母の日は花束みたいなお酒を贈りませんか?期間限定で母の日限定ギフトボックス「母ノ日 母ノ酒」が登場

リカー・イノベーション株式会社は、お酒のオンラインストア「KURAND(クランド)」にて母の日限定ギフトボックス「母ノ日 母ノ酒」全6種を、4月21日~5月12日まで期間限定で販売することを発表しました。

↑内容量500ml 単品3900円(税込)

 

5月9日は「母の日」。日頃伝えられない感謝の気持ちを伝える日とされています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、年末年始を含めて実家へ帰省できなかった人も多いのではないでしょうか。実際に顔を見せることができなかったからこそ「母の日」の贈り物で、いつもは恥ずかしくて伝えられない感謝の気持ちを、お酒に込めて贈りませんか?

 

まるで花束みたいな花柄ボトル、今年は2種類が新登場!

「母ノ日 母ノ酒」は昨年の母の日に期間限定で登場した人気商品です。母の日限定ギフトボックスの3面には花柄の洋服を着た「昭和・平成・令和の3世代のお母さん」が現れる、母の日にピッタリなギフト商品。服の部分だけ切り抜いているので、化粧箱の中でボトルを回転させることによって、服の花柄の模様が少しずつ変化する仕掛けになっています。どこから見ても楽しい、飲んで美味しいギフトとなっています。

↑おしゃれな化粧箱がギフトにぴったり

 

そして、今年は「母ノ日 母ノ酒」がカーネーション(赤)に加え、ダリア(青)、ガーベラ(オレンジ)の2種類の柄が新登場。3種類の花柄のボトルから選ぶことができます。

 

好みにあわせて日本酒、梅酒の2種類のお酒を用意しています。お酒だけを楽しむのはもちろん、お食事に合う日本酒や食後酒としてじっくり楽しめる梅酒、それぞれのシーンに合わせることのできる、もらってうれしい、飲んでおいしいギフトです。お酒が大好きという方や、普段はあまり嗜まれない方にも、飲みやすいお酒をセレクトしています。

 

全6種の「母ノ日 母ノ酒」をラインナップ

新登場した2種に加えて「母ノ日 母ノ酒」は全6種が用意されています。

↑製造元:梅田酒造場(広島県)

 

【母ノ日 母ノ酒 -カーネーション 日本酒-】

フルーティーで華やかな風味と柔らかでスッキリとした口当たり。丁寧に醸した芳醇な味わいの純米吟醸酒を楽しめます。

↑製造元:明利酒類(茨城県)

 

【母ノ日 母ノ酒 -カーネーション 梅酒-】

厳選した国産青梅で丁寧に仕込んだ、ブランデーのコクと香りが特徴の風味豊かな梅酒。ブランデーとはちみつで仕上げています。

↑製造元:長谷川酒造(新潟県)

 

【母ノ日 母ノ酒 -ダリア 日本酒-】

控えめな香りでお米の旨味と程よい苦味のバランスが取れています。また、口の中で転がすとナッツ系の含み香が口全体に広がります。

↑製造元:中野BC(和歌山県)

 

【母ノ日 母ノ酒 -ダリア 梅酒-】

全量和歌山県産南高梅を使用した本格梅酒。甘みと酸味のバランスが良く、様々な飲み方で楽しむことができます。

↑製造元:一宮酒造(島根県)

 

【母ノ日 母ノ酒 -ガーベラ 日本酒-】

米・水・人すべて地元にこだわって醸されています。透明感のある澄んだ香りと、口の中に広がる瑞々しい甘みに、ついつい杯が進んでしまう飲み心地の良さが魅力です。

↑製造元:麻原酒造(埼玉県)

 

【母ノ日 母ノ酒 -ガーベラ 梅酒-】

程よい甘さと梅酒特有の爽やかな香り、フレッシュ感の中に芳醇な風味が広がります。梅の風味とスッキリとした飲み口を楽しめます。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

母の日のギフトを買いたいけれど、店頭にギフトを買いに行けない方にもおすすめな「母ノ日 母ノ酒」。ご注文・お届けなど全てがオンラインストアで完結する商品なので、外出自粛で母の日のプレゼントにお困りの方にはピッタリです。

 

何を贈ったらいいか分からず、毎年お花ばかり贈ってしまっている方、今年は一味違った母の日ギフトでお母さんを喜ばせてみませんか?価格は内容量500mlで単品3900円(税込)、日本酒&梅酒セットは各7980円(税込)となっています。

 

なお、母の日までのお届けは5月7日の23:59(一部地域5月6日)に注文が締め切られてしまいますので注意してください。ぜひ、この機会に特別なプレゼントを送ってみてはいかがでしょうか。

 

お酒のオンラインストア「KURAND(クランド)」

泡までジューシーなパイナップル風味、「パイナップルエール」4月23日より夏季限定販売

だんだん気温が上がり、いよいよビールをより一層美味しく感じさせる季節がやってきます。そんな季節に合わせて、サンクトガーレン有限会社はゴールデンパイン600kgを使用した爽やかなフルーツビール「パイナップルエール」(506円/税込)を4月23日から9月末まで夏季限定で発売することを発表しました。

↑アルコール:5%、内容量:330ml、希望小売価格:506円(税込)

 

使用しているのはデルモンテの管理農園で栽培され、横浜の工場で手切りされたゴールデンパインです。

 

デルモンテでは果実にストレスを与えないよう手作業で切ったものを使用しており、果汁も香りもロスの無い果実をビールに使うことができます。

 

1回の仕込みに使用しているのは約600kgのゴールデンパイン。果実はビールが発酵する前の麦汁(ばくじゅう)に投入し、果実と麦汁の糖分を一緒に発酵させることで、泡までジューシーなパイナップル風味を感じられるビールになっています。

 

 

 

ベースとなっているビールは、Brut IPA(ブリュットアイピーエー)スタイルを採用。Brut IPAはブリュット(辛口)のシャンパンからインスピレーションを受けた比較的新しいビアスタイルで、強いホップフレーバーをもちながら、非常にドライで苦味が軽やかなのが特徴です。

 

麦芽のコクを敢えて削ぎ落とすことで、華やかなホップの風味とパイナップルのジューシーさを際立たせたビールに仕上がっています。

 

↑麦芽量30%の果物を贅沢に使用しているため、ビールと表記ではなく”発泡酒”となっています

 

なお、ボトルの販売場所はオンラインショップ、横浜髙島屋、そごう横浜店のほか、サンクトガーレン樽生取扱い飲食店で樽生を楽しむことができます。

 

サンクトガーレン オンラインショップ

知っておきたいワインの蘊蓄。ソムリエが解説する「ドイツワイン」の5産地にまつわる話

自宅でワインを楽しみたい、できれば産地や銘柄にもこだわりたい、ワインを開けて注ぎ、グラスを傾ける仕草もスマートにしたい……。そう思っても、基本はなかなか他人には聞きにくいもの。この連載では、そういったノウハウや、知っておくとグラスを交わす誰かと話が弾むかもしれない知識を、ソムリエを招いて教えていただきます。

 

「ワインの世界を旅する」と題し、世界各国の産地についてキーワード盛りだくさんで詳しく掘り下げていく、このシリーズの「フランス」「イタリア」に続く今回は、「ドイツ」。寄稿していただくのは引き続き、渋谷にワインレストランを構えるソムリエ、宮地英典さんです。

【関連記事】
ワインの世界を旅する 第1回 ―フランスと5つの産地―
ワインの世界を旅する 第2回―イタリアと5つの産地―

 

ドイツワインを旅する

ドイツワインには、とかく“甘い”というイメージがつきまとっているようです。それは長い歴史のなかでは、20世紀後半のほんの短い時期に多く出回った「リープフラウミルヒ」などの量産ワインによる影響が大きいように思います。“ヨーロッパのワイン大国”といった印象もありますが、生産量でいえばフランス、イタリアの5分の1ほど。そして、そのただ甘いだけのワインのためか、日本のワインショップでは取り扱いも少なく、見かける機会も限られるワイン産地なのかもしれません。

 

ですが、現代、つまり21世紀のドイツワインは明らかに変化し、より良質なワインを多く産出しています。ただ甘いだけのワインが減少傾向なのはもちろん、辛口の比率は増え、他国のワインには見られない個性も見られるようになっています。そして赤ワインは、世界中の産地と比較しても引けを取らない出来栄えです。これを一部の好事家(こうずか)だけのものにしていていいのでしょうか? 愛好家にもワイン初心者にも、間口を広く、奥行きを持って親しめるワイン産地が、21世紀以降の現代ドイツワインなのです。

 

ドイツにおけるワインの歴史は、紀元前、古代ローマ時代にさかのぼると言われ、古代ローマ人が入植した際には、ライン川やモーゼル川にはリースリングの祖先である「ヴィティス・ヴィニフェラ」の野生種「ヴィティス・シルヴェストリス」が自生していたと言われています。リースリングは、ドイツにおける重要なブドウ品種で、現在でも全体の4分の1を占めており、世界中のリースリングはドイツをひとつの規範としています。リースリングに限らずドイツワインの7割ほどは辛口(トロッケン、ハルプトロッケン、ファインヘルプ)(※)に造り上げられていますが、最高級品に位置する極甘口の「トロッケンベーレンアウスレーゼ」もまた、前述のただ甘いワインとは一線を画す、ドイツワインの真骨頂といえる偉大なワインです。

※ドイツでの辛口の呼称
・Trocken(トロッケン)=辛口
・Feinherb(ファインヘルプ)=中辛口より辛口
・Halbtrocken(ハルプトロッケン)=中辛口

 

[目次]
・ラインガウ
モーゼル
フランケン
バーデン
ファルツ

 

ラインガウ 〜父なるラインが東西に流れる銘醸地〜

フランクフルト空港から、電車で約1時間の距離にあるリューデスハイムを中心としたラインガウは、ワインの街。リースリングが生まれた土地であり、ブルゴーニュの「クロ・ド・ヴージョ」のようにシトー派修道僧が植樹したといわれる歴史ある数々の銘醸畑が集まっています。街の南側を流れるライン川は、ヨーロッパの南北を縦断する大動脈であり、急勾配のブドウ畑や自然に囲まれた古城を眺めるクルーズ船が運航されています。その距離、リューデスハイムの対岸マインツからケルンまでおよそ180kmに及び、さまざまなコースが用意され、観光に訪れた際には外せない楽しみのひとつです。

 

ライン川は、基本的には南北を縦断する河川ですが、リューデスハイムからヴィースバーデンまでの約20kmに渡って東西を流れるかっこうになり、そのため、南側斜面の畑への照り返しが、晩熟のリースリングを完熟させるのに大きな役割を担っています。また、もっとも希少なワイン「トロッケンベーレンアウスレーゼ」は、天候に恵まれた年に川から立ち上る霧によってもたらされる貴腐菌によって生み出されます。ラインガウもまた、21世紀になってからより多くの生産者がその恵まれた栽培環境を活かして、今まで以上の高品質なワインが造られるようになった産地です。とくに生産量の大半を占める辛口のリースリングは、フレッシュで冷涼感のある果実、鮮烈と表現される酸、細く強いストラクチャーを持った良質なワインばかりになりました。

 

下写真の「ソヴァージュ=野生」と名付けられたリースリングは、言ってみれば広域ラインガウのワインですが、その味わいの水準の高さは他の銘醸地と比較しても目を見張るほどで、この地域の優れたテロワールを証明しています。ライン川に自生していたといわれる野生ブドウの末裔と思うと、ワインにいっそう奥行きを感じ、楽しめるかもしれません。

 

Georg Breuer(ゲオルグ・ブロイヤー)
「“Sauvage”Riesling2018(ソヴァージュ・リースリング2018)」
2900
輸入元=ヘレンベルガー・ホーフ

 

次のページで取り上げるのは、川の両岸にブドウ畑が広がる、景観の美しいモーゼルです。

モーゼル 〜ベルンカステル・クースから望む雄大な景観〜

フランスのヴォージュ山脈を源にするモーゼル川。古都コブレンツでライン川につながるまでの長い距離(蛇行しながら240kmにも及びます)の両岸急斜面に、ブドウが植えられています。モーゼルでは、素晴らしいワインのほぼすべてがリースリングから造られており、ふたつの支流、ルーヴァー川流域はドイツ最古といわれ、もう一方のザール川流域では、ドイツ最高のワインと誉れ高い「シャルツホフベルガー」が生み出されます。また、モーゼル川の中流域にある街、ベルンカステル・クースは川を挟んだふたつの街並みが一体となって、モーゼルのワイン醸造の中心としての役割を担っています。

 

モーゼル川流域ではおおむね南向き、南西向きの斜面にブドウ畑が広がっているのですが、大きく蛇行する河川は街から8kmに渡って北西に延び、夏に訪れると、川面に南西向きの壮大なブドウ樹の緑が映し出される素晴らしい景観が、見渡す限り続きます。モーゼル川は、その長い流域の多様な個性から“ブルゴーニュのコート・ドール”と比較されることもありますが、訪れるタイミングに恵まれた人にとって、景観の美しさという点では、モーゼルに軍配が上がるのではないでしょうか。

 

モーゼルワインをひと口に表現するのは難しいのですが、下写真のような辛口トロッケン(残糖9g)のほか、爽やかと表現していいフルーティーな「カビネット」や「シュペトレーゼ」といった中辛口、中甘口のワインの質の高さにあると思います。これらのワインは、かつての量産ワインとは一線を画す味わいで、多様なテロワールから繊細な甘みと柑橘のような酸味の奥には火打石のようなニュアンスやスパイスやハーブのニュアンスと、なにしろ一本筋の通った地域ごとの個性を感じ取ることができるのです。モーゼルのワインは、ちょっと玄人向けのイメージもあるのですが、比較的アルコール度数の低いワインも多く、むしろワイン初心者のほうが、素直にその良さを感じ取ることのできるワインだと思うのは私だけでしょうか。

 

Dr. Loosen(ドクター・ローゼン)
「Riesling Trcoken2018(リースリング・トロッケン2018)」
2600
輸入元=ヘレンベルガー・ホーフ

 

次のページで取り上げるのは、瓶の形でも個性を表現したワインの産地、フランケンです。

フランケン 〜ボックスボイテルは高品質の証?〜

下写真のワインのような、ずんぐりと丸いボトルをご覧になったことがあるでしょうか? フランケンの「QbA」(指定栽培地域上質ワイン)という格付けのワインだけが詰めることのできる瓶で、「ボックスボイテル」(山羊のふぐり袋)と呼ばれています。

 

元々は、18世紀に品質の劣悪なワインと区別するため、フランケンワインの品質証明として瓶詰めされるようになって以降現代に至るまで残る、伝統的なボトルデザインです。ドイツワインと言うと、細長いボトルに瓶詰めされることが多いのですが、フランケンワインは味わいにおいても、ほかのドイツのワイン産地とは少し毛色が違っています。主役のブドウ品種はリースリングではなく「ジルヴァーナー」、かねてから産地全体として極辛口に仕上げるワインが主流という点で、ほかの多くのドイツワインとは、見た目だけではなく味わいでも、異なったキャラクターを表現しています。

 

ドイツの文豪・ゲーテは、妻への手紙の中で、「何本かのヴュルツブルガーを送ってくれ。此処のワインは私にとっては美味しくなく、困っている」と綴ったと伝えられています。ここでいう“ヴュルツブルガー”とは、フランケンのワイン生産の中心都市、ヴュルツブルグ産のワインという意味で、このことからも18世紀初頭からフランケンワインは、ドイツワインの中でも独自の個性を持っていたことがうかがえます。

 

一部の希少な甘口も造られており、伝え聞くところでは驚くほど長命なワイン(300年を超える熟成に耐える)のエピソードもあるのですが、現在では極辛口が主流です。リースリングに比べ酸が穏やかである点、柑橘から南国フルーツのような繊細ながら豊かな果実の柔らかさ、そして芯のあるミネラリティがフランケンのジルヴァーナーの特徴となり、好む人にとってはハズレのない、信頼できるワイン産地なのです。残念ながら日本では、ドイツの白ワインは一部の愛好家のためのような雰囲気もあるため、ワインショップでボックスボイテルに巡り会うことは少ないかもしれません。でももし出会えたなら、フランケン産であることを確認してレジに持って行くことをすすめます。他国のワインで似たボトル形状の量産ワインがあることだけご注意ください。

 

Störrlein Krenig(シュテアライン・クレニッヒ)
「Randersacker Sonnenstuhl Silvaner2018(ランダースアッカー・ゾンネンシュトゥール・ジルヴァーナー2018)」
3300
輸入元=ヘレンベルガー・ホーフ

 

次のページで取り上げるのは、ドイツの赤ワイン産地として先駆者的な役割を担う、バーデンです。

バーデン 〜地球温暖化とドイツの赤ワイン〜

地球温暖化と技術革新によって、ブドウの栽培地域は年々広がっています。北半球ではイギリス、そしてロシアが加わり、中央アジアの栽培もこれからより本格的なものになっていくでしょう。従来“北限の産地”として白ワインのイメージの強いドイツでも「シュペートブルグンダー」(≒ピノ・ノワール)の栽培面積は、この20年で倍増したと言われています。

 

そして、ドイツの南端に位置しフランス、スイスと国境を接する、元々比較的温暖な気候であったバーデンにとって、温暖化の影響は晩熟であるシュペートブルグンダーの栽培にいち早く成功する、ひとつの要因になりました。現在では、ドイツのシュペートブルグンダーのおよそ半分を占め、ドイツの赤ワイン産地としては先駆者的な役割を担う産地です。

 

そうはいっても、かつて協同組合の廉価ワインの割合が高かったこの産地が、意欲的な生産者によって素晴らしい赤ワインを産み出すようになったのは、やはりつい最近のことなのです。下写真のベルンハルト・フーバーの設立は1987年、「18世紀から続く~」といったよく耳にするワイナリー紹介と比較すれば、ほんの最近のことのようにも思えますが、7世紀頃にはピノ・ノワールの存在が文献に残されていたことを考えると、この地域の赤ワインの歴史は“古き伝統を踏襲しながら新たな一歩を刻んだところ”と言ってもいいのかもしれません。

 

ブルゴーニュのピノ・ノワールは、世界中の愛好家をその官能性で魅了していますが、ようやくブルゴーニュ以外の産地のピノ・ノワールに、徐々にスポットライトが当たるようになってきました。バーデンには、ドイツのリーディング的なシュペートブルグンダー産地として、期待せずにはいられません。

 

そして、温暖化はもうここまでにしないといけないという思いは、ワインに関わるすべての人が気持ちを同じくしているテーマでもあるのです。

 

Benhard Huber(ベルンハルト・フーバー)
「Malterdinger Spätburgunder2016(マルターディンガー・シュペートブルグンダー2016)」
5000
輸入元=ヘレンベルガー・ホーフ

 

最後に取り上げるのは、ドイツにおける新進の“ワイン産業の街”、ファルツです。

ファルツ 〜ドイツを代表するワイン街道を抱く産地〜

フランスのアルザス地方の北と国境を接するファルツには、南のシュワイゲンから北のボッケンハイムまでの85kmに渡って、ドイツ最大のワイン街道が縦断しています。ファルツでは年間で大小200ほどのワイン関連のイベントが催されており、8月の終わりには、ワイン街道を通行止めにし、街や村では地元の料理やワイン、民芸品に至るまで思い思いのお店が立ち並んで、地元の人や観光客を楽しませます。こうした取り組みは産地全体を盛り上げることに成功し、ファルツはドイツ第2位のワイン産地、ワインショップやレストランも充実した“ワイン産業の街”と言われるようになりました。

 

この地域でも、主役はリースリング。辛口であってもみずみずしい蜜のような味わいをワインにもたらし、比較的温暖なファルツらしさを表現しています。ですが、今回紹介するのはバーデンに続いて赤ワインです。下写真の「フリードリッヒ・ベッカー」は、フランス国境沿いに拠点を置く彼の地のシュペートブルグンダーの先駆者的存在で、“ピノ・ノワール”の名前を冠したクリュ・ワインは、ドイツでも最高の評価を得ています。産地全体としては、バーデンほどシュペートブルグンダーが主流ではないものの、最近のワインガイド誌での上位に、新たな生産者のシュペートブルグンダーが数多く食い込む現象が起きています。

 

ブルゴーニュ同様にピノ・ノワールに向く石灰質を含んだ土壌が多く、これからのドイツの赤ワイン産地として、バーデンに続く銘醸地のポジションが期待されます。ドイツワインは甘い、ドイツは白ワインの産地、というのは過ぎ去った20世紀の過去の話。ドイツのピノ・ノワールはブルゴーニュ、オレゴンやニュージーランドに続いて、世界でも最高の品質水準にあります。よりピノ・ノワールの官能性や滋味深さを表現するワインに出会える機会は、これからどんどん増えていくことでしょう。ドイツの赤ワインのこれからを楽しんでいただけたら何よりです。

 

Friedrich Becker(フリードリッヒ・ベッカー)
「Doppelstück Spätburgunder2016(ドッペルシュトゥック・シュペートブルグンダー2016)」
3300
輸入元=ヘレンベルガー・ホーフ

 

※ワインの価格はすべて希望小売価格です

 

【プロフィール】

ソムリエ / 宮地英典(みやじえいすけ)

カウンターイタリアンの名店shibuya-bedの立ち上げからシェフソムリエを務め、退職後にワイン専門の販売会社、ワインコミュニケイトを設立。2019年にイタリアンレストランenoteca miyajiを開店。
https://enoteca.wine-communicate.com/
https://www.facebook.com/enotecamiyaji/

 

信州・諏訪の酒米を100%使用した口当たり軽やかな夏酒「純米吟醸生酒 よこぶえ」が季節限定発売

長野県諏訪市にある日本酒蔵・伊東酒造株式会社(代表銘柄:横笛)は4月16日から「純米吟醸生酒 よこぶえ」を1800ml 3,564円、720ml 1,760円、300ml  660円(税込)で発売開始しました。使用しているお米は地元で育てられた諏訪産美山錦を100%使用している「夏酒」。夏の暑い日にも日本酒を呑んでいただきたいということで、口当たりは軽く華やかな香りが特徴のお酒になっています。

↑「純米吟醸生酒 よこぶえ」(季節限定品)

 

伊東酒造「横笛」では毎年4月と6月に特徴の異なる夏酒を販売しています。今回、夏酒第一弾として「純米吟醸生酒 よこぶえ」を4月16日から販売することになりました。諏訪の契約農家が作る酒造好適米「美山錦」を100%使用。美山錦の特徴であるスッキリした味わいなどを最大限に引き出し、華やかな香り、優しい飲み口が特徴のお酒です。

 

口当たりの良いお酒なので、暑い日に日本酒を呑みたい方や、冬場の搾りたて生原酒などといった高アルコールに呑み疲れた方にもおすすめです。

 

「純米吟醸生酒 よこぶえ」は、程よく香るフルーティーな純米吟醸で柔らかい飲み口、生ならではの軽快な喉越しが特徴。たこのカルパッチョなど海鮮料理との相性が良く、ワイン感覚で食中酒としても楽しむこともできます。

 

販売サイズは1800ml、720ml、300mlで、横笛を取り扱っている酒販店や横笛店舗、ネット通販にて購入できます。

 

なお、夏酒第二弾として6月に「純米吟醸生酒 夏穂の香」を発売予定。「純米吟醸生酒 よこぶえ」とは異なり、長野県の酒造好適米「しらかば錦」を使用して醸しています。酸が特徴で、この酸がきりっとした飲み口にしてくれます。使用しているお米違いの「夏酒」を呑み比べてみてはいかがでしょうか。

 

日本酒蔵・伊東酒造株式会社(公式HP)

ビール界のレジェンド「ピルスナーウルケル」の缶が全国デビュー!注ぎ手名人の動画でよりウマく飲める

日本のメジャーなビールは「ピルスナー」というビアスタイルであり、世界でも7割を占めると言われています。その元祖である「ピルスナーウルケル」が、缶の仕様で全国発売することになりました。

 

↑「ピルスナーウルケル」は4月6日から首都圏と関信越エリアで通年発売。6月1日から全国で数量限定発売されます。330mlでアルコールは4.4%、参考価格は税込297円

 

本稿ではメディア向け発表会の様子とともに、「ピルスナーウルケル」の特徴を深掘りしていきます。

 

ビールの歴史は「ピルスナーウルケル」の登場前後に分けられる

発表会が開催されたのは、日本橋にあるビアバー「ブルヴァール トーキョー」。“「アサヒスーパードライ」をだれよりもおいしく注ぐ”として有名な「サトウ注ぎ」の佐藤裕介さんが手掛けるお店です。

 

↑同店は佐藤さんの3店舗目。1号店は新橋の「ブラッセリービアブルヴァード」。2号店は銀座にある「ピルゼンアレイ」です

 

「ピルスナーウルケル」は、1842年にチェコのピルゼンで誕生しました。その特徴は、黄金色の輝き、地元醸造にこだわってピルゼンの工場のみで造っていること、そのうえで水はもちろん麦芽やホップなどの原料はチェコ産であることなど。歴史が長く世界50か国以上で発売される有名なビールながら、きわめてクラフトビール的な精神で生み出されています。

 

↑海外へのビール旅に何度も行き、クラフトビールにも精通している佐藤裕介さん。「ピルスナーウルケル」はすべてのビールのなかでも別格であり、レジェンドだと言います

 

いまやピルスナーや黄金色のビールは当たり前ですが、誕生当時は革命的だったとか。濃厚かつクリーミーでしっとりとした泡、ザーツ産ホップによるスパイシーな香り、苦味とバランスが取れたまろやかで甘いフレーバー、そして美しい色合い。ビールを透明なグラスで飲むようになった背景にあるのは産業革命と、「ピルスナーウルケル」の登場によるところが大きいと佐藤さんは言います。

 

↑「ピルスナーウルケル」の専用グラス。こちらはドイツの老舗、Sahm社が製造しています

 

また、自然な炭酸が生み出すキレや、ほのかなカラメルの香味も魅力。これは、麦芽を3回糖化する「トリプルデコクション」と呼ばれる伝統的な醸造法によるもの。手間をかけることで味と香りはいっそう華やぎ、爽やかなホップの苦みをはっきりと感じることができるのです。圧倒的にクリアで飲みやすく、それでいて個性的。やがて世界を席巻するピルスナーの元祖になったという理由も納得できます。

グラスが当たるキャンペーンや注ぎ方の動画も要チェック

発表会の後半は、おいしい注ぎ方レクチャーとフードペアリング体験。佐藤さんは前述したように、「アサヒスーパードライ」の注ぎ手としても有名ですが、「ピルスナーウルケル」を最高の品質で提供し、自らの言葉でその歴史や品質を語り、ブランドの魅力を発信していく役割「タップスター」に認定された日本初の人物でもあります。

 

↑「タップスター」は現在日本では4人のみ。今回は缶で注ぎ方をレクチャー

 

コツは、きれいに洗ったグラスを冷たい水でしっかり濡らすこと。氷水を入れてかき混ぜると、やりやすいそうです。次はグラスを45度に傾けて、ふちに沿わせながら「ピルスナーウルケル」をゆっくり注入。その後は香りを閉じ込めるため、徐々にグラスを起こして上から注ぎます。

 

↑これで完成。泡は指3本ぶんが目安とのことです

 

「ピルスナーウルケル」は、日本のピルスナーがそうであるように、どんな料理とも相性抜群。なかでも特に合うというフードを佐藤さんが用意してくれました。チェコの定番料理セットと、タレ味の焼き鳥です。

 

↑ソーセージの酢漬け「ウトペネツ」、牛肉煮込み「グラーシュ」、カマンベールをオリーブオイルで漬けた「チーズマリネ」、タレ味の焼き鳥

 

「ピルスナーウルケル」は酸味と調和し、スパイスやハーブを使った肉やチーズとも好相性。また、もっと気軽に「ピルスナーウルケル」を楽しんでもらうために甘じょっぱいタレ味の焼き鳥とのペアリングも提案。シャープな「アサヒスーパードライ」はリセットする方向性のペアリングですが、香り豊かな「ピルスナーウルケル」は寄り添う形でマッチするそうです。

 

↑クリアでスムース。アルコール度数もライトなのでぐいぐい進みます

 

なお発売を記念して、専用のビアグラスが合計で200名に当たる各種キャンペーンが実施されるほか、佐藤さんによる缶から上手に注ぐレクチャー動画も公式インスタグラムで公開中。ぜひ合わせてチェックし、おいしい時間を有意義に過ごしてください。

 

【URL】

https://www.pilsnerurquell.jp/

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

春色の焼酎「かのか」が限定発売! 過去最高にイカしてる味の特徴をレポート

焼酎は甲類と乙類(本格焼酎)のほか、両者のいいとこどりをした混和焼酎の3カテゴリーがあり、その混和焼酎で売上No.1(「インテージSRI」焼酎混和2020年1~12月累計販売金額)を誇るのが「かのか」。このブランドから3月16日に、ユニークな期間限定コラボ商品が発売されました。「イカ天瀬戸内れもん味にぴったりの麦焼酎かのか」です。

 

↑「イカ天瀬戸内れもん味にぴったりの麦焼酎かのか」。アルコール度数は25%で1.8リットル、希望小売価格は税抜1450円です

 

最大のウリは、商品名にある通り「イカ天瀬戸内れもん味」に合う味わいになっていること。本稿では「かのか」と「イカ天瀬戸内れもん味」の特徴に触れながら、新作の味わいをレポートしていきます。

 

新作はりんごのようなフルーティーで爽やかな香りと味

1993年から発売されている「かのか」は「佳の香」、つまり“佳(よ)い香り”という意味で、豊かな風味とやわらかい飲み口が特徴です。2020年は、コロナ禍の巣ごもり需要をとらえた家庭内での飲み方提案や販促活動により、前年比107%の販売を記録し、3年連続で前年実績を上回ったそうです。

 

↑公式ホームページより。サイズも豊富で、様々なライナップがあります

 

麦焼酎の「かのか」は、ほどよくふくらみのある飲み口と雑味のないすっきりとした後味に重点が置かれていますが、新作の「イカ天瀬戸内れもん味にぴったりの麦焼酎かのか」は、よりクリアな仕上がりになっているのがポイント。「イカ天瀬戸内れもん味」に合う、りんごのようなフルーティーで爽やかな香りと味が特徴です。

 

↑パッケージの裏にはコンセプトなどが書かれています

 

一方の「イカ天瀬戸内れもん味」は、広島県の尾道を拠点に、イカ天やのり天などを製造販売している「まるか食品」が2013年から発売している大ヒット商品。レモンフレーバーによる独自のさっぱりテイストやキュートなデザインで人気に火が付き、2021年には累計2000万食を突破したそうです。

 

↑「イカ天瀬戸内れもん味」。80gで税抜280円

 

↑「まるか食品」の公式ホームページより。女性に人気というのもポイントです

 

「イカ天瀬戸内れもん味」は、「かわいい」「癒される」という情緒的ベネフィットと、「私だけが知っている」というインサイトを獲得し、女性ファンを獲得したストーリーを持っています。そこで、飲用者の約70%が50代以上となっている「かのか」が“一度飲んでもらえれば若い女性にも気に入ってもらえるはず”という想いで、コラボレーションが実現したのです

 

 

柑橘とフルーティーな香味が水を得た魚のようにユニゾン

まずは「イカ天瀬戸内れもん味にぴったりの麦焼酎かのか」から飲んでみました。飲み方は、水割りかソーダ割、またはロックがオススメとのことで、水割りから試します。

 

↑水で割ると「かのか」の持ち味である香りが開くとともに、やわらかさもアップ。スムーズな飲み口で、どんな料理にも合う万能なおいしさです

 

↑ソーダ割り。炭酸の刺激が加わり、弾ける爽快感がフルーティーな香りとともに立ち上がります。脂っこい料理には特にぴったりかと

 

↑ロック。どっしりとしていながらキレがあって、こちらもこってりした味にマッチする爽やかさです

 

麦焼酎には、麦チョコを思わせるような甘香ばしいタイプも多いのですが、「イカ天瀬戸内れもん味にぴったりの麦焼酎かのか」のアプローチはライトで華やかな方向性。ドンピシャにマッチするという「イカ天瀬戸内れもん味」との相性はどうでしょうか。

 

↑手ごろなフィンガーサイズで食べやすいのも特徴

 

「イカ天瀬戸内れもん味」はカリッとサクッとしたクリスピーな食感で、印象的なのは果実味豊かなレモンの酸味。イカのうまみと揚げ油のパンチも効いていながら、後味さっぱりでクセになるおいしさです。そして、ここぞとばかりに「イカ天瀬戸内れもん味にぴったりの麦焼酎かのか」をひと口。すると、水を得た魚のように両者が口のなかでユニゾンします。

 

↑レモンのフレーバーと焼酎のフルーティーな香味が心地よく、止まらないおいしさです

 

爽やかなレモンとキリッとした「かのか」の組み合わせは、春を思わせるフレッシュなペアリング。なお、「イカ天瀬戸内れもん味にぴったりの麦焼酎かのか」は塩分や脂分に合う味わい設計なので、ほかのスナック菓子天ぷら、魚介系のつまみと相性がいいと思います。ぜひ今春の休日や晩酌に「イカ天瀬戸内れもん味にぴったりの麦焼酎かのか」を取り入れてみましょう。

 

 

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泡のワクワクが止まらない!「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」はビール界の発明だ

4月6日に、前代未聞の缶ビールが新発売されます(スーパーなどでは4月20日から発売)。その名は「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」。最大の特徴は缶の構造にあり、開けた瞬間から泡がふんわりと湧き出るのです。

 

↑「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」。340mlで、価格は既存の「アサヒスーパードライ」と同額を想定とのことで、200円前後だと思います(上記写真はサンプル。デザインは一部変更予定)

 

本稿では革命的な缶とフタの構造や、本家「アサヒスーパードライ」との違いはあるかなどを、飲み比べレポートとともにお送りします。

 

缶の天面がフルオープンする画期的なフタの構造

まずは缶をじっくり見てみましょう。本家「アサヒスーパードライ」と並べると、その差は一目瞭然。本家はほかのドリンクと同じく缶天面の一部が開口するタイプのフタとなりますが、「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」のフタは缶の全面が開く仕様となっています。

 

↑左が「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」の天面。指を入れる穴が大きく、缶詰のようにパカッと開けるタイプになっています

 

「アサヒスーパードライ」と成分を比べてみると、これに関しては完全に一緒。つまり、入っているビール自体はまったく同じということです。

 

↑内容量には違いがあり、「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」は「アサヒスーパードライ」より10ml少ない340mlです。これは泡が出るぶんを考慮してのことでしょう

 

「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」の裏面には、泡を楽しむ方法が記載されています。ポイントは温度。飲みごろは4℃~8℃で、12℃以上はふきこぼれ注意とのこと。

 

↑裏面。QRコードからより詳しい専用サイトに飛べるので、こちらもチェックしてみましょう

 

今回はなるべくこぼれないレベルで泡を最大限楽しみたいと思い、冷蔵庫で冷やしたあと5分程度置いてから開栓してみることに!

 

お店の達人が注いだような、超シルキーな泡!

↑おぉ~これはもはや大発明! 開けたそばから泡がふくらみます

 

これはスゴい! よく、缶を振ったビールなどはプシュッ!ドバァッーと吹きこぼれますが、「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」はまったく別物です。ゆっくりモコモコとふくらむうえ、この泡がきわめてシルキー。お店で達人が注いだような、超きめ細やかな泡になるのも魅力的です。

 

↑ホイップ感のある泡なので表面張力も強く、形をしっかりキープします

 

飲んでみると「アサヒスーパードライ」ならではの、シャープな刺激とキレッキレのノド越しは健在。この思わずプハーッとうなりたくなるウマさに、クリーミーな泡のふんわり感が加わって、ひと口目はメリハリも最高です。そして、天面が全開というのは香りの感じ方にも違いが出ると思いました。

 

↑缶と鼻の位置関係に注目

 

通常の缶では天面が香りの上昇をさえぎりますが、「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」はフルオープンなので、その香りをダイレクトに感じられるのです。ビールの味自体や余韻のニュアンスは同じかもしれませんが、ファーストインパクトには差があると思います。

 

↑定番の「アサヒスーパードライ」とも飲み比べ。味は同じでも、体感要素に違いが出ます

 

この違いを音楽で例えるなら、同じ曲をスピーカーで流しても、ボリュームの大小でダイナミクス(強弱)が変わるようなものでしょうか。ぜひ両方買って、違いを実感してみましょう。

 

↑見た目のフォトジェニックなインパクトも抜群です

 

なお、なぜこのような泡が出るのかを聞いたところ、缶の内側に特別な塗料でクレーター状の凹凸を焼き付けているからとのこと。この構造により、通常の缶からビールをグラスに注いだときに発生する泡よりも、きめ細かくなるように仕上げられているのだそうです。また、フタや飲み口の鋭利さは皆無で、安全なのもポイント。

 

↑フタと缶の飲み口は、飲料缶では初採用となる「ダブルセーフティー構造」を採用。手や口を切る恐れはありません

 

缶ビールはグラスに注がず、そのまま飲むという人は多いでしょう。ただしそんなビールファンでも、やはりお店のビールのほうがウマいと思っているはず。それはクリーミーな泡や香りが多少なりとも影響しているので、ぜひ「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」でリアルな生ビール感を確かめてみてください。

 

 

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ここまでやるのか! 手間暇かけた「新・麒麟特製レモンサワー」が格別のおいしさだった

近年、幅広い人から支持を受け、着実に市場を広げてきているレモンサワー。様々な商品が販売されていますが、中でも「せっかくならおいしいお酒を楽しみたい!」という方にとって、必見なのが「麒麟特製レモンサワー」です。

 

手間暇かけてこだわり抜いたおいしさと上質感が支持されている本品。「おいしい上質なお酒でお家時間をより良いものにしたい」という世の中のニーズと相まって、売り上げも年間販売数量が前年比約4倍※と非常に好調なのだとか。

※出荷実績2019年/2020年4-12月比較 販売容量

 

そんな「麒麟特製レモンサワー」が今年から、さらにそのつくり方とおいしさに磨きをかけてリニューアルしました。さらなるおいしさを実現したその背景には、「ここまでやるのか!」と驚いてしまうほどの、手間暇がかかっていました。

 

手間暇かけた“麒麟特製のつくり方”で格別のおいしさを実現

本当においしいレモンサワーを追い求めて、徹底的に研究を重ねた本品。上質なおいしさのために辿り着いた“麒麟特製のつくり方”には、3つのこだわりの製法があります。

 

1.麒麟特製のうまみエキス

複数の果実を12時間以上煮詰めて抽出する麒麟特製「うまみエキス」で、レモン果汁だけでは表現できない、味わい深いうまみを引き出します。

 

2.まるごとすりおろしレモンエキス

そこへレモンを皮ごとすりおろし、さらに低温熟成してうまみを引き出した「まるごとすりおろしレモンエキス」を加え、香りやうまみを引き立たせます。

3.味わいの異なる複数の追いレモン果汁

さらにレモンの風味豊かな味わいでおいしさを引き立てるため、レモンを皮ごと搾ったレモン果汁をはじめ、複数の方法で用意したレモン果汁が使われています。

 

従来の製法にとらわれることなく、徹底的にこだわりぬいた末、格別のおいしさを実現した「麒麟特製レモンサワー」。レモンの酸味・苦み・香りとほのかな甘みが複層的に調和した、風味豊かな味わいを生み出すため、しっかりと手間暇かけて丁寧に仕立てられていることがわかりますね。キリンのお酒づくりにかける熱い想いが強く感じられます。

 

「これはうまい!」深みのある味わいに感動

ここまで工夫を重ねてつくられたレモンサワーは一体どんな味わいなのか……期待が膨らんだところで、実際に編集部で試飲をしてみることに。

 

「こんな風味豊かなレモンサワーは初体験」

 

(編集部コメント)

「レモンサワーって“酸味”が強いイメージだけど、この『麒麟特製レモンサワー』は“苦味”や“うまみ”もあって、丁寧につくられたことがしっかりと感じられる。お家でこのクオリティのお酒が楽しめるのはうれしいなあ」

 

「後味すっきりで嫌なアルコール感がない」

 

(編集部コメント)

「後味に嫌なアルコール感がなくて、しっかりとレモンのうまみが感じられる! おいしいお酒をゆっくりと楽しみたい時にぴったり」

 

「こだわりを感じられる納得のおいしさ」

 

(編集部コメント)

「色々なレモンサワーがあるけど、この『麒麟特製レモンサワー』はしっかりとした深みのあるレモンの味わいを感じられるのがいいね。缶のまま飲むのも良いけど、グラスに注いでじっくりと贅沢感を味わいながら楽しみたいな」

 

 

おいしいお酒で上質なお家時間を

お酒好きの編集部員も「これはレベルが高い!」と口をそろえて絶賛した「麒麟特製レモンサワー」。現在、飲んだ感想をTwitterで投稿した方の中から、抽選で200名に「麒麟特製レモンサワー6本セット」が当たるキャンペーンを実施中とのこと。期間は5月10日(月)まで。購入した際は要チェックですね。

 

キャンペーンの詳細はコチラ

 

一日の終わりに上質なくつろぎの時間を与えてくれる「麒麟特製レモンサワー」。キリンがこだわり抜いた新たなおいしさを、あなたもリニューアルしたこのタイミングで体験してみてはいかがでしょうか。

 

■提供/関連リンク

キリンビール

麒麟特製レモンサワー

ノンアルにはない飲みごたえ!“0.5%の微アル”が決め手の新作「アサヒ ビアリー」は製法も前代未聞

3月30日に首都圏・関信越エリアの1都9県で先行発売された、アサヒビールの新商品「アサヒ ビアリー」。アルコール度数1%未満の“微アル”という、消費者のライフスタイルの変化に合わせた新しい提案です。本稿では、「アサヒ ビアリー」のスペックや開発された背景、そして実際に飲んでみた、味わいをレポートしていきます。

 

↑微アルコールの新カテゴリーを打ち立てた「アサヒ ビアリー」。希望小売価格は税抜181円です

 

「脱アルコール」の新製法で本格的な味わいを実現

2020年12月から、アサヒビールでは「スマートドリンキング」を提唱しています。これは2021年6月までに各商品の純アルコールグラム量を開示するほか、2025年までにアルコール度数3.5%以下の商品構成比20%を目指すという具体的なアクションとともに、お酒の飲み方の多様性を提案する取り組みのこと。

 

同社が目指すのは、お酒を飲める人、飲めない人、あえて飲まない人など、誰もがそれぞれのシーンや気分に合わせて、自分のペースでドリンクを楽しめる世界の実現。その取り組みの背景には、お酒に関しての世界的な潮流も影響しています。

 

↑様々な人々の状況や場面における “飲み方”の選択肢を拡大。多様性を受容できる社会を実現するために商品やサービスの開発、環境づくりを推進していくとか

 

さらに海外では、自らすすんで低アルコール・ノンアルコールを選ぶ「ソバーキュリアス」がトレンド。健康志向をはじめとする多様な考え方を受け入れ、「節度を持って自律的にアルコールと向き合う」というスタイルは、今後日本でも広がっていくことが予想されます。とある統計によると、すでに日本人の成人のうち半分はお酒を飲まないとか。そこには下戸で飲めない人だけでなく、飲めるけど自主的に飲まない人も多く含まれています。

 

↑アジアにおけるアルコール0~0.5%のボリュームは、まだ欧州と比べれば小さいものの、順調な伸長率で今後の成長が期待できるそうです

 

ただ、日本でソバーキュリアスが一般的になるには、課題があります。それは、日本国内で現在発売されているノンアルコール飲料・低アルコール飲料の満足度の低さ。アサヒビールの調査によると、およそ8割もの人が「ノンアルコール飲料」に味や飲みごたえで物足りなさを感じているという結果が出たそうです。そこで、低アルコールを実現しつつも、高い満足度を得られる商品として、「アサヒ ビアリー」が開発されたのです。

 

↑本格的なビールのおいしさと“微アル”を両立させた革新的な商品です

 

「アサヒ ビアリー」の商品コンセプトは、本格的なビールのようなおいしさを、シーンやペースに合わせて自由に楽しめる、ということ。そのために「脱アルコール」という新しい技術が採用されています。ざっくりいうと、普通のビールから、アルコール分だけを取り除くという製法です。

 

↑ビールらしい香味を残したままアルコールを除去するために、温度・圧力を変更しながら蒸溜試験を重ねること約100回。試行錯誤と試験製造を経て、最適な製造方法を見出したとか

 

まずは100%ビール由来原料を使用して、香り豊かでコク深いビールを醸造します。それからじっくりと時間をかけて、アルコール分だけを蒸溜して除去していくのです。そうすることで、ビールが本来持っている発酵による複雑な香りや、本格的な麦のうまみをキープ。きめ細かな泡もそのままで、上質なビールの飲みごたえを楽しめます。

 

ちなみに「アサヒ ビアリー」は法律上の区分では、ビールではなく炭酸飲料。アルコール度数を0.5%にした理由は、試作段階でいろいろと飲み比べた結果、味の評価が最もよかったからだそうです。

 

想像以上の飲みごたえ。料理にもよく合う

そんな、脱アルコールの新技術によって生まれた「アサヒ ビアリー」。第一印象として、黒を基調としたパッケージデザインが上質さを感じさせます。そしていよいよ、缶を開けて飲んでみることに。

 

↑黒ベースに映える金色の文字。パッケージの表面に施されたマットでザラッとした加工も、高級感を演出します

 

ん? 明らかにこれまでのノンアル系のビールよりも飲みごたえがあります。ベースがれっきとしたビールだからか、0.5%のアルコールが効いているからなのか、とにかくノンアルとは一線を画す“ビールの存在感”があります。

 

↑しっかりとした飲みごたえ。一口でノンアルとの違いを実感できます

 

グラスに注いでみると泡立ちもパワフルで、爽快感やのど越しも十分。一般的なビールに比べれば、麦のうまみや苦味といった輪郭はおとなしめですが、水っぽいとか味が薄いという印象はなく、ゴクゴク飲めるライトでやさしいビールといったニュアンスです。

 

↑泡の質感もきめ細かくて本格的です

 

↑これで微アルとは驚き。気軽に飲み進められます

 

せっかくなので、フードとのペアリングも試してみました。今回はビールと相性のいい揚げ物ということで、みそかつを用意しました。

 

「アサヒ ビアリー」の爽快感が肉や油のジューシー感を適度にリセットしてくれるのはもちろん、みそだれの甘じょっぱさと麦のうまみが調和して好相性です。繊細な和食から濃厚な洋・中の料理まで、しっかりマッチすると思いました。

 

↑アマノフーズから限定発売されている、人気の「フリーズドライの匠 みそかつ」(1食税別700円)を用意。様々な勝利と相性がよさそうです

 

「アサヒ ビアリー」は350ml缶で価格は税抜181円。一度ビールを作ってからアルコールを抜いていると考えれば、納得の値段といえるでしょう。まず関東の1都9県で販売されて、6月29日から全国で発売予定です。休肝日を設けたいけどノンアルでは物足りないという人、ビールは好きだけどすぐに酔ってしまうという人などは、ぜひ試してみてください!

 

 

 

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果実系チューハイ「アサヒ贅沢搾り」がリニューアル。飲めばリッチなほろよい気分に

酒類の市場で大きく伸長しているカテゴリーが、缶チューハイなどに代表されるRTD(=Ready To Drink、開封してすぐ飲めるドリンク)です。数ある商品群のなかでも、圧倒的な果実感で人気を博しているのが「アサヒ贅沢搾り」ですが、3月9日からリニューアルされていることをご存知でしょうか。

 

↑アサヒビールの人気RTDがリニューアルしました! 価格は350ml缶が141円、500ml缶が191円(ともに税抜)です

 

 

本稿ではアサヒビールが開催した発表会より、同ブランドの紹介や、トレンドに裏打ちされたリニューアルの背景、進化した商品の中身などについて解説します。

 

豊かな果実感で人気の「アサヒ贅沢搾り」シリーズ

2018年に発売された「アサヒ贅沢搾り」は、“果実感”にこだわった缶チューハイブランド。果実1個分もしくは1/2個分の果汁を使用した、贅沢な味わいが特徴です。他のメーカーからも果実系チューハイはリリースされていますが、そのなかでも果汁の割合が特に多い印象です。

 

2020年に一度リニューアルされたのですが、その際は“まるかじりチューハイ”というコンセプトのもと、果実をまるごとかじったような味わいを実現。シリーズの特徴だった果実感に磨きをかけました。

 

↑あふれる果実感をいっそう楽しむには、開栓前に缶を逆さにしてから飲むのがオススメ。これも「アサヒ贅沢搾り」の特徴です

 

商品リニューアルや期間限定フレーバーの発売などを積極的に仕掛けた結果、2020年のシリーズ販売箱数は計507万箱、前年比121%と過去最高になったそうです。これからもアサヒビールの主力RTD商品として、さらなる商品展開が期待されます。

 

 

「家でプチ贅沢を楽しみたい人」が増えている

そんな「アサヒ贅沢搾り」ブランドが、この春に再びリニューアルを実施。売れ行き好調だった同商品をあえて再リニューアルする背景には、コロナ禍における消費者のライフスタイルの変化がありました。

 

アサヒビールの調査によると、消費者が生活をするうえで「家族との食事や団らんの時間を持つ」「家でゆっくり過ごす」「趣味の時間を持つ」など、家の中での生活を充実させたいという意識が高まっているとのこと。例えばお取り寄せグルメを堪能したり、好きなお酒を自分のペースでゆっくりと楽しんだりといった“ちょっとした贅沢”への志向が見られたのです。

 

2020年に顕在化したもうひとつの傾向が、「酒類エントリー層」の増加です。これはもともと酒類をリピートしている人たちではなく、新しくエントリーする層。つまり、いままでお酒を買わなかったライトなユーザーたちの購入量が、コロナ禍を機に伸びているのです。

 

↑ライトなユーザーによる酒類の購入数が増えています ※アサヒビール社「アサヒ贅沢絞りリニューアル発表会」の資料より抜粋

 

そんな消費者動向を背景に行われた今回の「アサヒ贅沢搾り」のリニューアルでは、「たっぷり果実で、ほんのりよえる。」という新たなブランドメッセージを掲げ、果実の味わいをさらに強化。従来の果実系チューハイのユーザーだけでなく、若年層やちょっといいものを楽しみたいユーザーなど、幅広い層へのリーチを図っています。

 

果汁たっぷりの新商品をご紹介

それでは今回リニューアルされた商品をチェックしていきましょう。全体的な中味の特徴としては、熟した果実を食べた時のような豊潤な味わい。“食べごろ”の果物の、ジューシーな味わいとフルーティな香りがアップしました。アルコール度数は控えめの4%で、贅沢な果実感とほろ酔い気分を楽しめます。パッケージからも果実味と品質のよさを感じさせます。

 

↑グレープフルーツ果実1/2個分の果汁41%を使用した「アサヒ贅沢搾りグレープフルーツ」

 

↑食べごろのグレープフルーツのような、みずみずしい香りと、ジューシーな味わいが特徴

 

↑桃果実1/2個分の果汁31%を使用した「アサヒ贅沢搾り桃」

 

↑食べごろの桃のような、芳醇な香りと、ジューシーな味わいが特徴

 

↑キウイ果実1/2個分の果汁13%を使用した「アサヒ贅沢搾りキウイ」

 

↑食べごろのキウイのような、華やかな香りと、甘酸っぱく爽やかな味わいが特徴

 

↑レモン果実まるごと1個分の果汁14%を使用した「アサヒ贅沢搾りレモン」

 

↑食べごろのレモンのような、みずみずしい香りと、フルーティで好バランスな味わいが特徴

 

↑ぶどう果実1/2房分の果汁37%を使用した「アサヒ贅沢搾りぶどう」

 

↑食べごろのぶどうのような、みずみずしい香りと、ジューシーな味わいが特徴

 

これらの通年商品に加えて、今回の発表会では、期間限定フレーバーのパイナップル味もお披露目されました。こちらは2020年に実施したリニューアル記念キャンペーンの景品として作られたアイテムがベースになっています。飲んだユーザーたちから大好評で、商品化のリクエストが寄せられたことから、全国発売が決定しました。

 

↑パイナップル果実1/12個分の果汁25%を使用した「アサヒ贅沢搾り期間限定パイナップル」

 

↑パイナップルの芳醇な香りと、ジューシーな味わいが特徴

 

各商品を飲んでみると、やはりその果実感は圧倒的。気軽に飲めるRTDで深くジューシーな味わいを楽しめるのは、何だか得した気分になります。家飲みでちょっとリッチな気分を味わいたいときに、新しく生まれ変わった「アサヒ贅沢搾り」をお試しください!

 

 

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キリンの秘蔵っ子「496」の弟分が缶でデビュー! 飲んでみたら「フレンドリーすぎるクラフトビール」だった

大手ビールメーカーのなかで最もクラフトビールに注力しているキリンビールが、3月23日に新商品を発売しました。その名は「SPRING VALLEY 豊潤<496>(スプリングバレー ほうじゅん ヨンキューロク)」。

 

↑「SPRING VALLEY 豊潤<496>」。希望小売価格は350mlが248円、500mlが330円(ともに税抜)。完全数である調和のシンボル「496」が名称の由来となっています

 

クラフトビール好きの人ならキリンの496はご存知でしょう。ただ、従来の496とは味わいもブランディングも違うとのこと。また既存のクラフトビールブランド「グランドキリン」とも異なる戦略で展開していくとか。

 

↑「スプリングバレーブルワリー」直営店では3月1日から生樽で発売(税込780円/360ml~)。従来の496は「オリジナルヨンキューロク」として同価格飲めます

 

「SPRING VALLEY」というのは、約130年前に横浜で設立された「スプリングバレー・ブルワリー」という、日本で初めて商業的な成功を収めたビール醸造所のこと。そしてキリンビールの前身「ジャパン・ブルワリー・カンパニー」は、その跡地に設立されました。つまりはオマージュ。

 

↑「スプリングバレーブルワリー」のホームページより。日本初のビアガーデンも、ここで生まれたそうです

 

この、原点ともいえるブランドを冠して全国発売するというところに、なみなみならぬ本気度が見えるのです。そこで改めて「クラフトビールとはなんぞや」という基本的なところに触れながら、商品発売の背景、味わいレポートなどをお伝えしていきます。

 

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クラフトビールがCMで流れる時代が来た!

クラフトビールは、小規模な醸造所で職人たちが作ったビールを手工芸品(クラフト)に例えたのが始まりとされていて、アメリカのビール醸造者協会「ブルワーズ・アソシエーション」では、クラフトビールメーカーを「1.小規模であること 2.独立していること 3.伝統的であること」と定義しています。ただし現在では世界的な規模に成長したクラフトブルワリーもあり、小規模とは限りません。キリンとしては「造り手の完成と創造性が楽しめるビール」「パッションが感じられるビール」と考えているのこと。

 

↑オンライン体験会にて。キリンビールの田山智広マスターブリュワー(左)と、同社スプリングバレー マーケティング担当の吉野桜子さん(右)がいろいろ教えてくれました

 

なおクラフトビールは比較的高額であり、同様に高額であるプレミアムビールとの違いはどこにある?と思う人もいるでしょう。こちらに関してはひとついえることは、プレミアムビールは高品質な素材や贅沢な造り方を用いることで、プレミアムでないビールと差別化をはかったもの。ヒエラルキー(階層的構造)のもと階級で分けられ、上位に位置付けられているビールともいえるでしょう。

 

一方のクラフトビールは優劣や階級を位置づけず、多様な味を楽しむビールです。価格がプレミアムビール以上に高いものが多いのですが、それは個性的な味を目指して希少なホップや副原料などを大量に使っているから、乳酸発酵や木樽熟成など特殊な製法を用いているからという理由がほとんどです。

 

↑「SPRING VALLEY 豊潤<496>」も目指す味わいを求めた結果、「キリンラガービール」の1.5倍の麦芽量、希少な4種のホップを組み合わせで造られています

 

クラフトビール大国・アメリカからのトレンド派生や多様化の流れなどで、日本でもクラフトビールの造り手と飲み手が増えています。ではなぜキリンは今回、「SPRING VALLEY 豊潤<496>」を新発売するのでしょうか。そこには「ビール類市場をもっと魅力化・活性化させたい」という想いがあり、そのためにはクラフトビールのさらなる認知拡大と飲用体験の創造が欠かせないから、ということなのです。

 

↑体験会の資料より。キリンはこれまでも、クラフトビールを盛り上げるための施策をいくつも展開しています

 

これは、クラフトビールが盛り上がっているとはいえ、飲んだことがない人はまだまだ多いということなのでしょう。そこで、コンビニやスーパー、ドラッグストアなど身近な店で販売していくのはもちろん、大定番の「一番搾り」「本麒麟」同様にCMなどでプッシュし、商品を認知させていくとのこと。クラフトビール商品がCMで流れるというのは、きわめて画期的。ここにもキリンの本気度がうかがえます。

 

そんな「SPRING VALLEY 豊潤<496>」は、いったいどんな味わいなのでしょうか。いよいよ飲んでみることに。

 

個性的な味ながら飲み疲れなくてフレンドリー

前述したように、「SPRING VALLEY 豊潤<496>」は「キリンラガービール」の約1.5倍となる麦芽を使い、ホップは4品種をブレンド。また、発酵中にホップを投入して7日間じっくり漬け込むなど、キリン独自の「ディップホップ製法」という香り付けで、苦味は抑えながら豊潤な香りを実現しているのが大きな特徴です。

 

↑一般的な金色のビールに比べると、濃いめのアンバーカラー。なお、多くのクラフトビールは香りが魅力なので、グラスに注いだほうがよりおいしく楽しめます

 

飲んで感じるのは、クラフトビールらしいインパクトがありながら、重厚感や鮮烈な香りがいい意味で抑えられていて、バランスよくまとめられているところ。コクは濃厚ながら重すぎず、苦味はあってもキツすぎず、余韻はすっきりしていてキレも十分。香りは柑橘系も感じさせつつフローラルなほうに寄っていて、エレガントな方向性です。

 

↑泡のきめ細やかさやボリュームも印象的。多くのクラフトビールは泡に特徴をもたせないのですが、あえて泡立ちを前面に押し出しているのもポイントです

 

コクが豊かで香りが華やか。味のボリュームがありながら、後口がクリアでのどごし爽快。クラフトビールは個性的な味わいが特徴なので、慣れていれば気になりませんが、何杯も飲めないという人も少なくないでしょう。この「SPRING VALLEY 豊潤<496>」はそういった飲み疲れがないフレンドリーなおいしさになっていて、どんな料理にもよく合う味となっています。

 

↑「缶つま」の「厚切りベーコンのハニーマスタード」とともに。マスターブリュワーの田山さん曰く、「SPRING VALLEY 豊潤<496>」はロースト麦芽を使っているため、スモークやローストした料理とよく合うそうです

 

また、特にチーズを使った料理との相性が抜群で、トマトなどの酸味やスパイス、ハーブなどにもよく合うとのこと。筆者はチーズケーキやピザと合わせてみましたが、確かにお互いの個性を引き立て合うおいしさで、ベストペアリング!

 

↑チーズケーキなら、コク深いベイクドタイプがオススメ。バスクチーズケーキも絶品です

 

↑ピザにビールという組み合わせは鉄板ですが、香りやコクが豊かな「SPRING VALLEY 豊潤<496>」は、よりリッチなおいしさを演出します

 

「苦味が強いクラフトビールはちょっと」「クリーミーな泡がビールの魅力」「爽快感やのどごしが大事」といった、従来のビールファンも満足できるはずの「SPRING VALLEY 豊潤<496>」。価格が比較的手ごろで、身近な店で買える手軽さも嬉しいこの新商品、ビール好きの人はぜひ飲んでみてください。

 

 

 

今キテる「紹興酒」の多彩な飲み方&テイクアウトで楽しむ「家中華」

おうち時間の増加で、中華料理のテイクアウトやデリバリーを自宅で楽しむ方も多いはず。今回は、自宅で中華料理を楽しむシーン=「家中華」に合う紹興酒の飲み方をご提案します。

おかずにもつまみにもなり、バラエティが豊富でコストパフォーマンスも高い中華料理。そんな中華料理に合うお酒といえば、真っ先に思い浮かぶのが紹興酒です。

 

とはいえ、イメージはできるものの、紹興酒は飲み方がよくわからない……という方も多いでしょう。そこで今回は、お酒と中華料理に関わりの深い3人が人気のテイクアウト中華を持ち寄り、紹興酒とのペアリングを提案する試飲&試食会を実施。以前公開した「紹興酒の基本」の記事を参考に、紹興酒の多彩な飲み方に合う料理をご紹介していきます。家で試してみたくなるペアリングばかりなので、ぜひ参考にしてみてください!

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

【今回紹介するペアリングの料理はこちら】

 

3人の酒好きが、紹興酒の多彩な飲み方とペアリングを提案

「家中華」の試飲&試食会に集まったのは3人の酒好きたち。今回は、GetNavi web編集部の小林史於(こばやし・しお)と、フードライターの中山秀明(なかやま・ひであき)さん、中華料理の識者である菊池一弘(きくち・かずひろ)さんが参加します。

↑フードアナリストでもある中山秀明さん(左)は、紹興酒や中華料理関連の取材・執筆も多数。「中華料理もっと向上委員会」で議長を務める菊池一弘さん(中央)は北京への留学経験があるうえ、以降も2019年までは毎年訪中していたそう。紹興酒の故郷・紹興市を訪れたこともあり、紹興酒にも造詣が深いです。小林史於(右)はきき酒師の資格を持ち、紹興酒も大好き

 

試飲&試食会で使うのは、塔のマークと赤いラベルで日本でもおなじみの紹興酒「塔牌(とうはい)」花彫 <陳五年>です。こちらをベースに様々な飲み方を試しつつ、各人が持ち寄ったテイクアウトの中華料理と組み合わせて、自由にディスカッションしていきます。

↑紹興酒「塔牌」花彫 <陳五年>。「塔牌」は伝統製法にこだわり、水質が最も安定する冬季にのみ仕込むため、味わいも香りも豊かなのが特徴です

 

ロックはうまみが凝縮された「腸詰」と合わせて

小林 みなさん、本日はよろしくお願いします! 紹興酒の飲み方といえば、ロックかストレートというイメージですよね。まずはそれに合う料理から知りたいです。中山さん、どんな料理がオススメなんですか?

 

中山 ロックには、羊肉の腸詰なんてどうでしょうか。紹興酒は日本酒よりもアルコール度数がやや高く(16度)、ロックにすることで味がキュッと引き締まるので、うまみを凝縮させた腸詰が合うと思って選びました。冷菜なので温度帯も合うと思いますよ。どうぞ、合わせてみてください!

↑紹興酒のロックには羊肉の腸詰を合わせていきます

 

菊池 うん! 羊独特のコクが紹興酒の旨みとマッチして、いいですね。定番の豚肉の腸詰や、甘めの台湾腸詰も合いそうです。

 

小林 腸詰ってどことなくサラミの味に似ているから、サラミでも合いそうですね! ほかの料理だとどうですか?

 

中山 チャーシューなどの肉系のおつまみが合いますよ。野菜なら千切りじゃがいもの中華サラダ、中華風のたたききゅうりといったラー油を効かせた冷菜にも合うと思います。

 

ストレートは濃厚な「トンポーロー」と相性バツグン

小林 続いて、紹興酒のストレート。「紹興酒の基本」で習った通り、こちらは大ぶりのワイングラスで飲むのがいいんですよね。相性のいい料理として、トンポーロー(豚バラ肉の煮込み)をご用意いただきました。

↑紹興酒のストレートとトンポ―ローを合わせます

 

中山 トンポーローは、紹興酒の故郷、紹興市がある浙江省(せっこうしょう)の郷土料理。沖縄だったら泡盛にラフテー(豚角煮)を合わせるように、同じ地域のものを合わせてみました。あとは、八角を使うのがトンポーローの特徴なんですが、その独特なフレーバーが紹興酒とマッチするはずです。

 

小林 なるほど、いただきます! ……おお、確かにウマイっ! 濃厚な味わいに紹興酒の旨みが絡み合って、まろやかさが増した気がします。ああ、八角の甘い香りがまた、紹興酒と合うんだな……。常温の紹興酒は口当たりがスムーズで、トンポーローとの相性も抜群です!

菊池 そもそもトンポーローは紹興酒を使うレシピが多いので、相性は間違いないですよね。あと、浙江省は醤油や砂糖をよく使う文化圏で、この甘辛い味付けに紹興酒はドンピシャです。

 

中山 その意味では、中華ちまきなども合うと思いますよ。浙江省の嘉興(かこう)市は、ちまきが有名な街ですしね。

 

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燗には「ブロッコリーの塩にんにく炒め」がオススメ

小林 では、続いて菊池さん、「紹興酒の基本」でも紹介した燗にオススメの料理を教えてください!

 

菊池 ブロッコリーの塩にんにく炒めはいかがでしょうか。燗のやさしい口当たりに、野菜本来の甘味と乳化した油のとろみが効いたまろやかな味がすごく合うんです。

↑紹興酒の燗とブロッコリーの塩にんにく炒めのペアリング。紹興酒の温め方は、湯せんでも電子レンジでもOK。40℃ぐらいのぬる燗がオススメ

 

中山 いただきます! おお、すごく合いますよ、これ! いつまでも食べていたくなる……そんな、幸せな組み合わせです。

 

菊池 でしょう? 野菜は豆苗やチンゲンサイのような青菜でもいいですよ。

 

小林 なるほど…それもそうですが、紹興酒の燗ってこんなにウマイんですか!?  前回は「紹興酒は乳酸が多く、乳酸は温めると味わいがふくらむ」と教えてもらいましたが、本当に丸みが出て、香りも立ちますね。激ウマです!

 

菊池 ホントですね! 改めて飲みましたが、こりゃウマイ!

 

中山 確かに。ああ~ウマイ……(一同、しばらく燗の旨さに浸ります)

菊池 ちなみに、中華の甘味と紹興酒の燗を合わせるのもオススメですよ。

 

小林 中華スイーツというと、ごま団子などですか?

 

菊池 はい。ごま団子もそうですが、あんこ系は合いますね。イチオシは月餅(げっぺい)です。月餅はあんにラードを練り込むことが多く、そのこってりした甘さが、燗をした紹興酒とよく合うんですよ。

 

小林 へえ、あんこと紹興酒が合うなんて。今度試してみます!

 

 

紹興酒の炭酸割り「チャイナハイボール」の美味しいレシピとは?

小林 さて、ここからは、紹興酒を割り物で割るライトな飲み方も提案したいと思います。なかでも、これからの季節は爽やかな炭酸割りのニーズが高まるはず。ということで、紹興酒の炭酸割り、通称「チャイナハイボール」のおいしい作り方を事前に中山さんに研究してもらいました。中山さん、お願いします!

 

中山 はい! 色々試したんですが、紹興酒と炭酸水(炭酸)の割合は紹興酒1に対して炭酸2(アルコール度数5%強)というのがベストだとわかりました。1杯の目安は紹興酒が90ml、炭酸が180mlですね。もうひとつのポイントは、甘味を加えること。砂糖はとけにくいので、ガムシロップを入れましょう。冷たくして炭酸で割ると、紹興酒の甘味がおとなしくなるので、そこを補強するイメージですね。

↑紹興酒の量は炭酸の半分が目安

 

↑ガムシロップを投入。量は紹興酒が90mlであれば10~15ml(ポーション1個分)が目安。ガムシロップの代わりにはちみつや黒みつを使ってもOKです

 

小林 なるほど。作り方のポイントはどこですか?

 

中山 氷に紹興酒とガムシロップを注いだら、炭酸を注ぐ前にしっかり混ぜて冷やすことですね。あとは、炭酸を注ぐときも炭酸ガスが飛ばないようにやさしく注ぎ、仕上げのステア(かき混ぜること)もゆっくりと。ちなみに、今回は用意していませんが、レモンスライスを浮かべると、ほど良い酸味が味を引き締めてくれるのでオススメですよ。

↑炭酸を注ぐ前に、しっかり混ぜるのがコツ。マドラーを使って氷を水平方向に動かします

 

↑炭酸は少しずつゆっくり注ぎましょう

 

↑最後に上下の濃さを均一にすることを意識しながら、ゆっくり1~2回混ぜれば完成!

 

小林 では、完成品を単独でいただきます! おっ、グッとのどごしが良くなって、爽やかになりました。飲みやすいし、複雑な旨みと香ばしさも感じられます。うん、絶妙な味加減。さすがは中山さんです!

 

中山 ありがとうございます! ちなみに、僕は紹興酒のトニックウォーター割りもすごく好きです。甘味を足す必要がないですし、トニックウォーターの風味がよく調和しますから。こちらもぜひ試してみてください!

 

酒噺の人気シリーズ「東京・大衆酒場の名店」のバックナンバーはこちら▼

・第1回 【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

・第2回 【東京・大衆酒場の名店】初心者女子と楽しく学ぶ! 篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺

・第3回 【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺

・番外編 大衆酒場の酎ハイに欠かせない「下町炭酸」を飲み比べる噺

 

チャイナハイボールには「焼売」と「餃子」がドンピシャ

小林 ではペアリングに戻りましょう。さきほどレクチャーいただいた「チャイナハイボール」に合わせる料理として、定番の焼売(シウマイ)はいかがでしょうか。爽やかな飲み口が、焼売の油っこさを切ってくれると思います。

↑チャイナハイボールと大ぶりの焼売をペアリング

 

菊池 その着眼点はいいですね!  焼売は肉のうまみや玉ねぎの甘味がよりピュアに感じられるから、それが紹興酒の甘さと引き合うはず。…うん、やっぱり合う!

小林 では、続いて菊池さん、もうひとつ炭酸割りとのペアリングを提案して頂いたんですよね。

 

菊池 はい、炭酸割りにはやっぱり餃子。紹興酒がベースなら、肉のうまみが力強い羊肉の餃子がいいと思います。こちらは羊肉料理が有名な、都内で人気の「味坊」グループでテイクアウトしました!

↑チャイナハイボールと羊肉の餃子をペアリング

 

小林 あぁ、ジューシーで独特の風味がある羊肉、皮のサクサク感があいまってパンチ力がスゴイ! これは爽やかなチャイナハイボールがぴったりです!

 

中山 チャイナハイボールは、ウイスキーのハイボールと違って、オリエンタルな香りが絶妙ですよね。この妖艶なフレーバーは、羊だけでなく、パクチー、セロリ、しそなどパンチのある香りには間違いなく合うと思います。

 

ウーロン茶割りには酸味が際立つ「黒酢の酢豚」がマッチ

小林 紹興酒のウーロン茶割りもさっぱり飲めていいですよね。これに合わせるなら、黒酢の酢豚はどうでしょう。なんとなく、ウーロン茶の独特な酸味が、黒酢の酸味にマッチするかなと。

↑ウーロン茶割りと黒酢の酢豚をペアリング

 

菊池 おお、これはいいですね! ウーロン茶は発酵茶葉で独特の渋味があり、発酵食品との相性がいい紹興酒がマッチしています。黒酢はうまみ成分のアミノ酸が豊富ですから、同じくアミノ酸の多い紹興酒と合うんでしょうね。ウーロン茶割りならホイコーローや麻婆豆腐といった、濃くてピリ辛の料理もよく合うと思いますよ。

中山 ウーロン茶自体が濃厚な料理に合いますからね。前菜の点心系には炭酸割りでさっぱりと、中盤のこってり系にはウーロン茶割りですっきりと楽しむのもありだと思います。

 

ジャスミン茶割りと「発酵白菜と豚肉の炒め物」は相性バツグン

菊池 では、私から最後の提案です。ジャスミン茶割りと「酸菜炒肉」(スァンツァイチャーロー)のペアリングはいかがでしょう。この料理は発酵白菜と豚肉の炒め物。発酵白菜はいわゆる漬け物で、酸味のあるさっぱりした味わいですよ。

↑香り豊かなジャスミン茶割りと酸菜炒肉を合わせます

 

小林 この料理、クセになるウマさですね! 発酵白菜の酸っぱさと塩味がやさしく調和して、豚肉の脂とひとつにまとまっている印象。白菜の酸味が、軽やかなジャスミン茶割りとバッチリ合います!

 

中山 ジャスミン茶割りもフルーティでおいしい! 香りのニュアンスが変わって面白いです。

 

菊池 知らない人が飲んだら、「これは何のカクテル?」ってなりそうですよね。女性にもオススメです。この味わいなら、八宝菜のような塩味の野菜料理もマッチするんじゃないでしょうか。

 

「家中華」で紹興酒を多くの人に楽しんでもらいたい

小林 いやー、本当にすべての組み合わせが美味しかったです。これが家で楽しめるってすごいことですね。お二人は今回の試飲&試食会を振り返ってみて、いかがでしたか?

 

中山 紹興酒のおいしさを再認識しました。王道のストレートや燗も抜群にウマイですし、中華料理に合わせると止まらなくなりますね! 炭酸割りをはじめ、いろいろな割り方も研究できて勉強になりました。

 

菊池 僕も面白かったです。紹興酒って中華料理好きや玄人向けのお酒というイメージがあると思いますが、割ればアルコール度数も下がりますし、ライトに楽しめて可能性が広がりますよね。あと、やっぱり中華料理との相性がピカイチ! 僕自身、これからいっそう声を大にして、紹興酒と中華料理との相性のよさを叫んでいきますよ!

 

小林 確かに、「家中華」で紹興酒は間違いのないスタイルですよね。やろうと思えば手軽にできますから、ぜひ多くの人に試して頂きたいところです。お二方、本日はありがとうございました!

撮影/中田 悟

 

記事に登場したお酒はこちら▼

・紹興酒「塔牌(トウハイ)」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/touhai/

 

・紹興酒「塔牌」花彫 <陳五年> 600ml

https://www.takarashuzo.co.jp/tkr-shohin/cmn_p_detail.php?p_prodid=2275

 

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コロナなんかぶっ飛ばせ! 渋谷のカフェが「エナジービール」を発売!! 飲んでみた

渋谷といえば、東京都内でも最も流行に敏感な街でもある。そんな渋谷の街中のカフェがCBDビールという名前のビールを発売した。CBDとは、「Corona Break Days」の略。「コロナを壊す日々」といった意味だろうか。そんな勇ましい名前が話題となったのか、12月に売り出した初回生産分が完売。増産分を売り出し、好調な売れ行きを示しているとか。どのような理由で、この名前にしたのか、販売するカフェを訪ねた。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

【CBDって何①】CBDの粉を含むことからCBDビールと名付けた

CBDビールを発売したのは株式会社LD&K。渋谷の「宇田川カフェ」などカフェ・レストランを中心にバーやスナック、炭火焼ジビエや火鍋専門店、ライブハウス、ゲストハウスなど全国で33店舗を展開している。

 

コロナ禍で同社も厳しい現状に直面してきた。そうしたなか、何とか明るく元気になればと思って発売したのが、CBDビールだった。

 

昨年の12月17日に発売を始めたところ、またたく間に用意した2100本が売り切れとなってしまう。宇田川カフェの店売り890円、直売価格が700円。また東急百貨店では490円、通販でも3本入り1800円(それぞれ税別)と、ビール(330ml/瓶売りのみ)としては高い印象であるのに関わらずだ。CBDビールには、チル(chill)&リラックス(relax)という、いわばサブタイトルのような名前がプラスされている。チル&リラックスは「落ち着いてリラックスする」という意味だろうか。

 

どのような内容のビールなのか深堀してみた。

↑渋谷の「宇田川カフェ」で飲むことができる「CBDビール」(左)。右は渋谷を元気に、と6年前から販売の「シブヤビール」

 

CBDビールは通常のビールとは異なり、CBDの粉末と、レモンの皮成分が含まれている。CBDとはカンナビジオールのこと。最近は、コーヒーや化粧品、ハチミツなどにもこのCBDを含んだ製品が出されるようになっているので、流行に敏感な人たちの中には、この成分名をご存知の人もいるのではないだろうか。

 

とはいえ、カンナビジオールという成分名を聞いても、なかなかピンとは来ない。このCBDビールを発売する株式会社LD&Kの水野直人さんは次のように話す。

 

「『CBDと言ってもなかなか伝わらない。ならばコロナ・ブレイク・デイズとしてもおもしろいのでは』と言うスタッフがいたんです」。そうした言葉の遊びから商品名は「Corona Break Days(コロナ・ブレイク・デイズ)」となったようだ。

 

では、カンナビジオールとは何なのだろう。実は大麻草に含まれる天然成分だと言う。それって“やばくない”?

 

【CBDって何②】日本でも正式に認可された安全な天然成分

大麻草というと、ついすべてが不法なのではと考えてしまう。実は大麻草の成分の中ですべてが悪者というわけではない。陶酔感を引き起こす成分はテトラヒドロカンナビノール(THC)とされる。対してカンナビジオール(CBD)は、依存性がなく安全でさまざまな薬効成分が含まれ、医薬品にも使われている素材だ。

↑CBDビールのパッケージは脳波が脈打つようなイラストが描かれる。原材料を見ると麦芽などとともにCBDの文字が入る

 

人間の体に悪さを仕掛けるTHCとCBDは全く別物を考えて良い。日本国内でCBDは正式に役所が認可した天然成分である。薬にも活かされている。また適度のリラックス効果などももたらすとされている。

 

振り返って日本の歴史をたどってみれば、大麻を含む麻は着物などにも使われ、暮らしに密着してきた。麻布など「麻」が付く地名もある。しめ縄や、神事で使われるおはらいは、実は大麻(おおぬさ)が使われているのだ。

 

【CBDって何③】少しばかりCBDビールを試飲させていただいた

それでは、ということでCBDビールを少しだが、試飲してみた。口に含むと地ビールに多いエールの味が薄く感じられる。筆者はどちらかといえば、エールがあまり得意ではないので、この味が薄れているのはうれしく感じられた。またレモンの皮成分が入っているそうで、フルーティな印象で軽やかさがあった。さて、CBDの効果は?

 

仕事上に飲んだということもあり、残念ながらリラックスとはいかなかった。渋谷では「宇田川カフェ」ほか、「宇田川カフェ別館」「cafe BOHEMIA」などで楽しむことができる。

 

このCBDビール、皆さんはどのように感じられるだろうか。ぜひ試していただきたい。

 

↑渋谷ロフトに隣接する宇田川カフェ。通常時の営業は11〜翌5時だが緊急事態宣言中は20時までの営業となる。TEL03-6416-9087

 

↑宇田川カフェは鮮やかな青色の外壁とお洒落な内装のカフェ&レストラン。撮影スポットとして使われることも多い

 

↑CBDビールに合うと人気の渋谷キーマカレー(1100円・税別)。エスニックな味とCBDビールが相性ぴったり

 

 

知っておきたいワインの蘊蓄|ソムリエが解説する「イタリアワイン」の5産地にまつわる話

自宅でワインを楽しみたい、できれば産地や銘柄にもこだわりたい、ワインを開けて注ぎ、グラスを傾ける仕草もスマートにしたい……。そう思っても、基本はなかなか他人には聞きにくいもの。この連載では、そういったノウハウや、知っておくとグラスを交わす誰かと話が弾むかもしれない知識を、ソムリエを招いて教えていただきます。

 

「ワインの世界を旅する」と題し、世界各国の産地について、キーワード盛りだくさんで詳しく掘り下げていくこのシリーズ、「フランス」に続く今回は、「イタリア」。寄稿していただくのは引き続き、渋谷にワインレストランを構えるソムリエ、宮地英典さんです。

【関連記事】ワインの世界を旅する 第1回 ―フランスと5つの産地―

 

イタリアワインを旅する

紀元前にイタリアに入植したギリシャ人は、イタリアの地を“ワインの大地=エノトリーア”と呼んだといわれています。現代でも、イタリアのように国中の全土と言っていいほど、さかんにブドウ栽培が行われている国は珍しく、フランスと肩を並べるほどのワイン生産国。20州それぞれの多様な個性を表現したワインは、その文化と郷土料理と相まって、多くの人を魅了しています。

 

ですが裏を返せば、その多様性はイタリアワインを“難解で選びにくいワイン”にしていることも事実です。その原因のひとつには、現在進行形で議論されていますが、ラベル表示のわかりにくさが挙げられるでしょう。州ごとの個性とはいっても州の名前自体は記載されておらず、「DOCG」や「DOC」、そして「IGT」といった原産地呼称と合わせて消費者目線に立ったラベル表示は、これからイタリアワインがより個性を発露するためにも、課題としてとらえ解決に取り組む必要があるのではないでしょうか。

 

今回は、初心者に向けたイタリアワインの入り口として、代表的な5つの州と5つのワインをご紹介しながら、私が考えるよりわかりやすいイタリアワインの表示と、イタリアワインの選び方をお伝えすることができればと思います。

・ピエモンテ州
トスカーナ
シチリア
ヴェネト
トレンティーノ=アルト・アディジェ

 

ピエモンテ州 ~尾根に連なる美しいブドウ畑と「バローロ」~

ピエモンテの州都トリノは、2006年に冬季五輪が開催されたことでも知られるほか、サッカーチーム「ユヴェントス」のホームタウンといえば、ワインに馴染みのない方でもピンとくるかもしれませんね。

 

19世紀、イタリア王国時代には首都だったということもあり、歴史のあるバロック建築の街並みは荘厳で、往時を想像させる魅力的な都市です。当時からそのままに残る数々の老舗カフェで、原産地呼称指定されているチョコレートドリンク“ビチェリン”を楽しむのも、トリノでの素敵な時間の過ごし方です。

ホットチョコレート、エスプレッソ、生クリームの3層からなる、トリノ伝統の飲料。カフェ・アル・ビチェリンが発祥とされます

 

このピエモンテは、イタリア屈指のワインの銘醸地でもあります。トリノの南東に位置するランゲ&ロエーロ地方では尾根が複雑に絡まりあい、東西南北の斜面にはブドウ樹、平地にはヘーゼルナッツが整然と並び、世界でも類を見ないほどに美しい田園風景が望めます。そんなランゲ&ロエーロのみならず、イタリアを代表するワインのひとつが「バローロ」。バローロ村を中心にカスティリオーネ・ファレット、セッラルンガ・ダルバ、モンフォルテ・ダルバ、そしてラ・モッラの五つの村周辺の畑、バローロの丘に植えられた晩熟のネッビオーロから造られるバローロは、長い熟成を必要とする骨太で重厚な果実とタンニンを持つものから、鮮やかにも感じる芳香を早いうちから楽しめるタイプまで幅広く、ブルゴーニュと比較されるほど、バローロの丘の地質や環境は多様なワインを産み出します。「王のワインにして、ワインの王」ともいわれ、高級イタリアワインの重厚なイメージがあるかもしれませんが、下で紹介する「レヴェルディート」などラ・モッラ村周辺で造られるものは比較的軽やかでリーズナブルなものもあり、初めてバローロに親しまれる方にはおすすめです。

 

バローロの中だけでも、前述したいくつかのエリアでワインのキャラクターは違います。もちろん生産者によって畑を飛び地で所有していることもありますし、ブルゴーニュのように、より地域表示を明確にすることで“テロワール表現”というワインの最大の魅力を表現していくことができるように思います。

 

バローロを飲む機会があったならば、そのワインがどの地域で造られたものなのかを意識してみると、“王のワイン”もより身近なものになるのかもしれません。

 


Reverdito(レヴェルディート)
「Barolo2016(バローロ2016)」
5000
輸入元=ミレニアムマーケティング

 

次のページで取り上げるのは、キャンティ・クラシコで知られる産地、トスカーナです。

トスカーナ ~歴史ある「キャンティ・クラシコ」は、今も進化し続ける~

フィレンツェの南、シエナの北に、「キャンティ・クラシコ」の畑は広がっています。イタリアワインにおいて“クラシコ”とは元来、銘醸畑として認められていたエリアを指しますが、とくに“キャンティ”はラッダ、ガイオーレ、カステッリーナに加えグレーヴェが、18世紀に線引きされた歴史のあるクラシコといえます。これは現在の原産地呼称のオリジナルともいえる、画期的な出来事でもありました。

 

けれどもキャンティ・クラシコとキャンティの“サブ・ゾーン”(キャンティ〇〇とエチケットに記載)、キャンティとだけ表示された広域ワインのエチケットには、どれも「Chianti」の表示が。ワイン初心者にとっては、その品質の差の割に、店頭では区別のつきにくいワインとして長く流通してきたのです。“キャンティ”という響きが銘醸ワインの響きも併せ持っていること、一時期の大量生産の広域ワインが多く流通したことも、日本の消費者にとってはハズレの多いワインのような印象を与えてしまったように思うのです。

 

2014年に、「グラン・セレツィオーネ」という単一畑のキャンティ・クラシコの最上位にあたる新しい呼称が設けられ、キャンティ・クラシコはその品質に見合った高級ワインのイメージを取り戻そうとしています。キャンティ・クラシコの地域ごとの個性、そしてその単一畑の個性が評価されていくのも、これからのことです。例えばボルドーのように、生産者の格付けのようなものが制定されたなら、格付けシャトーとAOCボルドーとの差以上に、優れた生産者と単一畑とキャンティのサブゾーン、広域キャンティがより消費者にとってわかりやすく、また素晴らしいワインを産み出すことにつながらないかと日々夢想しています。

 

長い時間が必要だとは思いますが、イタリアワインを代表する銘醸ワインとして、キャンティ・クラシコがこれからワインを親しむ方にとっても、とっておきの選択肢になることを願っています。

 

そう、フィレンツェの名物料理といえば、赤身のキアーナ牛の「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」。ステーキに合わせるワインとしてキャンティ・クラシコを選べるようになったなら、相当なワイン愛好家といえることでしょう。

 


Rocca di Montegrossi(ロッカ・ディ・モンテグロッシ)
「Chianti Classico2017(キャンティ・クラシコ2017)」
3800
輸入元=ミレニアムマーケティング

 

3つ目に紹介していただくのは、シチリアです。

シチリア ~地中海最大の島にしてイタリア最大の州~

地中海に浮かぶシチリアは、さまざまな文化の影響を受けてきた土地でもあります。ことワインに関しても、アグリジェント市のギリシャ神殿、ピアッツァ・アメリーナのローマ時代のモザイク、パレルモのムーア人の寺院などなど、地中海における宗教の歴史的な遺産を今も多く残しています。

 

ただ、イタリアワインの世界では、ほんの四半世紀前まで輸出用ワインを大量に、それこそイタリア最大規模の生産量を産出する個性のない地域でもありました。それからの10年で、シチリアワインは量から質へ、大きな転換を果たし、ブドウ畑の面積はほとんど変わらないものの、生産量は3割以上減らしました。パレルモ周辺の協同組合も土着品種への関心を高め、さまざまなルーツを持つマスカット品種もまた、成功を収めつつあります。

 

そして、安定して高品質なワインを産み出すようになった産地として、シチリア島の東にあるエトナ山が挙げられると思います。エトナ山は、オリーブやピスタチオ、さまざまな果樹が育つ豊饒な火山灰土壌が特徴で、黒ブドウは「ネレッロ・マスカレーゼ」、白ブドウは「カリカンテ」が、約800mの標高に植えられています。高品質ワインが造られるようになったのはここ最近のはずなのに、品質の安定感はイタリアワイン随一といっても大げさではないほど。徐々に価格も上がってきている銘柄もありますが、ワインショップで見かけたら、ぜひ一度お試しいただきたいとおすすめできる銘柄です。

 

写真の「エトナ・ロッソ」は、スパイスの効いた鮮やかなベリー系の果実に芯のあるストラクチャー、軽やかで、魚介にも肉料理にも幅広く合わせられるワインです。あまりにも幅の広いシチリアのワインも、西と東や南などのイメージがワイン初心者にも伝わるようになったなら、ワイン選びももっと楽になるのかもしれません。

 


Valenti(ヴァレンティ)
「Etna Rosso“Norma”2014(エトナ・ロッソ“ノルマ”2014)」
3200
輸入元=ミレニアムマーケティング

 

4つ目は、中世の街並みを残すヴェローナを擁す、ヴェネトにまつわる話。

ヴェネト ~北イタリア、ヴェローナはロミオとジュリエットの舞台~

中世の街並みを残すヴェローナは、シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』の舞台であり、あのジュリエットのバルコニーがある家は観光名所のひとつとして、旧市街の一角に現在も残っています。また、毎年4月にイタリア最大の見本市「ヴィニタリー」が開催されるのも、ヴェローナ郊外。期間中は、街の商店のウインドウには贔屓(ひいき)の「ヴァルポリチェッラ」や「ソアヴェ」のボトルがディスプレイされ、ワイン好きにとってはウインドウ・ショッピングをも楽しめる街でもあります。2020年は残念ながら開催されませんでしたが、イタリア中のワインが一堂に会するビッグイベントですから、春にイタリアに行く機会があれば、ぜひスケジュールに組み込むことを検討してみてください。

 

ヴェネト州の代表的なワイン畑は、ヴェローナの北側、東のソアヴェから西のガルダ湖へ40kmほどに伸びるヴェローナ丘陵に広がっています。白ワインの代表的な産地に「ソアヴェ」、赤ワインの代表的な産地に「ヴァルポリチェッラ」があり、それぞれ辛口の軽やかなものから干しブドウから造る甘口の「レチョート」と、幅広いワインが造られています。

 

ヴェネトは、イタリアのなかでもとくに生産量の多い地域であるため、比較的安価なワインが多いエリアでもあり、やはりこの地域でも“クラシコ”表示を基準に選んだほうが良質なワインに巡り会う可能性は高まります。「ヴァルポリチェッラ・クラシコ」は、チェリーのようなチャーミングな風味にほのかなアーモンドの皮の苦みが特徴で、コストパフォーマンスに優れたワインが多くあります。また、ヴァルポリチェッラの高級レンジには、乾燥させて糖度を高めたブドウから造る甘口の「レチョート」と、辛口で苦みと甘みを併せ持った「アマローネ」があり、アマローネを圧搾した後の果皮の上でワインを発酵させる「ヴァルポリチェッラ・リパッソ」(またはスペリオーレ)も、ヴァルポリチェッラ寄りの価格帯ですので気に入った生産者のワインに出会ったら、それぞれのワインをお試しいただくのもおすすめです。

 


Begali Lorenzo(ベガーリ・ロレンツォ)
「Valpolicella Classico2016(ヴァルポリチェッラ・クラシコ2016)」
2500
輸入元=ミレニアムマーケティング

 

最後は、この産地をすでに知っていたら通な「トレンティーノ=アルト・アディジェ」を紹介していただきます。

トレンティーノ=アルト・アディジェ ~イタリア最北のワイン産地ではドイツ語が話される~

トレンティーノ=アルト・アディジェ州は、南のトレンティーノと北のアルト・アディジェに大別され、イタリア20州の中でも特徴的なのは、フランス品種やドイツ品種が多く栽培されていることでしょう。南のトレンティーノでは、シャルドネの高品質なスパークリングワインやイタリアでも最高のボルドー・ブレンド、地場品種では「テロルデゴ」など、魅力的なワインが造られています。

 

そして今回は北側、イタリア最北のワイン産地、アルト・アディジェのワインを紹介しようと思うのですが、その魅力はなんといってもイタリアでもっともワインが選びやすい点。大半のワインがDOCアルト・アディジェに区分され、表示は基本的に品種名と生産者、加わってもせいぜい畑の名前と、イタリアワインらしからぬわかりやすいエチケットになっています。

 

赤ワイン用品種はカベルネやメルロー、ピノ・ノワールのほか、固有品種である「ラグレイン」や「ヴェルナッチュ」、白ワイン用品種はシャルドネやソーヴィニヨン・ブランといった国際品種に加え、リースリングやシルヴァーナー、ゲヴュルツトラミネール、この地域では主役になりつつあるピノ・グリージョやピノ・ビアンコと多士済々(たしせいせい)といった趣です。

 

とくに色調が濃く、力強さもあるピノ・グリージョと、華やかでフローラル、みずみずしさとキリリとしたミネラル感を併せ持ったピノ・ビアンコは、どちらも本家ブルゴーニュやアルザスのワインと比べてもまったく見劣りせず、同時にアルト・アディジェらしさともいえるオリジナリティある魅力的なワインが数多く産み出されています。イタリア語よりもドイツ語が主流で、街の看板にはドイツ語とイタリア語が併記されており、チロル文化の色濃く残る街並みはワイン同様、イタリアらしからぬ魅力的な地方アルト・アディジェ、イタリアワインに馴染みのない方でも手に取りやすいイタリアワインです。いえ、南チロルワインと呼んだほうがいいのかもしれません。

 


Nals Margreid(ナルス・マルグライド)
「Pinot Bianco”Silmian”2017(ピノ・ビアンコ“シルミアン”2017)」
4000
輸入元=ミレニアムマーケティング

 

※ワインの価格はすべて希望小売価格です

 

 

【プロフィール】

ソムリエ / 宮地英典(みやじえいすけ)

カウンターイタリアンの名店shibuya-bedの立ち上げからシェフソムリエを務め、退職後にワイン専門の販売会社、ワインコミュニケイトを設立。2019年にイタリアンレストランenoteca miyajiを開店。
https://enoteca.wine-communicate.com/
https://www.facebook.com/enotecamiyaji/

 

激レアの「山崎」が飲めて3000円!蒸溜所のオンラインライブがウイスキーを何倍もウマくする

これはウイスキーファンへの朗報。いや、もっとそれ以上の、これからのウイスキーファンをたくさん生み出す吉報といえるでしょう。サントリーが、山崎蒸溜所と白州蒸溜所を自宅などから見学できるリモート蒸溜所ツアーを開始しました。

 

↑ツアーは無料で体験できる「360°フリーツアー」と有料の「オンライン・ライブ」の2タイプ。無料のほうは、各館内の一部をいつでも自由に見学できます

 

このスタートにあたって、有料ツアーのほうを体験してみました。参加したのは「山崎蒸溜所オンライン・ライブ」。参加費は白州ともに3000円(税抜)となり、なんとテイスティングキット(ウイスキーとグラスなど)付きという非常に良心的な価格です。本稿ではそんなツアーの一部を紹介したいと思います。

 

オンラインだけの特別コンテンツも

「オンライン・ライブ」の参加手順は、専用の申し込みサイトから予約と決裁を行って完了します。すると後日、メールとセミナー用のテイスティングキットが到着。当日はメールに届いたURLからZoomで参加する流れです。

 

↑山崎のテイスティングキット。「シングルモルトウイスキー山崎180ml」と「山崎ロゴ入り特別テイスティンググラス」、さらに製造工程が記されたテイスティングシートや、参加方法の説明書が入っています

 

そして当日。筆者はイントロダクションから引き込まれました。というのも、蒸溜所からではなくその前の山崎駅からスタートして蒸溜所へ向かうのです。

↑山崎駅に到着するとすぐ近くに蒸溜所が見えるのですが、ここでまずテンションが上がるのです。これも蒸溜所見学の醍醐味のひとつであり、オンラインとはいえここから体験できるのは嬉しい限り

 

山崎駅は、山崎蒸溜所を語るうえで欠かせません。この地が良質な水と自然環境に恵まれているのはもちろんのこと、駅から徒歩10分という好立地な場所だからこそ多くの人が足を運び、ウイスキーのこだわりや品質を理解する貴重な場所となっています。

 

↑いよいよ館内へ!

 

そうして「オンライン・ライブ」がスタート。リアルの蒸溜所見学と同様にナビゲーターが進行してくれます。まずはスケジュールの説明から。山崎蒸溜所についての解説、製造工程とつくりのこだわり、テイスティング、おいしいハイボールのつくり方、質問タイムという順番で、約1時間。

 

↑この日のナビゲーター。リアルの蒸溜所見学でも案内をしています

 

ライブというだけあって、一方的に解説を受けるだけでなくZoomの投票機能を使ってアンケートやクイズ形式で質問してくれたり、チャット欄でこちらの質問にも答えてくれたり、コミュニケーションがとれるのも魅力です。

 

↑結果ではほかの参加者の答えも見られ、一体感があります

 

なお、筆者は以前山崎蒸溜所のリアル見学会に参加したことがあるのですが、「オンライン・ライブ」で映し出される映像は臨場感満点。ポットスチル(単式蒸溜釜)があるフロアなど見どころも十分で、現地に行っているような気分に浸れます。

 

↑ポットスチル。現在16基があり、フル稼働で生産にあたっています

 

しかも、製造工程の紹介には、通常の工場見学にはないオンラインだけの特別コンテンツも。それがウォッシュバック(発酵槽)内の様子。液体の表面が泡立っているのは発酵の真っ最中で、酵母がしっかり働いている証拠です。

 

↑ウォッシュバックの内部。こちらは重厚で複雑な香味を生み出す木桶のタイプで、山崎蒸溜所ではすっきり系の味わいを生むステンレス製のウォッシュバックも使って個性の違う原酒を生み出します

 

自分史上最高にウマい自家製ハイボールが作れた!

後半はお待ちかねのテイスティング。送られてきたウイスキーとグラスのほか、よりテイスティングを楽しむための常温の水、そしてハイボールのおいしい飲み方を実践しながら観たい人は、ハイボール用の炭酸、氷、マドラーを用意します。

 

↑テイスティングはイラストとともに口頭で解説してくれます

 

まずはウイスキーをグラスのふくらみぐらいまで注ぎ、色を見てどれぐらい熟成させたかをチェック。このとき、白い紙などを背景にすると正確な色がわかります。南橋さんによると、「シングルモルトウイスキー山崎」は赤みがかった明るい琥珀色が特徴とのこと。

 

↑次はグラスを軽く回し、香りを広げてからやさしく鼻に近づけます。感じ方は人ぞれぞれですが、甘やかでバニラのような香りが感じられました

 

このままストレートで味わってもいいのですが、より香りを楽しむには常温の水を一対一で注ぐことがオススメ。アルコールの刺激がやわらぎ、香りが開いてストレートでは隠れていたフレーバーが感じられ、さらに個性を楽しめるのです。

 

そしてひと口。ここはゴクッといくのではなく、舌の上で広げるように楽しむのがコツ。そして飲み込んだあと、口に残る余韻や鼻に抜けるアロマを感じます。甘くなめらかで、果実のようなニュアンスも浮かび上がります。ナビゲーターの方曰く「ブレンダーは、さくらんぼやいちごのようと例えますね」とのこと。

 

↑次はおいしいハイボールのつくり方へ。自宅にいながらレクチャーしてもらえるのは、なかなか新鮮です

 

小さい氷はすぐとけて水っぽくなるため、大きい氷を用意してグラスへ。はみ出るぐらいでOKだそうです。そして配合は、ウイスキー1に対してソーダが3から4。まずはウイスキーだけ注ぎ、マドラーで10回かき混ぜしっかり冷やします。すると氷が目減りするので、そのぶんの氷をおぎない、いよいよソーダを入れます。

 

↑おいしさのポイントのひとつが、炭酸の刺激。強炭酸タイプのソーダを使い、そっと氷の間をぬうようなイメージで、ガスが抜けないように注ぎます

 

最後の仕上げはマドラーでやさしく、なじませるように1回転。これで完成です。味わってみると、爽快ながらまろやかな甘味やリッチで香ばしい果実味があって思わず「ウマッ!」と声が出るおいしさ。家で山崎を飲むのがかなり久しぶりというのもあるのですが、もったいなくてそもそもハイボールで飲んでいなかったような。レクチャーのおかげもあって、これまでで一番おいしい自家製ハイボールが作れたと思いました。

 

↑勉強になっておいしい体験もできて大満足。これで3000円はやっぱり破格です。

 

なお「オンライン・ライブ」は現在土日と平日の一部で開催されています。ただ各回定員100名で人気も高いことから、3月分はほぼ完売。翌月分の予約を第1営業日の10時から行うので、次は3月1日を要チェックです。

 

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大衆酒場の酎ハイに欠かせない「下町炭酸」を飲み比べる噺

今回は、「東京・大衆酒場の名店」シリーズの番外編。下町の大衆酒場の名物・焼酎ハイボールには欠かせない「炭酸水」(以降は略して炭酸)について深堀りしていきます。

東京・下町の大衆酒場で生まれ、いまや全国で愛されている「酎ハイ」(※)こと「焼酎ハイボール」。その味を決めるものとして甲類焼酎や風味づけのエキスなどが注目されますが、ここで焦点を当てるのは、東京でつくられている飲食店用の「びん入り炭酸」。大衆酒場文化と炭酸に詳しい藤原法仁(のりひと)さんを講師に迎え、タレントの中村 優さん、GetNavi web編集部の小林史於(しお)を生徒役として、その魅力をレクチャーしてもらいます。今回は、びん入り炭酸が普及した背景から、炭酸の工場見学、代表的な銘柄を使った酎ハイの試飲会まで、盛りだくさんでお届けします!

※“ハイボール”とは、カクテル用語で「ウイスキーやジンなどをソーダ水などで薄めた飲料」(広辞苑)のこと。焼酎をソーダ水(炭酸)などで割ったものが「焼酎ハイボール」と呼ばれ、その略称が“酎ハイ”になりました

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

↑大衆酒場を紹介する書籍にガイドとして出演することも多い藤原法仁さん(右)は、テレビ番組に「炭酸ソムリエ」(自称)として出演した経験あり。編集部員の小林史於(中)はきき酒師の資格を持ち、飲み比べも大好き。タレント・マラソンランナーとして活躍する中村 優さん(左)は、本サイトの「東京・大衆酒場の名店」連載で藤原さんとともに大衆酒場を勉強中

 

炭酸は名優を陰で支える名脇役

中村 藤原さん、今日もよろしくお願いします! 今回のテーマを聞いて、そうだ、炭酸ってつくってるんだなぁ、と改めて思いました。炭酸について深く考えたことがなかったんですけど、思ったより種類があるんですね。

 

藤原 でしょう? 下町の大衆酒場で見られるびん入り炭酸は、私の周りで確認できる限りだと10種類程度。どれも水道水を使っているから、どこでつくっても同じだろ? と思われるけれど、メーカーによって微妙に味の個性が出るんです。一般的な違いはガス圧。舌に残るピリピリ感が一番わかりやすいです。

↑藤原さんが趣味で収集した炭酸の王冠の一部

 

小林 すみません、そもそもの話なんですが、焼酎を炭酸で割るメリットって何ですか?

 

藤原 味わいを長く持続できることですね。例えば、テキーラのショットグラスだとすぐ飲み終わってしまいますが、それを炭酸で割ると量が増えて長く楽しめます。アルコール度数も低くなるので、料理の味を邪魔することもありません。あと、のどごしが良くなって刺激が加わるから、口の中がリセットされてお酒が進みますよね。

 

小林 確かに、ゴクゴク飲めて、のどにバチバチ来る感じがいいですよね! 水割りだとちょっと物足りないけど、炭酸で割ると華やかさが加わります。

 

藤原 ただし、割った炭酸がおいしくないと、全体が残念な印象になってしまいます。その意味で炭酸は、名優を陰で支える名脇役と言えるでしょう。

 

びん入り炭酸には多くのメリットがあった

中村 こういうびん入りの炭酸って、いつごろから出始めたんですか?

 

藤原 戦後からですね。それまでラムネやサイダーは飲まれていましたが、水と炭酸ガスだけのプレーンな炭酸を飲む文化はありませんでした。戦後、進駐軍がウイスキーをソーダ水(炭酸)で割っていたのをヒントに、焼酎を炭酸で割って飲むようになったんです。

中村 あ、そのエピソードは、前回取材した三祐酒場で聞きましたね! でも、どうしてびん入りの炭酸が下町の酒場で広まったんですか。

 

藤原 実は、前回の三祐酒場のように、昔から自家製の炭酸をつくっている酒場もありました。でも、炭酸をつくるボンベは値段が高くて場所を取る。だったら、びん入りを使ったほうが早い、となったわけです。

 

小林 確かに、「焼酎ハイボールを出すにはボンベが必須」となったら、なかなかハードルが高いですね。

 

藤原 それに、このびんはちょうど酎ハイ一杯分に使うから、この空きびんが並んでいるのを見て、この人は何杯飲んだんだな、ということがわかって都合がいいんです。

 

小林 へえ、回転寿司のお皿みたいな感じですか!

 

藤原 その通りです。あと、酎ハイは冷やすと美味しいんですが、前回の三祐酒場のご主人によると、当時の氷は高価で、今のようにグラスに入れて使えるほど手軽なものではなかったそうです。一方、冷蔵庫も炭酸のボンベと同様、高価でスペースを取るから導入できる店が少なかったんです。そうなると、びんをどぶづけして出すしかなかったわけですね。どぶづけというのは、水を入れた容器で冷やすこと。だから、炭酸もびん入りのほうが使い勝手が良かったんです。

↑今回、撮影にご協力いただいた渋谷の「大衆酒場 酒呑気まるこ」では、カウンターの前にどぶづけするスペースがあり、焼酎を割る炭酸などのドリンクがキンキンに冷えた状態で楽しめます

 

炭酸のびんは再利用されるため、サイズが統一されている

中村 このびんもカワイイですね。ちょっとノスタルジーを感じます。

 

藤原 このびんは、洗浄して再利用されるリターナブルびんで、お店にびんだけを持っていくと換金してくれますよ。

 

中村 びんを捨てずに再利用するなんて、エコですね!

 

藤原 びんのサイズはどのメーカーも200mlで、みな同じ大きさになっています。これは、びんを回収する通い箱が共有できるから。ですから、たまにメーカーが取り違えて、びんのボディと王冠でブランド名が一致しないときもあります(笑)。

 

小林 へえ、それは面白い! そんなびんに出会えたらラッキーじゃないですか(笑)。

藤原 ちなみに、配達する側にとっては、炭酸を扱うお店が同じ通り道にあったほうが配りやすいし、空きびんも回収しやすい。ということで、一軒が炭酸を使い始めると、「あの店で人気ですよ」と、近くのお店に営業をかけるんでしょうね。近辺の飲食店に炭酸が広まっていくんです。

 

中村 なるほど。その話を聞くと、前回に聞いた「酎ハイ街道」みたいに、ストリートができる意味がちょっとわかります。

 

藤原 いいところに気がつきましたね。確かに、酎ハイ街道でも同じようなことがあったかもしれません。人気が伝われば、じゃあウチでもやろう! となりますからね。

 

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炭酸工場を見学し、できたての味に感激!

中村 ちなみに、この炭酸ってどうやってつくられているんですか?

 

小林 あ、それ聞いちゃいます? 実はここに来る前、炭酸を手に入れるついでに、藤原さんと一緒に炭酸メーカーの「東京飲料」さんの工場を見学させてもらったんですよ。

 

中村 えっ、それは面白そう!

 

小林 いやぁ、あれはすごかったですよね! 製造工程を簡単に言うと、リターナブルびんを洗浄→ろ過・殺菌した水に二酸化炭素を混ぜる→びんに詰めて殺菌→検査・箱詰め、という流れです。藤原さん、そうですよね?

↑今回は、中野にある1929年創業の東京飲料さんにお邪魔しました

 

↑同社では「トーイン」で知られる炭酸のほか、ラムネやシャンメリーなどを製造しています

 

藤原 そうそう。工場に大きなタンクがあったのを見たでしょう? 二酸化炭素は水に溶けにくいので、あのタンク内で高い圧力をかけて、なかば無理やり二酸化炭素を溶かすんです。水に溶ける気体の量と圧力には「ヘンリーの法則」と呼ばれる関係があって、高い圧力をかけるほど、気体は水によく溶けますから。

 

小林 あのタンク、上ぶたにでっかい鋲がいくつも打ってあって、いかにも頑丈なつくりでしたね! 中では相当強い圧力がかかっているんだろうなぁと思いました。

↑充てん室の内部。手前にあるこのタンクで圧力をかけながら炭酸ガスを水に溶かし、「ブライン」(不凍液)で水を0℃に冷却します

 

↑充てん室奥の洗びん機で内部を洗浄し、炭酸を入れる工程へ。洗浄中の透明のびんは炭酸用で、手前の緑色のびんは果汁入り炭酸用

 

↑「フィラー」(右手奥のシルバーの機器)と呼ばれる充てん機でびん内に炭酸を注入

 

↑炭酸を詰めたら王冠で打栓(写真)。その後は「パストライザー」と呼ばれる機器に送られ、72℃の熱湯シャワーで30分かけて殺菌されます

 

藤原 打栓前の炭酸を飲ませてもらいましたが、ウマかったですよね! しっかり冷えていて、炭酸ガスもきめ細やかでシュワっと勢いもありました。

 

小林 あれは貴重な体験でしたね~。実際に工場を見学すると、1本の炭酸を見る目も変わってきます。特に、最終工程で東京飲料の寺田社長が通い箱に入れる前、真剣な目で1本1本チェックしているのが印象的でした!

↑特別に、できたての炭酸を試飲させてもらえることに。フレッシュな味と爽快なのどごしに、ふたりとも大感動!

 

↑洗い残しは底部にたまりやすいため、びんを逆さにしたうえで照光し中身をチェック。徹底的に検査します

 

↑東京飲料の三代目・寺田 龍社長。プラスチック製の通い箱、通称「P箱」に詰める前に最終チェックを行います

 

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4種の炭酸で酎ハイをつくって比較試飲

小林 というわけで、できたての炭酸が手に入ったところで試飲してみましょうか。今回は、4種類の炭酸で酎ハイをつくって試飲していきます。では藤原さん、基本的な飲み方から教えてください!

 

藤原 最初に焼酎を入れるか、炭酸を入れるかという問題があります。墨田区あたりだと炭酸は先に入れる店が多いですね。最初に入れるほうが、絶対にあふれないですから、こんなふうに。……って、あふれちゃいましたね(笑)。まあ、これはこれで「炭酸かけ流し」といって縁起物みたいなものです。

中村 おおー、すごい泡! その注ぎ方、知ってますよ! 篠崎の「大林」で教えてもらった「ぶっさし」(※)ですよね。

※びんを真下に向けて一気に入れる注ぎ方。「反転注ぎ」や「隅田式」と呼ばれることもあります

 

藤原 下町酒場では普通、これにエキスが入っているんですが、今回は宝焼酎に炭酸を入れただけのシンプルな酎ハイで飲み比べていきましょう。

↑今回用意した4種類の炭酸は、びんの容量はすべて200ml。左から「ドリンクニッポン」「花月」「アズマ炭酸」「トーイン」

 

小林 ではまず、葛飾区は野中食品工業の「ドリンクニッポン」から。これはどういうブランドでしょうか?

 

藤原 こちらは、葛飾区や江戸川区で最もよく目にする下町炭酸の有力ブランドですね。私は「稀代の暴れん坊」と評価しています。

小林 おお、1杯目にふさわしいブランドですね。それでは、カンパーイ!

 

中村 あっ、美味しい! 私、酎ハイって甘くないと飲みづらいと思っていたんですけど、これはすごく美味しいです!

小林 あ、中村さん、ついにそのトビラを開けてしまいましたか! ようこそコチラ側へ(笑)。炭酸の印象はいかがですか?

 

中村 炭酸は強すぎず、弱すぎず、ほどよい刺激です。

 

藤原 飲み飽きないですよね。どんな料理にも合いますよ。

 

小林 まだ1杯目ですから、これを基準に飲み比べていきましょう! 続いて2杯目は同じ野中食品工業の「花月」です。

藤原 この「花月」はもともと別の会社が手掛けていたブランド。経緯は不明ですが、近年になって野中食品工業が生産するようになりました。

 

中村 (注いだ様子を見て)ああー見るからに泡が!

小林 ええ、炭酸の粒がデカい! では、いただきましょう!

 

中村 あれっ、見た目の割にバチバチこないです。ドライな味わいで、少し苦みが出るような。こっちのほうがオトナな味って気がします。

 

小林 確かに、思ったよりおとなしい印象ですね!

 

藤原 花月は口のなかでうまく炭酸が溶けている。さっきのドリンクニッポンは、のどまで炭酸が伸びてくるんですよ。

 

できたてを調達した「トーイン」の味わいは?

小林 いやー、炭酸が変わると印象も変わりますね! 次は下町でつくられたものではないのですが、中野区・東京飲料の「トーイン」を試しましょう。今日、工場で調達してきたものです!

↑工場でできたての「トーイン」を手に入れた小林

 

中村 泡の見た目は普通。花月ほど大きくはないですね。いただきます!

 

藤原 ああ、明らかに刺激がやわらかいですね! これは油っこい料理に合いそう。

 

小林 泡が滑らかで美味しい! 香りも立っています!

中村 なんでだろう、コレが一番濃く感じる。お酒の濃さ違うかな? っていうくらいです。

 

小林 香りが立って、焼酎の風味が強まるのかもしれませんね。さて、最後は墨田区にある興水舎の「アズマ炭酸」です。

 

藤原 こちらは戦前からラムネをつくっていて、一番歴史が古いメーカーですね。アタックは強めですよ。

中村 うん、泡の見た目は粒が大きいですね! それでは、カンパーイ!

 

小林 飲んでみたら、口のなかでデカい泡が弾けて、舌にビリビリきます!

 

中村 最初は泡が大きく感じるけど、あとで細かい刺激が来ますね。初めの勢いがスーっと消えてお酒の甘味が残ります。

 

試飲では「西の横綱」と「東の横綱」が好評

小林 では、4種類すべてを試したところで、お二方の一番のお気に入りを教えてください。ちなみに、私は工場まで行って手に入れた「トーイン」が好きです!

中村 私が好きなのは「ドリンクニッポン」! やさしい甘味を感じて、とても飲みやすく感じました。

 

藤原 僕も中村さんと一緒で「ドリンクニッポン」(笑)。まあ、小林さんが選んだ「トーイン」はいわば東京の西の横綱で、「ドリンクニッポン」は東の横綱。東と西の両雄が選ばれたという形ですね。

 

小林 最後に中村さん、これまでを振り返ってみていかがですか?

 

中村 飲む前は炭酸の違いなんてわかるのか、自信がなかったんですが……試してみたら、明らかに違いがあって面白かったです。炭酸って大事なんですね!  あと、シンプルな酎ハイも美味しいんだ、とわかったのも良かったです。なんでいままで知らなかったんだ…‥と悔しく思うくらい。これからはもっと試していきたいです!

 

奥深い炭酸の世界に触れ、さらなる酎ハイの魅力に目覚めた中村さん。みなさんもぜひ、「下町炭酸」を見かけたら酎ハイで使ってみてください。きっとハマるはずですよ!

撮影/我妻慶一 撮影協力大衆酒場 酒呑気まるこ(東京都渋谷区道玄坂1-18-4 和田ビル102) 取材協力/東京飲料株式会社

 

記事に登場したお酒の紹介はこちら▼
・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

「東京・大衆酒場の名店」バックナンバーはこちら▼

・第1回 【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

・第2回 【東京・大衆酒場の名店】初心者女子と楽しく学ぶ! 篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺

・第3回 【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺

 

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「麒麟特製レモンサワー」実際に飲んでわかった人気の理由とは?

注目アイテムを本音でインプレ! する連載「使ってみたら、こうだった。」。今回取り上げるのは「麒麟特製レモンサワー」。2020年4月にリニューアル新発売されて以来、ヒットを飛ばしている。驚くべきは、2020年4~9月の累計販売数量が前年比約3.5倍にも達していること。実際に飲んでわかったその人気の理由とは?

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【使った人】

GetNavi編集部 お酒担当

鈴木翔子

酒好きが高じてバーテンダーとしても働く編集部員。ウイスキーなどのハードリカーからカルーアミルクなどの甘いカクテルまで、気分に合わせて何でも飲む。

 

コクと深みのある上質なサワーだから1日の終わりのご褒美にピッタリ(鈴木)

「コレ、本当にレモンサワー? しかもアルコール度数9%?」

 

本品をひと口飲んだときの感想だ。レモンサワーと聞いて思い浮かぶキーワードは、“酸っぱい・さっぱり・爽快感”ではないだろうか。そして高アルチューハイといえば、ガツンとくる刺激。本品は、それらを良い意味で裏切ってくれる。筆者の印象では、レモンの果皮を漬け込んだイタリアの食後酒「リモンチェッロ」に近く、口当たりはまろやかでコク深い味わい。リモンチェッロが食後にゆったり味わう酒であるように、グビグビ飲むよりも、ひと口ひと口丁寧に味わいたくなる。すなわち、1日の終わりのご褒美として嗜むのに最適な味なのだ。

 

この味の秘密は、複数の果物を長時間煮詰めて作った「うまみエキス」にある。ジャムやコンポートを想像するとわかるが、煮詰めることでうまみが凝縮され、味に深みが出る。それによりこの複層的な味が生まれるというわけだ。

 

本品が面白いのは、味わいがリッチでありながら食事にも合うこと。コクはあってもクドさがなく、和洋中どんな料理にもマッチ。飲んでいて贅沢な気分になれるから、年末年始の家飲みにもってこいだろう。

 

[缶チューハイ]

キリンビール

麒麟特製レモンサワー

オープン価格

2020年4月にリニューアル新発売した「特製麒麟サワー」ブランドの人気ナンバーワンフレーバー。独自開発した「うまみエキス」で味に深みを出し、さらにレモン果汁をひと搾り加えることで、風味豊かな味わいに仕上げている。糖類・プリン体ともにゼロ。

●レモンサワーのほか、ホワイトサワー、ドライサワー、コーラサワー、グレープサワー、期間限定フレーバーをラインナップ

 

★使ってみたら、スゴかった。

【その1】果実のうまみを凝縮したエキスが飲み応えと飲みやすさを創出

●イメージです

味わいの要は、複数の果実を12時間以上煮詰めてうまみを凝縮させた「うまみエキス」(特許出願中)。煮詰めることで出てくる果実の複雑な味がコクやまろやかさを生み、飲み応えと飲みやすさの調和をもたらしている。

 

【その2】レモンのおいしさを引き立てる「追いレモン潤沢仕立て」を採用

●イメージです

同ブランドの特徴は、フレーバーに合わせて最適な仕立て方法を採用していること。レモンサワーでは、レモンをひと搾り加える「追いレモン潤沢仕立て」を採用し、フレッシュな果実味と芳醇な香り立ちを楽しめる。

 

【その3】食にまつわるアワードを受賞! 世界に認められたおいしさ

本品はその味わいが評価され、「モンドセレクション2020年度スピリッツ&リキュール部門」の金賞や、「国際味覚審査機構」の優秀味覚賞、「国際高品質保証審査会」の最高位「Grand Quality Excellent」を受賞。世界的にも評価が高い。

 

【結論!】

コク:★★★★★

まろやかさ:★★★★★

爽快感:★★★★☆

 

コクと深みのあるリッチな味で、幸せな気分になれる一本。まろやかで爽快感は控えめだが、氷を入れたグラスでキンキンに冷やせば、さっぱり感も楽しめる。

誤植で販売中止から一転、「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」本日発売 ! 飲んだ感想は「無事発売されてよかった」と心から思うウマさ

サッポロビールとファミリーマートの共同開発による「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」が2月2日に発売されました。各所でニュースとなっていたのでご存知の人も多いはずのこのビール、さっそく購入してきたので味わいをレポートしたいと思います。

↑「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」。350ml缶(左)は税込219円、500ml缶(右)は税込286円で、酒類を扱う全国のファミリーマートから限定販売されています

 

話題になった理由と製法の特徴とは?

まずは改めて、このビールがなぜ話題となったのかに、簡単に触れていきます。当初は2021年1月5日に「1月12日から発売します」とのニュースリリースが出たのですが、3日後の1月8日に発売を中止するとの発表がされました。その理由は、デザインの一部に誤表記があったからです。

↑正しくは「LAGER」とすべきところが「LAGAR」と表記されています。もちろん味や品質、成分などには問題ありません

 

それを受け、「もったいない」「飲んでみたい」など発売を切望する声がネットを中心に駆け巡りました。これらの意見をもとにサッポロビールとファミリーマートでも慎重に検討が重ねられ、1月13日に、改めて2月2日に発売されることが発表されたのです。

 

この一連の流れが大きな話題となったわけですが、ビールの造り方にも注目すべきポイントがあります。それが、仕込釜において煮沸を3回行うことで麦のうまみを引き出す、ビールの伝統的な製法「トリプルデコクション」。

↑パッケージに3回煮沸のことは書いてないですが、明治9(1876)年から続く伝統製法であることが表記されています

 

2回行うダブルデコクションは珍しくありませんが、3回ともなると時間がかかるため現代ではあまり採用されておらず、この点だけでも希少だといえるでしょう。そして、このトリプルデコクションは1876年に日本人による初のビール工場として開業した「開拓使麦酒醸造所」で用いられていた製法であることから、「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」という商品名になっているのです。

 

 

ボディが豊かで濃厚。飲みごたえのある味わいだ

通常より手間暇がかかるトリプルデコクションを採用したビールは、力強く飲みごたえのある味わいになるのが特徴ですが、「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」はどうでしょうか。いよいよ飲んでみます。

↑アルコール度数は6%とやや高め。ビールの色も濃いめに感じます

 

香りからして感じられるのは、麦芽の豊かな甘味。「LAGER」というのはラガー=貯蔵工程で熟成させたビールのことで、「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」は爽快感もありながらボディがふくよかで濃厚な味わいです。

↑近しいカテゴリーの黒ラベルと並べてみました。色味の濃さは一目瞭然です

 

黒ラベルはビールらしいすっきりとした爽快感がありながらもコクが十分にあって、スイスイいける飲み口。ドリンカビリティ(おかわりしたくなるおいしさ)の高さを改めて感じます。一方の「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」は、どっしりとして甘味も苦味も豊か。ファミリーマートで購入する際は、こうして飲み比べるとより特徴がわかりやすいと思います。

↑泡もちもよく、飲みごたえもしっかり。比較的秋冬に合いそうな味の方向性で、いまの時季はまさにぴったりです

 

ペアリングとして合わせるなら、魚よりも肉、塩系よりもタレやソース系の味付けの料理が合うと思います。ファミリーマートのおつまみとしては、個人的には「おつまみメンマチャーシュー」が特にオススメなのでお試しを。

↑「おつまみメンマチャーシュー」(税込398円)や「超厚切りビーフジャーキー」(税込410円)などをチョイス

 

総評としては、「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」は無事発売されてよかった!と心から思うウマさでした。明治時代の製法を用いたビールということで、2月14日から新たに始まる、渋沢栄一が主人公の大河ドラマを観ながら一杯やるには最適なビールです。ちなみに、渋沢栄一はサッポロビールに繋がる「札幌麦酒株式会社」の会長を務めていました。

 

意外なところで話題性が高まった「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」ですが、これまでもサッポロビール×ファミリーマートの限定ビールは「ビアサプライズ」シリーズなど名作が多いカテゴリーです。今後もいっそう注目を!

 

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ブルゴーニュ、ボルドーからラングドックまで「フランスワイン」の5産地にまつわる話

自宅でワインを楽しみたい、できれば産地や銘柄にもこだわりたい、ワインを開けて注ぎ、グラスを傾ける仕草もスマートにしたい……。そう思っても、基本はなかなか他人には聞きにくいもの。この連載では、そういったノウハウや知識を、ソムリエを招いて教えていただきます。

 

第3回からは、ワインの種類や製法、産地などを取り上げ解説していただいていますが、ここからは「ワインの世界を旅する」と題し、世界各国の産地について、キーワード盛りだくさんで詳しく掘り下げていきます。寄稿していただくのは引き続き、渋谷にワインレストランを構えるソムリエ、宮地英典さんです。

 

フランスワインを旅する

ワインのないフランスを考えるのは、フランスのないワインを考えるのと同じくらい難しい────

 

ワイン評論家、ヒュー・ジョンソンの言葉ですが、これほど現代のワインの世界において、フランスワインの占める立ち位置を端的に表現している言葉はないように思えます。

 

そんな世界の“ワイン地図”をいまだ象徴するワイン大国・フランスの、代表的な5つの産地とそこで繰り広げられるストーリーをご紹介しましょう。

 

1. ブルゴーニュ
2. ボルドー
3. ロワール
4. ローヌ
5. ラングドック

 

ブルゴーニュ 〜グランクリュ街道を北から南へ〜

フランス東部の街、ディジョン市を出発点としてグランクリュ街道を南へ下ると、右手に広がるのは小さな村々と丘一面のブドウ畑。“コート・ドール(黄金の丘)”と呼ばれる、世界中のワイン醸造家や愛好家が憧れる、奇跡の銘醸地です。“Route des Grands Cru”と白抜きされたブドウがデザインされた標識に沿って、ジュブレ・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネといった村々を通り抜け、ニュイ・サンジョルジュの街に至るまでに、ブルゴーニュの特級畑の大半、ピノ・ノワールの特急畑のほぼすべてを眺めることができます。

 

それは、ブルゴーニュワインを愛する人にとっては、小さな村のそれぞれ、南東向きの斜面にびっしりと区画分けされた畑の数々は、住所表示そのままのようにワインのエチケットに印字された原産地呼称と合わせて、各々の味覚体験と重なる特別な風景として映ることでしょう。

 

コート・ド・ニュイを抜けて、ブルゴーニュにおける中心市街、ボーヌ市に至るまでの見どころはコルトンの丘。孤立した大きな丘には、頂上付近までブドウが植えられ、コート・ド・ボーヌ唯一の赤の特級畑コルトンと、シャルドネから造られる白の特級コルトン・シャルルマーニュが産み出されます。

 

シャルドネの特級畑はこのコルトン・シャルルマーニュのほか、ピュリニー・モンラッシェとシャサーニュ・モンラッシェにまたがる丘の中腹、ル・モンラッシェ(標高の少し下がったバタール・モンラッシェ、標高の少し高いシュバリエ・モンラッシェを含む)の2か所しか認められていないことと、実際のところシャルドネが主流なのはムルソー、ピュリニー、シャサーニュ(さらに加えるならばシャブリとリュリー、モンタニィ、マコネ)だと考えると、ブルゴーニュの格付けは元来、ピノ・ノワールを中心に考えられてきたように思えます。事実、ル・シャルルマーニュにシャルドネが植えられたのは、19世紀と、比較的近代のことなのです。

 

一般的にブルゴーニュというと、北はシャブリ、南はボジョレとリヨン近郊までを指します。個人的にはクリュ・ボジョレをはじめ、興味深いワインがボジョレにはあるのですが、ブルゴーニュというくくりで見た時に同一視する必要があるかというと、疑問です。コート・ドールのワインが軒並み高価なものになってきているなか、これからワインに親しまれる方に、ボジョレをブルゴーニュとして勧める気にはどうしてもなれないのです。では、「ブルゴーニュの入り口になるのはどこか?」と聞かれたら、私は「コート・シャロネーズではないか」と答えます。

 

コート・シャロネーズはコート・ド・ボーヌと地続きの産地ですが、それまでの均一な稜線の風景から、不連続な丘陵にブドウ畑が広がります。主要な5つの村は、北からアリゴテの銘醸地として知られるブーズロン、シャルドネの多いリュリー、メルキュレ、ジヴリ、白専門のモンタニィ、という個性豊かな小産地で構成されています。メルキュレやジヴリは生産の大半が赤ワインであり、コート・ドールに比べ1級格付けが多いのも特徴です。また以前はコート・ドールに比較すると大味なピノ・ノワールが多い印象でしたが、近年では意欲的な生産者も増え、よりブルゴーニュに期待する魅惑的な優美さを備えたワインが増えてきています。

 


Camille Giroud(カミーユ・ジルー)
「Mercurey 1erCru Clos Voyens 2017(メルキュレ・1級・クロ・ヴォワイアン2017)」
5500
輸入元=ベリー・ブラザーズ&ラッド

 

次のページでは、「ボルドー」について解説します。

 

 

ボルドー 〜石造りの美しい街並み、サンテミリオン〜

ブルゴーニュが、神秘的で宗教的な側面を持ったワインだとすると、ボルドーワインはとても人知的、人が造り上げたワインのように感じます。日本に輸入されるフランスワインの多くはボルドー産のもので、高級ワインのイメージとともに、量の面でも日本人にとって長く親しまれてきたワインであり、その広大な産地それぞれの地域ごとの格付けやセパージュ(ラベルにブドウの品種名を記載したワインのこと)の比率などは、ワイン愛好家の知的好奇心を満たすことに向き、ワインガイドによる100点満点の採点も、ブルゴーニュの官能性を測るよりも適性があるように思えるのです。

 

メドックの格付けを覚えるのは、長くワインを学ぶ行為としての入り口だったように思うのですが、現在では残念ながら、メドック1級シャトーは10万円を超えるような価格でワインショップに並んでいるので、おいそれとは巡り会うことができなくなってしまいました。これはブルゴーニュに関しても同じことが言えるかもしれません。

 

ただ、最近のボルドーは、低価格帯から品質の向上が見られることが特徴だと感じています。2000円前後のワインを(仮に)ブルゴーニュと比較したとすると、好みを別にすれば、おおむねボルドーに軍配があがるのではないでしょうか。そしてトピックとしては、中堅どころの生産者のビオディナミ(自然派ワインを造る際の農法のひとつ)導入が着々と増えてきていることです。これは、メドック5級格付けシャトーであるポンテ・カネの成功の影響が大きいと考えられますが、長くなるのでここでは割愛させていただきます。

 

写真のクロ・フルテも、2011年よりビオディナミを導入、それ以前からサンテミリオンの有名シャトーのひとつであり、格付けも上から2つ目のプルミエ・グランクリュ・クラッセBながら、ヴィンテージによっては値ごろ感のあるワインのひとつです。

 

サンテミリオンのワインは、メドックほどタンニンが強くなく、素直で芳醇な果実味を楽しめるワインが多く、〇〇サンテミリオンといった周囲に広がる衛星産地のワインなら、2000円前後から探すことができます。もしもサンテミリオンのワインが気に入ったなら、ボルドー観光の際には街を訪れてみてください。石を切り出した教会、美しい街並みを一望できる“Tour du Roy”、小さな街ですがちょっと中世にタイムスリップしたような感覚になれる、素敵なところです。

 


Clos Fourtet(クロ・フルテ)
「Clos Fourtet 2011(クロ・フルテ2011)」
1万5800円
輸入元=ベリー・ブラザーズ&ラッド

 

次のページでは、「ロワール」について解説します。

 

ロワール 〜東から西へ、河沿いに広がるブドウ畑〜

ワイン産地としてのロワールを、ひとくくりにすることは難しいかもしれません。東から西へ500kmを超えて流れるロワール河流域にはいくつかのワイン産地があり、総じて白ワインが親しみやすく、赤ワインはやや玄人好みといってもいいように思えます。

 

白ワイン品種の主要な品種はソーヴィニヨン・ブランとシュナン・ブラン。前者は、地域によって硬質で洗練されたものから、柔らかで親しみやすいタイプの幅広い辛口白ワインを、後者は、芳醇な辛口から魅惑的な甘口まで、こちらも幅広い味わいのものが造られています。そのほか、ロワール河下流の街、ナント周辺では、ムロン・ド・ブルゴーニュから造られるミュスカデがあります。ミュスカデは価格もリーズナブル、微かな塩味を感じる辛口は、海老やムール貝など魚介を使った料理には定番の組み合わせです。

 

ロワールのワインのエチケット(ラベル)には、“Loire”と記載されているわけではないので、いくつかの主要な産地、シュナン・ブランならアンジューやサヴニエール、ヴーヴレイ、ソーヴィニヨン・ブランなら今回ご紹介するサンセールと対岸のプイィ・フュメなどの産地を覚える必要があるかもしれません。

 

ソーヴィニヨン・ブランは、今や世界中で栽培されていますが、プイィ・シュル・ロワール周辺(サンセールとプイィ・フュメ)ほど繊細で華やか、シャープに感じるのに長命というソーヴィニヨン・ブランを見つけるのは、簡単ではありません。ワインショップの棚でサンセールを見かけて、もしも手に取ったならば、ぜひともチーズのことを思い出していただきたい。そのお店にチーズは売っていますか? であれば、一緒に買い物かごに入れることをおすすめします。サンセールと白カビや山羊のチーズとの抜群の相性は、一度お試しいただきたい組み合わせなのです。

 

そしてロワールといえば、15世紀には首都だった古都トゥール、中世の赴きを残す美しい街並み、歴史的な建造物と見どころ満載の街です。現地で飲まれているのは、同じソーヴィニヨン・ブランでもトゥーレーヌと表記された、サンセールやプイィ・フュメとはまた違う柔らかでフローラルな白ワイン、価格的にもリーズナブルなものが多いので、こちらもぜひ。もちろん、チーズとも抜群の相性です。


Claude Riffaultクロード・リフォー)
「Sancerre, Monoparcelle 469 2018(サンセール モノ・パーセル469 2018)」
5500
輸入元=ベリー・ブラザーズ&ラッド

 

次のページでは、「ローヌ」について解説します。

 

ローヌ 〜地中海へとつながるローヌ河流域のワイン産地〜

ヨーロッパでは、古くからのブドウ畑の多くは、川沿いに位置してきました。ボルドーにおけるジロンド河、ドイツのライン河、そしてヨーロッパを横断するドナウ。これは流通のほか、水面の照り返しや水はけといったさまざまな面で人々の営み、ブドウの生育をサポートする役割を担ってきたことに起因します。

 

ロワール河とローヌ河というフランスの二大河川は、それぞれ銘醸ワインを育んできましたが、前者の多くは白ワイン、後者のほとんどは赤ワインと、性格のまったく違う兄弟のような存在です。一般的には、ローヌ河流域はエルミタージュを中心とした北ローヌと、シャトーヌフ・デュ・パプを中心とした南ローヌに分けられます。

 

ここでは、生産量の大半を占める南ローヌのワインをご紹介しようと思います。おそらく日本においても、ワインショップやスーパーマーケットに並ぶローヌワインの大半が、“Cote du Rhone”と印字されたボトルではないかと思うのです。これは、南ローヌの幅広いエリアで栽培されるブドウから造られるワインに与えられる原産地呼称ですが、ボルドー全域に匹敵する量が生産されており、高いアルコール度数、渋みよりも濃密な果実感のあるグルナッシュに、シラーやムールヴェードルなどがブレンドされます。著名な生産者のもので群を抜いた高品質なものもありますし、好みによってはしまうのですが個人的には広域アペラシオンということで、低価格帯ワインが多い割にハズレの少ないワインのように感じています。

 

南ローヌの街アヴィニヨンには、教皇庁があった歴史があり、14世紀に建てられた宮殿はユネスコの世界遺産に登録され、その美しいゴシック様式の圧倒的なスケール感を現在に至るまで残しています。そしてアヴィニヨンから北に10数km、ローヌ河の東に位置するのが、この地域のワインの中心部であり、教皇の夏の宮殿のあった丘、シャトーヌフ・デュ・パプです。南ローヌではこのシャトー・ヌフ・デュ・パプを中心に、周囲に衛星的に村の名前を原産地呼称として許された、ジゴンダスやヴァケイラス、コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュがあり、前述のコート・デュ・ローヌと上位階層の位置づけでワインが表現されています。ほかの産地よりも、コート・デュ・ローヌ、特にコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュといった比較的手に取りやすいワインにも魅力的なワインがあるのがこの産地の特徴です。

 


Domaine Marie & François Giraudドメーヌ・マリー&フランソワ・ジロー
「Chateauneuf du Pape Tradition 2014(シャトーヌフ・デュ・パプ・トラディション 2014)」
7500
輸入元=ヴァンクロス

 

最後に、「ラングドック」について解説します。

 

ラングドック 〜21世紀が楽しみなワイン産地〜

南フランス、ラングドック(ルーションまでを含む)は、世界最大といえる広大なワインの一大産地であり、長らく安価なテーブルワインの産地でもありました。イギリスとパリとの物理的な距離が、この南の産地の可能性を埋没させていた要因のひとつとして考えられますが、世界中でフランスワインの人気が高まるにつれ、生産者の意欲向上、醸造技術の高まり、資本の流入による近代化を迎えるのは、20世紀の後半のことでした。近年では、グランクリュ的な原産地呼称がナルボンヌの周辺で産まれ、モンペリエ周辺ではさまざまな個性的なラングドックワインが産まれています。

 

もっとも多く栽培されている品種はカリニャンですが、グルナッシュやシラー、ムールヴェードルといった、ローヌと似た品種構成の赤ワインも、またボルドー品種とのブレンド、在来種によって、スパークリング、白、ロゼ、甘口まで幅広く変化に富んだワインが楽しめる産地として注目を集めています。

 

おすすめしたいのは、その幅広いラングドックワインのなかでも、エチケットにAC(原産地呼称)表記のあるワイン。原産地呼称が、品質保証であると同時にワインを難しくしている一因ではありますが、この遅れてきた銘醸地ラングドックでは、今現在もっともACが活きています(その他はIGP=地理的な表記です)。

 

上級ワインとして、グランクリュ的位置づけは、「コルビエール・ブートナック」「ミネルヴォワ・ラ・ヴィニエール」「フォジェール」「サンシニアン・ベルロー」「サンシニアン・ロックブリュンヌ」の6つ。そして、いくつかの地域名ワインとACラングドックと原産地呼称ワインだけで、全生産量の2割に満たないと考えると、裏を返せばハズレの少ない原産地呼称でもあるのです。

 

大半は赤ワインですが、モンペリエ南の沿岸部のACピクプール・ド・ピネは、柑橘の爽やかなすっきり系、魚介料理に合わせやすい地中海白ワインです。そして、もう少し内陸で造られる写真の「クレレット・デュ・ラングドック」も数少ない白ワインのACワイン、フレッシュで優しい甘みをわずかに残す白ワインです。生産者のジェラール・ベルトランによる他のラングドックワインは、日本でも見つけやすいと思いますが(“居酒屋”で見つけたこともあります)、どのワインも価格以上の味わいを提供してくれる優良生産者です。

 

今後、ラングドックのワインは、年を追うごとに良さを増してくると確信していますので、これからワインを楽しもうという方にはうってつけです。いつか、コルビエール・ブートナックやミネルヴォワ・ラ・ヴィニエールも手に取って、味わってみてください。


Gerard Bertrand(ジェラール・ベルトラン)
「Clairette du Languedoc Adissan 2018(クレレット・デュ・ラングドック2018)」
3900
輸入元=ピーロート・ジャパン

 

議論を呼ぶことも、フランスワインの魅力のひとつ

世界中に広まったこれまでのワイン地図の規範、オリジナルを、フランスのワインは現代においても体現しています。もちろん、これからのワイン世界は、それぞれのオリジナルを獲得していく時代に突入していく、過渡期にいると考えられます。それでは、一体何が、フランスワインを特別なものにしているのでしょうか? イギリスという一大消費国との地理的関係、宗教的価値観、地層年代の複雑さ、それらを考えても、これという答えに行きつくことはなかなか困難ですが、そういった難解な思索や議論を呼び起こすことにこそフランスワインの魅力があり、そういった人との、ワインとのコミュニケーションそのものが、ワインの最大の魅力のひとつなのだと思います。

 

今回は、フランスの代表的な産地をいくつかご紹介させていただきました。もちろんワインにこれから興味を持っていただく方向けにご説明していますが、言葉の足りないところや、範囲を限定しているところがあるのは否定できません。ただワインを職業にしている人間にとっても、ワインはやはり世界中で造られ、日進月歩変化している世界でもあります。こうしたささやかなワイン紹介が、どこかの誰かの広いワインの世界へ旅立つきっかけの一助になりましたら幸いです。

 

※ワインの価格はすべて希望小売価格です

 

Profile

ソムリエ / 宮地英典(みやじえいすけ)

カウンターイタリアンの名店shibuya-bedの立ち上げからシェフソムリエを務め、退職後にワイン専門の販売会社、ワインコミュニケイトを設立。2019年にイタリアンレストランenoteca miyajiを開店。
https://enoteca.wine-communicate.com/
https://www.facebook.com/enotecamiyaji/

 

撮影=真名子 [ワイン、人物]

 

 

【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺

東京にある大衆酒場の名店を巡る企画の第3回。今回は、墨田区の「三祐酒場(さんゆうさかば) 八広(やひろ)店」を訪れ、その魅力を探っていきます。

大衆酒場は、その安さとウマさ、昔ながらの温かい雰囲気で、酒飲みの心をひきつけてやみません。なかでも東京では下町を中心に、根強い人気を誇る大衆酒場の名店が数多く存在します。そんな名店を巡り、お店の魅力と東京ならではの酒文化を深掘りしていくのが本連載。立石「宇ち多゛(うちだ)」篠崎「大林」に続く第3回は、八広「三祐酒場」にお邪魔します。

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

名店の歴史を受け継ぐ貴重なお店を訪問

「三祐酒場 八広店」は、京成曳舟(ひきふね)駅から徒歩7分ほどの場所に立地。かつて京成曳舟駅近くで営業していた名酒場「三祐酒場 本店」からのれん分けを許された数少ない一軒です。また、「焼酎ハイボール」の起源と深いかかわりを持つお店としても知られています。

 

今回も大衆酒場にまつわる著書を数多く上梓している藤原法仁(のりひと)さんを講師に招き、大衆酒場に興味津々の中村 優さんとともにお店を訪問。お店の魅力をはじめ、大衆酒場の歴史や楽しみ方、お酒についての知識などを学んでいきます!

↑藤原法仁さん(左)は、ブログ「居酒屋礼賛」主宰の浜田信郎さんとともに11月11日を「立ち飲みの日」として記念日登録するなど、大衆酒場文化の活性化に尽力。中村 優さん(右)はタレントおよびマラソンランナーとして活躍しています

 

中村 藤原さん、今回もよろしくお願いします! こちらの「三祐酒場 八広店」さんは、どんなお店なんですか?

 

藤原 「三祐酒場」は「酎ハイ(チューハイ)」の語源でもある、「焼酎ハイボール」の元祖として知られています(※諸説あり)。そこからのれん分けされたのがこの八広店。本店は区画整理の影響で既に閉店しているため、現存している三祐酒場は八広店だけなんです。

 

中村 名店の歴史を受け継ぐ貴重なお店というわけですね。でも、酎ハイって今では当たり前のものじゃないですか。その元祖というのはすごいですね!

 

藤原 でしょう? そのあたりは、店主の奥野木晋助さんに聞いてみましょう。大将、今日はよろしくお願いします!

 

奥野木 こちらこそ、よろしくお願いします! 「三祐酒場」の本店は、もともと昭和2(1927)年に創業した酒屋だったんですけど、戦時中は物資の配給所になっていて、その配給所に来ていた酒好きの客がその場で飲むようになったみたいです。

↑奥野木晋助店主。和食料理店などでの修行を経て、2001年より同店の二代目を務めています

 

藤原 角打ち(その場で飲める酒販店)ってことですね。

 

奥野木 はい。角打ちの流れから、最初は掘っ立て小屋みたいな形で居酒屋を併設して酒場になったと聞いています。

↑酒販店で使われていた陶磁器の瓶と甕(かめ)。陶器の一升瓶(写真左奥)には、本店が都電の停留所に近かったことから「京成曳舟電停際」と書かれています。甕(写真右)に書かれた住所が「向島区」となっていることから、1947(昭和22)年に向島区が本所区と合併して墨田区になる以前のものということがわかります

 

中村 この八広店はいつ開店されたんですか?

 

奥野木 ここは昭和41(1966)年、三男坊だった私の親父が開業しました。三祐酒場は親族にしかのれん分けをしなかったので、かつて営業していた本店と小岩店を含めると最大で3店舗あったことになりますね。

 

「元祖焼酎ハイボール」は進駐軍のウイスキーハイボールから着想

中村 では、そろそろ焼酎ハイボールについて教えてください! 看板メニューの「元祖焼酎ハイボール」はどうやってできたんですか?

↑店内には「元祖焼酎ハイボール」と書かれた年代ものの木札がかかっています

 

奥野木 「元祖焼酎ハイボール」を考案したのは、私の伯父である本店の奥野木祐治(長男)です。伯父から聞いた話だと、戦後のある日、アメリカ進駐軍の駐屯地に行って、そこで「ウイスキーハイボール」の味に感銘を受け、焼酎も炭酸で割れば飲みやすくなるのでは? と考え、試行錯誤して作ったのが焼酎ハイボールです。

 

藤原 その頃は、焼酎の精製技術もいまみたいに発達していなかったですからね。

 

奥野木 はい。当時の焼酎の強い香りをなじませるために、伯父は独自のエキスを作って混ぜたわけです。

 

中村 あ、エキス(シロップ)は前回に教えてもらったのでわかります。下町の焼酎ハイボールは、お店独自のエキスを使うのが特徴なんですよね!

 

奥野木 うちのはウイスキーのハイボールを思い浮かべてエキスを作ったから、琥珀色なんですよ。ぜひ飲んでみてください!

↑薄く琥珀色に色づいた「元祖焼酎ハイボール」(330円 ※表記価格はすべて税抜き・以下同)

 

中村・藤原 では……カンパ~イ!

 

中村 ああ~、おいしいっ! いいキック(炭酸がよく効いているという意味)が入った爽やかな味で、スイスイいけちゃいます!

藤原 お! 前回教えたキックの使い方覚えましたね(笑)。しかし、この「元祖焼酎ハイボール」、あいかわらず安定感のあるウマさですね!

 

奥野木 「伯父は、すごい飲み物を考えたな」と思いますよ。甘くしようと思えばできたし、酸味を強くしようと思えばできたと思うんですけど、そのバランスが絶妙なんです。

 

藤原 確かに、飽きのこない味わいです。単独で飲んでもおいしいし、料理によく合うところも素晴らしい!

 

奥野木 「同じ味はほかにはないから」って、これしか飲まない常連さんも多いです。

 

藤原 氷がとけても味が変わらない配合になっていて、ずっとおいしく飲めるってのもすごいですよね。

 

中村 この味って、昔から変わっていないんですか?

 

奥野木 変えていないですね。エキスのレシピは当時と同じです。ちなみに、いまエキスのレシピを知ってるのは、僕とお袋と本店の伯母さんだけですね。うちのかみさんも知らないですから。

 

中村 うわぁ、秘伝のレシピなんですね! なんだか感動です!

↑ボトルに入った秘伝のエキスを手にする奥野木さん

 

↑炭酸はサーバーから注入。昭和30年代にはすでにサーバーを導入し、ガス圧を上げて強炭酸で提供していたそう

 

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海外のホテルでも腕を振るっていた店主の料理に舌鼓

中村 焼酎ハイボールを飲んだら、食欲がわいてきました。そろそろおつまみも頼んでみたいです! 定番はどれですか?

 

奥野木 創業当時から変わってないのが、煮込みと串カツですね。

 

中村 いいですね、ではそれをお願いします! 藤原さんは、いつもどんなものを注文するんですか?

 

藤原 三祐酒場さんの場合は、その日の気分で決めるかな。この焼酎ハイボールはどんな料理にも合うし。

 

中村 あ、煮込みが来ましたね。藤原さん、この煮込みは前回の「大林」さんと同じで、もつとこんにゃくが入った「上州スタイル」ですね!

↑「にこみ」(450円)。具材は数種のもつとこんにゃくに、あしらいの青ねぎのみ

 

藤原 そう、しっかり覚えていて素晴らしい! しかも三祐酒場さんはこんにゃくが白と黒の2種類入っていて手が込んでいますね。

 

中村 もつとこんにゃくの食感が楽しい! 味付けも濃すぎず薄すぎず、バランスが絶妙。焼酎ハイボールとの相性もバッチリですね。

 

奥野木 次はもうひとつの定番、串カツをどうぞ。

↑「串かつ」(500円)

 

中村 えっ、これが串カツ? すごい大きさ! ……あ! 豚バラ肉のスライスをミルフィーユ状に重ねて揚げているんですね。ジューシーだけど重くなくて、玉ねぎの甘味とお肉の脂がマッチしていてすごくおいしい!

藤原 こちらも手が込んでますよね。肉が噛み切りやすくて、ちょっとずつ食べたいおつまみとしても最適。味が濃厚なぶん、すっきりとした焼酎ハイボールがよく合う!

 

中村 お品書きを見ると、旬の料理もありますし、本格的な和食があったり、洋風や中華風もあったりとバラエティ豊富ですよね。こういった料理はどこで覚えられたんですか?

↑「お祭り納豆」(650円)は一般的に「ばくだん」と呼ばれる一品。仕入れによって変わる数種の刺身に納豆と卵黄を混ぜて、のりで巻いて味わいます

 

奥野木 実は以前、板前の修業で外資系のホテルにいたこともあって、そのときに東南アジアとタヒチにも行きましたね。厨房では洋食や中華のコックも一緒だったので、いろんな料理を覚えました。自分がこの店に戻ってからは、魚河岸から仕入れた素材を使った正統派の和食も増やしましたし、食べごたえのある料理は充実したと思います。

 

中村 この焼酎ハイボールはどんな料理にも合うから、これだけメニューがバラエティ豊富だとうれしいですよね!

↑「しめ鯖」(650円)をはじめ、活きのいい魚も魅力です

 

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かつてこの界隈は「日本一の会社」の労働者でにぎわった

中村 ところで藤原さん、前回は「下町に大衆酒場が多いのは、川沿いの工場で働く労働者のニーズを満たすため」とおっしゃってましたけど、この辺りもそうなんですか?

 

藤原 お、いいところに気がつきましたね。その通りです! ここは墨田川と荒川に挟まれていますし、昔この辺には曳舟川も流れていて船による物流に便利だったため、工業が発展したんです。なかでも有名なのは、鐘淵紡績(かねがふちぼうせき)で、関連の工場もたくさんあったはずですよ。この鐘淵紡績は現在のカネボウ化粧品の前身でもあります。

↑古地図を取り出して解説する藤原さんと、興味津々の中村さん

 

中村 あ、 鐘淵紡績の「鐘」と「紡」をとってカネボウになったんですね!

 

藤原 そう。自動車が一般的になる前は紡績が産業の花形で、鐘淵紡績は日本一の会社と呼ばれたぐらい栄えていたんですよ。

 

中村 なるほど~。それで街と酒場もにぎわっていたというわけですね。

奥野木 ええ、小さな町工場も多かったです。昔は路地裏に入ると、工場から機械油のにおいがプンプンしていましたからね。土間がある長屋で夫婦が営む手工業もたくさんありました。小規模だから、その日の仕事が午後2時とか3時とか、早く終わる日もあるんですよね。そうなると、奥さんは自分の時間がほしいから、旦那にお小遣いを渡して外へ追い出すんです。

 

藤原 わかります! 私も町工場が多い立石の出身なので。

 

奥野木 うちも高度経済成長期は特に、仕事終わりの職人さんでにぎわっていたと聞いてます。当時は14時ぐらいから開けて、15時にもなれば満席で。でも、晩酌は家で楽しむから、あくまでひっかけるだけ。銭湯に行って、うちで軽く飲んで帰るみたいな形ですね。

 

中村 銭湯帰りに一杯なんて、それも楽しそう!

 

奥野木 ちなみに、この辺りの銭湯や居酒屋は、いろんな情報が集まる地域の社交場だったんです。隣の人と仲良くなって仕事を紹介してもらう、といったことがよくあったようですよ。そういう文化って、人がたくさん住んでたからこそなんでしょうね。……でも80年代に入って、バブルを境に産業や業界の構造が変わって、街の様子や人の流れも変わっていきました。

 

藤原 寂しいですけど、時代の流れですよね。でも、だからこそ、昔の面影を残す大衆酒場が恋しくなるんです。

 

中村 確かに、懐かしい雰囲気に包まれるとほっとしますよね。それに、「戦後にみんなが飲んでいた焼酎ハイボールを、今自分が飲んでいる」なんて思うと、何だかしみじみしちゃいます。

 

藤原 この近くには、僕が「酎ハイ街道」と名付けた鐘ヶ淵通りがあって、その辺りのお店もまた雰囲気がいいんですよ。

 

中村 「酎ハイ街道」って、酎ハイ(焼酎ハイボール)のおいしいお店がたくさん並んでるってことですよね。今度、行ってみたいです!

 

藤原 いいですね! じゃあ次は「酎ハイ街道」沿いの名店で飲みましょう。

 

中村 やったー! ぜひお願いします!

 

大衆酒場と酎ハイの魅力にどっぷりハマったご様子の中村さん。次回はどんなお店を訪れるのか、ご期待ください!

撮影/我妻慶一

 

<取材協力>

三祐酒場 八広店

住所:東京都墨田区八広2-2-12

営業時間:17:30~翌2:00

定休日:日曜

※新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2020年12月23日)

 

「東京・大衆酒場の名店」バックナンバーはこちら▼

・第1回 【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

・第2回 【東京・大衆酒場の名店】初心者女子と楽しく学ぶ! 篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺

 

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若者×ビールをあきらめない! 20~30代が殺到した「キリンビールサロン」の舞台裏

若者の酒離れ、さらにいえばビール離れというニュースを見たり聞いたりしたことがある人は少なくないでしょう。背景には嗜好の多様化など様々な要因がありますが、斬新な手法で若者の心を射止めているケースがあるのも事実。そのひとつが今回紹介する「KIRIN BEER SALON(キリンビールサロン)」です。

↑「初めて知る」から、「自分でつくる」まで。ビールの面白さを体感する「キリンビールサロン」。現在はオンラインで第2期が開催中です

 

そこで、運営の中心メンバーにインタビュー。スタートのきっかけ、注力ポイント、サロンの内容、今後の展望など、舞台裏を明らかにしていきます。

 

サロン化とnote発信で20~30代の応募が9割。600万リーチを達成

話を伺ったのは3人。サロンで講師を務めている、キリンアンドコミュニケーションズ・工場広報事業部企画担当の草野裕美さん、企画や運営に携わっている、キリンホールディングス・コーポレートコミュニケーション部の齋木万起子さん、同じくコーポレートコミュニケーション部でオウンドメディア・SNSを担当している平山高敏さんです。

↑左から齋木さん、草野さん、平山さん

 

「キリンビールサロン」がスタートしたのは2019年。第1期は11月~翌年3月までの全5回、月に1度キリンビールの横浜工場内のレストランに集まり、ビールの魅力を深めていくという内容でした(3月に予定されていた最終回は延期)。

 

このサロン、もともとは同工場で約20年前から開催されているビールセミナーから派生したもの。セミナーも世の中の流れとともに、より個人に向けた内容にシフトしているとのことですが、そこには課題もありました。たとえば、新規の参加者が年々減っていたこと。言い換えれば、リピーターが増える一方で新たに興味を持って参加する人が少なくなっていたということです。

 

同様に20~30代の参加率も減少していたそうで、どうすれば若年層にセミナーの魅力をアプローチできるのかを、齋木さんや草野さんは考えるようになりました。そこで齋木さんは、同じチームでキリンビールのnote公式アカウントやデジタルコミュニケーション戦略を担当していた平山さんに相談。

↑2019年4月に開設されたキリンビールのnote公式アカウント。1万フォロワーを超えている企業アカウントは滅多になく、成功事例としても非常に有名です。この仕掛け人が平山さん

 

平山さんは受講者のひとりとしてセミナーに参加したことがあり、想像以上に楽しく勉強になるセミナーが行われていること、参加者に喜ばれていることを実感していました。その体験を思い出しながら、伝え方を工夫して若年層向けに強く届けるアイデアを発案。それが「キリンビールサロン」なのです。

 

「note自体がもっている、コミュニティの観点を取り込もうと考えました。リアルな場であるセミナーは1回だけのもので、つまりは点です。これを連続参加型のサロンという線にすることでコミュニティにし、サロンのメンバーで一緒に考えることを可視化することで、同心円状に新たな価値が生まれるのではないかと思いました」(平山さん)

 

また、noteは自分の暮らしや選ぶモノにストーリーがあり、他者と共鳴しながら消費したいという読者が多いメディア。コアユーザーが20~30代というのも特徴です。そこで「キリンビールサロン」のスタート時に、講師の草野さんとビアジャーナリストとの対談記事を掲載し、よりダイレクトに熱量を伝えました。

↑草野さんと、ビアジャーナリストの富江弘幸さんとの対談記事より。2019年9月、サロン第1期の応募と同時にnoteでアップされました

 

「また、参加者と同じ年代のなかから特にテーマへの共感度が高く、サロンに積極的に関与いただける方をスカウトしてオブザーバーとして参加してもらいました。そのうえで『これからのビールの楽しみ方を、わたしたちと一緒に考えてみませんか?』と同記事で呼びかけました。すると、広告は一切打っていないにもかかわらず、公開したその日に34名の枠に100人近い応募をいただける結果に。その約9割が20~30代でした。ビールセミナーの20~30代は約25%でしたから、差は歴然です。そして第1期は最終の第5回を延期していますが、メンバー発信で広がった『#キリンビールサロン』のTwitter投稿は約600万リーチを突破(Sprinklr調べ)し、多くの若い方にビールの魅力を感じていただく機会となりました」(平山さん)

 

サロンの内容には自信があったものの、募集が始まる2週間ほど前からは、熟睡できず胃が痛い毎日が続いたと草野さんは当時を振り返ります。

 

「参加料金は全5回で1万9000円。横浜・生麦までの交通費もありますし。でも若い方々にとって決して安くはない参加費でも応募をしてくださったことに、本当に感謝の気持ちで一杯になると同時に、身が引き締まる思いでした」(草野さん)

 

 

サロンの仲間がオンライングループでビール愛を広げていく

第1期では草野さんによる講習、飲み比べ、ビールづくりのほか、キリン社内外の醸造家やビールのメディアに携わるクリエイターを招き、様々な角度からビールの面白さをメンバー全員で共有。現在は第2期が開催されており、オンラインならではの手法でゆるやかな交流が生まれています。

↑キリンビールサロン 第2期の様子

 

「第2期では多様なビールやビールを楽しむためのキットを毎回事前にメンバー宅へお届けし、教材のような形で楽しみながら開催しています。前回同様に外部の醸造家を招いているほか、ホップを軸にしていたり、ビール注ぎのスペシャリストに家でおいしく飲むためのレクチャーを用意していたりするのが今回の特徴ですね」(草野さん)

↑原材料セットなど、ビールのほかにも様々なツールや教材が送られます

 

カリキュラムのほか、「キリンビールサロン」に共通している大きな特徴が、サロンメンバー同士が回を重ねるごとに仲良くなってコミュニティの熱がどんどん高まることだそう。

 

「メンバー限定のFacebookグループで交流ができるようにしており、毎日のように皆さんが盛んにビールを紹介し合うということが自然に起きていますね。交流はいまでも続いています。また、サロンはビールのことを学ぶ場なので、キリンの宣伝は一切しません。でもキリンの新商品が出ると、メンバーがいち早く試して感想を投稿してくれたり、SNSにアップしてくれたり、思いがけないうれしい事例も出ています」(齋木さん)

↑第1期のとある講義のあと、会場の片付けをしていた草野さんにメンバーから送られてきた写真。「今でも見返すと泣きそうになる、私にとっての大切な宝物です」と草野さん

 

↑メンバー限定のFacebookグループ。「○○で飲んでます」「○○を飲みました」といった報告や感想を中心に様々なやりとりがされています

 

参加するメンバーはビールのビギナーからマニアまで多種多様。とはいえ知識の差による上下関係は一切なく、フラットで純粋、リベラルに互いをリスペクトし合える輪が生まれているそう。サロンのつながりから一緒に飲みに行ったり、サロンメンバーとして参加していた醸造家がオープンしたお店に、ほかのメンバーが開店祝いに訪れたり。

 

「第1期のメンバーからは卒業が延びてうれしいという声も聞いていますが、今年はコロナの影響で延期したり、第2期をオンラインにしたりといろいろありました。ただ、リアルとオンラインそれぞれのよさや知見を加味し、状況をみながら第3期以降も絶対やっていきたいです」(齋木さん)

 

若者のビール離れは確かに否めないかもしれません。ただしその一方で、あふれる情報のなかから自らが好きなモノを探し、好きな人同士でつながりたいという欲求が強いのも事実。それが昨今のオンラインサロン人気や、noteの拡大にもつながっているのでしょう。あらゆるやり方を模索しながら若者×ビールをあきらめないキリンの取り組みに、今後も注目です。

 

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「淡麗グリーンラベル」の“カラダ、気持ちいいおいしさ”にビール党だった食のプロが納得した理由

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年末年始は、普段よりも“ごちそう”を食べる機会が多くなりますよね。そんなとき、やっぱりお酒は欠かせません。筆者も毎年、年末年始は思う存分楽しみ、お供はもっぱらビールやワイン。でも、おいしかったごちそうも、正月を過ぎればもう“お腹いっぱい”で、カラダも気になる……。とはいえ、やっぱり飲むならおいしいビールがいい……。

 

今回、「淡麗グリーンラベル」を飲む機会をもらいました。「淡麗グリーンラベル」は、2002年の発売以来、ロングセラー商品として愛され続ける発泡酒。糖質70%オフだし、ビールのようにおいしければ、もしかしてこの正月明けに飲むお酒にドンピシャかも!? ということで、あらためて飲んでみることにしました。

 

グルメを知り尽くした“おいしいものナビゲーター”が「淡麗グリーンラベル」を飲んでみた結果

筆者は「おいしいものナビゲーター」として活動しています。肩書きに恥じることなく“おいしいもの”を片っ端から試し、満足すれば記事で読者に感動を共有。気が付けば、おいしい食事とお酒を求めて国内外を旅行することがライフワークになりつつあります。

 

そして、家でも外でも1杯目はビールを選ぶ、いわゆる“ビール党”。ワインや日本酒も大好きですが、やっぱりなにはなくとも「ビール」なんです。ところが、これまでビール類の1カテゴリーでもある「発泡酒」を選択肢に加えることは、ほぼありませんでした。それは、「ビールのほうがおいしいにきまってる」という思い込みがあったから。私のような人はビール党に多いんじゃないでしょうか?

 

飲んでみたのはこれ。

キリンビール
淡麗グリーンラベル(350ml/500ml)
https://www.kirin.co.jp/products/beer/greenlabel/

原材料は麦芽、ホップ、大麦、コーン、糖類で、アルコール分は4.5%。糖質70%オフ(※)。(※日本食品標準成分表2015年版(七訂)による。)

 

まずはひと口、飲んでみて驚きました。正直、「え、いまの淡麗グリーンラベルってこんなにおいしいの!?」と。ビールよりちょっと安いのにおいしいからお得、という印象だったのですが、この「淡麗グリーンラベル」はそれだけではなかったんです!

 

最初に驚いたのは、香りです。

グラスに注ぐと華やかな香りが立ち上り、それだけで気持ちが高まります。普段、発泡酒を飲むときに香りを気にしたことがなかったのですが、「淡麗グリーンラベル」は特筆すべき香り高さ。ビールのなかでもクラフトビールは香りに特徴があるものも多く、それに近い印象を受けます。

 

そして飲み口は、非常に爽やかで、苦味は抑えめ。

ビールの苦味ももちろん好きなのですが、これはかなりライトな口当たり。とはいえ物足りなさを感じることはなく、むしろ「淡麗グリーンラベル」ならではのこのスッキリ感は、オンリーワンの味わいだと言えます。これからの季節なら鍋にも合いますし、ビールのお供としてお馴染みの揚げ物も、煮物のような家庭料理にも、さらに意外に刺身など生魚にも合いそうだと感じました。

 

↑全体的にクセがなく万人受けする飲み口。普段ビールを飲む人のなかでも、スッキリした口当たりや炭酸感がしっかり感じられるものが好きな人ほど、試す価値アリ

 

これまで「ビールが一番おいしい」と思い込んでいましたが、「淡麗グリーンラベル」を飲むと、ビールのような飲みごたえもありつつ、「淡麗グリーンラベル」にしかない爽やかさも感じられることに驚きました。また、数年前に飲んだときより確実においしくなっているのも確かです。

 

私がこれまで抱いていた発泡酒のイメージを大きく覆してくれた「淡麗グリーンラベル」。このおいしさは、どのようにして作られているのかが気になります。そこで、その秘密を知る人を、直接訪ねてみることにしました。

 

淡麗グリーンラベルの“カラダ、気持ちいいおいしさ”の理由を開発者に直撃してみた

その秘密を詳しく知る人は、横浜・生麦にあるキリンビール横浜工場にいるとのこと。どうしても話が聞いてみたいと思い、工場まで足を運びました。

↑おいしさの秘密を知るのは、キリンビール マーケティング本部 マーケティング部 商品開発研究所 中味開発グループの高橋康紘さん。もともと「淡麗グリーンラベル」の大ファンで、開発担当に抜擢。今も、帰宅すると家でおいしさを噛み締めているのだとか

 

早速、質問。

 

「淡麗グリーンラベル」のおいしさを引き出すために、何か特別な製法でも使っているんですか?

「実は、ビールと同じ醸造方法なんですよ」との返事が。え、発泡酒なのに、ビールと同じなんですか!? よくよく聞いてみると、ビールに必ずある「仕込」と「発酵」の工程で、「淡麗グリーンラベル」ならではの工夫をしているのだと言います。

 

「『淡麗グリーンラベル』に使われているのは、主原料は麦芽と水とホップですが、これらはすべてビールでも使われる原料です。違うのは、麦芽の使用比率ですね。発泡酒の場合、使える麦芽の量が決められているんです。使っている原料や製造工程はビールと同じなので、大きく違うのはこの麦芽の比率だけ、と言ってもいいぐらいなんです」(高橋さん)

 

麦芽の比率が低い、と聞くと本当にそれでおいしくなるの? と思ってしまいますが、「淡麗グリーンラベル」はそこでひと工夫。麦汁の比率が低いからこそのスッキリした飲みやすさを活かすことに力を注いでいるんだそう。

 

さらに、ビール特有の飲みごたえや爽快感を加えるために、もうひとつ、並々ならぬこだわりが込められていることがわかりました。

「『淡麗グリーンラベル』で一番こだわっているのは、ホップの使い方なんです。世界中から集めてきた複数のホップを、まるでカレーのスパイスのように配合率を考えながら組み合わせ、弊社の特許技術である“ホップアロマ”製法で爽やかな香りと味わいを生み出しています」(高橋さん)

 

通常のビール造りの工程では、麦汁を100℃の高温で煮ているところへホップを入れるもの。しかし、キリンの“ホップアロマ”製法では、もう少し温度が低い段階でホップを投入します。こうすることで、ホップのフルーティーな香りが引き出しやすいだけでなく苦味も抑えられるのだとか。

 

↑「このパッケージデザインも好きなんですよね」と高橋さん。リニューアルのたびにパッケージも進化しており、緑のキーカラーは維持しつつも、聖獣麒麟の大きさや、グリーンのリボンへグラデーションを追加するなどの変化を加えている

 

もうひとつ、筆者が気になっていたことが。

 

どのようにして糖質を70%もオフしているのでしょうか?

何か別の原材料を使っているわけでもなく、ビールと同じ工程でもあるのに、糖質をオフできるとは、何とも不思議な話ですよね。

 

「最初の麦汁には糖質が含まれています。酵母が発酵の工程で糖質を食べることで糖質が消え、アルコールと炭酸ガスが発生します。糖質オフは、そこで酵母に糖質をよりたくさん食べてもらうことで実現します。ただし、アルコール度数を上げすぎないためにも、もともとの糖質の量をうまく調整することで、適量を全部食べてもらうという感じですね。そのあたりも、我々の腕の見せ所です」(高橋さん)

 

ちなみにこの“70%”は、飲みごたえや味わいなど、最適なバランスを突き詰めたところ、この割合に落ち着いたのだとか。ビールとは違い、発泡酒は使える麦芽の量が決まっているので、ただ単に糖質を少なくするだけでは、おいしさが損なわれる可能性があるのです。おいしさを追求した結果の、糖質70%オフだったんですね。

 

「淡麗グリーンラベル」は誕生以来、リニューアルを重ね、“過去最高のおいしさ”を更新!

「淡麗グリーンラベル」は2020年春に、8度目のリニューアルを果たしました。今回のリニューアルでは、ホップの配合比と炭酸感を強化し、雑味のないすっきりした味わいと、満足感を目指したといいます。実際、筆者が飲んだ際も、キリッとした炭酸とたしかな飲みごたえを体感しました。

 

「開発に携わるようになって4年半経ちますが、リニューアルに関わったのは、2019年と2020年の2回です。もともと好きだった商品に手を入れるのは、緊張感がありますが、常に次の進化を考えて“どうすればおいしくなるか“を追求しています。ただし、あくまでもおいしくすることが目標であって、“ビールに近づけたい”わけではありません。爽快で飲みやすい”『淡麗グリーンラベル』らしさ“を追い求め、いまどの技術が必要なのかを見極めながら、これからも進化した『淡麗グリーンラベル』を作っていきたいと思っています」(高橋さん)

↑2008年入社。工場や研究開発などの業務を経て、2016年から現職。淡麗グリーンラベル好きが高じ、中味開発がしたいと自ら名乗り出たそう

 

そもそもは、年末年始を過ぎてカラダが気になる時期でもおいしいビールが飲みたい、と手に取った淡麗グリーンラベルですが、高橋さんにお話を聞いたことで、この1本に込められた、さまざまな技術に思いを馳せることになりました。

 

筆者のように、これまで“ビール党”だった人も、一度「淡麗グリーンラベル」を飲んでみれば、新鮮な驚きがあるはず。ビールの日もあるけれど、爽やかな味わいを楽しみたい、カラダを気遣いながらも楽しみたいという日は「淡麗グリーンラベル」というように、その日の気分に合わせたお酒の選び方をしてみませんか?

 

「淡麗グリーンラベル」の詳細はコチラから!

 

【プロフィール】

おいしいものナビゲーター / 今西絢美

編集プロダクション「TEKIKAKU」取締役。“おいしいものナビゲーター”として食にまつわる記事の執筆多数。唎酒師やフードツーリズムマイスターの資格も持つ。食品やお酒などの商品レビューのほか、自身で調理した食のレポートやレシピ考案も行う。仕事柄、日々カロリー過多になりがちなので、最近は月曜断食を試みるなど健康に気を遣い始めた。

 

撮影/湯浅立志(Y2)

 

ズボラつまみの決定版!バカルディが提唱する背徳のご馳走「Z級グルメ」の罪な味

家飲み需要が拡大した2020年。この流れはしばらく続きそうですが、つまみのレパートリーの少なさに悩んでいる人は少なくないはず。ただ、そんなお酒好きを救うユニークな企画があることをご存知でしょうか。その名も「Z級グルメ」。多彩な洋酒を展開するバカルディジャパンが考案・提唱している、秀逸なズボラつまみのことです。

↑2020年秋にはレシピの募集と審査会が開催。筆者は審査員として参加させてもらいました

 

そこで「Z級グルメ」のより詳しい解説と、ファイナリストに残った料理の数々をレシピや感想とともに改めて紹介したいと思います。

 

【ギルティすぎる「Z級グルメ」を写真で先見せ(画像をタップすると拡大画像が表示されます)】

 

サッと作れてクセになるほどウマいつまみが「Z級グルメ」

「Z級グルメ」とは、定番ともB級グルメともどこか違う、でもサッと作れてクセになるほどウマいつまみのこと。たとえばコチュジャンとマヨネーズとさきいかを混ぜた「さきいかコチュマヨ」や、大根おろしとめんつゆを混ぜてファミチキにかけた「ファミチキかあさん煮」など。

↑集まったレシピのなかから優秀作を決める審査会にて。左はお酒やカレー好きとしても知られるモデルの村田倫子さん。右は審査委員長を務めたバカルディ ジャパンの奥村龍太郎さん

 

応募された「Z級グルメ」は写真をもとに、一次審査で厳選。絞り込まれた6品をファイナリストとして、「フォトジェニック」「やみつき具合」「ガサツさ」「ラムとの相性」などの観点でジャッジしました。ということで、それらの料理を筆者の感想とともに紹介しましょう。

 

その1:とんがりコーン ポテサラ詰め

↑レシピはハウス食品の「とんがりコーン あっさり塩味」に、ポテトサラダを詰めるだけ

 

これは花束のようなビジュアルが映える、パーティシーンにもぴったりな斬新フィンガーフードです。味は、生地のサクサクとポテサラのほくほくクリーミー感が秀逸。ほかの「とんがりコーン」でも試してみたいと思いました。コーン入りのポテサラだとより花束感がアップして、またコーンとコーンの組み合わせでより一体感も向上。個人的にはバカルディのラムコークが最高でしたが、コーンが原材料のバーボンハイボールも合うと思います。

 

その2:厚揚げ 食べラーポン

↑フライパンで油を引かずに、厚揚げが両面こんがりなるまで焼き、食べるラー油、ポン酢、粉チーズをかける

 

カリッとふわっとした厚揚げに、食べるラー油のピリ辛感とチーズのコクがエッジィなアクセント。そしてポン酢がさっぱりと中和。なかなかのギルティな味わいながら、だからこそ爽快なお酒が進みます。特にラムハイボールがマッチすると思いました。

 

その3:フランスパン チーズ焼き

↑ひと口大に切ったフランスパンにピザ用チーズをのせ、ケチャップをかけて3~5分焼くだけ

 

コツは、カリカリに焼くこと。そうしないとピザトーストとあまり変わりません。なので、食パンではなくフランスパンのほうがベター。ぜひコツをつかんでカリカリに焼いて食べてください。つまみとしての実力が爆アガリになっていて、杯が止まりません。ワインのお供としてもいいのですが、ややジャンキーな味なのでラムコークがよく合います。

 

 

その4:ちくわのポテロングぶっ刺し

↑ちくわの中に少しケチャップを入れてから、森永製菓の「ポテロング しお味」を差し込む。お好みで刻みパセリやコショウを振れば完成

 

これはちくわチーズ、ちくわきゅうりに並ぶ新発明です。ケチャップとポテトが合うのは言わずもがな。その周りをちくわというクッションが包むことで、ムチサクッとしたメリハリが生まれてえもいわれぬおいしさに。ラムコークが合いますが、ケチャップがマヨネーズであればラムハイボールも合うと思います。

 

その5:コロッケ ツナ食べラー乗せ

↑シンプルなコロッケの上に、ツナと食べるラー油をのせるだけ

 

要素が油、油、油という似たもの同士の組み合わせながら、コロッケ、ツナ、食べラーはそれぞれ味も食感も違うので、多彩なニュアンスが口のなかで広がります。このジャンキーな味を、爽快なお酒で流し込むのが至福。ベストはラムハイボールでしょう。ビールやレモンサワーも合うと思います。

 

その6:粉なしお好み焼き

↑耐熱容器に卵を入れて溶き、レンジで1分程度加熱。固まったらソースやマヨネーズなどをかけて完成

 

肉なしとん平焼きともいえるシンプルな料理ですが、意外なほどこれもウマい! 卵のマイルドな味にソースやマヨが合わさって、イメージできる味わいながらお酒と抜群にマッチ。イチオシはラムコークですが、ラムハイボールもよく合います。

↑ラムハイボールには、「バカルディ ゴールド」が、ラムコークには「バカルディ スペリオール シルバー (ホワイト)」がオススメ。ぜひお試しを

 

この会は5人のメンバーで審査しましたが、「中山さん早いですね」と言われるほど、ついつい一番おかわりをしたのは、何を隠そうこの私。とにかくお酒が進みまくるんです。公式サイトにはファイナリストレシピのちょっとアレンジバージョンなども載っているので、ぜひ参考に。

スパークリング日本酒「澪」はカレーに合う!? 新アンバサダー浅田真央さんの意外な飲み方

スパークリング日本酒の一大ブランド「澪」(みお)が2021年で発売10周年を迎えるということで、その戦略発表会が開催されました。新たに浅田真央さんをアンバサダーに迎えるなど今後の展開を紹介するとともに、これまでの歩みや「澪」の特徴などにも触れていきます。

↑発表会には浅田真央さんも登壇

 

次世代に向けた飲みやすい日本酒を目指して開発

まずは「澪」の概要から見ていきましょう。蔵元は宝酒造で、正式な商品名は同社のブランド「松竹梅」を冠した“松竹梅白壁蔵「澪」スパークリング清酒”です。誕生の背景には、嗜好の多様化などに伴って日本酒市場全体が落ち込んでいた状況がありました。そこで考えられたのが、次世代に向けた飲みやすい日本酒です。

↑日本酒市場の推移。たとえば1994年にはビール類に発泡酒が誕生するなど、日本酒以外の様々なお酒が登場したことが日本酒市場が縮小した一因といえます

 

こうして新たな日本酒の開発がスタートしてから約6年後、2011年にデビューしたのが「澪」。その名称には、「浅瀬の水の流れ」や「船が通ったあとにできる泡の跡」という意味がある「澪」を採用。浅さを低アルコール、泡の跡を発泡性にたとえており、清酒の新しい流れを作るという思いが込められています。さらに、イタリア語でMIOが「私の」という意味を持つことから、日本酒にあまりなじみがなかった人にも「私のお酒」として楽しんでほしいという願いもあるとのこと。そんな「澪」は、ほんのりした甘さとほのかな酸味、低アルコールとやさしい泡が相まって飲みやすく、若者や女性を中心に、日本酒の入口として人気に火が付きました。

↑発売当時の澪。300mlボトルの手ごろなサイズ(現在は150mlと750mlもあります)

 

当初は通販と全国の百貨店や飲食店限定で発売されましたが、スーパーなどの小売店でも販売してほしいという要望が多く、2013年にはコンビニを含む全ルートで販売されることに。2015年には甘さ控えめの「松竹梅白壁蔵『澪』<DRY>スパークリング清酒」が加わるなどラインナップも拡充し、2020年には累計販売本数が7000万本を突破。いまやスパークリング清酒カテゴリーの82%(出所:インテージSRI 2019CY)を占める一大ブランドとなりました。

↑フルーティな香りと辛口な味わいの「澪」<BRUT辛口>や、凍らせて楽しむ「澪」<FROZEN>などもあります

 

プロスケーターの浅田真央さんがアンバサダーに就任

発表会の後半からは、アンバサダーに就任したプロスケーターの浅田真央さんが登壇しました。お酒のなかで日本酒が一番好きだと言う浅田さん。なかでも「澪」は初めて飲んだスパークリングタイプで、「お米からできていると思えないほど、フルーティな香りで驚きました」と、そのときの感想を教えてくれました。

↑日本酒を飲むシーンのひとつがお風呂上り。汗をかいたあとにググッと飲むのがお気に入りだそう

 

浅田さんは「澪」と料理のペアリングにも言及。たとえば冬は鍋や正月のおせちといった和食、そのほかイタリアンやスパイシーな料理にも合い、「特にカレーのスパイスと『澪』のフルーティな味が口のなかで混ざるのが好みの組み合わせ」とのこと。また、自身の得意料理である唐揚げにも合うかもと、「澪」の多彩な魅力を教えてくれました。

↑発表会当日からYouTubeの「MIO×MAOチャンネル」がスタート。今後、「澪」関連商品の紹介や新しい飲み方、レシピ、料理との相性などを浅田さんが発信していくそうです

 

やさしい甘さと爽やかな余韻が印象的

今回、筆者も改めて「澪」を飲んでみました。こうして味わってみると、まず香りからして印象的。例えるならマスカットやライチでしょうか。日本酒のことを「ライスワイン」とはよく言いますが、ワインのように果実味豊かなアロマが鼻孔をくすぐります。

↑やはり冷やして飲むのがオススメ。アルコール度数5%の、ほろ酔いに適した心地よいアタック感が口のなかでやさしく広がります

 

口に含めば、フルーティでやさしい甘さと発泡によるキリっとした爽やかな余韻が印象的。確かに、氷上を妖精のように舞う浅田さんのイメージとリンクします。年末年始のお祝いにもぴったりだといえるでしょう。

 

国内だけでなく、アメリカ、香港、イギリスを筆頭に欧米とアジアなど約25か国にも輸出されている「澪」。世界中にファンがいる浅田さんとの相乗効果で、今後いっそう日本を代表するスパークリング日本酒としての存在感を高めていくでしょう。「澪」の発売からちょうど10周年となる2021年6月21日にはファンイベントの開催も予定しているとのこと。今後いっそう目が離せません。

 

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ビール好きに寄り添う“甘くない”缶チューハイ登場!開発経緯や味の特徴を徹底レポート

10月の酒税改定でビールは値下げ、新ジャンル(第3のビール)は値上げとなりました。この価格差の狭まりでビールの伸長が話題となっていますが、同じく注目されているのがRTD(Ready To Drinkの略)です。なぜなら、RTDは今回の税改訂の対象ではないため、価格は据え置きだから。

 

ここぞとばかりに各社も目玉となる新商品を投入していますが、そのひとつが10月20日から発売されている「キリン 氷結 無糖 レモン」。ウェブで開催された発表会の情報を踏まえつつ、実際に飲んでみた感想を交えてレポートしたいと思います。

↑「キリン 氷結 無糖 レモン」。アルコール度数7%(左)と4%(右)があり、価格はともに350ml缶で141円(税抜/コンビニ参考価格)。500ml缶もあります

 

ニーズに対する課題から生まれた「無糖」という新提案

RTDは缶チューハイを最大勢力に、ボトルカクテルなど様々なカテゴリーがありますが、その缶チューハイでも特に有名なブランドが「氷結」でしょう。2001年にデビューし、2020年に20周年を迎えたロングセラーで、独特な「ダイヤカット缶」も「氷結」のアイコンとなっています。

↑誕生時のコンセプト「みずみずしい果実のおいしさがいきた“氷結果汁”を使って作った、スッキリと飲みやすい、冷涼感あふれる現代的なチューハイ」を表現したのが「ダイヤカット缶」

 

↑「ダイヤカット缶」は昨年、立体的な形状の独自性を保護できる制度「立体商標」に登録。酒類・食品業界で認定された、数少ない事例です

 

そんな缶チューハイの名門といえる「氷結」ですが、常に進化を続け、2020年9月のリニューアル効果もあって定番フレーバーのシチリア産レモンは年間最高シェアを獲得。

↑なお、氷結を含むRTD全体でみると、市場は12年連続で拡大中。この傾向は2026年まで継続する見込みとか

 

そしてこの上り調子のなか、さらなる飛躍を!と期待されて登場したのが「キリン 氷結 無糖 レモン」なのです。その開発には、多様化する消費者ニーズに対する課題がありました。それはずばり、甘さです。

 

冒頭で触れたように、ビール類で最も安価だった新ジャンルが値上げされたことによって、据え置き価格のRTDを手にする人は増えています。しかし、そこでハードルとなるのがRTDの甘さ。基本的にビール類は甘くないため、「缶チューハイは自分向けじゃない」「食事に合わせづらい」と感じる消費者も一定数いるのです。

↑ビール類を好む人がRTDを選ばない理由には、甘さが大部分を占めています

 

こういった期待に応えてデビューしたのが「キリン 氷結 無糖 レモン」。ブランドならではのみずみずしい果実のおいしさを生かしつつ、甘くない味わいを両立させているのが最大の魅力。実際に飲んでチェックしてみました。

 

 

ウマいのはもちろん飽きずに飲み続けられる

まずはアルコール度数の低い4%から。キュッと締まったレモンの酸味が華やぐ、軽やかな飲み心地が特徴。度数の設定は、おいしさに最適な濃度などを探るなかで、4%にたどり着いたとのこと。

↑果汁は2.7%、エネルギーは100mlあたり26kcal

 

↑スカッとしていて、きわめてSo Cool! 甘さがないぶんベースのウォッカとレモンのフレーバーをストレートに感じられます

 

次は7%。4%よりもしっかりとした飲み応えを訴求しつつ、キリッと冴えるレモンの果実味も打ち出しています。こちらの度数も、甘さを出さずに自然な果実感を実現しつつ、力強さを訴求した結果7%になったとのことです。

↑果汁は3.4%。100mlあたり43kcalと、4%よりひとまわり強くなっています

 

↑確かにボディは4%より豊かで、パワフルな飲みごたえ。一方で、ムワッとしたアルコールの違和感はなく、レモンの酸味とも好バランスです

 

4%と7%、ともに感じたのは無糖なだけにドリンクビリティ(飽きずに飲んでいられるおいしさ)が抜群なこと。また、甘さがないので料理を邪魔しないとも思いました。特にシンプルな塩味系、酸味の効いた料理、スパイシーなテイストと合うのでは、と。発表会では「フライドチキンと好相性」と言っていたので、このペアリングも試してみることに。

↑コンビニでおなじみのフライドチキンと、唐揚げを合わせてみました

 

これはまさにドンピシャ! 唐揚げなどにレモンをかけてすっきり味わう食べ方はおなじみですが、やはりレモンと揚げ物との相性は抜群です。また開発担当者によると、揚げ物のほかにチーズ系の料理も好相性。意外なところでは漬物や、おにぎりなどのご飯類も、米の味を邪魔しないのでよく合うそうです。

 

トータルの感想は「さすが氷結!」といえる完成度の高さを感じましたが、無糖という提案自体がヒットするのではと思います。なぜなら、今夏キリンビバレッジから「キリンレモン スパークリング 無糖」が新フレーバーとして登場し、大ヒットを記録したからです。

 

しかも担当者に聞くと、「キリン 氷結 無糖 レモン」の開発には飲料市場における無糖炭酸の動向などに関してキリンビバレッジの知見を活用したとのことで、まさにガチ。このレモン味のヒット次第で、ほかのフレーバーに無糖が登場することも期待大だといえるでしょう。

 

 

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2020年を語る上で絶対外せないレモンサワー「アサヒ ザ・レモンクラフト」。年末年始最強の組み合わせ7選を公開!

2020年のお酒のトレンドを振り返ると、家飲み需要が拡大するとともに、例年以上にRTD(開封してすぐ飲めるドリンク)の話題が多い1年でした。具体的には継続人気のレモンサワー、手作り感など高付加価値のクラフト系、コロナ太りで注目された糖質カット系などが挙げられます。

 

様々な新作がデビューしたなか、クオリティの高さで真っ先に思い浮かぶのが、クラフトカテゴリーのヒット商品「アサヒ ザ・レモンクラフト(以下「レモンクラフト」)」。先行して4月にセブン-イレブンから発売され、その後10月からは満を持してすべてのコンビニで発売されています。

 

↑「レモンクラフト」の「極上レモン」(左)と「グリーンレモン」(右)。ともにアルコール度数は7%で400ml、税抜181円

 

そして、筆者と編集部の間で話題にのぼる回数が多かったRTDも、実は「レモンクラフト」。本稿ではその理由とともに、フードジャンルのトレンド商品を中心に、年末年始の宅飲みやホムパで絶対使える、7つのオススメペアリングも紹介していきます。

【ペアリングを先見せ(画像をタップすると拡大画像が表示されます)】

 

「レモンクラフト」がもっている5つの優位性

まずは改めて、レモンクラフトの実力について。これはクオリティの高さが第一ですが、総評として5つの優位性が挙げられます。

 

①圧倒的な香りの豊かさ

レモン/グリーンレモンオイル、旬果レモンスピリッツ、凍結レモンピールエキス、瀬戸内産レモンエキス、シチリア産レモン果汁の5種類のレモン素材を使い、芳醇な香りが実現されています。そして、この香り高さが全体的なおいしさをゆるぎないものにしています。

 

↑「レモンクラフト 極上レモン」。「グリーンレモン」ともに、パッケージの裏面にはレモンからどのように味わいを引き出しているかの説明書きがあります

 

②広口キャップ

レモンクラフトは広口キャップを採用し、缶のまま飲むことを推奨しています。立ちのぼるレモンの鮮烈なフレーバーが、ダイレクトに鼻孔へ届く設計がこのボトル缶なのです。

 

③リキャップできる利便性

レモンクラフトは内容量が400mlと、一般的な350mlよりはやや多いのですが、リキャップできるので休日のお昼と夜とで分けて200mlずつ飲むといった楽しみ方もできます。

 

↑「レモンクラフト グリーンレモン」。レモンの缶チューハイはRTD市場のなかでも最大級のアイテム数ですが、この400mlボトルを採用している商品はほぼ皆無です

 

④希少性

当初はセブン-イレブン限定ということで希少性があったこと。現在は全国のコンビニで購入できようになっており、購入のハードルも下がっています。

 

⑤やや高価格帯なプレミアム感

2020年は自宅で過ごす時間が増えて、家事も増えて、また在宅勤務をする人はオンとオフが付けづらいという事象が起こりました。「おうち時間を楽しむプチ贅沢」というトレンドにマッチしたということです。

 

7つの絶品つまみを提案。有意義な年末年始を

ここからは、例年より在宅時間が多い今冬の年末年始の家飲みを、一層楽しむ方法として「レモンクラフト」の様々な組み合わせを提案。1年の疲れを癒しつつ、新しい年に良いスタートを切ってもらえれば。トレンドフードのほか、「レモンクラフト」がコンビニで発売されている商品ということで、コンビニグルメを中心にピックアップしました。

 

【その1】「レモンクラフト」同様のヒットストーリーをもつ新食感スナック

湖池屋「ハッシュドポテト」シリーズ

↑「うすしお味」(左)と「コンソメ」(右)があり、ともにオープン価格。来春「ハッシュドポテト コクうま塩」と「ハッシュドポテト クリスピーベーコン」にリニューアルが予定されています

 

「レモンクラフト」のように、セブン-イレブンで人気に火が付いた有名なフードが、湖池屋の「ハッシュドポテト」シリーズ。細切りした生のじゃがいもをひと口サイズのキューブ型にしたスナックで、ザクザクほろほろとした斬新な食感が特徴です。味付けはリッチなテイストで、贅沢な「レモンクラフト」にもマッチ。

 

【こちらもオススメ!】

上記同様、2020年にポテトスナックでヒットしたのが、味付けがなく素材本来のおいしさを楽しめるポテトチップス。湖池屋からは「湖池屋プライドポテト 芋まるごと 食塩不使用」、カルビーからは「CHIPS NEXT (Original)」が話題に。素材のピュアな味や香りを生かした「レモンクラフト」が合うことは間違いありません。また、新感覚スナックという点では湖池屋の「罪なきからあげ」もオススメです。

 

【その2】発売2日で100万個売れたローソンの新生ホットスナック

ローソン「GU-BO(グーボ)」シリーズ

↑「グーボ ベーコンポテト味」と「グーボ 明太チーズ味」。ともに税抜120円

 

今春デビューするやいなや、2日間で累計販売数100万個を突破し、あの大ヒットスイーツ「バスチー -バスク風チーズケーキ-」の3日間で100万個突破の記録を抜いた「グーボ」。濃厚かつ具だくさんで食べ応えがあり、生地はカリカリ、中身はホクホクでおつまみにも最適です。さっぱりとした「レモンクラフト」の酸味が「グーボ」のパンチをリセットし、また食べたくなり飲みたくなる好循環ペアリングがここにあり!

↑「グーボ 明太チーズ味」のフィリング(具材)はこのような感じ。とろけるチーズと明太子の辛味が合わさって、クセになるおいしさです

 

【こちらもオススメ!】

ミニストップならコリアンスナック「ソトクソトク」や、ガーリックバターが入ったカツ「チキンキエフ」。ファミリーマートなら「ポケチキ」シリーズがコンビニの注目ホットスナックです。「レモンクラフト」と合わせ買いして、濃厚なフードと爽快なお酒とのメリハリを楽しみましょう。

 

【その3】ニューノーマル仕様で“香る”コンビニおでん

コンビニ各社のパック型おでん

↑セブン-イレブンをはじめ、どのコンビニでもおなじみのおでん。パック型はチルドコーナーなどに置いてあり、店によっては袋のままレンチンできるタイプと、湯煎などで温める2種類があります

 

秋冬のコンビニグルメとして外せないのがおでん。“ニューノーマル”が叫ばれた今年はレジ横ではないパック型のおでんが話題となりましたが、実は非接触以外の魅力もあります。それが、香り高さ。レジ横で温め続けるおでんは時間経過とともに香りが飛びますが、パック型はできたてを密封するので香りが新鮮なのです。その芳醇な香りを、ぜひ香り高い缶チューハイ「レモンクラフト」でキュッと!

 

【こちらもオススメ!】

コンビニの秋冬を彩る、もうひとつの風物詩が中華まん。こちらはレジ横の需要も多く、変わらない人気を博しています。肉、ピザ、カレーなど具材は多種多様ですが、汎用性の高い「レモンクラフト」はどの味にもよく合います。

 

【その4】クリスマスのチキンは“ロースト”が本場風

ローソン「ローストチキン(骨なし)」

↑ローソンの「ローストチキン(骨なし)」。税抜204円(1ピ―ス)

 

クリスマスにチキンを食べるのはおなじみですが、よりクリスマスに密接な文化圏である欧米では七面鳥や鶏をローストするのが一般的。それにならって、ぜひ今年はローストチキンを味わってみませんか? 代表的なコンビニでは、ローソンから「ローストチキン(骨なし)」や、「黄金チキン ローストレッグ」(税抜276円)が発売されています。ジューシーで甘やかな香ばしさがあるローストチキンには、ほのかな甘みと柑橘の果実味が好バランスな「レモンクラフト 極上レモン」がマッチ。

 

【こちらもオススメ!】

例年クリスマスの時季に登場することがよくある、ミニストップの「スモークチキンレッグ(骨付き)」は、燻製好きなら要チェック。また、ファミリーマートの「照焼チキンステーキ」も肉厚ジューシーで絶品です。

 

【その5】巣ごもり派にも外メシ派にも。缶詰つまみの金字塔

国分グループ本社「缶つま」シリーズ

↑「缶つま コンビーフ ユッケ風」。税抜450円

 

家飲み需要が高まる一方、開放的なベランダ飲みやキャンプも今年は大ヒット。その両シーンで活躍してくれるのが缶詰です。なかでも、お酒に合う味わいにこだわって作られた「缶つま」シリーズは、どの商品も間違いないおいしさ。たとえば、ごま油と豆板醤が効いた「缶つま コンビーフ ユッケ風」は、牛肉と油のガツンとしたうまみが「レモンクラフト」の爽快な酸味と絶妙にマッチします。

 

【こちらもオススメ!】

ラインナップの多彩さも「缶つま」シリーズの魅力。炭火焼きのワイルドな香ばしさが美味な「缶つま 鹿児島県産赤鶏さつま炭火焼」、魚で挙げるなら「缶つま 九州産 ぶりあら炊き」、燻製好きなら「缶つまSmoke うずら卵」などがオススメです。コンビニにもよく置いてあるので、年末年始の巣ごもり用つまみとしてもぜひ「レモンクラフト」と一緒に。

 

【その6】2021年も拡大に注目! カラダにも環境にもやさしい大豆ミート

ファミリーマート「四川風旨辛そぼろ丼」

↑ファミリーマートの「四川風旨辛そぼろ丼」。税抜462円

 

大豆ミートはその名の通り、大豆をお肉のように加工した、現在注目のフード。ファミリーマートの「四川風旨辛そぼろ丼」は、ピリ辛でコク深い豆板醤や、シビれのある花椒(ホアジャオ)で味付けした大豆ミートのそぼろをはじめ、もやし、にんじん、きくらげのナムル、味付けメンマ炒めなどがたっぷり。甘辛くインパクトのある味わいに、「レモンクラフト グリーンレモン」のみずみずしい爽快感やフレッシュなビターテイストがよく合います。

 

【アザーチョイス】

上記「四川風旨辛そぼろ丼」はつまみになるメシとして、夕飯晩酌やシメに最適。また、ローソンには地域限定でレトルトの「大豆のミートハンバーグ」、セブン-イレブンには「野菜と大豆ミートのタコスミート」があります。

 

SDGsの面でも注目されている大豆ミートは、肉に比べて比較的カロリーが低くコレステロールフリー。圧倒的な低脂質ながら、肉と変わらない高たんぱく質と良いことずくめ。コロナ太りに、正月太りがのっからない組み合わせです。

 

【その7】未体験のおいしさでヒットに! シメにはコンビニ新食感スイーツを

ファミリーマート「プリン!?なチーズケーキ」

↑ファミリーマートの「プリン!?なチーズケーキ」。税抜276円

 

ここ数年のコンビニスイーツトレンドは、ローソンの「バスチー -バスク風チーズケーキ-」を筆頭に未体験のおいしさがキーワード。2020年を振り返るとファミリーマートの「スフレ・プリン」が頭角を現し、続いて秋には“新感覚チーズケーキ”として「ショコラチーズケーキ」と「プリン!?なチーズケーキ」が登場。発売10日間で合計200万食を突破した勢いが印象的でした。どのスイーツにも、甘さ控えめですっきりした味わいの「レモンクラフト 極上レモン」がよく合います。

 

【アザーチョイス】

プリン×コンビニといえば、セブン-イレブンが人気に火をつけた硬め食感の「イタリアンプリン」が有名。そのほか、スリーエフなら「もちぽにょ」ミニストップなら「フローズンヨーグルト」ローソンなら「プレミアムロールケーキ」と、各社を代表するロングセラーも安定のおいしさです。

 

2021年も「レモンクラフト」でワンランク上の家飲みを

2021年も、家での豊かな過ごし方を提案する商品がトレンドの中心となるでしょう。ビジネス面では自宅/仕事場/カフェなどの第三の場所と働く環境が日々変わっていくため、1日の切り替えや週末のリセットが心のよりどころとなります。

 

↑一言で表現するなら「レモンクラフト 極上レモン」はブライト&エネルギッシュ。「レモンクラフト グリーンレモン」はフレッシュ&ドライ。どちらもリッチで絶品です

 

プライベート面では時短に継続的なニーズがあり、家事を楽にする家電や手間のかからない料理が注目を集めるはず。そして5G時代の到来とともにライブ配信などもより一般的となり、充実した時間を楽しむためのプチ贅沢な食品やお酒が求められるでしょう。これらのニーズに合致しているのが「レモンクラフト」です。ちょっと優雅な気分に浸りたい日の晩酌や、仕事などを頑張ったあとのご褒美に、「レモンクラフト」でワンランク上の乾杯を!

 

各商品は、一部の地域および一部の店舗では取り扱いされていない場合があります。
飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。

撮影/我妻慶一

2020年の「酒トレンド」をプロが解説。5つのキーワードと「17の銘柄」で振り返る

激動だった2020年。例年よりあっという間だったと感じた人は少なくないでしょう。トレンドを語る背景にはステイホームが強く関わってきますが、本稿ではお酒のトピックスを5つのキーワードと17の銘柄で振り返ります。

 

↑酒×コトの分野における今年の一大トレンドといえば、オンライン飲み会です。写真は「樽ハイ倶楽部」。右がレモンとウォッカがベースの「樽ハイ倶楽部レモンサワー」、左がほのかな柑橘の風味が感じられるプレーン味の「樽ハイ倶楽部大人のサワー」

 

【2020年を彩ったお酒たちを先見せ(画像をタップすると拡大画像が表示されます)】

 

【その1】上質系レモンサワー

昨今の缶チューハイブームをけん引するレモンサワーは、今年も安定の盛り上がりを見せました。そのなかで台頭してきたのが“上質系”といえるカテゴリー。これは、既存のレモンサワー商品以上に素材や製法にこだわってつくられた、高付加価値なおいしさが特徴です。

 

特に注目だったのが、春にセブン-イレブンから先行発売されて人気に火が付き、秋からは全コンビニへと販路が拡大した「アサヒ ザ・レモンクラフト」

↑【注目お酒その1】「アサヒ ザ・レモンクラフト」の「極上レモン」(左)と「グリーンレモン」(右)。ともに400mlでアルコールは7%。リキャップできる珍しい仕様となっています

 

最大の特徴は、レモン/グリーンレモンオイル、旬果レモンスピリッツ、凍結レモンピールエキス、瀬戸内産レモンエキス、シチリア産レモン果汁の5種類のレモン素材を使い、芳醇な香りを実現していること。そしてその魅力を最大限に楽しむためにボトルの形状にもこだわり、飲み方まで推奨(グラスに注がずボトルから飲むことを推奨)しているのもポイントです。

 

また、リニューアルによって商品価値が高まったものも。そのひとつが、2018年にデビューした「キリン・ザ・ストロング」の進化版「麒麟特製サワー」です。

↑【注目お酒その2】「麒麟特製レモンサワー」。複数の果実を12時間以上煮詰め、うまみを凝縮させた独自の「うまみエキス」により、アルコール9%の飲みごたえと飲みやすさを高いレベルで両立

 

そして2019年に誕生し、今年のリニューアルによって上質な味にさらなる磨きをかけたのが「サッポロ レモン・ザ・リッチ」です。今春にはブランド史上最も濃く贅沢な味に仕上げた「サッポロ レモン・ザ・リッチ 神レモン」を限定発売し、話題となりました。同商品は、レモンの果皮、オイル、パルプが入った混濁果汁による奥行きのある味が魅力。そのおいしさを最大限楽しむために、一度逆さまにしてから飲むというのも特徴です。

↑【注目お酒その3】こちらは定番の「サッポロ レモン・ザ・リッチ 濃い味レモン」。通年商品には「ドライレモン」と「ビターレモン」もラインナップされています

 

2020年の元日から発売され、1か月で約100万本を超える売り上げを記録したローソン限定品の「LEMON SOUR SQUAD from NAKAMEGURO」も上質系サワーの一大ブランドです。手がけているのは、缶チューハイのパイオニアである宝酒造。レモンの香り成分を含むハーブを原料に加えた焼酎と、深み豊かな樽貯蔵熟成焼酎のブレンド、濃厚レモンペーストと強炭酸の爽快な味が特徴です。

↑【注目お酒その4】「LEMON SOUR SQUAD from NAKAMEGURO」。自他ともに認めるレモンサワー好きのEXILEが監修していることも話題に

 

上質系レモンサワーを語るうえでは、初めてアルコール商品を手がけたことでも話題となった日本コカ・コーラの「檸檬堂」も外せません。九州でのテストを経て2019年10月に全国発売されましたが、今年1月にはあまりの人気に一時出荷停止となったヒット商品です。

↑【注目お酒その5】「檸檬堂 定番レモン」。まるごとすりおろしたレモンを、あらかじめお酒に漬け込む「前割り製法」を採用しているのが特徴で、フレーバーは「鬼レモン」「塩レモン」「はちみつレモン」を含む全4種

 

【その2】おうちスピリッツ

家で過ごす時間が増えたぶん、RTD以外のお酒をじっくり楽しみたいという需要が増えたのも今年の傾向です。そこで重宝されたのが、ジンやウイスキーをはじめとするスピリッツ(蒸溜酒)。新商品としてヒットしたアイテムの代表には、サントリーが手がけたジャパニーズジン「翠(SUI)」があります。

↑【注目お酒その6】「翠(SUI)」。ジュニパーベリーなどジンの定番ボタニカルに加え、柚子、緑茶、生姜といった和素材を使用。柚子の華やかな香り、緑茶のうまみ、生姜のすっきりとした辛味が華やぐ日本人好みの味わいに仕上がっています

 

ウイスキーの新作には、ニッカウヰスキーの6年ぶりの新ブランドとして話題をさらった「ニッカ セッション」があります。特徴は音楽をイメージしていること。スコットランドのモルトと日本のモルトをセッションのように組み合わせ、華やかな香り、なめらかな口当たり、オーク樽の甘さが調和した軽やかな味わいを実現しています。

↑【注目お酒その7】「ニッカ セッション」。新たな創造や潮流をイメージした、モダンアートを彷彿とさせる躍動感のあるラベルデザインもアイコニック

 

ほかにウイスキーの新作には、今春デビューした「キリンウイスキー 陸」が本格的な味と良心価格でおうちスピリッツの人気者に。一方で新作以外の定番スピリッツも人気を博し、特にコンビニでも買えるような超王道は例年以上に売り上げを伸ばしました。たとえば、世界No.1ラムとして有名な「バカルディ」、同じく世界No.1プレミアムジン「ボンベイ・サファイア」、そして“ハイボールの起源”とも言われるスコッチウイスキーの銘酒「デュワーズ」などがあります。

↑【注目お酒その8〜10】左から「デュワーズ 12年」、「ボンベイ・サファイア」、「バカルディ ゴールド」。スパイスがボタニカルのキーであるジンは、スパイスカレーとのペアリングでも人気が上昇中

 

【その3】カジュアル系スパークリング果実酒

炭酸の効いた爽快なお酒は、夏場に重宝されるほか、1杯目としても人気。そんなスパークリングカテゴリーにおける今年のトレンドといえば、果実酒を中心にカジュアルなラインが増えたことです。代表的なアイテムといえば、メルシャンが“カジュアルスパークリング”として新提案した「ビストロ スパークリング」と「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」です。

↑【注目お酒その11】左の3つが「ビストロ スパークリング」で、最右が「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」

 

これらの特徴はアルコールが低め(一般的に12%前後のところ7~9%)かつ量も少なめ(主流は750ml のところ500ml)で、価格も400~600円で安めということ。お酒が得意ではなくても飲みやすく、なおかつ気軽に買いやすい価格なので敷居の高さを感じにくくなっています。

 

もう一品、カジュアル系スパークリング果実酒として紹介したいのが「ニッカ JAPAN CIDRE」。こちらは、量や価格は一般的なシードルと相応ながらもアルコール度数が3%とフレンドリーな仕様に。また、果肉まで赤い希少なりんご「ジェネバ」を一部に使った赤い液色が鮮やかで、カジュアルなルックスも特徴です。

↑【注目お酒その12】今夏Amazonから先行発売された「ニッカ JAPAN CIDRE」。同サイトのシードルカテゴリーで屈指の人気を誇っています

 

これまで低アルコールのスパークリングとしては、14種もの豊富な通年商品がありそのすべてがアルコール度数3%のRTD、サントリー「ほろよい」が大きな存在感を示していました。このボリュームゾーンが、カジュアル系スパークリング果実酒の登場で拡大していくことでしょう。

 

【その4】やさしいアルコール

コロナ禍で健康への意識が例年以上に高まるなか、その需要に応えるかのように立て続けに登場したのが「キリン一番搾り 糖質ゼロ」「キリン ベジバル」「キリン 麹レモンサワー」のキリン3部作です。これらに共通しているのは、“やさしい”ということ。

↑【注目お酒その13】「一番搾り製法」に、「新・糖質カット製法」という新たな独自技術を投入しておいしさと糖質ゼロを両立。試験醸造は350回を超え、開発には5年もかかったそう。発売1か月で100万箱を突破するヒットを記録

 

「キリン一番搾り 糖質ゼロ」は、コロナ太りが気になっている人にやさしい設計。野菜を使ってスムージー感覚に仕上げた「キリン ベジバル」は、食生活の偏りが気になっている人にやさしい商品。そして「キリン 麹レモンサワー」は、日本の伝統的な健康フードとしてなじみの深い発酵食「麹(こうじ)」に着目した、やさしいおいしさが特徴です。

 

↑【注目お酒その14】左から「キリン ベジバル」(「グリーンmix」「レッドmix」「オレンジmix」)と、「キリン 麹レモンサワー」

 

【その5】専門店から生まれた対コロナのお酒

最後に紹介するのも、コロナ禍によって生まれたお酒のトレンドです。ステイホームにより飲食店にとっては苦しい状況が続いていますが、この逆境だからこそ生まれた革新的なお酒があります。ひとつは、バー業態による「ボトルカクテル」。グラスに注ぐだけで、プロのカクテルの味が楽しめるスペシャルボトルです。

↑【注目お酒その15】有名女性バーテンダーの小栗絵里加さんによる「Mother’s Blossom」。味はフローラルかつフルーティでクリーミーと、市販のお酒にはないプロの芸術が詰まっています

 

また、国が飲食店の救済策として打ち出した「料飲店等期限付酒類小売業免許」も話題に。これは、酒販免許がない飲食店でもお酒のテイクアウト販売を期限付きで許可したもので、バーによるカクテルキットや、クラフトビール専門店の樽生クラフト持ち帰りなどが注目を集めました。

↑【注目お酒その16】クラフトビールレストランの人気店「クラフトビアマーケット」グループの「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」では、1リットル缶を1280円でテイクアウト販売。同店は醸造所併設型店舗のため、今回の期限関係なく購入できます

 

クラフトビールに関しては、米国の多くのビール好きが持っている「グロウラー」という持ち帰り専用ボトルを、日本でも買う人が増えるというトレンドも生まれています。

↑【注目お酒その17】グロウラーの人気ブランド「ドリンクタンクス」。専用アタッチメントを付けると、ビアサーバーになるのも特徴です

 

こうして2020年を振り返ってみると、ステイホームで外食がしづらくなったぶん、家飲みを贅沢にしようというマインドから「上質系レモンサワー」や「おうちスピリッツ」などに人気が集中。また、運動不足や免疫力への意識の高まりから「やさしいアルコール」が注目され、集客が厳しくなった飲食の専門店からは「VSコロナ酒」が生まれるなど、改めてコロナ禍の影響は大きいと実感しました。2021年はより楽しく乾杯できる日が早くくるよう、年始から祈願していきたいと思います。

トラックの荷台に本格バー出現!? 移動型バー「BAR TRUCK MEDIA TLUX」で飲むカクテルは美味しいか

適度に暗いバー店内で黙々とカクテルを作るバーテンダー。カウンターに注がれたのはいろとりどりのカクテル。そのカクテルグラスを揺らし物思いにふける男。仕事、金、生活、異性……様々な問題をこれからどう解決していくべきか。男はこのバーのカウンターで、一杯のカクテルを飲みながら考えているーー。

……が、しかし! このバーを引いて見ると、なんとトラックの荷台だったのでした。

 

今回は“移動型バー”として10月から営業をスタートし、メディアでも話題となったBAR TRUCK MEDIA TLUXの紹介です。「トラックの荷台部分に設置されたバー」というインパクトもさることながら、利用するにあたって重要なのはやはりバーとしての機能。営業形態やメニューなど、チェックしてみたいところがいくつかあります。というわけで、ここではBAR TRUCK MEDIA TLUXを運営するクリエイターボックス代表/プロデューサーの篠﨑友徳さんにアレコレ質問してみます。

↑BAR TRUCK MEDIA TLUXのイケメンバーテンダー、久保貴史さん(左)と並ぶ、クリエイターボックス 代表取締役/TLUXプロデューサーの篠﨑友徳さん。トラックのバーとはいえ、本格的な店を心掛けているとのことです

 

5月開店のはずが、5月に閉店を決めた幻のバー

ーーそもそもなぜトラックをバーにしようと考えられたのですか?

 

篠﨑友徳さん(以下、篠﨑) もともとは渋谷の神泉にバーを出そうとしていて物件を借り、内装デザインもでき上がり、スタッフも雇っていました。そのバーは「秘密基地」のような雰囲気を売りにしていて、「いざ開店!」と計画していました。今年の5月開店の予定でしたが狭く、三密になってしまうような店で、新型コロナウイルス感染リスクを避けるため、その5月に閉店を決めました。赤字はすごく出てしまったんですけど、そこでヤメておかないともっと赤字が嵩みますから。しかし、これは本当に悔しかったですね。

その幻の店でバーテンダーとして起用したのが、今のBAR TRUCK MEDIA TLUXの店長兼バーテンダーの久保なのですが、彼と2人で「コロナ禍でも、営業できるような形態は何かないかな」と話をしていました。営業できる条件の第一は換気ですよね。「換気が良くて、皆が罪悪感なく飲める場所があると良いよね」という話をしていて、そこから「移動型の店舗が良いんじゃないか」という結論に至りました。トラックの荷台部分を横にすれば、ある程度の間口が取れますし運搬などで使われるトラックのような開閉の仕組みを応用すれば、すぐできるだろうと。それで、急ピッチでトラックを買って製作し、今年の10月より営業を始めたんです。

↑閉店時の様子。一見普通のトラックにも見えますが……

 

↑開けてみるとこの通り。わずか15分程度でオシャレなバーに早変わりします。車両サイズは全長6020×全幅1950×全高2910mm

 

BAR TRUCK MEDIA TLUXの営業場所は?

ーー相当な費用がかかったのではないかと思います。

 

篠﨑 数百万円はかかりましたけど、前述の本来営業する予定だった固定店舗に用意していたランニング費がありましたので。その費用をそのままトラックにかけました。

 

ーートラックのバーを作っても、常に考えなければいけないのが営業場所ですね。現在は、渋谷のヨシモト∞ホールの敷地で営業されていますが。

 

篠﨑 借りられる場所はいくつかあります。わかりやすい例だと、キッチンカーが営業している場所。お酒を出しても良ければそういう場所でも良いです。例えば夜間、閑静な住宅街にポツンとトラックを置いて、仕事帰りで疲れたサラリーマンの方に一杯やっていただくのも良い。あるいは夕暮れ時に海岸沿いにトラックを置き、海で遊んでいた人にお酒を飲んでいただくのも良い。場所を借りるのは、個別に交渉しないといけませんが、このようにシチュエーションを変えて営業できるのがBAR TRUCK MEDIA TLUXの一番の利点です。

 

ーー電気や水道はどうされるのですか?

 

篠﨑 どちらもトラック車内に完備されていますが、現在営業している場所では、電気は施設からお借りすることができます。トイレだけがないので、そこは利用される方にご判断いただいた上で営業しています。前述のような「営業する場所」を考えた場合は、こういった点も考慮しなければいけないですが、それさえクリアすればどこへでも行くことができます。

また、「1日貸し切りプラン」「1か月貸し切りプラン」なども用意してまして、個人のパーティーからイベントなどにも使用できます。こういったことから、トラックを使った移動型バーではあるものの、例えば企業プロモーションの場、キャンペーンを行う場などでは「メディア」としても使用できると思っています。そういったことからBAR TRUCK MEDIA TLUXという名称にしました。

↑現在は渋谷にあるヨシモト∞ホールの敷地内で営業しているBAR TRUCK MEDIA TLUX。チャージはなく、ドリンク代のみで利用することができます

 

移動型バーでいただく本格的モクテル

ーーオープンから1か月以上が経ちましたが、利用された方の反響はいかがですか?

 

篠﨑 渋谷という立地もあり、若いお客さんはもちろん多いですが、ご年配の方もいらっしゃいます。幅広い年齢層の方にご利用いただいていますが、バーとしての機能はチャラチャラした感じにはしていません。例えばグラス一つにしても簡易的なものではなく、良質のものばかりを採用しています。

 

ーーまた、気になるのがメニュー構成です。価格を見ると、数百円からと安めですが、どんな飲み物を出されているのですか?

 

篠﨑 普通のお酒とカクテル、モクテル(ノンアルコールカクテル)などですね。1杯数百円から用意していますが、もちろんすごく高いメニューもあります。そこは利用される方のニーズに幅広くお答えしたいと思っています。前述の神泉に出すはずだったお店のコンセプトを引き継いでいるのですが、「安くても本格的な飲み物を出す」ということには、すごくこだわっています。

例えばジントニック。皆さんが普段飲まれるジントニックって、ジンにトニックウォーターを割ったものだと思いますが、うちのモクテルでは、ジンの原料となるジュニパーベリーという実や、カルダモンなど複数のスパイスを、お客さんの目の前で鉢ですり潰して入れています。目の前でジュニパーベリーの実がはじけた香りはかなりフレッシュです。アルコールは入っていないのに、ジントニックの味がするモクテルです。

 

ジントニック(モクテル)の制作行程をチェック!

 

ーーたしかに「ただ注いだ」というわけではなく結構な手間がかかっていますね。

 

篠﨑 ありがとうございます。この他にも本格バー同様のメニューを取り揃えています。

 

ーーそれではそのこだわりのカクテルを何杯か実際に飲ませていただきたいと思います。

 

篠﨑 ぜひお試しください。

 

というわけで、実際にBAR TRUCK MEDIA TLUXで飲んでみた!

【その1】ジントニック(モクテル)600円(税込)

まずは先ほど作っていただいたジントニックのモクテルをいただきます。篠﨑さんが言う通り、一口だけでジュニパーベリーの芳醇さがまず口の中に広がり、後から炭酸のシュワシュワがアタックしてくる感じ。初めて飲む味わいでした。

 

【その2】フルーツレモネード(モクテル)600円(税込)


レモンジュースとシュガーシロップに加え、木苺とブルーベリーとエルダーシロップという花のシロップを加えたもの。ベリーはその日の入荷によって変更されることもあるそうですが、甘さと酸味が複雑に絡み合うフレッシュな風合い。女性に喜ばれそうな一杯でした。

 

【その3】モヒート(モクテル)600円(税込)


ハーブを丁寧に洗い、軽く叩いて氷に風味を移した後、シロップを入れライムを絞り炭酸を注いだもの。ハーブの青臭さもなく、とにかくスッキリの味。夏場に飲むのはもちろん、ちょっとお酒を飲み過ぎたとき、リセットする一杯にも良さそうに思いました。

 

【その4】モスコミュール(モクテル)600円(税込)


モスコミュールは本来、銅製のマグカップでいただくもののようで、BAR TRUCK MEDIA TLUXでも同様のものを採用。ドライなジンジャーエールの刺激に加え、さらに細かくカットした生姜、ローズマリーを添えたもの。スパイシーで刺激的な一杯です。

 

【その5】ほうじ茶のカクテル(裏メニュー)800円(税込)


篠﨑さんの知人のお茶屋さんが作ったほうじ茶のシロップを採用したカクテル(裏メニュー)。ウォッカとイタリアのリキュール・ガリアーノをシェイクしたもので、口の中に広がる複雑な甘味により、つい何度も口をつけたくなる病みつき感がありました。

 

気になる冬場の営業は?

ーーモクテルを中心にいただきましたが、どれも本格的で手間がかかっているのに、たった600円〜(税込)。喫茶店でコーヒーを飲むよりも、こちらのほうが変わったメニューを楽しめて良いと思いました。

 

篠﨑 ありがとうございます。モクテルはもちろん、アルコールが入ったカクテルも全て本格的なものをご提供していますので、ぜひご利用いただきたいですね。

 

ーーただ、心配なのがこれからの時期「寒い」ということです。お客さんへの対策はありますか?

 

篠﨑 トラックの中にエアコンが備わっており、暖房はあります。また、ブランケットなども用意しています。ただオープンな環境ではありますので、お客様自身で防寒対策はきちんとしてご利用いただければと思っています。

 

ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。

 

篠﨑 カウンターと客席が完備された移動型のバーとしては、私たちの試みが日本初です。一方で、各地ではキッチンカーが増えていますよね。そういったキッチンカーと我々のような移動型バーが連携して、いろいろな地域、スペースに「場」を作っていけたら面白いなと思っています。固定の店舗ですと、初期投資がかかる上、その場所の問題で店が流行らなければすぐに退去するというリスクがあります。

しかし、移動型バーやキッチンカーでしたら、最初にクルマを作らないといけないものの、固定の店舗よりは遥かにリスクが少ない。こういった移動型のお店が集まり、様々なところに「場」を作っていくことができれば、これまでとはまた違う街の構造ができていくようにも思っています。まだ未知数ではありますが、他の仲間とのコラボレーションにも挑戦していきたいと思っています。

↑移動型店舗だからこその利点は十分ありそうです

 

BAR TRUCK MEDIA TLUXは、コロナ禍での苦境をきっかけに、斬新なアイディアへと転じ実現させた好例だと思いました。本格的なドリンクメニューも本当におすすめですので、渋谷界隈に行かれる方はぜひ利用してみてください!

 

<SHOP DATA>

BAR TRUCK MEDIA TLUX

現住所:東京都渋谷区宇田川町31-2 ヨシモト∞ホール前
営業時間:18:00~25:00(月曜定休)

■1日貸切プラン

車両レンタル費10時間まで+運転手/バーテンダー同行:10万円(税込)

※飲食費別途/東京都以外は運搬費別途

■1か月貸切プラン

メディア費1か月〜:180万円(税込)〜

 

撮影/黒飛光樹

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

世界一のバーテンダーが「伝説を作るまで」と「最先端のバーの作り方」を語る噺

大人の社交場である「バー」に焦点を当てる連載。第3弾となる今回も、東京・渋谷にあるバー「The SG Club(エスジー クラブ)」の設立者であり、バーテンダーの世界大会で優勝経験を持つ後閑信吾(ごかん・しんご)さんに、世界一に至る道のりと世界のバーで印象に残ったことをうかがっていきます。

元バーテンダーであるGetNavi編集部の鈴木翔子がバーに詳しい人のもとを訪れて、バーの魅力やバーにまつわるエピソードを聞いていく本企画。第1回は、日本と海外のバーの違い、第2回はバーの楽しみ方を後閑さんに語って頂きましたが、最終回となる第3回は後閑さんご自身のことについて語っていただくのがメイン。なぜバーテンダーの道を志したのか、どうやって世界一になったのか、世界で印象に残ったできごとなどを、たっぷりと語ってもらいました!

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

↑今回お話をうかがう後閑信吾さん。後閑さんは2001年より地元・川崎でバーテンダーとしてのキャリアをスタート。2006年に渡米し、ニューヨークの名門「Angel’s Share」でヘッドバーテンダー兼バーマネージャーとして10年間勤務し、同店在籍中の2012年には「バカルディ レガシー グローバル カクテル コンペティション」の世界大会で総合優勝を果たします。2017年にはバーテンダーの頂点と言われる「テイルズ オブ ザ カクテル」で「インターナショナル バーテンダー オブ ザ イヤー」を受賞し、名実ともに世界最高のバーテンダーとしての地位を確立しました

 

「なんとなく」でバーテンダーを始め、本格的なバーの世界にのめり込む

鈴木 今回はまず、後閑さんがバーテンダーになるきっかけから教えてください。

 

後閑 2001年、18歳のときにアルバイトで始めました。動機は「なんとなく」でしたが、何かを作って技術を得られる仕事がいいと思ったんです。パティシエや料理人も考えていたので、最初はケーキ屋さんに行ったんですよ。でも面接で落ちてしまって、次に受かったのがバーテンダーだったんです。当時は2年ぐらいやったら、また違う仕事をしてみようかなんて考えていました。

 

鈴木 最初に働いたバーはどんなお店だったんですか?

 

後閑 場所は地元の川崎で、居酒屋チェーンが運営するバー業態でした。店で働くのは楽しかったですね。そのうち本格的なバーに連れて行ってもらって、大人な世界観に魅了されていったんです。

 

鈴木 そうしてバーの世界にいっそうのめり込んでいったわけですね。

 

後閑 はい。そして、19歳のときに職場を変えたんですが、すぐにそのバーで店長を任せてもらえることになりました。これを機にバーテンダーの技術をしっかり教わろうと思い、働きながらバーテンダーのスク―ルにも通いました。アメリカに行ったのは2006年、22歳のときです。常連のお客さんから「ニューヨーク(以下NY)に行ったら成功すると思うよ」と背中を押していただいたのがきっかけでした。

 

NY屈指の有名店に入り、半年でマネージャーに

鈴木 そして、アメリカに渡った後閑さんは、NY屈指の有名店「Angel’s Share」で働くことになるわけですよね。そんな有名店にいったいどうやって入ったんですか?

 

後閑 NYに来て最初に働いていた日本食レストランに、「Angel’s Share」のマネージャーがよく来ていて、声をかけてもらったんです。実は、それ以前にも人に「Angel’s Share」を紹介されたんですが、そのときは雇ってもらえませんでした。当時はアメリカでのバー経験はもちろんないし、英語もしゃべれなかったので。

 

鈴木 最初は英語が話せなかったんですね。

後閑 行けば何とかなると思っていまして、まったく勉強しませんでした(笑)。

 

鈴木 まったく勉強しないというのも、すごい話です(笑)。「Angel’s Share」に入ってからはいかがでしたか?

 

後閑 店に入った当時、マネージャーが後任を探しているタイミングで、入って半年でマネージャーを引き継ぐことになったんです。

 

鈴木 すぐに実力が認められたんですね。それはそれで大変だったんじゃないですか?

 

後閑 そのときは、さすがに英語も少しは話せるようになっていましたけど、商談や取材対応などがままならず大変でした。英語の堪能な日本人スタッフに通訳してもらうこともありましたね。前任の売り上げを超える、結果を残す、といったプレッシャーもありました。僕自身がストイックだったからなんですけど、とにかく毎日がハードでした。NYのバーは体力勝負。ましてや「Angel’s Share」は忙しかったですから、一日中体を動かして300杯、400杯くらいのカクテルを作るんですよ。「バーテンダーは一生できる仕事ではないだろうな」と思うぐらい。

 

鈴木 体力が維持できないとやっていけない仕事だったんですね! まるでアスリートみたいです。バーテンダーとして一生やっていく決意も揺らぐほどだったと……?

 

後閑 いえ、当時はバーテンダーとしてやっていこうと決めていたわけではありません。もちろん、NYで結果を残すつもりではいましたし、いつか何かの道で独立したいとは思っていましたが、それがバーテンダーとは決め切れていませんでした。

 

世界大会での優勝で「バーテンダーとして生きていく」と決意を固めた

鈴木 その後、後閑さんは「Angel’s Share」に在籍中の2012年、「バカルディ レガシー グローバル カクテル コンペティション」に出場して総合優勝されました。後閑さんにとって、これはどんな意義がありましたか?

後閑 バーテンダーにおいて、賞を獲っていないといけないわけではありません。ただ、僕としてはこれで人生が変わりました。この優勝がなければ、いまの自分はありえないと思っています。

 

鈴木 バーテンダーとして生きていく決意につながったということですよね。

 

後閑 そうですね。僕の中で「バーテンダーとして生きていく」と決意が固まったのは、この大会からです。

 

鈴木 世界一になって、何が変わりましたか?

 

後閑 多方面から仕事のオファーをいただくなど、チャンスが広がりますよね。僕やお店のことを知っていただくきっかけにもなり、お客さんも増えて非常にありがたかったです。ただ、賞を獲ったといって安心していてはダメで、そこからが本当の勝負。賞に値するパフォーマンスを発揮し続けることが大事になってきます。僕個人としては、世界一のバーテンダーとして見られるわけですから。

 

鈴木 なるほど。受賞後もそれに恥じないための努力が必要ということですね。

 

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「バーテンダーの聖地」で、歴史上唯一のゲストバーテンダーになる

鈴木 その後、世界一のバーテンダーとして、後閑さんは様々な国でゲストバーテンディング(※)やセミナー講師をされたとうかがいました。特に海外で印象的だったエピソードはありますか?

※バーテンディング……バーテンダーを務めること。「ゲストバーテンディング」は、自分が所属していない店に招かれてバーテンダーを務めること

 

後閑 強く印象に残っているのは、やっぱりロンドンのサヴォイ・ホテルでのゲストバーテンディングですね。

 

鈴木 サヴォイ・ホテルのバーといえば、「バーテンダーの聖地」といわれるお店ですよね。130年以上の歴史のなかで唯一、ゲストバーテンダーとしてカウンターに入ったのが後閑さんだけだったという、あの伝説の……。

 

後閑 すごく感慨深いものがありました。当時は29歳で、実はこれが初めてのゲストバーテンディングだったんです。いま考えれば、もっと噛みしめてやればよかったなぁ……とも思います。

 

鈴木 この先、サヴォイ・ホテルにゲストとして入るバーテンダーはいないということなんですよね。

 

後閑 はい。歴史上で僕だけで、この先もゲストバーテンダーが入ることはありえないと聞いています。

 

鈴木 そのときに印象に残ったことはありますか?

 

後閑 バーテンディング前日の昼にカウンターで仕込みをしていたとき、バーテンダーが僕しかいないという時間があったんですね。そしたら、たまたまお客さんが入って来られて。自分の事情は説明したんですけど、「君もバーテンダーでしょ。何か飲ませてよ」とオーダーされて、作ったら「おいしいね!」とすごく喜んでくれたんです。そのあと彼が「ちょっと席を外すよ」と言ってしばらくしたら、サヴォイ・ホテルのギフトショップでロゴ入りの銀のシェイカーを買って戻ってきて、これを僕にプレゼントしてくれたんです。

 

鈴木 うわぁ、粋ですねー!

 

後閑 うれしかったし感動しました。そのシェイカーは、いまでも上海の店に飾っています。

 

【後閑信吾さんインタビュー記事のバックナンバーはこちら】

第1回 「世界一のバーテンダー」が語る「日本と海外のバーの違い」の噺

第2回 「世界一のバーテンダー」が語る! 初心者に伝えたい「バーのキホンと選び方」の噺

 

日本人の感性を活かし、バーの魅力をグローバルに伝えていきたい

鈴木 後閑さんのバーテンダー人生を振り返ってみて、日本というバックグラウンドが役立ったと感じたことはありますか?

 

後閑 それは常々感じています。まずは舌の感覚。よく、世界でも日本人の舌は優れているといわれますけど、これは確かでしょう。あとは日本独自の四季の感覚がありますね。色彩や温度感など、これも武器だと思います。

鈴木 繊細な味覚や四季の感覚は、日本人が世界に誇っていいものなんですね。

 

後閑 ただ、日本人の感覚や文化をそのまま海外に持っていっただけでは難しいでしょう。バーに関しては、その土地に合わせてアジャストすることも必要だと思います。

 

鈴木 この「The SG Club」も、和と洋の感性がうまく調和していると思いますが、改めてお店の特徴を教えてください。

 

後閑 これは「The SG Club」だけでなく、ほかの店舗にも共通していることですが、芯となるコンセプトをしっかり固めていることです。メニュー、ロゴ、音楽、ユニフォーム、サービス、内装、ライティングなど……挙げるとキリがないのですが、コンセプトをしっかりと固めることで、その方向性がまとまっていきますから。

 

鈴木 確かに、後閑さんは現在、東京で2店舗、中国の上海で3店舗プロデュースされていて、どの店もそれぞれ明確なコンセプトが打ち出されていますよね。しかも、店舗ごとにまったく違うコンセプトになっています。

 

後閑 「ほかにあるような店を作りたくない」という思いもありますし、それ以上に誰もやってないことにチャレンジしたくなるんです。効率を考えると、同じような店を作ったほうが楽なのでしょうけど。

 

鈴木 なかでも、2018年にオープンしたこの「The SG Club」は、母国への凱旋ともいえる出店でしたが、日本に出店する店ならではの特徴はありますか?

 

後閑 行燈をモチーフにした照明や格子戸など、日本の伝統的な意匠を様々な部分に落とし込んでいます。この手法は、上海の店には使っていません。というのも、その地で生まれ育ったからこそわかる文化やデザイン、合致するストーリーってあるじゃないですか。

 

鈴木 確かに。「The SG Club」の「江戸時代にアメリカへ渡った侍たちが、帰国してバーを開いたら?」というコンセプトも、世界を見てきた後閑さんによる、日本のお店だから成立するということですね。

 

後閑 はい。デザインの面でもストーリーの面でも、ネイティブならではの要素をうまくちりばめることができて、内容もいっそう濃くなったと思います。

 

鈴木 「The SG Club」は国内のバーシーンをけん引する一軒だと思いますが、これからはどういう存在でありたいと思いますか?

 

後閑 欧米のバーのように開放的な空間でありたいです。バーに慣れていない人でも注文しやすいようメニューリストも用意しているので、気軽に利用してほしいですね。

 

鈴木 1階の「Guzzle」は昼からオープンしていて(※)、テーブルチャージもないのがいいですよね。外から店内の様子が見える造りですし、すごく入りやすいと思います。

※2020年12月11日現在は17:00~翌1:00で短縮営業中

 

後閑 うちみたいに自由な店が増えていけば、バーが日本人にとってもっと日常的になるのかな、と。「The SG Club」にはそういった思いも込めています。

 

鈴木 では、最後に今後の目標を聞かせてください!

 

後閑 自分の店づくりはもちろんですが、商品開発やプロデュースなどにも力を入れていきます。また、日本の文化を世界に発信する一方、海外の面白いバーカルチャーをもっと日本に広めて、バーの魅力をグローバルに伝えていきたいです。

 

鈴木 ありがとうございました! 今後のご活躍も楽しみにしています!

 

「The SG Club」は今年の11月、世界最高のバーアワード「THE WORLD’S 50 BEST BARS」で日本最高位の第10位を受賞。「バーの魅力をグローバルに伝えていきたい」という後閑さんの思いは、確実に実を結びつつあるようです。さらに同店では、自由に海外旅行ができない今、食を通じて旅の気分を味わってもらおうと、世界の様々な街をテーマにしたカクテルペアリングコース「SG Airways」を提供中。みなさんもぜひ「The SG Club」を訪れて、バーの魅力と後閑さんの世界観を堪能してみてはいかがでしょうか。

撮影/我妻慶一

 

<取材協力>

The SG Club

上海に「Speak Low」「Sober Company」をオープンしてきた後閑信吾さんが、世界3店舗目として渋谷にオープンしたのが「The SG Club」です。“1860年、幕府の命でアメリカに派遣された侍たちが、その文化を持ち帰って日本にバーを開いたら?”というのがコンセプト。店内は異なるテイストの3フロアで構成。1階はカジュアルなスタイルでカクテルが楽しめる「Guzzle」(ガズル=英語で“ごくごく飲む”という意味)、地下1階はクラシックな雰囲気の「Sip」(シップ=“ちびちび飲む”という意味)となっており、この頭文字をとって店名を「The SG Club」と命名したそう。2階は会員制のシガーバー「Savor」(セイバー=英語で“味わう”という意味)で、和とキューバの粋が溶けあう空間となっています。

住所:東京都渋谷区神南1-7-8 B1~2F

アクセス:JRほか「渋谷駅」徒歩8分

営業時間:日~木11:30~翌2:00、金土11:30~翌3:00(B1「Sip」は18:00~)

※2020年12月11日現在は17:00~翌1:00で短縮営業中

定休日:不定休

※上記は2020年12月11日時点の情報です。新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、以降の営業時間等に関しましては、店舗にお問合せください

↑1階の「Guzzle」

 

↑地下1階の「Sip」

 

↑2階の「Savor」

 

記事に登場したお酒の紹介はこちら▼

・ブラントン

https://www.takarashuzo.co.jp/products/blanton/blantons/

 

後閑信吾さんインタビュー記事のバックナンバーはこちら▼

・第1回 「世界一のバーテンダー」が語る「日本と海外のバーの違い」の噺

・第2回 「世界一のバーテンダー」が語る! 初心者に伝えたい「バーのキホンと選び方」の噺

 

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グラスもビール数種も付いて3000円! キリンの「オンラインビール講座」を体験してみたらお得すぎた

テレワークやオンライン飲み会など、WEBを介したスタイルが広がっている昨今。今回紹介するのはその一例。キリンが新たに始めた「あなたもできる!おいしいビールの技術講座」というオンラインイベントです。

 

試しに参加してみたら、超お得な内容で驚きでした。もはやボランティアなのではないかと思える同講座、レポート形式で紹介していきます。

↑事前に届く教材(キット)は、この豊作っぷり! 「参加のお礼ビール2種」という、謎のご褒美までついて3000円(写真は緩衝材を取り除いています)

 

座学と飲み比べでビールにじっくり向き合う充実の2時間

受講までの流れは、まずキリンオンラインショップ「DRINX」経由で事前に申し込みをします。受付が完了(先着順)すると当日の約1週間前に教材とセミナーURLが届き、当日はそのURLからオンラインミーティングアプリ「Zoom」で参加するというものです。

 

教材は冒頭で紹介した通りの充実っぷり。講義用ビール3種(135ml×2、350ml×2)、クラッカー3袋、水1本(500ml)、テキスト、Zoom手順書、講義用備品各種(プラカップなど)、参加のお礼ビール 2種(350mlまたは330ml)、特別グラス1脚、ミニチュアビールケース1つとなります。

 

3袋も入っているクラッカーは、ビールを飲み比べる際に口内に残った味の余韻をリセットするためのもの。水は酔いやすい人のための、いわばチェイサーです。そしてミニチュアビールケースはプレゼント。お礼のビールもさることながら、なんたる手厚さ!

↑参加者が用意するものはPC(またはスマホ、タブレット)と筆記用具、普段使っているビール用グラス(送付される特別グラスと飲み比べる用)のみ

 

講座は途中に休憩を挟み、約2時間。前半はビールがどんな原料からできているのか、といった基礎知識などを学びます。教えてくれるのは、キリンビールの横浜工場を拠点にビールセミナー講師をしている、後藤沙耶香さん。

↑基礎知識を知ってからビールをじっくり味わうことで、新たなビールの魅力に気付けるのです

 

ビールの原料は二条大麦の麦芽、ホップ、酵母、水であること。そして麦芽やホップなどについても、それらが具体的にどういう素材で、ビールの味とどういった関係があるのかなども詳しく教えてくれます。

↑こちらは日本で定められている副原料について。2018年4月の酒税法改正により、フルーツやハーブなどビールに使える副原料の種類が増えたことも教えてくれました

 

次はいよいよ本講座のコアとなるパートへ。それが、3つの視点からおいしいビールの技術を学ぶというもの。具体的には、同じビールでも「温度」「注ぎ方」「器の違い」で味が変わるということを、実践しながら体験できるのです。

↑この技術を学ぶことで、より自分好みのビールを楽しむことができるはず

 

温度の違いは、講座開始の30分前に冷蔵庫から出しておいたビールと、直前まで冷やしていたビールで比べます。

↑「キリン一番搾り生ビール」の135ml缶を1本ずつ使用。個人的には炭酸の強弱がわかりやすい違いだと感じました

 

飲み比べてみると、温度が高めのほうは麦の風味や余韻が強めで炭酸の刺激はソフト。全体的にやわらかい印象です。温度が低めのほうは炭酸が刺激的で、麦のボディと余韻のシャープさの落差によるキレが抜群。泡がきめ細やかで、もちも長い気がしました。麦のうまみを楽しむなら温度高め、すっきりした爽快感を楽しむなら低温がいいと思いました。

↑飲み比べのあとは投票も。低めのほうが好評ながら約1/4は高めのほうが好きということで、ほかの参加者の反応がわかる点も興味深いところです

 

 

ビール専用の「TEKU GLASS」は香りの感じ方がハンパない

次は注ぎ方の違いを比較。こちらはセブン&アイグループ限定商品「一番搾り 清澄み」を使って実践しました。

↑それぞれの注ぎ方にはコツがあるというこで、後藤さんがテクニックを伝授

 

注ぎ方というのは、具体的には泡の違いのことで、泡が多くなる注ぎ方と少ない注ぎ方で飲み比べるというものです。泡が多くなる注ぎ方は、「キリンシティ」のご馳走ビールとしておなじみの「三度注ぎ」と同じく、3回にわけて注ぎました。

↑左が泡あり。右が泡なしを意識して注いだもの。泡なしはグラスに沿ってやさしく注ぐのですが、これがなかなか難しく、写真のような感じに

 

この違いを一言で表現するなら、泡ありはスムースで泡なしはシャープ。前者は炭酸の刺激がゆるやかで香りや苦味がどっしりしています。一方の後者は炭酸のエッジがあって、香りや苦味はファーストアタックが強い印象。個人的には泡なしのほうが好みに感じました。

 

最後は器の違いで比較。教材としてもらえるのは「TEKU GLASS」と呼ばれるワイングラスのようなタイプで、クラフトビアレストランなどでも採用されているビール用グラスです。このグラスとふだん使っているグラスで、味がどう変わるのかを体験しました。

↑右が「TEKU GLASS」。筆者が愛用している「ノニックグラス」(左)も伝統的なビール用グラスですが、その違いはいかに

 

試飲したビールは、「IBUKI」というホップの第一等品を贅沢に使った「一番搾りプレミアム」。スタンダードな「キリン一番搾り生ビール」以上にリッチな香りを楽しめる贅沢なビールです。

↑まずは「ノニックグラス」から。爽快感やのどごしをゴクッと楽しむならこのグラスが合いそう

 

じっくり比べてみました。形状が違うので、「ノニックグラス」は口に入ってくる量や流れの勢いがストレート。アタックはこちらのほうがワイルドです。一方の「TEKU GLASS」は、すぼまっているぶんグラス全体からビールの香りが集まってくる印象。また、やや薄張りで作られているのでビールの口当たりをダイレクトに感じられます。

↑「TEKU GLASS」は、ビールの流れに“ため”があり、香りの成分が鼻孔へと一気に向かってくる感じ。ビールの味や香りをじっくり楽しむには、こちらのほうが合う気がします

 

器の違いも改めて多くの発見がありました。そのあとは後藤さんがグラスの洗浄や管理方法を教えてくれ、講義本編は終了。最後の質問タイムは、参加者からの声や感想がたくさん飛び交って大盛り上がり。ふだんは知人以外からビールの感想を直接聞くことはなかったので、個人的にも大いに勉強となりました。

 

「あなたもできる!おいしいビールの技術講座」を終えた感想は、とにかくお得で楽しく、勉強になるということです。ビール好きの人はぜひ「DRINX」をチェックのうえ体験してみてください。

 

【URL】

https://drinx.kirin.co.jp/event/seminar/beerseminar11/

 

 

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キリンとサッポロの対談が実現! ライバルが語り合った「日本産ホップ」のアツい話

ふだんはライバルとして切磋琢磨しているキリンビールとサッポロビールが、メーカーの垣根を超えて対談するイベントがオンラインで実現しました。メインのテーマは「日本産ホップ」。各社の取り組みや、ホップとビールの未来に込めたアツい想いなどをレポートするとともに、注力している商品の味や特徴を紹介していきます。

↑素材を通じてライバル同士が手を取り合う。これもホップならではの面白さです

 

ビールがホップで選ばれるようになればもっと面白くなる

イベントは2部制で、前半の1部はホップスペシャリスト対談として、キリンホールディングス 飲料未来研究所の杉村哲さんと、サッポロビールのSORACHI1984 ブリューイングデザイナーである新井健司さんが登壇。ふたりはビール醸造学の最高学府「ミュンヘン工科大学」に留学していた共通点があり、対談のなかでは当時を振り返る場面も。時期が違ったので交流はなかったものの、日本の他社メーカーには当時の学友がいて、それぞれいまも親交があるそうです。

↑左上が新井さんで、右下が杉村さん。後半から参加したのが、左下の金惠允さん(ブックリンブルワリー・ジャパン アカウントダイレクター)と右上の中水和弘さん(スプリングバレーブルワリー ブランドアンバサダー)

 

自己紹介のあとはいよいよホップの話。キリンとサッポロ、ともに日本産ホップは100年以上前から栽培しているとのことで、さすがは老舗です。キリンは東北を拠点に育種、栽培。技術開発や分析は杉村さんが所属する横浜の飲料未来研究所が主体で行い、商品開発は同場所にある商品開発研究所と中野の本社が連携して様々なビールを生み出しています。

↑特に岩手の遠野では、「ホップの里からビールの里へ」を合言葉にしたまちづくりが行われています

 

サッポロの栽培拠点は北海道の上富良野にあり、品種開発や技術研究なども行っています。そして、ビールにおける香りなどの研究開発は、静岡にある価値創造フロンティア研究所と商品技術イノベーション部が担当。商品開発は商品技術イノベーション部と恵比寿本社の新価値開発部が連携して行っています。

↑ホップ名に「ソラチ」や「フラノ」といった地名が付けられているのは、北海道をルーツとするサッポロビールらしい特徴といえるでしょう

 

1部のラストでは、杉村さん新井さんそれぞれがホップに対する想いを語りました。

 

「ドイツに留学して、ホップが現地の一大産業であるとともに人々の誇りになっていることを感じました。この豊かなホップ文化が、ドイツをビール大国にしている大きな要素だと思います。日本も同じように盛り上げていきたいですね。そのためには日本産ホップを通じた取り組みでお客様に新しい価値を提案しながら、ホップ産地も活性化させたいです。そして、その先にビール市場の発展があると確信しています」(杉村さん)

 

杉村さんの先輩には、ドイツの研究団体からの要請で、世界で6人しかいない「ホップに関する技術アドバイザー」を務めた“ホップ博士”こと村上敦司さんがいます。村上さんは定年退職しましたが、その集大成ともいえるホップ「MURAKAMI SEVEN」のように、自分のホップや開発製法がビール文化の発展に寄与できれば技術者・研究者冥利に尽きるというもの。

↑「MURAKAMI SEVEN IPA」6本セット3432円(DRINX)。いちじく、みかん、マスカットをイメージさせる香りが特徴です

 

新井さんは、サッポロビールが手掛けた世界的に有名な日本産ホップ「ソラチエース」を、ビールの魅力とともにさらに広めていきたいと言います。

 

「まずは自身がブリューイングデザイナーを務める『Innovative Brewer SORACHI1984(以下「SORACHI1984」)』を多くの方に楽しんでいただけるようにと、使命感をもっています。そこから『ソラチエース』を知っていただき、日本産ホップにも興味をもっていただけたら。クラフトビールが少しずつ浸透して、ヴァイツェンやペールエールなどビアスタイルで選ぶ方も増えていますけど、その先にホップがあるのかなと。たとえばワインがシャルドネやピノ・ノワールなどのぶどう品種で選ばれているように、ビールもホップの品種で選ばれるようになれば、もっと面白くなると思います」(新井さん)

↑昨年限定発売された、「SORACHI1984」のエクステンションモデル。「ソラチエース」に「アマリロ」というホップを掛け合わせたビールなどがファンを喜ばせました

 

 

「ソラチエース」は個性派ながら汎用性がハンパない

後半の2部は、各社のこだわりホップビールと、ベストマッチなペアリングの紹介。前述した中水さんと金さんが加わり、解説してくれました。まずは中水さんが「Hop Fest 2020」をプレゼン。

↑限定品の「Hop Fest 2020」6本セット3168円(DRINX)。カボチャのサラダとクラッシュアーモンドをのせたバゲットがベストマッチとのこと

 

「ポイントは『IBUKI』という柑橘やフラワリーな香りのホップ。遠野でとれたばかりのフレッシュホップならではの鮮やかなフレーバーと、エールタイプの芳醇な味わいが楽しめる、この時期だけのビールです。アルコールが6.5%でボディ感もあり、心地よい苦味や戻り香も楽しめますよ」(中水さん)

 

次の金さんが紹介したのは、上記「ソラチエース」を使ってアメリカで生み出されたビール「ブルックリン ソラチエース」です。このホップはサッポロビールが1984年に生み出したものの、その豊かな個性は当時の日本では需要が見込めなかったため、商品化には至りませんでした。その後アメリカへ渡り、2008年にブルックリンブルワリーのブリューマスターであるギャレット・オリバーさんが魅力に気付いて2009年に商品化。それが「ブルックリン ソラチエース」なのです。

↑「ブルックリン ソラチエース」6本セット2960円(DRINX)。金さんは今回、レモンを搾ってハーブを添えたイワシのカレー煮込みをペアリングにチョイス

 

「柑橘やレモングラス、ディルなどを思わせる爽やかな香りで、アメリカでは熟したバナナのような甘みと表現しています。スパイシーな料理や魚介類と非常に相性がよく、和食とも好相性。私のイメージでは日本酒や白ワインにも近く、個人的にここまで幅広くペアリングできるビールは初めてです」(金さん)

 

最後は新井さんが「SORACHI1984」を紹介。実は新井さんが初めて「ソラチエース」のことを知ったのは、サッポロビールに入社して7~8年経ったあとのドイツ留学時。海外の醸造家に「あの面白いソラチエースを作ったサッポロ!」と言われたものの、自社でも聞いたことがなかったため、間違いではないか?と聞き返したほどだったとか。その体験が、新井さんの“ソラチエース熱”を高めるきっかけとなったのです。

↑「SORACHI1984」8本セット1939円(Amazon)。鶏ささみのような淡白な肉によく合い、わさびを添えるとよりマッチ。一方でジンギスカンのようにパンチのある肉料理にも。またクリームチーズやフルーツにも合うそうです

 

「凛として香り立つ、一般のビールではなかなか味わえないうまさが特徴です。レモングラスやヒノキなどハーバルでウッディな香りが立ち、アフターフレーバーにはココナッツやはちみつのような甘やかさも。またホップは効かせているものの、IPAほど鮮烈ではないので、もう一杯飲みたくなるようなバランスのよさもポイントです」(新井さん)

↑最左の「Hop Fest 2020」はオンライン限定ですが、そのほかは街のショップでも売っています。いまなら2020年版の「一番搾り とれたてホップ生ビール」(最右/228円)もあるのでチェックを

 

やはりホップは奥が深くて面白い。今回のビールと一般的なビールを飲み比べてみれば、その違いもよくわかるでしょう。ぜひ本稿を参考に試してみてください。

 

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日本初を打ち出した新ビール「アサヒ ザ・ダブル」、個性はありながらも万能な味に驚かされた!

10月に酒税改定されたことでビールは安く、新ジャンル(第3のビール)は高くなりました。これによってメーカーのビール商戦も加熱。そのなかから、コンビニ限定で発売されたユニークな一本を紹介していきます。

↑11月10日からファミリーマートで発売されている、「アサヒ ザ・ダブル」。350ml缶は219円、500ml缶は286円

 

発酵温度が異なる2種のビールをバランスよくブレンド

何がユニークかというと、日本初の“ダブルブレンドを訴求”している点にあります。具体的には、麦芽100%のピルスナータイプのビールと、麦芽100%のエールタイプのビールをブレンドしているのだとか。

 

ビールもその他のお酒同様に発酵という工程があり、これが温度帯の違いなどで大きく「上面発酵(エール)」「下面発酵(ラガー)」にわかれ、それとはまた別の「自然発酵(別名はワイルドビールなど)」の3つに分類されます。そして、日本で伝統的に飲まれているのは下面発酵で造られるビールのうちの、ピルスナーというビアスタイル。プレミアムビールも同様にピルスナーです。

↑クラフトビールでは上面発酵のエールタイプも多数。この3つは左からケルシュ、ヴァイツェン、スタウトというビアスタイルで、すべて上面発酵です

 

上面発酵によるエールタイプのビールにも、多彩なビアスタイルがあるのですが、「アサヒ ザ・ダブル」のブレンドに使用しているエールの具体的なビアスタイルは企業秘密とのこと。ただ、多くのエールは華やかな香りと豊かなコクをもっていて、この味わいを生かしつつ、飲みごたえがありキレの良い後味が魅力のピルスナーをブレンドすることで、ほかにないおいしさを実現しているのです。

↑オンライン試飲会にて。「アサヒ ザ・ダブル」の開発者の2人が特徴などを教えてくれました

 

なお、「アサヒ ザ・ダブル」はファミリーマートとの共同開発商品として2018年9月から数量限定で発売していて、今年で3回目。初回は金×赤デザインの「アサヒ ザ・ダブル」、昨年は金×マリンブルーの「アサヒ ザ・ダブル ファインブレンド」、そして今年は初回のデザインをベースに、エンブレム調のデザインを取り入れるなどより“贅沢感”をイメージさせるパッケージとなりました。

↑地をアーガイル柄にしたデザインも贅沢感を演出しています

 

改めて新発売することとなった背景には、酒税改定のほかに飲み手の環境変化もあるとのこと。ズバリ、在宅時間とともに増えた家飲み需要です。斬新なビールを、メジャーな商品と同価格帯で市場投入することで「この機に色々なビールを試してみたい」というニーズに応える狙いがあるそうです。

 

プレミアムとは一風違う華やかさがあり、飲み飽きない

ということで、試飲してみました。グラスに注いでみると、香りからして微笑ましいフィーリング。プレミアムビールとはまた違った、フローラルでエレガントなフレーバーです。ホップの特徴はそこまで強烈ではないので苦味やアッパーな果実感も抑えられ、飲み疲れしないバランス感。

↑アルコールは5%でちょうどよく、飽きのこない完成度です

 

入口はふわっと優雅に香りながら豊かなコクも広がり、それでいてアフターテイストはシャープですっきり。この爽快なキレは、さすがアサヒスーパードライの造り手だからなせる技術力の高さだと感じます。

↑エールのやわらかさとピルスナーのするどさ、両方が絶妙に調和しています

 

フードペアリングは、コンビニの定番フードであればホットスナックが相性抜群とのこと。そこで、ファミリーマートのPB数種を合わせてみることに。

↑ホットスナックはファミマの新定番唐揚げ「ポケチキ」と焼鳥をチョイス。鶏の炭火焼きや、カニカママヨサラダも用意しました

 

筆者が選んだ「ポケチキ」は、やや香りにクセがあるチーズ味だったのですが「アサヒ ザ・ダブル」はふところが深くしっかりマッチ。これは、エールの香り高さがチーズの風味をしっかりキャッチするからでしょう。油の濃厚さも、ビール特有の爽快なキレがしっかりリセット。焼鳥や炭火焼きといった焼き物料理とも仲良く一体となり、また次のひと口が食べたくなるおいしい好循環が続きます。

↑マヨネーズ系の、酸味がある濃厚さともドンピシャ。華やかで爽やかな香味が、美味なるハーモニーを奏でます

 

上品で贅沢感満点の味わいに、エレガントなデザインということで、差し入れにもぴったり。もちろんふだんの晩酌や自分へのご褒美としても、ファミリーマートでサクッと今夜のご馳走をそろえましょう。

 

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【東京・大衆酒場の」名店】初心者女子と楽しく学ぶ! 篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺

東京にある大衆酒場の名店を巡る企画の第2回。今回は、江戸川区・篠崎の「大林(おおばやし)」を訪れ、その魅力を探っていきます。

 

大衆酒場は、その安さとウマさ、昔ながらの温かい雰囲気で、酒飲みの心をひきつけてやみません。なかでも東京では下町を中心に、根強い人気を誇る大衆酒場の名店が数多く存在します。そんな名店を巡り、お店の魅力と東京ならではの酒文化を深掘りしていくのが本連載。初回の立石「宇ち多゛(うちだ)」に続く第2回は、篠崎の「大林」にお邪魔します。

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

1967年創業の老舗「大林」で識者から酒場の楽しみ方の極意を学ぶ

篠崎の「大林」は昭和42(1967)年創業。都営新宿線の篠崎駅から徒歩20分ほどと決して好立地ではないものの、地元住民だけでなく大衆酒場ファンもこぞって訪れる繁盛店です。今回は大衆酒場の聖地・葛飾区立石の出身で、大衆酒場にまつわる著書を数多く上梓し、ウェブサイト「酔わせて下町」を主宰している藤原法仁(のりひと)さんを講師に迎え、同店の魅力を明らかにしていきます。なお、今回から本連載にはお酒好きのタレント・中村 優さんがレギュラー出演。生徒役としてお店を体験してもらうほか、大衆酒場の歴史や楽しみ方、お酒についての知識なども学んでいきます!

↑中村 優さん(左)は、タレントおよびマラソンランナーとして活躍。藤原法仁(のりひと)さん(右)は、ブログ「居酒屋礼賛」主宰の浜田信郎さんとともに11月11日を「立ち飲みの日」として記念日登録するなど、大衆酒場文化の活性化にも尽力されています

 

中村 藤原さん、今日はよろしくお願いします! 大衆酒場はあまり行く機会がなかったんですけど、ずっと楽しそうだなーと興味を持っていました。だから、この連載で大衆酒場のことをしっかり学んでいきたいです!

 

藤原 おお、やる気がありますね。こちらこそよろしくお願いします!

 

中村 それにしてもこの「大林」さん、すごく味わいのあるお店ですね。

↑お店の中央にはコの字型のカウンターがあり、その内側を店員さんが移動してサービスする形

 

藤原 このびっしり貼られたメニューを見てください。何となく万華鏡みたいでしょ?

 

中村 確かに、不思議な景色ですね。宝の山みたいで、見ていてワクワクします! それにしても、すごい数!

↑店内にはメニューが書かれた短冊がズラリ。どれもリーズナブルな価格でビックリ。料理メニューは全部で約160もあり、旬の逸品や日替わりもあるため毎日変動するそう

 

藤原 おつまみの豊富さも魅力なんですが、メニューの質に対して価格も安いんです。酒にしてもお手ごろな価格でたっぷり注いでくれるし、正直に商売している。だから、僕は大林のようなお店を「正直酒場」だと提唱しているんです。

 

中村 良心的な酒場ってことですね!

 

藤原 その通り! ウマくて安い酒とつまみがある、こうした「正直酒場」に巡り合えると人生が豊かになりますよ。

 

下町に大衆酒場が多いのは、川沿いの工場で働く労働者のニーズを満たすため

↑ドリンクのメニューでは「タカラ焼酎ハイボール」(350円)が人気

 

藤原 ……と、前置きはこれくらいにして、そろそろ飲みましょうか! まずは定番の「タカラ焼酎ハイボール」の「赤」をお願いします! 宝焼酎だけの「白」に対して、「赤」というのは、シロップ入りで琥珀色に色づいた焼酎でつくる酎ハイ(焼酎ハイボール)のことです。

 

中村 えっ、「とりあえず生ビール」じゃないんですか?

 

藤原 下町大衆酒場では、焼酎ハイボールでスタートすることも多いんですよ。

 

中村 あ、じゃあ私もそれでお願いします! ……あと、すみません、お酒が来るまでにすごく基本的なことを聞きたいんですけど。どうして東京の下町には大衆酒場が多いんでしょうか?

藤原 いい質問ですね。これは東京の地理と密接なつながりがあります。もともと江戸は水路の街で、川を使って船で物流を行っていました。だから川沿いを中心に産業が栄えて人が集まり、街が発展してきたんです。

 

中村 江戸といえば、たしかにそういうイメージはありますね。

 

藤原 時代を経て、川が埋め立てられて道路になったり、電車が開通したりして。人の流れが変わっていきます。一方で、大きな河川のそばにあった古い街のなかには、船が使えるという利点を生かし、工業地帯として発展していったものがあります。工場では多くの労働者が働いていますから、その憩いの場として下町に大衆酒場が栄えたわけですね。

 

中村 つまり、東京で近くに大きな川がある地域は大衆酒場も多いということですか? 大きな川というと、荒川とか隅田川とか……あ、このあたりは下町ですよね。

 

藤原 その通り。墨田川や荒川の周辺も酒場が発展しています。ここ篠崎の近くには江戸川、酒場の聖地と呼ばれる立石のそばには中川が流れていますよ。ちなみに、よく下町で電車の駅から遠い場所に飲み屋街ができているのは、古くからある川沿いの街が残っていて、あとから駅が遠くにできたケースですね。

 

中村 なるほど。目からウロコです! …あ、お酒が来ましたね!

 

焼酎ハイボールは焼酎・炭酸・氷が別の「三点セット」で提供

中村 (店員さんに目の前でお酒を注いでもらう中村さん)うわぁー、なみなみ! お酒と炭酸は別々で提供されるんですね。

 

藤原 そう。しかもここは焼酎と炭酸のほか、アイスペール(氷ボックス)も個別に出してくれる贅沢な三点セット式。ほかには、焼酎と炭酸水を別々で提供するセパレートの二点セット式や、お店の方で完成品を作って出してくれるところもあります。

↑「タカラ焼酎ハイボール(赤)」(350円)。藤原さんによると、焼酎の入ったグラス、炭酸のボトル、アイスペール(および混ぜるためのジョッキ)の三点セットは珍しく、なおかつ焼酎を受け皿付きで提供する店は希少とか

 

中村 これだと自分好みの酎ハイを作れるからいいですね! ちなみに、藤原さんはいつもどうやって作ってるんですか?

 

藤原 じゃあ見ててくださいね。まずは炭酸を全部入れちゃいます。

↑炭酸水のビンを垂直にして一気にドボドボッと豪快にいくのが下町流とか。その勢いに中村さんもビックリ

 

中村 ええっ? スゴイ、ビンを真下に向けて一気に入れるんですね! こうするとどんな効果が……?

 

藤原 おいしくなるなどの効果はないんですが、粋(いき)でしょ。見ていて驚きがありますし(笑)。このやり方を「ぶっさし」っていうんです。「反転注ぎ」とか「隅田式」とかの別名もあるんですけど。次に、ここへシロップの入った焼酎を入れていきます。焼酎はグラスになみなみと入っているので、ひとくち焼酎を飲んで量を調整しつつ、受け皿をうまく使って入れましょう!

 

中村 おっと、一気に入れるとまたあふれちゃいそうですね。焼酎を注ぐ量はお好みですか?

 

藤原 これはアルコールの濃さに応じて人それぞれです。僕は全部入れちゃうかな。あふれたらそれはそれで「炭酸かけ流し」といって、活きがいい証拠ですよ(笑)。

 

中村 温泉の「源泉かけ流し」みたい(笑)。お酒なのに「活きがいい」っていうのも面白いですね! こぼれてもトクした気分になります(笑)。

↑炭酸に焼酎を注いで完成!

 

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定番のクイックメニュー・煮込みはこんにゃく入りの「上州スタイル」

両者 では…カンパーイ!!

 

中村 クゥーっ! 焼酎のコクとシロップの風味、炭酸水の爽快感がマッチして、すごくおいしい!!

 

藤原 ですよね~。焼酎と炭酸水のバランスがいい。この爽快感は、いいキックが入っている証拠です! あ、キックというのは、マニア用語で炭酸がよく効いているという意味ですね。

 

中村 確かに、いいキックですね(笑)。おつまみも食べたいです! 注文はどうしましょう?

 

藤原 ここはお通し(無料)が出てくるので、まずはそれをつまみながらクイックメニューを1、2品頼みましょう。最初は提供に時間がかからず、すぐに出てくる煮込みや冷菜などがいいですね。

 

中村 なるほど! 最初に時間がかかるものを頼んでしまうと、おつまみがない時間ができちゃいますからね。最初はクイックメニューを頼むべし……と。

↑クイックメニューの「にこみ」と「おしんこ盛り合わせ」はともに300円。「にこみ」はしょうゆとみそで味付け

 

藤原 ちなみに、煮込みは大衆酒場の大定番で、大林のものは野菜が入らないスタイルです。僕はもつのうまみが純粋に味わえるから、野菜がないほうが好きかな。さらに言えば、ここの煮込みは具材がもつとこんにゃくがメインという上州スタイル。上州とは、群馬県のことですね。こんにゃくいもの生産量が日本一というのもあって、群馬にはもつとこんにゃくのみの煮込みが多いんです。

 

中村 この上州スタイルの煮込み、シンプルだけどすごくおいしい! ほかにもいろいろなスタイルの煮込みがあるんですよね。これからどんな煮込みに出会えるか、楽しみです!

 

北陸の旬の味とヤミツキの創作メニューが楽しめる

藤原 お、僕が頼んだ白えびの唐揚げが来ましたね。大林は大女将の出身が富山で、北陸の海の幸がよく入るんです。いまの季節なら「富山湾の宝石」といわれる、貴重な白えびがオススメ。こういう旬のメニューは限定品なので、見つけたらぜひ注文してみてください。中村さんもどうぞ召し上がれ!

 

中村 ありがとうございます! ああ、スゴくサクサク! 香ばしさと甘味もあって、止まらないおいしさです。地方の旬の恵みが味わえるのは最高ですね。

↑「白えびからあげ」(400円)

 

↑大林では新鮮な魚介類も自慢です

 

藤原 あと、大将自慢の創作メニュー「やりいかトマトバター」もどうぞ。これ、特に若い人に好評らしいんです。

 

中村 いかとトマトのうまみにバターのコクが加わって。ヤミツキになる味。いかの歯ざわりもイイですね~。これも箸が止まりません!

 

藤原 こういった濃厚な味付けのおつまみでも、焼酎ハイボールが油っこさを爽快に洗い流してくれるから、またお酒が進むんですよね~。……ということでもう一杯! 今度は「タカラ焼酎ハイボール」の「白」を注文してみましょう!

↑「やりいかトマトバター」(400円)

 

↑ボリュームを求めるなら、ライスなしの「かつカレー」(400円)というメニューも

 

焼酎ハイボールにシロップを入れる文化は、庶民の工夫のたまものだった

中村 「白」も気になってました! いただきま~す……あ! こっちはドライでキリッとしていて、大人な味ですね。焼酎のコクがストレートに感じられておいしいです! 比べてみると、「赤」のほうが甘くてすっきりとした味ですね。そういえば、「赤」に使われていたシロップって何ですか?

↑「タカラ焼酎ハイボール(赤)」(左)と違い、「タカラ焼酎ハイボール(白)」(右・350円)はシロップが入っていないので透明です

 

藤原 大林では梅の風味のシロップを使っていますね。シロップはエキスとも呼ばれていて、梅や梅しそ、ぶどうなどの風味がメイン。市販のものを使うお店もあれば、秘伝のレシピを持っているお店もあります。このシロップは下町の焼酎ハイボールの大きな特徴でもあるんですよ。

 

中村 どうして下町ではシロップが使われるようになったんですか?

 

藤原 シロップは戦後の復興期、香りが強かった焼酎を飲みやすくするためによく使われていました。東京は造り酒屋が少ないこともあって、良質なお酒が出回らなかった。だから、庶民が多い下町では、安価な焼酎を何とかおいしくしようと工夫していたんですね。

 

中村 なるほど、シロップを入れる文化は、庶民の知恵から生まれたということですね。そう考えると味わい深いです!

↑「白」と「赤」を楽しく飲み比べる中村さん

 

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大衆酒場では「借景」の違いを楽しむのも醍醐味のひとつ

中村 そういえば、大林さんのカウンターって、形が面白いですよね。なんでこういう形になっているんですか?

 

藤原 ああ、いわゆる「コの字型」のカウンターですね。昔ながらの大衆酒場ではよく見られるタイプです。こういう形になっているのは、カウンターの内側を店員さんが通れるので、効率よく接客や跡片付けができるから。もうひとつ、店の一体感というか、雰囲気作りにも役立っているんです。

 

中村 え? カウンターの形が雰囲気に関係しているんですか!?

 

藤原 ほら、壁に向かって飲むよりも、おいしく飲んでる人の笑顔が視界に入ったほうが、よりお酒がおいしく感じませんか?

 

中村 確かに! ライブ感があるというか、こっちも楽しい気分になりますよね。

↑二代目の大将、青木康徳さんとの会話も自然と弾みます

 

藤原 この客が楽しんでいる光景が、大衆酒場における「借景」(※)だと思うんです。飲んでいる人たちの人間模様をなんとなく眺めるのもいいですし、会話が聞こえてきて、たまにその会話に入れてもらえるのも楽しい。酒場ごとに違った「借景」を味わえるのが、大衆酒場の醍醐味ですね。

※借景(しゃっけい)……外部のものを、背景の一部として取り入れて楽しむこと。もともとは造園の技法のひとつで、庭園外の山や樹木などの風景を、庭の背景の一部として取り入れることを意味します。

 

中村 なるほど……私も、いろんな酒場の「借景」をもっと見てみたくなりました。藤原さん、今日は本当に勉強になりました。ありがとうございました!

 

藤原 それは良かった。でも、大衆酒場の奥深さを知るには、まだまだ学ぶべきことがたくさんありますよ。ぜひまた飲みましょうね!

 

中村 はい、ぜひ! またとっておきのお店、教えてくださいね!

 

大衆酒場の奥深い世界に向け、第一歩を踏み出した中村さん。今回の「大林」では、その世界観を大いに楽しんでいただいた様子です。大衆酒場の基本を学ぶという意味でも、まずは順調なスタートを切ったといえるでしょう。次回も乞うご期待です!

撮影/我妻慶一

 

<取材協力>

大林

住所:東京都江戸川区下篠崎町10-10

営業時間:17:00~23:00(L.O.22:30)

定休日:木曜

 

記事に登場したお酒の紹介はこちら▼

・宝焼酎

https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

「東京・大衆酒場の名店」バックナンバーはコチラ▼

・第1回 【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

 

ゲミシュターサッツやアマローネって何? 知る人ぞ知る世界のワインのうんちく

自宅でワインを楽しみたい、できれば産地や銘柄にもこだわりたい、ワインを開け、注ぎ、グラスを傾ける仕草もスマートにしたい……。そう思っても、超のつく基本はなかなか、他人には聞きにくいもの。この連載では、その超基本を、ソムリエを招いて手取り足取り教えていただきます。さすがに基本は押さえている、という人にも、プロが伝授する知識には新たな発見があるでしょう。教えてくれるのは、渋谷にワインレストランを構えるソムリエ、宮地英典さんです。

 

第3回からは、ワインの種類や製法、産地などをそれぞれ取り上げ、解説していただいています。今回は、歴史と個性のある「産地」がテーマ。

 

個性は産地に宿る! 知る人ぞ知るワイン産地の魅力

旧約聖書『創世記』に登場する“ノアの箱舟”が漂着したとされるのが、コーカサス山脈付近。そこで紀元前8000年頃に、地球で初めてのワインが誕生しました。

 

一説によれば、はじまりのワインは人の手が加わらず、自然に発酵したものだったのではないかと推測されています。そういったワインを当時の人々は口にし、その後、ワイン生産のためのブドウ栽培が始まって、ギリシャやエジプトといった地中海沿岸の国々に伝わり、長い時間をかけて、ワイン造りの中心はヨーロッパに移っていきます。

 

現在では南米、オセアニアや南アフリカ、もちろん日本や東アジアと、世界中のいたるところでワインが造られるようになりました。そして私たちが世界中を旅するのと同じように、さまざまな国でワインが輸出入され、生産国とは別のさまざまな国々で楽しまれています。

 

ワインは産地、ブドウ品種、生産者の3つの要素によって“性格”がかたちづくられる、というのが一般的に言われていることですが、最大の要素は“産地”にあるのではないかと、僕は考えています。品種がその土地に根差したことにも気候風土や歴史があり、人の日々の営みも、その土地なくしては考えられません。ワインにエチケット(ラベル)が貼られるようになった近代も、元々は原産地の表示しかないのが通常で、ワインの個性はつまり、産地によってのみ語られていたことになります。

 

幸いにも、日本ほど世界中のワインが輸入されている国はほかにありません。もし気に入ったワインに出会うことがあったら、そのワインがどのような土地で造られたのかを想像してみたり、ちょっと調べてみたりするのも楽しいものですよ。ワインの魅力は味わいだけではありません。その土地の魅力と合わせて受けとめてみるのも、ワインライフをより一層豊かなものにする、ひとつのポイントなのです。

 

●音楽の国の協奏曲ワイン「ウィーナー・ゲミシュターサッツ」

オーストリアの首都ウィーン、芸術と音楽の街というイメージが色濃く浮かびますが、実はワインの銘醸地としても知られています。

 

いずれ現地に行く機会があれば、ぜひ立ち寄っていただきたいのが、“ホイリゲ”と呼ばれるワイン酒場(2019年にユネスコ無形文化遺産に登録)。ブドウ畑に囲まれたホイリゲで味わうワインは、澄み切っていて心洗われるような味覚体験で、それだけでもウィーンに行く価値があると思えるほどです。

 

オーストリアを代表する白ワイン「グリューナー・フェルトリーナー」はもちろん美味しいのですが、今回紹介するのは「Gemischter Satz(ゲミシュターサッツ)」。少なくとも3品種以上の“混植混醸”、つまり畑に植えられたさまざまなブドウ品種を、いっせいに収穫しいっせいに醸造するというワインです。ヴィンテージ(生産された年)や生産者によって品種のミックス具合は異なり、写真の「ヴィーニンガー」の2018年は11品種のミックスとなります。

 

ゲミシュターサッツは本来のワインの造り方のひとつと考えられており、ふくよかでありキレがあり、果実感もあって青さもあるという、相反する要素を兼ね備えた生命力のある味わいとなります。“畑にさまざまな品種が育っていることが調和をもたらす”というダイバーシティ的なワインがゲミシュターサッツであり、その土地の味わいを表現するのに適した生産手法であると注目されています。

 

そして世界的に健康志向が高まっているなかでも、農産物(ワインも農産物)のオーガニック比率を見れば、オーストリアは世界を見渡しても最先進国といえるオーガニック大国。ぜひ一度「Gemischter Satz」と表記されたウィーン・ワインを味わっていただきたいところです。

 

そしてもうひとつ、オーストリアの魅力を付け加えましょう。ボジョレーに代表されるように、世界中のさまざまな産地でその年のブドウから造られる新酒が造られているのですが、オーストリアのホイリゲ(前出の“ワイン酒場”も指すが、本来は“今年の新種”を表す)は、一度お試しいただきたいワインです。解禁日は11月11日。2020年は例年よりも収穫が遅めで、ゆっくりと成熟した優良ヴィンテージだそうなので、インターネットやワインショップで探してみてはいかがでしょうか?

Wiennger(ヴィーニンガー)
Wiener Gemischter Satz 2018(ウィーナー・ゲミシュターサッツ2018)
希望小売価格=3000円(税別)

【Info】
・生産国=オーストリア
・生産地=ウィーン
・ブドウ品種=11品種の混植混醸
・輸入元=ヘレンベルガー・ホーフ

 

●ジョージアとオーストラリアのオレンジワイン

ジョージアでは紀元前6000年頃にワイン造りが始まったとされ、もっとも古いワイン産地のひとつと考えられています。それほどの歴史があるにも関わらず、これまで日本ではあまり見かけることはありませんでした。というのも、元々は生産量のほぼ全量が国内とロシアで消費されていたのが、ロシアの禁輸措置に伴い、最近になって日本にも輸入されるようになったのです。

 

ジョージアのワイン造りは特徴的で、“クヴェヴリ”と呼ばれる素焼きの甕(かめ)を土に埋めて発酵、熟成の過程を行います。そのため白ブドウ(生産量の大半は白ブドウ)の醸し発酵、つまり黒ブドウで赤ワインを造るように果皮の色がワインの色調を色濃くします。これが“オレンジワイン”、あるいは“アンバーワイン”と呼ばれ、赤・白・ロゼに続く4つ目のカテゴリーとして、ムーヴメントを巻き起こしているのです。

 

もうひとつジョージアワインの面白さをお教えしましょう。現代ワインの生産において、酸化防止剤の多寡が語られがちなことから、高級ワイン生産者のなかには発酵槽に塗るなど、タイミングや質や量など、さまざまな工夫が試みられています。一方、ジョージアでは逆さにしたクヴェヴリに硫黄を炊き、天然の二酸化硫黄を素焼きの表面に吸着させるという手法をかなり古くから行ってきたと言われています。まだタンクのない時代の発酵槽としての甕、保存料としての二酸化硫黄の使い方と、人間の知恵には舌を巻くばかりです。

 

こうした古くからのワイン生産手法は現代の醸造家にも影響を与えており、もうひとつ紹介するオーストラリア・バロッサヴァレーのスモールフライ・ワインズは、4~5品種の混植混醸の白ブドウから、オレンジワイン特有のナッツやアプリコットといった濃密な味わいをより洗練させた、現代的オレンジワインを造り上げています。

 

今後クヴェヴリやアンフォラ(同じく陶器の器)を使った白ワインや赤ワイン、地域によってさまざまなオレンジワインが産まれていくことでしょう。多くのオレンジワインは抜栓してもおよそ1週間以上は楽しめる上、中華料理やスパイスを使った料理などとも相性が良いので、これから家庭でも気軽に楽しめるワインになるかもしれません。

Shumi Winery(シュミ・ワイナリー)
Iberiuli Rkatsiteli Qvevri 2015(イベリウリ・ルカツィテリ・クヴェヴリ 2015)
希望小売価格=2900円(税別)

【Info】
・生産国=ジョージア
・生産地=カヘティ
・ブドウ品種=ルカツィテリ(白ブドウ)
・輸入元=ヴァンクロス

 

Tangerine Dream(タンジェリン・ドリーム)
Smallfry Wines 2018(スモールフライ・ワインズ 2018)
希望小売価格=3800円(税別)

【Info】
・生産国=オーストラリア
・生産地=バロッサ・ヴァレー
・ブドウ品種=ペドロヒメネス、セミヨンを中心とした5品種の混植混醸
・輸入元=kpオーチャード

 

●ギリシャワインの末裔? イタリア・ヴェネトの「アマローネ」

南北に長いイタリアでは20州すべてがワイン産地であり、1880年には国民の約8割もがワイン生産に携わっていたという記録もあるほど。古くから現在に至るまで、長きにわたってワイン大国の一角を成しています。全土では2000を超えるブドウ品種が栽培されているといわれ、州や地域によってさまざまな個性のワインが造られています。そう考えると、品種でワインを選ぶのがもっとも難しいワイン生産国が、イタリアなのかもしれません。

 

では、何がイタリアワインをこれほど魅力的にしているかといえば、地方それぞれの歴史的背景、気候風土、それに伴う郷土料理と、ひとつの国のなかに多様な個性を内包しているからなのではないでしょうか。個性的な地方≒個性的なワインという図式が、イタリアワインの魅力を奥深いものにしているように思えます。

 

ヴェネト州の「アマローネ」という赤ワインを聞いたことはあるでしょうか? 地場品種の「コルヴィーナ」を中心に、陰干しして糖度を凝縮させたブドウから造られる濃密な赤ワインは、アルコール度数は16%ほど。世界中を見渡してもこれほど力強いワインは珍しく、ヴェネト州を代表する銘醸ワインとなっています。アマローネ自体の歴史は浅く、1930年代に知られるようになったといわれていますが、その原型となった陰干しブドウから造る甘口のワイン「レチョート」は、成立を中世にまでさかのぼることができ、港湾都市・ヴェネツィアを通じて運ばれたギリシャの甘口ワインがルーツと考えられます。

 

このように、イタリア各州のワインにはそれぞれの物語があり、そういった物語もワインを楽しむ魅力のひとつでしょう。しばらく海外に行くことが難しいご時世ですが、好きなイタリアワインと出会ったら、いつかその産地を旅してみることをおすすめします。

Amarone Della Valpolicella Classico(アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラシコ)
Monte Ca’Bianca 2012(モンテ・カ・ビアンカ 2012)
希望小売価格=1万2000円(税別)

【Info】
・生産国=イタリア
・生産地=ヴェネト
・ブドウ品種=ヴァルポリチェッラ・ブレンド
・輸入元=ミレニアムマーケティング

 

【プロフィール】

ソムリエ / 宮地英典(みやじえいすけ)

カウンターイタリアンの名店shibuya-bedの立ち上げからシェフソムリエを務め、退職後にワイン専門の販売会社、ワインコミュニケイトを設立。2019年にイタリアンレストランenoteca miyajiを開店。
https://enoteca.wine-communicate.com/
https://www.facebook.com/enotecamiyaji/

 

缶チューハイの最新トレンドは“やさしさ”だ! 麹を使ったレモンサワーも登場

缶入りのチューハイやサワーなど、開封してすぐ飲めるお酒やドリンクのことをRTD(Ready To Drinkの略)といい、ここ数年のアルコール市場で特に元気なカテゴリーです。たとえばいまも大人気のレモンサワー。また、数年前には高アルコール度数のストロング系もブームとなりましたが、このRTD界に新風が巻き起こっているのです。本稿はその注目商品を中心に、最新トレンドをレポートしていきます。

↑筆頭は、9月15日発売の「キリン ベジバル」シリーズ(各実勢価格229円)と、10月13日発売の「キリン 麹レモンサワー」(実勢価格174円)

 

野菜と果実の恵みが凝縮したスムージー感覚の新作

RTD界の新風とはズバリ、「やさしさ」です。たとえば、身体に良さそうな素材を使ったり、ナチュラルな製法にこだわったり。これまでも糖質、プリン体、人口甘味料にフォーカスしたオフやゼロ系のカテゴリーはありましたが、さらに素材や製法にもいっそう踏み込んだ新商品が続々登場しています。

↑キリンビールの資料より

 

背景にあるのはやはり、コロナ禍における健康志向の高まり。これはお酒だけでなくフード業界全体のトレンドであり、たとえば昨年大ヒットしたタピオカブームの火付け役「春水堂」(チュンスイタン)は腸活ティーを、「ゴンチャ」はヘルシーなビネガードリンクを新発売するなど、やさしさにフォーカスする流れは勢いを増しているのです。

↑キリンのソフトドリンクでも、おなじみの乳酸菌飲料「iMUSE」が機能性となり、装い新たに11月から発売

 

一連の流れのなかでキリンが今秋新発売したやさしいRTDの第1弾が、冒頭の「キリン ベジバル」シリーズです。こちらはひとことで言うと、スムージーのようなカクテル。野菜と果実をバランスよくミックスし、繊維を含んだ野菜汁と果汁が最大33%使用されています。

↑左から、グリーンmix、レッドmix、オレンジmix。色鮮やかなボトル缶のデザインが印象的です。容量はすべて250mlでアルコール度数は4%

 

グリーンmixはマスカット、キウイ、ケール、小松菜入りで、果汁と野菜が計20%のふくよかなうまみが特徴。レッドmixはりんご、アセロラ、トマトが計31%で、まろやかな酸味がウリ。オレンジmixはオレンジ、マンゴー、ニンジンが計33%で爽やかな甘味を感じられるテイストになっています。開封して飲んでみました。

↑色味が鮮やかで、ルックスはますますカクテル。聞けば、反響次第で中身が見えるボトルを採用するかもしれないとのこと

 

香りにも味にも青っぽい感じはなく、野菜と果汁のうまみや甘みがみずみずしいおいしさです。口当たりもきわめて特徴的で、素材の繊維感を楽しめるジューシーなテクスチャーが絶品。フタの部分が広口になっているのは、この舌触りを最大限楽しむためであり、メーカーの自信を感じます。

↑無炭酸ながら、爽やかな飲み口ですっきり。また、炭酸がないぶんいっそうやさしい味わいに感じます

 

お酒であるため、あえてスムージーという表現をしていないそうですが、飲んだ印象は確かにスムージー。甘めのお酒やカクテル好きな人はもちろん、野菜を摂れるので、罪悪感の低い一本としてもアリだと思いました。

 

麹のうまみでまろやか爽快なレモンサワー

9月に「キリン ベジバル」シリーズが発売し、筆者は「やっぱりコロナでRTDのトレンドも変わってくるのかな~?」と思っていましたが、10月になって予感は確信となりました。それがこれから紹介する、やさしいRTDの第2弾。「キリン 麹レモンサワー」です。

↑「キリン 麹レモンサワー」はアルコール7%。この350ml缶のほか、500mlも同時発売されました

 

マーケティングリサーチ企業のインテージによると、コロナ禍によって納豆やヨーグルトをはじめとする発酵食品が伸長。また、「日本の伝統的な発酵食品を意識して食べるようになったという人が増えている」というデータも。

↑それぞれ、インテージとキリンの市場調査によるデータ

 

キリンは、もともと約10年前から伝統的な発酵食である麹(こうじ)に着目しており、その可能性を模索していました。また、冒頭で触れたようにRTDのなかで最も活況なフレーバーがレモンですが、消費者の期待のなかに「人工感の低減」「果汁のうまみアップ」「食事との相性の改善」があることをキャッチ。そこで、麹を活用した自然派RTDの開発を急ぎ、約1年半をかけて「キリン 麹レモンサワー」が完成したのです。

↑ルックスは一般的なレモンサワーと同様。果たしてその味は?

 

ちなみに、麹とは蒸したお米などの穀物に麹菌を繁殖させて発酵したもの。麹菌の酵素の働きにより、多様なうまみ成分を含んでいます。2011年ごろに「塩麹」が大ブームになったことを覚えている人も多いでしょう。あのトレンドも健康志向が関係していますが、麹自体のやさしいうまみが一般認知されるきっかけともなりました。

↑香りはレモンサワーのフレッシュ感そのまま。ブライトで心地よいフレーバーです

 

飲んでみると、想像以上にやさしいテイストであることを実感。これが麹のソフトパワーなのでしょう。レモンの酸味が引き立つすっきりした爽快感と、まろやかな飲み口が両立した、ふくよかなボディのレモンサワーです。

 

なお、麹自体が伝統的な日本食とよく合うため、「キリン 麹レモンサワー」は和食と一緒に味わうのがオススメとのこと。そこで、刺身、だし巻き卵、魚介を具にしたおにぎりと合わせてみました。

↑レモンサワーは料理との汎用性の高さも魅力ですが、特に和食と合うというのは興味深いところ

 

なるほど! 確かに、「キリン 麹レモンサワー」のコアな部分にあるやさしいボディが、刺身やだしのうまみ、そしてお米のはんなりとした甘やかさとも調和します。ほかに、おでんや天ぷら、柿の種などにもよく合うと思いました。

↑パッケージも個性的。店頭で見かけたらぜひチェックを

 

今年10月に酒税改定となり、ビールは安く、新ジャンル(第3のビール)は高くなりましたが、RTDは非対象だったので価格は据え置き。このことから、一部の新ジャンルユーザーがRTDに流れるという見立てもあり、RTD市場はより活況になるとも予想されます。そこに登場した、やさしい自然派という新提案。お酒の需要が伸びる年末年始をふまえ、どこまでヒットするか、要注目です。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

在宅ワーク後は何してる? 3人のクリエーターに聞く「あなたの宅飲み見せてください!」

コロナ禍で外飲みの機会が減り、在宅ワーク後の宅飲みが増えたという人は多いでしょう。そんな状況のなか、ほかの人はどんな宅飲みをしているのか、気になったことはありませんか? なかでも、一芸に秀でたクリエーターは、宅飲みにも特別なこだわりを持っているのでは? これは気になる…‥ということで、今回は3名のお酒好きクリエーターにインタビュー。ふだんの宅飲みで使っているお気に入りアイテムや、飲み方のこだわりを教えてもらいました。インタビューのお供は、「糖質ゼロ・甘味料ゼロ・プリン体ゼロ」で人気のタカラ「焼酎ハイボール」です!

 

また、記事末には特別コラムも用意。モノに強いGetNaviの編集部員が、オンライン飲みや家飲みに役立つイチオシのアイテム5選を紹介します!

【インタビュー その1】

サニーデイ・サービス 田中 貴さんの場合

レコードや落語を楽しんだり、古い本を読んだりして過ごす

トップバッターは、ロックバンド「サニーデイ・サービス」のベーシストを務める田中 貴(たなか・たかし)さん。GetNavi webや雑誌GetNaviでラーメン連載を持つラーメンフリークで、ラーメン店での飲み「ラ飲み」を愛するお酒好きとしても知られています。まずは、コロナ禍によって仕事にはどんな変化があったのかうかがってみました。

↑サニーデイ・サービスのベーシスト、田中 貴さん。今春、約2年ぶりとなるフルアルバム「いいね!」をリリース。11月21日には神奈川 ぴあアリーナMMで「BAYCAMP 2020」に出演予定

 

「いや~、ご存じの通り音楽業界は大変ですよ。僕らは新譜の発売とリリースツアーが完全にぶつかりましたから。本来ならライブで全国を回るはずだったんですが、延期して振替公演にしたり、客席にゆとりがある会場に変更すれば開催出来るかなど、新たな方法を模索したりしているところです。ラーメンの仕事も、取材に行けない時期はお取り寄せでレビューしたり、リモートで番組出演したりして、何とか在宅ワークでやっていましたね」(田中さん)

 

在宅ワーク後の宅飲みでは、レコードを聴くほか、落語を楽しんだり、好きな本を読んだりして過ごすことが多いとか。

 

「地元の愛媛にいたころから、古本屋や中古レコード店を巡って発掘するのが好きで、いまでもたまに昔買った本を読み返すことがあります。例えば、昭和の食にまつわる本を読んでいると、当時の流行りの食べもの、街の風景や人々の暮らしぶりが見えてきたり、いまも営業されている店が載っていたりして面白いんです。最近は、ジョルジェット・ジウジアーロの工業デザインの写真集などを手に入れたので、これを読むこともありますね」(田中さん)

↑田中さんにとってはラーメンの師匠でもある、林家木久蔵(現・木久扇)師匠の著書や、コメディアンでエッセイストの古川緑波の著書をはじめ、味わい深い古書が勢ぞろい

 

↑田中さんが大ファンだという落語界のレジェンド・古今亭志ん朝(三代目)のLP

 

田中さんが自宅で音楽を聴くときは、主に2つのパターンがあると言います。ひとつは、書斎にある本格的なサウンドシステムでレコードをじっくり視聴するパターン。もうひとつが、ダイニングでリラックスしながら、Bluetoothスピーカーを通して聴くデジタルな楽しみ方です。

 

「飲みながら、ネット動画でいろんなミュージシャンのライブを観ることもありますね。クルマが大好きなので、動画では旧車メンテナンスのノウハウや昔のクルマの番組を観ることも。あと、自粛期間中は、海外のレアものをネットで発掘する方法を発見して楽しんでいました。英語圏以外の言語で検索することで、思わぬお宝を入手できることがあるんですよ。たとえば今回持ってきた『KEREN ANN』(ケレン・アン)のアルバムは、フランス語で検索してアナログ盤が存在することを知りました。クルマのパーツなどをオーストリアのマニアから個人売買したこともあります」(田中さん)

↑左上はクルマで使うことも多いというBluetoothスピーカーの「JBL Xtreme 2」(3万2780円)で、最長15時間再生可能なバッテリーを内蔵。右下のヘッドホン「MASTER & DYNAMIC MH40」(生産終了)は、「音もフィット感も上質で、レコーディングでも使ってます」(田中さん)

 

↑パリとニューヨークを拠点に活動する、イスラエル出身のシンガーソングライター・KEREN ANNの「Not Going Anywhere」(2003年)。レコード盤はかなり枚数が少ないそう

 

ちなみに、宅飲みの際は、鶏ささみなどでヘルシーなおつまみを作ってお酒と合わせていたそう。

 

「自粛期間中は身体を動かさないから太っちゃって。家で筋トレを始めてみたんですが、なかなか思うようには痩せられない。かといって飲んだあとは近所にシメのラーメンを食べに行っちゃうから、どうしてもつまみは軽くしたいんです」(田中さん)

 

同じ理由で、お酒の糖質にも気を付けているという田中さん。もともと焼酎などの蒸留酒ベースのドリンクが好きでしたが、タカラ「焼酎ハイボール」は今の自分に最適だと実感しているそうです。

「家で手軽に飲むなら、やっぱり缶チューハイ。僕は甘ったるいのが苦手で、その点でいうとタカラ『焼酎ハイボール』はすごくイイですね。焼酎自体にコクがあって、アルコール度数が7%と飲みごたえも十分。甘くないからつまみの味も邪魔しないし、何といっても糖質、プリン体、甘味料がゼロというのがうれしい。量を飲む酒好きにはぴったりだと思います」(田中さん)

↑宅飲みしながらだと、ベースよりもギターを弾くことが多いそう。愛器はベーシストになる前から使っているヴィンテージのGRETSCH NASHVILLE

 

 

【インタビュー その2】

インテリアスタイリスト 窪川勝哉さんの場合

複数の灯りで室内を演出し、プロジェクターで動画鑑賞

続いては、雰囲気づくりの達人・インテリアスタイリストの窪川勝哉(くぼかわ・かつや)さんにインタビュー。最近はコロナ禍の影響でインテリア関連を見直すニーズが増え、多忙を極めていたとか。

↑窪川勝哉さん。インテリアのみならず車や家電、ステーショナリーなどプロダクト全般に造詣が深いです。ワインの聖地・勝沼のある山梨県甲州市出身で、お酒も大好物

 

「特にアドバイスを求められたのは、テレワークのための気持ちの良い空間づくりですね。また、オンライン会議に映る背景はどうしたらよいか? といった相談も多かったです。僕からアドバイスするなら、カーテンやラグ、ベッドカバーといった面積の広いファブリックを変えてみるのがオススメ。家具を買い替えるよりも、ずっと安上がりでカンタンです。少し上質なものに変えたり、色に統一感を持たせたりすると、ガラリと印象が変わりますよ。あとは、効果的にグリーンを取り入れて、リラックスを促す要素を加えるといい。オンライン会議の背景として活用するなら、フックなどに引っ掛けるハンギングプランターがイチオシです」(窪川さん)

↑この日は、日本のモダニズム建築をリードした前川國男氏が設計したという窪川さんのアトリエで取材。室内には随所に観葉植物が配置され、大きな窓に映る緑の景色も目にしみます。部屋の中央には名作として知られるイームズのエリプティカルテーブル(通称サーフボードテーブル)が

 

部屋の印象を良くしたいなら、「空間を支配する3要素」もしっかりケアするべきだと窪川さんは語ります。

 

「『空間を支配する3要素』とは『空間を漂うもの』。つまり、『光・香り・音』の3つです。これが合わないと、決定的に居心地が悪くなりますから。なかでもインテリアの最終的な仕上げとなるのが『光』。光は色や当て方も大切で、ひとつのシーリングライトで部屋全体を照らすだけでは、なかなかサマになりません。数種のランプを使い分けるなどして、明暗にメリハリをつけるとオシャレになりますよ」(窪川さん)

↑シェードのあるライトなどを使い、あえて光の方向を限定して陰影を作ると空間に奥行きが出てオススメだそう

 

そんな窪川さんが愛用しているのが、キャンドルのように揺らぐ暖色の灯りから、温白色の灯りまで再現できる充電式LEDランタン「BALMUDA The Lantern」。夜はこれで手元だけを照らし、お酒とおつまみを楽しんでいるとのこと。

↑バルミューダの「BALMUDA The Lantern」(1万5180円)。上から下へ光を照射する構造で、まぶしくないのも特徴。窪川さんは色違いを含めて4つも持っているそうです

 

ステイホーム期間中は、知人からオンライン飲みによく誘われていたそう。アトリエで飲む際は、プロジェクターで白壁に動画を映して楽しむこともあるといいます。

「飲むときは、じっくり観るというよりも、アート感覚で映像を楽しんでいます。だから、ミュージックビデオを見ることが多いですね。サウンドはオフにして、別の機器から好みの音楽を流すことも。DJをやっていたぐらい音楽好きで、90年代によく聴いていたアシッドジャズやハウスなどをよくかけます。夜が遅くなってきたら、ムーディなピアノ系のジャズを聴くのも好きですね」(窪川さん)

↑投影してくれたのは、知人の編集者が企画しているオンライン配信イベント「クリエイティブ酒場」。この日の取材後、窪川さんも同イベントに出演したそう

 

↑愛用のプロジェクターは、エプソンの「EF-100B」(10万1580円)。そのうちDIYをして、天井付近に取り付けることを計画中とか

 

親が料理人ということで、食べることも大好きだという窪川さん。取材の前日も、旅先で手に入れたエゾジカとタカラ「焼酎ハイボール」を合わせてみて、その汎用性の高さに驚いたとか。

 

「お酒も食事に合わせて選ぶことが多いんですけど、タカラ『焼酎ハイボール』はどんな料理にも合うと思います。むしろ、合わない料理がないんじゃないか? っていうくらい。飲み口がすっきりしていて甘くないから、料理の味を邪魔することがありません。アルコールが7%というのも僕にはちょうどいい。ストロング系だとじっくり飲めないし、軽いお酒だと物足りない。その点、タカラ『焼酎ハイボール』はほどよい飲みごたえで、これなら毎日飲みたくなるなと思いました」(窪川さん)

 

 

【インタビュー その3】

ホフディラン 小宮山雄飛さんの場合

ヘルシーなおつまみとともにお酒を楽しみ、カレーをシメにすることも

トリを務めるのは、2ピースPOPグループ、ホフディランの小宮山雄飛(こみやま・ゆうひ)さん。小宮山さんは音楽活動のかたわらグルメに関する著作も上梓するほか、2018年には、日本初のレモンライス専門店「レモンライス東京」を東京・渋谷でオープンするなど、音楽界きっての食通として知られています。

↑ホフディランのヴォーカル&キーボード、小宮山雄飛さん。カレー好き、居酒屋通としても知られ、著書に「簡単!ヘルシー!まいにちカレー」「今日もひとり酒場」などがあります

 

小宮山さんもコロナ禍で音楽活動が困難になったそう。ツアーやライブができなくなり、アーティスト活動が制限されるなかで生まれた試みが、ファンとの交流。ホフディランの公式ファンクラブ「TAMAGAWA F.C.」を新たに立ち上げ、「小宮山雄飛のオンラインファンミーティング」をライブ配信するなど、様々な取り組みを模索しています。

 

「何かリアルタイムでファンとつながれるきっかけを作りたくて。オンライン会議やリモート出演の機会も増えたので、マイクや巷で話題のリングライトなど、機材もいろいろとそろえてみたんですよ」(小宮山さん)

↑マイクはルックスが特徴的で、通称“ガイコツマイク”と呼ばれるSHUREの「SUPER 55」(2万7500円)を新調(左)。オンライン会議などで表情を明るく撮影できるLEDリングライトも購入(右)

 

このほか、音楽以外のTVやラジオにはリモートで出演。雑誌などの連載執筆は、訪問取材をせずに書くスタイルを続けていたそう。こうした在宅ワークのあとは、飲んで疲れを癒すのがお決まりの流れだったとか。

「もともとお酒はすごく好きで、家でもよく飲んでいました。オンライン飲みも、ステイホームの初期はバンドメンバーやスタッフたちとやっていましたね。家飲みでは、80~90年代のミュージックビデオやライブを見ながら飲むのが好き。モバイルプロジェクターを持ち出して、気分転換にベランダで飲むこともありました」(小宮山さん)

↑壁面などに気軽に映写できるAnkerのモバイルプロジェクター「Nebula Capsule II」(5万9800円)。動画であれば約2.5時間(Wi-Fi利用時)、音楽であれば約10時間の連続再生が可能。自動でピント調節してくれる機能も魅力です

 

家飲みの際は、特にヘルシーなおつまみにこだわっているとのこと。

 

「お店でもそうなのですが、『最初に食べるのはまず野菜から』と決めています。胃をいたわる意味と、太るのがイヤなので、カロリーと糖質をなるべく抑えたいですから。アチャール(インドの漬物)をおつまみにすることもありますよ。野菜以外だと、こんにゃくやのりもヘルシーなのでよくおつまみとして食べています。お茶漬けの素をお湯でといて、その汁自体をつまみ代わりにすることもありますね(笑)」(小宮山さん)

↑玉ねぎのアチャール(左)と大根のピクルス(右)。「レモンライス東京」のトッピングにもなっています

 

ちなみに、古典居酒屋に関する著書も多い小宮山さんは、下町の大衆酒場の味にインスパイアされているタカラ「焼酎ハイボール」が大のお気に入り。今回は、シメで食べることも多いというレモンライス(カレー)と合わせて、その印象を語ってもらいました。

「タカラ『焼酎ハイボール』は、国産の焼酎ベースなのがイイんですよ。どこか味に温かみがあるし、安心できるんですよね。糖質、プリン体、甘味料がゼロというのも本当にうれしい。 辛口で爽やかな酸味があって、焼酎のコクもあるから、カレーなどのスパイシーな料理にもよく合います。特にタカラ『焼酎ハイボール』<レモン>は、レモンライスとドンピシャ!」(小宮山さん)

↑レモンライスは、スパイスと炒めたごはんにレモンで風味付けをした南インドの郷土食。小宮山さんがプロデュースする「レモンライス東京」では、チキンベースのカレーソース(右上)や「エキゾチックチリソース」というスパイスペーストが付きます

 

――外出や出会いが制限されるこの時期。在宅ワークの推進で働き方も激変し、目に見えないストレスをためている方も多いでしょう。そんなときだからこそ、日ごろの晩酌のひとときが大きな癒しになるはず。ぜひ本稿の出演者たちの流儀を参考に、理想の宅飲みを実現してみてください。そのお供はもちろん、「糖質ゼロ・甘味料ゼロ・プリン体ゼロ」のタカラ「焼酎ハイボール」をどうぞ!

撮影/我妻慶一

 

 

【特別コラム】

編集部オススメ! オンライン飲み・宅飲みアイテム5選

その1【推薦者・家電担当 小林史於】

オンライン飲みで話題になる卓上焼き鳥器

サンコー 

自動で回る卓上無煙焼き鳥器「自家製焼き鳥メーカー2」

6280円

「熱源の周囲に串に刺した肉を立てておけば、串が自動で回転し、ムラなく焼き上げる調理家電。超ジューシーな焼きたての焼鳥が卓上で楽しめます。煙が少ないのもうれしいところ。見た目のインパクトがあるので、オンライン飲みで話題になるのは間違いなし!」(小林)

 

その2【推薦者・AV担当 一條 徹】

価格も魅力のマイク内蔵片耳専用イヤホン

 

ドン・キホーテ

情熱価格 完全ワイヤレス片耳イヤホン

2178円

「マイクを内蔵した片耳専用イヤホンなので、オンラインで会話していても、もう片方の耳がフリーに。家族に声をかけられたり、インターホンが鳴っても気づくことができます。ドンキならではの低価格も魅力!」(一條)

 

その3【推薦者・デジタル担当 玉造優也】

高度・角度を調整できるスタンドでベストなアングルを探そう

MSOVA

スマホスタンド

1399円

「4~13インチのデバイスに対応し、オンライン飲み、動画視聴の両方で役立つアイテム。別付けでウェブカメラを買うのもいいですが、コスパを考えるとスマホのカメラでも十分にオンライン飲みに対応できると思います。その際は、高度・角度を調整できるスタンドで良いアングルを探しましょう。なかでも本品は価格が手ごろ、かつ折りたためるのでデスクの邪魔になりづらく、デザインもそつがないのでオススメ」(玉造)

 

その4【推薦者・文房具/雑貨/家電担当 和田史子】

飲んだ翌日に使えば、足のむくみが取れるかも!?

ドウシシャ

MOMiLUX 両ひざマッサージャー ひざもみW DKM-2001

1万7380

「これを使えば、お酒の影響による足のむくみが気にならなくなるかも!? 基本的に座ったまま使えるので、ビデオ通話中や動画視聴中でもムリのない姿勢で使えます。スマホを置くレールスタンド付きなのもうれしい!」(和田)

 

その5【推薦者・フードライター 中山秀明】

冷めにくくぬるくなりづらいスタイリッシュなグラス

bodum

PAVINA ダブルウォールグラス(2個セット・0.25l・8 oz)

3645円

「冷めにくく、ぬるくなりづらいことに加え、アイスで飲んだ際に結露しないので、コースター要らず。タカラ『焼酎ハイボール』にもぴったりです。ステンレス製の二重構造のグラスもイイのですが、自分は中身を見たい派なのでこれ。デンマーク生まれの、スタイリッシュでかわいらしいデザインもナイス」(中山)

 

お酒大好きモデルが幸せ実感! マニアが教える「べランピング飲み」と「ソロキャン飲み」の魅力

コロナ禍によって外で飲む機会が減り、在宅勤務が増えてストレスもたまりがち。ならば、宅飲みで上手に気分転換! という方には、「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」「甘味料ゼロ」のタカラ「焼酎ハイボール」がオススメです。

一方で、いつもの宅飲みは飽きたんだよな……という方も多いはず。そこで、本稿では「三密」を避けつつ開放感も味わえる手軽な「アウトドア(風)飲み」を提案。アウトドアマニアをガイドに招き、平日の夜にベランダやデッキで行う「べランピング飲み」と、週末に行う「ソロキャン飲み」の魅力をレクチャーします!

 

アウトドア愛好家がモデル・村田倫子さんに手軽なアウトドア飲みをレクチャー

ガイド役は元GetNaviの統括編集長で、月に1回はソロキャンプを楽しむ正田省二(しょうだ・せいじ)。教えてもらうのは、大のお酒好きでアウトドアにも興味深々のモデル・村田倫子(むらた・りんこ)さん。今回は、ビルの屋上に正田がアイテムを持ち込み、「ベランピング」と「ソロキャン」のセットを再現。焼酎ハイボールをお供に、ちょっとした料理を作りながら、プチアウトドア体験を楽しんでもらいます!

↑村田倫子さん(左)。merなどのファッション誌をはじめ、ファッションショー・テレビ・ラジオ・広告への出演など幅広く活動。趣味はカレーの食べ歩きで、お酒も大好き。正田省二(右)。GetNaviの元統括編集長。毎週末、ソロキャンプに勤しむ筋金入りのキャンパー。元mer編集長で、村田さんとは仲良し

 

べランピングは何から手を付けたらいいか、わからなかった

正田 倫ちゃん、今日はよろしくね!

 

村田 よろしくお願いします!

 

正田 コロナの自粛期間もあったけど、どうしてた?

 

村田 コロナ前からアパレルブランドの立ち上げに向けて動いていたので、オンライン会議をよくやってました。そのとき在宅ワークで感じたのは、オンとオフのメリハリを付けるのが難しかったな、と。だから、夜はお酒でスイッチを切り替えていました!

 

正田 今日は、そんなお酒好きの倫ちゃんのために、アウトドア飲みの楽しさを伝えたいと思って。

 

村田 ありがとうございます! 興味はあったけど、何から手を付けたらいいかわからなくて。いろいろ聞きたいと思ってたんです!

 

正田 オッケー、任せて! 今日はふたり飲みを想定して準備してみたよ。

 

お手軽べランピングに特別な準備は必要ない

↑正田が用意したベランピング飲み用のアイテム。イスはスノーピークの「ローチェア30」(1万7600円)。テーブルはユニフレームの「焚き火テーブル」(7900円)

 

村田 うわぁ、こんなにたくさん用意して頂いてありがとうございます!

 

正田 いやいや。実は、アウトドア用アイテムはコンパクトで軽いから設置はカンタン。とはいえ、実際にセットすると一気に「非日常感」が出るでしょ。これがいい具合に、在宅ワーク時の「オン」と「オフ」の切り替えになるわけ。

 

村田 確かに! 気分がアガりますね~。

 

正田 ということで、そろそろ乾杯といこうか!

↑今回はタカラ「焼酎ハイボール」の定番フレーバーである<ドライ>(左)と<レモン>(右)を用意

 

村田 待ってました! では、かんぱーい!  …ああ、おいしい! スッキリしていて、飲みやすい!

 

正田 ちなみに、アウトドア用のマグも用意したから、こっちでも飲んでみない? スノーピークの「チタンダブルマグ 450」と「スタッキングマグ雪峰 M300」は二重構造になっていて、温度をキープしつつ、手も冷たくならない便利なアイテムなんだ。

 

村田 あ、ほんとだー! 冷たいまま飲めるからおいしく感じますね。冬は温かい飲み物を飲むときに活躍しそう。

↑正田が手にしているのが「チタンダブルマグ 450」(4928円)

 

↑「スタッキングマグ雪峰 M300」(3168円)を手にする村田さん

 

 

燻製が簡単にできるアイテムでアウトドア気分を満喫

↑正田が用意した燻製おつまみ

 

正田 おつまみも用意したから食べてみて。実はこれ、お手軽に燻製を作れる家電「フードスモーカー」を使って燻製にしたんだ。

 

村田 この「フードスモーカー」、コンパクトですね。これで燻製ができるなんてスゴイ!

↑グリーンハウスの「フードスモーカー GH-SMKB-SV」(6050円)。単三形乾電池2個で駆動します

 

↑本体上部にスモーク用のチップを入れて火をつければ、チューブの先から煙を出す仕組み。食材の入った容器に煙を注入して密閉し、しばらく置くだけで燻製が完成します

 

正田 カレー好きの倫ちゃんのために、タンドリー風味のサラダチキンも燻製にしてみたよ。どう?

 

村田 …あ、思った以上に燻製らしくて、本当においしい! 特にタンドリーチキンはスパイシーで燻製の風味が強いから、本格的なアウトドア感が楽しめますね。このワイルドな味とタカラ「焼酎ハイボール」が合う!

 

正田 タカラ「焼酎ハイボール」は、ベースアルコールに宝焼酎を使っているから、飲みごたえがあって、燻製にはぴったりだよね。一方で、甘くなくて色々な料理に合うから、使い方が幅広い。何というか、哲学的な一本だと思わない?

 

村田 哲学的……面白い表現ですね。

 

正田 料理に合わせて気軽に楽しめるけど、じっくり向かい合える奥深さもあるんだよね。本当の酒好きが行き着く缶チューハイというか。まさに倫ちゃんにぴったりじゃない?

 

村田 確かに! コクはあるけど後味が爽やかだから、飲み疲れしないし、私はすごく好きですね。「糖質ゼロ」という点もありがたいです!

 

 

テーブル、イスは収納性と実用性の高いものを用意

村田 次はほかのアイテムについて教えてください。今使っているテーブルもかわいいですよね!

 

正田 これはユニフレームの「焚き火テーブル」。天板がステンレス製だから頑丈で熱に強くて、熱い鍋とかを置いてもへっちゃらなんだ。

↑ユニフレームの「焚き火テーブル」。脚を天板の下にしまえるのもポイント

 

村田 両端が木になっていて、おしゃれなのもイイ! あと、いま座っているイスも、ひじ掛けの木のニュアンスが好きです。

 

正田 スノーピークの「ローチェア30」ね。これ、寝れるくらい座り心地いいから。まったりくつろぎたいときは、こうした背もたれ・ひじ掛け付きのローチェアを用意するのがオススメだね。

↑スノーピーク「ローチェア30」の座り心地を楽しむ村田さん

 

光と音を演出するアイテムを置いてムードを高めるのもオススメ

↑左がバルミューダの「BALMUDA The Lantern」(1万5180円)。右がBOSEの「SoundLink Revolve Bluetooth speaker」(2万7500円)

 

村田 あれ、このランタンはオイル式じゃなくてライト…なんですか? レトロな形がかわいい!

 

正田 お目が高い! これはバルミューダの「BALMUDA The Lantern」。充電式のLEDライトで、コードレスでも使える。光量を小さく調整すると、炎のようなゆらぎを再現してくれるのも面白い。

村田 ライトがゆらぐってすごい! これはムードが出そう!

 

正田 気分を盛り上げるなら、BluetoothスピーカーのBOSE「SoundLink Revolve Bluetooth speaker」もオススメ。手ごろなサイズだけど、360度の方向に音が出るから音に奥行きと臨場感がある。暗くなったら、ジャズとかムーディな音楽をかけるといいよ。

 

村田 ああ、それは絶対リラックスできますね! 音楽を聴きながらランタンの光を眺めて、おいしいおつまみでタカラ「焼酎ハイボール」を飲む。もう最高じゃないですか!

 

【べランピング飲みで使用したアイテム】

スノーピーク「ローチェア30」(1万7600円)

ユニフレーム「焚き火テーブル」(7900円)

スノーピーク「チタンダブルマグ 450」(4928円)

スノーピーク「スタッキングマグ雪峰 M300」(3168円)

グリーンハウス「フードスモーカー GH-SMKB-SV」(6050円)

バルミューダ「BALMUDA The Lantern」(1万5180円)

BOSE「SoundLink Revolve Bluetooth speaker」(2万7500円)

 

 

「ソロキャンプ飲み」では、自分仕様のスペースを作る達成感がある

正田 さて、ここからは金曜の夜~休日にオススメの「ソロキャンプ飲み」を紹介するよ。ソロキャンプだと、誰かの予定に合わせる必要もないから思い立ったらすぐに出発できるのがいい。たとえば、金曜日が在宅勤務だった場合、仕事が終わったあとすぐに荷物を持って出発! なんてことも可能。大自然に囲まれて、一週間がんばった達成感とともにタカラ「焼酎ハイボール」を傾けるのは格別だよ!

↑正田が用意したソロキャンプ用のアイテム。一人掛けのコンパクトなチェアとテーブルの前に、焚火台を設置しています

 

村田 私、ソロキャンプも未経験なんです。ベランピングよりもハードルが高そうで。

 

正田 ソロキャンは達成感があって楽しいよ。完全に自分仕様のスペースを作る達成感ね。あとは、焚火や調理を終えたあとの一杯が、またたまらなくウマいんだ!

 

村田 あー、それはわかる気がします! いい仕事したあとのお酒って、おいしいですから。ちなみに、見た感じだと、ソロキャンプ用のアイテムはかなりコンパクトですね。

 

正田 そうだね。特に今回は、「バックパック1つに収まるアイテム」をテーマに用意したんだ。たとえばSOTOの「フィールドホッパー ST-630」はA4サイズのテーブルで、さらに半分に折りたたんで収納できる。軽さも抜群で、ソロキャンパーの心をわしづかみにしているアイテムなんだ。

↑SOTOの「フィールドホッパー ST-630」(5280円)

 

村田 ほんとだー。こんなに軽くて小さいのもあるんですね!

 

正田 イスはヘリノックスの「チェアワン ミニ」。500mlペットボトルぐらいの軽さだけど、耐荷重は90kgとめっちゃタフ。骨組みを折りたたんで、座面のファブリックに包んで収納できる名器なの。

↑ヘリノックスの「チェアワン ミニ」(8800円)

 

村田 え! こんなに小さくしまえるなんて…ウソでしょ?

 

正田 お次はUSB充電式のランタン。このゴールゼロの「LIGHTHOUSE micro FLASH」は、手のひらに収まるサイズながらしっかり明るい。ソロならこれで十分だね。夜は焚火台の明かりでまったり楽しめばいいし。

 

村田 へえ、ソロキャンプ用のアイテムもいろいろあるんですねー。特に、コンパクトに収納できるのが大事なのがわかりました。限られた荷物でサバイバルする喜びがあるというか。何だか、目からウロコです!

↑ゴールゼロの「LIGHTHOUSE micro FLASH」(6480円)を点灯してみせる正田

 

↑焚火台はモノラルの「ワイヤフレーム」(1万8480円)に「焚き火メッシュII」(1万175円)を組み合わせたオリジナル仕様

 

普通のごはんでも外で作って食べるだけで特別感が出る

正田 次はお待ちかねのキャンプメシといこうか! 今回は、焼鳥丼を作ってみたよ。

↑正田オリジナルの焼鳥丼

 

村田 うわあ、おいしそう! お米から炊いたんですか?

 

正田 うん。この弁当箱みたいなクッカーは、メスティンの「トランギア」シリーズのアイテムで、ご飯も炊けちゃうんだよ。

↑メスティン「トランギア」シリーズのクッカー(4620円)

 

↑コンロは、バーゴの「チタニウム ヘキサゴンウッドストーブT-415」(6980円)。これに、バーナーを組み合わせて使用

 

正田 具材は、スノーピークの「チタン シェラカップ」をフライパン代わりに使って、焼鳥の缶詰にめんつゆを入れて煮込んだだけ。これをごはんにかけるだけで、十分ウマいんだ。

↑スノーピークの「チタン シェラカップ」(2090円)で焼鳥を煮込みます

 

村田 いただきまーす! ああ、おいしい! ごはんは炊きたてだし、飯ごうを使って外で食べると特別感があります!

正田  シンプルなごはんなんだけど、リッチに感じるでしょ? 外で作る楽しさも醍醐味なんだよね。

 

村田 わかります! また、愛着のあるアイテムで作ると、余計においしく感じますよね。そして、この甘辛い焼鳥丼、ダシの風味がきいていて、お酒が飲みたくなります!

 

正田 だよね~。では、あらためて乾杯っ!

 

村田 乾杯! あー、おいしい! この焼鳥丼って、おつまみというより食事じゃないですか。でもタカラ「焼酎ハイボール」がすごく合いますね。

 

正田 それは俺も思う! 嫌な甘さがないから、料理の味を引き立てるんだよね。

 

村田 私にとって、お酒と料理との相性は大事なポイントなんです。その点、タカラ「焼酎ハイボール」はバッチリ。焼鳥丼がよりおいしく感じられますね!

 

 

べランピングもソロキャンも、実は「身近にある幸せ」だと実感

正田 今日はちょっとしたアウトドア体験をしてもらったわけだけど、振り返ってどうだった?

 

村田 お酒も料理もおいしくて、見える景色も違うし、風も気持ちいい。何だか、いつも以上にリラックスできた気がします!

正田 だよね! 日ごろのストレスが消えてく感じだったでしょ?

 

村田 また仕事頑張るぞ~! って気分になれますね。教えてもらったキャンプグッズもかさばらないから、少しずつ集めたいと思いました!

 

正田 みんなそうやって「ソロキャン沼」にハマッていくんだよ(笑)。まあ、まずは手軽な道具からそろえて、ベランダでひとり飲みから始めるといいんじゃないかな。

 

村田 はい!べランピングもソロキャンも、想像よりずっとカンタンで、実は身近にある幸せなんだ、と実感しました。私も一歩踏み出してみようと思います! 特に、今日の燻製とタカラ「焼酎ハイボール」のペアが忘れられない……家でも試してみたいです!

 

正田 それはよかった! でも、飲みすぎには気を付けて!(笑)

 

――普通の宅飲みとは違った楽しさが味わえる「べランピング飲み」と「ソロキャンプ飲み」。開放的な雰囲気のなかでおいしく飲めば、在宅ワークで疲れた心と身体もリフレッシュできるはず。ぜひ本稿を参考に、アイテムを準備したり、おつまみを作ったりしながら、楽しんでみてください。そして、楽しい飲みのお供には、糖質ゼロ、甘味料ゼロ、プリン体ゼロのタカラ「焼酎ハイボール」をお忘れなく!

撮影/和田清志

 

【ソロキャンプ飲みで使用したアイテム】

SOTO「フィールドホッパー ST-630」(5280円)

ヘリノックス「チェアワン ミニ」(8800円)

ゴールゼロ「LIGHTHOUSE micro FLASH」(6480円)

モノラル「ワイヤフレーム」(1万8480円)

モノラル「焚き火メッシュII」(1万175円)

メスティン「トランギア」シリーズのクッカー(4620円)

バーゴ「チタニウム ヘキサゴンウッドストーブT-415」(6980円)

スノーピーク「チタン シェラカップ」(2090円)

 

紹興酒の逆襲が始まった! その起爆剤となる新作「チェンロン」、キーワードは「ワイン的」

ラーメン、餃子、チャーハンをはじめ、中華料理が好きな人は多いはず。昨今は街中華もブームで、中華をつまみながら飲む人も増えています。ただ、そこで飲まれているのはビールやレモンサワーが中心ではないでしょうか。はっきり言いましょう。なんともったいない! ということで、本稿では中華に合わせるべき「紹興酒」の魅力を新商品とともに解説。特徴、味わい、ペアリングなどを紹介します。

 

↑名門「古越龍山(こえつりゅうざん)」の定番「古越龍山金龍」(左/180ml税込322円)と、新作「古越 龍山澄龍(チェンロン)」(右/500ml税込2838円)

 

食が多様化したいまこそ紹興酒の出番

まずは簡単に、紹興酒がどんなお酒なのかを解説。名称の由来は、上海から南西にクルマで約3時間の位置にある、浙江省(せっこうしょう)紹興市のお酒だから。ここは“東洋のベニス”とも呼ばれる水の都で、市内の「鑒湖(かんこ)水系」の水は良質であることで知られています。

 

原材料は3つ。まずはもち米で、これはうるち米(日本でも一般的に食べられている米)に比べて低温でも糖化されやすく、甘みを出しやすい特徴があります。次に小麦にカビ類を生やした麦麹(むぎこうじ)。日本酒用の麹は酸をつくらない一方で、麦麹は酸を生成します。この麦麹がつくる酵素で、もち米のデンプンを糖化。そして鑒湖水系の軟水が発酵をゆるやかにし、おいしい紹興酒ができ上がるのです。

 

↑穀類の中でもタンパク質が豊富な小麦を主原料とする紹興酒には、うまみ成分であるアミノ酸が豊富。そのなかにはオルニチンも多く含有します(永昌源の資料より)

 

なお、紹興酒は穀類原料の醸造酒である「老酒(ラオチュウ)」のうち、紹興市で生産されたものを指しますが、ほかにも「認定工場制」「原材料基準」「品質管理」など、紹興酒を名乗るための厳格なルールが定められています。

 

そんな紹興酒ですが、なんとなく敬遠されているお酒ではないでしょうか。そして飲まれない理由には、ぼんやりとしたネガティブイメージが関係していると思います。たとえば、「赤いラベルに漢字が並ぶ、イケてないデザインのボトル」「アルコールが強そう」「酸味が強くて飲みにくそう」「ザラメ(砂糖)を入れて温めて、おじさんが飲むお酒」などなど。しかし、時代は変わっています。

 

↑たとえば、紹興酒を炭酸で割った「ドラゴンハイボール」。中華バルや、イケてる大衆酒場などで提供されています

 

もっと言えば、食はどんどん多様化しているのです。昔は敬遠されていたパクチーが市民権を得て、花椒(ホアジャオ)、クミン、八角といったスパイスが珍しくなくなったいま、中華料理を迎え撃つお酒も、より原産種を選んでおいしくペアリングを楽しむ時代に突入しています。

 

↑「古越龍山金龍」は、日本人の味覚に合わせて糖と酸のバランスが見直されていて、想像以上に飲みやすい味となっています

 

イメージが先行して飲んでいなかった人は、ぜひこの機会に試してみましょう。熟成されているため、カラメルのようなコク深さとまろやかな酸があって、黒酢を使った料理のほか、醤油や味噌で煮込まれた和食などともよく合います。

 

味わいもパッケージも斬新な新作が登場

なかには、過去のイメージを払しょくするような新商品も登場しています。それが冒頭でも紹介した、9月23日から発売されている「古越龍山澄龍(チェンロン)」。

 

↑味の特徴は、陳年(紹興酒のなかでも特に長期熟成させたものは「陳年」が付けられます)8年原酒の上澄みのみを使用した贅沢感

 

同商品はパッケージも新鮮。ラベルは英語で表現されていて、紹興酒の英語読み「Shaoxing Rice Wine」と呼ぶにふさわしい、洗練されたデザインとなっています。そして味わいもチェック。紹興酒らしいコク深さはあるものの、渋みや酸味は抑えられていて、軽やかな口当たりと華やかな香りが印象的です。

 

↑オススメの飲み方は、冷やしてワイングラスに注ぐこと。華やかなフレーバーがいっそう豊かに感じられます

 

ペアリングも試してみました。用意したのは、メーカー推奨のフードから3品。まずは定番の「古越龍山金龍」と、いわしの蒲焼き缶詰。

 

↑いわし蒲焼の甘辛いたれと、紹興酒の酸味がマッチ

 

濃いめの味付けや油分が多い料理に合わせると、紹興酒の酸味が口内をリセットする効果も。中華料理は野菜を油通ししたり、様々な香味油を使ったりすることが多いジャンルですが、その面でも紹興酒がよく合うといえるでしょう。

 

「チェンロン」にはチーズとチョコレートをペアリング。これはまさにワインで多用される組み合わせですが、そのハーモニーはいかに。

 

↑チーズの塩味と熟成香が、すっきりした味わいの古越龍山澄龍と絶妙なマリアージュ。チョコレートも、カラメルのニュアンスをもつ紹興酒にはドンピシャです

 

香りが華やかで酸味を抑えた「チェンロン」は、さっぱりとした味付けや、素材のうまみを楽しむ料理と好相性。一方、チーズやチョコレートなどの濃厚な料理にも、特有の甘やかな酸味が絶妙にマッチすることがわかりました。

 

↑今回はやや意外性のあるペアリングでしたが、中華料理に合うことは言わずもがな

 

古くささや飲みにくいといった過去のイメージを一変させてくれること間違いなしの「チェンロン」。家での晩酌でも、中華飲みでも、ぜひ中華料理に紹興酒をチョイスして、よりおいしいペアリングを楽しんでください。

 

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ガメイって何? ピノ・ノワールとの違いって?「赤ワイン」に使われるブドウ品種の基礎知識

自宅でワインを楽しみたい、できれば産地や銘柄にもこだわりたい、ワインを開け、注ぎ、グラスを傾ける仕草もスマートにしたい……。そう思っても、超のつく基本はなかなか、他人には聞きにくいもの。この連載では、その超基本を、ソムリエを招いて手取り足取り教えていただきます。さすがに基本は押さえている、という人にも、プロが伝授する知識には新たな発見があるでしょう。教えてくれるのは、渋谷にワインレストランを構えるソムリエ、宮地英典さんです。

 

第3回からは、ワインの種類や製法、産地などをそれぞれ取り上げ、解説していただいています。スパークリングワイン、白ワインと続いて、今回は「赤ワイン」がテーマ。

家でワインを楽しむための基礎講座
https://at-living.press/tag/wine-basic/

 

第5回 赤ワインの代表品種とその特徴

赤ワインに使われる代表的なブドウ品種、ピノ・ノワール、ガメイ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローの4種類について、産地や味わいの個性などを解説していただきます。

 

●「ピノ・ノワール」
千円から数百万円まで、誰もがとりこになる黒ブドウ

「ロマネ・コンティ」という言葉は、ワインを嗜まない方でも耳にしたことがある響きなのではないでしょうか。サッカーでいうところのマラドーナ、芸術分野でいえばピカソやベートヴェンのような、一般名詞のようになっている存在のように思います。このロマネ・コンティはブルゴーニュ、コート・ドール地方の最上とされる一枚畑ロマネ・コンティに植えられたピノ・ノワールから造られる最高級赤ワインです。

 

ピノ・ノワールの果実は小粒で密着型の房を付けることから、黒い松かさ(PinotNoir)が語源と言われています。皮の薄さが特徴的。それはそのままワインの色に反映し、より鮮やかで透明に近いルビー色のワインになるのですが、暑い地域では早く成熟してしまい、その魅力的な風味成分が表れてこないことから、現在でも栽培地域が限られています。フランスのブルゴーニュ地方をオリジナルとして、アメリカ・オレゴンやカリフォルニアの冷涼地域、ニュージーランドでは成功を収めていますが、他の産地では意欲的な生産者による限定的な栽培に留まっています。

 

基本的にピノ・ノワール単一のワインとしてリリースされることが多く、ブルゴーニュを除いて他の産地では、ラベルに「Pinot Noir」の表記があるのでワインショップでも見つけやすく、皮が薄いことから比較的タンニンの渋みも少なく、初心者の方でも親しみやすいのではないでしょうか。リーズナブルで自分好みのピノ・ノワールを見つけるのは、愛好家にとってもワインの楽しみ方のひとつでもあります。

 

「Pinot Noir L’insolite2012 / Sato Wines(ピノ・ノワール ランソリット2012 / サトウ・ワインズ)」
希望小売価格=9800

 

【Info】
・生産国=ニュージーランド
・生産地=セントラル・オタゴ
・ブドウ品種=ピノ・ノワール
・輸入元=ヴィレッジ・セラーズ

 

●「ガメイ」
ヌーヴォー人気はひと段落も、ガメイは徐々に人気ワインに

世代によっては、ひと時のボジョレー・ヌーヴォー・ブームを知らない方も多いかもしれません。1980年代に始まり、とくに’90年代には、毎年11月第3木曜日と定められたボジョレー・ヌーヴォー解禁日には日本中の繁華街を沸かせ、メディアもその饗宴ぶりを伝えるほどでした。

 

その年の収穫を祝う意味合いがあるヌーヴォーの解禁日は、日本が時差の関係でいち早く迎えることから異例の盛り上がりを見せ、ワインを飲まない多くの日本人にとって“赤ワイン=ボジョレー・ヌーヴォー”だったといっても過言ではありません。

 

ただ、ヌーヴォーは短期間で造られるゆえ、フレッシュさが前面に出たチャーミングなワインもあるのですが、中には未熟果由来の青さの目立つワインも多く、苦手意識を抱いた方がいることも否定できず、そのためか現在ではピーク時の半分ほどの輸入量となりました。

 

長くヌーヴォーの話になりましたが、ガメイはそのくらいボジョレー特有の品種であり、日本人に親しまれてきたワインなのです。残念ながらヌーヴォーのブームを経て、愛好家のなかにも「ガメイは苦手」という方もいます。けれども近年、潮目が変わったと感じさせるふたつの流行があります。それは、ボジョレーという産地でより良質なワインを造ろうという機運、もうひとつはガメイ本来の軽やかでフレッシュ、フルーティーで飲み飽きずフードフレンドリーという個性を、アメリカやオセアニアといった国々のワイン生産者も注目し、高品質なワインを造りだし始めたという点です。アルコール度数もやや低めで健康志向の食事にも合わせやすく、これからワインに親しむ方にはおすすめできます。

 

ラベルに「Beaujolais」とある赤ワインは全てガメイ、そのほかの国では「Gamay」の表記がされています。ワインショップに行かれたら、是非ガメイを探してみてください。

 

「Morgon2013 / Bret Brothers(モルゴン2013 / ブレット・ブラザーズ)」
希望小売価格=4900

 

【Info】
・生産国=フランス
・生産地=ボージョレー
・ブドウ品種=ガメイ
・輸入元=ヴァンクロス

【関連記事】
今年もいよいよ解禁! マナーとして知っておきたい「ボジョレー・ヌーヴォー」のこと
https://at-living.press/food/1027/

 

●「カベルネ・ソーヴィニヨン」
世界に広まった赤ワインのイメージの代表格

赤ワイン用品種としては、もっとも有名な品種かもしれません。フランス・ボルドー原産として知られ、第二の故郷ともいえるアメリカやチリでも、高品質のワインの主品種となっています。いわゆる「フルボディ」というような濃い色調に、カシスなどの黒系果実、重厚なタンニンが特徴として挙げられます。

 

温暖な地域を中心に世界中で栽培されているため、だいたいのワインショップの棚には並んでいますが、“自然派”というフレーズのお店には少ないかもしれません。健康志向とワインの品質とはまた別の話なのですが、軽やかで素材の味わいを、と料理を考えた時には敬遠されてしまうブドウ品種なのかもしれません。

 

ただ、近年のボルドーは、1000円~2000円台のワインの品質向上には目を見張るものがありますし、1000円以下でスーパーマーケットに並ぶチリワインの高品質には驚きを隠せません。料理の相性としてよく牛肉が挙げられますが、意外に幅広い料理が考えられるワインでもあります。ラベルに、ボルドー、そしてカベルネ・ソーヴィニヨンと書かれたワインは、世界中に広まっただけあって安定感抜群なのです。もちろん銘醸ワインは素晴らしいことも付け加えておきます。

 

「Cabernet Sauvignon2014 / McKenzie Mueller(カベルネ・ソーヴィニヨン2014/マッケンジー・ミューラー)」
希望小売価格=8700

 

【Info】
・生産国=アメリカ
・生産地=カリフォルニア州ナパ・ヴァレー
・ブドウ品種=カベルネ・ソーヴィニヨン・その他
・輸入元=ヴィレッジ・セラーズ

 

●「メルロー」
カベルネ・ソーヴィニヨンの弟分? こちらも世界中に広まった品種

フランス・ボルドー原産で、父は「カベルネ・フラン」という「カベルネ・ソーヴィニヨン」の弟分的な立ち位置で、ボルドーのほぼすべてのワインは、カベルネとメルローのブレンドを主軸にしています。違いはというと、味わいはタンニンがより柔らかくなめらかと言われますが、何より生育のしやすさが挙げられます。日本ではカベルネ・ソーヴィニヨンよりもメルローが選ばれる傾向があるのは、雨の多さと、カベルネに比べ収穫が早いためと考えられます。

 

カベルネ・ソーヴィニヨンのタンニンがあまり得意ではないという方は、フランスであれば「サンテミリオン(Saint Emilion)」という表記、それ以外の産地であればメルローの表記のあるエチケット(ラベル)を選んでみてください。よりスマートな味わいで、リーズナブルな価格からワインショップに並んでいます。

 

“弟分”という表現をしてしまいましたが、高級なイメージのあるボルドーでもっとも高価格帯ワインのひしめくポムロール(ボルドーの一地域)は、メルロー主体でワインが造られているので、もしかしたら“賢弟”の表現のほうが正しいかもしれませんね。

 

「Chateau du Breuil(シャトー・ド・ブルイユ2011)」
希望小売価格=3300

 

【Info】
・生産国=フランス
・生産地=ボルドー オー・メドック
・ブドウ品種=メルロー・その他
・輸入元=ヴァンクロス

 

僕が初めて赤ワインを口にしたのは、子どものころ、近所の喫茶店でのことでした。その喫茶店のくるみの入ったチョコレートケーキは絶品で、ちょっとしたご褒美というような機会にねだって連れて行ってもらったりしていました。たとえばテストで良い点をとったとか、習い事で思っていたよりうまくいったとか、そんなような時のことでした。

 

ショーケースには色とりどりのケーキのほか、脚付きのカクテルグラスに入れられた紫色のワインゼリーが、ずいぶん大人びた装いで並んでいました。そんなワインゼリーに興味をそそられていたのですが、「あれは大人向けだから」と、注文してもらえることは長い間なかったように記憶しています。けれどいつのことだったか、ある時懲りずにワインゼリーをねだると、仕方のなさそうな顔をして注文してくれたことがありました。もしかしたら両親にも、なにかいいことがあったのかもしれません。

 

これが僕の初めての赤ワイン体験、目の前に運ばれてきたカクテルグラスは少し大人になったような錯覚さえ感じたように覚えています。けれども味わいは最悪。渋くて、とても食べられたものではありませんでした。おまけに、たった数口、口にしただけなのに頭痛はするわ、気持ちは悪くなるわで、帰宅後寝込んでしまうという顛末。

 

「赤ワインが苦手」という話を伺うことがあると、きまって僕は、その時の出来事を思い返します。きっと多くの方は子どものころに限らず、そういったトラウマ的な体験をされているのかなと思うと、苦手というのもわからなくもないのです。

 

そうはいっても、今ではワインを仕事にしていて毎日のように赤ワインを口にして、心を躍らせたりしています。ワインは産地と造り手、ブドウ品種の掛け算でもあります。もちろん、造り手もブドウ品種も産地に根差したものですが、シンプルにお伝えしようと思うとまず品種の話にならざるを得ません。自分の好みの赤ワインがわかるようになるとワイン選び、ワイン体験をより一層楽しめるようになると思います。例えるなら、新しい読書体験をしたときのような、観たことのある映画を観て新鮮に意図が伝わってきたときの感動に似ているかもしれません。ワインは難しいと思われるかもしれませんが、このコラムが苦手意識をやわらげる一助になれば幸いです。

 

【プロフィール】

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ソムリエ / 宮地英典(みやじえいすけ)

カウンターイタリアンの名店shibuya-bedの立ち上げからシェフソムリエを務め、退職後ワイン専門の販売会社ワインコミュニケイトを設立。2019年にイタリアンレストランmiyajiaraiを開店。
https://www.facebook.com/miyajiarai/

 

種類豊富でコスパ最高。メルシャン「国産デイリーワイン」のおすすめ3選

メルシャンはプレミアムなラインからお値打ち価格のものまで、実に様々なワインを販売しています。特にデイリーワインは約100種類のラインナップがあり、日々のワインライフを支えてくれる存在。

 

その定番が「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」、「ボン・ルージュ」、「ビストロ」です。今回はこの3ブランドの特徴を紹介するとともに、取材でわかったメルシャンのモノづくりの技術力をお伝えします。

 

↑メルシャンの豊富なラインナップから、定番のデイリーワインを紹介

 

【その1】14年連続No.1の「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」

メルシャンのデイリーワインといえば、外せないのが「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」シリーズ。2003年に発売した同シリーズは、「スタンダード」「シードル」「ソーダ」「オフ日和」「厳選素材 プレミアム」など豊富なバリエーションを展開。多様化するニーズに応え続けた結果、無添加カテゴリーの国内ワイン売上シェアにおいて、14年連続でNo.1という金字塔を打ち立てています。

 

「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」はブドウ本来の味わいを楽しむのがテーマで、素材や製法にさまざまなこだわりがあります。原料となるブドウは、味わいごとに最適な品種を世界中からセレクト。収穫したてのブドウを現地ですばやく濃縮果汁にして、凍結させた状態で日本に輸送します。そして国内の製造工場で、ブドウ品種や味わいに合わせた酵母と、ワインを酸化させない独自の「フレッシュ製法」によって、みずみずしいワインが造られるのです。

 

今回は、同シリーズの中でも特に素材や製造技術にこだわった「厳選素材 プレミアム」を試飲してみます。今年の9月にリニューアルされました。

 

↑「おいしい酸化防止剤無添加ワイン 厳選素材 プレミアム」(参考価格630円/720ml)

 

赤はチリ産のカベルネ・ソーヴィニヨンを、白はオーストラリア産のシャルドネを使用。高級品種として知られるこれらのブドウを使い、濃厚でコクのある味わいを実現しています。

 

果実由来の香味、複雑味、味の厚みは格別。酸化防止剤無添加で丁寧に造った、ブドウ本来の自然なおいしさが楽しめます。甘味も特徴で、この甘味は欧風のおつまみだけでなく、ご飯やおにぎりにも合います。

 

↑厳選素材が生み出すコク深い味わいを楽しめます

 

【その2】長寿商品「ボン・ルージュ」

メルシャンには、他にも注目すべきブランドが多数あります。続いて紹介するのは、1996年発売のロングセラーブランド「ボン・ルージュ」。ポリフェノールを通常のワインよりも多く含んだ、健康志向の方にもオススメのデイリーワインです。

 

↑「ボン・ルージュ 赤」(参考価格:720ml 600円)

 

ポリフェノール含有量の多いワインは、一般的には長期間発酵によってタンニン抽出量が増えて、渋味・苦味が強い傾向にありますが、本商品は独自の技術でタンニン抽出を抑制。重厚ながらもフルーティーな味わいを実現しました。今回は定番の赤を試飲。ポリフェノールがたっぷりで、まろやかな渋味と果実本来のコクを感じます。

 

【その3】海外に負けないを目指した「ビストロ」

デイリーワインからもう1品、「ビストロ」シリーズをご紹介。こちらも1995年発売と、かなりのロングセラー。「いつもの時間をちょっと幸せに」をコンセプトに、海外のワインに負けない味わいを目指して造られたワインです。

 

↑「ビストロ すっきり白」(参考価格:720ml 410円)

 

独自のフードマッチ製法によって、魚介類と合わさることで生臭さを引き起こす物質を軽減。食事との相性は抜群です。140種もの中から厳選した酵母を使用して、国内工場で製造されています。今回は白を試飲。柑橘系のさわやかな香りが特徴のすっきりした味わいで、普段の食事に合わせやすそうです。

 

原料と技術力でワイン好きのニーズに応える藤沢工場

今回紹介した3ブランドをはじめ、数々のワインを造っているのがメルシャン藤沢工場。先日開催された同社のオンライン発表会で、その一部を見学しました。

 

工場の設立は大正9(1920)年。今年で100周年を迎えた歴史ある工場で、日本のワインブームや市場をけん引してきたメルシャンの屋台骨を、長きにわたって支え続けています。実は果実酒生産量の日本一は神奈川県なのですが、その生産量の95%を占めるのがメルシャン藤沢工場。630品目もの商品を生産しており、その規模の大きさがうかがえます。

 

↑メルシャン藤沢工場

 

ワインはブドウの収穫時期に醗酵するのが一般的で、季節やその年ごとに、造られるワインの味わいは変化。ですが、メルシャン藤沢工場では、いつでも変わらぬ味を生み出すことができます。それを可能にしたのが、世界中から選りすぐった原料と、オリジナルのブレンド技術です。

 

メルシャンではワインの原料となる濃縮ブドウ果汁やバルクワイン(海外で発酵させたワイン)を、世界5大陸から調達しています。北半球と南半球でブドウの収穫時期が異なることを利用して、年間を通じて安定した品質を維持。そうして仕入れた原料を絶妙にブレンドさせることで、商品の“いつもの味わい”を再現しているのです。

 

↑安定した味わいと、値ごろな価格の両立を可能にするのはブレンド技術にあります

 

ブドウ果汁やバルクワインは、それぞれ個性が異なります。この多様性を活かして、メルシャン藤沢工場ではおよそ100種類ものデイリーワインを製造。品質の追求と技術力で、あらゆるワイン好きのニーズに応えているのです。

 

↑メルシャン藤沢工場では、年間を通じて品質の安定したワインを製造できます

 

メルシャンは、藤沢工場の創業100周年と藤沢市制80周年を記念した「メルシャン藤沢工場 オンライン開放祭」を今年11月に開催したり、藤沢市と連携したイベントをおこなったりするなど、ワインのコミュニティを活性化させる活動も積極的に行っています。

 

こうした活動に触れつつ、メルシャンのデイリーワインを味わえば、今まで以上に国内製造ワインの楽しさを実感できるはず。皆さんも豊富なラインナップからお気に入りの1本を見つけて、毎日の食卓に彩りを添えてみてはいかがでしょうか。

 

 

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ワインの聖地・勝沼。新酒を祝う「ド定番イベント」の事前キット内容が豪華すぎる!

日本ワイン発祥の地であり、生産量でも日本一の山梨県。なかでも甲州市・勝沼町はその中心地として知られ、多数のぶどう畑やワイナリーがあります。特に有名なのは、日本初の民間ワイン醸造所「大日本山梨葡萄酒会社」をルーツとする「メルシャン」でしょう。

 

↑「シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー」。ぶどう畑、醸造所、ワイン資料館、テイスティングカウンターなどが充実した施設です

 

同社では毎年秋に収穫や新酒を祝うイベントとして1974年から「シャトー・メルシャン ハーベスト・フェスティバル」を開催してきましたが、ニューノーマル時代と言われる今年は内容を再設計。オンラインでも参加できる「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020」として開催されます。豊富なコンテンツのなかから、本稿ではその一部をご紹介。おうちでの楽しみ方をお伝えします。

 

 

無料でワインを学べるコンテンツが盛りだくさん

「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020」が開催されるのは、11月7日(土)、8日(日)の2日間。両日11:00~16:00に、冒頭の勝沼ワイナリーからYouTubeやZoomでライブ配信されます。

 

↑YouTubeからの閲覧は参加無料!

 

フェスのプログラムは多岐にわたります。たとえば、近隣のワイナリー醸造家とのトークショー、ワインセミナー、オンラインワイナリーツアー、ぶどうアートコンテスト、希少なワインが当たる「謎解き!シャトー・メルシャン」などなど。参加者とワイナリーが直接つながり、双方向で楽しめる企画が豊富に用意されています。

 

↑事前に行われたオンライン体験会にて。近隣ワイナリーのほか、自社の公認のクラブ活動のひとつにワインクラブがある、人気セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」も参加します

 

そして、このフェスを最大限に楽しむために用意されているのが、事前販売される「おうちで勝フェスキット」です。勝沼で醸造されたばかりの「シャトー・メルシャン 日本の新酒」(赤・白・ロゼから1本選択)や、「ユナイテッドアローズ×シャトー・メルシャン コラボ限定Tシャツ(フリーサイズ)」「おうちで勝フェスガイドブック」など、こちらも充実の内容。

 

↑キットは税込5500円。10月25日(日)までの注文でフェス前日の11月6日(金)までに届き、10月26日(月)以降の注文は、フェス開催日以降に届けられます

 

なお、「おうちで勝フェスガイドブック」は、家での楽しみ方や、勝沼の見どころ情報などが満載。さらに、「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー」で使える500円クーポンと、キリンオンラインショップ「DRINX」で使える500円クーポンが付いているのもポイント。

 

↑クーポン付きでお得。また、フェス当日に正解発表される「謎解き!シャトー・メルシャン」の質問やヒントも載っています

 

 

ワインを傾けながら視聴すると楽しさも倍増

ひと足先に、キットのワインを付属のグラスで味わってみました。筆者のものはサンプルですが、実際には2020年仕込みの、ワイナリーでもすぐ売り切れる人気の新酒が届きます。選べるのは、マスカット・ベーリーA、甲州、ロゼの3種類。筆者は昨年醸造の「山梨甲州 2019」をテイスティングしました。

 

↑「山梨甲州 2019」。和柑橘や青リンゴといったさわやかな果実の香りが感じられ、心地よい酸としっかりとした厚みのある辛口ワインです

 

付属のグラスはシャトー・メルシャンのロゴが入ったもので、食洗器対応で割れにくいトライタン樹脂を採用。アウトドアやベランダ飲みなどでも活躍してくれる優れものです。

 

↑香りをしっかり受け止める万能タイプのデザイン。脚がないタイプで、収納や持ち運びにも便利です

 

事前体験会では、トークショーやオンラインワイナリーツアーも体験。Tシャツを着て、ワインを傾けながら視聴すると、五感で楽しめるぶん入ってくる情報も、よりダイレクトに感じられます。

 

↑ワイナリーツアーでは、通常公開していない地下セラー等を含め、造り手の視点で内部を紹介したあと、ライブで答えるQ&Aコーナーも

 

↑おつまみも用意してみました。こちらは発売40周年を迎えた「小岩井 オードブルチーズ」。熟成チーズと発酵バターによる濃厚なコクと素材のうまみが、果実味あふれるワインにマッチ

 

豊富なコンテンツのなかから一部を紹介しましたが、「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020」には事前の申し込みで参加可能な有料コンテンツや、人気のレストラン、現地で試飲しながら楽しめるイベントなど目白押し。公式サイトにはスケジュールを含めた全貌が載っているので、ワイン好きの人はぜひチェックを!

 

【URL】

https://www.fes.chateaumercian.com/

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

日本酒×ブランデー×梅酒のいいとこ取り!「雫」は晩酌にもチルタイムにも楽しめる汎用性の高い万能酒だった

ぶどうの蒸留酒であるブランデーに、梅酒と純米酒。この3つを掛け合わせた個性豊かなお酒「梅ブランデー雫」が今秋発売されました。どんな背景から誕生したのか、どんな味わいで、オススメの飲み方はどうなのか。オンライン試飲会に参加し、ユニークともいえる本商品の魅力に迫っていきたいと思います。

神戸ワイナリー×白鶴酒造
梅ブランデー雫
3300円(税別・700ml)
2020年9月28日発売。限定3000本。アルコール度数19%。

 

コロナ禍から生まれた、“酒処”神戸のチャレンジ

本商品を語るうえで欠かせないのが、神戸という地。同市では、農漁業と食ビジネスの活性化や世界に誇る食文化の都を目指すプロジェクト「食都神戸」を掲げており、そのなかで出合った「白鶴酒造」と「神戸ワイナリー」がコラボレーション。コロナ禍のなかで、“何か新しいチャレンジを”という発想から、「梅ブランデー雫」が生まれました。

↑ラベルの裏側。左上に「食都神戸」のロゴが描かれています

 

「白鶴酒造」といえば、日本屈指の酒処・灘(なだ)を代表する蔵元。そして「神戸ワイナリー」もまた、神戸市内産のぶどう100%を使い、テロワール(土地の恵み)を生かしたワイン造りを信条とする作り手です。

 

神戸のある兵庫は、酒米の王様として知られる「山田錦」の原産地であり、「梅ブランデー雫」を構成する純米酒にも、やはり兵庫県産の「山田錦」を使用しています。兵庫・神戸の自然の恵みを凝縮させていることも、本商品の特徴でしょう。

↑洋酒の風格を漂わせるボトルの形やコルクキャップもポイント

 

ブランデーは琥珀色のタイプではなく、果実本来の香味を生かしたホワイトブランデーを使っていますが、こちらも特別なもの。「神戸ワイナリー」に導入されている蒸留器は、ブランデーの聖地・フランスのコニャック地方で使われているものと同じ「シャラント式アランビック蒸留器」だそう(写真)。本場そのままの製法により、香り高く味わい深い原酒をつくり出しています。

↑「神戸ワイナリー」の蒸留器。同社の新田兼右さんが解説してくれました

 

そのホワイトブランデーは、神戸産ワインを12年間寝かせた長期熟成タイプ。そのうえで、酒質のきれいな灘の純米酒と、紀州南高梅を使った梅酒とともにブレンドし、深いコクや香りをバランスよく調和させているのが「梅ブランデー雫」なのです。

一般的な梅酒よりもツヤのある華やかな味わい

ここからは、いよいよ試飲。まずはストレートで、香りから楽しみます。角のないすがすがしい梅の香りが爽やかで、奥には日本酒やブランデーの上品なアロマも。濃厚タイプの梅酒とは違ってとろみはあまりなく、テクスチャーも非常にピュアな印象です。

↑ブレンドのおおよその比率は、梅酒が50%、日本酒が20%、ブランデーが10%。(残りは水で構成されている)

 

ひと口含むと、一般的な梅酒よりもツヤのある華やかな味わいが広がります。タッチはまろやかかつほどよくスイートで、酸味もやさしめ。十分なコクがありながらも19度というアルコールを感じさせない飲みやすさがあり、スゥーッと入ってきます。

 

試飲会では、新田さんがオススメの料理も教えてくれました。簡単なもので挙げるなら、「きゅうりの梅⾁和え」とのこと。梅×梅酸味と⽢味で相性抜群とのことで、さっそく筆者も作ってみると、確かに一体感が抜群でナイスペアリング。

↑きゅうりを乱切りにして、梅⾁と合えた簡単おつまみ。アクセントに⽩ゴマや塩昆布を混ぜるほか、ごま油をかけて中華テイストにするのもオススメとか

 

次はオンザロックで。ポイントは、お店で売っているような溶けにくくて大きな氷を使うこと。なるべく加水されないようにしつつ、⼀度に注ぐ量も控えめにすると、「梅ブランデー雫」特有の香りやコクをより楽しめると新田さんは言います。

↑ワイングラスのように、縁がすぼまったタイプを使うのも香りを楽しむコツです

 

温度が下がることで、味がキュッっと引き締まってシャープさがアップ。後味もいっそうすっきりして、これも実においしいです。ペアリング例としては、ベースに日本酒が使われていることもあって和食がよく合うとか。特にオススメなのは豆腐料理で、揚げ出し⾖腐も好相性とのことです。こちらも実際に作ってみました。

↑揚げ出し豆腐とおぼろ豆腐の冷奴でペアリング。ねぎ、しょうが、大葉などの薬味をのせたら、だし醤油でさっぱりと。「梅ブランデー雫」の甘酸っぱさが、まろやかな豆腐とマッチします

 

そして新田さんが「⽂句なしのイチオシ!」ということで最後に教えてくれたのが、「ヨーグルトの雫かけ」という大人のデザート。無糖や低糖のヨーグルトに「梅ブランデー雫」をかけるだけで完成する簡単なレシピです。

↑ヨーグルトの酸味にブランデー特有の華やかなコクと⽢さがマッチ。個人的に、ヨーグルトは硬めなテクスチャーのほうがより合うと感じました

 

日本酒が醸し出すキレのある吟醸香、ブランデーの華やかなボディ感、梅酒の甘酸っぱい芳しさ。これらがいいとこ取りとなった「梅ブランデー雫」は、晩酌にもチルタイムにも楽しめる汎用性の高い万能酒だと思いました。販売先は、神戸ワイナリーのオンラインショップをはじめ、神戸の百貨店や量販店など。化粧箱付きで贈り物にも最適なので、ぜひお試しを。

 

玉袋筋太郎が東京23区唯一の酒蔵「東京港醸造」で日本酒の未来を見た!!

〜玉袋筋太郎の万事往来
第5回 東京港醸造

 

全日本スナック連盟会長を務める“玉ちゃん”こと玉袋筋太郎が、新旧の日本文化の担い手に話を聞きに行く連載企画。第5回目のゲストは、東京23区で唯一の酒蔵を営む「東京港醸造」から、取締役会長の斎藤俊一さんと、同社の代表取締役で杜氏の寺澤善実さん。1812年創業で1911年に廃業した酒蔵「若松屋」の7代目にあたる斎藤さんが、なぜ大手酒造メーカーに勤めていた寺澤さんと手を組んで、東京のど真ん中に酒蔵を復活させたのか? その謎に玉ちゃんが斬り込みます!

(企画撮影:丸山剛史/ライター:猪口貴裕)

 

超ミニマムな酒造がお台場から港区・芝へ移るまで

 

玉袋 お久しぶりです! 以前、テレビの撮影で東京港醸造さんにお伺いしましたけど、その前から仕事で全国の酒蔵に行かせてもらう機会が多いので、東京港醸造さんの噂は聞いていたんです。まず、この面積で日本酒造りの全工程を行っているのが信じられなくて、そこに驚きですよね。しかも1年を通して作れるんですよね?

 

寺澤 そこが東京港醸造の大きな特徴です。

 

玉袋 ここに入る前、寺澤さんは大手酒造メーカーに勤めていたんでしょう?

 

寺澤 そうです。前の会社には30年ほど勤めていたんですが、2000年から2010年まで港区のお台場で、ここよりも狭い約52平方メートルの醸造スペースで清酒を造っていました。そこで作り立ての日本酒がテイクアウトできて、京料理などの懐石料理も用意していたんです。東京港醸造は117平方メートルあるので、私にしてみたら広いんですけど、なるべく全工程でロスがないように作っています。

 

玉袋 酒蔵って大きいってイメージだけど、それをミニマムにするって発想がすごいよ。

 

――お台場時代の経営状況はどうだったんですか?

 

寺澤 お台場は観光客が多いんですけど、修学旅行生ばかりだったり、週末にいらっしゃる家族連れは移動手段が自家用車だったりで、お酒を飲んでいただけないんですよね。だから10年間、真っ赤っかでした(笑)。

 

玉袋 俺が「スナック玉ちゃん」ってイベントを始めたときも最初の会場はお台場だったんですよ。お台場には生活感がない。たくさんタワーマンションが建って、人はいるけど、作られた街でハリボテと一緒だと。人が住む場所にスナックがないのはおかしいと思って始めたんですけど、やっぱり厳しかった。根付かせようとしたんだけどね。

 

寺澤 お台場は商売がしづらいですよね。私のやっていたところは母体が大手だったので、なんとか10年続きましたが。

 

玉袋 会長(斎藤)も、よく港区芝という東京のど真ん中で酒蔵をやろうと思いましたよね。普通はそんな話をきいたら「バカ! 何を考えてるんだ」って怒りますよ。

 

斎藤 当初は「こんなに小さく作ったって儲かる訳がないのに、なんでやるんだ?」とみなさんに聞かれましたよ。まず酒類製造免許を出す国税局が言うんですから。「どんな下心を持っているんだ」と疑われました(笑)。どのコンサルタントに聞いても、やめたほうがいいと。銀行だって、とりあえず担保があるからお金は貸すけど、ここで日本酒製造なんてできるわけがないって周りに言っていたらしいです。なのに清酒の免許が取れたって報告をしたら、「いくらでもいいからお使いください」ってコロッと態度が変わりましたから。

 

玉袋 そこまで態度が変わると気持ちがいいね。気分爽快ですよ。

 

斎藤 それに寺澤自身が「儲からないけどいいんですか?」って言っていましたからね。お台場で10年やって、かなりの赤字だったというんですから。

 

寺澤 初期投資が大きかったから、会社も引くに引けなかったんですよ。

 

斎藤 実際うちもそんなに儲ける気はなかったんです。トントンで行けるところまで行ければいいなと。

 

――そもそも斎藤さんは、どうして先祖の家業を復活させようと考えたんですか?

 

斎藤 港区で商店街の役員をやっていて、地域の活性化をさせたいというのが一つ。もう一つは本音を言うと、やっぱり儲けたいんですよ。ただ儲ける形がみなさんとは違っていて、現金や預金が増えていけばいいなというのが普通の経済の考え方ですよね。

 

でも資産には、暖簾や信用など、無形の資産があるんですよ。この無形の資産は売らない限りは評価されないんです。ルイ・ヴィトンにしても、仮に会社を売ればとんでもない資産になりますけど、ルイ・ヴィトンという名前自体には価値の付けようがないんです。そういう意味で、「東京港醸造」と、そこで造った日本酒「江戸開城」をブランド化していこうと。下手な資産を持つよりも、無形の資産を持ったほうが税務署に睨まれないですから(笑)。

 

玉袋 やっぱり会長は発想が違うな~。俺も商売やってみて分かったけど、ついつい目先のお金に走っちゃうからね。

 

斎藤 酒の免許だって売買はできませんから0円ですよ。しかもA4のコピー紙にハンコを捺しているだけですし。

 

玉袋 前は東京のお酒っていうと青梅市の澤乃井をイメージしてたけど、芝に酒蔵があるってところがすごいよね。「東京港醸造」ってブランドはピッカピカに輝いていますよ。

 

斎藤 今はいろんなところから「売りませんか?」ってお話もきてますからね。

 

玉袋 会長の狙い通りブランド化に成功した訳だ。若者がお酒離れしている中、日本酒だけじゃなく、ビールだって売上ががっくり落ちているじゃないですか。芝で造った日本酒に、おふたりのストーリーを織り交ぜたら飲む人も増えると思いますよ。

 

水道水と、蔵で育てた麹菌や酵母菌だけを使って日本酒をつくる

 

――おふたりはどうやってお知り合いになったんですか?

 

斎藤 寺澤がお台場でやっていた醸造所が、港区の商店街連合会に加盟したんです。それで何気なくパンフレットを見ていたら、お台場に醸造所があることを知って。さっそく担当者に電話したら、「そこで日本酒を作っているみたいです」と言うので、すぐに見に行ったんです。

 

寺澤 それが2006年のことですね。まだ撤退の話も出てないころに来ていただいて。

 

斎藤 そのときは「何しに来たんだ!?」って門前払いですよ(笑)。

 

寺澤 いやいや(笑)。ありがたいことに見つけていただいたんです。その後、お台場からの撤退が決まって、「せっかくここまでできたのに……」って脱力感があったんです。会社内で、その技術を伝授する場所がなかったですからね。かといって本社のある京都に帰って、デカい蔵で仕込みをしたところで、お台場で培った小さな場所でやる技術は、ほとんど役に立ちませんから。それなら退職して、斎藤会長の夢を一緒に追いかけようと思ったんです。

 

――もともと東京港醸造が入っている4階建てビルは、斎藤さんのご自宅だったんですよね。

 

斎藤 そうです。当時は亡くなった私の父も住んでいました。そこの全フロアを寺澤が醸造施設として改造を重ねていったんです。

 

寺澤 すぐに免許は取れなかったので、そのころは毎日、図面と睨めっこでした。それまで私がお台場でやっていたことを、どこにどうはめこむか考える日々でしたね。

 

斎藤 他にやってないことをやるわけですから設計する人がいないんですよ。

 

寺澤 既存のものがない上に、最初から建てるんじゃなくて、すでにある建物を、どうやって改造していくかですから大変でした。

 

玉袋 スナックの居抜きとは訳が違うからね。

 

寺澤 お酒好きで知られる中田英寿さんが4年前にお見えになったんですけど、先日お仕事で再びいらっしゃって。その第一声が「まさか4年間続いていると思いませんでした」だったんです(笑)。あの方は、たくさん酒蔵を回っていますから、どう考えても、これでは生産量が合わないから潰れるだろうと思っていたみたいです。ただ酒蔵の中を見学して、「これはすごい」と感心してらっしゃいました。

 

玉袋 実際、このサイズが寺澤さんにとってはベストなんですか?

 

寺澤 光熱費なんかも考えると今がベストです。

 

斎藤 清酒の免許には最低製造量というのがあるんですけど、それをクリアするギリギリの広さですね。

 

寺澤 従業員の休みもあるので、それを考えると、ちょうどいいサイズで、いい量です。大きな儲けはないですけど、継続はできますからね。

 

――免許はいつぐらいに取得できたんですか?

 

寺澤 2011年7月に「その他の醸造酒(どぶろく)」と「リキュール」の製造免許を取得したんですけど、せっかくなので地産地消でやろうと、八王子からお米を仕入れてどぶろくと甘酒を作りました。扱ってくれる場所も少なかったのもあって、配達するときは山手線に乗って、芝のお酒というのが分かるような恰好で運んでいました。

 

――歩く広告塔ですね。

 

寺澤 あと角打ち用のクルマも買って、「東京港醸造テイスティングカー」に改造して、いろんなイベントを回りました。テイスティングカーは今も稼働していますし、普段は東京港醸造前で営業しています。2016年には「清酒」の製造免許も取得して、「江戸開城」の純米酒を造り始めました。

 

玉袋 先ほど酒蔵の見学もさせてもらいましたけど、お醤油やお味噌も作れるそうですね。日本酒って蔵元の歴史もひっくるめてのブランドじゃないですか。

 

斎藤 そういうストーリーがないと、なかなかお酒って売れないんですよね。

 

玉袋 東京港醸造さんは、そういう意味でもドラマ性が十分。俺はもう感動しっぱなしだよ。最初に仕込んだ「江戸開城」の1本目は、会長もテイスティングしたんでしょう?

 

斎藤 一応はしました。

 

玉袋 最初の一滴をクッと飲んだときはどんな感想でしたか?

 

斎藤 正直、「こんなもんか」としか感じなかったですよ。

 

玉袋 いやいや! これで「ご先祖様とつながった」とか思わなかったんですか(笑)。

 

斎藤 蓄膿症で鼻は悪いし、舌は肥えてないですし。いつも立ち食いそばで満足しているような人間ですから(笑)。

 

寺澤 私からすると、技術的なことを全て任せてくれるので、すごく助かるんです。他の蔵に行くと、今までの味を大切にして、伸びしろだけを求めてくるんです。でも、全部変えてしまわないことには、そんなことはできないんですよ。真っ白なところから積み上げたので、自分の思うように出来上がったんです。

 

斎藤 寺澤の技術はすごいと分かっていましたし、信用していますからね。こんな狭い場所で育てた麹菌や酵母菌で、これだけ美味しい酒を造ってくれるんですから。しかも水道水で、ですよ。最初のころは「水道水で造った酒なんて飲めるか」って相当言われましたよ。

 

玉袋 実際、東京の水は美味しいからね。不味いところはタンクが古かったりするだけだからね。

 

寺澤 そうなんですよね。

 

斎藤 本当は違う場所で酒造りをしてるんじゃないかとか、どこかから桶買いをしているんじゃないかとか疑われましたよ。

 

玉袋 他から酒は仕入れて、ラベルだけ貼り換えりゃいいやってね。

 

斎藤 そう思われるのは癪ですから、みなさんに来てもらって、「本当に作ってますよ」ってアピールもしました。

 

――お台場でも水道水を使っていたんですか?

 

寺澤 あのころは京都からお水を運んでいました。

 

玉袋 それはお金もかかっちゃうし大変だ。

 

寺澤 ある意味、こだわり過ぎたから潰れたところもあるんです。東京港醸造を始めるにあたって、水道水と、ここで育てた麹菌や酵母菌だけを使って作った日本酒以外は売りませんという条件を飲んでいただきました。

 

斎藤 おかげさまでフル操業になって4年が経ちましたけど、そんなときにコロナ禍でコロッとなっちゃって、一時期は仕込みも中断せざるを得なかったんです。

 

――どのぐらい仕込みを中断していたんですか?

 

寺澤 3月末に仕込みをストップして、7月から再開、8月にフル操業に戻りました。ただ仕入れ先の飲食店さんが苦しいですからね。

 

玉袋 コロナ憎しだな。オリンピックもずれ込んじゃったしね。でも、それも時と共にストーリーになりますよ。ここは会長踏ん張ってね。

 

斎藤 もう大船に乗ってますよ。

 

玉袋 泥船じゃないですよね(笑)。次の一手は考えているんですか?

 

斎藤 あるんですよ。オリンピックの後は日本に何が来ます?

 

玉袋 大阪万博ですか?

 

斎藤 そうです。トレーラーの中に全部の設備を作って、トレーラーごと移動させて、大阪万博に出店しようと考えているんです。

 

玉袋 会長の話を聞いたから言う訳じゃないんですけど、俺も「万博にスナックを」って言ってたのよ。日本の文化として万博にスナックを出すのが夢なんです。

 

斎藤 じゃあ2台で行きますか(笑)。

 

玉袋 ぜひぜひ! 大阪万博を通して、日本酒造りの工程を子どもたちに教えるのは大事なことですよ。

 

寺澤 仰る通りです。

 

玉袋 日本酒は伝統的なものですけど、おふたりのように新しいベンチャー的な発想はしびれちゃいますね。映画化決定です!

 

斎藤 それが映画にしようって話もあったんですよ。

 

玉袋 あったの? やっぱそうなんだ。

 

斎藤 でも断りました。劇映画で、私の女性関係なんかを描かれるのは溜まったものじゃないぞと(笑)。

 

玉袋 おふたりのドラマは脚本家じゃ書けないドキュメントだからこそ引力があるというか、惹かれるんだよね。

 

蔵元の杜氏じゃなくて、杜氏の蔵元を育てていきたい

 

玉袋 ライバルと意識している蔵元っているんですか?

 

寺澤 いないですね。むしろ今回のコロナも大きな打撃ですが、今後、日本の人口が減っていって、お酒離れも加速していって、それに苦しんでいくであろう地方の酒蔵に、うちのやり方を提案してあげたいんです。山奥や、自然の中で日本酒を造るのも大切なことなんですけど、もう一つ駅の近くに小さい醸造施設と食事のできる場所を作って、そこを管理して。あまりにも大きい施設だと予算がかかってしまいますけど。小さく作れば借入金も小さくて済みますしね。稼働率が上がって、その横にレストランを作ったり、民宿を作ったりすれば、お酒の売り上げも3倍になりますからね。

 

玉袋 酒の造り方だけじゃなく、コンサルティングまでしてくれるんだから至れり尽くせりだね。ただ地方の酒蔵を継ぐ新しい世代も、大学で勉強して、先代とは違うものを作って成功している人もいますよね。

 

寺澤 若い方も頑張っています。ただ本来なら杜氏がやることを蔵元の息子がやって成功しているところはあるんですけど、杜氏が起業して作った蔵ってないんですよ。なぜなら現行の免許制度では新しい蔵を増やすのが難しいから、それを支援してあげたいんです。蔵元の杜氏じゃなくて、杜氏の蔵元を育てていきたいんです。

 

斎藤 そのためには法律を変えなくちゃいけないですよね。現状だと免許が下りないんです。

 

玉袋 今までの形が古すぎるってことですよね。

 

斎藤 そうです。国会議員って蔵元の出が多いんですよ。総理大臣も例外ではなくて、安倍晋三さんや竹下登さんも蔵元の出ですけど、だからこそ変わらないんです。酒税法って一番古い法律ですから、そのまんま今まで残っちゃっているんです。

 

玉袋 海外は違うんですか?

 

寺澤 全く違います。日本ならではのルールです。

 

斎藤 それを崩そうとしないんですよ。

 

寺澤 もっと競争原理を働かせて、日本酒を盛り上げていかないといけないのに、保護政策でどんどん衰退しているんです。今年8月3日に、はせがわ酒店さんと「はせがわ酒店 グランスタ東京店」をオープンしたんですけど、酒類醸造免許を取得して、店内の「東京駅酒造場」で日本酒、どぶろく、リキュールの醸造を行っているんです。これによって実例が1個できますし、後に続くところが出てきてほしいです。

 

玉袋 これは2時間特番で密着してほしいね。もちろん4Kで撮影ですよ。

 

斎藤 しばらくインバウンドは期待できないんですから、まずは国内の需要からやっていかないといけないんです。

 

寺澤 たとえば新幹線の駅に酒蔵を作れば、経済も生まれるんですよ。そういうきっかけを作っていきたいんです。

 

斎藤 スローライフが見直されていますし、高齢者が増えて、お金も時間も余っている人も多いんですから、そういう方々をターゲットにすれば上手くいくはずなんです。実際、うちのお酒も割高ですけど買ってもらえますし。その土地で造ったという付加価値があればお金を出してくれるんですよね。

 

玉袋 会長のプロデュースも上手いんですよ。

 

斎藤 自分はお酒のことに口を挟まず、ストーリーを作る役目ですから。

 

玉袋 日本酒の伝統を芝で脈々と受け継ぐ一方で、新しいことにもどんどん挑戦しているってのは東京人として誇りに思うね!

 

 

玉袋筋太郎

生年月日:1967年6月22日
出身地:東京都
1987年に「浅草キッド」として水道橋博士とコンビを結成。
以来、テレビ、ラジオなどのメディアや著書の執筆など幅広く活躍中

一般社団法人全日本スナック連盟会長
スナック玉ちゃん赤坂店オーナー(港区赤坂4-2-3 ディアシティ赤坂地下1 階 )

<出演・連載>

TBSラジオ「たまむすび」
TOKYO MX「バラいろダンディ」
TOKYO MX/テレビ大阪「人生酒場 唄は夜につれママにつれ」
BS-TBS「町中華で飲ろうぜ」
CS「玉袋筋太郎のレトロパチンコ☆DX」
夕刊フジ「スナック酔虎伝」
KAMINOGE「プロレス変態座談会」

自宅をバーにできるカクテル発見! 女性トップバーテンダーが手掛けるカクテルベース「Mother’s Blossom」

昨今のコロナ禍で厳しいといわれる飲食業界ですが、特にBARは深刻な業態です。そのなかで、“プロのカクテルを自宅でも楽しめる”としてバーファン、洋酒ファンから好評を得ているのが「Bottled Cocktail」(ボトル カクテル)という新提案のお酒。

 

本稿はそのストーリーや特徴に触れながら、味わいや飲み方などもレポートしていきます。

 

↑商品名は「Mother’s Blossom」(マザーズブロッサム)。500mlでアルコールは17度。インターネットや一部酒販店で販売されています。価格は税抜4500円

 

北海道名産のハスカップが決め手のフローラルなカクテル

9月16日に新発売となった「Mother’s Blossom」は「Bottled Cocktail」の第二弾。一弾は、日本を代表するミクソロジストバーテンダーの南雲主宇三(なぐも しゅうぞう)さんが監修した「ブリティッシュネグローニ」で、業界では大きなニュースとなりました。

↑「ブリティッシュネグローニ」は今年6月5日に税抜4800円で発売されました

 

カクテルの魅力のひとつが個性。同じカクテルを作ってもバーテンダーによって味が変わるのが面白いところで、パッケージングされた同カクテルにも作り手のバックグラウンドや想いが凝縮されています。

 

そして今回紹介する「Mother’s Blossom」を手掛けたのは、個性的な経歴をもつ女性バーテンダーの小栗絵里加さん。小栗さんは毎年5月に行われる(2020年は中止)インターナショナルバーショー内の、女性バーテンダーによるカクテルコンペティション「なでしこカップ」の2017年開催時に優勝した実力派ですが、もともとは音大出身で20代前半まで芸能活動をしていた多才なバーテンダーです。

 

↑小栗絵里加さん。オンライン形式で行われた発表会では「Mother’s Blossom」を実演して作ってくれました

 

芸能活動のかたわらで始めたBARの仕事に魅了され、本格的にバーテンダーの道を歩んだ小栗さん。現在は赤坂見附の「Bar Algernon Sinfonia」(アルジャーノンシンフォニア)で、オーナーバーテンダーを務めています。

 

「Mother’s Blossom」は小栗さんの故郷である北海道名産のハスカップ果汁を使ったカクテルで、ネーミングからも連想できる通り、自身の母親へのプレゼントをイメージして作られています。材料は、美肌と長寿の秘薬と言われているハスカップ果汁のほか、“思いやり”の花言葉を持つエルダーフラワーリキュール、そして母の日のプレゼントには欠かせないカーネーションのルーツであるオランダ産のBobby’s gin(ボビーズジン)を使った華やかな香りと甘やかな酸味が特徴です。

 

↑ラベルの側面には小栗さんの想いがつづられています

 

また、ボトルのラベルデザインも小栗さんによるもの。一口飲んだら頭にパッと花が咲くような華やかなカクテルの味わいを連想してもらえるよう、女性のヘアスタイルをカーネーションの花びらで表現しているのだとか。

 

クラシックで例えるならベートーヴェンの「交響曲第7番」

ということで、ここからは試飲。まずは冷やしたものをストレートで飲んでみました。甘酸っぱさのなかに麗しいハーバルでスパイシーな香り、また余韻にはクリーミーなニュアンスもあって、確かにすごくフローラル。これだけでもBAR気分を体験できるハイクオリティな仕上がりです。

 

↑フルートグラスで飲みましたが、厚みと広がりのあるゴージャスな味わいに感動

 

家での簡単アレンジにオススメなのがソーダ割りやオンザロックということで、こちらも試してみることに。うん、冷やしてストレートもいいですが、オンザロックのほうが氷がとけて加水されるぶん、次第に香りが広がって華やかさがアップする気がします。

 

↑ロックグラスや、脚のないワイングラスで飲むといっそう雰囲気も出ます。さらにオレンジスライスを浮かべると、より本格的に

 

ソーダ割りは、ソーダ1:原液1でも3:1でもオススメとか。味わってみると、飲み口がライトになるとともに爽快感がグッと上がってカジュアルなテイストに。複雑味のあるフレーバーは、缶や瓶のRTDカクテルより本格感があって、気分もリッチになります。

 

↑ソーダ割り。アルコール度数が下がって飲みやすくなりますが、鮮烈な香りはそれでも豊かで実に美味

 

また、小栗さんがオススメするのがアイスクリームにかけるアレンジです。バニラのほか、ストロベリーアイスも相性がよいとのことで、筆者はバニラアイスでトライ。なるほど、甘酸っぱさとハーバルなフレーバーが相まって、少量でも大人なデザートに。これはぜひ試すべきだと思いました。

 

↑バニラアイスのミルキーなクリーム感と、カクテルの甘酸っぱさが見事に調和します

 

ペアリングのオススメは、クリーミーな味わいのフィンガーフードなど、とのこと。例えば濃厚なクリームチーズにはカクテルの甘酸っぱさがマッチして、バターをたっぷり使ったフィナンシェのような焼き菓子も相性抜群とのこと。試してみると、確かにドンピシャです。

 

↑チーズケーキも非常に合いました。小栗さん曰く、イチゴのマカロンなど、スイーツならベリー系もよく合うとのことでした

 

発表会後、音大出身の小栗さんに、クラシックの曲で例えると何が近いか聞いてみました。

 

「ベートーヴェンの『交響曲第7番』あたりでしょうか。実は母はチェロをやっていたのもあり、ともに大好きだった『のだめカンタービレ』のメインテーマでもあります。第一楽章で重要なベースができ上がり、第二楽章は静かで重みがありながらもやわらかなテーマであることから、サンジェルマンのエルダーフラワーを彷彿(ほうふつ)とさせます。

 

第三楽章で突如、にぎやかでエレガントな曲に変わり、第四楽章へつなげるための重要なターン、つまり重要なエキス!ということでハスカップです。第四楽章はなだれ込むように進むため、一気に残りの材料が入ってシェークするまでの流れ。そう思うと、カクテル自体が交響曲の流れに似ているのかもしれません!(笑)」(小栗さん)

 

↑お母さんとも音楽つながりだったとは。「Mother’s Blossom」は“アンサーソング”ならぬ、アンサーカクテルといえるでしょう

 

ここまでは筆者のお酒ライター視点でのレポートをお届けしましたが、本商品をGetNavi web編集部員が実際に自宅で来客に振る舞ったとのこと。そのインプレッションを最後にお届けしましょう。

 

「自宅でミニホームパーティをした際に、Mother’s Blossomを出してみましたが、作る前から注目度が高い。まず、ボトルデザインが非常に柔らかい印象なので『これは何ですか?お酒なんですか!!』という意外なリアクションを引き出せます。ホームパーティではこういった来客の目を惹くものがあると盛り上がりますが、まさにうってつけ。

 

カクテルを作ってみると、お酒の苦手な女性でも飲みやすくて“やさしい味がする”とのコメントが。薬草のような強い香りや味ではなく、すっきりとしたハーバル感があります。男性陣からも飲み疲れしてくるパーティ後半に出てくると、ほっとするような感覚を得られますと好評でした。

 

個人的には、在宅勤務での仕事終わりに飲みたい一杯。ビールやレモンサワーがガツンというのもいいのですが、オン・オフの切り替えがしにくい時代に、緩やかにオフモードに入っていけるお酒だと感じています」(GetNavi web編集部・山田)

 

【SHOP DATA】

Bar Algernon Sinfonia

住所:東京都港区赤坂3-10-6 雪華堂ビル 3F

営業時間:月~木・土17:30~24:00、金17:30~翌2:00
定休日:日祝

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

東京の大衆酒場の名店を巡る企画の第1回。今回は、立石のもつ焼きの名店「宇ち多゛(うちだ)」を訪れ、その魅力を探っていきます。

 

大衆酒場は、その安さとウマさ、昔ながらの温かい雰囲気で、酒飲みの心をひきつけてやみません。なかでも東京では下町を中心に、根強い人気を誇る大衆酒場の名店が数多く存在します。そんな名店を巡り、お店の魅力と東京ならではの酒文化を深掘りしていくのが本連載。記念すべき第1回目の舞台は、大衆酒場の聖地・立石を代表するお店「宇ち多゛(うちだ)」です。

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

行列の絶えない立石の名店「宇ち多゛」を、常連の「宇ち中」さんとともに訪問

同店は豚のもつ焼きと煮込みが絶品と評価が高く、「東京五大煮込み」の1軒にも数えられ、行列の絶えないお店となっています。また「うめ割り」なる名物ドリンクが「もつに合う」と大評判。さらに「酔っている人は入店NG」など独自ルールがあり、店内には独特の緊張感が漂っているとのウワサも。これはちょっと、いきなり一人で行くのは気が引ける……。というわけで、GetNavi web編集部の小林史於(こばやし・しお)は、同店のマニアとして有名なブロガー「宇ち中(うちちゅう)」さんに同行をお願いし、「宇ち多゛」を訪問。独自のルールや味わうべきメニューを教わりながら、その奥深いカルチャーを堪能していきます。

↑宇ち中さん(左)と小林史於(右)。宇ち中さんの本業はサラリーマン。ブログ「宇ち多゛中毒のページ」の管理人で、「宇ち多゛」を中心に、立石の大衆酒場の飲み歩き日記をつづっています

 

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行列に並ぶときは、周囲のお店や通行の邪魔にならないように

小林 宇ち中さん、今日はありがとうございます! すごく楽しみです!

 

宇ち中 今日はよろしくお願いします!

撮影日:9月12日

 

小林 うわー、すでにめちゃくちゃ並んでいますね。並んでいる間に、いろいろと教えてください! まずは、宇ち中さんがこちらに通い始めたきっかけは何ですか?

 

宇ち中 最初に来たのは2003年。青砥に住んでいる会社の先輩が連れていってくれたんです。もう、最初から衝撃を受けました。「アブラのタレ」と宝焼酎の「うめ割り」をいただいたとき、「このウマさはなんだろう?」と。当時はもつ2本で170円だったんですけど、「こんなにおいしいものがこの値段でいただけるんだ!」と、目からウロコで。翌週には一人で来てました(笑)。以来、週に3回は来ています。

 

小林 さすが師匠! 宇ち多゛中毒、略して「宇ち中」の名はダテではありませんね。さて、立石は大衆酒場の聖地と呼ばれていますが、その立石で「宇ち多゛」さんはどんな位置付けなんですか?

 

宇ち中 「大人のディ〇ニーランド」と呼ばれる立石のなかでも、ここ目当てで立石に来る方が多くて、宇ち多゛が休みだと、お客さんがほかのお店にはしごに来ないっていうくらい。ですから、立石を代表する有名店といって間違いないですね。

 

小林 なるほど、立石は街全体がアミューズメント施設であり、そのランドマーク的な存在が宇ち多゛であると(笑)。ちなみに、いまもすごい行列ですけど、待ち時間が少ないオススメの時間帯ってありますか?

 

宇ち中 口開け(開店)してから、次のお客に入れ替わる「2巡目以降」が狙い目。平日は17時以降が一番すいていると思います。土曜日なら11時ぐらい。土曜日だと、材料がなくなると12時半ごろには閉店してしまうので、注意が必要ですね。

 

小林 土曜日はそんなに早く閉まっちゃうんですか? それなら並ぶのも仕方ないですね。

 

宇ち中 ちなみに、並ぶときは通行の邪魔をしないように、列がふくらまないように気を付けるのが大事。隣や向かいのお店が営業準備しているときには邪魔にならないように並びましょう。状況に応じて、店員さんが「こうやって並んでね」と指示してくれることもあるので、それにならっていればOKです。

 

酔っている人は入店NG。「宇ち入り」ではカバンを前に抱えるべし

小林 おお、そうこうするうちに、入口に近づいてきましたよ。普通の店と違って、何だか緊張しますね。入店するときは、「どうぞ」と言われるまで待っていればいいんですか?

宇ち中 はい、店員さんから声がかかるまでは、勝手に入らない方がいいですね。あとは、カバンをかけている場合は入店の際に前に抱えるようにしてください。後ろにカバンを掛けていると、テーブルのお皿やほかのお客さんにぶつかることもあるので。

 

小林 なるほど、それはもっともなルールですね。そうそう、聞くところによると、「酔っている人は入店NG」というルールもあるとか。

 

宇ち中 そうなんです。つまり、「宇ち多゛」は、必ず「その日の一軒目」になるということですね。名物のうめ割りは「一人3杯まで」というルールもあります。あとは、しゃべってばかりだと「もういいんじゃない」とか、酔っぱらいそうだと、「これで最後にしようね」と店員さんに強めに言われることも。でも、当たりが強い感じはするんですが、実は、お客さんのことをしっかり見てオペレーションされている。その奥深さにハマる方は多いかもしれません。

↑入口ののれんの「お客様へのお願い」には「既にアルコール類を飲まれた方 ご遠慮ください」などの一文が

 

小林 なるほど。あ、いよいよ入店ですね。そういえば、「宇ち多゛」に入店することを「宇ち入り」っていうんですよね!

 

宇ち中 はい、「宇ち入り」の「宇」は「宇ち多゛」の「宇」で(笑)。

 

小林 忠臣蔵みたいでカッコイイ! ついに「宇ち入り」です! こんにちはー。

 

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宝焼酎をシロップで割る「うめ割り」と「ぶどう割り」がある

小林 やっぱり店内は緊張感がありますね……。空気がピンと張りつめている感じがします。

 

宇ち中 ええ。しゃべる声のトーンにも気を付けてくださいね。ほかのお客さんの注文が通らなくなっちゃうので。声が大きすぎると注意されますよ。

↑席に案内され、緊張のあまり表情が硬くなる小林(左)

 

小林 わかりました! まずは飲み物の注文からでいいんですか?

 

宇ち中 飲み物から注文して、飲み物を出してもらっているときに、一皿目のつまみを頼む感じですね。

 

小林 店内に貼られたメニューには「宝焼酎」とありますが、これがウワサに聞く「うめ割り」でしょうか?

 

宇ち中 そうですね。グラスに注いだ宝焼酎に、梅シロップを足してもらうのが「うめ割り」です。

 

小林 それにしても、宝焼酎がソフトドリンクと同じ200円(税込)とは……これは安い!

 

宇ち中 はい。感謝しかありません! 宝焼酎はほかに「ぶどう割り」も選べますよ。梅のシロップのほうがちょっと甘めで、ぶどうのほうはドライな感じです。最近は私はもっぱらうめ割りですね。エキスを多くしてもらいたいときは「甘め」、少なくするときは「辛め」とカスタムできます。

 

小林 宇ち中さんのお好みは?

 

宇ち中 僕は「辛め」。シロップは一滴とか、気休め程度ですね。でも、このシロップが一滴でも入ると、味がガラッと変わるんですよ。あ、内田専務がいらっしゃいましたね。

↑「宇ち多゛」の三代目・内田朋一郎専務

 

内田 飲み物どうする? うめ割りでいいかな?

 

小林 今日はよろしくお願いします! はい、ぜひうめ割りをお願いします……(うわぁ…内田さん、真顔だし目つきが鋭い。ちょっと怖いな……)

 

内田 どうぞ。

小林 ありがとうございます。うわ、グラスにたっぷり注がれるんですね!

 

宇ち中 量は、これで五勺(約90ml)くらい。あふれるのを入れると7勺(約126ml)くらいですね。口から迎えに行くのがよろしいかと。

↑宝焼酎のうめ割り。シロップによって薄く色づいています

 

小林 わかりました! では、いただきます!  ……ああ~ガツンと来るぅ~これはぶっ飛びますね!  焼酎はコクがあってキレも抜群。ふわっと来るシロップの甘酸っぱさがたまりませんね。これはウマイ!

↑うめ割りを迎えに行く小林(左)。ひと口飲んだ宇ち中さん(右)も目を閉じてその味に浸ります

 

もつ焼きのオーダーの基本は、部位+味付け+焼き方

↑壁に貼られたメニュー。おつまみはもつ焼き、煮込み、お新香。ドリンクは宝焼酎のほかにウイスキーやビール、清酒、ウーロン茶なども用意しています

 

小林 では、お酒が入って一息ついたところで、次はおつまみの注文の仕方を教えてください! 壁のメニュー表には「もつ焼き 二本 二○○」としか書いていないので……。

 

宇ち中 もつ焼きの注文の基本は、部位+味付け+焼き方です。もつ焼きの部位は「レバ(肝臓)」「シロ(大腸)」「ガツ(胃)」「アブラ(頬)」「ハツ(心臓)」「カシラ(頭)」「ナンコツ(軟骨)」と多彩です。味付けは「タレ」「塩」「味噌」「素焼き」があって、素焼きだけ「お酢」と言えば酢を入れてもらえます。酢を多くしたいときは「お酢たっぷり」でOK。あとは「よく焼き」とか「若焼き」といった焼き加減の好みがあれば伝えます。何も言わなければ「普通焼き」が出てきますね。若焼きよりレアな、「うんと若焼き」というのもありますよ。

 

小林 なるほど。例を挙げると、「レバ・タレ・よく焼き」「シロ・塩・若焼き」「ガツ・素焼き・うんと若焼き・お酢」といったオーダーですね。

 

宇ち中 ほかに、ボイルしただけの焼かないメニュー「生(なま)」もあります。そちらはもつ焼きにあったカシラがなくて、そのぶん「タン(舌)」「テッポウ(直腸)」「コブクロ(子宮)」があります。味付けは何も言わなければ「醤油」になり、「塩」にも変更できます。お酢はすべてに入れられますよ。オーダーは「タン生お酢」といった具合ですね。基本的にもつ焼きは同じ部位が2本で一皿。ただ、ボイルしただけの焼かないメニューは、「レバとシロで1本ずつ」と注文することもできます。

↑もつ焼きは2本で一皿が基本

 

小林 一度にオーダーするメニュー数はどれくらいがいいんですか?

 

宇ち中 テーブルがそう広くないので、あまり一度に多く注文しないほうがいいですね。焼きたてがおいしいですから、残り2切れぐらいになったときに次のもつ焼きを頼んで、食べ終わるころに次がちょうど出てくるタイミングがベストです。

 

小林 なるほど、勉強になります! ちなみに、宇ち中さんなら必ず頼む部位ってなんですか?

 

宇ち中 カシラがあれば、カシラを素焼きお酢で。あとはナンコツのタレも好きです。ボイルではレバボイルがオススメですよ。

 

「煮込み」は「白いとこ」か「黒いとこ」をオーダーできる

小林 ちなみに、今日はおつまみはお店のおまかせで出していただきます。さっそく看板メニューのひとつ、「煮込み」が来ましたね! 煮込みもオーダーでカスタムできるんですか?

↑人気メニューの煮込み

 

宇ち中 できますよ。「白いとこ」といえば、シロ(大腸)の周りの部位やハツモト(心臓に近い大動脈)など、色が白い部分を中心に出してくれます。「黒いとこ」といえば、フワ(肺)やレバなどの黒い部位が中心。ありがたいことに、僕の場合は「白いとこ」が好きとわかって頂いているので、自然に「白いとこ」を出してもらっています。

 

小林 さすが常連さんですね!

 

宇ち中 品切れが近いときは、カスタムできない場合もありますが。開店直後ならだれでも部位の指定ができますし、開店時に入店すれば「ホネ(アゴ周辺)」という希少部位にありつけることも。このホネを食べるのはかなりハードルが高くて、土曜日は朝8時ぐらい、平日は12時半ぐらいに並んでいないと売り切れてしまうらしいですよ。

 

小林 うわあ、まさに幻のネタですね! ちなみに今日の煮込みは、「白いとこ」と「黒いとこ」のバランスはどうですか?

 

宇ち中 バランスが取れている感じですね。ハツモトもちゃんと入っていて僕好みです。

 

小林 いただきます! ああ、ウマイ……。コリッとしていたり、フワッとしていたり、部位による食感のメリハリが楽しい! もつにはまったく臭みがなくて、豊かな肉の旨みだけを感じます。煮汁も、何だろうこのまろやかさ……すごく奥深いです!

 

宇ち中 野菜やこんにゃくを一切使わず、もつと味噌だけで煮込んでいるからかな。独特なコクがあるんですよ。ここの初代は終戦後の1946(昭和21)年に「宇ち多゛」を始めたらしいんですが、戦争の前には銀座のレストランで働いていて、その調理法がルーツらしいんですよね。

 

小林 なるほど。この雑味のない味わいには、その技術が活きているのかもしれませんね。くぅ~っ、また味付けもちょっと濃いめだから、うめ割りが進む進む!

↑うめ割りを合わせて恍惚の表情を浮かべる小林

 

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もつ焼きはすべてが食感豊かでみずみずしく、臭みがない!

宇ち中 この煮込みが200円ですからね。本当に頭が下がります。あ、もつ焼きも来ましたよ。ガツの塩からどうぞ。

↑ガツ塩

 

小林 おぉ、なんと豊かな食感。身はみずみずしくコリコリとした食感で、噛むほどに旨みが染み出てきます。シャープな塩味がさらに味を引き立てる! こちらも臭みが一切なく、ただただウマいです!

 

内田 お次はタン生が出るよ。お醤油かけるね。お酢は大丈夫? 嫌いじゃない?

↑タン生お酢

 

小林 ぜひお酢はかけちゃってください。うわ、これもまた独特の食感。サクサクとしていて、肉の旨みが広がります! 醤油とお酢のパンチが効いて絶妙! お次はシロのタレですか……香ばしく焼かれていて、グッグッと弾力があって食べ応えがあります。肉自体にも甘味があって、甘めのタレとすごく合いますね。レバのタレは、プルップルで口いっぱいにコクが広がる! これを焼酎で迎え撃つと…うーん、たまらん!!

↑シロタレ

 

↑レバタレ

 

宇ち中 こんな感じで、気が付くとうめ割り3杯ぐらいスゥッといっちゃうんですよ。で、お次は、アブラの塩。

 

小林 これ、とんでもなくウマイですね! 表面はカリッ、サクッとしていて、中はトロッとしています。 噛むごとに脂の甘味がジュワッっと広がって、またこれがうめ割りに合う……幸せ……。

↑アブラ塩

 

↑もつのほかに「お新香」もあります。生姜の有無や増減がカスタム可能。基本の味付けは醤油ですが、醤油なしにしたりお酢を入れたりすることも可能です

 

独自のルールを決めたのは、お客さんに気持ちよく帰ってもらうため

小林 内田専務、全部おいしかったです! どれもこれも身がプリっとして、臭みもまったくなくてビックリしました。どうしてこんなにおいしいんですか?

 

内田 特別なことは何もしていないね。ほかの店は見たことないけど、処理も同じだと思うよ。オレはここの2階で生まれて、ずっとこの味で育ってきたから、ほかはよく知らないんだけど。

 

小林 いやいや、ご謙遜です。同じことをやっていて、この味が出るワケがない。自分もいろんな店でもつを食べるんですけど、全然違いました! …ところで内田専務、この機会におうかがいしたいんですが、なぜお店の独自のルールを作ったんですか?

内田 多くのお客さんに楽しく飲んでもらって、みんなに気持ちよく帰ってもらうにはどうしたらいいかを考えた結果。そのためにルールを決めて、オレもキャラクターを作り込もうと考えた。オレ、ふだんはこんなおっかねえ顔してないから。飲んできた人はダメ、3杯以上はやめてくれというルールも、飲み過ぎて人に迷惑を掛ける人が出ないようにするため。人に迷惑を掛けるのはダメだよ。隣の人に絡んだり、騒いだりするんじゃなくてさ、真摯にもつと焼酎に向かい合う。そういう時間があったっていいんじゃないか、って。

 

小林 なるほど。独自のルールも当たりの強いキャラも、すべてはより多くのお客さんに、気持ちよく過ごしてもらうため。もつと焼酎を純粋に楽しんでもらうためだったんですね!

 

内田 でも、ウチで飲めるようになっていたら、みんなどこへ行っても気持ちよく楽しめると思うんですよ。あと、ここで抑圧されて飲んでるとさ、「ごちそうさま」ってのれんをくぐったときに「この解放感がたまらない」という気持ちになる。そこまでを計算して、エンターテイメントとして成立させようとしているんだよ。

小林 そこまで考えてらっしゃったんですね。あと、店員さんの気配りもすごいです。煮込みのオーダーもそうですけど、常連さんのご希望にもかなり対応していらっしゃるみたいで。

 

内田 「今日もおいしかったね、また来よう」と思ってもらうためにはどうしたらいいか、考えるとそうなるよね。もちろん希望に添えないこともあるけど。座席もそう。彼(宇ち中さん)にも好きな席があるから、空いたらそこに移動してもらうから。

 

宇ち中 ええ、私はそこ(小林が座っている席)が好きでして。

 

小林 あ、そうなんですね! すみません、何だか光栄です。では、最後に内田さん、「宇ち多゛」初心者の方にアドバイスというか、メッセージはありますか?

内田 こういう雰囲気も大事だと思うけど、だからって偉そうな感じにはならないように気を付けているし、お客さんには愛を持って接したいと思っている。ただ、まあ初心者にはある程度、店のことを調べてから来てほしいね。そういうところから思い入れが出てくるから。まあ、これだけ並んでたら、何も知らずに並ぼうと思わないだろうけど。

 

宇ち中 でも内田さん、初めてのお客さんにも優しいんですよ。

 

小林 やっぱり、そこには「愛」があるんですね。そうじゃなければ、あれだけおいしいもつを、あの値段で出すわけがないですから。

 

内田 あと、立石にはコロッケ、餃子、漬物、寿司など、おいしくて安い持ち帰りフードの店がたくさんあるから。はしご酒もいいけど、ぜひお土産にどうぞ。

 

小林 わかりました! 内田専務、今日はとてもいい経験ができました。本当にありがとうございました!

↑お会計の際は、「お会計」と声をかけて、席で待っていればOK。お皿の数をカウントして会計するので、お皿は重ねておくのがベター。焼酎を飲んだ杯数は自己申告します。退店の際は、カバンを前に抱えるのを忘れずに

 

「共同体を一緒に回している」という意識でいると、気持ちよく楽しめる

小林 ごちそうさまでしたー!(のれんを出ながら)いやーおいしかった。宇ち中さん、最高でしたね!

 

宇ち中 やっぱり、ここで飲む焼酎が一番おいしいですね(しみじみ)。昔ながらの雰囲気もいいですし、背筋を伸ばして焼酎をいただくのがたまりません。また、焼酎が身体にスーッと入ってくると、仕事の疲れが抜けていくような気がして。

 

小林 いいですね~。焼酎とこの独特な雰囲気で、疲れがリセットされるわけですね。しかし、思えば不思議な空間でした。大衆酒場の特徴といえば「気を遣わないこと」だと思うんですが、「宇ち多゛」さんは、逆に緊張感があるという。

 

宇ち中 お店と客が対等な関係で、持ちつ持たれつというか、一体感がある。自分も「宇ち多゛」という共同体を一緒になって回している、という意識でいたほうが、気持ちよく楽しめると思うんですよ。客は「もてなしてもらって当たり前」ではなく、「この値段でこの味をいただける」という感謝が大事。僕は感謝しかないですね。

 

小林 おっしゃる通りです。驚くほどおいしいのに驚くほど安くて、これほど独特の空気を持つお店はないですよね。私もまたぜひ行きたいと思いますし、周りにも胸を張って「宇ち多゛」さんをオススメしようと思います! 宇ち中さん、本日はありがとうございました!

↑のれんをくぐり、緊張から解き放たれた瞬間もまた格別!

 

<取材協力>

宇ち多゛

住所:東京都葛飾区 立石仲見世商店街内

営業時間:月~金 14:00ごろ~19:30ごろ(L.O)ただし売切れ次第終了、土 10:30ごろ~13:30ごろ(L.O)ただし売切れ次第終了

定休日:日曜、祝日

 

記事に登場したお酒の紹介はこちら▼

・宝焼酎

https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

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↑監修はもちろん内田専務です!

 

パッケージはベースカラーに「宇ち多゛」の暖簾をイメージした黒エンジを用い、裏面で店舗をイメージしたイラストと同店の説明を掲載することで、その世界観を表現しています。「宇ち多゛」を訪れた人もそうでない人も、本品で同店の雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

タカラ「焼酎ハイボール」<立石 宇ち多゛のうめ割り風>の紹介はこちら▼

https://www.takarashuzo.co.jp/news/2020/TS20-041.htm

 

撮影/我妻慶一

 

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缶入り清酒の王者とおつまみ缶詰No.1で最高のペアを決める企画の結果発表!

「『ふなぐち』に合う『缶つま』選手権」は、その名の通り、WEB投票によって、ふなぐちにぴったり合う缶つまを決めよう! というキャンペーン企画。なお、「缶つま」のなかから10種類のノミネート缶詰を厳選したのは、「缶詰博士」として著名な黒川勇人さんです。そして今回、2135名の投票により、同選手権のトップ3が決定。以下では、実際にペアリングした印象とともに紹介していきましょう!

 

【第3位】

甘辛い味付けが、フルーティかつ濃淳なふなぐちに合う

缶つま 宮崎県産 霧島黒豚角煮(実売価格860円)

ふなぐち(実売価格318円 ※200ml缶)との合計1178円

3位は、なかなかセレブな価格の黒豚角煮。かなり甘く濃いめの味付けなので、同じくフルーティで濃淳なふなぐちに合います。脂は多めですが、しょうがの風味が利いていますし、うまいことふなぐちのフレッシュな部分が脂っぽさを洗い流してくれます。肉の部分が硬めで味わい深く、しばらく噛みしめていられるのもおつまみらしくていいですね。

↑肉の部分は噛み応えがあって、旨みたっぷり。ふなぐちも進みます

 

【第2位】 

ほたてのスモーキーな風味が調和する間違いのないペア!

缶つま 北海道・噴火湾産ほたて燻製油漬け(実売価格490円)

ふなぐち(実売価格318円 ※200ml缶)との合計808円

こちらのほたてとふなぐちは、もう間違いのないペアですね。個人的にも大好きです。ほどよくオイルをまとったほたてが、口のなかで溶けるようにほどけていく、その繊維のすきまに芳醇なふなぐちが浸みこんでくる快感……。燻製によるスモーキーな風味がほたてのコクを高めていて、これがまたふなぐちに合うんです。味が強すぎず、弱すぎず、ずっと食べていたい組み合わせ。何かいいことがあった日にじっくり味わいたいペアリングです。

↑燻製によってブラウンに色づいたほたて。スモーキーな風味がふなぐちを呼ぶ!

 

【第1位】 

悪魔的なウマさで身体が火照る!

缶つま 広島県産 かき燻製油漬け(実売価格650円)

ふなぐち(実売価格318円 ※200ml缶)との合計968円

1位は、やっぱりそうか! と思う方も多いはず。広島県産かき燻製油漬けとの組み合わせです。こちらのかきはとにかく旨みが強く、食べた瞬間、誰もがウマイ! と思うはず。とはいえ、磯の香りがちょっと強いのも事実。そこをふなぐちが受け止め、かきのクセを抑えて旨みだけを届けてくれるんです。ふなぐちもアルコール度が19度と高くて個性が強いですから、個性が強いもの同士がぶつかってわかり合い、高めあったということでしょう。その関係性は、まさに強敵(とも)。広島県産かき燻製油漬けは、今回の1位戴冠により、名実ともに最高の酒の強敵であることを証明した形です。

 

あとはこのペア、オイルでてっかてかに光ったかきに、アルコール度19度のふなぐちを合わせるあたり、多少の背徳感があるところもいいですね。実際、その味は悪魔的なウマさ。食べ進め、飲み進めるうちに、身体が火照ってくるような興奮を覚えます。特に最近、熱くなってないな、あの頃のオレ、どこへ行っちまったんだ……と思っている方、まずこちらで気持ちを上げてみてはいかがでしょう。

↑かきは見るからにプリップリ! 濃い~ふなぐちと合わせると気持ちが一気に上がります!

 

というわけで、2135名が選んだトップ3には、それぞれ選ばれる納得の理由がありました。新型コロナの影響もあって、いつもより寂しく感じる秋の夜長。トップ3をすべて試すもよし、1位をオトナ買いするもよし。こんなときこそ「ふなぐち」と「缶つま」で、明日への活力を養っていきましょう!

「一番搾りの糖質ゼロ」はどこまで美味しいのか? 10月6日発売「今季最も話題のビール」を既存商品と比較

10月1日、ビール業界にとってXデーが訪れました。酒税の改定によってビールは値下げ、新ジャンル(第三のビール)は値上げとなって価格差が縮まったのです。ちなみに、2023年にはさらに縮まり、2026年には差がなくなるのでお知りおきください。

 

↑キリンビールの資料より。2023年にはセカンドインパクト、2026年にはサードインパクトが起こります

 

そんなこともあってビールに注目が集まっていますが、最も話題性の高い新商品といえば日本初の糖質ゼロビール「キリン一番搾り 糖質ゼロ」でしょう。本稿では既存ブランドと飲み比べをふまえ、味の特徴をレポートしたいと思います。

 

伝統×革新=ウマいゼロ

まずは「キリン一番搾り 糖質ゼロ」の紹介から。開発背景には、長年続いている健康志向の高まりがありました。このトレンドは、昨今の新型コロナウイルス感染拡大によってさらに注目されています。「コロナ太り」が叫ばれていることからも明らかでしょう。事実、キリンの糖質オフ/ゼロ系のビール類の販売数量は、2020年1~7月で前年比約5%増と伸長しているとか。

 

↑2020年10月6日発売。350ml缶の実売価格は220円で、500ml缶は286円(ともに税込)です

 

さらに同社の調べによると、酒類飲用者の約8割が健康を気にしているそうで、ビール愛飲者の糖質オフ/ゼロニーズも高まると考えたことから、今回の発売に至ったそうです。

 

↑ありそうでなかった糖質ゼロビール。試験醸造は350回を超え、開発には5年もかかったそう

 

開発における最大のミッションはやはり、いかにおいしい糖質ゼロビールを生み出すかの一点でした。そこでキリンビールは、伝家の宝刀「一番搾り製法」に、「新・糖質カット製法」という新たな独自技術を投入。麦汁ろ過工程において最初に流れ出る「一番搾り麦汁」を使って澄んだ麦芽のうまみを引き出しつつ、でんぷんを効率よく分解するとともに、通常のビールより元気な酵母を使用。この酵母が糖質の食べ残しを低減することで、糖質ゼロを実現したそうです。

 

↑「新・糖質カット製法」は、原材料である麦芽の選定から見直し、キリンビールが培ってきた仕込み技術や発酵技術を進化させたものです

 

ライトながら麦のうまみやホップの苦味は十分

「じゃあ、味はどうなの?」と思うでしょう。そこでひと足早く飲んでみることに。また、より味の違いをはっきりすべく、本家「キリン一番搾り」と、糖質ゼロの発泡酒「淡麗プラチナダブル」と比べてみました。

 

↑スペックはこの通り。カロリーが最も低いのも「キリン一番搾り 糖質ゼロ」となっています

 

個人的に、スペックで意外だと感じたのが「キリン一番搾り 糖質ゼロ」が最もアルコール度数が低く(4%)、カロリーも一番低い(100mlあたり23kcal)ということ。いわば、様々な面でやさしい造りになっているということです。ということで、まずは今回の主役から飲んでみました。

 

↑泡立ち良好で、香りもナチュラル。期待が高まります

 

タッチはライトながら、麦の甘やかなうまみをしたたかに感じます。ホップの苦みもしっかりあって、余韻もきれい。糖質ゼロとなると、すっきり爽快な方向性になりますが、違和感を覚える薄さはなくて完成度の高さを感じます。

 

次は本家「キリン一番搾り」。アルコール度数は5%でエネルギーは100mlあたり40kcalと、ボリューム的にもひとまわり上です。

 

↑350ml缶の実売価格は税込220円。これぞ日本のビールといえる、安定感のあるおいしさです

 

当然ながら、やっぱりウマい。味の濃さ、麦のうまみ、飲みごたえなどそれぞれのおいしさが高いレベルで調和していて、思わず笑顔になります。

 

そして最後は「淡麗プラチナダブル」。アルコール度数は5.5%と今回の中で最も強く、エネルギーは100mlあたり31kcal。また、詳細は長くなるので割愛しますが、麦芽比率や原材料の関係で「淡麗」シリーズは新ジャンルではなく発泡酒扱いとなります。

 

↑350ml缶の実売価格は税込170円。“ダブル”というのは糖質とプリン対の2つがゼロという意味です

 

麦芽比率がビールより少ないぶん、うまみが軽やかでおとなしい方向性。確かに麦に由来するコクの物足りなさは否めませんが、ボディの厚みはなかなかのもので、思った以上に飲みごたえがあります。糖質もプリン体もゼロという商品特性からリピート率が高い商品とのことですが、お得かつヘルシーに楽しみたい人には十分アリな一本ではないでしょうか。

 

↑「キリン一番搾り 糖質ゼロ」は、麦芽使用率の多さや「一番搾り麦汁」に由来するうまみの豊かさを再実感

 

3本を飲み比べて「キリン一番搾り 糖質ゼロ」に抱いた感想は、「糖質ゼロもここまで来たか!」という驚き。また、ビールなので当たり前ではあるのですが、自分的にもこんなにウマい糖質ゼロのビール類は初めてだと思いました。10月6日の発売日にはきっと多くの店頭に並ぶはずなので、ぜひお試しを。

 

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オンラインでホップ生産地とビール工場を無料見学! 「新しい時代のお酒の楽しみ方」を実践する

クラフトビールの人気拡大とともに認知が広がる、ホップ。ビール特有の苦みやフレーバーを生み出すハーブのことで、殺菌の面でも重要な原材料です。そして、そのホップでまちおこしに挑戦しているのが、岩手県の遠野市。

 

日本のホップは夏の終わりから秋口が収穫期となり、そこから晩秋にかけて、遠野のホップ熱も最高潮を迎えます。ただ、今年はなかなかイベントが開催しづらいということで、オンラインによる取り組みが行われています。今回はその活動報告などを発表するということで、ウェブセミナーに参加。ホップ事情の最前線をお届けします。

 

↑筆者が以前遠野で取材した際のホップ

 

地域活性化にも貢献

遠野がホップでまちおこしをしている大きな理由は、もともと国内最大の生産地だから。ただし、少子高齢化や農業就労人口の減少などでホップ農家の高齢化に歯止めが効かず、全国の生産量は直近約10年で約半減。世界シェアは0.2%(2017年)となっています。

↑範囲を拡大すると、この40年間で国内ホップ農家の数は1/10に減ってしまったそうです

 

そのような現状を見据え、2007年に遠野市、遠野ホップ農業協同組合、キリンビール岩手支社で発足したのが「TK (遠野 × キリン)プロジェクト」。ホップ生産を通し、それぞれが保有する資源、組織などを生かしながら地域振興を図ることを目的に、日本産ホップの価値化に取り組んでいます。

 

さらに2018年には、キリンと農林中央金庫の出資により「BEER EXPERIENCE株式会社」が遠野に誕生。“ホップの里からビールの里へ”を合言葉に、地域活性化に貢献するビジネスモデルが様々な効果を生み出しています。

 

↑遠野に移住する人も。テレワークが浸透していく今後、もっと増えるのではないかと注目しています

 

事業は多岐にわたり、ホップの生産拡大と高度化はもちろん、ビールのおつまみとしいて海外で愛されている「パドロン」という野菜の生産拡大、また観光を絡めたビアツーリズム事業にも注力し、一般参加型イベントや法人向けの視察研修ツアーなどが開催されています。

 

↑以前取材した、ホップの収穫体験の様子。早く再開される日が来ることを期待しています

 

オンラインでホップ生産地とビール工場を見学できる

前述したように、リアルイベントが開催しづらい今年は、ネットを通じたコミュニケーションが実施されてきました。オンライン飲み会や配信が8月末までに約10回行われ、のべ200人が参加したそうです。

 

↑ウェブセミナーのなかで乾杯。オンラインイベントでもこのような形でコミュニケーションをしているそうです

 

そして今回のウェブセミナーでは、オンライン開催の例を少しだけ体験させてもらいました。事前に届けてもらった、遠野のビールとおつまみのセット「TONO HOP BOX」を味わいながら、現地にいるBEER EXPERIENCE社の担当者と中継で乾杯。ホップ畑を見せてもらったり、遠野の現状を教えてもらったり、ビールがもっと好きになる充実した内容でした。

 

↑「TONO HOP BOX」。今回はウェブセミナー向けの内容で、遠野風の丘オンラインショップ、ふるさとチョイス、遠野のふるさと納税で販売したところ、初回の200セットは完売に

 

↑遠野のパンフレットやポストカードなどの資料のほか、ビールや食材が入っていました。ちなみに一番左の緑色の野菜が「パドロン」です

 

「TONO HOP BOX」の今後は不定期ながら、たとえば10~11月のフレッシュホップビールの時季など、旬のビールと食材をセットにした販売を予定しているそうです。ということで、これらのビールを試飲してみました。

 

↑「ONE AND ONLY TONO LAGER」(参考価格税込3960円/6本)。ホップの一部に遠野産IBUKIを使用することで、ラガーながらトロピカルフルーツや柑橘系の香りや苦みが広がり、すっきりとした味わい

 

↑「IBUKI HOP IPA(収穫祭ラベル※同デザインは在庫次第で販売終了。通常ラベルは継続販売)」(税抜500円)、遠野産のIBUKIのみを使い、遠野の大自然のようなたくましいボディと、IPAならではのずっしりした苦味がたまりません

 

↑MURAKAMI SEVENという新品種のホップを使った「スプリングバレーブルワリーMURAKAMI SEVEN IPA」(キリンのオンラインショップで6本セット税抜3120円)。イチジクやみかんのような香りで、ジューシーなテイスト。苦味は青々しくてフレッシュなおいしさです

 

BOXのなかには、ホップを加工したシロップ「Herb Cordial HOP Syrup」も同梱されていました。こちらは、ストレートと炭酸割りで試してみることに。

 

↑「ホップシロップ~ハーブコーディアル~」(食べチョクでは税込2484円/640g)。アフターフレーバーがほんのりスパイシーなニュアンスです。ホットケーキにかけるのもオススメとか

 

BEER EXPERIENCEのオンラインイベントは今後も不定期で開催予定とのことですが、現在「日本産ホップ畑を見渡そう!360度体験」が2020年12月31日まで開催中。また、遠野とキリンビールの仙台工場を見学者の目線で体験できる「ホップ生産地と工場見学をつなぐ! IoA工場見学 見て、ふれて、味わって おいしさの秘密発見ツアー」が10月8日~12月31日まで開催されます。どちらも無料なので、ぜひ手元にビール手に工場見学を疑似持体験してみてください。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

在宅ワーク後に「プチ贅沢な晩酌」はどう? 4つの「お取り寄せグルメ」×タカラ「焼酎ハイボール」が誘う至福の時間

コロナ禍で、在宅勤務が続いている方も多いことでしょう。部屋のなかで一人、黙々と働いているとストレスもたまりますよね。そんなとき、「このあと、晩酌で絶品のおつまみが待っている」と思えば、仕事も頑張れると思いませんか? もちろん、ご近所でおつまみを買うものいいですが、それだと気分が変わらない……。ならば、たまにはお取り寄せで「地方の味覚」を楽しんでみるのもひとつの手。気軽に旅行気分を味わいながら、絶品グルメに舌鼓を打てば、在宅ワークの閉塞感も吹き飛ぶはず。地方の生産者を応援する意味でも、大いにオススメのやり方です。

 

「お取り寄せグルメ」と糖質ゼロの「焼酎ハイボール」でプチ贅沢な晩酌を!

では、お取り寄せグルメに合わせるお酒は何がいいでしょう? もちろん、おいしくて料理を引き立ててくれるお酒がいいですよね。そうそう、「コロナ太り」は避けたいから、健康面も気を付けたいところ。となれば、オススメは糖質、プリン体、甘味料がゼロのタカラ「焼酎ハイボール」。様々なフレーバーが発売されていて、それぞれマッチする料理を探す楽しみがありますよ。というわけで今回は、全国からお取り寄せできる個性豊かな4種類のおつまみと、タカラ「焼酎ハイボール」の至福のマッチングをご提案。ぜひ参考にして頂き、自宅でプチ贅沢な晩酌を楽しんでみてください!

↑全国のお取り寄せグルメに「焼酎ハイボール」の4つのフレーバーをペアリング。左から<レモン><ドライ><シークヮーサー><強烈塩レモンサイダー割り>

 

その1

格之進「缶詰ハンバーグ」×タカラ「焼酎ハイボール」<レモン>

肉の旨みが濃厚ながら後味スッキリ。食べ進む手が止まらない!

トップバッターは、個性的なハンバーグの逸品をチョイスしました。それが、格之進の「缶詰ハンバーグ」です。こちらは、ジューシーに焼き上げたハンバーグを、オイルと一緒に缶の中に閉じこめたもの。

↑格之進の「缶詰ハンバーグ(ハンバーグオイル漬)」。公式オンラインストアでは3缶セット2592円で販売されています ※価格は税込。価格等の情報は取材時のものです。以下同

 

「格之進」は、肉好きなら知らない人はいない有名ブランド。熟成肉の生産・加工・販売を行っており、岩手県の一関で自社牧場や総本店を経営するほか、都内にも複数の肉レストランを展開しています。肉好きの祭典「肉フェス」では4回連続で総合優勝する栄誉に輝き、殿堂入りを果たしたのは有名な話。さらには「熟成肉」や「塊焼き」のムーブメントを巻き起こし、ステーキとシーフードを同じ皿で提供する「サーフアンドターフ」で話題を集めたほか、コロナ禍では「オンライン肉会」を積極的に開催。その取り組みや独創性の面でも業界をけん引する存在となっています。

 

さて、そんな格之進の伝説的ウマさと独創性を堪能できる「缶詰ハンバーグ」は、甘味豊かな岩手産の豚肉と味の濃い国産牛肉を使い、玉ねぎやパン粉などをつなぎにしたふっくら仕上げたタイプ。隠し味には岩手産の塩麹を使うことによって、うまみを倍増させています。食べてみると、肉の味がとにかく濃厚でリッチな旨みが口いっぱいに広がる! 香ばしく余韻も豊かで、ふわっふわでとろけるような食感が印象的です。

↑肉がみっしりと詰まったハンバーグの厚みは約3cm。オイル漬けながら脂っこさはなく、濃厚な旨みとふわふわな食感が堪能できます

 

「缶詰ハンバーグ」に合わせたのは、タカラ「焼酎ハイボール」<レモン>です。本品は、加熱した肉との相性がバツグン。焼酎の豊かなコクがハンバーグの濃厚な味をしっかり受け止めるとともに、肉の香ばしさや脂の余韻には、レモンの優しい酸味が絶妙にマッチ。辛口のキレと強炭酸の刺激が爽快な後味を演出し、気づけばもうひと口、もうひと口、と無我夢中で食べ進んでしまいます。

↑オイル漬けのハンバーグは、旨みも一緒に缶の中に閉じこめられており、ソースがなくても絶品! タカラ「焼酎ハイボール」<レモン>との相性はバツグンです

 

「缶詰めハンバーグ」は、常温で保存できて冷蔵庫のスペースを使わないのもいいところ。缶を開けるだけで、いつもの晩酌が一瞬でリッチに変わります。携帯にも便利なので、アウトドアでも、出張先のホテルでも、タカラ「焼酎ハイボール」<レモン>とともに最高の晩酌が楽しめますね。

 

その2

「鮮馬刺し ユッケ」×タカラ「焼酎ハイボール」<ドライ>

焼酎のコクが馬肉の風味を受け止めて引き立てる!

続いてチョイスしたのが、馬肉の生肉を使った「鮮馬刺し ユッケ」。焼肉店などで味わう牛の生肉は希少な存在になって久しいですが、馬肉の場合はお取り寄せでも気軽に楽しめます。

↑「鮮馬刺し ユッケ 50g」。公式オンラインストアでは1パック700円から販売されています

 

馬肉のなかでも断然オススメなのが、国内有数の名産地・熊本が誇る名門・千興(せんこう)ファームの商品。同社が他を圧倒する理由は、日本で唯一の馬肉専用のと畜場と、一貫生産の生食専用工場をもっていること。さらに、そのおいしさと安全性が評価され、生食用食肉では世界で初めて国際規格「SQF」(Safe Quality Food=安全で高品質な食品を意味する)を取得しています。

 

そんな同社のユッケを味わってみると、馬肉の力強い旨みに、九州醤油を思わせる甘味とコク深い濃厚なタレがマッチ。タレにはほんのりとした辛さもあり、これが好アクセントになって、肉の味わいを引き立てます。さらに、卵の黄身をつぶして混ぜ合わせると、まろやかさとねっとりとした舌触りがさらにアップ!

↑卵黄をからめれば、馬肉ユッケのねっとりした食感が際立ちます

 

これだけインパクトある味わいながら、赤身の馬肉だけあって、タレを含めても88kcalと非常にヘルシー。そして、そのメリットを損なわず、味わいを高める飲み物が、糖質、プリン体、甘味料がゼロのタカラ「焼酎ハイボール」<ドライ>です。

↑「鮮馬刺し ユッケ」と タカラ「焼酎ハイボール」<ドライ>との相性はバツグンです

 

甘さや香りを抑えた「焼酎ハイボール」<ドライ>は、馬肉ユッケの風味を邪魔せず、ベースとなる焼酎のコクが生肉の個性を受け止めて、奥行きのある旨みへと変えてくれます。また、シャープな酸味がほど良いエッジを与え、馬肉の味わいを鮮やかに際立たせる効果もあり。贅沢かつカロリー控えめの晩酌を楽しむなら、このペアで間違いありません。

 

ちなみに、千興ファームは、2016年の熊本地震で工場や設備が大ダメージを負い、一時は休業に追い込まれながらも復活した生産者。困難を乗り越え、良質な馬肉を提供し続けるその姿には頭が下がる思いです。おいしい馬肉で晩酌ができることに感謝しつつ、我々も負けずにガンバロウ! と、明日へのパワーをチャージしたいところですね。

 

その3

「北海道産の羊肉串(サフォーク種)」×タカラ「焼酎ハイボール」<強烈塩レモンサイダー割り>

肉の旨みとスパイスの刺激、炭酸の刺激が共鳴する!

3品目のお取り寄せグルメは、羊でいかがでしょう。羊の肉は、脂肪の燃焼を助けるとされている「L-カルニチン」という成分が豊富に含まれていて、ヘルシー食材として注目されているんです。今回は、北海道の東洋肉店の「北海道産の羊肉串(サフォーク種)」をセレクトしました。「羊肉串」は中国でポピュラーな屋台料理で、「ヤンロウチュアン」と読みます。

↑「北海道産の羊肉串(サフォーク種)」。東洋肉店の公式オンラインストアでは、35g×5本入りを2200円で販売しています

 

東洋肉店の代表を務める東澤壮晃さんは、オージー・ラムの伝道師集団「ラムバサダー」の一員。イベントなどを通して全国を回り、羊肉の啓蒙活動をしています。今回の羊肉串は、希少な国産羊のなかでも、さらに貴重な北海道産のサフォーク種の肉を使い、東澤さんが丁寧に処理して急速冷凍したもの。この羊肉串には、「羊肉料理の聖地」とも呼ばれる東京・神田の名店「味坊」が特別に作ったスパイス「羊肉の香辛料」(東洋肉店にて別途1050円)をかけて頂きます。

↑肉質が良く、高級品として知られるサフォーク種の肉を使用。今回は「羊肉の香辛料」をトッピング

 

そんなこだわりが詰まった羊肉串には、羊肉の個性に負けない「焼酎ハイボール」<強烈塩レモンサイダー割り>をペアリング。

↑香ばしく焼いた「北海道産の羊肉串」に、タカラ「焼酎ハイボール」<強烈塩レモンサイダー割り>を合わせます!

 

羊肉串は、ほどよく引き締まったジューシーな肉質。噛めば噛むほどに羊肉の旨みが口の中に広がります。さらに、クミンを軸とした「羊肉の香辛料」のオリエンタルなフレーバーが鼻腔をくすぐり、食欲が倍増! ここに「焼酎ハイボール」<強烈塩レモンサイダー割り>を流し込むと、焼酎のコクが肉の旨みを引き立たせ、スパイスの刺激と強烈な炭酸の刺激が共鳴しあって、思わず「クゥーっ!」と声が出てしまいます。さらに、塩レモンサイダーのみずみずしい香味と酸味が、後味をキュッと引き締めてくれました。なるほど、これは文句のない組み合わせです! 気軽に旅行に行けないご時世だからこそ、羊肉串を売る中国の屋台のにぎわいと、北海道の大地でのびのび育つ羊たちに思いを馳せて、晩酌を楽しんでみてはいかがでしょう。

 

その4

「氷見寒ぶりハム」×タカラ「焼酎ハイボール」<シークヮーサー>

シークヮーサーの香味が、ぶりの濃厚な脂をやさしく中和

肉が続いたところで、最後は魚の逸品をご紹介。日本海屈指の漁港である富山・氷見で150年以上続く魚問屋・つりやが手掛けた「氷見寒ぶりハム」です。

↑「氷見寒ぶりハム」。公式オンラインストアでは、10切1620円で販売されています

 

氷見が誇る冬の味覚といえば寒ぶり。その魅力は、たっぷりと蓄えられた濃厚な脂です。その季節限定の旬の味覚を、冷凍によって年中味わえるようにしたのがこの商品。寒ぶりに塩をして数日漬けたあとにじっくり寝かせ、オリジナルブレンドのチップでゆっくりスモーク。再度寝かせてようやく完成するという、手間ひまのかかった逸品です。食べてみると、まさに酒を呼ぶ味わいなのがわかるはず。脂のパワフルな甘味、スモーキーなフレーバーに絶妙な塩気、ほどよく水分が抜けて凝縮された旨み……。

↑燻されているので、ほどよく水分が抜け、どことなくスモークサーモンに似た香りが楽しめます

 

そんな「氷見寒ぶりハム」にぜひ合わせたいのが、独特の和柑橘フレーバーが魅力のタカラ「焼酎ハイボール」<シークヮーサー>です。

↑「氷見寒ぶりハム」は、ディルというハーブで彩りを添え、タカラ「焼酎ハイボール」<シークヮーサー>とペアリング

 

しっとりした「氷見寒ぶりハム」が、口の中でやわらかくほぐれていく、その瞬間に「焼酎ハイボール」<シークヮーサー>を流し込むと、それはもう幸せそのもの。焼酎が持つ甘味と青魚特有のコクが調和し、シークヮーサーの清々しい香味と強炭酸が、ぶりの濃厚な脂の余韻をやさしく中和してくれるのです。そのウマさに思わず目を閉じて没入すると、かつて筆者がコロナ前の富山ツアーで寒ぶりを食べた、その感動がありありと蘇ってきました。あの時、あの場所の味が、自宅の晩酌で楽しめるのは本当に貴重だと感じます。

 

在宅ワーク後のご褒美に、糖質を抑えつつ最高のペアリングを楽しんで!

タカラ「焼酎ハイボール」は、果実味を抑えた辛口で、焼酎のコクがしっかり感じられるので、料理を邪魔せず、旨みを受け止めてくれて飲み疲れもなし。本編を見ての通り、幅広い料理にマッチすることもおわかり頂けたはず。同時に、糖質、プリン体、甘味料がゼロなのも大きな魅力。プチ贅沢なグルメには健康面で少々の罪悪感がつきものですが、お酒で気を使うぶんおつまみは楽しんじゃいましょう(笑)。

 

糖質を控えつつおいしく楽しめて、様々な心象風景を呼び起こす「お取り寄せグルメ」×「焼酎ハイボール」のペアリング。在宅ワーク後の自分へのご褒美に、ぜひお試しあれ!

撮影/我妻慶一 スタイリング/高橋千帆

 

「初年度大コケ」から看板商品へ! 「熱烈な社員ファン」が導いたタカラ「焼酎ハイボール」の大逆転

在宅勤務のあとのお楽しみといえば、晩酌タイム。でも、「コロナ太り」が気になるので、お酒は「糖質ゼロ」にこだわりたいですよね。そんな「糖質ゼロ」のお酒で絶大な人気を誇るのは、2021年で誕生15周年を迎えるタカラ「焼酎ハイボール」。缶チューハイのなかでも売上はトップクラスで、2017年には1000万ケースを突破し、2019年は1300万ケースを突破するなど、販売数は右肩上がりとなっています。そのキラキラ輝く印象的なパッケージを、コンビニやスーパーで目にした方も多いのではないでしょうか。

↑凹凸加工を施し、キラキラ輝く缶が印象的なタカラ「焼酎ハイボール」

 

当初は売れなかった商品が、大ヒット商品に育った経緯とは?

ところがこのタカラ「焼酎ハイボール」、開発当時は「こんなニッチなものが売れるのか?」「こんな味で売れるのか?」と社内でも不安視する声が多かったそう。そんな声を押し切って発売されたのが2006年のこと。「でも、ダメだったんですよ、初年度は。売れなかったんです」と、デビュー当時から同商品のマーケティングなどに携わっていた、塩野憲司さんは語ります。デビューでつまずいた商品は、そのまま忘れ去られて販売終了……ということも多いはず。それがなぜ、同社を代表するヒット商品に育ったのでしょうか? 塩野さんのインタビューを通して、波乱万丈のサクセスストーリーを追っていきましょう!

↑塩野憲司さん。現在は宝酒造の商品第一部の副部長、兼ソフトアルコール課長を務め、缶チューハイや焼酎を担当しています

 

東京の大衆酒場でチューハイが「一杯目」だった事実に衝撃を受ける

タカラ「焼酎ハイボール」の開発が動き出す契機は、約20年前のこと。のちのキーパーソンとなる人物が、塩野さんの上司として宝酒造の拠点の京都に転勤してきたのが始まりでした。

 

「その上司は東京出身で、チューハイのルーツを探るべく、東京下町の大衆酒場巡りをライフワークとしていました。その情熱は筋金入りで、オリジナルのノートに400軒以上の大衆酒場の情報を書き込んでいたほど。この上司のライフワークに部下のメンバーも興味を持ち、東京出張の際、大衆酒場の名店を巡るようになりました」(塩野さん)

 

メンバーが訪れた東京の大衆酒場では、想像以上に興味深い光景が広がっていたそう。特に驚いたのは、ビールサーバーが置かれたお店がほとんどなかったことでした。

 

「お客さんが、誰もビールを飲まないんです。じゃあ皆さんが何を飲むかというと、焼酎ベースのハイボールだったわけです。しかも、『とりあえずビール』ではなく、一杯目から焼酎ハイボールを飲んでいた。いまでこそ珍しくはないですが、当時は衝撃的でした」(塩野さん)

 

テスト的にビン入りの商品の開発をスタート

やがて、「この焼酎ハイボールを商品化しよう」との意見が出るのは自然の流れでした。しかし、社内には、「東京の一部だけで飲まれているニッチなものが、全国的に受け入れられるはずはない」という声も多かったそう。ただ、塩野さんをはじめ、チューハイがビールに取って代わる光景を目の当たりにした部下たちが粘りを見せ、なんとかテスト的にビン入りタイプの焼酎ハイボールを開発したといいます。

 

「そのとき、あるコンビニさんが面白がってくれて、2003年にコンビニで商品の販売が始まりました。王冠仕様の商品であったため、栓抜きがない家庭もあるだろう、ということで1本に1個、栓抜き付きで販売。栓抜きが面白がられたこともあり(笑)、この味わいに一定の手応えを感じることができました」(塩野さん)

↑ビン入りタイプの焼酎ハイボール「宝チューハイ壜詰」。フレーバーは<レモン><クラシック><グレープフルーツ>の3つ

 

缶飲料の味作りでは「謎のエキス」の再現に苦労した

この事例をきっかけに、全国向けの商品として本格的に開発されたのが、現在に続く缶入りのタカラ「焼酎ハイボール」。従来のビン入りの味わいを参考にしながらも、開発の際は、その味作りに苦労したといいます。

 

「そもそも焼酎ハイボールの缶飲料に前例がないですから。フレーバーごとに、大衆酒場の名店の味をインスパイアして作りました。特に大変だったのは『ドライ』。これは、焼酎と炭酸水に加える通称『謎のエキス』と呼ばれる液体がカギなのですが、『謎』というだけあって門外不出かつレシピは不明。お店によっても味はバラバラです。開発メンバーは数多くの店舗をはしごして味の方向性を話し合い、『謎のエキス』を再現すべく、試行錯誤を繰り返しました。ほかのフレーバーも同様です。たとえばレモンは、いわゆるレモンサワーと違い、レモンの風味はうっすら付いているのが特徴。その絶妙なさじ加減が難しかったですね。ただ、最後にたどり着いた味は、やはり『宝焼酎』を使用して焼酎ハイボールを作っているお店の味でした。どのフレーバーも開発には苦労しています」(塩野さん)

↑2006年の発売当時から続く4種類のフレーバー。左からグレープフルーツ、レモン、ドライ、シークヮーサー(缶のデザインは現行のもの)

 

テレビCMを打って大々的に発売されるも、鳴かず飛ばずの結果に

こうして2006年の3月、数々の困難を経て世に出たタカラ「焼酎ハイボール」。同年のメイン商品として売り出され、テレビCMを打ったにもかかわらず、初年度の売上は「鳴かず飛ばず」という状況でした。その理由について塩野さんは、「お酒自体が苦手な人も含め、幅広いチューハイユーザーに向けて広くコミュニケーションしてしまったから」と分析します。

 

「弊社は焼酎の蒸留機の性能も、その操作技術も世界トップクラスと誇れるレベル。弊社の焼酎には、極限までピュアに仕上げたものはもちろん、原料や蒸留方法を変え、さらに樽貯蔵で寝かせて様々にコクを与えたものもあるのが特徴。こうして作った約85種類の樽貯蔵熟成酒を、商品ごとに最適なバランスにチューニングするのが弊社のこだわりです。ここに『焼酎屋』としての誇りがあるわけですが、お酒が好きな方にこそ、その味の違いをわかっていただけるんです」(塩野さん)

↑宝酒造の焼酎を製造する黒壁蔵(宮崎県高鍋町)には、たくさんの樽貯蔵熟成酒が樽で熟成されています

 

味に惚れこんだ社員たちの地道な活動で、少しずつ売れ始める

こうしてタカラ「焼酎ハイボール」は低空飛行のまま1年が経ち、翌年のメイン商品が発売される時期がやってきました。しかし、タカラ「焼酎ハイボール」の販売が打ち切られることはなく、逆に少しずつ売れるようになってきたといいます。

「実は、社内にはタカラ『焼酎ハイボール』の熱烈なファンが多かった。この味に惚れこんだ社員たちが、『汗水たらして、自分たちが足で売ろう!』と独自に動き始めたんです。やがて、この味になじみがある下町を中心に、ポコポコと売れる店が出てきました。さらに、好きな奴らが集まって、『焼酎ハイボール倶楽部』というものを作り、全国から成功事例を共有して営業に活用したところ、異常に売れる店が出てきました。こうして芽が出てきたころ、『もう1回、メイン商品として売り出そう!』となったんです。この事実は、自分たちが『焼酎屋』であることを再確認し、『焼酎の魅力を伝える』という原点に立ち返る意味でも、大きな出来事だったと思います」(塩野さん)

↑「焼酎ハイボール倶楽部」第1回開催時の資料の表紙(当時の塩野さんが作成)

 

タカラ「焼酎ハイボール」は、ヘビーユーザーに愛される味

こうしてタカラ「焼酎ハイボール」は2009年、「大衆酒場で愛される、あのうまさ」をキャッチフレーズに訴求して本格的にブレイク。2010年には300万ケースに迫る人気ブランドとなったのです。

 

「やっぱり、社員が好きな商品だと売れる、という実感があるんですよね。社員は自分が酒飲みだから、その気持ちがわかりますから。なかでもタカラ『焼酎ハイボール』は飲み慣れてくると、ほかでは物足りなくなるんです。実際、タカラ『焼酎ハイボール』は、ヘビーユーザーが支えている商品で、飲用経験率は実はそんなに高くはありません。通常のフルーティなチューハイは100人が1本ずつ買うイメージですが、タカラ『焼酎ハイボール』は大好きな10人が10本ごっそり買っていくイメージ。こうしたヘビーユーザーにご愛顧を頂いているのも、焼酎の味わい自体に力があるからでしょうね」(塩野さん)

 

なお、過去の年のメイン商品として売り出されたものが、再び別の年のメイン商品に返り咲く例は、当時は極めて珍しかったとのこと。現在の大ブレイクは、社員たちの「焼酎ハイボール愛」が呼び起こした奇跡だったのです。

↑「レモン」や「ドライ」などの定番以外にも、多数のフレーバーを用意しています。「『ゆず』や『強烈塩レモンサイダー割り』など、他のチューハイにはあまりないフレーバーから飲んで頂くのもオススメ」と塩野さん

 

もともと持っていた商品価値「糖質ゼロ・プリン体ゼロ・甘味料ゼロ」が追い風に

近年のヒットの背景には、味が受け入れられ始めたことに加え、健康面などで新たなイメージが加わった点もあるといいます。なお、健康面でのメリットは狙ったわけではなく、もともとタカラ「焼酎ハイボール」が持っていた商品価値のひとつとのこと。

 

「焼酎は蒸留酒ですから、ビールなどと違って糖質やプリン体がゼロ。しかも弊社の焼酎は、樽で寝かせてコクを出していますから、甘味料を使わなくても十分なボディ感を表現できます。というわけで、もともとタカラ『焼酎ハイボール』は糖質を抑えたお酒だったのですが、近年はよりわかりやすく『プリン体ゼロ』『糖質ゼロ』『甘味料ゼロ』と表記することにしました。もうひとつ、発売当時はウォッカがベースのチューハイならいいが、焼酎はダメ、という風潮がありましたが、今は逆。ここ3~4年ほどの間に『国産の焼酎が安心だよね』という空気が生まれてきて、その点も追い風になっていると思います」(塩野さん)

↑基本的なデザインは変わっていないものの、「糖質ゼロ」などの「ゼロ表記」が大きく打ち出されるパッケージになっています

 

家飲みの時間が増えたいま、大衆酒場の味をゆっくり楽しんでみては?

新型コロナウイルスによる生活の変化に対応する意味でも、タカラ「焼酎ハイボール」を手に取ってほしいと塩野さんは語ります。

 

「コロナ禍でリモートワークが増え、家にいる時間も長くなっています。運動不足による『コロナ太り』に対処するためにも、ぜひ糖質ゼロのタカラ『焼酎ハイボール』をご活用いただきたいですね。また、かつては時間のない方がストロング系のお酒で素早く酔って寝る、という生活パターンもあったと思いますが、家飲みの時間が増えたいま、ストロング系では強すぎるのかもしれません。そこで、アルコール分7%のタカラ『焼酎ハイボール』で、もう少しゆっくり家飲みを楽しんではいかがでしょう? もちろん、コロナが落ち着いたらお店でも飲みたいところですが、それまではこれを飲んで大衆酒場の雰囲気を味わってほしい、という思いもありますね」(塩野さん)

 

東京下町の大衆酒場の味を伝えるべく始まったタカラ「焼酎ハイボール」。その味に惚れこんだ社員と顧客に支えられて、今があります。そのストーリーに思いを馳せて、あなたも今宵はタカラ「焼酎ハイボール」で乾杯してみませんか? 特に、まだ試していない方はぜひ。まったくハマらないか、とんでもなくハマるかは、あなた次第です!

撮影/我妻慶一

 

 

【試飲レビュー】スコッチの王道「バランタイン」をディープに愉しむ。味を司るキーモルト4種が限定発売

世界五大ウイスキー(スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズ)のなかでも代表格のスコッチ。そのなかで“王道”と称されるのが、ブレンデッドウイスキーの名門「バランタイン」です。

 

エコノミーの「バランタイン ファイネスト」からスーパープレミアムクラスの「バランタイン 30年」まで幅広く、「バランタイン ファイネスト」はコンビニでも売られているほどおなじみの一本。その同ブランドから9月1日に、限定商品が一挙4本も発売されました。その魅力を体感できるウェブセミナーに参加したので、内容をお届けします

 

↑ポートフォリオの多彩さも「バランタイン」の王道たる証です

 

「バランタイン」の歴史と栄誉

まずは改めてブランドの特徴や成り立ちを解説しましょう。「バランタイン」はスコットランドのハイランド、ローランド、スペイサイド、アイラの4つの地方の厳選されたモルト原酒とグレーン原酒を使用したブレンデッドウイスキーです。

 

↑代表的な一本が、1837年に誕生した「バランタイン 17年」。今年は権威ある「ウイスキーバイブル2020」で最高得点を獲得し、ブレンデッドスコッチオブザイヤー2020に輝きましたが、実はこちら、2年連続の連覇

 

創業は1827年。初代マスターブレンダーでもあるジョージ・バランタインが食料品店を立ち上げ、歴史が始まりました。やがて1853年にブレンデッドスコッチの製造を開始し、1895年にはイギリス王室御用達に。その後1938年にはスコットランド紋章院より紋章を認可されるなど、数々の栄誉に輝いて今日に至ります。

 

ブレンデッドウイスキーのおいしさを左右するのはブレンドの技術。40種類にもおよぶモルト原酒を組み合わせるのが「バランタイン」のすごさのひとつですが、200年近い歴史があるなかで、マスターブレンダーとして継承してきたのは5人しかいないというのも驚き。それだけ、「バランタイン」の味を守ることには重みがあるのです。

 

↑現在は、2005年に就任した5代目のサンディー・ヒスロップ氏が、マスターブレンダーとして銘酒の味を守っています

 

9月1日に限定発売された新商品は、そんな「バランタイン」の香りや味わいのキーとなっている、スペイサイドのグレンバーギー蒸溜所、ミルトンダフ蒸溜所、グレントファーズ蒸溜所のモルト原酒をシングルモルトウイスキー(単一の蒸溜所の原酒でつくられたウイスキーのこと)としてボトリングしたものです。

 

↑左から「バランタイン シングルモルト グレンバーギー18年」(1万2000円)、「同 グレンバーギー15年」「同 ミルトンダフ15年」「同 グレントファーズ15年」(すべて7000円)

 

そして、遠くスコットランドのサンプルルームとオンラインで中継し、サンディー・ヒスロップ氏がストーリーや味わいを1本1本解説しながら「バランタイン」の魅力を語る。それが今回のウェブセミナーの醍醐味というわけです。

 

↑事前に各ウイスキーのサンプルを送ってもらい、「バランタイン17年」「バランタイン17年 トリビュートリリース」を合わせた6本を飲み比べるという贅沢な内容

 

それぞれの個性が明確に。やはりウイスキーはおもしろい!

ヒスロップ氏がふだんテイスティングする際は加水しながら行うということで、それに従うことに。これにより、多彩なフレーバーを敏感にキャッチすることができるのだとか。また「もちろん皆さんがご自宅などでウイスキーを楽しむ際は、お好みの飲み方で味わってください」とヒスロップ氏。

 

↑加水する飲み方は「トワイスアップ」としてもおなじみです

 

まずは「バランタイン17年」と、「バランタイン17年 トリビュートリリース」をテイスティング。改めて感じるのは、はちみつやバニラを思わせる甘味やフルーティさ、かすかにスパイシーな樽香など、様々な味と香りが複雑に交わり合いながらも高いバランスで調和していること。トリビュートリリースのほうがきらびやかな印象で、通常の17年は気高さや貫禄を感じるテイストです。

 

↑リッチでスイートな余韻。17年が王様ならトリビュートリリースは女王といったイメージでしょうか

 

次はいよいよシングルモルト。まずは「ミルトンダフ15年」から。ミルトンダフ蒸溜所は、スコッチの中でも華やかで、バランスに優れた名酒が多いと言われているスペイサイドというエリアにあります。

 

↑ミルトンダフ蒸溜所。軟水で水晶のように透明な「ブラック・バーン」という湧き水で仕込まれるのも特徴です

 

↑「ミルトンダフ15年」の味わいはパワフルで、フローラルな香りの奥にクローブやシナモンのニュアンスを思わせるスパイシーなアロマも魅力的。個人的にはストレートで飲むのが好みだと思いました

 

次は、グレンバーギー蒸溜所の15年と18年をテイスティング。同蒸溜所もスペイサイドにあり、ここで作られる原酒は、すべてのバランタインブランドの中核となるキーモルトとして使用されています。

 

↑グレンバーギー蒸溜所。創業は1810年と、今年で210周年。「バランタイン」以上に長い歴史をもつ老舗です

 

↑色は濃いめで、やはり18年のほうが深い印象です。どちらも、熟したりんごを思わせるフルーティな香りが印象的

 

「ミルトンダフ 15年」が力強い味わいだったのに対し、こちらはおとなしい感じながらも、そのぶんフルーティな甘やかさを豊かに感じます。どちらも上品で「グレンバーギー 15年」はクリーミーかつスムース、「グレンバーギー 18年」はより熟した印象で、赤や黒いベリー系のニュアンスも。

 

最後は「グレントファーズ 15年」をテイスティング。蒸溜所はこちらもスペイサイドにあり、大きな特徴は伝統的な製法を用い、すべてを手作業で行うことです。また、この原酒もバランタインのすべてのウイスキーに使われています。

 

↑「グレントファーズ蒸溜所」。敷地内に高くそびえる2つの塔がアイコンで、今回のラベルやパッケージにも見ることができます

 

↑今回のなかでは最もサイレント。それでいて、滑らかできめ細やかな口あたりは印象が強く、ナッティな香りの奥にある赤いベリーや柑橘系のアロマも芳しい。余韻は滑らかかつ繊細で、ロマンティックなニュアンスも

 

ブレンデッドウイスキーはブレンドの芸術、シングルモルトウイスキーは土地の個性と例えられますが、改めて再認識。飲み比べをしてみると、それぞれの魅力を実感できると思います。酒販店などのほか、バーでもオンメニューされるとのことで、ぜひ試してみてください。

 

 

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シャルドネからピノ・グリまで。ブドウ品種と産地で選ぶ「白ワイン」

自宅でワインを楽しみたい、できれば産地や銘柄にもこだわりたい、ワインを開け、注ぎ、グラスを傾ける仕草もスマートにしたい……。そう思っても、超のつく基本はなかなか、他人には聞きにくいもの。この連載では、その超基本を、ソムリエを招いて手取り足取り教えていただきます。さすがに基本は押さえている、という人にも、プロが伝授する知識には新たな発見があるでしょう。教えてくれるソムリエは、渋谷にワインレストランを構える宮地英典さんです。

 

第3回からは、ワインの種類や製法、産地などをそれぞれ取り上げ、解説していただいています。前回はスパークリングワインをテーマにしましたが、今回は「白ワイン」。

【関連記事】
シャンパンからゼクトまで網羅。製法やブドウ品種も様々な「スパークリングワイン」の基礎知識

 

第4回 白ワインの代表品種と選び方

週末の献立はなんですか? 美味しい白ワインを1本冷やしておくだけで、献立を考えるのもなんだか楽しくなるような気がしますよね。白ワイン、とひと口に言っても、辛口から甘口まで、爽やかなタイプから芳醇なものまでさまざまな味わいがあり、食事を通して気軽に楽しめるという点も、白ワインの魅力のひとつかと思います。今回は、品種ごとにいくつか白ワインをご紹介しますので、好みのタイプに出会う一助になりましたらうれしく思います。

 

「シャルドネ」
世界中で栽培される、もっとも有名な白ブドウ

シャルドネは、世界でもっとも知られた白ワイン用の品種です。産地はフランス・ブルゴーニュが有名ですが、米・カリフォルニアでももっとも多く栽培されている白ブドウで、ブドウ栽培地の辺境を除けば世界中で、もちろん日本でも生育されています。ワインラベルには、フランスのシャブリ、ブルゴーニュ、マコネ(最近では「Bourgogne Chardonnay」表記もありますが)以外では、おおむね「Chardonnay」と品種表記がされています。

 

シャルドネの特徴をひと言で伝えるのは難しいのですが、「リースリング」や「ゲヴュルツトラミネール」などの品種に比べ、独自の強い芳香をもたないことから、醸造家にとって思うような白ワインになりやすい品種とも言えます。つまりシャルドネは、強い個性を持たないことが個性になっているのです。

 

スパークリングワインに適していることは、さまざまな産地で証明されていますし、フレッシュで爽やかなシャルドネもあれば、重厚で芳醇なシャルドネ、一部では甘口も造られています。ただ、個人的な見解では、多くの人がシャルドネに期待しているのは“辛口”であること。価格が上がれば上がるほど、オーク樽で熟成させたリッチなタイプになるのは、世界共通の傾向かと思いますが、温暖な産地では果実味豊かに、冷涼な産地ではより爽やかさのある白ワインになります。シャルドネのニュートラルな性格と合わせて、さまざまな産地の風土を反映することも、世界中に広まった要因のひとつかもしれません。

 

ワイン選びに迷ったら、さまざまなワイン産地のシャルドネを楽しんでみるのも、ひとつのワインの入り口かもしれません。ワインショップの棚にシャルドネが並んでいないことは、まずありえません。それだけ身近で、多くの方に広く愛される品種がシャルドネです。


「Chablis Terroir de Fye2018 / Patrick Piuze(シャブリ テロワール・ド・フィエ2018 / パトリック・ピウズ)」
希望小売価格=4200円

【Info】
・生産国=フランス
・ブドウ品種=シャルドネ
・輸入元=ヴァンクロス

 

「ソーヴィニヨン・ブラン」
草原やグレープフルーツのような爽やかな香り

フレッシュで爽やかな白ワインを求めているなら、ソーヴィニヨン・ブランを手に取ってください。シャルドネに次ぐ有名国際品種ですが、フランス・ロワールのサンセールや、プイィ・フュメなどの産地を除いて、樽熟成させることは珍しく、また比較的若いうちに楽しむワインが多く造られています。

 

フランスでは(下写真の「トゥーレーヌ」を含め)ロワール川流域が主要栽培地域ですが、ニュージーランドでも成功を収めています。日本で、というより世界中でと言っていいでしょう、いくつかの豊かな果実味のニュージーランド産ソーヴィニヨン・ブランが親しみやすく、ちょっとしたブームになった時期もありました。ニュージーランドが新しいワイン産地として世界的に認知されるきっかけにもなった白ワイン品種が、ソーヴィニヨン・ブランと言っても過言ではありません。機会があれば、品質も安定したワインも多いので一度試してみてください。

 

フランスや北イタリアでは、青々とした爽やかな白ワインに、カリフォルニアやオーストラリアなどの温暖な地域では、ボリュームのあるグレープフルーツやパッションフルーツのような味わいの白ワインになります。ワインを選ぶ際に、その産地が温暖な地域なのか、涼しいイメージなのか思い浮かべてみると、ワイン選びの精度が高まるかもしれません。


「Touraine Chenonceaux2016 / Courtault Tardieux(トゥーレーヌシュノンソー2016 / クルトー・タルデュー)
希望小売価格=3300円

【Info】
・生産国=フランス
・ブドウ品種=ソーヴィニヨン・ブラン
・輸入元=ヴァンクロス

 

「リースリング」
その“響き”は白ワインのなかでも格別に香り高い

繊細で香り高く、シャープな辛口から蜂蜜のような甘口まで、さまざまな表情を見せてくれるのが、リースリングというブドウ品種です。特徴としては、すがすがしくさえ感じられる香りと、鮮烈な酸味が挙げられます。そのため、辛口に仕上げれば、フレッシュでのびやかでシャープな印象の白ワインに、甘口に仕上げれば、酸が下支えする品のある白ワインになります。

 

ドイツを中心に、フランスではアルザス、オーストリアなどのヨーロッパの産地に加え、オーストラリアなどでも栽培されています。

 

リースリングという品種には、白ワインの魅力がこれでもかと詰まっています。時に可憐な白い花の香り、時に芳香豊かなバラ、奥ゆかしい桃のような繊細な果実感。ワインに好奇心を持って楽しめる方は、初心者でもリースリングに挑戦してはいかがでしょうか? リースリングという品種ひとつとっても、ワインは幅広く、奥深いものだと思います。きっとさまざまなリースリングを楽しめるようになった頃には、ワインの魅力にどっぷりとはまっているのではないでしょうか。

 

もしもあなたがリースリングから造られた白ワインが好きになったとしたら、「リースリングが好き」というフレーズはあなたのことを知ってもらえる使いやすい言葉かもしれません。嫌みなく聞こえ、ちょっとセンスのある台詞のように感じるのは私だけでしょうか?


「Estate Rauenthal Resling2018 / Georg Breuer(エステート ラウエンタール リースリング2018 / ゲオルグ・ブロイヤー)」
希望小売価格=4000円

【Info】
・生産国=ドイツ
・ブドウ品種=リースリング
・輸入元=ヘレンベルガー・ホーフ

 

「ピノ・グリ」
ピンク色のブドウから造られる白ワイン

“グリ”とはグレーの意味で、黒ブドウ「ピノ・ノワール」の変異種として、ピノ・グリがあります。実際にはピンク色、バラ色、藤色のように表現される色の果皮をもつブドウです。ピノ・グリは糖度が上がりやすく、早飲みの爽やかなタイプもありますが、アルコール度数が高め(13.5〜14%程度)の辛口が、個人的にはおすすめ。よく“食事を通して楽しめる白ワイン”と話題になることがありますが、ピノ・グリの完熟した辛口はうってつけではないでしょうか。

 

フランス・アルザスやドイツ、イタリアといったヨーロッパ産地に加え、アメリカのオレゴンで、白ワインの代表的な品種になっています。アルザスでは、甘口ワインとしても素晴らしいワインを産み出しています。イタリアでは「ピノ・グリジオ」と呼ばれ、北東部フリウリの爽やかなスタイルのイメージがあるため、アルザス以外の産地ではピノ・グリ、ピノ・グリジオの表記に迷う生産者もいます。

 

樽のニュアンスではなく、果実そのもののボリュームがピノ・グリの特徴であり、魚介だけではなく、鶏肉を使った料理など、フードフレンドリーなところが魅力的な白ワインです。


「Pinot Grigio2017 / Nals Margreid(ピノ・グリジオ2017 / ナルス・マルグライド)
希望小売価格=3000円

【Info】
・生産国=イタリア
・ブドウ品種=ピノ・グリジオ
・輸入元=ミレニアムマーケティング

 

白ワインの選び方

「ワイン選びって難しい」そう思っている方は多いでしょう。普段、お客さまと接していても、よくそういったお声を伺います。ワインはお酒の中でも、味わいの幅がとくに広いものです。それだけに、自分を含め、ワインに普段から親しんでいる人でも、ワインショップの棚から、その日の気分にあったベストな一本を選ぶのは、難しいことだと思っています。同じ銘柄でさえ、何本もテイスティングしていれば一本一本に差があるのです。

 

ですが、私自身がワインを難しいものだと思っていると、なかなかワインに親しむ方も増えないのではと、心配になります。そこで、ご提案です。シンプルに「X軸を産地、Y軸をブドウ品種」と分類して、選んでみてはいかがでしょうか? 産地・生産国は、例えば温かい、もしくは寒い国地域であるとか、内陸にあるだとか、海に近いであるとか。

 

ちなみに、ワインのラベルに品種の表記がされるようになったのは、ここ半世紀ほどのことです。それ以前は基本、エチケットには原産地の表記しかされていませんでした。その土地ごとに適したブドウ品種が植えられていて、ブルゴーニュであるとか、キャンティであるとかそれぞれの産地の味わいがありました。そしてそれは、今も大きくは変わっていません。

 

今回は、代表的な品種だけを挙げました。どれも世界中で栽培されているため、できあがる白ワインにはその土地特有の味わいを内包していてひと口には言えませんが、やはり品種自体の個性はあるものです。そのなかで、お好みのX軸とY軸を見つけられれば、ワインがより身近なものになるかもしれません。機会があれば、はじめにお伝えしたように週末の献立から、ワインを1本選んでみてはいかがでしょうか?

 

ヨーロッパに比べ、日本やアメリカは一日のなかで食事に割く時間が短いと言われています。ワインの魅力とは、シンプルにいえばワインのある暮らしの豊かさです。一杯のグラスに新鮮な感動を見つけたり、ひと皿の料理を素直においしいと喜んだり、そのささやかな感動をおしゃべりしながら伝え合ったり。ゆっくりとした食事の時間にワインがある。そんな週末はいかがでしょうか?

 

【プロフィール】

ソムリエ / 宮地英典(みやじえいすけ)

カウンターイタリアンの名店shibuya-bedの立ち上げからシェフソムリエを務め、退職後ワイン専門の販売会社ワインコミュニケイトを設立。2019年にイタリアンレストランmiyajiaraiを開店。
https://www.facebook.com/miyajiarai/

 

気鋭の中華レストランでおいしく学ぶ! 「紹興酒と至福のペアリング」の噺【後編】

中国のお酒・紹興酒(しょうこうしゅ)の基礎を学ぶ企画。今回は、紹興酒に詳しい識者と飲食店のマネージャーにお話をうかがいながら、中華料理と紹興酒のペアリングを堪能します。

おうち時間が増えて中華料理をテイクアウト、あるいはデリバリーすることも増えたはず。そこで、この機に中華料理と相性のいい中国のお酒・紹興酒の楽しみ方を学ぼうというのが本企画です。

 

前編では歴史や製法、おすすめの飲み方などに触れていきましたが、後編となる今回は、都内の中華レストランを実際に訪れ、料理と紹興酒のペアリングを学んでいきます。今回のガイド役は「酒文化研究所」の山田聡昭(やまだ・としあき)さんと、中華レストラン「みこころ 無添加チャイナ935」の吉田正洋マネージャー。聞き手は紹興酒のビギナーであるGetNavi web編集部の小林史於(こばやし・しお)です。

↑酒文化研究所の山田聡昭さん。様々な媒体で連載をもつほか、『酒席に役立つ読む肴 サラリーマン酒白書』(紀伊国屋書店)など編集や執筆に携わった著書も多数

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

気鋭の中華レストランで中華料理と紹興酒のペアリングを学ぶ

今回、取材に協力してくれたお店は、2019年11月にオープンした神保町の「みこころ 無添加チャイナ935」。オーナーシェフの井上貴士さんは、「トゥーランドット游仙境(ゆうせんきょう)」に「銀座 芝蘭(チーラン)」と、上海・四川料理の名店を経たのちに本場四川の成都(チェントゥ)で修業。帰国後は広東料理の技も身に付けた名シェフです。マネージャーは、様々な中華の名店でサービスの極意を会得し、紹興酒への造詣も深い吉田正洋さん。この両者による気鋭のレストランだけあって、中華料理と紹興酒のペアリングの妙も存分に楽しめるはず。

↑JR御茶ノ水駅より徒歩約5分、東京メトロ・神保町駅より徒歩約6分に位置する「みこころ 無添加チャイナ935」。明治大学のはす向かいにあります

 

小林 山田さん、吉田マネージャー、本日はよろしくお願いします! 本場の中華料理と紹興酒がどんなマッチングを見せるか、楽しみで仕方ありません!

 

山田 よろしくお願いします。さて、早速ですが吉田マネージャー、今日はペアリングがテーマということで、どちらの紹興酒を選ばれましたか?

↑吉田正洋マネージャー。初めて店長を務めた中華レストランで、「何かでオンリーワンになりたい」という決意から紹興酒を極めようと思ったそう

 

吉田 紹興酒は、「塔牌」(とうはい)という銘柄を中心に用意しています。「塔牌」は、最も水の状態が良いとされる冬にだけ仕込んでいて、昔ながらの手造りで甕(かめ)仕込み、甕貯蔵にこだわっています。当店では、8年熟成、10年熟成、15年熟成と多彩な商品を用意していて、今回は、当店で最もスタンダードな8年ものの「塔牌」2012年<福(フータオ)>に合わせて料理をお楽しみいただこうかと。ちなみに<福(フータオ)>は、ボトルではなく甕入りのものから汲み出す“甕出し”を使っています。

↑同店で提供している15年の長期熟成を経た特撰紹興酒「塔牌」<陳十五年>(左)。“甕出し”の「塔牌」2012年<福(フータオ)>は、「塔牌 紹興酒」とプリントした専用のデキャンタ(右)に入れて提供しています

 

山田 “甕出し”は、開封してからの味の変化という面でも楽しみがありますよね。

 

吉田 ええ、おっしゃる通りです。その点も考慮して、当店の“甕出し”は、開けたての酸が立った状態でお出しすることはありません。半分ずつ別のボトルに移してあえて空気に触れさせ、一週間ほど置いておくことで、香りを際立たせるようにしています。

 

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手ごろな紹興酒で料理酒・飲用の兼用も

山田 なるほど、手がかかっていますね。ちなみに、ボトルに移すときには、甕の底に沈む澱(おり)も取り除くということですか?

 

吉田 澱も楽しみたいというお客様には、そのままの状態でお出しすることもありますが、基本的に澱は除いた状態で提供します。ただし、澱は旨みの塊でもあるので、当店では料理に活用していますね。

 

小林 それは興味深いです。例えば、どんな料理に使っているんですか?

 

吉田 場合によっては杏仁豆腐にかけることもありますが、基本的には食材を紹興酒漬けにするときに使います。活きたエビを漬けておく「酔っ払いエビ」や上海ガニがイメージしやすいかもしれませんね。

↑紹興酒に漬け込んだエビ

 

小林 なるほど。料理に使ったお酒と同じお酒を合わせると相性がいい、というのは聞いたことがあります! ならば、家庭で手始めに紹興酒を楽しむなら、手ごろな紹興酒を一本買って、料理酒と飲用の兼用で使うのもアリですか?

↑手ごろな1本として知られる「塔牌」花彫 <陳五年>

 

吉田 もちろんです。日本のご家庭でも、料理酒として紹興酒を常備している方はいらっしゃいますよね。まずはそこから気軽にペアリングを楽しんでいただくといいですよ。

 

小林 そうこうしているうちに、何やらおいしそうな香りがただよってきました。シェフの料理が完成したようです!

 

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酸味や辛味などの刺激を、紹興酒がまろやかにしてくれる

吉田 当店の定番である8年ものの「塔牌」<福(フータオ)>は汎用性が高く、前菜、副菜、メインと合わせやすいのが特徴です。本日はその魅力を存分に楽しめるよう、調理時に紹興酒を使った3品を井上シェフと考えてご用意しました。

↑オーナーシェフの井上貴士さん。四川料理を最も得意とし、そのほかの地方の中華や自身の独創性を生かした一皿も提供しています

 

小林 ありがとうございます! それでは、ここからは井上シェフも交えてお話をおうかがいしていきましょう。

 

山田 井上シェフ、さきほどのお話にもありましたが、「料理酒としての紹興酒」と、「お酒として味わうための紹興酒」のペアリング、そこに重点を置いたということでしょうか?

 

井上 そうですね。基本的には仕込みの段階で、紹興酒に食材を漬け込むといった使い方をしています。ただ、一緒に合わせる素材や調味料によって香りや味の広がり方、感じ方が変わってくると思いますよ。まずは、当店のランチや夜のコースなどでもよく提供している「よだれ鶏(蒸し鶏の麻辣ソース)」からお召し上がりください。

↑「よだれ鶏」は、日本でもポピュラーな四川料理の一皿。同店では濃淡2種類のラー油を使い分けて奥行きを演出。ニンニクやカシューナッツをトッピングしてアクセントにしています

 

山田 すごくおいしい!  お肉はしっとり柔らかく、鮮烈な香りとともにピリッとした刺激と絶妙なシビレ感があり、酸味や甘みも感じます。

 

井上 お口に合ってよかったです!「あべどり」という銘柄鶏のモモ肉をゆでて冷ましてから、ゆで汁と紹興酒と花椒(ホアジャオ)などを混ぜた塩水で半日以上漬けています。このマリネが味の決め手ですね。

 

山田 ペアリングのポイントとしては、酸味や辛味などの刺激のある要素を、紹興酒がキャッチしながら緩和させている点ですね。

 

小林 確かに! 紹興酒と合わせると、刺激がまろやかになって旨みがアップする印象です。四川料理のような刺激的な一皿に合わせるのも、ひとつのセオリーというわけですね。勉強になります!

 

山田 味付けとお酒の熟成のニュアンスが同じ方向性なので、その点でも考えられています。非常に心地よいマリアージュですね。

 

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香ばしさと旨みの強い料理が紹興酒と相性バツグン

吉田 では、次はシェフの独創性を生かした魚介の一皿、「巻き海老とホタテと桜海老の香り炒め」をどうぞ。

↑「巻き海老とホタテと桜海老の香り炒め」。エビとホタテは紹興酒で漬け、エビはそのまま、ホタテは片栗粉をまぶして揚げています

 

山田 香ばしい風味に圧倒されます。この香ばしさが紹興酒の熟成香と合いますね。エビにしみ込んだ紹興酒の風味も、口のなかで鮮やかに広がります。

 

小林 エビの紹興酒の風味と、これを迎える紹興酒が絶妙にマッチしています。このハーモニーは素晴らしい!

 

山田 魚介と野菜、それぞれの食感のメリハリも絶妙で、凝縮された旨みが印象的ですね。油とともに熱せられることで素材の魅力が前面に出ています。前編でも話しましたが、紹興酒は旨みの強い料理とも相性がいい。紹興酒の旨みと料理の旨みが重なって、相乗効果が生まれますから。これはその典型です。

 

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紹興酒の乳酸が料理の油っこさを切ってくれる

吉田 ありがとうございます。最後は「水煮牛肉」(スイジュウニュウロウ)をお召し上がりください。

↑濃厚な味わいが魅力の四川伝統の煮込み料理「水煮牛肉」

 

井上 お肉は国産牛のモモで、やはり下味に紹興酒を使っています。花椒は直接入れておらず、自家製の唐辛子粉に入れたものを使っているので、シビレはやや少なめ。ただ唐辛子粉のほかに自家製ラー油もたっぷり使っているので、辛さはしっかり感じられると思います。

 

山田 こちらは濃厚な味付けにとろみと辛味が加わり、極めて豊かな味わいですね。油もたっぷり使われていてこってりしていますが、紹興酒を飲むと口の中が適度にスッキリして、また次のひと口が食べたくなります。紹興酒の乳酸が油っこさを切ってくれている証拠ですね。

 

吉田 そうおっしゃっていただけるとうれしいです。また、この料理はとろみがあって温かいので、お酒を同じ程度に温めると、さらに親和性がアップするのでオススメですよ。一方で真逆のアプローチもあって、暑い季節はオンザロックの紹興酒を合わせてさっぱり楽しんで頂くのもいいと思います。

 

小林 なるほど。真夏は断然そのほうがいいですね!

 

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料理の味わいの濃淡に応じて、熟成期間を選ぶのもオススメ

吉田 あとは、料理の味が濃くなるほど、その旨みに負けないよう、熟成期間が長い紹興酒を合わせるのがオススメ。今回は「水煮牛肉」が最も濃厚に感じられたかと思うのですが、この味わいなら、より長く熟成させた紹興酒を合わせてもいいと思います。

↑店内には「塔牌」の長期熟成酒の華やかな甕が飾られていました

 

山田 中華のコース料理で考えると、前菜からメインに向かうにつれて、紹興酒の熟成年数を増やしていくのも手ですね。

 

吉田 おっしゃる通りです。序盤の軽めの料理には熟成年数が浅いものを、一方でメインの濃厚な一皿には熟成の深いものを選んだ方がマッチするでしょう。

 

小林 なるほど。吉田さん、井上さん、ありがとうございました。大変勉強になりました! 今回のペアリングで学んだことを簡単にまとめると、 紹興酒は、料理酒として紹興酒を使った料理と相性がいいこと、辛い料理やシビレのある料理をまろやかにしてくれること、香ばしい料理や旨みの強い料理に相性がいいこと、紹興酒の酸味が料理の油っこさを切ってくれること、料理の濃淡に応じた熟成年数を選ぶのがオススメ……といったところでしょうか。山田さん、こうしてみると、紹興酒はかなり万能なお酒なんですね。

 

山田 まったく、その通りですね。読者のみなさんも一度お試しいただいたら、その使い勝手の良さがわかるはず。「よく知らないから」と敬遠せずに、自宅でもお店でも、様々な料理に気軽に合わせてほしいです。 いやあ、それにしても、今日はすべておいしかった。ありがとうございました!

 

<取材協力>

みこころ 無添加チャイナ935

住所:東京都千代田区神田小川町3-22 細野ビル 2F

営業時間:11:00~14:00(L.O.)、17:00~23:00(L.O.21:00)

定休日:日曜、祝日

 

記事に登場したお酒の紹介はこちら▼

・紹興酒「塔牌」(とうはい)
https://www.takarashuzo.co.jp/products/touhai/

 

・紹興酒「塔牌」花彫 <陳五年> 600ml

https://www.takarashuzo.co.jp/tkr-shohin/cmn_p_detail.php?p_prodid=2275

 

・紹興酒「塔牌」 2012年<福(フータオ)>5L甕

https://www.takarashuzo.co.jp/tkr-shohin/cmn_p_detail.php?p_prodid=3208

 

・紹興酒「塔牌」2012年 <福(フータオ)>9L甕

https://www.takarashuzo.co.jp/tkr-shohin/cmn_p_detail.php?p_prodid=3209

 

・特撰紹興酒「塔牌」<陳十五年> 500ml壷

https://www.takarashuzo.co.jp/tkr-shohin/cmn_p_detail.php?p_prodid=2270

 

撮影/我妻慶一

 

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【日本初※】大人気ビール『一番搾り』から糖質ゼロ*が新発売!注目の味は?

※:ビールで糖質ゼロを実現した国内で初めての商品(2020年1月Mintel GNPDを用いたキリンビール社調べ)

*食品表示基準による

 

「一番搾り」シリーズで人気のキリンから、今までのビール史を塗り替えるうれしいニュースが飛び込んできました。

 

ビールならではのおいしさをそのままに、日本初となる「ビールで糖質ゼロ」を両立させた、これまでにない新しいビール「キリン一番搾り 糖質ゼロ」が2020年10月に新発売!

↑発泡酒・新ジャンルではなく、日本で初めて 「ビールで糖質ゼロ」を実現

 

“気兼ねなくおいしいビールが飲みたい”、それを可能にする時代がついに到来です。

 

気になるお味は?ビール好きの94%が「おいしい」と回答

本当はビールを飲みたいけれど、我慢して糖質オフ・ゼロ系の発泡酒・新ジャンルを選んできた方も多いのでは。

 

今回新発売となる「キリン一番搾り 糖質ゼロ」は、ユーザーテストでビール好き(今までの糖質オフ・ゼロ系の発泡酒や新ジャンル商品を好まない人も含む)の94%が「おいしい」と回答するほどの仕上がりに!

 

 

実際に大のビール好きのソーシャルトレンドニュース編集部員が飲んでみると、糖質ゼロとは思えないそのおいしさに驚きの声があがりました。

 

 

編集部員A「このおいしさで糖質ゼロは本当にすごい。糖質を気にして最初の1杯目以降はビールを我慢したりしていたけれど、これならぜひ選びたいです!」

 

編集部員B「糖質オフ・ゼロ系含め、色んなビールを飲んできたけれど本当においしい! 麦のうまみが感じられる飲み飽きない味だから、ビールの味わいをじっくり楽しむのもいいですね。さらに食事やおつまみと合わせたら堪らないと思います」

 

なぜ今まで「ビールで糖質ゼロ」はなかった?おいしさとの両立を目指したキリンの挑戦

ビールは発泡酒や新ジャンルと比較して麦芽の比率が高いため、ビールならではのおいしさが生まれます。

 

しかし麦芽には糖質が含まれているため、ビールという定義で糖質ゼロを達成するのは非常に難しいという背景がありました。

 

そんな固定概念を覆すべく採用されたのが、ビールで糖質ゼロを実現する「新・糖質カット製法」。

 

これまで数多くの人気ブランドを造ってきたキリンビールのノウハウ・技術力を結集させ、5年という長い研究期間を経て、遂に商品化にたどり着いたそうです。

 

 

10月6日(火)より発売! 全く新しい“糖質ゼロ”体験を

 

「おいしいビール」×「糖質ゼロ」を極めた「キリン一番搾り 糖質ゼロ」は、10月6日(火)に発売を開始します。

 

日本初の糖質ゼロビールの実現を通して、とことんビールの理想を追い求めたキリン。果たして本当においしいのか? ビール好きなら見逃せないこの商品、ぜひあなたの舌でジャッジしてみてください!

 

 

■提供/キリンビール

 

「キリン一番搾り 糖質ゼロ」をもっと知る

「オーガニックワイン」がグッと身近に。メルシャン新商品は味も価格も「やさしい」

新型コロナウイルスは消費者の行動や心理にも影響を与えています。そのひとつが、エシカル消費の隆盛。グルメにおけるエシカル(道徳的・倫理的)な選択のひとつは、オーガニックな食品を摂取することです。

 

そんな時流を受けて、メルシャンから画期的なオーガニックワイン「ビストロ オーガニック」と「オーガニック スパークリング N…」が9月1日に登場しました。自分はもちろん地球にもやさしいワインについて、開発の背景と実飲レポートをお届けします。

 

↑「ビストロ オーガニック」(写真右)と「オーガニック スパークリング N…」(写真左)。身近にオーガニックワインを楽しめる新商品です

 

日本でもシェア拡大なるか?

近年、様々な食品ジャンルで“オーガニック”への関心が高まっていますが、これは何も日本に限った話ではありません。オーガニック食品は世界的にブームになっています。

 

「健康」や「環境」への意識が強まるなか、ワイン市場においてもオーガニックのシェアは伸長中。たとえばワインで有名なフランスでは、2023年に消費されるワインのうち、5本に1本がオーガニックワインになると予想されています。

 

そのほか、ドイツやイギリスもオーガニックワインへの需要が高いのですが、特にスウェーデンやフィンランドなどの北欧は世界でも屈指。とあるビオワイン(有機栽培のぶどうで造られたワイン)の団体の調査によると、スウェーデンで飲まれているワインの半分がオーガニックなのだとか。

 

↑オーガニックワインはヨーロッパを中心に世界的に人気です(メルシャンの新商品発表会の資料より)

 

そしてオーガニックワインが支持される最大の理由は、おいしいから。味の基準は主観的な要素を含みますが、実際に筆者の周囲でも「オーガニックワインはおいしい」という声は多いです。

 

オーガニックワインへの注目度が世界的に高まっているなか、まだまだ日本では、特に20~30代のワイン消費は伸び悩んでいます。メルシャンの調べによると、その一番の理由は、味でも価格でもなく「何を選んでいいか分からない」からのよう。

 

↑「コロナ禍の経験で、人や社会・環境に配慮した商品への興味関心の度合いは変化したか」に対する調査では、20~30代のほうが全世代平均より強いという結果が出ています

 

その一方で若者たちのエシカル消費への関心は高く、従来のオーガニックワインの「価格が高い」「購入できる店が近くにない」という課題を解消できれば、ヒットする可能性は大いにあります。

 

そこに目を付けたメルシャンがリリースしたのが、今回紹介する「ビストロ オーガニック」と「オーガニック スパークリング N…」です。「おいしく気軽に楽しめるデイリーなオーガニックワイン」という従来にないコンセプトを打ち出して、シェア拡大を図ります。

 

和の料理にも合う

それでは、実際にメルシャンの新商品を飲んでみましょう。まずは「ビストロ オーガニック」から。「メルシャン ビストロ」シリーズは、1995年に発売されたロングセラーブランド。今回はそのオーガニック版として、白と赤がリリースされました。

 

↑こちらが「ビストロ オーガニック」。どちらも内容量は720mlで、参考価格は税抜600円前後。アルコール度数は11%です

 

まず特徴的なのはペットボトル入りであること。これはコルク栓を開けたり、ビンを捨てたりするのが面倒だという同社のアンケートの声を反映したものかもしれません。原料はもちろん、無農薬の有機栽培ぶどう。メルシャンの藤沢工場で丁寧に製造された国内製造品です。

 

↑日本人の好みに合わせた、果実味豊かなオーガニックワインです

 

生臭さを引き起こす物質を軽減するメルシャン独自の製法「フードマッチ製法」が採用されていて、ふだんの食事に合わせやすいのも特徴。家庭的な和風の料理にもマッチします。

 

↑和の料理にも合わせやすく、毎日の食卓を彩ってくれます

 

↑白は味わいも香りもフルーティで、スッキリとやわらかい口当たりを感じます

 

↑赤はスパイシーさと甘い香りが同居しながらも、心地よい飲み味になっています

 

続いては「オーガニック スパークリング N…」です。スペイン産の有機栽培ぶどうを100%使用して、こちらも藤沢工場で製造されたスパークリングワインです。

 

↑「オーガニック スパークリング N…」はビン入りです。内容量500mlで、アルコール度数12%。参考価格はこちらも税抜600円前後です

 

商品名の「N…」には、「Neo(新しい)」、「Natural(自然な)」、「Non chemical fertilizers(化学肥料未使用)」の、3つの意味が込められているのだそう。

 

↑白とロゼの2種類がリリースされました

 

「オーガニック スパークリング N…」には、欧風のおつまみを合わせてみました。スッキリとした泡のタッチと、ワイン自体の爽やかな果実味が相まって、料理もお酒も進みます。

 

↑しっかり味の付いた欧風おつまみをチョイスしました

 

↑白は全体的にドライな味わいながら、柑橘系のフレッシュな香りが楽しめます

 

↑ロゼは中辛口。凝縮されたベリー系の香りと酸味がいいバランスです

 

どのワインも、ふだん使いとして楽しむことを想定して造られているだけあって、料理との相性は抜群。甘すぎず・辛すぎずで飲みやすく、多くの人の味覚に合うでしょう。

 

↑味わいも価格もデイリーワインにぴったり。好きな料理と合わせてみてください!

 

いくらエシカル消費が世界的に増えているといわれても、自分のライフスタイルを大きく変えるのは難しいところ。オーガニックワインなどをきっかけに、気軽にその価値観に触れてみるのは、導入としてはアリでしょう。

 

もし自分にも地球にもやさしい暮らしを実現したいなら、いつものワインをメルシャンのオーガニックに変えてみるところから、スタートしてみてはいかがでしょうか。

 

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世界初の設備が生んだパワフルなウイスキーを試飲。北陸唯一の小さな蒸留所の挑戦がアツい

ウイスキーは世界的なブームであるとともに、ジャパニーズウイスキーの評価も近年はうなぎのぼり。国内ではマイクロディスティラリー(小規模蒸留所)も生まれていて、ファンを喜ばせています。人気の理由は、小規模ゆえの希少性だけではありません。その土地ならではの風土が生み出す個性や、造り手の情熱もファンを魅了する要素です。

 

今回紹介するのは、そんなマイクロディスティラリーのなかでも、未踏のチャレンジから生まれたきわめて稀有なウイスキー「三郎丸蒸留所 ニューポット 2020 ヘビリーピーテッド 52PPM」。蒸溜所のストーリーとともに紹介します。

 

↑透明の液色や細身のボトルが印象的な1本です

 

冬は日本酒、夏はウイスキー。北陸唯一の蒸留所

このウイスキーを造った若鶴酒造は、1862年創業の酒造メーカー。富山県の自然に育まれた良質な水を使い、日本酒造りを手がけています。同社の日本酒のフラッグシップである「若鶴」ブランドは、海外の品評会で高い評価を得ています。

 

同社は日本酒醸造の一方で、自社で運営する三郎丸蒸留所でウイスキー造りにも取り組んでいます。製造開始は1952年とその歴史は古く、北陸で唯一のウイスキー蒸留所として、こだわりの酒を造り続けています。

 

↑若鶴酒造の三郎丸蒸留所

 

まだウイスキー製造が一般的ではなかった時代から試行錯誤を繰り返してきたそうで、昔ながらのビール酵母を使用した製法は、小さな蒸留所ならでは。冬は日本酒を仕込み、夏にのみウイスキーを蒸留するため、生産量が限られています。

 

ヒントはお寺の鐘

伝統的な製法や素材をベースにしながら、新しいものを柔軟に採り入れているのが三郎丸蒸留所の面白いところ。大きな特徴は、同社が開発に携わった「ZEMON(ゼモン)」というポットスチル(蒸留器)を採用している点です。

 

「ZEMON」は梵鐘(寺院の鐘)の伝統技術から生まれた、まったく新しいポットスチル。日本の梵鐘製造のトップシェアを誇る老子製作所との共同開発で造られました。老子製作所のある富山県高岡市は、400年の銅器製造の歴史があり、現在でも日本の銅器の90%以上が生産されているそうです。

 

↑高岡銅器鋳物蒸留器「ZEMON」

 

「ZEMON」は従来のポットスチルに比べて低コストかつ短納期での製造が可能になるだけでなく、耐久性やメンテナンス性、さらにはエネルギー効率向上による省エネも実現しました。

 

そして見逃せないのが、ウイスキーの味わいにもたらす影響です。「ZEMON」は従来の純粋な銅ではなく、銅と錫の合金でできています。昔から錫は「酒の味をまろやかにする」といわれていて、酒質の向上に大きく貢献しました。表面に細かな凹凸がある砂型鋳造によって、酒と触れる面積が広がったことで、この効果がより強調されました。

 

三郎丸蒸留所では「ZEMON」を2019年からウイスキー蒸留に使用。その技術は権威のあるウイスキー専門誌で紹介されるなど、国内外を問わず注目されています。そして、「ZEMON」で蒸留されたウイスキー原酒が世界的な品評会で特別賞を受賞したことで、そのポテンシャルも明らかになってきました。

 

パワフルでスモーキーな、限定生産のウイスキー原酒

そんな「ZEMON」で蒸留されたのが「三郎丸蒸留所 ニューポット 2020 ヘビリーピーテッド 52PPM」です。ピートを強く焚き込んだヘビリーピーテッド麦芽で仕込まれていて、スモーキーかつヘビーなウイスキー造りを信条とする三郎丸蒸留所らしさが感じられます。

 

↑「三郎丸」と「ZEMON」の文字が目を引くラベル

 

これは熟成や調整を施す前の、蒸留したてのウイスキーの原液「ニューポット」(ニューメイク)というもので、琥珀色のウイスキーとは異なりますが、お酒としての個性は十分楽しめます。

 

↑ウイスキー酵母に加えてエール酵母が使用されています。アルコール度数は60度

 

↑原酒であることを表す「NEW POT」の印字。樽で熟成させる前の状態です

 

フタを開けてみて驚きましたが、まず香りからしてパワフル。商品名にもなっている「52PPM」はダテじゃありません。

 

PPMとはピートの強さを表す数値(フェノール値)で、いわゆる“スモーキーさ”の度合いのことを指します。ピートが強いことで知られるスコットランド・アイラ島のスコッチにおいて「アイラモルトの王者」と呼ばれる銘酒「ラフロイグ」でも40~45PPMなので、今回の52PPMというのはかなりスモーキー。ちなみに筆者はアイラモルトが大好きなので、このヘビリースモーキーフレーバーはうれしい限りです。

 

↑グラスに注ぐと、スモーキーな香りが立ちます

 

そして何も割らずにそのまま飲んでみると、豊かな甘味とやわらかなタッチを感じます。ニューポットは荒々しい味わいになりがちですが、こちらはカドがなくてむしろスムース。ミドルの味はふわっとした印象で、余韻はサッと引きながら奥に染み込んでいく感じです。

 

この甘味は独特で、鮮烈なスモーキーフレーバーと調和し、無邪気なスイートテイストを醸し出しています。アルコール度数も60度と高めながら、ストレートでクイッといけてしまう魔性のおいしさを秘めています。

 

↑本当に60度もあるのか、というくらいスムースに入ってきます

 

加水してみると、甘やかなニュアンスがより前に出てきて、これもナイス。さらに飲みやすくなるので、オススメの飲み方です。

 

ハイボールも試してみました。やはり甘味とピートの香りがしっかりしていて、飲みごたえのあるハイボールになりました。ストレートでもそうですが、熟成されていない分、キレがあって、香りは強めながら味としてはシャープな印象です。

 

↑香りもキレも一味違うハイボールに

 

今回は料理とのペアリングは試していませんが、ソーセージやベーコン、いぶりがっこやスモークチーズなど、燻製の料理が抜群に合うと思います。アウトドアにも最高でしょう。

 

三郎丸蒸留所からは今後もさまざまなニューポットがリリースされそうですし、熟成されたウイスキーもいずれ発売されるでしょう。今後も要注目の造り手です。「三郎丸蒸留所 ニューポット 2020 ヘビリーピーテッド 52PPM」は9月12日に発売されたばかりですが、2000本の数量限定なので、気になる方はお早めのチェックを。

 

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酒の愉しみ方が変わる!【家飲みニューノーマル】Part.2

家にいる時間をより良く過ごすための商品やサービスが続々登場しているが、それは「食」も同様。ここでは、コンビニなど身近な店でゲットできる新商品を中心に新しい晩酌の楽しみ方を提案する。手ごろでウマい酒とつまみで、ニューノーマルな暑気払いを楽しもう!

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【New Normal 04】レモンそのもののおいしさを感じられる新商品が続々登場! 果実味あふれるレモンサワー

ここ数年、外飲みを中心に続いていたレモンサワーブームは家飲みにも浸透。最近は新しい切り口や製法で作られた、レモン感をより楽しめる商品が増えている。瑞々しさあふれる爽快な一本で、夏の暑さを吹き飛ばすべし!

 

[その1]5種のレモン素材を凝縮し、あふれるレモンの香りを楽しめる

【セブンーイレブン先行販売】

アサヒビール

アサヒ ザ・レモンクラフト 極上レモン

Alc.7%

実売価格199円

国内外から集めたレモンの果汁、オイル、ピールエキスなど5種のレモン素材を使用。バーテンダーの技に着想を得た「レモンオイル滴下技術」も導入し、あふれるような濃厚なレモンの香りを実現した。

 

[その2]果汁だけでは作れない奥行きのあるリッチな味わい

サッポロビール

サッポロ レモン・ザ・リッチ 濃い味レモン

Alc.5%

165円

レモン果皮のほろ苦い味わい、貴重なレモンオイルの爽やかな香り、レモンパルプのコクのあるおいしさをブレンドした理想の贅沢果汁を使用。レモンを搾った瞬間のような奥行きのある濃い味わいを楽しめる。

 

[その3]ペパーミントエキスがかつてない冷涼感を演出

キリンビール

キリン 氷結 超冷感レモン

Alc.5%

実売価格156円

スッキリ爽快なイメージの氷結シリーズから、より夏向けのクールな味わいが登場。隠し味にペパーミントエキスを加えることで、かつてない冷涼感を実現した。また、塩レモン味も同時発売中だ。

 

[その4]ブレンド焼酎と濃厚レモンが香るEXILE公式レモンサワー

【ローソン限定販売】

ローソン

レモンサワー スクワッド

Alc.7%

220円

自他ともに認めるレモンサワー好きのEXILEが監修。レモンの香り成分を含むハーブを原料に加えた焼酎と、深み豊かな樽貯蔵熟成焼酎をブレンドしている。濃厚レモンペーストで驚くほど爽快な味わいに。

 

<Check!>自分好みの濃さのサワーを楽しむならコレ! 

[その1]

サントリースピリッツ

サントリージャパニーズジン「翠(SUI)」

実売価格1510円

ジュニパーベリーをはじめとするジンの定番ボタニカルに加え、ゆず、緑茶、しょうがなどの和素材を使用。日本人好みの爽やかなおいしさに仕上がっている。

 

[その2]

サッポロビール

サッポロ 男梅サワーの素

実売価格715円

しょっぱい旨さでお馴染みの男梅サワーを炭酸水で割るだけで楽しめる濃縮タイプがコンビニ限定で登場。3倍の炭酸水で割るのがオススメだ。

 

<Pick Up!>スムージータイプの「氷結」ならもっとCOOL!!

キリンビール

キリン 氷結アイススムージー ライチ(左)/パイナップル(右)

実売価格182円

2014年から2018年の夏季限定で発売していた話題作が2年ぶりに復活。5%のほど良いアルコール感と爽やかな味、シャリッとした食感が特徴だ。リキャップできるのもうれしい。

 

【New Normal 05】最寄りショップで買えて高コスパ! プロお墨付きの日本酒&ウイスキー

商品力を強みとする有名なコンビニやスーパーには高品質で良心価格のフードが集まるが、それは日本酒やウイスキーも同様。その道のプロにオススメの銘柄を教えてもらった。

 

【その1】日本酒

 

私のお墨付きです!

唎酒師

小林 史於

GetNavi webの家電&日本酒担当であり、唎酒師の資格を持つ。和食居酒屋で日本酒の仕入れを担当していたことも。

 

[その1]米の甘味と酸味を生かしつつ、すっきりとした仕上がり

宝酒造

松竹梅白壁蔵「澪」<DRY>スパークリング清酒

実売価格522円(300ml)

5%の低アルコールときめ細やかな炭酸の爽快感が人気の「澪」。本品はシリーズのなかで米のほのかな甘味と酸味を生かしつつ、より爽やかに仕上げたタイプだ。甘さが控えめで、料理との相性も抜群。

 

<プロが絶賛!>軽めボディと爽やかな香りで飲みやすい

「ボディは軽快で、元気に弾ける泡がドライな印象を強調。柑橘類を思わせる爽やかなフレーバーも手伝ってすっきりと飲めます。日本酒らしいふくよかな後味も魅力です」(小林)

 

[その2]宮城県産のひとめぼれで醸した軽快かつ滑らかな端麗辛口

一ノ蔵

特別純米酒 一ノ蔵(特別栽培米仕込み)

1203円

酒造がある宮城県産の米「ひとめぼれ」を100%使い、そのすべてが環境保全米であるという、米にこだわった一本。味は軽快かつ滑らかな淡麗辛口で、すっきりとした余韻が絶妙だ。セブンーイレブン限定。

 

<プロが絶賛!>日を置くと旨みがのってくる面白い酒

「香り控えめ、雑味が少なくキレが良い食中酒。淡麗ながら味わいには芯があり、開栓して日を置くと旨みがのってくるのも面白い。ぬる燗も旨いので、冷房で身体が冷え切ったときはぜひお試しを」(小林)

 

[その3]米の甘味が凝縮されたフルーティな生原酒の元祖

菊水酒造

ふなぐち 菊水一番しぼり

実売価格318円(200ml缶)

蔵元のある新潟県産米100%で醸した、日本初の缶入り生原酒。米の甘味をダイレクトに感じられる濃醇旨口で、フルーティな香味もたまらない。アルコール分が19%と高めで、ロックで楽しむのも格別だ。

 

<プロが絶賛!>酒好きを虜にする魅惑の味わい

「目が覚めるような味。ひとくちで濃厚な旨みが脳髄を殴ると同時に、南国の果実に似た芳香が口の中で爆発。くぅ〜濃いっ! でもそこがイイ! 好みは分かれるが、酒好きを虜にする魔力を感じます」(小林)

 

【その2】ウイスキー

 

私のお墨付きです!

目白田中屋店主

栗林幸吉さん

世界に名を馳せる酒販店「目白田中屋」の店長。書籍「ウイスキー案内(洋泉社刊)」の監修も手掛けている。

 

[その1]40種以上の原酒が美しく調和、ブレンデッドスコッチの至宝

サントリースピリッツ

バランタイン ファイネスト

希望小売価格1390円(税抜)

「ウイスキーバイブル2020」でウィナー賞に輝いた、ゆるぎないブレンデッドスコッチの名作。40種類以上の原酒が織りなすバランスの良い香味と、豊かで滑らかな風味は、芸術の域に達している。

 

<プロが絶賛!>好バランスでおいしい安心できる王道スコッチ

「とにかくバランスが絶妙! バー以外の飲食店やコンビニにも置いてある、数少ない正統派スコッチです。僕にとって『困ったときはファイネストです』」(栗林さん)

 

[その2]多彩で力強い風味の個性が口内でスムースに広がる

キリン

ジョニーウォーカー レッドラベル

実売価格1700円

世界で最も売れているスコッチウイスキー「ジョニーウォーカー」の神髄を手軽に楽しめる一本。甘味やスパイシーさ、スモーキーフレーバー、マイルドさなど、多彩で力強い個性が口のなかでスムースに広がる。

 

<プロが絶賛!>キック力のある風味が◎、夏はハイボールでどうぞ

「スイート・ジンジャー&ちょいスモーク。キック力のある風味は炭酸で割ると、生き生きと口内でジャグリングします。夏はハイボールもオススメですよ」(栗林さん)

 

[その3]歴史深い蒸溜所で生まれる甘やかなストレートバーボン

国分グループ本社

バッファロー・トレース

実売価格3080円

アメリカ最古と呼ばれる歴史深い「バッファロー・トレース蒸留所」で生み出されるストレートバーボンウイスキー。バニラやミント、はちみつを思わせる香りと、黒糖のような甘味が上品に調和する。

 

<プロが絶賛!>香味のバランスに優れた少量生産バーボンの名作

「ビターかつスイート&まろやかでスパイシー! 香味のバランスも良く、21世紀型スモールバッチ(少量生産)バーボンの象徴といえるでしょう。夏は炭酸割りが◎」(栗林さん)

 

【New Normal 06】暑い日のワインは氷で割って爽やかに! ワイン オン ザ ロック

ワインはデリケートで難解と思われがちだが、それがすべてではない。種類や味のバリエーションが豊かで、飲み方も自由だ。暑い日は氷を入れるとよりすっきり楽しめる。編集部がぜひオンザロックで試してほしいワインをピックアップ!

 

[その1]安旨ブランドが誇る爽やかな辛口白ワイン

アサヒビール

サンタ・ヘレナ・アルパカ・ソーヴィニヨン・ブラン

実売価格726円

良質でリーズナブルなワインの産地の代表国、チリのなかでも、トップ級の売り上げを誇るのが「サンタ・ヘレナ・アルパカ」ブランドだ。本品は、レモンやグレープフルーツのような爽やかな果実味が魅力の辛口だ。

 

[その2]爽やかなマスカットが香る、低アルコールの発泡ワイン

サントリーワインインターナショナル

カルロ ロッシ ICE スパークリング マスカット

実売価格330円

フレッシュ&フルーティな米国ワイン「カルロ ロッシ」をベースに、マスカットの爽やかな香りを加えたスパークリング。酸味と甘味を調和させ、アルコール度数も8%に抑えているため飲みやすい。

 

 

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酒の愉しみ方が変わる!【家飲みニューノーマル】Part.1

家にいる時間をより良く過ごすための商品やサービスが続々登場しているが、それは「食」も同様。ここでは、コンビニなど身近な店でゲットできる新商品を中心に新しい晩酌の楽しみ方を提案する。手ごろでウマい酒とつまみで、ニューノーマルな暑気払いを楽しもう!

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【New Normal 01】季節に合わせてビールを選ぶ! 2020サマービール

鮮烈なキレやフルーティな香りなど、今夏も爽快感満点のビールが目白押しだった。なかにはいましか飲めない限定品も。味わいでマッピングを参考に、好みの一本で乾いたのどを潤すべし!

 

[その1]“沖縄クラフト”仕様のウチナー自慢の“三ツ星”ビール

アサヒビール

オリオン ザ・ドラフト

Alc.5%

実売価格228円

希少な沖縄県伊江島産の大麦を使い、島の恵みを生かした“沖縄クラフト”仕様の一本。夏に合うすっきりとしたのど越しと、冷やしても十分に感じられる麦の旨みが特徴だ。長期熟成のため飲み応えもしっかりある。

 

[その2]100年以上前に愛された名品を現代風にアレンジし限定販売

期間限定商品

サッポロビール

サッポロ サクラビール2020

Alc.5%

実売価格219円

大正2年に竣工した、九州初のビール工場が生んだ歴史深い名作を現代風にアップデート。飲みやすさを重視し、発売当時のレシピをベースに香ばしいコクとすっきりとしたのど越しの両立を目指した。

 

[その3]希少なゴールデン麦芽と最高級ホップによる特別な味

期間限定商品

アサヒビール

アサヒ ザ・ゴールド

Alc.5%

実売価格228円

延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の盛り上げを図るべく登場。ゴールデン麦芽とチェコ・ザーツ産の最高級ホップを一部使用した、爽やかな香りと飲み応えが特徴だ。

 

[その4]国産麦芽と5種のホップが華やぐ東京ブランドの新作

期間限定商品

サントリービール

TOKYO CRAFT 〈ゴールデンエール〉

Alc.5.5%

実売価格250円

東京・武蔵野ブルワリーで製造されるブランドの新作。国産ゴールデン麦芽を100%と5種類のホップを使用し、豊かなアロマを楽しめるように。ビールならではの満足感と、爽やかな香り、軽快な後口も魅力だ。

 

[その5]あのコンビニ発のクラフトが軽快で香り高い味わいに進化

ヤッホーブルーイング

僕ビール君ビール

Alc.4.5%

294円

ローソンと共同開発したクラフトビールがリニューアル。ホップの配合を変え量も約2倍に増やし、酵母の発酵温度を下げるなどレシピを見直した。軽快な香りと爽やかな苦味をより楽しめるようになった。

 

<味わいマッピング>

 

 

【New Normal 02】ビールの代わりなんて言わせない! プレミアムな発泡酒・新ジャンル

「ビールより安い=味は劣る」と思われがちな発泡酒と新ジャンルだが、昨今は醸造技術の進化などでどんどんおいしくなっている。ウマいからあえて選びたい、新旧6本の名作を紹介しよう。

 

[その1]新たに国産麦芽を採用し季節に合った味わいを提供

サントリービール

サントリー 金麦

Alc.5%

実売価格140円

2020年版の「金麦」は、国産麦芽を採用。これまで使用してきた独自の「旨味麦芽」にブレンドし、より研ぎ澄まされた麦の旨さを感じられるようにした。四季に応じて味を微調整しているのも特徴だ。

 

[その2]飲み応えとキレの落差で、かつてないのど越しを実現

キリンビール

キリン のどごし〈生〉

Alc.5%

実売価格149円

独自技術「ブラウニング製法」を見直し、仕込み工程の一部の時間を短縮することで飲み応えを強化。さらに温度調整により後キレも高めてインパクトを上げ、ブランド史上最高ののど越しを実現した。

 

[その3]コク深い味に高級ホップが香るプレミアム級の新ジャンル

アサヒビール

アサヒ ザ・リッチ

Alc.6%

実売価格147円

自社の新ジャンル史上最大級の麦汁濃度にし、豊かなコクを実現。また、爽やかな香りをもたらすチェコのザーツ産の高級ファインアロマホップを一部に使い、食事に合う好バランスな味わいに仕上げた。

 

[その4]名門のDNAを受け継いだ新ジャンル界のサラブレッド

サッポロビール

GOLD STAR

Alc.5%

実売価格146円

「黒ラベル」の「旨さ長持ち麦芽」と、「ヱビス」の「ドイツバイエルン産アロマホップ」を一部使用するなど、名門のDNAを融合。力強く飲み飽きない味を実現した、新ジャンル界のサラブレッドだ。

 

[その5]エール酵母とカスケードホップで甘味と苦味のバランスを最適化

サントリービール

サントリーブルー

Alc.5%

実売価格148円

従来の新ジャンルでは珍しかったエール酵母を採用するとともに、爽快感のある香りが特徴の「カスケードホップ」も使い、甘味と苦味のバランスを最適化。しっかりした飲み応えとスッキリした後口を楽しめる。

 

[その6]おいしくヘルシーな人気発泡酒の爽やかさと満足度がさらにアップ

キリンビール

淡麗グリーンラベル

Alc.4.5%

実売価格170円

ビール類発泡酒の王者「淡麗」の糖質70%オフタイプ。今春より、ホップ配合の最適化と炭酸感の強化を図り、爽やかなおいしさはそのままに、飲み応えが向上。雑味のない味わいと満足感を堪能できる。

 

【New Normal 03】身体にやさしいノンアルビールが豊作! ヘルシーノンアルコール飲料

「飲みすぎたのはコロナのせいよ♪」とは言っていられない、そんなお酒好きに朗報。ノンアルコール飲料が進化し、ますますおいしくヘルシーになっている。休肝日にぜひ!

 

[その1]尿酸値を下げる成分を配合した世界初のノンアルコールビール

【尿酸値を下げる】

サッポロビール

うまみ搾り

実売価格112円

尿酸値を下げる機能が報告されている旨み成分「アンセリン」を350mlに50mg含む、世界初のノンアルコールビール。大麦エキスを使用したリッチなコクと、すっきりした飲み口で、味にも妥協はない。

 

[その2]人工的な素材不使用で仕立てた新提案の自然派ビールテイスト

【香料・人工甘味料無添加】

キリンビール

グリーンズフリー

実売価格148円

ビールの代替としてのノンアルコールにとらわれず、人工的な素材は使わず麦とホップと水で仕上げた自然派ビールテイスト炭酸飲料。甘香ばしくジューシーな麦汁感が特徴で、苦味も心地良い。

 

[その3]継続飲用で内臓脂肪を減らし苦味と酸味のある味も美味

【内臓脂肪を減らす】

サントリービール

からだを想うオールフリー

実売価格145円

ローズヒップ由来の「ティリロサイド」を配合し、継続的な摂取で内臓脂肪の減少に貢献。粒選り麦芽やアロマホップなどビールと同じ原料を使い、苦味と酸味が豊かで飲み応えも十分だ。

 

[その4]熟成ホップ由来の成分がお腹まわりの脂肪にアタック

【お腹まわりの脂肪を減らす】

キリンビール

キリンカラダFREE

実売価格157円

お腹まわりの脂肪を減らす「熟成ホップエキス」を配合。酸味や爽快感が豊かで苦味は控えめ。余韻がさっぱりとしており、食事中にもゴクゴク飲みやすい味わいに仕上がっている。

 

 

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リンゴの発泡酒「シードル」に傑作が誕生!「ニッカ JAPAN CIDRE」を飲んで時代の到来を確信

様々なお酒があるなかで、最近の注目株のひとつがリンゴの発泡酒「シードル」です。その人気を決定づけるかのように、日本におけるリンゴ酒の最重要メーカーから新作が発売されました。その名は「ニッカ JAPAN CIDRE」。

 

↑Amazon先行で8月25日に新発売、東北の一部店舗で10月6日より販売される「ニッカ JAPAN CIDRE」。720mlでアルコールは3%となり、Amazonでは1852円

 

なぜリンゴ酒の最重要メーカーなのか。その背景やシードルのトレンドなどにも触れながら、同商品の魅力を紹介していきましょう。

 

日本のシードルはアサヒとニッカがルーツ

まずはシードルの基本情報やトレンドから解説します。アルファベット表記はCIDREで、英語圏の国では「サイダー」の発音で呼ばれますが、日本ではフランス語の「シードル」が一般的。世界中で市場が伸びており、全体の生産量は2010年と2018年で比較すると約1.4倍に。特にアメリカやオーストラリアがけん引していて、近年は日本でも女性や若者を中心に大きな盛り上がりをみせています。

 

↑コンビニなどで買える定番シードルといえば「ニッカ シードル」。お手軽ながら国際品評会で高い評価を得るなど、国産リンゴ100%の味は世界も認めるおいしさなのです

 

そんな、日本のシードルのルーツは今回の「ニッカ JAPAN CIDRE」や「ニッカ シードル」に息づいています。弘前市内の酒造がフランスからシードル技術を持ち帰り、現在のアサヒビールの支援で、1954年に「朝日シードル株式会社」を設立し、国内初のシードル「アサヒシードル」を製造・販売したのがはじまり。

 

↑こちらが国内初のシードル「アサヒシードル」。すべてアルファベット表記で力強さを感じさせるデザインは、64年前の商品とは思えないセンスです

 

その後1960年に、現ニッカウヰスキーに事業が引き継がれます。これは「アップルワイン」を製造するなど、リンゴ果汁事業に造詣が深い会社がニッカウヰスキーだったから。ちなみにニッカウヰスキーはウイスキーで有名ですが、熟成が欠かせないウイスキーは出荷までに数年かかるため、最初期は創業地の余市周辺の特産品であったリンゴを原料に、リンゴのジュースやワインなどを製造・販売していました。

 

↑1938年からいまも続くロングセラーの「アップルワイン」。当時の社名は大日本果汁株式会社ですが、「果汁」に対するこだわりが社名にも表れています(その名を略した「日果」がニッカに)

 

時を戻しましょう。つまり、日本におけるシードルの至宝がJAPANの名を冠して発売した新商品が「ニッカ JAPAN CIDRE」。ということで、商品の核心に迫っていきたいと思います。

 

赤いリンゴに口びるよせて

ボトルを初めて見たとき、シンプルながらインパクト抜群のデザインに筆者は衝撃と感動に打ち震えました。なんといっても印象的なのはその色。一般的にシードルの液色はリンゴ果肉のようなシャンパンゴールドなのですが、「ニッカ JAPAN CIDRE」は赤いのです。

 

↑真っ赤な丸いラベルは、シードルの鮮やかな赤色とともに、国産リンゴを100%使用した真っ赤なスパークリングであることを表現しています

 

これはボトルをカラーリングしているのではなく、シードルそのものの色なのです。そして、リンゴの果実や日の丸を彷彿(ほうふつ)とさせる円形の赤いラベル。控えめに書かれたアルファベットのロゴなども凛としていて、日本らしい美しさを感じます。

 

↑ラベルはほどよくザラっとした質感。温かみのある手触りが高級感をいっそう演出します

 

赤色の秘密は原材料のリンゴそのものにありました。それが、一部に使用されている果肉まで赤い希少品種「ジェネバ」。そして、ニッカ社が30年以上研究して培ってきた高度な技術と情熱が、鮮やかな赤い液色のシードルを生み出したのです。

 

原材料のリンゴには、香りが高く甘酸っぱい「紅玉」も使用し、「紅玉」よりも酸味と渋味に特徴がある「ジェネバ」と調和。すっきりとした甘味のなかに、爽やかな酸味と口当たりの良いコクを両立させたとのこと。期待を膨らませながら、筆者も飲んでみました。

 

↑リンゴを生搾りしたような、ふわっと豊かに香るナチュラルなアロマが印象的。泡もきめ細やかで、エレガントさを感じます

 

ファーストタッチはやわらかく、トゲがなくてスムースな飲み心地。そのあとにウォームな甘味とキュッと引き締まる酸味が来て、余韻はきわめて爽やかです。3%の軽やかなアルコールというのもあり、すっきりしていてやさしいシードルだと思いました。

 

↑アルコール度数の高いお酒が苦手な人にはぴったり。贈り物にもオススメです

 

厳しい業界のひとつと言われる外食業界を見ると、そのなかでも東京を中心にシードルをドリンクのメインに掲げたパブが続々オープンしています。つまり、レストランシーンにおいてシードルは最新トレンドのお酒。その追い風にのるかのようにデビューした「ニッカ JAPAN CIDRE」は、最注目株です。まずはAmazonで要チェックを!

 

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1位の白ワインのコスパに驚愕! カルディで見つけた「約1000円のイタリアワイン」飲み比べ

宅飲みもすっかり定着してきましたね。さて、宅飲みのお供のデイリーワインは何を買えばいいのか、お悩みの方も多いはず。そこで今回は、カルディコーヒーファームで見つけた1000円以下のお手軽イタリアワインを3種類ご紹介します。いつものように筆者が試飲してみて、美味しいと思った順のランキング形式で解説していきましょう!

 

【第3位】

軽やかでさっぱりした味わいはどんな食事にも合う!

キャンティ

イル・パッジオ ポッジョ・ボネッリ(赤) 750ml

1078円(税込)

イタリア中部のトスカーナ地方で産する「キャンティ」。サンジョベーゼ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンを使用したミディアムボディの赤ワインです。ブルーベリーやクロスグリを思わせるサンジョベーゼ特有のスパイシーな香りですが、口当たりは軽やかで、生き生きとした酸味が特徴です。カジュアルな味わいなので、和洋問わずさまざまな料理に合いそう。爽やかな赤ワインをお探しの方はぜひお試しくださいね。

 

【第2位】

積極的に食事に合わせたいスパークリング

カサ・デ・ブルーニ

グラン・キュヴェ エクストラ・ブリュット(白・発泡) 750ml

998円(税込)

ワインの一大産地、イタリアのヴェネト州で作られる発泡ワイン。グレーラという品種のぶどうが使われています。青リンゴを思わせるフルーティで華やかな香りが特徴で、ほどよい酸味とすっきりとした甘味、そしてこれらを心地よくまとめる苦味のバランスが絶妙です。何しろスッキリと飲みやすいので、乾杯酒としてだけでなく、積極的に食事に合わせて楽しみたいところ。週末の午後、サンドイッチやパテなどと合わせてもいいですね。

 

【第1位】

1000円以下で高級ワイン並のラグジュアリーな味わいに驚愕!

プリンチペ・ディ・グラナテイ

グリッロ(白) 750ml

968円(税込)

イタリアのシチリア州で生産されるやや辛口の白ワイン。グリッロというぶどう品種が使われています。洋梨やリンゴのような華のある爽やかな香りが特徴。味わいはふくよかでコクが感じられ、上品な酸味と甘味があり、余韻にはグレープフルーツのような心地よい苦味が残ります。しっかりとした味わいはまるで高級ワインのようで、1000円以下とは信じられません。ベストマッチは魚介類でしょうが、ピザやパスタなどと合わせても楽しめそうです。

今回は家飲みにぴったりな1000円以下のワインをご紹介しました。どれも食事に合う爽やかな飲み口なので、ぜひ様々な料理と合わせて楽しんでみてください!

モエ・エ・シャンドンの自動販売機が登場したので、今さら聞けない、ブランドの蘊蓄を集めてみた

シャンパンを飲まれる方なら一度は目にし、口にしたことがあるはずの“MOET(モエ)”。優雅でかわいくも映るこのシャンパンこそが、モエ・エ・シャンドンです。しかし、特別なシャンパン好き・ワイン好きでない限り、このモエ・エ・シャンドンがシャンパンであることくらいは知っていても、その中身、歴史などは実はよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

 

最近では自動販売機も登場するなど、あらゆる場面で飲む機会が増えているこのモエ・エ・シャンドンについて、しっかり中身と歴史を学ぶべく、販売元・モエ ヘネシー ディアジオの吉田知音さんに話を聞きました。

↑モエ ヘネシー ディアジオのPR&コミュニケーションマネージャー・吉田知音さん。分かりやすくモエ・エ・シャンドンについて教えてくれました。

 

結婚式でモエ・エ・シャンドンをよく口にするのには理由があった!

ーーシャンパンを飲む機会によく目にする“MOET”の瓶のモエ・エ・シャンドンですが、この歴史から教えてください。

 

吉田知音さん(以下、吉田) 創業は1743年、フランスでワイン商をしていたクロード・モエという人物が「ワインで人々を魅了したい」ということで、シャンパーニュ地方のエペルネに拠点を定め、「モエ社」がスタートしました。なかでも特に「泡の出るワイン(シャンパン)を広めたい」という想いがあったそうです。「泡の出るワイン」を広めるために、まず彼が目をつけたのが当時の王侯貴族。今で言うインフルエンサーみたいな感じだと思うんですけど、こういったフランス社会で影響力を持つ方々にひいきにしてもらい、存在感を高めていきました。その美貌と知性、芸術的センスによってフランス宮廷に影響力のあったポンパドール夫人は日記に“飲んでなお、女性が美しくいられるお酒はシャンパンだけ”と記しています。

 

その後、クロード・モエの孫で三代目当主であるジャン・レミー・モエが「シャンパンの魔法を世界中に」とビジョンを掲げ、シャンパンというお酒を世界共通のラグジュアリーのシンボルとすべく、さらに意欲的に動き始めます。ジャン・レミー・モエは、ロシア皇帝アレキサンドル1世やフランス国王シャルル10世、皇帝ナポレオン1世など早々たる面々をメゾンに招き、国内外におけるシャンパンの知名度を上げるべく尽力しました。その後、ジャン・レミー・モエは、息子のヴィクトールと娘婿のピエール=ガブリエル・シャンドンに会社の経営権を譲り、ここでブランド名が「MOËT & CHANDON (モエ・エ・シャンドン)」になりました。つまり、モエ家とシャンドン家が結婚した際に生まれたブランドこそがモエ・エ・シャンドンだったんです。

 

ーーよく結婚式でもモエ・エ・シャンドンを飲む機会がありますけど、そもそも縁起が良いシャンパンというわけですね(笑)。

 

吉田 そうです。結婚によって生まれたブランドですから、結婚式はもちろん、あらゆるお祝いの場で飲まれることが多いんですね。これは私たちも非常に嬉しいことだと思っています。

 

ーーよくレースとかで優勝した選手が歓喜を表すためにシャンパンを開けるシーンがありますけど、これもシャンパンならではですよね。

 

吉田 いわゆるシャンパンファイトですね。シャンパンファイトは意外と歴史が古くて1967年、フランスのル・マンの24時間耐久レースで優勝したダン・ガーニー選手が喜び勇んでやったのが最初のようです。その後、世界中のレース場の表彰台では定番の儀式となり、レース以外の場面でも何かの成功だとか、達成したときに「シャンパンを開ける」ことが縁起が良い、おめでたい行為として広まっていったようです。

↑18世紀から現在まで、セレブレーションの場にはいつもシャンパンがありました

 

シャンパンは“不可抗力”で出来上がったもの?

ーー1743年時点で、ワインはもちろん、飲み物をスパークリングする技術はすでにあったのですか?

 

吉田 はい。もともとのシャンパンの起源は、1600年代の終わり、今ではシャンパンの父と称されるドン・ピエール・ペリニヨン修道士が先駆けたものです。ただ、シャンパンの“泡”は特別な技術を持って開発されたものというより、ワインを熟成させる過程などで、不可抗力で発生する“泡”だったようです。

 

ーー「偶然できちゃいました」みたいなことですか?

 

吉田 はい。モエ社の創業は1743年ですので、弊社以前に「泡の出るワイン」を作っているブランドが存在していました。ただ、シャンパンを世界中に広めるべく、市場を確立したパイオニアはモエ・エ・シャンドンだという自負はあります。世界で初めてシャンパンを作ったわけではないけれど、シャンパンを広めたのはモエ・エ・シャンドンだと私たちは思っています。

 

ーー先ほど名前が上がったドン ペリニヨンもその一つですが、シャンパンにはいくつかブランドがあります。その中で、モエ・エ・シャンドンはどういった位置づけになりますか?

 

吉田 シャンパン=モエ・エ・シャンドンと言っても良いくらい王道だと思います。モエ・エ・シャンドンのキャッチフレーズとして「毎秒1本、世界中のどこかでモエ・エ・シャンドンのボトルが開けられている」というものがあるんですけど、現在、世界約140か国に広がっています。それくらい愛されているブランドです。

 

ーーす、すごいですね! 味わいとしては、他のシャンパンと比べて、どんなところが違うんですか?

 

吉田 モエ・エ・シャンドンを代表するシャンパン「モエ アンペリアル」で言うと、醸造最高責任者のブノワ・ゴエズが「1杯口にふくむと、もう一口飲みたくなる味わい」と表現しています。モエ アンぺリアルには「瑞々しい果実味」「魅惑的な味わい」「エレガントな熟成」という3つの味わいがあります。

 

ーーこのモエ アンペリアルで使われているブドウは1種類ですか?

 

吉田 いえ、シャンパンはだいたい3つのブドウ……シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエという主要品種をブレンドし、熟成させるものです。その配合比率にこだわりがあって、ブドウを作っているフランス・シャンパーニュ地方の作付面積と比例する割合でブレンドしています。これもモエ・エ・シャンドンの特徴と言って良いと思います。

↑モエ・エ・シャンドンを代表するシャンパン「モエ アンペリアル(750ml)」7150円(税込)。ブランドの定番だけでなくシャンパンといえば「これ!」と言う人も

 

↑シャンパーニュ地方にあるモエ・エ・シャンドンのブドウ畑。約1200ヘクタールの自社畑だそうです

 

↑ブドウはすべて手作業にて収穫されるそうです

 

日本でモエ・エ・シャンドンが広まったのはバブル以降だった

ーーモエ・エ・シャンドンは世界中で親しまれているということですが、日本に入ってきたのはいつ頃のことですか?

 

吉田 これまでは「1903年」と言われていたのですが、近年フランスの本社で確認してもらったところ、「1874年に横浜に輸出した」という記録が残っていることが分かりました。日本のどのような会社が輸入し、誰が買ったというところまでは読み解けないんですけどね。ただ、実際の売れ行きで言うと、モエ・エ・シャンドンが日本の市場に広まったのは1990年代以降なんです。

 

ーーそうなんですか?

 

吉田 はい。弊社は、ヘネシーというコニャックも取り扱っています。1990年代まではヘネシーが主力ブランドでしたが、その後、ドン ペリニヨンやモエ・エ・シャンドンなどシャンパンの市場が拡大し始めました。

 

バブル以降、定期的に起こるワインブームの影響もあったと思います。シャンパンもワインの1種ですから、ワインブームが訪れ身近に親しまれるようになると、モエ・エ・シャンドンを含むシャンパンというお酒が、より身近に感じられるようになったのかもしれません。

↑フランス・エペルネにあるモエ・エ・シャンドンのオランジェリー(迎賓館)。国際的に重要度の高い歴史地区に構える施設として2015年には、ユネスコ世界遺産に登録されました

 

↑世界中でセレブレーションを象徴するシーンとなったシャンパンタワー

 

定番以外にも複数ある個性派シャンパン!

ーー先ほどうかがったモエ・エ・シャンドンを代表する、モエ アンペリアル以外にも複数のラインナップがありますね。

 

吉田 はい。まず、スタンダードのモエ アンペリアルの兄弟のようなシャンパンで、「モエ・エ・シャンドン ロゼ アンペリアル」というシャンパンがあります。辛口のシャンパンなのですが、赤身のお肉、ローストビーフのように火が入りすぎていない低温で調理されたものや、サーモンや海老などのカルパッチョなどと相性が抜群です。色もかわいくて、近年特に人気が高まっているシャンパンです。

↑「モエ・エ・シャンドン ロゼ アンペリアル(750ml)」8470円(税込)。初めて発表した際には、「白のシャンパンに赤ワインを少し加えただけでは?」と誤解されたそうですが、モエ・エ・シャンドンならではのロゼ シャンパンを造るために、徹底的に研究された製法が用いられています。ムニエの割合が多いことから、口に含むと丸みを感じさせてくれます

 

吉田 さらに氷を入れて楽しむタイプのシャンパンがありまして、それが「モエ・エ・シャンドン アイス アンペリアル」というものです。

↑「モエ・エ・シャンドン アイス アンペリアル ロゼ(750ml)」9735円(税込)。写真のロゼの他に白もあるそうですが、いずれも氷を入れて飲むことを前提としたシャンパンです

 

吉田 開発経緯としては、前述の醸造最高責任者のブノワ・ゴエズがバカンスで南フランスに行った際、現地でワインやシャンパンに氷を飲んでいる人たちを多く見かけたことがきっかけだったようです。「だったら、氷を入れて飲むための専用のシャンパンを作ったほうが良いな」と考え、「アイス アンペリアル」が誕生しました。氷が溶けてシャンパンの風味とよく調和するように作られています。氷を入れないまま飲んでも、美味しいのですが、ちょっと個性が強く出てしまうシャンパンですね。なので、やはり氷を入れることで初めて完成する商品です。

 

ーーワインには年代物のヴィンテージがありますけど、シャンパンにもあるのでしょうか。

 

吉田 モエ・エ・シャンドンでは、特別に作柄が良かった年だけに、その年のブドウのみを使って造るヴィンテージ シャンパンを用意しています。最近のもので言うと、「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ ロゼ 2012」というシャンパンになります。

↑「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ ロゼ 2012(750ml)」1万1770円(税込)。定番のアンペリアルの口当たりの良さに対し、このヴィンテージでは、作柄が良かった年のブドウの個性を強く引き出した味わいです

 

吉田 最初に言ったブランドを代表するシャンパン、モエ アンペリアルは世界中いつどこで飲んでも同じスタイルとクオリティで、親しみやすい味わいですが、「グランヴィンテージ ロゼ 2012」はその年のブドウの強い個性を引き出した味わいです。毎年作られるというわけではなく、醸造最高責任者の自由な発想と芸術性で判断され、とりわけブドウの出来が良かった年にのみ造られるものですので、より貴重なシャンパンであると言って良いと思います。

 

また、少しユニークなラインナップとしては、「モエ・エ・シャンドン ネクター アンペリアル ロゼ ドライ」というシャンパンもあります。

↑「モエ・エ・シャンドン ネクター アンペリアル ロゼ ドライ(750ml)」9295円(税込)。ナイトシーンで映えるよう、ボトルが光る仕様。贅沢なフルーティーさと、濃厚で強い味が特徴で、女性的というよりは元気で力強い風合いです

 

吉田 ナイトシーンなどで楽しんでいただけるように作られたもので、ボトルが光る仕様になっており、味わいは個性的です。夜を輝かせながら、力強い風合いなので芳醇でエレガントなシャンパンを求める方には最適な1本となると思います。

 

これらがモエ・エ・シャンドンのラインナップなのですが、他のシャンパンブランドと比べてみても多いほうだと思います。それだけモエ・エ・シャンドンは様々なシーンに対応できるシャンパンを生産しているという自負もあります。

 

自動販売機でも販売され始めた「ミニボトル」の理由

ーー最近では、モエ・エ・シャンドン モエ アンペリアルのミニボトル「ミニ モエ」が発売され、自動販売機にも登場しました。この経緯を教えてください。

↑左がモエ・エ・シャンドンを代表するシャンパン、モエ アンペリアルのミニボトル「ミニ モエ(200ml)」2500円(税込)。右のフルボトルと比べてみれば、かわいらしく映ります

 

↑モエ・エ・シャンドンの自動販売機「モエ ミニマティック」を設置する渋谷MIYASHITA PARK内の複合型エンターテインメント施設「or」

 

↑カウンターの傍らに設置されたモエ・エ・シャンドンの自動販売機モエ ミニマティック(※自動販売利用の際は、専用コインが必要となる)。コイン購入時には年齢確認が実施されます

 

吉田 先ほども少し触れましたが、モエ・エ・シャンドンでは様々なシーンでシャンパンを楽しんでいただきたいと考えておりまして、それは必ずしもかしこまった場所でなくても良いと考えています。ピクニックでも良いですし、ホームパーティやご家族での食事の際にも、気軽に楽しんでいただきたいと思っています。そんなシーンにピッタリなのが、容量200mlのミニボトル ミニ モエです。

 

ーーシャンパンって飲みたい場合、一度開けると全部飲み干さなければいけないですよね。飲み仲間を揃えないといけないなどの制限があった点に、このミニ モエは嬉しいですね。

 

吉田 はい。おっしゃる通り、たしかにフルボトルのシャンパンは、飲用の機会が制限されてしまうような、と感じられる方も少ないと思うのですが、ミニ モエならお一人でも楽しめます新型コロナウイルスのこともありますけれど、日常では少人数で過ごすことが多くなったこの時代に、ミニ モエはマッチしているのではないかと思います。より多くの人に気軽に楽しんでいただくために、今回自動販売機も用意したというわけです。

 

「or」の自動販売機「モエ ミニマティック」でミニボトル「ミニ モエ」を買ってみた!

↑orカウンターで自動販売機用のコインを2500円で購入します

 

↑コインを自販販売機に投入します

 

↑目当ての番号のボタンを押して……

 

↑かわいいミニ モエをゲット!

 

↑ミニ モエ専用の飲み口「ミニフリュート(無料)」をセットすれば、いわゆるラッパ飲みを避けて、品良くシャンパンを飲むことができます

 

↑orの料理をテイクアウトし、ミニ モエと合わせて公園に持っていけば、気軽にシャンパン片手のピクニック気分が味わえます

 

旨味あるシャンパンは、旨味ある和食とも相性抜群!

ーー先ほど「中華料理やタイ料理にもシャンパンが合わせられる」というお話がありましたが、和食にも合いそうですね。

 

吉田 もちろんです。シャンパンやワインは醸造酒ですから日本酒と同じで、旨味がすごくあるものです。だから、同じように旨味を楽しむ和食と相性が良いのは必然かもしれません。特に醤油を使った料理や、お出汁を楽しむ水炊きには合うと思います。温かい料理に対する口直しのようにシャンパンを楽しんでいただくのも良いと思いますし、外食時だけでなく、ご自宅での普段のお食事と合わせて楽しんでいただけると思います。「意外!」と思われる方もいるかもしれませんが、是非お試しいただければと思います。

 

ーー今後、モエ・エ・シャンドンがどのように広まっていくことを望まれていますか?

 

吉田 これまでにも話しましたが、お祝いとか記念の席で楽しんでいただくのはもちろん、今後は日常的に親しんでいただければ良いなと思っています。「ミニ モエ」は特にそうですけれど、本当に親しみやすく、美味しく楽しい気持ちになれるお酒だと思いますので。

↑定番のフレンチだけでなく、和食にも合うモエ・エ・シャンドン。水炊きなどの、素材だけでなく出汁を楽しむ料理とも相性が良いそうです

 

↑楽しくモエ・エ・シャンドンの歴史・魅力を教えてくださった吉田さん(ありがとうございました!)

 

お祝いの席・特別な場面で飲む印象が強かったシャンパンですが、吉田さんの話をお聞きし、もっと気軽に楽しめるお酒なのだと思いました。自動販売機も登場したことですし、これからはビールの代わりにモエ・エ・シャンドンをゴクッと一杯というのも良さそうですね!

 

■or

住所:東京都渋谷区神宮前6-20-10 MIYASHITA PARK North 1F 11000

営業時間:8:00~23:00

※時間帯・フロアによりカフェタイム、ミュージックバータイム、アートギャラリーと営業形態が異なる。また、営業時間、メニューなどは変更される場合あり。詳細は直接店舗までお問い合わせを。

 

撮影/我妻慶一

 

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【ラ飲みの名店】これほど使い勝手のいい店があるか? 新宿駅近の老舗「石の家」に街中華の理想を見た

ラーメン店でお酒を楽しむ、通称「ラ飲み」。本稿は、お酒をより深く楽しむための情報サイト「酒噺」(さかばなし)とコラボし、この「ラ飲み」にスポットを当てた企画である。案内人は、GetNavi本誌でラーメン連載を持つミュージシャン、サニーデイ・サービスの田中 貴さん。本稿では「ラ飲み」でオススメの店を行脚しつつ、「ラ飲み」の楽しみ方や珠玉のラーメンを紹介していただく。今回は、全6回となる連載の第4弾をお届け。

「ラ飲みの名店」連載一覧はコチラ

 

【プロフィール】

田中 貴(たなか・たかし)

サニーデイ・サービスのベーシスト。日本全国を食べ歩くラーメン好きとしても知られ、TVや雑誌などでそのマニアぶりを発揮することも多い。2019年にはグルメ誌「食楽」で表紙を飾った。

 

バンドは3月13日に通算13作目となるニューアルバム「いいね!」をリリース。エレキギター・ベース・ドラムという最小限のバンドアンサンブルに立ち帰り、自身たちのルーツたる音楽性を詰め込んだ傑作が誕生した。ライブはドライブイン形式のイベントとして「山中湖交流プラザ きらら」で開催される、「DRIVE IN LIVE “PARKED”」の初日、9月26日に出演が決定。また、カーネーション、岸田繁(くるり)とのライブ音源集「お~い えんけん!ちゃんとやってるよ!2020セッション」が10月21日にCDとLP盤でリリースされる。

 

街中華は何人かで飲みに行くときの有力な選択肢のひとつ

今回訪問したのは、新宿駅の東南口からすぐの場所にある「石の家」(いしのいえ)。昨今注目が集まっている街中華(町中華)カテゴリーのお店だ。田中さんはラーメン専門店だけではなく街中華にも詳しい。そんな田中さんが、数ある名店のなかから「石の家」を選んだ理由は、名物メニューがあり、多くの人が足を運べる立地だからだという。また、「麺や 七彩」の阪田博昭さんをはじめ、田中さんと仲のいい有名ラーメン店主のなかにも「石の家」のファンは多いのだとか。

↑「石の家」の入口。裏路地に入ってすぐの、地下のネオンが目印だ

 

入店して料理を待つ間、田中さんにとって、街中華とはどんな存在なのか、街中華でラ飲みを楽しむ魅力などについて教えてもらった。

 

「街の中華屋さんと聞いて一般的にイメージされるのは、日本風にアレンジされた中華料理を出すお店ですよね。オムライスやカレーなどの洋食からカツ丼などの食堂メニューまで出す、住宅地の駅近くに必ずあるタイプの店。それらとは違うタイプで、中国の方が厨房にいらっしゃる、本場の味を出すお店というのもあります。格式高い本格的な中国料理店とは違い、庶民的なスタイルで古くから続く店が、都心にはまだいくつか残っています。どちらのタイプの店にもいえるのは、安くてボリュームがあるということ。数人で、何品も頼んでワイワイやるのが楽しいですね。もちろん、麺料理も豊富にあるので、一軒でシメのラーメンまでいけちゃいます」(田中さん)

 

「いい街中華」は「おっちゃん世代が集まる店」であることが多い

ただ、最近人気が出てきたとはいえ、街中華は公開されている情報量がラーメン店に比べて多くはない。いい店は、どうやって探せばいいのだろうか。

 

「まず、長く続いている店は間違いないですよ。新宿とか渋谷とか、若者が多くてお店の移り変わりも激しいなかにも、オッチャンがたむろしている古くからの店はあるものです。そういう店は、まあ安くてウマい店ですね。オッチャンたち全てが食にこだわっている人ばかりではないですが、人生経験を積んだ先輩たちが選ぶ店には、何かしら意味があります。あとは、オリジナリティ溢れる名物料理があること。『いい店』と『名店』の違いは、これがあるかないかに尽きます」(田中さん)

↑近所の年配のご夫婦が営む深夜営業の中華の「いい店」が突然閉店し、途方に暮れていると語る田中さん

 

田中さんがお話しした条件の通り、「石の家」もこの界隈屈指の老舗であり、近くの「ウインズ新宿」に通うベテラン勝負師たちが足しげく訪れるお店。ファンであることを公言している著名人も多いのだという。

 

「酔貝」をはじめ、酒が進む「間違いのない前菜」が登場

やがて、一品目の「酔貝(すいがい)」が到着。街中華としてはやや珍しい本格派で、しかも台湾料理である。カンタンに言えばシジミのニンニク醤油老酒漬けで、絶妙な火加減でレアな食感に仕上げたシジミを、自家製のタレで約2時間漬け込んだ人気の前菜だ。

 

「ニンニクと紹興酒が効いた味付け。ガツンときますね! シジミの身が大きめなのは珍しい。肝臓にもいいような気がして酒が進みます(笑)」(田中さん)

↑「酔貝 ハーフ」400円(通常サイズは750円) ※お酒の画像はイメージ。店舗でも取り扱いなし(以下同)

 

ちなみに、ふだん料理をオーダーする流れについて田中さんに聞いてみると、「『石の家』の場合、まず飲み物と一緒に、このシジミとか腸詰といった前菜を頼みますね。台湾系の料理があるのも、ここの魅力です。そのあとは、酒に合う炒め物や揚げ物や、流れにまかせて……といった感じですね」と教えてくれた。そうこうするうちに、「焼餃子」と「腸詰」が到着。

 

「焼餃子が庶民的な料理として一般に普及したのは戦後からですが、ここはそのころから珉珉などと並んで有名だったそうで、古川緑波(ふるかわ・ろっぱ)の随筆にも『石の家』の名が出てきます。ロッパも食べた餃子を、建物は変われど同じ場所で食べていると思うとロマンを感じますね。僕が上京したころは、この新宿駅の南側も闇市の名残ある街並みでしたが、ずいぶん変わりました。さかさクラゲと呼ばれた連れ込み旅館や、生コン工場なんてのも数年前まであって、ゴチャゴチャした感じが魅力的だったんですが……」(田中さん)

↑手前は、「酔貝」と並ぶ人気の台湾料理「腸詰」700円。「焼餃子(6個)」400円は、キャベツ、白菜、ニラを豚ひき肉と合わせ、にんにくとしょうがを効かせた間違いのないおいしさ

 

「石の家」の名は、創業者が採石建材店と懇意にしていたことに由来

ここで、店の由来について二代目オーナーの金井由美子さんに話を聞いてみた。創業は昭和29(1954)年。当初は現在のように地下ではなく、2階に座敷を備えた建物だったそう。店名は、創業者が近隣の採石建材店と懇意にしていたことに由来。その後昭和59(1984)年に改築され、現在は金井さんの娘さんが三代目として同店を営んでいる。

↑二代目オーナーの金井由美子さんと。新宿周辺の昔話に花が咲く

 

いまでこそ新宿駅の東南口は整備されて都会的な雰囲気に変わったが、昭和のころは「新宿西口思い出横丁」のような、ディープな雰囲気だったとか。駅前に並ぶ屋台のなかには台湾料理店があり、その店主が「石の家」の常連だったことからレシピを教わり、同店でも台湾料理を提供するようになったという。

 

おかずにもつまみにもなる炒め物&揚げ物が到着

続いて、ご飯のおかずにもつまみにもなる炒め物と揚げ物をオーダー。街中華の定番である「木須肉(ムースーロー=キクラゲ、卵、豚肉炒め)」は、濃い味付けに仕上げた同店伝統の一皿だ。一方、「イカとセロリ炒め」は、セロリの上品な香りとコリっとした食感が絶妙。豚肉とピーマンの天ぷらを盛り合わせた「肉の天ぷら」は、山椒や八角をほんのり効かせてスパイシーに仕上げているのが特徴だ。

↑「木須肉(ムースーロー)」850円(手前)、「イカとセロリ炒め」900円(左奥)、「肉の天ぷら」850円(右奥)

 

「このムースーローは、ジャズピアニスト・山下洋輔さんのエッセイにちょいちょい出てくるもんだから、上京前から憧れの一品でした(笑)。イカとセロリの炒め物も、こういう中華屋さんの定番ですね。酒にもよく合います。肉天って関西ではポピュラーで、僕も子どものころから好物なんです。東京ではほとんど見かけないので、ここに来たら必ず注文しますね」(田中さん)

 

名物の「やきそば」は、焼きうどんのような太麺が醍醐味

そして、いよいよ麺料理へ。オーナーの金井さんによると、創業時のメニューは餃子と焼きそばとタンメンの3つだけだったそう。これらは、メニューが増えたいまでも同店を代表する人気料理だ。そのなかから、まずは開店当初50円だったという「やきそば」から頼んでみよう。

↑創業当時の味を伝える「やきそば(太麺・しょうゆ味)」550円。細麺ではなく太麺で、ソース味ではなくしょうゆ味だ。しょうゆ、塩、うまみ調味料などで味付け、ゴマ油が効いているのがポイント

 

「この焼きそばが『石の家』の名物なんです。うどんのような太麺が、ブヨンブヨンの食感でたまらない。量も多いので、数人でつまむのにもってこい。この焼きそばは、ファストフード店が普及する前には、安くてウマくて腹一杯になると学生に大人気だったそう。何年か前に、『石の家』で数十年働いてた方とこの近くの飲み屋で出会いまして、当時の話をいろいろうかがいました(笑)」(田中さん)

 

焼きそばの麺の量は、200gとボリューム満点。麺類は昔からずっと同じ製麺所に特注しているという。ちなみに、餃子はかつて皮が自家製だったが、いまはこの製麺所に作ってもらっているとのこと。

↑紹興酒も一緒に飲み始めた田中さん。焼きそばや炒め物をつまみにお酒が進みます

 

タンメンは野菜の旨みがしっかり効いていて深みのある味

そして最後はタンメンを注文。同店には通常のタンメンと、昔ながらの太麺タイプの2種があり、今回はやはり後者をチョイス。味の軸となるのは、鶏と豚のガラを中心に前日から約8時間炊いたスープで、タンメンの場合はこれに野菜などの甘味が加わる。

↑「太麺タンメン」750円。スープが白濁していないあっさり系だが、奥深いふくよかなうまみがあって飲み干したくなるウマさ

 

「中華屋さんでは、ベーシックなラーメンよりもタンメンなどを頼むのがベター。こういうお店のスープは、基本的に全ての料理のベースに使うよう仕込まれています。なので、シンプルなラーメンはラーメン専門店と比べると物足りなく感じることが多い。そして、中華屋さんの醍醐味といえば、豪快に鍋を振って作る炒め物。それぞれの野菜への火の通し加減など、技術にはっきり差が出る調理法。これを堪能できる、タンメンや、もやしそばなどのあんかけ系がおすすめです。その点、『石の家』はさすがですね。ベースのスープもしっかりしつつ、さらに炒め煮した野菜の旨みがしっかり出ていて素晴らしい。ニンニクも強めにきいてて、ん〜こりゃウマい。そして、唯一無二のブヨブヨ麺。たまらんね」(田中さん)

↑つるりとした太麺と野菜の旨みが溶け込んだスープの相性はバツグン!

 

前菜からシメまで、お酒の進む絶品料理が良心的な価格で楽しめる。おまけに立地は抜群で、昼夜通しで営業していて、定休日もないという使い勝手のよさ。多くの人に時代を超えて愛されるというのも納得だ。こうした素晴らしい店が時代に飲み込まれずに残っていること自体、もはや奇跡と言っていいだろう。新宿は数々の老舗や名酒場が存在する街だが、東南口の「石の家」も、必ず覚えておくべき名店といえる。

撮影/黒飛光樹(TK.c)

 

【SHOP DATA】

石の家

住所:東京都新宿区新宿3-35-4 ユーコービル中地下

アクセス:JRほか「新宿駅」東南口徒歩3分

営業時間:月~土11:30~23:50(L.O.23:00)、日祝11:30~22:50(L.O.22:00)

※営業時間は変更の可能性があります

定休日:なし

 

人に話したくなるお酒のお役立ち情報やうんちくを知りたい方は、酒噺へ!

 

撮影/黒飛光樹(TK.c)

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シャンパンからゼクトまで網羅。「スパークリングワイン」の基礎知識

自宅でワインを楽しみたい、できれば産地や銘柄にもこだわりたい、ワインを開け、注ぎ、グラスを傾ける仕草もスマートにしたい……。そう思っても、超のつく基本はなかなか、他人には聞きにくいもの。この連載では、その超基本を、ソムリエを招いて手取り足取り教えていただきます。さすがに基本は押さえている、という人にも、プロが伝授する知識には新たな発見があるでしょう。教えてくれるソムリエは、渋谷にワインレストランを構える宮地英典さんです。

 

第1回は「ワインボトルの開け方」、第2回は「ワインの注ぎ方」を、宮地さんに指南していただきました。第3回となる今回からは、ワインの種類や製法、産地などをそれぞれ取り上げ、解説していただきます。

【第1回】シールの切り方やコルクの抜き方は?今さら聞けない「ワインボトルの開け方」

【第2回】注ぐ量は? ボトルは片手で持たないとダメ? 今さら聞けない「ワインの注ぎ方」

 

第3回 スパークリングワインの製法と種類

ワインには、泡のない「スティルワイン」と発泡性の「スパークリングワイン」があります。泡があるということは想像以上に香りや味わいに大きく影響を与えるもの。気が抜けて泡の立たないビールやコーラを飲んだことがあれば、キンキンに冷えてガスがふんだんに含まれた状態とのおいしさの違いは、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。

 

さらに、スパークリングワインには産地や製法に多くのバリエーションがあります。今回は5つの製法と、5種類のワインを紹介しましょう。ただしもちろん、世界中にはこれだけではなくさまざまな個性のスパークリングワインが存在します。

 

また、「シャンパーニュ」(シャンパン)というと高級なイメージがあるかもしれませんが、産地のひとつに過ぎず、またハイブランドだけがスパークリングワインの魅力ではないのです。例えば1000円以下のスパークリングワインでも、お決まりのビールの代わりにこれで乾杯すれば、食卓にいつもと違った彩りを添えられるかもしれません。2000円~3000円前後の価格帯になれば、多種多様なスパークリングワインがありますから、ささやかなお祝いの席にぴったりでしょうし、ホームパーティーやBBQにお土産として持っていけば喜ばれるでしょう。

 

ワインショップの棚にはいろいろなスパークリングワインが並んでいて、もっともハズレが少ないのも、スパークリングワインの特徴です。そう考えると“ワインの入り口”にうってつけなのは、スパークリングワインなのかもしれません。

 

スパークリングワインの製法

  1. トラディショナル方式(瓶内二次発酵)

ワインは醸造酒で、アルコール発酵をさせて作ります。最初の発酵である“一次発酵”を終えたワインを瓶に入れ、糖分と酵母を加えて栓をします。すると瓶のなかで二度目の発酵“瓶内二次発酵”が始まり、炭酸ガスが発生します。瓶のなかに閉じ込められた炭酸ガスがワインに溶け込むことにより、きめの細かな泡を持ったワインが造り出されます。
産地によって期間の長さに違いはあるものの、瓶内でワインを澱(おり)とともに熟成させ、いわゆる“ブリオッシュのような”と表現される香ばしい風味をワインにもたせるのも、この製法の特徴です。

 

  1. シャルマ方式(タンク内二次発酵)

一次発酵を終えたワインを密閉式タンクに移し、糖分と酵母を加えて二次発酵を行う製法です。瓶内二次発酵に比べ、一度に一定量を生産することができるため、手間とコストの面で優れています。
ちなみにシャルマ方式とは、1910年にフランス人のユージン・シャルマが考案し命名されたものですが、1896年にイタリア人のフェデリコ・マルティノッティが実用化に成功していたという説もあります。こういった事柄からも、ワイン生産において今よりもフランスがリーディングカントリーだったことが伺えます。

 

  1. トランスファー方式

瓶内二次発酵で炭酸ガスを発生させたのち、一度密閉タンクにワインを移し、まとめて澱引き(澱を取り除くこと)を行う製法です。トラディショナル方式では瓶口に澱を集め、1本づつ澱引きを行いますが、トランスファー方式ではその工程をまとめて行うため、コストと手間を省略することができます。

 

  1. リュラル方式(アンセストラル方式)

一次発酵が完全に終わる前に瓶詰めし、発酵を継続したまま瓶内で炭酸ガスを発生させワインに溶け込ませます。フランスの「ペティヤン」(微発泡性ワイン)を始め、現在では小規模な生産者を中心にこの製法でスパークリングワインを造る生産者も増え、見直されている製法とも言えます。

 

  1. 炭酸ガス注入方式

スティルワインに炭酸ガスを注入して、人為的にスパークリングワインを造ります。コスト面で安価に仕上がるため、大量消費用スパークリングワインに用いられる製法です。

 

次のページでは、産地とそれぞれの呼び名や特徴、使用するブドウ品種などを、具体的におすすめの銘柄を挙げながら解説していただきます。

 

スパークリングワインの種類と特徴

産地については、具体的な銘柄を挙げながら説明していきましょう。スパークリングワインをより日常で楽しんでいただくために、比較的リーズナブルなワインを選びました。

スパークリングにはいろいろな呼び名があることは、是非とも覚えておいてください。また、生産国・地方やブドウ品種からでもイメージを膨らませることができると思いますが、わからない時には購入時に定員さんに相談するのもいいでしょう。

 

「シャンパーニュ」

シャンパーニュ地方で造られなければシャンパーニュにあらず

フランス北東部シャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインを、シャンパーニュと呼びます。日本ではシャンパンとも呼びますが、これはイギリスの英語読みがシャンペンであることに由来するようです。

 

シャンパーニュは、現在では世界最高のスパークリングワインの産地でもあり、ブドウの価格の下限が世界でももっとも高価な産地でもあります(ワインの価格はブドウの価格とセミイコールと言っていいと思います)。もともとはブドウ産地としては最北(ドイツとイギリスなどは例外)に当たり、スティルワインの生産に不向きだったことが、この地域のスパークリングワインを特別なものにしました。

 

一般的には黒ブドウである、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、白ブドウであるシャルドネの3品種の果汁を使い、ワインを醸します。そして、瓶のなかで糖分と酵母を加え再び発酵させて産まれた炭酸ガスがワインと溶け込むことによって、あのグラスを立ち上る泡が造られます。つまりシャンパーニュの泡は、ブドウ果汁がワインになる過程で産まれるガスがそのまま一緒に瓶に内包され、ワインに溶け込んでいるということになります。この3品種のブレンドと瓶内二次発酵は、世界中のスパークリングワインのフォーミュラ(基本形)となっています。

 

また、シャンパーニュの立ち上る泡を「ペルル(真珠)」、液面で丸く輪状に広がる泡を「コリエ(首飾り)」とフランス語で呼びます。こういったシャンパーニュの華やかなイメージは、お祝いごとなど特別な日を楽しむのにうってつけ。気分を高揚させてくれるワインとして人気を集めています。

「Brut Tradition NV/Janisson&Fils(ブリュット・トラディションNV/ジャニソン&フィス)」
希望小売価格=6000円

【Info】
・ワイン名=ブリュット・トラディションNV
・生産者=ジャニソン&フィス
・生産国 / 地域=フランス / シャンパーニュ地方ヴェルズネイ
・ブドウ品種=ピノ・ノワール70%シャルドネ30%
・製法=トラディショナル方式(瓶内二次発酵)
・輸入元=ヴァンクロス

 

「プロセッコ」

実は世界一売れている、イタリアのスパークリングワイン

イタリアで造られるスパークリングワインは「スプマンテ」(後述)と呼ばれますが、中でも水の都ヴェネツィアで愛されるのがプロセッコ。2013年にシャンパーニュを抜いて世界でもっとも売れているスパークリングワインになりました。プロセッコに85%以上使われるグレーラは、フローラルで柔らかなワインになります。

 

プロセッコは、前述のシャルマ方式と呼ばれるタンク内二次発酵で造られます。シャンパーニュが瓶ごとに再度の発酵で炭酸ガスをワインに溶け込ませていたのと同様の工程を、大容量の密閉タンクの中で行うため、シャンパーニュに比べリーズナブルな価格でワインショップの棚に並びます。またワインの甘さの指針である残糖も大半のシャンパーニュが12g /L以下であるのに対し12g/L以上のものが多く、アルコール度数も12.5%前後のシャンパーニュに対し11%前後、熟成期間の違いから酵母由来のブリオッシュのような香りも産まれません。

 

こうして甘やか、優しい飲み口で軽やかというスタイルのプロセッコは、気軽にワインに親しむ文化を持つヨーロッパを中心に大流行しています。酔うためというより、少し気分を上げたい、理屈抜きで気軽にワインを楽しめるという点で、プロセッコはとても現代的なワインと言えます。例えば「ワインに氷を入れる」なんていうと抵抗がある人もいるかもしれませんが、プロセッコはそんな堅苦しいことも考えなくていいほど包容力のあるワインなのです。

 

若い世代のお酒離れが言われて久しいですが、プロセッコスタイルのワインがより広まり、さまざまな楽しみ方がなされれば、「ワインは難しい」というイメージを覆すことができるのでは、と個人的には期待しています。

「Prosecco Extra Dry NV/SanGiovanni(プロセッコ エクストラ・ドライNV/サン・ジョバンニ)」
希望小売価格=2600円

【Info】
・ワイン名=プロセッコ・エクストラ・ドライNV
・生産者=サンジョバンニ
・生産国 / 地域=イタリア / ヴェネト州コネリアーノ
・ブドウ品種=グレラ100%
・製法=シャルマ方式(タンク内二次発酵)
・輸入元=MONACA

 

「スプマンテ」

地方ごとの多様性こそがスプマンテの魅力

イタリアを代表する高品質スプマンテとして、ロンバルディア州東部で造られる「フランチャコルタ」(北イタリアのロンバルディア州で造られるスプマンテ全般を指す)があります。シャンパーニュと同様の品種製法により、高品質スパークリングの評価を勝ち取っているワインです。

 

よく「イタリアワインは品種が多すぎてわかりにくい」といった声を聞きますが、裏を返せばイタリアほど州によって栽培品種が異なり、地方ごとに料理と結びついたさまざまなワインが造られている国は、他にありません。なんと、イタリア全土で2000以上のブドウ品種が栽培されているのです。

 

つまり、イタリアのスパークリングワイン=スプマンテを特別にしているのは、その多様性にあるのではないかと個人的には感じています。下の写真は、トスカーナ州モンタルチーノで栽培される品種、サンジョベーゼを使ったロゼスプマンテ。サンジョベーゼはトスカーナの銘醸ワイン、キャンティやブルネッロの主要品種です。

 

同じようにさまざまな州で有名無名に関わらず、土地土地のブドウ品種でスプマンテが造られているのです。そう思うとイタリア語のスプマンテという語感には、包容力や多様性といった魅力的なイメージを感じずにはいられません。

「Spumante Rosato Brut NV/Ridolfi(スプマンテ ロザート・ブリュットNV/リドルフィ)」
希望小売価格=2500円

【Info】
・ワイン名=ロザート・ブリュットNV
・生産者=リドルフィ
・生産国 / 地域=イタリア / トスカーナ州モンタルチーノ
・ブドウ品種=サンジョベーゼ100%
・製法=シャルマ方式(タンク内二次発酵)
・輸入元=ミレニアムマーケティング

 

「カヴァ」

スペイン代表のカヴァは世界3大スパークリングワインのひとつ

カヴァとは、スペインで瓶内二次発酵で造られるスパークリングワインのこと。もともとカヴァの規定がブドウの原産地ではなく製法を定めたものだったこともあり、9割以上がカタルーニャ産ですが、その他内陸や沿岸部などそれ以外のさまざまな地域でも造られています。

 

シャンパーニュ、プロセッコに次いで消費されている世界3大スパークリングワインの一角、という言い方もできます。カヴァとシャンパーニュ(及びその他のピノ、シャルドネ系のスパークリング)との大きな違いは、最北のワイン産地シャンパーニュに比べ、スペインはより南の温暖な地域であり、栽培に適した品種が異なっていることではないでしょうか。

 

主要3品種はすべて白ブドウで、強いフレーバーがカヴァらしさを演出するチャレッロ、ニュートラルでバランスを取るマカベオ、デリケートな酸味をワインに加えるバレリャーダ。それぞれ南品種らしい果実感とアロマティックなニュアンスが特徴です。そのほかにシャルドネ、スビラ・パレンの白ブドウ、ガルナッチャ、モナストレル、トレパ、ピノ・ノワールの黒ブドウが、原産地呼称の認可品種となっています。

 

現地でも最大手となる「フレシネ」はサントリー、「コドルニュー」はメルシャンといった大手で取り扱われ、日本でもコンビニエンスストアやスーパーマーケットにも並ぶ親しみやすいワインです。なにより品質の割に価格がリーズナブル。ワインに親しむ入り口のひとつになる可能性は充分です。

「Cava Tempus Brut ReservaNV/Torre Oria(カヴァ テンプス・トレス・ブリュット・レゼルバNV/トレ・オリア)」
希望小売価格=1500円

【Info】
・ワイン名=テンプス・トレス・ブリュット・レゼルバNV
・生産者=トレ・オリア
・生産国 / 地域=スペイン / カタルーニャ州
・ブドウ品種=マカベオ90%パレリャーダ10%
・製法=トラディショナル方式(瓶内二次発酵)
・輸入元=東亜商事

 

「ゼクト」

ビール好きのドイツ人はスパークリングワインの消費量も世界一

ドイツといえばビール大国というイメージがありますが、お祝いの席にはスパークリングワインが欠かせません。意外にもスパークリングワインの消費量は世界一、一人当たり年間4本以上というのは日本人の年間ワイン消費量と同程度です。

 

ゼクトとはドイツにおけるスパークリングワインの総称ですが、オーストリアやハンガリー、チェコといった近隣のエリアでも同様に呼びます。

 

近年、ドイツやオーストリアでは、シャンパーニュに倣って瓶内で酵母の澱と長期間に渡って熟成させる高級レンジのゼクトが注目されていますが、やはり消費量が多い要因は何といっても、低価格帯ながら高品質な点にあります。シャンパーニュと同様の品種を使用することもありますが、スプマンテのように地域ごとの固有品種が使われていることも魅力のひとつです。

 

日本のワインショップに並んでいるゼクトにはまだまだ限りがあると思いますが、コストパフォーマンスもよく、個性的なものも多いため、品ぞろえの良いお店では思い切ってゼクトを探してみるのもおすすめです。カヴァは日本ではリーズナブルで美味しいというイメージを獲得しましたが、個人的にはゼクトももっと認知が広がって、幅広いワインが輸入されることを願っています。

「Bacharacher Riesling Sekt Brut2014/Ratzenberger(バッハラッハー・リースリング・ゼクト・ブリュット2014/ラッツェンベルガー)」
希望小売価格=3700円

【Info】
・ワイン名=バッハラッハー・リースリング・ゼクト・ブリュット2014
・生産者=ラッツェンベルガー
・生産国 / 地域=ドイツ / ミッテルライン
・ブドウ品種=リースリング100%
・製法=トラディショナル方式(瓶内二次発酵)
・輸入元=ヘレンベルガー・ホーフ

 

スパークリングワインを楽しむ際には、よく冷やしてください。温度が高いとガス圧でワインが吹きこぼれやすくなるのと、ぬるいビールや炭酸ジュース同様、温度が味わいに大きく影響を与えるのがスパークリングワインです。

 

【プロフィール】

ソムリエ / 宮地英典(みやじえいすけ)

カウンターイタリアンの名店shibuya-bedの立ち上げからシェフソムリエを務め、退職後ワイン専門の販売会社ワインコミュニケイトを設立。2019年にイタリアンレストランmiyajiaraiを開店。
https://www.facebook.com/miyajiarai/

 

2万7500円の日本酒が2日で完売!? 逆境のなか、新参ブランドが値上げしても売れるワケ

数ある日本酒のなかでも、ビジョン、コンセプト、立ち位置、販売網、製法、価格などすべてにおいてトガリまくっているブランドが、“旧”「SAKE100」(サケハンドレッド)です。“旧”というのは、今夏「SAKE HUNDRED」に生まれ変わったからです。

↑生まれ変わった「SAKE HUNDRED」のラインナップ。左から「天彩/AMAIRO」「百光/BYAKKO」「思凛/SHIRIN」「現外/GENGAI」

 

この刷新は表記だけではなく、全面的なリブランディング。ブランド自体は絶好調であるものの、さらなる高みを目指すための進化なのだとか。その真意は? そして日本酒の未来は? ラインナップに加わった新作の情報も踏まえ、「SAKE HUNDRED」を展開する株式会社Clearの代表取締役CEOの生駒龍史さんに、その想いを聞きました。

 

「比較対象のない絶対的な価値」=「ラグジュアリー」というステージを目指す

↑「SAKE HUNDRED」を展開する株式会社Clear 代表取締役CEOの生駒龍史さん。同社は国内有数の日本酒専門ウェブメディア「SAKETIMES」(サケタイムズ)の運営元でもあります

 

今回のリブランディングにより、ブランド表記のほかロゴマークやサイトが刷新され、商品に関しても、ラベルデザイン、ラインナップ、販売価格など多くが刷新されました。その理由や狙いはどこにあるのでしょうか?

 

「『SAKE HUNDRED』は当社の“日本酒の可能性に挑戦し、未知の市場を切り拓く”というミッションのもと2018年7月に立ち上げたのが始まりです。当初は、高品質で高付加価値な日本酒ブランドを作り、未知なる市場を切り拓くことで、業界課題である“日本酒が安すぎる”(労力が大きい割に利益が低く、生産者が報われない)という問題を解決したいと思っていました。いまもベースにある理念は変わっていません。ただ、開発や販売を重ねて多くの方と交流するなかで、私たちが目指すステージはもっと高いということに気付いたのです。そのステージが、ラグジュアリーという世界観です」(生駒さん)

 

ラグジュアリーとは、「ほかに比較対象がない絶対的な価値をもつプロダクト」だと生駒さんは言います。

 

「例えるなら、『プレミアム』は機能訴求で比較対象がほかにあります。一方の『ラグジュアリー』は機能的価値に加え情緒的価値の訴求であり、比較対象がありません。どちらもこだわった造りで、おいしいのも当たり前。でもラグジュアリーブランドはそこに、『人生の大切なひとときに飲んで気持ちが彩られた』『かけがえない人にプレゼントして自分も相手も心が満たされた』といった、情緒的な価値があるんです」(生駒さん)

↑名称は、呼び方こそ「サケハンドレッド」で変わらないものの、算数字だった”100”をアルファベットの「HUNDRED」へ変更。ただし「H」をコラージュしたロゴをよく見ると、1・0・0の数字が施されているのがわかります

 

ブランドの世界観を見直し、「本来あるべき価格」に改定

「お客様と触れるものは、すべて情緒的価値を提供するうえでラグジュアリーとして適切でなければなりません。そこで、ブランドの世界観を見直しました。例えば、ブランドステートメントは『100年誇れる1本を。』から『そのすべてが満ちていく。』へと再定義。100年誇れるという考え方はいまも大切にしていますが、これはものづくり視点での価値観です。お客様を見据えた言葉を据えるべきだと考え、『そのすべてが満ちていく。』としました」(生駒さん)

 

リブランディングのなかでもインパクトが大きいのが、価格の再定義。精米歩合18%と圧倒的に高精白な米で醸された「百光/BYAKKO」は、1万6800円から2万7500円へ。まるでデザートのように濃密な甘味が特徴の「天彩/AMAIRO」は、7300円から1万5400円へ。20年を超える熟成を経た「現外/GENGAI」は、15万円から16万5000円へ。この理由も、ラグジュアリーブランドとしての価値を考えたうえでの改定だったとか。

↑フラッグシップの「百光/BYAKKO」は発売のたびにすぐ売り切れてしまう一本。人気の高さは価格改定しても落ちるどころか上がるばかりで、今回は数百本が2日で完売しました

 

「商品価値は、金額に影響されるという側面があります。また『SAKE HUNDRED』のクオリティは世界の高級ワインにも負けない自信がありますが、いざ並んだときに金額が安いことで下に見られたら悔しいじゃないですか。そういった観点からも、本来あるべき価格に設定させていただきました」(生駒さん)

 

世界で勝つために樽貯蔵に挑戦

なお、「SAKE HUNDRED」は、今年から海外に進出します。その船出にもふさわしい一本として、新たに加わったのが「思凛/SHIRIN」です。志の高さから、新作の完成までかなりの時間を要するという同ブランドにあって、こちらもやっとリリースにこぎつけた力作とのこと。その特徴は?

 

「ひとつ挙げるなら樽貯蔵です。ワインやウイスキーなど、海外には熟成させるお酒が根付いていますから、樽で貯蔵した日本酒というコンセプトは文化的に理解されやすいと考えました。選択肢のひとつとしてポートフォリオにあったら面白いですし、ブランドとしても挑戦する価値があると考えています」(生駒さん)

↑「思凛/SHIRIN」4万1800円。精米歩合18%でクリアな味わいに仕上げた原酒を、ジャパニーズオーク(ミズナラ)の樽で貯蔵した意欲作です

 

手掛けたのは、「百光/BYAKKO」の作り手とも通じる、高精白の米を使うのが得意な技術のある蔵元(奥羽自慢)。蔵元を選ぶにあたっては、清酒をオーク樽で貯蔵するという難しく珍しい試みにも前向きに取り組む志の高さも決め手だったとか。

 

「でも、やっぱり難儀でしたね(笑)。清酒の造りはもちろん、樽の種類や貯蔵期間をどうするかなど、手探りのなかで超えるべきハードルが山積みで。何度も試行錯誤を重ね、ミズナラの樽で9日間寝かせるのがベストという答えにたどり着きました」(生駒さん)

 

華やかさを演出する香りを求め、ミズナラの樽に行きついた

ちなみに、今回、貯蔵用には鏡開きなどで知られる杉樽を使わず、ミズナラの樽を使用した理由は、ワインやウイスキーのような手法を想定していたため。味をイメージしたときに、樽に用いる木は杉ではなかったのだそう。

 

「杉にも良さはありますが、香りが強くて味への影響も強いんです。目指したのは酒質の良さを際立たせながら寄り添うアロマ。洋酒のように、内側を焦がした樽でありながら、華やかさを演出する繊細な香りがほしかったんです。面白かったのは、洋酒で一般的なフレンチオークではなじみが悪く、日本のミズナラがベストだったということ。ぜひ味わってみてください」(生駒さん)

 

では、実際に飲んでみましょう。まず酒質が圧倒的にきれい。華やかなで透明感のある米のうまみに、ミズナラ樽のビターなニュアンスや、バニラを思わせる甘味がほんのり感じられます。気高い彫刻のような美しいボディを感じる、きわめてエレガントな味わいでした。

 

「みずみずしい巨峰のような甘味と、スパイシーなニュアンスをはらんだコク。良い意味で樽に左右されない、凛とした骨格のなかにあるしっとりとした香り。浅すぎず深すぎない、絶妙なバランスに仕上げることが一番難しかったポイントですね。料理に合わせるなら、脂がのった牛肉の霜降りや赤身、マグロなどもマッチすると思います」(生駒さん)

↑樽貯蔵によって、色味はほんのり色づいています。ワイングラスに抱かれた香りが優雅に舞い上がり、鼻孔をやさしくくすぐります

 

ネットで置換できない「情緒的な価値」が受け入れられた

「SAKETIMES」の運営元であり、業界事情にも精通する生駒さん。これからの日本酒はどうなっていくのか、「SAKE HUNDRED」の展望とともに聞いてみました。

 

「日本酒の蔵元は約1400あるものの、ひと月に3社が廃業するダウントレンドです。そのなかで今年は五輪やそれに伴うインバウンドなどが追い風となるはずだったので、『盛り返すぞ!』という空気でしたが、(コロナ禍で)打ち砕かれてしまいました。10年連続で伸びていた輸出も同様です。ただ、『SAKE HUNDRED』はそれでも成長しています」(生駒さん)

↑「SAKE HUNDRED」の勢いを知る目安が、売り上げの伸び率。例えば2020年6月は同年3月に比べて16倍だったと生駒氏は語ります

 

その理由は、「多くのモノやサービスがオンラインに取って代わられるなかで、置換できないもののひとつが『情緒的な価値』だからではないか」と生駒さん。不安や断絶によって失われがちな心の彩りを豊かにする力が「SAKE HUNDRED」にあると、自身も改めて気付かされたと言います。

 

「お客様のアンケートを見ると、購入動機の1位は味わいへの期待なのですが、2位はコンセプトに対する共感だったんです。うれしかったとともに、実は驚きもありました。いわばブランドの哲学を共有することが、お客様の価値につながったのだ、と。そしてこれは、応援消費に近い感情なのではないかと思います」(生駒さん)

 

日本酒の未来を作るためにも、ズバ抜けて成功してみせる

日本酒離れというダウントレンドに加え、アルコール離れに人口減少と、日本酒の置かれる状況がよりシビアになっている現在。だからこそ、ますます道を切り拓いていかなければならないと考えたといいます。

 

「極端に言えば、『店に行けなくて飲む機会が減ったとしても、だからこそ選ぶならこれ!』というブランドにならなければいけないと思います。そうなるには、おいしさは当然のこと、付加価値の最大化が大切じゃないかなと。おこがましいかもしれませんが、業界に対する危機感も、生産者さんも含めて市場を盛り上げていく使命感もあります。自社の成長は大前提で、産業に影響を与えられるぐらいでないと日本酒の未来は作れません。ズバ抜けて成功する勢いで、これからもいっそう攻めていきますよ!」(生駒さん)

↑「SAKE HUNDRED」ブランドアドバイザーの齋藤峰明さん

 

そんな「SAKE HUNDRED」にまた一人、キーパーソンが加わりました。それが、今年の2月からブランドアドバイザーに就任した齋藤峰明(さいとう・みねあき)さん。齋藤さんはエルメスジャポン社長を経て、外国人で初めてエルメスのフランス本社副社長を務めた、ラグジュアリーブランドの大家です。これから生駒さんとのタッグで、より面白い世界をみせてくれることでしょう。今後の「SAKE HUNDRED」、ますます目が離せませんね!

 

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BBQと相性最高のクラフトビール!「TINY GARDEN 蓼科」が気鋭ブルワリー&ビール愛好家と造った逸品

大手ビールメーカーも参入して、ますます盛り上がりを見せるクラフトビール。消費者の選択肢も増えて、こだわりの味を気軽に楽しめるようになってきました。一方で、地域の市場やコミュニティを活性化させるための手段としても、クラフトビールは注目されています。

 

2020年8月1日に発売された「GARDEN ALE(ガーデンエール)」もそのひとつ。アパレルブランドのアーバンリサーチによるキャンプ施設「TINY GARDEN(タイニーガーデン)蓼科」、長野県茅野市のブルワリー「8Peaks BREWING(エイトピークスブルーイング)」らが共同開発した1本です。誕生の経緯とともに味わいをレポートしていきましょう。

 

↑こちらが「GARDEN ALE」(参考価格:税込800円)。長野県の一部店舗のみで手に入る希少な1本です

 

アーバンリサーチのキャンプ場はビール企画も地元コミュニティも創造

GARDEN ALEは、アーバンリサーチが手がけた宿泊施設・TINY GARDEN 蓼科によって開催されたクラフトビールのワークショップ「BEER CLUB」によって生まれました。このTINY GARDEN 蓼科は、長野県・八ヶ岳のふもと、標高1250mの蓼科湖畔という絶好のロケーションにあります。詳細はこちら

 

↑長野県・八ヶ岳のふもとにある「TINY GARDEN 蓼科」

 

↑蓼科湖畔の開放的なロケーション

 

4800坪の敷地に、テントサイトや棟貸しスタイルのキャビンのほか、地元食材をふんだんに使った料理が楽しめるカフェ、ハイセンスなアウトドアギアを扱うショップ、さらには温浴施設も完備しています。

 

↑温泉旅館をリノベーションしたロッジ。カフェやショップ、温浴施設、宿泊施設が入っています

 

↑オートキャンプのテントサイトも充実

 

また、場内にはワークステーション棟やデッキが設えられたマルチスペースを備え、アクティビティやクラフト体験、ワークショップなどが盛んに開催。そのイベントのひとつがBEER CLUBだったというわけです。キャンプ場がハブとなって、地元・長野県のビール醸造家とビール愛好家のコミュニティが誕生しました。

 

八ヶ岳の食と自然を愛するクラフトビールブランドが参画

ワークショップで生まれた商品企画を実際に製品化したのが、八ヶ岳山麓でクラフトビールを醸造している8Peaks BREWINGです。代表の齋藤由馬(さいとうゆうま)さんは、清酒メーカーやクラフトビールメーカーで修業を重ねた後、2018年に同ブランドを立ち上げました。ちなみに八ヶ岳山麓はおよそ80年前に、日本で初めて大手ビールメーカーによるホップの栽培が行われた土地のひとつだそうです。

 

代表作はモルトの優しいコクが印象的な「ヤイヤイペールエール」、フルーティな香りと軽快なキレが特徴の「メタウィートエール」、国産柚子の皮を使った夏季限定の「アチーラ セゾン」などです。

 

↑「8Peaks BREWING」の代表的商品たち

 

ビール造りのコンセプトは、「ここのビールを飲むために八ヶ岳に来たといわれるような存在になる」こと。地元の食材や自然によく合う、すっきりとした苦みのある、香り高いビールが持ち味です。

 

↑八ヶ岳の自然に寄り添うビール造りがモットー

 

華やかな香りとコクが秀逸。キャンプ場やBBQで飲みたい!

8Peaks BREWINGやビール愛好家、地元の飲食店など約30名が集い、クラフトビール醸造企画がスタートしたのが2020年1月。そこから数多くの議論と試作検討の末に「GARDEN ALE」が完成しました。

 

↑クラフトビール醸造企画・BEER CLUBのワークショップの様子

 

同商品は八ヶ岳のふもと、標高1250mの白樺に囲まれたフィールドを舞台とし、「蓼科で、キャンプ場で飲みたい最初の一杯」というイメージで造られています。

 

原材料はイギリスで製造された麦芽をベースに、4種のホップとアイリッシュモスが使用されています。アイリッシュモスはナデシコ科に属する草丈10cmほどの常緑多年草。伝統的なビールの製法でよく登場する原料で、ビールの濁りを取り除く清澄剤として使われます。麦芽比率や副原料の使用量の関係で、GARDEN ALEは日本の酒税法上の分類では発泡酒になります。

 

↑内容量は330ml、アルコール度数は5.2%。麦芽、ホップに加えて、アイリッシュモスが使用されています

 

実際に飲んでみると、みずみずしい柑橘系のフレーバーと、すがすがしいビター感が同居。苦みの中に、爽やかさ、ジューシーさ、酸味などがバランス良く調和し、4種のホップがそれぞれの特徴を引き出し合っている印象です。

 

麦の甘味も豊かで、飲みごたえはしっかり。それでいてほど良いキレがあって爽快感も高く、アルコール5.2%なので重くなくゴクっと飲めます。

 

↑グラスに注いでみました。きれいな琥珀色をしたエールビールです

 

適度な味の濃さと華やかな香り、シャープなのどごしがあり、バーベキューなどの香ばしいシンプルな料理はもちろん、スパイシーな料理などにもぴったり。カラッとした清澄な空気の中でのバーベキューやガーデンパーティを、心地良く彩ってくれるでしょう。

 

↑苦み、酸味、コクのバランスが良く、アウトドアで飲んだら最高です!

 

GARDEN ALEは8月1日から発売していて、現在ではTINY GARDEN 蓼科のほか、「蓼科高原カントリークラブ」や茅野市のそば店「そば傍」で飲むことができます。また、アーバンリサーチが運営する飲食店舗の一部でも提供予定とのことなので、あわせて要チェックです!

 

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「檸檬堂」の“裏メニュー”ってどんな味!? 常連限定のレモンサワーをひと足お先に飲んでみた

コカ・コーラシステムが同社初のアルコール飲料として九州限定で発売して話題となり、その後全国展開された缶チューハイ「檸檬堂」シリーズが、“常連さんだけに出す裏メニュー”をテーマにした「家飲みの常連さん」キャンペーンを開始しました。

 

それは、麦焼酎を使った非売品の「うらレモン」を合計5000名にプレゼントするというもの。今回は、その「うらレモン」をキャンペーン開始前に頂いたので、どのような味なのかレポートしたいと思います。

 

常連しか飲むことのできない“裏メニュー”を再現

今回のキャンペーンは、檸檬堂の店主が、気分が乗ったときだけ常連のお客さんに出すという裏メニュー「うらレモン」が、6本1組セットで抽選で5000名に当たるというもの。この「うらレモン」は非売品のため、このキャンペーンでしか飲むことのできない貴重なものとなっています。

↑「うらレモン」はビン入り。非売品を表す「うらぬ(売らぬ)」がかけられています

 

↑ラベルには「コカ・コーラ謹製」の表記とともに「非売品」の文字が

 

その特徴は、檸檬堂シリーズならではの「皮ごとすりおろしたレモン」をあらかじめお酒に漬け込む“前割り製法”はそのまま、麦焼酎で仕込んだまろやかさが楽しめるというもの。通常の檸檬堂シリーズはスピリッツを使ったキレのある味わいなので、飲み口の違いを楽しむこともできます。

↑一足お先に飲んでみました

 

檸檬堂シリーズは、現在、「定番レモン」「塩レモン」「はちみつレモン」「鬼レモン」の4種類をラインナップ。まずはそれぞれの特徴と、筆者が飲んだ一口メモを合わせて紹介しましょう。

↑檸檬堂シリーズは4種類をラインナップ

 

檸檬堂 定番レモン
果汁:10%
アルコール度数:5%

お店で出てくるレモンサワーを再現したスタンダードなテイスト。豊かなレモンの風味と、後味が残らないキレのある飲み口で、どんなシーンにでも合いそうな味わいです。どれにするか迷ったら、まずはコレ!

 

檸檬堂 塩レモン
果汁:7%
アルコール度数:7%

甘さ控えめでビターなテイスト。塩レモンといいつつもそれほど塩っけはなく、さっぱりした飲み口で食事のお供にピッタリ! アルコール度数はやや高めなので、しっかり飲みたいときにも。

 

檸檬堂 はちみつレモン
果汁:7%
アルコール度数:3%

はちみつの風味をしっかり感じられる甘みのあるやさしい味わい。アルコール度数は抑えめなので、お酒に強くない方や女性にもオススメ。

 

檸檬堂 鬼レモン
果汁:17%
アルコール度数:9%

シリーズ中最も果汁が多く含まれており、レモンの皮の苦みまで感じられる濃厚な味わいが楽しめます。アルコール度数も高く、パンチのある飲みごたえ。がっつり酔いたいときに。

 

檸檬堂 うらレモン
果汁:10%
アルコール度数:5%

飲んだときの第一印象は「定番レモン」に近いと思いつつ、後味に麦焼酎ならではの深みを感じられます。スッキリとキレのある「定番レモン」に対し、まろやかさとコクを感じられる「うらレモン」という印象。ぜひ両方飲み比べてみてほしいですね。

 

5種類を飲み比べたあとは、すっかりほろ酔い気分。家飲みは、帰ることを心配しなくていいので、ついつい飲みすぎてしまいますね。

 

この「うらレモン」は、スマートフォンのキャンペーンサイトから檸檬堂シリーズのバーコードを読み込むことで、1日1回もらえる“常連さんのはんこ”を5つ集めると応募可能。抽選で合計5000名に「うらレモン」6本セットが当たります。

 

応募期間は2020年8月24日(月)~11月30日(月)23時59分まで。抽選は期間ごとに区切られ、計8回行われます。1回の応募で当選しなかった場合も、あきらめずに応募してみましょう。詳しくはキャンペーンサイトをチェック!

 

【抽選スケジュール】
第1回応募締め切り:2020年8月28日(金)
第2回応募締め切り:2020年8月31日(月)
第3回応募締め切り:2020年9月6日(日)
第4回応募締め切り:2020年9月13日(日)
第5回応募締め切り:2020年9月20日(日)
第6回応募締め切り:2020年9月30日(水)
第7回応募締め切り:2020年10月31日(土)
第8回応募締め切り:2020年11月30日(月)
※各抽選につき、お一人様1回までの当選となります

 

【フォトギャラリー(画像をタップするとご覧いただけます)】

 

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紹興酒って何? どうやって飲む? いまさら聞けない「紹興酒の基本」の噺

長い歴史を持つ中国のお酒・紹興酒(しょうこうしゅ)。今回は、初心者でも家飲みで気軽に楽しめるよう、識者を招いて紹興酒の魅力と基礎知識を教えてもらいます。

 

餃子に麻婆豆腐、エビチリにチンジャオロースー……中華料理は、すでに我々の食生活には欠かせない存在となっています。特に今はおうち時間が増えて、中華料理のデリバリーや惣菜をつまみにして飲んでいる人も多いでしょう。そこで注目したいのが、「中華料理に合う」と言われる紹興酒。ただし、聞いたことはあるけれど、どんな飲み方をしたらいいかわからない、そもそもどんなお酒か、わからないので手が出せない……という人は少なくないはず。

そこで今回は、興味はあるものの紹興酒についてはあまり知らないGetNavi web編集部の小林史於(こばやし・しお)が、酒文化研究所の山田聡昭(やまだ・としあき)さんをガイドに招き、紹興酒の基礎を教えてもらいます。前編では、紹興酒の定義や製法、飲み方など、いまさら聞けない「きほんのき」を伝授してもらいます。

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

↑今回、紹興酒のガイド役をお願いした山田聡昭さん。様々な媒体で連載をもつほか、『酒席に役立つ読む肴 サラリーマン酒白書』(紀伊国屋書店)など編集や執筆に携わった著書も多数

 

もち米の醸造酒を熟成させた老酒のうち、紹興市で造られたものが「紹興酒」

取材に協力してくれた山田聡昭さんは、「酒文化研究所」の設立メンバーであり、かつては情報誌「さけ通信」の編集長を務めるなど、お酒全般に造詣が深い人物。紹興酒の醸造現場を取材した経験もある、紹興酒の達人でもあります。さっそく、「紹興酒とは何か?」というところから解説していただきましょう。

↑今回は、伝統的な製法で造られる「塔牌(とうはい)」という銘柄を例に挙げてレクチャー

 

小林 本日はよろしくお願いします! 基本的すぎて恐縮ですが、紹興酒って何でしょうか。まずは、定義から教えてください!

 

山田 大きな分類でいえば、紹興酒は醸造酒(※)です。日本酒やワイン、ビールなどと同じ部類ですね。中国では穀物の醸造酒を黄酒(ホワンチュウ)と呼び、なかでも長期熟成させたものを老酒(ラオチュウ)と呼びます。もち米を原料とした老酒の一種が紹興酒。浙江省(せっこうしょう)の紹興市で造られた老酒のみ「紹興酒」と名乗ることができます。

※醸造酒……穀類・果実などの原料を、酵母によりアルコール発酵させて造ったお酒(日本酒・ワインなど)

↑紹興酒のふるさと・紹興市の風景。紹興市は湖沼が多く、水路が発達しています

 

小林 へえ、「紹興」って地名だったんですね。中国のどのあたりにあるんですか?

 

山田 紹興市は、上海から南西にクルマで2~3時間くらいの位置にあります。産地でブランド化している中国のお酒は紹興酒ぐらいでしょうね。スパークリングワインでいえば、シャンパーニュ(同地方で造られたものしかシャンパーニュと名乗れない)のようなものです。ちなみに紹興での酒造りの歴史は古く、2400年以上前の春秋時代には、紹興で盛んに酒造りが行われていたと推測されています。

 

小林 2400年前! 春秋時代といえば、マンガ「キングダム」の時代(戦国時代)のさらに前ですよね。これはロマンがある! でも、それだけ昔から酒造りが続いてきたってことは、紹興はかなり酒造りに適した場所、ということになりませんか?

 

山田 そうですね。紹興は中国屈指の水郷地帯で、紹興酒は名水として知られる鑒湖(かんこ・鑑湖と表記することもある)の水を使うのが絶対条件のひとつです。この水の良さは大きなポイントです。

↑会稽山脈系の伏流水が涌き出る鑒湖

 

↑鑒湖の水は、もち米の洗浄や浸漬(米に水をしみ込ませること)をはじめ、仕込み全般に使われます

 

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原料と製法は? 日本酒との違いに注目して解説

小林 では、続いて紹興酒の原料や製法について教えてください。日本酒と同様、お米を使っているということで、日本酒と比べて解説してもらえるとうれしいです!

山田 日本酒はうるち米を使いますが、紹興酒の原料は、より粘り気のあるもち米ですね。そして、両者とも米のデンプンを糖に変える工程(糖化)を踏まないと、アルコール発酵ができない。だから、日本酒も紹興酒も、米を糖化させる麹(こうじ)というカビの一種を使うのですが、日本酒と紹興酒では麹の種類が違います。日本酒では米に「黄麹」(きこうじ)というカビを繁殖させた米麹を使うことが多いですが、紹興酒の場合は麦にクモノスカビという系統のカビを繁殖させた麦麹を使います

 

小林 なるほど。日本酒と同じで米を糖化させる作業は必要だけど、使う麹の種類が違うんですね。

 

山田 そうなんです。さらに紹興酒は麦麹で米のデンプンを糖化させつつ、酵母などを含んだ酒薬(しゅやく)というものを加えてアルコール発酵させる。これが、紹興酒の仕込みの概要です。仕込みの方法は、糖化とアルコール発酵を一つの容器で同時に行う「並行複発酵(へいこうふくはっこう)」で、その点は日本酒と共通ですね。ちなみに、近年の仕込みではステンレスタンクを使うことも多いですが、「塔牌」のような伝統製法の紹興酒は甕(かめ)で仕込みます。甕で二段階の自然発酵を行い、搾って原酒と酒粕に分けたら、今度は貯蔵用の小さな甕に詰めて長期熟成を行います。

↑伝統製法を守る「塔牌」の仕込み。職人たちは気候やもろみの温度、発酵の進み具合などを見ながら、長い棒を操って甕の中をかくはんします

 

↑貯蔵用の小さな甕にお酒を詰めたら、ハスの葉や油紙、竹の皮などで密閉して外気が浸透しないようにします

 

小林 うわあ、手が込んでいますね。いったいどれぐらい熟成させるんですか?

 

山田 3年や5年といったものから、8年、10年、15年、あるいはそれ以上とじっくり寝かせるものまで多種多様。かつて紹興では、娘が生まれたのを機に、父が紹興酒の甕を地中に埋めて娘が嫁ぐ日に振る舞ったことから、紹興酒は「花彫酒」(はなほりしゅ・かちょうしゅ)という別称で呼ばれることもあります。現在ではこの「花彫酒」が、長期熟成酒の愛称として使われることもありますね。この熟成の長さに応じた味わいの変化が、紹興酒の面白さでもあるわけです。日本酒の場合、3年以上の熟成を行うことはまれですから、そこも大きな違いですね。

↑「塔牌」の貯蔵庫。天井が高く、常に一定の温度に保たれた環境で甕を3~4段に積み重ねて貯蔵。年に一度、場所を入れ替えながら熟成させます

 

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軽快な味わいの5年ものをロックですっきり楽しむ

小林 紹興酒とは何なのか、とてもよくわかりました。 次は飲み方について教えてください!

 

山田 では、日本でもポピュラーな「塔牌」(とうはい)というブランドを使って、飲み方を紹介していきましょう。

小林 この赤いラベルに塔のマークが入った紹興酒は見たことあります! 居酒屋やスーパー、コンビニなどでもよく見かけますね。

 

山田 「塔牌」は日本での流通量が多いですからね。今でも伝統製法にこだわっていて、水質が最も安定する冬季にのみ仕込んでいるからか、紹興酒のなかでもクリアな味わい。初心者にもオススメです。まずは、何も入れずに常温で飲んでみてください。

↑紹興酒「塔牌」花彫 <陳五年>

 

小林 …ああ、これはウマイですね! 甘みや複雑な旨み、酸味が調和していてまろやかです。それでいてしつこさはなく、透明感もある……。熟成のせいなのか、独特の香味もあるんですね。

 

山田 おっしゃる通り、<陳五年>は5年の熟成を経ていて、深みのある味わいです。紹興酒のなかでも特に長期熟成させるものは「陳年」の名称が付けられるのですが、「塔牌」はすべてが「陳年」なんです。ちなみに「陳五年」とは、5年熟成酒をメインに4年ものや6年ものなどをブレンドして、加重平均で5年以上のものに付けられる酒齢のこと。若くて力強い酒や、年数を経て落ち着いた酒を巧みにブレンドすることも、おいしさの秘訣です。では、続いて5年以上の熟成酒だけを使用した<純五年>という銘柄をオン・ザ・ロックで試してみてください。

↑5年以上の陳年原酒のみを詰めた紹興酒「塔牌」<純五年>プレミアムをロックでいただきます

 

小林 ではひと口。あっ! ロックでほどよく冷えたからか、コクがありながらすっきりした味わいになりました! 飲み方のイチオシはロックなんですか?

 

山田 いえ、飲み方は何でもいいんですよ。ただ、熟成の度合いや季節、料理に応じて合わせると、より楽しめると思います。今回の<純五年>はそれ以上の熟成期間の紹興酒よりも軽快な味なので、ロックのように爽やかな飲み方がよく合うと思いまして。

 

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ぬる燗のほか常温をワイングラスで楽しむのもオススメ

小林 なるほど、勉強になります! あれ、日本酒の徳利がありますけど、次は燗ですか?

↑白い甕が特徴の紹興酒「塔牌」2010年<福(フータオ)>を燗でいただきます

 

山田 はい、今回は40℃くらいに温めてみました。日本酒でいうぬる燗くらいですね。お酒は2010年に醸造した陳年原酒のみを使用したヴィンテージ紹興酒の<福(フータオ)>です。

 

小林 ああ、これもウマイ……じんわり染み渡るおいしさです!

 

山田 紹興酒は乳酸が多く、乳酸は温めると味わいがふくらむんです。温め方は、湯せんでも電子レンジでもいいですよ。

 

小林 熟成が深いからか、まろやかさや上品な酸味がより際立っていますね。

 

山田 熟成感が増すことで、カラメルのような心地いい風味がより豊かになり、味のやわらかさや厚みもアップするんです。さあ、次はさらにリッチな「塔牌」の<陳十五年>を飲んでみてください。こちらは飲み口がすぼまった大きめのワイングラスで、香りを逃さず楽しむのがオススメです。

↑15年の長期熟成を経た特撰紹興酒「塔牌」<陳十五年>

 

小林 ああ……なんというエレガントな香りでしょう。確かに、常温でワイングラスだと香りが際立ちます。味は繊細で軽やか、上品で芳醇……舌触りも滑らかで、すいすい飲めます。これはウマイ!

 

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暑い季節は中国茶割りや炭酸割りでゴクゴク飲むのもよし

山田 あとは、暑い季節だとソフトドリンクで割ってゴクゴク飲むのもいいと思います。例えばジャスミン茶やウーロン茶などの中国茶割りはいかがでしょう。

 

小林 紹興酒の甘味や酸味に、自然な香りや渋味が加わって、これもいいですね! アルコール度数が下がってグッと飲みやすくなりますし、さっぱり飲めるので、濃厚な料理によく合いそうです。

↑紹興酒をジャスミン茶で割っても美味しい!

 

山田 あとは炭酸割りも面白いですよ。町中華や居酒屋でも「チャイナハイボール」の名称でよく見かけるようになりました。

 

小林 こうしてみると、紹興酒って常温でも、冷たくしても、温めても、割っても楽しめるスゴいお酒なんですね! ちなみに、氷砂糖やザラメを加えて飲むというやり方もあると聞いたのですが、これはどうなんですか?

 

山田 ああ、それはかつて質の悪いお酒を飲みやすくするためにした方法ですね。これが正しい飲み方だと勘違いされている方が多いかもしれませんが、しっかりした紹興酒なら、本来の味を損なうのでオススメしません。

 

小林 なるほど、そうでしたか! 知らなければ、中華料理店で頼んでしまったかもしれません。

 

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紹興酒は油を使った料理や旨みの強い料理によく合う

小林 では、最後にもうひとつ、紹興酒はどんな料理と合うんでしょうか。

 

山田 中華料理をはじめ、油を使った料理にはよく合いますね。紹興酒の乳酸が油っこさを切ってくれますから。発酵食品や発酵調味料との相性も抜群です。あとは、旨みの強い料理。紹興酒の旨みと料理の旨みが重なって、相乗効果が生まれます。

 

小林 ああ、いいですね! 料理とのペアリングも試してみたい! そういえば、だんだんお腹がすいてきました……。

 

山田 では、紹興酒にこだわった中華料理店があるので、これからそこに行きませんか? 紹興酒を実際に料理と合わせたら、もっと美味しく感じると思いますよ。

 

小林 いいですね! ぜひ行きましょう!

 

……ということで、次回は山田さんとともに中華料理店で実地研修。「紹興酒と料理とのペアリング」について、紹興酒に詳しい飲食店のマネージャーにお話をうかがいながら、料理とのペアリングを堪能します。お楽しみに!

 

記事に登場したお酒はこちら▼

・紹興酒「塔牌」花彫 <陳五年> 600ml

https://www.takarashuzo.co.jp/products/touhai/lineup/index.htm#item_01

 

・紹興酒「塔牌」<純五年>プレミアム 500ml(販売ルート限定)

https://www.takarashuzo.co.jp/tkr-shohin/cmn_p_detail.php?p_prodid=3140

 

・紹興酒「塔牌」2010年<福(フータオ)> 500ml

https://www.takarashuzo.co.jp/tkr-shohin/cmn_p_detail.php?p_prodid=3144

 

・特撰紹興酒「塔牌」<陳十五年> 500ml

https://www.takarashuzo.co.jp/products/touhai/lineup/index.htm#item_11

 

撮影/我妻慶一

 

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最近の売り上げ絶好調! 真のサワー好きが選ぶ名酒「本搾り」の魅力を改めて紐解く

長期トレンドとなっている缶チューハイ。特に高アルコール系は「コスパ良く酔える」として注目を集めていますが、個人的に「本当にコスパが高いのはこっちでは?」と思うカテゴリーが、高果汁チューハイです。なぜなら、果実感と本格感が抜群だからです。

 

そんな高果汁チューハイの元祖がキリンの「本搾り」。筆者のなかでは、新商品発表会などがあまりないイメージのブランドなのですが、なんとウェブセミナーを開催するという情報が。これは滅多にないチャンス! ということで参加し、魅力やおいしい飲み方、ペアリングなどを教えてもらいました。

 

↑「本搾り」は現在、レギュラー商品に夏季限定の夏柑(写真最左)を加えた計6種のほか、イオングループ限定の「薫りぶどう&芳醇りんご」と「スウィーティー&洋なし」が発売中

 

ここに来て売れに売れているワケ

今回なぜセミナーを開催したのか、その理由のひとつが、最近の売り上げが絶好調だからです。8年連続の2ケタ増で売れてきたなか、今年の4~5月のリニューアル効果で2カ月連続過去最高の売り上げを記録。そして発売以来、累計20億本(250ml換算)を突破したとか。

 

その期間はステイホームで、おそらく「本搾り」以外の缶チューハイも好調だったはず。ただし筆者はこう仮説しています。居酒屋の生搾りサワーを好きな人が、馴染みの店の味を缶チューハイに求めて「本搾り」を手に取る機会が増え、売り上げ増に影響したのでは?と。

 

そう。飲んだことがある人ならわかると思いますが、「本搾り」は普通の缶チューハイに比べて生搾りサワーの再現性が圧倒的に高いのです。なぜならズバリ「居酒屋の生搾りサワーが家でも飲めたら幸せだろうなぁ」という夢を実現するべく開発されたから。

 

↑開発秘話は、公式サイトで「本搾り™に異常な情熱を注ぐ開発者たち」としてより詳しく紹介されています

 

誕生には多くの苦難があったそうです。業界初となる「香料・酸味料・糖類無添加」とおいしさの両立、理想の味を再現するため居酒屋を何十軒も巡るフィールドワーク、世界中の果実畑を開拓し数年かけてでも探し抜くという素材への飽くなき探求。“異常”を自負するほどのモノづくり精神には、強いブランド愛が込められています。そして、その熱は飲み手にも。「缶チューハイはこれじゃないとだめ!」という熱狂的なファンが他ブランドより多いことも「本搾り」の特徴だそうです。

 

↑「本搾り」をはじめ、高果汁チューハイに共通する特徴が、逆さまにしてしばらく置いてから開栓すること。これにより、果汁の濃度を均一にするのです。聞けば、これを採用したのも「本搾り」が業界初だとか

 

また「本搾り」のデビューは2003年ですが、もともとワインメーカーであるメルシャンが開発したブランドであることもポイント。“果汁からつくる”という、ワイン造りと似たプロセスを採用するなど、果実酒づくりのプロの知見が生かされ、いまに至るのです。

 

↑初期から続くフレーバーがレモンとグレープフルーツ。人気のトップ2(1位:グレープフルーツ、2位:レモン)でもある「本搾り」の大定番です

 

今夏はピリ辛中華やエスニック料理に合わせたい!

セミナー後半は、現在の中身づくりの開発ストーリーとオススメの飲み方の話へ。今春のリニューアル時に、レギュラーに仲間入りしたのがライム。マーケティング部の3名を中心に、トークセッションが繰り広げられました。

 

↑左上がRTDの中味開発を手掛ける松田莉央子さん、右上が「本搾り」のブランドマネージャー・小野寺有紀さん、下が「本搾り」の企画開発などを担当する鈴木千尋さん

 

今回のライムは5年ぶりの発売。「食事と一緒に楽しみたいRTDのフレーバー」という消費者アンケートをとったところ、3位がライム(1位:レモン、2位:グレープフルーツ)だったことから復活することになったそうです。そして、最新版の味づくりに関して松田さんがポイントを教えてくれました。

 

「通年商品ということで、期間限定フレーバーよりも季節を問わずおいしく飲める味にすることを意識しました。そのうえで、ライム特有の青々とした爽やかさを生かしつつ、クセやカドのないマイルドな酸味に仕上げています」(松田さん)

 

↑注いだ瞬間からあふれ出る豊かな香りからして格別。甘味を抑えたビターな柑橘感と、すがすがしい風味も印象的です

 

なお「本搾り」は香料、酸味料、糖分などは使わないため、味づくりは非常に難しいのだそう。だからこそ世界中から果実を厳選して集め、その組み合わせと搾り方で目指す味へと調整するのです。

 

↑高果汁によるにごりも「本搾り」の特徴。果汁が45%にもなるオレンジは、特にわかりやすいフレーバーです

 

オススメの飲み方は、ペアリングの紹介から。なんと、セミナーのために上記3人が30種以上のおつまみから事前にテストし、ライムとレモンにベストマッチな3品を選んでくれました。それが明治屋の缶詰「国産真いわしと野菜のトマト煮」とパウチ「おいしいイベリコ豚タン」、そして伍魚福の乾きもの「カレーカシューナッツ」です。器に盛り付けて実践してみました。

 

↑「国産真いわしと野菜のトマト煮」はライム、レモンともにマッチ。そして「おいしいイベリコ豚タン」はレモンと、「カレーカシューナッツ」はライムによく合うそうです

 

そして、味覚のプロである松田さんが解説。「ライムはトマトのうまみ、いわしの苦味とマッチするとともに、ライムの果汁感がやさしく調和します。レモンはトマトといわしのうまみを受け止めつつ、レモンの苦味が味に深みを出し、その一方で後味をすっきりさせてくれます」

 

また、ライムはエスニック系の味とベストマッチするとか。果皮にある爽やかでスパイシーな香りが、カレーなどのスパイスの香りと調和して風味が増すとともに、マイルドな酸味と果汁感が甘味のあるカシューナッツの後味に合うそうです。

 

レモン×イベリコ豚タンに関しては、ブラックペッパーが効いたしっかりしたタンのうまみを、レモンの果汁感と酸味が受けとめて後味をさっぱりと。リセットされることで、ブラックペッパーの風味がほのかに残る余韻も楽しめるそうです。

 

↑グレープフルーツとピンクグレープフルーツは、例えばピリ辛な中華料理が合うとのことで、四川麻婆豆腐と海老チリを用意してみました

 

こちらは鈴木さんが解説。「グレープフルーツとピンクグレープフルーツは、ともに酸味、苦味とほんのり甘味があるフレーバーです。そこでオススメなのが中華。ほのかな甘味が料理の辛味をやさしく、また、お酒の甘味と料理の甘味の相乗効果があるので、海老チリのほかに酢豚なども合うと思います」とのこと。

 

↑甘味のあるオレンジにも、酢豚はよく合うとのこと。また、エスニックなスパイシー系もオススメとのことで、カレーを作ってみました

 

オレンジは明るい甘酸っぱさと、温かみのあるジューシーさが絶妙。「お酒には甘味があったほうが飲みやすい」という人はこのオレンジから試してみるとよさそうです。カレーとフルーツの相性のよさは、「バーモントカレー」でもおなじみ。苦味や酸味のやさしいオレンジの風味が、カレーの刺激を包み込んで調和する好ペアリングです。

 

最後に紹介するのは、グラスを変えるだけで「本搾り」の味わいが変わるという実験。片方は広口グラス、もう片方はすぼまったフルートグラスを用意して、それぞれにライムを注いで味の違いを確かめてみました。

 

↑缶チューハイをフルートグラスで飲むのはおそらく初めて。かなり期待大です

 

飲み比べてみると違いは明らか。広い方は口に入ってくる量が多く、炭酸の強みが広がって爽快感が強い印象。一方のフルートグラスは、細いグラスが鼻孔に向かってストレートに伸びているので、香りの入り方が直線的。口に入る量は少しずつなので、広口グラスよりも炭酸が抑え目で、そのぶん果汁のうまみや苦味を強く感じます。これは面白い違いなので、フルートグラスがある人はお試しください。

 

セミナーのあとは質疑応答のコーナーということで、気になっていたことをひとつ。フレーバーごとに、果汁とアルコールの%が違うのはなぜなのでしょう? こちらは小野寺さんが答えてくれました。

 

「果汁とアルコール、それぞれの量のバランスを試行錯誤しておいしさを最大限に引き出した調整の結果です。お店の生搾りサワー店のおいしさを目指して、果実をいくつも搾って濃度や成分を分析したり、搾ったときに手に付いた香りまで再現したくて、皮も含めて果実をまるごと搾って調整しました」(小野寺さん)

 

やはり原点はお店の生搾りサワーとのこと。未体験の人や「最近本搾り飲んでなかったなー」という缶チューハイ好きの人は、ぜひこの機会に!

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

飲食店への恩返しです! 「獺祭」が街飲みを応援する「特別な日本酒」をリリース

昨今の日本酒トレンドを語るうえで外せない銘柄のひとつが、山口県・旭酒造の「獺祭」(だっさい)です。特に海外展開に関してはパイオニアといえるブランドで、世界のSAKEブームをけん引する一本といっても過言ではありません。

 

そんな「獺祭」が、国内向けに画期的な取り組みを発表しました。それは特別に醸した夏酒を、飲食店限定で提供するというもの。ブランドの概要から企画の詳細、味のレポートなどをお伝えしたいと思います。

↑全国の飲食店限定で提供される「獺祭 純米大吟醸 夏仕込みしぼりたて」。価格はお店ごとに変わります。発表会の会場となった銀座の「夢酒みずき」ではグラス一杯770円で提供されています

 

山田錦を使った純米大吟醸「獺祭」のみを醸す

まずは改めて「獺祭」とはどんな日本酒なのか、という解説から。蔵元の旭酒造で最も特徴的なのは、醸す銘柄は「獺祭」のみで、すべての日本酒が「純米大吟醸酒」ということ。一般的に旭酒造ほど規模の大きい蔵元は、様々な銘柄をもち、醸造アルコールを添加するタイプや、精米歩合(米を磨く割合)の低いタイプなど多彩なバリエーションで商品を展開します。しかし、「獺祭」はあえて純米酒(米、米麹、水だけで造った酒)かつ大吟醸(精米歩合50%以下の米を使い、低温でじっくりと時間をかけて発酵させる酒)に狙いを絞って造っているということです。

↑蔵を代表する一本が「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」(5390円/720ml)。精米歩合23%(米の77%を削った状態)で、華やかな上立ち香と口に含んだときのはちみつのような甘み、きれいなキレと長い余韻が特徴です

 

使用する酒米が「山田錦」のみということもポイントです。この「山田錦」は粒と心白(米の芯となる白い部分)が大きくて精米しやすく、吸水率が高くてこうじ菌が活性化しやすいうえ、雑味の元となるタンパク質が少ない、といった日本酒造りに適した要素をたくさん持っていることから“酒米の王様”と呼ばれています。この山田錦を使うことは、シンプルに良質な酒を造るという「獺祭」のブランドコンセプトにも通じるものです。

↑コロナ禍で酒米の生産者である農家さんの出荷にも影響をおよぼしており、その応援のために「獺祭の酒米 山田錦」375円/450gも発売中。こちらは一般発売されていて、筆者は「いまでや銀座」で購入

 

街が活気を取り戻すために特別な酒で応援したい

そんな「獺祭」が、「飲食店を盛り上げたい」という想いで特別に醸したのが新作の限定酒「獺祭 純米大吟醸 夏仕込みしぼりたて」です。発表会では、旭酒造の桜井一宏社長がアツい心の内を語りました。

↑旭酒造の桜井一宏社長

 

「現在、街を歩いてみると活気があまりない状況だと思います。これは、皆様一人ひとりが距離を取るなどして頑張っていらっしゃるからだということはわかります。ただ、ちょっと寂しいなと。そんな街のにぎわいを応援したいと思ったのが開発のきっかけです。また、私どもとしてはやっぱり飲食店さんに恩返しをしたい。活気といってもどんちゃん騒ぐのではなく、皆様が感染しないように努力をしたうえで一歩を踏み出し、お店で元気や笑顔を共有していただけたら。そんなお手伝いをしたいと思っています」(桜井社長)

 

お酒の味わいのコンセプトは、夏らしい爽快な味わいを、搾りたてて届けるというもの。しかも作り置きはしない完全受注生産で、とにかく鮮度にこだわったチャレンジングな生酒です。

↑受注と出荷のスケジュール例。毎週木曜日にその週の受注を締め切り、翌週の火曜日に酒販店へ出荷。東京であれば翌日水曜日の午後には届く流れとのことです。最終出荷は9月22日を予定

 

味わいはフレッシュで甘やか。ジューシーでボディも十分

一般的に、日本酒は火入れを行うことで酵母のはたらき(発酵)を止め、長期間安定保存できるようにしています。しかし、「獺祭 純米大吟醸 夏仕込みしぼりたて」は、火入れ(加熱)をせずに造った生酒。フレッシュながら味の劣化が早いという特性があります。

 

「もぎたての果物やとれたての野菜のように、一番新鮮な日本酒をお届けしたいと思いました。ふだんは蔵人しか飲めない、フレッシュなおいしさです。希少な味わいを体験することで元気に、笑顔になっていただき、そして人生のゆとりを感じていただきたいですね」(桜井社長)

↑フルーティな香味が魅力的な「獺祭」は、ワイングラスで飲むのがオススメ

 

さて、実際にそのお味はどのようなものなのか? さっそく頂いてみると、精米歩合45%の純米大吟醸だけあって、果実味あふれる華やかな香りが印象的。味わいはジューシーで甘やか。フレッシュかつ米のうまみもしっかりあって、生酒ならではのエネルギッシュな生命力を感じます。

↑発表会ではペアリングも体験

 

試食した料理は、どれも夏らしい和食。はもの白焼きと、山口・下関産のとらふぐを使った冷やし雑炊です。どちらも、魚介のうまみが前面に出た力強い味で、生酒のみずみずしくエネルギッシュな味わいと調和していました。

 

桜井社長にほかのペアリング例を聞くと、アスパラガスをはじめとした夏野菜のほか、しょうゆが効いた料理や照り焼き、煮込みなどにも合うそうです。なお、今回お酒を提供する店は和食だけでなくイタリアンやビストロなどもあり、そのようなお店では「白ワインのような楽しみ方で味わってください」とのことでした。

 

筆者が発表会に参加して強く感じたのは、「やっぱりプロが作ったできたての料理は超ウマい!」ということ。そして、「おいしい料理と酒は互いに引き立て合う」ということです。みなさんもぜひ、その魅力を体感するために、公式サイトの「飲める店一覧」を参考にして、お店を訪れてみてください!

公式サイトには、「飲める店一覧」も掲載されています。対象は全国なのでぜひチェックを

 

なお、本企画を後押しする取り組みとして、9月30日までの期間にSNSで「獺祭」が毎週当たるキャンペーンも展開中。「獺祭 純米大吟醸 夏仕込みしぼりたて」をお店で飲み、写真に「#街飲み獺祭」を付けてSNSに投稿すると「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」の四合瓶が毎週23名に当たるというものです。こちらもぜひチェックしてみてください!

 

【今回訪れたお店】

夢酒みずき

住所:東京都中央区銀座6-7-6 ラペビルB1

アクセス:東京メトロ「銀座駅」B5出口徒歩3分

営業時間:(当面の間、営業時間を変更)月~金17:00~22:00(フードL.O.21:00/ドリンクL.O.21:30)、土16:00~22:00(フードL.O.21:00/ドリンクL.O.21:30)
定休日:日祝

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

飲兵衛5人が断言 !「ふなぐちに合う缶つま」ベストマッチはコレだ!

菊水酒造が日本酒を楽しむ「コト」づくりの一環として開催しているイベント「ふなぐちに合う缶つま(※1)選手権」に、酒好きの編集部員がチャレンジ! 全70種ある缶つまのなかから缶詰博士こと黒川勇人氏が厳選した10種類を食べ比べ、これぞ「ふなぐち」に合うと思う商品をレコメンドします!

※:国分グループ本社が発売するおつまみ缶詰No.1として知られる缶詰シリーズ

 

【菊水酒造について詳しくはコチラ

 

菊水酒造
ふなぐち菊水一番しぼり
実売価格318円(200㎖缶)

1972年に日本初(※)の缶入り生原酒として登場したロングセラー。「コンビニ最強酒」の異名を持ち、累計出荷数は3億本を誇る。果実のようなフレッシュな香りとコクのあるしっかりとした旨みが織りなす豊かな味わい。

※:1972年11月、日本で初めて生原酒缶を商品化/(株)コミュニケーション科学研究所調べ(2010年1月)

 

ふなぐちに合う缶つま選手権」って?

缶入り清酒ナンバーワン(※1)の「ふなぐち菊水一番しぼり」と、おつまみ缶詰ナンバーワン(※2)の「缶つま」がタッグを組み開催中のキャンペーン。一般投票によりふなぐちに最も合う「缶つま」を決定する。

※1:生酒・生貯蔵酒出荷量が日本一/2019年2月「酒類統計月報」日刊経済通信社調べ ※2:富士経済(2019年 食品マーケティング便覧)<おつまみ缶詰 2017年>調べ

 

【サイトはコチラをCHECK!】

 

 

缶詰のプロが教える! ふなぐちと缶つまの合わせ方


缶詰博士・黒川勇人さん

数千種類以上の缶詰を食してきた世界一の缶詰ツウ。著書に「旬缶クッキング(ビーナイス刊)」などがある。

 

1.濃醇な味わいに負けないパンチのある味を選ぶ

「ふなぐちは甘味や酸味、お米本来の品の良い苦味など、各味わいがほかの清酒よりも強く旨みが濃いため、パンチのある味の缶詰にピッタリ!」(黒川さん)

2.強めの香りを重ね心地良い余韻を創出

「炭火焼きによる炭の香りや、香ばしい燻製の香りなど香りの強いものがオススメ。ふなぐちの個性に負けず、両者の心地良い余韻を楽しめます」(黒川さん)

3.高いアルコール度数に缶詰の油分がよく合う

「油分とお酒の相性は抜群。特にふなぐちはアルコール度数が19度と日本酒のなかでも高めなので、油分の多い缶詰によく合いますよ」(黒川さん)

 

GetNavi編集部が選ぶマイベストマッチ缶つまはコレだ!

■GetNavi編集長 川内一史

乾杯はほぼビールだが、飲み会の中盤から日本酒に移行するのが定番コース。冷やがおいしい日本酒を好む。

 

【マイベストマッチ 缶つま】

ぶりの脂と甘じょっぱさがパンチのあるふなぐちと調和

国分グループ本社
缶つま 九州産 ぶりあら炊き
432円

九州産の「うまかぶり」の希少なアラをじっくり炊き込み、骨まで柔らかく仕上げている。「ぶりの濃厚な脂と甘じょっぱい濃いめの味付けが、ふなぐちのパンチの効いた味わいに負けず見事に調和しています」(川内)

 

【これもマッチ!】

国分グループ本社
缶つま Smoke うずら卵
324円

 

 

■GetNavi web編集長 山田佑樹

オンライン飲み会時代になり、旨い酒をゆっくり味わうスタイルにチェンジ。各地のお取り寄せと一緒に楽しんでいる。

 

【マイベストマッチ 缶つま】

肉の旨みとふなぐちの味わいがガツンと効いたマリアージュ

国分グループ本社
缶つま コンビーフ ユッケ風
486円

ごま油と豆板醤を効かせたユッケ風のコンビーフ。「塩が効いた肉の旨みがガツン、そこにふなぐちの濃厚な味わいがガツンと重なり、『ガツン×ガツン』のマリアージュがたまらない! 最高に幸せな晩酌です」(山田)

 

【これもマッチ!】

国分グループ本社
缶つま 牛すじこんにゃく
486円

 

■GetNavi編集部・グルメ担当 鈴木翔子

バーで働いていたこともあり、旅行に行くととりあえず良い雰囲気の酒場を探すのがクセ。和酒洋酒どっちも好き。

 

【マイベストマッチ 缶つま】

脂の甘味にふなぐちのコクが重なり心地良い余韻が広がる

国分グループ本社
缶つま 北海道産 鶏ぼんじり 直火焼
540円

ぼんじりを直火で焼き上げ醤油だれで味付け。味わい深い脂と香ばしい風味が特徴だ。「ぼんじりの脂の甘味とふなぐちのコクが重なり合って、心地よい余韻に浸れる組み合わせ。炭火の香ばしい風味も合う!」(鈴木)

 

【これもマッチ!】

国分グループ本社
缶つま 宮崎県産 霧島黒豚角煮
864円

 

■GetNavi web編集部 小林史於

唎酒師の資格を持つGetNavi webの家電&日本酒担当。和食居酒屋で日本酒の仕入れを担当していたこともある。

 

【マイベストマッチ 缶つま】

鶏の引き締まった身がふなぐちの旨みを引き立てる

国分グループ本社
缶つま 鹿児島県産 赤鶏さつま炭火焼
486円

鹿児島の銘柄鶏「赤鶏さつま」を備長炭で焼き上げた本格派。「引き締まった鶏肉にふなぐちのジューシーな旨みが絡み、旨さを引き立て合うコンビ。おこげの香ばしさとフルーティな風味も相性抜群です!」(小林)

 

【これもマッチ!】

国分グループ本社
缶つま 北海道・噴火湾産 ほたて燻製油漬け
486円

 

■GetNavi web編集部 和田史子

週7で飲酒、好きな酒は日本酒、スパークリングワイン、ハイボールと変遷して、最近はもっぱらビール党。

 

【マイベストマッチ 缶つま】

ふなぐちの甘味にハバネロの辛味が良い刺激

国分グループ本社
缶つま ハバネロサーディン
378円

国産の良質ないわしにハバネロソースを効かせた、スパイシーな味わい。「そもそもオイルサーディン自体がつまみとして最高! 酸味はありつつも甘味があるふなぐちにハバネロの辛味が良いアクセントです」(和田)

 

【これもマッチ!】

国分グループ本社
缶つま 広島県産 かき薫製油漬け
648円

 

【菊水酒造について詳しくはコチラ

革新的な酒造りを続ける菊水酒造の社長が語る――「いい酒」とは「面白い酒」である。

菊水酒造は、“コンビニ最強酒”と名高い生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」をはじめ、個性あふれる商品を送り出す革新的蔵元。伝統を守りながらも常識にとらわれず、挑戦し続ける開拓者精神に迫りました。

 

【菊水酒造について詳しくはコチラ

 

菊水酒造 代表取締役社長・髙澤大介さん/菊水酒造の5代目として生まれ、大学卒業後に百貨店勤務を経て1985年に蔵へ戻り入社。2001年に当主となる

 

“面白い酒”には魅力的なコトが満載されている

日本初の缶入り生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」が誕生したのは1972年。同年には杜氏制度を廃止し、チーム制による酒造りと近代化した設備で安定供給を推進。

 

90年代には海外展開もスタート。地酒が活況だった時代から安住を求めず挑戦し続けるのが菊水酒造です。そんな同社が“モノ”造りともに大切にしているのが、暮らしを豊かにする“コト”造り。その理由を髙澤社長に聞いてみました。

 

「いいモノ造りは我々にとって一丁目一番地の使命ですが、それはどこも同じ。結果、良質な酒が次々に生まれ、お客様の選択肢は増えています。ならば、ただいいモノを造っただけでは選ばれません。お客様はどうしたらより愉しく飲めるのか、“コト”も求めているからです」(高澤社長)

 

そのニーズに気が付いたのは、全国的に日本酒が売れなくなっていた90年代後半だといいます。

 

「先代が集めた60年代のクルマのカタログを見つけたんです。当時はクルマを持つことが夢だった時代。性能や出せるスピードなど、モノとしてのクルマの魅力が書かれていました。一方、マイカーが普及した90年代のカタログで強調されていたのは、そのクルマを買うとどのような暮らしを得られるか。つまりコトの提案です。それを見てハッとしましたね。あぁ、日本酒にも言えることだなと」(高澤社長)

 

それ以降菊水酒造では、日本酒文化を伝える酒器や文献を集めた「菊水日本酒文化研究所」を設立したり、スナック貸し切りイベントを開催したり、ボトルデザインを公募したり……愉しい“コト”を生み出し続けています。海外イベントでは、「ふなぐち」の缶を模した着ぐるみを社長自ら着用し、外国人を笑わせたなんてエピソードまで。そんな社長にとって“いい酒”とは。

 

「“面白い酒”ですね。『この酒は面白いね、飲んでいて愉しくなる酒だね』と感じていただくことが私の夢。“面白い酒”には魅力的なコトが満載されていますから」(高澤社長)

 

菊水酒造の名酒をCHECK

3億本以上を出荷! 日本酒界の発明品

菊水酒造

ふなぐち 菊水一しぼり
実売価格318円(200㎖缶)

日本初の缶入り生原酒。精米歩合70%の本醸造で、新潟県産米を100%使用しています。濃醇旨口、フルーティでフレッシュな味わいが支持され、累計出荷数は3億本以上。200㎖缶のほか500㎖缶も用意しています。

 

炭酸入りで香りや甘味がより豊かに!

菊水酒造

ふなぐち菊水一番しぼり  スパークリング
実売価格438円(270㎖)

2019年に登場した、定番「ふなぐち」の発泡タイプ。炭酸を入れたことで特有の香りと甘味がより強く感じられるうえ、きめ細かい泡の爽快感によって飲み口もスムーズに。オンザロックもオススメ。

 

食の楽しみを広げる爽やかな辛口

菊水酒造

無冠帝
実売価格1408円(720㎖)

1983年に誕生し、2018年にリニューアル。「生詰」製法による、フレッシュでジューシーな香りとうまみが特徴だ。冴えたキレとほど良い旨みがどんな食事にも合い、料理のおいしさを引き出してくれる。

 

幻の米を極限まで磨き上げた贅沢酒

菊水酒造

純米大吟醸 蔵光
1万1000円(750㎖)

幻の酒造好適米「菊水」を精米歩合23%まで磨き上げ、華やかな果実味と豊かなボディが際立つ贅沢な一本。「無冠帝」とともに「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2019」の最高金賞を受賞した。

 

【菊水酒造の商品についてはコチラ

 

菊水酒造のこだわり①うまさを追求する「モノ」造り

使う米は自社で育てる「菊水」を筆頭にすべて新潟県産。やわらかな地元の水と寒暖差豊かな気候を生かし、大地の恵みをいかに品質の良いお酒として引き出すかに重きを置き、チームワーク第一で造っています。

「二王子蔵」は大型仕込み用の施設。市販酒の大半はこの蔵で造られます。すべての原料米はどの酒のどのロットにいつ使用されたのか履歴をたどれる体制で管理されています。

 

蔵のすぐそばを流れる加治川。周辺には豊富な地下水脈があり、雪解け水を含む良質な軟水が菊水酒造の酒造りを支えています。

 

小型仕込み用の「節五郎蔵」。米を研ぐところから搾るところまですべて手作業で行い、技術を磨きながら伝統を継承しています。

 

日本酒のなかで最もデリケートで管理の難しい生酒を作っているからこそ、地酒蔵とは思えないレベルで品質・衛生管理を徹底。全商品クリーンルーム内で充填しています。

 

 

菊水酒造のこだわり②一杯を面白くする「コト」造り

菊水日本酒文化研究所は、人と日本酒の関わり方にフォーカスして、それにまつわる資料を3万点以上収蔵・展示しています。古い資料から現代に合う日本酒の愉しみ方を探り、そしてそれを発信する役割を担っているのです。研究所を一般開放しているだけでなくイベントなども主催し、日本酒の面白さ、新しい「コト」をお届けしています。

緑豊かな森を抜けると菊水日本酒文化研究所が現れます。

 

展示コーナーには酒席を愉しくする酒器や日本酒文化を伝える文献が。

 

 

研究所に収蔵されている酒器のなかでも特に人気なのが「うぐいす徳利」。酒を注ぐたびに「ピー」と愛らしい音がなります。外側に鬼、内側にお多福をあしらい「手の内に福を収めて、鬼は外」を意味する「鬼面杯」(下)や「水入らず」という言葉の語源になった説もある器「杯洗」(上)も研究所に展示されています。

 

日本酒関連グッズも並ぶ本社敷地内にある売店。搾りたてのフレッシュな生原酒をサーバーから直接瓶に詰めて販売するサービスも。

 

節五郎蔵の裏手に自社の水田を持ち、酒米である「菊水」を育てています。

 

地域住民とともに手作業で行う田植えは恒例行事です(※:今年は新型コロナウイルスの影響により一般参加なしで行いました)。

 

蔵の敷地内にある菊水庭園も見所のひとつ(見学可)。京都・銀閣寺の出入り庭師としても知られる庭匠・田中泰阿弥が更地から作庭しました。

 

【菊水酒造について詳しくはコチラ

ウイスキーの達人もリスペクトする銘酒・バランタインが「スコッチの王道」たる所以

Sponsored by Suntory Spirits

 

近年続くウイスキーブームのなかで、 特に新たなファンを獲得しているのが スコッチウイスキーです。そして、その王道と称される銘柄が「バランタイン」。 なぜ数多あるスコッチのなかで、 “王道”として愛されるのか。 その魅力をウイスキーの達人に聞きました。

サントリースピリッツの「バランタイン 17年」は、17年熟成のブレンデッドスコッチのなかで最古の歴史を誇り、“The Scotch”とも称される一本。スコットランド各地の厳選された原酒を40種類以上ブレンドすることで、気品ある香りと繊細で複雑な味わいを実現しています。受賞歴は25を超え、最近は「ウイスキーバイブル2020」で「ブレンデッドスコッチ オブ ザ イヤー」を受賞。希望小売価格は9000円(税抜)

【「バランタイン 17年」商品サイトはコチラ

 

【インタビュー】ウイスキーの達人に聞く、ウイスキーブームの背景とバランタインの魅力

ウイスキー市場の活況が続くなかで、特にいまスコッチに注目が集まっています。興味深いのは、20~40代の新規飲用者が増えていることです。その背景には何があるのか、「ワールドウイスキーアワード2010」で単一小売店部門の世界最優秀小売店に認められた、「目白田中屋」の栗林幸吉氏に聞きました。

↑インタビューに答えてくれたのは「ウイスキーの達人」である目白田中屋の店主・栗林幸吉さん

 

「ウイスキーが人気の背景には、居酒屋を中心に起きているハイボールブームが挙げられます。『ウイスキーフェスティバル』など、様々な銘柄を気軽に試せるイベントが増えているのも大きいでしょう。店を訪れるお客さんを見ていても、新規のウイスキー飲みが増えている印象です。なかでも近年注目を集めているのがスコッチ。味わいの多彩さと深みが人気の理由だと思います」(栗林さん)

 

スコッチは世界5大ウイスキーのひとつで、その代表格ともいえるカテゴリー。ジャパニーズウイスキーも、スコッチを手本に作られたといわれています。

 

「スコッチには、単一蒸溜所の原酒だけで造るシングルモルトと、数種の原酒を組み合わせて造るブレンデッドがあり、味わいはそれぞれライトからヘビーまで多種多様。しかも100年以上続く老舗ばかりです。語れる要素が多く、追究しても飽きることがありません」(栗林さん)

 

そんな幅広いラインナップがあるスコッチのなかで“王道”と称されるのが、ブレンデッドウイスキーの名門「バランタイン」。事実、ウイスキーのビギナーからツウまで多くの人を虜にし、栗林氏もそのひとりなのです。

 

「シングルモルトが、作られた土地の魅力を表現するソロアーティストであれば、ブレンデッドは総合芸術。音楽で例えるならクラシックのオーケストラでしょう。その王道が『バランタイン』。さながらウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のような存在です。190年以上前に初代のジョージ・バランタイン氏が創業して以来、マスターブレンダーは歴代でわずか5人。たった5人で約2世紀もの間、繊細なブレンド技術と品質を守り続けているんです。これってとんでもなくすごいことですよ」(栗林さん)

 

【バランタイン飲むならこの商品】

サントリースピリッツ

バランタイン ファイネスト

希望小売価格1390円(税抜)

名門のDNAはそのままに、40種以上の原酒を巧みにブレンド。バランスの良い香味と豊かでなめらかな風味が華やぐ、スタンダードスコッチのマスターピースです。「ウイスキーバイブル2020」でウィナー受賞。

【「バランタイン ファイネスト」商品サイトはコチラ

 

バランタインはブランドを象徴する「17年」、日常的に楽しめる「ファイネスト」など様々な商品がありますが、すべてに共通するのは“圧倒的なバランスの良さ”だといいます。

 

「豊かな個性がありながら整っていて、馴染みやすい味わい。僕はよく『バランタインはバランタイン』と話しています。すべての商品を同じマスターブレンダーが手掛けているため、どれを飲んでもその神髄が楽しめる。これも大きな魅力です。17年が正装で楽しむ贅沢な一本であれば、ファイネストは仕立ての良い普段着に合う一本とでも言いましょうか。あるいは17年がベートーベンの『交響曲第9番』であれば、ファイネストは入門曲の『エリーゼのために』。いずれにせよ、偉大なるスタンダードです。スコッチでいえばそれが『バランタイン』。スコッチを初めて飲む人も、まずはバランタインを飲めば間違いない。多種多様なスコッチの世界でブレることのない基準、すなわち王道たる一本なのです」(栗林さん)

 

【王道たる所以  その1】190年以上受け継がれるブレンド技術

1827年の創業以来190年以上の歴史を持ちますが、歴代マスターブレンダーはわずか5人。秘伝のブレンド術は、そう簡単には受け継げないという証です。現在は5代目のサンディー・ヒスロップ氏(写真)が銘酒の味を守っています。

 

【王道たる所以  その2】ラベルに刻まれた由緒正しき紋章

ラベルのエンブレムは、1938年にスコットランド紋章院から許可された由緒正しき名品の証。中央にはスコッチの4大要素である大麦、清流、ポットスチル、樽が描かれています。

 

お問い合わせ:サントリーお客様センター

「バランタイン」商品サイト

 

こんな焼酎、見たことない! 「世界一のバーテンダー」が世界に問う前代未聞の「SHOCHU」3種

今年の2月、「バーテンダー向け」という前代未聞の焼酎が発売されました。その名は「The SG Shochu」。米、芋、麦の3種同時リリースで、製造元がそれぞれ異なっている点が驚き。アルコール度数は38%または40%と焼酎にしては高め。デザインも独特で、表ラベルの文字はすべて英語と、焼酎には見えない個性的なビジュアルです。

↑左から、「The SG Shochu KOME」(2980円・以降すべて税抜き)、「The SG Shochu IMO」(3500円)、「The SG Shochu MUGI」(3500円)

 

手がけたのは、カクテルの国際大会を制し“世界一のバーテンダー”として知られる後閑信吾(ごかん・しんご)さん。味わいは? 開発の背景はや狙いは? などを発表会の様子とともにお届けしていきます。

 

アルコール度が低いとバーでは使いにくい

バーテンダーといえば、基本的には洋酒でドリンクを作ることが多いもの。後閑さん自身、日本でその道を志してニューヨークで腕を磨き、世界一になったのも「バカルディ レガシー グローバル カクテル コンペティション」という洋酒ブランドの名が冠された大会でした。

↑和服を着ている中央の人物が後閑信吾さん。中国の上海で3店舗、日本の渋谷で2店舗のバーを運営するSG Groupの代表を務めています

 

そんな洋酒に縁の深い後閑さんが、なぜ今回「焼酎」を手掛けたのか――。そこには、ゲストバーテンダーやセミナー講師として世界のバーシーンを見てきた後閑さんならではの想いがありました。

 

「ニューヨークで長年働き、上海に店を出して、2018年に『The SG Club』(エスジー・クラブ)を日本に出店しました。久しぶりに日本で生活してみてふと気づいたんです。『海外には各国を代表する蒸溜酒があって、世界中のバーテンダーがそれを使っているのに、なぜそこに日本の酒がないんだろう』って。日本が誇る蒸溜酒といえば焼酎。500年以上の歴史があって、手間ひまがかかっていて原材料は高品質。作り手の技術も素晴らしく、味も抜群においしい。それなのに日本で焼酎は安いお酒のイメージですよね。その理由は、『そうしないと売れない』という側面があるからです」(後閑さん)

 

後閑さんは、バーで使われない理由に、焼酎のアルコール度が挙げられるのではないかと言います。

 

「焼酎のアルコール度数は、ほとんどが20%や25%。ほかの蒸溜酒に比べて低いんです。カクテルのベースにしようとすると使い勝手が違うので、バーテンダーとしてはちょっと扱いづらいんですね。それならば、もっと使いやすい焼酎があればと思ったんです」(後閑さん)

↑「The SG Shochu」の3種は発表会でも提供されました。日本の伝統的な文様と洋酒的な要素を融合させたデザインで、バーテンダーが注ぐといっそうサマになります

 

米、芋、麦それぞれの作り手とタッグを組む

その発想から生まれたのが、40%近いアルコール度数の本格焼酎。そして焼酎は、主となる原材料ごとの味の多彩さが大きな特徴ですが、なかでも伝統的な米、芋、麦それぞれのエキスパートである作り手とタッグを組むことに。米は「白岳」や「しろ」が代表銘柄の熊本県の高橋酒造、芋は「さつま白波」で知られる鹿児島県の薩摩酒造、麦は「いいちこ」で有名な大分県の三和酒類。

 

カクテルにした際にもしっかりとベースのフレーバーが生きるよう、味わいも個性的に仕上げられています。以下で画像とともに3商品の特徴を紹介しましょう。

↑「The SG Shochu KOME」。米を磨いた日本酒の特徴“吟醸香”を焼酎にまとわせた、華やかな風味が特徴です。アルコール度数は40%

 

↑「The SG Shochu IMO」。紫芋と貯蔵芋を掛け合わせた、力強いフレーバーが持ち味です。アルコール度数は38%

 

↑「The SG Shochu MUGI」。モルトウイスキーのような麦の甘やかなコクと、樽熟成の豊かなアロマを感じられる焼酎です。アルコール度数は40%

 

世界のトレンドから見ても焼酎のポテンシャルは大きい

発表会では、それぞれの焼酎を使った後閑さん考案のカクテルもふるまわれました。どれも個性的でいてユニークで、驚きがあって何より美味しい! こちらの特徴や味わいは、以下で写真とともに紹介します。

↑KOME、トマト、花、樹液によるカクテル「トマトの木」。トマトの甘酸っぱさと青々しさの先に、フローラルな余韻が広がるフレッシュで軽やかな味わいでした

 

↑IMOとパイン、ココナッツ、赤ワインで仕上げた「バロンナガサワ」。薩摩藩士としてイギリス、アメリカへ留学し、のちに「カリフォルニアのワイン王」として名を上げた長澤 鼎氏をモチーフに、ワインを使った情熱的な味わいのカクテル

 

↑MUGI、バナナ、カカオ、みりんで作った「大江戸バナナ」。麦チョコ感とバナナのトロピカルなフレーバーが交わりながら、どこかアッパーになりすぎない大人な味わいは、みりんの醸し出す和の滋味深さ

 

ちなみに、聞くところによると、昨今のバーシーンでは、ウイスキーや「世界四大スピリッツ」と言われるジン、ウォッカ、テキーラ、ラムといった王道以外の蒸溜酒にも注目が集まっているとか。特に、「テキーラの母」としてメキシコでは古来より愛されている「メスカル」のような、ご当地ならではの伝統的で個性のあるものが人気だそうです。

 

そのトレンドに照らし合わせると、焼酎はまさにポテンシャルの塊。海外のバーテンダーが魅力に気付けば必ず広まっていく――。「The SG Shochu」にはそんな期待も込められています。

↑プレゼンテーションのイメージ映像

 

SHOCHUを世界共通語にしたい

発表会で登壇した後閑さんは、「The SG Shochu」のラベルデザインを紹介するとともに、各商品のネーミングについても語ってくれました。

 

「外国人に対してわかりやすさを求めるなら、名前は『Rice Spirits』などのほうがいいでしょう。でも、僕は外国人にも『KOME SHOCHU』とオーダーしてほしかった。日本古来の名称で知ってほしいし、SAKEがそうであるようにSHOCHUを世界共通語にしたかったんです。だから『KOME』『IMO』『MUGI』と命名しました」(後閑さん)

 

また、後閑さんはラベルにもさまざまな意味を込めたといいます。

 

「小さく『TRADITION IN EVOLUTION』と書いてるのは、『進化し続ける伝統』という意味。焼酎は長い歴史のなかで進化し続けてきた酒であり、『The SG Shochu』にも大きな可能性を感じています。同じく、『SHARING AND GRATITUDE』という表記は『The SG CLUB』の理念でもあるんですが、『いただきます』という意味。これは農作物、作り手、神様などあらゆるものに感謝をして味わうという、世界でもまれにみる日本独自の精神です。味わいとともに、日本ならではのストーリーも届けたいと思って開発しました」(後閑さん)

↑「KOME」のラベル。よく見るとラベル長辺の端(写真上)に「SHARING AND GRATITUDE」「TRADITION IN EVOLUTION」の表記が

 

そんな後閑さんの想いが込められた「The SG Shochu」は、バーテンダー向けという特性ゆえに、ひとまずは全国の飲食店向けの販売となります。みなさんも、今度バーに行ったら「The SG Shochu」がないか、探してみてください。ちなみに、後閑さんが運営に携わる渋谷のバー「The SG Club」および「The Bellwood」では、「The SG Shochu」を使ったカクテルを提供中。このうち「The SG Club」では予約制で料理とのペアリングを提案する「The SG Shochu カクテルペアリングコース」も提供しているので、体験してみてはいかがでしょうか。

↑「The SG Shochu カクテルペアリングコース」の一例。「OAX」中トロ梶谷農園のハーブタコスとThe SG Shochu MUGIとオレンジシェリーとカツオのカクテル

 

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上質に仕立てたうまさで約3か月で1億本突破!! イメージ覆すうまさの「麒麟特製サワー」の“格の違い”に迫る

PR:キリンビール株式会社

4月7日の新発売から約3か月で出荷数量1億本(※1)を突破し、製造計画を大幅上方修正。なかでもレモンサワーは「モンドセレクション」の金賞(※2)や国際味覚審査機構(International Taste Institute/※3)優秀味覚賞に輝いたうえ、前年比364%(※4)の大躍進。「麒麟特製サワー」がとにかく売れまくっている。

 

※1:250ml換算(7月上旬時点) ※2:モンドセレクション 2020年度 スピリッツ&リキュール部門 金賞受賞 ※3:ベルギーのブリュッセルに拠点を置き、世界中の食品・飲料品の味の評価および認定を行っている審査機構 ※4:2020年4月-6月累計
↑麒麟特製レモンサワー

 

ジャンル的にはアルコール9%で「ストロングチューハイ」にカテゴライズされるのだが、そのジャンルを超えた「チューハイの中でも特筆すべきうまさ」があるのだ。本記事では、同製品の「上質に仕立てたうまさ」の正体、そして魅力を開発者のインタビューをもとに紐解くとともに、筆者と編集部で考えた最高にうまいペアリングを紹介。特に、「チューハイってそんなに味に大差ないでしょ?」と思っている方にはぜひ読んで試してほしい。

 

気持ちをほぐし、心を満たせる存在に

「麒麟特製サワー」は、2018年にデビューし人気を博してきた「キリン・ザ・ストロング」がリニューアルした商品だ。複数の果実を12時間以上煮詰め、うまみを凝縮させた独自の「うまみエキス」により、アルコール9%でありながらも嫌なアルコール感がなく、飲みごたえと飲みやすさが高いレベルで両立している。

 

「麒麟特製サワー」が驚異的なのは、その売れ方だ。缶チューハイはいまや最もライバルが多いお酒のひとつで、特にブーム継続中のレモンサワーは多くのブランドが乱立する大激戦。そのなかでここまで売り上げを伸ばしている理由には、食のプロをも魅了するクオリティの高さが挙げられるだろう。事実、麒麟特製レモンサワーは世界的な食の権威である「モンドセレクション」の2020年度スピリッツ&リキュール部門において、金賞を受賞している。

↑上質なおいしさで金賞受賞を獲得

 

では、その審査員たちはどんなところを称賛したのだろうか。聞けば、2つの側面から多角的に評価したのだそう。まずは嗅覚的側面。レモン、シトラスピール、ジンジャーのような様々な香りが調和し、清廉で印象的な柑橘フレーバーを醸し出している点だ。

 

もうひとつは味覚的側面。豊かなレモン感は心地よく繊細な苦みと、余韻の長いさっぱりとした後味を保ち、口当たりのいいなめらかな味わいに始まり、非常にソフトな口当たりで爽やかだったと絶賛したとか。

 

この評価は狙い通りなのだろうか。そして商品開発にはどんなストーリーが隠されているのか。そこで、開発者にインタビュー。世の反響に対する思いや、味作りの秘話を聞いてみた。

↑「麒麟特製サワー」の開発を担当した、キリンビールの松田莉央子さん。マーケティング部、中味開発を担当する商品開発研究所の一員として、商品の研究や開発を行っている

 

「モンドセレクションの審査につきましては、果実の複雑な味わいのニュアンスなど、様々な香りの成分をかぎわけて評価してくださり、ありがたく感じました。なかでも人工的でないおいしさは狙っていた要素でしたので、非常にうれしいです」(松田さん)

 

特徴的なおいしさの骨格となっているのが、複数の果実を12時間以上煮詰めた「うまみエキス」だ。なぜうまみに着目し、果実を煮込むという発想に行き着いたのか?

 

「『麒麟特製サワー』のコンセプトに“上質”があります。これは丁寧に仕立てた味わいはもちろんのこと、気持ちをほぐしていただき、心を満たせるような、そんな存在になりたいという商品価値にも通じています。そこでイメージしたのが、サワーの爽快感がありつつ、深みのある味わいでゆったり楽しんでいただけるおいしさでした。そのためのアプローチをいくつか考えたなかで、たどり着いた答えがうまみなのです」(松田さん)

 

多くの高アルコールRTDは、ガツンとした味の濃さや刺激の強さでリフレッシュさせる商品設計が多い。しかしそうではなく、一口一口ゆっくりと時間をかけて味わうことで得られる豊かな満足感を目指したのが「麒麟特製サワー」なのだ。

 

「『うまみエキス』は料理に近い発想から生まれました。果物には生で楽しむ魅力のほか、ジャムやコンポートのように加熱することで生まれるコク深いおいしさもありますよね。そこには、うまみも関係しています。丸みのある飲みやすさをもち、じっくり堪能できるサワーを研究するなかで果物の多彩な魅力を模索し、煮込むという製法に至りました」(松田さん)

【オススメペアリング01】砂肝を低温の油で調理したコンフィ。凝縮感のある濃厚な肉のうまみに、麒麟特製レモンサワーの爽やかな酸味やほのかな甘味がプラスされ、口いっぱいに多幸感が広がる。さながら、発泡サングリアやスプリッツァーのような存在だ

 

「麒麟特製サワー」は「モンドセレクション」の評価にもあるように、実にソフトな口当たりで人工的なキツさが残らない。これもやはり「うまみエキス」よるものだろうか。

 

「「うまみエキス」ももちろんですが、ほかにも原料配合の調整など様々な面で工夫を凝らしています。フレーバーによっても異なりますが、一部でビール・日本酒・ワインなどの醸造酒の味覚設計を参考にしました。というのも、アルコールが15%近くありながらお酒臭さがない日本酒やワインは多いですよね。麒麟特製サワーは、この設計をヒントにしています」(松田さん)

 

「うまみエキス」はブランドの全商品に採用されているが、そのうえで各フレーバーに最適な仕立て方にこだわっているのもおいしさのポイントだ。たとえば麒麟特製レモンサワーでは、レモンを一搾り加える“追いレモン潤沢仕立て”で、より風味豊かな味わいに仕上げている

 

「『うまみエキス』で、これまでのレモンサワーとは異なる複層的な味わいを表現し、さらにレモンを一搾り加える“追いレモン潤沢仕立て”によってフレッシュな果汁感も加わり、味の輪郭をいっそうふくよかにすることが叶いました。さらに“追いレモン潤沢仕立て”は、開栓時にふわっと広がる豊潤な香り立ちや、やわらかなコクの厚みも加えることができるのです」(松田さん)

 

【編集部オススメペアリング02】居酒屋メニューでは枝豆やフライドポテトが王道だが、今回はマイルドで和食の要素もある、だし巻き卵でペアリング。麒麟特製レモンサワーは甘酸っぱさがやわらかく、和だしの繊細な風味を邪魔せずキュッと寄り添ってくれる。大根おろしをのせて食べ合わせると、爽やかさとみずみずしさが増す

 

おいしさを我慢しない「上質サワー」の世界観

「麒麟特製サワー」が上質であることは、凛としたデザインからも感じられる。パッケージなどで意識したのはどんなところか。

 

「缶チューハイ市場を見ると、早く安く酔いたいというニーズが強くなっていました。その価値観を『麒麟特製サワー』で変えたい、『作り方にこだわった上質でおいしいサワーを飲む』ことで、お客様自身が豊かな時間を過ごせる商品にしたいと思ったのです。そこで味作りはもちろん、上質なブランドの世界観をパッケージデザインの観点からも作り上げたいと思いました」(松田さん)

 

そうして採用されたのが、シンプルながら正統感のあるデザインだ。一般的に、缶チューハイのデザインは力強さを主張した、ダークでコントラストのはっきりとしたデザインも多い。しかし「麒麟特製サワー」の場合は品質感が際立つ印象のタッチに仕立て、缶の中央には金のエンブレムとキリンのシンボルである聖獣をあしらった。これにより、自信作であることを謳うとともに、潔く堂々とした世界観を生み出したのである。

 

「実は、缶チューハイのデザインで聖獣を用いたのはこのブランドが初めてです。なお、堂々とした感じが出すぎると今後は重い印象になってしまうので、果実とグラスでシズル感あふれるグラフィックも中央に配置し、品質のよさとストレートなおいしさを訴求しました」(松田さん)

【編集部オススメペアリング03】焼鳥×サワーという定番の組み合わせもおいしいが、今回はタンドリーチキンを用意。麒麟特製レモンサワーはスパイスの香りや辛さをリセットする効果もありながら、レモンの酸味が肉のハーバルな味付けと調和してマッチ。この法則はメキシカンやタイなど、他国のエスニック料理にも通じる

 

あらゆる料理との相乗効果が楽しめる汎用性の高さ

ここまで原稿内で筆者と編集部オススメのペアリングを紹介してきたが、インタビューでもフードペアリングについて尋ねてみた。すると、油っこい料理や濃厚な味付けでも、スパイシーさや酸味が効いた複雑な味わいでも、はたまた和食や家庭料理のように繊細なメニューでも合うように設計しているとのこと。

 

確かに、紹介してきたメニューも和食、エスニック料理、フレンチなど実に幅広い料理のジャンルにぴったり。それは、モンドセレクション審査員のコメントからも明らかだ。「喉の渇きを潤してくれるバランスの取れた味わいであり、冷蔵庫から取り出してすぐに味わいたい」と味覚のプロは述べており、多様なシーンで大活躍してくれるのだ。

 

筆者および編集部では、ニューノーマルの時代の晩酌や宅飲みは「日常的に手の届く良いもの」の人気が高まると予測している。オン・オフの境目が薄くなるなかで、1日のリセットを明確にするために少しだけ豪華な晩酌タイムを設ける。自炊機会が増えて、頑張って作った料理を楽しむ。行きつけのお店が時間をかけて仕込んだテイクアウト料理を楽しむーーそんなときに合わせるお酒も、同じように上質で味わい深いものだと相乗効果があるはずだ。

 

麒麟特製サワーのメッセージにはまさにそういった要素が詰め込まれている。

 

「一日の終わりに手間暇かけて丁寧に仕立てた“いいお酒”で幸せな時間を過ごしてほしい。」(ブランドからのメッセージより)

 

そういった時間を提供してくれる麒麟特製サワーは、これからの時代にも即したサワーといえるはずだ。ディナーのお供に、または風呂上がりや夜のチルアウトタイムに一杯。休日なら日中でもいいだろう。ボリューム感のあるうまみや香りが気分をリラックスさせ、翌日に活力を与えてくれる。ゴクッとのどを鳴らしてプハッと爽快、そんな飲み方もたまらないが、ぜひ今夏は「麒麟特製サワー」をコクリコクリとゆっくり味わい、上質なひとときを楽しんでほしい。

【編集部オススメペアリング04】焼肉は、牛や豚ではなく羊を使ったジンギスカンをチョイス。羊肉はミルキーなうまみが特徴だが、麒麟特製レモンサワーの重層的なレモンの酸味とほど良い甘さがしっかりマッチし、甘めの醤油ダレとも調和。やはり様々な料理とマッチする汎用性の高さも魅力の一つだ

 

麒麟特製サワーの詳細はコチラから

【シリーズラインナップ】

↑左から、ホワイトサワー、ドライサワー、レモンサワー、コーラサワー、グレープサワー

 

撮影/茂呂幸正(ペアリング)、我妻慶一(人物)

達人が伝授!「アウトドア飲み」が劇的に楽しくなる3つの方法の噺

アウトドアやキャンプで楽しむお酒はまた格別。 大自然のなか、火照った身体によく冷えたチューハイなどのお酒を飲む幸せが忘れられない……という方も多いはず。ただ、いざ乾杯となってお酒がぬる~くなっていたら、その幸せも半減してしまいますよね。アウトドアは設備が限られているだけに、家庭で飲むときとは違った工夫が必要になります。そこで今回は、アウトドアの達人・菅井志門さんに協力を依頼し、⼭梨県白州にある菅井さんのプライベートキャンプ場「日向山ベース」を訪ねました。菅井さんに実践を交えて「アウトドアで美味しく飲むための方法」を紹介していただきます!

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

【教えてくれたのはこの人!】

↑菅井志門さん。野遊び好きな父親の影響でアウトドアにハマり、若いころから自転車・バイク旅行・登山などに没頭。いままでは年30泊はキャンプをして過ごしていましたが、現在は山梨県の山林を購入し、プライベートキャンプ場として整備する作業に励んでいます

 

方法その1

クーラーボックスでお酒を“キンキン”に冷やす

お酒を冷やすとき、クーラーボックスの使い方を工夫すると劇的な効果が得られます。なお、2020年の夏は猛暑が予想されていることもあって、お酒は冷えているほうが美味しく感じるはず。というわけで今回は、適度な冷気を長持ちさせるのではなく、クーラーボックスで“キンキン”に冷やす方法を教えてもらいます。

 

「まず第一に、外からの温かい空気を徹底的に遮断することを考えましょう。具体的には、地熱が伝わらないよう、キッチンラックなどを使ってクーラーボックスを地面から浮かせること。もうひとつは、内壁を保冷剤でぐるりと囲むようにして置くことです」(菅井さん)

↑地熱を防ぐために市販のキッチンラックを活用。写真はニトリの「折りたたみ式 キッチンラックNT 積み重ね棚」(Lサイズ・税込523円)を2個使用しています

 

↑クーラーボックスの内壁に沿うように保冷剤を配置。ちなみに、菅井さんオススメの保冷剤は、ロゴスの「倍速凍結 氷点下パック」(写真・税込1078円~)

 

加えて、氷が長持ちするよう、クーラーボックスに水は入れず、氷は袋のまま入れるのがオススメとのこと。また、冷気は下に落ちていくので、氷はドリンクの上を覆うように置くのがポイントです。

 

「あとは、クーラーボックスの中に100円ショップなどで買える銀マットをかぶせておけば完璧。開閉したときに、冷気が逃げるのを防ぐことができます。特に子どもがいる場合、意味なくフタを開けたり閉めたりしますからね(笑)」(菅井さん)

 

小一時間後、クーラーボックスのドリンクを触ってみると、たしかによく冷えている! これなら最高の状態でお酒が楽しめますね。

↑氷は袋のままドリンクの上を覆うように載せましょう

 

↑100円ショップなどで購入した銀マットを、クーラーボックスの大きさに合うようカットしてかぶせれば完璧!

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方法その2

おいしく飲むためのアイテムを選ぶ

せっかくクーラーボックスでお酒を冷やしたのだから、その冷たさをキープしたいもの。また、美味しく飲むにはおつまみが美味しそうに見えるのも重要、ということで、ここでは缶用の保冷グッズと雰囲気を高める食器を紹介していただきます。

 

「1杯目のお酒は、乾杯の雰囲気を楽しむためにもグラスで飲みたいところ。アウトドア用として壊れにくくおしゃれなグラスも発売されているので、チェックしてみてください。一方で、2杯目以降は飲むスピードが落ちて缶がぬるくなり、ぬるいと美味しくないからお酒が進まない……という悪循環に陥りがち。それを防ぐために、断熱性のある素材で缶を覆い、温まるのを防ぐ保冷缶ホルダーや缶クージーといったアイテムが便利です」(菅井さん)

↑アウトドア飲みには割れにくくてオシャレなグラスがぴったり。写真左は「ソフトランスタンブラー(4pcs)」(4個入り・税込2035円)、右は「割れないワイングラス with ポータブルケース」(税込2189円)で、ボウル部と軸の部分を取り外してコンパクトに収納できます(グラスはともにロゴス)。どちらも素材は透明なプラスチックの一種を使用しており、薄くても割れにくいのが特徴です

 

↑真空断熱構造で缶ドリンクの温度を保つサーモスの「保冷缶ホルダー JCB-352」(参考価格 税込1628円)。カラーバリエーションは4色(写真はブラックとライムグリーン)

 

↑写真左~中央はパタゴニアのクージー3種(税込各990円)。右はイケアの「アンフォード 缶ホルダー」(2ピース・税込399円)

 

続いて、おつまみを美味しそうに見せてくれるアイテムを教えてもらいましょう。

 

「ぜひ『食器としても使える調理道具』を使ってみてください。アウトドアならではの豪快さやシズル感が高まりますよ。その点、ニトリのスキレットやイケアのまな板は、価格も手ごろで見栄えも文句なし。荷物を減らし、洗い物を減らして環境を守るという意味でもオススメです」(菅井さん)

↑「ニトスキ」の愛称で知られるニトリの「スキレット鍋」(税込499円~)。蓄熱性が高いのが特徴で、オーブンでも使用できます。写真の料理はプチトマトとオクラのアヒージョ

 

↑卓上に置いても絵になるイケアのまな板。ゴムノキ製「プロップメット まな板」(写真手前・税込1699円)、竹製の「リムフォルサ まな板」(左奥・税込1999円)は、食材を切ったときの肉汁やドリップが溝にたまるので便利。「オストビット サービングプレート」(右奥・税込999円)は取っ手付きで移動がラク

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方法その3

美味しいおつまみをほったらかしで作る

大のお酒好きで、アウトドアの料理は「お酒に合うかどうか」で決めるという菅井さん。最後に、アウトドアならではの美味しいおつまみの作り方を教えてもらいましょう!

 

「焼肉なら家でもできますが、せっかくアウトドアを楽しむなら、いつもとちょっと違う料理をやってみたくないですか? とはいえ、手間がかかって遊ぶ時間やくつろぐ時間が無くなるのは考えもの。そこで、本格的に見えるのに、ほったらかしでできるおつまみを2つ紹介します。ひとつは『かんたんローストポーク』。もうひとつはダッチオーブンを使った『かんたん無水ローストチキン』。どちらも基本的に放っておけばOKですし、何よりお酒に合うんです(笑)」(菅井さん)

 

「かんたんローストポーク」は、肩ロースや豚バラなどのかたまり肉の表面をフライパンなどでよく焼き、アルミホイルとラップ、ビニール袋で包んで沸騰させた鍋のお湯に投入。この状態で放っておけば完成します。肉を温める時間は約1時間が目安ですが、しっかり火が通るよう、最初は保温する時間をやや長めにとって様子を見るのがオススメです。

↑肉の表面をよく焼きます。肉には事前に塩こしょう、すりおろしにんにく(チューブで可)をすりこんで最低1~2時間、できれば半日ほど置いて味をなじませておくとうまみがアップします

 

↑アルミホイル、ラップの順で肉を包み、ビニール袋を二重にかぶせて口をしばった状態で、沸騰させて火を止めたお湯に投入。鍋のお湯の量は、あとでこぼれないよう鍋の半分くらいを目安に

 

↑鍋ごと新聞紙で包んで保温。新聞紙の上からシャツや毛布をかければよりベター

 

↑完成! 先述のイケアのまな板の上で切り分けました

 

一方、「かんたん無水ローストチキン」は、ダッチオーブンに半分に切ったじゃがいもとたまねぎ、乱切りのにんじんを投入すれば準備OK。野菜の上に鶏肉(むね肉でも、もも肉でも可)をのせてフタをし、加熱すれば完成です。加熱時間の目安は約1時間ですが、環境にもよるので、最初はそれよりやや長めに加熱して様子を見るのがオススメ。野菜の水分で調理するため、水を入れる必要はありません。

↑今回使用したのはSOTOのステンレスダッチオーブン(8インチ・税込1万9800円~)。鋳鉄製のダッチオーブンと違って使い始めの慣らし作業(シーズニング)や調理後に油を塗る手間が不要です

 

↑味付けは鶏肉に市販のハーブソルトをすりこんだだけ。肉が鍋肌に当たって焦げ付かないよう、ダッチオーブンにオリーブオイルを薄く塗って、たまねぎを鍋の内壁を囲むように配置するのがポイント

 

↑フタの上に石を置くと、圧力が逃げないのでオススメ

 

↑「かんたん無水ローストチキン」が完成!

 

できあがった2つの料理を、キンキンに冷えたお酒とともに頂いてみました。いや~、やっぱり最高です! 「かんたんローストポーク」は、しっとりしていてジューシー。かつ豚肉のうまみとにんにくのパンチ力が相まって、とにかくお酒が進みます!

↑完成した「かんたんローストポーク」はお酒を呼ぶ味。薬味はわさびやゆずこしょうがオススメ

 

「かんたん無水ローストチキン」は、薄味なのに素材の味そのものがしっかりと出ていて、こちらもやみつきになります。今回、鶏のもも肉とむね肉を両方使ってみたのですが、もも肉はとろっとろのぷるっぷるで口のなかでとけていき、むね肉はしっとり柔らかく仕上がっていて、やさしい肉のうまみが感じられます。

 

驚いたのは、野菜のウマさ。にんじん、じゃがいもが鶏の肉汁を吸ってうまみとみずみずしさが増幅され、ひとつの料理として完成されています。そして、すべての食材には燻製に似た香ばしさがついていて、これがまたお酒を呼ぶ! キンキンに冷えたお酒と合わせれば、それだけでもう幸せです!

↑「かんたん無水ローストチキン」は素材のうまみが存分に楽しめます

そのほかのカンタンおつまみはコチラ

 

「太陽の下で、風を感じながらご飯を食べる。星の下、たき火を囲んで酒盛りをする……これは人間の原点。だからこそ、人間を内側から活性化させてくれるんです」と、アウトドアの魅力を語る菅井さん。たしかに、目に沁みるような緑のなか、鳥のさえずりを聞きながらお酒を楽しむ時間は、かけがえのない癒しになります。みなさんもぜひ、大切な人と最高の「アウトドア飲み」を味わってみてください。

 

記事に登場したお酒はこちら▼

・全量芋焼酎「一刻者ハイボール」

https://www.ikkomon.jp/highball.htm

 

・松竹梅白壁蔵「澪」スパークリング清酒

https://shirakabegura-mio.jp/

 

・タカラ「焼酎ハイボール」<ドライ>

https://shochu-hiball.jp/

 

・タカラcanチューハイ<レモン>

https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/regular/

 

・寶「極上レモンサワー」<丸おろしレモン>

https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/gokujo_lemonsour/

 

撮影/和田清志

 

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【教えてくれたのはこの人!】

↑菅井志門さん。野遊び好きな父親の影響でアウトドアにハマり、若いころから自転車・バイク旅行・登山などに没頭。いままでは年30泊はキャンプをして過ごしていましたが、現在は山梨県の山林を購入し、プライベートキャンプ場として整備する作業に励んでいます

 

方法その1

クーラーボックスでお酒を“キンキン”に冷やす

お酒を冷やすとき、クーラーボックスの使い方を工夫すると劇的な効果が得られます。なお、2020年の夏は猛暑が予想されていることもあって、お酒は冷えているほうが美味しく感じるはず。というわけで今回は、適度な冷気を長持ちさせるのではなく、クーラーボックスで“キンキン”に冷やす方法を教えてもらいます。

 

「まず第一に、外からの温かい空気を徹底的に遮断することを考えましょう。具体的には、地熱が伝わらないよう、キッチンラックなどを使ってクーラーボックスを地面から浮かせること。もうひとつは、内壁を保冷剤でぐるりと囲むようにして置くことです」(菅井さん)

↑地熱を防ぐために市販のキッチンラックを活用。写真はニトリの「折りたたみ式 キッチンラックNT 積み重ね棚」(Lサイズ・税込523円)を2個使用しています

 

↑クーラーボックスの内壁に沿うように保冷剤を配置。ちなみに、菅井さんオススメの保冷剤は、ロゴスの「倍速凍結 氷点下パック」(写真・税込1078円~)

 

加えて、氷が長持ちするよう、クーラーボックスに水は入れず、氷は袋のまま入れるのがオススメとのこと。また、冷気は下に落ちていくので、氷はドリンクの上を覆うように置くのがポイントです。

 

「あとは、クーラーボックスの中に100円ショップなどで買える銀マットをかぶせておけば完璧。開閉したときに、冷気が逃げるのを防ぐことができます。特に子どもがいる場合、意味なくフタを開けたり閉めたりしますからね(笑)」(菅井さん)

 

小一時間後、クーラーボックスのドリンクを触ってみると、たしかによく冷えている! これなら最高の状態でお酒が楽しめますね。

↑氷は袋のままドリンクの上を覆うように載せましょう

 

↑100円ショップなどで購入した銀マットを、クーラーボックスの大きさに合うようカットしてかぶせれば完璧!

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「1杯目のお酒は、乾杯の雰囲気を楽しむためにもグラスで飲みたいところ。アウトドア用として壊れにくくおしゃれなグラスも発売されているので、チェックしてみてください。一方で、2杯目以降は飲むスピードが落ちて缶がぬるくなり、ぬるいと美味しくないからお酒が進まない……という悪循環に陥りがち。それを防ぐために、断熱性のある素材で缶を覆い、温まるのを防ぐ保冷缶ホルダーや缶クージーといったアイテムが便利です」(菅井さん)

↑アウトドア飲みには割れにくくてオシャレなグラスがぴったり。写真左は「ソフトランスタンブラー(4pcs)」(4個入り・税込2035円)、右は「割れないワイングラス with ポータブルケース」(税込2189円)で、ボウル部と軸の部分を取り外してコンパクトに収納できます(グラスはともにロゴス)。どちらも素材は透明なプラスチックの一種を使用しており、薄くても割れにくいのが特徴です

 

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続いて、おつまみを美味しそうに見せてくれるアイテムを教えてもらいましょう。

 

「ぜひ『食器としても使える調理道具』を使ってみてください。アウトドアならではの豪快さやシズル感が高まりますよ。その点、ニトリのスキレットやイケアのまな板は、価格も手ごろで見栄えも文句なし。荷物を減らし、洗い物を減らして環境を守るという意味でもオススメです」(菅井さん)

↑「ニトスキ」の愛称で知られるニトリの「スキレット鍋」(税込499円~)。蓄熱性が高いのが特徴で、オーブンでも使用できます。写真の料理はプチトマトとオクラのアヒージョ

 

↑卓上に置いても絵になるイケアのまな板。ゴムノキ製「プロップメット まな板」(写真手前・税込1699円)、竹製の「リムフォルサ まな板」(左奥・税込1999円)は、食材を切ったときの肉汁やドリップが溝にたまるので便利。「オストビット サービングプレート」(右奥・税込999円)は取っ手付きで移動がラク

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方法その3

美味しいおつまみをほったらかしで作る

大のお酒好きで、アウトドアの料理は「お酒に合うかどうか」で決めるという菅井さん。最後に、アウトドアならではの美味しいおつまみの作り方を教えてもらいましょう!

 

「焼肉なら家でもできますが、せっかくアウトドアを楽しむなら、いつもとちょっと違う料理をやってみたくないですか? とはいえ、手間がかかって遊ぶ時間やくつろぐ時間が無くなるのは考えもの。そこで、本格的に見えるのに、ほったらかしでできるおつまみを2つ紹介します。ひとつは『かんたんローストポーク』。もうひとつはダッチオーブンを使った『かんたん無水ローストチキン』。どちらも基本的に放っておけばOKですし、何よりお酒に合うんです(笑)」(菅井さん)

 

「かんたんローストポーク」は、肩ロースや豚バラなどのかたまり肉の表面をフライパンなどでよく焼き、アルミホイルとラップ、ビニール袋で包んで沸騰させた鍋のお湯に投入。この状態で放っておけば完成します。肉を温める時間は約1時間が目安ですが、しっかり火が通るよう、最初は保温する時間をやや長めにとって様子を見るのがオススメです。

↑肉の表面をよく焼きます。肉には事前に塩こしょう、すりおろしにんにく(チューブで可)をすりこんで最低1~2時間、できれば半日ほど置いて味をなじませておくとうまみがアップします

 

↑アルミホイル、ラップの順で肉を包み、ビニール袋を二重にかぶせて口をしばった状態で、沸騰させて火を止めたお湯に投入。鍋のお湯の量は、あとでこぼれないよう鍋の半分くらいを目安に

 

↑鍋ごと新聞紙で包んで保温。新聞紙の上からシャツや毛布をかければよりベター

 

↑完成! 先述のイケアのまな板の上で切り分けました

 

一方、「かんたん無水ローストチキン」は、ダッチオーブンに半分に切ったじゃがいもとたまねぎ、乱切りのにんじんを投入すれば準備OK。野菜の上に鶏肉(むね肉でも、もも肉でも可)をのせてフタをし、加熱すれば完成です。加熱時間の目安は約1時間ですが、環境にもよるので、最初はそれよりやや長めに加熱して様子を見るのがオススメ。野菜の水分で調理するため、水を入れる必要はありません。

↑今回使用したのはSOTOのステンレスダッチオーブン(8インチ・税込1万9800円~)。鋳鉄製のダッチオーブンと違って使い始めの慣らし作業(シーズニング)や調理後に油を塗る手間が不要です

 

↑味付けは鶏肉に市販のハーブソルトをすりこんだだけ。肉が鍋肌に当たって焦げ付かないよう、ダッチオーブンにオリーブオイルを薄く塗って、たまねぎを鍋の内壁を囲むように配置するのがポイント

 

↑フタの上に石を置くと、圧力が逃げないのでオススメ

 

↑「かんたん無水ローストチキン」が完成!

 

できあがった2つの料理を、キンキンに冷えたお酒とともに頂いてみました。いや~、やっぱり最高です! 「かんたんローストポーク」は、しっとりしていてジューシー。かつ豚肉のうまみとにんにくのパンチ力が相まって、とにかくお酒が進みます!

↑完成した「かんたんローストポーク」はお酒を呼ぶ味。薬味はわさびやゆずこしょうがオススメ

 

「かんたん無水ローストチキン」は、薄味なのに素材の味そのものがしっかりと出ていて、こちらもやみつきになります。今回、鶏のもも肉とむね肉を両方使ってみたのですが、もも肉はとろっとろのぷるっぷるで口のなかでとけていき、むね肉はしっとり柔らかく仕上がっていて、やさしい肉のうまみが感じられます。

 

驚いたのは、野菜のウマさ。にんじん、じゃがいもが鶏の肉汁を吸ってうまみとみずみずしさが増幅され、ひとつの料理として完成されています。そして、すべての食材には燻製に似た香ばしさがついていて、これがまたお酒を呼ぶ! キンキンに冷えたお酒と合わせれば、それだけでもう幸せです!

↑「かんたん無水ローストチキン」は素材のうまみが存分に楽しめます

そのほかのカンタンおつまみはコチラ

 

「太陽の下で、風を感じながらご飯を食べる。星の下、たき火を囲んで酒盛りをする……これは人間の原点。だからこそ、人間を内側から活性化させてくれるんです」と、アウトドアの魅力を語る菅井さん。たしかに、目に沁みるような緑のなか、鳥のさえずりを聞きながらお酒を楽しむ時間は、かけがえのない癒しになります。みなさんもぜひ、大切な人と最高の「アウトドア飲み」を味わってみてください。

 

記事に登場したお酒はこちら▼

・全量芋焼酎「一刻者ハイボール」

https://www.ikkomon.jp/highball.htm

 

・松竹梅白壁蔵「澪」スパークリング清酒

https://shirakabegura-mio.jp/

 

・タカラ「焼酎ハイボール」<ドライ>

https://shochu-hiball.jp/

 

・タカラcanチューハイ<レモン>

https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/regular/

 

・寶「極上レモンサワー」<丸おろしレモン>

https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/gokujo_lemonsour/

 

撮影/和田清志

 

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達人が伝授!「アウトドア飲み」が劇的に楽しくなる3つの方法の噺

アウトドアやキャンプで楽しむお酒はまた格別。 大自然のなか、火照った身体によく冷えたチューハイなどのお酒を飲む幸せが忘れられない……という方も多いはず。ただ、いざ乾杯となってお酒がぬる~くなっていたら、その幸せも半減してしまいますよね。アウトドアは設備が限られているだけに、家庭で飲むときとは違った工夫が必要になります。そこで今回は、アウトドアの達人・菅井志門さんに協力を依頼し、⼭梨県白州にある菅井さんのプライベートキャンプ場「日向山ベース」を訪ねました。菅井さんに実践を交えて「アウトドアで美味しく飲むための方法」を紹介していただきます!

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

【教えてくれたのはこの人!】

↑菅井志門さん。野遊び好きな父親の影響でアウトドアにハマり、若いころから自転車・バイク旅行・登山などに没頭。いままでは年30泊はキャンプをして過ごしていましたが、現在は山梨県の山林を購入し、プライベートキャンプ場として整備する作業に励んでいます

 

方法その1

クーラーボックスでお酒を“キンキン”に冷やす

お酒を冷やすとき、クーラーボックスの使い方を工夫すると劇的な効果が得られます。なお、2020年の夏は猛暑が予想されていることもあって、お酒は冷えているほうが美味しく感じるはず。というわけで今回は、適度な冷気を長持ちさせるのではなく、クーラーボックスで“キンキン”に冷やす方法を教えてもらいます。

 

「まず第一に、外からの温かい空気を徹底的に遮断することを考えましょう。具体的には、地熱が伝わらないよう、キッチンラックなどを使ってクーラーボックスを地面から浮かせること。もうひとつは、内壁を保冷剤でぐるりと囲むようにして置くことです」(菅井さん)

↑地熱を防ぐために市販のキッチンラックを活用。写真はニトリの「折りたたみ式 キッチンラックNT 積み重ね棚」(Lサイズ・税込523円)を2個使用しています

 

↑クーラーボックスの内壁に沿うように保冷剤を配置。ちなみに、菅井さんオススメの保冷剤は、ロゴスの「倍速凍結 氷点下パック」(写真・税込1078円~)

 

加えて、氷が長持ちするよう、クーラーボックスに水は入れず、氷は袋のまま入れるのがオススメとのこと。また、冷気は下に落ちていくので、氷はドリンクの上を覆うように置くのがポイントです。

 

「あとは、クーラーボックスの中に100円ショップなどで買える銀マットをかぶせておけば完璧。開閉したときに、冷気が逃げるのを防ぐことができます。特に子どもがいる場合、意味なくフタを開けたり閉めたりしますからね(笑)」(菅井さん)

 

小一時間後、クーラーボックスのドリンクを触ってみると、たしかによく冷えている! これなら最高の状態でお酒が楽しめますね。

↑氷は袋のままドリンクの上を覆うように載せましょう

 

↑100円ショップなどで購入した銀マットを、クーラーボックスの大きさに合うようカットしてかぶせれば完璧!

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方法その2

おいしく飲むためのアイテムを選ぶ

せっかくクーラーボックスでお酒を冷やしたのだから、その冷たさをキープしたいもの。また、美味しく飲むにはおつまみが美味しそうに見えるのも重要、ということで、ここでは缶用の保冷グッズと雰囲気を高める食器を紹介していただきます。

 

「1杯目のお酒は、乾杯の雰囲気を楽しむためにもグラスで飲みたいところ。アウトドア用として壊れにくくおしゃれなグラスも発売されているので、チェックしてみてください。一方で、2杯目以降は飲むスピードが落ちて缶がぬるくなり、ぬるいと美味しくないからお酒が進まない……という悪循環に陥りがち。それを防ぐために、断熱性のある素材で缶を覆い、温まるのを防ぐ保冷缶ホルダーや缶クージーといったアイテムが便利です」(菅井さん)

↑アウトドア飲みには割れにくくてオシャレなグラスがぴったり。写真左は「ソフトランスタンブラー(4pcs)」(4個入り・税込2035円)、右は「割れないワイングラス with ポータブルケース」(税込2189円)で、ボウル部と軸の部分を取り外してコンパクトに収納できます(グラスはともにロゴス)。どちらも素材は透明なプラスチックの一種を使用しており、薄くても割れにくいのが特徴です

 

↑真空断熱構造で缶ドリンクの温度を保つサーモスの「保冷缶ホルダー JCB-352」(参考価格 税込1628円)。カラーバリエーションは4色(写真はブラックとライムグリーン)

 

↑写真左~中央はパタゴニアのクージー3種(税込各990円)。右はイケアの「アンフォード 缶ホルダー」(2ピース・税込399円)

 

続いて、おつまみを美味しそうに見せてくれるアイテムを教えてもらいましょう。

 

「ぜひ『食器としても使える調理道具』を使ってみてください。アウトドアならではの豪快さやシズル感が高まりますよ。その点、ニトリのスキレットやイケアのまな板は、価格も手ごろで見栄えも文句なし。荷物を減らし、洗い物を減らして環境を守るという意味でもオススメです」(菅井さん)

↑「ニトスキ」の愛称で知られるニトリの「スキレット鍋」(税込499円~)。蓄熱性が高いのが特徴で、オーブンでも使用できます。写真の料理はプチトマトとオクラのアヒージョ

 

↑卓上に置いても絵になるイケアのまな板。ゴムノキ製「プロップメット まな板」(写真手前・税込1699円)、竹製の「リムフォルサ まな板」(左奥・税込1999円)は、食材を切ったときの肉汁やドリップが溝にたまるので便利。「オストビット サービングプレート」(右奥・税込999円)は取っ手付きで移動がラク

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方法その3

美味しいおつまみをほったらかしで作る

大のお酒好きで、アウトドアの料理は「お酒に合うかどうか」で決めるという菅井さん。最後に、アウトドアならではの美味しいおつまみの作り方を教えてもらいましょう!

 

「焼肉なら家でもできますが、せっかくアウトドアを楽しむなら、いつもとちょっと違う料理をやってみたくないですか? とはいえ、手間がかかって遊ぶ時間やくつろぐ時間が無くなるのは考えもの。そこで、本格的に見えるのに、ほったらかしでできるおつまみを2つ紹介します。ひとつは『かんたんローストポーク』。もうひとつはダッチオーブンを使った『かんたん無水ローストチキン』。どちらも基本的に放っておけばOKですし、何よりお酒に合うんです(笑)」(菅井さん)

 

「かんたんローストポーク」は、肩ロースや豚バラなどのかたまり肉の表面をフライパンなどでよく焼き、アルミホイルとラップ、ビニール袋で包んで沸騰させた鍋のお湯に投入。この状態で放っておけば完成します。肉を温める時間は約1時間が目安ですが、しっかり火が通るよう、最初は保温する時間をやや長めにとって様子を見るのがオススメです。

↑肉の表面をよく焼きます。肉には事前に塩こしょう、すりおろしにんにく(チューブで可)をすりこんで最低1~2時間、できれば半日ほど置いて味をなじませておくとうまみがアップします

 

↑アルミホイル、ラップの順で肉を包み、ビニール袋を二重にかぶせて口をしばった状態で、沸騰させて火を止めたお湯に投入。鍋のお湯の量は、あとでこぼれないよう鍋の半分くらいを目安に

 

↑鍋ごと新聞紙で包んで保温。新聞紙の上からシャツや毛布をかければよりベター

 

↑完成! 先述のイケアのまな板の上で切り分けました

 

一方、「かんたん無水ローストチキン」は、ダッチオーブンに半分に切ったじゃがいもとたまねぎ、乱切りのにんじんを投入すれば準備OK。野菜の上に鶏肉(むね肉でも、もも肉でも可)をのせてフタをし、加熱すれば完成です。加熱時間の目安は約1時間ですが、環境にもよるので、最初はそれよりやや長めに加熱して様子を見るのがオススメ。野菜の水分で調理するため、水を入れる必要はありません。

↑今回使用したのはSOTOのステンレスダッチオーブン(8インチ・税込1万9800円~)。鋳鉄製のダッチオーブンと違って使い始めの慣らし作業(シーズニング)や調理後に油を塗る手間が不要です

 

↑味付けは鶏肉に市販のハーブソルトをすりこんだだけ。肉が鍋肌に当たって焦げ付かないよう、ダッチオーブンにオリーブオイルを薄く塗って、たまねぎを鍋の内壁を囲むように配置するのがポイント

 

↑フタの上に石を置くと、圧力が逃げないのでオススメ

 

↑「かんたん無水ローストチキン」が完成!

 

できあがった2つの料理を、キンキンに冷えたお酒とともに頂いてみました。いや~、やっぱり最高です! 「かんたんローストポーク」は、しっとりしていてジューシー。かつ豚肉のうまみとにんにくのパンチ力が相まって、とにかくお酒が進みます!

↑完成した「かんたんローストポーク」はお酒を呼ぶ味。薬味はわさびやゆずこしょうがオススメ

 

「かんたん無水ローストチキン」は、薄味なのに素材の味そのものがしっかりと出ていて、こちらもやみつきになります。今回、鶏のもも肉とむね肉を両方使ってみたのですが、もも肉はとろっとろのぷるっぷるで口のなかでとけていき、むね肉はしっとり柔らかく仕上がっていて、やさしい肉のうまみが感じられます。

 

驚いたのは、野菜のウマさ。にんじん、じゃがいもが鶏の肉汁を吸ってうまみとみずみずしさが増幅され、ひとつの料理として完成されています。そして、すべての食材には燻製に似た香ばしさがついていて、これがまたお酒を呼ぶ! キンキンに冷えたお酒と合わせれば、それだけでもう幸せです!

↑「かんたん無水ローストチキン」は素材のうまみが存分に楽しめます

そのほかのカンタンおつまみはコチラ

 

「太陽の下で、風を感じながらご飯を食べる。星の下、たき火を囲んで酒盛りをする……これは人間の原点。だからこそ、人間を内側から活性化させてくれるんです」と、アウトドアの魅力を語る菅井さん。たしかに、目に沁みるような緑のなか、鳥のさえずりを聞きながらお酒を楽しむ時間は、かけがえのない癒しになります。みなさんもぜひ、大切な人と最高の「アウトドア飲み」を味わってみてください。

 

記事に登場したお酒はこちら▼

・全量芋焼酎「一刻者ハイボール」

https://www.ikkomon.jp/highball.htm

 

・松竹梅白壁蔵「澪」スパークリング清酒

https://shirakabegura-mio.jp/

 

・タカラ「焼酎ハイボール」<ドライ>

https://shochu-hiball.jp/

 

・タカラcanチューハイ<レモン>

https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/regular/

 

・寶「極上レモンサワー」<丸おろしレモン>

https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/gokujo_lemonsour/

 

撮影/和田清志

 

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「家飲み」が劇的に変わる! 5000円以下の卓上家電でチューハイ晩酌を楽しくする噺
こう家飲みが続くと、「いつものおつまみにはもう飽きた!」と感じる方も多いはず。そんなときは、卓上家電を使っておつまみのバリエーションを広げてみてはいかがでしょうか? …

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この夏の猛暑でビールの売上が大幅増! 好調のワケをキリンビールに聞いた

猛暑が続いた今年の夏。日中にちょっと出歩いただけでも大量に汗をかいてしまうので、熱中症対策に水分をこまめに補給するよう心がけていた方も多いでしょう。そして、暑い夏に飲みたくなるものといえば、やっぱりビール! これだけ暑いと、さぞビールの売れ行きもよかったのでは……? ということで、この夏のビールの売れ行きについてメーカーにお話しを伺いました。

 

今回お話しを伺ったのは、キリンビールのマーケティング本部 ビール類カテゴリー戦略担当の原 英嗣さん。新ジャンル(第三のビール)のブランドである「のどごし〈生〉」を担当されています。

↑キリンビールのマーケティング本部 ビール類カテゴリー戦略担当 新ジャンルチームでブランドリーダーを務める原 英嗣さん

 

――この夏のビールの売上はいかがだったのでしょうか?

原さん(以下、敬称略):ビール市場は13年連続で減少が続いていたのですが、キリンビールではこの6-8月は112%の増加となりました。メインブランドである「一番搾り」が好調なほか、今年の春から立ち上がった新ジャンルの「本麒麟」も予想を超える売れ行きになり、6月は前年比111%、7月は115%の伸びとなっています。わたしの担当する「のどごし〈生〉」も5月にリニューアルを行い、おかげさまで好調に推移しています。

 

――やはりこの暑さでビール需要が伸びた格好ですね。大ヒットとなった「本麒麟」も「のどごし〈生〉」もいわゆる新ジャンルの商品ですが、こちらはどのような違いがあるのでしょうか?

原:「本麒麟」はビールに近い味を追求し“力強いうまさとコク”を訴求しているのに対し、「のどごし〈生〉」は“ゴクゴク飲める爽快なうまさとキレのよさ”が特徴となっています。

 

――「のどごし〈生〉」は5月のリニューアル以降好調ということですが、どのように変わられたのでしょうか?

原:「のどごし〈生〉」は2005年に誕生したブランドですが、2011年をピークに近年は前年割れが続いていました。立ち上がりからこれまで10回以上のリニューアルを図ってきましたが、今回はユーザーの嗜好を徹底的にリサーチし、ユーザーが求めるものを前面に打ち出す方針に思い切って舵を切りました。

 

原:「のどごし〈生〉」の強みは、“生ビールのおいしさを追求した味わい”、“ゴクゴク飲める爽快なうまさ”、“サッと消える後口のキレのよさ”ですが、今回のリニューアルにあたって試醸を繰り返し、のどごし〈生〉史上、最高のキレ味を実現しました。イメージキャラクターに俳優の桐谷健太さんを起用した新CMでは、スッキリしたキレ味をストレートに伝えるような内容になっています。

 

また、新しくなったことをパッケージでもアピールすべく、「新」という文字を目立たせたデザインを採用しています。これは結構なチャレンジでして、社内でも賛否ありました。この新デザインでは麒麟の意匠も従来より大きくなっているんですよ。

↑「新!」の文字を強調した斬新なデザイン

 

――「新」という字が大きくて斬新ですね。ところで、最近は特に20~30代の若い世代を中心にビール離れが起きていると言われていますが、そういった層にはどのようなアプローチをされているのでしょうか?

原:40~50代に比べ、20~30代といった若い世代ではビールよりもチューハイが好まれる傾向はありますが、最近ではクラフトビールのような個性のあるビールを料理に合わせてペアリングを楽しむ、といった提案もしています。その一方で、「のどごし〈生〉」は、気軽に飲んで頂けるデイリービールとして訴求しています。

↑クラフトビールの「スプリングバレーブルワリー」シリーズ

 

――確かに平日の晩酌ではお手ごろな新ジャンルや発泡酒を、ゆっくり飲める週末にはクラフトビールを、というように飲み分けているといった話しをよく耳にします。そういえばアルコール飲料では高アルコールがトレンドになっていますが、「のどごし〈生〉」がアルコール度数を高めるといったことはありえるのでしょうか?

原:のどごしブランドではアルコール度数7%の「のどごし STRONG」をラインナップしていますので、高アルコール需要にはそちらで対応したいと考えております。ほかにも、糖質ゼロ・人口甘味料ゼロ・プリン体ゼロの「のどごし ZERO」という商品もあり、幅広いニーズに応えられるようにしています。

 

 

――のどごしブランドもどんどん拡大しているんですね。次はどのような商品が出てくるのか楽しみです。本日はありがとうございました。

 

この夏、大きく売り上げを伸ばしたビール市場ですが、好調の理由は“暑さ”だけでなく、変化するニーズに合わせた商品開発やシーン提案にもあるようです。いつも「何となく」ビールを選んでいる方は、料理や気分に合わせて商品を選んでみてはいかがでしょうか?

 

「日本酒に合う料理」にはそんなセオリーが…! 体験イベントで知る「ペアリング」の喜び

8月4日、二子玉川の蔦屋家電2階のダイニングにて、日本酒ファンに向けて、新たな体験イベントが開催されました。その名も「吟醸酒と調理家電レシピの『完璧なペアリング』体験会」。麻布十番で人気のダイニング日本酒バー『赤星とくまがい』のオーナー、赤星慶太さんを講師に招いた体験イベントで、日本酒の吟醸酒と、これにピッタリ合う3品の料理を楽しむ体験会です。提供される料理の一部はパナソニックの最新調理家電「IHデイリーホットプレート」で調理されます。

 

幅広い年齢層の約30名がイベントに参加

体験会のテーマは、イベント名の通り、「吟醸酒と料理のペアリング」。酒好き、グルメ好きにとっては想像するだけで微笑んでしまうイベントです。しかも、コアな日本酒ファンに評価が高い「赤星とくまがい」が監修するとなれば、これはもう、行かねばなるまい! というわけで、歴史に残る猛暑の中、汗を拭きつつ駆け付けました。

 

イベントの会場は二子玉川の蔦屋家電。本棚や観葉植物が印象的に配置されたスタイリッシュな店内を通って、2階のダイニングへ。今回は1日2回の開催で、各30人ずつが参加します。開始時刻が近づくにつれて、30代くらいから60代くらいまで、幅広い年齢層が集まってきました。参加者は女性がやや多いようですね。

 

調理にはパナソニックの「IHデイリーホットプレート」を使用

また、会場が蔦屋家電ということもあって、体験会で提供する料理は、最新の調理家電「パナソニック IHデイリーホットプレート KZ-CX1」(8月1日発売・実売価格5万6520円)で調理されました。こちらは熱源が二つあり、プレートを外すとIH調理器としても使えるので、その名の通りテーブルの上に置いて毎日でも使うことができるといいます。

↑見た目もスリムなパナソニックのIHデイリーホットプレート

 

さらに、本イベントでは新しいブランド「双円」(そうえん)の酒器を使用。「双円」は気鋭のプロダクトデザイナー、鈴木 健氏が主導して立ち上げたもので、同じ販路、同じブランディングを異業種・異素材でシェアするという画期的な取り組みです。本イベントでは、千葉県のガラスメーカーSghr(スガハラ)のタンブラーが使用されました。

↑参加者が手にしているのが、「双円」のタンブラー。イベント終了後はお持ち帰り頂きました

 

アメリカで20年、日本酒を紹介してきた赤星慶太さんがナビゲート

さて、いよいよイベントのメイン、「無冠帝」と料理のペアリングのコーナーがスタート。日本酒コーディネーター兼ライターの馬渕信彦さんを進行役に、麻布十番の「赤星とくまがい」のオーナー、赤星慶太さんが日本酒と料理のペアリングについて解説します。

↑赤星慶太さん

 

ここで少々、ナビゲーターの赤星さんの紹介を。赤星さんは1998年、地酒のエクスポーターとして渡米。2009年に『Sake Bar KIRAKUYA』をプロデュースし、後に3店舗の酒ソムリエを歴任します。赤星さんは渡米中、ある女性から「この美味しい日本酒と料理に出会わなければ、私は一生、ジャンクフードと炭酸飲料で過ごしていたと思う。本当にありがとう」と涙ながらに感謝されたことが強く印象に残っているそう。以降もこの経験をモチベーションとして、日本酒と料理のペアリングの可能性を探り続け、2015年4月、自らのお店をオープンするため帰国。NYで出会ったシェフの熊谷道弘さんと『赤星とくまがい』を麻布十番にオープンしました。

 

「アメリカで20年、お酒を売る仕事をしてきて、飲み慣れていない人にお酒を伝えるために、料理とのペアリングを考えるようになりました。私が考えるペアリングの基本は『調味料で考えること』。たとえば、刺身にどの日本酒を合わせたらよいかとよく聞かれますが、醤油と合わせればいいんです」(赤星さん)

 

なるほど。お酒は食材ではなく、調味料で合わせるというのは初耳ですね。さて、「そろそろ美味しい匂いがしてきました」との馬渕さんの言葉の通り、ホットプレートで肉が焼けるいい匂いが漂ってきましたよ。

↑IHデイリーホットプレートで調理する「赤星とくまがい」のシェフ、熊谷道弘氏

 

高い志を秘めた菊水酒造の吟醸酒「無冠帝」

続いて、料理とペアリングするお酒のほうを紹介していきましょう。実は、本イベントを後援したのが新潟県・新発田市の菊水酒造。菊水といえば、鮮烈な風味のアルミ缶のワンカップ「ふなぐち菊水一番しぼり」や鋭い切れ味の「菊水の辛口」で有名ですが、今回の主役は吟醸酒の「無冠帝」です。

↑菊水酒造の「無冠帝」。参考価格は300mℓで544円(税抜)、700mℓで1190円(税抜)

 

本品は1983年に発売。「高品質のお酒をたくさんの方にお届けしたい」との高い志を持ち、酒銘に「無冠の帝王」の意味を込めたといいます。発売から35年、時代によって味やボトルのデザインは変わりましたが、この酒にかける「心意気」は今も変わっていないそう。

↑菊水酒造の長谷川洋平さん

 

菊水酒造の長谷川洋平さんによると、無冠帝を「日々を大切に生きる人々、生き方にこだわる人へのスタイリッシュなお酒」と表現。さらに、辛口で切れがよく、「香りや酸味は穏やかで料理をさりげなく引き立てるので、テーブルをきれいに演出するお酒」と語りました。お話を聞いているうちに、菊水酒造さんのこだわりがひしひしと伝わって来て、「無冠帝」とは実際にどんなお酒なのだろう? と、楽しみになってきます。

菊水「無冠帝」の公式サイトはコチラ

 

「無冠帝」に合うしょうがやおろしポン酢を使った3品の料理が登場

やがて、お皿に乗った料理が運ばれてきました! 料理は以下の3種類です。

【1】「トマトと水牛のモッツァレラ ガリ風味のカプレーゼ」(写真左奥)
【2】「カレー風味のハンバーグ」(写真右手前)
【3】「焼きマシュマロのベリーソースがけ」(写真右奥)

 

赤星さんが、上記3品の料理の狙いを、以下のように解説してくれました。

「『無冠帝』に一番合うと思ったのがしょうがです。しょうがとの相性がいいので、カプレーゼには甘酢漬けにしたガリを使いました。ハンバーグにはおろししょうがとカレーパウダーを入れています。家庭で試すなら、おろしポン酢がオススメ。『無冠帝』の最後の苦みがポイントで、大根と相性がいいんです。『焼きマシュマロのベリーソースがけ』は、マシュマロ、ヨーグルト、ブルーベリーを使用。ヨーグルトの乳酸と日本酒は相性がいいので、そのペアリングを味わってもらえたらうれしいです」

 

いよいよペアリングを実際に体験!

では、いよいよ実際に味わってみましょう。まずは、ブルーのボトルが涼やかな「無冠帝」単体で味わってみます。「無冠帝」が注がれたグラスを鼻に近付けてみると、上立ち香は穏やか。口に含むと、きりっとした味わいが印象的で、しっかりとした旨みがあります。含み香も爽やかですね。

↑料理を味わう参加者

 

続いて、「トマトと水牛のモッツァレラ ガリ風味のカプレーゼ」を味わいました。モッツレラチーズの味がふわりと口の中で広がったあとに、トマトとガリの酸味がじわり。その後に再び「無冠帝」を飲むと、最初より味が引き締まって美味しく感じました。おお、これぞペアリングの妙。料理によって日本酒の味が引き立つとはこういうことだったんですね。

 

参加者の間からも、「ホントだ、しょうがが合う!」という声が聞こえてきます。意表を突かれた素材のペアリングに、会場全体が赤星マジックの術中にはまってしまった模様。

 

続いて、「カレー風味のハンバーグ」を試してみましょう。鶏肉のハンバーグは意外にもガツンとした味わいです。しかし、「無冠帝」を飲みながらいただくと、料理のしつこさが和らぐのがよくわかります。焦げめが甘く感じられ、肉やたまねぎなど、素材のひとつひとつの風味がより美味しく感じられますね。「無冠帝」もすいすいと喉を通り、いくらでも飲めそうな気がしてきました。

↑絶妙なペアリングで、参加者のお酒も進みます

 

最後に「焼きマシュマロのベリーソースかけ」はどうでしょう? 合わせてみると、ヨーグルトとブルーベリーの酸味が「無冠帝」と混然一体となったかのような……。

 

生詰の香りをミントが引き立てる

さらに、赤星さんによると、マシュマロに添えたミントにも意味があるようです。

 

「『無冠帝』は『生詰(なまづめ)』の『吟醸』なので、香りがすっと上がって来るのがポイント。それをミントが引き立てているんです」

↑無冠帝の特徴を語る赤星さん

 

赤星さんが言う「生詰」とは、通常2回行う火入れ(加熱)を1回のみ行う日本酒の種類のこと。フレッシュな香りと味わいがしっかりと残り、かつ火入れによって味が安定します。「吟醸」とは、60%以下に精米したお米を使い、低温発酵させて手間をかけて造ったお酒で、華やかな香り、軽やかな酒質が特徴です。

 

ちなみに、火入れをしない生酒や、先述の生詰は管理が難しいのですが、実は、菊水酒造ではほとんどのお酒を生酒か生詰にすることにチャレンジしているそうです。ここでも、蔵元の味へのこだわりを感じますね。

↑「無冠帝」のラベルに注目。ラベル下部には「吟醸 生詰」の文字が

 

菊水「無冠帝」の公式サイトはコチラ

 

ペアリングの世界を知り、ますます日本酒が楽しくなった

こうして、1時間ほどでイベントは終了。イベント名にある通り、「無冠帝」と3種類の料理との「完璧なペアリング」を堪能させて頂きました。ほかにも、赤星さんは、「日本酒のペアリングでは酸を重視する。酸を覚えるため、毎日7種類の酸を水に溶かして飲んでいたら、次第に酸の違いがわかるようになった」「お酒を料理のソースに合わせれば失敗はない」「日本酒に氷をひとつ落とすと味が劇的に変わる」といった刺激的な知識や、すぐ使えるテクニックも披露してくれました。

「日本酒といえば塩辛」という昔ながらの考え方とはまったく違う世界を見せていただき、まさに、目からウロコが落ちる思い。実際、参加者からは、「ガリがこんなに日本酒と合うなんて知らなかった!」「日本酒と酸の関係が勉強になった。日本酒に合う料理を作るときは、ポン酢や大根おろしをうまく使いたい」「調味料として日本酒を考える、という点がすごく新鮮だった」「お酒と料理のペアリングを考えたことはなかったので、『なるほど』と思うことが多くて、楽しかった」…などなど、みなさん、興奮の面持ちで感動を語ってくれました。

 

【動画】イベント参加者の声

「日本酒と料理のペアリング」というテーマ自体への感心も高かったようで、「料理が味わえなくても話だけでも聞きたい」と、イベントに参加する方も多くいらっしゃいました。最新の調理家電や酒器に触れられた点も斬新で、モノ好きの好奇心も満たす内容。まさに一粒で何度でもおいしいイベントでした。思うに、これは後援が「無冠帝」だからこそ実現できたこと。発売35年であえてリニューアルに踏み切った「挑戦」の気概が、このような斬新なイベントを生んだのでしょう。

 

本イベントに触れたことで、日本酒の世界はまだまだ奥が深い……だから、楽しい。そんな思いを新たにしました。読者のみなさんもぜひ、本稿をきっかけに、日本酒の新たな楽しみ方を探してみてください。

撮影/我妻慶一

 

菊水「無冠帝」の公式サイトはコチラ

 

【「無冠帝」との完璧なペアリングが実現する3品のレシピはコチラ】

その1

トマトと水牛のモッツァレラ ガリ風味のカプレーゼ
■材料(一人前)
【A】
・ミニトマト:1/2個
・モッツァレラチーズ(小):1個
・ガリ:小1枚(約5g)
・大葉:1/2枚

・塩:適量
・こしょう:適量
・オリーブオイル:適量

■作り方
①【A】の材料を、モッツァレラチーズ、ガリ、大葉、ミニトマトの順に重ね、ピンまたは串を刺す。
②上から塩、こしょう、オリーブオイルをかける。

 

その2

カレー風味のハンバーグ
■材料(一人前)
・鶏もも肉(ひき肉):100g
・たまねぎ:50g
・舞茸:50g
・長芋:20g
・しょうが:5g
【A】
・塩:4g
・こしょう:2g
・卵:1/2個
・カレー粉:1g
・醤油:10㏄
・酒:5㏄
・みりん:5㏄
■作り方
①たまねぎ、舞茸をみじん切りにする。
②長芋、しょうがをすりおろす。
③鶏もも肉(ひき肉)と①と②をボールに入れ、【A】を加えて混ぜ合わせる。
④適量を手でこねて、ホットプレートで焼き上げる。

 

その3

焼きマシュマロのベリーソースがけ
■材料(一人前)
・マシュマロ:適量
・ヨーグルト:適量
【A】
・ブルーベリー:200g
・水:100cc
・白ワイン:30cc
・ レモン汁:10cc
・グラニュー糖:40g

■作り方
①【A】の材料を鍋で火にかけて、煮詰める。
②マシュマロの表面を、バーナーで焦がすように炙る。(※バーナーで炙る代わりに、ホットプレートで表面を焼いてもOK)
③マシュマロの上に①のソースをかけ、さらにヨーグルトをのせる。

みなさんカクテルはお好きですか? 老舗リキュール・BOLSで楽しむ「同色の法則」

カクテルはさわやか系も甘い系もあるし、飲みやすいロングカクテル、じっくり飲めるショートカクテルなど、バリエーションが多彩で面白いですよね。「でも、カクテルはお店で飲むもの。材料もないし、家で作るのは難しい…」とお思いの人もいるのでは?

ご安心を! 「BOLS」(ボルス)を使えば、だれでも簡単においしいカクテルを楽しめるのです。本稿ではボルスの特徴や魅力について、先日行われた期間限定イベントのお披露目会の様子からお伝えしていきます!

 

オランダの老舗リキュールBOLS(ボルス)とは?

ボルスは、オランダ・アムステルダム生まれのリキュールブランド。その歴史はとても長く、なんと創業は1575年。世界に現存するなかで、最も歴史あるスピリッツメーカーといわれています。

↑ボルスはカラフルでデザインもカッコイイ!

 

30種類以上もの豊富なフレーバーをラインナップし、伝統的な製法で造られる高い品質のリキュールは、世界110か国以上のプロのバーテンダーがカクテルに使用しているそう。色鮮やかでスタイリッシュなボトルは、もしかしたら見たことがあるかもしれませんね。

 

リキュールの香りを楽しむ限定イベント開催!

そんなボルスが開催するイベントは、そのコンセプトやリキュールを五感で楽しめる期間限定のディナーテラス。2018年9月10日~10月19日まで、東京・明治神宮前のレストラン「ベニーレ ベニーレ」で行われています。

 

レストラン内には日本初展開となる「アロマディスプレイ」というボルス社オリジナルの装置が設置され、料理やドリンクでリキュールを味わうだけでなく、目と鼻でも「体験」できるようになっています。

 

↑こちらがアロマディスプレイ。ポンプを押すとリキュールのアロマがプシュッと出てきます

 

メディア向けのお披露目会では、日本を代表するバーテンダーによるオリジナルカクテルやパフォーマンスショーが振る舞われ、会場を盛り上げました。

 

↑ボルスの世界大会「BOLS AROUND THE WORLD」にアジア代表として出場した宮之原寿美礼さん

7つのおすすめフレーバーをピックアップ

種類豊富なボルス製品のなかから、このイベントでは7種のリキュールがフィーチャーされています。それぞれの特徴を紹介しましょう。まずは、初めてボルスを楽しむ方にオススメしたい定番フレーバーから。

↑「ブルー」はボルスのなかで最も歴史のあるフレーバー。パワフルなオレンジの味わいを感じるブルーキュラソー

 

↑フレッシュなライチがフルーティーで甘い「ライチ」。日本での好評を受け、世界中の人気に火が付きました

 

↑オランダ産のヨーグルトを使った「ヨーグルト」。割らずに飲んでもいいし、スイーツの材料にも使えそう

 

続いては、お酒が得意でない人でも飲みやすい、果実味のあるスイートなタイプです。

↑ゴールドに光る「マンゴー」。ジューシーな完熟マンゴーの味わいがトロピカル。南国リゾート感を演出してくれます

 

↑日本人になじみやすいテイストの「サワーアップル」。酸味と甘さのバランスがよくて、みずみずしい味わいです

 

↑ほのかにバニラが香る、フルーティーな「パッションフルーツ」。新鮮なパッションフルーツ果汁入りのさわやかなフレーバー

 

ラストは今回のなかで最も個性的なパンプキン味。思いのほか味わいはしっかりとしたリキュールになっていて、カクテルによくなじみます。そして何といっても、ハロウィンパーティにぴったり。

 

↑こちらが「パンプキンスパイス」。カボチャの甘みに、シナモンやナツメグといった木の実のようなスパイシー感が絶妙

 

ボルスにあわせるには、どんな料理を作ればいいの?

さらにお披露目会では、銀座クルーズの総料理長・諸星純一さんが、カラフルなボルスにインスピレーションを受け、7種のリキュールをイメージしたオリジナルメニューを作ってくれました。

↑諸星純一さん。イベント会場の「ベニーレ ベニーレ」を運営する銀座クルーズの総料理長です

 

野菜ソムリエの資格を持つ諸星シェフによると、同じ色味の野菜などを使ったおつまみを合わせると、非常に合うのだとか。これはとても分かりやすくていいですね!

 

↑会場で振る舞われた「7色に輝くアンティパストミスト」

 

確かに、こんなにオシャレで色鮮やかな料理が家で出てきたら、きっとゲストも喜んでくれるでしょう。季節はすっかりグルメの秋。ホームパーティではぜひボルスと、その色に合わせた料理で盛り上がってみてはいかが!

「クラフトビール」の正しい飲み方って知ってる?「グランドキリン」で学ぶクラフトビールの基本

「クラフトビール」が最近、ちょっとしたブームになりつつあります。とはいえ、「苦い……」「料理の邪魔をしそう」といったイメージを抱いている人もまだまだ多いはず。ですが、実はクラフトビールほどバリエーション豊かな楽しみ方ができるビールはないんです。

 

先日、GetNaviが開催したクラフトビールとコストコ食材のマリアージュを楽しむイベントでは、キリンビールの「グランドキリン」を通してクラフトビールをより深く知るための体験セミナーが開催されました。意外と知られていないクラフトビールの基礎知識、知っておいて損はありません!

 

そもそも「クラフトビール」って何? 実はアメリカと日本で異なる

そもそも「クラフトビール」とはどういったビールのことを指すのでしょうか? アメリカの「ブルワーズ・アソシエーション」というビール醸造者の協会では、「小規模であること」「独立していること」「伝統的であること」と定義されています。

 

アメリカのクラフトビールと聞いて日本人が思い浮かべる代表的な銘柄は「ブルームーン」ですが、これは大規模かつ独立していないブルワリーが製造したビールのため、アメリカではクラフトビールとは言えないそうです。

↑今回のイベントの講師の吉田さんはキリンビールでクラフトビール事業を担当している

 

そして、日本におけるクラフトビールの定義はありません。キリンビールでは「作り手の感性と創造性が楽しめるもの」をクラフトビールと呼んでいます。この定義では、ひと昔前に流行った地ビールや、キリンビールが手がけるグランドキリンなども、クラフトビールという一括りにまとめられます。

 

ホップ投入のタイミングがクラフトビールの味を左右する

ビールの基本となる原材料は、麦芽、ホップ、酵母、水です。クラフトビールも同様で、なかでも香りや苦味にとって重要なのが「ホップ」の存在。ホップはアサ科の植物で、ビールに使われるのは受粉前の雌株が持つ毬花(きゅうか)です。ホップを割るとなかに黄色い粉の「ルプリン」があり、これが香りや苦みのもとになります。

↑こちらがホップ。ホップの生産国・ドイツでは、ホップに安眠効果があると言われており、枕に入れたりアロマにしたりするのだとか

 

ホップが担う役割は大きく4つあります。

●ビール特有の「苦み」

●柑橘類や樹脂香などの「香り」

●炭酸が抜けたり酸化したりするのを防ぐための「泡立ち」

●ビール混濁菌の増殖の抑制

これらの効果のためにも、ビール作りにホップは欠かせない存在なのです。そして、ホップを投入するタイミングによって、香りや苦みの出方が大きく異なります。

 

ビール作りは、麦芽と湯をタンクに入れて”糖化”させるところから始まります。この麦汁をろ過→ホップを加えて煮沸→ホップかすの除去→酵母を加えて主発酵→低温で貯蔵した後、ろ過するのが一般的なビールの作り方です。ホップを加えて煮沸することで、香りが柔らかくなるのだとか。

 

それに対し、クラフトビールは貯蔵のタイミングでホップを加える「ドライホップ」製法が主流。低温での貯蔵中なので香りが飛びにくく、少し青臭い樹脂香が付きやすくなります。しかし、グランドキリンでは主発酵の段階でホップを加える「ディップホップ」製法というキリン独自の技術を採用しています。こうすることで、ホップ特有の嫌な匂いに酵母が吸着し、発酵が終わると回収されるため、ホップのいい香りだけが残るそうです。

 

イベントでは実際にドライホッピングと「ディップホッピング」の違いを体験! ホップを入れた容器に「一番搾り」を加えてホップを浸し、即席のドライホッピングを再現してみました。ドライホッピングした「一番搾り」と飲み比べるのは、「ディップホップ」製法で作られた「グランドキリン JPL(ジャパン・ペールラガー)」。

↑ドライホッピングを簡易的に再現。ビールにホップを加えると泡立ちが良くなった

 

ドライホッピングした「一番搾り」はホップ特有の強い香りや苦みがあるのですが、少し過剰な印象。それに対し、JPLのバランスの良さは際立っています。ホップを加えるタイミングひとつでこれだけ香りや味わいに差が出るのには驚かされました。

↑ドライホッピングが好みな人はクラフトビール上級者。香りや苦みの強いものを選ぶといい

 

グラスが違えば香りや味の感じ方が変わる

同じクラフトビールでも、グラスを変えるとまったくの別物になります。今回使用したのは、ドイツの名門グラスブランド「シュピゲラウ」とグランドキリンがコラボした「IPLグラス」。JPLをこのグラスとプラカップに注いで飲み比べます。

↑シュピゲラウは1521年に南ドイツで創業した老舗ブランド。ワイングラスのブランドとしても有名

 

IPLグラスにおいしくビールを注ぐには、グラスを45度に傾けて、ボウルの一番太いところから2〜3cm下あたりに液面がくるように静かに注ぎます。続いて、少し上からJPLを落とすようにして泡の層を3cmほど入れれば完成。残りのビールはプラカップに入れ、飲み比べてみます。

 

IPLグラスは中に香りがとどまりやすい卵型でありながら飲み口もある程度の広さがあり、中に鼻をしっかり入れることでJPLの国産ホップの香りが楽しめます。それに対し、ラッパ型のプラカップは同じビールなのにほとんど香りがしません。

 

また、JPLを口に含んでみても、IPLグラスは甘みが感じられるのに、プラカップだと最初に苦みがきます。これはIPLグラスは上を向いて飲むので舌先から喉までビールがスムーズに流れ込むのに対し、プラカップは下を向いたまま飲めるので口全体にビールが広がってしまうからなのです。

↑舌のどこに当たるかというのが重要。専用グラスとプラカップで香りや味が異なるのはワインと同じだ

 

さらに、IPLグラスは飲み進めていくと、グラスを横から縦に戻す際に泡が立ち、ビールの表面をきちんとフタしてくれます。これにより炭酸が抜けるのを防いだり、酸化による味の変化を抑えてくれたりするので、時間が経ってもおいしいビールが楽しめます。

↑IPLグラスはキリンのオンラインショップ「DRINX(ドリンクス)」で購入可能

 

ビアスタイルごとにグラスを増やすのはちょっと……という人は、ワイングラスで楽しむのもひとつの手です。ちなみに、「一番搾り」のようなスッキリした味わいのピルスナータイプはラッパ型のグラスのほうがおいしく飲めます。

 

料理に合わせたマリアージュを楽しもう

ビールは大きく分けると「ラガータイプ」と「エールタイプ」に分かれます。ラガータイプは「下面発酵」で、発酵が進むと酵母がタンクの底に沈殿します。低温でじっくり時間をかけて発酵させるので、比較的スッキリしたビールに仕上がります。

 

それに対しエールタイプは「上面発酵」。発酵が進むと酵母が上に浮いてきます。常温に近い温度で発酵するので、フルーティーで華やかな香りになりやすく、クラフトビールらしい味わいになります。

 

さらに、水、麦芽、ホップ、副原料を組み合わせていくことで、さまざまなクラフトビールが完成します。クラフトビールのビアスタイルは世界で100種類以上作られています。

↑クラフトビールはラベルのバリエーションが豊富なので、ジャケ飲みするのも楽しい

 

これだけ香りや味わいが異なれば、料理との組み合わせも無限大。今回のイベントでテイスティングしたのは、「グランドキリン WHITE ALE(ホワイトエール)」「COPELAND(コープランド)」「グランドキリン JPL」「よなよなエール」「グランドキリン IPA」「Afterdark(アフターダーク)」の6種類。

↑クラフトビールは料理とのマリアージュを楽しむのに最適なお酒。双方を引き立てる組み合わせを探してみよう

 

ホワイトエールは白ワインのような香りがする「ネルソンソーヴィンホップ」を使用し、小麦を使ったふくよかな優しい苦みとさっぱりした後味が特徴。白身魚のムニエルやカルパッチョ、バニラアイスなどに合うそうです。

 

コープランドは麦芽の甘い香りと品のいい苦みがあり、苦いビールが苦手な人も飲みやすいピルスナータイプ。とんかつやカルボナーラ、マルゲリータピザといった味の濃い料理に組み合わせるといいですよ。

 

JPLは国産ホップ(一部使用)と国産麦芽を使用。少し苦みがあって余韻を楽しめるので、豚の角煮など甘辛い味付けのものに良さそうです。

 

よなよなエールは、アメリカ産のカスケードホップに由来するグレープフルーツのような香りが特徴。フィッシュアンドチップスなどの揚げ物や酢漬けとの相性が良く、ガリに合わせて食べるのがおすすめ。

 

IPAは大量に使用するホップによる、香りと苦みが特徴的。苦みのあるビールなので苦みのある料理との相性がいいそうです。いまの季節なら「茗荷の炭火焼き」をぜひ。

 

アフターダークはラテのような豊かな甘味と少しの苦みが感じられます。チョコレートとのペアリングは試す価値アリ。食事とのペアリングを試す際は、ビール、食事、ビールの順にいただきましょう。こうすることで、最初はビールの残り香があるなかで食事を楽しめ、最後は食事の残り香とともにビールが楽しめます。

 

コストコ食材を使ったおつまみは簡単なのに本格的な仕上がり!

今回のイベントでは、コストコ情報ブログ「コストコ通」の管理人・コス子さんがクラフトビールに合うおつまみを監修。爽やかな口当たりのホワイトエールには「アトランティックサーモンのヨーグルトソース」、少し苦みのあるJPLには「スパイシーロティサリーチキン」、香りと苦みがしっかり効いたIPAには「チーズたっぷりプルコギビーフ」を合わせてました。

↑「アトランティックサーモンのヨーグルトソース」「スパイシーロティサリーチキン」「チーズたっぷりプルコギビーフ」が振る舞われた

 

アトランティックサーモン、ロティサリーチキン、プルコギビーフはコストコの人気商品。ビールの香りや味わいに合わせて、料理の味付けをさっぱりさせたりスパイシーにしたりすることで、ビールと料理がお互いの良さを高めてくれています。これこそがマリアージュ! コストコ食材はいずれもボリュームたっぷりなので、パーティなどでも大活躍です。

 

特に「チーズたっぷりプルコギビーフ」はホットプレートさえあれば完成する手軽さが魅力。プルコギビーフをホットプレートで炒めたら、ピザ用チーズを載せてフタをしてチーズが溶けるのを待つだけ。もともと味がしっかり付いているからこそ、少し手を加えるだけでいいのがうれしいですね。

↑今回はパナソニックの「IHデイリーホットプレート KZ-CX1」で調理。サイズが大きいのでたっぷりのプルコギビーフを一度に炒められる

 

実は今回体験したクラフトビールに関するセミナーは、「CRAFT BEER ROOM びあのわ」として定期的に開催されています。また、代官山、横浜、京都に店舗を構える「SPRING VALLEY BREWERY(以下SVB)」では、その場で醸造されたクラフトビールと料理を楽しむこともできます。SVBでしか飲めないクラフトビールもあるので、興味がある人はぜひ足を運んでみてください!

秋の夜長には断然ウイスキー。しかもブラックニッカの“ディープ”なヤツがいい!

夜がどんどん長くなっていく今日このごろ。街や家に明かりが灯ったら、お気に入りの美酒をじっくり堪能する…。これからの季節は、そういう楽しみも充実してきます。

 

そんななか、あの「ブラックニッカ」の定番ウイスキーがリニューアルしました。同時に、数量限定の特別ブレンドもリリース。秋の夜長がさらに盛り上がりそうな予感です。そこで、注目の新商品を取材するべく、アサヒビールの新商品発表会に行ってきました!

 

ブラックニッカについて

“ヒゲのおじさん”が印象的な「ブラックニッカ」。1956年の発売以来、時代とともにカタチを変えながら、多くのファンに愛され続けるロングセラーブランドです。現在ではスッキリとした「クリア」、華やかな香りの「リッチブレンド」、濃厚でしっかりした「ディープブレンド」の3つのシリーズが中心になっています。

 

 

「家飲み」に新しい選択肢を!

これまで「ブラックニッカ」は、父の日に向けた限定ブレンドを発売するなど、さまざまな飲用シーンに寄り添う形での提案を行ってきました。今回キーポイントになっているのは「家で飲む」ということ。そしてリニューアル対象は「ディープブレンド」です。

 

なぜそこに焦点を絞ったのでしょうか?ヒントになっているのは、飲用シーンや時間の変化です。アサヒビールの調査により分かったのが、ウイスキーは飲食店で飲むが、家では飲まない人が多いこと。近年のライフスタイルの中で人々が重視するのが“食後の時間”や“くつろぎのシーン”であるということ。そして、ウイスキーを家で飲む人は“ロック”で飲む傾向にあること。これにドンピシャなのが「ディープブレンド」シリーズだというワケです。

 

↑「友人や仲間との時間」よりも、「一人でいる時間」「くつろぎの時間」を大事にしている人が多いとか(アサヒビール新商品発表会の資料より)

 

↑家飲み派はロックで飲むのが好きなようです(上記同資料より)

 

 

見た目がフレンドリーになって再登場!

それでは新しい「ディープブレンド」の、どこが変わったのでしょうか? もともと「味わい」への評価は非常に高かったので、中身は変わらず。変わったのはパッケージです。

↑「ブラックニッカ ディープブレンド」1500円(税抜/参考小売価格)

 

赤いラベルとスモークがかったボトルの旧デザインから、ラベルのキーカラーを濃紺に、そして透明のボトルに変更。より手に取りやすく、かつ上質感のある新しい姿になりました。

↑イメージカラーの濃紺のグラデーションが、味わいにぴったり合っています

 

樽由来のウッディな香り、モルティでやわらかな甘さが特徴的。甘くコク深い味わいながら余韻はビターに。確かにこれは、ロックでじっくりと楽しみたい重厚さです。

 

さらに深くを攻めた限定品「エクストラスイート」

「ディープブレンド」のリニューアルにあわせて、「エクストラスイート」という特別エディションも数量限定で発売されます。

↑「ブラックニッカ ディープブレンド エクストラスイート」2000円(税抜/参考小売価格)

 

こちらは「ディープブレンド」をベースに、その個性をさらに際立たせたプレミアム版。とても希少な長期熟成の新樽モルト原酒や熟成カフェグレーンを使用し、甘くまろやかなコクをもっと深めました。

↑テイスティングして飲み比べると、濃密で甘い香りが際立ちます

 

テイスティングの際には、マスターブレンダーの佐久間 正さんが、いろいろと説明してくれました。

↑マスターブレンダーの佐久間 正さん

 

佐久間さんによると、「エクストラスイート」は、飲み方によって異なる魅力が現れるのも特徴とのこと。たとえばロックで飲めばバニラのような甘い香りが花開き、ハイボールならピートのビターな香りが泡とともに立ちのぼる。そんな二面性を楽しんでみるのも面白いですね。

 

 

いろいろなシーンで“ディープ”に酔いしれよう!

2つの「ディープブレンド」は、様々な時間を上質なものに変えてくれそうな、魅惑のお酒です。オススメの飲用シーンをちょっと想像してみましょう。まずは食事と合わせて。甘く香ばしい香りは、それだけで主役になります。食事と一緒にペアリングを楽しむのはもちろん、食後に飲むのもオススメです。

↑発表会では、参加者にフィンガーフードも振る舞われました

 

ほかには、たとえばリラックスタイム。寝る前や休日に勤しむ、趣味の時間などにもピッタリでしょう。

↑たとえば本を読みながら。リラックスした脳に、本の内容がスムーズに入ってきそう

 

↑たとえば音楽を聴きながら。お気に入りの旋律がもっと心地よく感じられそう

 

↑たとえば映画を見ながら。登場人物や世界観により深く没入できそう

 

こんな感じで秋の長い夜をさらに深く、ゆるやかにしてくれる新生「ディープブレンド」。皆さんもぜひグラスを片手に、思い思いの時間を過ごしてみてください!

あえての”ノンアル派”が急増中! プロが教える「ノンアルコールビール」の選び方

ノンアルコールビールといえば、”クルマを運転するときに選ぶ”という消極的な理由で飲むものだと思っていませんか? 実は、最近はそういったシチュエーションだけでなく、食事中やお風呂上がりなど日常生活で飲む人も増えているそうです。

 

とはいえ、「できるだけビールに近い味がいい」と思うのがビール好きの本音。かくいう筆者もノンアルはめったに飲まないので、”ビールに近いかどうか”が基準だと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。

 

そこで、日本ビアジャーナリスト協会でも活動しているビアライターの富江弘幸さんに、ノンアルコールビールを飲み比べながら選び方のポイントを教えていただきました!

↑1975年東京生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。卒業後は出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、新聞社勤務。現在は日本ビアジャーナリスト協会ウェブサイトや『ビール王国』などで記事を執筆するほか、ビアジャーナリストアカデミーの講師も務める

 

 

一番搾り麦汁の香りと旨みが際立つ「キリン 零ICHI」

最初に富江さんに飲んでもらったのが、「一番搾り製法」を採用した「キリン 零ICH(ゼロイチ)」です。麦汁をろ過する際の二番麦汁を使わず、最初に流れ出た一番搾り麦汁だけを使用しています。

↑キリンビールの「キリン 零ICH(ゼロイチ)」

 

「ノンアルコールビールには珍しく、麦の香りや味がしっかり感じられます。一番搾りに比べると、スッキリ感がありますね。香りもフルーティー。全体的にはビールに近い印象ですが、甘みは控えめ。食事に合わせるのに良さそうです」(富江さん)

 

富江さんがビールとの違いについて触れましたが、その味に違いがあるのは当然のこと。なぜなら、ノンアルコールビールは普通のビールからアルコールを抜いているわけではなく、”まったく別の製法でビールに近いものを作っている”からなんです。そんな飲料をビールに近い仕上がりにする一番搾り製法は、技術革新の賜物と言えそうです。

 

 

透明な「オールフリー オールタイム」はサイダー感覚で

全国のコンビニ限定で販売されているサントリーの「オールフリー オールタイム」は、職場でも気兼ねなく飲めるようにと「透明」「ペットボトル入り」の2つの特徴を持ったノンアルコールビール。この見た目のインパクトで記憶している人も多いでしょう。

↑サントリーの「オールフリー オールタイム」

 

 

「香りはサイダーのようなフルーティーさがありますね。飲んでみると麦の感じはほとんどせず、酸味が少し強いめなのでスッキリします」(富江さん)

 

筆者も実際に飲んでみましたが、たしかにこれはサイダーみたい! ホップ由来の苦みも加えられているのですが、ほのかなライムフレーバーや強めの炭酸がサイダーのように感じさせるのかもしれません。

 

「視覚や嗅覚は味覚に影響を与えるのですが、オールフリー オールタイムはビールっぽさを求める人には少し合わないかもしれません。逆に、スポーツのあとや仕事の合間など、リフレッシュしたいときにいいですね」(富江さん)

 

 

フルーティーな香りが際立つ「サッポロ 麦のくつろぎ」

発酵由来の香り成分を組み合わせる「ナチュラル香味製法」で、ノンアル特有の「人工的な香りや後味」を改善したという「サッポロ 麦のくつろぎ」。富江さんもこのフルーティーな香りが気に入ったそうです。

↑サッポロビールの「サッポロ 麦のくつろぎ」

 

「サッポロといえば『サッポロ生ビール黒ラベル』がフラッグシップブランドです。黒ラベルはホップの爽やかな香りが立つ印象ですが、それに近いフルーティーな香りがします。この香りのおかげで、ビールの味にも少し甘みがあるように感じますね」(富江さん)

 

また、麦芽を使わずに苦味料でホップに近い苦味を出すなど、ビールっぽさをかなり意識しているようです。富江さんによると、「ビールよりは苦味が弱いものの、この苦味のおかげで喉が引き締められて次のひと口に切り替えやすい」とのこと。

 

 

苦味でビールらしさを演出する「アサヒ ドライゼロ」

ビールにはやっぱり苦味を重視するという人におすすめなのが、「アサヒ ドライゼロ」。普段から「アサヒ スーパードライ」を好んで飲んでいる人であれば、この再現性の高さに気付くはず。

↑アサヒビールの「アサヒ ドライゼロ」

 

 

「ほかのノンアルコールビールと比較すると、苦味が強いです。こうすることでビールらしさを出しているのでしょう。香りもスーパードライに近いですし、麦芽を使わないのにここまで近付けているのには驚かされます」(富江さん)

 

また、アサヒビールでは「アサヒ ドライゼロスパーク」という商品も8月末まで期間限定発売していました(現在は店頭在庫のみ)。ドライゼロと比較すると、炭酸の強さを130%に高めたペットボトル入りとなっています。

↑アサヒビールの「アサヒ ドライゼロスパーク」。8月末で販売終了

 

「味わいはドライゼロとほぼ同じですが、炭酸は非常に強いです。缶ビールや瓶ビールはグラスに注ぐ前提で作られているので、炭酸が強めに入っているのですが、これはグラスに注いでも缶から飲んでいるかのようですね」(富江さん)

 

 

どのビールの味に近いかで満足感が変わる

今回は5種類のノンアルコールビールを富江さんに飲み比べてもらいましたが、いずれもはっきりと特徴が異なりました。これだけ違うと、どう選べばいいのかがピンと来ていない人もいるでしょう。そこで富江さんが提案するのは、「自分がどのビールの味が好きかを知っておくこと」だといいます。

 

「そもそも”ビールの味”とひとことで言っても、アサヒスーパードライとサントリー ザ・プレミアム・モルツでは苦味、甘み、酸味、のどごし、香りがまったく異なります。そうなると、自分がどんなビールが好きなのか、どういった特徴をビールに求めているのかを意識することが重要なんです」(富江さん)

 

自分の好みを知るためにも、まずはいろんなビールに触れてみることが大切。さて、今夜も自分を知るためにいろんなビールを飲んでみるしかありませんね!

ビアライターが飲み比べてわかった!コスパ最強な「高アルコールビール」の正しい選び方と飲み方

 

巷で大ブームの高アルコール飲料。1缶飲めばある程度気分良く酔えるので、家飲みでのコスパの高さは最強といわれています。

 

最初は「RTD(Ready to Drink)」と呼ばれる”注いですぐ飲めるお酒”、その代表例である缶チューハイで高アルコールブームに火が付きましたが、ここ最近はビールにおいても高アルコールのものが続々と登場しています。とはいえ、チューハイとは違い、ビールの味の違いは飲み比べないとわかりづらいもの。

 

そこで、日本ビアジャーナリスト協会でも活動しているビアライターの富江弘幸さんに、主要メーカーの高アルコールビールを飲み比べてもらいました。そこで判明したのが、高アルコールビールの意外と知られていない新たな飲み方だったんです!

↑1975年東京生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。卒業後は出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、新聞社勤務。現在は日本ビアジャーナリスト協会ウェブサイトや『ビール王国』などで記事を執筆するほか、ビアジャーナリストアカデミーの講師も務める

 

 

アルコール感の強さや麦っぽさに違いがある

今回飲み比べるのは、「キリン のどごし STRONG」「アサヒ グランマイルド」「サントリー 頂〈いただき〉」「サッポロ LEVEL9贅沢ストロング」の4種類。日本メーカーの一般的な缶ビールが4〜5%なのに対し、これらは7〜9%のアルコール度数となっています。

 

普段はクラフトビールを飲む機会が多いという富江さん。 そんな富江さんはどのようなジャッジをするのでしょうか?

 

 

キリン のどごし STRONG(アルコール度数:7%)

↑黒い缶が目を引く「キリン のどごし STRONG」。酒税法上の区分は「リキュール」。キャッチコピーは「ガツンときてスカッと爽快」

 

 

「通常の5%のビールに比べると、アルコール特有のピリッとした感じがします。いわゆる、第三のビールらしい味わいですね」というのが富江さんの第一声。そう、今回紹介する高アルコールビールの多くが、「ビール」ではなく「リキュール」に分類されているのです

 

「アルコール度数が高いお酒は味のバランスを保つために甘みを強くすることが多いのですが、これも少し甘みを感じます。最初に麦っぽい味わいはほとんど感じませんが、あとから穀物の味わいを感じます。発酵度を高めて甘味を強くしすぎないことで、後味がスッキリしている印象。軽い苦みを感じるので、次のひと口に進みたくなりますね」(富江さん)

 

【特徴】
パンチ力あり。アルコールがガツンと来るものの、軽い苦みが次のひと口を誘う。

 

 

アサヒ グランマイルド(アルコール度数:7%)

↑今回登場したラインアップのなかで唯一「ビール」に分類される「アサヒ グランマイルド」。キャッチコピーは「続くやわらかなコク」

 

「アサヒ グランマイルド」が登場した背景には、今年4月に酒税法が変更になったことが挙げられます。スパイスや果物などこれまでに認められていなかった副原料を使ったものも「ビール」と呼べるようになったので、ビールメーカー各社がさまざまな副原料を使用したビールを登場させており、その流れのなかで誕生した銘柄です。

 

「アルコール度数が7%というだけあり、しっかりしたビールの味わいです。とはいえ、アルコールの香りをレモングラスで上手くマスキングしていて、同じ7%のビールのように”ガツン”と来るアルコール感はありません」(富江さん)

 

また、高アルコールビールは一気に飲み干さずに少しずつ飲むことから、時間が経ってからの飲み心地も富江さんはチェック。

 

「通常、ビールは時間が経つと嫌な苦みや香りが出やすいのですが、アサヒ グランマイルドはそういったことはないですね。同社のアサヒ スーパードライともまったく違いますし、ビールの新しい可能性を感じさせてくれるビールです」(富江さん)

 

【特徴】
アルコールを感じすぎず、ちびちびと飲みやすい。爽やかさもあってバランスがいい。

 

 

サントリー 頂〈いただき〉(アルコール度数:8%)

↑「サントリー 頂〈いただき〉」の品目は「リキュール」。キャッチコピーは「最高峰のコク刺激」

 

今回飲み比べたなかで、富江さんが万人受けしそうだと話していたのが「サントリー 頂〈いただき〉」です。以前は7%だったアルコールを今年2月から8%にして、使用する麦芽を増量するなどのリニューアルを加えています。

 

「麦っぽくて甘みが強いですね。アルコールの刺激は舌にピリッと感じます。甘みとアルコールをしっかり感じられるので、満足する人は多そうです」(富江さん)

 

ちなみにパッケージには「コク」が強調されているのですが、ビールにおけるコクとはどういうことなのでしょうか?

 

「いろいろな味が複雑に絡み合っていることを指す場合が多いです。たとえば、出汁をそのまま飲んでもコクはありませんが、味噌や醤油で味付けするとコクが生まれます。ビールの場合は、ベースに甘みがあって、そこに苦みや酸味が加わることで”コクがある”と言うんです。このビールもまさにそうですね」(富江さん)

 

【特徴】
甘みとアルコール感が強い。味の良さとアルコール度数の高さを求めるときに◎。

 

 

サッポロ LEVEL9贅沢ストロング(アルコール度数:9%)

↑今回紹介するなかではもっともアルコール度数の高い「サッポロ LEVEL9贅沢ストロング」。分類は「リキュール」

 

「アルコール度数9%だけあり、アルコール感がしっかりあります。とはいえ、それに負けない麦感もしっかりあって、”麦のお酒”という感じがすごくしますね」と、「サッポロ LEVEL9贅沢ストロング」を飲んだ富江さんは語ります。

 

「アルコールの刺激はほかのものよりも強いので、ビアカクテルや氷を入れて飲むのがおすすめです。ほかの高アルコールビールよりも甘みが控えめなので、割っても味を邪魔することはないはず」(富江さん)

 

【特徴】
アルコールの刺激や麦感を求める人に向く。ビアカクテルとして飲むのもアリ。

 

 

ビアカクテルという選択肢が増えるのも高アルコールならでは

高アルコールビールは、柑橘系のジュースで割ってもいいですし、ジュースを凍らせて氷を作り、それをビールに浮かべてもいいのだとか。

 

「オレンジジュースやレモネード、グレープフルーツジュースなどを使うのがおすすめ。氷をジュースで作ることで、味が徐々に変化していくのを楽しめます。ほかにも、トマトジュースで割ってレッドアイにしてもいいでしょう。トマトの青臭さが消えて、トマトジュースが苦手な人でも飲めるはずです」(富江さん)

↑ビアカクテルを作る際は1対1の配分がベスト。もともとのアルコール度数が高い高アルコールビールなら3.5〜4.5%になる

 

 

高アルコールビールは”酔いたいときのお酒”という認識が強いので、富江さんのこの提案はなかなか意外じゃないですか? また、「ビールに近いかどうか」を選ぶ基準にするものだと思っていた人にとっても、「自分がおいしいと思えるかどうか」を軸にすれば、その選択肢の多さに気付くはず。楽しくおいしく酔えるお気に入りの高アルコールビールを探してみませんか?

 

 

 

日本酒は「ワイングラス」で飲むべき!その理由を赤坂の名店で聞いた

日本酒が「オジサンの飲みもの」だった時代はとうの昔。いまやヨーロッパの星付きレストランでオンリストされるなど、世界中から注目が集まっています。若くて革新的な作り手も増えてきて、どんどん洗練されてきた感のある日本酒は、実は「グラスで飲むとおいしい」のをご存知でしょうか?

 

オシャレで雰囲気がいいのもありますが、それだけではありません。そのメカニズムや味わい方について、日本酒をワイングラスで楽しめるお店、東京・赤坂の「れくら」を取材しました。

 

酒のチカラを引き出す!「ワイングラス×日本酒」の奥深さ

素材からこだわった和の酒肴と、全国の蔵元から厳選した日本酒を味わえる「れくら」。ほのかな灯りと和素材が生み出す大人のムードたっぷりで、ゆっくりと上質な時間を過ごせるお店です。

↑地下におりる階段にかかった提灯が目印

 

↑カウンター席

 

日本酒×ワイングラスの魅力について教えてくれたのは、店主の渡邊新之(しんじ)さん。蔵元や銘柄はもちろん、含まれている成分など科学的なアプローチにも余念のない、まさに求道者です。

↑「れくら」店主の渡邊さん。着流しに襷(たすき)掛けのスタイルがサマになっています

 

「おちょこやコップで飲むよりも、日本酒が本来持っている複雑な香りが“ふわっ”と開きます」と語る渡邊さん。ワイングラスで飲む最大の理由は“香り”にあるとか。いまでこそワイングラスで日本酒を提供するお店は少なくありませんが、渡邊さんはその先駆け。

 

「従来の“もっきり”(枡+コップに日本酒を注ぐ方法)では、香りがぜんぜん楽しめない…」と思ったのが、ワイングラスで提供しようと思ったきっかけとのこと。渡邊さんはかつてモルトバー(主にモルトウィスキーを扱うバー)で働いたキャリアもあり、だからこそ“香りを楽しむ”海外のお酒のスタイルを採り入れる発想が生まれたのかもしれません。

↑おそろしいほどの日本酒ラヴァー。お酒について語りだすと止まりません

 

「れくら」では、ワイングラスの名門「リーデル」製の日本酒専用グラスを使用。脚つきのグラスと、脚のないものを使い分けています。そのポイントとなるのは“温度”。

 

「うちでは酒質によって、ふたつの冷蔵庫を使い分けて保管しています。低いほうは0℃、もうひとつは5~8℃くらいですね」(渡邊さん)

 

脚つきのグラスは、低温度帯で保管されたお酒用。味わいや香りが華やかで、冷酒でおいしいお酒が中心。脚の部分を持つことで、手の温度がお酒に伝わりにくく、冷たさをキープすることができます。

↑リーデルの「大吟醸」という日本酒専用グラス。冷たい状態が続く、脚つきタイプです

 

いっぽう脚のないグラスは、少し高めの温度帯用。グラスを通して手の温度が伝わりやすく、それによって味や香りが開き、おいしくなるのだとか。こちらは濃醇でどっしりとした、うまみの強いタイプが中心。

↑こちらもリーデルで、「オー・トゥー・ゴー」という脚のないグラス。温度の違いによる味の変化も楽しめます

 

ちなみに、リーデルのワイングラスは、ブドウ品種に合わせた多彩なラインナップがあります。この「大吟醸」グラスの形状は、ワインでいうとリースリング(白ワインのブドウ品種のひとつ)に近いとのこと。フルーティな香りやキリッとした酸味があって、輪郭がはっきりしているリースリングのワインは、日本酒に似ている部分があるのでしょう。

 

グラス別オススメの銘柄をチェック

これからの季節にオススメの銘柄を渡邊さんに紹介してもらいました。まずは脚つきグラス編。華やかでフルーティな吟醸香のあるお酒がよく合うそうです。

↑左から「若波 Type FY2 純米吟醸」「醸し人九平次 雄町 純米大吟醸」「伯楽星 純米吟醸」

 

「れくら」では、料理は季節の旬を反映したおまかせコース(3800円、ご飯物付き4500円)が基本。そのなかから、料理とお酒のペアリング例を紹介します。

↑「炙り秋刀魚と焼き茄子のサラダ仕立て」。焼き茄子に炙った秋刀魚をのせて生海苔のソースで供する一品

 

↑“究極の食中酒”といわれる「伯楽星」でキュッと流して

 

続いては、うまみの強いタイプが映える、脚なしグラス編。製法で分類すれば、生酛(きもと)や山廃(やまはい)などもこちらです。

↑左から「勝駒 純米」「松の司 生酛純米酒」

 

和食が季節の旬を大切にするように、日本酒も春夏秋冬で味わいが変わります。夏酒のシーズンが終わり、秋は「ひやおろし」がおいしい時期。「ひやおろし」は、冬に仕込んだ酒がひと夏を越すことにより程よく熟成され、酒質が落ち着き味わいもやわらか。飲みやすく、初心者の方にもオススメです。

↑「鱧の焼きびたし」。二度目の旬を迎える鱧(ハモ)を焼きびたしにして、ウニをちらした一品

 

↑焼いたハモの香ばしい風味と、ウニの濃厚さにぴたりと寄り添う「勝駒」のまろやかなうまみが好愛称

 

今回はグラス日本酒の話がメインでしたが、「れくら」ではほかにも、日本酒の楽しみ方をさまざまな角度から教えてくれます。たとえば最近人気のスパークリング日本酒はシャンパングラスで提供したり、店内のお酒はすべてお燗でのオーダーもできたり。お酒のポテンシャルを発揮するように提案してくれつつ、ゲストの好みに合わせた対応もOKです。

↑れくらにはカウンターのほか、テーブル席や個室タイプのシートもあります

 

もっと粋に楽しむなら「日本酒はワイングラスで」。本当においしくなるので、ぜひ実践してみてください。「れくら」は赤坂駅から近いので、サカスへのお出かけやお仕事の帰りにもぴったりですよ。

 

 

【SHOP DATA】

れくら

住所:東京都港区赤坂2-14-31 ウインド赤坂ビルB1

アクセス:東京メトロ千代田線「赤坂駅」2番出口徒歩0秒

営業時間:月~金11:30~14:00(L.O.13:30)/17:30~23:30(L.O.22:30)、土17:00~23:00(L.O.22:00)

定休日:日、祝、年末年始

【本日発売】名作「黒霧島」にプレミアム版が登場!! そのお味は?

いまから約15年前、焼酎ブームが巻き起こりました。2003年に焼酎全体の出荷量が日本酒の出荷量を約50年ぶりに上回り、翌年には売上高がピークになったほど。その理由は、ほかのお酒に比べて糖質やカロリーが低いというヘルシーさや、お湯でも割れるといった飲み方の幅広さが挙げられます。そしてこのトレンドをけん引し、以来焼酎のトップブランドに君臨しているのが「黒霧島」。

↑中央が「黒霧島」で、左が新作の「黒霧島EX」。右が超ロングセラーで2015年にリニューアルした「白霧島」(旧「霧島」)です

 

この名作から今秋、「黒霧島EX」という新作が発売されます。「黒霧島」魅力をさらに磨いたということですが、もともとの完成度が高いこともあり、味の創生には新たな製法が用いられました。今回は改めて「黒霧島」のブランド解説と、「黒霧島EX」の製法や味を中心に紹介していきたいと思います。

 

革新的な発想でブームをけん引したのが「黒霧島」だ

いまやコンビニや、どこの居酒屋でも大抵置いてあるほどメジャーな「黒霧島」ですが、実は今年やっと二十歳を迎えた、比較的新しい焼酎です。そのデビューはセンセーショナルでした。当時は珍しかった黒麹を仕込みに使う(焼酎には白麹、というのが常識だった)製法や、業界内でタブーとされていた黒いラベルを使用するなど、時代を先取りしたプロダクトが革命的だったのです。

 

独創的な製法は、味の面でも革命をもたらすことに。それまで芋焼酎は「イモ臭い」などと敬遠されることも少なくありませんでした。ところが「黒霧島」は洗練された味わいで、トロっとした甘みとキリっとした後キレが特徴。さらには自己主張しすぎず、食事を邪魔しない万能性も。この飲みやすさが、幅広い層に受け入れられることとなった要因なのです。

なお、蔵元である「霧島酒造」は「黒霧島」以外でも、焼酎業界におけるパイオニアです。たとえば、「本格焼酎」という位置づけ。これは焼酎が製法の違いによって「甲類」(チューハイなどの割材に適したクセのないタイプ)と「乙類」(原料の個性を生かした伝統的なタイプ)に分けられていたものを、当時の江夏順吉社長が「乙類が甲類に劣ると誤解されかねない」と危惧して提唱したもの。結果、霧島の商品をはじめとする多くの乙類焼酎は、本格焼酎と呼ばれることになったのです。

 

濃醇でなめらかな口あたりと、飲み飽きないキレのよさ!

ここからは、新商品「黒霧島EX」の特徴を解説します。味に関する最大のポイントは、「デリシャス・ペンタゴン製法」という独自の技術。本格芋焼酎を形作る「甘み、うまみ、まるみ」、そして黒霧島の特徴である「トロッと、キリッと」の5つの味わいを5角形(ペンタゴン)で描き出し、「黒霧島」の各要素を損なうことなくより拡大させたのが「黒霧島EX」なのです。

↑「キリっと」はそのままに、その他の要素を一層豊かに。専門的な成分としては「パルミチン酸エチル」「リノール酸エチル」「ステアリン酸エチル」が「黒霧島」より多く含まれているそう

 

また、ベースとなっているのは、九州産のさつまいも100%、霧島連山が育む清らかな霧島裂罅水(れっかすい)100%、国産米100%という豊かな自然の恵みに支えられたピュアな製法。さらにブレンダーの繊細な感覚で味と香りの分析が行われ、最適な割合で原酒が調合されています。

↑ブレンドの肝は、最も甘い香りをもっているタイミングで調合すること。これにより、芋本来の優しい甘みが際立つ濃醇でなめらかな口あたりと、飲み飽きないキレのよさに仕上げています

 

試飲会では「黒霧島」と「黒霧島EX」の飲み比べもさせてもらいました。こうやって比べながらテイスティングしてみると、それぞれの魅力や違いがはっきりとわかります。「黒霧島」ファンの人は、ぜひ自身でもお試しを。

↑「黒霧島」は芳醇なうまみとすっきりした余韻が楽しめ、安定感抜群のおいしさ

 

↑「黒霧島EX」は、さらにふくよかな甘みを感じられるプレミアムなテイスト。一方できれいな余韻があり、ブランドならではのみずみずしい飲み口は健在です

 

パッケージはビンで2種類。1800mlが1924円(税抜)で、900mlが1024円(税抜)となります。発売日は9月6日から、全国の「黒霧島」を販売しているお店を中心に展開していくとのことで、同様に身近な存在になっていくことでしょう。絶対王者の新商品ということで話題性は十分。新たなファンを獲得し、本格焼酎のすそ野も広がるのではないでしょうか。今後の展開に期待したいと思います!

 

ビール好き外国人は「ノンアルコールビール」をどう評価する? 大手4社の代表作で検証してみた

日本の伝統料理や国民食、またはトレンドフードなどを様々な国の人に試食してもらう企画が本連載です。今回は透明色が出て再注目されている、ノンアルコールのビール風飲料でテスト。ビール好き外国人の評価はいかに?

 

新商品を中心に各メーカーのノンアルビールが集結

【左】ドイツ:チャン・ゼルコ さん

ブラウンシュバイク出身。ノンアル含め、週4〜5缶程度ビールを飲みます。

【中央】フランス:ヴァネッサ・ゴメス さん

パリ出身。週に約2〜3缶ビールを飲みますが、ノンアルコールは未体験。

【右】アメリカ:コリン・カナレ さん

ハワイ出身。毎日ビールを約2杯飲みます。ノンアルは体験済み。

 

 

【エントリーNo.1】

アサヒビール

アサヒドライ ゼロスパーク

実売価格201円/500㎖/0kcal

ビールらしいキレはそのままに、従来品比130%の高炭酸刺激に。8月までの限定商品でした。

 

【5点満点で評価】

チャンさん:3.5

ヴェネッサさん:4.0

コリンさん:4.0

→total=11.5/15.0

「バブリーでホップの香りも◎。一番ビールに近いのはコレかな」(コリンさん)

「炭酸が強くてフレッシュ。味は、最初は薄く感じたけど余韻はイイ苦みだね」(チャンさん)

 

 

【エントリーNo.2

キリンビール

キリン 零ICHI(ゼロイチ)

実売価格147円/350㎖/31.5kcal

独自の一番搾り麦汁を使用。麦のうまみを丁寧に引き出したおいしさを実現しています。

 

【5点満点で評価】

チャンさん:3.5

ヴェネッサさん:3.0

コリンさん:3.0

→total=9.5/15.0

「色味や炭酸の強さは悪くないわ。でも香りはもっと強いほうが好き」(ヴェネッサさん)

「ドイツに似た味の銘柄があるよ。少し甘みを感じるけどおいしいね」(チャンさん)

 

 

【エントリーNo.3】

サッポロビール

サッポロ 麦のくつろぎ

実売価格147円/350㎖/0kcal

発酵由来の香り成分を組み合わせる製法を採用。フルーティな香りと麦の味を実現しました。

 

【5点満点で評価】

チャンさん:2.5

ヴェネッサさん:2.5

コリンさん:2.0

→total=7.0/15.0

「惜しい! バナナガムのような甘いフレーバーが気になるよ」(コリンさん)

「これはドイツの白ビールのイメージかな。もっと自然な香りだとイイね」(チャンさん)

 

 

【エントリーNo.4

サントリービール

オールフリー オールタイム

実売価格147円/380㎖/0kcal

透明色で気軽に飲めます。ビールらしい味にほのかなライムフレーバーが加わり、爽やか。

 

【5点満点で評価】

チャンさん:3.5

ヴェネッサさん:3.5

コリンさん:3.0

→total=10.0/150.0

「見た目とのギャップが面白い! ビールの味は弱いけどおいしいわ」(ヴェネッサさん)

「甘くないトニックウォーターみたい。苦みがもっとあるといいかも」(コリンさん)

 

 

再注目を集めるノンアルコールビール、一番のお気に入りは?

今年のノンアルコールビールは強炭酸や透明ドリンクブームの影響を受けた新作が登場し、再注目を集めています。そこで今回は大手4社の代表作を集め、ビール好きの外国人に試飲してもらいました!

 

「アサヒとキリンはビールの味に近いけど、サッポロとサントリーは独自路線だね」(コリンさん)

特に「オールフリー オールタイム」には3人ともビックリ。

「最もビールの味からは遠いわね。でも味や香りの完成度は高いと思うわ。飲みやすいし、リフレッシュには最適ね」(ヴァネッサさん)

 

そして総合的に高評価を得たのは、今回の4本のなかで最も新しいあの限定商品でした。

「アサヒはキレのある苦みと強炭酸が心地よかった。日本のビールっぽかったよ!」(チャンさん)

 

日本一のビール「アサヒ スーパードライ」を有するアサヒビール。その開発力はダテじゃりませんでした!

 

 

【今月の1番人気!】日本一のビール作りがノンアルにも生きている

日本で一番飲まれているビール「アサヒ スーパードライ」。このクリアな辛口が外国人のイメージする日本のビールだとすれば、同社のノンアルが高評価なのは納得できます。

 

 

LIFE PEPPERとは?

外国人ネットワークを活用し、日本企業の海外進出支援とインバウンド観光支援を行う。市場調査からWeb広告までサービスの幅は広く、外国人のアサインもできる総合マーケティング企業です。

 

 

文/中山秀明 イラスト/マガポン 撮影/石上 彰(gami写真事務所)

 

 

ワケあってブレイク必至!日本上陸した世界No.1シードル「ストロングボウ」の魅力を徹底解説

9月4日に、世界で最も売れている「シードル」というお酒が日本に上陸します。ブランド名は「ストロングボウ」。日本でも大拡大が予想されていますが、国内市場への本格参入は初となるため聞き慣れない人も多いはず。発表会の様子とともに、商品解説や味の感想をお伝えしていきましょう!

 

世界で近年爆発的に注目されているリンゴ酒がシードルだ

まずはシードルそのものの説明から。これはリンゴを発酵させた、スパークリングのお酒です。英語表記は「CIDER」で、現地での呼び方はサイダー。シードルというのはフランス語などの読みですが、つまりは日本のサイダーのルーツでもあるのです。

 

日本におけるサイダーは独自に進化したもので、お酒ではありません。リンゴ由来でないタイプも少なくないですが、甘酸っぱさや爽快感はシードルもサイダーも共通した部分があります。日本人がなじみやすい味だともいえるでしょう。ただ、すでに海外では人気が沸騰しており、ここ10年ほどで生産量が2倍近く伸長しています。

 

↑生産量は、2005年時と比較して2016年では1.8倍に

 

そのシードル市場で、ズバ抜けた人気を誇っているブランドが「ストロングボウ」。誕生は1962年のイギリス。フルーティな甘さとすっきりとした飲みやすさを両立しており、食事との相性がいいのも特徴です。特に若い男女にファンが多く、シードル世界2位のブランドの約2.5倍も売れているとか。

↑意外かもしれませんが、世界ではビール同様に、女性よりも男性がシードル愛飲者

 

なお、シードルには甘さ控えめのドライタイプと、あえて甘さを強調したスイートタイプがあるそう。「ストロングボウ」には両タイプあり、様々なフレーバーが存在しますが、今回日本ではスイートタイプの2種類が発売されます。人気の理由は味にある、ということで試飲してみました!

 

好バランスかつフルーティでゴクっと飲める!

フレーバーは「ゴールドアップル」と「ダークフルーツ」の2種類。発売は冒頭で述べたように9月4日ですが、飲食店での先行発売となり、価格は500~600円と予想されます。どちらも330mlでアルコール分は4%以上5%未満。

↑「ストロングボウ ゴールドアップル」。何種類もの厳選されたリンゴを使用した定番フレーバーです。リッチで香り高くスッキリした味で、魚介類やカマンベールチーズなどにマッチ

 

甘さと酸味のバランスがよく、甘さはありながらベタつかない、さっぱりとした後キレのよさも感じました。香りからしてフルーティで、スパークリングワインほどアルコール度数は強くないのでゴクっと飲める軽さも好印象です。

↑「ストロングボウ ダークフルーツ」。カシス風味のシードルで、肉料理やジャム、クリームを使ったスイーツなど、味の濃い料理に合わせるのがオススメ

 

リンゴの果実味にベリー系の甘酸っぱさが加わった、女性ウケがよさそうなテイスト。カシス感はありながらもシードルの風味ともバランスよく合わさっていて、甘すぎるほどではありません。わざとらしいアルコール感がないので、缶のチューハイやカクテルよりも飲みやすいとも感じました。

↑料理との相性もバッチリ!

 

なお、「ストロングボウ」は前回2015年時の「ラグビーワールドカップ」のオフィシャルシードルとなっていて、来年の「ラグビーワールドカップ2019™日本大会」でも同様。そしてそれが日本上陸の理由のひとつでもあるのですが、つまりこれからより存在感が強まってくるお酒ということです。

↑この色とラベルを要チェック!

 

また、世界中でシードル人気が高まっている理由は、ほかのアルコール飲料より糖分が少なく健康的だからだそう。であれば、ヘルシー大国の日本であれば海外同様に受け入れられるでしょう。まずは飲食店からということで、ドリンクリストにあったらぜひご注文を!

 

これが酒税法改正の恩恵だ! 終わらない暑夏に飲むべきビールは副原料にこだわったニュータイプ

これまでビール飲料は、原料の違いによって「ビール」「発泡酒」「第三のビール」などと分けられてきました。ビールとは「麦芽比率が67%以上で副材料は米、麦、トウモロコシのみに限定されるアルコール飲料」のことです。そこに果実や香味料が含まれるものは、発泡酒。また、麦芽以外の原料でつくられたビール風味の飲料は、第三のビールと呼ばれ、新ジャンルを確立してきました。ところが、2018年4月の酒税法改正によってビールの定義が変わり、多くの副原料が認められるようになったことで、市場は新たな盛り上がりを見せています。

 

ビールがよりおいしく感じるシーズンに、その動向は気になるもの。そこで、今回の改正が消費者にどんな影響を及ぼすのか、どのようなビールが新登場したのか、フードアナリストの中山秀明さんに聞きました。

 

酒税法改正でビール飲料の価格差がなくなっていく

酒税法とは、そもそもお酒の税率について定められた法律。お酒は、原材料の比率やアルコール度数などによって、税率が変化します。

 

「これまでビールは約77円、発泡酒は約47円、第三のビールは約28円が酒税でした(すべて350mlの場合)。今後は2020年から段階的に、ビールの減税が計画されています。反対に他2種類は増税し、最終的に2026年には、すべてのビール類の税率が55円に一本化される予定なんです。この改正によって、商品の価格差がなくなっていくので、『ビールより安いから発泡酒を飲もう』という発想は変わるでしょうね。また、これまでのビールの価格も2020年以降安くなっていくと思うので、ビール党の人にはうれしい改正となります」(中山さん、以下同)

 

認められるようになった副原料は10種類

今回の新税制にともない、ビール類飲料に認められる原材料も見直されました。たとえば、これまで果実やハーブなどを副原料に使うと、ビールとして認められず発泡酒扱いになっていたのですが、今後は副原料を添加しても、その重量が麦芽の5%以下であればビールと認められるようになったのです。

 

「今回認められたのは、下記の10種類です。今までは、レモンを使用したものに“レモンビール”という商品名をつけることはできませんでしたが、これからはビールという名称が使えるようになります。これを受けて、副原料を使ったビールがより多く発売されており、消費者としてはバリエーション増によって選ぶ楽しみが増えるでしょう」

 

【ビールへの添加が認められるようになった副原料】
果実/コリアンダー・コリアンダーシード/胡椒や山椒などの香辛料/ハーブ/野菜/ソバやゴマ/はちみつや黒糖といった含糖質物・食塩・みそ/花/茶・コーヒー・ココア(これらの調製品を含む)/牡蠣・昆布・わかめ・かつお節

 

各社の新ビールは香りや味が豊か!

酒税法改正を受け、どのようなビールが発売されているのでしょうか? 早速、各社の商品を見ていきましょう。

 

・飲みやすいのに高アルコールの「アサヒ グランマイルド」

4月に発売されたアサヒビールの新しいビール「アサヒ グランマイルド」は、「ゆっくり時間をかけて楽しむお酒」をテーマに作られており、飲みごたえのあるアルコール分7%であることが最大の特徴。

 

「7%とアルコールはやや高めなのでパンチは強めですが、アルコール臭が控えめなので、とても飲みやすい印象があります。ビール独特のアルコール臭を軽減させ、飲みやすさを考えて副原料にスターチやレモングラスを使用しているのだとか。レモングラスの風味は意識しないと感じないレベルで、定義拡大ビールというよりは、正統派ビールに近い印象です」


アサヒビール「アサヒ グランマイルド 350ml」
225円(編集部調べ)
アサヒビールお客様相談室 Tel:0120-011-121

 

・ほうじ茶を使った香ばしい味わいの「HOJICHA Brown Ale」

キリンビールのクラフトビールブランドであるSVB(スプリングバレーブルワリー)のファンクラブ「CLUB SVB」の会員と、直接コミュニケーションを取りながら共創したビールです。旨味に着目して昆布や炒り玄米などの副材料を使って開発を進め、焙煎した麦芽とほうじ茶の香ばしさを感じられるように作られました。

 

「キリンは自社のクラフトビアブランドを持ち、個性的なビールの開発を積極的にしながらバリエーションを増やしています。また、お茶という意外な副原料を使っていながらも、ビールを飲んだという感覚をしっかり感じられます。飲んだ後に喉の奥から鼻に抜けるほうじ茶の香ばしさと、柔らかく漂う麦芽の風味が特徴的で、特にお寿司や和菓子などに合いそうです」


SVB「HOJICHA Brown Ale(330ml×6本)」
2332円
キリンビールお客様相談室 Tel:0120-111-560

 

・塩と胡椒が麦の旨味を引き出す「Innovative Brewer グルメビア」

マイルドな塩味でお馴染みの岩塩・アルペンザルツと、皮を削ってシャープな辛味になった黒胡椒で麦のおいしさを引き出したビールです。ライムピールを加え、爽やかな味わいが楽しめます。

 

「Innovative Brewerブランドは、昨年10月の立ち上げ以降、既存のビール概念に縛られない自由な発想でビールを発売しています。塩胡椒という挑戦的な味わいも、この会社ならではでしょう。一見、塩と胡椒でトガった味というイメージを持つかもしれませんが、塩胡椒は縁の下の力持ち的な立ち位置で、一口目から複雑さを持ったどっしりとした旨味を感じられます。また、ライムの酸味による後キレのよさがあり、余韻が爽快です」


ジャパンプレミアムブリュー「Innovative Brewer グルメビア 350ml」
288円(編集部調べ)
サッポロビールお客様センター Tel:0120-207800

 

・カリブ海を思わせる爽やかさ「海の向こうのビアレシピ〈柑橘の香りの爽やかビール〉」

6月から数量期間ともに限定で、コンビニエンスストアのみで発売されているこちらのビールには、数種類のホップとフレッシュな香りが楽しめます。

 

「サントリーは、新ブランドを立ち上げ、チャネルや数量を限定して多彩なスタイルを市場投入しています。こちらのビールも数量限定で、コンビニエンスストアのみの販売に絞っています。味は軽やかでスカッと爽快。シトラスがほんのり香るフレーバービールという印象です。フルーティさよりも、フレッシュさを強調するために柑橘が使われているように感じました。メキシコのピルスナービールの飲み方でおなじみの、ライムを入れて飲むビールを彷彿とさせる爽やかさです」


サントリー「海の向こうのビアレシピ〈柑橘の香りの爽やかビール〉350ml」
220円(編集部調べ)
サントリーお客様センター Tel:0120-139-310
※限定商品ですので店頭にない場合もございます。

 

このほかにも、各社からさまざまなビールが登場しています。たとえば、高知の生姜や静岡のわさび、緑茶、和歌山の山椒、沖縄の黒糖など、地元の名産を使ったビールなども新発売に。この夏は、たくさんのビールを飲み比べる楽しみがありそうですね。

 

【プロフィール】


フードアナリスト/中山秀明さん

フードアナリスト・ライター。なかでもビールに関する執筆が多く、大手メーカー、マイクロブリュワリー、ブリューパブ、クラフトビアレストランなど、小売り、外食問わず全国各地へ取材に赴いている。

 

取材・文=吉川愛歩 撮影=矢部ひとみ 構成=Neem Tree

 

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日本で密かなブームの「プレミアムテキーラ」の正しい楽しみ方

テキーラといえば、メキシコ発祥の蒸留酒。テキーラを世界一消費するのはメキシコのお隣のアメリカですが、実は日本の消費量は世界第5位。想像以上に日本でもよく飲まれているお酒なんです。

 

とはいえ、「テキーラ=ショットで一気飲み」というイメージが強いのも事実。しかし、最近ではこだわりの製法で作られたプレミアムテキーラが増えており、一気飲みするにはもったいないお酒になりつつあるんです。

 

そんなテキーラを450種類以上扱う六本木のテキーラ専門店「六本木AGAVE」にお邪魔して、テキーラのいろんな楽しみ方を教えてもらいました。

↑開店20周年を迎えるテキーラ専門店「六本木AGAVE(アガヴェ)」の佐々木宗彦さん

 

 

規定を満たしたものだけが「テキーラ」と呼ばれる

テキーラの原材料は、「アガベ 」(正式名はアガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバー)という竜舌蘭(リュウゼツラン)の一種です。サボテンが原料だと思っている人もいるかと思うのですが、実はまったくそうではありません。

 

「アガベは放射状に硬い葉が伸びていて、葉を削ぎ落として株の部分だけをテキーラ作りに使います。伝統的な製法の場合、株をレンガの窯で蒸し焼きにして、蒸し上がったら石臼のような道具をロバに引かせて搾汁します。糖分を含んだこのジュースを発酵させ、蒸留することでテキーラが完成するんです」(佐々木さん)

↑現存するテキーラは2000種近くあるが、日本に正規輸入されているのはほんの少し。現地に趣き、ハンドキャリーで持ち帰ったテキーラもAGAVEには多く並ぶ

 

 

実は、テキーラは「テキーラ規制委員会(CRT)」が定めた基準を満たしていないと「テキーラ」と名乗ってはいけないという、厳しい規格が設けられています。その条件は下記の8つ。

 

・ハリスコ州、グアナファト州、タマウリパス州、ナヤリ州、ミチョアカン州で生育されたアガベ・アスールを使用し、蒸留すること

・原料は「アガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバー」を51%以上使用すること

・最低2回蒸留すること

・メチルアルコールは3mg/1ml以下であること

・最終アルコール度数は35%から55%の間であること

・水以外のメローイングは1%以下であること

・ボトルのラベルにNOM番号(生産者識別番号)を記載すること。

 

こんなにも細かい規定のなかで作られたお酒だというのを知らない人も多いのではないでしょうか。

 

 

初心者が選ぶべきテキーラの見分け方とは?

テキーラは、アガベのみを使用した「100%アガベテキーラ」と、サトウキビ由来などの糖分を混ぜて作った「テキーラ」の2種類に分かれます。日本で流通するテキーラはアガベ100%でない「テキーラ」が主流なので、お店でいろんなテキーラを飲んでみて、好みのものを見つけてネットの専門店などで購入するのがおすすめ。

↑100%アガベテキーラのボトルには必ず「100% DE AGAVE」の表記がある

 

そして、テキーラは熟成の段階に応じて4つに分けられます。熟成をしない、もしくはしても60日以内の「ブランコ」、2か月以上1年未満の「レポサド」、1年以上3年未満の「アニェホ」、3年以上熟成した「エクストラ・アニェホ」です。

↑左が2か月以上1年未満熟成した「REPOSADO(レポサド)」、右が熟成をしていない「BLANCO(ブランコ)」。熟成が進むにつれ、茶色く色付く

 

テキーラ初心者がチェックすべき項目は、「味わい」「アガベの使用量」「熟成の段階」だと佐々木さんは言います。

 

「”飲みやすさ”というのは個人でばらつきがあるので一概には言えませんが、口当たりがいいものを最初に選ぶといいでしょう。アルコール度数は35度くらいで、味わいのバランスがいいとされているものを基準として飲み、そこから苦みや甘みを意識して好みのものを見つけてほしいです」

 

また、100%アガベのテキーラであれば、不純物がないので、二日酔いになりにくいというメリットもあるのだとか。アルコール度数の強いお酒は二日酔いになりやすいイメージがありますが、高品質なものを飲むよう心がけることが大切なんですね。

↑テキーラはボトルのデザインの自由度が高い。ジャケ買いならぬ”ジャケ飲み”を楽しむのもひとつの手

 

普段自分がよく飲むお酒に合わせて、熟成の度合いを決めることも大切です。たとえば、ウォッカやジンなど無色透明のお酒を好む人、原材料の味わいを楽しみたい人はブランコを選ぶといいのだとか。逆に、ウイスキーなど熟成したものを好むなら熟成タイプのテキーラを選ぶのが近道です。

 

 

大人なテキーラの楽しみ方を紹介

ストレートで飲む場合、AGAVEでは「スニフター」という口が広い形状のグラスで提供されます。このグラスで飲むと、香りがわかりやすく、舌のなかでも甘みを感じる場所にテキーラが流れるそうです。

↑テキーラは香り、甘み、色以外にも、苦みや辛味、余韻の長さなどが銘柄により異なる

 

もちろん、飲み方はストレートだけでなく、オンザロックやソーダ割りなど多種多様。食中酒として楽しむのであれば、ソーダやトニックで割ることで、口当たりがさっぱりして軽やかにいただけます。

 

カクテルは定番の「マルガリータ」や、オレンジジュースで割ってグレナデンシロップを加えた「テキーラサンライズ」、テキーラ版モヒートの「アガベジュレップ」などがありますが、AGAVEのイチオシは「フローズン・マルガリータ」。いまの季節はスイカやメロンを作った限定メニューもあり、テキーラの香りとフルーツのフレッシュさを存分に楽しめます。

↑「マルガリータ・ドン・アガヴェ」(1400円)は、テキーラとオレンジ風味のリキュールのコアントロー、ライムジュースを使ったカクテル。シンプルなショートカクテルなので、テキーラのおいしさがよくわかる

 

↑「季節のフローズン・フルーツ・マルガリータ」(1800円)はスイカをオーダー。種ごとミキサーにかけたスイカのフレッシュジュースを使用し、まるでデザートのような感覚で飲める。定番のフローズン・マルガリータは、プレーン、ストロベリー、ラズベリー、パイナップル、バナナが選べる

 

テキーラに合わせる食事はやっぱりメキシコ料理が一番ですが、最近では和食に合わせるお店もあるのだとか。和食の場合はソーダ割りにするのがおすすめです。

↑チーズとハラペーニョをトルティーヤに挟んで焼いた「ケサディーヤ」(1200円)。お好みでサルサをかけて食べる。スパイシーなハラペーニョのおかげでテキーラが進む一品

 

↑「ビーフタコス」(1500円)は、香ばしさのあるコーントルティーヤがクセになるおいしさ。メキシコでは小麦粉を使ったフラワートルティーヤでなく、とうもろこしを使ったコーントルティーヤが一般的だそうだ

 

また、カカオ含有量の高いチョコレートと一緒にちびちびとテキーラを楽しむというツウな楽しみ方もできます。チョコレートの苦みや甘みと合わせることで、熟成が進んだテキーラにより深みが生まれるんです。

↑AGAVEが厳選したビターなチョコレートと、樽熟成が進んだテキーラとの相性は抜群。ウイスキーの楽しみ方に近い

 

蒸留技術の進化により、昔よりもおいしいテキーラの種類が増えたことで、その楽しみ方はより広がりを見せつつあります。パーティーシーンはもちろん、ひとりでリラックスタイムを過ごすときのお酒としてもテキーラを嗜んでみませんか。

 

【取材協力】

六本木AGAVE

http://www.agave.jp/

 

 

世界中から客が来る店「JULIA」に聞く、白ワインと食事が生む「ペアリング」の妙味

ここ数年、食のトレンドとしてよく耳にするようになったのが、「ペアリング」というキーワード。レストランで、料理のメニューとワインを客自身が選ぶのではなく、あらかじめシェフやソムリエがその相性を見極めた食事とワインが、1組ずつ提供されるスタイルのこと。5皿ならワインが5杯、8皿なら8杯、それぞれおすすめの組み合わせを楽しむというものです。

 

「マリアージュ」という言葉は聞き慣れていますが、これはフランス語で「結婚」という意味。それゆえ「マリアージュを探る」というと、なんだか少しかしこまった印象になります。“運命の出会い”のような、“その相手以外考えられない”というような。実際、マリアージュとペアリングのニュアンスの違いを、前者は合わさることで第三の新たな味わいを生み出すような組み合わせのこと、後者は単に相性という気軽な意味だ、という専門家もいるのです。

 

 

グラスに注がれる白ワイン。涼やかで、夏にもよく似合う

そういった、運命的に出会った一生の伴侶と新たな家庭を築くようなOnly oneの愛がマリアージュだとすれば、ペアリングはOne of themを楽しむ自由恋愛でしょうか。この相手もあの相手も、どちらも素敵。さらにワインに限定する必要もなく、ビールでも日本酒でも、シードルでも! 家庭で楽しむなら、やはり堅苦しいことは抜きに、後者のようなスタイルを楽しみたいものですね。

 

そこで、恵比寿にある今話題のペアリングレストランJULIAを訪ね、オーナーソムリエの本橋健一郎さんとシェフのnaoさんに、代表的な白ワインと、それぞれにおすすめのペアリング料理を提案してもらいました。

 

まず知っておきたい! 3大白ワイン用ブドウ品種

夏にキリリと冷やして飲みたい白ワイン。原料であるブドウ品種、産地、造り手によって異なる味わいになりますが、今回は分かりやすく“品種”で分類し、ペアリングのポイントを聞きました。

 

白ワイン用のブドウ品種といえば、「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」「リースリング」の3種が一般的。シャルドネは、フランス・ブルゴーニュ地方産が有名ですが、世界中のあらゆる国と地域で栽培されており、それぞれに特徴的な味わいが表現されるなかでも、共通のイメージはコクとまろやかさ。また、ソーヴィニヨン・ブランはフランス産のほか、ニュージーランドの代表品種としても知られ、共通したイメージはスッキリ感とはつらつさ。そしてリースリングは、ドイツなど冷涼産地に多く、フルーティーで飲みやすい甘口寄りのものから厳格で骨太な、ミネラルと酸を表現した辛口まで揃います。

↑左:「トレフェッセン エステート ナパ・ヴァレー ドライ・リースリング 2016」(アメリカ)、中:「ティンポット・ハット・マールボロ・ソーヴニヨン・ブラン 2017」(ニュージーランド)、右:「カーブドッチワイナリー・セパージュシリーズ・シャルドネ 2016」(日本)

 

早速、ホテルやレストランなどでソムリエとしての経歴20年以上という本橋オーナーに、自身が感じるこの3品種の特徴を聞きました。

 

「ソーヴィニヨン・ブランのイメージは昼、そしてシャルドネは夜のイメージでしょうか。ソーヴィニヨン・ブランは晴れた昼間の公園の芝生がよく似合う。屋外で飲みたいと思ったらシャルドネよりソーヴィニヨン・ブラン。これからの季節はBBQなどにもぴったりですね。シャルドネは、こっくりしっかり味付けしたお料理に。クリーム系やバター系など。赤ワインが苦手な方は、お肉料理にも合わせられる厚みのある白、シャルドネがおすすめですね」(本橋さん)

↑JULIAのオーナーソムリエ・本橋健一郎さん。個人的にはリースリングを好んでよく選ぶという

 

では、辛口から甘口まであるリースリングは、どう使い分けたらいいでしょう?

 

「リースリングは、僕にとっては一番使い勝手が良いブドウですね。自宅で良く作る餃子とか、中華系のお料理に合わせます。オイスターソースを使った野菜炒めや、麻婆豆腐にも。主にアジアンフードですね。生春巻きやパクチーにもいいです。日常の食卓には辛口のものが便利ですし、辛口だったらイメージはソーヴィニヨン・ブランに近いニュアンス。ラー油や豆板醤などで辛味をより強くした料理には、ちょっと甘口寄りのものを選んだら良いと思いますよ」(本橋さん)

 

JULIAでは、合計9皿ものペアリングコースが楽しめます。そのどれもがハッ!とするような驚きと楽しさに溢れていますが、それを演出する本橋オーナーの軽快なトークも欠かせない魅力。そんな本橋さん、さすがの表現でこの3品種を特徴付けてくれました。

 

「合わせるお料理をラーメンに例えると……、ソーヴィニヨン・ブランは塩ラーメン、シャルドネは味噌ラーメン、リースリングは坦々麺、ですかね!(笑)」(本橋さん)

 

実際に作ってみよう! JULIA考案のペアリング料理

JULIAの人気を支えるのは、女性シェフならではの感性を生かしたnaoさんの料理。そんな凄腕シェフの料理なんてマネできない……と思いきや、彼女自身も料理はすべて独学なのだとか! というわけで、家庭でも簡単に作れる2皿を、シャルドネとソーヴィニヨン・ブランそれぞれの特徴に合わせて作っていただきました。

 

まずソーヴィニヨン・ブランに合わせたのは、「アボカドと生ハムのオープンサンド」。本橋さんが「昼間の公園の芝生がよく似合う」と教えてくれたように、naoさんもソーヴィニヨン・ブランのイメージはサンドイッチだそう。

↑アボカドとレモン果汁がアクセントとなることで、生ハム(肉類)にもソーヴィニヨン・ブランが合う

 

作り方はいたってシンプル。アボカドを潰して、レモン果汁と少しの塩を混ぜるだけのピューレをパンに塗り、サラダには市販のミックスリーフを使います。でもここからが、やはりプロのひと手間。ミックスリーフにはミントとディルをプラスし、さらに生ハムをのせて出来上がったら、全体にササっとレモンの皮をすりおろす。このミント、ディル、レモンがソーヴィニヨン・ブランとの距離をぐっと縮めるそう。これぞペアリングの極意!

↑最後にすりおろすレモンの皮は、色合い的にも美しく鮮やかなアクセントに

 

「ソーヴィニヨン・ブランと合わせるのは、やはり青い野菜ですね。これからの季節だったら枝豆にビールじゃなくて、ソーヴィニヨン・ブランでもいいかも。あとキュウリも使いやすいです。水切りしたヨーグルトと細かく切ったキュウリを合わせるだけで、何でもソーヴィニヨン・ブランに合う万能ソースになります。焼いたサーモンでも、粗挽きハンバーグでも。重ためのお料理でも、ぐっとソーヴィニヨン・ブラン寄りの味わいになりますよ」(naoさん)

 

続いて、シャルドネに合わせた料理は「サーモンチャウダー」です。

↑今回合わせたのは、日本・新潟のシャルドネ。チャウダーの旨味によく馴染む優しさがある

 

サーモンを皮目からちょっと多めの油で揚げ焼き、その後低温のオーブンでゆっくりと中まで火を入れると、身がホロホロと柔らかく焼けるのだそう。チャウダーソースは、玉ねぎとジャガイモを炒めてアサリ(手間をかけず水煮缶でOK)を投入。旨味のある汁もそのまま使い、あとは少しの生クリームとバター、塩で味を整えるだけ。ゆでたスナップエンドウの上に盛りつければ、完成です。

↑スナップエンドウを一番下に忍ばせることで、食感のコントラストを楽しめるという趣向

 

サーモンのパリッとした皮の焼き目がシャルドネの樽感に、そして生クリームとバターの乳製品のコクがシャルドネ本来の個性にベストマッチ。「青い野菜はソーヴィニヨン・ブラン」ではあるものの、豆類はシャルドネがおすすめとのこと。

 

「シャルドネと合わせるポイントは乳っぽさ。和風のポン酢にも生クリームを加えると、シャルドネとの距離がぐっと縮まります。通称“ポンクリ”と呼んで、JULIAの通常のペアリングコースでも提供していました(笑)」(naoさん)

↑女性らしいセンス溢れる食器選びや細やかな盛り付けも、シェフnaoさんならではの魅力

 

日常への目線もありながら、プロの技でファンを魅了するnaoさんの料理。そして、そこに合わせる本橋さんのワインペアリング。座ったら最後まで素敵な時間を約束してくれる“JULIA劇場”には、ぜひ足を運びたいですね。

日本ワイン、土着品種、オレンジワイン、そしてシードル。今注目のカテゴリーとのペアリングは?

昨今話題の日本ワインを、ペアリングにも積極的に採用しているJULIAの本橋さん。続いて、日本ワインの代表的なブドウ品種「甲州」に合う料理のニュアンスを聞いてみました。

↑「葡蔵人(Book Road)甲州無濾過 2017」(日本)

 

「僕の中では、甲州はソーヴィニヨン・ブラン寄りの位置づけです。でも甲州の方がちょっとした苦味があって、酸味が強い料理に合いやすいかな。レモンやライムを使った一皿とか、山菜にもいいですね。あとポイントは旨味。貝類やキノコ類の旨味系の料理に、甲州を合わせることが多いです」(本橋さん)

 

さらに、シャルドネのようによく知られた国際品種ではなく、その地域特有の土着ブドウ品種も今、注目の的。例えばギリシャ・サントリーニ島の白ブドウ品種「アシリティコ」に合わせるなら?

 

「飲んだことのない品種に合わせる料理を考えるとき、ポイントはそのブドウの育った環境をイメージすることですね。ギリシャだったら青い海、青い空、真っ白い建物……などなど。そうしたらやっぱり魚介類? レモンをたっぷり絞って? そんな風景を想像ながら料理を作ると、楽しいですね」(本橋さん)

↑「ドメーヌ・シガラス・サントリーニ・アシルティコ 2017」(ギリシャ)

 

一方、ブドウ品種ではなく「オレンジワイン」という製法にこだわった話題のワインは、どう合わせたらいいでしょう? 白ワインのようでいて白ワインとは違う複雑な味わいに、合わせる料理を迷ってしまう人も多いので、ズバリ、オレンジワインに合わせたら楽しそうな家庭料理を一品、教えていただきました。

 

「オレンジワインは、白ワインと赤ワインのニュアンスを両方もつ万能選手です。JULIAのペアリングでも、よく採用しますよ。家庭料理で一品だったら……、すき焼きですね! 肉の旨味、お醤油の甘み、卵のコクに合いそうです」(本橋さん)

↑「ポデーレ・プラダローロ・ヴェイ・ビアンコ・アンティコ 2015」(イタリア)

 

最後に、毎月変わるJULIAのペアリングコースの中で常に変わらないスペシャルメニュー「スライダー」には必ず、りんごのお酒「シードル」を合わせるというので、その魅力も語っていただきました。

↑「ラ・シードルリー・デュ・ゴルフ・プティ・キュヴェ NV」(フランス)

 

「『スライダー』は、小さなハンバーガーです。スモークしてほぐしたポークと、パインジュースやトマト、醤油などからつくった特製BBQソース、さらに食感と酸味の演出のためにリンゴがサンドしてあります。それを手づかみでかぶりつく! そしてよく冷えたシードルを喉に流し込む! 最高ですよ」(本橋さん)

↑JULIAの前身「本橋ワイン食堂」時代から続く、人気のメニュー

 

「シードルは甘いお酒というイメージがありますが、辛口のシードルは料理にも合わせやすく、低アルコールなのも良いところ。夏、キンキンに冷やしてグビグビ気軽に飲んで欲しいですね」(本橋さん)

 

“軽めから重めへ”なんて気にしない!抑揚を楽しむ白ワイン選び

今夏、JULIAでもペアリングワイン7種のうち6種が白ワインだそう。でもその提供する順番は、決して“軽めから重めへ”という教科書どおりではありません。「わざと抑揚を出して、ジェットコースターのようにペアリングを楽しむと良いと思います」(本橋さん)

 

冒頭のペアリングの定義でも触れたとおり、家庭ではこの相手もその相手もどちらも素敵、とあれこれ自由に楽しむことがポイント。気軽な家庭料理とさまざまな個性の白ワインを、自分なりの感性で選びたいものです。

素敵な時間をおまかせ。“JULIA劇場”へようこそ

最後に。東京・恵比寿にある、今話題のペアリングレストランJULIAでは、メニューやワインは完全におまかせ……公私ともにパートナーであるオーナーソムリエの本橋さんと、シェフのnaoさんが創り出す、至福の時間とは?

 

食事の時間を僕たちに委ねてほしい

「例えば映画や演劇を観に行って、そのストーリーを自分の好きな内容に変えることはできないですよね? レストランは本来、お客様が食べたい料理や飲みたいワインを決めることができますが、そういうレストランはたくさんある。JULIAに来ていただいたら、ストーリーは決まっています。その時間を僕たちに任せて欲しいのです」(本橋さん)

 

レストランやホテルでの20年以上のソムリエ経験を経て、現在のパートナー、シェフのnaoさんと茨城県つくば市で「本橋ワイン食堂」をオープン。5年間地元で愛されたワイン食堂は昨年、東京進出のチャンスをつかみました。

 

「恵比寿出店を機にnaoと入籍したこともあり『JULIA』に改名したんです。“ジュリア”は僕の母のニックネームでした。近所の人に料理を振る舞うほど料理好きな母で、将来は父と小料理屋をすることが夢でした。父が早くに他界したのでその夢は叶いませんでしたが、僕たちがその夢を引き継ぐことになりました」(本橋さん)

 

 

naoさんは、先述の通り、料理はすべて独学だそう! 調理師専門学校に通ったこともなければ、有名店での修行経験もありません。ふたりが好きなニューヨークへ何度も一緒に足を運び、ありとあらゆるレストランで食事をしながら研究を重ね、感性を磨きました。だからJULIAの料理は独創的でありながら、どことなくプロの緻密さよりも母の手料理にも似た温かさがあるのです。

 

 

また注目すべきは、JULIAへ海外からも足を運ぶ客の多いこと。さまざまな経験を積んだシェフ、誰々の元で修行をしたシェフ……私たち日本人がつい、レストラン選びの指標にしてしまいがちなそんな情報は、海外からの客にはまるで関係なく、naoさんの料理自体に感銘を受けて、度々足を運ぶと言います。

 

実は海外のウェブサイトが選ぶ「注目すべきアジアの女性シェフ10人」に選出されていることからも、日本より海外で知られていることがわかります。いつも笑顔で謙虚なnaoさん、本人が思っているよりもずっと、今後ますます注目されるべきシェフであることは間違いなさそうです。

 

JULIAのおまかせペアリングコースは、毎月変わります。デザートまで8?9皿の料理と本橋オーナーがそれぞれに合わせて選んだワイン、時にはシードルが1杯ずつ組み合わせられて楽しむことも。また面白いのが、このコースはなんと前半の4皿まで、フォークとナイフを使わず、すべて手で食べるスタイルだということ! フォーク・ナイフとワイングラス、それらを交互に持ち換えながら食事を進めるというのは、意外と気を遣う作法であり、手づかみで食材を口に運びながらもう一方の空いた手でワイングラスを口に運ぶというのは、いたって自然な動き。一度体験するとクセになります。食事をするという行為が、会話を遮ることがまるでなくなるのです。

 

「お客様がお家に帰って、お風呂に入りながら『あれ? 今日何食べたっけ? でもすっごく楽しかったなあ』って思ってくださったら、僕たちの勝ちですね(笑)」(本橋さん)

 

 

客には選ばせない“ジュリア劇場”は、けれど決して押し付けがましいレストランではなく、目に見えない時間と空間、記憶や知識を超えた、本能に響く満足度を提供しています。

 

「さっき、映画や演劇のストーリーは変えられないって言いましたけど、誰かのお家に招かれて食卓を囲む時も、内容って変えられないですよね。ここでは、お客様を僕たちの家に遊びに来てくれた大切な友人のように、誠心誠意おもてなしします」(本橋さん)

 

店内には大きなテーブルがひとつ。両側に6席ずつの計12席のみ。知らない客同士が、同じテーブルを囲んで食事をします。劇場でもあり、まるで友人の家に招かれたようでもあるJULIAへ、大切な人とぜひ訪れてみて。

 

【レストラン情報】


JULIA

所在地:東京都渋谷区恵比寿南1-18-9 タイムゾーンヒルトップビル1Fハーベスト内
Tel:03-6412-7490(完全予約制)
営業時間:18:00~22:00
定休日:火曜
https://juliaebisu.wixsite.com/julia

 

取材・文=山田マミ 撮影=泉山 美代子

GetNavi webがプロデュースするライフスタイルウェブメディア「@Living」(アットリビング)でくわしく読む

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新潟「八海山」の蔵元がビールの新ブランドを発表! 41才独身、絶景のビール醸造所で我を忘れる 

金曜の午後。高台の窓辺から、ビールを片手に夏の風景を見渡す至福の時間(とき)。成功者となった筆者のプライベート…だったらいいのですが、単なる取材のワンシーンです。ここは、新潟県南魚沼市にある「猿倉山(さるくらやま)ビール醸造所」。銘酒「八海山」(はっかいさん)の醸造元・八海醸造が新たにオープンする施設です。

 

銘酒「八海山」の製造元が運営する、新ビール醸造所の取材見学会へ!

清酒の「八海山」といえば、1980年代の地酒ブームで全国にその名を轟かせ、以降は「淡麗辛口」(※)の代表格として地酒ファンに愛されています。その蔵元・八海醸造は現在、塩麹や麹ぽん酢などの調味料をはじめ、日本酒を使った洋菓子、スキンケア製品など、酒造りから派生する製品を積極的に製造・販売。近年は「麹だけでつくったあまさけ」を大ヒットさせ、酒蔵としては異例の成長を続けている企業です。

※淡麗辛口…甘味と酸味が少なく、さっぱりしている日本酒の味を表す言葉

↑清酒「八海山」の特別本醸造

 

そしてこの夏、八海醸造は、自らプロデュースした観光施設「魚沼の里」において、新たに「猿倉山ビール醸造所」をオープンさせ、地ビールの新ブランドを発表するとのこと。筆者は5年間、居酒屋で働いていた際、「八海山泉ビール」を扱っていたこともあり、それがいったいどう変わるのかは興味深いところです。また、八海醸造の好調ぶりを支えるものとは何なのか、自分なりに肌で感じてみたい……そんな思いもあり、新ビール醸造所の取材見学会に参加すべく、一路、魚沼に飛ぶことに致しました。

 

建物の傾斜と斜面の勾配を合わせ、自然環境との一体感を表現

ビール醸造所のある「魚沼の里」は、上越新幹線の浦佐駅からタクシーで15分、在来線の六日町駅からタクシー10分の場所に位置しています。筆者は浦佐駅からプレス向けに用意されたバスに乗り、「魚沼の里」に到着。やっぱり空気が違いますね。あたりには夏草のニオイがただよい、どこからかカナカナカナ……とひぐらしの音が聞こえてきます。「下から見える醸造所を、ぜひ撮影してください。下からが一番キレイなんです!」と広報さんがおっしゃるので、右手に茂る豊かな杉林を見ながら、しばらくアスファルトの坂道を登ることに。

おお「猿倉山ビール醸造所」が見えてきましたね。深緑の山を背景に建つ三角形の建物…確かに、これは印象深いです。下から見上げると、まるで1枚の洋画のような収まりのいい景観……これは計算し尽くされた気配がぷんぷんします。

 

実際、建物を設計した鹿島建設の星野時彦さんに話を聞いたところ、建築と地形の調和を目指したそうで、「建物の傾斜を斜面の勾配に合わせてひとつの山のように見せ、自然環境がそのままデザインになったような一体感を表現したかった」と話してくれました。ちなみに、星野さんは冬の醸造所もお気に入りだそうで、「雪にすっぽり埋まり、雪と一体になった姿を見てほしい」とのことです。なんだか訪れるのは大変そうなイメージですが、みなさんも機会があれば、ぜひ。

↑星野さんがスマホで見せてくれた醸造所の冬の姿

 

こんなにゆったりした配置で大丈夫? 店内の開放感がありすぎて少々心配に

中に入ってみると、カウンターの奥、ガラス張りの向こうのスペースに銀色の巨大なタンクが並んでいる様子が飛びこんできて、ああ、私はビール醸造所に来たのだな……という実感が湧いてきます。一方、タンクの反対側には、高さ3mはありそうな大きな窓があり、抜群の採光とパノラマビューを両立。天井は極めて高く、冷暖房費が大変そう…とこちらが心配になるほど。

 

少々色ムラがあるコンクリートの床の上には木製の家具が点在し、明るい色の木目のカウンターと相まって、モダンで温かな雰囲気が感じられます。しかし……なんと贅沢な空間の使い方でしょう。各テーブルの間隔がおかしい(広すぎ)です。特に飲食店はシビアに客席の間隔を詰めて利益率を上げるといいますが、こんなにゆったりした配置で大丈夫なのでしょうか?

 

ビール製造20年目を迎え、従来の製造設備を「魚沼の里」に集約

やがて、スピーチのために八海醸造の南雲二郎社長がマイクを持って登場。洗いざらしのシャツに色あせたジーンズというラフな姿からは、従来の蔵元はもちろん、通常の社長のイメージとはほど遠く、「ほかと同じにはならないぞ」という同社の気概を表しているようです。

 

「ビールの醸造所を造ったのは、平成10年(98年)のこと。なぜビールを作ったかというと、日本酒メーカーには『ほかのアルコール飲料を作ってみたい』という思いがどこかにあるんですよ。それが、規制緩和で(年間最低醸造量)60KL以上造れば、ビールメーカーになれるということになった。『だったら作ろうじゃないか』ということで始めたんです。

 

そして今年、ちょうどビールを造り始めて20年目を迎え、醸造設備が老朽化していまして。そろそろ改修する時期に来ていましたし、このまま150KLほどしか造れない設備だけでやっていると、需要期に思う存分売ることができない。そこで、日本酒や焼酎、その他アルコール飲料を造っている『魚沼の里』にアルコール事業を集約しようと。訪れた方に楽しみながら感じてもらえるビールメーカーになろうじゃないか、ということで、今回この建物と設備を増設したわけでございます」

 

ゆったり過ごしてもらうことで「品質以上の品質」を感じてもらいたい

この醸造所の移転により、醸造量は約150KLから約300KLに増えたとのこと。ただし、醸造所を作ったのは、単なる増産のためだけではないと南雲社長は語ります。

 

「もちろん、外に売っていくことが本業になるわけですけれど、やはりお客さまに製造の現場に来ていただいて、商品の質を確かめてもらうのも重要。どうせ飲んでもらうなら、ゆったりと充実した時間を過ごしながら飲んでいただきたい。そのほうが、『品質以上の品質』を感じてもらえる可能性があるわけで」

さらに南雲社長は、この場所に醸造所を作ろうと思った理由を語りはじめました。

 

「実はここは元々、南魚沼市のヘリポートだったんですよ。平らに整地されていて、よく空いた時間にここから魚沼盆地を眺めていました。ここから西へ目をやると、魚沼盆地の六日町がほとんど見渡せるんです。そういう特徴のある場所で、我々が造ったビールをソファにゆったりと座って飲んでもらいたいと思って。ここを作るとき、上ってくるのも大変なのに、大丈夫ですか? などと言われましたが、何か特徴的なことをやるには犠牲がいる。都会の人が、毎日の生活から解放されて、豊かな気持ちになって楽しんで帰ってもらいたい。その思いで、この高台に醸造所を作りました」

 

なるほど、あれほど間隔を空けた席の配置は、客にゆったり過ごしてもらい、疲れた心を癒してほしい、という願いが表れたものだったのですね。もうひとつ、これだけの環境でビールを味わえば、いやおうなく美味しく感じるはず。さきほどの南雲社長の言葉を借りれば、「品質以上の品質」を感じるわけで、製品のイメージアップにつながることは間違いありません。

 

新ブランド「ライディーンビール」の3種類を実際に試飲

さて、続いて、ビールの新ブランドのお披露目です。新ブランドの名は「RYDEEN BEER(ライディーンビール)」。その名を聞いた瞬間、YMOの楽曲「ライディーン」の電子音が脳内で流れ始めましたが、もちろんそちらは無関係。ブランド名は仕込み水の水源「雷電様の清水」に由来しているとのこと。

ライディーンビールのラインナップは「ヴァイツェン」「アルト」「ピルスナー」「IPA」の4種類。すべて330mℓで460円(税抜)。今後は季節の商品もいくつか投入していくといいます。

 

取材見学会では、9月末発売予定の「ピルスナー」を除いた3種類のビールを実際に味わうことができました。まずは、下くちびるを上の歯でしっかりと噛み締めて発音したい「ヴァイツェン」から。ほのかな甘み、爽やかな微炭酸に小麦の香り……キレイでのどごしが良く、ひっかかりがまるでありません。乾杯酒には最高ですね。

↑キレイな黄金色の「ヴァイツェン」

 

こはく色が目を引く「アルト」は、ローストした麦芽を使用したビール。アタックで心地よい甘みを感じますが、ボディは意外にライト。するする飲めるので、こちらを1杯目に選んでもバッチリですね。わずかにコーヒーを思わせるようなコクと酸味、無ろ過ならではのまろやかさも感じられます。

↑ライディーンビールの「アルト」

 

もうひとつ、緑色のラベルの「IPA」は、「ライディーンビール」になって追加された新商品とのこと。「IPA」とは「インディア・ペールエール」の略で、18世紀末、イギリスからインドへどうしたら腐らせずに送れるか?……との課題をクリアすべく、アルコール度を高め、防腐効果のあるホップを大量に入れたのが始まりだといいます。そんな「IPA」は、目が覚めるようなインパクト。なんという強いアロマか。そして、なんと鮮烈で心地よい苦みであることか……!

↑強いインパクトを持つ「IPA」。ギョーザやエスニック料理など、クセの強いものにも合いそうです

 

これらのビールは、醸造所の中央にある「猿倉山ビールバー」で、できたてを生ビールで味わうことができます(1杯430mℓで600円)。その生ビールを筆者は「味を伝えるため」との使命感から(途中からはただ飲みたいから)、決して少なくない量のおかわりをさせて頂きました。試飲を通して感じたライディーンビールの印象は、非常にキレイな味わいだったということ。爽やかで軽快、清澄。まるで山の冷たい清水を手ですくって飲んでいるような……フレッシュで生命力のある味わいでした。

↑生ビールを注ぐ「猿倉山ビールバー」のスタッフ

 

↑醸造所の奥はガラス張りになっており、ビール製造場のタンクが見えるようになっています

 

リカーショップやベーカリーも併設し、「4大エンタメ」が同施設で完結する

「猿倉山ビールバー」では、地元の食材を取り入れた料理も用意しています。雪ひかりポークを使ったホットドッグ(600円)や、黒埼(くろさき)茶豆(490円)、ソーセージ盛り合わせ(1500円)など。また、同バーを運営する企業「ロストアンドファウンド」がジェラート店を展開していることもあり、地元で生産される八色(やいろ)すいかやプラムなど、季節のフルーツを使った使ったジェラート(420円~)も提供しています。

 

このほか、醸造所の中にはウイスキーやジンなどの蒸留酒を中心とした「リカーショップ猿倉山」や「さとやベーカリー」も併設。酒と食、景観とおみやげという観光の4大エンタメが、すべてこの醸造所で完結するというわけですね。

しかしこの醸造所、建物といい、空間プロデュースといい、ビールや料理を含め、オシャレなのに軽薄な印象がなく、ホンモノ感があります。それぞれの分野のプロがしっかり作りこんでいるな……といった印象。その道のプロを巻き込んで、上手に分業できる点も同社の強みなのでしょう。

↑左から猿倉山ビールバーの運営元「ロストアンドファウンド」の覺張(がくはり)雄介氏、さとやベーカリーの運営元「ブランドゥブラン」の佐藤浩一氏、八海醸造の南雲二郎社長、鹿島建設の星野時彦氏

 

到着から2時間あまり、日が陰り始めたころに「猿倉山ビール醸造所」の取材見学会は終了。いやあ、楽しかった。お酒を飲みながら、絶景を前にボーっとする……何と幸せな時間なのでしょう。日ごろカサカサに乾いていた心が、うるおいを取り戻していくのがわかります。すでに同醸造所は7月20日にオープンしているので、みなさんもぜひ、訪れてみては。ちなみに、ビールを飲むからクルマで来られないのは痛いよねぇ…という方のために。八海醸造では8月11~15日、18、19日、25、26日は六日町駅と浦佐駅から無料シャトルバスを運行するそうです。どうせなら猛暑を逆手に、冷たーいできたてビールを存分に楽しんでみてはいかがでしょう。

 

【8月22日】「クラフトビール×コストコ食材」のマリアージュを堪能できる無料イベント開催決定!!

キリンビールがとことんこだわったクラフトビールシリーズ「グランドキリン」。ここ数年勢いを増しているクラフトビール市場において、特に存在感を放っている注目のブランドです。そのグランドキリンを試飲しながらクラフトビールについて学べる無料イベントが、8月22日(水)に開催されることが決定しました!

クラフトビール×コストコ食材のマリアージュを堪能

新作ビールを試せるだけでなく、本イベントではなんと、あのアメリカ発の会員制スーパー「コストコ」の食材を使った料理とのマリアージュも楽しめます! 料理を監修するのは、人気ブログ「コストコ通」の管理人で、コストコの第一人者としてテレビ出演や雑誌への寄稿なども行っているコス子さん。いったいどんなマリアージュが提案されるのか、非常に気になりますね!

※写真はイメージです

 

さらに、イベント内ではクラフトビールについて基礎から知ることができる講座も開催予定とのこと。こだわりのビールを片手に美味しい料理に舌鼓を打ちながら、クラフトビールのうんちくまで語れるようになる、しかも参加費は無料…!! 「クラフトビールについて知りたい」「コストコ食材とビールのマリアージュが気になる」「とにかく美味しいビールが飲みたい」などなど、少しでも気になるところがあれば要チェックのイベントと言えそうです。

 

【イベント概要】

日時:8月22日(水) 19時~21時ごろ

場所:GOBLIN代官山(代官山駅から徒歩3分)
https://goblinspace.jp/space/goblin-daikanyama/

参加費:無料

定員:40名(事前予約制/応募多数の場合は抽選)

参加は下記の応募フォームよりご応募ください。
https://pf.gakken.jp/user/op_enquete.gsp?sid=GNW&mid=003235Ez&hid=8CBVaBqIW_0

 

 

 

テキーラに詳しくなりたい人に読んで欲しい、「クエルボ」と「アガヴェ」の話

ウイスキーにジン、コニャックなど、蒸溜酒の人気が高まっている昨今ですが、テキーラも見逃せません。もしかしたらあまり飲まない人もいるかもしれませんが、実は日本は世界で5番目にテキーラを飲んでいる国。また、海外ではハリウッドスターに愛好家が多いことで知られており、セレブなお酒としての地位を確立しています。そんなテキーラを満喫できるイベントが、先日代々木で開催されました。識者によるレクチャーもあり、内容は超充実! その一部をレポートしていきたいと思います。

 

 

600人のテキーラファンが200種のテキーラを堪能!

このイベントは「テキーラの日 Celebration Party」。7月24日が世界的なテキーラ記念日であることを祝し、土曜日の7月21日に開催されました。場所は、駅からすぐの場所にある「代々木VILLAGE by kurkku」。

↑「代々木VILLAGE by kurkku」の入口。敷地内にはいくつかの飲食店があり、筆者のお気に入りは「MUSIC BAR」

 

イベントの大きな目玉は、200種類以上のテキーラとメスカル(テキーラに似たメキシコのお酒)を自由にテイスティングできること。様々なブランドのブースが出ており、大勢の参加者が飲み比べを楽しんでいました。

 

前記の「MUSIC BAR」は、この日限定のスペシャルカクテル(有料)を楽しめるバーに。カリスマ的なバーテンダーが入れ替わりでふるまう形となっており、国内ミクソロジストの第一人者・南雲主于三(しゅうぞう)さん、「BAR TRENCH」のロジェリオ五十嵐さん、「bar Algernon Sinfonia」の小栗絵里加さんなど、計6名が提供していました。

↑南雲主于三さん。六本木の「MIXOLOGY experience」やギンザシックスの「MIXOLOGY Salon」など、数店舗の人気バーを展開しています

 

フードは、タコスや「エローテ」というメキシコの焼きトウモロコシが屋台で売られていたり、メキシコ定番料理の盛り合わせが提供されていたりと、こちらもテキーラとのペアリングを最大限に楽しめる内容。

↑セビーチェ(メキシコ風の魚介マリネ)、ピザ、ナチョスが盛り付けられた「メキシカンプレート」800円

 

 

テキーラの元祖であり世界一売れているのがクエルボだ!

個人的に注目していたのが、テキーラのブランドセミナーです。こちらは「ホセ・クエルボ」、「ドン・フリオ」、「パトロン」、「サウザ」、「フォルタレサ」の5大ブランドをそれぞれ時間帯ごとに区切り、レクチャーしてくれるというもの。筆者はクエルボのカクテル世界チャンピオンが講演するということで、「ホセ・クエルボ」の回に参加しました。

↑江刺幸治さん。2015年にメキシコで開催された第1回「ホセ・クエルボ ドンズ・オブ・テキーラ」の世界大会で、総合優勝を果たした超一流のバーテンダーです

 

テーマは「クエルボブランドとテキーラカクテルの魅力」。まずはクエルボがテキーラの王様であるという話から。これは、テキーラの創設者がクエルボであり、現在稼動している世界最古のテキーラ蒸溜所「ラ・ロヘーニャ」がクエルボの拠点であること。また、クエルボが世界のテキーラの販売数量で約30%というNo.1のシェアであることもその所以です。

↑1795年に当時の統治主であったスペイン王・カルロス4世が、第1号のテキーラ商業製造・販売許可をクエルボに交付。これがテキーラ産業の出発点となったそうです

 

この影響力はテキーラ以外のお酒と比べた場合でも同様。実は、日本で売れているホワイトスピリッツ(焼酎、ウォッカ、ジン、無色のラムなど)部門で2位という人気の高さ。そんなクエルボは、ここ10年で国内販売数量が2倍に拡大しているブランドです。つまり、日本における昨今のテキーラブームは、クエルボがけん引しているといっても過言ではありません。

↑テキーラの原料となる、アガヴェの畑。サボテンと勘違いされますが、そうではなく「竜舌蘭」(リュウゼツラン)属の植物です

 

その後はクエルボの製造方法とこだわりの解説へ。収穫したアガヴェから糖蜜を抽出し、醸造、蒸溜、熟成してブレンドしボトリングして出荷というのがおおまかな流れです。そのなかでクエルボの特徴といえるのが、連続式ではなく単式蒸溜器を使うこと。そしてその素材が銅製であること。

↑テキーラではステンレス製の蒸溜器を使うブランドが多いなか、クエルボは銅製。その違いはわずかなものでありながら「あえて約4倍も高価な銅製を使うクエルボの姿勢が僕は好き!」と江刺さん

 

最後はお待ちかねの試飲。しかも、数あるクエルボ商品のなかでもプレミアムなタイプを飲ませてもらいました。なんとそのお値段、1本1万円を超えるもの!

↑クエルボ・プラティノ/750ml(参考価格1万800円)。10〜12年物のアガヴェを厳選し、さらに特に⾹味の優れた中⼼部のみを使⽤。アガヴェのフレッシュな⾵味と滑らかな飲み⼝が特徴です

 

↑クエルボ・レゼルヴァ・デ・ラ・ファミリ/750ml(参考価格1万9940円)。こちらは10年以上のアガヴェのみを厳選し、熟成にはアメリカンオーク樽とフレンチオーク樽を使⽤。地下のセラーで最低3年以上寝かせた、⻑期熟成ならではの深く複雑な味わいです

 

 

セミナーは30分でしたが、充実の内容。このほかにもイベントではフレアバーテンダーによるショータイムがあったり、人気DJのSARASAとKashi da handsomeによるDJタイムがあったりと、盛りだくさんのコンテンツでした。

↑炎天下のなかでキンキンに冷えたテキーラカクテルを楽しむサイコーのひととき。ガーデンテラスはテキーラパラダイスでした

 

しかも、快晴という絶好のテキーラ日和で大盛況。この様子であれば来年も開催されることは必至でしょう。ただ、気になっていても1年は待てないという人は多いはず。であればいますぐにでもテキーラをゲットし、素“テキ”な夏をお過ごしください!

【完売続出】アサヒの「透明ビール」は何がスゴイ? 本当に美味しい? 試してみた

ここ最近、コカ・コーラやフレーバーティーなど、透明なドリンクが続々とリリースされて、市場の話題をさらっています。そんななか、アサヒビールから透明なクラフトビール「クリアクラフト」が8月末までの期間限定・数量限定で登場しました。売り切れ続出の話題の新商品は、いったいどんな味がするのでしょう? 確かめるべく、メディア向け試飲会に行ってきました!

 

商品化まで8年かかった渾身作「クリアクラフト」とは?

「クリアクラフト」が飲めるのは、東京と大阪にあるアサヒビール直営4店舗のみ。8月末までの期間を3回に分け、各回3000杯限定の提供となります。6月25日からの1回目は、各店舗とも数日で完売するというものすごい人気ぶりでした。

↑東京3、大阪1の計4店舗でしか味わえない貴重なビール

 

同商品は昨今の透明飲料ブームに乗ってサクッと作ったわけではなく、商品開発は8年も前から進められていたとのこと。「究極にすっきりしたおいしいビール類をつくりたい!」という想いのもと、100回以上の試作を繰り返して、ようやく商品化に至ったそうです。

 

↑商品開発プロジェクトの中心になった、アサヒビールの西山雅子さん

 

これまでにない新製法により、仕込みの工程で生じるビール類が色づく反応を抑えつつ、アルコール発酵による豊かな香りを実現。原料のブレンディングにもこだわり、透明な液色を維持したまま、発酵由来の味わいを生み出すことに成功しました。

 

 

従来のビール類に感じられる「ちょっと重い」「ちょっと満腹感がある」といったネガティブなイメージを克服した、まったく新しいビール類になっています。

やさしくライトな爽快感でビールが苦手でも飲める!

それでは、実際に飲んでみましょう。

 

 

まず特徴的だったのは、ビール特有の泡の消えるスピードの早さ。そして、一般的なビールとはかなり違う味わいです。特に苦みと余韻が抑えられていて、後切れのよさが抜群です。

↑炭酸もシュワっとやさしめ

 

同社の定番商品「アサヒ スーパードライ」と交互に飲み比べてみると、違いがハッキリと分かりました。

 


↑両者の違いやいかに?

 

「スーパードライ」の特徴のひとつは、そのシルキーな泡にあります。専門店でプロが注ぐ一杯は、さすがにふわふわで格別。ドライでキレのあるビールと、クリーミーな泡とのメリハリが最高です。しっかりとしたホップの苦みと、麦芽の旨みも感じます。

 

↑さすが王道「スーパードライ」。安定感があります

 

一方「クリアクラフト」は、もっとライトな飲み味で、苦みはあまり主張してきません。ほんのりとフルーティな酸味と甘みがあって、どちらかといえば女性ウケがよさそうな印象です。

 


↑苦みはひかえめ、爽快感と甘みがあって夏にピッタリ!

 

どちらも言葉にすれば「さわやか」なのですが、爽快感の方向性が違います。「スーパードライ」は力強く、「クリアクラフト」はやさしくライトな印象です。

次回は7月下旬!進化を続ける「クリアクラフト」

大きな話題を呼んだ「クリアクラフト」は現在、飲んだ人たちから意見を集めて、ブラッシュアップを図っています。「見た目も味もクリアで飲みやすい」と好評だった一方で、ビール好きな人からするとややもの足りないという声もあったとか。そこでの改善の成果を知れるのは、次回の販売予定日となる7月下旬で、約3000杯分が醸造される見込みです。開発側としては、味はもちろん、泡や炭酸の圧などもよりよいものにしていきたいと意気込みを見せていました。

↑「クリアクラフト」の今後の展開に期待です!

 

そして、さらに2回目の反響を受けてレベルアップするラストの3回目は、8月下旬に販売予定。こちらも限定約3000杯ですが、ペアリングメニューも提供して、おいしさの相乗効果を楽しめるようにするようです。話題沸騰で、店によっては数日でなくなってしまうそうなので、試したい人はお早めに!

 

【取材したお店】
アサヒスーパードライ 新宿店
住所:東京都新宿区新宿3-36-12 杉忠ビル
アクセス:JRほか「新宿駅」中央東口徒歩1分
営業時間:月~土11:30~23:00(フードL.O.22:15、ドリンクL.O.22:30)、日祝11:30~23:00(L.O.22:15)
定休日:なし

フリーズドライはここまで進化した! 「ワインとまぜる サングリアの素」で家飲みレベルを上げよう

フリーズドライと聞いて最初に思い浮かべるのは「味噌汁」でしょう。お湯を注ぐだけで具材の食感なども復活する驚きの技術ですが、その応用は多岐に渡ります。

 

数あるフリーズドライ製品のなかでも最近筆者が驚かされたのが、アスザックフーズの「ワインとまぜる サングリアの素」です。サングリアといえば、ワインにフルーツやリキュールなどを加えて2〜3時間ほど漬け込むお酒ですが、自分で作るとなると面倒なんですよね。

 

フリーズドライのサングリアの素の使い勝手や味はどうなのか? さっそくご紹介しましょう。

 

 

グラスに入れたらあとはワインを注ぐだけ

「ワインとまぜる サングリアの素」は、赤ワイン用と白ワイン用の2種類が選べます。赤ワイン用にはいちごとレモン、白ワイン用にはキウイとオレンジの果肉が入っており、使用するワインはいずれも120mlとなっています。

↑「赤ワインまぜる サングリアの素」と「白ワインとまぜる サングリアの素」も2種類が揃う。20回ほどの試作を経たうえで2018年3月に発売した

 

 

↑味噌汁のフリーズドライと同じような形状だが、いずれもフルーツやスパイスが使用されている

 

イチからサングリアを作るとなると、どうしてもワイン1本分で作ることが多くなりますが、ちょっと飲みたいときにも楽しめるのがいいですね。そういうときにはパウチタイプのワインを使うのがおすすめ。

↑パウチタイプのワインはグラス2杯分ほどなので、ちょっと飲みたいときにちょうどいい

 

グラスにサングリアの素を入れたら、分量のワインを注ぎ、よくかき混ぜて約1分待てば完成です。氷を入れるとよりおいしいそうなので、最後に氷を入れるのを忘れずに。

↑なんのコツもいらないくらい簡単。イチからサングリアを作るときの手間に比べると、これだけでも十分作る価値がある

 

 

フリーズドライのサングリアのお味は?

あっという間に完成したサングリアですが、まずは赤ワインから。シナモンやクローブの香りがして、かなり期待度が高まります。

↑どちらのサングリアにもフルーツがたっぷり入っているのがよくわかる

 

こ、これはウマい! スパイスの香りがしっかり立っているだけでなく、さまざまな果物の甘みも感じられます。どうやら、ももとパイナップルの濃縮果汁が使われているようです。人工甘味料や香料を使っていないので、かなりナチュラルなんですね。

↑いちごのつぶつぶ感とレモンの酸味がポイント

 

白ワインのほうは、キウイやネーブルオレンジが入っており、もも、オレンジの果汁が使われています。こちらもきちんとスパイスがきいており、お店で飲むものよりもかなり味がしっかりしている印象です。

↑キウイの果肉がしっかり入っていてフリーズドライとは思えない仕上がりだ

 

赤ワインのサングリアの素は冬場は温めてグリューワインに、白ワインのサングリアの素は紅茶にまぜるのもおすすめ。いずれも1食150円程度で売られているので、自分で作るよりもかなりコスパがいいですね。

 

休日のランチやホームパーティーはもちろん、アウトドアにワインと一緒に持参して、ちょっとおしゃれに楽しんでみるのもアリ。サングリアを飲みたいときに飲みたい分だけ作ってみましょう。

 

 

 

カッコいいブランドには、確固たる哲学がある。絵で分かる「ジャック ダニエル」ブランド考。【提供元/アサヒビール】

強いブランド力を持つプロダクトには、決して変わらない哲学がある。アルコールの世界でいえば「ジャック ダニエル」だ。名前こそ広く知られているが、その確固たる哲学についてはまだまだ日本では知られていない部分が多い。そこで本稿では、ウイスキー初心者から根っからの「ジャック ダニエル」好きまで幅広い層にわかりやすく、イラストを使って同ブランドの「哲学」を解説していく。

 

【その1】「独立心」=自分たちのものは自分たちで作る

ウイスキー作りで重要なのが熟成であり、多くのウイスキーブランドが熟成に力を入れる。ところが、寝かせる樽までを自社生産するブランドは多くない。手間やコストがかかるからだ。しかし「ジャック ダニエル」は樽までを自社生産する。

 

樽に使用する木はホワイトオークだ。専門の職人が板を切り出し、スチームで成形したのちにタガでしっかりと結束。その後、「ジャック ダニエル」が特許を持っている特殊な手法で内側を焦がしていく。まずは「トースト」(弱火で軽く炙る)して木の内部まで熱を通し、バニラやキャラメルのような香味成分を引き出す。次はその香味を樽の内部で蒸溜液に浸透させるため、強い炎で1分弱焦がして「チャー」(炭化)するのだ。

 

熟成は、ウイスキー作りで最も時間を要し、最も重要な工程。樽まで自分たちの手で作らなければ完結しないという姿勢は、独立心そのもの。「他人の褌(ふんどし)で自分の相撲は取れない」、それがオリジナリティにあふれる「ジャック ダニエル」の信条なのだ。

 

【その2】「恐れない」=ときには非効率であることが効率的である

ジャック ダニエル」の工程数は一般的なウイスキーよりも多い。たとえば、「チャコール・メローイング」がそのひとつだ。これは蒸溜所があるテネシーのサトウカエデから厳選したものを木炭にし、詰め込んだ巨大な槽で原酒を濾過する製法。労作業になることはもちろん、一滴一滴ゆっくりと時間をかけるため、効率か非効率化でいえば後者である。

 

こういった職人気質のクラフトマンシップは、ローカルなプロダクトで語られやすい。「知る人ぞ知るブランドで~」「年間に作る個数に限りがある~」といった具合だ。しかし、「ジャック ダニエル」はグローバルブランドだ。世界170か国以上で飲まれ、年間の出荷量は約2億本(約1600万ケース/9L換算)。この規模で、非効率な工程を実践することは並大抵のことではない。ジャック ダニエルはラクをしないが、ラクをしないことが自身を磨く最たる近道なのだ

【その3】「忠誠心」=自然環境への信頼と郷土愛

ジャック ダニエル」は、1866年に合衆国政府に最初に登録された蒸溜所。1972年にアメリカ合衆国国家歴史登録財に認定されている。設立したのは、当時青年だったジャスパー・ニュートン ダニエル・“通称ジャック”ダニエル。その名前がブランド名となっている。150年以上の歴史を持つが、その製造場所は創業以来一貫してテネシーのリンチバーグにこだわる。それはこの地で生まれるウイスキーでなければ「ジャック ダニエル」といえないからだ。また、リンチバーグの環境が、唯一無二の味作りを支えているからでもある。

 

マザーウォーターに用いられるのは、自然豊かなケーブ・スプリングの硬い湧き水(ライムストーンウォーター)。そして、寒暖差の激しい場所に設置された熟成庫が樽に深い呼吸をさせる。創業時から変わらない土地への忠誠心が、「ジャック ダニエル」の矜持でもあるのだ。

 

ダーウィンで有名な「変化する者だけが生き残る」という進化論。確かに、昔もいまも臨機応変に変わること、困難な状況を柔軟に打破することはとても重要だ。しかし、決してそれがすべてではない。少し脱線するが、こんな話がある。常連が飽きないようにメニューを定期的に替えていったら、逆に客足が遠のいてしまった飲食店。変えてはいけない部分、変えていないだろうか?

 

【その4】「ブレない」=昔もいまも変わらぬつくり方

ジャック ダニエル」には“the way it was the way it is”というコンセプトがある。これは“昔もいまも変わらぬつくり方”という意味だ。テネシーのリンチバーグで誕生した当時は、小さなローカルブランドに過ぎなかった「ジャック ダニエル」。しかし、独立心をもって非効率を恐れず挑戦し、リンチバーグの土地で作り続けた結果、グローバルブランドになった。

 

その挑戦には、ファミリーの拡大もある。たとえば、寒暖差の最も大きい熟成庫の、最上階でピークを迎えた樽のみからボトリングされる「ジャック ダニエル シングルバレル」。チャコール・メローイングを蒸溜後と熟成後の2回行う「ジェントルマンジャック」。1回目の樽熟成後に「メイプルウッドフィニッシュ」という2度目の樽熟成を行い、さらに2度目のチャコール・メローイングを行う「ジャック ダニエル ゴールド」。「ジャック ダニエル ブラック」に、天然の蜂蜜で作られたハニーフレーバーのリキュールを加えた「ジャック ダニエル テネシーハニー」など。

 

大定番の「ジャック ダニエル ブラック(Old No.7)」にはじまり、プレミアムなゴールド、変化球のハニーまで。それぞれ個性的な味わいが楽しめるのも「ジャック ダニエル」の魅力だが、共通点がある。それがケーブ・スプリングのライムストーンウォーターであり、「トースト」と「チャー」で仕上げる自社製の樽であり、寒暖差の激しいリンチバーグにおける熟成であり、「チャコール・メローイング」によって原酒を磨く製法なのだ。強固な1本筋が通っているからこそ、本質は揺るがない。だから大胆に、新しいチャレンジができる。とはいえ、その筋を通すことが最も難しいのだが。

創業時から守られているこれらの製法と哲学は変わらないし、これからも変わることはないだろう。テネシー州のリンチバーグ。ひとつの場所で生み出され、世代を超えて受け継がれ、飲まれ続けるアメリカンウイスキーの金字塔。それが「ジャック ダニエル」なのだ。

 

 

【ジャック ダニエル公式サイト】
https://www.asahibeer.co.jp/products/whisky_brandy/tennessee/jackdaniels/

 

飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。
イラスト/TOMOYA

「CMか!?」と思うような表情を鈴木亮平さんがした、キリン渾身の特製グラスで味わう、最高の一番搾り。

全国的に厳しい暑さで、東京でも35度を超える最高気温を記録した7月22日。六本木ミッドタウンで「キリン一番搾り おいしい体験会~暑い夏を、おいしい夏にしよう。~」のオープニングイベントが開催され、キリン一番搾りのCMキャラクターを務める俳優の鈴木亮平さんが登壇しました。そのイベントの模様と、筆者が実際に体験した特製グラスで楽しむ「キリン一番搾り」の味をレポートします。

一番搾りのCM撮影の裏側や、商品への愛を鈴木さんが熱くトーク

涼しげな浴衣姿で登場した鈴木さん。まず行われたトークセッションでは、一番搾りのCM撮影エピソードや商品への愛を披露してくれました。鈴木さんによると、一番搾りのCMはほぼアドリブで撮影されているそうで、ビールが提供されてからはエキストラさんも含めて「あとは適当に盛り上がってください」という指示が出るだけなのだとか。「毎回ステキなときを楽しみながら撮影していて、アドリブだからこそリアルな夏を表現ができています」と語り、撮影の裏側を教えてくれました。

 

「どのようなシーンで一番搾りを飲みたいですか?」という質問に対しては、「屋外、大人数で楽しむ飲み方はたくさん味わってきたので、ひとりベランダで夏の夕暮れを眺めながら飲みたいですね」と回答。続いて、司会者から「忙しい日々を過ごされていますが、どんなときにビールを飲みますか?」という質問には「だいたいは仕事のあと」と答え、近々ある合戦のシーンを撮る屋外ロケでも「終了後に一番搾りを飲みたい!」と語った鈴木さん。やはり疲れた身体に染みわたるビールはやはり格別なようで、「撮影が終わったあとのやりきった感を味わいながら共演者で、『お疲れ様です』と近くの居酒屋で一杯やりたい」と話していました。

 

“最高”の一番搾りを叶える特製グラスは、一度飲んだら手放せない

さて、今回注目なのが本イベントで提供される特製グラス。一番搾りを最も美味しく飲める形状にこだわったというグラスで、鈴木さんも早速試飲。「普通のグラスのように見えるけれど、実際に手にしてみるとガラスが薄く、泡や口当たりが違う」と感想を語り、暑さのなかで冴えるその味には大満足の様子でした。ビールを口に含んだ瞬間のその顔は、CMでも見せる表情そっくりで、一番搾り&特製グラスの旨さを率直に物語るものでした。

 

↑ビールを口にした鈴木さんの表情がその味を物語ります。炎天下のなか、味わうビールは格別なよう

 

さて、一番搾りをさらにおいしくしてくれるというこの特製グラス。筆者もそのグラスに注いだ一番搾りを体験する機会を得ましたので、その味をお伝えしましょう。まず感じたのは、泡の細かさと口当たりの良さ。苦みをあまり感じず、喉を潤す爽快感が際立つのが印象的です。グラスをキンキンに冷やして飲むビールのスッキリ感がさらに強くなったその味は、まさに夏のための味わい。

 

一度飲んだら何杯でも飲みたくなる、問答無用で旨い一番搾りといえます。飲むまでは「グラスでそんなに味が変わるの?」と半信半疑だった筆者も、鈴木さんの爽快感に満ちた表情は本物だったのだと実感させられました。

 

↑“最高”のビールを演出する特製グラス。ビジュアルだけで飲みたくなってしまいます

六本木とお台場で、おいしい夏を体感しよう

この特製グラスで一番搾りを味わえるイベントは六本木、お台場の3会場で開催中。200円というお手頃価格で、“最高”の一番搾りを味わうことができます。期間限定のこの味を、ぜひご自身の口で体感してください。同時に、今回紹介した特製グラスが抽選で当たるキャンペーンも実施中なのでそちらも要チェックです。

 

【“最高”の一番搾りが楽しめるイベント概要】
●キリン一番搾り おいしい体験会~暑い夏を、おいしい夏にしよう。~
場所:東京ミッドタウン コートヤード
開催期間:7月22日(日)~7月25日(水)
営業時間:12:00~20:00

 

●テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION
場所:六本木ヒルズ 大屋根プラザ カフェ&ビアテラス
開催期間:7月14日(土)~8月26日(日)
営業時間:11:00~23:00(L.O22:30/月~土)
11:00~22:00(L.O21:30/日・祝日)
※8月11日は11:00~23:00

 

●ようこそ!!ワンガン夏祭り THE ODAIBA 2018 キリンビールブース
場所:フジテレビ本社屋 1階 フジテレビ広場
開催期間:7月28日(土)~9月2日(日)
営業時間:10:00~18:00

これで無料? 行かない理由が見当たらない…! 吟醸酒と調理家電レシピの「完璧なペアリング」体験会を二子玉川 蔦屋家電で開催

調理家電と日本酒が大好きなGetNavi webの読者に、ぜひお伝えしたい! 8月4日(土)、二子玉川 蔦屋家電2階のダイニングにて、「菊水酒造『無冠帝』×麻布十番『赤星とくまがい』 吟醸酒と調理家電レシピの『完璧なペアリング』体験会」が開催されます。

 

菊水の吟醸酒「無冠帝」と、調理家電で作る「完璧な相性」の3品が楽しめる

こちらは新潟県・新発田市の「菊水酒造」と、東京・麻布十番の創作料理店「赤星とくまがい」のコラボイベントです。菊水酒造といえば、缶入りの「ふなぐち菊水一番しぼり」や「菊水の辛口」でおなじみの新潟の蔵元で、発売35周年を迎えた吟醸酒「無冠帝」をリニューアルしたことで話題。一方、赤星とくまがいといえば、ニューヨークで日本酒と料理の「ペアリング」を提案してきた店主がオープンしたお店で、いまや予約が取れない人気店となっています。先述の「ペアリング」とは、「この一皿にはこの一杯!」といった具合に、料理とお酒が互いに極限まで高めあう組み合わせのこと。いわば、唯一無二のマッチングであり、「マリアージュ」よりも強い意味で使われます。

↑菊水の吟醸酒「無冠帝」

 

↑赤星とくまがいのオーナー赤星慶太さん

 

今回のイベントは、「無冠帝」とともに、完璧なペアリングを実現した3品の料理を、解説つきで楽しんでいただくというのがその内容。しかも、3品の調理には蔦屋家電でも買えるパナソニックの最新調理家電を使用しているので、調理家電の購入の検討にも活用頂けます。さらに、予約された参加者にはもれなく「無冠帝」のボトルに加え、気鋭のプロダクトデザイナーがデザインを手掛けた話題のブランド「双円」の酒器をプレゼント致します。

 

蔦屋家電のオシャレなスペースのなかで、日本酒と調理家電、ペアリングが楽しく学べたうえ、豪華なプレゼント付き。しかも無料……。これでは参加しない理由が見当たりませんね。なお、試飲&試食会は13時~および15時~の全2回で、各回25名限定です。下記サイトの応募フォームからぜひご応募を。予約できなかった方も、14:00~および16:00~、どなたでも参加できる「無冠帝」の試飲会も実施致します(プレゼントはございません)。ぜひご参加ください!

応募フォームはコチラ

↑イベント会場となる蔦屋家電のダイニング

 

今夏のクラフトビールは「サワー」「副原料」、そして「ブリューパブ」というキーワードで読み解く

トレンドとともに少しずつ認知が広まるクラフトビールですが、より深掘りすると、そのなかでも最先端のトピックがあり、めまぐるしく更新されています。そこで今回は覚えておくと使える重要キーワードを3つ紹介。新商品や店舗といったとれたて情報と一緒にお届けしたいと思います。

 

ビーントゥバーとのコラボで生まれた意外すぎるサワーエール

最初に紹介するのは「T.Y.HARBOR BREWERY」(ティー・ワイ・ハーバーブルワリー)。こちらはクラフトビールブームのずっと前、1997年から醸造している天王洲の名門ですが、今回、画期的なコラボレーションビールを限定発売しました。それが「カカオサワーエール」。

 

 

手を組んだのは、チョコレート専門店の「Minimal」(ミニマル)。クラフト=手づくりといった意味がありますが、チョコレート業界でいえば「ビーントゥバー」がそれにあたるといっていいでしょう。これは、カカオ豆からチョコレートになるまでの工程を一貫して行った商品などのことを示しますが、国内の旗手といえるのが「Minimal」です。

↑昨年筆者が取材した際の「東武池袋 Metro Kitchen & Store」。本店は渋谷の富ヶ谷にあります

 

ビール×チョコといえば液色の黒いタイプを想像するかもしれません。実際にカカオのコクを生かしたビールは見かけます。でも今回はまったく違うビアスタイル。テーマは“夏に飲みたくなるカカオビール”で、見た目は淡い黄金色。味はフルーティで爽やかな、夏らしいテイストなのです。

↑余韻に残るフレーバーに、若干カカオのニュアンスも。ビールの温度が高くなると、よりカカオ風味を感じやすくなるそうです

 

使われているのは、カカオの果肉「カカオパルプ」と、フレーク状の「カカオニブ」というチョコレートの素材。個人的には「さすが『T.Y.HARBOR』!」と思いました。なぜなら、クラフトビール大国・アメリカではサワーエールに人気が出ており、日本でも愛好家を中心に広まっているからなのです。よく「アメリカではIPA(インディアペールエール。ホップを効かせた苦味が特徴で、アメリカでは柑橘的な苦みも)が人気」という話が挙がりますが、いまの米国はサワーエールのほうが新たなトレンド。日本でもいずれ浸透していくと思いますが、カカオのサワーエールはきわめて珍しく、この一杯は注目です!

 

↑天王洲のブルワリーに併設している「T.Y.HARBOR」のほか、系列店の「SMOKEHOUSE」(原宿)ではS(250ml)600円、M(420ml)980円で樽生を提供。「Minimal 富ヶ谷本店」ではボトル1本750円を200本限定で発売しています

 

 

【SHOP DATA】

T.Y.HARBOR (ティー・ワイ・ハーバー)

住所:東京都品川区東品川2-1-3 ボンドストリート

アクセス:りんかい線ほか「天王洲アイル駅」B出口徒歩5分

営業時間:11:30〜14:00 L.O.(土日祝〜15:00 L.O.)、17:30〜22:00 L.O.、17:00~22:00 L.O.(土日祝11:00~)

定休日:なし

 

 

副原料で飲みやすさや料理との相性まで追求する動きも

先ほどのサワーエールはカカオを使ったビールでしたが、今春に施行されたビールの定義拡大(これまで法的に発泡酒とされてきた一部が、ビールとして認められた)により、市販の缶やビンでもフルーツやハーブなどの副原料を使った商品が増えています。つまりは副原料のビールがトレンドのひとつなのですが、個人的に今夏注目した一本が「スプリングバレーブルワリー」(以下SVB)の「HOJICHA Brown Ale」。

↑「HOJICHA Brown Ale」。キリン通販サイト「DRINX」では330mlビン(右)×6本セットが2332円で、SVBの各店では360m(左)が880円で提供されています

 

最近登場している多くの副原料ビールは、果物やハーブなどこれまでにない組み合わせによる斬新なフレーバーが特徴。それに加えて「HOJICHA Brown Ale」は、「ドリンカビリティ」(「飲みやすさ」的な意味)やフードペアリングを追求しているのもポイントです。

↑開発者はSVB京都の三浦太浩ヘッドブリュワー。「HOJICHA Brown Ale」はSVBの新たなスタンダードを目指して造られたそう

 

同商品はファンコミュニティ「CLUB SVB」会員と意見交換しながら、SVB京都の三浦太浩さんが中心となって1年間かけて共創したビール。うまみに着目し、これまでほうじ茶のほかに昆布や玄米などを使って試作を重ね、最終的には「ほうじ茶の特徴をより前面に押し出してほしい」という意見を反映して完成させたそうです。

↑飲んだ後に喉の奥から鼻に抜けるほうじ茶の香ばしさと、やわらかくただよう焙煎した麦芽の風味が特徴的

 

個人的には以前SVBで実験的に提供されたほうじ茶ビール「あがりエール」の知見も生かされていると感じました。自宅で「HOJICHA Brown Ale」を楽しむなら、ぜひ寿司とのペアリングを楽しんでみていただけたらと思います。

↑過去にSVBの「寿司×クラフトビールフェス」で登場した「あがりエール」。ほうじ茶の香ばしさと渋味が、麦芽の甘みと調和してあなごの寿司にベストマッチしていました

 

今回「HOJICHA Brown Ale」の取材時、SVB東京ではビール注ぎの伝道師・福島“茶坊主” 寿巳さんがスタッフに研修中。ということで、特別に茶坊主さんにも最近のクラフトビールシーンについて話を聞いてみました。

↑レクチャーする福島“茶坊主” 寿巳さん。数々の飲食店で経験を積むほか、国内屈指のクラフトビアレストランでマネージャーとして活躍。独立後も研究を重ね、個人や企業に各種ビールセミナーを行っています

 

「クラフトビールの拡大で、様々なビアスタイルで飲むことはそれほど特別ではなくなりました。でも、スタイルによって苦みや爽快感など個性はバラバラですよね。そしてその味の特徴を最大限に楽しむには、ワイン同様に最適なグラスが不可欠であり、注ぎ方や温度にもベストがあるんです。いま、ブリュワリー(ビールの醸造所)や造り手はどんどん増えていますが、多彩なおいしさをしっかり感じていただくためには飲み方も非常に大切。僕ひとりの想いではなかなか難しいですが、提供現場のクオリティも底上げしていけたらと思います」(茶坊主さん)

↑SVBの定番ビール「496」で注ぎ分け。左が茶坊主さんで右が筆者。なるべく泡を立てないように注いだのですがこの結果に。違いは炭酸の密度や、ビール本来の味の強さなどではっきりあらわれました

 

筆者も注いでみたものの、大失敗。日本で最も飲まれている爽快な「ピルスナー」は泡もおいしさのひとつですが、今回試した「496」はコクや苦みが際立っているタイプで、泡はむしろ本来のおいしさを邪魔しかねない存在であることがわかりました。クラフトビールは特徴的なグラスに泡のない状態で注がれることがありますが、それはお店のこだわりのあらわれだといえるでしょう。

 

【SHOP DATA】

SPRING VALLEY BREWERY TOKYO(スプリングバレーブルワリー東京)

住所:東京都渋谷区代官山町13-1 ログロード代官山

アクセス:東急東横線「代官山駅」正面口徒歩4分、JRほか「恵比寿駅」西口徒歩8分

営業時間:月~土 8:00〜24:00(L.O.22:30)、日 8:00〜22:00(L.O.21:00)

定休日:なし

 

 

青山初のブリューパブは場所だけでなくメニューもお洒落!

ラストは、最近増えつつあるブリュワリー併設型のレストラン「ブリューパブ」です。特に、これまではあまりなかった都市型のマイクロブリュワリーが新設ラッシュ。今回はその最新店ということで、青山エリア初のブリューパブを紹介します。

↑「BEER& 246 aoyama brewery」の外観。右に見えるのが醸造タンクで、4本が鎮座しています

 

店名は「BEER& 246 aoyama brewery」(ビアランド ニーヨンロク アオヤマ ブリュワリー)」。“最高のペアリング体験”がコンセプトとのことですが、ペアリングに推奨しているフードがかなり特徴的です。一般的なおつまみもあるのですが、注目したいのはスイーツ。「東京ミッドタウン日比谷」への出店で話題の「Pâtisserie & Café DEL’IMMO」(デリーモ)のショコラティエ・江口和明シェフが考案したメニューがあるのです。

↑写真はイメージですが、「ブラックビールのガトーショコラ」650円や「ショコラオランジュ」950円など専門店レベルのスイーツが用意されています

 

オリジナルのビールは現在醸造中。完成までに時間がかかるため、11月ごろに提供開始とのことです。とはいえもちろんビールはラインナップされていて、シグネイチャーは6タイプ。すべて東京生まれの老舗クラフトビアブランド「アウグスビール」となっていて、価格は270mlが680円、360mlが980円。ちなみに醸造も「アウグスビール」のスタッフが行うとか。

↑左から、「ミックスベリージェノバモヒート」「ニューヨークキューカンバー」「東京グレナディン」。すべて780円

 

また、フルーツ、野菜、コーヒーなど、さまざまな素材を使って自分好みの味にアレンジができる「ビアサワー」も個性的。ホワイトビール×レモネードの「レモンビアサワー」やIPA×エスプレッソの「ポートランドエスプレッソ」など、見た目にも新感覚の味わいを楽しめます。

↑店内は暖色の明かりが灯る大人の空間。カウンター席もあります

 

 

【SHOP DATA】

BEER& 246 aoyama brewery(ビアランド ニーヨンロク アオヤマ ブリュワリー)

住所:東京都港区北青山2-3-1 B1

アクセス:東京メトロ銀座線「外苑前駅」徒歩5分

営業時間:平日11:00~14:00(L.O.13:30)/17:30~23:00(L.O.22:30)、土15:00~22:00(L.O.21:30)

定休日:日祝

 

 

ところで、この6月にアメリカのクラフトビール大手「ブルックリンブルワリー」の創業者であるスティーブ・ヒンディさんが来日しました。その際にヒンディさんは「アメリカのクラフトビールは、いまでこそ約15%を占めるようになりましたが、30年前まではほぼ市場に存在していませんでした。日本ではまだ数%と聞いていますが、アメリカ同様にこれから一層伸びていくと確信しています」と語っています。

↑スティーブ・ヒンディさん。米国クラフトビールカルチャーにおける最重要人物のひとりであり、「東京ビアウィーク2018」に合わせて来日しました

 

今回は、「サワー」「副原料」「ブリューパブ」と、抑えるべき最新クラフトビールトピックスを紹介しましたが、どれもアメリカではすでにおなじみのビアカルチャー。こうして、徐々にその存在を強めていくのでしょう。クラフトビールの最前線には今後も注目していきたいと思います!