【数量限定】ヱビスとデュワーズのコラボビール! コク深く甘い、バーレーワインタイプ「Key of the Night」

サッポロビールは、ヱビスビール発祥の地・恵比寿の「YEBISU BREWERY TOKYO」にて、ビール「Key of the Night」を4月3日に数量限定で発売しました。

記事のポイント

ヱビスの醸造技術と、デュワーズのウイスキー造りのノウハウが融合しました。「YEBISU BREWERY TOKYO」が1周年を迎えたことを踏まえ、2年目の挑戦として始動する2大プロジェクトの一環です。ビールファンはぜひ足を運んでみては。

 

今回のビールは、NO.1スコッチウイスキーブランド「デュワーズ」とのコラボレーションによって生まれた、バーレーワインタイプのビール。特徴は下記のとおりです。

 

・カラメル麦芽、黒麦芽による甘く香ばしい香り
・ロイヤルリーフホップによる高貴なホップ香
・バーレーワインタイプ特有の甘みと深いコク

「Key of the Night」をデュワーズ12年の木樽で熟成させるプロジェクトも進行中。秋以降に、木樽熟成されたビールも提供予定とのこと。熟成前と後のビール、それぞれの味わいを比べてみるのも面白いかもしれません。

 

さらに、ウイスキーの飲み方からインスピレーションを受けた、2つの新しい飲み方も4月3日から提案しているそう。

ヱビス ∞(インフィニティ)デュワーズミスト

ヱビス ∞にデュワーズ12年のミストをまとわせた、2つの味が融合した新しい味わい。

 

デュワーズシーズニング ヱビス

デュワーズ12年でシーズニングさせたグラスで、ヱビス インフィニティを楽しむ。

 

Key of the Night(キー オブ ザ ナイト)
販売場所:YEBISU BREWERY TOKYO
価格:1500円

呉の英雄「周瑜」がシングルカスクウイスキーに!「三國志8 REMAKE×三郎丸蒸留所」コラボ第3弾

若鶴酒造は、歴史シミュレーションゲーム『三國志8 REMAKE』とコラボレーションしたウイスキーを発売。リリース第3弾では、ゲームに登場する「周瑜(しゅうゆ)」のグラフィックをラベルにあしらった「シングルカスク三郎丸 周瑜 #210150」の抽選を、特設ページで3月31日に開始します。

記事のポイント

「周瑜」といえば、赤壁の戦いで曹操軍を打ち破った立役者で、頭脳明晰かつ容姿端麗な英雄として知られます。そんな周瑜をイメージした一樽を選定しているとのことです。

 

今回発売するウイスキーは、原材料がモルト、アルコール分は60%、蒸留年は2021年(ボトリング年 2024年)。「勇敢で華やかな周瑜をイメージした一樽を選定した」といいます。

抽選エントリー期間は、3月31日 12時00分~4月8日 23時59分。若鶴酒造オンラインショップ「私と、ALC.」の商品ページから申し込みできます。商品の発送は4月下旬を予定とのこと。

 

若鶴酒造
「シングルカスク三郎丸 周瑜 #210150」
容量:700ml
原材料:モルト
アルコール分:60%
希望小売価格:2万2000円(税込)

【数量限定】八海醸造初のウイスキー!主原料は米、8年熟成させた甘やかな味わい

八海醸造は、初のウイスキー製品となる「Hakkaisan シングルグレーン 魚沼8年 ライスウイスキー 2025LIMITED」を4月1日に数量限定で発売します。3月28日(金)9時から4月9日(水)9時までの期間中で抽選販売となるほか、主要都市のバーなどでも取り扱われる予定です。

記事のポイント

八海醸造は、2005年から米焼酎の製造を深沢原蒸溜所で開始し、2016年からウイスキー製造に着手したそう。長年の酒造りで培った職人の技術や、徹底した製造管理のもと8年熟成し、初のウイスキー発売が実現しました。「米を主原料とした自社製造原酒のみを使用したウイスキーは、世界でも希少な存在」とされます。

 
その名の通り、米を主原料としたライスグレーンウイスキーです。八海山の「雷電様の清水」を仕込み水に、清酒酵母を用いて製造。「伝統的なウイスキー製法を基に独自に追求して製造した原酒だけを8年ゆっくりと熟成させた」とのことで、バニラや花を思わせる甘い香りを湛えた味わいを楽しめるそう。

 

テイスティングノートは下記のとおりです。

 

色:琥珀色
香り:柑橘系につづくチョコレートやバニラを思わせる甘い香り
味わい:米由来のほのかな甘み、ドライフルーツ、ナツメグのようなスパイシー感、カラメルのほろ苦さ

 

応募窓口はこちら。今回逃してしまっても、今後7月や10月、2026年1月に抽選販売を予定しているようです。

 

八海醸造
Hakkaisan シングルグレーン 魚沼8年 ライスウイスキー 2025LIMITED
原材料:米(国産)、麦芽
内容量:700ml
アルコール分:52%
価格:1万3200円(税込)

3年熟成のシングルカスクウイスキー!シェリー樽の味わいと、桜島の表情を映す「IMADEYA CASK 桜島」

お酒のセレクトショップ「IMADEYA」を展開する「いまでや」は、御岳蒸留所のオーナーズカスクシリーズ「IMADEYA CASK 桜島」の発売を、3月12日に発表しました。樽の個性を多角的に楽しめるという、本格ウイスキーです。

 

記事のポイント

御岳蒸留所は、2019年に鹿児島県鹿児島市の標高400mに位置するモルトウイスキー蒸留所。シェリーカスク(樽)での熟成が特徴で、2023年には第一弾シングルモルトウイスキー「御岳 THE FIRST EDITION 2023」をリリースしています。今後も、桜島(御岳)を様々な角度から捉えた光景をモチーフにしたシリーズが登場するようです。

 

「IMADEYA CASK 桜島」は、IMADEYAが2021年から所有していた樽の一つで、御岳蒸留所内の熟成庫で3年間熟成させたもの。シングルカスクウイスキーは、熟成する樽によって味わいが変わると言われています。「見る角度によって表情が変わる」桜島に、その特徴をなぞらえているとのことです。

↑真ん中の文字列は、御岳蒸留所の位置情報

 

ラベルには、御岳蒸留所から望める桜島が描かれています。

 

 IMADEYA CASK 001 桜島
容量: 700ml(箱入り)
価格: 1万9800円(税込)

ウイスキーの異端児的ブランドが日本上陸! 「コンパス ボックス」よりコアコレクションが新登場

スコッチウイスキー「コンパス ボックス(COMPASS BOX)」は、コアコレクションを刷新しました。

 

これまでブランドを牽引してきたという代表作「オーチャード ハウス」「ザ ピート モンスター」に、新作2種「ネクタロシティ」と「クリムゾン カスク」を加え、日本での販売を順次開始します。

↑左から)オーチャード ハウス、ネクタロシティ、ザ ピート モンスター、クリムゾン カスク

 

記事のポイント

「コンパス ボックス」は、ブレンデッドウイスキーのパイオニア、ジョン・グレイザーが2000年に創設したブランド。シングルモルトウイスキーと対角に位置する異端児的ブランドとして、欧米を中心に、ストリートなバーシーンなどでカジュアルに楽しまれています。
今回販売する4種は、風味豊かな甘やかさを楽しめるものから、スモーキーで濃厚な味わいを堪能できるものまで、それぞれ特徴が際立っています。味だけでなく、デザインも含め、イチオシを見つけてみては。

 

ORCHARD HOUSE オーチャード ハウス

 

「オーチャード ハウス」とは、日本語で「果樹園」を意味します。その名の通り、果樹園にある様々なフルーツをイメージして樽を選び、ブレンドしているとのこと。

 

ブレンドされているウイスキーの85%以上が、創業当初から受け継いできたもの。そのため、コンパス ボックスのウイスキーづくりを最も忠実に表現しているといいます。

 

オーチャード ハウス
種別     :ブレンデッドモルトウイスキー
原産国    :スコットランド
アルコール度数:46%
内容量    :700ml
ケース入り数 :6本
希望小売価格 :オープン価格

[テイスティングノート]
香り    :リンゴと洋梨、かすかなパイナップル、レモンにライムの皮とアールグレイティー
味     :モルトとジンジャー
フィニッシュ:ハニー、野イチゴにバニラのショートブレッド

 

THE PEAT MONSTER ザ ピート モンスター

 

スモーキーで、濃厚なピートモルトを好む人にもってこいの、モルト原酒100%のブレンデッドモルトウイスキーです。

 

アイラなど島々のヘヴィピーテッドモルトに、ハイランド産のミディアムピーテッドモルトを組み合わせています。「複雑ながらも異なる原酒の良さが際立つ」味わいとのこと。

 

ザ ピート モンスター
種別     :ブレンデッド モルト ウイスキー
原産国    :スコットランド
アルコール度数:46%
内容量    :700ml
ケース入り数 :6本
希望小売価格 :オープン価格

[テイスティングノート]
ピーティかつスモーキーで少々のフルーツ、深みと複雑さを感じる。

 

NECTAROSITY ネクタロシティ

 

ミズーリ州産のヴァージン樽を特注でトーストし、焦がしたものを2回使用。ファーストフィルのバーボン樽、特注のアメリカンオーク樽、パロ コルタド シェリー樽をブレンドしており、バニラ、ハチミツ、ココナッツ、キャラメルの香りが漂います。

 

「ネクタロシティらしさの原動力」は、2つのウイスキーにあるといいます。1つはガーヴァン蒸溜所のグレーンウイスキーで、シナモン、ファッジ、チョコレートパウダーのような風味をまとっています。

 

もう1つはクライヌリッシュ蒸溜所のウイスキー。フレーバードカスクが、焼きリンゴ、ナツメグ、メープルシロップの香りを駆り立てているそう。

 

ネクタロシティ
種別     :ブレンデッド スコッチ ウイスキー
原産国    :スコットランド
アルコール度数:46%
内容量    :700ml
ケース入り数 :6本
希望小売価格 :オープン価格

[テイスティングノート]
香り:活き活きとしたハニー、茹でた洋梨、桃やライチ、弾けるジューシーなアプリコットとパイナップル
味:トフィー、バニラにバタースコッチソース
フィニッシュ:シナモンロールのような余韻

 

CRIMSON CASKS クリムゾン カスク

 

ワイン由来の濃厚なコクと、スパイシーなフィニッシュを持つブレンデッド モルト ウイスキーです。「ウイスキーの王」の名を冠しており、エレガントな熟成感を楽しめるそう。

 

スペインのヘレスにあるシェリー樽のサプライヤー、ホセ・イ・ミゲル・マルティンと協力し、「コンパス ボックスらしいクリムゾンカスクの強烈な風味を実現した」と説明しています。

クリムゾン カスク
種別     :ブレンデッド モルト ウイスキー
原産国    :スコットランド
アルコール度数:46%
内容量    :700ml
ケース入り数 :6本
希望小売価格 :オープン価格

[テイスティングノート]
クローヴとカルダモンの入ったチョコレートファッジのケーキ、かすかなプラムジャム&赤スグリのゼリー、リッチなチェリー、トフィーにオーク樽、フィニッシュにレーズン、ハニー&ブラウンシュガー。

【期間限定】「ジムビーム ハイボール缶〈ハニーハイボール〉」登場! サントリー「ジムビーム ブラック」などもリニューアル

サントリーは、「ジムビーム ブラック」を2025年3月11日より、「ジムビーム ハイボール缶」を2025年1月中旬以降順次、全国でリニューアル発売します。

 

また「ジムビーム ハイボール缶〈ハニーハイボール〉」も、全国で2025年3月11日に期間限定発売します。

↑「ジムビーム ブラック」「ジムビームハイボール缶」がリニューアル

 

記事のポイント

現行品は在庫が無くなり次第終了し、中味・パッケージをリニューアル。7年以上熟成させた原酒を使ってつくった「ジムビーム ブラック」、飲食店で飲むジムビームハイボールのような味わいを目指したハイボール缶はもちろんですが、人気フレーバーであり期間限定発売の「ハニーハイボール」にも注目したいところです。

 

・ジムビーム ブラック

7年以上熟成させた原酒を使用。熟成されたバーボン原酒をブレンドした、芳醇で厚みのある味わいとエレガントでなめらかな後味を楽しめるとのこと。

↑「ジムビーム ブラック」。パッケージは、ブラックとゴールドの色合いで、洗練された印象を目指しているそう

 

・ジムビーム ハイボール缶

飲食店で飲むジムビームハイボールのような味わいを目指し、複数のレモン蒸溜酒を加えることで、よりいっそう香りがよく爽快な味わいを実現したといいます。

↑デザイン面でも、飲食店のジムビームハイボールをイメージさせるようなつくりに

 

・ジムビーム ハイボール缶〈ハニーハイボール〉

ジムビームの香味とハチミツのやさしい甘さが調和し、飲みやすい味わいに仕上げているそう。

↑人気フレーバーかつ期間限定なので、お見逃しなく

 

サントリー
「ジムビーム」ホームページ

ジムビーム ブラック
700ml/瓶・3080円(税別)

ジムビーム ハイボール缶
350ml/缶・167円(税別)
500ml/缶・226円(税別)

ジムビーム ハイボール缶〈ハニーハイボール〉
350ml/缶・167円(税別)

「日本最小規模のウイスキー蒸溜所」のシングルモルトはどんな味? シェリー樽で後熟した「シングルモルト長濱THE FIFTH BATCH」販売開始

長浜浪漫ビール(滋賀県長浜市)が運営する日本最小規模のウイスキー蒸溜所「長濱蒸溜所」は、自社蒸留原酒のみをヴァッティングしたシングルモルトの第5弾「シングルモルト長濱THE FIFTH BATCH(ザ フィフス バッチ)」を2025年1月21日より販売開始します。

 

記事のポイント

2024年4月発売した「THE Mont-Pérat BATCH」に引き続き、長濱蒸溜所原酒のみを使用した第5弾となるシングルモルト。口当たりは滑らかで、ナツメグやクローブを思わせるナッティーなアクセント。余韻にはオロロソ樽由来のドライでエレガントなタンニンが心地よく続くといいます。

 

本商品を製造するにあたり、「一醸一樽」の精神のもと、熟成庫に眠る原酒の中から、最上級のモルト原酒のみを厳選。今回は2020年に蒸留したノンピート原酒をアイラクォーター樽とKOVAL樽に樽詰めし、約2年8か月熟成した後、2023年8月に良質のスペイン産オロロソシェリーホグスヘッド樽で約1年間の後熟。そして、各々の原酒の熟成を慎重に吟味し、丁寧にヴァッティングを行ったとのこと。繊細なアロマと果実味たっぷりのテイストだといいます。

↑容量は500ml。販売本数は3000本です

 

長浜浪漫ビール
シングルモルト長濱 ザ・フィフス バッチ
希望小売価格:1万1000円(税込)

ウイスキーもワインも欲張る“ハシゴ酒旅”! サントリーのワイナリー&ウイスキー蒸溜所めぐり

「食欲の秋」は過ぎ去ったが、冬から春にかけて旬を迎える食材は多い。美味に加え、美景も求めて旅をするなら山梨はいかがだろう。先ごろ施設の充実度をアップさせた、サントリーのワイナリーとウイスキー蒸溜所の各見どころをお届けする。

 

日本ウイスキーのパイオニアが新たに挑むものづくりを体感

2023年はジャパニーズウイスキー100周年。「サントリー白州蒸溜所」も50周年を迎えたが、次の時代をつくる第一歩として、パイオニアの新たな挑戦は始まっている。その現場を体感できるツアーが、今秋からスタートした。

↑1923年に建築着工した山崎蒸溜所に続く拠点として、半世紀を経た1973年に竣工。この建物は1979年に完成した「ウイスキー博物館」で、シンボリックな屋根はかつて山崎蒸溜所にあった麦芽乾燥塔「キルン」を模したデザインだ

 

アクセスは、小淵沢駅から無料の送迎バスで行くのがオススメ。ここは「サントリー天然水 南アルプス白州工場」を併設し、両方見学できるのも特徴だ。なお、ともに内部へ入場するには事前予約が必要となるので覚えておこう。

 

目玉となる有料ツアーは抽選制で、ふたつのプランがある。ひとつは、仕込、発酵、蒸溜、貯蔵といった一連の工程を学んだ後にテイスティングを楽しめる「白州蒸溜所ものづくりツアー」(3000円)。もうひとつが、旧蒸溜棟や古典的な製造工程を見学しながらつくり手と交流ができ、その後は希少なウイスキーや地元食材とのペアリングも味わえる、この9月に開始した「白州蒸溜所ものづくりツアー プレステージ」(1万円/曜日限定)となっている。

↑施設内には大小様々な樽貯蔵庫があり、合計でその数は18棟にもおよぶ。ここはそのひとつで、180Lのバーボンバレルを230Lに組みなおしたホッグスヘッド樽が最も多い

 

なお、ツアー以外にも魅力は満載。新生のレストラン、世界のウイスキー文化や白州の歴史を知れる博物館、蒸溜所限定の希少な商品を買えるギフトショップなど充実している。ぜひいますぐ予約し、至福の酒旅に酔いしれよう。

↑ギフトショップでは、ロゴ入りのグラスやアパレルといったグッズのほか、ウイスキーなどのお酒も販売。運がよければ限定銘柄や、「シングルモルトウイスキー白州」も購入できる

 

ココが最新

↑現代の精麦は機械式が主流だが、ここでは非効率ながら狙った酒質を得られる古典的な「フロアモルティング」を一部導入。プレステージ版のツアーで見学できる。

 

↑9月に開業した「白州テラス」。地元食材を使った料理を、「白州 森香るハイボール」(700円)ほか様々なドリンクと楽しめる。名物は「白州フォレストピザ」(2200円)。

 

サントリー
白州蒸溜所

 

海抜約700mの高さにあり、東京ドームの約17倍という広さを誇る、世界でも稀な“森の蒸溜所”。南アルプスの麓で暮らす野鳥や草木と共生しながら育まれるウイスキーは、大自然のたくましさとやさしさを両立した味わいとなり、国際品評会で何度もアワードを受賞している。

住所:山梨県北杜市白州町鳥原2913-1
時間:9:30~16:30(最終入場16:00)
休み:年末年始、工場休業日、その他臨時休業あり ※2024年の最終営業日は12月24日。2025年1月8日より営業
交通:JR小淵沢駅より無料シャトルバス運行 ※ビジターセンターより先の建物への入場は要予約

たわわに実ったぶどうも見られる、サントリーのワイナリーツアー

日本屈指の名水の里であり、ぶどうの名産地でもあるのが山梨だ。サントリーは同県に美酒の生産拠点をふたつも構え、それぞれ見学ツアーも実施している。アクセスは東京からなら、新宿駅などから特急「あずさ」が最速。JR中央本線で山に向かえば、甲斐市ではワイナリー、北杜市ではウイスキー蒸溜所が待っている。

↑1909年に登美農園として開園。以降、南に富士山を仰ぎ、眼下には甲府盆地を望むこの地で100年以上ぶどうとワインがつくられてきた。ショップ2階の「富士見テラス」では絶景を自由に堪能できる

 

県庁所在地でもある甲府の駅前から、週末や休日は無料送迎バスが運行しているのが「サントリー登美の丘ワイナリー」だ。日本ワインに100年以上携わってきた同社は2022年、その魅力をより広めるべく“ぶどう畑を起点としたお客様接点の強化”を掲げ、新ブランド「SUNTORY FROM FARM」を発足。ワイナリーの設備やコンテンツをリニューアルし、ツアーも刷新(要予約/1000円~)した。それぞれ、ぶどう畑、熟成庫、その両方を見学できる行程で、すべてテイスティング付きなのもうれしい。

↑ワインショップにはテイスティングカウンターを併設。ぶどうの産地は山梨をはじめ長野や東北など、常時20種前後の多彩なラインナップから選んで有料試飲ができる

 

敷地は東京ドームの約32倍という広さで、多くはぶどう畑。それを約50の区画に分け、各環境に適した品種を育成しているが、なかでも注力しているのが日本固有の「甲州」だ。公式サイトをチェックしよう!

↑要予約の有料ツアーで見学できる熟成庫。夏でも16℃前後、湿度60%程度という涼やかな石造りの空間に、200以上の樽が並ぶ。別室には瓶熟成の巨大な棚も

 

ココが最新

↑ショップの目玉ワインといえば、このワイナリーなどでしか買えない限定銘柄だ。なかには9月10日に発売されたばかりの新作もあり、「登美の丘 甲州 2022」(ボトル5940円)は期間限定で有料テイスティングも可能。お土産や、旅の思い出としてもぜひ購入したい

 

サントリー
登美の丘ワイナリー

甲府駅からバスで約30分。雄大なぶどう畑の先には、甲府盆地や富士山の絶景が広がる。予約不要で自由に散策できる畑があったり、テイスティングができるショップや、軽食とワインとのマリアージュを楽しめる見晴らし抜群のテラスがあったり、エントリー層でも気軽に楽しめる充実ぶりだ。

住所:山梨県甲斐市大垈2786
時間:10:00~17:00(最終入場16:30)
休み:水曜、年末年始、その他臨時休業あり ※2024年の最終営業日は12月22日。営業再開日は公式サイトを参照のこと
交通:JR甲府駅南口より無料シャトルバス運行 ※シャトルバスは週末と祝日の運行

若鶴酒造からスモーキーさを追求したブレンデッドウイスキー新ブランド「SAB.」デビュー

若鶴酒造は、ブレンデッドウイスキーの新ブランド「SAB.(サブ)」を立ち上げ、第1弾商品として「SAB. SUNSET RED」と「SAB. NIGHT BLACK」の2種を2024年12月12日(木)に発売しました。また、来年2025年夏に「SAB. OCEAN BLUE」を数量限定品として発売予定です。

左からSAB. SUNSET RED、SAB. OCEAN BLUE、SAB. NIGHT BLACK

 

【ラインナップ】

SAB. SUNSET RED

砺波・散居村の水田に映る夕日をイメージした<赤>。スモーキーなウイスキーの入門からこだわりのユーザーまで対応する甘く、丸みのある味わい。

アルコール分:46%

容量/実売価格:700ml/3180円(税別)、200ml/1140円(税別)

 

SAB. NIGHT BLACK

夜空の星々に照らされた山の陰影をイメージした<黒>。より奥深く、複雑さを持ったスモーキーでスパイシーな味わい。

アルコール分:46%

容量/実売価格:700ml/4900円(税別)

 

SAB. OCEAN BLUE

雨晴海岸の晴れ渡る空と海をイメージした<青>。三郎丸の特徴である力強いスモークとフルーティーな魅力が際立つ三郎丸最高峰のブレンデッド。

アルコール分:46%

容量/実売価格:700ml/9000円(税別)

※2025年夏発売予定、数量限定品。商品写真は仮イメージです。今後変更の可能性があります。

 

いずれも環境に配慮した「エコグリーン瓶」を使用。再生カレットを90%以上使用することで、一般的な瓶に比べ23%の軽量化と10万本あたり約13.5トンのCO2削減に貢献します。

 

日本発のウイスキーをグローバル展開

同社の三郎丸蒸留所では、2019年にシングルモルト三郎丸シリーズ第1弾「三郎丸0 THE FOOL」を発売。日本のシングルモルトウイスキーは国内やアジア市場を中心に好評を得ているものの、ウイスキー消費量の大半はブレンデッドウイスキーが占めています。

 

そこで同社ではグローバルにたたかえるブレンデッドウイスキーを開発するため、これまでの商品ブランドを整理し、新・三郎丸ブランド戦略の新たな柱の1つとして、ブレンデッドウイスキー「SAB.」を発売するに至りました。

若鶴酒造株式会社の代表取締役社長兼CEO 稲垣 貴彦氏

 

「SAB.」シリーズは、三郎丸の大きな特徴である「スモーキーさ」を追求しながら、グローバルに浸透するネーミング、パッケージ、プライシングと、グローバルに対応するウイスキーブランドの確立を目指すとしています。

 

日本のウイスキー産業を支える樽再生事業もスタート

また、三郎丸蒸留所は、2024年11月より新事業である「Re:COOPERAGE(リク―パレッジ)」を立ち上げています。これは、ここ10年間で約10倍に増えた蒸留所数に対し、樽の価格の高騰、樽不足により、樽の供給が追いついていないという現状に対応することを目的としたもの。また、それらの樽をメンテナンスする職人の不足も課題となっています。

 

今回、同社が立ち上げる「Re:COOPERAGE」は、樽の「修理・再生・再活性化」を担う業態です。現在、独立系の樽メーカーは日本全国でも1社のみであり、本事業の立ち上げにより、日本のほぼ中央に位置する富山県で、樽の修理が可能となります。三郎丸蒸留所は、「樽再生と木桶の再生」両方を専門として担う日本初の本取り組みで、国内ウイスキー産業を支え、業界の底上げに貢献するとしています。

 

若鶴酒造
ブレンデッドウイスキー「SAB.(サブ)」
2024年12月12日発売

ウイスキー138本の味をストレートに表現! 「世界一やさしいウイスキーの味覚図鑑」

カンゼンは12月6日、書籍「世界一やさしいウイスキーの味覚図鑑」を敢行します。「138本×3(ストレート・ロック・ハイボール)」の味覚を、「ド直球な言葉」で表現しています。

 

記事のポイント

国内外でジャパニーズウイスキーが人気になって久しい昨今。興味はありつつも、どんな銘柄・飲み方が自分に合うのかわからず迷っているなら、こういった書籍をガイド役に楽しんでみるのはいかがでしょう。

 

約300銘柄のウイスキーを嗜んだ筆者が、高級ボトルから大衆ボトルまで、138本のウイスキーとその飲み方(ストレート・ロック・ハイボール)による味覚の違いを、「味覚アイコン」を駆使しながら紹介するウイスキー図鑑。

 

例えば、アイリッシュウイスキーの「バスカー(ブレンデッド)」の総評は、「わかりやすくなめらかな甘さ」「フレッシュ・フルーティー」とのこと。

 

味については、ストレートだと「甘くフレッシュな印象」、「レーズンっぽくもある」、ロックだと「ちょっともったいないかも……?」、ハイボールなら「とてもフレンドリー」、「フルーツジュースのような赴き」。多くの読者にとってなじみやすい、平易な言葉を使って、想像を掻き立ててくれます。

↑ストレートはもちろん、ロック、ハイボールといった飲み方別の言及も

 

判型はA5判、296ページ。定価は2090円(税込)。

 

カンゼン
世界一やさしいウイスキーの味覚図鑑
販売価格:2090円(税込)

 

紀州南高梅の香りを楽しんで! ウイスキーブレンド梅酒「海知の梅」「翼知の梅」発売

シーウィングスは、ウイスキーブレンド梅酒 「海知の梅」「翼知の梅」を発表。

 

記事のポイント

人気商品 ウイスキー海知・翼知シリーズの新たなラインナップとして生まれたウイスキー梅酒。それぞれのウイスキーの樽による個性に加え、南高梅梅酒の持つ「柔らかさ」「愛らしさ」をプラス。そして「新しい余韻」をイメージし引き立てることを目的としてデザインされています。

 

「海知の梅」について
雄大な自然が織り成す、まろみある余韻の出会い

フルーティな甘みをもつ紀州南高梅をウイスキー「海知」で深く穏やかに包み込ませ、口に含んだ瞬間に広がる旨みと奥行きある余韻を楽しめるとのこと。ロックやソーダ割りなど飲み方お好みで。

 

<ミズナラ樽「海知」ウイスキーについて>

日本人になじみ深い白檀や伽羅の香味のウイスキー海知はミズナラ樽の追熟で黄桃やドライフルーツの甘く芳醇な香りが魅力。

 

「翼知の梅」について
ヒノキの木香を引き立てる、ふくよかな南高梅の甘味

洋梨やトフィーのような甘味と調和の取れたスパイシーさが際立つウイスキー「翼知」をベースに、紀州南高梅の芳醇な甘味、酸味の長所を溶け込ませ、ふくよかな果実の香りと濃厚な後味を楽しめるとのこと。ロックやソーダ割りなど飲み方でお好みで。

 

ウイスキー・ジン・ラム・テキーラにも!”原酒のソーダ割り”ブームの背景とおすすめ銘柄18

ウイスキー消費を若年化・大衆化した立役者といえばサントリーの「角ハイボール」ですが、この「ハイボール」、すなわち「ソーダ割り」がジンやラム、テキーラなどさまざまなお酒に急速に拡大。“原酒+ソーダ”という飲み方がお酒トレンドを席巻しています。

 

この流れは2025年以降も続く見込み。そこで原酒ソーダにおすすめの銘柄から、好みの炭酸強度・味わいで自宅で手作りできるレシピまでを紹介しましょう。

 

 

ハイボールの次は?
「原酒ソーダ」トレンドの流れをおさらい

今回お話をうかがったのは、東京・丸の内ビルディングにある立ち飲みバー併設型のリカーショップ「SAKE COLLECTIVE &SPIRITS(サケ コレクティブ アンドスピリッツ)」。同店はロンドン最大級の日本酒専門店と、東京最大級の蒸留酒専門店のコラボレーションストア。代表の黒田亜衣さんにトレンドなどを教えていただきました。まずは昨今人気となっている背景から。なぜ近年、原酒ソーダが盛り上がっているのでしょうか?

 

「理由はいくつかあります。振り返ると、ルーツは2008年ごろに始まった、『角』を起点とするウイスキーのハイボールブーム。これは近年の日本におけるウイスキーブームのきっかけにもなりました。飲食店で飲まれていたハイボールが徐々に家庭にも浸透。いまや、大定番酒のひとつとなりました」(アンドスピリッツ株式会社 代表・黒田亜衣さん、以下同)

 

インタビューに答えてくれた黒田亜衣さん。2024年には日本人初となるウイスキーの国際資格「MASTER OF SCOTCH」を取得しています。

 

ハイボールをはじめとする原酒ソーダ人気の理由のひとつは、ベースとして使われるウイスキーやジンといった蒸留酒が、ビールやワインなどの醸造酒よりも糖質が低いというヘルシーさ。こうした認知が広がるなかでウイスキーやハイボールが市民権を獲得し、その後、「レモンサワー」ブームへと続きました。

 

 

「代表的な商品は、『檸檬堂』『こだわり酒場のレモンサワー』。EXILEが監修した『レモンサワースクワッド』も話題でした。街にもレモンサワーの専門店や、テーブルにレモンサワーが出る蛇口を取り付け、それを飲み放題で楽しめるようにしたお店などが続々とオープンしましたよね」

 

このトレンドを後押ししたのが、2018年ごろに起きた「強炭酸水」ブームです。

 

このころに、「カナダドライ」ブランドの「 ザ・タンサン・ストロング」や、サントリーとスノーピークがコラボした「サントリー 南アルプススパークリング」などがデビューしました(ともに現在は終売したものの、そのDNAは最新ブランドに引き継がれています)。

 

 

『こだわり酒場のレモンサワー』は、RTD(Ready to Drinkの略。缶や瓶など、フタを開けてそのまま飲める飲料のこと)よりも前に、『こだわり酒場のレモンサワーの素』を発売していました。これは、いわばアルコール入りの割り材。強炭酸水ブームとの親和性の高さもあり、自宅などでハイボールやレモンサワーを飲む人が増えていきました

 

ジン人気の理由と現在地。
火付け役のブランドは?

その裏で、ジワジワと勢力を拡大させていたのが「ジン」です。特にお酒好きやバー業界のあいだでは、小規模蒸留所による個性的な味わいのクラフトジンが注目を集めていました。

 

そのムーブメントの世界的なパイオニアである「シップスミス」は2009年に英国ロンドンで誕生。日本初のクラフトジンは、京都蒸溜所の「季の美」で、2016年にデビューしました。

 

ジンの蒸留所は首都圏にも多く、蔵前、八王子、虎ノ門、深川、田園調布、みなとみらいなどにあります。

 

「ジンはジュニパーベリーというスパイスを使うこと以外は定義がゆるく、異なる多彩なボタニカルが生み出すフレーバーが魅力です。ウイスキーのように必ずしも樽で長期間熟成させる必要がないので、比較的早く出荷できるというメーカー側の利点もあります」

 

トニックウォーターで割ると色素が変化を起こし、青色がピンクに変わるジンなど、個性的な商品も増えています。

 

ジンのヒットを決定づけたのは、サントリーの「翠(SUI)」。2020年にデビューし、2022年にはRTD「翠ジンソーダ缶」が発売され、ともに大ヒット。ハイボールのように家飲みの新定番として定着しました。

 

コロナ禍によって家飲み需要が増したことも大きかったと思います。蒸留酒の魅力に目覚める人も多く、ウイスキーやジン以外に、ラムやテキーラ、焼酎なども脚光を浴びるようになり、いまの原酒ソーダブームにつながりました」

 

志村けんさんが愛飲していたことで知られる、鹿児島の芋焼酎「伊七郎」。同店は、都内屈指のラインナップを誇ります。

 

仕事柄、海外のつくり手やバーテンダーとの情報交換を頻繁にするという黒田さんですが、原酒ソーダは日本独自のカルチャーだとか。ほかの国では、カクテルのほうが人気が高く、原酒をソーダで割って飲む文化はあまり根付いていないといいます。

 

日本でソーダ割りが人気なのは、料理に合わせてお酒を楽しむ文化があるからだと思います。ソーダで割るとアルコール度数が高いお酒でも飲みやすくなりますし、爽快で食事にも合わせやすい。また、日本人は欧米人にくらべてお酒に弱いので、お酒を覚えたてのころにストレートのまま飲むという人はあまりいません。
東京の下町では、ウイスキーハイボールから転じた焼酎ハイボールが戦後から大衆酒場で親しまれていますし、日本人はDNA的にもソーダ割りが好きなんだと思います」

 

「冷やすこと」を意識するとおいしく仕上がる

では、自宅などで原酒ソーダを楽しむ際、どうやって作るとお店のようにおいしく仕上がるのでしょうか?

 

「まずは、できるだけ冷やすことです。炭酸ガスには、水の温度が低いほうが溶け込みやすいという性質があるので、冷たくしたほうが爽快感を得られます」

 

 

「また、氷が溶けると水っぽくなり風味が変化してしまうので、それを可能な限り防ぐという意味でも冷たいほうがいいですね。そういった意味では、製氷機で作った氷よりもお店で売っているような溶けにくい氷を使うのがおすすめです」

 

お店の味を再現!
おいしい原酒ソーダの作り方

なるほど! とはいえ論より証拠。同店バーテンダーさんの実践を交えつつ、黒田さんに解説していただきました。

 

「まずはグラスに氷を入れ、バースプーンやマドラーでかき混ぜてグラスをしっかり冷やします。次にスピリッツを注入。アルコール度数が40%なら、スピリッツ1:ソーダ4で約8%、1:5なら約6.6%になりますが、比率はお好みでご調整ください」

 

原酒もマドラーなどを使い、氷としっかり混ぜましょう。そうすることで、凝縮されている香りが開き、さらにこのあと注ぐソーダとも混ざりやすくなります。

 

「ソーダは、炭酸ガスが抜けないようにできるだけやさしく注ぎます。注ぎ終わったらマドラーなどで氷を上に4〜5回持ち上げ、全体をなじませれば完成です」

 

同店では、グラスの形に合わせてバーテンダーがカットした氷柱を使用しています。

 

ウイスキーからカシャッサ、メスカルまで
原酒ソーダに合うおすすめ銘柄

「SAKE COLLECTIVE &SPIRITS」は、嗜好性の高い品ぞろえが特徴で、個性的なブランドがずらり。今回はそのなかから、原酒ソーダにオススメの銘柄をピックアップしてもらいました。

 

ウイスキー

左から「キルホーマン マキヤーベイ」7150円、「アバフォールズ シングルモルトウイスキー」2970円、「ミクターズ US★1バーボン」8140円(すべてSAKE COLLECTIVE &SPIRITSでの税込価格、以下同)。

 

・スコッチウイスキー(シングルモルト)
「スコットランドのアイラ島でつくられるアイラモルトはスモーキーな香りが魅力。ストレートやロックなどもオススメですが、ぜひハイボールも楽しんでみてください。なかでもキルホーマンは、たくましい燻香と甘やかなコクがたまりません」

 

・ウェルシュウイスキー
「個人的に推したいのは、英国南西部のウェールズでつくられているウェルシュウイスキーのシングルモルト『アバフォールズ』。現地でも、100%ウェールズ産の麦芽を使用している蒸留所であり、ほんのりとしたスパイス感と果実味、甘味が絶妙。ハイボールには特にオススメです」

 

・アメリカン(バーボン)ウイスキー
「アメリカンウイスキーからはミクターズを。米国最古のウイスキー蒸留所をルーツに持つブランドで、少量生産のクラフトディスティラリーとしても屈指の人気。樽由来のバニラ香や、濃厚な果実味がハイボールとも好相性です」

 

「クロナキルティ ギャレーヘッド シングルモルト」6490円、「ザ グラッドストンアクス ブラックアクス」3960円。

 

・アイリッシュウイスキー
「近年人気急上昇中のアイリッシュからはクロナキルティを。カカオや完熟フルーツのリッチな果実味がおいしいです」

 

・スコッチウイスキー(ブレンデッド)
「スコッチのブレンデッドウイスキーからはザ グラッドストンアクスのブラックアクス。アイラモルトとハイランドモルト(ハイランド地方のモルトウイスキー)のブレンドで、スモーキーかつリッチな味わいが特徴です」

 

ジン

「野沢温泉蒸留所 シソジン」4950円、「ウィットリーニール ディスティラーズカット ロンドンドライジン」3300円、「マーシャル ロンドンドライジン」6600円。

 

・ジャパニーズジン
「野沢温泉蒸留所のシソジンは、赤紫蘇のやさしい甘味が特徴で、ジンソーダの新たな魅力に気づかせてくれるはずです」

 

・ロンドンドライジン
「正統派のロンドンドライジンからは、3年連続で“英国で最も愛されているプレミアムジン”に選ばれているウィットリーニール。柑橘の風味と土っぽいスパイス感、苦味や甘味のバランスが心地よいおいしさです。
そして、音楽好きに有名な英国のアンプメーカーマーシャルブランドのジンも、意外なおいしさでオススメ。ジュニパーベリーのビター感に、コリアンダーシードのハーバルや柑橘の香りが加わった、爽やかな飲み心地が魅力です。音楽好きの方へのプレゼントにもぜひ」

 

ラム・カシャッサ

「ラオディ ホワイト56」8250円、「セルバレイ チョコレート」5610円、「イピオカ レゼルヴァ プラタ」3190円。

 

・ホワイトラム
「ラムは、樽熟成やスパイスの添加の有無、主原料となるサトウキビの甘味などで、味わいが多彩に変化します。イチオシは、日本人醸造家の井上育三さんがラオス人と共創したラオディ。ピュアで濃厚なホワイトラムです」

 

・ダークラム
「スイーツ好きの方へのおすすめは、ブルーノ・マーズがプロデュースするセルバレイのチョコレートラム。パナマのジャングルで作り出されるリッチな風味と、奥深いカカオのフレーバーが心地よく、それでいて甘すぎない繊細な味です」

 

・カシャッサ(ピンガ)

「ブラジルには、同じサトウキビが原料でも、製法などがラムとは若干異なる『カシャッサ(ピンガ)』という伝統酒があり、そこで推したい銘柄がイピオカです。栗の樽で6か月以上熟成させていて、独特のコクや甘味が特徴の魅惑的な味です。ヤシの葉で巻かれたボトルもかわいいですよ」

 

テキーラ・メスカル

「オルメカ シルバー」3080円、「メスカル アハル」5500円、「サン コスメ」5830円。

 

・テキーラ
「ブルーアガベからつくられるテキーラも、リッチな甘味や熟成の有無などで個性が異なり面白いです。オルメカのシルバーは、ハーバルかつスパイシーで柑橘香も感じられ、ソーダ割り入門に最適なバランスのいい一本ですね」

 

・メスカル
「テキーラは、メキシコのハリスコ州や周辺地域産であることなど細かな定義があるお酒。それに対し、同じくメキシコで自由な発想でつくられているのが、より伝統的な『メスカル』です。スモーキーかつ個性的な味わいや、おしゃれなデザインが注目されていて、近年人気が高まっています。
例えばメスカル アハルは、燻製の香りのなかにオレンジ、ピーチ、アップルのような果実味があって絶品!
よりエントリー向けなら、燻製香がおだやかで上品な味わいのサン コスメ。メキシコ屈指の有名なバーで、ハウスワインならぬ“ハウスメスカル”としても使われている由緒正しき銘柄です」

 

チャチャ・アップルブランデー・シンガニ

最後に、カシャッサやメスカルのように、日本ではまだあまり知られていない世界の蒸留酒からソーダ割りに合うお酒も紹介していただきました。

 

「ダクラッツェ チャチャ クラシック」4950円、「アプルヴァル グランドリザーブ」6380円、「ロス パラレス アニバーサリーリザーブ」5500円。

 

・チャチャ
「まずはジョージアの伝統酒の『チャチャ』。世界最古の蒸留酒のひとつと言われるぶどうのスピリッツです。なかでもこの『ダクラッツェ』は優良栽培地域のぶどう園を所有するワイナリーがつくったチャチャで、ブーケのような華やかな香りが素晴らしいです」

 

・アップルブランデー
「ぶどうで作られることの多いブランデー(果実を主原料とした蒸留酒)のなかで、りんごでつくれらたブランデーを『アップルブランデー』といいます。アップルブランデーで有名な商品は『カルヴァドス』が、今回おすすめしたいのはソーダ割りに最適なアプルヴァル。やわらかな口当たりと、ふんわり香るりんごの余韻がたまらないおいしさですよ」

 

・シンガニ
「 そして3つめは、ボリビア伝統のマスカットの蒸留酒、『シンガニ』からロス パラレス。マスカット・オブ・アレキサンドリアのリッチな甘やかさ、爽やかな香りが調和して、ソーダ割りにも好相性だと思います」

 

手軽に入手できる新作ジンソーダのRTDは
味も意匠も個性的

続けて、嗜好性がありつつも比較的入手しやすいRTDのおすすめを聞きました。すると黒田さんは、2024年11月に発売されたばかりのジンソーダLASTジンソーダ缶をレコメンド。こちらは東京・蔵前にある「エシカル・スピリッツ」初のRTDで、首都圏を中心にスーパーなどでも販売されているそうです。

 

左が「LASTジンソーダ缶」308円。右はそのベースに使われているジン「LAST ELEGANT」2530円。

 

「ジュニパーベリーのニュアンスにラベンダーの華やかさが重なり、さらにリコリスや酒粕を思わせる甘やかさ、まろやかなニュアンスが楽しめる個性派です。アルコール度数5%と、ジンのRTDとしては飲みやすいのも魅力。250mlの手ごろなサイズや、おしゃれなデザインもお気に入りです!」

 

世界には多様な美酒が数多。
ソーダ割りでどんどん試そう!

原酒ソーダのトレンドは2025年以降も拡大していきそうですが、黒田さんはこのムーブメントをどう見ているのでしょうか?

 

「今年は大手のキリンからRTDの『KIRIN Premium ジンソーダ 杜の香』が新発売されるなど、ジンのソーダ割のラインナップが充実しましたし、しばらく話題性が続くスピリッツといえばジンかなと思います。付随するトピックスとしては、ジントニックでしょうね。こちらも、コンビニなどで買える缶入りの商品が続々と登場しています」

 

また、ラムやテキーラを筆頭に、メスカルやカシャッサなどのアナザースピリッツも徐々に浸透していくはずだと予想。「大手メーカーさんがどこまでPRをするかで、市場拡大のスピードや広がる規模感が変わるとは思いますが」と前置きしつつ、次のように語りました。

 

「ここ数年を振り返ると、グローバル化やSNSの発達もトレンドに大きく影響してきたと思います。特に若い世代は顕著で、20~30代でもお酒好きの方のなかにはマニアックな銘柄に詳しい方がたくさんいます。それでいて、酔い潰れるなどはせず、スマートに嗜む方が多い印象です。若い世代という意味では、若いつくり手もどんどん増えているんですよ」

 

先ほどご紹介したエシカル・スピリッツや、Whiskey&Co.(写真左端の「Teen Spirits」や「On Spring」などをラインナップ)などで活躍するつくり手、山口歩夢さんは1995年生まれです。

 

黒田さんはあらためて、アルコール度数が高いお酒をソーダ割りで飲みやすくするという日本独自の嗜み方に言及。「この文化が多彩な原酒を試すハードルを下げる好習慣となっていて、銘柄の認知拡大にもひと役買っているのでは」と推察します。

 

バー業界でも、年々ソーダ割りのオーダー率が増えているという話を聞きます。もちろん当店も同様ですね。私としては、チャチャやシンガニなどの知名度が低い美酒も、ソーダ割りを入口にして知っていただけるよう、よりプッシュしていきたいです」

 

Profile

アンドスピリッツ株式会社 代表 / 黒田亜衣

2021年に「&SPIRITS」の事業責任者として同店を立ち上げ、2022年に独立し、アンドスピリッツ株式会社を創業。2023年に「SAKE COLLECTIVE &SPIRITS」をオープンし、これら2店舗の運営ほか、輸入卸売業、オリジナル商品の開発、イベントの企画・運営などを行っている。
アンドスピリッツ株式会社

アメリカで最も売れているアイリッシュウイスキー「ザ・セクストン シングルモルト」日本上陸

アサヒビールは、アイリッシュウイスキー「ザ・セクストン シングルモルト」を2024年11月12日から発売しました。実売価格は700ml瓶で4565円(税込)。

アイリッシュウイスキー「ザ・セクストン シングルモルト」

 

記事のポイント

世界的なウイスキー人気のなかで、アイリッシュウイスキーの市場は2014年と比べて約2倍に伸長しているそう。日本でもかつての「おじさんのお酒」というイメージから脱却し、ハイボールやジンジャーハイなどが若者に人気となっています。そんななかで、アメリカで最も売れているシングルモルトアイリッシュウイスキー「ザ・セクストン シングルモルト」が日本市場でも受け入れられるのか、注目が集まりそうです。

 

「ザ・セクストン シングルモルト」は、アイルランド産麦芽100%使用のシングルモルトアイリッシュウイスキーです。ポットスチルで3回蒸溜し、オロロソシェリー樽で4年間熟成しています。深みのある色合いと複雑な風味が特徴のオロロソシェリーの樽を使用することで、4年間という短い熟成期間にも関わらず濃密な風味を生み出しています。

 

その風味は、ダークチョコレートや蜂蜜のような香りとイチジクやレーズンを感じる味わい。ボトルはシルクハットをかぶったガイコツの墓守(セクストン)を中央部に配置したミステリアスなデザインとなっています。

 

アイリッシュウイスキーは世界5大ウイスキーの一つであり、長い歴史があることに加えて、軽やかで親しみやすい味わいが世界的に人気です。近年伸長するウイスキー市場において、アイリッシュウイスキーの2023年の市場は約1560万箱(※)で、2014年と比べると約2倍の規模に成長しています。日本のアイリッシュウイスキー市場においても、2023年は前年比187%と拡大を続けています。

※出典 : IWSR 2023、1箱=9リットル換算

 

この「ザ・セクストン シングルモルト」は、アメリカで販売されているシングルモルトアイリッシュウイスキーのなかで最も売れている商品です(※)。アサヒビールでは、同商品の日本での取り扱いを開始し多様化するニーズに応えることで、ウイスキー市場のさらなる活性化を図るとしています。

※出典 : IWSR 2023

 

アサヒビール
アイリッシュウイスキー「ザ・セクストン シングルモルト」
2024年11月12日発売
実売価格:4565円(税込)

創業90周年のニッカウヰスキーから発売された高コスパすぎる贅沢ウイスキー「ニッカ フロンティア」。その魅力とは?

 「マッサン」の名で知られ、愛好家からは「日本のウイスキーの父」として愛される竹鶴政孝。彼が「日本人に本物のウイスキーを飲んでもらいたい」と情熱を捧げ創業したニッカウヰスキーが、今年90周年を迎えた。 

 

そして期せずして今年は、マッサン放送から10周年の年。そんなニッカウヰスキーフィーバーに湧く今年、4年ぶりの新商品「ニッカ フロンティア」が発売された。本記事ではその魅力をお届けする。 

 

↑商品名には、飲む人をいままでのウイスキー体験とは違う新たな境地(フロンティア)に誘いたいという思いが込められている 

 

ニッカウヰスキー
ニッカ フロンティア
500ml 2200円(税込)

 

ニッカウヰスキー創業の地、余市蒸溜所の個性を凝縮 

「ニッカ フロンティア」は、余市蒸溜所のヘビーピートモルト原酒をキーモルトに使ったプレミアムウイスキー(2000円以上のウイスキー)。キーモルトが作られている余市蒸溜所は、大正時代にウイスキーの本場・スコットランドで本格的なウイスキーづくりを学んできた竹鶴が、最初に建てた蒸溜所で、ニッカウヰスキー創業の地でもある。 

  

↑竹鶴がスコットランド留学中に記した通称「竹鶴ノート」のレプリカ。ノートは2冊あり、どちらもウイスキーづくりの工程がびっしりと細かな文字でまとめられている。かつてイギリスの首相が、ユーモアと親愛の情を込めて「頭の良い日本の青年が、1本の万年筆とノートでウイスキーづくりの秘密を盗んでいった」とスピーチしたという逸話が残っている

 

↑余市蒸溜所のシンボルでもあるキルン塔。現在は使われていないが、もともとはここで発芽した大麦をピート(泥炭・草炭)で燻しながら乾燥させ、麦芽を作っていた

 

↑蒸溜所内に建つ洋館「リタハウス(リタとは、竹鶴がスコットランド留学時に出会い、後に妻となった女性の名前)」は、創業前の1931年に建てられ、1984年までの約50年間、ニッカウヰスキーの研究所として使われていた。写真は2020年冬に筆者が撮影したもの。リタハウスや前述のキルン塔など、蒸溜所内の7つの施設が国の重要文化財に指定されてる

 

蒸溜所が建つ余市町は、北海道積丹半島の付け根にあり、スコットランドに似た寒冷な気候で、良質な水と豊かな自然を有する場所。 

 

さらに、ウイスキーにピーティーな風味(スコッチウイスキー特有の薫香)を付与するのに欠かせないピートの産地でもあり、これが、「余市のウイスキーといえばピーティー」と言われる所以である。そして「ニッカ フロンティア」では、このピートが重厚に効いたモルト原酒がキーモルトに据えられている。 

↑余市蒸溜所の見学コースに展示されているピート。ヨシやカヤといった植物が堆積してできたもので、これを使って麦芽にスモーキーな香りをつける

 

グレーンよりモルトを多く配合したブレンデッド

また、ブレンデッドウイスキーでありながら、モルト原酒が51%以上を占めているのも特徴だ。 

 

ちなみにウイスキーは、大麦のみで作られたモルトウイスキーと、とうもろこしやライ麦、小麦など、モルト(大麦)以外の穀物を主原料としたグレーンウイスキーに分けられ、このふたつの原酒を混ぜたウイスキーをブレンデッドウイスキーという。 

 

そして大半のブレンデッドウイスキーは、モルトウイスキーよりもグレーンウイスキーの配合比率のほうが高い。しかし「ニッカ フロンティア」は、その逆。モルトウイスキーの比率のほうが高いため、ブレンデッドウイスキーらしいすっきりとした飲みやすさがありながらも、モルトウイスキーの魅力であるコクもしっかりと感じられるのだ。  

 

加えて、前述した通りブレンドのキーとして使われているのが、余市蒸溜所のヘビーピート原酒のため、ピートに由来する香り高くスモーキーな味わいも楽しめる。 

↑余市蒸溜所の象徴ともいえるのが、石炭で蒸溜器を加熱し蒸溜する「石炭直火蒸溜」。昔ながらの伝統的な蒸溜法だが、温度管理が難しく熟練した職人技が必要なため、いまもこの手法を続けている蒸溜所は世界を見渡しても希少。1000℃を超える高温のポットスチルを操ることで生まれる適度な「焦げ」が、独特の香ばしさと力強さを生む

 

さらに、アルコール度数が48%と、これまでニッカウヰスキーが発売してきた商品のなかで高アルコールなのもポイントだ。アルコール度数を高めるメリットは、度数が低いと溶けきれずに失われてしまう旨味もそのまま残ること。また、ハイボールにしたときに、炭酸水に割り負けしないといった魅力もある。 

 

加えて、あえて冷却をしないノンチルフィルタードも採用。一般的にウイスキーは、瓶詰め前に冷却して濁り成分をろ過する工程を経るが、冷却せずに常温でろ過を行うことで、原酒の香味成分をたっぷりと残している。 

 

↑蒸溜所内にある「ニッカミュージアム」では、ニッカのウイスキーづくりを様々な角度から学べる。ミュージアムの奥には豊富なラインナップから好きな商品を有料で試飲できる「テイスティングバー」

 

ニッカウヰスキーでは、このノンチルフィルタード、モルトベースのブレンデッドウイスキーという特徴は、最高ランクに値するプレステージカテゴリー(5000円以上のウイスキー)の通年商品、もしくは数量限定商品でしか採用されてこなかった。しかし「ニッカ フロンティア」は、2200円(税込)と手に取りやすい通年商品にもかかわらず、これらの特徴が取り入れられている。 

 

↑「ニッカ フロンティア」のメディア向け発表会の資料より。「余市」や「竹鶴」などの5000円以上の商品はプレステージカテゴリー。今回発売された「ニッカ フロンティア」はプレミアムカテゴリーで、「スーパーニッカ」や「ニッカ セッション」などがそれにあたる。そして1000円以上の商品がスタンダードカテゴリー、1000円未満はエコノミーカテゴリーと呼ばれ、「ブラックニッカ」シリーズが、スタンダードおよびエコノミーに含まれる

 

こだわり抜かれたその味わいは? 

肝心の味わいだが、口を近づけるとまずは深く甘い香りが鼻腔をくすぐる。マーマレードを思わせるフルーティーさを主軸に、しっかりとしたモルトの香りと心地良いスモーキーさが重なり、なんともふくよかな香りだ。 

 

そして口に含むと、アルコール度数の高さからは考えられないほどにスムース。ピート由来のビターさのおかげで、果実のような甘さがぼけずに引き締まり、バランスの良さが感じられる。それでいて喉を通ったあとには、余韻が長く続く。これをこの価格で味わえるのは贅沢すぎるといえよう。 

 

↑ボトルの背面にはしめ縄のモチーフを彫刻。これは創業者の竹鶴が造り酒屋の生まれであることに由来する。ちなみに同様の理由から、ニッカウヰスキー蒸溜所の蒸溜器はすべて、しめ縄が結ばれている。ちなみに写真中央は余市蒸溜所、右はニッカウヰスキーが宮城県に持つもうひとつの蒸溜所・宮城峡蒸溜所の蒸溜器だ

 

「ニッカ フロンティア」のおいしさを余すことなく楽しめるフロートハイボール 

最後に、メーカーが推奨する「ニッカ フロンティア」の飲み方として「フロートハイボール」を紹介しよう。フロートハイボールとは、炭酸水のうえにウイスキーを浮かべるスタイルで、口を近づけたときにその香りを余すことなく堪能できるのが特徴。 

 

また一口目は、ロックで飲むときのようにウイスキー本来の味が楽しめ、飲み進めるうちにグラスの中で炭酸とウイスキーが混ざり合い、さらに口の中でもブレンドされるという、味わいの変化を楽しめる、何度飲んでもおいしいスタイルだ。 

 

もちろん途中で混ぜてハイボールにしてもOKだ。フロートハイボールなら飲むたびに味わいが変わり、飲み進める過程で自分の好みを探ることもできる。そして何より見た目が美しい。 

 

作り方は簡単で、グラスに氷を入れ、8分目ぐらいを目安に炭酸水を入れる。マドラーを炭酸水の液面にあて、そこに沿わせるようにして「ニッカ フロンティア」を注ぐ。そうするとウイスキーが炭酸水の上にフロートする。 

 

↑筆者が試したところ、マドラーを液面に対し垂直にするのではなく、できるだけ寝かせるようにして入れるとうまくいきやすいと感じた

 

文章で読むと難しそうに感じるかもしれないが、やってみると意外と簡単。勢いよく注ぐとウイスキーがこぼれ落ち炭酸水に混ざってしまうため、ゆっくり丁寧に注ぐようにすれば、ほとんどの人はできるだろう。 

 

お酒が弱い方だと、最初のロックを飲んでいるような味わいに驚いてはしまうかもしれないが、ある程度お酒が飲めて、それでいてウイスキーはハイボールしか飲んだことがないという方には、ぜひ一度この飲み方を試していただきたい。「ニッカ フロンティア」のおいしさを余すことなく堪能できると同時に、この一杯を通して、ウイスキーの多彩な楽しみ方を発見できるはずだ。 

 

ちなみに一般的なウイスキーは1本750ml容量なのに対し、「ニッカ フロンティア」は500mlと量が少ないのも特徴。これを少ないと感じる方もいるかも知れないが、購入してみてたとえ味の好みが合わなかったとしても困らない量ともいえる。 

 

では、リピ買いの人にとってはどうなのか?と疑問を持たれるかもしれないが、すでにこの味の虜になっている人ならば、500mlであってもこのおいしさが2200円で手に入るのは十分にお得だとわかるはず。 

 

ニッカミュージアムの様子

今年のイブは「特別なハイボール」で乾杯しない?「サントリープレミアムハイボール山崎〈華やかで濃厚な味わい〉350ml缶」12/24より数量限定新発売

サントリーは、「サントリープレミアムハイボール山崎〈華やかで濃厚な味わい〉350ml缶」を12月24日(火)より全国で数量限定新発売。

中味は、ハイボールに合う山崎モルト原酒のみを厳選して使用した、厚みのある味わいとスパニッシュオーク樽由来の華やかで濃厚な味わいが特長。しっかりと冷やせば、贅沢なひとときを楽しめます。パッケージは、「山崎」のブランドカラーをベースに山崎蒸溜所を描き、「山崎」の文字を大きく配することで本格感を表現したといいます。

 

サントリー山崎蒸溜所について

「山崎蒸溜所」は、1923年に日本初のモルト蒸溜所として建設に着手し、昨年100周年を迎えました。日本名水百選にも選ばれる「離宮の水」があり、桂川・宇治川・木津川が合流する、湿潤な環境が特長のサントリーウイスキーの“ふるさと”です。つくり手の技と情熱によって、日本人ならではの繊細なウイスキーづくりをおこない、多彩で高品質な原酒を生み出しています。

 

「サントリープレミアムハイボール山崎〈華やかで濃厚な味わい〉350ml缶」

希望小売価格(税別):600円

「山崎」ホームページ

 

ハイボール専用ウイスキーから生まれたハイボール!カクヤスのPB商品「Kprice 810 ハイボール缶」

カクヤスは、プライベートブランド商品Kprice 810(ハチイチマル) ハイボール缶を、10月1日に発売しました。「なんでも酒やカクヤス」の全店舗および、同社ECサイト「カクヤスネットショッピング」で購入できますよ。

 

記事のポイント
近年はライフスタイルの変化により自宅での飲酒が増加し、多様な味わいを求めるニーズが高まっていることから、手軽に楽しめるRTD(Ready To Drink=すぐに飲めるもの)市場が拡大。それを受けて「手軽さ」を踏まえつつも、本格的な味わいも追求しているようです。

 

カクヤスはこれまでに、ブレンデッドウイスキー「Kprice 810(ハチイチマル)」や、ピュアモルトウイスキー「飛鳥山」といった、ハイボールにぴったりなウイスキーを、PB商品として展開してきました。

 

今回カクヤスが開発したのは、ユーザーが手軽に楽しめる、本格的なハイボール缶。モルトの風味と、グレーン(とうもろこし等の穀類)の甘味や、フルーティーさのバランスにこだわった、ハイボール専用ウイスキーKprice 810(ハチイチマル)をベースにしています。炭酸水で割るだけでなく、レモンの風味を加えたことで、爽快感と余韻をより楽しめるとのこと。

↑「Kprice 810(ハチイチマル)ハイボール缶」

 

11月にはハイボール缶が2種発売

また、PB商品飛鳥山 華やかハイボール缶」「飛鳥山ピーテッド 薫るハイボール缶も、11月1日に発売を予定しています。

 

飛鳥山 華やかハイボール缶」は、ハチミツの香りと、すっきりとしたフルーティーな味わいが特徴だそう。オーク樽熟成のイギリス産スコッチモルトを主体に、複数のモルトウイスキーをブレンドしたピュアモルトウイスキー 飛鳥山を、シンプルに炭酸水だけで割っています。

↑「飛鳥山 華やかハイボール缶」

 

一方の「飛鳥山ピーテッド 薫るハイボール缶は、樽熟成由来の香りやスモーキーさを感じられる、リッチな味わいとのこと。イギリス産スコッチモルトウイスキーを主体に、樽熟成ピートモルト原酒などの複数のモルトウイスキーをブレンドした「ピュアモルトウイスキー 飛鳥山ピーテッドを、炭酸水だけで割っています。

↑「飛鳥山ピーテッド 薫るハイボール缶」

 

カクヤス
Kprice 810 ハイボール缶
価格 :174円(税込)
内容量:350ml
アルコール分:7%

飛鳥山 華やかハイボール缶
価格 :306円(税込)
内容量:350ml
アルコール分:7%

飛鳥山ピーテッド 薫るハイボール缶
価格 :328円(税込)
内容量:350ml
アルコール分:7%

アジア限定シーバスリーガル。日本酒がカギを握る「匠リザーブ 12年」

ペルノ・リカール・ジャパンは、ブレンデッド スコッチウイスキー「シーバスリーガル」より、「シーバスリーガル 匠リザーブ 12年」を9月24日に発売します。アジア市場限定商品で、日本先行発売です。

 

制作工程に、富山県の銘酒「満寿泉」の“日本酒カスク”を用いています。カスクとは、ウイスキーの熟成に使う木製の樽を指します。

 

記事のポイント
スパイスの香りと、洋ナシやライチといった果実の甘さ、なめらかさが特徴のバランスが取れたウイスキー。スコットランドと日本(富山県)とを往復する、こだわりの製法にも注目です。

 

「シーバスリーガル 匠リザーブ 12年」はまず、シーバスリーガルのウイスキー熟成に使用したオーク樽を、スコットランドから日本に送ることから酒造りが始まります。その樽を使って富山県の桝田酒造店で銘酒「満寿泉」を寝かせた後、再度スコットランドへ樽を送り戻し、12年以上熟成したシーバスリーガルのブレンドの一部をフィニッシュさせています。

 

この“日本酒カスク”でフィニッシュする製法は、同社の発表によると「スコッチウイスキーでは前例のない、革新的な試み」。スコットランドと日本、それぞれの伝統が融合した一品です。

 

味わいは甘く爽やかで、新鮮でジューシーな梨の繊細さが引き立つとのこと。クローブやナツメグなど、スパイスのほのかな香りも感じられるといいます。飲み方はロック、ストレートやハイボールなどシンプルに楽しむのがおすすめだそう。

 

シーバスリーガル
シーバスリーガル 匠リザーブ 12年
参考小売価格:7260円(税込)

ウイスキー「白州」の魅力を体感して! サントリー白州蒸溜所が体験施設と見学ツアーをリニューアル

2023年から実施しているサントリー白州蒸溜所のリニューアルが2024年9月に完了します。今回のリニューアルでは、原料にもさらにこだわり、より品質の高い“原酒のつくり込み(※1)”を目指すためのフロアモルティング(※2)と酵母培養プロセス(※3)を導入。

※1 ウイスキーの製造工程における「蒸溜」を終えたばかりのニューポット(無色透明な原酒)までの段階においても、よりいっそうの品質向上を目指すこと。原酒の骨格をつくるとともに、長期熟成に耐えられるより品質の高いニューポットづくりを実現する
※2 大麦をウイスキーの製造に必要な「麦芽」へと変化させる伝統的な製麦工程の一つの方式
※3 より安定的で品質の高いウイスキーづくりのために、酵母の培養条件を制御するプロセス

 

さらに、5月にビジターセンターからバードサンクチュアリに繋がる橋「バードブリッジ」を設置し、蒸溜所の豊かな自然の魅力をより体感できるようになりました。また、9月1日(日)より、地元食材を使用したレストラン「Hakushu Terrace(ハクシュウ テラス)」が新たにオープン。9月20日(金)には、自然と共生したものづくりのこだわりや挑戦が感じられる見学ツアー「白州蒸溜所ものづくりツアー プレステージ」が新設されます。

 

レストラン「Hakushu Terrace(ハクシュウ テラス)」

「白州の森と響きあうレストラン」というコンセプトのもと、山梨県産の食材をふんだんに使った石窯ピザをはじめ、「Hakushu Terrace(ハクシュウ テラス)」でしか味わえない「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」のオリジナルカクテルも楽しめます。森を感じる開放的な空間で、地元食材と白州の森で生まれた製品が堪能できます

 

・営業時間:10:00~16:30
・定休日:年末年始・工場休業日
・オープン日:2024年9月1日(日)
・予約開始日:2024年8月28日(水)10:00~

※白州蒸溜所のホームページ内、レストラン特設サイトよりご予約が可能です

 

白州蒸溜所ものづくりツアー プレステージ

白州の自然と共生したものづくりのこだわり、「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」ブランドの魅力を体感できるツアー。ツアー前半では、白州蒸溜所の歴史を感じる場所での映像演出やつくり手との交流、さらには、品質向上の取り組みの一つである「フロアモルティング」を案内。

 

テイスティングでは、豊かな自然に囲まれた白州蒸溜所ならではの空間で「白州森香るハイボール」や「サントリーシングルモルトウイスキー白州 12年」が提供され、ここでしかできないマリアージュ体験を楽しめます。

 

・開催日:月曜日・金曜日(年末年始・工場休業日を除く)
・開催時間:11:30~13:40
・所要時間:130分
・参加費:1万円(税込)
・初回開催日:2024年9月20日(金)

・抽選申し込み期間
2024年8月30日(金)9:30~2024年9月3日(火)16:29

※「白州ものづくりツアー プレステージ」の新設に伴い、「白州ものづくりツアー プレミアム」は終了となります
※20歳未満の方はご参加いただけません
※ツアーの開催日は変更になる場合があります

 

サントリー「白州蒸溜所

「居酒屋」の歴史と大衆酒の変遷を深掘りする噺

提供:宝酒造株式会社

 

酒飲みを魅了してやまない「居酒屋」はいつ生まれ、どのように親しまれてきたのでしょうか。今回は『居酒屋の戦後史』(祥伝社新書・刊)の著者で、趣味と研究を兼ねて居酒屋巡りをフィールドワークとする早稲田大学人間科学学術院の橋本健二教授を講師に、大衆酒場にまつわる著書を数多く上梓している藤原法仁(のりひと)さんと浜田信郎(しんろう)さんとで鼎談。

 

3人は『酒噺』でもおなじみの倉嶋紀和子さんが創刊編集長を務める雑誌『古典酒場』で「居酒屋通ブログ三人衆よもやま話」の連載をしていた仲。十数年ぶりに一堂に会した3人が、お酒を片手に居酒屋の歴史と大衆に愛されてきた酒の変遷について語り合います。

●橋本健二(左)/早稲田大学人間科学学術院教授。専門は理論社会学および階級・階層論。主な著書に『居酒屋の戦後史』『居酒屋ほろ酔い考現学』(共に祥伝社)『階級社会』(講談社)『増補新版「格差」の戦後史』(河出書房新社)などがある。ブログは「橋本健二の居酒屋考現学
●浜田信郎(中央)/ブログ「居酒屋礼賛」の主宰。『酒場百選』(筑摩書房)『ひとり呑み』(WAVE出版)など、大衆酒場に関する著作を数多く上梓している。
●藤原法仁(右)/大衆酒場の聖地・葛飾区立石生まれ。居酒屋探訪をライフワークとし、浜田さんらとの共著に『東京居酒屋名店三昧』『東京「駅近」居酒屋名店探訪』(共に東京書籍)がある。「酎ハイ街道」の名付け親であり、「立ち飲みの日」制定の中心人物。

 

 

大衆居酒屋は江戸時代に発展した

いつ居酒屋が誕生したのかについて詳しいことはわかっていません。『続日本紀(しょくにほんぎ)』には、761(天平宝字5)年に平城京(現在の奈良県)の酒肆(しゅし)で起きた事件が記されています。これが、居酒屋について最古の記録ということになります。

 

酒肆とは酒を売る、飲ませる店のことであり、橋本教授は角打ち(酒屋の一角で飲むこと、または飲める酒屋のことなどを指す)のような店だったのではないかと推察します。つまり、奈良時代には酒場が存在していたということ。

 

ただ大衆文化として居酒屋が根付いたのは、もっと中世~近世になってからだと考えられています。1603(慶長8)年に江戸幕府が開かれ、町づくりのために全国から独身男性を中心に労働者が集まってきました。彼らの食事は外食が中心。仕事終わりには、いまのようにお酒を飲んで活力を養ったり、コミュニケーションを深めたりしていました。

 

お店の業態は角打ちだったり、江戸の四大名物食といわれる寿司、天ぷら、そば、うなぎの各店だったりもしますが、特に江戸っ子から重宝された飲める店が「煮売り酒屋(にうりざかや)」です。

 

「煮売り屋」とは、ご飯とともに魚や野菜の煮物を提供する業態のこと。やがて煮物をつまみに酒を提供する「煮売り酒屋」へ進化するケースが増加。角打ちをルーツとする居酒屋との区別があいまいになるとともに、現在の居酒屋へと進化していきました。そして江戸時代後期には、こうした飲食店が江戸には1800軒以上もあったといわれています。

↑江戸時代の煮売り酒屋の風景(『鶏声粟鳴子』より)。出典:国立国会図書館デジタルコレクション

 

明治時代になると、文明開化とともに日本人の飲食シーンにも変化がありました。料理でいえば肉食が解禁され、外食チェーンの先駆けといわれる牛鍋屋が誕生するなど、和洋折衷料理(洋食の原型)が徐々に一般化。お酒でも、ビールやワインなどが飲まれるようになり多様化が進んでいきます。

 

とはいえ、当時は舶来の料理やお酒はまだまだ高嶺の花でした。そんな居酒屋業態に大変革が起きたのは昭和の時代になってから。要因は太平洋戦争です。ここからは、橋本教授を中心に、藤原さんと浜田さんとで語ってもらいましょう。

 

居酒屋は戦後に大変革。闇市起源の横丁は3つに分かれる

藤原 私も下町の大衆酒場とか炭酸水とかいろいろ研究してるんですけど、あらためて今日はいろいろ教えてください!

 

浜田 先生とは長い付き合いですけど、しっかり話を聞く機会は珍しいですかね。楽しみです!

 

橋本 こちらこそよろしくお願いします。 居酒屋の転換点といえば、やはり終戦と闇市です。戦時中には1944(昭和19)年に贅沢禁止ということで、高級業態はもちろん、自営の飲食店は大幅に減少していきました。庶民的なおでん屋や居酒屋などは営業を認められていましたが、物資不足で実質は開店休業状態だったようです。

 

浜田 ただ、その代替として公営の“国民酒場”が開業したと聞きます。横浜にはいまでも、独自の“市民酒場”(※)が残っていますし。

※昭和初期に生まれた、横浜独自の大衆酒場の形態

 

橋本 終戦間際の1945(昭和20)年7月の新聞には、国民酒場に大行列ができている写真とともに記事が載っています。

 

浜田 そして、やがて終戦。都市部の駅前を中心に、焼け野原には闇市が誕生していきました。

 

橋本 そうですね。例外もありますけど、闇市をルーツとする横丁酒場は多いです。

 

藤原 この前、この『酒噺』で倉嶋さんが深掘りした、新宿の「思い出横丁」とか「ゴールデン街」とか。ほかには「西荻窪(東京都杉並区)」や、上野の「アメ横」。東京以外ですと、横浜の「野毛」などがありますね。

 

《酒噺のオススメ記事はコチラ》


【東京・沿線ぶらり酒】西荻窪の「戎ストリート」半世紀の歴史の噺
『古典酒場』の倉嶋紀和子編集長が各沿線に縁のあるゲストとともに、街と酒場の魅力を語り尽くします【東京・沿線ぶらり酒】。第1回は作家・角田光代さんと「西荻窪」について語ります!

【東京・沿線ぶらり酒】「酒とつまみ」初代編集長が三鷹で故郷と酒場を語る噺
『古典酒場』の倉嶋紀和子編集長が各沿線に縁のあるゲストとともに、街と酒場の魅力を語り尽くします【東京・沿線ぶらり酒】。第2回は酒場通・大竹聡さんと「三鷹」について語ります!

 

橋本 なかでも私は3タイプに分類できると考えています。まずひとつは、当時の土地にそのまま残っているもの。「思い出横丁」や吉祥寺(東京都武蔵野市)の「ハモニカ横丁」ですね。ふたつめが移転させられたもの。これは「ゴールデン街」や池袋(東京都豊島区)の「美久仁小路」、三軒茶屋(東京都世田谷区)の「三角地帯」などです。

 

浜田 なるほど。そしてもうひとつは、闇市がビルや地下などに建て替えられたケースですね。新橋(東京都港区)の「駅前ビル」や、「ニュー新橋ビル」、荻窪の「タウンセブン」などでしょうか。

 

藤原 大井町(東京都品川区)や赤羽(東京都北区)にある飲み屋街も、闇市から建て替えられたパターンですよね。

↑大井町駅前の「東小路飲食街」(写真提供:PIXTA)

 

橋本 ちなみに、闇市には日用品や、農産物に魚介類、怪しげな加工食品などを扱う店などもありましたが、都心の新橋、渋谷、池袋などでは多くが飲み屋でした。また1947年以降、経済復興が始まって物資の流通が回復すると、一般の商店が営業を再開したため、闇市は一般的な商店街としての役割を終え、飲食街に特化していくようになります。これは1947(昭和22)年に、食糧事情のひっ迫を受けて約2年間発令された「飲食営業緊急措置令」が関係しているといえるでしょう。禁止されたがゆえに、裏口となる闇市では盛んになったという構図です。

 

藤原 あと、闇市をルーツとする酒場を語るうえで欠かせない業態に、もつ焼き屋がありますよね。

 

浜田 特に多い酒場街が、「思い出横丁」。戦後しばらく統制品だった正肉類は入手困難だったので、統制外だった豚のもつを串に刺し、“やきとり”と称して売り出したというエピソードも有名です。

 

橋本 そういった“ジェネリック焼き鳥”、いわゆるもつ焼きの店は、戦前からあったそうなんです。ただし場所は、労働者が多い下町や、繁華街の屋台。いまのように、駅前に“やきとり”をメインとした居酒屋が軒を連ねるようになった背景には、戦後の闇市抜きには語れないといえるでしょう。

 

関連記事】

【せんべろnet 監修】“ひとり飲み”初心者がはしご酒を楽しむ噺
【せんべろnet監修】ひとり飲み初心者が“もつ焼き”酒場を体験する噺

 

チェーン店の台頭と洋風化がさらなる多様化を進めた

↑藤原法仁さん

 

藤原 その後の居酒屋における大きなムーブメントは、チェーン店の台頭になりますかね。

 

橋本 有名な居酒屋御三家は、「養老乃瀧」(1956/昭和31年に1号店)、「村さ来」(1973/昭和48年創業)、「つぼ八」(1973/昭和48年創業)。ただ、ビアホールを含めた居酒屋チェーンをビジネスモデルとして確立した立役者の「ニュートーキョー」(1937/昭和12年創業)や、セントラルキッチンの全面導入や洋風居酒屋の先駆けとしては「天狗」(1969/昭和44年創業)も偉大です。「天狗」が洋風酒場に取り組んだ背景には、創業者のヨーロッパ視察があったとか。時代の先見性があったんでしょうね。

 

藤原 居酒屋の洋風化には、チェーン店の存在が大きいですよね。お酒でも、「村さ来」は多彩なシロップを使った、カクテルのような甘めのチューハイ(酎ハイ)のバリエーション展開が有名ですし。

 

浜田 洋風居酒屋の功績は、女性が来店しやすくなったことにあると思います。1982(昭和57)年には、デュエットソングの名曲『居酒屋』がリリースされていますよね。

 

橋本 懐かしいですね。やがてバブル終焉とともに御三家は受難の時代を迎えますが、平成以降の1990年代からは居酒屋新御三家の「コロワイド」(1977/昭和52年に「甘太郎」を開業)、「モンテローザ」(1983/昭和58年創業。「白木屋」など)、「ワタミ」(1992/平成4年に1号店。「和民」など)が躍進します。

↑橋本健二教授

 

浜田 「モンテローザ」と「ワタミ」のルーツは「つぼ八」ですから、後進に与えた影響は計り知れないです。

 

藤原 その後はインターネットの登場などもあったと思いますけど、居酒屋チェーンのトレンドはサイクルが早くなり、多様化している印象があります。1990年代後半からは個室居酒屋が増え、2000年代に入ると価格の均一業態も一世を風靡します。なかでも大ブレイクしたのが「鳥貴族」(1985/昭和60年創業)ですね。2005年には東京進出を果たしました。

 

浜田 2000年代後半からは幅広くメニューをそろえる総合居酒屋に代わって、ひとつの素材や料理に特化した専門業態の居酒屋も増えていったと思います。代表的なチェーンは「ダイヤモンドダイニング(DDグループ)」(2001/平成13年に飲食店を開業。「わらやき屋」など)や「串カツ田中」(2008/平成20年1号店)でしょう。

 

橋本 いまに続く大衆酒場ブームも2000年代以降ですね。こちらもやはり、インターネットによってお店の情報が開示されたことが大きいかと。それこそ、藤原さんや浜田さんの功績が大きいと思います。

 

藤原 うれしいです。でも、赤羽の名店「いこい」がルーツである立ち飲みチェーン「晩杯屋」(2009/平成21年1号店)や、ネオ大衆酒場の旗手「ビートル」(前身となる「お値段以上の大衆酒場 大鶴見食堂」が2013年開業)が誕生するなど、立ち飲みや大衆酒場にもチェーン店が出てくるとは思いませんでした。

 

橋本 一方で、1975(昭和50)年ごろから地酒ブームが起き、全国の日本酒とそれに合うアテを揃える“名酒居酒屋”が支持されてきたことも見逃せません。こちらは伝統的な様式を貫くオーセンティック居酒屋とでもいえるでしょう。

 

時代と地域による客層の変化

浜田 それぞれの時代で居酒屋の客層はどのように変化してきたんでしょうか?

↑浜田信郎さん

 

橋本 まず戦前からたどると、前述した“ジェネリック焼き鳥”、つまりもつ焼きの居酒屋は下町が中心で、労働者階級のお店でした。一方、中間層以上の人はビアホールや料理店、そして居酒屋などで飲んでいたと思います。有名な神田の「みますや」の創業は1905年、惜しまれつつ閉店した銀座の「樽平」の創業は1931年でした。

 

浜田 業態にも格差が反映されていたということですね。それが戦後になって変わったと。

 

橋本 はい。街に出てもお酒はないし、飲める店もない。そんな状況で出てきたのが闇市です。でもお酒好きは飲みたいから、貧富の差は関係なくここに集うわけですよ。なので私は闇市によって、飲み手の格差が関係ない居酒屋という業態も生まれたと考えています。

 

藤原 高度経済成長を迎えると、中間層も増えていきましたしね。

 

橋本 そうですね。一部のホワイトカラーはバーに行くなど選択肢が増えるのですが、だからといって居酒屋に行かなくなったとは考えにくいです。その後、居酒屋チェーンの台頭によって女性も足を運ぶようになり、やがて成人学生も利用する時代になると。

 

浜田 格差の話がありましたけど、東京の居酒屋のなかでも、下町と山の手でお店の地域差って感じますか?

 

橋本 ありますね。もつ焼き中心の居酒屋は下町の文化だし、山の手の居酒屋は刺身や天ぷらなど正統派の日本料理を、小盛りにして出すのが普通です。しかし下町の文化は、山の手でも受け入れられています。例えば下町のもつ焼き酒場の代表格である、立石の「宇ち多゛」みたいな店が山の手にできると、すごく人気になりますよね。

 

藤原 なるほど、尾山台(東京都世田谷区)の「もつ焼 たいじ」とか。

 

橋本 一方で、自由が丘(東京都目黒区)の「金田」や代々木上原(東京都渋谷区)の「笹吟」などは山の手を代表する名居酒屋ですけど、下町にはああいった洒脱な居酒屋は少ないと思います。客単価も高いですし、そこは少なからず各エリアの地価も関係してきますよね。

 

《酒噺のオススメ記事はコチラ》


【東京・大衆酒場の名店】門前仲町「大坂屋」の“牛にこみ”を三日月型カウンターで堪能する噺
東京にある大衆酒場の名店を巡る企画の第8回。今回は門前仲町の「大坂屋」を訪れ、その魅力を探っていきます。

【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺
東京の大衆酒場の名店を巡る企画の第1回。今回は、立石のもつ焼きの名店「宇ち多゛(うちだ)」を訪れ、その魅力を探っていきます。

 

戦後のチューハイなど各酒はこう飲まれてきた!

橋本 居酒屋の歴史を語るうえで、もうひとつの重要な側面はお酒の変遷です。闇市時代からたどると、戦時下の配給が継続されて日本酒やビールはありましたが、物資不足で希少品でした。

 

浜田 闇市には配給酒の転売品や米軍からの横流しもあったそうですが、当然高嶺の花ですよね。

 

橋本 そこで主流となったのが、「バクダン」「カストリ」と呼ばれる焼酎を模倣した密造酒です。「バクダン」は燃料用のアルコールを水で薄めた違法な粗悪品で、飲んで命を落とした人もいたそうです。

 

藤原 特にバクダンには、メチルアルコールを薄めて混ぜたものがあったという話も聞きます。

 

橋本 一方の「カストリ」は、穀物や芋類などを発酵させた醪(もろみ)を蒸留したもの。酒粕由来の「粕取り焼酎」とは違いますね。でも「カストリ」は焼酎のような酒ですから、中毒の心配はありませんこれらの粗悪品が横行したため、焼酎のイメージは低下しました。

 

【関連記事】
「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺

 

浜田 徐々にビールも市民権を得ていくんですよね。

 

橋本 家庭用のビールに配給制度が導入されたのは、戦前の1940(昭和15)年。この制度によって、中間層以上の嗜好品だったビールが全国の一般層に普及します。また、日本酒の主原料である米は食用に最優先されましたが、ビールの主原料である大麦は優先度合いが比較的低かった。そんな背景もあって、ビールが普及拡大する素地が広がっていったのです。

 

藤原 そして、特に下町大衆酒場の酒といえば、焼酎ハイボール(酎ハイ)は外せません。諸説ありますが、墨田区曳舟の「三祐酒場」の当時の店主が、1951(昭和26)年にアメリカ進駐軍の駐屯地で飲んだ「ウイスキーハイボール」の味に感銘を受け、焼酎で再現を試みたのが焼酎ハイボール(酎ハイ=チューハイ)誕生の有力な説です。

↑現在も「三祐酒場 八広店(墨田区)」で人気の「元祖焼酎ハイボール」

 

橋本 さすがにこの辺の話は、藤原さんのほうが詳しいですよね。特に東京の下町で愛されたのが、クリアな味わいの甲類焼酎。これはフランスで開発されたアロスパス式連続蒸留機によって、ネガティブなにおいを抑えたアルコールを精製できるようになったからです。

 

藤原 ちなみに、本格焼酎は1975(昭和50)年ごろにお湯割りブームで全国的にも広まるんですけどね。その後、今度は1977年に宝焼酎「純」が発売され、ピュアで飲み方に多様性のある甲類焼酎が新しいお酒として見直され大ヒットします。そして麦焼酎ブームを経て、1980年代のチューハイブームへ。チューハイを全国区にしたのが1980年代以降のチェーン居酒屋と、1984(昭和59)年に発売された日本初の缶入りチューハイ「タカラcanチューハイ」ですよね。

↑11種類の樽貯蔵熟成酒を13%の黄金比率でブレンドした、宝酒造「純」

 

浜田 私は愛媛生まれで大学時代は九州の福岡で過ごしたのですが、初めてチューハイに出会ったのは就職した上京後。確かに1980年代でしたね。当時の若者達にとってはセンセーショナルなお酒でした。九州では本格焼酎をお湯割りか、水割りで飲むのが主流でしたから。

↑発売当時(1984/昭和59年)のタカラcanチューハイ

 

藤原 それからしばらく経って、大衆酒場の人気到来とともに、2006年には缶でタカラ「焼酎ハイボール」も発売されます。

 

 

日本酒とウイスキーの栄枯盛衰

 

橋本 日本の酒でいえば、日本酒は戦後しばらく原料の米が食用へ優先されたためで希少な酒でした。そのため当初市場に出回った多くは、アルコールに糖類などを加えた合成清酒といわれる代物。合成ではない清酒(日本酒)の生産量が戦前を超えたのは1961(昭和36)年のことで、他のカテゴリーよりも回復が非常に遅れたのです。

 

浜田 酒蔵の数も、戦争によって激減したと聞きます。

 

橋本 その通りです。戦前に7000を超えていた酒蔵数は、終戦時で3178にまで減少。次第に回復しますが、戦後ピークの1956(昭和31)年でも4135蔵です。

 

藤原 なんと、そんなに減ったんですか!

 

橋本 これは、ビールが台頭したからという理由もあるでしょう。お酒全体の出荷量は次第に伸び、特に日本酒とビールがけん引します。一方で、代用品だった合成清酒と焼酎は伸び悩みました。そして、1959(昭和34)年にはビールの出荷量が日本酒を追い抜き、以降ビールは日本で最も飲まれるお酒となっています。

 

藤原 日本酒も1970年代中ごろには地酒ブーム、1980年代には淡麗辛口や吟醸酒のブームがあったんですけどね。

 

浜田 いまや、稼働している酒蔵の数は1200を切ったと言われています。近年は若手の蔵元が継いだり再興したり、新たなSAKEカルチャーをつくったり、高級路線でブランディングしたり、海外進出したりしていますが、応援したいですね。

 

橋本 そうですね。いま、受難を経て世界的に人気となったお酒にはジャパニーズウイスキーがありますが、ウイスキーもなかなか波乱万丈でした。

 

藤原 ジャパニーズウイスキーは2023年で100周年を迎えたんですよね。発売当時はすごく高かったと聞いています。

 

橋本 日本初の本格ウイスキー、サントリー「白札」の発売は1929(昭和4)年。当時の記録でも、お米10kgが2円30銭の時代に1本が4円50銭だったそうです。

 

浜田 お米が貴重だった当時でも、20kgぶんとほぼ一緒の価格とは。

 

橋本 高すぎたのもあって、売れなかったらしいんですよ。そんな反省から「角瓶」「トリス」など安価なブランドが発売され、1950(昭和25)年には50円の「トリス」ハイボールが登場し、生ビールが1杯135円の時代に爆発的にヒットしたそうです。

 

藤原 一方で、下町ではウイスキーハイボールではなく、焼酎ハイボールの人気が根強かったと聞きます。

 

橋本 それは、価格とアルコール量の問題だと思います。チューハイ(焼酎ハイボール)は当時30~50円と安く、アルコール量はウイスキーハイボールの2倍以上入っていました。そんなウイスキーですが、飲み方としては1970年代に入ると水割りに主役の座を奪われます。理由は、水は炭酸水よりも安価であり、家庭でも簡単に濃度を調整できるから。

 

藤原 1987年にリリースされたデュエット名曲『男と女のラブゲーム』でも、水割りの歌詞が登場します。

 

橋本 ウイスキーは普及とともに大衆化が進み、ビールや日本酒が大幅に値上げする一方でほとんど値上げはせず、相対価格が下がったんです。1975(昭和50)年での純アルコールあたりの価格では、なんと一番安いのがウイスキーでした。こうした背景もあって、どんどん伸長していきました。

 

浜田 1971(昭和46)年にはウイスキーの輸入自由化が始まり、バーボンやスコッチなどの舶来ウイスキーのブームも到来しますよね。

 

橋本 そう。ウイスキーは経済成長とともに右肩上がりを続けていきました。しかし1983(昭和58)年にピークを迎えて以降、価格の引き上げや酒税の増税などが重なり、次第にその勢いを失っていきます。やがて2007(平成19)年には、販売量ベースで最盛期の6分の1まで減少。しかし、翌年にはウイスキーハイボールブームが到来してV字回復していきます。

 

浜田 2014(平成26)年には朝ドラ(NHK連続テレビ小説)「マッサン」の影響もあり、近年ではジャパニーズウイスキーを筆頭に市場が盛り上がっていますよね。

 

分断されがちな社会をつなぐ存在が居酒屋だ

 

橋本 2025年は昭和100年であり、戦後80年を迎えます。飲み屋も嗜み方も時代に合わせて変わっていくなか、居酒屋やお酒の飲み方はどうなっていくと思いますか?

 

藤原 このままだと個人経営の居酒屋は衰退してしまうと思います。だから、この素晴らしい文化を未来にしっかり継承していくことが大切かなと。

 

橋本 そうですよね。チェーン店でも、もつ焼きやもつ煮込み、ホッピーなどを出すようになっていますよね。それは、戦後大衆酒場の文化が根強く愛されている証拠だと思うんです。だから気軽に行けるお店からでも、若い人には居酒屋の魅力を知ってほしいと思いますね。

 

浜田 先生の使命は大きいと思いますよ。

 

橋本 はい。私の生徒はそもそも酒好きが多いですけど、彼らを介して広がっていけばいいなと思います。

 

藤原 社会はどうあるべきなんですかね。

 

橋本 格差はあまり大きくならないほうがいいですね。もちろん、業態などによって大衆店や高級店とで分かれますけど、分断されがちな社会をつないでくれる存在が居酒屋だとも思うんです。だから、居酒屋の存在意義はきわめて大きいと。

 

藤原 ちなみに、先生の理想の居酒屋ってどんなお店ですか?

 

橋本 もつ焼きともつ煮込みに加えて、刺身もおいしい。そんな居酒屋が好きです。藤原さんは?

 

藤原 私は、古き良き居酒屋文化を継承してくれるのがネオ大衆酒場と呼ばれるお店だと思っていて、すごく期待しています。でも個人的に好きなのは、いまの気分だとどぶ漬けがあるカウンター酒場。東十条(東京都北区)の「よりみち」とか、渋谷の「酒呑気まるこ」とか最高ですね。浜田さんはどう?

 

浜田 例えば、温泉とかの湯舟のように、その酒場の雰囲気にどっぷりつかれる居酒屋かな。常連さんを中心にいい雰囲気ができあがっていて、そこに自然と一体化できるお店には癒されますね。そういう居酒屋を、これからも礼賛していきたいです!

 

橋本 浜田さんらしいコメントが出ましたね。今日は、ふだん飲み屋ではしない話をおふたりとできてよかったです。また集まりましょう!

 

藤原・浜田 ありがとうございました!

 

 

撮影/我妻慶一

 

<取材協力>

居酒屋 関所

住所:東京都台東区根岸1-7-3
営業時間:16:30~23:30
定休日:日曜

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝酒造「純」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/jun/

・タカラcanチューハイ
https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/regular/

4000本限定!ブレンデッドウイスキー「ザ・ニッカ」の限定商品「ザ・ニッカ ナインディケイズ」を発売

アサヒビールとニッカウヰスキーは、本年創業90周年を迎えるニッカウヰスキーの洋酒事業を強化。新たに60億円を投じ樽貯蔵庫の新設などを進め、ニッカウヰスキーの事業を成長戦略の一環として強化します。新たなコミュニケーション・コンセプト“生きるを愉しむウイスキー”を掲げ、創業90周年記念商品やコンセプトが体感できる場を世界各国で展開します。

 

限定商品とコンセプトBARで90周年を盛り上げる!

ブレンデッドウイスキー「ザ・ニッカ」の限定商品「ザ・ニッカ ナインディケイズ」を7月2日から2000本(日本1000本、海外1000本)。10月に2000本(日本1000本、海外1000本)の計4000本を発売します。バーやホテルバーなどを中心に販売するほか、ニッカウヰスキーの各蒸溜所やコンセプトBARでも数量限定で有料試飲を行う予定です。

↑「ザ・ニッカ ナインディケイズ」。参考小売価格:(日本国内)33万円(税込)

 

ザ・ニッカ ナインディケイズは1940年代から2020年代までの9つの年代にわたる多彩な原酒をブレンドしたウイスキーです。余市蒸溜所や宮城峡蒸溜所に現存する最古のモルト原酒、新たなチャレンジとして製造した門司工場とさつま司蒸溜蔵のグレーン原酒、西宮工場の長期熟成のグレーン原酒、スコットランドのベン・ネヴィス蒸溜所のモルト原酒などから生み出された150種類以上の原酒を使用しています。

 

濃密な樽熟成香と、甘みやコクが調和した厚みのある芳醇な味わいが特徴です。“熟成年数が長いほど高級なウイスキーである”という従来のエイジングに対するイメージに捉われず、9つの年代にわたる多彩な原酒をブレンドすることで、ニッカウヰスキーの90年の歩みを体現。ボトルデザインでは伝統工芸である江戸彫り(※)の技法を用いて一本一本丁寧にロゴが刻まれています。キャップにかかるテープには6色の彩り豊かな市松模様と、複数の九角形を組み合わせた図案を配することで、各拠点から生み出された9つの年代にわたる多彩な原酒の調和を表現。

※:「江戸彫り」はマツウラブラストの登録商標。

 

また、“生きるを愉しむウイスキー”の世界観が体感できる場を世界各国で展開。日本では東京都内でコンセプトBARを7月から12月の期間限定で展開します。店内ではニッカウヰスキーブランドを使ったカクテルなどを楽しめるほか、コンセプトを体感できるような展示やグッズの販売を予定しています。コンセプトBARのオリジナルカクテルとして、ニッカウヰスキー欧州アンバサダーであるバーテンダーのスタニスラヴ氏が監修した「ニッカ セッション」をベースにしたカクテルを提供。海外では7月以降、ロンドンやパリ、ローマ、ニューヨークなどのバー内で、イベントなどを順次計画しています。

2万4800円の工場見学!? “常陸野ネストビール”の木内酒造がビール・ウイスキー・日本酒全部載せのバスツアーで提供する贅沢体験の数々

日本におけるクラフトビールの黎明期からトップレベルの人気を博し、いまやウイスキーなども手掛けるビッグネームが「常陸野ネストビール」の木内酒造。その姿勢は、“大和魂”を重視しながら、実は海外交流にも超積極的。大胆な“攻め”の社風も特徴です。

 

そのポリシーが、個性派ビールやウイスキー事業の原動力にもなっているのですが、今度は“バー付きバスツアー”というユニークな事業を開始。お酒好きにはたまらない、贅沢体験の数々をいち早く体験してきました。

↑「BAR BUS HITACHINO(バーバス常陸野)」の車内。バータイムでは、同社の様々なお酒(炭酸水もあり)を自由に楽しめる。

 

ウイスキー、ビール、日本酒のつくり方を1日でチェック

「バーバス常陸野」は朝10時に東京駅を出発し、木内酒造が誇るビール、日本酒、ウイスキーの製造拠点を中心に見学し、19時半を目安につくば駅に到着するという日帰りのツアー。

↑この日のドリンクは、「常陸野ネストビール」の「ホワイトエール」「ラガー1823」や、「日の丸ウイスキー KOME」「日の丸ジン 蔵風土」など。「BAR BUS HITACHINO」と描かれたタンブラーは、オリジナルのミニエコバッグとともに持ち帰れる。

 

車内バータイムでのふるまい酒のほか、直営店でのランチとディナーも含み、大人1名2万4800円(税込)。移動はお任せで、多ジャンルの酒について学ぶことができ、ときに里山など大自然の景観に癒され、グルメ三昧! しかもオリジナルのお土産付きと、けっして高くないツアーだといえるでしょう。

↑最初に到着したのは、ウイスキーなどをつくる八郷(やさと)蒸溜所。敷地の畑には「金子ゴールデン」(木内酒造が積極栽培している、日本原産のビール用大麦)が植えられ、6月上~中旬ごろには収穫を迎える。

 

茨城県石岡市の八郷は良質な水に恵まれ、また盆地のため昼夜の寒暖差が大きく、熟成地としても理想的。また八郷地区は日本の里山100選に選ばれるなど日本の原風景が残る地域で、蒸溜所からは東の富士と呼ばれる筑波山の凛々しい眺望を望みます。

↑売店が併設された、一般開放もしているビジターセンター。ここでは木内酒造の歴史のほか、ウイスキーの素材や製造工程を展示パネルとともに学べる。

 

【ウイスキー】この蒸溜所だけの独自仕様がもりだくさん

ウイスキーは概して、製麦→糖化→ろ過→発酵→蒸溜→熟成→ブレンド(ヴァッテド)→瓶詰といった工程でつくられますが、それぞれ順に追ってスタッフが案内。特に木内酒造ならではのポイントというと、まず仕込み用タンクの独自性が挙げられます。

↑手前が「ろ過器」で奥が「糖化槽」。ウイスキーとしては珍しく、大麦麦芽以外に小麦、米、そばなど多様な原料の使用を想定しており、その糖化温度を管理しやすくするために、分けて導入している。

 

また、「培養タンク」や「発酵タンク」も特徴的。前者は自社培養酵母を造るための設備で、菌によってはバニラやココナッツのような風味が生まれるのだとか。そして後者は、ステンレス製のほかに木製も使用し、なおかつ材質を変えることで、より多彩な原酒をつくれるようになっています。

↑左がスロベニア産とフランス産のミックスオーク材、右がフランス産のアカシア材を用いた発酵タンク。イタリアのガロベット社製だ。

 

蒸溜所のシンボルともいえる「ポットスチル」(単式蒸溜器)は、スコットランドの名門・フォーサイス社製で、ストレートヘッド(ボディとネックが直線)の形状。ラインアームはやや下向きで、濃厚で香り高い酒質を狙っていることがわかります。

↑釜から上部に伸びる部分(ここはストレートヘッド)と、折れ曲がって伸びるパイプ(ラインアーム)の角度などが酒質を決めるひとつの要素に。写真手前が「初溜釜」、奥が「再溜釜」。

 

また、こちらは連続式蒸溜機を付設したハイブリッドスチルとなっていて、蒸溜室の奥にはその連続式も設置されています。一般的に、連続式蒸溜機はグレーン原酒用の設備となりますが、八郷蒸溜所では個性的なグレーン原酒をつくるために、ポットスチルでもグレーン原酒を蒸溜。この点もかなり独特です。

↑この連続式蒸溜機はジンのほか、グレーンウイスキーも蒸溜する予定だという。

 

そして熟成樽の材質にもこだわりが随所に。ジャパニーズウイスキーは日本原産の木材を珍重しますが、同社ではその定番であるミズナラ樽はあえて使いません。一方で重宝されているのはサクラ樽。サクラの熟成樽が特別珍しいというわけではありませんが、蒸溜所がある石岡市には県内屈指の桜の名所「常陸風土記の丘」があり、その点もサクラ樽を重用する理由です。

 

 

↑樽材によって異なる風味を、原酒のボトルと材質を並べることで紹介。左端がサクラの鏡板。

 

見学のあとは、ウイスキーをテイスティングしながらのランチ。樽や熟成年月などが異なる3種の原酒を飲み比べ、個性がどう変わるのかを自らの鼻と舌で体験します。

↑左から、2種の自社酵母を使ったバーボン樽の23ヶ月熟成。ジャマイカのラム樽で熟成をかけた32ヶ月もの。国産小麦を51%使用し、ラム樽で30ヶ月熟成したグレーンウイスキー。

 

味わえる料理は、蒸溜所内に2023年に開業した「常陸野ハム BARREL SMOKE」で製造する自家製シャルキュトリ(ハムやソーセージなどの加工肉)の盛り合わせと、自家製フォカッチャです。同社では近隣の養豚農家と提携し、飼料の一部に麦芽の搾りかすなどを使用し育てた特別かつ高品質な「常陸野ポーク」を一頭丸ごと購入。そのうえで自社加工し、燻製にもウイスキー熟成で使用した樽のチップでスモークしています。

↑シャルキュトリはポルケッタ、ビアシンケン、ピスタチオ入りハムなど様々。地元ブランド「常陸秋そば」のそば粉と天然酵母による自家製フォカッチャも美味!

 

なお木内酒造では「石岡の蔵」という、国内の蒸溜所でも珍しい製麦施設をもっており、ここではスコットランドの伝統製法であるフロアモルティング(いまや現地でも希少な、ハンドメイドの製麦)も行っているとか。このツアーにその見学は含まれていませんが、いつか見てみたいものです。

 

【ビール】海外で最も有名なクラフト“フクロウビール”の総本山

次にバスが向かったのは、「常陸野ネストビール」と「常陸野ハイボール」がつくられている、那珂(なか)市の額田(ぬかだ)醸造所。ウイスキーもビールも麦のお酒ではあるものの、製造は途中から大きく異なることが見学によって深く理解できます。

↑まずは、麦の種類や副原料の説明からスタート。

 

ウイスキーは、麦汁を発酵させたもろみを蒸溜するお酒。蒸溜によって濃度の高いクリアな酒質へ磨き、長期の樽熟成で風味付けを行いますが、ビールは麦汁にホップを添加して発酵、短期熟成という手順を踏むフレッシュな(なかには長期熟成ビールもあります)醸造酒であるため、より麦汁の方向性が味わいを大きく左右します。

↑“ビールの魂”と呼ばれるホップを、乾燥させペレット状にしたもの。防腐や香り付けに必要な、ある種最も味を左右する主原料だ。

 

それはつまり、ビールはウイスキー以上に麦の品種や焙煎度合い、副原料などが重要ということ。そのため額田醸造所では、まず原料の紹介に始まり、次に設備や各工程の解説へ進みます。

↑手前から糖化用のマッシュタン(タンク)と、煮沸用のケトル。ほかに濾過用のロイタータン、凝集物の除去用のワールプール。これらを使って麦汁を移動し、発酵工程へ。

 

澄んだ麦汁は、ワールプールから発酵タンクへ移動させます。この時点では、まだお酒になっていない麦ジュースの状態。酵母を加えて発酵させることにより炭酸ガスを含んだビールとなり、その後ラガー(下面発酵ビール)の場合は約1ヶ月間低温熟成させます。

↑発酵タンクがズラリ。1本6000リットルですが、クラフトビールのマイクロブルワリーとしてはかなり巨大(醸造所の生産量は1年約3000klで、330mlボトル900万本分)。

 

ちなみに「常陸野ネストビール」は、世界におけるジャパニーズクラフトビールとしては日本屈指の知名度を誇るブランドです。それは、他社に先駆けて海外展開を進めてきたから。いまや生産量の約半分が海を渡り、輸出先は40ヶ国以上。NYのマンハッタンではフクロウマークのトラックが走る姿を見られます。

↑見学後は、もちろん試飲もあり。写真のボトルはサンプルで、この日はタップから注いだ「ヒストリー1602」という限定のエール(上面発酵)ビールをいただいた。

 

テイスティング時には、ホップ品種の違いを、ペレットを比較しながら確認できます。個性が魅力のクラフトビールは、よりホップの使い方が重要。その違いを学ぶチャンスもここでは得られます。

↑右端のビールが「ヒストリー1602」。こちらは秋田県横手市産のホップ(生のチヌークホップなどを使用)と、地元那珂市産の「金子ゴールデン」を一部使用した、フローラルな香りが特徴だ。

 

【日本酒】蔵でも貫かれるバリエ―ション豊かな酒造り

そしてバスは、木内酒造の祖業である日本酒の蔵へ。醸造酒であるため製法の概要はビールと似ていますが、麦芽でなく蒸した米で仕込むなど、素材の種類や加工法には大きな違いがあります。

↑ブルワリーの額田醸造所と同じ那珂市にある「鴻巣の蔵」。木内酒造は江戸時代の1823(文政6)年に木内儀兵衛がこの地で酒造りを始め、「菊盛」などの銘酒を生み出してきた。

 

特に日本酒の場合、味の方向性を大きく左右するのが精米歩合(米を削る度合い)であり、食用米のコシヒカリと、酒米で有名な山田錦は何が違うのか(あえてコシヒカリで醸す日本酒もあります)、そして精米歩合が酒質をどう変えるのか、など実物を見ながら学べます。

↑山田錦と、その山田錦と日本最古の原生酒米・雄町(おまち)をルーツに持つ愛山を、精米歩合別に展示。削るぶんだけ小さくなる、粒の大きさに注目したい。

 

ほかにも、日本酒とビールの違いに挙げられるのが麹(こうじ)の有無(なかには、麴を使うビールもあります)。麹とは穀物に種麹(麹菌や、もやしともいいます)を付着させた日本ならではの発酵原料のことで、日本酒ではこの麹を作る「製麹」が最も重要な工程ともいわれます。

↑製麹したあとの米麹。左が、伝統的に日本酒や醤油、味噌などに用いられる「黄麹」で、右が焼酎に頻用される「白麹」(木内酒造の「淡雫(あわしずく)」など、白麹で醸す日本酒もある)。

 

この酒蔵でも、木内酒造ならではの製法が見られます。わかりやすい点を挙げるとすれば、発泡性をもたせる日本酒の貯蔵槽にビール用のステンレスタンクを使っていること。

↑右に見える「ビアサーマルタンク」が、発泡性日本酒用の貯蔵タンク。ビールを手掛ける木内酒造ならではといえるだろう。

 

その一方、仕込み蔵には木桶で仕込まれた米焼酎なども。自由な発想から、ときに伝統的に、そして革新的な製法で、バリエ―ション豊かな酒造りを行っていることがわかります。

↑こちらは、伝統的な杉の木桶。

 

製麹を行う麹室(こうじむろ)など、いくつか立ち入りできない場所もありますが、一連の醸造工程を見学したあとは、バーとショップが併設された「ききさけ処」に移動して試飲を体験。

↑左がフルーティーな「菊姫 純米大吟醸」で、右がきめ細かい発泡が楽しめる「菊盛 純米吟醸にごり酒 春一輪」

 

「ききさけ処」では多彩な日本酒のほかに「常陸野ネストビール」や焼酎などもラインナップしており、銘柄によっては試飲も可能。一般開放しているので、今回のバスツアーでなくても足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

ディナーで社長が語ったモノづくりの流儀

見学の全行程を終えたラストには、「鴻巣の蔵」内にあるレストラン「蔵+蕎麦な嘉屋」でのディナーが待っていました。建物は、1924(大正15)年に建てられた蔵をリノベーションした空間。メニューは蕎麦のほか、使われる野菜や肉はすべて茨城県産の素材を厳選し、常陸野の美食と自慢の日本酒とのペアリングを楽しめます。

↑ツアーで提供される料理はおまかせの特別コースとなり、こちらはそのメインとなる「常陸野ポーク」のロースト。発酵玉ネギのソース、赤からし水菜、かぼちゃのピューレで味わう。

 

コースの料理は一皿ひと皿が、木内酒造の日本酒とのペアリングを考えて構成され、ラストには名物の蕎麦が登場。この蕎麦ももちろん「常陸秋そば」で、同社では「金子ゴールデン」の裏作期間を有効的に活用する意味で栽培しています。

↑「木内家秘伝のつけけんちん蕎麦」

 

「蔵+蕎麦な嘉屋」が提供するそばの割合は、外一(そば粉とつなぎの割合が10:1となる、九割そばの一種)。今回味わったメニューは、木内家に伝わるけんちん汁をつけ汁にしたもので、酒粕と味噌の風味、野菜の旨みがとけこんだコクのある味が、香り高い蕎麦にマッチします。

 

このディナーには木内酒造代表の木内敏之社長も加わり、バスツアーの狙いや今後の展望、使命感などを聞かせてくれました。

↑木内家九代目当主の敏之社長。日本のクラフトビール黎明期の1995年に「常陸野ネストビール」を立ち上げ、1996年より醸造開始。2016年にはウイスキーづくりも始めるなど、チャレンジングな同社をけん引する存在。

 

「よそが真似できないことをやるというのが、うちの理念のひとつにあり、このバスツアーもそうです。風土の景観や恵みを楽しんでいただきながら、私たちのモノづくりを知っていただきたいと思いました。

 

ただ、いろいろな冒険をしてきたなかで、私が次に注力したいのは日本酒なんです。理由は、自分自身が還暦を迎えたことで、あらためて祖業に向き合いたいと思ったから。また、蔵元の数が年々減少しているなど、市場が縮小しているから。であれば、うちならではのユニークな取り組みで業界を盛り上げたいと思ったんです。

 

ですから、このツアーでは最後に皆さんを『蔵+蕎麦な嘉屋』でお迎えし、ここではウイスキーやビールではなく日本酒を存分に味わっていただきたい。これからの木内酒造は、日本酒にもより注目ください!」(木内社長)

 

「バーバス常陸野」は運行開始を記念して5月末までは平日限定割引が適用となり、不定期で国内外のトップシェフによるプレミアムな料理を味わえるガストロノミーツアーが開催されたり、美術館でのアート鑑賞などを組み合わせた見学工程が行われたりと、特別な企画も。お酒好きはもちろん、旅好きの人も要チェックです!

 

「BAR BUS HITACHINO」
運行予定:木・土・祝(9:30受付)10:00発〜19:30着予定
料金:大人1名 2万4800円(税込)※運行開始記念により平日限定で大人1名2万1800円(税込)を2024年5月末まで実施
予約ページ
サービスサイト
※20歳未満は申し込み不可

知っておきたい大人のたしなみ バーの楽しみ方講座−−『知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本 最新版』

一口にウイスキーといっても、王道のスコッチ・シングルモルト、スコッチ・ブレンデッドのほかにもジャパニーズ、バーボン、アイリッシュ、カナディアンなど、実に多彩です。そして、それ以上にバラエティに富んださまざまな飲み方があり、それぞれの楽しみ方があります。

 

知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本 最新版』(監修・北村 聡/Gakken)は、「これからウイスキーを趣味にしたい」という人のために、その種類や銘柄などをわかりやすく解説した本です。一度は飲んでみたいあのボトルや知られざる銘酒まで、ウイスキーファン必見の内容です。

 

今回は本書より『知っておきたい大人のたしなみ バーの楽しみ方講座』について抜粋して紹介していきます。

空間を構成する一人として周りへの配慮を忘れずに

バーに立ち寄る目的は、お酒を飲むだけでなく、その空間を楽しむことにもある。誰もが心地良く感じられる空間というのは、店を切り盛りするバーテンダーの努力だけでなく、そこに居合わせたお客の気づかいもあって初めてでき上がるもの。周りへのリスペクトの気持ちを忘れずに、至福の時間を過ごしたい。

 

また、バーに来ているお客の中には、最高に楽しい気分の人もいれば、亡き人を思いながらお酒を飲む人、結婚記念日を祝う夫婦など実にさまざま。どんなお客が隣り合って座っていても、それぞれに合った接し方をしながらサービスをしてくれるのもプロのバーテンダーがいる店ならではだ。

 

特に「オーセンティックバー」といわれるタイプのバーには、お酒の知識や技術はもちろん、接客においても人の心に寄り添った細やかなおもてなしができるバーテンダーが揃っている。お酒を味わいながら、そんなバーテンダーとの会話を楽しむのも醍醐味のひとつなのだ。

 

「オーセンティックバー」とは?

銘酒を味わう本格的なバー。専門知識を持つバーテンダーがおり、静かな雰囲気の中でじっくりお酒を味わえる。少人数向き。一人あたり500 ~ 1500 円程度のチャージ料が必要。

バーの形態としては、他にホテル内のメインバーやラウンジ、大人数で音楽やスポーツ観戦なども楽しめるカジュアルバー、食事と一緒にお酒を飲むダイニングバーなどがある。

 

注文に迷ったらバーテンダーに相談を

バーに行った経験が少ないと、お酒の注文時に戸惑ってしまうこともあるかもれない。わかりやすく書かれたメニューがあればそこから好みのものをオーダーすれば良いが、バーテンダーに相談して作ってもらうこともできる。恥ずかしがらずに「初心者なので」と伝えよう。その場合もただ「おまかせで」のひと言だけで済ませないように。

 

好みの一杯に出会うためのオーダーのポイント

バーテンダーに相談するときは、どんなお酒が飲んでみたいのかをイメージし、具体的に言葉にして伝えよう。また味の好み以外にも、お酒に強いか弱いか、前の店ですでに飲んでいるのであれば現在の酔い具合なども併せて伝えておくとそれらを考慮して作ってくれる。下に具体的なオーダー例をまとめたので参考にしてみてほしい。

 

 

【information】

BAR 洋酒博物館
東京都中央区銀座6-9-13 中嶋ビル3階 ☎︎03-3571-8600
営業時間/18:00〜24:00  定休日/なし
ホームページ/https://r.gnavi.co.jp/g087600/ (楽天ぐるなび)

本書監修の北村氏がオーナーをつとめるバー。スコットランドや日本を中心に集められたウイスキーは実に1500 本以上。希少な年代物なども楽しむことができる。数々のカクテルコンクールでの優勝経験をもつ北村氏が作るカクテルも絶品だ。

 

【書籍紹介】

知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本 最新版

監修:北村 聡
発行:Gakken

大人なら知っておきたい。ウィスキー&シングルモルトの奥深き世界。BARでも家飲みでも役に立つ!基礎知識と本当の味わい方!

●全国のセブンイレブン、一部書店にて発売中

楽天koboで詳しく見る
Amazonで詳しく見る
7netで詳しく見る

プロのワンポイントアドバイス付き! ウイスキーの魅力を味わいつくす9通りの飲み方

一口にウイスキーといっても、王道のスコッチ・シングルモルト、スコッチ・ブレンデッドのほかにもジャパニーズ、バーボン、アイリッシュ、カナディアンなど、実に多彩です。そして、それ以上にバラエティに富んださまざまな飲み方があり、それぞれの楽しみ方があります。

 

知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本 最新版』(監修・北村 聡/Gakken)は、「これからウイスキーを趣味にしたい」という人のために、その種類や銘柄などをわかりやすく解説した本です。一度は飲んでみたいあのボトルや知られざる銘酒まで、ウイスキーファン必見の内容です。

 

今回は本書より『ウイスキーの魅力を味わいつくす9通りの飲み方』について抜粋して紹介していきます。

種類×飲み方でバリエーションは無限大

ウイスキーの大きな魅力のひとつは、何といっても飲み方のバリエーションが豊富なこと。ウイスキーは蒸留酒で、アルコール度数も40~60度と高い。旨味もアルコールも凝縮されているからこそ、水や他のお酒、炭酸飲料などを加えても味の幅がぶれにくいのだ。

 

ウイスキーを飲み慣れていればストレートでじっくり味わうのもいいし、まだ飲み始めたばかりの人であればハイボールやカクテルから楽しむこともできる。ウイスキーはどんな嗜好の人でも受け入れてくれる、実に懐の深いお酒といえるだろう。

 

お酒の中でも、ウイスキーはとりわけ銘柄数が多い。銘柄ごとの個性はもちろん、そこに飲み方の幅が広がれば、味わいのバリエーションは無限大に。ここでは、ウイスキーを存分に味わいつくすための9通りの飲み方を紹介しよう。

 

【バリエーション1】ストレート

まずは本来の味をじっくりと

ウイスキーは、主に3 ~ 30 年以上にわたって熟成されたお酒。味の完成度が高いため、まずは何も加えずストレートで。香りと味をしっかり感じることのできるシンプルなグラスで飲むのがいい。上級者向きの飲み方でもあるため、アルコールの刺激が強いと感じたら、水や氷を加えてみよう。

 

【レシピ】
■用意するもの
・お好みのウイスキー:30〜45ml
■作り方
1.低い位置からゆっくり注ぐ。

【ワンポイント】チェイサー(水)を合い間に飲むと、口直しと酔い防止になるのでおすすめです。

 

【バリエーション2】オン・ザ・ロック

グラスに響く氷の音を聞きながら味わう

グラスに大きな氷を入れて楽しむオン・ザ・ロック。氷が溶けていくにしたがい、だんだんとまろやかな味わいに。水分が加わって徐々にアルコール度数が弱まるため、ストレートでは飲みづらい人もぜひ試してほしい。

 

【レシピ】
■用意するもの
お好みのウイスキー:30〜45ml
・大きな氷:適量

■作り方
1. ロックグラスに大きな氷を入れる。
2. 氷をつたうようにウイスキーを注ぐ。

【ワンポイント】氷は天然水からつくられたものがおすすめ。大きな丸氷はお酒の専門店などで買うこともできます。

 

【バリエーション3】ハーフ・ロック

オン・ザ・ロックよりやさしい飲み心地

オン・ザ・ロックに冷やした天然水を加えて、より飲みやすくやさしい味わいにしたもの。氷と水以外は何も加えていないため、ウイスキー本来の味も楽しむことができる。

 

【レシピ】
■用意するもの
・お好みのウイスキー:30〜45ml
・冷やした天然水:30〜45ml
・氷:適量

■作り方
1. ロックグラスに氷を入れる。
2. 1にウイスキーと同量の天然水を加える。
3. マドラーで軽く混ぜ、ウイスキーと天然水をなじませる。

【ワンポイント】氷の大きさや量はお好みでOK。キリッと冷えたハーフ・ロックでウイスキーの味わいを堪能してみてください。

 

【バリエーション4】ミストスタイル

クラッシュアイスを使った爽やかな一杯

細かく砕いた氷(クラッシュアイス)を大きめのグラスに入れ、ウイスキーを注ぐ。少し時間をおくとグラスの周りに霧(ミスト)のような水滴がつくことから名付けられた。キンキンに冷えた一杯をいただこう。

 

【レシピ】
■用意するもの
・お好みのウイスキー:30〜45ml
・クラッシュアイス:適量

■作り方
1. ロックグラスにクラッシュアイスを入れる。
2. ウイスキーを注ぐ。
3. マドラーを2 〜3回だけ上下させる。
4. グラスにうっすら水滴がつくまで少しおく。

【ワンポイント】氷が細かく砕かれているぶんウイスキーとなじみやすいです。グラスに水滴がつき始めたら飲み頃。

 

【バリエーション5】トワイスアップ

ウイスキーと水を1:1で香りも豊かに

ウイスキーと天然水を1:1で割る、ブレンダー流の味わい方。アルコールが弱くなるぶん、複雑な香りを感じることができる。くびれた形のテイスティンググラスなら、香りがよりとどまりやすい。ウイスキー、天然水ともに常温のものを使用。

 

【レシピ】
■用意するもの
・お好みのウイスキー(常温):30ml
・天然水(常温):30ml

■作り方
1. グラスにウイスキーを注ぐ。
2. 常温の天然水を注ぐ。
3. バースプーンを1度だけ上下させてなじませる。

【ワンポイント】ウイスキーは水より比重が軽いので、ウイスキー、天然水の順に注ぎます。その後、柄の長いバースプーンで混ぜたらでき上がりです。

 

【バリエーション6】水割り

日本人に長く愛されるスタイル

ウイスキーに天然水を多めに注ぐスタイルで、昔から日本人に愛されてきた。特に日本のウイスキーは水割りに適した味に造られていることが多く、天然水を加えることでまろやかになり、食中酒としてもおすすめ。

 

【レシピ】
■用意するもの
・お好みのウイスキー:30〜45ml
・冷やした天然水:適量
・氷:適量

■作り方
1. タンブラーいっぱいに氷を入れ、ウイスキーを注ぐ。
2. 好みの濃さになるように、冷やした天然水を注ぐ。
3. バースプーンでよく混ぜる。

【ワンポイント】ウイスキーと天然水の割合は1:3 ~ 4 が目安。水を多く使うため、水の質ができ上がりに影響します。ウイスキーの味を損なわない国産のミネラルウォーターがおすすめ。

 

【バリエーション7】ハイボール

近年主流の爽やかな一杯

ウイスキーをソーダで割る飲み方で、近年は特に人気。氷と炭酸の刺激が心地良い爽快感を与えてくれる。力強い味わいのバーボンなどは特にマッチ。食中酒としてもおすすめで、揚げ物などと合わせると口の中をさっぱりしてくれる。

 

【レシピ】
■用意するもの
・お好みのウイスキー:30〜45ml
・冷やした炭酸水:適量
・氷:適量

■作り方
1. タンブラーに氷を入れる。
2. ウイスキーを注ぐ。
3. 炭酸水を静かに注ぐ。
4. バースプーンを1度だけ上下させてなじませる。
※炭酸水は氷に当たるとガスが抜けやすくなるため、グラスと氷のすき間をめがけて注ぎ入れると良い。

【ワンポイント】炭酸水(または天然水)を入れたグラスにウイスキーを浮かべるよう静かに入れる「ウイスキーフロート」は、上から下にかけて味の変化が楽しめるのでお試しあれ。

 

【バリエーション8】お湯割り

温かさと香りでホッとくつろげる一杯

ウイスキーは温めてもおいしさが発揮されるお酒。お湯で割れば体が温まり、豊かな香りでリラックスすることもできる。水割り同様に、日本のウイスキーなどが好相性。割るお湯の量や温度はお好みで。

 

【レシピ】
■用意するもの
・お好みのウイスキー:45ml
・お湯:適量

■作り方
1. グラスにウイスキーを注ぐ。
2. 香りが飛んでしまわないよう、お湯をゆっくりと注ぐ。
※グラスは持ち手のついた耐熱タイプのものがおすすめ。

【ワンポイント】ウイスキーのお湯割りを「 ホットウイスキー」と呼ぶことがあります。しかし、ホットウイスキーは店によってはシナモンやレモンなどを入れることがあるので、ここではお湯のみを使った飲み方は「お湯割り」としました。

 

【バリエーション9】カクテル

飲みやすく、自分好みの味にも使用

ウイスキーはアルコール度数が高く苦手意識がある人でも、ほかのお酒やジュースを加えたカクテルなら飲みやすくなる。ウイスキーを飲み始めたばかりの入門者にもおすすめ。ここでは、本書監修・北村聡の考案した人気のオリジナルカクテルのレシピをご紹介。

 

【タータンチェック】

スコッチウイスキーを使った色鮮やかなカクテル。マルティーニビターの赤とキュウリの緑で、スコットランドの民族衣装のタータンチェック柄に見立てた。スコッチウイスキーコンクールの優勝作品でもあり、カクテルの味わいとキュウリの爽やかな食感が絶妙に調和。

 

【レシピ】
■用意するもの
1. お好みのスコッチウイスキー:30ml
2. マルティーニビター(※カンパリでも可):20ml
3. レモンジュース:10ml
4. トニックウォーター:適量
5. キュウリ、カットレモン

■作り方
1 〜 3 をシェイクし、氷の入ったグラスに入れる。そこに4 を注ぎ入れ、5 を添えてでき上がり。

 

【竹鶴の伝説】

ニッカウヰスキー創業80 周年記念に依頼を受けて考案したカクテル。ウイスキー造りに生涯をかけた創業者の竹鶴政孝の“ 伝説” とも言える功績に敬意を表して創作した。ウイスキーのコクがありながらもさっぱりとした味わいが楽しめる。

 

【レシピ】
■用意するもの
1. 竹鶴ピュアモルト:30ml
2. アマレットリキュール:20ml
3. ジンジャーエール:適量
※「ウィルキンソン ジジャーエール(辛口)」がおすすめ
4. カットレモン

■作り方
1 と2を混ぜ、氷の入ったグラスに入れる。そこに3を注ぎ入れ、最後に4を添えてでき上がり。

【ワンポイント】使用するウイスキーはニッカウヰスキーのお好みのものを。「竹鶴ピュアモルト」の入手が難しい場合は、「ニッカ セッション」などもおすすめです。

 

 

【書籍紹介】

知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本 最新版

監修:北村 聡
発行:Gakken

大人なら知っておきたい。ウィスキー&シングルモルトの奥深き世界。BARでも家飲みでも役に立つ!基礎知識と本当の味わい方!

●全国のセブンイレブン、一部書店にて発売中

楽天koboで詳しく見る
Amazonで詳しく見る
7netで詳しく見る

ウイスキーの味の違いを知るためにはどうすればいい?−−『知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本 最新版』

一口にウイスキーといっても、王道のスコッチ・シングルモルト、スコッチ・ブレンデッドのほかにもジャパニーズ、バーボン、アイリッシュ、カナディアンなど、実に多彩です。そして、それ以上にバラエティに富んださまざまな飲み方があり、それぞれの楽しみ方があります。

 

知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本 最新版』(監修・北村 聡/Gakken)は、「これからウイスキーを趣味にしたい」という人のために、その種類や銘柄などをわかりやすく解説した本です。一度は飲んでみたいあのボトルや知られざる銘酒まで、ウイスキーファン必見の内容です。

 

今回は本書より『どう飲み比べると味の違いがわかる?』について抜粋して紹介していきます。

 

まずは飲んでみること。香りや味の違いを意識しよう

自分好みの一本を見つけるには、まずはいろいろなウイスキーを飲んでみるのが何よりの近道。毎回、下記のような飲み比べのテーマを決め、共通項を持ったウイスキーを数本ずつテイスティングしていくと、香りや味の違いがわかるように。自分の好みも徐々につかめるはずだ。

 

ブレンダーの作法を取り入れて試してみる

一つひとつの銘柄の、わずかに異なる味や香りを意識するには、毎日数多くの原酒をテイスティングしているブレンダーと同じ飲み方をしてみるのがおすすめ。テイスティングをする際には口のすぼまったテイスティンググラスにウイスキーと同量の水を加え、数回グラスを回して味わう。水を加えることでアルコールの刺激が消え、ウイスキー本来の味が引き出されるのだ。テイスティンググラスの形状には、香りが立ち上りやすくなるというメリットもある。

ストレートで飲むときは「色」「香り」「味」の3段階で味わおう

【色を見る】

グラスを光の当たるところに透かして見る。琥珀色の色合いから、味を想像してみよう。

 

【香りをかぐ】

グラスを軽く回して香りを立たせる。グラスを鼻に近づけすぎると刺激を感じるので、少し離してかいでみよう。

 

【味わう】

少量を口に含む。すぐに飲み込まずに口内で味わい、鼻に抜ける余韻に意識を向けてみよう。特に長期熟成の年代物はつくり手の精神や想い、年代、歴史などに思いを馳せ、時間をかけて大切に味わおう。

 

いろいろなテーマで飲み比べてみよう

1. 同じ「産地」の銘柄

国や地方など、ウイスキーの産地が同じであれば、味わいの特徴が似ていることも多い。「今日はスペイサイド地方のウイスキーで」「バーボンを2、3 本試してみよう」といった具合に、産地にテーマを絞ってみよう。

 

2. 同じ銘柄の「熟成年数」や「カスク」

ウイスキーは、同じ銘柄でいろいろなバリエーションが楽しめることも多い。例えば「12 年」「15 年」「18 年」と熟成年数の異なるものを飲んで比較したり、熟成に使われたカスク(樽)の違いを感じてみるのもいい。

 

3. 好きな飲み方から選ぶ

ストレートで飲むなら個性の強いもの、水割りで飲むならボディがしっかりしているものなど、好きな飲み方に合うウイスキーで比べてみるのも楽しい。

 

【書籍紹介】

知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本 最新版

監修:北村 聡
発行:Gakken

大人なら知っておきたい。ウィスキー&シングルモルトの奥深き世界。BARでも家飲みでも役に立つ!基礎知識と本当の味わい方!

●全国のセブンイレブン、一部書店にて発売中

楽天koboで詳しく見る
Amazonで詳しく見る
7netで詳しく見る

一冊で入門~最新事情も完全網羅!歴史も味も飲み方もわかる、バーテンダー監修のウイスキー本

世界五大ウイスキーのひとつに数えられ、いまや国内外で大人気のジャパニーズウイスキー。2023年には誕生100周年を迎え、GetNavi webでも特集“世界がラブコール! 100/101年目の「ジャパニーズウイスキー」”を企画しました。

 

エントリー層にもわかりやすい基本的な知識や、入手しやすいオススメ銘柄なども解説していますが、より広く深く簡単に網羅したいのであれば、書籍を一冊持っておくこともアリでしょう。

 

そこで紹介するのが2024年3月22日に発刊された『知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本 最新版』(監修・北村 聡/Gakken)。

 

進化するウイスキーの現在地がわかる最新ガイド

2024年も“日本のウイスキーの父”と称される竹鶴政孝が立ち上げたニッカウヰスキーが創業90周年を迎えるメモリアルイヤー。ジャパニーズウイスキーはますます盛り上がりをみせると同時に、毎年新たな蒸溜所が設立されるほどアップデートも顕著です。

 

本書は2024年発刊の「最新版」ですから、基本的な「ウイスキーのいろは」に加え最新情報も掲載。いわば、この一冊で業界の現在地がまるっと理解できるわけです。一方、2022年に刊行した『知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本』の改訂版でもあるわけですが、この2年間だけでもシーンの状況は劇的に進化しました。その過程を知るという意味では、2022年版を持っている人にもオススメできる一冊となっています。

 

実は日本に97も蒸溜所があるって知ってた?

特筆すべきは、冒頭の「ウイスキーの最新事情」。日本地図とともに全97の蒸溜所の場所が載っています。ウイスキーの味わいを左右する大きな条件のひとつが気候風土。その地名と場所が瞬時にわかるとともに、「このシングルモルトはこの蒸溜所だからこのような味で、だからあの銘柄とは味わいが違うんだなぁ」という理解にも、このマップが役立つはずです。

 

もちろん、ジャパニーズウイスキーだけではなく、スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアンと、本書には世界五大ウイスキーすべての国の代表銘柄も掲載されています。その数は日本も含めて全275銘柄と、十分な情報量といえるでしょう。

 

それぞれ、スコッチにはアイラやキャンベルタウンなど6大エリアがあったり、アイリッシュは3回蒸溜をするのが一般的(ほかの国のウイスキーは2回蒸溜が基本)だったり、アメリカンウイスキーのバーボンは新樽で熟成させるのが定義(他国のウイスキーは、そのバーボン熟成樽やシェリー酒樽、ワイン樽なども多用する)だったりと、各国の違いがわかりやすく解説されているのも、入門にはうれしいポイント。

 

また、昨今勢いを増す台湾、インド、オーストラリアのウイスキーも簡単に紹介されており、グローバルの最新事情もわかるようになっています。

 

積極的にモルトバーにも行こう!

監修しているのは、BAR「洋酒博物館」代表であり、数々のカクテルコンペで優勝経験を持つ一流バーテンダーの北村 聡氏。バーテンダーらしく「オーセンティックバーとは?」といったバーの知識や楽しみ方、基本を踏まえた9通りの飲み方紹介、また、おいしく飲むためのグラス解説などもあって、外でも家でもウイスキーを嗜むノウハウが満載。

 

用語集や基本をまとめたQ&A、ウイスキーの製法紹介、入門にオススメの超定番12本、好みの一本を見つけるコツなども抑えられていて、まさにエントリー層には最適な一冊です。全ページカラーであり、写真やイラストも豊富なので、活字ばかりで読み飽きるということもないでしょう。

 

なお、本書掲載の銘柄によっては「入手難度」のバロメーターとともに、「レア」となっているモノも少なくありません。それらはきっと、ネットで探すと非常に高値となっており、「買えないよ!」とつっこみたくなるかもしれませんが、それはあくまでもネットのハナシ。入手は難しくても、モルトバーに行けばそこまで高すぎない価格で飲めることもあります。

 

そんな経験も積極的にしていただきたい。それがただのコレクターではなく、真のウイスキーファンであると筆者は思います。990円と価格も手ごろ。ぜひ読んで飲んで、ウイスキーを“学”んで“研”究してみてください!

 

【書籍紹介】

知れば知るほどおいしい! ウイスキーを楽しむ本 最新版

監修:北村 聡
発行:Gakken

大人なら知っておきたい。ウィスキー&シングルモルトの奥深き世界。BARでも家飲みでも役に立つ!基礎知識と本当の味わい方!

●全国のセブンイレブン、一部書店にて発売中

楽天koboで詳しく見る
Amazonで詳しく見る
7netで詳しく見る

キリンウイスキー“陸”はなぜ売れている?2年連続前年比190%の売上、日高屋が413店舗に導入…支持が広がる背景にあったもの

※「2年連続前年比190%の売上」は、2021年と2022年/2022年と2023年の1月~12月出荷実績を比較

Sponsored by KIRIN

2022年から2年連続での前年比190%以上(※1)の売り上げを果たすなど今、大ヒットしている「キリンウイスキー 陸」。しかも、関東を中心に400店舗超を展開する日高屋が、この3月から413店舗で提供するハイボールに「陸」を採用したという。これら好調の背景には、いったい何が!? GetNavi webでもおなじみ、国内外のウイスキーに精通するフードアナリストの中山秀明氏が、その理由にさまざまな方向から迫った。

※1:2021年と2022年/2022年と2023年の1月~12月出荷実績を比較
↑日高屋の全国413店舗で提供するハイボールを「キリンウイスキー 陸」に切り替えた、ハイデイ日高の青野敬成(あおのひろしげ)社長にもインタビューを敢行。詳細は記事後半にて

 


※富士御殿場蒸溜所の原酒を主体に、厳選した輸入原酒を一部丁寧にブレンドしています。

キリン「キリンウイスキー 陸」
2020年5月に誕生した、キリングループの富士御殿場蒸溜所でつくられるブレンデッドウイスキー。同蒸溜所の多彩なグレーン原酒とモルト原酒を主体にブレンドした、ほのかな甘い香りと澄んだ口当たりのおいしさが楽しめる。「ノンチルフィルタード製法」を採用し、アルコール度数50%であることも特長。店頭で手に取りやすい500ml。

 

「ハイクオリティな味わいのフレンドリーなウイスキーです」(中山)

↑「キリンウイスキー 陸」。フルーティなフレーバーをじっくり楽しみたい

 

「キリンウイスキー 陸」は、スーパーやコンビニでも入手が可能。価格も手ごろながら、唯一無二の価値をもったウイスキーです。

 

なにより特筆すべき魅力が、品質の高さでしょう。製造拠点の「富士御殿場蒸溜所」では、富士の森林がつくる濃い霧と新鮮な空気に包まれたウイスキーづくりに理想的な環境のもと、約50年かけて磨かれた富士の伏流水をマザーウォーターとしてクリアな酒質が生み出されます。

 

また、「ノンチルフィルタード製法」を採用していることもオリジナリティのひとつ。これは、原酒由来の香味成分をより多く残す製法で、プレミアムなウイスキーではしばしばみられるもの。ただし、「キリンウイスキー 陸」と同クラスの価格帯ではほかにないと言っていいでしょう。

 

つまり、クオリティの高いおいしさを実現しながら、手に取りやすいフレンドリーな立ち位置にある稀有な存在が「キリンウイスキー 陸」なのです。

↑GetNaviお酒・グルメアドバイザーの中山秀明氏。フードアナリストの資格を持ち、内食・外食のトレンドに精通した食情報の専門家として取材・執筆をしている。ウイスキーに関する知識も豊富で、2023年には「富士御殿場蒸溜所」を訪れ生産現場を細部にわたって取材した

 

「いいウイスキーでつくるハイボールは格別!」(中山)

ここからは、あらためて「キリンウイスキー 陸」の味や香りを解説していきましょう。テイスティングは試飲した感想のほか、味覚構成要素を項目別に評価します。飲み方は、ロックはもちろん、食事との相性も抜群のハイボールで。

↑「キリンウイスキー 陸」を飲む際に、ぜひ試してほしいのがハイボール。「陸」1に対し、炭酸水を5の比率で割ると、アルコール度数が約8%のちょうどいいおいしさに

 

【陸の味わいレビュー】

・甘み
……ドライ□□□■□スイート
・ピートの香り
……ライトリー■□□□□へビリー
・香り(穀物系←→果実系)
……モルティ□□□■□フルーティ
・味わいのキャラクター
……端正□□□■□濃厚
・味のボリューム
……サイレント□□□■□ラウド
・香りのイメージ……黄桃、オレンジ、リンゴのようなほのかな甘い香り
・おもな熟成樽……アメリカンホワイトオーク
・おすすめの飲み方……ハイボール、ロック、ストレート、トワイスアップ
・合わせたい食事……焼き鳥、マルゲリータピザ、ガトーショコラ

 

↑原酒の味わいをよく知る中山氏が、今回はハイボールで評価した

 

グラスを傾けるだけで驚かされるのは、暖色の果実を思わせる甘くフルーティなエステル香の華やぎ。味わいはコク深く濃厚で、ボリュームも豊かです。それでいて、樽熟成の妙を感じさせるやわらかい口当たりが秀逸でエレガント。クリアな酒質は豊かな果実味を複層的に広げ、このレイヤー感は加水によっていっそう彩度が増していきます。

 

食事と一緒に楽しむなら、やはりハイボールがおすすめです。シュワッとした炭酸とともに立ち上る優雅な香味は、料理とのペアリングをより親密な関係に。いいウイスキーでつくったハイボールは格別においしいということを、強く実感させてくれます!

 

「品質が高い理由は、伏流水・匠の技・独自製法の3つ」(中山)

どのようにして、「キリンウイスキー 陸」のハイクオリティな味が生み出されているのでしょうか? その生産拠点である「富士御殿場蒸溜所」に取材で訪れた際の知見も踏まえながら、あらためておいしさの理由を紐解いていきましょう。

↑「陸」の製造拠点、キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所(静岡県御殿場市)。標高は600m強。年平均気温は13℃と冷涼であることに加え、年間を通して幾度となく霧が発生する、ウイスキー製造には最適な環境だ。※富士御殿場蒸溜所の原酒を主体に、厳選した輸入原酒を一部丁寧にブレンドしています

 

世界における日本の象徴でもある「富士」。この霊峰に降り積もる雪は、半世紀をかけて清らかな伏流水となり「富士御殿場蒸溜所」へ届きます。また、富士の山麓には雄大な森林に浄化された空気とともに、冷涼な気候と深い霧が同居。こうしたウイスキーづくりに最適な環境が、「キリンウイスキー 陸」の澄んだ味わいや甘い樽熟香を生み出します。

 

キリンのウイスキーは、匠の技術によってつくられていることも見逃せません。中心人物は、2017年に世界的なウイスキーアワード(IOW)で「マスターディスティラー/マスターブレンダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した田中城太氏。さらに田中氏は2022年に世界的なウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」認定の“Hall of Fame”を受賞し、ウイスキー殿堂入りとなりました。

↑左はマスターブレンダーの田中城太氏。世界的なウイスキーアワードで「マスターディスティラー/マスターブレンダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。次に述べるように、技術がたしかな匠たちが幾度も官能評価を行うことで、「キリンウイスキー 陸」の味わいを決定している

 

また、キリンのウイスキーづくりの技術的な特徴として挙げられるのが、単に“熟成年数が長いこと”を重視するのではなく、“原酒本来の持ち味が最もよく現れるタイミング”を重視してブレンドする考え方です。あらかじめ何年後にピークをもってくるのかを計算して仕込みを行い、官能評価も定期的に行うことで商品ごとにベストな熟成原酒を採用する……この巧みなブレンディングにより、「キリンウイスキー 陸」の好バランスな味わいが生み出されているのです。

 

そして、多くのウイスキーがアルコール度数40%台であるところ、50%と高いことも「キリンウイスキー 陸」ならではの特徴。その狙いは、熟成樽原酒本来の味わいを最大限に生かすことにあります。

 

一般的なウイスキー製造では、瓶詰め前に「冷却ろ過」という工程を行い、温度変化による白濁や澱が発生することを防ぐのですが、この白濁や澱はアルコールに溶け込んでいるウイスキーの香味成分に由来するため、できればより多く閉じ込めておきたいところ。そこで、冷却ろ過を行わず、アルコール度数を高めることで溶け込める香味成分の量を増やす「ノンチルフィルタード製法」を採用しているのが、「キリンウイスキー 陸」なのです。

↑「キリンウイスキー 陸」は冷却ろ過をしないので、香味成分が多く残る

 

↑富士御殿場蒸溜所では操業開始時から、アメリカンホワイトオークの樽を使用することにこだわっている。タンニンが少なく甘い香り、味わいの出るアメリカンホワイトオーク樽は、フルーティな香りを引き立て、富士御殿場蒸溜所が理想とするクリーン&エステリーな香味品質には欠かせない

 

「ちょい飲みの聖地、日高屋への採用が『陸』への信頼感を感じさせる」(中山)

おいしさに対する評価は食の業界でも高く、例えば有名チェーンの「日高屋」では、全国413店舗のハイボールを「キリンウイスキー 陸」に切り替えました。そこで、運営元のハイデイ日高・青野敬成社長に採用に至った経緯や味わいの感想、料理との相性などをうかがいました。

↑ハイデイ日高の青野社長。2024年4月3日にオープンした「日高屋 新橋日比谷口店」にて

 

「『日高屋』では陸ハイボールとして提供しております。導入させていただいた一番の理由は、やはりおいしさですね。また、お話をいただいた2023年は当社の50周年にあたるアニバーサリーでして、ちょうど富士御殿場蒸溜所も50周年。そして富士山の雪解け水が約50年をかけて伏流水になるというお話にも親和性を感じました」(青野社長)

 

では、その青野社長が絶賛するおいしさとは?

 

「『キリンウイスキー 陸』の魅力は、濃厚でいて澄んだ味香りと、フルーティで豊かな甘み。リッチなおいしさで、私としても『日高屋』で提供できることが非常に嬉しいです」(青野社長)

 

そのおいしさは、お客さんからも好評だとか。

 

「ハイボールを『キリンウイスキー 陸』に切り替えたこの3月以降は、ハイボールの提供が120%(※2)と、ドリンクメニューのなかで最も高い伸び率となりました。お客様からの声としては、口当たりがよく飲みやすいおいしさだという感想を特に多くいただいており、あらためて『キリンウイスキー 陸』の品質の良さを実感しています」(青野社長)

※2:2024年2月と3月の日高屋全店舗での杯数を比較
↑愛媛県出身。「らーめん日高」でのアルバイトを経て1999年にハイデイ日高へ入社。店長、スーパーバイザー、エリアマネージャーなどを経て、2022年5月に代表取締役社長に就任した

 

最後に、陸ハイボールとのペアリングにオススメのメニューを聞いてみることに。

 

「たくさんあるんですけど、一番のオススメは炒め物人気No.1でもある『ニラレバ炒め』ですね。味の決め手となっているオイスターソースのコクと甘みが、陸ハイボールと抜群に合うんですよ。ぜひ多くのお客様にお試しいただきたいです」(青野社長)

 

 

美しい水と緑にあふれる豊かな自然環境に育まれ、匠の技術でさらなるおいしさへと昇華、そして他に類をみない贅沢な製法でつくられる「キリンウイスキー 陸」。そのおいしさはウイスキー通をも驚かせ、リッチな味わいと品質の高さから、飲食店でも続々と採用されている。

 

晩酌にはもちろん、友人などと楽しむシーンや大切な人へのプレゼントにも、今選ぶべきリアルなウイスキーは「キリンウイスキー 陸」である。

 

 

写真/湯浅立志(Y2)[静物、青野社長]、GetNavi web編集部 [蒸溜所]

200年の伝統と進化を祝う『ザ・グレンリベット 12年 200周年記念 限定ボトル』1月22日(月)から数量限定発売!

ペルノ・リカール・ジャパンが展開するシングルモルトスコッチウイスキー「ザ・グレンリベット」は、1824年にスコットランドのスペイサイド地方で政府公認蒸留所第一号となって以来、“はじまりのシングルモルト”として世界中で愛されています。2024年、創設から200周年を迎え、この記念すべき年を祝う数量限定商品『ザ・グレンリベット 12年 200周年記念 限定ボトル』を2024年1月22日(月)から発売します(※1)。

【WEB製品ページ】
https://www.theglenlivet.jp/our-whisky/le-200th.html

 

200周年のために造られた特別な味わいのシングルモルトウイスキー

200年もの長きブランドの歴史を祝うために特別に造られた『ザ・グレンリベット 12年 200周年記念 限定ボトル』は、 100%ファーストフィル・アメリカンオーク樽で12年以上熟成されたシングルモルトウイスキーです。その味わいは、甘くフルーティーな香りの完璧なハーモニーの後に、ハチミツと爽やかなオレンジが口中に広がり、最後はバニラの余韻で締めくくられます。

 

また、パッケージもアニバーサリーに相応しく、世界42カ国のアーティストから応募されたデザインの中から選び出した特別なデザインです。「ザ・グレンリベット」の過去・現在・未来を、大胆かつ独創的な手法のイラストレーションで表現しています。

 

『ザ・グレンリベット 12年 200周年記念 限定ボトル』商品概要

発売日:2024年1月22日(月)(※1)

オープン価格 / 参考小売価格:8800円(税込)

アルコール度数:43度

 

(※1) 2024年1月22日(月)から出荷開始。数量限定につき、なくなり次第販売終了

ジャパニーズウイスキーの殿堂入り9本を飲み比べ! 覚えておくべき銘柄とその味わいは?

2023年は、ジャパニーズウイスキーのアニバーサリーイヤー。世界五大ウイスキーのひとつにも数えられますが、近年になってその評価はいっそう高まり、国際品評会で世界一に輝くことも珍しくありません。本特集記事では全4回にわたってジャパニーズウイスキーの魅力を解説。第3回は、代表的な銘柄とその味わいをお伝えします。

 

【関連記事】
ジャパニーズウイスキーとは。世界からの評価や5大ウイスキーにおける個性、伝説の銘柄などを解説

ブームから暗黒期、そして世界を牽引する時代へ。ジャパニーズウイスキーの100年間と、支えた7人のキーパーソンたち

↑比較的入手しやすい有名銘柄から、シングルモルトウイスキーとブレンデッドウイスキーを計9本紹介

 

蒸溜所の個性が表現されたシングルモルト

単一蒸溜所のモルト(大麦麦芽)原酒だけをブレンド(ヴァッテッド)したウイスキーがシングルモルト。土地の気候風土や、そこに湧く(流れる)マザーウォーター(仕込み水)の恵みが生きた、個性的な味わいが特徴です。

 

■ つつましい美麗。ザ・ジャパニーズウイスキー「山崎」

2023年のジャパニーズウイスキー100周年とは、サントリー山崎蒸溜所の建設着手から始まります。以来、山崎蒸溜所はいわばジャパニーズウイスキーのお手本となる味を生み出してきたパイオニアといえます。そんな同蒸溜所の魅力をめいっぱい堪能できる一本が、「シングルモルトウイスキー 山崎」ブランド。

↑熟成年などで様々なラインナップがありますが、基本的に入手困難。ただし左端のノンエイジであれば、モルトバーなどで飲む機会に恵まれることも

 

味の特徴は、甘く華やかで、繊細な余韻がエレガントな飲み心地にさせてくれる奥ゆかしい上品さ。そのつつましい美しさや力強さは、日本料理や日本画に通じるものがあると思います。

 

シングルモルトウイスキー 山崎(ノンエイジ、以下同)

ドライ ■■■■□ スイート

ライトリー ■□□□□ ヘビリー(ピート)

モルティ ■■■□□ フルーティ

ジェントル ■■■■□ ワイルド(ボディ)

香りのイメージ:いちご、さくらんぼ

主な熟成樽:ワイン樽、ミズナラ樽

 

■ 森林の恵みを感じる清々しいフィニッシュ「白州」

山崎蒸溜所の建設着手から半世紀後の1973年、山梨県北杜市に誕生したのが白州蒸溜所です。約82万平方メートル(東京ドームの約17倍)の広さがあり、海抜は約700メートル。敷地の多くが緑に抱かれ、白州の森にはバードサンクチュアリもあるという、世界的にも稀有なこの蒸溜所で生まれるのが「シングルモルトウイスキー 白州」ブランドです。

↑白州も山崎同様のラインナップ。左端のノンエイジは、比較的入手しやすくなっています

 

白州は、味わいにも雄大な森を彷彿とさせるグリーンなニュアンスが魅力。また、ピート(泥炭)を軽く焚いたモルトを一部に使った、軽やかなスモーキーフレーバーも特徴です。個人的には、キャンプ場で焚き火を囲みながら飲むウイスキーに最適な一本だと思います。

 

シングルモルトウイスキー 白州

ドライ ■■■□□ スイート

ライトリー ■■□□□ ヘビリー(ピート)

モルティ ■■■□□ フルーティ

ジェントル ■■■□□ ワイルド(ボディ)

香りのイメージ:すだち、ミント、青りんご

主な熟成樽:バーボン樽、ホッグスヘッド樽(バーボン樽を組みなおして成形するのが一般的。かつ、バーボン樽よりやや大きい)

 

■ スコッチへの憧憬が表現された重厚でスモーキーな「余市」

ジャパニーズウイスキー誕生前夜の1918年にスコットランドへウイスキー留学し、山崎蒸溜所の初代所長として設計や味づくりに携わり、その後ニッカウヰスキーを創業した竹鶴政孝氏。“日本のウイスキーの父”とも称される、氏のスコットランド愛は1934年に開設した北海道の余市蒸溜所で開花しました。

↑右がノンエイジの「シングルモルト余市」。なおニッカウヰスキーは2024年で創業90周年を迎え、左の「シングルモルト余市 アロマティックイースト」はその記念企画の一環として2022年に発売された限定品です

 

スコットランドの風土に最も近いとして選ばれた余市は、厳しくも豊かな大自然が力強い酒質を創出。なおかつ伝統的な石炭直火蒸溜を採用し、スモーキーなヘビリーピーテッドモルトで仕込んだその味は、まさにスコッチへの憧憬を日本の技とテロワールで表現した“アンサーウイスキー”となっています。

 

シングルモルト余市

ドライ ■■■□□ スイート

ライトリー ■■■□□ ヘビリー(ピート)

モルティ ■■□□□ フルーティ

ジェントル ■■■■□ ワイルド(ボディ)

香りのイメージ:オレンジ、オールスパイス、スモーキーなクリーム

主な熟成樽:バーボン樽、シェリー樽、新樽

 

■ 華やかな果実味が軽やかに躍動する「宮城峡」

ニッカウヰスキーが余市に次ぐ蒸溜所として、1969年に開設したのが宮城峡蒸溜所。仙台から北西に約25km離れた郊外の、2つの清流と緑豊かな渓谷がある場所に立地しています。求めたのは、余市とは異なる原酒の味わい。軽やかな香味成分を得られる蒸溜器を導入したり、間接的なスチーム加熱式の蒸溜方法を採用したりすることで、華やかでフルーティな酒質になることが宮城峡の特徴です。

↑左がノンエイジの「シングルモルト宮城峡」。右は余市同様の限定ボトルです

 

樽香をはらんだまろやかな甘やかさに導かれ、ふわりと顔を出すのがフルーティでフラワリーな心地よいフレーバー。かすかなピートが硬派な表情を演出する一方、シャープなキレは明るく爽快な余韻を演出します。

 

シングルモルト宮城峡

ドライ ■■■■□ スイート

ライトリー ■□□□□ ヘビリー(ピート)

モルティ ■■■■□ フルーティ

ジェントル ■■■□□ ワイルド(ボディ)

香りのイメージ:りんご、洋なし、バニラ、はちみつ

主な熟成樽:バーボン樽、シェリー樽、新樽

 

■ 霊峰の雫に甘香ばしい果実味が宿った「富士」

白州蒸溜所と同年の1973年に、アメリカとスコットランドの各企業と日本のキリンビールが3社共同で開設したのが富士御殿場蒸溜所(現在はキリンビールが単独運営)。霧深い富士山麓のなか、霊峰富士の伏流水で仕込むこと、また、熟成年数の長さ以上に原酒本来の持ち味が最もよく現れるピークのタイミングを重視する「マチュレーションピーク」という哲学でつくることも特徴です。

↑「キリン シングルモルト ジャパニーズウイスキー 富士」。生産体制が整い、2023年5月から通年発売となりました

 

味わいは、甘香ばしいクリーミーなタッチと、熟成感あふれるフルーティな香味が印象的。フラワリーな余韻が上品で心地よく、葛飾北斎が富士山をモチーフに描いた代表作「富嶽三十六景」で例えるなら、“赤富士”こと「凱風快晴」のようなパッションが感じられます。

 

キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士

ドライ ■■■□□ スイート

ライトリー ■□□□□ ヘビリー(ピート)

モルティ ■■■■□ フルーティ

ジェントル ■■■■□ ワイルド(ボディ)

香りのイメージ:りんご、パイナップル、オレンジ、はちみつ

主な熟成樽:バーボン樽、ビール樽、ワイン樽

 

調和の芸術がブレンデッドウイスキー

ブレンデッドウイスキーとは、個性の強いモルト原酒に、クセがおだやかなグレーン原酒(※)をブレンドした、好バランスな味のウイスキーのことをいいます。無限にある組み合わせのなかから、ブレンダーが知見と技と感性を駆使して調和させる、芸術品のようなウイスキーといえるでしょう。

※:大麦麦芽のほか、とうもろこしやライ麦などの穀物を原料に、連続式蒸溜器でつくる原酒のこと。

 

■ 花鳥風月が表現された美しきハーモニー「響」

サントリーが創業90周年を迎えた1989年に、それまでのウイスキーづくりの夢の結晶として生み出したのが「響」ブランド(「サントリーウイスキー 響 17年」)です。「人と自然と響きあう。」をコンセプトとし、日本の四季や精神文化を表現した味は海外でも多くの賞賛を集め、名実ともに日本を代表するブレンデッドウイスキーといえるでしょう。

↑100万樽以上から選ばれた多彩な原酒をブレンド。「サントリーウイスキー 響 17年」(休売中)の誕生から四半世紀後の2014年にデビューした「サントリーウイスキー 響 JAPANESE HARMONY」は、比較的に入手しやすい一本です

 

たくましく華やかな香味の先に感じる、繊細な艶やかさ。クリアな甘みの奥に潜む、香木的な複雑味。静と動、柔と剛がオーケストラのように響き合い、まさに美しいハーモニーを奏でます

 

サントリーウイスキー 響 JAPANESE HARMONY

ドライ ■■■■□ スイート

ライトリー ■□□□□ ヘビリー(ピート)

モルティ ■■■■□ フルーティ

ジェントル ■■■□□ ワイルド(ボディ)

香りのイメージ:バラ、ライチ、バニラ、オレンジ、はちみつ

キーモルトの主な熟成樽:ミズナラ樽、バーボン樽、シェリー樽

 

■ ニッカの情熱的な魂が調和したピュアモルト「竹鶴

次に紹介する「竹鶴ピュアモルト」は、ニッカが余市と宮城峡それぞれのモルト原酒のみをヴァッティングし、あえてグレーン原酒を使わずに仕上げたウイスキー。厳密にはブレンデッドウイスキーではないのですが、シングルモルトでもないのでこちらで紹介します。

↑ニッカウヰスキー創業者、竹鶴政孝氏の哲学をヴァッティングに反映した「竹鶴ピュアモルト」。モルトウイスキーでありながら、ブレンデッドウイスキーに匹敵するやわらかな酒質が表現されています

 

なめらかなタッチは実にスムース。口に含めば華やかな果実味と重厚なモルトの甘みが広がり、ピーティなキレのメリハリも絶妙です。かすかに華やぐ塩気を含んだスモーキーフレーバーが、どこかスコッチウイスキーのように端正な表情をみせるところも面白いです。

 

竹鶴ピュアモルト

ドライ ■■■□□ スイート

ライトリー ■■□□□ ヘビリー(ピート)

モルティ ■■■□□ フルーティ

ジェントル ■■□□□ ワイルド(ボディ)

香りのイメージ:りんご、杏、バニラ、バナナ

キーモルトの主な熟成樽:シェリー樽、リメード(新旧組み替え)のオーク樽

 

■ 多彩なグレーンが紡ぎ出す静と動の邂逅「富士」

富士御殿場蒸溜所の設備的な特徴といえば、3つの国の蒸溜機を使い分け多彩なグレーン原酒をつくっていること。ライトな酒質になるマルチカラム蒸溜器(スコットランド製)、ミディアムタイプのケトル蒸溜器(カナダ製)、ヘビータイプでバーボンづくりに頻用されるダブラー蒸溜器(アメリカ製)の3種で、ブレンデッドウイスキーも同蒸溜所ならではの一本となっています。

↑中央が「キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士」。単一蒸溜所のモルトウイスキーとグレーンウイスキーだけをブレンドしていることも珍しい特徴です

 

やわらかい口当たりのあとに続く、甘くフルーティで香り豊かな味わい。果実たっぷりの焼き菓子を感じさせる、ジューシーな余韻もたまりません。富士のシングルモルトが葛飾北斎の「凱風快晴」なら、こちらは“グレートウェーヴ”と称される「神奈川沖浪裏」のような動と静の調和があります。

 

キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士

ドライ ■■■□□ スイート

ライトリー ■□□□□ ヘビリー(ピート)

モルティ ■■■■□ フルーティ

ジェントル ■■□□□ ワイルド(ボディ)

香りのイメージ:桃、杏、オレンジ、はちみつ、ビスケット

キーモルトの主な熟成樽:バーボン樽、ビール樽、ワイン樽

 

■ 秩父とミズナラの個性が芯で華やぐ「イチローズモルト」

最後は、ジャパニーズウイスキーにおけるクラフト(マイクロ)ディスティラリーの先駆け、ベンチャーウイスキーの「イチローズモルト」。多くの銘柄は入手困難ですが、通称“ホワイトラベル”と称される「イチローズモルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキー」は比較的購入しやすい一本となっています。

 

なお、この商品は日本以外の国の原酒も使っているので厳密にはジャパニーズウイスキーではありませんが、クラフトウイスキーの入門にも非常にオススメであるため、ここで紹介しておきます。

↑中央が、ワールドブレンデッドウイスキーの名称になる前の“ホワイトラベル”。ボトルデザインはその名の通り、白いエチケットが特徴です

 

世界五大ウイスキーを使っていながらも、芯となるのは日本・秩父のモルト。寒暖差がきわめて激しい秩父のなかでも北東部、吉田~大田エリアの小高い丘の上に蒸溜所はあり、ここで生まれる原酒はミズナラの発酵槽や樽による、オリエンタルなニュアンスがひとつの特徴です。甘くどっしりとしたコクとともに華やぐ果実味と、ほんのりスパイシーな余韻はお見事。どんな飲み方でも楽しめます。

 

イチローズモルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキー(ホワイトラベル)

ドライ ■■■■□ スイート

ライトリー ■□□□□ ヘビリー(ピート)

モルティ ■■■□□ フルーティ

ジェントル ■■■□□ ワイルド(ボディ)

香りのイメージ:オレンジ、洋なし、はちみつ、香木、バニラ

キーモルトの主な熟成樽:ミズナラ

 

モルトバーやウイスキーが得意な酒販店へ行こう!

↑ウイスキーファンの聖地といえる酒販店「目白田中屋」。訪れれば、名物店主の栗林幸吉さんに会えるかもしれません

 

比較的入手しやすい有名銘柄を中心に紹介しましたが、身近な場所で飲むならウイスキーをメインに提供するモルトバーに行くのも有効的な方法です。また、昨今はクラフトディスティラリーも年々増加。これらはジャパニーズウイスキーを得意とする酒販店や地方の土産店などに行けば、現地の希少銘柄を入手できることもあるでしょう。次回は全4回のラスト。ジャパニーズウイスキーの飲み方について解説します。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

鰹節にヨーグルト…スコッチウイスキー「デュワーズ」×全国の特産物の新カクテルはどんな味?「Dewar’s Discovery Session 2023」がスタート

バカルディジャパンは、スコッチウイスキーブランド「デュワーズ」からデュワーズ15年をベースに6人のバーテンダーが、全国の食材や生産者、生産地との出会いをヒントに新たなカクテルを生み出す共創プロジェクト「Dewar’s Discovery Session 2023」をスタートさせる。同プロジェクトのスタートに先立ち、10月26日にはプレス向け発表会が開催された。ゲストに、大阪関西万博 催事企画プロデューサーの小橋賢児氏とプロジェクトに参画する6人のバーテンダーを迎え、デュワーズの魅力や全国を旅して出会った食材の魅力について語った。

 

デュワーズ15年とプレミアムラインのダブルダブル21年の試飲会もあったので、その深い味わいのレポートと合わせて紹介しよう。

 

時間と手間をかけた「ダブルエイジ製法」

↑「Dewar’s Discovery Session 2023」オリジナルカクテルのベースに使用されるのは、ブレンデッドスコッチウイスキーの「デュワーズ15年」

 

「デュワーズ」は、数種類のモルトウイスキーやグレーンウイスキーを掛け合わせたブレンデッドスコッチウイスキー。はじめて飲む人でも親しみやすい、なめらかな味わいは「ダブルエイジ製法」によって引き出される。

 

デュワーズのブランドマネージャーを務めるバカルディ ジャパンの李 坤龍(リー・コンヨン)氏は「デュワーズといえばダブルエイジ製法。これにより、どこまでもなめらかな味わいが生み出されます」と語った。

 

この「ダブルエイジ製法」とは樽熟成させた2種類のウイスキーをブレンドした後、さらに樽のなかで熟成させるというもの。手間と時間をかけたからこそ生まれるデュワーズならではの味わいは世界中で愛されており、今日まで1000を超える受賞歴を誇る。

 

「現在の『デュワーズ』は、7代目 マスターブレンダ―のステファニー・マクラウド氏によって味が決められていると言っても過言ではありません。彼女は、2019年から5年連続で、インターナショナル・ウイスキー・コンペティションで『マスターブレンダ―・オブ・ザ・イヤー』を受賞しています」(李氏)

 

そのほか、同ブランドの歴史やウイスキーの種類などにも触れ「5大ウイスキーと呼ばれるのは、スコッチ、アイリッシュ、カナディアン、アメリカン、ジャパニーズで、各産地によって味も見映えも変わってきます。スコッチウイスキーは、スムースながらしっかりとモルト感のあるウイスキーの味を楽しむことができます」と紹介した。

↑バカルディ ジャパンの李坤龍氏

 

「脳に浸らせてゆっくり飲みたい」。小橋賢児氏が語るウイスキーの楽しみ方

ゲストに迎えたのは、大阪関西万博 催事企画プロデューサーを務めるクリエイティブディレクターの小橋賢児氏。トークセッションでは、お酒と「新しい発見の旅」をテーマにトークがくり広げられた。数年間お酒を飲んでいなかった、と言う小橋氏。「お酒が出る交流の場で、人見知りを誤魔化すために飲むことが多かった。再開後は、いいものを味わって飲むようになったので、ウイスキーならロックやストレートで、じっくり脳から全身に浸らせて飲むっていう楽しみ方をしています」と、書斎などでアイデアを練るときなどにもウイスキーを楽しんでいることを教えてくれた。

 

そして、「新しい発見の旅」に対する質問では、「オーガニックにのめり込んだ時期に、デンマークを訪れました。当時日本では、オーガニックといえばストイックな印象がまだあった。それが、オーガニック先進国のデンマークでは、テクノミュージックが流れるレストランでもオーガニック食品が使われている。地球のためにできることを自然体でやっている姿が潔くて、その姿勢から学ぶべきところがあるなと思いました」と、語った。

 

世界に発信したい日本の食材についても質問された小橋氏は、醤油や味噌、納豆などの発酵食品を挙げた。

 

「海外の人が日本にはない意識で発酵食品に触れたとき、例えば納豆とお酒の組み合わせ、なんておもしろいものが出てくるかもしれないですよね」(小橋氏)

↑大阪関西万博 催事企画プロデューサーを務めるクリエイティブディレクター ・小橋賢児氏

 

実力派6人のバーテンダーが語る、「新しい発見の旅」で出会った食材の魅力

↑左から齋藤恵太氏、吉野優美氏、野村空人氏、李坤龍氏、 小橋賢児氏、中村敦氏、高宮裕輔氏、大場文武氏

 

続いて、同プロジェクトに参画するデュワーズとゆかりの深い6人のバーテンダーが登壇。日本各地を旅して発見した食材の魅力と、カクテル開発への思いが語られた。デュワーズについて、「LIQUID FACTORY」齋藤恵太氏は「昔から馴染みのあるブランドですが、日常的に使う機会は少なかった。最近はいいものを使おうという風潮が出て来たので、『15年』はカクテルでも使うようになりました」と語った。「THE BELLWOOD」吉野優美氏は「『21年』はそのまま飲んでひと息つくような飲み方がおすすめ。『15年』は、カクテルにしたときにより一層深みを感じられるのではないかと思います」とカクテルベースとしての可能性について述べた。「Quarter Room」野村空人氏は「『15年』の華やかな味わいをカクテル作りで上手く使っていきたいです。『21年』はゆっくりとロックで飲んで楽しめるウイスキーです」と、おすすめの飲み方についても教えてくれた。

 

6人が全国各地を旅して発見した食材は、はちみつ(東京都)、ヨーグルト(千葉県)、りんご(福島県)、サフラン(佐賀県)、きのこ(広島県)、かつお節(鹿児島県)。かつお節を選択した「TIGRATO」高宮裕輔氏は「間近で職人の技を見て、かつお節に対する考え方が変わった。作り手の魅力もカクテルを通じて届けていきたい」と意気込みを語った。「Unknown」大場文武氏が選んだのはヨーグルト。「アップサイクル系のヨーグルトでミルクがとてもおいしい。ヨーグルトの酸味はウイスキーにはないニュアンスでしたが、このヨーグルトならカクテルにしてもおいしいと思えました」と、新しい組み合わせへの好奇心を覗かせた。「BAR RAGE AOYAMA」中村敦氏は、選んだりんごに対して「りんごはお尻の部分の香りがとても強い。良い香りなんです。この香り高さを、カクテルでも表現していきたい」と、りんごの香り高さを引き出すカクテル作りへの意欲を語ってくれた。

↑「Dewar’s Discovery Session 2023」に参画する6人のバーテンダーが選んだ6つの食材

 

「Dewar’s Discovery Session 2023」のバーイベントは、11月3日(金)に「TIGRATO」からスタート。1週間ごとに各店舗でオリジナルカクテルが期間限定で提供中だ。また、12月15日(金)にはLongrain TOKYOにて、カクテルと同じ食材を使用した料理とともにオリジナルカクテルが提供されるファイナルイベントも開催される。いずれも詳細は特設サイトで確認できる。

↑各店舗のバーイベント開催日は「Dewar’s Discovery Session 2023」特設サイトで確認できる

 

複雑さが調和された深い味わいを試飲

同発表会では、「デュワーズ15年」と「ダブルダブル21年」の試飲会も開催された。まずは15年を、ストレート、ロック、ハイボールでそれぞれ試飲。口元に引き寄せると、まず、ハニーやキャラメルソースのようなこってりとした甘い香りが立ち上る。味わいは、南国フルーツやグリーンアップルのみずみずしさと爽やかさを感じた。この甘く華やかな味わいを存分に楽しみたい、という人にはやはりストレートかロックがおすすめだ。とはいえ、ハイボールでも香りや味わい、余韻が損なわれるわけではないので、強いお酒が苦手な人は、ぜひハイボールで楽しんでみてほしい。

↑左から、「デュワーズ15年」ストレート、ロック、ハイボール

 

21年は、15年以上になめらかな長い余韻と甘さを楽しむことができる。香りは「シナモンと完熟ぶどうの香り」と説明があった通り、スパイシーさも感じられた。甘さと複雑さが調和されたどっしりと深みのある味わいには上品さも。ストレートやロックで、美しい琥珀色のウイスキーを眺めながら、じっくりと味わう贅沢なひと時を過ごすのもよさそうだ。もちろんハイボールでも、上品な風味を楽しむことができる、特別な日に選びたいウイスキーだ。

↑左から、「ダブルダブル21年」ストレート、ロック

 

なめらかで深みのある味わいが魅力のデュワーズ。全国の特産品との組み合わせでは、どのような味覚の “新発見” ができるのか。この秋は、デュワーズオリジナルカクテルと共にいつもよりもちょっと贅沢なひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。

 

【フォトギャラリー(画像をタップするとご覧いただけます)】

ジャパニーズウイスキーとは。世界からの評価や5大ウイスキーにおける個性、伝説の銘柄などを解説

2023年に誕生から100年のアニバーサリーイヤーを迎えたジャパニーズウイスキー。よく“世界五大ウイスキー”のひとつに数えられますが、近年になってその世界的評価はいっそう高まり、国際品評会で世界一に輝くことも珍しくありません。

 

この特集記事では、全4回にわたってジャパニーズウイスキーにまつわる知っておきたい知識を解説。この第1回では、「ジャパニーズウイスキー」の定義や特徴など、基本的な要点を紹介します。

↑世界五大ウイスキーそれぞれの定義や特徴も解説

 

「ジャパニーズウイスキー」の定義制定は2021年。主な条件は?

ジャパニーズウイスキーとは読んで字の如く「日本のウイスキー」ですが、実は明確な定義があります。しかし、その制定は2021年と比較的最近。日本洋酒酒造組合により、消費者の適正な商品選択や、事業者間の公正な競争、品質の向上を目的に制定されました。主な条件を5つ挙げてみましょう。

 

1:原材料として麦芽は必ず使用し、日本国内で採取された水を使用すること

2:糖化、発酵、蒸溜は国内の蒸溜所で行うこと

3:原酒は700リットル以下の木樽に詰め、日本国内で3年以上貯蔵すること

4:日本国内で瓶詰めすること

5:充填時のアルコール度数は40%以上であること

 

例えば、海外産の原酒をブレンドまたはボトリングしたウイスキーは、日本で樽貯蔵や瓶詰めをしてもジャパニーズウイスキーとは名乗れないのです。

 

日本のウイスキーはスコッチが手本となった

ジャパニーズウイスキーの誕生は1923年。サントリーの前身にあたる寿屋が、山崎蒸溜所の建設に着手したのが始まりです。歴史については第2回で詳しく解説しますが、製法などに関する大きな特徴はスコッチウイスキーへのリスペクトが強いこと。

↑100周年を迎えた山崎蒸溜所。ロゴの横には「SINCE 1923」の一文も書かれています

 

これは、山崎蒸溜所の設計に携わり初代所長を務めた竹鶴政孝氏(のちのニッカウヰスキー創業者で、連続テレビ小説『マッサン』のモデル)が、スコットランドの蒸溜所でウイスキーの知見や技術を学んだことが強く関係しています。

 

■ 世界のウイスキーの6割を占める王者「スコッチ」

それでは、五大ウイスキーについても、それぞれ主な特徴を解説していきましょう。まずはスコッチウイスキーから。定義としては、水とイースト菌、それにモルト(大麦麦芽)などの穀物を使い、仕込みや蒸溜をスコットランドで行うこと、そして容量700リットル以下のオーク樽に詰め、スコットランドの倉庫で3年以上熟成させることなどが挙げられます。

↑販売数量世界一(「Impact Databank 2020」より※)のスコッチウイスキーブランドが「ジョニーウォーカー」

 

全世界のウイスキー消費量の約6割がスコッチウイスキーであるともいわれる、いわばウイスキーの王者。その魅力的な味は独自の風土に起因しています。原材料の大麦が豊富に収穫でき、熟成に向いた冷涼な気候、そして燻香に欠かせないピート(泥炭)にも恵まれた湿地帯であることなど、ウイスキーづくりに理想的な環境が整っています。

↑ピート。日本の産地としては、北海道が有名です

 

原材料やブレンドの有無などによって、「シングルモルト」「シングルグレーン」「ブレンデッド(ヴァッテド)モルト」「ブレンデッド(ヴァッテド)グレーン」「ブレンデッドウイスキー」の5種に分類されることも特徴です。

 

また、「アイラ」「アイランズ」「キャンベルタウン」「スペイサイド」「ハイランド」「ローランド」と6大産地に分けられ、ピートが効いたアイラ、優雅な香りのスペイサイドなど、地域ごとに風味のキャラクターが異なることもスコッチの魅力です。

↑“アイラモルトの王者”の異名をもつ「ラフロイグ」

 

■ モルティかつクリアな味わいの「アイリッシュ」

ウイスキー発祥地説をスコットランドと二分し、かつて世界一の生産量を誇ったのがアイリッシュウイスキーです。主な定義としては、穀物類を原料とし、麦芽に含まれる酵素によって糖化させて酵母で醗酵。木製樽に詰め、アイルランドまたは北アイルランドの倉庫で3年以上熟成させることです。

↑1608年創業といわれる、アイリッシュウイスキー最古の蒸溜所のひとつがブッシュミルズ蒸溜所。その代表銘柄が「ブッシュミルズ ブラックブッシュ」

 

分類としては、「シングル(ピュア)ポットスチルウイスキー」「モルトウイスキー」「グレーンウイスキー」「ブレンデッドウイスキー」の4種類。

 

なかでも伝統的なアイリッシュウイスキーといえるのが「シングル(ピュア)ポットスチルウイスキー」。モルトに未発芽の大麦やその他の穀物を原料とし、単式蒸溜機(ポットスチル)で3回蒸溜(他産地では2回が一般的)させます。こちらは穀物の風味が豊かかつ、雑味が少なくなめらかでクリアな味になることも特徴です。

 

香りが甘く力強い味わいの「アメリカン」

バーボンでもおなじみのアメリカンウイスキーですが、バーボンウイスキー=アメリカンウイスキーではなく、アメリカでつくられたウイスキーの総称が、字の如くアメリカンウイスキー。

↑スーパープレミアムバーボンとして名高い「ウッドフォードリザーブ」。毎年5月に開催される、権威あるケンタッキーダービーのオフィシャルバーボンとしても有名です

 

主な定義は、穀物類を原料とすること、アルコール度数40%以上で瓶詰めすることなどがありますが、最も特徴的な定義は、内側を焦がしたオーク材の新樽で熟成させること(ただしコーンウイスキーは不要)です。新樽熟成であるため香りが甘く豊かで、味わいが力強いこともアメリカンウイスキーの特徴といえるでしょう。

 

原料などによって種類も様々。「バーボンウイスキー(コーンを51%以上使うなど)」「コーンウイスキー(コーンを80%以上使うなど)」「ライウイスキー(ライ麦を51%以上使うなど)」があり、また、バーボンウイスキーと原料や製法はほぼ一緒でも、テネシー州産かつチャコール・メローイング製法(炭濾過工程)でつくられるものはテネシーウイスキーと呼ばれます(代表的な銘柄は「ジャック ダニエル」)。

↑テネシーウイスキーといえば「ジャック ダニエル」。2023年は缶入りカクテル「ジャックダニエル&コカ・コーラ」の日本発売でも話題になりました

華やぐ香りとライトな酒質の「カナディアン」

香り高く軽やかな味わいを特徴とするのが、カナディアンウイスキー。1776年のアメリカ独立宣言後、それを嫌った一部のイギリス系農民が五大湖周辺で穀物栽培を始めたことがきっかけといわれています。

↑カナディアンウイスキーの代表格が、「C.C.」の愛称で親しまれる「カナディアンクラブ」。写真の「カナディアンクラブ 20年」は良質のオーク樽に20年以上熟成させた、ふくよかなコクが特徴

 

定義は、穀物を原料に麦芽などで糖化し、酵母などによる発酵後に蒸溜すること。そのうえで700リットル以下の木製容器で3年以上熟成させ、糖化、蒸溜、熟成はカナダで行うことなどです。

 

主な種類は3つ。ライ麦、コーン、ライ麦モルト、大麦モルトを原料にアルコール分64〜75%程度で蒸溜した「フレーバリングウイスキー」。主原料にコーンを用い連続式蒸溜機でアルコール度数95%以下で蒸溜した「ベースウイスキー」。そして、この両者を1:9〜3:7の比率でブレンドした「カナディアンブレンデッドウイスキー」です。

 

優雅でたおやかな「ジャパニーズ」

ジャパニーズウイスキーの主な定義は前述した通りですが、スコッチに学びながら独自の進化を遂げ、多彩ではっきりとした四季が生み出す日本ならでの繊細かつ華やかな香り、たおやかな深み、美しい調和を感じられることが味わいの魅力といえます。

↑“日本の四季、日本人の繊細な感性、日本の匠の技を結集したウイスキー”がコンセプトのブレンデッドウイスキー「響」

 

分類は、「モルトウイスキー」「グレーンウイスキー」、その両者をブレンドした「ブレンデッドウイスキー」の3種。また、東アジアの代表的な樹種であるミズナラの樽を他国より積極的に使うことも特徴といえるでしょう。

右端のゴールドラベルがイチローズモルトの「ミズナラウッドリザーブ」。なお、ミズナラ樽は戦中戦後に洋樽の輸入が困難になったため、山崎蒸溜所が起用したことがきっかけといわれています
↑右端のゴールドラベルがイチローズモルトの「ミズナラウッドリザーブ」。なお、ミズナラ樽は戦中戦後に洋樽の輸入が困難になったため、山崎蒸溜所が起用したことがきっかけといわれています

 

躍進の“侍スピリッツ”、その理由は?

ジャパニーズウイスキーの歴史は五大ウイスキーのなかで最も浅いものの、近年、世界的な評価はきわめて高く、注目の的となっています。その最大の理由は、やはりおいしさ。実直に品質向上への飽くなき探求を続けていった結果、味のクオリティが高まっていったといえるでしょう。

 

自国におけるウイスキー文化の醸成とともに、飲み手の嗜好性も高くなったこと、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)が大きな起点と言われる食のグローバル化など、ジャパニーズウイスキーがおいしく進化した背景にはいくつかの事象がありますが、エポックメイキングな出来事のひとつは国産シングルモルトの誕生です。

↑1824年に英国政府公認蒸溜所の第1号となり、“はじまりのシングルモルト”として知られる「グレンリベット」。また、1963年に初めて世界に向けてシングルモルトを発売したブランドは「グレンフィディック」(創業は1887年)です

 

日本初のシングルモルトは、いまはなき軽井沢蒸留所(当時は三楽オーシャン<現・メルシャン>が運営)が1976年に発売した「軽井沢」。その後1983年のピークを境に日本のウイスキー消費量はダウントレンドになっていきますが、この受難の時代に生まれたのが1984年デビューの「サントリーシングルモルト山崎」(当時の名称は「サントリーピュアモルトウイスキー山崎」で、12年熟成)です。

↑「サントリーピュアモルトウイスキー山崎」が発売された当時の広告。“なにも足さない。なにも引かない。”がキャッチコピーでした

 

その後1989年には「シングルモルト余市」と「シングルモルト宮城峡」(ともに12年熟成)が、1994年には「サントリーシングルモルト白州」(当時の名称と熟成年数は山崎と同様)が誕生します。

 

加えて、1990年代後半から世界的にシングルモルトブームが到来。その根幹をたどると、1988年に当時の英国洋酒最大手、ユナイテッド・ディスティラリーズ社がシングルモルトコレクション「クラシック・モルトシリーズ」を発売したことがきっかけといわれています。

 

これによって、ブレンデッドウイスキーより希少なシングルモルトに注目が集まるとともにファンが増加。加えて2000年代以降にはインド、中国、台湾といった新興国が豊かになり始め、飲み手も急増していきます。こうして世界的に盛り上がるなか、日本のシングルモルトも着実にクオリティを高め、2003年にはISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ。世界でも権威ある酒類国際品評会)で「サントリーウイスキー山崎 12年」が日本で初めてウイスキー部門の金賞に。

↑山崎蒸溜所にある、山崎ウイスキー館にて

 

以降、ジャパニーズウイスキーは国際品評会の常連となり、2004年には「響 30年」が日本で初めてISCの最高賞にあたるトロフィーに輝いています(「響 30年」は2023年のISCでもトロフィーを受賞)。

 

具体的な論評例も紹介しましょう。ウイスキー評論の第一人者であるマイケル・ジャクソン氏はジャパニーズウイスキーの躍進をカリフォルニアワインに例え、「フランスにならったカリフォルニアワインのレベルは、本家を凌ぐレベルに達した。ジャパニーズウイスキーもしかりで、手本にしたスコッチを超えるほどの銘柄が生まれている」と賛辞を送っています。

 

先人から後進へと挑戦の大和魂を継承し、ともに成長

近年のムーブメントとしては、クラフトディスティラリーの躍進も見逃せません。そのパイオニアが2004年に創業し、蒸溜所を2007年に開設したベンチャーウイスキー(秩父蒸溜所。イチローズモルトで有名)です。同社が2005年に発売した「キング オブ ダイヤモンズ」は、創業間もない2007年に英国「ウイスキーマガジン」主宰のジャパニーズモルト特集で最高得点を獲得。以来、瞬く間に国際品評会の常連に。あらためて、ジャパニーズウイスキーの高い実力を世界に証明しました。

↑激レアなイチローズモルトのなかでも希少価値が高い、通称カードシリーズ。秩父蒸溜所にて

 

興味深いのは、ベンチャーウイスキーはときに先達に支えられながら成長し、その恩を返すかのように後進のサポートに積極的であること。こうした横のつながりも新興クラフトディスティラリーの励みとなり、高い志をもった蒸溜所が全国に続々誕生しています。

ベンチャーウイスキーの肥土伊知郎代表が公式に技術指導を行った蒸溜所が、北海道東部の厚岸(あっけし)蒸溜所。地元の風土を生かしつつ、アイラモルトのような酒質を目指した味は国内外で高い評価を得ています
↑ベンチャーウイスキーの肥土伊知郎代表が公式に技術指導を行った蒸溜所が、北海道東部の厚岸(あっけし)蒸溜所。地元の風土を生かしつつ、アイラモルトのような酒質を目指した味は国内外で高い評価を得ています

 

クラフトディスティラリー間の親交が深まるなか、日本でも積極的に行われるようになった取り組みのひとつが、蒸溜所同士の原酒交換です。スコッチでは伝統的だった文化ですが、コラボレーションはウイスキーファンにとってもうれしい話題といえるでしょう。また「ウイスキーフェスティバル」をはじめ、近年はイベントも盛んに行われるようになりました。

↑日本のクラフトディスティラリー同士で、初のコラボレーション商品を発売したのが富山の三郎丸蒸留所と、滋賀の長濱蒸溜所(写真。代表銘柄は「AMAHAGAN」)

 

ほかにも、原材料に米を用いたライスウイスキー(ライスグレーンウイスキー)が存在感を示したり、鋳造製ポットスチルを発明する蒸溜所(上記、三郎丸蒸留所)が現れたり、つくり手の増加は個性の多様化や日本独自の進化も促し、ますますジャパニーズウイスキーは面白くなっています。

 

次回は100年前の誕生から最新ムーブメントまで、ドラマチックで奥深い歴史を紹介します。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

右端のゴールドラベルがイチローズモルトの「ミズナラウッドリザーブ」。なお、ミズナラ樽は戦中戦後に洋樽の輸入が困難になったため、山崎蒸溜所が起用したことがきっかけといわれています 激レアなイチローズモルトのなかでも希少価値が高い、通称カードシリーズ。秩父蒸溜所にて ベンチャーウイスキーの肥土伊知郎代表が公式に技術指導を行った蒸溜所が、北海道東部の厚岸(あっけし)蒸溜所。地元の風土を生かしつつ、アイラモルトのような酒質を目指した味は国内外で高い評価を得ています

ジャパニーズウイスキー「白州」蒸溜所が50周年。現地取材でわかった見学ツアーの醍醐味と“森の蒸溜所”と呼ばれる理由

2023年はジャパニーズウイスキーが100周年を迎えて盛り上がっています。着工から100周年を迎えるサントリーの山崎蒸溜所と双璧をなす白州蒸溜所も、実は50>周年のアニバーサリー。施設のリニューアルが行われるとともに新たな見学ツアーの受付が始まりました。その概要や見どころを現地で取材してきたのでレポートしましょう。

↑山梨県北杜市にある白州蒸溜所。約82万平方メートル(東京ドームの約17倍)の広さがあり、その多くが森に囲まれています。写真は蒸溜棟のエントランス

 

白州は世界的にも稀有な蒸溜所

白州蒸溜所最大の特徴が、そのロケーション。海抜約700メートルの高さにあり、雄大な森に囲まれた立地は世界的にも珍しく、なおかつ敷地面積も実に広大。また、隣に「サントリー天然水 南アルプス白州工場」が設えられている(しかも無料で見学可能/事前予約制)という環境はきわめて希少といえるでしょう。

↑今秋新設された、ウイスキーと天然水、両工場のエントランスにあたるビジターセンターより。奥に見える山々は八ヶ岳です。なお「Sanctuary」(=聖域)とあるように、白州の森にはバードサンクチュアリがあることでも有名

 

「白州」とは、この蒸溜所のモルト原酒だけでつくられるシングルモルトウイスキーのこと。そもそもシングルモルトは、ブレンデッドウイスキー(モルトウイスキー原酒とグレーンウイスキー原酒をブレンドする)に比べて個性的な味が特徴で、その個性はいわば、“土地の個性”です。本記事のラストでテイスティングの模様をレポートしますが、この雄大な森をイメージさせる味わいこそ「白州」独自の個性であるといえます

↑ビジターセンターで存在感を発揮するのが、このジオラマ。手前が現在地とバードサンクチュアリ、中央部が蒸溜棟など、上部が樽の貯蔵庫や天然水の工場と、蒸溜所の全体像がわかるようになっています

 

なお、この先にあるのが見学エリアにあたる蒸溜所や天然水工場ですが、入場するには事前予約が必要となります。ただ、このビジターセンターまでは予約不要。旅行途中などにふらっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

↑ビジターセンターにはグッズなども充実。ウイスキーはありませんが、Tシャツ、グラス、おつまみなどが販売されています

 

ツアーは有料ながら金額以上の価値がある!

ここからは有料見学ツアーを紹介していきましょう。内容には希少な白州のテイスティングやオリジナルグラスの贈呈も含まれており、プライス以上の価値があることは間違いありません。ツアーは所要時間約90分で3000円(税込)の「白州蒸溜所 ものづくりツアー」と、約130分で5000円の「白州蒸溜所 ものづくりツアー プレミアム」を用意。ともにガイドが案内し、質問にも答えてくれます。

↑熟成中、樽からウイスキーが揮散して量が減っていく「天使の分け前(Angel’s share)」を解説するコーナー

 

「白州蒸溜所 ものづくりツアー」は、仕込槽、発酵槽、単式蒸溜器(ポットスチル)、樽の貯蔵庫など、製造の順を追って見学し、新設された「セントラルハウス」内のテイスティングルーム「バー 白州」で「サントリーシングルモルトウイスキー白州」と「白州森香るハイボール」のほか、希少なモルトウイスキー原酒も試飲できるという内容。

↑「セントラルハウス」には、より充実したギフトショップが併設。こちらには、「白州×スノーピーク」のチタンマグや、「響×バカラ」のロックグラスなどが販売されています

 

↑ギフトショップ。運がよければ「シングルモルトウイスキー白州」も購入できます

 
一方「白州蒸溜所 ものづくりツアー プレミアム」は、通常のツアーに加え、貯蔵庫内でのテイスティングや、これまで公開していなかったグレーンウイスキーの施設見学、樽詰め作業の見学などがプラス。また、テイスティングでは「白州12年」が試飲でき、グラスに加えグラスホルダーも持ち帰れます
 

五感で満喫できる見学ツアーの醍醐味

では、見学ツアーの一部を紹介しましょう。冒頭で触れた蒸溜棟に入ると、ウイスキーの原料を展示したコーナーが出迎えてくれます。その先には製造工程をプロジェクションマッピングとともに解説するコーナーとなり、ここだけでもつくり方の概要を学べます。

↑原料の展示では、麦芽は通常のタイプと、スモーキーな風味になるピーテッド麦芽が。そして、その燻香を生み出すピートも展示。このピートで麦芽を焚くと、ピーテッド麦芽になるのです

 

↑プロジェクションマッピングで解説される、仕込、発酵、蒸溜、貯蔵、ブレンドという流れ。その後、検査やボトリング、ラベリングなどを経て出荷されます

 

この発酵における白州蒸溜所の独自性は、すべて木桶を使っていること。木桶はステンレス槽に比べて洗浄や管理が大変ですが、保湿性の高い木を使うことで微生物がより活性化し、土地の個性が酒質にいっそう生かされるというメリットがあります。

↑ズラリと並ぶ木桶の発酵槽。この手前には麦芽と仕込水で麦汁をつくる巨大なマッシュタン(仕込槽。仕込釜や糖化槽とも)があります。室内には麦汁の甘い香りがぷんぷん漂います

 

↑木桶のなかで発酵される麦汁(もろみ)。発酵によりガスが泡立ってふくらむので、泡の勢いが強くなる発酵最終日(3日目)にはファンが回転して泡を打ち消します

 

■蒸留

お次は、蒸溜所のシンボルともいえる蒸溜室へ。ここにドーンと並ぶ巨大な釜がポットスチルと呼ばれる単式蒸溜器で、このなかにもろみを入れて蒸溜を行います。多彩な原酒をつくり分ける狙いがあるため、様々な形のポットスチルを使用することも特徴。

↑ポットスチルは銅製で、8基が対になった計16基が並んでいます。左の初溜釜でアルコール度数を20%程度まで上げ、さらに右の再溜釜で約70%まで濃度を高めていきます

 

■貯蔵(熟成)

そして、これまた見学のハイライトといえる、樽の貯蔵庫へ。見学できるのは巨大なラック式ですが、施設内には木製のラックで組み上げるダンネージ式という伝統的なウェアハウスもあります。

↑貯蔵庫。樽は大きさや材質も様々で、それらの違いがわかるように展示しているコーナーもあります

 

↑こちらは樽のリペアを紹介するコーナー。天面と底になる丸い部分が鏡板で、側面を形成する部分は側板(がわいた)、タガは帯鉄(おびてつ)といいます

 

ツアー参加しなくても場内見学を予約すれば博物館見学や有料試飲はOK

なお、有料ツアーに参加しなくても、前述の「セントラルハウス」やその横にある「ウイスキー博物館」は場内見学を予約(先着順)すれば無料で入館可能。また「セントラルハウス」内にはテイスティングラウンジがあり、ここでは「白州」ブランドをはじめ希少なウイスキーのテイスティングや、「サントリーシングルモルトウイスキー白州」と合わせたフードペアリングなどを楽しめます。

↑テイスティングラウンジは券売機で注文し、セルフサービスで気軽に楽しめます

 

↑ラウンジ内のカウンター。バックには緑生い茂る白州の森が広がります

 

「ウイスキー博物館」も学べる要素が満載。白州の歴史を映像や展示で知れるほか、日本初の本格ウイスキー「サントリーウイスキー(白札)」や、デビュー当時の「角瓶」「サントリーオールド」といった銘酒のボトルがズラリ。また、かつて稼働していたポットスチルやウイスキー樽なども展示されています。

↑「ウイスキー博物館」はサントリーの創業80周年を記念し、1979年に建設。シンボリックな屋根の形は、かつて山崎蒸溜所にあった麦芽乾燥塔「キルン」を模したものです

 

↑「白州」ブランドは、1994年に誕生。2024年で30周年を迎えます

 

バースプレイスで嗜む白州は森の妖精がくれた宝物

最後にあらためて、白州はどんな味わいなのかをテイスティングレビューとともにお伝えしましょう。まずは独自のレシピが存在する「白州 森香るハイボール」から。

↑「白州 森香るハイボール」

 

こちらは、仕上げに軽く叩いたミントの葉を入れることがポイントです。ほのかな甘みや酸味が浮かび上がり、やさしい燻香が調和します。まさにこの森を彩る若葉のような、心地いいフレッシュ感がたまりません。

 

そしてもう一杯は、今回の取材会で特別に提供された25年もの。これは香りからして堂々とした重厚感があり、赤身がかった琥珀色も円熟の極み! 干し柿やドライフルーツを思わせる果実味に、ダークチョコやバタースコッチのような深い甘みも印象的です。

↑「シングルモルトウイスキー白州25年」

 

濃密な甘さをフルーティーなニュアンスがエレガントに昇華。余韻にはスモーキーフレーバーをまとった果実味が長く続き、ひときわ贅沢な気分に。

 

世界的なシングルモルトブーム、ジャパニーズウイスキーブームによって「サントリーシングルモルトウイスキー白州」も人気ですが、それが、お膝元である白州蒸溜所の見学を予約すれば飲むことができます。アクセスはJR「小淵沢駅」から無料のシャトルバスも運行されているので、まずは公式サイトをチェックしてみてください。

↑博物館のすぐ近くには、2024年夏にオープンを控えるレストラン「フォレストテラス」が建設中

 

【PLACE DATA】

サントリー白州蒸溜所

住所:山梨県北杜市白州町鳥原2913-1
営業時間:9:30~16:30(最終入場16:00)
休館日:年末年始、工場
休業日(臨時休業あり)
アクセス:JR「小淵沢駅」から無料シャトルバスで約20分(運行していない時期、日程もあります)

https://www.suntory.co.jp/factory/hakushu/

撮影協力/松村広行

非公開部まで潜入! 操業50周年の「富士御殿場蒸溜所」でキリンのウイスキーづくりの真髄を見た

2023年4月に「キリンはウイスキーも凄いって知ってる?」という記事で、操業50周年を迎える富士御殿場蒸溜所について触れましたが、先日、現地取材を敢行。同蒸溜所では要予約の有料見学ツアーも開催されていますが、この記事ではそれ以上の内部情報や、ウイスキーづくりにまつわる裏話などもお届けします。

 

【関連記事】
キリンはウイスキーも凄いって知ってる? 50周年でいよいよ始まる攻めすぎ戦略が明らかに!

 

↑最寄りのJR御殿場駅。今年6月10日には、富士御殿場蒸溜所が寄贈したポットスチル(単式蒸留器)が設置されました。ここから無料シャトルバスも運行されているので、ぜひご利用を

 

富士御殿場蒸溜所の独自性とは? 見学ツアーで体験できること

富士御殿場蒸溜所は操業50周年の長い歴史を持っていますが、注目すべきポイントはその設備にあります。モルト原酒(大麦麦芽が原料)をつくるポットスチルはもちろん、グレーン原酒(原料は大麦麦芽に限らない)をつくる蒸留器も備えています。しかも、富士御殿場蒸溜所にはそのグレーン用蒸留器が3種も設置されており、これはきわめて珍しいことです(基本的には、あっても1種)。

↑一般的な連続式蒸留器(の一部)。「マルチカラム」と呼ばれるタイプで、軽やかな味わいのグレーン原酒を生み出します。他の2種は後述

 

ポットスチルとグレーン用蒸留器の併設だけでも珍しいのですが、さらに、仕込みから熟成、瓶詰めまでも一貫して実施するというのは世界的にも稀。こうした設備で、霊峰・富士の伏流水によるマザーウォーターからつくりだされるのが「富士」ブランドをはじめとする同社のウイスキーで、この味わいが国際的な高評価を受けているのです。

↑エントランスからシアタ―までの通路には様々なコンペで授賞したウイスキーが。例えば「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士」は、2022年11月にNYの洋酒コンペ(NYISC)でJapan Whiskey of the Yearを受賞しています

 

見学ツアーで体験できること

通常の見学ツアーでは、シアターの動画で概要を学び、ポットスチルを直接見学(グレーン用蒸留器は映像で見られます)。移動途中では、ウイスキーの原料となる麦芽やピート(後述)なども見られます。その後、多彩な原酒をつくり出すため2021年に新採用した木桶の発酵槽を見学し、パッケージングを行うラインへ。

↑ピート(泥炭)。こちらを焚いて麦芽を乾燥させることでスモーキーフレーバーが生まれますが、焚いた麦芽を使うかどうかは国や蒸溜所の考え方、銘柄などによって様々です

 

↑木桶の発酵槽は自生の乳酸菌が働くため、ステンレスタンクを使用して酵母のみで発酵させる製法とは異なった味わいになるのが特徴

 

最後は「キリン シングルグレーンウイスキー 富士」と「キリンウイスキー 陸」をテイスティング。限定ウイスキーや、オリジナルグッズを多数そろえるディスティラリーショップを経て、見学ツアーは終了という流れです。五感をフルに使って体験できる、充実した内容だといえるでしょう。

↑ディスティラリーショップ。こちらはツアーに参加していなくても自由に出入りでき、テイスティングコーナーでは蒸溜所限定販売ウイスキーなどを有料で試飲できます

 

普段は非公開の蒸溜所内部へ!

ここからは改めて、今回取材した内容について紹介していきましょう。まずはその雄大なロケーションから。特別に蒸留塔の5階展望台に案内いただき、ここが確かに富士山麓にある蒸溜所であることを確認。この日は猛暑でしたが、年平均気温は13℃と穏やかであることに加え、年間通して幾度となく霧が発生する、ウイスキー製造には最適な環境となっています。

↑夏は雲が多く、富士山の全景を観ることはなかなか難しいとか。ちなみに、蒸溜所が位置するのは標高600m強

 

一般見学者が入れる事務棟の屋上は634mで、東京スカイツリーと同じ高さです

 

モルト原酒は、前述したようにポットスチルによって生み出されます。ポットスチルとは一般的に初留用と再留用の2基を1セットで導入するもので、富士御殿場蒸溜所では計3セット6基が稼働。それぞれ大きさや形状が異なり、大きいタイプの1セットは操業開始時から稼働していたものを、老朽更新のため2023年に交換したものです。それもあって、稼働してまだ1か月程度のピカピカなポットスチルも目にすることができました。

↑右が新顔のポットスチルで、左はそれに先立ちに導入した小型のポットスチル。どちらも銅製かつ、メイドインジャパンです

 

次はいよいよ、“うまみ3兄弟”と呼称するほど多彩なグレーン原酒をつくりわけられる、世にも珍しい蒸留器が3基設置されているグレーン蒸留室へ。そのうちのひとつマルチカラム蒸留器(前述)は、蒸留室の2階から5階までを縦貫して設置されており、巨大すぎて近くからでは根元の一部しか視界に入りません。

↑グレーン蒸留室2階。マルチカラム蒸留器の根本の部分などが見えます

 

そして蒸留室1階にあるのが、特に珍しい2基。ミディアムタイプのグレーン原酒を生み出す「ケトル蒸留器」と、ヘビータイプのグレーン原酒を生み出す「ダブラー蒸留器」です。前者はカナディアンウイスキーの製造で、後者は主にアメリカのバーボン製造で使われる蒸留器です。

↑グレーン蒸留室1階。右がケトル蒸留器で、左がダブラー蒸留器

 

↑どちらにも「検定年月日 48.11.5」と書かれたパネルが。この48は昭和48年=1973年のことであり、つまり50年前ということです

 

樽熟成に関する設備もじっくり取材

ウイスキーに欠かせない樽熟成。この日はその一連の設備も見せてもらいました。まずは樽詰めの工程から。ここでは原酒の入った樽に栓をし、離れにある熟成庫に運ぶためトラックに乗せていきます。

↑樽の材質はほとんどがアメリカンホワイトオーク。満タンになった樽は1丁約250kgにもなるので、運ぶ際には慎重さが求められます

 

↑最終的な閉栓(樽の開口部に栓を木槌で打ち込んで密閉する作業)は高度な技術がいるため、職人が手作業で行っています

 

熟成を終えた樽は老朽化が激しくない限り再利用されますが、メンテナンスが欠かせません。そこで重要なのが、組み直しなどのリペア。ここでも専門の職人が目を光らせ、手作業で樽を再生させていました。

↑釘などを一切使わず、木とタガのみで密閉させる樽は熟練の技術がないと組めません

 

樽詰めとリペアスペースの先にあったのは、熟成された原酒を樽から出すダンプトローフというセクション。ここで栓を開けて原酒をダンプトローフ(原酒回収槽)に受け、タンクへ。空になった樽は点検と、必要に応じてリペアを行い再び新たな原酒を迎え入れるのです。

↑ダンプトローフにて。右下の方は、富士御殿場蒸溜所 洋酒生産部の長藤健太部長代理。

 

↑上の写真で長藤さんの腕の下に見えていた黒く細かな木片は、樽の内側から剥がれ落ちた炭(樽の内側を焦がすことで、バニラなどの甘香ばしいフレーバーが生まれる)です

 

さて、蒸溜所の取材レポートと聞いてイメージするものといえば、ポットスチルと熟成庫でしょう。もちろん熟成庫も見させてもらいました。しかも、新旧大小3か所も。まずは70年代に建てたという、同蒸溜所で最古のNo.4熟成庫へ。ここでは数万の樽を保管し、熟成を進めているとのこと。

↑No.4熟成庫。さすが外観からも年季が入っていることがうかがえます

 

↑No.4熟成庫は圧巻のスケール! なお、ここに眠る最古の樽は70年代後半モノとのこと

 

次に見せてもらったのは、2021年に建て直して新しく生まれ変わった、自動ラック式のNo.3熟成庫(No.1と2は現存せず)。ここでも数万の樽を熟成させることができます。

↑No.3熟成庫はより巨大。コンピューターを駆使して管理されているのも特徴です

 

もちろん、古典的なダンネージ式(木のレールを介して樽を段積みする方式)の熟成庫もあります。それが最後に入ったNo.7熟成庫。ダンネージ式は高層ラック式ほど多くの樽を保管することはできませんが、形や大きさの異なる樽を保管することができるため、試験的にいろいろな樽を扱えるなどのメリットがあります。

↑こちらがダンネージ式。No.7熟成庫は比較的新しく、貯蔵スペースにもまだ余裕があるとのことでした

 

↑熟成庫の奥には、かつて使っていた試験蒸留用の小さなポットスチルも

 

ここではなんと、運よく原酒の試飲体験も。味わったのは、2013年に樽詰めしたグレーン。加水していない、アルコール度数53%の原酒でしたがカドは一切なく、味わいはスムースで伸びやか。

↑普通は出回らない、ここだけの希少なシングルグレーン。ありがたや~

 

スコッチウイスキーの世界では、グレーン原酒はモルトの個性をやわらげ飲みやすいブレンデッドウイスキーをつくる引き立て役に思われがち(スコッチにおいては、モルトを“ラウドスピリッツ”、グレーンを“サイレントスピリッツ”と表現することも)ですが、この味はもはや主役の存在感。富士御殿場蒸溜所の底力に圧倒されました。

↑異なるライトタイプの樽出しグレーンも嗜む程度にテイスティング。こちらはさらに強いアルコール度数63%でしたが、甘い余韻が長くて心地よく、実にラウドな味わいでした

 

なお、樽熟成に関しては「マチュレーションピーク」という哲学で行っていることも、富士御殿場蒸溜所ならではです。これは、単に“熟成年数が長いこと”を重視するのではなく、“原酒本来の持ち味が最もよく現れるピークのタイミング”を重視してブレンドする考え方。あらかじめ何年後にピークをもってくるのかを計算して仕込みを行い、官能評価も定期的に行っています。

 

50年前の原酒を使った限定ウイスキーの味

蒸溜所内の各現場を取材した最後は、再び事務棟へ。待っていたのは、実際に商品化されている様々なウイスキーのテイスティング体験でした。

↑計5種のウイスキーを飲み比べ

 

まずは、デイリーウイスキーに最適な「キリンウイスキー 陸」。ほのかな甘い香りと澄んだ口当たりが特徴であるほか、同価格帯のグレードでは珍しいノンチルフィルタード製法(冷却ろ過をしないので原酒本来の味が凝縮)を採用し、アルコール度数は50%という個性派です。

↑ストレートやロックはもちろん、ハイボールにも。「キリンウイスキー 陸」1に対し炭酸水5がオススメです

 

次は「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士」。前述したグレーン原酒のみをヴァッティング(同種類のウイスキー原酒を混ぜ合わせること)した一本で、優しくほんのりとした甘さ、伽羅(きゃら)などの香木を思わせるアロマ、ウッディでスパイシーな余韻が特徴です。

↑「キリン シングルグレーンウイスキー 富士」は、ラストに伸びるマスカットのような果実味が印象的でした

 

続いて、「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」、「キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士」と試飲。前者はりんごや洋なしのような果実味とモルティな香ばしさ、後者はアプリコットやはちみつを思わせる甘やかなフレーバーとバニラのニュアンスを強く感じました。

↑「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」は、今年5月に発売となった、待望の通年シングルモルト。とろりとした口当たりや、甘く複雑で熟成感あふれる香味が魅力です

 

最後は、数量限定で瞬く間に完売した「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士 50th Anniversary Edition」を特別にテイスティング。こちらは操業開始の1973年ものをはじめ、1970年代から2010年代まで各時代の原酒をヴァッティングした希少酒です。味わいは、熟したパイナップル、キャラメル、チョコレートといった多彩でコク深い果実味や甘みが、ほのかなピート香と調和した複雑かつ優美なハーモニー。

↑「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士 50th Anniversary Edition」は5月23日にディスティラリーショップとキリン公式ECサイト(DRINX)で発売されましたがすぐに完売(DRINXでは抽選販売)。蒸溜所ではディスティラリーショップで同商品を購入しようと、当日早朝から300人ほど行列ができたとか

 

キリンディスティラリー社長が語る、これまでとこれから

テイスティング後は、キリンディスティラリーの押田明成社長も登壇。50周年を迎えた思いや、展望についても語ってくれました。

↑押田明成代表取締役社長。富士御殿場蒸溜所の工場長も兼任しています

 

「日本のウイスキー市場は1983年のピークから徐々に冬の時代を迎え、1990年代から2000年代後期のハイボールブームになるまでほぼ右肩下がりが続きました。私の入社はその最中の1994年。ウイスキーをつくりたくて猛勉強して入社したのですが、当初はずっと清涼飲料や酎ハイをメインにつくっていました。『もう、胸を張ってウイスキーをつくることはないんだな』とも思いましたね。

 

ところが、いまでは風向きが変わり、日本のウイスキーは国内外で高い人気を集めるほど復活を遂げています。私もウイスキーづくりにまい進できるようになりました。私たちの強みは、仕込みから熟成、ボトリングまで“オール富士”であること。世界に誇る富士の大自然と、マスターブレンダーの田中城太をはじめとする一流のクラフトマンが揃っています。ぜひ世界中の方々に知っていただくとともに、クリーンでエステリーな味を堪能いただけたらと思います」(押田社長)

↑いずれもエステリーな味わいをもつ、富士御殿場蒸溜所でつくられる商品の数々。エステリーとは、果実や花を連想させる、華やかで甘い香味のこと

 

富士御殿場蒸溜所が目指すウイスキーは「クリーン&エステリー」と表現されます。それは、世界のウイスキーづくりの技術と日本人の感性をかけ合わせ、スコッチでもバーボンでもない、日本人の嗜好や食文化に合う味わい。ここに来れば、よりその魅力を五感で体験できるでしょう。

 

【施設概要】

キリンディスティラリー 富士御殿場蒸溜所

住所:静岡県御殿場市柴怒田970
休館日:月曜(祝日の場合は営業、次の平日が休館)、設備点検日、年末年始
アクセス:JR御殿場駅から無料シャトルバスで約20分

海が育んだスコッチ「タリスカー」は燻香と潮の香り漂うオンリーワンのウイスキーだ

世界的なウイスキーブームをけん引する、スコッチのシングルモルト。スモーキーな銘柄が多いアイラ島や、華やかな香味の名酒が揃う”スペイサイド”(ハイランド北東部のスペイ川流域)など、魅力的な6大産地のなかから、今回紹介するのは”アイランズ”の至宝「タリスカー」です。

↑1830年、日本では幕末を迎えた時代に誕生した「タリスカー」。定番がこの「タリスカー10年」で、参考小売価格は5850円(税別)

 

この記事では、同ブランドの限定商品発売に伴うテイスティングセミナーの様子とともに、ブランドの特徴や味わいなどをレポートしていきます。

 

アイランズのスカイ島が生んだ“酒の王者”「タリスカー」

スコッチ6大産地のひとつであるアイランズ(Islands)は、アイラ(Islay)島を除くスコットランドの北岸から西岸にかけて点在する6つの島々の総称。各島で環境が異なるため酒質の個性も様々で、アイランズモルトの全体的な特徴を語るのは難しいのですが、この多彩さこそがアイランズらしさだといえるでしょう。

 

そのなかでもミストアイランド(霧の島)と呼ばれ、荒天時には風も海も激しさを増す海洋性気候の島がスカイ島。このスカイはSky(空)ではなくSkyeと書き、ゲール語で「翼の(形をした)島」、あるいはヴァイキングが使っていた古ノルド語の「雲の島」が由来という説もあります。

↑絶えず海からの潮風に吹かれ続けるスカイ島。実にファンタジックでかっこいい名前ですよね

 

そんな同島において最も歴史が長いウイスキーの聖地が、タリスカー蒸溜所。ロッホ・ハーポートと呼ばれる入り江にあり、「TALISKER」と書かれた白亜の壁面と紺碧の屋根のコントラストが特徴です。

↑タリスカー蒸溜所。なお「Talisker(タリスカー)」とは、古ノルド語で「傾いた大岩」を意味する「Thalas Gair」が由来だといわれています

 

荒々しい海と共存し、雄大な自然と対話し続けてきた「タリスカー」のコンセプトは「MADE BY THE SEA」。表現されるテイストも海を感じさせる世界観で、ほんのりただよう潮の香り、ふくよかな甘みと力強いスモーキーさ、そして黒胡椒を思わせるスパイシーな余韻が特徴と評されます。

↑蒸溜所では形状の異なるポットスチルを計5基使用。ラインパイプの形や蒸気の冷却法などに独自の機構が採用されているのも特徴です

 

こうした味わいの魅力は、『宝島』や『ジキル博士とハイド氏』で知られる英国の文豪・スティーブンソンが”KING OF DRINKS(酒の王者)“と称賛したほど。筆者もあらためて、定番の10年からテイスティングさせてもらいました。

 

味わえばわかる、独自の個性と説得力のあるおいしさ

香りは、甘くエレガントなタッチのあとにビターオレンジのような柑橘感、そしてたくましい燻香と潮風のようにブルージーなニュアンスが印象的。口に含むとモルトの力強い味わいとスモーキーな風味が押し寄せ、かすかにスパイシーなフレーバーも。ワイルドな個性がはっきりしていながらもマニアックにはならない、説得力のあるおいしさです。

↑アルコール度数は45.8%と比較的高め。少量の水を加えると、フルーティーな香味が開いていっそう優雅に

 

この独特なエレガンスをより感じるなら、仕上げに粗挽きの黒胡椒をあしらうスパイシーハイボールがオススメ。ピリッとしたキャラクターがくっきりと立ち、甘香ばしい個性を存分に楽しめます。

↑スパイシーハイボールも美味。ペアリングは海の幸なら燻製のカキやサーモン、肉料理なら炭焼きのラムやビーフなどを塩味でいただくとバッチリ合うと思います

 

今回のセミナーの主役は、2023年8月23日から数量限定で発売されている「タリスカー 11年」。こちらは、ただの11年ものというわけではありません。極少量の希少な原酒を採用し、さらにカスクストレングス(加水をせず、樽出しそのままのアルコール度数)でボトリングされているため、アルコール度数55.1%と力強い厚みに仕上がっています。

↑「タリスカー 11年」。1万5000円(税別)で、ボトルにはかつて蒸溜所近くの海が激しく荒れたとき、深海から現れ魅惑的な光で暗闇を照らしたとされる伝説の巨大クラゲが描かれています。じつは、伝説をテーマとした企画は今回が第2弾で、2022年の第1弾では海の聖獣・リヴァイアサンをモチーフにした「タリスカー 8年」が発売されました

 

また、ファーストフィル(初のスコッチ熟成に使う。セカンドフィルやサードフィルよりも樽の影響が強い)のアメリカンオーク樽を主に熟成させた、ボリューミーな香りも特徴となっています。こちらも味わってみました。

 

「タリスカー 11年」はカスクストレングスらしいボディの重厚感があり、それでいてトゲはなくスムース。ドライアップルのような上品な甘みと、心地よいスモーキーフレーバーが調和し、潮や黒胡椒のタッチも感じます。モルティでリッチなニュアンスも長く続き、実に贅沢な気分に。海が見えるロケーションで飲んだら最高ではないでしょうか。

 

「11年って珍しくない?」その理由を訊いた

セミナーでは「ご自由に質問を!」とのことで、聞いてみました。ひとつは、エイジングの期間としてはなかなか珍しい11年熟成にした理由について。なおウイスキーにおけるエイジドは、11年の場合最も若い原酒が11年ものであるという意味です。

↑解説してくれたのは、MHDシングルモルト アンバサダーであり、ウイスキー文化研究所認定のウイスキーエキスパートのロバート・ストックウェル(通称ボブ)さん

 

「11年となった一番の理由は、10年よりもう少し厚みがほしかった、でも12年までいってしまうと過剰熟成になってしまう懸念があったからです。その点ではタリスカーらしさも重視しました。独自の輝きを、樽の個性でマスクしないように調整した最適解が11年だったということですね」(ボブさん)

 

質問はもうひとつ。カスクストレングスにした狙いについても聞きました。

 

「スペシャルリリースでは、以前からカスクストレングスを採用しています。やはりカスクストレングスは原酒の個性をダイレクト表現できますし、価値も高いですから。また、ストレートはもちろん加水したりハイボールにしたりといった多様的な飲み方をより試しやすいとも思うんですよね。好みに合わせた楽しみ方を探っていただきたいと考えています」(ボブさん)

 

なお「タリスカー」はほかにも限定商品をリリースしており、2023年の9月には「タリスカー ワイルダー・シーズ」が登場。こちらは同ブランドの海洋保護パートナーであるPARLEYとコラボレーションしたモデルで、1本購入されるごとに「タリスカー」がPARLEYに3ポンド(約500円)を寄付し、直接的に海洋保護活動が支援できるモデルです。

↑「タリスカー ワイルダー・シーズ」は9900円(税別)で、アルコール度数48.6%。クリーンな第二世代バイオディーゼル燃料で製造した、100%リサイクル可能なボトルを採用していることもポイントです

 

9月22日から3日間、六本木ヒルズで開催された限定イベントで日本初お披露目となった本商品。「タリスカー」で初めてフレンチオークのXOコニャック樽で熟成させていることが特徴です。

↑こちらもテイスティングしてみました

 

香りは、干しぶどうや洋なしを思わせる甘やかなアロマが感じられ、芯のある堂々としたスモーキーフレーバーと調和。はちみつを用いたビスケットのような香ばしい甘みも印象的で、このたくましいエレガンスはさすが「タリスカー」です。

 

あらためて実感するのは、「タリスカー」は唯一無二の存在であるということ。荒々しい環境のスカイ島のなかでも海の影響を直接受けやすい場所に蒸溜所があり、だからこそ潮の香りやスパイシーなニュアンスが個性として光るウイスキー。海を愛するお酒好きの人には、特に知ってほしい名酒です。

サントリー山崎蒸溜所リニューアルオープン!2種の新見学ツアーも展開

11月1日(水)から、リニューアルされたサントリー山崎蒸溜所が一般公開されます。

山崎蒸溜所は、1923年に日本初の本格的なモルトウイスキー蒸溜所として建設に着手しました。京都の南西、天王山の麓、四季の移ろい豊かな自然に抱かれ、万葉の歌にも詠まれるほどの名水の里に立地し、桂川・宇治川・木津川が合流する地形によるウイスキーの熟成に適した湿潤な環境で、さまざまな発酵槽・蒸溜釜・熟成樽を使い分けながら、日本のウイスキーならではの多彩な原酒を生み出し続けています。

 

今回のリニューアルでは、山崎蒸溜所ならではの魅力をよりいっそう体感できる新たな施設展示や見学ツアーを展開します。

※山崎蒸溜所の一角にある品質研究・技術開発用の小型蒸溜施設

 

施設のリニューアルについて

■エントランス

100周年を迎える新たな山崎蒸溜所の装いとして、エントランス部分をはじめとした敷地内に自然との調和を表現した“杜”を形成するため、周辺エリアの島本町や大山崎町の山林地に生育する草木などを植栽し緑地化。蒸溜釜の銅素材を再利用した門をくぐり抜け、山崎の“杜”ならではのどこか神秘性も感じられる空気感を味わいながら、見学ツアーや場内見学の新たな受付となる山崎ウイスキー館へのアプローチを楽しめます。

 

■山崎ウイスキー館

《館内展示》

山崎蒸溜所の敷地内に操業当時より残る建造物である山崎ウイスキー館。その歴史ある建物ならではの内観として、創業者・鳥井信治郎から続くサントリーウイスキーのものづくりの継承と革新の訴求をより強化し、山崎蒸溜所での多彩な原酒のつくり分けと、長期熟成に耐えうる原酒のつくり込みについての展示を充実させました。

 

《テイスティングラウンジ》

山崎蒸溜所でつくられた多彩な原酒ボトルに囲まれる空間で、サントリーシングルモルトウイスキー「山崎」ブランドをはじめとしたサントリーウイスキーの各ブランドや、この場所でしか味わえない原酒を堪能できる特別なテイスティングラウンジをリニューアルオープン。山崎蒸溜所で稼働していたポットスチルを再利用したバーカウンター、原酒ボトルに向き合うスタンドテーブル、窓の外に広がる“杜”を眺めるローチェアなどを設置し、ウイスキーに慣れ親しんだ方から初めて飲む方までより多くのお客様に、この山崎蒸溜所でしかできない日本のウイスキーを嗜む贅沢な空間を提供します。

 

山崎蒸溜所ツアーの刷新について

■山崎蒸溜所 ものづくりツアー

所要時間:80分
参加費:3000円(税込)

<主な内容>
「サントリーシングルモルトウイスキー山崎」が生まれるものづくり現場を見て、その場所でしか感じられない香りや温度を五感で体感。テイスティングでは「サントリーシングルモルトウイスキー山崎」や希少な「モルトウイスキー原酒」、「山崎ハイボール」が楽しめる。ツアー後には、「山崎オリジナルテイスティンググラス」を持ち帰ることも。

 

■山崎蒸溜所 ものづくりツアー プレステージ

・所要時間:120分
・参加費:1万円(税込)

<主な内容>

プレステージツアーでしか立ち寄れない製造エリアや実際のつくり手の作業の様子の見学などを通して、山崎蒸溜所ならではのものづくりへのこだわりをじっくりと案内。テイスティングでは「山崎12年」や希少な「モルトウイスキー原酒」などが楽しめる。

 

※20歳未満の方はご参加いただけません

ジャパニーズウイスキーの限定品や新商品を飲み逃すな! ヒット確定のウイスキーアニバーサリーについて解説

今年はジャパニーズウイスキーのメモリアルイヤー。サントリーが山崎に日本初のモルトウイスキー蒸溜所を建設着手してから100周年を迎え、白州蒸溜所も50周年。また、キリンの富士御殿場蒸溜所も操業50周年で、例年以上に業界が盛り上がっています。本記事では、フードアナリスト・中山秀明さんにジャパニーズウイスキーの人気やウイスキーアニバーサリーについて解説してもらいます。

※こちらは「GetNavi」 2023年9月号に掲載された記事を再編集したものです

 

中山秀明
フードのトレンドに詳しいライター。食関連のガジェットでは、2023年内に市販化が予定されている「エレキソルト」に注目している。

 

【ヒットアナリティクス】

ジャパニーズウイスキーは近年人気が過熱!

サントリーは、記念の特別ラベルでシングルモルトを発売。そして6月発売の白州のハイボール缶に続き、8月には山崎の缶が限定販売されますが、こちらも注目です。キリンも5月に記念のウイスキーを発売し、2万円以上の価格で抽選販売でしたが、すぐに受付終了する人気ぶりでした。

そもそもジャパニーズウイスキーは世界的に大人気。昨今のウイスキーブームは朝ドラ『マッサン』の影響も大きかったのですが、実はその主人公・竹鶴政孝氏が創業したニッカウヰスキーも来年90周年。この熱はしばらく冷めないでしょう。

先進技術:1
顧客ニーズ:5
市場の将来性:5
独自性:4
コスパ:5

 

 

サントリー
シングルモルトウイスキー 山崎
サントリーウイスキー100周年記念蒸溜所ラベル
4950円

山崎の伝統であるミズナラ樽貯蔵モルトに、イチゴのような香りのワイン樽貯蔵モルトなど多彩な原酒をブレンド。華やかな香りと、甘く滑らかな味わいが魅力だ。ラベルには天王山を含む山崎蒸溜所の全景が描かれている。

↑大阪府三島郡島本町にある山崎蒸溜所は秋にリニューアルオープン予定。サントリーは今年の事業方針として、蒸溜所の魅力訴求も掲げている

 

キリンビール
キリン シングルモルト
ジャパニーズウイスキー 富士
6600円

富士御殿場蒸溜所のモルト原酒のみをブレンドし、果実味あふれる芳醇な味わいと、クレームブリュレやハチミツのような甘い香りが特徴。口あたりはとろりと柔らかく、複雑な甘さと熟成感のある香味が心地良く続く。

↑1973年に操業を開始した富士御殿場蒸溜所。モルトウイスキー、グレーンウイスキーの製造技術や設備を備え、そこにキリン独自の蒸溜技術などを融合させている

 

【コレも注目!】
山崎モルト原酒のみを使った特別なハイボール缶も登場!

サントリー
サントリープレミアムハイボール〈山崎〉
660円 8月8日発売(数量限定)

サントリーウイスキー100周年を記念し、ハイボールに合う山崎モルト原酒のみをブレンドした特別なハイボール缶。厚みのある味わいと、ミズナラ樽貯蔵モルトがもたらす深い余韻を楽しめる。

日本限定の新しい味わい! シングルモルト・スコッチウイスキー「グレンファークラス」から数量限定で登場

ミリオン商事は、同社が展開するシングルモルト・スコッチウイスキー「グレンファークラス」より、日本市場限定の新商品「グレンファークラス マリアージュ・オブ・カスクス 2023 SPRING/SUMMER」を、8月21日より順次出荷。数量限定で発売します。価格は2万円(税別)。

 

同商品は、リフィルシェリー樽熟成に特化し、ノンピートモルト、長時間発酵、直火焚き蒸留によるフルーティーかつ力強い味わいが特徴。穏やかでスパイシーなライトなシェリーのニュアンスが楽しめます。

 

ディスティラリー・マネージャーのカラム・フレイザー氏が、2008年蒸留の3rdフィル4樽をバッティングし、力強くフルーティーな味わいにフォーカス。50.5度でボトリングし、おすすめの飲み方はオンザロックやハイボールです。

 

「マリアージュ・オブ・カスクス」シリーズは、季節に合わせたコンセプトのもと、春夏(SPRING/SUMMER)バージョンと秋冬(AUTUMN/WINTER)バージョンの年2回のリリースを予定。秋冬(AUTUMN/WINTER)バージョンは、1stフィル樽をメインに、オロロソシェリー樽熟成の濃厚な味わいにフォーカス。ストレートやトワイスアップをおすすめの飲み方としています。

「シークレット スペイサイド」コレクション全4蒸留所コンプリート! 日本初登場「ブレイズ・オブ・グレンリベット」や「グレンキース」再発売も

ペルノ・リカール・ジャパンは、「ブレイズ・オブ・グレンリベット」の30年熟成シングルモルトウイスキーを新発売、「グレンキース」の21年・25年の2アイテムを再発売しています。いずれも数量限定での販売です。

 

同社は、ペルノ・リカール・グループが保有するスコットランド・スペイサイド地方のウイスキー蒸留所の中から、熟成年数18年以上のシングルモルトウイスキーを精選した「シークレット スペイサイド」コレクションを2020年より日本国内市場で展開。ブレイズ・オブ・グレンリベットは、コレクションの中で日本未発売となっていましたが、今回の発売により同コレクションを構成する4つの蒸留所のすべてが揃い、合計13アイテムでの展開となります。

↑ブレイズ・オブ・グレンリベット蒸留所

 

今回新たに発売された「ブレイズ・オブ・グレンリベット 30年」は、30年以上熟成したモルトウイスキーをカスクストレングス(加水調整せず、樽からそのまま瓶詰め)でボトリング。丘陵からくる純度の高い水源を使用した、トロピカルフルーツのフレーバーが特徴的なシングルモルトウイスキーです。実売価格は12万5400円(税込)。

 

グレンキースは、継続販売中の28年と、再発売された21年・25年を合わせて3アイテムの展開。銅製蒸留器によって生み出されるエレガントでフルーティーなスペイサイドスタイルの味わいが楽しめます。実売価格は、21年が3万800円(税込)、25年が6万6000円(税込)、28年が8万3600円(税込)です。

魅惑的な甘いフレーバーが調和した“エクストラ”な味わい! ラム酒樽を用いたウイスキー「シーバスリーガル エクストラ 13年 ラムカスク」

ペルノ・リカール・ジャパンは、同社が展開するブレンデッドスコッチウイスキー「シーバスリーガル」の、 Eコマースチャネル限定商品「シーバスリーガル エクストラ 13年 ラムカスク」を7月24日から発売します。価格は5687円(税込)。

 

「シーバスリーガル エクストラ 13年」は、ブランドのハウススタイルともいえる芳醇でまろやかな味わいに、さらなる個性を加えた特別なコレクション。同コレクションの軸となる「13年熟成」は、シーバス・ブラザーズ社創業の地であるスコットランドの都市アバディーンの「キングストリート13番地」に由来した、ブランドの歴史へのオマージュです。世界中の様々なタイプの樽で原酒の一部を熟成させ、「シーバスリーガル」のブレンドにユニークな特徴を加え、新しい味わいを生み出しています。

 

今回日本新登場となる同商品は、ブランド史上初のラム酒樽を熟成に用いており、ラムを熟成した樽でブレンドの一部を熟成させています。芳醇でまろやかな同シリーズの味わいはそのままに、みずみずしいオレンジやアプリコットジャム、ハチミツを想わせる甘い余韻の中に、ぬくもりあるほのかなシナモンの香りが、調和した味わいを生み出しています。飲み方は、シンプルなソーダ割りやオン・ザ・ロックのほか、カクテルで楽しむのもおすすめとされています。

↑エクストラ・コラーダ

 

パッケージデザインは、ストリートアーティストのグレッグ・ゴセル氏が手がけており、ラムと深い繋がりのあるサトウキビをモチーフにして、トロピカルな色調で美しい島々へのオマージュを表現しています。

日本上陸した個性派シングルモルト「アベラワー」の“せせらぐ小川の河口”が意味するものは?の特徴と味をレビュー

世界的なウイスキートレンドのなかでも人気の高い、スコッチウイスキーのシングルモルト。シングルモルトは単一の蒸留所のモルト原酒のみでつくるため、産地の風土的個性をダイレクトに感じられることが魅力。

 

スコッチウイスキーは、イギリスのスコットランドで製造されるウイスキー。モルトウイスキー、グレーンウイスキー、ブレンデッドウイスキーがあり、ウイスキー全消費量の約6割を占めるといわれる王様的存在です。冷涼かつ清流に恵まれたスペイサイド、ピート(泥炭)の聖地アイラなど6大産地があり、各個性を楽しめるシングルモルトが近年特に人気。有名な銘柄には「ザ・グレンリベット」や「シーバスリーガル」などがあります。

 

そのシングルモルトブランドのひとつ「アベラワー」から、ひと際個性的な銘柄が日本での販売を開始しました。その名も「アベラワー アブーナ アルバ」。メディア向けのテイスティングセッションから、特徴と味わいをレポートします。

↑4月24日より販売開始された「アベラワー アブーナ アルバ」。希望小売価格は1万2100円(税込)

 

 

ノンピートモルトを清流の軟水で仕込み厳選した樽で熟成

「アベラワー アブーナ アルバ」は、シングルモルトスコッチウイスキー「アベラワー」の新商品で、本国以外では米国では2019年から展開されており、満を持しての日本上陸となりました。

↑テイスティングセッションの会場は、自由が丘のバー「Annual Rings」。写真右のバーテンダーがオーナーの森田英介さん

 

「アベラワー」は、スコッチウイスキーの聖地と評されるスコットランド・スペイサイド地方のほぼ中心に位置し、1879年にジェームス・フレミングが創業したアベラワー蒸留所で生み出されています。

↑スコットランドのスペイ湖を水源とし、ハイランド地方を通りマレー湾に注ぐスペイ川流域がスペイサイドです(テイスティングセッションにおける資料より)

 

ネーミングは、ゲール語で“せせらぐ小川の河口”という意味。スペイ川の清流に恵まれた、ウイスキーづくりに理想的な環境であり、さらに原材料の大麦は蒸留所から24km以内の範囲で栽培されたものを使用。地元の自然を最大限に生かして、良質なシングルモルトをつくり続けています。

↑140年以上の歴史をもつ蒸留所。水質も独自の特徴があり、スコットランドは基本的に硬水でありながら、アベラワー蒸留所のマザーウォーターは軟水なのだとか

 

また、シェリーとバーボン2種類の熟成樽で熟成したウイスキー原酒を、バランスよく合わせる「ダブルカスクマチュレーション」という独自の製法によって、エレガントさと複雑さが調和した味わいを生み出しています。

↑ブランドの基本方針として、2種類の樽で熟成させたウイスキーを好バランスで合わせる製法を採用しています

 

スコッチといえばモルトをピート(泥炭)で焚いたスモーキーフレーバーをイメージする人が多いと思いますが、「アベラワー」ではあえてピーテッドモルトを使いません。それにより、味わいは甘み豊かでフルーティーかつフローラルに仕上がるのです。

↑日本唯一の「アベラワー」アンバサダーである森田さんの「Annual Rings」には、16年や18年など様々なボトルが置かれています

 

濃密なボディとクリーミーな甘みに驚かされた!

今回日本上陸となった「アベラワー アブーナ アルバ」は、熟成樽にフォーカスした「アブーナ」シリーズの第2弾。「A’BUNADHA(アブーナ)」はゲール語で“起源”を意味し、「ALBA(アルバ)」はゲール語で“スコットランド”、ラテン語で“ホワイトオーク(Quercus Alba)”と2つの意味をもちます。

↑「アベラワー アブーナ」(右)はシェリー樽のみで熟成

 

アブーナ=起源とは、創業者のジェームス・フレミングをはじめ、ウイスキーづくりの先人たちの功績を称え、19世紀の創業当時と同じハンドメイド製法でつくることを表現。そして、アルバ=ホワイトオークということで、厳選したファーストフィルのアメリカンホワイトオーク樽のみで熟成しています。

 

ファーストフィルとは、バーボンやシェリーの熟成樽を初めてスコッチウイスキーの熟成に使用する樽のことですが、スコッチではセカンドフィルやサードフィルを用いることもあり、ファーストフィルの樽のみで熟成させることもかなり贅沢といえます。

 

ということで、いよいよ「アベラワー アブーナ アルバ」をテイスティング。なるほど! 確かにバニラやハチミツのようなバーボン樽由来の甘みが印象的。キャラメルを思わせるクリーミーなタッチの奥にはドライアップルのような果実味もあり、シナモンなどほんのりスパイシーなニュアンスも。

↑クリーミーさをまとった甘みがどっしり。濃密でリッチなおいしさです

 

そして、ストレートで飲むとかなりボディが豊かなのも特徴。これはカスクストレングス(加水をせず樽出しそのままの度数)でボトリングし、冷却濾過をしないノン・チルフィルタリングにしているから。アルコール度数はバッチナンバー毎に異なるとのことですが、60%前後あるのでストレートよりは少々加水して味わったほうがいいかもしれません。

↑この日のものは58.9%。一般的なウイスキーは40~43%が主流なので、なかなかパワフルです

 

続いて、違いを明確に感じるためにシェリー樽熟成の「アベラワー アブーナ」も試飲させてもらいました。こちらはより妖艶なスパイス感がはっきりしていて、オランジェット(いわゆるオレンジチョコレート菓子)のようなコク深く爽やかな甘みも。

 

↑「アベラワー アブーナ アルバ」がアメリカンデザートなら、こちらはヨーロピアンスイーツ

 

テイスティングセッションのラストは、森田さんのコーディネートによる洋菓子とのペアリングを体験。森田さんによると、甘みが豊かでアルコール度数の高い「アベラワー アブーナ」シリーズには甘いものがよく合うとのこと。

↑「アベラワー」の12年を使ったカヌレのほか、バナナのソテー、チョコレートテリーヌ、生姜のキャロットケーキが用意された。なかには「ミライオヤツ」主宰のパティシエール、井手藍子さん特製のスイーツも

 

洋菓子とのペアリングも秀逸で、甘くボディのしっかりしたウイスキーを少量ずつちびちび楽しむことも好きな筆者にとって、至福の時間となりました。バーボンのような要素をまとった、個性的なシングルモルトスコッチ「アベラワー アブーナ アルバ」。晩酌やパーティー用、またはプレゼントにもいかがでしょうか。

ジャパニーズウイスキーがお好きでしょ? 誕生100周年に知っておきたい注目の6銘柄

寿司やラーメンなど、世界に誇れるジャパニーズフードはいくつもあるが、日本産ウイスキーも世界中で大人気。しかも、2023年はますますアツい! その理由とは……? いま注目すべき“ジャパニーズウイスキー”6点とともに解説する。

※この記事は「GetNavi」 2023年3.5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

解説してくれるのは……

フードアナリスト/中山秀明さん
ウイスキーの聖地・埼玉県秩父育ちの酒好きライター。「山崎蒸溜所は2017年にGetNavi webでレポートしているので、ぜひご一読を」

 

1.優美で上品な香り華やぐ国産シングルモルトの傑作

サントリー
シングルモルトウイスキー 山崎
4950円

「山崎」ブランドは1984年に誕生。優美な香りのミズナラ樽貯蔵モルトに、上品さが華やぐワイン樽貯蔵モルトなど、多彩な原酒がブレンドされたリッチな味が魅力だ。

 

《オススメペアリング》
ほんのり甘くコク深いチーズの味噌漬けが合う

甘やかでどっしりとした山崎には、コク深く濃厚な味付けの料理がマッチ。和のニュアンスをプラスした、チーズの味噌漬けなどは特に合う。パンやクラッカーにのせてもよし。

 

山崎蒸溜所から始まった日本のウイスキーが100周年

世界五大ウイスキーのひとつに数えられるジャパニーズウイスキーは近年、海外での評価も高く人気の的。作り手の志も高く、昨今は新生の蒸溜所も数多く誕生している。そのルーツといえるのがサントリー 山崎蒸溜所だ。

 

そもそも国内ウイスキー人気のきっかけのひとつが2014〜15年放送のドラマ「マッサン」であり、物語は日本におけるウイスキー誕生秘話。劇中には山崎蒸溜所のシーンも登場した。その着工は1923年であり、100周年を迎えるとともに、それはジャパニーズウイスキーの誕生100周年を意味するのだ。

 

山崎をはじめジャパニーズウイスキーは入手困難となっているが、モルトを得意とするバーに行けば高確率で飲める。また、山崎蒸溜所は予約することで見学も可能。こちらはオンラインでも「山崎蒸溜所ウイスキーライブ」を開催しており、なんと「シングルモルトウイスキー 山崎」の180mℓボトル付きで3300円とお得。無料の「山崎蒸溜所360°フリーツアー」も必見だ。

 

↑大阪府三島郡島本町にある、サントリー 山崎蒸溜所。かつて千 利休が茶室を設けた名水の地だ

 

【関連記事】
よく聞くサントリー「山崎蒸溜所」って実際はどんなところ?

 

2.希少な国産ピートを使ったスモーキーな味わいが魅力

THE AKKESHI
厚岸シングルモルト ジャパニーズウイスキー清明
1万9800円

潮気を含む霧やピート(泥炭)が取れる地の利を生かした、アイラモルトを思わせるスモーキーな味が特徴。本作は「二十四節気シリーズ」の第7弾で、甘やかさと柑橘感が魅力だ。

 

《オススメペアリング》
名産の牡蠣を使った燻製がドンピシャ!

厚岸の名産といえば牡蠣。その燻製が、スモーキーなウイスキーとドンピシャにマッチする。

 

3.3基のポットスチルによるメロウなウイスキーを創造

小正嘉之助蒸溜所
シングルモルト嘉之助
9900円

鹿児島県の西岸、吹上浜沿いにある。3基のポットスチル(蒸留器)を備えていることが大きな特徴で、コンセプト「Mellow Land, Mellow Whisky」の通り、メローな味わいが真骨頂だ。

 

《オススメペアリング》
脂の甘みが豊かな豚のジャーキーで一献

鹿児島は豚の飼育頭数が日本一。風味の甘やかな嘉之助は、ポークジャーキーと相性抜群だ。

 

4.世界唯一の鋳造製蒸留器が生み出すまろやかな味わい

若鶴酒造
三郎丸Ⅱ THE HIGH PRIESTESS
1万3750円

富山・高岡銅器の技術から生まれた、世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」原酒を使用したウイスキー。銅と錫の2つの効果により、まろやかで洗練された酒質を実現している。

 

《オススメペアリング》
富山が誇る冬の至宝ほたるいかの干物を

蒸留所がある富山の冬の味覚といえば、ほたるいか。その旨みが凝縮した丸干しを合わせたい。

 

5.希少な蒸溜器を2基使い個性を生かし調和させる

静岡蒸溜所
シングルモルト静岡ユナイテッドS 初版
9845円

軽井沢蒸留所から受け継いだ間接加熱式と、世界唯一の薪直火式、2基の蒸溜機を駆使。その2つの原酒をブレンドしたのが本作で、個性が立ちながらもスムースでまろやかだ。

 

《オススメペアリング》
静岡を代表する銘菓安倍川もちを合わせて

静岡蒸溜所のすぐそばに安倍川の支流が流れる。香ばしく甘い、安倍川もちをぜひ合わせたい。

 

6.筑波山麓の田園で生まれた原酒を調合し華やかな味に

木内酒造
日の丸ウイスキー2023セレブレーション
5500円

常陸野ネストビールで有名な木内酒造が、筑波山東麓の石岡市八郷地区で蒸溜した原酒のみをボトリング。バーボン樽、シェリー樽、赤ワイン樽で熟成された、華やかな味わいだ。

 

《オススメペアリング》
鶏レバーペーストが合う! つくば鶏ならなお良し

同社が運営するバーで人気のフ—ドが、つくば鶏のレバームース。こちらでクイッといきたい。

 

※価格は2023年1月24日時点の希望小売価格。10%消費税込み。数量限定で売り切れになっている場合があります。

ニッカのレガシーとチャレンジが調和。グレーンウイスキーが躍動する即完売必至の第3弾

2023年は日本のウイスキー生誕100周年で非常に盛り上がっていますが、翌2024年も実はアニバーサリーイヤーです。その理由は“日本のウイスキーの父”と呼ばれ、朝の連続テレビ小説『マッサン』の主人公のモデルともなった竹鶴政孝氏が創業した「ニッカウヰスキー」が90周年を迎えるから。

 

同社はそれに先駆けて2021年より毎年特別なウイスキーを限定発売してきましたが、先日2023年版をお披露目しました。この限定モデルの魅力を、開発者へのインタビューやテイスティングを通じてレポートします。

↑3月28日に発売された「ニッカ ザ・グレーン」。1万3200円(税込)で、限定2万本(その内1万本は海外)です

 

グレーンウイスキーとは?

今回の「ニッカ ザ・グレーン」は、90周年に向けた企画「NIKKA DISCOVERYシリーズ」の第3弾。GetNavi webでは第1弾2弾も紹介しているので、合わせて一読ください。

 

【関連記事】
マジ旨!ピートの効かせ方を真逆にした「余市」「宮城峡」の限定ウイスキーを試飲
ウイスキーなのに「酵母と発酵」に着目した「余市」と「宮城峡」。すでに希少ないま、バーへ急げ!

↑第1弾は原材料の違い、第2弾は酵母や醗酵の違いが生み出す個性に着目したシングルモルト(単一の蒸溜所で生まれるモルト)ウイスキーでした(アサヒビールの資料より)

 

そして今回の第3弾も、きわめて個性的。これまでは北海道・余市、仙台・宮城峡それぞれのシングルモルトでしたが、今回はグレーンウイスキーの1本勝負であり、しかも初採用の原酒を使うなど実にチャレンジングです。

 

詳細に迫る前に、まずはグレーンウイスキーについてざっくり解説しましょう。モルトウイスキーが大麦麦芽(モルト)を使いポットスチル(単式蒸溜機)で造るのに対し、グレーンウイスキーはコーン、ライ麦、小麦などの穀類(グレーン)を主原料とし、連続式蒸溜機で蒸溜。ちなみに、モルトを使って連続蒸溜した原酒もグレーンウイスキーに分類され、その代表作が「ニッカ カフェモルト」です。

↑「ニッカウヰスキー」の名作グレーンといえば、世界でも稀少な「カフェ式連続式蒸溜機」を使った「ニッカ カフェグレーン」(左)と「ニッカ カフェモルト」(右)

 

ウイスキーの味わいは、蒸溜する回数によって決まります。単発蒸溜されたモルトウイスキーは、原材料の風味が残りやすく重厚な味わいに、一方繰り返し蒸溜するグレーンウイスキーは、クリアでライトな酒質に仕上がるのが一般的。この両方を調和させたブレンデッドウイスキーでは、個性と飲みやすさのバランスをとるためにグレーンウイスキーが欠かせない存在となっているのです。

 

ただし、「グレーンがライト」というのはあくまで一般論。蒸溜機や製法、熟成度合いなどによって味わい深く仕上がっているグレーンウイスキーも多くあります。例えば、前述「カフェ式連続式蒸溜機」は原材料の風味が残りやすい原酒を造れる名器とされています。

 

ちなみに、コーンを主原料とする米国のバーボンウイスキーもグレーンウイスキーに分類されますが、バーボンは「コーンが51%以上含まれ新樽を使う」という決まりがあるため、甘くどっしり個性的な味わいになるのだと筆者は考えています。

 

「ニッカ ザ・グレーン」は7種のグレーン原酒をブレンド

「ニッカ ザ・グレーン」には、国際品評会の授賞歴もある「ニッカ カフェグレーン」と「ニッカ カフェモルト」に使われている宮城峡蒸溜所のグレーンを含む、計7種の原酒がブレンドされています。開発の中心メンバーである、ニッカウヰスキーの綿貫政志さんに話を聞きました。

↑主席ブレンダーの綿貫政志さん。「NIKKA DISCOVERYシリーズ」では第1弾からプロジェクトに参加し、個性あふれるウイスキーを生み出してきました

 

綿貫さんが今回グレーンウイスキーにフォーカスした最大の理由は、「カフェ式連続式蒸溜機」が2023年に節目を迎えるからだと言います。

 

「『カフェ式連続式蒸溜機』の導入は、『本場スコットランドに負けないブレンデッドウイスキーを造りたい』という創業者(竹鶴政孝氏)の夢であり、1963年に当時の西宮工場で実現されました。その後1999年に宮城峡蒸溜所へ移設していまに至るのですが、2023年で導入から60周年を迎えるんですね。当社のレガシーを活用することはDISCOVERYシリーズにもうってつけだと思い、特別なグレーンウイスキーの開発を決めました」(綿貫さん)

 

基軸となる原酒は宮城峡蒸溜所のカフェグレーン。加えて同蒸溜所のカフェモルトと、西宮工場時代のカフェグレーンにカフェモルト、さらに今今回初採用となる九州産の3種のグレーンの、計7種の原種が「ニッカ ザ・グレーン」を構成しています。

↑ベースのグレーンをイメージとして一部テイスティング。右側の4、5、6は実際のブレンドに用いられている九州産の原酒です

 

「西宮工場は現在飲食店向けのチューハイを造っていますが、ここは大都市ですから当時から貯蔵庫を確保できるほどの広さがなく、グレーンの熟成は栃木工場で行っていました。今回使用した原酒は1988年ものであり、35年熟成ですね。非常に希少ですが、熟成感を与えるために使っています」(綿貫さん)

 

そして気になるのは、九州産のグレーン原酒。生産地のひとつは福岡・門司(もじ)工場、もうひとつは鹿児島・姶良(あいら)のさつま司蒸溜蔵となり、ここでは普段、焼酎の原酒が蒸溜されています。

↑どちらにも、本格焼酎(乙類、または単式蒸溜焼酎)用のステンレス製単式蒸溜機が設置されています(一般的に、連続式蒸溜機で造ると甲類焼酎(連続式蒸溜焼酎)となる。ウイスキーの単式蒸溜機は銅製が多い)(アサヒビールの資料より)

 

「門司では発芽させていない大麦を主体としたグレーン原酒が1種。さつま司では同じく大麦主体のグレーンと、コーン・ライ麦原酒の計2種を蒸溜して『ニッカ ザ・グレーン』にブレンドしました。焼酎の単式蒸溜機でウイスキー原酒を造ることは、きわめて実験的でニッカにとってもチャレンジングなことでした」(綿貫さん)

↑「ニッカ ザ・グレーン」に用いられた3種の九州産グレーン原酒が、写真のミニボトル3本

 

なお、本格麦焼酎と大麦グレーンウイスキーは似ているようで違いも様々。例えば、大麦を麹で醗酵させ初溜のみで造るのが前者。麦芽の酵素で醗酵させ、複数回蒸溜でアルコール度数を高めるのが後者です。

 

「使った大麦に関しては、門司とさつま司は同一です。ただ、蒸溜機はまったく同じものではありませんし、設備の違いで製法も異なります。例えば門司では初溜が減圧蒸溜(※)で、再溜(2回目の蒸溜のこと)が常圧蒸溜。さつま司はどちらも常圧蒸溜で、蒸溜機のサイズもさつま司のほうが小型です」(綿貫さん)

 

※機内の圧力を下げて低温沸騰させる「減圧蒸溜」は、基本的には焼酎で用いられる手法で、雑味がクリアですっきりとした酒質になりやすい。一方、常圧蒸溜は伝統製法で、濃厚でどっしりした風味になりやすい。

 

 

甘香ばしく爽やか……多彩なグレーンが次々と主張する

いよいよテイスティング。まずは完成品の「ニッカ ザ・グレーン」から。伸びやかな甘みとロースト感のある香ばしさが立っていて、香りには焼きりんごのような甘い爽やかさも。

↑余韻にはシナモン的なスパイス感や、ビターなニュアンスも。味のグラデーションのなかで、多彩な要素が顔を出します

 

「華やかでコク豊かなカフェグレーンとカフェモルトの甘さに始まり、麦の香ばしさやコーンの甘み、ライ麦由来の爽やかさを感じた後にすっきりと終わる。次々に主張する香りや味わいがどの原酒由来なのか、想像しながらグラスを傾けていただきたいですね」(綿貫さん)

 

特に個性的なのは、まろやかに響くスイートな香ばしさ。これは九州の焼酎蔵から生み出されるグレーンによるものでしょうか?

 

「そうですね、明確なキャラクターを生み出しているのは九州産。特に、さつま司のコーン・ライ麦原酒は名バイプレーヤーだと思います。やっぱり酒質がバーボンに近く、甘いバニラ香をもっているんですね。それでいて爽やかなニュアンスもあって、コクや膨らみといった味わいにおいて、素晴らしい働きをしてくれました」(綿貫さん)

↑さつま司のコーン・ライ麦原酒を単独で試飲。明るいムードメーカーといったところでしょうか。無理やり侍ジャパンで例えるなら、ラーズ・ヌートバー選手のよう

 

九州産原酒は今後どうなる? 2024年の記念商品は?

今回使われた九州産グレーン原酒は初の採用であり、しかも存在自体を明かすのも初めてとのこと。そもそもいつから造りはじめたのでしょうか。背景や狙いを聞くと、実は「NIKKA DISCOVERYシリーズ」用ではなかったそうです。

 

「九州でグレーン原酒を造りはじめたのは2017年で、最初に門司工場で試験製造を開始しました。今回のブレンドにも2017年のファーストバッチを使っています。『NIKKA DISCOVERYシリーズ』の企画前ですね。造りはじめた理由は、私たちの探求心ももちろんありますが、それ以上にお客様への新しい価値提供に繋がるという期待が大きいです。原酒の多様性とともに、ブレンデッドウイスキーの幅を広げたい。それが目的です」(綿貫さん)

 

とはいえ、実験的な要素も大きかったと綿貫さんは言います。今回採用に至ったのは、想像以上に良質なグレーン原酒になったから。そのため、蒸溜し3年熟成させたあとのテイスティングで納得するまでは、マーケティング側にも原酒の存在を話していなかったそうです。

↑一番若いのが、さつま司で2019年に蒸溜されたコーン・ライ麦原酒(右端)。色が最も濃い理由は、バーボンを踏襲し、アメリカンホワイトオークのバレルサイズの新樽で貯蔵しているため

 

「『ニッカ ザ・グレーン』の発想は『カフェ式連続式蒸溜機』の節目というところから始まりましたが、グレーンがテーマなら九州産の原酒も使えるな、と。そして、今後はこれを機に九州産グレーンの生産量も増やし、ゆくゆくは挑戦的で新しいウイスキーの開発もしていきたいと思っています」(綿貫さん)

 

ジャパニーズウイスキーは、“日本のウイスキーの父”竹鶴政孝氏が、スコットランドへのウイスキー留学の知見をもとにして生まれたという経緯があり、つまりスコッチウイスキーのDNAをもっています。竹鶴氏が設立したニッカウヰスキーはその直系であり、アメリカンタイプのウイスキー原酒づくりは勉強になったと綿貫さん。

 

「モルトウイスキーには伝統的な美学がありますが、原料はモルトのみ。一方でグレーンウイスキーは様々な原料由来の香味を得られるので、そういう点は面白いと思います。ブレンダーの腕の見せ所でもありますし、ぜひ今後もご期待ください」(綿貫さん)

↑「このチャレンジをどんどん生かしていきたいです」と綿貫さん。今回採用された3原酒以外にも、様々な個性を持つグレーン原酒造りの挑戦に積極的に取り組んでいると教えてくれました

 

今後となると期待してしまうのが、90周年を迎える2024年。そしてさらなる先には2034年のニッカウヰスキー100周年があります。今回は90周年に向けて2021年から「NIKKA DISCOVERYシリーズ」を発売してきましたが、90周年はもちろん、100周年のときはより盛大なプロジェクトを企画するのでは?

 

「実はまだ決まっていません。とはいえ2024年には『NIKKA DISCOVERYシリーズ』とは別ですが、お客様にお喜びいただけるような90周年商品を造りたいです。その次はまだ先の話ですが100周年ですよね。いまのところまったく見当もつきませんが、さらに記念すべきアニバーサリーに向けてニッカの技術を磨いていきたいと思います」(綿貫さん)

↑パッケージは、ニッカエンブレム由来の市松模様を4段でデザイン。落ち着いた彩りのグラデーションを施すことで、4つの工場と蒸溜所で造られた多様な原酒を調和させていることを表現

 

「ニッカ ザ・グレーン」は今回も国内1万本限定と、激レア。限定ウイスキーなどに関心の高いウイスキーファンに向けて、飲食店を中心とした業務用での展開を予定しているとのことなので、味わうならモルトバーに行くのが正解といえるでしょう。

人気銘柄からクラフトウイスキーまで「ジャパニーズウイスキー」の楽しみ方と注目の蒸留所

近年、世界中で「ジャパニーズ・ウイスキー」の愛好家が増えており、2020年には輸出量が日本酒をしのいで酒類第1位となりました。なかでも人気を後押ししているのが、小規模蒸溜所の「クラフトウイスキー」という存在。日本酒や焼酎をつくっていた酒造メーカーがあらたにウイスキーづくりを始めるなど、その裾野は広がり続けています。

 

そんなジャパニーズ・ウイスキーの魅力と注目すべき蒸溜所を、新宿三丁目「BAR LIVET」「新宿ウイスキーサロン」のオーナーであり、最年少で「マスター・オブ・ウイスキー」の称号を獲得した静谷和典さんに伺いました。

 

2人のスペシャリストから生まれた “ジャパニーズ・ウイスキー”

2023年は、サントリーが日本初のウイスキー蒸溜所である「山崎蒸溜所」の建設に着手してから100年の記念イヤー。まずは、日本とウイスキーの歴史を少しだけ紐解いていきましょう。

 

「はじめて日本にウイスキーが持ち込まれたのは、1853年。かの有名なペリー提督が浦賀に来航し、日本人にウイスキーを振舞ったとされています。月日は流れ、日本で本格的なウイスキーづくりの歴史がはじまったのは、『山崎蒸溜所』の建設に着手した1923年のこと。その立役者となるのが、サントリー創業者の鳥井信治郎さんと、NHKの連続テレビ小説『マッサン』でも有名な、初代工場長の竹鶴政孝さんです。その2人のどちらが欠けてしまっても、今のジャパニーズ・ウイスキーは誕生しなかったと思います」(静谷和典さん、以下同)

↑BAR LIVET、新宿ウイスキーサロンのオーナー・バーテンダー、静谷和典さん。

 

国産第1号として発売されたのは、丸瓶に白いラベルがついた通称 “白札” 。残念ながら本格的な普及には至らなかったそうですが、その後発売された「角瓶」が大ヒット。「日本人の味覚に合うウイスキー」を追求し続けて生まれた銘品は、今もなお愛されるロングセラー商品となっています。

 

国産ウイスキーを語る上で欠かせない! 世界に誇る3社の蒸溜所

「100年の歴史は、サントリー、ニッカウヰスキー、キリンの3社が支えてきたと言っても過言ではありません」と、静谷さん。ジャパニーズ・ウイスキーを語る上で知っておきたい蒸溜所とその銘品を紹介します。

 

サントリー / 山崎蒸溜所・白州蒸溜所

↑天王山の麓に位置する、ジャパニーズ・ウイスキーはじまりの地「山崎蒸溜所」。主な銘柄は、「山崎」「山崎 12年」「山崎18年」など。

 

「ともに日本最大級の蒸溜所です。どちらの蒸溜所も、多彩な原酒をつくり分けできることが特徴。1つの蒸溜所で1タイプのウイスキーしかつくれないというのが世界では一般的なのですが、山崎・白州蒸溜所では、それぞれ16基の蒸溜器が稼働しています。各蒸溜器でつくられたさまざまな原酒を組み合わせて、多彩なウイスキーを1つの蒸溜所で生み出すことができる。それが山崎・白州蒸溜所の強みです」

 

↑「山崎蒸溜所」の誕生から約50年後、山梨県の豊かな森の中に建設された「白州蒸溜所」。主な銘柄は、「白州」「白州12年」「白州18年」など。

 

「多種多様なウイスキーが出ているので、一概にその味わいを表すことはできませんが、例えば、山崎の年数表記のない『山崎(ノンエイジ)』や『山崎12年』は、プルーン、レーズン、チョコレートなどの風味とほのかなスモーキーさを感じる味わいが特徴。一方で『白州』は、森林浴をしているような清涼感とシトラスの香りが特徴です。スモーキーさは『山崎』よりも顕著。爽やかさとスモーキーな味わいが楽しめます」

 

ニッカウヰスキー / 余市蒸溜所・宮城峡蒸溜所

↑日本のスコットランドと称される気候と豊かな自然に囲まれた、北海道・余市町にある「余市蒸溜所」。主な銘柄は、「シングルモルト余市」「竹鶴ピュアモルト」など。

 

「余市蒸溜所は、竹鶴政孝さんが北海道に建てた、ニッカウヰスキーのルーツとなる蒸溜所。最大の特徴は、世界でおそらく唯一石炭の直火で蒸溜しているということ。石炭直火蒸溜は、火加減をコントロールするのが困難で、熟練の職人でないと扱いが難しいと言われています。その職人技から生まれる原酒は、トースティーでスモーキー。大手ジャパニーズ・ウイスキーのなかではピートの香りをもっとも顕著に感じるものだと思います」

↑2つの清流に囲まれた峡谷に位置する「宮城峡蒸溜所」。主な銘柄は、「シングルモルト宮城峡」「伊達(地域限定発売)」など。

 

「ニッカウヰスキー第二の蒸溜所となるのが、仙台にある宮城峡蒸溜所です。ここから生まれるウイスキーは余市とは真逆。フローラルかつフルーティーでまろやかな味わいが特徴です」

 

キリン / 富士御殿場蒸溜所

↑富士山の麓に位置する「富士御殿場蒸溜所」。主な銘柄は、「キリン シングルグレーンウィスキー富士」「富士山麓シグニチャーブレンド」「キリンウイスキー陸」「ロバートブラウン」など。

 

「キリングループが所有する富士御殿場蒸溜所は、モルトウイスキー(大麦麦芽のみを使用したウイスキー)だけでなく、グレーンウイスキー(トウモロコシやライ麦などの穀類を主原料とするウイスキー)もつくっている蒸溜所。その2つの原酒を混ぜ合わせてつくる『ブレンデッドウイスキー』が有名です。マスターブレンダー・田中城太さんは、世界で最も優秀なブレンダーにも選ばれたことのある、日本を代表するブレンダーのお1人。卓越したブレンド技術を持つ蒸溜所だと思います」

 

クラフトウイスキーの先駆けとなる「秩父蒸溜所」とその生みの親

2000年代に入ると、海外のコンペティションで数多くのジャパニーズ・ウイスキーが金賞を受賞したり、2014年にNHK連続テレビ小説「マッサン」が放映されたりと、ジャパニーズ・ウイスキーへの注目度はますます高まります。そんななか登場するのが「ジャパニーズ・クラフトウイスキー」です。

↑入手困難で、世界中が欲するウイスキー『イチローズモルト』。ウイスキー樽としては珍しいミズナラ樽を使用したウイスキーやフレンチオーク製の赤ワイン樽で熟成させたウイスキーなど、味わい深いウイスキーを数多く手掛けている。

 

「2007年に蒸溜所が完成し、2008年から蒸溜開始したのが、日本のウイスキー業界に突如登場した『秩父蒸溜所』です。創設者は、肥土伊知郎(あくといちろう)さん。サントリーや家業の造り酒屋を経て、ご自身で立ち上げた会社でウイスキーづくりをはじめました。肥土さんの祖父が残した原酒をもとにつくられた『イチローズモルト』は、イギリスのウイスキーマガジンで日本最高の評価を獲得。世界的に有名なウイスキーのオークションでも高値で取引されるほど、国内外で注目を集めるようになりました」

↑写真は、肥土氏の祖父が運営していた羽生蒸溜所と秩父蒸溜所のモルト原酒をブレンドした『イチローズモルト ダブルディスティラリーズ』。甘味とミントのような爽やかな味わいが特徴。

 

その後2015年、2016年あたりから日本各地に続々と誕生した、ウイスキー蒸留所。静谷さんは「肥土さんの存在がなければ、ここまで日本のウイスキー蒸溜所が増えることはなかった」と、語ります。

 

「肥土さんは、本来ライバルとなる蒸留所に技術やノウハウを惜しみなく教えているのだそうです。人生を通してさまざまな蒸留所の原酒を見てみたいという思いと、さまざまな原酒が生まれること自体がジャパニーズ・ウイスキー文化の発展に貢献できる、とお考えなのだと思います。ジャパニーズ・ウイスキーの今を支えるキーパーソンですね」

 

個性豊かなウイスキーが楽しめる注目の国産クラフトウイスキー蒸溜所

いまでは蒸留免許を有した蒸留所は、国内90か所以上にものぼるそう。なかでも静谷さんが思わず感銘を受けた蒸留所を4つ教えていただきました。

 

滋賀県 長濱蒸溜所

↑長濱蒸溜所は、滋賀県びわ湖北部にある小さな蒸溜所。主な銘柄は、「シングルモルト長濱」「アマハガン」「長濱ニューメイク」「聖闘士星矢ゴールド聖闘士シリーズ(静谷和典氏監修)」など。

 

「1996年に創業し、長浜エールをはじめ、国内外問わず評価の高い銘柄を数多く輩出する長濱浪漫ビールが、2016年に日本で最小規模の蒸溜所としてウイスキーづくりをはじめました。大きな特徴は、ミニマムな蒸溜所にも関わらず、数多くの挑戦をしているところ。ウイスキーを寝かせる熟成庫は蒸溜所のそばにあるのが一般的ですが、トンネルや廃校となった小学校、琵琶湖のパワースポット・竹生島、沖縄でのトロピカルエイジングなど、さまざまな場所で樽を熟成させています。小さい蒸溜所だからこそ、さまざまな取り組みを行っている点も大きな魅力だと思います」

 

宮崎県 尾鈴山蒸留所

↑長年培ってきた蒸留酒造りの技術が光る、尾鈴山蒸留所。現時点で販売されている主な銘柄は、「OSUZU MALT NEW BORN」「OSUZU MALT NEW MAKE」。

 

「尾鈴山蒸留所は、『百年の孤独』や『㐂六』といった世界的にも有名な焼酎を生み出した、黒木本店が手掛ける蒸留所です。この蒸留所のすごいところは、原料となる麦の栽培から麦芽づくりまで全て手仕事で行っている点です。通常、麦芽は専門の製造会社から購入して仕込むのが一般的なのですが、尾鈴山蒸留所の場合は麦の生産から製麦まで全て手作業。職人が素手で麦の状態や温度を調整しながらつくる、まさにクラフトのなかのクラフトですね。

 

さらに、桜や栗、杉といったさまざまな地元の木を樽材として活用しているのも特徴です。桜は桜餅のような香り、栗は焼き菓子のようなまろやかな味が楽しめます」

 

鹿児島県 嘉之助蒸溜所

↑東シナ海を一望する絶景に建てられた「嘉之助蒸溜所」。主な銘柄「シングルモルト嘉之助」をはじめ、さまざまなリミテッドリリースを手掛けている。

 

「嘉之助蒸溜所は、本格焼酎の蔵元・小正醸造による蒸溜所で、『メローコヅル』という焼酎の空き樽を使用して寝かしているというのがポイントです。もちろんそれ以外の樽も活用していますが、 キーとなる原酒は『メローコズル』の樽。元々、樽熟成の焼酎をつくっていたノウハウがウイスキーづくりにも活かされているのだと思います。

 

そして、鹿児島の温かい土地でつくられているのも、唯一無二の特徴です。鹿児島の湿潤で暖かい気候の下では、熟成スピードが速いのだそうです。風土を活かし、オリジナリティある樽使いから生まれる嘉之助蒸溜所のウイスキー。今や、世界から大きく注目される蒸溜所の1つとなっています」

 

富山県 三郎丸蒸留所

↑江戸時代から続く伝統的な酒造・若鶴酒造が母体となって生まれた「三郎丸蒸留所」。主な銘柄は、「三郎丸」、「玉兎」など。

 

「三郎丸蒸留所は、スモーキーなウイスキーのみを手掛ける日本でも珍しい蒸留所。世界で初めて『鋳物(いもの)製のポットスチル(単式蒸留器)』を取り入れた蒸留所として有名です。鋳物とは、砂などでつくった型の空洞部分に金属を流し込んでできた製品のこと。蒸留器は一般的にブロンズやステンレスでできているのですが、ここでは富山の鋳物文化を取り入れ、世界初の鋳物製蒸留器『ZEMON』を開発、活用しています。

 

砂で型を取っている影響で、金属の表面に細かな凹凸ができるのが特徴。凹凸があることで、蒸留の際に複雑な液体の流れを生み出すのだそうです。さらに、型さえつくれば蒸留器の製作期間を短縮できるという利点もあり、今後、三郎丸蒸留所を起点として鋳物製の蒸留器を取り入れる蒸留所が増えるかもしれない。そんな可能性を感じています」

 

次からは、そんな魅力たっぷりのウイスキーの楽しみ方を紹介していただきます。

 

マスター・オブ・ウイスキーがおすすめするウイスキーの楽しみ方

1.ハイボールの次は「ウイスクテイル-whisktail-」

「バーテンダーとして心掛けているのは、つくり手へのリスペクトを忘れないこと。それぞれのウイスキーが持つ魅力を台無しにしないよう、風味を活かした楽しみ方を提案しています」と語る静谷さんに聞く、初心者にもおすすめの楽しみ方とは?

 

「ウイスキー本来の味わいを知るには、やはりストレートで飲むことは大切です。私の使命は、ストレートで楽しむ人口を増やし、ウイスキーブームを永続させること。ただ、ストレートだけでなく、いろいろな楽しみ方ができるのがウイスキーの魅力です。ハイボール、水割り、カクテル、ロック、ストレートと段階的に楽しむのがいいと思います。

 

ハイボールの次の段階としておすすめしたいのが、「ウイスクテイル-whisktail-」というウイスキーベースのカクテルです。ウイスキー文化だけでなくバーテンダーとしてカクテルも広めていきたいという想いで、商標も取得しました」

 

「ウイスクテイル」とは、
1.ウイスキーベースであること
2.ウイスキーの香味を活かすこと
3.ウイスキーへのリスペクトがあること

 

上記の3つの条件を満たしたカクテルを指します。その代表作を教えていただきました。

 

・世界の定番カクテル「オールド・ファッションド」

↑升に入った、新宿ウイスキーサロンの「オールド・ファッションド」。ほうじ茶をつけ込んだ、キリン富士御殿場蒸溜所でつくられた「富士山麓シグニチャーブレンド」というウイスキーをベースに、金平糖を食べながら飲んでいただくスタイルで提供。

 

「毎年発表されるカクテルの世界ランキングでは、TOP50にウイスキーベースのカクテルが数多くランクインするほど人気です。なかでも長年1位を獲得していたのが『オールド・ファッションド』。主にウイスキーと角砂糖、ビターズを使用した定番のカクテルです。シンプルが故に、世界では多種多様なアレンジを加えたオールド・ファッションドが生まれています。バーテンダーにとっては、自分のレシピが名刺代わりになるといってもいいかもしれませんね」

 

2.和食と楽しむなら、水割りで

食事、とくに和食と一緒に楽しむのであれば「水割り」がおすすめ。

 

「ジャパニーズ・ウイスキーは、和食に合うようにつくられている、といっても過言ではありません。かつてサントリーが『二本箸作戦』と呼ばれるプロモーションを行っていたのですが、これは『水割りにすれば、ウイスキーは和食にも合う』ということを謳ったもの。水で割ると、口当たりがマイルドになって食事にも合わせやすいんです。ハイボールもいいですが、食事には水割りという飲み方も定着していけばいいなと思っています」

↑新宿ウイスキーサロンでは、ウイスキー30mlと軟水45ml、そして氷を1つシェイカーに入れ、5回シェイキングした水割りウイスキーを提案。シェイクすることで、舌触りがスムースでシルキーになり飲みやすさもアップ。ジャパニーズ・ハンドメイドグラス「咲グラス-Saki Glass-」で提供している。

 

3.食とのペアリングを楽しむ「ウイスキラシカwhisky-laschka」

ウイスキーをストレートで飲むためのトリガーとして、静谷さんが提案しているのが「ウイスキラシカwhisky-laschka」という楽しみ方です。

 

「『ニコラシカ』というカクテルがあるのですが、これは本来ブランデーのストレートに輪切りにしたレモン、砂糖を添えたもの。レモンと共に砂糖を口の中で噛んでから、ブランデーを流し込み、口の中でつくるシューターカクテルです。そのウイスキーバージョンとしてお出ししているものを『ウイスキラシカ』と呼んでいます」

↑口の中で食とのマリアージュを楽しむ「ウイスキラシカwhisky-laschka」。静谷さんは、マスター・オブ・ウイスキーとして各ウイスキーの個性を存分に生かすペアリングを提案している。

 

「ウイスキーにはそれぞれ個性がありますので、それに合う料理も無限にあると思っています。例えば、『グレングラント アルボラリス』というスコッチウイスキー。シトラスやミント、リンゴの風味があるウイスキーなので、その風味に似た柚子、香り豊かなトリュフ塩、爽快なミント、アクセントとなるスイートピクルスを添えたペアリングを提案しています。食とのマリアージュを是非楽しんでほしいです」

 

4.ストレートは、グラスにもこだわりを

↑静谷さんが開発した「咲グラス-Saki Glass-」。ウイスキーの蒸留器の形を参考に、日本の職人が手吹きでつくり上げたハンドメイドのグラス。このグラスで飲むことによって、アルコール感がやわらぎ、口当たりもまろやかに、そして香りが咲き誇る。

 

「ストレートでウイスキーを楽しむ際は、グラスにもこだわりたいところ。とくに最高のジャパニーズ・ウイスキーには、最高のジャパニーズグラスで楽しむのはいかがでしょうか。ワインに、ボルドー型、ブルゴーニュ型など、それぞれのワインを楽しむグラスがあるように、ウイスキーに応じたグラスがあってもいいと思うんです。同じストレートでも、グラスによって味わいや香りは大きく変わるということを知ってほしい……その思いを形にしようと新たにグラスを開発しました。今後もさまざまなグラスを開発していきたいと考えていますので、興味がある方はぜひチェックしていただけるとうれしいです」

 

日本各地の魅力が詰まったジャパニーズ・ウイスキー

最後に、静谷さんが思うジャパニーズ・ウイスキーの魅力を教えていただきました。

 

「やはりジャパニーズ・ウイスキー最大の魅力は、マスターブレンターのブレンド技術の高さ。さまざまな原酒を織り成す技術は、世界で最も卓越しているのではないかと思います。そして、本場スコットランドの気候に近い北海道でつくるウイスキーもあれば、長濱蒸溜所のようにトンネルの中で寝かせるものもある。ありとあらゆるロケーションで生まれる個性豊かなウイスキーを楽しむことができるのは、ジャパニーズ・ウイスキーの魅力だと思います。

 

コロナの感染状況がさらに落ち着けば、その魅力を存分に感じることのできる『ジャパニーズ・ウイスキーツーリズム』が生まれるのではないでしょうか。各地の蒸留所で試飲をして楽しみ、近くの観光地を巡るのも面白そうです。ぜひ、これからのジャパニーズ・ウイスキーにも注目してみてください」

 

プロフィール

バーテンダー / 静谷和典

東京新宿にて「新宿ウイスキーサロン」と「BAR LIVET」の2店舗を経営するオーナー・バーテンダー。2019 年に、ウイスキー文化研究所が認定する最難関資格「マスター・オブ・ウイスキー」を史上最年少で取得。その後も、ウイスキー検定 3 階級全国 1 位や、カクテルコンペティション2021年の日本チャンピオンなど輝かしい成績をおさめる。現在は、「バーテンダーしずたにえん」として、SNSで幅広く活躍中。TikTokやYouTube、InstagramなどSNSの総フォロワー数は50万人オーバー。
TikTok
YouTube
Instagram

 

BAR 新宿ウイスキーサロン

所在地=東京都新宿区新宿3-12-1 佐藤ビル 3F
TEL=03-3353-5888
営業時間=18:00〜26:00
不定休

 

BAR LIVET

所在地=東京都新宿区新宿3-6-3 ISビル4F
TEL=03-6273-2655
営業時間=18:00〜26:00
不定休

ウイスキーなのに「酵母と発酵」に着目した「余市」と「宮城峡」。すでに希少ないま、バーへ急げ!

とどまるところを知らない、世界的なウイスキーブーム。なかでもシングルモルト(単一の蒸溜所で生まれるモルトウイスキー)、特にジャパニーズウイスキーのシングルモルトは大人気で、国内外から注目を集めています。

 

今回紹介するのは“日本のウイスキーの父”と呼ばれ、いまも語り継がれる朝ドラ「マッサン」の主人公でもある竹鶴政孝氏が創業した、ニッカウヰスキーのシングルモルト「余市」「宮城峡」の限定品。お酒好きならぜひチェックしていただきたい、本プロダクトの魅力を開発者インタビューとテイスティングでレポートします。

↑左が「シングルモルト余市 アロマティックイースト」、右が「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」。ともに9月27日発売で価格は各2万2000円、各2万本(その内1万本は海外)限定です

 

醗酵工程で酵母が生む多様な香りに着目

今回の限定品は、2024年に創業90周年を迎えるニッカウヰスキーのアニバサリー企画の一環。昨年「マジ旨!ピートの効かせ方を真逆にした「余市」「宮城峡」の限定ウイスキーを試飲」で第1弾を紹介しましたが、その第2段にあたるのが「シングルモルト余市 アロマティックイースト」と「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」です。

↑ニッカウヰスキーの資料より。「NIKKA DISCOVERYシリーズ」は、壮大なプロジェクトなのです!

 

「余市」「宮城峡」ともに「アロマティックイースト」と銘打たれていますが、これこそが今回のテーマ。そう、アロマティックなイースト(酵母)に着目したシングルモルトとなっているのがポイントです。

 

開発の舞台裏を教えてくれるということで、それぞれの香味設計などに携わった主席ブレンダーにインタビュー。まずは、ウイスキーにおける酵母について聞きました。

↑左が「シングルモルト余市 アロマティックイースト」に携わったニッカウヰスキーの綿貫政志さん。右が「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」を担当した同社の渡邊健太郎さん。ともに主席ブレンダーを務めています

 

筆者は普段、様々なお酒を取材するなかで酵母の話もよく見聞きしますが、よく登場するのは日本酒やビール、ワインなど。なかでも日本酒では「きょうかい酵母」という日本醸造協会が頒布している酵母が有名で、秋田の新政酒造が発見した6号酵母、長野の宮坂酒造(代表銘柄は「真澄」)が発見した7号酵母などは広く知られています。また、ビールでは「アサヒスーパードライ」の318号酵母がビッグネームでしょう。

 

一方、ウイスキーで酵母が積極的に語られることはあまりありません。それもあって、今回の「余市」と「宮城峡」が酵母に着目したというのは気になるところ。背景から聞きました。

 

「アロマティックイーストでは、とりわけ醗酵工程で酵母がつくり出す多様な香りに着目しました。約90年の歴史のなかで数々のトライがあり、その足跡を残すうえでも魅力的な原酒は使っていきたいなと。当社ではウイスキーに適したディステラーズイーストのほか、ビール酵母やパン酵母、あるいは自然界にある野生酵母など多彩な株をストックしており、試験的に使うこともあるんですね。そうしたコレクション酵母を用いた原酒のなかから、狙った香味をもったタイプをブレンドしたのが『シングルモルト余市 アロマティックイースト』です」(綿貫さん)

↑綿貫さん曰く、「私の推測ですが、ジャパニーズウイスキーのルーツであるスコッチでは酵母よりも製法、熟成環境、ピート(泥炭による燻香)の強弱、水質などで原酒の個性を差別化してきた歴史があるため、酵母に重きを置いた銘柄が少ないのかもしれません」とのこと

 

限定の余市は洋なしを思わせる吟醸香が芳しい

↑「シングルモルト余市 アロマティックイースト」

 

数ある原酒のなかから、綿貫さんの想像力を刺激したのが吟醸香(日本酒でよく用いられるフルーティな香り)にも似た華やかさ。酵母の働きによって麦芽が発酵する際に生まれる、フルーティなエステル香に特徴をもつ原酒をブレンドし、味わいを組み立てていきました。

 

「もともと余市には華やかなエステル香があるので、よりその魅力をきれいに出すかという点は苦労しました。また、余市はピート感も特徴ですから、スモーキー香を出しつつエステル香をマスクしないようにと。そのため、樽に関しても熟成香が強すぎるものは使わず、ユーズド樽と活性樽(焼き直した樽)を中心に、主張しすぎない樽の原酒を選びました。これら、全体バランスの調和がブレンドのカギとなっています」(綿貫さん)

 

吟醸のニュアンスをもったエステル香に、余市ならではのスモーキーさとは非常に好奇心をくすぐられます。ということで、スタンダードな「シングルモルト余市」と「シングルモルト余市 アロマティックイースト」とで飲み比べつつテイスティング。今回も、ディスカバリーというシリーズ名にも納得の発見がありました!

↑スタンダードの「シングルモルト余市」(右)は、甘やかかつ豊かなボディに心地よいピート香がじんわり。加えてオレンジを思わせるビターであたたかな果実味も

 

今回の「シングルモルト余市 アロマティックイースト」は、ピートのコクやビター感もありつつ、りんごやバナナなどの明るいフルーティさも。さらに洋なしを感じさせるフレッシュな果実味は、確かに吟醸香のように凛々しく上品。ラストは、マーマレードを思わせるビタースイートな余韻が心地よく続きます。

 

宮城峡はアプリコットの果実味が絶妙に調和

↑「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」

 

一方の「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」については、渡邊さんが解説してくれました。キーとなったのは、アプリコット(杏)を彷彿とさせる、甘く魅惑的な香りを生む酵母。また「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」では、酵母の種類はスタンダードでありつつも、発酵時に工夫をすることで個性的な香りが出る特性を活用しているそうです。

 

「スタンダードの宮城峡は、青りんごなどエレガントな果実味が魅力のひとつ。アロマティックというテーマを踏まえ、持ち前のキャラクターをベースに、より個性をお伝えできる味わいをイメージしました。そこで目指したのは、フルーティでありつつもキャラクターが異なる果実感です。そこでひらめいたのが、発酵時の工夫で生まれたアプリコットの香味をもつ原酒。20年以上も眠っていたコレクションから今回抜擢した形となります」(渡邊さん)

 

とはいえアプリコット香の原酒はキャラクターが非常に立っていて、そのコントロールが苦労点だったとか。あるポイントを超えると宮城峡らしい華やかさが弱まってしまう一方、ポイントを下回れば香りそのものが消えてしまう。このバランスに気を配りながらブレンドをしたと渡邊さんはいいます。

↑原酒の熟成年だったり、樽の種類や新旧だったり、ピートの強弱だったり。様々なキャラクターの原酒を組み合わせて、アプリコット香が上手に開くよう設計したそう

 

「例えば、樽に関してはユーズドを多めに使っています。そのぶんスタンダードの宮城峡よりも、シェリー樽など香りの強いタイプは多少減らしました。また、ピートの強い原酒を加えてスモーキーさを出しつつ、アプリコットの甘みを引き締めてマスクしすぎないように調整しました」(渡邊さん)

↑こちらも飲み比べながらテイスティング。スタンダードの「シングルモルト宮城峡」(左)は、上品な果実味のなかにフラワリーな華やかさもあり、ほのかに樽由来のバニラ香やビター感が続く心地よさ

 

そして今回の「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」をチェック。なるほど、明るみがあって熟した果実のニュアンスは、確かにアプリコット。その奥には、ほのかにベリーの甘酸っぱさやチョコレートのコクやビターなテイストも感じます。甘みとともにほどよいピートや樽の香りも続き、「シングルモルト宮城峡」より大人な印象を受けました。

 

アルコール度数が高い理由とペアリングを解説

スペックに関する補足として、「シングルモルト余市 アロマティックイースト」はアルコール度数が48%、「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」が47%と、スタンダードの45%より少し高くなっています。この理由は、「ノンチルフィルタード」といって、あえて冷却ろ過をしていないから。

 

多くのウイスキーでは澱(おり)を除去するため冷却ろ過を行いますが、澱は味や香りに厚みをもたせる成分も含んでいて、できれば残しておきたい要素。そこで、アルコール度数を高めて澱を溶け込ませるのです。その最適なパーセンテージが今回の場合、48%と47%だったのです。

↑それぞれ飲み比べると、アルコール度数の若干の違いも感じられます

 

最後にフードペアリングについて聞きました。まずは「シングルモルト余市 アロマティックイースト」から。

↑用意いただいたのは、ドライマンゴー、マカダミアナッツ、チョコレート

 

「余市の原酒自体が香ばしさや穀物の甘みをもっていますので、今回のように華やかなアロマを立たせるうえでは、コクの豊かなナッツがオススメです。フルーツはドライマンゴーを用意しましたが、ほかのドライフルーツでも、またはフレッシュフルーツでもおいしいですね。あとは余韻のビター感、オレンジ系の柑橘感を楽しむにはチョコレートが合うかなと思います」(綿貫さん)

 

↑「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」には、サラミとビーフジャーキーをペアリング

 

「『シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト』は比較的甘みを際立たせているので、しょっぱいおつまみとペアリングすると、その甘みがより際立ちます。サラミやビーフジャーキーは、それに加えオイリーなニュアンスが合うと思いますし、牛脂の甘さはアプリコットの甘さと親和性があります。また、その他のしょっぱい系のおつまみやナッツとも好相性なので、例えば柿の種やピーナッツなどもオススメです」(渡邊さん)

 

今回紹介した「シングルモルト余市 アロマティックイースト」と「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」、ともに国内では1万本限定ということもあり、プレミア的な価値が付いていますが、バーなどで飲むことはできるはず。見つけた際はぜひチェックを。そして、2023年にも登場するであろう次回の「NIKKA DISCOVERYシリーズ」も、いまから要チェックです!

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

アイリッシュウイスキーの革命児だ! 味もデザインも次世代を感じさせる「ロー アンド コー」をレビュー

お酒のカテゴリーでますますアツいのがウイスキー。2014~2015年の朝ドラ「マッサン」などをきっかけに日本でもいっそう加熱していますが、これは世界的な一大トレンドとなっています。特にジャパニーズウイスキーやスコッチのシングルモルトが絶好調ですが、アイリッシュウイスキーの人気も見逃せません。

↑日本でも、アイリッシュウイスキーはきわめて伸長しているカテゴリーとなっています

 

そこで今回紹介するのが、この9月6日から日本での発売を開始した「ROE & CO」。発表会に参加してわかった商品特徴や、テイスティングの感想、おすすめの飲み方、レシピなどをお伝えします。

↑アイリッシュウイスキーにも追い風が吹くなか、日本上陸したのが「ROE & CO(ロー アンド コー)」です。700mlボトルで参考価格は4000円強

 

18世紀に設立した伝説の蒸溜所がルーツ

アイリッシュウイスキーはその名の通り、アイルランド産ウイスキーのこと。世界五大ウイスキーのひとつであり、ピート(泥炭のことで、スモーキーフレーバーの要となる)を焚かない、3回蒸溜(基本は初溜と再溜の2回)が伝統的とされているためスムースでやわらかな飲み口のタイプが多い、というのが特徴です。また、ウイスキーのスペルを「WHISKY」ではなく“E”を入れて「WHISKEY」と表記することもアイリッシュならでは。

↑「ROE & CO」も「WHISKEY」表記です

 

伝統を重んじながらも、「ROE & CO」は革新的な手法に満ちあふれているのが魅力。出自からしてユニークで、開発がスタートしたのは2007年と近年ですが、ルーツは18世紀までさかのぼります。

 

それは1757年。ピーター・ローという実業家が、ダブリンに「トーマス・ストリート蒸溜所」を設立したことに端を発します。その後1832年に、一族のジョージ・ローが受け継ぎ「ジョージ・ロー・アンド・カンパニー」へとリブランド。やがて1887年にはヨーロッパ内で最も大きな蒸溜所として名を馳せます。当時、世界のウイスキーは6割がアイリッシュだったとか。

 

しかし第一次世界大戦に伴う経済の低迷や、取引先の米国における禁酒法など、受難の時代を迎え1926年に蒸溜所は閉鎖。こうして長年眠っていましたが、隣接する「ギネス」のセントジェームズゲート醸造所が敷地の一部を購入することに。やがて数十年後にはアイリッシュウイスキーのリバイバルが起こり、蒸溜所を新設するとともに「ROE & CO」ブランドが誕生したのです。

 

ブランド名は先達である2人の「ROE」と、コラボレーション・コミュニティー・カクテルの3つに共通する「CO」への思いを込めて名付けられました。また、同商品はアイルランドのカクテル文化をリードする5名のバーテンダーが監修しているのも特徴。

↑教えてくれたのは、ブランドアンバサダーのリッキー・コーエンさん。日本生まれのアメリカ育ち。現地のレストランでキャリアを積み、帰国後はバーテンダーも経験し現職に

 

洒落たデザインにも先人へのオマージュが関係していた

ちなみに、やけにイケてるボトルのデザインも先達へのオマージュです。これは、ジョージ・ローの時代に建てられた蒸溜所のランドマークのひとつでもある「セントパトリックタワー」がモチーフ。丸みを帯び、斜めに流れるボトルは塔の形を、緑青(ろくしょう)のラベルは酸化した銅の屋根の色を表現しています。

↑「ROE & CO」のボトル

 

↑「セントパトリックタワー」と、建設当時から隣に植えられている洋梨の木

 

また、塔の隣に植えられている洋梨の木も「ROE & CO」を語るうえで欠かせないアイコン。デザインとしては、木製のコルクキャップと、ボトルの底にあしらわれたくぼみの形が、この洋梨を表現しています。

↑洋梨へのオマージュである、木製のコルクキャップ

 

↑ボトルの底には洋梨の実をかたどったくぼみが

 

リッチで甘やか。洋梨やりんごの果実味も芳しい

ここまでユニークであれば、味わいも気になるところ。当然例に漏れず、こちらもやはり個性的です。バーボン樽100%で熟成させたり、2回蒸溜の原酒を一部にブレンドしていたり。そのため、一般的なアイリッシュウイスキーよりも、甘く力強いフレーバーになっているのが「ROE & CO」です。

↑まずはストレートからテイスティング

 

やはり印象的なのは、リッチで甘やかな口当たり。ウッディなバニラフレーバーと、そのあとに続くやわらかなスパイス感が心地よく、クリーミーでまろやかな味わいが広がります。

↑少量加水してトワイスアップに。香りが開き、果実味とバニラ香がいっそう立ち上がります

 

フルーティーさも絶妙。洋梨やりんごに、マンゴーのような華やかさもあり、ラストは青りんごのような若々しいニュアンスも。リッキーさんはハイボールも当然オススメとのことですが、ぜひ試してほしいと言うのが、炭酸水とトニックウォーターを半々ぐらいで割ったハイボールです。

↑ソーダとトニックウォーターで割り、グレープフルーツをトッピング。グレープフルーツはピンクでもホワイトでもOKとのこと

 

「トニックウォーターを使うことで、甘みやビター感が『ROE & CO』のクリーミーなニュアンスをより引き出してくれるんです。グレープフルーツも、苦みをもった柑橘ですよね。この大人な爽やかさが、甘み豊かな『ROE & CO』とちょうどよくバランスを取り合うんです」(リッキーさん)

↑「ROE & CO」オリジナルのハイボール

 

うん、これもイイ! 甘くビターなトニックウォーターが、「ROE & CO」のまろやかでスイートな果実味と見事に調和。なお、リッキーさんは「オールドファッションド」もオススメと言います。こちらは、アメリカンウイスキーをベースにオレンジピ―ルのビターな爽やかさを加える、ほろ甘さと柑橘感が特徴で、世界的に人気のクラシックカクテル。

 

一般的なベースにはバーボンやライウイスキーを使いますが、確かにリッチでふくよかな「ROE & CO」であれば、アイリッシュで個性のある「オールドファッションド」になりそう。バーテンダーが監修したことにも納得です。

 

↑デザインや話題性も十分で、贈り物にもよさそう

 

デザインにも味にも独自のキャラクターが立っていて、そのままでもカクテルベースとしても多彩に楽しめる、遊び心にあふれた銘酒が「ROE & CO」だといえるでしょう。それはさながら、アイリッシュウイスキーの革命児。ぜひお試しを!

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

マジ旨!ピートの効かせ方を真逆にした「余市」「宮城峡」の限定ウイスキーを試飲

世界的なウイスキーブームをけん引しているのがシングルモルトですが、人気が高いため希少になっているのも事実。そんななか、注目されること間違いなしの新作がニッカウヰスキーから発売されました。「シングルモルト余市 ノンピーテッド」と「シングルモルト宮城峡 ピーテッド」です。

 

↑左が「シングルモルト余市 ノンピーテッド」、右が「シングルモルト宮城峡 ピーテッド」。ともに9月28日発売で価格は各2万2000円、各1万本限定です

 

ユニークな点は、スモーキーな香りに寄与するピート(泥炭)の効かせ方にあります。本来はピートの香りが華やぐ、力強い味の余市はノンピーテッドモルト原酒を本商品では採用。その一方、ピート香を抑えたフルーティな味が特徴の宮城峡はピーテッドモルト原酒でつくられているのです。その意図は? 味わいは? ということで開発者を取材。すると、これは壮大なストーリーの幕開けであることもわかりました。

 

30年前の原酒を使った贅沢なシングルモルト

基本情報として、シングルモルトウイスキーとはひとつの蒸溜所の原酒のみでつくられているウイスキーのこと。多くは蒸溜所の地名が商品名となっていて、余市は北海道の余市、宮城峡は宮城県の仙台で生み出されています。

 

なお、ピートはウイスキーの原材料となる麦芽を乾燥させる手法のひとつとして焚くもので、特にスコッチ、なかでも良質なピートの産地であるアイラ島のウイスキーは、ピート香の豊かさが大きな特徴(ノンピートのアイラウイスキーもあります)。またピートに特徴を持たせた商品にはノンピーテッド、ライトリーピーテッド、ピーテッド、ヘビリーピーテッドなどと併記されることが多いです。

 

↑2015年に限定発売された「シングルモルト余市 ヘビリーピーテッド」。こちらは余市のスモーキーな個性をより深めたタイプです

 

今回取材に応じてくれたのは2人のブレンダー。今回の取り組みは、2024年に創業90周年を迎えるニッカウヰスキーのアニバサリー企画の一環で、その名も「NIKKA DISCOVERYシリーズ」。同社が保有する多様な原酒のほかに原料や発酵など、製造工程によるウイスキーのつくり分けの歴史が生み出す奥深さに焦点を当てたシリーズだと言います。

 

↑左がニッカウヰスキーの主席ブレンダー、綿貫政志さん。右が同社チーフブレンダーの尾崎裕美さん。各人に担当した商品を持ってもらいました

 

第1弾がこの2商品で、翌2022、2023年にも新商品など特別な企画を展開予定とのこと。第2弾以降は今後のお楽しみということで、まずは「シングルモルト余市 ノンピーテッド」を手掛けた綿貫さんに特徴を聞きました。

 

「伝統的な石炭直火蒸溜による力強い余市らしさはそのままに、ピートの奥に隠れていたやわらかな果実味、なめらかでコクのある甘さを引き出しました。香りは華やかでフルーティ。ほのかなミルキーさもあり、はちみつやココナッツを思わせる甘みや香ばしさも感じられると思います」(綿貫さん)

 

↑筆者もひと口。確かに、しっかりしたボディに調和するフルーティな香味があり、従来の余市とは表情の違うリッチさを感じます

 

味わいにはりんごや明るいベリーを思わせる、どこか甘酸っぱい風味も。アフターテイストはまろやかで、キャラメル的なフィニッシュ。通年販売の余市と飲み比べると、キャラクターの違いがよりはっきりとわかります。

 

↑「シングルモルト余市」。どっしりとしたボディに心地よいピート香が加わり、オレンジを思わせるあたたかな果実味も

 

「『シングルモルト余市 ノンピーテッド』の飲み方は、個性を最大限楽しむならストレートで。少量加水するとより華やかな香味が開きます。オンザロックや水割りならモルトのコクやなめらかな甘さが際立ちますし、ハイボールはさらにフルーティな魅力を感じられますよ」(綿貫さん)

 

↑綿貫さん。余市蒸溜所では80年代後半からノンピーテッドモルト原酒をつくっていて、今回のボトルには1989年に蒸溜された現存最古のノンピーテッドモルト原酒も使用しているとか。30年以上前の原酒とは、なんと贅沢な!

 

この宮城峡はエレガントでいてスモーキー

次は尾崎チーフブレンダーに「シングルモルト宮城峡 ピーテッド」の特徴を聞きました。採用したのは、あえてピーテッドモルト原酒のみ。そのうえで宮城峡らしさは生かしつつ、ピートが香るたくましい味わいに仕上げたそうです。

 

「宮城峡のヘビリーピーテッドモルト原酒は、スモーキーな香りをしっかり主張しつつエレガントさも併せ持っています。この個性を生かすため、ブレンドの骨格はライトリーピーテッドモルト原酒で組み立てました。というのも、あまりピートを強調しすぎると、本来の宮城峡らしさが崩れてしまうからです。原酒ごとに異なるピートの強弱を見極め、バランスを取りながら調整を繰り返し、宮城峡ならではの繊細さとピートとの豊かな調和にたどり着きました」(尾崎さん)

 

↑尾崎さん。「シングルモルト宮城峡 ピーテッド」に使った最も古い原酒は80年代後半のものとのことで、こちらも超希少。なお、ヘビリーピーテッドモルト原酒をキーとして、ピーテッドモルト原酒だけで組んだ宮城峡は初めてだそうです

 

香りから嗜むと、はちみつや熟した果実を思わせる甘やかさが立ち、やわらかなピート香とともにウッディなニュアンスも感じます。味わうとスモーキーさがやや前面に出てきて、レーズンやドライチェリーのような熟した甘みとともに調和。余韻にはピートのニュアンスとビターなコクが続き、心地よいフィニッシュです。

 

↑ピートのスモーキーフレーバーには絶妙な立体感があります。香りよりも味わいとして広がる設計で、トップから余韻まで流れるような抑揚がきわめてエレガント

 

「ストレートで味わった後は、加水してぜひトゥワイスアップを。フルーティな華やかさが開き、樽のビター感も楽しめますよ。ドライフルーツのような甘さが際立ち、ピートの余韻が濃く感じられるロックもオススメです」(尾崎さん)

 

↑通年販売の「シングルモルト宮城峡」はフルーティかつフラワリーで、ほのかに樽由来のバニラ香やビター感も感じられる上品な味。飲み比べると、「シングルモルト宮城峡 ピーテッド」のワイルドさがよくわかります

 

今回紹介した、第1弾となる「NIKKA DISCOVERYシリーズ」は数量限定であるものの全国で販売。バーを中心に、百貨店や酒販店などでも展開するそうです。1本2万2000円と高価ですが、バーであれば比較的にフレンドリーな価格で飲めるはず。ウイスキーファンのみなさん、久々にバーでしっぽりと、ニッカのシングルモルトを楽しみませんか!

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

世界初の設備が生んだパワフルなウイスキーを試飲。北陸唯一の小さな蒸留所の挑戦がアツい

ウイスキーは世界的なブームであるとともに、ジャパニーズウイスキーの評価も近年はうなぎのぼり。国内ではマイクロディスティラリー(小規模蒸留所)も生まれていて、ファンを喜ばせています。人気の理由は、小規模ゆえの希少性だけではありません。その土地ならではの風土が生み出す個性や、造り手の情熱もファンを魅了する要素です。

 

今回紹介するのは、そんなマイクロディスティラリーのなかでも、未踏のチャレンジから生まれたきわめて稀有なウイスキー「三郎丸蒸留所 ニューポット 2020 ヘビリーピーテッド 52PPM」。蒸溜所のストーリーとともに紹介します。

 

↑透明の液色や細身のボトルが印象的な1本です

 

冬は日本酒、夏はウイスキー。北陸唯一の蒸留所

このウイスキーを造った若鶴酒造は、1862年創業の酒造メーカー。富山県の自然に育まれた良質な水を使い、日本酒造りを手がけています。同社の日本酒のフラッグシップである「若鶴」ブランドは、海外の品評会で高い評価を得ています。

 

同社は日本酒醸造の一方で、自社で運営する三郎丸蒸留所でウイスキー造りにも取り組んでいます。製造開始は1952年とその歴史は古く、北陸で唯一のウイスキー蒸留所として、こだわりの酒を造り続けています。

 

↑若鶴酒造の三郎丸蒸留所

 

まだウイスキー製造が一般的ではなかった時代から試行錯誤を繰り返してきたそうで、昔ながらのビール酵母を使用した製法は、小さな蒸留所ならでは。冬は日本酒を仕込み、夏にのみウイスキーを蒸留するため、生産量が限られています。

 

ヒントはお寺の鐘

伝統的な製法や素材をベースにしながら、新しいものを柔軟に採り入れているのが三郎丸蒸留所の面白いところ。大きな特徴は、同社が開発に携わった「ZEMON(ゼモン)」というポットスチル(蒸留器)を採用している点です。

 

「ZEMON」は梵鐘(寺院の鐘)の伝統技術から生まれた、まったく新しいポットスチル。日本の梵鐘製造のトップシェアを誇る老子製作所との共同開発で造られました。老子製作所のある富山県高岡市は、400年の銅器製造の歴史があり、現在でも日本の銅器の90%以上が生産されているそうです。

 

↑高岡銅器鋳物蒸留器「ZEMON」

 

「ZEMON」は従来のポットスチルに比べて低コストかつ短納期での製造が可能になるだけでなく、耐久性やメンテナンス性、さらにはエネルギー効率向上による省エネも実現しました。

 

そして見逃せないのが、ウイスキーの味わいにもたらす影響です。「ZEMON」は従来の純粋な銅ではなく、銅と錫の合金でできています。昔から錫は「酒の味をまろやかにする」といわれていて、酒質の向上に大きく貢献しました。表面に細かな凹凸がある砂型鋳造によって、酒と触れる面積が広がったことで、この効果がより強調されました。

 

三郎丸蒸留所では「ZEMON」を2019年からウイスキー蒸留に使用。その技術は権威のあるウイスキー専門誌で紹介されるなど、国内外を問わず注目されています。そして、「ZEMON」で蒸留されたウイスキー原酒が世界的な品評会で特別賞を受賞したことで、そのポテンシャルも明らかになってきました。

 

パワフルでスモーキーな、限定生産のウイスキー原酒

そんな「ZEMON」で蒸留されたのが「三郎丸蒸留所 ニューポット 2020 ヘビリーピーテッド 52PPM」です。ピートを強く焚き込んだヘビリーピーテッド麦芽で仕込まれていて、スモーキーかつヘビーなウイスキー造りを信条とする三郎丸蒸留所らしさが感じられます。

 

↑「三郎丸」と「ZEMON」の文字が目を引くラベル

 

これは熟成や調整を施す前の、蒸留したてのウイスキーの原液「ニューポット」(ニューメイク)というもので、琥珀色のウイスキーとは異なりますが、お酒としての個性は十分楽しめます。

 

↑ウイスキー酵母に加えてエール酵母が使用されています。アルコール度数は60度

 

↑原酒であることを表す「NEW POT」の印字。樽で熟成させる前の状態です

 

フタを開けてみて驚きましたが、まず香りからしてパワフル。商品名にもなっている「52PPM」はダテじゃありません。

 

PPMとはピートの強さを表す数値(フェノール値)で、いわゆる“スモーキーさ”の度合いのことを指します。ピートが強いことで知られるスコットランド・アイラ島のスコッチにおいて「アイラモルトの王者」と呼ばれる銘酒「ラフロイグ」でも40~45PPMなので、今回の52PPMというのはかなりスモーキー。ちなみに筆者はアイラモルトが大好きなので、このヘビリースモーキーフレーバーはうれしい限りです。

 

↑グラスに注ぐと、スモーキーな香りが立ちます

 

そして何も割らずにそのまま飲んでみると、豊かな甘味とやわらかなタッチを感じます。ニューポットは荒々しい味わいになりがちですが、こちらはカドがなくてむしろスムース。ミドルの味はふわっとした印象で、余韻はサッと引きながら奥に染み込んでいく感じです。

 

この甘味は独特で、鮮烈なスモーキーフレーバーと調和し、無邪気なスイートテイストを醸し出しています。アルコール度数も60度と高めながら、ストレートでクイッといけてしまう魔性のおいしさを秘めています。

 

↑本当に60度もあるのか、というくらいスムースに入ってきます

 

加水してみると、甘やかなニュアンスがより前に出てきて、これもナイス。さらに飲みやすくなるので、オススメの飲み方です。

 

ハイボールも試してみました。やはり甘味とピートの香りがしっかりしていて、飲みごたえのあるハイボールになりました。ストレートでもそうですが、熟成されていない分、キレがあって、香りは強めながら味としてはシャープな印象です。

 

↑香りもキレも一味違うハイボールに

 

今回は料理とのペアリングは試していませんが、ソーセージやベーコン、いぶりがっこやスモークチーズなど、燻製の料理が抜群に合うと思います。アウトドアにも最高でしょう。

 

三郎丸蒸留所からは今後もさまざまなニューポットがリリースされそうですし、熟成されたウイスキーもいずれ発売されるでしょう。今後も要注目の造り手です。「三郎丸蒸留所 ニューポット 2020 ヘビリーピーテッド 52PPM」は9月12日に発売されたばかりですが、2000本の数量限定なので、気になる方はお早めのチェックを。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

ウイスキーの達人もリスペクトする銘酒・バランタインが「スコッチの王道」たる所以

Sponsored by Suntory Spirits

 

近年続くウイスキーブームのなかで、 特に新たなファンを獲得しているのが スコッチウイスキーです。そして、その王道と称される銘柄が「バランタイン」。 なぜ数多あるスコッチのなかで、 “王道”として愛されるのか。 その魅力をウイスキーの達人に聞きました。

サントリースピリッツの「バランタイン 17年」は、17年熟成のブレンデッドスコッチのなかで最古の歴史を誇り、“The Scotch”とも称される一本。スコットランド各地の厳選された原酒を40種類以上ブレンドすることで、気品ある香りと繊細で複雑な味わいを実現しています。受賞歴は25を超え、最近は「ウイスキーバイブル2020」で「ブレンデッドスコッチ オブ ザ イヤー」を受賞。希望小売価格は9000円(税抜)

【「バランタイン 17年」商品サイトはコチラ

 

【インタビュー】ウイスキーの達人に聞く、ウイスキーブームの背景とバランタインの魅力

ウイスキー市場の活況が続くなかで、特にいまスコッチに注目が集まっています。興味深いのは、20~40代の新規飲用者が増えていることです。その背景には何があるのか、「ワールドウイスキーアワード2010」で単一小売店部門の世界最優秀小売店に認められた、「目白田中屋」の栗林幸吉氏に聞きました。

↑インタビューに答えてくれたのは「ウイスキーの達人」である目白田中屋の店主・栗林幸吉さん

 

「ウイスキーが人気の背景には、居酒屋を中心に起きているハイボールブームが挙げられます。『ウイスキーフェスティバル』など、様々な銘柄を気軽に試せるイベントが増えているのも大きいでしょう。店を訪れるお客さんを見ていても、新規のウイスキー飲みが増えている印象です。なかでも近年注目を集めているのがスコッチ。味わいの多彩さと深みが人気の理由だと思います」(栗林さん)

 

スコッチは世界5大ウイスキーのひとつで、その代表格ともいえるカテゴリー。ジャパニーズウイスキーも、スコッチを手本に作られたといわれています。

 

「スコッチには、単一蒸溜所の原酒だけで造るシングルモルトと、数種の原酒を組み合わせて造るブレンデッドがあり、味わいはそれぞれライトからヘビーまで多種多様。しかも100年以上続く老舗ばかりです。語れる要素が多く、追究しても飽きることがありません」(栗林さん)

 

そんな幅広いラインナップがあるスコッチのなかで“王道”と称されるのが、ブレンデッドウイスキーの名門「バランタイン」。事実、ウイスキーのビギナーからツウまで多くの人を虜にし、栗林氏もそのひとりなのです。

 

「シングルモルトが、作られた土地の魅力を表現するソロアーティストであれば、ブレンデッドは総合芸術。音楽で例えるならクラシックのオーケストラでしょう。その王道が『バランタイン』。さながらウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のような存在です。190年以上前に初代のジョージ・バランタイン氏が創業して以来、マスターブレンダーは歴代でわずか5人。たった5人で約2世紀もの間、繊細なブレンド技術と品質を守り続けているんです。これってとんでもなくすごいことですよ」(栗林さん)

 

【バランタイン飲むならこの商品】

サントリースピリッツ

バランタイン ファイネスト

希望小売価格1390円(税抜)

名門のDNAはそのままに、40種以上の原酒を巧みにブレンド。バランスの良い香味と豊かでなめらかな風味が華やぐ、スタンダードスコッチのマスターピースです。「ウイスキーバイブル2020」でウィナー受賞。

【「バランタイン ファイネスト」商品サイトはコチラ

 

バランタインはブランドを象徴する「17年」、日常的に楽しめる「ファイネスト」など様々な商品がありますが、すべてに共通するのは“圧倒的なバランスの良さ”だといいます。

 

「豊かな個性がありながら整っていて、馴染みやすい味わい。僕はよく『バランタインはバランタイン』と話しています。すべての商品を同じマスターブレンダーが手掛けているため、どれを飲んでもその神髄が楽しめる。これも大きな魅力です。17年が正装で楽しむ贅沢な一本であれば、ファイネストは仕立ての良い普段着に合う一本とでも言いましょうか。あるいは17年がベートーベンの『交響曲第9番』であれば、ファイネストは入門曲の『エリーゼのために』。いずれにせよ、偉大なるスタンダードです。スコッチでいえばそれが『バランタイン』。スコッチを初めて飲む人も、まずはバランタインを飲めば間違いない。多種多様なスコッチの世界でブレることのない基準、すなわち王道たる一本なのです」(栗林さん)

 

【王道たる所以  その1】190年以上受け継がれるブレンド技術

1827年の創業以来190年以上の歴史を持ちますが、歴代マスターブレンダーはわずか5人。秘伝のブレンド術は、そう簡単には受け継げないという証です。現在は5代目のサンディー・ヒスロップ氏(写真)が銘酒の味を守っています。

 

【王道たる所以  その2】ラベルに刻まれた由緒正しき紋章

ラベルのエンブレムは、1938年にスコットランド紋章院から許可された由緒正しき名品の証。中央にはスコッチの4大要素である大麦、清流、ポットスチル、樽が描かれています。

 

お問い合わせ:サントリーお客様センター

「バランタイン」商品サイト

 

秋の夜長には断然ウイスキー。しかもブラックニッカの“ディープ”なヤツがいい!

夜がどんどん長くなっていく今日このごろ。街や家に明かりが灯ったら、お気に入りの美酒をじっくり堪能する…。これからの季節は、そういう楽しみも充実してきます。

 

そんななか、あの「ブラックニッカ」の定番ウイスキーがリニューアルしました。同時に、数量限定の特別ブレンドもリリース。秋の夜長がさらに盛り上がりそうな予感です。そこで、注目の新商品を取材するべく、アサヒビールの新商品発表会に行ってきました!

 

ブラックニッカについて

“ヒゲのおじさん”が印象的な「ブラックニッカ」。1956年の発売以来、時代とともにカタチを変えながら、多くのファンに愛され続けるロングセラーブランドです。現在ではスッキリとした「クリア」、華やかな香りの「リッチブレンド」、濃厚でしっかりした「ディープブレンド」の3つのシリーズが中心になっています。

 

 

「家飲み」に新しい選択肢を!

これまで「ブラックニッカ」は、父の日に向けた限定ブレンドを発売するなど、さまざまな飲用シーンに寄り添う形での提案を行ってきました。今回キーポイントになっているのは「家で飲む」ということ。そしてリニューアル対象は「ディープブレンド」です。

 

なぜそこに焦点を絞ったのでしょうか?ヒントになっているのは、飲用シーンや時間の変化です。アサヒビールの調査により分かったのが、ウイスキーは飲食店で飲むが、家では飲まない人が多いこと。近年のライフスタイルの中で人々が重視するのが“食後の時間”や“くつろぎのシーン”であるということ。そして、ウイスキーを家で飲む人は“ロック”で飲む傾向にあること。これにドンピシャなのが「ディープブレンド」シリーズだというワケです。

 

↑「友人や仲間との時間」よりも、「一人でいる時間」「くつろぎの時間」を大事にしている人が多いとか(アサヒビール新商品発表会の資料より)

 

↑家飲み派はロックで飲むのが好きなようです(上記同資料より)

 

 

見た目がフレンドリーになって再登場!

それでは新しい「ディープブレンド」の、どこが変わったのでしょうか? もともと「味わい」への評価は非常に高かったので、中身は変わらず。変わったのはパッケージです。

↑「ブラックニッカ ディープブレンド」1500円(税抜/参考小売価格)

 

赤いラベルとスモークがかったボトルの旧デザインから、ラベルのキーカラーを濃紺に、そして透明のボトルに変更。より手に取りやすく、かつ上質感のある新しい姿になりました。

↑イメージカラーの濃紺のグラデーションが、味わいにぴったり合っています

 

樽由来のウッディな香り、モルティでやわらかな甘さが特徴的。甘くコク深い味わいながら余韻はビターに。確かにこれは、ロックでじっくりと楽しみたい重厚さです。

 

さらに深くを攻めた限定品「エクストラスイート」

「ディープブレンド」のリニューアルにあわせて、「エクストラスイート」という特別エディションも数量限定で発売されます。

↑「ブラックニッカ ディープブレンド エクストラスイート」2000円(税抜/参考小売価格)

 

こちらは「ディープブレンド」をベースに、その個性をさらに際立たせたプレミアム版。とても希少な長期熟成の新樽モルト原酒や熟成カフェグレーンを使用し、甘くまろやかなコクをもっと深めました。

↑テイスティングして飲み比べると、濃密で甘い香りが際立ちます

 

テイスティングの際には、マスターブレンダーの佐久間 正さんが、いろいろと説明してくれました。

↑マスターブレンダーの佐久間 正さん

 

佐久間さんによると、「エクストラスイート」は、飲み方によって異なる魅力が現れるのも特徴とのこと。たとえばロックで飲めばバニラのような甘い香りが花開き、ハイボールならピートのビターな香りが泡とともに立ちのぼる。そんな二面性を楽しんでみるのも面白いですね。

 

 

いろいろなシーンで“ディープ”に酔いしれよう!

2つの「ディープブレンド」は、様々な時間を上質なものに変えてくれそうな、魅惑のお酒です。オススメの飲用シーンをちょっと想像してみましょう。まずは食事と合わせて。甘く香ばしい香りは、それだけで主役になります。食事と一緒にペアリングを楽しむのはもちろん、食後に飲むのもオススメです。

↑発表会では、参加者にフィンガーフードも振る舞われました

 

ほかには、たとえばリラックスタイム。寝る前や休日に勤しむ、趣味の時間などにもピッタリでしょう。

↑たとえば本を読みながら。リラックスした脳に、本の内容がスムーズに入ってきそう

 

↑たとえば音楽を聴きながら。お気に入りの旋律がもっと心地よく感じられそう

 

↑たとえば映画を見ながら。登場人物や世界観により深く没入できそう

 

こんな感じで秋の長い夜をさらに深く、ゆるやかにしてくれる新生「ディープブレンド」。皆さんもぜひグラスを片手に、思い思いの時間を過ごしてみてください!

赤と黄の名作スコッチ「ホワイトホース」、缶タイプは本気度が違った

ウイスキー人気が盛り上がるなか、今夏はハイボールで楽しんでいる人も多いでしょう。特にBBQなどのアウトドアシーンでは、手軽に楽しめる缶が便利ですが、名作スコッチ「ホワイトホース」による新商品が7月10日に発売されました!

 

日本に来て100年以上!スコッチのド定番「ホワイトホース」

白馬のシルエットでおなじみの「ホワイトホース」。ウイスキーの聖地スコットランドで、誕生から120年を超える老舗ブランドです。日本にやって来たのも早く、1906年には流通されていたといわれています。つまり100年以上もの間、日本で親しまれているのです。特にシニア層の方にはなじみ深いのではないでしょうか?

↑白馬のシルエットが品格と歴史を感じさせます

 

ハイボール人気を背景に拡大を続けている日本のウイスキー市場。ハイボール缶市場は、2017年までの5年間で2.3倍に拡大しています。スコッチウイスキー市場も好調で、2017年は前年比12%増でした。

 

そんななか「ホワイトホース」の2017年の販売数量は前年比35%増と、市場のペースを上回る拡大を続けていて、2年連続でスコッチウイスキー国内販売量No.1に。世界的に見ても、最もホワイトホースが売れているのは日本。名実ともに、日本人に愛されているスコッチというワケなのです。

↑まろやかでバランスがいいホワイトホースは、日本で大人気!

 

 

ついに出た、スモーキーな本格ハイボール

そんな名門からリリースされたこのハイボールは、スコッチならではの「スモーキーな香りや味わい」が手軽に楽しめる1本になっているとのこと。従来のハイボールに「ウイスキーの香り・味わいがもっとほしい」「人工的で味が薄い」といった印象をお持ちの方にはぴったリですね。

 

昨今は高アルコールのドリンクが人気ですが、本商品は6%と、ほかの缶ハイボールに比べると低め。「ホワイトホース」の味わいや香りを一番引き立てられる濃度を目指したら6%になったというのがその理由だそうです。

↑缶から注いだときの香りも、これまでのハイボールとはちょっと違います

 

それでは新商品を飲んでみましょう。

↑少量をカップに注いで、テイスティングしてみました

 

特徴的なのは、花や蜂蜜を思わせるフローラルなフレーバー。甘く華やかな香りとまろやかさ、ドライさ、ほのかに香るスモーキーさのバランスが絶妙で、上品な味わいです。炭酸もそこまで強くないので、原酒の香りや味わいが、なめらかな泡とともに心地よく広がります。

↑注ぐときに立ち上る泡もなめらかな感じ

 

担当者に聞いてみたら、スコッチならではのスモーキーな香りを生かすため、ほかのウイスキーやアルコールはブレンドせずに仕上げているとか。ブレンドせずスコッチウイスキーのみを使った缶のハイボールは日本初。「ホワイトホース」ブランドで、缶ハイボールを発売するのは世界でも初めてだそうです。

↑スコッチの香りが立った、まさに本格派のハイボール!

 

参考価格は350ml缶が178円(税別)、500ml缶が240円(税別)。ビールよりハイボール派の人もいると思いますが、自分で作るのは手間、うまく作れないという声も少なからずあるはず。そんなときに、ワンランク上の缶ハイボールで、本格スコッチの味わいを試してみるといいでしょう。もちろんお出かけの際にコンビニなどで見かけたら、手に取ってみるのもアリですよ!

溝端淳平「これは画期的なハイボール!」ブラックニッカ ジャーハイBARが7月8日まで限定オープン

おなじみのウイスキー「ブラックニッカ」がオススメしている「ジャーハイ」という楽しみ方をご存じでしょうか? これはオレンジピール、ドライマンゴーなどのドライフルーツ、バジルや和山椒など香り豊かな素材を数時間から1日強仕込み、それを炭酸で割った「甘くないハイボール」のことです。昨年筆者は「漬込みウイスキー」を自宅で体験し、非常においしかった記憶がありますが、そのハイボール版といえる飲み方ですね。

 

 

家で作るとなると準備が必要ですが、気軽に体験できるポップアップバーがオープン。これは気になる!ということで、プレスプレビューに行ってきました!

 

 

甘くないので食も進む!画期的なハイボール

場所は六本木ヒルズ内の「ヒルズカフェ/スペース」。グリーンを基調とした、ナチュラルで爽やかな外観がいまの時期にぴったりマッチしています。

↑外観。もちろん入場無料です

 

店内も、ジャーハイをイメージしたインテリアのほか、フルーツやハーブのオブジェ、炭酸の泡をモチーフとしたポップなデザインが施されていて、お洒落な雰囲気。カウンターではバーテンダーがプロ仕様の一杯をサーブしてくれます。

↑ジャーハイは480円~。そのほかにもキンキンに冷えた「フリージングハイボール」(500円)なども楽しめます

 

発表会の冒頭では、なんと俳優の溝端淳平さんと岡本 玲さんが登壇。ニッカウヰスキーの佐久間 正チーフブレンダーにレクチャーを受けながらジャーハイの仕込みを体験し、テイスティングも。

↑溝端さんと岡本さんは事務所の先輩後輩の関係で、ともに和歌山県出身。「10代からの付き合いですが、まさか玲ちゃんにお酒を作ってもらう日が来るなんて!」と溝端さんは大感激

 

普段からハイボールをよく飲むというウイスキーファンのおふたり。岡本さんは「大葉 クリアジャーハイ」を試飲し、「ウイスキー本来の味と、上品な大葉の香りがマッチしています。甘くないので食も進みそう! お洒落で、簡単に作れるのもいいですね」とコメント。一方の溝端さんは「ドライブルーベリー リッチジャーハイ」をテイスティングしました。「ウイスキーと素材のよさが掛け算になった、画期的な味ですね。これはウイスキーの革命ですよ!」と大絶賛。

 

 

各フレーバーとのペアリングも楽しめる!

ここからは、実際に提供されるメニューをより詳しく紹介。ジャーハイは全6種類で、オレンジピール×ブラックニッカによる「オレンジピール クリアジャーハイ」(480円)などのフルーツ系から、和山椒×ブラックニッカの「和山椒 ディープジャーハイ」(520円)といった和風など、多彩にそろっています。

↑左から、「大葉 クリアジャーハイ」(480円)、「ドライブルーベリーリッチジャーハイ」(500円)、「オレンジピール クリアジャーハイ」(480円)

 

また、ジャーハイは食事との相性がいいということで、それを実感できる特製フードも6種類用意されています。個人的には「タコと夏野菜のマリネ」(700円)と「大葉 クリアジャーハイ」(480円)のペアリングが特に爽快で好みでした。

↑フードも「スパイス香るチュロス」(450円)から「桃とマスカルポーネの生ハムサラダ」(800円)まで多種多様

 

種類が豊富なところが悩みどころでもありますが、ご安心を。ミニサイズの「大葉 クリアジャーハイ」「ドライブルーベリー リッチジャーハイ」「和山椒 ディープジャーハイ」と、各ペアリングフードのスモールポーションが3種セットになった、「ジャーハイ 香りを比べるセット」(1200円)も用意されています。

 

↑「ジャーハイ 香りを比べるセット」(1200円)

 

なお、「ブラックニッカ ジャーハイBAR」は7月8日(日)までの限定オープン。ただ7月からは「ジャーハイ」の飲み方提案が都内の飲食店で先行展開され、10月以降は全国の飲食店にも拡大する予定。今年はぜひ革命的なウイスキーで、新感覚のハイボールを楽しんでみては!

 

 

【SHOP DATA】

ブラックニッカ ジャーハイBAR

住所:東京都港区六本木6-10-1 ヒルサイド2F 六本木ヒルズ内「ヒルズカフェ/スペース」

オープン期間:~7月8日(日)

アクセス:東京メトロ 日比谷線「六本木駅」 徒歩2分

営業時間:11:00~23:00(L.O. FOOD/22:00 DRINK/22:30)

定休日:なし


 

アイルランド→東京→アイルランド→東京の採算度外視すぎる超限定ウイスキー、そのお味は?

「ジェムソン」といえば、1780年にアイルランドで創業したアイリッシュウイスキーブランド。伝統を守りつつ、革新的なウイスキー造りに取り組む同社では、クラフトビールの熟成に使用した樽をウイスキーの後熟に使うユニークな商品「ジェムソン カスクメイツ」を展開しています。

↑左は「ジェムソン カスクメイツ − 東京エディション」、右は「ジェムソン スタンダード」

 

昨年から日本でも飲めるようになったジェムソン カスクメイツに、新たに日本限定版が登場しました。その名も「ジェムソン カスクメイツ − 東京エディション」。6月4日から数量限定発売されているこのウイスキーは、普段ウイスキーをあまり飲まない人もハマる可能性を秘めているんです!

 

 

熟成樽がアイルランドと日本を行き来

今回の東京エディションは、東京のクラフトビールブルワリー「DevilCraft(デビルクラフト)」とのコラボによって誕生しました。デビルクラフトは神田、浜松町、五反田に店舗を構えるクラフトビールとシカゴピザの店で、2015年から自社ブルワリーをオープンしています。2016年には世界的なコンペの「ワールドビアカップ2016」でブリティッシュインペリアルスタウト部門で斤量を受賞。そんなハイレベルなブルワリーとのコラボと聞くと、期待が高まりますよね

 

まずは、アイルランドのミドルトン蒸溜所からジェムソンの熟成に使用した4樽が東京に送られました。続いて、ウイスキー樽でインペリアル・スタウトとインペリアル・ライ・ブラウン・エールを2樽ずつ短期熟成させます。熟成を経た樽はアイルランドに送り返されます。

↑実際にジェムソンの熟成に使用されるウイスキー樽。東京エディションは4樽分のみ

 

その後送り返された熟成樽でウイスキーを約10か月間後熟。ビールによって香りやフレーバーは異なるので、熟成を終えた2種類のウイスキーを最後にブレンドして「ジェムソン カスクメイツ − 東京エディション」は完成したのです。

↑アイルランド→東京→アイルランド→東京を樽が行き来するのは面白い。熟成されたバレルエイジドビールは数量限定販売されている

 

 

スタンダードとの味の違いは明白

お披露目イベントでは、「ジェムソン スタンダード」「ジェムソン カスクメイツ − 東京エディション」「インペリアル・スタウト」「インペリアル・ライ・ブラウン・エール」をそれぞれ試飲。

↑東京エディションは右上。スタンダードに比べると、少し色付いている

 

まずはジェムソン スタンダードを飲んでみたのですが、思った以上に個性は控えめで、ストレートでもおいしくいただけます。香りもまろやかですし、飲んだあとも嫌な雑味は一切なく、非常にスムーズ。もちろんハイボールにしてもおいしくいただけます!

↑ウェルカムドリンクでいただいたハイボールがおいしくて、改めてジェムソンの素晴らしさを実感した

 

続いて、いただくのはジェムソン カスクメイツ − 東京エディション。香りの時点で随分違いがあって、コーヒーのような香ばしさや、果実のような甘い匂い。そして、口に含むとなめらかで、やはりコーヒーやスパイス、りんごのような甘さも。

 

インペリアル・スタウトとインペリアル・ライ・ブラウン・エールも飲んでみたところ、東京エディションは決してクラフトビールの味や香りが前面に出過ぎているわけでなく、ジェムソン スタンダードからさらに深みを生んでいることがわかります。これはストレートやロックでウイスキー本来の味をじっくり楽しむのが良さそうです。

↑クラフトビールに使用されている大麦、モルト、ホップ。複数のモルトとホップを組み合わせて作らている

 

筆者は最近ようやくウイスキーをおいしく感じるようになった新参者。東京エディションの少し甘さを感じるフレーバーは、口当たりが良くて飲みやすく、それでいてスパイシーさも兼ね備えた複雑な味わいは、新たなウイスキーを知った気がしました。

 

ジェムソン カスクメイツ − 東京エディションが飲めるのは、デビルクラフト3店舗を始め、都内10店舗だけ。4樽しか作られていない激レアなこのウイスキーは早いもの勝ちなので、急いでお店に飲みに行くべし!

 

 

ジェムソン

https://www.jamesonwhiskey.com/jp/

角煮にも使える! 広がるウイスキーの世界――『ニッカウヰスキーアレンジレシピ』

お酒を飲むとき、つまみを大事にするタイプとお酒そのものを味わうのに専念する方がいると思います。お酒の種類によって、使い分ける場合もあるでしょう。私はお酒を飲むのが好きで、若い頃は酒豪でした。いくら飲んでも酔わない体質なのか、みんなでお酒を飲みに行くと、もっぱら介抱する役に回り二日酔いもほとんどありません。

 

 

私のお酒の飲み方

お酒は種類を問わず何でも飲みます。ただし、改めて考えてみると、お酒によって飲み方は変えていたようです。ビールは食事の前にぐいっと喉を鳴らして飲むのが好きです。身体に悪いと言われても、夕方から水分をとらないようにしたりします。夜、焼き鳥屋さんで食事をする前にまずはビールを流し込み、「ぷは~~」と言うときの快感はやめられません。ワインは食事と一緒に楽しみます。銘柄などに詳しいわけではありませんが、この食事には軽めのワイン、この料理にはどっしり重めと、考えるのは至福の時間です。

 

 

亡き父の教え、ウイスキーを飲みなさい

では、ウィスキーは?  となると答えに窮します。ウイスキーも好きは好きなのですが、ワインやビールに比べると飲む回数が明らかに少ないのです。特に最近はほとんど飲んでいませんでした。バーにも行く機会がなく、寝酒に飲む習慣もありませんでしたから…。

 

けれども、私にお酒の飲み方を教えてくれた父は、いつもこう言っていました。「ウイスキーはいいよ。ハイボールもおいしいし、そのまま飲むのもいい。大切に少しずつ舌にしみこませていると、ああ、お酒っていいなと思うようになるよ」と。

 

日本のウイスキーの素晴らしさ

ニッカウヰスキー アレンジレシピ』(アサヒビール・監修/ワニブックス・刊)を読み、父の言葉は嘘ではなかったと改めて実感しています。ニッカウヰスキーは、「日本人に本物のウイスキーを飲んでもらいたい」と願った竹鶴政孝が創業した会社です。NHKのテレビドラマにもなりましたから、皆様、よくご存じのことと思います。

 

創業当時は「洋酒なんて」と理解されずに苦しんだといいますが、今や大人気。日本はもちろんのこと、海外でも「日本のウイスキーは素晴らしい」と、賞賛されるようになっています。外国へのおみやげに「日本のウイスキーがいい」と、頼まれることも多々あります。

 

ニッカウヰスキーをアレンジするとこうなります

愉しみ方の幅も広がりました。そのまま味わうのももちろん美味しいのですが、『ニッカウヰスキー アレンジレシピ』に掲載されているようなバリエーション豊かな飲み方も、ウイスキーの楽しみを広げてくれます。

 

「えっ! こんな飲み方もあったの?」と、びっくりするに違いありません。この本は、ニッカウヰスキー公式Twitterで配信された数々のレシピを集めたものですが、私たちに新しい世界を示してくれます。

 

『ニッカウヰスキー アレンジレシピ』で扱われているウイスキーは三種類。順に簡単に説明します。

 

1:ブラックニッカ クリア
アルコール度数は37パーセント。
クセのないやわらかな香りのモルト原酒と、ほのかに甘いグレーンウィスキーが互いに個性をひきたてています。
値段も手頃ですから、料理にも躊躇せずに使うことができるでしょう。

 

2:ブラックニッカ リッチブレンド
アルコール度数は40パーセント。
シェリー樽で熟成を重ね、フルーティで華やかな香りを身につけたモルト原酒と、ほのかな甘みとしっかりしたコクを感じるカフェグレーンを調和させたブレンデッドウイスキーです。ハイボールがおすすめ。

 

3:ブラックニッカ ディープブレンド
アルコール度数45パーセントで、ブラックニッカ史上、最も濃厚なディープブレンド。
新樽で熟成を重ねたウッディな香りを漂わせる力強いモルトが、樽の香り豊かなカフェダレーンと深く溶け合い、濃密で複雑な味わいとなって広がります。

 

 

ウイスキーの可能性を広げてくれる本

『ニッカウヰスキー アレンジレシピ』には、上の三種類のウイスキーを駆使したおつまみやアレンジドリンクが満載されています。趣向を凝らしたレシピは作品と呼びたくなるほどオリジナリティにあふれたものです。アレンジドリンク、漬込み酒、おつまみ、スイーツまで、実に様々のジャンルがあることにも驚きます。

フローズンレモンソルティハイボール

アレンジドリンクとして紹介されていたレシピです。ウイスキーに手を加えるなんてと、内心、思いつつ、作ってみました。

レシピに従って用意したのは

ブラックニッカクリア・・300ml
レモン・・1個
粗塩・・適宜
炭酸水・・120ml

 

作り方は簡単です。

①レモンは皮ごとよく洗い、輪切りにして冷凍する
②グラスの口を水で濡らして粗塩をつけ、①を入れブラックニッカクリアを注ぐ
③冷やした炭酸水を注ぎ、軽く混ぜる

 

さわやかな香りとキーンと冷えたハイボールが、夏の暑さを忘れさせてくれます。見た目も綺麗だし、ホームパーティなどでも人気が出そうです。

 

 

ウイスキー角煮

おつまみレシピからは、ウイスキー角煮を選びました。角煮は私が常日頃、よく作る料理です。ただし、ウイスキーを使って作るのは初めてでした。今までは、もっぱら泡盛とか日本酒を使っていましたから…。

 

レシピは以下の通り
材料(2人分)
豚バラ(ブロック)・・400グラム
パクチー・・・1株
長ねぎ・・・5㎝
A
ブラックニッカクリア・・100ml
水・・300ml
しょうが(薄切り)・・1かけ分

しょうゆ・・大さじ3
ブラウンシュガー・・大さじ2

作り方は

 

①豚肉は6等分に切る。パクチーはざく切りに、長ネギは千切りにして水にさらし、水気を切る。
②鍋に①の豚肉とたっぷりの水を入れて沸かし、弱火にして30分茹でる。蓋をして余熱で30分置く。湯を捨ててAを入れ、ひと煮立ちさせたら弱火で30分煮る。
③しょうゆとブラウンシュガーを加え、弱火で2時間ほど、煮汁が半分くらいになるまで煮る。
④を器に盛り、①のパクチーと長ねぎをのせる。

 

時間はかかりますが、火にかけておくだけですし、そんなに難しくありません。私がいつも作っている角煮より、脂っこくないひと品となりました。ウイスキーの力でしょうか?

 

他にもたくさんのレシピがありますが、ここでは紹介しきれません。ウイスキーの可能性を広げてくれる 『ニッカウヰスキー アレンジレシピ』の数々、是非、ご自身でお試しあれ~~!

 

【書籍紹介】


ニッカウヰスキーアレンジレシピ

監修:アサヒビール
発行:ワニブックス

こんなの、家で飲めたんだ! Twitterフォロワー400,000人突破! (※2018年4月時点)ニッカウヰスキー公式アカウント(@nikka_jp)で人気の自宅で楽しめるウイスキーを使ったレシピが1冊に。

Amazonで詳しく見る
楽天ブックスで詳しく見る

父の日にも自分用にも。「ブラックニッカの限定品」が酒好きの心をくすぐる

6月17日は父の日。プレゼントをどうしようかとお悩みなら、今年はウイスキーなんていかがでしょうか? 実はロングセラーブランド「ブラックニッカ」から、父の日を“リッチ”に演出してくれる数量限定商品が登場。メーカーの新商品発表会の様子から、その魅力をお伝えします!

 

 

まずは「ブラックニッカ」のおさらいから

1956年の発売以来、時代とともにカタチを変えてウイスキーのおいしさ、面白さを発信し続けている「ブラックニッカ」。トレードマークの“ヒゲのおじさん”でもおなじみですね。現在では、飲みやすくて軽やかな「クリア」、華やかな香りとコクの「リッチブレンド」、深く重厚な味わいの「ディープブレンド」の3タイプの商品が主軸です。

 

2017年は前年比102%と拡大傾向のウイスキー業界にあって、「ブラックニッカ」は前年比112%と特に好調。5年連続で過去最高の売上を更新し続けています。

↑ウイスキー需要はじわじわと拡大中!(アサヒビール新商品発表会の資料より)

 

 

さらに“リッチ”になった限定ブレンド

それでは、ブラックニッカの父の日向け商品たちをご紹介していきましょう。まずは、「リッチブレンド」をベースとした数量限定商品「リッチブレンド エクストラシェリー」。

↑「ブラックニッカ リッチブレンド エクストラシェリー」2000円(参考小売価格/以下同)

 

シリーズの特徴であるシェリー樽原酒による甘く芳醇なコクを、さらに際立たせた味わいにブレンド。なめらかな口当たりと、濃厚なドライフルーツを思わせる甘さ、そしてほのかにビターな余韻が特徴です。

↑発表会では、限定販売の「エクストラシェリー」、従来の「リッチブレンド」、キーモルトの「宮城峡シェリー樽原酒」を飲み比べ

 

↑同社の誇るマスターブレンダーの佐久間正さんが、テイスティングについて説明してくれました

 

↑比べてみると違いがはっきりと。エクストラシェリーはさらに濃密でフルーティ!

 

↑サンプルとして特別に、シェリー樽の一部が会場に。年季を感じさせます

 

このリッチな味わいで、お値段は2000円とリーズナブル。これはウイスキー好きなら“買い”でしょう!

 

楽しいグラス付きセットも登場!

父の日に向けて、通常の「リッチブレンド」に特別なグラスが付いたセットも発売されます。ニッカウヰスキーのロゴが入ったグラスは、ウイスキーの香りを楽しむのに最適な形状を採用。

↑「ブラックニッカ リッチブレンド 香りに出逢うグラスセット」2300円。

 

なお「香りに出逢うグラス」は、アサヒビールの研究所と、ニッカウヰスキーのブレンダーが共同開発したものだそうで、フタが付いた特別なもの。また定番の3商品にも、期間限定でうれしいタンブラー付きのセットが発売されます。

↑定番の「ブラックニッカ」3アイテムにも、父の日向けのタンブラーセットがあり!

 

↑オリジナルミニジョッキが付く「クリア」900円

 

↑こちらは「香りに出逢うグラス」とパターンの違う、くびれのあるタンブラー付きの「リッチブレンド」1330円

 

↑どっしりとしたタンブラーが付く「ディープブレンド」1500円

 

ただお得なだけではなく、それぞれの酒質に合わせてグラスのデザインが違うという芸の細かさは、さすがの一言です。

 

どれも価格的に大げさになりすぎないのが、ちょうどいい。まさにプレゼントにピッタリです。限定品なので、もちろん自分用として買っておいても損はない一品でしょう。贈るもよし、一緒に乾杯するもよし、ブラックニッカでステキな父の日を!

「なんとまろやかな…」酒好きライターが舌を巻いた「バーボン×カクテル」という選択肢

皆さん、「ウッドフォードリザーブ」というバーボンをご存じでしょうか?

 

20180225_Y01
↑「ウッドフォードリザーブ」 750ml 実売価格5210円(税別)

 

製品名にあるとおり、アメリカのケンタッキー州ウッドフォード群にある蒸留所で生産されるこのスーパープレミアムバーボンは、伝統的な製法で蒸留・熟成された高級バーボンとして知られています。

 

バーボンとフライドチキンのふるさと「ケンタッキー州」

ケンタッキーと言えば、日本でもお馴染みのフライドチキンを真っ先に連想しますが、「アーリータイムズ」や「ジム・ビーム」など、世界的に有名なバーボンが生産されていることでも知られています。また、競馬の「ケンタッキーダービー」の開催地として、競馬ファンにはお馴染み。ケンタッキーダービーはアメリカクラシック三冠の一画として、アメリカの競馬界最高峰のレースです。

 

ウッドフォードリザーブは、地場産業のブランドとして、ケンタッキーダービーのオフィシャルバーボンになっており、2018年には同レースのメインスポーサーに。いわゆるケンタッキーつながりというヤツですね。このケンタッキーダービーに出場するためには、世界各地の競馬場で開催される「ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」と呼ばれる、いわゆる予選を勝ち抜かなければなりません。

 

日本では東京競馬場で開催される「カトレア賞」や「ヒヤシンスステークス」、川崎競馬場で開催される「全日本2歳優駿」などが予選的レースに該当し、なかでもヒヤシンスステークスはケンタッキーダービー出場するために最重要なレースとなっています。

 

競馬場内のバーをウッドフォードリザーブがジャック!

今回、ヒヤシンスステークスの開催されることに合わせて、場内にあるバーをウッドフォードリザーブがジャック。競馬を楽しみながら飲めるということで、競馬はやらないがお酒は大好きな筆者が取材してきました。

 

↑ということでやって来ました東京競馬場。中央フリーウェイを走ると右に見える競馬場ってヤツです

 

筆者は初めて東京競馬場に来場したのですが、有名外食チェーンやオシャレなカフェが場内に建ち並んでいることに驚きを隠せません。筆者の地元にあるオートレース場とは大違い。女子に人気があるのも頷けます。

 

↑通常は普通のバーとして営業されているお店を、この日はウッドフォードリザーブがジャック

 

女子でも飲みやすいカクテルにピッタリなバーボン

バーでは、ウッドフォードリザーブをベースにしたカクテルがラインナップされ、高級バーボンにもかかわらず、1杯500円という超破格で提供されていました。ラインナップは、ソーダで割ったハイボールに加え、シュガーシロップとスペアミントの葉が入った「ミントジュレップ」、温めた紅茶やアップルジュースで割ったホットカクテルが2種、合計4種類がラインナップ。

 

↑ミントジュレップ(左)とハイボール(右)

 

まずはオススメされたミントジュレップを飲んでみます。バーボンと言えば、口の中を刺激するワイルドな味わいというイメージでしたが、飲んだ瞬間「なんとまろやかな」という感想。シロップの甘さとの相性も抜群にイイ!

 

普段はスコッチウイスキーを好んで飲む筆者もコレには舌を巻きました。(筆者が抱いていた)ウイスキーにありがちな煙臭さもなく、これなら女子でもカジュアルに飲むことができそうです。

 

↑ミントジュレップ。スペアミントの葉が爽やかさを演出

 

次に、ハイボールをば。ソーダで割っているため、ウッドフォードリザーブの味わいが直球で楽しめます。やはりこちらもまろやか。刺激や雑味がなく飲みやすい優等生な味わい。

 

↑ハイボール好きにもオススメできます

 

ホットの2種は、どちらもほんのり甘く、身体が温まります。ほど良い酸味が好みならアップル、香りが楽しみたいなら紅茶カクテルのケンタッキーミュールがオススメです。どちらもバーボンを飲んでいる感覚がなく、温かい甘酒や卵酒に近い印象です。

 


↑紅茶とジンジャーリキュールを入れた「ケンタッキーミュール」(左)とアップルジュースとシナモンで割った「アップル」(右)

 

今回頂いた4種類のウッドフォードリザーブカクテルは、どれも美味しく、ハードなウイスキー好きの筆者でも十分に楽しめました。おかげで、仕事中なのにほろ酔い状態に…。

 

↑仕事を忘れてグイグイといきたかったです

 

ちなみに肝心のレースですが、競馬のことは解らないので、開催日の2月18日にあやかって3連単で「2-1-8」を購入。一発当ててウッドフォードリザーブを大人買いしようと目論んだのですが、そうそう上手くいくはずもなくあえなく撃沈しました…。

 

↑この絵面のためだけに勝馬投票券を購入

 

↑余談ですがこの日初めて実戦投入したカメラが上手く使えず、やっと撮れたのがコレ

 

なお、ウッドフォードリザーブは各地のBARの多くで飲めるほか、ネット通販や大手デパートの洋酒売場でも購入できるとのことなので、興味がある人は一度味わってみることを強くオススメします!

「グレンリベット18年」にぴったりな料理は? 「ウイスキー本」のクラウドファンディングに大注目!

出版・広告制作会社フォーギブの代表・小笹加奈子が、「ウイスキーの良さを知ってもらう本(仮)」の刊行を目指してクラウドファンディングに挑戦。ありそうでなかったウイスキー本の刊行プロジェクトに注目が集まり、多額の支援金額が寄せられている。

出典画像:「お酒好きのあなたとつくる『ウイスキーの良さを知ってもらう本』(仮)刊行企画」CAMPFIRE より出典画像:「お酒好きのあなたとつくる『ウイスキーの良さを知ってもらう本』(仮)刊行企画」CAMPFIRE より

 

ウイスキーの楽しさが凝縮されたスタートアップガイド

「ウイスキーの良さを知ってもらう本(仮)」は、ウイスキー文化研究所認定ウイスキー講師の倉島英昭と藤井達郎が監修を務めるウイスキー本。普段はウイスキーに馴染みのない人でもボトルごとの個性や飲み方などを理解でき、楽しみ方がわかるそうだ。

出典画像:「お酒好きのあなたとつくる『ウイスキーの良さを知ってもらう本』(仮)刊行企画」CAMPFIRE より出典画像:「お酒好きのあなたとつくる『ウイスキーの良さを知ってもらう本』(仮)刊行企画」CAMPFIRE より

 

例えば「初めてのボトル選びまでのガイド」では、ウイスキーを製造している蒸留所やオーナー会社が自社で商品化している「オフィシャルボトル」を中心にその魅力を紹介。「角瓶(サントリー)」のようなリーズナブルに提供されている「ブレンデットウイスキー」についても掲載されており、初心者の人がお気に入りの“1本”を見つけられる。

出典画像:「お酒好きのあなたとつくる『ウイスキーの良さを知ってもらう本』(仮)刊行企画」CAMPFIRE より出典画像:「お酒好きのあなたとつくる『ウイスキーの良さを知ってもらう本』(仮)刊行企画」CAMPFIRE より

 

またウイスキーとフードの組み合わせについても解説。店での注文や家庭で楽しむ時などに役立つ、「ペアリング(マリアージュ)」のページも作られるという。ちなみに同クラウドファンディングの特設サイトによると、小笹が最初に感動したのは「グレンリベット18年」と「オレンジコンフィ」の組み合わせだそうだ。

 

そんなウイスキー本出版のプロジェクトには、「最近ウイスキーを飲み始めたからこの本で是非勉強したい!」「本を読みながらウイスキーを飲む日を楽しみにしてます」「この本をきっかけにウイスキー文化がもっと広がって欲しい!」といった声が続出。ウイスキーブロガーたちも次々とブログで紹介し、見事目標金額の120万円をクリアした。

 

そこで同クラウドファンディングは、200万円という新たな目標金額を設定。達成した暁には「紹介するオフィシャルボトル数」「ウイスキーとフードのペアリングページ」「日本のウイスキー蒸留所ガイド」を増やすとのこと。当初の80万円増しにあたる金額だが、募集終了まで23日を残した2月28日現在で166万3700円もの支援金額が集まっており、目標達成は時間の問題かもしれない。

 

2017年にもっとも飲まれたウイスキーは?

ちなみに日本最大級のバー&ウイスキー愛好家アプリを運営する「ハイドアウトクラブ」は、アプリに投稿されたウイスキーを集計して「2017年にもっとも飲まれたウイスキーランキングTOP100」を作成。今年の1月11日に結果が発表された。

 

これによると上位3つは「アードベッグ(3位)」「ラフロイグ(2位)」「ボウモア(1位)」と、強烈な香りをもつ酒が多い「アイラウイスキー」が独占。そのほかにもボトルによって様々な特徴があるウイスキーだが「ウイスキーの良さを知ってもらう本(仮)」にはどのような商品が掲載されているのか、初心者のみならずウイスキー愛好家の人もチェックしてみてはいかが?

「コンビニウイスキー」をソーダ割りで飲み比べ! 味わいと香りでマッピングしてみた!

有名なウイスキーは、いまやコンビニでも買えます。そこから10種を選んでソーダで割り、フードアナリストの中山秀明さんがチェックしました。マトリクスとともに紹介します。

 

【チェックした人】 

フードアナリスト 中山秀明さん

ジャパニーズウイスキーの聖地・秩父育ち。近年、日本各地に誕生する新興の蒸溜所に注目しています。

 

【マッピングはこちら】

20171120-yamauchi_1

 

01

20171117-yamauchi_15

ニッカウヰスキー/ シングルモルト宮城峡/ 4536円

フルーティで華やかな香りと、軽快でやさしい甘さが魅力です。「果実味のなかに絶妙な燻香があり、上品な味です」(中山さん)

 

02

20171117-yamauchi_5

ニッカウヰスキー /ブラックニッカ クリア /972円

クセがなく軽やか。クリアで飲み飽きないロングセラーです。「モルトの明るい香味と甘さがあり、後味も爽やかです」(中山さん)

 

03

20171117-yamauchi_6

ブラウン・フォーマン /ジャック ダニエル ブラック(Old No.7)/ 2754円

カエデの木炭で雑味を取り除く稀有な一本。「まろやかでリッチな香りがおいしいです。コーラで割るのもアリです」(中山さん)

 

04

20171117-yamauchi_16

ブラウン・フォーマン /アーリータイムズ イエローラベル/ 1728円

素朴でキレのある味と、甘く華やかな香りが広がります。「ライトな香ばしさと伸びやかな余韻。スイスイ飲めます」(中山さん)

 

05

20171117-yamauchi_17

ジョニーウォーカー /ジョニーウォーカー レッドラベル/ 1135円

甘さや華やかさが調和した世界的銘酒。「ソーダで割ると、爽やかさに加えてフルーティな香味が広がります!」(中山さん)

 

06

20171117-yamauchi_18

I.W.ハーパー /I.W.ハーパー ゴールドメダル /1961円

洗練された、スタイリッシュな味わいが特徴。「軽やかな甘味を感じます。クリアですっきりした飲み口は金メダル級!」(中山さん)

 

07

20171117-yamauchi_7

サントリー /角瓶 /実売価格1718円

山崎と白州蒸溜所の原酒を使用。ハイボールブームの火付け役です。「甘味や香ばしさのバランスが絶妙で良いです」(中山さん)

 

08

20171117-yamauchi_8

ビームサントリー /ジムビーム /実売価格1664円

大粒で高品質なトウモロコシを伝統の技と酵母で発酵し蒸溜。「甘味とスパイシーさが爽快で、すっきり飲めます!」(中山さん)

 

09

20171117-yamauchi_9

サントリー ウイスキー /知多/実売価格4104円

軽やかでほのかな甘さが特徴のシングルグレーンウイスキー。「柔らかなスイートテイストで、新感覚の風味が◎」(中山さん)

 

10

20171117-yamauchi_10

トリス /トリス <クラシック> /実売価格972円

特徴は、やさしく甘い香りと丸みのある味わいです。「飲み口は軽快。まろやかなアフターフレーバーが心地良いです」(中山さん)

 

【保存版】超有名ウイスキーの「定番銘柄」と「別銘柄」、どこが違う? 特徴を比べた

「ジョニ黒」こと「ジョニーウォーカー ブラックラベル」は、ウイスキーを飲まない人でも聞いたことがあるくらい有名な銘柄です。しかし同ブランドの「ダブルブラック」は、ウイスキー好き以外にはあまり知られていません。そんな超有名ブランドのひと味違った銘柄を、定番銘柄と飲み比べて違いを発見しましょう。

 

【その1/竹鶴】

竹鶴はニッカウヰスキーの創業者であり、「マッサン」のモデルとして知られる竹鶴政孝の名を冠した名作。同社の誇るシングルモルト、石炭直火蒸溜による力強い「余市」と、スチーム加熱蒸溜で華やかに仕上げた「宮城峡」を絶妙にブレンドしています。

 

<竹鶴の定番銘柄>

104_04

ニッカウヰスキー 竹鶴 ピュアモルト 実売価格3240円

日本を代表するブレンデッドモルトであり、バランスの良さは抜群。複雑ながら、スムースでキレのある飲み心地が楽しめます。

 

<竹鶴の代表的な別銘柄>

長期熟成ならではの円熟した豊かな味わいを堪能

104-A

[ジャパニーズウイスキー][ブレンデッドモルト]

ニッカウヰスキー/ 竹鶴17年 ピュアモルト /実売価格7560円

過去3回WWAで世界最高賞を受賞した銘酒です。17年以上熟成したモルト原酒のみをブレンドしています。長期熟成による円熟した甘さと麦芽由来のコク、凛としたボディ感が特徴です。

 

【その2/ボウモア】

潮の香りに抱かれ、ウイスキーの聖地といわれるアイラ島。その中心に位置し、1779年創業というスコッチのなかで最も古い歴史を持つ蒸溜所のブランドです。特有のスモーキーさと甘美な味で、アイラモルトの女王と呼ばれています。

 

<ボウモアの定番銘柄>

104_07

ボウモア /ボウモア 12年 /実売価格4752円

シェリー樽とバーボン樽で熟成した原酒をブレンド。スモーキーな香りとフルーティさが調和した奥に、潮の香りを感じられます。

 

<ボウモアの代表的な別銘柄>

スモーキーで甘美な味のクイーンオブアイラモルト

104_08

[スコッチウイスキー][シングルモルト]

ボウモア /ボウモア スモールバッチ /実売価格4752円

バーボン樽とシェリー樽での熟成にこだわる同蒸溜所において、バーボン樽だけで熟成した珍しいタイプです。潮の香りのなかにバニラに似た甘みとライムの風味があり、ソーダとの相性が良いです。

 

 

【その3/ブッシュミルズ】

アイルランドの蒸溜所のなかで現存する、最古の蒸溜所でつくられる正統派。400年の歴史を持ち、伝統の3回蒸溜を守りつつも、アイリッシュでよく使われる未発芽の麦は不使用です。ピートで不使用のモルトでつくる原酒にこだわります。

 

<ブッシュミルズの定番銘柄>

104_05

ブッシュミルズ/ ブッシュミルズ/ 2214円

ブランドの特徴である軽い口当たりと、フレッシュな果実のような味わいです。スムーステイストをダイレクトに楽しむならこれです。

 

<ブッシュミルズの代表的な別の銘柄>

リッチだが極めてスムース! モルト感のある個性派アイリッシュ

 

104_06

[アイリッシュウイスキー][ブレンデッド]

ブッシュミルズ /ブラック ブッシュ /5324円

アイリッシュながら、モルト原酒を80%も使っていて、モルトの味を楽しめます。オロロソシェリー樽とバーボン樽で最長7年熟成させた原酒を、グレーンとブレンドしています。あんずのような香りです。

 

 

【その4/バランタイン】

ブレンデッドスコッチの代表格。定番の「バランタインファイネスト」や、“ザ・スコッチ”と称される「バランタイン17年」など傑作多数。ヴィクトリア女王から王室御用達の称号を受け、同社を象徴する紋章には紋章院による認可状が交付されています。

 

<バランタインの定番銘柄>

104_09

バランタイン /バランタイン ファイネスト/ 実売価格1502円

40種類以上のモルト原酒を巧みにブレンド。ライトでもへヴィーでもないバランスのとれた風味で、スコッチ通を魅了し続けています。

 

<バランタインの代表的な別の銘柄>

焦がした樽の香味を移し伝統の味に革新をプラス

104_10

[スコッチウイスキー][ブレンデッド]

バランタイン/ バランタイン ハードファイヤード /実売価格2484円

内側を激しい炎で焦がした樽で熟成。これにより、バランタインならではの好バランスな味に、豊かなバニラのような甘さやほのかなスモーキーさが加わっています。

【その5/富士山麓】

富士山の麓にある御殿場が拠点。モルトウイスキーとグレーンウイスキーの仕込みからボトリングまでを一貫して行う、世界的にも珍しい蒸溜所です。今年、マスターブレンダーの田中城太さんと商品が世界的なアワードで最高栄誉に輝きました。

 

<富士山麓の定番銘柄>

104_11

キリンウイスキー /富士山麓 樽熟原酒50° /実売価格1490円

原酒の風味を生かすため、冷却ろ過せずに瓶詰めしています。溶け込んだ香味成分を逃がさないために、アルコール度数50にこだわっています。

 

<富士山麓の定番銘柄>

樽で熟成された甘い香りを自然の製法で複層的に表現

104_12

[ジャパニーズウイスキー][ブレンデッド]

キリンウイスキー/ 富士山麓 シグニチャーブレンド/5400円

熟成のピークを迎えた原酒を厳選しブレンドしたことで、より複層的で奥深く、円熟した味わいが楽しめます。オンラインショップ「DRINX」と、富士御殿場蒸溜所の売店限定で発売しています。

 

【その6/ジムビーム】

200年以上の歴史があり、1973年以来世界売上No.1を誇るブランド。秘伝の酵母と伝統の製法でつくられています。創業家であるビーム一族からは、自社以外の蒸溜所のマスターディスティラー(蒸溜責任者)も多数輩出しています。

 

<ジムビームの定番銘柄>

104_13

ビームサントリー /ジムビーム /実売価格1644円

トウモロコシが主原料のバーボン。法律が求める2倍、4年以上の熟成期間を経て生まれた味は、トウモロコシ由来の甘さが心地よいです。

 

<ジムビームの代表的な別の銘柄>

ライ麦独特の個性が生きたスパイシーでドライな味

104_14

[アメリカンウイスキー][ライ]

ビームサントリー /ジムビーム ライ /実売価格1804円

ライ麦が主原料。アメリカ禁酒法以前のスタイルを踏襲してつくられています。スパイシーでドライな香味を持ちながら、バニラのような甘みとフルーティな芳香も楽しめます。

 

【その7/ジョニーウォーカー】

1820年、創業者のジョン・ウォーカーが紅茶をヒントに、シングルモルトウイスキーのブレンディングを始めたのが誕生のきっかけです。ラベルを24度傾けて貼ることで、他社との差別化を図りました。この角度は19世紀から変わりません。

 

<ジョニーウォーカーの定番銘柄>

104_03

ジョニーウォーカー/ ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年/ 実売価格2138円

「ジョニ黒」の名で親しまれています。スコットランド屈指の上質な原酒を集め、匠の技で調合。上品でスモーキー、かつ美しいバランスが神髄です。

 

上質な原酒の個性が織りなす世界一売れているスコッチブランド

104_02

[スコッチウイスキー][ブレンデッド]

ジョニーウォーカー /ジョニーウォーカー ダブルブラック /実売価格2936円

万人に愛されるブラックラベルの特徴を生かしつつ、よりスモーキーさやふくよかなコクを感じられるようにブレンド。それにより、深みのある甘さが際立っています。

 

【その8/エヴァン・ウィリアムス】

1783年にケンタッキー州ルイヴィルで、ライムストーン(石灰岩)から湧き出る水を発見し、最初にコーンが原料のウイスキーをつくったとされるエヴァン・ウィリアムスの名を冠した銘酒。すっきりとした後味が特徴です。

 

<エヴァン・ウィリアムスの定番銘柄>

104_01

エヴァン・ウィリアムス /エヴァン・ウィリアムス12年 /実売価格3888円

12年熟成。熟成が早く進むバーボンのなかでは長期熟成の部類。アルコール度数は50.5度と高めだが、長熟のおかげでまろやかさがあります。

 

<エヴァン・ウィリアムスの代表的な別の銘柄>

伝説の男の名にふさわしいヴィンテージバーボンの頂

104-28

[アメリカンウイスキー][バーボン]

エヴァン・ウィリアムス /エヴァン・ウィリアムス シングルバレル /実売価格5184円

バーボンとしては珍しい年数表記が施された一本。さらに樽詰めした日までも記載されているのは唯一です。ひとつの樽の原酒のみで瓶詰めされました。2014年から3年連続で世界的な賞を受賞。

 

 

 

【保存版】世界5大ウイスキー、初心者は何から飲めばいいの? 最初の1本と2本目以降を選んでみた!

何を原料にするか、どの樽を使うか、何年熟成するか、どの原酒をブレンドするか。ウイスキーはいくつもの選択を経てつくられています。だからこそ個性的で飲めば飲むほど面白いのです。本記事ではウイスキー初心者に向けて、まずは世界5大ウイスキーと呼ばれる代表生産国と、代表銘柄を紹介。1本目に飲むべき商品と2本目以降に飲んで欲しい商品を解説していきます。

 

 

【世界5大ウイスキー ジャパニーズウイスキー編】

【最初の1本】日本から世界へ!個性が奏でるハーモニー「響」

102_10

[シングルモルト]

サントリー  響 Japanese Harmony 5400円

サントリーが国内に保有する蒸溜所の原酒を熟成年数にこだわらず、個性を見極めてブレンド。やわらかい味わいが華やかに広がります。国際的な酒類コンペで最優秀金賞を受賞しました。

 

【2本目以降その1】複数のモルトで奥行きを表現「モルテージ 越百」

102-18

[ブレンデッドモルト]

マルス モルテージ 越百 モルトセレクション 4536円

中央アルプスの麓で造られた一本です。複数のモルトをブレンドした奥行きのある味わいです。ふくよかな香りは、蜂蜜やキャラメルを連想させます。

 

【2本目以降その2】伝統を守り続けるニッカの原点「余市」

102_11

[シングルモルト]

ニッカウヰスキー シングルモルト余市 4536円

竹鶴政孝の理想の地、北海道余市町でつくられたシングルモルト。伝統的な石炭直火蒸溜による香ばしさとコク、心地よいピート感が特徴です。

 

【世界5大ウイスキー スコッチウイスキー編】

【最初の1本】政府公認第1号蒸溜所のフルーティで好バランス「ザ・グレンリベット」

 

102_02

[シングルモルト]

ザ・グレンリベット ザ・グレンリベット 12年 5800円

スコットランド政府の公認第1号蒸溜所でつくられるウイスキー。シングルモルトの原点ともいえるバランスの良さは、創業時から続く伝統製法によるものです。フルーツや花のような香りです。なお、創業者が描いた理想の製法とレシピを現代風にアレンジした「ファウンダーズリザーブ」が2016年に発売されており、新たなフラッグシップが誕生しています。

 

【2本目以降その1】王室を虜にした強烈な個性「ラフロイグ」

102_12

[シングルモルト]

ラフロイグ ラフロイグ 10年 実売価格6048円

アイラ(スコットランドの島の名前。この島のピートは海藻や潮を含んでいるため、ウイスキーに薬のような独特の香味(ヨード香)がつく)モルトの王と呼ばれます。好みが分かれるクセの強い味が魅力です。シングルモルトウイスキーとして初めて王室御用達の証を得ました。

 

【2本目以降その2】爽やかさと上品さを兼ね備えた逸品「グレンモーレンジィ」

121

[シングルモルト]

グレンモーレンジィ グレンモーレンジィ オリジナル 5724円

スコットランドでよく愛されているウイスキーです。バランスが取れたエレガントな味で、ほのかに香る柑橘の香りが爽やかです。熟成年数は10年。

 

【世界5大ウイスキー アイリッシュウイスキー編】

【最初の1本】世界中で愛される アイリッシュの代表ブランド

100_02

[ブレンデッド]

ジェムソンジェムソン スタンダード 2237円

世界で最も売れているアイリッシュウイスキーです。ピートを使わずに密閉炉で時間をかけて乾燥させた大麦を原料に、3回蒸溜でつくられます。滑らかな口当たりで万人に愛されています。

 

【2本目以降その1】ピートを感じる変り種ボトル「カネマラ」

102_07

[シングルモルト]

カネマラ カネマラ 実売価格4536円

フレッシュな4年、華やかな6年、甘みの強い8年、熟成年の違う3つのモルト原酒をブレンド。アイリッシュには珍しくピートモルトを使っています。

 

【2本目以降その2】ビール党のための珍しいウイスキー「ジェムソン カスクメイツ」

103-B

[ブレンデッド]

ジェムソン ジェムソン カスクメイツ 2700円

スタウト(ビールの種類のこと。アイルランドのビール「ギネス」に代表されるような黒いビールで、濃厚な味と強めの苦み、酸味が特徴)ビールの熟成に使った樽で後熟(熟成させた原酒を別の樽に移し替えて追加で熟成すること。ウッドフィニッシュとも)したウイスキーです。カカオやコーヒー、ホップなど香ばしいフレーバーを楽しめます。

 

【世界5大ウイスキー カナディアンウイスキー編】

【最初の1本】樽詰め前のブレンドが生むまろやかで飲みやすい味「カナディアンクラブ」

102_03

[ブレンデッド]

カナディアンクラブ カナディアンクラブ 実売価格1502円

カナディアンウイスキーの代表格。樽熟成後ではなく、樽詰め前にブレンドする珍しいタイプです。クセのない味でカクテルにも使われています。熟成に向く温度を保つためカナダで唯一貯蔵庫に暖房を設置。

 

【2本目以降その1】英国王に捧げた高貴なる酒「クラウン ローヤル」

102_09

[ブレンデッド]

クラウン ローヤル クラウン ローヤル 実売価格2628円

1939年、初めてカナダを訪問したイギリス王への献上酒として600通りのブレンドを試しつくられました。個性的な味わいながらもクセはなく上品です。

 

【2本目以降その2】軽快な飲み口の入門向けウイスキー「カナディアンミスト」

102_08

[ブレンデッド]

ブラウン・フォーマン /カナディアンミスト/ 1458円

主原料はライ麦。3回蒸溜したあと、ホワイトオーク樽で熟成します。ライトでまろやかな口当たりと、すっきりした後味で初心者も飲みやすいです。

 

【世界5大ウイスキー アメリカンウイスキー編】

【最初の1本】小規模蒸溜所のクラフトマンシップが詰まったバーボン「メーカーズ マーク 」

102_05

[バーボン]

メーカーズマーク メーカーズ マーク 実売価格3024円

ケンタッキー州の小さな蒸溜所でつくられるプレミアム・バーボン。小麦由来のふくよかな甘みが特徴です。原料の配合は、パンを何度も焼いて吟味したといいます。赤い封蝋はすべて手作業です。

 

【2本目以降その1】州内最古の蒸溜所のスペシャルなバーボン「ウッドフォードリザーブ」

102-22

[バーボン]

ブラウン・フォーマン ウッドフォードリザーブ5627円

ケンタッキー最古の蒸溜所の少量生産バーボンです。バーボンには珍しくポットスチルで3回蒸溜した滑らかな味が人気です。バーボンに慣れてない人にも◎。

 

【2本目以降その2】一滴ずつろ過する 手間暇かけた逸品

102_13

[テネシー]

ブラウン・フォーマン ジャックダニエル 2754円

木桶に詰めた楓の木炭で、蒸溜した原酒を一滴一滴ろ過するテネシー製法でつくられます。バニラやキャラメルの香りとスパイシーな風味が調和します。

【保存版】これでウイスキーの基礎知識はOK! 原料/製造法/飲み方/銘柄をまとめて解説!

本記事は、「最近ハイボールにハマって飲んでいるけど、正直ウイスキーについて全然知らない」という人や、ウイスキーについて知りたい初心者に向けて基本的な項目をまとめてみました。ウイスキーはビールやワインと何が違うのか? 何からつくられるのか?そしてどんな楽しみ方ができるのか? をカバーしてみましたので、ぜひご一読ください。

 

【ウイスキーって何01~定義編】

ウイスキーは穀物が原料の蒸溜酒を樽で熟成させた酒です。

一般的に、①「穀物」を使うこと、②「蒸溜酒」であること、③「樽で熟成」させることがウイスキーの定義です。そのうえで、最低熟成年数や蒸溜回数といった国ごとの細かな定められています。

 

①穀物を使う

大麦や小麦、トウモロコシ、ライ麦など、穀物を原料とすることがウイスキーの条件です。何の穀物をどのくらいの比率で使うかが味わいに変化を生見ます。最近ではきびや粟を使った珍しいウイスキーもあります。

 

よく使われる原料は下記の4つです。

[モルト(大麦麦芽)]

発芽させた大麦のこと。糖化(デンプンをアルコール生成に必要な糖に変える)に必要な酵素を持ち、すべてのウイスキーに使用。

[大麦・小麦]

大麦はオイリーな味に、小麦はまろやかな味になるのが特徴。小麦を全体の51%以上使ったものをウィートウイスキーと呼びます。

[トウモロコシ]

アメリカで作られるバーボンウイスキーやコーンウイスキーの主原料。使用比率が高くなるほど甘味が強くなるのが特徴です。

[ライ麦]

ライ麦パンをイメージするとわかるように、スパイシーな酸味を生みます。カナダのウイスキーづくりに欠かせない穀物です。

 

②蒸留酒であること

モルトを糖化した液体(麦汁)を発酵し、アルコール度数7〜9%の発酵液(モロミ)をつくります。ここまではビールとほぼ同じ工程ですが、ウイスキーはこのあとアルコール度数を高めるために蒸溜を何回か行います。

 

使われる蒸留装置には下記のようなものがあります。

単式蒸溜器(ポットスチル)

100-07

1回蒸溜するたびに中身を入れ替えて使います。サイズや首の長さ、傾き、土台部分のくびれの有無など、様々な形があり、それらが香味に変化を与えます。

 

連続式蒸溜機 (コラムスチル・パテントスチル)

100-12

箱を積み重ねたような形で、その箱ひとつひとつがポットスチルのような役割を果たします。モロミを入れ続けることで連続的に蒸溜が可能。クリアな酒質をつくりだします。写真提供:アサヒビール(ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所)

 

③樽熟成させる

ウイスキーの製造において、約9割の時間を占めるのがこの工程です。樽のサイズや使われている木材、樽貯蔵庫内の環境など、様々な要素が味や香りに影響を与えます。樽熟成が原酒の個性を決める重要な要素ともいえます。

 

樽熟成のビフォー・アフターを見てみましょう。

【ビフォー】

100_05

【アフター】

100_08

蒸溜器から出てきた原酒は透明ですが、樽熟成すると茶色になります。原酒によって最適な熟成期間は異なり、それを見極めるのも匠の技です。

 

100_06

樽のサイズも様々です。小さな樽は早く、大きな樽はゆっくりと原酒を熟成させます。シェリーやワインなどほかの酒の貯蔵に使われた樽を使用することもあり、それもまた原酒に個性を加えています。

 

【ウイスキーって何02~原料&製法編】

ウイスキーは原料や製法で個性が異なる面白い酒です。

「シングルモルト」という言葉を聞いたことのある人は多いでしょう。これは原料や製造方法によって分類されるウイスキーの種類のことです。ここではそれぞれの作り方や味の特徴を紹介します。

 

①モルトウイスキー

原料がモルト100%のウイスキー。主に単式蒸溜器で蒸溜します。モルトをピートという泥炭で燻し、スモーキーな香りをつけたものなど、個性的な味のウイスキーが多く見られます。

100_09

モルトウイスキーはさらに2種類に分けられます

ブレンデッドモルト

複数の蒸溜所の原酒を組み合わせてつくったモルトウイスキーのことです。ヴァテッドモルトと呼ばれることもあったが、いまはブレンデッドモルトウイスキーに統一されています。特徴:ブレンダー(最適な組み合わせ・配分で原酒を混ぜる人)の個性が強く出ます。

シングルモルト

単一の蒸溜所でつくられた原酒のみを使ったモルトウイスキー。なかでもひとつの樽の原酒だけでつくられたものをシングルカスク(シングルバレル)といいます。特徴:蒸溜所が建つ場所の風土の影響や、つくり手の個性が表れやすいです。

 

②グレーンウイスキー

トウモロコシや小麦、ライ麦などモルト以外の穀物も使ってつくるウイスキーのことです。主に連続式蒸溜機を使用します。ブレンデッドウイスキー用の原酒として使われることが多いです。特徴:モルトウイスキーに比べるとクセがあまりなく、飲みやすいクリーンな味です。

100_10

 

③ブレンデッドウイスキー

モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしてつくられたものを指します。ブレンダーが自分の味覚や嗅覚を生かし、ベストな配分に調合する。市場に出回っているウイスキーの大部分はこのタイプです。特徴:まろやかでバランスのとれた味わいです。

 

100-15

 

【ウイスキーって何03~飲み方編】

ウイスキーは飲み方を変えると味や香りが変化する酒です。

ソーダ割りや水割り、ロック……ウイスキーはこれら以外にも様々な飲み方ができます。アルコール度数の高い酒だが、飲み方でそれを自分好みに調整し、楽しめるのが魅力のひとつなのです。

 

【飲み方01】本来の味や香りに浸る「ストレート

recipe06

グラスに注いでそのまま飲むことです。別名をニートといいます。冷やすと香りが立ちにくくなるため、ウイスキーは常温がベスト。アルコール度数が高いので、少量ずつゆっくりと、水と交互に飲んでじっくり味わいましょう。

 

【飲み方02】風味の変化を感じとる「オン・ザ・ロック」

recipe02

氷を入れたロックグラスに注ぐ飲み方。できるだけ大きめの氷を使うと溶けにくいです。表面積の少ない丸氷がベストだが、コンビニで買える氷でもOKです。氷が溶けるのに従い、変化していく味を楽しめます。

 

③立ち上がる芳香を堪能「トワイスアップ」

recipe01

ブレンダーのテイスティング用の飲み方。ウイスキーと常温の水を1:1で割ります。加水することで香りが開きます。最初にストレートで飲んでから、途中で加水し香りの変化を感じてみるのも◎です。

 

④マイルドだけどすっきり「ハーフロック」

recipe03

オン・ザ・ロックの1種。氷を入れたロックグラスに、ウイスキーと水を1:1で入れて、軽く混ぜれば完成です。オン・ザ・ロックより、味と香りがマイルドで、トワイスアップよりものどごしが良いです。

 

⑤シャープなキレと爽快感「ソーダ割り」

recipe

居酒屋でハイボールを注文して出てくるのがコレです。氷の入ったグラスにウイスキーとソーダを約1:3の割合で入れます。レモンを搾ったり、少しオレンジジュースを足したりしてもおいしいです。

 

⑥日本で生まれた独自スタイル「水割り」

recipe04

日本で生まれた食事と合わせやすい飲み方です。氷を入れたグラスにウイスキーと水を約1:2〜2.5の割合で入れます。シンプルなだけにクセのない水を選ぶとおいしい水割りがつくれます。

 

⑦ロックと水割りの良いとこどり「ミストスタイル」

recipe05

細かく砕いた氷を入れたグラスに注ぐスタイル。グラスの外側に水滴が付いて、霧(ミスト)に包まれたように見えることから名づけられました。最初はロック、後半は水割りのような味わいです。

 

⑧ウイスキーの気配を楽しむ「ウイスキーカクテル」

100_04

オレンジなどのフルーツと角砂糖を使った「オールド・ファッションド(写真)」やミントの葉をたっぷり入れた「ミント・ジュレップ」などです。甘みのあるカクテルが多いので、ウイスキー初心者でも飲みやすいです。

 

【ウイスキーって何04~銘柄編】

ウイスキーはいまの気分に最適な一杯が見つかる酒です。

ウイスキーは味や香りが多彩で、そのときの気分に合わせて選ぶことができます。その個性は、 様々な要素に由来しますが、ひとつに生産地が挙げられます。その土地を流れる水を使って作るからです。

 

【世界5大ウイスキー①】軽い飲み口で舌慣らししたい「カナディアンウイスキー」

クセがなくカクテルに使われることが多いです。主原料にライ麦を使った原酒とトウモロコシを使った原酒をブレンドするカナディアン・ブレンデッドウイスキーが主流です。

 

[代表的銘柄]カナディアンクラブ

100_03

「CC」の愛称で親しまれるブレンデッドウイスキー。まろやかで飲みやすく、ウイスキービギナーにオススメの一本です。

 

【世界5大ウイスキー②】素材による風味の違いを感じたい「アメリカンウイスキー」

アメリカのウイスキーは様々な穀物を使います。トウモロコシを51%以上使ってつくるバーボンのほか、ライウイスキー(ライ麦)やウィートウイスキー(小麦)などもあります。

 

[代表的銘柄]ジムビーム

100_01

1973年以降、世界売上ナンバーワンを誇るバーボン。創業者ビーム一族に伝わる秘伝のレシピと製法が豊かな香りを生みます。

 

【世界5大ウイスキー③】伝統の味を知りたい「アイリッシュウイスキー」

スコットランドと起源を争う歴史の長いウイスキー。アイルランドでつくられます。未発芽の大麦を使い蒸溜を3回行うのが伝統の製法。オリイーながらもマイルドです。

 

[代表的銘柄]ジェムソン

100_02

3回蒸溜や未発芽の大麦を使うなど、伝統的な方法でつくられるブレンデッド。すっきりとした飲み口とほのかな甘みが人気です。

 

【世界5大ウイスキー④】繊細な香味に酔いしれたい「ジャパニーズ ウイスキー」

スコッチをベースに日本人の味覚に合わせて進化したウイスキー。海外に比べ蒸溜所が少ないため、自社内で多様な原酒を生み出そうと努める職人たちの技が光ります。

 

[代表的銘柄]山崎

100-11

1984年に誕生したシングルモルト。国際的なコンテストで多数入賞し、世界中でも愛される。凝縮された果実香が漂います。

 

【世界5大ウイスキー⑤】まずは王道を把握したい「スコッチウイスキー」

ウイスキーの代名詞ともいえるスコットランドのウイスキー。生産地域が6つに分けられ、それぞれ個性がある。全体的にピート由来のスモーキーさを感じる銘柄が多いです。

 

[代表的銘柄]ザ・マッカラン 12年

101A_sashikae

シングルモルトのロールス・ロイスと呼ばれます。シェリー樽熟成が生む甘みとスパイシーさ、赤味がかった琥珀色が特徴です。

これは「ワインに着せるタイムマシン」だ! わずか数分で長期熟成の効果を生む「超音波デキャンタ」販売スタート

海外製品の日本展開の支援などを行うハンズエイドは、超音波技術によってワインやウィスキー、日本酒を数分で熟成させる「Sonic Decanter」(ソニック デキャンタ)を、12月18日、イノベ部公式ストアにて一般販売を開始しました。色はブラックとホワイトの2種。価格は3万4800円(税込)。小売店店頭では来春から順次発売します。

 

超音波の力でワインやウィスキー、日本酒を柔らかな味わいに!

20171218-s2 (4)↑ホワイト(左)、ブラック(右)。サイズは幅16.5×奥行17×高さ38cm

 

本機を使うと、ワインは長い年月をかけた熟成したワインのように、ウィスキーは長期熟成したようなまろやかさになるとのこと。2016年、クラウドファンディングサイト「MAKUAKE」にて600%もの支援を達成しましたが、海外での需要に生産が追いつかず、1年越しに日本発売が実現しました。

 

本機が採用するのは、空気と触れさせ酸化を促す、従来のデキャンティング(デキャンタージュ)とは全く逆のアプローチ。超音波の振動により、細かい気泡でワインを攪拌(かくはん)することによって、酸素を抜く効果を実現しました。その結果、ワインを劣化させることなく、わずか20分でワインそのものの味や、舌触り、香りを格段に良くするといいます。具体的には、防腐剤として使用される二酸化硫黄(SO2)の減少、ph値の減少、アントシアニンの減少、揮発酸(VA)の減少の4つが科学的に証明したとのこと。このほか、同社はタンニンを和らげ、アントシアニン、エステル、ポリフェノールの化学構造を改良すると説明しています。

20171218-s2 (5)

Sonic Decanterは、ワイン以外のお酒にも使用できます。例えば、ウィスキーであれば角が立っていた味も長期熟成したようなまろやかさに。日本酒であれば口当たりが滑らかになり、いままで燗(かん)をしないと飲みづらかった固い日本酒も、冷酒のまま柔らかな口当たりに変えることができます。

 

使い方は、本体に冷水を入れてワインを本体に差し込み、赤ワインか白ワインのボタンを選ぶだけ。赤ワインは20分、白ワインは15分で熟成効果が出るとのこと。日本酒やウィスキーは、5~20分程度、好みの時間で調整すればOKだといいます。

↑時間を設定して赤か白のボタンを押せばOK↑時間を設定して赤か白のボタンを押せばOK

 

それにしても、長期熟成の効果をわずか数分~数十分で得られるというのは驚きですね。「時を縮める」という意味では、小さなタイムマシンのような存在といえるかもしれません。とはいえ、3万4800円と価格が安くはないゆえに、「試してみないと購入に踏み切れない」という人は多いはず。そんな方は、「Bar 霞町 嵐」(西麻布)、「Bar Eterna」(銀座)の2つの協力店舗でその効果が試せるというので、まずはそちらを訪れてみてはいかがでしょう。

↑ウィスキーにも利用可能↑ウィスキーにも利用可能

 

 

 

これは「ワインに着せるタイムマシン」だ! わずか数分で長期熟成の効果を生む「超音波デキャンタ」販売スタート

海外製品の日本展開の支援などを行うハンズエイドは、超音波技術によってワインやウィスキー、日本酒を数分で熟成させる「Sonic Decanter」(ソニック デキャンタ)を、12月18日、イノベ部公式ストアにて一般販売を開始しました。色はブラックとホワイトの2種。価格は3万4800円(税込)。小売店店頭では来春から順次発売します。

 

超音波の力でワインやウィスキー、日本酒を柔らかな味わいに!

20171218-s2 (4)↑ホワイト(左)、ブラック(右)。サイズは幅16.5×奥行17×高さ38cm

 

本機を使うと、ワインは長い年月をかけた熟成したワインのように、ウィスキーは長期熟成したようなまろやかさになるとのこと。2016年、クラウドファンディングサイト「MAKUAKE」にて600%もの支援を達成しましたが、海外での需要に生産が追いつかず、1年越しに日本発売が実現しました。

 

本機が採用するのは、空気と触れさせ酸化を促す、従来のデキャンティング(デキャンタージュ)とは全く逆のアプローチ。超音波の振動により、細かい気泡でワインを攪拌(かくはん)することによって、酸素を抜く効果を実現しました。その結果、ワインを劣化させることなく、わずか20分でワインそのものの味や、舌触り、香りを格段に良くするといいます。具体的には、防腐剤として使用される二酸化硫黄(SO2)の減少、ph値の減少、アントシアニンの減少、揮発酸(VA)の減少の4つが科学的に証明したとのこと。このほか、同社はタンニンを和らげ、アントシアニン、エステル、ポリフェノールの化学構造を改良すると説明しています。

20171218-s2 (5)

Sonic Decanterは、ワイン以外のお酒にも使用できます。例えば、ウィスキーであれば角が立っていた味も長期熟成したようなまろやかさに。日本酒であれば口当たりが滑らかになり、いままで燗(かん)をしないと飲みづらかった固い日本酒も、冷酒のまま柔らかな口当たりに変えることができます。

 

使い方は、本体に冷水を入れてワインを本体に差し込み、赤ワインか白ワインのボタンを選ぶだけ。赤ワインは20分、白ワインは15分で熟成効果が出るとのこと。日本酒やウィスキーは、5~20分程度、好みの時間で調整すればOKだといいます。

↑時間を設定して赤か白のボタンを押せばOK↑時間を設定して赤か白のボタンを押せばOK

 

それにしても、長期熟成の効果をわずか数分~数十分で得られるというのは驚きですね。「時を縮める」という意味では、小さなタイムマシンのような存在といえるかもしれません。とはいえ、3万4800円と価格が安くはないゆえに、「試してみないと購入に踏み切れない」という人は多いはず。そんな方は、「Bar 霞町 嵐」(西麻布)、「Bar Eterna」(銀座)の2つの協力店舗でその効果が試せるというので、まずはそちらを訪れてみてはいかがでしょう。

↑ウィスキーにも利用可能↑ウィスキーにも利用可能

 

 

 

クリスマス&年末年始用のお酒は手に入れました? GetNavi webが2017年惚れた「お手ごろ&贅沢な洋酒」ベスト3とレシピ8選

早いものでクリスマスまであと10日、今年もあと2週間ほどになりました。GetNavi webではこの1年、編集部員が色々なアルコールのイベントに行ったり、工場に行ったり、フードアナリストにお酒の記事を寄稿してもらったりと、美味しいお酒との出会いがたくさんありました。

 

今回は数ある商品のなかでも、クリスマスや年末年始などこの時期に飲みたい「お手ごろ&贅沢な洋酒」をピックアップ。ホームパーティで飲むもよし、帰省して家族・親戚で楽しんでもよし。飲み方のレシピも添えて紹介していきます。

 

【お手ごろ&贅沢な洋酒01】カンパリ

20170929-a01-8

1960円(1000ml)/1550円(750ml)/870円(375ml)/560円(200ml)

カンパリは、さまざまなハーブや果実を配合して作られるイタリア発のリキュール。北イタリアの小都市・ノヴァーラで誕生し、150年を超える歴史を持ち、いまでは世界190か国以上で愛飲されています。日本でも知名度が高いので、一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

アルコール度数は25%で独特のほろ苦い味わいが特徴。鮮やかな赤色はSNS映えしそうですね。食前・食中酒として楽しめるほか、カクテルにしても堪能できます。昨今はハーブ系のお酒がトレンドなので、カンパリのセクシーなハーバルフレーバーをぜひこのクリスマス&年末年始に試してみてください。

 

なお、アサヒショップでは、カンパリ 瓶1000ml ウィルキンソン タンサン(PET500ml)1本付を2116円で販売。クール便(216円)にも対応しているので、冷えたカンパリをすぐに飲むことができますよ!

 

【カンパリのレシピ01】カンパリソーダ

↑日本でもおなじみの「カンパリソーダ」(カンパリ/ソーダ/オレンジスライス1片)。カンパリのほろ苦さやハーブの香りを、爽やかかつストレートに楽しめる飲み方です

カンパリソーダは最も手軽にできるレシピで、日本でもおなじみの飲み方です。カンパリのほろ苦さやハーブの香りを、爽やかかつストレートに楽しめます。

【カンパリソーダの作り方】

①冷やしたカンパリをグラスに60ml注ぐ

②ソーダを180ml注ぐ(グラスのトップまで注ぐイメージ)

③オレンジスライス1片を入れて完成

 

【カンパリのレシピ02】アメリカーノ

20170929-a01-10

ジェームズ・ボンドお気に入りのカクテルとして知られるのがアメリカーノ。カンパリの苦みとヴェルモットのボディ感のある甘みが絶妙にマッチしており、国際バーテンダー協会の公式カクテルリストにも登録されています。

【アメリカーノの作り方】
①ロックグラスにカンパリ 30ml、 ベルモット・ロッソ 30mlを直接注ぎます
② グラスを氷で満たします
③ ソーダを適量加えます
④ オレンジスライス1片を飾って完成

 

【カンパリのレシピ03】ネグローニ

20170929-a01-9

イタリアで最も有名なカクテルのひとつとして知られるメニュー。1919年にネグローニ伯爵がロンドンへの最後の旅の記念として、アメリカーノにソーダではなく少量のジンを入れるようにオーダーしたことが始まりだといわれています。味わいはビターで、特徴的な香りを持つカンパリとジンがお互いを高め合い、ヴェルモットでまとまりが出ている印象です。

【ネグローニの作り方】

① カンパリ30ml、ジン30ml、ヴェルモット・ロッソ30mlを氷を入れたグラスに直接注ぎます
② オレンジスライスを一片を飾ったら完成

 

【手ごろ&贅沢な洋酒02】アペロール

20170929-a01-7

1500円(700ml)

アペロールもイタリア生まれのリキュール。1919年に登場して100年近い歴史を持ちますが、誕生秘話はびっくり! 「その昔に青空市で売れ残ったオレンジを袋に入れておいたところ果汁が自然発酵して、それを飲んでみたらウマかった」というエピソードを持っています。

 

地元イタリアではアペリティーヴォ(=食前酒)として欠かせない存在。オレンジの軽やかな甘さとスッキリした後味が、ヨーロッパを中心に大人気なんです。アルコール度数11%で飲みやすく、割り方によっては強いお酒が苦手な方でもチャレンジできます。

 

なお、アサヒショップでは、アペロール 瓶700ml ウィルキンソン タンサン(PET500ml)1本付きを1620円で販売中。ギフト対応も可能なので、年末帰省前に実家に送っておくというプレゼントもできますね。

 

【アペロールのレシピ】アペロール スプリッツ

201701109-a02-8

アペロールのサッパリとした甘みが、白ワインとソーダでさらに爽やかになった逸品。シンプルかつカジュアルな飲み味で若者に大人気で、世界的に注目されているカクテルです。

【アペロール スプリッツの作り方】

①ワイングラスいっぱいに氷を入れる

②プロセッコ60ml(イタリア・ヴェネト州産のスパークリングワイン)を入れたあとにアペロール40mlを注ぐ

③オレンジスライスを一片添えて完成

 

カンパリとアペロールは、果実やハーブ由来のフレーバーを楽しめるのに、口のなかにイヤな味が残らず、食事のジャマもしない。両者の万能ぶりと、日本人の味覚との好相性は実感済みです。ぜひみなさんもクリスマスや年末年始にお試しください!

 

【お手ごろ&贅沢な洋酒03】カミュ

20171206DSC_8406
カミュ ボルドリーVSOP(8300円/消費税別)
カミュはブランデーの一種でコニャックに分類されるお酒。コニャックは、フランスのコニャック地方で作れられ、定められた製法に則って作られたものしか名乗れません。カミュにはVSOPエレガンス、XOエレガンス、XOなど様々な種類がありますが、GetNavi webがオススメしたいのはボルドリーVSOP。

 

同銘柄はカミュのなかでも、他の地区の原酒とブレンドをせずにボルドリー地区の原酒のみでつくられた商品で、スミレや紅茶のような上品な香味が特徴。コニャックのなかで最も受賞数が多い名作です。

 

アサヒショップでは、カミュ ボルドリーVSOPにロゴ入りグラスをセットにしたものを、8964円で販売中。前2商品よりも高額ですが、それを裏切らない上質な体験ができますよ。

 

【カミュのレシピ01】フレンチハイボール

20171206DSC_8372

カミュ ボルドリーVSOPを炭酸で割ったものがフレンチハイボール。ハイボールといえばウイスキーですが、コニャックのハイボールも昨今、一般的になりつつあります。炭酸を入れるとフレーバーが花開き、コニャック特有のフルーティな甘味をより一層感じられます。

【フレンチハイボールの作り方】

①冷凍庫で冷やしたボルドリーVSOP30mlをフルートグラスに注ぐ(または別のグラスで氷とともにステアして冷やしフルートグラスに注ぐ)

②冷えた炭酸を注ぐ(ウィルキンソンタンサンがオススメ)

③オレンジピールで香り付けして完成

 

【カミュのレシピ02】コニャックサミット

食前酒のアペリティフとして用いられるカクテル。生姜とライム、レモンのハーモニーが素晴らしく、爽やかですっきりとした味わいが特徴です。
【コニャックサミットの作り方】
①ロックグラスに、薄くスライスした生姜、ライムまたはレモンの皮とボルドリーVSOP20mlを注ぐ
②生姜を軽く潰して風味を出す
③氷を入れ、残りのボルドリーVSOP20mlと、レモンジュースを注ぐ
④トニックを注ぎ、軽く一回ステアする
⑤薄くスライスしたキュウリを飾って完成

 

【カミュのレシピ03】クリスマスグロッグ

20171206DSC_8409

コニャック地方で伝統的に飲まれているコニャックの飲み方。クリスマスのサンタクロースを歓迎するためのドリンクで、教会の礼拝に出る前に用意します。生姜やシナモンがバッチリ効いており、これならサンタさんの身体も温まりそうですね。このグロッグはクリスマスシーズン以外も愛飲されており、体調が悪いと思ったら飲んですぐ寝ると、翌朝にはすっかり治っているそうです。

 

【クリスマスグロッグのレシピ】
①カップに、薄くスライスしたオレンジピールを1片と、同じく薄くスライスした生姜4片、スプーン1杯のハチミツ、ボルドリーVSOP40mlを入れる
②温かい紅茶(ストレート)を注ぎ、シナモンスティックを差す

 

【カミュのレシピ04】ボルドリーショコラ

20171206DSC_8406

コニャック地方では、上で挙げたクリスマスグロッグ以外に、ホットチョコレートをクリスマスに用意しておくのが風習。このホットチョコレートにカミュボルドリーVSOPを入れると、一気に大人な飲み物に変身します。礼拝のあとにクリスマスグロッグやホットチョコレート(ボルドリーショコラ)を飲むと、1年間ラッキーに過ごせるとも言われているそうです。
【ボルドリーショコラのレシピ】
①温かいココアを濃いめに作り(お湯ではなく牛乳がオススメ。ホットチョコレートでもOK)
②カップにボルドリーVSOPを適量注ぎ、ココアと軽く混ぜる

 

今回紹介した、カンパリやアペロール、カミュは味わいはもちろんですが、色やボトルのデザインなども美しいのが特徴。食卓を華やかに彩ってくれるので、パーティシーンにはピッタリ。これまで洋酒は「ちょっとハードルが高いなぁ」と思っていた人こそ、ぜひ試してみてください。

 

それでは、メリークリスマス&ハッピーニューイヤー。

 

スーパープレミアムバーボン「ウッドフォードリザーブ」を制する者はBARを制す! フードアナリストが断言するその理由は?

以前「GetNavi web」では、ウイスキーブームにおいてバーボンがアツいこと。そして、なかでもスーパープレミアムというカテゴリーが世界的に脚光を浴びており、特に「ウッドフォードリザーブ」という銘柄が人気だということを紹介しました。

↑一番右が「ウッドフォードリザーブ」5210円で、その隣が「ウッドフォードリザーブ ダブルオークド」8000円。そのほかにも希少な限定ラベルがいくつもあります↑一番右が「ウッドフォードリザーブ」5210円で、その隣が「ウッドフォードリザーブ ダブルオークド」8000円。そのほかにも希少な限定ラベルがいくつもあります

 

今回、そのグローバルブランドアンバサダーの来日が実現。なぜ世界的に注目されているのかを知るべく、イベントに参加してきました。

【関連記事】

ウイスキーで“通”を気取るなら「ウッドフォードリザーブ」! スーパープレミアムに格付けされるその魅力とは?

 

抜群の汎用性を持つウイスキーが「ウッドフォードリザーブ」だ

会場となったのは恵比寿の「Bar TRIAD」。ここは恵比寿屈指の人気を誇る「Bar Tram」「TRENCH」と同じ運営元が手掛ける最新店として今年の4月にオープン。営業中に行われたイベントだったので、メディア関係者以外の方も訪れていました。どの人も、お目当てはやはり「ウッドフォードリザーブ」とアンバサダーのトム・バーノンさん。

↑この日ばかりは「ウッドフォードリザーブ」がズラリ! カウンター内では、トムさん自ら「ウッドフォードリザーブ」のメニューをふるまいました↑この日ばかりは「ウッドフォードリザーブ」がズラリ! カウンター内では、トムさん自ら「ウッドフォードリザーブ」のメニューをふるまいました

 

店のメニューにも特別なリストが用意されていました。そこには定番のバーボンカクテル「オールドファッションド」をはじめ、様々なドリンクがラインナップ。ウイスキーというとストレートやロック、水割りをイメージする人も多いでしょう。それももちろん間違いではありません。

↑オールドファッションド。アンゴスチュラ・ビターズという酒と砂糖でステアし、オレンジがアクセントに↑オールドファッションド。アンゴスチュラ・ビターズという酒と砂糖でステアし、オレンジがアクセントに

 

ただ「ウッドフォードリザーブ」を語るには、カクテルとのおいしい関係性が欠かせないようなのです。その理由を、会場に居合わせた日本のブランドマネージャー・奥村龍太郎さんに聞いてみました。

↑奥村さん。「ウッドフォードリザーブ」の製造元である、ブラウン・フォーマン ビバレッジス ジャパンのブランドマネージャーとして活躍しています↑奥村さん。「ウッドフォードリザーブ」の製造元である、ブラウン・フォーマン ビバレッジス ジャパンのブランドマネージャーとして活躍しています

 

「バーボンには、例えばスコッチウイスキーのようなスモーキーフレーバーはありません。バーボン=アメリカンウイスキーのひとつなので、ワイルドなイメージがあると思うかもしれませんが、やさしくて飲みやすいお酒なのです。つまりは汎用性が高く、アレンジがしやすい。そんなバーボンのなかでも特に汎用性に秀でているのが『ウッドフォードリザーブ』なんですよ。だから世界中のバーテンダーから愛されており、カクテルがオススメというワケです」(奥村さん)

 

カクテルに使いやすい汎用性がありながら、エレガントなフレーバーとリッチな飲み応えを持っているのも「ウッドフォードリザーブ」の魅力。ということで、別のカクテルもオーダーしてみました。

↑これも定番のバーボンカクテル・ミントジュレップ。この日はエルダーフラワーリキュール、ピムス、ビターズを使った、2017年のケンタッキーダービー版レシピが提供されました↑これも定番のバーボンカクテル・ミントジュレップ。この日はエルダーフラワーリキュール、ピムス、ビターズを使った、2017年のケンタッキーダービー版レシピが提供されました

 

世界のBARシーンをリードする「ウッドフォードリザーブ」の凄み

会場にはもちろん「Bar TRIAD」のスゴ腕バーテンダーも。そこで、そのひとりである馬上(もうえ)千寛さんにも「ウッドフォードリザーブ」を使うワケを聞いてみました。

↑馬上さん。2014年より「Bar Tram」に在籍し、「Bar TRIAD」へ。ハーブやスパイスを使うカクテルを得意としています↑馬上さん。2014年より「Bar Tram」に在籍し、「Bar TRIAD」へ。ハーブやスパイスを使うカクテルを得意としています

 

「『ウッドフォードリザーブ』は、ハーブやスパイスの風味を奇麗に包み込むなめらかさと華やかさがありますね。そのため、当店のボタニカルカクテルのベース酒として欠かせない存在になっています」(馬上さん)

 

BARトレンドを語るうえで欠かせないのがカクテルであり、特に海外では様々なカクテルブームが到来しているとか。定期的に世界中のBAR最先端シティを視察する、奥村さんがいまを教えてくれました。

 

「2000年以降を見ると、NYで『コスモポリタン』をはじめとする色彩豊かなカクテルのブームが起き、その後ロンドンを中心にミクソロジーブームが到来。やがて“ネオクラシックカクテルブーム”といえる伝統+革新のムーブメントがNYで起き、いまに至ります。味わい的な側面では、カラフルで甘味のあるものから、苦みやベースのスピリッツの味を生かしたテイストが好まれるようになっているといえるでしょう。同時に、バーテンダーの腕がこれまで以上に問われる時代といえますね。そんなトレンドもあって、どんな素材ともうまくマッチする『ウッドフォードリザーブ』に人気が集まっているのです」(奥村さん)

↑毎年発表される、クラシックカクテルの世界的人気ランキング。2014年から4年連続でオールドファッションドが1位で、使用するバーボンランキングでは「ウッドフォードリザーブ」が1位です↑毎年発表される、クラシックカクテルの世界的人気ランキング。2014年から4年連続でオールドファッションドが1位で、使用するバーボンランキングでは「ウッドフォードリザーブ」が1位です

 

クラシックカクテルを制すものは、世界のBARトレンドを制す。これをあえて極端に表現すれば、「ウッドフォードリザーブ」を制するものは~とも言えるでしょう。もしまだ「ウッドフォードリザーブ」のカクテルを飲んでないのであれば、ぜひ忘年会後の2~3次会などでいかがでしょう!

 

【SHOP DATA】

201701204-a01-8

Bar TRIAD(バー トライアド)

住所:東京都渋谷区恵比寿西1-4-1 ウチノビル4・5F

アクセス:JRほか「恵比寿駅」西口徒歩3分

営業時間:4F/月〜土 19:00〜翌2:00、5F/水〜土 19:00〜翌2:00

定休日:日祝(祝前日の場合は営業)

【お手軽レシピ】フルーツ×酒の進化系「漬込みウイスキー」に挑戦! フードアナリストが3種類の味を比べてみた

季節はすっかり実りの秋を迎え、さまざまな果物が旬にさしかかっています。そんななか、「ニッカウヰスキー」が果物を使った新たな飲み方を提案したことが話題になっているのをご存知でしょうか。それが「漬込みウイスキー」です。

↑公式ネットショップでは、漬込むための専用ボトルとウイスキーがセットになった商品が販売されています↑公式ネットショップでは、漬込むための専用ボトルとウイスキーがセットになった商品が販売されています

 

そこで、高コスパで初めての方でも飲みやすい「ブラックニッカ」シリーズから、「クリア」「リッチブレンド」「ディープブレンド」の3種のウイスキーを使って、実際に自宅で漬込んでみました!

 

こんなに簡単でいいの!? おいしい作り方をレクチャー!

作り方はとっても簡単。フルーツをボトルに入れて、そこに砂糖とウイスキーを入れて冷蔵庫で何日間か寝かせるだけ。漬込む期間は、およそ3~10日。漬かり具合の好みやフルーツの種類によって飲みごろは違います。

 

今回用意したウイスキーとフルーツは、こちらの3組です。

 

<ブラックニッカ クリア×リンゴ>

201701030-a02-2

●ブラックニッカ クリア/150ml ●りんご/120g ●砂糖/50g

漬込み期間の目安は5~6日。

 

<ブラックニッカ リッチブレンド×赤肉メロン>

201701030-a02-3

●ブラックニッカ リッチブレンド/120ml ●赤肉メロン/130g ●砂糖/40g

漬込み期間の目安は7日。

 

<ブラックニッカ ディープブレンド×プラム>

201701030-a02-4

●ブラックニッカ ディープブレンド/150ml ●プラム/約4個 ●砂糖/40g

漬込み期間の目安は7日。

 

それでは、さっそく作ってみます!

↑適量を計って…↑適量を計って…

↑大きいフルーツは漬込みやすい大きさにカットしましょう↑大きいフルーツは漬込みやすい大きさにカットしましょう

↑フルーツをボトルに入れたら、お次は砂糖を投入↑フルーツをボトルに入れたら、お次は砂糖を投入

↑そしてウイスキーを注ぎ入れれば準備完了!↑そしてウイスキーを注ぎ入れれば準備完了!

↑蓋を閉めて、冷蔵庫で寝かせます↑蓋を閉めて、冷蔵庫で寝かせます

 

ここまでくれば、あとはひたすら漬込む(何もしないで待つ)だけ。この間、冷蔵庫を開けるたびに待ち遠しい気持ちがこみ上げます。

 

そんな苦しい恋心に耐えることはや数日……。そしてついに飲みごろに!

 

いよいよ完成! 漬込みウイスキーのお味は?

↑漬込む前の様子↑漬込む前の様子

↑漬込んだあとの様子↑漬込んだあとの様子

 

グラスに注いで飲んでみましょう!

↑専用ボトルの中蓋は、グラスに注ぎやすい設計になっています↑専用ボトルの中蓋は、グラスに注ぎやすい設計になっています

 

飲んでみると、3つとも甘味が加わったのはもちろん、カドが取れてまろやかな印象に。特にストレートの場合は飲みやすく感じます。種類ごとの感想は以下のとおり。

 

<ブラックニッカ クリア×リンゴ>

201701030-a02-14

リンゴの酸味が加わった一方で、ウイスキーのキレがやさしくなってスムースに。リンゴの果肉にもウイスキーが染み込んでしっとり。これでアップルパイを作ったら大人のフレーバーでおいしいかも。

 

<ブラックニッカ リッチブレンド×赤肉メロン>

201701030-a02-15

3つのなかでは最も甘く変化しました。糖度が高いフルーツだと、そのぶん甘味の濃さが増すのかもしれません。果肉もジューシーでおいしいです! あと、ウイスキーの色をチェックすると、特に明るくなっていました。これは果肉の色に由来するものでしょうか。

 

<ブラックニッカ ディープブレンド×プラム>

201701030-a02-13

甘味やまろやかさが3つのなかでは一番おとなしいですが、これはプラム(フレッシュプルーン)だったから? 干して旨味を凝縮させたドライプルーンの場合は、もっと濃縮感が出るかもしれません。ただ、プラムでもほんのりとしたフルーティ感が心地よくて十分おいしいです。

 

もちろんウイスキーなので、そのままだと度数が強いと感じる人もいるかもしれません。その場合は、ハイボールにするとフルーティな食中酒として活躍してくれますよ。

 

また、「フルーツはハードルが高いなぁ」という人は、紅茶やゴマのレシピもニッカウヰスキーの公式サイトに載っているので要チェック! サイトには、イチゴやミカンなど、冬~春のフルーツのレシピも豊富にあって、これからの季節も楽しめそうです。

 

最後にひとつだけ注意事項を。たとえ一般の人でも、「お酒を作る」という行為は酒税法の適用を受けます。「自分で飲む用として作る(売っちゃダメ)」「ぶどう、とうもろこしなどは使用NG」など、いくつか決まり事があるので、そちらも公式サイトであわせてチェックしてみてください。みなさんもルールを守って、旬を味わうハッピーな酒ライフを!

今回も争奪戦必至! ブラックニッカ新作はパーティー向けの仕上がりで1本たったの2000円

「ブラックニッカ」といえば、ニッカウヰスキーの定番ウイスキー。そんなブラックニッカから、11月21日に「ブラックニッカ アロマティック」が登場します。普段なかなかウイスキーを飲む機会がない人にこそ飲んでみてほしいこのお酒。これまでのウイスキーとはどこが違うのか、試飲レポを含めて紹介したいと思います。

 

ブラックニッカの売り上げは絶好調!

ブラックニッカとえいば、これまでは「ブラックニッカ クリア」「ブラックニッカ リッチブレンド」「ブラックニッカ ディープブレンド」の3種類を展開してきました。それ以外にも、3月には「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」、5月には「ブラックニッカ クロスオーバー」という数量限定品を発売し、さまざまな消費者のニーズに合わせたウイスキーを生み出しています。

 

201701031-a01-2

ブラックニッカブランド全体の販売数量としては、前年比115%と好調に推移しており、業務用の樽詰めハイボールに至っては前年比139%と大きく売上を伸ばしています。

 

今作は20〜30代の男性がターゲット

11月21日から発売される「ブラックニッカ アロマティック」のメインターゲットは、ウイスキーを飲み始める20~30代の男性。パーティーが増える年末に向け、飲酒の機会が増えるこの季節こそが、ウイスキー市場における大きな山場なのだそうです。そんなパーティーシーンで飲まれるために発売されるのが、こちらのお酒。希望小売価格は2000円(税別・700ml)で、これなら気軽に自宅で楽しめそうですね。

 

201701031-a01-3

ブラックニッカ アロマティックの最大の特徴は、華やかな香りと甘い味わい。だからこそ、ウイスキー初心者にとっても飲みやすく仕上がっているそうです。たしかに、普段お酒をよく飲む筆者でも、ウイスキーの香りや強いアルコールにはやや抵抗を感じてしまうので、ハイボールを頼むのが関の山。今回の試飲には少しドキドキしていました。

 

ブラックニッカ アロマティックは、「宮城峡モルト」「カフェグレーン」「カフェモルト」の3つが重要なポイントとなっています。ウイスキーは、発芽させた大麦を主原料とする「モルトウイスキー」と、大麦意外の穀物から作られた「グレーンウイスキー」が核。一方で「シングルモルト」は、“1か所の蒸溜所で作ったモルトウイスキーだけを混ぜたもの”のことで、それに対して「ブレンデッドウイスキー」は、“複数のシングルモルトにグレーンウイスキーを加えて味を調和させたもの”のことを指します。

 

201701031-a01-4

ブラックニッカ アロマティックは、後者の「ブレンデッドウイスキー」で、主軸となるモルトに「宮城峡モルト」を使用。宮城峡モルトのなかでもりんごやバナナ、オレンジなどの果実を思わせる華やかな香りや、スイートな味わいが際立つ厳守を採用しています。また、このモルトには樽香も少し感じられるそう。そして、「カフェグレーン」は宮城峡モルトの味わいに伸びを引き出し、「カフェモルト」は口に含んだときのふくよかさを醸す役割を果たしています。

 

3種類の飲み方で香りや味わいに大きな違い

今回の催しで試飲したのは、ストレート、ハイボール、ロックの3種類。まずはストレートで、香りをしっかり確認してみました。

↑「香りに出逢うグラス」を使えば、ウイスキーの味だけでなく香りもしっかり楽しめます↑「香りに出逢うグラス」を使えば、ウイスキーの味だけでなく香りもしっかり楽しめます

 

たしかに、アルコールの匂いというよりは蜂蜜のような甘い香りがして、樽のスモーキーさも少し感じられます。味についても、やわらかな甘さが感じられ、鼻からすうっと抜けていく軽快さがあります。余韻に関しては、少しビターな感じと甘さが残って、これはちびちび飲みたくなる!

 

一方のロックは、氷が溶けていることで徐々に味わいに変化が見られるのが面白く、ハイボールにしたときには甘さだけではなく味わいもキリッと引き締まり、全体的に品の良さが感じられます。これまで飲んできたハイボールとはまったく違うので、ハイボールがこんなにおいしく飲めることに少し驚きました。

↑氷が溶けることで味が変わっていくのがロックの醍醐味↑<ロック>氷が溶けることで味が変わっていくのが醍醐味

↑炭酸水が加わることで、一気に爽やかさが生まれる↑<ハイボール>炭酸水が加わることで、一気に爽やかさが生まれます

↑ブラックニッカ リッチブレンドは、チョコレートと一緒にいただくのが最高! なかでも、ベリーの酸味との相性が抜群でした↑ブラックニッカ リッチブレンドは、チョコレートと一緒にいただくのが最高! なかでも、ベリーの酸味との相性が抜群でした

 

今回の試飲のように、香りをしっかり楽しんでみたい人は、12月5日から発売される「ブラックニッカ リッチブレンド 香りに出逢うグラスセット」(希望小売価格2300円)がおすすめ。このグラスはアサヒビール・容器包装研究所とニッカウヰスキー・ブレンダ―室が共同開発した“ウイスキーの香りを楽しむ最適な形状”になっているんです。

 

ぜひ、年末にかけての家飲みはブラックニッカ リッチブレンドで! 年の瀬の家飲みをちょっとリッチな時間にしてみてはいかがでしょうか。なお、ブラックニッカの新商品は、毎回早い段階で品切れとなってしまうので、判断はお早めに!

 

【URL】

ブラックニッカ アロマティック http://www.nikka.com/products/blended/aromatic/