。一部の缶詰などで実用されているものですが、飲料缶では『生ジョッキ缶』が初めてですね」(宇都宮さん)

↑缶体とフタの両方のエッジに、切れない構造を採用

 

5.売れすぎて一時休売…結果、生産体制は当初の5倍以上に増強された!

「生ジョッキ缶」の発売当初、想定を上回る注文に対して商品供給が追い付かず、一時休売したことは前述しましたが、段階を経てついに2022年7月下旬から通年販売に。これは供給体制が整ったからでしょうか?

 

「はい。一時はお客様や販売店様などに大変ご迷惑をおかけしましたが、やっと通年販売させていただけるようにできました」(宇都宮さん)

 

一時休売になるほどの状況に、製缶メーカーにおける缶ブタの製造ラインを増設。当初の5倍以上にまで生産能力をアップさせることで、通年販売への態勢を整えたのです。

 

「今回、缶340mlに加えて缶485mlの『大生』も新たに展開するわけですから、その分の余裕ももって、当初の5倍以上へと拡充させました」(宇都宮さん)

 

ベストなおいしさで楽しむコツは温度にあり!

↑より泡立ちよく楽しむには?

 

「生ジョッキ缶」と「大生」ともに、泡のポテンシャルを最大限に生かして飲むにはコツが必要です。それは、しっかりと冷やすこと。

 

「飲み頃は4℃~8℃。温度が低いと泡は少なめ、温度が高いと泡が多めにと、温度によって泡立ちが変わります。ぜひ、お好みの泡を探していただきたいですね」(宇都宮さん)

↑適温に関しては、缶にも記載されています。10℃以上はふきこぼれに注意しましょう

 

シチュエーションに関しては、宇都宮さんは個人的にどのようなシーンで「大生」を楽しみたいですか?

 

「一番は乾杯のシーンですね。特に週末や、何か大きな仕事やチャレンジをやり遂げた、成功したときにゴクゴク、プハァーッと飲みたいです。自分へのご褒美に、自宅で乾杯というのもいいですし、チームの仲間と一緒に乾杯するシーンも最高ですね」(宇都宮さん)

 

国内外で認められているビール界の傑作

2021年度の「グッドデザイン賞」や、国際的なコンテスト「インターナショナルビアチャレンジ2021」の「デザイン&パッケージ部門」で金賞を受賞するなど、国内外で多数のアワードに輝いている「生ジョッキ缶」。まだ飲んだことがないという人も、ぜひ「大生」誕生をきっかけとして、驚きのおいしさを実感してみては?

 

※1:フルオープンかつ自然発泡する缶を用いた世界初の商品(2021年10月Mintel社製品データベースおよびアサヒビール調べ)
※2:開栓時8℃の状況における泡の生成速度を340ml缶と比較。冷やす温度により泡立ちは異なる(アサヒビール調べ) 

 

●商品に関するお問い合わせ/アサヒビール株式会社 お客様相談室
TEL 0120-011-121
https://www.asahibeer.co.jp/superdry/namajokkikan/

取材・文/中山秀明 撮影/湯浅立志(Y2) 撮影協力/TOP UP、EASE

ホッピーミーナが語る! 焼酎のベストパートナー「ホッピー」の噺

【意外と知らない焼酎の噺08】

 

『古典酒場』編集長の倉嶋紀和子さんがナビゲーターとなって探っていく「意外と知らない焼酎の噺」。今回のテーマは、前回の「チューハイ」と並んで甲類焼酎の飲み方として定番の「ホッピー割り」。東京で生まれて昔から焼酎の割り材として人気の「ホッピー」。その誕生から現在までの歴史と変遷、美味しい飲み方を、“ホッピーミーナ”(以降はミーナ)ことホッピービバレッジ株式会社(東京都港区)代表取締役社長の石渡美奈(いしわたり みな)さんに伺います。

 

●ホッピーミーナ(石渡美奈)・左/ホッピービバレッジ株式会社の三代目代表取締役社長。社長業の他、ラジオ番組『看板娘ホッピーミーナのHOPPY HAPPY BAR』(ニッポン放送)でパーソナリティーを務めるなど多岐にわたって活躍中。
●倉嶋紀和子・右/雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名。令和4年(2022年度)「酒サムライ」の称号を叙任

 

そもそも「ホッピー」とは?

まずは、ミーナさんに「ホッピー」について詳しく聞くために、赤坂にあるホッピービバレッジ本社に伺いました。いったい「ホッピー」ってどんな飲料なのでしょうか?

↑ミーナさんとは10年以上の付き合いがあり、雑誌『古典酒場』の企画で全国津々浦々を一緒に回った倉嶋さん。和気あいあいとインタビューが進みます

 

ミーナ「『ホッピー』とは、ビールと同じ原材料と醸造発酵技術で造られたドリンクです。アルコール度数が1%未満の0.8%であるため酒税法上のお酒ではなく清涼飲料水となり、ビアテイスト飲料の先駆けでもあります」

 

倉嶋「0.8%というのが『ホッピー』のおいしさを司る特徴であり、魅力でもありますよね!」

 

ミーナ「そう! アルコールはコンマ数%でもうまみですから。0.8%といえどもしっかり発酵させて造っているところがこだわりの1つです」

 

原材料と醸造への徹底したこだわりがあり、現在の麦芽はカナダおよびドイツ産の二条大麦、ホップは世界最高級のドイツ・ハラタウ産のアロマタイプとビタータイプを使用。さらに酵母はドイツ・ミュンヘンの酵母バンクでホッピー醸造のために厳選された下面発酵酵母を用い、水は清らかな秩父山系の天然水を使っているそうです

 

ミーナ「製法も一般的なビールと同じですが、0.8%のアルコール度数でベストなおいしさを追求。麦汁濃度、使用酵母、発酵時間など、すべてが当社秘伝のノウハウで造っています」

 

↑ホッピービバレッジ調布工場の内部。ここでホッピーが造られている

 

倉嶋「低カロリーで低糖質、プリン体ゼロというのも嬉しいポイントですよね。焼酎も同様に糖質ゼロ、プリン体ゼロですから、おいしく酔えて罪悪感もないという(笑)。やっぱり焼酎のホッピー割りは最高のお酒です!」

 

親しみやすい名称の由来は、当初は本物のホップを使ったノンビアで「ホッビー」と創業者が考えましたが、語呂が良くないので「ホッピー」にして販売したそうです。

 

ミーナ「ホッピーのロゴにも秘密があって、この『ピー』の字は、夜空を仰いで笛を吹く少年の姿をイメージして父(二代目・石渡光一氏)が考えたんです」

 

↑ロゴの「ピー」の字にも二代目社長のこだわりが

 

「ホッピー」誕生秘話

「ホッピー」が商品として発売されたのは、1948(昭和23)年のこと。そこに至るまでには妥協しないものづくりへの探求と挑戦がありました。

 

ミーナ「当社は1905(明治38)年に祖父(石渡秀氏)が五個連隊の御用商人を拝命して、餅菓子を納めていた『石渡五郎吉(ごろきち)商店』がルーツです。いまの『東京ミッドタウン』あたりですね。その後、海軍伝いにラムネの伝来をいち早く聞きつけ、ラムネの製造を始め『秀水舎(しゅうすいしゃ)』を設立しました」

 

やがて大正時代末期になると、本物のビールは手に入りにくい時勢だったのでビールの代用品としてノンビアがブームとなり、「秀水舎」にもノンビアの製造依頼が舞い込みます。ただ、当時は中小企業にとって良質な原材料が入手困難な時代でした。創業者は「まがいもので作ることはまかりならん」と、製造を断固拒否。引き続き清涼飲料水を手掛けつつ、長野に「千曲(ちくま)飲料合資会社」を設立してホップ農家の方々とご縁をいただき、本物の原材料にこだわったノンビアの製造開発着手に至りました。

 

倉嶋「長野といえば、有名な国産ホップ『信州早生(しんしゅうわせ)』のふるさとですし、ホップ開拓の光を長野に見出したんですかね」

 

ミーナ「直接祖父に聞いた事はないんです。でも、なぜ長野だったんだろうと考えると、ホップの名産地だったからとしか考えられません。祖父も父も『酒造りは男の浪漫(ロマン)』と言っていました。だから、本物のホップが入手できるなら理想とするノンビアも造れると。そこで長野に研究拠点を作る、ということは祖父ならあり得ると思います」

 

倉嶋「そうして昭和になり、戦争を経て『ホッピー』が発売されるわけですよね。でも1948年って、戦後すぐじゃないですか。当時の時代背景からすると、すごいスピードの早さですね」

 

ミーナ「長野にあり戦火を逃れた製造設備をいち早く赤坂へ移設し製造を再開できたことも一つの要因ですが、何よりも復興への情熱ですよね。それに、戦時中は思うように造れなかったというジレンマもあったでしょうし。私自身あらためて、すごい人だなと思います」

 

倉嶋「でも終戦後すぐだったからこそ、『ホッピー』のおいしさがいっそう際立ったとも思うんです。当時は食糧難で、ビールは高嶺の花。焼酎も粗悪なものが少なくなかったと聞いていますから、『ホッピー』が焼酎をおいしく飲む割り材として礼賛されたんじゃないかなって気がします」

 

ミーナ「ありがたいことです。ビールより安くておいしく早く酔えるということで、市民権を獲得していったと聞いています」

 

倉嶋「でも、当時の販路はどうやって広がったんですかね? 『ホッピー』の聖地っていくつかあるじゃないですか。浅草には『ホッピー通り』があり、神奈川にも横浜には名店『ホッピー仙人』さん、横須賀には『ホッピー』の『横須賀割り(後述)』がありますよね」

 

ミーナ「これも祖父の人脈ですね。当時の『ホッピー』ファンが、祖父との信頼関係で各地にプッシュしてくれたと聞いています。あとは、浅草には祖父の弟が住んでおり、横須賀も熱心に販売してくれる方がいらっしゃったと。そうしたご縁のなかでホッピー文化が根付き、育てていただいたんです」

 

2000年代以降に「ホッピー」が飛躍した背景

首都圏の大衆酒場を中心に支持されていった「ホッピー」は、赤坂から調布に工場を移転したり、ドイツ産のホップや酵母に切り替えたりと徐々に品質が向上していきました。また、2000年代以降は健康志向の高まりによって「ホッピー」のヘルシーさが注目されたり、焼酎人気や昭和レトロブーム、せんべろ文化が追い風になったりと、様々なトレンドによって「ホッピー」の認知が広まっていきました。

 

ミーナ「女性の社会進出や、インターネットによる情報拡散も大きかったと思います。雑誌『古典酒場』や倉嶋さんの影響力もありがたかったです」

 

 

倉嶋「そんなそんな。ミーナさんの発信力もすごかったですよ。ミーナさんのファンがネット上でつながって、イベントに集まったこともありましたよね。若い女性が大衆酒場で『ホッピー』をおいしく飲み始めたのがまさに2000年代。時代が変わるターニングポイントを、リアルタイムで実感したことを昨日のように思い出します!」

 

ミーナ「全国的に知っていただけるようになったことは非常にありがたいと思っています。ただ、『ホッピー』のふるさとは東京であり首都圏。あくまで東京のご当地ドリンクとして、全国へ発信していきたいですね」

 

「ホッピー」の種類

ひとことで「ホッピー」といっても、そのバリエーションは豊富。代表的な3種と、飲食店限定の希少な「樽ホッピー」の各詳細をミーナさんに教えてもらいました。

 

●ホッピー(360ml)

俗称で「白」とも呼ばれる定番。淡色麦芽を使って醸造発酵させているのが特徴。すっきりとした味わいで、飲み飽きない逸品。

 

●黒ホッピー(360ml)

約10年の研究開発を経て「ホッピー」誕生から44年後の1992年に誕生。日本人の口に合う黒タイプビアテイスト飲料として、4種類の麦芽がブレンドされている。

ミーナ「重すぎず飲みやすいうえ、飽きのこない深みも持ち合わせた美味しさの秘密は、醸造マイスターによる絶妙なブレンディング技術とセンスがカギ。香ばしさと苦味の程よいバランス、まろやかな甘みが特徴です」

 

●55ホッピー(330ml)

「ホッピー」誕生55周年を記念して作られた。俗称「赤」。プレミアムタイプの「ホッピー」で、麦芽使用率100%かつ、海洋深層水を一部使用し醸造時間も通常の倍をかけてじっくり丁寧に熟成している。

ミーナ「ビールに一番近いビアテイスト飲料の味に仕上げており、麦芽のコクとホップの爽やかな香りは、のどの渇きを癒すのに最適です」

 

●樽ホッピー

限られた飲食店で提供されている「樽ホッピー」。殺菌方法が瓶と異なり、よりフレッシュな味わいの特別な「ホッピー」。

ミーナ「生ビールと同じくサーバーから注がれるため、きめ細かくやわらかい泡が魅力的。非常に繊細な商品なのでお取り扱い店舗が限定されているのですが、ファンの方々の間では、『樽ホッピーを探せ!』運動があるとかないとか言われてるんですよ(笑)」

 

なお、市販の商品では「ホッピー」が「ホッピー330」、「黒ホッピー」が「ホッピーブラック」という330mlボトルで販売。ガラスびんを採用しているのは、外光から美味しさを守るためという理由に加えてもう1つあります。それは、ガラスびんは天然素材のため何度もリサイクルでき、地球環境の保護にも応えるエコな容器だから。

 

倉嶋「ちなみに、『ホッピー』と『黒ホッピー』が360mlとなっているのは、専用の500mlジョッキでおいしく飲むためですよね。ということで、次は実践編。場所をお店に代えて、ホッピー割りを存分に楽しみましょう!」

 

「ホッピー」の飲み方

お伺いしたのはホッピービバレッジ本社から近い「煮込み居酒屋 寅 赤坂店」。2022年の6月にオープンしたばかりですが、早くも人気を集めているお店です。

↑まずはキンキンに冷えた3冷ホッピーで乾杯!

 

ミーナ「まずは『ホッピー』の基本スタイル、『3冷(さんれい)』をご紹介させてください。これは『ホッピー』、焼酎、ジョッキの3つをよく冷やしていただく飲み方がネーミングの由来です。

ずっとおいしく飲んでいただきたいので、『ホッピー』と焼酎をよく冷やし、ジョッキは凍らせることをオススメしています」

↑ホッピー、焼酎、ジョッキの3つをよく冷やしておくのが「3冷」スタイル

 

↑「煮こみ居酒屋 寅 赤坂店」では、冷えたジョッキに冷えた宝焼酎とホッピーを注ぐ「3冷」スタイル!

 

倉嶋「『3冷』は1970年代前半ごろに発案された飲み方なんでしたっけ?」

 

ミーナ「そう聞いています。しかしながら、いつしか氷を入れて飲むスタイルが定着しているとも感じていました。そこで当社では1990年代後半から、あらためてこの飲み方を『3冷』と命名。飲食店様などを中心に『3冷』のおいしさを知っていただくなど、『3冷』を広めていく活動を推進していきました」

↑しっかり冷やされているホッピー専用の500mlのジョッキ

 

倉嶋「そして『3冷』で飲むのに適したグラスが専用の500mlジョッキですよね。★印が焼酎を入れる目盛り代わりになっていて、割りやすいという」

 

 

ミーナ「はい。下から1つめが70ml。2つめが110mlの目安となっていて、こちらに360mlの『ホッピー』を注ぐと、泡も含めてきれいに収まります。『横須賀割り』は140mlベースの焼酎濃いめなタイプで、泡が立たないように注ぐ、または泡があふれないように継ぎ足すなどして調整する飲み方ですね。ちなみにこの★は、父が北斗七星をモチーフにしてデザインしたものなんです」

 

倉嶋「笛を吹く少年のモチーフ以外にもあったんですね。しかも北斗七星とは、なんとロマンチックな先代社長!」

↑ホッピービバレッジの本社には、歴代の製品、オリジナルラベル製品とともに先代社長・石渡光一氏の写真が飾られています

 

3つの公式レシピでますます美味しい「ホッピー」

倉嶋「そういえば、『中(なか:焼酎)』と『外(そと:ホッピー)』ってあるじゃないですか。あちらはどなたが発案したものなんでしょう?」

 

ミーナ「『中』と『外』に関してはわからないですが、お酒が好きな方が考えたのではないかと思います。私たちとしては『3冷』で1杯飲み切っていただくことをオススメしているので、途中で焼酎や『ホッピー』を追加することは提案していません。とはいえ、お客様が自分で自由に割って作る楽しさも『ホッピー』の魅力だと自負しています。焼酎で割らずに飲む『ホッピー』も美味しいですし」

 

倉嶋「はい! 私は『ホッピー』の遊び心というか、この余白も大好きなんです。『3冷』を基本に、3つの公式アレンジレシピもありますよね」

ミーナ「ありがとうございます。ではそのレシピも1つずつ解説しますね。まずは『ハーフ&ハーフ』。こちらは『ホッピー』と『黒ホッピー』を、名前の通り半分ずつ注げばでき上がり。和洋中、どんな料理とも相性ぴったりのドリンクです。

次は『ウルトラD』。アルコール度数25%の甲類焼酎を専用グラスの★2つめまで注いだ、アルコール度数が約7%の飲み方です。醸造による『ホッピー』のコクと蒸留酒である焼酎のスッキリした飲み口が絶妙で、『ウルトラドライ』から『ウルトラD』と名付けられました。なお、★1つめまで注いだ場合のアルコール度数は約5%となります。

3つめは『プレミアムライト』。まずはシャーベット状に凍らせたアルコール度数20%の甲類焼酎を、ジョッキ1つめの★半分(35ml)まで入れます。そこによく冷やしたアルコール度数25%の甲類焼酎を1つめの★上(35cc)まで注入。あとはよく冷やしたホッピーを勢いよく注げばでき上がり。アルコール度数が約4.8%の、ライトな口当たりが楽しめます」

 

倉嶋「あらためてお話を伺うと、『ホッピー』は本当に面白いドリンクですね。ミーナさんは『ホッピー』に合う甲類焼酎の良さとは何だとお考えですか?」

 

ミーナ「『ホッピー』の美味しさを際立たせつつ、アルコールのうまみをちゃんと伝えてくれるのが甲類焼酎。立ち位置が『ホッピー』と似ているとも思います。どちらも主役のようで、脇役のようなバイプレイヤーでもある。でもだからこそ味があるし、どんな食事にも合うベストパートナーだと思います」

 

倉嶋「蒸留酒の甲類焼酎を醸造酒テイストの『ホッピー』で割るという、この組み合わせはかなり珍しく、それでいてベストマッチな美味しさ。私はこの絶妙なバランスも大好きです!」

 

オススメの飲み方とおつまみはこれだ!

最後はおふたりにオススメの「ホッピー」の飲み方と、フードペアリングを聞きました。飲み方に関しては、ともに「3冷」が大前提。ミーナさんは、前述の「ウルトラD」がオススメだといいます。

 

ミーナ「個人的には、アルコール度数25%の甲類焼酎を専用グラスの★2つめまで注いだ『ウルトラD』がベスト。でも、何をおいしく感じるかは人それぞれですから、お好きな飲み方で楽しんでいただければ幸いです」

 

倉嶋「私はカスタマイズできるのが魅力だと思っており、ちょっとお酒を控えたいなと思う時は、薄めで割って美味しいし、ガッツリ飲もうという日は『横須賀割り』で飲むのもよし。カクテルとしては『ホッピー』と焼酎とトマトジュースでレッドアイ風にするのがオススメです。ジョッキの縁に塩を付けたスノースタイルにすれば、もうどんどん進んじゃいますね(笑)」

 

フードペアリングに、ふたりとも「何にでも合う」という意見で一致。特に「ホッピー」はオールラウンドで、「黒ホッピー」はコクが豊かな料理に合うといいます。

 

ミーナ「おつまみは何でも合いますね。今日のお店(煮込み居酒屋 寅 赤坂店)なら、繊細な味わいの『豆腐の浅漬け』に、甘み豊かな『とうもろこしの天ぷら』、名物の『自家製八丁みその牛もつ煮込み』のような濃厚なものまで。ちなみに、意外な組み合わせでいえば『黒ホッピー』にティラミスを合わせる楽しみ方はぜひ試していただきたいです」

 

↑「煮込み居酒屋 寅 赤坂店」の名物「自家製八丁みその牛もつ煮込み」800円

 

倉嶋「ティラミス、いいですねー! 確かに、お刺身からスイーツまで何にでも合うのが『ホッピー』です。私は東京に来てから、もつ焼きと『ホッピー』のマッチングを覚えましたが、もちろんもつ煮も最高。特にこちらの『牛もつ煮込み』はコク深い八丁味噌ベースなので、『黒ホッピー』がいっそう合いますね!」

 

甲類焼酎のベストパートナーであり、アレンジも自由自在で料理との相性も幅広い「ホッピー」。あらためてお店やご自宅で楽しんでみてください。その際は「3冷」で飲むこともお忘れなく!

 

 

【取材協力】

煮込み居酒屋 寅 赤坂店

住所:東京都港区赤坂3-15-6 B1
営業時間:11:00~14:00、17:00~23:00(フードL.O.22:30/ドリンクL.O.22:45)
定休日:日祝

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2022年9月15日)

 

撮影/我妻慶一

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

【意外と知らない焼酎の噺】バックナンバーはこちら▼

「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】
「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】
いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺【意外と知らない焼酎の噺03】
芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺【意外と知らない焼酎の噺04】
麦焼酎の歴史とつくりを知り、味わいを楽しむ噺【意外と知らない焼酎の噺05】
焼酎の味わいを決める「樽貯蔵熟成酒」について宮崎・高鍋で学ぶ噺【意外と知らない焼酎の噺06】
「チューハイ」ってどんなお酒? その歴史や魅力を深掘りする噺【意外と知らない焼酎の噺07】

アイリッシュウイスキーの革命児だ! 味もデザインも次世代を感じさせる「ロー アンド コー」をレビュー

お酒のカテゴリーでますますアツいのがウイスキー。2014~2015年の朝ドラ「マッサン」などをきっかけに日本でもいっそう加熱していますが、これは世界的な一大トレンドとなっています。特にジャパニーズウイスキーやスコッチのシングルモルトが絶好調ですが、アイリッシュウイスキーの人気も見逃せません。

↑日本でも、アイリッシュウイスキーはきわめて伸長しているカテゴリーとなっています

 

そこで今回紹介するのが、この9月6日から日本での発売を開始した「ROE & CO」。発表会に参加してわかった商品特徴や、テイスティングの感想、おすすめの飲み方、レシピなどをお伝えします。

↑アイリッシュウイスキーにも追い風が吹くなか、日本上陸したのが「ROE & CO(ロー アンド コー)」です。700mlボトルで参考価格は4000円強

 

18世紀に設立した伝説の蒸溜所がルーツ

アイリッシュウイスキーはその名の通り、アイルランド産ウイスキーのこと。世界五大ウイスキーのひとつであり、ピート(泥炭のことで、スモーキーフレーバーの要となる)を焚かない、3回蒸溜(基本は初溜と再溜の2回)が伝統的とされているためスムースでやわらかな飲み口のタイプが多い、というのが特徴です。また、ウイスキーのスペルを「WHISKY」ではなく“E”を入れて「WHISKEY」と表記することもアイリッシュならでは。

↑「ROE & CO」も「WHISKEY」表記です

 

伝統を重んじながらも、「ROE & CO」は革新的な手法に満ちあふれているのが魅力。出自からしてユニークで、開発がスタートしたのは2007年と近年ですが、ルーツは18世紀までさかのぼります。

 

それは1757年。ピーター・ローという実業家が、ダブリンに「トーマス・ストリート蒸溜所」を設立したことに端を発します。その後1832年に、一族のジョージ・ローが受け継ぎ「ジョージ・ロー・アンド・カンパニー」へとリブランド。やがて1887年にはヨーロッパ内で最も大きな蒸溜所として名を馳せます。当時、世界のウイスキーは6割がアイリッシュだったとか。

 

しかし第一次世界大戦に伴う経済の低迷や、取引先の米国における禁酒法など、受難の時代を迎え1926年に蒸溜所は閉鎖。こうして長年眠っていましたが、隣接する「ギネス」のセントジェームズゲート醸造所が敷地の一部を購入することに。やがて数十年後にはアイリッシュウイスキーのリバイバルが起こり、蒸溜所を新設するとともに「ROE & CO」ブランドが誕生したのです。

 

ブランド名は先達である2人の「ROE」と、コラボレーション・コミュニティー・カクテルの3つに共通する「CO」への思いを込めて名付けられました。また、同商品はアイルランドのカクテル文化をリードする5名のバーテンダーが監修しているのも特徴。

↑教えてくれたのは、ブランドアンバサダーのリッキー・コーエンさん。日本生まれのアメリカ育ち。現地のレストランでキャリアを積み、帰国後はバーテンダーも経験し現職に

 

洒落たデザインにも先人へのオマージュが関係していた

ちなみに、やけにイケてるボトルのデザインも先達へのオマージュです。これは、ジョージ・ローの時代に建てられた蒸溜所のランドマークのひとつでもある「セントパトリックタワー」がモチーフ。丸みを帯び、斜めに流れるボトルは塔の形を、緑青(ろくしょう)のラベルは酸化した銅の屋根の色を表現しています。

↑「ROE & CO」のボトル

 

↑「セントパトリックタワー」と、建設当時から隣に植えられている洋梨の木

 

また、塔の隣に植えられている洋梨の木も「ROE & CO」を語るうえで欠かせないアイコン。デザインとしては、木製のコルクキャップと、ボトルの底にあしらわれたくぼみの形が、この洋梨を表現しています。

↑洋梨へのオマージュである、木製のコルクキャップ

 

↑ボトルの底には洋梨の実をかたどったくぼみが

 

リッチで甘やか。洋梨やりんごの果実味も芳しい

ここまでユニークであれば、味わいも気になるところ。当然例に漏れず、こちらもやはり個性的です。バーボン樽100%で熟成させたり、2回蒸溜の原酒を一部にブレンドしていたり。そのため、一般的なアイリッシュウイスキーよりも、甘く力強いフレーバーになっているのが「ROE & CO」です。

↑まずはストレートからテイスティング

 

やはり印象的なのは、リッチで甘やかな口当たり。ウッディなバニラフレーバーと、そのあとに続くやわらかなスパイス感が心地よく、クリーミーでまろやかな味わいが広がります。

↑少量加水してトワイスアップに。香りが開き、果実味とバニラ香がいっそう立ち上がります

 

フルーティーさも絶妙。洋梨やりんごに、マンゴーのような華やかさもあり、ラストは青りんごのような若々しいニュアンスも。リッキーさんはハイボールも当然オススメとのことですが、ぜひ試してほしいと言うのが、炭酸水とトニックウォーターを半々ぐらいで割ったハイボールです。

↑ソーダとトニックウォーターで割り、グレープフルーツをトッピング。グレープフルーツはピンクでもホワイトでもOKとのこと

 

「トニックウォーターを使うことで、甘みやビター感が『ROE & CO』のクリーミーなニュアンスをより引き出してくれるんです。グレープフルーツも、苦みをもった柑橘ですよね。この大人な爽やかさが、甘み豊かな『ROE & CO』とちょうどよくバランスを取り合うんです」(リッキーさん)

↑「ROE & CO」オリジナルのハイボール

 

うん、これもイイ! 甘くビターなトニックウォーターが、「ROE & CO」のまろやかでスイートな果実味と見事に調和。なお、リッキーさんは「オールドファッションド」もオススメと言います。こちらは、アメリカンウイスキーをベースにオレンジピ―ルのビターな爽やかさを加える、ほろ甘さと柑橘感が特徴で、世界的に人気のクラシックカクテル。

 

一般的なベースにはバーボンやライウイスキーを使いますが、確かにリッチでふくよかな「ROE & CO」であれば、アイリッシュで個性のある「オールドファッションド」になりそう。バーテンダーが監修したことにも納得です。

 

↑デザインや話題性も十分で、贈り物にもよさそう

 

デザインにも味にも独自のキャラクターが立っていて、そのままでもカクテルベースとしても多彩に楽しめる、遊び心にあふれた銘酒が「ROE & CO」だといえるでしょう。それはさながら、アイリッシュウイスキーの革命児。ぜひお試しを!

 

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透き通るような色にくぎづけ。白ワインの洗練された魅力に迫る!

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

白ワインをおいしく飲むためには、何に気を付ければ良いでしょうか。「冷やして飲む」「魚料理に合わせる」などは、どこかで聞いたことがあるかもしれません。

しかし、白ワインをおいしく飲むためのヒントは、まだまだたくさんあります! 今回は、白ワインをどうしたらおいしく飲めるかご紹介します。

 

白ワインの特長

白ワインは、白ブドウの果汁のみを使用し、発酵させたワインです。一部、黒ブドウを使用する場合もありますが、同じく果皮を取り除くため、赤ワインのような色にはなりません。

生産方法の違いは、タンニンの含有量にも影響します。ワインの渋味の元となっているタンニンは主に果実の皮や種に多く含まれており、皮や種ごと果汁を絞る赤ワインのほうが多い傾向です。一方、果実のみ使用する白ワインはタンニンも少なくなります。

そのため、赤ワイン特有の渋味が苦手な方は、白ワインを好まれる傾向にあります。

 

白ワインは甘口・辛口の2種類がある

生産地によって生産量の違いはありますが、白ワインは甘口、辛口の2種類が造られています。食前酒や食後酒として楽しめる甘口から、ドライで料理をしっかり引き立ててくれる辛口まで、幅広く合わせられるのが白ワインの魅力です。

甘口、辛口のどちらに仕上がるのかは、ワインの発酵具合によります。長く発酵するほど糖分がアルコールに変化して辛口に、短めに発酵すると糖分が多く残るため甘口になる仕組みです。

 

甘口白ワインの特長

甘口に仕上げられた白ワインは、フルーティーな甘さが目立つものが主流です。まろやかな口当たりで、エレガントな味わいを楽しめます。

また、前述のとおりワインの発酵期間が辛口に比べると短いため、アルコール度数は低いものが多いことも特長です。「お酒をたくさん飲めるほど強くはないけれど、少しは楽しみたい!」という方は、アルコール度数が低めで甘くて飲みやすい白ワインを中心に選んではいかがでしょうか。

甘口白ワインの詳しい情報については、以下のページでも紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

「知らなかった”甘口白ワインの世界”特長と選び方のポイントをご紹介!」

 

辛口白ワインの特長

じっくりと発酵させ、辛口に仕上げられた白ワインは、フレッシュな酸味が魅力的です。爽快感のある味わいで、様々な料理によく合わせられます。

発酵期間が長く、糖分の多くがアルコールに変化しているため、アルコール度数の高いものが多くなります。さっぱりとした口当たりのワインを楽しみたい方は、辛口白ワインがおすすめです。

辛口白ワインの魅力について、以下のページでさらに詳しく解説しています。こちらもあわせてご覧ください。

「スッキリした辛口白ワインが飲みたい!選び方のポイントは?」

 

白ワインはブドウ品種で味わいが変化する

白ワインの原料となるブドウは、多くの品種があります。どのブドウ品種を使用しているかによって味わいが変化するため、白ワインを楽しむ時は産地やワイナリーの他にブドウ品種にも注目してみてくださいね!

 

シャルドネ種

白ワインのブドウ品種として代表的な存在が、シャルドネ種です。「白ワインの女王」という呼び名でも知られており、原産地のフランス以外にもイタリア、スペイン、アメリカ、オーストラリアなど世界各地で栽培されています。

シャルドネ種の最大の魅力は、産地や気候によって味わいがガラリと変わることです。冷涼な気候ではスッキリとした味わいに、温暖な気候では濃厚な味わいになるため、産地ごとに飲み比べる楽しみがあります。

シャルドネ種の魅力については、以下のページもぜひチェックしてみてください。

「シャルドネを使ったワインの魅力を徹底解説」

 

ソーヴィニヨン・ブラン種

ソーヴィニヨン・ブラン種もシャルドネ種と同じく、白ワインを代表するブドウ品種の1つです。特に辛口白ワインの代表品種として親しまれており、口に含むと青草やハーブを思わせる香りが広がります。シャープな酸味があり、フレッシュでさわやかな味わいに仕上がるため、和食など繊細な魚料理を好む方にもおすすめです。

原産地はフランスの冷涼な地域ですが、チリやオーストラリアなど温暖な地域でも栽培されています。

ソーヴィニヨン・ブラン種の魅力をさらに知りたい方は、以下のページもぜひご覧ください。

「白ワイン通には欠かせない!ソーヴィニヨン・ブランの魅力をご紹介」

 

リースリング種

リースリング種というと、ドイツワインを思い浮かべる方も多いでしょう。ドイツのラインガウ地方が主な原産地ですが、フランスやアメリカ、オーストラリアなどでも栽培されています。

フランスのシャルドネ種と対抗する高貴な品種としても知られ、アロマティックな香りが特長です。酸味が穏やかで繊細な味わいに仕上がるため、洋食だけではなく中華料理や和食とも合わせられます。

リースリング種のより詳しい解説は、以下のページをご覧ください。

「ドイツワインでおなじみのリースリング種の産地や特長」

 

甲州種

甲州種は、ヨーロッパを起源とする日本固有の白ブドウ品種です。その名のとおり甲州の勝沼が産地で、1870年代には本格的なワイン造りが始まりました。

甲州種を使用したワインは、和柑橘の香りに優しい口当たりが特長です。果実は種の周辺に強い酸味がありますが、ワインに仕上がると穏やかで上品な酸味に変わります。ブドウそのものは淡い紫色をしており、生食用としても親しまれています。

甲州種の特長や歴史について知りたい方は、以下のページもおすすめです。

「日本のワインといえば甲州ワイン!その魅力とは」

 

白ワインに合うおすすめの料理

白ワインは魚介料理と相性が良いため、和食や地中海料理など、様々な料理に合わせられます。もちろん、肉料理も選び方しだいで白ワインとのマリアージュを楽しめますよ!肉料理を合わせたい時は、豚肉や鶏肉などがおすすめです。

ここでは、先に紹介した白ワイン用ブドウ品種それぞれに合う、おすすめの料理を紹介します。

 

シャルドネ種に合う料理

白ワインの代表的な品種であるシャルドネ種に合わせるなら、素材の味をしっかりと楽しめる料理はいかがでしょうか。

■サーモンのハーブ焼き

ハーブで香りづけしたサーモンと、付け合わせの野菜をホイルで包んで焼くだけの簡単レシピです。お手軽ですがハーブの香りとシャルドネの上品な味わいがよく合います。

サーモンのハーブ焼きを上手に作るコツは、下ごしらえ時に2時間じっくりと置いて、臭みを取ることです。

詳しいレシピはこちら

 

ソーヴィニヨン・ブラン種に合う料理

ソーヴィニヨン・ブラン種は、ワインそのものが青草やハーブのようなニュアンスをもっているため、料理に余計な香りづけをする必要がありません。むしろシンプルな料理ほど、お互いの魅力を引き立ててくれます。

■エメラルドサラダ

栄養満点のそら豆を使ったエメラルドサラダなら、白ワインの風味を味わいたい時におすすめのレシピです。

さわやかでどこか青々しささえ感じるソーヴィニヨン・ブラン種。そのさわやかな味わいと香りは、シーフードサラダや素材の味と香りを大事にするお料理にぴったり。

詳しいレシピはこちら

 

リースリング種に合う料理

リースリング種はなんといっても酸味を楽しみたいですね。さわやかな口当たりのワインに合わせるなら、料理もあっさりとした味わいのものがおすすめです。

■初がつおとグレープフルーツのサラダ

初がつおを使ったサラダは、グレープフルーツの酸味も相まってワインとの相性抜群です。キリリとした酸味が楽しめるリースリング種は、天ぷらや魚料理をすっきりと味わうのにおすすめです。

やや甘口タイプの他、辛口も醸造されており、辛さ控え目の中華料理・タイ料理を食べたい時にもおすすめです。

詳しいレシピはこちら

 

甲州種に合う料理

ワインと料理のマリアージュの基本は、産地を合わせることです。日本固有の甲州種に合わせるなら、和食の定番を合わせてはいかがでしょうか。

■旬野菜のてんぷら

魚介類などのてんぷらも魅力的ですが、甲州種を味わうなら、新鮮な旬野菜のてんぷらがおすすめ。カラッと揚げた旬野菜の天ぷらを塩レモンでいただくと、繊細な甲州種のワインがさらにおいしくなります。

さっぱり食べたいヘルシー志向の方におすすめです。

詳しいレシピはこちら

 

自分好みの白ワインを見つける方法

白ワインは甘口、辛口の違いだけではなく、産地や品種によって酸味や香りの印象も大きく異なります。そのため「自分好みの白ワインが分からない!」と悩む方も多いのではないでしょうか。

ここでは白ワイン選びに悩んでいる方へ、自分好みの一本を見つける方法を紹介します!

 

色々な料理に合わせる

白ワインは魚介料理との相性が良いイメージがありますが、新鮮な野菜ともよく合います。魚介料理と試すのはもちろん、新鮮な野菜を使った料理など、さっぱりとした味わいのものと合わせてみてはいかがでしょうか。

野菜がメインの料理は和食や中華、ヨーロッパのグリル料理など、世界各地に存在します。色んな味付けや素材との相性を試してみてくださいね。

 

色々な白ワインに挑戦する

ブドウ品種の欄でも触れたとおり、白ワインと一口にいっても味わいは様々です。まずは、本コラム前半で紹介した4つのブドウ品種と料理を合わせてみて、自分好みの白ワインを見つけるのも良いでしょう。

特にシャルドネ種は産地ごとの味わいを楽しめるので、同じ料理と合わせてみて、飲み比べるのもおすすめですよ!

 

白ワインをさらにおいしく飲む!おすすめの方法

白ワインのエレガントな味わいをしっかり楽しむためには、準備も大切です。香りや味わいをより深く楽しみたい方は、ぜひここで紹介する方法を参考にしてみてください。

 

薄いグラスで飲む

白ワインの繊細かつフレッシュな味わいには、薄いグラスがおすすめです。また、小ぶりのグラスを選ぶと良いでしょう。

さらにこまかなことをいうと、ワイングラスには品種ごとに適している形状もあります。「もっとブドウ品種それぞれの魅力を引き出したい!」と思ったら、リースリング種用、シャルドネ種用とグラスも品種に合わせて揃えてはいかがでしょうか。

 

温度を適温にする

白ワインは温度によっても印象が大きく変化します。甘口、辛口でそれぞれ適温が異なるため、飲みたいワインに合った温度に冷やしておきましょう。

目安としては、以下の温度がおすすめです。

・甘口:4~6℃
・辛口:6~10℃

適温でない白ワインは必要以上に甘味を強く感じたり、酸味のさわやかさを楽しめなかったりします。必ずそれぞれの味わいに合わせた温度で白ワインを楽しんでくださいね!

 

まとめ

白ワインは原料となるブドウ品種と、甘口辛口の仕上げ方で異なるテイストのものが造られています。

自分の好みの白ワインを見つけて友達と語り合ったり、自分だけのおいしい飲み方を見つけたりするのもまた、素敵なワインの楽しみ方ですね。

「白ビールの時代が来た」と断定したい! ヱビスやプレモルなど主要な新作を飲み比べて解説

2022年は、白ビール(ホワイトビール)の当たり年といえます。なぜなら、大手メーカーから白ビールのビッグネームが続々と新発売されたから。なかでも極めつけは、9月13日新発売のキリン「スプリングバレー シルクエール<白>」でしょう。主要なブランドから4種集め、飲み比べるとともに商品特徴を解説します。

↑左から、「ヱビス プレミアムホワイト」(サッポロビール)、「スプリングバレー シルクエール<白>」(キリンビール)、「ザ・プレミアム・モルツ<ホワイトエール>」(サントリー)、「アサヒ ホワイトビール」(アサヒビール)

 

「白ビール」の特徴と名称の由来とは?

まずは白ビールの解説から。これはビアスタイルの一種で、大麦(大麦麦芽)のほかに小麦(小麦麦芽)も使うことが特徴のひとつ。小麦はたんぱく質のグルテンを多く含むため泡もちがよく、さらにほのかな酸味を伴うフルーティーな香味や、まろやかで爽やかな口当たりも生み出します。

 

なお、液色は明るいものの、ホワイトと断言できるほど白いわけではありません。しかしこのビールが世に広まった19世紀ごろまで、世界の主流は濃い褐色のビールだったため、この明るく淡い色のビールを白ビールと呼ぶようになったのです。

↑世界でもっとも有名な白ビールといえば、ベルギー生まれの「ヒューガルデン ホワイト」。1966年にヒューガルデン村出身のピエール・セリス氏が伝統レシピから商品化し、白ビールの存在を世に知らしめました

 

ここから、2022年注目の新作白ビールを紹介していきましょう。

 

●「スプリングバレー シルクエール<白>」
個性と飲みやすさが調和した好バランス

一つ目は、もっとも旬な「スプリングバレー シルクエール<白>」。クラフトビールの市場拡大をけん引する「スプリングバレー 豊潤<496>」に続く同シリーズの第2弾で、9月13日から全国で発売されています。

↑「スプリングバレー シルクエール<白>」。希望小売価格は248円(税抜)で、アルコール度数は5.5%

 

「ヒューガルデン ホワイト」に代表されるベルジャンホワイトと双璧をなすビアスタイルが、ドイツの「ヴァイツェン」や「ヘーフェヴァイツェン」。ヘーフェとは酵母のことで、ヘーフェヴァイツェンは無濾過により酵母を残した、よりまろやかなタッチとにごりのある液色が特徴です。

 

そして「スプリングバレー シルクエール<白>」も無濾過仕上げで、小麦麦芽のきめ細かなふわとろの泡とソフトな口当たりが特徴。またニュージーランド産の希少ホップ「ネルソンソーヴィン」を一部に使用した、華やかな香りも魅力です。

↑素材にコーンを使っている点も見逃せません。コーンは「キリンラガービール」をはじめ定番ビールにも使われており、すっきり飲みやすくするなどの役割をもっています

 

「スプリングバレー シルクエール<白>」は白ビールらしい上品な甘みや酸味があり、まろやかな飲み口もお見事。ボディは豊かでいて後味は爽快、余韻にはレモンや白ぶどうを思わせる甘やかな香りが残り、バランスのよさがピカイチです。個性があるのに飲みやすい、スプリングバレーらしいフレンドリーさをあらためて実感しました。

 

●「ヱビス プレミアムホワイト」
上質な香りと豊かなコクが美しく調和

お次はブランドのいちポートフォリオとして白ビールを進化させ続ける、ヱビスの「ヱビス プレミアムホワイト」。過去には「ヱビス 華みやび」などもありましたが、2022年は春に発売した「ヱビス プレミアムホワイト」が最新版です。

↑「ヱビス プレミアムホワイト」。オープン価格で、アルコール度数は5.5%

 

こちらもホップの一部に「ネルソンソーヴィン」を加え、白ワイン(ソーヴィニヨン・ブラン)を想起させる華やかな香りをプラス。また、柑橘のような爽やかな香りの「ミストラルホップ」も使用し、爽やかで上質な香りとコクが楽しめる味わいに。

↑味わいの芯にヱビスイズムを感じさせる、しなやかな爽快感が絶妙です

 

白ビールの魅力を感じさせつつ、プレミアムピルスナービールの雄である「ヱビス」らしい、堂々としたたくましさも感じます。苦味は今回のなかではビター感が特に豊かで、フルーティーな香りとの調和もナイス。説得力のあるおいしさです。

 

●「ザ・プレミアム・モルツ<ホワイトエール>」
豊かなボディの上で華やぐフルーティーなアロマ

次は“神泡”でもおなじみの「ザ・プレミアム・モルツ」。これまで季節などに応じて数々の限定フレーバーをリリースしていますが、実は白ビールは初。それが初夏に発売された「ザ・プレミアム・モルツ<ホワイトエール>」です。

↑「ザ・プレミアム・モルツ<ホワイトエール>」。オープン価格で、アルコール度数は6%

 

同商品はチェコやその周辺国で収穫、製麦された「ダイヤモンド麦芽」を一部に使い、天然水で醸造するなど、原材料や製法のベースはブランドの基本を踏襲。そのうえで小麦麦芽を一部使用し、エール(上面発酵)酵母で醸造しているのが特徴です。

↑液色は今回レビューした4商品中、もっとも濃いめ。アルコール度数も6%と高めです

 

どっしりとしたコクは、さすが「ザ・プレミアム・モルツ」。その土台の上で、洋なしやマスカット的な酸味のあるフルーティーなアロマが華やぎます。前述ヱビスでも感じましたが、ブランドのファンが飲んでも違和感を抱かせないであろう絶妙なチューニングがお見事。飲み応えも豊かでイイ!

 

●「アサヒ ホワイトビール」
フルーティーでハーバルなやさしい味わい

ラストは、アサヒビールが販路限定でリリースした「アサヒ ホワイトビール」。若者をコアターゲットに、エモーショナルな味「#エモ味」を表現したプロダクトからしてユニークです。

↑「アサヒ ホワイトビール」はアルコール度数5%。Amazonで販売(12本3158円)しているほか、東京都と神奈川県の一部「セブン-イレブン」でも限定発売しています

 

小麦麦芽を用いるほか、副原料にオレンジピールとコリアンダーシードを使ったベルジャンホワイトのビアスタイルになっていることも特徴。つまり「ヒューガルデン ホワイト」と近しい味わいであることがうかがえます。

↑製造工場は、実はアサヒビールではなく、クラフトビールの作り手「軽井沢ブルワリー」の醸造所

 

ふんわりとした華やかさと、やわらかな飲み心地が印象的。ベルジャンホワイト特有のバナナ香をふわりと感じる、フルーティーでハーバルな味わいです。奥ではシャープなドライさを感じつつも、ホップの苦みやコリアンダーシードのスパイシーさは抑えめで、若者にも刺さりそうなやさしい味わいだと思いました。

 

白ビールの豊作によるクラフトビールの盛り上がりに期待

あらためて白ビール、イイですね。苦味が控えめな一方でフルーティーな香りはしっかりしているので、ビールのエントリー層に刺さりやすく個性も伝わりやすいと思います。

↑各液色の比較。「スプリングバレー シルクエール<白>」と「アサヒ ホワイトビール」が、より淡いようです

 

「スプリングバレー 豊潤<496>」がクラフトビールの市場拡大をけん引したと語りましたが、「スプリングバレー シルクエール<白>」も注目されており、さらに今夏はオリオンビールが「75BEER-ベルジャンホワイト」を限定発売したうえ、「ヒューガルデン ホワイト」のノンアル版「ヒューガルデン ゼロ」も先日日本デビューしました(こちらは後日レポート予定)。ということで、白ビールきっかけからのクラフトビールの盛り上がりにいっそう期待したいところです。

 

赤ワインのおいしい飲み方は? 基本から学ぶ

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

深いルビー色の赤ワインがグラスに注がれる様子はとても美しく、うっとりしてしまうほど。この魅力的な赤ワインについて、みなさんはどのくらいご存知でしょうか? この記事では、赤ワインについての基礎知識をご紹介します。

 

 

赤ワインの特長

赤ワインとは、黒ブドウを発酵させて造るワインのこと。独特の鮮やかな赤い色味が特長です。

製造過程でブドウの果汁をしぼるとき、果実だけでなく果皮や種なども丸ごと使用しています。黒ブドウの果皮には赤い色素が含まれているため、仕上がったワインは赤い色味に仕上がるのです。

赤ワインは、渋味が感じられるのも特長。この渋味のもとは、種に含まれているポリフェノールの一種、タンニンです。赤ワインの渋味の度合いは、含まれているタンニンの量に左右されます。 そして熟成させてもおいしくいただけるのが、赤ワインのよさでもあります。長期熟成に向いているものが多いため、製造されてすぐの味わいだけでなく、経年変化による味わいの違いを楽しむことが可能です。

 

赤ワインの種類は3つある!

赤ワインを選ぶ時、「ボディ」という言葉を聞いたことはありませんか? 「ボディ」とは、ワインの味わいや飲み口の度合いのこと。赤ワインは「フルボディ」「ミディアムボディ」「ライトボディ」の3種類に分けられます。 それぞれどのような特長があるのか、解説していきましょう。

 

フルボディ

フルボディは、コクがあって濃厚な味わいが特長の赤ワイン。タンニンが豊富に含まれていて渋味があり、果実味が強く感じられます。色が濃く重厚で、「どっしり」とした重厚感のあるワインです。コクのある、濃い味付けの料理とよく合います。

アルコール度数も13%を超えているものが多く、ワイン初心者の方や飲み慣れていない方には、少し飲みにくく感じられるかもしれません。しかし長期熟成に向いているので、変化を楽しみたい方にはおすすめです。

 

ミディアムボディ

ミディアムボディとは、フルボディとライトボディのちょうど中間にあたるワイン酸味や渋味、果実味のバランスが程良く香りも強すぎないため、多くの方に好まれます。脂やコクが程良い料理と合わせやすい味わいです。

 

ライトボディ

ライトボディはフルボディと反対で、軽やかな味わいの赤ワイン。タンニンが穏やかで、果実味も強すぎずフルーティーさを感じられます。アルコール度数も10%程度のものが多く、ワイン初心者の方でも飲みやすいでしょう。 色合いも淡く、「ライト」という表現がまさにぴったり。料理も脂が少なめで、あっさりとしたものと合わせるのがおすすめです。サングリアを作ったり、氷を入れてみたりと、アレンジして楽しむこともできます。

 

赤ワイン選びに知っておきたい! 赤ワインの豆知識

好みの赤ワインを選ぶなら、知っておきたいのが品種や産地ごとの特長です。赤ワインにはたくさんの種類があって、品種や産地によって味わいが異なります。 ここでは、最初に知っておくとぐっと赤ワインが楽しみやすくなる、代表的な品種や産地を紹介します。

 

赤ワインの品種

赤ワインの原料となる黒ブドウは、主要品種だけでも12種類あります。その中でも特に有名な品種が、「カベルネ・ソーヴィニヨン種」「メルロー種」「ピノ・ノワール種」の3品種。 赤ワインを知るために、まずはこの3つのブドウ品種の特長を押さえておきましょう。

 

カベルネ・ソーヴィニヨン種

フランス・ボルドー地方原産で、現在は世界各地で広く栽培されているブドウ品種。「黒ブドウの王様」とも呼ばれており、渋味と酸味がしっかりとした赤ワインらしい重厚な味わいに仕上がります。ブルーベリーやカシスのような香りで、深い色合いをしています。 赤ワインとしてはもっともポピュラーで、気軽に楽しめるリーズナブルなワインから、数万円もする高級ワインまで様々です。

 

メルロー種

こちらもフランス・ボルドー地方原産のブドウ品種で、ふくよかで滑らかな口当たりが特長です。きめ細やかなタンニンで渋味や酸味も穏やかなので、飲みやすいワインです。ブラックチェリーやプラムのような、豊潤な香りが楽しめます。

 

ピノ・ノワール種

フランス・ブルゴーニュ地方原産のブドウ品種で、渋味の少ない果実味豊かな赤ワインに仕上がります。エレガントな味わいと繊細な飲み口から、「赤ワインの女王」と呼ばれることがあるほどです。いちごやチェリー、ラズベリーのような香りがします。

 

赤ワインの産地

赤ワインの産地は大きく「旧世界(オールドワールド)ワイン」と「新世界(ニューワールド)ワイン」の2つに分けられます。それぞれの特長を紹介しましょう。

 

旧世界(オールドワールド)ワイン

もともとワインは、古代からヨーロッパで生産されていました。「旧世界(オールドワールド)ワイン」とは、当時からの生産地であるフランスやイタリア、スペインなど、ヨーロッパ原産のワインのことを指します。

旧世界ワインの代名詞ともされているのがフランスワインで、ボルドーやブルゴーニュなどの産地が有名です。その他、産地によって品種や味わいが異なります。

旧世界のワインについて詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

歴史ある旧世界ワイン。旧世界ワインについて徹底解説!

 

新世界(ニューワールド)ワイン

「新世界(ニューワールド)ワイン」は、コロンブスがアメリカ大陸を発見した大航海時代以降からワイン造りを始めた国のことです。アメリカやチリ、アルゼンチン、オーストラリア、南アフリカなどがここに分類されます。近年人気のある日本ワインも、新世界ワインの1つです。

まだ歴史は浅いものの、その土地の特長を活かして栽培されたブドウから造られたワインは、高く評価されているものが多いです。比較的リーズナブルなワインが多く、しっかりとした味わいで、アルコール度数も高めに造られています。

新世界のワインについて詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

新世界ワインとは?ワイン初心者向けに新世界ワインを徹底解説

 

赤ワインのおいしい飲み方

赤ワインの全てが分かる!基本からおすすめ赤ワイン5選を解説!

せっかく赤ワインを飲むなら、おいしい飲み方もぜひ知っておきましょう。ポイントは「スワリング」「グラス」「温度」の3つ。それぞれ詳しく解説していきます。

 

スワリングして香りや味わいの変化を楽しむ

スワリングとは、ワイングラスをくるくると回す動作のこと。グラスを回すことでワインが空気に触れ、香りが引き出されたり味がまろやかに変化したりするため、よりおいしく飲むことができます。

ただ、スワリングをした方がおいしいからといって、たくさん回せばいいというわけではありません。2~3回程度で十分で、あまり多く回すとかえってワイン本来の風味が飛んでしまい、おいしさが失われてしまいます。

スワリングについて詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

ワインを回すスワリングの意味とやり方を解説

 

赤ワイン用のグラスで飲む

赤ワインを楽しむなら、グラスにもぜひこだわってみましょう。ワインはグラスによって味が変わり、飲みやすくなったりワインの風味がより感じられたりするようになります。

ブドウの品種によって適したグラスの形が異なるので、飲みたいワインに合わせて選んでみてくださいね。

ワイングラスについて詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

ワイングラスの種類を知っておこう!選び方のポイントも紹介

 

温度を調節して適温で飲む

赤ワインは重さ(ボディ)によって適した温度が異なります。それぞれに合わせた温度で飲むと、よりおいしく感じられますよ。

フルボディは16~18℃が適温です。冷やしすぎると渋味が強くなって飲みにくくなってしまいます。

ライトボディは10~12℃に冷やすと引き締まった味わいになります。ミディアムボディはその中間、13~16℃くらいを目安にすると良いでしょう。

 

まとめ

数多くの種類がある赤ワイン。まずは今回ご紹介した5本を味わってみて、好みに合うブドウ品種やボディの種類を探してみてはいかがでしょうか。

1本2〜3万円ながら入手困難! プレゼントにも最適な「高級SAKE」7選

巷では高級時計や高級車などがヒットし入手困難となっているが、実は日本酒もしかりだ。ここでは代表的な銘柄と、味わいを紹介。記念日や贈り物などに至高の一本を!

※こちらは「GetNavi」 2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

新価値創造と海外ニーズの掘り起こしで大ブレイク!

高級SAKE

 

私が解説します!

フードライター

中山秀明さん

食のトレンドに詳しいフードアナリスト。入国規制の解除と、GoToトラベルの再開タイミングに注目している。

日本酒は海外で「ライスワイン」と称されるが、ぶどうのワインに比べて高級な銘柄は少ない。

 

「日本酒の多くは既存銘柄の最上位といった位置付けでした。この市場に一石を投じたのが、ラグジュアリーブランドのSAKE HUNDREDです。無二の味と世界観で、国内外の日本酒愛好家を中心にブレイク。予約で完売する人気となり、日本酒の新たな価値を掘り起こしたのです」(中山さん)

 

同カテゴリには、続々と新ブランドが登場。TAKANOMEやMINAKIなどの気鋭のブランドがデビューしたほか、老舗酒造の限定高級酒も増えている。

 

「海外における日本酒の認知は広がっており、コンペの受賞酒も多数。国際化も進むなか、高級日本酒の未来は明るい!」(中山さん)

 

【ヒットアナリティクス】価値あるモノを求める熱はインバウンドでより活況

高級日本酒が注目を浴びている背景には、価値あるモノにお金を惜しまない心理や、海外における高評価などが関係。SAKE HUNDREDの2021年10月期年商は20億円と前年比13倍に。コロナ禍の収束により訪日外国人が増えれば、ますます活況となるだろう。

先進技術:★★★

顧客ニーズ:★★★

市場の将来性:★★★★★

独自性:★★★

コスパ:★

 

 

【その1】上品かつ繊細でフルーティなブランドを象徴する傑作

【日本酒/2018年7月発売】

SAKE HUNDRED

百光

3万8500円(送料別)

SAKE HUNDREDを象徴するフラッグシップモデル。精米歩合18%まで磨き、圧倒的な透明感を実現した。一切の雑味がなく洋梨を思わせる果実感と、百合の花のような穏やかで上品な香りに包まれる。繊細で滑らかな口当たり。

 

[中山’s Check] 果実の楽園のようなラグジュアリーな世との邂逅

「梨やライチを思わせる果実の園に導かれ、口に含むと白桃のような瑞々しい甘みとふくよかな旨みが舌の上で広がります。余韻には淡い酸も感じ、実にラグジュアリー!」

 

【その2】長時間磨いたお米が生み出す食中にも適した調和の一本

【日本酒/2022年2月発売】

MINAKI

極幻

3万2780円(1000本限定)

酒米の王者・山田錦を200時間以上磨いた精米歩合17%の贅沢な味が魅力。豊かな香りと洗練された甘み、複雑な旨み、酸味がマッチ。柔和な口当たりで、食中酒にも最適。英国のコンペでは金賞、フランスではプラチナを受賞した。

 

[中山’s Check] 真の贅沢がここにあり! まさに幻のような多幸感

「包み込まれるようにやさしい、ソフィスティケートな飲み心地。優美な甘みが舌の上でゆらりと転がり、酸を伴う果実味とともに儚く消える余韻は、まさに幻の如し!」

 

【その3】“うまさ”のみを追求した南国感が溢れる幻の酒

【日本酒/2019年10月発売】

TAKANOME

TAKANOME(鷹ノ目)

1万5400円

“うまさ”のみを追求した日本酒。まるでパイナップルのような香りと甘みが広がり、爽やかな酸味が心地良く、オレンジピール風の軽やかな苦みが全体をまとめ上げる。毎週水曜日の21時から販売され、5分で完売する人気ぶり。

 

[中山’s Check] 煌びやかな世界へ誘うフルーティな甘み

「トップから圧倒的にクリアでフルーティ! やわらかな酸味とジューシーな甘みが、華やかに舞いながら口いっぱいに広がります。煌びやかな愉悦の世界に浸りたいときに」

 

【その4】シャンパン同様の製法で仕上げた滑らかな発泡

【スパークリング日本酒/2021年10月発売】

SAKE HUNDRED

深星

3万5200円(送料別)

仕込みの一部に日本酒を加えて醸し、シャンパン同様の瓶内二次発酵で仕上げた。滑らかな発泡と多層的な味が華やぐ。

 

【その5】甘みを抑えた優雅な酸味と爽やかな香り

【ドライスパークリング日本酒/2022年2月発売】

●一般販売8月上旬

MINAKI

珀彗

2万7280円(500本限定)

シャンパン製法を採用。洗練された発泡感とジューシーで優雅な酸味に、青りんごや洋梨のような爽やかな香りが心地良い。

 

【その6】2006年醸造の大吟醸古酒を仕込み水にブレンド

【スパークリング日本酒/2022年3月発売】

七賢

EXPRESSION 2006

2万2000円

2006年醸造の大吟醸古酒を仕込み水の一部に使い、2種の酵母で様々な味を表現。爽やかな果実味や穀物感を楽しめる。

 

【その7】最高評価の山田錦を磨き上げた上品な味わい

【日本酒/2022年4月発売】

笹一酒造

笹一 山廃純米大吟醸 甲州山田錦 35

1万2000円(800本限定)

最高評価の特上に認定された山梨県産の山田錦を35%まで磨き上げた意欲作。透明感や米の旨み、コクと酸味が好バランスだ。

 

 

今回の7本を味わいで分類!

 

《熟酒》味が濃い×香り高い

貯蔵期間が5年以上の熟成酒や古酒が該当。赤茶〜黄の色味で、深くて複雑な香りでとろみのあるテクスチャーを楽しめる。力強い甘みや旨みをもつタイプが多い。

 

味が淡い←☆☆☆☆★→味が濃い

香り控える←☆☆☆☆★→香り高い

TAKANOME

TAKANOME(鷹ノ目)

パイナップルのような味わい。多彩な料理に最適。

 

味が淡い←☆☆☆★☆→味が濃い

香り控える←☆☆☆★☆→香り高い

SAKE HUNDRED

深星

フレッシュ&クリーンな香り。ペアリングは魚介類系。

 

味が淡い←☆☆★☆☆→味が濃い

香り控える←☆☆☆☆★→香り高い

七賢

EXPRESSION 2006

穀物感のある味わい。肉や魚料理にピッタリ。

 

《薫酒》味が淡い×香り高い

果実や花を思わせるエレガントな香味をもったタイプで、米をよく削った吟醸や大吟醸の日本酒が多く当てはまる。爽快感もあり、冷やして飲むのがオススメだ。

 

味が淡い←★☆☆☆☆→味が濃い

香り控える←☆☆☆☆★→香り高い

MINAKI

極幻

果実のようなふくよかな香り。和食にピッタリ。

 

味が淡い←☆★☆☆☆→味が濃い

香り控える←☆☆☆★☆→香り高い

SAKE HUNDRED

百光

豊かな旨みと甘み。フルーツや和菓子と相性抜群。

 

《醇酒》味が濃い×香り控える

酒母を手作業で造る「生酛造り」、山廃仕込み(※)など、ろ過や加水をしない日本酒が該当。米の芳醇な旨みや複雑でコクの深い味わい、ふくよかな余韻が特徴だ。

※:米や米麹をすり潰す工程「山卸し」をしない製法

 

味が淡い←☆☆☆☆★→味が濃い

香り控える←☆★☆☆☆→香り高い

笹一酒造

笹一 山廃純米大吟醸 甲州山田錦 35

上品な味わい。濃い目の味で少し甘みを感じる料理と◎。

 

《爽酒》味が淡い×香り控える

香りやコクは控えめながら、フレッシュな果実味や清々しいすっきり感を味わえる淡麗系。アルコール度数や熟成期間を抑えた「夏酒」も、このタイプに含まれる。

 

味が淡い←☆★☆☆☆→味が濃い

香り控える←☆☆★☆☆→香り高い

MINAKI

珀彗

甘みを抑えたドライな口当たり。様々な料理に好相性。

酸味と爽やかな苦みのバランスが取れた、甘くないクリアな味わい! キリン「氷結無糖」シリーズに「グレープフルーツ」が仲間入り

キリンビールは、「キリン 氷結無糖」シリーズから、「キリン 氷結無糖 グレープフルーツ Alc.4%」「キリン 氷結無糖 グレープフルーツ Alc.7%」(各350ml缶/500ml缶)を、10月11日に発売しました。価格はどちらもオープン。

 

今回発売となるグレープフルーツは、糖類・甘味料不使用で、甘くないクリアな飲み心地と、酸味、爽やかな苦みのバランスがとれた、満足感のある味わいが楽しめます。

 

パッケージは、シリーズ定番のクリアな印象のシルバー&ホワイトに、グレープフルーツらしさを感じさせるグリーンをアクセントとして、シズル感を施した、直感的においしさを感じられるデザインとなっています。

 

既存の「キリン 氷結無糖 レモン」も、パッケージをリニューアル。8月製造品より順次切り替えており、「透明感」「澄んだ果実の味」のイメージと、目につきやすさ・アルコール度数の見分けやすさを強化した新パッケージデザインです。

大きくなって泡立ち速度も2倍以上に! アサヒ「生ジョッキ缶」に485mlの「大生」新登場

アサヒビールは、「生ジョッキ缶」の新たなラインアップとして「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶大生(だいなま)」(缶485ml)を10月25日に発売します。価格はオープン。

↑生ジョッキ缶 大生

 

開栓時にきめ細かい泡が自然に発生し、飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめる「生ジョッキ缶」は2021年4月発売。これまでは缶340mlの1品種のみの展開でした。

↑生ジョッキ缶(340ml)

 

今回発売となる生ジョッキ缶大生は、缶340mlと比較して開栓時に泡立つ速度が2倍以上となり、飲み口全体が泡で覆われるまでの時間を大幅に短縮。TVCMのほか、生ジョッキ缶の飲用体験ができるイベントを実施するなど、発売前後にプロモーション活動を積極的に展開する予定としています。

生ジョッキ缶(340ml)

飲み方で香りが変わる不思議なお酒「ISAINA」。休日のパーティ・ランチに合う組み合わせ4選

「飲み方で香りが変わる」というこれまでにない価値を打ち出して若者を中心にヒットしているのが宝酒造の全量芋焼酎「ISAINA(イサイナ)」。ソーダで割ればりんごを思わせる果実の香りロックで飲めばほっこりとした芋の香りが楽しめるうえ、様々な料理に合うことが人気の理由でもあります。では、どのような料理とどんなシチュエーションが合うのでしょうか。

 

本稿は、この日常をGetNavi web編集長の山田佑樹が30代夫婦のトレンドシーンと合わせてレポートする記事の休日編。料理とのペアリングはフードアナリストの中山秀明さんが解説します。さらには、2022年6月に上梓し大ヒットしている「せんべろnetの酔っても作れる宅飲みおつまみ」の著者、ひろみんさんが一部料理提案をしてくれました。

 

【今回紹介するお酒】

全量芋焼酎 「ISAINA(イサイナ)

独自開発の「かおり酵母」を使い、麹を含めすべての原料にさつまいもを使用した、芋100%で造る焼酎。国際的な酒類のコンペティションであるIWSC2022、SFWSC2022において金賞を受賞しており、世界的な評価も高い。

 

【関連記事】
飲み方で香りが変わる不思議なお酒「ISAINA」。平日の食卓・晩酌に合う組み合わせ4選

 

ある週末のホームパーティ:和洋中どれでもイケるオールラウンダー

週末に少人数でホームパーティを開くというのは、コロナ禍以降拡大している余暇の過ごし方。自宅をいつもと違う空間にして、仲の良い友人やあまり会えない家族と非日常を楽しみたいマインドが強まっています。

 

そうしたプチハレの日にも合うのが、まさにISAINAボトルは舶来品の白ワインを思わせるデザインで、テーブルフォトを撮るモチベーションを高めてくれます。飲む際にもグラスにちょっとこだわるだけで、一層食卓がおしゃれに映えるでしょう。

 

料理は中山さんとひろみんさんが、ホームパーティでのISAINAにオススメなおつまみをチョイス。どれも、会食シーンをいっそう盛り上げてくれるペアリングとなっています。加えて、ISAINAは和洋中どんなジャンルにもマッチするオールラウンドプレイヤーであることを実感できるでしょう。

 

【こんな料理が合うその1】「シャルキュトリーの盛り合わせ」×ISAINAソーダ割

パーティ映えする、ハムやソーセージなど「シャルキュトリーの盛り合わせ」。「果実味豊かなISAINAソーダは、ワインやスパークリングのように飲める一品。爽快で、ジューシーな加工肉にもよく合います」(中山さん)

 

【こんな料理が合うその2】「油淋鶏」×ISAINAロック

カリジュワな揚げ鶏をさっぱりした甘酢ソースで味わう「油淋鶏」はパーティにも大活躍。「油っこさをISAINAソーダの爽快感がウォッシュアウトしつつ、独自のりんごフレーバーが加わることで、口内調理が完成。よりおいしくする調味料的な役割も、ISAINAが果たしてくれます」(ひろみんさん)

 

【こんな料理が合うその3】「クリームチーズのわさび醤油漬け」×ISAINAロック

少しずつつまんでISAINAロックを楽しむなら「クリームチーズのわさび醤油漬け」を。「焼き芋のような香り&キレのあるロックと、濃厚でピリッとわさびが効いたクリームチーズの絶妙なバランスの余韻がたまりません」(ひろみんさん)

 

【ISAINAの詳しい情報はコチラ

 

ある週末のランチ:カレーやエスニックにも好相性

身近な非日常を味わいたいという点で、ベランダや庭を活用した過ごし方も人気です。定番の「ベランピング」「庭ンピング」となると準備が大掛かりになるため、テーブルとイスを置くようなちょっとした工夫で作るのがトレンド。イスでくつろぐだけの気軽な「チェアリング」もブームです。

 

花見やビアガーデンといった外の空気を吸いながら食事とお酒を楽しむのも、昨今は随分減ってしまいましたが、このスタイルなら用意から片付けまで簡単。ランチを楽しむならテーブルも置いて、ISAINAソーダを食中酒に味わってはいかがでしょうか。

 

合わせたいのは、ブームからすっかり市民権を得たともいえるスパイスカレー。辛さで舌がヒリヒリするところを、ISAINAソーダがやさしくカバーしてくれます。

 

【こんな料理が合うその4】「ポークビンダルー」×ISAINAソーダ割

南西インド発の、酸味と辛さが調和した「ポークビンダルー」は、スパイスカレーのなかでも話題の一皿。「ISAINAソーダの爽やかな果実味がカレーの酸味と調和して、炭酸の刺激は辛さを流して余韻をマイルドに感じさせてくれます」(中山さん)

 

【ISAINAの詳しい情報はコチラ

 

二面の香りが華やぐ全量芋焼酎「ISAINA」の開発秘話

2022年2月にデビューしたISAINAは、ソーダ割りとロックとで、異なる香りの魅力を醸し出すことが大きな特徴。その味わいは独自の「かおり酵母」と、麹まで芋の「全量芋焼酎」(「麹」を含め、すべての原料にさつまいもを使用した、芋100%で造る焼酎のこと。同じく宝酒造が販売する「一刻者」も「全量芋焼酎」です)によって生み出されています。

 

開発背景にあったのは、香りの特徴を訴求する「香り系芋焼酎」の人気が、特に芋焼酎を好む若年層に支持を集めていること。また、これらユーザーは、食事の前半はすっきりした味わいの炭酸割りで気軽に飲酒を楽しみ、食事の後半や食後はロックで芋の甘みをゆっくり味わいながら満足感を得たいというニーズをもっています。

 

そこで生み出されたのが、1本で爽やかな果実味とほっこりした甘い香りを楽しめる芋焼酎。アルコール濃度で香りが変わるよう味覚設計し、ソーダなどで割る(アルコール度数が低い)と果実の香りが立ちやすくロックやストレート(アルコール度数が高い)では、芋の甘い香りが感じやすいという特徴をもったISAINAが誕生しました。

 

なお、ISAINAは国際的な酒類のコンペティションである「IWSC2022」「SFWSC2022」で金賞を受賞。飲み方で香りが変わる、ユニークな魅力は世界でも高く評価されたのです。ぜひ本稿に加えて「平日編」も参考に、ISAINAとベストマッチの料理を合わせてワンランク上の食シーンを楽しみませんか。

 

【ISAINAの詳しい情報はコチラ

 

お酒は20歳を過ぎてから。ストップ飲酒運転。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。お酒は楽しく適量を。のんだあとはリサイクル。

 

まとめ/中山秀明 撮影/村田 卓 スタイリング/与那嶺龍士 モデル/江崎 拓也・井上貴美

衣装クレジット ●ある週末のランチシーン:【女性】カーディガン8800円/ロバートピーミラー×ジーンズ ファクトリー、パンツ9900円/ユニバーサルオーバーオール×ジーンズ ファクトリー(ジーンズ ファクトリー 本店 088-861-5100)、そのほかはすべてスタイリスト私物

飲み方で香りが変わる不思議なお酒「ISAINA」。平日の食卓・晩酌に合う組み合わせ4選

宝酒造の「ISAINA(イサイナ)」は、2022年2月に発売された全量芋焼酎。「飲み方で香りが変わる」というこれまでにない価値を打ち出して大きなヒットとなっています。ソーダで割ればりんごを思わせる果実の香り、ロックで飲めばほっこりとした芋の香りが楽しめるうえ、様々な料理に合うことが人気の理由でもあります。では、どのような料理とどんなシチュエーションが合うのでしょうか。

 

本稿は、この日常をGetNavi web編集長の山田佑樹が30代夫婦のトレンドシーンと合わせてレポートする記事の平日編。料理とのペアリングはフードアナリストの中山秀明さんが解説します。さらには、2022年6月に上梓し大ヒットしている「せんべろnetの酔っても作れる宅飲みおつまみ」の著者、ひろみんさんが一部料理提案をしてくれました。

 

【今回紹介するお酒】

全量芋焼酎 「ISAINA(イサイナ)

独自開発の「かおり酵母」を使い、麹を含めすべての原料にさつまいもを使用した、芋100%で造る焼酎。国際的な酒類のコンペティションであるIWSC2022、SFWSC2022において金賞を受賞しており、世界的な評価も高い。

 

平日の夕食:乾杯にも、前菜にも、メインディッシュにも

withコロナの時代になり、「ハイブリッドワーク」が都市部を中心に普及しています。共働きの夫婦でも出社する日、しない日が業務状況によって変化し、終業時間や帰宅時間が以前にも増してバラバラに。

 

予定が読みづらいwithコロナの生活で加速しているのが「作り置き」調理です。ステイホーム期間に習慣がついて、週末にまとめて作る家庭も引き続き多いはず。作り置きしたおかずを並べるだけで、時短で食卓が完成します。

 

作り置きレシピの弱点は、同じメニューが続くと食卓が単調になってしまうところ。そんなときでもISAINAはロックにしてよし、ソーダで割ってよしで食卓に変化をつけてくれます。食卓に香りの要素を付け加えてくれるので、テーブルがより華やぐうえ、食事の間を通して飲み飽きないので、先にどちらかが晩酌的につまみはじめても、同じお酒で乾杯できる点も嬉しいポイントです。

 

【こんな料理が合うその1】「ポテトサラダ」×ISAINAソーダ割

前菜として「ポテトサラダ」とのペアリングを提案。「ソーダで割ったISAINAがもつりんごのニュアンスが加わることで、りんご入りのポテトサラダのような、フレッシュな味わいを楽しめます」(中山さん)

 

【こんな料理が合うその2】「豚の角煮」×ISAINAロック

メインには「豚の角煮」を用意。「濃厚で力強い角煮の甘みと、やさしく爽やかなISAINAロックの甘みにはレイヤー感があり、その重層的な甘さを堪能できます」(中山さん)

 

【ISAINAの詳しい情報はコチラ

 

平日のリラックスタイム:のんびり家飲み、ちょっと小腹が…の最適解

「タイパ(タイムパフォーマンス)」重視で映画やドラマ、動画を早送りで観るのが話題になっている昨今ですが、その多くは1人で過ごす時間のときの話。夫婦や家族の時間は、ゆったりと作品を鑑賞する人も多いはず。

 

2022年のエンタメは王道作や往年の名作のヒットが目立っていて、単に最新作を見るだけではない、広がりのある点が特徴です。こうしたエンタメ作品とともに過ごす時間にもISAINAはピッタリ。特にロックは、時間の経過とともに少しずつ変わる味わいも一緒に楽しめる。ISAINAはそんな繊細さも持ち合せたお酒です。

 

このシーンの料理は、ひろみんさんが提案。最初は映画鑑賞に乾き物やアボカド和えで楽しんでいたら、食欲に勢いがついてしまってパワーメニューに手を出してしまったというケースです。夜中に突如訪れる、胃のブラックホールにはご注意ください。

 

【こんな料理が合うその3】「アボカドとクリームチーズの塩昆布和え」×ISAINAロック

のんびりとロックを楽しむなら、お供にちょびちょびつまめる「アボカドとクリームチーズの塩昆布和え」を。「焼き芋のような香りが立ちしっかりキレのあるISAINAロックは、個性ある味わいにも負けません。濃厚でまろやかな味わいが加わり、おいしさの相乗効果が生まれます」(ひろみんさん)

 

【こんな料理が合うその4】「紅生姜をたっぷりのせた豚丼のあたま」×ISAINAソーダ割

ソーダ割りには「紅生姜をたっぷりのせた豚丼のあたま」。「甘じょっぱく酸味とコクのある豚丼のあたまと、瑞々しい果実の香りがするスッキリとしたISAINAソーダ割りが絶妙にマッチします」(ひろみんさん)

 

【ISAINAの詳しい情報はコチラ

 

二刀流の魅力を持つ新時代の全量芋焼酎ISAINAとは?

2022年2月にデビューしたISAINAは、ソーダ割りとロックとで、異なる香りの魅力を放つことが大きな特徴。その味わいは独自の「かおり酵母」と、麹まで芋の「全量芋焼酎」(「麹」を含め、すべての原料にさつまいもを使用した、芋100%で造る焼酎のこと。同じく宝酒造が販売する「一刻者」も「全量芋焼酎」です)によって生み出されています。

 

「かおり酵母」と「全量芋焼酎」は、アルコール度数の高低でそれぞれが持ち味を発揮。「かおり酵母」は、低度数でりんごのようなフルーティな香りを生み出す特性があり、一方の「全量芋焼酎」は、高度数で焼き芋のようなほっこり甘い香りを放ちます。

 

そのため、ソーダ割りでアルコール度数の低い飲み方をした場合は果実味を、ロックでアルコール度数の高い飲み方をした場合は濃密な芋の甘やかさを感じられるのです。ぜひ、本稿のようなシーンにISAINAとベストマッチの料理を合わせて、ワンランク上のディナーや晩酌を楽しみませんか。合わせて「休日編」も、どうぞご参考に。

 

【ISAINAの詳しい情報はコチラ

 

お酒は20歳を過ぎてから。ストップ飲酒運転。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。お酒は楽しく適量を。のんだあとはリサイクル。

 

まとめ/中山秀明 撮影/村田 卓 スタイリング/与那嶺龍士 モデル/江崎 拓也・井上貴美

衣装クレジット●平日の夕飯シーン:【男性】Tシャツ1万4300円/シング ファブリックス(シング 03-5354-6090)、パンツ1万4300円/ゼインローブ(ザ センス 03-5579-2595)【女性】ニットワンピース2万6400円/クライデン(フォーティーン ショールーム 03-5772-1304)、その他スタイリスト私物 ●平日リラックスタイムシーン:すべてスタイリスト私物

「チューハイ」ってどんなお酒? その歴史や魅力を深掘りする噺

【意外と知らない焼酎の噺07】

これまで、焼酎の歴史や、造り方について深掘りしてきた本シリーズですが、ここからはその飲み方などの”実践編”。今回のテーマは「チューハイ」です。おそらくお酒好きなら誰もが一度は飲んだことがある「チューハイ」の誕生から、現在に至るまでの歴史やおいしい飲み方などを、大衆酒場にまつわる著書を数多く上梓している藤原法仁(のりひと)さんと、雑誌『古典酒場』創刊編集長の倉嶋紀和子さんにアツく語ってもらいました。様々な角度から「チューハイ」について紐解いていきます。

 

本サイトで連載中の【東京・大衆酒場の名店】ナビゲーターとしてもおなじみの藤原法仁さん(左)。倉嶋紀和子さん(右)は雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名

 

そもそも「チューハイ」とは?

甲類焼酎の飲み方には、ストレートやロック、あるいは飲みやすくするためにエキス(シロップ)を足して飲む梅割り、ぶどう割りなどがあります。ただ、どれもアルコール度数は20度〜25度(35度もある)と高め。ですから、割り材(※)で割って飲むのが一般的と言えます。その代表的なものが「チューハイ」。語源は焼酎の炭酸割り「焼酎ハイボール」であり、焼酎の”酎”とハイボールの”ハイ”で「酎ハイ=チューハイ」と言われています。

 

※割り材:酒を割って飲むための炭酸水や果汁などのこと

 

もともとは焼酎の炭酸割りから派生した「チューハイ」ですが、現在は焼酎だけでなく、ウォッカやジンなどの蒸留酒を、炭酸水などで割ったアルコール飲料を総称して「チューハイ」と呼ばれているようです。

 

【関連記事】
【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

 

それでは、まずは「チューハイ」の定義から考察していきましょう。「チューハイ」はビールや清酒と違い、酒税法上の品目ではありません。また現在、業界団体など民間の統一基準がないため厳格な定義もなく、何をもって「チューハイ」とするかの明確な規定はありませんが、藤原さんはどのようにお考えなのでしょうか?

藤原「この自由さが、ある意味『チューハイ』の面白さかもしれませんが、『チューハイ』と銘打たれた酒類に共通する特徴は2点あります。ひとつは、蒸留酒をベースとしていること。もうひとつは、アルコール含有率が低い(おおむね10度未満)ことです。

ちなみに、『チューハイ』は酒税法上ではリキュール(エキス分が2度以上)あるいはスピリッツ(エキス分が2度未満)に分類されます」

 

倉嶋「『チューハイ』は下町の『焼酎ハイボール』がルーツと言われますもんね。以前に藤原さんが紹介した『三祐酒場 八広店』の回で詳しく触れていました」

 

藤原「はいはい。今はなき『三祐酒場 本店』のご主人(奥野木祐治さん)が1951(昭和26)年にアメリカ進駐軍の駐屯地で飲んだ『ウイスキーハイボール』に感銘を受けて生まれたのが『元祖焼酎ハイボール』だったという話ね」

現在も「三祐酒場 八広店(墨田区)」で人気の「元祖焼酎ハイボール」

 

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【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺

 

倉嶋「『ウイスキーハイボール』はつまり、ウイスキーの炭酸割り。諸説ある『ウイスキーハイボール』の由来のひとつにも、炭酸の泡(泡の玉=ボールが上昇する様)説がありますもんね」

 

「ハイ」と「サワー」の違い

「チューハイ」と似たものに「サワー」がありますが、実際はほとんど同じ意味で扱われています。居酒屋などの店舗によっては無糖の炭酸水で割ったもののみを「チューハイ」と呼び、香料や甘味を含む割り材を用いたものは「サワー」と区別する例もあるようです。

 

そして「サワー」といえば、レモンサワーを思い浮かべる人が多いでしょう。確かに「サワー」は英語(SOUR)で酸っぱいという意味ですから、味のイメージとしてもリンクします。では、実際の起源はどこにあるのでしょうか。

倉嶋「ルーツは中目黒(目黒区)に本店がある『もつ焼きばん』(1958/昭和33年創業。2004年に立ち退きで閉店するも、2014年に中目黒で復活)だといわれています。

昭和30年代には焼酎を炭酸水で割ったものを『タンチュー(炭酎)』などと呼んでいたそうです。一方、ジンを炭酸水などで割ったカクテル『ジンサワー』も知られるようになっていて、ならば焼酎をベースにした『チューサワー』があってもいいのではないかと。でも、当時の焼酎は安い格下の酒というイメージが強かった。そこで『チュー』も省いて『サワー』と名付けてしまおうということになったのだとか。

加えて、1958(昭和33)年といえば映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の時代。東京タワーが建設されるなど経済成長期にさしかかっていたため、生レモンも入手しやすくなっていました。そうして、生のレモンを入れたサワーを名物ドリンクとして発案。これがレモンサワーのルーツだと聞いています」

今や、すっかり酒場の定番メニュ—となったレモンサワー(写真はイメージです)

 

倉嶋さんのおっしゃったレモンサワー誕生の由来には、実は諸説あります。例えば「もつ焼きばん」の公式サイトには、「名前のなかった『タンチュー』にレモンを加えたさわやかな飲み物。その飲み心地を伝えるため創業者である小杉正さんが“爽やか=サワー”と命名し『レモンサワー』が誕生した」とありますが、どちらも正しいのでしょう。

 

そして、レモンサワーを世に広めた立役者が、目黒区武蔵小山の飲料メーカー、博水社のロングセラー割り材「ハイサワー」。こちらのストーリーは藤原さんが教えてくれました。

 

藤原「定番であり、『ハイサワー』シリーズの第1号である『ハイサワー レモン』は1980年の発売。そのヒントになったのは、同じ目黒区にあった『もつ焼きばん』のレモンサワーなんです。やがて割り材として『ハイサワー レモン』は大ヒット。『わ・る・な・ら・ハイサワー』のCM効果もあって『サワー』も広く知られるようになりました」

また、ウーロンハイや緑茶ハイなど炭酸が入っていないものに「ハイ」がよく使われるという声もあります。ただ、本来は「ハイボール」の「ハイ」なので、炭酸は入っているはず。そのあたりについて藤原さんに伺いました。

 

藤原「『炭酸水を使わないなら“緑茶ハイ”ではなく“緑茶割り”が正しい』と言う人もいますね。それと『炭酸水ナシはチューハイじゃない』とか『緑茶ハイはチューハイじゃない』という人もいるかもしれません。僕も気持ちはわかるんです。でも、ウーロンハイや緑茶ハイなどの『お茶割り』も、広義では『チューハイ』に含まれると思います。緑茶割りではなく、緑茶ハイとして売り出しているお店もたくさんありますし、ほとんどのお酒好きは『どっちでもいい』と思っているのではないですかね。そこに関しては目くじらを立てるほどではないかなと思いますよ」

 

倉嶋「そうなんですよね。私も緑茶割りやウーロン茶割りは雑誌『古典酒場』を制作する上でも表記が難しかったなって、今でもよく覚えています」

 

藤原「ええ。定義がないですから、それがひとつの答えなのかなと。できれば、それぞれの由来は諸説を含めて知っておいたほうがいいのかなとは思いますけどね。よくないのは、根拠がない情報で理解したつもりになって、そこから『チューハイとは○○であり、○○は違う』とか発信したり断定しちゃったりすること。うーん、あらためて『チューハイ』って奥が深いですね」

 

エキスを使う「チューハイ」の酒場が東京東部に多い理由

では、1951(昭和26)年に「三祐酒場 本店」で生まれたとされる「焼酎ハイボール(チューハイ)」は、どのようにして広まり定着していったのでしょうか。人気となった背景には、戦後のウイスキー(ハイボール)人気の一方で、ビールやウイスキーの値段の高さ(代替としてのチューハイ)が関係しているとか。

 

 

藤原「これも諸説あるのですが、共通点は当時ネガティブな香りが強かった焼酎をおいしく飲むための工夫。風味づけのために梅やぶどうのエキスを焼酎に入れたり、口当たりを爽快にするために炭酸水で割ったり。当時としては一見風変りに見えたレシピが酒文化となり、大衆酒場を中心に花開いたのです。

トレンドの発信地となったのが、東京の下町。その理由は、かつては界隈に高度経済成長期を支えた町工場が多く、大衆酒場は労働者の社交場として栄えたから。また、さらに歴史をさかのぼると、もともと江戸は水路の街で、川を使って船で物流を行っていたから。川沿いを中心に産業が栄えて人が集まり、街が発展。大きな河川のそばにあった古い街のなかには、船が使えるという利点を生かし、工業地帯として発展していったケースも多いのです」

 

倉嶋「特に下町の『チューハイ』として根付いているのは、焼酎+炭酸水+エキスのタイプです。このエキス文化は東京の大衆酒場でも、都心部には下町ほど多くは見られないと思います。都心部のホワイトカラー労働者は、ビールやウイスキーハイボールを好んだからという背景もあると考えられます」

 

「チューハイ」はこうして全国区になった

東京のローカルな飲み方として発展した「チューハイ」ですが、1980年代になると全国に拡大していきます。このトレンドをより深掘りすると、1970年代に起こった「ホワイトレボリューション(白色革命)」が深く関係していると倉嶋さんは言います。

 

 

倉嶋「全国的な傾向でいうと、高度成長期には洋酒人気に火が付いたため焼酎の消費量は落ちていました。しかし、アメリカでは1974(昭和49)年に、バーボン人気をウォッカが上回るムーブメント『ホワイトレボリューション』が起こります。この流れを受け、クリアな蒸留酒のブームが日本にも到来すると予想され、1977(昭和52)年に宝焼酎「純」が誕生。やがて狙い通り、1980年代にはチューハイブームへとつながったのです」

 

宝焼酎「純」の新発売前(1977/昭和52年)の新聞広告

 

11種類の樽貯蔵熟成酒を13%の黄金比率でブレンドした、宝焼酎「純」

 

藤原「もうひとつチューハイブームの一翼を担ったのが、居酒屋チェーンの台頭ですよね。今日お伺いしている『村さ来(むらさき)』はその代表格。1号店は1973(昭和48)年開業の世田谷・経堂店です。当時、『村さ来』は『養老乃瀧』『つぼ八』と並び“居酒屋御三家”と呼ばれ、1980年代には全国規模へ拡大していきました」

 

倉嶋「特に『村さ来』は果汁や甘くて色の鮮やかなシロップを使って、カクテルのような『チューハイ』をバリエーション豊かに展開したことで有名ですよね。このカジュアルさが当時の若者に受けると予想したんでしょうね。今日久々に飲みましたけど、懐かしいです! 若返った気分になりました」

 

昔を懐かしながらチューハイのメニュ—を見る二人

 

圧倒的な種類を誇る「村さ来」のチューハイ(酎ハイ)メニュ—

 

藤原「ええ、懐かしいですね! 僕らみたいな呑兵衛は、濃いめで注文するのがいいのかも。ちなみに、氷やシロップを入れることでアルコール度数が低くなって飲みやすく、さらに原価率が抑えられて儲かることもポイントだったと思います。他の居酒屋チェーンも取り入れたことで一気に『チューハイ』が親しまれていくことになるんですね。

そして、1980年代のチューハイブームの火付け役として忘れてはいけないのが、さっき話した『ハイサワー』と、『缶チューハイ』の誕生です」

 

倉嶋「そう、日本初の缶入りチューハイ『タカラcanチューハイ』。1984(昭和59)年に発売されるやいなや大ヒットし、いまも続くロングセラーですよね」

 

藤原「その通り! まとめると、偉大な焼酎『純』の大ヒットによるチューハイブーム、カクテルのように甘くてバリエーション豊かな『チューハイ』を提供する居酒屋チェーンの拡大、『ハイサワー』のヒット、『缶チューハイ』の誕生。これらが、『チューハイ』が全国区になった要因といえるでしょう」

発売当時(1984/昭和59年)のタカラcanチューハイ

 

酒場通のふたりが好きな「チューハイ」と居酒屋

最後はおふたりに、お気に入りの「チューハイ」について伺いました。まずは、好きな「チューハイ」と、おいしい「チューハイ」を作るコツから。

 

藤原「僕はやっぱり、エキスと炭酸水の黄色い『チューハイ』が一番好き。僕の中では『チューハイ』といえば下町の『焼酎ハイボール』ですから。甲類焼酎とエキスを先に混ぜた“焼酎ハイボールの素”を作って冷やしておいて、さらにキンキンに冷やした炭酸水を先にグラスに入れてから“焼酎ハイボールの素”を入れるレシピがベスト。できれば氷はナシ。レモンスライスを入れるのもアリで、その場合も炭酸水を入れる前。こうすると、炭酸水とともにレモンがピーッと上がって美的にも素晴らしいんです」

 

藤原さんお気に入り、八広(墨田区)「亀屋」の名物「焼酎ハイボール」

 

【関連記事】
【東京・大衆酒場の名店】酎ハイ街道をゆく。八広・亀屋の“ボール” 受け継がれる秘伝レシピの噺

 

倉嶋「さすが藤原さん。先に炭酸を入れるのは、墨田区あたりに多いスタイルですね。私は特にコツというほど実践していることはなく、甲類・本格(乙類)焼酎両方とも使いますし、レモンも使ったり使わなかったりなんですが、最近のお気に入りは宝焼酎『レモンサワー専用』です。やさしいコクと、ほんのりハーブ系なニュアンスがあってレモンの香りが立つし、炭酸水で割るだけでもおいしい。あと、タイ系などスパイス料理との相性がピカイチでオススメです」

 

レモンの風味を引き立てる、レモンサワーのために開発された宝焼酎「レモンサワー専用」

 

次はオススメの「チューハイ」に合うおつまみ、そして「チューハイ」を提供するオススメのお店を聞きました。

 

藤原「最近のマイブームおつまみはハムエッグ。卵はよく焼いてあるのが好きです。そしてお店は、東向島(墨田区)にある大衆酒場『岩金』。両手に炭酸水の小瓶をもって、一気に2杯ぶんの『チューハイ』を作る技があって衝撃を受けたんです。僕はあれを“炭酸二本差し”と名付けました」

 

一気に2杯ぶんの『チューハイ』を作る”炭酸二本差し”(※写真は堀切菖蒲園(葛飾区)「きよし」)

 

倉嶋「炭酸水とは、目の付け所がさすが藤原さんですね! 私の好きなお店は東十条(北区)の『埼玉屋』さんです。グラスのふちに塩を付けるソルティドッグ風のレモンハイが絶品で。『チューハイ』って、ひとつのカクテルなんだなぁと感銘を受けました。名物の焼きとんとの相性も抜群ですし」

 

あらためて、「チューハイ」の歴史や魅力を存分に語り合った藤原さんと倉嶋さん。ぜひ本稿を参考に、多彩な「チューハイ」を飲み比べてみてください。

 

【取材協力】

村さ来 中野北口店

住所:東京都中野区中野5-64-5 サンピオーネビル 4F
営業時間:17:00~24:00(L.O.23:30)
定休日:なし

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2022年9月2日)

 

撮影/鈴木謙介

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

・宝焼酎「純」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/jun/

・宝焼酎「レモンサワー専用」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/lemonsour/

・タカラcanチューハイ
https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/regular/

 

【意外と知らない焼酎の噺】バックナンバーはこちら▼

「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】
「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】
いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺【意外と知らない焼酎の噺03】
芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺【意外と知らない焼酎の噺04】
麦焼酎の歴史とつくりを知り、味わいを楽しむ噺【意外と知らない焼酎の噺05】
焼酎の味わいを決める「樽貯蔵熟成酒」について宮崎・高鍋で学ぶ噺【意外と知らない焼酎の噺06】

0.0009%以下の希少性はホンモノでした。53年の熟成を経た古酒「あまてらす」の美しさ、美味しさよ

長期的かつグローバルなフードトレンドのひとつに「高級SAKE」があります。これは1本2~3万円(もしくはそれ以上)クラスの日本酒カテゴリーのことで、素材や製法を徹底追求した贅沢な味わいであることも特徴。なかには数年以上寝かせて深みをもたせる熟成酒もあり、今回紹介するのはその一本。もうすぐ創業300年を迎える千葉県御宿の老舗、岩瀬酒造の「あまてらす」です。

↑岩瀬酒造の銘柄・岩の井の「あまてらす」。テレビ東京のクラウドファンディングサイト「ナナ福神」で2万5000円です

 

本稿では高級SAKEのトレンドや同商品の特徴解説のほか、飲み比べて味わいをレポート。好相性なペアリングも紹介します。

 

10年以上の熟成日本酒は0.0009%しか存在しない

高級SAKEトレンドの背景には、日本酒の新価値創造と海外ニーズの掘り起こしが深く関係しています。

 

日本酒は海外で「ライスワイン」と称されますが、ぶどうのワインに比べて高級な銘柄はそこまで多くありません。また、高級銘柄といってもその多くは既存ブランドの最上位品といった位置付けでした。その状況下で近年増えているのが、ラグジュアリー日本酒「SAKE HUNDRED」など、高級SAKEの専門ブランドです。

 

一方、世界では和食の人気が年々高まっていて、やはりそこに合うお酒といえば日本酒=SAKE。希少かつ贅沢な味とラグジュアリーな世界観で、国内外の富裕層を中心に高級SAKEが支持されているのです。

 

高級SAKEの味わい特徴は高精白(極限までお米を磨く)で超フルーティだったり、貴醸酒(水ではなくお酒で仕込む)のように凝縮感のある甘みがあったりと、いくつかの方向性がありますが、そのひとつが長期熟成。熟成酒自体は珍しくありませんが、10年以上寝かせるなどして圧倒的なまろやかさや奥深い香りをもった長期熟成日本酒が、高級SAKEのいちカテゴリーとして存在します。

↑特に10年以上の熟成酒は超希少。全国の日本酒生産量のうち0.0009%しか存在しないと言われています

 

日本屈指の超硬水で醸される濃醇な熟成酒

今回紹介する「あまてらす」は、昭和44(1969)年度製の古酒を使っているのが大きなポイント。10年以上でも珍しいのに、53年も熟成され続けたとはきわめてレアです。しかもこの古酒は、大吟醸酒をベースとした贅沢品。

 

そして、そもそも造り手の岩瀬酒造は享保八(1723)年創業の老舗であり、2018年の「ブリュッセル国際コンクール」熟成酒部門に出品した「秘蔵古酒20年」がプラチナ賞に輝いた、熟成酒の名手です

↑恵まれた自然環境であることもポイント。それが、軟水国の日本では非常に珍しい超硬水が沸いていること

 

岩の井で知られる岩瀬酒造が芳醇な熟成酒を造れる背景には、技術だけでなく水も関係しています。それは、仕込みに使われる房総半島の貝殻層を通った、硬度約240度という国内屈指の超硬水。そのため、岩の井ならではの力強い味わいと豊富なミネラル感を実現でき、そんな日本酒が熟成を経ることによって、さらに濃醇な味わいへと深化するのです。

 

昭和30年代より古酒の貯蔵を始めていた岩瀬酒造では、こうした熟成酒を大切に貯蔵しており、「あまてらす」では前述の53年もののほかにうまみの豊かな7種類の古酒をブレンド。では、その味わいはいかなるものなのでしょうか。

↑緊張しつつ箱から出してお猪口へ。円熟感のある琥珀色は、まさに熟成酒ならではの美しさです

 

明るく清らかな妖艶さ、朗らかな美しさを感じる

まずは香りから。おお、これは……熟成酒ならではの甘やかな芳香があり、その奥から穀物由来の上品な香ばしさ、繊細な果実味、やわらかな酸味などが上り立ってきます。

↑アルコール度数は16%。堂々としたボディ感を楽しめます

 

そしてひと口。第一印象では、「これぞ熟成酒!」的なふくよかな甘みやまろやかな酸味を感じますが、その飲み口はきわめてクリア。このきれいな味わいは、ブレンド技術によるものでしょう。

↑温めてもこれまた美味。独特のまろみがいっそう華やぎます

 

果実味を表現するなら、焼いた完熟りんご、あんず、干し柿、きんかんといったところでしょうか。そのうえ枯れた感じはなく、瑞々しさすら感じるほど。明るく清らかな妖艶さ、年月を経たからこそにじみ出る、朗らかな美しさを感じます。

 

この味わいに、太陽を司る女神にちなんだ「あまてらす」という銘柄名にも納得。では、飲む際にはどんな料理と合うのでしょうか。いくつか、筆者がオススメだと思うフードペアリングを紹介します。

 

まずは焼鳥で、塩よりもタレがオススメ。ジューシーな肉と甘じょっぱいタレの味、こちらが「あまてらす」のやわらかく甘やかな味わいと実にマッチします。

↑焼鳥と合わせる際は、お酒を少々温めてもいいと思います

 

熊本では「山うにとうふ」として親しまれていますが、味も口どけも濃厚な豆腐の味噌漬けがベストマッチ。クリームチーズの味噌漬けもナイスです。醤油漬けよりも、甘みと凝縮感が豊かな味噌漬けのほうがオススメ。どっしりとした味噌漬けのうまみを、「あまてらす」の酸味やアルコールが流しつつも調和します。

↑珍味としては豆腐の味噌漬けや、クリームチーズの味噌漬けがオススメ

 

普通の日本酒には、あんこ系の和菓子やクリームチーズを使った洋菓子などがよく合うでしょう。ただ、「あまてらす」にはほんのり焼いたニュアンスや酸味があるスイーツがオススメです。特に「あまてらす」がもつ焼きりんごのようなニュアンスに通じる、アップルパイは激推し。また、ほっこりやさしい甘みをもったさつまいもとも好相性なので、スイートポテトや大学芋なども合うと思います。

↑スイーツには、アップルパイはいかがでしょうか。スイートポテトを使ったアップルパイは、なおよしです

 

販売は、冒頭でお伝えしたテレビ東京のクラウドファンディングサイト「ナナ福神」で、2022年10月19日の15時まで。10月下旬までには配送されるとのことで、年末年始にも間に合います。もう二度とないかもしれないチャンス、この機会にいかがでしょうか!

↑「あまてらす」は375mlで2万5000円となかなか高価ですが、だからこそ記念日や贈り物などには最適。1969年生まれの人は特に要注目です!

 

【関連リンク】

岩の井オリジナルブレンド熟成古酒「あまてらす」

バーテンダーのために生まれたアイリッシュウイスキーブランドが日本初上陸! ウイスキーカクテルを楽しむ「ROE & CO ロー アンド コー」

ディアジオ ジャパンは、アイリッシュウイスキーブランド「ROE & CO ロー アンド コー」を、9月6日に日本で発売しました。価格はオープン価格。

 

同商品は、アイルランドのカクテル文化をリードする5名のバーテンダーが監修。バーテンダーのために作られた、カクテルを作るのにぴったりな味わいのプレミアム ブレンデッド アイリッシュウイスキーです。経験豊富なチームによる、100を超えるブレンドやプロトタイプを試すなどの地道な努力から誕生し、2017年以降からアイルランドのほか、アメリカ、イギリス、フランスなどの国々で順次展開しています。

 

厳選されたアイルランドの麦芽から生まれたモルトウイスキーとグレーンウイスキーを、100%バーボン樽で熟成させた贅沢感のある滑らかなブレンドが特徴。麦芽による鮮やかなフルーティさとグレーンウイスキーのクリーミィさが楽しめます。また、高いファーストフィルの比率により、芳醇なバニラの味わいが、フルーティさとほのかなスパイシーさを調和させ、深みのある贅沢で洗練された味わいに仕上がっています。

 

アルコール分は45%で、容量は700ml。鮮やかなグリーンのブランドロゴと、人目を惹くようなボトルデザインが特徴です。

田村 淳が新「キリン一番搾り 糖質ゼロ」を絶賛!ーー「全然味違う、何これ! 糖質入りのビールと遜色ない…!」

Sponsored by キリンビール株式会社

 

今夏キリンビールが刷新した「キリン一番搾り 糖質ゼロ」は、キリンビール過去10年のビール商品のリニューアルにおいて飛躍的な進化を遂げたと言います。本記事では、ビール好きであるとともに各メディアでも遠慮なしのトークで信頼を得ているタレントの田村 淳さんに、「キリン 一番搾り 糖質ゼロ」のリニューアル前後で飲み比べを実施。味の違いを語っていただきました。

 

キリン一番搾り 糖質ゼロ

国内初(※1)の糖質ゼロ(※2)ビールとして2020年10月にデビューし、2022年夏にリニュ―アル。独自技術「一番搾り製法」はそのままに「糖質カット製法」に磨きをかけ、麦芽を増量するとともにホップ配合を再構成。ひと口目に感じるビールの飲みごたえを向上させ、後味はすっきりと澄んだ味わいを実現した。

※1:ビールで糖質ゼロを実現した国内初めての缶商品(Mintel GNPDを用いたキリンビール社調べ)

※2:食品表示基準による

 

 

↑田村 淳さんにしっかりとキリン一番搾り 糖質ゼロを味わってもらいました

 

「糖質がないとビールの味がしないのでは?」--糖質ゼロビールへのイメージを率直に聞いてみた

自らのオンラインサロンでビールを造るなど、ビール好きな淳さんにとって普段からビールは身近な存在。食事でもフレンチ以外は基本的にビールからスタートし、オンとオフの切り替えにもビールでリセットをすることがよくあると言います。

 

「麦の香りが前面に出ているビールが好きです。もうひと口いきたくなる、みたいな。特に食事のときは、香りが強すぎずどんな料理にも合う爽快なタイプが好きですね」(淳さん)

 

聞けば、淳さんのお父さんは「キリンラガービール」の愛飲家であるとか。そのため淳さんも昔から、ビールといえばキリンというイメージが強いそう。では、糖質ゼロビールにはどんな印象をもっているのでしょうか?

 

「糖質は、ビールの味を構築するうえでスゴく大事というイメージ。最前線に出ているとか、あるいは縁の下の力持ちになっているみたいな。だから、糖質がないとあまりおいしくないんじゃないの? とか、糖質ゼロは味の大切なピースが欠けてるってイメージを持っています。でも、実は飲んだことがないのでわからないんですけどね」(淳さん)

 

淳さんが糖質ゼロビールを飲んだことがない理由は、前述のように味へのネガティブなイメージがあったから。また、本家「キリン一番搾り生ビール」が好きなので、キリン一番搾り 糖質ゼロを飲む必要性が感じられなかったからだと言います。

 

 

「全然違う!! スゴい! スゴく洗練されたおいしさで、素晴らしい完成度」--新旧「キリン一番搾り 糖質ゼロ」を飲み比べ

糖質ゼロビールを飲んだ経験がないというのは、今回の企画主旨としては先入観がなくむしろ好都合。まずはリニューアル前の「キリン一番搾り 糖質ゼロ」を飲んでいただきました。初めての糖質ゼロビール、第一印象はいかがでしょう?

 

↑缶のデザインはどちらも似ていますが、並んで左の「新」というアイコンや「ALC.5%」と書かれているほうがリニューアル版です

 

「あっ、想像と違う! 失礼しました。麦のうまみと爽快感がありますね。すっきり爽快で、これは(リニューアル前の製品でも)十分うまいです!」(淳さん)

 

そして淳さんは水を飲んで口をリセット。次はいよいよ、リニューアルしたキリン一番搾り 糖質ゼロを飲んでいただきましょう。

 

「なるほど…あっ、こうきたかっ…って、全然違う!! なにこれ、スゴい! どうやってこのおいしさに進化できたんだろう? だって、糖質がある金色の一番搾りに近づいてる感じじゃないですか。旧タイプもおいしかったけど、本当にこっちは全然違うしめちゃくちゃうまい!」(淳さん)

 

↑違いの大きさに驚き、思わず満面の笑みに

 

味の進化には淳さんも驚きを隠せない様子。普段よく愛飲している「キリン一番搾り生ビール」に通じるおいしさだと言います。

 

すっきりして研ぎ澄まされた味わいは、いつもの一番搾りを超えてるんじゃないかって思うぐらい。本当にスゴく洗練されたおいしさで、素晴らしい完成度ですね。でもよかったです。というのも、もし新旧で違いがなかったら、正直には言うものの、なんて表現しようかと考えていたので。まあ、全然その必要はなかったですね(笑)」(淳さん)

 

進化した「キリン一番搾り 糖質ゼロ」は、ビールの色が濃くなった点もリニューアルの注目ポイント。淳さんも液色について言及します。

 

「僕、ビールの色ってけっこう気にするんです。例えばノンアルコールビールテイスト飲料って、比較的に色が薄いじゃないですか。視覚で味のイメージも引っ張られちゃうので、グラスに注がず缶のまま飲むことが多いんです。でもキリン一番搾り 糖質ゼロは糖質ありのビールと遜色ない濃さですから、グラスに注いで楽しめますね」(淳さん)

 

 

「なんでこんなに変わったの?」--田村 淳、キリン一番搾り 糖質ゼロを詳しく知る

「どうやってこのおいしさに進化できたんだろう?」とも驚く淳さん。答えはいつくもありますが、カギは、“糖質カット製法”という技術進化と、それによる味覚進化の検討の幅が広がったこと。試行錯誤の結果、使用する麦芽の増量に加え、アルコール度数を4%から5%へと比率を高めたことで、飲みごたえをアップさせました。さらにホップの増量と配合変更により、ビールならではの香りを強化するとともに、渋味や雑味のない味わいになったのです。

 

「なるほど! 麦芽の増量とアルコール度数が上がったことで、味に厚みが出てるんですね。それで、香りの部分はホップの効果が大きいと。確かに、余韻で鼻から抜ける爽快さもメチャメチャ心地いいんですよ。麦のコクと、清涼なホップの抜け感が調和していて」(淳さん)

 

さらに淳さんは、キリン一番搾り 糖質ゼロを「飲み飽きない味ですね!」と、飲みやすさに関しても大絶賛。

 

「わりと僕、ビールを最初に飲んでから焼酎やハイボールなどに変えてるんです。なんだかんだ糖質って気になるけど、これなら糖質ゼロですし、糖質入りのビールと遜色ないおいしさだからありがたいですよね」(淳さん)

 

↑キリンビール担当者による、リニューアルポイントの解説を熱心に聞く淳さん

 

「それに味がすっきりと洗練されているので、もう一杯飲みたくなります。僕みたいなビール好きは多いと思うんですけど、すごく嬉しいんじゃないかな。でも、ここまでおいしくするのって難しかったんじゃないですか?」(淳さん)

 

おっしゃる通り。開発期間が7年、試験醸造は450回、試飲テストは7000回と、試行錯誤の末にたどり着きました。(ブランド開発開始からの総計)

 

というのも、そもそも、ビールの糖質は主原料である麦芽に含まれており、キリン一番搾り 糖質ゼロをつくるには、その糖質をカットしながら麦のうまみを引き出す必要があります。ここが中々難しい技術なのですが、数多くの検証を繰り返した結果、糖質を最大限分解するなどで酵母が糖質を食べきる新しい「糖質カット製法」が開発されました。それによって、味わいのシミュレーションの幅が数十倍~数百倍にも広がり、糖質ゼロにも関わらず、「一番搾り」らしく、素材の良さを引き出すことができ、ビール本来の刷新されたおいしさに進化できたんです。

 

「わかります。僕、オンラインサロンでビールを造ったことあるんですけど、素材の掛け合わせ方やバランスって超難しいんですよね。狙ったレシピでいざ試してみても、飲んでみるとイメージした味と全然違うみたいな。でもキリン一番搾り 糖質ゼロは飽くなき挑戦で理想にたどり着いたんですもんね。納得ですよ。これはどんな料理にも合うでしょうし、改めてめちゃくちゃ良いビールだと思いました。開発期間も本当にすごい」(淳さん)

 

キリン一番搾リ 糖質ゼロ、おいしさのヒミツを解説!

淳さんがコメントしてくださった通り、糖質ゼロでありながら、より多くのお客様に満足していただける味わいをつくるのは苦労の連続だったそうです。しかし、「一番搾り」ブランドの目指すべき姿は「おいしさでお客様の毎日によろこびをつくり、社会とお客様に貢献すること」。そのためにはおいしさに一切妥協せずに、一番搾りで糖質ゼロビールを生まれ変わらせるという意気込みでチーム一丸取り組んだ結果だそう。

 

「おいしいビールはやっぱりうれしい」「食べたいものと一緒に気兼ねなく飲める」--そんな幸せに貢献する存在を「キリン一番搾り 糖質ゼロ」が担えたら嬉しいという思いが込められているのです。

今回のリニューアルで開発チームが意識したのが、糖質ゼロ・オフ系ビールはおいしくないと思っているお客様の先入観を覆すこと。おいしさの進化に注力し、原材料の選定から見直したりと大胆な刷新を図りました。これにより、圧倒的なおいしさ進化(※)をとげ、過去10年のキリンのビール商品史上最高のおいしさ進化※を実現したのです。

※自社内ビール商品のリニューアル前後の味覚向上幅において(キリンビール調べ)

 

そうした努力によって、発売前に行った消費者調査における味覚評価が、リニューアル前品から大きく向上しました。

 

 

 

キリン一番搾り 糖質ゼロが、糖質ゼロビールの解釈を変えていく

すっかりキリン一番搾り 糖質ゼロがお気に入りとなった淳さん。あらためて、どんな味わいに惹かれたのでしょうか。

 

麦のうまみやホップの香りをしっかり楽しめて、それでいてのど越しが冴えているところかな。すっきり爽快だけど、ビールらしい味と香りが心地良く続く、そこがイイですね。糖質という大事な要素を抜きつつも、それを上手に補強しておいしさを表現するという企業努力にも関心しました」(淳さん)

 

さらに淳さんは、今回のリニューアルによって、糖質ゼロビールの立ち位置が変わるのではないかとも言います。

 

「キリン一番搾り 糖質ゼロを飲む前は糖質ゼロってピースが欠けてるとか、足りないっていうイメージだったんですけど、全然違いますね。これは新しいピースで補ったパズルのような、構成要素の揃い方がまったく異なるおいしいビール。新しいキリン一番搾り 糖質ゼロによって、糖質ゼロビールの解釈が変わってくると思います。ゼロといっても、スタート地点のゼロみたいな」(淳さん)

 

これからは自身で愛飲するのはもちろん、知人にも教えてあげたいと目を輝かせる淳さん。皆さんもぜひ、生まれ変わって圧倒的においしくなったキリン一番搾り 糖質ゼロを試してみませんか。

 

 

 

田村 淳

1973年12月4日生まれ、山口県出身。1993年、ロンドンブーツ1号2号結成。コンビとして活躍する一方、個人でもバラエティー番組に加え、経済・情報番組など多ジャンルの番組に出演。300万人超のフォロワーがいるTwitter、YouTube「田村淳のアーシーch」の開設、オンラインコミュニティ「田村淳の大人の小学校」を立ち上げるなど、デジタルでの活動も積極的に展開。2019年4月に慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。2021年3月修了。タレントの枠を超えて活躍の場を広げている。

 

商品についての問い合わせ先:キリンビール株式会社

 

撮影/ヒゲ企画 シズルコーディネート/塙 日沙世(topup)

「せんべろnet」に聞く! 1000円で楽しめる「せんべろ」の噺

「せんべろ」とは“1000円でべろべろに酔える”ような酒場の俗称ですが、今回話を聞いたのは、立ち飲みや大衆酒場など「せんべろ」飲み歩き情報を配信中の「せんべろnet」管理人のひろみんさん。年間800軒飲み歩く彼女に、大塚にある「ドラム缶大塚店」で、知っているようであまり知られていない「せんべろ」の世界を教えてもらいました。

 

 

●せんべろnet ひろみん/都内在住のせんべろ放浪人。飲むこと、食べること、一人飲みや立ち飲みが好き。運営サイト「せんべろnet」では、都内を中心とした立ち飲みや大衆酒場など気軽にちょっと一杯できる飲み歩き情報や宅飲み情報を配信中。2022年6月『せんべろnetの酔っても作れる宅飲みおつまみ』(ワン・パブリッシング・刊)を上梓。

 

原点はかつて新橋にあった立ち飲み店

せんべろnet」は、都内を中心とした立ち飲み店や大衆酒場などの飲み歩きレポートに加え、家飲みを楽しむためのおつまみやお酒情報が満載のサイトです。スタートしたのは2015年のこと。始めようと思ったきっかけは、あるお店と出合って立ち飲みにハマッたことだったとか。まずはそのいきさつなど、サイト開設に至るまでの歩みを伺いました。

 

ひろみん「もともと新橋のIT企業で働いていたのですが、終業後に一人で食事をすることも多く、となるとそこは酒場天国の新橋。ちょっと一杯飲みたいなってなるじゃないですか。そんなある日、たまたま入った立ち飲み店がめちゃめちゃ衝撃的だったんです。ジャンルは鳥皮焼きが名物の九州料理のお店でしたね。それまであまり立ち飲みには行ったことがなかったのですが、そこには見たことのないおつまみがたくさんあったり、価格帯も100円台~300円台とお財布に優しくてスゴくワクワクしたんです。味も絶品で一人飲みにピッタリな量、店員さんも笑顔で気持ちがいいし、立ち飲みだから一杯だけで帰る人もいて気軽。しかも会計は1000円ぐらい。『こんなに素敵な世界があるんだーっ!』と感激して、そこから立ち飲みにハマりました」

 

↑東京・新橋は数多くの酒場が軒を連ねる酒飲みにはたまらない街だ

 

ひろみんさんはその立ち飲み店の常連になったものの、その後、残念ながら閉店。とはいえ飲み屋が多い新橋には、立ち飲み店や安価な大衆酒場もあまた。自然と様々なせんべろの店をはしごするようになり、その記録を兼ねたレポートをグルメサイトへ投稿するようになりました。

 

ひろみん「2012年ぐらいから3年程グルメサイトに投稿していました。ただ投稿するにつれ、もっと自分の色を出せるブログみたいなものをやりたいと思うようになり、『せんべろnet』を立ち上げました。一人飲みや立ち飲みに慣れていないころ、入店してみたいけど情報がなくて不安ということもあったので、一人飲みにチャレンジしたいけど『初めてのお店はちょっと不安』という方の背中を少しでも押せたらいいなぁというコンセプトで、更新するようになりました」

 

↑「せんべろnet」の記事は現在1700本以上。お店の情報から、レシピや飲み比べなど情報が満載

 

スタートから8年ほど経った「せんべろnet」には、現在1700本以上の記事がアップされています。投稿は予算1000円ほどのせんべろのほかに1500円~や2000円~も少々あり、そういったいくつかのテーマをエリアと掛け合わせて検索できます。ジャンルもバラエティ豊かですが、お店の情報はどのように仕入れているのでしょうか?

 

ひろみん「足で探すこともよくありますし、お酒好きの知人のほか、お店の方や、そこで飲んでいる人から聞くこともあります。あとはネット検索で見つけることもありますし、はたまた読者の方から情報をいただくこともあり、まちまちですね。歩くことが好きなので、お店を探すためだけに探索をすることもよくあるんですよ」

 

家飲みに関する記事は、2020年以降より充実。レシピや飲み比べ、テイクアウト、お取り寄せ、コンビニのおすすめおつまみなど、こちらも多彩な記事が継続的にアップされ、現在に至ります。

 

「せんべろ」は金額以上に満足度が大切

 

冒頭で述べたように「せんべろ」とは“1000円でべろべろに酔える”ような酒場の俗称で、『せんべろ探偵が行く』(中島らも、小堀 純・著/集英社・刊)が発祥と言われています。同書を読むと、1980年代ごろに著者の中島らもさんらの身内言葉から全国に広まったとの記述もあります。では、ひろみんさんが考える「せんべろ」とは?

 

ひろみん「せんべろは、1000円でべろべろに酔えるという言葉ではありますが、発祥と言われている『せんべろ探偵が行く』を読むと、気の利いたつまみとお酒2~3杯ほどという意味合いが強く、そういった酒場が多く紹介されています。そもそもせんべろには、1000円で何杯以上飲めるとか、1000円を超えてはいけないといった明確な定義はありません。ですので、私は1000円ぐらいでちょっと一杯、イイ気分になれたらせんべろ、と解釈してこの言葉を使っています。本当にべろべろになったら危ないですし、1000円を超えてしまうことも日常茶飯事です。ただ、『せんべろnet』では予算の目安で、1軒あたりお酒2杯+つまみ1品=1000円以内をせんべろとしており、自身がほろ酔いになれる量を設定しています」

 

 

では、せんべろや立ち飲みを楽しむためのマナーみたいなものはあるのでしょうか?

 

ひろみん「業態としての特徴は、特に立ち飲みではキャッシュオンのお店があったりもします。最近ではキャッシュレス決済を導入しているお店もありますが、現金のみのお店もあるので、できれば1000円札や小銭を用意しておきましょう。キャッシュオンの立ち飲みなどでの1万円札の利用は、できるだけ避けたいところです。また、小さなお店には大人数では押しかけず、1~2名がベター。なかには、3名以上のグループは入店NGと言う立ち飲みもあります。そしてダラダラと長居はせずに、混んできたらサッと次のお店へ。あとは、お店の方やお客さんに迷惑がかかるような絡み方はしない、騒がないといった一般的なマナーも当然ながら大切。セクハラ発言などは絶対にNGですし、楽しくなって、ワーキャーと声が大きくなったりするのも迷惑行為になってしまいます。とはいえ、難しく考えず、迷惑をかけずに楽しく飲めば何ら問題ないと思います。」

 

↑「ドラム缶 大塚店」はカウンターで注文と会計をするセルフサービス

 

一人飲みしやすいお店とは?

メニューの価格がわかることは、お店選びにも関わるとか。特に、せんべろ初心者が入りやすいお店、一人飲みしやすいお店には、わかりやすさが欠かせないとひろみんさん。

 

ひろみん「外から店内の様子が見えたり、入口に『お一人様歓迎』とか書いてあったり。あとは、メニューと価格が張り出されていて料金の目安がわかるお店は入りやすいですよね。カウンターがあることもポイント。座り飲みでカウンターがないお店だとハードルが上がってしまう気がします。居心地の良さも重要ですね。店員さんにある程度注文しやすい雰囲気だったり、酔って絡んでくるお客さんを取り締まってくれたり、リラックスして飲めたりとかそういったところです。さらに、一人用のおつまみがあったら最高ですね!」

 

↑「ドラム缶 大塚店」のように、外からどんなお店かわかると、一人飲み初心者にも入りやすい

『せんべろnet』流のペアリング術

では、ひろみんさんは普段どんなメニューを注文しているのでしょうか?

 

ひろみん「おつまみに関しては、基本的にお店の名物をオーダーします。でもそれを含め、自分が食べたいもの、気になるものになりますね。せんべろの場合1~2品をつまむ程度ですからそこまでの数を注文しませんし、はしごもするのでお腹がいっぱいになってしまうと回れません。ですので、メニュー選びはかなり吟味します」

 

ドリンクも同様の理由で、お腹にたまりがちなビールよりはチューハイ。加えて、甘くないタイプがお気に入り。量も飲むため、焼酎ベースのハイボールやホッピー割りなどをオーダーすることが多いと言います。

 

具体的にはどのような組み合わせになるのでしょうか。今回訪れている「立ち飲み居酒屋ドラム缶 大塚店」を例に、お酒とのペアリングを踏まえたせんべろセットを教えてもらいました。

 

ひろみん「例えば私が好きな『ぽん酢サワー』は、コクとキレのある焼酎にぽん酢の酸味がしっかり効いており、抜群の爽快感が肉や揚げ物といったこってり系のおつまみに合うんです。なので、カレー風味の『おつまみパイコー(※)』や、しっとりジューシーなお肉をハニーマスタードで味わう『ヒレ ローストポーク』がオススメ。スパイスの風味にも、すっきりとしたサワーの味がちょうど良く合うんです」

 

※パイコー(拝骨):中国語で豚などのスペアリブ。豚のあばら肉に卵と小麦粉の衣をつけて油で揚げた中華の肉料理を指す。

 

↑「ぽん酢サワー」(300円)、『おつまみパイコー』(350円)、『ヒレ ローストポーク』(400円)。この3品で1050円!

 

ひろみん「本格焼酎なら、ソーダ割りとロックで味の装いが変わる全量芋焼酎『ISAINA(イサイナ)』がお気に入りで、りんごのような風味のソーダ割りには酸味の効いた『油淋鶏』や『チキン南蛮』、あとは『よだれ豆腐』や『えびまよ』もオススメです。

↑ひろみんさんオススメの『ISAINAのソーダ割り』セット。『ISAINAのソーダ割り』(350円)、『よだれ豆腐』(300円)、『チキン南蛮』(350円)と合わせた3品で、1000円

 

ひろみん「『ISAINA』はロックで飲むと、焼き芋のような甘い香りがキリッとした味とともに華やぎ、『お刺身5点盛』(500円)がよく合うと思います」

 

メニューを見てワクワクできるお店が好き

今回訪れた「立ち飲み居酒屋ドラム缶 大塚店」は、2022年6月30日に上梓した『せんべろnetの酔っても作れる宅飲みおつまみ』(ワン・パブリッシング・刊)でも紹介されるほど、ひろみんさんお気に入りの一軒。同書には同店を含めた珠玉の12軒が紹介(大好きな酒場に教わるおつまみレシピとして)されていますが、ひろみんさんが考える“良い酒場”とはどんなお店なのでしょうか?

↑『せんべろnetの酔っても作れる宅飲みおつまみ』には、ひろみんさんオススメの店のレシピが掲載されている

 

ひろみん「ひとつは、メニューを見てワクワクするお店です。例えば種類の豊富さだったり、リーズナブルな価格とか。そのうえで、注文した料理がスゴくおいしそうだったりしたら、ワクワク感はMAXですね。あとは、私は基本的に1軒で2杯までと決めているんですけど、つい3杯目を注文しちゃうようなお店は、あとから振り返って『いいお店だなぁ』って実感します」

 

もちろん、著書で紹介しているお店はすべてがワクワクするところばかり。つい長居してしまったり、なかには立ち飲みではないお店もあります。例えば篠崎の「大林」や、八王子の「独楽寿司」などはインパクト抜群のつまみが豊富な名店。

↑本サイトの連載【東京・大衆酒場の名店】シリーズでも登場した「大林」。料理メニューは全部で約160もあり、北陸の旬の馳走や絶品創作メニューが満載

 

ひろみん「せんべろということで、毎日通えるようなお財布に優しいプライスが大前提ではあります。でも、ただ安いだけではなく、そこに驚きや感動がないとワクワクはしないですね。逆に、少しぐらい値が張ってもビックリするぐらいおいしいとか、お店の方が素敵だったり、雰囲気に引き込まれたりとか、そこにしかない特別な価値がある場合はいいお店だなと思いますし、行きたくなります」

 

せんべろ飲みから得たお店レシピ紹介本の発刊へ

『せんべろnetの酔っても作れる宅飲みおつまみ』(ワン・パブリッシング・刊/税込価格:1210円)

 

あらためて、『せんべろnetの酔っても作れる宅飲みおつまみ』の読みどころについても聞きました。

 

ひろみん「第一章の『大好きな酒場に教わるおつまみレシピ』は、何度かお邪魔している酒場から自宅でも再現できるおつまみレシピを教わって紹介しています。この本を参考に作ってみるもよし、本家の味を食べに飲みに行くもよし。二度楽しむことができて面白いかなと。コラムでは『一人飲みのススメ』といった小ネタやおすすめのお酒や宅飲みグッズなども挟んでおり、『せんべろnet』らしさのある一冊になっています」

 

6月30日に発売された同書は、なんと1週間で重版決定するほど大ヒット。のせるだけ、混ぜるだけ、漬けるだけ、などなど、ほろ酔いでも作れる簡単なレシピが70以上も掲載。ぜひ晩酌に活用してみてはいかがでしょうか。そして、ひろみんさんもおっしゃるように、本書をきっかけに実際に「せんべろ」のお店へ足を運べば、新しい発見もあるはずです。

 

楽しみ方は千差万別。無限に広がる「せんべろ」の世界に、あなたもたっぷり浸ってみませんか?

 

<取材協力>

立ち飲み居酒屋ドラム缶 大塚店

住所:東京都豊島区南大塚3-38-8 山上ビル 1F
営業時間:火~金曜日16:30~22:30(L.O22:00)、土曜、祝日15:00〜21:00(L.O20:30)
定休日:月曜日

※価格はすべて税込みです
※詳細な営業時間や定休日等に関しましては、公式インスタグラム等の営業カレンダーを確認ください(取材日:2022年7月28日)

 

撮影/我妻慶一

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・ISAINA
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/isaina/

今夏は五感で楽しむクラフトビールで! GetNavi編集長が実感した「スプリングバレー」をちょっといい日に飲みたくなるワケ

Sponsored by キリンビール株式会社

2021年に発売、同年のクラフトビール市場を約1.6倍に拡大した「スプリングバレー 豊潤<496>」。夏といえばビールのおいしい季節だが、GetNaviの川内一史編集長は今夏も「スプリングバレー 豊潤<496>」が選ばれる! と断言。その理由は? 開発担当者との対談を交えながら魅力や楽しみ方を掘り下げる。

 

夏のリラックスタイムを特別なひとときに演出してくれる

子どもは夏休みに入り、大人にとってもお盆やその休みがあるなど、いつもとは違う時間の過ごし方をするのが夏です。家でゆっくり過ごすシーンでも、その時間を贅沢なものにしたいと考える人は多いはず。

 

そんな夏といえば、ビールがよりおいしい季節ですが、いつもより特別な機会が増えるからこそ、ビールも特別なおいしさの銘柄を選びたい。そこで私、川内がオススメするのが、クラフトビールの新定番と言っていいでしょう、「スプリングバレー 豊潤<496>」です。

↑「スプリングバレー 豊潤<496>」はひと口でわかるおいしさが魅力。個性的な香りや味わいと、おかわりしたくなる飲みやすさが調和した傑作です

 

私はそもそもビールに関してはあまり冒険しないタイプなのですが、以前の取材時に飲んで「スプリングバレー 豊潤<496>」のおいしさに感動。“個性的で気難しそう”というクラフトビールのイメージがガラッと変わりました。

 

香りやコクが力強く、エレガントさを感じられながらも重たすぎず後味はすっきり。バランスの良さで、キレや爽快感を求めるビール好きにも刺さる味わいに。この特別なおいしさがあるからこそ、今夏の特別なシーンにふさわしい一本だと考えています。


 

“晴れの日”はもちろん、日常を切り替えるトリガーにも

私が考える、“特別な夏のビールには「スプリングバレー 豊潤<496>」が最適”という選択に確信を得るべく、開発担当者の元を訪ねました。

↑キリンビール 事業創造部 スプリングバレーブランド担当の岡本理沙さん。9月13日に発売される新作「スプリングバレー シルクエール<白>」の開発も担当しています

 

まずは、昨今のトレンドやニーズから。「スプリングバレー 豊潤<496>」がデビューした2021年のクラフトビール市場は、約1.6倍(※1)に拡大しました。本商品はブームの立役者といえますが、ビール市場ではどんなポジションを築いているのでしょうか?

※1:2021年1-12月期、2022年1月キリン調べ。インテージSRI+(業務用酒販店含む)。クラフトビール市場について:大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っています。

 

「ビールのニーズは多様化していますが、嗜好品としての価値は高まっています。“晴れの日”はもちろん、日常のなかでちょっと特別な時間を過ごすための一本として選ばれているのが、より飲みやすくて上質な、誰が飲んでもおいしいビール。そこに合致したのが『スプリングバレー 豊潤<496>』だと考えています」(岡本さん)

 

夏の“晴れの日”を例えるなら、お祭り。またお盆の時期でもあり、親族でご馳走を囲む家族も多いですが、そんな特別なシーンにマッチするのがまさに「スプリングバレー 豊潤<496>」。一方、ふだんでも在宅勤務が増えるなかで、日常生活は単調になりがちです。そこでオフタイムへのスイッチとしたいのもまた、「スプリングバレー 豊潤<496>」。贅沢なビールのおいしさが、マンネリ化しがちな日常を切り替えるトリガーになってくれるのです

 

「お祝いなど数人で集まるシーンはもちろん、おひとりでじっくり晩酌を楽しむときにも、味わいに発見や驚きのあるビールが『スプリングバレー 豊潤<496>』です。思い思いのシチュエーションで、特別なひとときを楽しんでいただきたいですね」(岡本さん)

 

五感すべてで堪能できる稀有なおいしさ

あらためて「スプリングバレー 豊潤<496>」をテイスティングしました。うん、個性がありながらもスッと飲みやすい味わいは、やはり感動的! 岡本さんは、これを“五感に響くおいしさ”だと言います。ひとつずつ教えていただきましょう。

・聴覚に響く!

↑缶は口が小さく、魅惑的な香りが鼻に届きにくくなるためグラスに注ぐのがオススメですよ

 

「まずは開栓時のプシュッという音。また、グラスに注ぐ際のコポコポ、シュワーッという音も魅力です。特に『スプリングバレー 豊潤<496>』はホップをたくさん使っているので泡立ちがよく、きめ細やかに弾ける炭酸ガス、飲んだときのゴクッという音も聴覚を刺激します」(岡本さん)

 

・触覚に響く!

↑泡でフタをすることで炭酸ガスが抜けにくく、最後のひと口まで爽快なおいしさを楽しめます

 

きめ細かな泡が、口に含んだ際に唇や舌をやさしく包み、いっそうリッチな気分に。また、口からのどを通る際の炭酸ガスが、触覚を心地良くなで上げます。また、パッケージには発泡インキという素材を使っており、ザラッとした手触りを感じられるのも隠れたこだわりとなっています」(岡本さん)

 

・嗅覚に響く!

↑一般的なビールとは一線を画す、アロマティックな香りが素晴らしい! これぞクラフトビールならではの魅力です

 

世界中から厳選した5種類のホップを効果的かつ、ふんだんに使うことで、フルーティーでフローラルな香りを実現しました。嗅覚に立体的に感じられる、『スプリングバレー 豊潤<496>』の持ち味のひとつです」(岡本さん)

 

・視覚に響く!

↑ひと目で違いがわかる、鮮やかで濃いビールの色。これをしっかり楽しむためにも、グラスに注ぐのがオススメなのです

 

通常の麦芽に加えて、渋さが出ない絶妙な配分で焙煎した麦芽をブレンド。さらにキリンラガー比で1.5倍の量を使い美しい琥珀色に仕上げました。視覚でも、このおいしそうな色味を感じていただけると思います」(岡本さん)

 

・味覚に響く!

↑そして岡本さんも一緒に乾杯。味覚で伝わるおいしさは言わずもがなです

 

「飲む前から目で楽しめて、注ぐ際には音と香りでも魅力を実感。そして飲んだときは味覚も含めた五感すべてでおいしさを堪能できる『スプリングバレー 豊潤<496>』。全方位で楽しめるところも、このビールの大きな特長だと自信をもっています」(岡本さん)

 

岡本さんにアテンドしていただきながらあらためて飲んでみると、たしかにこれは味・香り・音・感触・ビジュアルと、さまざまな角度からじっくり楽しめるビールです!

 

こうして堪能した「スプリングバレー 豊潤<496>」ですが、実は「スプリングバレー」ブランドのクラフトビールは、国内外のビアコンペティションで計109個のメダルを獲得しているといいます。特に「スプリングバレー 豊潤<496>」は、国際的なコンペティションである「ブリュッセルズ・ビア・チャレンジ 2021」で金賞を受賞(※2)。ビールの味覚におけるプロフェッショナルもこれだけの高評価を与えているとは、この夏のイチオシビールに選出した私の選択は、どうやら間違っていなかったようですね!

※2:リニューアル前の商品で受賞。

↑「ブリュッセルズ・ビア・チャレンジ 2021」のゴールドメダル。「ここで金賞を受賞できたのは大きな自信につながりました。世界中からあまたのビールが出品される大会で高評価をいただき、非常にうれしかったです」(岡本さん)

 

構想10年で試験醸造は250回。“聖域”に挑んだ不屈のビール

この誰もが頷く「スプリングバレー 豊潤<496>」のおいしさは、どうやってつくられているのでしょうか?

 

「さきほどご説明した麦芽へのこだわりに加え、ホップについては独自技術『ディップホップ』製法を採用しているのが大きなポイントです」と、岡本さん。

↑「ディップホップ」は2012年にキリンビールが開発

 

「『ディップホップ』とは、酵母と一緒にホップを添加して発酵中に漬け込む技術のこと。個性的かつトゲのない香り付けが可能となり、泡の保存性も高めてくれます。ただ発酵時のホップ添加は衛生面でリスクを伴うため、一般的には誰も手を付けない“聖域”。この『ディップホップ』を海外の醸造家に話した際、『クレイジー』と驚かれたほどでした」(岡本さん)

 

「スプリングバレー 豊潤<496>」の完成には10年、その間、独自製法開発のための試験醸造は250回にものぼったとか。たしかに若干“クレイジー”……でもそれは賛美でもあるでしょう。

↑こだわりは原料のホップにも。本商品では5種類のホップをブレンドし、上品で穏やかな香りを特長とする希少な日本産ホップ『IBUKI』など個性を活かしながらも、理想の香味を実現しています

 

こうしてつくられた『スプリングバレー 豊潤<496>』は、一般的なビールよりも味に個性があるからこそ、料理をいっそうおいしくします。フードペアリングについて考えてみると、例えば野菜を使った前菜や、淡麗な魚料理、ジューシーな肉料理、濃厚な炭水化物の食事やスイーツなど、ジャンルを問わずマッチ。料理に合わせることで、より特別な体験ができそうです。

↑旨み、甘み、香ばしさ、酸味、苦味など、様々な味覚をバランスよく備えた「スプリングバレー 豊潤<496>」。欧風メニューはもちろん、和食ともよく合うんですよ!

 

あらゆるシーンを楽しく彩る豊潤<496>で乾杯を!

単体で飲んでもおいしい上に、どんな食事とも相性抜群。特別な日の食シーンをより楽しく贅沢に彩ってくれることでしょう。今夏、ちょっといい日のお供には「スプリングバレー 豊潤<496>」を飲みませんか!

 

 

商品についての問い合わせ先:キリンビール株式会社

 

取材・文/中山秀明 撮影/湯浅立志

若者が集まるのも納得!「どぶろく」の新店で実感した「日本のウォール街」の変貌

東京都中央区の日本橋兜町といえば、東京証券取引所があることから「日本のウォール街」と呼ばれ、国内随一の金融街として知られています。電車の駅名でいえば、東京メトロの茅場町駅の周辺。実は筆者、20年以上前にこのあたりで先物取引の業界新聞を配るアルバイトをしていました。懐かしいなぁ……。その兜町がいま、若者が集まるオシャレな街として生まれ変わりつつあるのだとか。そんな街にまた一軒、面白い店がオープンしました。それが、ブルワリーパブ形式の「平和どぶろく兜町醸造所」です。

↑「平和どぶろく兜町醸造所」の外観

 

気鋭の蔵元がどぶろくを醸造・提供するお店

↑木材をふんだんに使った「平和どぶろく兜町醸造所」の内観。ガラス張りで解放感があります

 

ブルワリーパブとは酒の醸造所と酒場が一体化した業態で、その名の通り、同店はどぶろくを醸造して提供するお店です。どぶろくとは、米を発酵させた日本酒のもとである「醪(もろみ)」をろ過せず濁った状態のまま飲む酒。米粒や麹、酵母がそのまま入っており、フレッシュで独特の甘みや旨みが楽しめます。それにしても、ビールのブルワリーパブはよくありますが、どぶろくのブルワリーパブとはいかなるものか……。

 

そんな「平和どぶろく兜町醸造所」を運営するのは「紀土」(きっど)の銘柄で有名な和歌山県の日本酒蔵・平和酒造です。「紀土」はキレイな酒質のお酒をリーズナブルな価格で出していて、日本酒好きの筆者から見て、とても良心的な蔵だなという印象。ちなみに、かつて筆者が日本酒の本を作ったときには、ご迷惑をお掛けしたなぁ……。

 

一方で、近年は都内飲食店などを中心にコラボイベントを盛んに行い、従来の蔵元の枠を超えた新しい取り組みを行う蔵、という印象もあります。2021年にはサッカー元日本代表の中田英寿氏とタッグを組んで新たな梅酒を開発したほか、実業家・堀江貴文さんとの縁でロケット打ち上げ事業の応援酒を造ったことも。こうした取り組みを積極的に推進する張本人が、平和酒造の代表取締役社長・山本典正さんです。

↑気鋭の蔵元として知られる平和酒造の代表取締役社長・山本典正さん

 

兜町に活気を取り戻すプロジェクトが開店のきっかけ

まずは、なぜ和歌山の酒蔵がこの兜町にどぶろくのお店を出したのか? 出店のきっかけについて山本さんに聞いてみました。すると、日本の証券取引所のオーナー・平和不動産が大きく関わっているそう。なんでも1999年に東京証券取引所の「株券売買立会場」が閉鎖されて以降、兜町から証券マンの姿が減って街から活気がなくなっていた……これを憂慮した平和不動産が2014年に立ち上げたのが、「日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクト」。同プロジェクトは、金融系ベンチャー企業の起業・発展を支援するほか、かつての金融施設をリノベーションして飲食店やホテルを誘致することで、地域の活性化を促すというもの。「平和どぶろく兜町醸造所」の開店もその一環だといいます。

 

「平和不動産さんとたまたまご縁があり、『木造の面白いビル(KITOKI)を造るんだけど、その1階で面白いことをやりたい。山本さん、何か手伝ってくれませんか?』とお声がけ頂きまして。そのとき、先方はクラフトビールなどを提供してくれたらいいな、と思っていたみたいですが、僕は『それよりは、日本酒の文化を広げられるような、米麹を使ったどぶろくを造りたい』と説得してこの店を設立しました。くしくも江戸時代、灘(兵庫県)から樽廻船が寄港して下り酒(上方で造られ、江戸へ運ばれた酒のこと)が届いたのが、ここ兜町・茅場町。その縁を感じるところがありますし、私は“どぶろくは西の文化”だと思っているので、下り酒と同様、また東京で発信していきたいと思っています」(山本さん)

↑「平和どぶろく兜町醸造所」が入居する木造ハイブリッドビル「KITOKI」。2022年4月21日に竣工

 

店内では常時10種類ほどのどぶろくを醸造

山本さんにご案内頂き、カウンターの内側にあるヒミツのトビラの中へ案内されました。そのトビラを開けると……何と、そこがどぶろくの醸造所。狭い部屋に置かれた冷蔵庫の中には大きなバケツほどのタンクがいくつも並び、発酵の真っ最中。常時10種類程度、合計で12~13本程度を造っているとのこと。本当にこの都会のど真ん中でどぶろくが造られているんですね。何だかちょっと感動です。

↑冷蔵庫内でタンクでもろみを発酵させています。庫内の温度が7~8℃、もろみの温度は8~9℃くらいとのこと

 

↑発酵中の醪を見せてもらいました。表面にはぷつぷつと泡が立っていて、独特のどろっとした質感です。2週間ほどかけて発酵させると飲める状態になるとか

 

↑醸造を手掛ける平和酒造の田村浩貴さん。「清酒だと原料や必要な工程が法律で決まっていますが、どぶろくはその枠がもう少し広がるので、色々な原料を使って、色々なチャレンジができる。面白い製造上の工夫ができるので、ぜひその点を日替わりで楽しんで頂きたいです」とコメント

 

自慢のどぶろくと和歌山のおつまみを頂く

では、ご自慢のどぶろくを頂いていきましょう。まずは和歌山の酒蔵で造ったどぶろくのレギュラー酒「平和どぶろくprototype#2」を頂きました。こちらのアルコール度は11度と通常の日本酒の15度よりもだいぶ低いのですが、生酒特有のプチプチした発泡感があり、フレッシュでキレもよく、ウマイ! 普通の生酒として見てもかなりおいしいです。

↑「平和どぶろくprototype#2」は70mlで400円、120mlで650円

 

↑酵母がまだ生きているので、わずかに発泡しています

 

このあと、ホップを使ったどぶろく、小豆を使ったどぶろくを頂きました。うわぁ、どちらも個性的な味。ホップを使ったどぶろくは甘さ控えめの爽やかな香りが特徴で、後述する山椒のポテトチップスと合わせると香味を引き立て合い、相性は抜群でした。小豆のどぶろくは少々の苦みがあって好みが分かれそうですが、面白いことは確かです。

↑小豆を使ったどぶろくは、兜町で造られたもの

 

今後も色々と新しい味に挑戦していく予定だそう。山本さんいわく「この場所はある種、ラボ(研究所・実験室)のようなものでして。7Lの小さなタンクで色々と実験的なことができますから、いつも『面白いものが作れない?』というムチャ振りからスタートしています(笑)。たまに大ハズレすることもありますが(笑)、そこは調整しながら。来て頂くたびに『こんなのがありますよ』と、新しい味を提供していきたい」とのこと。実際に山本さん、取材時も十八穀米で造ったどぶろくを試飲して、あれこれ醸造担当のスタッフと相談していました。

 

ちなみに、同店ではどぶろく以外のドリンクも用意しています。日本酒「紀土」が各種70ml500円から飲めるほか、オリジナルのクラフトビール「平和クラフト」が各種280ml700円、梅酒の「鶴梅」が各種100ml600円から楽しめます。

↑店内には、一部の日本酒やクラフトビールのサーバーが設置されています。サーバーから注ぐ微発泡の純米大吟醸や梅ワインもあるそうで、こちらも飲んでみたい!

 

おつまみも頂きました。提供するおつまみは、平和酒造の地元・和歌山の郷土料理がメイン。「金山寺味噌とクリームチーズのクラッカー」「サバ寿司」「山椒のポテトチップス」「ごま豆腐」など。どれもどぶろくとは間違いなく合うものばかりで、しかも価格はほとんどが350~500円なのもうれしいところ。この日は用意されていませんでしたが、和歌山ラーメンなども提供するそうです。

↑和歌山県のぶどう山椒を使った「山椒のポテトチップス」はハーフ350円、レギュラー500円。その奥は和歌山名物の金山寺味噌を使った「金山寺味噌とクリームチーズのクラッカー」450円

 

↑自家製の「てづくりごま豆腐」は450円

 

お店はオシャレだし、お酒やおつまみは安いのに手作り感があってどれも美味しい。うん、これは通いたくなっちゃいますね。そして、茅場町の周辺には、このような魅力的なお店が続々と出店しているわけですか。「休日は若い方も多くいらして、人の流れが変わっていることを実感しています」と山本さん。かつての「日本のウォール街」は、いつの間にか文化の発信地に変貌していたんですね……。

 

筆者が新聞を配っていたころとの違いを寂しく感じるとともに、新たな街の息吹に触れ、胸がすくような希望を感じたのも事実です。その意味で、ノスタルジーと現代カルチャーの混在こそ、この街が獲得した新たな魅力と言えるかも。みなさんもぜひ、その独特の空気感を、どぶろくとともに味わってみてはいかがでしょう。

 

キリンのクラフトビール「スプリングバレー」から“白”が登場! 「SPRING VALLEY シルクエール<白>」

キリンビールは、クラフトビールブランド「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」から、「SPRING VALLEY シルクエール<白>」缶を9月13日より全国で発売します。

 

税別価格は、350ml缶が248円、500ml缶が330円。また、缶商品の発売に先行して、8月8日からは「Tap Marche(タップ・マルシェ)」(3Lペットボトル)と「スプリングバレーブルワリー」直営店(15L樽)でも提供を開始します。

 

同商品は、無濾過で仕上げたにごりのある液色で、小麦麦芽を使用したきめ細かなふわとろの泡、まろやかな口当たりが特徴。ニュージーランド産の希少ホップ「ネルソンソーヴィンホップ」を一部使用し、華やかで心地よい香りに仕上げています。満足感がありながらも爽やかな味わいで食事にも合わせやすく、様々なシーンで楽しめます。

 

パッケージは、スプリングバレーブランドのベースデザインを踏襲しながら、白ビールの味わいが伝わるような、クリーム×ゴールドの色合いの組み合わせで、高い品質感と新しさを表現しています。

 

※Marcheeは、アキュートアクセント付きが正式な表記です

2022年上半期のヒットを総ざらい!! 売れたモノSELECTION「フード」編

ここでは、上半期に売れたモノ・話題になったコトを「フード」カテゴリから総ざらいしていこう。王道の「カスタードスイーツ」から、健康志向の高まりを反映する「プラズマ乳酸菌」や「ALC0.00%」、ほかSNSでバズった食品などを一挙に紹介。……さて、アナタは全部ご存知ですか!?

※こちらは「GetNavi」 2022年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

≪その1≫カスタードスイーツ

卵の甘さとコクが感じられる濃厚なカスタードシュー

【コンビニスイーツ/2022年3月発売】

ローソン

生カスタードシュークリーム

150円

甘みとコクのある「プレミアムエッグ」を使い、低温でじっくり炊き上げた濃厚なカスタードクリームを使用。乳味感のある北海道産生クリームと、甘く豊かな香りのマダガスカル産バニラビーンズがマッチする。

 

↑卵のコクと風味を感じられつつ後味はすっきりなカスタードクリームを注入。香ばしい生地をあえて薄くし、カスタードクリームを邪魔しない口どけにした

 

柔らかいパンと王道カスタード ほかにない一体感を楽しめる

【コンビニスイーツ/2022年3月発売】

ファミリーマート

ファミマ・ザ・クリームパン

128円

牛乳と卵の配合にこだわった、バランスの良いカスタードクリームをたっぷり使用したクリームパン。生地にはパネトーネ種を採用し、卵黄や生クリームを配合した。ふんわりとした口当たりと、コク深い味わいを楽しめる。

 

↑2021年に登場した、第1弾シリーズの「ファミマ・ザ・メロンパン」(118円)。仏国ノルマンディー産の発酵バターを使用し、サクサク生地がクセになると大ヒット

●「ファミマ・ザ・クリームパン」と「ファミマ・ザ・メロンパン」は、沖縄では仕様と価格が異なる

 

2022年上半期にヒットしたスイーツの共通点は、カスタード。様々なスイーツがあるなかで、安心感のある間違いない味が求められているということだ。カスタードは馴染み深く、老若男女問わず愛される味。この王道素材をベースに、こだわりを注ぎこんだり、新提案を加えたりしたスイーツが注目を集めた。

 

例えば、ローソンの「生カスタードシュークリーム」。カスタードの要である卵に徹底してこだわることで、これまでの概念を超えるシュークリームを生み出した。3月14日の発売から4日で販売100万個を達成。これは2019年に旋風を巻き起こした「バスチー」に次ぐ2番目の早さだ。さらに約2か月で1000万個ほどを売り上げるメガヒットとなった。

 

また、ファミリーマートの「ファミマ・ザ・クリームパン」も飛ぶように売れた。柔らかいパンと王道カスタードの組み合わせで、3月22日の発売から2か月ほどで約1000万食を突破し「ファミマ・ザ・パン」シリーズ最大のヒットを記録。同時期に発売された、南フランスの伝統菓子をイメージした「トロペジェンヌ」も発売後24日間で約100万食が売れた。その後もオレンジピール入りにリニューアルしたが、とにかくカスタードを意欲的に使ったスイーツがいまアツい!

 

【ヒットの裏付け】一時は品切になるほどの人気でSNSでも大反響

「生カスタードシュークリーム」と「ファミマ・ザ・クリームパン」は、発売から約2か月でどちらも1000万食を突破。「やっと買えた」「幻のスイーツ」など、SNSでの品切れ投稿が売り上げを後押しした。

 

カスタードスイーツはコレも話題に!

ファミリーマート

トロペジェンヌ(オレンジピール入り)

230円

オレンジピール入りの滑らかなブリオッシュ生地で、ブルターニュ産の発酵バターを配合したコクのあるクリームをサンド。バターのリッチな風味が口の中に残り、贅沢な余韻に浸れるのが特徴だ。

 

≪その2≫プラズマ乳酸菌

プラズマ乳酸菌1000億個を毎日摂取しやすい手軽さを実現

【機能性表示食品/2022年3月発売】

キリン

iMUSE 朝の免疫ケア

143円

プラズマ乳酸菌の働きで健康な人の免疫機能の維持をサポート(※1)する機能性表示食品。毎日飲み続けられるように、爽やかなヨーグルトテイストに仕上げた。容量100mLで、会社や外出先へ持ち歩きやすい。

※1:プラズマ乳酸菌の研究報告

 

↑プラズマ乳酸菌1000億個を配合し、免疫の司令塔に作用。免疫機能全体(※2)が活性化されて風邪などに対する防御システムが機能する

※2:pDCの下流に位置する免疫細胞群(NK細胞、B細胞、キラーT細胞、ヘルパーT細胞)に働きかける作用メカニズム

 

プラズマ乳酸菌や栄養素を補えるヨーグルト風味の青汁

【機能性表示食品/2022年3月発売】

日本薬健

プラズマ乳酸菌免疫ケア青汁

実売価格1810円

同社で人気の「金の青汁」シリーズでお馴染みの純国産大麦若葉に、プラズマ乳酸菌を組み合わせた青汁。甘酸っぱいヨーグルト風味で、青汁が苦手な人にも最適だ。出先でも飲みやすい、粉末のスティックタイプ。

 

↑九州の厳選された土地で契約農家が育てた大麦若葉を使用。食物繊維のほか、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンB群の栄養素がたっぷり入っている

 

31種類の素材を配合した身体にやさしいキャンディ

【のど飴/2022年3月発売】

カンロ

健康のど飴 たたかうプラズマ乳酸菌iMUSE

実売価格298円

4粒当たりにプラズマ乳酸菌が1000億個入っている健康のど飴。ハーブやクコ、カリン、ショウガなど厳選した31種の素材を配合し、着色料不使用と原材料にもこだわっている。自分を労りたいときにピッタリ。

 

↑健康な人の免疫機能の維持をサポートする機能性を配合。毎日食べやすい、すっきりとしたヨーグルト風味に仕上げた

 

昨今の環境変化で消費者の健康意識が向上し、免疫への関心も高まっている。そんななか、キリンや小岩井乳業、協和発酵バイオが共同で研究を進め、世界で初めて免疫の司令塔pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけることがわかった“プラズマ乳酸菌”が脚光を浴びている。すでに「キリン iMUSE」シリーズとして多くの商品が発売されているが、今季は企業の垣根を越えた商品展開が顕著。様々なカテゴリからヒット商品が誕生した。

 

「キリン iMUSE 朝の免疫ケア」は、全国発売した3月単月で販売目標に対して121%売り上げた。また、日本薬健の「プラズマ乳酸菌 免疫ケア青汁」は、3月末時点で商品の採用店舗数が目標比で約170%を突破。

 

サプリメントなどを含む「iMUSE」ブランドでは、売上額が4月の前年比約177%も増加した。Withコロナの機運が高まるなか、今後も免疫ケア関連の食品から目が離せない。

 

【ヒットの裏付け】食生活を改善したいニーズを掴み好調に推移

キリンが男女1200人を対象に行った調査で「体調を整えるために、食生活を改善したい」と約3人に1人が回答。「プラズマ乳酸菌」関連事業の1〜3月の販売金額は前年比約4割増加と、好調に売れている。

 

≪その3≫マスターズドリーム〈無濾過〉

発酵技術と無濾過仕上げで無二のピュアな濃厚さを生み出す

【ビール/2022年4月発売】

サントリー

ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉

オープン価格

“心地良い香りを作り出す酵母”を生かした、独自の発酵技術を開発。ビールのコクや香りを徹底的に引き出したうえ、無濾過仕上げでピュアなおいしさを実現した。やわらかな飲み口で、濃密な味わい。

 

↑味の決め手は大きく3つ。ダイヤモンド麦芽からトリプルデコクション製法、銅炊き仕込みまでで成る独自製法で作り出す

 

↑ダイヤモンド麦芽や欧州産アロマホップなど贅沢素材を使用。ビール中に素材の旨み成分がより多く残る「無濾過」を採用した

 

【ヒットの裏付け】高品質志向のニーズに刺さり販売計画を1.6倍に修正

消費者の環境変化によって高品質志向が顕著になるなか、独自の贅沢な味でヒット。4月5日の発売から1か月で14万5000ケースを突破し、年間販売計画は当初の1.6倍となる40万ケースに上方修正した。

 

 

≪その4≫カクテルクラフト

プロ仕上げの技法を再現し芳醇な香りを叶えた1本

【チューハイ/2022年1月発売】

アサヒビール

アサヒ ザ・カクテルクラフト

199円

バーテンダーがカクテルを完成させる最後に柑橘類などをひと搾りする技法の再現を目指した意欲作。口の広いボトル缶を備え、本格的なカクテルの香りや味わいを楽しめる。2種類のフレーバーをラインナップ。

 

↑独自の特許技術「秘密のひと搾り製法」を採用。「ライム香るジントニック」のフタを開けた瞬間からライムの香りが華やぐ

 

↑2020年に発売し、大ヒットした「アサヒ ザ・レモンクラフト」。本シリーズはチューハイとカクテルを揃え、気分に合わせて楽しめる

 

【ヒットの裏付け】年間目標の約5割を約4か月で達成

アサヒビールが男女500名を対象にした調査では、家飲みでプレミアム感のあるお酒が重視されていることが判明。ニーズにマッチし、年間目標である80万箱のうち1〜4月で約5割を達成している。

 

 

≪その5≫メルシャン・ワインズ

2国のワインをブレンドして上品な味わいと香りを追求

【ワイン/2022年3月発売】

メルシャン

メルシャン・ワインズ ブレンズ パーフェクト・ブレンド レッド/ホワイト

各1060円

華やかなスペイン産と、ふくよかなオーストラリア産の2国のワインをブレンドした新発想の銘柄。約200種類のサンプルを吟味したうえ、約300回も掛け合わせて、求める香味とフレッシュさを実現した。

 

↑白(左)は、南国的なフルーティーな香りが華やぐ。赤(右)は、フレッシュベリーを凝縮したような上品な香りが魅力

 

↑世界729の候補から厳選されたワイナリー「アンゴーヴ」。オーストラリアを代表するオーガニックワインのメーカーだ

 

【ヒットの裏付け】コンペでも高く評価され年間販売目標が5割増

多くのワインは1つの産地で造られるが、自由な発想でおいしさを追求して国内ワインコンペでも高評価を獲得。発売後、約1か月半で年間販売目標の6割を超えるとともに、約5割増となる5万ケースに上方修正した。

 

≪その6≫ALC0.00%

レモンの果実感を楽しめつつ疲労感を和らげてくれる

【ノンアルコールチューハイ/2022年3月発売】

サッポロビール

サッポロ LEMON’S FREE(レモンズフリー)

実売価格132円

濃い果実感とパワフルな飲み応えを追求。ノンアルコールでありながらレモンサワーのような満足感のある味わいを実現した。クエン酸の作用で身体の疲労感を軽減してくれる、機能性表示食品の要素も付与する。

 

↑レモンに含まれるクエン酸に着目。クエン酸は、日常生活や運動後の一時的な疲労感を軽減することが報告されている

 

豊かな果実味や爽快感が美味なノンアルコールの泡ワイン

【ノンアルコールワイン/2022年3月発売】

サントリー

ノンアルでワインの休日

実売価格165円

ワインを蒸溜してアルコールぶんを取り除いたワインエキスを使用するなど、自社の知見を活用。本格ワインのような果実味や豊かな余韻をノンアルコールで楽しめる。スパークリングタイプで、爽快感もたっぷり。

 

↑サントリーの調査では、92%の人がノンアルコールだと気付かなかったと回答。飲みやすく香りが良いという声が多かったそうだ

 

ノンアルコール市場の拡大にはいくつかの背景がある。ひとつは健康志向。休肝日を取り入れたい人や、眠くなることを避けたい人、翌日すっきり目覚めたい人などにウケている。

 

また、欧米のミレニアル世代からトレンドが生まれたと言われる「ソバーキュリアス」も見逃せない。これは「ソバー=シラフ」と「キュリアス=好奇心」を組み合わせた造語で、お酒をあえて飲まないライフスタイルを指す。この価値観が日本にも浸透しつつあり、2021年にはアルコール度数が1%未満の「微アル」と呼ばれるカテゴリーの新商品も登場。徐々に存在感を高めている。

 

一方でビール大手各社は近年、「スロードリンク」「ドリンク・スマート」「スマドリ」などを次々と提唱。お酒を飲む人も飲まない人も、自分の体質や気分、シーンに合わせてアルコールと向き合おうという姿勢を打ち出している。

 

そのうえで、「ドリンク・スマート」を掲げるサントリーは、今年のGW期間中に東京駅構内で「のんある酒場」を限定営業。また「スマドリ」を謳うアサヒビールは、電通デジタルと合弁会社「スマドリ」を設立し、6月30日に常設店「スマドリバー」を渋谷にオープンさせるなど意欲的。ノンアル市場がますます過熱することは間違いない。

 

【ヒットの裏付け】ノンアルコール飲料市場は10年間で2倍に拡大!

2021年のノンアルコール飲料市場は約4000万ケースと、前年比115%で伸長。10年前の2011年から約2倍に拡大している。2030年には2021年の約1.4倍となる5500万ケース規模になると推定。熱視線が注がれるマーケットなのだ。

 

コレも話題に!

ポッカサッポロ

富良野ホップ炭酸水

実売価格129円

北海道上富良野町のホップのエキスを使用し、摘みたてホップの香りを表現。爽やかな香りと、ほろ苦い風味を楽しめる無糖炭酸水だ。類似品の出荷実績が、前年同月比200%以上を記録し、好調に推移。

 

≪その7≫AIせんべい

1兆回以上シミュレーションしたやみつき度99.8%のせんべい

【せんべい/2022年3月発売】

マスヤ

おにぎりせんべい AIせんべい

実売価格138円

ウェブ上に存在するレシピ情報から許諾を得て、「やみつき」と記載のある8万2000個ものレシピをAIに学習。1兆回以上の食材の組み合わせをシミュレーションし、やみつき度99.8%という究極の味を生み出した。

 

↑発想は遊びに近い感覚だが、開発は本格的。AIの専門企業であるデータアーティスト社の技術を提供してもらい誕生した

 

↑収集と分析が可能なデータであれば、応用は可能。「最もロマンチックな味」「最もドキドキする味」などの味覚設計もできる!?

 

【ヒットの裏付け】販売店舗で品切れ続出し楽天市場では1位を獲得

テレビ番組の企画で誕生した商品ということで、話題性は十分。販売開始から9万袋以上を出荷し、楽天市場で発売翌日にデイリーランキング1位を獲得した。各販売店舗では品切れ状態にも。

 

 

≪その8≫レンチン冷や中

氷と一緒に電子レンジで温めてツルシコの冷やし中華を味わえる

【冷凍食品/2022年3月発売】

ニチレイフーズ

冷やし中華

オープン価格

マイクロ波の影響を受けにくい氷の特性を利用した独自技術を活用。電子レンジ調理後にも適度に氷が残ることで、麺を茹でる工程はもちろん冷やす手間を省ける。時短でできるので忙しい昼ごはんなどに最適。

 

↑自社工場で製麺した麺を使用し、打ち立てで茹でたての麺を急速凍結。生麺のようなツルシコ食感を味わえる

 

↑具材は自家製煮豚、錦糸卵、オクラ、紅しょうが。彩り豊かで食べ応えのある食材が散りばめられており、満足感たっぷりだ

 

【ヒットの裏付け】発売後まもなく計画の120%を達成

2019年と2021年を比較すると冷凍食品市場は拡大しており、なかでもラーメン類は137%と顕著。本品もニーズに刺さり、初速で計画の120%を達成している。

 

 

≪その9≫カヌレット

外はサクッ、中はモッチリのひと口サイズカヌレ

【洋菓子/2022年4月発売】

UHA味覚糖

カヌレット

実売価格160円

小麦粉の代わりにでんぷんとゼラチンを使用。焼かずに作ることで、外はサクッ、中はモッチリとした食感を楽しめる。余韻に香るラムの甘やかな風味も絶妙。ファスナー付きのコンパクトな袋で長期保存ができるため、いつでもどこでも食べられる。

 

↑口に入れると、1粒で本格的なカヌレのラムとバニラの香りがふんわり広がる。まろやかな口どけも心地良く、メリハリのある食感も好印象

 

↑ラムが香る大人な味わいは、コーヒーや紅茶と相性抜群。手ごろなサイズ感と、密閉できるパッケージで、バッグに入れて持ち運びやすいのもポイントだ

 

【ヒットの裏付け】SNSで注目を集めて11万いいねを獲得

カヌレは近年再ブレイクしていたが、本品はユニークな再現性で人気に。発売数日でInstagramなどSNSを中心に話題になり、コンビニやスーパーでは売り切れ続出。公式Twitterの予告投稿には1万3000いいねがついた。

 

≪その10≫ミルキープレッソ

新製法によってクセがない豊かなミルク感を実現

【ラテ/2022年4月発売】

サントリー食品インターナショナル

クラフトボス ミルキープレッソ ダブルホワイトラテ/ビターラテ

実売価格159円

常温販売するペットボトル飲料に使用できる乳原料の量の規約に着目。動物性の乳原料と植物由来の素材をブレンドする「ハイブリッドニューミルク」製法を採用し、クセがなく満足感の高いミルクを味わえる1本に。

 

ダブルホワイトラテ

深煎りのベトナム産コーヒーを使用。ミルクのコクに負けない力強いコーヒーの味わいに仕上げた。ミルキープレッソを象徴するラテ。

 

ビターラテ

ドリップコーヒーとエスプレッソをブレンド。ふくよかなミルク感を味わえながら、ビターなテイストもしっかりで、香りも豊か。

 

【ヒットの裏付け】発売後1か月で2品計1500万本突破

ラテではなく「コーヒーニューニュー」というキャッチーな名称により、本品が印象付けられSNSで話題を呼んだ。発売後、約1か月で2品合わせて1500万本を突破する人気に。

 

 

≪その11≫エマルジョンドレッシング

様々な料理に大活躍するコク深いドレッシング

【ドレッシング/2021年10月発売】

カルディコーヒーファーム

エマルジョンドレッシング

375円

国産玉ねぎのすりおろしと、にんにくがたっぷり入ったドレッシング。コク深くインパクトのある味わいが特徴だ。サラダはもちろん、冷しゃぶ、蒸し鶏、豆腐、冷製パスタなど幅広く使える万能さが◎。

 

↑エマルジョンとは、乳化のこと。あらゆる素材が溶け込みドロッとした濃厚なテクスチャーで、食材と絡みやすい

 

私も愛用しています!

GetNavi編集長

川内一史

「野菜をそんなに食べないウチの息子(3歳)も、コレをかけるとよく食べます。手に入りにくくなるとイヤなので、正直取り上げないでほしいレベルですよ」

 

【ヒットの裏付け】レシピや口コミがSNSで拡散し累計販売数35万本を記録

本品を活用したレシピや口コミがInstagramなどSNSで拡散されたことで、一部の店舗では一時的に品切れが発生。2021年10月に発売し、累計販売数35万本(6月8日時点)と好調に売れ続けている。

 

 

≪その12≫大人様ランチ

子どものころの大好物が詰まった夢のプレート

【外食サービス/2022年5月発売】

かつや

大人様ランチ

759円(店内)●現在は販売終了

とろとろのオムカレーに海老フライ、タルタルチキンカツ、ウインナーを盛り付けた大人様ランチ。お子様ランチを食べたい大人の夢が詰まったワンプレートだ。5月の限定メニューだったが、復活を待望する声は多い。

 

↑2020年と2021年に大ヒットしたテイクアウト限定の「全力飯弁当」も記憶に新しい。今後の限定メニューにも注目

 

↑会社や自宅でも食べられるようテイクアウトできる、同内容の「大人様ランチ弁当」(745円)もヒット。こちらも販売終了している

 

【ヒットの裏付け】予告投稿のリツイート数が2000件以上の人気ぶり

意外性のある内容としずる感たっぷりのビジュアルで、かつや公式Twitterの予告投稿がリツイート数2000件以上の大反響。売り上げは想定の3倍以上で、ここ数年の期間限定メニューではトップの売れ行きだった。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

2022年上半期大ヒットの翠ジンソーダ缶!「翠ジンをもっと身近な存在にしたい」開発担当者の強い思いがあった!

早いもので、2022年ももう折り返し!!ここでは、上半期に売れたモノ・話題になったコトを大きく「家電・デジタル」「レジャー・乗り物」「日用品」「フード」「エンタメ」にカテゴリ分けして総ざらいしていこう。今回は「翠ジンソーダ缶」を紹介。

※こちらは「GetNavi」 2022年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

翠ジンソーダ缶

サントリー

翠ジンソーダ缶

193円(350mℓ)、261円(500mℓ)

日常の食事にマッチする爽やかな味わいを気軽に楽しめるRTD。「翠(SUI)」と炭酸水を1:4で割ったことを想定し、ALC7%に設定した。ボトル同様の清々しいカラーリングとブランドロゴのデザインで爽快感を表現。

 

食中酒として徹底的に追求し“第3のソーダ割り”の地位を確立

ハイボールとレモンサワーに続く“第3のソーダ割り”として、勢力を拡大しているのがジンソーダ。この火付け役の「翠(SUI)」は、3月に発売した缶タイプも順調に売れている。なぜここまでヒットしたのか? 味の決め手は? その核心に迫った。

 

ジンブームの決定打となった食事に合うソーダ割り提案

酒は素材や製法などによって様々な種類に分かれるが、昨今、存在感を増しているのが「ジン」だ。最大の特徴は、ジュニパーベリーというスパイスを使っていること。作り手のこだわりが詰まったクラフトジンの登場や、消費者とスパイスが身近になったことで注目されていたなかで、サントリーの「翠(SUI)」が普及の起爆剤となった。

 

食事に合う味設計や、和の素材を採用した香り高さ、親しみやすいソーダ割りでの飲み方提案がウケて大ヒット。そして、その味を缶で再現した「翠ジンソーダ缶」が3月に発売された。いままでジンを飲んだことがない人でもトライしやすいサイズで、若年層の取り込みにも成功している。レモンサワーなどとはひと味違った爽快さでリピーターも多く、食中酒選びに新しい選択肢が加わった。

 

↑伝統的なジンに頻用される8種のボタニカルに加え、ゆず、緑茶、しょうがの3種の和素材をプラスした。繊細な香りが華やぐすっきりとした味を実現

 

【ヒットの裏付け】 発売1か月で年間販売計画を100万ケース増の上方修正

3月に発売後、1か月で当初の年間販売計画150万ケースの65%を超える販売数を記録。約1.7倍の250万ケースに上方修正された。「翠(SUI)」ブランドも1〜3月の販売数が前年比340%と、大きく伸長している。

 

 

【Interview】 担当者の強い思いがヒットを生み出した!

翠ジンをもっと身近な存在にしたい

「翠ジンソーダ缶」はどんな思いから生み出され、商品開発にはどんな苦労があったのか。2020年に発売された「翠(SUI)」の誕生秘話を含めて、担当者に舞台裏を聞いた。

 

この人に聞きました!

サントリーRTD・LS事業部 事業開発部課長

酒巻真琴さん

ボトルと缶を含めた「翠(SUI)」ブランド全体のマーケティングを担当する。翠ジンソーダ缶とのオススメのペアリングは、餃子と焼鳥。

 

“料理に合う味”と“馴染み”で世代を超えて支持される

「翠(SUI)」のヒットには、ソーダで割る“手軽さ”と、“食事に合う味”が大きく関係していると思います。従来のジンは「ジントニック」などのカクテルにして、バーで飲むようなハードルの高いイメージのお酒でした。これを気軽に楽しんでもらうためにはどうすれば良いか悩みましたが、ハイボールやレモンサワーの共通点がヒントに。馴染みがある手軽なソーダ割りで、なおかつ家庭の食卓に並ぶ料理と一緒に飲みやすい味であれば、お客様に新たな価値を提案できるかもしれないと考え、「翠(SUI)」を開発しました。

全国発売したのは2020年の3月10日。当初からの「居酒屋メシに翠ジンソーダ。」というコピーで、取り扱う飲食店が全国に広がりました。しかし、コロナ禍が始まって先行き不安な状況でしたが、ステイホームで家飲みが主流となり、試してみようというお客様が徐々に増加。さらに好みの濃さでお酒を楽しみたいというニーズに合致し、多くの人に楽しんでいただけるようになりました。ジン市場も、以前は半分ほどが輸入品でしたが2021年には「翠(SUI)」が比率を逆転。一躍ジンをけん引する存在となったのです。

とはいえ、700mℓ瓶はどんな味なのか、飲みやすいかなど試しにくいサイズです。そこで「翠ジンソーダ缶」を開発。「翠(SUI)」の最もおいしい飲み方は、氷が入ったグラスに「翠(SUI)」と炭酸水を1:4で注ぐレシピで、アルコール度数は約7%になります。この味を缶で再現するために、ボトルとは異なる素材を使用。缶入りパッケージにする際、熱処理などによって風味が少し飛んでしまうため、缶専用の柚子原料酒を加え、フレッシュな香りと味わいを実現しました。

3月の発売から先行して、コンビニでは2月15日から展開。すると発売初週のデータが、2016年以降の当社の新商品ではコンビニで最も売れた商品となったのです。いままでジンに触れてこなかった幅広い若年層の男女に刺さったのも要因に。ここまで受け入れられた理由は、柚子、緑茶、しょうがという日本に寄り添った3つの和素材を活用し、食事に合うジンソーダを気軽に楽しめる缶として商品化できたからだと思います。

4月には、シンガポールを含んだアジアへの輸出を開始。コロナ禍の規制も緩和され、飲食店を利用される方が増えていくと思います。業務用と瓶、缶の「翠(SUI)」で、ジンソーダによる新たなおいしさ提案をさらに広げていきたいです!

 

↑サントリー大阪工場で作られている「翠(SUI)」。異なる4種の単式蒸溜釜を使い分けることで、素材のおいしさが適切に生きる原料酒を生み出している

 

↑天ぷらやマリネ、唐揚げなどあらゆる料理にピッタリ。甘くないため料理を邪魔しないのもポイント。和風のおつまみとは特に相性抜群だ

 

ソーダはアレンジ多彩!

↑相性が良い和素材を使った“追い”アレンジもオススメ。しょうがをおろしたり、大葉をちぎったり、梅をつぶしたりと、何通りもの飲み方を楽しめる

 

コレもCHECK!

サントリー

ジン翠(SUI)

1518円

2020年3月に発売された700mℓボトルの翠ジン。ストレートや水割りなど、好みのスタイルで飲める。2021年の年間売り上げが前年比232%と、こちらも大躍進。

 

Impression

フードアナリスト

中山秀明さん

和洋中問わず、お酒の記事を多数執筆。スパイス料理の人気上昇に伴い、香辛料と好相性なジンの可能性に注目している。

 

この夏は和風カレーやうなぎ蒲焼きと一緒に

「和のボタニカル由来の、繊細な香りのニュアンスが心地良い爽快感を演出。七味唐辛子や山椒をかけたくなるような味の料理には基本的に合いますね。この夏オススメの例を挙げるなら、出汁やしょうがを効かせた和風カレーや、うなぎ蒲焼きとのペアリングです!」

日本初のおいしさで前年比200%超えの大ヒット! ちょっと特別なノンアル「キリン グリーンズフリー」をGetNavi web編集長がリフレッシュタイムの新習慣に選んだ理由とは?[PR]

日本初(※1)の製法によるおいしさで、前年⽐200%(※2)と⼤ヒット中のノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリン グリーンズフリー」。“ノンアルの新定番”とも言いたくなるような、目下破竹の勢い。今までのノンアルと比較し、どこが特別(※3)なのか? いつ、どういう時に飲みたいか? 「キリン グリーンズフリー」がもつ価値を、GetNavi web編集長の私、山田佑樹が深掘りし、ヒットの理由を紐解いていきます。

※1:麦やホップの香りの良さを引き出した、ノンアルコール・ビールテイスト飲料の製法として日本で初めて採用(特許6786699号)
※2:20224月のリニューアルから6月までの3か月間の出荷前年比(キリンビール調べ)
※3:よりよい香味となる特許製法を採用したことによる。


 

ちなみに「キリン グリーンズフリー」は、今ではすっかり、私のリフレッシュタイムのお供に。その理由も併せてのちほどご説明しましょう。

 

日本初(※1)! ビールづくりの技術を結集し圧倒的な(※4)おいしさを実現

「キリン グリーンズフリー」のおいしさは、ビールの醸造と同じように素材の味を最大限に引き出す、日本初(※1)の製法から生み出されています。採用された技術のひとつが「低温麦汁ろ過技術」。低温でじっくり時間をかけてろ過し、雑味のない麦の澄んだうまみを引き出しました。これは「キリン一番搾り生ビール」でも採用されているエッセンスです。

 

また、ホップにこだわっていることも独自の魅力です。ホップは、ビールの香り高さや苦みに起因することから“ビールの魂”と呼ばれる素材。一般的なノンアル(※5)は1種類のホップしか使いませんが、「キリン グリーンズフリー」では3種類を採用しています。

 

そして、甘味料を使わず、甘くなくすっきりと清々しいおいしさが楽しめることも特徴のひとつ。のどごしがよく、最高に気持ちいいおいしさを食事とともに味わえます。これら従来のノンアルの発想を超えた技術とこだわりが、「キリン グリーンズフリー」のビールに近い圧倒的な(※4)おいしさを実現しているのです。

※4・※5:キリンビール商品において。

 

清々しい香りと味わいで、リフレッシュにぴったり! その秘密は3種のホップ

ノンアル(※5)では異例となる3種使用されたホップは、品種にもこだわり、クラフトビールで頻用されるタイプを採用しています。ひとつは、ニュージーランドのネルソン地区でのみ育つ希少なホップ「ネルソンソーヴィン」(一部使用)。柑橘のような唯一無二の上品な爽やかさが特徴で、白ワイン用ぶどう品種「ソーヴィニヨン・ブラン」と香りが似ていることが名称の由来でもあります。

↑左から、爽やかな香りの希少ホップ「ネルソンソーヴィン」、華やかな香りの「カスケード」、上品な苦味の「ビター」。3種類のホップを使用することで、豊かな香りや爽快な苦みが複層的に感じられます

 

香りに寄与するもうひとつの品種は、クラフトビール大国・アメリカ生まれのアロマホップ「カスケード」(一部使用)。フローラルなシトラスフレーバーが特徴で、明るくジューシーな香味をもたらします。さらに、上質な苦味を司る「ビターホップ」を採用し絶妙にブレンド。そのうえで、香りが飛びにくい絶妙なタイミングで投入する技術「ホップアロマ製法」を用い、香り高く清々しい味わいを実現しました。

 

気持ちが明るくなる鮮やかさ! 爽快感あるパッケージデザイン

「キリン グリーンズフリー」のヒット要因を語るうえでは、色鮮やかなパッケージデザインも見逃せません。エメラルドグリーンをベースとしたカラーは、爽やかさと品質の良さを表現。

↑鮮やかなエメラルドグリーンが印象的。ほかのノンアル(※5)にはない、大人がリフレッシュできる嗜好品として独自のブランドポジションを築いています

 

新しさを感じさせるとともに、食卓を華やかにする効果もあり、彩りの差し色に。なお「キリン グリーンズフリー」のデザインが商品のヒットに寄与したことは、リサーチ結果からも明らかです。実は購買理由の第1位は、「パッケージが目立っていた・好きだから」だったのです(キリンビール調べ)。

 

ユーザーのライフスタイルやリフレッシュするためにとる行動の変化をキャッチ

「キリン グリーンズフリー」がヒットしている要因には、市場動向をしっかり捉えたことも挙げられます。背景にあったのは、コロナ禍によるライフスタイルやワークスタイルの変化。自宅で過ごす時間が長くなり、お酒の楽しみ方もより広がりました。

 

家で過ごす時間が長くなると、毎日の楽しみとして食卓にも変化を求めたくなります。その結果、いままで飲んだことがなかった銘柄を試す機会が増えました。加えて、ステイホームにより健康志向もいっそう高まり、アルコール摂取をコントロールする意識が高まるなかでノンアルが注目され、市場も拡大しています。

 

特にノンアル市場で変化した消費者意識が、「お酒が飲めない時に飲む」お酒の代替としての存在から、「リフレッシュしたい時に飲む」積極飲用する存在へとシフト。これには若者を中心に広がりつつあるグローバルな飲用トレンド「ソバーキュリアス(お酒をあえて飲まないカルチャー)」も少なからず関係しているでしょう。

↑アンケートでは、約8割の人はお酒の代替としてのイメージをもっているうえ、7割近くの人が「おいしくないイメージ」をもっている結果に。つまり、「キリン グリーンズフリー」はこのイメージを覆すことに勝機を見出したわけです

 

リモートワークにおける悩みのひとつが、オン/オフの切り替えがしにくいこと。求められるのは、まさにリフレッシュです。ランチや仕事後の選択肢として、酔わずともプチ非日常感やリフレッシュ感を得られるノンアルが重宝される存在に。こうした様々なニーズの大きな受け皿となったのが、ビールに近いおいしさと爽快感をもった特別な(※3)ノンアル「キリン グリーンズフリー」なのです。

↑リフレッシュしたい時に最も求められるのが、爽快感やすっきりとしたのどごし。「キリン グリーンズフリー」も、しっかり当てはまっています

 

仕事後や休日のリフレッシュに! 一日がより充実する実感を得られる

お伝えしたとおり、私も例に漏れず現在「キリン グリーンズフリー」を愛飲しているひとり。特にニューノーマルな生活になって重宝しているのが、オン/オフの切り替え時です。

 

例えば平日なら、仕事をひと段落終えた夕食時。または食後のチルタイムや風呂上がりです。なぜ「キリン グリーンズフリー」がいいのかというと、筆者はゲーム好きでもあるから。対戦系やシミュレーション系をやり込むことも多く、シャキッとした感覚でプレイするにはお酒で酔うわけにはいきません。これは、読書や映画鑑賞といった他のアクティビティでも同様。

 

また、休日でも「キリン グリーンズフリー」が大活躍。筆者は午前中に掃除や洗濯などの家事を済ませ、ランチの後は家族で買い物などに出かけて帰宅後は夕食を作って過ごすことが多いのですが、ランチ時や息抜きにお酒を飲むと、そのあとがちょっとのんびりしてしまいがち。ビールに近い豊かな味わいと清々しいおいしさがありつつ、ノンアルコールで酔わずにリフレッシュしながら、休日のとっておきのランチがちょっと贅沢に楽しめる「キリン グリーンズフリー」は、プチ非日常感が欲しいタイミングに最適なのです。

 

大ヒットしている「キリン グリーンズフリー」は、リサーチ結果でも多様なシーンで飲まれていることがわかっています。食事の際はもちろん、息抜きや気分を変えたいとき用など、シチュエーションは様々。リフレッシュしたいときに、飲み物のひとつとして積極的に楽しむ人はどんどん増えているのです。

 

↑運転があるときだけでなく、昼食時や家事・仕事のが終わったあとなど、思い思いのシーンで「キリン グリーンズフリー」が選ばれています

 

ちょっと特別な(※3)ノンアルをリフレッシュ時の新定番に

市場背景をよく知っているGetNavi web の編集⻑も、仕事やプライベートをより充実させるために“指名飲み”している「キリン グリーンズフリー」。リフレッシュタイムの一本に選んでみてはいかがでしょうか?


 

商品についての問い合わせ先:キリンビール株式会社

取材・文/中山秀明 撮影/湯浅立志

2022年ノンアル市場がますます過熱することは間違いない!

上半期に売れたモノ・話題になったコトを「フード」カテゴリから総ざらいしていこう。ここでは、健康志向の高まりを反映する「ALC0.00%」を一挙に紹介。……さて、アナタは全部ご存知ですか!?

※こちらは「GetNavi」 2022年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ALC0.00%

ノンアルコール市場の拡大にはいくつかの背景がある。ひとつは健康志向。休肝日を取り入れたい人や、眠くなることを避けたい人、翌日すっきり目覚めたい人などにウケている。

 

また、欧米のミレニアル世代からトレンドが生まれたと言われる「ソバーキュリアス」も見逃せない。これは「ソバー=シラフ」と「キュリアス=好奇心」を組み合わせた造語で、お酒をあえて飲まないライフスタイルを指す。この価値観が日本にも浸透しつつあり、2021年にはアルコール度数が1%未満の「微アル」と呼ばれるカテゴリーの新商品も登場。徐々に存在感を高めている。

 

一方でビール大手各社は近年、「スロードリンク」「ドリンク・スマート」「スマドリ」などを次々と提唱。お酒を飲む人も飲まない人も、自分の体質や気分、シーンに合わせてアルコールと向き合おうという姿勢を打ち出している。

 

そのうえで、「ドリンク・スマート」を掲げるサントリーは、今年のGW期間中に東京駅構内で「のんある酒場」を限定営業。また「スマドリ」を謳うアサヒビールは、電通デジタルと合弁会社「スマドリ」を設立し、6月30日に常設店「スマドリバー」を渋谷にオープンさせるなど意欲的。ノンアル市場がますます過熱することは間違いない。

 

【その1】レモンの果実感を楽しめつつ疲労感を和らげてくれる

【ノンアルコールチューハイ/2022年3月発売】

サッポロビール

サッポロ LEMON’S FREE(レモンズフリー)

実売価格132円

濃い果実感とパワフルな飲み応えを追求。ノンアルコールでありながらレモンサワーのような満足感のある味わいを実現した。クエン酸の作用で身体の疲労感を軽減してくれる、機能性表示食品の要素も付与する。

 

↑レモンに含まれるクエン酸に着目。クエン酸は、日常生活や運動後の一時的な疲労感を軽減することが報告されている

 

【その2】豊かな果実味や爽快感が美味なノンアルコールの泡ワイン

【ノンアルコールワイン/2022年3月発売】

サントリー

ノンアルでワインの休日

実売価格165円

ワインを蒸溜してアルコールぶんを取り除いたワインエキスを使用するなど、自社の知見を活用。本格ワインのような果実味や豊かな余韻をノンアルコールで楽しめる。スパークリングタイプで、爽快感もたっぷり。

 

↑サントリーの調査では、92%の人がノンアルコールだと気付かなかったと回答。飲みやすく香りが良いという声が多かったそうだ

 

【ヒットの裏付け】ノンアルコール飲料市場は10年間で2倍に拡大!

2021年のノンアルコール飲料市場は約4000万ケースと、前年比115%で伸長。10年前の2011年から約2倍に拡大している。2030年には2021年の約1.4倍となる5500万ケース規模になると推定。熱視線が注がれるマーケットなのだ。

 

コレも話題に!

ポッカサッポロ

富良野ホップ炭酸水

実売価格129円

北海道上富良野町のホップのエキスを使用し、摘みたてホップの香りを表現。爽やかな香りと、ほろ苦い風味を楽しめる無糖炭酸水だ。類似品の出荷実績が、前年同月比200%以上を記録し、好調に推移。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

「メルシャン・ワインズ」は2国のワインをブレンドして上品な味わいと香りを追求!

上半期に売れたモノ・話題になったコトを「フード」カテゴリから総ざらいしていこう。ここでは、メルシャンの「メルシャン・ワインズ ブレンズ パーフェクト・ブレンド レッド/ホワイト」を紹介。……さて、アナタはご存知ですか!?

※こちらは「GetNavi」 2022年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

メルシャン・ワインズ

【ワイン/2022年3月発売】

メルシャン

メルシャン・ワインズ ブレンズ パーフェクト・ブレンド レッド/ホワイト

各1060円

華やかなスペイン産と、ふくよかなオーストラリア産の2国のワインをブレンドした新発想の銘柄。約200種類のサンプルを吟味したうえ、約300回も掛け合わせて、求める香味とフレッシュさを実現した。

 

↑白(左)は、南国的なフルーティーな香りが華やぐ。赤(右)は、フレッシュベリーを凝縮したような上品な香りが魅力

 

↑世界729の候補から厳選されたワイナリー「アンゴーヴ」。オーストラリアを代表するオーガニックワインのメーカーだ

 

【ヒットの裏付け】コンペでも高く評価され年間販売目標が5割増

多くのワインは1つの産地で造られるが、自由な発想でおいしさを追求して国内ワインコンペでも高評価を獲得。発売後、約1か月半で年間販売目標の6割を超えるとともに、約5割増となる5万ケースに上方修正した。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

「カクテルクラフト」はプロ仕上げの技法を再現し芳醇な香りを叶えた1本

上半期に売れたモノ・話題になったコトを「フード」カテゴリから総ざらいしていこう。ここでは、アサヒビールのチューハイ「アサヒ ザ・カクテルクラフト」を紹介。……さて、アナタはご存知ですか!?

※こちらは「GetNavi」 2022年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

カクテルクラフト

【チューハイ/2022年1月発売】

アサヒビール

アサヒ ザ・カクテルクラフト

199円

バーテンダーがカクテルを完成させる最後に柑橘類などをひと搾りする技法の再現を目指した意欲作。口の広いボトル缶を備え、本格的なカクテルの香りや味わいを楽しめる。2種類のフレーバーをラインナップ。

 

↑独自の特許技術「秘密のひと搾り製法」を採用。「ライム香るジントニック」のフタを開けた瞬間からライムの香りが華やぐ

 

↑2020年に発売し、大ヒットした「アサヒ ザ・レモンクラフト」。本シリーズはチューハイとカクテルを揃え、気分に合わせて楽しめる

 

【ヒットの裏付け】年間目標の約5割を約4か月で達成

アサヒビールが男女500名を対象にした調査では、家飲みでプレミアム感のあるお酒が重視されていることが判明。ニーズにマッチし、年間目標である80万箱のうち1〜4月で約5割を達成している。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

発酵技術と無濾過仕上げで無二のピュアな濃厚さを生み出す「マスターズドリーム〈無濾過〉」

上半期に売れたモノ・話題になったコトを「フード」カテゴリから総ざらいしていこう。今回は、サントリービールの「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉」を紹介。

※こちらは「GetNavi」 2022年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

マスターズドリーム〈無濾過〉

【ビール/2022年4月発売】

サントリー

ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉

オープン価格

“心地良い香りを作り出す酵母”を生かした、独自の発酵技術を開発。ビールのコクや香りを徹底的に引き出したうえ、無濾過仕上げでピュアなおいしさを実現した。やわらかな飲み口で、濃密な味わい。

 

↑味の決め手は大きく3つ。ダイヤモンド麦芽からトリプルデコクション製法、銅炊き仕込みまでで成る独自製法で作り出す

 

↑ダイヤモンド麦芽や欧州産アロマホップなど贅沢素材を使用。ビール中に素材の旨み成分がより多く残る「無濾過」を採用した

 

【ヒットの裏付け】高品質志向のニーズに刺さり販売計画を1.6倍に修正

消費者の環境変化によって高品質志向が顕著になるなか、独自の贅沢な味でヒット。4月5日の発売から1か月で14万5000ケースを突破し、年間販売計画は当初の1.6倍となる40万ケースに上方修正した。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

キャンプのシメにはまどろみの1杯を! フードアナリストが推す美酒と飲み方、酒器とは

野外で食べるごはんは美味しい。そのことに異論はないだろう。ならば、野外で飲む酒もウマいに決まっている。様々なジャンルからキャンプに最適な美酒を、オススメの飲み方、飲むためのギアとともに紹介しよう。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が選びました!

フードアナリスト

中山秀明さん

キャンプと酒の聖地、埼玉県秩父・長瀞出身のライター。キャンプ場が通学路だったという、生粋のアウトドア好きだ。

 

 

【美酒1】環境に配慮した穀物と個性派のホップが華やぐ

パタゴニア プロビジョンズ

ロング・ルート・IPA

484円

耕起や農薬なしに成長する、“環境を回復する穀物”「カーンザ」を使用したサステナブルなクラフトビール。すっきりした苦みとモルトのコク深さ、爽やかな柑橘系と松の香りが特徴だ。

 

[こんな飲み方が◎]

シャープな苦みやシトラホップの風味がイイ! 飲む際は真空断熱のタンブラーがオススメ。料理は濃厚系全般に合います。(中山さん)

 

【美酒2】独自の発酵法で芳醇に仕上げた気軽な缶ワイン

サントリー

サントリーワインカフェ〈ワインソーダ〉

176円

香りや味に優れたワインテイストを叶える特許技術で発酵したワインをブレンド。フレッシュな香りと果実味豊かな厚みを実現し、ソーダは飲み心地の良い割合にこだわった。白もアリ。

 

[こんな飲み方が◎]

アルコール度数が5.5%と低めで、なおかつ炭酸入りでゴクッと飲みやすい泡ワイン。氷を入れて飲むのもアリですよ!(中山さん)

 

【美酒3】スノーピークと共同開発 外で嗜むための大吟醸酒

朝日酒造

久保田 雪峰

3410円

スノーピークと共同開発した、アウトドアで楽しむための純米大吟醸酒。山廃仕込みによる、絶妙に調和した懐の深い味が特徴だ。毎年7月、9月限定出荷となり、今年も要チェックだ。

 

[こんな飲み方が◎]

冷やすとシャープで軽快な旨みや酸味が、温めると甘みや酸味のまろやかさが際立ちます。ぜひ、後述のマグ「雪峰」で!(中山さん)

 

【美酒4】渋味滑らかでスパイシーなフルボディの樽熟ワイン

サッポロ

パラ・ヒメネス カベルネ・ソーヴィニヨン 樽熟成[オーガニック]

1300円

有機ぶどうを使用した、スペイン産オーガニックワイン。黒いベリー系のアロマと滑らかな渋味に、オークの香りとスパイシーさが調和した、フルボディが魅力だ。ヴィーガン対応商品。

 

[こんな飲み方が◎]

樽香のワイルドさがキャンプ飲みにマッチ。ふくらみのあるグラスに注ぎましょう。赤身の肉やチーズ系料理にドンピシャ!(中山さん)

 

【美酒5】生き生きとした酸や爽快な果実味が魅力的

アサヒビール

サンタ・ヘレナ・アルパカ・オーガニック・ホワイト

実売価格994円

チリの人気銘柄。ソーヴィニヨン・ブランとシャルドネ種を使用した辛口で、シトラスやグレープフルーツといった柑橘系の香りに、生き生きとした酸と豊かな果実味が楽しめる。

 

[こんな飲み方が◎]

フルーティな爽快感を、冷やすことでより堪能できます。塩焼きした肉や魚介料理、野菜や和食系にも合うと思います。(中山さん)

 

【美酒6】まろやかで上品な甘み 世界に誇れる秩父の銘酒

ベンチャーウイスキー

イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベル

実売価格3850円前後

世界的に評価が高い、日本を代表する小規模蒸溜所の定番銘柄。上品なはちみつを思わせるリッチな甘みに、あたたかい柑橘のようなニュアンスが調和し、まろやかな飲み口も魅力だ。

 

[こんな飲み方が◎]

自然味を楽しむならまずはストレートで。ロックやハイボールにもよく合います。お湯割りも飲みやすくて良いですよ。(中山さん)

 

【美酒7】豊かな香味が重なり合う 富士山麓からの贈り物

キリンビール

キリンウイスキー 陸

実売価格1620円

富士御殿場蒸溜所の多彩な原酒を主体に、日本の風土や食文化に合った味覚を追求。黄桃やオレンジ、りんごを思わせる甘やかなフレーバーと澄んだ口当たり、複層的な香味が特徴だ。

 

[こんな飲み方が◎]

アルコール度数50%の豊かな原酒の凝縮感が美味。ロックなどで加水すると香りがより開きます。ハイボールもオススメです。(中山さん)

 

 

キャンプでの一杯をもっと格上げするアイテムを駆使せよ!

ギアにこだわれば、美酒はよりウマくなる。アウトドア用の酒器やユニークなギミック系ツールなど、これら7つの“神器”で至福の一杯を。

 

【神器1】環境に優しく経済的な 電源不要の炭酸ギア

グリーンハウス

ツイスパソーダ スターターキット SODACK

8300円

電気を使わずに、水、ジュース、酒などの様々な飲み物に炭酸を注入できるマシン。別売りのガスカートリッジ1本で、水なら950mL、ジュースや酒などは720mLの炭酸飲料を作れる。

 

【神器2】吸い込む動作が美麗な 職人技が光る大傑作

スノーピーク

缶クーラー350

3960円(350mL缶用)

精巧な真空二重構造で、ボディは薄いが保冷性は抜群。吸い込まれるように缶がスーッと入り、最後にクッと押し込むことで缶を固定する心地良い動作も魅力だ。500mL用もある。

 

【神器3】外でバーを楽しめる1台4役のボトル

スパーキークリエイト

ハイボールシェイカー

1万3200円

カクテルシェイカー、魔法瓶、タンブラー、缶クーラーと1台4役をこなす。真空断熱構造で、温度を24時間保つのもうれしい。カッパー、ステンレススチールとガンメタルの全3色。

 

【神器4】冷温を24時間キープでき量り売りビールに最適

ドリンクタンクス

セッショングラウラー 320oz(0.94L)

6490円

炭酸ドリンクを入れられる魔法瓶で、昨今増えてきたクラフトビールの量り売りにも使える。保冷は24時間、保温は12時間に対応し、炭酸ガス圧も逃がさない。色は白と黒もある。

 

【神器5】酒をよりウマくする保温力と縁の形状

スノーピーク

スタッキングマグ 雪峰 M400

3608円

保温と保冷性に優れたチタン製二重構造の湯呑型マグ。縁はほど良い厚みで、やさしく滑らかな口当たりに。小サイズのM200とM300もあり、重ねて収納できるのも魅力だ。

 

【神器6】収納や携帯に優れた頑丈なワイングラス

ロゴス

割れないワイングラス withポータブルケース

1980円

耐衝撃性と透明性に優れるPCTG樹脂を採用したワイングラス。脚を回して取り外し可能なのでコンパクトに収納できるうえ、ケースが付くので清潔に保管して持ち運べる。

 

【神器7】酒に煙をくゆらせて野性的な香りを満喫

ファルカ

グラストップスモーカー

6900円〜

グラスの上で燻製し、内部の酒にワイルドな香り付けができる。チップは桜、オーク、ヒッコリーなど5種を用意し、酒以外の飲み物やナッツ、チーズといった食材もスモーク可能。

キャンプでの一杯をもっと特別な一杯に! フードアナリストおすすめ“格上げ”アイテム

野外で食べるごはんは美味しい。そのことに異論はないだろう。ならば、野外で飲む酒もウマいに決まっている。様々なジャンルからキャンプに最適な美酒を、オススメのギアとともに紹介しよう。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

キャンプでの一杯をもっと格上げするアイテムを駆使せよ!

ギアにこだわれば、美酒はよりウマくなる。アウトドア用の酒器やユニークなギミック系ツールなど、これら7つの“神器”で至福の一杯を。

 

【神器1】環境に優しく経済的な 電源不要の炭酸ギア

グリーンハウス

ツイスパソーダ スターターキット SODACK

8300円

電気を使わずに、水、ジュース、酒などの様々な飲み物に炭酸を注入できるマシン。別売りのガスカートリッジ1本で、水なら950mL、ジュースや酒などは720mLの炭酸飲料を作れる。

 

【神器2】吸い込む動作が美麗な 職人技が光る大傑作

スノーピーク

缶クーラー350

3960円(350mL缶用)

精巧な真空二重構造で、ボディは薄いが保冷性は抜群。吸い込まれるように缶がスーッと入り、最後にクッと押し込むことで缶を固定する心地良い動作も魅力だ。500mL用もある。

 

【神器3】外でバーを楽しめる1台4役のボトル

スパーキークリエイト

ハイボールシェイカー

1万3200円

カクテルシェイカー、魔法瓶、タンブラー、缶クーラーと1台4役をこなす。真空断熱構造で、温度を24時間保つのもうれしい。カッパー、ステンレススチールとガンメタルの全3色。

 

【神器4】冷温を24時間キープでき量り売りビールに最適

ドリンクタンクス

セッショングラウラー 320oz(0.94L)

6490円

炭酸ドリンクを入れられる魔法瓶で、昨今増えてきたクラフトビールの量り売りにも使える。保冷は24時間、保温は12時間に対応し、炭酸ガス圧も逃がさない。色は白と黒もある。

 

【神器5】酒をよりウマくする保温力と縁の形状

スノーピーク

スタッキングマグ 雪峰 M400

3608円

保温と保冷性に優れたチタン製二重構造の湯呑型マグ。縁はほど良い厚みで、やさしく滑らかな口当たりに。小サイズのM200とM300もあり、重ねて収納できるのも魅力だ。

 

【神器6】収納や携帯に優れた頑丈なワイングラス

ロゴス

割れないワイングラス withポータブルケース

1980円

耐衝撃性と透明性に優れるPCTG樹脂を採用したワイングラス。脚を回して取り外し可能なのでコンパクトに収納できるうえ、ケースが付くので清潔に保管して持ち運べる。

 

【神器7】酒に煙をくゆらせて野性的な香りを満喫

ファルカ

グラストップスモーカー

6900円〜

グラスの上で燻製し、内部の酒にワイルドな香り付けができる。チップは桜、オーク、ヒッコリーなど5種を用意し、酒以外の飲み物やナッツ、チーズといった食材もスモーク可能。

 

私が選びました!

フードアナリスト

中山秀明さん

キャンプと酒の聖地、埼玉県秩父・長瀞出身のライター。キャンプ場が通学路だったという、生粋のアウトドア好きだ。

「キャンプでの一杯は何にする?」最適なお酒をフードアナリストが提案!

野外で食べるごはんは美味しい。そのことに異論はないだろう。ならば、野外で飲む酒もウマいに決まっている。様々なジャンルからキャンプに最適な美酒を、オススメの飲み方とともに紹介しよう。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

【美酒1】環境に配慮した穀物と個性派のホップが華やぐ

パタゴニア プロビジョンズ

ロング・ルート・IPA

484円

耕起や農薬なしに成長する、“環境を回復する穀物”「カーンザ」を使用したサステナブルなクラフトビール。すっきりした苦みとモルトのコク深さ、爽やかな柑橘系と松の香りが特徴だ。

 

[こんな飲み方が◎]

シャープな苦みやシトラホップの風味がイイ! 飲む際は真空断熱のタンブラーがオススメ。料理は濃厚系全般に合います。(中山さん)

 

【美酒2】独自の発酵法で芳醇に仕上げた気軽な缶ワイン

サントリー

サントリーワインカフェ〈ワインソーダ〉

176円

香りや味に優れたワインテイストを叶える特許技術で発酵したワインをブレンド。フレッシュな香りと果実味豊かな厚みを実現し、ソーダは飲み心地の良い割合にこだわった。白もアリ。

 

[こんな飲み方が◎]

アルコール度数が5.5%と低めで、なおかつ炭酸入りでゴクッと飲みやすい泡ワイン。氷を入れて飲むのもアリですよ!(中山さん)

 

【美酒3】スノーピークと共同開発 外で嗜むための大吟醸酒

朝日酒造

久保田 雪峰

3410円

スノーピークと共同開発した、アウトドアで楽しむための純米大吟醸酒。山廃仕込みによる、絶妙に調和した懐の深い味が特徴だ。毎年7月、9月限定出荷となり、今年も要チェックだ。

 

[こんな飲み方が◎]

冷やすとシャープで軽快な旨みや酸味が、温めると甘みや酸味のまろやかさが際立ちます。ぜひ、後述のマグ「雪峰」で!(中山さん)

 

【美酒4】渋味滑らかでスパイシーなフルボディの樽熟ワイン

サッポロ

パラ・ヒメネス カベルネ・ソーヴィニヨン 樽熟成[オーガニック]

1300円

有機ぶどうを使用した、スペイン産オーガニックワイン。黒いベリー系のアロマと滑らかな渋味に、オークの香りとスパイシーさが調和した、フルボディが魅力だ。ヴィーガン対応商品。

 

[こんな飲み方が◎]

樽香のワイルドさがキャンプ飲みにマッチ。ふくらみのあるグラスに注ぎましょう。赤身の肉やチーズ系料理にドンピシャ!(中山さん)

 

【美酒5】生き生きとした酸や爽快な果実味が魅力的

アサヒビール

サンタ・ヘレナ・アルパカ・オーガニック・ホワイト

実売価格994円

チリの人気銘柄。ソーヴィニヨン・ブランとシャルドネ種を使用した辛口で、シトラスやグレープフルーツといった柑橘系の香りに、生き生きとした酸と豊かな果実味が楽しめる。

 

[こんな飲み方が◎]

フルーティな爽快感を、冷やすことでより堪能できます。塩焼きした肉や魚介料理、野菜や和食系にも合うと思います。(中山さん)

 

【美酒6】まろやかで上品な甘み 世界に誇れる秩父の銘酒

ベンチャーウイスキー

イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベル

実売価格3850円前後

世界的に評価が高い、日本を代表する小規模蒸溜所の定番銘柄。上品なはちみつを思わせるリッチな甘みに、あたたかい柑橘のようなニュアンスが調和し、まろやかな飲み口も魅力だ。

 

[こんな飲み方が◎]

自然味を楽しむならまずはストレートで。ロックやハイボールにもよく合います。お湯割りも飲みやすくて良いですよ。(中山さん)

 

【美酒7】豊かな香味が重なり合う 富士山麓からの贈り物

キリンビール

キリンウイスキー 陸

実売価格1620円

富士御殿場蒸溜所の多彩な原酒を主体に、日本の風土や食文化に合った味覚を追求。黄桃やオレンジ、りんごを思わせる甘やかなフレーバーと澄んだ口当たり、複層的な香味が特徴だ。

 

[こんな飲み方が◎]

アルコール度数50%の豊かな原酒の凝縮感が美味。ロックなどで加水すると香りがより開きます。ハイボールもオススメです。(中山さん)

 

私が選びました!

フードアナリスト

中山秀明さん

キャンプと酒の聖地、埼玉県秩父・長瀞出身のライター。キャンプ場が通学路だったという、生粋のアウトドア好きだ。

「町中華で飲ろうぜ」の玉ちゃんが“カッテぇ緑ハイ”を飲る噺

「町中華で飲ろうぜ」(BS-TBS 毎週火曜日22:00~23:00放映)でもおなじみの玉袋筋太郎さん(以降は玉ちゃん)に、今回は「町中華飲み」の楽しみ方を伺うべく、谷中(東京・台東区)の「一寸亭(ちょっとてい)」でお話を聞きました!

 

玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう)/1967年西新宿生まれ。1987年にお笑いコンビ「浅草キッド」を結成し、TVやラジオなどのメディアで活躍する傍ら、演劇の監修や「一般社団法人全日本スナック連盟」の設立、「スナック玉ちゃん」の運営など活動の幅を広げている。出演や連載はBS-TBS「町中華で飲ろうぜ」、TBSラジオ「たまむすび」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、夕刊フジ「スナック酔虎伝」、GetNavi web「玉袋筋太郎の万事往来」など多数。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です。

 

もともとはお酒が嫌いだった

玉ちゃんといえば、町中華以外にも「一般社団法人全日本スナック連盟」の会長を務めるなど、飲み歩きの伝道師でもあります。まずは「町中華で飲ろうぜ」でおなじみの“気道確保”からの“大人の義務教育(ビール大瓶)”でのどを潤しつつ、お酒との出合いやエピソードを聞きました。

↑この日も「気道確保でパイプを洗浄!」とまずは、 ビールの大瓶(633ml)をオーダー。小中高の6・3・3(ロク・サン・サン)=「大人の義務教育」というわけです

 

「うちは両親がスナックやってたのよ。その前は雀荘でね。当時は中学生で思春期だったから嫌な思い出ばっかりでさ、店で酔っぱらう客もいたし。だから未成年のときは『絶対に酒は飲まねえ』って思ってた。

でも昔は芸人の世界といったら、飲むのも仕事なわけよ。それに最初はうちらも劇場とかで営業しつつ、浅草ビューホテルの脇にあったスナックでも働いててね。で、社長から『お客さんの横について一緒に飲んで来い』なんて言われて飲まされてさ。お客さんから可愛がられてチップをもらえることもあったんだけど、それはしっかり没収されて(笑)」

 

アルバイト先ではウイスキーや焼酎の水割り、チューハイをよく飲んでいたと言います。

 

「そりゃあ下町・浅草だから、焼酎っつったら甲類ですよ! まあでも貧乏だったから、自分のお金で飲むことはなかったね。ただバブルの時は、たまにお金持ちのお客さんとかに連れてってもらって、いい酒飲んだこともあったよ。そんなこんなで、本来は酒に強くないし嫌いだったんだけど、皆と飲むようになってだんだん好きになっていったの」

 

思い返せば、お酒は嫌いだったものの大人への憧れはあったのだとか。それは、青春時代を過ごした地元の「新宿西口・思い出横丁」などを楽しそうに闊歩する大人を見て育ったからかもしれないと、玉ちゃん。「ガキのころに見た、完成形のおじさんたちからしたら俺なんてまだまだ。今も目指してるよ」と、はにかみます。

 

身内で助け合いながら営む町中華にシビレる

いまや玉ちゃんのライフワークともいえる町中華。では、「町中華飲み」に目覚めたきっかけは?

 

「親父だね。子どものころ、二日酔いの親父が千駄ヶ谷のプールによく連れてってくれてさ。親父は酒を抜くための水風呂感覚で行ってたんだろうけど、泳ぎ方はちゃんと教えてくれたの。で、帰りに大久保にあった『日の出』って店に寄るのがお決まりのコース。それが原体験だよね」

↑2016年に出版された『サニーデイ・サービス 田中 貴 プロデュース ラーメン本 Ra:』の対談で玉ちゃんが登場しているシーン。このロケ地が往年の「日の出」です

 

当時の玉ちゃんがよく食べたのはチャーハン。お父さんはビールとつまみで楽しんでいたのだとか。その「日の出」に通うなかで、自然と町中華の魅力が染みついていったと言います。

↑「一寸亭」の「チャーハン」(750円)

 

「『日の出』は近所だったから、そこの家族のことも知ってるよ。お店は夫婦ふたりで切り盛りしててさ、当時は忙しいのに出前もやってたんだよね。今みたいなプラ容器じゃなく陶磁器を使ってたから、重いし回収もあるしで大変だったと思うけど。でもそうやって身内で助け合いながらやってるってところにシビれちゃうっていうか。だから町中華が好きなんだよね」

 

「町中華で飲ろうぜ」ではしばしば、玉ちゃんが“黒帯”と呼ぶ各店の常連さんが顔を出します。そこには、前述した憧れの大人への敬意が込められているそうで。

 

「一応、スナックのほうでは俺も黒帯を作ってもらったんだけどね。でも自分としてはまだまだ修行中だから、いつか“黒帯”みたいになりたいって常々思ってるわけ」

 

↑番組では「町中華の黒帯」と呼ばれる玉ちゃんも本人的にはまだまだ修行中のとのこと。ちなみにこの黒帯は「スナック」のものだとか

 

そんな玉ちゃんが普段、町中華で飲む際のルーティーンを聞くと、最初は気道確保でビールの大瓶。メンマやザーサイなどをアテにしつつ、次は点心に食指が動くそう。そして2杯目以降は焼酎の緑茶割り(緑茶ハイ・通称:緑ハイ)やチューハイ、紹興酒や日本酒を楽しむのだとか。

 

「メンマやザーサイは、お通しで出てきたら最高だよね。次は餃子なんだけど、歳とってきたから割りと重くてさ。だから最近はシューマイを頼むことも増えてきたかな。で、その次はレバニラとか、もやし炒めとかね。前の日のダメージが残ってるときは、もやし炒めが沁み渡るわけよ」

↑「シューマイ」(680円)

 

↑「レバニラ炒め」は850円

 

そして、シメの定番はワンタン。番組では収録後にスタッフと一緒に食べるため麺類を注文することもありますが、プライベートのひとり飲みの際はワンタンの量がちょうどいいのだと言います。

 

「たまにラーメンが恋しくなることもあるんだけど、食べるならシンプルなラーメンだね。あの味がその店のグリニッジ天文台だから。標準時ってやつよ。まあ、ここの『モヤシソバ』みたいに名物の麺メニューがある場合は、話は別だけどさ」

 

「カッテぇ」のルーツとは?

「町中華で飲ろうぜ」でもおなじみの「カッテぇ!」というパワーワード。これは、アルコールが濃いことを「硬い(カタい)」と言う玉ちゃん独自の表現。番組では緑ハイやチューハイを飲んだときに「硬い=カテぇorカッテぇ」などキメ台詞として使われます。その謂れはどこから来たのでしょうか?

 

「あれは内山くん(内山信二さん)と柴又で飲んだときに彼が言っててさ。それ聞いて『カテぇ』ってイイなと思ったの。でも、この前『町中華で飲ろうぜ』のスペシャルに松岡くん(TOKIOの松岡昌宏さん)が出てくれたとき、衝撃の事実が判明したのよ。実は松岡くんが『カテぇ』と言ったのを、内山くんがマネしたんだって。だから俺は孫だったんだよ(笑) 」

 

そして玉ちゃんは、満を持して「焼酎緑茶割り」をオーダー。

 

↑「焼酎緑茶割り」(500円)

 

「来ましたよ! でもこれはそこまでカタくないんじゃないかな。ほら、色がいい感じに濁ってて“沼(ぬま)”みたいでしょ? これは緑茶が多めだからなの。うん、ならこの沼の水は俺が全部抜いてやろうじゃねぇかっ……お、でもまあまあカテぇ~!」

 

聞けば、玉ちゃんが緑ハイをはじめとするチューハイ類を飲むときは、氷抜きでオーダーするのがポイント。そこにはふたつの理由がありました。

 

「まあひとつは俺も歳だからさ、あんまり体を冷やしたくないのよ。あとはやっぱり濃さだよね。このウマさが薄くなったらもったいないじゃん。だって甲類焼酎といえば宝でしょ。ここの緑ハイもクリアながらコクのある宝焼酎だから、安定で安心のウマさなんだよね……っつうわけで、緑ハイおかわりください。もちろん氷抜きで。あと、もう少し濃いめでもいいよ!」

 

そうして到着した緑ハイは、玉ちゃんのお望み通りにいっそうカタくなっている模様。

 

「うぉ! おいおいこりゃあ〜手加減なしじゃねーか! 見てくれよこの色! 焼酎が多いからクリアになって沼がキレイに浄化されたねぇ。でも味はめっちゃくちゃカッテぇー!」

 

 

「これこそまさに“カタい”緑ハイ! この世にダイヤモンドより硬いものはないなんて言われてるけど、あったわ。それがまさに焼酎の“宝”よ! じゃあその宝石はなに? って聞かれたら、そりゃもうこのキレイな色はエメラルドだよね~」

 

いい飲み屋とは、いい人が集まる店のことである

番組は2019年4月にスタートし、4年目を迎えました。これまで様々な町中華の名店を訪れた玉ちゃん。思い出に残っているお店はどちらでしょうか?

 

「いや~、ありすぎて絞れないよ。やっぱりどこ行ってもウマい酒とつまみと、面白いストーリーがあってさ。なかには閉店しちゃったお店もあるわけで、それは悲しいよね。でも、人と人との心の触れ合いがあるから儚(はかな)さもあって。それも町中華の魅力なんだよね」

 

町中華は昭和の遺産であり、それはスナックも同様だと玉ちゃんは熱弁します。

 

「俺が連盟を立ち上げた2014年時点でも、スナックは全国に10万軒ぐらいあったのよ。だから昭和の時代はもっと多かっただろうね。ただ、高齢化とか後継者不足に加えてコロナもあったから、今は6万軒ぐらいにどんどん減っちゃってさ。でもだからこそもっと頑張ろうって思うわけ。町中華も、もっともっと盛り上げるよ!」

 

町中華にスナックにと、飲み屋を愛する玉ちゃんは、ほかにどんなお店に行くことが多いのでしょうか?

 

「やっぱり居酒屋とか焼き鳥屋が多いかな。ホルモン酒場も好きだよ。街は中野や荻窪、あとは『スナック玉ちゃん』がある赤坂も多いよね。ひとりで飲むときは、意外かもしれないけど静かなもんよ。でも仲がいいとこなら、店主や女将さんとはしゃべるかな」

↑「一寸亭」の二代目、大塚真也さんと

 

持ち前のユーモアや人間力で、すぐにお店の人と打ち解ける玉ちゃん。ただしそれは勢いやノリに任せるのではなく、店内の雰囲気や相手の表情を推し量りながら馴染ませるように距離を縮めていくのがコツなのだとか。

 

「なんとな~くプロファイリングしていくのよ。で、徐々に俺の要素を溶かして最後は飽和水溶液にしていくってわけ。そのためにはじっくり観察することが大切。“ファスト映画”みたいなのじゃなくて、『ゴッドファーザー』だったらパート1からしっかり観ないとね。まあ、そうはいっても今はファストな時代だから、俺はそこをわかりやすいように伝えていきたいと思ってるの」

 

最後に、「玉ちゃんにとってのいい飲み屋とはどんなお店なのでしょうか?」と聞くと「一寸亭」を例に挙げて教えてくれました。

 

「一番は人だよね。ここは初代のパパと二代目の坊ちゃんが仲よくてさ、従業員さんも来店するお客さんも素晴らしい。もちろん腕がいいからどんな料理もウマいし、『モヤシソバ』なんて名物もある。おまけにカッテぇ緑ハイもそろっててさ、ここは理想的だよね」

↑一寸亭の名物「もやしそば」(850円)

 

谷中は、本郷台地と上野の台地に挟まれた谷合の低地。この町に1973(昭和48)年、今も現役の初代・大塚貞夫さんが「一寸亭」を創業しました。玉ちゃんは、この地にどっしり構えた同店は魚礁(ぎょしょう)であり、魚を獲る船でもあるといいます。

 

「お腹をすかせた、いろんな種類の魚が集まってくるわけよ。で、それをちょっと捕まえる“ちょっと艇”。最初は一寸法師みたいに小さな存在だったのかもしれないけど、もうお椀じゃないよね。それはそれは立派ですよ」

 

町中華の多くは老舗であり、つまりは愛され続けた名店である証拠。おいしいお酒におつまみと、素敵な人が集まる地域の社交場・町中華で、今日は一杯飲りませんか!?

 

 

<取材協力>

一寸亭

住所:東京都台東区谷中3-11-7
営業時間:11:30~20:00
定休日:火曜日

※価格はすべて税込みです

※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2022年6月11日)

 

撮影/鈴木謙介

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

<INFORMATION>

町中華で飲ろうぜ

どの町にもある、メシがあり、ツマミもあり、酒も飲める、昭和な町中華……。そんな一人でも大勢でも気楽な店「各町の中華料理店」に、町飲み大好きな玉袋筋太郎がブラリと訪れます。また後半は、女性版「町中華で飲ろうぜ」!ゆったり楽しめる、メシ&飲み&おしゃべり番組です!

毎週火曜日よる10時〜
BS-TBSで放送中

【公式HPはコチラ
公式twitter
公式instagram

 

世界のお酒とつまみで至高のおうち飲み! カルディのビール&ワインセレクション

「カルディコーヒーファーム」と「コストコ」は、国内外のウマいものが集まる人気店の代表格だ。グループ内で洋酒や輸入食品などを直輸入しているカルディは、お酒やつまみもハイレベル。ここではビールとワインのオススメ銘柄と、それぞれのベストなフードペアリングを提案しよう。

※こちらは「GetNavi」 2022年7月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【Tips】カルディコーヒーファーム

全国に480店舗(2022年5月現在)を展開。コーヒー豆の焙煎・卸売業を行うキャメル珈琲が、1986年に下高井戸で1号店をオープンした。世界中から集めた珍しい食材やリーズナブルなオリジナル品が所狭しと並び、店内で宝探しをするようなワクワク感を楽しめる。

 

ビール部門 3選

 

【その1】フルーティに香りボディは柔らかく高貴な味が魅力的

イネディット 330mL

429円

“世界一予約が取れない”と称された、スペインにある名レストランのシェフとソムリエがバルセロナ随一のブリュワリーと共同開発。フルーティで華やかな香りと柔らかいボディが魅力で、シャンパン代わりになる高貴な味だ。

 

BESTマリアージュはコレ!

オリジナル

ハモンセラーノスライス 55g

399円

豚もも肉をスペイン伝統の製法で塩漬けし、乾燥と熟成を経て仕上げた生ハム。脂の甘やかな風味と力強いコクが特徴で、香り豊かなビールとよく合う。

 

【その2】南国の陽気な味わいが特徴のジューシーな一本

ムーチョアロハ

ハワイアンスタイル・ペールエール 355mL

303円

旅先で飲んだベルギービールにハートを奪われ、ハワイ育ちのサーファーが立ち上げたブリュワリーの代表作。ホップの要素は苦み以上にトロピカルなシトラス感が豊かで、ジューシー感と爽快な飲みやすさが調和している。

 

BESTマリアージュはコレ!

オリジナル

スモークジャイアントコーン 45g

178円

歯応えの良いジャイアントコーンにビーフやしょうゆなどで味付けし、燻製風味に。香ばしさにワイルドなフレーバーが加わり、爽快なビールにマッチする。

 

【その3】白桃の果実味にホップの苦みがやさしく調和

台灣龍泉啤酒

ロンチュエン ピーチ 330mL

もぎたての白桃を思わせるみずみずしい香りに加えて、りんごと麦芽のアロマが繊細に広がる。クリーミーな泡に、際立つ桃の果実味とホップの苦味がほど良く調和した、フルーティな味わいの台湾産ビールテイスト飲料だ。

 

BESTマリアージュはコレ!

オリジナル

いぶりがっこオカキ 40g

140円

秋田の伝統漬物「いぶりがっこ」の味をおかきで表現。カリッとした粒は濃厚な味付けで、燻した香ばしさもたまらない。ジューシーなビールがよく進む。

 

 

ワイン部門 3選

 

【その1】フローラルかつスパイシーさが心地良く華やぐ

ファレスコ

ウンブリア・メルロー 750mL

798円

プラムやブルーベリー、ラズベリー的な香りに、すみれ、ブラックペッパー、バニラのニュアンス。豊かな果実味にほど良い酸味が調和し、余韻に続くスパイスとなめらかな渋味が心地良い、ミディアムボディのイタリア産赤ワインだ。

 

BESTマリアージュはコレ!

オリジナル

黒酢香る 上海風スペアリブ 140g

383円

豚の骨付き肉を、黒酢と紹興酒を使用した特製ダレで柔らかくなるまでじっくり煮込んで缶詰めにした一品。甘やかで熟した酸味に、中重口のワインがよく合う。

 

【その2】柑橘とハーブが絶妙に交わるフレッシュな味

ヴィッラ・デ・クロ

ソーヴィニヨン・ブラン 750mL

877円

柑橘系フルーツの香りにハーブやミネラルのニュアンスが加わる、やや辛口のフランス産白ワイン。フルーティなテイストにはソフトな酸も感じられ、フィニッシュには心地良い苦みのあるフレッシュさが絶妙だ。

 

BESTマリアージュはコレ!

オリジナル

ループスナック ジェノベーゼパスタ味 50g

306円

にんにくチップや乾燥チーズ、松の実などが入ったバジル風味のパスタスナック。ほど良い塩気と香草のニュアンスが、爽やかな白ワインとベストマッチだ。

 

【その3】繊細な香りに果実の甘みが効いた辛口の泡

ジョセフ・ドラーテン

リースリング・スパークリング エクストラ・ドライ 750mL

1078円

シトラス系のフルーツやアプリコットなどの繊細な香りに、心地良い果実の甘みを感じる口当たり。リースリング種ならではのエレガントで柔らかみのある、やや辛口のスパークリングワインとなっている。ドイツ産。

 

BESTマリアージュはコレ!

ブッラータ 125g

656円

モッツァレラチーズの袋に、生クリームと細かく裂いたモッツァレラが入っている。中からあふれる濃厚な乳の生地が、爽快なスパークリングワインと好相性だ。冷凍品。

フードアナリスト

中山秀明さん

食のトレンドに詳しいライター兼フードアナリスト。最近はインパクト大な自家製惣菜を販売するご当地スーパーの躍進に注目している。

 

●各商品は価格変動の可能性と在庫に限りがあります

個性豊かな最旬クラフトビールをテイスティング! いまキテる7銘柄を徹底レポート

個性的かつ多様な味わいで、酔う時間をいっそう楽しくしてくれるクラフトビールが長く流行中。コンビニやスーパーで買える銘柄のなかから、フードアナリストが選んで味をチェックした。お気に入りの1本を見つけよう!

※こちらは「GetNavi」 2022年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が解説します!

フードライター

中山秀明さん

ビール好きのフードアナリスト。クラフトに関する取材も多く、最近は香港発ブルワリーに注目している。

 

【その1】3種の個性的なホップが香る東京生まれの1本

サントリービール

東京クラフト<ペールエール>

オープン価格

従来のカスケードホップ、ギャラクシーホップに加え、マンダリンオレンジを思わせる香りのマンダリーナババリアホップを一部使用。国産麦芽の旨みに爽やかな柑橘系の風味が華やぐ。

 

【中山’s Check】バランスが良くて飲み飽きない入門にも適したクラフトビール

「シトラス系の芳香のほか、コクやボディも十分。泡も豊かでドリンカビリティ(おかわりしたくなるおいしさ)が高く、エントリー層にもオススメです!」

 

【その2】柑橘や松の香りが広がりクリーミーで飲みやすい!

リヴィジョン

リヴィジョンIPA

実売価格754円

米国の気鋭なブルワリーのなかで、高い人気を誇る作り手の代表的な銘柄。口当たりはクリーミーで飲みやすく、苦味よりも柑橘や松のアロマが香りと味わいにしっかりと感じられる。

 

【中山’s Check】鮮烈ながら上品にまとまったフレンドリーなアメリカンIPA

「ビターなオレンジのような香味に、草原のすがすがしさを感じるシャープさが特徴。米国らしいインパクトがありつつも、まとまりがよくフレンドリーです」

 

【その3】ハマのビール好きが絶賛するクロの衝撃的な味わい

横浜ビール

ハマクロ

実売価格350円

“黒ビールのイメージを覆す軽快さ”がテーマの、セッションブラックIPAというビアスタイル。横浜のビールイベントで限定醸造してきた銘柄であり、地元とのつながりを表現している。

 

【中山’s Check】ロースト麦芽のコク深さとホップのフルーティさが絶妙

「IPAらしい柑橘系ホップの香りと、ロースト麦芽の香ばしさが調和。味と香りにインパクトがありますが、アルコール4.5%と軽めでクイッと飲めます」

 

【その4】南国系フルーツの香りがミディアムボディと調和

伊勢角屋麦酒

HAZY IPA

実売価格569円

“世界大会で受賞できるレベルのビールだけを出荷する”を追求した三重県伊勢市のブルワリーで生産。南国系フルーツの香りながら、ホップの重厚感な苦みがミディアムボディを引き締める。

 

【中山’s Check】ブライトでアッパーな苦みがトロピカルな果実味と共存

「トロピカルなジューシー感は、さすがHAZY IPA。果実味とビター感が見事に共存しており、凝縮されたコクやスカッとした陽気な爽快さも魅力的です」

 

【その5】ホップ香を引き出した弾けるジューシーな味

ファーイーストブルーイング

ホップフロンティア ジューシーIPA

実売価格498円

新しいホップ製品「クライオ・ポップ」を軸に合計4種のホップを使用し、科学的なアプローチで香気成分を最大限に引き出した意欲作。クリーミーで、弾けるジューシーな味が楽しめる。

 

【中山’s Check】春夏にピッタリなトロピカル&フローラルな味わい

「ナチュラルでエネルギッシュな苦みの奥に、上品な果実味と花の香りを感じられます。アタックはフレッシュでキレも良く、春夏にビッタリな1本です!」

 

【その6】モルティーで心地良い甘みのアイリッシュな紅いエール

(c)松本零士/零時社・東映アニメーション

ヘリオス酒造

銀河鉄道999エメラルダスのレッドエール

実売価格350円

名作「銀河鉄道999」などに登場する、宇宙海賊のクイーン・エメラルダスをモチーフにした紅色のビール。ビアスタイルは、モルトの甘みが豊かなアイルランドの伝統的なタイプだ。

 

【中山’s Check】明確なキャラクターを出しつつ軽やかで飲みやすい!

「ほのかにロースト香を感じるコクと、フルーティーな甘みと苦味。個性的ながらアルコール度数はクラフトビールで標準的な5%で、飲み口もスムースです」

 

【その7】フランボワーズの香りが華やぐスイート&ライトな味

ヒューガルデン

ヒューガルデン ロゼ 瓶

実売価格322円

ベルジャンホワイトの銘酒・ヒューガルデン ホワイトをベースにフランボワーズの果汁をプラス。甘くほのかな酸味とアルコール度数3%のやさしさで、軽やかな飲み口に仕上がっている。

 

【中山’s Check】甘さの奥に妖艶なボタニカル感のあるロゼの名に相応しいバラ風の香味

「明るく甘めな味わいにひそんだ、バラを思わせるフラワリーな要素が見え隠れ。さりげないボタニカル感が、オトナな表情を醸し出しています!」

 

【Column】クラフトビールの飲み比べがデリバリーでできる!

オトモニ

定期便

4378円~

1900種類以上の銘柄から、毎回違ったクラフトビールを自宅などに届けてくれる定期便。苦手なビアスタイルを避ける機能やコンセプトごとに選べるセットを用意する。好みの味を中心に飲み比べをして楽しめる。

 

↑日本が誇る名ブルワリー・富士桜高原麦酒の代表作「ヴァイツェン」。バナナのような芳しい風味と、クローブ&エステルの香りが心地良い

 

↑同社のオリジナルビール「マイチョコペアリングエール」。チョコと相性が良い、ロースト麦芽や果実味豊かなセンテニアルホップを使用する

いま飲み比べたいビールはコレだ! 国内メーカー“四天王”が自信作を熱烈プッシュ

みんなで「カンバ~イ!」と祝宴を上げたいところだが、それができる状況にはまだ遠いのが現状だ。それでもビールメーカー各社は、より美味しい、飲んでナットク! という製品を世に送り出している。大手メーカーの自信作や、いま旬のクラフトビール、ビールに合うスナック菓子で春の到来を祝おう!

※こちらは「GetNavi」 2022年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ただいま吹き荒れ中! ビールトレンド

【TREND.1】国内大手はビールに注力し既存ブランドを底上げする

ビール類には安価な発泡酒と新ジャンルもあるが、2023年、2026年の酒税法改正で段階的に価格差がなくなるためビールの優位が予想される。この復権を見越して、各社はビールに注力中だ。

 

【TREND.2】濁りが魅力の「HAZY IPA」の認知度が徐々に上昇中

米国シエラネバダの「ヘイジーリトルシング」(写真)に代表されるHAZY IPAはジューシーな苦みが特徴で、近年クラフトで人気のスタイル。日本でも徐々に認知が広がり、コンビニでも取り扱うように。

 

【TREND.3】微アルコールビールテイストが昨年デビューして販売好調

アルコール度数1%未満の「微アルコール」飲料が昨年登場し、徐々に存在感を増している。世界的なソバーキュリアス(あえてお酒を控える志向)の流行と共に、日本での拡大も見逃せない。

 

定番、新作、プレミアム……いまのイチオシを国内ビールメーカー四天王が熱烈プッシュ! ぜひご賞味あれ!

「定番」と呼ばれる銘柄には、飲み継がれてきた説得力のあるウマさや、おかわりしたくなるほどの飲みやすさがある。ここで紹介するのは、各社のそんな自信作。味わいもそれぞれ独自の魅力があるので、ぜひ飲み比べてみよう!

 

≪サントリー≫希少な素材と匠の技術で最上のプレミアムを追求

ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉

希望小売価格286円

深いコクが特徴の希少な「ダイヤモンド麦芽」を使用。煮沸による糖化を3回も行う「トリプルデコクション」を採用し、さらに独自の発酵技術で醸造した特別な1本だ。

 

↑サントリーといえば「水と生きる」。モノづくりには良質な天然水が欠かせず、サントリー天然水は市場でも首位を走る

 

【ココを熱烈プッシュ!】

サントリービール株式会社
プレミアム戦略部

菅原 啓さん

 

素材と製法にとことんこだわり無濾過により上質な味わいを実現

「素材や製法にとことんこだわり、うまさだけを追い求めた“醸造家の夢”のビールです。無濾過で仕上げることで、うまみ成分がより多く残り、やわらかな口当たりと濃密で上質な味わいを実現しました」

 

「もう1杯」ならコレ!

糖質ゼロとは思えない豊かな満足度

パーフェクトサントリービール

実売価格217円前後

ザ・プレミアム・モルツに使われる「ダイヤモンド麦芽」を前作の1.3倍に増量。5.5%のアルコール度数とともに、糖質ゼロながらパワフルな飲みごたえを強化。今春より飲食店での樽詰提供も開始した。

 

 

≪アサヒ≫ビールの復権に向けて“本丸”が初のフルリニューアル!

スーパードライ

実売価格217円前後

進化したのは味だけではない。パッケージも洗練されたシンプルさ、磨かれたシルバーデザインにより、アイデンティティが明確化。時代の価値観を捉えたデザインへ変更された。

 

↑飲んだ瞬間の飲み応えを強化することで、その後の落差(=キレ)がよりシャープに。このグラフは、缶の裏側にも記載されている

 

【ココを熱烈プッシュ!】

アサヒビール株式会社
ビールマーケティング部

中島 健さん

 

辛口のコンセプトはそのままにキレの良さと飲み応えを向上!

「発売以来36年目で初のフルリニューアル。特徴である“辛口”のコンセプトはそのままに、初めて中味の処方を変更し“キレの良さ”は維持しながら“飲み応え”をさらに向上させました。ぜひお試しください!」

 

「もう1杯」ならコレ!

小売市場に復活した幻の生

アサヒ生ビール(通称マルエフ)

実売価格217円前後

アサヒスーパードライの大ヒットにより缶が終売し、飲食店で樽生提供されていた銘柄が昨秋復活してブレイク。まろやか仕立てによる、うまみのある味わいと“ぬくもり”や“やさしさ”が感じられる。

 

 

≪サッポロ≫生のうまさを進化させますます輝くビールの星

サッポロ生ビール黒ラベル

実売価格217円前後

「フレッシュキープ製法」「旨さ長持ち麦芽一部使用」「泡品質を向上させる継続的な取り組み」による王道の味が進化。独自の微生物研究技術により、生のうまさがさらに向上した。

 

↑風味を劣化させる成分のない大麦から生まれた、独自の「旨さ長持ち麦芽」。新鮮な味と香りに加え、泡持ちも良くなる

 

【ココを熱烈プッシュ!】

サッポロビール株式会社
ビール&RTD事業部

齋藤愛子さん

 

発売45周年を迎えリニューアルし麦のうまみと爽やかな後味がアップ

「発売45周年を迎えるロングセラー商品、サッポロ生ビール黒ラベルがリニューアルしました! 麦のうまみと爽やかな後味。何杯飲んでも飲み飽きない絶妙なバランスをぜひお楽しみください!」

 

「もう1杯」ならコレ!

小麦麦芽と麗しいホップの香り

ヱビス プレミアムホワイト

実売価格254円前後

ホップは白ワインを想起させる香りのネルソンソーヴィンと、柑橘のような香りのミストラルを一部採用。また、小麦麦芽を一部に使って上面発酵で仕込み、上品で柔かなテイストに仕上げている。

 

 

≪キリン≫日本市場を切り拓いたクラフトビールの革命児

SPRING VALLEY 豊潤〈496〉

実売価格272円前後

構想10年、試験醸造250回という試行錯誤の末に誕生したクラフトビール。採用している「ディップホップ製法」は手間とリスクを伴うことから、海外の醸造家に「クレイジー」と評された独自技術だ。

 

↑リニューアルしたスプリングバレー豊潤〈496〉では日本産まれのホップ「IBUKI」を新たに使用。フローラルなアロマや上品に華やぐ柑橘香が特徴だ

 

【ココを熱烈プッシュ!】

キリンビール株式会社
事業創造部
スプリングバレーブランド担当

岡本理沙さん

 

日本産ホップを新たに採用して飲み飽きないおいしさへ進化

「麦芽は1.5倍(※)、ホップは5種類を使用し、7日間漬け込むことで、豊潤な味わいと綺麗な後味を実現。日本産ホップ『IBUKI』を新採用し、バランスが高く飲み飽きないおいしさへ進化しました!」

※:キリンラガー比

 

「もう1杯」ならコレ!

飲みやすく飽きないうまさがさらに進化

本麒麟

実売価格157円前後

ビール系新ジャンルの名作。キリンラガービールの魂である、良質な苦味のドイツ産ヘルスブルッカーホップを増量。ブランド初となるデコクション製法を用い、飲みやすく飽きない味が進化した。

噂の“元が取れる”工場見学「キリン一番搾りツアー」へ。やっぱし、ビール好きの聖地でした

ここしばらくはコロナ過で飲食店やアクティビティなど閉じていた店舗や施設がありましたが、徐々に再開し始めています。今回紹介するビール工場見学もそのひとつで、訪れたのは「キリンビール 横浜工場」。再開に伴い一部バージョンアップもしたということで、レポートします。

 

↑「キリンビール 横浜工場」。京急線「生麦駅」が最寄りです

 

試飲だけでない体験

筆者が参加したのは「工場だけの特別体験。キリン一番搾り おいしさ実感ツアー」という、約90分のテイスティング付き見学体験。基本的にはサイトからの事前予約制となり、20歳以上は1人500円(19歳以下は無料。試飲はソフトドリンク)。休館日の月曜日(月曜が祝日の場合は営業し、翌平日が休館日)を除く、10~15時で実施されています。

 

館内に入ってすぐのところは、工場見学者以外も楽しめる「ノミモノ・ラボ」になっていて、ビールの醸造工程や現在と過去の商品群など様々な展示がズラリ。ここだけでもかなりの見ごたえがあり、開始時間より早く着いても暇を持て余すことはないでしょう(「ノミモノ・ラボ」見学は10時~最終ツアーの出発時間まで)。

 

↑「ノミモノ・ラボ」入口。見学後に立ち寄るのもオススメです

 

↑「ノミモノ・ラボ」にはビール造りのシミュレーションなどもあり、触れて体験できるのも特徴

 

ツアーは、キリンビールの歴史やビール造りなどについての映像を楽しむシアター上映からスタート。過去の資料を効果的に活用した映像美が臨場感あふれる音響とともに楽しめ、130年以上におよぶ同社のモノづくりを学べます。

 

↑麒麟麦酒(現キリンビール)の前身、ジャパン・ブルワリー・カンパニーは1885年の設立。同社はのちに、あのトーマス・グラバーも重役を務めました

 

上映後は、ビールの原料となる水、麦芽、ホップについて学ぶコーナーへ。横浜工場の水は、山中湖に水源を持つ丹沢・相模湖水系の水源から取水したもの。これを工場内でさらに磨き、雑味のない仕込み水として活用しています。

 

↑見学はツアーガイドの解説付き。細部まで学べるうえ、随時質問にも答えてくれます

 

麦芽とホップは実物を見られるうえ、麦芽は試食を、ホップは香りをかぐこともOK。麦芽もふだんはなかなか目にしないでしょうし、ホップは毬花(まりばな)のまま触れられます。これだけでも貴重な体験といえるでしょう。

 

↑毬花の内部にある黄色い粒状のものは「ルプリン」という樹脂。これがホップの苦みや香りを生み出します

 

次は仕込み室へ。ここには9つの仕込み釜があり、プロジェクションマッピングを活用したダイナミックな演出とともに工程を学べます。

 

↑巨大な仕込み釜の内部は、プロジェクションマッピングで投影

 

映し出されるのは、「一番搾り」の仕込み工程。ざっくり解説すると、砕いた麦芽を煮込むともろみ(おかゆ状になったお酒のもと)になり、それをろ過槽に流し込むことで澄んだ麦汁を抽出していきます。

 

↑仕込み室の次は、「一番搾り」がなぜおいしいのかを体験するコーナーへ

 

「一番搾り麦汁」と「二番搾り麦汁」の違いがわかる

「一番搾り」といえば、名称の由来となった麦汁がおいしさの要。CMなどでおなじみの「一番搾り麦汁」です。この麦汁がなぜおいしいのかを深く理解できるのが次の体験コーナー。「一番搾り麦汁」と「二番搾り麦汁」を飲み比べることで、違いを実感できるのです。

 

↑左から「一番搾り麦汁」と「二番搾り麦汁」。色だけでも濃さの違いがわかります

 

「一番搾り麦汁」とは、もろみがろ過されて自然に流れ出る最初の麦汁のこと。「二番搾り麦汁」と比べると、甘みやうまみが濃厚ながら、渋みが少なく上品であることがわかります。そして次は発酵を知るコーナーへ。

 

↑工場では仕込み釜同様に巨大なタンクを用いて発酵や貯蔵を行います

 

麦汁からビールにするには、ホップを添加し酵母を加えて発酵させる工程が欠かせません。その発酵を、ガイドの解説とインタラクティブな映像体験で詳しく学べるのがこちら。

 

↑画面上にしずくの形で手をかざすと、麦汁に含まれる糖分を酵母が食べ、炭酸ガスとアルコールに分解。なるほど、これはわかりやすい!

 

その次はパッケージングの工程を見学。タップマルシェやタッピ―というサーバー用のペットボトルに詰めたり、賞味期限を印字したり、空き缶を洗浄したり、箱に詰めたりといった動作がベルトコンベアとともに流れていく様を見ることができます。

 

↑様々な商品がここから出荷されていきます。ある意味、最も工場見学っぽいコーナーはここかもしれません

 

工場造りたての「一番搾り」を3種飲み比べできる

最後はお待ちかねのテイスティング。ビールをおいしく提供するための知識や技術を習得した「ブルワリードラフトマスター」が、「一番搾り」のために開発された特製グラスで極上の一杯を注いでくれます。

 

↑ここはビール工場なので、当然のごとく醸造したて。おいしい条件が揃いに揃っています

 

「一番搾り」を片手に着席すると、工場見学オリジナルの柿の種も。見学でビールが飲みたい衝動にかられているところ、これはますます嬉しい配慮。さらに杯が進むこと間違いありません!

 

↑麦のうまみとホップの爽やかな苦み、上品に広がる香りが絶妙。ビール酵母を使ったチーズ風味の柿の種も抜群の愛称です

 

そしてビールを味わいながら、そのままツアーガイドによる「一番搾りおいしさ実感セミナー」へ。「一番搾り」ブランドのラインナップから、「一番搾りプレミアム」と「一番搾り<黒生>」も並べて飲み比べ、それぞれの魅力を堪能するという贅沢な体験です。

 

↑左から「一番搾り」「一番搾りプレミアム」「一番搾り<黒生>」。ビールの風味を感じやすい、チューリップ型のグラスに注いでもらえます

 

テイスティングシートを見て飲み比べながら、色、味わい、香りなどの違いを実感。「一番搾りプレミアム」は、東北産ホップ「IBUKI」の清々しく華やかな香りが印象的。「一番搾り<黒生>」は、ロースト麦芽の甘やかなコクが心地良く広がります。

 

↑売店もあり、「一番搾り」を中心に様々なグッズやフードが充実。お土産はここでゲットしましょう

 

なお、今回の見学で学んだ「一番搾り」ですが、味覚センサー「レオ」の研究や開発とともにデータを提供する「AISSY(アイシー)」が分析したレポートによると、驚きの結果が出たとか。それは、国内のメジャーなビールのなかでも甘み、苦味、うまみ、コクの数値が高く、バランスを意識した深みのある味わいが特徴であること。

 

↑「ノミモノ・ラボ」にて。「一番搾り」は2021年にリニューアルし好評を得ていますが、データ上でもそのおいしさは確かということでしょう

 

工場見学はほかにも、参加者だけが楽しめるオンライン工場見学の二次元コード付きコースターがもらえたり、キリンのLINE登録で「一番搾り」特製グラスがその場でもらえたりと、魅力は盛りだくさん。

 

↑見学を振り返ると、満足度抜群の工場見学であることを実感(左上のクラッカー「ルヴァンクラシカル ノントッピングソルト」は、ビールを飲み比べる際に口をリセットするためのもの)

 

料金500円で、ビール造りを五感で学べる体験型の工場見学に、計4杯の造りたてビールテイスティング、柿の種とクラッカー、オンライン工場見学の二次元コード付きコースターと、とにかくボリューム満点。間違いなく元が取れる内容となっています。

 

また今回は横浜工場のレポートでしたが、北海道千歳、仙台、取手、名古屋、滋賀、神戸、岡山、福岡と全国9工場でも体験できます。キンキンのビールがおいしい季節、装い新たにバージョンアップしたキリンの工場見学へ、ぜひ行ってみましょう。

 

 

【PLACE DATA】

キリンビール 横浜工場

住所:神奈川県横浜市鶴見区生麦1-17-1

アクセス:京浜急行線「生麦駅」より徒歩約10分

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

ラズウェル細木が指南!「めくるめく家飲み一人酒」の噺

今年4月にリニューアルした「酒噺」サイトのキャラクター制作を手掛けていただいた”食の伝道師”ラズウェル細木先生。今回は、練馬にある先生行きつけのお店「旬味 ふじよし」で、3月に刊行された『酒は思考の源でR(あーる)』について伺うとともに、ラズウェル流「家飲み一人酒の楽しみ方」についてもお聞きします。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です。

 

【関連記事】
「晩酌は最高のリラックス」食の伝道師・ラズウェル細木に聞くー酒と肴と酒場の噺

 

●ラズウェル細木 山形県米沢市出身。酒と肴と旅とジャズをこよなく愛する漫画家。料理も得意で家飲みも好き。代表作『酒のほそ道』をはじめ、『美味い話にゃ肴あり』『う』など多数の「のんべえマンガ」を連載し、今春は『酒は思考の源でR』も上梓。

 

一人酒はいろんなことを思考できる時間

『酒は思考の源でR』は、ラズウェル先生の日々の晩酌ぶりとともに、飲んでいるときの頭の中をのぞき見する新感覚グルメエッセイ漫画。テーマやタイトルには、どういった想いが込められているのでしょうか。

 

「大枠のテーマは一人飲み。なので、特に話し相手がいるわけじゃないですよね。すると、ものすごくいいアイデアが浮かぶこともあれば、しょうもないことを考えるときもある。でもそうやって、いろんなことを思考できる時間でもあるんです。そこから『酒は思考の源でR』と名付けました」

 

本書の執筆中にコロナ禍を迎えましたが、描く内容に変化はあったのでしょうか?

 

「僕はもともと家での晩酌が基本なんです。たまに外で飲んだときのエピソードや、新幹線飲みの話をマンガにすることもありますけど、普段の晩酌をそのままエッセイにしたのが本書なので、特別に何か変わったことはなかったと思います。特にネタにも困りませんでした」

 

 

本書には様々なおつまみが紹介されていますが、なかでもオススメの品をいくつか教えてください。

 

「例えば『夏晩酌』の回で紹介した『白身魚の洗い』。本書では刺身のサクを切っていましたが、切り身の刺身でもいいんです。ポイントは氷のディスプレイですから。市販の氷をたっぷり贅沢に敷き詰めた器に、氷水で締めた刺身を乗せると、それだけで豪華になるんですよね。非日常感が楽しめますし、オススメです。

 

『酒は思考の源でR』第4話「夏晩酌」より/(C)ラズウェル細木・KADOKAWA

 

ほかには『サザエさん晩酌』の後半で登場する『トマトとキュウリと卵炒め』。『トマ玉(トマトと卵)炒めは定番の中華で、本書のプロローグでも紹介しています。ここに豚肉やキクラゲを入れることもあるんですけど、ここではキュウリを使っているのがポイント。中国などで、キュウリを加熱するのは珍しくないんですけど、日本では珍しいですよね。で、この卵炒めにキュウリを使うことですごく清涼感が出ておいしいんです。暑い時季にはぜひ試してみてください」

 

『酒は思考の源でR』第6話「サザエさん晩酌」より/(C)ラズウェル細木・KADOKAWA

 

「酒器育て」の回で『※土井善晴先生のレシピをパクりました』として登場する「ちくわのソース炒め」も気になりました。

 

『酒は思考の源でR』第2話「酒器育て」より/(C)ラズウェル細木・KADOKAWA

 

「あのおつまみは秀逸。切ったちくわを油で炒め、ソースとみりんを回しかけ、青海苔をかければ完成ですからね。料理が苦手な人でも作ろうかなという気にさせてくれるハードルの低さと、想像以上のおいしさ。土井先生はさすがですよ」

 

「できあいアレンジ晩酌」の回では、ポテサラや唐揚げなど、スーパーの「お惣菜」にひと手間加えたおつまみが登場しますが、それ以外のひと手間メニューがあれば教えてください。

 

「よく、スーパーとかでナムル4種盛りって売ってるじゃないですか。あれに焼き海苔を刻んで振りかけると、香りが立っていっそうおいしくなります。僕が使うのは韓国海苔ではなく、普通の海苔です。海苔は僕自身がお気に入りで、スライスチーズを海苔で挟むだけでもすごくおいしいですよ。チーズの片面にコチュジャンを塗るのもオススメ。

ちなみに海苔は湿気が天敵なので、僕は冷凍庫に入れてます。振りかけるときは刻み海苔とか加工してあるタイプのほうが使いやすいですけど、いろいろな料理に活用するなら普通の四角い海苔がいいですかね」

 

酒器は形だけでなく薄さも大切

「酒器育て」ではお気に入りの徳利(とっくり)が出てきますが、酒器についてのこだわりを教えてください。

 

『酒は思考の源でR』第2話「酒器育て」より/(C)ラズウェル細木・KADOKAWA

 

「専門店やデパートなど、いろんなところで買うんですけど、選ぶ基準はパッと見て気に入るかどうか。一番好きな形は、徳利だと白くてストンと長い磁器のタイプ。飲む器は広がっている盃(さかずき)が好きで、特にふちがなるべく薄いやつが好みです。厚みがあると酒の味が変わるので、薄さも大事だと思います」

 

 

調理器具に関しても教えてください。本書の「休眠調理器具活用晩酌」では様々なアイテムが登場しますが、今ハマっている調理器具はありますか?

 

「最近ミキサーを新調したんです。なぜかというと、南インドの定食『ミールス(※)』を作るコミュニティの会に顔を出した際に、ミキサーが必要だとレクチャーをされまして。とはいえまだミールスは作ってないんですけど、この前試しにと思って作ったのがパプリカのポタージュ。先日の『酒のほそ道』に登場させました。

実は今まで、ミキサーやフードプロセッサーが出てくるレシピはなんとなく避けていたんですけど、そろそろ使っていこうかなと。ですので、この夏にはミールスも作ってみようと考えています」

※ミールスは、主に南インドで食べられている、菜食料理を中心とした定食のこと

 

本書のコラム「一寸ひと息、生活の知恵」では器を洗う前のひと手間や、野菜クズ(※)の活用法が紹介されています。そのほかにも何か普段行っている生活の知恵があれば教えてください。

 

※野菜のヘタや芯、皮や固い外葉、きのこの石突きなど、通常は食べずに捨てるような部分

 

「割と知られた話かもしれませんが、牛乳パックをまな板代わりにするというアイデアですかね。あとはガスコンロの魚焼きグリルとかで、アルミホイルを敷いて焼く際のコツもありまして、焼くときアルミホイルはそのままの状態よりも、軽くクシャッとさせたほうが効率よく焼けるんです。なぜなら食材とアルミホイルの間に隙間ができるから。これもぜひ試してみてください」

 

家飲みの良さは“帰宅”がないこと

『酒は思考の源でR』の主軸となっている、「家飲み」の良さを教えてください。

 

「やっぱり第一は、家に帰る必要がないということです。飲んだあと電車に乗って、家まで歩いてというのは、なかなかつらいときもありますよね。しかも、なんとなくラーメン屋で食べちゃったり、コンビニに寄ってお酒を1缶買っちゃったりして。それで帰宅すると、ひと口飲んですぐ寝ちゃうみたいな。翌朝、ぬるくなった酒を見てもったいないと思うんですよね。あとは、自分の好きなおつまみを揃えられるというのも家飲みの良さだと思います」

 

ありがとうございます。では一方で、先生が考える「外飲み」の良さを教えてください。

 

「家とは逆に、自分の知らないお酒や知らない料理との出合いがあることです。やっぱり、お店で学べることはたくさんありますから。あとはお店なら“雰囲気”が楽しめることも素敵です。“みんなで好きなお酒を飲んでるぞ”という全体の一体感みたいな。知らない人同士でも、同じ場で飲んでる仲間という感じがして楽しいなと思います。

あとは僕の場合、職業柄飲んでいる方々の生態を観察することもあります。面白いオヤジさんがいたとかね。勉強になりますよ」

 

では、ラズウェル先生が考える「理想の酒場」とはどのようなものでしょうか。

 

「わがままを言わせてもらうと、大勢入っても声が響かないお店が好きかな。一緒にいる人との会話が普通に聞こえるぐらいの静けさはあってほしいです。あとは季節が限定されるんですけど、暑くも寒くもない季節に入口が開いていて、表を通る人の会話や足音が聞こえてくると、それだけでつまみになるというか、いい気分で飲めますね」

 

今回訪れている「旬味 ふじよし」さんの魅力も教えてください。

 

「いちばんはマスターの人柄。そして料理の腕前ですね。全国各地から素材の走り(季節の初物)、旬、名残りを見極め、最高の状態で楽しませてくれるんです。とにかく、何を頼んでもおいしい。雰囲気も温かく、素晴らしいお店ですよ」

 

↑この日は「焼姫竹」(1100円)、「牛肉たたき」(1300円)、「はた刺」(1300円)などがズラリ

 

おいしく飲んでいる雰囲気を伝えたい

酒噺」サイトに描いていただいたキャラクターに込めた想いを聞かせてください。

 

「心がけたのは、お酒をおいしそうに飲んでいる雰囲気を伝えるということ。イラストとともに『ク~ッ』っていう“たまらなくうまい”感じを表現したフレーズを添えているんですけど、あれも大事なんですよね。ああいうシーンは昔から描いていて、自分ではちょっとマンネリかな?って思う部分もあるんです。でも読者の方からは『それが楽しみなんです』といったご意見もいただきまして。それからは、マンガの中でもいっそう心を込めて描いています」

↑ラズウェル先生に描いていただいた、「「酒噺」」サイトのキャラクター

 

本書のプロローグ「酒飲みの頭の中」では、先生自身が「キュビビビビビ」とおいしそうに350ml缶の発泡酒を飲んでいる姿が描かれていますよね。そのあとに自家製のコーヒー焼酎が紹介されているのも印象的です。お酒のアレンジについても探求心がすごいなと。

 

「ああ、甲類焼酎にコーヒー豆を漬けて造ったやつですね。あれおいしくて、家以外でも飲むんですよ。例えば新幹線内でホットコーヒーを買って、そこに持参した焼酎を割って飲むとか。あれを片手に車両の窓際で飲むと、景色も相まって至福のひとときなんです」

 

いつでも飲めるように焼酎を忍ばせているとは、さすがです!

 

「隙あらば飲みたい。それが酒飲みなんでしょうね。長年培ってきたお酒との付き合い方みたいなものが、マンガにもあらわれているのかな。とはいえ常に背徳感(後ろめたさ)はあるんです。『酒ばっかり飲んでちゃダメでしょ』みたいな。でも、その背徳感が逆にお酒をおいしくさせるんじゃないかな。もちろん飲み過ぎはダメですけどね」

 

最後に、読者の方々に向けてのメッセージをお願いします。

 

「読者の方はお会いしたことがなかったりするわけなんですけど、自分のマンガを読んでいただけるということは、お酒にシンパシーを感じてくださっているということだと思うんです。それは作品を通じて、一緒に飲み交わしているようなものですよね。だから僕にとっての読者の方は、みな“飲み仲間”だと思っています」

 

ラズウェル先生のお酒哲学は、『酒は思考の源でR』にもたっぷりと凝縮されています。ぜひ本書を読みながら至福の一人酒を楽しみましょう!

 

<取材協力>

旬味 ふじよし

住所:東京都練馬区練馬1-22-1
営業時間:月、火、木~土曜日17:00~22:00、日曜、祝日17:00~21:00
定休日:水曜日

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2022年6月13日)

 

撮影/我妻慶一

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

クラフトジンと加熱式たばこの邂逅、斬新。Ploom Xと紅櫻蒸溜所の限定コラボの味をほろ酔いレポート

クラフトジンと加熱式たばこのペアリング、斬新すぎるーー

 

JTの加熱式たばこ「Ploom X」と北海道のクラフトジン蒸溜所「紅櫻蒸溜所」のコラボが実施中だ。本コラボは昨年12月に引き続き2回目となり、今回はPloom Xの代表銘柄「メビウス・リッチ」に合うクラフトジンと、同じく代表銘柄の「メビウス・メンソール・コールド」と合うクラフトジンが登場。期間限定でプレゼントもしくは、提供を行なっている。

 

古くから、ウイスキーと紙巻たばこや葉巻とのマリアージュは定番だが、加熱式たばことジンの相性はいかに? と思っていたら、冒頭のファーストインプレッションである。

 

本稿では両者の味わいをレポート。ジンを自分で漬け込むところからスタートする体験を含めて紹介していこう。入手方法などは記事の後半にまとめているので、そちらをご覧いただきたい。

 

【「Ploom X」と「紅櫻蒸溜所」コラボを写真で見る(画像をタップすると拡大表示されます)】

 

液色が3段階で変わる 「#0715 Smoky Rich Base」

まずはPloom Xの定番銘柄「メビウス・リッチ」に合うクラフトジン「#0715 Smoky Rich Base」から。こちらは、紅櫻蒸溜所の「9148」がベースだ(次に紹介する「#0616 Mint Cold Base」も「9148」がベース)。

 

ユーザーの手元にはボタニカル類が漬け込まれる前の状態で届き、自分の好みに合わせて唐辛子、カルダモン、ピンクペッパー、八角、ドライバタフライピーをトッピングしていく。キット内にはシートが同梱され、それぞれの特徴が書かれているので、香辛料や調味料に詳しくない人でも安心だ。

↑キットの中身。ピンセットまで入るおもてなしぶり

 

「#0715 Smoky Rich Base」で驚きなのがジンの液色が3段階で変化していくこと。届いたときは、無色透明のクリアな液体だが、ドライバタフライピーを入れると、中の成分が溶け出し紫がかった青色に変化。妖しく魅惑的な色合いになる。

 

これを1日ほど漬け込んだ後に、トニックウォーターで割ると今度はピンクがかった赤に変化。青色とはまた違った妖艶さを醸し出す。ドライバタフライピーは「天然のリトマス紙」とも言われており、トニックウォーターを入れたことでアルカリ性から酸性に変化。無色→青→赤と表情を変える点が贅沢だ。

↑グラスにトニックウォーターを注いだ状態

 

さて、肝心の味はどうかというと、スパイスがたっぷり含まれているから実に鮮烈!目の覚めるような心地よい刺激が、舌を喉を通過していく。ロックで飲むとさらに強烈だ。「メビウス・リッチ」と合わせて愉しむと、メビウス・リッチの煙量ある豊かな喫味と融合。柔らかで、奥深い味わいが出現する。

 

紅櫻蒸溜所の代表・林さんによると、ヒントはやはりウイスキーだという。「バーで葉巻と合わせるシーンをイメージして、ジンにスモーキーさを加えることで相性を高めました。ただし、それだけでは飲む方の想像を超えるものにならないと思い、辛味を足してみたり色を変えてみたりと、飲んで美味しく、見て楽しくにこだわっています」(林さん)

 

キラキラ舞う立体感が美しい「#0616 Mint Cold Base」

 

続いて、「メビウス・メンソール・コールド」に合う「#0616 Mint Cold Base」を紹介していこう。こちらもキットの状態ではボタニカル類が漬け込まれておらず、同梱のピンセットを用いて材料を容器に入れてフィニッシュさせる方式を採用する。

 

用意されているボタニカルは、シナモン、レモングラス、ドライアプリコット、ドライオレンジ、氷砂糖。これらを見るだけでも、香り豊かで、柑橘類の甘みを堪能できそうなイメージが湧く。ちなみに、ユニークなのは見た目の華やかさを演出する銀粉も添えられていること。こちらも漬け込んで1日ほど経つと飲み頃になるそうだ。

 

まずはロックで単体で飲んでみる。柑橘の香りが鼻を抜けながら、口いっぱいに甘すぎない爽やかな甘味が広がり、楽園のような雰囲気。「メビウス・メンソール・コールド」と合わせると、ここにメンソールの冷涼感が加わる。さらに、ジンを飲んで少し立ってから吸うとまた違った体験に。「メビウス・メンソール・コールド」の爽快感と、ジンの爽やかさがバランス良くブレンドされるのだ。

 

ちなみに、炭酸を入れるとジンの甘みが開いて、一層華やかさが立ってくる。見て立体的、飲んで立体的、空間の広がりを感じられる一品といえるだろう。

 

こちらも林さんにこだわりを聞いてみた。「こちらは、チョコミントのアイスから発想を得ました。メンソール(※)とミントを合わせることで相性を高めつつ、こちらもそれだけでは飲む人の想像を超えるものにならないので、甘さを加えることで味を多層化しています。加えて、銀粉を入れることで雪が舞う様子を表現。こちらも飲んで楽しく見て楽しいという体験を目指しました」(林さん)

※編集部注:「メビウス・メンソール・コールド」は天然メンソール100%を配合

 

どちらも至福。どうやったら体験&入手できる?

オフタイムの質が天井を突き抜けるぐらい上がる「Ploom X」と「紅櫻蒸溜所」のコラボ。最後に、概要についてお伝えしたい。

本コラボは2種類の方法で入手or体験が可能だ。

 

【入手する方法】

Ploom Xの会員サービス「Ploom X CLUB」で応募。プレゼントキャンペーンの形で入手することができる。応募期間は8月4日まで。

【体験する方法】

全国の一部「Ploom Shop」(札幌店、仙台店、銀座店、東京駅グランルーフ店、渋谷店、名古屋店、なんば店、天神店)で無料提供。対象はPloomデバイスを持っている「CLUB JT」および「Ploom X CLUB」会員となる。実施は6月30日まで。

 

というわけで、一般購入は実施の予定がないのは残念。だが、Ploom Xが切り拓く「新しい加熱式たばこの愉しみ方」は、他にはない試みであり、ぜひ体験してほしい。

食や飲料、サービスの外せないキーワードは? 2022年の「グルメ」トレンド8

グルメの話題には事欠きませんが、まだ知られていないポスト・トレンドグルメはほかにもたくさん控えています。「ビリヤニ」「香港グルメ」「ノンアルレモンサワー」といった料理&ドリンクから、「次世代型自販機」「プラントベースフード」「ハラール料理」「シン完全栄養食」「ゼロ・ウェイスト」など世相を反映するカテゴリーまで。フードアナリストの中山秀明さんに、キーワード別に教えていただきました。

 

1.スパイス料理界期待の星「ビリヤニ」

スパイスカレーが一定の認知を得てきました。スパイスカレーとは、明確な定義はないものの、スパイスを印象的に操る、小麦粉を使わない、和ダシを用いる、ワンプレートで美しく盛り付けるなどの自由度の高さが特徴とされています。そんなスパイス料理界でのネクストブレイク候補といえば、ビリヤニ。

 

「ビリヤニとは、肉や野菜などの具をスパイスと一緒に炊き込んだご飯のこと。南アジア地域におけるムスリム(イスラム教徒)文化圏メニューであり、つまりビリヤニ=インド料理ではありません。スパイスマニアの間ではおなじみでしたが、東京都内ではここ1~2年で専門店が増え始め、また高級スーパーではレトルトのビリヤニを見かけることも多くなってきました」(フードアナリスト・中山秀明さん、以下同)

 

日本におけるビリヤニ普及の立役者的存在、南インド料理店の「エリックサウス」がお取り寄せで販売している「チキンビリヤニ」。

 

「国ごとに味わいも異なります。南インド式、パキスタン式、バングラデシュ式などバラエティ豊か。なかでもパキスタン式は、見た目の華やかさが特徴のひとつで、人気急上昇中です。また、冷凍通販を始めるお店が増えたことも、ビリヤニ人気の理由のひとつでしょう」

 

また、ビリヤニとともに注目してほしいメニューもあるとか。

 

「インドやパキスタンレストランには『プラオ』というメニューを提供する店があり、こちらは“ビリヤニの原型”“ピラフの仲間”ともいわれる米料理。ビリヤニを好きになったら、ぜひプラオもお試しあれ」

 

2.台湾の次に来るのは「香港グルメ」

タピオカミルクティー、ジーパイ(台湾風唐揚げ)、ルーローハン、シェンドウジャン(定番朝食の豆乳料理)など、台湾グルメがブームから定番になりつつありますが、2022年に盛り上がりが注目されている上陸グルメは香港だとか。

 

「2021年の9月には、人気中国料理グループ『味坊集団』が香港スタイルの点心店『宝味八萬』を代々木八幡に出店して話題となりましたが、2022年に入って香港グルメの勢いは加速。2月には、江戸川橋と白山でそれぞれ人気の『フジ コミュニケーション』『also』の姉妹店、香港ストリートフードを提供する『香記豚記(ホンキートンキー)』が新中野に、3月には香港発クラフトブルワリーの直営店『Carbon Brews Tokyo』が赤坂にオープンしました」

 

「譚仔三哥米線」の麺線メニューの一例。

 

「そして香港グルメのトレンドを決定づけたのが『譚仔三哥米線(タムジャイ サムゴー ミーシェン)』の日本上陸です。3月31日に日本1号店が開業となり、4月には吉祥寺と恵比寿にもオープンしました。

同店はライスヌードル『麺線』の一大チェーンで、もちもちの麺とコク深いスープ、140万通りにカスタムできる自由さが特徴です。手掛けているのが『丸亀製麺』を手掛ける企業であることもポイント。2024年の3月までに日本国内25店舗を計画しているとのことで、目が離せません」

 

3.ふたつのトレンドが組み合わさった「ノンアルレモンサワー」

お酒のカテゴリーで人気のレモンサワー。

 

「2022年になってノンアルコールタイプの新商品が立て続けにデビューしました。『ノンアルレモンサワー』としての存在感が、いっそう増しています。

ニューカマーのひとつは、レモンサワーブームを語るうえで欠かせないヒットブランド『檸檬堂』から2月に発売された『よわない檸檬堂』。もうひとつは、クエン酸の働きで疲労感を軽減する機能性表示食品として、3月に登場した『サッポロ LEMON’S FREE』です」

 

左から、「よわない檸檬堂」「サッポロ LEMON’S FREE」「のんある晩酌 レモンサワー ノンアルコール」。

 

「これまで、同カテゴリーはサントリーの『のんある晩酌 レモンサワー ノンアルコール』だけだったところ、一気に3ブランドがしのぎを削る状況に。以前『進化する“お酒”、「ノンアルコール」の世界』で『ソバーキュリアス』(積極的にシラフになりたいマインド)カルチャーに触れましたが、ノンアルトレンドにはますます注目です」

 

4.できたて本格ラーメンが最旬な「次世代自販機」

コロナ過によって非接触の販売手法が礼賛されるなか、自動販売機にもスポットが当たっています。

 

「話題の中心となっているのは冷凍食品で、餃子、ラーメン、カレー、牛丼などさまざまな料理が登場。一方、テクノロジーを駆使した最新型としては、レジ会計のないサラダストア『CRISP STATION』(QRコードからスマホで決済する無人販売店)が話題に。

そしてもっとも旬な次世代自販機といえるのが、『Yo-Kai Express(ヨーカイエクスプレス)』です。生麺タイプのできたてラーメンを提供するのが特徴で、羽田空港と首都高芝浦パーキングエリアで3月末から稼働がスタートしました」

 

「Yo-Kai Express」。お店のようなクオリティのラーメンが食べられ、今後は「一風堂」グループの監修でより本格的なおいしさを目指すそう。

 

「日本には昭和の時代から、ドライブインなどを中心にうどん、そば、ラーメンの自販機が設置されていますが、『Yo-Kai Express』はより細かくレシピを設定できるのが大きな特徴。醤油、塩、味噌、博多豚骨など、細分化されているラーメンの味をしっかり再現できるのです。

『Yo-Kai Express』のベースとなるラーメンは冷凍ですが、90秒でできたてアツアツを提供できる高度な調理技術もポイント。応用すればラーメン以外の料理も提供できるそうで、今後の拡大にも期待が集まります」

 

5.卵料理の登場で一層注目の「プラントベースフード」

世界中でSDGsが叫ばれるなか、食の業界では環境にやさしい「プラントベースフード」が存在感を増しています。昨年「『代替肉』の最新事情」でも紹介しました。

 

「プラントベースフードとは、植物由来原料から作られた食品のこと。例えば、肉であれば牛や豚を育てるため大量の飼料が必要となりますが、代替肉であれば一時原料をそのまま加工して肉に近しい味を作れます。また、屠殺(とさつ)しないので倫理的であるともいえるでしょう。

ベジタリアンやヴィーガン(卵や乳製品を含む動物性食品を一切口にしない、完全菜食主義者のこと)が多い海外は、日本よりプラントベースフードが浸透していますが、SDGsの流れも影響して日本でも徐々に普及。食品ジャンルとしてはプラントベースミート、プラントベースミルクが先行していましたが、新たに広がっているのがプラントベースエッグです」

 

「2foods プラントベースオムライス」は、プラントベースだと言われなければ気付かないほどの完成度。冷凍タイプは「マクアケ」で数量限定発売され、正式な商品化が期待されています。

 

「なかでも勢いを増しているのが、プラントベースフードのスタートアップ『2foods』が今春新発売した『Ever Egg(エバーエッグ)』。カゴメとの協業によりオムライスとしてメニュー化&商品化し、自社店舗や応援購入サイト『マクアケ』で販売を開始しました

また、キユーピーは『HOBOTAMA 加熱用液卵風』と『HOBOTAMA スクランブルエッグ風』をこの3月からオンラインで新発売。スーパーでプラントベースエッグを見かける日も、そう遠くないはずです」

 

6.グローバル化で浸透中の「ハラール料理」

「ビリヤニ」や「プラントベースフード」に関係するフードトレンドが、「ハラール料理」。

 

「ムスリムは教義において食にも戒律があり、合法なものをハラール、非合法なものをハラームといいます。

食材の非合法を挙げれば、豚肉が代表的。一方で、基本的に野菜はすべて合法です。とはいえ料理にアルコール入り調味料が使われていると非合法になるなど、細かな規定があるため、ムスリムの方にとっては、食品を買ったりレストランで食べたりするときに“ハラール認証”であるか否かが大切なのです」

 

日本でも国際化が進むにつれ、年々ハラールの注目度が高まっています。

 

「パキスタンなどムスリム文化圏レストランの多くがハラール認証店であることはもちろん、ハラール認証であることをうたうハンバーガーショップやラーメン店も増えています。

また、イスラム教の国が多い中東発祥のフードで昨今人気なのが、『ファラフェル』という豆のコロッケです」

【関連記事】中東のソウルフード「ファラフェル」の正体とレシピ

 

7.カレーや味噌汁など惣菜系が面白い「シン完全栄養食」

コロナ禍によって免疫力が注目を集めるなど、食への健康意識は年々高まっているといえるでしょう。これに伴い市場規模が拡大しているのが、完全栄養食です。これは、一般的に厚生労働省が提示した基準に基づき、1食あたりの必要な栄養素をすべて摂取できることを目標に開発された食品のこと。

 

「当初はオンラインなど販路が限られていましたが、いまやコンビニでも発売されるほどメジャーになりました。また、商品のバリエーションが広がりを見せており、パウダー状のものや麺類、パン、グミといった食品のほか、味噌汁の『MISOVATION』、カレーの『KOREDE(コレデ)カレー』といった『シン完全栄養食』といえるタイプも登場しています。

なかでも『KOREDE(コレデ)カレー」はユニーク。水で溶かせるパウダー状のカレーになっていて、従来のカレーに比べて低脂質かつ高たんぱく質のプロテインカレーでもあるのです」

 

「KOREDE(コレデ)カレー」。レシピなども付いています。

 

「飲むカレーとして味わったり、ご飯にかけたりカレーうどんの材料にしてもよし。アウトドアシーンや非常食としても活用してくれることでしょう。今後、どんな『シン完全栄養食』が出てくるのかにも注目です」

 

8.容器持参で量り売りを楽しむ「ゼロ・ウェイスト」な食品店

プラントベースフードのところでSDGsに触れましたが、環境問題の面でいえば脱プラスチックも課題のひとつです。2020年の7月にはレジ袋が有料化したことで、エコバッグが身近になった人も少なくないでしょう。

 

「こういった流れのなかで、プラスチックだけでなくさまざまな梱包物を極力なくしていこうと取り組む企業が増え、量り売りを採用する『ゼロ・ウェイスト』(ゴミゼロのこと)型の食品店も増加中。有名なのは、イオンが日本で展開するフランスのオーガニックスーパー『ビオセボン』の量り売りコーナーで、さらに『ゼロ・ウェイスト』を徹底しているのが京都発の『斗々屋』です」

 

「斗々屋」系列店の「ニュ・バイ・トトヤ」。容器を忘れても、デポジットで対応可能です。

 

「『斗々屋』は全食品が量り売りで、2021年には東京に進出。国分寺のオーガニックカフェ『カフェスロー』内に『ニュ・バイ・トトヤ』をオープンしました。販売している食品もオーガニックのものが多く、また地元生産者によるこだわりのフードも多数。量り売りでスタッフとコミュニケーションを取るという、ユニークな買い物体験も新鮮です」

【関連記事】必要なモノを必要な分だけ。「無印良品 東京有明」でしか体験できない5つのこと

 

以上8つのキーワードを解説していただきました。まだまだ2022年後半も新しいトレンドが生まれることでしょう。目が離せません。

 

【プロフィール】

フードアナリスト / 中山秀明

フードアナリスト・ライター。なかでもビールに関する執筆が多く、大手メーカー、マイクロブリュワリー、ブリューパブ、クラフトビアレストランなど、小売り、外食問わず全国各地へ取材に赴いている。


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

ビール好きのプロ3人で分析した、プレモルの最高峰「マスターズドリーム〈無濾過〉」ヒットの理由。

Sponsored by サントリービール

今年の上半期を代表する新作ビールが、サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉」(以下、マスターズドリーム〈無濾過〉)だ。発売初月で早くも年間売上計画の約6割を達成。GetNaviの「売れたモノSELECTION 2022年上半期」にも選出された。その人気と高評価の理由はどこにあるのか。ビール好きの“プロ”3人が集まって分析した。

 

【今回分析する商品】

サントリービール

ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉

当商品ならではのダイヤモンド麦芽に加え、トリプルデコクション製法、銅炊き仕込でビールの魅力を徹底的に引き出し、無濾過で仕上げることで実現した、やわらかな口当たりと濃密で上質な味わいが魅力だ。

 

本論に入る前に…マスターズドリーム〈無濾過〉は「父の日」にもうってつけ!】

2022年の父の日は6月19日。毎年この時期になると、何を贈ろうか悩む人も多いのではないだろうか? その点、今年は安心。マスターズドリーム〈無濾過〉があるから。本商品のこだわりは記事を読んでいただくとして、全国販売で購入しやすいのも特徴。贈答用として贈るもあり、実家帰りに酒販店などで買うなどもあり。父と交わす温かいコミュニケーションのおともにオススメだ。

 

贅沢な味わいと日常を彩る独自の上質さでヒット

【分析する人】

左/フードアナリスト 中山秀明さん:お酒をはじめフードのトレンドに詳しい。ビールも守備範囲で、工場見学や醸造家インタビューなどつくり手への取材も多数。

中央/ビール女子編集長 酒井由実さん:ビアソムリエ。大学でビールの経済学を学び、Webメディア「ビール女子」編集部へインターン。現在は編集長を務める。

右/GetNavi編集長 川内一史:様々なヒット商品やトレンドと、それらの背景に常時目を光らせている。ビールは大好きで、スタイルを問わず愛飲する。

 

川内 「マスターズドリーム〈無濾過〉」、売れてますね! “プレモルの最高峰”として4月に発売されたばかりの新製品です。ヒットの理由として、おうち時間でも上質さを求めるライフスタイルの変化が挙げられますが、やはり味わいでいうと“無濾過”がポイントですよね。

 

酒井 濾過しないことでビールのうまみがしっかりと残り、口当たりはまろやか。きわめて贅沢な味わいに仕上がっています。

 

中山 濾過は酵母や濁りを取るための工程。本商品はこの工程がなく、無濾過ならではのやわらかな口当たりで濃密な味わいを実現。心地よい余韻も感じられます。売れているのにも納得ですよ。

 

川内 ヒットの要因には、ライフスタイルの変化も見逃せません。在宅時間が増え、オンとオフの境目がなくなりがち。その切り替えのトリガーとして上質なおうちごはんがカギとなり、一層プレミアムなビールが求められています。

 

酒井 飲食店でもマスターズドリームは提供されていますが、〈無濾過〉として楽しめるのは缶だけ。おうちで贅沢なビールを楽しむにはうってつけですね。

 

中山 嗜好の多様化も関係しているでしょう。例えば「ザ・プレミアム・モルツ」には、エールタイプの〈香る〉エールがあります。こちらもフルーティでおいしいですが、「マスターズドリーム〈無濾過〉」は、特別な味わいと一層の高級感が特長。この独自性も、選ばれる理由のひとつになっています。

 

酒井 贅沢な味、それでいて飲み疲れしないから、何度でも飲みたくなるのが魅力ですね。味のバランスが良く、アルコール度数は5%と重すぎないですし。

 

川内 濃厚でも飲みやすい味わいには、アルコール度数5%というのも関係しているのでしょうね。

 

マスターズドリーム〈無濾過〉を深く知るキーワード01

ダイヤモンド麦芽

手間をかけて引き出される上質で贅沢なおいしさの要

上質で深いコクとうまみをもつ希少な麦芽で、非常に硬い構造も特長。そのためじっくりと煮出す必要があり、「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドでは手間ひまをかけて丁寧に豊かなおいしさを引き出す。

 

マスターズドリーム〈無濾過〉を深く知るキーワード02

トリプルデコクション

煮沸工程を3度も繰り返し濃厚で芳ばしい麦汁を抽出

デコクションとは、仕込釜で麦汁を煮出すことにより濃厚で芳ばしい麦汁を抽出する製法。労力と時間のかかるこの煮沸工程を3回繰り返すことで、ダイヤモンド麦芽が秘めた魅力を最大化する。

マスターズドリーム〈無濾過〉を深く知るキーワード03

銅炊き仕込

新設備「銅製循環型ケトル」を導入し、厚みのある味わいを実現

銅釜で仕込む伝統的な製法に着目。サントリーの知見を活かして革新した、独自の新設備「銅製循環型ケトル」を導入。熱伝導率の高い銅を使って麦汁を炊くことで、多重奏で濃密な味わいを実現した。

 

暮らしを楽しく彩ることは近年のヒット商品の共通点

中山 食以外のトレンドにも詳しい川内さんとしては、「マスターズドリーム〈無濾過〉」と、ほかのヒット商品との共通点は何だと感じますか?

 

川内 暮らしへの彩りや楽しさの演出ですね。例えば文房具では、人柄を伝える付箋が人気になっていたり、家電では掃除の進捗を“見える化”するクリーナーがヒットしたりしています。「マスターズドリーム〈無濾過〉」にも、これまでのビールにない特別な彩りを演出する独自のおいしさや高級感があります。

 

中山 女性の視点で、酒井さんは「マスターズドリーム〈無濾過〉」のヒットをどう捉えていますか?

 

酒井 まろやかな口当たりややさしさを感じる香味は女性が好む魅力です。それでいてすっきりしており、アルコール度数が強すぎなくて飲みやすい。女性に限らずビールの入口としてもオススメできます。

 

川内 確かに。ビール入門世代の20代から、ビールを飲み尽くして銘柄が固定化しがちなシニア層まで、このわかりやすい贅沢な味わいと飲みやすさは、すんなりと受け入れられそうですね。

 

中山 皆さんはこのビールをどんなシーンで味わいたいですか?

 

川内 例えば、大きな仕事が一段落した帰りのコンビニで買って、晩酌をリッチに演出すると、達成感がひとしおですね。出張帰りの新幹線で飲むのも最高です。

 

酒井 規制が緩和され、久々に会う人との集いが徐々に増えてきました。そういった場での乾杯や、差し入れするお酒としてもピッタリだと思います。

 

中山 この2年半で人と会うことの価値というものをあらためて実感できましたよね。だからこそ、一緒に飲むなら特別なビールが良い。まさに「マスターズドリーム〈無濾過〉」は最適でしょう。

 

 

川内 もうすぐ夏本番ですが、BBQやキャンプなどにも良さそうですね。おいしいビールがあれば外飲みが盛り上がりますよ。

 

酒井 お中元にも。お盆に実家へ帰ったら、私をビール好きに育ててくれた両親と、このおいしさを分かち合いたいです(笑)。

 

中山 濃厚さと爽やかさが調和しているから、料理にも幅広く合いそう。BBQのステーキとか、帰省時の家庭料理や刺身、寿司など。

 

酒井 個人的にはチーズやクリーム系が合うと思います。なので、スイーツにもマッチしそうです。

 

川内 イイですね! ビールがおいしいこれからの季節、ますますヒット間違いなしの「マスターズドリーム〈無濾過〉」。今夏の晩酌や乾杯には、この一本で決まりです!

 

【まとめ:ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉を一言で表現すると】

人と会う価値を感じられるいまこそ特別なビールである

「マスターズドリーム〈無濾過〉」を楽しみたい(中山)

濃厚さと爽やかさが両立し、何度でも飲みたい飽きのこない味わいが魅力(酒井)

時代が求めた究極のプレミアム!この存在感は唯一無二(川内)

 

ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉の公式サイトはコチラ

サントリーお客様センターはこちら

ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転

 

撮影/福永仲秋(ANZ)

【東京・大衆酒場の名店】門前仲町「大坂屋」の“牛にこみ”を三日月型カウンターで堪能する噺

東京にある大衆酒場の名店を巡る企画の第8回。今回は門前仲町の「大坂屋」を訪れ、その魅力を探っていきます。

 

大衆酒場は、その安さとウマさ、昔ながらの温かい雰囲気で、酒飲みの心をひきつけてやみません。なかでも東京では下町を中心に、根強い人気を誇る大衆酒場の名店が数多く存在します。そんな名店を巡り、お店の魅力と東京ならではの酒文化を深掘りしていくのが本連載。立石「宇ち多゛(うちだ)」篠崎「大林」京成曳舟「三祐酒場(さんゆうさかば) 八広(やひろ)店」八広「亀屋」四つ木「ゑびす」門前仲町「だるま」船堀の「伊勢周」に続く第8回は、門前仲町「大坂屋」にお邪魔します。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

約100年続く老舗はヒノキの「三日月型カウンター」が独創的

本企画の第6回で登場した門前仲町「だるま」と同じ通りにあるのが今回紹介する「大坂屋」。創業は、なんと大正13(1924)年という老舗で、2024年には100周年を迎えます。

 

これまで紹介した名店同様に様々な個性があり、独特な設(しつら)えのカウンターはひときわ印象的。今回もカウンター酒場について詳しい長谷川和之さんを講師に迎え、生徒役のお酒好きタレント・中村 優さんと「大坂屋」の魅力に迫ります。

↑中村 優さん(左)は、タレントおよびマラソンランナーとして活躍。長谷川和之さん(右)の本業は編集者で、酒場のほか旅や温泉、鉄道など様々なジャンルに精通しています

 

中村 久々の門前仲町。こちらの「大坂屋」さんも素敵ですね!

 

長谷川 「大坂屋」は“東京五大煮込み”に数えられる名店で、カウンターについても語れる要素が満載ですよ。

 

中村 楽しみ! 今日もお酒が進みそうです。注文はどうしましょう?

 

長谷川 お酒は「焼酎」からいきましょう。中村さんにはチェイサーも用意してもらいましょうか。女将さんを紹介しますね、実川(じつかわ)佳子さんです。

 

女将 今日はありがとうございます。ゆっくりしていってくださいね。

↑宝焼酎の一升びんを注ぐ女将の実川佳子さん

 

中村 はい! よろしくお願いします。ところで、乾杯からチェイサーをいただけるんですか?

 

長谷川 この焼酎は、宝焼酎のストレートに、梅エキスを足す「うめ割り」スタイル。アルコール度数が25%とかなり強いので、中村さんはチェイサーでやわらげながら飲むのがオススメです。

↑焼酎に特製の“梅エキス”を加える

 

中村 お気遣いありがとうございます。そうですね。「うめ割り」は話に聞いていたので楽しみです!

 

長谷川 お、いいですねー。あと、今日は天気がいいので、氷もいただきオンザロックで飲みましょう。

↑「焼酎」(450円)

 

中村 わ、これが「焼酎」の「うめ割り」ですね!

 

長谷川 はい。ではカンパーイ! 無理せず、少しずつ味わってくださいね。

 

中村 そうですね。まずはそのまま一口……。あっ、パワフルなコクがあって、ドライななかに甘みもありますね。キレも強くて、スゴく大人な味わい。でも、お酒がそこまで強くない私でもいけるおいしさです。

 

長谷川 よかった。ガツンとくるんだけど、飲みやすいんですよ。だからこそ、飲み過ぎないように注意が必要なんですけどね。では次に、ロックでどうぞ。

 

中村 あ、氷で冷たくなるとまた味わいが変わりますね。すっきりした感じが強くなりました!

 

長谷川 お客さんのなかには、ストレートで飲む方も多いと思うんです。でもここは氷やチェイサーを用意してくれるので、お酒に強くなくても「うめ割り」を楽しめるんです。うれしい気遣いですね。

 

中村 では乾杯したところで、この素敵なカウンターについて教えてください!

 

長谷川 やっぱり、なんといっても独創的な“三日月型”の形に尽きます。しかも煮込みの釜と鍋が設えられているということでしょう。

↑上から見ると良くわかる“三日月型カウンター”

 

中村 ものスゴいインパクトですよね。

 

長谷川 普通はL字型にしがちなんですよ。二辺だから造りやすくて、施工費も安価だからだと思います。あるいは、店にスペースがあればコの字型。

 

中村 L字やコの字は、これまで訪れたお店で勉強させてもらいましたね。

 

長谷川 でもここはそのどちらにもにも属さない三日月型で、きわめて珍しいんです。

 

中村 三日月型になることで、お店やお客さんにとってはどんなメリットがあるんですか?

 

長谷川 お店としては接客がしやすいでしょうね。お客さんの顔がすぐ近くに見えるから。一方で、常に見られてるという緊張感もあると思いますけど。

 

中村 ふむふむ、なるほど!

 

長谷川 皆さんの視線が煮込み鍋の方向に集中するので、お客さんにとってみれば、近くに座ってる人の表情がすぐわかるから、常連さんとかほかの方と仲良くなりやすいですよね。L字やコの字だと、こうはならないんですよ。

 

中村 確かに。体をひねったりのぞき込んだりしなくても、自然に近くの方の表情がわかりますね。

 

長谷川 そう、自然なんです。だから、なんとなく隣の席の会話に入りやすくて、溶け込みやすい。カウンターだけじゃなく、このお店の規模や雰囲気によるところもありますけどね。

 

中村 こぢんまりとした空間があっての三日月型カウンターだから、秘密基地みたいな雰囲気っていうんですかね。一体感があって、私は初めて来たとは思えない居心地の良さを感じます。

 

長谷川 広い店だと視線がいろんなところに行きますが、ここは釘付けになりますよね。目の前に名物の煮込み鍋が鎮座してるし。

 

中村 そうなんです。あと、カウンター奥の座敷も気になりますね。あちらも客席なんですか?

 

長谷川 客席ですよ。ただ僕は、何度も「大坂屋」に来ていますけど、あの小あがり席には行ったことないです。団体用でしょうね。とはいえ、詰めても3人ほどの席だと思いますが。

↑女将さんの後ろにチラッと見えているのが奥の小あがり席

 

中村 カウンターも座敷も、アットホームですよね。満席でも10人ちょっとぐらいですか?

 

長谷川 三日月型カウンターが6席で、壁側のカウンターが4席。座敷が3人だから全13席ですね。でも、回転がすごく早いから満席でもちょっと待てば入れることもあるんです。

 

中村 そういえば、このカウンターは席によって奥行きが違いますかね。鍋のところの奥行きは広いような。

 

長谷川 そう。いつもみたいに計らせてもらいましょう。
なるほど! 鍋が38cmで、そこの奥行きは62cm。一方で、狭いところは53cm。鍋のところは手前にゆとりがないとお客さんが座ってもスペースがないから広げてある、特殊な設計になってるんですね。

 

中村 よく考えられてるなー。あと、重厚感があるから板の厚さも相当ありますよね。

 

長谷川 うん、厚さは5.5cm。しかもこの素材はヒノキだから実に贅沢な造りです。高級寿司店とかのレベルでしょう。

 

中村 それに縁の部分も丸くなめらかに加工されていて、手触りが心地良く、落ち着きます。

 

長谷川 ヒノキの白木が醸し出す、凛とした佇まい。加えて、設えや世界観が全体的にやわらかいから、この店独特の和やかさが生まれるんでしょうね。

 

中村 女将さんの所作や醸し出す雰囲気も一役買ってると思います。華があって品もあるから、すごく落ち着くんですよね。

 

長谷川 そう。だから女将さんのファンも多いんですよ。

 

重厚なカウンターは二代目が設計

中村 お店の歴史はすごく長いと思うんですけど、このカウンターはまったく古さを感じさせませんね。創業時からあるんですか?

 

長谷川 僕が最初に来たのは20年ほど前ですが、そのときにはもうありましたね。昭和のころからあると思いますが、詳しいことは女将さんに聞いてみましょう。

 

女将 カウンターは、二代目である私の祖父が設計しました。みなさんの席の上に飾ってある写真が祖父です。

 

長谷川 いい写真ですよね。僕が初めて来た時は、もう大女将(女将さんのお母さん)の時代だったから、二代目に会ったことはないんですけど。

 

中村 ということは、女将さんは四代目? 初代はひいお祖父さんですか?

 

女将 はい。屋号の「大坂屋」も、初代店主が名付けました。創業時の相方が大阪出身だったと聞いています。「阪」ではなく「坂」な理由まではわかりかねるのですが。

 

長谷川 へえ~これは貴重なお話ですね。

 

中村 お店は創業時からずっとここにあるんですか?

 

女将 大正13年に、この近くで屋台の煮込み屋さんを開いたのが始まりだと聞いています。その後、戦時中は満州鉄道にいたため一時休業していたとか。そして終戦後にまた門前仲町で「大坂屋」を再開したそうですよ。

 

長谷川 それで屋台から店舗をこの地に構えて、二代目がヒノキのカウンターなどを設計して現在に至ると。そういえば、僕がここに通い始めた当初は、カウンターの隅に黒電話があったかな。今は電話をなくして、そのぶん1席増えましたよね。

 

女将 はい、長い歴史のなかで変わらない部分もあれば、そうでないところもありますね。お品書きは基本的にずっと変わっていません。お店には、今は基本的に私が立っていて、母が元気な時はふたりでやってます。

 

串タイプの名物「牛にこみ」は3種の部位が楽しめる

中村 すっかりお話に聞き入っていたら、お腹がすいてきちゃいました! おつまみも注文していいですか?

 

長谷川 そうですね。では、まずは名物の「牛にこみ」を1本ずつひと通りお願いします!

 

女将 はい、では準備しますね。

 

中村 こちらの煮込みは串タイプですけど、私初めてかも!

 

長谷川 そう、串になっているのはかなり珍しいですよ。部位はシロ(腸)、フワ(肺)、ナンコツ(喉)の3種で、味は味噌ベース。これがまたウマいんだ!

 

女将 ではどうぞ。お通しも召し上がってくださいね。

↑「牛にこみ」(1串180円)とお通し

 

中村 わあっ、間違いなく味が染みてるやつですね。シロからいただきます!

 

中村 はー! プルッとやわらかくて脂に甘みがあって、おいしい!

 

女将 シロは一番人気ですね。

 

長谷川 うん、今日も安定のおいしさ! シロはおかわりする方も多い部位ですよ。

 

中村 次はフワ。あ、これはムチムチッと押し返すような弾力で、お酒に合う味と食感ですね。初めて食べたかも。

 

長谷川 フワは、部位がランダムに入った煮込みにもよく使われるので、ほかのお店で無意識のうちに食べてるかもしれません。

 

中村 そうなんだ! でも単品で食べると独特な食感がクセになりますね。
では、最後はナンコツを。おおっ、これまたパワフルなコリコリ感で、鶏のナンコツとはまた違いますね。

 

長谷川 けっこう硬めの部位なんですけど、丁寧に包丁が入れられてるので食べやすくなっているんです。このひと手間もおいしさの秘訣です。

 

中村 それぞれの部位に個性があって、味付けも最高においしかったです! 煮込み時間は長いんですか?

 

女将 意外にそこまで長くはないんですよ。2時間ぐらいですね。

 

長谷川 この煮込みのスープがまた絶品なんですよね。「うめ割り」にもベストマッチな味で。

 

中村 はい! 甘塩っぱい味噌の味が、ほんのり甘い焼酎にドンピシャです。あと、このお通しもさっぱりしていておいしいです。私が一番好きなぬか漬けの味!

 

長谷川 さっぱり系だと、オニオンスライスもオススメです。女将さん、注文よろしいですか?

 

女将 ありがとうございます。いまの時期は新玉ねぎでおいしいですよ。どうぞ。

↑「オニオンスライス」(300円)

 

中村 これもすごくおいしい! 辛みがなくて、シャキシャキで。おかかとポン酢醤油の味付けも、うまみと爽やかさが加わっていいですねー! これは止まらないです!

 

長谷川 ヘルシーなオニオンスライスは、いわば呑兵衛の免罪符。これがおいしい店は本当にありがたい!

 

女将 うれしいです。そういえば、祖父が好きで飲んでいたことから置くようになった缶チューハイがあるのですが、飲まれますか?

 

中村 あ、定番缶チューハイのかわいいサイズ! ぜひいただきたいです。

↑二代目が愛飲していた「タカラcanチューハイ」(450円)を注いでもらう中村さん

 

長谷川 「タカラcanチューハイ」の250ml缶ですね。じゃあ僕もいただこうかな。

 

中村 うん、レモンの酸味と炭酸の刺激が心地いいです。すっきり爽快でおいしい!

 

「大坂屋」が東京五大煮込みである噺

長谷川 ではそろそろシメですかね。「玉子入りスープ」をお願いします!

 

女将 かしこまりました。では5分ほどお待ちくださいね。

↑「玉子入りスープ」は生の卵を直接鍋に入れる

 

中村 へぇ~、卵はこうやって温めるんですね。面白い!

 

長谷川 そう、こちらも「大坂屋」独自の逸品。ほかのお店では食べられないんじゃないかな。

 

中村 そういえば、「大坂屋」さんが“東京五大煮込み”の一軒だという話、詳しく教えてください。

 

長谷川 “東京五大煮込み”は、グラフィックデザイナーで居酒屋探訪家としても有名な太田和彦さんが、著書『居酒屋大全』で提唱して広まりました。もう30年ぐらい前の本で、酒場好きのバイブル的な一冊ですね。

 

中村 『居酒屋大全』とはすごい! 興味深いです。

 

長谷川 そこで書かれているのが、東京三大煮込みは北千住「大はし」、森下「山利喜(やまりき)」、月島「岸田屋」を指し、さらに立石「宇ち多゛」と門前仲町「大坂屋」を加えて、東京五大煮込みと呼ぶということ。

 

中村 あ、確か「宇ち多゛」は、以前このシリーズの名店として紹介されてましたよね。

 

【関連記事】
【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

 

長谷川 はい、基本的に取材を受けない「宇ち多゛」のあの記事は貴重ですよ。あと、五大名店のなかで串煮込みなのは「大坂屋」だけですね。いずれにせよ、これらレジェンド店が健在していることも酒場ファンにとっての魅力なんです。

 

中村 私もいつか全店行ってみたいです!

 

長谷川 お、そんな話をしていたら、そろそろ「玉子入りスープ」が出てきますよ。

 

中村 わっ、半熟玉子に煮込みのお汁をかけて味わうんですね。これは確かに珍しいです!

 

長谷川 ですよね! 玉子に十字の切れ込みが入っているので、お好みで混ぜながら食べてみてください。

 

↑「玉子入りスープ」(350円)

 

中村 わー、絶妙なとろとろ具合。これはたまんない。いただきますっ!

 

中村 ……見た目は濃い味なのかなと思ったけど、まろやかでスゴくやさしい! スイッと飲めちゃうおいしさで、これまた止まらないです!

 

長谷川 お品書きがシンプルで明朗だからこそ、絶品煮込みのおいしさがより研ぎ澄まされる。そこに焼酎を合わせて、サクッと粋に楽しめるのが「大坂屋」の魅力なんです。

 

中村 はい!「牛にこみ」のモツも、「玉子入りスープ」も最高のおいしさでした。“東京五大煮込み”というのも納得です!

 

長谷川 煮込みは東京の酒場を代表するアテで、焼酎との相性も抜群なんですよね。五大名店はもちろん、ほかの酒場でも独自に趣向を凝らした煮込みがあるので、いろいろ巡ってみるといいですよ。

 

中村 はい、今日も楽しかったです。カウンター酒場に煮込みの魅力と、またいろいろ教えてください!

 

 

「三日月型カウンター」についても勉強した中村さん、次回はどんなカウンターと出合うのか? ご期待ください。

 

<取材協力>

大坂屋

住所:東京都江東区門前仲町2-9-12
営業時間:16:00~20:00 (L.O.19:30)
定休日:月、木、日曜日

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2022年5月11日)

 

撮影/我妻慶一

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

・タカラcanチューハイ
https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/regular/

 

「東京・大衆酒場の名店」バックナンバーはこちら▼

・第1回 【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

・第2回 【東京・大衆酒場の名店】初心者女子と楽しく学ぶ! 篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺

・第3回 【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺

・第4回 【東京・大衆酒場の名店】酎ハイ街道をゆく。八広・亀屋の“ボール” 受け継がれる秘伝レシピの噺

・第5回 【東京・大衆酒場の名店】四ツ木「ゑびす」で、自家製ロックアイスのお茶割りを味わう噺

・第6回 【東京・大衆酒場の名店】門前仲町「だるま」で、コの字カウンター劇場を堪能する噺

・第7回 【東京・大衆酒場の名店】船堀「伊勢周」で、L字カウンターの機能美を楽しむ噺

・番外編 大衆酒場の酎ハイに欠かせない「下町炭酸」を飲み比べる噺

・番外編 焼酎ハイボールに合う!「東京・大衆酒場の名店」のおつまみを、約5000円の調理家電で再現する噺

焼酎の味わいを決める「樽貯蔵熟成酒」について宮崎・高鍋で学ぶ噺

【意外と知らない焼酎の噺06】

 

第3回「いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺」で、樽貯蔵熟成酒のブレンドによって甲類焼酎の味が大きく変わることを知った倉嶋さん。今回はその「樽貯蔵熟成酒」ができるまでを、宮崎県の高鍋町にある宝酒造 黒壁蔵で実際に見学してきました。

倉嶋紀和子:雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名

 

【意外と知らない焼酎の噺】バックナンバーはこちら▼

「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】
「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】
いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺【意外と知らない焼酎の噺03】
芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺【意外と知らない焼酎の噺04】
麦焼酎の歴史とつくりを知り、味わいを楽しむ噺【意外と知らない焼酎の噺05】

 

黒壁蔵のある宮崎県高鍋町とは

宮崎県児湯郡(こゆぐん)高鍋町は、日向灘に面した宮崎県のほぼ中央に位置する町。江戸時代には秋月家3万石の城下町として栄え、明治以降は児湯地方の中心地として発展しました。町の東部には、宝酒造の焼酎工場「黒壁蔵」があります。

 

東に日向灘を臨む高鍋は、海の町としても人気。特にビーチスポットとして知られるのが、高鍋駅からも近い場所にある「蚊口浜(かぐちはま)」です。南北に長い海岸は海水浴向けとサーフィン向けにエリアがわかれ、さらにキャンプ場を併設しているなど多彩な遊びができます。

 

宮崎が誇る最近の大きな話題といえば、県庁所在地の宮崎市における2021年の餃子購入額(1世帯あたり)が初めて日本一になったこと。そんな宮崎のご当地餃子といえば、何を隠そう高鍋町の「高鍋餃子」です。

 

こちらは、同県屈指の名店として知られる「餃子の馬渡(まわたり)」と「たかなべギョーザ」が人口2万の高鍋町にあることが背景にあります。特徴は、高鍋名産のキャベツの他に玉ねぎ、にらなど野菜が多めであること。

 

↑こちらは「餃子の馬渡」の餃子。何度も足踏みした厚い皮の、もっちりとした弾力と強いコシが魅力。一方の「たかなべギョーザ」はサクッとした薄めの皮で、二大名店の食感が対照的なことも「高鍋餃子」の特徴です

 

宝酒造「黒壁蔵」とは

高鍋町にある宝酒造の「黒壁蔵」は、同社における焼酎製造の主要拠点。シックな黒い建物やタンクが広大な敷地内に立ち並ぶ、圧巻のスケールです。黒いルックスは、日向灘から吹く風のミネラル分を栄養源とする黒い微生物が外壁に繁殖し、工場全体が黒く見えるのだと言われています。

↑黒壁蔵に到着した倉嶋さん。念願の訪問ということでテンションも最高潮に

 

倉嶋さんを案内してくれたのは、工場長の岡 博和さん。まずは黒壁蔵の成り立ちから教えていただきました。

↑岡工場長と倉嶋さん

 

 倉嶋さん、ようこそ黒壁蔵へ! 今日はよろしくお願いします。

 

倉嶋 こちらこそ、よろしくお願いします。楽しみにしていました! 黒壁蔵、スゴいですね。風格と歴史を感じます!

 

 ここはもともと1938年に、アルコールを製造する官営の工場として設立しています。やがて戦後に民間払い下げが実施され、1952年に当社、宝酒造に移管されました。その後、2004年に現在の黒壁蔵へと名称変更して現在に至ります。

 

倉嶋 今の名称になったのは比較的最近なんですね。黒壁蔵、かっこいい響きです!

 

 ありがとうございます。当社は全国に6つの工場があり、以前倉嶋さんにお越しいただいた松戸工場は東日本の主幹工場です。そして黒壁蔵は芋焼酎や麦焼酎などの製造を行うとともに、当社が保有する樽貯蔵熟成酒の重要拠点でもあります。

 

【関連記事】
「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】

 

↑九州には、長崎の島原にも工場があります

 

倉嶋 6つの工場それぞれに役割があるんですね。神戸・灘や京都・伏見の工場は、“灘・伏見”で知られる日本酒の聖地ですから、日本酒の拠点ですよね。

 

 はい。そして灘は「白壁蔵」という名称でして、焼酎工場であるここ「黒壁蔵」と対をなす大切な製造拠点ですね。

↑岡工場長は長年日本酒の製造に携わった経歴をもつ、酒づくりのスペシャリストでもあります

 

倉嶋 高鍋という町も自然がいっぱいで素晴らしいです。おいしい焼酎ができるに決まってますね!

 

 宮崎の温暖な気候はさつまいもの栽培や樽貯蔵の熟成に適していることはもちろん、高鍋は東に日向灘、北に尾鈴山を望む自然豊かな環境にあることも魅力です。

 

倉嶋 樽貯蔵熟成酒について、今日はしっかり学ばせていただきます!

 

いざ、樽熟成の現場へ

 では、これより着替えていただき、工場内の見学へとまいりましょう。まずは連続蒸留室へご案内します。

 

倉嶋 ということは、連続式蒸留機がある場所。甲類(こうるい)焼酎の製造現場ですね。

 

 そうです。甲類焼酎の造り方はこれまでの回で触れていたと思いますけど、あらためて簡単におさらいしましょう。蒸留機には、「単式蒸留機」と「連続式蒸留機」があります。単式蒸留機は1回のみ蒸留を行う仕組みですね。単式蒸留機によって造られた、原料の風味が残る焼酎が乙類(おつるい)焼酎で、「本格焼酎」とも呼ばれます。

 

倉嶋 今回は甲類焼酎がメインですけど、黒壁蔵では本格焼酎も造ってるんですよね?

 

 はい。全量芋焼酎の「一刻者(いっこもん)」や、芋・麦・米など様々なバリエーションがある「よかいち」などの本格焼酎も、ここで造っています。では、甲類焼酎をつくる連続式蒸留機とはどういうものか。これは単式蒸留機の仕組みを連ねた複雑な構造です。連続的にもろみを投入することができ、機械のなかで何度も蒸留できるのが特徴。この連続式蒸留機で造られた焼酎は甲類焼酎と呼ばれ、蒸留を繰り返すことでピュアな味わいの焼酎になります。ということで、ここからは製造担当で次長の一上(いちかみ)と一緒に、連続蒸留室へまいりましょう。

↑生産現場は、衛生管理を徹底するため白衣に着替えて入室。右が一上将輝さん

 

一上 一上です。よろしくお願いします! ここは樽貯蔵する前の個性の異なる様々なタイプのアルコールを造っている施設です。

 

倉嶋 松戸工場もスケールが大きかったですけど、こちらもスゴいですね。

 

 サイズでいえば、松戸工場はさらに巨大で黒壁蔵の8倍はあります。また、松戸工場の甲類焼酎づくりではピュアなアルコールの蒸留が主目的ですが、黒壁蔵の場合は狙った味の成分を残したアルコールづくりがメインとなり、そこからブレンドなどを経て約85種類の樽貯蔵熟成酒を造り分けしています。

 

倉嶋 そうでしたね。以前の取材で約85種類あるとお聞きしました! ちなみに、この上はどうなっているんですか?

 

【関連記事】
「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】

 

一上 この連続式蒸留機には階段とフロアを設けて全6階の設計となっています。高さでいえば、30mほどありますね。試しに2階へ上がってみましょうか。

 

倉嶋 連続式蒸留機の内部はこのようになっているんですね! 驚きです。

↑連続式蒸留機の「棚」と呼ばれる部分。突起の部分は泡鐘(ほうしょう)と呼び、このパーツをアルコールの蒸気が通過することで効率良く不純物を分離し、狙った品質のアルコールになる。泡鐘は約10cmで、蒸留塔の直径は約3m

 

 泡鐘の機能により、ブレンドに必要な味を造り分け、それぞれの棚から狙ったアルコールを取り出しています。そして蒸留したばかりの透明なアルコールを樽に詰めて何年も寝かせ、まろやかな味や深み、甘い香りなどをもたらせていくというわけです。

 

倉嶋 寝かせることで、奥行きのある味わいの樽貯蔵熟成酒になっていくんですね。

 

 おっしゃる通りです。では、次はいよいよ樽貯蔵熟成酒の本丸。貯蔵庫へご案内します。

↑黒壁蔵には手動式と自動式の2つの樽貯蔵庫があり、こちらは前者

 

倉嶋 わっスゴい! 入った瞬間からおいしそうな香りがしてきます。

 

一上 ここはラック式の手動樽貯蔵庫です。文字通り、クレーンで樽を縛ってラックに積み上げていくのですが、津波対策や安全性などを考慮して、いまは自動式のほうが主流です。自動式はこのあとご案内しますね。

 

倉嶋 ラックは最高で7段までありますけど、以前はこの手動式で積み上げていたんですか?

 

 はい。ただ、今はもう手動で7段まで積み上げることはないですね。昔は手動式の貯蔵庫が7棟ありましたが、現在は2棟。一方で、巨大な自動式が4棟あります。樽の数は合計で約2万樽ですね。

 

倉嶋 2万! これまたスゴい数ですね。ちなみに、ここにある樽の材質や熟成期間は?

 

一上 樽の材質は、基本的にウイスキー用のアメリカンホワイトオークですね。一部、シェリー酒などに使われるフレンチオーク樽、ほかに桜樽や栗樽などもあります。熟成期間は、古いものですと30年以上の樽もありますね。目の前にある樽は2002年から熟成している、ちょうど20年ものです。香りだけですが、テイスティングしてみますか?

 

倉嶋 20年ものなんて、きわめて稀少ですよね。うれしいです!

↑「サーベル」という、スポイトの役目を果たす銅製の道具でグラスに樽貯蔵熟成酒をサーブ

 

一上 お、これは実に見事な色づきですよ。20年ものなので、天使の分け前(熟成過程でアルコールが蒸発し、樽の中身が減ること)もかなりあります。では、どうぞ。

 

倉嶋 きれいな琥珀色! あぁ、洋酒を思わせるキャラメルやバニラのような甘い香りがします。アルコール度数が高いからか、力強い香りもしますね。これは絶対おいしいやつです。

↑うん、香りだけでも心地よく酔えそう(笑)。と倉嶋さん

 

 喜んでいただけてよかったです。では、次は自動ラック式の貯蔵庫へご案内しましょう。自動式は、機械が積み上げなどをやってくれるので安全性や効率がよく、また手動式より数多く積み上げられることもメリットです。

↑このラック式自動樽貯蔵庫には、最大4200本の樽を収納可能。スケールの大きさに倉嶋さんも息を飲むばかり

 

 

一上 この貯蔵庫は、1986年に建てられました。自動式といってもなかなか歴史があって、実は昭和のころには既にあったんです。

 

倉嶋 こちらは手動式に比べてぎっしり積まれている印象です。こちらは機械で操作して、それぞれの樽を積んだり降ろしたりするわけですよね?

 

 その通りです。用途は多岐にわたり、ただ貯蔵するだけではありません。例えば上部のほうが高温になり、熟成スピードも速くなるため定期的に樽の入れ替えを行っています。また、樽の新旧によっても熟成速度は異なるので、中身の入れ替えをするためにも積み降ろしを行います。

↑自動樽貯蔵庫の樽のサイズは400リットルを超えるような大きい樽が中心。比較的軽くて取り回しがしやすい200~250リットル程度の樽は、手動式の貯蔵庫に収納されます

 

樽の再生加工も行う

 黒壁蔵では樽の再生加工も行っていますので、次はそちらにご案内します。

 

倉嶋 再生ということは、組み直したり焼き直したりするんですか?

 

一上 はい。長年熟成すると、熟成効果が薄れたりするのですが、再生することで、最長で30~40年ほど使用することができるんですよ。樽も貴重な資源ですから、地球環境のためにも、うまく活用していきたいという考えです。再生工程にはいくつかの手順があり、樽の内部を削った後、熟成効果を高めるためにバーナーで焦がす作業を行います。

↑再生工程のなかで、こちらは樽の底部の隙間を埋めているところ

 

倉嶋 バーナーの熱は何度ぐらいになるんですか?

 

一上 遠火でじっくり加熱する「トースト」と、直火で加熱する「チャー」があるのですが、目安は約300℃。焼く時間は20~30分が一般的で、樽によっては60分近く行うこともあります。

↑火力を上げ、炎が燃えさかるように焼き上げる「チャー」の仕上げ工程。このあと水で消化し、樽の組み直しを行います

 

【チャーの仕上げ工程の動画】

 

 

倉嶋 最後はここまで豪快に焼き上げるんですね。想像以上でした! あと、樽の内側から漂ってくる香りがまたたまりませんね。

 

 この樽はまだ熱をもっているのですが、その間に締め直しとフタの装着を行います。

 

倉嶋 そうなんですね。熱い方がいい理由はあるんですか?

 

一上 焦がした熱によって、締め付けられた樽の張りが緩くなるので、熱いうちにタガを外し、隙間ができないよう整えながら入念に締め直すんです。

↑樽の組み直しは、実は繊細な作業。液体は針の穴のように小さい隙間でも漏れてしまうので、熟練の技が必要です

 

樽貯蔵熟成酒の味は?

↑試験室にずらっと並べられた様々な樽貯蔵熟成酒

 

 本日最後にご案内するのは試験室です。ここはサンプルのチェックや製品の最終検査を行う場所で、物質の香気成分を検査したり分析したりすることが主な役割。そして今回は、そのなかにある官能検査室をお見せしますね。ここでは主に香りや味をテイスティングして、適正な品質になっているかをチェックします。

↑樽貯蔵熟成酒を専用グラスに注ぐ一上さん。検査の方法を見せてくれました

 

一上 今回用意したのは11種類。多くはアルコール度数が60%を超えますので、検査する際には25%に加水調整してチェックします。

 

倉嶋 なかには熟成前の透明なものもありますよね。これらはそれぞれ、どんなアルコールなんですか?

 

一上 ひとつは大麦原料の甲類焼酎で未貯蔵タイプ、1年熟成、3年熟成と熟成年別に。他にもコーン原料の甲類焼酎の1年熟成、3年熟成ものなど原材料別でも用意しています。

 

倉嶋 同じ原材料でも、熟成の深さで味わいがどう変わっているかをチェックするんですね。面白そう!

 

 倉嶋さんも、ぜひテイスティングしてみてください。

 

倉嶋 やった! では大麦の焼酎を熟成の若いタイプからかぎ分けます……。あっ、やっぱり年を重ねていくと甘い香りやまろやかさが強くなりますね。同時に、複雑味も増していくような気がします。

 

一上 原材料の違いでも、感じ方が異なりますよね。

 

倉嶋 はい。特に、熟成酒になると違いがはっきり出てきますね。大麦はウッディで奥行きのある甘さ、コーンはもう少しストレートな甘みですけど、バニラのニュアンスを豊かに感じます。これらをブレンダーの方が調合して製品に仕上げていくんですよね?

 

 その通りです。基本的なレシピは決まっているのですが、樽貯蔵熟成酒が約85種類ありますから、それぞれの個性をどうブレンドし、統一されたおいしさに仕上げていくかは腕の見せ所です。

 

倉嶋 その組み合わせは天文学的な数字になりますよね。すごいなぁ。

 

一上 倉嶋さんにそう言っていただけるとうれしいです。今回テイスティングいただいたのは一部ですが、これらの樽貯蔵熟成酒がブレンドされることで、当社の製品にそれぞれの個性をもたらし、「宝焼酎」をはじめとした様々な製品のおいしさに寄与しているんです。

 

倉嶋 例えばブレンド比率が13%なら「純」、20%なら「レジェンド」ですよね。奥が深いです!

 

 さすが、よくご存じですね! もちろんお店で飲むチューハイのベースとなる焼酎や、「タカラcanチューハイ」「焼酎ハイボール」「極上レモンサワー」などの製品も、絶妙なバランスでブレンドした樽貯蔵熟成酒がおいしさの要となっています。ぜひ今度飲まれるときに感じていただけたらうれしいです。

 

倉嶋 はい。今回の工場見学も勉強になりましたし、なにより樽貯蔵熟成酒の魅力をいっそう知ることができてよかったです!

 

↑取材後に訪れた高鍋町北部の丘陵に位置する高鍋大師で、タカラ「焼酎ハイボール」をかたむける倉嶋さん。町を一望できるうえ、四国八十八か所を模した仏像をはじめとする大小様々な石像が並ぶパワースポットで、名所として知られています

 

樽貯蔵熟成酒を現地で体感し、宝酒造が誇る甲類焼酎の神髄に近づいた倉嶋さん。次回の「意外と知らない焼酎の噺」もご期待ください。

 

↑タカラ「焼酎ハイボール」を片手に蚊口浜でたそがれる倉嶋さん。「潮風がいいつまみになりますね!」と、さすがのコメント!

 

【意外と知らない焼酎の噺】バックナンバーはこちら▼

「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】
「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】
いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺【意外と知らない焼酎の噺03】
芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺【意外と知らない焼酎の噺04】
麦焼酎の歴史とつくりを知り、味わいを楽しむ噺【意外と知らない焼酎の噺05】

 

2022年春夏「オフ系炭酸飲料」11種を査定! ビールもノンアルも、ヘルシーでリフレッシュできるのはどれだ?

健康志向から、オフ系飲料や食品の人気が高まっています。なかでも好調なのが、“無糖の強炭酸飲料”。飲み応えがあるのにカロリーゼロの“強炭酸水”は、2022年も新商品が登場し、カロリーオフ系のアルコールやノンアル系、ジュース類の市場も賑わいを見せています。

 

そこで、「オフ系炭酸飲料」の最前線ラインナップを、フードアナリストの中山秀明さんに教えていただくとともに、それぞれにマッチするペアリングフードや飲みたいシーンなどをチェックしていただきました。

 

健康志向とおうち晩酌がオフ系炭酸飲料ニーズを後押し

ひと昔前は、「コカ・コーラライト」のような、カロリーオフ系の炭酸飲料がよく見られましたが、最近はカロリーオフよりも、「カロリーゼロ」がトレンドだと中山さんは言います。

 

「炭酸水のラインナップは、かつてない盛り上がりを見せています。なかでも人気は、強炭酸系。2021年にコカ・コーラがリニューアル発売した『アイシースパーク(ICY SPARK)』、サントリーの触り心地に訴えるバキバキボトルの『THE STRONG 天然水スパークリング』など、強炭酸でスカッと爽快、ストレス発散系の炭酸水が注目ですね」(フードアナリスト・中山秀明さん、以下同)

 

この背景には、運動不足や食べ過ぎ・飲み過ぎによる“コロナ太り”解消ニーズがあるそう。

 

「水よりも満足感があり、カロリーゼロの炭酸水は、コロナ太り対策、健康志向ブームによるニーズの高まりに加え、ハイボールやジン、焼酎やラムのソーダ割りなどでも出番が増えています」

 

飲めるけれど、今日は飲まない!
“スマドリ”や“ソバーキュリアス”が心地いい

「スロードリンク」や「ドリンク・スマート」、「スマートドリンキング(スマドリ)宣言」など、メーカー各社が発表している宣言は、お酒を飲みたい日、飲みたくても飲めない日、お酒を控えたい日など、気分や状況に合わせてアルコールと向き合おうというもの。

 

「アルコールで健康を害する暮らしからの脱却という意味では、欧米の1980年〜1990年代半ば頃に生まれたミレニアル世代からトレンドが生まれた『ソバーキュリアス』もありますね。これは、『sober(しらふ)』と『curious(好奇心)』を組み合わせた造語で、お酒をあえて飲まない日を楽しむというライフスタイルです。

これらの考え方は、健康志向の観点だけではなく、自分の心地よさを選択しようという時代ニーズの表れ。酔わないメリットを楽しみたいと考える人々が、カロリーオフや低アルコール、ノンアル飲料を好んで選ぶようになっていますね」

 

メーカー各社が力を注ぐオフ系炭酸飲料。2022年も新商品が続々と登場しています。今回は、ビール類、ノンアルビール類、炭酸ドリンク類のオフ系炭酸飲料の中から、中山さんのおすすめのラインナップをピックアップ。

 

“飲む日”に選びたい!
糖質オフ系ビール 3

気温が上がってくるにつれて、冷えたビールの出番が増えます。「ビール好きは仕事終わりにプシュッと1杯、飲みたくなるものです。でも、やはり気になるのがカロリーとビール腹。体重や体型への影響を考えると、カロリーオフや糖質ゼロを選びたいけれど、ビールらしい飲みごたえは諦めたくないのが本音でしょう」

 

本格ビール初の糖質ゼロ! 平日の疲れを癒す本格味

キリンビール「キリン一番搾り 糖質ゼロ」参考価格220円(税込)。国内初の缶の糖質ゼロビール。麦汁ろ過工程において最初に流れ出る一番搾り麦汁を使う製法で、雑味のない澄んだ麦のうまみがあります。

・フレーバーのリアルさ:★★★★☆
・カロリーオフ度:★★★★☆
・エネルギー:23kcal(100ml当たり)
・糖質:0g
・アルコール:4%
・ペアリングしたいフード:焼き鳥、うなぎ、粉もの
・飲みたいシーン:晩酌

「2020年10月に登場したとき、ビールでも糖質0が実現したかと驚きましたね。通常の『キリン一番搾り』と比べて、アルコール度は−1%、カロリーは100ml当たり17kcalオフ。味の濃さや飲み応えは通常タイプに軍配が上がりますが、ビールを飲んでいる満足感は充分に得られます。泡立ちは良好でホップと麦のアロマが心地よく、ブルー缶で通常のホワイト缶との差別化も明瞭です」

 

糖質ゼロとは思えない本格ビール! コクのある飲みごたえ

サントリー「パーフェクトサントリービール」参考価格213円(税込)。原材料は麦芽、ホップ、糖類のみの本格ビール。上質で深いコクを持つダイヤモンド麦芽とアロマホップ100%で色も味も濃いめ。

・フレーバーのリアルさ:★★★★☆
・カロリーオフ度:★★★☆☆
・エネルギー:32kcal(100ml当たり)
・糖質:0g
・アルコール:5.5%
・ペアリングしたいフード:ピザ、ハンバーガー
・飲みたいシーン:週末のごちそう

「2022年1月に発売された新商品。ビールらしさにこだわり、アルコール度数は王道の5.5%をキープ。『ザ・プレミアム・モルツ』で培ってきた醸造技術やノウハウを集結していて、旨味やコクが強く飲み応えがあります。飲食店での展開にも力を入れていくようなので、糖質を控えたいビール党にはありがたい存在ですね」

 

糖質ゼロ発泡酒のパイオニア! マイルドな味わいにキレも良し

アサヒビール「アサヒ スタイルフリー<生>」参考価格168円(税込)。2007年に初の糖質ゼロ発泡酒として誕生。2022年のクオリティアップでは、大麦の使用比率を上げ、麦芽エキスを新たに採用することで、ビールらしい香りや味わいがアップ。

・フレーバーのリアルさ:★★★☆☆
・カロリーオフ度:★★★★☆
・エネルギー:24kcal(100ml当たり)
・糖質:0g
・アルコール:4%
・ペアリングしたいフード:揚げ物、焼き肉
・飲みたいシーン:アウトドア

「発泡酒のオフ系ラインナップはかなり豊富。特に、糖質ゼロのパイオニアである本商品は、改良を重ねつつも、発売当初から守り続けるこだわりもあり、芯のある味わいです。繊細なタッチとスムーズな飲み口でゴクゴクいけて、キレのよい爽快感が外飲みシーンにマッチ。キャンプやバーベキュー時に明るい時間帯からプシュッといきたいですね」

 

“休肝日”に選びたい!
糖質オフ系ノンアルビール 3

健康やダイエット、酔えない日や酔いたくない日の気分転換にぴったりなのが、ノンアルビールテイスト飲料。「ノンアルコール飲料が発売された当初は、運転をする人のためのお酒という目的を主に販売されていましたが、今は休肝日をつくりたい層のニーズも増えています。食事の脂肪や糖分の吸収を抑える』など、特定保険用食品(トクホ)や機能性表示食品のラインナップも人気です」

 

ノンアルビール潜在ユーザーを呼び起こす進化するビールらしさ

キリンビール「キリン グリーンズフリー」参考価格148円(税込)。麦の味を引き出す麦芽適温仕込みや低温ろ過など、日本初の製法で麦やホップの香りの良さを引き出し、ビールテイストを再現。

・フレーバーのリアルさ:★★★★☆
・カロリーオフ度:★★★★★
・エネルギー:7kcal(100ml当たり)
・糖質:1.6g
・ペアリングしたいフード:えだ豆、居酒屋めし
・飲みたいシーン:休日

「ノンアルビールはおいしくないというイメージから、ノンアルビールを仕方なく飲むという層でもリフレッシュできる味わいの商品づくりに力を注ぐのが、キリン。現在、4種のラインナップを出していますが、中でも、もっともビールらしい味わいがこちら。パッケージの改良、麦の香り、ポップの爽快感は初登場した2年前から常にバージョンアップしています」

 

飲んで “尿酸値を下げる”時代へ! 豊かなうまみとスッキリとした飲み口

サッポロビール「サッポロ うまみ搾り」実勢価格148円(税込)。世界初、尿酸値を下げる効果のある「アンセリン」を配合。豊かなうまみとスッキリとした飲み口が特徴。

・フレーバーのリアルさ:★★★☆☆
・カロリーオフ度:★★★★☆
・エネルギー:25kcal(350ml当たり)
・糖質:5.6g(350ml当たり)
・ペアリングしたいフード:メキシカン、アジアン、エスニック
・飲みたいシーン:罪悪感がないので昼間から

「尿酸値を下げる効果の期待できる『アンセリン』配合というのが、他のビールテイスト飲料とは異なる着眼点。りんごのようなフルーティさがあるゆえ、ハーバルな風味でヒーリング効果も期待できそうです。ビールのうま味を求める人におすすめですね。スパイシーな料理との相性がよく、平日の昼から罪悪感なく飲めます」

 

ドライなのどごしとクリーミーな泡。ビールが飲みたい日のノンアル

アサヒビール「アサヒドライゼロ」参考価格147円(税込)。2012年に発売し10周年。常に好調な売り上げを推移中。麦のロースト感やドライなのどごし、クリーミーな泡感にすっきりした味わいが好評。パッケージも味わいもシャープで潔く、カロリーはゼロ。

・フレーバーのリアルさ:★★★☆☆
・カロリーオフ度:★★★★★
・エネルギー:0kcal(100ml当たり)
・糖質:0g
・ペアリングしたいフード:揚げ物、中華
・飲みたいシーン:仕事を中断して夕食を食べるとき

「暑い日に缶をプシュッと開けてゴクゴク……と勢いよくビールを飲むようなイメージにぴったり。2022年2月のリニューアルから、より麦の香りやのどごし、キレがバージョンアップしています。香ばしい風味とシャープな味わい、スッキリした後味が、ビール好きの飲まない日を支えてくれます」

 

どうシュワッとしたいかでチョイスが変わる
糖質オフ系炭酸ドリンク 5

のどの渇きを潤し、スカッと爽快な気分にさせてくれる炭酸飲料。とにかく商品数が多いので、どれを選べばいいのか迷ってしまいます。「お酒のおともには辛味の強いジンジャーエール、お風呂上がりはレモン風味の強炭酸水など、ある程度、候補を絞っておくと近しいラインナップから選びやすいかもしれませんね」

 

お酒を割るにもぴったり! 刺激強めの辛口ジンジャエール

アサヒ飲料「ウィルキンソン タンサン #sober スパイシーレモンジンジャ」103円(税込)。「ウィルキンソン」ブランドの特徴である強炭酸に加え、爽やかなレモンの香りとスパイシーな辛口ジンジャフレーバーで際立つ刺激が味わえます。

・フレーバーのリアルさ:★★★★★
・カロリーオフ度:★★★★★
・エネルギー:0kcal(100ml当たり)
・糖質:0g
・ペアリングしたいフード:餃子、カレー
・飲みたいシーン:ジンやラムの割り材、鼻づまりが気になる時

「ジンジャエールの辛さがしっかりと味わえて、甘さ抜きで楽しむのもいいし、お酒やノンアルカクテルで割るのもおいしいフレーバーです。この新作は、ソバーキュリアス向けに開発したそうです。スパイシーな料理に合いますね。香りからして刺激的なので、個人的には花粉症や鼻炎時のモヤモヤをスッキリさせたいときにも飲みたくなります」

 

ホップの苦味でリフレッシュ! 気分転換になる無糖炭酸水

ポッカ・サッポロ「富良野ホップ 炭酸水」130円(税込)。北海道上富良野産のホップのエキスを使用した、ほろにが感が体をシャキッとしてくれます。摘みたてホップの香りがさわやかなすっきりテイスト。

・フレーバーのリアルさ:★★★★☆
・カロリーオフ度:★★★★★
・エネルギー:0kcal(100ml当たり)
・糖質:0g
・ペアリングしたいフード:ジンギスカン、ザンギ、ソーセージ
・飲みたいシーン:アウトドア、登山の山頂で

「レモンとは違うさわやかさと柑橘ではないほのかな苦味がスッキリした飲み心地です。キャンプやBBQなどのシーンで、北海道富良野産のホップの風味を楽しみながら、ジンギスカンやザンギに合わせて飲みたくなりますね。登山の山頂で乾いた喉をうるおしたいときもおすすめです」

 

フルーティな炭酸気分に! 桃の甘みが甘酢料理ともマッチ

サントリー「天然水スパークリングCRAFT しゅわしゅわ白桃」134円(税込)。白桃果汁と白桃ピューレエキスを使用し、桃感たっぷり。

・フレーバーのリアルさ:★★★★★
・カロリーオフ度:★★★★☆
・エネルギー:9kcal(100ml当たり)
・炭水化物:2.3g
・ペアリングしたいフード:酢豚などの甘酢中華
・飲みたいシーン:お風呂上がり

「2022年3月に発売した新商品。桃の甘い香りがフルーティで、ライトな炭酸ジュース感が味わえて9kalはうれしい。炭酸は強すぎず、心地よいしゅわしゅわ感です。コッテリした中華料理を食べるとき、お風呂上がりや汗をかいた後のリフレッシュにも」

 

正統派炭酸水 “キリンレモン”らしい王道テイスト

キリンビバレッジ「キリンレモン 無糖」108円(税込)。口に含むとふわっと瀬戸内レモンエキスがスッキリ香る。余計なものは入れない純水の強炭酸で、甘くないけれど昔から変わらないキリンレモン味。

・フレーバーのリアルさ:★★★★☆
・カロリーオフ度:★★★★★
・エネルギー:0kcal(100ml当たり)
・糖質:0g
・ペアリングしたいフード:揚げ物、スナック菓子
・飲みたいシーン:スポーツ後のリフレッシュ

「無糖炭酸水のレモン味なんですが、ピュアでストレートな味わいはやっぱりキリンレモンです。青春感のある学生が好みそうなメニューと合わせたくなります。ポテチやフライドポテト、から揚げ、エビフライ、アジフライなど……、レモンをかけたい揚げ物とのペアリングは外れがありません」

 

シャンパン気分を味わいたい日にも! ローカロリーの微炭酸飲料

大塚食品「マッチマスカット 500mlペットボトル」160円(税込)。ぶどうの女王と呼ばれるマスカット・オブ・アレキサンドリア果汁使用。すっきりとしたマスカット風味と微炭酸のさわやかな飲み心地で19kcal。1本で1日分のビタミン(V.C、ナイアシン、V.B6 栄養素等表示基準値に基づく)とミネラル(ナトリウム)もとれる。熱中症対策にもおすすめ。

・フレーバーのリアルさ:★★★★☆
・カロリーオフ度:★★★☆☆
・エネルギー:19kcal(100ml当たり)
・炭水化物:4.8g(100ml当たり)
・ペアリングしたいフード:白いチーズ、塩系スナック
・飲みたいシーン:仕事後のリフレッシュしたいとき

「若者に好まれそうな味わいですが、甘めの炭酸ジュース好きな大人にもおすすめ。19kalなので罪悪感なく飲めます。微炭酸ですがすっきりとしたマスカット風味ということで、シャンパングラスに注げば、スパークリングワイン風にも楽しめる。誕生日や記念日のノンアルドリンクとしても活躍するテイストです」

 

飲み会自粛やコロナ太り、健康志向から売り上げを伸ばしているオフ系炭酸飲料。アルコールゼロでも、カロリーゼロでも楽しめる飲料がたくさんあります。気分やシーンにぴったりハマるものを、積極的に選んでいきたいですね。

 

【プロフィール】

フードアナリスト / 中山秀明

フードアナリスト・ライター。なかでもビールに関する執筆が多く、大手メーカー、マイクロブリュワリー、ブリューパブ、クラフトビアレストランなど、小売り、外食問わず全国各地へ取材に赴いている。

「至福のキレ」ってどんな味? サッポロビール「ビアサプライズ」をビール好き編集部員たちが体感してわかったこと

ファミリーマートで期間限定発売されているサッポロの生ビール「ビアサプライズ 至福のキレ」。“キレ”といえば、喉越しもスッキリと流し込める辛口ビールのイメージだが、“至福の”と銘打っているだけに味わいにはこだわりと“サプライズ”が込められていそうだ。ビール好きのGetNavi&GetNavi web編集部員たちに、味わいを体感してもらった。

サッポロビール「ビアサプライズ 至福のキレ」

2017年8月に限定発売され好評だった、サッポロビール「ビアサプライズ 至福のキレ」が進化。ビールのおいしさをつかさどる要素のひとつ“キレ”を際立たせた、鮮烈でクールなキレと飲みごたえが特徴だ。

 

早速実践!“至福の時”に「至福のキレ」を注入したらどうなる?

人にはそれぞれ“至福の時”がある。それは趣味に没頭する時間だったり、チルタイムだったりと様々だ。そこでこの「至福のキレ」を飲んだら、より至福に浸れるのでは? ということで、働き世代代表として、お酒もコンビニも大好きな本編集部の部員を招集。それぞれのフェイバリットタイムに飲んで評価してもらった。

 

その1、ディープなカルチャー本を読み耽る時間

↑GetNavi web編集部の芦田隆介。お酒は味などをピンポイントで掘り下げるタイプ

 

「この前買った歴史本、書き手の文体も好みで大当たり! それに合わせたこのビール、味にインパクトがあるけどキレッキレで超すっきりしてるから、ひと口ごとにリセットされて読書にもちょうどいい。ほろ酔い気分でも本の内容が楽しめる、没頭するに最適な一本だな」(芦田)

 

その2、風呂上がりにほっとひと息ついた時

↑雑誌GetNaviのフード担当、鈴木翔子。お酒好きが高じてバーテンダーをしていた時期もあるほど

 

「やっぱりお風呂上がりのビールは最高! まったり楽しめるコク系の味わいもいいけど、このビールは強めの炭酸で爽快感が抜群だから、リフレッシュタイムにぴったり。ファミマ店頭で見かけたらすかさず手に取って、冷蔵庫にストックしてしまいそう」(鈴木)

 

その3、夜ふかしの背徳感を抱えながら映画を見る時間

↑GetNavi web編集部の玉造優也。お酒は好きだが体質的にあまり強くないので、厳選したお酒を少量楽しみたいと考えている

 

「寝たほうがいいのはわかってるんだけど、深夜の映画は没入感がアップしてより面白いんだよね……。このビールは味わいのパンチがあるけどスカッと抜ける爽快感も鋭くて、気分もいっそうアガる! 炭酸が強く、アルコール度数も適度な5.5%で、ちょうどいい刺激だな」(玉造)

 

その4、最高の焼き加減でステーキが焼けた時

↑芦田は料理も好きで、自分用の道具を揃え、仕上がりにもこだわるタイプ。塊肉を使ったステーキは得意ジャンルのひとつだ

 

「今日は得意なステーキで焼き加減も完璧。肉の香ばしい風味が、どっしりかつスカッとしたこのビールの味にもマッチ! それにこの超爽快な飲み心地が、達成感をより高めてくれるなあ」(芦田)

 

と、最上の至福を堪能した編集部員の3人。ここからは、ビールに詳しい鈴木が旗振り役となって「至福のキレ」の味についてレビューしていこう。「ビアサプライズ」とは? そして本商品最大の特徴である、本格的な「キレ」とは? すっかりほろ酔いながら、モノ系メディアの編集者視点を呼び覚まして語り合った。

 

「至福のキレ」はキレも厚みもあるリフレッシュタイムにぴったりのビール!

鈴木:飲む前はライトなキレ系ビールかと予想していたんですけど、いい意味で裏切られました。厚みがあってしっかりしていますよねそれでいて余韻がスカッと爽快なので、飲みごたえはあっても重すぎない。飲み疲れないから、また次の一本を飲みたくなります。

 

芦田:そうですね、ビールらしい味わいがしっかりありながら、鋭いキレで後味はすっきり変な苦みや雑味がなくクリアですよね。味の足し引きが見事に計算された、独特なポジションのキレ系ビールだと感じました。

 

玉造:音楽で例えるなら“ドンシャリ”っていうんですかね、味がどっしり来た後にサラッとクリアに晴れ渡るような爽快さ。炭酸が強いから、口に含んだときに味がしっかり舌に刺さって、ノドを通った後はくっきりリセットされる印象です。つまみを食べた後に飲むと、すっきりウォッシュアウトされて、次の料理のひと口が鮮明になるとも思いました。

 

鈴木:炭酸の強さも心地いいですよね。私はお風呂上がりに飲んだんですけど、リラックスというよりはリフレッシュタイムにぴったりなビールだなと思いました。みなさんはどうでしたか?

 

芦田:リフレッシュは確かにそうですね。お風呂上がりにもよさそう。僕は読書や料理シーンで飲んだんですけど、味にメリハリがあってなおかつクリアなビールだから、何かをしながら飲むビールにも最適だなと。あと、僕はビーフステーキに合わせたのですが、魚料理にもよさそうですし、揚げ物にもよく合うと思いました。

 

玉造:クリアってのはまさにその通りですね。味にも余韻にも深みがあるビールの場合、僕は飲み疲れちゃうんですけど、「至福のキレ」はキレがしっかり立っているから厚みがあっても飲み疲れない。だから2本目、3本目のビールでもアリですね。あとはすがすがしい香りというか、クールなニュアンスも感じました。

 

鈴木:玉造さんが感じたのは特別なホップの香りかもしれないですね。このビールは香り付けの一部に「ポラリス」という冷涼ホップと華やかな香りのドイツ産アロマホップを組み合わせ、さらに氷点下熟成製法で仕上げているから、余韻にひんやりした心地よさが残るんです。

 

芦田:なるほど! どこかハーバルな苦みを感じたのは、ホップによるものでしたか。

 

鈴木:「ポラリス」は、ミントのようなメントールの香りが特徴のホップなんです。また、世界的にも少量しか生産されていない希少価値も見逃せません。

 

玉造:スッキリと爽快な味が欲しくなる、これからの季節にぴったりですね。

 

「ビアサプライズ」は今回が第10弾!

↑2016年6月に発売された「サッポロ ビアサプライズ 至福の苦み」(最左)が第1弾。以降、毎年1~2商品が発売され、2021年9月発売の前作「至福のコク」(最右)でブランドがフルリニューアルされた

 

芦田:ところで、「ビアサプライズ」ってファミリーマート限定で販売しているシリーズですよね。以前違うキャラクターの商品を飲んだことがあります。あれも味が個性的だったような。

 

鈴木:芦田さん、そうなんですよ! 今回の「至福のキレ」は第10弾。過去には「至福の苦み」「至福のコク」など「至福の○○」というネーミングで発売されていて、ボディ感のある味わいをベースとしながら、ビールの味覚特徴のひとつを追求しているのが特徴のブランドなんです。

 

玉造:第10弾まで続いてるってスゴいですね! 人気が高い証拠じゃないですか。

 

鈴木:2021年でブランド誕生5周年を迎え、その際デザインを中心にフルリニューアルされました。本格的なビールって、円形の枠やエンブレムをモチーフに取り入れることが多いんですけど、「ビアサプライズ」でも採用したことで、より王道感漂うデザインになったんです。

 

玉造:よく見ると、確かに! 円形の枠って、瓶ビールのラベルをイメージさせますね。

 

玉造:ところで、ビールの味覚特徴として今回はキレに特化していると思うんですけど、ほかにどんな味覚があるんですか?

 

鈴木:代表的な味覚特徴は、“キレ”のほかに“苦み”“コク”“香り”の4種です。

 

芦田:今回の「至福のキレ」は、キレが際立っていながらコクもありますよね

 

「至福のキレ」は本格派の“キレ”!

芦田:口に含んだ瞬間にはコクと旨みが広がって、飲み込んだ時には喉を鮮烈に駆け抜ける炭酸がクッと刺激してリセットし、クールな香りが爽やかな心地よさ。まさに至福のキレ!

 

鈴木:キレに個性があっても味が薄いわけじゃないから、ひと口ひと口楽しめますよね。それにバランスがよくてクリアだから、こうして飲み続けていても疲れない。私の今シーズンのレギュラービールはこれに決まりです。

 

玉造:話を聞いてあらためて飲むと、いっそうウマいですね。コンビニで売ってるビールにここまで個性的なビールがあるとは、まさにサプライズです!

 

■商品名
ビアサプライズ 至福のキレ

■ブランドサイト
https://www.sapporobeer.jp/beersurprise/kire/

■お問い合わせ先
サッポロビール()お客様センター
TEL:0120-207-8000
https://www.sapporobeer.jp/

ストップ! 20歳未満飲酒・飲酒運転

 

取材・文/中山秀明 撮影/湯浅立志(Y2)

50年変わらぬ味、10年が変えた味…どっちもたまらん! 平日の午後、缶入り日本酒「ふなぐち」で酔う幸せ

筆者は日本酒が好きです。創作和食店で働いたときに日本酒の仕入れを担当したこともありますし、人生に迷った時期にはきき酒師の資格を取ったこともありました。多くの銘柄を飲んできましたが、なかでも菊水酒造の缶入り生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」(実売価格200ml314円・税込、以降ふなぐち)は、極めてトガった製品だと思います。

↑コンビニやスーパーでおなじみの缶入り生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」。精米歩合は70%の本醸造で、アルコール分は19度

 

缶入り日本酒「ふなぐち」発売50周年のイベントに参加

近年の地酒の傾向とは一線を画す、鮮烈な芳香、濃厚な甘み。それでいてアルコール度は19度と高いから、ひと口のインパクトが違います。禁断の果実を口いっぱいにほおばるような、ワイルドで背徳的で悪魔的な味わい……とでもいいましょうか。価格は通常のワンカップに比べて高いですが、筆者を含め、酒飲みの心を捕らえて離さない魅力があるんです。そして、そんなトガりまくった製品が、マス向けのスーパーやコンビニで普通に売られているのもまた、興味深いのです。きっと、長年かけて獲得してきたディープなファンが多いんだろうなぁ……。

 

さて、そんな「ふなぐち」を平日の昼間に味わう機会がありました。なぜなら、この「ふなぐち」の発売50周年を記念して、オンラインのメディア向けイベントが開かれたから。イベントの参加者には事前に「試飲キット」が配布され、説明を聞きながら試飲するというわけなのです。時刻は午後の2時だけど、これも取材だから仕方ない(喜)! ちなみに、前日の夜に一本空けているので、事前取材もばっちりです。

↑事前に送られてきた試飲キット。通常のふなぐちに加えて、2004 年設立の「菊水日本酒文化研究」のパンフレットや「熟成吟醸生原酒」(写真右端)という見慣れない缶も同梱されていました

 

「ふなぐち」の酒銘の由来は「槽口」だった

イベントの冒頭では、菊水酒造の髙澤大介社長が「ふなぐち」誕生の歴史についてお話ししてくれました。転機となったのは、4代目の髙澤英介氏の代で1966年、67年と続けざまに大水害にあい、廃業の危機に立たされたこと。69年に移転再建を果たすも危機的な状況は変わらず、起死回生を期して「ふなぐち」を開発に着手しました。開発のきっかけは、蔵元を訪れた客が生原酒のウマさに感動し、商品化を希望したことだそう。

↑菊水酒造の5代目蔵元・髙澤大介社長

 

とはいえ、そもそも火入れをしていない生酒は劣化しやすく、冷蔵輸送の技術も未発達で、客の要望はほとんど夢物語に近いものでした。しかし、試行錯誤を繰り返した英介氏は、3年をかけて生原酒をアルミ缶に詰めた「ふなぐち」を開発。生原酒の常温流通を実現し、1972年に発売しました。以降は多くのファンに支えられ、「ふなぐち」は2018年8月に累計出荷3億本を突破。今年、発売50年周年を迎えるに至りました。ちなみに、「ふなぐち」は発売以来、基本的な原料の配合は変えていないそう。50年間、ほぼ同じ味を提供してきたということですね。

↑「ふなぐち」発売40周年記念の際は、社員が全国の愛飲家を訪ねて直接感謝の言葉を伝えたそう。その際、激励の言葉を頂いて涙する社員もいたとか

 

イベントの後半では、製造部の五十嵐雄太さんが講師となり、食育ならぬ「酒育セミナー」を開催。日本酒の基本や「ふなぐち」の特徴などをとてもわかりやすく解説してくれました。セミナーでは、「ふなぐち」の酒銘の由来も完全解説。日本酒の蔵では、もろみが入った袋から酒を搾りとる機械のことを「槽(ふね)」と呼び、そのから出た搾りたてのお酒だから、「ふなぐち菊水一番しぼり」になったとのこと。なるほど、わかりやすいです!

↑槽の出口から出るお酒のイメージ。こんな蛇口が、自宅にあったらいいですね

 

↑生酒かつ原酒=生原酒の「ふなぐち」だけに、両者の特徴を兼ね備えています

 

10年以上熟成させた「ヴィンテージ」の味にびっくり!

酒育セミナーでは、「吟醸 生原酒 熟成 ふなぐち菊水一番しぼり」というラインナップも紹介されました。その名の通り、低温で熟成させることで新たな味わいを引き出したお酒で、1年以上熟成させた通常の製品(実売価格200ml362円・税込)と、10年以上寝かせた「長期熟成 ふなぐち 菊水ヴィンテージ」(同1019円)の2種類があるようです。あまり見かけない缶ですが、どちらも菊水の公式オンラインショップで購入できます。

↑精米歩合55%の吟醸を熟成させた「吟醸 生原酒 熟成 ふなぐち菊水一番しぼり」

 

試飲キットのひとつとして筆者の手元に届いた製品は、缶底の表示からして製造は2009年……えっ、2009年? 単純計算で13年前ですね。公式の商品情報を見ると「10年以上熟成させた」となっていますが、日本酒でこの長さの熟成はほぼ聞いたことがないです。間違いなく、貴重な「ヴィンテージ」のほうですね。実際に飲んでみて、また驚きました。これは、ウマい!

ひと口めに感じる旨みがより強く感じられ、バニラのような甘い香りがふわっと鼻に抜けていきます。まろやかさも増していて、日本酒ながらラムやブランデーを思わせるリッチなのどごし。まさに甘露と呼ぶにふさわしい味なのです。しかも、酒質のキレイな吟醸酒を使っているせいか、しつこさを感じることもなく、するする行ける。これはもう単独で成立しているので、肴は必要ないかも。食後酒として飲むには最高だろうな、と思いました。

↑酒の色もまったく違います。「ふなぐち」(左)に比べて「ヴィンテージ」(右)はこはく色に色づいています

 

それにしても、缶入りの熟成酒とは、なかなか面白いことをしてくれます。とはいえ、劣化を防ぐ缶入りだからこそ安定して熟成できるわけで、実は理に適った手法なのか……。そして、菊水は、搾りたて生原酒の旨さを知らしめただけではなく、熟成酒の旨さも啓蒙しようとしているのか……。ちなみに、「ふなぐち」は輸送中でも劣化しにくい性質から、2021年時点で20か国に展開されています。今後は生原酒だけでなく、熟成酒の旨さも世界に伝えられていくことでしょう。日本酒の可能性を世界に広げるという意味では、とても喜ばしいことですね。

↑「ふなぐち」は世界でも愛されています。アメリカでは「缶に日本酒を詰められるのか」と驚かれるそうで、すかさず「Yes we can!」と答えると確実に笑いが取れるとのこと

 

↑試飲した2種類はどっちもウマかった!

 

1缶から応募できるプレゼントキャンペーンがスタート

同イベントの最後には、「ふなぐち菊水一番しぼり」の発売50周年を記念し、おつまみセットなどが当たる「菊水ポイントキャンペーン」が発表されました。キャンペーン期間は4月22日(金)から8月31日(水)23:59まで。対象商品の「ふなぐち菊水一番しぼり」(200ml)についたポイントシールからQRコードをスマホで読み取り、菊水マイページに登録すれば応募できます。

ポイントは1本につき1ポイントで、ポイントをためてA賞(応募には5ポイント必要)、B賞(同3ポイント)、C賞(同1ポイント)のいずれかに応募可能。当選は各賞50名ずつで、当たりかハズレかはその場ですぐにわかるそうです。1ポイントから応募できるスピードくじみたいなものですね。筆者は、B賞「加島屋 味覚セット」が気になる!

↑プレゼントのA賞は、1台でおでん・焼き鳥・炙り&熱燗が楽しめるアイテム「せんべろメーカー」。5ポイントで応募できます

 

↑プレゼントのB賞は海や川の幸の詰め合わせ「加島屋 味覚セット」。3ポイントで応募できます

 

↑プレゼントのC賞は、こだわりの肴の缶詰を3個セットでお届けする「K&K缶つまセット」。1ポイントで応募可能

 

また、今回のキャンペーンに合わせて、シール5枚が付いている200ml缶3本詰めのセット(つまりシール2枚分おトク)も発売します。お店で見かけたら手に取ってみてはいかがでしょうか。

↑キャンペーン特別仕様の3本セット

聞かなくてもわかる!「ビール」の本当の好みは唇に表れることが判明

食品やアルコール飲料などの業界では、事前の消費者調査では好評だったのに、実際に商品を発売すると思うように売上に結びつかないことや、その逆のパターンもあるそうです。「おいしい・おいしくない」「好き・嫌い」といった言語的な表現以外の方法で、ビールに対する本当の好みを表情から読み取ることはできないか? アサヒビールの研究機関が調査しました。

↑そのビールは本当に好き? 唇に注目

 

アサヒビールのグループ会社であるアサヒクオリティーアンドイノベーションズの研究者たちは、人がビールを飲んだときにそれを気に入るかどうかを調べるため、ある実験を行いました。例えば「のど越しがいいビールは好まれる」「ビールは後味も大切」といった人々の嗜好性はある程度わかっていても、定量化された数値には表れない“潜在的な本音”を探らなければ、本当に喜ばれる商品作りは難しいのです。

 

実験では、アサヒビールの社員50人と一般消費者101人の合計151人に、3種類のビールを試飲し、その様子をビデオ撮影してもらいました。さらに、人の表情を捉えて分析するツールを開発し、それを使ってビールを飲んだときにどんな表情を表すか分析しました。また参加者には、3種類のビールを飲んだ後に、それぞれのビールを「何缶持ち帰りたいか?」と質問することで、被験者たちが各ビールをどれくらい気に入ったか探りました。

 

その結果、ビールを気に入ったときと気に入らなかったときで、参加者の表情の変化にパターンがあることが判明。

 

注目したのは唇です。ビールを飲む前に、まるで「う~ん」と言っているように唇を内側に寄せながら吸うときは、そのビールが好きであることのサイン。逆に、唇同士を重ねるように押し付けたときは、飲んだビールが好きでないサインでした。前者は「リップサック(lip suck)」、後者は「リッププレス(lip press)」と呼ばれています(下記のイラストを参照)。

↑左側が「リップサック」、右側が「リッププレス」(画像提供/Daily Mail)

 

なお、ビールを飲んだときの表情には、目を閉じたり、眉を寄せたり、あごを上げたり、いくつかの変化が見られましたが、ビールの好みに相関関係があったのは唇の変化のみでした。

 

冒頭で述べたように、市場調査などでは消費者の本当の好みがわからないことがあります。そのため、今回のような非言語的な方法でビールの好き嫌いや消費者の選択(買う・買わない)を当てることが、生産者にとって有効になります。ビールを飲んでいる人、もしくはこれから飲もうとしている人を見たとき、その人の唇がどんな動きをしているか、こっそり観察してみると面白いかもしれませんね。

 

【出典】Takahiro Wakihira, Masahito Morimoto, Seiichi Higuchi, Yasushi Nagatomi, Can facial expressions predict beer choices after tasting? A proof of concept study on implicit measurements for a better understanding of choice behavior among beer consumers, Food Quality and Preference, Volume 100, 2022, 104580, ISSN 0950-3293, https://doi.org/10.1016/j.foodqual.2022.104580

 

【画像出典】Jonathan Chadwick. “No point pretending you like your mate’s home-brew! Facial expressions reveal the truth about our beer preferences, study finds”. Daily Mail. 2022 March 22. https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10639115/No-point-pretending-like-mates-home-brew-Facial-expressions-reveal-beer-preferences.html 

「インドの青鬼」と「銀河高原ビール」が追加に! 「キリン ホームタップ」がラインナップ拡充第2弾を発表

キリンビールは、会員制生ビールサービス「キリン ホームタップ」のラインナップ拡充第2弾として、Far Yeast Brewing(ファーイーストブルーイング)が新たに参画すること、また第1弾で参画したヤッホーブルーイングから「インドの青鬼」「銀河高原ビール 小麦のビール」の2種を5月26日より発売することを発表しました。

↑キリン ホームタップに新たに2種のビールがラインナップされます

 

キリン ホームタップは、2021年3月より本格スタートした会員制サービス。専用の保冷機能付きビールサーバーと月2回のビール配送がセットになっており、自宅で簡単に“工場つくりたてのビールのおいしさ”が楽しめます。定番ビールとして同社の「キリン一番搾り生ビール」の最上位ブランド「一番搾り プレミアム」を用意するほか、クラフトビールを中心に毎月3~4種の期間限定ビールをラインナップ。季節に応じて自由にビールを選ぶ楽しみも味わえます。

↑キリン ホームタップの専用サーバー(中央)とビールのラインナップ(一部現在発売中でない商品も含まれます)

 

同社のマーケティング本部 事業創造部の山田雄一部長によれば、サービスの本格始動から約1年で、会員数は目標としていた10万人を突破。同社の調査において、会員の約半数が「クラフトビールの飲用機会が増えた」と答えたほか、同社が展開するクラフトビール「SPRING VALLEY 豊潤<496>缶の購入が増えた」と回答しており、ホームタップの利用をきっかけにクラフトビールに興味を持つ顧客が増えていると言います。

↑キリンビール 執行役員マーケティング本部 事業創造部長の山田雄一氏

 

中井貴一さんや天海祐希さん、チョコプラ松尾さんも登場

発表会にはヤッホーブルーイングの井手直行社長、ファーイーストブルーイングの山田司朗代表取締役が登壇。ヤッホーブルーイングはホームタップのラインナップ拡充第1弾として「よなよなエール」を期間限定発売しており、第2弾となる今回は新たに「インドの青鬼」「銀河高原ビール 小麦のビール」の2種のビールを提供します。同社の井手社長は、ホームタップで自社のビールを取り扱うことについて、「ビール市場全体の活性化につながるので一緒に盛り上げたい」とその意気込みを語りました。

↑ヤッホーブルーイングの井手直行社長

 

↑新たにホームタップにビールを提供することになったファーイーストブルーイングの山田司朗代表取締役。「ホームタップは家庭で気軽に本格的なビールが楽しめる画期的なサービス。ぜひ自社のビールを飲んでほしい」とアピールしました

 

また、発表会にはキリン ホームタップのCMに出演している俳優の中井貴一さんと天海祐希さん、さらに最近ホームタップを利用し始めたというチョコレートプラネットの松尾駿さんが登場。それぞれ、どのようなシーンでホームタップのビールを楽しんでいるのか、またホームタップをオススメしたい人は誰か、などトークセッションを披露しました。

↑左からキリンビールの山田雄一部長、中井貴一さん、天海祐希さん、松尾駿さん

 

クリックすると画像を拡大します(一部のニュース配信サイトを除く)

国内のビール市場は、酒税改正によるビール回帰や、コロナ禍での在宅時間増加の影響を受けて変化の真っ只中にあるとのこと。そんななか、同社ではホームタップ事業を高付加価値な商品を提供するサービスとして、新たな成長の軸に育てていきたいとしています。

 

【フォトギャラリー(画像をタップするとご覧いただけます)】

今年も登場! 「焼酎ハイボール」最強炭酸<強烈サイダー割り>……5月3日から数量限定発売

宝酒造は、『タカラ「焼酎ハイボール」<強烈サイダー割り>』を、5月3日より数量限定で発売します。

 

タカラ「焼酎ハイボール」は、チューハイ(酎ハイ)の語源にもなったといわれる、昭和20年代後半の東京下町の大衆酒場で生まれた、焼酎ハイボールの味わいを追求した辛口チューハイ。宝焼酎がベースとなっているアルコール分7%のキレのある辛口で、強めの炭酸と、プリン体ゼロ、甘味料ゼロが特徴です。

 

今回発売となる<強烈サイダー割り>は2016年に発売。タカラ「焼酎ハイボール」で最も高い炭酸ガス圧の「強烈シリーズ」の数量限定フレーバーで、「焼酎の地サイダー割り」をイメージした強炭酸の刺激的な飲みごたえと、糖質ゼロで甘くない爽やかなサイダーの味わいが楽しめます。

 

税別価格は、350mlが141円、500mlが191円。

「久保田」なのに、そんな飲み方していいの? ブランド初の「にごり酒」を使った「おうちカクテル」試飲レポート

「久保田」は、1830(天保元)年に創業した新潟県長岡市の酒蔵・朝日酒造が手掛ける日本酒ブランドです。ブランド自体は1985年に誕生し、1980年代後半から90年代にかけての「淡麗辛口ブーム」を牽引。いまでも日本酒の人気ランキングでは上位にランクインするほど、極めて高い知名度を誇っています。そんな久保田が2022年2月21日から、ブランド初となるにごり酒「久保田 純米吟醸にごり」を春限定で出荷しています。

 

「久保田」ブランド初となるにごり酒でカクテルに挑戦!

日本酒が好きな人なら、「にごり酒」と聞いただけで、春だなぁと感じるはず。そう、日本酒は秋の「ひやおろし」、冬の「しぼりたて」など、季節ごとに個性ある味わいのお酒が登場するのです。「にごり酒」もそのひとつ。冬から春にかけて、この時期ならではのお酒として多くの酒蔵から登場します。

 

しかも、今回紹介する「久保田 純米吟醸にごり」では、本品を使ったカクテルも提案しているとか。自慢ではありませんが、筆者は唎酒師(ききさけし)の資格を取るぐらい日本酒が好き。しかし、日本酒カクテルはほとんど飲んだことがありません。ブランド初となるにごり酒で作るカクテル……一体どんな味がするのか? とにかく興味があったので、今回はこの「久保田 純米吟醸にごり」を使って、同社オススメの日本酒カクテルに挑戦してみました!

 

すっきりした甘みとキレのある後味で料理にも合う

そもそも「にごり酒」とは、白く濁った日本酒のことを指します。日本酒造りの工程には、「醪(もろみ・原料を発酵させたもの)」を搾って「日本酒」と「酒粕」に分ける工程があり、搾る際に目の細かい酒袋を使えば透明に、粗めの酒袋なら原料の残りかすである「滓(おり)」が残って白濁した日本酒になるのです。

 

おりには米のうま味が濃縮されており、にごり酒は透明な日本酒に比べると、お米の旨みや甘みがしっかり楽しめます。とはいえ、このうま味や甘みが食事には合わせづらい印象があったのですが、この「久保田 純米吟醸にごり」を飲んで、すべてのお酒がそうではないと実感!

↑「久保田 純米吟醸にごり」は税込1320円(720ml)と手ごろな価格帯。アルコール分は13度、日本酒度は-35で、酸度は2.3。使用している酒米は五百万石で、精米歩合は60%

 

最初に感じるのは、純米吟醸酒らしいフルーティな香り。にごり酒ならではのなめらかな口当たりと、お米の旨みや甘みがしっかり感じられます。通常の日本酒よりやや低い13度のアルコールも嫌味がなく、ふくよかな味わいが楽しめます。

↑にごり酒はワイングラスや白磁の繊細なグラスで飲むのもアリ

 

さらに特筆すべきは、スッキリした後味となっている点。にごり酒は後味が残るイメージがあったのですが、これだけキレがあれば、食中酒としても楽しめますね。公式サイトでは、旨みのある肉料理や香辛料の効いた料理とのペアリングがオススメとのこと。

 

まろやかな甘みが効いたカクテルも絶品!

先述の通り、「久保田 純米吟醸にごり」は、カクテルベースとしても推奨されています。筆者が試したのは、公式サイトでも紹介されている「パープルクラウディー」と「にごりイチゴアイス」。いずれもスーパーで手軽に手に入るアイテムでカクテルが作れます。

 

パープルクラウディーは、久保田 純米吟醸にごりをぶどうジュースで割ったカクテル。今回、筆者はジュースだけでなく、ソーダを加えて微発泡感をプラスしました。

↑かき混ぜる前のパープルクラウディーは、紫のグラデーションが美しい。パープルクラウディーの作り方はコチラ→①グラスの氷適量を入れる②「久保田 純米吟醸にごり」をグラスの4分の2(グラス半分)注ぐ③ぶどう100%ジュースをグラス4分の1→強炭酸水をグラス4分の1注いでかき混ぜる④トッピングにぶどう1粒を添える

 

にごり酒にぶどうが加わることで果実感と甘みが加わり、まるでジュースのような味わいに。さらに、炭酸のシュワシュワ感も飲み口を軽やかにしてくれるので、日本酒を飲み慣れていない人でもおいしく飲めるカクテルに仕上がっていました。

 

デザート感覚で飲める「にごりイチゴアイス」は、「久保田 純米吟醸にごり」にイチゴアイスをトッピングするだけの簡単なデザートカクテル。せっかくなのでハーゲンダッツなど、ちょっとリッチなアイスをトッピングすると贅沢気分が高まります。

↑果肉の入ったイチゴアイスの使うとさらにリッチなカクテルに。にごりイチゴアイスの作り方はコチラ→①グラスに氷を1個入れる②久保田 純米吟醸にごりをグラスの3分の2注ぐ③イチゴアイスクリームをグラスの3分の1載せる④お好みでタイムを添える

 

今回は、材料のタイムが手に入らなかったのでお酒とイチゴアイスだけで作りましたが、イチゴとお酒の組み合わせはイチゴシェイクみたいで絶品! イチゴの甘酸っぱさとにごり酒は極めて相性が良く、ついアルコールが入っているのを忘れそうになります。大人だからこそ楽しめる、贅沢なシェイクは試す価値アリ! 今回、2つのカクテルのレシピを試してみましたが、どちらもにごり酒ならではのまろやかな甘みが生きていて、通常のカクテルとはまた違った魅力があると感じました。にごり酒とカクテルのいいとこどり、といった味わいでかなりオススメです!

 

公式サイトではほかにもトマトジュースを使った「レッドクラウディー」や、桃の缶詰を使ったシャーベットなど、おいしそうなカクテルのレシピが多数掲載されています。ぜひいろいろな飲み方で「久保田 純米吟醸にごり」を楽しんでみてください。

 

完全仕事モードでご帰宅… 俳優・小池徹平は「アサヒ生ビール黒生」でくつろぎを取り戻せるのか!?

1982年に誕生した日本初の缶の黒生ビール。それから30年、一時姿を消していた「アサヒ黒生ビール」が、ついに『アサヒ生ビール黒生』として復活した! 今宵、仕事に育児にと奮闘するリアル働き世代の俳優・小池徹平を待つのは、令和の世を癒すために再降臨した、その「黒生」である———

俳優・小池徹平

1986年1月5日生まれ。大阪府出身。第14回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞し、芸能界デビュー。2002年「WaT」を結成し(2016 年まで活動)歌手としての活動をスタート。同年、ドラマ『天体観測』(フジテレビ系)で俳優デビュー。ドラマ・映画・舞台などに幅広く出演し、俳優としての地位を確立。5月17日より主演ミュージカル『るろうに剣心 京都編』が上演。今年、俳優活動20周年を迎える。

 

小池さん、ずいぶんと疲れているみたいですね?

(現在、仕事に育児に大奮闘中の俳優・小池徹平さん。ある日の終わりを覗いてみました)

ふぅ……やっと1日が終わった。今日は朝から舞台の稽古があって、さすがにクタクタ……。次の舞台はアクションも歌も多いから、稽古もみっちり! これから今よりさらに忙しくなりそうだなあ。かといって、育児もおろそかにはできないからね。今日も長い戦いだったよ……。

なかなか忙しい毎日を送っている小池さん。さて、ここからやっと“くつろぎタイム”になるようです)

仕事から帰って、その日の家事も育児も全部終えたら、ここからが自分の時間。僕の楽しみ、晩酌しながらのくつろぎタイム! いつもはアサヒの糖質ゼロ(※)「スタイルフリー」を1杯目でグイッと飲むところなんだけど、今夜はコンビニで見かけた「アサヒ生ビール 黒生」同じシリーズで「マルエフ」は飲んだことがあったけど、黒ビールの方は初めてだな。ゴールドとブラックのちょっと高級感のあるパッケージが男心をくすぐるね! 1日頑張ったし、いつもとちょっと違う“プチ贅沢”で「黒生」を試してみようかな。(※食品表示基準による)

それじゃあ、さっそく……プシュッッッ!!! この缶を開ける音が、僕のくつろぎタイムへのスイッチなんだよね。いただきます!(ゴクゴクッ……)


「アサヒ生ビール黒生」

 

小池さん、「黒生」を飲んでみてどうですか?

んん~! これは美味しい!! 第一印象は、思ったよりもスッキリ。黒ビールなのに、爽やかで飲みやすいなあ。

まずは好印象のようです! さらに味わってもらうと……)

しかも、爽やかさの中にもしっかり“コク”があるところがすごい。舌で味わっていると“うまみ”がふわ~っと広がってくるから、これだけでグイグイ飲めちゃう。ビールによっては、スッキリ系でキレが強くて、おつまみが欲しくなることもあるけど、この「黒生」は後味まで“まろやかさ”が続く。じんわり麦の甘みが最後まで残っているから、「黒生」だけで全然イケちゃいそうです……!

堪能されているようですね。香りはいかがでしょうか?)

味はスッキリだけど、香りは黒ビールらしい麦の“芳ばしさ”がパーッと香ってきて、食欲をソソるんだよなあ~。リッチな風味がちゃんと香りにも表れているというか……。そもそも“黒ビール”と聞いて、味も香りももっと濃厚で強めな個性派ビールをイメージしていたんだけど、いい意味で裏切られたかも。苦味が抑えられていて、逆に甘みがあるこの味わい! 本当に飲みやすくて、黒ビールに苦手意識がある人にもぜひチャレンジしてほしいですね。あと、いつもコンビニで同じビールを選びがちな人もね(笑)。

まろやかで美味しい! 最高の晩酌だあ……。やっぱり、このくつろぎタイムがないとね。1日の終わりに美味しいお酒を好きに飲んで、張りつめた身体と空気を和らげる。この「黒生」のマイルドさは、ゆったり飲みたいときにちょうどいいな~。

 

すっかりくつろいだ小池さん! 復活した黒生がまろやかでうまい理由を知ってください。

(実はこの『黒生』は日本初の“缶の黒生ビール”として1982年に誕生した歴史あるビール。一度終売したものの、この度ファンの声に応えて復活を遂げたんです!)

ああ、たしかにこの昔のパッケージデザインは見たことがある! 懐かしい~。そういえば父親が飲んでいたなあ。自分の親世代から愛されてきたビールが復活して、こうやって自分も飲めるのは、ちょっと感動……。やっぱり価値あるものは、時代が変わっても受け継がれていくものなんですね。

↑かつての「アサヒ黒生」も、「アフター9のビールです。」というキャッチコピーが示すように、芳ばしさとすっきり飲めるうまみが持ち味だった

もちろん、中味の美味しさもしっかり受け継いでいますよ! 「黒生」は、数種類の麦芽をブレンドすることで、苦みが少ない甘味のある味わいを実現したり、長時間煮沸して黒ビールらしい芳ばしい香りやコクを生み出したりと、製造の段階から独自の工夫があるんです)

たしかに、アサヒビールといえば「スーパードライ」が代表的で、あのキレがある辛口な味わいが思い浮かぶけど、『黒生』はそれとは完全に真逆のテイスト。まろやかな甘みがかなり特徴的。ここまで違う味が同じメーカーで作られているのは面白いなあ。しかも、一般的な黒ビールとも全く違う、新しいタイプのビールって印象がありますね。

こだわり抜いてつくった過程って、意外とみんな知らないまま、美味しく飲んでいるもの。僕らの仕事ともちょっと似てますね(笑)。俳優って職業は、皆さんに見てもらうのは完成された華やかな舞台だけど、それまでには、稽古を重ねて苦労して役作りをしているんですよ。でも、それでいいんですよね、そんなところは伝わらなくて。結果的にみんなが楽しんでもらえれば、美味しく味わえれば、それだけで嬉しくて満足なんです。なんだか共感しちゃうな(笑)

 

黒生には、こんな楽しみ方もあるんですよ!

(さて、「黒生」のちょっと面白い楽しみ方を試していただきましょう。同シリーズの「アサヒ生ビール 通称マルエフ」とのハーフ&ハーフです。)

へえ、こんな飲み方もできるんだ! 新しいなあ。さっそく一口いただきます(ググッ……)

お、これもうまい! スッキリ感が増して、さらに飲みやすくなってる。だけど、黒のスモーキーな風味も絶妙に残っていて美味しい! 2杯目とかにいいんじゃないですか? 1杯目は「黒生」の味を楽しんで、2杯目はハーフ&ハーフでマイルドに……。僕は「黒生」を1杯いただいだ後は、マルエフとブレンドした味変を差し込みながら、じっくり楽しんじゃうかも。

(ハーフ&ハーフがオススメですが、ブレンドの割合はお好みでOKです)

それなら、僕は「黒生」多めが好みかな。黒多めの7:3くらいが、よりうまみを感じやすいんじゃないかな。しかも、黒ビールの香りと後味が引き立つから、爽やかだけど程よい余韻が楽しめると思います。いや~喧嘩しないで上手く混ざってるなあ。すごく相性が良い。なんの心配もなくブレンドして楽しめるし、継ぎ足し継ぎ足しして楽しんでもいい。うっかり飲み過ぎには注意ですね!

 

さて小池さん、今夜はくつろげました?

「黒生」との晩酌タイムはいかがでしたか?) 

すっかりほろ酔い気分(笑)。1日の終わりに必要なのは、いつだって自分へのご褒美タイム。小さい幸せかもしれないけど、それがあるからまた次の日も仕事に行けるし、気持ちを切り替えて頑張れる。もともとビール党だけど、今日は「黒生」のおかげで、ちょっと贅沢な気持ちが味わえたなあ。やっぱり長く愛されてきただけはある、特別なビールですね!

それは良かったです! ちなみに小池さんも俳優生活20周年ということで、ファンの方に愛されているなと感じる瞬間はありますか?)

それはもちろん、この仕事をやっていると常に感じてますよ! ずっと応援してくださる方って、どんなお仕事をやっても、どんなときでも見守ってくれていて。出会ったタイミングは違っても、今までみんなで一緒に成長して来れた感じがするから……幸せなことだなって。みんなのためにも、また明日から頑張らないといけませんね。

 

「はい! 最高にくつろいでます!」

 


アサヒ生ビール黒生を詳しく知るならこちら

 

 

撮影/岡村昌宏(CrossOver) 取材・文/kitsune 撮影協力/TOP UP、EASE

 

芸人・見取り図が絶賛した「サッポロ レモンズフリー」のウマさは本当か? フードアナリストが飲み比べ

レモンサワーのブームが続く昨今、「のんある晩酌レモンサワー」「よわない檸檬堂」などノンアルコールタイプも続々と市場に投入され、ひとつのジャンルを形成し始めています。そのなかで、よりノンアル好きに刺さりそうなブランドが誕生しました。それが「サッポロ LEMON‘S FREE(レモンズフリー)」です。

 

↑「サッポロ LEMON‘S FREE(レモンズフリー)」は2022年3月15日に新発売。参考小売価格は122円(税抜)

 

発売記念イベントでは、お笑いコンビの見取り図が登壇。アルコール入りのレモンサワー2品を加えた3種を並べ、目隠しで飲み比べ(利きレモンサワー)したうえで「レモンズフリーはレモンレモンしてる」「レモン感が強くてほかの2つとは全然違かった」と絶賛していましたが、そこに忖度(そんたく)はないのか、気になるところです。

 

↑発売日の3月15日に行われた記念イベントにて、見取り図の盛山 晋太郎さん(左)とリリーさん(右)

 

そこで、見取り図が飲み比べた2種のレモンサワーは何だったのかをイベント開催者に教えてもらい、筆者も用意してテイスティング。レモンズフリーを中心に、味などの特徴をレポートしていきます。

 

 

疲労感の軽減に期待できるのが「サッポロ レモンズフリー」

イベントの利きレモンサワーで用意されたのは、「サッポロ LEMON‘S FREE」のほか「キレートレモンサワー」と「サッポロ 濃いめのレモンサワー」。それぞれアルコール度数も違いますが、まずはスペックから比較。

 

↑左から、「キレートレモンサワー」「サッポロ LEMON‘S FREE」「サッポロ 濃いめのレモンサワー」

 

「キレートレモンサワー」は、ポッカサッポロのロングセラー「キレートレモン」ならではの酸っぱいおいしさを表現したサワー。ビタミンCを350mg、クエン酸を3000mg配合し、果汁20%というパワフルなレモン感が特徴です。

 

一方、今回の主役である「サッポロ LEMON‘S FREE」も、クエン酸に着目した商品。ちなみに、キレートレモンブランドには“疲労感軽減”をうたう機能性表示食品「キレートレモン クエン酸2700」があり、2021年の販売数量は前年比120%増で売れているそうです。

 

↑「サッポロ LEMON‘S FREE」缶の裏表。クエン酸は、日常生活や運動後の一時的な疲労感を軽減することが報告されています

 

そして「サッポロ 濃いめのレモンサワー」は、レモンサワーとしてのおいしさにとことんこだわったブランド。シチリア産の手摘みレモン果汁に加え、レモン漬け込み酒を一部使うことで、7%と比較的高めのアルコールながらも、そのボディに負けない濃厚なレモンテイストを実現しています。

 

↑栄養成分表示はご覧の通り。アルコール度数は左から、5%、0.00%、7%。エネルギーは57kcal、25kcal、43kcal(すべて100mlあたり)となっています

 

 

どれもレモン感満点で濃厚! 氷満載でもパワーダウンなし

ここからはいよいよ飲み比べ。アルコールの低い順に飲んでみます。ということで、まずは「サッポロ LEMON‘S FREE」から。おお、これは確かに見取り図が「レモンレモンしてる」と表現したことに違和感のないレモンのパワフルさ。

 

きわめてジューシーですが、レモンスカッシュなどのジュースとは違って、甘さはあっても強い主張はなし。「キレートレモン」にも通じる酸っぱさや柑橘と炭酸の爽快感が強く、お酒ではないですが飲みごたえが抜群です。

 

↑甘ったるくないので、つまみにもマッチ。休肝日や運転前のほか、「まだ仕事が残ってるけど腹が減ったので、晩酌でチャージしてから業務完遂したい」というときに重宝しそうです

 

続いて「キレートレモンサワー」。こちらはさすがの酸っぱさで、「サッポロ LEMON‘S FREE」とはまた違ったレモンの濃さを感じます。それはどこか複層的な柑橘の酸味でありながら、クリアでスイッといける飲みやすさ。また、余韻にはアルコールのボディを感じられ、キレもしっかりしています。

 

↑レモンサワーに酸っぱさを求めるならこれでしょう

 

最後は「サッポロ 濃いめのレモンサワー」。こうして飲み比べてみると、アルコール度数の高さだけではなく、レモンピールの苦みも十分。一方で、甘さは比較的に控えめの大人なテイスト。酸味、ボディ、苦みなどがしっかりした濃い味わいで、アルコールが強めでもお酒のネガティブさを感じさせないおいしさになっています。

 

↑レモンサワーとしての飲みごたえはピカイチ。揚物など、油っこいつまみには特に合いそうな味わいです

 

3種を飲み比べて感じたのは、どれもレモン感が抜群で味も濃く、氷をたっぷり入れてもまったくパワーダウンしないということ。休肝日には「サッポロ LEMON‘S FREE」、普通にお酒を楽しむなら「キレートレモンサワー」、より濃厚な味やボディを求めるなら「サッポロ 濃いめのレモンサワー」といった選択肢でチョイスするといいと思います。

 

↑ついに春本番! 冷たい酒がますますウマくなる、これからの季節にもオススメです

 

冒頭で、ノンアルレモンサワーがひとつのジャンルを形成しそうと述べましたが、疲労感軽減という機能をもった「サッポロ LEMON‘S FREE」は差別化の点でも一芸に秀でています。ヒット商品候補として、目が離せません。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

【東京・大衆酒場の名店】船堀「伊勢周」で、L字カウンターの機能美を楽しむ噺

東京にある大衆酒場の名店を巡る企画の第7回。今回は船堀の「伊勢周」を訪れ、その魅力を探っていきます。

 

大衆酒場は、その安さとウマさ、昔ながらの温かい雰囲気で、酒飲みの心をひきつけてやみません。なかでも東京では下町を中心に、根強い人気を誇る大衆酒場の名店が数多く存在します。そんな名店を巡り、お店の魅力と東京ならではの酒文化を深掘りしていくのが本連載。立石「宇ち多゛(うちだ)」篠崎「大林」京成曳舟「三祐酒場(さんゆうさかば) 八広(やひろ)店」八広「亀屋」四つ木「ゑびす」門前仲町「だるま」に続く第7回は、船堀の「伊勢周」にお邪魔します。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

家族で営む創業70周年の老舗は「L字」が極めて個性的

今回訪れた「伊勢周」は、都営新宿線「船堀駅」から15分ほど歩いた、船堀街道沿いにある老舗。創業は昭和27(1952)年とちょうど70周年を迎え、店内には開店時の写真が飾られています。

 

前回の「だるま」は「コの字型」カウンターの名酒場として紹介しましたが、「伊勢周」は、「L字型」カウンターを語るうえで欠かせないお店。これまで同様に、カウンター酒場について詳しい長谷川和之さんを講師に、生徒役のお酒好きタレント・中村 優さんと「伊勢周」の魅力に迫ります。

↑中村 優さん(左)は、タレントおよびマラソンランナーとして活躍。長谷川和之さん(右)の本業は編集者で、酒場のほか旅や温泉、鉄道など様々なジャンルに精通しています

 

中村 長谷川さん、今日もよろしくお願いします。まずは乾杯ですね!

 

長谷川 はい。ここは「伊勢周ハイボール」が名物なので、それを飲みましょう!

 

中村 へえ~、お店の名前が付いた酎ハイなんですね。

 

長谷川 宝焼酎をベースに、下町酒場御用達のエキスと強炭酸水が決め手の酎ハイです。

 

中村 何杯もイケるやつだ! さっそく来ましたね、カンパーイ!

 

長谷川 お通しの煮込みもどうぞ。

 

中村 おいしそう!このお店は煮込みがお通しなんですね?

 

長谷川 しかも0円なんですよ! ありがたいですよねー。

 

中村 えースゴい、お通しが無料! そして想像以上においしいです! モツはやわらかくて、味付けは濃すぎず薄すぎずの味噌味。ちょうどいい塩梅で酎ハイも進みます!

↑「伊勢周ハイボール」(450円)

 

↑お通しの煮込み(0円!)を手にする中村さん

 

長谷川 でしょ? ここはお酒も料理も抜群においしいんですけど、まずはカウンターのことからお話しさせてください。

 

中村 L字型ですよね。ほかのカウンターに比べて、どんな特徴があるんですか?

 

長谷川 ひとつは、最も一般的な形だということですね。L字型はほかの形状に比べて少スペースでも設置できますから、採用しているお店も多いです。

 

中村 確かに、L字型のお店はよく見かけるかもしれません。

 

長谷川 あとは、厨房に沿ってカウンターが造られていることが多いです。カウンターの中に厨房があるお店もありますし。「伊勢周」の厨房はカウンターの奥ですけど、お通しやドリンクは目の前で作って提供していますね。

 

中村 そういえば以前訪れた「三祐酒場 八広店」、「亀屋」、「ゑびす」も厨房は奥でしたけど、L字型でしたよね。カウンター越しにお酒を作ったり、配膳したりしていたことを覚えています。

 

長谷川 そうそう。「ゑびす」は一緒に行きましたよね。あそこはカウンターと厨房の間にちょっとした設えがあるだけで、ほぼオープンキッチンといっていいでしょう。

 

中村 でも、「伊勢周」ってかなり個性的なL字型ですよね! 私、内側に座れるタイプは初めてかもしれません。

 

長谷川 やっぱりそうでしたか。内側に席があるL字型のお店はほかにもあることはありますけど、極めて珍しいんですよ。スペースがないと内側に席を設けられませんし、そもそも内側ってある意味“聖域”ですから。

 

中村 カウンター上のスペースの広さも関係してますよね。ここは奥行きにゆとりがあるから、対面になっても圧迫感がないし。

 

長谷川 ちょっと測ってみましょうか。おお~、65cmもある。そしてコーナーは89cm! 商店建築の教科書的な書籍によれば適性の奥行きは45~65cmなので、ここはかなり広いですよ。

 

中村 長谷川さんお得意のメジャー、今日も冴えてますね! でも、なんで両側から座れるようにしたんですかね?

 

長谷川 以前の「伊勢周」はコの字型だったんですけど、このL字型にした理由は僕も気になってるんです。女将さんに聞いてみましょうか!

↑「伊勢周」の女将、尾崎貞子さん。二代目にあたる尾崎成春さんの奥さまです

 

女将 2011年に建て替えた際、店内も大きく改装したんです。そのとき、お兄ちゃん(三代目の浩之さん)のアイデアを反映してL字型カウンターにしました。当時は、回転寿司店のようにお皿やボトルの数で勘定計算をしていたんです。だから、ゆとりがあったほうがお客さんも使いやすいと思って広く設計したんですよ。

 

長谷川 いまは逐一お皿を片付けて普通にチェックされてますけど、確かに改装前の会計はそうでしたね。

 

女将 女性のお客さんのためにテーブルの高さを少し低くしたり、ボトルキープ用の棚を造るためにカウンター内の鍋台をひとつにしたり。ほかにもいろいろ変えました。

 

長谷川 そうそう、懐かしい! 改装前はコの字型カウンターの中に鍋台がふたつ並んでて、ひとつが煮込み、もうひとつはお通しの湯豆腐でした。台がひとつになって、煮込みがお通しを兼ねるようになったんですね。

 

中村 ということは、煮込みの鍋台は変わらず残っているものなんですね。歴史を感じます! 三代目がお店に立つようになったのはいつからなんですか?

 

女将 1995年です。お兄ちゃんは和食だけでなく洋食や中華も作れたから、お品書きのバリエーションも増えていったんですよ。でもお父さん(旦那さんで二代目店主の成春さん)も作るの好きだから、いまや料理の数が120種類以上にもなりました。

 

中村 確かに、そそられるおつまみがいっぱいあります! じゃあ天ぷらと、ポテトサラダと……。

 

長谷川 そしたらあとは、スパグラをお願いします!

 

中村 スパグラ? あ、壁に貼ってある「スパグラタン」のことですね!

 

長谷川 はい。スパゲッティ入りのグラタンで、こんがりとオーブンで焼くからちょっと時間がかかるんですけど、そのぶん絶品ですよ。Instagramでも大人気で、若い人もコレ目当てに訪れているみたいです。

 

中村 映えるってことですか。楽しみです!

 

創業時の70年前は酎ハイも刺身も30円だった

長谷川 女将さん、「伊勢周」という店名の由来って何から来てるんですか?

 

女将 お店を創業したおじいちゃん(初代の尾崎周平さん)が、亀戸の福神橋あたりにある「伊勢元」というお店で働いてたからです。修業先の「伊勢」に、自分の名前の「周」を付けて「伊勢周」にしたんですって。

 

長谷川 なるほど、やっぱり「伊勢元」が関係してたんだ! 江東区や江戸川区だけでも「伊勢元酒場」とか「大衆酒場 伊勢元」とか、何軒かありますからね。

 

女将 お父さんは高校生のころからこの「伊勢周」で働いていて、そのあと私がお見合いで新潟から昭和35(1960)年に嫁いできました。入口のところに、もう一枚写真がありますでしょ? あれは創業のころだからそれより前。左からおじいちゃん、お手伝いさん、おばあちゃんと並んでて、座ってるのがお父さんです。若いでしょ!

 

中村 きれいに撮れてますし、スゴくいい写真。あ、焼酎も刺身も煮込みも30円だったんだ!

 

長谷川 これは資料としても貴重ですよ。

 

女将 料理、お待たせしました。どうぞ召し上がってください。

 

中村 うわー! このポテサラ、スゴく豪華でボリュームもたっぷり!

 

長谷川 来ましたねー。これがまたウマいんですよ。

↑「ポテトサラダ」(450円)

 

中村 具材が盛りだくさんですね。珍しいところだと、かにかまに、シェル型のマカロニ。いろんな味が楽しめます。

 

長谷川 お次は天ぷらですね。こちらも人気メニューです。

↑「天ぷら盛り合わせ」(850円)

 

中村 わお! えびが2尾入ってて、豪華ですね~。これで850円はうれしい!

 

女将 ありがとうございます。お魚はお兄ちゃんが豊洲に行ったり、お付き合いのある魚屋さんで仕入れたりしているんですよ。

 

中村 ほかにはイワシ、いか、ししとう、まいたけですね。うん! お魚はふわふわで、いかはプリプリ。感激!

 

長谷川 お待ちかねのスパグラもやってきましたよ! フォークを入れてみてください。

 

中村 わっ、スゴ! チーズがたっぷりで伸びる伸びる! これは確かにフォトジェニックです。スパゲッティは、ナポリタンですか?

↑「スパグラタン」(700円)

 

長谷川 そうです。しかも作り置きじゃなくて、一から作ってくれるんですよ。それもおいしさのポイントです。

 

中村 こちらも具だくさんですね。ベーコン、玉ねぎ、えび、ソーセージが入っていて。でも、どうしてこのメニューができたんですか?

 

女将 あるとき常連さんに、スパゲッティとグラタンの両方を食べたいから一緒にしてってお願いされたんです。それでお兄ちゃんが作ってみたら、大好評で。

 

中村 うん、このメニューは洋食レストランでもあまりない組み合わせじゃないかな。それに、ホワイトソースがナポリタンとひとつになって、ヤミツキになるおいしさ! 天ぷらもそうでしたけど、専門店顔負けのクオリティです。

 

長谷川 質も量もハイレベルで価格もお手ごろ。長年愛されている理由のひとつなんでしょう。

 

中村 女将さん、創業時からのメニューで人気なのはどれですか?

 

女将 お酒はやっぱり「伊勢周ハイボール」。おつまみなら、煮込みや天ぷらですね。酎ハイの味はずっと変わってないです。炭酸も、根岸・宮岡商店の「ヤングホープ」を特注で強炭酸にしてもらってますし。煮込みのモツも変わらず、大腸と小腸とガツを亀戸の肉問屋さんから仕入れています。

 

中村 お酒も料理も多彩で絶品。お仕事中に飲みたくなってしまいませんか?

 

女将 ああ、うちはみんな下戸なんです。だからそこまで飲みたい気分にはならないんですよ。

 

長谷川 えっ、そうなんですか! 初めて知りました。

 

中村 意外ですけど、かえって話題性がありますね。

 

女将 私は接客が好きで、お父さんやお兄ちゃんは料理を作るのが好きだから、飲めない分それぞれの仕事に集中できていいんじゃないかしら。

 

長谷川 お酒のつくり手のなかにも、下戸ながら銘酒を生み出すプロフェッショナルはたくさんいますもんね。

 

中村 それに、お店の方が下戸であれば、お酒が弱い人でも安心して飲めますよね。お酒のことがよくわからない、二十歳になりたての人にもオススメの名酒場ってことだ!

 

L字型カウンターの作法と楽しみ方

中村 長谷川さん、今日は私が内側に座らせていただきましたが、普通は何度か通ってから座るべきなんですよね?

 

長谷川 内側はそうでしょうね。初めてでそっち側に行ける人は、かなりの度胸の持ち主でしょう。作法としては、最初はやっぱりお店の人に「どこの席なら大丈夫ですか?」と聞くといいと思います。ほかの席が空いていても、常連さんの定位置があったりしますから。おっ、そんな話をしていたら、常連さんがいらっしゃいましたね。

 

中村 ちょっとあいさつに行ってきます! ……初めまして、中村 優と申します。今日は取材を兼ねてお邪魔していまして。

 

常連さん そうなんだ! ゆっくりしてってね。まあ乾杯でもしましょうよ。

 

中村 ありがとうございます。ではカンパーイ! そういえば、いつもこの席に座ってらっしゃるんですか?

 

常連さん うん、基本的には厨房に近いカウンターの席が多いかな。内側に座ることもあるよ。

 

中村 そうなんですね。じゃあ次来た時にいらっしゃったら、また声かけさせてください!

 

常連さん うん! 待ってるよ。

 

中村 この雰囲気が大衆酒場の醍醐味ですね! そういえば、長谷川さんは何度か来られていると思うんですけど、ふだんはどの辺に座るんですか?

 

長谷川 いま座ってる角の席か、L字の長いほうの真ん中が僕は好きです。入口付近も全体が見渡せるので好きですよ。

 

中村 「伊勢周」さんは壁のお品書きが豊富だから、これが“借景”になりますよね。

↑お店の至るところにメニューが!

 

長谷川 まさにそう! 僕の場合、「伊勢周」ならお品書きを眺めているだけで20分は楽しめます。

 

中村 ここは内側があって個性的ですけど、L字型カウンターのお店は多いので、長谷川さんのアドバイスをもとに今度実践してみます。今日もいろいろ教えていただきありがとうございました!

 

長谷川 今日も楽しかったですね! 次の個性派カウンターの大衆酒場、どこに行くか考えておきます。

↑左から、二代目店主の尾崎成春さん、女将の貞子さん、中村さん、三代目の浩之さん

 

コの字カウンターに続きL字カウンターについても勉強した中村さん、次回はどんなカウンターと出合うのか? ご期待ください。

 

撮影/我妻慶一

 

<取材協力>

伊勢周

住所:東京都江戸川区松江3-3-4
営業時間:16:00~23:00
定休日:木曜日

※価格はすべて税込みです。

※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2022年2月22日)

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

 

「東京・大衆酒場の名店」バックナンバーはこちら▼

・第1回 【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

・第2回 【東京・大衆酒場の名店】初心者女子と楽しく学ぶ! 篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺

・第3回 【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺

・第4回 【東京・大衆酒場の名店】酎ハイ街道をゆく。八広・亀屋の“ボール” 受け継がれる秘伝レシピの噺

・第5回 【東京・大衆酒場の名店】四ツ木「ゑびす」で、自家製ロックアイスのお茶割りを味わう噺

・第6回 【東京・大衆酒場の名店】門前仲町「だるま」で、コの字カウンター劇場を堪能する噺

・番外編 大衆酒場の酎ハイに欠かせない「下町炭酸」を飲み比べる噺

・番外編 焼酎ハイボールに合う!「東京・大衆酒場の名店」のおつまみを、約5000円の調理家電で再現する噺

麦焼酎の歴史とつくりを知り、味わいを楽しむ噺

【意外と知らない焼酎の噺05】

日本酒と並ぶ日本の伝統的なお酒・焼酎。ただ、その製造方法などは、あまり詳しく知られていないかも。そこで、焼酎のいろはから専門的なコトまで、『古典酒場』の倉嶋紀和子編集長がナビゲーターとなって探っていきます。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です。

 

第5回のテーマは、「本格焼酎とは何か<麦焼酎編>」。前回紹介した「芋焼酎」と肩を並べる人気の「麦焼酎」。その歴史や製造方法、味の特徴などについて深掘りしていきます。

 

【酒噺のオススメ記事はコチラ】
「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】
「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】
いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺【意外と知らない焼酎の噺03】
芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺【意外と知らない焼酎の噺04】

 

●狩野卓也(右):酒文化研究所・代表取締役。洋酒メーカー勤務などを経て、1991年に同研究所を設立。1996年より現職。酒文化及び酒類ビジネスに関する調査研究や執筆、講演活動を行っている。著書に『酒と水の話-マザーウォーター』(紀伊国屋書店、同研究所編・共著)など。
●倉嶋紀和子(左):雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名

 

「麦焼酎」はどこで生まれた?

倉嶋 今回のテーマは麦焼酎ということで、まずはその歴史から教えてください。確か、長崎の壱岐島が発祥だと思うのですが、芋焼酎より歴史は古いんですよね。

 

狩野 はい。この企画の第1回「焼酎って何」で、いま私たちが目にしている焼酎が生まれたのは戦国時代(室町時代後半)という話をしましたよね。壱岐は大陸からの焼酎伝来ルートでもあり、壱岐焼酎の歴史は16世紀まで遡ります。芋焼酎は、原料であるさつまいもの伝来が17世紀ごろで、焼酎作りに使われるのはその後ですから、麦焼酎のほうが芋焼酎より歴史が古いと言えますね。

 

倉嶋 なるほど。焼酎の原料は大昔から栽培されていた麦や米が主流だったということですか。

 

狩野 そもそもは、米や麦をはじめ雑穀や酒粕などいろんなものから作られていました。米は年貢で納める高価な作物でしたから大変貴重です。そのため庶民が食べていたのは、米の裏作で作る麦や雑穀が中心でした。そして、壱岐は島ながら平野が広く米や麦といった穀物の一大産地でした。こういうバックボーンが麦焼酎のルーツの理由と考えられます。

 

倉島 なるほど。年貢の対象である米をお酒にするのは難しかったけど、麦なら可能だったと。それで、穀倉地帯の壱岐では麦焼酎が生まれたということですね。ちなみに、きび・あわ・ひえといった雑穀でも焼酎はつくれると思いますが、なぜ麦だったのでしょうか。

 

狩野 大きな理由として、雑穀は麦、芋、米などに比べてでんぷんが少ないからでしょう。でんぷんが少ないと発酵の効率が悪く、たくさんの量をつくりづらいですから。

 

 

倉島 なるほど、前回の芋焼酎の話にも通じますね。芋焼酎のさつまいもは、でんぷん含有量の多い品種が選ばれやすく、それが「黄金千貫(こがねせんがん)」だったと。麦と雑穀では、より効率的に焼酎をつくれる麦が選ばれたということですね。

 

狩野 最初は、農家が余った麦を持ち寄ったりして、自家醸造に近い状態でつくっていたのだと思います。「あそこの家はおいしい焼酎をつくれるらしいよ」といった感じで、各地に焼酎づくりの名人がいたんでしょうね。

 

倉島 自家醸造というと、どぶろく(米・麹・水が原料の濾過していない酒)に近いイメージです。

 

狩野 そういう牧歌的なつくり方が最後まで残っていたのは、東京都の島しょ部である青ヶ島の焼酎。ここでは芋や麦焼酎が作られていますが、昭和中期まではそんな形式でした。同島に法人化された酒蔵ができたのは1984年です。

 

倉島 平成になる数年前まで寄合で焼酎をつくっていたのですね。

 

狩野 いずれにせよ、焼酎の製法などが確立されていくなかで、九州を中心に焼酎蔵が誕生しました。明治末期には連続式蒸留が伝来して新式焼酎(現在の甲類焼酎の原型)が登場しますから、本格(乙類)焼酎である麦焼酎も、ひとつのカテゴリーとして確立されていったのです。

 

麦焼酎はどのようにつくられるのか

倉嶋 では、麦焼酎はどのようにつくられるのかを教えてください。

 

狩野 基本的には前回お話しした芋焼酎と大きな違いはありません。芋は水分が多いので傷みやすく、収穫後にすぐ下処理をしないといけませんが、麦は長期保存が利くため、比較的時季を問わずにつくれる点は特徴だと思います。これは米焼酎にも同じことがいえますね。

 

倉嶋 麦焼酎も、麹と水、酵母を混ぜて発酵させた一次もろみに、原料の麦を加えて発酵させた二次もろみを単式蒸留機で蒸留後、貯蔵、割水するという工程でつくられるわけですね。

 

●本格(乙類)焼酎の製造工程

 

狩野 ほかに麦焼酎の特徴を挙げるとすれば、「麦麹」がありますね。多くの芋焼酎には米麹が使われており、高度な技術が必要な芋麹を使用しているものは少数です。米焼酎や黒糖焼酎などにも米麹を使うのですが、麦焼酎には米麹のほかに麦麹を使うことがあるんです。

↑自動製麹機。麹菌を加えて麦麹をつくる

 

倉嶋 麦麹は、麦焼酎に使われる麹なんですね。

 

狩野 そうなんです。しかも興味深いのが、もうひとつの麦焼酎の名産地である大分では、多くの銘柄で麦麹を使うのですが、壱岐焼酎では使いません。壱岐では米麹を使うことが定義されているんです。

 

倉嶋 確かに、思い返してみるとそうだった気がします! でも、なぜ麦麹は大分の麦焼酎以外にあまり使われないのですか?

 

狩野 これは私の推測ですが、ひとつは技術的に麦麹をつくること、活用することが難しいということではないかなと。かたや米麹は日本酒で太古から全国で使われているので、ノウハウも文献もたくさんある。もうひとつは、でき上がりの味や香りが関係しているのだと思います。ちなみに、後述しますが、大分ではもともと麦麹を使う文化が発達していたので、焼酎にも麦麹が使われたのでしょう。

 

倉嶋 麦麹を使ったほうが、より麦らしい味わいになるということですか?

 

狩野 それが面白いところで、麦らしさという点では米麹の麦焼酎も負けてないと思います。ただ、麦麹を使うことで、米麹とはまた違った味や香りを生み出せるということでしょう。麦麹の麦焼酎も米麹の麦焼酎も、それぞれに麦らしい風味があるのですが、甘みや香ばしさに違いがある気がします。あと、麦100%の全量麦焼酎は、その響きだけでもおいしそうですよね。

 

倉嶋 はい。二大名産地の壱岐と大分との違いのひとつが麹というのも、より個性が際立って面白いと思います。

 

狩野 それぞれのストーリーがブランディングにもつながりますしね。

 

倉嶋 大分が焼酎の名産地になったのも、壱岐のように穀倉地域だからですか?

 

狩野 穀倉地域でもありますが、それ以上に前述の麦麹文化が大きいです。それに、大分が麦焼酎大国になるのは近年のこと。昭和26(1951)年に麦の統制撤廃が実施されて麦が自由に購入できるようになると、もともと麦麹で味噌や醤油をつくる文化があった大分では、焼酎用の麦麹の開発が始まったんです。

 

倉嶋 そうか! それで麦麹による100%麦焼酎が生まれ、大分の麦焼酎の特徴が先鋭化されていったということですね。

 

狩野 そして最初の100%麦焼酎は、昭和48(1973)年に誕生しました。焼酎の長い歴史の中でいうと、比較的最近ですよね。あとは「減圧蒸留」による軽快な味の麦焼酎がヒットしたことも、大分の麦焼酎を語る上で欠かせません。

 

倉嶋 なるほど。その軽快な味も1980年代の麦焼酎ブームに関係してるんですよね。

狩野 「常圧蒸留」と「減圧蒸留」についても、あらためておさらいしましょう。「常圧蒸留」は通常の気圧で行われる伝統的な蒸留法。100℃近い温度でもろみを蒸留するため、高温で生成される風味を豊かに引き出すことができ、しっかりした味わいの焼酎になります。
一方の「減圧蒸留」は、気圧が低い場所では低い温度で水が沸騰する原理と同じ原理を生かした蒸留法。蒸留機内の気圧を下げることにより40℃~ 50℃で蒸留できるため、常圧蒸留よりも高温で生成する成分が抑えられ、口当たりの軽やかな焼酎がつくれるんです。

 

 

倉嶋 減圧蒸留の技術はいつごろ開発されたんですか?

 

狩野 焼酎に応用されたのは1970年代だと思います。もともと減圧蒸留は、アルコール精製の技術として生まれたもの。お酒をつくるために開発された技術ではないんです。科学が進歩した結果、気圧を下げても爆発せず液体も焦げない高性能な蒸留機が生まれ、それですっきりとしたアルコールを取り出せるようになったということなんです。

 

倉嶋 そうやって軽やかな味わいの本格(乙類)焼酎が生まれたことで、東京などの都市圏でも本格焼酎が飲まれるようになったんですね。

 

狩野 だと思います。本格焼酎に飲み慣れていない東日本では、本格焼酎は風味がきつくて飲みにくいイメージがありました。でもライトな味わいの本格焼酎は飲みやすいということで、東京をはじめ全国でヒットしたのでしょう。

 

倉嶋 飲みやすさですか。飲み慣れてくると、風味の強さがむしろおいしいともいえますけどね。

 

狩野 飲みやすさやおいしさという点では、貯蔵・熟成した焼酎の再評価もエポックメイキングな出来事です。甕貯蔵や熟成は時間をかける製法なので、贅沢なつくり方ですよね。焼酎は手軽に飲める大衆のお酒として親しまれてきましたから、熟成焼酎は一般的にはポピュラーではなかったんです。

 

倉嶋 社会が豊かになったことで貯蔵・熟成焼酎を商品化する余裕が生まれ、消費者に浸透していったということですね。

 

狩野 おっしゃる通りです。味わいとしては甕や樽で寝かせると、まろやかになって飲みやすくなったり、コクや香りに深みが出て風味豊かになったりしますよね。

 

倉嶋 つくり手のほうも、意欲的に味の進化へ取り組んでいったと。

 

狩野 甲類焼酎に定期的なブームが起こっているように、本格(乙類)焼酎にも何回かブーム繰り返しながら飲まれるエリアを広げていったことも焼酎文化の継承や発展には欠かせません。伝統がいまでも残っているのは、飲み手がしっかり支持しているということでもありますね。

 

倉嶋 焼酎ブームについては本企画の第3回「甲類焼酎の飲み比べ」でも学びましたね。本格(乙類)焼酎ですと、1970年代のお湯割りブーム、1980年代の麦焼酎ブーム、2000年代の芋焼酎ブームがありますよね。

 

狩野 それぞれのブームが起こった時代に、そのブームをけん引するヒット商品があったというのも焼酎の特徴ですよね。そしてブームがあったからこそ、焼酎の味わいもどんどん進化・多様化していったのです。

 

麦焼酎を飲み比べてみる

倉嶋 こうして歴史やつくり方を振り返ると、やっぱり焼酎は面白いです。焼酎王国の九州のなかでも県によって特色が違いますし。

 

狩野 多くはその土地の風土が関係してるんですよね。鹿児島や宮崎南部はシラス台地で、さつまいもが名産だから「芋焼酎」。宮崎でも北部になると、「そばや雑穀の焼酎」もあって、米どころの熊本・球磨人吉は「米焼酎」。長崎・壱岐と大分は「麦焼酎」。ということで、今回のテーマである麦焼酎の飲み比べに移りましょう。

 

倉嶋 はい! ぜひぜひ。

 

狩野 まずは、麦焼酎発祥の地である、長崎・壱岐の麦焼酎です。

 

倉嶋 これは、麦の香ばしさと、ふくよかな甘みが感じられますね!

 

狩野 米麹由来の甘い香りと麦の香ばしい香りが同時にかぎ取れて濃厚な焼酎に感じられますね。壱岐焼酎は米麹1/3、大麦2/3という原料構成がルールづけられているためか、減圧蒸留ではあるものの、すっきりさわやかというより濃厚でしっかりという印象をうけます。

 

 

倉嶋 甘味がある濃醇な味だから、水割りや炭酸割りの方がより特徴が活かされておいしいかもしれないですね。炭酸割りは、意外にチョコレートケーキとの相性もよさそうです。

 

狩野 続いて、大分の麦焼酎「知心剣(しらしんけん)」。国産二条大麦を100%使用した、全量麦麹仕込の麦焼酎です。しかも麹づくりに使われる麹菌はコクや香り豊かな酒質になる黒麹で、独自の低温蒸留を用いていること、3年以上貯蔵熟成していることも特長です。

倉嶋 「しらしんけん」は大分の方言で「一生懸命」のことですよね。うん、甘みが印象的で、酸味やボディもしっかり感じますけど、バランスがよくて飲みやすいです。

 

狩野 香りからしてインパクトがありますね。壱岐焼酎のやわらかな甘みとはまた違う、香ばしい甘みを感じます。バランスのよさは、独自の低温蒸留や長期熟成も関係しているのかな。風味はしっかりしてますけど、スイスイ飲めます。

 

倉嶋 おいしいです! この麦チョコのような甘香ばしさが、大分の麦焼酎のひとつの魅力なのかもしれません。

↑本格麦焼酎「知心剣」

 

 

狩野 次はスタンダードな麦焼酎である「よかいち<麦>白麹仕込」。やさしくまろやかな酒質に仕上がる白麹菌を使用することに加え、コクの強いタイプやすっきりしたタイプなど数種の焼酎をブレンドした、調和のとれた味わいとなっています。

 

 

倉嶋 ああ、同じ麦焼酎でも「知心剣」とは香りから違ってこれまたイイ! 味もすっきりしていて、余韻には鋭いキレを感じます。

 

↑本格焼酎「よかいち」<麦>

 

狩野 いわゆる麦焼酎の定番ですよね。甘香ばしい麦のインパクトは「知心剣」より控えめで、でもコクやキレのバランスがよく、飲み飽きないおいしさです。

 

倉嶋 確かに、万人受けしそうな味ですね。

 

狩野 最後は「琥珀のよかいち」。樫(かし)樽でじっくり寝かせた樽熟成酒を100%使用し、豊かな香りとまろやかな口あたりに仕上げられています。使っている麹は淡麗な白麹(麦麹)で、減圧蒸留によるすっきりとした余韻も特長ですね。

 

↑本格焼酎「琥珀のよかいち」<麦>

 

倉嶋 おお、これは色からして熟成の貫禄を感じます。

 

狩野 うん。まろやかな口当たりと、樽香由来のリッチな風味。洋風な食事にも合いそうです。

 

倉嶋 先ほどのふたつの麦の甘みとは違う、大人な甘みが魅力ですね。

 

狩野 そう、ウイスキーのようなニュアンスがあって。とはいってもウイスキーとは明らかに違うんですよね。アルコール度数が低いというだけでなく、どこか繊細でまろやかで。

 

倉嶋 麹で仕込むと、このなんともいえない焼酎の和のニュアンスが出るんでしょうね。それに、料理に合わせてみると、相性の広さも感じます。飲み方を変えればその幅はより広がりますし。

 

狩野 こってりした味には特に合うと思います。九州の醤油を使った甘じょっぱい料理、たとえば豚の角煮などでしょうか。脂がのっていて味付けも濃厚ですが、麦焼酎ならしっかりマッチして油っこさも切ってくれます。

 

倉嶋 お湯割りなら温度帯でも調和しますから、理にかなった組み合わせですよね。馬刺しや魚の刺身ならロックでキリッと合わせたり、チキン南蛮や鶏天には炭酸割りを合わせてさっぱり楽しんだり。

 

狩野 蒸留酒である焼酎は糖質ゼロですから、食中酒にも最適ですよね。

 

倉嶋 うれしい限りですよね。でもだからといって飲み過ぎには気を付けないと。これからもお酒とはいい付き合いをしていきます!

 

 

前回の芋焼酎編と合わせ、本格焼酎の二大原料についてじっくり学んだ倉嶋さん。次回の「意外と知らない焼酎の噺」も、ぜひご期待ください。

 

<取材協力>

薩摩おごじょ

住所:東京都新宿区新宿3-10-3 B1F
営業時間:月〜土曜日17:00〜24:00
定休日:祝・日曜日

※営業時間等に関しましては、店舗にご確認ください(取材日:2022年2月18日)

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・知心剣
https://shirashinken.jp/

・本格焼酎「よかいち」麦
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/yokaichi/mugi/

・本格焼酎「琥珀のよかいち」麦
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/yokaichi/kohaku/

 

【意外と知らない焼酎の噺】バックナンバーはこちら▼

「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】
「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】
いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺【意外と知らない焼酎の噺03】
芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺【意外と知らない焼酎の噺04】

 

 

 

あなたの街にもやって来る!? 「スーパードライミュージアムカー」&「新スーパードライ号」プロモーション、3月下旬からスタート

アサヒビールは、主力ブランド「アサヒスーパードライ」のフルリニューアルに合わせて、日本全国を巡る“新スーパードライ”のプロモーションを、3月下旬より順次開始します。

 

“新スーパードライ”を最高の品質で届ける「スーパードライミュージアムカー」の全国キャラバンが、3月25日から10月まで全国主要都市にて開催予定となっており、「スーパードライ」発売翌年の1988年に飛行開始して以来となる飛行船「新スーパードライ号」も、3月31日から5月30日まで約2か月をかけて、北海道から九州まで、日本列島の空を周遊します。

↑新スーパードライ号

 

スーパードライミュージアムカーは、同社茨城工場内にある「スーパードライ ミュージアム」の疑似体験ができる移動式のイベントカー。仮想現実(VR)技術を活用した工場見学や、スーパードライの製造工程・歴史パネルのほか、スーパードライ樽生を極めた注ぎ手の「タップエリート」が監修する、“工場できたてのスーパードライ”が飲用できるなど、ブランドの世界観を五感で楽しむことができます。

↑スーパードライミュージアムカー

 

現在発表されている全国キャラバンのエリア・スケジュールは、3月25日~3月27日に福岡エリア、4月5日~4月7日に関西エリア、4月22日~4月26日に関東エリア、4月29日~5月1日に仙台エリア、5月13日~5月15日に名古屋エリア。

 

新スーパードライ号は、スーパードライの発売当時に広告塔として運行していた飛行船「スーパードライ号」を復活させたもので、今回は「LOOK UP!JAPAN」をテーマに、日本全国を周遊し、空を見上げることで生まれる、高鳴る気持ちをつないでいきます。具体的には、飛行船と連動したTwitter投稿キャンペーンや、飛行船から空撮した動画をつなぎ合わせてホームページなどで公開するなど、気持ち高まる瞬間を盛り上げていくとのこと。

 

現在予定されている飛行スケジュールは、3月31日~4月2日に広島・松山エリア、4月4日~4月10日に関西エリア、4月14日~4月17日に福岡エリア、4月22日~4月26日に関東エリア、4月29日~5月1日に仙台エリア、5月3日~5月7日に関東エリア、5月10日に石川エリア、5月13日~5月17日に名古屋・静岡エリア、5月20日~5月22日に関東エリア、5月28日~5月30日に札幌エリアとなっています。詳細は、新スーパードライ号の特設サイトや、公式Twitterアカウント「空飛ぶスーパードライ / アサヒビール公式」(@flying_superdry)をご覧ください。

キリンが「ビール」で目指す、これまでにない新しいおいしさ。「ビールが、もう一度始まる。」とは?

3月14日、とある決意表明広告が出現した。「ビールが、もう一度始まる。」という意味深なメッセージである。定番のお酒として長く愛され続けるビール、それが「もう一度始まる。」とはどういうことなのか? メッセージの裏側にある思いをお伝えしよう。

 

ビールのおいしさの選択肢を広げる。 ビールの未来への決意

日本でビール産業が産声を上げてから約150年。その一翼を担ってきたメーカーがキリンビールだ。同社のスタンダードビールといえば「一番搾り」だが、同様に注力しているカテゴリーがクラフトビールである。キリンビールは、クラフトビールを「おいしさにこだわった造り手の感性と創造性が楽しめるビール」と位置付けており、その手間暇をかけたこだわりのおいしさには、ビールがもっと魅力的になる可能性が凝縮されていると考えている。 

 

「ビールが、もう一度始まる。」というメッセージからも、伝統と革新の両軸を重んじる姿勢がうかがえる。そして今回、メッセンジャーとして白羽の矢が当たったのが、日本を代表する俳優・吉永小百合。スケール感とキリンビールの本気度が伝わってくる。

 

この決意表明がなされた3月14日、キリンビールの堀口英樹社長は語った。ビール離れなどと言われて久しいが、ワクワクさせる何かが弱まっているのではないか。作り手がおいしさの新たな可能性を追求しきれず、消費者がビールへの興味を失ってしまったのではないか。一番愛されているお酒だからこそ、一番大胆に進化する必要がある。そう力強く訴えた、ビールの未来への決意表明ともいえるものだった。 

 

そして、その中核を担う存在がキリン渾身のクラフトビール、「スプリングバレー 豊潤<496>」である。

 

構想に10年かかった新時代のクラフトビール

「スプリングバレー」とは、キリンビールのクラフトマンシップを代表するブランドだ。素材や手間などに妥協せず、培った技術の粋を結集してクオリティのみを追求する。名称は1870(明治3)年に設立され、日本で初めて商業的に成功したビール醸造所「スプリングバレー・ブルワリー」に由来。

 

新生「スプリングバレー」の構想は2011年にスタート。そこから10年かけて誕生した、新時代のクラフトビールが「スプリングバレー 豊潤<496>」である。飽くなき探求の末、行われた試験醸造は250回(※1)。麦芽は、1888(明治21)年から愛飲される「キリンラガービール」の1.5倍もの量を使用。さらに海外の醸造家から「クレイジー」とも評された独自技術「ディップホップ製法」を採用している。

※1:この商品の特長である製法の開発にかかった試験醸造の回数

 

幾多の困難を乗り越えて生み出された味わいは、クラフトビールならではの1杯で満足できる豊潤な味わいを追求しながら、さらにもう1杯飲みたくなるおいしさが特長だ。ユーザーからの評価も高く、昨年のクラフトビールブームの火付け役となって市場は約2倍(※2)に拡大。また、同商品を筆頭に「スプリングバレー」ブランドのクラフトビールは、国内外のビアコンペティションで計69個のメダルを獲得(2021年年間 ※3)している。

※2:20211-12月期、20221月キリン調べ。インテージSRI+(業務用酒販店含む)。クラフトビール市場について:大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っています。
↑「スプリングバレー 豊潤<496>」は、ベルギーで開催される国際的なビアコンペティション「ブリュッセルズ・ビア・チャレンジ 2021」での金賞をはじめ、数々の栄冠を獲得
※3:受賞歴の詳細はこちら

 

進化した「スプリングバレー 豊潤<496>」の秘密を試飲レビューとともに解説

独自の「ディップホップ製法」を採用していることは前述したが、ホップは“ビールの魂”とも呼ばれるほどに重要。ハーブの一種であり、ビールの鮮度を保つとともに苦みや味わいをも左右する原材料である。

 

昨年の発売当時、「スプリングバレー 豊潤<496>」では、フルーティーでフローラルな品種を中心に、4種のホップを組み合わせて風味づけていたが、新たに「IBUKI」を追加。これは希少な日本産ホップであり、上品で穏やかな香りを特長としている。

↑「スプリングバレー 豊潤<496>」に使われる「IBUKI」は、貴重な日本産ホップ

 

計5種のホップを組み合わせるうえで、その香りをより印象づけるのが前述のディップホップである。具体的には、発酵過程で酵母とともにホップを同時に投入する製法だ。一般的な製法よりも豊かに香り立つうえ、クセやトゲのない、温和かつ個性的な香りづけが可能に。さらに、泡の安定化や保存性も高めてくれる。

 

また、5種のホップの配合割合を最適化し、トップからラストまで味と香りのバランスを向上。こうして「スプリングバレー 豊潤<496>」は、さらに洗練された豊潤な香りと味、スッキリとした余韻の飲み飽きないおいしさに進化した。

 

↑飲む前から鼻孔をくすぐる、甘香ばしくフルーティーなアロマ。シルキーでボリューミーな泡も貫禄十分だ

 

筆者も新生「スプリングバレー 豊潤<496>」を試飲。開封した瞬間にアロマティックな香りがあふれ、グラスに注ぐといっそう濃密な芳香を感じられる。

 

「スプリングバレー 豊潤<496>」を飲むたびに抱く感想は、“フレンドリーなおいしさ”。クラフトビールは総じて個性的であり、それが魅力でもあるが、ものによっては個性が強すぎる場合もある。その点「スプリングバレー 豊潤<496>」はバランスがよく、ドリンカビリティ(おかわりしたくなる飽きないおいしさ)が抜群なのだ。そして、この新生「スプリングバレー」は、さらにそのバランスが突き詰められている。

 

日本産ホップ「IBUKI」は、上品に華やぐフラワリーな柑橘感も魅力である。もともと「スプリングバレー 豊潤<496>」には華やかさやジューシーな風味があったが、「IBUKI」の追加でよりエレガントな香りに磨きがかかった印象も。だれが飲んでもおいしいと思える、わかりやすいクラフトビールだとあらためて感じた。

↑コク深いが重すぎず、苦みはあってもキツすぎず、余韻はすっきりしていてキレもしっかり。全体のまとまりがよく、ついつい杯が進んでしまう味わいだ

 

2021年春の発売からわずか半年で100万ケースを突破(※4)し、クラフトビール市場を約2倍に拡大させた(※5)ブームの火付け役が「スプリングバレー 豊潤<496>」。リニューアルも伴って、2022年はますます存在感を増すはずだ。ビールが、もう一度始まる。その決意にふさわしく、多くのビールファンに驚きと感動をもたらすだろう。

※4:キリンビール出荷実績(20213-9月大びん換算)2021年10月キリン調べ
※5:20211-12月期、20221月キリン調べ。インテージSRI+(業務用酒販店含む)。クラフトビール市場について:大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っています。

 

キリン 「スプリングバレー 豊潤<496>」

 

感動体験ボックスプレゼントキャンペーン開催中【3月29日(火)23:59まで】


詳しくはこちらから

 

取材・文/中山秀明 撮影/湯浅立志(Y2)

 

芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺

【意外と知らない焼酎の噺04】

日本酒と並ぶ日本の伝統的なお酒・焼酎。ただ、その製造方法などは、あまり詳しく知られていないかも。そこで、焼酎のいろはから専門的なコトまで、『古典酒場』の倉嶋紀和子編集長がナビゲーターとなって探っていきます。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です。

 

甲類焼酎の味わいの違いを学んだ前回に続く第4回のテーマは、「本格焼酎とは何か<芋焼酎編>」。第1回「焼酎って何?」で講師を務めていただいた「酒文化研究所」の狩野卓也さんから、甲類焼酎との違いや芋焼酎のつくり方、原材料、味わいなどについて伺いました。

 

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●狩野卓也(左):酒文化研究所・代表取締役。洋酒メーカー勤務などを経て、1991年に同研究所を設立。1996年より現職。酒文化及び酒類ビジネスに関する調査研究や執筆、講演活動を行っている。著書に『酒と水の話-マザーウォーター』(紀伊国屋書店、同研究所編・共著)など。
●倉嶋紀和子(右):雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名

 

「本格(乙類)焼酎」とは?

倉嶋 今回もよろしくお願いします。テーマは「本格(乙類)焼酎」の芋焼酎ということで、おさらいも兼ねてまずは「甲類焼酎」と「本格(乙類)焼酎」の違いから。連続式蒸留機で蒸留したアルコール分36度未満の焼酎が「甲類焼酎」、単式蒸留機で蒸留したアルコール分45度以下の焼酎が「本格(乙類)焼酎」ですよね。

 

 

↑単式蒸留機

 

狩野 はい。大きく分けるとその2つで、両者を混ぜた「混和焼酎」もあります。歴史をたどると、昔から日本で伝統的につくられていたのが現在の本格(乙類)焼酎。やがて明治末期に、ヨーロッパから連続式蒸留機が渡来したことで新しいタイプの焼酎、つまり新式焼酎(現在の甲類焼酎の原型)がつくられるようになりました。

 

倉嶋 甲類焼酎と本格(乙類)焼酎の原料について、規定はあるのでしょうか?

 

狩野 酒税法では、「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」と「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」それぞれについて、使用可能な原料が定められています。実は甲類焼酎でも本格(乙類)焼酎に使用される芋や麦などの原料を使用することはできるのですが、甲類焼酎は連続式蒸留によって純度を高めていくお酒なので、クリアな味わいになるサトウキビ糖蜜をベースに用いることがほとんど。そのうえで豊かな風味を付けるために、トウモロコシや麦などを原料に樽などで貯蔵した熟成酒をブレンドしたものもあります。

 

倉嶋 本格(乙類)焼酎で使用できる原料についてはどうですか?

 

狩野 本格(乙類)焼酎の主原料は、芋や麦、米、そば、黒糖、ごまなど、数が多いことは周知の通りですが、すべて酒税法で定められています。また本格(乙類)焼酎は、麹の原料に穀類か芋類を使わなければなりません。

 

●主な本格(乙類)焼酎

 

●本格(乙類)焼酎 原料別構成比

 

倉嶋 主原料については、それぞれ地域と密接につながっていますよね。沖縄の「泡盛」がタイ米ですし、奄美なら「黒糖焼酎」と、その土地ごとの特色があります。ちなみに、黒糖だけは奄美産のみ「焼酎」と認められ、それ以外の地域でつくった黒糖の蒸留酒はラムなど「スピリッツ」の扱いになるのはなぜですか。

 

狩野 そうですね。奄美群島は戦後数年間アメリカの統治下に置かれ、その際に特産品のサトウキビが本土へ輸出できず黒糖焼酎づくりが盛んになりました。しかし、日本に返還されると、黒糖原料ではスピリッツ扱いで、当時は税率が高くなるという酒税法の壁にぶつかりました。そこで、麹を使うことで奄美だけ特別に黒糖焼酎が認められたのです。

 

「芋焼酎」とはどんな焼酎なのか?

倉嶋 では、今回の本題である「芋焼酎」についてお願いします。芋焼酎はいつ頃からつくられるようになったのでしょうか?

 

狩野 ポイントはさつまいもの伝来です。諸説ありますが、日本に伝わったのは17世紀頃で、中国から琉球経由で現在の鹿児島に渡ったとか、薩摩藩の漁師が種芋を持ち帰ったと言われています。

 

倉嶋 それが薩摩の芋、つまり「さつまいも」と呼ばれるようになった由縁なんですね。鹿児島でさつまいも栽培が盛んになった理由には、地理的な条件も関係していますよね。

 

狩野 はい。火山灰などで形成されたシラス台地が多く分布する鹿児島は、稲作には不向きなのですが、さつまいもはやせた土地でも栽培できるのでうってつけでした。昔は飢饉も多かったでしょうから、重宝された食材だったと思います。加えて、アルコールは飲用される以前に軍需物資や薬品として欠かせませんでしたから、薩摩藩では芋を蒸留したアルコールの生産が行われるようになったのです。

 

↑シラス台地を作っている地層。シラスは噴火のときの火砕流や火山灰などが堆積したもの。 保水性に乏しく、やせた土壌のため農業生産性は低い

 

倉嶋 なるほど。それに、焼酎づくりはすでに九州で行われていたこともあって、鹿児島では自然と芋焼酎がつくられるようになったということですね。

 

狩野 でも、芋焼酎づくりは大変だったと思います。というのも、芋焼酎は製造がシビアなんです。

 

倉嶋 そうか! 芋は米や麦より水分や糖分が多いから腐りやすく、長期保存ができませんもんね。

 

狩野 そうなんです。では、あらためて芋焼酎の製造工程をおさらいしましょう。芋焼酎の原材料となる芋の選別と洗浄を行ったら下処理をして蒸し、細かく砕きます。次に麹と水、酵母を合わせて発酵させた「一次もろみ」に、原材料の芋と水を混ぜてさらに発酵させます。これが「二次もろみ」ですね。

次はいよいよ蒸留。本格(乙類)焼酎の場合は単式蒸留機で1回だけ蒸留し、この段階でアルコールは40度程度になります。次は雑味などを取るためのろ過を行いますが、なかには元の風味を生かすためにあえて無ろ過の焼酎もありますね。その後はタンクや甕で貯蔵をし、25度や20度といった各商品に適したアルコール度数に調整するために割り水をしてびん詰、出荷となります。

 

●本格(乙類)焼酎の製造工程

 

倉嶋 やっぱり芋は鮮度が重要ですから、基本的に収穫したらすぐに下処理してお酒にしないといけないですよね。芋の栽培時季の関係で、焼酎をつくれる期間も限られていますね。

 

↑原料芋の選別の様子

 

狩野 そうですね。栽培できる期間が短ければ生産量も少なくなり、希少品種を生むのかもしれません。芋焼酎は希少品種による限定銘柄も多いですから。

 

倉嶋 品種といえば、日本酒に酒造好適米があるように、芋焼酎には「黄金千貫(こがねせんがん)」を筆頭とした焼酎向けの品種のさつまいもがありますよね。それら品種は、焼酎にしたときにおいしくなる芋ということなのでしょうか?

 

↑黄金千貫

 

狩野 焼酎用の芋は、味だけでなく、生産効率が優れているという点でも選ばれているんです。例えば「黄金千貫」は、アルコール発酵に必要なでんぷんの含有量が豊富な品種です。ほかの品種と同じ量で仕込んだとしても、黄金千貫ならより多くの焼酎がつくれるんです。

 

倉嶋 「黄金千貫」以外ですと、「ジョイホワイト」や「シロユタカ」という品種のさつまいもを使われることが多いですか?

 

狩野 白芋の代表を挙げるとそうですね。また先ほど「焼酎にしたときにおいしくなる芋」とおっしゃいましたが、品種で味や香りの違いを出せるという点も見逃せません。そういった狙いもあって、食用でスーパーにも並ぶような「赤芋」や「紫芋」なども使われます。

 

↑赤芋

 

↑紫芋

 

倉嶋 「赤芋」や「紫芋」は限定品で多いイメージです。これらの芋で作られた焼酎は希少性も高いということでしょうか?

 

狩野 はい。最近は品種の違いによる差別化や多様化も進んでいますし、希少性を求める飲み手もいますから、いいことだと思います。

 

麹や製法の違いで生まれる様々な芋焼酎

倉嶋 では次に、麹のことを教えてください。もともと芋焼酎は「米麹」を使っていたんですよね?

 

狩野 そう、先ほど芋はデリケートという話をしましたが、麹に関しても同様で、芋はその硬さや水分量の多さから麹菌が根付きにくく麹づくりが極めて困難なため、芋焼酎に「芋麹」を使うという発想はなかったと思います。

麹をつくる麹菌にも歴史があって、明治時代頃まで、焼酎には日本酒や醤油などによく使われている「黄麹」が用いられていました。当時の南九州の芋焼酎は不味いうえ、暑い時期に腐りやすかったのですが、そこにイノベーションが起こり、より九州の気候に適した「黒麹」がつくられたんです。

 

倉嶋 なんと、九州の気候に適した麹菌ですか!?

 

狩野 「麹の神様」「近代焼酎の父」とも呼ばれる研究者・河内源一郎(※)の功績です。ヒントは、より南方の沖縄産の焼酎である泡盛にあって、その麹菌から胞子を採取して「黒麹」の分離に成功。「黒麹」は南九州の夏でも自らつくり出すクエン酸のおかげで腐敗しにくいうえ、コクや香りが豊かで、焼酎文化の飛躍に大きく貢献したんです。

 

※河内源一郎:1883年〜1948年。日本の官僚、科学者、実業家。 代々続く広島の醤油屋に生まれ、1910年に黒麹菌の培養に成功。14年後の24年に白麹菌の培養に成功し、焼酎の品質を飛躍的に向上させた。

 

倉嶋 なるほど! その後に登場したのが「白麹」ですね。

 

狩野 「白麹」も河内源一郎の研究の賜物でした。「黒麹」の突然変異で生まれ、雑菌の繁殖に強いうえ、「黒麹」より味はやさしくまろやか。こうして、「黒麹」と「白麹」が焼酎の主流となっていきました。まあ、「黒麹」の誕生は100年以上前なのでだいぶ昔ですけど。

 

倉嶋 焼酎づくりに使用される麹菌や麹には長い歴史があるんですね。麹について言えば、「米麹」はかなり昔から使われていたと思うのですが、「芋麹」はまだ新しいんですよね。

 

狩野 はい。「米麹」は奈良時代の記録にも登場しますが、1997年に誕生した「芋麹」の歴史はまだ浅く、できた当初は品質も思わしくありませんでした。以降、少しずつ技術は向上していますが、現在も「芋麹」の製造は非常に難しいとされています。事実、現在市場に出回っている芋焼酎の大半に、「芋麹」ではなく「米麹」が使われているんですよ。あまり知られてないのですが、麹まで芋の全量芋焼酎は希少なんですよね。

↑芋麹

 

倉嶋 2003年ごろには芋焼酎ブームがありましたし、そこでいっそう全量芋焼酎もクローズアップされましたよね。

 

狩野 そうですね。全量芋焼酎もそうですが、ブームによって様々なタイプの芋焼酎が日の目を見る好機となりました。例えば「甕(かめ)貯蔵」の芋焼酎とか。

 

↑芋焼酎を貯蔵する甕(かめ)

 

倉嶋 甕貯蔵焼酎もおいしいですよね! 甕の呼吸作用によって、よりまろやかな味わいになると聞いたことがあります。

 

狩野 甕貯蔵は昔ながらの製法ですが、芋焼酎のブームによって息を吹き返した印象があります。同じく甕を使う製法としては、甕で麹を仕込み、さつまいもと合わせて発酵させる「甕仕込み」もあります。

 

↑甕仕込み

 

倉嶋 甕仕込みは、甕を地中に埋めて仕込むので広い平屋のスペースが要りますし、手間もかかりますよね。

 

狩野 微生物の影響などを上手にコントロールする高い技術も必要ですしね。でもだからこそ、甕仕込みでしか出せない複雑味のあるおいしさが珍重されるのでしょう。

 

芋焼酎を飲み比べてみる

 

狩野 芋焼酎といっても、原料芋の品種や製法の違いで様々な種類があることをお話しましたが、それぞれ味の特徴は実際に飲み比べるとよりわかると思います。

 

倉嶋 はい! お待ちかねの飲み比べですね。よろしくお願いします!

 

狩野 まずは「黒甕」を飲んでみましょう。その名の通り、黒麹菌でつくった米麹を使用し、甕仕込みした芋焼酎です。

 

 

倉嶋 おいしい! さすがの香り高さで、力強い印象です。

 

狩野 これぞ黒麹といえる、ふくよかなボディとコク。わかりやすい芋焼酎のおいしさですね。

 

倉嶋 私は熊本出身ですけど、九州人にとってはどこか落ち着くというか。これぞ芋焼酎という堂々とした味わいだと思います。

 

狩野 良い意味での芋らしいクセがあって、この風味が芋焼酎の魅力ですよね。

 

倉嶋 おっしゃる通り! 味は洗練されているけど、懐かしさを覚える味。料理はそう…甘いお醤油を使った料理が欲しくなるおいしさで。

 

狩野 ああ、九州の甘い醤油ね! なるほど、確かに合うと思います。

次は全量芋焼酎の「一刻者(いっこもん)」です。技術的に難しい芋麹を使用している珍しさだけでなく、味わいの面でも芋100%ならではのおいしさを実現した名作です。

 

 

倉嶋 居酒屋でもおなじみの銘柄ですよね。うん、華やかな香りが素晴らしい!

 

狩野 ええ。すごくフルーティーな香り高さです。

 

 

倉嶋 風味とコクのバランスもよく、飲み口はすっきりでキレ味が抜群。上品な芋焼酎ですね。

 

狩野 全量芋焼酎といっても、芋らしさが伝わらないとまた飲みたいとは思わないですよね。その点「一刻者」はすごく納得できる、説得力のある豊かな芋の味と香り。では、同じ銘柄でも芋の品種が違うとどう変わるか比べてみましょう。次は「一刻者」〈赤〉です。

 

倉嶋 通常の「一刻者」の原料は白芋である黄金千貫で、「一刻者」〈赤〉は赤芋ですよね。

 

 

狩野 芋は南九州産の赤芋を使っています。違いはどうでしょう?

 

倉嶋 うわー! 香りに甘味があって、濃厚な感じです。先ほどの「一刻者」にも甘みを感じましたが、こちらはよりボリューミー。それでいて口当たりはまろやかで、やさしさも感じます。

 

狩野 うん。香りのよさはさすがですね。甘みとともにうまさの厚みを感じます。

 

倉嶋 どこか紅茶のようなニュアンスを感じます。茶葉の甘みのような。

 

狩野 なるほど、茶葉とはいい表現ですね。上品な甘みは紅茶に通じるかもしれないですね。

 

倉嶋 お湯割りにすると、より味がふくらむかも。焼酎を飲み慣れていない人にも、すごくなじみやすいと思います。

 

狩野 そうですね。「一刻者」〈赤〉はお湯割りにすると、甘みの個性がいっそう広がる気がします。

 

倉嶋 同じ芋焼酎でも、品種や麹でここまで味や香りが変わるのはすごく面白いです。最近ですと、ライチのような香りがする芋焼酎もありますし。どうやってあんなフルーティーな香味ができあがるんでしょうね?

 

狩野 特徴的な品種を使ったり、芋を熟成させたりと、意欲的な試みで新しい技術を採用していると思うのですが、工夫は様々でしょう。

 

倉嶋 フルーティー焼酎みたいな、新たな香りのトレンドが生まれているのかなぁ。かなり期待しています。

 

狩野 焼酎もここまで来たか!ってね。では、まさにそのフルーティーな焼酎としてうってつけの最新の芋焼酎を飲んでみましょう。発売されたばかりの銘柄で、その名は「ISAINA(イサイナ)」。“異才な”芋焼酎らしいですよ。まずはロックでいただきましょう。

 

 

倉嶋 ネーミングやデザインからして横文字のイメージで、新時代の到来を予感させますね。どれどれ…あっ!香りがすごく面白い。焼き芋のような感じがしますね。

 

狩野 嗅いだ瞬間はなんだか不思議ですよね? 芋だといわれればなるほどとも思いますが、果実のニュアンスも豊かですし。

 

倉嶋 味はどこか甘酸っぱさを思わせるフルーティーさを感じます。

 

狩野 炭酸で割ると、もっと果実のような香りが開きますよ。

 

倉嶋 ほんとだ! 炭酸割りだとまさにリンゴの香りですね。不思議と味がしまるうえ、凝縮感も出てきます。ロックで飲んだ時と全然ちがう!

 

狩野 飲み方でキャラクターがガラッと変わるのも面白いですよね。炭酸割りにも非常に適した味わいだと思います。

 

倉嶋 これは驚きです。私の知ってる芋焼酎ではないですね。新鮮!

 

狩野 そう。今までにない味だから、芋焼酎が好きな人でもインパクトのあるおいしさ。でも、だからこそ新しくて面白いんです。しかもこちら、麹まで芋で「芋100%」なんですよ。

 

倉嶋 へえ~「一刻者」と同じ、全量芋焼酎なんですね! でも同じ芋麹でも「一刻者」とは異なるフルーティー感で、「ISAINA」には、また新しいおいしさがあります。

 

 

狩野 ただ個性的な味わいというだけではなく、ちゃんとおいしさを追求している点はさすが。僕が「ISAINA」を飲むなら、食中は炭酸割りで、食後はロックやストレートかな。

 

倉嶋 私もそうですね。スパークリングワインのような華やかさと果実味があるけど、後口がすっきりでクイッといけて。飲み方を変えれば、より爽やかなジューシー感が楽しめます。

 

狩野 「ISAINA」は先日発売されたばかりですし、今年の芋焼酎業界における期待のルーキーですね。

 

倉嶋 はい、大注目の銘柄です!

 

本格(乙類)焼酎ブームの火付け役である芋焼酎。その大きな魅力は、原料芋の品種や製法などでキャラクターが多彩に広がる味と香りのバリエーションだといえるでしょう。次回は芋焼酎同様に、人気が高い本格焼酎<麦焼酎編>をお送りします。

 

 

<取材協力>

薩摩おごじょ

住所:東京都新宿区新宿3-10-3 B1F
営業時間:月〜土曜日17:00〜24:00
定休日:祝・日曜日

※営業時間等に関しましては、店舗にご確認ください(取材日:2022年2月18日)

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・全量芋焼酎「一刻者」・「一刻者」<赤>
https://www.ikkomon.jp/

・黒麹かめ仕込 本格芋焼酎「黒甕」
https://www.takarashuzo.co.jp/kodawarigura/kurokame/

・全量芋焼酎「ISAINA(イサイナ)」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/isaina/

 

【意外と知らない焼酎の噺】バックナンバーはこちら▼

「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】
「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】
いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺【意外と知らない焼酎の噺03】

複雑すぎて「もうひと口…」が止まらない! 日本酒好きが認める蔵の「2万円のスパークリング」試飲レポート

山梨県の白州といえば、サントリーの蒸留所があることから、ウイスキーを連想する方が多いはず。そんな白州には、1750年に創業され272年の歴史を持つ「山梨銘醸」という日本酒の蔵元があります。山梨銘醸の銘柄は「七賢(しちけん)」で、その看板商品は高価格帯のスパークリング日本酒です。

 

七賢はスパークリング日本酒の分野において、常に新たな挑戦をしているブランドとして、日本酒好きの間では広くその名を知られています。そのラインナップのなかでも注目なのが、3月1日から発売されている「七賢 EXPRESSION 2006」という商品。そのお値段は、税込なんと2万2000円! 今回、その超プレミアムなお酒を幸運にもいただくことができたので、ぜひその味わいをご紹介したいと思います!

↑「七賢 EXPRESSION 2006」の内容量は720mlでアルコール分は12%

 

山梨県立美術館とコラボし、ミレーの「種をまく人」をラベルにデザイン

ワインボトルに付けられたラベルは「エチケット」と呼ばれますが、エチケットにもワインの個性が現れます。一見するとワインボトルに見える「七賢 EXPRESSION 2006」でも、最初に注目したいのはそのラベル。ラベルにプリントされているのは、かの有名な「種をまく人」。19世紀のフランスの画家でありバルビゾン派の一人でもある、ジャン=フランソワ・ミレーの作品です。

↑「種をまく人」のラベル。山梨県立美術館が撮影したミレー作品の超高精細画像をもとに、グラフィックデザイナーの葛西 薫・中山智裕の両氏がパッケージデザインを手がけた

 

ノルマンディー地方のグリュシーで生まれたミレーは、34歳でバルビゾン村に移住し、以降は農民たちの姿や自然の風景を力強く描きました。そんなミレーの絵からインスピレーションを受け、七賢の醸造家・北原亮庫(りょうご)氏が「エネルギッシュ」「ダイナミック」「躍動感」といったキーワードのもと、「七賢 EXPRESSION 2006」を生み出しました。

 

七賢はこれまでにも、1980年代にニューヨークで活躍したアーティストのキース・ヘリングとコラボしたスパークリング日本酒を3か年に渡って発売するなど、アートとの関わりは密接。2022年からの3か年は、ミレー作品を数多く所蔵する山梨県立美術館とコラボし、ミレーの絵からインスピレーションを受けたスパークリング日本酒を発売していくそうです。

↑醸造家・北原亮庫氏(左)と代表取締役社長・北原対馬氏(右)

 

きめ細やかな泡はまるでシャンパン!

ラベルをしっかり眺めたら、さっそく「七賢 EXPRESSION 2006」を試飲してみましょう! あ、キャップはコルク栓なんですね。それだけでも高級感が感じられます。

↑金属のワイヤーがかかったコルク栓

 

せっかくなのでワイングラスに注いでみると、きめ細やかな泡がシュワシュワと現れては消えていきます。おお、見た目はほとんどシャンパンですね! シャンパンは瓶内二次発酵させることで炭酸が発生させるのですが、「七賢 EXPRESSION 2006」でも同様の瓶内二次発酵を行っているそう。瓶内二次発酵とは、最初に造った(一次発酵させた)お酒を詰めた瓶のなかに酵母や糖を追加し、密閉した瓶内で再度アルコール発酵を行うこと。炭酸ガスが閉じ込められるため、開栓時に発泡します。炭酸ガスを注入する方法と違って手間がかかりますが、きめ細かく、持続性がある泡が楽しめるという特徴があります。

↑細かい泡が立ち昇る!

 

仕込み水に古酒を使い、二種類の酵母を使った個性的な1本

グラス越しに見ると、お酒にはうっすら色がついています。これは2006年のコンテストに出品するために作られた大吟醸の古酒を使っているから。七賢ではしっかりと熟成・管理した古酒を「七賢 EXPRESSION 2006」の仕込み水の一部に使用しており、それだけでもオリジナリティ溢れる1本となっているんです。

↑うっすらと色づいているのは古酒を使用しているから。水の全量に古酒を使うのではなく、バランスを考えて一部に使用しているとのこと

 

グラスを近づけ、立ち昇る香りはフワッと華やかな印象。さっそく口に含んでみると、穏やかな炭酸がシュワシュワと口に広がります。ほどよい炭酸が食欲を刺激してくれそう。「古酒」と聞くと、少し個性が強いお酒をイメージしていたのですが、本品は米のうまみや甘みとともに、洋ナシや青リンゴのような果実味が感じられ、ほのかな香ばしさもあるように思えます。かといって口に残るわけではなく余韻がスッと消えるので、もうひと口、もうひと口……と進みたくなる不思議なおいしさがあります。

 

この複雑な味わいは、古酒を使ったことに加え、2種類を使ったという酵母の働きでもあるでしょう。なんでも協会7号酵母で穏やかさを、協会1801号酵母で華やかさを表現したそうです。さらに、先述の北原亮庫氏によると、「熟成による味わいで干し草のようなニュアンスがあります。桃のコンポートや完熟メロンのような甘み、さらに山椒のような香りも。余韻は丸く穏やかです」とのこと。口に含んでからの味わいの変化が楽しめる、深みのあるスパークリング日本酒といえるでしょう。

 

アルコール分は12%となっており、通常の日本酒(15~16%前後)よりも低めとなっています。これなら乾杯酒としても楽しめるので、和食はもちろん、フレンチなど洋食との相性も良さそう。ハレの日に楽しむお酒として、日本酒が好きな人だけでなく、ワインが好きな人にもぜひ一度飲んでいただきたい1本です!

↑桐の箱に入った高級感漂う1本。贈り物にもぴったりですね

 

甘さ控えめで低カロリー&低糖質! アメリカ発、炭酸水のようなお酒「ハードセルツァー」

2022年の「フード」のトレンドをプロが分析。コロナ禍を経て、非接触や健康に関連した分野がさらに伸長。外食では新たな上陸系グルメが注目されたり、ユニークなシステムの飲食店が増えたりと、“新体験”がキーワードだ。今回は、アメリカ発の炭酸酒「ハードセルツァー」を紹介。

※こちらは「GetNavi」2022年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【ハードセルツァー】炭酸水のような飲み口の米国発のトレンド酒

甘さ控えめで低カロリー、低糖質なフレーバー炭酸酒のこと。数年前にアメリカで人気に火が付き、日本にも徐々に浸透中。追随商品に注目が集まる。

 

【ヒットアナリティックス】フレーバーウォーターを感じさせる澄んだ味わいが新しい

果汁量や濃厚さにこだわったチューハイをジュースに例えるならば、ハードセルツァーはフレーバーウォーターのような立ち位置。甘くない軽口のRTDはまだ市場に少なく、求める人は多そうだ。

 

この秋日本に上陸した陽気で爽快なフレーバー酒

RTD

2021年9月発売

コカ・コーラシステム

トポチコ ハードセルツァー

実売価格165円

世界20か国以上で展開する同社初のアルコールのグローバルブランド。甘くないすっきりとした味わいで、カロリーや糖質を抑えている。アサイーグレープ、タンジーレモンライム、パイナップルツイストの3フレーバー展開。関西地方限定販売。

 

日本人好みに作られた炭酸水感覚で飲める無糖のRTD

RTD

2021年8月発売

サッポロビール

ウォーターサワー

実売価格155円

アメリカのハードセルツァーをヒントに、日本の消費者ニーズに合わせて設計。無糖で甘くなく、炭酸水感覚で楽しめるのが特徴だ。レモン(左)とオレンジ(右)があり、アルコール度数は3%と控えめ。

 

私が解説します!

フードライター

中山秀明さん

食のトレンドに詳しい。今回触れていないが「スシブヤ」など店名が横文字の“カタカナズシ”にも注目している。

アニバーサリー販促企画も期待大! 発売から50周年を迎えた「ふなぐち菊水一番しぼり」

2022年の「フード」のトレンドをプロが分析。コロナ禍を経て、非接触や健康に関連した分野がさらに伸長。外食では新たな上陸系グルメが注目されたり、ユニークなシステムの飲食店が増えたりと、“新体験”がキーワードだ。今回は、1972年発売の“コンビニ最強酒”「ふなぐち50周年」について。

※こちらは「GetNavi」2022年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【ふなぐち50周年】濃醇旨口の“コンビニ最強酒”がアニバーサリーイヤー

生原酒ならではのウマさで人気の日本酒「ふなぐち菊水一番しぼり」。発売から50年経ってもなおファンを魅了する変わらないおいしさに注目が集まること間違いなし!

 

【ヒットアナリティックス】周年を祝う販促企画で新たなファンが増える

本品の魅力は、ひと口で酒好きを虜にする濃醇旨口な味わい。50周年で蔵元も様々な販促企画を繰り出す可能性があり、そこから新たなファンが増えると予想される。レトロなパッケージデザインも若者ウケしそうだ。

 

日本初の缶入り生原酒をラインナップし“生のウマさ”を全国流通させた

日本酒

1972年発売

菊水酒造

ふなぐち菊水一番しぼり

実売価格314円(200ml缶)、784円(500ml缶)、2369円(1500mlスマートパウチ)

酒蔵を訪れた人だけに振る舞われていた生原酒を、全国流通させることに成功した、日本初の缶入り酒。累計出荷数は3億本を超える。新潟県産の米と水を使い、コクの強いフレッシュな濃醇旨口だ。

 

私が解説します!

フードライター

中山秀明さん

食のトレンドに詳しい。今回触れていないが「スシブヤ」など店名が横文字の“カタカナズシ”にも注目している。

福島の伝統工芸職人と、台湾のクラフトビール界を牽引するメーカーの出会いで誕生! “二重構造”ビアタンブラー&クラフトビール

セメントプロデュースデザインは、福島県の伝統的工芸品「大堀相馬焼」と、台湾のクラフトビールメーカー「臺虎精釀(タイフーブルーイング)」を繋ぎ、共同開発したプロジェクト「福虎添藝(フーフーテンイー)」を企画し、プロジェクト全体をプロデュース。同プロジェクトから誕生したビアタンブラーとクラフトビールを台湾と日本にて発売します。

 

福島県「ふくしまみらいチャレンジプロジェクト」の事業にて、昨年度の大堀相馬焼4窯元と行なった企画展「ひびのもよう」に続き、今年度は海外進出をテーマにスタート。台湾デザイン研究院(TDRI)の協力により臺虎精釀と出会い、セメントプロデュースデザインの企画・プロデュースのもと、日本と台湾が異文化交流の枠をこえたコラボレーション企画が誕生。一年近くの開発期間を経て、日本と台湾の「食文化×器文化」の文化交流にはじまり、二つのクラフト(技術)を高め合い、ビアタンブラーとクラフトビールを制作しました。

↑制作窯元は左から「あさか野窯」「陶徳窯」「いかりや商店」「京月窯」

 

プロジェクト名の「福虎添藝」は、福島県の頭文字を表す“福”と臺虎精釀のアイコンである“虎”を掛け合わせたネーミング。中国語のことわざにある「如虎添翼(ルゥー フゥー ティェン イー)」、日本語で「まるで虎に翼をつけたようである」が語源となっており、大堀相馬焼と臺虎精釀が出会い、器と食の文化交流に止まらず作り手としての技術を高め合い、より一層良いものをつくっていくという想いが込められているとのこと。

 

陶器ビアタンブラーは、大堀相馬焼の伝統的技法である「貫入(ひび割れ)」「二重構造」「駒の絵」から、臺虎精釀とともに二重構造に着目。クラフトビールをよりおいしく飲めるように保温・保冷効果がある二重構造と、香りをより際立たせる瓢箪(ひょうたん)型の丸みを帯びた形状をデザインしています。制作窯元は、郡山市「あさか野窯」「陶徳窯」、白河市「いかりや商店」、福島市「京月窯」。税込価格は7700円。

 

クラフトビールは、臺虎精釀によって、福島県の日本酒をイメージし、日本酒造りで欠かせない麹菌を使用。台湾の最高級米・池上米と日本酒米麹を使用し、100%自然発酵でさわやかな香りのビールに仕上がっています。ラベルは各窯元のビアタンブラーの釉薬を表現し、日本や福島らしさを取り入れたデザインです。台湾では既に発売されていますが、日本では輸入の関係上、4月上旬の発売が予定されています。

蛇口をひねるとお酒が出てくる! レトロな雰囲気もオシャレな「蛇口酒場」

2022年の「フード」のトレンドをプロが分析。コロナ禍を経て、非接触や健康に関連した分野がさらに伸長。外食では新たな上陸系グルメが注目されたり、ユニークなシステムの飲食店が増えたりと、“新体験”がキーワードだ。今回は、レトロな雰囲気も魅力的な「蛇口酒場」を紹介する。

※こちらは「GetNavi」2022年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【蛇口酒場】ひねればそこから酒が出る夢のような飲食店が急増

 

蛇口酒場をはじめレトロな雰囲気の酒場が人気

外食では、酒が出る蛇口を全席に設置した店が盛り上がっている。

「蛇口から酒を注ぐという見た目のインパクトだけでなく、店員を呼ばずにおかわりできるという利便性でも人気です。蛇口酒場もそうですが、外食では引き続きレトロ回帰がトレンド。なかでも最近は装飾にネオンを使った店が増えています。外食だけでなく、流行りの若手バンドのPVにもよく登場するので注目ですよ」(中山さん)

 

【ヒットアナリティックス】飲めば飲むほど安くなるうえ待たずに楽しめる

回転寿司の給湯装置のように、飲みたいときに注げるのが特徴で、高コスパな飲み放題制を導入する店がほとんど。多いメニューはレモンサワーとハイボールだが、焼酎を扱う店も増えている。

 

宝焼酎がなんとタダ! 卸直送ホルモンも美味

焼肉店

2021年11月新装オープン

リカー・イノベーション

食肉卸直送・大衆焼肉ばりとんっ

豚肉を一頭買いして卸から直送し、弱酸性電解水で処理し新鮮なまま提供。これを、全卓に設置された蛇口から出る宝焼酎とともに楽しめる。焼酎は、割り材を注文すれば何杯飲んでも定額。

 

 

熟成ラムのジンギスカンと飲み放題ハイボールで乾杯

ジンギスカン焼肉店

2019年7月オープン

一家ダイニングプロジェクト

大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん

全卓に、飲み放題(1時間550円)のハイボール蛇口を設置。メニューの名物であるジンギスカン(一人前セット968円)とともに、お得な晩酌を楽しめる。東京都、神奈川県、千葉県で計11店舗を展開中だ。

 

 

CHECK! “ネオン”を設置した酒場も増加中!

飲食業界の一大ブームが、レトロな雰囲気を醸し出すネオンの照明だ。元祖と言われるのが、2016年に開業した大阪府の「大衆食堂スタンド そのだ」。2021年9月には東京都・五反田にも出店し、業界でも話題を集めている。

 

 

私が解説します!

フードライター

中山秀明さん

食のトレンドに詳しい。今回触れていないが「スシブヤ」など店名が横文字の“カタカナズシ”にも注目している。

1杯にここまでこだわったレモンサワーがあったか!? 中村アンも驚いた、新「麒麟特製」のつくり方とおいしさの秘密を開発者に直撃

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「とりあえずレモンサワー!」と1杯目から楽しむ人が増えている昨今。レモンサワーはレモンをぎゅっと搾っただけでできる“お手軽なチューハイ”というイメージのなかで、異彩を放つ存在がある。ブランド累計販売数量が5億本(※1)を突破した「麒麟特製 レモンサワー」だ。いったいどこまでやるの!? どうしてそこまでやるの!? 女優・中村アンも驚いた、そのこだわりぶりに迫っていこう。

※1:250ml換算(20204月リニューアル以降の累計販売数量) 


キリン 麒麟特製 レモンサワー

 

え、ただレモンを搾ってるだけじゃないの!? 中村アンが驚いた「麒麟特製レモンサワー」の味づくりの秘密

動画『中村アンが麒麟特製つくってみた篇』のなかで、中村アンさんが「麒麟特製 レモンサワー」のこだわりを実体験。「レモン搾るのってけっこう大変なんだなぁ」「(凍結レモンピールを削りながら)ハッ冷たいっ!」「12時間も煮込むの……」と、おいしさを生み出すための妥協を許さないこだわりに脱帽している姿が印象的だ。そしてラストの「そりゃ、美味しくなるわけだ。」の表情からは、彼女の納得感がよくわかる。

 

では、中村アンさんも驚いたこだわりの製法は、実際どのような味を生み出したのだろうか? 開発を担当した、キリンビールの松田莉央子さんに話を聞いた。

キリンビール マーケティング部 商品開発研究所/松田莉央子さん 「麒麟特製」ブランドは発売当初より担当。マーケティングから中味まで、商品の研究や開発を行っている

 

1.柑橘を12時間煮て味に厚みをもたらす「うまみエキス」

「麒麟特製 レモンサワー」をはじめ、「麒麟特製」ブランドすべてのフレーバーに使われているのが「うまみエキス」。これは複数の柑橘を12時間以上煮詰めたエキスで、その名の通りうまみを抽出して味の全方位に厚みをもたらしている。一般的なサワーには用いられない素材だが、その発想は「ビールやワインのような深いコクを、サワーでも表現できないか?」という思いから生まれたのだとか。

 

「サワーならではのクリアな味わいとともに、ふくよかなコク深さも表現したいと思いました。うまみによって味全体の輪郭を豊かにし、また嫌なアルコール感を抑えて飲みやすくするためにも『うまみエキス』が寄与しています」(松田さん)

 

12時間以上も煮詰めるという製法は、料理から着想を得たという。熱を加えることで、素材が持つ味わいのなかからコクや深みを引き出す。ジャムや、フルーツコンポートのようなイメージだろうか?

 

「そうですね。例えばアップルパイのりんごはシャキシャキな甘酸っぱさではなく、焼くことでりんごの酸味が穏やかになった、コクのある甘酸っぱさですよね。このような果実の魅力を、柑橘を煮込むことでサワーにプラスしたいと思いました」(松田さん)

↑果実に熱を加えることで、生の果実そのものにはない新しいおいしさを生み出したという(写真はイメージ)

 

2.レモンの多様なおいしさを表現する「レモン果汁」

レモンサワーにとって、きわめて大切な要素がレモン果汁だ。「麒麟特製 レモンサワー」では「磨きレモン果汁」に「まるごと搾り果汁」と、異なる2種の果汁を採用。それぞれの違いや、合わさることでどのような味になるのだろうか?

 

「『磨きレモン果汁』は爽やかで澄んだ酸味を。『まるごと搾り果汁』は、よりはっきりとしたレモンの香りに加え、レモンの果皮も含んでいるのでほろ苦さももっています。タイプの異なる果汁を調合することで、1種類の果汁では引き出せない複層性を生み、立体的なレモン感を実現しました。最初から最後まで、飲む経過とともにレモンの多様な風味を感じていただけると思います」(松田さん)

↑「磨きレモン果汁」に「まるごと搾り果汁」と、味わいの異なるレモン果汁を用いることで、レモンの香りや酸味だけでなく、心地よいほろ苦さや豊かな味わいも表現(写真はイメージ)

 

3.爽やかな風味を引き出した「凍結レモンピールエキス」

そして今回のリニューアルで新たに加わったエキスが「凍結レモンピールエキス」。厳選したレモンから果皮をはがしてすぐに凍結させ、丁寧にすりおろしてから低温で抽出したエキスである。こちらについても、素材の特長やレモンサワーの味への効果を聞いた。

 

「レモンがもつ魅力を、よりはっきり出したいと思い『凍結レモンピールエキス』に着目しました。厳選したレモンの果皮を凍結することで、香り高いレモンの風味を保ったまま引き出すことができます。また、低温でエキスを抽出することで、レモンピールの苦みや雑味をカットしています。それによって、爽やかなレモン感を高めつつ、雑味や苦みのない、よりクリアなレモンのうまみをつけることができました。こうして今回のリニューアルでは、さらに多彩なレモンのうまみを商品に込めることができ、いっそうおいしい『麒麟特製 レモンサワー』になりました」(松田さん)

↑厳選したレモンの果皮をまるごと凍結。豊かな味わいと香りが閉じ込められている(写真はイメージ)

 

複数の製法と多様なレモンの味わい表現。個性的な素材が合わさることで「麒麟特製 レモンサワー」のおいしさが生み出されているとのことだが、これだけこだわりが詰まっているとぶつかり合ってしまうことはないのだろうか?

 

「それぞれが独自の魅力をもっているので、使い方は苦労しました。例えば『まるごと搾り果汁』はレモンのしっかりした味を出せるのですが、レモン果皮由来の苦みもあるので扱いが難しい素材です。もちろんほかの素材も同様で、配合が少し変わっただけでも狙ったおいしさにはなりません。バランスに関しては常に意識しました」(松田さん)

 

各素材に関しても、酸味の種類、甘さの濃淡、レモンの質や香りのボリュームなどは異なる。それら一つひとつ、どういう素材を採用して組み合わせればよいかも考えて味覚設計したと松田さんは言う。

 

「バランスのよさは飲みやすさでもあり、おいしさに直結します。どう組み合わせたらお客様が求める味わいにつながるのかを考えながら足し引きを繰り返して調和させ、新しい『麒麟特製 レモンサワー』が完成しました」(松田さん)

 

目指したのは、心地よく幸せなひとときをつくるレモンサワー

いくつもの製法による特別な素材を調和させ、手間と時間をかけて作られた「麒麟特製 レモンサワー」。ここまでこだわったサワーは珍しい。どのような市場のニーズから生まれ、そして今回のリニューアルへ至ったのだろうか?

 

「数年前からレモンサワーブームが続く中、自宅でレモンサワーを楽しむお客様が増えています。その中でも、『より品質がいいもの、おいしいものを飲みたい』『自分のお酒を飲む大切な時間を楽しみたい』といったニーズは高まっていると考えています。その声にお応えできる、幸せな時間を過ごしてもらえる上質なお酒をつくりたいという思いが『麒麟特製 レモンサワー』の原点にあります」(松田さん)

 

ブームに伴って店の棚には多くの商品が並び、その味は“レモンサワー”といっても様々。アルコール度数が低かったり高かったり、無糖だったり濃厚タイプだったり。それは消費者の嗜好が多様化しているからといえるだろう。そのなかでも、「麒麟特製」のとことんこだわった上質なおいしさは異色な存在であるとともに、市場にもインパクトを与え大ヒットとなったのだ。

 

「飲用シーンとしては、食事にマッチすることはもちろん、食後などにそのまま飲んでも満足する味として設計しています。また、上質感のあるおいしさで、お客様自身に心地よく幸せな気持ちになっていただき、明日も頑張ろうと思えるレモンサワーを目指しました。味づくりにはこだわりつつ、商品はお客様自身が心地よい時間を過ごすための“そばに寄り添う脇役” 的な存在になれたらいいな、と思っています」(松田さん)

 

飲み手が主役になるためには、おいしさのインパクトはありつつも、酸味やボディといった個々の要素が過度に立たないように。この味覚設計はバランスのよさにも通じる。それもあって、「麒麟特製 レモンサワー」はアルコール度数が9%でありながら嫌なアルコール感がなく、深みがありじっくり飲みたくなる味わいに仕上がっているのだ。

 

レモンサワー市場をけん引する存在に

市場に様々なレモンサワーがあふれるなか、“上質でうまいレモンサワー”という無二のポジションを築き大ヒットしている「麒麟特製 レモンサワー」。商品コンセプトに「日本のレモンサワーを、新しく。」(※2)を掲げる理由にも納得だ。

 

2022年を迎えてさらにおいしく進化し、レモンサワートレンドのネクストステージをけん引する存在ともいえる。あらゆる食シーンに、そしてくつろぎのチルタイムに、ぜひゆっくり味わっていただきたい。

※2:麒麟特製が目指す姿勢

「麒麟特製レモンサワー」について詳しく知りたい方はこちらへ

 

取材・文/中山秀明 撮影/湯浅立志(Y2) 撮影協力/EASE

 

広告主:麒麟麦酒株式会社 広告主住所:〒164-0001 東京都中野区中野4-10-2 中野セントラルパークサウス 代表者:代表取締役社長 堀口 英樹 電話番号:03-6837-7002

静岡限定樽生「静岡麦酒」が缶になった! サッポロ静岡工場謹製“静岡のための缶ビール”数量限定・静岡県内限定で発売

サッポロビールは、静岡県内限定で樽生ビールとして販売している「静岡麦酒(しずおかばくしゅ)」の缶商品を、4月19日に数量限定で発売します。

 

同商品は、同社の静岡県出身者が中心となって「静岡県の食材や料理にぴったりの、静岡県の乾杯にふさわしい、静岡県のためのビール」として、2013年2月23日「富士山の日」に販売を開始した、普段は静岡県内の飲食店でしか味わえない樽生ビール。今回は数量限定で、自宅などで楽しむことができます。

↑静岡麦酒(350ml)

 

同社の「静岡県をいちばん愛するビール会社になろう」という思いから、静岡県の「食」や「風土」との相性を追求し、静岡県の「おいしい」と調和することを目指したビールで、同社静岡工場で製造しています。麦芽100%の味わいと、きめ細かい泡、爽やかな後味が特徴です。

↑静岡麦酒(500ml)

36年目で初のフルリニューアル! 新「アサヒスーパードライ」はどんな味? 料理との相性もチェック!

日本を代表するビールのひとつ「アサヒスーパードライ」が、誕生36年目(1987年より発売)にして初のフルリニューアルを行ったことをご存知でしょうか? 2022年2月21日から新バージョンが全国出荷されています。

↑新しくなった「アサヒスーパードライ」350ml缶で207円(税込、ライター調べ)。味やデザインなど、変わったポイントを中心に解説します

 

そこで、旧バージョンと比較しながらどこがどう進化したのか、どんな料理が合うのかをレポートします。

 

“辛口”らしさはそのままに、明るく鮮やかな爽快感!

やはり一番気になるのは味。ということで、まずは新旧で飲み比べてみます。事前情報によると、中味の処方を初めて変更し、キレのよさは維持しながら飲みごたえを向上させたとか。

↑左が新で、右が旧。側面の栄養表示成分をチェックすると、数値はともにまったく同じです

 

また、麦汁の煮沸が終了する直前にホップで苦味と香り付けをする「レイトホッピング製法」の採用により、ほのかなホップの香りを新たに付与。さらに発酵開始時の酸素量を制御し、酵母の働きを調整することで発酵由来のビールらしい香りを向上させたのが主な変更点です。

↑それぞれグラスに注いでじっくりチェック(左が新作)。缶のデザインも多少変化があり、こちらについては後述します

 

新旧飲み比べた第一印象は、晴れ渡るような爽快さです。ドライでシャープな辛口の魅力はそのままに、新しいほうはホップの苦みに加えてすがすがしい香りがくっきり。また、ゴクッと飲んだときのアタックに厚みが増し、このボリューム感が余韻のスカッとしたキレをいっそう強く感じさせてくれます

↑味の特徴が、より明るく鮮やかに。「キレのよさは維持しながら飲みごたえを向上」という主張にも納得です

 

味わいのあとはデザインの変更点をチェック。新バージョンは、マットとツヤありの異なる質感のメタリックでシルバーを表現。そのうえで文字情報を減らしつつ、ロゴなどはサイズの大小でメリハリをつけることで、「Asahi」と「SUPER“DRY”」の視認性を向上させています。

↑左の新バージョンでは麦の穂のイラストがなくなり、八角形の黒い縁が淡くソフトなタッチになったことなども変更点です

 

また、新バージョンの裏ラベルには「新スーパードライ、始まる。」というメッセージとともに、味わいを視覚的に表現したグラフが描かれていることも特徴。このグラフは「辛口カーブ」というものだそうで、アサヒビールの一般的なビールとの違いもわかりやすく説明しています。

↑新バージョンの裏面。飲みごたえとキレが向上したことを、グラフを使って視覚的に伝えています

意外な組み合わせ、「海鮮丼」や「チョコケーキ」との相性をチェック!

「アサヒスーパードライ」といえば、日本で最も飲まれているビール。いわば、“最も間口が広い”ともいえそうですが、あえてビールのアテっぽくない料理でもしっかり合うのかチェックしました。

 

ひとつはサーモンとイクラの親子海鮮丼。この時季、ひなまつりのお祝いでちらし寿司を食べる家庭はあると思いますが、濃厚かつ魚介の風味も強いサーモンイクラは「アサヒスーパードライ」とマッチするのでしょうか?

↑つまみというより食事のイメージが強い海鮮丼を合わせます

 

合わせてみると、しっかりマッチすることを再確認。クリアな爽快感で魚や魚卵のうまみと酢飯の甘みを感じさせながら、油っこい部分はドライな辛口がリセット魚介の香りもホップの苦みとシャープなキレが抑えるので、双方のおいしさだけを楽しめます。

↑ナイスフィーリング、グッドヴァイブレーション!

 

もう一品はスイーツ。ホワイトデーを控えた時季でもあるので、チョコレートケーキを合わせてみます。チョコレート系にはそもそも、ロースト麦芽を使った黒ビール(ビアスタイルは「ポーター」や「スタウト」など)が合うのですが、通常の麦芽を使った黄金の「ピルスナー」スタイルである「アサヒスーパードライ」はどうでしょうか?

↑チョコクリームとスポンジによるシンプルなショコラケーキを合わせます

 

おお、これもアリです! 甘やかでコク深い黒ビールとは相性のフィット感が違うものの、チョコレートクリームの濃くオイリーな甘さを、「アサヒスーパードライ」の爽快感がシュワッとカット。次のひと口をスタート地点に戻してくれます。

 

↑「アサヒスーパードライ」はこの季節、桜花のデザインを配したスペシャルパッケージでも販売中(写真のピンク色の缶)

 

さすがは日本が誇る大定番ビール。「アサヒスーパードライ」はビールらしい苦みや爽快感があり、辛口ならではのキレによって料理ともよく合います。新旧の切り替え時には旧バージョンを販売しているお店もあるはずなので、ぜひ両方買って実際に飲み比べてみてはいかがでしょうか?

 

いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺

【意外と知らない焼酎の噺03】

日本酒と並ぶ日本の伝統的なお酒・焼酎。ただ、その製造方法などは、あまり詳しく知られていないかも。そこで、焼酎のいろはから専門的なコトまで、『古典酒場』の倉嶋紀和子編集長がナビゲーターとなって探っていきます。

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です。

 

宝酒造の松戸工場で「甲類焼酎の製造方法」を学んだ前回に続く第3回のテーマは、「甲類焼酎の味わいの違い」。宝焼酎の商品開発担当者へのインタビューや飲み比べを行い、その奥深い世界に迫ります。

 

【酒噺のオススメ記事はコチラ】
「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】

「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】

 

●倉嶋紀和子:雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名

 

「焼酎ブーム」はワインや洋酒ブーム後に起きている

倉嶋 今回のテーマは甲類焼酎の味わいということで、まずはどのようにして誕生し、幾多の焼酎ブームを経ていまに至るのかを教えてください。

 

高井 よろしくお願いします。倉嶋さんは以前、甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)と乙類焼酎(単式蒸留焼酎/本格焼酎)の成り立ちなどについて触れられたと思いますが、改めて甲類焼酎の歴史からお話しますね。

↑高井晋理 宝酒造(株)商品第一部蒸留酒課長

 

倉嶋 はい。おさらいを兼ねて、よろしくお願いします。

 

高井 甲類焼酎の起源は明治末期の1910年。甲類焼酎の製造に欠かせない、連続式蒸留が1826年にスコットランドで発明されたのですが、やがてヨーロッパから日本へ伝わりました。そして連続式蒸留機によってつくられたアルコールに、酒粕を原料に蒸留した焼酎(粕取焼酎)をブレンドして風味を付けたのが、現在の甲類焼酎の原型である「日の本焼酎」です

 

倉嶋 確か、「日の本焼酎」は宝酒造の前身にあたる会社が販売してヒットさせたんですよね。

 

高井 そうです。1910年に愛媛県宇和島の日本酒精(株)が「日の本焼酎」を開発し、1912年に当社の前身である四方(よも)合名会社が関東における販売権を取得。そして「寶」の商標で発売して大ヒットしました。いまも宝焼酎のラベルが、その歴史を物語っています。

 

↑当時の「寶焼酎」のラベル

 

倉嶋 1912年といえば明治45年であり、大正元年。この焼酎は旧来の焼酎に対し「新式焼酎」とも呼ばれていたそうですが、実際に新時代の焼酎だったというわけですね。

 

高井 おっしゃる通りです。そして、1916年には四方合名会社が、その「新式焼酎」開発の功労者である大宮庫吉(おおみやくらきち)を招へいし、自社製造による新式焼酎「寶焼酎」を誕生させました。特に売れ行きがよかったエリアは東京です。くせの少ない軽快な味わいが、関東圏を中心とした都市生活者や旧来の焼酎の味に馴染めなかった人々に支持されたのではないかと言われています。寶焼酎は大正~昭和にかけて東京を中心に大ヒットし、戦後復興期の物資や食料不足が続くなかでは、大衆のお酒として重宝されました。

 

倉嶋 チューハイ(酎ハイ)の語源でもある、焼酎ハイボールが誕生するのもこの戦後復興期の東京の下町ですよね。

 

【酒噺のオススメ記事はコチラ】
【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺

 

高井 はい。焼酎ハイボールの誕生と普及は、当時の焼酎トレンドにおいても色濃く関係していますね。そして高度経済成長期を経て、以降の焼酎ブームには、ある法則がみられるようになります。

 

倉嶋 何でしょう、気になります!

 

高井 それは洋酒のブームが定期的に起こり、そのあとに「焼酎ブーム」が来ているということです。例えば1981年、1998年ごろにワインブームが起こったあと、それぞれチューハイブーム、本格(芋)焼酎ブームとなりました。

 

●近年のお酒のブーム

 

倉嶋 なるほど! 確かに近年でもハイボールやウイスキーのブームのあとに、レモンサワーブームで焼酎が脚光を浴びてますもんね。

 

高井 はい。もともとの健康志向の高まりに加えて、最近ではステイホームで外出も減っているので、糖質ゼロ・プリン体ゼロの焼酎を使ったレモンサワーが、家飲みでも重宝されています。

 

超高純度アルコールと樽貯蔵熟成酒がおいしさの要

倉嶋 歴史とブームの変遷を学んだところで、次は甲類焼酎の味わいについて詳しく教えてください。特に宝酒造の焼酎はラインアップが豊富で、それぞれ個性的な味わいですから興味深いです。

 

高井 当社は、ピュアなアルコールをつくれる設備と技術を持っていることが大前提としてあります。

 

倉嶋 ピュアなアルコールが、おいしさの絶対条件であると。

 

高井 そうですね。松戸工場の連続式蒸留機をご見学いただきましたが、十数本の蒸留塔を備え、最も高い塔は約35m、直径約2.5m、最多で60段もの棚段というスケールは日本最大級です。

↑松戸工場の連続式蒸留機

 

倉嶋 巨大な蒸留機のなかに、緻密な構造がいくつも設けられていると伺いました。

 

高井 はい。設計については独自の意向を細かく反映させており、どう運転させるか、組み合わせるかなど、ノウハウを含めていくつもの独自技術が採用されています。業界屈指の蒸留設備と技術があるからこそ、10億分の1レベルで不純物濃度をコントロールできるのです。

 

倉嶋 10億分の1ですか!

 

 

高井 蒸留されるアルコールの純度は99.99%以上(水を除くエタノールの純度)。不純物は渋味や辛さといった雑味につながり、この成分の濃度が低いことがデータでも明らかになっています。これが独自技術によるものであり、ベースのアルコールがピュアだからこそ、味にブレのない宝焼酎を開発できるのです。

 

倉嶋 ピュアでクリアだから、狙った味づくりがしやすいということですね。

 

高井 はい。この超高純度アルコールがあるからこそ、当社が長年培ってきたブレンド技術がより活きるのです。

 

倉嶋 なるほど。ブレンドによって商品ごとに品質の設計をしているんですね。

 

高井 先ほど「新式焼酎」のお話をしましたが、100年以上前は連続式蒸留機で蒸留したアルコールに加水し、酒粕を原料にした粕取焼酎をブレンドして製品化していました。クセのない軽快な口当たりやまろやかな芳香は、それまでの焼酎よりケタ違いにおいしいと大好評だったそうです。

 

 

倉嶋 今も昔も、おいしさと人気は比例しますよね。

 

高井 現在、当社ではサトウキビ糖蜜を原材料とするピュアなアルコールに、粕取焼酎ではなくトウモロコシや大麦などを原料に使用した熟成酒をブレンドしています。原材料はラベルにも明記されていますが、この樽貯蔵熟成酒も宝焼酎にとって欠かせません。

 

 

倉嶋 超高純度のアルコールと樽貯蔵熟成酒。それぞれをつくり、ブレンドする技術が宝焼酎のおいしさの要ということですね。この樽貯蔵熟成酒というものはどちらに貯蔵されているのですか。

 

高井 はい、宮崎の高鍋町に「黒壁蔵」という当社の工場があるのですが、そこの樽庫で貯蔵しています。現在、約85種類、約2万樽を保有しています。

 

倉嶋 宮崎・高鍋の蔵に2万樽も!

 

高井 今回、特別にベースのアルコールと樽貯蔵熟成酒を数種用意しました。香りや味わいを比べていただくと、個性や違いがよくわかると思います。どうぞ!

 

倉嶋 貴重な体験ですね! うれしいです。

 

テイスティングで甲類焼酎の多彩な味わいを実感

高井 まずはベースの違いから。蒸留前の「粗留アルコール」(※)と蒸留後の「高純度アルコール」とで、雑味がどうカットされているかを感じていただけたらと思い用意しました。飲用ではありませんので、香りを嗅いでチェックしてください。

 

※粗留アルコール:穀物、サトウキビ等を発酵させて蒸留したアルコール。現在は主に海外(ブラジル等)で生産されたものを輸入している。

 

倉嶋 あ、粗留アルコールのほうは、どこかエキゾチックな香りがしますね。想像したほどネガティブではないですが、パンチのある香りです。それに比べて蒸留後の高純度なアルコールは、元は同じアルコールなのに、ここまでクリアになるとは驚きです。

 

高井 蒸留の設備や技術が確かでないと高純度アルコールになりません。そして純度が高くないと、製品化した際に求める味わいになりません。品質を高め維持していくためにも、最高水準の蒸留設備と技術にこだわっていくことは欠かせないのです。

 

倉嶋 なるほど、先ほど高井さんがおっしゃった、ピュアなアルコールづくりの大切さがよくわかりました!

 

高井 では、次に樽貯蔵熟成酒を。一方はトウモロコシを原料にした、樽で1年貯蔵した熟成酒。もう一方はトウモロコシ、大麦などを原料に3年樽貯蔵した熟成酒です。こちらは口に含んでいただいて大丈夫ですので、ぜひ飲み比べてみてください。

↑トウモロコシ、大麦などを原料に3年樽貯蔵した熟成酒(左)。トウモロコシを原料にした、貯蔵1年の貯蔵熟成酒(右)

 

倉嶋 どちらも微かに、樽熟成による色が付いてますね。トウモロコシの方は、熟成期間が1年ですけど十分な厚みを感じます。これだけでもおいしく飲めますね。そして3年熟成の方は、いくつかの味が重なり合ったような印象。その中でもやっぱり麦感が豊かで、この膨らみがカギなんでしょうね。おいしいし、飲み続けたくなる味わいです!

 

高井 次に、樽貯蔵熟成酒がブレンドされると甲類焼酎の味にどう違いが出るかを飲み比べしてください。ご用意した焼酎のアルコール度数は25度なので、水で1:1に割って約12.5度に調整してあります。まずは何もブレンドしていない甲類焼酎からどうぞ。

↑ずらっと並んだ宝酒造の「甲類焼酎」。一番右のものが何もブレンドしていない甲類焼酎

 

倉嶋 待ってました! うん、ブレンド無しでもクリアでトゲがなく、すっきりした味わいですね!

 

高井 お次は定番の「宝焼酎」です。おいしさや飲みやすさを感じていただけるかと。

宝焼酎

 

 

倉嶋 おなじみの宝焼酎ですね。あ、でもこうして飲み比べるとより違いがわかります! さっきはしっかりしたボディをストレートに感じましたが、こちらはカドがまろやかになって、よりスムース。

 

高井 飲み慣れている味でも、比較するとわかりやすいですよね。では次に、樽貯蔵熟成酒を3%ブレンドした「極上<宝焼酎>」もお試しください。

↑樽貯蔵熟成酒を3%使用したひとクラス上の「極上<宝焼酎>」

 

倉嶋 わっ、リッチな香りをダイレクトに感じます。味もいっそうなめらかで、水で割るだけでもスイスイいけますね。

 

高井 ありがとうございます。こちらはひとクラス上の芳醇な味わいが好評です。ブレンド比率の違いによる奥深さを実感いただけたと思いますが、次はよりリッチな「純」をご賞味ください。こちらは11種類の樽貯蔵熟成酒を13%使用しています。

↑11種類の樽貯蔵熟成酒を13%の黄金比率でブレンドした、宝焼酎「純」

 

倉嶋 うん、舌の上をトゥルンとすべるようなまろやかさが印象的。余韻にバニラを思わせる甘みもありますかね。「純」も馴染み深いブランドですけど、じっくり味わうと改めて品質の高さを実感します。

 

高井 「純」をチューハイのベースにされるお店もありますから、倉嶋さんならよく召し上がってらっしゃるかもしれませんね。なお、ほのかな甘みの心地よさはまさに樽のニュアンスです。そして次は樽貯蔵熟成酒を20%使用した「レジェンド」。液体の琥珀色は焼酎の規格内の色度(しきど)になっています。

 

↑色付きの焼酎として代表的な銘柄が宝焼酎「レジェンド」。樽貯蔵熟成酒を20%使った深いコクと豊かな香りが魅力です

 

倉嶋 確かに「レジェンド」は色も特徴的です。「純」も13%使用でコク深いですが、色はクリアですよね。

 

高井 「純」の開発には、1974年にアメリカで起こったバーボンとウオッカの消費量の逆転現象である「ホワイトレボリューション」が関係しています。透明な蒸留酒のトレンドが日本に到来することを見据えて、1977年にデビューし大ヒットしました。そのため、「純」にブレンドする樽貯蔵熟成酒は、色をクリアにして、透明だけどコク深いおいしさをつくり上げたのです。一方、「レジェンド」は樽熟成による魅力と高級感をお届けすべく、1988年に誕生したブランドです。

 

倉嶋 背景を聞くと、それぞれのおいしさもいっそう染みわたりますね。では「レジェンド」もいただきます。おぉ~、これはウッディな樽香がふくよか。はちみつ的な甘い香りもあって、華やかなテイストです。どっしりとしていながらも、まろやかで飲みやすいですね。

 

高井 ありがとうございます。「レジェンド」は炭酸割り(ハイボール)もおいしいですし、ロックでじっくりとその味わいを楽しまれるお客様も多いと思います。

 

倉嶋 私はロックやストレートで飲むなら「レジェンド」ですね。「純」はいつものチューハイだけでなく、レモンサワーでも飲んでみたいと思いました。

 

高井 レモンサワーといえば宝焼酎「レモンサワー専用」もありますので、最後にこちらをどうぞ。樽貯蔵熟成酒を3%使っているほか、レモン系の香り成分を含むハーブを一部使用し、レモンの風味を引き立てる設計になっています。

↑レモンの風味を引き立てる、レモンサワーのために開発された宝焼酎「レモンサワー専用」

 

倉嶋 あ、これはまた清々しい香り。ストレートで飲んだだけですけど、どこか酸味を感じ、エスニック料理が食べたくなります。

 

高井 さすがですね。原料の一部にレモンマートルという柑橘系の香りを感じるハーブや、エスニック料理で多用されるコリアンダーシードも使用しているんです。

 

倉嶋 いろいろ飲み比べもさせていただきましたが、どれも個性があっておいしいです。このまま置いてあったらついどんどん飲んじゃいそう(笑)。割り方でも味が変わるので、改めて家でも試そうと思います。

 

高井 お酒好きの倉嶋さんにそう言っていただき、光栄です。甲類焼酎は本来、ピュアでクセがないからこそお茶などで割ったり、自分好みの度数に調整して楽しめるのが特長ですが、こういった味わいの違いによって様々な楽しみ方ができることも実感していただけて良かったです。

 

倉嶋 今日はすごく勉強になりました。ありがとうございました!

 

 

【意外と知らない焼酎の噺】第3回はここまで。宝焼酎のおいしさを左右する「樽貯蔵熟成酒」についても気になるところですが、次回の第4回は「甲類焼酎」から「本格焼酎」に切り替えてその魅力を探ります。

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

・極上<宝焼酎>
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/lineup/gokujo-takara-shochu.html

・宝焼酎「純」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/jun/

・宝焼酎「レジェンド」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/legend/

・宝焼酎「レモンサワー専用」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/lemonsour/

 

【意外と知らない焼酎の噺】バックナンバーはこちら▼

「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】

「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 【意外と知らない焼酎の噺02】

 

いよいよ2月21日から! 1987年の発売以来初のフルリニューアル「アサヒスーパードライ」

アサヒビールは、「アサヒスーパードライ」を、1987年の発売以来36年目で初めてフルリニューアル。中味・パッケージ・コミュニケーションを同時に刷新し、2月21日から全国に出荷します。

 

今回のフルリニューアルでは、同商品の特徴である“辛口”のコンセプトはそのままに、発売以来初めて中味の処方を変更し、“キレのよさ”を維持しながら“飲みごたえ”を向上させています。煮沸の終了直前にホップを投入するレイトホッピング製法による“ほのかなホップの香り”を新たに付与。発酵開始時の酸素量を制御して酵母の働きを調整することで、発酵由来のビールらしい香りが向上しました。

 

缶体パッケージは、マットとメタリックの2種類のシルバーを調和させ、これまでよりシンプルで洗練されたデザインに。デザインをシンプルにすることで、「Asahi」ロゴと「SUPER“DRY”」ロゴの視認性が向上し、缶体裏面には「新スーパードライ、始まる。」というメッセージと、「飲みごたえがあって、キレがよい」躍動感のある味を視覚的にわかりやすく表現した“新・辛口カーブ”で、新しくなった“辛口”のうまさを訴求しています。

 

プロモーションでは、同商品の“誕生日”である3月17日を中心に「新スーパードライ、始まる。」というメッセージを通じて、フルリニューアルしたことを訴求。3月から10月にかけて、茨城工場内にある「スーパードライ ミュージアム」の疑似体験ができる移動式のコンセプトカーを、全国の主要都市で展開します。コンセプトカーでは、VR技術を活用した工場見学のほか、製造後3日以内の“工場できたてのスーパードライ”や、氷点下のスーパードライ”「エクストラコールド」の試飲ができ、ブランドの世界観を五感で体感できます。TVCMやYouTuberとのタイアップ企画、発売翌年の1988年以来となる飛行船「新スーパードライ号」による広告などを展開予定です。

一体どんな味がするんだ?「大吟醸古酒と2種類の酵母」を使った2万円のスパークリング日本酒

山梨銘醸は、2006 年の古酒をベースとした年に一度の限定スパークリング日本酒「七賢(しちけん) EXPRESSION2006」を発売します。価格は2万2000円(税込)で、2月1日(火)より予約を開始し、3月上旬に順次発送・発売します。

山梨県立美術館とスパークリング日本酒の名手がコラボ

「七賢 EXPRESSION2006」は、19世紀のフランスの画家、ジャン・フランソワ・ミレーの絵画を所蔵する山梨県立美術館とのコラボレーションで生まれたもの。同館が撮影したミレー作品の「超高精細画像」をもとに、グラフィックデザイナーの葛西 薫・中山智裕の両氏がパッケージデザインを手がけました。

仕込み水の一部には、2006年に醸造された大吟醸古酒を使用し、 2種類の酵母で様々な味わいの幅を表現しているとのこと。ひと口含むと、爽やかな果実味やトースティな穀物感などが繊細な泡とともに味わえるといいます。

 

醸造責任者の北原亮庫(りょうご)氏によると、本作はミレーが描いた 「種をまく人」をイメージして醸造したそう。「種をまく人」の生命力や躍動感を酒造りに落とし込み、様々なレイヤーで変化する味わいを表現したといいます。

↑醸造責任者の北原亮庫氏

 

「七賢」といえば、すでに多くの高級スパークリング日本酒の醸造を手掛けており、技術力の高さは折り紙つき。今回は大吟醸古酒と2種類の酵母を使用する試みが興味深く、それが「様々なレイヤーで変化する」という個性的な味わいを作っているようです。日本酒ファンにとって、また、普通のスパークリングワインでは物足りない人にとって、楽しみな1本となりそうです。

ありそうでなかった“新しい”甲類焼酎! 自分好みのおいしいサワーを手軽に作れる、宝酒造「タンチュー」

宝酒造株式会社は、割材を入れるだけで自分好みのサワーが手軽に作れる“炭(タン)酸入り焼酎(チュー)”、『極上<宝焼酎>「タンチュー」』を、3月1日に新発売します。

 

近年、手作りサワーのおいしさに注目が集まっている一方、サワーを作る際に面倒なのは、「果実の準備」ではなく「炭酸水の準備」であるということが、同社の調査の結果、明らかになりました。

 

同商品は、同社の『極上<宝焼酎>』と強炭酸をベストバランスで配合した、甲類焼酎の新形態。炭酸を準備する手間がいらず、レモンなどのお好みの割材を加えるだけで、手作りサワーを楽しめます。ベースに使用している極上<宝焼酎>は、大麦とトウモロコシの樽貯蔵熟成酒を3%ブレンドしており、樽貯蔵熟成酒由来の芳醇な味わいとまろやかな口当たりが特徴です。

 

税別価格は、350mlが128円、500mlが174円。500mlはコンビニエンスストアルート限定販売です。

「氷結無糖 レモン」にALC.9%が新登場! 甘くないから合うペアリングメシのおすすめはコレだ!

2001年のデビューから20年以上ものロングセラーとなっているキリンの缶チューハイ「氷結」。その新シリーズとして2020年の秋に登場したのが、甘くないおいしさを打ち出した「氷結無糖 レモン」です。

 

既存のアルコール度数4%、7%に加え、先日2月1日には9%が仲間入りしたこのヒット商品。それぞれ味の特徴はどうなのか、オススメのフ―ドペアリングは何か、といったところを飲み比べてレポートします。

↑「氷結無糖 レモン」(すべてオープン価格)。左のALC.9%が2月1日発売の最新商品です

 

ALC.4%、7%、9%それぞれのおいしさがある

まずはアルコール度数の低い順に飲み比べて、味の違いをチェックします。ということで4%から。一般的に日本の定番ビールが約5%なので、「氷結無糖 レモン ALC.4%」はそれより若干低いポジションにあります。

↑「氷結無糖 レモン ALC.4%」。どれもグラスに注ぐと泡がシュワッと舞い上がり、これは強炭酸の証です

 

味は、とにかくレモンのブライトな酸味がみずみずしくて超爽快。ボディが軽やかかつ甘さもないので、ゴクゴクいけるフレンドリーな飲み心地です。このスムースさは、高アルコールが苦手な人にもオススメです。

 

次は昨夏リニューアルしたALC.7%。スッキリとしたおいしさはそのままに、レモン本来の味わいがクオリティアップしています。

↑「氷結無糖 レモン ALC.7%」。しっかりとした飲みごたえと、冴えわたるレモンの果実味が特徴です

 

おっ、こちらは味を下支えするボディが豊かで、とはいえアルコール臭さは皆無ですね。レモンの酸味はさすがのみずみずしさで、コク深さとともにキリッとしたニュアンスをより強く感じます。

 

そしてニューフェイスのALC.9%。ポイントは、クリアな飲み心地でありながら、レモンの華やかな香りと酸味をしっかりと感じられること。9%ならではの力強さもチェックします。

↑「氷結無糖 レモン ALC.9%」。みずみずしく澄みきったレモン感、のどごしのよい強炭酸で、満足感のある味わいが特徴です

 

豊かなボディがありつつ、レモンの爽快な酸味で余韻はすっきり。ベースのウォッカ以外は基本的にレモンと強炭酸というシンプルな組み合わせながら、アルコール度数9%という強さのトゲを感じさせません。しっかりした飲みごたえと、クリアな飲みやすさの調和が見事です。

 

甘さがないぶん料理本来の味を引き立てる。だから合う!

「氷結無糖 レモン」を選ぶ際にALC .4%、7%、9%のどれにするかは、各自の求めるアルコールの強さや気分で決めればよいと思います。では、料理に合わせるならどれがいいのでしょうか。

 

甘くない=食事の味を邪魔しないというのはおおむね正解で、「氷結無糖 レモン」は基本的にどんな料理にも合います。それを前提のうえで、あえて「これがオススメ」という料理を、いくつか試したなかからピックアップしました。こちらもアルコールの低い4%から順に、合う理由とともに紹介していきます。

 

氷結無糖 レモン ALC.4%×パッタイ

“タイ風焼きそば”ともいわれるパッタイは、成城石井の人気定番麺料理となっているほどメジャーな一皿。多くのタイ料理は甘み、辛み、酸味に特徴があり、ナンプラーという魚醤(ぎょしょう)のくさみがおいしさでもありますが、そんなインパクト大の料理でも、「氷結無糖 レモン」なら抜群に合います。

↑パッタイはナンプラーのほか「ガピ」という海老ペーストの風味も強烈。とはいえ、タイ料理のなかでは辛さは控えめです

 

油っこさはほどほどながら、味付けにインパクトがあるパッタイには、「氷結無糖 レモン」のなかでもレモン感がみずみずしく爽快な4%がいいと思います。ライトなすっきり感は、ナンプラーやガピのクセとも調和。もしパクチーがのっていても、おいしくマッチするはずです。

 

なお、スープの有無にかかわらず、麺料理やご飯ものと一緒に味わうなら、同じくライトボディな4%がいいでしょう。

 

氷結無糖 レモン ALC.7%×春巻

揚げ点心の代表格といえば春巻。一説には、昔の中国で立春の時季に新芽を出した野菜を具材として巻いたことから春巻と名付けたそう。

↑春巻は英語圏で「スプリングロール」と直訳しますし、いまの季節にもぴったり

 

季節だけではなく、もちろん味としても「氷結無糖 レモン」にドンピシャ。カラッとパリッと揚がったほどよくオイリーな皮には、7%のキレと爽快感がよく合います。また、トロッと凝縮感のある濃厚な具材の味わいにも、シャープですっきりした「氷結無糖 レモン ALC.7%」がマッチ。

 

唐揚げ、カツレツ、フライドポテト、シーフードフライなど、世には様々な揚げ物がありますが、味が濃厚なタイプのフライには飲みごたえと爽快感が調和した7%が特に合うと思います。

 

氷結無糖 レモン ALC.9%×ガーリックシュリンプ

新作の9%にはガーリックシュリンプ。ニンニク、バター、オリーブオイルなどを使って香ばしく焼いたパンチのある味に、レモンの酸味を効かせるハワイ料理です。

↑香りも食感も味付けも力強い、ガーリックシュリンプ。濃厚な料理には9%が特にオススメですが、それには理由があります

 

オイリーで、なおかつニンニクがガツンと香るパンチの強い料理には、強めのアルコールで油っこさをすっきりさせつつ、レモンの爽快感で口内をウォッシュアウトさせる9%がオススメ。

 

口にジャンクな味が残っていると重く感じますが、「氷結無糖 レモン ALC.9%」はしっかりリセットするので、次のひと口もおいしく味わえるはず。濃厚な料理には9%を、ぜひお試しください。

 

今回の3品は味が濃いめの料理をセレクトしましたが、おばんざい、おでん、おにぎりのようなおしとやかな和食にも「氷結無糖 レモン」はマッチ。繰り返しますが、甘さがないぶん料理本来の味を引き立ててくれるのが、食事に合う大きな理由です。次の晩酌はぜひお好みの「氷結無糖 レモン」で乾杯を!

 

焼酎の「前割り」はなぜ美味い? 焼酎の謎に科学で迫る!~注目の新書紹介~

こんにちは、書評家の卯月 鮎です。みなさんはどのお酒が好きですか? 私はもっぱら赤ワインを飲んでいますが、友人に言わせると「酒飲みは最後に焼酎に行き着く!」とのこと。何を根拠に言っているのかは定かではありませんが(笑)、確かに焼酎だとおでん、焼き鳥、サバ味噌など大概の和食に合うし、ロックでもお湯割りでも梅干しを入れても美味しく飲めて、日本の食卓にピッタリ。すでに焼酎に行き着いているという方も多いかもしれません。

 

謎多き酒・焼酎を科学的に解明

今回紹介する新書は焼酎の科学 発酵、蒸留に秘められた日本人の知恵と技』(鮫島吉廣、髙峯和則・著/講談社ブルーバックス)。焼酎とはそもそも何か、どうしてこれほどまで愛されているかが科学的に分析されます。自分の好きなものの秘密が理屈でわかると、世界が開けたような気がしてうれしいですよね。

 

著者の鮫島吉廣さんは、ニッカウヰスキー、薩摩酒造を経て現在は鹿児島大学客員教授。焼酎の研究を40年以上続けています。焼酎文化や歴史など鹿児島の焼酎の伝え手を育成する「かごしま焼酎マイスターズクラブ」理事長であり、焼酎に関する著書多数。また、髙峯和則さんは鹿児島大学農学部附属焼酎・発酵学教育研究センター教授で、本書では焼酎研究の最前線について執筆を担当しています。

 

サツマイモの部位で風味が変わる!?

焼酎とはどのようなお酒かというと蒸留酒の一種。蒸留酒はアルコール発酵させた液体を沸騰させて発生した湯気を冷やしたもの。つまり「湯気の集まり」なのですが、同じ蒸留酒でもウイスキー、ブランデー、ラムと生まれた土地によって香りも味わいもまったく異なります。

 

焼酎のカテゴリでも、薩摩の芋焼酎、沖縄の泡盛、壱岐の麦焼酎、球磨の米焼酎……とそれぞれ個性的。最近では、「水やお湯で割って飲む」「ウイスキーなどと違って熟成させずに飲む」といった珍しい特徴から海外でも注目されているそうです。

 

第1章は焼酎の歴史、第2章は発酵や麹などの基礎知識、第3章は焼酎ができるまでの製法……と、身近ながらあまり知られていない“焼酎の世界”が科学的な説明を交えつつわかりやすいテキストで解明されていきます。

 

焼酎の奥深さを感じさせるのが第4章「最大の謎『風味』の科学」。芋焼酎の独特の風味は麹が作り出したもの。甘い香りの「イソアミルアルコール」や、バラの香りの「β-フェネチルアルコール」、バナナの香りの「酢酸イソアミル」など、0.2%ほどの微妙な成分が焼酎の個性を決めているのだそうです。

 

用いるサツマイモの部位で風味が異なる、というのも驚きでした。中心部には「ネリル配糖体」、表皮近くには「ゲラニル配糖体」や「リナリル配糖体」などが多く分布し、中心部のみで造った焼酎はスッキリ、表皮部のみだと華やかな味わいになるとか。

 

また、最近流行っている、あらかじめ焼酎と水を混ぜて2~3日寝かせておく「前割り」についても説明されています。美味しく感じるのは“おあずけ”されているからではなく(笑)、時間が経過すると、舌を刺激するエチルアルコール分子の周りを水が取り囲む「分子会合」という現象が起きるから。それでまろやかになるのですね。

 

そのほか、どうして最近の芋焼酎は臭みが少ないのか? 科学的に考える美味しいお湯割りの作り方は? など焼酎の素朴な疑問にも答えています。単なる焼酎のガイド本ではなく、しっかり勉強になるのがブルーバックスらしいところ。研究対象として長年焼酎と付き合ってきた科学者の愛情が伝わってきます。本書を読むと、焼酎のお湯割りがますます美味しくなりますよ。

 

【書籍紹介】

焼酎の科学

著者:鮫島吉廣、髙峯和則
発行:講談社

魅惑の酒、焼酎の七不思議に迫る。身近な存在ながら、じつは非常に特殊な蒸留酒、焼酎。どんな原料でも焼酎にできて、蒸留酒なのに新酒でも旨く、健康にも良い。蒸留すればただの「湯気の集まり」のはずなのに、さまざまな個性的な風味も持っている。今や世界から注目を集め、国酒にも認定された焼酎には、清酒を造れなかった九州地方の人々が生み出した知恵と技が詰まっている。知るほどに驚く、焼酎の世界へ!

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【プロフィール】
卯月 鮎
書評家、ゲームコラムニスト。「S-Fマガジン」でファンタジー時評を連載中。文庫本の巻末解説なども手がける。ファンタジーを中心にSF、ミステリー、ノンフィクションなどジャンルを問わない本好き。

「チューハイの壁」を打破!「氷結(R)無糖 レモン」の甘くないおいしさを食のプロが徹底解剖してわかったこと

累計販売数160億本(※1)、2001年の誕生から20年間売れ続けているチューハイの代名詞「氷結(R)」が、また快挙を成し遂げた。2020年発売の「氷結(R)無糖 レモン」が、翌2021年には年間1,000万ケース(※2)を突破する快進撃。その背景には「缶チューハイは甘い」「缶チューハイは食事に合わない」という“チューハイの壁”ともいえる固定観念を打ち崩す、「甘くないおいしさ」があるという。フードアナリストが開発の裏側について掘り下げた上で、実際に食事と合わせておいしさを確かめてみた。

※1:2021年10月に突破(250ml缶換算)
※2202112月に突破(250ml×24本入り換算)


キリン 氷結(R)無糖 レモン

 

消費者ニーズを捉えた「無糖」が“名門”からデビューし大ヒット

2020年の10月にデビューした「氷結(R)無糖 レモン」は、翌2021年に販売数が1,000万ケースを突破する大ヒット商品となりました。躍進の背景には、缶チューハイに対する消費者のニーズが深く関係しています。

 

缶チューハイの持ち味といえば、スッキリとした爽快感。果実を使ったフレーバーが多く、フルーティなおいしさや甘酸っぱさも人気の理由です。一方で、ヘルシー志向の高まりや、特にコロナ禍により外出が減ったことによって、“甘くない味”がより求められるようになりました。

 

コロナ禍で起きた行動変容のひとつに、“家飲み”需要の増加がありますが、食事とともにお酒を飲む機会が増えるなか、料理の味を邪魔せず寄り添う“甘くない缶チューハイ”のニーズが高まり、その声に呼応したのが「氷結(R)無糖 レモン」だったのです。

 

さらに、202010月の酒税法改正に伴い、「新ジャンル」を中心とするビール類ユーザーが缶チューハイを手に取る機会が増えたことも、「氷結(R)無糖 レモン」のヒットを後押しする形となりました。

↑ビール類ユーザーは、缶チューハイに「甘くない」「食事に合う」点を期待していることがわかる

 

時代のニーズに応えただけでなく、2001年発売のロングセラーであり、市場を牽引する「氷結(R)」が生んだ新ベクトルの商品としても「氷結(R)無糖 レモン」は大ヒット。缶チューハイの新定番ポジションに躍り出たといえるでしょう。

 

「氷結(R)」ならではの飲みやすさを“無糖”でさらに究めた

「氷結(R)無糖 レモン」がヒットした要因は、ただ“甘くない”だけではありません。大きな魅力は“甘くないからこそのおいしさ”にあります。

 

そこで、味覚設計の特長などたしかめるべく、キリンビールで「氷結(R)無糖 レモン」のマーケティングなどを手掛ける森永里乃さんを直撃しました。

●マーケティング部RTDカテゴリー戦略担当/森永里乃さん メルシャン首都圏営業部を経て2015年にキリンビールへ異動、現職。「氷結(R)」の開発は2016年発売の商品から携わり、「氷結(R)無糖 レモン」はコンセプト設計の段階から担当した

 

「『氷結(R)』のおいしさに欠かせない原料が、氷点凍結させた特別な果汁です。果汁の凍結とろ過により雑味をなくし、果汁本来のみずみずしいおいしさを閉じ込めています。『氷結(R)』誕生以来、20年以上こだわり続けているコアバリューです」(森永さん)

 

そして、この氷点凍結させた果汁をいっそう生かすために考えられたのが、クリアウオッカ。「氷結(R)」発売以前の缶チューハイは、焼酎ベースでつくるのが主流でしたが、クリアウオッカの採用によって缶チューハイの新たな価値を生み出したのです。

 

「雑味を極限まで取り除いたクリアウオッカによって果汁本来の味が引き立ち、爽快でスッキリとした『氷結(R)』ならではの飲みやすさが実現されています。そして、この独自のおいしさを“無糖”によってさらに極めたのが『氷結(R)無糖 レモン』です」(森永さん)

 

氷点凍結果汁とクリアウオッカ。この絶対的な両輪があるからこそ、甘みに頼らずとも飲みごたえがあり、なおかつ飲み飽きない「氷結(R)無糖 レモン」のおいしさが生み出されたのです。そのうえで「氷結(R)無糖 レモン」が追求したのが、4%・7%・9%とアルコール度数の違いで3種に分かれるフレーバーごとの、レモンの果汁感。

 

「3種それぞれで目指す味や届けたい価値が異なるため、原料の産地から厳選した独自の果汁を使用しています。例えばALC.7%とALC.9%は、ALC.4%よりもお酒の余韻を感じていただけるよう、澄み切ったレモン果汁を採用しました」(森永さん)

 

ALC.7%とALC.9%の「氷結(R)無糖 レモン」に使うレモン果汁の方向性は一緒。とはいえ、ALC.7%は果汁3.4%、ALC.9%は果汁2.3%で配合する割合を変えています。ほかにも炭酸の強さをフレーバーごとに調整するなどして、商品価値の最大化を図っているとのこと。では、果汁2.7%で設計されているALC.4%の特長は?

 

「ALC.4%は、果汁のおいしさをいっそう届けたいと思って設計しています。そのため、よりレモンの味と香りが際立つ果汁を採用しました。みずみずしく爽快な、『氷結(R)』らしさを存分に感じていただけると思います」(森永さん)

 

↑筆者である中山秀明氏。内食・外食のトレンドに精通した食の専門家として、GetNavi webや雑誌GetNaviなどメディアに寄稿。お酒をはじめとする様々なフードのトレンド、商品、店舗、メーカーを取材して13年となる

 

革命児「氷結(R)」だからこそ創造できた“無糖”の新価値

2022年で、発売21周年を迎えるロングセラー「氷結(R)」。缶チューハイはあらゆるお酒のなかでもストロング系や高果汁系などバリエーションが豊かで、栄枯盛衰が激しいカテゴリーですが、そのなかで愛され続けてきた「氷結(R)」の魅力は、第一に氷点凍結果汁とクリアウオッカによる抜群の爽快感にあります。

 

「“無糖”とはつまり、糖類や甘味料を使わないということで、甘さがない分、味の厚みを損ないかねません。結果、アルコール由来のお酒感やレモンの酸味が立ってしまうなど、味のバランス調整が難しいのが無糖なのです。この課題を乗り越えられたのも、長年の『氷結(R)』開発で培ってきた味作りの知見と、確固たるおいしさの土台があったからだと自負しています」(森永さん)

↑過去10年間で発売したキリンのRTD(Ready To Drink、開封してすぐ飲めるドリンク)商品において最速で3億本(※3)突破という大ヒットを記録 ※3:2020年10月の発売以来16か月となる2022年1月に突破(250ml換算)/出典:キリンビール出荷実績

 

「氷結(R)無糖 レモン」は、“無糖”という価値で消費者ニーズを掘り起こし、市場を切り拓いた商品の一つといえるでしょう。この革新性も、「氷結(R)」ブランドが築いてきたレガシーだと森永さんは言います。

 

「『氷結(R)』は、それまで缶チューハイに対して抱かれていた前時代的なイメージを変えたい、という志から生み出されたブランドでもあります。例えば、若い女性も気軽に手に取れるようにとの思いから、斬新で洗練されたパッケージが考案されました」(森永さん)

 

「氷結(R)」のビジュアルとして印象的なのが「ダイヤカット⽸」です。⼤きな特長は、開栓⾳とともに表⾯にダイヤ形式の凸凹が現れるデザインで、この三角形の形状は、実はNASA(アメリカ航空宇宙局)で高速飛行体の胴体を強化する研究から生まれたもの。「氷結(R)」においては、商品名からイメージされる氷の冷たさを、このダイヤ形の凹凸と、ブルー×シルバーの直線的デザインで表現しています。

 

ダイヤカット⽸は2019年、⽴体商標に登録。容器の形状だけでブランドを認識できることが認められました。

↑「氷結(R)無糖 レモン」ではダイヤカットに沿う形で青いパネルを配し、無糖のクリアなおいしさを表現している

 

目指したのはどんな料理にも寄り添うおいしさ

甘くない、食事に合う味わいが大きな魅力として評価されている「氷結(R)無糖 レモン」。では、フードペアリングとしてはどんな料理がオススメなのかを森永さんに聞きました。

 

「開発で試飲をする際、私たちが必ず合わせていたのは、鶏の唐揚げやおにぎりです。『唐揚げは分かるけど、缶チューハイにおにぎり?』と驚かれるかもしれませんね。ご飯は、私たちの毎日の食卓に欠かせない存在だからこそ、その相性を究めることで、お客様の食シーンに自然に溶け込めると考えたのです。

実際に、唐揚げのような揚げ物は、レモンの酸味が油をサッと切ってくれるので相性抜群ですし、余計な甘さがないことで、ご飯の繊細で素朴な味わいを損なうこともありません。具材では、ほどよく脂の乗った鮭おにぎりとのペアリングがイチオシですね。

つまるところ、どんな料理にも寄り添えるのが『氷結(R)無糖 レモン』なんです」(森永さん)

↑「氷結(R)無糖 レモン」が目指したのは、日常の食卓に寄り添うおいしさ。甘さをなくしてレモンの澄みきった果実感を生かした飲み飽きない味だから、どんな料理にも合うのです

 

アルコール度数の違いで3種に分かれている「氷結(R)無糖 レモン」。各味の特長も教えてもらいました。

 

「ALC.7%とALC.9%は高アルコールの部類に入ると思うのですが、この2商品の違いは、“味わいの流れ”にはっきりと感じられると思います。

ALC.7%はレモンの程よい酸味と苦味が感じられ、クセがなく、スッキリとなだらかに流れる爽快感。ALC.9%は豊かなボディ(味の強さ)のあとにスッとシャープに切れる落差が大きく、より飲みごたえを感じられる味覚に仕上げています。そしてALC.4%は、目の前でレモンをギュッと搾ったような、みずみずしい爽快感が持ち味。特に濃厚な料理や、スパイシーな味のメニューによく合うと思います」(森永さん)

↑森永さん自慢の“甘くないおいしさ”を早速味わってみよう

 

ここからは、筆者が独自のチョイスでフードペアリングを実践。【乾きもの】【おかず】【ご飯もの】【デザート】と、4つの料理を合わせました。

 

1【乾きもの】ポテトチップス
———食べた直後に次の食指が伸びる組み合わせ

軽くつまみたいときに重宝する乾きもの。スナック、せんべい、ナッツ、いかの燻製など様々ですが、特にオススメなのがポテトチップスです。なかでも、サワークリームオニオンのような、洋風の濃厚なタイプが「氷結(R)無糖 レモン」にベストマッチ。サワークリームの酸味が「氷結(R)無糖 レモン」の酸味と調和し、揚げ油のオイルは炭酸の刺激がすっきりリセット。ひと口食べた直後に次の食指がつい伸びてしまう、ニクい組み合わせです。

 

2【おかず】麻婆豆腐
———レモンのすがすがしさが辛さにフィット

麻婆豆腐のトロッとしたテクスチャーに、スカッとした「氷結(R)無糖 レモン」のシャープな爽快感がたまりません。ピリッとした辛さやシビれは、レモンのすがすがしい酸味が寄り添いながらフィット。カレーやキムチ鍋、タコスといった辛い料理全般に合うと思います。

 

3【ご飯もの】寿司
———クリアなテイストだから繊細な料理にも好相性

「氷結(R)無糖 レモン」は、刺身や寿司のような繊細な料理にも合います。貝類や海老なら素材のうまみや食感を生かしつつ、サーモンのような濃厚な寿司だねは油分を中和させつつマッチ。この相性のよさは、クリアな「氷結(R)」ブランドならではだと思います。

 

4【デザート】チーズケーキ
———甘酸っぱいスイーツのおいしさをより鮮やかに感じられる

フードペアリングにはいくつかの法則があり、似たもの同士とも、相反する味にもよく合います。それにならえば、甘くない「氷結(R)無糖 レモン」は甘いお菓子と好相性。似たもの同士という点では、酸味があるフルーツを使ったスイーツがベストです。なかでも、レモンを多用するチーズケーキは「氷結(R)無糖 レモン」と絶好のペア。チーズケーキの甘酸っぱさやチーズのコクといったおいしさを、「氷結(R)無糖 レモン」がより鮮やかに感じさせてくれます。

 

ALC.9%が新登場してますます食中酒のよき相棒に

甘くないおいしさで、食中酒のニュースタンダードとしてのポジションを確立した「氷結(R)無糖 レモン」。2022年2月からはALC.9%も仲間入りして、人気にさらなる拍車がかかることでしょう。どんな料理にも合いますが、ぜひ今回登場したメニューを参考に、フードペアリングを試してみてください。


「氷結(R)無糖 レモン」について詳しく知りたい方はこちらへ

 

 

写真/湯浅立志(Y2)

 

「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺 

【意外と知らない焼酎の噺02】

日本酒と並ぶ日本の伝統的なお酒・焼酎。ただ、その製造方法などは、あまり詳しく知られていないかも。そこで、焼酎のいろはから専門的なコトまで、『古典酒場』の倉嶋紀和子編集長がナビゲーターとなって探っていきます。

 

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です。

 

焼酎の定義や歴史を学んだ前回に続く第2回のテーマは「甲類焼酎のつくり方」。そこで、日本最大級の焼酎製造場である宝酒造の松戸工場(千葉県松戸市)を訪問。工場長へのインタビューと製造現場の見学を通して、甲類焼酎の魅力に迫ります。

 

【酒噺のオススメ記事はコチラ】
「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】

 

●倉嶋紀和子:雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名

 

↑宝酒造・松戸工場。全国に6か所ある宝酒造の製造拠点のうち最東の基幹工場で、主に東日本全域の商品供給を担っています

 

「醸造酒」と「蒸留酒」の違いとは?

倉嶋 本日はよろしくお願いします。今回は甲類焼酎のつくり方がテーマですが、まずは基本的なところで、醸造酒と蒸留酒の違いから教えてください。

 

森山 はい。「醸造酒」は、穀物や果実などの原料を酵母によりアルコール発酵させたお酒のことです。そして、この醸造酒を蒸留してつくるお酒が「蒸留酒」です。

↑森山龍士工場長

 

倉嶋 分類すると、日本酒、紹興酒、ビール、ワインなどが「醸造酒」。焼酎、ウイスキー、ブランデー、ウォッカなどが「蒸留酒」ですよね。

 

 

森山 はい。具体的なところは醸造酒からお話ししましょう。醸造酒のなかでも原始的なのはワインです。ぶどうを搾った液体を放置して、ぶどうの皮の酵母がぶどうの糖分を食べてアルコールに変えることで、ワインができ上がります。

ワインはぶどうの糖分が豊富なのでそのまま醸造できるのですが、日本酒やビールの場合は原料の米や麦が糖分が少ないので、そう単純にはいきません。そこで麹菌や麦芽を使ってでんぷんを糖に変え、その後酵母を加えて発酵させアルコールを含んだもろみ(発酵液)へと変えていきます

 

倉嶋 焼酎の場合も、まずは芋や麦などを発酵させてもろみをつくり、そのあと蒸留させるという工程ですよね。麹は米、麦、芋などが原料ですか。

 

森山 そうですね。原料と麹と水で液体をつくって、発酵させたもろみを蒸留機で沸騰させ、蒸発した気体を冷却することによってアルコール度数の高い液体ができあがります。こうして原料の風味やアルコールを凝縮させた蒸留酒が焼酎です。

 

●単式蒸留の仕組み

↑水とエタノール(アルコール)の沸点の差を利用する。水より沸点の低いエタノールが先に気化し、その気体を凝縮することでアルコール度数が高い液体が抽出できる

 

倉嶋 蒸留の際に、連続式蒸留機を使えば「甲類焼酎」に。単式蒸留機を使えば「本格(乙類)焼酎」になると。

 

森山 「連続式蒸留機」は蒸留塔にもろみを連続投入し、十数本の蒸留塔で蒸留を何度も繰り返すことで純度の高いいクリアな味になるのが特徴です。もろみには穀物のほか、さとうきびもよく用いられ、甲類焼酎はさとうきびの糖蜜が主原料となります。

一方の「単式蒸留機」は複数回蒸留する連続式蒸留機と違い、1工程における蒸留は1回。そのため、蒸留後の液体のアルコール度数もそこまで高くなりません。その分、素材の風味が生きた、個性的な焼酎がつくれるのも特徴で、もろみには米・麦などの穀類やさつまいものほか、そば、黒糖、ごまなど様々な原料が使われます。

 

●連続式蒸留機の仕組み

↑単式蒸留を繰り返すのと同じ効果が得られ、下段の蒸気が上段の液体を温め、またその液体が蒸気になってさらに上段の液体を温めていく。中央部から入れられた原料は、蒸気の熱によって低沸点成分であるエタノール(アルコール)と高沸点成分(水)に分離。気化した低沸点成分(エタノール)は上段にいき、液体のままの高沸点成分(水)は下段にいく。上段にいくほどエタノールが濃縮され純度が高くなる

 

倉嶋 そして、松戸工場のシンボルともいえるのが、あの大きな連続式蒸留機ですよね。改めて、甲類焼酎のつくり方も教えてください。

 

森山 主原料となるのは、さとうきび糖蜜等がベースの粗留アルコール(※)。こちらを連続式蒸留機の蒸留塔に供給し、蒸発、分縮、還流という作用によって純度の高い原料用アルコールを生成します。そしてこの高純度アルコールに割水(加水してアルコール度数を調整)し、精製することで一般的な甲類焼酎が完成となります。

 

※粗留アルコール:穀物、サトウキビ等を発酵させて蒸留したアルコール。現在は主に海外(ブラジル等)で生産されたものを輸入している。

 

倉嶋 このあと、蒸留塔も見学させていただけるとのことで、ワクワクしています。

 

国内最大級の蒸留塔は最大約35mの高さ!

↑十数本の蒸留塔を有する、松戸工場の巨大な連続式蒸留機

 

倉嶋 近くに来ると、いっそうすごい迫力ですね。

 

森山 最も高い塔は約35m、直径約2.5mあり、内部は最多で60段もの棚段に分かれています。日本最大級の連続式蒸留機だと思いますよ。内部をお見せするので、ついてきてください。

 

↑蒸留塔の中で森山工場長の説明を受ける倉嶋さん

 

 

倉嶋 管がひしめき合っていて、バルブの数も多いですね。先ほどおっしゃっていた、連続式の蒸留がこの塔の中で行われているんですか?

 

森山 はい。下段の蒸気が上段の液体を温め、またその液体が蒸気になってさらに上段の液体を温めます。こうして蒸留を繰り返すことで不純物を除きながら、最終的に純度99.99%以上(水を除くエタノールの純度)のピュアなアルコールをつくります

 

倉嶋 純度99.99%以上! 雑味がほぼ皆無だから、苦みや辛さといったトゲのないクリアなおいしさが生まれるんですね。

 

森山 そうなんです。では中身の製造工程の次は、詰口(充填)のエリアへ行きましょう。まずは「壜(びん)詰場」へ案内します。

 

↑広大な松戸工場内を徒歩で移動。工場内を縦横無尽にパイプが走っています

 

 

甲類焼酎の製造現場最前線へ!

倉嶋 こちらも広いですね!

 

森山 液体の種類や容器ごとにラインが分かれていて、焼酎のほかにもみりんと料理清酒のライン、ウイスキーのライン、一升びんのライン、紙パックのラインなどもあります。焼酎は360mlびんから4Lペットボトルまでがここで詰められています。

 

↑この日は大定番商品である「宝焼酎」の4Lペットボトルの詰口が行われていました

 

倉嶋 回転している機械がフィラー(容器に中身を詰める機械)ですか?

 

森山 そうです。いまご覧になっているフィラーは4Lのペットボトルに焼酎の中身を詰め、キャッピングしたら検査。その後ラベルを貼って、段ボールの箱に梱包する流れです。

 

 

↑「宝焼酎」4Lのペットボトルを持つ倉嶋さん

 

森山 次は缶の詰口ラインをお見せしましょう。

 

倉嶋 缶チューハイですか! 楽しみです!

 

人気のタカラ「焼酎ハイボール」の詰口ラインに潜入!

森山 缶の工程も、基本的にはびんと一緒。充填したら「巻締(まきじめ)」という手法で封をして、殺菌と検査、そして箱詰めします。いまは350mlの缶に充填しているのですが、500mlより容量が少ない分、満充填されるのが早いので、全体の動きもよりスピーディですね。

 

倉嶋 たしかに、ものすごいスピードですね!

↑高速で回転しているフィラー

 

森山 スピードが速いので、ずっと見ていると目が回るから気をつけてください(笑)。

 

倉嶋 ホントですね、いま流れているのはどの商品ですか?

 

森山 タカラ「焼酎ハイボール」のレモンですね。缶チューハイの場合は3~4倍の濃縮液と水と混ぜ、同時に炭酸ガスも充填します。

↑こちらは500mlの缶胴と缶ブタのサンプル。中身の充填後に「シーマ」という巻締機で密封します

 

倉嶋 その工程を、缶チューハイ用のフィラーで行っているんですね。

 

森山 はい。フィラーで充填したら巻締し、次は検査です。X線検査機で中身がしっかり入っているかをチェックしたら、パストライザーという装置で殺菌。その後、X線で再検査します。

 

倉嶋 X線検査は2回行うんですね。

 

森山 2回目は缶を上下逆さまにしたり、水を噴射して缶が通る空間を洗ったりしながら、異常や漏れなどがないかを隅々までチェックします。

 

倉嶋 そして最後は箱詰めですね。

 

森山 はい。詰めたら施設の隣にある物流センターへ運び、そこで保管します。蒸留とボトル・缶それぞれの詰口説明は以上となります。

 

倉嶋 製造現場を見学させていただいたことで、より焼酎をおいしく楽しめそうです。貴重な体験をありがとうございました!

 

松戸工場からお届けした【意外と知らない焼酎の噺】第2回はここまで。第3回は、焼酎の開発担当者から甲類焼酎の歴史や味の特徴を伺います。

 

※宝酒造・松戸工場では通常、工場見学は行っておりません。

 

【酒噺のオススメ記事はコチラ】
「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺【意外と知らない焼酎の噺01】

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

・タカラ「焼酎ハイボール」
https://shochu-hiball.jp/

 

ウイスキーカクテル入門に最適!人気バーボン「I.W.ハーパー」のミントジュレップで家飲みをアップデート

昨今の日本におけるウイスキー人気を後押ししたのがハイボールです。炭酸で割るだけのシンプルな飲み方で、晩酌に作る人も多いでしょう。ただ、なかには「たまにはアレンジしてみたい」「こればかりだと飽きる」という人もいるでしょう。そこで試してほしいのが、ミントジュレップというカクテル

 

こちらはバーボン(とうもろこしを51%以上使うなど、細かな規定があるアメリカンウイスキーの代名詞)で作るのがひとつのお決まりなのですが、今回は人気銘柄「I.W.ハーパー ゴールドメダル」を使用したミントジュレップ版、「ハーバージュレップ」の特徴やレシピなどを紹介します。

 

↑「ハーバージュレップ」を完成写真。レシピは簡単で、ざっくりいうとハイボールの材料のほかに砂糖とミントさえあれば作れます

 

米国の競馬で飲む酒といえばミントジュレップ

まずはミントジュレップの解説から。このカクテルは、一説には1800年代後期には飲まれていたといわれ、現在でもアメリカを中心に広く親しまれています。またミントジュレップを語るに欠かせないのが、アメリカ競馬の最高峰イベント「ケンタッキーダービー」のオフィシャルカクテルであるということ。

 

ミントジュレップという名は、もともと苦い薬を飲みやすくするための水のことを意味した「ジュレップ」が、後にウイスキーの度数をやわらげる目的でミントとともに使用されるようになったことが由来といわれています。

 

そして今回ベースに使用する、「I.W.ハーパー ゴールドメダル」についても紹介しましょう。アメリカではすでにおなじみだったバーボンウイスキーですが、1870年代は品質の低いバーボンも多く、そこで“fewer and better(たとえ作り出せるものが少量だったとしても良いものを)”を口癖に生み出されたブランドが「I.W.ハーパー」です。

 

↑定番モデル「I.W.ハーパー ゴールドメダル」。写真の200mlのほかに700mlがあり、また世界初の12年熟成バーボンである「I.W.ハーパー 12年」も有名(すべてオープン価格)

 

ブランド名は、創業者のアイザック・ウォルフ・バーンハイムのイニシャルであるI.W.と、親友フランク・ハーパーの名前を冠してネーミングされました。また「I.W.ハーパー ゴールドメダル」は、1885年に米国ニューオリンズの万国博覧会で金賞を受賞したほか、様々な博覧会で金賞を受賞したことに由来します。

 

 

「I.W.ハーパー ゴールドメダル」は爽やかなカクテルと好相性

「I.W.ハーパー ゴールドメダル」の味の特徴は、スムースな飲み口とブライトな甘み。1980年代後半に起こったバーボンブームでは、「ハーパーソーダ」(「I.W.ハーパー」のハイボール)が定番スタイルのひとつでした。それは爽やかな飲み方と好相性であるからで、最近ではそのミントジュレップ版「ハーパージュレップ」も人気です。

 

↑公式サイトには「ハーパージュレップ」のレシピがあり、それにならって各種用意しました

 

まずはグラスに砂糖少々とフレッシュミントを入れて、ペストルなどでミントを潰します。この甘さとハーバルなフレーバーがおいしさの決め手です。

 

↑ペストルとはカクテル用のマッシャーのことですが、スプーンなどで代用できます

 

次に「I.W.ハーパー ゴールドメダル」を60ml注ぎ、マドラーやスプーンでかき混ぜながら、クラッシュドアイスを2~3回に分けて入れます。

 

↑クラッシュではない普通の氷でもいいですが、粒の小さいほうがオススメです。なお、クラッシュドアイスはコンビニコーヒー用の氷が手軽な代用案です

 

氷の次は炭酸水。できるだけガスが抜けないよう、しっかり冷やしておきましょう。これをグラスのギリギリまで注ぎ、最後に再びクラッシュドアイスを盛ってミントを飾れば完成。最後にミントを大量に入れるのもオススメです。

 

↑炭酸水はやさしく注ぎ、ガスがなるべく抜けないように

 

味は、スイートで香ばしいバーボンならではのボディを、砂糖の甘みとミントの爽やかな香りが心地よく包み、炭酸の刺激にもマッチ。

 

↑「I.W.ハーパー」特有の洗練された華やかさが、高揚感をもたらしてくれます

 

もし料理とペアリングするなら、フライドチキンやハンバーガーといったアメリカ料理とは抜群の好相性。ほかの料理でも、甘めでコクのあるタレ系、デミグラスソース系、みそ系の味付けにはよく合うので、ぜひお試しください。

 

 

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【意外と知らない焼酎の噺】そもそも「焼酎」とは何なのか?

日本酒と並ぶ日本の伝統的なお酒・焼酎。ただ、その歴史やつくり方などは、あまり詳しく知られていないかも。そこで、焼酎のいろはから専門的なコトまで、『古典酒場』の倉嶋紀和子編集長がナビゲーターとなって探っていきます。

第1回のテーマは、ズバリ「焼酎とは?」。焼酎がカテゴライズされる蒸留酒の奥深い歴史にも触れながら、ルーツや定義などをご紹介していきます。講師は、あらゆるお酒に詳しい「酒文化研究所」の狩野卓也所長。倉嶋さんとの対談で、焼酎というお酒がどのようにして誕生し広まっていったのかを深掘りしました。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です。

 

狩野卓也(左):酒文化研究所・代表取締役。洋酒メーカー勤務などを経て、1991年に同研究所を設立。1996年より現職。酒文化及び酒類ビジネスに関する調査研究や執筆、講演活動を行っている。著書に『酒と水の話-マザーウォーター』(紀伊国屋書店、同研究所編・共著)など。
倉嶋紀和子(右):雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名

 

「焼酎」とは基本的には「洋酒以外の蒸留酒」である

倉嶋 お久しぶりですね。本日はよろしくお願いします! 今日は焼酎の基本的なことをお伺いしたいのですが、そもそも焼酎とはどういうお酒のことを指すのでしょうか?

 

狩野 今回は歴史のこともお話しますが、大前提として、誕生当初の焼酎と、現在私たちが目にしている焼酎とでは少々違っている部分があります。「焼酎とは何ですか」という定義に関しては日本の酒税法による定めです。非常に幅広いですね。ざっくり言えば、アルコール含有物を蒸留したものがすべて焼酎。ただし、ウイスキーやラム、ジンなど、一般的に「洋酒」と呼ばれる蒸留酒は除きますし、使ってよい原材料をはじめ、アルコール度数や色にも規定があります。

 

●焼酎の定義

 

倉嶋 製法や飲み方というより、税率を区分するための定義であると。それもあるからか、原料でカテゴリーがわかれる洋酒と違って、焼酎は芋、米、麦、黒糖、そばなど種類が多彩ですよね。

 

狩野 洋酒と焼酎の違いを、「ウイスキー」と「麦焼酎」を例にして挙げるとすれば、一番は「の有無です。焼酎はまず、原料を発酵させて醸造酒のようなものをつくり、そこから蒸留を経て完成させますよね。この醸造酒が大麦ならビールのような液体からウイスキーへと蒸留されるのですが、発酵前の糖化に麦芽を使用すればウイスキー、麹を使用すれば麦焼酎へと分類されるのです。

 

倉嶋 ウイスキーなどの洋酒はその昔、税率が高かったんですよね。

 

狩野 はい。海外から入ってきたビールやウイスキーなどは贅沢品とみなされて、高い酒税がかけられていました。一方で、もともと広く飲まれていた焼酎は大衆のお酒。酒税が低いため、庶民でも買いやすかったので、飲み手と造り手の関係性も守られていたのです。ただし、そのぶん、アルコールの度数帯や色の濃さなど細かいルールが定められました。

 

倉嶋 なるほど、そういう過程があっていろいろと規定されているんですね。

 

↑色付きの焼酎として代表的な銘柄が宝焼酎「レジェンド」。樽貯蔵熟成酒を20%使った深いコクと豊かな香りが魅力です

 

ルーツはメソポタミア文明にあり、焼酎は戦国時代に生まれた!

狩野 焼酎におけるアルコール度数の規定は、連続式蒸留機による焼酎なら36度未満、単式蒸留機なら45度以下というものですが、蒸留機の違いも重要です。

 

●蒸留機の違いとアルコール度数の規定

 

倉嶋 焼酎は大きく分けると「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」と「単式蒸留焼酎(乙類焼酎または本格焼酎)」の2つ。あとは両者を混ぜた「混和焼酎」ですよね。では改めて、焼酎の成り立ちから教えてください。

 

狩野 蒸留という技術でお酒がつくられ、焼酎をはじめとする広義の蒸留酒が誕生したのは紀元前。メソポタミア文明下で生まれ、やがて大陸を渡って日本にやってきたのは14~15世紀。伝来はシャム(タイ)~沖縄説(図表①)、ラオスから中国に伝わり倭寇(わこう。日本の海賊)が壱岐対馬に持ち帰った説(図表②)、そしてラオス、中国を経て朝鮮半島から壱岐対馬に伝わった説(図表③)と、時系列ははっきりしていませんが、これらのルートで伝来したと言われています。

 

●焼酎の日本への伝来ルート

 

倉嶋 なるほど。泡盛の主原料はタイ米ですもんね。一方、九州は中国経由で焼酎になったと。

 

狩野 はい。そこから、いま私たちが目にしている焼酎が生まれたのは戦国時代(室町時代後半)だと言われています。農民が庭先で作っていたようなお酒が原型ですね。「焼酎」という記述の最古は、永禄2年(1559年)のもの。織田信長と今川義元が戦った、桶狭間の戦いの前年です。

その記録があるのは、鹿児島県伊佐市の郡山八幡神社。大工の棟梁だと思われる人物が書いた落書きに「ここの施主は、ケチだから焼酎をふるまって(飲ませて)くれない」といった内容が記されているのです。これはつまり、庶民が焼酎を飲む文化がこの時代にあったということ。まさか、悪口が歴史的記録になるとは夢にも思わなかったでしょう。

 

倉嶋 素敵な落書きですね(笑)。ちなみに鹿児島とはいえ、この時代はまだ芋焼酎ではないですよね?

 

狩野 そうですね。さつまいもの伝来は1600年ごろですし、米も当時は貴重でしたから、この焼酎の主な原料は、きびやあわなどの雑穀ではないかと言われています。そしてもうひとつ、当時すでに存在していたのが「粕取り焼酎」。

 

倉嶋 あっ、酒粕由来の「粕取り焼酎」。俗にいう、戦後の貧しい時代に闇市などで売られていた「カストリ(焼酎)」とは違うんですよね?

 

狩野 ええ。そこはかなり重要な部分です。もともと「粕取り焼酎」は、酒粕からアルコール分を除去して、良質な肥料を作る過程でできた焼酎と考えられていて、九州でも南部に比べて稲作が盛んな北部の農村地では田植え期に肥料を作るため、酒粕の蒸留が行われるようになりました。一方で「カストリ(焼酎)」のカスは、それこそ「残りカス」という意味です。

 

倉嶋 「カストリ(焼酎)」は密造酒と言われてますもんね。「酒になるものならなんでもいいからつくっちゃえ」的な。味も粗悪だったことから、この時代「(粕取り)焼酎」にネガティブなイメージが付いてしまったと。

 

狩野 呼び方が一緒なのでイメージを大きく傷つけられてしまったのです。正しくつくられた「粕取り焼酎」は酒粕由来の香りが特徴で、いまも九州北部を中心に根強いファンがいるんですよ。

 

連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)は明治末期に誕生した

倉嶋 では、先ほどおっしゃっていた「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」と「単式蒸留焼酎(乙類焼酎または本格焼酎)」、それぞれの歴史を詳しく知りたいです。

 

狩野 製法でお話しすると、伝統的なのは単式蒸留。単式とはいわば単発型の蒸留方式ということですから蒸留は1回で、アルコール度数もそこまで高くはなりません。

一方の連続式蒸留は、1826年にスコットランドで連続式蒸留機とともに発明された製法。1回で連続的に(連続して多段階の)蒸留が行えるため、アルコール度数の高い蒸留酒がつくりやすいことも特徴です。

 

倉嶋 「単式蒸留焼酎」は原材料の風味が香る個性豊かなテイストで、乙類焼酎本格焼酎と言われるもの(以降は本格焼酎と呼ぶ)。そして「連続式蒸留焼酎」は、雑味がなくピュアで炭酸水や果汁などで割って飲むことにも適した甲類焼酎(以降は甲類焼酎と呼ぶ)。その昔は、「新式焼酎」とも呼ばれていたものですよね。

 

狩野 はい。連続式蒸留はヨーロッパから日本へ伝わり、国内初の新式焼酎は明治末期の1910年に愛媛県宇和島の日本酒精(株)が開発した「日の本焼酎」が最初の商品ですね。1912年には宝酒造の前身である四方合名会社が、この「日の本焼酎」の関東における販売権を取得し、「寶」の商標で発売して大ヒットさせました。

 

↑日の本焼酎の看板

 

倉嶋 「日の本焼酎」は「宝焼酎」の原型ってことですよね。

 

狩野 そうです。四方合名会社はその後、「日の本焼酎」の開発者を招へいして大正初期の1916年に自社製造を始めています。また、連続式蒸留焼酎は関東で人気となったことも関係してか、地域で分けると概ね東日本で多く飲まれているのは甲類焼酎、西日本では本格(乙類)焼酎です。

 

倉嶋 特に九州や沖縄では、今でも本格焼酎が主流ですもんね。老舗の焼酎蔵も多いですし。

 

狩野 酒税も、既存の蔵元を守るために本格(乙類)焼酎のほうが安かった時代(2000年10月より甲類・乙類同額になる)もありますね。

 

飲み方はお湯割りや水割りが主流。酎ハイは戦後に生まれ広がった

倉嶋 では、焼酎はどのように飲まれ、どのようにして今のようなスタイルへと広がっていったのでしょうか?

 

狩野 確かな記録が残っているわけではないのですが、昔から九州で最も主流な飲み方はお湯割りや水割りだという説が濃厚です。九州の方はお酒に強いイメージがありますけど、それでも25%や30%など、アルコール度数が高いお酒をそのままで飲み続けるのはつらいですよね。私の長年のフィールドワークによる感覚値でも、焼酎と水を5対5や6対4で割って飲む方のほうが多い印象です。

 

倉嶋 九州では前割り(あらかじめ焼酎と水を混ぜ合わせてなじませる)文化も日常的ですもんね。

 

狩野 そういえば、倉嶋さんは熊本出身ですよね。ただ例外として、アメリカ人民俗学者の調査によると、熊本県南部の人吉球磨(ひとよしくま)エリア(稲作が盛んで、米でつくる「球磨焼酎」が有名)では、米焼酎をストレートで飲む文化もあるそうです。

 

倉嶋 人吉球磨ですか! あそこは熊本屈指の酒処。さすがです。

 

狩野 私も実際に現地へ行って、よく見たのは米焼酎のストレートを燗にしてコップで飲むスタイルです。それにならって飲んでみると、アルコール度数は高くても案外飲めちゃうんですよ。米由来で味がすっきりしているから、というのも関係している気がします。

 

倉嶋 球磨焼酎は飲みやすさも魅力ですからね。

 

狩野 まあ、人吉球磨は例外として、昔から主流なのはやはりお湯割りや水割り。その後、戦後に流通の発達や冷凍庫の普及によってオンザロックや炭酸割りが広まっていきました。なかでも、炭酸割りから生まれた「焼酎ハイボール」は革命的。つまり「酎ハイ」の誕生ですね。

 

倉嶋 以前、東京墨田区の「三祐酒場」さんの記事で紹介されていました。戦後間もない1951年に「ウイスキーハイボール」の味に感銘を受けて「焼酎ハイボール」を開発したと。

 

狩野 はい。そして今では多くの酎ハイにレモンが入っていると思うのですが、これはレモンの関税が戦後徐々に安くなっていったからだと思います。

 

倉嶋 当時はまだまだ贅沢品だったレモンを酎ハイに浮かべることで、高級なイメージを狙ったというわけですね。

 

【酒噺のオススメ記事はコチラ】
【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺

 

狩野 そして焼酎ハイボールに欠かせないのが、連続式蒸留機でつくられる「甲類焼酎」。これも昔は無色透明でピュアなタイプが多かったと思います。ただその後、メーカーの技術進化があり、ピュアで味わいのある甲類焼酎も出現してきました。

 

倉嶋 1974年にアメリカで起こったバーボンとウオッカの消費量逆転現象「ホワイトレボリューション」がひとつのきっかけですよね。日本では宝焼酎「純」をはじめとする、ボトルも洗練された新しいタイプの甲類焼酎がヒットした時代です。

 

↑11種類の樽貯蔵熟成酒を13%の黄金比率でブレンドした、宝焼酎「純」は1977年にデビューして大ヒット。その後、1988年には宝焼酎「レジェンド」が誕生します

 

狩野 そう。「純」のヒットなどをきっかけに、ニュータイプの甲類焼酎が若い世代に人気になったのは同時期の昭和50年代でしょう。その後、昭和から平成にかけてカクテルのブームや居酒屋チェーンの台頭などによって酎ハイなど飲み方も多様化し、ウーロン茶割りや梅干しを入れる飲み方も広まったのです。

 

倉嶋 そして2003年には本格焼酎がブームとなり、また時を同じくして大衆酒場に脚光が当たるとともに、再び酎ハイも人気に。近年ではレモンサワーのブームで甲類焼酎が好調ですし、やっぱり焼酎の歴史は奥が深いですね。改めて勉強させていただき、今日はありがとうございました!

 

今回はここまで。次回は甲類焼酎の製造現場を訪れ、「焼酎ができるまで」をテーマに倉嶋さんが工場長に話を伺います。

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎「レジェンド」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/legend/

・宝焼酎「純」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/jun/

こりゃ売れるわけだ!アッパーで“口福”な「ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ」は祝いやギフトに最高

“はじまりのシングルモルト”として名高い名門スコッチウイスキー「ザ・グレンリベット」から、正統だけどユニーク、紳士的だけど陽気、そんな個性派が限定発売され、売れに売れています。商品名は「ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ」。

 

↑2021年12月6日からEC限定で発売中の「ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ」。参考小売価格は税込5610円

 

その売れ行きは絶好調で、初回分は予約だけで完売したとか。そこで、人気の秘密を探りにブランド担当者を取材。製法などを紹介するとともに、味の特徴もレポートします。

 

バナナ、ココナッツ、パインなどトロピカルな面影

訪れたのは世界的なワイン&スピリッツメーカーであり、「ザ・グレンリベット」などの輸入販売も手掛けるペルノ・リカール・ジャパン。「ザ・グレンリベット」のブランドオーナーであるシーバス・ブラザーズ社のスコッチウイスキーアンバサダー、サイモン・ダーヴェニーザさんが教えてくれました。

 

↑サイモンさんはオーストラリア出身。日本には学生時代に留学経験があり、その後2015年に来日し現在に至ります。都内の有名ホテルでバーテンダーをしていたことも

 

世界的なウイスキーブームが続くなか、特にシングルモルトは高い人気を誇っています。シングルモルトとは、複数の蒸溜所のモルトを混ぜたブレンデッド(ヴァッテッド)とは違い、単一の蒸溜所のモルトだけをブレンドすることが名の由来で、土地の恵みが生きた個性的な味わいが特徴。

 

なかでもスコッチウイスキーの「ザ・グレンリベット」は、1824年に英国政府公認蒸留所の第1号となり、“はじまりのシングルモルト”として知られる超名門。高い評判の一方で、グレンリベットの名を冠した多くの模倣品がはびこったため、創始者がTHEという定冠詞を付け「ザ・グレンリベット」と名乗ることを正式に許可されたというストーリーも有名です。

 

↑熟成年数や熟成樽の違いなどで様々なタイプがラインナップされています。左はそのなかでも大定番の「ザ・グレンリベット 12年」で、参考小売価格は税込5907円

 

今回の「ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ」は、海外では2021年夏に先行発売されていたモデルが日本上陸したもの。以前から発売されていた「ザ・グレンリベット 14年 コニャックカスク・セレクション」(参考小売価格税込6930円)に続く、熟成樽の違いで独自の個性をもたせた一本です。

 

「その名の通り、カリブの風土や文化から受けたインスピレーションを表現しました。カリビアンラムの熟成に使用した樽で、ブレンドの一部をフィニッシュしています。デザインも太陽や南国をイメージしていて、ハッピーな世界観ですね。おひとりで楽しむのももちろんオススメですが、お祝いやパーティなどで味わっていただくと、より幸せを共有できるおいしさに仕上がっていますよ」(サイモンさん)

 

↑パッケージには鮮やかなコーラルカラーとヤシの木のモチーフを採用

 

カリビアンラムの熟成樽を使用するフィニッシュは、「ザ・グレンリベット」初の試みだとか。まずはストレートで味わってみると、確かにトロピカルなニュアンスが印象的に感じられます。

 

↑「ザ・グレンリベット」らしい洋なしや柑橘系のフルーティさとフローラルな味わいのうえに、バナナやココナッツといったトロピカルな要素も

 

加水すると香りが開き、より南国感が広がります。甘やかなフレーバーにはキャラメルやバニラの密感とともに、熟したパインやマンゴーを思わせるアッパーな面影があって、ほんのりスパイシーさも。この多幸感こそが、カリビアンラム熟成樽によるものでしょう。

 

カクテルでは大人な味に遊び心を演出してくれる

「ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ」はカクテルのベースにもオススメとサイモンさん。例として、2種類を作ってくれました。まずはタヒチの方言で“最高!”という意味をもち、トロピカルカクテルの女王といわれる「マイタイ」。

 

↑一般的にはホワイトラムをベースにするところ、スコッチウイスキーの「ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ」で仕上げます

 

サイモンさんの「マイタイ」はオレンジリキュールやライム果汁をふんだんに使っていて、明るく温かな柑橘と、ウイスキーの上品なボディ感がマッチ。

 

↑「ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ」の南国チックな要素が、いっそうトロピカル感を演出します

 

もう1杯は、通常はダークラムとジンジャービアを使う「ダーク&ストーミー」というカクテル。ジンジャービアとはジンジャーエールに近しい飲み物(いわゆるビールではないです)で、濃厚な生姜テイストが特徴です。

 

↑サイモンさんはラムの代わりに「ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ」をベースに、ライム果汁と「ビターズ」というリキュールを隠し味に作ってくれました

 

鮮烈なジンジャーフレーバーと、ブライトなライムの酸味、その奥に感じる、揺ぎ無いウイスキーの華やかさ。これぞ「ザ・グレンリベット」の真骨頂。カリビアンなニュアンスがファニーな表情を与え、大人な味わいのなかに遊び心を演出しています。

 

サイモンさんは、詳しいカクテルレシピも教えてくれました。またパーティで楽しむ際は、キューバサンド、タコス、ワカモレ(アボカド)×チップス、ジャークチキンといった、カリブや中南米のおつまみがオススメだそうです。「ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ」はEC限定かつ大人気ということで、気になる人は早めにチェックを!

 

【レシピ】

●マイタイ

ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ 45ml
オレンジリキュール 15ml
アーモンドシロップ 15ml
ライム果汁 20ml
オレンジ 1切れ
ミントの葉 適量

 

●ダーク&ストーミー

ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ 30ml
ライム果汁 15ml
アンゴスチュラビターズ 2滴(無くてもOK)
ジンジャービール 適量

 

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2022年、お酒は何がヒットするのか?

糖質オフビールや微アル(微アルコール)など、2021年は新たなカテゴリーのお酒が市場をにぎわせました。では、2022年はどんなヒットが予想できるのか。これから飛躍しそうなお酒トレンドを、5つのキーワードで解説します。

 

↑例えばこちらは熊本生まれのスパイス焼酎「カルダモンTAKE 7」。お酒やカレー好きには知られた銘柄で、こういった個性派も2022年はより一般浸透する気がします

 

1:SDGsなお酒が拡大

SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)は全世界的なテーマであり、2022年のフードやお酒もよりSDGsを意識した商品が登場。例えば、健康を意識した低糖質なビールやRTD(缶チューハイなど)はいっそう増えるでしょうし、お酒が飲めない人や酔いたくない人が心地よく飲み会を楽しむための、多様的な微アルのようなアイテム群も拡大していくと思います。

 

↑無糖、ノンアル、微アルはますます存在感を増すでしょう。糖質やアルコール度数が低いハードセルツァーも、引き続き見逃せません

 

また、SDGs的な側面でいうとエシカル(倫理的)なお酒にも注目。有機農法や無農薬で醸造されたワインや、余ったパンを活用したビール、廃棄予定の酒粕を駆使したジンなどなど。お酒の可能性が、いっそう注目される一年にもなるでしょう。

 

2:フルオープン缶酒

2021年に大ヒットしたビールが「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」です。特徴のひとつが、缶の全面が開くフルオープンタイプであること。ビールの缶としては最新技術が用いられていますが、日本初の缶入り生原酒として有名な「ふなぐち菊水一番しぼり」は半世紀前からフルオープン缶を採用しており、このタイプの缶酒が生ジョッキ缶の影響で今後増えるのでは?と期待しています。

 

↑1972年デビューの「ふなぐち菊水一番しぼり」は50周年のアニバーサリーイヤーで、目にする機会も多くなることでしょう

 

なぜなら、口の広いフルオープン缶は香りを最大限に楽しめるのも魅力だから。また、ビール各社も知見としてはフルオープン缶の技術を持っていて、昭和の時代には「サッポロカップ<生>」や「サントリー生ビール CAN」などが発売されていました。昭和礼賛トレンドでもある現在、期待せずにはいられないのです。

 

3:スパイス酒

昨年話題となったRTDにコカ・コーラの「ノメルズ」というレモネードサワーがありますが、特徴のひとつはジュニパーベリーを使っていること。ジュニパーベリーとはジンに欠かせないスパイスのことで、甘やかなビターフレーバーがおいしさの秘密です。「ノメルズ」の登場は、いよいよスパイスを使ったお酒が一般的にも受け入れられ始めた証ではないでしょうか。

 

↑シナモンが香るラムチャイや、ミントの効いたモヒートなど、スパイスやハーブを使ったお酒は人気がジワジワと広がっています

 

スパイスカレーやビリヤニ(スパイシーな炊き込みご飯)が市民権を得つつあるいま、お酒にスパイスが求められることも自然なはず。クラフトジンも年々人気が高まっていますし、冒頭の「カルダモンTAKE 7」のような個性派も続々誕生。スパイスは、食べるだけではなく飲んで楽しむ時代なのです。

 

4:クラフトビール自販機

フード業界全体の最新トレンドのひとつが“イロモノ自販機”。マシン内で調理したラーメンを提供する「Yo-Kai Express」を筆頭に、冷凍の餃子やカツカレーなど様々な個性派自販機が登場しています。

 

↑こちらは高円寺にある「ドリンクアップ!! クラフトビアショップ」。約30種のクラフトビールが買えます

 

お酒のトピックでいえば、自販機でクラフトビールを販売するショップが2020年の末にオープンして、ツウの間で話題に。ほかにもクラフトブルワリー(醸造所)の敷地内や酒販店の軒先、ホテルなどで設置される例も出ていて、もっと広がるのでは?と期待しています。

 

5:卓上蛇口酒場

コロナ禍によって外食業界は強い逆風にさらされましたが、そのなかから頭角を現したジャンルが「卓上蛇口酒場」。非接触が求められるなか、客席のテーブルに設置された蛇口からお客さんが好きなようにお酒を注げるという、画期的なシステムがヒットの要因です。

 

最も有名なのが、2021年中にその数を約50店舗にまで拡大し、2022年は100店舗展開をうたう「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」。ここはレモンサワーがウリですが、お店によってはハイボールだったり焼酎だったりと様々。

 

↑赤坂にある「牡蠣と和牛の奴隷」は、ときわ亭よりも価格がお得で、なおかつレモンサワーとハイボールの両方が出るサーバーを設置しています

 

「卓上蛇口酒場」はどんどん増えていますが、まだ利用したことがないという人も少なくないはず。徐々に外食を楽しむ人が出てきそうな2022年こそ、一般浸透するのではないかと思います。

 

いま世の中は、飲み方自体が問われる変革期。だからこそ、時代に即した画期的な商品やサービスが登場していくでしょう。

 

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冬キャンプには「ホットラム」を選ぶべき! ラム酒の代名詞「バカルディ」で知る新しい楽しみ方

夜空がきれい、焚き火の醍醐味が楽しめる、虫がいないなど、冬はもうひとつのキャンプシーズン。とくにテントで温まりながら、しんと冷えた自然のなかで過ごす体験は得難い贅沢といえます。その時間を豊かにしてくれるのはやっぱり、お酒でしょう!

 

ウイスキーのお湯割り? ホットワイン? いいえ、いまこそ知ってほしい、ホットラムこそ冬キャンプのおともにふさわしいお酒であることを。ラムの特徴や飲み方などに触れながら紹介しましょう。

 

そもそもラムってどんなお酒?

ラムとは、サトウキビでつくられた蒸溜酒のこと。ジン、ウォッカ、テキーラと並び、世界の四大蒸溜酒のひとつに挙げられますが、ラムは熟成の有無や生産国に左右されないことなどから味のバリエーションが多彩。色がクリアなホワイトラム、樽熟成による薄い褐色のゴールドラム、さらに長期間寝かせることで風味やボディが強く濃い褐色のダークラムなど数種がある、多様性豊かなお酒といえます。

↑ラムは飲み方も様々。今回はホットラムを取り上げつつ、多様である理由も解説します

 

味の特徴は、原材料由来の甘やかな香りと豊かなコクにあり、フルーツやスパイスなどと好相性なことも魅力です。代表的な銘柄は「バカルディ」。世界ナンバーワン(※)のラム酒ブランドとして知られています。

(※) 2020年1~12月販売数量:IWSR社調べ

【関連記事】日本で一番ラムに詳しい男に聞いた!「バカルディ クアトロ」で体感できる「エイジドラム」の奥深い話と楽しみ方

 

冬は、ラムがおいしい季節だった!

南国・カリブ海の島々が発祥といわれるラムには、“夏”のイメージがあるでしょう。もちろん実際、夏に最適のお酒ですが、楽しむのに季節は問いません。冬の寒いときに温めて飲んでも抜群においしいお酒が、実はラム。

 

それはやはり、ラムは甘やかな香りと豊かなコクが特徴だから。香りに甘みがあるため、温めてもツンとしたアルコール臭が立たず、コク深いため、割り材と合わせてもラムらしいフレーバーがカクテルと調和します。

 

とくに冬は、熟成させてコク深さを増したゴールドラムやエイジドラム、ダークラムがオススメ。ラムは南国の陽気な人々のなかで生まれ愛されてきたお酒であり、「ラムを飲んでいっそう開放的な気分になろうよ!」という思いが込められています。

 

そんなラムは、日常から解放されて自然と一体化するキャンプとも相性抜群。家族や気の置けない知人たちと焚き火を囲み、夏は元気にワイワイと。冬はまったり談笑しながら、心を開放して本音で語り合う。そんなときにふさわしいお酒なのです。

 

冬レシピのイチオシは「ホットラムチャイ」

イチオシの飲み方は「ホットラムチャイ」。スパイス香るインド伝統のミルクティー「チャイ」にラムを加えたカクテルのこと。ラム初心者でもおいしく作れる、基本的なレシピを紹介しましょう。

↑ラムはスパイスとも調和するほど懐の広いお酒。「ホットラムチャイ」で、ぜひ絶妙なマッチングを試してください

 

【材料】
ゴールドラム:40ml
・ミルクティー:150ml
・スパイス:適量(クローブ、カルダモン、シナモン、生姜)
・メープルシロップ:小さじ3杯

 

【作り方】


1.耐熱グラスに「バカルディ ゴールド」または「バカルディ エイト」、スパイス、メープルシロップを入れる。

 


2.ミルクティーは、ミルクから淹れるロイヤルミルクティーがおすすめ。

 


3.沸騰したアツアツの状態で注ぎ、ステア。

 


4.お好みでシナモンスティックを入れ、完成。

 

味わいはまろやかでほんのり甘く、ラムのふくよかなコクが大人なエッセンスを、茶葉の渋味が上品なニュアンスを、スパイスの妖艶な香りが遊び心を演出します。そして口当たりからアフターの余韻まで、きわめてスムーズで体の中に染み込むような心地よさ。これはチャイのミルク、ラム、メープルシロップそれぞれが、共通の“甘み”という方角に向いているからでしょう。

 

冬のキャンプには寒さがつきものですが、寒いからこそ体の芯まで温まり、テンションも上がって楽しい気分になれる。高揚しているからこそ話が弾み、キャンプの時間がいっそう素敵な思い出になる。これはホットラムならではの体験だと思います。

 

温かくてまろやか。甘やかな香りとふくよかなコクが、体も心も包んでくれる、そんなホットラムのカクテルは本能を刺激し、おいしさとともに感動すら与えてくれるはず。上記レシピを参考に、ぜひ試してみてください。

 

まだまだある! ホットラムを最高に楽しめるレシピ 3

冬におけるラムの飲み方は「ホットラムチャイ」以外にも多彩。バターにほうじ茶……!? ホットラムの振り幅は想像以上に広いんです。

 

・ホットバタード ラム

ほどよい甘さ、バターのミルキーなコクと香りがアクセントになる定番のホットラムカクテル。ゴールドラムの上品なフレーバーが全体の味を引き立てます。比較的「ホットラムチャイ」と近しいタイプの味わいです。

 

【材料】
ゴールドラム:40ml
・お湯:150ml
・メープルシロップ:小さじ3杯
・有塩バター:5g

 

【作り方】
1.耐熱グラスに「バカルディ ゴールド」または「バカルディ エイト」、メープルシロップ、お湯を注ぐ。
2.バターを入れ、溶けるまでよくステアして完成。

 

・ホットラム チョコレート

チョコレートとラムの相性の良さをそのまま感じられる一杯。ゆっくりとした時間を過ごしたい場面に最適です。ビターなチョコレートを使えば甘さが抑えられ、そのぶん大人な味わいを楽しめます。

 

【材料】
ゴールドラム:30ml
・溶かしたミルクチョコレート:75g
・ホットコーヒー:50ml
・ホットミルク:40ml
・メープルシロップ:小さじ2杯

 

【作り方】
1.耐熱グラスにすべての材料を入れ、よくステア。
※ミルクチョコレート、コーヒー、メープルシロップの代わりにホットミルク 150ml で溶いたココアパウダーを代用して作ることもできます。

 

・ホットラム ほうじ茶

甘さ控えめ、ほどよい香ばしさと苦みが飲みやすい、新しいホットティーカクテル。今回紹介する4種のラムカクテルのなかでは最も甘さが控えめ。茶葉の香りと相まった上品なテイストを満喫でき、飲み飽きない味わいに気分が安らぎます。

 

【材料】
ゴールドラム:40ml
・ほうじ茶:150ml
・メープルシロップ:小さじ2杯

 

【作り方】
1.耐熱グラスにすべての材料を入れ、よくステアして完成。

 

ホットラムにふさわしい銘柄があった!

冬はゴールドラム、エイジドラム、ダークラムがオススメと前述しましたが、イチオシの銘柄が「バカルディ ゴールド」。オーク樽で2~3年熟成させたゴールドラムで、リッチなフレーバーや厚みのあるコク深い味も魅力です。

 

また、様々なカクテルのベースとして、世界中のバーテンダーから絶大な信頼を得ている点も見逃せません。ホワイトラムの銘酒「バカルディ スペリオール」とともに、ラムカクテルのマスターピースとして愛されています。

バカルディ ゴールド

アルコール度数は40%で、写真の750mlと手軽なサイズの200mlがあります。

 

また、いっそうボディ感のある味を求めるならエイジドラムの「バカルディ クアトロ」がオススメです。こちらはアメリカンオーク樽で4年以上熟成させたバカルディの原酒のみをブレンド。その後、再度オーク樽に詰め直し数か月間寝かせる“ダブルエイジング”を行ってからボトリングしており、豊かなフレーバーとまろやかさの際立つ味が特徴です。

バカルディ クアトロ

2021年6月に日本デビュー。アルコール度数は40%で、750mlボトルが発売されています。

 

暖かい空間ではラムハイボールがオススメ!

とにもかくにも、冬キャンプで楽しむお酒にはホットラムが最適解。もちろんキャンプだけではなく、冬のあらゆるチルタイムにオススメなので、本稿を参考にぜひお試しください。

 

また、今回は寒いシチュエーションをテーマにしていますが、室内など暖かい空間ではシンプルにソーダで割ったラムハイボールもおいしく楽しめます。思い思いのシーンで素敵なラムライフを!

 

 

取材・文/中山秀明 撮影/湯浅立志(Y2) 撮影協力=PICA秩父

年末年始で疲れた胃を癒す――青りんごのような爽快感の「会津娘 穣 花坂境22」で年始を締めよう

新年あけましておめでとうございます!  今年の年末年始はみなさんゆっくり出来ましたか? 年末年始は、一年間の中でもお酒が最も飲まれるハイシーズンでもあります。そこで本企画ではこの年末年始におすすめの日本酒やクラフトビールなどさまざまなお酒を、国際唎酒師の髙橋理人さんが解説。

 

さらに2021年12月27日に発売したお酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』の、お酒紹介話もお披露目します。おすすめのお酒と、それにちなんだマンガをゆったりとお楽しみください。

 

●解説

髙橋理人さん

全国の酒蔵のサポートおよび情報発信を行っている、酒蔵支援スタートアップ「株式会社蔵楽(クラク)」代表取締役。SSIインターナショナル認定「国際唎酒師」であり、一般社団法人日本ソムリエ協会認定「SakeDiploma」、「ワインエキスパート」とお酒関連の資格を幅広く持つ。大手化学メーカーに就職した最初の赴任地、新潟県糸魚川市にて感動的な日本酒に出会い、その魅力の虜に。日本酒普及に向けた活動を行い、オンラインセミナー「日本史と日本酒」、「日本酒都道府県旅」など日本酒と人を繋げる新たなアプローチを数多く試みている。

 

●年末年始におすすめの一本

会津娘 穣 花坂境22(髙橋庄作酒造店)

福島の銘酒・会津娘では、会津の酒造好適米だけで造る純米酒を基本に、その中から更に「一枚の田んぼで穫れた米ごとに仕込む純米吟醸酒」を酒造りの中心に据えて、圃場限定会津娘「穣」 として、 田んぼごと季節ごとに蔵出しをしています。「花坂境22」は、潤いのある青りんご系の爽やかな香りと洗練された甘み、舌の上で舞う旨みなどがワンランク上の一本です。

 

福島で丁寧に作られた極上の一本、髙橋さんのコメントは以下になります!

 

出来立てのお酒の美味しさをそのまま感じられる一本。プチプチと弾ける炭酸感と、青りんごのようなさっぱりした爽快感が気分をスッキリとさせてくれます。舌に溶け込むような柔らかい酒質も特徴的で、気づけばスイスイと飲めてしまいます。年末年始で疲れた胃にも優しいこちらのお酒で、お正月気分を最後までしっかりと楽しんでください!

 

飲みすぎ、食べすぎにも優しい会津娘 穣 花坂境22は、お酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』でも紹介しています。ぜひマンガと合わせて、その魅力を知ってください。マンガは全て12月27日に発売したばかりの単行本に収録されている特別版です!

※マンガ部分が読めるのは、2022年1月7日21時までとなります

 

【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

漫画:zinbei

刊行:ワン・パブリッシング

うまい酒とエモい散歩は学問だ――。日本全国の足を運ばないとわからない魅力を持った「土地」、その土地でこそ楽しめる「お酒」の楽しみを描いた、今までありそうでなかった「酒×街歩き」コミックがついに単行本に。作中で登場する日本酒やワイン、クラフトビール、健康センターのサワーなど、全て実在のもの。お酒と共に、土地々々の隠れた顔に迫る「エモい街巡り」が描かれます。コロナ禍以降、お出かけの解放感とお酒の楽しみから遠ざかった人、また少しずつでも足を伸ばしてみようと思っている人に寄り添う酒マンガの新境地!

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次ページで後編が読めますので、下記の「後編へ続く」をチェックしてください!

 

【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

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【作品情報】

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すき焼きや鍋と合わせたい! 年始のおうちご飯をちょいリッチにする「シャトー・メルシャン 山梨マスカット・ベーリーA」

新年あけましておめでとうございます!  今年の年末年始はみなさんゆっくり出来ましたか?

 

年末年始は、一年間の中でもお酒が最も飲まれるハイシーズンでもあります。そこで本企画ではこの年末年始におすすめの日本酒やクラフトビールなどさまざまなお酒を、国際唎酒師の髙橋理人さんが解説。

 

さらに2021年12月27日に発売したお酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』の、お酒紹介話もお披露目します。おすすめのお酒と、それにちなんだマンガをゆったりとお楽しみください。

●解説

髙橋理人さん

全国の酒蔵のサポートおよび情報発信を行っている、酒蔵支援スタートアップ「株式会社蔵楽(クラク)」代表取締役。SSIインターナショナル認定「国際唎酒師」であり、一般社団法人日本ソムリエ協会認定「SakeDiploma」、「ワインエキスパート」とお酒関連の資格を幅広く持つ。大手化学メーカーに就職した最初の赴任地、新潟県糸魚川市にて感動的な日本酒に出会い、その魅力の虜に。日本酒普及に向けた活動を行い、オンラインセミナー「日本史と日本酒」、「日本酒都道府県旅」など日本酒と人を繋げる新たなアプローチを数多く試みている。

 

●年末年始におすすめの一本

シャトー・メルシャン 山梨マスカット・ベーリーA

 

赤い果実を連想させる香りと程よい樽のニュアンスのバランスが良い一本。マスカット・ベーリーAは、昭和の初期に交配された日本固有のブドウ品種で、山梨県で広く栽培されているもの。山梨県甲州で生まれた良質なぶどうの香り、程よい酸味が食欲を誘います。

 

ワインは年始のどんな場面に合うのか? 髙橋さんによると…

 

日本の品種であるマスカット・ベーリーAは、あっさりとしたライトな味わいと共に、出汁のような旨味がじわじわ膨らむのが特徴です。醤油やみりんなどの甘くて旨味のある調味料と相性が良く、すき焼きや寄せ鍋との相性が抜群です。家族みんなでお鍋を囲みながら「シャトー・メルシャン 山梨マスカット・ベーリーA」で、年始の食事時間を楽しんでください。

 

とのこと! 鍋にワイン、聞いているだけで生唾を飲み込んでしまいます…。

 

今回紹介したお酒は、お酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』でも紹介しています。ぜひマンガと合わせて、その魅力を知ってください。マンガは全て12月27日に発売したばかりの単行本に収録されている特別版です!

※マンガ部分が読めるのは、2022年1月7日21時までとなります

 

【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

漫画:zinbei

刊行:ワン・パブリッシング

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【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

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生ジョッキ缶、微アルーー2021年の「お酒ブーム」を作った12銘柄は?

緊急事態宣言の期間が長く、2021年も家で飲むほうが多かった人がほとんどなはず。では、その状況下でどんなお酒がヒットしたのでしょうか。GetNavi webで取材・掲載した記事を振り返りながら、5つのキーワードで紹介します。

 

↑本稿では触れていませんが、「糖質オフビール」も2020年発売の「キリン一番搾り 糖質ゼロ」(左)と2021年発売の「パーフェクトサントリービール」(右)で盛り上がりました

 

1:微アル

「微アル」とは微アルコールのことで、厳密な定義はないですがアルコール度数1%未満のお酒を中心に「微アル」とカテゴライズされています。先駆けたのは、春に度数0.5%のビールテイスト「アサヒ ビアリー」を首都圏・関信越エリアで先行発売したアサヒビール。

 

同社はその後、秋に度数0.5%のハイボール「アサヒ ハイボリー」をリリースしましたが、同時期にはサッポロビールが「微アル」を新発売しました。こちらは度数0.7%のビールテイスト「サッポロ ザ・ドラフティ」です。

 

↑左が「アサヒ ハイボリー」、右が「サッポロ ザ・ドラフティ」

 

生活様式の変化を背景に、健康志向や酔い過ぎたくない気持ちが高まっているといわれる昨今。事実、低アルコール商品は増えていて、「微アル」の存在感も大きくなっていくと思います。

 

2:ハードセルツァー

「微アル」でも触れたように、健康志向はフード業界全体で注目のトピック。その他のトレンドとしては「ハードセルツァー」が一気に拡大したのも2021年の特徴です。

 

「ハードセルツァー」はアルコール入り炭酸水という意味で、アメリカで先行ヒット。一般的にサトウキビの糖蜜由来アルコールを使用していて、味の特徴は非常にライトで甘さもきわめて控えめ。スペック的にも低カロリー、低糖質というのが特徴で、アメリカでは健康志向の強いミレニアル世代を中心に人気が高いそうです。

 

日本ではオリオンビールが「DOSEE」、コカ・コーラが「トポチコ ハードセルツァー」、サッポロビールが「サッポロ WATER SOUR」を新発売。国内外のクラフトビールメーカーが手掛けている「ハードセルツァー」もありますが、「微アル」同様に大手が参入するとより面白くなるカテゴリーです。

 

↑左から、「DOSEE」「トポチコ ハードセルツァー」「サッポロ WATER SOUR」

 

3:スプリングバレー豊潤<496>

2021年のクラフトビールシーンを語るうえで外せないのが、3月にデビューしたキリンビールの「スプリングバレー 豊潤<496>」です。クラフトビールは個性的であるぶんマニアックな要素もあり、それも魅力のひとつですが、知名度が一般浸透しているとは言い切れず、地方では売っていないことも珍しくありませんでした。

 

↑「スプリングバレー 豊潤<496>」。発売半年で年間販売目標の約6割にあたる100万ケースを達成し、その後も売れています

 

それが、テレビCMでも流れるなど一気にメジャー化。コンビニはもちろんスーパーなどにも並ぶようになり、「スプリングバレー 豊潤<496>」がクラフトビール全体をけん引する存在となりました。味わいも絶妙で、クラフトビールらしい個性をもちながら圧倒的に飲みやすいおいしさが魅力です。

 

「スプリングバレー 豊潤<496>」をきっかけに、もっとクラフトビールファンが増えたらいっそう日本のビールシーンは面白くなるでしょう。

 

4:アサヒ生ジョッキ缶&マルエフ

“売れすぎて一時休売”。たまに見かけるニュースですが、2021年のお酒業界で印象的だったのは、アサヒビールの「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」と「アサヒ生ビール」(通称マルエフ)です。前者は4月、後者は9月の発売でしたが、ともにお店の棚から消えて話題となりました。

 

↑左から、「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」と「アサヒ生ビール」(通称マルエフ)

 

「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」は、缶の全面がパカッと開く見た目のインパクトと、直後に泡がこんもりふくらむサプライズ感が衝撃的。マルエフは、業務用限定となっていた“幻のアサヒ”が装い新たに一般発売ということで大ヒットに。なお、マルエフはもう欠品しないよう生産体制を集中させるため、発売予定だった「アサヒ生ビール黒生」は延期となっています。ということで、2022年のアサヒビール商品ではまず、この黒生の動向をチェックしましょう。

 

5:南国スピリッツ

スピリッツとは蒸溜酒のことで、ここ最近の日本産スピリッツというとウイスキーやクラフトジンがよくフォーカスされる印象。ただ、2021年は焼酎に関するニュースが例年以上に多かった気がします。

 

そして焼酎の聖地といえば九州。個人的には九州を含む南国の蒸溜酒「南国スピリッツ」に注目していて、近年では台湾のウイスキー「カバラン」が世界的にも高い評価を受けています。ウイスキーのように熟成がカギとなるお酒は、温暖な南国の気候が独自のおいしさを育むのだと思っていますが、なにはともあれ2021年は、日本の「南国スピリッツ」が面白い1年でした。

 

メジャー商品でいえば、宝酒造による宮崎産芋焼酎「一刻者」の20周年。アニバーサリーの限定商品も発売されて盛り上がりました。また、鹿児島に焼酎蔵をもつサントリーは炭酸割り専用をウリにした芋焼酎「香る大隅〈麦とジャスミン〉」を新発売。同じく鹿児島の薩摩酒造は、かつお節と一緒に燻した芋焼酎「燻枕崎」を限定発売。缶商品でも、大分の三和酒類は熟成樽貯蔵の麦焼酎をブレンドした「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」を新発売しました。

 

↑左から、「一刻者」、「カバラン」のハイボール缶、「燻枕崎」、「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」

 

ほかにも、「燻枕崎」を手掛けた薩摩酒造は芋焼酎を22年超長期熟成させた「スリーピー ベア」を今冬から数量限定で発売するなど、2021年は九州からユニークなお酒が続々誕生しました。「南国スピリッツ」や「南国熟成酒」は、今後も注目必至のカテゴリーだといえるでしょう。

 

来年初頭には「2022年のお酒トレンド予測」的な記事の掲載も予定。そちらもぜひチェックいただけるとうれしいです。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

年越しそばを待ちながらーー日本酒「髙尾の天狗」と高尾山の魅力をマンガでまったり綴る

今年の年末年始は、みなさんゆっくりできそうでしょうか? 一年の疲れを発散するには……なんと言ってもお酒!

 

年末年始は、一年間の中でも日本酒などのお酒が最も飲まれるハイシーズンでもあります。そこで本企画ではこの年末年始におすすめの日本酒やクラフトビールなどさまざまなお酒を、国際唎酒師の髙橋理人さんが解説。

 

さらに2021年12月27日に発売したお酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』の、お酒紹介話もお披露目します。おすすめのお酒と、それにちなんだマンガをゆったりとお楽しみください。

 

●解説

髙橋理人さん

全国の酒蔵のサポートおよび情報発信を行っている、酒蔵支援スタートアップ「株式会社蔵楽(クラク)」代表取締役。SSIインターナショナル認定「国際唎酒師」であり、一般社団法人日本ソムリエ協会認定「SakeDiploma」、「ワインエキスパート」とお酒関連の資格を幅広く持つ。大手化学メーカーに就職した最初の赴任地、新潟県糸魚川市にて感動的な日本酒に出会い、その魅力の虜に。日本酒普及に向けた活動を行い、オンラインセミナー「日本史と日本酒」、「日本酒都道府県旅」など日本酒と人を繋げる新たなアプローチを数多く試みている。

 

●年末年始におすすめの一本

髙尾の天狗 純米吟醸

↑イラストは『ほろ酔い道草学概論』作者・zinbei執筆

「髙尾の天狗」は、八王子の農家に生産委託した酒造好適米(美山錦、五百万石等)と八王子高月清流米(キヌヒカリ)を使用した限定清酒です。ラベルの文字「髙尾の天狗」は髙尾山薬王院第32世大山隆玄貫首の揮毫によるもの。また天狗のイラスト・団 扇は薬王院の了解のもと飾られている実物を使用しているそうです。

 

東京のお米で作った特別なお酒が、正月にどのように合うのか? 髙橋さんによると…

 

口に含むと、ほんのりリンゴのような香りを感じがする一本です。舌ざわりはやわらかく芳醇なお米由来の旨みがぐんぐん広がっていきます。のど越しはすっきりとしていて、爽快な飲み心地が最高です。食中酒として合うのですが、食事と一緒というよりは年越しそばを待っている間や、紅白歌合戦などの正月特番を見ながらゆったりなど、デザート感覚で飲んでほしいお酒ですね。

 

とのことです! また高尾山と言えば、中腹の薬王院へと初詣に向かう人もいるのではないでしょうか? ぜひ初詣に行った方は手に入れてほしい一本でもあります。

 

今回紹介したお酒は、お酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』でも紹介しています。ぜひマンガと合わせて、その魅力を知ってください。マンガは全て12月27日に発売したばかりの単行本に収録されている特別版です!

 

そんな髙尾の天狗にちなんだ『ほろ酔い道草学概論』をぜひお楽しみください! 今回は特別に単行本にのみ収録している描きおろしエピソードを掲載しています。

※マンガ部分が読めるのは、2022年1月4日21時までとなります

 

【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

漫画:zinbei

刊行:ワン・パブリッシング

うまい酒とエモい散歩は学問だ――。日本全国の足を運ばないとわからない魅力を持った「土地」、その土地でこそ楽しめる「お酒」の楽しみを描いた、今までありそうでなかった「酒×街歩き」コミックがついに単行本に。作中で登場する日本酒やワイン、クラフトビール、健康センターのサワーなど、全て実在のもの。お酒と共に、土地々々の隠れた顔に迫る「エモい街巡り」が描かれます。コロナ禍以降、お出かけの解放感とお酒の楽しみから遠ざかった人、また少しずつでも足を伸ばしてみようと思っている人に寄り添う酒マンガの新境地!

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次ページで単行本のみ収録の後編が読めます!

※マンガ部分が読めるのは、2022年1月4日21時までとなります

 

【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

漫画:zinbei

刊行:ワン・パブリッシング

うまい酒とエモい散歩は学問だ――。日本全国の足を運ばないとわからない魅力を持った「土地」、その土地でこそ楽しめる「お酒」の楽しみを描いた、今までありそうでなかった「酒×街歩き」コミックがついに単行本に。作中で登場する日本酒やワイン、クラフトビール、健康センターのサワーなど、全て実在のもの。お酒と共に、土地々々の隠れた顔に迫る「エモい街巡り」が描かれます。コロナ禍以降、お出かけの解放感とお酒の楽しみから遠ざかった人、また少しずつでも足を伸ばしてみようと思っている人に寄り添う酒マンガの新境地!

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【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

漫画:zinbei

刊行:ワン・パブリッシング

うまい酒とエモい散歩は学問だ――。日本全国の足を運ばないとわからない魅力を持った「土地」、その土地でこそ楽しめる「お酒」の楽しみを描いた、今までありそうでなかった「酒×街歩き」コミックがついに単行本に。作中で登場する日本酒やワイン、クラフトビール、健康センターのサワーなど、全て実在のもの。お酒と共に、土地々々の隠れた顔に迫る「エモい街巡り」が描かれます。コロナ禍以降、お出かけの解放感とお酒の楽しみから遠ざかった人、また少しずつでも足を伸ばしてみようと思っている人に寄り添う酒マンガの新境地!

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作家・坂井希久子に聞く「時代小説」と「酒」のうまい噺——今も昔も変わらない、人情を輝かせるお酒の魅力とは?

「おいでなさいまし」。

作家・坂井希久子さんが描く、時代小説『居酒屋ぜんや』シリーズ(角川春樹事務所・刊)の主人公・お妙は、こんな風に私たちを出迎えてくれます。今回は、神田にある老舗の居酒屋「みますや」で江戸時代に思いを馳せながら、ほろ酔い気分で時代小説と酒のうまい噺に耳を傾けます。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です。

 

●坂井希久子(さかい・きくこ)/1977年、和歌山県生まれ。 2008年「虫のいどころ」でオール讀物新人賞を受賞。 17年『ほかほか蕗(ふき)ご飯 居酒屋ぜんや』で歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞

 

【酒噺のオススメ記事はコチラ】
江戸時代のお酒事情の噺

 

美人女将が切り盛りする江戸の酒場『居酒屋ぜんや』シリーズとは?

↑『居酒屋ぜんや』シリーズ。「さくさく」「ふうふう」「ほろほろ」などの擬音語がどれも素敵で、読めばお酒と料理が欲しくなる

 

江戸時代の神田を舞台に、旦那が遺した居酒屋ぜんやを継ぐ美人女将・お妙と、家督を継げない武家の次男坊で鶯(うぐいす)の鳴きつけ(鶯に鳴き方を教えること)を生業にする林只次郎が織りなす時代小説『居酒屋ぜんや』シリーズ。

 

本作は、角川春樹社長から直々に「美人女将が出てくる時代小説を、10作品のシリーズで書いてほしい」と依頼され、2016年6月に『ほかほか蕗ごはん』を発売。2021年4月の『さらさら鮭茶漬け』でシリーズ10作品が完結。 現在は新シリーズ『花暦 居酒屋ぜんや』がスタートしています。

 

シリーズのタイトルは全て料理の名前で統一。表紙にはお妙が作る旬の食材を使った料理の数々が色鮮やかに描かれています。

 

坂井さんはどんな思いで『居酒屋ぜんや』シリーズを執筆されたのでしょうか?

 

「初めての時代小説、初めてのシリーズ本だったので、急いで江戸時代の資料をかき集めて、もう必死でした。1冊書き終えた時には、全身にじん麻疹を発症して3日間寝込んでしまったんです(笑)。江戸後期の風俗誌『守貞漫稿』や江戸時代の料理本を読んだり、深川江戸資料館(2022年7月まで改修工事中)にも足を運んだりしながら、お妙さんならどんな料理を作るのかしら? と、考え書き進めていきました。主人公のお妙さんも、最初は癒し系の美人女将でしたが、癒してばかりの女もなぁ……と少しずつ、我の強さが出てくるようになりましたね」。

 

個性豊かな『居酒屋ぜんや』の登場人物たちは、構想中の坂井さんの頭の中で勝手に動き始めるそうで、物語に誰を出すか迷っていると、キャラクターたちから「私はどうです?」と寄ってきてくれるのだとか。そういうキャラクターだからこそ、坂井さんも「お妙さんならこの食材をこうアレンジするはず」というように、次々と料理のアイデアが湧いてくるそうです。

 

料理はもちろん、恋模様や物語を覆う大きな謎と、いろいろな読み方が楽しめる『居酒屋ぜんや』シリーズ。多くのファンを獲得していますが、ひとくちにファンといってもいろんな方たちがいるようです。

 

↑坂井さんの独特な優しいトーンの関西弁は、わたしたちをほっこりした気持ちにしてくれます

 

「お陰様でたくさんのファンの方に支えられていまして、『もっと料理のシーンを増やして!』『はやく二人の恋愛を進展させて!』『恋愛はいいから、謎を解いてくれ〜』と読む人によっていただく感想が様々で、書いている私としても面白かったです。新しいシリーズでは、若い世代のお花ちゃん、そして熊吉を中心に話が展開されると思うので、登場人物たちがどんな動きを見せてくれるのか私自身も楽しみなんです」。

 

「時代小説」と「酒」の今も昔も変わらぬ、おいしい関係

シリーズ第1作から居酒屋ぜんやでは、「置き徳利」という今でいうところのボトルキープのような制度が登場します。

 

只次郎の頭についに妙案がひらめいた。
「そうだ、お妙さん。置き徳利という制度を作ってみませんか」
「はぁ。なんでしょうか、それは」
酒屋の通い徳利*を元に考えついた案である。客は一升なり五合なりの徳利で、先に酒を買ってしまうのだ。まとめ買いをするぶん、値は少し下げてやるといいだろう。その徳利を、店で預かっておくのである。

(『ほかほか蕗ごはん 「冬の蝶」 』より引用)

*通い徳利:酒屋が貸し出していた陶磁製の小売用容器

 

これは当時「日本初のボトルキープをぜんやでやりませんか?」という編集者の提案から実現されたものだとか。

 

↑「みますや」に来たらぜひ食べてほしい、あつあつの「柳川なべ」(1000円)

 

↑「こんにゃく田楽」(500円)

 

坂井さんは「お酒はそんなに強くない」とおっしゃっていましたが、みますやの料理に促されどんどんお酒が進みます。普段はどんなお酒を楽しんでいるのでしょうか?

 

「好きなのは日本酒。辛口や甘口など何を飲んでも美味しいんですよね。昔は、甘いカクテルとかを飲んでいたんですけど、秋刀魚の肝を食べられるようになったあたりから日本酒が美味しいなぁと感じるようになりました。そこからは、居酒屋でもお家でも、晩酌程度ですがお酒を楽しんでいます」。

 

 

「もうなくなってしまった居酒屋なのですが、 お店で厚揚げを揚げているところがあって。揚げたての厚揚げに、葱と鰹節に生姜、醤油をちょっとかけるだけで絶品でした。和洋中どれがいい、このお酒がないとダメなんて自分の中にルールはなくて、看板メニューじゃなくても。ちょっとした料理を美味しく楽しめるそんな居酒屋が好きですね」。

 

『居酒屋ぜんや』シリーズでお妙さんが作る料理も、坂井さんが好む“ちょっとしたもの”が続々と登場します。

 

冬だからこそ、青菜は欠かしたくないところ。沸騰した湯に小松菜と春菊をサッと放つ。
茹で上がってから、これだけでは口当たりが物足りないと、葱を細く切って軽く湯通ししたものを加えてみた。
少量の醤油で醤油洗いをし、生姜汁と味醂を回しかければーー。
「うん、美味しい」
味見をして、満足げに頷いた。

(『ほかほか蕗ご飯 「六花」』より引用)

 

ご自宅でも晩酌を楽しまれるという坂井さん。どんな肴とお酒を楽しんでいるのでしょうか?

 

「春菊が大好物なので、この時期は生の春菊とカリカリに炒めたベーコンをオリーブオイルと塩胡椒で合わせたものをつまみに、日本酒をいただきます。あとは柿のマリネと合わせたサラダや、白和えもいいですよね。寒い日には、お鍋をつまみに、夫と少量の日本酒を1本空けるくらいの程度ですが、晩酌していますよ」。

 

↑『居酒屋ぜんや』のお妙さんのように、ちろりで燗した日本酒を坂井さんがお酌してくれました

 

お話を伺っていると、和服を着た坂井さんが『居酒屋ぜんや』のお妙に見えてきました。お酌をしてもらって、少しずつ空気も温かく感じられるようになったところで、おすすめの時代小説をご紹介いただきました。

 

【酒噺オススメ記事はコチラ】
蕎麦屋で粋に一献“蕎麦屋飲み”の噺

 

坂井希久子が厳選!
今読みたい、お酒と共に楽しむ時代小説3選

時代小説と聞くと、侍同士の切った張ったや大名家の陰謀を暴くなど、渋いイメージがありました。しかし、最近は女性の書き手も増えて、小説ビギナーや読書好きな若い女性たちが気軽に手に取れる作品も多く出てきています。

 

今回は、坂井さんが厳選した、今読んでおきたい時代小説を3冊と、その時代小説に合うお酒をご紹介いただきました。

 

『かすてぼうろ〜越前台所衆 於くらの覚書〜』武川 佑・著

関ヶ原前夜、田舎育ちの主人公・於(お)くら(13歳)は、越前府中城の台所衆として働くことに。出会いと別れを繰り返し、乱世の中成長していく主人公。おいしそうな料理と真っ直ぐな於くらの思いが心を揺るがす時代グルメ絵巻。

戦国時代が終わって、江戸時代になったくらいのまだまだ料理方法が少ない時代の料理が描かれています。この時代で料理ものが来たか! と驚きましたが、最終的には家康公まで出てきます。江戸時代初期なので、日本酒の「にごり酒」などが合うかなと思いセレクトしました

 

『よろず屋お市 深川事件帖』誉田 龍一・著

幼いころに両親を亡くし、腕利きの岡っ引きだった万七に引き取られた主人公のお市。万七はよろず屋に身を転じるが、ある日、不審な死を遂げ、お市が稼業を継ぐことに。江戸の私立探偵お市が活躍する『よろず屋お市』シリーズだったが、2020年3月、著者の誉田 龍一さんがこの世を去られたため、物語が完結しないまま終了となってしまった。

このシリーズ本当に良くて……もっと続きが読みたかったです。寡黙なお市ちゃんが本当に恰好よくて、ハードボイルドな時代小説になっています。この粋な恰好よさには、辛口の日本酒もいいけれど、ウイスキーやハイボールも似合うと思いますよ

 

『大江戸少女カゲキ団』中島 要・著

江戸・両国を舞台に、身分を隠しながら仲間と共に娘一座「少女カゲキ団」を結成した主人公の芹(せり)。身分制度が厳しい江戸時代に、必死に夢を追いかけ芝居に情熱を注ぐ少女たちを描いた時代小説。夢に向かうひたむきさは、昔も今も変わらないのだと、主人公たちと同世代の女性たちはもちろん、夢を忘れかけた大人も心揺さぶられるシリーズだ。

江戸時代に宝塚のようなカゲキ団があったらという想定で描かれた時代小説です。登場人物の女の子たちがすごく可愛くて楽しい。まだ時代小説を読んだことのない女性が初めて読むのにもおすすめですね。お酒も「澪」のような少し甘めのスパークリングの日本酒でほんのり酔えば、そんな雰囲気を楽しめると思います

 

『居酒屋ぜんや』も時代小説界に明るい光を取り入れ、読者層を広げたシリーズのひとつ。これから時代小説を読んでみたい、新しい読書体験を楽しみたいという方にもおすすめです。小説片手に一杯やれば、『居酒屋ぜんや』の常連客のひとりになった気分を味わえるはず。今も昔も変わらない人情に触れ、心から温まることができるでしょう。

 

【酒噺オススメ記事はコチラ】
「落語」と「酒」の美味しい関係の噺—お酒大好き! 料理も得意! 実力派・橘家文蔵が選ぶお酒が楽しくなる落語4選

 

<取材協力>

みますや

住所:東京都千代田区神田司町2-15-2
営業時間:月〜土曜日11:30〜13:30/17:00〜22:30(ラストオーダー22:20)
定休日:祝・日曜日

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にご確認ください(取材日:2021年11月30日)

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・松竹梅白壁蔵「澪」スパークリング清酒

http://shirakabegura-mio.jp/

「澤乃井」のスペシャルな新酒をゲット! 小澤酒造がマンガ『ほろ酔い道草学概論』とコラボを実施

東京の酒造メーカー「小澤酒造」と、GetNavi webで連載中のお酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』とのコラボが決定しました! 小澤酒造と言えば、「澤乃井」ブランドで有名な老舗。東京都・青梅市に蔵を持っており、多摩川を眺めながら外呑みを楽しめる「澤乃井園」とともに西東京の観光スポットとしても有名です。

 

『ほろ酔い道草学概論』は、2021年12月27日に単行本を発売した「お酒×街歩き」をテーマにしたマンガ作品。第一回にて小澤酒造、澤乃井を主人公たちが訪れるエピソードを収録しています。

●『ほろ酔い道草学概論』ウェブ版の第一話を読む

 

今回のコラボは、澤乃井の新酒「新しぼり」の作品オリジナルラベル酒を制作するというもの。『ほろ酔い道草学概論』の作者・zinbeiが描き下ろしたイラストラベルが添付されます。

 

↑こちらのラベルが添付されます

 

↑澤乃井の年始めの一本「新しぼり」

 

今回のコラボ酒は非売品となり、現在は『ほろ酔い道草学概論』単行本刊行を記念したキャンペーン「zinbei酒マンガ祭り」でのプレゼントとして手に入れることができます。

※単行本に特設ページへアクセスするQRコードを添付

 

●「zinbei酒マンガ祭り」の詳細を見る

 

「zinbei酒マンガ祭り」キャンペーンは、以下の『ほろ酔い道草学概論』作者のzinbei関連作品を購入すると応募できるキャンペーンです。

 

(キャンペーン対象作品)

●2021年12月27日発売「ほろ酔い道草学概論」
●2022年1月7日発売予定「酒と鬼は二合まで②」
●2022年2月7日発売予定「酒と鬼は二合まで③」

 

マンガ好きな方だけでなく日本酒好きな方も、特別な澤乃井の「新しぼり」を手に入れるチャンスですのでマンガ作品をぜひお買い求めください。

 

また今後「zinbei酒マンガ祭り」キャンペーン以外でも、GetNavi・GetNavi web主導でコラボ酒のプレゼント企画を予定しています! GetNavi・GetNavi web、Twitterアカウント「ゲットナビのマンガ部【公式】」にて随時情報を告知していくのでそちらもチェックしてください。

 

【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

漫画:zinbei

刊行:ワン・パブリッシング

うまい酒とエモい散歩は学問だ――。日本全国の足を運ばないとわからない魅力を持った「土地」、その土地でこそ楽しめる「お酒」の楽しみを描いた、今までありそうでなかった「酒×街歩き」コミックがついに単行本に。作中で登場する日本酒やワイン、クラフトビール、健康センターのサワーなど、全て実在のもの。お酒と共に、土地々々の隠れた顔に迫る「エモい街巡り」が描かれます。コロナ禍以降、お出かけの解放感とお酒の楽しみから遠ざかった人、また少しずつでも足を伸ばしてみようと思っている人に寄り添う酒マンガの新境地!

Amazonで情報を見る

楽天ブックスで情報を見る

 

●酒と鬼は二合まで②

原作:羽柴実里/作画:zinbei

刊行:スクウェア・エニックス

二人目の”鬼”はクールビューティー…? 種族は違えど、互いにとって大切なもの“酒”を介して、同居人となったナオリとひなた。二人の不思議な共同生活は穏やかに進んでいくかのように思えた。しかし、そこに新たな”鬼”が…。「陽奈多(ひなた)のバーテンダーを辞すると言いなさい」

Amazonで2巻の情報を見る

正月休みにだら呑みしたい! 「常陸野ネストビール」の魅力を国際唎酒師が語る

今年の年末年始は、みなさんゆっくりできそうでしょうか? 一年の疲れを発散するには……なんと言ってもお酒!

 

年末年始は、一年間の中でも日本酒などのお酒が最も飲まれるハイシーズンでもあります。そこで本企画ではこの年末年始におすすめの日本酒やクラフトビールなどさまざまなお酒を、国際唎酒師の髙橋理人さんが解説。

 

さらに2021年12月27日に発売したお酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』の、お酒紹介話もお披露めします。おすすめのお酒と、それにちなんだマンガをゆったりとお楽しみください。

 

●解説

髙橋理人さん

全国の酒蔵のサポートおよび情報発信を行っている、酒蔵支援スタートアップ「株式会社蔵楽(クラク)」代表取締役。SSIインターナショナル認定「国際唎酒師」であり、一般社団法人日本ソムリエ協会認定「SakeDiploma」、「ワインエキスパート」とお酒関連の資格を幅広く持つ。大手化学メーカーに就職した最初の赴任地、新潟県糸魚川市にて感動的な日本酒に出会い、その魅力の虜に。日本酒普及に向けた活動を行い、オンラインセミナー「日本史と日本酒」、「日本酒都道府県旅」など日本酒と人を繋げる新たなアプローチを数多く試みている。

 

●年末年始におすすめの一本

常陸野ネストビール だいだいエール/ホワイトエール

↑だいだいエール

 

↑ホワイトエール

 

日本のクラフトビールでも有数の「常陸野ネストビール」は、茨城県那珂市の蔵元・木内酒造が日本酒づくりの英知を活かしてつくられています。クラフトビールの本場である欧米に並ぶ味は、今や世界35か国以上で愛されているものになりました。

 

そんな常陸野ネストビールは、東京では丸の内、エキュート品川、そしてマーチエキュート神田万世橋店で楽しめます。「だいだいエール」は、筑波山の麓、八郷産の福来みかんと、その香りを引き立たせる柑橘系のホップを使用。フルーティーで爽やかな香りと旨味を特徴としています。爽やかな香りとやわらかい味わいが人気の「ホワイトエール」は、世界で知られるフクロウラベルを印象づけた銘柄。

 

そんな日本有数のクラフトビールを髙橋さんが推薦する理由は…

 

常陸野ネストビールは、クラフトビールビギナーにこそ飲んでもらいラインナップばかり。1つ目の「だいだいエール」は、オレンジ香りがするホップにミカンを副原料として使った、柑橘の味わいが際立ち、オレンジジュースカクテルのよう。しっかりとした余韻が楽しめます。一方で「ホワイトエール」は、すっきりタイプで、爽快さが特徴。ほんのり感じられるバナナ風味が美味しさを引き立てます。柑橘漂うジューシータイプかバナナのようなスッキリタイプか。カジュアルに飲めるけども、味わい深いこの2本は少し早めの時間から飲み始める人もいるであろう、年末年始にまったり飲んでほしいと思います。

 

とのこと! 今回紹介した2本は、お酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』でも紹介しています。ぜひマンガと合わせて、その魅力を知ってください。マンガは全て12月27日に発売したばかりの単行本に収録されている特別版です!

※マンガ部分が読めるのは、2021年12月30日21時までとなります

 

 

 

 

 

 

 

 

【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

漫画:zinbei

刊行:ワン・パブリッシング

うまい酒とエモい散歩は学問だ――。日本全国の足を運ばないとわからない魅力を持った「土地」、その土地でこそ楽しめる「お酒」の楽しみを描いた、今までありそうでなかった「酒×街歩き」コミックがついに単行本に。作中で登場する日本酒やワイン、クラフトビール、健康センターのサワーなど、全て実在のもの。お酒と共に、土地々々の隠れた顔に迫る「エモい街巡り」が描かれます。コロナ禍以降、お出かけの解放感とお酒の楽しみから遠ざかった人、また少しずつでも足を伸ばしてみようと思っている人に寄り添う酒マンガの新境地!

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国際唎酒師が「屋守」を推薦!ーー「年末年始に美味しい日本酒」をマンガと合わせて解説

今年の年末年始は、みなさんゆっくりできそうでしょうか? 一年の疲れを発散するには……なんと言ってもお酒!

 

年末年始は、一年間の中でも日本酒が最も飲まれるハイシーズンでもあります。そこで本企画ではこの年末年始におすすめの日本酒を、国際唎酒師の髙橋理人氏が解説。

 

さらに2021年12月27日に発売したお酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』の、日本酒紹介話もお披露めします。おすすめの日本酒と、それにちなんだマンガをゆったりとお楽しみください。

 

●解説

 

髙橋理人さん

全国の酒蔵のサポートおよび情報発信を行っている、酒蔵支援スタートアップ「株式会社蔵楽(クラク)」代表取締役。SSIインターナショナル認定「国際唎酒師」であり、一般社団法人日本ソムリエ協会認定「SakeDiploma」、「ワインエキスパート」とお酒関連の資格を幅広く持つ。大手化学メーカーに就職した最初の赴任地、新潟県糸魚川市にて感動的な日本酒に出会い、その魅力の虜に。日本酒普及に向けた活動を行い、オンラインセミナー「日本史と日本酒」、「日本酒都道府県旅」など日本酒と人を繋げる新たなアプローチを数多く試みている。

 

●年末年始におすすめの一本

屋守 純米中取り 無調整生(豊島屋酒造)

イラストは『ほろ酔い道草学概論』作者zinbeiが執筆

豊島屋酒造を守り続けていく強い気持ちと、日本酒を通じて関わる人たちの役に立ち繁栄を守るような作品を醸し続ける思いから銘名された「屋守」。限りなく手作業重視の小仕込を行い、「香りよく優しい味わい」をコンセプトに醸し、全量無調整(無濾過・無加水)、全量ビン貯蔵を行っており、その深い味わいは手間隙を惜しまないことで作られています。そんな「屋守 純米中取り 無調整生」についての髙橋さんのコメントは以下。

 

「無調整生」は、最も味わいのバランスの良い美味しい部分を、加熱処理や濾過などを一切せずにそのまま瓶詰めした一本で、かつては蔵人しか飲めなかった贅沢なお酒です。洋ナシのようなコクのある甘味と酸味、そして微炭酸が心地よく、ゆったりと楽しめます。一年間頑張った自分へのご褒美に、今年を振り返りながら時間をかけてじっくりと堪能してみて下さい。

 

 

今回紹介した「屋守」の豊島屋酒造は、お酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』でも紹介しています。ぜひマンガと合わせて、屋守の魅力を知ってください。マンガは全て12月27日に発売したばかりの単行本に収録されている特別版です!

※マンガ部分が読めるのは、2021年12月29日21時までとなります

 

【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

漫画:zinbei

刊行:ワン・パブリッシング

うまい酒とエモい散歩は学問だ――。日本全国の足を運ばないとわからない魅力を持った「土地」、その土地でこそ楽しめる「お酒」の楽しみを描いた、今までありそうでなかった「酒×街歩き」コミックがついに単行本に。作中で登場する日本酒やワイン、クラフトビール、健康センターのサワーなど、全て実在のもの。お酒と共に、土地々々の隠れた顔に迫る「エモい街巡り」が描かれます。コロナ禍以降、お出かけの解放感とお酒の楽しみから遠ざかった人、また少しずつでも足を伸ばしてみようと思っている人に寄り添う酒マンガの新境地!

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世界の超一流が認めた! 一切手加減なし、こだわりのおいしさ。2021年を代表するクラフトビール、キリン「スプリングバレー」

2021年、約200%(※1)の市場急拡大で盛り上がりを見せるクラフトビールの人気を決定づけた今年のヒット商品が、キリンビールの「スプリングバレー 豊潤<496>」だ。発売から約半年で出荷数100万ケース(※2)を達成し、クラフトビール市場の急拡大をけん引。コレを飲まずして、2021年は終われない! 今まさに飲むべき一本の魅力をお伝えしよう。

※1:2021年1-10月国産クラフトビール販売数:出典:インテージSRI+(業務用酒販店含む)2021年11月キリン調べ(クラフトビール市場:大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っています)
※2:キリンビール出荷実績(大びん換算)202110月キリン調べ


キリン
スプリングバレー 豊潤<496>
税込実売価格272円(350ml)/363円(500ml)
「キリンラガービール」の約1.5倍の麦芽と、厳選した4種類のホップを贅沢に使用。ホップを7日間漬け込む「ディップホップ」製法により、豊潤な味わいとすっきりとした後味、ふわとろの泡を実現させた。

 

【この3人で検証しました】

GetNavi編集長/川内一史(左)
雑誌『GetNavi』を率いる。“酒=ビール”のビール好きだが、定番の味で満足するためクラフトはあまり飲まない。保守的なビール党。

GetNavi編集部 AV担当/松山葉南(中)
ビールは飲み会などの乾杯で嗜む程度。とはいえお酒は好きで、カクテルや果実酒、日本酒をよく注文する。

フードライター/中山秀明さん(右)
クラフトビール大好き人間。ブルワリーに取材することも多く、取材を通じて奥深い魅力に触れてきた。

 

クラフトビールのイメージがガラッと変わる!
誰もが納得するおいしさを実現

川内『スプリングバレー 豊潤<496>』が超売れているとは聞いていたんですが、ビールに関してはあまり冒険しないタイプなので、ついいつもと同じ定番銘柄に手が伸びてしまっていました。ですが、今日飲んで納得。これはマジでウマい! “個性的で気難しそう”というクラフトビールのイメージがガラッと変わりました」

松山「フルーティな香りと柔らかい飲み口が印象的で、リッチな甘味も感じますね。普段あまりビールを飲まない私でも、親しみやすくてすごく好きな味です」

中山「種類が豊富なクラフトビールのなかで、『スプリングバレー 豊潤<496>』は王道のスタイル。華やかな香りや豊かなコク、印象的な苦味が特徴ですが、一方で余韻の爽快感も抜群ですよね。バランスが良く、誰でもおいしく感じる味の設計になっています

川内「僕はゴクゴク飲めるビールが好きなので、クラフトは手が出にくいんです。でもこれはイイ! 味も香りも力強いですが、重たすぎず後味はすっきり。これがバランスの良さですかね」

中山麦芽をたっぷり使ってコクを深め、4種類のホップで香りや苦味を付けていますそこで活用されているのが、キリン独自の『ディップホップ』という製法。これにより、鮮烈でありながら温和な香りを実現しているんです

松山「『ディップホップ』は通常の製法と何が違うんですか?」

中山「一般的にホップを投入するタイミングは2つあり、1つは麦汁煮沸の終了直前。『レイトホップ』といい、穏やかな香りを付けられます。もうひとつは、煮沸した麦汁を発酵、貯蔵するときに入れる『ドライホップ』。貯蔵時に入れることで刺激的な香りを生み出せます。それに対し『ディップホップ』は両者の中間、発酵工程のときにホップを入れて7日間漬け込みます。つまり2つの良いとこどり。簡単そうに聞こえるかもしれませんが、発酵工程は品質管理が難しく、ホップを添加するのは至難の業。多くの醸造家が取り入れたいと夢に見ながらも手を出せなかった製法で、海外の醸造家には“クレイジー”とまで言われたそうです」

川内「なるほど! 良いとこ取りをしているから、味に個性を感じるのにスッと飲めちゃうんですね」

 

ここで、おいしさへのこだわりをチェック

1.世界的にも珍しい「ディップホップ」製法を採用!


発酵工程でホップを投入し7日間漬け込むという、革新的な製法を採用。ビール醸造の常識では考えられない製法であり、この実現を支えたのは、長年のビール造りによって培われた高い技術力と情熱だ。

 

2.厳選ホップと1.5倍量(※3)の麦芽を惜しみなく使用!


世界中から厳選した4種類のホップと、約1.5倍(※3)もの量の麦芽を使用。さらに全体の温度を徐々に上げる「インフュージョン」方式で麦芽を糖化し、濃厚な味わいとすっきりとした後味を両立している。

※3:キリンラガービール比

 

3.ビールづくりへの情熱を感じる「試験醸造250回(※4)以上」!


完成までにかかった歳月は、なんと10年。しかもその間に行われた試験醸造の回数は250回(※4)にものぼった。開発期間や試験回数だけを見てもクレイジーで、醸造家の夢が詰まったビールといえよう。

※4:本品の特徴である製法の開発にかかった試験醸造の回数

 

川内「すっかり1缶空いちゃいましたよ」

松山「早いですね! でも私もいつもより自然と杯が進んでます。あと、注いでから時間が経ちましたが、泡がまだしっかりあります」

中山クリーミーで持ちの良い泡も製法の特徴なんです

川内「泡の良し悪しは、ビールのおいしさだけじゃなく気分にも影響を与えるもの。これだけクリーミーだと気分がアガります!」

松山「注ぎ慣れていない私でも、キレイな泡ができました! 予想以上に簡単で、家でもできそう。缶とグラスで飲み比べてみると、泡の質感や香りのボリュームが違ってビックリ! 五感をフルに使っておいしさを存分に味わえる気がします」

 

ビール通直伝! おいしさをさらに引き出す「2度注ぎ」の極意

1.缶は口が小さく、魅惑的な香りが鼻に届きにくくなるためグラスは必須。アロマをよりしっかりと受け止めるには、口が広いタイプを用意しよう。ワイングラスもオススメ。きれいに洗って冷やしたグラスに、あえて泡が立つようにして注ぐ。グラスの約1/3まで泡で満たしたら、泡の粒が落ち着くまで数十秒待とう

 

2.缶の飲み口がグラスの縁に付くように当て、今度は泡を立てないようにできるだけやさしく注ぐ。グラスの内側に沿わせるように注ぐのがコツだ

 

3.最後はグラスの上部まで、やさしく一気に注ぐ。泡でフタをすることで炭酸ガスが抜けにくく、最後のひと口まで爽快なおいしさを楽しめるようになる

 

松山「今日はおつまみが豊富ですが、どんな料理が合いますか?」

中山「香味バランスが良いので、肉や魚、野菜、炭水化物と何にでも合いますよ。なかでもチーズなどの乳製品、トマト系のうまみや酸味が豊かな料理、甘味のあるソースには特にマッチします

川内「チョコレートなどの甘いものはどうですか?」

中山「いいですねー!『スプリングバレー 豊潤<496>』には甘やかなコクがあるので、スイーツにもよく合うんですよ

川内「これからパーティシーズンですが、前菜からメインにシメ、食後のスイーツまで、これ一本でずっといけますね。僕はこの年末年始、『スプリングバレー 豊潤<496>』で決まりです!」

松山「缶が華やかなデザインで、パーティの差し入れにもピッタリですし、ふわとろの泡でリッチな気分にもなれます。『ビールが飲みたい』ではなく、『“スプリングバレー 豊潤<496>”が飲みたい』と、指名買いしたくなるビールだなと感じました」

中山「山深い僕の実家のコンビニでは今までクラフトビールが手に入りませんでしたが、『スプリングバレー 豊潤<496>』のおかげで一変。身近なお店でこの味が手に入るのはうれしいですね。年末に帰省したらこの一本でお祝いしますよ。では改めて、乾杯!」

 

 

お酒大好き漫画家・zinbeiさんが選ぶ、自宅で「ふなぐち」を楽しむためのおつまみ5品

何かとお酒を飲む機会が増える年末年始、特に暮れや正月に日本酒を飲む機会が増える人は多いはず。そこでオススメなのが、2022年に誕生50周年を迎える生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」です。

 

 

生原酒ならではの濃醇旨口なおいしさに加え、おつまみとの相性のよさや入手のしやすさなどから“コンビニ最強酒”とも呼ばれるこの「ふなぐち」を、日本酒好きの漫画家、zinbeiさんのインタビューとイラストで紹介します。

 

GetNavi webでは、zinbeiさんのほかにも、ミュージシャンの小宮山雄飛さんと、フードアナリストの中山秀明さんにも、それぞれ独自の視点で「ふなぐち」に合うおつまみを選んでもらいました。三者三様のチョイスで、幅広いおつまみを紹介していますので、これさえ読めば、年末年始の「家飲み」のおつまみ生活に困ることはないはずです。

 

 

zinbei/自然、日本酒、映画を愛する漫画家。12月27日にはGetNavi webで連載中の「お酒×街歩き」をテーマにした『ほろ酔い道草学概論』の単行本を上梓

 


菊水酒造
ふなぐち菊水一番しぼり(生原酒)

1972年に誕生した日本初の缶入り生原酒で、累計出荷数は3億本以上。2022年には誕生から50周年を迎えます。新潟県産米を100%使用した精米歩合70%の本醸造で、濃醇旨口のフルーティかつフレッシュな味わいが特徴です。

 

 

フルーティでうまみが強く、とろっとした飲み口でおいしい

お酒のなかでも日本酒が最も好きで、家でも瓶を数本常備しつつローテーションで嗜んでいるというzinbeiさん。一方で、少量タイプのお酒は飲む機会が少なく、「ふなぐち」を飲んだのはここ最近とか。味わいの感想から聞きました。

 

フルーティでうまみが強く、とろっとした飲み口というのが第一印象です。『少量タイプでこんなにおいしい日本酒があるんだ!』と、ビックリしました。アルコール度数が高めで飲みごたえもしっかりしていますね。なので、私はオンザロックで加水しながら飲むのがお気に入りです」(zinbeiさん)

 

ひと口目からしっかりとしたボディを感じる「ふなぐち」は、ちびちびゆっくり飲むのがオススメだとzinbeiさん。おつまみも、甘さやしょっぱさをしっかり感じられるものが合うと言います。

 

『ふなぐち』はコンビニなど身近なお店で手に入るのもいいですよね。ふと飲みたくなったときに買いに行ったり、仕事帰りなどにさっと寄って簡単なおつまみと一緒に買ったりして。あと、缶を開けてそのまま飲める気軽さも魅力だと思います。私の場合は食後から寝る前までの時間、『あともう少し飲みたい』というときに重宝するお酒が『ふなぐち』ですね」(zinbeiさん)

 

仕事が立て込んでいない通常時は、19~20時ごろから飲み始めるのがzinbeiさん流。最初はアルコール度数が15%前後の一般的な日本酒からスタート。途中から「ふなぐち」モードに入り、乾きものやスナック、お菓子、シメといったおつまみとなどを合わせたいと言います。

 

「緊急事態宣言明けは、また友人と飲みに行くようになりました。その帰宅中に『もうちょっと飲みたいな』と思ったときにも、帰路で気軽に買える『ふなぐち』は活躍してくれます。今回セレクトしたおつまみともよく合いますよ」(zinbeiさん)

 

 

最近はVODや動画を観ながら。気持ちの切り替えも楽しく飲むコツ

zinbeiさんはふだん、家ではどのようなスタイルで飲んでいるのでしょうか。漫画を読んだりアニメを観たりしながらなのか、などシチュエ―ションを聞きました。

 

「漫画や書籍は気になったところをメモしながら読むので、食べたり飲んだりしているときじゃないですね。飲んでいるときは、映画やVOD、動画を見ながらというケースが一番多いです。なかでも最近ハマっているのはVODオリジナルの作品で、ドラマやバラエティ、ドキュメンタリーなどをよく観ます。

映画は好きなのですが、視聴時間が長くなるので、1話30~60分程度の作品を1~2話分を観ることが最近は多いですね。ジャンルは幅広く、アニメ以外もよく観ます。特に映像が凝っているものはコマ割り、演出、カメラワークといったクリエイティブが私自身の刺激にもなりますし。その意味では、仕事目線で見ている部分もあるかもしれません」(zinbeiさん)

 

飲みながらの場合は、動画でお笑い芸人のチャンネルやホラー系のチャンネルを観ることも多いそう。zinbeiさんの作風からすると、これは意外な一面かもしれません。

 

「お笑いは仕事とは関係ないですね。ホラーは実は昔から好きなジャンルで、漫画としてはあまり触れてきませんでしたが、心霊系も好きなんです。もともとあまり怖がりじゃないので、普通に興味本位で楽しめるというのもありますし、お酒を飲んでると余計に感覚がポワッとしているので普通に楽しめますね。でも、逆にヒューマンドラマは、酔っているときに観るといっそう気持ちが刺激されて感動できます」(zinbeiさん)

 

より家飲みを充実させる方法を聞くと、気持ちの切り替えが大切だとzinbeiさん。それは部屋の雰囲気やテーブルセッティングなど、多岐にわたるようです。

 

「私の家のメインライトは、明るさや色調を変えられるタイプのLEDにしています。これで仕事のときは明るい白色に、それ以外は暗めの暖色にしているのですが、雰囲気がガラッと変わるのでオススメですね。

おつまみを用意する時は、お気に入りのお皿に盛り付けるのもちょっとしたこだわりです。今回セレクトしたスナックなどのお菓子は、袋のままつまむこともありますけどね。器は集めるのも好きで、特に『○○焼』といった工芸品がお気に入り。百貨店などで買うこともありますよ。お酒も日本酒が好きなので、ひとり暮らしですけど酒器はわりと持ってるほうだと思います」(zinbeiさん)

 

 

zinbeiさんが選ぶ家呑みが楽しくなるおつまみベスト5はこれ!

ここからは、zinbeiさんがセレクトした「ふなぐち」にマッチするおつまみを紹介。商品ごとに、おつまみの解説や選んだ理由、「ふなぐち」と合う理由などをそれぞれ描いてもらいました。

 

1.鉄板セット<その1>
トップバリュ「おでん 7種7品」&ヱスビー食品「本生柚子こしょう」×ふなぐち(冷酒)

「おでん・柚子胡椒鍋に入れて煮るだけのお手軽に美味しい一品。柚子胡椒を具に乗せたりスープに溶かしたりしてもグー。柚子の爽やかな風味と『ふなぐち』の華やかさがよく合います冷酒で合わせるのがオススメですね」(zinbeiさん)

 

↑トップバリュ「おでん 7種7品」(213円・税込) /ヱスビー食品「本生柚子こしょう」(209円・税込)

 

2.鉄板セット<その2>
なとり「一度は食べていただきたい贅沢なチーズ鱈」&ミツヤ「イカリ豆」×ふなぐち(ロック)

「イカリ豆は一度は食べていただきたい! イカリ豆の香ばしさ、チーズ鱈のクリーミーさだけでなく、硬・柔の食感の違いも楽しめるので飽きずにじっくり楽しめる組み合わせ。ロックで『ふなぐち』を合わせると、時がたつのを忘れてしまいます」(zinbeiさん)

 

↑なとり「一度は食べていただきたい贅沢なチーズ鱈」(希望小売価格 200円・税別)/ ミツヤ「イカリ豆」(参考価格 173円・税込)

 

3.甘々セット
「カレ・ド・ショコラ(フレンチミルク)」×ふなぐち(ロック)

「口の中で溶けるチョコレートと、ロックで飲む『ふなぐち』でキリッと締めるのが癖になります。チョコレートは冷やしておくとパリパリ感からまったり感まで甘みの変化を楽しめるのでお得」(zinbeiさん)

 

↑「カレ・ド・ショコラ(フレンチミルク)」(希望小売価格 330円・税別)

 

4.お腹いっぱいに
キンレイ「なべやき屋キンレイ チゲうどん」×ふなぐち(常温)

「あえての辛めのチゲうどんで汗をかきながら、常温で『ふなぐち』を飲むのも乙なもの。食べ終わったころには辛さとほろ酔いで良い感じに気持ちよくなります」(zinbeiさん)

 

↑キンレイ「なべやき屋キンレイ チゲうどん」(オープン価格)

 

5.締め
ロッテ「雪見だいふく」×ふなぐち(常温)

「お酒の甘さとバニラのマリアージュを楽しむとしたら『雪見だいふく』。『ふなぐち』は常温で暖かい部屋でフォークでちまちまつつく時間がたまりません!」(zinbeiさん)

 

↑ロッテ「雪見だいふく」(希望小売価格 151円・税込)※商品パッケージは11月撮影時点

 

家のみのスタイルについて、物理的なシチュエーションだけでなく、精神的な面にも言及してくれたzinbeiさん。気持ちを切り替えて楽しく飲む一番のポイントかもしれないと教えてくれました。

 

「仕事などから解放された状態で飲むのが、一番リラックスして飲む方法だと思います。私の場合はその日のタスクを紙に書き出して、あとでもいいことは翌日に回すなどしてやりくりしています。このスケジューリングは最近気づいたのですが、すでに実践している人もいるかもしれませんね。何はともあれ、まずはぜひ『ふなぐち』を手に取って、思いおもいの飲み方で楽しんでください!」(zinbeiさん)

 

 

菊水酒造 生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」

 

取材・文=中山秀明 写真/湯浅立志(Y2)

年末年始は「センベロ的家飲み」はいかが? 酒のプロが選ぶ日本酒「ふなぐち」とスーパー・コンビニ食材ベスト8

 2020年のステイホームから家飲み需要が高まり、その流れは2021年も続きました。もうすぐ2022年を迎えますが、家飲みシーンにはいっそうの充実感が求められるようになると予想します。

その点で注目すべきお酒が、菊水酒造の生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり。抜群のうまさと入手のしやすさから“コンビニ最強酒”の異名をもつ銘酒ですが、2022年は発売50周年ということで、注目度はより高まるでしょう。

 

そこで本稿では、菊水酒造や「ふなぐち」の歴史などを解説。また、味の特徴やロングセラーの理由を、身近なおつまみとの相性にも触れながら紹介します。

 

 

↑中山秀明(なかやま・ひであき)/フードアナリストの資格をもつ、本稿の執筆者。GetNavi webや本誌GetNaviなどでお酒をはじめとする様々なフードのトレンド、商品、店舗、メーカーを取材・執筆

 

菊水酒造
ふなぐち菊水一番しぼり(生原酒)

1972年に誕生した日本初の缶入り生原酒で、累計出荷数は3億本以上。2022年には誕生から50周年を迎えます。新潟県産米を100%使用した精米歩合70%の本醸造で、濃醇旨口のフルーティかつフレッシュな味わいが特徴です。

 

 

50周年を迎える庶民の味方「ふなぐち」

菊水酒造は1881(明治14)年に新潟県新発田市で創業。当初から、従来の方法を踏襲しつつ先端技術を導入するなど、新しいことを積極的に取り入れる社風でした。

 

革新性は脈々と受け継がれ、1969(昭和44)年には業界の伝統的な制度である杜氏制を廃止。これは、それから数十年後に業界のトレンドといわれるようになった「蔵元杜氏」と同義です。このように、フロンティアスピリッツと鋭い先見性をもった蔵元が菊水酒造なのです。

 

常識にとらわれない哲学のもと、1972(昭和47)年に誕生したのが生原酒 「ふなぐち菊水一番しぼり。酒槽(ふね。発酵を終えたもろみを、清酒と酒粕に分離するところ)の口から流れ出る搾りたての生原酒を同蔵では「ふなぐち」と呼んでおり、それが商品名の由来です。

↑若者を中心にレトロが人気ななか、このクラシカルなデザインもウケそうです

 

火入れをしていないフレッシュな生原酒は品質管理が難しいため、もともとは酒蔵に来た人だけにふるまう幻の酒でしたが、“門外不出のこの味を全国に届けたい”という想いから商品化がスタート。しかし、非加熱酒のため常温流通が難しく、開発には3年もの歳月がかかったとか。

 

決め手となったのは、醸造法の見直しや、パッケージの素材に紫外線を遮るアルミ缶を採用したこと。酸化を抑えるため、180ml規格の缶に200mlなみなみと詰められている点も特徴です。そうして1972年に全国流通が実現。日本初の缶入り生原酒としてデビューし、新しい日本酒カテゴリーを確立したのです。

↑半世紀愛され続ける一番の理由は、やはりおいしさ。その魅力は生原酒ならではの豊かな芳香や、フルボディな米のうまみにあります

 

このプレミアムな味わいが、身近な店で買えることから“コンビニ最強酒”と呼ばれるポジションを築いたわけですが、コンビニやスーパーで気軽に買えるセンベロ的なおつまみと組み合わせたときの“価格以上の贅沢感”も魅力です。

 

では、どんなおつまみとの組み合わせがオススメなのか。実際のフードペアリング例とともに紹介していきます。

 

なお、以下で紹介する組み合わせは特定のブランドやPB商品のものもありますが、特におすすめのものをピックアップしています。幅広く手に入るペアリングなので、近所にあるスーパーやコンビニで類似の商品を選んでもOK。また違った「ふなぐち」体験が満喫できるので、奥が深いお酒です。

 

 

「ふなぐち」にベストマッチの身近なおつまみ8品はこれだ!

筆者がセレクトしたのは10種のおつまみ。身近なコンビニやスーパーで実際に売っている商品から選びました。それぞれのメニューを解説するとともに、ふなぐちと合う理由もお伝えしましょう。

 

1.ローソン 「炭火焼鳥 ももタレ」×ふなぐち(常温)

↑ジャンボではなく、いろいろな種類を楽しみたいニーズに合わせた標準サイズ。炭の香りが、醤油ダレのまろやかなうまみを引き立てます。価格:100円(税込)※一部取扱いのない場合があります

 

「ふなぐち」と合う味付けは甘じょっぱいタイプ。焼鳥や焼肉でいえば、塩よりもタレですね。基本的にコンビニには焼鳥が売られているので、迷ったらタレ味の焼鳥を選べば間違いありません。

 

レンジやオーブンで少し温め、「ふなぐち」は常温で合わせてください。お互いがもつ甘やかなうまみが、口のなかでひとつになって至福を感じられるはずです。

 

2.ローソン「牛すじ煮込み」×ふなぐち(冷酒)

↑上白糖、中双糖、玉ねぎで牛肉のうまみを引き出し、コクのある甘辛いタレで仕上げた煮込み。こんにゃくも好アクセントに

 

センベロといえば大衆酒場。大衆酒場といえば煮込みということでセレクトしました。豚のもつ煮込みや、大阪「どて焼き」、名古屋「どて煮」のように味噌味の煮込みでもOK。これらも甘じょっぱい味付けが、甘やかな「ふなぐち」と好相性です。

 

冬場に合わせるなら「ふなぐち」は常温がオススメ。夏場なら、熱めにチンした煮込みと冷酒の「ふなぐち」でキリッと合わせるのもいいと思います。

 

↑ローソン「牛すじ煮込み」(258円・税込)※一部取扱いのない場合があります

 

3.中村屋「濃厚ビーフシチュー 厚切り牛肉のこだわり仕込み」×ふなぐち(常温)

↑贅沢に厚切りした牛肉を赤ワインで仕込み、マッシュルームとじゃがいもを、深みのあるデミグラスソースで煮込んだ濃厚な味が特徴です

 

コク深く香りのフルーティな「ふなぐち」は、熱を加えたトマトのうまみや酸味ともよく合います。そこでオススメなのがビーフシチュー。特に中村屋のこちらは入手しやすいうえ、具が大きめでおつまみにも最適なのです。

 

合わせる「ふなぐち」は常温がおすすめ。ドロッとしたシチューのテクスチャーを、19%と強めのアルコールがサラッと切りつつ、口当たりはまろやかなので互いが調和する部分も。

 

↑中村屋「濃厚ビーフシチュー 厚切り牛肉のこだわり仕込み」(428円・税込)

 

4.トップバリュ「クリームチーズ」&徳山物産「おいしいタラのチャンジャ 鶴橋」×ふなぐち(冷酒)

↑濃厚でピリ辛なチャンジャと、コク深くマイルドなクリームチーズとの組み合わせ

 

チャンジャはいわゆる韓国風の塩辛で、辛味があるのも特徴。クリームチーズと合わせることで、まろやかさをもった濃厚ピリ辛珍味になるのですが、このハードパンチャーとも対等にわたりあえるお酒こそが「ふなぐち」です。

 

飲み方は、温度帯を合わせて冷酒で。クリームチーズチャンジャは少量でも口の中でダイナミックに広がりますが、そこに「ふなぐち」をキュッと合わせましょう。まろやかなうま辛さに米のフルーティな甘みが混じり、えもいわれぬおいしさです。

 

↑徳山物産「おいしいタラのチャンジャ 鶴橋」(250円・メーカー希望小売価格)/トップバリュ「クリームチーズ」 (321円・税込)

 

 

5.トップバリュ「三温糖使用 豚角煮×ふなぐち(常温)

↑三温糖を加えて味付けした豚ばら肉をコクのあるしょうゆだれで煮込んだ本格仕上げの豚角煮。

 

豚の角煮も甘じょっぱい肉料理の代表格であり、コンビニやスーパーで入手しやすい一品です。脂が多い料理でもありますが、だからこそ「ふなぐち」が大活躍。飲み方は常温がオススメです。

 

こってりした味を、「ふなぐち」のキレの強いアルコールと濃醇なうまみがリセットし、ラストは米の甘みが心地良い余韻をリフレイン。また次のひと口へといざないます。

 

↑トップバリュ「三温糖使用 豚角煮」(321円・税込)

 

6.ファミリーマート「ごろごろ具材の甘酸っぱい酢豚」×ふなぐち(ソーダ割り)

↑豚の肩ロース肉や3種の炒め野菜を、爽やかな酸味が特徴の甘酸っぱいあんで味付け。大きめにカットされた具材の、ゴロッとした食感も特徴です

 

甘じょっぱさに、酸味も加わった酢豚には「ふなぐち」をソーダ割りで合わせてください。米のフルーティな甘みに炭酸の爽快感が加わり、甘酸っぱい酢豚とビッタビタにハマると思います。

 

ソーダ割りは、19%のアルコールが強いと感じる人にもオススメ。タッチがやさしくすっきりしているので、今回紹介したほかの料理にソーダ割りを合わせるのもいいと思います。

 

↑ファミリーマート「ごろごろ具材の甘酸っぱい酢豚」(348円・税込)

 

7.ローソン「ベーコンポテトサラダ」×ふなぐち(ロック)

↑国産のじゃがいもを使ってゴロッとした食感を生かしつつ、味付けでは酸味を控えたポテトサラダ。そこにベーコンを混ぜ込むことで、パンチの効いた風味に仕上げています

 

「ふなぐち」にサラダを合わせるなら、ポテトサラダやコールスローサラダ、キャロットラペのように、葉野菜×ドレッシング系ではないタイプがオススメ。それはやはり、濃醇旨口な「ふなぐち」には濃縮感のある料理のほうが合うからです。

 

ポテトサラダの場合、ベーコンなど味にパンチのある具材が入っているほうがよりオススメ。そして、冷たいサラダに合わせたい飲み方はロックです。濃厚な味のサラダに、キリッと冷たい「ふなぐち」が絶妙にマッチ。冷たいことでシャープなニュアンスも醸し出し、サラッと調和するところもお見事です。

 

↑ローソン「ベーコンポテトサラダ」(148円・税込)※一部取扱いのない場合があります

 

8.トップバリュ「サーモントラウトスモーク ノルウェー産生サーモントラウト使用」×ふなぐち(冷酒)

↑塩だけで素材のうまみを引き立て、ブナのチップでしっとり燻り、香り豊かに仕上げられています

 

「ふなぐち」に合う魚は脂がのったタイプだと前述しましたが、燻ってワイルドに香り付けたスモーク系とも相性抜群。代表格といえばスモークサーモンであり、身近な店でも入手しやすい一品です。

 

飲み方のオススメは冷酒。サーモンの脂やスモークの香りを凝縮感のある「ふなぐち」が受け止め、フレッシュな吟醸香もおいしくマッチ。魚の余計な臭みも、フルーティかつ力強いうまみがカットしてくれます。なお、チャンジャのところで紹介したクリームチーズを、このサーモンに合わせるとまた違ったリッチさが楽しめますよ。

 

トップバリュ「サーモントラウトスモーク ノルウェー産生サーモントラウト使用」(321円・税込)※一部、取扱いのない店舗があります

 

 

シメはご飯もの、乾きものはいか系と米菓がオススメ

今回の8品は前菜~メイン系のおつまみを中心に紹介しましたが、その他にも、魚料理も「ふなぐち」との相性は抜群。焼く場合は、西京焼きやみりん焼きなど甘じょっぱい調理法がオススメ。煮込みなら、大定番のさばの味噌煮はスーパーやコンビニでも入手しやすいので、ぜひ試してみてください。

  

シメや乾きもの系にも「ふなぐち」は幅広く合います。米のうまみが強いお酒なので、シメはご飯ものがオススメ。シンプルに、具が濃い味のおにぎりなどもいいと思います。

 

乾きもののオススメは、いか系全般(いかくん、さきいかなど)のほか、甘じょっぱい系や、ピリ辛味のせんべい全般。同じ新潟つながりで、亀田製菓のハッピーターン、ぽたぽた焼、柿の種などはベストマッチです。

 

8品すべてペアリングも試し、「ふなぐち」は晩酌に贅沢感をもたらしてくれるお酒だと改めて実感しました。年末年始はもちろん、これからの晩酌のお供にぜひ合わせてみてください。

 

菊水酒造 生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」

 

 

文=中山秀明 写真/湯浅立志(Y2)

ホフディラン・小宮山雄飛が提案!年末年始はコンビニ最強酒「ふなぐち」で「センベロ的家呑み」が至福なり

家飲み需要が高まる昨今、この年末年始は実家や自宅でゆっくり飲みながら過ごすという人も多いはず。そこで注目なのが、おいしさに加えおつまみとの相性のよさや入手のしやすさなどから“コンビニ最強酒”の異名をもつ生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」

 

食やお酒に詳しいミュージシャンの小宮山雄飛さんに、家で飲む日本酒としても絶大な人気を誇る、この「ふなぐち」の魅力や家飲みに対するこだわりを語っていただきました。

↑小宮山雄飛(こみやま・ゆうひ)/ホフディランのヴォーカル&キーボード。カレー好き、居酒屋通としても知られ、著書に「簡単!ヘルシー!まいにちカレー」(主婦と生活社)、「今日もひとり酒場」(扶桑社)などがあります

 


菊水酒造
ふなぐち菊水一番しぼり(生原酒)

1972年に誕生した日本初の缶入り生原酒で、累計出荷数は3億本以上。2022年には誕生から50周年を迎えます。新潟県産米を100%使用した精米歩合70%の本醸造で、濃醇旨口のフルーティかつフレッシュな味わいが特徴です。

 

 

米のうまみがふくよかでいて甘すぎない味が「ふなぐち」の魅力

食もお酒も、ジャンルを問わず幅広く嗜んできた小宮山さんですが、日本酒をよく飲むようになったのは40歳を過ぎてから。家でじっくり晩酌を楽しむことが増え、しみじみと感じる日本酒のおいしさを発見したと言います。

 

「お酒が好きなので、家ではあるだけ飲んでしまうんです。ちょうどいい量を楽しむためにも、まとめ買いはしないようにしていますし、日本酒も一升や四合瓶ではあまり買いません。その点、『ふなぐち』のサイズはちょうどいいですね。しかも、コンビニにも置いてあるから、よく買っています。『ふなぐち』は昔から知っていましたけど、家で楽しむ日本酒としては最近特に愛飲している銘柄ですね」(小宮山さん)

 

小宮山さんはお酒単体で飲むより、おつまみをキッチンでサッと作り、そのままダイニングで味わうのがルーティンだと言います。ではそのとき、一緒に映画や音楽を楽しんだりするのでしょうか?

 

「映画やTVをつけると、そちらに気を取られてしまうので、観ながら飲むことはないですね。主役は、あくまでもお酒やおつまみ。BGMは必ずかけるんですが、耳が意識しないように自分が知らない曲をかけるようにしています。なので、インストゥルメンタル(歌のない曲)が多いかもしれないですね。ただ、飲みも終盤に入って酔ってきたら、好きな曲を聴いたりPVを観たりしながら飲んでいます」(小宮山さん)

 

飲み方は、だんだんアルコール度数の強いお酒へと進むことが多いとか。生原酒の「ふなぐち」は、19%と日本酒の中でも度数は高め。この“強さ”が、お酒好きの小宮山さんが気に入っているポイントのひとつなのです。

 

「一般的な日本酒は15%前後が多いですけど、僕はもっと高くてもいいんです。19%の『ふなぐち』は飲みごたえがあって、料理にも合う絶妙なボディ感。これが30~40%となると、料理に合わせるにはちょっと構えてしまいますよね。僕は飲む過程でアルコール度数の低いお酒には戻らないので、中盤~後半の一杯にも『ふなぐち』は最適。シメのお酒にもオススメです」(小宮山さん)

 

ここであらためて、小宮山さんに「ふなぐち」の味わいに関する魅力を聞くと、お米のうまみがふくよかでいて、甘すぎないことだと言います。

 

「甘みはあるけど甘すぎない、フルーティだけど果実感は強すぎない。このバランスのよさがちょうどいいです。香りも日本酒らしい吟醸香で、正統派のおいしさだと思います」(小宮山さん)

 

 

自由気ままにほろ酔い気分になれるのが「センベロ」の魅力

「ふなぐち」が“コンビニ最強酒”と言われる理由のひとつに、コンビニで買える手頃なおつまみと合わせた「センベロ」的な飲み方でも、「ふなぐち」の華やかでリッチな味が、価格以上の贅沢感をもたらしてくれる、という点があります。

 

センベロのシンボルともいえる、大衆酒場に関する著書もある小宮山さんに、ご自身の流儀を聞いてみました。

 

「僕にとって飲むことはライフワーク。毎日贅沢はできないので、外食でも家飲みでもセンベロが基本なんです。まあ、外では1000円では収まらなかったりハシゴしたりしますけど。お店の場合、いい意味で気を遣わない雰囲気も好きです。ドレスコードがあるような高級店も、たまに行くならすごくいいですけどね。自由気ままに飲んでつまんでほろ酔い気分になれる、それがセンベロ最大の魅力だと思います」(小宮山さん)

 

家でもセンベロ的な飲み方をするという小宮山さん。どんなつまみを用意し、どう飲んでいるのでしょうか? そのこだわりを聞くと、なるほど! と思える答えが返ってきました。

 

「家ではもろきゅうとか冷やしトマトとか、できるだけシンプルなおつまみを用意することが多いです。手をかけたとしても、塩味に炒めるとか、目玉焼きを作るといった程度。ちなみに、カレーなどのスパイス料理を作るのは、おつまみとは別の話ですね。

外で飲むときは揚げ物や焼鳥など、家で作りづらいものを注文します。焼鳥も、家だと店のようなおいしさにはなかなか焼けませんから。逆にお店では、もろきゅうや冷やしトマトなど、家ですぐ作れるものはオーダーしませんね」(小宮山さん)

 

おつまみや雰囲気などを、自分が好きなようにコーディネートできるのも家飲みの楽しさだと小宮山さん。そのこだわりも聞きました。

 

「お皿やBGMなどで、その場の雰囲気は大事にしますね。おつまみはシンプルでも、器にこだわるとよりおいしそうに見えるじゃないですか。自分の好きなお皿やグラスであればなおさらです。日本酒であれば、ワイングラスに注いだり。あと僕がBGMでよくかけるのは、ラグタイムというアメリカ生まれの軽快なピアノ楽曲。スコット・ジョプリンの『ジ・エンターテイナー』が有名ですよね。どんな世代やシーンにもハマるジャンルだと思います。もちろん、日本酒を嗜む家飲みにもよく合いますよ。ぜひ試してみてください!」(小宮山さん)

 

 

小宮山雄飛が選ぶ「ふなぐち」と合うおつまみ4選

ここからは、小宮山さんがチョイスした、「ふなぐち」と身近な店で入手しやすいおつまみとのペアリングを紹介。選んだ理由や、「ふなぐち」と合う理由も教えてもらいました。

 

1.日本橋菓房「いぶりがっこチーズ」×ふなぐち(常温)

↑干し大根を燻して作る秋田のご当地漬物「いぶりがっこ」を、チーズたら仕様に。独特のポリポリ食感も楽しめます

 

「最近食べた乾きもののなかで、つまみとしてよくできているな、と感動した一品です。チーズたらの中に、ちょうどいい薄さのいぶりがっこが入ってて、歯ごたえも十分。味も濃いめで、『ふなぐち』の豊かな凝縮感とドンピシャに合いますね。こちらも飲み方は常温です」(小宮山さん)

 

↑日本橋菓房「いぶりがっこチーズ」(378円・税込)

 

2.桃屋「穂先メンマやわらぎ」×ふなぐち(常温)

↑厳選した竹の子の柔らかい穂先を茹でたあとに乳酸発酵。さらに熟成させ、ピリ辛な味に仕上げたメンマです。そのままでも、スープやサラダ、炒め物などに入れてもおいしい

 

「『やわらぎ』は学生時代から大好きなんです。メンマという、いちジャンルを築いてますし、しかも『やわらぎ』はオンリーワン。普通のメンマじゃなくて、この穂先メンマタイプの『やわらぎ』が好きなんです。『やわらぎ』自体が相性のいいおつまみですから、同じく汎用性の高い『ふなぐち』とは相思相愛。間違いのない組み合わせですね。飲み方は常温がオススメです」(小宮山さん)

 

↑桃屋「穂先メンマやわらぎ」(333円・税込)

 

3.ハウス食品「ククレカレー<甘口>」×ふなぐち(冷酒)

↑すりおろしたりんごとマンゴーチャツネの甘み、そこにトマトや炒め玉ねぎなどの野菜のおいしさがとけこんだ、やさしくまろやかな味わいのカレーです

 

「カレーにも様々なタイプがありますが、家で日本酒に合わせるなら、とろみのあるカレーがいいと思います。そして、日本酒の繊細なタッチを邪魔しないよう辛さやスパイスはあえて控えめで。となると、甘口がオススメなんです。『ふなぐち』の甘みにもよく合いますし、近しい料理だとビーフシチューもいいですね。飲み方は、カレーをすっきり洗い流す意味で、冷酒にするのがいいと思います」(小宮山さん)

 

↑ハウス食品「ククレカレー<甘口>」(193円・税込)

 

4.森永乳業「ピノ」×ふなぐち(ソーダ割り)

↑バニラアイスをチョコでコーティングした、1976年から変わらないおなじみの味。チョコとアイスが絶妙にとけ合うバランスが、おいしさの決め手です

 

「洋酒に干しぶどうなどの甘いものを合わせたり、ワインにチーズなどコクのある乳製品を合わせたり。これはそのイメージです。まろやかな『ふなぐち』にはピノのように口どけのいいアイスもよく合うと思います。あと、アイスのように冷たいものには、ソーダ割りで冷たくして飲むのもありですよ」(小宮山さん)

 

↑森永乳業「ピノ」(152円・税込)

 

ふだんの飲み方や、「ふなぐち」の魅力、ペアリングなど様々なことを教えてくれた小宮山さん。ぜひ本稿を参考にして、「ふなぐち」とともに「センベロ的家飲み」を楽しんでください。

 

菊水酒造 生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」

 

取材・文=中山秀明 写真/湯浅立志(Y2)

【東京・大衆酒場の名店】門前仲町「だるま」で、コの字カウンター劇場を堪能する噺

東京にある大衆酒場の名店を巡る企画の第6回。今回は門前仲町の「だるま」を訪れ、その魅力を探っていきます。

大衆酒場は、その安さとウマさ、昔ながらの温かい雰囲気で、酒飲みの心をひきつけてやみません。なかでも東京では下町を中心に、根強い人気を誇る大衆酒場の名店が数多く存在します。そんな名店を巡り、お店の魅力と東京ならではの酒文化を深掘りしていくのが本連載。立石「宇ち多゛(うちだ)」篠崎「大林」京成曳舟「三祐酒場(さんゆうさかば) 八広(やひろ)店」八広「亀屋」四つ木「ゑびす」に続く第6回は、門前仲町の「だるま」にお邪魔します。

 

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

 

チューハイを注文すると「いっぱ〜つ」の掛け声が!

地下鉄東西線・都営大江戸線「門前仲町駅」から徒歩約3分の場所にあるのが、今回訪れる「だるま」です。創業は昭和46(1971)年とのことで、ちょうど50周年を迎えました。同店の魅力のひとつに二代目の美人姉妹が生み出す居心地のよさがあり、その雰囲気作りに一役買っているのがコの字型のカウンターです。

 

そこでナビゲーターにお招きしたのが、前回カウンターの賢人として登場した長谷川和之さん。生徒役にはこれまで同様、お酒好きのタレント・中村 優さんとのコンビで「だるま」とカウンター酒場の魅力を掘り下げていきます。

↑中村 優さん(左)は、タレントおよびマラソンランナーとして活躍。長谷川和之さん(右)の本業は編集者で、酒場のほか旅や温泉、鉄道など様々なジャンルに精通しています

 

長谷川 いやあ中村さん、なかなか一緒に酒場に行けず、お久しぶりですねー。まずは注文しましょう!!

 

中村 はい! 今日も楽しみにしていました。よろしくお願いします! お酒はどうしましょうか?

 

長谷川 やっぱりチューハイです。ここはね、注文すると店員さんがちょっとユニークな受け答えをしてくれるんですよ。試しにオーダーしてみますね。「すみませーん、チューハイひとつお願いします!」

 

店員 「はーい、チューハイいっぱ〜つ!」

 

中村 え? 「いっぱつ」って言いましたよね。面白い!

 

長谷川 この「いっぱつ(一発)」というかけ声は先代のときからの伝統で、「だるま」の名物とも言えるもの。当時ここで働いていたアルバイトの方々は東京商船大学(現在の東京海洋大学)の学生が多かったみたいで、先代がコミュニケーションの一環として「いっぱつ」という呼びかけで、仕事に対する気持ちやお客さんとの一体感を盛り上げたんだそうです。

 

中村 へえー! じゃあ私も、「チューハイいっぱつ!」

 

店員 「ありがとうございまーす! チューハイもういっぱ〜つ!」

 

長谷川 ということでお酒が揃いましたね。

 

中村 はい! 改めて、カンパーイ!

 

 

長谷川 それとね、「だるま」のチューハイは2種類のシロップを好きなだけ入れられる点も特徴なんです。ところどころに置いてあるでしょ?

 

中村 気になってました。これは自由に使っていいんですね! レモンとライムかぁ、じゃあレモンを入れてみまーす。

 

長谷川 では僕はライムを。こうやって自分好みの甘酸っぱさにカスタムできるのは、なかなか珍しいですよ。

 

中村 甘酸っぱい味が好きなら濃いめとか、調整できるのがうれしいですよね。

 

長谷川 味のほうはどうです?

 

中村 うん! ちょっとシロップを多めに入れてみたんですが、焼酎がコク深いからボディもしっかり。私には濃い目のチューハイだけど、爽快感も抜群で、おいしいです!

 

長谷川 よかった! ではおつまみも注文しましょう。超定番の「牛モツ煮込み」と「手作りつくね焼」と……。

 

中村 いいですね! 私は「ニラ玉」と「ハムカツ」も気になります。

 

長谷川 では合わせて4つを注文しましょう。

 

名物店主の美人姉妹、“宝ジェンヌ”が登場!

中村 テーマはカウンターということで、「だるま」の特徴を教えてください。

 

長谷川 お任せください。まず形から説明すると、ここは「コの字型」。カウンターの形は店によって様々で、多いのは「直線型」や「L字型」ですね。で、「コの字型」というのは最も理想的なカウンターの形だと思います。この企画の第2回(篠崎・大林)で、中村さんが藤原さん(藤原法仁さん。大衆酒場にまつわる著書を数多く上梓しているこの道のツウ)と行った「大林」ってあるじゃないですか。あそこはもう、「コの字型」の最高峰ですよ。

 

中村 行きましたねー。確かにコの字型カウンターで、最高のお店でした! でも、「コの字型」だと何がそんなにいいんですか?

↑コの字型のカウンター

 

【酒噺のオススメ記事はコチラ】
【東京・大衆酒場の名店】初心者女子と楽しく学ぶ! 篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺

 

長谷川 まず、カウンターの良さはお店の人の仕事ぶりを見られること。同時に、ほかのお客さんの姿を眺められることにあります。例えば、僕なんかは孤独に酒と向き合う時間が好きなので、ひとり飲みが多いんですね。でも、カウンターなら様々な人間模様を観察できるので、飽きないんですよ。

 

中村 あっ、そうか。三辺に席があるコの字型は、ほかの形のカウンターよりも視界のなかに様々な風景が飛び込んでくるということですね。

 

長谷川 はい。その点は非常に大きな魅力です。機能的にも優れていて、お店の人は効率的な導線で配膳や調理ができますから、どの席でもオーダーや提供が早いしコミュニケーションも取りやすいんです。

 

中村 勉強になります! では、ほかのカウンターにはどんな形があるんですか?

 

長谷川 「ニの字型」とか、「コの字型」が変形した「舟型」や「馬蹄(ばてい)型」。広めの「吉野家」に見られる、コの字がダブルやトリプルになった「テトリス型」とかね。分類が難しい、パズルのようなカウンターに巡り合うと、どんな名称が合うだろうかと考えるだけでも面白いですよ。

 

中村 改めて「だるま」ならではの、コの字型カウンターの魅力を教えてください。

 

長谷川 前回「酒場のカウンターは劇場と同じ」と言いましたけど、「だるま」の場合は特に内側。つまり、店員さんの立つ厨房が劇場となっているのがこの店なんです。そして主役はやっぱり美人姉妹のおふたり。

↑先代、江家 脩(こうけ おさむ)さんの長女の理(あや)さん(左)、次女の真(まさ)さん(右)。腰に「宝焼酎」の前掛けを巻く姿は、まさに“宝ジェンヌ”!

 

中村 華がありますよね。外観や内装は古典的な大衆酒場なんですけど、店内はどこか艶やかで独自の世界観。それは、おふたりが醸し出す雰囲気がそうさせているのかなって思います。

 

長谷川 そうそう、つい見とれちゃったりしてね。一見ギャップがありますけど、味や設えはもちろん人情的な接客や和やかな雰囲気も正統派の大衆酒場。こんな素敵なお店はなかなかありません。

 

中村 貴重な存在ってことですね。機能面でいうと、「だるま」のカウンターにはどんな特徴がありますか?

 

長谷川 そしたら、ちょっと計ってみましょう。

 

中村 出た! 長谷川さんの秘密兵器、メジャー!

 

長谷川 うん。カウンターテーブルの奥行きは50cm、高さは90cmですね。確か商店建築の教科書的な書籍に、奥行きは45~65cm、高さは90~100cmが適正と書いてあるので、ここはまさにお手本といえるでしょう。

 

中村 やっぱり、基準みたいなものがあるんですね。でも確かに、私が座った感じでは違和感なく肘をつける位置にテーブルがありますし、イスともちょうどいいバランスの高さになっていると思います。

 

長谷川 あと、「だるま」はコの字の形がなかなか特徴的です。ここは三辺それぞれのイスが、1席・9席、4席と配置されていますよね。このフォーメーションを「1・9・4(イチ・キュウ・ヨン)」と呼ぶんですけど、正面にあたる真ん中の座席がほかの辺の2倍以上も多い9席というのは珍しいです。

 

↑奥から1席・9席・4席の横長タイプの「コの字」カウンター

 

中村 横長タイプの「コの字」ってことですよね。

 

長谷川 そうです。店にとっては狭い空間を有効活用できるというのもカウンターの利点ですが、コの字は直線やL字よりも店内に広いスペースが必要になるんですね。それが、コの字のお店が比較的少ない理由でもあるんですが、「だるま」はある程度の広さがあるので、これだけ横長のコの字にできるんです。

 

中村 なるほど。そう言われてみると、広さがありますね。さらに奥にはテーブル席もありますし。

 

昔はさらに横長のコの字カウンターだった

中村 「だるま」は創業50周年ということですが、お店の歴史も気になります。

 

長谷川 僕が初めてここに来たのは25年ぐらい前で、そのときは先代や奥様もいらっしゃいました。詳しい話は、姉妹のおふたりに聞いてみましょう。理(あや)さんと真(まさ)さんは、いつごろからこの店に入られたのですか?

 

 手伝うようになったのは、私が高校生のときです。そのあと真も高校生になってからお店に立つようになりました。私たちに代替わりしたのは、父が亡くなった平成21(2009)年。母は今でこそお店には出てないですけど、うちの人気メニューの多くは母が考案したんですよ。

 

中村 「だるま」という名称の由来は何から来ているんですか?

 

 最初は父が脱サラしてひとりで始めたんですけど、由来は母も私たちも聞いたことがなくてわからないんです。でも、法人名は七八商事なので、七転び八起きとかそういう想いが「だるま」に関係してるのかなって。

↑手前の写真は、在りし日の先代 江家 脩さん(左)と真さん(右)。左奥の写真には理さんも

 

中村 だるまは必勝祈願のシンボルでもありますもんね。門前仲町にあるのは、おうちのご近所だからとか?

 

 家はもともと埼玉の所沢にあったんですけど、私たちがここで働くようになってから江東区に引っ越してきました。なぜ門前仲町を選んだのかも父には聞けずじまいでしたが、所沢に住んでいたときは遠くて大変でしたね。

 

長谷川 カウンターなど、店内は50年前から変わらずですか?

 

 9人席の部分がもっと奥まで伸びた、長いコの字型だったと思います。それを短くして今のカウンターになったのは、もう30年以上前になるかしら。私たちが手伝いに入ったときにはこの設えでした。改装した理由もわからないのですが、テーブル席を増やしたかったのかな~と。

 

新旧の家庭的な手作りつまみにチューハイが進む!

長谷川 中村さん、おつまみもいただきましょう。まずは定番の煮込みから。

↑「牛モツ煮込み」(700円 表記価格はすべて税込・以下同)

 

中村 おいし〜いっ! 脂身も入ったとろとろのプルプルなんですけど、あっさりしていてやさしいお味。素材の甘みが豊かで、チューハイが進みます!

 

 ありがとうございます! モツは父の代から同じ業者さんと取引していたんですけど、その業者さんがやめてしまったので、いまは大元の食肉卸さんから新鮮なものを仕入れてます。使う部位は大腸と小腸。2回湯こぼしをして余分な脂をカットし、味付けは秘伝の米みそとザラメだけですね。

 

長谷川 2回湯こぼしをしているから重くないんですね。具材にはこんにゃくも入っていてヘルシーだし、玉ねぎ入りってのも珍しいんですよ。

 

中村 甘みを感じるのは、この玉ねぎによるところもありますよね。そしたら次はつくねをいただきます!

↑「手作りつくね焼」(600円)

 

 こちらは母直伝のレシピです。具材は鶏もも肉に、刻みしょうがとねぎ。味付けはダシ入りのみそと塩こしょうですね。つなぎとして全卵も入れてます。タレも母のタレを継ぎ足しで、しょうゆとザラメとお酒を煮詰めて作っています。

 

長谷川 このつくねは人気メニューのひとつですよね。ボリュームがあって、こちらもすごくお酒が進みます。

 

中村 ウマーッ! しょうがの風味が豊かで、お肉もねぎもたっぷり。それでいて食感は柔らかく、すごく好きな味です!

 

 よかった! ではニラ玉もどうぞ。こちらも父の時代からあるメニューで、そのレシピに私がアレンジを加えたものです。

↑「ニラ玉」(800円)

 

長谷川 これは僕も食べるのが初めてかな。ニラがたっぷりですね! こちらも素材を生かした味付けで、ごま油とこしょうの香りもイイ!

 

中村 はい! ニラはしっとりしたなかにシャキシャキ感もあって、味には甘みを感じます。それに玉子がふわっとしてて、全体的にはやさしい味。黒こしょうがたっぷりですけど、辛さよりも香り高さが効いていて、やっぱり抜群においしいです!

 

 最後はハムカツです。こちらは私たちの代になってから加えたメニューですね。レシピはシンプルですが、よく出るメニューのひとつです。

↑「ハムカツ」(600円)

 

中村 素朴な味わいのハムと、何よりカリカリの衣がイイ! おつまみにサイコーなやつです。そして見逃せないのが絶品のマカロニサラダ! 上にのってるのはタルタルソースですか?

 

 はい。付け合わせは、日によってマカロニサラダやポテトサラダをお出ししています。具材はゆで卵とにんじんですね。塩こしょうとマヨネーズで味付けするのですが、冷蔵中に味が薄まってしまうので、提供時にタルタルソースをおかけしてるんです。

 

長谷川 このハムカツだけで、ひとり飲みにうれしい3点セットになってる。日替わりのサラダは単品でもあって、こっちをオーダーする人も多いんじゃないかな。

↑「マカロニサラダ」(500円)

 

多様なニーズに応えられるカウンターはいいことずくめ

中村 理さんと真さんは、カウンターのいいところってどんなところだと思います?

 

 私たちにとっては、お客さんとの距離感の近さが一番ですかね。お店のなかに一体感が生まれるようなところもカウンターならではだと思います。

 

 カウンターは導線がいいですよね。目の前がお客さんですから、お酒やおつまみをすぐ提供できてお互いにスムーズだと思います。

 

長谷川 お店側からすると、接客しやすいというメリットもありますかね。ひとりで飲みたい人もいれば、お店の人やほかのお客さんと仲良くなりたい人など、飲みたいスタイルは様々ですから。

 

中村 カウンターなら多様なニーズに応えられると。いいことずくめなんですね。奥が深いです!

 

長谷川 そうだ、ちょうど僕らがいる席のパターン。今、お互いテーブルの角地に座ってるじゃないですか。コの字やL字などは、このように角になる席がありますよね。僕はここで飲むことを「コーナリング」って呼んでいて、サシ(ふたり)飲みのときはこの席がポールポジションなんですよ!

 

中村 コーナリングにポールポジション? まるでレースのようですね!

 

長谷川 サシ飲みのなかでも、特に初めて会う人や、出会って間もない関係のとき。例えば商談相手やカップルなどです。イスとイスとの快適な距離感は、一説によると60cmが適正なんですけど、そこまで親しくなければ隣同士だと緊張しますよね。

 

中村 はい。もし初対面であればなおさらですね。

 

長谷川 そう、緊張するんですけど、角の席ならその距離感をコントロールできるんです。あと、目線を自然と外すこともできますし、食べているところを直視されることもありません。

 

中村 ちょうどいい距離感で楽しく飲めるのがカウンターのコーナーってことですね!

 

長谷川 あと、コーナリングは攻めることもできます。例えば、商談を兼ねた飲み会だとしましょう。心地よく飲んで親睦が深まるなか、イスの間の距離をちょっと縮めて「では当社の○○のご検討はいかがでしょう?」と、クロージングに持ち込めるんです。

 

中村 面白い!

 

大衆酒場を初訪問する際のマナーとは?

常連さん お嬢さん、ここ初めてなんだって? じゃあこれどうぞ。おいしいから食べてみて!

 

中村 え? あ、はい! これってもしや、おすそ分けですか? うれしい!

 

長谷川 ラッキーですね。こういうのも、カウンター酒場のいいところ! テーブル席だと、なかなかこういう展開にはならないですから。

 

中村 それに、これめっちゃおいしそう!

 

 そちらはナス味噌炒めです。濃い目の味付けで、チューハイにもよく合いますよ!

↑「ナス味噌炒め」(800円) ※写真は取り分けたサイズ

 

長谷川 ああ、これは絶対ウマいやつだ。

 

中村 うん、ナスはとろとろ! 味も染みててすごくおいしい!

 

長谷川 ナス以外の野菜もたっぷりで、こういうところもうれしいですね。

 

中村 はい。お客さんとのコミュニケーションも大衆酒場の魅力ですし、おすそ分けなんてカウンターならではですよね。今日の取材で、大衆酒場がますます身近になりました。

 

長谷川 そうか、中村さんはまだビギナーなんですもんね。じゃあ、初めて行く店を訪れる際のちょっとしたマナーも伝えておきますね。

 

中村 ぜひお願いします!

 

長谷川 やっぱり、歴史のある大衆酒場にはそのお店を愛する常連さんがいるので、その方々に気を遣いましょう。常連さんの定位置には座らないとかね。

 

中村 その特等席はどうやって見分けるんですか?

 

長谷川 店によりますけど、カウンターの奥とか、串焼きの台があるならそこから近い席とか。ほら、串って大将が焼くケースが多いでしょ。その間大将としゃべれるから焼き台の前の席は人気だったりするんですよ。

 

中村 座席のことなんて考えたことなかったです。でも、今の話を聞いてよりハードルが下がりました。

 

長谷川 場の空気を読むことが大切なんです。でもすぐに慣れますよ。それこそいろんなカウンターのお店に行けば、それぞれの特徴や個性がよりわかってくるはず。なので、こんどはまた別の形のカウンター酒場に行きましょう!

 

中村 はい! 今日もおいしかったし、たくさん勉強になりました!

 

 

中村さんのカウンター酒場探訪は始まったばかり。次回は「L字」か「直線」か、はたまた「ニの字」か「舟型」か。何はともあれ、長谷川さんのナビゲートでとっておきの一軒をご紹介します。

 

 

撮影/我妻慶一

 

<取材協力>

だるま

住所:東京都江東区門前仲町2-7-3

営業時間:平日16:30~23:00、土日16:30~22:00

定休日:不定休

※価格はすべて税込みです

※営業時間等に関しましては、店舗にご確認ください(取材日:20211122日)

 

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎25度
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

 

「東京・大衆酒場の名店」バックナンバーはこちら▼

・第1回 【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

・第2回 【東京・大衆酒場の名店】初心者女子と楽しく学ぶ! 篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺

・第3回 【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺

・第4回 【東京・大衆酒場の名店】酎ハイ街道をゆく。八広・亀屋の“ボール” 受け継がれる秘伝レシピの噺

・第5回 【東京・大衆酒場の名店】四ツ木「ゑびす」で、自家製ロックアイスのお茶割りを味わう噺

・番外編 大衆酒場の酎ハイに欠かせない「下町炭酸」を飲み比べる噺

・番外編 焼酎ハイボールに合う!「東京・大衆酒場の名店」のおつまみを、約5000円の調理家電で再現する噺

俳優・咲妃みゆが、ふるさとの銘酒「一刻者」に向き合った。「最高の飲み方×最高に合う宮崎の食」を体験して改めて思うこと

「私は一刻者なんです」と笑顔で話すのは、俳優・歌手として活躍する咲妃みゆさん。一刻者(いっこもん)とは南九州の話し言葉で頑固者、自分を曲げない人のことを指し、宮崎出身の咲妃さんならではの例えだが、彼女と一刻者にはひとつの共通点がある。宝酒造の全量芋焼酎「一刻者」のふるさと、宮崎県高鍋町出身であるということだ。

 

↑宮崎県高鍋町の黒壁蔵で造られる本格芋焼酎「一刻者」。2021年に20周年をむかえた。芋と芋麹だけの芋以外の原料を使用しない「全量芋焼酎」である

 

 

今回はそんな咲妃さんに、地元が誇る銘酒の魅力や楽しみ方などをナビゲートしてもらう。また、高鍋町で過ごした思い出を振り返りつつ、ふるさとへの想いや自身のこだわりを語ってもらった。

 

宮崎の魅力はあたたかさ

宝塚音楽学校に入学する17歳までを宮崎・高鍋町で過ごし、現在は町のふるさと応援大使も務めている咲妃さん。まずは「唯一無二のふるさとです」という、故郷への想いを語ってもらった。

 

「私にとって一番の魅力は、あたたかさです。それは気候の暖かさであり、何より現地の皆さんが温かくて。優しく、愛にあふれた方々に囲まれて過ごしました。離れて暮らしていると、いっそう心地よさに気付かされますね。とにかく私は宮崎が大好きなんだなって思います」(咲妃さん)

 

咲妃さんお気に入りの場所のひとつが海。特に高鍋駅から徒歩数分の場所にあり、「蚊口浜(かぐちはま)」と呼ばれる有名な浜辺が大好きだとか。家が近いこともあり、春は潮干狩り、夏は海水浴、秋冬は高鍋名物の天然かきを海辺のレストランで食べたりと、季節を問わず訪れていたという。

↑咲妃さんもよく訪れた蚊口浜

 

「特に夏休みは毎日のように妹と一緒に泳いだり、砂浜で遊んだり。両親から『貝殻で足を切っちゃうことがあるから気を付けてね』と言われたのに、無邪気に遊んで結局貝殻でケガをしたこともありました。あさりも持ち帰って食べるとすごくおいしいんです。かきフライやあさりのみそ汁、炊き込みご飯など、ごちそうでしたね」(咲妃さん)

 

料理はなんでも好きだという咲妃さんだが、ジャンルを挙げるなら和食が好み。そのなかには当然宮崎の郷土料理も含まれており、チキン南蛮や冷や汁などはいまでもよく食べるそう。家庭での食事のシーンを振り返ると、夕食の風景には芋焼酎を傾ける父親の姿があり、昔から馴染みがあったという。

 

「宝酒造の『黒壁蔵』(※)といえば、高鍋町民の誇りです。工場の佇まいもカッコイイと思っていました。『一刻者』など宝酒造の焼酎は全国のお店で見かけますけど、私にとっては昔から、身近な存在ですね」(咲妃さん)

 

※黒壁蔵…… 宮崎県高鍋町にある宝酒造の焼酎製造の要となる施設。詳しくはコチラ

 

↑黒壁蔵にある石蔵

 

私にしかできない心を込めたパフォーマンスを。

「一刻者」にはその名の通り、原材料や製法にも造り手の頑固な「こだわり」が凝縮されている。では、俳優やヴォーカリストとして表現する立場の咲妃さんの「こだわり」とは?

 

「第一に、私にしかできない心を込めたパフォーマンスをすること。お芝居でも歌でも、その瞬間に集中して役や曲と向き合っています」(咲妃さん)

 

プライベートでは物事を柔軟に捉えていきたいとは思いつつ、よりよいものを創り表現するプロフェッショナルとしては譲れないことばかり。その部分は自分でもはっきり自覚するほど頑固だとか。それだけに、第三者からも頑固だと言われることが多いそう。

 

「たまに占いや性格診断を受けるんです。すると、必ず『頑固な性格ですよね』と当てられるんです。そう聞くと、『私って頑固なんだな~』って(笑)。だから、やっぱり私は一刻者なんです」(咲妃さん)

 

宮崎料理の名店で「一刻者」のおいしい飲み方とフードペアリングを学ぶ

ここからは、本場宮崎の食材をふんだんに使用し、東京にいながら本場の宮崎料理を堪能できる「宮崎料理 万作 KITTE丸の内店」の名尾樹太郎さんが、咲妃さんに飲み方やフードペアリングをレクチャー。咲妃さんにはその感想を聞かせてもらった。

 

ロックは華やかさが際立ち宮崎牛の力強い個性と調和

↑「宮崎牛肩ロースのステーキ」2980円。「宮崎料理 万作KITTE丸の内店」では「一刻者」のロックを、作りたての氷で提供。しかも氷は、とけにくい大きさに割っている

 

「宮崎牛は、“和牛のオリンピック”と称される『全国和牛能力共進会』で、内閣総理大臣賞を史上初となる3大会連続で受賞したブランド。肩ロースは、赤身の旨みと脂の甘みが好バランスな部位で、塩こしょうの味付けによりその魅力をダイレクトに味わえます。お肉の力強さを邪魔せず、おいしく調和してくれますよ。

合わせるお酒は『一刻者』のロック。大きめの氷と、それが入るグラスを用意しました。家で飲む場合は、できればお店で売っているようなとけにくくて大きい氷がオススメです。なぜなら『とけにくい=加水されにくい』なので、『一刻者』本来の魅力をより楽しめるからです。ぜひ合わせてみてください。ダイナミックな『一刻者』の味わいが、お肉の力強さとおいしく調和してくれますよ」(名尾さん)

 

「ステーキはしっかりした味と、ジューシーな脂の旨みがありますが、重くなくていくらでも食べられそうです。そこに合わせる『一刻者』のロックがまたいいですね! 芋の華やかな香りとキリッとした爽やかさが絶妙で、お肉の個性とよく合います」(咲妃さん)

 

↑「芋らしい香りが華やか。どっしりとした飲み口も魅力ですね」と咲妃さん

 

サラッと飲みやすい水割りが甘み豊かな旨煮の味を引き立てる

↑「万作本店名物 旨煮」700円。水割りは、同店では焼酎3に対して水は7。軽い飲み口がお好みの方には2対8がオススメとのこと

 

「旨煮は、いわゆる筑前煮の宮崎版ともいえる一皿。鶏肉と根菜類を九州の甘醤油で濃いめに炊き上げており、当店では焼酎でまろやかさを加えています。オススメの飲み方は、ロックよりやわらかいタッチの、水割り。当店では焼酎3に対して水は7で提供しておりますが、軽い飲み口がお好みの方には2対8でも。『一刻者』の水割りは、清涼感のなかに芋の甘みも感じられ、甘醤油を使った料理にはよく合いますよ。どうぞお召し上がりください」(名尾さん)

 

「こうして飲み比べると、印象がだいぶ変わりますね。舌触りがやさしくて、すっきりとしています。旨煮は、この甘じょぱっさが私にとっては安心するおいしさ。そうそう!ってうなずける、テンションの上がる味わいです。甘やかなコク、華やかな香りはありつつサラッと飲みやすい水割りも、よく合いますね」(咲妃さん)

↑「『一刻者』は、甘じょっぱい醤油味の料理全般によく合うと思います」と咲妃さん

 

爽快なソーダ割り×ジューシーな炭火焼きのおいしいループ

↑「宮崎の銘柄鶏 霧島鶏のもも焼き」1950円。炭酸の刺激が爽快感を演出するソーダ割りは、一杯目として人気が高い飲み方だとか

 

「鶏の炭火焼きは、当店の定番中の定番です。霧島山のすがすがしい空気と湧き水で育てられた銘柄鶏を使っていて、現地のコリッと力強い弾力ではなく、あえてジューシーさを打ち出した味わいになっています。味付けにもクセがなく、『一刻者』本来の香り高さを邪魔しないのでおいしいペアリングが楽しめますよ。お好みで柚子胡椒をお使いください。

合わせるソーダ割りは、焼酎1に対してソーダ2がオススメです。炭酸の刺激が抜けないよう、グラスの縁に沿ってゆっくり注ぎ、マドラーで軽く1回ステアして完成。氷はロックのとき同様、大きくとけにくいものがベターですね」(名尾さん)

 

「鶏の炭火焼きも大好きなソウルフードです。確かにやわらかめで、肉汁のうまみも豊かでおいしい! そしてソーダ割りも最高ですね。芋焼酎の甘い香りにソーダのキレが加わって、クリアな爽快感。炭火焼きの柚子胡椒の柑橘感ともマッチし、おいしいループが止まりません! あと、私は地元の高鍋餃子も好物なのですが、あのジューシーな味にもソーダ割りが合うと思います」(咲妃さん)

 

↑「飲みやすいソーダ割りは焼酎入門にもオススメの割り方ですね。『一刻者』のフルーティな風味も、いっそう引き立ちます」(咲妃さん)

 

お湯割りのフルーティな香味が豚炭火焼きの甘みとマッチ

↑「ぶどう豚の肩ロース炙り焼き」1580円。焼酎のお湯割りは、お湯を先に入れて割るのがポイント。こうすると、よく混ざるのだとか。割合は焼酎が濃いめで7対3、もしくは6対4がオススメ

 

「ワイン醸造で有名な、宮崎県綾町のぶどうの搾りかすを飼料にして育てた豚の肩ロースを炭火でグリルしています。さっぱりとしたかんずり酢味噌とともにお召し上がりください。

これからの季節に特にオススメなのがお湯割りです。割合は焼酎が濃いめで7対3、もしくは6対4、温度は70度前後がオススメ。水割りより濃いめに作りますが、まろやかで強すぎる感じはないと思います」(名尾さん)

 

「豚肉は外が香ばしくて中はジューシー。素材の味わいが濃く、脂の甘みもダイレクトに感じられます。この、あふれるような肉汁を包み込むように調和するのが『一刻者』のお湯割りです。『一刻者』のフルーティな香味が引き立って、味はホッとするような心地よさ。温かい料理にもすごく合いますね」(咲妃さん)

 

↑「ポカポカしてきます。『一刻者』は冷たくても温かくても、どの温度帯でもおいしいのがまた魅力ですよね」と咲妃さん

 

「一刻者」とともにおいしい時間を

飲み方別に4つの「一刻者」と、そのフードペアリングを堪能した咲妃さん。ボトルとグラスをまじまじと見つめながら、つぶやいた一言が印象的だった。

 

「父を思い出します。こんど帰省したら、一緒に飲みたいなぁ」

 

様々なステージで活躍し、走り続ける咲妃さん。充実感には満たされつつも多忙であり、またコロナ禍にも阻まれてしばらく帰省はできていないと言う。そのさなか、今回堪能した同郷の「一刻者」が、ふるさとに思いを馳せさせ、一時の安らぎを与えたのかもしれない。

 

“日本のひなた”と称される宮崎。晴れて帰省する日には、お父様と「一刻者」を酌み交わしながらあたたかなひとときを過ごすのだろう。咲妃さんのほがらかな表情から、ぬくもりあふれる光景が目に浮かんだ。

 

 

 

【PROFILE】

咲妃みゆ(さきひ・みゆ)

1991年宮崎県生まれ。2010年宝塚歌劇団に入団し、月組に配属。2014年雪組トップ娘役に就任。2017年の「幕末太陽傳」おそめ役を最後に、7月に宝塚歌劇団を退団。その後は俳優として様々な作品に出演するほか歌手としても活躍。アルバムは「First Bloom」「MuuSee」の2枚を発売している。現在放映中の映画「アイの歌声を聴かせて」ではプリンセス・ムーン役を担当し、劇中歌「フィール ザ ムーンライト ~愛の歌声を聴かせて〜」のヴォーカルも担当。2022年は2月〜7月に上演される舞台「千と千尋の神隠し」に、リン役で出演予定。

 

【フォトギャラリーでは記事内で使用されてない画像もご覧頂けます】

 

【SHOP DATA】

宮崎料理 万作KITTE丸の内店

木を基調とした温かみのある空間に、個室、カウンター席、テーブル席と多彩なシートを完備。ランチも営業していて、ディナーにはコースも用意している。東京駅直結でアクセスがよく、会食にも最適だ。咲妃さんの故郷・宮崎のご馳走が多彩に揃い、今回紹介したあらゆる飲み方で、「一刻者」とのフードペアリングを楽しめる。

住所:東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 5F
アクセス:JRほか「東京駅」より地下にて直結。徒歩1分
営業時間:11:00~15:00(L.O.14:15)、17:00~23:00(L.O.21:45) ※日祝、22時まで(L.O.20:45分)
定休日:KITTEに準ずる

公式HPはコチラ

 

写真/村田 卓(go relax E more)

氷結(R)が大ヒット! コロナ禍のニーズを捉えた「まるで搾りたてのおいしさ」とは

2021年、「キリン 氷結(R)」の売れ行きが絶好調だ。その要因として大きいのが、「コロナ禍の生活者ニーズ」を捉えたことだろう。

 

長引く自粛と先行きの見えない不安。自宅にいる時間が急増し、多くの人が閉塞感を抱いていた中、あらゆるジャンルで人気を博したのが、「リフレッシュ志向」に応えるアイテムだ。

 

特に多くの人が重要視しているのが、毎日の生活の中で欠かせない食事シーンだろう。手軽にリフレッシュできる食品や飲料品へのニーズが非常に高まっている。

 

そういった生活者ニーズと、「キリン 氷結(R)」の爽快なおいしさがマッチし、大ヒットに繋がったというわけだ。

 

21年目の「キリン 氷結(R)」、売上が大きく伸長

どのくらいの好調なのか、各種数値で見てみよう。

 

「キリン 氷結(R)」ブランド群では前年比107.6%(※1)、さらにレモン群においては前年比売上142.7%(※2)と、大きく出荷数を伸ばしている。

 

※1:ブランド全体の販売数量(1~9月、出荷実績)
※2:氷結スタンダード・ストロング・無糖・ZERO・旅する氷結の各レモンフレーバー通年商品計(1~9月)

 

 

発売から21年経つロングセラーブランドで、ここまで記録を伸ばすというのは驚きだ。

 

発売当初からの信念を守りつつも、時代のニーズに合わせておいしさを進化させつづけている証といえるだろう。

 

 

人気をけん引する2つの「レモン」とは

中でも人気をけん引しているのが、ブランドの代表格である「キリン 氷結(R) シチリア産レモン」と、昨年発売した「キリン 氷結(R)無糖 レモン」の2大ブランドだ。

 

まるで搾りたてのおいしさ「シチリア産レモン」

「シチリア産レモン」は、これまで「みずみずしい果実味が感じられるおいしさ」をベースに進化させてきた。

 

「まるで搾りたて」のおいしさと爽快感を実現したことで、コロナ禍のリフレッシュニーズを捉えたかたちだ。発売21年にして、キリンビールお客様嗜好調査にて過去最高のおいしさ評価を獲得したという実績もある。時代によって変化する生活者を満足させるおいしさになっていることが、見てとれる。

 

甘くないから、レモンが引き立つ「無糖 レモン」

そして「キリン 氷結(R)」の人気を加速させているもう一つのブランドが、「無糖 レモン」だ。

 

昨年10月に発売されて以来、過去10年で発売したキリンRTD(※3)内において、最速(※4)で1.5億本(※5) を突破。さらに発売から1年の累計販売本数が最高売上(※6)を達成するなど、驚異的な売上を記録しているのだ。

 

この商品の最大の特長は「スッキリと甘くない、爽快な味わい」だが、こちらも「シチリア産レモン」と同じく、「気持ちをリフレッシュしながら、健やかな生活をおくりたい」という生活者ニーズとおいしさがマッチした結果といえる。

 

※3:Ready to Drinkの略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料
※4:単独フレーバー比較
※5:キリンビール出荷実績 250ml換算(2020年10月~2021年9月)
※6:過去10年に発売したキリンRTD内において発売から1年の累計販売本数が最高売上を達成

 

 

同じ「レモン」でもまったく違う!?実飲レビュー

そんな生活者の「リフレッシュ」というニーズを捉えた「キリン 氷結(R)」のおいしさを、実際に体験してみよう。

 

「シチリア産レモン」はパッケージに「まるで搾りたてのレモン感」と書かれている通り、口に含んだ瞬間にレモンの爽やかな香りが広がる。それでいてのどごしは柔らかく、ほどよい甘みも相まって、爽快な気持ちになれるみずみずしいおいしさだ。

 

一方の「無糖 レモン」は、糖類・甘味料不使用で「甘くない」というのが最大の特長。実際に飲んでみると、「シチリア産レモン」よりもレモンの果実感がよりダイレクトに感じられ、すっきりとした爽快感がスーッとのどを通っていく。同じ「レモン」といってもまったく違うおいしさがたのしめる。

 

筆者の意見としては、「シチリア産レモン」は少し疲れた時の癒やしとしての「リフレッシュ」、「無糖 レモン」は気持ちの切り替えをしたい時の「リフレッシュ」といったシーンにマッチするように感じた。

 

料理との相性◎ 「氷結(R)」に合うおつまみはコレ!

ちなみにこの2つのブランド、実際に飲んでわかったのは、料理との相性も抜群なのだ。MEIDI-YAの「おいしい缶詰」シリーズから、それぞれの特長を引き立たせる、筆者もお気に入りの組み合わせを紹介したい。

 

黒酢のまろやかな甘酸っぱさとマッチ

「シチリア産レモン」には、「豚肉の黒酢角煮(うずら卵入り)」が非常に合う。

 

酢豚のような甘味の強い料理だと、お酒とは喧嘩しがちなイメージがある。しかし「シチリア産レモン」はそれに負けず、口の中でお互いの甘味がうまく融合しており、おいしさが増している。まろやかで濃厚な味わいの黒酢を、ほどよくさっぱりといただける、おすすめの組み合わせだ。

 

魚の繊細なうま味をたのしめる

「無糖 レモン」におすすめなのは、「国産金目鯛のブイヤベース風」。

 

薄味の繊細な出汁をたのしめる一品ではあるが、それゆえうま味がお酒にかき消されてしまったり、逆に魚の臭みが際立ってしまったりすることがある。しかし「無糖 レモン」と合わせた場合は、甘くないから素材の味を邪魔せず、魚料理の奥深さを引き出してくれている。食べ進めるごとにうま味が広がり、こうした繊細な味をたのしめること自体に喜びを感じられるような組み合わせである。

 

あらゆる「リフレッシュ」シーンのお供に

21年間も愛され続けている「キリン 氷結(R)」が、いまなぜここまでの大ヒットとなっているのか。飲んでみると、その理由は「まるで搾りたてのおいしさ」にあることを、あらためて感じられた。

 

平日夜の疲れを癒やしたい時、パートナーや家族と団らんをたのしみたい時、休日に気の置けない仲間と気持ちよく乾杯したい時……。

 

「キリン 氷結(R)」ならば、日常生活のあらゆるシーンで多くの「リフレッシュ」体験をもたらしてくれることだろう。そのまま飲むもよし、食事とあわせて飲むもよし。ぜひ様々なシーンで試してみてほしい。

 

 

■提供/キリンビール

 

和牛・水田信二が回想する、料理人だったあの頃と「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」のエモい関係

かつてアサヒビールが、社の威信をかけて開発したという“伝説のビール”が、この秋、奇跡の復活を遂げた―――。それが「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」だ。実はこのビール、28年前に缶での販売が終売して以来、主に一部のこだわりある飲食店でしか味わうことができなかった“幻の生”なんだとか。

 

今回、そんなマルエフを味わってくれるのは、お笑いコンビ・和牛の水田信二さん。芸人になる前は、神戸の洋食店で料理人の仕事をしていたという水田さんは、どうやらマルエフに馴染みがある様子。マルエフを味わいながら、懐かしいあの頃を回想し始めて―――。

 

アサヒビール
「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」

アサヒビールの業績が低迷していた1986年、「アサヒの不死鳥のような復活を」との願いを込め生まれたのが、この“マルエフ”という開発記号をつけられた生ビール。“コクがあるのに、キレがある”という味わいが特徴的で、まろやかなうまみもあり、発売後ヒット商品に。翌年に発売された「スーパードライ」の大ヒットを受け、生産ラインを確保するために、1993年に缶は終売となったものの、その味わいは多くの飲食店から愛され続け、樽生のみ継続して販売してきた。多くの復活を望む声を受け、本年9月14日から缶(350ml・500ml)のマルエフが復活。一時休売となったが、11月24日より缶350mlが再発売となった。

 

和牛・水田が晩酌タイムに手に取ったのは?

ハァ~~、今日も仕事やりきった~。朝から晩までよ〜く働いたわ……ってことで、一日の終わりには家でゆっくりくつろぎたい。さっそく、晩酌タイムにしよか!

和牛・水田信二

お笑いコンビ・和牛のボケ担当。M1では5年連続決勝進出、3年連続準優勝。コンビで、「ヒルナンデス!」「おはよう朝日です」など地上波レギュラーや出演多数。神戸国際調理師専門学校を卒業し、調理師免許を取得。大阪の和食店・神戸の有名洋食店で、計7年間修行した経験を持つ元料理人だ。

 

今日のお供は、この「マルエフ」。コンビニで見かけて、気になって買ってはみたものの、どんな味なんやろ……「スーパードライ」とは違うみたいやし。レトロでリッチな雰囲気のパッケージに惹かれて、ついついレジまで持っていってしまったなあ(笑)。それに、新商品っぽい感じはするんやけど、この「マルエフ」って名前、どっかで聞いたことあるような……。

 

 

まあ、ともあれ物は試しってことで、さっそく1杯飲んでみよ。(プシュッ……ゴクリ……)

 

 

んん~! これはうまい!! 飲んだ瞬間、フワ~ッと口の中に芳醇な風味が広がってく感じ。ビールのうまみがじんわり舌に馴染んでくなあ。ガツンと爽快というよりは、“優しい味わい”や。コクとキレのバランスが絶妙で、まろやかな美味しさ。喉ごしも、普通のビールとはちょっと違う。ゆっくりまったり喉を伝わっていくような感覚で、めっちゃ飲みやすいなあ。それに、なんだかすごく懐かしい感じもして………ってあれ? 待った、この味、覚えがあるで……。

 

「マルエフ」を贈りたいのは“スーパードライ党”のあの人!

 

あ! もしかして、この「マルエフ」って、飲食店限定の樽生しか売ってなかったビールちゃう? 昔、料理人時代に通ってた行きつけの店にも置いてあったっけ。こだわりのお店にしかない、こだわりの生ビール……懐かしい味や。長いこと、缶では販売してなかったはずやのに、ついに復活したんか。今まで、お店でしか飲めへんかったビールが、これから自宅で楽しめるのはワクワクするなあ。このほっとさせてくれる優しい味は、仕事終わって帰ってきたときの最初の一杯にぴったりやし。癒されるわ~。

 

(本格的にくつろぎ始め、おもむろにジャケットを脱いだ水田さん。)

 

 

後味には、ちゃんとキレがあるところもええな。麦のうまみもコクもしっかりあるのに、飲んだ後すっきりしてるから、めっちゃ気持ちいい……。そうそう、キレがあるビールといえば、いつも飲んでるスーパードライやけど、これは全然別モノやなあ。ドライの後味はキレのある辛口やけど、マルエフはキレの中にもまろやかな余韻がある感じで……。

 

あ、そうや! スーパードライ大好きな親父にも、マルエフを勧めて試してもらおかな。ウチの親父、昔っからスーパードライしか飲まなくて、ドライが置いてない店には絶対入らへんし、ジョッキが冷えてないって分かってる店には、わざわざ保冷バッグでキンキンに冷えたジョッキを持参してたくらいやからな……。あれ、めっちゃ恥ずかしかったわ~(笑)。もうすぐ親父の誕生日やし、マルエフを贈ってみるのもいいかもしれへんなあ。

 

元料理人の腕と舌がうずく!? マルエフとのペアリングをお試し!

↑全国のコンビニで手軽に手に入る居酒屋メシを晩酌のお供に用意

 

さてと、そろそろ少し口寂しくなってきたところ……。ちょっと、おつまみでも合わせてみよかな~。今日は定番のおつまみをいろいろコンビニで買っておいたけど、マルエフって、柔らかい味わいでクセもないから、正直どんな料理でも合うかもしれへんな。焼き鳥の甘いタレとも調和しそうやし、おでんやったら出汁を殺さずにうまみを引き立ててくれそうな感じ。唐揚げとの相性は言うまでもない! 絶対うまいもんな~。

 

 

でも、この中やったら一番はこれやろ……「ポテトサラダ」! 元料理人の俺が言うんやから間違いない……はず! さっそくいただきま~す……(パクッ)。

 

んん~! やっぱり正解や! ポテトサラダって、例えば、キレ重視のスッキリ系のお酒と合わせると、ポテトのまろやかさと馴染みにくかったりする。でも、このマルエフはビール自体にコクがあるから、ポテサラのクリーミーな食感にもうまくマッチしてくれるんやな。これはどんどん箸が進むなあ。

 

 

食事中は、シャープな味わいのお酒やと、いったんそこで切って、口の中をリセットする感覚があるけど、このマルエフのマイルドな味わいは料理にうまく馴染んで、溶け込んでいく感じがする……。

 

そうや! これはおふくろ直伝のミートソースとも合うやろな。子どもの頃からの好物で、一人暮らしするときに唯一教えてもらったのが、おふくろのミートソースのレシピ。野菜をたくさん、ゆっくり炒めて、ゆっくり煮る。毎日食べれるぐらいの優しい味……。あ、それってマルエフと同じやんか。おふくろの料理を思い出す優しい味……まるで抱きしめられてるような、ぬくもりのある味やねんな……。

 

 

マルエフの味から思い巡らす、あの頃のエモい話

ああ~、なんだかほろ酔い気分になってきたわ……。これを飲んでると、どんどん懐かしい気持ちになって、料理人やったあの頃を思い出すなあ。神戸の老舗の洋食屋さんで働いてたあの頃。働き始めてすぐに、店長から「このソースがうちの“命”や」って教えられて。そんなセリフ、漫画以外で初めて聞いたもんやから、かっこいい!って感動したんよな。それに、俺もこのソースを守るためなら、つらくても続ける価値があるなって心に決めて。料理の世界も流行り廃りがあるけど、長年その味を変えずに信じて進んできた人たちを間近で見れて、何があっても“ブレない”ことの大切さを知ったんや。俺にとっては大きな経験やった。

 

 

それに、老舗の洋食屋やったから、長年通ってくれているお客さんもおったし、おじいちゃんから子どもまで家族代々来てくれていた人もおった。もちろん、新しくファンになってくれる人も。その人たちのためにも、毎日淡々と揺らぐことなく続けていく……それが一番大事で。しかもそれは、芸人になってからも全く同じことやった。いつも応援して支えてくれるお客さんのために、“ブレずに”芸を磨いていく。そして、舞台に立ってお客さんの笑ってる姿を見ると、ここまでやってきてよかったなって思って……。

 

そうや! それってマルエフも同じやんか。一度は缶が終売してしもたけど、応援してくれる飲食店に支えられて、こだわりのお店だけで飲めるビールとして生き残ってきた。そして、発売当時のまま“ブレず”にそのままの味で、新たに缶として復活……これは親近感を感じてしまうなあ。そう、俺たちも華々しくデビューしてそのままブレイクって訳やなかったし。でも、お客さんに支えられながら、ちょっとずつ、ちょっとずつやってきて、いまこうやってようやく大きな舞台にも立たせてもらってる。ほんまにいつも応援してくれてる人たちには感謝や……。

 

 

ハッ! 優しい味に浸ってたら、つい時間が過ぎてしまった。ほんま心地良い時間やったなあ。日頃、頑張ってる大人をゆったりと包んでくれるようなマルエフ。これからの生活には、この温もりあるビールが必要なのかもしれへんなあ。ぜひ、読者のみなさんも飲んでみてください。

 

「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」の詳細はコチラから

 

 

●商品に関するお問い合わせ/アサヒビール株式会社 お客様相談室
TEL 0120-011-121
https://www.asahibeer.co.jp/asahinamabeer/

 

取材・文/kitsune 写真/湯浅立志(Y2)
スタイリング/神山トモヒロ ヘアメイク/守屋Kスケ
撮影協力/PROPS NOW、TOP UP

ヨーロッパ主導で始まり新世代によって変貌を遂げる「南アフリカワイン」の歴史と注目ワイナリー

自宅でワインを楽しみたい、できれば産地や銘柄にもこだわりたい、ワインを開けて注ぎ、グラスを傾ける仕草もスマートにしたい……。そう思っても、基本はなかなか他人には聞きにくいもの。この連載では、そういったノウハウや、知っておくとグラスを交わす誰かと話が弾むかもしれない知識を、ソムリエを招いて教えていただきます。

 

「ワインの世界を旅する」と題し、世界各国の産地についてキーワード盛りだくさんで詳しく掘り下げていく当連載は、フランスをはじめとする古くから“ワイン大国”として名を馳せる国から、アメリカなどの“ワイン新興国”まで、さまざまな国と産地を取り上げてきました。最終回となる今回は、南アフリカのワイン。寄稿していただくのは引き続き、渋谷にワインレストランを構えるソムリエ、宮地英典さんです。

 

【関連記事】
第1回 :フランス 第2回:イタリア 第3回:ドイツ 第4回:オーストラリア 第5回:アメリカ
 第6回:ニュージーランド 第7回:日本 第8回:チリ 第9回:スイス 第10回:スペイン&ポルトガル

 

南アフリカワインを旅する

アフリカ大陸の南端に位置する南アフリカ共和国。主要産地であるケープタウン近郊は、雄大な自然に囲まれ、“世界中でもっとも美しいワイン産地”のひとつとして数えられます。

 

この国におけるワイン造りの歴史は、オランダの東インド会社の入植とともに始まりました。初代総督ヤン・ファン・リーベックの1659年2月の日誌には、こう記録されています。「今日、神を賛美します。ケープのブドウから最初のワインが造られました」。

 

19世紀前半、イギリスがケープタウン周辺を支配下に治めてから、酒精強化ワインやブランデーはイギリスに輸出されるようになりました。そして害虫フィロキセラがヨーロッパに蔓延した19世紀半ばに、南アフリカワインはヨーロッパ中で消費され、大きな市場をつかむことになります。現在のヨーロッパ・スタイルの味わいの基礎を形作ったのも、この頃だと考えられます。

 

ところが、フィロキセラ禍から立ち直ったヨーロッパは輸入ワインに頼る必要がなくなり、20世紀に入ると、南アフリカではブドウの余剰問題が深刻化することになります。そして20世紀を通じて南アフリカのワインを統制する役割を担った“KWV”=南アフリカブドウ栽培者協同組合が設立されました。KWVは、現在に通じる豊かな自然環境の保護やワイン法の制定、ブドウ畑の登録制度など、現代南アフリカワインの礎を築いた側面と、厳しい統制によって生産者の創意を長く委縮させたという、功罪を併せ持つ存在でした。

 

大きなターニング・ポイントは、1991年にアパルトヘイト政策が廃止され、1994年にネルソン・マンデラ政権が誕生したことです。国際的な孤立から解放された南アフリカワインは輸出拡大へと舵を切り、ヨーロッパのワインを知った若手世代は、次々に新しい個性的なワインを産み出すようになりました。アパルトヘイト時代に比べると輸出量は20倍以上にもなり、ワイン生産量で世界第8位のワイン大国に変貌を遂げました。つまり、南アフリカのワインの新しい歴史は、ほんの四半世紀前に始まったばかりなのです。

 

これから期待される南アフリカの社会の進化、有色人種の権利拡大は、より一層の変化を南アフリカワインにもたらしてくれるのではないでしょうか。

1. コンスタンシア
2. ケープタウン
3. ステレンボッシュ
4. ケープ地方スワートランド
5. ケープ・サウス・コースト、ウォーカー・ベイ

 

1. ケープタウン郊外 コンスタンシア
− “南アフリカワイン”をヨーロッパに知らしめた伝説の甘口ワイン −

ケープタウンは、南アフリカに3つある首都のひとつ。ポルトガルの航海者、バルトロメウ・ディアスが発見した喜望峰を抱える都市です。東インド会社の入植後、初めてワインが植えられたのもケープタウンでした。そして18世紀後半にケープタウン南郊のコンスタンシアで小粒のマスカット「ミュスカ・ド・フロンティニャン」が主体となった遅摘みの甘口ワイン「ヴァン・ド・コンスタンス」が生まれます。当時、まだ砂糖が上流階級向けの嗜好品だった時代に、「ソーテルヌ」や「トカイ」といった甘口ワインと並んで、ヴァン・ド・コンスタンスはヨーロッパに南アフリカワインを知らしめ、王侯貴族に愛されました。顧客リストにはヨーロッパだけではなく、ジョージ・ワシントンやトーマス・ジェファーソンといった名前が並び、かのナポレオンもセント・ヘレナに幽閉されてなお、ヴァン・ド・コンスタンスを愛飲したと伝えられています。

 

ところが、この伝説の甘口ワインはフィロキセラの被害に遭い、一度は生産が途絶え、ワイナリーは幾度となく所有者が変わります。そして20世紀後半、クライン・コンスタンシアの所有者となったダッジー・ジョースト氏がワイナリーを復活させ、1985年に新しいヴァン・ド・コンスタンスのファースト・ヴィンテージをリリースしました。18世紀から19世紀にかけて、南アフリカワインを代表する名声を獲得したこのワインの再生は、国内外で大きな話題を呼び、現在に至ります。

 

乾燥させた小粒のマスカットから造られ、創出当時のゆがんだボトルを模した500mlのボトルに詰められたワインは、蜂蜜や桃のような豊かな甘みと、複雑さを演出するスパイスのニュアンスに加え、南アフリカワインの長い歴史を含んだ素晴らしい味わいを楽しませてくれます。

 

Klein Constantia(クライン・コンスタンシア)
「Vin de Constance2016(ヴァン・ド・コンスタンス2016)」
1万2000円
輸入元=ラフィネ

2. ケープタウン
− 南アフリカの都市型ワイナリー −

「優れたワインはテーブルマウンテンの見える畑から」という格言があるほどに、南アフリカのワインのほとんどはウエスタン・ケープ州のブドウから造られます。ケープタウンの中心にそびえ立つテーブルマウンテンの広大な敷地は、世界一花の種類が豊富な南アフリカの大自然の象徴であり、自然保護区として豊かな植物多様性を残していることから、世界遺産に登録されています。ケープタウンは南アフリカの初期から発展した都市で、前述の通り、現在は3つある首都のひとつ。規模としては南アフリカ第2の都市ですが、そういった豊かな自然環境に囲まれたワイン産業の中心としても位置付けることができるのです。

 

そんなケープタウンのワインに関する近年のトピックに、“アーバン・ワイナリー”の増加が挙げられます。アーバン・ワイナリーとは、畑と隣接せず都市部に醸造所を構え、持ち込んだブドウからワインを造る都市型ワイナリーのこと。21世紀に入りアメリカで生まれたといわれるこのスタイルは世界中に広がり、日本でも東京や大阪に近年続々と設立されて、話題を集めています。アーバン・ワイナリーは、都市部は交通の便がいいので輸送がしやすい、情報発信が容易である、人が集まりやすいなどのメリットのほか、何より多額の建設費を抑え小規模での開業が可能であるということが挙げられ、意欲ある若手が参入しやすい形態なのです。

 

ダンカン・サヴェージ氏は、ケープ・ポイント・ヴィンヤーズの醸造責任者として評価を高めたのち、ケープタウンの街中の倉庫街に醸造所を設け、自身のワイナリーを立ち上げました。この四半世紀に起きた南アフリカワインの変化の大きな要因は、1994年にアパルトヘイトと孤立主義政策が撤廃された後、若いワイン生産者が世界中のワインを知り、各地の技術を吸収し、自由なワイン造りを始めたことが第一に挙げられます。アーバン・ワイナリーは、そういった意欲ある新進の造り手が自身の思いを表現する手段として、これからも世界中で広まっていくことでしょう。

 

Savege(サヴェージ)
「Savage Red Syrah2017(サヴェージ・レッド・シラー2017)」
4800円
輸入元=ラフィネ

3. ケープ地方ステレンボッシュ
− 南アフリカワインの中心地 −

ケープタウンから東へ50kmの距離に位置するステレンボッシュ。オランダの統治時代の名残もあり、ヨーロッパのような白を基調とした建造物が立ち並ぶステレンボッシュの街には、南アフリカで唯一、ブドウ栽培と醸造学を学べるステレンボッシュ大学があります。ケープの有名ワイナリーがこの地域に集まり、最高級クラスのワインの多くを生み出すだけでなく、教育と研究の中心的役割を担い、国内外で活躍するワインパーソンもこの地域から輩出されているのです。

 

南はフォルス湾、東にはホッテントット・ホランド山脈、北には隣接する産地パールとの境界にシモンズバーグ・マウンテンと、海と山に囲まれた産地ステレンボッシュは、山々の織り成す丘陵地帯と西側の平地にブドウ畑が広がり、ブドウ栽培に適した気候、砂質や花崗岩といったさまざまな土壌に多くの国際品種が植えられています。以前は南アフリカの代表的な白ワイン用ブドウ品種「シュナン・ブラン」が主流でしたが、今ではカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローといった、ボルドー品種やシラーが主流となりつつあります。ナパ・ヴァレーやバロッサ・ヴァレーのように気候や土壌は細かく分析され、ステレンボッシュはシモンズバーグ=ステレンボッシュ、ヨンカースフック・ヴァレー、パパハイバーグ、デヴォン・ヴァレー、ボテレライ、バンフック、ポルカダーイ・ヒルズの7つの小区画に分類されるようになりましたが、今のところエチケットにはほとんど表記されることはありません。それはナパ・ヴァレーに似て、単に「ステレンボッシュ」と表記する方が、完熟したブドウから堅牢な味わいのイメージを消費者に伝えやすいことが理由に挙げられます。

 

南アフリカのワインの特徴として多くの人が挙げるのは、ヨーロッパがワイン造りを主導したため、カリフォルニアほどのパワフルさはなく、ヨーロッパとアメリカの中間に位置するようなエレガントさと力強さの両立です。ステレンボッシュのカベルネ・ソーヴィニヨンもまた、ボルドーとナパ・ヴァレーの優れた側面を併せ持ったワインがこれからより生み出されることが期待されています。もちろん価格は、そのどちらよりもリーズナブルなところも、南アフリカワインの大きな魅力です。

 

Le Riche Wines(ル・リッシュ・ワインズ)
「Cabernet Sauvignon2017(カベルネ・ソーヴィニョン2017)」
3900
輸入元=ラフィネ

4. ケープ地方スワートランド
− 南アフリカの大きな変化を体現する新しい産地 −

ケープタウン北部の一帯は元々、共同組合向けの原料ブドウの供給地でしたが、スパイスルートエステートが1990年代後半に設立されたことは、大きな変化の始まりでした。その初代醸造責任者だったイーベン・サディは自身のワイナリーからシラー主体のブレンド「コルメラ」、シュナン・ブラン主体の「パラディウス」をリリースし、その高い評価からスワートランドを一躍南アフリカワインの有望産地に押し上げました。

 

畑を管理はするが所有せず、古くから植えられている古樹のブドウを低収量で仕上げるスタイルは、それまでの協同組合の造るワインとはまったく別物の大きなスケール感を感じさせるもので、多くの若手生産者のロールモデルを造り出したのです。元々この地域は、1960年代から植えられた古樹が多く残っており、暑く乾燥した夏にも関わらず、水分を保つ深層の保湿性のある土壌のため、灌漑の必要がありませんでした。寒暖差も大きく雨も冬に集中するため、良質なブドウの収穫が可能な地域なのに、21世紀になるまで見向きもされなかったのです。イーベン・サディ氏に続くスワートランドの新進生産者の多くは、ナチュラルなワイン造りを志向し、“SIP”=スワートランド・インディペンデンド・プロデューサーズを結成し、独自の認証を定め始めました。

 

今回紹介するのは、日本人生産者として初めて南アフリカでワイン造りを行った佐藤圭史さんのワイン。学生時代に過ごしたオレゴンでワインの奥深さに魅了され、たどり着いたのは大自然に囲まれた南アフリカ。とくに意欲ある造り手にとって大きな可能性のあるスワートランドでした。

 

南アフリカワインのここ25年の大きな変化のなかで、もっとも劇的な変化を遂げたのはスワートランドです。これからインディペンデント・プロデューサーズの手によってどんな魅力的なワインが産まれるのか、期待の尽きない産地でもあります。

 

Keiji Sato佐藤圭史)
「Cage Chenin Blanc2019(ケイジ・シュナン・ブラン2019)」
3600
輸入元=ラフィネ

5. ケープ・サウス・コースト、ウォーカー・ベイ
− 南アフリカのピノ・ノワールの源流は1970年代に生まれた −

1975年、広告業界を引退したティム・ハミルトン・ラッセルは、ウォーカー・ベイ地区の海辺の街、ヘルマナスの高台ヘメル・アン・アード・ヴァレーで、高品質なピノ・ノワールとシャルドネのワインへの挑戦を始めました。当時、国際的に孤立状況にあった南アフリカでは、満足のいく苗木のクローンさえ手に入らなかったという話を聞いたことがありますが、現在南アフリカ屈指のピノ・ノワールの銘醸地であるウォーカー・ベイでブルゴーニュ品種の栽培に成功したワイナリーは、そんな時代にスタートを切っていました。

 

南アフリカというと温暖なイメージがあるかもしれませんが、アフリカ大陸の最南端であり海に近いブドウ畑は、海風の影響で、涼しい気候に向いた品種の栽培に向いています。1990年代後半になり、さまざまな南アフリカのワインが輸出されるようになると、ブルゴーニュとカリフォルニアの中間的な味わいというスタイルのピノ・ノワールやシャルドネはすぐに日本でも注目され、ハミルトン・ラッセルのワインはブルゴーニュ愛好家の間でもよく知られる存在になりました。それから約20年の時間が経ち、追随する多くの若手生産者が優れたブルゴーニュ・スタイルのワインを世に送り出すようになりました。黎明期を経て、着実に第2世代に引き継がれているのが、現在の南アフリカワインなのです。

 

今回紹介する「テッセラールスダル」は、南アフリカではまだまだ珍しい黒人の血を引く女性醸造家ベリーヌ・サウルスさんが2015年に初リリースを迎えた、新しいワイナリーです。ハミルトン・ラッセルで事務職として働き始めた彼女は、自然とワイン造りの奥深さに魅せられていきました。やがて醸造にも携わるようになり、醸造拠点をハミルトン・ラッセルに置きながら、自身のワインをリリースするに至ったのです。長らく少数の白人が独占してきた南アフリカのワインは世代交代のまっただ中にあり、期待される社会の変化に向けて少しずつ歩みを進めているところなのです。

 

Tesselaarsdal(テッセラールスダル)
「Pinot Noir2020(ピノ・ノワール2020)」
6500
輸入元=ラフィネ

 

【プロフィール】

ソムリエ / 宮地英典(みやじえいすけ)

カウンターイタリアンの名店shibuya-bedの立ち上げからシェフソムリエを務め、退職後にワイン専門の販売会社、ワインコミュニケイトを設立。2019年にイタリアンレストランenoteca miyajiを開店。
https://enoteca.wine-communicate.com/
https://www.facebook.com/enotecamiyaji/

 

ウイスキー好きにぜひ薦めたい!麦焼酎ベースの「いいちこ下町のハイボール」が新しくて美味しかった

コロナ太りが叫ばれる昨今、ヘルシー志向の高まりで糖質ゼロや甘味料ゼロのお酒が人気を集めています。そしてそのさなか、ビッグネーム初の缶チューハイがデビューしていたことをご存知でしょうか。それが「いいちこ下町のハイボール」。潜在ニーズを掘り起こし、新フレーバーも登場した同ブランドの2本を今回はレビューします。

 

↑左から、「いいちこ下町のハイボール」「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」。ともにアルコール度数7%、350mlで税抜175円(希望小売価格)です

 

 

麦焼酎のトップランナーが満を持して新発売

「いいちこ」は、お酒好きの人なら聞いたことがあるでしょう。これは大分を拠点とする三和酒類の看板ブランドで、原材料が大麦であることも大きな特徴。大麦、大麦麹と大分の良質な水からつくられた本格焼酎で、日本はもちろんいまや世界30か国以上で愛され続けています。

 

名実ともに、三和酒類は大麦をベースとした焼酎のトップランナー。その知見を生かした和のスピリッツ「TUMUGI」や、世界的なバーテンダー後閑信吾さんとのコラボ焼酎「The SG Shochu MUGI」なども手掛けています。

 

↑全麹造りの本格麦焼酎に5種類のボタニカルを漬け込んだ、「WAPIRITS TUMUGI」税抜1850円(希望小売価格)

 

↑バーで楽しめる焼酎をコンセプトにした「The SG Shochu」。KOMEとIMOもあり、三和酒類は「The SG Shochu MUGI」3500円(希望小売価格)を後閑さんと共同開発

 

そんな、芋焼酎のスペシャリストである三和酒類の看板ブランドが「いいちこ」。1979(昭和54)年発売のロングセラーでもあります。一方で若い世代からは「知っているけど飲んだことがない」「親世代や祖父母世代が飲んでいるイメージ」などの声があったそう。

 

そこで、どうすれば「いいちこ」をもっと幅広い世代に飲んでもらえるか検討したときに、「気軽さ」「飲み切りサイズ」がポイントになると考え、さらには缶チューハイ市場の盛り上がりも追い風となり、「いいちこ下町のハイボール」が誕生したのです。

 

↑「いいちこ下町のハイボール」は2020年9月に誕生。シンボリックな「い」を中心に「いいちこ」ブランドを主張しつつ、潜在層に親和性のあるポップなデザインに仕上げられています

 

デビューから約半年。味わいを選べる楽しさをプラスしたいという狙いで、2021年2月に発売された第2弾が「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」です。こちらは豊かな香味が魅力の、樽熟成樽貯蔵酒をブレンドしているのが味わいの特徴。デザインは、温かみや力強さを感じさせる世界観となっています。

 

↑2021年2月発売の「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」。歌舞伎をモチーフにしたデザインは、伝統と革新がつくり出した商品であることを表現しているのだとか

 

ヘルシー缶チューハイの新たな選択肢だ!

ここからは、中身の特徴によりフォーカスしていきます。冒頭で触れましたが、アルコール度数は両方とも7%で、スピリッツ(蒸溜酒)ベースならではのヘルシーさもポイント。プリン体、糖質、甘味料はゼロで、香料も使っていない体にやさしい仕様となっています。

 

↑スペックはご覧の通り。100mlあたりのエネルギーは「いいちこ下町のハイボール」が43kcal、「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」は41kcalとなっています

 

次は「いいちこ下町のハイボール」から、液色や香りをチェック。色はほぼ透明で、香りは麦焼酎の甘やかな香ばしさがほんのりと、その奥で柑橘のみずみずしさが少しだけ感じられます。

 

↑商品リリース情報によると、プロが作るハイボールを再現しているのがポイントとか。なお、缶に縦書きされている「BARLEY(バーレー)」とは大麦のことです

 

飲んだ第一印象は、クセはないものの個性はしっかりしているということ。クリアな味が特徴のウォッカや甲類焼酎ベースの缶チューハイよりも芯があり、かといってアルコールのトゲはなくスムース。酸っぱいとまではいかない、かすかなシトラスフレーバーがシュワッとした炭酸にマッチし、すこぶる爽快です。

 

↑柑橘の秘密は、隠し味に使われているかぼす。ちなみに、かぼすは大分がぶっちぎりで全国1位の生産量シェアを誇ります

 

次は「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」を試飲します。こちらは、樽で熟成させた麦焼酎を25%以上使用しているのが差別化ポイント。大麦のスピリッツを樽で熟成させる工程は、モルトウイスキーでも用いられる製法です。そのため、どこかウイスキーを思わせるフレーバーを感じます。

 

↑液色も、樽熟成によってほんのり赤みがかっているような。また、こちらはかぼすではなくレモンのスピリッツが隠し味として採用されています

 

飲んでみると、確かにウイスキーっぽさが出ていてコクが豊か。燻製とは違うのですが、香ばしくて野性味を演出しています。また、ウイスキーのハイボールほど洋酒のニュアンスはないので、独特のウッディさやスモーキーさ、フルーティさが苦手な人にもオススメです。

 

↑余韻の爽快感に、かすかなレモン由来の柑橘がすっきりと。もちろんウイスキー好きにも激推しできる味わいです

 

今回の2本を比較すると、「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」のほうが大人な味わい。また、どちらも甘くなくて料理全般に合いますが、「いいちこ下町のハイボール」のほうがお造りなど繊細な料理にマッチし、「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」は肉、タレ味、みそ味、中華、燻製などによく合うと思います。

 

↑麦焼酎の魅力が凝縮された缶チューハイ。ぜひ飲み比べを

 

チューハイとは酎ハイ。つまり焼酎ハイボールのことですが、ヘルシー缶チューハイの新たな選択肢として登場した2つの「いいちこ下町のハイボール」、本稿を参考に、ぜひお試しあれ。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

11月11日は「立ち飲みの日」!——達人が語る立ち飲みの魅力の噺

11月11日が「立ち飲みの日」であることをご存知でしょうか。こちらを記念日として発案申請したのが、大衆酒場にまつわる著書を数多く上梓している藤原法仁(のりひと)さんと浜田信郎(しんろう)さん。今回はこのおふたりに雑誌『古典酒場』創刊編集長の倉嶋紀和子さんを交え、それぞれの立ち飲み愛を東京・新橋の名店で語ってもらいました。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

そもそも「立ち飲みの日」って?

訪れたのは、JR新橋駅に直結している「新橋駅前ビル」の2号館、その地下1階にある「立ち呑 こひなた」です。魅力は1杯250円(表示価格は全て税込・以下同)の「酎ハイ」をはじめとするおいしくて激安なお酒と、同様に破格な一皿200円の絶品おつまみ。味のある縄のれんのエントランスや、女将さんとスタッフの心地いい接客も酒飲みの心をつかみます。

 

↑左から、藤原法仁さん、倉嶋紀和子さん、浜田信郎さん

 

まずは藤原さんと浜田さんに、2010年に登録された「立ち飲みの日」申請の経緯を聞きました。

 

「『立ち飲みの日』を申請した理由は、はっきり言って酒の勢いです(笑)。2009年の末ぐらいだったかなと。でも、その数年前からずっと心のなかではくすぶっていて、浜田さんたちと飲むたびに『記念日があるといいよね』みたいな話はしていたんです」(藤原さん)

 

「そうそう! あのときはいつになく真面目な顔で、藤原さんが『マジで立ち飲みの日を申請しようと思うんだよね』って。前からそんな話は聞いていたんですけど、本当にやるんだ!って驚きましたよ」(浜田さん)

 

「社交辞令のような感じで『やろうやろう』みたいなことってよくありますけど、僕はそういうところが変に真面目なんです。まあ、普通なら冗談半分で『だったらやってよ』みたいになる話を、僕が真に受けたってことなんですけどね」(藤原さん)

 

↑本サイトで連載中の【東京・大衆酒場の名店】ナビゲーターとしてもおなじみの藤原法仁さん(左)。倉嶋紀和子さん(右)は雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名

 

おふたり曰く、当時有名な11月11日といえば「ポッキー&プリッツの日」ぐらいだったそう。そもそも、なぜ記念日として申請しようと思ったのでしょうか?

 

「本当になんとなくの勢いで、使命感とか美談になるような理由ではないです。でも、当時は今みたいに『○○の日』がそこまで多くなかったですし、面白そうだなって思ったんです。ただ、いざ調べてみたら登録に費用がかかることがわかって。年会費みたいのはいらないんですけどね」(藤原さん)

 

日本記念日協会に申請をして、審査に合格すると記念日として登録される

 

「『金は俺が出すから、連名で浜田さんも一緒にお願い』って言ってね」(浜田さん)

 

「さすが藤原さん、男気ありますね!」(倉嶋さん)

 

「誰かが登録しないと記念日はできない訳です。それなりに費用もかかりましたが、使い道としてはかなり効果的で、たまに立ち飲み屋さんから『藤原さんのおかげですよ』みたいに言われて、一杯おごってもらえることもあるんです。結果的に登録費用は生涯残る先行投資みたいなもんで、喜んでくれるお店や人がいるなら本望ですよ」(藤原さん)

 

↑藤原さんと共に「立ち飲みの日」を申請した浜田信郎さん(右)は、ブログ「居酒屋礼賛」の主宰。『酒場百選』(筑摩書房)『ひとり呑み』(WAVE出版)など大衆酒場に関する著作を数多く出されています

 

2009年の末から本格的に動き出し、登録された後2010年の11月11日に初回を迎えた「立ち飲みの日」。翌2011年の11月11日は100年に一度の「111111」が並ぶ日としても盛り上がり、さらにこの日は金曜日だったことでも注目を浴びたとか。1月1日ではなく11月11日にしたのは、元旦は営業していないお店が多いからでしょうか?

 

「いや、1は人が集って立ち飲みをしているイメージで、2つより4つ並んだほうがにぎやかでしょ。だから11月11日にしたんです。でも11月11日はすごく人気で、そのあと『うまい棒の日』や『たくあんの日』でもあることがわかって」(藤原さん)

 

「ポッキー、プリッツ、うまい棒、たくあん。立ち飲みのお店にもありそうなラインナップでいいですね!」(倉嶋さん)

 

ところで、なぜ「チューハイの日」や「大衆酒場の日」などではなく「立ち飲みの日」にしたのでしょうか。その理由は、日付のマッチングとして11月11日が最適だったということと、当時は特に立ち飲みが脚光を浴びていたからだと藤原さんは言います。

 

立って飲めるスペースがあれば、そこは立ち飲みの店

近年の立ち飲みブームは、「酒場詩人」の肩書で知られる吉田類さんが『立ち呑み詩人のすすめ』を出版した2000年が第1次。当時はいわゆる古典的な立ち飲み店がメインだったそう。その後、インターネットの普及とともに勝どきの「かねます」、北千住の「徳多和良(とくだわら)」、新小岩の「しげきん」といった割烹スタイルの高級店やハイコスパ店が話題になり始めたのが2006~2008年ごろ。これが第2次ブームだと3人の達人は言います。

 

次第に、イタリアンやスペインバルスタイルの立ち飲み店も増えていったのだとか。その極めつけとなったのが、「立ち飲みの日」がスタートした翌年の2011年。いまも続く「俺の」シリーズの1号店「俺のイタリアン 新橋本店」がオープンして大行列に。模倣店が出るほど人気になるとともに、「おいしくて安い立ち飲みは最高!」ということが世に知れ渡りました。この頃が第3次ブームといえるでしょう。

 

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こうした第1~3次ブームを経て、立ち飲みは完全に市民権を獲得したのです。では、さらに歴史をさかのぼると、立ち飲みはいつ頃から始まったのでしょうか?

 

「飲食ができるお店、いわゆる居酒屋は江戸時代にはあったそうなので、当時も立って飲めるお店はあったのではないかと考えられますが、立ち飲みの歴史を語るうえでポイントとなるのは角打ちだと思います」(倉嶋さん)

 

角打ちは「かくうち」と読み、これは酒屋の店頭で升酒を直接飲むこと。転じて、店の一角を仕切って立ち飲み用にすること。またはそこで飲むことです。江戸時代には一般的に行われていたことが文献にも残っていて、倉嶋さんが一例を教えてくれました。

 

「『忠臣蔵』の赤穂浪士四十七士のひとりとして知られる、堀部安兵衛のエピソードですね。堀部安兵衛が高田馬場の決闘に行く前に、早稲田に現存する今の『リカーショップ小倉屋』さんで、角打ちをしたという話が有名です」(倉嶋さん)

 

高田馬場の決闘があったのは、江戸時代中頃の元禄7(1694)年。当時すでに立ち食いのそばや寿司の店もあったといいますから、立ち飲みが一般的だったことも想像に難くないといえるでしょう。

 

「江戸となると東京が話題の中心ですけど、今も続く角打ちが多い地域は、実は北九州なんです。時代は近代以降になりますが、北九州市は八幡製鉄所や筑豊炭田をはじめとした工場・炭鉱・港湾の都市として栄えました。そして、そこで働く労働者が安価で楽しむ憩いの場として角打ちがもてはやされたのだと思います」(倉嶋さん)

 

↑北九州の立ち飲みについて熱く語る藤原さんと倉嶋さん

 

「確かに、北九州は各駅で降りてはしごできるぐらい、素敵な角打ちの店がたくさんありますよね。小倉にある旦過(たんが)市場の名店『赤壁(あかかべ)酒店』とか!」(藤原さん)

 

「九州は全体的に『○○酒店』という名称の飲み屋が多いのも特徴です。角打ちができる酒屋として続いているお店もあれば、屋号は『○○酒店』でも飲食店営業許可書をとって居酒屋にしているお店もありますし。でも北九州は特に、角打ち文化が伝統的に愛されているんだと思います。東京近辺にも労働者の街はありますけど、角打ちのほかにも大衆酒場に大衆食堂、町中華など、地方に比べて飲める店が多く、種類も多様ですからね」(浜田さん)

 

浜田さんの「飲食店営業許可書をとって居酒屋に」という話は、営業形態のこと。酒販店はあくまでも小売店なので、お酒の販売はできても調理した料理を提供したり椅子を出して飲食をさせたりしてはいけないことになっています。その意味では「角打ちとは立ち飲みのことである」とは言えません。では、立ち飲みの定義とは?

 

「そうですね。飲みに行く側の立場からしたら、定義などは気になりません。スタンディングのスペースと、テーブル・イス席の両方があるお店ってたまにありますけど、それはそれで利便性がいいですよね。一部に座れる席があるから立ち飲みの店じゃないとは思いませんし」(倉嶋さん)

 

「例えば、名古屋駅って面白いんです。ホームできしめんなどを提供していた立ち食いうどん店が、おでんをつまみに酒も飲めるということでいつのまにか立ち飲み好きの憩いの場になっていて。そういうお店も、立って飲めるなら立ち飲みってことでいいと私は思います」(浜田さん)

 

「ひじをついて、リラックスできるぐらいのカウンターの高さがあることは重要だと思います。でもまあ、おふたりが言うように、立って飲めるスペースがあるなら、そこは立ち飲みのお店ってことでいいんじゃないですかね」(藤原さん)

 

立ち飲みの魅力はウマくて安くて1杯でもOKなところ

立ち飲みといってもさまざま。前述したように「立ち呑 こひなた」は1杯250円の「酎ハイ」と一皿200円の絶品おつまみがメニューの名物です。

 

↑「酎ハイ」(250円)。コクのある宝焼酎がベースで、強めのアルコール度数によるボディとキレ、爽快感も魅力です

 

↑「オムソバ」(200円)。シメだけではなく、1杯目のアテとして注文する人も多い一番人気のおつまみです。注文ごとに卵を焼いてくれるのもうれしい

 

女将さんにお店の話を聞くと、「立ち呑 こひなた」の開業は1986~1987年ごろ。ご主人がオープンした当時はお店に関与していなくて、正確な時期は覚えていないと言います。驚くべきは価格で、おつまみの値段は25年以上ずっとそのまま。お酒は消費税が10%になった2019年に10円値上げしただけとのこと。

 

↑おつまみは左から、「砂肝」「ポテトサラダ」「鳥皮」(各200円)。どれも「オムソバ」に並ぶ人気メニューです

 

↑一部、320円のおつまみも。こちらは玉ねぎ、しょうがなどと一緒に醤油ダレで味付けされた「鯨刺し」(320円)

 

そのうえで、立ち飲みの魅力はどんなところにあるのか。3人に聞きました。

 

「安くておいしいのはもちろんのこと、短時間でもOKなところがありがたいですね。座ってくつろぐタイプのお店だと『何品か注文しないと申し訳ないな』って思うんですけど、立ち飲みなら1杯飲みたいときにサッと寄って帰っても罪悪感がないですから」(藤原さん)

 

「確かに! 私は“隙あらば飲む”が座右の銘なので、用事の合間の10分とかで飲みたいときに寄るのは立ち飲みになりますね。その一方、ゆっくり飲むこともできますし。使い勝手のよさが素晴らしいです」(倉嶋さん)

 

「私は安全な酒場であることも魅力だと思います。というのもスタンディングってことは、立っていられない人は飲めないってことですよね。なので、立ち飲みには酔っぱらって絡んでくる人や、くだを巻いている人がいないんです」(浜田さん)

 

↑大衆酒場の達人が揃えば、酒噺が尽きることはありません

 

「立ち呑 こひなた」の客層については、女将さんもひとこと。

 

「うちはやっぱり、サラリーマンのみなさんに支えられています。多い年代は40~60代ですけど、ここ2~3年で20~30代の若い方や女性にも来ていただけるようになりました。この駅ビルは警備員さんが巡回してくれるから、危なくないんです。もちろん立ち飲みだから変に酔っぱらう方もいないですし、女性でも安心して飲めるお店ですよ」(女将さん)

 

そのほか酒場通の3人は、狭い店内のスペースを譲り合って飲む大人の社交場であること、狭い空間ならではの一体感も魅力だと言います。コロナが終息したらまたにぎやかに乾杯したいという想いは、立ち飲み好き共通の願いだといえるでしょう。

 

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譲り合って気持ちよく飲むことが大切

酒場の初心者には、少々敷居が高い立ち飲み店。そこで、達人3人による立ち飲み店での注意点をうかがいました。

 

「どのお店でも基本ですけど、まずは注文の仕方です。1杯飲んですぐ帰るならいいんですけど、ゆっくりするなら2杯、3杯とオーダーしましょう。もちろんおつまみもご一緒に。あとはさっきの浜田さんの話にありましたけど、足がふらついてきたら帰りましょう」(藤原さん)

 

「これは立ち飲みでも、イスの席がある店でも共通ですが、初めての場合はお邪魔させてもらっているというような気持ちを心掛けるといいと思います。注文に迷ったら、まずは酎ハイやレモンサワーなど、定番のお酒で。おつまみは、ほかのお客さんが食べているメニューを見て、『おいしそう』と思ったら同じものを注文するといいのかなと」(倉嶋さん)

 

「足のふらつきはもちろん、お腹いっぱいになって注文できなくなったら帰るというのも作法です。立ち飲みのお店は、次のお客さんに譲る気持ちが大切ですから。カウンターのスペースも同様で、あまり自分の前を占拠しないよう、お酒1杯とおつまみ1~2品置けるくらいがいいと思います」(浜田さん)

 

↑「立ち呑 こひなた」には、ほかにも立ち飲みの達人に間違いないお客さんが!

 

お店と周囲のお客さんに配慮をして譲り合いの精神で楽しむ。もし混んできてまだ飲みたいと思ったら、サッとお会計をして次の立ち飲み店にはしごする。これが立ち飲みの基本的なマナーです。少しずつにぎわいを取り戻し始めた街と飲食店。奥深い立ち飲みの世界に足を踏み入れて、大人の文化を堪能してみませんか?

 

<取材協力>

立ち呑 こひなた

住所:東京都港区新橋2-21-1 新橋駅前ビル2号館 B1

営業時間:12:00~23:00(L.O.22:45)

定休日:日曜、祝日

※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2021年10月18日)

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎25度

https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/jun/

大豆ミートのレストランメニューが激ウマ!「キリンシティ」と「スプリングバレー」に急げ!

年々注目度を増すプラントベースドフード(植物由来食品。プラントベースフードとも呼ぶ)。特に大豆ミートはメジャーなプラントベースドフードで、レストランで素材からメニュー化をするケースも増えています。今回訪れたのはその一例。まずは全国に32店舗を展開する「キリンシティ」へ。

 

↑名物は1983年の創業当初から続く、ドイツ伝来3回注ぎのご馳走ビール。料理はソーセージを筆頭にビールが進むおつまみがそろいます。写真は「キリンシティ渋谷桜丘」

 

14種の試作から3品に絞り込んだミラクルメニュー

「キリンシティ」が採用したのは、熊本を拠点とする植物肉のスタートアップDAIZ社の「ミラクルミート」という商品。従来の脱脂大豆(工場での搾油後の粕)とは違い、畑からの大豆を丸ごと使用して、大豆そのものからうまみ成分、栄養価を引き出すことに成功した画期的な大豆ミートです。

 

↑「ミラクルミート」。穀物の大豆ではなく、芽を出して植物になった瞬間の大豆を採用することで、うまみは豊かに、香りは違和感なく仕上がるなど、様々な特徴があります

 

そこからメニュー化したのは3品。これまでの背景や開発のポイントなどを、「キリンシティ」の料理長 兼 商品開発部部長の小林知之さんに聞きました。

 

「『ミラクルミート』は素晴らしい食材ですが、とはいえ『ミラクルミート』ありきで開発したわけではありません。私たちが一番大切にしていることは、キリンシティを愛してくださるお客様の気持ちと期待を最優先に考えることです。お客様のライフスタイルが大きく変化するなかで、お客様の選択肢のひとつとして『おいしい!』と実感していただけるメニューを、『ミラクルミート』を使って考案しました」(小林さん)

 

↑小林知之料理長。「キリングループとして拡大を進めている、ヘルスサイエンス領域の一環としても、チャレンジの意義があると考えています」と言います

 

開発は今年4月からスタート。コロナ禍による休業期間があったこともあり、より集中して開発ができたといいます。最終的に試作したメニューは全14種。そのなかから絞り込み、特においしさに自信がある3品が10月からデビューすることになったのです。まずは「自家製さくさくメンチカツ」から特徴をうかがいました。

 

ウマいのはもちろん、三者三様の食感に驚かされた!

↑「自家製さくさくメンチカツ」(900円/テイクアウト980円・ともに税込/以下すべて税込み)

 

「見た目も量的にもボリューム感がありますが、食感はライトで重くはありません。『ミラクルミート』の味を生かしつつ、ひよこ豆のピューレと粗めの玉ねぎでより自然なおいしさに。野菜のうまみと水分で、まるで肉汁のようなジューシーさも楽しめますよ。理想の食感を目指すために10回は試作し、今回一番難しかった料理ですが、それだけに最大の自信作でもあります」(小林さん)

 

↑肉のメンチカツと言われて食べても違和感ないおいしさ。粒の弾力がありジューシーで、ヘテロ感(不均一な要素によって感じる、味わいの重層性やふくよかさ)も絶妙です。

 

「自家製さくさくメンチカツ」は、ソースなしでそのまま食べても絶品でした。これは塩やこしょうのほかにブイヨンも使ってうまみを底上げしているからだと小林料理長。次は「自家製スパイシータコライス」について聞きました。

 

↑「自家製スパイシータコライス」900円/テイクアウト980円

 

「本場沖縄のタコライスよりもスパイシーに仕上げました。タイのチリソース・シラチャ―のほか、クミンやコリアンダーなどのスパイスも使っています。さらに乾燥スパイスを仕上げにかけることで、より香りと食感にアクセントを加えました。サイドにあしらったケールの苦みも、一緒にお楽しみください」(小林さん)

 

↑こちらは大豆ミートの食感がより凝縮されている印象。スパイスの鮮烈な香りや、ニンニクチップ、粉チーズ、シーザードレッシングのコク深さもおいしさに拍車をかけます

 

3品目は「自家製ガパオ」。こちらも本場のタイとは違い、あえて和風テイストに仕上げているとか。

 

↑「自家製ガパオ」900円(テイクアウトは未提供)

 

「玉ねぎ、小松菜、ピーマン、バジルといった野菜のうまみを『ミラクルミート』に吸わせることで、ジューシーな食感と奥深いうまみに仕上げました。タイの魚醤・ナンプラーは使わず、オイスターソースとしょうゆで調味しているので、親しみやすいおいしさになっていると思います」(小林さん)

 

↑クセを抑えたまろやかなテイストに、バジルが上品に香ります。大豆ミートはしっとりとした食感で、ほかの2品とは違う印象に感じました

 

上記3品は想像以上なおいしさで、特に驚いたのが大豆ミートの弾力の違い。三者三様で異なる食感に仕上がっていて、料理技術の高さを思い知らされました。

 

「ベースの『ミラクルミート』は水でふくらませるのですが、その加減はどうするか、さらに味の染み込ませ方や粘りの出し方まで、何度も試作し研究しました。調理工程でも違いが出ます。例えば『自家製スパイシータコライス』は『ミラクルミート』をよく搾ったうえで、水分を飛ばすように炒めることで香ばしい食感に。一方で『自家製ガパオ』は、注文が入ってから炒めて野菜の香りをまとわせ、ソースを加えて炒め煮るような手法です。この工夫により、しっとりとした食感に仕上げることができました」(小林さん)

 

「キリンシティ」は多店舗展開しているにも関わらず、セントラルキッチンではなく各店で仕込みも調理もするほど料理にこだわっています。そのため、仕込みが難しい「自家製さくさくメンチカツ」は上野店、八重洲地下街店、CIAL桜木町店、渋谷桜丘店、池袋WACCA店の5店舗のみで展開。また、今回紹介した3品はランチタイムとテイクアウトでの提供となります。

 

食べ手の想いに寄り添う姿勢がハンパない!

もう一店、キリングループのレストランで「ミラクルミート」のメニューを提供しているのが、代官山にある「スプリングバレーブルワリー東京」。こちらでも料理の特徴を聞きました。

 

↑「スプリングバレーブルワリー東京」。代官山駅から徒歩4分、恵比寿駅から徒歩7分の場所にあります

 

↑「スプリングバレーブルワリー東京」の新メニュー、「ヴィーガンナチョス」700円

 

「ヴィーガンナチョス」は、「ミラクルミート」を使った自家製チリビーンズと、トルティーヤチップスの組み合わせにアボカドをオン。チリビーンズは、ランチで人気の「SVBチリービーンズバーガ―」(1300円)の味付けをヒントに、「ミラクルミート」版で再構成したのだとか。

 

↑「キリンシティ」の「自家製スパイシータコライス」のタコミートより、本場のTEXMEXライクなスパイス感。大豆ミートはむっちりと弾力豊かで、こちらも絶品です

 

聞けば、ビーンズにはうまみの豊かな金時豆、まろやかさを演出するチーズは、よりテーマに沿うようミルク由来ではなくカシューナッツ、塩、レモンによる自家製ビーガンチーズを使っているのだとか。同店もまた、食べ手の想いに寄り添う姿勢がハンパなかったです。

 

↑クラフトビールとの相性は言わずもがな。特に「スプリングバレー 豊潤496」(左)と「スプリングバレー ジャズベリー」(中央)がドンピシャです(ともにレギュラーサイズ780円)

 

乾杯といえばビール。樽から注がれる生の味は、やはり格別です。久しく飲んでいないという人も少なくないでしょう。一方でグルメの秋ですから、おいしい一杯とともに美食の大豆ミートメニューを味わってみませんか?

 

※本稿の「キリンシティ」の3品は、登戸店、E’site高崎店、高槻店、新京極店、青森店、盛岡店では未提供となります。

 

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若い女性の飲用シーンに変化の兆し!「アサヒ ビアリー」が生産増するほど売れている

アルコール0.5%の“微アル”で話題の「アサヒ ビアリー」ですが、第2弾として「アサヒ ビアリー 香るクラフト」が新発売されました。首都圏、関信越で先行発売されていた第1弾との味の違いは? ノンアル・ローアルコール市場のトレンドはどうなのか?といった点をレポートしたいと思います。

 

↑左が「アサヒ ビアリー」で、右が「アサヒ ビアリー 香るクラフト」。ともにアルコールは0.5%で、希望小売価格は350mlで税込195円です

 

ビアリーは既存のノンアルビールより女性若年層が積極購入

改めて、「アサヒ ビアリー」誕生の背景から解説します。世界的なダイバーシティ(多様性)の流れに付随して、日本においても働き方改革などが提唱されるなか、お酒の飲み方にも多様性が問われるようになっていました。

 

加えて、コロナ禍をきっかけにライフスタイルがいっそう多様化し、自分のペースで人生を楽しむ人が増えてきています。そこでアサヒビールが2020年末に提唱したのが「スマドリ(=スマートドリンキング)」という理念。

 

これは、お酒を飲みたい時、飲めない時、そしてあえて飲まない時、飲む人も飲まない人も、ひとりひとりが自分の体質や気分、シーンに合わせて適切なお酒やノンアルコールドリンクをスマートに選べる飲み方のこと。

 

↑アサヒビールはアルコールに関する取り組みも発表

 

この、「スマドリ」の考え方に基づいて販売されたのが「アサヒ ビアリー」です。2021年の3月30日から首都圏、関信越エリアの1都9県で先行発売され、6月29日からは全国発売が開始しました。

 

↑アルコール0.5%は、法律上の区分では炭酸飲料。飲み過ぎはNGですが、法的にはお酒ではありません

 

「アサヒ ビアリー」の先行発売から2週間後にアサヒビールが実施した調査では「飲用後の満足度」「継続飲用意向度」の数値が高く「今までのノンアルとは味が違う」「こういった商品が欲しかった」という評価が多かったとか。

 

また、ビールテイスト飲料全体と比較すると、「アサヒ ビアリー」は20~30代の購入金額が高く、また女性若年層の購入が多いのが特徴。(アサヒビール調べ)。女優の本田翼さんとロックバンド「OKAMOTO’S」のハマ・オカモトさんがTVCMに出演していることも関係していそうですが、少なからず若い女性の飲用シーンに確かな影響を与えているようです。

 

↑「アサヒ ビアリー」のTVCMの一部

 

香るクラフトはジューシーなフレーバーが印象的

ここからは、「アサヒ ビアリー」と「アサヒ ビアリー 香るクラフト」それぞれの特徴や味わいをレビューします。基本的な製法に関してはどちらも、オリジナルのベースビールを醸造したあとに、アルコールだけを抜き取る蒸溜技術を採用。これにより、本来のビールを感じさせるおいしさを実現しています。

 

確かにビールに比べればライトですが、それでも「アサヒ ビアリー」は水っぽさがなく、麦汁由来のうまみとコクがしっかり。0.00%のノンアルコールビールテイスト飲料とは一線を画す、リアルなうまさが体感できます。

 

↑グラスに注ぐと泡立ちもパワフル。心地いいのどごしに加えて、苦味やキレに関しても物足りなさは感じません

 

一方の「アサヒ ビアリー 香るクラフト」は、白いパッケージで上品かつやわらかな印象。リリース情報によると、麦のうまみとコクに加えて、フルーティーで華やかな香りに特徴をもたせたとのことです。

 

↑「アサヒ ビアリー 香るクラフト」は、「アサヒ ビアリー」が全国発売された6月29日より、首都圏、関信越エリアの1都9県で発売されています

 

飲んだ第一印象は、「香るクラフト」というネーミングに納得できる、クラフトビール的な香りです。クラフトビールといってもビアスタイルは幅広いのですが、柑橘系からトロピカルフルーツ寄りのジューシーな方向性で、苦味を抑えたセッションIPA(インディアペールエール)や、ペールエールといったところでしょうか。

 

↑こちらも泡立ち良好。華やかな香りに由来するボリュームがありつつ、キレもあってすっきりとした飲み心地です

 

日本で先行していたアルコール度数が小数点以下のビールテイスト飲料に、イケアがスウェーデンの「オムニポロ」とコラボして発売している「Omnipollo Reference Pale Ale オムニポロ レギュラー」(税込290円/アルコール0.3%)がありますが、「アサヒ ビアリー 香るクラフト」はこちらに近い印象です。

 

アサヒビールは「アサヒ ビアリー」の好調を受け、「アサヒ ビアリー 香るクラフト」ともに生産設備を2倍に増強するとのこと。今後、アルコール度数1%以下の商品が他社を含めどんどん出てきたら、ますます市場は面白くなるでしょう。いずにれせよ、“微アル”にはいっそう注目です。

 

 

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