今までの不便は何だったんだ…ミドリ「OPPテープカッター」を使いたくなる目からウロコの仕掛けとは?

ここ数年で「ちょっと変わったな?」と感じるのが、梱包用テープの事情である。もう少し具体的に言えば、ダンボールの梱包に透明なOPPテープ(ポリプロピレンのフィルムに粘着剤を塗布したテープ)を使う人がずいぶん増えてきたのではないか、と感じている。もちろん、昔から流通の現場では定番の存在だった。しかし近ごろでは、会社の荷送りだけでなく、我々一般ユーザーもネットフリマなどで荷物を送る際に、OPPテープを使うケースが増えているように思う。

 

クラフトテープからOPPテープへのシフト

一昔前は、家庭からの梱包といえばクラフトテープ(いわゆるガムテープ)か布粘着テープが主流だったはずだ。だが「耐水性やコスト面を考えると、OPPテープが最適解」という認識が広まりつつあるのかもしれない。

 

実際、100円ショップでもOPPテープの取り扱いが確実に増えているし、さらにいくつかの文房具メーカーがコンシューマー向けのOPPテープ専用カッターを発売し始めている。これはOPPテープの普及が広がっている証拠と言えるだろう。

 

OPPテープのコスパの良さと課題

OPPテープの最大のメリットは、なんといってもコストである。たとえば100均で梱包用テープを選ぶ場合、50mm幅のクラフトテープが50m巻、布テープが10m巻、そしてOPPテープはなんと80m巻。どれも110円で売られていることを考えると、この物量差は非常に大きい。しかも粘着力は申し分なく強く、耐水性も抜群。プロの現場で使われている時点で、その性能の高さは折り紙付きだ。

 

ただし、手で切れないうえに粘着力が強すぎて扱いづらいため、専用のテープカッターが必要になる。この点が、コンシューマー市場での普及の壁となっていた。

 

ミドリの「OPPテープカッター」に注目!

ミドリ
OPPテープカッター
1500円(税別)

 

そんな中でミドリから登場したのが、誰にでも扱いやすい工夫が詰まった「OPPテープカッター」だ。ミドリは3年前に「クラフトテープカッター」を発売しており、外観はほぼ同型。しかし、今回のモデルはOPPテープ専用に設計されており、細部のつくりはまったくの別物である。

 

誰でも楽に装着できる、目からウロコの仕組み

OPPテープは粘着力が強いため、一度切った端がロールに戻ってしまうと、再び剥がすのがとても大変。しかもテープ自体の透明度が高く、切り端を探すには爪で表面をカリカリとこすりながら探す必要がある。これがなかなか面倒だ。そのため、OPPテープ用カッターには、切ったテープの端が戻らないようにする「ローラー」や「テープガイド」といったパーツが付いていることが多い。

 

↑透明度が高いOPPテープは、端を見つけるのが一苦労!

 

↑ローラーが切ったテープを浮かせてくれるので、もうカリカリする必要なし。

 

このローラー、無ければ困るレベルで便利なのだが、装着時にはテープ端をこの隙間に通す必要があり、これが慣れないと難しい。筆者のような不器用者だと、無理に通そうとしてテープがよじれたり、粘着面に指紋をベタベタつけて台無しにしてしまうことも。

↑ただし従来のカッターは、ローラーにテープを通す作業がひと苦労。

 

そこで「OPPテープカッター」は、ローラーを開閉式にすることで装着のしやすさを大幅に改善している。

 

まず底部のクリップで紙管を固定し、ローラーのロックを解除してパカッと開く。あとはテープ端を持ち上げた状態でローラーを閉じ、再びロックすれば装着完了だ。

↑装着はバネ付きのクリップアームで紙管を挟んで固定。

 

↑側面のレバーを引けばロック解除。

 

↑ローラーを開いた状態で通せば超簡単。なんで今まで誰もこれを作らなかったのか!

 

↑これでセッティング完了。今までの苦労が嘘のようだ。

 

ベタベタの強粘着テープを細い隙間に通すストレスを思えば、これはもはや画期的。筆者も初めて装着したときは「あれ?もう終わり?」と拍子抜けしたほどだった。

 

サクッと切れ味&安全性もしっかり確保!

装着の手軽さは画期的だが、使い方は従来のOPPテープカッターと同じ。テープ端をダンボールに貼り付け、必要な長さまで引き出し、カッター刃でカットするだけだ。

↑テープカッターとしての使い方は従来通り。必要な分だけテープを引き出して……

 

↑巻き込む方向にカッターを押し当て、少しねじるようにすればサクッとカット。

 

このカッター刃にはセーフティカバーが装備されており、普段は刃が露出しない設計だ。万一触れてもケガを防げるようになっている。

↑カバーがあるので、うっかり触れても刃は露出せず安心。

 

「OPPテープカッター」がユニークなのは、そのセーフティーの解除方法だ。とはいえ使う側でなにか作業を行う必要はなく、ただテープを切ろうとするだけでなぜかサクッと切れてしまう。カバーは指で押しただけではロックがかかっていて動かない。だが、テープがカバーに当たって少し浮いた状態になると、そこから押し込むことで刃が露出し、テープが切れる仕組みなのだ。

↑テープに押されて刃が露出。離れるとカバーが自動で戻ってロックがかかる。特別な操作なしで安全性を確保できるのは嬉しいポイントだ。

 

面倒に聞こえるかもしれないが、実際には“テープを切る”という自然な動作の中でこれが完結しているため、ユーザーが意識することはない。逆に、それ以外はどうしたってカバーが動かないので、安全性はとても高いのだ。

 

↑アップで見ると、従来の刃よりかなり鋭いことがわかる。

 

さらに刃そのものも従来品とは別物。従来のカッター刃は大きなギザギザでテープを破るような切れ味だったが、「OPPテープカッター」は極細のギザ刃で、端からスーッと裂いていくスタイル。切れ味は鋭く、音も「バリッ」ではなく「サクッ」と軽快だ。もちろん、切るときの力も少なくて済む。

 

両刃仕様で交換も簡単

この刃は両面使用可能で、切れ味が落ちたらカバーを外して前後を入れ替え、再利用できる。刃が細かいため消耗は早そうだが、そのぶん2倍使えるのはありがたい仕様。もちろん替え刃も別売で用意されている。

↑刃はネジを外せば交換可能。両面使えるのも嬉しい。

 

↑ストラップ穴付き。紐を通して吊るしておくと管理しやすい。

 

テープカッターとしてはやや高価だが、装着作業の簡単さや梱包作業の快適さを考えれば、十分に導入の価値がある。ネットフリマやオークションなどで荷物を頻繁に送る人には特におすすめ。従来型のOPPテープカッターを使っていた人なら、一度試しただけで、進化した使い勝手に感動するのではないだろうか。

 

用途で選んで仕事を効率化!エッジの効いた最新付箋は“視線誘導型”と“複写型”に決定

付箋とは、単に「貼って剥がせる糊付きの紙片」に過ぎない。しかし、その用途によって求められる性能は微妙に異なる。

 

たとえば伝言を伝えるために相手のデスクに貼っておく場合、とにかく目立たなければ意味がない。うっかり見逃されては困るため、何が書かれているかを強烈にアピールする必要がある。

一方で、書類に補足を加える目的で付箋を使うなら、あまり目立ちすぎると書類の内容を邪魔してしまう。また、複数部の書類を用意する場合には、同じ内容の付箋を繰り返し書くことになるため、その作業を効率化する工夫があるとありがたい。

 

だからこそ、例の黄色やピンクの単色付箋だけでなく、用途に応じた特化型を選ぶことが、仕事の効率アップにつながるのである。今回は、そんな“付箋”というジャンルの中でも、それぞれの役割を突き詰めたエッジの効いた製品を2製品、紹介していこう。

 

これは見ちゃう!視線誘導に特化した目立ち付箋

冒頭でも触れたように、伝言を残すための付箋は「目立つこと」が主な役割であり、場合によってはメッセージの中身よりも視認性が優先されるべきかもしれない(自席に目立つ何かがあれば、それだけで「何かあったな」と察してもらえる)。

 

もちろん、色が派手であったり、貼るとポップアップするなどの工夫でも十分だが、もう一歩踏み込んだ仕掛けがあれば、さらに便利になるだろう。たとえば、ほとんどの日本人の視線をほぼ自動的に集めてしまうようなデザインだ。

ササガワ
商店街でよく見るアレの付箋 全12種
各450円(税別)

 

ササガワの「商店街でよく見るアレの付箋」は、その名の通り、個人商店やスーパーの店頭でよく見かけるPOPカードをそのまま付箋にした製品である。

 

名前だけではピンとこないかもしれないが、実物を見れば「これか!」と膝を打つはず。それほどまでに日常の風景に溶け込んでいる色・形・ハンドサインやイラストがふんだんに使われている。

 

↑この見慣れた店頭POP、見たことがないという人はほとんどいないはず。

 

ササガワという社名はあまり知られていないかもしれないが、賞状用紙(タカのマーク入り)や熨斗紙など、局所的には非常に有名な紙製品メーカーだ。「本日のお買い得品」や「当店おすすめ!」といったPOPカードでも、間違いなく国内トップクラスの存在である。

 

↑自席のPCにこの付箋が貼られていたら、まず間違いなく目がいくはず。

 

そして何より、我々はこのPOPカード付箋に書かれた内容をつい見てしまう。というのも、そこに記されるのは「◎割引」や「お買い得品」といった、お得情報であることが多く、それが習慣として脳に刷り込まれているからだ。

 

無意識のうちに目で追ってしまうこのデザイン、伝言用付箋としては、まさに最強の視線誘導ツールといえる。

 

↑書類に貼っても圧倒的な存在感。

 

……あらためて文章にするとやや“庶民くささ”が否めないが、それこそがササガワのデザイン戦略の妙。昭和の時代から築いてきた「お得感」という感覚が、日本人のDNAレベルで刷り込まれているのだ。自社のデザイン資産を活かした好例といえるだろう。

必要なだけ「CC」が作れる!ノンカーボンコピー付箋

部署で配布する複数部の書類に補足を加える際、同じ内容の付箋を何枚も手書きするのは非効率かつ面倒な作業である。

カミオジャパン
コピペタ
各600円(税別)

 

↑紙面は方眼・ドット・花柄の3種類。ピンクは60×75mmサイズ、ブルーは30×75mmサイズ×2柄。各50シート入り。

 

この手間を一度でも経験したことがあれば、カミオジャパンの「コピペタ」の価値がよくわかるはずだ。

 

これはノンカーボン複写用紙を付箋化した製品で、使い方はシンプル。まず複写したい枚数分だけ紙をめくり、下敷きにもなるカバーを差し込む。あとは一番上の付箋に筆圧をかけて書くだけで、同じ内容が下の付箋にも転写されるという仕組みである。

 

↑記入の際は、複写したくない位置に下敷き(カバー下部)を差し込んで使う。

 

↑筆圧を強めにして書けば、ボールペンでもしっかり転写される。

 

↑めくってみるとこの通り、きちんと青のノンカーボン複写ができている。

この付箋は、オフィスで大量のお土産を配る際のメッセージ付けや、捺印位置の指示など定型文を繰り返し使う場合にも活躍する。ToDoリストの複写にも便利で、1枚はデスクに、もう1枚は手帳に貼って携帯する、といった使い方もできる。

↑同じ付箋を何枚も書くより、こちらの方が確実に効率的。

 

かつて複写式のデスクメモが販売されたこともあったが、「複製したいならコピーすればいい」という結論に落ち着き、あまり便利とは感じられなかった。

 

しかし、付箋の場合は「糊がついていて貼れる」ことがポイントであり、コピー出力では代用できない。だからこそ、複写機能付きの付箋には、明確な機能的価値があるのだ。

 

使い方次第で、さまざまな場面での作業効率を向上させてくれそうである。今後もさらに使い込んでいきたい文房具だ。

 

春の苦行“名前書き”を快適化する油性マーカーペン・パイロット「おなまえ上手」が布にもなめらかに書ける理由

幼稚園〜小学生の子どもがいる家庭で、春先によく発生する“やっかいなタスク”が「おなまえ書き」である。つまり、学校や幼稚園に持っていく持ち物のひとつひとつに、子どもの名前を記入する作業のこと。幼いころの記憶として、「そういえば体操服に親が名前を書いてくれたなあ」と覚えている人も多いだろう。

 

だが、である。子どもにとっては「親が書いてくれるもの」で済む話だが、親の側からすれば話は別だ。大量かつサイズもバラバラの学用品すべてに、ミスなく名前を記入していくというのは、端的に言って“苦行”でしかない。さらに悩ましいのが、いわゆる「名前ペン」(布製品に対応した油性マーカー)の書きにくさだ。

↑各社から発売されている「名前ペン」。性能に違いはあれど、布に書くとペン先が引っかかりがちで、扱いにくさは共通している。

 

一般的な名前ペンは、アクリル繊維を圧縮して成形したチップを採用しているのだが、これがクセモノ。チップ表面の微細な繊維の毛羽立ちが、布の繊維に引っかかって線がガタついたり、書き損じたりしやすいのだ。基本的に“やり直しのきかない”おなまえ書きにおいて、「また引っかかって失敗するかも…」というストレスは非常に大きい。

 

ならば求められるのは、“ペン先が引っかからず、スラスラと書ける名前ペン”ということになる。

 

書き味なめらか! 新発想の名前書きペンが登場

名前ペンのストレスはペン先の引っかかりだけにとどまらない。インクがにじむ、洗濯するとすぐ褪せる、など地味に不満は多い。名前ペンというジャンルは昔から存在しているものの、次々と新製品が登場するわけでもなく、こうした課題が長らく放置されてきた印象すらある。

 

そうした中で、「そのあたりの不満、まとめて改善しました!」と打ち出してきたのが、パイロットから登場した油性マーカー「おなまえ上手」だ。

パイロット
おなまえ上手 ツインタイプ
150円(税別)

 

↑極細字0.4mm/細字0.6mmのツインタイプで、名前ペンとしては標準的な仕様だ。

 

この製品は、油性染料マーカーの極細字(0.4mm)と細字(0.6mm)のツインチップ仕様。実際に使ってみると、驚くほど布への引っかかりが少なく、ペンがサラサラと走ってくれる。

 

たとえば、体操服などに貼る「なまえゼッケン」に書いてみたところ、コピー用紙に書いているのとまでは言わないが、それに近いくらい快適だった。従来の名前ペンと比べれば、明らかにストレスが少ない。

↑書いてみると「あれ?名前ペンってこんなにスムーズだったっけ?」と思うほど、書き味がなめらか。

 

快適さの理由は、ペン先の素材と構造にある

一般的な細字チップはアクリル繊維製だが、「おなまえ上手」はポリエステル繊維を採用している。ポリエステルは繊維が細かく、柔らかいため、布目に引っかかるリスクが格段に減る。

 

感覚的には、アクリル繊維チップが“亀の子たわし”だとすれば、ポリエステル繊維チップは“ナイロンスポンジ”のような差。実際、布の上で書いたときの「シャリッ」「ジャリッ」とした擦れる感じが大幅に軽減されている。

↑上が従来型アクリル繊維チップ、下が「おなまえ上手」のポリエステル繊維チップ。表面のなめらかさの違いは一目瞭然。

 

極細字チップの構造もポイントだ。従来の極細字チップは、POM樹脂製の丸い先端にインク穴が多数開いており、そのフチが布に引っかかりやすかった。一方「おなまえ上手」は、フラットな先端にインク穴を設けた構造。これにより、穴のフチが布目に触れにくく、引っかかりが起こりにくくなっている。

↑従来の極細字チップは、丸く飛び出した先端が布目に引っかかりやすい構造。

 

↑「おなまえ上手」の極細字チップ。先端が平らで、インク穴のフチも布に触れにくい。

 

この構造は摩擦も軽減するので、書き心地がよりスムーズになる。ひとつひとつは小さな改良だが、全体としては確かな効果を発揮している。「地味に良くできている」とはまさにこのことだ。

 

にじみにくく洗濯にも強い……小さな場所への名前書きも安心

もうひとつ注目すべきは、新開発の油性インクだ。速乾性に優れ、なおかつにじみにくい。布は紙よりも繊維の隙間が大きく、インクが広がりやすいため、にじみにくさは非常に重要な要素となる。

↑他社製品との比較。にじみによって文字が潰れているものもある。

 

「おなまえ上手」のインクは、ペンを布に置いた瞬間からインクがじわっと広がるあの感じが少ない。結果として、文字が太らず、小さなスペースにも読みやすく書ける。これも名前ペンとしてはかなり重要なポイントなのである。

 

さらにこのインクは、洗濯への耐性も高い。

↑洗剤を使い、ぬるま湯で手洗い3回後のテスト結果。インクの残り具合に注目。

 

体操服のゼッケンなどは何度も洗濯されるため、耐水性・耐洗濯性は絶対に外せない条件。「おなまえ上手」はその点でもしっかり対応している。

 

まとめ

スムーズに書けて、文字が読みやすく、洗っても落ちにくい。国内外の10種類以上の名前ペンと比較してみたが、現時点で「おなまえ上手」が間違いなくベストの一本と言えそうだ。

 

インクから作り直した「uniball ZENTO(ユニボールゼント)」が水性ボールペンの課題を全解決! その実力を徹底解剖

ボールペンのインクは、「油性・ゲル・水性」の3種類に大別される。文房具好きなら、この区分はお馴染みだろう。発色を司る着色剤(顔料または染料)を、どの溶剤で溶いてインクにするか、による分類だ。油性インクは有機溶剤を、ゲルインクと水性インクは水を溶剤として使用する。ゲルインクにはゲル化剤が添加され、粘度が高められているため、厳密には水性インクの一種に分類される。

 

これら3種のインクには、それぞれメリットとデメリットがあり、一概にどれが最良とは言えない。しかし、文房具業界にはトレンドが存在し、ここ10年はゲルインクが主流だった。

 

その流れが変わりつつある。2024年には進化した油性インクの新製品が相次ぎ登場し、話題を集めた。そして2025年は、水性インクが注目されるかもしれない。

 

新しい水性ボールペン、どのモデルを選ぶ?

水性ボールペンは、サラリとした書き味と鮮やかな発色が特徴。しかし、にじみやすさ、裏抜け、乾燥の遅さ、耐水性の低さといったデメリットから、一般的な人気は伸び悩んでいた。

↑水性ボールペンは、書き味の気持ちよさはあれど、いくつかのデメリットのせいでいまいち人気の出ないジャンルだった。

 

そんななか、2025年2月に三菱鉛筆から発売された「ユニボール ゼント」は、従来の水性インクの課題をほぼ克服し、快適な書き心地を実現。さらに、新型水性インクを搭載するため、3つの価格帯で4タイプのボディが用意されている。

特に筆者が注目しているのは、高価格帯の「シグニチャーモデル」と、普及価格帯の「ベーシックモデル」だ。

三菱鉛筆
uniball ZENTO(ユニボール ゼント) 0.5mm/0.38mm
(左から)シグニチャーモデル 3000円/フローモデル 1000円/スタンダードモデル 250円/ベーシックモデル 3色 各250円(すべて税別)

 

・「シグニチャーモデル」は、高級感と書き味を両立

シグニチャーモデルは、ラインナップ中唯一のキャップ式。一見ショート軸だが、マグネットキャップを外し、万年筆のように軸後端に装着すると、バランスよく持てる設計になっている。

↑高級感あるキャップ式のシグニチャーモデル。ずっしりと手に収まり、所有欲をそそられる。

 

そもそも水性ボールペンは筆圧をほとんど必要とせず、万年筆に近い書き味。キャップ装着によって重心位置を軸中央に置き、力を抜いてペン先をゆったり動かせるように設計しているのも、それをイメージしているのだろう。前側を握ってカリカリッと早書きをするのは向いていない。

↑マグネットキャップを抜き挿しする「カチャ」という感触が心地よい。

 

約22gの重量感があり、毛細管現象でスムーズにインクが流れる。この落ち着いた書き心地は、「水性ボールペンの象徴(signature)」というモデル名にふさわしい。

 

・「ベーシックモデル」はシンプルな使いやすさがメリット

ベーシックモデルは、新開発の「ZENTOインク」の書き味をシンプルに楽しめる仕様。外観は同社のゲルボールペン「ユニボール ワン」に似ているが、細部に違いがあり、リフィルの互換性もある。

↑インク色に合わせた軸色をもつベーシックモデル。

 

コーン(ペン先の三角錐)と前軸の段差がなくフラットなこと、ノックパーツの軸系が約1mmほど太いこと、ワイヤークリップのベースの形状、そしてノックパーツ基部が少し盛り上がっている点が異なる。そのほかはほぼ同じで、実はリフィルすら入れ替えが可能だ。

↑同社の人気のゲルボールペン「uniball one」とベーシックモデルの比較。細部にちょっとした違いはあれど、基本的にはそっくり。

 

つまり、すでに「ユニボール ワン」で評価されている軸には今さら文句の付けどころがなく、あとはシンプルに水性インクの書き味に没頭できるというわけだ。

 

↑3色のインクを使い分けたいなら、軸色が分かりやすいベーシックモデルがおすすめだ。

 

インク色に応じた黒・赤・青の3色の軸が用意されており、複数の色を使い分けたい人には便利。シンプルなデザインと手頃な価格で、水性ボールペンの魅力を気軽に味わえる。

 

水性ボールペンの新たなファンを開拓しそうなZENTOインク

「ユニボール ゼント」に採用された新開発のZENTOインクは、従来の水性インクとは異なるアプローチを取る。

 

なめらかさを成分で解決

従来の水性ボールペンは、なめらかさを確保するためにインクフローを多くし、その結果、にじみやこすれによる汚れ、裏抜けが発生しやすかった。そこでZENTOインクは、なめらかさを“インクフローの量”に頼らない、という方針をとっている。

↑インクの出る量はさほど多くないが、特殊な成分の配合でいかにも水性インクらしいなめらかさが得られているのがポイント。

 

POA界面活性剤(シャンプーや洗剤などの成分に近いもの)を配合し、紙とペン先の間でクッションの役割を果たすことで、摩擦を軽減。また、着色剤を引き寄せる「引き寄せ粒子」により、にじみや裏抜けを抑え、シャープな描線を実現している。

↑ZENTOインクには、従来にない工夫が詰まっている。

 

書いてみると、なるほどたしかに、水性ボールペンのように筆跡が濡れてツヤツヤしていない。書き味は、一般的なゲルボールペンに近いフロー量ながら、水性ボールペン特有の滑らかさを維持。この絶妙なバランスによって、誰でも快適な書き心地を得られるだろう。

 

にじみにくさの進化

さらに、従来の水性インクと比較すると、にじみにくさが格段に向上。そもそも水性インクは、紙に浸透しやすいためににじみやすい。

 

ZENTOインクには“引き寄せ粒子”なるものが配合されており、これがインクの着色剤を互いに引き寄せ合うことで、にじみや裏抜けを抑制しているという。たしかに吸水性の高い紙や紙ナプキンでも、インクが広がりにくく、線が太って見える現象が抑えられているようだ。

↑にじみやすい紙ナプキンでの筆記比較。上の従来水性と比べて、ゼントはにじんだ様子がほとんど見られない。

 

リフィル交換で長く使える

ボール径は、ローンチ時点で0.5mmと0.38mmの2種類がラインナップされており、基本的な書き味の方向性は同じだが、0.5mmの方がフローが多く、よりなめらかな書き味を楽しめる。一方、0.38mmでも十分にサラッとした筆記感を得られる。

 

線幅の好みに応じて選ぶのがベストだが、可能であれば店頭で試し書きをするか、別売のリフィルを購入して自宅でじっくり比較するのもおすすめだ。

↑替えリフィルは120円(税別)。水性ボールペンはインクが早く減るので、どちらにせよ予備を買っておくことをおすすめしたい。

 

まとめ

「ユニボール ゼント」は、従来の水性ボールペンの課題を克服し、書き心地と実用性を両立したモデルだ。シグニチャーモデルは高級感と筆記バランスを求める人向け、ベーシックモデルはシンプルに水性インクを楽しみたい人に最適。

 

ZENTOインクの新たな書き味は、水性ボールペンを敬遠していた人にも響くはず。2025年、水性ボールペントレンドの幕が開くかもしれない。

 

社会人こそ活用すべき!新形態ルーズリーフ「フラリーフ」を使ってわかったスリムでスマートな使い心地

ルーズリーフと聞くと、「中高生のノート」というイメージが強いかもしれない。学生時代に使っていた記憶があるため、大量のリーフを挟み込んで分厚くなったものを思い浮かべるのも無理はない。しかし、スリムなバインダーに適度な枚数をセットすれば、携帯性に優れ、社会人の仕事用ノートとしても十分に活用できる。

 

さらに、ページの並びを自由に編集できるため情報整理がしやすく、必要なページを抜き出してスキャンすれば情報共有も可能。綴じノートやリングノートにはないメリットが多数ある。仕事用ノートとして、意外と使い勝手が良いのだ。今回は、社会人でも使いやすいスリムな設計に加え、リングを使用しないフルフラット仕様が特徴の最新ルーズリーフバインダーを紹介しよう。

 

4本のベルトで綴じる超薄型フラット・ルーズリーフ

ナカバヤシの「フラリーフ」は、リーフを綴じるリングが存在しないという、非常にユニークなルーズリーフバインダーだ。リングがないため、バインダー自体を極限まで薄く設計できる。さらに、紙面を見開きにしても中央にリングがないので、手が引っかかることもない。これだけで、ルーズリーフのネガティブな要素が大きく軽減されている。

ナカバヤシ
フラリーフ ロジカル・フラットバインダーノート
B5サイズ
650円(税別)

 

↑リングを用いない独特な綴じ方によって、見開きがとてもスッキリして見えるのが特徴

 

実際に見開きにすると、確かに邪魔なリングがなく、紙面はフルフラット。リングに手が乗り上げる心配がないのはもちろん、ノド(中央部分)ギリギリまで書き込むこともできる。リングがないことで、見た目もスッキリし、紙面が広々と感じられるのも大きなメリットだ。

↑一般的なルーズリーフバインダー(左)との比較

 

↑手の邪魔になるリングが無いことで、書き込みやすさは大幅にアップしている

 

リングなしでどう綴じる? その仕組み

リングがないのに、どのようにリーフを固定しているのか?

 

よく見ると、リーフのリング穴には4本のベルト状のパーツが通っている。これこそが「フラリーフ」の独自技術である。

↑リーフを綴じているのは、厚さ1mm以下のフラットバーと呼ばれる固定具

 

このパーツは「フラットバー」と呼ばれ、結束バンドに似た樹脂製のベルト。表紙側から2本、裏表紙側から2本がそれぞれ交互に配置されている。各バーの先端を表紙や裏表紙の穴に差し込むことで固定されており、リーフを抜き挿しする際は、まずこのバーの先端を引き出す必要がある。

 

リーフは26穴のうち4穴にバーが通ることで固定される仕組み。バーを抜けば、従来のバインダーでいう「リングを開いた状態」となり、リーフの抜き差しが自由にできる(最大50枚まで綴じることが可能)。

↑表紙・裏表紙の穴に挿し込まれたフラットバーを引き抜いていく

 

「フラリーフ」のスリムな魅力

↑フラットバーをすべて解放した状態。この状態でリーフの抜き挿しを行う

 

従来のルーズリーフバインダーは、リングの直径がバインダーの厚みに影響するため、極端に薄くすることが難しかった。

 

一方で「フラリーフ」は、そもそもリングが存在せず、リーフを束ねているのはフラットバーのみ。そのため、バインダーの厚さはほぼリーフの枚数次第。適度にリーフを減らせば、書類を入れたクリアホルダーと同じような感覚で持ち歩けるのも大きな利点だ。

↑リング綴じのバインダーと比べると、スリムさは圧倒的だ

 

ただし、使い始めて気になったのは「ページのめくりにくさ」

フラットバーでしっかり固定されている分、リーフの穴の隙間が少なく、無理にめくろうとすると端が折れたり破れたりする可能性がある。そのため、ページをめくる際は、バインダーを少し閉じ気味にして角度をつけると、バーとの隙間が生まれ、スムーズにめくれるようになる。

↑開いた状態ではリーフがフラットバーで押さえられているため、バインダーの開きに角度を付けてバーを浮かせないとめくりづらくなる

せっかくならリーフにもこだわりを

せっかくこだわりのバインダーを仕事用に使うなら、リーフにもこだわりたい。そこでおすすめなのが、ナカバヤシの「ロジカル・ルーズリーフ」だ。

ナカバヤシ
スイング・ロジカル・ルーズリーフ
B5サイズ A罫/B罫 各100枚
350円(税別)

 

↑横罫をドット罫で分割した、ナカバヤシ独自のロジカル罫

 

このリーフは、一見すると普通の横罫だが、よく見ると罫線の間に細かいドットが配置されている。これは、ナカバヤシの綴じノートブランド「スイング・ロジカルノート」でお馴染みの「ロジカル罫」と呼ばれるもの。

 

横方向のドット罫は1行を3分割し、行間を意識して適度なスペースを確保しやすくする。議事録やインタビューのように長い文章を書く際、後から読み返しやすくなるのがメリットだ。

↑ドットで罫線間の上1/4を空けて行間を作ることで、文章が読み返しやすくなる

 

また、縦方向のドット罫は、行頭を揃えたり、ざっくりとした表組みを作ったりするのに便利。実線と組み合わせれば方眼のように使うこともでき、手書きの図やスケッチにも向いている。

↑タテのドット分割は行頭を揃えるのにとても便利。ガタつきなく見やすい紙面が作りやすいのだ

 

このロジカル罫は発売から15年以上経つロングセラーだが、意外と知名度が低い。まだ試したことがない方は、新型バインダーと合わせてぜひ使ってみてほしい。

 

左利きでも不器用でもサクサク切れる!コクヨの新ハサミ「サクサ」の一点に込められた秘策とは

ハサミの使い方にも、様々ある。たとえば、紙を直線で切る単純な作業と、薄いフィルムを滑らかな曲線に沿って切る作業など。それぞれ必要な技術も難易度も、大きく異なる。特に薄くてコシのないフィルムをスムーズに切るためには、ハサミのハンドルを指の力で微妙に傾け、刃と刃の接点を強める必要があるが、これはハサミで切れる原理を十分に理解し、ある程度のテクニックをもっていないと難しい……。

 

だが、そんな原理だとかテクニックだとか、小難しい話を抜きで“よく切れるハサミ”が、正しいに決まっているのだ。

 

ただチョキチョキするだけでよく切れるハサミ登場

とはいえ、道具を使いこなすテクニックは自らの努力で身につけるべきであり、ただ便利な道具に頼ればよいというものではない! なんて価値観はもはや古い。確かにテクニックは尊いが、それをより高めていくには道具の進化も必要なのだ。

 

そこへくると文房具メーカーの開発力というのはすごいもので、そういった切るためのテクニックを機構に組み込んだ、便利なハサミを生み出してしまうのである。

コクヨ
ハサミ<サクサ>
480円(税別)

 

「ハサミ<サクサ>」(以降、サクサ)といえば、コクヨの低価格で良く切れるハサミのシリーズ。その「サクサ」がこのほど7年ぶりのリニューアルを果たし、さらに良く切れるように進化したという。

 

もともと「サクサ」は独自のハイブリッドアーチ形状をしたカーブ刃を搭載したもので、“刃の根元から先端まで同じ力で切ることができる”、というのがポイントとなっている。もちろん、この度の新「サクサ」も、ハイブリッドアーチ刃の切れ味は健在だ。

 

↑アーチ状の刃によって、切りづらい刃先でも安定した切れ味が保たれるのがポイント

 

ではどこが変わったのか? その最大の変更点が“傾斜インサート”という新構造である。

 

これは、ハンドルに対して刃が斜めに傾いた状態でセットされたもので、これによって刃と刃の交点距離が従来よりも近づくという仕組み。ハサミが切れる原理は、チョキチョキと動く中で刃と刃が交わる点に力が集中し、そこに挟まれた物体(紙など)をせん断するというものなので、刃と刃の交わる距離が近ければ近いほど、力が逃げずに集中する。

 

↑傾斜インサートのサクサは、ハンドルに対して刃が傾いているのが見て取れる

 

↑傾斜インサートによって刃と刃の距離が近付き、切る力が集中する

 

以前ダンボール工作の達人に話を伺った際に印象に残ったことがある。それが、「カシメの緩んだ古いハサミを大事にしている」という話だ。

 

カシメというのは、ハサミの刃同士をつなぎ止める真ん中の支点のことで、使い古したハサミはこのカシメが緩んで刃がガタガタ動くようになる。ただガタつくだけでは切りづらいだけだが、ハンドルを指でひねるようにして動かすと、緩みの分だけ刃が斜めに傾いた状態で擦れ合うので、交点距離が近づいて良く切れるようになるというのである。

 

これは達人級のハサミ使いテクニックだが、つまり「サクサ」の傾斜インサートには最初からこのテクニックが構造的に含まれているので、ただチョキチョキ動かすだけでも達人が使っているように切れる、というわけだ。

 

ハサミが苦手とする薄物もサクサク!

また小難しい話になってしまったが、要するに「新しいサクサ、よく切れる」ということ。

 

例えば梱包用のエアキャップ、いわゆるプチプチシートを切ってみよう。これはハサミが苦手とする薄くてコシのないフィルムを重ねて間に空気を挟みこんだものなので、とにかく切りづらい。雑な作り(刃の交点距離が遠い)のハサミだと刃と刃の間にフィルムを巻き込んでしまい、まったく切れなくなってしまうのだ。

 

↑サクサなら、切りづらいプチプチシートも自在にスパスパ。これは気持ちいい!

 

実際、ダメなハサミだとプチプチシートは刃に押されてぐにゃっと伸びるばかりで、切れる気配はゼロ。対して「サクサ」は、何も考えずにチョキチョキするだけで、気持ちよくサクッと切れる。より難易度の高いカーブ切りだって自由自在である。

 

最近の国産ハサミは全体的に性能が向上しており、「これは画期的だ! すぐに買い換えるべきだ!」と感じるほどの劇的な性能差があるわけではない。しかし実際に切り比べてみると、「確かにこちらのほうが切れる気がする」と感じられる程度の切れ味の違いは体感できた。

 

傾斜インサート構造は、左利きの人にもメリットがある

↑左手での切断比較。従来のハサミは刃先のあたりで力が逃げてしまい切れなくなったのに対して、サクサはどこまでもスムーズに切れている

 

従来型のハサミの多くは、右利きの人が使いやすいよう設計されている。右利きの人がハンドルに力を加えることで、刃の交点の隙間を自然に縮めやすい構造になっているためだ。対して左利きの人がこのハサミを使用すると、ハンドルへの力が逆方向になってしまい、切りづらく、十分な切断力も得られない。

 

しかし、あらかじめ刃をひねってくれている傾斜インサート構造のハサミなら、ハンドルに特別な力を加える必要もなく、左右どちらの手でも同じように切ることが可能。左利き専用ハサミを探したり、無理して利き手矯正をしたりする必要もないわけだ。

 

粘着テープにベタつかないタイプなど4種をラインナップ

↑特殊な3Dグルーレス刃+フッ素コートの「フッ素・グルーレス刃」(税別980円)は、ベタつかないノンスティック性能に優れる

 

新しい「サクサ」シリーズには、4種類の刃がラインナップしている。もっともベーシックで低価格の「スタンダード刃」、粘着テープののりが付着しづらい「グルーレス刃」(税別630円)、コーティングによりより高い非粘着性能をもつ「フッ素・グルーレス刃」(税別980)、切れ味が長持ちする「チタン・グルーレス刃」(税別1270円)である。

 

切れ味については、4種類とも大きな違いは感じられなかったが、筆者個人としては、コスパの良いスタンダード刃か、非粘着性能に優れたフッ素グルーレス刃をオススメしたい。

 

↑新サクサシリーズはブリスター入りから紙パッケージへと変更された

 

現代のハサミは品質が非常に高く、簡単には壊れないため、買い替える機会はそれほど多くない。まだ壊れていないものを買い替えるのにはいくばくかの抵抗があるだろう。

 

だが、もしタイミング良くハサミの買い換えを検討していたり、買い足そうと考えているなら、「サクサ」を選択肢に加えて欲しい。1000円以下のハサミとしては、その性能の高麻は群を抜いており、買って損することもないはずだ。

 

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袋の開封をスムーズ化!プロ仕様の専用ツール「パッケル」の侮れない快適機能を解説

日常生活におけるイライラのひとつに、「自分の思った通りに食品パッケージが開かないこと」があるだろう。そもそも食品のフィルムパックやレトルトパウチ、袋菓子などを開けようと思うのは、空腹もしくはそれに近いときが多いはず。そのようなときに限って、例の「どこからでも開けられます」に騙され、切り込みからの開き口が大きくズレて、つまんで引っぱったところからフィルムがびよーんと伸びる。イライラが募って当然だ。

↑切り口からまっすぐ切ったつもりが、こんなことに……

 

もちろんハサミを使えば簡単。だがハサミよりも簡単に使えて、一瞬でパッケージの開封ができる専用ツールがあれば便利じゃないだろうか。

 

食品工場のカッターは、台所でも便利だった

そんなニッチな専用ツールがあるのか? と問われれば、もちろんある。一般的に「パックカッター」などと呼ばれており、例えば「和菓子工場であんこの5kg袋を開けて機械に投入する」といった場合に活躍するツールだ。

 

このパックカッターが、カッターナイフでお馴染みのOLFA(オルファ)からあらためて製品として発売されているので紹介しよう。

OLFA(オルファ)
パッケル
オープン価格(
実勢価格390程度・税別)

 

小型のトングのような形状の「パッケル」は、構造も使い方も非常にシンプル。パッケージの切りたい辺りを軽く挟み込み、そのまま横方向にスーッとスライドさせる。以上。これでパッケージがきれいに切り開かれて、開封完了である。

 

作業にかかる時間は、挟むのに1秒、スライドして切るのに1秒。さすが専用ツールだけあって効率の良さは圧倒的だ。

↑レトルトなどのパッケージをトング状のボディで挟んで、横に軽くスライドさせる

 

↑スパッときれいに開封完了

 

仕組みは、トングの内側に高さ2mmほどの高硬度ステンレス刃がついており、これを突き刺して切るという流れ。説明することもないほどのシンプルさである。

↑先端に備わった三角形のステンレス刃

 

使う際のコツは、まずトングで強く挟まないこと。フワッと押さえるぐらいの軽い力加減でないと、刃の先端がフィルムを大きく突き抜けてしまい、逆に切りにくくなってしまうのだ。

 

↑ハサミでは柔らかすぎて切りづらいポリ袋も簡単にカット。切れ味はとても優秀だ

 

↑指置きにある><マークは、刃の位置を示すガイドとなっている

 

もうひとつ、開封時はパッケージの端ギリギリを狙わないこと。端から数mm~1cmほど内側に入った辺りから挟んで切ることで、切り端をパッケージから切り離さずに残すのがポイントなのだ。これによって切り端が食品の中に落ちて混ざってしまう、いわゆる異物混入トラブルを防ぐことができるというわけで、食品工場などでは必ずそうするように指導されるのだとか。

 

当たり前ながら自宅でも異物混入は起きないほうがいいし、パッケージを捨てるときも、切り端がついたままの方が手間が少ないというわけ。

↑端を完全に切り落とさないことで異物混入を予防し、ゴミ捨てもしやすい

 

↑本体後端の穴は、S字フックにかけたり、ストラップで吊すなどの保管に役立つ

 

↑汚れは水洗いでオフ。あとは水気をしっかり拭いておこう

 

汁跳ねなどで汚れた場合は、そのまま水をかけて洗えばOK。ただし刃の固定に接着剤を使用しているようなので、高温となる食洗機は使わない方が安全かもしれない。また、刃の切れ味を長持ちさせたいのであれば、紙類を切るのも避けた方がいいだろう。

 

紙の繊維はフィルムよりもはるかに硬いので、高硬度ステンレス刃とはいえ、切り続けるとどうしても鈍ってしまう。替え刃交換不可の使い捨てタイプなので、できるだけ長持ちさせるように使うことをオススメしたい。

豆腐のパックがスムーズに開けられるパックカッター

ちなみに我が家では、「パッケル」より前から専用のパックカッターを使用していたので、そちらも一緒に紹介しておこう。曙産業の「パックと袋のカッター」である。 

曙産業
パックと袋のカッター
590円(税別)

 

↑いちいち手で開けるよりも圧倒的にラクなので、一度慣れるともう手放せなくなる

 

基本的に“トングで挟んで内側の刃で切る”という構造は同じで、使い勝手もほぼ変わらない。ただちょっとユニークなのが、本体下部をスライドさせる「パックカットモード」。これは、豆腐や茶碗蒸しなどのパックをスムーズに切り開くためのモード。

↑白いパーツを手元側にスライドさせて、パックカットモードに変形

 

↑開けづらい豆腐の充填パックも、フチからきれいに開封できる

 

下部の白いパーツを内側に押し込んでやると、相対的に刃が飛び出したようになる。この状態で豆腐パックのフチに刃を突き刺して、そのまま全周をぐるーっと切り開くと開封完了。「そんなの包丁で切って開けるよ」という人もいるだろうが、やってみると、さすが専用ツールのほうがかなりスムーズだ。

↑マグネットでくっつけておけると定位置が決めやすく、使いたい時にサッと手が届くのがメリット

 

また、底部裏側にはラバーマグネットが付いており、冷蔵庫などにペタンと貼り付けておけるのもありがたい。小さいとはいえ刃物だけに、なるべくあちこちに放置せず、使ったらそのつど定位置に戻すほうが良いのである。

 

ただし、「パッケル」「パックと袋のカッター」ともに、刃はトングの内側にあるとはいえ、決して手に触れない位置ではない。むしろ刃が見えづらいだけに、うっかり手指に当たって怪我をする可能性だってある。特に小さな子どものいる家庭では、手の届く場所に置かないように気をつけたほうがいいだろう。そういったところにさえ注意できれば、家事におけるささやかな手間とイライラが解消できる快適ツールとなるはずだ。

 

付箋メモを一覧できる情報集約ボード…共栄プラスチック「フセンボード」が意外と便利だった

デスクワーク中にメモを取る際、筆者は付箋を使うことが多い。どうにも物忘れが激しいため、書き留めた内容がいつでも視界に入るように周囲に貼っておき、ことあるごとに思い出せるようにしたいのだ。基本的には仕事場で使っているPCのフチに貼ることが多いが、情報を持ち出したいときはスマホの裏側や、外出時に携帯しているノートに貼る場合もある。

 

とはいえ、あちこちに貼っていると情報が分散するし、どこに何を貼ったのかが思い出せなくなりそうだ。そこで「付箋の貼り場所」を統一するべく、使えそうなツールを探していたら、携帯タイプの付箋用ボードに行き当たった。要するに、単に付箋を貼っておくだけのシンプルな板ではあるが……ちょっとした工夫も施されており便利そう。さっそくレビューしてみよう。

 

場所を選ばず付箋メモを貼れる情報集約ボード

共栄プラスチックの「フセンボード」は、正直特段のひねりもなく、ただ付箋を貼っておくことに特化した携帯用ボードだ。本体はスチールシートをPP合紙で包んで製本したように畳んだもので、見た目の印象よりはかなりガッチリとした重さと手触りがある。

共栄プラスチック
フセンボード
900円(税別)

 

畳んだ状態での大きさは120mm×160mmで、B6サイズより一回り小さい程度。使用時は、不意に開いてしまうのを防ぐゴムバンドを外し、パタパタと広げて折り返すと、ボード面が前面に立ち上がった自立型ボードに変形する。

 

このボード面に付箋を貼って持ち歩き、必要な時に立ててやれば、大事な情報が常に視界に入るようにしておけるというわけ。

↑ゴムバンドを外して開いたら、中面のボードを立てて折り返す

 

↑自立して、付箋を貼り付ける用のボードに変形完了

 

筆者は、冒頭でも述べた通り物忘れが激しいので、例えば出先でPCを開いて作業をする場合、始める前にいちいち「えーと、まずなにをすればいいんだっけ」と仕事の組み立てを考え直すことがよくある。しかし、ToDoや作業に必要なメモをまとめて貼ってあれば、目の前に「フセンボード」を立てるだけで素早く実作業に戻ることができて、効率的なのだ。

↑必要な情報がまとめて視界に入るのはかなり便利。不要になったメモは剥がして即捨ててしまえば情報の取り違えも起きにくい

 

付箋は基本的に糊面が片側にあるため、糊のない側がヒラヒラと浮いてしまう。そうすると書いた内容が見づらいし、そこから剥がれ落ちたりということもよくある。

 

そこで便利なのが、付属のマグネットチップだ。ボードの内側にはスチールシートが入っているため、マグネットがくっつく。

↑付箋の端が浮かないように、付属のマグネットチップで押さえて安定感アップ

 

付箋の糊がついていない側にマグネットチップを貼ってやれば、浮き止めになって見やすい。また、表紙を閉じて付箋を貼ったまま持ち歩くにも、マグネットで固定してあれば勝手に剥がれ落ちにくいという仕掛け。

 

↑マグネットチップは大小合わせて17枚が付属

 

↑普段は必要なだけ小チップを隅に貼って持ち運べばOK

 

ただ、マグネットチップが貼り付くのは付箋を貼るボード面だけなので、全てのチップをまとめて携帯しようとすると、付箋を貼る場所がなくなってしまう。一番小さなサイズチップを4~6個隅に貼って持ち歩くのが実用的で、ちょうどよさそうに感じた。

 

やや使いにくさはあるが、それでも使いこむ価値はある

ボード面は、75mm×25mmの付箋を横に2列・縦に4行並べて貼ることができるサイズ。基本的にはメモ貼りスペースとして使うのが良さそうなので、50mm幅ではなく75mm幅の付箋を必要に合わせて使い分けるのが良さそうだ。

 

例えば、ちょっとしたメモやToDoは75mm×25mm、もう少し複雑な内容を書き残すには75mm×50mmの付箋……といった感じだろうか。

↑75mm×25mmと75mm×50mmの組み合わせが使いやすい

 

未使用の付箋はボードの内側に貼ってストックしておくことはできるが、あまり多くは持ち歩きづらいだろう。必ず付箋と組み合わせて使うものだけに、ストック問題はなにか別口で解決したほうが良いかも知れない。

 

筆者の場合は、無印良品のピルケースを改造した付箋携帯ケースと一緒に持ち歩いている。やはり各100枚ずつぐらい携行できないと、運用上の不安はあるからだ。

↑自作の付箋ケース。積極的にボードを使うならこれくらいの量は必要になってくる

 

↑スマホを立てかけてスタンドとして使うことも可能

 

マグネットチップや付箋の携行に別途の工夫が必要など、正直なところ、万全に便利なツールとは言い難い。

 

しかし、筆者と同様に付箋をメモ代わりに使っている人にとっては、その工夫を施してでも使う価値はありそう。うまく使いこなす技術さえあれば、作業効率の伸びしろは十分に見えるので、個人的にはもうちょっとじっくり使い込んでみたいツールである。

 

コクヨ「Sooofa(スーファ)」でメモは全部賄える!机上でも携行時も絶妙にハマる新サイズとソフトリングのなせる技とは?

以前、この連載で「高機能な小型ノート」として、コクヨ「Sooofa」のB6変形サイズを紹介した。ノートとしてはコンパクトで携帯性に優れ、かつワイドサイズだから紙面がほどよく広くつかえ、さらにソフトリングだからリングに手が乗っても痛くない。それ以外にも細かな工夫があちこちに盛り込まれており、使い勝手はかなり高め。筆者もお気に入りのミニノートとして、常にカバンの中に放り込んでいるほどである。 

 

その「Sooofa」に、この秋新たに新サイズ2種がラインナップされた。 より小ぶりなA6変形とA7変形ということで、“適度に紙面が広いミニノート”という従来の使い方にはちょっとコンパクト過ぎるが、しかしあらためて関わり方を変えてみると、想像していた以上に便利に使えるように感じたのだ。

 

変形判ということでやや特殊なサイズではあるが、だからこそ「こうやって使うと実用性高いぞ!」という辺りを提案してみたい。 

 

ソフトリングとサイズ感で輝く快適メモ 

コクヨお馴染みの樹脂製ソフトリングを採用した「Sooofa」といえば、もともとは2021年に発売されたA5変形/B6変形判のミニノートのシリーズ。 定型よりもそれぞれ1mmほどワイドサイズで、ミニノートにありがちな「もうちょっと書くスペースが欲しい」という欲求をうまく昇華したのが、最大のポイントと言える。 

 

で、そのワイド判という特徴は残しつつサイズをよりコンパクトにしたのが、今回の「SooofaA6変形/A7変形判というわけだ。  

コクヨ
ソフトリングノート<Sooofa(スーファ)> A7変形判
ソフトリングノート<Sooofa(スーファ)> A6変形判
400円/640円(税別)

 

区分としては、A6はソフトリングノート、A7はソフトリングメモということになっているが、使ってみた体感としては、A6サイズもノートというには少し面積が足りない感じ。どちらかというと大きめのメモとして考えた方が、扱いやすいのではないだろうか。

 

実際、A6変形という正方形に近い判型は、“卓上メモ”としてかなり輝くと思うのだ。 

 

↑普通の卓上メモより大きめ、小型ノートより小さめ、という絶妙のサイズ感。仕事のメモをがっつり取るのにちょうどいい

 

仕事で卓上メモを使う場合、ToDo管理をしたり、電話で受けた伝言を書き留めたり、というのが一般的だろう。筆者はそれに加えて、製品の単価や紙面に入る文字数など、ちょっとした計算をすることが多い。 

 

これらの計算はあとから確認・参照する可能性が高いが、とはいえパッと見にはなんの数字か分かりづらい。そういうのがToDoや伝言メモに混じってしまうと、あとあと混乱の元になってしまうのだ。 

 

↑ワイド判だけあって、左右にも情報が分割できるのがポイント

 

だが横幅の広いワイド判であれば、紙面の端の方で計算することで、他の情報とのコンタミネーションを防ぎやすい。 また、ちょっとした空き時間にメモにいたずら書きをすることもあるだろうが、普通の卓上メモより広めの紙面のおかげで、そういった無駄書き込みにも使えるマージンは大きい。 

 

デスクの面積は食ってしまうが、しかし気軽なメモとして使うのに、このサイズ感はかなり面白かったのだ。 

 

↑見開きにしたA7サイズをでキーボード下の隙間に納めれば、空きスペースの有効活用に

 

そしてA7サイズの方も、もちろん卓上に置くべき。見開きで横長にすれば、最近すっかり定番化した“キーボード下の空き地”にジャストフィットである。 

 

この手の横長メモはどうしても真ん中に手が乗り上げてしまうので、無線綴じが一般的。リングメモでは使いにくかったのだが、ソフトリングであればそんな心配は無用というわけ。 

 

↑マイクロミシン入りで、軽い力でピリリッとページ切り取りが可能

 

また、A6A7とも用紙のリング脇にミシン目が入っているため、伝言メモを切り取って相手に渡す、といった使い方も可能。 この辺りも卓上メモとしては定番の使い方なので、ありがたい機能と言えるだろう。 

 

デスクと手元を自由に行き来する“どこでもメモ”が便利! 

とはいえ、卓上メモとして使うだけであれば、こういったリング綴じはそもそも不要。 A6/A7「Sooofa」が最も輝くのは、卓上メモとハンドメモを兼用する“どこでもメモ”としてなのだ。 

 

↑PP製の表紙はしっかり厚みがあるため、手持ちの安定感も十分

 

営業職など外に出る前提の仕事なら、情報の集約は手帳で行うのが便利。しかしオフィス内または在宅ワークがメインの場合は、卓上メモ+カレンダーアプリでスケジュール管理までまるっと賄えてしまう場合もある。 であれば、たまに外に出る必要があった場合の情報ツールは、卓上メモをそのまま外まで持ち出せた方が無駄もなく、確実に使いやすいはずだ。 

 

↑表紙の切り欠きはペンクリップを挿しておくためのもの。これのおかげでペンが表紙からズレ落ちにくいので、地味にありがたい

 

そもそもA6サイズは、「Sooofa」定番の表紙ゴムとペンホルダー切り欠きが付いており、最初から携帯する前提の仕様である。 切り欠きにペンのクリップを引っ掛けてしまえば、後付けのペンループなどは使わずともペンとセットで持ち運びが可能。ソフトリングにはペンをぶら下げておきづらいので、これはマストな装備と言える。 

 

表紙のゴムバンドは、携帯時にカバンの中で勝手に開かないようにするためのもの。ページの破れ・折れ曲がりを防ぐためには、これも無いと困るレベルの必須装備なのだ。 

 

↑ページが汚れたり折れないように保護する、表紙固定用ゴムバンド

 

もうひとつ、外で使うのときにありがたいのが、裏表紙(表3)に備えたクリアポケットである。 レシート・領収書や名刺といった細かな紙片を紛失しないよう保管できるため、これがかなり重宝する。 

 

このポケットのフチは少し折れて浮き上がっており、ポケットの端をめくり上げずとも、横から紙片を挿し込むだけでスッと簡単に収納できるという加工が施されている。地味で気付きにくいが、実際に使うと思わず「わー、助かる!」と声が出るほどの使いやすさだ。 

 

↑A7のポケットは、名刺やちょっとした紙片の携帯に重宝する

 

このように、メモとして一冊で内・外どちらでも使いやすい工夫がされていれば、便利なのは間違いなし。 何より手帳代わりのハンドメモと卓上メモが分かれないことで、情報が分散せずまとまってくれるというのも大きなメリットである。 

 

手帳ほど使いこなしの技術が必要なわけでもなし、内勤・在宅メインで卓上メモを使う習慣のある人なら、おそらく導入するだけで情報の整理がぐっとラクになるので、一度使ってみてほしい。 

 

蛍光マーカーへの全不満を解決!パイロット「KIRE-NA(キレーナ)」の革新的な構造・インクを徹底解説

あちこちで話を聞く限り、蛍光マーカーをうまく使えない、という人は本当に多い。そしてもちろん、筆者もド下手である。まっすぐに線を引けない、線を引いているうちに太さが変わってしまう、インクが乾く前にこすって紙面と手が汚れるなどなど……とにかく、蛍光マーカーには失敗する要素が多すぎるのだ。そう考えると、そもそも蛍光マーカーできちんと線が引ける方がレアなんじゃないだろうか?

↑だいたいにおいて、蛍光マーカーの線はまっすぐにならない

 

そこへ、パイロットから「太さが変わらない線をまっすぐ引きやすく、手も紙面も汚れない新しい蛍光マーカー」が登場した、という。話半分にしても興味はあるし、もし事実だとしたら、それは間違いなく蛍光マーカーの歴史を変える製品である。どこまで本当なのかを実際に試してみたい。

 

革新的な新・蛍光マーカー「KIRE-NA」

パイロットから2024年10月に発売された「KIRE-NA」(キレーナ)が、そのウワサの“もしかしたら歴史を変えるかもしれない蛍光マーカー”である。カラーラインナップは、定番の蛍光ベーシックカラー5色と、目に優しい淡いペールトーンカラー5色の全10色。 

 

外見は、最近のパイロット製品に多い、単色軸にカラーパーツをあしらったシンプルな作りで、第一印象もザ・普通という感じ。見た限り、そこまで凄いギミックが仕込まれているようには思えない。

パイロット
KIRE-NA 全10色
各120円(税別

 

↑太・細のツインマーカータイプだが、太側チップに微妙な違和感が?

 

ラインを引く“太”・文字書きもできる“細”のツインチップ仕様ということで、まずは太い側のキャップを開けると、なにやら見慣れない雰囲気だ。その原因は、チップを挟むように両脇から生えている半透明のパーツ。これが、線の太さを変えずまっすぐ引きやすくするための秘密装備「キチントガイド」とのこと。

↑チップを挟むようにして備わった半透明の「キチントガイド」が、まっすぐ線を引くためのポイント

 

↑使う際には、カラーパーツに親指を乗せるとガイドの水平が取れて、線が引きやすい

 

本当に、誰でもまっすぐ引けるのか?

では、実際に線を引いてみよう。 

 

ペン先を紙に当てると、まずソフトなチップがフニャッとしなるようにして紙に触れ、その直後にキチントガイドが突き当たる。ガイドが両側とも紙に当たっている状態でマーカーを水平に動かすと、なるほど、確かに太さが一定の線がスーッと引けている。

 

何度繰り返しても、常に一定の太さでスーッと引けて、まったく失敗しない。……えっ、これ凄いんじゃない!?

 

↑太さが変わらず安定した線が簡単に引ける!

 

蛍光マーカーの線の太さが変わってしまうのは、ほとんどのマーカーで採用されている斧型チップ(先端が斜めにカットされた、硬いペン先)で書き始める際に、斧の刃にあたる部分が紙に傾いて触れているのが原因だ。

 

だから、書き始めは線が細く、書いているうちに刃先の全域が紙に当たるようになって線が太くなってしまう。最初からチップをまっすぐ紙に当てれば問題ないのだが、とはいえ常にベストな角度で書き始めるのは、地味に難度が高い技術なのだ。

↑従来の蛍光マーカーは、チップが偏って紙に当たると線の太さが変わってしまう。“線が上手に引けない問題”最大の要因がこれ

 

従来にも、チップの傾きを解消するために弾力のあるソフトチップを採用した製品は、いくつか発売されている。この場合、紙にむぎゅっと押し当てることでチップ全域が紙に当たるため、傾きは発生しなくなる。しかし、引く際の筆圧を一定化させないと、結局のところ線は太くなったり細くなったりで安定しないのだ。

 

そこで、その筆圧を安定させるのがキチントガイドの仕事である。

↑ソフトチップがまんべんなく紙に密着し、かつ、必要以上に密着しないようにキチントガイドが支えている

 

↑ガイドを意識すればまず失敗しないので、蛍光マーカーが下手な人でも常に安定した線が引ける。これはかなりすごいことだ

 

どれだけソフトチップへ筆圧をかけても、ガイドの高さまでしか紙に押しつけることはできない。逆に、ガイドが当たるところまで押し付ければ、チップの筆圧は常に同じということになる。 その結果、どれだけ線を引いても常に同じ太さになる、という仕組みなのだ。 

 

↑曲面にフィットするソフトチップは、初回特典のやわらか定規と合わせることで、分厚いテキストにもきれいに線が引ける

 

ソフトチップは曲面に強いという性質も持っている。例えば分厚いテキストなどを開くと紙面がカモメの羽のように曲がって広がるが、柔らかく弾力のあるチップなら、その曲がりに沿って動くため、チップが紙面から外れずに安定して線が引き続けられるのだ

 

ちなみに「KIRE-NA」5色セットには初回限定で、曲面にフィットする塩ビ製のやわらか定規が付いてくる。

↑ガイドのおかげでチップが定規に触れないので、フチのインク汚れを拭き取る手間もない

 

もうひとつ。従来の蛍光マーカーは、チップを紙に押し当てるとダクダクとインクが出て紙に染みをつくってしまうため、どうしても焦って線を引きがち。ところが「KIRE-NA」は、不要な筆圧がかからないため、インクの流量もほどよくセーブされる。だから多少ゆっくりと引いても、インク染みができにくいのである。

 

つまり、チップの傾き・筆圧・インク染みという3つのトラブル要素を気にしなくて良くなったことで、線を落ち着いてまっすぐ引くだけの余裕が生まれるのだ。

 

速乾インクで紙面の汚れをセーブ

「KIRE-NA」のもうひとつのポイントが、新しいインク。

 

新開発の速乾顔料インクは、書いて数秒もしないうちにサラッと乾いてしまい、以降は指でこすってもインク汚れが広がらない。乾くまでの所要時間は紙にもよるが、普通のノートやコピー用紙なら1〜2秒、教科書のようなツルツルしたコート紙でも6〜7秒あれば大丈夫だろう。

↑従来インク(上)との比較。書いて1秒後にこすると、擦れ汚れにハッキリと差が出た 

 

パイロットの速乾インクといえば、超速乾筆ペン「瞬筆」を思い出す方もおられるかもしれないが、これは紙への吸収速度を高めて乾燥スピードを上げたタイプ。

 

対して「KIRE-NA」のインクは裏抜けを防ぐため、そこまで激しく紙に吸い込まれるようにはできていない。メーカー曰く、紙に吸わせつつ紙表面での乾燥効率もアップさせた、いわばバランス型の速乾インクなのだそう。そのため正直、乾燥スピードは「瞬筆」よりもやや遅い感じである。それでも従来の蛍光マーカーと比較するとかなり速いのだが。

↑ボールペン筆記にマーキングしてみたところ。従来蛍光マーカー(上)はゲル・水性ともにじんだのに対して、「KIRE-NA」は水性で多少にじんだ程度 

 

乾燥スピードが速いということは、ボールペンの筆跡の上からマーキングした際に、元の筆跡のインクがにじみにくいという効果も得られる。ゲルインクなどは、いったん乾いたとしても、上からさらに水分(この場合は蛍光インク)が乗ると、じわっと浮き出してしまう。ところが浮き出す前にすかさず蛍光インクが乾いてしまえば、にじんでくるヒマもないというわけ。加えて、にじんできたボールペンのインクでチップ先端が汚れる心配も少ないのも、ありがたいところだ。

 

とはいえ、そもそもにじみやすい水性インクの場合はやはりある程度のにじみはあったので、万全に信頼するのは難しいかもしれない。

↑カラーサンプル。画像上ではペールカラー系がかすれて見えるが、実際はわりときれいな発色をしている

 

細チップも速乾インク採用で利便性アップ

太チップがあまりにも革新的すぎてつい存在を忘れそうになるが、細チップも速乾インクを共有しているため、擦れ汚れの心配なく書けるのはメリットだ。実際、蛍光マーカーは「マーキング+コメント書き込み」という使い方でツインタイプを愛用している人も多いので、やはり細チップはついていると嬉しいのである。

↑マーキングと同色でコメントを記入すると、関係性が分かりやすく、あとから読み返しやすい

 

結論

筆者は資料のチェックなどで蛍光マーカーを多用するが、ひとまず3日ほど使った時点で、今まで使っていた蛍光マーカーから「KIRE-NA」へ完全に乗り換えることを決めた。

 

とにかく優秀なのはソフトチップ+キチントガイドのコンビで、筆者ほど不器用を極めた人間でもフリーハンドでまっすぐな線が引けたのは、最高としか言いようがない。特に、インク染みが広がる心配もなくゆっくりとマーキングできるのが、ここまで使いやすいとは思わなかった。

 

個人的にはすでに蛍光マーカーの歴史は変わったということで、以後のマーキングには「KIRE-NA」を使い倒していくつもりだ。みなさんにも早めの乗り換えをおすすめする。

 

現時点で最強タイマーかも? 残時間のビジュアル化と作業&休憩をリピート計測できる「ビジュアルバータイマー」が最強たるゆえん

コロナ禍を経て、文房具関係で特に活性化したジャンルは何か? というと、「デジタル学習タイマー」だと筆者は考えている。“学習” と言っても、とりたてて勉強用に特化しているわけではなくて、要するに、仕事や勉強をする上でオンとオフの区切りをつけ、効率ややる気を向上させるための装置、と考えてもらうといいだろう。

 

ここ数年で、新機能付きデジタルタイマーが次々と発売されているのだが、進化中のジャンルなので、自分にとってどういう機能があると便利なのかを、ユーザー自身がまだ把握し切れず、どれを買うべきか迷ってしまうケースが多発しているようだ。その場合、いっそのこと「機能全部盛り」の製品を買うのが手っ取り早いのではないだろうか。

 

残り時間のグラフ化でタイムマネジメントの効率アップ!

個人的に、いま最も「機能全部盛り」に近いと思っているのが、キングジム「ビジュアルバータイマー」である。なぜなら、昨今のタイマー界隈で特に注目度の高い「残り時間の可視化」機能と「リピート計測」機能を併せ持っているのが、この機種だからだ。

キングジム
ビジュアルバータイマー
2700円(税別)
4月19日発売予定

まず、「残り時間の可視化」だが、これはタイマーの時間経過をデジタルの数字だけでなく、パッと見ただけで直感的に把握できる要素で知らせるというもの。アナログ時計型のタイマーなら、針の位置で残り時間を感覚として捉えられるが、デジタルタイマーは数字のカウントダウンだけなので、そこが少々難しい。残り時間「45:00」と表示されていたとして、それが1時間での残り45分なのか、5時間での残り45分なのかで、その重要度は大きく変わってくるはず。

↑上部のボタンで操作。入力や操作のリセットは「1分」「10秒」ボタンの同時押しで行う

 

ビジュアルバータイマーは、残り時間を棒グラフのように表示できるのが最大の特徴だ。

 

(1) 本体上部のボタンで計りたい時間を設定すると、液晶画面向かって右側にはデジタル数字、左側には黒い目盛りが表示される。

(2) スタートボタンを押すと、数字のカウントダウンが始まり、それに連動して目盛りが少しずつ減っていく

 

目盛りは20段階に分割されており、設定された時間を100%として時間経過を比率的に表示する仕組みだ。例えば、10分を測るなら1目盛りは30秒ずつ減るし、60分なら3分で1目盛りが減る。

↑目盛り機能のおかげで、パッと見ただけで「残り時間あと半分」と、イメージできる

 

これはとても直感的だし、残時間のマネジメントが圧倒的にやりやすい。画面をチラッと見ただけで「もう残り1/3しか時間がないからピッチを上げよう」や「まだ半分あるから焦らなくてもいいか」といった判断がすぐにできるのだ。作業に集中しているほど、「40分タイマーで残り8分を切ったから、全体の4/5か」など、計算することに脳のリソースを使うのはもったいない。見ただけでなんとなく経過が分かる棒グラフ式だと、効率が良いのである。

 

ちなみに、このタイマーは残り時間がゼロになると、以降はカウントアップを開始する。その場合、固定で5分につき1目盛りが増えていくよう設定されている。

 

作業と休憩を繰り返し設定できる、リピート計測が便利

もうひとつのポイントである「リピート計測」機能は、2種類のタイマーを交互に複数回繰り返すよう設定できるというもの。一般的に「ポモドーロ・テクニック」と呼ばれる集中法に便利な機能である。

 

例えば、30分経ったら休憩を10分入れる、を1セットにして何度も繰り返す。定期的に休憩を挟むことによって脳の疲労を防ぎ、結果として集中力が長続きする、というわけだ。

↑リピート計測モードは、2つのタイマーを1セットとして、それを何回繰り返すかを設定できる

 

設定方法もシンプル。

 

(1) 操作パネルから「モード」ボタンでリピート計測モードに切り替え、作業時間(時計アイコン)を設定。

(2) 続いて休憩時間(マグカップアイコン)の時間を設定。

(3) 最後に、繰り返し回数を入力したら設定完了で、スタートボタンを押すと作業時間のカウントダウンが始まる。

↑時間内はとにかく作業に集中。ちなみに、時間表示の下にある「06」というのは、作業と休憩のタイマーを6回繰り返す、という回数を示している

 

作業時間が終了すると、3秒の短いアラームが鳴って休憩時間のカウントダウンがスタートする。これを繰り返し回数分だけリピートしたら、10秒のアラームが鳴って全セット終了、という流れだ。

 

実際に試してみると「あれ、もう鳴った!? もうちょっと作業を続けたいんだけど」と、思えるぐらいの絶妙なタイミングで休憩に入るので、休憩後の復帰に対してモチベーションが高くなる。しかも、休憩によって気力が回復しているので、疲労感も少ない。結果、ダラダラと作業をするよりは確実に効率が上がるというわけだ。

↑休憩中は仕事から完全に意識を外して、しっかり休むことが効率アップのカギだろう

 

さらに、残り時間が可視化されているので、「そろそろ時間がないから、このメールは次の作業時間に入ってから返信しよう」など、仕事の組み立てもしやすい。時間を効率的に使うという意味合いでは、「残り時間の可視化」と「リピート計測」はかなり相性が良く、学習タイマーとしては圧倒的にオススメできる製品である。

↑本体裏面には磁石も備わっているので、視界に入りやすい位置にくっつけておけると尚良し。これも地味に助かる機能だ

 

いま最も「機能全部盛り」に近いが、欠点はないのか?

ただ1点だけ、ささやかなことではあるが……アラームオフ(本体側面で操作する)状態ではカウントダウン終了が分かりづらい、というのが残念な部分だ。

↑個人的に惜しいと感じた点が、アラームオフ設定。音がオフになるだけなので、気付いたときにはタイマーが終了してた、ということがあった

 

他機種だと、アラームオフの場合はLEDが光るなど、音以外でのお知らせ要素があったりする。「ビジュアルバータイマー」は、単に画面内で液晶が明滅するだけなので、集中していると終了に気づけないのだ。集中しているときほど、アラームが煩わしく感じてしまうこともあるので、できれば光って知らせる機能が付いていて欲しかったなぁ……と思う。

 

服の上からメモを“重ね着”?「wemo PRO」に天才的発想がもたらす進化した使い勝手とは?

仕事が重なってしまい、机でメモを取る暇もないぐらいに走り回らなければいけないこともあるだろう。そんなとき、思った以上に役に立つのがウェアラブルメモの「wemoだ。これは、腕に巻き付けて使うシリコン製のバンドで、板面に油性ボールペンで書き込めて、消しゴムで消字ができるというもの。メモ帳を取り出す手間なく、素早く情報が書き取れるので、特に忙しいビジネスワーカーにはマストと言っても過言ではない便利アイテムなのだ。

↑ウェアラブルメモの決定版とも言えるコスモテック「wemo」

 

何より、最大のメリットは常に視界に入る場所(手首)に情報を残しておける、という点だろう。例えば、書き留めておいたToDoも手首にメモがあるおかげで、うっかり忘れの防止効果がとても高い。実際、筆者もイベント運営などでバタバタと仕事を進める際には何度も助けられた。

 

一方で、wemoは「長袖に弱い」という弱点があると感じていた。当然だが、手首に直接巻き付けて使う仕様なので、長袖のシャツやコートを着ているとwemoに袖が被って見えなくなってしまうのだ。また、書く時にも袖をまくるという余分なワンステップが生じてしまう。優秀なツールだけに、この弱点はもったいないなぁ、と常々感じてきた。

↑長袖だとメモが下に隠れてしまうので、視認性は大きくダウン

 

救急の現場を想定したプロ仕様ウェアラブル・メモが誕生

この “長袖被っちゃう問題” に対応してくれたのが、2024年2月に新発売された「wemo PRO」である。

コスモテック
wemo PRO バンドタイプ
2300円(税別)

 

対応と言っても、実は従来のwemoより、長さが約1.7倍、厚みが約1.5倍にサイズアップされたというだけ。ところがこれが、意外と侮れない。このサイズアップによって、wemo PROは思った以上に使いやすくなっていたのだ。

 

まず、長さが400mmにまで伸びた(幅は同じ)ことで、着衣の上からでも問題なく手首にwemo PROを巻き付けられるようになった。「袖の下にメモが隠れるなら、袖の上に巻いちゃえばいいじゃん!」という、プリミティブな解法である。

↑従来型wemoとの比較。並べてみると確かに2倍近く長くなっていることが確認できる

 

従来のwemo(長さ238mm)も着衣の上から巻けないことはないが、フリースのような厚手の服の袖には寸が足りず、ぐいぐいと無理に巻き付けるせいで、やや浮いたようになってしまい安定しなかった。

 

対して400mmのwemo PROは、救急隊員などが現場で使うことを想定している(!)とのことで、頑丈な作業服や、消防用の防火衣の上からでもしっかりと巻き付けられる長さになっている。これなら、だいたいの服は問題なく使えるだろう。

↑真っ直ぐ伸ばした状態で袖部分にパシッと軽く叩きつけると……

 

↑板バネの弾力でクルッと巻き付く仕組み。厚手のフリースでも余裕で巻き付いて固定されている

 

↑厳寒仕様のふかふかダウンコートの上からでもこの通り

 

服の袖に巻き付けてしまえば、当然ながら板面が袖で隠れてしまう心配はない。つまり、情報が視界に収まりやすいというwemoシリーズのメリットが、袖の長短に関わらずきちんと確保できるというわけ。これはかなり意味のあるサイズアップと言えそうだ。

 

がっちりした厚みで筆記時の安定感もアップ

さて、装着性については前述の通り解消されたが、筆者にはもうひとつ、「衣服の上から巻くと、フカフカふわふわして書きづらいのでは?」という懸念があった。しかし、実際に書いてみると、そんなことは全くない。むしろ、wemoより書きやすいぐらいである。

↑板厚が増えたことで、筆記時の安定感も確保されている

 

↑油性ボールペンの筆跡が消しゴムできれいに消字できる。ただし、ジェットストリームなど低粘度油性インクは消しきれず跡が残るので非推奨だ

 

これにはどうやら、厚み約1.5倍というサイズアップが効いているようだ。がっちりと厚みが増しているのに加えて、約1.7倍になった長さを活かし袖周りを一周以上巻けるので、シリコンで包まれた板バネがベコベコと沈んだりしない。安定感はかなり良好だ。基本的に、wemoでメモを取りたいシーン=慌ただしい状況なので、咄嗟に書こうとペン先を置いた板面がベコッと沈むと、その書きづらさにイライラするのは間違いないだろう。忙しい上に苛立ちまで覚えるのは非常にツラい。ゆえに、この厚みはかなり重要な要素である、と言いたい。

 

ちなみに、wemo本体に装着可能な純正の「wemoペンというアイテムがあるのだが、wemo PROはこの厚みのせいで取り付けづらくなってしまった。仕方ないこととは言え、都度ポケットからペンを取り出すというモーションが増えてしまい、メモの効率は少し落ちてしまうのが残念だ。何より筆者はwemoペンのギミック感が好きだったので、使えないのは勿体ないように感じるのだ。というわけで、今後はぜひ、この厚みに対応した「wemoペンPRO」の登場を期待したい。

↑wemoペンは取り付けられないこともないが、クリップの開きがかなりギリギリ。破損の可能性すらありそうなので、無理に使わない方が良さそうだ

 

物欲をくすぐるオーバースペックともいえるタフネス性能

そして、救命の現場でも使える仕様ということで、wemo PROはタフネス仕様となっている。マイナス3℃~180℃の耐寒・耐熱をはじめ、酸やアルカリ、ガソリンなどが付着しても書き消し機能に影響が出ない耐薬品・耐油性、5000回以上の書き消しが可能な耐擦過性が保証されている。

↑端にはストラップやカラビナで吊しておくための穴が開いている。これも現場仕様ということらしい

 

一般的な生活ではまず使うことがないだろうオーバースペックだが、「オーバースペックは無駄だから嫌い!」という人もあまりいないだろう。衣服の上からでも巻ける、という要素だけでも十分にありがたいが、こういったスペック厨マインドをくすぐるタフネスさも加われば、より「欲しくなる理由」につながるはずだ。

 

大人の汚文字に表面のドット加工が効く!レイメイ藤井「大人の魔法のザラザラ下じき」を書類の下に挟むと起きる変化と仕組みを解説

「子どもの頃は、大人になったら自然に字がきれいになると思ってた」とは、いわゆる “汚文字”(おもじ)に悩む大人たちがよく言うこと。当たり前の話だが、 字の練習を重ねないままでは、大人になっても個性的な字のままなのだ。筆者がまさにこのタイプである。文字が雑だと、幼い印象で読みづらい汚文字になりがちで、周囲からの印象があまりよろしくない。これは、社会人として生きていく上でそこそこのハンデと言えるだろう。

 

解決策はもちろん、字を練習すること。だが、そもそも「大人になったら字が上手くなる」と思い込んできた人達は悪筆を矯正しようという気概が薄い。何もしなければ、当然だが字が上達することはないのである。そういうことなら、手はひとつしかない。字が少しでもきれいに書けるツールに頼るのだ。

 

下敷き使用で筆記速度を落とすと字がきれいになる!?

もちろん、抜本的にきれいな字が書けるようになりたいのなら、ペン習字などによる練習が正解。しかし、手っ取り早く少しでも丁寧な字が書けるようになりたいのなら、文房具を変えてみる、という手段もある。例えば、自分の手に合った筆記具に変えたり、ノートの紙質を変えるだけでも、ずいぶんと字の印象は変わったりする。そんな中でもオススメなのが、「下敷き」の導入である。

 

レイメイ藤井から2024年2月に発売された「大人の魔法のザラザラ下じき」は、まさに「紙の下に敷くだけで字がいつもより少しきれいになる」という、魔法のような機能をコンセプトとした製品だ。

レイメイ藤井
大人の魔法のザラザラ下じき
A4 1100円(上写真左)/B5 1050円/A5 1000円(上写真右)/B6 950円(税別、以下同)

 

そもそも字が汚くなる最大の理由は「書き方が雑」という、身もフタもないもの。特に、元から字が下手な人は、そのコンプレックスから日常的に雑な走り書きをしがち。「走り書きしているから字が汚いんだ」と、自分に言い訳をしているというわけ。

↑撮影用にわざと雑に書いたわけでなく、筆者の筆記はわりと日常からこんな感じだ

 

それなら、雑な走り書きができないようにすれば、筆記速度が落ちてゆっくり丁寧な筆記になる=丁寧な字が書けるようになるはず。この場合、自分で「ゆっくり丁寧に書こう」と心に決めるだけでも十分に効果は出るのだが、長年ずっと雑に書いてきた手癖はそう簡単には矯正できない可能性もある。そこで効果を発揮するのが、今回紹介する大人の魔法のザラザラ下じき、と言うわけだ。

 

まず、下敷きの表側には、よく見ると0.3mmの細かな粒状の加工が施されているのが分かる。この “ドット” のある面をノートなど紙面の下に敷いてからペンで書くと、ペン先にもハッキリとドットのデコボコが感じられるはずだ。走り書きをする場合、とにかくペン先を滑らせるように動かすことになるのだが、これだけ紙面がデコボコすると、その摩擦で書く速度が抑えられる。つまり、物理的にペン先を走りづらくすることで筆記スピードを落とす、という仕組みである。

↑表面の拡大図。細かな凸ドット(高さ0.3mm)加工が前面に施されている

 

実際に試してみると、やはりゆっくり丁寧に書くことで、字の読みやすさは大きく向上したように感じられた。少なくとも「後から自分で読み返しても字の判別が付かない」なんてことはないはずだ。

↑下敷きを敷くと、ドットにペン先が取られて筆記速度が落ち、結果的に丁寧な書き方になるという仕組み

 

また、下敷き自体にくっきりと縦の罫線が入っているので、横罫の用紙に合わせることで、字間をきれいに揃える目安にもなる。これによって行頭がガタガタせずに整うので、さらに読みやすさをアップさせられる。縦書き用として使うと行の傾きを防ぐこともできるので、これもまた読みやすい文章が書きやすくなるだろう。

↑写真では分かりづらいが、下敷きの縦ラインがうっすらと紙面から透けて見えるので、行頭が揃いやすく見映えがアップする

 

ちなみに、ボールペンで書き比べてみたところ、もともと滑りすぎることで悪筆との相性が悪い低粘度油性系(「ジェットストリーム」や「アクロボール」など)が、グッと書きやすくなったのは印象的だった。ペン先のコントロール性が増したため、殴り書き・走り書きにならず、程よく落ち着いた書き味が楽しめるのである。

 

逆にあまりオススメできないのが、ゲル0.3mmの激細タイプ。こちらはどうしても、ドットにペン先をとられてしまってコントロールが乱れがちだった。一方、軸内にサスペンションを備えたゼブラ「サラサナノ」は、激細でも思ったより書きやすい。サスペンションが効いているんだ! ということが体感できて面白かった。

 

また、ペン先のブレが少ないゼブラ「ブレン」は、その剛性の高さによって逆に細かな凹凸を拾ってしまい、描線にはっきりとビビリが出ていた。バイクのリジッドサス(衝撃吸収機構を持たない棒状のサスペンション)に近い感覚である。

↑各ボールペンでの比較。ゲルの激細0.3mmが書きづらかったり、剛性の高いブレンだと凹凸を拾いすぎて線にわずかな振動が出てしまうなど、ボールペンの特徴によって書き心地も異なるという結果が出た

 

小学生用の人気下敷きを大人向けにリファイン

実はこの下敷きは、文房具総選挙2022で学研キッズネット賞を受賞、また同年7月の日本文具大賞では機能部門グランプリを獲得した「先生おすすめ 魔法のザラザラ下じき」という、学童用下敷きが大人向けにリメイクされたもの。字がうまく書けない小学生向けに作られており、実際に効果を体感している子どもたちも多いというヒット商品なのである。ちなみに悪筆の筆者も効果ありと感じており、発売以降ずっと愛用してきた。

↑こちらは先行モデルの学童向け商品「先生おすすめ 魔法のザラザラ下じき」(0.6mm 650円/0.3mm 800円、上写真は0.3mm)。基本的な仕組みは大人用とまったく同じ

 

今回の大人用と学童用は、いずれもメイン機能となる0.3mmのドットは同じ。ただし、学童用には、幼児~小学生低学年用に0.6mmドットも用意されている。そのほか、表面の印字が方眼(学童用)と縦罫線(大人用)、裏面の加工がツルツル(学童用)とマット加工(大人用)といった辺りが変更点となっている。

↑学童用(右)の裏面はツルツルで走り書きしやすい仕様なのに対して、大人用(左)の裏面は細かいシボのマット加工でゆったり書き用になっている

 

また、学童用のラインナップがA4とB5だったのに対して、大人用はA4・B5・A5・B6と幅広くなっている。特に、A5とB6は手帳で使いたいという人も多いはずで、大人向けとしては納得の変更点だ。筆者もノートはA5で統一しているので、実はこれまでは学童用のザラザラ下じきA4サイズを半分にカットして携帯していた。これからはそんな手間無しで大人用を購入すればいいので、個人的にもこれはありがたいのである。

↑学童用下じきにはA5サイズが無かったので、A4を半分に切って使用していた

 

大人になって下敷きを使う人はおそらくかなり少数派で、改めて導入することに抵抗感を感じる人がいるかもしれない。とはいえ、ただ敷くだけでそれ以外の労力は無しに、読みやすい字が書けるようになるというのは、わりと大きなメリットなのではないだろうか。

 

普段使いのノート・手帳に挟んでおけば持ち運びの手間はないし、ついでにインクの裏抜けを防げたりもするので、便利なことは間違いなし。もし今、「自分の字が嫌い」「人前で字を書きたくない」など、大人の汚字に悩んでいるのなら、落ち着いて丁寧に字を書くクセを付けるべく、ぜひ常用することをオススメしたい。

 

ペン先がブレないだけじゃない!ゼブラ「ブレン4+S」の“隠れ”機能で強化された価格以上の使い心地

2019年に発売されたゼブラ「ブレン」は、ノック式ボールペンでは避けられないとされていた “筆記時の微細なペン先ブレ” を解消した、非常に高機能なボールペンだ。実際に書いてみると、確かにブレない……むしろ、他のボールペンってこんなにブレてたのか!? と、気付かされたほどだ。高い剛性感で長時間の筆記が快適になるということで、発売後すぐに多くのファンを獲得したのも納得である。

 

3色の「ブレン3C」、2色+シャープの「ブレン2+S」と、多機能化によって展開を広げてきた同シリーズだが、ついに多機能のMAXモードとも言える4色+シャープ(S)を搭載した「ブレン4+S」が発売された。シャープユニットと合わせて合計5本ものリフィルを詰め込んでもなお、低重心でブレのない筆記感を生み出す「ブレンシステム」は従来通り機能するのか?

 

今回は、4+Sでブレン独自の “どっしりしつつなめらか” という希有な書き味が感じられるのかどうかを中心に試用してみた。

 

ついに登場、ブレンの4色+シャープ

2024年2月末に発売されたゼブラ「ブレン4+S」は、冒頭でも述べたとおり、お馴染みブレンシリーズの最新ラインナップとなる多機能ペンだ。機能の配置は、まず長楕円になっている軸後端の円周に黒・赤・青・緑のエマルジョンインクのサイドノックが並び、楕円頂点にあるクリップがシャープのノックを兼用している。4+Sの構造として珍しいものではないが、もともと楕円をイメージしているブレンのフォルムからは大きく変えずに、各ノックを配置したデザインはなかなかに上手い。

ゼブラ
ブレン4+S(0.5mm/0.7mm)

1000円(税別)

 

グリップは実測で直径約13.3mmと、かなり太軸。とはいえ、ブレン3Cと比べると、2機能も追加されたほどの太さは感じない(後端のサイズはかなり違うが)。これは、軸の板厚を強度が落ちないギリギリにまで薄くする、というスリム化の工夫の賜物のようだ。また、デザイン的に凹凸が少ないので、すっきりスリムに対する視覚的要素もあるだろう。

↑軸後端から見たノック配置。周囲に4色ノック+シャープ用クリップノック計5機能を備えている

 

↑ブレン3Cとの比較。軸径自体は「確かに4+Sの方が太いかな?」程度の印象。ただし、ノック機構が集中する軸後端にはかなりサイズ差があった

 

↑比べて見ると、4+Sは軸の肉厚がかなり薄くなっている。これで内径を稼いで5本のリフィルを詰め込んでいるのだ

 

握ってみると、筆記時の安定感はかなり高い。これは、前軸全体に金属パーツを取り付けたことで、思い切った低重心化を果たしているからだ。多機能ペンはどうしても機構が後ろに集まってしまうため、重心位置が高くなってフラフラしがち。そこをしっかり抑え込めていることには “ブレンらしさ” を感じられた。

↑多機能ペンとしては画期的なぐらいに重心バランスが取れており、安定していて握りやすい

 

何より、ブレンらしさといえば、ペン先のカチャカチャとしたブレをどこまで抑えられているか、が重要なところ。多色/多機能ペンは、軸の内縁からペン先に向けてリフィルを突き出すという構造上、どうしても飛び出したペン先が傾くし、その分だけ口金の先端でブレが生じやすい……というか、ブレをゼロにするのはかなりの無理筋と言えるだろう。

 

もちろん、ブレン4+Sも、ブレを完全に抑え込めているとは言い難いが、口金先端でリフィルをホールドするダイレクトタッチがきちんと効いているので、他の多機能ペンと比べたら、圧倒的にガッチリと剛性感のある書き味となっている。この差は、誰でもはっきり体感できるはずだ。

↑前軸は口金まで通して金属化されており、重心位置を下げるオモリとして機能している

 

特に、ペン先を紙に当てたときの “逃げ” がないので、手帳などの小さい紙面でも狙った位置からピタッとズレなく書き始められるのはとても快適。この辺りは、3Cや2+Sから変わらず、「さすが多機能でもちゃんとブレン!」といったところだ。

↑先端の白いパーツでリフィルを包んで口金との隙間を無くし、カチャカチャとしたブレを抑制している

 

↑剛性感のあるブレの少ない書き味は、細かい文字をびっしり書いたり、長時間筆記したりする際のストレスを軽減してくれる

 

シャープペンシルの芯出しノックはクリップ部で併用

シャープペンシルを使う際は、クリップ部をグッと押し込んでペン先を出し、さらにそこからもう一段階の押し込みで芯出しノックとなる。ただし、多機能の構造上、どうしてもペン先を出した時点でクリップが少し軸側に引き込まれてしまうため、手がかりが減って、芯出しノックが少々やりにくいようには感じた。正直、これは慣れるか、自分なりに押しやすい方法を模索するしかないだろう。

↑シャープノックは、この状態からノブをもう一段階カチッと押し込んで芯出しを行う。正直、指のサイズが大きい人には押しにくい

 

芯の補充については、一般的な多機能と同じく、前軸を外してからシャープユニット自体を抜き取って行う。ユニット自体が細いので、芯は最大でも2本ぐらい。無理をすると簡単に詰まってしまうので、ほどほどでおさめておいたほうが安心だろう。

 

ブレないだけじゃない、細かな機能も山盛り!

シャープ機能で意外と気付かれていないのが、軸後端のキャップをポコッと引っ張り外すと出てくる消しゴムだ。消しゴム自体はサイズが小さくて超便利! と言うほどではないが、あって嬉しいおまけ要素と言えそう。

↑実は気付いている人が少ない、軸後端の消しゴム。2+Sには無かった嬉しいサービスだ

 

さらにもうひとつ、おまけ要素として嬉しかったのが、クリップが可動式のバインダークリップ仕様なところ。多色/多機能は手帳とセットにするケースが多いので、厚めの表紙でも挟んでおけるバインダークリップがあると地味に助かるのである。

↑実は気付いている人が少ない、軸後端の消しゴム。2+Sには無かった嬉しいサービスだ

 

思い返せば、ゼブラの多機能4+S「クリップ-オン マルチ」「サラサマルチ」「スラリマルチ」には、可動式バインダークリップが搭載されている。どうやらゼブラには「4+Sにはバインダークリップが必須でしょ!」と、いう感覚が共有されているようだ。もちろん、ユーザー的にもありがたいので、ぜひ今後もその線で続けていただきたい。

 

4色+シャープが、低重心かつペン先がブレないブレンシステムで書きやすく、さらに消しゴムとバインダークリップというおまけまで付いている……まさに機能盛り盛りである。これだけ機能が盛り込まれていて、税込1100円はコスパがかなり高い。

 

特に、ペンケース無しで1本だけ筆記具を胸ポケットなどに差して持ち歩きたい派(これは意外と世間的にマジョリティなのだ)には、ドンピシャで刺さること間違いなしだ。本記事を読んでなんとなくピンと来た人は、迷わず購入を決めて損はないだろう。

 

ペンを収納しながら“飾る”新発想!「フレームペンケース」の潔さを支える細部の仕掛けとは?

ペンケースは、筆記具などの文房具を収納して持ち運ぶためだけのもの……と、思っている人がほとんどだろう。もちろん、基本的にはそれで間違ってないのだが、近年では、ペンケースが高機能化するにしたがって、その目的も多様化している。

 

例えば、「文房具を持ち運ぶ」という部分ひとつを取っても、「2~3本の筆記具をコンパクトに」と「筆記具+ハサミや定規、カッターナイフなどをまとめて」では達成すべき目標が大きく違う。そうした場合、フォルムや機能から完全に別物になるのも当然だろう。

 

さて、そんなペンケース多様化のなかで、いまやトレンドと言っても過言でないのが、いわゆる “見せペンケース” というもの。透明素材で中身が外から見えるようになっているものが主体で、自分が使っている文房具を周囲に見せられることが特徴だ。Instagramなど画像主体のSNSで、中高生が自分の学習ツール環境をアピールする用途で人気となっているそう。

 

今回紹介するのは、その最前線アイテム。「見せペンケースの最新版はこうなっている」という話である。

 

自慢の一本を飾って楽しむ専用ペンケース

レイメイ藤井から発売された「フレームペンケース」は、一見すると学童用の汎用性高めの箱形ペンケースのようなフォルムだが、そのコンセプトは特異だ。 “お気に入りの筆記具をきれいに飾る” という部分に機能を全振りした、かなりピーキーな製品なのである。

レイメイ藤井
フレームペンケース

3300円(税別)
全5色

 

上面はフレームで囲まれたPVC製の大きな透明窓になっており、中が完全に見えている状態だ。ただし、透けているのはこの上面のみ。底と側面はフレームと同じく合皮素材なので、見え方はかなり限定的である。

↑上面窓はPVC(塩ビ)製で、透明度はかなり高め

 

上面は磁石によってフタ状に閉じられているので、端から持ち上げるとパカッと開いて、中にアクセスできる。そして、ゴムバンドに自慢の筆記具を挟んで固定し、再びフタを閉じると、まるでショーケースにいれたような形で筆記具を飾ることが可能になる、というわけ。例えば、大事な万年筆や宝物のシャープペンシル、プレゼントにもらったボールペンなど、特別な筆記用具を収納すると、まるで展示、もしくは額装したような印象になる。

↑磁石で貼り付いている上面フタをパカッと持ち上げてオープン。本体とはベルトで連結されたヒンジレス構造となっている

 

↑筆者愛用、一点物の木軸ボールペンを飾ってみた。見た目にも「いいものを飾ってる」感が高まって嬉しい

 

一般的な透明素材の “見せペンケース” は、全周が透けていることが多い。つまり、持っている文房具をまとめて見せることができるのだが、「こう見せたい」という意図での見え方を決めることが難しい。

 

対して、フレームペンケースは、最初から見せたい筆記具を1~2本飾るだけ、という使い方に限定することで、より確実に「見せたい・魅せたい」方へとフォーカスして中身を見せることができる、という仕組みだ。

↑ごく普通の150円ボールペンも、フレームペンケースで飾ればこの通り、高級感があるように見える

 

“見せ”要素に特化した、ペンを運ぶこともできる展示ケース

ちなみに、フタは本体にベルトで接合しているので、そのまま裏側に折り込むことも可能。フルオープンで固定できるので、筆記具の出し入れがしやすいペントレーとしても使うことができる。とはいえ、そもそもが収納量が少ないので、トレーになったから実用的というわけでもないが、机の上に置いておくだけで、高級感や特別感を与えてくれるアイテムになるのは嬉しいところ。

↑フタを360度折り返すようにすると、ペントレーに変身

 

↑フチが高いのでトレーとして使いやすいとは言い難いが、置いておくだけでちょっとデスク周りが高級っぽくはなるかも

 

使用するにあたり個人的に気になるのは、PVC窓の耐久性である。PVCは擦り傷に弱いため、使用しているうちに細かな擦り傷が付いてしまうのは避けられないだろう。その結果、傷によって窓がくもってしまうと高級感はガクンと下がってしまうし、飾っていても楽しくなくなってしまう。基本的に塩ビのくもりを元に戻すのは不可能なので、できる限り気をつけて使う、というシンプルな使用方法が正解らしい。

↑底面はベロア調の柔らかな起毛素材で、大事なペンを傷つけにくい仕様だ

 

文房具の運搬コンテナとして考えると、当然ながら機能的にはかなり劣っている。何故なら、筆記具1〜2本しか収納できないのだから、それは仕方がない。ただし、筆記具を高級感のある雰囲気で飾る機能に関しては、これまでにないほど優秀……というか、ここまで “見せ” 要素に特化したペンケースは他になく、非常にユニークな製品と言える。

↑ペンケースとして携帯するとこんな感じ。少し仰々しいぐらいに高級感ある雰囲気になるところが面白い

 

大事な筆記具の展示収納ケースとして使うとウットリするぐらい格好良いので、ぜひデスク上でのマイコレクション展示に使ってみて欲しい。

 

フリクション史上最細の0.3mmが登場!「シナジーノック」に新搭載した“シナジーチップ”の正体とは?

“消せるボールペン” の代名詞、パイロット「フリクションボール」シリーズ。2007年の発売以降、世界中でシリーズ累計30億本以上が売れている大人気シリーズなので、もはや知らない人はいない、と言っても過言ではないだろう。

 

フリクションシリーズのスタンダードと言えば、初代がキャップ式「フリクションボール」(2007年〜)、2代目が現在でもお馴染みのノック式「フリクションボールノック」(2010年〜)である。そして、新たに3代目のザ・フリクションボールとなるのが、2024年3月に発売したばかりの「フリクションシナジーノック」だ。

↑2010年の発売以来、長きにわたってシリーズの中心だった「フリクションボールノック」

 

今回は、そんな超メジャーなボールペンのスタンダードモデルがついに代替わりする! ということをお伝えしつつ、その新スタンダードモデルの使い勝手を紹介していこう。

 

新スタンダードはフリクション×シナジーチップ

フリクションシナジーノック(以下、シナジーノック)は、シンプルなグレーの軸が外見的に目立つポイントとなっている。従来のフリクションは基本的に軸色=インク色だったが、今回からはインク色は半透明のクリップノック部で表示されることになるようだ。端的に言えば、共通部品を増やすことで生産コストを下げようという試みだろう。

パイロット
フリクションシナジーノック
各250円(税別)
全8色

 

カラーラインナップは、既存の全8色(ブラック・ブルーブラック・ブルー・ライトブルー・グリーン・オレンジ・ピンク・レッド)。個人的には、2023年発売の「フリクションWaai」から登場したベルベットレッドなどの新色もスタンダード化して欲しかったのだが、それはまた今後に期待したい。

 

何より注目なのが、その名の通り、ペン先に「シナジーチップ」を搭載していること。シナジーチップとは、同社のゲルボールペン「ジュースアップ」にも搭載されている、コーンチップとパイプチップを融合させたような、言わば “いいとこ取り” の高機能チップだ。インクフローが良好で、とにかくサラサラとなめらかな筆記感が特徴。これまでのフリクションシリーズでは、シリーズの傑作として名高い「フリクションポイントノック04」(以下、ポイントノック04)にも搭載されていた。

↑先端視界の良さと、たっぷりしたインクフロー性能を併せ持つ「シナジーチップ」

 

↑シリーズで初めてシナジーチップを搭載した、「フリクションポイントノック04」(写真左)と基本的な性能は近い

 

実際に書き比べて見ても、ポイントノック04とシナジーノックの書き味に違いは感じられない。いずれもたっぷりインクが出て、妙なクセもなく素直に書きやすい、といった印象である。インクがたっぷり吐出されるため、従来のフリクションボールノックより描線がやや濃い色に見える点も、一般的に発色が薄いフリクションインクだからこそありがたい。

↑近年のトレンドでもある “たっぷりめのインクフローでサラサラ書ける” タイプの書き味で、快適性は高い

 

なお、シナジーノックの登場によって、ポイントノック04は終売となるようだが、少なくとも書き味に限って言えばシナジーノックに不安を感じる必要はないだろう。ちなみに、ポイントノック04のデザインが好きという人は、軸だけ残しておけばリフィル交換で対応可能だ。

 

フリクション初の極細0.3mmが登場!

もう一つ大きなポイントとなるのが、ローンチ時点で0.5mm、0.4mm、0.3mmのボール径が揃うということ。なかでも、フリクションシリーズとして初となる激細0.3mmは、大注目株と言えるだろう。

↑画像左から、ボール径0.5mm、0.4mm、0.3mmの3種類がラインナップされる

 

そもそも、フリクションボールペンは、書き消しが可能ということで、手帳と組み合わせているユーザーが多い。加えて、昨今はM5などの小型手帳が人気ということもあり、より細書きできる性能が求められているのは間違いない。つまり「0.3mmは間違いなく売れるよね」という話である。

↑0.3mmは驚きの細さ。これなら手帳の3mm方眼にも書きやすそうだ

 

実のところ、フリクションのインクは粒子が大きいため、これまでは高フローのシナジーチップであってもここまで細いボールには対応できなかったという。そこで、パイロットは快適な書き心地を実現するために、0.3mm専用のシナジーチップを新たに開発した。

 

試しに0.3mmで書いてみると、こんなに細い線がフリクションで書けるのか! と驚愕したほど。シナジーチップらしいインクリッチな書き味……とまでは言いづらいが、それでも一般的な0.3mmゲルインクと書き比べると、明らかになめらかだと感じられるはず。ただし、筆記角度はわりとシビアで、意識して紙に対してほぼ垂直に立てないと、すぐにガリガリとした引っかかりを感じてしまうので、そこは要注意だ。

↑激細0.3mmだが、思ったよりもサラサラと気持ち良く書くことができる

 

ボール径の数値は軸に記載されているが、グレー地に白印刷なので、慣れないうちはパッと視認しづらいかもしれない。それであれば、軸後端のイレイザーが、0.3mm(白)、0.4mm(グレー)、0.5mm(濃いめのグレー)と色分けされているので、これに慣れるほうが良さそうだ。ちなみに、従来のフリクションボールノックでは、0.5mmが白イレイザー、0.7mmがインク色イレイザー、1.0mmはグレーのイレイザー+クリップノックがインク色、と表示パターンがバラバラだったので、シナジーノックのように、最初からパターンを統一してくれるのはありがたい。

↑ボール径は軸の印字か、イレイザーの色で判断する。ひとまず「色が薄いほうが細い」と、覚えておくといいだろう

 

↑リフィルは従来と共通。ボール径の数字の後に記載された「S」(synergy)が、シナジーリフィルの目印となる

 

個人的にも、ボールポイント04やジュースアップなどでシナジーチップの良さを体感していたので、今回のフリクション×シナジーチップのスタンダード化には、「パイロット、よくやった!」という思いが大きい。それに加えて、0.3mmという超極細フリクションは、筆者以外にも待ち望んでいたユーザーが多いはず。

 

とにかく、フリクションでカリカリと小さな字が書けて消せるというだけでもかなりのインパクトがあるので、店頭で見かけたらまずは手にとって試してみて欲しい。

 

ビジネスパーソンにすすめたい! ダイヤル式タイマー「スティックル」のスマホでは代用できない秀逸な使い勝手とは?

筆者は日常的に、タイマーをかけて仕事をすることが多い……などと言うと「タイムマネジメント意識が高いのか」と、誤解されることが多いが、さにあらず。タイマーをかけると、どんなに仕事をしたくなくても「ひとまずやらなきゃ」という気になるし、さらにタイマーが終了したら一旦手を止めていいというコンセンサスが(自分に対して)形成できて、ご褒美感もある。つまり、めちゃくちゃ意識の低いタイマー活用ワークと言えるだろう。

 

自宅だけでなくカフェやコワーキングスペースで仕事をする機会もけっこうあるので、そのためにはタイマーを携帯しておきたいところ。そこで、持ち運びしやすいコンパクトなタイマーを探して辿り着いたのが、スティックタイプの学習タイマー「スティックル」なのだが……これ、使ってみると、思っていた以上にさまざまな点が適度に使いやすい優れモノだったのだ。

 

ペンケースに入るスティックタイプのコンパクトタイマー

ソニック「スティックル」は、細長い形状が特徴的なデジタルタイマーである。93×30×22mmというボディを手に握ると、任天堂Switchのジョイコンよりちょっと小さいかな? ぐらいのサイズ感だ。

ソニック
スティックル タイマー ダイヤル式 持ち運びしやすい勉強用
(ホワイト/ベージュ/ライドブルー/バイオレット)
1400円(税別)

 

筆者は、仕事柄それなりの数の学習タイマーを見てきているが、このスティック型というのは意外と他に見ることがない。だが、この形状はペンケースに入れても邪魔になりにくく、持ち歩きやすいというメリットがあるのだ。一般的な板タイプのデジタルタイマーのほうが液晶画面は大きく取れるが、テスト対策などでしっかり時間管理をしたいという場合を除けば、画面の見やすさはさほど求めないと思う。

↑手のひらにコロンと乗るサイズで、タイマーとしては携帯性バツグン

 

操作系は、まず液晶のある面にボタン(START/STOP)がひとつ。左側面には電源/アラームON/OFFを司るスライダー、右側面にはダイヤルが備わっている。使用する際には、まず電源を入れて、ダイヤルを時計回りに回転させる。すると1分単位で表示が増える(逆転させると減る)ので、セットしたい時間に合わせてSTART/STOPボタンを押すとカウントダウンがスタートする、という仕組み。最大99分まで設定可能だ。

↑電源+アラームをひとまとめにしたシンプルなスイッチと、ライトを兼ねたスタートボタン

 

製品によっては、時間・分・秒にそれぞれ時間を前後させる設定ボタン(合計6個)があったりして、タイマーセットのたびにこれらを操作するのは正直面倒だ。それよりは、ダイヤルをコリコリコリ……と回して好きな時間で止めるほうが、圧倒的に正しくて直感的なインターフェースだと思う。何より、スティックルのコンパクトなボディには、多くのスイッチを配置できないだろうから、これが正解だろう。

↑ダイヤル1クリックが1分で、慣れてくれば直感的に時間設定が可能

 

カウントゼロになると、サウンドONの場合はピピピッという大きめのアラーム音とSTART/STOPボタンの点滅、OFFの場合はボタン点滅だけで知らせてくれる。ボタンの光量はそこまで激しくなく、視界に入っているときにだけ気付くレベルだ。ビカビカと強く点滅されると、カフェなど他の人がいる場所で気を遣ってしまうから、これはありがたい配慮だ。そもそも、タイマーのアラームをOFFにするのは周囲に気遣っての話なのだから、これぐらい控えめなほうがちょうどいいに決まってるのだ。

↑ボタン点滅は眩しすぎず、適度な光量で終了を知らせてくれる。対してアラーム音量は大きめ

 

いろんな点が “ちょうどいい” ! ほどよい使いやすさが魅力

もうひとつ、使ってみて “ちょうどいい” と感じたのが、デスクへの置きやすさだ。デジタルタイマーの中には、画面に角度をつけるなどの工夫をしたものもあるが、ほとんどは板状のボディを机に垂直に立てるか、水平に寝かせるかの二択となる。しかし、バックライトのない反射型液晶は、角度やユーザーの目線位置によって、画面の見やすさがかなり変わってきてしまう。

 

その点、スティックルは断面が台形に近い六角形なので、それを活かして水平・45度・垂直の3パターンに角度調整が可能。これで置き場所によって見やすい角度を選べるというわけだ。

↑断面の形状を活かして3段階の角度に置ける。スタンドなどが無くてもこれで十分だ

 

↑デスクトップに置くなら、45度が照明の影響も受けにくく見やすい

 

↑少し高い場所に設置する場合は垂直に立てると画面が視界に入りやすい

 

もちろん、もっと自由に角度を変えられた方が便利には決まっているが、そのために可動スタンドを付けるなどすると、どうしてもボディサイズが大きくなってしまう。それなら、ギミックを使うことなくボディ形状だけで角度が3パターン取れれば、それで十分じゃない? という話なのである。

↑電源は単4形乾電池1本。このスライダー蓋がやたら固くて開けづらいのが、この製品の数少ない難点のひとつかもしれない

 

何より、こまめにタイマーを使う場合、ダイヤルで素早く時間設定ができる使い勝手の良さは他に替えがたい。こういう物理タイマーの話をすると、必ず「スマホのタイマーアプリでいいじゃん」という意見が見られるが、スマホでタイマーアプリをタップして時間設定するよりも、実際にはタイマーの方が圧倒的に早い

 

加えて、スティックルなら、見やすい角度を選べて、サウンドOFFにすれば周りにも気を遣わずに済んで、さらに携帯性もいい感じ。ものすごく便利! というほどではないが、あると嬉しい機能が揃った “ちょうどいい” 感じの使い勝手なのである。

 

1.1ミリが雲泥の差を生んだ!「サラサクリップ」の新3色ボールペンがインク量たっぷりなのに軸細を実現できた“構造改革”って?

筆者は、ボールペンに関してはゲルインク派を自認しているが、多色ボールペンが必要なシーンに限っては油性インクを選ぶことが多い。なぜかと言うと、ゲルの多色ボールペンは軸がぼってり太くなったり、油性よりもインク吐出量が多くなる分、すぐにインク切れになったりするからだ。かと言って、インク持ちを良くしようとリフィルを太くすれば軸が肥大化してしまうし、逆に軸を細くすればリフィルも貧相になってますますインク持ちが悪くなる。つまり、根本的に多色ゲルは難しい、ということなのである。

 

「それじゃ、打つ手なしってこと?」と、思うかもしれないが、そこはご安心を。日本の文房具メーカーの開発力はすばらしいので、このようなネガティブ要素をいつまでも放置しておくことはない。ちゃんと「それなりにインク入ってて、でも軸はそこそこスリム」というゲル多色ボールペンを、ちょっと驚くような機構を組み込むことで完成させたのだ。

 

画期的な機構でゲルインク多色をスリム化

ゼブラ「サラサクリップ3C」は、その名の通り、お馴染み「サラサクリップ」の多色タイプとして新たに発売された製品だ。ポイントは、前述の通り「それなりにインクが入ってて、でも軸はそこそこスリム」というところ。従来のゲル多色は「リフィル激細/軸細」か「リフィル細/軸太」の二択だった。サラサクリップ3Cは、そこに「リフィル細/軸細」という「そんなの、誰だってそれがいいに決まってるじゃん!」という第三の選択肢が提示された形である。

ゼブラ
サラサクリップ3C (0.4mm/0.5mm)
400円(税別)

 

実は、これまでにもサラサの多色タイプとして「サラサ3」が存在したのだが、これは「リフィル細/軸太タイプ」。単色サラサに近い気持ちよい書き味で、インク持ちもそれなりに良いが、軸径は13.5mmとボッテリしたものだった。対して、新型多色のサラサクリップ3Cは、サラサ3と同じリフィル(JK芯)を搭載しておきながら軸径は12.4mmで、8%のスリム化を果たしている。数値上では1.1mm細くなっただけだが、握ってみると全く別物に感じられるはずだ。

↑従来からの多色タイプ「サラサ3」との比較。数値だけでは分かりづらいが、実際に握り比べるとシャープになったことが分かる

 

従来品と同じくリフィルを3本ずつ積んでいるのに、どうやって軸が細くできたのか? その答えは軸内部の構造にある。従来品のサラサ3は、リフィルにノック用のバネを被せたものを3本束ねた構造になっている。これは、基本的にどの多色ボールペンでも似たような構造になっているはずだ。

 

しかし、サラサクリップ3Cの場合は、まずリフィルを3本束ねて、そこに生まれた隙間部分に細いバネを配置したサイドスプリング機構となっている。軸内部の容積を無駄なく使い切ることで軸のスリム化を達成した、というわけだ。

↑軸内でリフィルを固定するパーツの比較。サラサクリップ3Cには内壁がなく、その分だけスリムにできる仕組みだ

 

↑リフィルを束ねた隙間に細いスプリングを配置(上画像左)することで、スペースが効率よく使えている(図/ゼブラ提供)

 

サイド用の細いスプリングではノックフィールが物足りなかったり、ジャムなどの誤動作もあったりするかも? という心配があったが、実際にしばらく使った結果、違和感はまったくなし。少なくともノック部分については、ここに難ありと感じる人はまずいないのではないだろうか。

↑バネの違いは一目見れば分かるが、指で感じるノックフィールには意外と違和感がない

 

↑黒インクはノックノブがバインダークリップと兼用になっている

 

スリムなわりにインクは多めなのが重要なポイント

あらためて、ゲル多色ノックボールペンの定番どころを揃えてみたが、正直なところ、サラサクリップ3Cがビジュアル的に際立って細いという印象はない。軸の細さという点では、パイロット「ジュースアップ3」が最も細く、軸径10.7mm。これは、単色とほぼ同等か、むしろさらに細いぐらいである。書き味もシナジーチップの優秀さが際立っており、とてもスムーズ。筆者も、使いやすいゲルの多色ボールペンを挙げてくれと依頼された場合には、まずジュースアップ3をオススメしてきた。

↑一般的なゲル多色の比較。軸径はジュースアップ3(写真右端)がダントツで細い。次いでサラサクリップ 3C(左端)か

 

しかし、当然ながらジュースアップ3のリフィルは極端に細くなっており、シナジーチップの高いインクフローと合わせると、あっという間にインクを使い切ってしまうのである。

↑ただし、インク量はご覧の通り「サラサクリップ3C」の圧勝だ

 

もちろん書きやすさ・軸の細さとトレードオフの部分なので、そこは諦めて替えリフィルの携行で対応する、という手はある。とは言え、多色ボールペンは手帳と組み合わせて持ち歩く機会も多く、外出のたびに替えリフィルまでセットで携行することが煩わしいと感じる人もいるだろう。

 

それであれば、単色ほどではないがインク量がしっかりあるゼブラJKリフィルと、単色よりちょっと太いけど許容範囲内(…かどうかは個人の感覚だけど)の軸を有するサラサクリップ3Cは、かなり汎用性の高い組み合わせと考えられるのではないか。

↑ワンポイントが飛び抜けて優秀! というより、全体的にじんわりと良くできた多色ボールペンという感じ

 

手に持ったときに「おっ、すごいな!」と、感嘆の声が出るタイプの製品ではないが、地味ながら長く使い続けられる性能の高さと、それを支える画期的な新機構は文房具好きのマニア心にかなりグッとくる。というわけで、筆者もこれはしばらく使い込んでみようと考えているところだ。

 

ペンからスマホ・イヤホンまでまとめて斜めがけ! クツワ「文具エプロンバッグ ミニ」は高機能サコッシュの決定版では?

日常的に携帯しておく必要のあるもの、というのは人それぞれだと思う。例えば筆者の場合、まず何はなくともスマホは絶対に必要だし、それに加えてペンとメモ帳、ペン型ハサミ、ワイヤレスイヤホンあたりは常に身近にないと困る。これらのツールは基本的にすぐ使いたいものなので、「使いたい」と感じて2〜3秒以内には手元に取り出せているのが望ましい。

 

単に携帯したいだけなら、ポーチやペンケースにまとめてカバンに突っ込んでおけばいいのだが、問題はこの「すぐ使いたい」というところ。必要なものはサクッと取り出して、シュッと元に戻したい。そこでオススメなのが、いわゆる “腰袋” と呼ばれるタイプの収納ポーチだ。

 

スマホ+文房具が常時携帯できる「腰提げペンケース」

腰袋は、一般的に建築現場などで、作業をしている人の腰にぶら下がっている「工具類がいろいろ入ったポーチ」のことを指す。もしくは、美容師がハサミやクシなどを何本も腰袋に提げているのも、わりとお馴染みの光景だと思う。要するに、腰からぶら下げることのできるポーチであり、増設タイプのポケットみたいなものだと考えてもらえばいい。

 

ということで、今回オススメしたいのが、クツワ「文具エプロンバッグ ミニ」。工事現場用や美容師用の腰袋はどうしてもサイズが大きくなってしまうが、こちらは文房具メーカーが作ったものだけに、スマホ+文房具がいくつか収納できるぐらいの、ちょうど欲しかったサイズ感(H175×W145×D20mm)なのである。

クツワ
文具エプロンバッグ ミニ
1600円(税別)

 

感覚的には、腰から提げるペンケース、といった感じだろうか。ちなみにこの製品は2023年秋にリニューアルされたが、ネットショップなどではまだ以前の旧タイプも併売されているので、そこは要注意。今回は新モデル準拠で話を進めさせてもらおう。

 

収納部の構成だが、まず最後面にマチ付きの大ポケット(内部に仕切り付き)があり、その次が一段低い中ポケット幅の狭い小ポケット、そして最前面がメッシュポケットになっている。サイズが合えばどこに何を入れても自由だが、とりあえず大ポケットはスマホを収納しておくのに良さそう。筆者は6.7インチのiPhone 12 Pro Maxを入れているが、特にキツいとかはみ出すようなこともなく、スポスポと出し入れできている。

↑新モデルは最前面のポケットがメッシュタイプになっているのが識別ポイント

 

↑大ポケットは、6.7インチのiPhone Pro 12 Maxが入ってもこれぐらいの余裕がある。取り出す際に指もズボッと入れやすい

 

中ポケットはマチがないため、基本的には薄物用と考えた方が良さそう。リングメモや小型の手帳のほか、IDケースを一時的に収納するなんて使い方もいいだろう。高さは、標準的なボールペンを挿して、クリップがちょうどポケットのフチにかかるぐらいとなっている。

 

小ポケットは幅狭なので、収納物をちょっと選ぶ感じ。事務職の人ならシヤチハタ印を入れておくと便利かもしれない。ちなみに、筆者は冬場には手放せないリップクリームをここに入れている。

↑リップクリームやボールペンなど、いざというときにサッと使いたいツール類がまとめて携帯できる

 

リニューアルで新たに設けられたメッシュポケットは、フチゴムの弾力のおかげで、厚物を入れてもポロ落ちしにくいのがポイント。例えば、ワイヤレスイヤホンの充電ケースはコロンとした形状で意外と携帯しづらかったりするが、このメッシュポケットならピタッと収まってくれるのだ。

↑厚物を落とす心配なく収納できるメッシュポケット。正直、これがあるからリニューアル版を推しているところはある

 

腰への装着方法は3種類から選択可能

腰袋というからにはもちろん腰から提げて使うわけだが、この提げ方に関しては、(1)カラビナ (2)ベルトループ (3)専用ベルト(別売 550円)の3種類から選ぶことができる。この辺りは個人的な運用方法や好みもあるので、どれがベストかは一口に言うことはできないが、それぞれ使用感がかなり変わってくるので、できれば一通りは試してみるのが良さそうだ。

↑大きめのカラビナとベルトループは背面に備わっている

 

カラビナはベルトやベルト通しにひっかけるだけなので、装着は最も簡単。気軽に使うならばこれがベストだ。ただし1点で吊すのに加えて、腰からちょっと離れた位置にくるため、ブラブラと揺れやすくなってしまう。歩いているだけでもかなり揺れるので、それが気になる人には向かないだろう。

↑カラビナをパンツのベルト通しに引っ掛けて装着。手っ取り早いが、ブラブラと揺れるのが少し気になる

 

対してベルトループは2本のループにベルトを通すので、安定感はとても高い。揺れもほぼ発生しないし、身体の重心に近いところに固定できるので、腰袋自体の重さを感じにくいのもありがたいところだ。唯一の難点は、装着時にベルトが必須なこと。女性だとパンツやスカートにベルトを通さないことも多いので、その時点でこの方法は使えないわけだ。

↑本体ループにベルトを通して装着。これは文句のない安定性だが、咄嗟にベルトから外すことができないのが惜しい

 

筆者が普段から使っているのは、専用ベルトである。この専用ベルトの両端を本体左右のD環に付けることで、簡易的なヒップバッグのように運用することが可能になる。これなら装着は比較的簡単だし、ブラブラと揺れることもない。もちろんベルトを使わない衣服でも装着できるし、ベルトの長さを調節すれば、サコッシュのように肩掛けで使うことも可能だ。ベルトが別売りなのでコストはかかるが、個人的にはこれが一番使いやすいと思っている。

↑専用ベルトを腰に巻いて装着。安定性と装着の手軽さを両立するならこれがオススメ

 

↑肩掛けで使うと、スマホはさらに出し入れしやすくなる

 

普段からジャケットを着用しない人は、とにかくスマホの携帯場所に困りがち。パンツポケットに入れると型崩れするし、カバンに入れておくと、とっさに電話がかかってきても対応しづらい。そうなると、やはり腰袋の使用がベストアンサーではないかと思うのだ。スマホ+文房具に素早くアクセスできる携帯タイプのペンケースとして、「何かスマートな持ち運び方法はないかな~」と思っていた人や腰袋未体験の人にはぜひ試してもらいたい。

 

17年ぶりに進化した修正液が何を今さらと侮れない快適さ! 速乾と幅広ペン先に進化したぺんてる「ホワイトスピード」の実用性を検証

思い返せば、最後に修正液で誤字を直したのはいつだっただろうか……下手すると10年以上は昔かもしれない。自分用ノートの誤字はだいたい二重線で消すし、どうしても書き直したい場合には修正テープを使う。正直な話、訂正する際に「修正液」という選択肢があるのを忘れていたぐらいである。

 

それなのになぜ急に思い出したかと言うと、ぺんてるから17年ぶりに修正液の新製品が出た、という話を耳にしたからだ。果たして、今出る新製品の修正液にどれほど価値があるのか? なんて疑ってしまったのだが……いや、しかし使ってみるとこの新しい修正液、かなり面白いぞ!?

 

最新型修正液は修正テープと液のいいとこどり!?

そもそも修正液には、大きなネガティブ要素がいくつかあるように思う。「塗って乾くまでに時間が掛かる」「塗りむらができやすい」「厚塗りになるとひび割れる」「ペンタイプだと広い面積を修正しづらい」といった部分がそれだ。修正テープを使えば、それらの問題が一発で解決できるのだから、取って代わられるのも当たり前と言えるだろう。何より、仕上がりもきれいだし。

 

それに対して「修正テープと液のいいとこどり」を謳うのが、話題の新製品こと、ぺんてるの新型修正液「ホワイトスピード」である。つまり、乾燥が早くて、塗りむらができず、厚塗りにならずひび割れもせず、ペンタイプなのにテープのような幅を一気に塗ることができて、さらに修正テープには難しいこともこなしてしまう、というわけ。もしこれが本当だとしたら、修正液の復権も充分にあり得るのではないだろうか。

ぺんてる
ホワイトスピード
400円(税別)

 

早速試してみた。まず最初に驚いたのは、これまでにないユニークな幅広ペン先だ。軸をカチャカチャ振って液を攪拌したら、三つ叉になっているペン先の中央を修正したい文字の頭にグッと押し当てる。すると中から修正液がドバッと出てきて、三つ叉の両サイドいっぱいまで一気に広がるのだ。あとは、ペン先を押し当てたままでペン先をスライドさせてやると、まるでテープのように修正液が塗り広げられる、という仕組みだ。

↑「中央の吐出口からドバッと出た修正液を、左右のヘラ状パーツでちょうど良い幅に調える」という面白い方法で塗り広げるペン先

 

このペン先の性能はかなり優秀で、塗り広げられた液は厚塗りになりにくく、ムラがない。薄く均一に伸びるので、一見してテープを引いたように見えるほどである。液体なので、曲線を塗ったり、1文字だけ修正したりすることも簡単にこなせる。この点は、明らかに修正テープよりも優れた要素と言えるだろう。

↑ひと塗りで液幅は約4.5mm。一気に広く塗れるのでムラにもなりにくい

 

↑カーブも自由に描けるので、修正だけでなく画材としても役立つかも

 

液が薄く広がるのに加えて、乾燥に要する時間も従来の半分と大幅に短縮されている。さすがに「塗ってすぐ」というレベルではないが、塗って、キャップを戻して、書き直しのためにボールペンに持ち替えて……ぐらいのタイミングでなら充分に乾いているはず。

 

また、乾いてもある程度の柔軟さが維持されるようで、修正した部分を紙ごと折り曲げても割れたり砕けたりしにくい。これは既存の修正液と比べてかなり驚かされる部分だ。

↑紙を折っても修正箇所がひび割れないのは安心感が高い

 

テープよりこちらを選ぶ価値は充分あり!

修正後の隠ぺい力に関しては、事前にきちんと攪拌さえできていれば、なんの不満もないレベルだ。この辺りは、ずっと修正液を出し続けていたぺんてるならでは、というところだろう。

 

さらに、薄くムラなく塗れるため、修正した上から書き込みを行っても、デコボコした感じがないのもポイント。インクのノリも充分で、油性・水性・ゲルインクどれでも問題なく追記することができたし、そこだけ可読性が落ちるようなことも無かった。

↑表面がデコボコしないため、修正後の上書きもサラッと書ける

 

↑キャップは二重キャップになっており、それなりに密閉性が確保されている

 

使用してみた正直な感想は、この性能であれば「修正テープよりこっちがいい」というケースも充分に考えられるかも、ということ。テープよりも塗り方に応用が利く分、むしろこっちのほうが使いやすく感じるぐらいだ。さすが17年ぶりの新製品だけあって、進化の度合いはかなりのものである。

 

ただし、乾燥が速い=ペン先の詰まりは起きやすい。できれば毎使用後にきちんとペン先を拭うか、細い綿棒で掃除することをおすすめしたい。

↑使用後にペン先を拭き取っておかないと、あっという間に目詰まりを起こしてしまう。こればかりは少し手間かも……?

 

繰り返し使用するうちにペン先の手入れを手間に感じてくるか、それとも「この性能だから仕方ないか」と受け入れられるようになるか、しばらく使って試してみたい。

 

ハサミも入る大容量なのに倒れないなんて!自立するペンケース「エアピタファスナー」がデスクワークに勧めたい4つの理由

2006年発売のコクヨ「ネオクリッツ」を元祖とした自立型ペンケースは、15年以上経った現在でも人気が高い。むしろ、今やペンケースのひとつのジャンルとして定着した感がある。何と言っても、狭い机の上でも場所を取らないうえに、使いたいペンにすぐ手が届くアクセスの良さは、一度慣れるともう普通のポーチ型ペンケースには戻れないほどである。なかでも、“倒れない” 機能を備えたペンケースは特に人気である。

 

その代表的な商品のひとつに、2020年に発売し、第9回文房具総選挙「収納する」部門で堂々の1位にも輝いたクツワ「エアピタがある。同商品は底面に吸盤を備えており、これで机の天板にピタッと吸着して自らを固定することで倒れなくなるという仕組みである。それだけで使いやすさが大幅にアップするのだが、このシリコン製のファニーな外見が、大人としてはちょっと使いづらいなーと感じる人も多かったのではないだろうか。

↑吸盤でピタッとくっつく、2020年に発売されたクツワの自立型ペンケース「エアピタ」

 

社会人でも気兼ねなく使える、
吸盤で立つ自立型ペンケース

個人的にはシリコンがま口のエアピタはかわいくて好みではあるのだが、一般的な社会人がオフィスで使っていると、人によっては意外性からチラッと二度見ぐらいはされるかもしれない。もちろん、どんなデザインを使おうと自由ではある。だが、シャイな社会人にとっては、なかなかに使いづらいデザインでもある、ということ。便利なだけにもったいないなーと思っていたら、案の定そういうニーズがあったようで、このほど新たに布タイプの「エアピタファスナー」が登場した。

クツワ
エアピタファスナー
1800円(税別)

 

エアピタがシリコン素材に金属フレーム入りのがま口開口だったのに対して、エアピタファスナーはポリエステル生地にファスナー開口に。素材の軽さに加えて内部フレームを廃したことで、重量が約半分(176g→90g)にまで軽量化されたのは、地味に嬉しいポイントだ。

 

自立させるときは、ただトンと机の上に置くだけ。実はこの時点ですでに吸盤が機能しており、あとは本体を揺らそうが、大きく傾けようが、ピタッとくっついたままという優れものだ。

 

狭い机の上だと、立たせていたペンケースにノートPCのモニターが当たって倒れる、というケースもよくあるが、当然その程度の衝撃ではビクともしない。なんなら、そのまま逆さまにする勢いで本体を曲げても、くっついたままになるほどの吸着力である。

 

吸盤の役割を果たしているペンケース底の薄いシリコンの円盤は、一見すると「こんなペラペラでくっつくの!?」と疑念が湧いてしまうが、実際に立ててみると、その強力さを実感できる。エアピタシリーズを初めて触った人は、だいたいこの時点で「くっつけるつもりが無かったのに、持ち上げられない!」と慌てるはずだ。そう、そのぐらいにしっかり、ピッタリと吸着してくれるというわけ。

↑平面に置くだけで吸着する、底部のシリコン吸盤

 

「そんなに強力じゃ、剥がすときに面倒なんじゃない?」と思う人もいるだろうが、ご安心を。吸盤を剥がすときは、底部正面の「air pita!」と刻印されたタブを軽く押しながら持ち上げればOK。これだけで吸盤内に空気が入って、簡単に持ち上げることができる。

 

逆に言うと、このタブを押さない限り、ただ垂直に引っぱるだけでは簡単には剝がれない。実際に計測してみたわけではないが、筆者の経験から考察するに、まず耐荷重2kg以下ということはないだろう。

↑吸盤の耐荷重は公表されていないが、約500gのタブレットを吊り上げるぐらいは造作もない

 

使いたいペンにサッと手が届く

ファスナー(両開きできるWファスナー)を開けると、内部は大きな荷室+上部に消しゴムなどの小物を収納するポケット1つという構成。荷室の容量は、ボールペン15〜20本ぐらいが余裕で飲み込めるサイズとなっている。吸盤のおかげで、ハサミやカッターなどの重量物を多めに入れても倒れにくいので、工作用のツールポーチとしても使いやすそうだ。

↑ペン15本を収納した状態

 

↑エアピタファスナーから新たに追加された小物ポケット

 

さらに、フタをガバッと開けて本体に押し付けると、内蔵のマグネットで開いたままで固定することも可能だ。これによって中身の出し入れはとてもスムーズ。閲覧性も高く、使いたいペンにサッと手が届くはずだ。ただし、ファスナーの開き具合によってはマグネットが上手く効かず、フタが戻ってしまうこともあった。磁力そのものはさほど強くはないので、開けっ放しにしたい場合はフタを本体にグッと押し付けるようにするのがコツだ。

↑フタは内蔵磁石でくっつけて固定できる。ただし磁力は弱めなので、フタを意識してしっかり折り曲げるのがコツ

 

スマホの縦置き・横置きに対応

フタの端にあるベロにスマホを引っ掛けるようにして置くと、縦置き・横置きどちらでも安定して立たせられるスマホスタンドとしても機能する。狭い机の上が書類やノートPC、文房具などでゴチャゴチャしていると、スマホの置き場所に困ることもよくある。ゆえに、ペンケースにスマホスタンド機能があると、意外とありがたいのだ。もちろん、動画視聴やビデオ会議にも間違いなく重宝するだろう。

↑スマホの置き場として重宝するスタンド機能。仕事の気分転換に動画を眺めるときにも便利だ

 

ちなみに、これは筆者の主観に過ぎないのだが、これまでに発売されていた「倒れない自立型ペンケース」は、透明プラだったり、エアピタのようにシリコンでパステルカラーだったりと、なぜかファニー要素強めのものが多かった。その点、エアピタファスナーは、初の「オフィスでも使いやすい、倒れない自立型」と言えそうだ。

 

機能的にはとにかく便利なのは間違いないので、これまで遠巻きに眺めているだけだった人も、ぜひエアピタファスナーを導入して吸盤でピタッとくっつく快適さを体験してほしい。

 

2色のシート&ペンでさらなる効率アップ! ソニック「速暗」が試験の追い込みに最適な理由

中高生の勉強のうち、暗記が占める割合はそれなりに大きい。応用問題を解くにしても、まずそのスタートラインに立つ前に “覚えておかないと始まらない” 基礎的なことは、丸暗記しておく必要があるからだ。例えば英単語や数学の公式、歴史上の出来事なども、そのまま暗記しておくしかない。

 

そういった暗記科目の勉強方法として定番なのが「暗記ペン+暗記シート」を使った、いわゆる目隠し暗記である。覚えておくべき部分を赤ペンでマーキングして、上から緑の半透明シートをかけるとマーキング部分が見えなくなるという、アレだ。数十年前からある勉強法だが、実は最近、それがちょっと進化したアップデート版が発売されたのはご存知だろうか? 今回はそんな進化した「暗記ペン+暗記シート」学習ツールを紹介しよう。

 

2色ペン+2色シートで効率的な暗記学習

SONiCから発売された「速暗」シリーズは、「暗記ペン+暗記シート」学習の効率を高めて暗記スピードをアップさせるためのツールだ。ラインナップは2種類で、反復暗記に効く「赤/緑シート+ピンク/ブルーの2色マーカー」セットと、ヒントが出せる「オレンジ/ピンクシート+オレンジ/ピンク2色ペン」セットとなっている。どちらも2色ペンで書いて2色シートで隠す、という構成になっているが、その使い方と勉強の方向性がまったく別物なのが面白い。

SONiC
速暗!
2色で引いて覚える 暗記用ペン&4枚シートセット
2色で書いて覚える 暗記用ペン&4枚シートセット
600円(税別)

 

赤/緑シートセットを使う場合は、参考書やノートの文中にある覚えたいワードを、約4mm径のピンクマーカーとブルーマーカーで交互にマーキングする(交互に、というのがミソ)。そこを赤のシートで覆うとブルーのマーキングが消え、緑のシートだとピンクのマーキングが消える。

↑セットには、縦分割/横分割の2色シートがそれぞれ2枚ずつと、専用マーカーが含まれる(画像は、2色で引いて覚える 暗記用ペン&4枚シートセット)

 

↑暗記したいワードにピンク・青・ピンク……と交互にマーキングを施す。年号はピンク、人物名は青、といった塗り分けも良さそう

 

従来の暗記学習は、1ページ内のマーキング箇所(目隠し)が多すぎると文章が意味をなさなくなるし、難易度が高くなりすぎて学習効率が落ちる、というデメリットがあった。しかし、2色で交互にマーキングしておけば、1色のシートで隠れるワード数が従来の半分になるので、難易度は適度に調整される。さらに、緑シートで覚え終わったら次は赤シート、というようにすぐ問題を切り替えることもできるので、何度も反復しての暗記効率を上げることもできるという仕組みである。これは大量の暗記項目がある英語や古文、または理系科目に効きそうだ。

↑赤シート、緑シートでそれぞれ目隠しされるワードが違うので、暗記する内容が多くても「目隠しだらけ」にならず覚えやすい

 

↑赤/緑シートセットに付属のWチゼルチップ・マーカー。変わった軸形状だが、握った際に安定して直線を引きやすい

 

正味の話をすると、お馴染みの「マーカー+カラーシート暗記学習セット」から機能的になにかが変わっているわけではない。製品としてユニークなのは、 “2色のマーカーによる2通りの目隠しを使った、効率的な暗記学習法の提案” という部分なのである。

 

新しい暗記メソッドによる効率的学習

もう一方のオレンジ/ピンクシートセットは、文字を書く用に約0.6mm径のオレンジ/ピンクの中字ペンが同梱されている。こちらは、例えば英文の長文問題の中で、記憶が危うい・または難しい単語の訳をピンクで書き、さらに全体的な訳文をオレンジで書くのに使ってみよう。

↑Wマーカーはピンクをヒント、オレンジを解答の記入に使う。軸にそれぞれ「answer」「HINT」と書いてあるので、間違えないように

 

↑長文問題に使う場合、単語訳(ヒント)と訳文(解答)で書き分ける

 

これをピンクのシートで覆うと、書き込みが全て消えるので、まずはノーヒントで文章訳にトライする。分からなかった場合は、シートをスライドさせてオレンジに切り替える。すると、ピンクで書いた単語訳だけが浮かび上がるので、それをヒントにして再考ができるという仕組みだ。 “考えても思い出せない部分” にずっと滞在しなくて済むのは、地味にメリットが大きいのではないだろうか。分からないところはどうしたって分からないのだから、素早く諦めて次に行くか、ヒントをもらって再考するほうが効率的なのである。

↑ピンクのシートで覆うとヒント・解答ともに隠れるので、まずは独力でチャレンジ

 

↑画像では分かりづらくて申し訳ないが、オレンジのシートに切り替えると、ピンクで書いたヒントがうっすらと浮かび上がる仕組みだ

 

というのも、暗記内容を単体で覚えるよりも、ヒントや別のキーワードと紐づけて覚えたほうが記憶が定着しやすく、また思い出すときもスルッとスムーズに出やすい。加えて正答できなかったという失敗体験は、勉強を継続するうえでそこそこ大きな足かせともなり得る。独力で考えて不正解になるより、ヒントを見ながらでも正解を出せたほうがテンションは上がるし、集中力も長続きしやすいはずだ。暗記=厳しいものと思われがちだが、こういう甘やかされる暗記学習だって、あっていいはずだろう。

 

また、製品の工夫としては、シートの色分割が縦と横それぞれが付属(各2枚入り)しているところが、なかなか面白い。図面や単語暗記の場合は縦分割の方が使いやすいし、文章問題だと横分割でないとはみ出してしまうこともある。どちらの使い方にも両対応しているのは、メーカーとしての丁寧な配慮だなと思った。

↑縦分割シートを使った単語の大量暗記。英単語のスペルと単語訳をそれぞれブルーとピンクに分けて塗っておく

 

↑シート色を切り替えると、暗記する内容(この場合はスペル/単語訳)が切り替えられる

 

暗記というのは結局のところ、反復して脳にすり込むのが重要だ。だからこそ、効率的に反復できるように、一度の情報量を適度に制限すること(赤/緑シート)や、ヒントによって正しい記憶に導くことで失敗体験をさせないこと(オレンジ/ピンクシート)といった工夫がありがたいのだ。

 

なにより、単に漫然と暗記シートで目隠しするよりは、きちんと記憶定着のための理屈がある勉強方法をやったほうが正しいはず。暗記項目が多ければ赤/緑シート、長文問題なら オレンジ/ピンクシートといった使い分けは必要になるが、うまく導入できれば暗記効率はしっかりと上がりそうだ。

 

養生テープの革命だ!アスクルが生んだ繊維さえ見えない高透明養生テープの筆者が見つけた意外な使い道

引っ越しの際に、運送会社のスタッフが壁面やドアの周りに “緑色のテープ” でクッションシートを貼っているのを見たことがあるだろうか? あの緑色のテープは「養生(ようじょう)テープ」と呼ばれるもので、建築現場や物流、引っ越しなどの現場では欠かせない道具のひとつ。最近は100均でも複数色の養生テープから選んで買えるようになり、すっかり一般化したなぁという感はあるが、ひょっとしたら明確には知らなかったという人もいるかもしれない。

↑壁面の保護に加えて、引き出しが開かないように固定するなど、引っ越し現場などで養生テープは大活躍する

 

養生テープは、ガムテープなどの粘着テープと違い、最初から剥がす前提で作られている。粘着力が強すぎないので、壁紙などに貼ってもダメージを残さずきれいに剥がすことができるのが特徴だ。だからこそ引っ越しなどで多用されているわけだが、この再剥離能力は、ポスターや貼り紙といった掲示物を貼り出す際にも活用されているそう。便利アイテムであることは間違いないのだが、正直なところ貼り紙などの掲示用としては、従来の養生テープには決定的な弱点があるのだ……。

↑ダンボールの中身リストを貼っておいたのに、テープで文字が隠れてしまっている状態

 

完全に透明なのに再剥離&手で切れる不思議な養生テープ

養生テープは、基材(粘着材を塗布するベース)にポリエチレンの繊維を縦横に編んだもので作られている。表面に細かい網目があるので手で簡単に切ることができるのだが、素材の特質上テープ自体が半透明なので、貼りものに使うと、どうしてもフチをテープが覆い隠してしまい、見えない部分ができてしまう。

 

とはいっても、養生テープはその名の通り、建築・引っ越しの現場での養生(壁などに傷・汚れが付かないよう保護する)がメインの役目。掲示物を貼るのは有り体に言えば「じゃないほうの仕事」と言えるだろう。

 

ところが、2023年12月に、「じゃないほう」のために養生テープが新開発された、というリリース情報が発表され、と文房具界隈の一部が軽くザワついた。その養生テープこそ、オフィス通販ASKULの「現場のチカラ 掲示用 高透明養生テープ」(以下、掲示用養生テープ)である。

ASKUL
現場のチカラ 掲示用 高透明養生テープ
330円(税別)

 

ロールの状態では少々分かりにくいかも知れないが、引き出してみればなるほど、確かに透明性が非常に高い。これまでにも半透明の養生テープは存在したが、従来品と比べてみるとその差は歴然。完全に別物のテープと言っても良いレベルだ。従来品であれば肉眼でもはっきり見えるはずのテープ基材繊維がまったく確認できないので、そもそも本当に養生テープなのか? という疑念すら湧いてしまうほど。

↑一般的な養生テープはポリエチレン繊維の編み目が分かるが、高透明は単なるフィルムテープにしか見えない

 

・粘着力と再剥離性は?

掲示用養生テープは、粘着力に関しては、明らかに剥がす前提のテープだと分かる弱さで、壁紙やダンボールに貼って剥がしても、ダメージはほぼ残らなかった。試しに従来の養生テープと比較してみたが、粘着力はほぼ同等程度。これなら安心して、養生目的で使用できそうだ。

↑壁紙に貼って剥がして……を繰り返してもダメージは無し。これなら安心していろんな場所に貼れそうだ

 

・手で楽にカットできるか?

養生テープのもうひとつの特徴である、「テープが手でスパッと切れるか」という点においても問題なし! ……と言いたいところだが、正直に言うと少々コツが必要。適当にテープを持って切ると、ウニョッと伸びてしまうことがあったので、切る際にはテープ端を片手で押さえつつ、もう片方の手で勢いよく引く、という動作が重要になる。この感覚さえつかめば、気持ち良くスパスパと切ることができるだろう。

↑手で切るときは、まず左手でテープを固定し、そのすぐ近くから右手で下方向に引き切る

 

↑すると、スパッとまっすぐカットできた

 

貼って剥がせる高透明テープだから、掲示物に最適

手で切ろうとして力を加えるとテープが伸びる、というのは、梱包用のPPテープでたまに発生するもの。実はこの掲示用養生テープは、基材にポリプロピレンのフィルムを使用しているので、素性としてはPPテープに近い。機能面は養生テープなので、まさにハイブリッドであり、両方のいいとこ取りをしたような製品なのだ。

↑繊維質の養生テープではまず発生しない、切り損なったテープの伸び。フィルム基材なのがよく分かる

 

PPテープと同じポリプロピレンフィルムなら、なるほど、透明性が高いのは当然だ。掲示物のフチにぐるりと貼っても下の印刷部分がくっきりと見える。これは従来の養生テープでは不可能なことだったので、正直、かなり衝撃的な性能と言えそうだ。

 

従来の養生テープと比較してみると「高透明」というのは伊達ではないことが分かる。1巻あたりの値段は普通の養生テープより少し高いが、それだけの仕事はしてくれると思えば価値ありのアイテムだ。

↑半透明養生テープと高透明養生テープの比較。掲示物を貼るなら高透明を選んでおけば間違いない

 

ちなみにASKULによると、コロナ禍の折、ソーシャルディスタンスの注意喚起などで掲示物を貼り出す機会が全体的に増えたという背景があったそう。それにともない、掲示用に養生テープを購入するユーザーも増えたのだとか。このままいけば、もしかしたら掲示物の貼り出しが養生テープの「もうひとつの方の仕事」ということになる日も来るのかもしれない。

 

さらに透明度の高い養生テープは、貼り出し以外にも役立つシーンがありそう。例えば、筆者はDIYで棚などを作る際に、パーツの仮止めとして養生テープを使うことがあるが、今後は掲示用養生テープを使いたいと思っている。木材に貼って固定ができて、後からキレイに剥がせるならなんだって文句はないのだけれど……テープがより透明だと完成形のイメージが掴みやすいのは間違いないだろう。

↑工作の仮止めも高透明養生テープが圧倒的に使いやすい

 

高透明性&再剥離という性能は、掲示物の貼り出し以外にもインテリアとしてのポスターを部屋に飾るときや裁縫の仮止めなど、他にも使い道がいろいろとありそう。「どう使うと便利だろう?」と考えるのが楽しいアイテムである。

 

2mmとは斬新!ゼブラ「クリックブライト」のワンノックで出るペン先がラインマーカーなのに極細なワケ

筆者はラインを引きながら読書することが多く、ラインマーカーの使用頻度はけっこう高い。電車やバスで移動する際にも本を読むので、本来なら移動中にもラインマーカーを使いたいのだが、これがなかなか手間がかかる。

 

片手で本を開いたまま、もう片方の手でマーカーのキャップを開け、次にマーカーを握ったままキャップを(ペン先が服につかないよう注意しつつ)いったんポケットに入れる。それでいよいよラインを引いたと思ったら、またポケットからキャップを取り出して閉めて……という作業は、揺れ動く車内ではあまりにも難易度が高すぎる。実際、恥ずかしながら今はいているジーンズのポケット周りには、蛍光ピンクのインク染みが何か所も残っていたりするのだ。

 

つまり、普通のラインマーカーを机の上以外の場所で使うのは、それぐらい難しいというわけ。それであれば試してみたいのが、キャップ不要のノック式ラインマーカーである。

 

ラインマーカーはノック式が圧倒的に便利

ゼブラ「クリックブライト」は、片手ノックで簡単にペン先チップを出し入れできるラインマーカー。カラーラインナップは、ピンク・オレンジ・黄・緑・ライトブルー・紫と、普段使いしやすいベーシックな6色展開となっている。

ゼブラ
クリックブライト
各120円(税別)
6色展開

 

一般的にラインマーカーはチップの表面積が大きいため、油断していると簡単にドライアップ(インクが乾いてしまう)しがち。そのため、どうしても気密性の高いキャップが必要となっていた。これまでにも他社製品のノック式ラインマーカーは存在したものの、チップ収納時にペン先を密閉するためには、ノックに連動する複雑なシャッター機構が必要となる。そのため軸が太くなったり、価格が少々お高くなったりするなどのデメリットがあったのだ。

↑ボールペン感覚でノックすればペン先チップが出てくる。キャップ着け外しの手間がないのがクリックブライト最大のメリットだ

 

↑軸のゲージからノックのオン/オフを確認できるので、うっかりペン先を出しっぱなしで携帯してしまうトラブルの予防に役立ちそう

 

それを解決したのが、ゼブラ独自開発の「モイストキープインク」。このインクは、空気中の湿度を吸収することで自ら乾燥を防ぐという、どこか魔法のような特性を持つ。ペン先収納状態なら、なんと52週間はドライアップしない(気温20℃・湿度60%の条件下)ので、これなら、シャッター機構による密閉などがなくてもドライアップ知らずで書き続けることが可能だ。

↑インク自体が空気中の湿度を吸収してチップが乾くのを防ぐ

 

↑従来のノック式マーカーがシャッター(写真右、黒い部分)で気密しているのに対して、クリックブライトは中まで素通し。これも特殊なインクあればこそだ

 

モイストキープインクは、2019年発売のノック式サインペン「クリッカート」から採用されたインクだが、ようやくラインマーカーにも搭載される運びとなった。ラインマーカーを多用する身としては、まさに「待ってました!」という、待望の製品なのである。

 

細かい文字にマーキングしやすいハーフラインチップ

このクリックブライトには、もうひとつ語るべきポイントがある。それが、一般的なラインマーカーチップの約半分幅という、小さなハーフラインチップだ。ペン先の幅は約2mm。実際にノックでペン先を出して見ると、他にあまり見かけないその小ささに「おっ」と軽い驚きがある。

 

例えば、文庫本やカタログなどの小さい文字列をマーキングすると、その左右両隣の行にまで塗りがはみ出してしまうのは、よくあることだろう。一般的に文庫本の文字サイズが2.8mm~3mm角ぐらい。従来のマーカーチップが4mm幅なので、少しズレただけで隣の行にまでかかってしまうこともありうる。後から読み返した際にどこをマーキングしたのかが分かりづらくなってしまっては本末転倒だが、クリックブライトの普通より幅が狭いペン先ならその問題も解消される、というわけ。

↑一般的な4mm幅チップ(写真上)と、クリックブライトの2mm幅ハーフラインチップ(写真下)の比較。細さは一目瞭然だ

 

↑文庫本にマーキングした様子。シャープに強調できて紙面がうるさくならない印象

 

さらに、雑誌の写真キャプション(画像の下に入る説明書き)のような極少文字にもマーキングできるというのは、従来のマーカーではまずできなかったこと。もちろん、手帳への細かい書き込みをマーキングするときにも使いやすそうだ。ラインマーカ―の幅に関しては「大は小を兼ねる」とはいかないだけに、他では代え難い性能と言えるだろう。一方で、文字の下にアンダーラインを引く場合は、目立ちやすい太め(2mm幅)の線が引けるマーカーだと考えれば、使い道が増えそうだ。

↑脚注やキャプションといった極小文字(6pt前後)にマーキングするなら、ハーフラインチップがジャストフィットだ

 

個人的には、暖色系(ピンク/オレンジ)はちょっとインク色が濃すぎて下の文字の視認性が落ちるかな? と、気になる部分もなくはない。とはいえ、ノック式の優れた携行性とハーフラインチップの独自性を考えれば、筆者以外にも「こういうラインマーカー待ってた!」と感じる人はわりと多いのではないだろうか。

 

大人の悪筆も矯正!「ポジットペンシル」を字にコンプレックスを抱える筆者が試してみたらどうなった?

「字が汚い」とか「落ち着きのない子どもっぽい字になってしまう」ことにコンプレックスを抱えている人は、意外に多く存在するのではないだろうか。実は、筆者もその一人。この連載の筆記具レビューでは、いつも落ち着きのない汚文字を読者諸氏にさらすことになるのが、本当に恥ずかしいのである。……などとボヤいていると、知人から「今さらだけど、筆記具の握り方が間違っているんじゃない?」という指摘を受けた。

 

そこで改めてネットで調べた “正しいペンの握り方” と自分の握りを比較してみると……確かにちょっと違っていた。そして正しい握り方だと、ペン先が自由に動かしやすく、ほんのちょっとだけれどマシな字が書けているように思えたのだ。それならば、正しくペンを握るための矯正グリップなどで握り方を矯正すれば、もっときれいな字が身につくのではないか?

↑左が以前までの筆者の握り方。中指以下を強く握り込んでしまっているため、窮屈でペン先が動かしにくかった

 

自然に正しい握り方ができる矯正シャープペンシル

しかし、矯正グリップ導入にはひとつ問題がある。握り方矯正グリップのほとんどは幼児〜小学校低学年向けに作られていて、鉛筆に装着して使う前提のものばかりなのだ。鉛筆を削る度にいちいち矯正グリップを外して、また着け直して、というのはボールペン・シャープペンシルに慣れた身ではどうしても面倒くささが先立ってしまう。では他に何か良いものはないか、と探していたところ、2023年9月に発売されたソニック「ポジットペンシル」に行き当たった。

SONiC
ポジットペンシル(芯径1.3mm/0.7mm)
850円(税別)

 

ポジットペンシルは、太芯(0.7mm/1.3mm)の三角軸シャープペンシルと矯正グリップが一体化した筆記用具だ。当然ながら芯を削る必要がないので、グリップの着け外しもしなくて済む。シリコン製のグリップからは、左右に各1本のリングが飛び出しており、握る際にはそれぞれのリングに親指と人差し指を下から上へ通す形となる。

↑ポジットペンシルを装着した状態。リングのねじれに合わせて指を沿わせると自動的に最適な握りになる仕組み

 

グリップ下部には凹凸があり、軸を握ったときに中指の側面から腹側までがフィットする。左右リングで親指と人差し指を固定しつつ、下部の凹凸に中指をハメ込むように持つことで、自動的に最適な握り方が決まるという仕組みだ。しかも、リング固定のおかげで軸を握るのに指の力はまったく必要なく、ただ軽く指を添えるだけでOK。

↑下部のくぼみに中指をはめることで、さらにペン先が動かしやすくなる

 

この力加減が身につけば、字が汚い人にありがちな「つい無駄に力を込めてグリップを握る」→「力が入りすぎて指が上手く動かせない」→「字が汚くなる」という負のコンボを元から絶つ効果も期待できるのではないだろうか。また、無駄な力を抜くことができるので、長時間筆記がラクになる可能性も高いだろう。

↑指にはほとんど力を入れず、グリップに沿わせるだけ。おかげでペン先がかなりスムーズに動かせるようになった

 

加えて、線を引くための指の動かし方も、このグリップなら理解しやすい。右利きの場合、ペンで縦線を引くには人差し指で軸を下に押すように、横線は親指で右側に押すように、上側に跳ねるには中指で持ち上げるようにコントロールするのが基本。これもリングと下部の凹凸を意識することで、力を使わず効率的にペン先の移動を制御することができるのだ。筆者は特に、横線が極端な右上がりになるクセがあるのだが、しばらく使っているうちに意識ひとつでかなりコントロールできるようになった。

↑指先で操作しやすくなったため、線の上がり癖も少し緩和された気が……

 

シャープペンシルは1ノックで長く書けるセミオートマ機構を搭載

シャープペンシル自体は、“セミオートマチック”とでも言うべき機構を搭載している。これは、筆記によって芯が減ると先端の金属パイプが紙に当たってわずかに後退し、その後退分だけ芯が新たに露出するという仕組みだ。そう聞くと最近人気のオートマチック機構のように思えるが、後退したパイプは自動で元の位置に復帰せず、再びノックし直すまではただ後退し続けるだけ。なので、オートマではなくセミオートマと呼ぶのがしっくり来る感じだ。

↑セミオートマ機構は、金属パイプが後退しきるまでノックせずに書き続けることが可能

 

リングに指を通している都合上、握り変えてのノックにやや手間があるため、この機構を搭載しているのだろう。せっかくならオートマ機構にしてくれたら良かったのに……と思わないこともないが、これでも普通のシャープと比べて1ノックで書ける距離は2.5倍ぐらい長くなるので、そこはまぁ我慢かな、というところ。太芯だけに偏芯も気になるのだが、偏芯対策として軸を回転させることが一切できないのは個人的に残念である。

 

ところで、ボールペンを日常筆記具として使っている我々のような字が汚い大人は、この便利なグリップを普段のボールペンと合わせて使ってみたい、と思うんじゃないだろうか? それなら、偏芯も気にしなくて済むわけだし。

↑個人的には、シャープペンシルよりもボールペンに装着して使いたい。グリップがツルツルしたペンに着けるとより効果的だ

 

結論から言うと、このグリップを軸径の合う別のペンに付け替えることも、可能といえば可能だ。グリップは大パーツと小パーツに分割されているため、外す場合は大パーツを先に動かすのがコツ。装着する場合は、逆に小パーツを先に動かす、と覚えておくと作業がしやすい。

 

ただし、メーカーが認める使い方ではないため、万が一破損などしても自己責任。もし試す場合には、そこは承知のうえでお願いしたい。

↑着け外しをする場合は、分割によってリングが伸びきらないように気をつけるとやりやすい

 

ポジットペンシルは学童用グリップであるため、ややファンシーな外見なのは仕方がない。個人的には、そこを押してでも字がきれいになるなら使うべきだと考えている。ただし、すでに自分の握り方が完成していて自筆に不満がない人が使うと、単に指が固定されて窮屈なだけの拘束具になってしまうので、そこは注意して欲しい。

 

現時点で最強ビジネスリュック!?降ろして即仕事を開始できる「移動文房」がまさに“移動する書斎”だった

筆者もそうだが、日常の移動にビジネスリュックを使う人は多いだろう。昔と比べてノートPCやガジェット類など、持ち運ぶモノの重量が大幅に増え、“手提げのビジネスバッグ”では対応できなくなった、というのが大きな理由のひとつ。スマホを使うのに両手を空けておきたいからリュックを選ぶというケースもあるらしい。

 

とはいえリュックにはデメリットもある。とっさに中身を取り出しづらかったり、荷室が深すぎて整理しづらかったり……というのは、リュックユーザーなら誰しも感じたことがあるはずだ。入っていたはずの物が見つからず、リュックの口を大きく開けてゴソゴソとかき回すというのは、あまりカッコいい姿とは言いがたい。バッグインバッグや増設ポケットなどでアクセス性を改善するのも手段のひとつだが、それならいっそ根本的に、欲しいものがすぐ取り出せるリュックに切り替えてみる、というのも手ではないだろうか?

 

背負って持ち運べる“書斎リュック”

ビジネスリュックを肩から降ろして一番に取り出すものといえば、ノートPCが挙げられる。次いで、ケーブル類やマウス、モバイルバッテリーといった小物類だろう。つまり仕事に使うツールを取り出す機会が圧倒的に多いのだから、それらの取り出しに特化したリュックこそが便利である、と考えられる。

 

そこで、これまでに数多くの文房具を生み出してきた“文具王”こと高畑正幸氏が考案したのが、「肩から降ろしてすぐ仕事が始められるリュック」こと「移動文房」である。“文房” というのは中国語で仕事部屋や書斎を指す。つまり、書斎の作業環境を丸ごと背負って移動できるから、移動文房というわけだ。

SUPER CLASSIC
移動文房
2万7000円(税別)

 

フォルムはリュックとしてはかなり薄型で、ビジネスリュックとしてもコンパクトな部類と言える。当然ながら容量も少なめだが、その分、整理収納に関してはかなり思い切った方法を取っている。その最大のポイントとなるのが、面ファスナーで留まった上面フラップをめくると現れるコンテナ型のガジェットケースだ。

↑サイズは約40×32×12cm。電車移動もあまり気にならないスリムさだ

 

ダブルファスナーを引いてフタを開けると、ACアダプタやケーブル、マウス、モバイルバテリー、名刺ケース、アイウェアなどが入るケースになっている。さらに面ファスナーによる可動式の仕切り板で内側の整頓も可能だ。ひとまず日常的に使うツールは、だいたいここにまとめておけばOK。必要なときにケースごとドンと机の上に取り出せば、ツール類をゴソゴソ探す手間はもう必要なさそうだ。

↑上面フラップをめくれば最速でアクセスできるガジェットケース

 

↑ガジェットケースは深さ10cm。これだけあればだいたいのガジェットは収納できるだろう

 

↑作業に必要なツールがあっという間に取り出せる仕組みは、快適そのもの

 

ちなみにノートPCの収納スペースは、上面フラップを開けた背中側のスリットにある。リュックを降ろした状態から、ノートPCとガジェットケースを取り出すのには30秒もあれば充分。つまり、それだけの時間で仕事環境がだいたい整ってしまうというというわけ。この効率の良さは、外出先での作業も多い筆者にとってとてもありがたい。

↑背中側に配置されたノートPC用のスペース。16インチサイズまで収納できる

 

ノートPCとガジェット類以外は、前面のファスナーフラップからアクセスできるメイン荷室に収納することになる。この荷室はガジェットケースの直下に位置しており、A4ファイルを横に倒したぐらいのサイズ感。容量はかなりコンパクトなので、個人的にはやや物足りなく感じたが、フラップがガバッと大きく開くため内部の見通しは非常に良い

↑前面フラップの裏側にはメッシュポケット付き。消毒用アルコールスプレーやポケットティッシュなど、取り出す頻度の高い物をいれておくと便利だ

 

また、メイン荷室自体が硬い芯材で囲われた構造のため、自重でクタッと型崩れを起こさず、中身の出し入れがしやすいのもポイント。この構造のおかげで、リュックが自立するので、狭いスペースに立てて置くことができるのも使いやすかった。

 

ビジネスリュックとしての基本性能も充実

容量少なめということで、長距離移動や一泊程度の出張の場合は、キャリーケースと組み合わせて使うことになるだろう。そういうときは、背面のベルトにキャリーのハンドルを通せば、簡単に固定ができて移動がラクになる。持ち運び時のちょっとしたコツとしては、ショルダーストラップを表側にめくり返して固定すると見た目にもスマートだ。

↑最近のビジネスリュックにはマストな装備といえるハンドル通しベルト

 

↑肩ストラップを裏返して固定しておけば、カートを引く手元でブラブラしない

 

もうひとつ、ユニークな装備として、両側面にある深めのサイドポケットにも触れておきたい。普段はスナップボタンと面ファスナーで口を絞られているが、スナップを外すと一気にマチが広がる特殊な構造になっている。どれぐらいの広マチかというと、1Lサイズのペットボトルがすっぽりと収まり、3段の折り畳み傘も余裕で収納可能。加えて、ポケット上部には面ファスナーのベルトがあり、傘の柄や小型三脚のようにポケットから突き出すほど長いものは、このベルトで縛って固定できる。これなら、移動時にポケットから抜け落ちるような心配も無しだ。

↑普段はマチのないサイドポケットが、開放することでペットボトルや折りたたみ傘を収納できる超広マチに変形

 

このリュックを2か月ほど試用しているが、ノートPCを広げて仕事に戻るまでのスピード感には、未だに驚かされるほどだ。特に、リュックにガジェットケース専用の設置場所があることで、出し入れの効率が大きく違うことを実感している。気の効いたサイドポケットの装備があることで、仕事以外での使い勝手もとても快適。いろいろなビジネスリュックを使ってきたが、この移動文房は今のところ考えられる最強リュックのひとつかもしれない。

 

3色ボールペンは黒赤青だと誰が決めた!“黒黒赤”に矜持を感じるサクラクレパス「ボールサインiD3C」の実用性はどうだ?

手帳と一緒にペンを持ち歩く場合、“3色ボールペン”を選ぶ人は多いのではないだろうか。メインの筆記色である黒、プライベートなど書き分けるサブ筆記色の青、訂正や注意喚起色の赤……など、色ごとに用途を定めることで、手帳の狭い紙面においても情報を整理しやすいメリットがあるからだ。

 

日本初の3色ボールペンは、1964年にゼブラが発売した「スリーカラー」。黒・青・赤の3色がスライドノックで1本の軸に収まった、現在の製品とさほど変わらないようなスタイルである。これはつまり、約60年も前から3色ボールペンに採用されるインク色は変わっていないということ。でも、果たしてこの“黒・青・赤”が絶対的な正解なんだろうか?

 

“黒”がメインではない3色ボールペン

考えてみるまでもなく、情報を整理するためにボールペンに必要なのは、書き分けを行うためのインク色の違いだけ。常に黒・青・赤である必要はないはずだが、機能としてはメインとサブの筆記色が2色+訂正用の赤という組み合わせが使いやすいだろう。その点で言えば、サクラクレバスから2023年に発売された「ボールサインiD 3C」はなかなかに興味深い。

サクラクレパス
ボールサインiD 3C
各850円(税別)
全3タイプ

 

「ボールサインiD」といえば、2020年に発売されたゲルインクボールペンのシリーズで、6色すべてがカラーブラックという思い切ったラインナップで人気となったもの。今回取り上げるボールサイン iD 3Cは名前の通り、同シリーズによる多色ボールペンの3色タイプとなる。当然、こちらにもカラーブラックを搭載している。軸色はホワイトとブラックの2タイプだが、0.4mmのボール径や3色の組み合わせに差異はないので、好みの軸色を選べばOKだ。

 

ラインナップは「黒(ピュアブラック)・青・赤」(下図A)、「ナイトブラック・黒・赤」(下図B)、「フォレストブラック・黒・赤」(下図C)の3種類。ナイトブラックはいわゆるブルーブラックのひとつで、知的さを感じさせる大人のブルーといった雰囲気。一方のフォレストブラックはグリーン系の落ち着いたブラックで、ゆったりと書き物をするときに向いていそう。

↑ボールサインiDシリーズだけに、カラーブラック搭載が大きなポイントだ

 

↑サラッとしつつコントロールも効きやすい、バランスの取れた書き味も楽しい

 

ペン先を出すには、スライドノックにくっついた粒のようなノブ(兼カラー表示)に指をかけて押し込んで操作する。このノブがあまりに小さいので少し不安になるかもしれないが、エラストマー製で摩擦力は充分にあり、実用性は問題無し。また、ノブが小さい=インク色が目立ちにくいことで、全体的に単色ボールペンのようなスッキリとしたデザインになっているのもポイントだ。

↑カラー表示も兼ねた粒状のノブは、見た目で思うよりも指掛かりが良く、ノックしやすい

 

ノックの配置から見ても、やはり黒はメインじゃなかった!?

ところで、スライドノックの配置に注目したら面白いことに気づいた。(A)のスライドは、黒がクリップに向かって右側、クリップ裏が青、クリップ左が赤という配置。つまり、クリップ右がメイン筆記色の場所ということだろう。そこであらためて(B)と(C)のスライドを見ると、クリップ右側にはナイトブラック/フォレストブラックがあり、裏が黒、左が赤という配置である。(B)と(C)においてメイン筆記色はあくまでもカラーブラック系で、黒はサブという立ち位置であると言えよう。

↑一般的に金属クリップに向かって右側がメイン筆記色の位置と考えると、ボールサインiD 3Cではカラーブラックがメインかも

 

考えてみれば確かに、わざわざカラーブラックのペンを選んで買うのは、それをメインに使いたいからに他ならない。それにしても、絶対的なメイン筆記色である黒をサブに据えてしまうという割り切りには、「サクラクレパス、思い切ったな……」と驚かされた。

 

ただし、少し残念だったのがグリップの仕上がりだ。実は、初代でツルツルした素材ゆえに握りづらかったグリップが、上位モデルの「ボールサインiDプラス」では摩擦力の高いマットなものに改良されている。ところが、今回のボールサインiD 3C では、なぜか初代と同じようなグリップに戻されていた。筆圧が強かったり手汗をかいたりする人間にとって、現状の素材だとかなり滑りやすいので、戻ってしまったのは正直もったいないなーと感じた。

↑円筒形の一部を削いだような通称 “iD設計” グリップ。指は置きやすいが、ツルツルすべるの点で握りづらく感じた

 

それでも、カラーブラックを選べる3色ボールペンというのは他に無く、それだけでも価値は高い。少なくとも初代ボールサインiDでカラーブラックの楽しみを知った人なら、買って損はないだろう。個人的にはボールサインiDのパープル系ミステリアスブラックが推し色なので、いずれはそれもボールサインiD 3C のラインアップされないかなぁ、と期待している。

 

インクの粒子に秘密あり!ボールペン「マットホップ」に注入されたマットにくっきり発色させる技術

筆者は50代のオジサンなのだが、心の奥には野生の乙女が棲んでいるので、正直なところ「かわいい」とか「夢夢しい」ものに目がないことは、この連載でも何度か語ってきた。かわいい雑貨や文房具を見つけると、テンションと共に血圧も上がり、動悸・息切れを起こすこともあるほど。初老のかわいいもの好きは、地味に命がけである。

 

残念ながら生来の超不器用ゆえにうかうかと手出しはできないが、いわゆる“デコ”にも憧れの気持ちが強い。手帳やペンケース、スマホが派手にかわいくデコられているのを見ると「いいなー、やってみたいなー」と思うし、最近のJK文化である “お菓子パッケージ落書き” (市販のコンビニ菓子パッケージにペンで書き込みして飾る遊び)なんかも、すごく楽しそうだ。そこで今回は、誰でもそういったデコに挑戦できそうな、デコに最適なボールペンを紹介したい。これを使えば、筆者にもできるかしら。

 

マットな質感でくっきり発色するデコ用ボールペン

ぺんてるから発売された「MATTEHOP(マットホップ)」は、とにかくパキッと鮮やかでマットな発色に特化した、顔料ゲルインキボールペンである。ボール径は1.0mmでカラーラインナップは全14色。もちろん単色売りもあるが、原色系の「オリジナル」と、ちょい甘めな「スイート」の各7色セットがおすすめだ。なぜならパッケージがお菓子みたいでかわいいから。

ぺんてる
MATTEHOP(マットホップ)
各200円(税別)
14色展開

 

↑お菓子みたいな紙箱パッケージが楽しい「オリジナル」と「スイート」の7色セットは各1400円(税別)

 

筆記性能としては、マットな発色に加えて高い隠ぺい性を持ち、黒い紙面やポラロイド写真にもクッキリ書けるというところが最大のポイントとなる。それだけを聞くと、1990年代のギャル文化で猛威をふるった、かの「ハイブリッドミルキー」直系の子孫! という印象を受けてしまうが、実はマットホップとハイブリッドミルキーの発色の仕組みはかなり違う。

↑全14色のラインナップ。白地と黒地で雰囲気は変わるが、いずれもマットな発色が楽しめる

 

ハイブリッドミルキーのインクは、中に修正液の成分である酸化チタン(非常に隠ぺい力の強い、白の顔料)を含んだもの。これによって黒い紙でも美しく発色できるが、ラインナップは白っぽいパステル色に限られる。対して、マットホップはインク顔料の粒を巨大化させ、かつ高濃度に配合。大粒の顔料は光を強く乱反射させるので、光沢の少ないマットな発色ができる、という仕組みだ。顔料粒が隙間なく紙に乗るので、隠ぺい性も高い。

↑「マットホップ」の発表会で展示されていたインクの模式図。顔料粒の大きさが高発色の秘密だ

 

実は書いた瞬間は「お、濃いな」ぐらいの印象なのだが、たっぷり出たインクが乾くにつれどんどんマットさが増してくる。インクが乾くことで顔料が紙の上に定着するので、乾いてからが本領発揮ということになるのだ。ちなみに、黒い紙などに書いた場合も、まだ濡れている状態では隠ぺい力がフルに発揮されない。そのため、印象としては乾くにつれじわじわと色が出てくるように見えるのだ。

↑書いた瞬間(左)と筆記後1分経過(右)の様子。時間と共にじわーっと発色していく

 

↑ボールペンと言うよりは不透明インクマーカーに近い発色が面白い

 

乾いた後の発色と塗り跡の雰囲気は、ガッシュ(不透明水彩絵具)のベタ塗りのような感じ。もしくは他社製品ではあるが、三菱鉛筆の「ポスカ」の筆跡が近いかもしれない。ポスカのあの発色がボールペンで書ける……と言うと、興味を惹かれる方はかなり多いのではないだろうか。

 

Z世代に占有されるのはもったいない!  書いて楽しい新世代ペン

ラインナップの中で特に興味深かったのが、白系カラーのアイボリーだ。パッキリと鮮やかな白ではなく、軽く黄みがかったようなオフホワイト系で、マットな発色との相性がとてもいい。コピー用紙などの白でもギリギリ見えるぐらいの色合いなので、黒やカラー紙に使うだけじゃない、面白い使い方も考えられそうだ。

↑「ハイブリッドミルキー」白と「マットホップ」アイボリーホワイトの比較。柔らかなアイボリーの落ち着きがいい

 

それ以外の色も本当にパッキリと力強い発色なので、面を塗るように使うととにかく目立つ。とにかく他に類を見ないタイプの色が出るボールペンなので、ただグリグリと色を塗っているだけでも、非常に楽しいのだ。さらには、紙だけでなくポラロイド写真やフィルムなどのようなツルツルした面にもインクが乗るのは嬉しいところ。何にでも書けるという用途の幅広さも、重要なポイントと言えるだろう。

↑マットカラーならではのインパクトの強さは、こういったカード作りなどにも大活躍しそう

 

例えばJK文化のひとつであるお菓子パッケージへの落書きに使うと、光沢のある面にマットな筆跡がとても目立つため、いっぱい落書きしたぞ! という満足感が強く得られるはずだ。この辺りはさすが、落書き・デコ用ボールペンとして作られただけはある。ただし耐水性がほとんどなく、乾いたあとでも水に濡れると即にじむので、ドリンク類やアイスクリーム系のパッケージには使わない方が良さそう。

とにかくどこに書いても「目立つ!」のひとこと。他のゲルボールではありえない楽しさだ

 

メインターゲットは「JKを中心としたZ世代」とのことだが、この楽しさは全年齢共通で間違いない。塗ってるだけでも充分に遊べるが、やはりせっかくなので、お菓子箱への落書きなんかもやってみたい。だってZ世代ばかりが楽しそうなの、ズルいだろう。

 

その他にも、例えば手帳で記念日や大事な予定の日を目立たせたり、塗り絵などに使ってみるのもオススメ。色鉛筆やマーカーとは全く違った表現になるので、マンネリ解消にも役立ちそうだ。

 

残り時間を色で実感!効率化したいビジネスパーソンこそ使うべき学習タイマー「時っ感3・2・1!」の実力

一般的に “学習タイマー” と呼ばれるツールが、昨今注目されている。主に勉強世代である小学生~高校生のあいだで使われている、文字通り勉強する際に時間を計るタイマーである。30分なり1時間なり時間を計ることで「その時間内は集中して勉強する」という制約になるので、ダラダラ勉強を防ぎ、“タイパ”(時間対効果)を上げるためのツールとしても有効と言えるだろう。

 

しかし、タイパを上げたいのは何も学生に限ったことではない。社会人もまた、時間を決めずダラダラと仕事をするよりは、短い時間内で効率よく作業を片付けた方がいいに決まっている。むしろ、日々時間に追われている大人こそ、学習タイマーを駆使してタイパ上げていこうぜ! という話なのである。そこで今回は、作業時間の管理にめちゃくちゃ便利な最新タイマーを紹介したい。

 

残り時間が可視化されて “見やすい” デジタルタイマー

その最新の学習タイマーというのが、SONiCの「時っ感タイマー 3・2・1!」(以下、時っ感タイマー)である。もともとはアナログ式タイマー「時っ感タイマー」があり、それをデジタル化したのが本商品だ。最近の学習タイマーとしてはやや大きめのボディで、前面がほぼ液晶パネルになっており、あとは上部にボタン2つとダイヤルを備えているのみ。かなりシンプルな操作系だ。

ソニック
時っ感タイマー 3・2・1!
3600円(税別)

 

使う際は、ダイヤルを時計回りにグリッと回すと、連動して回した分だけ液晶内の時間ゲージが扇形に赤くなる。それと同時に中央にはデジタル表示で「●●分」と表示されるので、設定したい時間までダイヤルを回して合わせればセット完了。

↑ダイヤルを回すことで残り時間を示す扇形の赤いゲージが増減する、シンプルで分かりやすいタイマー設定

 

 

そして、この「時っ感タイマー」シリーズ最大の特徴が、設定時に赤く表示された扇形の時間ゲージである。これは時間の経過とともにどんどん減っていく……つまりは残り時間が赤い扇の面積で可視化されるというもの。パッと見ただけで、スタート時からどれぐらい時間が経過して、残りはどれぐらいなのか、ということが直感的に掴める仕組みなのだ。

↑時計の読み方さえ知っていれば、数字を見なくても直感的に残り時間が把握できる

 

この「パッと見ただけで」というのがとても重要で、残り時間が直感的に把握できる=集中力が削がれにくい、ということ。もちろん、デジタル数字のみの表示でもいいのだが、それを見て、「設定時間の1/3ぐらい経過したな」など全体からの配分を計算するのは、わずかなりに脳のリソースを消費するはず。それなら、時間ゲージとデジタル数字、作業中や勉強中に嬉しいのはどっち? というのは、考えるまでもないだろう。

 

細部まで気が利いた使いやすさが高評価

先ほどの説明ではあえてスルーしたが、実は時っ感タイマー には、タイマー開始時にちょっとユニークな演出が発生する。スタートボタンを押すと、ゲージがグルグル回りながら「3……2……1」と画面内でカウントダウンしてから、タイマーがスタートするのだ。これが製品名の “3・2・1” の由来ということだろう。

↑「3, 2, 1,」のカウント、実際に使ってみるとかなりテンションが上がる

 

 

これによって「よし、やるぞ!」と気分が盛り上がるわけだが、とはいえそれだけではない。例えば、時間を計って模試に臨む場合、机上にあるタイマーのスタートボタンを押して、ペンを握って、いざ書き始めた時点で、すでに2~3秒は経ってるはず。つまり、それだけタイムロスがあるのだ。しかし、ボタンを押してから3カウントの猶予があれば、ペンを握って心を落ち着けた状態でスタートダッシュできる。これはなかなかに重要なポイントなのである。

 

もうひとつ重要なのが、時間設定の簡単さだ。一般的な学習タイマーは、時間・分・秒をそれぞれ別のボタンを押して設定しなくてはならないが、それと比べてダイヤルを回すだけで時間設定できるのは、簡単で思わず笑ってしまうほど。設定最大時間は60分で秒は設定できないが、ダイヤルをゼロ時から反時計回りに回すと、60分から減らす方向にゲージが動いてくれる。この操作も直感的で、とても使いやすい。試用してみた感覚では、「現行の学習タイマーで一番ラクに操作できるタイマー」と呼んでも過言ではないと思う。

↑ダイヤルは1クリック=1分なので、慣れれば画面を見ずに時間設定もできそう

 

カウントダウンタイマーは、ゼロになると「ピピピッ」とアラーム&フラッシュ(スタートボタンが光る)でお知らせしつつ、逆進してカウントアップタイマーに切り替わる。面白いなと感じたのは、ここでスタートボタンを押してもアラームとフラッシュが止まるだけで、カウントアップは続くという仕様である。設定時間をオーバーしても作業や勉強を続ける場合、どれぐらい過ぎてしまったかは計測したいけれど、アラームは邪魔になる。その点、時っ感タイマーならアラームに邪魔されることなく計測し続けられるというわけ。これは、ユーザーの実際のタイマー運用を心得てる設計だと思う。ちなみに、タイマーを止める場合の操作もいたってシンプルで、もう一度スタートボタンを押すか、ダイヤルでゼロ時に戻すかで良い。

↑アラームのオン/オフは小さなボタンで切り替える

 

↑電源は単四電池2本。充電式の電池は使用NGなので要注意

 

時っ感タイマーを紹介していると、どうしても「直感的に残時間が分かるゲージ」と「ダイヤルひとつで時間設定できる簡単さ」がメインになってしまうのだが……それに加えて、仕様のあちこちから垣間見えるユーザーフレンドリーさも素晴らしい、と言っておきたい。誰が使っても操作に迷うことはないだろうし、不満を感じる部分も少ないのではないだろうか。個人的には、汎用的な学習タイマーとしては、今一番オススメできるアイテムだ。

 

2024年こそ、効率アップを目指すぞ! という人に、ぜひ導入して欲しい一品である。

 

耐荷重16kgの浮かせる収納が実現!マグネットシート「ゼロスリップ」がズリ落ちない2つの理由

机の上で、モノが散乱していてゴチャゴチャ。小物の収納スペースがもうちょっと欲しい。そう感じることはないだろうか? 足りないと思っているわけだから、収納スペースが体良く空いているはずもなく、実際新たに棚や収納ケースの類を設置する場所もない。これでは永遠に片付けなんて終わるはずもないだろう。

 

こういう場合の解決策としてまず挙げられるのが、いわゆる“浮かせる収納”。つまり、壁面から掛けたり吊り下げたりできる棚を使う収納方法だ。机などの二次元平面上に収納を設けられないなら、まだ余裕のある上方または下方の三次元空間上を使えばいいじゃない? という話である。例えば、磁石で収納ケースを貼り付けたりするのも、浮かせる収納方法のひとつだ。

 

耐荷重4倍の超強力マグネットシート

マグネットシートを貼った収納ケースを壁面(金属面)に貼り付けるのも、三次元収納の定番のひとつ。壁に吊り下げ用の釘を打つ必要がなくダメージを与えずに済むので、手軽、かつ気軽に試せる方法なのはありがたい。ただし、ケースなどに粘着で貼れるマグネットシート類は磁力が弱く、重量物を収納するには少々心許ないと感じることもあるだろう。

 

そんな不安をまったく感じることなく使えそうなのが、マグエックスの「超強力マグネットシート ゼロスリップ」シリーズである。さすが “超強力” と名乗るだけあって、なんと一般的なマグネットシートの約4倍というすさまじい耐荷重。これなら、なんでもバンバンと貼り付けたくなること請け合いなのだ。

マグエックス
超強力マグネット ゼロスリップ

シートタイプ カット:1250円/小 1200円/大 2300円(いずれも税別、以下同)
テープタイプ:幅30mm 600円/幅15mm 400円
プレートタイプ:2mm厚 800円/1mm厚 650円

 

ラインナップは、面積が大きめのシートタイプ、貼りやすいテープタイプ、ピンポイントに貼れる小さなプレートタイプの3種類。いずれも表面がマグネットシート、裏面が粘着テープ付きという仕様で、プレートタイプのみ裏面が強粘着テープとなっている。

↑全てのタイプがハサミなどで簡単にカットできるので、貼る場所に合わせてサイズ調整が可能

 

↑耐荷重1.2kgのプレートタイプを収納ケースにペタリ。強粘着スポンジテープ仕様なので、表面が多少ザラザラしたものでも貼れるのがポイント

 

早速、粘着テープ側を収納ケースに、マグネットシート側を壁面にペタリと貼り付けてみたが、その強力さは間違いなしと言える。ケースに手をかけて下側に荷重をかけてみても、ズレ落ちそうな気配がまったくしないのだ。なにしろ、最大サイズのシート(W200×H300mm)なら、耐荷重はなんと16kg! 最小のカットシート(W25×H25mm)でも240gを支えてしまうのだから驚異的だ。

↑金属面にペタリ。強力磁力とはいえ、手前方向に引けば剥がすことはできる

 

↑1Lのペットボトルを乗せても、ズリ落ちる気配すらなし。かなりの安定感だ

 

↑ちっちゃいカットシートひとつで、これだけの筆記具が吊り下げられる計算だ

 

それにしても、見た目は普通のマグネットシートと変わらないのに、なぜ耐荷重4倍という性能差が出るのだろうか。その答えのひとつが、「異方性磁石」を使用していること。そもそも、磁石には等方性と異方性がある。内部でN極とS極がバラバラになっており、どの方向にも等しく磁力を発揮するのが、等方性だ。

 

対して、異方性磁石は全ての極が一方向を向いているので、その向きにのみ強力に働くという性質を持つ。薄いマグネットシートなら等方性である必要はなく、面に対して極が揃った異方性の方がフルに磁力を発揮できる(約1.5倍)という理屈である。

↑等方性と異方性の違い。異方性は磁力がひとつの方向に向かうので、非常にパワーが強いという理屈

 

強い磁力+すべり止め加工が効く!

もうひとつポイントとなるのが、マグネットシートの表面に施された、すべり止めのコーティングだ。磁石は、貼り付いた面に対して引っ張り合う力が最も強く、側面にズラされるのに弱い。つまり、重いものを貼り付けると、重力でどんどんずり下がってしまうのである。すべり止め加工があれば、ずり落ちるのを摩擦で防ぐことで、磁力が安定して発揮できるようになる

↑使用時に表面フィルムを剥がすと、すべり止め加工されたマグネット面が露出する。手触りは少しペトペトした感じ

 

↑ファイルケースに大シートを貼り付ける。これでなんと16kgが支えられる!

 

このすべり止め加工+異方性磁石のパワーが、トータルで従来比4倍という耐荷重を実現した、というわけ。ちなみに、すべり止めは貼り付けてから時間をかけて少しずつ壁面に馴染むので、時間が経つほどにしっかりと吸着する。逆に言えば、貼ってすぐにはフルパワーが発揮できないとのことなので、そこは要注意だ。

 

とはいえ、実際に試してみると、貼り付けてすぐでも「え、マジで!?」と思わず声を上げてしまうレベルの強力さで吸着していた。筆者は趣味の工作で、100均のマグネットテープを使うことが多いので、一般的にはどのぐらいのパワーで吸着するのかをだいたい掴んでいるつもりだが、同じサイズでも、ゼロスリップの磁力の強さは明らかにステージが違う。

↑この姿勢でグッと下方向に押してみてもまったくズレ落ちなかった。ちょっと衝撃的な吸着力だ

 

↑実際、A3コピー用紙500枚(約4kg)とファイル(約1.3kg)程度ではビクともしない

 

もちろん、お値段はその分お高めということにはなる。しかし、このパワーを一度体感してしまうと、安心感の分を考えてもむしろ安いのではないか、と思える。安さだけを重視した結果、収納ケースが荷重に耐えかねて落ちたとしたら、中のものが破損してしまうかも……と考えれば、このぐらいは課金しても損はしないと思うのだ。たまには、安心をお金で買うことがあったっていいじゃないの、とそういうことである。

 

買い忘れてない? プロが選んだ2023年マストバイの文房具5点を発表

実質的にウイルスも感染例もなくなったというわけではないが、人の流れはだいぶ元に戻ってきた感のある2023年だった。文房具業界も、昨年の凪ぎ傾向から比べると勢いもやや上向きな印象で、興味深い製品がいくつも登場している。

 

そこで、あらためて一年のシメとして、「そろそろ年末だけど、あの文房具買い忘れてない!?」という注意喚起の意味も含め、2023年発売のマストバイ文房具5選を紹介しようと思う。今年はいろいろとユニークな製品が発売されていただけに、買い逃しているともったいない物が多かった。本記事を見てまだ持ってないものがあったなら、忘れないうちに早めの購入をオススメしたい。

 

2023年はシャープペンシルの当たり年!

あくまでも個人の感想ではあるけれど、2023年はシャープペンシルの年だったと言っても過言ではないと思う。特に、自動で芯を繰り出すオートマチックシャープが人気の主軸だったが、非自動でもユニークな機能を備えた製品が目白押しだった。全体的にバラエティ豊富でハズレなし! という印象で、なんならシャープペンシルだけで今年の5選枠が全て埋まってしまいそうな勢いなのである。

 

そんな中でも、絶対に外せないものを選ぶとしたら、何と言っても、2023年初頭から話題となった、ぺんてる「オレンズAT デュアルグリップタイプ」だろう。商品名の「AT」とはAutomatic Technologyの略で、ノック不要のオートマ機構搭載を表している。

ぺんてる
オレンズAT(オレンズエーティー) デュアルグリップタイプ
0.5mm径
2000円(税別)

 

書き始めにまず軽くノックして芯を出したら、あとは芯1本を書ききるまで自動的に芯を出し続けてくれる。これによって、書けなくなる度にノックを強いられて集中力を削がれることがなくなり、長時間の筆記が続けやすくなったというわけ。「オレンズAT」の特徴は、このオートマ機構の心臓部を従来のものから再設計し、ローコストでも芯出しの精度を維持しているところだ。

↑軸内で芯を固定するボールチャックを金属の削り出しからプラに替え、オートマ機構を低コスト化した。性能はこれでまったく問題なし

 

合わせて特徴的なのが、金属の外装にゴムの突起を組み合わせたデュアルグリップ。重みを活かした低重心化とゴムによるグリップ性能を併せ持ち、さらに見た目のインパクトも増し増しになった、というなんとも印象に残る製品となっている。

↑12角形の金属グリップからゴム突起が突き出したデュアルグリップ。無骨なルックスがとにかく印象的だ

 

新開発のシャープ芯は滑らか高性能

もうひとつ、「オレンズAT」と同時期に発売された新型のシャープ芯「Pentel Ain(ぺんてるアイン)」も、注目の製品として語っておきたい。ぺんてるのシャープ芯としては13年ぶりのブランド刷新ということになるが、ただ単にパッケージを変えただけ……といったものではなく、芯の製法を新たにし、原材料に特殊なオイルを混ぜ込む新製法を用いるなど、性能も大幅に向上した

ぺんてる
Pentel Ain(ぺんてるアイン)
各220円(税別)
芯径0.2/0.3/0.4/0.5/0.7/0.9/1.3

 

シャープ芯は「黒の濃さ」と「芯の減りにくさ」、「書き味の滑らかさ」と「折れにくさ」などがそれぞれトレードオフの関係にある。例えば、濃い芯はすぐに減りやすいし、滑らかな芯は筆記中に折れやすい。これはもう根本的な部分なので仕方のない話なのだが、「Pentel Ain」は新製法によって、それらの性能をかなり高いところでバランスさせた優れものなのだ。

↑なめらかで粉が出にくく、発色クッキリ。書き比べると「違うな…!」と体感できる

 

特に、書き味の滑らかさは素晴らしく、ただスルスルと芯先を動かしているだけで、もうっとりする気持ち良さ。従来の替え芯と書き比べても、おそらくほとんどの人が違いを体感できるはずだ。この滑らかさは、ノンストップで長時間書き続けることになりがちなオートマ機構ととても相性が良い。ぶっちゃけると、オートマチックシャープを使うならこの芯がマスト、というレベルでオススメしたい高機能芯だ。

 

1100円で買える超高性能シャープペンシル

もう一点シャープペンシルを選ぶとしたら、トンボ鉛筆「モノグラフファイン」を紹介したい。こちらはオートマ機構を搭載していないが、その代わりに “ちょっと驚くレベルの高コスパ” であることがポイントだ。

トンボ鉛筆
モノグラフファイン
各1100円(税別)
2色展開

 

まず、口金を含む前軸全体が真ちゅうを削り出した一体成形なので、口金が緩んでガタつくなどのブレ感がゼロ。加えて、この前軸パーツの重量がかなりすごい。机に落とすと「ゴトン」と重い音がするほどで、かなりの低重心化が図られている。また、グリップ部には特殊なソフトフィール塗装が施されており、金属ながらツルツルと滑ることなく、しっとりとした手触りが得られる工夫も。つまり、徹底的な高剛性・低重心・高グリップ性能によって、筆記時の安定感は抜群。もちろん好き好みはあるだろうが、この筆記性能に不安を感じる人はいないのではないだろうか。

↑剛性の高い前軸には、薄くゴム引きをしたような手触りのソフトフィール塗装が施されている

 

さらに、軸後端のMONOカラーリングからも分かる通り、ノックノブ内にはφ3.6mmの繰り出し式MONO消しゴムを搭載。しかも、この消しゴムは軸を逆さすると、内蔵のスイッチによって自動的にノックノブがロックされる。ゴシゴシと圧をかけて消しゴムをかけてもノブが押し込まれず、スムーズに字を消せるのは地味に嬉しい機構である(ちなみに、ペン先を下に向ければ、ロックは自動解除)。

↑軸を逆さにするとノック周りがロックされる「ファインイレース機構」を搭載

 

これだけ機能が盛り込まれていて、価格が1100円なのだ。前述した通り「コスパ高すぎ!」としか言いようがないアイテムであることが、お分かりいただけたであろう。

 

たっぷりインクで書きやすい静音ボールペン

ボールペンにもいくつか注目したい製品があるが、個人的にハマッたのが、サンスター文具のゲルボールペン「ミュートンである。こちらは、一昨年からのペントレンドである静音機構を搭載し、ノックしてもカチカチと大きな音がしない、というのが最大の特徴となっている。

サンスター文具
mute-on(ミュートン)
240円(税別)
8色展開

 

一般的なノック式ボールペンと比較すると、ノック音が20db以上小さく、普通の環境下ならノックした本人に聞こえるかどうかギリギリ、という静音ぶり。これなら、図書館のような静かな場所でも、なんの気兼ねもなくペン先の出し入れができるだろう。各社から発売されている静音ボールペンの中でも、ミュートンはトップクラスの静音性能と言って間違いはなさそうだ。

↑カチッ! という耳障りな高音域がカットされており、ノック音はほぼ意識できないレベル

 

と、静音性の話をしてきたが、実は筆者がミュートンを気に入ったのは、静音性能ではなく書き味の良さの部分だったりする。とにかくたっぷりとインクが出るつゆだく系のフローで、とても軽く、サラサラと気持ちよく書けるのだ。つまり、筆者のように書き味の良さで選んだとしても、ついでに周囲にノック音で迷惑をかける心配も無くなるわけで。これは、まさに選ぶ価値のあるボールペンだと自信を持っておすすめできる。

↑静音性もありがたいが、個人的には書き味のサラサラ感も素晴らしいと感じた

 

今年も進化が止まらない開梱カッター

さて、筆記具ばかりが続いたが、5つ目に紹介したいのはハサミ兼開梱カッターのコクヨ「2Way携帯ハサミ<ハコアケ>」(以下、携帯ハコアケ)だ。こちらは、開梱用ハサミ「ハコアケ」シリーズから、ペンケースに入れて携帯できるモデルとして発売されたものである。

コクヨ
2Way携帯ハサミ<ハコアケ>
左:チタン刃 1200円(税別)
右:スタンダード刃 850円(税別)

 

フォールディングナイフの柄のような形状で、本体側面にあるスライダーを動かすことで、連動して本体内から刃がニュッとせり出す。このスライダーを中央で止めると開梱カッターモード、最奥まで押し込み刃が飛び出すとハサミになるという仕組みだ。

↑スライダーの押し込みによってモードチェンジ!

 

開梱カッターモードでは、露出した刃を梱包テープに突き刺して引き切ることで開梱作業を行う。このとき、段ボールの上面および側面にカッター刃が最適な角度で入るよう、本体にガイド機構が付いているのがポイント。これがなかなか効果的で、開梱カッターを使い慣れてない人でも手間取ることなく、サクッと素早く作業を行うことができるのだ。ハサミの方も、硬いPPバンドが切れるぐらいの性能があり、これひとつ手元にあれば、家庭レベルの荷開けなら間違いなくかなり効率的になるだろう。というわけで、商品名には “携帯” とあるが、個人的には自宅の玄関脇に備えておくことをぜひオススメしたい。

↑ナナメになった本体底部を梱包テープに当てると、ジャストな角度で刃が入るガイド機構が便利

 

最後に、来年の文房具動向予想も添えておこう。確度が高そうなのは、「来年もシャープペンシルが面白そう」という辺りだ。ぺんてるが「オレンズAT」用に開発したオートマ機構の心臓部(ボールチャック)は、おそらく次に出てくる新製品にも搭載されるはず。より廉価な量産機になるか、オートマ+αの高機能機になるかは定かではないが、どちらにしても興味深いシャープになることは間違いない。

 

また、これだけオートマチックシャープの注目度が高まっているにも関わらず、まだ現時点で参戦していない筆記具メーカーがあるのも気になるところだ。

 

他にどのジャンルが盛り上がるかはまだ分からないが、2024年も引き続き新製品をチェックし続けていきたい。

手帳に“着せる”という新発想! 収納ポーチ「手帳のはらまき」の包容力に気持ちまで温まる!

例えば社内の会議室でミーティングがあったとして、そこにあれこれ荷物を抱えて移動するのは面倒くさいもの。できるだけ身軽な状態でサッと行けた方が良いのは当然だろう。

 

叶うならば  “手帳ひとつ持っただけ” ぐらいが理想なのだが、ペンケースやスマホはどうしても必要だし、それならアレも、コレも……などと考えてるうちに、バッグをまるごと抱えて移動していたりする。

 

結局のところ「持ち歩く容量はここまで!」ときちんと決めない限り、どうしても荷物は増えてしまう。だから、例えば社内移動用に小さめなミーティングバッグを導入して、ここから溢れるものはもう持ち歩かない、と自分でルール決めしてしまうのが有効だったりする。よりミニマム化を検討するなら、手帳にプラスオンできる収納ポーチが面白そうだ。これならまさに “手帳ひとつ持っただけ” の軽快スタイルが実現できるのではないだろうか。

 

手帳に着せる “腹巻き” みたいな収納ポーチ

デザインフィルから発売された「手帳のはらまき」は、その名の通り、手帳にかぶせるニットの腹巻きみたいな収納ポーチだ。素材としては、ニットの産地として知られる新潟県五泉市の五泉ニットを使用。厚みは春秋用ニット靴下ぐらい、と言えば伝わるだろうか。ぼってりと厚いわけではないが、伸縮性がありつつもしっかり丈夫そうな手触りだ。

デザインフィル
手帳のはらまき
2600円(税別)
4色展開

 

ラインナップは、単色でソフトな雰囲気のケーブル編みと、ツートーンでシンプルなリブ編みの各2色で全4色展開。編みのタイプで機能は変わらなそうなので、ここは単純に好みで選んで良さそう。愛用の手帳(対応サイズはA6〜B6)に着せてあげると、お腹の冷えない暖かそうなルックスになって、めちゃくちゃかわいい。正直、この見た目だけでも欲しくなってる人は多いのではないだろうか。

↑ラインナップは全4色。上段:ケーブル編み(紺/黄色)、下段:リブ編み(ツートーン薄紫/ツートーン水色)

 

使い方はいたってシンプル。手帳のはらまきをスポッとかぶせることによって、手帳が勝手に開かないよう、ブックバンドとして機能する。もちろん、スナップやゴムベルトだけのブックバンドと違って、いちいち脱ぎ着させてやらねばならず、作業としては少々面倒くさい。しかし、バンドより腹巻きのほうが絶対にかわいいので、そこは許してほしい。とはいえ、PVCの透明カバーで角が尖っている手帳だと、脱ぎ着させる際にどうしても引っかかりを感じてしまう。これを何度も繰り返すと、ニットだけに擦り切れる可能性はどうしてもありそうなので、そこは注意したい。

↑B6スリムサイズの手帳に装着中……といっても、単にスポッとかぶせるだけ

 

↑腹巻きを着たMy手帳。ホカホカした見た目がかわいい

 

↑こちらは、A6サイズの手帳に着せてみた図。上から詰めるように丈を調整できる

 

ポーチとしての収納力は意外とたっぷり

さて、この手帳のはらまきは、フタのようになっている折り返し部分をめくり上げると、ポケットが現れる。ここを収納に使うことで、ポーチとして機能するというわけだ。ポケットは、表側が細/広の2分割、裏側が分割無しの全面収納になっている。ペン類なら細いポケットが安定するし、サブ手帳やスマホは広い全面ポケットがちょうどいいサイズだ。

↑広いポケットはiPhoneのPro Maxがジャスト幅

 

↑裏側のポケットは全幅なので、スプレーボトルなど多少厚みがあるものでも飲み込んでくれる

 

ニットなのでかなり伸縮性があり、思った以上に収納力もある印象。完全ワイヤレスイヤホンのケースなど、ころんと厚みのあるものでも余裕で収納できた。フタを被せれば手帳を逆さにしても簡単には中身が落ちないので、そのまま持ち歩く場合もなかなかの安心感があった。

↑どれぐらい入るか試してみた状態。これだけパンパンに膨らんでいても、フタのおかげでこぼれ出るような心配はない(見た目はさすがに目一杯という感じで苦しそうだが)

 

↑ちなみに上写真はこれだけのものが入っていた。ほぼサブバッグ感覚の収納力と言えそう

 

ただし、できれば入れない方が良さそうなのが、ノック式のボールペンとシャープペンシルである。

 

ノック式ボールペンはフタをかぶせた上から圧が掛かることでノックが押されてしまい、気付かぬ間にペン先が出てポケット底がインクまみれ……というトラブルが発生する可能性が高い。シャープペンシルはガイドパイプがニットをあっさり突き破るので、ポケット底にダメージを与えるし、なによりこのケースだとうっかり手に刺さる危険性もある。

 

なので、ノック式のペンを入れる場合は、上から押されにくいサイドノックの多色/多機能ペンの方が相性が良さそうだ。

↑ノック式ボールペンを収納すると、フタをかぶせたときにうっかりノックが押し込まれてしまう危険あり

 

話を聞いていると「使うのちょっと面倒そう……」と、感じてしまう人もいるかもしれない。正直なところ、もろ手を挙げて万全に便利! というタイプの製品でないのは確かなのだが……しかし、手帳に着せたときのかわいさを一度目にしてしまうと、ただ使いにくいというだけでは否定できない魅力もあるのだ。愛用の手帳がニットの腹巻きをしているところを想像してみたら、ほら、やっぱり最高にかわいくない!?

↑持った時のニットの手触りも大きなポイントのひとつ

 

さらに、温もりのある手触りなのも嬉しいところ。手にした時にひんやりしないというのは、寒い季節には特にありがたみが増すというもの。冬本番を迎えて、思わず肩をすくめてしまう寒さが続くなか、見た目も手触りも暖かな手帳のはらまきは、今シーズンイチ推しの手帳オプションと言えそうだ。

 

つゆだくインクで滑らかさ極まる!発売後に即完売、再入荷待ちだったゲルインクボールペン「GS02」の絶品の書き心地って?

この数年、ボールペンの中でも特に「ゲルインク」への注目度が高まっている。その要因となるのは、「濃い黒」と「つゆだく」の2つのキーワードだろう。油性の黒インクはどうしても赤っぽい黒や青っぽい黒になりがちだが、最近のゲルインクはその発色の良さを活かして、くっきりと濃い黒インクを実現している。これは油性に対してかなりの優位性だといえよう。

 

また、油性インクが低粘度化することで滑らかさを演出していたのに対して、ゲルインクはペン先へたっぷりとインクを供給することで書き味を高めている。もちろん低粘度油性インクが性能的に劣るというわけでは全くないが、ここしばらくはゲルインクの進化が著しい状況だ。今回は、まさにそんな「ゲルインクのターン!」に生まれた、個性がトガったボールペンを紹介したい。

 

ずっしりフルメタル軸のボールペン

そのボールペンというのが、OHTOから2023年3月に発売されたゲルボールペン「GS02」。発売直後からすぐに供給が追いつかなくなる人気ぶりで、一時期出荷を停止。ようやく7~8月ごろに供給再開の目処がついたという代物だ。

 

これはおそらく、単にめちゃくちゃ売れた、というよりは、そもそも作るのに非常に手がかかる軸を採用した結果、生産が追いつかなくなったという状況なのだと思われる(というのも、GS02用に開発されたリフィルは継続販売していたので)。

OHTO(オート)
ローラーゲル GS02
1500円(税別)
4色展開

 

塗装されたフルメタル(アルミ軸+真ちゅうパーツ)の軸は、握った瞬間に「おっ」と思わせるほどの重量感がある。加えて塗装の質感も良いので、高級感も充分。ちょっとしたプレゼント用にも使えそうなデザインだ。

↑六角柱から円筒に変わっていくフォルムがおしゃれ

 

先端側の六角軸から後ろに行くに従って丸軸へと変化していく形状は、握りやすさとルックスの美しさが両立しており、かなりユニーク。特に握りやすさに関しては、エッジのある六角軸と軸自体の重量(約23g)によって、手の中での安定感が非常に高い。ただし、重心位置が軸の半ばにあるため、先端側を握るクセがある人だと、より重さを感じてしまうこともあるかもしれない。

 

先端の口金が途中から細くなる形状も、なかなかに面白い。ペン先の視界が良いニードルチップだが、その手前の口金が太いと、ちょっと効果が薄れてしまう。そこで口金の三角錐を一段絞り込むように削ることで、先端視界(筆記時におけるペン先周りの見晴らし)を少しでもスッキリさせようという試みなのかもしれない。実際、書きやすさの点ではしっかり効果が出ているように感じた。

↑口金が途中から一段細くなるデザイン。これが先端視界の確保に一役買っている

 

 

サラサラすぎ!? インク“超だく”の個性的な筆記性能

GS02でなによりすごいのが、筆記時の “つゆだく” っぷりである。OHTO独自のセラミックボールを搭載したペン先を紙に乗せて少し動かすと、もうそれだけで、ジュワーッと大量のインクが広がっていくのが分かるほど。場合によっては裏抜けしかねないほどのインク量だが、デメリットというわけではない。このように、インクが紙に素早く染み込むことで速乾性を担保しているようだ。

↑なめらかすぎて、人によってはコントロールしにくいとすら感じてしまうつゆだくフロー。なめらか好きならハマる可能性は大きい

 

おかげで書き味は非常になめらかで、最近のつゆだく系ゲルの中でもちょっと類を見ないレベルと言えそう。しかもニードルチップの先端をなめらかに削り込んであるから、かなり寝かせ気味に書いても紙への引っかかりが発生しない。どこまでいっても徹底的になめらか、というピーキーさなのである。

↑チップ先端を削りこんであるおかげで、30度(一般的な筆記角度の半分)ぐらいまで寝かせても、カリカリと引っかかることなく書けてしまう

 

もうひとつのキーワードである「濃い黒」に関しては、正直なところ、ゲルインク最黒と言われる「ユニボールワン」「エナージェル」の二大製品と比較すると、わずかにアッサリして感じられるかも。とはいえそれは、あくまでも並べて見てのことであって、普通に単体で書いている限りこの黒さに不満を感じる人はまずいないと思う。

↑「最も黒い」とされるユニボールワンとの比較すると、少々淡いかな? ぐらいの印象。それでも間違いなく、トップレベルの黒さと言えそう

 

何より、繰り返しになるが、この凄まじいほどのなめらかさは、昨今のゲルインクつゆだくムーブメントの延長線上でないと生まれなかっただろうなぁ、という印象だ。正直なことを言えば、軸のバランスや重さなどの要素も含めて、決して万人向けのペンとは言い難い。しかし、これにハマる一部の人には、もう他に替えがたい究極の1本になり得るポテンシャルだってあるように思うのだ。

 

そのトガりっぷりを体感するなら、店頭で見かけた際にまず試筆をおすすめしたい。とはいえOHTOのペンは、なかなか店頭に並ばないので……現状でも入手しやすい専用リフィルの「PG-M05NP」が汎用性の高いパーカータイプ(国際G2規格)なので、これを別のペンに入れて試してみるというのもありかも。

↑リフィルは国際規格であるパーカータイプ。これを別の軸に入れて遊んでみたい…! という誘惑を感じている人も多いのでは

 

スペースを有効活用!細長いメモパッド「プロジェクトペーパーB5ハーフ」を縦置きしてみたら目からウロコの便利さだった!

ノートやメモ帳などにも、トレンドというものがある。単に紙を綴じただけのものにトレンドとかあるの!? と思われるかもしれないが、明確に “流行っているもの” は存在するのだ。例えば最近だと、いわゆる “細長タイプ” がそれに当たるだろう。

 

大まかに言うと、普通のノートをバッサリ両断したような感じで、文字通り細長いサイズになっているもの。一般的には元の用紙のハーフサイズ(A4ハーフなど)と呼ばれることも多い。言うまでもなく設置面積もハーフなので、狭い机でも作業しやすいのがメリット。在宅ワーク下で注目されたのをきっかけに現在も人気となっているのだ。今回はそんな細長サイズなレポートパッドを紹介しよう。

 

スリム&サイズがちょうどいい! B5ハーフのレポートパッド

それが、オキナの「プロジェクトペーパーB5ハーフ」である。実のところ、細長いノートや手帳はすでに各社から発売されているのだが、レポートパッド(天のりで用紙を一枚ずつ剥がすことができるもの)の細長タイプはわりとレア。レポートパッド好きはもちろん、細長ノートは気になるけど、もうちょいラフに書けるのが欲しいという人にも刺さりそうなのだ。

オキナ
プロジェクトペーパーB5ハーフ
330円(税別)
4色展開

 

↑紙自体は40年以上のロングセラーレポート用紙「プロジェクトペーパー」なので、とても安定した書き味が味わえる

 

こういった細長サイズの定番の使い方といえば、狭い机などで作業する際に、ノートPCの手前側や机端の隙間に横置きするという方法。これらのスペースは、他に置けるものがなくデッドスペースになりがちなので、そこを有効活用しようという寸法である。

 

とはいえ、これだけ横長アスペクト比の紙面に横書きすると、どうしても長さを持て余しがち。なので、適度なところを線で区切って分割すれば、グンと使いやすくなるはず。細長ノートで一般的なA4ハーフだとまだ広すぎると感じることもあるので、それより一回りコンパクトなB5ハーフのレポートパッドは、かなり程よい印象だ。

↑横長紙面は分割が使いこなしのコツ。写真は1日のToDoを3分割(全日/午前/午後)にしている

 

さらに「おっ、これいいじゃん!」と感じたのが、パッドの縦使いだ。ノートPCの隣に縦にして置くと、奥行きはやや出てしまうものの、ぜんぜん許容範囲。なにより利き手側に配置することで、手前に置くよりもかなり自然に書くことができるのである。それでいてスリムだから場所も取らないうえ、普通のデスクメモよりも書く面積がたっぷり取れる。つまり、縦使いで使ってみると、これがとても快適だったのだ。

↑縦使いなら区切らずに延々と書き連ねることも可能。省スペースでたっぷり書けるのが嬉しい

 

筆者の場合、1時間ほどのオンライン会議ではA6サイズのデスクメモを2~3枚は確実に使う。対して、「プロジェクトペーパーB5ハーフ」ならまず1枚で充分。いちいちめくる手間もないし、文言同士を矢印でつなぐなど広々と使えるのも便利だ。要件が終わればピリッと天のりから剥がして捨てられる、という気軽な使い方ができるのも、運用上のありがたいポイントである。

↑不要なページはどんどん切り取って捨てられるので、雑なメモ取りに最適なのだ

 

地味に重要な全方向デザイン

先ほどからこの製品を縦にも横にも自由に置いているが、そもそも用紙は5mm方眼なので、どう置いても問題なし。なにより面白いのが、表紙も縦・横どころか上下左右もほぼ関係ないデザインになっているところだ。

↑天のりが上下左右どこに向いても違和感がない。横置き・縦置きどちらでも便利なパッドには必要なデザインだ

 

例えば、表紙が横方向のデザインになっていた場合、それを縦にして使うのをストレスに感じる人もいるだろう。ストレスというのは大げさにしても、「なんだかしっくりこないなー」ぐらいの軽い気持ち悪さは感じるかもしれない。本当にちょっとしたことではあるが、普段使いをする上でデザイン的にどうとでも置けるのは、意外と大事な要素なのだ。

 

ちなみに表紙カラーはグレー系の「ムーンストーン」、グリーン系の「エメラルド」、ブルー系の「タンザナイト」、レッド系の「インカローズ」という4色がラインアップ。さらに用紙の罫線も、それぞれ表紙カラーを淡くしたカラー罫になっている。

↑表紙カラーは宝石カラー4色展開

 

↑表紙が「タンザナイト」だと、方眼罫の色は「淡タンザナイト」となる

 

罫線の色や濃さというのも好みが出やすい要素なので、こういう選択肢を提供してもらえるのは、なかなかありがたいところだ。製品としてはかなり地味なジャンルと言えるが、実際に使ってみるとハマる要素が多いレポートパッドなので、ぜひ試してみてほしい。

 

カメラ目線でカンペをチラ見! 「ふせんボード」がオンライン会議で印象アップにも活躍する構造上の理由

オンライン会議をする際、事前準備として、聞きたいこと・話したいこと・伝えたいことなどをメモにまとめているのだが……話をしながらその紙面を盗み見るという動作は、思ったよりも相手にバレているようだ。対面で話をしているなら、ふと相手の意識が逸れた瞬間にサッと見ることもできる。しかし画面越しだと、相手の呼吸を読むのがとても難しいのだ。

 

加えて、フレーム内に顔がアップで写り込んでいるから、視線の移動は思ったよりも目立つ。話の途中でチラッと視線が斜め下辺りに逸れると、「おっ、今カンペか何かを見たな?」というのがモロバレだ。もちろん、カンペを見るのが悪いという話ではないし、相手がしていたとしても責めるつもりだってまったくない。ただなんとなく、スマートさには欠けるなー、とは常々感じてはいたのである。

 

常時カメラ目線でビデオ会議ができるボードが便利

「カンペを見るぐらい問題ないだろ!」というのはごもっともだが、とはいえ実際に相手の視線がしょっちゅうチラチラと画面の外に逸れると、「この人あんまり集中していないな」という気分にもなるというもの。それであれば、カメラから視線を外すことなくカンペが見られれば問題解決だろう。つまり、そういうことができるツールを導入すればいい、ということだ。

 

リヒトラブの「ふせんボード」は、ノートPCの画面上部に設置することで、内蔵カメラから視線をほとんど動かさずに、ボード面に貼った付箋(ふせん)を見ることができるというもの。まさに欲しかったヤツ、である。

リヒトラブ
ふせんボード
1200円(税別)

 

使う際には、折り畳まれたボードを展開し、90度回転させて立てたスタンドで画面裏側から支えて設置するだけ。設置までの所要時間は数秒という手軽さだ。ちなみに、横幅は13インチのノートPCにフィットするサイズとなっている。

↑折りたたまれたボードを展開し、アームを回して固定したら………

 

↑ノートPC上部に乗せて設置完了

 

あとは、平らなボード面に「会議進行に必要な情報」をメモした75×75mmの付箋を貼っておけば、カメラ目線を維持したままでカンペが見放題。付箋は4枚まで並べて貼れるので、60分程度の会議用ならメモの分量的にも余裕で間に合うはず。そんなのPCの画面外周に貼ればいいじゃん、と思われるかも知れないが、ふせんボードはボード面が平滑なので、しっかり貼れて剥がれにくいというメリットもあるのだ。

↑ボード面には、貼り位置を示す「+」の刻印があるので、これに合わせて付箋を貼ると並べたときの見た目もスマートだ

 

会議がテキパキと仕切れて、“デキる感”がスゴイ

実際に会議で試用した様子を後から動画で確認したが、我ながら思った以上に「仕事がデキる感」がスゴい。というのも、常にカメラ目線でテキパキと話を進められているので、全体の進行が完全にコントロールできているような雰囲気が作れるのだ。

↑視線上に会議で必要な情報が集約できるため、話がスムーズに進められる!

 

いちおう、事後に「実は今回こういうツールを使っていたんですが……」とネタバレをしてみたが、気付いていた人はゼロ。知人から「いつもより頭良さそうに見えて、ちょっと違和感はありました」と、失礼なコメントもあったほどで、印象アップしていたのは間違いない。話し方ひとつで大きな差が付くオンライン面接などに使うと、かなり効果が出るのではないだろうか。

↑ボード下部は中央の内蔵カメラを塞がない形状になっている

 

このようにデキる印象が与えられることに加えて、会議をテキパキ進行させることで時間が節約できるのも嬉しいポイント。そもそもダラダラと長い会議を喜ぶ人なんかいないので、サッと話を終わらせることで、さらに周囲からの「あの人、デキるな」という評価につながりそう。デメリットは無さそうだし、千数百円で周りからの評価が上がる可能性があるなら、だいぶお得ではないだろうか。

 

ペンケースなのにそんな機能が!? フッカフカの動物たちが果たす「リララペンケース」の意外な役割と使い心地とは?

「便利なペンケース」とひとくちに言っても、その “便利” がどこにかかっているかで、印象は違ってくる。例えば、整理収納しやすくて便利ということもあれば、筆記具が取り出しやすくて便利ということもあるだろう。場合によっては、扇風機が付いているから夏場は涼しくて便利ということだって考えられる(実際にそういうペンケースも存在する)。

 

つまり、ユーザーが何を求めるか次第で、便利なペンケースにもいろいろあるね、という話なのだが。数ある便利なペンケースのなかで今年、筆者が「おっ、便利だな」と思ったのが、クツワの「リララペンケース」である。

 

ぶっちゃけて言えば、ペンケースとしての容量は少ないし、中身の出し入れもしづらい。しかし、ある一点においては従来のペンケース全てに勝る便利さがあると感じたのだ。

 

手首を乗せると快適な、おそらく唯一無二のペンケース

あらためて紹介すると、2023年3月に発売されたリララペンケースは、これまでになかった特殊な機能を備えたペンケースだ。機能だけと侮るなかれ。このペンケース、ルックスがすごくかわいいのだ。

クツワ
リララペンケース
1800円(税別)
全6種(ナマケモノ/カワウソ/シロクマ/柴犬/サバトラ/ハチワレ)

 

リララは、6種類の動物モチーフがラインアップされたぬいぐるみ系ペンケースであり、どれを選んでもかわいい(二度目)。定番の柴犬やハチワレのほかに、ナマケモノやカワウソなどの変わり種で、でも間違いなくかわいいコ(三度目)たちがラインアップされているのは、なかなかにいい感じである。彼らのボディには綿がみちっと詰まっているので、フッカフカなのも大変にかわいい(四度目)。

↑犬・猫といったベーシックラインに加えて、ちょっと変わり種がいるのも楽しい

 

とはいえ、ただかわいいだけのペンケースなら他にいくらでもあるだろう。リララペンケースが唯一無二なのは、あくまでもその機能によるものだ。ということで、早速機能の説明をしていこう。

 

まず、使う際には、内蔵マグネットで二つ折りに固定されていた本体を伸ばして、PCのキーボード前に置く。その上に手首を乗せると、いわゆるリストレストになるという仕組みだ。

↑マグネットでくっついているところをはずして、伸ばして……

 

↑リストレストに早変わり!

 

↑フカッと柔らかく手首を支えてくれるので、長時間のタイピングもラクなのだ

 

これまでに数多のペンケースを見てきたが、リストレスト機能を持つ製品は初見だ。中綿にかなり弾力があるので、手首を乗せたときのフカフカ感と安定感は抜群。さらに、表面が柔らかなストレッチ生地なので、サラサラとした滑らかな肌触りも気持ちよい。シンプルに、携帯リストレストとしてけっこう優秀な印象である。

↑綿の弾力とストレッチ素材のサラサラ感がとても気持ちいい

 

カフェなどでPC作業をするとき、机の高さが低すぎるために手首が反って痛くなる、というケースは地味に多いと思う。リストレストはその対策としては間違いないが、だからといって都度持ち歩くか? と問われると、そこまでではない、というのが正直なところ。だが、ペンケースとして持ち歩いているものがリストレストとして兼用できるというなら、それは意外とありがたいのではないだろうか。

 

容量は少ないけど、それなりに使えそう

ペンケースの機能としては、冒頭でも述べたとおり、便利とは言い難い。ファスナーで側面までガバッと大きく開口はするが、中身が綿の圧力でムギュッと押し潰されているため、スムーズに中身を出しにくいのだ。

↑側面いっぱいに続くファスナーを開けるとこんな感じ。開口は大きいが、綿のボリュームで中までの見通しがききづらい

 

パンパンに詰まった綿のせいで、見た目のサイズに比して容量も少なめ。収納スペースはふたつに振り分けられているが、それぞれペン3本入ればいいところだろう。

 

とはいえ、社会人の平均的な筆記具運用を考えると、それぐらいで充分じゃない? という考え方もできる。例えば片側にはペンを数本入れ、もう片側にはUSBケーブルやビデオ会議用のイヤホンマイクを入れておく、というのもアリかも。

↑ペンを3〜4本ほど入れると、もうギュウギュウになってしまう

 

↑厚みのあるものを収納するには向いていないので、USBケーブルぐらいがちょうど良さそう

 

ちなみに、「リストレストとして使うときに、中のモノの感触が手首に伝わるんじゃないの?」という疑問もあるかもしれない。確かに、ペンの硬さが手首に響いてしまうと、せっかくのフカフカ感が台無しになりそうだが、実際に試してみた実感としては、中身の感触はほとんど気にならなかった。もちろん厚みは増えるが、綿のボリュームがしっかりしているからか、ペンの硬さなどが完全に吸収されるようだ。今後ずっと使い続けて綿がヘタッてくればタッチも変わってくるだろうが、ひとまず当分は問題無さそうに感じた。

↑ペンなどをしっかりと収納した状態で試用中。少し高さが出るぐらいで、中身の感触はほぼ感じられなかった

 

もうひとつ、これは使用感には直接関係ない部分なので、余談として。開口用のジッパーに尻尾のようなチャームが付いているのだが、これの手触りがフワッフワで、めっっっっちゃくちゃ気持ちいいのである。筆者は重度の手触りフェチなので、このフワフワを撫で始めると止まらなくなってしまう。それはもう、かなり意識して止めようとしないと、止まらないレベルで。

↑手触りフェチにはたまらない、フワッフワのチャーム。本当に気持ち良すぎて撫でるのが止められないのだ

 

リララはかわいらしいデザインが特徴なので、年齢・性別・社会的な立場などで「こんなかわいいの、恥ずかしくて使いづらいよ」と感じる人も多いかもしれない。が、逆に「見た目がかわいい! 好き!」と思ったり、「尻尾チャームのフワッフワが気になる!」と感じたりしたのであれば、これはもう買って、かわいさも手触りも堪能してみてほしい。もし、人目が気になるのなら、一人でコソッと使ったって構わない。なぜなら、かわいくて手触りの良いものを諦める方がずっとストレスフルなはずだから。

 

ファイルに入れたまま書き込めるキングジム「カキコ」のジャバラタイプってどうなの? その構造と一覧性をレビュー

2018年にキングジムから発売されたクリアファイル「カキコ」は、書類をファイリングしたままで紙面に書き込みができるという特殊な形状をしたファイルブックである。ページをペラペラとめくって閲覧しつつ書き込みもできるとあって、一度慣れたら「もうこれ以外使えない」というレベルで、利便性の高い製品と言えるだろう。

 

そのカキコシリーズに今年新たに登場したのが、特殊な機能を搭載した「カキコ ジャバラタイプ」である。ファイル本体はA4サイズだが、A3書類を横に2枚並べて閲覧できる。そしてもちろん、カキコ最大のポイントである、ファイリングしたままの書き込みも可能だ。

 

と、ざっと説明はしたが、これだけではどういう構造になっているのかピンとこないと思うので、本記事では、その特徴をしっかり紹介していこう。

キングジム
クリアーファイル カキコ ジャバラタイプ

16ポケット 1150円/24ポケット 1350円(いずれも税別)
5色展開

 

書類をバババッと並べて閲覧できる “新カキコ” 登場

2023年6月に発売されたカキコ ジャバラタイプは、先にも述べた通り、A4サイズの本体にA3書類などを2枚並べて見開きにできる、というファイルである。文字だけで説明すると少々ややこしいが……ひとまず先におさらいとして、カキコシリーズ独自のファイリング方式について説明しておこう。

 

一般的なクリアファイル(クリアポケットファイル)は、透明のポケットをページのように綴じたもので、上または側面に開いた口から書類を差し込むことでファイリングができる。対して、カキコシリーズは、ページの上下に小さなフラップが付いており、ここに書類を挟んで固定。すると、その挟まれた部分以外はオープンなので、書類に直接、自由に書き込みができるという仕組みだ。

↑こちらが従来モデルのカキコ。上下のフラップに書類を挟むことでファイリングするユニークな構造だ

 

↑ポケット方式のファイルと違い、綴じたままで紙面に書き込みできるのが最大のポイント

 

もちろん、一般的なクリアファイルと同様に、ページをめくって閲覧することも可能なので検索性も高い。今までの製品のメリットはそのままに、書類を取り出すことなく書き込みできるという利便性がプラスされているのである。

 

そんなカキコシリーズに新たに加わったカキコ ジャバラタイプは、スナップボタンをパチパチとはずして表紙を開くと、前モデルと同じ上下フラップのポケットページが続いている仕様。そのままページをめくっていくことも可能だが、これだとA4書類を見開き2枚、もしくはA3書類1枚を閲覧することしかできない。

↑開く際にはまず、表紙を固定しているスナップボタンをはずす

 

↑ページをめくって綴じた書類が閲覧できる機構は、前モデルと同じ

 

↑上下のフラップに書類を挟んで綴じる方式ももちろん受け継いでいる

 

2枚続きの見開きにするためには、まず表紙に戻って裏側にあるスナップボタンをはずす。表紙と裏表紙が分離したら、そのまま表紙と裏表紙を左右に引き離すように開いていく。すると、先ほどまでジャバラ状に折りたたまれていたポケットページの片面8ページ(16ポケットモデル)、または片面12ページ(24ポケットモデル)が横並びに展開する、という仕組みだ。

↑裏表紙のスナップボタンもはずす。すると……

 

↑「ジャバラタイプ」の名前の通り、折りたたまれていたページがバラバラバラと大きく展開していく

 

中央から畳むと、A4書類が4枚横並び(A3なら2枚)にできる。さらに、ページをめくると新たにまた4枚が見開きで出てくる、という構造だ。A3の大きな図面やチャートを連続して閲覧することもできて、もちろん綴じたままの書き込みも可能。建築や不動産、イベント運営など、「こういうのが欲しかった!」という業種の人もいるのではないだろうか。

↑ジャバラを伸ばしてから中央で折ると、A4書類4ページが一気に横並びで閲覧できる

 

↑さらにページをめくるようにして、新しい4ページを開くこともできる

 

↑A3なら2枚並べての閲覧が可能

 

ちょっと不安要素もあるけど、この機能は唯一無二

ジャバラポケットは裏面にもフラップがついているので、単純に表裏を逆にすれば倍のページが使用できる。裏ページ面に綴じた書類を閲覧するときは、裏表紙側のスナップボタンだけをはずして開くことで、表紙側と同じようにめくっていける。

↑ページ裏面にも書類が綴じられる。こちらは裏表紙側からボタンをはずしてめくっていくことになる

 

↑ちなみに、表紙端にはペンを差し込みやすい切り欠きが。いかにもキングジムらしい細かな気配りだ

 

ただし、ジャバラ展開中は表紙が分離しているため、机や譜面台などの平面に置かないと安定せず、ページが伸びきって大変なことになってしまう。これは構造上、仕方ないところだが運用する上では注意しておくべきだろう。

 

とはいえ、ファイリングした書類にそのまま書き込みができる点には、相変わらず唯一無二の価値がある。そこに加えて、新搭載されたジャバラポケット機能による複数ページ同時の閲覧・ページめくりに、「この機能を待ってた!」と感じるユーザーも多そうだ。ジャバラ無しで気楽に運用したいなら、スナップボタンを片方だけ外して運用すればOK。もしくは、前モデルのカキコと2冊持ちで、上手く使い分ければうんと満足感も高まりそうだ。

 

マグネットでここまで便利になるとは!厚さ15mmのナカバヤシ「neoformマルチペンケース」が社会人向けと断言する理由

ここ数年の内に発売された機能性ペンケース(ペン立てやトレーに変形するなどの機能を持つもの)は、学生を想定して作られているのか、容量が筆記具10本以上という大ぶりなものが多かった。ラインマーカーやカラーペンを大量に携行する学生にはそれが正解なのだろうが、筆記具が数本で事足りる社会人にとっては明らかなオーバースペックと言えるだろう。

 

また、学校と自室が主な作業空間である学生と違って、社会人は外出先などさまざまな場所でペンケースを広げることが想定される。つまり、学生と社会人では、ペンケースに必要とされる容量と機能が全く別物なのである。では、社会人に便利なペンケースはなにか? というと、まずは低容量コンパクト。さらには、さまざまな局面で広げやすい機能も欲しいところだ。

 

ジャストサイズの「こういうのが欲しかった」ペンケース

冒頭で述べたとおり、便利な機能性ペンケースはどうしても大容量になりがち。そんななかで2023年5月に発売されたナカバヤシ「neoformマルチペンケース」は、ペン数本+αぐらいの必要充分容量ながら便利な機能が盛り込まれた、「そうそう、こういうのが欲しかったんだ」的な製品なのである。

ナカバヤシ
neoform マルチペンケース
2200円(税別)
4色展開

 

まずありがたいのが、本体の薄さ。ケース自体のマチ厚が約15mmと、ペンを入れても手帳とさほど変わらない程度の厚みだ。これなら、パンパンに膨らんだ仕事カバンにでも、なんとか隙間に詰め込めるのではないだろうか。

↑横から見た厚み。約15mmなので、カバンの中でも場所をそれほど取らない

 

薄いだけあって、収納力はペンが横一列+定規のような薄物が入っていっぱい、ぐらい。使用感は、ペン5本と定規を入れて少し余裕があるぐらいがジャストの印象だ。縦型ポーチ形状なので、消しゴムやシャー芯といった小物類は、底に沈まないように専用スペースに通しておくと使いやすい。

↑無理に詰め込んで膨らませると使いづらいので、収納はこれぐらいにしておくのがコツだ

 

↑底に沈みそうな小物は、ここに差し込んでおくべし

 

使う場所に合わせてマルチに展開

このペンケースがユニークなのは、あちこちにマグネットが仕込まれている、というところ。まず平置きして使いたい場合は、ジッパーを開けて前面フタ(小物スペースのある側)を折り返す。すると、内蔵されたマグネットでピタリと開けっ放しに固定され、フタが生地の弾力で戻ってくることがないので、常に安定すると言う仕組みだ。

↑赤で示した部分にマグネットが入っており、折った前面フタを押し当てるとピタリと固定可能

 

また、背面フタも折り返しながら真ん中で山折りにすると、これもマグネットでくっつくことで自立する支えとなってペンスタンドに変形完了。平置き時に比べて、底面シルエットが半分ぐらいに減るので、狭い机でもコンパクトに展開できるわけだ。

↑背面フタを真ん中からつまむように折ると……

 

↑ペンの出し入れがしやすいペンスタンド形状にも早変わり

 

自立中に小物スペースを引き出してスマホを乗せると、スマホスタンドにも早変わり。作業しながらビデオ会議に参加したり、休憩中に動画を観たりするときなど、これもわりと「あると嬉しい」系の機能だと思う。

↑小物スペースにスマホを乗せて動画を見たり、Web会議に参加したり。スマホスタンド機能はわりと重宝する

 

コワーキングスペースなどで周囲にパーテーションがある環境なら、このペンケース自体をマグネットで壁面にぺたりと貼ってしまう、という使い方もできる(もちろん金属パーテーション限定だが)。宙に浮かしておけばもちろん最強の省スペース化なので、これもまた便利である。

↑スチール面に貼り付けての吊り下げ使用もOK。耐荷重は約150gとなっている

 

トレー/スタンド/吊り下げ、と3タイプに展開できることで、作業スペースをかなり有効活用できるのは間違いない。そもそもコンパクトだから小回りも効くし。なにより、「ペン数本でいいんだよ」というライトユーザー層向けに作られた機能性ペンケースは、これまでほとんど無かったので、「機能性ペンケース、デカすぎるよ~ッ」とはまってなかった層にとって、今後注目されるジャンルになるかもしれない。

 

持ち替え不要! 押さずに引いて芯を出すシャープペンシル「トプルS」の小粋な工夫とは?

これはあくまでも個人的な感覚なのだが、シャープペンシルにオートマチックはいらないかな、と思っている。筆者は極端に集中力が続かないタチなので、書き物をしているとすぐに「一息入れたいなー」と弱音を吐きがち。そういうとき、シャープの芯を出すノックがいい感じに “一瞬の休憩” になるというわけ。対してオートマチックだと、芯が1本なくなるまで休憩タイミングが来ない。これだと集中力を欠いたままダラダラと書き続けることになるので、メリハリが付かなくて、あまりよろしくないのだ。

 

なので、ひとまず「シャープにノックは欲しい派」なのだが……軸後端のノックノブを押すとき、イチイチ軸を握り直す手間が発生するのがどうも釈然としない。もうちょっと効率の良いノック方法があってもいいんじゃない? とも思うのだ。

 

先端引っ張りノックのユニークなシャープペンシル

過去には、軸側面にノックボタンを付けたサイドノック式や、軸を中程から少し折り曲げるボディノック式など、いろいろなノック方式のシャープが存在した。ただ、機構的にトラブルが起きやすかったり、コストが高い割にあまり売れなかったり……などの問題から、現在ではそのほとんどが廃番となっているのである。そんななかで、久々に登場した“変態ノック機構”のシャープとして注目されているのが、サンスター文具の「トプルS」だ。

サンスター文具
トッププルシャープ topull S(トプルS)
各360円(税別)
8色展開

 

トプルSは、見た目からしてなかなかにユニークだ。先端の金属製の口金(?)・プラの細い軸・軸、と三段で構成されたペン先が目に付くが、他にも前軸の不思議な分割や、それ以外にはほとんど凹凸のないデザインなども気になるところ。もちろん、後端にノックノブなんか存在しない。そして、肝心のノック機構に直接関係してくるのが、三段のペン先と前軸分割である。

↑この筆記状態からほとんど握り直さずにノック(芯出し)ができるのがポイントだ

 

↑3段のペン先と、パーツがS字に噛み合ったような分割線がとにかく目立つ

 

ノックする際には、まず先端の細軸・軸の段差に人差し指と中指をかける。指をかけるときは、第一関節に近いあたりをひっかけるようにすると、やりやすいだろう。あとはそのまま手を握り込むようにして引き込むと、前軸の分割線のところから押し込まれて、カチッとノックされるという仕組みだ。これがサンスター文具独自の、先端を引き込んでノックする「トッププル機構」である。

↑ペン先の段差に人差し指と中指をかけてグッと引くと、カチッとノックされて芯が出る

 

 

ノックする際に軸を持ち替える手間はほとんどないため、効率の点ではかなり良さそう。筆記体勢のまま1ノックして、また筆記に戻るまでの所要時間は確実に1秒以下。かなりスピーディーにノックできるし、すぐさま筆記に戻りやすい。

 

ただし、ノック感がかなり重めなので、それを指先で操作するのはちょっとしんどいかな? と感じられた。さらに、段差が小さすぎて指の引っかかりが悪く、それをフォローするために、より指の力が必要になる。結果として、何度かノックしていると指がダルくなってしまうのだ。これに関しては、ある程度は慣れによって気にならなくなる……ような気はするが、できれば購入前にいちどノック感を試したほうが良いと思う。

 

意外な構造でコストダウンを図っている?

実際に試してみて感じたのは、まず先端視界の良さだ。トッププル機構のため、軸先に段差がついて細くなっている分、通常のコーンタイプの口金よりもペン先周辺が見やすい。重心は高めだが、トッププル用の分割線に指が掛からないようにすると、自動的に軸のやや上めを握る姿勢になるので、さほど気にならなかった。

↑先端が細く絞られているので、ペン先周囲の視界は良好だ

 

ちなみに芯の補充は、細軸をつまんでひねって軸から分離し、シャープリフィルを抜き出して行う。リフィル自体がかなり細いので、芯は2〜3本でいっぱい。誤動作防止のためには、入れておく芯は無理せず2本で止めておくのが良さそうだ。

↑芯は軸からリフィルを抜き出して補充する

 

ところでこのリフィル、なにか既視感がある。もしかして、多機能ペンで使われている汎用品のシャープユニットをそのまま転用しているのではないか、と思われる。おそらくは生産コストを下げるための試みなのだろうが、わりと思い切った作りである。

 

他にないユニークなノック機構でありつつ300円台という低価格を実現するには、こういう工夫が必要なのだろう。さまざまな面で非常にチャレンジブルなシャープペンシルといった印象なので、文房具好きならひとまず試しておく価値はあると思う。

 

カドまで塗れる“液体のり”と癒される“スティックのり”!? テープのりとは別次元で快適さ極まるのり2選

筆者は以前から「のりと言えばテープのり」と主張してはばからない、強固な“テープのり推進派”である。とはいえ、液体のりやスティックのりをないがしろにしているつもりはない。それぞれ便利なのは否定できないし、なにより、数は少ないとは言えキチンと新製品が出続けているジャンルなのだ。

 

ということで、2023年になって発売された最新の液体のりとスティックのりを紹介しようと思う。それぞれ、自らの特性をより活かすためのバージョンアップだったり、「そこを突いてきたか……」という意外性があったりと、見逃せない進化をしていたのだ。

 

カドにピタッと合う爽快な「液体のり」

まず紹介するのは、液体のり。一般的に液体のりのメリットといえば、接着力の強さが挙げられる。乾燥して実用強度が出るまでに時間がかかるが、逆に一度乾いてしまえば、紙同士であればほぼ剥がれることはない。その接着強度をより引き出すためには、貼り合わせ面積をより広く取る必要がある。ところが、従来の丸いスポンジ塗り口だと、紙のカドまできれいに塗ることが難しかったりするのだ。

 

その塗り口を、丸から四角にすることでカド塗りをしやすくしたのが、コクヨの「GLOO 液体のり」である。そもそも「GLOO」は2019年から発売された新しい接着用品ブランドであり、同様に断面が四角くて塗りやすいスティックのりなどがラインアップされていた。基本的に四角い紙につかうものなのだから、のりも四角いほうが正解に決まってる。そこへ新たに液体のりにも四角い塗り口が追加された、という流れなのだ。

コクヨ
GLOO(グルー) 液体のり
シワなくキレイ
しっかり貼る
各200円(税別)

 

キャップを開けると出てくる四角いスポンジ塗り口は、キャップ面積の1/4ぐらいのコンパクトなもの。一見すると、思ったより小さいな? という印象だ。これで広い面積を塗っていくのは手間がかかりそうだが、帳簿に貼るレシートなどにチョチョッと塗るぐらいの作業にはジャストフィットしそう。なにより、やはりカド合わせてビシッと塗れるのは、シンプルに気持ちよい。

↑GLOO最大の特徴が、この四角い塗り口

 

こういった貼りモノはだいたいカドから剥がれてくるから、どこよりもカドをきっちり貼っておく必要がある。つまりその点で、四角い塗り口の液体のりは、必然性が高いというわけ。

↑外にはみ出すことなく、紙のカドぎりぎりまで攻められるのが使いやすい

 

キャップも“四角”にこだわる!

ちなみに、コクヨは2021年に子ども用の「カクノリ」で四角い塗り口の液体のりを初製品化していたのだが、キャップは円筒形であった。なぜなら、四角いと隙間ができやすく、密閉しづらいのだという。内部のドライアップを防ぐためには、円筒形にせざるを得なかったというわけだ。対して、GLOO 液体のりは、キャップも四角柱型となっている。これは、厚みのある四角柱キャップの内側を円筒形にして、さらに円形の内キャップをつけるという工夫により実現したものだ。

↑2年前に子ども用として発売された「カクノリ」(左)と並べると、キャップ周りが大幅にスッキリしているのが分かる

 

↑キャップ外側は四角いが、中は丸く抜かれている。黄色い部分が二重の内キャップにもなっており、これなら隙間もできにくく乾燥しにくい

 

ラインナップは「しっかり貼る」と「シワなくキレイ」の2タイプ。のり自体の性能は何かスペシャルな要素があるわけではなく、液体のりとして普通にちゃんとしてるなー、という感じ。つまり、この製品に関しては、四角い塗り口の使いやすさがとにかく便利! というのがポイントというわけだ。

↑「シワなくキレイ」タイプは、レシートなどシワになりやすい紙もピシッと貼れて気持ち良い

 

最新の香り付き「スティックのり」は超ナチュラル・フレーバー

続いて紹介するのはスティックのり。とはいえ、正直なところ、スティックのりは「接着力が弱い」「乾燥が早いとは言え速乾ではない」など、性能面で、液体のり・テープのりに対してやや弱めの立ち位置にある。この物理的な能力差を覆すのは、相当に難しい。というか、たぶん現時点では無理だと思う。

 

そこで改めて「スティックのりを使いたくなる要素ってなんだろう?」と考えた上で、のりそのものの能力ではなく、気分的なサムシングで勝負をかけてきたのが、プラス「香りプリット」である。キャップを開けた時点で、香りがふわりと漂い出す。そして、紙に塗っているとまたふわり。香りを楽しみながら、いい気分で作業ができるというアイテムだ。

プラス
Pritt 香りプリット
各140円(税別)
3種展開(左から、ユリ、バラ、オレンジピール)

 

特に「バラ」は強すぎない心地よいチューニングになっており、あの甘ったるい香りが苦手という人(男性に多いかも?)でもついウットリするクオリティだ。ちなみに、筆者は柑橘系の香りが好きなので、「オレンジピール」がお気に入り。スッキリとした香りによって、作業で疲れた脳や気分をリフレッシュしてくれる。

↑キャップを取るとふんわりと漂うナチュラルな香り。これなら作業中にもリラックスできそうだ

 

香りスティックのり自体は古くからある製品だが、やはり最新の製品は香料の品質が進化しているのか、 “いかにもな香料くささ” が薄く、その香りもかなりナチュラルな印象だった。「香りのり、ってこんなに進化してるのか」と改めて驚かされたほどである。

↑塗ったあとは紙にもしばらくほのかに香りが残る感じ。もちろん乾く頃には消えるので、TPOを気にせず使いやすい

 

もちろん、のりとしての性能は従来と変わらないのだけど……手元からいい香りが立ち上ってくることで、いつもよりもちょっと気分良く作業ができるのは間違いない。特に、昼過ぎでぼんやりするような時間帯などは、香りによるリフレッシュが効率アップにつながるかもしれないし。「香りが付いただけじゃん」なんて思わずに、ぜひ一度試してみてほしい。

 

まるで洗濯バサミに付箋が付いた? カンミ堂「ミニクリップココフセン」が作業効率化に地味に役立つ!

ずいぶんと昔の話だが、新社会人の頃に先輩から「紙資料をチェックするときは必ず付箋を使うように」と、教えられた記憶がある。注意点の書き込みや訂正を入れたページにペタペタと貼っていくだけで、後から見返す際の効率がずいぶんと違ってくるし、全体的なチェック量のボリュームを可視化できるので、作業の進行度を掴みやすいからだ。

 

ここで意外と重要なのが「付箋をどこに置いて作業するのか」と、いうこと。紙面に目を走らせては付箋を貼る、という単純作業の繰り返しになりがちなので、できるだけ紙面から近い場所に付箋が配置しておくと作業しやすいのである。さらに言えば、紙資料に付箋を合体させてしまえたら最高というわけ。

 

ガバッと挟んで付箋を一体化

まさにその用途で使いやすいと感じたのが、カンミ堂から11月に発売された「ミニクリップ ココフセン」だ。プラスチック製ピンチクリップのボディにスリムサイズの付箋2色がセットされたもので、このクリップで書類束や書籍に挟んでセットすれば、簡単に紙面と付箋が一体化できる、という仕組みだ。

カンミ堂
ミニクリップ ココフセン
440円(税別)
4色展開

 

そもそもカンミ堂には、マネークリップっぽい薄型の金属クリップに付箋をセットした「クリップ ココフセン」という製品があり、筆者も書類チェックや資料の読み込み時には欠かせないアイテムとして重宝してきた。今回の紹介するミニクリップ ココフセンは、その派生系というか、より運用の幅を広くしたような製品という印象である。

 

使うときは、本体を書類や書籍のページへ洗濯ばさみのようには挟みつければ準備OK。あとは、ケースから出ている付箋の端をつまんで引き出すだけ。1枚取り出すと自動で次の1枚が顔を出すポップアップ方式なので、モタつかずに次々と引き出せて使いやすい。

↑洗濯ばさみのようにクワッと開いて挟み込むと……

 

↑付箋を貼りたい書類や書籍と合体完了

 

コンパクトなミニS付箋なので、大量に貼り付けても場所が埋まりにくいのもありがたい。また、薄いフィルム素材で、貼った書籍や書類全体が分厚くなりにくいのもポイントだ。一般的な紙製の25×75mm付箋だと、すぐに貼る場所がなくなるほどミチミチに詰まってしまうし、ぼってりと厚みも出てしまう。マーキングをするなら今のところ、このココフセンシリーズが最適だろう。

↑付箋自体はカンミ堂のお馴染み「ココフセン ミニ(Sサイズ)」。フィルム付箋がケースからポップアップして、1枚ずつ引き出せるのが使いやすい

 

↑付箋を使い切ったら、古いケースをピンチクリップから剥がして、新たな「ココフセン ミニ(Sサイズ)」ケースを貼り付けるだけ

 

洗濯ばさみ方式ならではの “付け外し” しやすさが高評価

先に述べた通り、「ココフセン」+「クリップ」という組み合わせには、金属クリップのクリップココフセンという先行製品(しかもかなりの人気アイテムだ)が存在する。そこになぜ似たような「ココフセン」+「クリップ」であるミニクリップ ココフセンが加わったのか? 端的に言うと、両者は「挟む」という機能は似ていても、運用思想が全然違うのである。

 

クリップココフセンの金属クリップはコピー用紙数枚ほどの厚みに挟み付けるためのもので、逆に言うと、それ以外の場所に装着するのは難しい。なので、例えば手帳や参考書の表紙など “ちょうどいい場所” にいったん取り付けてしまったら、それ以降はあまり付け外しする気になりにくい。

↑薄い金属クリップの「クリップココフセン」。挟める厚さの対応幅が狭いので、基本的には特定の場所に付けっぱなしになりやすい

 

対して、ミニクリップ ココフセンのピンチクリップは、バネで簡単に付け外しができて、挟める厚みの対応幅も広い。最大開口が約20mmあるので、紙束でも書籍でも、カバンのポケットでもお菓子の袋でも、だいたいなんでもパチッと挟むことが可能。つまりクリップココフセンのように、同じ場所に装着しっぱなしでなく「必要な時に必要な場所に装着して付箋を使う」運用に向いているというわけ。

↑洗濯ばさみ方式だから、書籍にガバッと挟むことも可能。とにかく付け外しがラクなのだ

 

もし、書類に挟むと重みで邪魔になると感じるなら、手近なペンケースの端に挟んでおくという方法でもよいのだ。さらに、机の上に付箋を置く場所がないときは、シャツの袖口に挟んで使用するのも便利だ。

↑こんなところにだってセット可能。この自由度の高さが面白い

 

どこにでも、何にでも挟めるというのは、使ってみると思った以上に気楽だし、さらには「どこに挟むとより快適になるか?」を考えてみたくなったりもする。とはいえ、手帳などには「クリップココフセン」の常時装着が便利なのも間違いないので、そのあたりはうまく使い分けて、ぜひ自分なりのベストな作業環境を作り上げていってほしい。

 

クラファンで達成率5400%! コクヨのボールペン「WP」が“いい文房具”と断言できる理由

ふと「いい筆記具が欲しいな」と考えることがあるけれど、具体的に「いい筆記具」とは? と問われると、なかなか難しい。要素として、まず挙げられるのが、高級さだろう。金属軸のボールペンや漆塗の万年筆などを見ると、そのルックスだけでも端的に「いい筆記具」としての印象が強い。値段が高ければ所有欲を満たしてくれ、イイモノを持っている(こだわりがある)という周囲へのアピールもできる。

 

もちろん、性能的に優れていることも「いい筆記具」と呼べる。ここで言う「性能の良さ」とは、書き味の機能性であることが多い。書きやすくて、使うだけで少し字が上手くなった気がするようなものも、「いい筆記具」ならではだ。

 

一方で、筆記具においては価格と性能が必ずしも正比例しない、という問題もある。150円程度で買える、ごく普通のボールペンが、書き味では世界的に高評価を受けるトップクラスのボールペンだったりするから一見して判断しづらいのだ。では、「いい筆記具」を欲したときには何を買うのが正解なのだろうか?

 

そこで今回は、見た目の高級さと性能の良さを兼ね備えた、分かりやすく「すっごくいい筆記具」を紹介しようと思う。

 

コクヨから高級筆記具が登場

コクヨの「WP」(Writing Products)シリーズは、クラウドファンディング発の筆記用具だ。この夏、ペンジャンルとしては異例の達成率5400%超えを達成し、その好評を受けて10月から一般販売がスタート。実店舗販売は、東京・神戸各1店舗のみ(2023年10月時点)で、今後は徐々に取扱店舗を拡大していく。

コクヨ
WPシリーズ
WP-F200 ローラーボール(上)
WP-F100 ファインライター(下)

各4000円(税別)
各2色展開

 

同シリーズには「WP-F100 ファインライター」と「WP-F200 ローラーボール」の2種類がラインナップされており、それぞれ軸色が銀/黒の2色展開(インク色はどちらもブルーブラックのみ)となっている。キャップと軸はアルミ削り出しで、さらにブラスト加工を施したアルマイト仕上げ。シンプルながらしっとりとした品の良さがあって、4000円+税という価格以上の高級感と見栄えの良さがあると思う。

 

↑三角錐の角を削り込んだ、矢じりのような口金が特徴的

 

↑筆記時はキャップを後軸に装着したくなるが、重量バランス的にはキャップ無しが正解かも

 

キャップをはずすと、三角錐の口金と、そこから連続する丸みを帯びた三角柱の透明グリップが現れる。グリップ自体はツルツルとすべりやすいが、指の置き場がはっきりしている分だけ安定感があり、ゆったりと落ち着いて筆記をするには悪くない。グリップ下はリフィルが透けており、ファインライター(三角のパターン)、ローラーボール(四角のパターン)が識別できるようになっている。

↑ファインライターとローラーボールは透明グリップから見えるパターンで識別可能

 

細かいところだが、中央の黒いリングは実はグリップと一体の透明パーツ。キャップと後軸に挟まれて光が通らなくなることで、ツヤのある黒に見えるのだ。わざわざ別体のパーツを使わずにデザイン上のアクセントを生む面白い作りは、特に知らなくても問題はないが、気付いているとちょっと嬉しいポイントと言えるだろう。

↑軸に表情を加えていた中央の黒いリングが実は透明パーツだった、と気付いたときは地味に驚いた

 

書き味も上質で、文句なく “いい筆記具”

ファインライターは、細かな溝が刻まれた砲弾型の樹脂チップを使用。毛細管効果により染み通ったインクで筆記するという仕組みだ。筆線の雰囲気はサインペンに近いが、チップがなめらか、かつインクの流量がたっぷりしているため、書き味がとにかく軽い。筆圧をかけることなくサラーッと線が引ける気持ちよさは、他ではなかなか味わえないものだ。それでいて、ゆったり書けば筆先のコントロールも良く利くので、悪筆の人でも落ち着いて書けば、いつもより読みやすい字が書けそう。

↑細かな溝を通ってインクがたっぷり染み出してくるので、書き味はとてもサラサラ

 

また、筆圧の強さによって線幅の細太が自在にコントロールできるので、脳内でイメージしていた通りの線が引きやすい、というのも大きなポイント。書き味の軽さとコントロール性、描線の自由度の高さなど、ハマり要素が多いので、一度手に馴染むと手放せなくなる可能性は高そうだ。

↑個人的にも「今年ナンバーワンかも!?」思うほどに気に入った、気持ちの良い書き味

 

↑軸内部のバネでリフィルを支える構造もあり、筆圧のコントロールがしやすく、文字にしっかりメリハリがつけられる

 

ローラーボールも、粘性の低いシャバシャバとした水性インク+高フローの組み合わせによって、書き味が非常に軽くなっている。加えて、ペン先が紙に触れているだけでインクが出る(インクスキップが発生しない)というローラーボールの特性もあって、こちらは聞き書きメモのようにダーッと書き続けるような使い方にマッチしやすいように感じた。

↑ローラーボールは、長時間書き続けたいと感じさせる、颯爽とした書き味が特徴的

 

試した感じは、とにかくどちらもサラサラ感を重視しており、さらにそれを楽しめるように味付けされているな、という印象を強く受けた。単に書き味がサラッとしているだけでは今さらだが、チップの工夫でコントロールしやすく作るなどの技巧をこらした結果、ずっと書き続けていても飽きにくいペンが生まれたと言えよう。

 

見た目の高級感も見ての通りなので、これは万人にとって間違いなく「いい筆記具」と言って良さそうだ。筆記具に関心の薄い人でも、使えばすぐに「あっ、なんか違うな?」と感じ取れるはずなので、この年末にかけてプレゼントにすれば「イイモノ分かってんじゃん」と、家族や友人からの見る目が変わるかも。

 

話題の静音ボールペン「mute-on(ミュートン)」の音だけじゃない独自ギミックを検証

近年、筆記具業界で注目されている機能のひとつが「静音化」である。大まかに言えば「ノック音をいかに静かにするか」という技術で、ぺんてる「Calm」シリーズやパイロット「フリクションボールノックゾーン」に搭載され、話題となっている。

 

例えば試験で集中しているときなど、周囲で延々と「カチカチ」されたらイライラとしてしまうだろう。自分はそういった “音ハラスメント” をしないよう、ちゃんと気をつけて静音仕様のペンを使いましょう、というのが、昨今の静音ペンの流れのようだ。

 

トップクラスの静音性能をもつボールペン

そんななか、2023年4月、音ハラ対策の静音仕様ペンとして発売されたのがサンスター文具の「mute-on」(ミュートン)である。全8色(インクは黒のみ)の軸色名が、「夜更かしの猫」「浜辺の小瓶」のように、ちょっとした物語を感じさせるネーミングになっているところがポイントだ。個人的には、この手の色名にかなり気恥ずかしさを感じてしまうのだが……これは多分、筆者がメーカーの想定するターゲットユーザー層ではないからだろう。

サンスター文具
mute-on(ミュートン)
240円(税別)
8色展開

 

↑全8色の軸色にはそれぞれポエミーな名前が付けられている

 

さて、肝心の静音性に関してだが、昨今の静音仕様ペンの中ではまずトップクラスの静かさと言って間違いなさそう。ノック音そのものは、生活音の中に紛れてしまうとほぼ聞こえなくなるレベルで、これをうるさいと感じる人はまずいないはず。それぐらいに静かだ。

 

↑一般的なノックと比べて20db以上小さい音なので、静かな場所で耳を澄まさない限り音が気になることはなさそうだ

 

ノックに関してはもうひとつ、静音性に加えて「ノック解除忘れ防止」の機能も搭載されている。三角軸から浮きあがるように配置されていたクリップが、ノックノブを押し込むのに連動して、軸へ沈み込むように動くのである。つまり、この動作によってクリップが効かなくなるので、うっかりペン先を出したままシャツの胸ポケットや手帳に挿そうとしても気付くでしょ? というギミックなのだ。

 

このクリップの動きが妙にかわいいので、ついつい用もないのに繰り返しノックしてしまう人は出てきそうだ。(音ハラの心配が少ないので、その点も安心だ)

↑ノックに連動して動く「ノック解除忘れ防止」クリップ

 

リフィルは専用の0.5mmゲルインクを搭載。最近のサンスター文具ではお馴染みとなりつつある “たっぷりインクフロー” で、サラサラと気持ちの良い書き味が楽しめる。この手のつゆだく系がお好きな方であれば、かなりハマるのではないだろうか。

↑ペン先近くまであるエラストマーグリップ+三角軸のおかげで、どこを握ってもかなり安定感がある

 

↑良好なインクフローでかなり爽快感のある書き味となっている

 

LAMYと似ているようで違う。独自のノック機構に注目

実は筆者がこの「mute-on」を最初に見たときに感じたのが「あれ、これLAMY(ラミー)のnoto(ノト)では?」ということ。LAMYの「noto」といえば、世界的な工業デザイナーである深澤直人氏が手がけたボールペンで、ハートカムと呼ばれる特殊な機構で静音ノックを実現した逸品である。なめらかな三角形の軸と、長楕円のノックノブ、軸に切り込むようなクリップも特徴的だ。これらの要素だけで見ると、やはりこの2つ、近いような気もする。

↑LAMY「noto」(左)との比較。ノックノブや三角軸などの要素を抜き出せば似ているんだけど、並べてみると印象はわりと違う

 

さらに、ノックに連動したクリップの上下動も、同じくLAMYの「swift」に搭載されているギミック。これはさすがに、LAMYを意識していない、ということはないはずだ。ただし、当然ながら「mute-on」のノックはサンスター文具の独自機構(ハートカムではない)だし、デザインも突き詰めていけば別物。なので、捉え方としては「LAMYをリスペクトして進化させた」ということでいいんじゃないだろうか。

↑サンスター文具独自の静音ノック機構。写真中央のオレンジ色パーツが透明カバーに掘られた溝を動くことでノックを行うようだ

 

なにより、静音ノックにノック解除忘れ防止、爽快感のあるリフィル、握りやすいグリップなどなど、これだけあれこれ詰め込んで税別240円という価格はかなり衝撃的。これは買い逃すともったいない級のペンなので、見つけたらまずは即ゲットして、あれこれ試してみるのが正解だと思う。

 

筆者はまず、色名の気恥ずかしさだけは乗り越える必要があるけども。

 

ハンズフリーの快適さよ…挟むだけで効率化する「クリップ型ブックストッパー」2種を使い比べ

以前よりはだいぶ減ったとはいえ、本など紙の資料を見ながら仕事を進めるという機会は、いまだにゼロではないだろう。そういうときに、なによりも面倒くさいのがページの固定である。本やカタログを開いた状態でギュッと圧をかけて押さえ付けたり、重しを乗せてみたりしても、いつの間にかページが戻っていたりする。しかも、借り物や大事な本だったりすると手荒な真似もしづらい。

 

そこで今回試してみようと思ったのが、一般的に “ブックストッパー” と呼ばれる、ページを挟んで固定するクリップ型のページ保持具だ。偶然にも同時期に新製品が2つ登場していたので、両方を試してみた。

 

1.本の上に “ウかんむり” でページを固定

まず1つ目が、サンスター文具から発売されている「ウカンムリクリップ」だ。ちょっと不思議な製品名だけど、実物を見れば「ああ、なるほど」と思える。クリップの形状が、まさに漢字の部首の “ウかんむり” の形をしているのだ。

サンスター文具
ウカンムリクリップ
各600円(税別)
6色展開

 

使い方は、つまみ部分を持ってグッと開いてから、開いておきたいページの上部中央に挟みつけるだけ。これでページを固定するというわけだ。単にそれだけなら、大きめな目玉クリップか洗濯ばさみでも似たようなことができるのだろうが……実はこのユニークなウかんむり形状が、他にはない便利さに効いてくるのである。

↑先端が二叉になった大きめの洗濯ばさみのような形状。つまみ部分が反った形状で、少しの力でも大きく開口する

 

「ウカンムリクリップ」は、中央を空けて左右の端に挟み口があるので、本の背表紙を避けて挟むことができる。これならハードカバーでも背が邪魔にならず、スムーズにセット可能だ。加えて本のノド(中央にあるページの綴じ部)を押さえ付けない構造なので、開きグセが付きにくいというメリットもある。個人的には、この開きグセの付きにくさが特にありがたかった。

↑二叉の先端が左右のページを押さえるように挟み着ければ、固定完了

 

実際に試してみた感覚としては、上部から左右の両ページを固定しているため、開いているページがしっかりフラットになって読みやすいように感じられた。ただし、上から固定している=下側がフリーなので、厚い本だとページ下部が少し浮いたようになるケースもある。形状的に仕方がないことなのだが、その点は少し気になるところだ。

↑背の厚みをすり抜けて挟むことで、本に不必要なダメージを与えにくい

 

2.ずっしり重量で挟んだページを固定

ふたつ目に紹介するのが、ソニックの「OMO CLIP(オモクリップ)」。こちらは左右のページを挟む力で固定するのではなく、片側のページに荷重をかけることで開きっぱなし状態をキープする、というもの。

SONic(ソニック)
OMO CLIP
各700円(税別)
2色展開

 

「OMO CLIP」は挟み口がフラットで、普通の目玉クリップなどに近い見た目だ。しかし、クリップ用のバネが巻き付けられた金属軸の部分が、「うおっ!」と驚くほどに太いのである。この軸が錘(おもり)になっており、開いたページの片側端に挟むことで、ずっしりと荷重がかかってページが開きっぱなしになるという仕組みだ。

 

ただし、左右でページの残量が少ない方に着けないと意味がない。そうしないと、逆に本が勢いよく閉じてしまうので、要注意だ。

↑極太の金属軸を含む全体の重さは約105g。見た目よりもかなり重量感がある

 

↑本の端を挟むと、「OMO CLIP」の重みでページが固定される

 

もうひとつ、ページ端だけに重みをかけるという方式だけに、固定中はどうしてもページが山なりになってしまう。そのため、ノド側の文字が読みづらく感じることもあった。

 

一方で、本をめくって読み進めるときには、固定するページを変更しやすいというメリットもあった。例えば、数ページに渡るレシピを見ながら調理するときには、「開いて固定&めくり進めしやすい」このクリップが便利だと思う。

↑挟み口を軽く開いてページを差し替えれば、めくりも簡単

 

↑素材が透明なので、挟み口の下に文字が入り込んでも本文を読むことができる

 

仕事で使うだけでなく、参考書を見ながらノートを作ったり、譜面を開いておいたりという用途にもブックストッパーは欠かせない。見た目にもわりと地味な道具ではあるが、使ってみるとなかなかに便利なので、ここまでの紹介を読んでピンと来た人は、ぜひ導入してみてほしい。

 

握って刺して切る! 手間いらずのクツワ「二刀派ハサミ」で段ボール開梱ツールの使い勝手はここまで進化した

「通販などで届いたダンボール箱を開けるなら、専用の開梱ツールを使うべき!」ということは、この連載で繰り返しお伝えしてきた。というのも、手で開けるとダンボールのフチで指を切ってしまうおそれがあるからだ。カッターナイフやハサミをそのまま突き刺す方法も、中の荷物を傷付けたり、本来の使い方ではないために危険だったり、とトラブルの元になる。とはいえ、開梱のためだけに使い慣れない道具を導入するのも面倒……という人もいるだろう。

 

しかし逆に言えば、その抵抗をあまり感じずに導入できる開梱ツールがあれば良いのではないか、とも思うのである。

↑わりとよくやりがちな、ハサミを突き刺しての開梱。実はかなり危ないので、絶対にやらないで欲しい

 

【関連記事】ハサミ・カッターナイフ・開梱ツール レビュー

 

そのままザクッと突き刺せる開梱ハサミ

新しい道具の “不慣れさ” はどこに由来するのか? ということを考えると、「見た目の違和感」「やったことのない動作」の2点が大きそうだ。つまり、見た目と動作に馴染みがあれば、違和感少なく使えるはず。そこで試してみてほしいのが、クツワ「二刀派ハサミ」である。

クツワ
二刀派ハサミ
シルバー 1800円/ブラック(フッ素コート) 1980円(税別)

 

こちらはダンボールの開梱機能を搭載したハサミということだが、いかがだろうか? まず、見た目からは大きな違和感を覚えることもないだろう。実際のところ、一部を除いてはごく普通のハサミなので当然といえば当然なのだが。その “ごく一部” にして、肝心な開梱機能を司っているのが、刃先の部分である。

 

普通のハサミは、交差した刃が先端で揃っている。対して「二刀派ハサミ」は刃先が揃わず、互い違いになっているのが特徴だ。刃先は、下側の刃が上側よりも4mmほど長く伸びている(下画像参照)。これがまさに重要なポイントで、ダンボールを開梱するときには、この長い方の刃先(開梱カッター刃)を梱包テープに突き刺して切り開く、という仕組みなのだ。

↑片方の刃が長く突き出しており、これを開梱カッター刃として使う仕組みだ

 

ハサミを閉じたままの状態で刃を使うことができるので、一般的なハサミでの開梱とは比べものにならないほど安全だ。開梱機能付きのハサミは他にも発売されているが、「開梱用の刃を出すために、まずスイッチを入れてグリップを握る」といった特殊なセーフティ解除動作が必要となっている。その点、「二刀派ハサミ」なら事前操作が必要ないので、ザクッと刺してズバッと切って開けるだけ、と動作そのものにも違和感を感じにくいはずだ。

↑開梱カッター刃の長さはダンボール自体の厚みと変わらないので、突き刺して中身を傷つける心配も少ない

 

ハサミとしても細かな機能がさまざま

「二刀派ハサミ」は、開梱ツールとしてはもちろん、普段使い用のハサミとしての機能も充分なレベルにある。切れ味はかなりのもので、柔らかなフィルムからコピー用紙、硬いPPバンドまで、幅広く対応できる性能を持っているようだ。実際に切ってみた感覚としては、薄手のビニールやフィルムなどの柔らかいものをスパッと切る力はかなり強い。対して、ダンボールやPPバンドなどの硬めな素材だと少々力が必要かな、という印象だった。

↑切るときのコツは、長い方の刃を動刃(下側)にして握ること。刃の長さの食い違いを意識せず、切りミスも出にくいのだ

 

ちなみに刃自体も、直線刃(長い方)とカーブ刃(短い方)の組み合わせとなっている。これは、切る対象を包丁のように引き切る効果があり、せん断力を高めるためだそう。正直なところ、この引き切り効果がどれだけ働いているのかは実感しづらいが、ホームユースとしてはなんの不満も無く「良く切れるハサミ」と言えるだろう。

 

さらに刃の側面には、細かなリベット穴のような加工が一面にずらっと施されている。これはディンプル構造刃と呼ばれるもので、細かなくぼみによってテープなどの粘着材と接する面積を減らすことで、刃に粘着材が付着しづらくする工夫なのだ。フッ素コートほど強力な効果ではないが、長期間使い続けるうちに「ベタベタが溜まってジワジワ切れ味が落ちていくのを防ぐ」という効果は期待できそうだ。

↑刃の内側に施されたディンプル加工により、粘着材が付着しづらくなっている

 

↑廃棄時には樹脂ハンドルと金属部分をカンタンに分別できる構造になっている

 

↑磁力入りの刃先は、ネジやクリップなどを拾い集める際に便利

 

個人的には、刃先の食い違いが作業時に使いづらく感じられるのでは? という点が気になっていたのだが……実際に使ってみると、そこはさほど気にならなかった。開梱ツールとしてもシンプルに使えて安全かつ効率的と、不満はまったくない。値段は他の開梱ツールよりも少々高めではあるが、違和感少なく導入できるのは大きなメリットなので、気になる方はぜひ試してみて欲しい。

 

ペンケースに進化の余地がまだあったのか! ナカバヤシ「スマウス」のPC横を定位置にしたくなるもうひとつの機能

かつては単なる “筆記具を入れて持ち運ぶ箱” に過ぎなかったペンケースだが、近年、その進化が止まらない。例えば、コクヨ「ネオクリッツ」は、自立してスリムなペンスタンドになるという変形機能があり、ノートPCやタブレットを置いて狭くなった作業スペースが有効に使える、と人気となったアイテムだ。類似の機能を持ったペンケースが各社から多数発売されており、今や自立ペンケースは一大ジャンルとして成立しているほどである。

 

とはいえ、デジタル機器に追いやられて省スペース化前提のデザインばかり、というのは少々寂しい気持ちになる。PCに寄り添うことで、別方向の生存戦略として生き残るというのもありではないだろうか?

 

PCに寄り添うことで真価を発揮する機能性ペンケース

2023年10月末にナカバヤシから発売された「スマウス」は、まさにPCとセットで使うのを前提に作られた新しいペンケースだ。見た目には太めの三角柱型セミハードケースなので、一見すると省スペースで使えるようなタイプには思えない。

 

ナカバヤシ
スマウス
2500円(税別)

 

ではデスクのどこに配置すればいいのか? というと、答えはズバリ、PCの真横。なんとこのペンケース、変形してマウスパッドになるという予想外な飛び道具を持っているのである。使う際には、三角柱側面に折りたたまれたタブをパタパタと展開していく。すると、このタブがそのままマウスパッドに早変わり、という仕組みだ。

↑磁石で本体に貼り付いていたタブをめくるように開く

 

パッド面は幅200mm×奥行160mmとコンパクトだが、実際に使ってみたところ、小さめなマウスを使う限りは特に操作しづらいと感じることもなかった。

↑ワンアクションでマウスパッドに変形。コンパクトだが使いやすさは十分だ

 

フリーアドレスのオフィスでは、マウスパッドをセットで持ち運ぶのは面倒くさい。かといって、机の上でダイレクトにマウスを動かすと、机の天板にぶつかってカツカツと硬い音がうるさく感じるし、天板の材質によっては光学/レーザー式マウスがうまく反応しないということもありうる。そういう場合にはやはりマウスパッドは欠かせないので、ペンケースと一体化して持ち運べる点は充分に価値があるといえよう。これによって省スペース化できるわけではないが、置き場所が常にピタッと決まる点はなかなかスマートだ。

 

パッド面はフェルトのようなマットな手触りで、レーザーマウスの反応も良く、手触りもなかなかに気持ち良い。パッドとして敷いている裏面にはエラストマーのすべり止めラインが入っているので、使っている間にズレ動いてイラつくようなこともないはず。

↑ペンケース表側に入っていた2本線のエラストマーがすべり止めになる。ケース底部にも同機能が備わっているので、使用中にズレる心配もない

 

さらに、パッド上部に付いている小さな合皮製のタブを活用すれば、スマホスタンドとして使用することも可能。ビデオ通話やWeb会議、動画閲覧など、PCと合わせて作業する際にこれは便利だ。

↑程よい角度で画面が見やすい、スマホスタンド機能も備わっている

 

ペンケースとしてはちょっと不満も……?

ちなみに、ペンケースから中身を取り出す場合は、三角柱の頂点をパカッと開くだけ。開閉部分は磁石でピタッととまるので、カバンの中などでもパカパカと開くことはない。底面幅は約80mmとかなり大きく、容量も充分以上といった印象。筆記具だけでも20本ぐらいは収納できるので、ペンケースとしての物足りなさは感じないだろう。とはいえ、入れすぎると重量がかさんで、開閉用の磁石が耐えきれず勝手に開いてしまうことはあるかもしれない。実際に使ってみた体感としては、ペン10本前後が程よい量かな、という感じ。小さなガジェットやケーブル類を収納するポーチとして使うのも良さそうだ。

↑開閉は磁石でくっついている三角形の頂点をパカッと割り開く方式

 

↑写真は、ペン7本+シャープ芯+消しゴムを入れた場合。まだかなり余裕があるが、これぐらいの方が開閉しやすく使い勝手は良い感じだった

 

ただし、机に置いたままの状態だとやや開きにくく、また開いたままで固定できない点は、やや使いづらさを感じるかもしれない。このようにペンケースとしての不満点はいくつかあるが、マウスパッド兼用ペンケースという機能は他に類を見ないものだ。マウスパッドとしてはさほど不満もないので、使ってみたら意外と便利! と感じたのも事実。

↑使用中に気付いたテク。マウスパッド端を支点に本体を傾けて口を開くと、中身が見渡せて出し入れもしやすい

 

さすがに万人にオススメとは言い難いが、「ペンケースとマウスパッドが合体したやつ、待ってた!」という人はきっといるはずなので、そんな人にこの記事が届くことを願っている。

 

荷物を軽量化! ペンを挟める新設計ノート「Penott(ペノット)」がビジネスパーソンにおすすめな理由

ビジネスシーンにおいて手書きをする機会は、いまだにゼロにはなっていないはずだ。例えば、スケジュールの変更を一時的に書き留めたり、思いついたアイデアを説明するのにポンチ絵を描いたり。これらの用途にPCやスマホ、タブレットなどのデジタル端末は意外と使いづらく、シンプルに紙とペンの組み合わせが便利なのである。

 

小さなメモパッドや手帳も良いが、適度なサイズのノートが手元にあればより使いやすいだろう。この場合、ペンはどのように携行すべきだろうか? 文房具に詳しい人なら「ペンホルダー付きのノートカバーを装着する」といった解決策も出るだろう。でも、「とりあえず、ペンのクリップをノートの表紙に差し挟むだけ」など、あまりスマートじゃない手段を選んでしまう人も多いのではないだろうか。

 

ペンをクルッと巻いて持ち歩けるノート

日頃からペンケースを携帯していれば、「ペンをどう持ち歩くか?」という悩みもないだろう。しかし多くの社会人のカバンには、今さら新たにペンケースを詰め込むような隙間は存在しない。そもそも、メモをするだけならノートにペンを1本つけておくだけで十分なのだ。そこで使ってみて欲しいのが、ペンをセットにする機能の付いたノートである。

コクヨ
Penott(ペノット)
スリムA5 680円/スリムB6 630円(税別)
3色展開

 

コクヨの「Penott(ペノット)」は、ほんのちょっとした工夫で、ペンをセットにして携帯しやすくしたノートだ。仕組みは簡単で、表紙を固定しておくためのゴムバンドでペンを巻き込むように取り付けておく、というもの。まず、ノートの小口にペンを乗せてセット。次に、ゴムを裏表紙側から巻き付け、表紙の切り欠きに挟み込む。これでホールド完了だ。

↑まずはペンを小口に乗せる。感覚的には、表紙と裏表紙で挟み込むイメージだ

 

↑裏表紙側から回してきたゴムでペンをクルッと巻いて固定する

 

↑これだけでペンをまとめて携帯できるのは、実は結構便利だと思う

 

ゴムを挟むときは、切り欠き先端のちょっと浮いた部分にゴムを押さえた指ごとすべり込ませるのがコツ。使う前に一度、切り欠きの先端を折り線沿いに軽く折っておくと使いやすい。一度挟み込んでしまえば、ペンがポロ落ちする心配はほぼゼロ。かつ、ペンホルダー(ペンループ)のように「ペンが太すぎて入らない」といったことがないので、好きなペンを自由にセットして使えるのもメリットのひとつである。

↑使う前に切り欠き先端を少し谷折りしておくと、ゴムがかけやすくなる

 

ノートとしての性能ももちろん超優秀

さて、このようにペンをセットで携帯できる機能はもちろん便利なのだが、その代わりにノートとしての性能がイマイチ……というのでは困ったことになる。その点「Penott」は、もともとベースとなっているのがコクヨの定番「ソフトリングノート」なので安心だ。リングもぷにぷにの樹脂リングで、手が乗っても痛くない。ノートとしての使いやすさはお墨付きと言えるだろう。

↑罫線は5mm方眼で、用紙70枚。たっぷりページでがっつり使い込めるノートという印象だ

 

↑リングはお馴染みの “手が乗り上げても痛くない” 樹脂製ソフトリング。一度この柔らかな手触りに慣れてしまうと、もうワイヤーリングには戻れなくなる

 

サイズはA5・B6ともに幅が約20mmの短いスリム版なので、手持ちで携帯しやすい。特にスリムB6は程よいコンパクトさで、大きめハンドメモとしても運用できそうだ。また、裏表紙はソフトリングノートシリーズ最厚とのことで、テーブルのないところなどで手持ち書きをしても安定感がある。

↑一般的なA5ノート(左)との比較。見た目はさほど違わないが、実際に手に持ってみると20mmの差はかなり大きい

 

↑裏表紙は550g/m2という極厚紙で、下敷きとしても充分な強度がある

 

あえて気になる部分を挙げるとしたら、ゴムバンドを裏表紙に留めるための金具の厚みがわずかに主張してくるところ。右ページ右端側にわずかに凹凸が出てしまい、ノートの終盤には若干の書きづらさを感じた。とはいえ、裏表紙と中紙の間に厚紙が一枚挟まれており、これがクッションとして機能するため、文字がガタつくほどではないのだが。少しの凹凸でも気になるタイプの方は、購入前に実物を触って確認してみたほうがいいだろう。

↑裏表紙の金具と中紙の間に追加された厚紙が、それなりに金具の膨らみを打ち消してくれる。とはいえこれでも手当たりや書き心地が気になる人はいるかも?

 

ただ、どんなペンでもスパッと合わせて携帯できる機能は、従来のノートにはない大きなポイント。そもそもノートとしての性能が端的に高いので、ペンがセットにできるというオマケがかなりお得! という感じだ。特に仕事で “頻繁にメモなどの書き物が発生する” という人には、かなりメリットが出るのではないだろうか。

 

2023年コスパ最強シャープでは? トンボ鉛筆「モノグラフファイン」は4段階で削り出したペン先が生み出すお値段以上の使い心地

まだ1年の振り返りをするには少し早いが、2023年はシャープペンシルの当たり年だったということで間違いなさそうだ。1月にはぺんてるが、高コスパなオートマチックシャープ「オレンズAT」と合わせて新しい機能芯「Ain」を発売。三菱鉛筆からは超ハイスペックシャープ「クルトガダイブ」が継続品となり、加えてペン先ブレを抑制した「クルトガKSモデル」も登場……など、とにかくシャープペンシル周りのトピックが多かった。

 

5000円超えのクルトガダイブは脇に置くとしても、全体的には「高機能かつ低価格」がポイントになっていたようにも思える。つまり、2023年に発売されたシャープペンシルは、どれも総じてお買い得だったということ。

 

コスパ高すぎのハイクラス・シャープペンシル

そんな中でも、発売直後から「これ、2023年コスパ最強シャープでは!?」と話題になっているのが、10月末に発売されたトンボ鉛筆の「モノグラフ ファイン」だ。こちらは、2014年に発売された初代「モノグラフ」以降、常に高い人気を誇る “繰り出し消しゴム付きシャープ” シリーズの、ハイクラスモデルという位置づけ。

トンボ鉛筆
モノグラフ ファイン(芯径0.3mm/0.5mm)
各1100円(税別)
2色展開

 

軸全体の雰囲気がシンプルなだけに、まず目を引くのが先端コーン周りの緻密な形状だろう。こちらはまずΦ10mmのボディをΦ8.8mmに削っている。これを逆アール加工でΦ4.8mmに削り、さらにΦ3.4mmに削り段差をつけてから、再び逆アール加工でΦ1.6mmまで削って先端パイプにつなげる、という4段のテーパー加工になっている。この加工によってシルエットをスリムにし、ペン先周りの見通しを良くしよう、という狙いのようだ。

↑複雑に削られたペン先が特徴的だ

 

しかもこの複雑な先端コーンは、別パーツではなくフルメタルの前軸を削り出したもの。つまりグリップからペン先までが一体化しているので、ガタ付きやブレのようなものはほとんど伝わらない。また、前軸自体に重量があるため、重心が非常に低く、筆記時にどっしりとした安定感が得られるのも大きなポイントだ。おかげで筆記感はとても落ち着いたもので、シャッと走り書くときにも、筆圧をかけてグイグイ書くときにも、安定して応えてくれる。

↑金属製の前軸は、机に置くと「ゴトン」という音がするぐらいに重量感がある

 

↑筆記の安定感はさすがのひとこと。テーパー加工のおかげでペン先の見通しも良好だ

 

また、グリップも9.6mmとボディより一段削られており、指の収まりが良いように設計されている。

 

使用感への配慮は塗装にもある。前軸全体には「ソフトフィール塗料」と呼ばれる、耐加水分解に優れた特殊塗料を塗装。これにより、ほのかにしっとりとした手触りが与えられるだけでなく、長時間の使用でもベタつきが発生しないのだ。「手汗をかいても滑らない!」というほどガッチリとしたものではないが、それでもシンプルな外観を保ちつつグリップ感を高める工夫としては、なかなかに面白いアプローチだと思う。

↑一見するとツルツル滑りやすく見えるが、しっとり感のある特殊な塗料のおかげでグリップ性能は悪くない

 

オートロック機構付き消しゴムだから、力を入れてゴシゴシ消せる

「モノグラフ」シリーズと言えば、消しゴム機能も重要なポイント。当然ながら「モノグラフ ファイン」も、軸後端に回転繰り出し式のロングな消しゴムを搭載している。使う際は、ノックノブを時計回りにひねるようクリクリ回すと、中からΦ3.6mmの細い消しゴムがスーッと出てくる仕組みだ。

↑消しゴムは消字力優先でさほど固くないので、長く繰り出しすぎないことがコツ

 

ひとつ面白いのは、消しゴム使用時に自動でノックノブの押し込みを防ぐロック機構が備わっている点だ。軸を逆さま(ペン先を上)にすると、軸内部のスイッチが重力によって動き、ノックノブが軸に潜り込まないよう固定してくれる。同タイプの消しゴムユニットを持つエントリーモデル「モノグラフライト」では、消しゴムを少し強めにかけるとノックが押されて芯が勝手に出てしまう、なんてこともあったので、このロック機構はシンプルにありがたい。

↑軸を逆さまにすると自動的にノックノブがロック。これなら安心してゴシゴシと強めにこすることができる

 

消しゴムはやや硬めながら、さすがMONOブランドだけあって、消字力は間違いない。スリムさを活かして細かな部分修正も簡単にこなせる。ちなみに、消しゴム自体は消耗部品として別売り(モノグラフライト/ファイン用)されているので、気兼ねなくガンガン使えるのも嬉しい。

↑別売の専用消しゴムは3本入り100円(税別)

 

消しゴムの交換は、ノブを回して消しゴムをいっぱいまで出し切ったら指でつまんで取り出し、新しい消しゴムを装着するだけ。芯の入れ替えをする場合には、消しゴム内蔵のノックノブをそのまま引き抜くと、芯タンクへの穴がオープンになる。最初は少し迷うかもしれないが、一度やれば簡単に分かるはずだ。

↑消しゴムユニット(ノックノブ)をスポッと引き抜くと、芯の補充が可能に

 

そのほかにも、クリップが手に当たらない短くされたショートクリップなど、細部まで気の効いた作りは素晴らしい。

↑ショートクリップは、シャープペンシルを回しながら書く派に嬉しい仕様だ

 

なにより、金属前軸による剛性感の高さと落ち着いた書き味を体験したあとでは、「これで1100円ってさすがにコスパ良すぎじゃない?」という気持ちにもさせられる。要するに、ハイクラスモデルのシャープペンとして十分満足できるアイテムだということ。これを買って損した気分になる人がいるとは考えにくいので、見つけたらまず購入! で間違いないと思う。

 

赤インクが一押し! 学生向けと侮れない「フリクション Waai」を社会人も愛用したくなるワケとは?

手帳やメモ書きといった日常筆記にフリクションボールが手放せない、という人は多いだろう。うっかり誤字を書いてしまってもすぐに修正できるし、「間違って書いても消せる」という安心感の下で書けるのは、精神的にもラクなもの。一度この安心感を味わってしまうと、他のボールペンを使って長文を書くのが怖くさえなる。その結果、「フリクションが手放せなくなる」というわけだ。

 

そうした便利さから、高校生や大学生が板書用の筆記具にフリクションを使うことも増えているらしい。たしかに、文字が消せるのならシャープペンである必然性はないわけで、メーカーであるパイロットとしても、そういった層を早くから取り込み “フリクションが手放せないユーザー” を増やしたいと考えるのは、ある意味当然と言えるだろう。

 

ノート筆記に特化したフリクション新色

パイロットから11月に発売される「フリクション Waai(ワーイ)」は、ノート筆記に使いやすいように開発された新しいフリクションシリーズである。ラインナップは0.5mmのボールペン8色とラインマーカー6色。新規造形されたシンプルなオフホワイトの軸が特徴的だ。発売に先駆けて試すことができたので、今回は新色がラインナップされたボールペンをメインに紹介していこう。

パイロット
消せるボールペン「フリクション Waai(ワーイ)」
各230円(税別)
8色展開

 

パイロット
消せるマーカー「フリクション Waai(ワーイ) マーカー」※数量限定
各150円(税別)
6色展開

 

「フリクション Waai」は、ブラックを除いた7色が全てフリクションボールとして新色となる。視認性が良いのはもちろんアクセントカラーにもなるので、重要なポイントを色分けしてノートを作る際に便利だ。フリクションインクは、消せるという特性上、どうしてもやや薄めの発色になってしまいがちだったが、Waaiの新色は白地の紙に書いてもきちんと目立つ色になっている。

↑消せるボールペン「フリクション Waai」は、ブラック以外が全て新色インクとなっている

 

↑フリクションだから、もちろん文字をこすればきれいに消せる

 

実際に書いてみた印象では、筆記色として使いやすいのがブラック・ミニグレー・サンドベージュの3色で、どれもペーパーホワイトの上でもしっかり映えていた。ミニグレーはシャープペンシルのHB~B芯に近いグラファイトっぽさのある色で、シャープペンシルでノートを取るのに慣れた層にもばっちりハマりそうだ。

 

サンドベージュは褐色系ながら優しさのある色味で、これをメインの筆記色にすると、ノート全体がおしゃれな雰囲気になった。黒以外でメイン筆記色を選ぶ場合は、赤黒や青黒など濃いカラーブラックが中心だったが、このサンドベージュはブラック系統じゃない新しい筆記色として今後人気が高まりそうだ。

↑サンドベージュをメイン筆記にしても充分に読みやすい。さらに、紙面がちょっとおしゃれになるので気分も上がりそう

 

もうひとつ注目したい色が、ベルベッドレッド。従来のフリクションの赤はかなりアッサリとした色だが、新色のベルベットレッドはこってりと濃厚で深みのある赤になっており、視認性も上々。筆者は校正などの作業でフリクションの赤を長年愛用し続けていたが、今後はこのベルベットレッドに切り替えてもいいな……と考えているぐらいにはお気に入りの色である。

↑従来の赤(写真上)と比べて、濃く深みのあるベルベットレッドも注目カラーのひとつ

 

筆記色と組み合わせたいアクセントカラーにも、素敵な色が揃っている。特に爽快感のあるターコイズやチリーブルー、温かみのあるドライピーチなどは、確実にこの色を狙って買うファンが出てくるのではないだろうか。

 

色を組み合わせて使いたいけれど、失敗してチグハグしたノートになるのが心配……という人もご安心を。筆記色とアクセントカラーのボールペン各1色+マーカー計3本がセットになった『フリクション Waai マーカー 3本セット』(610円、税別)も数量限定で発売される。この3本はカラーコーディネートされているパックなので、ただ組み合わせて使うだけで見映えがするようになっているのだ。これなら、いちいち組み合わせを考える必要もないので、使ってみたい色があるなら、まずはその色が含まれている3本セットから試してみることをおすすめしたい。

↑限定の3本パックはカラーコーディネートされているため、失敗のない組み合わせとなっている。買うならまずここからがおすすめ

 

軸も優秀だが、使い慣れた「フリクションボール」軸に入れ替えも可!

「フリクション Waai」で注目すべきは、新色だけではない。スリムで握りやすい軸や、細かなところまで消しやすいイレイザーなど、軸もいろいろとブラッシュアップされているところも魅力のひとつだ。

↑軸径は従来のフリクションボールノックより6mmほどスリムになっている

 

↑コーン先端までカバーしたロンググリップで、握る場所を選ばない

 

とはいえ、従来のフリクションがどちらかというと、ビジネスパーソン向けを意識したようなソリッドなデザインが多かったので、オフホワイトの柔らかなデザインは馴染みづらいなぁ……という人もいるかもしれない。そんな場合は、リフィルが従来のフリクションボールと共通サイズなので、好みのデザインの軸に入れ換えて使ってもいいだろう。

↑後端のイレイザーは「フリクションボール ポイントノック04」(写真右)と同じスリムタイプで、細かなところも消しやすい

 

学習タイマー「ルラップ」は大人の資格試験勉強も効率化! 全体の経過時間と問題ごとのラップタイム計測でペース配分をつかめ

「タイマー学習法」と呼ばれるテクニックがある。これはまさに文字通りタイマーを活用した学習法のことで、大まかに言うと以下の3通りが存在する。

 

1. 25分勉強したら5分休む、といったルーティンを組むことで集中力を継続させる学習法

2. 60分必ず勉強する、などのように制約的に時間を決める学習法

3. テスト形式でどれだけ問題を解くスピードを高められるか計測する学習法

 

1は作業の「区切り」として、2は自分への「約束ごと」として、3は目標の「数値計測」として、それぞれタイマーを使用している。要するに言葉の上で「タイマー学習法」と一括りにされてはいるが、これらは完全に別物だといえる。

 

スピードアタックに最適な学習タイマーが登場

さて、この3つのタイマー学習法のうち、資格取得のための勉強に導入すると良いといわれているのが、3の問題を解くスピードをタイマーで計るタイプ。当然だが試験には制限時間があり、所要時間は意外とタイトなことが多い。さらに、社会人での受験の場合、学生の頃のテスト感覚もだいぶ薄れがち。つまり、あらためて “時間内に問題を解ききるペース配分” を掴むためのタイマーが必要になってくるというわけだ。

 

そこでオススメしたいのが、2023年8月4日にキングジムから発売された、学習タイマー「ルラップ」。このタイマーはラップタイムを計るのに特化した機能を備えており、ペース配分を掴むための勉強に最適なのだ。

キングジム
学習タイマー「ルラップ」
2800円(税別)
3色展開

 

形状は、最近の学習タイマーのなかでも画面の見やすさで人気の高い平置き&斜め液晶タイプ。液晶が斜めの設計なので、画面が陰になりにくくて視認性が高いところがポイントだ。上部には操作用の小ボタン4つと大ボタン2つ、時間を知らせてくれるLEDを備えている。

↑小ボタン左から時間/分/秒/モード切替、大ボタン左からラップ/スタート&ストップ。秒とモード切替の同時押しでカウントリセットを行う

 

↑日付と現在時刻を表示するカレンダー&時計モード。タイマーを使わないときは卓上時計としても使用可能だ

 

基本的にはこの合計6つのボタンを使って操作するのだが、一見では操作方法が分かりづらいため、慣れるまでは戸惑うことがあるかもしれない。ここで簡単に説明しよう。

 

まずカレンダー&時計モード、タイマーモード、デイカウントモードの3モードを「MODE」ボタンでそれぞれ切り替える。タイマーモードは、2段に区切られた画面の上段が大問ごとのラップタイム、下段が総カウントを表示する。時間(HOUR)・分(MIN)・秒(SEC)ボタンで時間を入力してスタートすると「カウントダウン」、設定せずにスタートすると「カウントアップ」タイマーとして働く仕組みだ。

↑時間を設定したら「START / STOP」ボタンでカウントダウン開始

 

カウントダウンまたはカウントアップ中、左側の大ボタン「LAP / RECALL」を押すたびに、ラップ1、ラップ2……と記録していってくれる。従来のタイマーでもラップタイム(途中までの所要時間)が計れるものは多いが、「ルラップ」は、各ラップ(大問)間の所要時間を記録・表示してくれる、という点がユニークである。例えば、スタート~ラップ1は18分45秒、ラップ1~ラップ2は16分28秒、というように都度確認が可能なのだ。

↑ラップごとのタイムを表示するので、それぞれの問題を解くのにかかった時間が一目瞭然

 

一般的には、ラップ計測可能な学習タイマーは、それぞれスタートから最初のラップまでの時間(競技用ストップウォッチでスプリットタイムと呼ばれるもの)しか表示されないものが多く、各ラップ間の時間を出すには、都度引き算をする必要があった。それが、ラップ間ごとのタイムが表示されるなら、例えば模試の大問1を解くのに何分何秒、そこから大問2を解くまで何分何秒、と見たままで読み取れるわけだから、これはもう端的に使いやすいの一言に尽きる。

↑計測終了後に「LAP / RECALL」ボタンを押すとRECALLモードになり、小ボタンの◀▶で各ラップを呼び出せる

 

↑設定時間に達したら、電子音とLEDライトでお知らせ。さらに自動で折り返しカウントアップ(下段左端に折り返しアイコンが表示)が始まるのも便利だ

 

この機能を活用すれば、自分がどの問いで解くのに詰まったか、といった点も簡単に可視化できるので、勉強の効率も上げやすいはず。単に早解きスピードアタックをする場合でも、どの問題で時間を稼ぐことができたか? など、解像度の高い分析が可能になる。結果として、自分に合ったペース配分が掴めるようになる、というわけだ。

 

試験まであと何日? が常に見えるデイカウントモード

もうひとつのデイカウントモードも、他にはあまり見られない機能である。こちらは事前に設定しておいた日まで「あと何日か」を常時表示してくれるというもの。

↑設定期日(上段)までの日数をカウントするシンプルなタイマー。試験へ向けて追い込みをかけるときにいいかもしれない

 

もともとキングジムには、デイカウント専用タイマー「LIMITS」という製品があるが、つまりはこれと近いことができるよ、ということなのだろう。試験当日まであと何日、と表示しておくことで勉強のスケジュールを立てやすくしたり、自分にプレッシャーをかけることもできそうだ。もっとも、筆者はこういうのを常に表示しておくとストレスで胃をやられるタイプなので、個人的にはあまり使いたくない機能ともいえるのだが……。

↑裏面スイッチの切り替えで、サイレント設定や持ち歩き用のボタンロックも可能

 

↑電源は単四形乾電池2本で、約1年間の駆動が可能という

 

しかし、総合的には前述の通り、操作感の分かりづらさはあるけれど、ラップ機能の使いやすさが本当に優秀。サイレント設定(タイマー音なし・LED発光だけで時間を知らせる)のような基本的な機能もきちんと備えており、図書館での使用もできるなど、テスト対策の勉強用としては間違いなくオススメできる製品といえるだろう。

 

これはコスパが高い! カッターから指先をプロテクトする安全定規「ユビテクト」の仕組みと実力

カッターナイフは学校の図工などの授業でも活用されるほど身近な刃物。一方で「ちょっと怖いな」と感じている人は少なくないだろう。筆者も趣味で紙工作を楽しんでいるので、つい先日ダンボールをカットしている最中に、定規からはみ出した人差し指の先を、軽くケガしてしまったばかり。幸い縫うほどの深い傷ではなかったが、2週間程度は細かい作業に不自由した。

 

いくら注意をしていても、人間のやることに「絶対安全」はない。とはいえ、ケガをしないように作られた道具を導入することは、やって損はないはずだ。

 

もう痛い思いはしない!?  指先ガード付き定規

さて、カッターナイフで指を切ってしまうケースでは、先述の筆者のように定規を使った直線カット時であることが少なくないと思う。定規に刃を当てて沿わせてしまえば、あとは切り終わるまでカッターを動かすのみ。その動線上に定規を押さえている指が飛び出していれば、うっかり切ってしまうこともあるよね、という話だ。

サンスター文具
指先ガード定規 YUBITECT(ユビテクト)
各380円(税別)
定番カラー2色/初回限定カラー3色

 

ということは逆に、定規から指が飛び出しさえしなければ、ケガのリスクは大幅に減らせるはず! そんな理屈によって作られているのが、サンスター文具の定規「ユビテクト」だ。一見、ごく普通のプラスチック定規だが、実はちょっと面白いギミックが付いているのでさっそく紹介しよう。

 

「ユビテクト」では、カット作業をするときに、まず本体中央のへこみに指先を入れて軽く持ち上げる。すると、パキッという音とともに、上写真のように半透明の板(以下、ガードプレート)が立ち上がる。このガードプレートが、刃の動線上へと指が飛び出さないように仕切りとして機能するのだ。

↑カット作業時は、まず中央にある半透明の板(写真の白い部分)を持ち上げる

 

↑持ち上げると、指先を守るガードプレートが出現する

 

定規を押さえる指先を、ガードプレートが刃から守ってくれるので、うっかり切ってケガをしてしまう心配がなくなる。さらに精神的にも「ここまで高いガードがあれば刃が届かないだろう」という安心感につながる。この仕組みのおかげで、日頃カッターナイフに苦手意識を持っている人でも、恐怖心を感じずに切ることができるのではないだろうか。

↑刃先と指が完全に仕切られているので、とにかく安心感がある

 

カット時に安全なだけじゃない。定規としても優秀!

「ユビテクト」は長さ17cmで、B5ノートであるセミB5サイズの紙面の横断線を引くのにジャストな長さとなっている。一般的な15cm定規では、グラフや図表を書くのにやや物足りない、ということもあるので、この長さはカット時以外でも使い勝手が良いはずだ。

↑セミB5紙面の端から端までフォローできる、ちょうどいいサイズ感

 

同商品を裏返すと、縞模様のようにマット加工のプレートが入っているのが見える。このマット加工プレートにはすべり止め効果があり、上から指で紙に押しつけることで、定規を安定させることができる。指の力を抜くとスルスルと動かせるので、同じ紙面上を何度も切り込んでいくような作業でもやりやすい仕組みだ。

↑縞状に白く見えている部分がマット加工された部分

 

↑押さえると固定→力を抜くとスルッと動く。適度なすべり止め効果で、平行線を引く時などにも使いやすい

 

唯一の課題は?

このように安全性が高くカットもしやすい定規なのだが、ただひとつ、カット時に使用する面(目盛が入っていない側)にステンレスなどの金属ガードが入っていないのは、少々残念である。使用する際には、アクリルに直接切り込んで削ってしまわないように、注意したほうが良さそうだ。

 

それでも、指先ガードがついたカット定規のほとんどが数千円台であるなか、500円以下という手軽な価格の商品は他にないので、コスパの面ではかなり優秀といえるだろう。ぜひ、似た価格帯で30cmバージョンなどのロングタイプも出して欲しいところである。

 

スマホやタブレットを傷つけずジャストフィット! まとめ持ち専用メモパッド「プロジェクトガジェットメモ」がこんなに気持ちいいなんて

筆者が取材する場合、だいたいはメモは手書きがメインで、状況が許せば録音をしながら写真も撮る、という感じだ。その録音や撮影は、今のところスマートフォンで行うことが多い。1台でどちらも同時にできるからラクなのだ。つまり取材中は、メモ帳とスマホと筆記具を持っているわけだが、このとき筆記具は利き手で握るとして、スマホとメモ帳はもう片方の手でまとめて持つことになる。

 

これが実に収まりが悪かったりする。例えば、両方を重ねて持った場合、スマホよりもメモ帳の方が小さいと、メモ帳がスルッと手から滑り落ちるトラブルが発生しがち。逆にメモ帳の方が大きいと、今度はスマホがズリ落ちる危険性がある。落ちるのを警戒して強く握りすぎると手が疲れるし、メモ帳がヨレヨレになることも……と、スマホとメモ帳をセットで携帯する場合、この“サイズ差”は意外と困った問題なのである。

↑サイズの違うメモ帳とスマホを重ねた状態。持ちづらいし、落とす危険性も高い

 

スマホとセットで持ち歩くための新発想メモ

この問題の解決方法は、実にシンプル。メモ帳のサイズがスマホのサイズに合っていればいいのだ。まさにその発想で作られたのが、オキナ「プロジェクトガジェットメモ」である。

オキナ
プロジェクトガジェットメモ
8.3インチ:800円/6.1インチ:550円(いずれも税別)
各4色展開

 

↑用紙はシンプルな5mm方眼罫

 

まず面白いのは、表紙隅に印刷されたサイズ表記。一般的には「B6」「A7」などの定型や「75×128mm」といった数値表記がほとんどだが、同商品は紙面の対角線サイズで「6.1 inch」「8.3 inch」と表記されている。このサイズ表記に見覚えがあるという人もいるだろう。そう、スマホやタブレットの画面サイズそのものだ。

↑メモ帳としてはおそらく唯一の、紙面対角線を表したサイズ表記

 

「6.1 inch」はドンピシャで現行のiPhone(iPhone 15含む)と同サイズ。そして、「8.3 inch」はiPad miniサイズだ。握った際にメモ帳とスマホの幅がピタッと揃うので、これならズリ落ちる心配はまずないだろう。

 

ちなみに筆者が使っているのは少し大きいiPhone Pro Maxモデル(6.7 inch)なので、ジャストフィット! というほどの感動はないが、それでも十分にまとめ持ちがしやすい。アスペクト比が揃っているため上下もほぼ差がなく、スッキリと手に収まっている印象だ。

↑少し大きいiPhone 12 Pro Maxと重ねた状態。スマホの方が少し大きいが、それでもフィット感は高い

 

もうひとつ、綴じリングが表紙/裏表紙でくるまれている構造も、スマホと一緒に持ち歩くための工夫のひとつだ。これにより、重ねて持った際に金属リングがスマホに直接触れないので、スマホが傷つきにくいというわけだ。画面のガラスは硬度が高いとはいえ、やはり金属と強く擦り合わせれば細かな傷がつく可能性は十分にある。そこに衝撃が加わると割れてしまうこともあるので、この傷がつきにくい仕様はありがたい。

↑金属リングがスマホに触れにくい仕様なので、ひっかき傷をつける心配も少ない

 

携帯して良し・デスクメモに良しの万能っぷり

用紙は、オキナの定番ノートパッド「プロジェクトペーパー」と同じもので、薄くてコシがあり、サラサラとした書き味が気持ち良い。水性ボールペンや万年筆のようなつゆだく気味な筆記具でも裏抜けせず、フリクションインクを消してもヨレづらい、かなり高品質な紙といえるだろう。

 

5mm方眼罫は全4色の表紙色を、それぞれ淡くしたカラーで印刷されている。例えばラベンダー表紙の用紙は淡ラベンダー罫だし、ライラック表紙なら淡ライラック罫という感じだ。表紙を好みの色で選べば中も同系色になるので統一感もあるし、なかなかにオシャレだと思う。

↑表紙と色合わせされている方眼罫。表紙と用紙の統一感がスタイリッシュ

 

表紙には少し珍しい、毛羽立ったベルベットのような質感の厚紙が使われている。この手触りがなかなかに気持ちいいのだが、それだけではなくここにもユニークな機能が備わっている。表紙で摩擦が働いて滑りにくくなるので、机に置いてデスクメモとして使うときに、メモ自体を手で押さえなくてもワンハンドで書くことができるのだ。この安定感はデスクメモにはとても重要な要素なので、表紙/裏表紙に滑り止め機能が施されているのは、それだけでも便利。ただし、表紙の毛羽が机の汚れを拾いやすいので、そこは要注意だ。

↑ベルベットのような柔らかなタッチの表紙

 

↑メモを手で押さえなくても滑らないので、電話を受けつつメモる、という用途にも役立つ

 

↑用紙はマイクロミシン目入り。切り取れば伝言メモとしても使いやすい

 

手で持って良し・置いて良し・書いて良し……ということで、幅広い場で活躍してくれそうだ。特に、今までスマホとメモ帳を重ねて持ち歩いたことがある人なら、この良さはピンと来るはず。実際にスマホとメモ帳がジャストフィットすると、なかなかに感動的な持ち心地なので、ぜひ体感してみてほしい。

 

ノートにピタンと張り付くペン! デジタル時代だってとっさの筆記セットはゼブラ「ピタン」に決まりだ

文房具好きである筆者からすると、あまり理解できない話なのだが……多くの人は、日常的に筆記具を持ち歩いていないらしい。実際に筆記具を持ち歩いていない、という人に「えっ、じゃあ急に書類に署名が必要だったりしたとき、どうするの?」と訊ねたら、曖昧な反応が返って来た。

 

たしかに、情報の書き写しやスケジュールの管理はだいたいスマホでできてしまうので、手帳・メモ+ペンを持ち運ぶプライオリティは、ここ十数年でガクッと落ちてしまった感は否めない。とは言っても、打ち合わせ中にイメージや図を手書きして説明したり、ざっくりしたアイデアをスケッチしたりと、アナログの紙とペンが役に立つケースも、まだ多く残っているのではないだろうか?

↑ペンを “ノートにはさんで携帯する” ことがよくあるが、落としたりノート表紙が破れたりと、けっこうトラブルの元だったりするのだ

 

ノートにピタッとくっつく携帯ボールペン

ともあれ紙とペンはセットで使うものだし、一緒にして持ち歩いた方がラクなのは当たり前だ。手帳ならペンホルダーを備えていることも多いが、ハンドメモやノートはその限りではない。しかし、何か書きたいときに、まずカバンからノートとペンケースを取り出して、さらにペンケースからペンを出して……というのは非効率な気もする。机のない屋外などでは、さらに面倒くささが増すだろう。

 

そういう場合でも便利に使えそうなのが、ゼブラの携帯用ボールペン「ピタン」である。

ゼブラ
ピタン
1200円(税別
4色展開

 

上の写真だけでは、なにがどう携帯用か分かりづらいかもしれないので、実際に使うようにセットしてみると……。

↑ノートの表紙を付属の保護シートで挟んで、その上からホルダー本体の金属クリップでくわえ込む

 

↑これでセット完了

 

↑ノートとペンが一体化して、違和感無くペン1本を常時携帯できる

 

この通り、「ピタン」はノートなどと一体化させて携帯できるボールペンなのだ。セッティングは簡単で、ノートの裏表紙などにまずホルダーのクリップを挟みこむ。このときノートを傷めたくない人は、付属の保護シートを裏表紙に挟み、その上からクリップを装着すればいい。ホルダーとペンは磁石でくっついているだけなので、書くときはペンを持ち上げるだけで、ポコッと簡単に取り外せる。戻すときも、ペンを近付けるだけで貼り付く。シンプルな構造だ。

↑ペンは板状のホルダーに磁石でくっついているだけなので、つけ外しはかなりお手軽

 

↑筆記時には、軸後端のノブをノックして書き出すだけ

 

ノートに厚みがあると、ちょっとペンを取り外しにくいが、その場合はノックノブについているストラップをつまみ上げればOK。ベルトループに差し込むタイプのペンホルダーと比較すると、ペンのつけ外しは驚くほど簡単、かつ手っ取り早い。加えて、ペンを戻す際のパチンという音と感触が軽快で気持ちいいのもポイントだ。

 

イロモノ系? 運用してみたら実は意外と便利かも

「そこまでつけ外しが簡単ということは、意図せずペンが外れて落ちることもあるのでは?」と思った人もいるだろう。もちろん磁石2つで固定しているだけなので、外れないということはない。実際にカバンに入れて持ち運んだ際、カバンの中にペンが落ちていたこともあった。

 

とはいえ、思ったほどはポロ落ちしないなというのも正直な実感だ。特にページ数の多い厚めノートに装着すると、ペン部分に横方向の荷重がかかりにくいのか、かなり安定するようだ。上下方向に関しても、ホルダーに刻まれたストッパーでペンが必要以上にズリ動かないようになっているなど、よく考えられた仕組みだ。

↑磁石はホルダーのクリップの根元あたり(写真の赤色部分)に埋め込まれている

 

ちなみに、ペン自体は初期状態でゲルの0.5mmリフィルを内蔵している。端的に言えばJK-0.5こと「サラサ」芯である。日本国内で一番普及しているゲルインクリフィルなので、外出中にインクが切れても替えの入手はかなりラク。どんな小さな文房具店にだって、まず間違いなく売っているし、コンビニで「サラサ」を買ってリフィルだけ入れ替える、なんて力技でもOKだ。携帯用ボールペンとしては、これもまた充分すぎる強みと言えるだろう。

↑リフィルはお馴染みのサラサ芯。書き味の良さに加えて、気軽にどこでも入手できるのもありがたい

 

これをノートに装着して携帯すれば、ひとまず必要十分。ペンケースを持ち歩かなくても、手書き環境が手に入るというわけだ。見た目も、ノート表紙にペンクリップを挟むよりはかなりスマートで、違和感もほとんど感じない。

↑個人的には、A6〜B7のミニノート(もしくはハンドメモ)との組み合わせが軽快で良いと感じた

 

ペンの書き味にこだわりがあって、好みのペンだけ使いたい! というタイプの人には向かないが、とりあえず書けるものを手間なく持ち歩けたらいいかな、という場合なら抜群に効果を発揮しそうだ。ただし、表紙に挟んだクリップの厚みでページが少しモコッと盛り上がることがあるので、これが気になる人はいるかもしれない。そこだけは注意で。

 

どこまで切れる? 「フィットカットカーブ」のキッチンバサミは料理以外でも便利な万能ハサミだった

一般的に “紙を切る用のハサミ” にとって最も重要なのは、やはり切れ味だろう。高品質な紙用ハサミであれば、コピー用紙程度なら抵抗なくスーッと切れてしまう。しかし、刃が鋭い=繊細でもあるため、紙より硬いものを切ると簡単に刃が鈍ってしまう。一方で工具系のハサミは、プラ板やDVDなどもザクッと切り落とすことができるのだが、対して布やフィルムなどコシのない柔らかなものを切るには不向きとなっている。

↑ハサミ好きな筆者宅で使われているハサミ群。紙用・ダンボール用・フィルム用・プラ板用など専用化されている

 

つまりハサミは切る対象によって専用化すべきツールなのだが、マニアでもない限り、そう何本もハサミを手元に置いておくのは無駄だと感じる人も多いだろう。そこでオススメしたいのが、紙でもフィルムでも程よく切断できる切れ味と、プラ板をバッサリ切って刃が鈍らない頑丈さを併せ持つ、汎用性の高いハサミを1本持っておくこと。とはいえ、筆者イチオシの高汎用性ハサミは、文房具店ではちょっと探しにくいかもしれない。なぜなら、ジャンルとしては “キッチンハサミ” に類する製品だから。

 

なんでも切れて頑丈、しかも洗える万能ハサミ

プラス「フィットカットカーブ 洗えるチタン」(以下、洗えるチタンハサミ)は、今やハサミ界の大定番である「フィットカットカーブ」シリーズの、キッチン用ラインナップだ。刃はステンレス鋼にチタンコーティングを施したもので、もちろんお馴染みのベルヌーイカーブ刃(ベルヌーイ螺旋の数式をカーブに応用した刃で、刃の根元から先端まで同じ力で切りやすい)となっている。

プラス
フィットカットカーブ 洗えるチタン
1050円(税別)
5色展開

 

キッチンでは、フニャフニャの食品パック用フィルム、硬くて分厚い牛乳パック、弾力のある鶏むね肉、パキッと砕けやすいキュウリなど、あらゆるものを切らなければならない。つまりキッチンバサミというのは、非常に高い汎用性が求められるのだ。逆に言えば、キッチンバサミを日常用に転用すると、だいたいのものが気持ちよくサクサクと切れてしまう、というわけ。

↑ツルツル滑って切りづらいプラタグも、ギザ刃が噛むおかげで安定して切れる

 

「洗えるチタンハサミ」は片刃がマイクロセレーション刃(細かなギザ刃)になっているため、新品の靴下をつなぐプラタグや梱包用PPバンドなどの刃滑りしやすい素材でも、がっちり噛んで切ることができる。さらに緩衝材のプチプチシートのようなコシのない素材でも、刃と刃の隙間にフニャと落ち込んで切り損なってしまうということを減らせる。こういった “切り損ないの出ない安定性” こそが、このハサミ最大の魅力といえるだろう。

↑分厚い刃は力を込めて切れるので、ブリスターを大雑把に開封するにも最適!

 

刃厚も約2.5mmと分厚いので、力を入れてグイグイと切るのにも適している。例えば、雑貨やオモチャのブリスターパックも、透明のPETと下の厚紙台紙をまとめてザクッ! とカットできるので、苦労せずに開封が可能だ。この切れ味を一度体感すれば「信用できる……!」という気持ちになるはずだ。

↑コシが無くて切りづらいプチプチシートも、安定してサクサク切ることができる

 

キッチンハサミがだいたい全長200mm前後と大ぶりなのに対して、文具ハサミに近い約175mmというコンパクトさも、使いやすいポイントのひとつ。これなら取り回しもラクだし、気軽に手に取りやすい。ペンスタンドに立てて置いてもさほど主張は強くならないと思う。

 

もうひとつ、製品名通り「洗える」のも、万能ハサミとしてありがたい。あれこれ切っていると、油汚れや粘着材のようなものが刃に残ることもあるため、中性洗剤でゴシゴシ洗えるウォッシャブル仕様は実にありがたいのだ。もちろん刃物なので、洗う際は怪我しないように注意するようにしたい。

↑汚れたら洗剤をつけてゴシゴシ洗えるのが便利。もちろん食洗機にも対応している

 

調理用ハサミもフィットカットカーブがオススメ

キッチン用フィットカットカーブを汎用ハサミとして使っている筆者だが、じゃあキッチンの調理用ハサミは何を使っているのか? そりゃもちろん、キッチン用フィットカットカーブである。(どれだけフィットカットカーブ好きなんだ)

プラス
フィットカットカーブ 多機能料理はさみ
2700円(税別)
3色展開

 

こちらは2022年秋に発売されたばかりの「フィットカットカーブ 多機能料理はさみ」(以下、多機能調理ハサミ)という製品だ。先述の「洗えるチタンハサミ」よりも、調理用途に能力値を強く割り振ったタイプといえる。

↑サイズは調理用ハサミとしては標準。ハンドルはソフトなエラストマー製(ゴム弾性をもつ素材・材料のこと)で、濡れた手でも握りやすい

 

↑調理ハサミとしては切れ味も良好。ネギも潰さずに切ることができる

 

食材をザクザクと切るには刃渡りがある程度欲しいので、調理に使うハサミとしてはこれぐらいのサイズ感(全長約200mm・刃渡り約80mm)が適正だろう。ハンドルもしっかりと大きく、ゴム手袋をはめたままでも安定して操作できるようになっている。

↑一定の角度で開いたときのみ分解できる設計なので、落とした衝撃でバラけるような危険性は無い

 

↑調理ハサミは洗浄の機会も多いので、食洗機対応なのは嬉しい

 

刃が左右分離できるのもポイントで、汚れを洗ったり、食洗機に入れたりするにはこれがとても便利だ。他にも分離できる調理ハサミは多くあるが、「多機能調理ハサミ」はこの分離を司るカシメ周りのリングが非常に優秀。分離は簡単だが、通常の作業時にはまったくガタつかない安全仕様なのだ。

↑置いたときに刃先が浮いて接地しない設計で、衛生面も万全

 

刃の中央に空いたスリットは、皮剥き用のピーラーに。ハンドルには栓抜きと、固いビンのふたなどを開栓するふた回しが付属している。この辺りは正直「使うことある?」という気もするが、オマケとしてついていてくれる分にはまぁいいかな、というところ。

↑刃の内側はピーラーに。ただし残念なことに、この使い勝手はさほど良くない……

 

一人暮らしを新たに始めた! という人にとって、使用頻度の高い汎用ハサミと調理ハサミは、選び方次第でQOLが地味に大きく変わってくるはず。ということで、新しいハサミ購入時には、ぜひ本記事を参考にして、良いモノを選んでいただきたい。

 

筆記距離6倍! 大容量「ゴツ盛りインクの蛍光ペン」の力強い使い心地とは?

蛍光マーカーと言えば、文字列の上に半透明カラー(主に蛍光色)のラインを引くことで、文字列を目立たせるための筆記具である。同じ「蛍光色のラインを引く」筆記具でも、メーカーの思想やユーザーニーズによって、製品ごとに機能はさまざまだ。「摩擦でラインが消せる」ものや「ペン先チップが半透明でラインを引く箇所が視認しやすい」もの、さらには「マーカーなのに淡色の地味なインクを搭載している」なんてものまである。

 

よくもまぁ次から次へとユニークな機能を考え出せるなぁ、と感心するのだが……つい先日入手した新しい蛍光マーカーも、「インクがめちゃくちゃたっぷり入ってる」というシンプルながらインパクトのある製品だった。

 

インク容量なんと6倍! 超盛りサイズの蛍光マーカー

正直な話をすれば、やはり蛍光マーカーの機能は「チップが柔らかく紙に密着するので線が引きやすい」などの方が、機能説明されたときに、素直に「へー!」と感心しやすい。それは間違いない。しかし、もっと正直な話、普段から蛍光マーカーを使っていて最も気になるのは、「書いているとインクがすぐになくなる」という部分だったりする。

エポックケミカル
ゴツ盛りインクの蛍光ペン
各340円(税別)
ピンク/オレンジ/イエロー 全3色展開

 

↑「大盛り系カップ焼きそばか!」とツッコミたくなる、インパクトの強い製品名

 

エポックケミカルの「ゴツ盛りインクの蛍光ペン」は、太い透明軸がそのままタンクになっており、インクが超たっぷり詰まった直液式(インクが液体の状態で軸に封入されている)のマーカーだ。「ゴツ盛り」という名前の印象から1mmもズレることのない、まさに大容量の製品である。軸を手に持って揺らすと、中のインクがジャブジャブと揺れて、重心が動くのがハッキリと感触で分かる。今までにも直液式マーカーは何本も触ってきたが、ここまでインクの揺れを感じたのは初めての体験だ。

↑直径約16mmの極太軸にたっぷり詰まった液体インク

 

↑一般的な直液式蛍光マーカー(左)との比較。目に見えてボリュームに差がある

 

ちなみに、インク搭載量は9.5ml。他の直液式マーカーのほとんどはインク搭載量を記載してないので、単純に液量で比較をするのは難しいが、メーカーによると「たっぷり6倍」(同社比)とのこと。筆記距離も従来製品が約80mなのに対して、ドンと桁違いの約570m。書ける距離もマーカーとしては常識外れである。これは、どれだけ書いてもインク減る感じがしない。

↑ISOT(国際文具・紙製品展)のエポックケミカルブースにて。筆記距離を高尾山の標高になぞらえるという、よく分からないけど勢いを感じるパネル

 

超たっぷりインクを贅沢に使う楽しみ

インク供給はバルブ構造。ペン先チップが乾いてきたかな? と思ったら、チップを紙に当てて1~2回グッと押し込む。すると、タンクからドバッとインクが流れて補給される仕組みだ。この吐出量がたっぷりしているため、補給後の書き出しはだいたいビシャビシャ。加減を間違えるとコピー用紙でも簡単に裏抜けするので、手帳や文庫本などの薄い紙には使いづらいかもしれない。ボールペンで書いた文字の上にラインを引くと、字がにじむこともありそうなのが心配なところ。

↑チップはベーシックなチゼル(くさび)型。筆記幅は約4mmだ

 

↑書き味はとにかくインクリッチ。ドバッと出るので、乾くまでは筆跡をこすって汚さないように注意したい

 

その代わり、使う度にチップを押し込んでやれば、線がかすれる心配はほぼ無い。紙の上で乾き気味のチップがかすれる、あの “カッスー……” という残念な感触を味わわずに済むのは、ありがたいと思う。ただし、「裏抜け・にじみ」と「筆記時のカスカス感」はどうしたってトレードオフの関係なので、そこは好みが分かれるところだろう。ちなみに、筆者はどちらかというと、多少裏抜けしようがカスカスしない方が好みだ。

↑ラインの引き始めと引き終わりは特にインクが染みるので、裏抜けしやすい

 

使用感を左右するさりげない配慮も

ところで、一般的にマーカー類は、チップがカスカスに乾かないようキツめにキャップを閉める必要がある。そのため、開けるときに力を込めるので、勢いがつきすぎて手にインクがべったり付着する、なんてトラブルも起こりがち。「ゴツ盛りインクの蛍光ペン」なら、キャップを反時計回りに少しひねるだけで簡単に開けることができる。閉めるときには、キャップを被せるだけでパチッと勘合する。シンプルだが、これはなかなか良くできていて使いやすい構造だ。

↑軽くひねると、内側の斜線状溝を伝うようにしてキャップがスッと浮く。この感触が楽しくて、つい何度も開閉してしまった

 

先述の通り、蛍光マーカーを使っていて不満に感じるのは、結局のところ「書いているとインクがすぐになくなる」ことだったりする。それなら「インクがめちゃくちゃたっぷり入ってる」というのは、実はとてもユーザーフレンドリーな製品のようにも思う。力強い製品名の印象には、思わず「ウホ。オレ、インクタップリ、ツヨイ」と万能感あふれる気持ちになったりもする。実際、使ってみたらかなり強い(主に筆記距離とインク吐出量)ので、ぜひ使い勝手のよさにウホウホ言いながら使ってみて欲しい。

 

「梱包開封シザーズ」バージョンアップと携帯タイプが登場! 開梱時の失敗をなくせそうな優秀機能とは?

これまで言葉を尽くして「ダンボールは “開梱ツール” を使って開けるとラクで安全ですよ」とを伝えてきたのに、いまだに届いた荷物を手でバリバリ開けてしまう人がいる。しかし、 “手でバリバリ人” たちの「わざわざダンボール開けるためだけに専用の道具を買うの、もったいなくない?」という意見に関しては、正直理解できなくもない。一般的な開梱ツールは約1000円前後なので、効果を体感できていない道具に払う金額としては、お安くないと感じるのはもっともだろう。

 

そんな人には、まずは他のツールと一体化している “多機能タイプ” の開梱ツールから試してみて欲しい。

 

便利な開梱ハサミがバージョンアップ&新タイプ登場!

多機能タイプ開梱ツールの代表格といえば、コクヨから2017年に発売された「2Wayハサミ<ハコアケ>」(以下、ハコアケ)だろう。この製品は、ハサミと開梱ツールが一体化したもの。ハサミモードで結束用のPPバンドなどを切ってから、開梱カッターモードでダンボールを開けるなど、これ1丁で効率的に作業ができるのがポイントだった。この「ハコアケ」が、2023年3月にバージョンアップ。加えて、コンパクトに持ち歩ける携帯タイプも登場した。

コクヨ
2Wayハサミ<ハコアケ>
左:チタン・グルーレス刃 1300円(税別)
右:グルーレス刃 950円(税別)

 

コクヨ
2Way携帯ハサミ<ハコアケ>
左:チタン刃 1200円(税別)
右:スタンダード刃 850円(税別)

 

従来の「ハコアケ」は、ハンドルに備えたスイッチをスライドさせると刃先がわずかに露出し、開梱カッターモードとして梱包テープなどをカットすることができた。しかし、安全性に配慮しすぎたのか、刃先の幅がわずか1mmほどしかなく、しっかりとテープに刃先が食い込まないなどして開けづらいと感じることがあった。

↑開梱カッターモードを使用するときは、ハンドルを握りながら中央のスイッチを押し出す。すると刃先(赤丸の部分)が露出してカッターとなる

 

対してバージョンアップ版は刃の出る幅が約1mmから3mmへと変更になったことで、梱包テープなどに刺さりやすく、切り進めるのもラクになった。

↑「ハコアケ」新旧の比較。バージョンアップ版は確実に刃先が大きく飛び出している

 

この刃長の3mmは一般的な梱包用ダンボールの厚みに近いので、中身を傷つけてしまう心配はほとんどない。切り進む際に、ダンボールの合わせ目から刃がはみ出すこともほとんどなく、程よい塩梅で使用できる。たった数mmの差とはいえ、この変化により使い勝手がめちゃくちゃ違ってくるのだ。

↑バージョンアップによって、開梱しやすさも大幅アップ

 

↑ハサミとしても、PPバンドがサクッと気持ち良く切れる高品質っぷりだ

 

もちろん、テープの粘着材を切っても刃がベタつきにくい「3Dグルーレス構造」や、作業時に握る力を弱めると自動で開梱カッターモードが解除される安全設計など、優秀な部分は従来通り。すでに「ハコアケ」を使っている人にも、ぜひ買い替えを推奨したいところだ。

 

今回の本命は「2Way携帯ハサミ」!?

ところで、買い替えを勧めておいてナンだが、実は個人的には新たに登場した携帯タイプの「2Way携帯ハサミ<ハコアケ>」(以下、携帯ハコアケ)の方が本命だと思っていたりする。使用シーンにもよるが、いま買うのならやはりこちらをオススメしたい。

 

その特徴は、コクヨの携帯ハサミとしてはお馴染みのスライド収納方式。

↑普段は刃が完全にグリップに収まっているので、安全に携帯できる。使用時にはまず、黒いスライダーを押し込む

 

↑中央でカチッと止めると開梱カッターモードに

 

↑最後まで押し込むとスライダーがバネで持ち上がり、ハサミモードに変形する

 

使用時はグリップのスライダーハンドルを「Cutter」までスライドさせると「開梱カッターモード」、「scissors」にすると「ハサミモード」へと切り替え可能だ。各モード位置にはクリックがあるので、表示を確認せずノールックで設定できるのも機能的で嬉しい。

↑開梱カッターモードは、新「ハコアケ」と同様に大きく刃が露出して使いやすくなっている

 

↑斜めのガイド面をダンボールに当てると、刃がちょうど良い角度でテープに刺さるので、脱線しづらい

 

ガイド機能に注目!

ここまで基本操作を紹介したところで、「携帯ハコアケ」の何がオススメかという話をしたい。

 

それは、カッター刃を入れる角度が絶妙に決まるガイド機能がものすごく優秀、ということ。例えば、ダンボール天面のテープを切る場合、グリップ底部にある角度が付いた天面用ガイドを箱に添わせると、ちょうど良い角度で切り込めるようになっているのだ。さらに、ダンボール側面に回り込んでいるテープを切るときは、天面用ガイド内側の溝(角用ガイド)をダンボールの角に添わせると、これまたジャストな切り具合になる、という仕組みだ。

↑個人的に「これは便利!」と感じた角用ガイド。側面のテープを切るのがとてもスムーズになる

 

このガイドがあると切り始めがピタッと決まるので、急いで作業するときでも失敗しにくい。また、ダンボール自体を切り込みづらくなるので、箱の再利用もしやすい。従来の開梱ツールには無かった機能なのだが、どうして今まで無かったのか不思議なぐらいに親切な機能だと思う。作業のたびに刃を入れる角度などを気にしなくていいため、サクサクと無造作に開梱できて高効率というわけだ。

 

ちなみに、グリップにはストラップホールが空いているので、吊り下げて保管したり、カラビナでベルトに引っかけておくなどの使い勝手も充分。これから引っ越しの予定などで、大量のダンボールを開けていく予定のある人は、今のうちに「携帯ハコアケ」を作業する人数分揃えておくというのも手だろう。

↑携帯ツールにあると嬉しいストラップホール。使わないときは吊り下げて保管しておくにも便利

 

↑もちろん「携帯ハコアケ」のハサミモードもPPバンドは切断可能

 

↑刃渡りの長さに加えて、立体構造で刃に粘着材が着きにくいグルーレス刃など、ハサミ単体の性能は当然ながら「ハコアケ」の方が良い。結論としては、両方買うべきかも

 

とはいえ、ハサミとしての能力はやはりノーマルの「ハコアケ」が優秀なので……ここは、両方合わせて買うのが正解なのかもしれない、などと思ったりした筆者である。

 

芯が尖るお馴染みのシャープペン「クルトガ」唯一の欠点を解消!「クルトガ KS」の完成度を検証

三菱鉛筆の「クルトガ」といえば、書くたびに芯を自動で回転させる機能でお馴染みの、高機能シャープペンシルだ。ペン先が紙に触れることで内部のメカが働き、1画ごとに約9度(「クルトガアドバンス」は18度)ずつ芯を回転させる。この仕組みにより、芯先端の偏減り(接地面が偏って摩耗すること)を防ぎ、常にシャープな美しい字が書けるというのが最大のポイントだ。

↑一時期は「中高生の所持率70%・認知度100%」だったという伝説級のシャープペンシル「クルトガ」シリーズ

 

これが実に素晴らしく効果のある機能で、使用中は常に芯先が気持ちよく尖るため、繊細で美しい字が書きやすくなる。一方で、この機構のせいで芯先がカチャカチャとブレる、という問題もあったりする。このブレが気になる人だと、どうしてもクルトガを使いづらく感じてしまうのだ。

 

芯ブレを抑制した新しいクルトガ・スタンダードモデル

芯が紙に押しつけられる力を利用してギアを動かしているので、ブレに関しては機構的に仕方ない部分ではある。でも、集中してノートを取りたいときほど、書くたびにこの “カチャカチャ” が邪魔に感じられてしまう。クルトガの機能が優秀なだけに、逆にこのささやかな芯ブレというネガティブな部分が目に付くのだ。

三菱鉛筆
クルトガ KS
各550円(税別)
0.3mm/0.8mm 各4種、全8種展開

 

そこで紹介したいのが、2023年2月に登場した、三菱鉛筆「クルトガ KSモデル」こと新スタンダードモデルである。こう名乗っているからには、つまり今後はこれがクルトガシリーズのスタンダードタイプになりますよ、ということなのだろう。初代が2008年に発売されたので、15年めの大リニューアルというわけだ。

↑カチャつきが完全にゼロになったわけではないが、それでもかなり抑えられているのがハッキリ認識できた

 

リニューアルの内容は明確で、冒頭でも述べた、クルトガ独自のカチャカチャとしたブレの軽減である。試しに書いてみると、まだ先端からほんのわずかに “カチャッ” とした振動は感じるけれど、集中して書いていれば気にならなくなるレベル。それでいて、芯先は確実に回転しているので、クルトガらしく鋭い筆跡がきちんと残る。


プレスリリースには「クルトガエンジンを改良し、筆記中のブレを軽減」とだけある。ここから考えると、芯先のカチャカチャという上下動を回転運動に変える機構、つまり「クルトガエンジン」を調整して、少ない上下動でもギアが回るように精度を高めたのだろうか。先端パイプの根元パーツ(パイプと共に上下動する部分)が、従来のプラスチックから金属へと変更されていることからも、その線で合っているような気はする。

↑パイプの根元にあるパーツが変更されているのも、クルトガエンジンの精度向上に関係していそう

 

“見せるクルトガ” を廃して握りやすさをアップ!

もうひとつ、このKSモデルで個人的に評価したいのが、ゴムグリップが搭載されたこと。従来のクルトガ スタンダードモデルは、クルトガエンジンの機構を可視化するため、グリップ周りが透明になっていた。これによって上下動が回転運動に変えられるのが逐一観察できたわけだ。(ちなみに、スタンダードではないが、非透明のゴムグリップやローレットモデルは存在する。)

 

しかし、クルトガ発売から今年でもう15年。正直なところ、今さらそれをアピールされてもなぁ……という気はするわけで。それならいっそ、見えなくてもいいからゴムグリップにしてもらったほうが、指が滑らず握れてありがたいと思っていた。

↑クルトガエンジンの動きが見える透明グリップの従来モデル(下)に対して、ゴムグリップとなったKSモデル(上)。グリップ力は当然ゴムの方が高い

 

クルトガ KSは、表面モールドもないゴムグリップだが、それでもツルツルのプラスチックよりは確実に握りが安定する。また、グリップ自体も先に向かってほんのりと太くなる逆テーパー形状で、筆記中に指の位置がずり落ちていくのを防ぐ効果があるのだ。

↑絶妙な逆テーパーで指の位置が安定。なによりゴムグリップの握りやすさがありがたい

 

カチャつき軽減で書きやすく、さらにグリップ変更で握りの安定感もアップ。実際に書き比べてみると、もう今までのクルトガに戻るのイヤだなー、と思える品質向上を感じられた。そもそもクルトガ独自の価値である “偏減りを防止してシャープな線が書ける” という機能は変わらないので、今回のスタンダードモデル改変は、シンプルに「大成功」以外の評価はなさそう。

 

特に、これまでクルトガのカチャつきでイラッとしたことがある人や、それでクルトガから離れてしまった人には、改めて一度は試してみてほしい。

 

これぞ無限付箋! 油性ボールペンで書いて消せるシリコンパッド「wemoパッドタイプver.2」の使い心地は?

文房具ファンであれば、「wemo(ウェモ)」というブランド名に聞き覚えがあるかもしれない。2017年にコスモテックから発売された初代wemoは、腕に巻き付けるシリコンゴムのバンドで、油性ボールペンでメモ書きができるというもの。いわゆる “ウェアラブルメモ” =装着するメモ帳で、ペンの筆跡は消しゴムでこすると消せて、何度でも書き消しが可能、というアイテムだ。

 

このwemoシリーズには、スマホケースタイプやIDカードホルダータイプなど、さまざまなラインアップがあるが、なかでも使いやすさに定評があるのはパッドタイプだろう。シンプルな四角いシリコン板で、裏面の弱粘着の吸着シートを使えば、ノートPCのタッチパッド横やスマホの裏側に貼っておけるメモとなる。ワンタイムパスワードのような一過性の情報をサッと書き留めておくのに、これがなかなか重宝するのだ。

↑ノートパソコンに手書きメモを増設できる「wemo パッドタイプ」(以下、先代と呼ぶ)

 

このパッドタイプにver.2が登場した。もともと充分に便利なアイテムだったと思うが、そこからどう新しくなったのか? どう使いやすくなっているのか?  確認してみた。

 

何度でも書き消しできる “無限付箋”

2023年7月26日に発売されたコスモテック「wemo パッドタイプver.2」は、正方形のシリコン板表面に特殊なコーティングを施すことで、油性ボールペンで書いても繰り返し書き消しが可能。いわゆる “無限メモ” と呼ばれるジャンルの製品だ。サイズは75×75mmで、一般的な正方形の付箋と同じ大きさだ。

コスモテック
wemo パッドタイプver.2
各900円(税別)
全3色展開

 

色合いもまさに馴染みのある薄パステルカラーで、間違いなく付箋をイメージして作られたのだろうな、ということが見て取れる。表面に油性ボールペンで書くと、わりとサラッとした書き味で紙に書いたのと同様の筆跡が残る。そして、書き留めた情報が不要になったら、消しゴムでゴシゴシとこすれば、筆跡はキレイに消せる。この辺りは従来と変わらず、不満のない使い心地だ。

↑油性ボールペン(後述)で表面に書き込む。かなりツルツルしているので、ボールがすべらないようゆっくり書くのがポイント

 

↑書いたメモが不要になったら、消しゴムで普通にゴシゴシときれいに消すことができる

 

「wemo パッドタイプver.2」を使ってみて、ひとつ気が付いたのが、パッドを手に乗せたときの感触の違いだ。先代はかなりソフトでふにゃふにゃしているのに対して、ver.2は明らかにしっかりとしている。これはシリコン強度を上げた結果のようだ。手のひらに乗せても充分な張りがあるため、圧倒的に書き込みしやすくなったように感じられた。

↑ver.2(左)と先代(右)をつまんで水平に持ち上げる。ver.2は適度な硬さとコシがあるのに対して、先代は自重で曲がるほど柔らかい

 

ただし、wemoは基本的にどこかに貼り付けた状態で筆記するので、パッドのコシが取り沙汰される確率は低いのだが……それでも適度な硬さがあった方が使いやすい、ということに変わりはない。また、モニター側面の端などに貼り付けて使う場合も、本体が柔らかいと自重でふにゃっと曲がってしまい、メモした情報が見づらくなる。やはりコシがあった方が使いやすいといえよう。

 

視認性については、本体のカラーにも注目したい。先にもカラーについて述べたが、先代のラインアップは暗めのカラーが多く、黒インクでの筆跡は視認しづらいなと感じることがあった。その点、ver.2の明るいパステルカラーの方が、文字もはっきりと読み取りやすいのは間違いない。

↑カラーも重要な進化ポイント。ver.2(左)はグッと明るい色になったため、書き込みの視認性もアップしている

 

また、これはwemoシリーズ全てにおいて言えることだが、ジェットストリームなどの低粘度油性インクを使うと、書いてしばらく時間の経った筆跡はきれいに消せず、うっすら跡が残ることがある。公式によると、ゼブラ「ジムノック」やパイロット「スーパーグリップG」などのいわゆるレガシーな油性インク(ボール径0.7mm以上)が適正とされているので、使用の際には念頭に置いておきたい。

↑筆記は油性ボールペンで行うが、ジェットストリームなどの低粘度油性インクは跡が残るため使用NGとなっている

 

↑筆記1時間後に消してみた図。よく見ると左側(低粘度油性インク)はうっすらと跡残りしている

 

粘着具合もいい感じに進化している

公式のリリース情報によると「ver.2は弱粘着性になっており、簡単に貼り剥がしできるようになった」とある。例えば、先代は紙に貼れない(剥がす際に紙表が剥離してしまう)とされていたが、ver.2では「紙や革などに貼った場合、剥がす際に表面を破損または傷める可能性がありますのでご注意ください」という注意書き程度で収まっている。つまり、注意すれば使えないこともないわけだ。

↑裏面の粘着は何度でも貼り剥がし可能

 

↑紙面に貼っても紙を傷めることなく剥がせるので、使用シーンの幅も増えそうだ

 

とはいえ実際に貼り比べてみると、さほど粘着力が違うという感じも受けなかった。せいぜい、ちょっと弱くなってる気がするかな? ぐらいだ。ただし、これに関しては、筆者が試したのは発売前バージョンであり、製品版ではさらに粘着力が弱まっているとのこと。そもそも先代のときから「粘着が強すぎて困る」と感じたことはなかったので、変わらず程よい粘着具合がある、ということでいいんじゃないだろうか。ちなみに、埃や皮脂などで粘着力が極端に劣化した場合は、粘着面を水洗いをして乾かせば復元可能だ。

↑十分に付箋の代用として使えそうな使い勝手。何度でも書き消し・貼り剥がし可能なのも嬉しい

 

実際に試してみた見解としては、ver.2は「付箋代わりに充分に使えそう」ということ。先代は、ノートPCなどに貼り付けて「パッド型メモ」として使用することが大前提なのに対して、ver.2はより幅広いシーンで付箋の “無限に書き消しできるバージョン” として気軽に運用できそうだ。SDGsの観点からも無駄がないわけだし、筆者もしばらくは情報掲示用付箋として使い倒してみようと考えている。

 

巻き戻しがスローで怖くない金属製巻き尺「スローコンベックスメジャー」の“だけじゃない”実力とは?

日常生活であまり役立つシーンは多くないが、一つは持っておきたいのがコンベックスメジャーである。あまり耳馴染みのない人もいるかもしれないが、「コンベックス」とは金属製の巻き尺のこと。家具のサイズや部屋の間取りを測るのに使う、金属テープが勢いよくシュルシュル……ガチン! と戻ってきて怖いやつ、といえば思い当たるだろうか。

 

ただし、この  “金属テープが戻る時の勢いが怖い”  問題は看過できないところ。これがあるからコンベックスを使いたくない、という人もいるかもしれない。しかし計測なしでは、せっかく買った家具が部屋に入らず無駄になる可能性もあるわけで。なんとも困ったことである。

 

ゆっくり戻るから子どもでも安心なコンベックス

それではどうすれば良いのか? その解決方法は単純で、 “シュルシュル……ガチン!” とならないコンベックスがあれば、話は済む。それが、ミドリの「スローコンベックスメジャー」である。コンベックスとしてはかなり小ぶりサイズ(H44×W44×D23mm)で重さも約67gと、子どもでも扱いやすいサイズだ。実際に、2022年のキッズデザイン賞も受賞している。

ミドリ
スローコンベックスメジャー(2m)
1380円(税別)

 

↑5mタイプのコンベックス(約330g)と比較すると、とてもコンパクト

 

巻き取る動力となる板バネの力をダンパーで減衰することで、製品名通り、金属テープがスローに戻ってくる仕組みになっている。このおかげで、金属テープで指をケガしてしまうんじゃないか……という恐怖をほぼ感じないで済みそうだ。

 

試しに金属テープを引き出して手を放してみると、巻き戻り始めは普通にスルスルと戻っていくが、途中からじわっと速度が落ちていき、最後はゆーっくり、スルッとケース本体へと収まった。結果、ノーシュルシュル、ノーガチン。これが最初から最後までゆっくり巻き戻るのであれば「なかなか巻き戻らないなー」とイライラするかもしれないが、初速があるので、そういった “待たされ感” も少ない。これはとても良くできた仕組みだと思う。

 

 

また、一般的なコンベックスにはテープ送り口の下にテープロック機構がある。ロック解除するときに、挟まれやすい位置に指が置かれてしまうため、これもガチン! と指を挟まれそうに感じる原因の一つだ。一方、「スローコンベックスメジャー」はケース側面をグッと指で押さえることで、リールの回転をダイレクトに押さえる構造になっている。ロックするためには側面を常に押さえている必要はあるが、安全性はこちらの方が確実である。

↑側面を指で押さえて直接リールの回転を止める、ある意味シンプルなロック機構

 

↑ロックがない方の側面には磁石が内蔵されているので、スチール面に貼って保管することも可能だ

 

テープに備えられた使いやすい工夫

巻き戻る速度のほかに本品が持ち合わせた機能を見てみよう。テープの目盛を見ると、10cmごとに白・黒・白と交互に塗り分けられているのが分かるだろう。これは数値をパッと見ただけで把握しやすくする工夫なのである。

↑10cmごとに白・黒・白…となっているので、直感的に長さを掴みやすい

 

また、テープ裏面は数字表記がタテになっているのもポイント。これは先端のツメを床や天井に押し当てて高さを測るときに、読み取りやすくてありがたい。コンベックス自体も軽いので、持ち上げて天井からの高さを測るのもラクだ。

↑裏面のタテ表記も読み取りやすい工夫だ

 

“シュルシュル……ガチン!” とならず怖くない、というだけでも充分ありがたいのに、コンベックスとしても便利な工夫が盛り盛り。個人的には2mというのが物足りない(間取りの計測には長さ不足)のだけど、収納・携帯しやすいコンパクトさとトレードオフだと思えば仕方ないだろう。

 

例えば、引っ越しに向けて内見いろいろ回るぞー! という人は、ぜひこれを買っておくと良さそうだ。今後しばらくは便利に使えると思う。

 

ファスナー式とスリット式の2ポケット仕様! メッシュペンケース「slish(スリッシュ)」は実際どう使うのが正解?

透明ペンケースが2022年から2023年にかけてトレンドとなっているが、「気軽には試しづらいな」と感じている人も多いのではないだろうか? PVC(塩ビ)素材のペカペカしたチープさが苦手だったり、女子中高生が使うものだろうという思い込みもあったりして、“大人” が使うにはなかなかハードルは高いものだ。(ちなみに、筆者が使っても周囲からはさほど気にされないが)

 

とはいえ透明ペンケースは、運用上のメリットが意外なほど大きい。中が丸見えなので使いたいペンを探すことなくサッと取り出せたり、小物の紛失にすぐ気付けたりと、実用的にも、流行っているのは伊達ではない。まずは「いい歳した大人でも使いやすいデザインの透明ペンケース」から、その価値を試してみてはいかがだろうか?

コクヨ
ペンケース<slish(スリッシュ)>
800円(税別)
全4色展開

 

大人でも使いやすい、透け感が魅力のメッシュペンケース

コクヨの「slish(スリッシュ)」は、ジャンルとしては透明ペンケースだが、PVCではなくナイロンメッシュ素材が採用されている。ツルツル・ペカペカせずしっとりとしたマットな見た目なので、カラーさえ選べば、全年齢で使いやすい雰囲気といえるだろう。

 

有り体に言えば “網戸” みたいなものなので、中身もそれなりに透けて見える。どのペンがどこに入っているのか? 消しゴムはどこにあるのか? 放り込んでおいたはずのUSBメモリは間違いなく入っているのか? それらがすべて、いちいちファスナーを開けてゴソゴソ探すことなく一目瞭然、というわけだ。特に忘れ物や小物の紛失が多いタイプの人には、これだけでも使うメリットが大きいのではないだろうか。

 

↑PVCほどの透明感はないけど、それでも中になにが入っているのか一目瞭然だ

 

ケースは表裏の二面構造で、表面は一般的なファスナー式ポケット。対して裏面は、中身が出し入れしやすいようスリット式を採用している。スリット部分はファスナーレスで、いわばポケットティッシュの開口部のような感じ。ここへダイレクトに指を入れて、ペンをつまみ出すことができるというわけ。メッシュ素材だから必要なものがサッと見つかり、さらにスリットからスムーズに取り出せる。これは使ってみるとかなり便利に感じるはずだ。

 

↑ユニークなスリット式の開口ポケット。いちいちファスナーやボタンで開け閉めする手間がなく、使いやすい

 

↑スリット辺にぬい付けられたフチが板バネ口金のように機能して、ペンなどの落下を防ぐ構造が面白い

 

スリット辺には厚めにフチが縫い付けてあり、程良いバネのような弾力が開口を押さえつけてくれる。これにより、スリットが開いて中身が勝手に転がり出るような危険性も少なくなる……という仕組みだ。ただし、ポーチが膨れるほどにペンを入れると、厚みによって口が開きやすくなってしまう可能性もあるので、容量的にはペン2~3本+α程度に止めておくのが良さそうだ。

 

文房具専用に設計されたサイズ感も高評価

一方、表面のファスナー式ポケットはもう少し容量に余裕があり、だいたいペン4〜5本+消しゴムやテープのりなどの小物を収納することができる。実際に使った感覚としては、使用頻度の高いメイン筆記具+αをスリット側に、予備や頻繁には使わないマーカー類をファスナー側に入れると使いやすいと感じた。

 

↑ファスナーを開け閉めする手間はあるが、容量は表面のほうが余裕がある

 

ただ、試しに使ってみて少し戸惑ったのが、 “表裏どちらに物が入っているかが分かりづらい” という現象だ。スリットポーチとファスナーポーチ、どちらも同素材同色のメッシュなので、パッと見ただけだと、どちら側にものが入っているのか判断しづらいのである。せっかく閲覧性が高くても、どっちのポケットに入っているか見分けが付かなければ意味がない。良くできたペンケースだけに、そこはちょっともったいないな、と感じた部分である。

 

↑例えば赤のフリクションボールがどちら側に入っているか、とっさに判断できるだろうか? この分かりづらさはちょっと残念なポイントだ

 

↑写真上は一般的なメッシュポーチ。ペンケースとして使うにはやはり「slish」ぐらいのサイズが使いやすいと思う

 

これまでの一般的なメッシュポーチは容量が大きすぎて、ペンケースとして使用するには持て余してしまう傾向があった。その点、「slish」は最初から文房具専用として設計されているだけあって、容量は必要充分というところ(個人的には、むしろもっと小さくても良い)。さらにスリット開口の出し入れしやすさ+透明素材ならではの高い閲覧性によるシナジーは、間違いなく快適。

 

透明ペンケースが気になっていた “大人” は、まず「slish」から始めてみることをオススメする。

 

プラス5mmの刃先がカギ!ハサミからカッターへ早変わりする「梱包開封シザーズ」の切れ味が抜群だった

ハサミにこだわりがある人は、それなりに多い。そういう人は当然ながら、きちんと贔屓(ひいき)の製品を指名買いをすることになる。その代表と言えば、やはり知名度最強のプラス「フィットカットカーブ」シリーズで、売れ行きも10年連続1位と圧倒的。が、そんな中でも意外と(というと失礼だが)固定ファンが多い印象なのが、スコッチブランドのハサミである。

 

価格は全体的にちょっとお高めだが、その分ガッチリとした作りのものが多く、切れ味にも頼りがいがある、というイメージらしい。そのスコッチハサミシリーズに、新たに開梱用ハサミがラインアップされたという。いったいどう使うものなのか? 性能はどれほどか? その辺りを実際に使って試してみた。

 

最新のハサミは普通に見えてサクサク開梱

開梱用ハサミというのは、ようするに「ダンボールを開梱するカッター機能を持つハサミ」のこと。コクヨの「ハコアケ」シリーズがその元祖だが、2023年になって各社から似た方向性の製品が発売されたことにより、グッと注目度が上がってきたジャンルだ。

 

この7月に発売される3M「スコッチ 梱包開封シザーズ」も、そのひとつ。ラインアップは全長7インチ(約178mm)/8インチ(約211mm)の2サイズと、それぞれにノーマル刃/シリコンコート刃が設定されている。

3M
スコッチ 梱包開封シザーズ
左:7インチ ノーマル刃 1,200円/シリコンコート刃 1,740円
右:8インチ ノーマル刃 1,600円/シリコンコート刃 2,140円(すべて税別)

 

ざっと眺めたところとくに変わったところはなく、いたって普通のハサミという感じ。しかし、よく見ると、刃と刃の交点であるカシメ部分がスライドして動きそうな雰囲気だ。

↑握った感じも普通のハサミと変わらないが、カシメの部分に特徴がありそうだ

 

そこで、実際に動刃(親指側)のハンドルを手前に引いてスライドしてみると、カコッという強めのクリックとともに、動刃ハンドルと刃が後退して固定された。これは開封モードと呼ばれるもので、後退せず残った静刃の先が5mmほど長く突き出している状態である。

↑動刃側のハンドルを手前に引くと刃がスライドして開封モードに。戻す時は逆に押し出せばよい

 

↑各モードの刃先を比較。開封モードは片側の刃先が5mmほど飛び出したようになる

 

この約5mmの刃が開梱カッターとなるので、梱包の合わせ目に貼られたテープにサクッと突き刺して引き切ると、スムーズにテープが切れてダンボールが開けられる、という流れだ。

↑突き出した刃を梱包テープに刺して引き切ると、サクッと簡単に開梱できる

 

開梱カッターとしての切れ味は充分すぎるほどで、作業はとてもスムーズに行える。5mmという刃長は開梱カッターとしてはやや長めだが、その分合わせ目にしっかりと入り込んでくれて、脱線しづらいように感じた。もちろん、これぐらいならダンボールの中身に切り込んでしまう危険性はほぼないだろう。

↑フック状のパーツがハンドルのスリット内でひっかかる、シンプルなロック方式

 

刃とハンドルの固定に関しては、静刃のハンドルからフックのようなパーツが生えている。これが動刃ハンドル下部の穴に入りこんだままでスライドされることによって、開閉ロックがかかるという仕組みだ。シンプルな機構なのでミスロックなどは発生しにくそうだが、スライドの動きがやや固いことと、ロック時に強く握るとハンドルがギシギシときしむのがちょっと気になった(特に問題にはならないと思う)。

 

お値段やや高めだけど、ハサミとしての性能はさすが!

さて、ハサミとしての性能はどうかというと、切れ味や剛性感などは、いつも通りのスコッチのハサミだな! という高い安定感である。特に大型の8インチは、ダンボールなどの硬いものもザクッザクッと気持ちよく切り込んでいけるので、1本備えておくとかなり万能に使えそう。

 

ちなみに2タイプの刃に切れ味の明確な差は無かったが、粘着テープなどを切ることが多いのであれば、ベタつき防止加工のシリコンコート刃を選んでおくのが無難だろう。

↑刃の性能はさすがのひとことで、硬いものもザクッと力強く切り込める

 

また、スコッチのハサミではお馴染みの立体的なハンドルだが、こちらも従来通り指にフィットして、力を無駄なく刃先に伝えてくれる感じだ(このハンドルが好き、というファンも多い)。

 

内側の黒い部分の材質はある程度の柔らかさがあるエラストマーなので、力を入れて切ったときに指が痛くなりにくいのも注目したいポイントだ。

↑エラストマー素材なので、力を入れても内側に指が当たって痛くなることもない

 

使ってみた印象として、少なくともハサミとしてスコッチファンがガッカリすることはないように感じた。それに加えてきちんと実用性の高い開封モードがついているのだから、お買い得ではないだろうか。

 

書類を集中して読み込める! リーディングトラッカー機能つき定規「モジサシ」のハイコスパぶり

文章を読もうとして手が滑るならぬ “目が滑る” ということがある。文字の連なりを意味のある文章として捉えることができず、結果として何も頭に入ってこない状態だ。そもそもの文章が分かりづらいというケースもあるが、ADHD(注意欠如・多動症)やディスクレシア(発達性読み書き障がい)、もしくは単に疲れや睡眠不足による集中力の欠如が原因、ということも多いだろう。

 

そんな目のすべりにかなり効くのが、「リーディングトラッカー」と呼ばれる読書補助具である。これを使うことで、目が滑って文意が追えないような状態も、スッと解消されるという。

 

集中して本が読めないときは、定規が効果的

「リーディングトラッカー」は、文章が見える範囲を限定することで、脳の処理を軽くするための道具だ。そう聞くと、なにか難しい装置に思えるかもしれないが、なんのことはない。文字が一度にたくさん目に飛び込んでくると脳が処理しきれずフリーズする、というのが目の滑りを生む大きな要因なので、ならば今読んでいる行だけ見えるようにして、あとは隠しちゃえばいいんじゃない? という話なのである。

クツワ
モジサシ
16cm:200円/18cm:250円(いずれも税別)

 

↑「線を引くための定規目盛」と「端がゼロスタートの物差し目盛」が上下で使い分けできる

 

このリーディングトラッカー機能を搭載したプラスチック定規「モジサシ」が、クツワから発売された。ラインナップは16cmと18cmの2タイプ。

 

どちらも定規本体の中央に透明(もしくはクリアカラー)の帯がある。これを本や書類の上に乗せると、透明帯の下の1行だけがはっきり見えて、その前後の行は隠された状態になる、というわけだ。

↑集中力に欠けた状態だと、文字の流れを追えなくなりがち

 

↑「モジサシ」を当てるとこの通り、読みたい行だけが浮き出してくる。16cmタイプは文庫本や新書にちょうどいいサイズだ

 

これは実際に試してもらいたいのだが、いま追うべき十数文字だけしか “視界に入らない” ので、文章に対して集中することを強要されない……とでも言おうか。とにかく脳への負担のかからなさっぷりがすごくて、昼過ぎのぼんやりした時間帯でも書類チェックが苦にならないほど。

 

1行読んだら次の行、と文章の流れに従って「モジサシ」を進めていけば、目が滑って意味が追えなかった文章もスルスルと読めるようになるのである。

 

まずはローコストでリーディングトラッカーを試す方法

「そんな程度のことで本当に効果ある?」と疑う向きもあるだろう。しかし、これと似たようなことを日常的に行っているはずだ。

 

例えば、本を読みながら要点に蛍光マーカーでラインを引いたことがあるだろう。あれは再読時の目印でもあるが、文章の一部だけをハイライトすることで意味を読み取りやすくし、理解を助ける効果もあるのだ。

 

↑透明.verは見え方がナチュラルなのに対して、カラー.verは視線を引きつける力が強い

 

「モジサシ」の透明帯カラーには黄色や水色などのバリエーションがあるが、これもつまりは蛍光マーカーの色と同じで、注意を集めるためのもの。眼が疲れないという点では無色の透明帯の方がラクだが、特に集中力に欠けるなーという局面では、色つきの方が効果的なように思う。あくまでも好みで選んでほしいが、より効果を強く体感したいのであれば、色つきがオススメだ。

↑表組みをチェックするなら、18cmタイプが長くて使いやすい

 

リーディングトラッカー自体はすでにいくつものメーカーから発売されているが、ほとんどが1000円前後と、気軽に試すにはちょっと高いかな、というところ。対して「モジサシ」は16cmタイプで200円+税とかなりお手頃なのがありがたい。これなら「ひとまず効果あるのか体感してみたい」くらいの好奇心で導入しても問題ないと思うので、ぜひ一度試してみて欲しい。

 

マスキングテープをリボン調にカットする「マステノリボンボン」でマステは“集める”から“使う”へ!

ここ数年のマスキングテープ市場は、「集める」から「使って楽しむ」へシフトしている…もしくは各メーカーがシフトさせようとしているようだ。実際のところ、単純に集めて楽しむだけのコレクションというのは、必ずどこかで飽和点が来る。このシフトは、マスキングテープというジャンルを長きにわたって楽しむためには必須の方向転換と言えるだろう。

 

そのあたりが分かりやすいのが、文房具好きの票で決まる文具女子博アワードの結果だ。2020年の大賞はマステを小巻きに巻いて楽しむコクヨ「Bobbin」だし、2021年にはマステとハンコを組み合わせて遊ぶビバリー「ますてのあいぼう」が優秀賞を獲っている。

 

個人的にはネチネチとただ集めて眺めるだけのコレクション趣味も嫌いじゃない(というか好き)なのだが、とはいえ消耗品なのだから、使って楽しむのが健全かな、という気もする。

 

そして直近の2022年文具女子博アワードは、というと、実はまたしてもマスキングテープで遊ぶ系アイテムが大賞を獲ったのだ。これがシンプルながらになかなかに遊べるツールなので、あらためて紹介しておきたい。

 

マステ “かわいい化” カッター「マステノリボンボン」

それが2023年1月に発売されたクツワ「マステノリボンボン」だ。聞くだけでも気持ちが弾むようなカワイイ製品名だが、使ってみるとこれまたシンプルにテンションが上がる系で、とても良い。

クツワ
マステノリボンボン
3個セット 350円(税別)

 

基本的には3種の樹脂製テープカッター(15mm幅専用)のセットで、それぞれ切り口が、(1)リボンの端みたいな二叉(ふたまた)の切り口、(2)大きめのギザギザの切り口、(3)テープを半幅に細くする、となっている。

 

マステの切り口といえば、以前は古くからのギザギザしたカッター刃に対して「ギザギザよりもスパッとフラットな方が美しいよね」というムーブメントがあり、それに対して「いや、テープらしさを出すならギザギザカットだ」という揺り返しがあったり……。要するに、マステで遊ぶ上でそれなりに注目されていた部分ではあったのだ。

↑使用時は、爪の部分を紙芯に挟み込むようにして装着

 

↑テープを本体の穴からめくり上げたら、セット完了

 

そこで、さらに切り口いろいろ選べると楽しいんじゃない? と投入されたのが「マステノリボンボン」というわけだ。

 

個人的に気に入ったのが、(1)のリボンカット。テープをカッター本体の内側でめくり起こしたら、三角形をした刃の頂点に当てて切る。三角刃の側面には細かなギザ刃があって、樹脂製ながらわりと気持ちよくスーッと切り裂くことができて、まさにリボンの端っこのようなカットができあがり。

↑三角の刃にテープを押し当ててカットすると……

 

↑リボン風の切り口が出来上がり

 

これをただ手帳やカードに貼るだけでも、グッと見栄えが上がる。

 

今までもマステをリボン風に見せるテクニックはあったが、それはハサミを使って手作業でカットしていたもの。専用カッターを使えば技術も不要でサクーッと簡単にできてしまうので、それだけでも充分に楽しいはずだ。

↑切り口はそれぞれ写真のとおりだ

 

同様にベーシックな(2)ギザギザカットも簡単。デフォルメしたような大きめのギザ山のカットはキュートだし、しかも大ギザ刃の側面には同じく細かなギザ刃がついているため、とても切りやすい。いちいち破り取るわけではないので、切り口がシャープなのも美しくて良いと思う。

↑アップで見ると、側面には細かいギザギザ刃がびっしり。これでカット端がシャープに仕上がる

 

ただ、使ってみてちょっと戸惑いがあったのが、(3)の半幅カッターだ。

 

こちらは15mmのテープを半分幅の細切りにできるというものだが、きれいにカットするのはかなり難易度が高い。少しずつ切り進めてはカッターを後退させ、また少しずつ切って……という作業になるため、テープによってはどうしても切り口がスパッとせず、破れたようなヨレ具合が出てしまうのだ。

↑何度もトライしてみたけど、細切りは思ったよりも難しい!?

 

細幅テープは手帳の仕切り線に使ったり、フチ取りにしたりと、使い勝手が良い。だからお気に入りの柄のテープをきれいに細切りできれば最高だな! と思ったものの……これはちょっと難しいかもしれない。慣れてくればもう少しきれいに切れそうにも感じるが。

↑先頭にはまっすぐ切れるフラットカット刃も搭載

 

↑手でマステを切って貼って……だけでも充分にかわいくなるので、ぜひ楽しんでみて欲しい

 

とはいえ、リボンやギザがきれいにカットできるだけでも充分すぎるぐらいに楽しいし、貼るだけで「ステキな感じ」にする効果は確実。マステを貼ってデコをしたいなら、今のところ持ってて絶対に損はしないツールだと思うので、見つけたら買っておこう。

 

コスパ5倍! 大容量インクを充填したボールペン「TANK(タンク)」はお得な上に書き味も良し!

実のところ、20年ほど前は「ボールペンなんて、書ければなんでもいい」ぐらいの認識が一般的だった。書き味がどうの、なめらかさがどうの、というのはかなり最近の話といえる。

 

この意識を大きく変えたのが、2006年発売の三菱鉛筆「ジェットストリーム」。低粘度油性のスルスルとしたなめらかさは、従来の “書ければなんでも” レベルのボールペンとは別次元の書き味だった。これが大ヒットしたことにより、以降、国産ボールペン市場は筆記具メーカーが性能を激しく競い合う激戦場となった……というのがボールペン近代史のお話。

 

キーポイントは超たっぷりのゲルインク!

実際、インクのなめらかさや筆記のブレなさ、重心バランスなど、ペンの性能には様々な争点がある。そんな中で、もうちょいプリミティブというか、ちょっと悪い言い方をすれば “単純な分かりやすさ” を武器に登場してきたのが、サンスター文具の大容量ゲルペン「TANK」だ。

 

サンスター文具
TANK(タンク)
0.5mm径・全6色 
各150円(税別)

 

その武器というのが、軸にこれでもかと詰まった大量のインク。つまりシンプルに「すげぇいっぱい書ける」ということである。

 

なるほど、これは分かりやすいセールスポイントだ。特にサンスター文具は、中高生に認知度の高いメーカーである。低価格(150円+税)で筆記距離が従来比5倍というというコスパの高さは、まさにコスト意識の高い中高生にピタッとはまるのではないか。

↑軸に貼られたシールには、デカデカと「筆記距離5倍」の文字が。「大容量ゲルペン」という耳慣れないジャンルもユニークだ

 

構造としては、若干太めの透明軸がリフィル無しでそのままインクタンクになっているため、それだけたっぷりとインクが入る。表現としてはむしろ、巨大なインクリフィルを直接握って書ける、みたいなところが近いかもしれない。

 

サンスター文具はかつて、シャー芯ケースにシャープペンシル機能をつけた「シンドバット」(芯が40本入るシャープ)なる製品を出していた実績もある。「TANK」は間違いなくその直系の子孫と言えそうだ。

↑他社製のゲルインクリフィルとの比較。誰がどう見たって「TANK」のインク容量は圧倒的だ

 

↑インクはとにかく減らない。学生ならまだしも、社会人がメモに使う程度なら数年は保つのではないか

 

ちなみに筆記距離(インク切れまでに書ける直線の長さ)はメーカー公称値で約2000m。一般的なゲルインクボールペンがだいたい300~500mといったあたりなので、筆記距離5倍というのはなんの誇張もない。破格の性能と言っていいだろう。さすがにそれを試すほどの気力はないが、ひとまず30分ほど書き続けても、インクは毛ほども減った気がしなかった、とだけは言っておく。

 

インク容量だけじゃない、サラッサラの爽快筆記感

ここまでの説明だと、「TANK」は単にインクたっぷりなだけのペンだと思われるかも知れない。いや、実際そういう面が売りではある。ただ、ニードルチップから大量のインクがダクダクと出る書き味が、実はメチャクチャ筆者好みである! ということも伝えておきたい。

↑フローが良く、とてもサラサラと気持ちのいい感触で書けるのも大きなポイント

 

↑チップをよく見ると、パイロットのシナジーチップに近い珍しい形状。これが良フローの秘密だろうか

 

同じ0.5mm径のゲルボールペンで書き比べてみても、インクフローの良さはすさまじい。実際、どちらかというと「Vコーン」などの水性ボールペンに近いレベルを感じたほどだ。そのフローを活かした筆記感はとにかくサラッサラで、とても官能的。これも水性好きの人にはたまらないものがありそう。ちなみにインクは速乾を謳っているが、これに関しては、ここ数年のゲルインクの平均値かな……といったところ。驚くほど速乾でもないが、でもたっぷりインクが出ても困らないぐらいにはちゃんと乾く、という印象だ。

↑カラーラインアップは全6色。外からインクタンクを見ただけだと寒色・暖色以外の見分けが付きづらいので、軸後端と口プラ、キャップのカラーパーツで認識しよう

 

発色に関しては、昨今のトレンド通り、黒がしっかりとマットブラック寄りに仕上がっているのも好みだ。他の色も全体的にクッキリ感が強く、ノートの色分け筆記にも確実に能力を発揮できそう。特にレッドとピンク(マゼンタみ強め)は、普通に筆記色として使えるんじゃないかというほどのクッキリさである。

↑個人的には、黒がキチンと黒いというのが好印象。全体的にも視認性が良く、ノートの清書用などには最適だろう

 

トータルで見ても筆記性能は優秀で、かつ高コスパ。もちろん、低価格化のためにグリップなど色々削っている部分はあるんだけど、そのあたりを差し引いても、この書き味のために買う価値ありのペンだと思う。単にインクたっぷりなだけのペンと侮らず、とにかく一度は試してもらいたい。ハマる可能性あるから。

 

暗記効率アップ! 片手でサクサクめくれる単語帳「ワンハンド単語カード」が革命的だった

筆者は学生の頃から、暗記系が大の苦手。他人より記憶容量が少ないのか、覚えようとしたことがとにかく脳に残らないのである。特に、単語を覚えないと始まらない英語は完全に不得意科目になってしまい、後々大変な苦労(ネット翻訳がまだない時代に、海外から文房具を取り寄せるなど)をすることになるのだけれど。

↑従来の単語カード、実は効率的に暗記を進めるにはあまり向いていないかも……?

 

ただ、あらためて思い返せば、当時は単に「自分の勉強のやり方が悪かった」からに他ならない。例えば単語カードを使って暗記するにしても、記憶にない単語に当たったら、思い出せるまでずっと同じカードに留まっていたり。なんとも効率の悪いことをしていたものである。

 

なので、アラフィフおじさんになった現在でも、暗記が効率的にできるツールを見かけると、ついつい「グギギ……あの頃の俺に買ってやりたい……!」と我が身を抱えてジタバタしてしまうのだ。つらい。

 

単語カードは片手でサクサクめくれば暗記効率アップ!?

今なら分かるのだが、暗記はテンポだ(※個人の感想です)。昔の筆者のように「思い出せるまで頑張って思い出す」なんていうのは最悪の方法。分からない部分はサッサとすっ飛ばして、覚えているものから順に脳に定着させていくのが、実は効率的で正しいのである。つまり暗記しやすい単語カードというのは、サクサクと素早くめくれるかどうか? にかかっているのではないだろうか。

クツワ
ワンハンド単語カード 
大(上左)350円、小(上右)300円 (いずれも税別)

 

クツワの「ワンハンド単語カード」は、まさにその “サクサクめくり性能” を徹底的に高めた、新しいタイプの単語カードと言えるだろう。なによりユニークなのは、その名の通りワンハンド、片手でサクサクめくっていけるという特異な構造である。

↑中を開くと上端と下端それぞれが欠けた2種類のカードが、交互に2本のプラリングで綴じられている

 

そもそも単語カードといえば、長方形の紙に穴を開けてリングひとつで綴じただけの、コンパクトかつシンプルなもの。これをめくる場合は、左手で単語カードそのものがバラけないように支え持ちつつ、右手でカードを1枚ずつめくっていく……といったように、両手を使う動作になるのが普通だ。コンパクトな単語カードは電車やバスの中でも勉強できるのがメリットのひとつだが、その場合、立ったままで両手が塞がるのはよろしくない。

↑使用する際は、まず箱を畳んだような表紙を立ち上げて、中に利き手の人差し指を通す

 

↑この構えから、高速ワンハンドめくりがスタート!

 

ところが「ワンハンド単語カード」をめくる場合は、表紙のスリットに人差し指を挿し込んだら、親指をカードの切り欠きから下に潜り込ませて、スイッと持ち上げるだけ。しかもリング2本でカードを綴じているので、片手……というか指二本だけで、驚くほど安定してスピーディーにめくることができるのだ。

 

動きを動画で見てみよう。

 

しかもこの切り欠きは、ページごとに上・下・上・下……と分かれているので、めくれるのは必ず1ページずつとなる。うっかりページをめくり飛ばしてしまう心配が少ないことから、心理的にも、テンポ良くサクサクとめくりやすいというわけ。

↑まず上の切り欠きから親指をカードの下に滑り込ませて……

 

↑そのまま親指でカードを持ち上げてめくる

 

↑今度は下の切り欠きから親指を入れて……

 

↑また同じようにめくりあげる。あとはこの繰り返しである

 

このめくり動作は、体感的には、スマホのフリック操作に近い。つまりスマホに慣れた中高生なら、初手からサクサクサクッ……とめくっていけるのではないか。不器用で鳴らしたアラフィフおじさんも、使い始めこそしばらくモタついたが、数分いじっているうちにきちんと慣れた。最終的には「はい、次」「はい、次」とかなりのハイテンポでめくれるようになったので、とても楽しいぞ。

↑携帯するときは、2本リングを90度横に倒すことで表紙が開かないようにロックがかかる。これは持ち運びやすくて便利な仕組みだ

 

実のところ、この「めくるのが楽しい」という感覚こそが、製品最大のポイントと言えそうだ。サクサクと気持ちよくめくりたいから、同じページにずっと滞留することがない。つまり、使うだけで半自動的にテンポ良く暗記学習ができる、という仕組みである。試験や受験の追い込みシーズンに、暗記系科目の最後のダメ押しとして導入してみるの、アリだと思う。

ラインマーカーの裏抜けにもう悩まない! 固形インクマーカー「Cleep」が解決する3つの不満とは

資料をガッツリ読み込んで勉強しなきゃ……というときに頼りになるのが、ラインマーカー。気になったワードや覚えておきたい部分に上から線を引いておけば、二度三度と読み返す際の効率が高くなる。あとから単語を調べるにしても、検索がしやすくなる。だから、特に支障がない(借りた本などには当然NGだ)限り、ラインマーカーはガンガン使うほうが勉強になるのだ。

 

ただ、必須ツールであるラインマーカーには、インクが出過ぎて紙に裏抜けしやすいとか、キャップを外しておくと速攻でドライアップするなど、機能的な欠点がいくつかある。そこで今回は、そういった部分をうまくフォローできる固形タイプのマーカーを紹介してみたい。

 

ラインマーカーは固形インクが便利!

ラインマーカーは一般的に、軸内のインクが幅広の先端チップに伝わって書ける、という仕組み。インクが中綿に染ませてあるか、直液タンク式かの違いはあっても、「液体インクで書く」という点に違いはない。つまりインクが出過ぎるとか、ドライアップするという欠点は、「まぁ、液体インクだからしょうがないよね」という結論で飲み込むしかないのである。

サンスター文具
Cleep(全8色)
各180円(税別)

 

であれば、話は逆に簡単だ。液体インクではなくて固形(ゲル)インクを使えば解決するんじゃないか? 例えばサンスター文具から発売された最新固形マーカー「Cleep」などは、まさにそのあたりを確実にクリアできている。

↑軸後端をひねると、クレヨンのような固形インクが出てくる

 

書き味・使い勝手はどうか?

そもそも固形マーカーというのは、文字通りインクをゲル状の固形にして軸に搭載したもの。この固形インクを紙にこすりつけることで、筆跡が残るという仕組みである。ピンとこない場合は、クレヨンをちょっと柔らかくしたみたいなのを想像してもらうと、だいたい合ってるはずだ。

↑すべりのよいなめらかタッチでラインを引くことができる

 

書き味も、クレヨンのヌルヌルした感触をより強めた感じ。ヌルヌルというより、ニュルニュルに近いかも。つまり、ハチャメチャになめらか。感触が極端なので、これが気持ちよいと感じる人がいる反面、苦手に思う人もいるだろう(筆者は正直、苦手なほう)。で、これでマーキングするべく文字の上から塗ってみると、こんな感じ。

↑最近のラインマーカーでは必須カラーのグレーも入っていて、間違いないラインナップだ

 

マーカーの色としては全体的に白っぽく、かなりマイルド系な印象だ。目に優しく、それでいて、ちゃんと目立たせる機能はあるレベル。なにより、ゲルインクが紙の表面に乗っているだけなので、染み込んでの裏抜けが絶対に発生しない。これは固形マーカーを使う最大のメリットと言える。ちなみに固形マーカーといえば、ステッドラーの「テキストサーファーゲル」という逸品がすでにあるが、色味のソフトさや色数などである程度は棲み分けが可能だと思う。

↑従来のマーカー(上)は引き始めに多くインクが染み出して、裏抜けしやすい。固形の「Cleep」(下)ならその心配も無し

 

↑固形マーカーの先達「テキストサーファーゲル」(ステッドラー)との比較。「Cleep」のほうがやや透明度が低く、ソフトカラー系だ

 

従来のラインマーカーで「あっ、ちょっと線が引き足りなかったから追加で引こう」となると、どうしても線が重なった部分に塗りムラがでてしまう。ラインマーカー下手くそ勢にとってはそれもイライラする部分だったけど、固形マーカーなら大丈夫。どれだけ塗り重ねてもムラが出ないので、ラインがきれいに引きやすいのである。

↑ムラになりやすい従来のラインマーカーに対して、「Cleep」は塗りが重なってもムラにならない

 

もちろん、もともと固形だから乾燥の心配が無いのも大きい。しかも、ちょっとの間はキャップを閉め忘れても大丈夫……程度の話ではなく、そもそもキャップなんか最初から捨てちゃっても平気! ぐらい。とはいえ固形インク自体はかなり柔らかくて潰れやすいので、キャップは乾燥予防ではなく、インク保護用と捉えておくといいだろう。

 

逆に固形のデメリットとして挙げられるのが、塗り面の端に発生する、ポロポロのインクカス。これが紙を重ねたときに移って汚れの元になったりするので、見つけたらティッシュなどで押さえて取り除いてやってほしい。

↑紙の上に落ちたインクカスは余分な汚れを発生させるので、見つけたらすぐに取り除くべし

 

インク染み・裏抜け・ドライアップといった不満が一気に片付く

実のところ、使ってみてハッキリと良くないなと感じたのは、このインクカス問題のみ。(ニュルニュル書き味もちょっと気にはなるけど)それ以外は「やっぱり固形インクのマーカー、便利だな」という点の方が多いほどで、特に、インク染み・裏抜け・ドライアップといった不満が一気に片付くのはデカい。普段からラインマーカーを多用している人であれば、まず試してみる価値はあると思う。

 

リングノートの常識を変える! 極薄なソフトリングの「ソフィーチェノート」と裏表紙がリムーバー化する「ココチィ」を使い比べ

ノートは判型が大きくて分厚いものがいい、というタイプの人がいる。

 

自分の思考を書き出してまとめるような使い方であれば、ガーッと書き殴る面積が欲しい。作業中にページが尽きると興ざめなので、たっぷり分厚いものがいいというわけ。対して自由度の高い手帳兼用ノートが欲しいのであれば、軽快さが最優先。つまり薄くてコンパクトなノートが求められるはずだ。

 

つまりノートはユーザーの用途によってそれぞれ選ぶ必要があって、単に値段だけで5冊パックノートを選んでいると「いまいち満足できない…」ということになりかねない(もちろん、パックノートならではの使い勝手が必要なケースだってある)。そこで今回は、手帳兼用ノートにかなり良さげなノートを紹介したい。最近発売された「薄くてコンパクト型の最右翼」とも言える、かなりピーキーなリングノートだ。

 

1.リングが薄くてやわらかいスマートな「ソフィーチェノート」

そもそも「薄くてコンパクト」という要素を求められた場合、リングノートは比較的不利だ。金属製のリングが全体的な厚みのボトルネックとなってしまうから、どうしたって綴じノートほど薄くはならない。ただ、リングによって表紙から360度折り返せるから、狭いスペースでササッとメモるのには使いやすい。痛し痒しなのである。

 

それなら、リングを極限まで薄くしたリングノートがあれば最高なのでは?

リヒトラブ
ソフィーチェノート
セミB5  330円/A5 310円(ともに税別)

※他にA6とハンドメモサイズがラインナップ

 

リヒトラブの「ソフィーチェノート」は、リングを極限まで薄くすることによって “リングノートの使い勝手” と “綴じノートの薄さ” を両立した、まったく新しいリングノートなのだ。見ただけでも従来のリングノートとの違いは感じられると思うが、それでも実物を手にした時の「うっす!」というインパクトはかなり大きい。なんせ用紙30枚のノートなのに厚み約5mmだから、ほぼ綴じノートと同じ。同程度の用紙を綴じたリングノートのリング径がだいたい10mmなので、これはかなり薄く感じられる。

↑リングは一般的なクリアホルダーと同じ素材(PP)で作られている

 

↑ワイヤーのダブルリングと比較。これだけ径に差があると、取り回しも全く違ってくる

 

そもそも「ソフィーチェノート」は、リング自体が金属ではなく、柔らかなポリプロピレン0.2mmのシートを輪にしたもの。柔軟性があるから、束ねた紙厚より少し大きなだけのリング径で綴じられる=綴じノート並みに薄くできるというわけだ。そしてこの柔軟性と薄さによってもう一つ、リングに手が乗り上げても痛くない! という大きなメリットも生まれる。

↑手が乗り上げてもほぼ違和感のないソフトなリング。これなら左ページも無駄にせず書けそう

 

筆者はリングノート好きなのだが、右手がリングを乗り上げる感触にどうして耐えられない。なので、基本的にノート左ページはないものとして扱う、という贅沢極まりない無駄な使い方になってしまうのだ。これまではその対策としてコクヨの「ソフトリングノート」(プニプニとして柔らかな樹脂リングで、手が乗り上げても痛くない)を使っていたんだけど、ようやくもう一つの選択肢として、「ソフィーチェノート」が選べるようになったわけ。実際、乗り上げても痛くないどころか、ほぼリングの存在を感じないレベルで、これはとても書きやすい。

↑最終ページには1枚ものの資料やふせんなどを収納できるオープンポケット付き。これも地味に便利だ

 

↑ノートを分解するときはハサミでチョキチョキ。同社の「ツイストノート」に綴じ直すのも簡単だ

 

ハサミでリングを切って分解することができるため、バラした用紙は同じくリヒトラブのツイストリングなどに綴じなおすのが簡単、というのもメリットとして挙げられる。持ち歩きノートは軽快な「ソフィーチェノート」で、情報は「ツイストノート」にまとめなおす、という使い方はなかなか便利だと思う。ちなみにノート自体を廃棄するときは、(自治体にもよるが)だいたいはそのまま燃やせるゴミとして出してOKだ。

 

2.裏表紙を使ってリングをバラせるエコな「ココチィ」

ノートを廃棄する、という話が出たついでに、もう一つ新しいノートを紹介しておこう。こちらは金属リングをバラす特殊機能を搭載したリングノート、マルマン「COCOCHY」(ココチィ)だ。

マルマン
COCOCHY(ココチィ)
B5 270円/A5 220円(ともに税別)

 

リングノートは、基本的にそのまま廃棄することはできない。金属のワイヤーリングと紙類(表紙と用紙)に分別する必要があるからだ。しかし、リングを分解する専用のリムーバーは市販されているとはいえ、一般的なものとは言い難い。というか、持っていたらそこそこ文房具マニアだなー、というレベル。

↑ちなみにこれがそのリングノート用リムーバー(リヒトラブ)。単純な道具だけど、まず普通のご家庭には無いはず

 

↑でもご安心。「COCOCHY」には、裏表紙に同様のリムーバー機能が備わっているのだ

 

「COCOCHY」を廃棄する際には、まず裏表紙部分からミシン目に沿って、四つ葉のクローバーのような形状のパーツを切り出す。これを説明書(1ページめに付属)の通りに数回折ることで、紙製のリング分解ツールが出来上がる、という仕組みだ。

↑まずはパーツの切り出し。表紙はかなり頑丈な紙なので、ミシン目で切るにしてもわりと力が必要だ

 

↑説明通りに折ると、こんな感じに。これがリムーバーとして機能するのだ

 

↑グイッと差し込んでいくと、リングが合わせ目から押し広げられていく

 

あとは先端をリングの合わせ目に差し込んでグググッと引き進めると、きれいにリングが開いて、表紙と用紙を取り出すことができる。リングは燃やせないゴミ、紙は燃やせるゴミとして分別完了だ。(もちろん、紙はツイストリングに綴じなおしても良し)

↑作業自体は5分もせずにあっさり完了。これで不要となったリングノートも分別廃棄できる

 

SDGs的な話としては、表紙・用紙ともにFSC認証材(植林などを管理された森林の木材)や再生資源から作られているため、サステナブルさに関しては文句なし。さらに表紙はプラ代替素材である「FSエリプラ+」で、耐水性・耐油性も充分。紙なのに手汗で湿ってもうねりにくく、多少の汚れはサッと拭き取ることができる。

↑かなり頑丈な「FSエリプラ+」紙の表紙。水しぶきぐらいならサッと拭き取るだけでOK

 

そもそも用紙の紙質自体はマルマンクオリティということで、やや薄めながらコシがあり、裏抜けもしにくい。書きやすい良いノートで、かつ意識高めに使えるというのは、今後のノート選びのポイントになりえるだろう。SDGsが強く謳われる今、紙製品は使った後のことまで考える必要があるのだ。

 

紙の端ギリギリを狙えるホチキス形状! テープのり「ノリノスポット」が糊付け作業の失敗をなくせる理由

「修正テープ」と「テープのり」、形状や機構、使用感は近いものがあるが、もちろん用途は「修正する」と「紙を貼る」でまったく異なる。さらに両者の大きな違いとして、もうひとつ挙げたいのが「紙のどこに使うか」という問題だ。

 

修正作業は紙の上で文字が書かれている部分が使用箇所。これはだいたい紙の端よりも内側のはず。対してテープのりはというと、これは接着強度から考えると、できるだけ紙の端ギリギリに使いたいのである。

 

となると、端ギリギリなど気にしなくていい修正テープと形状や使用感が近いのって、どこかおかしい気がしないか。テープのり、根本的な部分で間違ってるのでは?

 

紙の端を攻めるための、挟んでスタンプ式テープのり!

ここで問題にしたいのは、従来のテープのりが「紙の端を攻める」ための形状をしていない、ということだ。じゃあ「紙の端に使うことの多い、貼る用の道具」って、他に何があるだろう? と考えて、まず浮かんだのがホチキスである。ホチキスは、紙を上下から挟みこむことで、端ギリギリを狙いやすくしている。これはわりと正しい形状ではないだろうか。

プラス
ノリノスポット
380円(税別)

 

↑テープは詰め替え式(税別270円)

 

……なんてことを開発者が考えたのかは分からないが、プラスの「ノリノスポット」は、まさにホチキスめいたフォルムで、紙の端を挟みこんで使うテープのりだ。本体下端に紙を挿し込むためのスリットが空いており、使うときはここに紙の端を入れて、ホチキス留めするのと同じように本体上部をグッと押し込む。

↑のり付けするときは、スリットの奥まで紙を入れて……

 

↑ホチキス留めの感覚で本体をグッと押す

 

すると、内部のヘッドが紙に接触すると同時にテープをガチャッと送り出して、作業完了。紙を抜くと、端にテープ幅8.4mm×6mmという四角形の「のり」が塗られているのが見えるだろう。「ノリノスポット」は、ハンコを捺すようにスポットのり付けを行う、いわゆるスタンプ式テープのりと呼ばれるタイプの製品なのだ。

↑紙の端ギリギリのところに四角くのりがスタンプされる

 

ガッチガチの接着強度が欲しいなら、のり面積の大きさが重要。つまり、従来のテープのりに多い、ヘッドローラーを転がした分だけ帯状にのり付けできるタイプが必要だ。しかし、ひとまずノートにプリント貼っておくか程度の話なら、スポットのり付けでも問題なし。だいたい紙のカド2~4点にのりをスタンプすれば、それで充分だろう。

↑プリント類などを貼るなら、カドを4箇所をのり付けすれば充分

 

なにより本当に紙の端ギリッギリの位置にのり付けできているので、のりの付いてない部分から力が加わって剥がれる、ということが起きにくい。スタンプ式の不安要素である接着強度をカバーする意味でも、この端ギリギリ性能は重要な要素なのである。

↑任意の場所にのり付けしたい場合は、ベースを開いてダイレクトにヘッドを押せばOK

 

とはいえ、端っこじゃない位置にのり付けしたいことだって、無くはないかも。そういう場合は、本体下のベースをガバッと180度開く。するとヘッド周りが露出するので、そこをのり付けしたい位置に合わせて置いてスタンプする。これなら紙の端に限らず、どこでもスポットのり付けができるという仕組みだ。

 

ホチキス形状ならではのメリット

実はホチキス形状のテープのりには、偉大な先輩がいる。コクヨの「ドットライナーホールド」は、封筒のタブを挟んで引き抜くことでタブの端ギリギリに帯状のり付けができる、封かん作業特化のテープのりだ。これは非常に優秀な製品で、発売からもう15年経つが、筆者も未だに封かん作業にこれ以外は使わない。なんなら詰め替え用テープだって箱買いしているほどのヘビーユーザーである。

↑ホチキス型テープのりの傑作、コクヨ「ドットライナーホールド」は、封かん作業に欠かせない

 

ただ、ちょっと残念なことに、構造的に短い距離ののり付けが苦手。例えばレシートのような幅の短い紙にスムーズにのり付けするのが、意外とやりづらいのだ。なので、そこを「ノリノスポット」でやっちゃう、というのが快適な役割分担となりそうだ。

↑机に置かずにのり付けできるので、貼り付けがサクサクと効率的に行える

 

また、ホチキス形状ならではの大きなメリットとして、紙を机に置くことなくのり付けできる、というのがある。机が散らかっていて、のり付けするスペースがない! というのは、ありえること。そういうときにいちいち片付けるのは面倒なので、中空でサッとのり付けできるのはなかなか便利なのだ。

↑ペンケースに入れて持ち運ぶなら、本体カバーを前にスライドさせて、ベースに当たるまで押し込む

 

↑カバーを元の位置まで後退させれば、ロックがかかった携帯モードに

 

毎年度末には、確定申告に向けてレシート・領収書をノートに貼り付けて整理する人も増えるはず。そういうとき、ホッチキス感覚でサクサクとのり付けできるテープのりがあれば、作業効率は確実に上がるだろう。快適のり付けツールとして、ぜひ試してみてほしい。

 

このトートバッグ以外ありえない! オタ活の戦利品をスムーズにインできる「買いまわりトート」に筆者も喝采

長らくのオンラインイベント続きのせいで感覚を忘れていたが、リアルでの展示会や見本市の取材では、いつもカバン選びが難しいのである。取材中は多くの出展ブースを巡るので、もらった資料やサンプルを収納したり、名刺入れを出し入れしたり……という動作を繰り返すことになるのだが、リュックだと、いちいち背中から下ろしたり上げたりが面倒なのだ。だから基本的には肩掛けのトートバッグが便利なのだが、それでも肩紐の上げ下ろしは発生するので、万全とは言い難い。

 

なにか良いモノはないかな、と探していたところ、すごいバッグを見つけてしまった。それが、コミケなど同人誌イベント用に開発されたトートバッグである。考えれば、展示会での「資料などの紙束・小冊子をスムーズに出し入れしたい」という要望は、まさに同人誌イベントで必要とされる所作とまったく同じなわけで。そんなの、便利に決まってるぞ。

 

オタ活トートに取材バッグの最適解があった!

サンスター文具によるオタ活向けバッグブランド「ジョイカバ」から、2022年7月に発売されたのが「カウモ 買いまわりトート A4」である。見た目はごく普通のトートバッグって感じで、特になにかすごい機能を秘めているようには見えない。

 

ところが、筆者はもう「今後、展示会取材はこのトート以外ありえない」と断言しちゃうぐらいにハマっているのだ。

サンスター文具
ジョイカバ
カウモ 買いまわりトート A4
3500円(税別)

 

↑最大のポイントは、このサイドファスナーだ

 

先にも述べた通り、展示会取材でとにかく面倒なのが、資料の受け取り。両手にカメラやメモを持った状態で、バッグの肩紐を下ろして、資料を受け取って収納して、また肩紐を上げて……手間が多すぎて、いつも軽くパニックなのだ。

 

それが、側面(左右両方)にサイドファスナーを備えた「買いまわりトート」さえあれば、すべては驚くぐらいスマートに済んでしまうのである。

↑カタログやペーパー類をもらったら、サイドファスナーを開いて……

 

↑ガバッと大開口。肩紐を下ろすことなくA4サイズの紙モノがスルリと入る

 

サイドファスナーをジャッと下げて、もうそこからバッグ内部にアクセスできるので、資料を突っ込んだら、ファスナーを上げて終わり。肩紐の上げ下ろしが発生しないだけで、「マジか……!」ってくらいにラクなのだ。さすが同人誌イベント専用に作られただけあって、紙束・小冊子を出し入れするスムーズさは圧倒的である。

 

また、前面のポケットは名刺入れを入れておくにもジャストなサイズ感だ。ここならバッグ内よりも取り出しやすいので、とっさの名刺交換にも対応しやすいはず。なんならケース型の名刺入れは使わず、ポケットに直で名刺を入れて運用する(もう片方のポケットに、もらった名刺を入れておく)のもアリかもしれない。

↑位置的にも手が届きやすく出し入れしやすい前面ポケット。ただしマチがないので、厚みのあるものは入れづらい

 

ちなみにオタ活で用いる場合、このポケットは缶バッジをびっしりつけて痛バッグ化したり、Dリングにアクキー(アクリルキーホルダー)をぶら下げたり、といった使い方になるようだ。

 

見えないところも取材&オタ活にチューニング済み!

素材はかなり分厚いポリエステル生地を使っているので、頑丈さに関しては文句なし。しかもそれに加えて、表裏にそれぞれ芯材まで入っているので、安心感は半端ない。イベントや取材後に満員電車に乗っても、押されて中が潰れる心配はほぼないと言っていいだろう。

↑バッグの端を掴んで水平にしても垂れないほど、ガッチリと硬い芯材入り

 

↑底板(写真の黒い部分)は取り外し可能。使わないときは大型の内ポケットに入れておくと紛失しないだろう

 

マチのあるトートバッグに大量の紙束を入れると、バッグの底がボッコリと沈んで不格好になってしまうので、硬い底板付きなのもありがたいポイントである。ちなみにこの底板は、単にバッグの中に敷いてあるだけなので、取り外せばバッグ自体を薄くして畳むことも可能。

 

また、背面にはループも付いており、キャリーバッグのハンドルにセットできるのもありがたい。出張取材のときなどは、この有無で地味に機動力が変わってくるのだ。

↑旅行や出張が多い人にはマストな背面ループ。あるとキャリーを転がすのがラクなのだ

 

また、これは取材用バッグとしてはあまり関係ないが、同人誌の買いまわりで助かるのが、バッグ内部にある大きなフラップである。自身の趣味全開で購入した同人誌は、他人に見られると正直恥ずかしいもの。だから、買った本の上からこのフラップをかぶせてしまえば、上から覗き込まれてしまう心配がないというわけ。イベント後の電車移動なども、これなら安心だ。

 

同人誌イベント常連の知人が、「このトートを作った人、我々の気持ちを理解しすぎている!」と叫んだほどである。

↑オタ活にうれしい目隠しフラップがあれば、何を買ったか周囲から見られずに済む

 

ちなみにこのトート、プレミアムバンダイでの限定品なので、準備数に達すると終売となってしまう。現時点ではまだ販売されているが、気になったなら一刻も早くゲットすることをオススメする。

 

ラインマーカーにも!話題のドット絵が描ける四角マーカー「ドットエペン」を使い倒す方法

自分には絵心がない……と自覚している人は多いだろう。誰しも、思ったように絵が描ければ楽しいだろうなと思っているだろうが、ペンや絵筆を握った手は、イメージしたようには動いてくれないのだ。手本となる絵を模写することさえ、不思議と線が歪んでパーツのサイズが狂い、最終的にはどうやったってパチモンにしか見えないひどい仕上がりになってしまうのである……。

 

でも、安心してほしい。世の中には「見本通りに描けば、誰でも絶対に見本通りに描ける絵」というものが存在する。ファミコンめいたレトロ感のある、「ドット絵」というやつだ。

 

自分で図柄を考えるとなると難易度が高いが、ただ見本を再現するだけなら、座標を間違わない限り失敗する要素がない。しかも専用ツールを使えば、サクサクと簡単に描けるので、とても楽しいのである。

 

かわいいドット絵が描ける専用マーカー

その“専用ツール”というのが、サンスター文具から2022年11月に発売された四角マーカー「dot e pen」(ドット・エ・ペン)だ。四角い軸に四角いキャップという、8bitなドット感を強調するカクカクしたデザインが、とてもキュートである。

サンスター文具
dot e pen(ドット・エ・ペン)

全16色
各200円(税別)

 

このペンは細芯カラーペンと太芯マーカーのツインタイプなのだが、太芯のチップが四角柱型となっている。で、チップを紙へ垂直に捺すことで四角いドットが量産できる仕組みなのだ。

 

ちなみにスタンプ式の太芯マーカーというのは、これまでにも「プレイカラードット」(トンボ鉛筆)や、「ZIG クリーンカラードット」(呉竹)などいくつか存在したが、基本的にはどれも丸い水玉ドットを描くためのもの。四角いドットはかなりレアだ。

↑四角い軸に、3mm角のマーカー芯と0.5mm径のカラーペン芯を搭載

 

↑太芯をスタンプのように捺すと、3mm平方のドットが描ける

 

四角柱の太芯チップは、意外と密度感のある硬質な感触となっている。これはおそらく、グッと押しつけた際に型崩れせず、きれいに四角い跡を残すように作られているのだろう。

 

きれいに四角いドットを捺したいなら、軽くポンと捺すのはNG。面全体に均等に圧をかけるよう、少し強めにグリグリと捺してやると良い。で、これをいくつも捺していくことで、かわいいドット絵が作れるのである。

↑ドットをなんとなく積み重ねていくだけでも、充分に絵になるのが楽しい

 

↑ラインアップは16色。できれば人間のキャラを描くためのペールオレンジ(肌色)系の色が何色か欲しかった気もする

 

しかし、我々のような絵心レス族にとって、解像度の低いドット絵とはいえオリジナルの絵を生み出すのはハードルが高い。そこでオススメなのが、冒頭でも述べたように「見本通りに描く」というやり方だ。実はドット絵、ネットを探すと無料で利用できる見本がかなり豊富に揃っているのである。

↑3mm方眼用紙を使うとラクだ。ダウンロードしてきた見本を見ながら……

 

↑どんなに絵が下手でも、XY座標さえ把握できればドット絵は描ける!

 

それが、刺繍のひとつである「クロスステッチ」の図案集である。クロスステッチとは布にドットを描くように刺繍する技法なので、図案はそのままドット絵。図案から座標を確認しつつスタンプしていけば、まさに見本通りのかわいい絵が完成するのである。

 

とにかく根気さえあれば絵心あまり関係なく絵が描けちゃうので、これは非常に楽しいし、テンションも上がるはずだ。(ただし無料図案とはいえ、サイトによってそれぞれ利用条件はあるので、要確認のこと)

 

よくできた構造で描画以外の実用性もバッチリ!

太芯チップは3mm幅のラインも引けるため、0.5mm径のカラーペン+ラインマーカーという使い方もできる。カラーラインアップには蛍光カラーも含まれているため、ノート作りツールとしても充分に役立つはずだ。

↑3mm芯は、文庫本にラインを引くのにジャストサイズ

 

余談だが、キャップの構造が個性的

さて、「dot e pen」を使う上では無用な情報だが知っておくとちょっと「へぇ」と思えるポイントが、キャップの構造である。

 

よく見ると、四角柱型の透明キャップの内側に、チップを包むようにもうひとつ円筒形のキャップがあるのが分かるだろう。四角いキャップは円筒キャップと比べると、どうしても歪みやすい。するとフチに隙間ができてしまうため、気密が保てずインクが乾燥してしまうのだ。

↑キャップの中に、もうひとつキャップが。この二重キャップで芯を乾燥から守る仕組みだ

 

そこで四角柱と円筒の二重キャップにすることで、四角いルックスながら内部の気密を保ってドライアップを防ぐ、という仕組みをとっているというわけ。

 

ただ、そのためかキャップの嵌合(かんごう)が渋めになっており、開けるのがかなり固く感じられる。無理してグイッとキャップを引き抜くとインクが手にベッタリつくこともあるので、そこは要注意かもしれない。

 

ノック1回だけで書き続けられるシャープペン「オレンズ」の新作ATがフラッグシップより優れているポイントは?

高性能なシャープペンシルには、自動芯出し機能を搭載している製品がある。自動芯出し機能とは、「いちいちノックをしなくとも、芯を常に最適な長さで露出させる」という機能で、“オートノック”なんて呼ばれ方もしている。

 

特に試験などで1秒のロスも減らしたい! といったシーンだと、もしかしたらわずか数回のノック時間を省くことで、合否が分かれる可能性だってあるだろう。大げさと思われるかもしれないが、少なくとも神社で学業御守りを買うよりは、自動芯出しシャープを買う方が現実的な合格ルートへの道かもしれない。

 

オートマ仕様の新「オレンズ」登場!

筆記具メーカーのぺんてるから、2023年1月24日に発売された「オレンズAT デュアルグリップタイプ」(以下、オレンズAT)は、自動芯出し機能を搭載した新型シャープペンシルだ。「AT」とは「Automatic Technology」の頭文字である。

ぺんてる
オレンズAT(オレンズエーティー) デュアルグリップタイプ
0.5mm径
2000円(税別)

 

ぺんてるの自動芯出しシャープといえば、同シリーズのフラッグシップとして2017年に発売された「オレンズ ネロ」を思い出す人も多いだろう。ただ、こちらは金属の削り出しチャック(芯を固定するための、シャープペンシルの心臓部)を搭載するなど、ハイスペックながら量産には向かない構造の、いわばスポーツカーのようなものだった。

↑オレンズネロ(下)との比較。外見上の大きな違いはグリップだけだが、内部構造はパーツ数なども含めて別物となっている

 

対して新しいオレンズATは、チャックを樹脂化し、より普及モデルらしい造りになっているのがポイントだ。

 

そう聞くと、オレンズネロの単なる廉価モデルかと思えるが、さにあらず。メーカー曰く「樹脂チャックでも精度を落とさないよう、かなりの開発期間をかけて製品化した」とのことで、むしろ普及モデルとはいえ非常に手のかかった1本と言えそう。

↑書き出しで一度ノックをすれば、あとは芯切れまで延々と書き続けることが可能

 

オレンズシリーズの自動芯出しは“パイプスライド式”と呼ばれる方式だ。まず書き出す際にノックを1回。するとコーンに収納されていたガイドパイプと芯がスルッと出てきて、筆記可能となる。

 

あとは筆記によって芯が減るにつれてパイプも一緒に軸内に後退し、芯先が紙から離れると、バネの力でパイプと芯が元の位置まで引き出される……という仕組み。

 

つまり、最初にワンノックだけしたら、以降は書き続ける限り芯が1本なくなるまでノック不要、ということになる。

↑ずっと書き続けると、芯の減り具合に合わせて先端パイプがどんどん後退し……

 

↑ペン先を紙から離すと、パイプと芯は元の長さに復帰。ペン先が紙に触れると芯先が露出して、また書き始めることができる

 

パイプスライド式は、ものによっては紙にパイプが引っかかる感覚が出てしまい、それを不快に感じることもある。(パイプスライドが苦手、という人は意外と一定数存在する。)

 

ただ、個人的な感覚ではあるが、オレンズATのパイプスライドはノイズが少なく使いやすい印象。少なくとも、普通に文字を書き続けるぐらいであれば、ほぼパイプスライドを意識せずに済むのではないだろうか。

 

低重心、かつグリップ感抜群のグリップもメリット

このシャープでもうひとつ特徴的なのが、金属とラバーを組み合わせたぺんてる独自の「デュアルグリップ」だ。

↑低重心ですわりが良く、さらにグリップ力も強いデュアルグリップ

 

↑よく見ると、グリップ(十二角形)のカドに合わせて、ラバーの頭も山型になっている。細かな部分だが、カッコイイ作り込みだ

 

十二角形の金属グリップに開けられた穴からラバーの突起が付き出しており、さながら鬼の金棒もしくは釘バットといった、やたらと強そうな風貌である。

 

もちろん見た目のインパクトだけでなく、金属の重みで低重心化を狙いつつ、ラバーでグリップ感を出す。このコンビは強度の“指スベラー”(手汗などで指が滑りやすい人)の筆者も納得の握りやすさだ。

自動芯出し機能+なめらか純正芯が好相性!

もうひとつ、オレンズATの発売とタイミングを合わせて、ぺんてるのシャー芯ブランドが13年ぶりのリニューアルを果たしたのも、見逃せないところ。

ぺんてる
Pentel Ain(ぺんてるアイン)
200円(税別)
0.5mm芯 40本入り。芯径0.2〜1.3mmがラインアップ。

 

↑開閉は縦→横の2段階スライドで、勝手に開かないよう安全性を確保。大きく開くので、芯も1本ずつつまみ出しやすい

 

シャープペンの替え芯はそもそも「濃さ」と「減りにくさ」、「なめらかさ」と「折れにくさ」、「消しやすさ」と「汚れにくさ」のように、それぞれ性能にトレードオフ関係がある。例えば濃い芯は減りやすいし、折れにくい芯はなめらかさに欠ける、といったような感じ。

↑従来のAin シュタイン芯(左)と書き比べると、新Ain芯(右)のスルスルと走る感覚に驚かされる

 

新しい「Pentel Ain」は、新製法によってそのすべてを高い次元でバランス良く達成しているのがポイント。特になめらかさが大きく向上しており、芯のエッジが筆記によって崩れてきたあたりからのスルスル感がとても気持ちいい。

 

このなめらかさは、ぺんてるの従来芯や他メーカー品と書き比べてはっきり認識できるレベルで違いが感じられるはずだ。

↑芯詰まりなどのトラブルも減らせるはずなので、特にこだわりがない限りは純正の組み合わせが良さそうだ

 

このスルスル軽く書けるなめらかなAin芯と、止まらず書き続けられる自動芯出しのオレンズATは、かなりの好相性。なにより、メーカーもシャープペンシルの動作確認や耐久チェックは自社の芯で行っているわけで、製品本来の性能をフルに味わいたいのであれば、やはりメーカー純正芯を使うのが正解だろう。

 

この組み合わせで損をすることはまずないはずなので、できればオレンズATとAin芯、セットでの購入をオススメしたい。

 

ドラクエ度をチェック! スライムを正しく描ける定規などドラクエに浸かれる文房具16点

「ここは文具の店だ。どんなようだい?」

 

2022年にスクウェア・エニックス×デザインフィルの共同開発によって発売されたのが、お馴染みドラゴンクエストがモチーフとなった文房具ブランド「ドラゴンクエスト文具屋」だ。これまでもドラクエをモチーフにした文房具は数多く発売されてきたが、こちらは「日常=冒険」がコンセプト。日々の生活がアレフガルドでの冒険のように感じられるアイテム(全16品)がラインナップしているとのこと。

 

そこで、中学時代にファミコン版「ドラゴンクエスト」をプレイして以来、ナンバリングタイトルは必ず発売日に購入して遊んできた筆者の目から、それらが「どれくらいドラクエか?」を基準に1点ずつチェックしていきたい。

 

「ここでそうびしていくかい?」

 

【手帳の章】日々の経験値を手帳に貯めてレベルアップ!(てれれれってってれー♪)

とにかく一番気になったのが、冒頭でも述べた「経験値ハビットトラッカー」である。

 

habit(習慣)tracker(追跡者)とは文字通り、普段の習慣を毎日記録していくための手帳記入法の一種。習慣化したい目標を立て、それが毎日できたかチェックを入れて管理し、習慣づけていく、というやり方が一般的だ。

 

つまりそれは、RPGでレベルアップのために経験値を積み上げていくのとよく似てるよね? という話だろう。

経験値ハビットトラッカー <スライム><ドットフィールド>
1320円(税込)

 

基本的にはデザインフィルがこれまで出していたハビットトラッカーの紙面を転用しているのだが、日々のチェック項目がスライムになっていたり、月の表示をドット文字で書けるようになっていたり(ドット文字の見本ページもあるので、真似して書けばOK)と、ドラクエテイストの演出もぬかりなし。

↑レベルアップのために日常の経験値を貯めていこう!

 

↑レベルアップ目標のサンプル。ところどころ「それは現実世界での目標? ゲームで?」と突っ込みたくなるテーマが入っているのが楽しい

 

面白かったのが、「レベルアップしたいこと(目標)」のサンプルで、「半身浴をする」「○時間寝る」に並んで、「HPとMPを回復する」があったり、「500ゴールド貯金する」なんてのがあること。このあたりもドラクエっぽくて、つい試してみたくなるはずだ。

 

冒険ダイアリー2023<スライムブルー><プレミアムブラック>
3850円(税込)

 

手帳系ではもうひとつ、「冒険ダイアリー2023」は見た目のかわいさがとんでもないレベル。PUレザー素材のカバーがスライム型になっており、とにかく見た目のインパクトは抜群だ。

 

↑基本構成は週間バーチカル。方眼のメモスペースもしっかり取られて、使いやすそうな印象だ

 

↑密かに紙面のあちこちに隠された「ちいさなメダル」。貯めてもアイテムには変えてもらえないけど、見つけられると嬉しい

 

もちろん誌面の表記はドット文字ベースだし、週間バーチカルの右側にある3mm方眼も単なる方眼メモではなく「ドット絵の練習にも使ってみよう」と、いかにもな8ビット感を出してくれている。また、月間スケジュールページには各月1枚ずつ“ちいさなメダル”が隠されているので探してみよう! という仕掛けも、いかにもドラクエっぽくて楽しい。

 

【筆記具の章】これさえあれば誰でもスライムが描ける!?

筆記具は「真鍮ボールペン」が2本、スライムブルーとメタルスライムグレーの軸色がラインナップ。どちらもクリップ部のスライムがチャームポイントとなっている。

真鍮ボールペン<スライムブルー><メタルスライムグレー>
2970円(税込)

 

ペン自体は真鍮の前軸がかなり長めにとられており、握ると思い切りズッシリとした重量感が感じられる構成だ。ちなみに搭載されたインクは油性で、リフィル形状からするとおそらくぺんてる製だろう。

 

2本差しペンケース<スライムブルー>
1760円(税込)

 

で、これらを装備するのに揃えておきたいのが、スライムブルーの「2本差しペンケース」である。ペンを2本入れてジャストなミニマムサイズで、差し込み口がスライム型に抜いてあるのがグッとくる感じ。先の真鍮ボールペンを差し込むと、スライムが2匹並んでさらにキュートだ。

↑スライム型の差し込み口からスライムが飛び出すのがかわいいので、できればペンとケースはセットで揃えたい

 

万年筆のニブから垂れたインクがスライムになっているメチャかわな意匠もあって、個人的にはこの文房具シリーズでもトップクラスに装備したい逸品と言える。これは絶対にかわいい。

 

スライムも描けるクリップ定規
1210円(税込)

 

作りの細かさでもうひとつグッときたのが、手帳に挟んで持ち歩くのによさそうな薄型・クリップ付きの「スライムも描けるクリップ定規」だ。

 

内部のガイドスリットで等間隔の直線が引きやすいなど、シンプルに使いやすい定規なのだが……それよりなにより、ドラクエらしいテンプレートがギュッと密度高く詰め込まれているのが嬉しいところ。

↑これさえあれば誰でもスライム描き放題だ!

 

フリーハンドで描くと意外とうまくバランスがとれないスライムだって、溝に沿ってペンを走らせれば、簡単にあのぷっくりフォルムが再現可能。さらにはちいさなメダルやロトの紋章(ドラクエ好きの小中学生男子なら紋章はテンプレ不要で描けると思うけど)も描き放題だ。

 

【シール・スタンプの章】貼って捺して身の回りをモンスターハウスにしよう

ドラクエモンスターたちのかわいさを楽しみたいなら、紙モノ(貼りモノ)系もおすすめ。

 

「デコレーションシール」は手帳に貼るのにジャストサイズのフレークシールで、透け感のある「ドットデザイン」「スライムデザイン」と、ぷっくりした質感の「ぷっくりスライム」「ぷっくりドットモンスター」の4種類が揃う。

デコレーションシール
「ドットデザイン」「スライムデザイン」:385円(税込)
「ぷっくりスライム」「ぷっくりドットモンスター」:495円(税込)
左から

 

透け感のあるシールはダイアリーの日玉に貼ったり、スケジュールを目立たせるように重ねたり、という使い方が楽しそう。ぷっくりシールはもちろん手触りの楽しさを活かしてカードのアクセントにしたり、小物に貼ってデコるのに最適。小さなスライムやモンスターがわちゃわちゃ集まってる雰囲気で、これもかわいいのである。

↑カラフルなモンスターたちは、紙面のにぎやかしに最適

 

ロールテープの「スライム」は、スライムとキングスライムがずらりと並んだダイカットタイプだ。スライム一匹ずつをカットして貼れるし、もちろん並んだまま貼ってもOK。密度高くみっちりスライムを貼って楽しむことができるので、シールと同様にデコ用途に良さそう。

ロールテープ <スライム><ドットフィールド>
858円(税込)

↑スライム山盛りとフィールド柄のテープ。それぞれカットして貼れるのがポイントだ

 

もうひとつのロールテープ「ドットフィールド」は、ドラクエのマップ画面がそのままテープになったもの。無限につながるフィールドを移動する感じが、とても楽しい。

 

こちらもテープを等幅カットできる仕様なので、横だけでなく縦にも貼ってオリジナルマップを作っちゃうのも楽しそう。画面内でちょいちょいモンスターにエンカウントしちゃうのはご愛敬である。

 

浸透印スタンプ
<スライムがあらわれた!><キングスライム>
各1430円(税込)

 

浸透印スタンプは、正方形の付箋に捺して遊べるサイズになっている。戦闘画面を再現した「スライムがあらわれた!」スタンプは、ウインドウ内に書き込みができるため、伝言やメッセージ用に使いやすい。

 

ただ、平和的なメッセージならいいけど、上司からの呼び出しだったりすると「……戦闘開始か」という緊迫感が出てしまうかもしれない。

↑印面が大きいため、均等に捺すにはちょっとコツが必要かも(捺し方はパッケージ裏に詳しく記載)。油性インクなので、上から彩色もOK

 

「キングスライム」スタンプも、おなかにメッセージを書けばどーんと迫力が出そう。伝言で相手に圧をかけたい場合は、このスタンプが最適解かもしれない。

 

 

「ドラゴンクエスト文具屋」、基本的にはどれもドラクエのテイストをきちんと盛り込んでいるため、使う時のワクワク感がとても高い。少なくとも「柄だけなんとなくドラクエにしました」というレベルではないので、ドラクエ好きなら、どれを買っても確実に満足できる仕上がりではないだろうか。

 

 

発売元:株式会社スクウェア・エニックス
© ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

コスパ最強! ダイソーで入手したキッチン用ラベルマーカーに意外な使い道があった

筆者の家庭では夫婦ともに仕事の緩急が激しいため、揃って忙しいときは、作り置きの総菜&炊いて冷凍しておいたごはんが生命線になりがち。つまり、うっかり総菜を傷ませてしまうと“詰み”かねないという話でもある。だから、調理した日付の管理はとても重要なのだ。

↑今のところ、日付管理は「ワザアリテープ」+油性マーカーで行っている。便利な反面、テープの消耗が気になる

 

ちなみに現在は、キッチン用の養生テープ「ディアキチ ワザアリテープ」(ニチバン)をフードコンテナに貼って、油性マーカーで調理した日付を書き込む、という方法を採っている。

 

ただ、ワザアリテープは他にも食材を再封するなどの用途があるので、減りがやたらと早くなりコストがかかってしまう点は気になる。もう少しローコストで食材の日付管理ができるとありがたいのだけど……。

 

100円ショップで大ヒットした食材管理用マーカー

そういう要望にドンピシャなのが、エポックケミカルの「キッチンラベルマーカー」だ。こちらはダイソーで2022年6月に発売された商品だが、昨年から早々に品切れが続出した大人気アイテムである。

 

取り扱いのない店舗もあるようで、筆者もゲットするまでに大型のダイソーを7店舗も探さねばならなかった。

エポックケミカル/ダイソー
キッチンラベルマーカー
100円(税別)

 

どうしてそれほどまでに人気なのかというと、それはもちろん、超低コストで食材の日付管理ができるから。マーカー1本と専用ラベル5枚(1シート)がセットになっていて、ダイソーだから当然100円+税。しかもこれが、何度でも書き消し可能というから、お得なこと間違いなしだ。

 

まず使用する際は、フードコンテナやタッパーにラベルを貼り、キッチンラベルマーカーで中身や日付などを自由に書き込む。

↑とくに目新しいことはなく、使う際はただコンテナにラベルを貼って、マーカーで書き込むだけ

 

このマーカーがかなり高度な速乾性をもち、書いてすぐに指でこすろうが、水をかけようが、筆跡はしっかり残っている。これなら、冷凍庫内で霜がつこうが、冷蔵庫で結露しようが、書いた日付が消える心配はなさそうだ。

↑かなり強めにこすっても、水をかけても筆跡は消える気配すらなし。これが本当に書き消し可能なのだろうか?

 

↑冷蔵庫で常備菜の日付管理も、ひとまず従来の「ワザアリテープ+油性マーカー」と変わりなく行えそうだ

 

↑ラベルは強粘着で、冷凍庫で使用しても剥がれる心配はなさそう。ちなみにこのままで電子レンジも使用できる

 

書いた文字はきれいに消せるのか?

なによりユニークなのは、この筆跡の消去方法だ。こすっても水をかけても、マーカーの筆跡は消えないのだが、ぬるま湯+中性洗剤でこすると、なんとスルリと消えてくれるのである。

 

つまり、使い終わったフードコンテナやタッパーを洗うときに、ついでにラベルの筆跡を洗い落とせば、また書き直しができるようになるわけだ。これはとても合理的!

 

ちなみにラベル自体にもかなりの強粘着かつ耐水性があり、今のところ連続10回以上の書き消しをしても、フードコンテナから剥がれることなく使えている。

↑40℃以上のお湯+食器洗い用の中性洗剤でこすると……

 

↑この通り、完全に消去完了だ

 

なぜそんなことができるかというと、どうもこのマーカー、書くとほぼ同時に、かなり強固な塗膜を作るようなのだ。印象としては、ホワイトボードマーカーの超強い版、みたいな感じ。

 

だから、ツルツルのラベルの上に書いても落ちないし、水がかかっても平気。それがお湯と界面活性剤(中性洗剤)によって塗膜が溶けると、スルリとオフできるという仕組みのようだ。試しに筆跡をツメで引っ掻いてみると塗膜が剥がせるし、さらにはアルコールで拭き取ることもできたので、たぶんそんなに的外れではないだろう。

 

↑食洗機でも筆跡はきれいに消去できたが、耐久性に関しては判断しかねるところ

 

ちなみに、食洗機に投入してもラベルはクリア可能。ただ、粘着部がどれほど耐えられるか分からない。コンテナから剥がれる様子はなかったが、基本的には手洗いしておくのが安全な気はする。(仕様書には、食洗機使用の可否についての記述はない)

 

ならばクリアホルダーの表書きにも流用できる?

実は試用中に、「これ、クリアホルダーに直書きするのに最適じゃない?」というところにも気がついた。例えば回覧書類をクリアホルダーにまとめて、いつまでに誰に戻してください、などという指示をつける場合、これまでなら付箋を貼っていたはず。しかし、付箋が剥がれ落ちる可能性を考えたら、表面に直書きできたほうが確実だろう。

 

ちなみに筆跡は、アルコールスプレーをシュッと吹くか、アルコール配合のウェットティッシュで拭ってやれば簡単に消すことができた。

↑ラベルマーカーは、クリアホルダーにも直接書き込めるうえ、速乾だからこすってもスレ汚れしない

 

↑消去はアルコールスプレーで一発。跡形なくきれいに消せる

 

100円でラベル5枚がついてきて、繰り返し書き込みが可能ということで、おそらく現時点で食品の日付管理ツールとしてはコスパ最強だと思う。さらにクリアホルダーにも書き消しできるとなると、仕事用ツールとしてもかなり使えそうだ。

 

先にも述べた通りの爆売れアイテム(ダイソーの通販サイトでも品切れ中のことが多い)なので、もし店頭で見つけたら、何をおいてもゲット推奨である。

 

地味でも実は凄かった! 2022年発売の忘れられない文房具5選

この連載では例年、年末年始に「今年の文房具トレンドは●●で、その流れから来年は■■が流行るかも!?」というような振り返りと予想をしてきたのだが……正直、今回は難しい! なにが難しいかといえば、2022年の文房具シーンは全体的に“凪ぎ”傾向。ドカン! と注目される製品も少なく、結果として、トレンドと呼べるほど大きなムーブメントもほぼなかったと言えるのだ。

 

つまり、全体的な印象としては「地味な1年だった」のだが、けっしてそれが駄目という話ではない。例えば「えっ、ココが進化するの?」という地味ながら堅実なアップデートがあったり、地味なジャンルの製品が改良されていたり。派手ではないもののそれなりに面白い製品もいろいろと発売されていたのである。

 

■もっと目立っていいはず! の注目文房具

とはいえ、やはりインパクトが小さいせいで、ユーザーから忘れ去られがちという傾向がある。そこで今回は、トレンドとして1年をまとめるのは早々に諦め、あらためて筆者レコメンドの「2022年、あの文房具買い忘れてない?」を紹介しようと思う。地味な年だったからこそ、地味に進化した優秀な文房具を見逃さないで褒めておきたいのである。

 

黒インクが濃くなった新世代フリクション「フリクションボールノックゾーン」

その中での最注目案件といえば、発売から15年を経てついに超進化した「フリクションボール」だろう。発売1か月前から「フリクション 3.0」などとメチャクチャ気になるティーザー広告を展開し、我々ファンの期待を大いに高めてくれたパイロット「フリクションボールノックゾーン」は、まさに2022年の筆記具の目玉アイテム!

 

……のはずだったのに、2021年後半のボールペン発売ラッシュに比べると、業界全体の熱気が欠けているせいか、思ったよりも盛り上がり不足のような気が。気のせいかもしれないが。

パイロット
フリクションボールノックゾーン ラバーグリップモデル
500円(税別)

 

↑フローも良好で、書き味もサラサラと気持ちがいい

 

性能自体は、“新世代フリクション”と呼ぶに相応しいハイスペックぶり。ブレ防止や静音ノックといった便利機能ももちろん注目だが、なんといっても、従来よりもはるかにクッキリと発色する「プレミアムフリクションインキ」がスゴい。

 

実際のところ、フリクションは黒が薄いから使いたくない、という勢力も今まで一定数あったはずで、そこへ向けて「もうちゃんと黒いですよ?」と言えるようになったのは、大きいと思う。

↑比較すると、ノックゾーンはあきらかに黒の濃さがアップしているのが分かる

 

↑個人的に最もバランスが良く感じられたウッドグリップモデル

 

ラインアップは軸種によって、ラバーグリップ(500円+税)、ウッドグリップ(2000円+税)、マーブル調グリップ(3000円+税)の3種がある。個人的には、金属化したレフィルの重さを打ち消せる重量感と握りやすさを備えたウッドグリップモデルが、一番のオススメだ。そういえばまだ買ってなかったな、という人はぜひ試してみてほしい。

 

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キャップから見直したハイコスパなテープのり「ドットライナーフリック」

コクヨ
ドットライナーフリック
290円(税別)

 

テープのりの新製品と言えば、基本的にはテープの粘着力やヘッド周りなど、貼るための性能アップを謳うものがほとんど。しかし今年のテープのりの目玉は、テープを埃やゴミから守るためのキャップという、なんとも地味な部分で進化したのが面白かった。

 

コクヨ「ドットライナーフリック」が搭載しているフリックキャップは、ヘッド部分をすっぽり包む形のフルカバーキャップを、片手で簡単に開閉できる機構が最大の特徴だ。

↑横方向に90度倒れて開く、まったく新しいフリックキャップ

 

↑ヘッド周りの視界が開けており、作業もかなりやりやすい

 

親指で弾く(フリック)ことでキャップが本体の裏面に回り込むため、開閉のしやすさだけでなく、ヘッド周りの視界を広く確保する効果もある。まさかキャップひとつでテープのりが使いやすくなるとは想像もしていなかった。これもまた地味な進化ながら、万人に試してほしい傑作だ。

 

ちなみに、コンパクトだが詰め替えタイプなのもポイント。筆者はペンケースに入れて常時携帯するテープのりを、このフリックに切り替えた。それぐらいのお気に入りである。

 

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これまで気にしたことのなかった!? そんなジャンル自体も“地味”な文房具が、意外にも超進化を遂げたことも見逃せない。

■これまで気にしたことのなかった!? 地味ジャンルも超進化

「えっ、こんな地味なやつを進化させたの!?」という案件も、例年より多かったように思う。例えば「プラスチックの下敷きが2022年の日本文具大賞で機能部門グランプリを獲る」なんて、昨年の今頃の自分に告げても、おそらく信じなかったんじゃないだろうか。しかもそれ、5月の時点で文房具総選挙でも地味に入賞を果たしている

 

大人も子どもも使いたくなる「魔法のザラザラ下じき」

レイメイ藤井
魔法のザラザラ下じき 0.3mmドット
A4・B5サイズ 各750円(税別)

 

レイメイ藤井「魔法のザラザラ下じき」は、学童向けに開発された、ノートに敷くだけで字がキレイになるという下敷きだ。表面には細かな凹凸のシボ調加工が一面に施されており、鉛筆などで上から書くとザラザラという手応えがある。

 

このザラザラ感が雑な走り書きを抑制し、さらには鉛筆を運ぶ動作を意識的に行える=丁寧な字が書けるようになる、という仕組み。

↑0.3mmの細かな突起が全面に広がり、ザラザラとした手触りになっている

 

↑凹凸のタッチを意識することで、ペン先の走りすぎを防いで丁寧な筆記ができる

 

正直なところ、プラスチック下敷きなんて小学生が使うもんだろ? そんなイメージが強いが、これは意外と大人が使っても面白い製品ではないだろうか。

 

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目からウロコの機構で“雪崩”を防ぐ「1冊でも倒れないブックスタンド」

LIHIT LAB.(リヒトラブ)
1冊でも倒れないブックスタンド
1000円(税別)

 

ブックスタンドという、普段ほとんど意識することのない地味ジャンルも、着実に進化していた。LIHIT LAB.の「1冊でも倒れないブックスタンド」は、まさに名前の通り、たとえ本1冊を立てても横倒しにならず安定する、稀有な機能を持つスタンドだ。

 

特殊なストッパーが上面に並んでおり、これがスタンドに立てた本を左右から挟んで支えるという仕組みである。

↑並びから本を抜き出しても、空きスペースに隣の本が倒れ込んでこない

 

↑秘密は、本の幅だけ立ち上がる上部のストッパー。これが本を支えている

 

ズラリと並んだ中から本を抜き出すと、その空いた空間に目がけて両隣の本が倒れてくるのはよくある光景。しかしこのストッパー構造なら、本を抜いて空いた空間はずっとキープされるのだ。

 

つまり、本を抜き取った跡がずっと可視化されているため、本を元の位置に戻しやすいというのもメリット。デスク上でよく使う参考資料を立てておくのに用いれば、机上の整理に間違いなく役立つ、地味優秀製品と言えるだろう。個人的にも間違いなく「買って良かった」と断言できる傑作だ。

 

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手でちぎるのは2022年で終わらせたくなる「クラフトテープカッター」

ミドリ(デザインフィル)
クラフトテープカッター
900円(税別)

 

クラフトテープ(ガムテープ)を切るための“ギザギザ刃カッター”すら進化していたのには、驚かされた。正直、今年一番「マジかよ……」という思いが強かったのが、コレだ。

 

ミドリ「クラフトテープカッター」は、テープ芯に取り付けることで、安全かつスパッと軽くテープを切ることができる最新カッターである。

↑テープを切ろうとする動きによってカバーが開き、鋭い金属刃でフラットカット

 

なにより、刃のカバー機構がとても優秀。あえて指で刃に触れようとすると触れられず、テープを当てて切る動作にだけ反応して刃が露出するよう設計されているのだ。この機構を考えた人、すげぇ頭イイなー! と感心してしまうほど。地味ながら、とても良い仕事を見せてもらった気がする。

 

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さて、やはり最後に「来年はどうなる?」という予測も添えておきたい。

 

2022年の文房具シーンが地味になってしまった最大の要因は、身もフタもないことを言えば、戦争+円安による部材価格の高騰だろう。この部材価格がいきなりストンと落ちることはしばらくないはずで、2023年も引き続きやや地味な感じになりそうだ。

 

ただ、近年まれなレベルで地味だった2022年ですら、よく見ればこれほど面白い製品が出ていたわけだ。2023年も隅から隅まで見逃さないよう、文房具をチェックしていきたいところだ。

 

年賀状書きだけじゃない! 筆ペン「ふではじめ」が意外なシーンで役に立つ理由

筆ペンを最後に使ったのが、いつのことだったかを覚えている人は少ないはずだ。最大にしてほぼ唯一の機会だったのが、年賀状だろう。それも宛先がプリントラベルになったり、そもそも年賀状そのものを出さなくなったり。筆ペンを使うことなんかもうないよ、と放り出してしまう気持ちも分かる。

 

ただ、筆者の個人的な好みで言えば、筆ペンはけっこう面白い筆記具だと思う。もちろん、手帳を書いたり納品書にサインしたりするには適さないが、勢いのいいグワッとした文字が大きく書けるという性質は、実はアイデア出しなど思考のアウトプットをするのにも、意外と適しているのである。

 

そういったノートに文章を書くのに使いやすい、最新の筆ペンを紹介したい。コレ、筆ペンを放り出しちゃった人でも気軽に使えて難しくない、かなり特異な筆ペンなのだ。

 

毛筆が苦手でも書きやすくなった、新しい毛筆タイプ筆ペン「ふではじめ」

筆ペンには大別して「毛筆タイプ」と、ウレタンなど樹脂チップの「硬筆/軟筆タイプ」がある。

 

後者の硬筆/軟筆タイプは、ざっくり言えばサインペンの亜種みたいなもので、誰でも簡単に“筆文字っぽい字”が書けて使いやすい。圧倒的に初心者向けだ。

 

対して毛筆タイプは、表現の幅が広いが、筆先をコントロールするのが難しくて熟練者向け……だったはずが、2022年7月に発売された「ふではじめ」は、毛筆タイプにして初心者にも書きやすい工夫がされているのである。

ぺんてる
ぺんてる筆 ふではじめ
400円(税別)

 

↑スッキリした和柄の軸デザインもポイント

 

その最大のポイントは、新開発の穂先(ほさき)にある。お馴染みの中字筆ペンと比較すると、サイズは長さ・太さともに1/2程度。かなり小さく、つまり文字を書く際の小回りが利くということになる。

 

さらに樹脂毛自体も従来から3倍ほど硬い(メーカー公称値)とのことで、実際に書いてみるとかなりの弾力が感じられる。いわゆる“コシが強い”というやつだ。

↑ふではじめ(左)と従来のぺんてる筆中字(右)の穂先比較。当然ながら穂先が小さい方が、筆記時の小回りが利く

 

筆ペン初心者が毛筆タイプで苦労する原因は、穂先が長くてコントロールしづらく、弾力がなくてやわらかすぎるから安定感がない、というのが大半である。ならばその逆で、短くてコントロールしやすく、コシがあって安定した穂先ならば、書きやすくなって当然、という話なのだ。(筆者の個人的な好みからすると、もうちょっとコシ強めでもいいんだけど。)

↑力を入れずにポンと穂先を落としてみた図。ふではじめの方が、明らかに弾力が強い

 

ただ、そうなってくると「硬筆/軟筆タイプとなにが違うの?」と思われるかもしれない。しかし「ふではじめ」はあくまでも毛筆タイプ。樹脂毛を束ねた穂先なので、ウレタンチップと比べると弾力は少ない。その代わり、毛筆タイプのメリットである抑揚のつけやすさは充分にあるのだ。

 

並べてみると、

・書きやすさ……硬筆 > 軟筆 >「ふではじめ」> 毛筆
・抑揚のつけやすさ……毛筆 >「ふではじめ」> 軟筆 > 硬筆

という順なので、つまりはこれまでの毛筆と硬筆/軟筆の間をイイ感じに埋める存在、という形になるわけだ。

 

↑毛筆なのに、筆の弾力に任せてグイッと書き進められる。かなりユニークな書き味だ

 

さらに、速乾インクで扱いやすい

書き心地に加えて、特筆すべき点がある。これは最近の筆ペン全体のトレンドでもあるのだが、染料系の速乾インクを搭載しているのだ。

↑個人的には「もはや速乾じゃない筆ペンは使いたくない」と感じるほど

 

書いてから1秒ほどで乾いてしまう速乾インクは、インクだくだくの筆ペンとの相性が非常に良い。筆跡をうっかりこすって汚れが発生する確率が低くなるだけでも、使いやすさは大幅アップとなる。

 

特にアイデア出しなどでノートに文章をつらつらと書き連ねる場合は、手でこすっても問題ない速乾インクのありがたみを感じるはずだ。

 

↑キャップは一時的な筆置き(転がり止め)に使える。筆ペンは机から転がり落ちると床に大きな汚れを残す率が高いので、これはメリットがありそうだ

 

最後に、個人的に「へぇー」と感心したのが、購入してキャップを外したらすぐ書き始められたこと。ほとんどの毛筆タイプは、初期状態ではインクカートリッジと穂先が接していないため、ユーザーが使い始めにインクを浸透させる作業が必要となる。そういった手間なく、開封して即使える仕組みはユーザーフレンドリーだろう。これも筆ペン初心者には嬉しい仕組みだ。

 

少なくとも現行品の毛筆タイプの中では、この「ふではじめ」が最もカンタンに書ける筆ペンだと思う。

 

触れば驚く!世界の名画を立体プリントした「アートペン」が今までにない感覚!

美術館に併設されたミュージアムショップが人気を集めている。近年は気の利いたグッズ展開に工夫を凝らす展覧会も増え、ユニークなオリジナル文房具がゲットできることも多いのだ。

 

例えば、いまミュージアムショップで買える大注目のボールペンとして「タッチミー! アートペン」の存在を知っているだろうか。これはペン軸に立体的な特殊印刷を施したもので、まさに名前の通り、“触れるアート”という感じ。その印刷精度の高さと美しさは、チェックしておいて絶対に損のないレベルなのである。

 

ミュージアムショップで人気の「触れる名画」ボールペン

ペノンの「タッチミー! アートペン ゴッホ」シリーズは、お馴染みの「ひまわり」や「星月夜」といったゴッホの名画を、六角の木軸にプリントしたボールペン。

ペノン
タッチミー! アートペン ゴッホ(全10本)
各1500円(税込)

 

↑ダンボールを重ねて組んだ、プラスチックや接着剤不使用のサステナブルなパッケージ

 

所沢の角川武蔵野ミュージアムで11月まで開催されていた「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」展でお目見え。現在も同ブランドのECサイトなどで販売されている。

 

そもそもミュージアムショップの売り上げ1位といえば、どの展覧会でもポストカードと相場は決まっている。そんななか、このゴッホ展において「タッチミー! アートペン」は、ポストカードに次ぐ売り上げを、それ以下を引き離して記録したという。

 

やや言い方は悪いが、1500円もするボールペンがそこまで売れるとは、ちょっとした事件に近い。

↑筆者がチェックしたタイミングでは、人気の絵柄がすでに複数売り切れていた

 

なぜそこまで人気を集めたのか、これは実際に見てもらうほうが話が早いだろう。

 

ペノンのアートペンはいったいどこが凄いのか?

木軸に施された立体印刷は、ゴッホのあの鮮烈なタッチを再現したかのようで、印刷や写真ではなく、本物の油彩の質感そのものだ。正直、ペン軸に名画が印刷されたものは従来、ミュージアムグッズとしてさまざま発売されてきたが、この立体印刷は迫力のケタが違う。

↑ゴッホ「自画像」も、本物の油彩を間近で見るようなリアル感

 

↑ペンを握ると、ゴッホの力強いタッチが指先から感じられる

 

↑「星月夜」と、ペン軸(右)の比較

 

このアートペンにいったいどのように印刷を施しているかというと、六角形の木軸の1面ずつにまず立体感のある特殊印刷を施し、次いで上からまた1面ずつ彩色印刷を施していく。つまり計12回の印刷によって、ようやくペン1本ができあがるという、壮絶に大変な作業だ。

 

その上、面と面の境での印刷ズレの誤差は0.2mm以下という驚異的な精度である。当然ながら木軸は1本ごとに微妙な差があるし、湿度で歪みも発生する。それを0.2mmの精度で12回印刷するのがどれほどのものか、想像できるだろうか。(しかも次の印刷面を出すために軸を回転させるのは、手作業!)

↑立体印刷ができる特殊なインクジェットプリンターで、1面ずつ印刷を重ねていく

 

もはや、ペンの製造行程自体がアートなのでは? という気分である。

 

ボールペンとしての機能性も特筆もの

このペノン、そもそもペンとしての性能が優秀なのもポイントのひとつ。ゲルインクを搭載したニードルポイントのペン先は、たっぷりとしてフローがあり、書き味なめらか。正直、サラサラした気持ちよい書き味だけでも、このペンを選ぶ価値があると思うほどだ。

【関連記事】欲張りすぎでは…書き味滑らかでオシャレでエコなボールペン「Penon(ぺノン)」は時代が求める条件を全クリア

 

↑馴染むとクセになる、サラサラ感強めな書き味

 

ラインナップは、このゴッホシリーズに加えて、印象派シリーズ(モネ「睡蓮」、ルノアール「春のブーケ」など10本)もそろう。さらには浮世絵(北斎・国芳など)シリーズなども展開予定とのこと。今後は全国で開催される美術展・展覧会にあわせるように増えていくようだ。

 

↑アートペン第2弾となる印象派シリーズの10種

 

展覧会を見た後にポストカードや図録を買って帰るのもいいが、これからは「触れるペン型名画」も選択肢のひとつに入ってくるかもしれない。お気に入りのアートに直接触れながら書く楽しみ、ぜひ体験してみて欲しい。

 

手帳とセットで携行したい! 見出しパンチ「ツメカケ」のメリットと使う際の注意点

2022年もあと少し。すでに手帳を準備した人も多いだろうが、まだ迷っている、という人もいるかもしれない。とはいえ手帳選びに関しては、基本的に個人の好みや用途、そして慣れに関わる部分が大きい。だから一概に、「あなたにはこの手帳がオススメですよ!」という話はしづらいのである。

 

そこで手帳そのものに関しては、それぞれが選んだものを使っていただくとして。今回は「手帳にプラスしてこれ使うと面白いよ」というアイテムを紹介したい。これがあれば、いつも使っている手帳が便利にバージョンアップする可能性もあるのだ。

 

「今日」はココ! 手帳をめくりやすくする見出しパンチ

というわけで手帳にプラスすることを提案したいのが、サンスター文具の見出しパンチ「ツメカケ」。いわゆるクラフトパンチに近い、紙を型抜きするためのパンチングツールだ。

サンスター文具
見出しパンチ ツメカケ
700円(税別)

 

構造は単純。上面から見て左右それぞれに紙を差し込むことができ、中央のボタンをグイッと押し込むと紙が型抜きできる、というだけ。

↑本体の左右それぞれで、パンチによって抜ける形が分かれている

 

1.パンチングで手帳に“ページジャンプ”機能を追加

まず上画像の右側に紙の縁をくわえるように差し込んで、グイッとボタンをプッシュしてみよう。

↑用紙の縁を挟み込んで、中央のボタンを押し込むと……

 

↑半円に近い形(幅14.4mm、深さ5.5mm)が抜ける

 

このように、半円に近い形を抜くことができる。とはいっても今の時点ではまだピンとこないかもしれないので、次はノートや手帳の縁をどんどん抜いていってみよう。

↑ノートの縁を区切り単位で抜いていくと、切り欠き見出しの完成だ

 

手帳なら、月ごとや週ごとのように区切りで合わせて抜いてやると、こういった切り欠き式の見出し(インデックス)が作れてしまうのである。

 

例えば「そういえば今年5月になにか予定があったかな?」と確かめたい場合は、5月と書かれた部分に指をあててパラパラッとめくる。すると一発で5月のページに辿り着くという仕組み。このページジャンプ機能さえあれば、欲しい情報に即アクセスできて助かるのだ。

↑例えば「C」の項目にジャンプしたいときは、「C」の見出しを押さえてペラペラとめくる

 

↑これで自動的に目的のページへジャンプできる。奥のページまでパンチで抜くのはけっこう面倒な作業だが、一度がんばって作業してしまえば、あとは快適だ

 

実のところ、これに近い切り欠き式インデックスを最初から備えている手帳はあるのだが、その手帳が自分好みのページ構成になっているとは限らない。であれば、自分好みの手帳に後から切り欠きインデックスを作ってしまうほうが、確実ではないだろうか。

 

2.パンチングで手帳に“オートセーブ”機能を追加

パンチ本体の逆側は? というと。

↑反対側に差し込んでパンチすると……

 

↑扇形(7.5mm×7.5mm)のカド抜きができあがり

 

こちらはページの角(だいたいは下の角)に差し込んでグイッと押し込み、扇状の切り欠きが作れるようになっている。これは、すでに書き終わったページの角を抜き取っていくことで、瞬時に最新ページへ飛べるようになる機能。つまりオートセーブ機能的なやつだ。

↑手帳の右ページを書ききったら、最後にカドをパンチ!

 

こちらも、最初から角に切り取り線が入った手帳は販売されているが、もちろん先ほどと同様、その手帳が自分好みのヤツとは限らないわけで。

 

例えば、見開き1週間タイプの手帳であれば、週末に手帳を見て振り返りをしつつ、最後にグイッと角を抜く。すると次からは、最新の週ページへ即アクセスできるようになる、というわけ。いちいち書き込みページを探してめくっていく手間がゼロになるので、これだけでもかなり効率アップだ。

↑すると次回からは、右下に指を当ててめくるだけで……

 

↑現在使用中の最新ページが一発で開く

 

使う際に気をつけたいこと

「ツメカケ」を実際に運用する際に気をつけておくべきなのが、インデックスを作るときの“ズレ対策”だ。

 

なにしろページ後半にいくに従って結構なページ数を抜く必要が出てくる。そのとき抜く位置がちょっとでもズレてしまうと、かなり目立ってしまうのである。見た目は悪いし機能面にも支障が出るし、それでいてやり直しはきかないし。

↑罫線がある用紙を抜くなら、本体の上端と罫線を合わせるのがラク。無地の用紙は……正確に合わせるのは正直、諦めた方がいいかもしれない

 

本体の下辺を罫線に合わせるなどの位置合わせは必須。加えて、位置を合わせたい罫線を鉛筆などで1ページずつマーキングしておくと、失敗の確率はグッと減らせるだろう。面倒かもしれないが、一度やり終えてしまえばあとは便利でしかないので、個人的には頑張ってマーキングしてしまうことをオススメしたい。

 

ちなみに、角に関しては位置合わせが全く不要なので、失敗したくない人は、角抜きだけに用途を限定してもいいかもしれない。

↑ボタンは押し込みながら1/4回転させればロックできる

 

↑誤動作/故障防止のためにも、携帯時はボタンロックをかけておくほうが安心だ

 

本体サイズは指でつまめる程度のコンパクトさである上、なにより手帳用のツールということもあって、持ち歩きたいという人も多いのでは。

 

その場合は、ボタンを押し込みつつ、中央のスリットにツメをかけて反時計回りに90度回転させると、ロックがかかる。これなら厚みも減らせてペンケースに収納しやすくなるし、持ち運び中に誤作動をおこす心配もない。(ロックリリースは逆回りに回転させればOK)

 

携帯にまで気を遣ってくれているあたり、なかなか良くできているツールだと思う。

 

↑抜いたクズは裏面のカバーを開いてそのまま廃棄するだけ

 

あともうひとつ、このパンチはあまり抜く力が強くない(最大でコピー用紙2枚ほど)。そのため、樹脂シートやクリアホルダーなどには絶対に使わないこと。でないと中で詰まって困ることにもなりそうだ。なんなら厚紙でさえ避けた方がいいかもしれない。

 

とにかくノートや手帳の用紙だけ。それもできれば1枚ずつ丁寧に抜くのがポイントだ。

 

実際に使ってみると、上手くパンチを抜くのにちょっとコツというか、物理的な器用さが求められてしまうのは難しいところ。万が一にも手帳に穴を開けて失敗すると、精神的にもダメージは大きそうだ。

 

とはいえきちんと使いこなせれば作業効率がアップするのも間違いないので、まずは適当な紙でパンチの練習をしてから本番手帳にチャレンジすることをおすすめしたい。

 

キャップの動きが斬新! コクヨの最新「テープのり」はコスパを極めた隙なしモデルだった

テープのりは、粘着剤に埃やゴミが付着すると使いものにならない。だから携帯時にゴミが付かないように、普段はヘッド周りをキャップでカバーする必要がある。

 

実はこのキャップが、テープのりを選ぶ上でけっこう大事な要素だという気がしている。

↑ヘッドの一部だけをカバーする簡易キャップ(左)と、しっかり密閉するフルカバーキャップ(右)。どちらにもメリット・デメリットはある

 

防塵性能の点では、隙間なくヘッド部を包み込むフルカバータイプのキャップが最強。ところが、貼り作業をする際には、大きなフルカバーキャップが邪魔になりがちだ。対して粘着剤のついたテープ面にフタをするだけの簡易キャップは邪魔になりにくい反面、携帯時に勝手に外れて粘着剤を汚すこともしばしば。

 

どちらが正解という話ではないが、とにかくキャップの性能は気にしておいた方が良いのである。

 

親指でスパッと開くフリックキャップが優秀!

2022年6月に発売された「ドットライナーフリック」は、コクヨのテープのり「ドットライナー」シリーズの最新版。

 

何がどう新しいかといえば、もちろん冒頭で延々と話した通り、キャップの性能が斬新でスゴいのである!

コクヨ
ドットライナーフリック
290円(税別)

 

「フリック」という名前の元になっているのが、フルカバータイプのフリックキャップ。まずキャップ基部に親指を当ててグッと前に押し進める。そのまま親指を横方向(左右どちらでもOK)に軽くずらすと、バネの力でキャップが勢いよくスパッと本体横に回り込む。これがキャップの開いた状態となる。

↑フリックキャップを開けて作業しているシーン。なにやら違和感のある光景だ

 

文章で説明するとやや複雑そうではあるが、実際に開けてみると一瞬のワンアクション。本当にスパッ! と爽快に開いてくれるのだ。爽快すぎて、用もないのについつい何度もスパッスパッと開け閉めしたくなる。

 

 

↑キャップがボディ側面に回り込んで開く、完全に新しい開閉方式だ

 

キャップを“前に押し進め”つつ同時に“横にずらす”、という複雑な動作が必要となるため、ペンケースの中で勝手に開くことが絶対にない、というのも大きなポイントだ。ただでさえ防塵性能の高いフルカバーなのに加えて、うっかりトラブルもありえないとくれば、これはかなり安心だろう。

 

使い勝手の点においても、キャップが本体横に回り込むという珍しい所作が、なかなかに効果的。

↑上にスライドするフルカバーキャップ(左)とフリックキャップ(右)では、ヘッド周りの視界がかなり違う

 

従来のフルカバーキャップは本体上側にスライドするタイプが多いのだが、これが作業時にヘッド周辺の視界を遮り邪魔になることもあった。キャップを自分から見て裏側に回り込むよう開ければ、ヘッドは常に隠れることがないので、細かなのり付け作業もスムーズだ。

 

使い切りタイプに近いコンパクトさも魅力

↑使い切りタイプでシリーズ最小の「ドットライナープチモア」と比較。全長だけ見ると差を感じるが……

 

↑幅や厚みはほとんど変わらない。つめ替えタイプでこのサイズ感はちょっと驚きだ

 

もうひとつ、つめ替えタイプながら使い切りタイプに近いコンパクトさも嬉しいポイントである。

 

同シリーズの使い切り最小「ドットライナープチモア」と比べると、全長はさすがに10mm以上大きいが、幅・厚みはほぼ変わらない。特に厚みはペンケースへの収納しやすさに関わる部分なので、これが変わらないのは優秀だと思う。つめ替えタイプとしては、まず間違いなく業界最小クラスと言えるだろう。

↑つめ替えは、ケースをパコッと外してユニットを入れ替えるだけ

 

それでいて、テープ長はなんと12mのロングテープを搭載。このサイズ群での詰め替えテープ長はだいたい8~11mが普通なので、たっぷり使えるのはありがたい。

 

メーカー資料によると、粘着剤と基材(テープ)を従来モデルより薄く作ることで、ロングテープ化したという。本来、粘着剤の層が薄くなると粘着力は弱くなりやすいが、「ドットライナーフリック」はテープ面でドット状にならんだ粘着剤の密度を上げる(従来比120%)ことで、強い粘着力を保っているのだそう。

↑従来の粘着剤(上)と比べると、フリック用粘着剤(下)の方がかなりドットが大きい。これで面積あたりの粘着剤の密度を高めているわけだ

 

高コスパの詰め替えタイプで、コンパクトで、ロングテープで、フリックキャップの使いやすさ! 正直「これはかなりすごいテープのりが出てきたなー!」という印象である。

 

それと何度も言うが、フリックキャップを開けるのがめちゃくちゃ気持ちいいので、機会があればそこだけでも試してみて欲しい。

 

これぞ待っていた進化! ギザ刃が痛いクラフトテープのカッターが安全スマートに生まれ変わった

文房具マニアもこじらせてくると、「地味な文房具の地味な進化にグッとくる」ようになる。何を持って“地味”と呼ぶかは人によるだろうが、例えば「ホワイトボード用イレイザーが汚れたら積層シートを剥がしてリフレッシュ可能」とか「カッティングマットが裏返すと粘土板になる」なんていう進化は、誰しも「わー、地味だなー」と感じるものだろう。

 

こういった例を目にする度に「メーカーは、こんな地味なものまで開発コストをかけて進化させるのか!」という感動に近い感情がこみあげてきて、嬉しくなってしまうのである。

↑例えば、誰もが見たり使ったりしたことのある、このギザギザのテープカッターも進化しているのだ

 

最近では、ガムテープ(クラフトテープ)に装着して切るための金属製のギザギザが、安全かつスムーズにテープが切れるよう進化した、という。

 

わー、すっごい地味! 地味だが、でもシンプルなあのギザギザがどう進化したのかは、気になるところだ。

 

ギザギザが剥き出しだったガムテープ用カッターがどう進化した?

その進化型クラフトテープ用ギザギザというのが、2022年11月にミドリ(デザインフィル)から発売された「クラフトテープカッター」である。名前も地味だ。

 

ただ見た目に関しては、シンプルながらギミックの存在を感じさせるデザインがなかなかに格好いいと思う。

ミドリ(デザインフィル)
クラフトテープカッター
900円(税別)

 

下部にはアームが備わっており、これをテープの巻芯を挟み込むように装着する。アームの根元にはバネが付いているので、テープの消費によって全体の直径が変わるのにしたがってアームも移動し、がっしりとしがみつき続けるという仕組みだ。

 

↑バネ付きのアームをぐいっと開いて、クラフトテープの巻芯に挟み込む

 

↑クラフトテープにテープカッター装着完了

 

そもそも従来のギザギザカッターのなにが良くなかったかといえば、それはもう端的に「危険だった」のである。頑丈なクラフトテープを切り裂くための鋭い金属(だいたいブリキ製)ギザ刃が露出しており、使用中にこれでひっかき傷を作ったり、衣服を鉤裂きにするなんてことがよくあったのだ。

 

↑従来の一般的なテープカッター。尖った刃が剥き出しなので、どうしたって安全とは言い難い。しかもけっこう切りづらい

 

↑新しい「クラフトテープカッター」はスパッとテープが切れるが、よく見ると刃が露出していない!?

 

対して「クラフトテープカッター」の刃部分は安全性が高い。そもそも通常時は、刃がガードパーツに覆われて露出していないのだから、うっかり傷つきようもない。ガードパーツを指でグイグイ押しても、刃が出てこないのである。

 

それがテープを切ろうとすると、軽い力でサクッと切れる……いったいどういうことだ?

 

ギザギザ刃が安全な理由とは?

↑指でガードパーツを後退させると、細かな金属のギザ刃が出てくる

 

このガードパーツ、「少し持ち上げながら押し込むと後退して刃が露出する」という、ちょっと変わった機構になっている。そう聞くと何やら面倒くさそうに感じるが、実はテープをめくり上げつつ刃に押し当てようとすると、ほぼ自動的に「ガードパーツを持ち上げながら押し込む」動作になるのだ。

↑意識してクラフトテープを切るように動かさないと刃が出てこない、ユニークな機構だ

 

↑指で押しただけでは切れないため、安全性は非常に高い

 

だから、ユーザーは何も考えなくても、テープを切ろうとすると勝手に刃が出て切れる。でもそれ以外にはガードパーツが動かないので安全、という仕組み。

 

これはめちゃくちゃ良くできている!

↑左の従来型に比べ、テープの切り口はかなりフラットだ

 

もうひとつ気に入ったのが、テープの切り口に関するところ。ギザギザカッターは文字通り切り口もギザギザとしてしまうが、このギザの尖った部分を足がかりにしてテープが剥がれてしまう、ということがある。

 

切り口がフラットであればもちろんそんなトラブルは起きづらいので、このフラットさだけでも充分に使う価値はあると思う。あと、見た目もスマートだ。

 

刃は交換にも対応している

↑金属刃はひっくり返して再利用できる高コスパな仕様

 

ちなみにこの金属刃は、本体上面のネジを外してやるだけで簡単に交換できる。クラフトテープのネチャネチャした粘着剤が付着すると切れ味がガクンと落ちてしまうので、多用するなら、刃の交換はおそらくマストとなるはず。

 

ただ、刃そのものが左右対称の設計となっているため、一度外した刃をひっくり返して装着すれば再利用が可能。1枚の刃が2回使えるようになっているのは、ありがたいポイントだ。一度刃をひっくり返したタイミングに合わせて替刃を購入すれば、いざという時に慌てずに済む。

 

↑単にテープが切りやすいというだけでも、梱包作業の効率は確実にアップする

 

実際に使ってみると、ユーザーは従来のギザギザよりも格段の切れ味と安全性を享受できているのは間違いない。しかも、そのために何かを意識することはなく、いつも通りサクサク切るだけ。

 

これは確実に便利で、素晴らしい進化と言えるだろう。特に昨今は、フリマアプリのためにダンボール梱包を行うケースが増えていることだし、家庭・職場を問わず1個は備えておくべきアイテムだと思う。

 

ミーティングバッグの生みの親「カウネット」が再びくり出した斜め上向きの変形バッグをレビュー

都内では一時期、最大65%にも達したというテレワーク実施率。ところが現在では、一部をのぞいてすっかりオフィス回帰の流れのようだ。ただ、社外での会議や打ち合わせをオンライン会議ツールで済ませる傾向は今後も続きそうで、個人的にはいいことだと思うのである。いちいち訪問するのは、交通費がかかるし時間も取られるし。

 

そういうこともあって、来年にかけても、オンライン会議を快適化するためのツールは、引き続き要チェックだと思う。

 

なにしろまだ登場して1~2年の、発展途上のジャンル。今後ものすごくエポックな製品が出てくる可能性は高いだろう。例えば、カウネットが発売したばかりのミーティングバッグなんかも、使ってみるとなかなか面白かった。

 

仕事道具をひとまとめできるバッグがPCスタンドへ変形!

それが、オフィス通販のカウネットから2022年8月に発売された「ノートPCスタンドにもなるミーティングバッグ」。フリーアドレスオフィスや在宅ワークの際に使うツール(ノートPC、ケーブル類、A4ファイル、文房具など)を、一式まるごと収納し持ち運びできるバッグだ。

 

フラットに四角い形状は収納スペースに無駄がなく、サイズ的にも、オフィスワークに使う道具ならだいたいすっぽり収まる。

カウネット
ノートPCスタンドにもなるミーティングバッグ
3590円(税別)

 

必要なものを放り込んだら、ハンドルをつかんで仕事スペースへ移動し、サッと仕事を始められる。つまり“作業環境まるごと持ち運び系”のバッグ、と思ってもらえばいいだろう。

 

内部の中央に取り外し可能な仕切りがあるので、ノートPC/それ以外のツール、といったようなざっくりとした整理をしておくと、運用しやすい。

↑内寸は、A4ファイルがすっぽり収まるサイズ。収納力に不満を感じることはなさそうだ

 

↑底と側面を補強する樹脂板は、カドが斜めにカットされた不思議な形状。これが後々に効いてくる

 

前・後面はがっちりとした芯材入り。加えて、底と側面にも樹脂板が配されているため、セミハードバッグとしてもかなり頑丈! という印象だ。実はこの頑丈さこそが、製品名の「ノートPCスタンドにもなる」という部分に関わってくるのである。

 

PCスタンドとして使用する際は、まずバッグ内部の側面口に面ファスナーで貼り付けられているフレームをバリッと剥がし、前面口側に貼り直す(左右両方)。

 

↑ミーティングバッグからPCスタンドへ変形させるには、まずはこの状態から……

 

↑側面の樹脂板を乗り越えるようにして、側面口のフレームを90度折り返し……

 

↑左右ともにこの状態になれば、変形準備完了

 

あとはバッグを机に置き、上からノートPCを乗せると……ナナメに角度が付いたPCスタンドに変形完了だ。

↑バッグにノートPCを乗せると、台形型のスタンドになる。視線が上がって、首・肩がとてもラクなのだ

 

あらためて「普段からノートPCで仕事しているけど、PCスタンドは使っていない」という人にお伝えしたい。PCスタンド、マジで使うべき!

 

まず、視点がぐっと高くなることで背筋が伸び、加えてキーボードに角度がつくことで肩甲骨周りにゆとりができる。結果、猫背改善&肩と首のこり予防が期待できるのだ。筆者も作業時、PCスタンドを導入して1年ほどが経つが、もう平らな机の上でキーを打つのイヤだな、と感じてしまうぐらい快適である。

↑ハンドルの内側は合皮が二重に。この部分にノートPCの縁を差し込むことでストッパーとして機能する

 

↑見た目はやや頼りなく感じるが、意外とガチッと固定してくれる

 

もうひとつ重要なのが、オンライン会議での見た目の問題。ノートPCのカメラは、ほとんどがモニター上部に内蔵されているので、ユーザーの顔の位置から比べるとかなり低い場所にある。そこから見上げるように顔を撮影するものだから鼻の穴が、どバーン! と全開で写ってしまうのだ。

 

しかしこのバッグに載せることで、カメラ位置は10cm以上高くなり、顔に対して正対しやすくなる。つまり、モニターを見ながら喋ってもまっすぐに顔が写るようになるというわけ。これ、顔の印象がものすごく変わるので、非常に重要なポイントではないだろうか。

↑角度は約25度固定。これだけ角度を付けてやれば、カメラ写りもかなり違ってくる

 

もちろん、専用のPCスタンドなら角度調整も自在だし、フレームの剛性ももっと高いだろう。端的に使いやすさでいえば、もっと優秀なPCスタンドなんていくらでも選び放題である。

 

だが、わざわざスタンドを持ち歩かなくても、ミーティングバッグと兼用できるならそれでOKでしょ、と思う人は確実にいるはずだ。実際、運用の手間を考えるとこっちのほうが確実にラクなのだ。

 

↑ハンドルを畳めば、ソリッドなコンテナ型に。会社のロッカーや自宅家具のスキマにも収納しやすい

 

ミーティングバッグとしては実用性に不満はほぼナシ(個人的な好みで、内ポケットが欲しかった)で、かつPCスタンドというお得な機能が付いているのだから、かなりアリな製品だと思う。

 

片付けの癖もつく? 本1冊でも倒れないリヒトラブの「ブックスタンド」が想像以上に快適

ライターという仕事柄、資料を見ながら文章を書くことが多い。間違ったことを書かないよう、慎重にやっているのだ。(それでもしょっちゅう間違うけど。)だから、仕事机の奥にブックスタンドを置いて、そこにあれこれ資料を並べているのだが、立ててある中から抜き差ししていると、空いた隙間を起点に、横へダーッと雪崩のように崩れることがある。

 

この横方向への雪崩は見た目がよろしくない以上に、抜いてあった本を戻しにくい、本に妙な曲がり癖がつく、などデメリットが多い。そこで試してみたのが、なんと「1冊でも倒れないブックスタンド」という名称のブックスタンドである。分かりやすい!

 

本の出し入れが多いならこのブックスタンドが最強かもしれない

あらためて今回紹介するのが、LIHIT LAB.(リヒトラブ)から2022年10月に発売された「1冊でも倒れないブックスタンド」である。

 

アピールポイントはそのまま名前の通り、本を1冊立てただけでも倒れることがない、という点だ。

LIHIT LAB.(リヒトラブ)
1冊でも倒れないブックスタンド
1000円(税別)

 

それにしても「これブックスタンド……?」というような、やや謎めいたフォルムをしているではないか。なにより気になるのが、本を差し込んでいく部分にズラッと並んでいる、奇妙な三角形のパーツ。

 

実はこれこそが、本1冊でも倒れない機能のキモなのだ。

↑ピアノの鍵盤よろしく、ズラリと23個並んだ三角形のストッパー

 

それほどアピールするのなら、じゃあ本を1冊だけ立たせてもらおうじゃないか!

 

ということで、試しにスタンド中央の辺りに差し込んでみよう。スタンドの背板に向けて差し込んでいくと、途中で三角パーツことストッパーが本の小口(本の断面)にぶつかり、そのままスーッと持ち上がる仕組みとなっている。

↑本をスタンドの奥に向かって差し込むと……

 

↑本の幅だけストッパーが持ち上がる。これで本の固定完了だ

 

ストッパーが持ち上がるのは、小口に当たった部分=本の幅の分だけなので、その両サイドにある元の位置のままのストッパーが、本を倒れないよう支える役を担うわけ。

 

↑本を立てていくと、こうなる。どこに立てても本が横倒れすることはない

 

持ち上がったストッパーは、本を引き抜くとスーッと下がって、元の位置に復帰する。これによって、例えば本が数冊並んでいる中から1冊を抜き取ったとしても、すぐにストッパーが抜いた穴を埋めるため、倒れる余地がないのだ。しかも、抜き取った場所がそのままブランクとして残るため、本を戻すべき位置がはっきり分かるのも大きなポイント。

 

“元に戻す”癖づけができる!?

棚で“歯抜け”になっている部分が明確に見えていれば、本を出しっぱなし・抜きっぱなしにせず、元の位置に戻そうという意識が働きやすい。結果、本が散らかりにくく片付けやすい、ということになる。

 

この効果がかなり重要で、整理整頓が苦手なタイプの人でもかなり有効に働くはずだ。

↑本が抜けた部分は、その幅の分だけ空いたまま残る

 

↑背後から見るとこんな感じ。本を抜いたところはストッパーが戻って、残っている本を支えてくれるのだ

 

増幅も簡単!

ちなみにこのブックスタンド自体は連結が可能なので、横幅が欲しいなと思ったら、単純に継ぎ足していけばいい。

↑スタンド自体の幅が物足りない場合は、側面に設けられた連結器を使おう

 

↑好きなだけつなげて増設が可能だ

 

側面の連結器に差し込み合わせるだけなので、連結/解除は簡単。とりあえず1台から試してみて、気に入れば増やしていく、というのがいいだろう。

 

↑本を押し込んでも机面からズレにくい、かなりガッチリと効くゴム足が付く

 

また、使ってみて感心したのが、底面に備えたすべり止めのゴム足。これがとても優秀で、本を差し込んでいってもスタンド自体が後ずさることなく、しっかり止まってくれるのが使いやすかった。

 

こういう地味なところまで気が配られているのは、ユーザーとしてもありがたいものだ。

 

人気の機能を全部のせ!? 新「フリクション」が2022年の最注目ボールペンと断言する理由

2022年10月、文房具界隈にちょっとしたザワつきが起きた。というのも、YouTubeのパイロット公式チャンネルで「FRIXION 3.0 デビュー!」という旨のティザームービーが公開され、そこで新型の「フリクションボールノック」を11月に発売する、と発表されたのである。

 

2007年に発売された初代フリクションボールが“FRIXION 1.0”だとして、ノック式のフリクションボールノックが2.0になるのか、あるいは画期的なシナジーチップ搭載の「フリクションポイントノック04」を2.0とするのか、そこは分からない。

 

ただ、なににせよそれぐらいのインパクトがないと、ステージを一段上げた3.0などという表現はしないはず。つまり、とにかくすごい新フリクションが登場するに違いないのである!

 

新型フリクションボールは注目機能を全部のせ!?

……と、そこまで発売前にハードルをガン上げしてきた3.0こと「フリクションボールノックゾーン」(以下、ノックゾーン)が、いよいよ11月18日に発売となった。

 

昨年に比べてボールペンの話題がやや盛り上がりに欠けた2022年だが、このタイミングでいよいよビッグタイトル来たか! という感じである。

パイロット
フリクションボールノックゾーン ラバーグリップモデル
ボール径0.5mm(左)・0.7mm径(右)
各500円(税別)

 

ラインナップは、税別3000円のマーブル調樹脂グリップモデル税別2000円の木製グリップモデルと、写真のラバーグリップモデル(税別500円)があるが、今回は上位2モデルの用意が間に合わず、ラバーグリップモデルのみのレビューとなる。

 

とはいっても、主な違いはグリップと口金の素材だけであり、基本機能は共通だ。

↑全体的な雰囲気は従来のフリクションボールノックに近いが、細部にはあれこれ違いも見える

 

まずビジュアルだが、従来のフリクションボールノックと比較して分かりやすいのが、全長の違いと金属リングだろう。

 

長さはノックゾーンが4mmほど長くなっており、その分だけスマートに感じられる。加えて、最近のパイロットが「アクロ1000」「ILMILY油性ボールペン」など1000円前後のやや高額なシリーズに導入している軸中央の金属リングが、落ち着いた高級感を演出している。

 

つまり、パイロットとしては「ノックゾーンは高級フリクションですよ」とアピールしているようだ。最も安いモデルですら従来の2倍以上の価格なので、実際高級フリクションと言って、間違いはないだろう。

↑ノックゾーン(上)と従来のボールノック(下)の比較。ロゴも薄く落ち着いた雰囲気だ

 

↑後端の消去ラバーも、ノックゾーン(左)は先端から丸みが無くなり台形に

 

↑新型ラバーは先端カドを使って消せるので、コントロールしやすい

 

1.新インキ「プレミアムフリクションインキ」を充填した金属製レフィル

ノックゾーンに搭載された目玉機能は3つ。まず「プレミアムフリクションインキ」なる新インキを搭載した、金属製の「Ver.2レフィル」。これまでフリクションのインクは、「黒が灰色に見える」と言われてきたほどアッサリしたものだったが、プレミアムフリクションインキは従来よりもくっきり濃い発色に。

 

なるほど、黒で書き比べてみると、かなり濃くくっきりとした黒さが見て取れる。インクの薄さが苦手でフリクションを嫌うユーザーというのは意外と多かったようだが、これなら納得してもらえるのではないか。

 

シナジーチップの潤沢なインクフローによって、クッキリとした濃さを表現していたポイントノック04と比較しても、確実に黒くて濃い。

↑比べてみると、確実に濃いプレミアムフリクションインキ。メーカー公称で黒の濃度は30%アップしているという

 

しかも、その濃いインクを搭載したリフィルは、金属化によってパイプの肉厚を薄くすることで、インク容量を従来比70%増量。筆記継続距離も40%アップとなっている。

 

ただ、このリフィルはかなりずっしりとした重量があり、結果としてペン全体の重心がやや後ろ気味に来ているのは気になるところだ。

 

ちなみにこれは、ラバーグリップモデルの場合。サンプルを試してみた感じでは、木製グリップとマーブル調グリップなら、グリップ重量と相殺されて、ほどよいバランスとなっているように感じた。重心が気になるタイプの人は、高級グリップモデルの方を試してみると良いだろう。

↑金属製の Ver.2レフィルはインクたっぷり。ただし単体で500円(税別)ということで、単純なコスパは落ちている

 

↑従来の樹脂リフィルと比べると、重量はほぼ倍

 

ノック時の衝撃を吸収する「ノイズカットノック」

ノックノブを押し下げると、その手応えが柔らかいことに気付くかも知れない。それが静音性を高めた「ノイズカットノック」機能である。ノックパーツ内部にバネを追加することでノック時の衝撃を吸収。ノック音を従来比78%カットしたとのこと。

 

個人的な体感として、78%カットという数値的な部分はピンと来ないが、とはいえノックの高音域がバッサリとカットされて響きにくくなっているのは、聞けばすぐに分かると思う。

 

また、押し込んだ状態のノックノブを内蔵バネのテンションで固定することで、ペン自体を振ったときにノブがカチャカチャ鳴らないようになっている。これも地味に嬉しい効果だ。

 

 

↑ノック機構の中にバネを内蔵することで、衝撃を吸収してノック音を低減 ※画像はイメージ

 

3.ペン先のブレを抑える「チップホールドシステム」

3つめの機能が、ノック式特有のペン先のブレを抑制する「チップホールドシステム」。口金の中に三又形状の「チップホルダー」という新パーツを搭載し、これがノックON時のリフィル先端を、ギュッとホールドする仕組みである。

 

書いてみると、確かに先端ブレはほぼ完全に抑えられているようで、筆記感はスムーズ。特に細かな文字を密度高く書こうとすると、ブレはない方がありがたい。

↑特に30分以上の長時間筆記になると、ブレ抑制の安定感が手の疲労低減に効いてくる

 

↑透明口金の中に透けて見えるのが、新パーツの「チップホルダー」。これによってペン先がカチャカチャせず快適だ

 

2022年の最強ボールペンかもしれない

ところでこの3つの機能、なにか聞き覚えがある人もいるのではないだろうか? 例えば「Ver.2レフィル」のインク容量70%アップは、三菱鉛筆「ジェットストリーム 新3色ボールペン」に搭載された「長持ちリフィル」を思い出すし、「ノイズカットノック」もノックの静音性を高めるという方向性はぺんてる「Calm」と同じ(機構は別物だが)。もちろんペン先がブレない「チップホールドシステム」だって、ペン先がブレないゼブラ「ブレン」とよく似ているような……。

↑近年話題の機能を全盛り+フリクションインキは、まさに最強!?

 

つまり「ノックゾーン」は、ここ数年で注目された“強いボールペン”の機能を取り込んで合成した、いわば、特撮番組の最終回に登場する合体ラスボス怪獣のようなものなのだ。そこへ加えて、消せるフリクションインクという他の追随を許さない必殺ワザまで持ち合わせているわけで……これはシンプルに「ぼくがかんがえた最強ボールペン」そのものなんじゃないか?

 

文房具好きなら、なにはさておき入手しておくべき1本だと思うし、そうでなくとも「すごいフリクション」というだけで、ひとまず試す価値は充分にあるだろう。

 

サイズも重さも新しい! オンライン会議仕様の「ペーパーフリップボード」がホワイトボードの常識を変える!?

2022年のISOT(国際文具・紙製品展)では最新のホワイトボードがいくつか出展されており、特にオンライン会議に使用する前提で設計された、手持ちタイプのものが人気だった。

 

実際、ここ2年ほどの間で、オンライン会議の進め方はかなり洗練されてきた感がある。その中で「手持ちのノート型ホワイトボードで情報をまとめる」というスタイルが、一定数の人に定着してきたのだろう。つまり、需要が増えたわけだ。

 

その証拠になるかは分からないが、文房具関係で国内最大のアワードである「日本文具大賞」デザイン部門で今年グランプリを受賞したのも、手持ちのホワイトボードである。今回はそのホワイトボードを実際に試して、使い勝手などをレビューしてみたい。

 

正方形が意外とオンライン会議にハマる!?

2022年で31回目となった日本文具大賞でデザイン部門グランプリに輝いたのが、コスモテックの「wemo paper flip board」(以下、ペーパーフリップボード)だ。

 

wemoといえば、腕に巻き付けて使うシリコン製のメモで知られるが、今回はウェアラブルではなく、手持ち製品となっている。

 

コスモテック
wemo paper flip board(ウェモ ペーパーフリップボード)
3500円(税別)

 

従来の手持ちホワイトボードといえばノートタイプが基本で、ほとんどがA4~B6などの定型用紙サイズをベースにしていた。対してこちらは288×288mmと大きめの正方形。ボード色が白ではなく薄いグレーという部分も含めて、いきなりルックスからしてユニークである。

↑手持ちボードとしてはかなり大きめ。表面には5mmのドット方眼が印刷されている

 

↑ホワイトボードならぬ“グレーボード”だが、黒のマーカーで書いた際の視認性に問題はない

 

もちろんこの正方形+大きめフォルムは、見た目のインパクトを追求したものではなく、オンライン会議に用いた際に「ボードと顔が一緒にフレームインできて視認しやすい」ように考えられているという。成人男性の顔が平均して縦231mmだそうで、つまり「ペーパーフリップボード」の縦寸に近い。なので、ボードと顔が並んで横長のフレームに収まったとき、違和感が少ないというわけだ。

↑ボード+顔が無駄なくフレームに収まるため、スッキリした印象を与える

 

従来のノート型ホワイトボードは、横型に使う前提(というより、「ホワイトボードは横長で使う」というイメージで固定されがち)である。そのため、ボードを大きくフレームインさせようとすると顔が入らず、顔を一緒に写そうとするとボードが小さくなって見えづらい。縦使いすれば写りは改善されるが、その代わりに横方向へ書き進めるスペースが足りなくなる。

 

そう考えていくと、オンライン会議用ホワイトボードのフォルムは、顔に近いサイズの正方形が正解に近いのではないか、と思えてくるのだ。

 

持ち上げ続けられる軽さ

「ペーパーフリップボード」のもうひとつのポイントが、ダンボールにフィルムコーティングをしたボードであるということ。他のノート型ホワイトボードと比べて厚みがありながら、軽いのである。このサイズで実測97gは、意識せずに持ったときに「え、軽っ?」と声が出るレベル。

↑側面から見ると、ダンボール製なのが分かる。この軽さも納得だ

 

オンライン会議中、他のメンバーに見えるようにボードを手で持って掲示し続けるシーンは、よくありがち。そういう場合、軽さはシンプルに正義と言えるだろう。

 

ホワイトボードとしての筆跡の消し心地はどうか?

↑ボードは筆跡のこびりつき感が薄く、スルッと消えるのが楽しい

 

ボード表面のコーティングに関しては、とにかく「筆跡の消し心地」に特化した、高性能なフィルムコーティングが施されているとのこと。そもそもコスモテックは、液晶パネルなどに使われる機能性フィルムのメーカーなので、そのあたりの技術は間違いないところだろう。

↑10分〜96時間経過の筆跡で消字テストを実施

 

↑まずは従来のホワイトボード。96時間ぐらいなら消えないわけではないが、ゴシゴシと強めにこすらないと、このように定着跡が残ってしまう

 

↑対して「ペーパーフリップボード」は、普通にこするだけで96時間経過の筆跡までスルッと消えた

 

ホワイトボードマーカーは、インクがボード表面で薄い塗膜になるため、それをイレイザーでこすってはぎ取れば、消すことができる。これが、ホワイトボードが書き消しできる仕組みだ。

 

しかし、書いてから長く時間が経つとインクがボードに定着してしまい、消しづらくなることも多かった。そこで試しに一般的なノート型ホワイトボードと比較してみると、なるほど、消字能力の差は歴然。これが消し心地にこだわったフィルムコーティング(おそらく平滑度を高めたもの)の性能なのだろう。

 

↑ちなみに、付属のマーカーホルダーもイレイザーとして使用可能。ただし汚れてしまうので、個人的にはオススメしない

 

気になった点といえば……

ただ、このフィルムの平滑度の高さが仇となって、ボード表面がやたらと光を反射するのは、使いづらさを感じてしまった。

 

例えばオンライン会議で顔写りを良くしようとして照明を使うと、角度によってはボードが強くテカッてしまい、視認性が大幅に下がってしまうのだ。加えてボードがグレーカラーなのも、光の反射が目立つ要因のひとつだろう。

 

ボードの「消し心地」と「テカリの少なさ」はトレードオフの関係なので、つまりはどちらを選ぶかという話。個人的には、テカらない方がありがたいのだけど……。

↑グレーのボードは、蛍光灯やLEDなど白色光の反射が目立つ

 

↑ボードへの写り込み(写真では窓から外の風景が写り込んでいる)で個人情報が露呈することもあるので、要注意だ

 

ノート型ホワイトボード自体が出回りだして10年以上が経つが、オンライン会議のシステムと組み合わされたのは、冒頭で述べた通りまだおよそ2年前のこと。形状やサイズなども含めて、「これが大多数のオンライン会議にマッチしたボードである!」という仕様は、まだ固まっていないのである。

 

しかし、「ペーパーフリップボード」の正方形フォルムや軽さは、かなり最適解に近いようにも感じた。オンライン会議用ホワイトボードが今後どういう進化をするかは分からないが、少なくとも現時点で最も要チェックな製品なのは間違いないだろう。

 

懐かし文具が復刻!? マックスの棒状ホッチキス「モティック」は自立型ペンケース全盛の今こそ価値がある

ホッチキス(ステープラー)というのは、想像以上に紛失しやすい文房具である。消しゴムのように小さいわけでもなくある程度のサイズがあるのだから、そう簡単に紛失しないだろうと思いがち。実は、このサイズこそがクセモノなのだ。

 

机の引き出しに収めるには微妙に背が高いし、ペントレーに置いておくには邪魔な大きさ。かといって机の上に転がしておいて常に目に付くほどの存在感はない。つまり、決まった“住所”を作りづらいため、使ったあとに適当にポイと置いてしまう→次に使いたい時に見つからない→「あれ? ホッチキスどこ?」というコンボが頻発するわけだ。

 

ではどうすればいいか? 一つの提案として「ホッチキスをペン立てに立てちゃう」というのはどうだろう。

 

スティック型ホッチキスは紛失予防に効く!?

当然ながら、ペン立てのフチにホッチキスを引っかけておくだけでも充分に紛失対策にはなるが、見た目がどうもスマートさに欠ける。ならば、スティックタイプのホッチキス「モティック」がいいかもしれない。

マックス
スティックタイプホッチキス「MOTICK(モティック)」
HD-10SK
各750円(税別)

 

長さ約148mmで、「棒っぽい」としか言いようのないフォルム。これを外見だけでホッチキスだと見抜くのは、なかなか難しいだろう。

 

使用時は、丸いボタンをスライドさせると先端のカバーがガチャっと持ち上がり、中のマガジン(針を装填するボックス)がわずかにせり出す。これでホッチキスっぽい雰囲気に変形して、準備は完了だ。あとは通常どおり紙束を挟んでカバーを押し込むと、ガチャンと針で綴じることができる。

↑丸ボタン型のスライダを押し出す。片手で変形させられるのは手軽でいい

 

綴じた針を平らにするフラットクリンチや、二重テコで綴じ荷重を半分にする、といった近年お馴染みになっている機構は搭載していない。使用感は、まったくもって普通に「ホッチキスだな」って感じだ。

↑綴じる際は、普通のホッチキスと同じように使えばOK。綴じ枚数は10枚前後

 

つまりポイントとなるのは“スティック型のフォルムだけ”なのだが、ここが重要なのである。

 

まず冒頭でも述べたとおり、住所不定になりがちなホッチキスに定住先を作りやすい、ということ。ペン立てに立てておけば、細長くはあるが筆記具とは全く違うシルエットなので、けっこう目立つ。使いたいときに素早く見つけてサッと取り出せるのは、それだけでとても便利な機能といえる。

↑筆記具やハサミと一緒にペン立てに立てておけば、常に所在がハッキリして紛失しにくい

 

携帯する場合も、スリムさを活かしてペンケースに入れておきやすいのがメリット。

 

これまでも携帯しやすいミニホッチキスはいくつか発売されているが、自立型ペンケースに入れると、底に沈んでしまって取り出しにくいというデメリットがあった。しかしスティック型なら、自立型ペンケースとの相性は抜群だ。

↑自立型ペンケースからヒョイと取り出せる出し入れのしやすさは、携帯ホッチキスとしてポイントが高い

 

マガジンに収納できる針は、10号針100本までとなっている。補充する際は、後端のキャップを引き抜くと、プッシャーと呼ばれるパーツがズルズルと出てくる(長い!)ので、針を装填して、プッシャーで押し込んでキャップをはめる。

 

携帯性に優れたミニホッチキスならだいたいが50本装填なので、ゆとりのある100本装填はそれだけでも優位といえそうだ。

↑プッシャーユニットのプラスチック製軸は簡単に折れそうなので、あまり無理な力をかけないよう注意したい

 

↑マガジンは透明なので、針の残量が外から確認できる

 

昭和末期の早すぎたホッチキスが、令和に能力をフル発揮!?

ちなみにこのスティック型ホッチキス、年季の入ったベテラン文具オタクの中には、見覚えのある人がいるかもしれない。実はこれ、1988年にマックスが発売していた「HD-10SL B&G」のリメイクなのである。(B&Gはボーイズ&ガールズの略)

↑マックスがバブル期に発売していたスティック型ホッチキス「HD-10SL B&G」

 

カバーなど細部にはちょこちょこ違いがあるが、大まかな仕様はサイズも含めてほぼ同じ。筆者も、「モティック」を初めて展示会で見たときに「あっこれほぼHD-10SLじゃん。なつかしー」と驚いたほど。

↑スライダによる開閉、透明マガジンなど機構的な部分はほとんど共通している

 

残念ながら、「HD-10SL B&G」が発売当時にヒットしたとは聞かない。中古品は探せば見つかるので、それなりに出回っていたようではあるが。しかし、自立型ペンケースが普及した今なら、携帯用ホッチキスとしての価値はグッと高まっているはずだ。

 

なにより復刻の面白さやフォルムのユニークさもあって、文房具好きならマストで買っておくべきアイテムだと思う。もちろん、ホッチキスをすぐなくしちゃう人もマストバイだ。

 

後から痛感する快適さ! カシオのエルゴノミクス電卓は一体どこが凄いのか?

エルゴノミクス(人間工学)という言葉が一般化したのは、おそらく1990年代初めの頃だったと思う。これは大ざっぱに言えば、「道具やシステムを人間の心理・生理に合わせて設計する」という考え方で、長時間座っても腰への負担の少ないイスや、より高効率で打鍵できる左右分割型キーボードといったあたりが、比較的定番のエルゴ製品群といえるだろう。

↑手首の負担を減らすエルゴマウス。長時間の作業でも疲労が少ない、気がする

 

例えば、筆者が愛用しているマウスもエルゴデザインを取り入れたもの。一般的なマウスは、卵形をした本体の上に手のひらを被せる形で保持するが、手のひらを下に向けた状態を維持するのは、意外と手首に負担がかかる。

 

机に対して手のひらが垂直に(チョップするような形)立つようにマウスを握れたほうが、姿勢として自然なので、疲労もしにくいというわけ。見た目にはちょっと違和感があるものの、慣れるととてもラクなのだ。

 

つい先日発売されたカシオの新しい電卓も、このエルゴノミクスに基づいたデザインの製品で、なかなかユニークな形状をしている。しかも使ってみると、「ほほう!」とヒザを打ってしまうほど“エルゴが効いて”いて、面白いのである。

 

エルゴノミクス電卓は3度の傾斜が決め手

その“エルゴ電卓”というのが、2022年10月に発売されたばかりの人間工学電卓シリーズ「JE-12D」と「DE-12D」だ。

 

ちなみにJEが一般的なサイズ(ジャストタイプ)で、DEが液晶も見やすい幅広の少し大きめサイズ(デスクタイプ)。キー配置などに多少の違いはあるが、根本的な機能に差はない。

カシオ
人間工学電卓
ジャストタイプ JE-12D:9500円(税別)
デスクタイプ DE-12D:1万円 (税別)

 

事前に「なかなかユニークな形状」とハードル上げをしてしまったので、もしかして上の写真を見た限りだと「いや、普通じゃん?」という感想になるかもしれない。そこで、少し視点を下げて、真横に近い位置から見てみよう。すると……

↑真横から見ると、キーが階段状に下っているのがよく分かる

 

お分かりいただけただろうか? なんと電卓のキーが左から右に向かって階段を下るように傾いているのである。

 

これが、カシオが提唱する「人間工学階段キー」という構造で、操作面を約3度傾けることによって、右手3〜5本の指で打鍵するのに最適化されているのだ。

↑開発時には、専門機関と共同で、電卓を操作する手指の状態を分析したという

 

どうしてこれが、右手で打ちやすいのか?

 

冒頭のエルゴマウスの話でも触れたように、人間の手の構造上、机の上で手のひらを真下に向け続ける姿勢は負担がかかる。実際、力を抜いて自然な姿勢を取ろうとすると、小指側を下に向けるように傾くはずだ。

 

その自然な姿勢のまま右手で打鍵するなら、左から右へ下がる傾きのキーが打ちやすいのは当然なのである。

↑盤面の傾きはわずかだが、操作している際の手の位置は明らかに違ってくる

 

実際に計算作業のため15分ほど立て続けに打鍵してみたのだが……打ちにくいとか打ちやすいといった感覚がよく分からない。

 

キーの傾きを感じることもなく、めちゃくちゃナチュラルに入力できて、違和感がなかったのだ。要するに、この電卓を使うことによって入力スピードが爆上がりする! とか、そういう話ではなさそうだ。

 

ではいつ効果を感じたのか?

むしろ効果を感じたのは、その直後、比較のために従来の電卓を打鍵したときだ。

↑試しに100問ずつ計算テストを解いてみたが、いったん階段キーに慣れてしまうと、従来の電卓での作業効率がガタ落ち

 

うーん、ナニこれ? 無茶苦茶入力しにくい! 指がスムーズに動かないし、打鍵したつもりがうまく入力されてなかった、なんてことが多発する。

 

つまり、わずか15分使うだけで階段キーの方に馴染んでしまったようなのだ。頭ではさほどピンと来なかったのに、身体の方が「そうそう、斜めが正解だから」と納得してしまったような、不思議な感覚である。

 

ほかにもこの機能がプレミアム

↑キートップは印刷ではなく樹脂2色成形なので、すり減って数字が読めなくなることもない

 

↑メイン電源はソーラーだが、計算中に光を遮られても作業内容を保護できるよう、電池も併用したツーウェイパワー方式を採用

 

↑持ったときの指がかりが良いように、指紋のような波形パターンが施された裏面

 

結論

とはいえ、これが万人に最適な電卓かというと、そういうわけではない。まず左利きの人にはどうしようもない、というのは分かるだろう。試しに左手で入力してみると、傾きのせいで手首がよじれすぎて、筋がつりそうになってしまった。

 

また、最も電卓を日常使いする職種であろう会計士や経理事務といった人は、右手でペン・左手で電卓入力、という姿勢の人が多い。そういう場合もこの傾きはネガティブとなる。(逆に左利きの会計士の人には便利かもしれない。)

 

結果としてこの電卓を便利に使えるのは、まず右利きで、かつ仕事でがっつりと電卓を使う(左手入力が必要)ほどではない人、ということになる。

 

そういう人が1万円前後の電卓を求めるか? というのはいささか疑問だが、とはいえこの階段キーの面白さと使いやすさは、使ってみれば誰でも納得できるレベルだと思う。試してみる価値はあるはずだ。

 

リュックの底に沈まず机でも自立! バッグインバッグ「ハサンドスタンド」はイン/アウトで隙なしの優れもの

筆者は小学校低学年の頃、あまりにもランドセルの中が乱雑で汚いことを担任の教師に怒られ続け、しまいには右手の甲に「せいりせいとん」と油性マーカーで書かれたことがある。(親が泣いた。)

 

もちろんそんな江戸時代の刑罰みたいなことで性根が治るわけもなく、それから数十年経っても、未だカバンの中は乱雑そのものだ。

 

とはいえ、外出先で仕事をすることも多いため、ノートPCやガジェット類、ペンケース、ノートその他もろもろとリュックに詰め込みがちなのだが、中が整理されていないため、何かを取り出そうとするたびにゴソゴソと引っかき回すことになる。これは面倒くさいし、誰かに見られると恥ずかしい。

↑中が整理されてないリュックは、荷室の底に沈んだものを取り出すのも一苦労。これは効率も悪いので、なんとかしたい……

 

特に小物類は荷室の底に沈んでしまうため、取り出すにあたっての手間が大きい。使用頻度の高い小物(モバイルバッテリーや名刺入れなど)はもっと軽快にスッと出し入れしたいのだ。そこで今回試してみたいのが、小物を宙に浮かせておける、新方式のバッグインバッグである。

 

「ハサンドスタンド」は挟むバッグインバッグだから、リュックの底に沈まない!

クツワの「ハサンドスタンド」は、2021年末からクラウドファンディングで資金調達がスタートし、2022年6月にリターン品が頒布されたばかりの新しいバッグインバッグだ。

 

“小物を宙に浮かせる”というと何やら超技術ガジェット的なものを想像してしまうが、さにあらず。もうちょっとシンプルな方式で、小物用ポケットを荷室の上の方に増設しちゃおう、という製品である。

クツワ
タブラシリーズ
ハサンドスタンド
2800円(税別)

 

「ハサンドスタンド」は、ポケット群とフラップに分かれた二つ折り構造。ここにリュック荷室の仕切りを挟みこむことで、小物を沈ませることなく収納できるポケットを増設できるのだ。

↑使用時はポケットとフラップに分けて二つ折りに

 

裏面にはネオジム磁石が入っており、いったん挟んでしまえばバチンと固定されるので、仕切りから勝手に外れてしまう心配はしなくてよさそう。

↑「ハサンドスタンド」が使用できるのは、荷室に仕切りのあるカバンに限る

 

↑仕切りを挟みこんで固定すれば、中空に浮いたポケットゾーンが生まれる仕組み

 

↑裏面の磁石(丸く縫い取りされた4箇所)が引き合うことで、挟んだときにズレにくくなる

 

3段のポケットにはマチがないが、手前2段はウェットスーツにも使われる伸縮性の高い生地なので、多少の厚物は収納が可能だ。奥は外装と同じ硬めのポリエステル生地で、A5サイズのノートや手帳がちょうど収まる感じである。

 

何を入れるかはもちろん個人の自由だが、「いつもリュックの底に沈んで取り出すのに苦労している小物」を入れておくのが、当然ながらベストだろう。

 

実際、筆者はどう活用した?

↑筆者の運用状況。取材時に取り出す機会の多い小物+A5ノートを入れて効率化を図った

 

筆者は、名刺入れと常備薬、ボイスレコーダー、ハンドメモなどを収納してみた。上記のアイテム群、今までは小さなポーチに放り込んで運用していたのだが、このポーチがまさに“ザ・底に沈むやつ”で、いつも取り出すのにイライラ。なかでも名刺入れは慌てて取り出すシーンが多いので、困っていたのである。

 

それが「ハサンドスタンド」によって個別に荷室上空に浮かぶようになったことで、当たり前ながらアクセス性は超向上。欲しいときに欲しい物がサッと手に取れるというのは、大幅なストレス減となる。

 

↑ネオプレン素材のポケットは良く伸びるので、マチはなくとも厚物が収納可能

 

バッグから出したらスタンドモードに切り替え!

また、「ハサンド」の面白い機能として、スタンドモードがある。荷室の仕切りから取り外したら、フラップ面を折り目に沿って曲げ、端に付いている金属タグを磁石にくっつけて固定。するとポケットが自立する、というわけだ。

 

例えばポケットに文具類をまとめて収納し、使用時はリュックから取り出して立たせておくと、ペンケース代わりにもなる。

 

↑スタンドモードにするには、フラップを折って「HASAND」と刻印された金属タグを磁石に固定

 

↑するとこの通り、カバンから取り出した状態で自立する

 

↑机に立てて設置すれば、小物の出し入れがよりスムーズに!

 

個人的には「いいものを手に入れた……!」という気分でいっぱいだが、実際導入するにはリュック自体の仕様を確認しておかねばならない。

 

まず荷室に仕切りがあるのは大前提として、仕切りの厚みは15mm以内で、幅は240mm以上。さらに荷室自体の深さが170mm以上というのが、必要条件だ。逆に言えば、これを満たしていれば別にリュックじゃなくてもトートやビジネスバッグでだって使用可能ということでもある。

 

↑カバンの中のアクセス性がここまで高められるバッグインバッグは、そう多くない。個人的にはもはや手放せない逸品だ

 

筆者と同じく、日頃からリュックの底をゴソゴソかき回して「面倒くさいなぁ……」と呟いているタイプの人は、導入してみて損はないだろう。

 

コクヨが「HASA」で示した、ややお高くて高品質な「日本のハサミ」で陥るハサミ沼

日本のハサミ(紙を切る用の文具ハサミ)は、低価格帯の層が信じられないぐらいに分厚い。ざっくり言えば、切れ味に対して値段が安すぎの“円高ハサミ安”状態にあると思ってもらっていいだろう。実際問題、500円ちょっと出せば誰でもだいたい満足できるハサミが買えてしまうんだから、すごい話である。

↑500円前後でこれだけ高品質なハサミが揃う。日本の文房具は本当にすごい

 

とはいえ、文房具に詳しいおじさんこと筆者としては、「そこで満足しちゃって本当にいいの?」とも思うのである。お値段高め……と言っても充分手が届く範囲に、これまでと比べても驚くほどハイクオリティなハサミがあるとしたら、気にならないだろうか?

 

ちょっといいハサミにはお値段なりの価値がある!

あらためて国産の文具ハサミを価格で大まかに分けると、普及クラスの500円前後帯、素材や刃に工夫のある1000円前後帯、そしてハイクラスとなる3000円前後帯、となる。(100均のものや、逆に8000円~1万円以上の高額製品もあるが、その辺りはひとまず対象外とする)

 

今回紹介したいのは、コクヨから2022年10月12日に発売されたばかりのハイクラスなハサミ「HASA」シリーズだ。

コクヨ
HASA(ハサ)

写真左から・すべて税別
HASA-001(強力):2200円
HASA-002(強力・ロング):2500円
HASA-003(紙・工作用):2200円

 

HASAというのは、実はコクヨ製ハサミの型番のこと。例えばコクヨの500円前後帯ハサミ「サクサ」の型番は「ハサ-P280」となっている。

 

そんな型番をそのまま製品名に用いて、さらに001から003という立派な番号を振る。これはコクヨによる「我が社のハサミのフラッグシップです」という宣言に違いない。

↑刃に刻印された「ハサ」の型番

 

3本はそれぞれ機能が分かれている。001:万能多用途、002:多用途で大型強力、003:細かな切り作業向き、という感じ。001と002は刃先まで切れ味が続くカーブ刃なので、ダンボールなどの厚物も安定してサクサク切れるのがポイントだ。ただしカーブ刃は構造上、刃先まで厚くなってしまうため、紙工作や切り抜きなどの細かな作業には使いづらい。そこで003では、あえてストレート刃にすることで、取り回しをよくしているのだ。

↑001・002はカーブ刃、003のみがストレート刃。刃はどちらのタイプも高品質な貝印製となっている

 

↑コクヨ独自のカーブ刃で、だいたいの紙モノはサクサクと切れる万能性がポイントだ

 

面白いのは、見た目を含む印象をとにかく地味~に抑えていること。パッと見で分かる外見的特徴があるわけでなし、画期的なギミックもなし。黒いシンプルなハンドルも見た目は超絶に地味(ただしエッジレスでめちゃくちゃ握りやすい!)。

 

つまりこれ、ただ「ハサミとして高品質で良く切れるよ」という部分だけを抽出して磨いたような製品なのである。

↑指の当たるカドを徹底的に削ぎ落としてフィット感を高めたハンドル。これがちょっと驚くほどに握りやすい

 

「そもそも500円ハサミで充分に切れるのに、何千円も出す意味が分からない」と考える人はもちろんいるだろう。実際そういう人は500円でもなんの問題もないはずだし、それはそれで正解と言える。

 

だが、ここで問題にしたいのは実用性ではない。何度も言うが、500円ハサミもハイクラスハサミも、実用的に「切れる」という点では同じ。価格によって大きく変わるのは、官能性とでも言おうか……切るときの気持ちよさの部分なのだ。

↑鋭い刃はなめらかに切れるため、ブレが少なく、まっすぐに切りやすい

 

ただ普通のコピー用紙を切るにしても、安価なハサミの場合は、「ジョリ……」という濁点混じりの音と手応えで切れる。

 

対してHASAシリーズは、「シュー……」という感じ。音が静かだし、なによりハンドルから伝わる手応えがまったく別物。鋭い刃は紙に入っていく際の抵抗が少なく、なめらかに切れているのが誰にでも分かるはずだ。

↑薄いフィルムが重なっている「プチプチ」をスパーッと切れるのは、ハイクラスハサミの証明のようなもの。爽快感のある切れ味だ

 

このなめらかに切れる感覚が、端的に「気持ちいい」というわけ。官能性にお金を出す・出さないは、あくまでも個人の嗜好の問題なので、「買うべき」だとか「オススメ」なんてことは、気軽には言いづらい。

 

が、少なくとも、気持ちいい切れ味を体験してみたい! という人に対しては「買っても損はしないと思うよ」と言っておこう。

 

とはいってもシリーズ3本全部買うとそこそこの金額になるし、悩ましい……という場合は、ひとまず002をおすすめしておきたい。

↑002はダンボールが一気に切れて気持ち良い。パワフルな厚物用ハサミは1本備えておくとなにかと役立つのだ

 

↑パワフルに切るだけでなく、カーブ刃を活かして刃先でダンボールを細かくささらにすることも可能。万能だ

 

繊細に切るには向いていないが、家庭内にある紙類(ダンボール含む)を長い刃でサックサックと切れる力強さは、頼り甲斐満点! なにより、この手の頼れるパワープレイ系文具ハサミは、市場の選択肢がわりと少ない。だから、持ってない人はこの機会に買っておくといいんじゃないかな、と思うのだ。

 

90年代を風靡した「ハイブリッドミルキー」が筆ペン化…そこに注入された技術にぺんてるのプライドを見た!

あなたがアラフォー以上なら、1996年に発売されたぺんてるのゲルインクボールペン「ハイブリッドミルキー」を覚えているかもしれない。売り上げは年間1億本オーバー、店頭在庫が追いつかずメーカーがお詫び広告を出す、など数々の伝説を持ち、まさに20世紀末のレジェンド文房具と言っても過言ではないだろう。

↑20世紀末の超大ヒットボールペン「ハイブリッドミルキー」(写真は2019年の復刻版)

 

ペン型修正液の技術をもとに作られた特殊なパステルカラーインクは、黒い紙や写真印画紙に書き込みしてもくっきり発色するのが特徴。ほぼ同時代に登場した「プリント倶楽部」(プリクラ)やポラロイドカメラ「チェキ」などとの相性が良く、“コギャル”の必須アイテムとも呼ばれていたほどで、実際、筆者の体感として、当時の女子中高生の認知度は100%に近かったように思う。

 

残念ながら現在は廃番(2019年に数量限定で復刻したが、そちらも今やほぼ入手不可能)となっているが、あのミルキーなパステルカラーインクを楽しみたいのであれば、オススメの製品がある。なんと「ハイブリッドミルキー」の筆ペンバージョンが、新たに発売されたのだ。

 

伝説のミルキーインクで筆塗りできる「カラーブラッシュ」登場

実は昨今、画材として「筆ペン」が注目されているのをご存知だろうか? 多くのアーティストがカラーインクの筆ペン=カラーブラッシュを作品作りに使うなど、世界的に人気が高まっているのだ。

 

そんなカラーブラッシュブームの中、再びぺんてるから投入されたのが、あのミルキーインクと同様の不透明パステルインクを搭載した筆ペン「ミルキーブラッシュ」である。

ぺんてる
ミルキーブラッシュ
各500円(税別)

 

↑カラーは全8色。黒地の上からでも全色がくっきり見えるのは、さすが「ハイブリッドミルキー」の直系だ

 

試しに書いてみると、間違いなく“ハイブリッドミルキーのあのインクっぽさ”を感じられるはずだ。黒い画用紙などの上に書いても下地をしっかり隠ぺいして、くっきりとミルキーな発色が楽しめるようになっている。

 

さらに、コシの強い筆先からグイグイと塗り広げていく楽しさもあって、かなり遊べそうな印象だ。

↑筆ならではの書き味とミルキーインクの組み合わせは、思った以上にインパクトがあって楽しめる

 

ただ、かつて実際に「ハイブリッドミルキー」を使っていたなら、塗ってみて「ちょっと色が薄い?」と感じるかも知れない。

 

というのも当然で、「ミルキーブラッシュ」用のインクは、当時の発色よりもかなりあっさりめにチューニングされているのだ。筆ペンはボールペンよりもインクの流量が大きいため、ミルキーインクをそのまま使うと濃すぎて大変なことになる。そのため、筆ペンで面塗りしやすい濃度、派手になりすぎない色味、最適な隠ぺい力といった最適化を施してあるというわけだ。

↑「ミルキーブラッシュ」と「ハイブリッドミルキー」の比較。同じピンクでも色の濃さはだいぶ異なる

 

とはいっても、くっきりした強い発色が醍醐味ではあるので、筆塗りする前にはまず軸をしっかりシャカシャカと振っておきたい。インクの攪拌を入念に行うことで顔料を均質化し、ムラのない発色が発揮されるのだ。あとは、軸後端のノックボタンを何度か押して、しっかりインクを押し出すこと。特に黒など濃い色の紙に書く場合は、筆先にインクが溜まるぐらいノックした方が、隠ぺい力を発揮しやすい。

 

とにかくインクをリッチにドバッと使うのが、「ミルキーブラッシュ」を堪能するコツと言えそうだ。

↑書く際は何度かノックして、筆先にインクが溜まるぐらいまで押し出した方が楽しい

 

↑軸のドット柄は透明で、タンク内のインクが透けて見えている。インク残量や顔料の沈殿具合も分かりやすい

 

筆ペンとしての書き心地は、さすがぺんてるといったところ。コシのある筆先は、細書きから大胆な広塗りまで自由に使い分けられる。ミルキーインクも粘りすぎず程よく塗り広げられるので、画材としても充分に実用的だ。

 

紙工作の彩色や、メッセージカード作りを派手に目立つよう仕上げたいのであれば、強くオススメできる。

↑筆のなめらかでコシのある書き味は「さすがぺんてる!」という印象だ

 

ぺんてるといえば、修正液と筆ペンに関して高い技術を持つメーカー。つまり、修正液を元にしたミルキーインクと筆ペンの組み合わせは、まさに「作って当然」レベルの話なのである。

 

それでも、筆ペン用にインクを最適化するなど、完成までには5年の歳月がかかったという。「レジェンドボールペン直系の子孫」にぎゅっと詰まったぺんてるの技術を、ぜひ体験してみてほしい。

 

波打つダブルのギザ刃とフッ素コートで敵なし!? ALLEXの段ボールカッターで硬い段ボールもザクザク開梱

開梱ツールとしてのダンボールカッターには、コンシューマー向けとプロ向けの区分が明確に存在する。売り場でそういう分類がされているわけではないものの、その違いは分かっている人からすれば一目瞭然なのだ。

※正確には、一般向け/開梱に慣れた人向け、という区分だが、ここでは端的にコンシューマー/プロとしておく。

↑コンシューマ向け(上)とプロ向け(下)のダンボールカッター。刃のサイズが見分けの目安だ

 

違いはどこで見分けるかと言えば、刃の大きさだ。プロ向けのダンボールカッターは、比較的刃が大きい。コンシューマー向けダンボールカッターの刃は、開梱時に中身にまで切り込んでしまわないよう、だいたい数mmほどの小さなものになっている。誰が使ってもミスしにくい仕様なのだ。

 

プロ向けは形状も、ナイフ然としたものが多い。大きな刃を使ってワンアクションでザックリと大きく効率的に切れる代わりに、注意しないと中身に傷をつけてしまうこともあるだろう。でもそこは「プロだったら上手いやり方ぐらい心得てるよな?」という話なのだろう。

 

Wギザ刃でザクザク開梱できるダンボールカッター

今回紹介するダンボールカッターは、間違いなくプロ向けの方。「ダンボールカッターmini DK-4」(以下、DK-4)は、国産ハサミのアイコンとも言える「ALLEX 事務用はさみ」でお馴染みの林刃物から2022年4月に発売された製品だ。

林刃物
ALLEX ダンボールカッターmini DK-4
540円(税別)

 

グリップから伸びた刃は刃渡り約45mm。やや荒めのトゲトゲしたギザ刃だが、さらにそのギザ刃自体が全体的にギザギザと波打つWギザ刃仕様なのが、最大の特徴だ。フッ素コートされた黒さもあって、やや禍々しい(まがまがしい)というか、“中二マインド”をくすぐる格好良さである。

 

↑細かなギザ刃が全体的にギザギザしている、フラクタルなWギザ刃構造

 

そもそもダンボールは硬くて厚いため、カッターナイフなど鋭い刃物で切ろうとすると、どうしても力がかかってしまう。そこを無理に切ろうとすると、一気に勢いよく刃が走ってしまい、大怪我の元になりがちだ(切れ味の悪い包丁が危険なのと同じ)。

 

だから、ギザ刃をギコギコとノコギリのように動かして少しずつ着実に切っていくのが、安全で、正解と言えるのだ。

↑刃を前後に動かしつつ切ると、ダンボールの分解もあっという間だ

 

さらに刃全体が波打ったWギザ刃仕様なら、ダンボールを切り始める際のフック感が非常に高い。刃を軽く当てただけで「あっ、いまダンボールに食い込んだ!」という感覚が手に伝わってくるし、実際にそこからズレることなくサクッと刃が入っていくのは、とても気持ち良いのだ。

 

また、約1.3mmというゴツい刃厚も重要なポイント。少しばかり強引な切り方になっても、分厚く頑丈な刃に任せてゴリ押しできる、という安心感がある。

↑テープを切るときはかなり寝かせ気味に。ハンドルのフィンガーガードがダンボールに当たるぐらいでちょうどいい

 

↑そのままズズズと引けば、ギザ刃の先端できれいにテープが切れる

 

開梱に使うときのコツは、刃を水平に近いところまで寝かせてテープに当てること。あとはそのまま角度を変えずに最後まで引けば、テープはきれいに切ることができる。もちろん、この切り方なら中身へのダメージもまず心配無用。

 

Wギザ刃は表面ツルツルのクラフトテープやPPテープでも食い込みが良好なので、こういう切り方をするのが効率的なのだ。

↑切り終わると、だいたいこれぐらいは目詰まりしている

 

↑使用後はキッチンペーパーなどで拭うといい。フッ素コートのおかげか、紙粉と一緒に粘着剤のベタベタも取れる

 

フッ素コートに関しては、ひとまず1週間通して開梱に使用したが、粘着剤がベトついて困る、という事態は起こらなかった。

 

ただ、思ったよりも刃の目に紙粉が詰まりやすい傾向もあるように感じた。紙粉が詰まると当然切れ味も落ちるので、小まめに取り除くのがいいだろう。キッチンペーパーで目に沿って何度か拭ってやれば、詰まりは解消できるはずだ。(ギザ刃とはいえ怪我には注意)

 

修正テープの最終回答では? 真っ直ぐ引けてキレよくピタッと貼れるプラス「ホワイパーPL」を褒めてあげたい

不器用な人は、修正テープに厳しい意見を持ちがちである。ソースは筆者。なにしろ、修正テープはいろいろと難しいのだ……。

 

まず、テープをガタつかせずにまっすぐ引くのが高難度だし、狙った場所だけ的確に修正するのも無理ゲー気味。テープのキレが悪いと斜めに削いだような修正跡が残ることもある。こういったミスやトラブルをほぼ毎回体験するのだから、それは厳しくなって当然という話だろう。

 

とはいえ、これらがクリアできる修正テープであれば、素直に「わー、すごい優秀だよー!」と褒め称えるのもやぶさかではない。ということで、褒めよう。わー、プラスの新しい修正テープ、すごい優秀だよー!

 

不器用勢にも快適なペン型修正テープ「ホワイパーPL」

その新しい修正テープというのが、プラスから9月末に発売予定のペン型修正テープ、「ホワイパーPL」(以下、PL)である。

プラス
ホワイパーPL
230円(税別)/5mm幅×6m

 

修正テープの中でも、ペン型/スリムタイプというジャンルは、さほど珍しいものではない。ペンケースに収納しやすい、ペン立てに立てておける、といったメリットがある一方で、全体的に見ると、握る際のバランスが悪いものも多く、使いづらさを感じるケースもあったのだ。

↑我が家にあったペン型修正テープ。見た目や握った印象も含めて、ホワイパーPL(写真右)が最も“ペンっぽい”と感じる

 

↑修正時の握りはこういう形で。軸がスリムなので、とても保持しやすい

 

対してPLは、まずこのバランスがとても良い。握った状態では、軸後端のテープリールが手に乗り上げる形状となっているため、リアヘビーさを感じにくいのだ。

 

また、軸のやや上方に指を置く配置によって、ヘッド周辺の視界がすっきりと開けているのもポイント。修正箇所がよく見えるので、細かな修正をするのにとても快適である。

↑握り位置の高さで、ヘッド周りが見やすい=修正位置を把握しやすいというわけ

 

↑ヘッドを押し付けると、うっすらとしなって紙に密着する。これがテープの引きミスを大幅に減らしてくれる

 

ペン先にはクッションヘッド機構を備え、筆圧をかけると適度に上下(+わずかに左右ロール)にしなる構造となっている。これがサスペンションとなって、ヘッドの紙への密着度がアップ。テープがガタつくことなく、ぴったりと修正できるという仕組みだ。

 

特に不器用さに起因する引きミスのほとんどは、ここで解消されるはずである。しかも筆者レベルの不器用さであっても、ほぼ思った通りにテープが引けたので、間違いなく優秀と断言できる。

 

↑プラス独自のファインキーパー機構によって引く際の荷重が一定となり、最後まで安定して引くことができる

 

↑「薄さらテープ」は密着性も高く、これまたとても優秀

 

テープ自体には、プラス自慢の「薄さらテープ」を採用。従来品より白色層を11%薄くしたテープは、修正跡が目立ちにくく、かつペンで再筆記しても削れにくい、とても良くできたものだ。

 

実際、このテープが使えるという一点だけでも、プラスの修正テープを選ぶ価値はあるなー、と思うほどのクオリティである。

 

↑ただ一点残念なのが、“リバースモード”の不搭載。クッションヘッドによって、押すとヘッドが浮いて空転しまうのだ

 

使い切りではあるものの、握りやすさ・引きやすさ・収納面とかなりオールマイティで、個人的には本当に良くできた修正テープだと思う。修正テープに苦手意識を持っている人にも、間違いなくオススメできる1本である。

 

玄関のマストツール認定! サンスター文具「シュット」は段ボールも封筒も中身を傷つけずシュッと開封

ダンボールの開梱ツールは、文房具のなかでも、ここ数年で非常に人気の伸びたジャンルと言えるだろう。以前は流通の現場で使われるプロツールだったのが、通販を利用する機会やコロナ禍の巣ごもり需要などもあって、一般家庭で使われる率が急速に高まっているのだ。

 

もちろん開梱ツール自体もいろいろと発売されており、それぞれに特長がある。

 

例えば、ダンボール梱包に無類の強さを発揮するのが、小型セラミック刃で効率的に梱包テープが切れる「ダンボールカッター」(ミドリ)。「カイコーンPRO」(オルファ)は、レターパックや紙袋梱包にも対応できる万能さが魅力だし、「ローラーケシポン 箱用オープナー」(プラス)は、個人情報保護スタンプ兼用なのが大きなポイントだ。

↑筆者宅で運用中の開梱ツール群。用途に合わせて使い分けているが、妻からは「似たようなツールが多すぎる!」と怒られる……

 

どれを使っても間違いないので、逆に「結局、どれを買えばいいの?」と迷うこともあるだろう。実際、筆者もいまだにどれをメインに使うか決めかねてるところがあるし……。

 

そこへ、さらなる“気になる開梱ツール”が仲間入り。正直、これ以上同じような道具を増やしてどうするんだ? という気もしないではないが……ひとまず試してみよう。

 

荷物も郵便もこれひとつでシュッと開く最新ツール

その“気になる開梱ツール”とは、サンスター文具の「SHUTTO」だ。パッと見は、なにをする道具か分からない地味な雰囲気なのが、実はなかなか実用性の高いマルチツールなのである。

サンスター文具
SHUTTO(シュット)
700円(税別)

 

まずメインの機能が、ダンボールオープナー。梱包テープをサクッと切って開梱できるカッターだ。

 

使う際はまず本体を挟むように持って、人差し指で上部のボタンを押し込む。すると安全ロックが解除されるので、そのまま本体下カドをテープに押し込むと、刃ガードがスライドして金属刃が露出する仕組み。

↑ダンボールのアイコンで示されている部分(刃ガード)が後退して、刃が出てくる

 

この金属刃はかなり鋭いが、長さはたった3mm弱。つまり一般的な輸送用ダンボールの厚み以下なので、梱包の中身に刃が触れる危険はほぼないだろう。刃ガードも含めて、安全性が高いシステムと言えそうだ。

 

あとはダンボールの合わせ目に沿ってスーッと引いていけば、テープが切れて開梱完了である。

 

使ってみて特に印象的だったのは、金属刃の切れ味が非常に鋭い、という点。刃が当たってさえいればテープはほぼ抵抗なしに切れるし、なんならダンボールまで切れてしまう。

↑少し強めに当てないと刃が出てこないので、グイッと押し込む感じで使いたい

 

ただし刃長がかなり短いので、合わせ目から脱線してダンボールに切り込んでしまいがち。こうなるときれいに開梱できなくなるので、少し丁寧にコントロールしてやる必要はありそうだ。

↑力を加減すれば、一枚切りの要領でシュリンクフィルムだけを切り開くことも可能(ただしちょっとコツが必要となる)

 

逆側には「レターオープナー」の機能が備わる

さて、もうひとつ機能として備わっているのが、レターオープナーだ。ダンボールオープナーと逆側にスリットがある(封筒のアイコンで示された場所)ので、ここに封筒を通すと、内蔵の金属刃で開封できる。

 

封筒タブの合わせ目から刃を入れて切る構造なので、カット幅はほぼゼロ。つまりこちらも中身にダメージを与える危険はないタイプだ。

↑封書は本体のスリットに差し込んで引くと……

 

↑切り屑もなく簡単に開封できる。レターオープナーはあると地味に便利なので、できれば備えておきたい

 

実のところ、ダンボールオープナーとレターオープナーが一体化したツールは、これが初! というわけでもないのだが、どちらも不満なく使えるレベルにあるのは珍しいかもしれない。実用性はかなり高いぞ、コレ。

 

さらに本体にマグネットを内蔵しているので、使わないときは金属面に固定しておけるのもありがたい。

↑冷蔵庫でもどこでも場所を決めて貼り付けておけば、ツール自体が紛失する危険性はかなり減らせる

 

例えば玄関ドアに貼り付けておけば、届いたものを受け取ったその場でサクッと開けて処理できるわけで、とても便利なのだ。

 

ダンボールと封書、自宅に届くものがだいたいこれ1つで開けられてしまうのは、どう考えても効率的だろう。特に、現時点でオープナーの類を持っていないという人は、導入すれば確実にQOLが上がるんじゃないだろうか。ぜひお試しあれ。

 

目の前のタスクは1つに絞る! 仕事の順序に悩むビジネスパーソンを子ども向けツール「まずコレ!ふせん」が救うかも

お恥ずかしい話ではあるが……という書き出しも、この連載で何度目だろうか。まったく、生きているだけでお恥ずかしいことだらけである。

 

さて今回の恥ずかしい話とは、仕事を順序立てて片付けることができない、ということだ。というのも、筆者は物事のプライオリティ(優先順位)を考えるのがとても苦手。とにかく眼前のことにリソースを奪われがちなので、例えば「クライアントA社に一刻も早くメールして確認を取る」という最優先事項がリストにあったとしても、先にB社(特に急ぎじゃない相手)からメールを受信しちゃったら、それを読んで返事をしちゃう。

やるべき事の優先順位を考えて、目の前のことをいったん無視する、というのができないのである。そこで、思い切った改善案を打ち立ててみた。小学生用うっかりミス防止ツールの導入である。

 

目に見えるタスクを1つに絞る「うかサポ まずコレ!ふせん」

学童文具メーカーのソニックは、うっかりが起こりにくい仕組み作りをサポートする「#うかサポ」なる製品群を展開している。今回取り上げる「うかサポ まずコレ!ふせん」は、一見すると小ぶりな定期入れという感じ。そもそもは小学生の忘れ物を防ぐ管理ツールとして作られているのだが、これが上手く使えば、タスク管理超苦手マンの切り札になりそうなのだ。

SONiC(ソニック)
うかサポ
まずコレ!ふせん 携帯ケース付き
500円(税別)

 

↑表カバーの下には、タブ付きの透明シート×2がセットされている

 

↑さらにその下に、指示通りに専用付箋をセット

 

↑これで使う準備は完了

 

表のゴムベルトを外して透明窓付きの表カバーをめくると、まず透明のシートが2枚重なっており、さらにその下には専用付箋が挟みこまれている構造。

 

使うときは、まず付箋に「とにかく一番にやるべきこと」を書いて、上側の透明シートに貼る。もしその次にやるべきことがあるなら、もう一枚付箋に書いて、下側の透明シートに貼る。以上。

 

↑付箋に最初にやるべきタスクを記入して、透明シートに貼っておく

 

↑こんな感じでToDo確認。今やることを限定することで、集中しやすくなるのだ

 

カバーを閉じると、見えるのは「一番にやるべき=絶対に今やること」だけ。なので、これ以外のことはやらない! と心に誓わなければならない(コレが大事)。逆に、ここに表示されている以外はやらなくていい、と考えればラクかも知れない。

 

で、表示されているタスクを達成したら、付箋を剥がす。すると次にやるべきことが指示されるので、同じようにこなせばよい。

↑タスクを完了したら、シートから付箋を取り除く。次はまた表示されたタスクに取りかかろう

 

この作業が完了すればひとまず優先度の高いタスクは片付いた、ということになるだろう。そうしたらいったん落ち着いて、次の優先タスク1位と2位をふせんに書き出し、貼る。この繰り返しである。

 

↑さすがに専用付箋のデザインが子どもっぽすぎるな……と思うなら、普通の付箋(50×75mm)に交換してもOK

 

どうしてこんなに手間のかかることを……? と思われる方もいるかもしれない。普通にToDoリスト作ってこなしていけばいいじゃない、という話だ。分かる。

 

しかし、筆者のように物事の順序立てが苦手なタイプだと、リストにいくつものタスクが並んでいる時点で順序付けができなくなり、結果、リストを無視してしまいがち。対してタスクが目に見えている1つだけであれば、順序を考えるまでもない。つまり、悩まずに済むわけで、これは気分的にとても救われるのである。

↑自宅で使うときは、首から下げると良さそう。視界からあまり遠ざけないのがポイントだ

 

現時点で、手帳を始めとしたビジネス用タスク管理ツールは「できる人にやさしく、できない人に厳しい」形になりがちだ。だから筆者ほど酷くはないにせよ、似たような悩みを抱えている人は意外と多いんじゃないだろうか?

 

そういったタスク管理に振り落とされた人たちにとって、学童向けのツールは大いなる助けになるのかもしれない。子ども用だからなー、と恥ずかしさを感じる人もいるかもしれないが、付箋さえ入れ替えてしまえば、バレる心配は薄い。ガンガン使っていけばイイと思うのだ。

 

家で使いたい連絡板とは? 省電力の電子メモパッド「ブギーボード」のインテリアモデルがちょうどいい!

最近いろいろと試しているのが「家庭向けのホワイトボード」。というのも、我が家は夫婦ともにフリーランスで日中はほぼ在宅。常に顔を合わせているので、例えば「ティッシュのストックがもうないから、外に出たときに買ってきて」なんて連絡も口頭で済ませるんだけど……だいたい忘れちゃうのだ。そしてたいてい、言った言わないでモメる。

 

夫婦どちらかが外で仕事をしていれば、こういった家庭内の連絡もSMSやLINEを使うが(=連絡事項が文面として残る)、共に在宅だとそれもよそよそしいし、ちょっと面倒くさくもある。であれば、家族間の連絡事項はホワイトボードで伝えるぐらいがちょうどいいんじゃないかな、と思ったのだ。

 

ただ、ホワイトボードはそもそもオフィス用品としての色が強いため、家に持ち込むと、どうしてもその周辺だけ“事務事務しい”雰囲気になってしまう。これがどうにもいただけない。もうちょっとオシャレというか、すっきりスマートなデザインのボードってないものか。

 

スタイリッシュに飾っておける「ブギーボード」のインテリアモード

そうしてたどり着いたのが、キングジムの「ブギーボード BB-15」(以下BB-15)だ。液晶に加圧して筆記する“電子メモパッド”というジャンルなので、正確にはホワイトボードではないが、用途はまったく同じだ。なにより見た目に事務用品っぽさがなく、かなりスタイリッシュ。

キングジム
ブギーボード BB-15
6000円(税別)

 

↑スタイラスなどで板面に圧を加えると蛍光グリーンの筆跡になるのが、ブギーボードシリーズの特徴。筆圧で線の強弱もつけられる

 

まず印象的なのが、ベゼル(枠)の薄さである。最近のスマートフォンなども“ベゼルレス”が注目されているが、やはりベゼルが分厚いと、それだけでどうしても野暮ったく感じてしまう。

 

「BB-15」は、シリーズ従来モデルと比較すると非常にスッキリとしたルックスで、パッと見からして「おっ、かっこよくなったなー」と思えるはずだ。

↑従来モデル(左)と比較すると、ベゼルはかなりスリムで洗練された雰囲気に

 

なぜベゼルを薄くできたかというと、お馴染みの画面消去ボタンをなくした、というのが最大のポイントだろう。

 

ブギーボードは、「スタイラスなどで画面を加圧すると筆跡が残せて、消去ボタンを押すと画面が消えてリセットされる」というのが基本の仕組みだ。となれば消去ボタンは必須なのだが、BB-15はボタンの代わりに消去ポイントを画面右下に設置。ここに専用スタイラスの上部(マグネット内蔵)を近づけることで、画面がリセットできるようになっている。

 

ちなみに専用スタイラスがない場合でも、なにか適当な磁石を使っての画面リセットは可能だ。

↑スタイラスの磁石(後端灰色の部分)を「erase」と書かれたポイントに近付けると、盤面が一瞬でリセットされる。ただし従来モデル同様、“この文字だけ”のような部分消去はできない

 

↑ベゼル側面・上面にスタイラスをくっつけておくこともできる

 

ちなみに、実は誤解されがちな部分だが、ブギーボードは画面のリセットを行う際にわずかに電力消費をするだけ(コイン型電池1つで約2万5000回の消去が可能)で、液晶表示には電力がいっさい使われていない。

 

そのため、たとえ電池切れになろうと、表示されているものが勝手に消えるという心配は不要なのだ。

 

↑背面の磁石で冷蔵庫や玄関ドアに貼っておけば、家庭内の伝達事項はこれでまかなえるはず

 

↑スマートな外見は、壁にかけてあっても違和感が少ない

 

裏面には、マグネットおよびフックをかける用のくぼみが備わっている。つまりこれ、最初から完全に壁掛けで使う前提なわけだ。このあたりが「シリーズ初のインテリアモデル」と名乗るゆえんだろう。

 

もちろん、ホワイトボード(連絡ボード)として考えると「お値段やや高い」「画面内の部分消しができない」などのネガティブはある。だが、逆に「消耗品は電池のみ(しかもほぼ消耗しない)」「ボード面が汚れずカスも出ない」のはありがたいし、なによりこのスタイリッシュな雰囲気は、これまでのホワイトボードにはなかった部分だ。

 

そのあたりを考えると、家庭内の連絡用にBB-15を選ぶ理由は充分にあるんじゃないだろうか。

 

オンライン会議を快適化! キングジムの「ウェブカメラ」は、これ一台で影なく俯瞰で映せるのがスゴい

オンライン会議の最中、製品サンプルなど、手元に持っている物をカメラに見せて「ここがこうなってるんですよー」みたいな話をすることがあるだろう。その場合、ヒョイとカメラの前に掲げられるような物ならいいが、例えば液体が入っていて持ち上げづらいとか、平面を保ちたいとか、難しい場合もあるはずだ。そういうとき、カメラをヒョイと手元に向けられたら便利なのになー、と感じるのだ。

 

ただ、ノートPCではだいたいモニター上部にカメラが内蔵されているから、アングルはほぼ固定。カメラの画角を調整するのは、思った以上に難度が高いのである。

 

であればもう、最初から自由に動かせるカメラを使っておけばいいじゃない? って話だろう。

 

写したい物をサッと写せるフリーアングルウェブカメラ

例えば、フリーアングルのアームを机に設置してウェブカメラを据え付けるなどすれば、カメラを自由に動かすシステム自体は組めなくもない。だが、いちいちコストも手間もかかり、面倒くさいのも事実。

 

そういうときはもう、最初から「自由に動くカメラのシステム」として一体になっているタイプを導入してしまうのが楽だ。

キングジム
フリーアングルUSBカメラ SUC10
2万4000円(税別)

 

キングジムのフリーアングルUSBカメラ「SUC10」は、まさに自由に動かせるカメラ一式、という感じ。ご覧の通り、スタンドアーム先端にLEDライト・マイク内蔵のウェブカメラが付いているので、これをPCに接続してしまえば、好きな角度に動かして撮影できるというわけ。

 

↑ボールジョイントの先には、マイク・ライト・カメラがまとまったヘッドを搭載。好きな角度に向けることができる

 

↑スタンド底部はずっしりとした鋳物なので、ひとまず机に置いてしまえばきちんと安定する

 

アーム自体は中央のヒンジで約90度開くだけだが、カメラヘッドとの接合部はスイング180度+ボールジョイントの組み合わせなので、だいたいどの方向にもカメラを向けられるはずだ。

 

また、そもそもアーム自体が最大まで引き上げると高さ35cmまであるので、自分の顔に正対の位置でスマートに写すことができるのもポイント。ノートPC内蔵カメラは覗き込むようになるため、だいたい鼻の穴が目立ってしまうのだ。

↑ノートPCと並べて配置した状態。モニター上部の内蔵カメラと比べると、まっすぐ高い位置にカメラが来るのが分かる

 

もちろんカメラアームを動かせば、真上から手元を俯瞰で撮影するのも簡単。例えば小型ホワイトボードやノートに議事録を書き留めて、会議中たまにそれを写してやるだけでも、情報の共有はしやすいだろう。

 

ちなみに俯瞰で約A3相当の範囲が収まるので、おそらく画角的に不満を感じることは少ないはず。

↑カメラヘッドをつまんで動かせば、素早く手元画像も得られる

 

↑画面上のオンライン会議ツールに表示された映像。ホワイトボードを写して会議の進行をスムーズ化

 

カメラヘッド側面には、ボタンが3つ。写真上から「カメラ/動画ボタン」(専用アプリでのみ使用)、「AFボタン」「輝度変更/上下反転ボタン」となっている。

 

基本的にカメラは常時AFオンとなっているが、対象物にピントが合わないときは改めて「AFボタン」を押すことで、フォーカスを合わせ直すことができる。最短接写距離はだいたい10cmぐらい。それなりにアップでもしっかりピントは来る印象だ。

↑カメラヘッド側面の物理ボタン。基本的には「AF」と「輝度変更」を多用することになると思う。

 

↑最短接写10cmで写したところ。文字にもきちんとピントが合っている

 

レンズの周りに内蔵されたLEDライトは、薄暗い場所でも顔色をきれいに写すことができる。「輝度変更ボタン」で3段階に明るさを調整できて、体感的には、最大輝度だと真正面では眩しすぎるぐらい。かなり明るめだ。

 

俯瞰撮影だとカメラ自体の影が真下に落ちて暗がりになるものだが、内蔵ライトのおかげでそういった心配がないのも強みのひとつである。

↑ライトオフ(左)と輝度最高(右)。直視すると眼がシパシパするぐらいには強いライトだ

 

ちなみに「輝度変更ボタン」を3秒長押しすると、画像の上下反転操作となる。カメラを自撮り→俯瞰で動かすと、手元の映像が上下逆になってしまうが、こういうときはボタン長押しでクルッと反転させられる。フリーアングルを活用した撮影をすると、このボタンはわりと多用することになるので、覚えておくべきだろう。

 

さらにフル活用するなら、専用アプリの導入をおすすめしたい。

専用アプリで用途がよりワイドに

「SUC10」自体は、接続するだけでPCからカメラと認識されるので、とくに何をすることなくZoomやTeamsといったオンライン会議ツールで使用することが可能だ。ただ、実はこのカメラはもうちょっとポテンシャルを秘めているので、フル活用したいならば、専用アプリ「SUA-1」(Win/Mac)をインストールするといいだろう。

↑専用アプリ「SUA-1」のメイン画面。下のアイコンから各機能を操作する

 

使ってみて面白かったのは、複数画面表示機能。これは「SUA-1」のウインドウ内で「SUC10」とPC内蔵カメラを同時に出力できる機能である。オンライン会議ツールで「SUA-1」を画面共有すれば、話者(自分)の顔を写しながら、もう一つの画面で同時に手元を写すこともできる。

 

カメラひとつごとに違うアカウントでログインしてもいいが、手間を考えるとこっちのほうがラクだ。

 

↑複数画面表示で内蔵カメラとSUC10(PCの脇に配置)の映像を同時表示

 

また、オートフォーカスを強制的にオフにしたり、俯瞰で写しているノートの傾きをAIで自動補正したり、といった機能も使いこなせると便利だ。

 

ただ、あまりUIが分かりやすくないので、同時にキングジムの製品ページから「SUA-1ユーザーガイド」PDFもダウンロードしておくのがオススメ。

 

ひとまず「SUC10」を使ってみて感じたこと

とにかく筆者のように「文房具サイズの小物をオンライン会議で説明する」機会の多い人にとっては、めちゃくちゃ便利! ということ。カメラなんて固定で支障ない、という人も多いとは思うが、動かして撮影したい人だってそれなりにいるんじゃないだろうか。在宅ワークでオンライン会議中に膝上のネコを見せびらかしたりとか、楽しいし。

 

ただ、カメラそのものは800万画素とはいえわりと偽色も多く、高画質とは言いづらい。あくまでも筆者個人の感覚だが、記録映像や動画配信用としてはちょっと物足りないなー、というのが正直なところだ。

↑内蔵カメラとの比較。SUC10はかなり明るく補正される傾向があり、やや不自然な印象だ。

 

もちろんオンライン会議用として考えれば充分以上のクオリティではあるし、なによりフリーアングルの便利さは、一度慣れてしまうと元のPC内蔵カメラには戻りづらいのではないだろうか。

 

気軽に導入できる価格ではないかもしれないが、これまでの説明で気になるポイントがあった人には、間違いなく価値があると思う。

 

メッシュ素材の「ペン&ツールポーチ」が進化! 内ポケット付きとマチ有りを両立した価値とは

ペンケースに関する昨今のトレンドといえば、間違いなく“透明化”だろう。全体が透明のPVC(塩ビ)製のものや、一部が透明窓になったものなど、タイプはいろいろあるが、ともかく“中に何が入っているのか、外から視認できる”という部分が共通のギミックだ。

 

中身の視認性が良いということはつまり、ペンケースの中をゴソゴソ探す手間なく、使いたいペンやマーカーなどに素早く手が届く、ということと同義。このアクセス性の高さは、ペンケースを快適に使う上でとても重要な機能と言える。

 

今回はそんな透明ペンケースの中から、さらに使いやすさに一工夫をこらした最新の製品を紹介したい。

 

メッシュ素材で内ポケットの中まで見せるペン&ツールポーチ

透明ペンケースというと、素材にPVCを使ったツヤツヤ・テカテカのものがほとんど。ただ、ナイロンメッシュ素材で透けて見えるタイプも、透明ペンケースにカテゴライズされる。メッシュはもちろん透明度でPVCに劣るが、テカテカしすぎない質感で派手すぎず、使う人を選びにくいというメリットがある。

ミドリ
ペン&ツールポーチ マチ付きタイプ
880円(税別)

 

ミドリ「ペン&ツールポーチ マチ付きタイプ」は、名前の通り、以前にこの連載でも紹介したメッシュ素材の「ペン&ツールポーチ」に大きなマチがついたもの。これによって、文房具の収納によりマッチした形状になった、というのが大きな変更ポイントだ。

内ポケットが色分けされたメッシュポーチ「ペン&ツールポーチ」の考え抜かれた機能とは?

 

↑マチ無しタイプのポーチ(左)との比較。よりペンケースに近いスタイルになっている

 

↑三角柱のような大きなマチで、容量は超たっぷり

 

先代ポーチは筆記具の収納をペンポケット(容量2~3本)で賄っていたのに対して、新しいマチ付きタイプはポーチ全体で筆記具を収納し、ポケットは小物用に割り振っている。全体的な容量で言えば、筆記具で20~25本ぐらい。なかなかの大容量と言えるだろう。マチが大きいため、ACアダプタやメガネケースなど、厚みのあるものも収納しやすくなっている。

↑ACアダプタ+ペン10本でも、まだまだ余裕!

 

↑中が丸見えなので、筆記具がいっぱい入っていても、使いたい1本にすぐ手が届く

 

なにより「ペン&ツールポーチ」シリーズで特徴的なのが、ポーチ自体のメッシュとは別で色分けされた2つのポケットだ。

 

このポケットがポーチと同色だった場合、例えば消しゴムがポーチの底にあるのか、ポケットに入っているのかがとっさに見分けづらい。ところが、ポケットが色分けされていれば、この見分けが瞬時に可能。出し入れのアクセスもしやすくなるという仕組みである。

↑底面に接しない&色分けのメッシュポケットは、高い視認性をキープしつつ、ポーチ全体の中身と混ざらない隔離性も持つ

 

ポケットは、カードサイズ/小物用の2種類。基本的には、筆記具に埋もれると取り出しにくいものが中空に吊り上げておける、と考えると運用しやすい。消しゴムやネーム印、ふせん、USBメモリはもちろん、目薬やリップスティックなどが衛生的(ポーチ底に溜まりやすい埃・汚れに触れない)に収納できるのも嬉しいところだろう。

 

また、カードポケットに自分の名刺を入れておけば、どこかにポーチを置き忘れたとき、善意の取得者から連絡をもらえるかもしれない。メッシュはPVCよりも透明度が低い=名刺の個人情報が“うっすら見える”レベルに止まるため、こういった使い方もしやすいのだ。

↑名刺を入れると、外から名前は見えるけど電話やメルアドなどは見えない、ぐらいの隠れ具合

 

もちろん、見えていることは自覚しておく必要がある。が、うっかり紛失が多い人にとっては、これも意外と重要な要素と言える。

 

↑上から覗き込んでもポケットの色分けははっきり見えて、出し入れが簡単

 

従来の透明ペンケースだと、ポケットが透明なので見分けづらかったり、ポケットの素材が不透明で中が見えなかったり、と整理収納がやりづらいものが多い。むしろポケットがない方が使いやすいほどなのだ。

 

とはいえ小物を入れるならポケットは欲しいところ。このメッシュ色分けポケットは、視認性を保ちつつ整理収納もできる、他の透明ペンケースにはない優れた工夫というわけだ。

 

文房具シティ・大阪で3年ぶりに開催「文紙MESSE(ぶんしメッセ)」で見つけた今すぐ欲しくなる新作5点

夏は文房具のシーズン……いや、正確には「文房具の展示会」シーズンである。この時期に発表された新製品が秋冬に発売される、というのがお定まりの流れなのだ。もちろん、そういった展示会のほとんどは、文房具の小売り・バイヤーといった事業者向け。

 

だが、われわれ一般人もウェルカムで開放されているものがある。なかでも最大規模なのが、大阪で毎年8月に開催されている「文紙MESSE(ぶんしメッセ)」だ。

↑今年は8月2日-3日に開催された、大阪の文紙MESSE

 

↑会場内には妙なフォトスポットもいっぱい。ついつい撮っちゃう

 

こちらは在阪メーカーを中心に、会場内にずらりと新製品が並び、そこへ大人から子どもまでがワイワイと遊びにやってくるという、非常にお祭り感のあるイベントである。しかも今回は、コロナ禍を経て3年ぶりのリアル開催。非常に盛り上がりを見せている会場で、気になる新作文房具をチェックしてきた。

 

1.サクラクレパスの最新ボールペンは、初代のDNAを受け継ぐシンプルデザイン

最初に取り上げたいのが、サクラクレパスの新ボールペン。高級ラインで人気のシリーズから、最新作の「SAKURA craft_lab 007」(11月中旬発売予定)が、文紙MESSE初日に情報解禁となった。

サクラクレパス
SAKURA craft_lab 007
各4000円(税別/予価)

 

ここ数年は、重厚感や素材感など毎回いろいろな切り口を見せてくれたcraft_labシリーズだが、今作は原点回帰がテーマに。2017年に発売され大いに話題となった初代「001」をベースに、さらに今のテイストにあわせてリファインしたものになっている。

↑007(上)と001(下)の比較。007は繰り出し機構を軸中央に配置するなど、スリムデザインへのこだわりが見て取れる

 

「001」はクラシカルさ・レトロさを多分に盛り込んだデザインだったが、「007」はそこからかなりスマートに。いわゆる“令和デザイン”と呼ばれる、余分な凹凸を減らしたシンプルな軸に近づけているように思う。

 

それでいて、きちんと高級感のある重厚さも備えており、「あー、これクリスマスシーズンにプレゼント用でめちゃ売れるヤツだな……」と判断せざるを得ない。

 

軸色は昨今の定番となっているくすみ系だが、アルミ梨地加工の“枯れ感”もあって、なんとも渋い。まさに“大人のかっこいいペン”という印象だ。

↑軸色はくすみ感が強く、これまで以上に落ち着いた印象だ

 

ちなみにインク色は、「ボールサインiD」シリーズでもお馴染みのカラーブラック系に加えて、特濃ブラックの「漆黒」もラインナップされている。

2.携帯性に優れたスティックタイプのホッチキスは、針をたっぷり収納

個人的にちょっと楽しみなのが、MAXの新しいホッチキス「MOTICK」(10月発売予定)だ。スリムなスティックタイプで収納に優れ、立つペンケースに入れても沈まないボディがポイントとなっている。

マックス
MOTICK
各750円(税別/予価)

 

これまでにもコンパクトな携帯型ホッチキスはいくつかあったが、ボディが小さい=針の容量が少ない、というデメリットがあった。つまり、持ち歩けても、うっかり針切れで使えないというケースがありうるわけだ。

↑使用時は中央のスライダを前に押し出すと……

 

↑ジャキッとハンドルが開いて、針が打てる状態に。ワンタッチで使いやすい構造だ

 

対して「MOTICK」はスティック型ということで、マガジンにはきっちり針100本を収容。これなら出先でバチバチ使うにも安心できそう。

↑あとは普通のホッチキスと同様に、バチンと押し込んで針を打ちこむ

 

↑針は後端側から100本を装填。プッシャーが長い!

 

携帯するだけでなく、このフォルムならペン立てに立てての常備も問題なし。筆者のような整理下手は、毎回のように「ホッチキスどこいった!?」と引き出しや小物入れを探す手間が発生するため、ペン立てのように常に視界に入る場所に立てておけると、探す手間が確実に省けそう。これはなかなかにありがたいのだ。

3.工夫されたインクパッドで、赤ちゃんの手形が捺しやすい

シヤチハタのブースでは、スタンプパッド「パームカラーズ」(発売中)が面白かった。赤ちゃんの手足にインクをつけて紙や布に捺すための、手形・足形用インクパッドだが、この形状にちょっと工夫があるのだ。

シヤチハタ
パームカラーズ(布用) 全10色
各700円(税別)

 

実は赤ちゃんの手形を採るのは意外と難しい。というのも、彼らの手はキュッとグーの形に握っているのが基本姿勢。つまり、まずはこの手を開かせないことには、手形を捺すことができないのである。

 

しかし「パームカラーズ」には、フタを折り返すと端がナナメになる傾斜型ちょうつがいを採用。この傾斜を赤ちゃんの握った手にこじいれていくと、少しずつ手を開かせることができる仕組みなのだ。

↑ヒンジの傾斜を赤ちゃんの指の間に差し入れて、開かせつつインクを塗布する。これは上手いアイデアだ

 

↑布用インクなので、スタイやトートバッグに捺してグッズを量産可能

 

あとはそのままインクパッドを手のひらにポンポンと当てて、色紙などにぎゅっと捺せば、かわいい手形が残せるわけだ。

 

もちろんインク(水性顔料)は肌に優しく、ウェットティッシュなどで簡単に拭き取れるタイプ。それでいて耐水・耐光性には優れているので、手形足形は長期間の保管が可能。

 

これは2021年秋に発売された製品だが、コロナのせいで生まれたばかりの孫と会う機会の少ない“じいじ・ばあば”たちに大ヒット中なのだそう。

4.伝統工芸とのコラボがユニーク! 全国の織物に触れられるボールペン

大阪市内でノベルティの製造販売をしている蝶屋物産は、日本全国の織物を軸に巻いたボールペンシリーズ「yuEN」を発表。西陣織や大島紬、小千谷縮など20種以上の伝統織物のホンモノを手作業で軸に巻いており、視覚だけでなく手触りまで楽しめるペンになっている。

蝶屋物産
yuEN
ボールペンシリーズ
発売時期・価格未定

 

実際に手に取ってみると、なるほど、織りの密度や絹糸の滑らかさなどが指に感じられて、かなりリッチな気分になれる。今や着物を着ることもないし、こういった織物に触れる機会なんてほとんどないわけで、筆記具の形からあらためて伝統織物を認識するというのも面白いのではないだろうか。

↑どっしりした織の手触りが気持ち良い、沖縄のヤシラミ花織ボールペン。1本1本手作業で巻き付け作業をしているとのこと

 

↑複雑な図案が美しい西陣織も、豪勢なボールペンに

 

ちなみにペン自体の価格も、元の織物のお値段によってそれぞれ異なるそう。さすが高級な大島や西陣などはほかに比べてちょっとお高めになる、とのことだ。

5.子どものウッカリを減らす! 学童ペンケースは透明がトレンドに

学童文具メーカー(と言いつつ最近は大人向けも強いが)のソニックのブースでは、「うかサポ 両面筆入」(11月発売予定)を前面で大プッシュ。実は、ここ数年かなり激化している学童向けペンケースの新ジャンルとして「鉛筆先端の見える化」を提案してきた。

ソニック
うかサポ 両面筆入
各1700円(税別)

 

小学生のメイン筆記具といえばやはり鉛筆だが、子どもはうっかり削るのを忘れたり、芯がボッキリ折れたまま放置してあったりと、油断がならない。しかし、それはペンケースの外から芯の状態がチェックできないのが悪いんじゃないだろうか。芯が見えていれば、「あっ、折れてるから削らなきゃ」と気付けるはず。

↑鉛筆の芯先が外からいつでも確認できるので、うっかり削り忘れ防止に効果的

 

↑もうひとつ、人気の鉛筆削り「トガリターン」も落ち着いた半透明のリビガク仕様が新発売。これはオシャレだ

 

そこで、ペンケースの先端を一部透明化。こうすることで、芯の状態が常に確認できるわけだ。

 

最近は学校側から「ペンケースは無柄で装飾のないものに限る」という指定も多いそうだが、一部透明は柄や装飾の範疇から外れるのでセーフ。鉛筆削りも搭載しているので、いざというときにも安心のペンケースなのである。

 

文紙メッセでは、これら新製品の展示発表だけでなく、一般ユーザーを対象にしたワークショップやイベントなどもいっぱいだ(もちろん、感染症対策は万全)。さすがにコロナ前と比較するとギュッとコンパクトになった感はあるが、それでもメーカーと文具ファンが一体となった盛り上がりは、以前と変わらない。

↑会場内のあちこちでワークショップも開催。夏休みの親子連れが集まっていた

 

↑文紙MESSEは物販があるのも特徴のひとつ。いつもよりお得だったり、限定のレアモノがあったりと、これまた見逃せない

 

文房具好きなら行く価値めちゃ高なイベントなので、機会があれば来年以降、ぜひ行ってみてほしい。ほんと、楽しいから。

 

ポーズを自在にとって自立する!「ポーズー」のペンケースとは思えない愛おしさに大人も沼落ち注意

自立する、中身の出し入れに工夫がある、整理収納できる……などなど、ペンケースの高機能化が止まらない昨今である。もちろん便利な方がいいのは当たり前だし、ペンケースの使い勝手によって作業効率が変わってくるケースも充分に考えられるだろう。

 

だが、ちょっと待って欲しい。ペンケース、ただ単に便利なだけで良いのだろうか?

 

実のところ、少し大きめの文房具店でペンケースコーナーを見てもらえば、今の疑問の意味は伝わると思う。並んでいるペンケースのうち3〜5%ぐらいが、いわゆる“ぬいぐるみペンケース”なのだ。そんなバカな! と思われるかも知れないが、実際に現場は「えっ、ここ玩具売り場じゃなくて?」というぐらい、ぬいぐるみペンケースが並んでいるのである。

↑我が家にある、ぬいぐるみペンケース(の一部)。ビーバー、鵜、ツチノコ、ザリガニなんてものまでペンケース化されている

 

つまり我々がよく知らないだけで、機能性絶無のぬいぐるみペンケースには、需要がガッツリある。便利じゃなくたって、かわいければ間違いなく売れるのである。

 

中でも、6月にキングジムが発売した新しいぬいぐるみペンケースは、かわいさを超大幅にアップさせるギミックを搭載。アラフィフおじさんも「やだ、欲しいかも…(トゥンク)」と思わずときめくレベルなのだ。

 

かわいさ倍増!? 骨格でポージング自在のペンケース「ポーズー」

ぬいぐるみペンケースとは文字通り、綿入りでフカフカしたぬいぐるみの中に文房具が収納できるようになっているもの。ベーシックな動物型から鳥、魚、昆虫、植物など種類は多いが、おしなべて機能性は皆無。とにかくかわいければそれで良し! というジャンルである。

 

そこへキングジムが新たに打ち出してきたのが、「<ポーズー>ペンポーチ」シリーズ。

キングジム
「ポーズー」ペンポーチ
トラ・ライオン・ネコ・パンダ・レッサーパンダ
各2250円(税別)

 

5種類の動物が並んでるだけでも確実にかわいいのだが、とはいえこの時点では、従来のぬいぐるみペンケースと見た目はなんら変わらない。まぁ普通にかわいいよねー、ぐらいの感じだ。

 

↑背部のジッパーで開口してペン類を収納。胴体にもみっちり綿が詰まっているので、出し入れはしにくい

 

「ポーズー」が従来と違うのは、外からは見えない身体の内側。なんと背中と両手足に“骨格”を内蔵しているのである。この骨格は、フレキシブル三脚によく見られる多関節構造で、グネグネと自由に折り曲げることが可能。これによって、綿が詰まっているだけのぬいぐるみでは絶対に不可能なポーズ固定ができるようになったのだ。

 

単にボサーッと伸びているだけの素立ち姿と、しなやかで躍動感のあるポーズ、どちらがよりかわいいかなんて、考えるまでもないだろう。

↑多関節骨格で思うようなポージングが取れる!(※骨格の画像は実際のものではなく、あくまでイメージ)

 

↑勇ましいファイティングポーズや……

 

↑グラビア風、雌豹のポーズ(ライオンだけど)も自在。背骨が動かせるのがかなり楽しい

 

使ってみて気付いたのは、このかわいさに思ったより機能性があるな、ということ。机の上でかわいいポージングをさせておくだけで気持ちが和むし、なんなら疲れたときのリフレッシュ・ツールとしても有効。冒頭で「機能性は絶無」なんて書いちゃったけど、ごめんなさい。かわいいの、仕事にも役立つかも。

↑「仔ライオンが甘えて仕事の邪魔をするのが困る」という設定でポージング。気分が半端なく和むのだ

 

↑自立型ペンケースとして、狭いスペースでも置ける

 

↑机の端にぶらさげると、より省スペースに使えそうだ

 

機能性の話で言うと、ポーズをつけて、狭い机のスペースを有効活用するべく自立させておく、というのもありだ。筆記具の出し入れが効率的になるわけではないので、自立させて特に便利になるわけではないが、かわいいから良しとしたい。

 

また、スマホを抱え込ませることでスマホスタンドとして使えるのは、意外なメリットだ。休憩時間に動物動画を見るときは、ぜひこの姿勢を有効活用したい。

↑四肢でがっちり掴んでくれるので、スマホスタンドとしての安定感も抜群!

 

ただ、ペンケースとして筆記具を収納してしまうと、背骨の骨格を曲げることはできなくなる。つまりポーズの自由度は大幅に下がってしまうということ。考えてみれば当然なのだが、かわいさを取るかペンケース機能を取るかのトレードオフが発生してしまうのは悔しいところだ。

 

そこはもう「かわいいからしょうがない」と言い切るしかないのだけれど。

 

フィルム付箋タイプマーカーが進化!「はがせるマーカー」は真っ直ぐ線を引くのが苦手な人を本当に救えるのか?

世の中には、意外と多くの“ラインマーカー下手クソ勢”が存在する。実のところ、筆者もその同志だ。どれほど下手かというと、線がまっすぐ引けず蛇行する、線幅が一定にならない、引き終わりが想定位置から常にズレる、使う度にインクが指につく……など、よくもそんなに失敗できるな? と我ながら驚くほどである。

↑ラインマーカーを使う度に「我ながら下手だなー……」としみじみ思う

 

しかし、線が不安定なのも指にインクがつくのも、基本的にはラインマーカーが抱えている構造的な欠陥と考えられないだろうか。(我ら下手クソ勢が極端に不器用とか、そういうのはひとまず置いておくとして。)

 

線幅が常に一定して曲がらず、引き終わり位置が分かりやすく、しかも手につくようなインクを使わない。そんなラインマーカーさえあれば、もうマーキングするのに困ることはないはずだ。

 

例えば、2020年に発売されたカンミ堂「フセンマーカー」は、その理想にかなり近づいた製品だと思う。インクではなく半透明のフィルム付箋テープを文字の上に貼ってマーキングするので、曲がらず線幅も変わらず、インクが手につくこともない。

↑付箋テープのラインマーカーとして話題になった「フセンマーカー」(カンミ堂)

 

ただ、細かな使い勝手の点で、やや不満を感じることもあったのだ。そこで試してみたいのが、同社から今年発売された新しい付箋タイプのマーカーである。

 

何が進化した? フィルム付箋テープのラインマーカー「はがせるマーカー」

2022年に発売されたカンミ堂「はがせるマーカー」は、「フセンマーカー」の不満点を解消するべく開発された、いわばフィルム付箋タイプマーカーのVer.2.0にあたるもの。実際に使ってみると、なるほど、確かにブラッシュアップが施されているのは感じられた。

カンミ堂
はがせるマーカー全9色
各360円(税別)

 

まず一目瞭然なのは、コンパクト化

まず、ひと目で分かるのがサイズの違い。「はがせるマーカー」はつまめば手にすっぽり隠れてしまうほどにコンパクトだ。

↑「フセンマーカー」(左)とのサイズ比較。テープリフィルは共通なので、それ以外の部分を大きく削り込んだ印象だ

 

ラインマーカーは何色かを使い分けることが多いツールだが、これならペンケースに複数色をストックしていても、以前ほどかさばりを感じることはないだろう。

 

使い心地は? 紙を傷つけることなくプツッとカット

↑まずはケースの半身をカチッというまで回転させる

 

使用する際には、まず本体ケースをぐるりと後ろに120度ほど回転させる。最後まで回すと、カチッとクリックを感じるところでカバーが固定されて、携帯モードからライン引きモードへ変形完了だ。

 

あとはマーキングを始めたい場所にテープ端を指で押さえつけ、本体底面を紙に当てたまま水平に動かしてラインを引いていく。

↑テープ端を左手でしっかり押さえながらラインを引く。本体底面が紙から離れないように引くのがコツ

 

マーキングしたい文末までラインが引けたら、テープカットだ。テープ出口付近を人差し指でふさぐようにして押さえたら、本体を軽く前転するように傾けてちょっと引く。すると、プツッと軽い手応えで内部の刃がテープを切ってくれる。

↑ハイライト部がテープカッター。ここを軸にして前へ傾けて……

 

↑軽く引くとカット完了。本体が透明になったことで、切る位置が見やすくなったのもありがたい

 

以前の「フセンマーカー」は、刃が下に降りてテープを切る構造だったため、うっかりすると刃で紙をガリッと削ってしまうことがあった。対して「はがせるマーカー」は、刃が紙に触れない位置で固定されているので、紙削りトラブルが発生しない。このカット方法の改良は、端的に「使いやすくなったな!」と感じる部分だ。

↑ふせんテープなので、貼ったラインを剥がすことができるのも便利

 

ラインマーカーらしいカラーが増えてバリエーション充実

テープ色に関しては、これまでの「ピンク」「グリーン」「グレー」「暗記用ブルー」「ストライプ柄」「スクエア柄」から、「イエロー」「オレンジ」「ライトピンク」「ライトブルー」「パープル」が追加。よりラインマーカーっぽい色が増えたことで、色を分けてのマーキングがやりやすくなった。

 

ちなみに、テープ自体は「フセンマーカー」と共通だが、ボディが全クリアになったことで、装備しているテープ色の視認性もアップしている。

↑2つ入りの替えリフィル(9色)は各270円

 

完全にマーカーの置き換えアイテムとなれるのか?

また、本体価格が従来から100円以上安くなっているのも、大きな改良ポイントと言えそうだ。もちろん通常のインク式ラインマーカーが1本100円強で購入できることを考えれば、コスト的に優れているとは言い難いが……それでも「試しに2~3色使ってみるか」と考えやすくなったのは間違いないだろう。

 

しかし、総じて不満のないパーフェクトなマーカーになったか? と問われると……正直なところ、まだ使い勝手で微妙なところは残っていると感じた。なにより、ラインを引くのに必ず両手での作業が必要になるため、軽快さに欠けるのは間違いない。やはり修正テープのように片手で引けるようにならないと、根本的な解決にはならなそうだ。

↑多少のクセはあるが、それでもノートや資料の仕上がりがグッと美しくなるので、使う価値はあるだろう

 

とはいえ、現状ではこれが「もっとも線がまっすぐ美しく引けるマーカー」であることには、間違いないだろう。万が一に失敗しても、剥がして引き直せるし。少なくとも、ラインマーカー下手くそ勢の自覚がある人なら、導入する価値はあると思う。

 

発売前の注目文具がいろいろ! 文房具の見本市「ISOT」で見つけた掘り出しモノ5選

今年も文房具的にアツい夏がやってきた。「国際文具・紙製品展」、通称ISOTが7月6~8日に東京ビッグサイトで開催されたのである。残念ながらコロナ禍などもあって、ここ数年は国内の出展メーカーが減少し、会場もやや寂しい印象となった感は否めないが……それでもちょっと探せば、興味深い新製品がゴロゴロ。

↑東京ビッグサイト東ホールに、最新文房具が集結!

 

↑今年は海外ブース(主に韓国・中国・ベトナム)が復活したのも、嬉しいニュースのひとつ

 

今回は、そんなISOTで見つけた、注目の最新文房具を紹介していこうと思う。ちなみに秋冬以降の新製品を発表する場だから、現時点ではまだ発売されていないものがほとんど。気になる製品があれば、各自発売日などは検索してほしい。

 

日本文具大賞グランプリは、消し心地にこだわるホワイトボード

ISOTの醍醐味のひとつが、会期初日に発表される「日本文具大賞」のグランプリ。31年の歴史を誇るアワードということで、注目度は非常に高い。そして今回、日本文具大賞のデザイン部門でグランプリに輝いたのが、wemo(ウェモ)「paper flip board(ペーパーフリップボード)」である。

↑日本文具大賞デザイン部門でグランプリを獲得した機能性ホワイトボード「paper flip board」

 

↑ボード面の平滑性がかなり高く、書き味はスルスル。その分だけ光の反射も強く、周囲からの映り込みが多いのは少し気になった

 

wemoといえば、腕に巻くバンドタイプのウェアラブル・メモがお馴染みだが、こちらは正方形のフォルムが特徴的なホワイトボード。形状に関しては、オンライン会議において顔と一緒にボードが写り込めるように考えられて、正方形になっているようだ。

 

本体はダンボールの表面に特殊なフィルム加工を施したもので、重量はボード単体で約96g。見た目のサイズと比べてめちゃくちゃ軽い! この軽さなら、ほとんどの人が持った瞬間に「軽っ!」と驚くのではないか。なによりボードが軽いと、筆談やオンライン会議などで手に持ったまま書き消しを続けても負担になりにくい。これは大きなメリットだ。

↑さすがこだわっただけあって、「消し心地」はお見事。軽くティッシュで拭くだけでスルーッと消せた。まる4日放置した筆跡でも同レベルで消せるとか

 

↑ちなみにマーカーを挿しておけるホルダーパーツはウレタンスポンジ製で、イレイザー代わりにも機能する

 

会場で話を聞いたところ、「なによりこだわったのは消し心地です!」とのこと。書いてすぐに拭ってスルリと消えるのはもちろんのこと、長時間放置した筆跡もきれいに消せる消字性能は、なかなかに優秀だ。

 

ホワイトボードマーカーは、書いたあと時間が経過するほどにインクが盤面に定着して消しにくくなる。実際、ほとんどの競合製品が96時間以上経過したものが消せなくなっているのに対して、「paper flip board」は軽く拭くだけできれいに消せていた。

 

クラファン発のホワイトボードは、ザシュッと一発クリアが爽快

今回のISOTは妙にホワイトボード系の出展が多かったので、もうひとつ紹介しておこう。第一合成の「WIPE(ワイプ)」は、2021年末にクラウドファンディングサイトmakuakeにおいて達成率1000%超えを果たした、A4(よりちょっと小さい)サイズのホワイトボードである。

↑こちらがクラファン発の機能性ホワイトボード「WIPE」

 

↑カバーをめくるとボード面が露出。このように書き込みができる

 

携帯時にボード面を覆い隠すカバーがついているのだが、このカバーこそが「WIPE」最大のポイント。めくって裏面をみると全域がフェルト生地になっているのだが、なんとこれがボードイレイザーとして使えるのだ。

 

たとえばボードに書かれた筆跡をオールクリアしたい場合、カバーをかぶせて全体を一気に拭き取ることで、あっという間にリセットが完了するわけだ。これは非常に手っ取り早い。

↑消す時はカバーをかぶせて全体をこするようにすると……

 

↑カバー裏のフェルト生地によって、一気に全面拭き取りが完了!

 

従来であれば、ボードのオールクリアをするときはペーパータオルやウェットティッシュを使っていたが、それをいちいち用意するのは面倒くさい。そりゃカバーが拭き取り布を兼ねてくれていたほうが、ラクに決まっているだろう。

 

カバー裏にはマーカーの消しカス(粉汚れ)が溜まるが、これは屋外でパンパンと手ではたいたり、卓上クリーナーで吸ったりしてやることでメンテナンスできるようだ。

 

ファンシー文具は昭和レトロが人気

「食品用ラップに書けるマーカー」や「ドットが捺せる蛍光ペン」のように小技の効いた製品を得意とするのが、プラスチック射出成形品メーカーのエポックケミカル。しかし今年の新製品は意外にも、“昭和レトロ”をテーマにしたファンシー文具シリーズである。

↑エポックケミカルの昭和レトロ文房具「タイムスリッぷ」シリーズ。まさにザ・昭和! なデザインだ

 

↑昭和っぽい衣装引き出し型封筒からはみ出している、クマキヨシの便箋

 

「タイムスリッぷ」と名付けられたシリーズは、「トラ ミノル」「クマ キヨシ」「イヌ タダシ」のかわいい動物キャラがメインアイコン。ちなみにこのミノル・キヨシ・タダシという名前も、昭和に多かった男性名ランキングから取っているとのこと。

 

3キャラのメッセージカードは、専用封筒から大幅にはみ出すサイズとなっており、とぼけた雰囲気が非常にキュート。ほかに、いかにも昭和っぽい水性ペンや多色ボールペン、ハート型のロケットチャーム付きシャープペンシル(写真を入れることも可能)、ファイアーキング風のマグカップもラインナップされている。うーん、昭和。

 

↑「カセットテープのケースにカードメモが入ってる」というだけで、昭和世代には刺さりまくり!

 

↑カバーをくるりと回してスタンドに。当時もカセットケースをカードホルダーに転用していた人、多いのではないか?

 

ちなみに、メッセージカードが入ったカセットテープケース風のプラケースは、なんとエポックケミカル社内で錆びて転がっていた、本物のカセットケース用金型(70年代から実際に使われていた)を転用して作ったのだそう。

 

昭和の頃に実際にカセットケースを生産していたという実績が、令和のファンシー文具に活かされるというのも面白い話である。

 

ちなみに、もう金型の耐久度が保たないので、追加生産は難しいらしい。欲しい人は見つけたら即ゲットだ。

 

どこでもくっつくマグサンド、吸盤プラスでパワーアップ

ガラスやアクリル・木板など磁石がくっつかない場所にも、強力なネオジム磁石パーツを裏表から挟み合わせることでくっつけられるのが、磁石メーカー マグエバーの 「マグサンド」。

 

店舗のガラスドアに磁石フックを増設して看板を吊したり……といった用途で、今やかなりの大人気の製品だ。

↑どこにでも磁石フックが増設できて大人気の「マグサンド」(マグエバー)

 

その「マグサンド」に吸盤を組み合わせて耐荷重を大幅にアップさせたのが、新製品の「マグプラス」。なんと1個あたりの耐荷重が4.5kg(マグサンドの約4倍)というから、これはめちゃくちゃ強力。実際に試させてもらったが、体感ではもっと強いように感じられた。

↑新しい「マグプラス」は、ネオジム磁石に吸盤の力もプラスして、超強力に。指1本で引っぱったぐらいではビクともしなかった

 

↑裏面の磁石パーツ(白い円盤)にも吸盤が付いているので、パーツ同士を挟み合わせるのもラクになっている

 

吸盤がついたことによってもうひとつ、設営しやすさも大幅にアップしている。例えば、ガラスドアの屋内側に吸盤で磁石パーツをくっつけておき、それからおもむろに屋外側に回り込んで磁石パーツでサンドする、ということが可能になった。従来なら裏と表でそれぞれに人手が必要だったのが、吸盤があれば1人時間差で設置ができるというわけだ。

↑アウトドア用のLEDランタンも、1/4インチネジでハメ込んでマグプラス化できる

 

しかも本体から生えているフックパーツは、根元が1/4インチネジになっているため、自在に付け替えが可能。1/4インチネジとは照明機材やカメラ、スマホホルダーの据え付けに多用されている規格なので、これらが場所を選ばず固定できるとしたら、応用範囲はかなり広がりそうである。

 

韓国から来た、意外な書きやすさの先曲がりペン

海外ブースからも、1点紹介したい。韓国ゼロジーテクの「ZERO G ball」は、一目見て「んん?」と首をかしげたくなるような、ちょっと変わったフォルムの油性ボールペンだ。

↑海外勢の中で注目度が高かったのが、ゼロジーテクブース

 

本来ならペン軸からまっすぐ円錐状に伸びているはずの口金パーツが、はっきりと傾いているのである。なんだこれ!?

↑先端がクチバシのように曲がった油性ボールペン「ZERO G ball」

 

油性ボールペンは、先端の小さなボールが転がることでインクが紙に出るという仕組みとなっている。なので、ペン軸を寝かせて(紙に対して角度を浅く)握ると、口金のフチにひっかかってボールの転がり不良が起きやすくなるのだ。

 

ところが「ZERO G ball」はペン軸に対して口金が立ち上がっているため、多少浅い角度で握ったとしても、ボールが転がりやすい角度をキープしてくれるという構造のようだ。

↑軸に対して角度が付いて飛び出したペン先によって、筆記角を深く取る構造。寝かせ筆記でも書きやすい

 

実際に書いてみるとなるほど、見た目からの印象よりはずっと違和感なく書ける。それでいて、普通なら確実に転がり不良でかすれるような角度で握って書いても、スルスルとペン先が走ってくれるのは面白い。寝かせ書きの握り癖がある人にとっては、ありがたいのではないだろうか。

 

ちなみに発想としては、古くから「YORO PEN」など同様のものは存在している。が、こちらの方がデザインは従来のボールペンに近いため、変態っぽさは薄まっている(なので、使いやすい)ように思う。

 

ISOTの時点ではまだ代理店は未定とのことだが、国内販売が始まるのが楽しみだ。

 

インク不要、鉛筆削り不要で16km筆記! 話題の「メタシル」は従来のメタルポイントペンと何が違うのか?

「メタルポイントペン」という筆記具をご存知だろうか? 知っていたら、文房具マニアとしてはなかなかのモノである。

 

これは鉛やスズ、銀などを芯にした金属製のペンのことで、だいたい16世紀頃まで使われていたもの。銀製のものは特に“シルバーポイントペン”と呼ばれていたり、“金属尖筆”“メタルチップ”なんて呼び名もあるが、まぁだいたい同じものと思ってもらっていい。

 

↑インクも何もなしの金属芯で筆記できるのが、メタルポイントペン

 

ちなみに黒鉛が発見されたのが1564年。そこから現代の鉛筆に近いものが作られるまでは、世界的に広く使われていたわけだ。

 

例えばルネサンス期の芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、レンブラントなんかもメタルポイントペンによるデッサンを数多く残している。というか、ダ・ヴィンチの没年が1519年なので、そもそも彼は鉛筆の存在を知らないままに亡くなっているのだが。

 

実はこの超レガシーなメタルポイントペンがちょっと進化して、令和の世に復活したのだ。それを紹介したいと思ったので、こういう文房具蘊蓄(うんちく)から切り込んでみた次第である。

 

5世紀ぶりに進化した最新メタルポイントペン

鉛や銀を紙にこすりつけただけで、どうして字が書けるのか? というと、紙に金属の微粒子が残って筆跡になる、というシンプルな話。さらにそれが酸化することで濃く残るわけだ。

 

なのだが、もちろん黒鉛の方がくっきりと濃く、さらに滑りも良くてなめらかで書きやすい。そりゃ鉛筆の登場によって、あっさり姿を消してしまうのもやむなしだろう。

サンスター文具
メタルペンシル metacil(メタシル)
900円(税別)

 

↑軸色は全6色。筆記色はすべて同じ(黒)なので、見た目の好みで選びたい

 

しかし、この6月にサンスター文具から発売された「メタシル」は、まさに現代版メタルポイントペンとして作られたもの。もちろん八角形の軸から芯まで完全フルメタルだ。先端の金属芯は「削ることなく約16kmもの長さを筆記できる」というのが謳い文句となっている。

 

↑鉛筆と同じ感覚で、芯先を紙に擦りつけて書くことができる

 

で、実際に書いてみるとこんな感じ。メーカー公称として「2Hの鉛筆に近い」とされているが、なるほど確かにそんな感じだろうか。体感としては2Hより若干薄いかなー、ぐらい。

 

さすがに薄いとは思うが、とはいえ読めないほどではないので、筆記具として使えないとは思わない。なによりも、従来のメタルポイントペンと比較すると、あきらかに筆跡がくっきり。実はこれが“メタルポイントとして進化している”という部分なのだ。

 

↑上からメタシル・メタルポイントペン・鉛筆H・2H・3Hで筆記。濃さ的には2Hから3Hの中間くらいだろうか

 

先にも述べた通り、メタルポイントペンの芯は鉛やスズなどの合金。対して「メタシル」の芯は、特殊合金に黒鉛を配合したものとなっている。書くと、金属と黒鉛の粒子が紙に残るわけで、従来よりくっきり黒い筆跡になるのも当たり前。

 

書き味は、ややガリッとした引っかかりがあるものの、金属オンリーの従来メタルポイントペンよりはなめらかに書けるように感じた。これはやはり黒鉛(固体潤滑剤としても使われるほどすべりやすい)を配合しているからだろう。

 

↑メタルポイントペンは芯先が丸いわりに引っかかりがあり、直線を書くにもややガタガタしがち。芯に黒鉛を配合したメタシルのほうがなめらかだ

 

また、黒鉛配合による効果としてもうひとつ、消しゴムで筆跡が消せる、というのもある。メタルポイントペンの筆跡は、一度紙に定着すると非常に消しにくいものだが、「メタシル」は普通の鉛筆に近く、こすって消せるようになっている。

 

また、上から塗装してもにじみにくい、というのも鉛筆と同じなので、水彩画の下書き用としても違和感なく使えそうだ。

 

↑鉛筆とメタシルは、消しゴムで筆跡を消すことが可能

 

↑芯はネジで軸にはめ込まれている。摩耗した芯が交換できるのか? と思ったが、現状では替え芯の別売りはないようだ

 

とはいえ、ここまで鉛筆に近い性能ならば「むしろ鉛筆でいいじゃん」という意見があるのも理解できる。というか、ごもっとも。いやらしい話、コスパも圧倒的に鉛筆(1本で50km書ける)の方が上だ。

 

ただ、“ルネサンス期の画家も使っていたメタルポイントペンを今の技術で作るとこうなる”というような話としては充分に面白いし、そこにロマンを感じることもあるだろう。実用品として捉えるよりは、「文房具好きが興味本位で使ってみると楽しい筆記具」ぐらいの評価がしっくりきそうな印象である。