プロにしろアマにしろ、一流アスリートが必ず行っていることがあります。それは、「イメージトレーニング」です。
■「成功した」自分をイメージする
「イメージトレーニング」をわかりやすく説明しましょう。ある受験生がK大学を受けるとします。彼はまず、K大学の正門へ行って、こんなふうに自撮りしたとします。「受かったぞ!」
その写真を大きく引き伸ばし、自分の机の前に貼り、毎日その写真を見て勉強しました。結果はどうだったか? 見事、K大学に合格しました。なぜでしょう? それは、自撮りをした段階で、彼は、キャンパスを歩いている自分、勉強をしている自分、恋人を作った自分、どういうところに就職をしたいか……具体的にイメージしたことが見えたのです。そこから逆算して、じゃあ「今、足りないものは何か」をはっきりさせ、それを毎日、コツコツとやっただけなのです。これが「イメージトレーニング」であり、誰にでもできる手法と言えます。
■今の自分に「足りないもの」は何か?
アスリートは、これをどのように利用するのか。まず、自分のゴール(目標)を決めます。たとえば、オリンピックで金メダルを獲って表彰台の一番上に立つとか、世界新記録を作って多くの記者に囲まれているとか、優勝して胴上げされているとか、そういうことです。できるだけ具体的にイメージして、そこから逆算して、そうなるためには何が足りないのかを把握して、それを補うために毎日コツコツと努力することが「イメージトレーニングを利用して成功した」といえるのです。
■イメトレで重要な、たった1つのこと
ここで重要なことは、“具体的にイメージできたかどうか”ということです。具体的にイメージできなければ、実現は不可能です。なぜなら、何をしていいかがわからないからです。
具体的にイメージできたら実現可能です。なぜなら、現実の自分と比べて、何が足りないかがわかり、そのためにどうしたらいいかが明確になるからです。
しかしながら、どうしても踏み出せない人はいるでしょう。そういう人に2つのコツがあります。1つは、遠くて大きなゴール(夢)を設定するのではなく、近くて身近なゴール(目標)を立てることです。結局、実現可能な身近なゴール(目標)の積み重ねが遠くて大きなゴール(夢)に届くことになるので、まずは1歩を踏み出すことが大切といえるでしょう。
もう1つは、自分へのご褒美を用意することです。モチベーションを上げることはもちろんですが、ゴールではない目的、目標が違った意味でのやる気を引き出すからです。
催眠療法の中にもイメージ(暗示)療法があります。イメージさえできれば実現が近づくことを考えれば、自然とワクワクしてくるのではないでしょうか。
【著者プロフィール】
スポーツジャーナリスト 瀬戸口仁
1960年2月25日、東京生まれ。サンケイスポーツ新聞社でプロ野球を11年間担当。独立して1993年に渡米し、ニューヨークを拠点に13年間、メジャーリーグ、とくに日本人メジャーリーガーを取材。日本の新聞、雑誌、サイト、テレビ、ラジオに彼らの「今」をリポートした。帰国後は長年のキャリアを活かした“日米比較”や“正しいゴール設定の仕方”、“潜在意識”など、スポーツに関連するテーマを中心に執筆活動を行うかたわら大学や専門学校で講師を務める。著書に「宣言力」シリーズ(野球編、サッカー編、オリンピック編)、「最強の日本人のつくり方」など。