翼の上に立ちたい! バリ島に「飛行機型高級ビラ」が登場

プライベートジェットよりも豪華でユニークな滞在を楽しめる。そんな、ホテルがバリにあります。その名も「プライベートジェット・ビラ」。名前の通り、航空機として使われた機体を改造して、そのままの形を利用したホテルです。一般的なホテルにはない唯一無二の体験ができる、そんな場所を紹介しましょう。

↑どんな体験になるんだろう(画像提供/Balitecture/YouTube)

 

インドネシアのバリ島。すぐ目の前に海が迫る崖の上に、ボーイング737の機体が設置されています。飛行機をホテルにするというアイデアは、ロシアの起業家が考えたそうで、倒産したタイガーエア・マンダラ航空から機体を買い取り、およそ2年の歳月をかけて内部を改造しました。

 

外観は航空機そのままですが、中はまったくの別世界。客席はすべて取り払われ、2つのベッドルームとダイニングがある客室に様変わりしています。特に注目なのは、飛行機の先端のコックピットだったエリア。ここにはジャグジーが設置され、パイロットになった気分でリラックスタイムを堪能できます。

↑コックピットがジャグジーに(画像提供/Balitecture/YouTube)

 

また機体の翼部分はバルコニーに変貌し、目の前の海を独り占めできます。かつて搭乗客が乗り降りしていた出口には、ネットでできたソファのようなものが設置され、そこに身体を預けて過ごしてもいいでしょう。

 

ロシアの起業家が、いくらでこの機体を購入したのかは明らかにされていませんが、商用のボーイング737の価格は、260万ドル(約3.9億円※)から650万ドル(約9.7億円)と言われています。

※1ドル=約149円で換算(2024年2月9日現在)

 

おそらく、それと同等の金額を払い、さらに時間とお金をかけて豪華に改造されたこのホテル。1泊の宿泊料金は1600ドル(約24万円)から。「搭乗券」を受け取って始まるこのフライト、気になる方はチェックしてみては?

 

【主な参考記事】

Daily Mail. Fascinating video goes inside old Boeing 737 plane that has been transformed into a luxury cliff-top VILLA in Bali – and comes complete complete with a helipad, exit door balcony, and a jacuzzi in the COCKPIT. February 7 2024

10代に大ウケ! インドネシアのマクドナルドが「ウェディングパッケージ」を販売

熱烈なディズニーファンはディズニーランドで、鉄道ファンなら電車を貸し切って結婚式を挙げる……。ウェディングにはさまざまな形がありますが、最近そこに進出したのが、マクドナルドです。一部のマクドナルドファンは、声を上げて喜んでいるに違いありません。

↑斬新な組み合わせ

 

インドネシアのマクドナルドのインスタグラムアカウントで6月26日、発表されたのが「Wedding Mekdi」パッケージ。なかには、チキンバーガー100個と、4個入りのマックナゲットが100箱入っていて、価格は350万インドネシアルピア(約3万3000円※)。チキンバーガーとナゲットは200個以上から注文を受けるそうです。また、バーガーとナゲット以外にも、さまざまなメニューを選ぶことができるとのこと。

※1インドネシアルピア=約0.0095円で換算(2023年7月7日現在)

 

残念ながら、マクドナルドの店舗で結婚式を行えるプランではありませんが、ケータリングメニューとして利用できるシステムです。別料金でフードワゴン(屋台)を出すことも可能なようで、マクドナルドファンにはうれしいかもしれません。

 

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インドネシアでは、別のファストフードチェーンで店内での結婚式を行えるプランが登場しているそう。そんなことを追い風に、現地のマクドナルドもウェディング向けの商品を発表したようです。

 

「自分の人生の節目となる結婚式の日に、マクドナルドのハンバーガーを食べたい」と思っている熱烈なマクドナルドファンもきっといるに違いありません。このウェディングパッケージを紹介した投稿には、2万5000以上の「いいね」がつき、早速SNS上で拡散。特に10代の人たちが反応したと報じられています。

 

マクドナルドと結婚式の「マリアージュ」は米国を含め他国に展開される可能性もあるかもしれません。

 

【主な参考記事】

New York Post. McDonald’s launches $200 wedding package in historic menu change. July 5 2023

McDonald’s Indonesia Instagram. June 26 2023

「超学歴社会」のインドネシア、ゆとり化するも「オンライン学習」で市場はますます活況に?

人口が世界4位のインドネシアは、日本よりも学歴主義が強いといわれています。平均年齢が約29歳の同国では、将来を背負う子どもたちの教育に政府も力を入れており、国家予算の20%を教育関連に配分。一方、「教育は将来への投資」と考える親が多く、できるだけ良い学校に進学することが競争社会を生き抜く術と考えているのです。教育熱心なインドネシアの政策や子育て事情を紹介しましょう。

 

インドネシア版ゆとり教育?

楽しく自由に勉強中?

 

インドネシアの学校制度は日本と同じで、義務教育である9年間の小学校と中学校を修了後、高校、大学といった高等教育へ進みます。しかし日本との大きな違いは、2019年まで小学校でも国による「全国統一試験」が卒業前に行われていたことで、各教科の基準点を下回ると卒業できないケースがありました。

 

ところが、インドネシア教育文化省は2020年2月、中期戦略計画の新ビジョンである「ムルデカ・ブラジャール」を発表。インドネシア語で「ムルデカ」は「自立」や「解放」、「ブラジャール」は「勉強」を意味しており、自由で自立した学びの実現に向けて教育制度を変えていくことを目指すとしました。

 

その柱の1つが、1981年から長期間にわたり実施されていた「全国統一試験」の廃止。1回の試験で卒業の可否を決めることについては以前から批判が多く、「子どもたちが卒業試験の合否を心配せずに楽しく学ぶ」「学校も独立性を保ちながら授業や学校運営を行う」という狙いからこの試験は撤廃されました。

 

「全国統一試験」は廃止されたものの、現在も多くの学校は小学1年生から学期ごとの定期試験を実施。そのため、就学前には読み書きや簡単な計算、英会話などの幼児教室に通わせ、就学後には学習塾や家庭教師を利用する家庭が目立ちます。

 

「学校外学習サービス」を積極利用

このような学校外の学習サービスには、インドネシア国内の企業だけでなく、公文教育研究会やベネッセコーポレーション、サカモトセミナー、立志舘ゼミナールなどの日本企業も参入しています。

 

費用については、例えば、公文は地域により価格が異なりますが、ジャワ島中部のジョグジャカルタ特別州では登録費が25万ルピア(約2125円※)です。一教科あたりの月謝が幼稚園生と小学生は36万ルピア(約3060円)、中学生と高校生は41万ルピア(約3485円)かかります。

※1ルピア=約0.0085円で換算(2022年12月23日現在)

 

ジョグジャカルタ特別州の平均月収は240万ルピア(約2万400円)なので、一般的な家庭にとって決して安い金額ではありません。それでも学校外学習サービスを利用する理由は、経済成長と人口増加が続く競争社会のインドネシアにおいて、「教育こそが我が子のより良い将来への一番の投資」と考えているからです。

 

コロナ禍以降はオンライン学習の需要が高まり、新たなサービスが次々と展開されています。2020年3月には学校が休校となり、子どもたちは自宅でオンライン学習や家庭学習をすることになりました。それに伴い、学校外学習についても自宅でオンラインを通じて受ける需要が増大したのです。

 

また、オンライン学習の浸透によって、それまで通えなかった遠くの教室の授業にも参加できるようになるなど、新たな選択肢が増加。オンライン学習はスタンダードな学習スタイルとして定着し、事業者にとっても大きな商機となりました。

 

地域間における経済格差と教育格差

教育の機会均等が課題

 

インドネシアは日本の約5倍の国土に、2億7000万もの人々が暮らしています。ただ、人口の半数以上が首都ジャカルタのあるジャワ島に集中しているため、以前から地域間での経済格差や教育格差が課題として指摘されていました。そして、こういった格差は、コロナ禍を背景にさらに広がったのです。

 

オンライン学習を実施する学校に通い、インターネットに接続できるデバイスを保有する子どもと、そうでない子どもの間で、受けられる教育の機会と質の差が拡大。この格差を是正するために、政府も国営テレビ局と協力して学習番組を放送したり、自宅学習向けにスマホの学習アプリを無料利用できるようにしたりしました。スマホのデータ通信料についても、補助金を支給しています。

 

政府主導の「ムルデカ・ブラジャール」により「全国統一試験」はなくなりましたが、現在も小学1年生から学期末定期試験が実施されるなど、競争はいまだに厳しいと言えるでしょう。従来型の塾や家庭教師に加え、オンライン授業といったサービスは今後も増加すると思われ、インドネシアの教育熱はこれからも下がることはなさそうです。

 

読者の皆様、新興国での事業展開をお考えの皆様へ

『NEXT BUSINESS INSIGHTS』を運営するアイ・シー・ネット株式会社(学研グループ)は、150カ国以上で活動し開発途上国や新興国での支援に様々なアプローチで取り組んでいます。事業支援も、その取り組みの一環です。国際事業を検討されている皆様向けに各国のデータや、ビジネスにおける機会・要因、ニーズレポートなど豊富な資料もご用意しています。

なお、当メディアへのご意見・ご感想は、NEXT BUSINESS INSIGHTS編集部の問い合わせアドレス(nbi_info@icnet.co.jpや公式ソーシャルメディア(TwitterInstagramFacebook)にて受け付けています。『NEXT BUSINESS INSIGHTS』の記事を読んで海外事情に興味を持った方は、是非ご連絡ください。

EVで先進国入りを目指すインドネシアの戦い

世界の自動車産業がガソリン車からEV(電気自動車)へシフトする中、最近、大きな注目を集めているのがインドネシアです。同国はEV産業の鍵を握る資源・ニッケルの世界最大の生産国であり、それを生かして多くの雇用を作り、先進国になろうとしています。しかし、そこには課題も含まれており、世界各国がインドネシアの動向を注視している状況です。

EVに賭けるインドネシア

 

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領(通称ジョコウィ)は、2019年にEVを推進する大統領令に署名しました。その内容は、2025年までにEVの利用者を250万人まで引き上げるというもの。その実現を目指し、インドネシア国内におけるEV産業の促進、充電ステーションの整備、電気料金の規制、EV購入に際する税金の軽減や財政支援などが盛り込まれています。

 

この施策の象徴的な存在が「グリーン・インダストリアル・パーク(グリーン工業団地)」。3万ヘクタールに及ぶ敷地内は主に水力発電でまかなわれ、交通手段としてEVが整備されるという、環境に配慮した住宅地になる予定です。

 

インドネシアがEVを推進する大きな理由は、EVのリチウムイオン電池の原料となるニッケルの生産量が世界で最も多く、約22%を占めているから。ジョコウィ大統領は国内でニッケルの原料を加工するために、2019年から鉱物の輸出を規制し始めましたが、最近では2022年内にはニッケルの輸出を課税する可能性があるとも報じられています。ニッケルの需要が急増している中、インドネシアは輸出税を導入し、バリューチェーン(価値連鎖。企画や生産など企業の一連のビジネスプロセスにおいて付加価値がいかに生み出されているかを示すフレームワーク)で価値を高めたい意向。このような背景を考慮すれば、2022年4月にヒュンダイ・モーターズ・インドネシアが初の国産EVを発売したことは、同国のEV産業にとって画期的な出来事であると理解できるでしょう。

 

EVは経済成長にとってプラス。インドネシアの人口は約2億7000万人ですが、オランダを拠点とするING銀行によると、インドネシアの自動車生産量はASEAN(東南アジア諸国連合)でタイに次いで第2位である一方、販売台数は年間約65万8000台と第1位です。パンデミックの影響で直近では販売台数が落ち込んだものの、2022年には前年比8.7%増、2023年には1.8%増になる見込み。そんな中でEVの生産が盛り上がれば、販売や修理などの関連産業も活発化し、経済成長率が高まる可能性があるとINGは述べています。

 

EV促進の犠牲は環境?

その一方、懸念されるのが環境への影響。環境保護団体の間では、グリーン・インダストリアル・パークは環境アセスメント(環境影響評価)が杜撰に行われており、ニッケルを採掘しているのは許可を得ていない業者が多いという見方があります。もしテスラといったEVメーカーが「インドネシアのサプライチェーン(供給連鎖)は環境への配慮が足りない」と思えば、彼らは環境意識の高い投資家や消費者を考慮して、インドネシア産の資源を使わないかもしれません。その他にも、「これからEVを所有する人が増えれば、大気汚染は改善されるかもしれないが、交通量や渋滞は減らないのではないか?」や「ニッケルを生産するために森林伐採が続き、住民の土地が脅かされるのではないか?」という懸念があります。

 

このような課題を抱えつつ、国内のEV産業に賭けているジョコウィ大統領。ニッケル輸出の規制を巡り、EUやWTO(世界貿易機構)はインドネシアを「国際貿易のルールに反する」と非難しています。しかしジョコウィ大統領は、輸出を規制することで、外国の企業がインドネシア国内により多く投資し、雇用が創出されることを狙っているので、「われわれは閉鎖するのではなく開かれるのだ」と金融メディア・Bloombergのインタビューで主張し、日本や韓国などに投資や技術支援を求めているのです。豊富な資源を自国の経済発展につなげることができるのかどうか、インドネシアから今後も目が離せません。

 

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インドネシア初の「高速鉄道」9割完成ーーその背景には、日本と中国の熾烈な対決が…。

もうすぐインドネシアで、同国初となる高速鉄道の建設が完成を迎えます。首都ジャカルタの混雑を緩和することが期待されていますが、インドネシアがここまで至るまでには、日本が中国に出し抜かれるという波乱がありました。さまざまな思惑が交錯する中、この高速鉄道はインドネシアのインフラを変えようとしています。

↑開業に向けてラストスパート!

 

この高速鉄道は、インドネシアの首都ジャカルタと西ジャワ州の州都・バンドン間の約142㎞を結ぶもの。これまで3時間かかっていた2都市間の移動を約40分に短縮するもので、2016年から建設が開始され、およそ6年を経て、9割が完成する状態にまでなったそうです(2023年6月に開業予定)。先日、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領(通称ジョコウィ)がバンドン駅を視察し、車両などを確認したことが国内外で大きく報じられました。しかし、このニュースに一番安堵しているのは中国かもしれません。


もともと、この高速鉄道プロジェクトは日本が働きかけていました。安全性が高く、しかも定時に運行する日本の新幹線は、世界でも高く評価されています。その技術は海外でも活用され、日本政府も日本の新幹線や鉄道の輸出に力を入れてきました。2019年にインドネシアで初めて誕生した地下鉄は、日本が全面的に支援していたのです。この高速鉄道プロジェクトでも当初は日本が有利とされていました。

 

一方、日本に劣らない技術と経済力を持っていると主張しているのが中国。2015年に中国はこの高速鉄道建設プロジェクトの入札に参加しました。インドネシア政府による債務保証を伴う円借款を提案していた日本と違って、中国は債務保証を求めませんでした。インドネシアは財政負担を避けたかったのです。

 

熾烈な駆け引きがあったと報じられるなか、結局、インドネシア政府は中国を選び、中国の国家開発銀行が総工費の75%を融資することになりました(残りの25%はインドネシアと中国の企業からなる合弁企業の資金で賄う)。

 

中国の落札の裏には、2013年に習近平国家主席が打ち出した「一帯一路」戦略があります。これはアジア各国やヨーロッパに陸路と海上航路の物流ルートを作り、巨大な経済圏を構築する構想。かつて中国とヨーロッパの間にあった交易路「シルクロード」の現代版と言えるでしょう。インドネシアの高速鉄道建設を一帯一路の一環と捉えた中国は、積極的な支援に乗り出すようになり、日本に勝ちました。

 

このように、この高速鉄道プロジェクトには中国の威信がかかっているとも言えます。車両の設計と製造は中国中車青島四方機車車両が行いました。最高速度は時速350kmに達するとのこと(日本の新幹線の最高速度は現時点で時速320km)。この列車は、インドネシアのような熱帯気候に適応するよう改良されているそうです。

 

とはいえ、この計画は落札後も順調に進んでいたわけではありません。土地の購入が計画した通りに進まないうえ、新型コロナウイルスが発生。そのため、当初は2019年に開業予定でしたが、度重なる延期に見舞われました。最終的には750kmの距離まで延伸される予定ですが、ひとまず第一段階としてジャカルタ—バンドン間の開通にこぎつけるまでに至ったのです。

 

紆余曲折を経て高速鉄道が完成すれば、インドネシア国内の物流が良くなることは確か。2014年の大統領就任からインフラの改善を掲げてきたジョコウィ氏は「この高速鉄道がモノとヒトの移動をより速く、より良くし、インドネシアの競争力を高めることを祈っている」と述べています。中国のプレゼンスは高まっていますが、日本のまき返しにも期待したいですね。

 

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SDGsの遥か昔から取り組むキーコーヒーの「再生事業」

本記事は、2022年2月21日にGetNavi webで掲載された記事を再編集したものです

 

目覚めの時やちょっとした休息の際など、コーヒーは欠かせない飲み物のひとつ。いまやスペシャルティコーヒーをはじめ、さまざまな個性豊かなコーヒー豆が日本でも楽しめますが、そんななか、フローラルな香りと柑橘系の果実のような酸味で高い評価を受け続けているコーヒーが、キーコーヒー株式会社の「トアルコ トラジャ」です。そのトラジャコーヒーですが、かつては絶滅の危機に陥ったこともあるそう。それを救ったのが同社の再生事業でした。

 

“幻のコーヒー”を見事に再生

トラジャコーヒーとは、インドネシア・スラウェシ島のトラジャ地方で栽培されるアラビカ種のコーヒーのことです。18世紀には希少性と上品な風味がヨーロッパの王侯貴族の間で珍重され、「セレベス(スラウェシ)の名品」と謳われていました。しかし第二次世界大戦の混乱で農園は荒れ果て、トラジャコーヒーも市場から姿を消すことに。そんな幻のコーヒーに着目し、サステナブルな要素を踏まえた取り組みにより、約40年の時を経て復活させたのがキーコーヒーでした。

 

「トラジャコーヒーは、スラウェシ島のトラジャ県で栽培されるアラビカコーヒーを指します。その中から独自の基準により、品質の高い豆として認定したものが『トアルコ トラジャ』という当社のブランドです」と話すのは、2015年~2019年まで現地で『トアルコ トラジャ』の生産に携わっていた同社広域営業本部の吉原聡さんです。

広域営業本部 販売推進部 担当課長 吉原聡さん

 

「トラジャコーヒー再生の発端は、1973年に当社(旧・木村コーヒー店)の役員がスラウェシ島に現地調査に行ったことでした。トラジャ地区(県)の産地は島中部の標高1000~1800mの山岳地帯にあり、当時はジープと馬を乗り継ぎ、さらに徒歩でようやくたどりつけるような難所だったそうです。たどり着いた先で彼が目にしたものは、無残に荒れ果てたコーヒー農園。しかしそんな中でも生産者(農民)たちは細々とコーヒーの木を育て続けていました。そこで当社は再生を決断したのですが、そこには“この事業の目的は一企業の利益にとどまらず、地元生産者の生活向上、地域社会の経済発展に寄与し、さらにはトラジャコーヒーをインドネシアの貴重な農産物資源として国際舞台によみがえらせることが重要”という強い意志があったと聞きます」

 

さっそく同社は、翌1974年にトラジャコーヒー再生プロジェクトの事業会社を設立。1976年にはインドネシア現地法人「トアルコ・ジャヤ社」を設立し、“トラジャ事業”を展開していきました。さらに1978年には日本で『トアルコ トラジャ』として全国一斉発売。そして1983年には直営のパダマラン農園での本格的な運営も始まったのです。

「トアルコ トラジャ」を使用した商品。簡易抽出型や缶などいろいろなタイプで販売されている

 

地域一体型事業における“3つのP

「トラジャコーヒーの再生は、トラジャの人たちと共に築き上げてきた地域一体型事業そのものです。それを踏まえた上で、「Production」「People」「Partnership」という3の“P”を事業の根幹に据え、取り組んできました。

 

まずProduction」は、自然との共生と循環農法です。環境保護に努めることがコーヒーの品質維持や現地の人たちの生活の保護にも寄与します。自然との共生という部分では、農園の約40%を森林に戻したり、水洗時の排水のチェックを徹底したりしています。また土壌を守るため、コーヒーの木の周りにマメ科やイネ科の植物を植え(カバークロップ:土壌侵食防止目的に作付けされる)、さらに直射日光を遮るための樹木も植えています。そして脱肉後の果肉を堆肥として利用したり、脱殻後のパーチメント(種子を包んでいる周りのベージュ色の薄皮)を乾燥機の燃料にするなど循環農法を実施。持続可能な農業を地道に行っています。直営パダマラン農園は、これらの取り組みを認められ、熱帯雨林を保護する目的の「レインフォレスト・アライアンス認証」を受けています。

直営パダマラン農園

 

「People」は言葉通り、人を意味します。生産者、仲買人、そして現地社員の協力の元でトラジャ事業は成り立っています。『トアルコ トラジャ』で使用するコーヒー豆の全生産量のうち、直営のパダマラン農園で作られるのは約20%で、残り80%は周辺の生産者や仲買人から購入しています。生産者には当社からコーヒーの苗木や脱肉機を無償提供し、オフシーズンには生産者講習会を開き、剪定や肥料のやり方、脱肉機の操作方法を指導。年に1回、『KEY COFFEE AWARD』を開催し、その年に優良なコーヒー豆を育てた生産者を表彰して労うことも行っています。また、現地の人たちの負担を軽減させるために、片道2時間ぐらいかけて標高の高い地域まで出向き、その場で豆の品質をチェックし買い付けする出張集買を行っています。現地の人たちとの二人三脚、協力体制を大切にし続けているのです。

出張集買は日時を決めて数カ所で開催される

 

そしてPartnership」は地元政府や地域との連携です。道路のインフラ整備や架橋への協力、生産者の子どもたちが通う学校へのパソコンの寄附も行っています。またインドネシアでは、コーヒーの粉を直接カップに入れて上澄みをすすったり、砂糖をたっぷり入れたりして飲むのが一般的です。そこで『トアルコ トラジャ』の美味しさをこの島の人たちにも伝えたいと、コーヒーショップのオープンをはじめ、ドリップコーヒーの普及にも努めています」

スラウェシ島の中心都市マカッサルにあるキーコーヒーのコーヒーショップ

 

同社の取り組みは、幻のコーヒーを再生しただけにとどまりません。

 

「トアルコで働くことで4人の子どもを大学に進学させることができた」「トアルコ社に良質なコーヒー豆を買ってもらい、ワンシーズン働いただけでバイクが買えた」など、現地の人たちの生活向上にも大きく貢献していると言います。

 

コーヒー豆の生産量が半減する!?「2050年問題」

このように順調とも思える同事業ですが、一方で近年、コーヒーの生産について世界規模での懸念があるそうです。

 

「2050年問題といいますが、地球温暖化によりコーヒーの優良品質といわれるアラビカ種の栽培適地が、将来的に現在の半分に減少すると予測されています。このまま何も対策を取らないと、コーヒー豆の生産量の減少や品質の低下、そして生産者の生活を奪うことになります。そこで、アメリカに本部を置く“World Coffee Research(WCR)”という機関と協業で、病害虫や気候変動に負けない品種開発の実験(IMLVT:国際品種栽培試験)を直営パダマラン農園で行っています。Partnershipともリンクしますが、世界的なトライアルに参画し、共にこの問題を解決していきたいと考えています。このほかにも、当社は様々な研究を行っており、生産国や品質の多様性を守る活動にも力を入れています」

2017年のIMLVT開始時の様子

 

SDGsを念頭に入れた事業展開

社会貢献に対する意識は、創業当時から高かったという同社。例えば、環境保護や生産者の支援につながる「サステナブルコーヒー」という考えを元に、「レインフォレスト・アライアンス認証」を受けたコーヒー農園の商品の取り扱いや、国際フェアトレード認証制度に基づき、経済的、社会的に立場の弱い発展途上国の生産者や労働者の生活改善、自立を支援する取り組みなども早くから行っています。また、環境に配慮したパッケージの切り替え、食品ロスの削減にも取り組んできました。

 

「東日本大震災以降は、10月1日のコーヒーの日にチャリティブレンドを販売。日本赤十字社を通して売上金の一部と基金を被災地や世界の貧しいコーヒー生産国の子どもたちへ寄付し続けています。また100周年の創業記念日(2020年8月24日)には、コーヒーの未来と持続可能な社会の実現に貢献していくために、従業員からの募金を主とする『キーコーヒー クレルージュ基金』を設立しました。募金を通じて、コーヒー生産国の社会福祉や自然環境の保護をはじめ、災害支援についても機動的な支援を行っています。

「キーコーヒー クレルージュ基金」でコーヒー生産国を支援

 

近年SDGsという言葉がよく使われるようになりましたが、最近はお客様の意識はもちろん、取引先様がSDGsを踏まえての事業を展開することが増えています。我々としてももう一度様々な事業を整理し、当社として何をどう提案でき、どんな課題にどう対応できるのか、改めて考えていきたいと思っています」

 

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「コロナ危機を転機に変える!」 途上国でオンライン学習の普及に取り組む日本企業の思いとは!?

「子どもたちの学びを止めてはならない」——新型コロナウイルスの影響を受け、世界中で休校が相次ぐなか、オンラインを介したデジタル教材の活用が注目を集めています。そんな中、日本の教育会社も国内外で学習支援を進めていますが、実は新型コロナの感染拡大以前から、国外でのデジタル教材の普及に取り組んでいる日本企業があります。

 

それがワンダーラボ社とすららネット社。JICA(独立行政法人 国際協力機構)の民間連携事業「中小企業・SDGsビジネス支援事業」として、途上国の学校に“デジタル教材”という新しい学びの機会を提供しています。コロナ禍の現在、アプリなどによるオンライン学習をはじめ、子どもたちの新たな学習形態や環境などが世界中で試行錯誤されるなか、いち早く開発途上国におけるデジタル教材の活用に取り組んだ両社から、将来あるべき「新しい学び」の可能性と、子どもたちに対する熱い思いを探りました。

↑インドネシアにおける、すららネット社のデジタル教材「Surala Ninja!」での授業風景

 

ワクワクする教材を世界中の子どもたちに普及させたい:ワンダーラボ社のデジタル教材「シンクシンク

↑授業で「シンクシンク」アプリを使うカンボジアの小学生

 

ワンダーラボ社は、算数を学べるデジタル教材「シンクシンク」の小学校への導入をカンボジアで進めています。開発途上国の抱える問題を、日本の中小企業の優れた技術やノウハウを用いて解決しようとする取り組みで、3ヵ月で児童約750人の偏差値が平均6ポイント上がったと言います。「シンクシンク」の特徴をワンダーラボ社の代表・川島慶さんは次のように語ってくれました。

↑「シンクシンク」のプレイ画面

 

 

「『シンクシンク』は、図形やパズル、迷路など、子どもたちがまずやってみたい! と思える楽しいミニゲーム形式のアプリです。文章を極力省いて、『これってどういう問題なんだろう?』と考える力を自然と引き出す設計で、学習意欲と思考力を刺激するつくりになっています。外部調査の結果、『シンクシンク』を使っていた子どもたちは、児童の性別や親の年収・学歴など、複数の要因に左右されることなく、あらゆる層で学力が上がっていたことが確認できました。これは、私たちの教材の利点を証明する何よりのデータだと思っています」

↑夢中で問題を解く様子が表情から伝わってくる

 

川島さんが「シンクシンク」を作ったきっかけは、2011年までさかのぼります。当時、学習塾で主に幼稚園児・小学生を教えながら、教材制作も手がけていた川島さん。子どもたちと接するなかで注目したのは、教材に取り組む以前に、学ぶ意欲を持てない子どもがたくさんいるということでした。子どもが何しろ「やってみたい!」と意欲を持てる教材を、と考えて作ったのが、「シンクシンク」の前身となる、紙版の問題集でした。

 

「それを、国内の児童養護施設の子どもたちや、個人的な繋がりでよく訪れていたフィリピンやカンボジアの子どもたちに解いてもらったんです。そこで目を輝かせながら楽しんでくれている姿を見て、『これは世界中に届けられるかもしれない』と感じました。ただ、紙教材は、国によっては現場での印刷が容易ではありませんし、先生や保護者による丸つけなども必要です。

 

そこで注目したのが、アプリ教材という形式でした。タブレット端末は当時まだあまり普及していませんでしたが、必ずコモディティ化し、長期的には公立小学校などにも普及すると考えました。また、アプリならわくわくするような問題の提示にも適していますし、専任の先生や保護者がいなくても、子どもひとりで楽しみながら学べます」

 

その後、タブレットやスマートフォンは世界に浸透し、現在「シンクシンク」は150ヵ国、延べ100万ユーザーに利用されるアプリとなっています。

↑ワンダーラボ社のスタッフと現地の子どもたち

 

ワンダーラボ社は、休校が相次いだ2020年3月には国内外で「シンクシンク」の全コンテンツを無料で開放。この取り組みは新聞やテレビなどのメディアでも数多く取り上げられるなど、話題となりました。アプリの無償提供には、どのような思いがあったのでしょうか。

 

「新型コロナの流行がなければ、各地で私たちの教材を知ってもらうイベントを開催する予定でした。それを軒並み中止にせざるを得なくなる中で、自分たちは何ができるだろうと。お子さまをどこにも預けられず大変な思いをしているご家庭に、少しでも有意義なコンテンツを提供できればいいな、と思ってのことでした」

 

「アプリは所詮”遊び”」の声をどう覆していくか

ただ、いくらデジタル化が進む世の中とはいえ、「アプリ」という教材の形式が浸透するには、まだまだ壁もあるようです。

 

「特に途上国においては、ゲームアプリが盛んなこともあり、『アプリは遊びだ』という認識が根強くあります。ただ、カンボジアでも3月の途中から小学校をすべて休校することになり、教育省が映像での授業配信とともに『シンクシンク』の活用を始めたのです。そのおかげもあり、教材としてのアプリの見られ方も多少は変わったのではないでしょうか」とは、JICAの民間連携事業部でワンダーラボ社を担当する、中上亜紀さんです。

 

スマートフォンやタブレット端末が自宅にあれば教材を使えることもあり、ワンダーラボ社はカンボジアでもアプリの無償提供を約3ヵ月にわたって実施しました。教育省が発信したアプリを活用した映像授業は、約2万ビューを記録するなど好評でしたが、オンラインによる映像授業を視聴可能な地域が、比較的ネット環境が整備された首都プノンペン周辺に偏ってしまうことなどもあり、「いきなり、すべての授業をオンラインに、とはなりません」(中上さん)と、普及の難しさや時間が必要な点を強調します。これを踏まえてワンダーラボ社では、10年単位の長いスパンで、より多くのカンボジアの小学校へ教材を導入できるよう目指しているそうです。

 

「ワクワクする学びを世界中の子どもたちに広げていきたい」

 

会社を立ち上げる前から、川島さんが長年抱いているこの夢に向かって、ワンダーラボ社は着実に前進しています。

 

学力は人生を切り開く武器になる:すららネット社のeラーニングプログラム「Surala Ninja!」

 

「一人ひとりが幸せな人生を送ろうとしたとき、学力は人生を切り開く武器となります。だからこそ、子どもたちの学習の機会を止めてはならないと考えています」

 

スリランカやインドネシア、エジプトなどの各国でデジタル教材「Surala Ninja!」の普及に取り組んでいるのが、すららネット社です。日本国内で展開する「すらら」のeラーニングプログラムは、アニメーションキャラクターによる授業を受ける「レクチャーパート」と問題を解く「演算パート」に分かれており、細分化したステップの授業が受けられるのが特徴です。国語・算数(数学)・英語・理科・社会の5科目を学ぶことができ、小学生から高校生の学習範囲まで対応。 「Surala Ninja!」 は、「すらら」の特徴を引き継いで海外向けに開発された計算力強化に特化した小学生向けの算数プログラムになります。一般向けではなく、学校や学習塾といった教育現場に提供し、利用されています。

↑「Surala Ninja!」の画面

 

「『学校に行けない子どもでも、自立的に学ぶことができる教材を作ろう』——これが、『すらら』を開発した当初からのコンセプトなんです」。こう語るのは、同社の海外事業担当の藤平朋子さん。スリランカへの事業進出の理由を次のように明かしてくれました。

↑株式会社すららネット・海外事業推進室の藤平朋子さん

 

「スリランカでは、2009年まで約四半世紀にわたって内戦が続いていました。内戦期に子供時代を過ごした人たちが、今、大人になり、教壇に立っています。つまり、十分な教育を受けることができなかった先生たち教えるわけですから上手くできなくて当前です。そこで『Surala Ninja!』が、先生たちのサポートとしての役割を果たせればと考えました」

↑「Surala Ninja!」導入校での教師向け研修風景

 

現在、「Surala Ninja!」はシンハラ語(スリランカの公用語の一つ)・英語・インドネシア語の3言語で展開しています。スリランカでは、まず、現地のマイクロファイナンス組織である「女性銀行」と組んで「Surala Ninja!」の導入実証活動を行いました。週2・3回、小学1年生から5年生までの子供たちに『Surala Ninja!』による算数の授業を行ったところ、計算力テストの点数や計算スピードが飛躍的に向上しました。

 

しかし、最初から事業が順調に進んでいたわけではありません。JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」には、2度落選。事業計画やプレゼンテーションのブラッシュアップを重ねて、3度目の正直での採用となりました。

 

「当時のすららネットは、従業員数が20名にも満たない上場前の本当に小さな会社でした。海外、それも教育分野となると、自分たちだけではなかなか信用してもらえないのです。だからこそ、現地で多くの人が知っている、日本の政府機関であるJICAのお墨付きをもらっていることが、学校関係者の信頼を得るために大きな要因になっていると肌身に感じました。海外進出にあたって、JICAの公認を得たことは非常に大きなメリットだったと感じています」

↑スリランカの幼稚園での体験授業の様子

 

また同社は、エジプトでもeラーニングプログラムの導入を進めています。エジプトの就学率は2014年の統計で97.1%と高水準を誇りますが、2015年のIEA国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)という、学力調査のランキングでは数学が34位、理科が38位(※中学2年生のデータ)という結果。数学は他の教科にも応用する基礎的な学力になるため、算数・数学の学習能力向上に向け、目下、国を挙げて取り組んでいるところです。

 

複数の国で事業活動する上で苦労しているのは、宗教に基づく生活風習だといいます。活動国すべての国の宗教が違うため、ものごとの考え方や生活習慣なども大きく変わります。インドネシアでは、多くの人がイスラム教なので、一日数度のお祈りが日課。しかし、当初は詳しいことが分からず、学校向けの1週間の研修プログラムのスケジュールを作るのにも、「いつ、どんなタイミングで、どの位の時間お祈りをすればいいのか」を把握するために、何回もやりとりを重ねたりしたそうです。また、研修を受ける学校の先生方も給与が安かったりと、必ずしもモチベーションが高いわけではありません。教えた授業オペレーションがすぐにいい加減になってしまったりと、きちんと運営してもらうように何度も学校へ足を運び苦労しましたが、それも子どもたちのためだと、藤平さんはきっぱり。

 

「緊急事態宣言による休校を受け、日本でも家庭学習にシフトせざるを得ない状況になったとき、私たちの教材の強みを再認識することができました。子どもたちの学力の底上げは、将来の国力をつくることでもあると思っています」

 

ビジネスモデルの開発やアプリの利用環境の整備など、海外での展開にはさまざまなハードルがあるのも事実。「世界中の子どもたちに十分な教育を」という熱い思いで、真っ向から課題に取り組み続けている両社。官民一体となった教育への情熱が、新しい時代の教育のカタチへの希望の灯となっているのです。

 

【関連リンク】

ワンダーラボ社のHPはコチラ

すららネット社のHPはコチラ

JICA(独立行政法人 国際協力機構)のHPはコチラ

中小企業・SDGsビジネス支援事業のHPはコチラ

究極のエコ容器!! インドネシア発、パッケージも丸ごと食べられる「Edible Packaging」

テイクアウトフードやコーヒー、スープのパックなど、プラスチックパッケージに入って売られているものは数知れず。これらは、開けてしまえばすべてゴミとなってしまいます。でも、もしこのパッケージまで食べてしまうことができたらゴミも減らせるので、最高のエコになると思いませんか? そんなことをやってしまったのがインドネシアのEvowareが開発した「Edible Packaging (食べられるパッケージ)」。このパッケージはお湯に触れると溶けてなくなるのです。

 

「リサイクルではなく、ゴミを出さない」――。そんな不思議なパッケージがエコ革命を起こすかもしれません。

 

プラスチックのリサイクルの悲しい現状

筆者がアメリカで生活していて驚いたことの一つに、ゴミの分別に対しての低い意識です。日本人は比較的にリサイクル意識が強く、ゴミは分別して捨てるのが当たり前になっていますよね。対照的に、現在、私の住んでいる地域では、ビン、缶、ペットボトル、燃えるゴミ、燃えないゴミは分別せずに、みんな一つの袋に入れて捨ててしまいます。

 

アメリカでは昨年、約500億本のプラスチックボトルが消費されました。しかし、リサイクル率はたった23%で、年間で38億本の飲料水ペットボトル(10億ドル以上のプラスチック)が浪費されています。

 

プラスチック廃棄物の問題はアメリカに限らず、アフリカやアジアの発展途上国で最も多く、特にインドネシアは世界第2位のプラスチック排出国です。これらの70%は食品と飲料のパッケージゴミから出ているそう。そんなインドネシアで誕生したのがEvowareのEdible Packagingです。

 

海藻に着目したEvowareの深い洞察力

Evowareはインドネシアのスタートアップ企業で、プラスチック廃棄物を抑制するために食べられるパッケージを開発しました。プラスチック廃棄物によるインドの深刻な海洋汚染を深く憂慮し、このアイディアを生み出したそう。そして原材料に選んだのが「海藻」でした。インドネシアにいる海藻農家の生計を向上させつつ、海藻からプラスチックの問題を解決するという新しい試みを持った企業なのです。

 

同社のEdible Packagingは、プラスチック廃棄物増加の主な原因である食品包装用プラスチックに代わるものとして活用されています。例えば、砂糖やコーヒーの袋、インスタント食品の調味料袋、ハンバーガーの包装、ストロー、シャンプーなど。

 

本製品は無味無臭、かつお湯に溶けるので、食品の味を邪魔することはありません。日本の食品でイメージするとすれば、「オブラート」のようなものでしょうか。さらに色や形、ロゴをプリントしたり、味をつけたりすることも可能なので、コップなどにはあえてフルーツ味をつけて、硬めのグミのような食感にし、飲んだ後にコップまで食べられるように工夫をしています。これは普段の生活以外にも、BBQなどのアウトドアでも活躍しそうですよね。

上述した通り、本製品の原材料は海藻です。当然、食べても身体に害はなく、それどころか、海藻の食物繊維やミネラル、ビタミンなどを摂取することができます。

また、Evowareのパッケージは「ハラルフード(イスラム教の戒律によって食べることが許された食べ物)」なので、インドネシア人口の過半数を占めるイスラム教徒にとっては重要かつ魅力的でもあります。いつか宗教の垣根を超えて、世界的に利用される日も遠くないかもしれません。

 

本製品は環境に優しいだけではありません。インドネシアの海藻農家たちは、子どもたちがきちんと教育を受けられないほど貧困化していたそうですが、このパッケージが開発されたおかげで、新たな産業ができ、収入や雇用が生み出されました。そのような活動と社会的影響が評価され、Evowareは2010年の開発開始から現在に至るまで、世界中の様々な環境団体から25を超える賞を受賞しています。

エコやリサイクルに関して数あるスタートアップ企業のなかでも、Edible Packagingは斬新さという点で突出しているように見えます。地球や動物、ヒトにやさしい本製品は、まだ生産量やコスト面での問題がクリアされておらず未だ普及には至っていませんが、これらの問題が解決すれば、日本だけでなく世界中に普及する日も近いかもしれません。

辛くなければ美味しくない! ご飯が止まらなくなるインドネシアの激辛「ふりかけ」

インドネシアの人々は「甘辛い」ものが大好き。甘さの中にぴりりと辛さの走る味付けにめっぽう弱いのです。例えば、スナック菓子に「Pedas Manis」という味があります。Pedasは辛い、Manisは甘いという意味で、つまり「甘辛味」。

 

この「甘辛い」味付けがインドネシア料理に頻繁に登場し、甘い醤油やココナツミルクといった調味料にスパイスやとうがらしの辛みが追加されるのです。この辛みが強いものほど、インドネシア人は「美味しい!」と喜びます。「辛みがなければ、美味しさは感じない」というのは、インドネシア人の本音でもあるのです。

 

「一振りでぶっ飛ぶ美味しさ」の激辛ふりかけ

そんな辛いもの大好きなインドネシアの男女が一味足りないと感じた時に、自分で刺激を追加できるアイテムがあります。それが「Bon Cabe」(ボンチャベ)という調味フレーク。いわゆる日本のふりかけのようなものです。このふりかけには、オリジナル味、エビ味、小魚味の3つの味があります。

 

オリジナル味とは、インドネシアの食事には欠かせないサンバル(とうがらしのソース)味のこと。そのオリジナル味をベースにひと味加えたものが、エビ味、小魚味になります。それぞれに辛さのレベルが数字で表示されていて、エビ味は「レベル2」、小魚味は「レベル3」、そしてオリジナル味は辛さが3段階あり、「レベル10、15、30」とだんだん辛みが増します。

 

気になる辛さ具合ですが、「レベル2」のエビ味を甘党でも辛党でもない日本人男性に試食してもらったところ、一瞬エビ味はするものの、後から強い辛さが追いかけてきて口に残る感じだそうです。しかし、これをご飯にふりかけてみると、なかなかイケる。辛いけど、止められず、ご飯茶碗はあっと言う間に空っぽ。ということで、辛党の人ならば「新感覚の激辛ふりかけ」としてレベル2や3くらいはいけそうです。

 

しかし、オリジナル味となるとそうはいきません。Bon Cabeのパッケージに描かれた人を見ると、レベル10では顔に汗をかき、耳や頭から湯気を出していますが、15ではより激しくなり、30では火を噴きそうなすごい形相です。これを見ただけで、日本人なら買うことをためらうどころか、断念してしまうかもしれません。

人々に愛され続けてきた「サンバル」をふりかけに

実はインドネシアには、日本のような「ふりかけ」という概念はありません。しかし料理に調味料を追加し、より美味しくするという文化はあります。インドネシアには、ケチャップに似た辛いとうがらしソースの「サンバル」があり、人々は食べ物にこのサンバルを追加し、自分好みに仕上げて食べるのです。

 

サンバルはとうがらしやトマト、にんにくを使って作るシンプルなソースで、インドネシアの家庭では昔から手作りされてきました。各家庭や食堂などによって微妙に味が異なり、お袋の味的な要素もあるようです。

 

ただ、現在では既製品も受け入れられ、スーパーのソース売り場にはサンバルが大量に売られています。ナシゴレンといったインドネシア料理だけでなく、フライドチキンやポテト、サンドイッチにも必ずサンバルがついてくるほどインドネシア人には欠かせないソースなのです。

 

近年、インドネシアにもさまざまな加工食品が出回り、手軽に辛いものを手に入れることができるようになりました。この国にはインド同様に香辛料を生産する国として世界中を魅了してきた歴史もあり、暑い国で唐辛子や香辛料を利用する先人の知恵が生み出したサンバルなどの伝統的な料理は現在でも食卓に欠かせません。

 

その一方、Bon Cabeは人々に愛されてきたサンバルをふりかけのように粒状にすることで、いつものナシ(ご飯)やミー(麺)にふりかけるだけでなく、オムレツに混ぜたりチップスにまぶしたり、さらにホームメイドのサンバルに加えるなど、新しい食べ方を提案しています。

↑ナシゴレンと2種類のサンバル

 

また、サンバルは液状ですが、プラスチックケースに入った粒状のふりかけは、バックなどにも常備できて、いつでもどこでも手軽に辛さを追加できるのです。このふりかけで美味しさの刺激を求める人はますます増えそう。普段は穏やかなインドネシア男女ですが、食生活はかなりホットです。

【大ブレイク間近の芸能人】次世代CM女王はインドネシアで大人気!? 松潤と共演で注目集める佐生雪!

日々新しいスターが生まれて大活躍を繰り広げているが、次は一体誰がメディアを騒がすことになるのだろうか。この記事では、次にキそうなブレイク間近の有名人を紹介! 今回紹介するのは、タレントの佐生 雪(さそう ゆき)。

 

インドネシアで人気爆発!? ワールドワイドな次世代CM女王

出典画像:Sony Music Artists公式サイトより出典画像:Sony Music Artists公式サイトより

 

公式インスタグラムの自己紹介によると、イランと日本のハーフだという佐生。彼女が話題になったきっかけは、嵐の松本潤と共演しているヘアケア剤「ジュレーム」のCMだ。


同CMの「カフェ」篇では、松潤がカフェでくつろぐ佐生を発見。髪の美しさを見て「このうねりのないビューティフォーなストレート! きっと、ジュレームだ」と見抜くというもの。このCMには「松潤かっこよすぎて辛い…」という反響が上がりまくっているが、「佐生雪ちゃんかわいい! 癒しだわ~」「ジュレームのCMの人めっちゃ髪キレイよね」という声も。

 

さらにもう一つ、佐生の代表作と言えるのが“若手女優の登竜門”でおなじみの「ポカリスエット」のCM。しかしそれほど話題になっているように思えないのは、実はこれが大塚製薬“インドネシア法人”のCMだから。佐生はインドネシアでもしっかり人気を得ているようで、昨年にはインドネシアで開催された国際ドラマフェスに出演したり、今年は日本文化を紹介する人気番組「KOKORO NO TOMO」に出ていたりと引っ張りだこ。インスタグラムにも、英語やインドネシア語で海外ファンからのコメントが多数寄せられている。


デビュー当初の2015年にはメルカリやコカ・コーラのCMなどにも出演しており、CM女王的な道も十分狙えるポジションにいる佐生。しかし2017年公開の映画「トリガール!」に出演して“メガネ美女”として話題になったり、3月末公開の「三十路女はロマンチックな夢を見るか?」への出演が決定していたりと、映画女優としても活躍する予感が。

 

昨年末には自身初となるカレンダー(2018年用)が発売されるなど、ブレイクまではもはや秒読み段階。もちろん、文具メーカーZEBRAインドネシア法人のWEB動画に出演していたりと、海外での活動もしっかり継続中だ。世界を股にかける佐生の活躍から、今後も目が離せない!

 

 

プロフィール
名前:佐生雪(サソウユキ)
生年月日:1997年4月12日
身長:157cm
血液型:A型
趣味:音楽鑑賞、読書、運動、映画鑑賞、アニメ・声優さん鑑賞
特技:音楽に浸ること、ウォーキング、ボクササイズ、ボディコンバット、ダンス