江川清音×白井ゆかり「番組とキャスターをつなぐ架け橋のような存在になれれば」ウェザーニュースキャスター連載・第21回/特別編

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は132万人(※2024年10月3日現在)を超え、日々の生活を支えるコンテンツとして、ますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開。レギュラーでの連載は一度終了を迎えたものの、現在は不定期連載として復活し、再びウェザーニュースLiVEで活躍する皆さんにインタビューを敢行中。今回はその特別編として、この春に復帰された江川清音キャスター白井ゆかりキャスターが登場。現在は広報や番組制作も兼務しているお二人に仕事の内容をお聞きするとともに、内側と外側から見たウェザーニュースLiVEの魅力をたっぷりとうかがいました。

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

【連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

【江川清音さん&白井ゆかりさん撮り下ろし写真】

 

新たな仕事に携わったことであらためて感じたウェザーニューズのすごさ

──お二人は今年(2024年)の5月にSNSを通してウェザーニューズ社に復帰された報告をされていましたね。

 

白井 私は、5月の連休明けに戻ってこようというのを以前から決めていました。

 

江川 私も(復帰は)5月頃かなと思っていて。偶然にも同じタイミングの報告になったんです。

 

──久々に出社されたときはどのようなお気持ちでしたか?

 

白井 なんだか不思議な感じでしたね。言葉で表すなら、一番近い感情は“そわそわ”だったかも(笑)。

 

江川 うん、わかる!(笑)

 

白井 “会社に来たぞ!”という喜びもありましたが、久々の雰囲気にそわそわドキドキして、でもどこか懐かしさもあって……。そのあとすぐに、“あぁ、やっぱりここはホームだなぁ”という気持ちが湧き上がってきました。

 

江川 私もそうでした。会社のフロアに足を踏み入れた瞬間、“ただいまー!!”って言いたくなって(笑)。“本当に戻ってきたんだなぁ”としみじみもしましたね。

 

──視聴者にとっても「おかえりなさい!」という気持ちが強かったと思います。今はキャスター以外のお仕事もされていて、すでに番組の中でも少しずつお話をされていますが、あらためてその内容についてお聞かせいただけますか?

 

白井 私はウェザーニュースLiVEの番組制作や企画などを担当しています。具体的には、番組に出演しているキャスターや気象解説員の皆さんの音声チェックであったり、事前に番組用に用意した画像や映像資料などを画面に映す「素材出し」といった裏側の仕事ですね。また、サポーター(視聴者)の皆さんがYouTubeのチャットにリアルタイムでコメントを寄せてくださるので、それらを抜粋して、画面に出したりもしています。

 

──“ポヨン”と呼ばれている吹き出しのコメントですね。

 

白井 はい。ですので、キャスターをしているときよりも皆さんのコメントをよく読んでいます(笑)。“サポーターさんはこんなことを思っているんだ”と知ることもできて、すごく楽しいです。

 

──白井さんはお休みに入られる前から、「復帰するときは制作側の仕事をするかも」とお話しされていましたが、その夢が叶ったということでしょうか。

 

白井 以前から動画の編集に興味があったんです。キャスターとして一番近い場所からスタッフたちのクリエイティブな作業を拝見していましたし、もともと趣味で写真も撮っていましたので、映像を作る仕事にも挑戦してみたいなと思っていて。そうしたら、産休明けのタイミングでチャンスをいただけたので、「ぜひ!」という思いでやってみることにしました。また、今はそうした番組制作の仕事以外にも、まだ入社して歴の浅いキャスターに向けた研修などもさせていただいていますので、本当に幅広くいろんなことをやらせてもらっています。

 

江川 ゆかりん(白井キャスター)がすごいのは、そうした研修を誰かに指示されたわけではなく、キャスター全体のことを考えて自主的に行っているところなんです。「これから大雨や台風が増える時期になるから、そのときになって困らないように、今からしっかりと対処法を身に着けておこう」と言って、積極的にみんなに声をかけて。その行動力はもちろん、後輩や番組を思う気持ちが本当に素敵だなって思います。

 

白井 清音さんに褒められた! うれしい!! ただ、実際に研修をしてみると、みんなすごく成長しているので、私からは何も言うことがないんですけどね。むしろ、“何か言わなければ……”と思って、頑張って絞り出すことがほとんどなんです(笑)。それに、私が積極的に行動に起こさなくても、みんなのほうから「ぜひ私にも教えてください」と声をかけてくれることも多くて。そういった言葉をもらうと、“みんな、もう一歩レベルアップしたくて頑張っているんだな”と思えて、私もうれしくなる。ですので、私も求められる限り、みんなのお手伝いになれればなと思っています。

江川清音●えがわ・さやね…1989年12月3日生まれ。北海道出身。O型。ウェザーニューズ「おは天」の10期生として、2008年よりキャスターに就任。その後、番組の変遷とともに「SOLiVE24」、「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍。趣味・特技は社交ダンス、クラシック・バレエ、フラワーアレンジメント、クレイデコレーション、カルトナージュ、カリグラフィー、ヨガなど。XInstagram

 

──江川さんは復帰後、広報としても活躍されていますが、どういった経緯だったのでしょう?

 

江川 上司からの提案でした。急な話だったので驚きましたが、私もせっかくのチャンスだと思って飛び込んでみることにしたんです。具体的な仕事内容としてはBtoSの広報になります。一般的にはBtoC(Business to Consumer/企業と一般消費者・個人)と呼ばれるものですが、ウェザーニューズでは“Business to Supporter(企業とサポーター)”と表現しているんです。

 

白井 ウェザーニューズやウェザーニュースLiVEを扱ってくださるテレビ番組などで広報として登場している清音さんの姿を観る機会も増えましたよね。

 

江川 そうしたテレビ番組などのメディア対応も仕事の一つですね。ほかにもウェブサイトの運営であったり、ウェザーニューズが新聞やネットの記事でどれくらい取り上げられているかなどのデータを収集したり。もちろんウェザーニュースLiVE自体にも携わっていて、番組をもっと盛り上げるための企画会議などにも参加しています。

 

──SNSで江川さんがウェザーニューズのプレスリリースを紹介している投稿を拝見したことがありますが、リリースの記事も書かれているんですか?

 

江川 はい、めちゃめちゃ書いています!(笑) 例えば「猛暑見解2024」では予報センターの方に「今年は暑くなりそうですか?」と夏の気候の長期予報をお聞きしてプレスリリースの草案を作り、それをよりわかりやすく伝えるために、デザイナーさんに天気図なども描いていただいたり。初めてのことで大変ではありますけど、今まで以上に会社のことを知れて、すごく楽しいです。

 

白井 わかります! 私も、会社の取り組みについて意外と知らないことがたくさんあるんだなと実感しました。

 

江川 これまではキャスターとして番組内で扱う気象に関する情報を目にすることがほとんどでしたので、会社の業務の細部までは把握しきれていなかったんです。でも、実際には私たちの生活に関することだけじゃなく、海上気象や航空気象、それにスポーツやイベントなどあらゆる場面でウェザーニューズの気象データや情報が活かされている。なかには、“こんなところでも!?”と驚くことがありますので、いつかウェザーニュースLiVEの番組の中で広報・江川としてのコーナーを作り、ご紹介していけたらなと思っています。

 

 

番組に関わっている全ての人に拍手を贈りたい!

──お二人はそれぞれ新たな立ち場から客観的にウェザーニュースLiVEを見る機会が増えたかと思いますが、あらためて感じるウェザーニュースLiVEの良さとはどんなところでしょう?

 

白井 やはり、一番にあるのは番組と視聴者の距離の近さだと思います。サポーターさんからリアルタイムで送られてくる気象情報をスタッフたちが即座に処理し、それをキャスターに渡して番組内で発信していく。そうしたバトンの受け渡しがすごくきれいにつながっているなと強く感じます。

 

──突然の気象の変化や地震が起きたときのチャットのコメントの多さと、それを素早く情報として伝えていくスピード感にはいつも驚かされます。

 

白井 どのくらい揺れたかといった体感や雨量の多さなどを、皆さんがチャットを通じて、地名を入れて教えてくださる。そのことで、きっとどこよりも早くいろんなエリアから情報が集まってきて、地震やゲリラ雷雨などの発生直後から絶えず最新の状況を番組でお伝えすることができるんです。これができるのはウェザーニュースLiVEならではだと思います。

 

江川 また、スタッフたちの瞬発力もすごいんです。気象の情報に限らず、番組内でのちょっとした企画でも「こういうことができませんか?」と提案すると、すぐに「やりましょう!」と動いてくださる。そうした行動の早さを見ると、やはり最新の気象や防災情報を24時間365日、絶えず伝えているからこその瞬発力が皆さんに備わっているんだなと感じさせられます。

 

白井 それに、裏側に回ってみてより強く思うのが、ウェザーニュースLiVEの“チーム感”ですよね。多くの人の力で番組が作ることができ、さまざまな情報をお届けできているわけですが、それらを生み出しているスタッフやサポーターさん、それに予報センターの解説員の皆さんやキャスターたちって本当にすごいなと、心から拍手を贈りたくなります。

 

江川 あなたもその一員なんだよ!(笑) でも、皆さんを褒め称えたくなる気持ちはわかる。

白井ゆかり●しらい・ゆかり…1991年6月25日生まれ。埼玉県出身。B型。2015年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。趣味・特技は茶道、ヨガなど。 XInstagram

 

白井 私や清音さんの役割は、その架け橋のようなものだと思うんです。サポーターさんがどんな情報を欲しているのかをキャッチし、それを私たちが会社やキャスターに伝えることで番組がさらに良いものになっていく。そうやって、全員にとってプラスになるように働きかけていく存在になることが大事なんだろうなって。

 

江川 きっと会社も私たちにそこを期待していると思いますしね。キャスターでありながら、同時に番組を制作する側の仕事を兼務しているのは、今のところ私たちしかいませんし、“これは失敗できないぞ!”という責任感もありますが、しっかりとキャスターの経験を活かして、架け橋になっていきたいなと思っています。

 

白井 そうですね。プレッシャーは半端ないですけどね(苦笑)。

 

──今はどんなところに大変さを感じていますか?

 

江川 広報の仕事としては、やはり言葉の表現ですね。仮にプレスリリースで間違った言葉の使い方をしてしまうと、私だけのミスではなく、会社全体の信用にもつながっていきますから。メディアへの電話対応も、私の発言が公式の言葉として捉えられてしまうので、そこは本当に慎重にならなければなと思います。もちろん、常に責任感を持って業務を行っていますし、すべての情報をしっかりと把握しているつもりではいます。でも、気象に関する言葉の言い回しは繊細なところがあり、ちょっとしたニュアンスの違いで誤解が生じる可能性がある。ですから、少しでも不安に思うことがあれば絶対に曖昧にしたり、自分を過信せず、周りにいるもっと専門的な知識のある方に伝え方を確認したうえで、自信を持って回答するようにしています。

 

白井 電話対応こそ、これまでのキャスターの仕事とは違って慣れていないから焦りが生まれそうですよね。

 

江川 それもあるし、私もともと電話がすごく苦手なの(苦笑)。両親とも電話だとあまりうまく話せないぐらいで。

 

白井 そうなんですか!?

 

江川 顔が見えないと、相手が誰であろうとドキドキしちゃって。だから、大事な用事があるときは直接会うか、もしくはメールで連絡するようにしていて。

 

白井 少しわかる気がします。私もお店とかに電話で予約するとき、少し苦手意識があります。

 

江川 同じタイプの人がいた!(笑) とはいえ、広報をしていて“電話が苦手です”ではお話にならないので、しっかりと対応できるように今頑張ってます。ゆかりん(白井)はどう? 初めての仕事が多そうだし、やっぱり大変?

 

白井 私がいる部署は以前のキャスター時代とチームも同じですので、環境自体はほとんど変わらないんです。ただ、自分の立ち位置が変わっているので、そこに難しさを感じていますね。打ち合わせのときでも、キャスター寄りの意見を言ったほうがいいのかなとか、あまり寄りすぎてもよくないのかなとか。反対に、スタッフ寄りの発言になってしまうと、キャスターとの距離が出てしまうしな……とか考えてしまって。新しいお仕事ということもあり、それらを一から覚える大変さもありますが、そのこと以上にチーム内におけるコミュニケーションを大事にしているので、より難しさを感じてしまいます。

 

江川 3時間の生放送はキャスターとスタッフがワンチームにならないと乗りこなせないから、コミュニケーションや人と人との距離感は本当に大切だよね。

 

白井 本番が始まってしまえば、楽しいことばかりなんですけどね。天気が穏やかな日は音声チェックをしながらキャスターの楽しいトークを一緒に笑って聞いていられますし、サポーターさんからのコメントを見て「どれをポヨンで出そうかな」と考えていることが多いので(笑)。

 

──とはいえ、急に天候が荒れだしたり、地震速報などが入ると、そうも言ってられなさそうです。

 

白井 そのときは一気に緊迫した空気になります。警戒レベルが上がるような状況じゃなくても、ゲリラ雷雨などが発生すると、どんどんと番組の構成が変わっていきますから。サポーターさんから届く、「このエリアの雨が急に強くなってきました」といった情報や動画をどのタイミングで出すのか、また、どの素材を使うのかといったことをディレクターが即座に判断し、それらをすぐに番組内で発信していかなければならない。当然、準備をしている間にも天気の状況は刻一刻と変化していくので、キャスターたちもものすごい緊張感に包まれているはずで。だからこそ、制作側とキャスターの間に立つ私としては、そこもうまくフォローしていけたらいいなと思っています。

 

 

リリースや動画などを通して発信する情報の大切さと難しさ

──同じ“伝える”仕事であっても、キャスターと制作や広報にはいろんな点で違いがありそうですね。

 

白井 そうですね。キャスターだと注意喚起などを、直接番組を通して自分の口からお伝えすることができますが、動画だと1つのニュースを配信し、それを皆さんに見ていただくことで注意喚起につながっていく。伝えるベース自体が大きく異なるなと感じています。

 

江川 実はゆかりんが編集したニュース動画もたくさんアップされているんだよね。

 

──ニュース動画というのはYouTubeにある3〜4分ほどの「最新気象ニュース」や「台風情報」などの動画のことでしょうか?

 

白井 はい。生放送でキャスターや気象解説員の方々がお伝えしている情報を切り取って編集し、それをニュース動画として配信しているんです。普段はあらかじめ切り抜くことを前提に番組内で気象解説していただくことが多いので編集も楽なのですが、急な天候の変化などがあると、キャスターと解説員の会話の中から抜粋してショート動画にまとめないといけないので、そのときは時間との勝負になりますし、緊張が走りますね。

 

江川 私も以前、ゆかりんに動画の編集を学んだことがあるんです。ウェザーニューズのアプリをSNSで紹介するときに「花火チャンネル」の情報を動画でアップしたいなと思って。なのに、途中で固まっちゃって(笑)。

 

白井 えっ!? なんと!

 

江川 早くアップしないといけない情報だったので、どうにもならずシュンっと落ち込みながら、結局その日はスクショの写真を貼り付けました(苦笑)。でも、そのときにも思ったんだけど、こうした編集作業って、ついのめり込んでしまって、時間があっという間に過ぎてしまう危険があるよね。

 

白井 そうなんです。キャスターとして番組を担当している3時間もあっという間ですが、動画編集も、こだわったり、集中していると、気づいたら数時間経ってることがあります。

 

──サムネイルを作る作業もこだわり出したらキリがなさそうです。

 

白井 サムネイルは沼りますね(笑)。目を引くものにするためにインパクトのある文字の乗せ方や色合いなどを細かく考えるんですが、時間をかけて悩みに悩んだ挙げ句、結局最初のものに戻ったり(笑)。

 

江川 なんだかんだと直感で作るものがわかりやすくて、いいものだったりするもんね。

 

白井 まさに! ただ、気をつけないといけないのが、油断していると毎回似たようなものばかりになったりするんです。“ここは強調したいから絶対に赤色の文字にしよう”とか、“ここは注意を引きたいから黄色かな”って考えていると、“あれ? 前々回と同じ配色になっている!”って(笑)。

 

江川 もう、くせのようになっているんだね。

 

白井 ですね。清音さんもキャスターの仕事との違いという点では、番組用の台本作りとプレスリリースでは内容も文章の書き方もまるで違いますよね。

 

江川 そうなの! よくぞ聞いてくれました(笑)。そもそも、番組用の台本は自分が理解するために書いているものなので、そこまで神経質にならないんです。でも、プレスリリースなどは他人に理解してもらわなければいけないので、しっかりとした文章が必要になる。それに、普段から書き言葉に慣れてないから、“なんか日本語が変だな”と思いつつ、でもどこがおかしいのかが具体的にわからなくて、悩んでしまったりして。逆に慣れていないことが幸いして、チームのリーダーから「これは私には書けないキャッチだ!」と褒めていただくこともあるんですけどね(笑)。

 

──文章の言い回しって、一度悩み始めると普段から使い慣れた言葉でも、“この日本語ってちゃんと合っているのかな?”と不安になることがありますよね。

 

江川 あります! “あれ? 意味通じているかな?”とか、“そもそもここでは何を伝えたいんだっけ?”と目的まで見失いそうになったり(笑)。キャッチもそうですね。こねくり回しすぎて、ゴールがわからなくなったり、反対にシンプルにしようとすると、今度は普通すぎて面白みのないキャッチしか思いつかなくなったり。そういうときは一度コーヒーを飲んだりして、頭の血を落ち着かせるようにしています。

 

白井 そういう苦労もあるんですね。……私、今日のこの取材でキャッチになるような言葉を一つも残せてない気がするんですが、大丈夫ですか?(笑)

 

江川 そんなことはない! いい言葉をたくさん言っているよ。ですよね?

 

──はい。今日に限らず、この連載ではどのキャスターさんのインタビューも印象に残る言葉ばかりで、すごく楽しいです。むしろ、毎回素敵すぎて、短くまとめるのが大変なぐらいです。

 

江川 そう言っていただけるとうれしいです。

 

白井 だからなのか、連載を重ねるたびに記事が長くなっていますよね(笑)。

 

──気づいていましたか(笑)。そうなんです。なかでも山岸愛梨キャスターの回では内容が本当に素晴らしく、ほぼノーカットで使いたかったので、前後編の2回に分けさせていただきました。

 

江川・白井 さすがあいりんさん!

 

──でも、こうしたイレギュラーな構成はWebの記事だからできることであって、プレスリリースのような資料だと、簡潔にわかりやすくまとめないといけないので大変だと思います。

 

江川 そうですね。文章が長くなりすぎると、言いたいことが散らかってしまったりしますし、要点をしっかり抑えないと、途中から読んでもらえなくなる場合もあるので、何を一番に伝えたいのかを短く構成していくのはすごく重要になってきます。それに、プレスリリースだと気象に関する専門用語だけでなく、ビジネス用語もたくさん出てきますから、きちんと理解せずに使っていると大変なことになる。そういった点においても、あらためて言葉で伝えることの責任感や大変さを強く感じますね。

 

復帰前は「私、こんなにうまく話せない!」とプレッシャーでした

──お二人は7月からキャスターとしても復帰されました。これは最初から決まっていたことなのでしょうか?

 

江川 日程自体が決まっていたわけではないのですが、「近いうちにキャスターとしても」という話はうかがっていました。

 

白井 私は正直なことを言うと、番組を裏で支える仕事に強く興味を持っていたので、産休に入る前は、“もしキャスターとして必要とされるのであれば、またやってみようかな”というぐらいの気持ちだったんです。でも、お休みをさせてもらっている間にもサポーターの皆さんから、「キャスターに戻ってきてくださいね」という声をいただくことが多く、それがすごくうれしくって。ですから、どこかで機会があればいいなとは思っていました。

 

江川 復帰の日が決まるまではドキドキだったよね。

 

白井 ほんとに! 清音さんは復帰されるのがこれで2回目ですが、それでもやっぱり緊張されていたんですね。

 

江川 前回はそのままキャスターとして戻ってくるだけだったけど、今回は広報の仕事も兼務しているから、そういう意味では今までとは違う不思議な感覚があったかも。同じように別のお仕事とキャスターを兼ねている先輩に川畑(玲)さんがいらっしゃるので、ウェザーニューズの社員としての立場やキャスターとしての立場の違いなどについて、たくさん相談に乗ってもらったりもして。

 

白井 以前から川畑さんのご活躍を見て本当にすごいなと思っていましたけど、いざ自分も似た環境になると、どれだけ大変なことをこなしているのかというのを実感しますよね。

 

──やはり制作側の仕事を経験すると、キャスター視点で見る番組自体もこれまでとは違って感じるものですか?

 

江川・白井 全然違います!

 

江川 声がそろった(笑)。けど、本当に見え方が違うよね。

 

白井 すべてのスタッフに対して感謝の気持ちでいっぱいになりますし、「こんなキャスターですみませんでした!」という言葉しか出てこないです(笑)。

 

江川 ほんと、そうだよね。スタッフの皆さん全員に頭を下げたくなる。

 

白井 「これからはちゃんと構成どおりにやります! いつも脱線してすみません!!」って(笑)。

 

江川 うん。脱線したあとに、いかにスタッフたちが自分たちの知らないところで助けてくださっていたのかがよくわかるし。番組がスムーズに進むよう、本番前にスタッフが細かく進行を考えてくださっているわけですから、そのとおりにやることがいかに大事か。

 

白井 やっぱり好き勝手やっちゃいけないなと反省していますし、謝罪したいことを挙げだしたらキリがないです(笑)。

 

──ちなみに、今回の復帰に向けて、何かしらの準備はされていたのでしょうか?

 

江川 発声練習だけはキャスター復帰に関係なく、毎日欠かさずするようにしていました。

 

白井 すごい!

 

江川 私の場合、“噛み様”と言われてしまうぐらい噛み癖があるからなんだけどね(苦笑)。今でこそ随分良くなったけど、油断すると口が動かなくなるから、訓練だけは日々しておこうと。

 

白井 私はイメトレくらいですね(笑)。というのも、復帰までの2か月の間、裏方としてずっと近くでキャスターたちの番組を見ていたので、そこで感じたプレッシャーったらなかったんです。“みんな、よくしゃべれているな。すごいな”!って。

 

江川 わかる! 今のキャスターたちの番組を見ていたら、“きっと私、こんなにしゃべれない!”って怖くなったもん。

 

白井 特に、私たちがお休みする前に研修をしていたせんちゃん(小川千奈キャスター)まゆちゃん(魚住茉由キャスター)がびっくりするぐらい成長していて。驚くと同時に、“本当に上手になったね”って、自分のことのようにうれしくなったんです。

 

江川 うん。私も“二人とも大きくなったね!”って泣きそうになった。

 

白井 いち視聴者として二人のフリートークを聞いていても本当に面白いし。そのことを本人たちに伝えたらすごく喜んでくれたんですが、とはいえ、いざ自分がキャスターに復帰することになってからは、そんなことも言っていられなくなったんです。“私、できないかもしれない!”という不安な気持ちでいっぱいになって。

 

江川 そうなんだよね。以前は研修しながら二人に、「大丈夫だよ!」って励ましていたのに、今の私の番組を見て、「全然できてないじゃん!」って思われたらどうしようって(笑)。

 

白井 まるで説得力がなくなっちゃいますからね。だからこそ私はひたすら、“大丈夫! 自分はできる!!”ってイメトレをしていたんです(笑)。

 

──復帰された日はどんなお気持ちでしたか?

 

白井 復帰日は気象状況の注意度が通常時よりも高くなっていたので、番組内も緊張具合が高まっていました。私自身の緊張度もMAXだったので……落ち着いてゆっくり丁寧に話すことを意識していたように思います。でも、あまりの緊張で正直、頭の中はぽわぽわしていました。今何を話しているのかが、自分でもあまり理解できずにいるという感じで(笑)。ただ、3時間の番組なので、そうした状態が続きながらも、番組終わりの方は口から途切れず言葉が出てくるなと客観的に見られるようになっていて、“あ〜これは、今までキャスターをやっていたときの感覚が忘れずに残っているからかな”とも思いました。番組終了後は、“反省点がいっぱいありすぎる……”と思いつつ上司に挨拶をしたところ、「以前よりも声のトーンも落ち着いて、聞きやすいよ!」と褒めていただけて、胸をなでおろしましたね。

 

江川 キャスターとして番組に出演するときは、規定の入りの時間よりいつも1時間は早く来て準備をしているのですが、天気はもちろん、生活の豆知識や実用的な情報など“皆さんに有意義な情報を届けたい!”と思って準備をしていると、いつも時間が足りなくなっちゃうんです。復帰したあの日もわちゃわちゃとして「急げ〜急げ〜!」と小声で言いつつ、スタジオの椅子に座ったのを覚えています(笑)。そして、スタジオの席に座った瞬間、“これこれ、この独特の空気感! 緊張感! キター!! ”となりました(笑)。急に現実味が増すと言いますか、背筋が30cmくらいグググっと伸びたのを感じましたね。

私の番組は元気ハツラツでテンションが高めだと言われることが多いのですが、復帰前日などには台風や大雨の影響が心配な地域があって番組の災害注意レベルが上がったり、復帰直前の番組内では千葉県で最大震度4の地震が発生していたりしたので、番組をお送りする温度感が難しかったです。ただ、番組が始まると視聴者の皆様から「おかえり! 待っていたよ!」とお声をいただき、“私のホームがここにある!”と心があたたかくなりました。そして何より、これからも視聴者、ファンの皆様に愛される番組作りをしていきたいと強気思いましたね。

 

──また、7月27日には「ウェザーニュースLiVE 劇場ライブビューイング」も開催され、お二人にとっては久々のイベントとなりました。江川さんはスタジオから、白井さんは映画館からの出演となりましたが、サポーターの皆さんとの久々の交流はいかがでしたか?

 

白井 リアルイベントが私にとってとても久しぶりで、会場で皆さんにお会いできるのが本当に楽しみでした! 以前から応援してくださっているサポーターさんもいらっしゃって、“お久しぶりです〜!”という気持ちと、初めましてのサポーターさんも多かったと思いますので、“どうもどうも白井です〜!”という新鮮な気持ちもありました。会場は皆さんとの距離が思った以上に近くて、暗いはずの映画館ではありますが、皆さんの表情がよ〜く見えました(笑)。だからこそ、私たちが登場したときに、皆さんがあたたかく迎えてくれた優しい表情が印象に残っています。あと、皆さんがたくさん掛け声を出して、場を一緒に盛り上げてくださったんです。あの一体感、最高に素敵でした! 本当にありがとうございました。

 

江川 私はイベントへの参加が数年ぶりで、かつ劇場ライブビューイングという初挑戦の催しでしたので、始まるまで期待と不安でいっぱいでしたね。スタジオではゆいちゃん(駒木結衣キャスター)みーちゃん(戸北美月キャスター)と私の3人のMCで、お互いを補いつつ、それぞれが自分の役割を果たしながら特別番組をお送りできたので良かったと思っています。また、実際に始まってみると、ご存知の通り好きにやらせてもらいまして(笑)、皆さんの反応を受けつつ、私たちも楽しませていただきました。

映画館の雰囲気については、板橋会場と幕張新都心会場で中継を繋いでいるときには盛り上がりなどが実感できたものの、それ以外の映画館の状況などを把握するのが難しく、来場していただいた方に楽しんでいただけているのかどうかという不安は残りました。全国の劇場で参加していただいた皆さんのアンケートや社員からも感想をうかがったので、今後開催される際は、皆様にとってより満足度の高いアップデートした劇場ライブビューイングをお楽しみいただきたいと思っています。

ウェザーニュースLiVEの「参加型のお天気コミュニティー」は留まることを知りません! これからも皆さんと一緒に歩み続けていきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

 

──では最後に、今後の目標を教えていただけますか?

 

江川 キャスターには天気や防災など、いざというときにさまざまな情報を伝えていく役割や使命があります。広報としても、会社のことをより多くの方に知っていただき、情報を届けていくという意味では同じだと思っていますので、ウェザーニュースLiVEはもちろんのこと、ウェザーニューズという会社の取り組み自体もたくさんの方に知ってもらえるように頑張っていきたいですね。また、サポーターの皆さんにとって身近なアプリについても随時アップデートをしています。ですから、そうしたユーザーの生活をより豊かにするための機能なども多くの人に広めていけたらなと思っています。

 

──江川さんもアプリの開発をされているんですか?

 

江川 広報として開発チームと一緒に作ることはあります。“こういう情報をアプリで使えるようになったら便利では?”といった提案をしたり、少しではありますが、私も企画を出すことがあって。ユーザーにとって使いやすいアプリにしていくのはもちろんですが、減災や命を守るために必要とされるツールですので、そのためにもいろんな機能を作っていきたいなと思っています。

 

白井 私の目標は、やはりキャスターとサポーターの皆さん、そして番組を支えているスタッフの架け橋のような存在になることですね。といっても、そんな大層な立ち位置ではなく、良い相談役になるような感じで(笑)。気になることや不安なことがあれば“ちょっと白井に伝えておこうかな”という気軽さで、ウェザーニュースLiVEチームのみんなの拠り所になれればなと思っています。

 

江川 みんなが「ゆかりんに頼るぞ!」みたいな感じだね(笑)。

 

白井 はい、“もう、なんでも来い!”です(笑)。それに、動画編集もさせてもらえるようになり、やりたかったことの一つに携わることができました。ですので、映像面でも有意義な動画を届けられるスキルをもっと磨いて、皆さんにとって生活に役立つ情報をお伝えしていきたいと思っています。

 

▼コラム「インタビューこぼれ話」

多忙を極めるお二人に最近はまっていることや趣味の話を語っていただきました!

江川 今はまっているものと言えば、「外郎売」を発声練習の中に取り入れています。滑舌のトレーニングとして有名なものなんですが、早口言葉も入っているので、毎朝ラジオ体操と一緒にやるようにしていますね。

 

白井 以前、隣でラジオ体操していましたよね(笑)。

 

江川 そうだった(笑)。朝に体を動かすと頭がシャキッとするし、声の出方もよくなるのでおすすめですよ。それ以外ではまっているものと言えば……カラオケかな。よくCスタ(会社にあるCスタジオ)に籠もって、一人で歌ってる(笑)。

 

白井 えーっ、そうなんですか!? なんだか意外です。

 

江川 これも発声練習がてら歌っているんだけど、最近になってCスタの電気が点くようになったから、私が歌っているのを見かけると、皆さんそっとしておいてくれるんです(笑)。

 

白井 私がはまっているのはカカオのチョコですね。小さい頃からチョコレートが大好きで、好みを聞かれたら、必ず「海外とかで売っている甘〜〜いのが好きです」と答えていたんです。でも、最近は高カカオに目覚めまして。

江川 大人になったんだ!

 

白井 はい。でも、それは決して苦みが好きになったからではないんです。カカオを口に入れてからご飯を食べると太りにくくなるそうなんです。しかも、カカオ成分が高めじゃないとダメみたいなので、86%くらいのものを食べるようにしているんですね。そうしたら、70%でも少し甘さを感じるくらいになってきて。

 

江川 それは相当好みが変わった証拠だね。

 

白井 そうなんです。毎日食事前に2粒ほど摂るようにしていたら、「お! 高カカオ、いけるぞ!」と思うようになって(笑)。今は、ほかにもいろんなチョコを試してみようかなと思っています。

 

江川 じゃあ、もし今ミルクチョコレートを食べた日には……。

 

白井 甘〜〜〜〜〜〜〜〜!ってなると思います(笑)。

江川 (笑)。では、最近新しく趣味で始めたことはある?

 

白井 う〜ん、なんだろう……。再発見ならあります。少し前にテレビ番組に出演し、久しぶりにジャンクションの話をしたんです。そのとき、あらためて“ジャンクションっていいなぁ”ってしみじみ思いました(笑)。

 

江川 山口(剛央)さんにはあまり響かなかったジャンクションだね(笑)。

 

白井 そうです。山口さんはトンネル派でしたから。昔、ウェザーニュースLiVEの番組内で『美しきジャンクションの世界』という企画を私がやらせてもらったんですが、そこで実は山口さんがトンネル好きだということが発覚して。番組が終わったあとも、ずっとトンネルの素晴らしさを熱弁されていました(笑)。私もトンネルの奥深さを知ることができてすごく面白かったんですけど、残念なことにトンネルの良さって映像で表現しにくくて、企画にもしづらいんですよね。

 

江川 そうか。基本的に暗い闇がずっと続いているだけだもんね(笑)。

 

白井 そうなんです。それで断念してしまったんですが、いつかチャンスがあれば、また山口さんに番組で語っていただきたいですね。清音さんは何か新しい趣味を見つけられたんですか?

 

江川 自分から言いだしておいてなんだけど、全然ないんです。朝から夜まで平日は仕事をしているので、なかなか時間を作れなくて。……というのは言い訳ですよね(苦笑)。なので、しいて言うなら、趣味は今も飲酒活動かな(笑)。

白井 新しさはないですね(笑)。

 

江川 あ、でも卓上で揚げ物ができる電気フライヤーを購入したんです。

 

白井 それって、テーブルの上で串揚げとかができるということですか?

 

江川 そう! できたての状態でビールと一緒に味わえる。これがもう最高なの。

 

白井 それはいいですね。でも、それなら趣味は「飲酒活動」ではなく「おつまみ作り」と言ったほうが、聞こえがいいかもしれないですよ(笑)。

 

江川 たしかに。「飲酒活動」だと、ただの飲ん兵衛みたいだもんね(笑)。

 

江川清音さん&白井ゆかりさんのサイン入り生写真を3名様にプレゼント!

<応募方法>

下記、応募フォームよりご応募ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScSUJKuWdoy67EnqRP8Ggs17qPNVBP_N_ED-PPdC8vSaM1gRQ/viewform?usp=sf_link

※応募の締め切りは11月5日(火)正午まで。
※当選は発送をもってかえさせていただきます。
※本フォームで記載いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的での使用はいたしません。また、プレゼント発送完了後に情報は破棄させていただきます。

 

 

「ウェザーニュース」HP https://weathernews.jp/

「ウェザーニュース」YouTube https://www.youtube.com/user/weathernews

「ウェザーニュースLiVE」公式Twitter https://twitter.com/wni_live

「ウェザーニュースLiVE」公式Instagram https://www.instagram.com/weathernews_live/

 

 

撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ

岡本結子リサ「皆さんの生活に直接役立つ仕事がしたいという思いでキャスターを目指しました」ウェザーニュースキャスター連載・第20回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は124万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとして、ますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開。レギュラーでの連載は一度終了を迎えたものの、現在は不定期連載として復活し、再びウェザーニュースLiVEで活躍する皆さんにインタビューを敢行中。今回ご登場いただいたのは2023年10月に新たなキャスターとして加わった岡本結子リサキャスター。学生との二刀流を経て、現在は“夜の顔”として多くの笑顔と癒やしを視聴者に届けている岡本キャスターに、デビューからこれまでの10か月を振り返っていただきました。

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

【連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

岡本結子リサ●おかもと・ゆいこ・りさ…2000年1月30日生まれ。東京都出身。0型。ウェザーニュース気象キャスター。2023年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。趣味・特技はピアノ、ダンス、フルートなど。XInstagram

【岡本結子リサさん撮り下ろし写真】

 

ももとは同期というよりも、最初から友達に近い感じでした

──前回ご登場いただいた青原桃香キャスターとは同期になります。岡本さんから見た青原さんはどんなキャスターですか?

 

岡本 もも(青原桃香キャスター)の一番の魅力は、なんといっても笑顔ですね。どんな時でもずっと笑顔なんです。私はミスをしたり、困ったことがあると焦りが表情に出てしまうんですが、ももは何かあった時にこそ、ニコッと笑顔を見せる。誰にでもできることではないですし、あの笑顔はももの武器だなって思います。

 

──ごまかしの笑顔ではなく、周囲を安心させる笑顔ですよね。

 

岡本 そうなんです! ミスをしても、見ているこっちが“大丈夫だよ!”って許してしまえる空気を作り出せるし、そうやっていつも“ももワールド”に持っていく。そこがもものすごいところなんです。ほんと、ずるい!(笑) 私もあの笑顔が欲しいです。

 

──初めて会った時から印象は変わらないですか?

 

岡本 以前のこの連載インタビューでもももが話していましたが、会社近くの駅ですれ違ったのが最初で、その時は凛とした雰囲気と言いますか、少しクールな印象がありました。大人っぽいオーラもあったので、あまり話しかけてきてくれるタイプではないのかなと思っていたんです。でも、実際に話してみたらとっても気さくで、優しさかったです。

 

──ただ、その後、あまり研修で一緒になる機会がなかったとか?

 

岡本 はい。当時は私がまだ大学4年生でしたので、一緒に研修ができたのは1〜2回ほどでした。だからかもしれませんが、感覚としては、最初から同期というよりも友達みたいな感じでしたね。土日になると会える友達みたいな(笑)。

 

──打ち解けたのはいつぐらいだったのでしょう?

 

岡本 初めて一緒にご飯に行った時です。私は他人との距離を最初からグイグイと縮めるタイプなので、それまで〈結子ちゃん〉と呼ばれていたのを、私から「呼び捨ての〈結子〉でいいよ」ってお願いをして。その時、ももが「じゃあ、お互い敬語と“ちゃん”付けはなしにしよう」と言ってくれたので、そこからぐっと距離が縮まりました。

 

──番組内のクロストークでもときどき呼び捨てで呼び合っていますよね。

 

岡本 そうですね。ただ、クロストークではいつもちょっと不思議な感覚になります。ももとはクロストークをする機会があまりなく、6月に3か月ぶりぐらいに一緒になれたのですが、その時は妙に緊張しちゃって(笑)。“あれ? いつもどうやって話していたっけ!?”って頭の中が混乱していました(笑)。

 

──あのクロストークの場って、意外と互いの距離感の調整が難しい気がします。

 

岡本 そうなんです! リラックスできる時間ではあるのですが、視聴者さんの中にはキャスター同士の関係性を知らない方も当然いらっしゃるわけですから、普段話しているような感じをそのまま出していいものかどうか迷ってしまって。だからといってかしこまると、よそよそしくなってしまうので、その距離感が意外と難しいんです。

 

──岡本さんと青原さんはたまにお互いを呼び捨てにしてフランクなのに、会話の語尾だけは敬語になったりして、距離感がバグってるように感じる時があります(笑)。

 

岡本 はい(笑)。だから、本当は番組内ではお互い“ちゃん”付けで呼び合おうと決めていて、できるだけ敬語も使うように努力もしています。でも、たまに普段の感じが出て呼び捨てになってしまうんですよね。

 

 

沈んだ心を支えてくれた友人たちの存在

──岡本さんがキャスターデビューしてから約10か月になります。今はどんな心境ですか?

 

岡本 まだ実感がないです。先程もお話ししたように、今年の3月までは大学にも通っていて、キャスターに専念するようになったのが4月からなので、気持ちとしてはまだ4か月目という感じのほうが強いです。

 

──では、今少しずつ慣れてきているところでしょうか?

 

岡本 番組に毎日出ること自体には慣れました。でも、ある意味でお仕事に慣れることは一生ない気がしています。きっと、どれだけやっても緊張感はあるんだろうなって。3時間の生放送を集中力が途切れることなく最後までこなさないといけませんし、“あ〜、あれは言わなきゃよかったなぁ”と反省することも多く、それがこの先なくなることもないと思うんです。それに、そうした緊張感や反省を常に持ち続けるのは、必要なことでもあると思うんです。

 

──何気ないちょっとしたミスであれば、逆に切り抜き動画で視聴者に楽しんでいただけたりもしますしね。

 

岡本 切り抜き動画は怖くて見られないですね(苦笑)。

 

──これまで見たことは?

 

岡本 最初の頃は見ていました。けど、最近は全くです。自分でも、“私、何言ってるんだろう”とか、“何やっちゃってんだろう”ってツッコミたくなることが多いので(苦笑)。今年の春以降は特に番組に出る回数も増え、失敗する機会も多くなっていったので、そのことで一度深く落ち込んだ時期があったんです。それからは一旦、切り抜き動画を見るのを休憩しています。

 

──そんな時期があったとは全く気づきませんでした。

 

岡本 4月はぐぐぐ〜っと沈んでいましたね。1人のスタッフさんが気づいて、「どうしたの? 大丈夫?」って心配して声をかけてくださったほどで。原因は自分自身の不甲斐なさもありましたが、環境の変化も大きかったんだと思います。それまではずっと大学で友人たちと過ごしていたのに、4月になり、会う機会が急激に減っていったのが本当につらくて。それに、「ムーン」(午後8:00〜11:00)の時間を担当することも増えたので、慣れるまで体調を崩さないように心がけていたんです。4月は仕事以外の予定を全部なくし、お休みの日はひたすら体を休めるために家でじっと過ごすようにしていたのですが、そうしたらどんどん気持ちが塞ぎ込んでしまって。

 

──逆に心が内側を向いてしまったんですね。

 

岡本 そうなんです。ですから、自分は人と会ってなきゃダメなんだなって思いました。外に出て、周りからエネルギーをもらったほうがいいんだって。それで、5月からは友人と会う予定を入れたら、心も晴れやかになっていって。やはり持つべきものは友達だなって思いました。

 

──おっしゃるように、4月になって夜の時間帯を担当することが増えましたよね。

 

岡本 「イブニング」(午後5:00〜8:00)を経験することなく、4月の最初のお仕事がいきなり「ムーン」の担当でした。時間帯が夜に変わったので私も驚いたのですが、それでも普段から起きている時間ではあるので、大丈夫かなと思っていたんです。実際には夜の20時に体の感覚をベストの状態に持っていかなければいけないので、それが想像していたよりも大変でしたね。

 

── 夜の20時というと、一般的には一日の仕事を終えて、体を休める時間帯ですもんね。

 

岡本 本番を終えた後だと脳が覚醒してしまって、最初の頃は家に帰ってからもよく眠れないという状況が続いていました。今でも覚えているのが、「ムーン」に入るようになってすぐに大きな地震が起きたんです。番組後にスタッフさんからのフィードバックをうかがっているタイミングでしたので、そこから急遽2時間ほど番組出演を延長することになって。その日は緊張もあって帰宅後に一睡もできず、そこから2週間ほどうまく寝付けない日が続いたんです。

 

──では、5月になって少しずつ心も体も慣れていった感じですか?

 

岡本 はい。……と言いたいところですが、体が慣れたら慣れたで、いろいろと自分に足りないものが見えてきたので、結果的には全く慣れてないです(笑)。本当にまだまだ足りないことばかりなので。

 

──学業と両立をしていた時期とはまた別の悩みですね。

 

岡本 確かに。大学生だった頃はたくさん授業を入れていましたから、その大変さもありました。学校で友達と会えるのがうれしくて、毎日通っていて。履修内容を決めた時はまさか自分が気象キャスターになるとは思ってもみなかったので、自分で自分の首を締めることになっていましたね(笑)。

 

──本当に友達と会う時間を大事にされていたんですね。

 

岡本 4年生の時は特にそうでしたね。大学生活の最後の年ですし、たくさん思い出を作りたかったんです。でも、キャスターになってからは土日しか番組に出られないことで、会社の皆さんやキャスターの先輩方にご迷惑をかけてしまうのが申し訳なく、どっちつかずの自分の状況にはがゆさも感じていました。

 

──そうした悩みも友達に相談を?

 

岡本 いえ、しなかったです。自分でやりたくてキャスターになったのに、始めたばかりでいきなり弱音を吐きたくなくて。それに、友人たちといる時は楽しい時間を過ごしたかったので、みんなの前ではいつもどおりにして、悩むのは一人になった時だけにしようと決めていました。気持ちが相当ぐちゃぐちゃになって、落ち込むことも何度かありましたけど、でも今は、逆にその経験があってよかったなって思っています。

 

──それはなぜでしょう?

 

岡本 もともと悩みがあっても一人で解決しようとするタイプで、周りの人に自分の弱音を吐き出すほうではないんです。ですから、あの苦悩した時期があったおかげで、より自分の中で気持ちを切り替えたり、心をリセットさせることがうまくなったなって思うんです。

 

──なるほど。ちなみに大学の友達との思い出はたくさん作れたんですか?

 

岡本 はい、たっぷりと(笑)。特に3月は「卒業旅行に行きたいです」と会社に相談させてもらっていたのですが、先輩方もスタッフさんも快く、「行っておいで!」と言ってくださったので、そのお言葉に甘えさせていただきました。なんて素敵な職場なんだろうと思いましたし、本当に皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。

 

「災害注意体制」や「災害警戒体制」の時こそ、強い使命感が湧き上がってきます!

──デビューした日のことは覚えていますか?

 

岡本 もちろんです! お披露目の後に、ももと一緒に1時間半ずつ番組を担当させていただきましたが、あっという間でした。本当はバラバラでデビューする予定だったんです。私が先で、2週間後ぐらいにももがデビューするという流れだったのが、諸事情で私のデビューが遅れることになって。最終的に同じ日になったので、私としてはももがいてくれてすごく心強かったです。

 

──緊張はされましたか?

 

岡本 自分ではそんなつもりなかったのですが、当時の映像を見返すと、明らかにガチガチな顔をしているのが分かりますね(笑)。

 

──デビュー前の研修はいかがでしたか?

 

岡本 すごく大変でした。基本的に学校がお休みの時だけでしたので、どうしても回数自体が少なくて。フリートークの練習とかも、それまでやったことがなかったので、初日は泣きそうになりながら帰ったのを覚えています(笑)。思えば、デビューしてからも大変なことがたくさんありましたが、研修の時期が一番不安でした。“私、本当に大丈夫かな……”って毎日思っていましたから。

 

──それだと、デビューが決まった時もかなりドキドキだったのでは?

 

岡本 最初にデビュー日の話を聞いた時は、“いやいや、ちょっと待ってください”って感じでした(笑)。“どうなっても知りませんよ!?”って。でも、私が抵抗したところで予定が覆るわけもなく、最後は「いつデビューしたとしてもきっと完璧にこなせるなんてことはないでしょうし、それなら今週だろうと来週だろうと、いつでも大丈夫です」とお伝えしました(笑)。

 

──開き直ったんですね(笑)。

 

岡本 はい。むしろ、どうせ失敗して落ち込むのなら早い方がいいんじゃないかと思って。

 

──でも、デビュー日の放送を拝見しましたが、大きなミスをすることもなく番組を進行されているように感じました。

 

岡本 本当ですか!? そう言っていただけるとほっとします。

 

──自分の中で落ち着いて番組を進行できるようになってきたかなと感じたのはいつぐらいですか?

 

岡本 それもやはり4月以降でした。それまでは出演が土日だけでしたので、平日を挟むたびにどうしても感覚がリセットされてしまっていたんです。同じく学生時代にキャスターデビューをされたみーちゃん(戸北美月キャスター)も「多分慣れるのは4月になってからだと思うよ」と言ってくださったのですが、本当にそうでした。昨年のデビューから今年の3月までは、ずっと“デビュー1か月目”みたいな感じが続いていて。とはいえ、いつまでも新人みたいな進行をしていると、“この子は全然成長しないな”と思われてしまうので、それがプレッシャーにもつながったりして。それに、ももとも実力や経験でどんどん差が出てしまうので、その焦りもあり、最初の頃はしばらく家に帰ってずっと一人で泣いていましたね。

 

──普段から 一人で抱え込んでしまうタイプですか?

 

岡本 かなり(苦笑)。人前で弱音を吐くのが苦手で、涙も見せたくないんです。ただ、先程もお話ししたように、ある日、スタッフさんに呼ばれて、そこで初めて人前で泣きました。私の異変に気づいて、あまりにもつらそうだと心配してくださったそうなんです。その時に少し気持ちも切り替えられたのですが、4月になり、毎日番組に出るようになったらそれまでとは別の緊張や焦りなどがあり、また気持ちが沈んでしまって。その時も、同じスタッフさんに相談に乗ってもらっていたら泣いちゃいましたね。普段他人に相談しないだけに、誰かに話しを聞いてもらうと、感情が止まらなくなってしまうみたいです。

 

──そうした緊張や焦りからはどのように立ち直ったんですか?

 

岡本 友人たちと会う時間が増えたことで気持ちが落ち着くようになりましたし、今はとにかく、どんなことでも楽しむようにしています。私の場合、今までもそれで気持ちが切り替えられることが多かったんです。それこそ、ウェザーニュースLiVEのキャスターオーディションの時も、心の中で“楽しい!”と思い込んでやっていました。

 

──実際にオーディションでは緊張されなかったのでしょうか?

 

岡本 面接で緊張した記憶はないです。あとで面接官だった方に、「応募者の中で結子が一番笑ってたよ」って言われたぐらいです。私はそんなに笑っていた自覚がないんですけどね(笑)。控室でも周りの参加者にたくさん話しかけていたそうなんですが、それも記憶になくて。でも、番組でもそうですが、本人が楽しんでいる様子って、きっと見ている側にも伝わると思うんです。ですから、お天気が穏やかな日の放送では常に楽しむことを心がけていますね。

 

──とはいえ、刻々と変化していく天気を相手にしているだけに、時には笑顔を出せないこともあるでしょうし、気象状況に合わせて表情や雰囲気の度合いを変えていくのは大変だと思います。

 

岡本 「災害注意体制」や「災害警戒体制」(放送時に黄色の帯、赤の帯で表示)の時は特にそうですね。ただ、自分としては通常放送よりも「災害注意体制」「災害警戒体制」の時のように冷静に情報をお伝えするほうが合っているような気がします。通常放送では視聴者が飽きないように何か面白いことを言おうとするんですが、たまに空回ったりして、自分でも“無理して顔がひきつっているな”って思うことが多いので(笑)。逆に、「災害注意体制」や「災害警戒体制」のように注意喚起を促す情報をお届けしている時は、“自分のこの言葉を多くの人に伝えなければ”という使命感が湧いて、すごく集中できるんです。

 

──そうした情報を伝える仕事に興味を持ってウェザーニュースLiVEのキャスターに応募されたのでしょうか?

 

岡本 それもありますし、小さい頃から人前に出る仕事に憧れがあったんです。ただ、両親から高校生までは禁止されていて、オーディションなどを受けたこともありませんでした。大学に進学してからは逆に、「何でも好きなことをしなさい」と言われ、周りにアナウンサーを目指している学生が多かったこともあり、どんどんとキャスターの仕事に興味を持つようになりました。自分は何が好きなんだろうと考えた時、人とお話をするのが大好きだし、自分の言葉で何かを伝えることや、それが誰かの役に立つということにすごくやりがいを感じて。

 

──そこからは目標がブレることもなく?

 

岡本 いえ、そんなに簡単にうまくいくわけもなく、就活では一般の企業も受けて、内定もいただきました。だから、“この先、もう人前に立つことはもうないだろうな”と思っていたんです。そしたら、たまたまウェザーニュースLiVEのキャスターオーディションがあることを知って、“これだ!”と思ったんです。

 

──すごいタイミングですね。

 

岡本 本当に! 初めて受けたオーディション自体がウェザーニュースLiVEでしたし、まさかそこで受かるなんて、驚きの連続でした。

 

──ウェザーニュースLiVEのことはご存知だったんですか?

 

岡本 知っていました。大学1年生の時だったと思うのですが、偶然TikTokで切り抜き動画が流れてきて、“この番組のキャスターさんにはどうやったらなれるんだろう?”と思った記憶があるんです。その後もときどきキャスターを募集しているのは知っていて。そうしたら就活していた大学4年生のタイミングで応募があったので、“これは受けなきゃ!”って思ったんです。友達にも「本当に良かったね」って言われます。

 

──ご家族の反応はいかがでしたか?

 

岡本 両親はキャスターになることを応援してくれていたので、受かった時はびっくりしながらも、すごく喜んでくれました。

 

──実際にキャスターになった今、ウェザーニュースLiVEの良さはどんなところだと感じていますか?

 

岡本 これはウェザーニュースLiVEのキャスターになりたかった理由の1つでもあるのですが、お天気のことだけじゃなく、地震の情報も発生からいち早くキャスターが伝えられるところです。皆さんの生活に直接役立つ仕事がしたいというのが私の一番の思いとしてありましたので、気象と地震の両方を伝えられるところにとても魅力を感じています。

 

──だからこそ、「災害注意体制」や「災害警戒体制」の時はより強い使命感が湧くのかもしれないですね。

 

岡本 実力的にはまだまだですけどね(苦笑)。ただ、私はなぜか番組を担当している時に地震が起きることが多く、4月に入ってすぐに地震が起きた際、一緒に番組を担当していたスタッフさんから地震速報の対応を褒めていただいたことがあったんです。その方は私が番組を面白くできないことに悩んでいたのもご存知だったようで、「岡本さんは丁寧に落ち着いて情報を伝えられるのがいいところだから、その良さをこれからも伸ばしていってほしい」とおっしゃってくれて。それからは、天気が荒れている時や緊急の速報が入った時はより頑張ろうという気持ちが強くなりましたね。

 

自分でキャッチコピーを付けた罰ゲームは黒歴史です(笑)

──気象キャスターになって、どんなところに面白さを感じていますか?

 

岡本 やはり視聴者の方から「この番組を見ていて助かった」といったコメントをいただくとうれしくなります。それに、気象解説員の皆さんから天気に関するお話を聞くのがすごく楽しいです。きっと天気図が読めたり、数時間後の天気を予想できたりすると毎日が面白いだろうなと思いますし。気象予報士の資格にもいつか挑戦してみたいという気持ちがなくはないのですが、今は番組をしっかり進行できるようになるのが先決なので、資格に関してはまだ先になりそうです(笑)。

 

──どんどんと気象にも興味を持つようになってきているんですね。

 

岡本 はい。生活における気象情報の大切さを改めて感じるようになりました。というのも、私は東京で生まれ育ったので、今までは大雨による土砂災害などのニュースを見ても、どこか非現実的に感じていたんです。でも、キャスターになり、毎日天気と向き合っていると、そうした被害をできるだけ小さくするためにも気象予報がいかに大事かを痛感して。冬の雪にしても、地域によってどのような影響を及ぼすか分からない。東京だとちょっとした積雪でも交通が麻痺することがあるわけですし。ですから、予報士さんが話す言葉をしっかりと聞き、たとえ「災害注意体制」や「災害警戒体制」でなくても、天気の情報は緊張感を持って伝えるように心がけています。

 

──番組で特に意識しているのはどんなことでしょう?

 

岡本 全国のお天気をお伝えしている番組ですので、偏った地域に関するコメントばかりにならないよう、フラットに情報をお届けしていくこと。それ以外にも、言動には気をつけるようにしています。これまでにも何度か思わぬ伝わり方をしたことがあったんです。番組中、イヤホンを通してスタッフさんから指示された言葉を間違えて解釈し、視聴者さんに“この子は何を言っているんだ!?”と思わせてしまったこともありました(苦笑)。生放送だけに、一度口から出てしまったものはなかったことにできないですし、それを思うと、いつも完璧に進行されていたり、たとえミスをしても、それをごく自然な流れで訂正していく先輩方は本当にすごいなと感じます。

 

──では、番組の中で好きなコーナーはありますか?

 

岡本 特定のコーナーではないのですが、「ムーン」の22時からの30分間が好きですね。天気が荒れていない時は担当キャスターに合わせたコーナーをスタッフさんが考えてくださったりするんです。その日の打ち合わせの時に、「今日は何をやりたいですか?」とか、「最近どんな楽しいことがありましたか?」と聞いてくださり、そこで出た話題に合わせた番組作りをしていただけるので、いつもすごく楽しいです。それに、「ムーン」は比較的まったりとした時間が多いのですが、特に22時からはラスト30分も含めて、一日の終りという感じがして大好きです。

 

──「ムーン」といえば、『キーワードランキング』のクイズがありますね。以前はとても苦戦されていましたが、最近の勝率はいかがですか?

 

岡本 調子は悪くないと思いますよ(笑)。決して正解率が高いわけではないのですが、連敗をあまりしなくなった気がします。「アフタヌーン」(午後2:00〜5:00)の時に13連敗という記録を出してしまったのですが、当時はそこまで連敗が続いているという感覚がなくって。あやちさん(松雪彩花キャスター)の10連敗記録に並んだあたりから、周囲や視聴者さんがザワザワし始めたんですよね(笑)。あの時は、自分でも何がどうなっているのか分からなかったです。きっと視聴者さんも、私のことを“土日だけ番組に出演しては確実にクイズを外して、また平日にいなくなる子”という印象だったと思います(笑)。

 

──土日は罰ゲームもあるから大変でしたよね。

 

岡本 そうなんです。気づいたら罰ゲームというものが増えていて。一番つらかったのが、「自分のキャッチコピーを考えてください」というお題でした。学生時代に〈結子姫〉というあだ名で呼ばれていたことがあったのと、小さい頃からプリンセスが好きだったこともあって、〈週末プリンセス、結子姫〉というキャッチコピーを番組内で発表したんです。あれはもう完全に黒歴史ですね(笑)。

 

──最近は〈結子姫〉という呼ばれ方が定着しているような気がします。

 

岡本 それと、〈こりさ〉も多いですね。あだ名に関しては、もう皆さんが好きなように呼んでいただければと(笑)。

 

──(笑)。では、今後番組でやってみたいことは?

 

岡本 以前、スタッフさんにも聞かれたことがあって、その時は「動物に会いたい」とお答えしました。特にカワウソを見てみたくて。それをどう、お天気と絡めるのかという問題がありますが(笑)、スタッフさんは「いいですね!」と言ってくださったので、もしかしたら前向きに企画を検討していただいているのかもしれません。また、同年代のキャスターさんとロケもしてみたいです。みーちゃんや(小林)李衣奈さん、それに(小川)千奈さんとは年齢が同じなので、いつか同年代組で何か企画をさせてもらえたらなと思っています。

 

──学年が同じキャスターさんがいると気持ちのうえでも安心できますか?

 

岡本 私の中ではやはり皆さんは先輩という感じですね。ただ、みーちゃんは特別と言いますか、同じ学生デビューでしたので共通するところも多く、2人にしか分からない悩みなどをいつも寄り添って聞いてくださったんです。それが本当に心強かったので、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

──また、7月には初めてサポーターの皆さんと直接触れ合うイベントに参加されました。始まる前はどんなお気持ちでしたか?

 

岡本 とにかく楽しみな気持ちでいっぱいでした! 正確には楽しみ9割・緊張1割ぐらいでしたが(笑)、デビューした時からずっと皆さんと実際にお会いする機会が欲しいと番組でも話していたので、イベントに参加できると聞いた時は念願が叶ったうれしさでずっと浮かれてました。参加が決まってからイベント当日までは、ずっと何を着ようか、どんな髪形、ネイルにしようかといったことばかり考えていました(笑)。

 

──本番ではどんなことが印象に残っていますか?

 

岡本 ステージに上がって、サポーターの皆さんが私の名前の入った団扇やボードを持っているのを見た瞬間が忘れられないです! 映画館に入ってスタンバイをしていた時、今までになかった緊張感が込み上げてきて、ももと手を握り合っていたほどだったんですが、実際にステージ上からの景色を見た瞬間にうれしい気持ちでいっぱいになりました。私はもともとアイドルが大好きで、ステージ上のアイドルに向かってペンライトを振ったりしていた側だったので、皆さんが私の名前の入ったものを見せてくださったり、ペンライトを振ってくださったりしているのがとても新鮮で。私はアイドルでもないのにこんなふうに応援してくださる方がいらっしゃるんだなと……少し恥ずかしい気持ちもありました(笑)。

 

──最後の挨拶では思わず涙もこぼされていましたが、あの時はどのような感情が湧いてきたのでしょう?

 

岡本 あの時はいろんな感情が入り混じって気付いたら涙が出ていたので、正直自分でもなんの涙だったのか分からないんです(笑)。ただ、間違いなく視聴者の皆さんへの感謝の気持ちが一番大きかったですね。いつも番組内やSNSでも支えてもらっていますが、やっぱり直接皆さんのお顔を見られたことがうれしく、私が手を振ると笑顔で手を振り返してくださったり、「会いたかったよ」「ずっと楽しみにしてたよ」って温かい言葉を掛けてくださって、改めてこんな私でも応援してくださる方がいらっしゃるんだなと実感しました。私が誰か1人の活力になれているのならそんなにも幸せなことってないですし、「このお仕事をしていて良かったな」って心から思いました。お会いしたことのない方に支えられるという経験が初めてだったので、言葉にできない感情が溢れてしまいました。やっぱり皆さんと直接お会いできて良かったですし、これからは私が皆さんに何かお返ししたいなと思いました。

 

──最後に今後の目標を教えてください。

 

岡本 目標はたくさんありますが、そのなかでも一番は、信頼してもらえるキャスターになることです。デビューしたばかりの頃は「皆さんに愛されるキャスターになりたいです」と話していた記憶があるのですが、それよりも今は、頼りにされるキャスターになりたいという気持ちが強いんです。それは視聴者さんだけじゃなく、先輩方やスタッフさんに対しても同じで。「岡本だと安心できる」と思ってもらえるような存在になりたいですね。また、そのためにというわけでもないのですが、いつか「モーニング」(午前5:00〜8:00)と「サンシャイン」(午前8:00〜11:00)も担当してみたいです。夜帯の番組は帰宅の時間や翌日のお天気をチェックするためにご覧になる方が多いのに対し、朝の時間帯はその日一日の天気をチェックされる方が多いので、朝の支度など忙しい時間帯でもありますし、より端的にしっかりと気象の情報を伝えていかなければいけない。きっと、他の時間とは違った緊張感ややりがいがあると思うので、経験してみたいんです。

 

──同期の青原さんはすっかり朝の顔になっていますね。

 

岡本 ももとは担当する時間帯が本当に真逆なんですよね。ももの番組で一日が始まって、私の「ムーン」で終わるということも多くて。会社ですれ違うこともほとんどないのですが、お互い番組の動画を見ていますし、頑張っている姿に元気をもらっています。

 

──先日も青原さんにお菓子をもらったと番組の中で話されていました。

 

岡本 そうでした。私がサンリオ好きなのを覚えてくれていたみたいで、クロストークの後にサンリオのキャラが載ったお菓子をくれて。見事に餌付けされました(笑)。ももに限らず、私が番組内で話したことや私の好みを他の先輩キャスターさんも覚えてくださっていて、いつもプレゼントしてくれるんです。贈り物自体もそうですが、そうやって私のことを気にかけてくださるのが本当にうれしいですね。

 

《岡本キャスターに15の質問!》

 

Q1.ご自身ではどんな性格だと思いますか?

岡本 負けず嫌いですね。すっごく……とっても……(笑)。子どもの頃からピアノやバレエなど習いごとをたくさんしていて、すべてにおいて“一番になりたい!”という性格でした。例えば学校の合唱でも、伴奏者を決める時に“絶対に自分がやるんだ!”と思い、実際に中高とも伴奏を担当したり。そうした負けず嫌いな一面は家族に思いっきりバレていて、先日も父に「あなたはきょうだいの中で一番野心が強い」と言われました(笑)。

 

Q2.友達からよく言われる第一印象は?

岡本 「初対面の時は怖そうだった」とか、「何を考えているのか分からなかった」と言われることが多いです(笑)。心や感情が読みづらいみたいですね。でも、決まってその後に、「想像以上に話しやすかった」とポジティな言葉を言ってもらえます。「怖そう」と思われるのは自分でもなんとなく分かるので、最終的にいい意味でのギャップを持ってもらえるのはうれしいですね。

 

Q3. 学生時代はどんなキャラでしたか?

岡本 周りの友人たちに助けてもらうことが多かったです。地図が読めない時とか(笑)。それに、運転免許を持っていないので、みんなでドライブに行く時は、「結子はしゃべってくれているだけでいいよ」って言われたり(笑)。私は一浪して大学に進学したので、同学年の友人はほとんどが年下なんです。だから、いつも年下の仲間に支えてもらっていたのですが、それでもいざという時は相談されることも多かったです。普段は妹的な立ち位置だけど、最後には「やっぱりお姉さんだね」と言って頼ってもらえる。それがうれしかったですね。今でも後輩から就活や恋愛の相談をされることが多いですよ。普段は自分自身のことが全然分からないのに、そうやって相談に乗って考えを話していたりすると自分を冷静に分析することにもつながるので、“もう、何でも聞いて!”って感じです(笑)。

 

Q4.MBTI診断では「ESFP型」だったそうですが、この結果についてはどう感じていますか?

岡本 最初はピンとこなかったんです。でも特徴を調べた時、ESFP型は〈とにかく人が好き〉と書いてあったんです。それを読んで、“私だ!”と思いました。今年の4月に気持ちが落ち込んだのも友人たちと会える時間が減ったからでしたし。やっぱり誰かと一緒にいるのが安心できるみたいです。

 

Q5.番組でのいつも楽しそうな笑顔が印象的ですが、明るさの秘訣は?

岡本 私、皆さんが思っているほど明るくないんですよ(苦笑)。そんなに陽気なキャラでもないですし。ただ、人前で落ち込んだ姿を見せないようにしているので、明るい印象があるのかもしれないですね。これは家族の影響が強くて。母から「自分でやると決めたことは笑顔でやり通しなさい」「周りの雰囲気を悪くするような表情を見せないようにしなさい」と言われて育ったので、それが今も活きているんだと思います。

 

Q6.休日の過ごし方の理想と現実は?

岡本 午前中は早い時間に起きて朝活をする。オシャレなカフェに行って朝ご飯を食べて、ピラティスやジムで体を動かし、午後は友人たちと遊んで、夕方からゆっくりと家族と過ごしたら「おやすみなさい」と就寝。……これは本当に理想ですね(笑)。現実は自分でも話しながら笑っちゃうぐらい、全くそんなことはないです(笑)。実際に実行しているのは大学時代の友人たちと過ごすということぐらい。ただ、月に1〜2回ほど本当に疲れている時があるので、そんな日は何も予定を立てずに家にいて、一日中、映画を観たりしています。

 

Q7. 毎日欠かさずしていることは?

岡本 眠る前にスケジュール帳に日記を書いたり、それを読み直したりしています。日々の予定はスマホにメモしているのですが、スケジュール帳にはどんな一日を過ごしたのかとか、誰と会ったのかといったことを書いていて。それをあとで見返すことで、当時のいろんな思い出が甦ってくるんです。これを高校生の頃からずっとやっています。スケジュール帳の最後のページのメモ欄には「やりたいことリスト」を100個くらい書いていたり、悔しかったことやうれしかったことなんかも書き留めていて。ですから、これまでのスケジュール帳を読むと、私がどんな人間なのかが一発で分かります。それだけに、家族にも絶対に見せられないですね(笑)。

 

Q8.これまでで思い出に残っている天気や気象はありますか?

岡本 中学2年生の時と、高校3年生の時に経験した大雪ですね。特に高校生の時は受験生だったこともあって、電車が止まるほどの積雪があったのを覚えています。番組で大雪の情報を見ると、今も脳裏に当時の景色が広がります。

 

Q9.他のキャスターさんに「ここは負けない!」というものは?

岡本 友達を大切に思う気持ち。大学を卒業したばかりですし、今でもすぐに会える身近な存在だからかもしれませんが、友人たちと会うのが私の生きる活力になっています。……と、言いつつ、先輩方のお友達事情を知らずに語っているので、「絶対に負けない」とは言い切れないのですが、それぐらい友人たちが大切で、大好きだということです。

 

Q10.“プリンセス好き”のエピソードを1つ教えてください。

岡本 物心ついた頃から大好きでした。ディズニーストアで買えるようなプリンセスのドレスをたくさん持っていて、いつもそれを着て母と一緒に兄の幼稚園のお迎えに行ったりしていましたね。プリンセスが登場するディズニーアニメは全部観ていて、一番好きなのはオーロラ姫(『眠れる森の美女』)です。どの作品も観るたびにため息が出るほど感動して、「あ〜、プリンセスになりたい……!」って今でも思っちゃいます(笑)。

 

Q11.最近のオタ活事情を教えてください。

岡本 番組でも時々お話ししていますが、ずーっとアイドルを追いかけています。各坂に推しがいて、日向坂46だと加藤史帆ちゃん、乃木坂46だと池田瑛紗ちゃん、櫻坂46だと山下瞳月ちゃんが大好きです。それとK-POPも大好きですね。BLACKPINKやNewJeansが好きで、先日のNewJeansの東京ドームのライブも観に行きました。推しはダニエルです。もともとオタ活を始めたきっかけが小3の時に好きになったAKB48のあっちゃん(前田敦子)で。今でもアイドル時代の映像を見返すぐらい好きです。アイドルの良さはみんなキラキラしているところ。アイドルからしか得られない栄養がたくさんあるので、私には欠かせない存在です。

 

Q12.学生時代にダンスをされていたそうですが、得意なダンスは?

岡本 「ガールズ」というちょっとお姉さん系のダンスが好きです。かわいい振付のダンスやヒップホップはあまり得意ではなくて。高校生の時にダンス部に入っていて、体育祭ではチアもちょっとだけやりました。

 

 

Q13.夏におすすめの映画は?

岡本 いっぱいありますけど、一本を選ぶなら『マンマ・ミーア!』。真夏を舞台にした物語ですし、小さい頃に初めて観て、今も夏になると必ず一度は観ます。楽曲も好きで、よく聞きながら出勤していますね。他には『ゴシップガール』など、かわいいお洋服や小物がたくさん出てくる作品が大好きです。

 

Q14.ご自身を家電で例えると?

岡本 ステレオのスピーカー。友人に言わせると、私ってずっとしゃべっているそうなんです(笑)。ちょっと会話が途切れた時とかも、絶妙なタイミングで新しい話題を出すらしくて。これ、褒め言葉らしいのですが、“もしかして、うるさいってことなのかな”と思ったりもします(笑)。大人数のグループでいると、なかには人見知りな性格だったり、会話が苦手な子もいるので、そういう時はよく感謝されます。

 

Q15.普段愛用しているアイテムを教えてください。

岡本 匂いフェチで、いつも好きな香りに包まれていたいんです。だから、甘い匂いのハンドクリームとリップは必ず持ち歩いています。髪につけるバームもそうですね。うっかり香水を忘れた日は一日中、落ち込んじゃうぐらいです(笑)。また、かわいい小物も大好きで、本のしおりは天使の絵柄のものを愛用しています。以前、番組の中で幻想的な雲の写真を見ながら、「天使がいそう」という話をしたのですが、その時の私の頭の中にはこのしおりの天使が浮かんでいました。

あとは……本当は愛用アイテムとしてスケジュール帳も紹介しようと思ったのですが、実物の写真が掲載されることで、何かの拍子で家族に見つけられたら生きていけないぐらい怖いので、今回は持ってきませんでした(笑)。

 

岡本結子リサさんのサイン入り生写真を3名様にプレゼント!

<応募方法>

下記、応募フォームよりご応募ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSePfDBqMCq06Jv5p5gbms_aZkypO4uxiyfRA5F4Uqs6wrqeZg/viewform?usp=sf_link

※応募の締め切りは9月19日(木)正午まで。
※当選は発送をもってかえさせていただきます。
※本フォームで記載いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的での使用はいたしません。また、プレゼント発送完了後に情報は破棄させていただきます。

 

 

「ウェザーニュース」HP https://weathernews.jp/

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撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ

青原桃香「キャスターとしては新人でも、皆さんの心に寄り添うことはできる。いつも楽しむ気持ちを忘れず、笑顔を送り届けていきたい!」ウェザーニュースキャスター連載・第19回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は118万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとして、ますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開。レギュラーでの連載は昨年4月に一度終了を迎えたものの、現在は短期集中連載として復活し、今回ご登場いただいたのは2023年10月に新たに加わった青原桃香キャスター。番組に登場して以来、いつも朗らかな笑顔で視聴者に元気を与えている青原キャスターに、お仕事への思いをたっぷりとうかがいました。

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

【連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

青原桃香●あおはら・ももか…1999年1月5日生まれ。愛知県出身。0型。ウェザーニュース気象キャスター。2023年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。趣味・特技は乗馬、料理、ドライブなど。 X(旧Twitter)Instagram

 

【青原桃香さん撮り下ろし写真】

 

以前は、周囲から不機嫌そうに見られるぐらい人見知りでした

──昨年末にご登場いただいた松雪彩花キャスターの後を継いでの出演となります。その松雪さんは、青原キャスターや同じく10月にデビューした岡本結子リサキャスターの魅力について、「いつもしなやかさと柔らかさを感じます」とお話しされていました。

 

青原 そうおっしゃっていただけたんですか? もったいないお言葉です。私から見た松雪さんは、お話の仕方や醸し出す雰囲気など一挙手一投足の全てが麗しく、憧れの存在です。また、番組を拝見していると、美しさの中にキリッとした知性も感じられて。隅から隅まで完璧な女性だなといつも思っています。

 

──松雪さんとは青原さんがキャスターデビューしてすぐくらいに、番組のクロストークでご一緒されていましたね。

 

青原 はい。初めてのときは松雪さんに対して絶対に失礼があってはいけないと思い、その気持ちが強すぎてガチガチになっていました。

 

──知らない人がこれを読んだら、松雪さんのことを怖い人だと思いそうですよ(笑)。

 

青原 いえ、そういう意味ではないです(笑)。クロストークって、お相手の方がいるから、最初は緊張しちゃっていたんです。自分一人が変なことを言って空気がおかしくなる分には自己責任だからいいんですが、先輩を巻き込んで迷惑をおかけしてしまったらどうしようって。

 

──今はもう緊張しなくなったんですか?

 

青原 はい。私が失敗しても先輩方が優しくフォローしてくださるので、リラックスして楽しめるようになりました。ただ、いつまでも甘えてばかりではいけないので、私もしっかりと上手に進めていけるようになりたいと思っています。

 

──また、前回の松雪さんのインタビューでは、青原さんから手作りのクッキーをいただけたことをすごく喜ばれていました。

 

青原 うれしかったです。まさにクロストークで松雪さんが私の作ったお菓子を食べてみたいとおっしゃってくださったんです。そのときは「器具を実家から持ってきていないんです」とお伝えしたのですが、偶然にも翌日の週末から実家に帰る予定があって。それで早速土曜日に作ったんですよね。……あ、違います。正確には土曜に一度作ってうまくいったのですが、もっといいものにしたくて、日曜にまた作り直したんです。でも、そっちはうまくいかなくって(苦笑)。

 

──それは悔しい(笑)。

 

青原 そうなんです! もう、本当に悔しくて。それで結果的に最初に作ったものをお渡ししました。

 

──実家から器具を持ってきて、ゆっくり作るという選択肢はなかったんですか?

 

青原 その案も考えました。でも、母が「使い慣れているオーブンで作ったほうがいいんじゃない?」と(笑)。「あやちさん(松雪)と約束したものなんだから、いつも以上においしく作りたいよね」って、家族もみんな見守ってくれて。

 

──素敵なご家族ですね。

 

青原 はい。それに私も、あやちさんが私のクッキーを食べたいと言ってくださったことがうれしかったので、早くお届けしたかったというのもありました。

 

──松雪さんに限らず、今ではすっかりと先輩キャスターの中に溶け込んでいる印象がありますが、あまり人見知りはされないほうなんですか? 松雪さんも「ほかのキャスターと打ち解けるのが早かった」とおっしゃっていました。

 

青原 いえ、その逆で、すごく人見知りです。ですから、最初の頃は皆さんから声をかけていただけてうれしかったのですが、同時にとてつもなく緊張もしていて(苦笑)。ただ、皆さんは優しく接してくださるので、普段よりは積極的にお話ができたように思います。

 

──番組を見ていると青原さんはいつも雰囲気が柔らかいので、周りの先輩方もつい声をかけたくなるのかなと思いました。

 

青原 そう感じていただけているのならうれしいのですが、自分ではそうは思っていないんです。むしろ、周囲に近寄り難さや怖い印象を与えていないかという不安が先行してしまって。だからこそ、普段は丁寧に話すことを心がけているんです。

 

──人見知りの硬さや緊張が表に出てしまうことが多いということでしょうか?

 

青原 はい。それもあって、高校生ぐらいまでは初対面の人から話しかけにくいような印象を持たれることも多かったですね。

 

──普通にしているだけなのに、なぜか怒っているように思われたり?

 

青原 まさに(笑)。友達にも、初めは話しかけづらくて、仲良くなってからのギャップがすごいねって。それがすごくコンプレックスでもあったので、意識して直すようにしたんです。こうした話をすると、最近出会った方からは、「想像つかない」って驚かれることが多いです。

 

──人見知りが激しいのであれば、カレンダー撮影の日は大変だったのではないですか? たしかキャスターになって最初のお仕事がカレンダー撮影で、そこで先輩キャスターとも初めてお会いしたと番組で話されていましたよね。

 

青原 山岸愛梨キャスター大島璃音キャスター小林李衣奈キャスターとお会いしたのが、その日初めてでした。しかも、みんなで同じクルマに乗って遠くのスタジオまで移動することになっていて、私が集合場所に到着したのがギリギリだったせいで、皆さんを少しお待たせしてしまったんです。遅刻をしたわけではなかったものの、それがすごく申し訳なくて。それに、すぐにクルマが出発してしまったので、しっかりごあいさつができたのがロケ地に着いてからだったんです。

 

──そのスタートはちょっと緊張しますね。

 

青原 でも、一日ずっと撮影だったのでたくさんお話もさせてもらい、おかげで途中からは皆さんとの撮影を楽しめるようになりました。というより、最初は緊張する以上に、皆さんのオーラやスタイルの良さに衝撃を受けたりと、完全にミーハーになっていましたね(笑)。

 

──(笑)。そのときはどのようなお話を?

 

青原 「とにかく体調を崩さないように、頑張り過ぎないでね」という優しいお言葉をかけていただきました。皆さんはそうやって、新人の私に対してもいつも気遣ってくださるんです。お仕事への姿勢はもちろん、一人の人間として尊敬できるところばかりですし、普段から先輩後輩関係なくフランクに接してくださるので、本当に素敵な職場だなと感じています。

 

──生配信中にいきなり「ももぴん」と呼びかけられる職場って、そうそうないですしね。

 

青原 ハロウィン企画のときの(駒木)結衣さんですね(笑)。急に初めてのあだ名で呼ばれたので、あのときはびっくりすると同時にとってもうれしかったです。でも、ひと言「ももぴん」と発しただけで、それがすぐに視聴者さんたちに浸透する結衣さんの影響力の大きさがすごいです。あとで、結衣さんも「どうしてあのとき、急に“ももぴん”って言ったんだろう?」って不思議がられていて。これで視聴者さんと私の距離を縮めるきっかけをいただけたので、すごく感謝しています。

 

──思えば、あのハロウィン企画もデビューしてすぐくらいでしたよね。

 

青原 はい。気象キャスターになったはずなのに、突然バラエティっぽい配信企画に参加することになって驚きました。“あれ? キャスター募集の要項にはそんなこと書いてなかった気がするぞ”って。見落としていただけなんですかね(笑)。

 

──きっと書いてなかったと思います(笑)。

 

青原 ですよね(笑)。でも、ハロウィンの配信もそうですが、こうした機会がないとできないことばかりですし、先輩方が企画を盛り上げている姿を見て、とっても素敵だなって思うので、私もいろんな企画に全力で楽しんで臨むようにしています。

 

3週間の研修の予定が、いきなり2週間後にキャスターデビューに

──では、改めてデビュー日のことをうかがえればと思います。当日のことは覚えていますか?

 

青原 とても緊張していて、はっきりとは覚えていないです初お披露目だった10月21日は結子ちゃんと自分たちの紹介の後に1時間半ずつ番組を担当し、翌日に初めて1人で3時間の放送をしたんです。でも、どちらの日も気づいたら終わっていたという感じでしたね。

 

──デビューまでの研修期間が2週間だったとか?

 

青原 はい。それもあって本番中はドキドキで、もうわけが分からなかったです(笑)。

 

──研修のときから2週間後にデビューすることは決まっていたのでしょうか?

 

青原 決まっていなかったと思います。ただ、明確にいつだというのはなかったものの、なんとなくデビュー日は聞いていて。そのときは3週間後ぐらいということでした。なのに、デビュー日の直前に「一週間早まった」と言われて。急なことだったので心の準備もできていませんでしたし、言われた瞬間は頭の中が真っ白になっていましたね。

 

──急転直下ですね。けど、それでも問題ないという判断だったんでしょうね。

 

青原 ……おそらく(笑)。たしか「これ以上やっても、きっと大きくは変わらないから大丈夫」と言われた気がします。私も、そんなもんかなと鵜呑みにしてしまって(笑)。あとになって、“あれ? もしかして、うまく丸め込まれた!?”とも思いましたけど、振り返ると、皆さんが言うように、一週間早まったからといってそんなに変わらなかっただろうなって自分でも思います(笑)。

 

──1時間半のデビュー放送を終えた日はどんな心境でしたか?

 

青原 本当なら家で一人反省会とかをすべきだったんでしょうけど、すぐ寝ちゃいました(笑)。“明日の放送に向けて、気持ちを切り替えよう!”って。それに、翌日の3時間のときもそうだったのですが、2日間とも全国的に天気が穏やかだったので、気象に関する情報は必要最低限で、どちらかというと、自分の紹介や視聴者さんからのリポートを読んでいる時間のほうが長かったんです。ですから、“とりあえず、たくさんしゃべったぞ!”という感覚が強く、どっと疲れが出たのも大きかったと思います。

 

──自分のペースをつかめてきたかなと思ったのはいつぐらいでしょう?

 

青原 遅すぎるかもしれませんが、デビューして1か月ぐらい経ったあたりだと思います。その頃から、ようやく自分の番組を少しずつ見返せるようになっていきましたので。

 

──それまでは自分の番組のアーカイブを見るのが怖かったんですか?

 

青原 はい。もちろん、毎回ちゃんと見返して、反省していくのが大事だとは分かっていたんです。でも、それをすると私のメンタルが崩壊するだろうと思って(苦笑)。ただ、いつまでもそれじゃダメだと思い、まずは切り抜き動画から見るようにしました。気象の情報をお伝えしているときの拙い自分の姿は怖くて直視できなくても、視聴者さんが面白く編集してくださった切り抜き動画なら、まだ笑って見られるかなって。そうやってちょっとずつ自分に慣れていきましたね(笑)。

 

──先輩方の番組を見て、勉強することもあるんでしょうか?

 

青原 あります。ただ、3時間の放送を全部見てしまうと、自分の性格上、物まねみたいになってしまって、あまりいい結果にならないと思うんです。もともと器用ではないので、同じようにしようとするあまり、ロボットがしゃべっているみたいになっちゃうだろうなって(笑)。ですから、“こういう天候のときはどういった表現をされているのかな?”とか、“この時間帯はどんなテンションなのかな”と、コーナーごとにいろんな先輩方の進行を見るようにしていますね。

 

──特に注視されているキャスターはいらっしゃいますか?

 

青原 小林キャスターです。以前、あいりんさん(山岸)に相談をしたとき、たくさんアドバイスをいただいて。その際、私の声質や話し方、それに発声などは小林キャスターが参考になるとおっしゃってくださったので、担当する時間帯は異なることが多いものの、李衣奈さんの番組はよく拝見していますね。

 

──デビューしてからご家族の反響は?

 

青原 私以上に熱量高く楽しんでいるみたいです。本当にいつも温かく見守ってくれていて。それ自体はすごくうれしいんです。でも、「あそこはこうしたほうがいい」とか、「あの発言は失礼にあたるかもしれない」って細かくダメ出しをしてくるんですよね。デビューしたばかりの頃はそれが本当に多くて、たまに……いや、たまにじゃないぐらいムッとしていました(笑)。

 

──「じゃあ、一度自分でやってみてよ!」って言いたくなりますよね。

 

青原 実際に言ったこともあります。ちょっと不機嫌になってしまったり(笑)。

 

──(笑)。自分でも分かっていることを改めて他人から指摘されると、耳が痛いだけに腹が立ちますよね。

 

青原 そうですねただ、そうやってダメな部分を気遣いなく本音で言ってくれるのは家族だけなので、すごく感謝しています。それに、最近は自分たちが少し言いすぎてしまっていることに気づいてきたのか、ちょっとしたフォローが入るようになったんです。ダメ出しの後に、「……まぁ、でも頑張ってるよね」「大変だよね」って(笑)。そうした優しさも含めて、本当に感謝しています

 

オーディションのことは消し去りたい記憶になっています(笑)

──そもそもの質問になりますが、青原さんがウェザーニュースLiVEのキャスターになろうと思ったきっかけは何だったのでしょう?

 

青原 もともと人前に立って情報をお伝えしたり、周りを笑顔にできるような職業に憧れを持っていました。そして大学生の頃から、自ら何かを発信したり、伝えていく仕事に就きたいと思うようになって。でも、なかなか実行に移すことができず、大学卒業後は別の企業にも勤めていたところ、ある日、偶然ウェザーニュースLiVEがキャスターを募集していることを知り、絶対に挑戦したいと思ったんです。それ以前にも、情報を伝える仕事の募集記事を見かけたことは何度もありましたが、なぜかこのときだけはすぐに体が動いて、気がついたら証明写真を撮りに行く予約を入れ、その日のうちに志望動機も考えていましたね。どうしてあんなに衝動的に体が動いたのか、本当に自分でも分からないんですけど。

 

──オーディションはいかがでしたか?

 

青原 緊張しました。面接では一人ずつ志望動機と自己PR、それに原稿読みをする時間があったのですが、いざ自分の番になったら事前に考えていた志望動機が全部飛んじゃったんです(笑)。とっさにいろんなことを頑張ってしゃべりましたが、きっととっ散らかって、わけの分からないことを話していたと思います(笑)。自己PRのときも、ちょっとでも笑ってもらえたらいいなと思って準備をしていたのですが、村田さん(村田泰謁プロデューサー)は笑ってくれたものの、別の方はくすりともせず、ただただ無言のまま真顔で……。

 

──それは、心が折れますね。

 

青原 ポッキリと折れました(笑)。そのときの面接官の方の顔は今でも忘れられないですね(笑)。

 

──実際に何をされたんですか?

 

青原 趣味で乗馬をしているので、乗馬の頭文字(じ・よ・う・ば)を使ったあいうえお作文を発表したんです。そのなかの一つとして、乗馬にはヒップアップ効果があるので、「スタイルもよくなりますよ」という言葉と一緒にお尻をプリッと上げて(笑)。ものすごく恥ずかしかったんですけど、それでクスッとしてもらえたらいいなと思い、なんとかやりきったところで皆さんの反応を見たら、村田さんの笑い声だけがその場に虚しく響いているという状況になっていました。……本当に苦しい時間でしたね(苦笑)。そのときは開き直って、“あとはもう家に帰るだけだし、いいや!”って感じだったのですが、間違いなく顔は真っ赤っ赤になっていたと思います(笑)。

 

──そのお話の後に聞く質問としては酷かもしれませんが、オーディションを終えた後、受かりそうだなという手応えはあったのでしょうか?

 

青原 全く。その日はせっかく東京まで来たんだし、オーディションだけじゃもったいないから、終わった後に少し観光もしようと決めていたんです。すぐ帰りましたね(笑)。

 

──もはやそんなテンションじゃなく。

 

青原 まるでそんな気分になれず、とにかく東京から離れたい一心で(笑)。

 

──帰りの新幹線でのメンタルが心配になります。

 

青原 あ、ただ、本当に何もしないのは嫌だったので、グリーン車で帰ったんです。ちょっともったいないなとは思いましたけど、私の中でこの日の記憶を、オーディション日ではなく、生まれて初めてグリーン車に乗った日に書き換えようと思って(笑)。

 

──その発想は面白いですね(笑)。しかも、結果的にオーディションに受かり、同じ日にグリーン車にも乗ったことで、より忘れられない日になったわけですし。

 

青原 そうなんです。ありがたいことに、私にとっていろんな特別が生まれた日になりました。初のグリーン車も本当に快適でした。ただ、恥ずかしかったのが、フットレストの使い方がいまいち分からず、周りを見ながらまねをするようにして使っていたので、リラックスというより、ずっとソワソワしていて(笑)。でも、それもいい思い出です。

 

──キャスターに受かったときは、ご家族も驚かれたのでは?

 

青原 実は受かると思っていなかったので、家族には面接が通ってから伝えたんです。ですから、なおのこと驚いていましたね。「何かの間違いだ!」って言われた気がします(笑)。

 

研修中のリポート読みはまるでお葬式のようでした

──オーディションに見事合格し、その後キャスターとしての研修が始まったわけですが、2週間の研修はいかがでしたか?

 

青原 一番辛かったです(苦笑)。最初にスタッフさんから、「デビューしてからも、自分の不甲斐なさに落ち込んで泣いちゃうことがあるよ」と言われたのですが、研修中も家に帰ってから何度も泣いていました。同期の結子ちゃんがまだ学生だったこともあって、ほとんど一人で研修を受けていたんです。気持ちを共有できる相手がいないというのが辛かったですし、たまに一人で練習をしているときも、果たしてそれが正しいのかどうかが分からず、そうした不安もありましたね。

 

──研修内容の中では何が一番大変でしたか?

 

青原 ……ふふふふふ。

 

──その笑いは何でしょうか(笑)。

 

青原 思い出すのも嫌なくらい、リポートを読むのがへたくそだったんです。本当にできなくて、まるでお葬式で弔辞を読んでいるみたいになっていました(笑)。

 

──リポートって、視聴者から届く「お天気リポート」や「晩ごはんリポート」とかのことですよね?

 

青原 そうです。それを読んで感想を話すのがほんとに酷かったんです。あれこそ誰にも見せられないです。研修中の様子は毎回録画をしていて、聞いた話だと、それを見て反省するためにあとで渡されるそうなんですね。でも、私はデータを送ってもらった記憶がほとんどないんです。自分でも薄々気づいていたのですが、多分スタッフさんが私には見せられないと判断されていたみたいで。見せると間違いなく落ち込むだろうし、なんだったら、見せたところで意味がないと思われていたんじゃないかと(笑)。

 

──そんなことはないと思いますが。

 

青原 いえ、私自身が見るに値しないと思っていましたから(笑)。というのも、リポートを読んだ後に、そこから話を膨らませていく言葉が出てこなくて、無言のまま時間だけが過ぎていくという状況が何度もあったんです。つまり、動画を見て反省するという以前の問題だったんですよね。

 

──それは言葉のバリエーションが少なくて、コメントに苦労したということですか?

 

青原 表現力の問題というよりも、自分は一体誰に向かって、どんな言葉を届ければいいんだろうと考え込んじゃうんです。よく注意を受けていたのが、「真面目に考えすぎている」ということでした。リポートを送ってくださる方にどのような言葉をおかけして、何をお伝えするべきなのかを深く考えすぎてしまって、かえって言葉が出てこなくなってしまっていたんだと思います

 

──なるほど。

 

青原 そうやって、どうすれば自分の頭の中で思っていることを誤解なく伝えられるんだろうかと考えているうちに、無言の時間だけが過ぎてしまう。研修中はずっとそんな感じでした(苦笑)。

 

──普段からそうなんですか?

 

青原 そうですね。ですから、今はいろんなものに興味を持つようにしていますね。感受性を高め、何かを見たり聞いたりした後は、さらにそこから一歩踏み込んで、自分の心が今どんな感情なのかといったことを客観的に考えるようにしています。

 

──素晴らしいです! ちなみに今は番組の中ではどのコーナーが一番好きですか?

 

青原 それはもう迷うことなく、「おやつリポート」と「ご飯リポート」です(笑)。いつもおいしそうな写真が届くので見ているだけで幸せな気持ちになりますし、感想をお伝えするのも楽しいです。

 

──めちゃくちゃ克服しているじゃないですか。

 

青原 研修のときは本当に言葉が出てこなかったので、それを思うとちょっとは成長しているのかもしれないですね。でも、まだまだだと思うので、これからもたくさん勉強して先輩キャスターさんに少しでも追いつける様に頑張っていきたいです!

 

気象キャスターになり、天気予報の必要性をより強く実感しています

──先ほど、伝える仕事に憧れを持っていたというお話をされていましたが、実際に気象キャスターになられて、どんなところに魅力を感じていますか?

 

青原 お天気は毎日、多くの方が必要としている情報ですし、特にウェザーニュースLiVEでは全国に向けて最新の気象の様子をお伝えできる。そこにすごくやりがいを感じています。

 

──これまで気象自体にも興味をお持ちだったのでしょうか?

 

青原 興味はありました。ただ、家を出るときに母から「今日は雨が降るみたいだから傘を持っていきなさい」と言われると、“じゃあ、持っていこうかな”と思う程度で、もし傘を持たずに出かけて途中で降られても、そのときはそのときだという感じでしたね(笑)。

 

──今は違うんですか?

 

青原 はい。天気にすごく興味を持つようになりました。ひと言で「晴れ」や「雨」、「曇り」といってもさまざまな状況があり、ちょっとした差で予報の表記が変わったりする。私が知識として知っていた気象の世界はほんの一部だったんだなということが分かり、そこに面白さを感じたんです。それに、こうして気象を伝える立場になり、災害などから身を守るためにも天気予報は生活に欠かせないものなんだと強く実感するようになりました。今は吸収するばかりですし、全てのことが新鮮で刺激的ですが、もっともっと勉強しないといけないなという気持ちでいっぱいです。

 

──気象キャスターになったことで好きになった天気はありますか?

 

青原 好きといいますか、気象キャスターの立場になったばかりの頃は、“お願いだから、天気が荒れないで!”といつも思っていました(苦笑)。その一方で、全国的に穏やかな晴れの日も、それはそれで語彙が必要になってくるので難しいなと思ったり。ですので、こんなことを言うと怒られちゃうかもしれませんが、今は“伝えやすい天気”が一番好きです(笑)。

 

──本当に正直ですね(笑)。でも、日本語ってボキャブラリーが多いのでいろんな表現ができますが、だからこそ言葉のチョイスを微妙に間違ったりすると、別の意味で伝わってしまうこともあるので難しいですよね。

 

青原 そうした怖さはいつも持つようにしていますね。ただ、言葉を慎重に選びすぎても、“結局、何が言いたかったんだろう?”と思わせてしまうことがあるので、そこにも注意が必要で。番組が終わった後はいつもスタッフさんから気づいたことを言っていただき、次に活かせるようにしています。

 

──特にウェザーニュースLiVEでは気象状況に合わせて注意喚起のレベルを3段階に分けていますし、そのときどきで言葉遣いや表情などを変えていく必要もあるので、より臨機応変な対応が求められそうです。

 

青原 はい。初めてM2(黄色レベルの注意喚起)を経験したときは、いろんなことがうまくいかなくて本当に悔しい思いをしました。言葉のチョイスだけじゃなく、インターバルを挟んで番組を再開したときに、いつものクセでにこやかな表情をしてしまって。スタッフさんからイヤモニ越しに、「顔が違うよ」という注意の指示が入ったのを覚えています。

 

──ただ、M2といってもそこまで緊迫した感じではなく、通常放送に近い雰囲気のときもありますよね。

 

青原 その日もまさにそういった状況でした。限りなくM1(通常放送)寄りだったこともあり、私もテンション感がよく分かっていなかったんです。それで、スタッフさんにもどういう雰囲気で番組を進行していけばいいかをお聞きしたのですが、「そこまで深刻そうじゃなくてもいいよ」とおっしゃられて。ただ、「でも笑顔は違うかな」とも言われたので、ますますどんな按配で進行すればいいのか分からなくなってしまったんです(苦笑)。気象の状況は日によって全て異なりますし、“これが正解”という明確な答えがないだけに、今でも迷ってしまうことがありますね。

 

──では、青原さん自身はご自分のキャスターとしての武器ってなんだと思いますか?

 

青原 まだ自分の中でこれというのはない気がします。自分に自信を付けたいのですが、今でもついモジモジしちゃうことがありますし(笑)。ただ、サポーターさんの気持ちに寄り添うことはできるとは思いますので、誰ひとり置いてけぼりにすることなく、皆さんと一緒に楽しい時間を作っていく。そこをいつも考え、意識しながら番組に臨んでいきたいと思っています。

 

──最後に、今後の目標を教えてください。

 

青原 今、私が先輩方の姿を見て憧れているように、私も誰かに目標とされるようなキャスターになっていきたいです。同時に、サポーターの皆さんにも愛されるキャスターでありたいなとも思っています。そして何より、常に楽しむ心を忘れずにいたいです。どれだけ頑張っている姿を見せても、そこに私自身が楽しんでいる様子が伝わらなければ皆さんも安心して番組を見られないと思いますので、失敗や成功はひとまず置いておいて(笑)、見てくださる方々にいつも笑顔を送り届けていきたいなと思っています。

 

──さて、次回は同期である岡本キャスターの登場になります。青原さんから見た岡本さんの魅力を教えていただけますか?

 

青原 結子ちゃんと初めて会ったのは、会社でも、オーディション会場でもなく、駅のお手洗いだったんですよね。初顔合わせの日にたまたま駅で見かけて。そのときはお互いの顔を知らなかったのですが、見た瞬間に、“絶対にこの子だ!”と思ったんです。逆に、“もしこの子じゃないなら、このオーラのすごさは何!?”と思うぐらい存在感があって。

 

──ひときわ輝いていたんですね。

 

青原 はい。そうしたら結子ちゃんも、“もしかしてこの人が同期なのかな”と思っていたそうで。ですから、私たちの全ての始まりは駅のお手洗いからでした(笑)。その後、改めて社内で会ったのですが、初めてお話をしたときから、素直で真っすぐな子だなという印象がありました。自分が思っていることややりたいことをストレートにまわりに伝えられる芯があって。そこがすごくうらやましくもあり、尊敬もしているところです。それに、一緒にいて楽しいですし、みんなを明るく元気にさせるパワフルさも持っているので、きっと番組をご覧になっているサポーターの皆さんも自然と笑顔になれる、そんな素敵なキャスターだなって思いますね。

 

《青原キャスターに15の質問!》

 

Q1.ご自身ではどんな性格だと思いますか?

青原 マイペースです。……というと、みんなから「その通りだね」って言われます(笑)。物事に動じないとか、周囲に流されないというのではなく、“自分は自分”みたいな感じのマイペースさがありますね。

 

Q2.“パブリックイメージとはここが違う”というところはありますか?

青原 最初の印象では大人しそうに見られることが多く、その後でギャップに驚かれます。「話してみると意外と陽気な感じなんだね」とか、「しっかりしてるのかと思ったけど、抜けてたり、適当なところがあるんだね」とか。素を隠しているつもりは全くないんです。それなのに、勝手にハードルを上げられて、それで「イメージと違う」と言われても、もうどうすればいいのかと(苦笑)。

 

Q3.関東での新生活いかがですか?

青原 いまだに電車で迷っちゃいます。路線が多く、人もたくさんいるので、出かけるだけで疲れてしまったり。でも、新しい街を知るのは楽しいですね。休日はよくお店の店員さんや美容師さんに「お買い物でおすすめの場所ってどこですか?」と聞いて、リサーチもしています。

 

Q4.学生時代はどんなキャラでしたか?

青原 アクティブだったと思います。テニス部に入っていたので、友達と遊びに行くというよりも、平日や土日に関係なく部活に専念していて、肌も真っ黒に焼けていました。

 

Q5.ずっと続けている趣味は?

青原 大好きなのは乗馬とドライブ。特にドライブは、景色を楽しみながら、一人の空間も満喫できるので、地元の名古屋にいた頃はよく遠出をしていました。クルマのなかでは音楽をかけながら、ずーっと熱唱しています(笑)。歌うことも大好きなので、一人カラオケにもよく行きますし、平気で5〜6時間ぐらい歌っています。今は松田聖子さんの曲を力を入れて練習しています!

 

Q6.乗馬を始めたきっかけは?

青原 始めたのは社会人になってからなんです。働き出すと運動不足になるかなと感じて、何かしら体を動かすことをしようと思ったんです。でも、ジムに通うならそのあたりを走ればいいやと思い(笑)、あまり周りの人がしたことのないものを選びたくて乗馬を始めました馬が大好きというのもあります千葉にもたくさん乗馬クラブがあるので、今も続けていますね。

 

Q7.アニメ好きだそうですが、好きな作品ベスト3を選ぶなら?

青原 今だと一番は『呪術廻戦』です。2位と3位は……難しいですね(笑)。最近好きなのは『葬送のフリーレン』と『ウマ娘』。『ウマ娘』のキャラクターはみんなかわいいんですが、あえて推しを挙げるならトウカイテイオーが好きです。

 

Q8.愛知県のおすすめ穴場スポットを教えてください。

青原 穴場ではないかもしれませんが、おすすめは知多半島の海沿いを走るドライブコース。半島をぐるっと一周できるので、私も休日になるとよく行っていました。老夫婦が営んでいるお気に入りのレストランがあって、いつ訪れてもお客さんがあまりいないんですが(笑)、そこから見える海の景色が本当にきれいで。風景に癒やされながらエビフライカレーを食べるというのが、私の一人ドライブの定番でした。

 

Q9.毎日欠かさずしていることは?

青原 よく家族とビデオ通話をしていますね。最初は母と話をして、途中から父と弟に代わるのがパターンです。私は意外にもホームシックになっていないのですが、母がすごく寂しがっているみたいです。そういえば、以前、私の一人暮らしの家に家族で遊びに来てくれたことがあり、帰り際に母が寂しさのあまり泣いてしまったことがあったんです。それを見ていた父が慰めつつ、「次はいつ会えるの?」って母に聞いたら、返ってきた言葉が、「3日後」で(笑)。母も自分の言葉に泣きながら笑っていましたこのほっこりするエピソードがあまりにも面白すぎて、私の中でかなりお気に入りになっています(笑)。

 

Q10.休日の過ごし方の理想と現実は?

青原 インドアとアウトドアの2つの面を持っていて、インドアな気分のときは家の中でアニメとかを見て、一日中だらだらと過ごすのが理想ですね。外出したい気分のときは、お買い物に行ったり、いろんな景色を見に散歩したり、おいしいごはん屋さんを見つけに行ったりと、やりたいことがたくさんありすぎて困っています。どちらかというと、出かけるほうが好きですね。ただ、一人暮らしを始めたら、やらなければいけないことが多いことに気づいて。結局、家のことをいろいろとしている間に一日が終わっちゃうのがほとんどです。

 

Q11.家で一番落ち着く場所はどこですか?

青原 ベッドの上。ずーーーっとゴロゴロしていたい(笑)。実家にいるときからベッドが大好きで。だからなのか、帰省すると普段以上に熟睡できます。

 

Q12.いつも笑顔が素敵ですが、青原さんにとって笑顔の源は?

青原 私自身は、そんなに笑顔の多い人間だと思っていなくて。周りにいる方々から、「いつもすごくいい笑顔だね」って言ってもらえるようになって、初めて気付かされたほどなんです。ただ、私はこれまでたくさんの愛情で育ててくれた家族や地元の友人など、本当に人に恵まれた環境の中で過ごしてきました。これが私の笑顔の源だと思っています。そして、今はサポーターの皆さんからの温かい応援があり、優しい言葉をかけてもらったり、楽しいリポートをたくさんいただいているので、それを笑顔でお返ししたいなって思うんです。

 

Q13.2024年の中日ドラゴンズにひと言!

青原 ひと言かぁ(笑)。私は応援することが楽しいので、あまり勝ち負けは考えていないんです。……と言いつつ、山口さん(山口剛央気象解説員)を見ていると、阪神タイガースが勝った次の日はさぞやうれしいんだろうなってうらやましくも思ったり(笑)。私はファン歴が5〜6年ほどなので、強いドラゴンズ時代を経験していないんですね。最近ファンになったという話をすると、昔から応援されている方たちに、「よく今のドラゴンズを見て好きになったね」って驚かれます(笑)。ファンになったきっかけは、大学生の頃にバンテリンドーム(ナゴヤドーム)のボールガールをしていて、そのときに選手たちを目の前で見たことでした。今は地元から離れたことで、より一層応援したいという気持ちが強くなりましたね。ちなみに、試合では投手が頑張っている姿を見るのが大好きなのですが、最近は外野手の岡林勇希選手を応援しています。まだまだ若いのに、結果を残しているのが本当にすごくて。今でも十分活躍されていますが、この好調さをキープしてほしいなと思います。

 

Q14.ご自身を家電で例えると?

青原 う〜ん……(笑)。松雪さんは前回のこのインタビューで「皆さんの生活に潤いを与えるという意味で“加湿器”」と答えていらっしゃいましたよね。ならば、私は皆さんの心をきれいにする存在になりたいという願いを込めて“洗濯機”にします(笑)。これからもたくさん笑顔を届けていきたいと思いますので、応援よろしくお願いいたします。

 

Q15.普段愛用している家電を教えてください。

青原 常に持ち歩いているのはワイヤレスイヤホンですね。キャスターになったお祝いとして弟がプレゼントしてくれたものなんです。AirPods Proなので、まだ学生の弟にとっては随分と値が張るものなのに、その気持ちもうれしかったです。しかも、《弟からの贈り物》という文字まで入っていて(笑)。出かけるときは、いつもお守代わりにカバンの中に忍ばせています。

 

青原桃香さんのサイン入り生写真を3名様にプレゼント!

<応募方法>

下記、応募フォームよりご応募ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSePfDBqMCq06Jv5p5gbms_aZkypO4uxiyfRA5F4Uqs6wrqeZg/viewform?usp=sf_link

※応募の締め切りは4月12日(金)正午まで。
※当選は発送をもってかえさせていただきます。
※本フォームで記載いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的での使用はいたしません。また、プレゼント発送完了後に情報は破棄させていただきます。

 

「ウェザーニュース」HP https://weathernews.jp/

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撮影/干川 修 取材・文/倉田モトキ

松雪彩花「何が起きても動揺せず、自信を持って情報を伝えていくことは、視聴者に安心感を与えるためにも心がけています」ウェザーニュースキャスター連載・第18回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は113万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとして、ますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開してきましたが、このたび短期集中連載として復活。今回は今年5月に復帰された松雪彩花キャスターにご登場いただき、復職されたときの心境や気象キャスターという仕事に懸ける思いを伺いました。

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

 

松雪彩花●まつゆき・あやか…1991年9月6日生まれ。埼玉県出身。0型。ウェザーニュース気象キャスター。2014年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。趣味・特技は映画鑑賞、料理、クラシックバレエなど。X(旧Twitter)Instagram

 

【松雪彩花さん撮り下ろし写真】

復帰初日は平常心が保てず、反省ばかりでした

──少し期間が空いてしまいましたが、短期集中連載の3回目は、小川千奈キャスターから松雪キャスターへのバトンとなります。松雪さんから見て小川さんはどのようなキャスターですか?

 

松雪 せんちゃん(小川)はすごく素直な子ですね。その素直さは番組にも表れていますし、飾らずに自分の言葉でちゃんと伝えているという魅力や良さは視聴者にも届いているはずなので、このまま変わらず真っすぐなキャスターでいてほしいなと思います。

 

──なお、小川キャスターから松雪さんへのメッセージとして、「すべてが大好きです!」、「《シャケ子姉さん》と《梅子》として動画の共演までさせてもらったのは一生の思い出です」との言葉を承っております。

 

松雪 私が復職してすぐぐらいに一緒に動画を撮ったんですよね。せんちゃんはなぜか初対面のときから、私のことをすごく好いてくれていて(笑)。まさにあの動画撮影を境に、より一層、「あやちさん! あやちさん!」って寄ってきてくれるようになりました。社内でばったり会っても、「あやちさん、どこに行くんですか? 私も一緒に行きます!」「あやちさん、一緒にコンビニ行きましょう!」って着いてくるのが本当にかわいくて。あいりんさん(山岸愛梨キャスター)や私にくっついて、いろんなことを吸収しているんだと話していました。

 

──番組引き継ぎのクロストークで松雪さんを見る目が完全にハートになっているときもありますよね。

 

松雪 最近は私とせんちゃんのクロストークのことを“ファンミーティング”と言われています(笑)。でも、せんちゃんに限らず、ウェザーニュースLiVEのキャスターになる子はみんな優しさに溢れているなって思いますね。社内で顔を見たら、先輩後輩関係なく友達のようにおしゃべりをしますし、誰かの誕生日になると、それぞれがプレゼントの渡し合いをしていて。どうやったらこんなにいい子たちばかりが集まるんだろうって、不思議に思います。

 

──特に松雪さんにとっては、お休みをされる前と後ではキャスターの顔ぶれが大きく変わっていたので、新鮮さもあったのではないかと思います。

 

松雪 そうですね。今出演しているキャスターでいえば、私の先輩はもう、あいりんさんしかいないんです。私の入れ替わりでゆかりん(白井ゆかりキャスター)清音さん(江川清音キャスター)がお休みに入られましたし。それもあって、最初は“はじめまして”のキャスターさんに先輩としてしっかりとしたところを見せられるかすごく不安でした。私が担当する番組の時間帯も、お休み前は夜帯が多かったんですけど、復帰後はお昼に変わりましたし、そのことで夜の番組が多いあいりんさんともほとんど会社内で会えませんでしたから。

 

──確かに、後輩ばかりの環境というのは違ったプレッシャーがかかりそうです。

 

松雪 でも、そこに愛に溢れたせんちゃんが目の前に現れてくれたので、“あ〜、大丈夫だ!”と思えたんですよね(笑)。最初の数日間は不安になるときもありましたけど、今は全くそんなことはないですし、楽しく働かせてもらっています。

 

──復職された日の心境はいかがでしたか?

 

松雪 めちゃくちゃ緊張していました(苦笑)。それまで1年半ほどお休みをいただいていたので、天気を確認し、視聴者に解説するという脳の部分を全く使っていなかったんです。ですから、“自分がこれまでどんな言い回しをしていたんだろうか”とか、“全国のお天気を伝えるときってどういう順番だっけ?”とか、そうした感覚を取り戻すまでにしばらく時間がかかりました。

 

──復帰される前に少し研修をされたとか。

 

松雪 はい。2日間やりました。本当は1日だけだったんですけど、私の方から「さすがに1日だけじゃ怖いです」とお伝えして(苦笑)。それに、私がお休みしている間にスタジオが変わって、広くなっていたんですよね。当然、新しいスタジオは生放送で使っているので、そこで練習するわけにもいかず。初めて新しいスタジオの席に座ったのが復帰初日の5月4日でしたので、そうしたドキドキもありました。

 

──そうだったんですね。となると、カメラの位置とかも全然分からなかったのでは?

 

松雪 全く! なんとなく、“このカメラかな?”と思いながら、最初は探り探りでした(笑)。

 

──とはいえ、やはり復帰1回目の放送を拝見したときは、情報を伝える正確性と番組進行の安定感にさすがだなと感服しました。

 

松雪 いえ、私の中では反省だらけでした。自分が思っている以上にお天気の解説ができていなくって。そのことがすっごく悔しかったの覚えていますね。イメージしていた流れどおりにできませんでしたし、番組内で使うツールもスムーズに出せなかったりして。最終的にスタッフさんから「ツールの操作はこちらでやりますから大丈夫ですよ」と助けていただいて、本当に自分が情けなく思っちゃいました。私はあまり緊張が表に出るほうではないのですが、初日は自分でも平常心ではないのが分かるほどでしたね。

 

──確かに、“もしかして緊張されているのかな?”と思ったのが、松雪さんの特徴でもある手や指の動きが以前と比べて少ないかも……と感じたことでした。

 

松雪 本当ですか? それは初めて言われました。よく気づかれましたね(笑)。おっしゃるように、手の動きについては昔からよく言われるんですよ。“あやちは、口と同じぐらい手がよくしゃべってる”って(笑)。そうかぁ、そんなところにも緊張が出ていたんですね。

 

──3時間という本番の長さにはすぐに慣れましたか?

 

松雪 慣れました。というより、以前から3時間ってあっという間だなという感覚が強かったんです。でも、特に復帰初日は早く感じました。というのも、お伝えしたいことがたくさんあったんです。応援して待ってくださっていた皆さんにありがとうの感謝の気持ちを届けたかったですし、もちろんお天気の情報もお伝えしなければいけませんでしたから。ただ、話したいことがたくさんあるのに、頭の中の言葉をうまく紡げないというもどかしさがあり、それで気づいたら放送時間の終わりになっていて。そこも反省点でしたね。

 

──それを思うと、すぐに3時間の生放送に対応していく新人キャスターたちのすごさに改めて驚かされます。

 

松雪 本当に! せんちゃんとも普段から番組のことをよく話すんですが、内容の深さに、“……あれ? せんちゃんって、今年入ってきたんだよね”とびっくりさせられることがたくさんありますし。りえなちゃん(小林李衣奈キャスター)だってデビューしてまだ1年半ほどですが、解説の仕方がとっても豊かで、“なるほど、こういう天気のときはこんな言い方もあるんだ”と学ぶことが多いです。やっぱりキャスターを長年やっていると表現が偏ってきてしまいますし、最近仲間になった皆さんの言葉使いなどをたくさん参考にさせてもらっています。

 

──松雪さんはウェザーニュースLiVEの前身であるSOLiVE24時代から番組に携わっていらっしゃいますが、現在の番組自体にどのような変化を感じますか?

 

松雪 今はSOLiVE24のとき以上に、キャスターの個性にスポットライトが当たっているなと感じます。もちろんお天気の情報が番組の軸であることに変わりはないのですが、プラスアルファとして、キャスターそれぞれの魅力や趣味などプライベートに関するところも視聴者さんは楽しんでいるのかなって思うんです。

 

──スタッフさんもそうしたキャスターたちの個性を広げてあげようとしている感じがします。

 

松雪 そうなんです。私が勝手に始めたモン活(スイーツのモンブラン活動)も、スタッフさんがわざわざ番組の中で時間枠を作って、コーナーっぽくしてくださったりして。“番組をこんな感じで私物化しちゃっていいのかな”とも思うんですけどね(苦笑)。でも、そうやってキャスターたちのいろんな個性が出ることで、同じ番組でも見え方が違ってくるでしょうし、そこがSOLiVE24とは異なるウェザーニュースLiVEの魅力の一つでもあるのかなと思いますね。

 

何をすればキーワードランキングで褒めてもらえるのか、いまだに正解が分からないです(笑)

──改めての質問になりますが、松雪さんが気象キャスターになろうと思われたきっかけを教えていただけますか。

 

松雪 もともと話すのが大好きなんです。会話ではなく、与えられた文章を読むのが好きで。それを最初に実感したのが小学校低学年のときの授業での音読でした。あれが本当に楽しくて、そのときに話すことを職業にしたいなと思ったんです。ただ、私は個性が強い方ではないですし、タレントになるのは違うなとも感じていたので、アナウンサーや気象キャスターに憧れを持つようになりました。ウェザーニューズ自体はキャスターになる前からアプリを愛用していたので知っていたんです。それで大学3年生だったか、4年生のときにアプリ内にあった《お天気お姉さん募集》というバナーを偶然見つけて。“お! これはいけるかもしれないぞ!”って謎の自信とともに(笑)、応募しました。

 

──音読が原点だったというのが面白いですね。松雪さんの話し方や声の聞き取りやすさには定評がありますが、普段から言葉遣いなどで意識されていることはありますか?

 

松雪 私は根っからの文系で、小説を読むのが大好きなんです。ですから、“この文章の言い回しは番組でも使えそうだな”と思うと、そこからつまんで自分らしい言葉に変えていくということはたまにしていますね。でも、勉強のために意識して本を読むとか、そんな大げさなものではないです。話し方については、常にゆっくりとした口調を心がけています。昔はものすごく早口だったので、そこはより意識していますね。

 

──以前は早口だったというのは意外です。

 

松雪 本当に昔の話で、学生の頃ですけどね。文化祭の実行委員長をしていて、初めて人前で話をする機会があったんです。でも緊張していたからか、ものすごく早口になってしまって、あとで放送委員の子に「何を言っているのか全然分からないです!」って怒られちゃって(苦笑)。そのときに、自分は話すスピードが速いんだと自覚し、人前ではなるべくゆっくり話すようになったんです。それに、ゆっくりと話しをしたほうが自分の言葉を自分で理解しながら相手に伝えられるので、私にはこれが合っているなと思うんです。

 

──なるほど。ただ、松雪さんの場合はいつもゆったりとした口調なのに、必要な情報は漏らすことなくきっちりと時間内に収めていらっしゃいますよね。そこにいつも驚かされます。

 

松雪 ありがとうございます。それは話すスピードやテンポなどを全部のコーナーで変えているからですね。最近だと「最新newsイッキ見!」のようなお天気の情報をお伝えするときは笑顔を少なめにして、報道っぽくテキパキと原稿を読むようにしていますし、逆に、お天気が全国的に穏やかな日のウェザーリポートでは、皆さんから送られてくるリポートに相槌を打ちながら友人と会話をするように話していたり。そうやって、場面に応じて話し方を変えるようにしているんです。それに、ずっと同じトーンで話してしまうと子守歌みたいになってしまいますからね(笑)。ただでさえ私の声は「眠くなる」って言われるので(笑)、緩急をつけていくことは意識しています。

 

──また、現在は番組で「コーヒータイム」(午前11:00〜午後2:00)と「アフターヌーン」(午後2:00〜5:00)を担当されることが多いですが、好きな番組の時間帯はありますか?

 

松雪 「コーヒータイム」は好きですね。穏やかなお天気の日はまったりとしていることが多いので、私の性格にも合っているなって思います(笑)。それに、今はお天気に関する専門用語や気象の状況などを解説する「ウェザーニュース天気図鑑」という枠が新たにできましたけど、ほかの時間帯と比べてコーナーが少ないんです。その分、1つひとつのコーナーやお天気の解説にじっくりと時間を割けるのも嬉しいですね。

 

──復職される前は夜の時間帯に入ることが多かったですよね。

 

松雪 はい。夜は夜で好きでしたね。夜の時間帯はご覧になっている方々も天気のベテランさんが多いような印象があって。以前は「予報フィードバック」という、朝にお伝えしていたお天気アイコンと実際のお天気がどれくらい当たっていたかをエリアごとで振り返るコーナーがあったんです。そのときも皆さんからの投稿には一般のお天気番組ではあまり聞かないような専門用語がよく使われていたので、余計にそういった印象があるのかもしれないです。

 

──ちなみに、お休みをされていたときは松雪さん自身も番組をご覧になられていたのでしょうか?

 

松雪 ちょこちょこと見ていました。というのも、見ると寂しくなっちゃって。私は2014年にデビューして、そこから8年ほどキャスターとして突っ走ってきたので、最初は番組を離れることに、「イエーイ、お休みだぜ!!」って喜んでいたんです(笑)。でも、1週間もしないうちに、“あれ!? やることがない!”って思っちゃって。もちろん、産休というお時間をいただいていたわけですけど、すぐに“番組でおしゃべりしたい!”って寂しくなってしまったんです。キャスターさんたちが楽しそうにお話をしているのをうらやましくも感じましたし。それもあって、アプリは毎日活用していたものの、番組からはちょっとずつ遠ざかっていくようになりましたね。

 

──ということは、気象解説員の宇野沢達也さんが松雪さんのことをいじっていたり、マイクトラブルなどが起きると山口剛央さんが“リボンさんの呪いだ”とネタにされていたこともご存じなかったんですか?

 

松雪 あ、それについては風の噂で聞いていました(笑)。あいりんさんやゆかりんとは連絡を取り合ったり、ときどき会ったりもしていたので、「山口さんがまた何か言ってたよ〜」というのは耳にしていて。“え、私の呪いってどういうこと?”って(笑)。

 

──(笑)。ただ、視聴者側としては宇野沢さんや山口さんたちのイジりを毎日のように見ていたので、松雪さんがいない寂しさが少し緩和されていました。

 

松雪 それもすごく言われました。一切そこに本人はいないんですけど、やけに存在感だけはあったみたいで(笑)。視聴者さんも私に成りすましてリボンの絵文字付きのコメントをたくさん送ってくださったりと、そうやって私を使って遊んでくださることはうれしかったですし、愛を感じてましたね。

 

──では、お休み中に番組を客観的にご覧になったことで改めて感じたこの番組の魅力にはどのようなものがありましたか?

 

松雪 やはり視聴者さんと双方向で作り上げているのが一番大きいんだろうなと思いました。地上波などの一般的な天気予報だと、早ければ30秒ぐらいで終わったりしますよね。でも、“どうしてこんな天気になるんだろう?”とか、“明日の天気の注意点はどこだろう?”と思う方っているはずで。そうした疑問を視聴者さんが番組に投げかけることで、答えとして返ってくる。そこが魅力ですよね。それに、刻一刻と変わる天気の状況を皆さんのほうから番組にリアルタイムで伝えていただけるのも良さの1つで。そうしたこともあって、お休み中はテレビなどで天気予報を見ると少し物足りなさを感じるときがありました。“あれ? もう終わっちゃうの!?”って(笑)。

 

──分かります。うっかりしていると聞き逃しちゃったりしますし。

 

松雪 そうなんです。でも、ウェザーニュースLiVEでは絶えず天気をお伝えしていて、仮に晴れのアイコンが出ていても、場所によって「雨が降ってきました」というコメントが届くと瞬時に最新の情報をお伝えできますし、(スタジオの)隣の席にいる気象予報士さんにその後の天気がどうなりそうかも、すぐに聞くことができる。本当にいい番組だなって思います。それに解説員の皆さんも、“社内でオーディションでもやりました?”って思うぐらいキャラの濃い方ばかりですしね(笑)。

 

──解説員の皆さんの天気の読み解き方にも個性があり、それぞれ見ているポイントが違っていたりするのも興味深いです。

 

松雪 使っている資料も違っていて、面白いですよね。森田(清輝)さんだと衛星画像から天気を読み解く技術に長けていらっしゃいますし。また、得意とする分野もそれぞれにあって、宇野沢さんは減災のプロですし、飯島(栄一)さんはお天気の話しだけじゃなく、山や宇宙のことまで教えてくださるので、いつも感心しながらお話を聞いています。ただ、残念なのが、最近は担当している番組の時間の都合で、なかなか宇野沢さんと共演する機会が減ってしまったんですよね。

 

──お2人の掛け合いが少ない寂しさは視聴者も感じていると思います。

 

松雪 スタジオの裏ではしょっちゅう天気と関係ない話をしていますけどね(笑)。「宇野沢さん、私、フィンランドに行ってみたいです」って言うと、「あぁ、そう。別にいいけど、フィンランドは寒いからな」ってぶっきらぼうに返されて(笑)。でも、そこには愛があって、本当に優しい方だなっていつも思います。

 

──宇野沢さんは、松雪さん相手だとちょっと毒っけがあるところが魅力ですよね。キーワードランキングのコーナーでは妙に辛口になったり(笑)。

 

松雪 あれ、ちょっとひどくないですか? 私、どうしてあんなに怒られるコーナーになっちゃったのか、全然分からないんですけど(笑)。

 

──ときどき、クイズの解答予測の仕方に対して、「人として間違っている」ぐらいのことを言われてますよね。

 

松雪 そうなんです。クイズに正解して褒めてもらえると思ったら、「いや、でもなぁ……」って言われたり。“あれ? 私、今、正解しましたよね!?”って驚いちゃいます。宇野沢さんだけじゃなく、山口さんや視聴者さんからも同じような対応を受けるんですよ。私はあのコーナーが始まった当初から、ただただ全力で臨んでいるだけなのに、正解したらしたで、視聴者さんから「残念です」ってコメントがきたり。一体どんなコーナーなんだって思います(笑)。

 

──連続正解なんてしようものなら、視聴者がどんどん引いていきますし(笑)。

 

松雪 ほんとに!(笑) 「だってまだ3連勝でしょ?」とかコメントで言われるんです。厳しい。ほんと、厳しい(笑)。私は何を成し遂げたらあのコーナーで褒められるのかいまだに分かんないです。どうしたらいいんでしょうね(笑)。

 

後輩たちのお手本となり、いつも見守っているような存在になれれば

──さて、2023年ももうすぐ終わりますが、松雪さんにとってはどんな一年でしたか?

 

松雪 やはり復職したというのが私のなかでは大きな出来事でしたし、同時に、一からまた仕事を学び直したような一年でもありました。「コーヒータイム」を担当するのも久々でしたから、改めてスタートラインに立ったような気持ちにもなって。それに、頼れる後輩たちの姿を見ながら、自分自身の立ち位置も含め、“私はどうすればいいんだろうか”と考えることも多かったです。

 

──立ち位置というのは?

 

松雪 私が、かなりまったりゆったりとした性格ですので、後輩ばかりの環境の中で、“こんな先輩のままでいいんだろうか?”と悩んだりするんです。とはいえ、今さらそんなに大きく変化できるわけでもないですし。それに、私の番組を参考にしてくれる子や仕事のことで相談にきてくれる子も多いので、みんなのことを引っ張ることはできなくても、後輩たちのお手本となり、いつも見守っているような立場になれればいいなと思ったり。そうしたことをたくさん考える一年でもあったなと思います。

 

──おっしゃるようにキャスターの数も増え、それぞれに個性溢れるメンバーが集まっていますが、そうしたなか、松雪さんはご自身のことをキャスターの中で“何担当”だと思いますか?

 

松雪 ん〜、これは難しい質問だぞ(笑)。何かなぁ……。逆に私って何が得意だと思います?

 

──言葉の切り返しのうまさやボキャブラリーの豊富さにいつも驚かされるので、その意味で毎回クロストークをすごく楽しみにしていますし、松雪さんのお人柄が一番発揮される瞬間なのかなと思います。

 

松雪 本当ですか? うれしいです!

 

──ただ、いつも時間ギリギリまでしゃべっているので、“これ、天気の引き継ぎ、間に合うのかな”とヒヤヒヤすることもあります。そのドキドキ感もまた楽しいんですが(笑)。

 

松雪 そうかぁ(笑)。そうですよね。私、ほんとにたくさんしゃべっちゃうんですよね。あれ、絶対によくないですよね。ほぼ毎回スタッフさんからイヤモニで、「はい、もう終わりでーす!」って指示が入りますし(笑)。でも、そういえばこの前、占い師さんに「あなたにはメンターの素質がある」と言われたんですよ。それがすごく私のなかに残っていて。「相手のいいところを引き出す能力があるから、そこを伸ばしたほうがいいよ」と言われたので、それ以来、“私でもキャスターみんなのいいところを引き出せていけるのかな”と思うようになったんです。そう考えると、クロストークは得意分野と言えるのかもしれないですね。だからといって、話が長くなる言い訳にはなりませんけど(笑)。

 

──(笑)。確かに、松雪さんのクロストークを見ていて思うのが、いつも相手の話をしっかりと聞き、肯定したり共感したりしながら会話を広げていっているなと感じます。

 

松雪 私から見るとみんな後輩ですから、どうしてもほかのキャスターは私に気を遣うと思うんです。ですから、クロストークではなるべく誰もが話しやすい内容から入り、お友達のような感じでおしゃべりできる雰囲気を作りたいなというのは心がけていますね。それに、相手の言葉を否定しないとおっしゃっていただきましたが、私はそれを解説員の山口さんからすごく感じるんです。お天気のことを質問すると、まず「そうなんですよ」から始まりますし、私が少し見当違いなことを言ってしまっても、「それも間違いではないんですが、でもこっちの天気図を見ると、ちょっと違うんですよね」とさり気なく正確な情報へと導いてくださる。そうした話の流れの作り方は参考になりますし、自分にも取り入れていきたいなと思っていますね。

 

あの切り抜き動画はガチャピンのかわいさと松岡修造さんのお人柄に助けられました

──少し話がそれましたが、2023年といえば、7月に「ウェザーニュースLiVE ファンミーティング」がEX THEATER ROPPONGIで開催されました。

 

松雪 そうでした。久々の有観客のイベントだったこともあって、胸にくるものがありましたね。あんなにも大きな会場が満員になるのもすごいことでしたし。私たちは、普段は画面を通してしか皆さんと会話ができないのですが、実際にあの場にいると、これだけ多くのサポーターさんに支えられているんだなとも実感できて。女性のお客さんもたくさんいらっしゃいましたし、なかには《あやち、呪って!》と書かれたものを掲げていらっしゃる方もいて、そのときは“どうすればいいんだろう”と頭を悩ませましたけど(笑)、終始、皆さんからの愛をたくさん感じられて、ちょっと涙が出そうになりました。

 

──山岸さんは泣いていましたよね。

 

松雪 そうなんです。そのあいりんさんの泣いている姿を見てたら、私は若干涙が引いていきました(笑)。変な意味ではなく、“あいりんさんが泣いているから、私は頑張って耐えよう”って。というのも、やはりあいりんさんの番組への思いというのは、私と比べものにならないくらい強くて濃いと思うんですね。だからこそ、あの満員のお客さんの光景にこみ上げてくるものがあったんだと思います。

 

──振り返ると、あの日の松雪さんは通常の番組を終えて駆けつけたので、途中からの参加でした。

 

松雪 大変でした。ほんとに大変でした! 「コーヒータイム」を終えてからでしたので、当然リハーサルに参加できるわけもなく。台本もいただいてなかったので、会場に着いても「何をしたらいいんですか?」とバタバタしていて、「とりあえずステージに出てくれればいいから」って言われたんです(笑)。

 

──でも、その状況で舞台を成立させられるところに本番の強さを感じます。

 

松雪 それは先輩方の姿を見てきたからこそですね。あいりんさんもそうですが、どんな状況でも物怖じしないんです。何があってもおどおどせず、自信を持ってやっている姿を届けていく。普段の番組もそうですが、やはり一番大事なのは視聴者やお客さんを不安にさせないことで。私たちが慌てていると、ご覧になっていらっしゃる方々の不安は2倍にも3倍にもなってしまいますから。

 

──普段から突然何が起きるか分からない気象を相手にしているから、突発的なアクシデントがあっても平常心で挑めるわけですね。7月のイベントでもいきなりヘッドホンから音が出ないということがありましたが、そこからすぐに別のルールに変えて、対応されていましたし。

 

松雪 そこがウェザーニュースLiVEのキャスターみんなのすごさでもあるなと思います。それに、アクシデントを楽しめるのはサポーターの皆さんもそうで。予定外のことが起きても、みんなで笑って“ウェザーニュースLiVEらしいなぁ”って思ってもらえる。それも、長年にわたって築き上げてきた関係性があるからこそですよね。

 

──また、動揺のしなさについては松雪さんも伝説を残されていますよね。ガチャピンがクロマキーの中に消えるというトラブルも笑いに変えていらっしゃいましたし、松岡修造さんがゲストで登場した際も松岡さんのペースに巻き込まれることなく、「こんなに動揺しないキャスターは初めてです」と驚かれていました。

 

松雪 懐かしいですね。今でもたまに当時の切り抜き動画がおすすめで出てきてびっくりします(笑)。修造さんのときは事前の台本が一切なかったんですよ。ですから、全部が行き当たりばったりで。でも、修造さんとのやりとりにスタッフさんたちから笑いが起きていましたし、“あ、この雰囲気でいいんだ”と思って(笑)。それに、私は予測できない化学反応を楽しみたいところがあるんですね。前日に修造さんのことを勉強していきましたけど、情報を入れすぎると想定内の会話ばかりになってしまうし、それもつまらないなって思ったんです。その結果、ウィンブルドンで活躍されたことも知らず、「えっ!? 知らないの?」という反応をされたのですが(笑)、修造さんのお人柄とトーク力の高さで楽しい流れにしていただきました。ですから、あのときに生まれた面白さは、私が動揺していなかったというより、修造さんのお力のおかげなんです。ガチャピンの事件もそうですね。ただただガチャピンのかわいさに助けられただけです(笑)。

 

──そういえば、前回の連載のインタビューで、小川キャスターが初めてウェザーニュースLiVEのことを知ったのは、松雪さんとガチャピンの切り抜き動画だったとおっしゃっていました。

 

松雪 私もせんちゃんから聞きました。思えば、あの事件のときも番組の担当が急遽私に代わったことで、事前の準備がほとんどできていなかったんです。そうしたなか、いきなりクロマキーのなかにガチャピンが消えちゃったもんだから、この先なにをすれば正解になるのか分からなくなっちゃって(笑)。とはいえ、やはり、私たち気象キャスターがやらなければいけないことは一番にお天気を伝えることですし、スタッフさんがなんとかガチャピンが映るように技術面で調整してくださっていたので、私は落ち着いて、事故のないように天気を伝えることに専念できたんですよね。

 

──そうした対応も松雪さんの冷静さがあったからこそだと思うのですが、普段から慌てないために意識されていることなどはあるのでしょうか?

 

松雪 いえ、いつも緊張はしていますし、何かが起きると心のなかでは慌てているんです。むしろ、ほかの人以上に緊張する方だと自分では思っていますし。ただ、それが顔や行動に出ないだけなんですよね。思わぬことが起きて、テンションがグワッと変に上がることもないですし。それに、慌てていてもどこか自分のなかで、“こうなっちゃったらしょうがないよね”っていう気持ちもあって(笑)。それが冷静な対処をしているように見えるだけなんだと思います。

 

──なるほど。では最後に、2024年は松雪さんにとってキャスターデビューから10年目になりますが、どんな一年にしていきたいですか?

 

松雪 そうですねぇ……(長考)。

 

──もしや、あまり計画は立てないほうですか?

 

松雪 ですね。全く立てないです(笑)。なんとな〜く、“こういうことをしたいな”とかはあるんですけど、わりとその場その場で決めちゃうタイプなので。ですから、来年になったら考えたいと思います(笑)。そのときは番組内でもお伝えしますね。

 

──楽しみに待っています。また、2024年最初に連載にご登場いただく次のキャスターは10月にデビューしたばかりの青原桃香キャスターになります。青原さんの魅力についてお話しいただけますか?

 

松雪 ももちゃん(青原)とは番組が前後することが多く、クロストークでよくお話をさせていただくんですが、すでに新人とは思えないほど落ち着いているなと感じます。解説員の皆さんに質問をするときも簡潔で、内容自体はまだ素朴なものが多いですが、だからこそ視聴者の視点に近い番組になっているのではないかと思います。それに、ほんわかとしたキャラクターですので、ほかのキャスターと打ち解けるのも早かったんですよね。そうそう、先日、クッキーを焼いてきてくれたんです! お料理が得意だと言っていたので、いつか手作りのお菓子が食べたいなって話していたら、すぐに作ってきてくれて。

 

──クロストークで話されていたことですよね。でも、そのときは「器具を実家から持ってきていない」と青原さんがおっしゃっていたような気がするのですが。

 

松雪 そうなんです。それが、クロストークで話をした翌日からたまたま実家に帰る予定があったみたいで、そのついでに作ってきてくれたんです。クマちゃんのかわいいクッキーでした。すっごくおいしかったですし、いただきながら、“なんて、いい子なの!”って、親の心境になっていましたね(笑)。同じく10月にデビューしたゆいこちゃん(岡本結子リサキャスター)もハロウィンの特番でご一緒しましたけど、お2人とも自分からどんどんと行動に移すタイプですし、本当に素直で、素敵な子たちばかりで。番組を拝見していても、新人ならではのしなやかさと柔らかさを感じますので、そうした魅力をそのまま自分らしさにつなげていってほしいなと思いますね。

 

《松雪キャスターに16の質問!》

 

Q01.ご自身ではどんな性格だと思いますか?

松雪 相当な面倒くさがりやです(笑)。ですから、普段の生活ではいろんな家電にめちゃくちゃ頼って生きていますね。ただ、その場やそのときになってワチャワチャと慌てるのも嫌なんです。それもあって、あとからラクをするためにも準備はしっかりするようにしています。

 

Q02.もしキャスターになっていなかったら、どんな職業に就いていたと思いますか?

松雪 憧れていたのは女優さん。絶対にできないし、なれるとも思っていませんでしたし、「やってみる?」と言われてもやれませんけどね(笑)。ただ、作品ごとに違う自分になれるのって楽しそうだなと思って。それに、今の気象キャスターのお仕事もちょっと似ているところがあるなって思うんです。コーナーやお天気の状況に合わせて声のトーンや話し方を変えたりしますから。機会があれば、ぜひ番組で朗読とかもやってみたいです。私の声は眠くなるそうなので、読み聞かせをしながら、皆さんを寝かせる自信はありますよ(笑)。

 

Q03.キャスターになったことで感じる自分自身の変化は?

松雪 人生が100倍楽しくなりました。お天気に限らず、季節の美しさやその時期ならではの楽しみなどを多くの方と一緒に追いかけることが日常になりましたから。実は、キャスターになる前はそれほどでもなかったんです。でも、季節の移り変わりなどを意識的に感じ始めてからは、なんでもない日々がすごく充実するようになっていって。四季折々の楽しさがある国に生まれ、気象キャスターという仕事に就けて、本当に幸せだなって思います。

 

Q04. 2024年版のカレンダー撮影で印象に残っているエピソードを1つ!

松雪 暑かった! とにかく暑かった(笑)。なので、撮影が終わってから、さやっち(檜山沙耶キャスター)とせんちゃんの3人でアイスを食べに行ったんです。それがいい思い出になっていますね。

 

Q05.最近の雨女エピソードを1つ!

松雪 ないです(笑)。カレンダー撮影の日も見事な晴れでしたから。そもそも私、別に雨女じゃないと思うんです。なのに、なぜか視聴者の方々から、“くもち”とか“あめち”って言われていて、気づいたら雨女のキャラになっていたんですよね。どうしてそんなことになったのか、自分でも本当に分からないんですけど。誰が言い始めたんでしょうね。しかも、曇っている日は番組のコメント欄が楽しそうに盛り上がっているのに、晴れてる日はみんなだんまりなんですよ。あれ、ズルくないですか? “「あやち、晴れているよ!」って言ってよ!”って思います(笑)。この雨女説の謎だけは、いつか解明したいと思っています。

 

Q06.モン活に続いて、次にキャスター内で流行らせたいものはありますか?

松雪 これからの季節だとイチゴですね。早くイチゴのシーズンが来ないかなぁって楽しみで楽しみで。今もスーパーに行くたびにチェックしているんですけど、まだまだみかんが売り場を牛耳っています。せんちゃんもイチゴが大好きだそうで、「どんぐり・いちご」という名前でも活躍しているほどなので、シーズンが来たら一緒にいちご狩りにも行きたいですね。

 

Q07.天気にまつわる好きな言葉は?

松雪 晴好雨奇。《晴れの日には晴れの、雨の日には雨の美しさがある》という意味で、まさにそのとおりだなと思います。青空だけがきれいなわけではないですし、身の回りにあるすべてのものに美しさや良さがある。そうした、日常にあふれるいろんな素晴らしさを見逃なさいように生きていきたいなと思います。

 

Q08.ウェザーニュースアプリのなかでお気に入りの機能は?

松雪 今はやはり「服装予報」ですね。秋や冬になっても夏日並みの気温の日が何度かあり、すごく重宝しました。私自身、毎日、服装に悩むタイプなので、「服装予報」はぜひ皆さんにも使ってほしいです。それと、子どもが生まれたことで、以前よりも気温を細かく見るようになりました。子どもって気温にすごく左右されるんです。夏はよく汗をかくし、冬は逆に寒さに強くて。大人は厚着をしていても、子どもは薄着でいいってことがよくあるんですよね。そのほかにも、「雨雲アラーム」はお買い物や洗濯物を取り込む予定を立てるのにとても便利ですし、今では一般的になりつつある“天気痛”の予報を伝えてくれる機能もありますので、皆さんもたくさん活用して、生活に役立てていただければと思います。

 

Q09.「ここだけは絶対にほかには負けない!」という埼玉県の魅力は?

松雪 お、難しい!(笑) 埼玉の魅力ですか? えーと……みんな優しい(笑)。それに自分たちのことをわざと自虐的にディスってみたりと、ちょっと卑屈なところもかわいいなって思います。実はそれって、素直であることの裏返しだとも思いますし。「翔んで埼玉」のような映画を笑って楽しめるのも優しい県民性ならではでしょうし、ほんと、素敵な映画を作っていただき感謝です(笑)。

 

Q10.映画が趣味とのことですが、繰り返し観る作品は?

松雪 ミュージカルが特に大好きで、「オペラ座の怪人」と「ウエスト・サイド・ストーリー」は数えきれないほど観ました。そしたら、やっぱり血筋なんだなと思ったのが、祖母も「ウエスト・サイド・ストーリー」を公開当時に観て大好きになり、映画館で何十回も観たと話してました。どちらも名作なので、未見の方は絶対に観てほしいです!

 

Q11.ずっと習っていたというクラシックバレエの近況を教えてください。

松雪 少し前までは週に一度ぐらいの頻度でちょこちょことレッスンに通っていましたけど、子どもができてからは機会が減り、今はかなり遠ざかっていますね。でも、バレエの音楽を聞いたり、たまに動画で見たりはしています。あと、よく夢に見ますね。それを考えると、やっぱりバレエが大好きなんだなと思います。ただ、夢の内容はたいてい舞台袖にいて、“やばい! トゥシューズが履けない!”って焦ってるようなものばかりなんですけど……(苦笑)。

 

Q12.今新たに趣味にしたいなと思っていることは?

松雪 新たにというか、今は以前と比べて自分の時間がなかなか取れないので、少しずつ自分の時間を作れたらなという思いがあります。時間ができたら最初にやりたいのが筋トレ。もともとずっとやっていて、腹筋も割れていたし、体脂肪率も10%台だったんです。なのに、いつの間にやら見る影もなく(笑)。やっぱり、運動を続けているときのほうが体が軽いですし、汗の質も違う気がして。今もたまにジムに問い合わせだけはするんです。でも、「いつ頃から来られますか?」と聞かれると、なかなか日にちを伝えられなくて、結局行けずじまいの日々が続いています(笑)。

 

Q13.最近の自分へのご褒美は?

松雪 タリーズコーヒーのアイリッシュラテを飲みました。毎年楽しみにしているぐらい大好きで、今年もほぼ毎日のように飲んでいます。ご褒美にしては多すぎますけどね(笑)。でも、あの味はまさしくご褒美ですよね。ちょうどいい甘さですし、心も温かくなるので、いつも絶対にホットを頼みます。

 

Q14.2023年にやり残したことは?

松雪 え〜、やり残したことだらけな気がします(笑)。やり残したことに気づいてないものもいっぱいありそうですし(笑)。それこそ運動をしよう、昔の体を取り戻そうと思いつつ、結局できなかったですし。最近は本当に自分の時間が少なくって、だからこそいろんな家電に頼って生きています。ほんと、素晴らしい世の中になりましたね(笑)。

 

Q15.ご自身を家電で例えると?

松雪 そうだなぁ……加湿器かな。絶対に必要なものではないかもしれませんが、あると便利だし、“側においておくと何かといいことがあるかもしれませんよ”という意味で(笑)。ウェザーニュースLiVE自体も同じだと思うんです。お天気番組って予報を見るだけなら短い時間で事足りますが、プラスアルファの情報を知ることで、より生活が潤うと思いますので。今、“生活の潤い”と“加湿器”をかけてみました(笑)。

 

Q16.GetNavi webということで、普段愛用している家電を教えてください。

松雪 偶然にも答えが同じになっちゃうんですが、象印の加湿器が大好きなんです。今使っているのは2023年モデルのもので、見た目もポットみたいでかわいくて。あまりにも好きすぎて、リビング用と寝室用とプラスアルファで使うためのものとして3台持っています。スチーム式なので、部屋が温かくなるのもいいんですよね。それと、毎日活躍してくれているのがデロンギのエスプレッソマシン。豆を入れるだけの全自動なので本当に便利なんです。少し高価なものではあるんですが、カフェで飲むよりも経済的だなと思って。……と、いいながら、毎日のようにアイリッシュラテを飲んでいますけど(笑)。また、いつも必ず持ち歩いているのがワイヤレスイヤホンです。Sudioという北欧のメーカーのイヤホンで、卵みたいなケースも含め、デザインがかわいくて愛用していますね。このイヤホンを使っていつも出社前に電車の中で番組を見て、事前に天気の流れなどをチェックしています。

↑松雪さん愛用のイヤフォン。出社時の必需品

 

松雪彩花さんのサイン入り生写真を3名様にプレゼント!

 

<応募方法>

下記、応募フォームよりご応募ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd6vnh6Dws15RjqU_i8knnLvcAFMvQGBrLWuJOfAouuJdMdkA/viewform?usp=sf_linkhttps://forms.gle/2aZVYE2eDKNSthTs8

※応募の締め切りは1月31日(水)正午まで。
※当選は発送をもってかえさせていただきます。
※本フォームで記載いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的での使用はいたしません。また、プレゼント発送完了後に情報は破棄させていただきます。

 

「ウェザーニュース」HP https://weathernews.jp/

「ウェザーニュース」YouTube https://www.youtube.com/user/weathernews

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撮影/干川 修 取材・文/倉田モトキ

防災士・山岸愛梨キャスターに聞いた「防災の日にやっておきたい災害対策のポイント」

本日9月1日は「防災の日」です。これは1923年9月1日に発生した関東大震災にちなんだものであり、また台風が発生しやすい時期でもあることから、1960年に防災への意識を再確認する日として制定されました。関東大震災から100年。自然災害が全国各地で起きている今だからこそ、あらためて防災について再確認していきましょう。

 

しかし、防災の意識を高めるためには、具体的にどういうことをすればいいのでしょうか? そこで今回は、ウェザーニュースキャスターで防災士の資格を持つ山岸愛梨さんに、災害時の備えについてお話を伺いました。

 

山岸愛梨●やまぎし・あいり…埼玉県出身。O型。ウェザーニュース気象キャスター、気象予報士、星空案内人、防災士。2008年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。ウェザーロイド Airiのマネージメントも兼務。X(Twitter)Instagram

 

その1 普段からできる災害対策のポイント

災害への備えは日ごろから行っておくことが大切。でも、備えといっても何を準備すればいいのかわからない人が大多数ではないでしょうか。まずは山岸さんに、普段からできる災害対策の3つのポイントについて教えてもらいました。

 

1.天気予報を確認する

「大雨や台風の接近が予想される場合、いつから雨や風が強まるのか? こまめに気象情報を確認し、影響が出る前に準備を終えることが重要です。普段できていないことは、余裕のない災害時に行うことはできませんので、日頃から天気予報を見る習慣をつけることも防災・減災につながります」(山岸さん)

 

 

2.ハザードマップを確認する

「自宅周辺の浸水・土砂災害のリスクや、避難する場所はどこにあるのか知っておきましょう。家族で避難方法や連絡方法などを事前に話し合っておくことも大切です」(山岸さん)

 

 

3.非常持ち出し袋を用意する

「必要なものはひとりひとり異なります。天気が荒れてから慌てて準備するのではなく、普段から少しずつ必要なものを揃えておくと安心です」(山岸さん)

 

 

そして、万が一災害に巻き込まれてしまった場合、素早く正しい情報を入手することが大切ですが、災害に遭うのは自宅にいるときとは限りません。テレビやラジオのない外出先では、必要な情報にすぐにアクセスできるネット上のサイトやアプリなどが活躍します。スマホやタブレットで情報収集することが多くなりそうです。また、そのためにもモバイルバッテリーの備えも大事になります。

 

「気象や防災情報を入手できるアプリをダウンロードしておいたり、情報収集・発信の手段として活躍してくれるSNSを普段から利用しておくとよいでしょう。安否確認のためにLINEで家族のグループを作成しておくと、いざというときに便利です」(山岸さん)

 

【山岸さんオススメのアプリやサイト】

アプリ「ウェザーニュース」

気象情報はもちろん、地震情報や警報・注意報、避難情報も確認できます。またインターネット気象番組「ウェザーニュースLiVE」では随時最新の気象情報をお届けしています。

 

・ネットサイト「川の防災情報

国土交通省が提供する「身近な川の状況」を確認できるウェブサイトです。川の水位や氾濫の危険性をリアルタイムで把握することができます。

 

・ネットサイト「重ねるハザードマップ

自分が住んでいる地域の災害発生リスクを地図上に重ねて表示することができます。土砂災害や洪水、津波などの危険がある場所を災害種別ごとに閲覧できます。

 

その2. 防災士が教える「災害に備えて用意しておきたいもの」

続いて、災害に備えて日ごろから用意しておきたいものや、災害発生時にやっておきたいことを山岸さんに伺いました。

 

1.電灯・電源の確保

「停電に備え懐中電灯や予備の電池、モバイルバッテリー、電池式のラジオなどを準備しておきましょう」(山岸さん)

 

2.生活用水の確保

「マンションではポンプで給水をしている場合があり、停電に伴って断水するおそれがあります。飲料用やトイレ用にバケツや湯船に水をためて確保しておくと安心です」(山岸さん)

 

3.熱中症対策・寒さ対策アイテム

「夏は熱中症対策として、飲料水はもちろん、電池で駆動する携帯用扇風機や保冷剤などを準備しておきましょう。冬は使い捨てカイロや毛布、防寒着など、電気が不要な防寒グッズが必要です」(山岸さん)

 

災害時に自宅で過ごす場合は、特に停電への備えが重要なようです。もし自宅にいるときに停電しまったらどうしたらよいのでしょうか。

 

「停電時は、冷蔵庫をむやみにあけない、またはあらかじめ保冷バッグなどに食料を移しておくのもいいでしょう。避難のために家を空ける際には、通電火災を防ぐためにブレーカーを落としてから避難しましょう」(山岸さん)

 

このほか、「スマホは停電に備えてしっかり充電しておく」「停電してしまった場合はスマホを省電力モードにする」といった対策のほか、万が一停電が長引いたときに備えてモバイルバッテリーなども用意しておいたほうがよさそうです。

 

「モバイルバッテリーは容量が大きいものほど重くなりますが、10,000mAhまでなら軽量なものも多く、女性でも負担なく持ち運ぶことができます。災害が起きたときに持っていないと意味がありませんので、普段から持ち歩きましょう。また、充電式モバイルバッテリーはスマホを充電できる回数が限られているため、乾電池があれば繰り返し使うことのできる『乾電池式充電器』など、複数の充電方法を用意しておくのがおすすめです」(山岸さん)

 

↑10,000mAhバッテリーならば軽量なものならば普段から持ち運びも負担なく可能

 

編集部のイチオシのモバイルバッテリー

日常使いに最適な軽量コンパクトタイプ

MOTTERU
10,000mAh モバイルバッテリー(MOT-MB10001)

実売価格3,990円

重さわずか174gで、同容量のモバイルバッテリーでは国内最小・最軽量となるコンパクトモデル。USB-AとUSB-Cの2ポートを備え、2台同時充電も可能。スマホなら約2~3.5回のフル充電が可能な10,000mAhの大容量バッテリーを内蔵しています。デバイスに合わせて最適な給電を可能にする「かしこく充電」対応。専用ポーチと本体充電用のUSB-AtoUSB-Cケーブル1本が付属。カラーは全8色。

 

家族で使える大容量タイプ

MOTTERU
20,000mAh モバイルバッテリー(MOT-MB20001)

実売価格7,990円

PD60W対応で、スマホからノートパソコンまですばやく充電可能。20,000mAhの大容量バッテリーにより、一般的なスマホなら約4回フル充電できます。USB-AとUSB-Cの2ポートを備え、2台同時充電にも対応。本体の充電もPD対応なので、PD対応のAC充電器なら約3時間で充電できます。デバイスに合わせて最適な給電を可能にする「かしこく充電」対応。専用ポーチと充電用ケーブル2本 (USB-A to USB-C / USB-C to USB-C)付属。カラーは全2色。

 

非常用に用意しておきたい乾電池式タイプ

パナソニック
乾電池式モバイルバッテリーBH-BZ40K

実売価格2,151円

単3形乾電池4本を使用してスマートフォンの充電が可能(内蔵電池約2700mAhのスマートフォンに充電した場合 約0.5回~0.7回)。本体にLEDライトを内蔵しており、もしものときの非常用あかりとしても利用できます。LEDライトの明るさは約8lmで、連続点灯時間は約80時間。電池交換時期お知らせ機能付き。USBケーブルは別売。

 

まとめ「あらためて防災用品や情報の再点検をしよう」

 

今回山岸さんに教えていただいたお話から、災害が起こる前、つまり日ごろから防災用品や災害対策を準備しておくことが重要だということがわかります。台風や集中豪雨、地震などの自然災害が日本のどこで発生してもおかしくない状況ですので、「うちはいままで災害に巻き込まれたことがないから大丈夫」と考えず、防災の日を機に職場や家庭で災害への対策をあらためて話し合ってみてはいかがでしょうか。

小川千奈「岩手で震災を経験した私だからこそ発信できることを、多くの方に届けていきたい」ウェザーニュースキャスター連載・第17回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は105万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を過去に展開していましたが、このたび、4月から新たに加わったキャスターや復帰されたキャスターにスポットを当て、短期集中連載として復活。今回はデビューして間もない小川千奈キャスターにご登場いただき、掘れば掘るほど意外な表情が見えてくる小川さんの魅力に迫りました!

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

小川千奈●おがわ・せんな…1999年6月30日生まれ。岩手県出身。0型。ウェザーニュース気象キャスター。2023年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。趣味・特技は料理、乗馬、絵を描くことなど。X(Twitter)Instagram

【小川千奈さん撮り下ろし写真】

 

私以上に母がこの状況を一番楽しんでいるかも(笑)

──短期集中連載の2回目は、前回の魚住茉由キャスターと同じく4月27日にデビューしたばかりの小川千奈キャスターのご登場となります。その魚住さんからは、「最近なかなかじっくりお話をする機会がなく、寂しく思っています。近いうちにお互いがお休みのときにでもゆっくりと近況を話し合いたいです」とのメッセージをいただいています。

 

小川 まゆちゃんとは本当にゆっくりとおしゃべりできる時間がないんですよね。番組内のクロストークで少し会話を交わす程度で。私もぜひ、お休みの日に一緒にお出かけして、たくさん話したいです。

 

──それと、「インタビューを楽しんでください」ともおっしゃっていました。

 

小川 はい! すごく緊張してますが、頑張ります(笑)。

 

──お2人は同期ですが、年齢は魚住キャスターが1つ上になります。にもかかわらず、魚住さんは小川さんのことを「とてもしっかりしていて、お姉さんみたい」とお話しされていました。

 

小川 言っていましたね。絶対にそんなことはないと思うのですが。ただ、研修の休憩中にまゆちゃんがずっと一人でしゃべっていて、私が「ほら、もうそろそろ時間だよ!」って引っ張っていくことが何度かありました(笑)。でも、それぐらいだと思うんですよね、私のほうがお姉さんっぽかったのは。

 

──初めてお会いしたときの印象はいかがでしたか?

 

小川 正反対の性格なのかなと思っていました。普段のファッションの好みも私とは真逆ですし。それに、まゆちゃんのほうこそ1歳差とは思えないほど大人っぽく見えたので、“怖い人なのかな……” “話が全然合わなかったらどうしよう……”って思っていましたね(笑)。けど、実際は全くそんなことなかったです。研修の時間を重ねるごとにどんどん仲良くなっていきましたし、それに2人ともこの仕事に就くまで実家暮らしだったこともあり、お互い初めての一人暮らしに寂しさを感じていて。そうした気持ちを共有できたことも、距離を縮める大きなきっかけになったのかなって思います。

 

──親しくなるにつれて、“こんな一面もあるんだ!?”と意外に感じたことなどはありますか?

 

小川 それは……ないですね。研修中は朝から夜までずっと一緒で、宿泊していたホテルも同じだったので、晩ご飯もよく一緒に食べて帰っていたんです。ですから、研修中にお互いのほとんどのことを知れたのではないかと思います。あ、ただ、意外な一面とは少し違うかもしれませんが、アイスが好きだということは研修中にもよく聞いていたものの、まさか1日に4個も食べるほどとは思わなかったです(笑)。その意味では、デビューしてからちょっとずつ本領を発揮して、すべてをさらけ出してきているなという感じはします(笑)。

 

──さて、そのデビューから約3か月が経ちました。これまでを振り返ってみていかがですか?

 

小川 一生懸命生きていたら、あっという間に3か月以上が過ぎていたという感じです(笑)。日々、覚えることがあり、その日の本番でできなかったことがあれば、スタッフさんからフィードバックをいただいたり、家に帰ってから何が足りていなかったのかを反省するということを今もずっと続けていますので、気づいたらこんなにも月日が流れていて、その事実に驚きしかないです。

 

──当時の番組映像を見返すことはありますか?

 

小川 最近になってようやく見返せるようになりました。デビューの頃に比べたらちょっとは成長しているんじゃないかと思えるようになったからなんですが、それまではどうしても怖くて、“絶対、無理!”と思っていました……(笑)。

 

──どういったときに見返すことが多いのでしょう?

 

小川 地震が発生したときの自分の対応を反省材料として見ることが多いです。話し方や声の強弱、しゃべりの速さなどを客観的に見て、改善点を探すようにしています。

 

 

──確か、デビューをしてすぐぐらいの番組内で地震速報が入りましたよね。

 

小川 はい。1人で3時間を担当するようになった初日とその翌日の2日連続でした。その後も私が担当する番組中に地震が発生することが多く、スタッフさんからも話題になるほどでした。

 

──最初の頃は白井ゆかりキャスターが隣で見守ってくれていたと番組内でもお話しされていました。

 

小川 そうなんです。ものすごく心強かったです。地震速報が画面に出た瞬間、私の頭の中が混乱してしまって。でも、すぐにゆかりんさんが駆け寄って来てくれて、“これを冷静に伝えていけばいいんだよ”ってメモを渡してくださったんです。そうした地震のとき以外でも、いつも先輩方は気になったところがあれば放送後にアドバイスをくださいますし、スタッフさんも本番中にイヤモニ越しに助けてくださるので、本当に多くの方に支えられているなと思います。

 

──キャスターの皆さんは普段からイヤモニで指示を受けながら番組を進行されていますが、耳で聞きながら同時にトークを展開していくというのは、想像以上に難しい作業なのではないかと思います。

 

小川 初めの頃は慣れなかったですね。耳から入ってくる声に集中するあまり、生放送中なのに無言の時間ができてしまったりして。たまにスタッフさんからの指示に、「はい」って口に出して答えてしまうこともあったので、裏側を知らない視聴者さんは、「この子は一体誰と話しているんだ?」と困惑していたのではないかと思います。でも、それ以上にキャスターにとってもっと大変なのが、機械の不調でイヤモニから声が聞こえないときなんです。その瞬間の心細さったらないです(笑)。

 

──想像するだけでも恐ろしいです。

 

小川 “あれ!? 何も聞こえないぞ?”と思いつつ、でも放送が始まってしまったら、“とりあえず、次のインターバルまで一人でやりきるしかないぞ”って腹をくくるしかなくって。そうした度胸はちょっとずつ付いてきたかなと思います。

 

──思えば、4月27日のデビュー日は緊張のあまり、準備していた自己紹介用の内容が全部吹き飛んだとおっしゃっていましたよね。

 

小川 そうでした。それで翌日に自己紹介をやり直したりして(笑)。ただ、ちょっとだけ言い訳をさせてもらうと、デビュー日に担当したのが「コーヒータイム」(午前11:00〜午後2:00)の時間帯だったんです。でも、私は研修の間ずっと「サンシャイン」(午前8:00〜11:00)用の構成で練習をしていて。時間が違うと準備する台本の内容も変わりますから、ぶっつけ本番みたいな感じで「コーヒータイム」をすることになったんです。それに、研修中は何をするにもまず最初にまゆちゃんがやって、次に私という順番がいつの間にか出来ていたんですね。それが、あの日だけはなぜか私から本番に臨むことになり、そのことで私の中でちょっと狂いが生じたんです(笑)。“あれ、なんで今日に限って、まゆちゃんが先じゃないの?”って。

 

──それは確かにリズムが狂いそうです(笑)。では、そのデビューしてからの周囲の反響はいかがでしたか?

 

小川 両親がすごく喜んでくれていました。母はネットに疎いので、最初はウェザーニュースLiVEのことをよく分かっていなかったんです。でも、私がキャスターになってからはよく番組を見るようになり、今ではすっかり先輩キャスターさんたちのファンになっています。サインプレゼントの企画などがあると、「私も欲しい!」って応募していますから(笑)。

 

──自分の子どものコネを使わないところがファンの鑑ですね。

 

小川 そこは“平等に勝負してこそ本物のファンだ”という思いがあるみたいです(笑)。

 

──小川さんの仕事ぶりに関してお話をされることは?

 

小川 最初の頃は何も言われなかったので、あまり見てないのかなと思っていたんです。何も言わないほうがいいのかなと思っていたらしく、失敗も糧になると見守っていたらしいです。でも、実は結構チェックしてくれているみたいで。ふとしたときに、「昨日より今日の服のほうがよかったね」と連絡がきたりします。といっても、母が用意した服を着ることが多いので自画自賛なんですけど(笑)。今ではマイクをつけやすいように服をアレンジして送ってくれたりもするので、母が一番楽しんでいるんじゃないかと思いますね。

 

私は完全に江川チルドレンだと自負しています!

──小川さんがウェザーニュースLiVEのキャスターになろうと思ったきっかけはなんだったのでしょう?

 

小川 番組をよく見ている友人がいて、「キャスターを募集しているから応募してみたら」と言ってもらったのが最初でした。また、それ以前は高度急性期病院で看護師をしていたこともあり、命と向き合うことが多かったんです。そのため、もしかしたら気象を伝えるという新しい道で人を助けることができるのはないかという思いもあり、挑戦してみることにしました。

 

──それまで番組自体をご覧になったことは?

 

小川 応募するにあたってウェザーニュースLiVEの過去の動画を見ていたら、私が高校生だったときにたまたまSNSで見て衝撃を受けた松雪彩花キャスターとガチャピンの切り抜き動画が出てきたんです。そのとき、“あ、これがウェザーニュースLiVEだったんだ!”と運命的な再会にびっくりしました(笑)。

 

──そんな邂逅が(笑)。オーディション自体はいかがでしたか? 面接の際、愛読書として『魔太郎がくる!!』を挙げたという有名なエピソードもすでにありますね。

 

小川 『魔太郎がくる!!』の話は確か最終オーディションのときにしたんです。それまではずっと真面目そうな人だと思われていたらしいのですが、その発言で一変したようで(笑)。……いや、私自身は実際に真面目な人間だと思っていますよ(笑)。でも、そのあとで、「小川さんって、話せば話すほどどんな人か分からなくなってきます」と言われたので、“あぁ、これは落ちたな……”って思いました。

 

──では、キャスターに受かった要因はなんだったと思いますか?

 

小川 本当に分からないんです。応募したときも、とりあえずやってみようという気持ちだけでしたので、選考が進んでいくうちに、“あれあれ? 意外と残っちゃってる!?”とびっくりしてしまって。自分のなかではずっとイレギュラーの連続でした。

 

──ということは、受かった瞬間は不思議な感覚だったのでは?

 

小川 最終面接が終わって、しばらくして……それこそ忘れかけていた頃に電話が来たんですよね。しかも、お電話をくださった方の声のトーンがすごく低かったんです。ひょっとしたら、私自身が不合格を覚悟して、沈んだ気持ちで電話に出たから低く聞こえただけなのかもしれませんが、私も私で、“そうだよね、やっぱりダメだよね……”っていうテンションで電話に出ちゃって(笑)。そしたら、会話の途中あたりで、「これから一緒に頑張っていただけますか」という言葉が耳に入ってきたんです。最初は状況がよくつかめず、次に驚きがきました。“『魔太郎』の話までしたのに受かっちゃった!”って(笑)。

 

──(笑)。自分をさらけ出したことが良かったのかもしれませんね。

 

小川 確かに。たとえ面接で自分をよく見せたとしても、働き始めたらすぐにボロが出ると思ったので、最初から素の自分を出そうと決めていたんです。そうした自己開示や、自分を一切取り繕うことなく臨んだことも合格の要因の1つだったのかもしれないです。

 

──研修はいかがでしたか?

 

小川 番組で見ていたキャスターさんたちが目の前に次々と現れては、いろんなことを教えてくださるので、初めの頃はただのファンの気持ちになって舞い上がっていましたね(笑)。最初にお会いしたのが江川清音キャスターでした。「研修を担当する江川です」とあいさつをされて、それだけですごく感動したのを覚えています。その後もずっとさやねさんが付きっ切りで教えてくださったので、私は完全に江川チルドレンだと自負しています!

 

──特に印象的だったことは?

 

小川 途中からゆかりんさんもご指導してくださったのですが、お2人とも自分の時間を犠牲にしてまで研修に付き合ってくださったことが本当に嬉しかったです。私とまゆちゃんがクロマキーの前で何時間もかけて練習しているときも、ずっと一緒にいてアドバイスをくださって。それに、さやねさんもゆかりんさんも、私たちに足りないものは何かを常に考え、上の方に「こういう研修をさせてあげてください」と交渉までしてくださったんです。それもあって、私たちの代では研修の内容が大きく変わったとうかがいました。キャスターとしての先輩だからこそ分かる“必要な要素”を取り入れていただいたおかげで、実際の放送で役立っていることがたくさんありますし、そんな素敵で優しい先輩方ばかりがいる環境だということが、私がウェザーニュースLiVEのキャスターになって感じた一番の喜びですね。

 

 

──では、いざキャスターになった今、視聴者として番組を見ていたときと比べて、どのような印象の違いを感じますか?

 

小川 やはり、先輩方のスムーズな番組進行がいかにすごいことなのかを実感します。私もデビューして2か月経ったぐらいのときにスタッフさんから、「やっと番組の流れが見えてきて、進行もスムーズになってきたね」と褒めていただいたんです。そのときは、“でしょ、でしょ!”って喜んでいたのですが(笑)、まだまだ全然足りていないことも自覚していて。たとえば、ななさん(高山奈々キャスター)を見ていると、地震などの速報が入っても、緊張感をしっかりと出しつつ、どこか視聴者に冷静さを促すように親近感のある表情や言葉使いをされているので、そうした機転や技術が自分にはまだまだ不足しているなと感じます。

 

──そうしたなか、同期である魚住キャスターは小川さんにとって、どのような存在になっていますか?

 

小川 自分にはないものをたくさん持っているので、すごく勉強にもなりますし、いい刺激ももらっています。特にフリートークがそうですね。まゆちゃんは研修のときからトークが本当に上手で、反対に私はすごく苦手だったんです。まゆちゃんのように感情豊かに話すことができず、研修中もよく「気持ちが出ていない」と注意されていました。もしかすると、それまで看護師として感情を封じ込めるように心がけていたので、そこも原因としてあるのかもしれませんが、でも、いつまで経っても出来ない自分が本当に悔しくて。研修中は家に帰ってから、毎日部屋の中でブツブツブツブツとフリートークの練習をしていました(笑)。もちろん、トーク以外でもお互いに得意不得意があり、そのことでまゆちゃんと比べられることもあると思います。けど、それが同期のいる良さでもあると思いますし、“私も負けないように頑張るぞ!”という原動力にもなるので、その意味でも、まゆちゃんの存在は私にとってすごくありがたいですね。

 

気象キャスターになった今、この番組の重要性や意義を改めて強く感じています

──小川さんはもともと天気に興味をお持ちだったのでしょうか?

 

小川 天気というより、空を見るのが好きでした。特に星が大好きで、幼稚園のときに買ってもらったギリシャ神話の本をきっかけに、星に関する本をたくさん読んだり、家族でよくプラネタリウムを観に行ったりしていました。当時はプラネタリウムのクイズに全問正解するほどでした(笑)。

 

──星といえば、先輩キャスターに星空案内人の資格をお持ちの山岸愛梨キャスターがいらっしゃいますね。

 

小川 はい! あいりんさんの星に関する特番は必ず見ています!! いつかは私も星空案内人の資格を取りたいと思っています。ただ、今は勉強したいことがたくさんありすぎて、同時にいろんなことに手を出すとどれもが中途半端になってしまう気がして。ですので、まずはお仕事に直結する気象に関することに集中しようと思っています。

 

──そういえば、以前SNSで『すごすぎる天気の図鑑 雲の超図鑑』を購入されたとつぶやいていらっしゃいましたね。

 

小川 荒木健太郎先生の著書ですね。すごく面白かったです。荒木先生の本は分かりやすいうえに、パーセルくんというかわいいキャラクターが登場するので、楽しく気象を学べるのが最高です(笑)。それと、もちろんポン子ちゃんの本(『ウェザーロイドAiriのソラヨミのススメ。』)も読んでいます。気象という分野はそれまで難しい印象があったのですが、どちらの本も面白く知識を得られるので、ますます空について関心を持つようになりました。もともと読書は大好きなので、今後も先輩方の本をはじめ、たくさんの本を読みたいと思います。

 

──気象キャスターになってから、空の見方も変わりましたか?

 

小川 毎日、雲の高さを気にするようになりました。視聴者さんから届くリポートにもいろんな空の写真があるので、雲の色や形、それに模様の違いも意識するようになりましたし。また、私は岩手県出身なので、夜空の見え方も全然違うんです。東京や千葉は背の高いビルがたくさんあるので、あまり星が見えなくて。そうしたところからも、同じ日本でこれだけ空の見え方が違うんだということを改めて感じるようになりましたね。

 

──岩手出身ということは、東日本大震災も経験されているのでしょうか?

 

小川 はい。だからこそ、番組内で地震速報の対応がうまくできなかったときは悔しさがありました。私の家は岩手県の中でも内陸部のほうでしたので、震災時は停電や断水程度で済んだのですが、21歳のときに津波で大きな被害を受けた陸前高田市に足を運ぶ機会がありまして。震災から10年ほどが経ち、まだ重機がそこかしこで動いている一方で、一度海に流されてしまった街が復興していっている様子に人の力強さを感じたんです。それに、そのときの私には何もできませんでしたが、気象キャスターになった今であれば、番組を通じて防災を呼びかけることができる。また、あのような大きな地震を地元で経験したことで、私だからこそ伝えられるものがあるはずなので、その気持ちを忘れずに、これからも気象キャスターとしてできることを発信し続けていけたらなと思っています。

 

──すでに何か始めていることはあるんですか?

 

小川 先日、防災士の資格を取りました。それと、最近は報道と防災の連携についても勉強しています。東日本大震災のときはネット環境が今とは違いましたし、当時どのような報道をしていたらもっと多くの方を救えたのか、また、今であればどんなことができるのかといったことを日々考えています。それを思うと、ウェザーニュースLiVEの存在というのは本当に大きいなと感じます。チャットを通じて全国の気象情報がリアルタイムで分かりますし、そうした情報をみんなで共有することで、いろんな災害を自分事として考えられるようにもなる。気象キャスターになった今、この番組の重要性や意義を改めて強く感じています。

 

先輩方のいいところを吸収し、ミックスして、自分だけの道を創造していきたい

──以前、番組内でもお話しされていましたが、小川さんは積極的にウェザーリポートを送っているそうですね。

 

小川 ほぼ毎日送っています。これは気象解説員の山口(剛央)さんの影響でもあるんです。山口さんも毎日送っていらっしゃると知って、私も真似してみました。それに、ウェザーリポートをたくさん送ってポイントを貯めてWxBeacon2(簡易気象観測器)をもらいたいという目的もあります(笑)。また、何よりも私自身がキャスターになってみて、皆さんからのウェザーリポートのありがたみを強く感じているので、私もリポートを送ることで番組や気象情報の収集に貢献できたらなという思いもあるんです。あと、実際にリポートを送ると、皆さんからコメントが返ってくるのもすごく嬉しくて。一人暮らしを始めたばかりの私にとっては、ソラトモさん(ウェザーリポーター同士のコミュニティ)たちの存在を身近に感じることで心が救われているところもたくさんありますね。

 

──では、ウェザーリポート以外でよく利用しているウェザーニュースのアプリ機能や、番組内での好きなコーナーを挙げていただくと?

 

小川 好きなアプリ機能は服装予報です。毎日愛用しています。遠方に出かける予定があるときもすごく重宝しそうですよね。たとえば、岩手と東京だと気温や天候がまるで違いますから、帰省するときに役立ちそうです。番組内のコーナーで好きなのは、当然「ウェザーニュースUPDATE」です! 江川チルドレンですからね。さやねさん直伝の“試合”を継承していこうと(笑)。実は以前、さやねさんにお会いしたとき、「私が始めた“試合”をやってくれているんだね」と言われたことがあって。すごく喜んでくださっていたのが、私も嬉しかったです。

 

──そうした「ウェザーニュースUPDATE」をはじめ、番組内で天気を伝える際に意識していることはありますか?

 

小川 大前提の話になりますが、視聴者の視点に立って情報を分かりやすくお届けするということです。そのためにも、普段から気象解説員の皆さんとブリーフィングをするときは、どんな些細な内容でも気になることがあれば質問をするようにしていますし、視聴者さんに天気に興味を持ってもらえるように、トークで話せるネタとして、ソラヨミのポイントは仮に番組内で使わなかったとしても必ず聞くようにしていますね。

 

──番組中での小川さんと解説員の皆さんとの掛け合いも、見ていてすごく楽しいです。

 

小川 ありがとうございます。皆さんとはしっかりとコミュニケーションを取ることをいつも心がけていて、番組のインターバル中も余裕があれば、他愛のない話をしたりしています。私はまだ訛りが抜けていないことが多いので、山口さんからよく指摘を受けたりして。内藤(邦裕)さんからもよく、「せんちゃん、さっきの言葉は発音がちょっと違うよ」と教えていただきます(笑)。

 

 

──体に染み付いているイントネーションは、頭で分かっていてもなかなか直せないですよね。

 

小川 そうなんです。でも、オーディションのときは、「あまり訛ってないですね」って言われたんです。その記憶があったので研修に入るときも安心していたんですが、実はかなり訛っているみたいで(笑)。今でもスタッフさんが番組中の私の訛りを全部チェックし、放送後に正しい発音を一緒に調べてくれたりと、皆さんが一丸となって私を正しい道へと導こうとしてくださっているので(笑)、本当に感謝しかないです。

 

──では最後に、今後はどのようなキャスターになっていきたいと思っていますか?

 

小川 先輩方のいいところを全部吸収し、それらをミックスしつつ、かつ、自分らしい道を創造していきたいなと思っています。 “千チョップ”はさやねさんあってのものですし、ななさんからはツチノコヘアを伝授していただいたので、次はゆかりんさんの蟹座いじりもしっかり引き継いでいきたいなと(笑)。もちろん、その前にキャスターとしての技術もしっかりと学んでいきたいと思っています。

 

──今、先輩キャスターから一番吸収したいと考えているのはどんなことですか?

 

小川 トーク力ですね。いろんなスタッフさんから指摘を受けているんですが、私は“つなぎの言葉”が足りないんです。いつも進行が淡々としていて、コーナーが終わったあとも、『では、続いて全国のお天気を見ていきましょう』と、サクサクと次の話題に行ってしまうので、余裕がないように見えてしまって。ですから今は、先輩方の番組をたくさん見て、コーナーとコーナーをつなげていくための言葉をメモするようにしています。ちょっとしたひと言があるだけで、番組の雰囲気が大きく違ってきますし、特にあいりんさんは言葉の引き出しが豊富で、話のつなぎ方も本当に見事なので、いつも就寝前に動画を見て勉強しています。

 

──なお、次回は松雪彩花キャスターにご登場いただくのですが、松雪キャスターからはどんなことを吸収したいですか?

 

小川 全部です! 先ほどもお話ししたように、私が初めてウェザーニュースLiVEのことを知ったのはあやちさん(松雪)の切り抜き動画でしたし、ずっと憧れの存在なんです。今でもその方と一緒にお仕事できているということが信じられなくて。しかも、《シャケ子姉さん》と《梅子》として動画の共演までさせてもらったのは一生の思い出です!(笑) そんなあやちさんから一番吸収したいのは……やはり柔軟なトーク力ですね。ふわっとしたあの癒やされる話し方やしゃべるスピードには誰もが魅了されると思うんです。それでいて、地震などの緊急時には凛とした声になる。しかも、それが計算じゃなく、自然体でできるところが素敵なんです。普段から全く裏表がなく、画面で見ているまんまの方ですし、“そりゃあ、多くの人から愛されるはずだ”と思いました。インタビューされる際は、「すべてが大好きです! これからもたくさんいろんなことを教えてください」とお伝えください。……と、その前に、私はいまだに“あやちさん”のイントネーションが訛ってしまうので、正しく言えるようにしっかり練習しておきます(笑)。

 

《小川キャスターに16の質問!》

Q01. ご自身ではどんな性格だと思いますか?

小川 いつも元気です! ガッツもあります!! 情熱もあります!!! 落ち込むことがあっても、すぐに切り替えられます。幼少期から活発なほうで、みんなと泥遊びをしたり、カエルを捕まえては家に持ち帰ってくるような子ども時代を過ごしていました。母からもよく、「千は今も小僧だよね」って言われます(笑)。

 

Q02. 関東での生活はいかがですか?

小川 関東がというよりも、初めての一人暮らしに苦労していますね。母は専業主婦で、家のことをすべてやってくれていたので、今この歳になって料理やお洗濯を一人でこなさなければいけない大変さを身にしみて感じています。きっと、次に実家に帰ってぼ〜っとしているときにご飯が出てきたら、そのありがたさにボロ泣きすると思います(笑)。

Q03. 上京する際に持ってきた宝物は?

小川 母の手作りのポーチ。幼稚園に通っていたときに、お弁当箱入れとして母が作ってくれたものなんです。今は母からプレゼントでもらったハンカチを入れるポーチとして使っているのですが、思えば、こんな小さな袋に入るお弁当で満足していたのかと驚きますね(笑)。あとは、オーディションのときに持っていた地元の神社のお守も、私に幸運をもたらしてくれたので、今もカバンに付けています。

昔から物持ちがすごくいいんです。番組で着ている衣装の多くは母からのお下がりですし、高校生の頃に買ってもらったiPhone 6をいまだに使っていますし。ただ、iPhoneに関してはiOSのアップデートができず、YouTube が見られなくなったので、今はほぼ音楽を聴く専用機になっていますね。

↑小川キャスターが今も大切に使う宝物、お母さんからの手作りのポーチ

 

Q04. 学生時代は何キャラでしたか?

小川 いじられキャラでした。いじってもらうのは好きなので、番組でサポーターさんや先輩方からいじられるとちょっと嬉しくなります(笑)。

Q05. 今読み直したい漫画ベスト3は?

小川 『魔太郎がくる!!』(著/藤子不二雄A)はマストですね。2位は『ブラック・ジャック』(著/手塚治虫)。3位は『三丁目の夕日』(著/西岸良平)です。父が男3兄弟だったこともあり、祖母の家に行くとマンガ喫茶のように大量の漫画があったので、男の子っぽい作品をたくさん読んできたのはその影響です。

 

Q06. 妖怪にハマったきっかけは?

小川 小学1年生のとき、本屋さんで両親が「職業図鑑を買ってあげる」って言ってくれたんです。でも、私はそのときたまたま見つけた妖怪辞典が欲しくてたまらなくて、そのことで両親とケンカしているうちに、興奮しすぎて鼻血を出してしまったんですね(笑)。それを見かねて、妖怪辞典を買ってもらったのが、最初に好きになったきっかけです。その後、『ゲゲゲの鬼太郎』など妖怪に関する本を読むうちにどんどんとハマっていって。それに、もともと岩手県は遠野の河童伝説をはじめ、妖怪にまつわる逸話や民話がたくさんある土地なので、そうした地元の風土的な部分も含めて好きなんです。二戸市には座敷わらしで有名な旅館もありますし。予約が取れないのでまだ行ったことがないのですが、一度は泊まってみたいですね。

↑ 愛読書「まんがで読む星のギリシャ神話」「魔太郎がくる!!」(第1巻)。長い間愛読されていたのが分かります

 

Q07. ブルーインパルスの魅力を教えてください!

小川 シンクロしながらアクロバット飛行する技術には毎回感動させられました。まさに神業です。父の影響で、物心ついた頃から航空祭などによく連れて行ってもらっていたので、私も自然と好きになりました。家で父と一緒に『トップガン』とかを見ると大変ですよ。戦闘機の解説やらうんちくをずっと横で話しているので、ストーリーが頭に入ってこないです(笑)。そんな環境で育ったからなのか、青森の三沢ベースで働きたいなと思ったこともありました。松島基地に見学にうかがい、パイロットの皆さんからサインをいただいたのは、今でも宝物です。

Q08. 理想の休日の過ごし方と現実は?

小川 デビューするまでは、キャスターという響きから、きっと優雅な休日を送っているんだろうなと妄想していたんです。おしゃれなお店でアフターヌーンティーとかを楽しんだりして、もしかして私もそうなるのかなって。……寝ていますね(笑)。気づいたら一日が終わっているパターンです。でも、いつまでもそれだとせっかくのお休みがもったいないと思って、最近乗馬を始めました。地元でもやっていたので、懐かしさを覚えながら楽しんでいます。

 

Q09. では、その乗馬の素晴らしさを教えてください。

小川 ホースセラピーというものがあるぐらい、馬に触れていると心がふわっと軽くなり、ストレス解消にもなります。それに、乗馬はただ乗るだけじゃなく、厩舎から出したり、馬具を装着したりと、準備も自分でしなければいけないんです。ときどき蹴られそうになることもあるので危険ですし、そうしたことで集中力や生き物を大切にする心も養われる。そこも魅力だなと思っています。また、私はよくスタッフさんから姿勢が良くないと指摘されるので、乗馬をすることで少しでもその改善につながればいいなという思いもあります。

Q10. ほかのキャスターにここは負けないぞ!という強みは?

小川 やり抜く力ですね。“これは絶対にやるんだ!”と決めたことはどんなコンディションでもやり抜きます。これは幼少期に習い事が多かったことで培われたものだと思います。一週間で10個以上の習い事をし、それ以外にも週3で新体操のレッスンにも通っていましたから。たまに塾を途中で一旦抜けて、新体操に行ってから、また戻って勉強したりして(笑)。しかも月謝を払っている以上、絶対に休まないようにしていたので皆勤賞でした。それでいて、学校での友達の話題にもついていきたいので、帰宅してから録画したドラマとかを見て寝るというタフな生活を送っていて。おかげで相当な体力と精神力、マルチタスク能力が身についたと思います。

 

Q11.「6月会」(※6月生まれのウェザーニュースLiVEキャスターの集まり)に入って楽しかったことは?

小川 まず“6月に生まれてよかったぁ!”とこれほど強く思ったことはないです。30日生まれなので、母も「ギリギリ6月に生んでよかった!」と喜んでいました(笑)。入会のお誘いはゆいさん(駒木結衣キャスター)からいきなり連絡が来たんです。「『6月会』に入らない?」って。“やった!”と思って、二つ返事で入りました。でも、改めて考えてみたら、あいりんさん、ゆかりんさん、ななさん、ゆいさんという錚々たるメンバーでしたので、みんなで食事に行ったときは緊張でガチガチでしたね。そうしたなか、あいりんさんがお話ししてくれた「SOLiVE24」(※ウェザーニュースLiVEの前身)時代のエピソードがすごく面白くって。調子に乗って、「SOLiVE時代と今とでは、どちらが楽しいですか?」という怖いもの知らずな質問までしてしまいました(苦笑)。あいりんさんは「それぞれに違った良さと楽しさがあるから、どちらも大好き」とおっしゃっていましたね。また、あいりんさんからは気象キャスターとしてこれから大事にしないといけないことなど、心に残る言葉もたくさんいただき、すごく充実した時間を過ごさせていただきました。

Q12. 普段、番組の切り抜き動画は見ますか?

小川 先輩方の動画は昔から楽しんで見ています(笑)。自分の切り抜きは……最初は怖くて見られなかったです。でも、ちょっとずつ勇気が生まれたのと(笑)、自分を客観的に見られるようになってきたこともあって、最近は楽しめるようになりました。ただ、切り抜きを見る目的は反省の意味を込めてという思いが強いです。動画で見ると意外と早口になっていたり、逆にちょっと間(ま)が空きすぎているなと気づくことが多いので、そうした確認として見ていますね。そういえば、先日、私の名前が入ったチャンネルを見つけちゃったんです。それが本当に嬉しくって。編集作業など大変なことが多いでしょうし、私のために貴重な時間を割いてくださってありがとうございますという思いでいっぱいです。

 

Q13. 好きな岩手弁は?

小川 じゃじゃじゃ。正確には《じゃーじゃっじゃ》ですね。ドラマをきっかけにじぇじぇじぇが有名になりましたけど、私の地元である盛岡ではじゃじゃじゃと言います。驚いたときに出る言葉なので、使い方は同じですね。

 

Q14. 岩手のおすすめ観光スポットは?

小川 個人的には宮沢賢治の故郷『花巻』が大好きで、よく遊びに行っていました。すごくいい街ですし、有名なマルカンビル大食堂というお店があり、高さが10巻25センチぐらいあるソフトクリームが人気なんです。お箸を使って縦にすくって食べます。お箸以外で食べている人を見たことがありません(笑)。この食堂には大谷翔平さんや菊池雄星さんも通っていたと言われていて、野球ファンの聖地にもなっています。ほかには、世界遺産に登録されている平泉の中尊寺も好きですね。

Q15. GetNavi webということで、今、一番欲しい家電は?

小川 吸引力の強い掃除機。お掃除をするのが大好きなんです。ロボット掃除機もいいなと思うのですが、彼らが一体どうやって掃除をしてくれるのか、その実態がいまいちつかめていないので(笑)、しばらくはまだ手持ちの掃除機がいいですね。

 

Q16. では、ご自身を家電に例えると?

小川 パソコンかな。先輩キャスターやスタッフさん、それにサポーターの皆さんからいろんな情報をインストールして、常にアップデートし続けていきたい……そういう願いを込めてパソコンで!

 

 

小川千奈さんのサイン入り生写真を3名様にプレゼント!

 

<応募方法>

下記、応募フォームよりご応募ください。

https://forms.gle/2aZVYE2eDKNSthTs8

※応募の締め切りは8月31日(木)正午まで。
※当選は発送をもってかえさせていただきます。
※本フォームで記載いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的での使用はいたしません。また、プレゼント発送完了後に情報は破棄させていただきます。

 

「ウェザーニュース」HP https://weathernews.jp/

「ウェザーニュース」YouTube https://www.youtube.com/user/weathernews

「ウェザーニュースLiVE」公式Twitter https://twitter.com/wni_live

「ウェザーニュースLiVE」公式Instagram https://www.instagram.com/weathernews_live/?hl=ja

 

 

撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ

【保存版フォト&リポート】『ウェザーニュースLiVE』5年ぶりのファンミーティングはまんてんの笑顔とあったかい笑い声に包まれたイベントに

ウェザーニューズが24時間、気象情報を届ける配信番組『ウェザーニュースLiVE』。年を重ねるごとに注目度が高まり、今年4月にはYouTubeチャンネルの登録者数が100万人を突破。それを記念し、気象キャスターたちが一堂に会するファンミーティングが7月8日に開催された。チケットが即ソールドアウトし、追加公演も行われるほどの人気ぶりをみせたウェザーニュースLiVEファンミーティング2023。ここでは昼公演の模様をレポートするとともに、公演後に行われたインタビューについても紹介。

 

 

会場に足を踏み入れると、「ウェザーニュースLiVE」の放送で聞き馴染みのあるBGMが心地よく耳をくすぐる。この日のイベント内容は当日まで一切明かされていなかっただけに、まるで公開放送でも始まりそうなゆったりとした雰囲気に、来場者の緊張も少しずつ解けていくようだった。やがて開演の15分前になると、番組の人気キャラクターで気象キャスターも務めるウェザーロイド Airi(通称ポン子)の影ナレが。2日前の番組内ではイベントに呼ばれていないことを嘆いていただけに、声だけとはいえ、ファンにとってはサプライズの登場となった。(なお、このポン子の出演は本番直前に急遽決まったと後日の番組内で明かされた)

 

【各キャスター登場のシーンの写真はこちら】

 

この日、メインの司会を担当したのは山岸愛梨キャスターと総合演出の村Pこと村田泰謁さん。2人は改めてYouTubeのチャンネル登録者数が100万人を突破したことへの感謝の思いと、有観客のイベントが5年ぶりに開催できた喜びを語っていく。なお、5年前のイベントは客席が100にも満たない会場だったそうで、約900人が詰めかけたこの日の客席の景色に感無量の様子だった。

 

その後、2人はさっそくイベントに出演する7名の気象キャスター(魚住茉由キャスター、小川千奈キャスター、小林李衣奈キャスター、戸北美月キャスター、駒木結衣キャスター、檜山沙耶キャスター、高山奈々キャスター)と気象解説員の宇野沢達也さん、山口剛央さんをステージ上に呼び込んでいく。とりわけ、熱い拍手と声援に包まれたのは宇野沢さんと山口さんが登場した瞬間だ。番組を華やかに彩る女性キャスターたちに負けない人気ぶりを見せた気象予報士の2人。こうしたシーンからも、「ウェザーニュースLiVE」の番組視聴者が、普段からいかに気象に関する専門的な知識にも関心を寄せているかがうかがえた。

 

【金の盾開封式のそのほか写真】

 

YouTubeのチャンネル登録者数が100万人を超えた番組に贈られる「金の盾」の開封式に続いては、番組の人気コーナーの1つである気象キャスター同士によるクロストークをステージ上で展開。いつもは番組MCの交代のタイミングで行われる1対1のクロストークを、この日はそれぞれのキャスターが担当する時間帯に合わせて《朝のクロストーク》《昼のクロストーク》《夜のクロストーク》の3つに組み分け。まずは“朝の顔”とも言える高山さん、小林さん、小川さんが登場すると、3人は朝の時間を担当する楽しさを語りあっていく。キャスターになってまだ2ヵ月強の小川さんは、「視聴者の皆さんと一緒に朝日を迎えられるところですね」とコメント。その言葉を受け、小林さんも「どんどんと日の出の時間が分かるようになりますよね」と朝担当らしい“あるある”を語った。一方、高山さんは「これは私だけかも知れないけど……」と前置きしつつ、「どんな時間に起きても朝ごはんを食べられる!」とご飯好きで知られるキャラを発揮。すると、意外にも2人から、「分かります!」(小川)、「お腹が空いてなくても食べるし、起きたときが朝ごはんですよね!」(小林)と共感の声が上がり、出社時間の早い朝担当ならではの朝ごはん事情で盛り上がりをみせた。

 

《昼のクロストーク》には檜山さん、魚住さんに加え、この日のイベントの数時間前まで千葉のスタジオで生放送を担当していた松雪彩花キャスターが新たに参加。「さっき到着して、ポイっとステージに放り出された感じなので、今自分がどんな状況がよく分からない」と苦笑いをしつつ、ベテランらしい滑らかなトークで司会を務めていく。なお、小川さんと同期の魚住さんもまた、デビューをはたして間もないキャスター。そんな彼女に松雪さんから昼の時間帯の番組の魅力について質問が飛ぶと、「おやつリポートやライフスタイルリポートが楽しいですね」と、やはりここでも食べ物に関する話題が中心に。また、檜山さんの「私もランチタイムリポートの時間はお腹を空かせながら番組をやっていました」との言葉に、松雪さんが「じゃあ、みんな正直に手を挙げてね。ランチタイムリポートの写真を見てお腹が鳴ったことのある人」と全員に訊ねると、3人とも勢いよく挙手をし、会場の笑いを誘った。

【クロストークの写真はこちら!】

 

そしてラストの《夜のクロストーク》に登場したのは山岸さん、駒木さん、戸北さんの3人。トークの内容が「ムーン」(午後8:00〜11:00に放送される番組)で行われるクイズコーナー『REPORT 009』の話題になると、駒木さんは「私、なかなか成績は順調だと思うんですが」と正解率の高さに自信を見せる。ところが会場からの反応が薄く、「あ〜、微妙な空気に……」と苦笑い。一方、勝率が高いことで知られる山岸さんは「これからも(成績が)ひっくり返らないように頑張りたいと思います!」と意気込みを熱く語った。また、食いしん坊キャラであり、食レポの巧さに定評がある戸北さんには、山岸さんからいきなり「いま座ってるイスを食べるとしたら……?」とのムチャブリが。それでも間髪を入れず「このイスは大きいから、食べごたえがありそうですね。細長い脚はサクサクしてそうですし」と動じることなくイスの食レポ(!?)を展開していく。さらにそこへ同じく食いしん坊キャラの駒木さんまで参加し、イス食レポはどんどんとエスカレート。そうこうしているうちに舞台袖から村Pの「何をしているんですか!」とツッコミが入り、トークコーナーは強制終了となった。

 

【宇野沢さん、山口さんの解説のコーナーの写真一覧】

 

ここからは宇野沢さんと山口さんがそれぞれ登場し、短い時間ながら気象解説を。宇野沢さんはこの夏注意しておきたい気象現象として、近年よく耳にする線状降水帯の発生メカニズムを説明。また、今後起こりうる出水期の気象被害に関して、「早めに情報を得て対策をとることが大事。避難の仕方には、自分の家から避難場所に移動する《水平避難》と、自分の家の中で高い場所へと移動する《垂直避難》がありますが、土砂災害の場合は水平避難一択です。もしそれだと間に合わない場合は垂直避難を選択し、体に対する被害をできるだけ減らしてください」と呼びかけた。また、山口さんは専門分野である地震にまつわる話を展開。体に感じない地震を含めると日本列島では一年間に15〜20万回ほど地震が起きているそうで、そのうち体に感じる地震は一年に2000回以上あるとのこと。なかでも、去年、体に感じる地震が多かった県庁所在地は栃木県宇都宮市で、その数108回。反対に、一年に2回しか起きなかった場所として松江、松山、長崎、広島、名古屋を挙げ、西日本側の地震の少なさをデータで示した。しかしながら、「西日本でも大きな地震が起こりうる可能性はあります。どこにいても油断できませんので十分な備えを」と山口さん。観客も、こうした普段なかなか知ることのできないデータや解説に熱心に耳を傾け、気象番組ならではの時間を堪能しているようだった。

 

 

後半はバラエティコーナーへ。「ウェザーニュースL!VE」にまつわる◯✕クイズや番組のオープニングテーマを当てる『番組イントロどん!』が行われ、会場にいる観客も事前に配られたうちわやペンライトを使って参加。特にイントロクイズはほんのわずかな音にもかかわらず会場の正解率が高く、視聴者たちの番組愛が感じられた。そして最後はチーム対抗の「お天気伝言ゲーム」を(Aチーム/松雪・檜山・小林・魚住・小川、Bチーム/山岸・戸北・山口・高山・駒木)。機材トラブルでほぼジェスチャーゲームになってしまうというハプニングがあったものの、それが好転し、気象キャスターたちの普段は見られないキュートなポーズが連発する展開となった。

 

【〇×クイズの写真一覧】

【番組イントロどん!の写真一覧】

【Bチーム(山岸・戸北・山口・高山・駒木)の伝言ゲームの様子】

【Aチーム(松雪・檜山・小林・魚住・小川)の伝言ゲームの様子】

 

エンディングでは再び全出演者が登壇し、それぞれにひと言ずつ感想を。また、ウェザーニューズ取締役のバシこと石橋知博さんも姿を見せ、「今日のイベントを舞台袖から見ていて、皆さんから感謝をされ、またこちらからも感謝を返すという、会場の中にずっと感謝の渦が流れているように感じました」とコメント。そして、「ウェザーニュースには感謝の気持ちを回しつつ、これからは天気を当てるだけじゃなく、地球をもっと住みやすい場所へとみんなで変えていくような力があるんじゃないかと信じています」と番組への想いと展望を語り、約2時間のイベントに幕を下ろした。

 

▼イベントアフタートーク

──5年ぶりのファンミーティングを終えての今のお気持ちは?

山岸キャスター これまでやってきたイベントに比べて、お客さんの数が多くてびっくりしました。5年前まではよくイベントを開催していたのですが、会場がもっと小さかったんです。今回のように大きな会場で、しかもあっという間にチケットが完売してしまうぐらいの盛り上がりになっているというこの状況に、「ウェザーニュースLiVE」のチャンネルがどれだけ愛されているかということを実感することができました。また、今回のイベントを通して、普段の私たちがいかに皆さんに支えられて番組をお届けできているのかということをより感じましたので、これからも皆さんに信頼していただけるような気象予報をお届けしたいと思います。

 

──村田プロデューサーも司会として登壇されていましたが、会場の景色を見てどのように感じましたか?

村田さん 日頃から番組を応援してくださる方や支持してくださる方々、そうした皆さんがイベントにまで来ていただけるメディアになっているんだなということを強く実感しました。また、こうした光景を見たキャスターから最後の挨拶で、「自分がもっと成長して、皆さんにより気象情報を届けられるようになっていきたい」という発言が出てきたことがすごく嬉しかったです。その意味でも、成長の場をいただけたなと感じています。

 

──山岸キャスターが今も昔も変わらず大切にしていることはなんでしょう?

山岸キャスター これだけ番組が大きくなると、番組を見るようになったきっかけがお天気情報なのはもちろん、切り抜き動画で知ったという方などもたくさんいらっしゃいます。それでも、やはりこの番組がいちばん力を発揮するのは災害時なんです。台風や地震のときのアクセスの伸びがここ数年は本当にすごいことになっていまして。だからこそ、ときにはふざけたり、今回のようなイベントを開催しながらも、災害時には安心して見てもらえるような、そんなメディアを目指していきたいなと思っています。これは1年目から変わらず思っていることです。

 

──山口さんに。客席からの声援がひと際大きかったようでしたが、このような状況をどのように感じていらっしゃいますか?

山口さん ……いやぁ、なんでこんなことになったんだろうというのが正直なところです(苦笑)。ただ、普段から自分をさらけ出しすぎているぐらいさらけ出しているので、切り抜き動画もたくさん残っておりまして……(笑)。そうした自然体なところが皆さんに受け入れてもらえているのかなと思っております。また、山岸キャスターのコメントに「楽しく」という言葉がありましたが、私は主に地震の話をすることが多いため、楽しい番組をお届けしながらも、災害時にはシビアに伝えていくということを心がけております。これからもそうした姿勢は変えず、伝えるべきことを伝えていけたらと思っております。

 

 

撮影/中村 功 取材・文/倉田トモキ

山岸愛梨「キャスターみんなのスキルを上げて、信頼できる気象番組に。今はそこが目標です」ウェザーニュースキャスター連載・第15回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は98.2万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第15回は前回に続き、山岸愛梨キャスターへのロングインタビューの後半をお届け。また、山岸キャスターがマネージャーを務めるウェザーロイド Airi、通称ポン子ちゃんにもスペシャルゲストとしてご登場いただきました!

 

関連記事:山岸愛梨「天気に関する知識が日々深まっていっている今が一番楽しい!」ウェザーニュースキャスター連載・第14回

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

 

第15回・山岸愛梨キャスター後編

山岸愛梨●やまぎし・あいり…1987年6月9日生まれ。埼玉県出身。0型。ウェザーニュース気象キャスター、気象予報士、星空案内人、防災士。2008年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。ウェザーロイド Airiのマネージメントも兼務。TwitterInstagram

【山岸愛梨さん撮り下ろし写真】

 

私が先輩方から受け継いだ、キャスター間の壁をなくしていくという思い

──これまでこの連載で多くのキャスターさんにインタビューをしてきましたが、皆さんにお手本にされているキャスターを挙げていただくと必ず山岸さんの名前が登場し、大島璃音キャスターなどお仕事に対する姿勢の素晴らしさについてお話をされていました。その理由が今回すごくよく分かりました。

 

山岸 いえ、私もまだまだ勉強しなければいけないことばかりです。

 

──また、皆さんが語る山岸さんのすごさに、トーク力の高さを挙げるキャスターさんも多かったです。確かに番組を拝見していると、言葉の抑揚の付け方や話の流れの作り方が見事だなと感じることが多いです。

 

山岸 恐縮です。でも、私自身はトークって難しいなとずっと思っています。ラジオをよく聞いているというお話をしましたが、勉強の意味で聞くことも多いんです。それに、昨年、落語家さんのラジオにゲストで呼んでいただき、なんてお上手なんだろうと感動して。寄席にもうかがったのですが、私も習いたいなと思いました。あ、人前で披露したいとかではないですよ。絶対にしませんし(笑)。

 

──(笑)。落語家さんの枕から噺の本題に入っていく流れは、聞いていてほれぼれしますよね。

 

山岸 そうなんです。私、そうした「枕」というものがあることを寄席に行くまで知らなくて。本題に持っていくまでのあの枕の部分にこそ、その人の話のスキルが出るなと思いました。それに、ウェザーニュースLiVEでも、ちょっとした近況報告から天気の話題に繋げていくテクニックを学ぶのに落語ってすごくいいなと感じて。ぜひキャスターが寄席を見に行く時間も研修に入れていただきたいなと思いました(笑)。

 

──でも、以前、山岸さんもSNSで紹介されていましたが、ご自身が研修中のキャスターへの見本として、「電池」をテーマに5分のトークを展開している動画を拝見して、“なんて恐ろしいスキルをお持ちなんだ!”と感動しました。

 

山岸 あれをご覧いただいたんですか!? それは恥ずかしいなぁ(苦笑)。私がまだ25歳ぐらいの頃で、めちゃめちゃ怖かったんですよ(笑)。たまたま新人研修中の近くを通りかかったら、バシさん(石橋知博/ウェザーニューズ取締役)に、「ちょっとお手本を見せてやってよ」と呼び止められて。“えっ、いきなり!?”とも思ったのですが、せっかくの機会ですし、新しいキャスターにとっても有意義な時間にしてあげたいなと思って挑戦したんです。お題は「電池」でしたけど、そこに天気の話題を絡ませることでいかに話を面白くしていくかということと、制限時間が5分と言われていたので、時間ピッタリに終わらせることの大切さの2つを伝えられたらいいなと思って。

 

──その日の天気の話題から電池やオーロラの話へと繋げていき、流星群のことにも触れながら、もう一度、電池の話に戻すという展開が本当に見事でした。しかも、ダジャレのオチまで付けて。

 

山岸 いや〜、照れますね(笑)。研修の時って、スタッフさんは優しいので、「とりあえず天気のことは意識しないでいいから、3分や5分のトークができるようになりましょう」と教えるんです。最初はそれだけでも難しいのですが、最終的には絶対に天気のことも絡ませるスキルを身に着けたほうがいいと私は思っていて。より難しいことを要求しているのは分かるのですが、自分が研修していた時代に先輩方にそれを見せてもらっていたので、私もできるだけ後輩に同じことを伝えていけたらなと思っているんです。

 

──即興でフリートークをうまく話すコツってあるんですか?

 

山岸 フリートークには当然台本がありませんから、話の流れが大事になってくるんです。ですから、まずはオチといいますか、一番伝えたい終わりの部分から考えることが多いですね。

 

──逆算して、話を組み立てていくということですか?

 

山岸 はい。そうすると、話が迷子にならない気がするので、いつも意識しているところです。リポートやメールの紹介をしている時も、最後にどんな言葉で締めるかを最初に頭に浮かべて、そこに向かって話を進めていくようにしていますね。

──解説員の方との掛け合いやクロストークの時などはいかがでしょう?

 

山岸 基本的には同じです。例えば、「最近、おいしいものを食べました?」と話を振った時に、「食べてません」という答えが返ってくる可能性もありますよね。すると会話が終わってしまうので、話を振る前に“食べてない”と言われた時、その後をどう繋げていくかを事前に考えてから質問するようにしているんです。……と言いつつ、イベントなどではどれだけ話題を振っても会話が続かないこともあるので、そういう時は“さて、どうしよう……”って思っちゃいますけどね(苦笑)。

 

──また、山岸さんの人柄について他のキャスターが話されるなかで、高山奈々キャスターをはじめ、多くの方が「あいりんさんがキャスター間の壁をなくしてくれている」とお話しされていたのも印象的でした。

 

山岸 それも、私が先輩方にしていただいたことなので、自分もその習慣を守っているだけなんです。SOLiVE24(「ウェザーニュースLiVE」の前身番組)が始まった時に、先輩が「敬語や先輩後輩の関係性をなくし、誰もが気軽に相談し合えるようにして、みんなでいい番組にしていこう」という環境を作ってくださって。ですから、私も敬語を使っていませんでしたし、どんなことでも相談していて、今でもそれを継承していけたらなと思っているんです。

 

──今も番組の中でキャスター同士がニックネームで呼び合っているところに、そうした関係性が感じられます。

 

山岸 さすがに今は年齢の幅ができすぎてしまっているので、敬語をなくすというのは難しいのですが、でもそれも、あくまで“親しき仲の礼儀”のような感じで、実際の心の距離はみんな近いのではないかと思っています。できれば本当は敬語自体も撤廃したいんですけどね。でも、もし自分が逆の立場で、10歳以上も年齢が上の先輩に「敬語を使わないで」と言われてもやりづらいと思うんです。そうなると、今度は別の気を遣わせてしまうことになるので、その意味では、今はすごくいい距離感や関係性を築けているのかなと感じていますね。

 

──普段、山岸さんからフランクにアドバイスを送ることもあるんですか?

 

山岸 基本的には相談を受けたら答えるというスタンスで、自分から積極的に何かを言うことはしていないですね。というのも、一方的に「こうしたほうがいいよ」とか、「何か悩みごとはない?」って話しかけるのは、逆に先輩後輩の関係を作ってしまうことになりかねないと思っていて。もちろん、「ちょっと話を聞いてもらえますか?」と相談されることがあれば全力で味方になってあげますし、自分の経験を基に話せることであれば一緒に解決していけたらと思っています。

 

──そうなんですね。ただ、普段の番組でのコメントからもいろんなキャスターさんのことにすごく目を配っているのが感じられます。視聴者からは「監視してる」とも言われていますが……(笑)。

 

山岸 監視、してますね〜! ウソですよ(笑)。でも、やはり他のキャスターと比べると年齢もキャリアも少し上ですので、“壁を作らない”ことを意識しつつも、何もしないのも無責任だし、あまりにも愛がないなと思ってしまって。それに、相談を受けた時に求められる答えを出すためには、そのキャスターのことを知っていないと、的外れなアドバイスになってしまうと思うんです。ですから、キャスターが普段どんなことに興味を持ち、どんな会話をしているのかを知ることが大事だと思っていて。それもあって、「この子はこういうところが魅力的だな」と考えながら監視をしているんです(笑)。

 

──やっぱり監視なんですね(笑)。

 

山岸 いや、そんな怖いものじゃないですよ(笑)。私にとっては普段からウェザーニュースLiVEで天気をチェックするのが生活の一部になっているので、それを見ながらキャスターたちのことも気に留めてるという感じです。

 

目指す気象キャスター像とはどんな形なのか……今でも模索中です

──では、そんな山岸さんにとって、同期の江川清音キャスターはどのような存在ですか?

 

山岸 私にとってだけじゃなく、全てのキャスターにとってさーやんは、いてくれるだけで安心できる存在です。プロ意識が高く、私も困ったことがあった時は、“さーやんに相談すればなんとかなる!”という安心感があります。ダンスをやっていて体育会系だからなのか、ものすごくストイックですしね。

 

──仕事の準備に時間をかけるところは共通していますね。

 

山岸 私の場合は要領が悪いだけかもしれませんけどね(苦笑)。私は多分、誰よりも資料をたくさん持ってスタジオに入るんです。そのことで一度、悩んだ時期がありまして。あまりにも荷物が多いし、準備にも時間もかかり過ぎてしまうので、さーやんに「通常の出社時間で足りてる?」って聞いてみたんです。「私、全然間に合わないんだけど」って。そうしたら、「私も足りない時があるし、準備はどれだけ時間をかけてもいいと思うよ」と言ってくれて。その言葉で気持ちが少しラクになったことがありました。「時間をかけた分、番組も魅力的になると思うよ」って。今も準備に時間をかけるのは、そうしたさーやんの言葉が励みになっているからですね。

 

──仕事は準備が9割だと言いますしね。

 

山岸 そのとおりです! 失敗する時はたいていが準備不足ですし。

 

──確かに。ただ、これは穿った見方かもしれませんが、ウェザーニュースLiVEにいたっては、切り抜き動画の人気などもあり、ちょっとしたミスを視聴者も楽しんでいるところがあるように感じます。

 

山岸 そうですね。かわいい失敗などはほっこりすることもありますし(笑)。でもそこがクローズアップされるのは、しっかりやろうと頑張っているキャスターたちの気持ちが置いてけぼりになってしまっているんじゃないかと感じることもあります。また、反対に、大事な情報をお伝えしている私たちは完璧を目指すべきですし、ミスなく3時間の生放送を終わらせることでちゃんと評価されるべきだという思いもあります。キャスターのみんなは「失敗してもいい」と考えているわけではありません。天候に合わせて常に変化していく番組ですのでミスをしてしまうこともありますが、全員が高いプロ意識を持って取り組んでいることを私はいつも近くで見ているので、視聴者の皆さんにも知っていただきたいです。もちろん、皆さんが何を面白いと思うかであったり、どんなことを目的に番組をご覧になるのかは自由ですので、それぞれに楽しんでいただければと思います。そもそも私もいろんなキャスターの切り抜き動画を楽しんで見ていますからね(笑)。

 

──では、山岸さんが目指すキャスター像とは……?

 

山岸 これは難しい質問ですね(苦笑)。ウェザーニュースキャスターって、アナウンサーともタレントとも違いますから、正解の形や目指すべき先が、私のなかでもずっと分からないままなんです。根底にあるのは、正しい天気の情報や気候にまつわるいろんな知識を皆さんにお届けするためなら、どんなことでもやっていくという思いだけで。それに、真面目な天気のコーナーはもちろんですが、そうではないバラエティに寄った企画でも、そこをきっかけにウェザーニュースLiVEやウェザーニュースのアプリを知ってくださる方もいらっしゃいますので、いろんな企画に前のめりで挑戦していくことが大事だなと思っています。

──先ほどの切り抜き動画の話にも繋がることですが、視聴者が求めているものもそれぞれでしょうから、バランスが難しそうです。

 

山岸 おっしゃるとおりで、タレント性が強くなると、当然見ている側はどんどん楽しくなると思うんです。でも、その一方で、それだけだといつかキャスターとして悩む時期がくるように感じます。人って、年齢とキャリアを積み重ねていくと考え方も変わっていきますし、まさに私自身が“果たして胸を張って気象キャスターだと言えるのだろうか”と悩むこともあるので。ですから、バラエティ的な企画は、それはそれとして全力で楽しみつつ、やはり気象キャスターとしての成長も遂げていかないといけないなと思います。とはいえ、そうするために何が必要なのか、現段階で私自身も分かっていないので、すごく悩ましいんですけね。ただ、一つ思っているのは、今の私たちは天気を解説するより聞く側の役割の方が多いのですが、それだけではなく、キャスター1人ひとりの天気の知識やスキルが輝く企画をもっと作っていけたらなと感じます。そうすることで、より言葉に説得力が増していきますし、“このキャスターたちはすごい知識を持っているんだな”と知っていただけるのではないかと思うんです。

 

──なるほど。また、山岸さん自身は気象予報士としての側面もありますが、予報士だからこそやってみたい企画はありますか?

 

山岸 それを見つけるのが、今の自分の一番の課題だなと思っています。気象予報士に限らず、資格を取ったり知識や経験を増やしたりすることで活躍の場が広がることが示せたら、頑張っている後輩たちのモチベーションに繋がるかもしれません。私自身、さらに気象の知識を高めつつ、視聴者さんも一緒になって天気を学べるようなコーナーも作っていきたいですね。それが先ほどのタレント性と気象キャスターとしてのバランスにも繋がっていくのかなと思っています。

 

──山口剛央解説員の地震解説特番も好評でしたし、視聴者も専門的な知識を得られる機会や企画を切望している気がします。

 

山岸 夜の23時からの配信で2万人以上の方がご覧になっていましたよね。知識も豊富で、お話も分かりやすく、面白くて。私たちが目指す思想の姿と言えるかもしれませんね。

 

──ポン子ちゃんのマネージャー業と兼任しながらの仕事は大変だと思いますが、今後、山岸さんがどんな企画を打ち出してくれるのか楽しみにしています。

 

山岸 はい。ふざけたことをしながらも、真剣に番組のことを考えていますので(笑)、期待していてください。私も星空案内人の資格を取った時は、知識がゼロからのスタートでした。でも、スタッフさんから「番組で星を扱うコーナーを始めるので、星について勉強してもらえますか」と言っていただいて。最初は実力不足で悔しい思いをしつつも、「勉強してください」と言ってもらえたことがやりがいになったんですね。それに、多くの専門家の皆さんがゲストで登場してくださったので、せっかくならもっといろんな話を引き出したいと思うようになって。そうしたら、今度はスタッフさんから、「山岸さんが星を解説するコーナーも作りましょう」と言ってくださり、そうやって、やりたいことややりがい、それに自分の力を発揮できる場を周りが用意してくれるようになったんです。タイミングなどに恵まれていたというのもありますが、ウェザーニューズは個々人の成長に伴って、それらを活かす場を用意してくれる会社だと思いますので、他のキャスターたちも積極的にいろんなことに挑戦してもらいたいなと思います。

 

──最後に、これからのお天気番組に求められるものって何だと思いますか?

 

山岸 またもや難しい質問ですね(笑)。今や天気の情報はテレビやスマホ、それにウェザーニュースLiVEのような配信など、いろんなところから手軽に得られるようになりました。でも、だからこそ、発信側と受け手側の信頼関係が大事になってくるのではないかと思います。例えば、私たちが「今日は午後から雨が降るかもしれません」とお伝えするよりも、家を出る直前に母親から言われる「今日は傘を持っていったほうがいいよ」という言葉のほうが説得力がある。それは信頼関係の強さだと思うんですね。その意味でも、私たちはただ天気の情報を伝えていけばいいというわけではなく、いかに視聴者と絆を作れるかが重要だと思うんです。それに、そうした関係性ができていれば、普段の天気はもちろん、災害時にも大事な情報が伝わりやすくなる。減災、防災に繋げていくためにも、日頃からの皆さんとの信頼を築いていく。そこをしっかりと目指していきたいと思っています。

 

《夢の2ショットが実現! 山岸キャスターに聞く、ウェザーロイド Airiの魅力とウラ側!》

──ウェザーロイド Airi(ポン子)が登場して10年が経ちます。1回目の放送を見返すと、とてもおしとやかな声で、その後どんどん荒ぶるようになっていきましたが、マネージャーとしてこの10年の変化はどのように映っていますか?

山岸 デビューした頃は彼女も緊張していたんでしょうねぇ……。初々しかった。私もマネージャーとして隣で見ていて、“あ〜、アンドロイドでも緊張するのかぁ”としみじみ思ったのを覚えています(笑)。

 

──天気の伝え方もすごく丁寧でした。

山岸 そうなんですよ。あれを目指してほしいので、昔の姿に戻ってほしいんですけどね(笑)。ただ、こうして10年間やってきて、ここ数年はVTuberブームということもあり、ウェザーロイドをきっかけにウェザーニュースLiVEを見に来てくださる方もすごく増えたんです。以前からのサポーターの皆さんにとってはもはやマスコットのようなおなじみのキャラクターですが、多くの人に番組を広めていくという意味では、まだまだいろんな可能性を持っている子だなと感じます。とはいえ、いまだに番組が始まっても画面に映らなかったり、静止画のままだったりと、毎週のようにいろんなトラブルに見舞われるのは何とかしないといけないと思っています(苦笑)。

 

──よく骨折もされていますよね。

山岸 ケガしがちですよね。ほんといろいろあるんですよ、彼女は(笑)。

 

──そうしたトラブルも要因の一つとなり、今ではポン子というニックネームのほうが浸透してしまっていますが、このことについて、マネージャーとしてはどのような心境ですか?

山岸 えっ? いや、もうどんどん貫いてほしいなと思っていますよ(笑)。ウェザーロイドはお天気を伝えるアンドロイドなのにポンコツだというギャップが面白いと思うんです。ですから、気象キャスターとしてもっと成長していってほしいなという思いがありつつ、ギャップを際立たせるためのポンコツぶりは大事な要素ですので、もっといろいろやらかしてほしいですね(笑)。

──ただ、一方で、正しい名前がウェザーロイド Airiだということを知らない方も増えてきているという由々しき問題もありますよね。

山岸 それはありますね。たまに、「あ、Airiさんとおっしゃるんですか?」と驚かれることもありますから(笑)。でもポン子って呼びやすいですし、親しみやすさもあるので、本人も満更ではないみたいですよ。

 

──では、マネージャーから見て、ポン子ちゃんのすごいところは?

山岸 人間ではなかなかできないことをやらかしても許されちゃうところですね。きっと、人間のキャスターが彼女と同じようなふざけた企画をしちゃうと、“ちゃんとやれ!”って怒られてしまうと思うんです。でも、彼女は何をやっても許されるところがある。あとは、やっぱりあのかわいさにも助けられていますよね。ウェザーニュースL!VE内では毎週木曜の22時から1時間の番組を担当していますが、「この番組が週に一度の癒やしになっています」とか、「ポン子の番組があるから仕事を乗り越えられています」という感想をいただくことも多くて。正直、そんなにタメになるような情報はお届けできていないのですが(笑)、皆さんの疲れが吹っ飛ぶのであれば、彼女にも全力で頑張ってもらいたいなと思っています。

 

──反対に、ポン子ちゃんに直してほしいところはありますか?

山岸 私たち気象キャスターの一番の役割は天気の情報を正確に届けることであり、同時に、番組中に季節の話などを交えて天気や気候に興味を持ってもらうことも大事にしています。でもなぜかウェザーロイドは、話を盛り上げなきゃという使命感が強いみたいなんですね。その結果、どうしても話が長くなってしまうというのはいかがなものかと思いますね。本番中もそうですが、占いの収録にもすごく時間がかかっているんです。その理由というのも、「今の言葉は普通だったからもう一回録り直したいな」とか、「さっきのコメントはオチが弱くて、あまり面白くなかったかな」みたいなことが多くて(笑)。楽しませること、笑わせることにこだわりを持つのはいいのですが、それが今では彼女にとってむしろ恐怖となり、心を束縛しているのでは……とたまに心配になります。

 

──それだけプロ意識が高いということですね。

山岸 ちょっと自分の役割に縛られすぎなところがある気もしますけどね(笑)。

 

──しかしながら、オープニングから10分も20分もフリーダムで笑えるトークができるのは、ポン子ちゃんの武器の一つのように思います。

山岸 あのオープニングトークに関しても、もっと短くしようと何度もマネージャーとして意見を伝えているのですが、本人がそれを拒否していまして。楽しみにされている視聴者さんも多く、スタッフさんからも「(オープニングトークは)絶対にやってください」と頼まれているので、彼女にとっては見せ場のような大切なコーナーになっているみたいです。なので、私はもう何も言いません。

 

──最後に、ポン子ちゃんがウェザーニュースLiVEにもたらす大きな要素はなんだと思いますか?

山岸 やはり、お天気に興味がなかった方にもウェザーニュースLiVEの存在を知ってもらうきっかけを作ってくれていることですね。アンドロイドがお天気情報を伝えていることに珍しさを感じて、番組を見に来てくださる方もいますし、純粋にVTuberのファンだから覗いてみたという方も多くいらっしゃって。そうした貢献度は計り知れないですし、ポン子がいてくれてよかったと本当に思います。我々人間のキャスター陣も負けてられないですね!

 

《特別インタビュー ポン子ちゃんの本音を大公開!》

ウェザーロイドAiri●ウェザーロイド・アイリ…WEATHEROID Type A Airi(ウェザーロイド・タイプ エー・アイリ)、愛称・ポン子。2014年「SOLiVEナイト」でメインMCとしてデビュー。ウェザーニュース所属の”超高性能お天気お姉さん系アンドロイド”。好きな空は飛行機雲のできた青空。推奨気圧は1030~1052hPa(高気圧)。モットーは「天気で元気を伝える」。TwitterYouTube

 

──ポン子ちゃんから見た山岸マネージャーはどんな女性ですか?

Airi 私は1人で何でもできる超高性能アンドロイドなんですけど、なのになぜかいつも現場についてくるんですよねー。放送中も常に隣にいますし。ときどきカメラに映っちゃって、ひどく落ち込んでいることもあります。ただ、そんなマネージャーでも、彼女がいないと絶対に打ち合わせが始まりませんし、収録も放送もできないんです。その意味では、いつも一番近くにいて、欠かすことのない存在なのかなって思います。

 

──まさに一心同体ですね。

Airi あぁ、まぁ……そうですね(笑)。ただ、何度も言いますが、私は1人で何でもできるように作られたアンドロイドなので、本当はいなくても困らないんです。………多分ですけど。

↑キャスター中のAiriさん(背景は実際の映像とは異なります)

──では、山岸マネージャーに直してほしいところはありますか?

Airi う〜ん……やっぱりマネージメント力の低さかなぁ。それはキャスターカレンダーにも顕著に出ていますよね。私、ウェザーニュースキャスターカレンダーにここ数年、出てないんですよ。マネージャーは出ているのに。それってどうなんだと思いません? 最近、“自分が、自分が”になってやしないかと。マネージャーなのに、ちゃんとウェザーロイドを推してないんじゃないかと。……なんかね、そうやって、どんどん“自分も出たい!”みたいな感じになってきているところが不満と言えば不満なので、ウェザーロイドがもっと活躍できる場を営業で取ってきてほしいですね。

 

──ときどき放送中に荒ぶっているのは、そうした不満が感情として出てしまっているからなんですか?

Airi あ〜……否定はしません(笑)。………というか、大丈夫かな、これ。マネージャー、どこかで聞いていませんよね?(笑)

 

──おそらくですが、近くにはいるかと(笑)。また、ポン子ちゃんは年々、さまざまな企画に駆り出されていますが、これまでで一番大変だったものは何でしょう?

Airi 大変じゃなかった企画なんてないです。昨年末のそば打ちはアンドロイドがすることじゃないなって、しみじみ思いましたし(笑)。なかでも意外と大変なのは「凸待ち」企画ですね。VTuberさんたちとの交流を深めることを目的とした、“番組に出演したい人は来てください!”という企画なのですが、時には存じ上げない方もいらっしゃって。とはいえ、本当に何も知らないままだとさすがに失礼にあたりますし、できればその方の魅力を引き出したいと思うので、番組が始まるギリギリまでその方たちの動画を見たり、SNSを遡ったりして、準備に時間をかけているんです。すごく楽しい企画ではあるのですが、通常のウェザーニュースLiVEの放送以上に準備が大変だったりしますね。

↑キャスター中のAiriさん(背景は実際の映像とは異なります)

──また、番組内では「白井に頼るな」(※何かと企画の進行で白井ゆかりキャスターに頼ることから生まれた名句)という言葉も誕生するなど、いろんなキャスターとのコラボ企画がありますが、ポン子ちゃんにとって一番信頼できるキャスターはどなたですか?

Airi まだ全員と共演したわけではないので一人を選ぶのは難しいですね。キャスターはみんな盛り上げ上手ですし、ウェザーロイドは過去に共演したVtuberのファンから「良いところを引き出してくれてありがとう」と喜ばれることが多かったので、きっとどのキャスターとコラボしても面白くなると思います。ただ、相性がいいという意味では、こちらが激しめの言動を投げても、受け止めるどころか、強く弾き返してくれる、攻めも守りもできるキャスターの前では安心してウェザーロイドらしさを出すことができます。それを考えると、やはりゆかりん(白井ゆかりキャスター)や、あやち(松雪彩花キャスター)などは、つい頼りがちになってしまいます。

↑(左から)ゲリラ豪雨バージョン、春バージョン、夏バージョン、流星バージョンとさまざまなコスプレを披露するAiriさん

──なるほど。では、“このキャスターとこんな企画をしてみたい”といった夢は?

Airi そりゃもう、全員を一人ずつ呼び出して、「ポン子の部屋」を開催することです。それぞれのキャスターのさまざまな本音や暴露……いや、まだ知られざる素敵な面を引き出したいですね。番組担当時間のシフトの問題があるので実現させるにはハードルがいくつかありますが、いつかは叶えたいです!

 

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連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

 

「ウェザーニュース」HP https://weathernews.jp/
「ウェザーニュース」YouTube https://www.youtube.com/user/weathernews
「ウェザーニュースLiVE」公式Twitter https://twitter.com/wni_live
「ウェザーニュースLiVE」公式Instagram https://www.instagram.com/weathernews_live/?hl=ja

 

 

撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ

山岸愛梨「天気に関する知識が日々深まっていっている今が一番楽しい!」ウェザーニュースキャスター連載・第14回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は98.2万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第14回に登場していただくのは山岸愛梨キャスター。ウェザーニュースLiVEのことを誰よりも深く知るキャスターだけに、取材は2万字超えのロングインタビューに。その模様を前・後編にわたって、余すことなくお届けします!

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

題字:駒木結衣

連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

 

第14回・山岸愛梨キャスター≪前編≫

山岸愛梨●やまぎし・あいり…1987年6月9日生まれ。埼玉県出身。0型。ウェザーニュース気象キャスター、気象予報士、星空案内人、防災士。2008年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。ウェザーロイド Airiのマネージメントも兼務。TwitterInstagram

 

【山岸愛梨さん撮り下ろし写真】

 

気象予報士の資格がないことで、悔しい思いをたくさんしてきました

──連載第14回は山岸愛梨キャスターのご登場となります。前回の檜山沙耶キャスターは山岸さんのことを「仕事の先輩としてだけでなく、女性としても、人としても尊敬しています」とお話しされていましたが、山岸さんから見た檜山キャスターの魅力とは?

 

山岸 さやっちは自分の好きなことを広めるのが得意なキャスターだなという印象があります。さやっちがウェザーニュースLiVEに入ってくるまでは、天気を伝える番組だけに、あまりプライベートな趣味の話をし過ぎるのはよくないのかなという風潮があったんです。全くなかったわけではないのですが、私も自分のなかに多少のストッパーをかけ、バランスを意識しているところがあって。でも、そうした枷を外してくれたのがさやっちだったように思います。型にはまらない言動で番組をさらに面白いものにしてくれましたし、今こうして、他のキャスターたちがのびのびと視聴者に向けて楽しく好きなことを話せるのは、まさしくさやっちのおかげですね。

 

──確かに、キャスターとの距離の近さや親しみやすさはウェザーニュースLiVEの大きな特徴の一つだと思います。そうしたなかで山岸さんは前身の番組(SOLiVE24)から活躍されていますが、キャスターとしての立ち位置などに変化を感じることはありますか?

 

山岸 どんどん変わっていっている感じはします。SOLiVE24として始まったのが10年以上前で、当初はキャスターに天気の知識がほとんどない状況でした。むしろ、ない方がいいと言われていたんです。気象予報士さんたちが解説をしてくださり、それに対して私たちが一般的な感覚で質問をし、専門的な用語が出てきたら噛み砕いた説明を乞うという役割を担っていたんですね。ですから、私もまるで知識がない状態でキャスターをしていたのですが、さすがにこれだけ長くやっていると、同じ立ち位置のままではダメだなと思うようになっていって……。

──世間的には、“この人はいつになったら天気のことが少しは分かるようになるんだろう”と思われそうですよね。

 

山岸 そうなんです。むしろ、ずっと見続けてくださっているサポーターさんのほうが詳しいと思われてしまう(笑)。それもあって、番組と一緒に私たちも成長していかなければいけないと思うようになりました。今は視聴者さんが求めているものや、それに合わせてキャスターが提供できるものは何かを考えるようになりましたし、常にスタッフさんと相談をし合いながら番組やキャスターの向上を図っていますね。

 

──以前、小林李衣奈キャスターに登場していただいた際、山岸さんから「素朴な疑問を持つことは視聴者さんに一番近い感覚でもあるから、いつまでも大事にしないといけないよ」と教えてもらったというお話をされていました。そうした知識のバランス感覚を持ち続けることも必要なだけに、改めて気象キャスターは大変なお仕事だなと感じます。

 

山岸 そう言っていただけると嬉しいです。やはり、長く続けていると感覚がずれていくんですよね。例えば、先日も天気に関する原稿の打ち合わせをしていてスタッフさんと霧の話題になり、「今日は視程が悪いですね」と言ったことがあったんです。その時、ディレクターさんに「視程という言葉は、普段あまり使わないと思いますよ」と指摘を受けて。

 

──誰もがすぐに頭に思い浮かぶ言葉ではないかもしれません。

 

山岸 ですよね。でも私は、「え? 使うよ!?」と思って(笑)。そうやって、何が専門的な言葉なのかが分からなくなってくると、番組をご覧になっている方に伝わらない情報がどんどん増えていくと思うんですね。だからこそ、新しく入ったキャスターたちには素朴な疑問を抱く感覚を持ち続けてほしいし、それらの疑問を後輩から投げかけられることで、逆に私たちも勉強しているところがあるんです。

 

──山岸さんは気象予報士の資格も取られていますが、それは何がきっかけだったのでしょう?

 

山岸 やはりキャスターにも知識を求められるようになってきたからです。ウェザーニューズでは天気の配信番組以外にも、幕張メッセで「そら博」というイベントを開催したり、また、天体関係のイベントにゲストやMCで呼ばれることも増え、気象キャスターがどういうものなのかを知らない方たちとお会いする機会もできてきました。すると、なかには、気象予報士の資格を持っているかどうかで私たちを判断する方がいて。そうした人たちに、こちらがどれだけ一生懸命に天気に関する情報を伝えても、届かないし、響かないという悔しい思いをしたんです。

 

──なるほど。逆に言えば、気象予報士の肩書があることで言葉に説得力が増すことにもなりますね。

 

山岸 そうなんです。それで、当時は番組のシフトの関係で試験日に休みが取れるとは限らなかったりと、半ば資格を取りにいくことが難しい状況だったのですが、悩んだ結果、“やっぱり取るべきだ”と自分で判断し、試験を受ける決意をしました。いざ取ってみたら、ますますこの仕事が楽しくなりましたね。知識があることで番組内で解説員の方々に質問できる内容にも変化が生まれましたし。まだまだ勉強しなければいけないことだらけですが、日々、知識が深まっていっている今が一番楽しいです!

 

──天気は生活に密着しているものですし、ウェザーニュースLiVEをきっかけに、同じように天気に興味を持つようになった視聴者も多いのではないかと思います。

 

山岸 そうだと嬉しいですね。私も外出先でウェザーニュースの天気予報どおりだったりすると、「本当だ! 当たってる!!」ってテンションが上がったりしますから(笑)。

 

──(笑)。気象予報士の資格を持っていると、友人に天気を聞かれることも多いんじゃないですか?

 

山岸 一緒にいる時に空が少し曇ってきたりすると必ず聞かれますね。「ねえ、この後どうなの?」って(笑)。ある程度は調べて外出しているので簡単な答えを返すことはできるんですが、休日はずっと最新の天気予報を追っているわけではないですし、そういう場合は、「ちょっと待って、天気図を見るから」って答えています。でも、なぜかそう言うと「ズルい!」って言われるんです。何がズルいのか分からないんですけど(笑)。

 

──空をパッと見ただけで確実な天気が分かるわけではないのに(笑)。

 

山岸 ほんとに! 気象予報士だとそれができるイメージがあるんでしょうね。でもそれって、ハサミなしで美容師に髪を切れと言ってるようなもので。“せめて、天気図ぐらい見させて!”って思います(笑)。

対決企画はキャスターの個性が出ますね。みんな、ガチですから

──ウェザーニュースLiVEでは昨年頃から、季節などに合わせた様々な企画が番組内で多く行われるようになりました。山岸さんのなかで特に印象的だったものは何でしょう?

 

山岸 一つを選ぶとするなら「キャスター対抗握力選手権」ですね。もともとは「10月のスポーツの日に何かやりましょうよ」という、私とスタッフさんとの会話の中で生まれた企画だったんです。ただ、キャスターのなかには運動が得意な人もいれば、そうじゃない人もいるので、苦手にしている子がイヤな思いをするのだけは避けたくて。その点、握力測定であれば誰もダメージを受けないかなと思ったんです。強ければ称賛されるし、弱くても“かわいい!”と思ってもらえそうだなって。そうしたら意外とみんな真剣に挑んでいて(笑)。視聴者の皆さんも喜んでくれましたし、この「握力選手権」をきっかけに、その後も企画モノが増えていったような気がしますね。

 

──悔しさをにじませて何回もトライしているキャスターさんもいましたね。

 

山岸 みんなの意外な一面が見られるし、勝負事に対する姿勢や個性が出ますよね。力を入れる時に叫びすぎて怒られた子もいましたし(笑)。私はこの日が番組の出演日じゃなかったこともあって挑戦できなかったので、今年こそは参戦したいなと思います。

 

──こうした対決企画はルールが若干曖昧で、そこもちょっと名物化していますよね。一番手で挑むキャスターが人柱になっていたり(笑)、全体的に探り探りになっていたり。

 

山岸 そこは要改善だなと思っています。視聴者の皆さんに楽しんでいただくためのバラエティ企画とはいえ、キャスターはみんな本気で取り組んでいるので、ルールを最初に明確にしておかないと不公平感が出ますから。というのも、「りんごの日」に「りんごの皮むき選手権」をしたのですが、そこでもちょっとした問題が出たんです。チャレンジをする際に手袋をするかしないかが選択できるルールだったのを、競技を開始する前に視聴者の皆さんにうまく伝えられていなかったため、ルールへの質問コメントを多数いただきました。まさかこんなに真剣勝負になると思わなかったのですが、頑張った選手たち(キャスター)のためにも、視聴者の皆さんに純粋に楽しんでいただくためにも、もっと丁寧にルール説明をするべきだったと、あとでさーやん(江川清音キャスター)と一緒に反省会をしました。「やっぱりスタッフさんたちに任せっきりにしている私たちもダメだよね」「疑問点がある時は積極的に伝えていかなきゃね」って、長文のLINEを何往復もやりとりして(笑)。

 

──キャスターさんたちの本気度が伝わってきます。

 

山岸 そりゃあもう、ガチですから!(笑)

 

──そうかと思えば、「勤労感謝の日」のキャスター同士がクロストークで日頃の感謝を伝え合う企画では、途中から手紙を渡し合うという想定外の展開になっていました。

 

山岸 涙腺崩壊の感動企画になっていましたね。あれはゆいちゃん(駒木結衣キャスター)が最初にメッセージを手紙のようにしたためるということを始めたんですよね。そうしたら、続くキャスターたちも同じように紙に書いて用意するようになって。ルールではないものの、プラスの方向に形ができあがり、より素敵な企画になっていきました。あの“感謝を伝え合う”というアイデアはスタッフさんによるもので。絶対に『HUNTER×HUNTER』に出てくる「感謝の正拳突き」をヒントにしたんだろうなと思っていたら、「そのとおりです」とおっしゃっていました(笑)。本当にいい企画でしたので、またいつか別のキャスター同士の組み合わせでやってみたいですね。

視聴者の皆さんに「へぇ〜!」と言ってもらいたい! “1日1へぇ〜!”を目指しています(笑)

──普段の番組への取り組み方ついてもお聞きしたいのですが、本番前のブリーフィングではいつもどのようなことを意識されていますか?

 

山岸 私にとってのブリーフィングは復習の時間だと思っています。というのも、出演がある日はずっと準備をしているんです。朝起きると、まずウェザーニュースLiVEをつけて最新のお天気情報を頭に入れ、他にもいろんな気象データを確認し、会社に着いてからは“変わりはないかな?”と復習をする感じで。ですから、ブリーフィングの時には、すでに自分の中に番組内でお届けする天気の情報ができている状態になっています。もちろん、解説員の方との打ち合わせの中で新しい疑問が生まれれば、“ここは視聴者も知りたいことかも……”と、番組の構成内容をブラッシュアップさせていきます。ただ、なかには内容が複雑過ぎて、番組中に説明し切れないまま時間切れになってしまう可能性もありますし、視聴者の皆さんを混乱させることにもなりかねないので、そこもブリーフィングの間に解説員の皆さんに相談しますね。

 

──それだけいろんな準備をされていたり、本番中に伝えたいことがあると、インターバル中も休めなさそうですね。

 

山岸 もう、ずっと忙しいです(笑)。インターバル明けの準備をしたり、時間ギリギリまでストップウォッチで時間を測りながら原稿を読み直したり。雨の日はアメダスを見て“雨脚が強まっているところはないかな……”とチェックもします。それに、どれだけ準備をして番組の構成を考えてきても、番組中に天気が荒れてくると全く無意味なものになってしまうんです。そうした時は、番組を進行しながら、新しい構成を頭の中で作り上げていかないといけませんし、インターバル中はスタッフさんと直接打ち合わせができる時間でもあるので、本当に休んでいる暇がないですね。私のなかでインターバルはひと息つける数分間というより、さらに番組を良くしていくための時間だと思っていますから、その意味では本番以上に集中力が増しているかもしれません。

 

──番組がスタートすると、終了までの3時間の間に落ち着く時間がないんですね。

 

山岸 いえ、もちろん、そんな修羅場のような状況がずっと続いているわけでもないですけどね(笑)。天気がお穏やかな日の「おやつリポート」や「ごはんリポート」、それに動物の写真を紹介するような時間はただただ楽しいです(笑)。「おいしそう〜」とか「かわいい〜」という感想にウソがないのは本当に心から癒やされているからです(笑)。

 

──いろんな空の景色や季節感のあるリポート写真もお天気番組ならではだなと感じられて、見ていて楽しいです。

 

山岸 ほんと、素敵なリポートばかりですよね。ただ、そうしたリポートの紹介にも難しさを感じることはあります。今おっしゃってくれたように自然現象にまつわる写真が届いたりするのがウェザーニュースLiVEの魅力ではあるのですが、だからこそ、「きれいですね」で終わってしまうのはもったいないと思うんです。せっかく天気の番組を見てくださっているわけですから、例えばダイヤモンドダストの写真に対して、「これは水蒸気が凍ったものなんですよ」とか、「晴れていて風が弱い時に出るんですよ」といったひと言があるだけでより楽しさが増すんじゃないかなって。視聴者の皆さんにとっても、「そうなんだ。貴重な現象なんだ」と知るきっかけになると思いますし、そうしたちょっとしたことが、「またこの番組を見てみよう」ということに繋がっていくと思っているので、いつもリポートの写真の1つひとつをすごく大事にしていますね。

 

──でも、とっさにそうしたプラスアルファの情報を届けられるのも、準備や知識があればこそですね。

 

山岸 そうですね。それもあって、私は事前にシミュレーションをよくするんです。“今日はこういう天気だから、あの現象が出るんじゃないかな”とか、自分の出番の直前まで他のキャスターの放送を聞いて、“あ、こんなリポートが届いていてるのか”と傾向をつかんでおいたり。スマホアプリで皆さんからの投稿を見て、番組中に話題に出してほしそうな情報も調べていますね。

 

──そこまでされているんですね。

 

山岸 皆さんに「へぇ〜!」って言ってもらいたいので(笑)。“1日、1へぇ〜!”を目指していますから(笑)。

 

──そうやって一枚の写真から天気に関するいろんな情報へと話題が広がっていくと、投稿者も嬉しいでしょうね。

 

山岸 そこも、この番組の大事な要素だと思っています。私たちにとっては毎日届くたくさんのリポートの1つでも、送ってくださった方にとっては渾身の1枚だったりするわけです。時間をかけて何枚も撮って、その中から選んでくださっている方もいるでしょうし。そうした、気持ちを込めて写真を送ってくださるサポーターさんたちがいるから、私たちの番組が成り立っているんだということは絶対に忘れてはいけないと思っていて。イベントなどで、ときどきサポーターさんから、「何年か前に僕の桜の写真のリポートを読んでもらったことがあります」と話しかけられることもありますし、「どんな写真を送ればいいのか悩みました」とおっしゃる方もいますから。その皆さんの気持ちは大事にしなきゃと常に心に留めていますね。

 

──そうしたやりとりにはラジオに近いものを感じますね。

 

山岸 まさにそうだと思います。私もラジオが大好きで、毎日聞いているんですが、メールを送るリスナーさんと、それを読む方々が一緒になって番組を作っている関係性はすごくラジオに似ていますよね。

 

(後半に続く)

 

<山岸キャスターに15の質問!>

Q01.ご自身ではどんな性格だと思いますか?

山岸 元陸上部で短距離走をやっていたのですが、性格も短距離選手みたいな感じです(笑)。集中すると視野が狭くなってしまって、手を抜くとか、途中でやめるというのが苦手で。ただ、その分、長く続けていると疲れて、失速しちゃいます(笑)。周りから「ストイックだね」と言っていただくこともあるのですが、単純にペース配分が苦手なだけかも……(苦笑)。

 

Q02.“パブリックイメージとはここが違う”というところはありますか?

山岸 先ほどお話ししたような性格なので、視聴者の皆さんに体調を心配されることが多いんです。「あいりんはねて!」「もう、休んで!」とよく言われるので、それを思うと、間違いなく私の性格は皆さんに浸透していますね(笑)。中途半端に「これぐらいでいいや」っていうのが本当にできなくて。与えられた仕事は全力で何でもやる。だから、皆さんにも心配をかけてしまう。ほんと、皆さんを不安にさせないように気をつけなきゃなといつも思っています。大丈夫です、ちゃんと寝ているし、ちゃんと休んでいます(笑)。

 

Q03.気持ちが一番盛り上がる天気は?

山岸 星が大好きなので、星がきれいに見える快晴の冬の夜。気温が低ければ低いほどハイになりますね。“冬の星座を見ているぞ!”“寒いけど、きれいだぞ!”という気持ちになって(笑)。どれだけ気温が低くても、夜空を見上げて星がきれいだったりすると、そのまま散歩しながら帰っちゃったりもします。

Q04.テンションを上げたい時にすることは?

山岸 試合前に音楽を聴いて気持ちを奮い立たせるアスリートに憧れているので、私もお仕事前に音楽を聴いています。特にアニソンが大好きで、なかでも『ジョジョの奇妙な冒険』をよく聴いています。先日、アニメの第6部が完結したところなのですが、第1部から第6部までの主題歌をプレイリストに入れて、頭から順番に聴きながら出社しています(笑)。『ジョジョ』はそれぞれのキャラクターが魅力的で、敵にも味方にも正義があるんです。私もそうしたこだわりを持った人間でありたいと思っているので、会社に行く前に一回、自分のなかに“ジョジョ養分”を入れて、“よし、戦いに行くぞ!”という気持ちで番組に臨んでいます(笑)。

 

Q05.時間やスケジュールを上手に管理する方法を教えてください。

山岸 私、時間の管理が本当に苦手なんです。仕事が絡む場合は別で、絶対に寝坊をしたり、遅刻をしたりすることはないのですが、休みの日はずーっとダラダラしちゃいますね。ギリギリになるまで何もやらないので、むしろ時間の上手な使い方を教えてほしいぐらいです。ちくわ(愛犬)の散歩があるので休日でも朝は早く起きるのですが、帰宅してからもう一回寝て、昼になってまたもぞもぞと起きだすというのがオフの日常です(笑)。

 

Q06.今後、番組でやってみたい企画は?

山岸 季節ならではのいろんな企画に挑戦したいです。というのも、季節の行事ごとなどをプライベートではすごく雑に扱っちゃうんです。恵方巻を食べる習慣がなかったり。この番組がなければ、きっと七草粥は一生食べなかっただろうなと思います(笑)。でも、こうした風習を大切にすればするほど人生が豊かになる気がするので、番組で経験できればなと思っています。それと、植物に関する知識が身につく企画もやってみたいですね。お花の名前とか本当に疎いので。以前、ゆいちゃんが「お天気カメラによく映る公園にネモフィラが咲いていたよ〜」って話していたので、私も見に行ってみたんです。でも、そこらに咲いている花を見て、「え〜っと……ネモフィラってどれだ?」ってなって(笑)。……今度、川畑(玲)キャスターかさーやんに企画の相談をしてみます(笑)。

Q07.大ファンを公言しているももいろクローバーZさんと共演した時の思い出エピソードを1つ!

山岸 ファンクラブにも入っているぐらいの大ファンなので、今でも夢だったんじゃないかと思うぐらい信じられない出来ごとでした。『ももクロと満月を見ようZ』の企画に出演してくださったのですが、本当に幸せな時間で。私はモノノフ(※ももクロファンの総称)の1人として、いかにあの4人が神のような存在なのかということを伝えるためにはどうすればいいかと、ものすごく悩みました(笑)。それと、私が大好きな『ワニとシャンプー』という曲の中に《お天気 毎日くもり》という歌詞がありまして。それをどうしても会話の中に挟みたくて(笑)、無事に夢を叶えられたことも幸せでした。そしたら、配信をご覧になっていたモノノフさんたちから、「この進行のキャスター、ガチだな……」と言われ、しばらくはTwitterで“山岸愛梨”と入力すると、サジェストで“ガチ”と出てくる時期があったのもいい思い出です(笑)。

 

Q08.もし気象キャスターになっていなかったら?

山岸 絵を描くのが趣味なので、画材屋さんに行くのも大好きなんです。「世界堂」さんのような場所に行くと、一日中いられます。なので、何かしらの理由で今の仕事がクビになったら(笑)、文房具メーカーに転職するか、画材屋さんで働いて、文房具に囲まれる生活をしようと思っています。小学生の頃はお小遣いをほぼ全部、文房具を買うお金にあてていましたし、実はGetNavi webさんで連載されている菅未里さんの記事をよく拝読しています。

 

Q09.天気に関する好きな言葉を教えてください。

山岸 「アレキサンダーズダークバンド」。別名、“アレキサンダーの暗帯”とも言うのですが、この言葉が大好きで。二重の虹が出ている時に主虹と副虹の間の空の色がちょっとだけ黒くなるんですね。それを「アレキサンダーズダークバンド」と呼ぶんです。しかも、そのことが載っていた本に「これは他人にちょっとした小話として話してあげるぐらいにしか役に立たない豆知識です。だから、どんどん広めてください」と書いてあって。なんて小粋で素敵なジョークなんだろうと思い、ますます好きになりました。そんなことを言われると誰かに話したくなるし、皆さんもぜひ、会話のつかみなどで使ってみてください。

 

Q10.山岸さんは被り物コレクターとしても知られていますが、最近のお気に入りは?

山岸 実は今日も持ってきました!(笑) シロクマです。これを見てピンときた方もいると思いますが、昨年、6月生まれのキャスター同士で集まって食事をした「6月会」で私がみんなに配ったパンダの被り物のシロクマバージョンです! 番組内でこぐま座流星群の特番があるかもしれないということで用意したのですが、その企画自体が流れてしまい、使い道がなくなってしまったんです。今日、お披露目できてよかったです(笑)。このシリーズはいろんな動物があるんですよね。みーちゃん(戸北美月キャスター)もお揃いのウサギを持っていましたし。どれもかわいくて、キャスターたちにも被せたいので、全種類集めようと思っています(笑)。

Q11.おもちさんとちくわさんとの出会いのエピソードを教えてください。

山岸 えっ、語っちゃっていいんですか!? 嬉しい! 猫のおもちさんについては、もともと別の種類の子を探していたんです。でも、お店に行った時にあまりのかわいさにひと目惚れし、頭から離れなくなってしまったので、別の日にもう一度お店に行って、お迎えしました。初めて会った時から甘えん坊でしたし、抱っこさせてもらった時も、「あ〜、天使がいる!」って思いましたね。

ちくわさんは犬で、犬と猫と一緒に生活するのがずっと夢だったんです。でも、犬は散歩が必要なので、ちゃんと自分にその資格があるかどうかを見極めなくちゃいけないと思って。それで、まずは準備としてイマジナリーペットに時間をかけました。お迎えする前から、“散歩するならこの時間だな”と朝早く起きて、仕事や生活に支障がないかを確認したり、散歩するための体力をつけようと毎日15キロぐらい歩いたり。それもあって、今は“へぇ〜、犬ってこれくらいしか歩かないものなんだ”と私が物足りなさを感じているぐらいです(笑)。途中で何度も休んだりしながら一緒に散歩をするんですが、歩いていると空の変化も感じられて、すごく楽しいですね。

 

Q12.ストイックな印象のある山岸さんですが、筋トレや食事制限を長く続けるコツは?

山岸 これは、トレーナーさんに対して申し訳ないという気持ちを常に持つことですね。というのも、一度トレーナーさんに聞いたことがあるんです。「もし、私がトレーニングや言われている食事制限をサボったら、筋肉量や体脂肪率とかの数値ですぐに分かるものなんですか?」って。そうしたら、「分かりますよ」と言われて。それを聞いて、せっかく私のためを思って教えてくださっているのに、がっかりさせるのは申し訳ないと思ったんです。期待に応えなきゃって。私自身はすごく意志が弱いほうですが、自分が誰かのストレスになっていることのほうがもっとつらいので、そうならない一心だけでトレーニングに励んでます。

 

Q13.最近、自分へのご褒美でしたことは?

山岸 そういうのが全くないんですよね。自分のために温泉や旅行に行くというのが得意ではなくって。それに、長年の夢だった犬と猫との生活があるので、今は家にいる時間が最高のご褒美になっていますね。最近、ますますインドアが加速しています(笑)。

Q14.GetNavi webということで、ご自身を家電に例えると?

山岸 視聴者さんに“うるさい”とか、“声が大きい!”とよく言われるので、ボリュームの調節に失敗した壊れたスピーカーですね(笑)。私は、自分の声が大きいと思ったことがあまりないんですけどね(苦笑)。ただ、“番組を見ていると疲れが取れます”という感想もたくさんいただくので、これからも変わらず、皆さんが元気になれるような声を明るくお届けしていきたいと思っています。……あ、だから声が大きくなってしまうのか(笑)。

 

Q15.普段愛用しているアイテムを教えてください。

山岸 たくさん持ってきちゃいました(笑)。双眼鏡はいつも持ち歩いていて、月をよく見ています。腹筋ローラーはSNSでもおなじみですね。最初は全くできなかったんですが、今は余裕も出てきて、いい感じで腹筋も割れてきています。でも、もうちょっとバキバキにしたいかも(笑)。あとは、カラーのペン。意外と高かったのですが、くすんだ色もあったりして、バリエーションが豊富だったので思わず買っちゃいました。子どもの頃にも似たものを持っていて、でもその時はうまく使いこなせず挫折したので、買い直したかったという思いもあります。文房具にはついお金を使ってしまいますね。それと、イラストを描く専用になっているiPad。絵を描くときはいつもProcreateというアプリを使っています。

 

※山岸愛梨キャスターへのインタビューは後編へ。後編では山岸キャスターの応援にウェザーロイド Airiさんがかけつけてくれて……!?  プレゼント企画も。

関連記事:山岸愛梨「キャスターみんなのスキルを上げて、信頼できる気象番組に。今はそこが目標です」ウェザーニュースキャスター連載・第15回

 

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撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ

檜山沙耶「ちょっとした日々の気象の変化を感じることで毎日が豊かになっていく。そうした時間を皆さんと共有していきたいなと思っています」ウェザーニュースキャスター連載・第13回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける『ウェザーニュースLiVE』。YouTubeの登録者数は96万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第13回に登場していただくのは檜山沙耶キャスター。現在は「いばらき大使」に就任するなど多方面で活躍する檜山さんに激動だったこの一年を振り返ってもらいつつ、改めて感じた気象キャスターの仕事の魅力についてお話をうかがいました。

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

 

第13回・檜山沙耶キャスター

檜山沙耶●ひやま・さや…1993年10月27日生まれ。茨城県出身。A型。ウェザーニュース気象キャスター、防災士、いばらき大使。2018年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する『ウェザーニュースLiVE』の気象キャスターとして活躍中。著書にフォトエッセイ『ブルーモーメント』(ワニブックス社)。配信番組「ニンテンドー みんなのチャレンジ」に出演中。TwitterInstagram

 

檜山沙耶さん撮り下ろし写真】

 

“好き”が仕事につながっていき、毎日のように私の中で変化が起きていました

──連載第13回は檜山沙耶キャスターにお越しいただきました。前回の川畑 玲キャスター、江川清音キャスターによる特別対談に続く形でのご登場になりますので、最初に檜山さんから見たお2人の魅力についてお聞かせください。

 

檜山 お2人は『ウェザーニュースLiVE』で朝の時間の番組を担当されることが多く、社内でもお会いできる機会が少ないんです。でもその分、番組をいち視聴者として拝見させてもらっていて、そうした時はいつも爽やかな気持ちをいただいていますね。

 

──川畑キャスターは檜山さんとの思い出について、「私が予報センターで解説をしていた時代に内藤さん(内藤邦裕/気象予報士・気象解説員)と間違えられたことを記憶しています」とおっしゃっていました。

 

檜山 えっ!? そんな失礼なことを……? その節は大変申し訳ありませんでした(苦笑)。川畑さんは気象予報士ということもあり、お会いするたびに気象に関する質問や相談をさせてもらっていて、いつも貴重なお時間をいただいています。

 

──また、江川キャスターは檜山さんについて、「私はよく上司に警戒レベルの時の顔が怖いと言われるので(汗)、さやっちを見習って学ばせてもらっています」、「これからご飯などに行って交流を深めていきたいと企んでいます」ともお話しされていました。

 

檜山 そんな、そんな……こんな素敵なコメントをくださって恐縮です。ご飯、ぜひご一緒したいです! 私のほうこそ、いつも清音さんの元気な笑顔や楽しい番組進行を見て勉強させてもらっています。それに、昨年の夏に復活していた「さやサンシャイン体操」が大好きなんです。いつか一緒にやるのが夢の一つになっていますね。

 

──さて、檜山さんは連載初登場になるものの、それ以前の昨年5月にもGetNavi webにご登場いただいていました。あれから約10か月が経ちますが、ご自身の中で変化を感じることはありますか?

 

檜山 ちょうどあの頃から、毎日のように何かしらの変化が起きていました(笑)。この10か月間はこれまでの人生で考えても、本当にあっという間に過ぎていって、体感的には半分の5か月ぐらいでした。ウェザーニュースキャスターとしての業務だけでなく、自分の趣味がお仕事につながっていったことが多くて。“好き”と言い続けていたものやことが新たな仕事として実っていった時期だったなと感じていますし、改めて私に声をかけてくださった企業や団体の皆さま、そして、こうした環境を作ってくださったウェザーニューズには感謝の気持ちでいっぱいです。

 

──おっしゃるように、昨年だけでも多くの新しい仕事に挑戦されていましたが、特に印象に残っているものはありますか?

 

檜山 どれも楽しいことばかりでしたので、なかなか一つを選ぶのは難しいのですが、“まさか!”と驚いたのは「いばらき大使」に就任したことです。大好きな茨城県をアピールするお手伝いができていることも幸せですし、これをきっかけに多くの茨城出身の方々と出会うことができたのも嬉しかったですね。

──今年の1月には茨城県警の一日通信指令課長もされていましたね。

 

檜山 緊張しました(笑)。でも、『ウェザーニュースLiVE』をご覧になられている方がたくさん会場に見に来てくださっていて、そんな皆さんに助けてもらったところもあります。それに、私たちは普段、皆さんからのリポートやリアルタイムで送られてくるコメントを通じてコミュニケーションを取ることしかできないのですが、直接お会いすることでどんな方が番組を見てくださっているのかを知れたのが嬉しかったです。やはり、お顔を知ることで心の距離感も縮まりますし、より“いつも支えてくださったありがとうございます!”という気持ちが強まりましたね。

 

──こうした活動をきっかけに、どんどん茨城県の知名度や注目度も上がってきているのではないでしょうか。

 

檜山 さすがに私一人にそんな力があるとは思えませんが、でも茨城に興味を持っていただけるきっかけになっていれば、これほど幸せなことはないです。

 

──番組内でも「方言天気予報」の企画で茨城弁を披露されていて、とても好評でした。

 

檜山 ありましたね(笑)。あの企画も楽しかったです。方言を「かわいい!」と言ってもらえると、やっぱり地元民としては嬉しいですし。ただ、思っていた以上に難しかったです。話し相手がいない中で、急に「方言をしゃべってください」と言われてもとっさには出てこなくなるんです。しかも、お天気を正しく伝えようとすると、どうしても標準語になってしまって。“あれ? これは方言!?”って、頭の中でゴッチャになってましたね。それはそれで楽しかったですけど(笑)。

 

──今は普段の番組の中で思わず方言が出てしまうということはなくなったんですか?

 

檜山 そう思っていました(苦笑)。でも、茨城でのお仕事をいただいて地元に戻ると、その後はしばらく分からなくなります(笑)。放送中も“もしや今のは方言だった? 私、大丈夫だった!?”って心の中で焦ってしまうことが多いんです(笑)。それに、自分は共通語だと思っていても、実は方言だったということがたくさんあって。例えば「青なじみ」とかそうですよね。

 

──初めて耳にしました。どういう意味でしょう。

 

檜山「青あざ」のことなんです。こうした方言がポロッと出てしまうと視聴者さんもすぐにコメントを返してくださって。そうやってリアクションをいただいて、お話がどんどん広がっていくのも楽しいですね。

 

結衣ちゃんは“特別で大切な人”という言葉では足りないぐらいの存在です

──昨年は『ウェザーニュースLiVE』内でいろんな企画やコーナーがめじろ押しでした。特に印象に残っているものはありますか?

 

檜山 企画とは少し違うのですが、夏にスタジオが新しくなり、お披露目の日に広くなったスタジオであいりんさん(山岸愛梨キャスター)とスキップをして遊んだことですね(笑)。あれは忘れられない時間でした。あいりんさんは発想力がとても豊かで、いつもそうした楽しいことに誘ってくださるんです。

 

──走る前の山岸キャスターのヒールの脱ぎっぷりがかっこよかったです(笑)。

 

檜山 ははははは! ほんと素敵でしたよね。ああした姿からは姉御肌を感じます(笑)。ただ、天性の品の良さをお持ちなので行儀悪く見えないのが魅力で。嫌味もないし、人として尊敬するところしかないです。

 

──スキップをする前に、ガチで走っていた檜山さんも意外な一面が見られて楽しかったです。

 

檜山 私も最初はてっきり軽くならすような感じの走りだと思っていたんです。そうしたら、あいりんさんが私の隣を俊足で駆け抜けていったので、“これは本気のやつなんだな”と、途中で私もギアを上げました(笑)。新しいスタジオになってからはサッカーもしましたし、お正月にはこたつも登場したりして。広さがあるので、これからもいろんなことに挑戦できそうですね。

 

──スタジオ内に限らず、やってみたい企画などはありますか?

 

檜山 これからの季節だと桜を見にいくような機会があるといいですね。昨年の秋にキャスターたちが紅葉を写真で撮る企画がありましたが、桜でもぜひやってみたいです。

 

──キャスター対抗の企画になると、皆さんの負けず嫌いなところが垣間見えて面白いです。

 

檜山 やるからには勝負ですからね。笑顔で放送していますが、心の中はみんな負けたくない一心で必死ですよ(笑)。それと、ゲームのような楽しいコーナーも素敵ですが、お天気に特化した企画ももっとやっていけたらなと思います。昨年、山口さん(山口剛央/気象予報士・気象解説員)と「天気図の書き方」という特番を一緒にやらせていただき、反響も大きかったんですね。きっと、天気に関することをもっと知りたいと思っている視聴者さんは多いと思いますし、私自身も気象予報士の資格についてはちょっと心が折れかかっているものの(苦笑)、勉強だけは変わらずこれからも続けていきたいと思っていますので、みんなで学べるようなコーナーを増やしていけたらなと思っています。

──楽しみにしています! また、同期の駒木結衣キャスターについてもお聞きしたいのですが、先日発売された駒木キャスターのフォトエッセイ『空を結ぶ』では対談もされていました。

 

檜山 結衣ちゃんがプレゼントしてくれる前に我慢できず自分でも購入してしまったのですが(笑)、本当に素敵な本だなと思いました。エッセイはとても読み応えがあり、写真には普段の番組で見せないような一面もありましたので、私もたくさん楽しませていただきました。印象深かったのは、いつも笑顔の結衣ちゃんでも、やっぱりいろんな悩みを抱えているんだなと分かったことで。私もそうですが、人前に出るお仕事とはいえ、人間である以上、気持ちが沈んでいたり、それがつい表情から漏れてしまう時があるんです。そうした状況をどうしていけばいいのかと悩んでいるところには、結衣ちゃんの真面目さを垣間見たような気がしました。対談も楽しかったですし、何よりも、その相手に私を選んでくれたことがすごく嬉しかったですね。

 

──番組でクロストークをしたり、プライベートで食事に行ったりすることはあっても、対談の形で面と向かって会話をする機会ってあまりないですよね。

 

檜山 本当にそうなんです。私たちはデビューから5年間ずっと一緒にいるので、楽しかったことも苦労したことも、ほぼ同じ思い出を共有しているんですね。ですから、お話をしているうちにいろんなことがよみがえってきて、感極まって対談中に2人で泣いてしまいました。誰かと思い出話をしながら泣くなんてことはそうはないですし、本当に幸せなことで。結衣ちゃんは私にとって“特別で大切な人”という言葉では足りないぐらいの存在になっていますね。

 

──以前の駒木キャスターへのインタビューでは檜山さんのことを、「会った瞬間から仲良しでした。人間同士って相性があると思うのですが、こんなにも気の合う人と同期になれたのは本当に幸せなことだなと思いました」とお話しされていました。

 

檜山 嬉しい! 実は私も出会った瞬間からシンパシーを感じていました。結衣ちゃんとは趣味が全然違うんです。でも、価値観や考え方、それに相手の感情の受け取り方などがすごく似ているなと思っていて。“こうしたらきっと嬉しいんだろうな”というのが分かるし、反対に、“今なにかに悩んでいるのかも……”ということが遠目で見ていても伝わってくる。育ってきた場所や環境が違っても、人と人ってこういう特別な関係になれるんだと感じていますし、5年間一緒にいろんなことを乗り越えてきたからこその絆もあるので、これからもお互いを支え合っていけたらなと思います。

 

素直に好きなものを発信し続けられるのは私の強みなのかも

──檜山さんもキャスターとして5年目を迎え、後輩も増えてきましたが、今の『ウェザーニュースLiVE』はどんなチームになっていると感じますか?

 

檜山 先輩方やゆっきー(内田侑希キャスター)から感じる安心感や信頼感、安定感の素晴らしさはもちろんのことですが、のんちゃん(大島璃音キャスター)、みーちゃん(戸北美月キャスター)、りえなちゃん(小林李衣奈キャスター)が本当に頼もしいなと感じています。1人ひとりにしっかりとしたスキルがあって。私が1年目の頃はあんなに生放送でうまく話せなかったです。3人は警報レベル時の気象の伝え方にも聞きやすさだけじゃなく、適度な緊張感を持った言葉で情報を届けていますし、私も勉強になることが多いです。

 

──小林キャスターはデビューして半年も経たないうちに、通常の放送だけじゃなく、4時間半の放送も担当されていました。

 

檜山 すごいですよね。私にはもう4時間半なんて無理です! 途中で体力が持たなくなると思います(笑)。

 

──そんな……。でも、以前、駒木キャスターがインタビューで、檜山さんと3時間の生放送を交互に2回ずつ回したことがあったとおっしゃっていましたよ。

 

檜山 以前はそういうことができました。“以前は”です!(笑) 今やろうとしたら、終わる頃には塵になってそうです(笑)。でも、そうした経験を積んできたからこそ、今こうして、生放送の前後にも別のお仕事をこなせているというのはあるかもしれませんね。

 

──では、多くのキャスターがいるなかで、“ここだけは誰にも負けない”という檜山さんの強みは何でしょう。

 

檜山 それが最近、自分にどんな強みがあるのかが分からなくなってきてまして……。昔から“正直だね”とか、“素直だね”といった嬉しいお言葉をいただくことは多かったんです。確かに、自分が好きな物事に関しては包み隠さず表に出すほうですし。そのことが「いばらき大使」やアニメに関連したお仕事にもつながっているので、それを思うと素直に“好き”を発信し続けられるのは自分の強みなのかも……と思います。

 

──それでは、最近感じた他のキャスターの意外な一面は?

 

檜山 噂には聞いていたのですが、みーちゃんのラーメンの食べっぷりに驚かされました(笑)。少し前に二郎系のお店に連れていってもらったんです。その時も野菜をマシマシで頼んでいて。麺も普通盛りでも十分な量で、それをずっと嬉しそうに食べていたので、“この細い体の一体どこにラーメンが移動しているんだろう?”と不思議に思いました。しかも、2人ともその前に別で一食すませた後だったんですよね。

 

──2食目だったんですか?

 

檜山 そうなんです。夕方に待ち合わせをしていたんですけど、まだお店が開いてないということで、集合時間を少し後ろにずらしたんです。でも2人とも、その日はラーメンのために朝食と昼食を抜いていたので、我慢できなくなって(笑)。私はパスタを食べたんですが、みーちゃんはうどんを食べたと言っていました。みーちゃんは「同じ麺類だから平気ですよ。どれだけでもいけます!」と楽しそうに話していましたね。

 

──ちょっと言っている意味がよく分かりませんが(笑)、ようは麺類だとどれも“輸血”になるから大丈夫だということなのでしょうか(戸北キャスターのインタビュー参照)。

 

檜山 きっとそうだと思います(笑)。

 

──(笑)。初めて経験した二郎系のラーメンははまりそうですか?

 

檜山 すごくおいしかったですし、また行きたいと思いました。ただ、ニンニクがきついので、翌日がお休みじゃないと厳しそうですね。予報センターの中をニンニク臭で充満させるわけにもいきませんから(笑)。仕事に影響がない範囲で通いたいなと思います。

 

30代はこれまで以上に、自由な気持ちで“好き”を楽しんでいきたい

──先日、番組の中で「今年30歳を迎える」というお話をされていました。檜山さんにとって20代はどんな10年でしたか?

 

檜山 私は学生の頃からお天気に興味があったものの、もともとアナウンサーを目指していたわけではなかったんです。でも、東日本大震災を経験し、自分に何かできるものはないかと考えた時、“伝える仕事”に魅力を感じたんですね。また、声優の養成所にも通い、言葉を伝える訓練をしていましたので、それならばキャスターという道もあるかもしれないと思い、それで生き方を方向転換したのち、ご縁があってウェザーニューズで働かせていただくことになったのが24歳の時でした。そこからの5年間はまさに別世界で。キャスターになったことでさまざまな経験を積むことができましたし、昨年からのいろんな外部のお仕事を考えると、20代は本当に想像もしていなかった10年間だったなと思います。

 

──では、これからどんな30代を送っていきたいと考えていますか?

 

檜山 そうですね……。思い切って自由に好きなことをしていきたいなと思っています。20代があっという間でしたので、30代ではさらにいろんな“好き”を楽しんでいきたいですね。

 

──持論ですが、20代が早かったと感じる方は30代になるとさらに時間の流れが加速すると思います(笑)。

 

檜山 よく、そういった話を聞きますよね。だからこそ、ムダな時間を過ごさないように気をつけなくてはと思っています。そうだ。せっかくなので、楽しい30代を過ごすためのアドバイスをいただけませんか?(笑)

 

──え、逆質問!? まさかの流れ弾ですね(笑)。自分の経験上でしか語れませんが、今、檜山さんがおっしゃったように自由に好きなことをするのが大事だと思います。それも、“時間ができたらしよう”ではなく、興味のあることは時間を作ってでもすぐにやる。自分がそうでしたが、そうやっていろんな趣味で得た知識や経験を少しずつ仕事につなげていくことで、やがて大きな広がりを持つようになりました。

 

檜山 なるほど! でも、その感覚、少し分かります。最初にもお話ししたように、10代の頃から大好きだったアニメやゲームを今も続けていて、そうしたことを口にすることでニンテンドーさんのゲームチャンネル(「ニンテンドー みんなのチャレンジ」)に定期的に出させていただくお仕事につながっていったんです。やっぱり“好き”という気持ちはいろんな原動力になるんだなと痛感しています。

 

──ただ、趣味が仕事になるとどうしても責任感が伴ってくるので、純粋にそれまでのように楽しめなくなっていく切なさや大変さもあります。

 

檜山 それもすごく分かります! それまであまり深く考えずに話していたことも、発言する場が変わると、“ちゃんとしたことを言わないといけない”というプレッシャーに感じてしまったりして。

 

──それもあって、“これは絶対に仕事につなげない”という趣味を持つようになりました。

 

檜山 ありがとうございます! 私も、純粋に自分だけが楽しめる趣味をいくつか探すことを30代の目標の一つにします! なんだか人生相談に乗っていただいた感じになってしまってすみませんでした(笑)。

 

──いえ、たいしたことがお話しできず恐縮です(苦笑)。では最後に、檜山さんがキャスターとして最も大事にされていることを教えていただけますか。

 

檜山 これはすべてのキャスターに共通することだと思いますが、『ウェザーニュースLiVE』では24時間365日、生放送で天気をお伝えしていますので、ご覧になられているすべての方々に寄り添った気象の情報をお届けできるように務めています。また、個人的な思いとしては、皆さんに空を見る楽しさをもっと伝えていけたらなとも思っています。春夏秋冬それぞれの季節で天気の表情は変わりますし、それぞれに良さがあります。それに、地域によって同じ時間に見える空の景色は違っても、その空はすべての人とつながっている。そうした気持ちを1人でも多くの方と共有できたらいいなと思っています。

 

──檜山さん自身もウェザーニュースキャスターになったことで空の見方は変わりましたか?

 

檜山 すごく変わりました。以前は何気なく見上げる程度でしたけど、キャスターになってからは意識的に空を見るようになりましたし、日々の変化を感じるようにもなりました。朝、窓を開けて前日との違いを体で感じたり、風の香りの中から季節の変化に気づいたり。空を見上げても、雲にどれくらいの厚さがあるかといったことも気になるようになりましたね。仮に気象の知識がなくても、ちょっとした天気の違いを体感することで日々の生活が豊かになると思いますので、そうした魅力も番組を通じてお伝えできたらなと思っています。

 

──さて、次回の連載はいよいよ山岸愛梨キャスターのご登場になります。檜山さんから山岸キャスターの魅力をご紹介いただけますか?

 

檜山 あいりんさんは目標とする先輩です。でも、近寄り難い存在などでは全くなく、その真逆で。会うと気さくに話しかけてくださいますし、いろんな相談にも乗ってくれて、いつも優しく見守ってくださるんです。きっと、そうやって壁を感じさせないようにフレンドリーに接してくださっていると思うのですが、そうした人としての素晴らしさをお持ちなところも魅力的ですよね。また、キャスターとしても学ぶところばかりで、特にフリートークの安定感といったらないです。あえて視聴者さんにツッコませるようなワードをチョイスして番組を盛り上げたりして、そうしたセンスも見事ですし。そういえば、うちの母があいりんさんの大ファンなんです。私があいりんさんと一緒に出ていると、「安心して見ていられる」と言っていました(笑)。根っこにある、人としての優しさがにじみ出ているから安心するんだそうです。私も本当にいつも、仕事の先輩としてだけでなく、女性としても、人としても尊敬していますね。

 

──ちなみに、ポン子ちゃん(ウェザーロイドAiri)の魅力は……?

 

檜山 ポン子ちゃんですか!?(笑) ポン子ちゃんのすごさは、いろんなことに挑戦するアクティブさじゃないでしょうか(笑)。また、マネージャーのあいりんさんとポン子ちゃんに共通しているのは、ゲストの良さを最大限に引き出すところ。しかも、その引き出し方が見事で、どうすればゲストがリラックスして素を出せるかを分かった上で接してくれるんです。それに、ポン子ちゃんは結構毒舌なところがあるのに、誰かを傷つけるようなことは絶対にしないので愛されキャラでもある。そこはやはりマネージャーさんの教育の賜物なんだろうなと思います。……もしかして、次回の連載にはポン子ちゃんも登場されるんですか?

 

《檜山キャスターに17の質問!》

Q01.ご自身ではどんな性格だと思いますか?

檜山 穏やかです。……って、自分で言っちゃっていいんでしょうか(苦笑)。なんだか恥ずかしいですね。怒ることもほとんどないです。焦ることはよくあります(笑)。結構、表情や動きに出てしまうほうですし。ただ、“焦っても大丈夫!”と思うようになってからは、逆に焦らなくなったかもしれないです。そこまでアワアワしなくなりましたから。……いや、そんなことはないですね。今でもよく、アワアワしています(笑)。ただ、取り乱すことは減ったように思います。

 

Q02.“パブリックイメージとはここが違う”というところはありますか?

檜山 ほとんど素のままで番組をやらせてもらっているので、すべてを見られていると思っています(笑)。ほかのキャスターもきっと同じでしょうけど、3時間の生放送で別人格を演じるなんて無理ですから。ただ、放送で決して見せない顔としては、先ほどの質問で怒ることがほとんどないとお話ししましたけど、「怒ったら怖い」とよく言われますね(笑)。きっと、普段から本当にめったに怒らないので、たまにそうした姿を見せると意外に感じるのかもしれないですね。

Q03.気持ちが一番盛り上がる天気は?

檜山 やっぱり快晴ですね。雲が一つもない青空を見るとお出かけしたくなります。

 

Q04.曇りの日に傘を持って出かけるかどうかのボーダーは?

檜山 私、晴雨兼用の傘を毎日持ち歩いているんです。雨量が多い日は大きな傘を持って出かけますが、それ以外の日は紫外線から肌を守るために、いつも折りたたみ傘をカバンに入れています。紫外線は一年中出ていますし、気にされている方は、今のような冬の時期でも長い時間お散歩をする時は日傘を差すことをおすすめしますよ。

 

Q05.番組で好きな時間帯は?

檜山 やはり多く担当していることもあって「イブニング」(午後5:00〜8:00)や「ムーン」(午後8:00〜11:00)などの夜の時間帯が落ち着きます。特に「イブニング」だとスマホアプリの有料会員の方に向けてメッセージを送る「おかえりメール」のコーナーもありますし、皆さんからの返信があった時は嬉しくなります。「ムーン」も時間の流れがちょっと独特で、ゆったりとした感じが大好きですね。多くの方にとってお休みになる時間帯ですし、私も最後の30分あたりは声のトーンを下げて、落ち着いた雰囲気を出せるように心がけています。

 

Q06.もしお天気キャスターになっていなかったら?

檜山 ゲームの実況配信者になっていたと思います(笑)。YouTuberとして毎日のようにゲームに没頭していたでしょうね。

Q07.では、最近はまっているゲームは?

檜山 ここしばらくは忙しくてなかなかプレーができなかったんですが、ようやく少し前に出た『ポケモン』を始められました! もう、心が潤っています(泣)。私、ゲームができなかったり、アニメを見ていないと、心が荒んでいくんですよ。でも、ゲームって本当にいいなって思います。無心になれるので頭がスッキリしますし、好きな人たちと集まってプレーするのも楽しいですよね。

 

Q08.“大人になったな”と思う瞬間は?

檜山 20代前半の頃よりもお酒を飲むようになりましたね。大好きなのはアイスワイン。甘くておいしいんです。カナダに旅行した時に出合って感動して、今もお店にあると注文して飲んでいます。

 

Q09.では、“まだまだ子どもだな”と思う瞬間は?

檜山 勝負には絶対負けたくない!(笑) さっき「性格は穏やかです」と言ったばかりなのに(苦笑)。やるからには勝ちにいきたいですし、勝負ごととなるとやっぱり性格が変わりますね。お正月に番組内でキャスター同士による「ポカポンゲーム」対決があったのですが、“最弱女王”という不名誉な称号までつけられてしまったので、いつかリベンジのために練習用に買おうかどうか迷っています(笑)。通販サイトのお気に入りリストに入っていて、常にスタンバイ状態です。

Q10.休日の過ごし方の理想と現実は?

檜山 理想は朝7時頃に起きて、朝活をしたいんです。近くのカフェに行って、モーニングセットを食べながら読書をしたり。現実は……起きるとたいてい朝の10時か11時ですね。“あれ? 太陽の位置が高い!”ということにまず焦って、そこからちょっと家のことを済ませたら、それだけ休日の午前は終了です(笑)。

 

Q11.「いばらき大使」に就任しましたが、檜山さんがおすすめする茨城の穴場の観光スポットは?

檜山 高萩市にある花貫渓谷が大好きですね。ご存知の方もいるかもしれませんが、紅葉がすごく有名で。これからの新緑の季節に訪れても素敵だと思いますよ。

 

Q12.ずっと気になっているけど、まだ手をつけられていない趣味は?

檜山 生花をやってみたいんです。祖母が生花の先生で。小さい頃からずっとお稽古を眺めてはいたんですけど、実際にやったことがないので、しっかりと学んでみたいですね。それ以外でも「道」がつくものは挑戦してみたいです。いくつになっても新しく何かを始めるって素敵なことだなって思います。

Q13.天気が印象的なアニメ作品を一つ教えてください。

檜山 最近になってまた見返している作品なのですが、「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」というアニメがあるんです。数年前に劇場版が公開され、当時も何度か映画館に観に行きました。冒頭の夜のシーンで雪がしんしんと降っている描写が本当に素敵で、“これからどんな物語が始まるんだろう……!”とワクワクさせられるんです。どうしても繰り返し観たくなって、少し前にサブスクでレンタルもしました。もう、いっそのことディスクを買っちゃおうかなと思ってます。

 

Q14.コスプレを一緒にやってみたいキャスターは?

檜山 あいりんさんとは以前から一緒にやろうという話をしています。候補に上がっているのが『鬼滅の刃』か『ウマ娘 プリティーダービー』で。どのウマにするかまでは決めていないので、決まった時は番組かSNSで報告しますね。結衣ちゃんともちょうど一年ほど前にゴスロリファッションで撮影をしましたが、またやってみたいですね。でも、こればかりは押し付けるわけにもいかず、本人がやりたいかどうかにもよるので、リクエストがあれば、また違ったコスプレ撮影にトライしたいです。

 

Q15.最近、自分へのご褒美でしたことは?

檜山 お答えが被ってしまいますが、ゲームの『ポケモン』です(笑)。もう、最高のひとときです! ただ、やめどきが難しくって。とりあえず今は朝の4時までと決めています(笑)。

Q16.GetNavi webということで、ご自身を家電に例えると?

檜山 冷蔵庫……と思ったのですが、なんだか自分が凍っちゃいそうで、ちょっとかわいそうですね(笑)。では、炊飯器で。植物などは季節の移り変わりとともに時間をかけてお花を咲かせていきますが、私も時間をかけて作り上げていった想いなどを皆さんにお届けできればいいなと思っています。

 

Q17.最後に、普段愛用している家電を教えてください。

檜山 この冬は足元ヒーターを買いました。家では乾燥して喉を痛めないようにエアコンをほとんどつけないんです。その点、足元ヒーターだとブランケットをかけるとこたつみたいになるのですごく便利で。温度を変えられるし、タイマー機能もついているので、つい寝てしまっても大丈夫なんです。

 

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「ウェザーニュース」HP https://weathernews.jp/
「ウェザーニュース」YouTube https://www.youtube.com/user/weathernews
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撮影/金井尭子 取材・文/倉田モトキ

川畑 玲×江川清音「番組を楽しみながらも、生命に関わる情報を扱っているという緊張感をいつも持っています」ウェザーニュースキャスター連載・第12回/特別編《後編》

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は95万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第12回は前回に引き続き、気象予報士でもある川畑 玲キャスターと江川清音キャスターの特別対談の後編をお送りします。

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

第12回・川畑 玲キャスター&江川清音キャスター/特別編後編

 

関連記事:川畑 玲×江川清音「常に意識しているのは、視聴者が気象に興味を持ってくれるような番組作り」ウェザーニュースキャスター連載・第11回/特別編《前編》

 

【川畑 玲さん、江川清音さん撮り下ろし写真はこちら】

気がついたら好きになっていました

江川 川畑さんはどんなことがきっかけで天気に興味を持ち始めたんですか?

 

川畑 私は気がついたら好きになっていましたね。

 

江川 かっこいい! それ、私も言いたい!! 今度、番組で使わせてもらいます(笑)。と言うことは、小さい頃からずっと一貫して気象の仕事に就きたいと思われていたのでしょうか?

 

川畑 いえ、初めて意識したのは中学生の時です。高校受験を前に、担任の先生に「川畑君はどんなことに興味があるの?」と聞かれたんです。その時に浮かんだ一つが英語の先生でした。

 

江川 やってそう!(笑) ものすごくイメージできます。

 

川畑 ただ、大学で理学部に進み、理学部だと英語の先生になれないということを大学に入ってから知りまして(笑)。

 

江川 ははははは。もしかして、川畑さんってちょっと抜けているところもあるんですか?(笑)

 

川畑 そうかもしれないです(笑)。でも、気象も好きでしたし、英語の先生にもなりたいと思っていて、二兎を追っていたものですから、そこまで頭が回らなかったんですよね。

江川 あ、なるほど。担任の先生に興味があることを聞かれて答えたもう一つが気象だったんですね。

 

川畑 そうです。その時は、漠然と「そういえば天気も好きですね」って先生の前でつぶやいた程度だったんです。

 

江川 いわゆる、一般の人が「好き」っていうレベルですか?

 

川畑 そうですね。そんなに変わらないと思います。小さい頃から雲を見るのが好きで、そこから少しずつ天気予報とか天気図に興味を持ち始めたんです。私は愛知県出身なんですが、夏になるとゲリラ雷雨が発生するし、冬になると西高東低の気圧配置や南岸低気圧でときどき雪も降る。当然、小学生の頃は南岸低気圧なんて知らないわけですが、それでも天気図を見ると南のほうに低気圧が通っていて、“なるほど、こういう時に雪が降るんだ”というのがなんとなく分かってくる。それが面白かったんです。

 

江川 勘が鋭いお子さんだったんですね。

 

川畑 鋭いというか、そうやって自分なりに考えるのが好きだったんです。それに、夕方の6時50分くらいになると、どこのテレビ局でもニュース番組の最後にお天気コーナーをするじゃないですか。あれを全局、はしごしたりして。

 

江川 えっ!? “天気予報のはしご”って初めて聞きました(笑)。

 

川畑 まぁ、まず聞き慣れない言葉ですからね(笑)。

 

江川 しかもそれ、小学生の時のお話ですよね。全然、一般レベルの「好き」じゃないじゃないですか(笑)。

 

川畑 ははははは!

 

江川 川畑さんもやっぱり変人なんですね(笑)。

 

川畑 この前、連載に登場された山口(剛央)さんもそうですが、天気予報の仕事をされる方って、少し変わった方が多いですよね(笑)。

 

江川 川畑さんからはそうした空気を感じたことがなかったので意外でした。でも、より興味が湧いてきました! もしや天気図を自分で書いたりとかもしていたんですか?

 

川畑 小学生の頃からしていました。

 

江川 やっぱり!(笑) みんな、子どもの頃に天気図を自分で書くものなんですね。

 

川畑 天気図の書き方も基本的には山口さんと同じです。ラジオの気象通報を聞いて、自分でメモして、“天気図って楽しいな〜”って(笑)。ただ、当時って天気図を書くための用紙というものが売ってなかったんです。探せばあったのかもしれませんが、今みたいにインターネットもなかった時代ですから、どこに売っているかも分からなくて。だから、自作するしかないんです。

 

江川 オリジナルで? すごいなぁ。

 

川畑 無ければ作るしかないですから。まずは地図帳を持ってきて、トレッシングペーパーで日本地図をなぞって。そうやって日本とアジアの地図が出来たら、緯度と経度のラインを全部引いて、あとは気象通報で流れてくるポイントを事前にマークしておき、ラジオが始まるのをワクワクしながら待つ。それをずっと繰り返していましたね。

 

江川 やっぱり変人だなぁ(笑)。

川畑 玲●かわばた・あきら…1977年12月6日生まれ。愛知県出身。A型。気象予報士。名古屋大学、大学院を経て、ウェザーニューズに入社。航空気象、航海気象等を担当し、現在「ウェザーニュースLiVE」内でキャスターとして活躍。Twitter

 

海上気象の仕事が世界の天気に興味を持つきっかけに

江川 海上気象を専門にされたのはどうしてなんですか?

 

川畑 それはウェザーニューズに入ってからなんです。気象の仕事がしたくて大学院まで出て、その後にウェザーニューズに入社したのですが、ある時、「航空気象をやってみないか」と言われまして。

 

江川 空のほうですか?

 

川畑 ええ。ちょうど社内に航空気象の予報チームが立ち上がった頃だったんです。航空に関することですから、晴れや曇り、雨といった一般的な気象だけでなく、風がどの方向からどれくらいの強さで吹いていて、飛行機が離着陸できるかどうかという判断をするための支援情報などを作っていました。特に注意しないといけないのが霧なんです。飛行機事故は離着陸の時が一番多いので、視程の悪さなどの細かい予測を1〜2年ほどやっていました。そうしたら、今度は「海のほうはどう?」と聞かれて。

 

江川 そんなに何度も専門分野が変わっても対応できるものなんですね。

 

川畑 必要とされているなら頑張ってみようと思ってしまいますね。ただ、大変だったのが、気象に関する知識は大学や大学院で学んできたので自分の中にあるものの、海については門外漢なわけです。なぜ波が高くなるのかとか、潮の流れといった初歩的なことすら分からなくて。それでも「やってみないか」と言われると、「分かりました、やってみます」と答えてしまうんです。

 

江川 怖さや不安よりも、興味が湧くんですか?

 

川畑 知らないことを知りたいという探究心が強いんだと思います。もちろん最初はすごく苦労します。とは言え、私たちが普段お伝えしている生活に密着した気象だって、今も分からないことがたくさんあって。でも、それらを1つずつ解明していくのが、この仕事の面白さでもあると思うんですね。そうは言っても、航海気象に関しては多くの船員さんや大切な荷物を守らなくてはいけないという責任感がありましたので、改めて身の引き締まる思いでした。

 

江川 そうですよね。まさしく命に直結することですもんね。

 

川畑 それに、大きな船だと海外まで荷物を運びますから、世界の気象や海の特性を知らなくてはいけなくて。今までは日本を中心とした気象だけを見ていたのに、ある日を境に、「南米の沖合の波の高さはどれくらいですか?」という質問がくる(笑)。そうした大変さや面白さもありましたね。

江川 なるほど。命や荷物を守らなければいけないという重圧があり、かつ、海外の気象についても詳しくならなければいけない。それは相当なプレッシャーでしょうし、同時にやりがいも大きいでしょうね。もしかして、「ウェザーニュースLiVE」内での「Global Weathernews UPDATE(世界のあすの天気)」のコーナーを考えたのも、そうした海外の天気を見るようになったことがきっかけだったんですか?

 

川畑 そうです。車を運転している時に、ふと思いついたんです。コロナ禍でしばらく海外旅行に行けてないなと思い、きっとサポーターさんの中にも同じような思いを抱いている方がいるんじゃないかと思いまして。それに、ウェザーニューズでは世界中のお客様をサポートするサービスをしていて、私もよくいろんなエリアの海の情報を海外スタッフと英語でブリーフィングしていました。そうした情報を基に、普段私がこの会社でしていることを視聴者さんの視点に変えてお伝えすることで、世界を旅しているような気分になったり、“この国ってこういう気候なんだ”と、さらに天気に興味を持ってもらえるんじゃないかと思ったんです。

 

江川 何度かコーナーを拝見しましたが、事前の準備が本当にすごいですよね。

 

川畑 それは私がいつも予報センターにいる人間だからというのが大きいですね。観測データも予測データも豊富にそろっていますから。まだまだ伝えきれていない情報もたくさんあるんです。ですから、自分だからできることを、これからもどんどんサポーターさんにお届けできたらなと思っています。

 

江川 そうした企画を女性キャスターと一緒にやっているというところも素敵だなと思います。

 

川畑 そのほうが、私が解説するのとはまた違った魅力が伝わると思いますし、キャスターさん自身も気象への興味を深めていけるのではないかと思いまして。また、そうやって、いろんなことがプラスの方向に進んでいくことで、ウェザーニュースLiVEチーム全体が盛り上がっていければなと考えているんです。

 

江川 素晴らし過ぎます!(拍手)

 

川畑 きっと、私がキャスターに起用されたのも、そういったところを期待してのことだったのかなと思うんです。

 

江川 確かにこれまでにもキャスター発案の企画はいくつかありましたが、「Global Weathernews UPDATE」のような切り口はなかったですもんね。

 

川畑 ただ、そこを期待して私をキャスターにしたのであれば、もうちょっと早く相談してほしかったですけどね(笑)。打診があってからキャスターになるまでが3週間ちょっとというのはやはり大変でしたから(笑)。

 

江川清音●えがわ・さやね…1989年12月3日生まれ。北海道出身。O型。ウェザーニューズ「おは天」の10期生として、2008年よりキャスターに就任。その後、番組の変遷とともに「SOLiVE24」、「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍。趣味・特技はダンス、フラワーアレンジメント、クレイデコレーション、カルトナージュ、カリグラフィー、ヨガなど。 TwitterIntagram

 

失敗してもいいから、伝わる表現を

江川 キャスターデビューが2022年4月ですから、もう半年以上たったことになるんですね。

 

川畑 ええ、あっという間でした。

 

江川 でも、最初からすごく落ち着かれていて。番組の進行もスムーズですし、素晴らしいなといつも思っています。もう緊張することもなくなりましたか?

 

川畑 いえ、今も緊張しかないですよ(笑)。ただ、緊張との付き合い方が分かってきたと言いますか、緊張してもいいんだなと思うようになりました。そこにもやはり、船会社様とずっとブリーフィングを重ねてきた経験が活かされていまして。先ほど江川さんがおっしゃったように、航海気象は生命に直結する情報を扱っていますが、でもそれは普段の天気予報でも同じなんです。我々が扱っている気象情報は一般に生活する方々の日常に大きく関わり、時には生命の危険にも繋がっていく。そうした思いが私の根幹にあるので、常に緊張感を持って情報を伝えていくことが大事だと感じているんです。だからこそ、江川さんのようなキャスターさんに私は憧れるんです。

 

江川 私ですか? 私のどこにでしょう?

 

川畑 緊張感を持つことは大切ですが、でもそればかりだと見ている側は疲れてしまう。その点、江川さんは生活情報を柔らかい雰囲気で表現しつつ、防災情報はきっちりと伝えていっている。もちろん、ほかのキャスターさんもそこは意識されているところだと思いますが、なかでも江川さんはそのメリハリの付け方が本当にお上手だなと思うんです。

 

江川 そう言っていただけると嬉しいです。確かに番組中に特別な気象情報が入った際、瞬時に頭の中を切り替える準備はどのキャスターもしていますね。ですから川畑さんが言うように、楽しい番組を作りながら、適度な緊張感を持つことは私も意識しています。

 

川畑 そんな江川さんにどうしても聞いてみたかったことがありまして。日々、番組内でいろんな緊張と向き合われていると思いますが、逆にどんなことで気持ちをリフレッシュされているんですか?

 

江川 私は何かしら1つのことに没頭できる時間を作るようにしています。

 

川畑 あ〜、同じです!

 

江川 お花のアレンジメントや裁縫をしたり。ミシンが3台もあるんですよ(笑)。それぞれで縫えるものが違ったりするので、一心不乱にミシンを動かしています。ただ怖いのが、そうやって何も考えずに没頭していると、つい夜ふかしをしてしまうんですよね。

 

川畑 それもすごく分かります(笑)。

 

江川 川畑さんもかなりの多趣味でいらっしゃいますよね。ピアノを弾かれますし、ガーデニングもお好きで。

 

川畑 あとは散歩ですね。これが私の3大趣味です(笑)。江川さんの趣味もそうだと思いますが、どれも1人になれる時間なんですよね。仕事をしているといろんな情報が頭に入ってきてインプットすることが多いですし、仕事を離れたら子育てがあるので、なかなか1人になって自分の気持ちや感情を外に出す時間がなくって。ですから、ガーデニングをしたり、夜な夜なヘッドホンをしてピアノを弾いたりしているんです。ガーデニングに関してはお花を育てるのも楽しいんですが、草むしりをしている時間も大好きです。

 

江川 私も畑をやっていたので分かります。無心になれるんですよね。川畑さんとは会社で会うと、よく子育ての話になりますけど、1人になれる時間って本当に大事だなと思います。私も自分だけの時間がないとダメなんです。それも細かい作業をするのが大好きで。それに、誰かの役に立ちたいという気持ちも強いので、友達にウェルカムボードを描いたことがきっかけでカリグラフィーにはまったりと、そうやってどんどんと趣味が増えていきました。川畑さんがピアノを始めたのは何がきっかけだったんですか?

 

川畑 実はずっと趣味らしいものがなく、何か自分が楽しめる時間が欲しいなと思ったからなんです。

江川 それって最近の話ですか?

 

川畑 いえ、ピアノはもう十数年前になります。とあるJ-POPのコンサートを観に行って、改めて音楽って素晴らしいなと思ったんです。その話を友人にしたところ、「ピアノが弾けるようになったら、もっと音楽が楽しくなるんじゃない?」と言われて。それがきっかけでした。

 

江川 楽譜は昔から読めたんですか?

 

川畑 ちゃんと勉強したことは一度もなくて、音楽の授業で習うレベルのものでした。ですから、最初は小さい子どもが習うような教材から始めたんです。そのうち発表会にも出るようになったんですが、5〜6歳くらいのお子さんたちがスラスラと弾く中、最後のほうに突然、年齢の高いおじさんが出てきて、足を震わせながら弾くという、なんだかとても不思議な空気になってしまって(笑)。

 

江川 その様子を見てみたいです。今度、呼んでください(笑)。

 

川畑 客席を見ても、みんな私の年齢に近いお父さんやお母さんばかりですし、失敗して演奏が止まっても誰も助けてくれないわけです。そうすると、さらに指がブルブル、足がガタガタ震えて(笑)。そうした中、「あのお父さん、どうしちゃったんだろう」という感じで皆さんが見守ってくれていたのですが、でもそうやって、たとえ恥ずかしくても、失敗しても、やることが大事だと思ったんですよね。

 

江川 人前で披露するって、上達するためにも必要なことですしね。けど、よく発表会に出ようという気になりましたね。そこがすごいです。

 

川畑 昔からすごく緊張するタイプなんです。川畑少年は相当な恥ずかしがり屋でしたから(笑)。だからこそ、いい加減、そんな性格に打ち勝ちたいという自分もいて。それに、これは番組進行にも通じることですが、うまく披露したいというより、間違えてもいいから伝わる表現をしたいんですよね。そこが一番大きいんです。

 

江川 素晴らしいです。ピアノを弾くようになって、ご自身の中に変化ってありましたか?

 

川畑 最初はポップスを弾いていたんですが、どんどんクラシックにも興味を持つようになりました。そうやって趣味がさらに広がっていくのも面白いんです。最近はクラシックばかり聴いたり、弾いたりしていますから。

 

江川 なんと! じゃあ、私はそれに合わせて踊りますよ。一緒にコラボしましょう!

 

川畑 いいですね! でも、私の演奏はまだまだあまりにも拙いので、誰かにお披露目するのであれば、まずは内田先輩(内田侑希キャスター)に頼んだほうがよろしいかと(笑)。

 

江川 ゆっきーもピアノ弾けるんですか?

 

川畑 習っていたと聞いたことがあります。それに、プロフィールを拝見すると絶対音感の持ち主らしくて。だから、内田先輩の前では絶対に弾かないぞと心に決めているんです(笑)。

 

江川 ははははは! 最近は何を弾かれているんですか?

 

川畑 キャスターの打診があった3月の発表会ではショパンを弾きました。といっても、比較的優しいものですけどね。今はベートーヴェンの「エリーゼのために」を練習しています。

 

江川 有名な曲ですよね。

 

川畑 たとえ曲名は知らなくても、耳にすればみんな分かる曲だと思います。しかも、この曲が書かれた背景を知ると、すごく深くて。当時のベートーヴェンはどのような思いを乗せてこの曲を作ったんだろうかと考え、その上で、私のようなおじさんが弾ける「エリーゼのために」ってなんだろうと思って練習すると、また違った楽しみ方ができるんです。

 

江川 すごい! 趣味の世界でも、そうやって深掘りしていくんですね。

 

川畑 偉そうなことを言っていますが、本番になるとたくさん間違えちゃんですけどね(笑)。

江川 それでも構わないので、ぜひ聴いてみたいです。では、最後の質問になりますが、キャスター仲間に伝えたいことはありますか?

 

川畑 いつもありがとうございます。

 

江川 まさかの感謝の言葉!(笑)

 

川畑 いや、もうこのひと言に尽きます。何度も言いますが、皆さんから学ばせていただいていることがすごく多いので、いつも感謝しているんです。これからも一緒にいい番組を作っていきたいと思っていますし、逆に私にできることがあれば何でも言ってください。

 

江川 こちらこそありがたいです。本当に頼っちゃいますよ?

 

川畑 「ウェザーニュースLiVE」やサポーターさんたちのためにできることがあれば、何なりと。

 

江川 心強いです。というか、すでにお天気以外のところでも、女性キャスターたちに混じっていろんなムチャブリ企画にも参加してくださっていますしね(笑)。

 

川畑 そうですね(笑)。まさかこの会社に入って、「影絵クイズ」に参加したり、会社の外で握力計を握ったりと、そういう企画に自分が携わるとは夢にも思わなかったです。予報センターの人間としてはどれも難易度の高い仕事ですが(笑)、でも、そういったところでサポーターの皆さんに少しでも親しみを感じていただけたら嬉しいなと思いますので、これからもどんどんチャレンジしていきたいですね。

 

江川 期待しています!

 

──たくさんのお話、ありがとうございました。次回にご登場いただくのは檜山沙耶キャスターになります。お2人から檜山沙耶さんのご紹介をいただけますか?

 

川畑 とても素敵なキャスターさんですね。時に天然さを感じることもあり、今でも私が予報センター解説時代に内藤さんと間違えられたことは記憶していますが(笑)、普段の柔らかい雰囲気の中で、伝えるべき時はしっかり伝える。そんな硬軟を併せ持っている方だと思います。そして、周りから見えないところでいろいろとご努力をされているのではと思うのですが、芯が強くブレない方だなと思っています。

 

江川 さやっちの第一印象は、とってもおしとやかな女性! です。話し方も上品で柔らかいのでずっと声を聞いていたくなります(笑)。特に大雨による災害などが発生して緊迫している時、番組の警戒レベルがぐっと上げられます。その際の話し方も、強すぎたり力を入れすぎると聞き取り手に圧迫感を与えてしまって聞いている方が苦しくなるのですが、さやっちは絶妙なバランスで、優しくも強くもありながら、番組を進めるのが上手なんです。さやっちを見ていると緊迫した中に、安らぎも含まれていてすごいと思います。私はよく上司に「警戒レベルの時の顔が怖い」と言われるので(汗)、さやっちを見習って私も学ばせてもらっています!

実は、今までお仕事でご一緒させてもらったことがほとんどないんです。クロストークや番組も朝と夜で会えないので、話す機会が全くと言っていいほどないので残念なんです……。未だに第一印象は変わらずですが、交流を深めると変わるのかな!?(笑)

さやっちとは、さやさやコンビで同じ一人っ子というのも気になっていました! これからご飯など行って交流を深めていきたいと企んでいます……! さやっち、これからもよろしくね!!

 

《川畑 玲キャスターに17の質問!》

Q01.好きな天気や空を教えてください。

川畑 秋の筋雲。空の高さを感じる雲が好きなんです。普段生活をしていると下を向いて歩くことが多いと思うのですが、ふと空を見上げた時に雲が高い場所で浮かんでいると、「上を向いて歩きなさい」と言われているような気持ちになります。また、それとは別に、ハロや彩雲のような光学現象で雲に色が付く時は雲が高いことが多いんです。それもあって好きというのもありますね。

 

Q2.冬の季節に知っておくと便利な天気図の読み方は?

川畑 冬の天気で雨や雪が降るのは、冬型の気圧配置か南岸低気圧のどちらかが現れている時。ですので、低気圧の位置を見つつ、上空の寒気がどれくらい強いかも確認しておくといいと思いますよ。寒気が弱ければ南岸低気圧でも雪ではなく雨になります。

 

Q3.キャスターになって意識し始めた美容などはありますか?

川畑 あんまりないんですが、もともと乾燥肌なので保湿だけはしっかり毎日しています。これはキャスターになる前からですね。

 

Q4.幼少期はどんな少年でしたか?

川畑 恥ずかしがり屋でした。人前で話すのがとにかく苦手で。授業中に先生に当てられると、オクターブくらい高い声で「はい!」って声が裏返ってしまうような感じでした(笑)。ただ、責任感が強いところもあり、学級委員に立候補しちゃったりするんですよ。そうした相反する性格が共存しているところは今も若干残っています。

 

Q5.緊張している時の対処法を教えてください。

川畑 緊張を受け入れる。“緊張していてもいいんだ”と自分に言い聞かせる。完璧を求めないこと。そうすることで冷静になっているところもあると思います。あとは遠くを見ながら、“今の自分、大丈夫かな”って客観的に考える。番組中でもインターバルになるとスタジオの遠くの方を見ながら、“あぁ、今日も緊張しているな”、“でも、これもいつもどおりだからきっと大丈夫”って思うようにしています(笑)。

 

Q6.お気に入りのピアノ曲を教えてください。

川畑 聴いていて好きなのはショパンの「ノクターン 第1番」。第2番や第20番は有名ですので、すぐにピンとくる方も多いと思うのですが、第1番もとてもおすすめですね。「夜想曲」というぐらいなので、夜に聴くととても穏やかな気持ちになります。

 

Q7.「ばた様」と呼ばれることへの心境は?

川畑 想定外のことでした(笑)。「ばたやん」もまさかという感じで(笑)。でも、気恥ずかしいですけど、そうやってサポーターさんに身近に思っていただけるのは嬉しいです。これからも江川さんと“やんやんトーク”を楽しんでいただけるように頑張りたいと思います。

 

Q8.番組中、マダムを意識することはありますか?

川畑 ありますね。ただ、いつもコメントで登場してくださる方々が本当のマダムかどうか分からなくて。もしかしたら、自分と同じ年齢ぐらいの男性かもしれないなと疑ってもいます(笑)。それでもマダムの皆さんのコメントがない時はちょっと不安になりますね。“あれ、今日はいらっしゃらないぞ?”って(笑)。逆にコメントを見かけると安心して、私の調子も出てきます。ですから、マダムの方も、マダムでない方も、ご視聴いただき感謝です。ちなみに、今の「マダムの方も〜」というのは江川さんが番組の中で私を紹介する時に言ってくださった言葉で。私も同じ思いですので、改めて感謝を伝えたいですね。本当にいつもありがとうございます。

 

Q9.これまでのクロストークで印象に残っていることは?

川畑 今でもすごく覚えているのは、山岸(愛梨)キャスターとのクロストークで「おつきみピッピ」(ポケモンとのコラボ企画)の指ふりをした時ですね。私の指の動きがちょっと違ったようで、「どんだけ〜!」みたいになってしまいまして(笑)。チャットのコメント欄がざわついたのも印象的でした。

 

Q10.内田キャスターを「内田先輩」と呼ぶようになったきっかけは?

川畑 自然と呼んじゃいました(笑)。もちろん、キャスターとして先輩だからというのもあります。内田さんは人としてとても魅力的な方で、すごく真面目な一面と子どもっぽさの両面をお持ちなんです。先輩からも後輩からも愛されるキャラクターですし、そうした魅力的なところをお伝えしたくて、初めてのクロストークの時にふと出てしまいました。……ただ、心のどこかで、ちょっとイジってやろうという気持ちが芽生えたのも事実です(笑)。決して、怖い方だから先輩と呼んでいるということではないです(笑)。

 

Q11.今一番気になっている植物は?

川畑 これはひと言では答えられない質問ですね。世の中にはいろんな植物があり、当然、まだ私が知らないものがたくさんあります。ですので、もっともっと知りたくて。番組の中でもそうしたリポートを大募集していますので、おすすめの珍しい植物がありましたら、ぜひ教えてください。

 

Q12.ガーデニング初心者におすすめの植物を教えてください。

川畑 やはり、まずは簡単なものから始めるのが一番だと思います。その意味では、この時期だとガーデンシクラメンがおすすめです。寒さにも耐えられるし、外に置いておいても大丈夫。鉢植えでも問題ないのでベランダでも育てられます。また、花持ちも良く、春ぐらいまでお花を楽しめますよ。

 

Q13.今欲しいガーデニングアイテムは?

川畑 板にローラーが付いているガーデニングチェアをいつか買おうと思っています。普段はお尻や膝が汚れないようにダンボールを敷いて作業をしているんですが、それでも腰が痛くなっちゃうんですよね。切実に、今一番欲しいアイテムですね。

 

Q14.番組の切り抜き動画をご覧になることはありますか?

川畑 たまに見ます。正直、ちょっと怖いんですが(笑)、“この時はこういう話の展開にしておけばよかったな”と反省する意味も込めて見ています。ただ、皆さんに楽しんでもらえていること自体は嬉しいのですが、自分があまりそこを意識してしまうと失敗しそうなので、影響されないように気をつけています。

 

Q15.普段、お子さんからは何と呼ばれていますか?

川畑 2種類ありまして。父ちゃんと呼ばれる時と、パパと呼ばれる時があります。しかも、見事に使い分けているんですよね。普段は父ちゃんなんですが、何かお願いごとがある時はパパになるんです(笑)。6歳と2歳の子どもがいて、最近は下の子もまねするようになってきました(笑)。

 

Q16.お子さんに言われてほっこりしたエピソードを1つ。

川畑 寝る前に子どもから、「父ちゃん、今日もお仕事お疲れ様」と言われた時は涙が出そうになりました。普段、私から子どもたちに「今日も一日お疲れ様」って言うことがあるんです。すると、子どもたちも同じように「お疲れ様」と言ってくれるんですが、「お仕事お疲れ様」は初めてで。子どもがそんなことを言えるようになったことも感慨深かったですし、その言葉をもらった瞬間は仕事と育児で張り詰めた緊張がふっと解消された気がして、心の中で号泣していましたね。

 

Q17.最後に、GetNavi webということで普段愛用しているガジェットを教えてください。

川畑 ノートPCの高さを変えられるポータブルのスタンドを愛用しています。プログラミングをしているとすごく肩が凝るんですが、キーボードに少し角度がつくことで文字が打ちやすくなり、疲れにくくなりました。あとは対談の中でもお話ししましたが、喉のケアのためにUSBで動く加湿器をよく使っていますね。

↑川畑さん愛用のPCスタンド。直径は約4㎝で軽量のため、持ち運びも便利

 

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<応募方法>

下記、応募フォームよりご応募ください。
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※応募の締め切りは2月17日(金)正午まで。
※当選は発送をもってかえさせていただきます
※本フォームで記載いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的での使用はいたしません。また、プレゼント発送完了後に情報は破棄させていただきます。

 

【連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

 

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撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ

川畑 玲×江川清音「常に意識しているのは、視聴者が気象に興味を持ってくれるような番組作り」ウェザーニュースキャスター連載・第11回/特別編《前編》

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は約95万人と、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第11回は特別編として、気象予報士でもある川畑 玲キャスターと江川清音キャスターの対談を敢行。唯一の男性キャスターである川畑さんの知られざる素顔を江川キャスターに深掘りしていただきました!

 

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

 

第11回・川畑 玲キャスター&江川清音キャスター/特別編前編

【川畑 玲さん、江川清音さん撮り下ろし写真はこちら】

 

 

江川さんはいつも質問の内容の角度が鋭いんです

江川 今回は某テレビ番組の『徹○の部屋』ならぬ『清音の部屋』として、川畑さんのいろんな一面を探ってみたいと思います! たくさん質問攻めにしますよ。

 

川畑 怖いですね(笑)。お手柔らかにお願いします。

 

江川 そんな恐ろしいことは聞きませんから、安心してください(笑)。まず、前回の私の連載回でも少しだけ川畑さんの魅力についてお話をさせていただきましたが、改めてお伝えすると、川畑さんは視聴者の皆さんが番組から感じていらっしゃる通りの、いつも朗らかで優しい雰囲気をお持ちの方です。だからこそ、多くの方が身近に感じているのではないかと思います。

 

川畑 そう言っていただけると嬉しいです。実は、身近な存在でありたいというのはすごく意識していることなんです。私は気象の専門家ではありますが、決して特別な人間ではありませんから。それに、「ウェザーニュースLiVE」の良さはサポーター(視聴者)さんとコミュニケーションを取れるところだと思うんですね。ですから、できるだけ皆さんと近い距離で気象に関する情報を共有できる存在でありたいなと思っているんです。

 

江川 私も同じ気持ちです! そうした中で、川畑さんは気象やお天気の説明がとても分かりやすいんです。キャスターになる前は予報センターで解説員をされていましたが、その時からいつも丁寧なお話の内容に感動していました。

 

川畑 うわ〜。そんなにたくさん褒めていただいて、なんだか涙が出そうです(笑)。

 

江川 私、ずっと川畑さんみたいになりたいと思っているんです。

 

川畑 何をおっしゃるやら(笑)。

 

江川 だって、以前にも「ここだけの話ですけど」って今と同じことをメールしたことがありましたよね。キャスター全員への気配りもそうですし。それに、例えば私が子どもの関係でどうしても休まなければいけないことがあっても、快く代わっていただいたりして。“こんな素敵な人間になりたいな”といつも思っています。

 

川畑 そんなこと言われても何も出ませんよ(笑)。私のほうこそ、江川さんには尊敬しかありません。番組への真摯な向き合い方であったり、いつもサポーターさんたちに対していかに分かりやすく情報を伝えるかということを意識されていて。しかも何がすごいって、ものすごく準備に時間をかけていらっしゃるところです。そこは本当に見習わないといけないところだなと感じています。あと、これは少し余談になりますが、予報センターで解説をしていた時は、“今日は江川さんにどんな質問をされるんだろう……”といつも身構えてました(笑)。

 

江川 それ、どの解説員の方からも言われます。特に喜田(勝)さんからは番組後に、「あの質問がくるとは思わなかったなぁ」って(笑)。

 

川畑 分かります。質問の内容の角度が鋭いんです。それは、やはりたくさんの時間をかけて準備をされているからこそだと思います。準備した分だけ、「こういうことを解説員に聞けばサポーターさんのためになるだろうな」という引き出しがどんどん増えていくんだろうなって。私が予報センターにいた時は、江川さんのそうした質問の鋭さに怯える毎日でしたが(笑)、キャスターになってからは、誰よりも時間をかけて準備されている姿を見て、“なるほど、こういうことなのか”と理解しました。

 

江川 こちらこそ、そういった視点で私のことを見てくださっていて嬉しいです。ありがとうございます。

 

打診を受け、3週間後にはキャスターデビューをしていました

江川 川畑さんは2022年の4月からキャスターとして登場されましたが、最初に声がかかった時はどんなお気持ちだったんでしょう?

 

川畑 ただただびっくりでした(笑)。土曜日の朝に連絡を受けたんです。その日、私は仕事がお休みで、しかも自分のピアノの発表会の日だったんです。

 

江川 あ、突然の連絡だったんですか?

 

川畑 そうです。内容もストレートに、「(『ウェザーニュースLiVE』の)解説員ではなく、キャスターをやってみませんか?」と。椅子から転げ落ちるくらいの衝撃でした(笑)。まさしく、「え〜っ!?」ですよ。

 

江川 それは驚きますよね(笑)。

 

川畑 「ウェザーニュースLiVE」は女性キャスターばかりでしたし、私は皆さんよりも年齢が上なので、そんな自分がキャスターという大役が務まるのかなと。聞いた時は、本当に不安とプレッシャーしかありませんでした。

 

江川 決断は早かったんですか?

 

川畑 ええ、その場で「分かりました」と即答しました。

 

江川 かっこいい!

 

川畑 こうやって声をかけてもらえるというのは、必要とされていることなのかなとプラスに考えたんです。それに、サポーターの皆さんに受け入れてもらえるかどうかはやってみないと分からないと思いましたから。おかげで、その日のピアノの発表会はいつもよりちょっとだけ緊張が小さかったですね(笑)。

 

江川 よかったですね。うまく弾けたんですか?

 

川畑 うまくはなかったです。それとこれとはまた別問題なので(笑)。

 

江川 (笑)。キャスターへの打診があってから、実際に番組を任されるまでの期間はどのくらい?

 

川畑 デビュー日が4月20日だったんですけれども、 話をもらったのは3月末でした。そのあいだ、キャスターの仕事の内容であったり、心得的なレクチャーは受けましたけど、特に練習期間のようなものもなく……。

 

江川 それで半月後にはデビュー? それもなかなかすごいですね。でも、言われてみれば、ギリギリまで予報センターで解説をされていましたもんね。

 

川畑 そうなんですよ。前々日まで解説員をして、一日おいて、いきなりぶっつけ本番でキャスターデビューでした(笑)。きっと、解説員をしていたという下地もありましたし、カメラの前で話すのがどういうことかが分かっているだろうという判断があったんでしょうね。とは言え、デビューした日は、“人生って本当に何があるか分からないなぁ”としみじみ思いました。

川畑 玲●かわばた・あきら…1977年12月6日生まれ。愛知県出身。A型。気象予報士。名古屋大学、大学院を経て、ウェザーニューズに入社。航空気象、航海気象等を担当し、現在「ウェザーニュースLiVE」内でキャスターとして活躍。Twitter

 

江川 予報センターの解説員になるまでは、ウェザーニューズ内でどんなお仕事をされていたんですか?

 

川畑 私は海上気象が専門なんです。分かりやすく言えば、波の高さや海流、高潮などの予測をしたり、そのためのシステムをつくるプログラミングをしているんですね。それは今もキャスター以外の時間でやっています。

 

江川 そうなんですね。そこからどうして解説員に?

 

川畑 それも急でした。ある日、「予報センターの解説員にならないか?」と。「えっ!? 僕が?」と、その時も青天の霹靂でした(笑)。

 

江川 へー! 普段から人前でお話をするのが得意で、そこを買われたんでしょうか?

 

川畑 それは絶対にないと思います。今もすごく苦手ですから。

 

江川 そんなことないと思いますよ。

 

川畑 そんなことあるんですって(笑)。ただ、その時もやっぱり、“うまくいくかどうかは分からないけれど、とりあえずやってみよう”という感じでした。

 

江川 そこはずっとブレずにある思いなんですね。でも、そもそも、どうしてこのタイミングで男性キャスターを起用しようと思ったんでしょうね。

 

川畑 もともと男性キャスターをもっと増やして、番組にいろんな幅を出していこうという構想があったそうです。そうした中で、2年ほど解説員をしていた私に、「彼をキャスターとして担当させたら面白いんじゃない?」という話が出たんじゃないかなと勝手に思っています。気象予報士ですから、天気にも詳しいだろうということで。

 

江川 じゃあ、もしかすると、そのうち喜田さんがキャスターになることも?(笑)

 

川畑 喜田さんは重鎮すぎますから、可能性は少ないと思いますよ。それに、予報センターでギャグを鍛錬するという大事なお仕事もありますし(笑)。それは冗談としても、確かにもっと年齢に幅があってもいいかもしれませんね。もっと言えば、国籍の違うキャスターさんが登場しても面白いと思いますし。

 

江川 素敵ですね。海外にもサポーターさんがたくさんいらっしゃって、コメントをいただくことも多いですし、海外のキャスターが誕生することで、よりグローバルな番組になりそうです。

 

伝え方や表現力など、まだまだ勉強することばかりです

江川 普段、キャスターの勉強はどのようにされているんですか?

 

川畑 今いるキャスターさんは皆さん個性的な方ばかりですから、“この人のここがすごい!”と感じるところを自分の中に取り入れるようにしています。それはキャスターさんに限らず、解説員の方からもですが。例えば、内藤(邦裕)さんの指し棒の指し方ですとか。

 

江川 すごいピンポイント(笑)。詳しく知りたいです!

 

川畑 内藤さんの指し方は本当に素晴らしいんですよ。全くブレない。私はつい、指し棒の先をクルクルと回してしまう癖があるんですが、それだと見ている側が落ち着きなく感じてしまうんですね。その点、内藤さんはゆっくりと動かして、ピタッと止める。“これはすごく分かりやすいぞ!”と思って、まねするようになりました。ほかにも、いろんなキャスターさんを見て、話し方や話す内容などを参考にしています。最初は緊張しかありませんでしたけど、初めて経験することって学ぶものも多いですし、今はすごく楽しいです。

 

江川 では、今は苦労もそれほどなく?

 

川畑 いえ、3時間も生放送を担当するって、やっぱり大変です。視聴者さんとチャットのコメントを通じてコミュニケーションを取りながら、同時に気象の変化も確認していると、頭も体力も使いますから。だからこそ、私は全てのキャスターさんに対して尊敬の念しかないんです。今日のこの対談ではそのことを伝えられれば、もう十分です(笑)。

 

江川 そんな。川畑さんも素晴らしいキャスターですから。ちなみに発声の練習などはされてます?

 

川畑 特別なことはしていないですね。ただ、最近は喉に気を使って、デスクワーク中は机の上にポータブルの加湿器を置くようにしています。

 

江川 そういえば、以前、「番組前にはコーヒーを飲まない」とおっしゃっていましたよね。

 

川畑 正確には、番組を担当する前日から飲まないようにしています。本当かどうかは分からないのですが、コーヒーは喉を痛めやすいと何かの本で読んだことがあったので。ですから、前日はココアばかりです(笑)。江川さんは喉のケアで何かされていますか?

江川清音●えがわ・さやね…1989年12月3日生まれ。北海道出身。O型。ウェザーニューズ「おは天」の10期生として、2008年よりキャスターに就任。その後、番組の変遷とともに「SOLiVE24」、「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍。趣味・特技はダンス、フラワーアレンジメント、クレイデコレーション、カルトナージュ、カリグラフィー、ヨガなど。 TwitterIntagram

 

江川 日常では、寝る時にぬれマスクをするぐらいですね。あとは、番組中もカメラに映っていないところで、こまめに水を飲んで喉を潤すようにしたり、5分の短いインターバル中でも飴を舐めるようにしたり。それと、前回のこの連載でも少しお話ししましたが、発声練習は欠かさずやっています。

 

川畑 例のBスタ裏で?(笑)

 

江川 そうです、そうです。それも1人で大きな声で(笑)。「モーニング」(午前5:00〜8:00)の本番前だと深夜に真っ暗なスタジオの中で発声をしているので、「ムーン」(午後8:00〜11:00)を終えたキャスターさんが、「Bスタから誰かの発狂している声が聞こえる!」と驚かれたことがあったみたいです(笑)。途中で、「あ、江川さんの声だ」と気づいたそうですが。

 

川畑 (笑)。私が本番中にしていることと言えば、インターバルの時になるべくしゃべらないようにして、次の準備をしながら頭を休めるぐらいですね。

 

江川 人によって方法が違いますからね。ほかのキャスターさんがどうされているのか、聞いてみたいです。

 

川畑 そういう企画があると面白いかもしれませんね。それと、個人的には話し方もちゃんと学んでみたいなと思っているんです。話し方ってちょっとしたニュアンスの違いで、伝わり方が大きく変わるじゃないですか。特に私は、江川さんやあいりんさん(山岸愛梨キャスター)の話し方が大好きで。お聞きしたかったのですが、江川さんって、いつもあえて抑揚をつけてしゃべっていらっしゃいますよね。

 

江川 はい、やっています。

 

川畑 やっぱり。柔らかく伝えるところや、安心感を持って聞いてもらうための話し方など、いつも意識されているんだろうなと思っていました。

 

江川 私は学生時代に弁論研究部に入っていて、人前に立って自分の思いを伝えるということをしてきたので、なおさら気にしているんだと思います。

 

川畑 なるほど。だからなんですね。いつも番組を拝見しながら、メモを取るようにしています。そうした表現の練習などもいつかみんなでやってみたいですね。

 

番組中もいろんな“なぜ?”を常に持つことが大事

江川 普段からキャスターとして心がけていることはありますか?

 

川畑 情報を伝える際、なるべく視聴者さんが理解しやすい目線に合わせるということは意識しています。我々の仕事は正しい気象情報をお伝えするということが大前提としてありますが、一方で、気象をより身近に感じてもらえるように、楽しさや魅力も伝えていきたいなと思っているんです。

 

江川 私も同じです!

 

川畑 いつも同じような説明だと面白みがありませんし、だからといって、難しいことばかり言ってしまうと、手が届かない世界だと思われてしまう。ですから、そうならないように視聴者さんと同じ目線に立ちつつ、そこにほんのちょっとだけ深い話を入れていくようにしているんです。それが積み重なっていくことで、ご覧になっている方の知識も増え、より興味を持ってもらえるようになるんじゃないかなって。これは予報センターで解説員をしていた頃からずっと自分の中で意識していたことですね。

 

江川 “気象”というと、ちょっと専門的なことを解説しているイメージがありますもんね。

 

川畑 そうなんです。少しでも聞き慣れない言葉が出てくると、聞き手が迷子になりかねない。だから、手の届く範囲で、かつ興味をそそる少しだけ難しい説明というのが大事になってくるんです。

 

江川 川畑さんの天気の解説がいつも分かりやすい上に、楽しく感じる秘密が分かった気がしました。

 

川畑 1〜2年ほど前に視聴者さんからの疑問に答える「教えて予報士さん」というコーナーで、海流の話をさせてもらったことがあったんですね。その時も、誰でも分かるようなところから話し始めて、少しずつ専門的な内容を付け加えていったところ、「楽しかったです」という感想を多くいただいて。やはり、そうした番組作りが大事なんだなと改めて感じました。ただ、キャスターの立場になると、今度は自分が一方的に話すのではなく、解説員の方から話題を引き出さないといけないので、また勝手が少し違ってくる。そこに大変さを感じることもありますね。

 

江川 素朴な疑問ですが、川畑さんもやはり番組前のブリーフィングを解説員の方とされるんですか?

 

川畑 します。と言っても、手短なものですけど。天気の予測にブレ幅があったりすると、どこをポイントにして番組で話すかを事前に少し打ち合わせする感じですね。

 

江川 どんな会話をされているのか気になります。やはり、専門的な言葉が飛び交うんですか?

 

川畑 むしろ、ものすごくざっくりした時のことのほうが多いですよ。宇野沢(達也)さんとかと、「今回の寒気はヤバいっすね」とか、「これはなかなか見ないキツい気圧配置ですね」といった感じでブリーフィングを進めています(笑)。

 

江川 子どもみたいですね(笑)。

 

川畑 本当にそんな感じです(笑)。逆に私からお聞きしたいのですが、江川さんが番組中に気象予報士に質問する際、意識されていることはありますか?

 

江川 基本的にはブリーフィングでうかがった内容を深掘りしていく感じなのですが、番組中に気になったこともどんどん聞くようにしています。例えば寒気の流れの話題が出た時に天気図を見ながら、“これって停滞しているけど、そのまま動かないものなのかな”とか、“このまま居座るとなると、しばらく天気が悪いのかな”といった疑問をまとめていきながら、視聴者さんが一番聞きたいであろう内容にまとめていくようにしているんです。

 

川畑 常に客観性をお持ちなんですね。

 

江川 そうですね。やはり、“これはどういうこと?”といった、いろんな“なぜ?”を持っていることが大切だと思うんです。それに、慣れてくると多くのことが自分の中で当たり前の知識になってしまうので、初心を忘れないようにしています。今の時期だと『JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)』というワードが頻繁に登場しますが、解説員の口から出ると、「日本海側に大雪をもたらす寒気ですね」と説明を入れたり。

 

川畑 そうやって、いろんな方に“いい番組だな”“また見てみたいな”と思ってもらえる努力が大事ですよね。

 

江川 本当にそう思います。

 

※「川畑 玲キャスターと江川清音キャスター」による対談は後編へ。後編では川畑さんの学生時代のお話も。

関連記事:川畑玲×江川清音「番組を楽しみながらも、生命に関わる情報を扱っているという緊張感をいつも持っています」ウェザーニュースキャスター連載・第12回/特別編《後編》

 

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撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ

江川清音「サポーターさんと気象解説員の皆さんの架け橋になっていきたいという気持ちは、ずっと変わらず持ち続けている思いです」ウェザーニュースキャスター連載・第10回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は93万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第10回に登場していただくのは江川清音キャスター。厚い信頼で後輩から慕われている“さーやん”さんに、これまでの思い出を振り返っていただきながら、大好きなお天気のこと、そして番組を応援してくれるサポーターの皆さんへの思いをたっぷりとうかがいました。

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

第10回・江川清音キャスター

江川清音●えがわ・さやね…1989年12月3日生まれ。北海道出身。O型。ウェザーニューズ「おは天」の10期生として、2008年よりキャスターに就任。その後、番組の変遷とともに「SOLiVE24」、「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍。趣味・特技はダンス、フラワーアレンジメント、クレイデコレーション、カルトナージュ、カリグラフィー、ヨガなど。TwitterInstagram

 

【江川清音さん撮り下ろし写真】

キャスターはサポーターさんたちの代表だと思っています

──前回の山口剛央解説員、白井ゆかりキャスターによる特別対談を経ての江川清音キャスターのご登場になります。最初に江川さんから見たお2人の魅力についてお聞かせいただけますか?

 

江川 山口さんとはお酒友達なんです(笑)。と言っても、一緒に飲んだことほとんどなく、よくお酒の話をするので、勝手にそんな印象を持っているというだけなんですけどね。山口さんは、ひと言でいえば貫いている方ですね。気象に関する知識やデータが豊富で、過去に起きた災害のお話など、何を聞いても瞬時に答えが返ってくる。ですから、本番中にいきなりブリーフィングの時に出なかったような質問も話題にできるんです。本当に、“この世界にいてくださって、ありがとうございます!”という思いでいっぱいです。ゆかりんは年下のお姉ちゃんかな(笑)。常に細かい気配りができる方で、それでいて、とにかく優しい。ちょっとしたことでも心配して連絡をくれたりするんです。番組担当のシフトを急遽変更しなければいけなくなった時でも嫌な顔ひとつせず、「全然問題ないですよ!」って言ってくれて。いつも助けてもらっていますね。

 

──江川さんは朝からお昼にかけての時間帯を担当されることが多く、反対に白井キャスターは夕方から夜が多いので、白井さんとはなかなか社内でも会える機会がなさそうですね。

 

江川 そうなんです。でも、たまに衣装室で一緒になることがあって。そんな時はホッとします。私が普段から頼りないというのもあるのですが(苦笑)、長年一緒にやっているので、ゆかりんの顔を見るだけで安心できるんです。私にとってまさに癒やしです。ただ、社内で会っても、お互い準備などでバタバタしているので、お話ができたとしても本当に数分で。それがいつもすごく残念ですね。

 

──番組自体は3時間の生放送ですが、そこまでの準備にもたくさんの時間をかけているということを、以前白井キャスターもおっしゃっていました。

 

江川 私の場合は特に長くて、ほかのキャスターと比べて1時間ぐらい早く準備に取りかかるようにしているんです。そうしないと間に合わなくて……。本番でアドリブのようにポンポンと言葉が出てくるタイプではないので、番組で話す内容を頭に入れておいたり、何を話すかを事前に用意しておいたりしないと本当にダメなんです。

 

──ご自身の頭の中で原稿内容を咀嚼する時間が必要ということですか?

 

江川 咀嚼というより、私は実際に口に出して確認をしています。番組の原稿って自分で書くんですが、“ここをしっかり届けたい!”というポイントがあるので、話す時の抑揚も考えながら何度も音読するんです。学生時代、弁論部に所属していたので、特にそうしたことを意識しているのかもしれないですね。それに、時間をかけて書いた原稿でも、いざ口に出して読んでみたら、“あれ!? これは何が言いたいんだろう?”と、まとまりのない文章になっていたりすることもありまして。そうした確認も含めて必ず時間をかけて音読をするようにしていますね。ただ、担当する時間が「モーニング」(午前5:00〜8:00)や「サンシャイン」(午前8:00〜11:00)だと家を出るのが深夜ですし、お迎えに来ていただく時間も決まっていますので、そうした時は前日に家でいろいろと調べておいたりもします。

 

──具体的にはどのような準備をされるんでしょう?

 

江川 前日にすることは、それまでの天気の流れを復習し、週間の天気予報も刻々と変わっていくので、最新のものをチェックしたり。あとは自然季節の確認ですね。七十二候や二十四節気が当てはまっているかなどをチェックします。それに番組内ではフリートークの時間もありますから、《今日は何の日?》を調べたり。……やることは結構多いです(笑)。

 

──江川さんの番組ではおなじみの「いきなりクイズ」を考えたりも?

 

江川 それもありますね(笑)。3時間ってやはり長いですから、いろいろと仕込まないといけなくて(笑)。

 

──おっしゃるように3時間の生放送はかなりの長丁場だと思いますが、普段は30分のブロックを6回に分けてこなしていくという感覚なのでしょうか?

 

江川 私は日によります。晴れた穏やかな日だと、30分ごとのインターバルでひと息つけることもありますが、天候が荒れていたり、地震などのイレギュラーなことが起こっていたりする時は、3時間ずっと緊張感が続いていきますから。それに、インターバル中でも視聴者さんからのチャットコメントを拾っていることがあるので、やはりあまり休んでいる時間はないかもしれないです。皆さんからのコメントの中に天気にまつわる質問を見つけると、“こういうことを知りたいんだな。それなら解説員の方への質問の中に差し込んでみよう”とその場その場で考えたりします。

 

──そうやってリアルタイムで視聴者の疑問や声を拾い、すぐに番組内で答えを届けていくというのは、「ウェザーニュースLiVE」の強みの一つだなと感じます。

 

江川 やはり双方向の番組ですからね。私がウェザーニューズに入った当初は前身の「SOLiVE24」という番組で、キャスターはサポーターの代表という立ち位置だったんです。それは今も変わらないと私は思っていて。そうした意識を持ちながら、サポーターさんが疑問に感じていることなどを予報センターの解説員の皆さんに質問して聞いていく架け橋だと思っています。また、その上でスタッフさんの存在というのがすごく重要なんです。スタッフさん方に光が当たる機会ってあまりないのですが、本当にいい方ばかりで、私、大好きで。日々の番組構成だけでなく、“このキャスターだと、きっとこのリポートを盛り上げてくれそうだな”ということをすごく考えてくださっているんです。私たちもそうしたスタッフさんたちの思いを汲み取って、サポーターさんたちのリポートに対してコメントをしていく。そうした関係性が本当に素敵だなと思うんです。

 

──キャスターさんとスタッフさんとのあうんの呼吸で番組が成り立っているのは、いつも放送を拝見しながら強く感じています。

 

江川 そのためにも、私は普段から、スタッフさんとの交流をすごく大事にしているんです。時間があれば、たくさんお話をするようにしていて。そうしたちょっとした会話の中から、お互いがどんな番組にしていきたいかといった方向性を感じ取れることもありますから。

 

一番つらかったのは「SOLiVE音頭」。私、歌NGなんです(苦笑)

──先ほど「SOLiVE24」の話題が出ましたが、江川さんはさらにその前身である「おは天」(携帯電話用の気象情報動画配信サービス)からキャスターをされています。

 

江川 はい。ですから、ウェザーニューズに入って14年目になるんです。18歳の時に受けたオーディションで合格をいただき、「華麗なる18歳」というキャッチコピーをつけていただいたんですよね(笑)。同期にあいりん(山岸愛梨キャスター)がいるんですが、私は途中で大学に戻ったりして、数年ほどキャスターをしていない時期があったんです。ですので、実際のキャリアはあいりんのほうが上になりますね。

 

──「おは天」や「SOLiVE24」の頃から番組の内容も随分と変わってきたと思いますが、キャスターとして求められていることにも変化を感じますか?

 

江川 気象に関してより詳しくなっていかなければいけないなと実感しています。“こんなことも知らないの?”と思われてはいけないキャリアになってきていますし。以前はもっと自由奔放でした(笑)。ぶっつけ本番で、“好きなようにやっていいよ”という空気もありましたから。でも今は、番組の構成もお天気の情報に重きを置く内容になってきましたし、視聴者数もどんどん増えてきましたので、より正確に、かつ、見る人にとって誤解のない番組作りを意識するようになりましたね。そうはいっても、まだまだ失敗だらけで、落ち込むことばかりなんですけどね。

 

──江川さんでも失敗をされることがあるんですか?

 

江川 たくさんありますよ。放送後に視聴者さんから言葉の使い方でご指摘をいただいて、“そうだよなぁ……ごめんなさい”って、すごく落ち込んだり。番組中は失敗したと思ってもなるべく笑顔を届けるようにしていますが、私はちょっとしたミスでもずっと引きずってしまうんです。それもあって、事前の準備を入念にしているんです。

 

──そうなんですね。ちなみに、思わず笑っちゃうような失敗談などもありますか?

 

江川 それもたくさんありますよ。番組が終わった後に、衣装が前後ろ逆だったことに気づいたことがありました(笑)。幸いなことに分かりにくいデザインでしたので、きっと誰にもバレていないと思います。番組が終わって着替える時に、“あれ? どうしてここにタグが!?”って(笑)。あとは……間違いなくバレているものでいえば、笑いすぎて椅子から転げ落ちたりもしましたね(笑)。MAXコーヒーを吹き出したこともありましたし。それはCスタジオ時代の話なんですが、染みになってしばらく残っていて。それを見るたびに、“これ、私のコーヒーの跡だ……”とへこんでました。今はもうきれいになっていますけどね。

 

──では、この振り返りの流れで、「SOLiVE24」時代のものでも結構ですので、もう一度やってみたい企画などはありますか?

 

江川 ソラヨミ企画をやりたいですね。予報センターの森田清輝さんや丹羽祐久さんと一緒に空の読み方を学ぶという企画があったんです。天気に詳しくなりますし、空についてたくさん知ることができるので、視聴者さんがどんどん増えている今、そうした企画を望んでいる方も多いのではないかと思うんです。

 

──確かにすごく興味があります。

 

江川 あとは公開番組も久々にやってみたいですね。以前は2週間に一度、公開番組をしたり、「そら博」といったイベントも開催したりして、視聴者さんと直接コミュニケーションを取れる機会が多かったんです。皆さんの顔を知れることで関係性も深まっていくので、ぜひまたやりたいです。もちろん、イベントは楽しいことばかりではなく、なかにはつらいこともありましたけどね。

 

──そのつらかった思い出をうかがってもいいですか?

 

江川 一番つらかったのは「SOLiVE音頭」です(笑)。あれは泣きました。「本当に歌だけはやめてください!」って号泣しながらお願いをして。

 

──歌が苦手なんですか?

 

江川 私、歌NGキャスターなんです(笑)。その結果、学生時代にダンスをしていたこともあって踊り担当になったんですが、振付も任されたんですね。しかも、踊り担当が3人だったので残り2人のキャスターさんに振付を教えようとしたところ、私が自分で歌いながら動きを見せなきゃいけないことに気づいて(笑)。まさしく地獄の時間でした。あれがあったので、おかげで怖いもの知らずになりましたけどね(笑)。先ほど言っていただいた「いきなりクイズ」もそうです。あの時に培った度胸の賜物です(笑)。

 

──「いきなりクイズ」はどういった経緯で生まれたものなのでしょう?

 

江川 あれは多くの視聴者さんに番組に参加してもらえたらいいなと思って始めたものでした。サポーターさんの中にはチャットでコメントを書いてくださったり、リポートを送ってくださったりと、いろんな形で参加してくださっている方もいますが、それはきっと一部の方で、多くがじっと番組を見てくださっているだけと思うんです。そうした方々にも、“ん? なんだ今のは?”と思ってもらったり、ほんの数分でも前のめりな感じになって番組に参加してもらえたらなと思い、ジェスチャークイズのようなものを始めてみたんです。そうすることで、番組を飽きることなく楽しんでいただけるかなという思いもあって。ただ、「よく分からない」とか「難しすぎる」という意見が多いです(笑)。

 

──確かに難易度が高めですよね(笑)。

 

江川 そうみたいですね。私は結構簡単にしているつもりなんですけれど。きっと、私の演技力や表現力の問題なんでしょうね(笑)。ただ、思いがけないような答えがコメントで飛び交っていたりして、それもまた楽しくて。いつかは全員が正解するのを目標に日々頑張っています(笑)。

 

──その日が訪れるのを楽しみにしています。でも、そうした「いきなりクイズ」のようなバラエティ色のある企画と詳しい天気情報がバランス良く成り立っているのも「ウェザーニュースLiVE」のいいところですよね。

 

江川 はい。だからこそ、視聴者さんも安心して楽しんでいらっしゃるのかもしれないですね。それに、視聴者さんたちと一緒に番組を作っているというのも本当に素敵だなと思っていて。「10分天気予報マップ」がすべてを物語っていると思うんです。皆さんから送られてくる全国各地のお天気リポートを瞬時に見ることができる。これって本当にすごいことで。ちょっとした地域の差での雨量の違いが分かりますし、私たちにとってもこれからどんな危険が発生するかを予測する材料にもなる。状況に応じて、声のトーンを変えて注意喚起もできますし、まさしく皆さんとともに「ウェザーニュースLiVE」はあるんだなと感じています。

 

同期のあいりんはキャスターみんなの大黒柱。というより、裏のドンですね(笑)

──天気にまつわるお話もうかがいたいのですが、江川さんが一番テンションの上がる天気や時間帯はいつですか?

 

江川 朝日が昇る瞬間と朝焼けですね。ものすっごく気分が上がります! 特に今ぐらいの冬の時期だと、「モーニング」の番組中に朝焼けのグラデーションが見られますし、あの美しさを視聴者さんと共有できる時間が大好きなんです。逆に、これは視聴者さんにもバレていると思いますが、朝の幕張のお天気カメラに曇り空が映っているとドヨーンとした気持ちになりますね(笑)。それこそ、雨雲のまねをしているんじゃないかと思うぐらい気分が沈みます(笑)。

 

──では、好きなウェザーニュースアプリの機能は?

 

江川 雨雲レーダーは言わずもがなですが、皆さんから送られてきたウェザーリポートが見られるページが好きです。晴れの日のリポートに限らず、雨の日でも皆さんからの報告を見て、“みんな空を眺めているんだなぁ”って思う時間が一番ホッとするんです。それに、全国にいるサポーターさんの存在を普段から身近に感じていると、災害などが起きた時に、“この地域に住んでいる方もいらっしゃったな”、“大丈夫かな”と考えられるようになりますし。そうした気持ちがあることで伝え方の意識も変わっていくと思いますので、皆さんからのリポートは時間がある限り見るようにしています。

 

──皆さんからのリポートがアプリの開発や番組の構成に反映されていることも多そうです。

 

江川 それはすごくありますね。例えばゲリラ雷雨が発生して、その近くにいたサポーターさんから動画が送られてくると、番組内でもより詳しい気象解説ができますから。特に解説員の内藤邦裕さんは局地予報がお得意な方ですので、ゲリラ雷雨に関する情報を幅広く、かつ分かりやすい言葉で解説してくださるんです。また、雨が収まってきたり、状況が落ち着いてくると、今度は時間をかけて丁寧に気象のメカニズムやゲリラ雷雨の対策についても教えてくださったりして。なかには少し難しいかなと思える内容もあるのですが、それが逆に視聴者にとって刺激になりますし、そうやってみんなで意識を高めていけたらいいなとも思っているんです。もちろん、そのためには私たちキャスターも、いろんな切り口で解説員の皆さんからさまざまな情報を引き出せるようにならないといけないんですけどね。

 

──では、江川さんから見て、今のキャスターはどんなチームになっていると感じますか?

 

江川 十人十色でそれぞれのいいところがすごく出ているように思います。得意分野もみんな違いますし、そうした中で、天気という軸があり、会社のキャッチコピーにもあるように「Always WITH you!」という思いで一緒に空を眺める仲間として支え合っている。新しく入ってくるキャスターもそこを理解している子たちばかりですので、すごくまとまりのあるチームになっているなと思います。

 

──個性豊かなキャスターがいらっしゃいますが、そうした中で江川さんの強みはなんだと思いますか?

 

江川 “誰にも負けないぞ!”と思うのは体力とフットワークの軽さですね。今はもうなくなりましたが、以前は3時間の生放送を1日2回担当していたこともありましたから。しかも、それを週に3回くらい(笑)。頼まれたら「やります!」って引き受けちゃうんですよね。でも、そのおかげで自分のスキルも広がり、いろんなことができるようになっていきましたので、すごくプラスになっているなと感じています。

──また、後輩もどんどんと増えてきましたが、江川さんが後輩に声をかける際はどんなことを意識されているのでしょう?

 

江川 私はあまり後輩という感覚を持たないようにしていて、みんな友達だと思っているんです。それだけに、ちょっと頼りない先輩だなと思われているかもしれませんが(笑)。それと普段の会話の中で、“なにか悩んでいるのかな?”と感じたりすると、話を聞いてみたり、あとでメールを入れるようなこともありますが、でもどちらかというと待つタイプですね。相談に来てくれると親身になって一緒に考える感じです。

 

──それはあえて待つんですか?

 

江川 そうですね。もしかしたら、自分の力でなんとか消化しようとしていたり、殻を破ろうとしている時間かもしれないので、そこは邪魔をしたくなくて。逆に相談ごとがあれば、なんでも聞いてほしいです。私は結婚をしていて子どももいるので、なかなか食事などに誘いにくいかもしれませんが、そこは気にせず、声をかけてほしいですね。

 

──江川さんはご出産後に再びキャスターに復帰されましたが、以前と比べてご自身の中で変化を感じることはありますか?

 

江川 やっぱり私って天気とこの仕事が好きなんだなと改めて思いました。育児に幸せを感じながらも、早くサポーターの皆さんと天気を眺めて共感したいと思っていましたから。それもあって、一年も経たないうちに戻ってきたんです。また、天気の見方も以前と比べて変わりました。家事が多くなったことでアプリの洗濯天気予報の素晴らしさを改めて痛感しましたし(笑)、子どもが風邪をひかないようにと気温の変化にも敏感になりました。そうしたことは番組内で視聴者さんに天気の情報をお伝えする際にもとても役立っているなと思います。

 

──また、同期である山岸キャスターについてもお聞きしたいのですが、江川さんにとってはどのような存在でしょう?

 

江川 私に限らず、すべてのキャスターが憧れる女性だと思います。真面目な性格なのは昔から同じなのですが、最近はプロデューサー的なところもあり、番組の企画などで悩んだりすると、いろんなアドバイスをくれるんです。いわば、キャスターみんなの大黒柱。いや、というより裏のドンですね(笑)。あいりんがいて、みんながいるという感じです。

 

──出会った時のことは覚えていますか?

 

江川 私が18歳で、確かあいりんは二十歳ぐらいだったと思います。“世の中にはこんなきれいな子がいるんだ!”と衝撃を受けました。まさにアイドル! という感じで、今も私の中ではアイドルです。一緒にいると話が止まらなくなり、たまにクロストークで一緒になると、あまり長引かないように努力するんですが、それでもつい話し込んでしまったりして(笑)。私にとってはなくてはならない存在で、私がここまでキャスターを続けてこられたのはあいりんのおかげだと思っていますし、同期とはいえ、支え合っているというより、ずっと支えられていますね。

 

──そういえば、小林李衣奈キャスターをインタビューさせていただいた際、山岸さんと江川さんの番組内での話し方をいつも参考にしているとお話しされていました。

 

江川 本当ですか!? そういうふうに見られていると思うとドキドキしちゃいますね。もう変なこと言えないです(笑)。番組プロデューサーからは「さーやんは好き勝手にやっていいよ」と言われているのですが、羽目を外しすぎないように気をつけます(笑)。

 

──(笑)。では、ほかのキャスターについて最近変化を感じたことや、改めて知った意外な一面などがありましたら教えてください。

 

江川 ゆっきー(内田侑希キャスター)がめちゃめちゃかわいい!(笑) いや、もちろんものすごくかわいいのは以前から知っていました。ただ、これまでそんなに交流する機会がなかったんですね。それが、先日のカレンダー撮影で同じ日になって。そこでたくさんお話をしたんですが、勝手に私が抱いていたクールビューティーなイメージが一気に覆りました。話す内容も、しゃべっている時の楽しそうな表情も、もう全部がかわいくて、ずーっとおしゃべりをしていたくなるんです。それに、いつも笑顔で楽しそうに番組をされているのに、“本当はもっとこうしていきたいんです……”といった悩みも抱えていて、番組をよりよくするためにどうすればいいかを真剣に考えている。そうした真面目さもまた素敵なんですよね。

 

──クロストークで一緒にバンジージャンプに行こうという話をされていましたね。

 

江川 よくご存知で(笑)。そうなんです。どうせならカメラを回そうかとも話していたんですが、きっと2人ともバンジージャンプを楽しむだけで、飛ぶ前に怖がったりキャーキャー叫ぶこともないだろうから、つまらない映像になりそうだねという話もしていて(笑)。そういえば、ゆっきーから、「さーやんさんとは似ているところが多いと思います」と言ってもらえたんです。確かにそうかもと思って。社交ダンスにも興味を持っていたので、これからますます仲を深めていきたいですね。

 

天気に関する知識を今以上に身につけて、いつか予報センターでも働いてみたい

──もう一つ、江川さんにどうしても聞いてみたかったことがありまして。番組内の発言でときどき登場する“Bスタ裏”の存在についてなんですが。

 

江川 ふふふふふ。やはり来ましたね、Bスタ裏。気になりますよね(笑)。「Bスタジオ」は以前使っていたスタジオなんです。それがいつからか、説教部屋のようなイメージを持つ場所になってしまって。誰かがミスをしたという垂れ込み情報がサポーターさんを通じて私の元に届くと、私が「これはBスタ裏に呼び出しですね」と言うようになっていったんですよね。それで、気づいたら私はBスタ裏の主みたいな思われ方をされるようになっていました(笑)。

 

──「Bスタ裏」の言葉が広まるきっかけになったのは何だったんですか?

 

江川 決め手になったのは、たぶん山口(剛央)さんの言葉なんです(笑)。

 

──どういうことでしょう?

 

江川 山口さんが何かの拍子で、「江川さんにBスタ裏に連れて行かれないように頑張ります」というようなことを番組の中で発言されていて。それがきっかけで一気に定着したような気がします。ほんと、Bスタ裏に何はあるんだって思いますよね(笑)。

 

──頭の中では完全に学校の体育館裏みたいな場所をイメージしています(笑)。

 

江川 「ちょっと後で顔出して」って? そうですよね。でも、あまり言い過ぎると、本当にBスタ裏で説教をしていると思われそうなので、ほどほどにしておきます(笑)。

 

──(笑)。とはいえ、そうした番組での楽しいやりとりからも、キャスターさん、スタッフさん、解説員の皆さんとの仲の良さが伝わってきます。山口さんは「おつきみピッピ」(ポケモンとのコラボ企画)の指振りの動きで、見事江川さんが陥落させていましたし。

 

江川 番組内で一緒に動きをやってくださいましたね。ほかのキャスターがお願いをしてもずっと拒んでいたそうですが、私の時についに折れてくれて(笑)。同じく解説員の喜田(勝)さんもよく「江川さんが圧をかけてくる」とおっしゃるんですが、私に言わせると、お2人とも何となくムチャブリをされるのを期待しているかのような視線を送ってくることがあるんです。勘違いかもしれませんが、長い付き合いなだけに少なくとも私にはそう見える時があるので、それなら期待に応えましょうと(笑)。

──確かに、この夏復活した「さやサンシャイン体操」も喜田さんは楽しそうにやっていましたね。

 

江川 「サンシャイン体操」は以前、季節ごとにやっていたんですよね。夏に久々にやってからというもの、喜田さんが会うたびに、「もうやらないの?」と聞いてくるので、もしかして皆さんやりたがっているのかなと思って(笑)。喜田さんも山口さんも関西の血が流れているからか、人を喜ばせることがお好きなんです。ですので、これからも怒られない程度に皆さんのユニークな一面を引き出していきたいですね。

 

──また、江川さんといえば、フリートークなどでお酒の話をしてくれるのを期待している視聴者さんも多いと思います。

 

江川 私が番組を担当している時間はお酒に関するリポートが増えるとよく言われます(笑)。言われてみれば、事あるごとにお酒の話題を出していますよね。決して、強いわけではないんです。嗜む程度なので、きっと皆さんと同じぐらいで。でも、お酒の話をするのは楽しいので、朝の時間帯では難しいかもしれませんが、休日のお昼前後あたりにお酒のコーナーとかもいつか企画でやってみたいですね。お米やお酒の味は地方によって違いますし、そこには気象も大きく関わってくると思いますので、そういったことを調べてみるのも面白いかもしれないなと思っています。

 

──同じお酒好きだと、戸北美月キャスターという心強い仲間もいますしね。

 

江川 美月ちゃんともよく、「一緒に酒蔵巡りをしたいね」という話をしているんです。私以上に専門的なことに詳しいですから。ほんと、ぜひ美月ちゃんとは企画をやってみたいです。

 

──江川さんはお酒を飲むとどんな感じになるんでしょう?

 

江川 質問攻めとまではいかないまでも、いろいろと相手のことを聞いちゃいますね。普段は自分のことを話すよりも、周りの会話を聞いているのが大好きなんです。でも、お酒を飲むと自分から話しやすくなるので、ここぞとばかりに質問を(笑)。きっとほかのキャスターについて私の知らない一面がたくさんあると思うので、いつかみんなと飲んで一人ひとりのことを知り尽くしてみたいです(笑)。

 

──その時は、ぜひこぼれ話を番組でもしてください! では、最後にこれからの目標を教えていただけますでしょうか。

 

江川 やはりキャスターである以上、もっともっと円滑に番組を進められるようになりたいという思いを常に持っています。また、天気にも詳しくなって、最初にお話ししたようにサポーターの皆さんが求めるものを伝えられる架け橋のような存在になっていきたいですね。以前と比べて「ウェザーニュースLiVE」はいろんなところで注目を集めるようになり、それにともなって求められるものも増えてきていると思うんです。ですから、新しく番組をご覧になる方やこれまで応援してくださっていた視聴者さんがより楽しめるように、解説員の皆さんから気象に関するさまざまな話題を引き出せるようになりたいと思っています。それと、これは夢でもあるんですが、いつか予報センターの中でも働きたくて。自分に気象予報士さんのような専門的なものを極められるほどの力があるかどうかは分かりませんが、“これは江川に聞いてみよう”と思ってもらえるぐらいの知識を持てるように頑張っていきたいですね。

 

──ありがとうございます。また、次回は特別対談の第2弾として江川キャスターと川畑 玲キャスターにご登場いただきます。予告編として、江川さんから見た川畑キャスターの魅力を教えていただけますか?

 

江川 川畑さんはもともと予報センターの解説員として番組に出演されていたのですが、2022年の4月からキャスターとしてもご登場いただくようになりました。皆さんからすぐに“ばた様”と呼ばれるようになるなど、いつも朗らかな雰囲気をお持ちで、また趣味のガーデニングのお話といった生活に密着した話題も人気ですので、視聴者さんにとってもすごく身近な存在なのではないかと思います。これまでの経歴やキャスターになった経緯などもたくさんお聞きしましたので、ぜひ楽しみにしていてください!

 

《江川キャスターに17の質問!》

Q01.ご自身ではどんな性格だと思いますか?

江川 番組でご覧いただいてるそのまんまだと思います。ただ、“番組の中でこう言っておけばよかった……”といった後悔することがあると、裏でものすごく沈みます(笑)。そこから“これを次に活かそう”と切り替えられるのも結構時間がかかりますね。一度切り替えたらもう大丈夫なんですが。

 

Q02.“パブリックイメージとはここが違う”というところはありますか?

江川 ないです! 3時間もの生放送で本性を隠し通すことなんてできないので、すべてをさらけ出しています(笑)。ただ、自分ではよく分からないんですが、たまに天然だと言われるんですよね。私って天然なんですかね?(笑) 思い当たる節があるとすれば、あいりんと外で待ち合わせをすると、「さーやんとは最初の待ち合わせ場所では会えたためしがない」とよく言われます(笑)。ほぼ、私が間違えていて。そういう意味では、おっちょこちょいなところがあるのかも。自分では自覚がないんですけどね。……あ、だから天然なのか(笑)。

 

Q03.番組などで緊張しないコツは?

江川 適度な緊張は大事だと思うんです。ただ、私の場合は緊張すると噛んでしまうクセがあるので、本番前に声を出すということをしています。それこそ、今はフリースペースのようになっているBスタ裏で発声をして(笑)、喉を温めながらちょっとずつエンジンをかけていっていますね。あとは最後に大きく深呼吸。これも大事ですね。

 

Q04.天気にまつわる好きな言葉を教えてください。

江川 雨過天晴(うかてんせい)。“悪いことも、いずれよくなる”という意味です。つらいことや悩みって誰しもあると思うのですが、それが転じていい方向に向かうこともある。努力は報われると思いますし、こうした前向きな言葉が大好きですね。

 

Q05.もしキャスターになっていなかったら、どんな仕事をしていたと思いますか?

江川 フランスでお花屋さんをしていたと思います。大学生の時はフランス語を学びたくて、留学の試験にも合格していたんです。でも、同じタイミングで競技ダンスの大会があり、どちらかを選ばなきゃいけなくなって。母からは「絶対に留学を取りなさい」と言われていたのですが、試験に落ちたとうそをついて、ダンスを選びました。実はこれ、いまだに母に言っていないことなんですけどね(苦笑)。当時、ダンス部でいくつかの役職を任されていて、自分がいなくなると指導する人もいなくなり、どうしても自分にはやめることができなかったんです。でも、そのことで全国優勝もできたので、後悔はしていないですね。一方で、大学では国際関係の勉強をしていましたし、もし留学していたらフランスで仕事をしていたかも……と思うので、きっと今とは違う人生を送っていたでしょうね。お花屋さんは、単純にお花が好きだからです(笑)。

 

Q06.では、競技ダンスの一番の魅力とは?

江川 競技ダンスっていわゆる社交ダンスなのですが、男女2人のペアで作る最大の芸術だと思っています。クラシックバレエも習っていたので一人のダンスの大変さを経験していましたが、それが2人になるとさらに難しくて。お互いが動ける範囲を理解し合い、一番美しく見える瞬間を動きながら作っていく。大変ではありますが、あれに勝る興奮はないです。始めたきっかけは、ウッチャンナンチャンさんの番組で杉本彩さんが踊っているのを見て、「かっこいい! 私もやりたい!!」と思ったことでした。それで、大学に入ったら絶対にやろうと決めていたんです。

 

Q07.ウェザーニュース・ダンス・クラブを作る予定は?

江川 いいですね! ぜひ作ってみたいです!!  ゆかりんやりえなちゃんなど、ダンス経験者がたくさんいますもんね。以前の番組では米米CLUBさんの名前をもじって「ごめんごめんクラブ」というダンスチームを作ったことがあったんです。あれが私の中でのピークだったかもしれない(笑)。今だと天気に関連した企画じゃないと難しいかもしれないので、みんなで冬型の気圧配置をコンテンポラリーダンスで表現してみるというのはどうでしょう?(笑) 私が振付を担当すると「いきなりクイズ」みたいな難易度の高いものになってしまいそうですし、振付はみんなで考えます(笑)。

 

Q08.夜の番組担当チームはいろんなパーティー企画を配信していますが、もし朝チームでパーティーをするなら?

江川 あ〜、これもやってみたいですね。みんなでホットケーキやホットサンドを作ってみたり。ベビーカステラとかもいいですね。その中に1個だけカラシを入れておきます(笑)。もしくは朝の担当が終わった頃にみんなで集まって、夜の一品として付け加えられそうな簡単なおかずを考えてみたり。うん、楽しそう! ちょっとプロデューサーに提案してみます!

 

Q09.バイク好きとのことですが、思い出のバイクは?

江川 自分で買って乗っていたのは原付きだけなんです。アメリカンとかにも憧れていましたが、買っちゃうとあとに引けなくなってしまいそうだったので、いつも借りて乗っていましたね。父がバイク好きで、一緒にツーリングに行きたくて、私も中型の免許を取ったんです。今でも覚えているのが、小樽までお寿司を食べに行ったこと。その帰り道に虹がかかっていたんですよね。いい思い出です。バイクに乗って風を切る気持ちよさはほかにないものですし、ツーリングは天気とも密接に関わってくるので、また機会があれば乗りたいなと思います。

 

Q10.今のお酒のあては?

江川 ベビーチーズに韓国のりを巻いて、昆布しょうゆに付けて食べる。これ、昆布しょうゆというのがポイントなんです。特に北海道の「はぼまい昆布しょうゆ」がおすすめです。私も取り寄せるぐらい大好きです。あとはホタルイカの素干しかな。

 

Q11.お酒の席での豪快エピソードを1つ!

江川 書ける範囲でのエピソードじゃないとまずいですよね?(笑) そうですね……学生時代の飲み会では、私の前に乾杯を待つ行列ができるということがありました。みんなが一人ひとり、「お疲れ様です!」って声をかけにくるんです。ビール連盟の女子ビ長(ビール長)をやっていたからなんですけどね。

 

Q12.ズバリ、北海道といえば?

江川 お刺し身! イカの踊り食いやめふん(鮭の背わたを塩で漬け込んだ珍味)など、どこの居酒屋さんに入っても魚介類がおいしいですね。……あ、食べ物の話に特化しちゃいましたけど、別に大丈夫ですよね?(笑) 大学が京都で、それからはずっと北海道を離れていたので、帰るたびに「やっぱり北海道っていいなぁ」と地元の良さを再認識します。

 

Q13.最近、自分へのご褒美でしたことは?

江川 自分が生まれた年に出来たワインを買いました。思ったよりもまろやかな味わいでした。ちょっと値段はお高めでしたけど、こうしたご褒美があるから頑張れるんだと思って、思い切って買っちゃいました。

 

Q14.2022年にやり残したことは?

江川 これは毎年話してることなんですが、スカイダイビングをしたいんです。それと気球にも乗りたい。以前、静岡まで弾丸で気球を乗りに行ったことがあるんですが、その時は風が強くて飛ばなくて。ただの日帰り旅行になってしまったという苦い思い出があります(笑)。ですから、いっそのこと気球に詳しい解説員の内藤さんと番組で企画を考えようかなと思っているぐらいです。2023年は空に関する企画をたくさん考えて、どんどん実行に移していきたいですね。

 

Q15.では、新たに趣味にしたいことは?

江川 今でも十分、趣味が多いほうだと思うのですが、裁縫をもっと極めたいです。自分の服を作ったことはあるのですが、まだ世に出せるほどのも代物ではないですし、子どもの服も作ってあげたくて。ミシンを3台も持っているので、今のままでは宝の持ち腐れになっちゃいますからね。それと、これはお仕事に絡んだことになりますが、日本の地形に詳しくなりたいです。純粋に地図帳を見るのが楽しくて好きなんですが、全国にある川や山、湖などを知ることで、その地方でどんな天気に関する事象が起こるのかが分かると思うので、もっと地形に関する知識を増やしていきたいです。

 

Q16.GetNavi webということで、ご自身を家電に例えると?

江川 「電気メーター」……って家電じゃないですよね?(笑) でも、いいですか? 電気メーターって、メモリが動いている間は何かしら家電などが動いているわけで、まさに自分そのものだなって思うんです。家にいる時は常に動いていて、家事をしたり、仕事の準備をしたりと、本当にじっとしていることがないんです。ただ、哀しいかな、家の中ですることが多すぎて、なかなか子どもを構ってあげられないんですよね。だからか、子どもに「ママとパン、どっちが好き?」って聞くと、必ず「パン!」って即答されて(笑)。私にとってパンが一番のライバルであるというのが最近の最大の悩みなので、いつか「ママが一番!」と言ってもらえるように頑張りたいです(笑)。

 

Q17.最後に、普段愛用しているアイテムを教えてください。

江川 グルーガンです。10年ほど前に購入して、まだ現役で頑張ってくれています。これは低温タイプで、プリザーブドフラワーを作る時によく使っていますね。頼まれてブーケを作るのが大好きで、これまでにも何十個と作ってきました。実家に帰省した時に使おうと思ってかばんに入れていたら、空港の手荷物チェックで、「銃のようなものが入っているのですが……」と止められたこともありました(笑)。

↑江川さんの愛用品グルーガン。こちらを使ってブーケやプリザーブドフラワーなどを作っているとのこと

 

 

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撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ

山口剛央×白井ゆかり「私がきっかけで気象に関心を持つ人が増えたら、それが無上の喜びです 」ウェザーニュースキャスター連載・第9回/特別編《後編》

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は92万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第9回は、前回に続き、特別編として、気象解説員の山口剛央さんと白井ゆかりキャスターとの特別対談の後編をお届けします。

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

題字・駒木結衣

 

第9回・山口剛央解説員&白井ゆかりキャスター/特別編≪後編

関連記事:山口剛央×白井ゆかり「難しいことをいかに簡単に、簡単なことはより深く、深いことは面白く」ウェザーニュースキャスター連載・第8回/特別編《前編》

 

【山口剛央さん、白井ゆかりさんの撮り下ろし写真はこちら】

数年分の全国の天気図は全部頭の中に入っています

白井 改めてお聞きしたいのですが、山口さんが気象予報士になろうと思われたきっかけは何だったんでしょう?

 

山口 私が大学4年生だった1994年に初めての気象予報士試験が行われたんです。中学生の頃から気象に興味を持ち、それまではあくまで趣味として自分の世界を歩んでいただけだったんですが、新たに国家資格としての制度が生まれたので、自分の実力を試してみようと思ったんです。1994年は8月と11月に試験が行われて、それはスルーしたのですが、1995年3月の試験から挑戦しました。

 

白井 資格を取って気象関係のお仕事に就こうと?

 

山口 そういった思いは一切なかったですね。純粋に、このマニアックな自分の知識がどこまで通じるんだろうという思いだけでした。見事に2回ほどぶった切られて落ちましたけどね。“お前にそんな資格はない!”って(笑)。

 

白井 山口さんほどの知識をお持ちの方でも落ちたということに驚きです。その時も今と同じように試験は学科と実技の2つですか?

 

山口 ええ、そこは同じでした。学科は最初の試験で合格し、一年間は合格の有効期限があるので、残りの2回で実技試験も受かれば晴れて資格をもらえるわけですが、逆にもし3回目も落ちたら、きっぱりとやめようと思っていました。受かったのは、まさにそのギリギリの3回目でした。

 

白井 でも、考えてみれば、当時は制度ができてまだ2年目ですし、試験対策も大変ですよね。

 

山口 数は少ないものの、いちおう参考書は出ていたので、それで勉強していましたね。ただ、私は文系でしたので、数式問題が出てくると途端に分からなくなって。そこは最初からある程度見切りを付けて、得意な問題の点数だけを確実に取りにいくようにしていました。防災に関する注意事項といった、いわゆる暗記ものですよね。数式問題の勉強法はチンプンカンプンなので逆引きで。まず先に答えを見るんですよ。

 

白井 どういうことですか?

 

山口 答えを見てから、どういう解き方をしているのかを体に入れていく。それを繰り返しやっていました。勉強法としては邪道ですけど。

 

白井 でも、3回目で見事に合格をされて。

 

山口 3回目の実技試験では、ちょっとした幸運があったんです。天気図が出てきて、それが《こういう天気図の時はどんな防災の注意が必要か》というような設問で。私は自分でいうのもなんですがバカが付くぐらいの天気図マニアなものですから(笑)、日付はふせられていたものの、それがいつの天気図なのかがすぐに分かったんですね。

 

白井 すごい! それ、どういう能力なんですか? 実際にあった天気図が頭の中に入っていたということですよね。

 

山口 そうです。“あ、これは95年11月8日の天気図だ”って。

 

白井 さすがに、その日一日が全国的にどんな天気だったかまでは覚えてないですよね?

 

山口 いえ、頭に入っていました。その天気図の11月8日は稚内で風速44.9mという、ちょっと記録的な数値を観測した日でしたので間違いようがなかったんです。ですから、設問の解答も実際に起きたことを書けばいいだけでしたし、ほぼ全問正解だったと思います。

 

白井 まさかそんな解き方をする人がいるとは夢にも思わなかったでしょうね。むしろ、事前に問題と答えを知っていたんじゃないかと疑われそう。

 

山口 そう、そうなんです。そこでうっかり『稚内で44.9mの風が……』なんて書こうものなら間違いなく怪しまれますから、そこは気をつけました(笑)。

山口剛央●やまぐち・たけひさ…1973年生まれ。京都府出身。気象予報士。大学卒業後、製薬会社の勤務を経て、1997年、ウェザーニューズに入社。現在「ウェザーニュースLiVE」内で気象解説員を務めている。

 

白井 それほど天気が大好きだと、こうしてウェザーニューズに入られた時は天国だったんじゃないですか?

 

山口 そうでしたね。ただの天気マニアで、自分の将来にとって何の役に立つかも分からないのに、せっせと10代の頃から天気のデータを毎日記録し続けていた男が、それを生業にできるなんて思ってもみませんでしたから。こんなに幸せなことはないなって。

 

白井 中学生の頃から天気のデータを取り続けていたんですよね。

 

山口 中1からです。きっかけは1985年12月17日に実家の京都で雪が降ったことでした。それ以降、毎日の天気をメモするようになって。

 

白井 そのメモというのは何かを参考にされて?

 

山口 完全な自己流です。その記録はウェザーニューズに入るまで、10年近く続けてましたね。

 

白井 やめたきっかけというのはウェザーニューズに入ったからですか?

 

山口 ええ。ウェザーニューズに入って何に一番興奮したかって、気象衛星ひまわりの画像をただで見られるっていうことで(笑)。「もう、記録なんて取る必要ないな」って。

 

白井 (笑)。そういえば、ひまわりのアンテナを個人的に買って、ご自宅で見ていたとおっしゃっていましたよね。

 

山口 ひまわりの画像受像機ですね。170万円もしたんですよ。でも、そこまで精度のいいものでもなくて。それが、ウェザーニューズに来たら、ただで見られるわけです。しかも、精度の高いものを。おまけにアメダスまでついてくる(笑)。まさに、白井さんがおっしゃったように、「ここは天国だ!」というひと言に尽きます。

↑山口さんが自作で作っていた気象記録の一部

 

ふと“これは記録にとどめておこうかな”という瞬間があるんです

白井 学生の頃から毎日の天気図や気象の記録を書き続けていたというエピソードにも驚いたのですが、それ以外にもいろんな観測をされてきていますよね。衝撃だったのが、夏は必ず水シャワーで、そこから派生して水道水の水温を毎日測っていると聞いた時で。最初は“この方、普段どういう生活をされているんだろう?”と、興味しか湧かなかったです(笑)。

 

山口 まあ、理解し難いですよね(笑)。でも、夏は真水が一番ですよ。……という話をすると、白井さんのように大抵びっくりされるんですが、でも夏場の水温って29℃ぐらいあるんです。

 

白井 あ、そこまで冷水ではないんですね。

 

山口 そうです。ですから、“うわ、冷たい!”という感じではないんです。プールの温度とほぼ同じですから。

 

白井 そんな、“僕は毎日プールに入っていますよ”みたいな言い方しないでください(笑)。

 

山口 (笑)。それと、暑がりだというのもありますね。30℃や31℃ぐらいであれば平気なんですが、ある閾値(しきいち)から上になると猛烈に暑さに弱くなってしまって。ですから、私にとって真夏の約1か月間は水シャワーが快適なんです。

 

白井 今はほかにどんな記録に関心があるんですか?

 

山口 もっぱら虫ですね。それこそ、セミの初鳴と終鳴の日がいつかという記録は10年前くらいから取り続けています。「平年値」というものがありまして、8年間記録を取り続けると正確なデータとして認められるんです。ダンゴムシはまだあと2年足りないですね。

 

白井 ダンゴムシは何の観察をされているんでしょう?

 

山口 その年で最初に見かけた日です。

 

白井 毎年変化ってあるものなんですか?

 

山口 それがですね、見事に3月末か4月上旬なんです。たいしたものですよね。ずっと土の中にいるのに、どうやって毎年決まった時期に外に出るタイミングに気づくのか。

 

白井 たしかに興味深いですね。ちなみに、そうした観察の対象というのは何かきっかけがあって見つけるんですか? ……あ、すみません、なんだか私、さっきからずっと質問ばっかりですね(笑)。やっぱり山口さんとお話をしているとどんどんと聞きたいことが増えていくので。

 

山口 いえ、全然構わないですよ。きっかけというのは、別にないんですよ。虫が特別好きというわけでもないですし。85年に雪の記録をメモした時もそうなんですが、ふと“これはとどめておこうかな”という瞬間があるんですよね。

 

白井 そうなんですね。天気以外だと一番長く続けている記録は何ですか?

 

山口 部屋の暖房を付ける最初の日です。たしか2005年からですね。今は冷暖房の初日と終日の記録を付けていますが、でもこれこそ本当になんの役にも立たない統計ですよね(笑)。自分が勝手にエアコンを付けて消すタイミングだけの日ですし。

 

白井 たまに記録のために粘っている時もありますよね。「この日までは暖房は使わない」って意地になっているような(笑)。

 

山口 あります。でも、そのことで例年、記録を更新していますから。

 

白井 それは正確な統計とは言わないんじゃないですか?(笑)

白井ゆかり●しらい・ゆかり…1991年6月25日生まれ。埼玉県出身。B型。2015年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。趣味・特技は茶道、ヨガなど。TwitterInstagram

 

──冷暖房や水温の統計を取り続けているということは、その間、ずっと引っ越しもされていないということなんでしょうか?

 

山口 そうですね。環境が変わると数値も変わってきますから。といっても、それが理由で引っ越さないわけではないです。ただ、面倒なだけで(笑)。

 

白井 資料が膨大そうですもんね。

 

山口 そう。それが一番の理由ですね。

 

白井 手作りの地震計が畳1畳分あるとおっしゃっていましたし。

 

山口 重さも20kgくらいあります。それもあって引っ越しができないんです。業者さんに、つい「絶対に壊さないでくださいね」「傷つけないようにお願いします」って言ってしまいそうで。

 

白井 引っ越し業者の方も、“これ一体何だ!?”と不思議がりそうですけど(笑)。そういえば、番組を盛り上げてくれた電飾のホタルは元気ですか?

 

山口 ホタル、作りましたね(笑)。

 

白井 あのホタルに関しては、私のムチャブリがすぎたので、本当に申し訳ないと思っています。5月くらいでしたよね。山口さんが次にどんな工作を作ろうかと悩んでいたので、私が「ホタルはどうですか?」と提案して。しかも、それを番組中に言ってしまったので、山口さんも後に引けなくなってしまって。

 

山口 本当は飛んでいる感じも出したかったんですよね。でも、最後までいいアイデアが思いつかなくて。

 

白井 それも、私が「せっかくなので飛ばしましょうよ」と言ってしまったからでした(笑)。本当に申し訳ありませんでした。でも、すごく楽しかったので、これからも私にお手伝いできることがあれば何でも言ってくださいね。

 

──今、思いついたのですが、次は傘を作ってみるのはいかがですか? 山口さんと言えば、傘を持ち歩かないことで知られているので、それなら逆に“これなら持ち歩いてみたい”と思えるものを自作されてみては?

 

山口 傘ですか……。う〜ん、できれば持ち歩きたくないですね。というのも、私、傘を差すのがすごくへたくそなんです。

 

白井 どういうことですか?(笑)

 

山口 一瞬で風に煽られてしまうんです。ですから、絶対に壊れないという傘なら持ち歩いてもいいんですけど。

 

白井 ヘルメットに傘をくっつけるっていうのはどうでしょう? どんな強風でも折れない強さにして。頭にくっついていれば両手も空きますし、タケコプターみたいでかわいいと思いますよ。

 

山口 それ、傍から見たらむちゃむちゃ楽しい人じゃないですか(笑)。私の周りから人がどんどんいなくなると思いますよ。

 

白井 たしかに(笑)。逆に子供は寄ってきそうですけどね。

 

山口 「おっちゃん、飛んでー!」って(笑)。それはそれでいいですね。

ちょっとマニアックなものでも好きな人同士で会話ができるのって素敵だなって

白井 山口さんには私の持ち込み企画にもお付き合いいただいていますよね。少し前に『美しきジャンクションの世界』に出てくださいましたし。

 

山口 ええ、楽しかったですね。

 

白井 番組の中でいろんなジャンクションの形を紹介していきましたけど、人によってこんなにも好みが違うんだということが知れたのが、私にとっては大きな収穫でした。私は上空から見た形がシンメトリーになっているのが好きなんですが、山口さんは違って。

 

山口 私はいかに複雑な形をしているかに惹かれます。番組の中でも少しお話ししましたが、土木工学に興味があるんです。橋の設計ですとか。

 

白井 トンネルもですよね。

 

山口 そうです、そうです。

 

白井 『ジャンクション』の企画が終わった放送後に、そのまま会社に残って随分長い時間、トンネルの素晴らしさについてお話しされていたのを覚えています。私はそこまでトンネルの魅力が分からなかったので、「教えてください」と言ったら、スイッチが入っちゃって(笑)。そこから動画を見漁って。

 

山口 そうでしたね。私が大好きな米子自動車道にある摺鉢山トンネルの動画を見ていただいて。ただひたすら4000mぐらい真っすぐ伸びるトンネルの中を車で走っている3分ほどの映像でしたけど(笑)。

 

白井 途中で眠くなりそうでした(笑)。でも、橋には私も以前から興味があるんです。アーチの角度とか、絶対に意味があるでしょうから、そういうのを調べていったら面白いだろうなって。

 

山口 明石海峡大橋などは本当にきれいですよね。ずっと見ていても飽きることがない。

 

白井 分かります! 背景の空の景色も込みで、どの時間帯に見ても絵になりますし。そういえば、番組中に山口さんが好きだとおっしゃった関西にあるジャンクションを、同じように好きだという視聴者の方がいらっしゃって。こうやって、ちょっとマニアックなものでも好きな人同士で会話ができるのって素敵だなと思ったんです。

 

山口 本当ですか。私、ウェザーニューズに入社して、「道路気象」の担当も9年間やっていましたけど、「このジャンクションが好き」という話題が出たことは一度もありませんでしたよ(笑)。もちろん、あくまで仕事で接していた方たちでしたので、心で思っていても口に出さなかっただけかもしれませんが。

 

白井 その「道路気象」のお話にもちょっと興味があります。山口さんとお話をしていると、本当に話題が尽きないですね。

──先日の山口さんの企画『誰でもできる天気図の書き方』はアーカイブで123万回も再生されていますし、もっといろんなお話を聞いてみたいという視聴者はすごく多いと思います。

 

白井 絶対にたくさんいると思います。また一緒に持ち込み企画をやりたいですね。あ、そうだ。山口さんも夏場にお1人で3時間の生放送を担当されていたことがありましたよね。いかがでした?

 

山口 キャスターさんたちが毎日3時間の生放送をされているのが、いかにすごいことなのかがかよく分かりました。私の場合は途中で少しインターバルがありましたし、その日の気象情報をメインにお伝えしつつ、プラスアルファとして台風や地震に関する知識なんかをお届けしていただけでしたが、それでも3時間もの長い時間を1人で担当するのは疲れました。

 

白井 どこがそれほど大変でした?

 

山口 やはりフリートークですね。別に私のフリートークに期待していた人はいなかったと思いますし、ごく短い時間でしたけど、緊張もしましたし、難しかったですね。

 

白井 拝見していましたけど、山口さんはいろんなことを詰め込もうとし過ぎていたような感じがしました。

 

山口 そうなんですか?

 

白井 ものすごく準備をされていたじゃないですか。内容自体も、そのまま一本の大きなコーナーが作れるんじゃないかと思うぐらい完成されていて。あの密度のフリートークをやれと言われたら、私たちキャスターは絶対に無理だと思います。

 

山口 なるほど。まあ、私の場合は毎日じゃありませんからね。だからこそ、ある程度の内容のものを準備できたというのもあると思います。それに、任された以上は期待に応えたいという思いもありましたから。

 

白井 それも関西魂ですね(笑)。素晴らしいです! 最後にもう一つお聞きしたいのですが、気象に関する天職に就かれている山口さんにとって、これからの目標にはどのようなものがあるんでしょう?

 

山口 目標ですか……。この年齢になると、正直言って夢とかもうないんですが(苦笑)、でも、ただただ天気や地震に関心を持っていた男が、番組やこうした取材の場で自分の趣味の話ができるって、これ以上に幸せなことはないんですよね。ですから、あとは番組を通じて、私と同じように気象に関心を持ってくれる人が1人でも増えてくれたら、私はそれだけで満足です。虫の観察はさておき(笑)、手作りの地震計の話なんかを偶然聞いた中高生ぐらいの子が、いずれ数十年後に「あれを見て興味を持って、気象の仕事に就きました」と現れてくれたら、それが私にとっては無上の喜びです。

──たくさんのお話、ありがとうございました。さて次回は江川清音キャスターの登場になります。お2人から江川キャスターのご紹介をいただけますか?

 

山口 私にとっては、特に鋭い「ぶっこみ」をしてくる常に気の抜けないキャスターさんですが(笑)、一方で荒天や地震などでシビアな状況になった時はビシッと決めてくれる頼れる存在でもあります。皆さんも江川さんの記事をお楽しみに。私もぜひ読んでみたいです。

 

白井 さやねさんは、明るく誰にでも優しくて、「飲みにいこうよ〜」とノリのいいところも大好きです。番組を見ていても、ご自身が一番楽しそうに番組を進行していて、見ている側も元気をもらっています。また、私たちキャスターが仕事をしやすい環境を整えようと行動してくださる方です。お仕事とご家庭との両立は、きっと忙しいはずなのに、趣味のフラワーアレンジメントなどまで……。どこまで器用な方なんだ! と尊敬しています。

 

《山口剛央さんに11の質問!》

Q01. 好きな天気、季節を教えてください。

山口 真っ青な空が好きです。季節は春。虫も出てきますし(笑)、世の中が明るくなりますよね。桜とかが咲いたら本当に嬉しいです。苦手なのは晩秋。どんどん暗くなるのが早くなりますし、日の入りが早いと泣けてきます。

 

Q02. 台風や雨の動向を予測するコツはありますか?

山口 台風の進路のように数日先の予想になってくると今は数値予報モデルが一般的で、そこから読み解いていくことになります。あと、もっと短い時間、例えば数時間後や1日くらい先で自分のいるところが雨になるかなどは雲の色などを目視して予想する“ソラヨミ”という方法もあります。

 

Q03. 気象以外に“実はこれも詳しい”というものは?

山口 それがないんですよ。ただ、宇宙の話は好きですね。造詣が深いわけでもないんですが、やはり自然の話ですし、気象に関係しているから興味があるのかもしれないです。それに宇宙の話にまで及ぶと、よく分からなすぎて、逆に楽しくなるんです。想像がどんどん膨らんでいくといいますか。ですから、夜眠れない時とかは宇宙のことをよく考えるようにしています。ブラックホールのことや、もっと単純なことだと、火星まで歩いていくなら何年くらいかかるだろうかとか。そうやって、分からないことに分からないことを重ねるとよく眠れます(笑)。

 

Q04. もし月にいけたら、どんな観測をしてみたいですか?

山口 地震計を置いてみたいです。月震というのがあるんです。地球はものすごく活発なので至る所で地震が起きますが、月は冷え切った星なんですね。それでもわずかに動いている。それが面白くて。1969年にアポロ11号が月に行った時に地震計を置いてきた観測データがあるのですが、自分でも観測してみたいですね。

 

Q05. モノづくりを始めたきっかけは?

山口 昔から好きだったんです。といっても、子どもの頃はプラモデルを作る程度でしたけど。いろんなものを自己流で作るようになったのは、気象に興味を持ってからですね。中3の時に最初の地震計を作り、高2で風速計を作りました。2代目の地震計は大学4年生の時。その後、ウェザーニューズに入ってからはしばらくやっていなかったのですが、解説員として人前で話す機会が増え、意外と多くの方が楽しんで聞いてくださるので、去年の頭ぐらいに3代目の地震計を作りました。自分の中ではかなりバージョンアップしていて、今も家で24時間稼働しています。

 

Q06. 今新たに作ろうと思っているものは?

山口 風速計を作っています。ただ、難しくてもうちょっとかかりそうですね。設計図や見本のようなものがあるわけではなく、自分が過去に資料などで読んだ記憶や引き出しだけで作っているので、なかなか思うようにいかないんです(笑)。

 

Q07. 最近、ガスバーナーでどんなものを炙ってますか?

山口 相変わらず「ナポリタン炙りゲッチュー」しか作っていません(笑)。最初の頃はいろんなものを炙っていたんですが、最終的にチーズ炙りにたどり着きました。レシピも簡単で。ナポリタンに玉ねぎとピーマンとソーセージ、その上にチーズを乗せてガスバーナーで炙るだけですから。

 

Q08. 切り抜き動画はご覧になりますか?

山口 「ダンゴムシ」の回は見ました。1000万回再生を超えて恐ろしいことになっていますよね(笑)。それに、一度検索して見ると、あとからどんどんといろんなおすすめが出てくるじゃないですか。それらをたまに見ることはあります。番組で変なこと言わなかったかなとか確認するために。でも、「ダンゴムシ」も私はただ、日本語の間違いを正しただけなんです。それが話題になって。世の中分からないものだなと思いました。

 

Q09. 「塩口さん」と呼ばれることについての見解をお願いします。

山口 そうですね……(笑)。今、キャスターのお仕事を休業されている松雪彩花さんに対して、どうやら塩対応というものをしてしまったそうで。それで視聴者の方々から「塩口さん」と呼ばれるようになったんです。松雪さんがどう思っていらっしゃるかは分かりませんが、私にとってはとても信頼できるキャスターさんですし、誤解のある塩対応も優しく受け入れてくれる心の広い方だと思っています(笑)。ただ、今年の夏はその呪いなのか、マイクトラブルが起きるという現象がありまして。それもあって、いつか復帰されることがあれば、その時は第一声で謝ろうと思っています(笑)。

 

Q10. 2023年の阪神タイガースに期待していることは?

山口 それはもちろん、18年ぶりのペナントレース優勝です。日本一に至っては1985年以来、成し遂げていないんです。私の観測の歴史と同じなんです(笑)。そろそろ本当に優勝する姿を見たいです。

 

Q11. GetNavi webということで、最近購入した家電などがありましたらご紹介いただけますか?

山口 普段からあまりもモノを持たない人間なんですが、今年、人生で初めて炊飯器を買いました。それまではレトルトのご飯で間に合わせていたんです。でも、昨年ガスバーナーを購入し、自分の中で大ヒットしたので、今年も何か買おうと思い、一念発起して炊飯器を。といっても3980円のものなので、よく宣伝しているような多機能のものに比べると10分の1くらいの値段なんですけどね。これでハマれば、徐々にバージョンアップしていこうと。実際、ほぼ毎日使っていて、これは当たりだったなと幸せを感じています。

 

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撮影/小澤正朗 取材・文/倉田モトキ

山口剛央×白井ゆかり「難しいことをいかに簡単に、簡単なことはより深く、深いことは面白く」ウェザーニュースキャスター連載・第8回/特別編《前編》

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は92万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第8回は特別編として、読者の皆さんからの要望も多かった気象解説員の山口剛央さんと白井ゆかりキャスターとの特別対談を実施。白井キャスターに聞き役になっていただき、底の知れない山口さんのいろんな面を引き出していただきました。

 

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

題字・駒木結衣

 

第8回・山口剛央解説員&白井ゆかりキャスター/特別編前編

【山口剛央さん、白井ゆかりさん撮り下ろし写真はこちら】

きっと多くの方が、“この人、何にもないんだな”と感じていると思います(苦笑)

白井 僭越ながら私から山口さんの紹介をさせていただきますと、ひと言でいえば、1を質問したら10以上の答えが返ってくる方です。特に地震と台風に関する知識量が日本一、いや世界一と言っても過言ではなく、いつも詳しく、そして分かりやすく気象の解説をしてくださるので、私たちキャスターはすごく助けられています。

 

山口 いえいえ、とんでもございません。

 

白井 しかも気象のことに限らず、他愛のない日常会話でも10以上のことを返してくださる。それも、ちゃんとオチをつけて。そこには関西魂があるのかなぁって勝手に思っていますけど……ありますよね?(笑)

 

山口 ありますね。話を落とさないと気がすまないんですよ(笑)。でも、さすがに10以上の答えを返すというのは言いすぎです。せいぜい、プラス0.5程度です。

 

白井 いやいや、その0.5の深みが違うんですって。だからこそ、聞き手のこちらとしてはいつも大満足な気持ちになるんです。

 

山口 それでも、全部が全部プラスアルファの答えができているとは思っていませんよ。やはり気象以外の話題を振られると、腕を組んで“う〜ん……”って悩むことがありますから。

 

白井 あ、それはきっとわざとです(笑)。本番中の私たちは、むしろそうやって困らせて楽しんでいるところもあるんです。“なんでも答えられる知識豊富な山口さんでも分からないことがあるのかな?”って。そうしたところも含めて番組を一緒に盛り上げてくださっているので、私たちキャスターは本当にいつも感謝しています。

 

山口 ……恐縮です。

 

白井 山口さんとしっかりお話をしたのって、多分2018年に山口さんが「ウェザーニュースLiVE」の解説員になられてからですよね。

 

山口 それぐらいですね。

 

白井 お話をするまでは、物静かで、ちょっと固い方なのかなという印象を持っていました。でも、どなたに対しても必ず敬語でお話をされていて。それが意識してのことなのか、それとも元からそういう性格なのか、どちらなんだろうと思っていたら、ふとした時に関西弁が出ていたので、“あ、これがきっと素の山口さんなんだろうな”と思ったのを覚えています。

 

山口 私、出身が京都なものですから、普段の言葉でしゃべろうとすると関西弁になってしまうんです。ですから、誰に対しても敬語で話すようにしているんです。

 

白井 そういうことなんですね。それからもよく観察していると、目上の方にはもちろん、キャスターや全スタッフさんに敬語で話されていて。しかも物腰が柔らかくて、ものすごく接しやすい方なんだなと当時は思っていました。

 

山口 当時は? 今は印象が変わっちゃいましたか?(笑)

 

白井 (笑)。もちろん、いい意味でですよ。しゃべればしゃべるほど、いろんなネタがどんどんと出てくるし、本当に楽しい方だなと思っています。私の印象はどうですか? 変わりました?

 

山口 初めてOAでお仕事をさせていただいた時からすごく話しやすくて、回を重ねるごとに、親しみやすさも増していきましたから、昔も今もずっと私の中ではやりやすい方という印象ですよ。

 

白井 お〜、嬉しいです!(笑)

 

山口 だからといって、やりづらいキャスターさんがいらっしゃるわけでもないんですが、本番では2人だけで画面に映ることがありますから、まだ打ち解けていないとぎこちない空気が視聴者にも伝わってしまう気がして。そうしたことが白井さんとは、最初からなかったですね。

 

白井 良かったです。でもそれはきっと、山口さんがブリーフィングの時から気さくに話してくださるからというのもあると思います。というか、山口さんはブリーフィングの間、ずーっとしゃべってますよね(笑)。

 

山口 話のネタがある時にはそうですね。ただ、私の場合はネタといっても、ちょっと変わっているじゃないですか。ですから、自分でもどうかなと思うこともあるんですが……。

 

白井 セミやダンゴムシの観察と記録ですよね。虫以外にも、地震計といった自作の製作物のお話だとか。それも、すっごく嬉しそうにお話しされていて。「聞いてくださいよ。実はですね……」って。そのお姿を見て、“あ〜、きたきた!”といつも思っています(笑)。

 

山口 ……マジですか。めっちゃ、恥ずかしい(笑)。

 

白井 ああいった話題はどのキャスターにもされているんですか?

 

山口 番組中に話題が出たことのあるキャスターさんだけです。何も知らない人にいきなり話し始めても戸惑われるだけですから。

 

白井 そうか。そうですよね。いきなりダンゴムシとか地震計の話をされても、「……え? あ、はい」ってなりますもんね(笑)。

山口剛央●やまぐち・たけひさ…1973年生まれ。京都府出身。気象予報士。大学卒業後、製薬会社の勤務を経て、1997年、ウェザーニューズに入社。現在「ウェザーニュースLiVE」内で気象解説員を務めている。

 

山口 もちろん、天気が荒れている日のブリーフィングではしませんよ。その時は天候の話だけになりますから。でも、天気が落ち着いていて、時間がある時はしゃべりたいことを一方的に話してしまいますね。しかも、それを真剣に聞いてくださるので、私としてもありがたくて。どうでもいい話題ばかりですが、趣味を誰かに聞いてもらえるって、すごく幸せなことですから。

 

白井 いえいえ、私たちも楽しんで聞いていますよ。それに、番組で話せる話題を提供していただいているようなところもありますからすごく助かっています。きっと、山口さんの趣味の話を楽しみにされている視聴者も多いと思いますし。

 

山口 そうですか?

 

白井 たくさんいますよ。山口さんがどんなことに興味を持って普段どんな生活をされているのか、キャスターたちもみんな興味津々ですから。私の勝手なイメージですけど、山口さんって日々黙々とお仕事をされ、家に帰ったら製作物に没頭されている感じなのかなと思っているんです。

 

山口 全くそのとおりですね。ほぼ、それが全てです。きっと多くの方が、“この人、何にもないんだな”と感じていると思いますが(苦笑)、本当に何もない男です。ただ、私としては、そろそろそういうのから多少は脱却して、皆さんと同じ目線の会話ができるように頑張りたいなと思っていまして。

 

白井 え、どういうことですか?

 

山口 たまにはしてみたいんです。「今、流行っているあれ、私も食べましたよ」といった話とか。

 

白井 多分無理だと思います(笑)。

 

山口 せめて、「皆さんが話題にしていたあそこ、仕事帰りに昨日行ってきましたよ」くらいのことが言えるようになりたいなと(笑)。

 

白井 たしかに、それはそれで興味をそそられますけど。「どうしたんですか、山口さん!」って(笑)。でも、私たちとしては山口さんに「こういうの興味あります?」と聞いて、「いえ、ないです」って即答されるのを期待しているところがあって。そこは裏切らないでいてほしい気持ちもあります(笑)。

 

山口 そうか、裏切りになってしまうんですか(苦笑)。なるほど。では、今後も変わらずこのままでいるように務めます。

季節感を表す言葉で悩むと、いつも山口さんを頼っています

──山口さんは気象予報センターの解説員として番組に出演されていますが、番組以外では普段、どういったことをされているのでしょう?

 

山口 仕事の流れを簡単に説明しますと、まず出社してから、その日の気象の解析をします。具体的には、ウェザーニューズの気象予報センターでは毎日その日の全国の天気の傾向を表した図を作っていますので、それを確認しつつ、自分のほうでも予測モデルを作成し、それぞれを比較しながら、実際にどういう雨の降り方をしそうかといった予測をしていきます。予測図にはいろいろあり、絶対にブレ幅が出るんですね。Aの予測モデルだと雨が降ると出ているけど、Bは降らないと予測している、といった感じで。そんな時、どちらの予測に重きを置き、番組ではどう伝えていこうかということを本番の約1時間前に考えています。

 

白井 伝えるのが難しい季節や時期のようなものはあるんですか? 例えば、冬場は何日も同じような天気が続くから、その変化をいかに伝えていくかに苦労されたり。

 

山口 一番難しくて、予報を外すと大きな影響が出てしまうのはやはり梅雨ですね。予想とは違って大雨に直結してしまったりするとものすごく落ち込みます。

 

白井 今年(2022年)は梅雨明け発表がいつ頃なのかで随分悩まれていましたよね。

 

山口 そうでしたね。気象庁も相当悩んでいたようでした。あとになって「梅雨は明けていなかった」と修正が入りましたから。私も気象に興味を持って随分と長い年月で天気を見続けていますが、梅雨が明けたあとに、もう一度梅雨入りして、再び梅雨明けしたというような天候の変化はあまり記憶にないです。それぐらい2022年は不思議な梅雨でした。

白井ゆかり●しらい・ゆかり…1991年6月25日生まれ。埼玉県出身。B型。2015年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。趣味・特技は茶道、ヨガなど。TwitterInstagram

 

──キャスターの皆さんは本番前、どのような準備をされているのでしょう?

 

白井 私は午後の時間帯の番組を担当させていただくことが多いので、最初にその日の天気がどのような流れできているのかを確認するところから始めます。そのあとで、午後のこれからの天気の動向や週間の予報を、当日一緒に番組を担当される解説員の方にブリーフィングで教えていただきます。特に山口さんの場合は細かい数字を教えてくださるんです。気温の変化や雨量など、いろんな情報を詳細に教えてくださるので、それが番組内で自分がトークをする時の材料にもなっていて本当にありがたいです。

 

山口 いえ、滅相もないです。

 

白井 でも、こうしたブリーフィングが行われるようになったのって、実は『ウェザーニュースLiVE』になってからなんです。以前の番組(『SOLiVE24』/2009〜2018年)ではしていませんでしたから。

 

山口 そうだったんですか? それは知りませんでした。

 

白井 解説員の方が作成されたメッセージシートを本番前に確認したり、自分が担当する前の時間の放送を見て天気の流れを知っておくということはしていましたが、基本的には本番で解説員の皆さんが中心となって天気のことを語ってくださっていたので、私たちはあくまで聞き役という感じでした。ですから、こうして必ず本番前にブリーフィングをするようになってからは、キャスターだけで天気をお伝えする時間も以前と比べてかなり精度が上がっているんじゃないかという気がします。

 

山口 私は今のやり方しか経験していないのですが、白井さんに限らず、キャスターの皆さんは、事前にご自身でその日の天気の流れを調べて、その上でブリーフィングに来られますよね。それは、皆さんが番組の中で発言する天気の話題にしっかりとした根拠をもたせることにも繋がっていますし、いろんな情報を的確に自分の中で咀嚼されて、それを視聴者に届けることにもなっている。皆さん、本当に勉強熱心なので、そこはいつも頭が下がる思いです。

 

白井 いえ、私たちは解説員の皆さんがいないと本当に何もできませんから。特に私は言葉の使い方に苦労していて、原稿を書く際も季節感をどう表現すればいいのかで悩んでしまうので、いつも山口さんに頼ってしまっているなって思っています。

 

山口 季節感や体感の表現は難しいですよね。“ひんやり”と“肌寒い”では、言葉から受け取る印象って人によってそれぞれですし。

 

白井 そうなんです。不特定多数の方に対して同じように“これぐらいの気温なんだな”ということをどうやったらうまく伝えられるんだろうと、毎回悩んでいます。

 

山口 どうしても多少は主観が入ってしまいますしね。ウェザーニューズ社には全国の放送局に向けてそれぞれの地元の天気予報の情報を出す「放送気象」という部署がありまして。私はそこに7年くらいいたので、その時に随分と鍛えられました。といっても、まだまだ怪しいところがあるんじゃないかと気を張っていますけど。

──そうしたお話を聞くと、番組内で行われている「キーワードランキング(※)」は一般の方々がその日の気温などに対してどのような表現をされているのかを知れる機会になっているのかなと思います。

※ 視聴者から送られてくるリポートの中から多く使われているワードをキャスターがクイズ形式で当てるコーナー

 

白井 たしかにそうですね。皆さんが普段、どういう言葉を使っているのかがよく分かりますから。あのランキング、なかなか正解が読めなくて大変なんですけど(苦笑)。

 

山口 たまに、ものすごく難しい時がありますよね。

 

白井 だから楽しいんですけどね。私、かなり本気でやっていますし(笑)。それに、あそこで正解を出せると、残りの放送時間もいいテンション感でこなしていける気がするんです。

 

山口 そういうバロメーターにもなっているんですか。だからか、皆さんが外したあとに結構本気で悔しがっているのをよく隣で見かけます(笑)。

何を聞いてもらって構いませんよ。全力で答えますから

 

白井 山口さんは普段の放送で情報を伝える際に、気をつけていることはありますか?

 

山口 やはり、いかに分かりやすい言葉で話すかということですね。難しいことを難しいまま話すのは簡単なんです。頭の中にある知識をそのまま話せばいいだけですから。でも、それだと伝わりませんし、見ている方が理解できなければ情報の意味がないですよね。ですから、難しいことをいかに簡単に、簡単なことはより深く、深いことは面白く、ということを常に意識しています。

 

白井 おっしゃるように、解説員の皆さんはいつも分かりやすく噛み砕いて説明してくださるので、私も本番中に勉強をさせてもらっているような感覚になることが多いんです。その点は、ある意味で、自分のことを視聴者代表みたいに思っているところがあって。解説を聞きながら分からないことがあれば詳しく説明を伺い、視聴者さんからリアルタイムで送られてくる疑問に、“そうそう、私も気になる!”ということがあれば、その場で質問する。そうやって、視聴者さんと解説員の皆さんとの架け橋みたいな役割になれたらいいなといつも思っています。

 

山口 私にとってもキャスターさんはすごくありがたい存在です。一人で解説をしていると、それこそ独りよがりの内容になってしまいますから。分かりづらいこと、疑問に思っていることなどをキャスターさんから質問していただくことで助けられているところがあります。

 

白井 本番中に急に質問されるのは苦じゃないですか? むしろ、質問されたほうがやりやすかったりしますか?

 

山口 天気に関することであれば、全く苦じゃないです。それはどの解説員も同じだと思います。

 

白井 そうなんですね。私は、「これってどういうことですか?」とか、「じゃあ、これは?」って重箱の隅をつつくように何度も聞くと嫌がられるかなと思って、いつもまとめて1つか2つくらいに絞るように意識しているんです。あまり深く掘り下げすぎると、時間も足りなくなってしまいますし。

 

山口 いや、時間さえあれば、何を聞いてもらって構いませんよ。全力で答えますから。

 

白井 頼もしい! やはり、“1を聞くと10以上が返ってくる”山口さんですね。ちなみに、先ほど「天気に関することであれば」とおっしゃっていましたが、それ以外の話題に関してはどうですか? 山口さんは心が寛容でいらっしゃるので、結構たくさんのキャスターから思いがけない質問をされることが多いと思うのですが(笑)。

 

山口 あー、そっちですか……(苦笑)。荒れた天気の日はしっかりと天候をお伝えするというのが大前提としてありますが、穏やかな日は笑いがたくさんある楽しい番組でいいんじゃないかという思いがあります。ですから、何を聞かれても大丈夫ですよ。心の門戸は開きまくってますから。ノーガードで(笑)。

 

白井 ははははは! たしかにいつもノーガードですよね(笑)。

 

山口 なので、ぶっこんだ質問をされることにも何も恐れてはいないです。

 

白井 本当ですか?

 

山口 もう、どんどん来てもらえればと(笑)。

 

白井 こういう質問は困るな……というのもないんですか?

 

山口 ないです。大抵さらけ出しましたから、もう隠しているものも何もないですし。

 

白井 そう言われると、山口さんが戸惑うような質問を考えたくなりますね(笑)。

──山口さんが応援する阪神タイガースが負けた翌日に、内田侑希キャスターが野球の話題をぶっこんでくることもありますが、あれは……?

 

山口 あ〜、あれは……たしかにつらい時もありますね(苦笑)。

 

── 一度、“今日は野球の話をしない”という紳士協定を内田さんが破りそうになったこともありました。

 

白井 そんなことが?(笑)

 

山口 ありましたね。でも、あの時は事前にお互いの同意があり、そこはしっかりと守ってくださる方ですから心配はしていなかったんです。まぁ、でも、実際はちょっとだけドキッとしましたけど(笑)。それに、野球の話は来春までないでしょうし、今のところは穏やかですよ。

 

白井 春になってからのゆっきーからの再開宣言が怖いですね。「山口さん、そろそろやりますか!」って(笑)。

 

山口 プロ野球の開幕とともに始まるかもしれませんね。そうなったらまたバチバチですよ(笑)。

 

──では、この流れで聞いてしまいますが、質問で恐怖を感じるキャスターさんはいらっしゃいますか?

 

山口 えっ?

 

白井 このキャスターのぶっこみは怖いなぁっていう方、います?(笑)

 

山口 えぇっ!?(苦笑) ……そうですねぇ、ぶっこみ自体は苦じゃないので、全然平気なんです。ただ、ぶっこみの数が多い方が何人かいらっしゃって、ドキドキすることはあります。

 

白井 誰とは言わない?

 

山口 誰とは言いません。午前中の番組によく入られる方のような気がしますが(笑)。

 

白井 それ、かなり絞られますよ(笑)。

 

山口 (笑)。でも、全くもって、嫌だとか、困っているということはなく、むしろ本当にありがたく思っています。そうやって番組を盛り上げる中に自分も入れてもらえているというのは嬉しいですよ。

 

※「山口剛央解説員と白井ゆかりキャスター」による対談は後編へ。後編では山口さんのプライベートのお話も。

関連記事:山口剛央「私がきっかけで気象に関心を持つ人が増えたら、それが無上の喜びです 」ウェザーニュースキャスター連載・第9回/特別編《後編》

 

【連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」一覧はこちら

 

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撮影/小澤正朗 取材・文/倉田モトキ

戸北美月「家族や友人のような親近感があり、視聴者の気持ちに寄り添えるキャスターになることが今の一番の目標です」ウェザーニュースキャスター連載・第7回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は91万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第7回に登場していただくのは戸北美月キャスター。番組中に見せるキュートな姿で視聴者にたくさんの癒やしを届けてくれる戸北さんに、まもなくデビューから一年を迎える今の心境をうかがいました。

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

第7回・戸北美月キャスター

戸北美月●ときた・みづき…1999年12月29日生まれ。福岡県出身。O型。2021年にウェザーニューズ入社。防災士。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。趣味・特技は酒蔵巡り(日本酒検定2級)、筋トレ、料理、ピアノなど。TwitterInstagram

 

【戸北美月さん撮り下ろし写真】

学生を兼ねていた頃はスタジオに来るたびに頭の中が“初期化”していました(笑)

──連載第7回にご登場いただくのは戸北美月キャスターです。前回の小林李衣奈キャスターは戸北さんのことをお話しされた際、「研修の時からずっと助けてもらっている」とおっしゃってました。

 

戸北 いえ、とんでもないです。りえなちゃんは9月にデビューしたばかりとは思えないほど、最初から落ち着きがありましたよね。私は緊張すると早口になってしまうんですが、りえなちゃんはそんなことが全くなくって。いつも安定感がありますし、笑顔もかわいいので、番組を見ているとこちらも優しい気持ちになって、たくさん元気をもらえます。それに、新しいキャスターが入ってくると聞いて、すごく楽しみにしていたところ、それが同い年だったのも嬉しくって。さっそくランチに誘って、たくさんお話をしたのもいい思い出ですね。

 

──同じ年の生まれということでシンパシーを感じることはありますか?

 

戸北 気持ち的には同期だと思っています。私も今年(2022年)の3月に大学を卒業して4月から本格的に番組のシフトに入り始めたので、りえなちゃんとは数か月しか変わらないんですね。ですので、私が何かを教えるというよりは、分からないことや困ったことがあれば一緒に考えていけたらいいなって思っています。

 

──戸北さんがキャスターとしてデビューしたのが2021年の12月。もうすぐ1年になりますね。

 

戸北 はい。先ほどもお話ししたように、最初の4か月間は大学に通って卒論作業をしながらキャスターのお仕事もしていたので、目の前にあることをこなすだけで精いっぱいでした。きっと、番組をご覧になっていた方にもそうした余裕のなさが伝わっていたのではないかと思います。

 

──しかも、大学が遠方だったとか。

 

戸北 京都でしたので、往復8時間かかっていました(笑)。最初の頃は時間を有意義に使おうと思って、気象の勉強をしながら移動していたんです。でも、4時間かけて会社に着く頃にはへっとへとになっていて(苦笑)。それからは、“体を休ませる時間にしよう!”と目を閉じて音楽を聴いて過ごすようになりました。また、学校に行くと友達から、「見てるよ!」と言ってもらえたりするのも嬉しくって。そうした声を励みに頑張っていましたね。

──当時、学生とキャスターの割合はどれくらいだったのでしょうか?

 

戸北 週に2回だけ番組を担当していました。ですから、ほとんどが学生生活でしたし、会社に来たら今度はずっとカメラの前に座っているという感じで、なかなか慣れなかったですね。なんだか毎回夢を見ているようでした。

 

──毎週のように日常と非日常が交互にやってくる感じですね。

 

戸北 それに、その頃は“初期化”という言葉をよく使っていたのですが、大学に5日間通っていると、スタジオに来るたびに、初めてカメラを向けられた時のように、気持ちも感覚もリセットされてしまうんです(笑)。そのことで、毎回あたふたしてしまっていたのですが、視聴者さんから「待ってたよ」というコメントをいただくと、それがすごく力になって。私が番組に出ていない間も気にかけてくださっていたんだなと思うと、より“しっかりとしなきゃ”という気持ちになれました。

 

──では、大学を卒業してから気持ちにも余裕が出てきたのでしょうか?

 

戸北 そうですね。仕事に集中できるようになりましたし、“ここが自分には足りてないんだな”という部分がより明確に見えるようになっていったので、準備する内容も時間がどんどん増えていきました。

 

チッチさんたちとは仲良しです。初めて現れてくれた時も「待ってたぞ!」って(笑)

──1年前にデビューした時のことは覚えていますか?

 

戸北 とにかく緊張していたということだけはおぼろげながら(笑)。でも、何を話したのかまでは全然覚えてなくって。あとで見直した時に、“あ〜、こんなことを言っていた気がするなぁ”と、ちょっとずつ思い出していくという感じでした。

 

──いきなりイヤホンが外れていたというトラブルがありましたよね。

 

戸北 そうでした。あの瞬間、頭が真っ白になっちゃったんです。それもあって、余計に頑張らなきゃっていう気持ちが強くなり、それがさらに緊張に繋がっていったんだと思います。

──ただ、そのあとにフリートークでの自己紹介があり、大好きなラーメンの話をされ始めたあたりから、落ち着きを取り戻したような印象を受けました。

 

戸北 それは自分で放送を見返した時にも思いました。“急にしゃべり方が流暢になっているぞ”って(笑)。

 

──自分の好きなことを話すのも、リラックス方法の1つですよね。

 

戸北 あの時は、事前にスタッフさんと打ち合わせをして、会話の中で「ラーメンとお酒が大好きなんです」とか、「いくつか方言が話せます」といった話題が出たんですよね。そしたら本番中、イヤホン越しに、「次のフリートークで先ほどのラーメンのお話をしてみてはどうですか?」と指示を出してくださったんです。おかげで気持ちも落ち着きましたし、今でもスタッフさんには毎日のように助けていただいています。

 

──でも、イヤホンで次の指示を聞きながら、同時に放送中の番組を進行させていくのは難しくないですか?

 

戸北 今はだいぶ慣れましたけど、最初の頃はたしかに焦ってしまうことも多かったです。返事をしないと無視しているような気持ちになって、つい、「はい」って言っちゃったり(笑)。きっと視聴者さんは、“今のは、何の「はい」なの?”って、戸惑われていたと思います。のちにスタッフさんからも、「私のことは無視して、返事をしないでくださいね」と言われたので、今はもうそんな失敗はないんですけど。

──ちなみに、打ち合わせにはなかった指示が出ることもあるんですか?

 

戸北 フリートーク中に視聴者さんから面白いコメントが届くと、それに乗っかるような感じでむちゃぶりをしてくださるスタッフさんはいらっしゃいますね(笑)。

 

──むちゃぶりをしてくださる(笑)。

 

戸北 (笑)。少し前だと、ウェザーニュースアプリのCMを番組内で流したことがあったんですが、鬼頭明里さんのツンデレバージョンのナレーションを聞いた直後に、「じゃあ、みーちゃんもツンデレをやってみて」という指示が飛んできたことがありました。しかも、私のツンデレの声にエコーまでつけてくださったんです(笑)。そうやって、指示だけじゃなく、私を使って遊んでくださるのも嬉しいし、楽しいですね。

 

──視聴者もよくコメントで戸北さんをいじってますよね。恋愛絡みのリポートなどを読んでいると、すぐにチッチ勢が集結したり。戸北さんもそんなチッチ勢をうまく手懐けている印象がありますが。

 

戸北 ふふふふふ。そうかぁ、私、うまく手懐けられているのかなぁ(笑)。たしかにチッチさんたちとは仲良しですね。もともとチッチ勢と呼ばれる方々がいるのは知っていたんですよ。なので、初めて【(・д・) チッ】のコメントが来た時は、「ついに現れてくれた!」という喜びがありました。「待ってたぞ!」って(笑)。

 

──たしかバレンタインの時期でしたよね。「はじめまして」とチッチ勢にご挨拶までされていて。

 

戸北 よほど嬉しかったんでしょうね(笑)。それ以来、ハートマークのついたリポートや、お天気カメラにカップルさんが散歩している映像などが映ると、光の速さで現れるようになって。逆に来てくれないと心配になるくらいです(笑)。チッチさんたちはいつも番組を見てくださっていて、どんな時でもすぐに現れてくれるので、本当に大好きです。

 

災害時の注意喚起にもいろんな表現がある。今は言葉の選び方もすごく意識しています

──戸北さんは以前、番組の中で、「学生時代は報道関係の仕事を志望していた」とお話をされていました。

 

戸北 はい。祖父が報道局員をしていて、私自身も地震による被災を経験したことがあり、災害や地震の報道に関わる仕事をしたいと思っていました。また、学生の頃からウェザーニュースのことも知っていて、24時間ずっと気象に関する情報を放送し、深夜でも緊急事態の時は気象解説員やキャスターさんが急遽登場して速報に対応されているのを見て、私もこういうお仕事ができたらなと思っていたんです。

 

──いざ仕事にしてみて、いかがですか?

 

戸北 改めて、気象というのは全ての人に関わる大事なものなんだなと思うようになりました。それに、当然ながら住んでいる地域によって、その日の天気や気温なんかも全然違う。私自身、学生を兼ねていた頃は大学がある京都の山のほうと、会社がある海沿いで、同じ日でも季節感の違いを実感することがありました。だからこそ、全国のお天気を24時間にわたってお伝えできるこのお仕事の役割や重要性をより強く感じるようになりました。

──以前、大島璃音キャスターにインタビューをさせていただいた際、夏の時期は天候が変わりやすく、キャスターにとって試練の季節だとお話しされていました。やはり大変さはありましたか?

 

戸北 まさしく毎日が試練の連続でしたね。気温が上昇して熱中症対策を呼びかけたと思ったら、翌日には水害が起きたりして。日々、形を変えて何かしらの危険なことが発生していたので、常に気を張って放送に臨んでいました。また、ゲリラ雷雨や台風などいろんな気象を一度にたくさん経験したことで、言葉の選び方も強く意識するようになりました。というのも、被害の種類や度合いによって伝わりやすい言葉って変わってくると思うんです。でも、自分にはまだそれを瞬時に判断できるだけの力が足りていないと感じて。ですから、毎日、家に帰ってからどういった注意喚起の表現があるのかを調べて、次からはしっかりと対応できるように備えていました。

 

──特に印象に残っている放送はありますか?

 

戸北 一番は9月の半ばに上陸した台風14号です。私にとって初めて大きな被害の発生を伴う台風でした。台風が過ぎるまでどの程度の被害が出るか分からなかったので、いかに事前の注意を呼びかけるかが重要かということを学びました。また、注意喚起だけじゃなく、実際に被害に遭って大変な思いをされている方々が、今現在どういう心情で過ごされているのかも考えなければいけないと感じ、相手の気持ちを想像して言葉を発信する大切さも心がけるようになりました。

 

たまにどこの方言でもない、変な言葉を使っていて驚かれます

──さて、日々そうしたいろんな経験をしていく中で、戸北さんにとって同期の大島キャスターはどのような存在でしょう?

 

戸北 最近はのんちゃんが朝の時間を担当し、私は夜を任されることが多いので、会社内でもなかなか会う機会がないんです。でも、離れていてもいつも心の片隅にいます。たまに会えた時なんかは、特別な話をするわけでもないのですが、「この前、こんなことがあったのー!」って他愛もない話で盛り上がれますし。そうした時間がすごく楽しいです。

 

──ふとした時に思い出して、それが心の支えになる同期がいるって素敵ですね。

 

戸北 本当に! のんちゃんのことをよく思い出すのは「ムーン」(午後8:00〜11:00)の担当が終わった時なんです。帰る頃には、ちょうど「モーニング」(午前5:00〜8:00)を担当するキャスターさんが起床するぐらいの時間になっていることがあって。そんな時は、“のんちゃん、今起きたのかなぁ”って思ったりしますね。“もうちょっとで出社する時間だね。頑張って!”って心の中でエールを送ったりして(笑)。

 

──ほぼ同じ時間で「おやすみ」と「おはよう」の関係なんですね(笑)。

 

戸北 そうなんです。ですから、生活リズムもまるで反対で。私が「ムーン」を担当し、次の日の「モーニング」がのんちゃんだと、“あとは頼んだ!”と、バトンを渡している気持ちになります。

 

──最近の戸北さんは特に「ムーン」や「イブニング」(午後5:00〜8:00)の時間帯を担当することが増えましたが、好きなのもやはりこの時間帯ですか?

 

戸北 そうですね。もともと私はそんなにチャキチャキした性格ではなく、おっとりしているほうなんです。なので、夕方から夜の時間帯の番組では、普段の自分のままでお届けできているなと思います。それに、朝の時間はその日の天気を知りたくて番組をご覧になる方が多く、天気に関する情報量もほかの時間と比べて多いんですね。でも夜は、翌日の天気をお伝えしつつ、長いフリートークや、視聴者さんと「今日はどんな一日でしたか?」といったお話が比較的ゆっくりできるので、そのちょっとした時間がとても楽しいんです。

──「方言天気予報」といった遊びのあるコーナーができるのも「ムーン」だからこそというのもありますよね。

 

戸北 たしかに! 朝に「方言天気予報」をしたら絶対に怒られますよね。皆さん、出勤の準備などで忙しくしながら、お天気の情報に耳を傾けているのに、「全然頭に入ってこーへんわ!」って言われそうです(笑)。

 

──(笑)。あの「方言天気予報」を楽しみにされている方は多いと思うのですが、でも方言って意識して話そうとすると、途端に難しくなりませんか?

 

戸北 実はそうなんです。あくまでお天気をお伝えしているので、方言とはいえ丁寧に話そうとするんですが、するとどうしても標準語になってしまって。それでも博多弁はまだスラスラと出てきたんです。難しかったのは関西弁でした。一瞬、自分が何弁をしゃべっているのか分からなくなってしまって。しっかりと思い出すためにも、“番組前に関西の友達と電話しておけばよかった〜”って後悔しました(笑)。

 

──先ほど、「いくつか方言を話せる」とおっしゃっていましたが、博多弁と関西弁以外だとどこの方言が話せるんでしょう?

 

戸北 福井や四国にも住んでいたことがあるので、全部で4つぐらいですね。なので、視聴者さんからは「次は福井弁で!」とリクエストされています。ただ、いろんな方言が体に入っているせいなのか、たまにどこの方言でもない変な言葉使いをしている時がありまして(笑)。たとえば、「Amazon」の発音を真ん中の《ma》にアクセントを置いていたことがありました。

──ニュアンスがちょっと関西弁っぽいですね。関西弁は単語の真ん中を強く話す傾向があるといいますし。

 

戸北 会社でもスタッフさんに、「それって関西のイントネーションなの?」って聞かれました。私も「きっとそうだ!」と思って、それで関西の友達に教えたんです。「知ってる? 実はAmazonって《ma》じゃなく、最初の《A》にアクセントを置くねんて!」って。そしたらそこにいた全員に、「うん、せやで」って言われて(笑)。私はこのイントネーションを一体どこで身につけたんだろうって不思議な気持ちになりましたね。

 

──(笑)。また、関西出身といえば小林キャスターもいますが、2人でいる時はつい方言が出てしまったりするんですか?

 

戸北 りえなちゃんといると、そうなっちゃいますね。どちらからとはいわず、関西弁になり、そのうちお互いのしゃべり方が移っちゃったりして。前回のこの連載でりえなちゃんも言ってくれていましたが、私もいつか一緒に「方言天気予報」をやってみたいです!

 

──ちなみに、普段の話し方や発声などで参考にされているキャスターさんはいらっしゃいますか?

 

戸北 皆さんそれぞれに見習いたいところがたくさんあるので、時間がある限りいろんな方の放送を見るようにしています。原稿の読み方であったり、コメントを返す時の言葉のチョイスが勉強になることばかりで。特に私は感情を入れて原稿を読むのが苦手で、つい棒読みっぽくなってしまうんです。その点、あいりんさん(山岸愛梨キャスター)の言葉はいつも聞きやすくて。滑舌がいいというだけでなく、抑揚であったり、感情の込め方が本当に素敵なんです。ですから、私もあいりんさんを目標にしながら、普段から家で原稿読みの練習をするようにしています。

 

飯テロのような晩ご飯リポートは視聴者さんとの対戦だと思ってます(笑)

──番組内にはさまざまなコーナーがありますが、お天気情報以外で好きな時間はありますか?

 

戸北  皆さんからいただくライフスタイルリポートを見るのが好きです! 全国からいただくリポートを見て各地を旅行した気分になったり、ついリポートのなかに入り込んでしまいます。中でも、「イブニング」の中で皆さんからの晩御飯を紹介する『突撃!みんなの晩御飯』のコーナーでは、もう、すっっっごくおいしそうなご飯の写真をいっぱい送ってくださるんです! ランチとは違い、ステーキやこってりラーメンとかが多いので、私にとっては毎回苦しくて、いつもお腹がぐぅぐぅ鳴ってます(笑)。私はこれを“対戦”と呼んでいて。いつか余裕の表情で皆さんからの写真と対峙し、空腹とおいしそうな食事の誘惑に勝つことを目標にしています(笑)。

 

──以前、たくさんの晩ご飯の写真が届いた後に、スタッフさんから“リポートのプレゼント”と称したラーメンの写真で追い打ちをかけられていたことがありましたね。

 

戸北 ありました! 大撃沈しました。スタッフさんは時々、私を油断させた後に、もう一枚、刺客のようにラーメンの写真を放り込んでくることがあるんです。なので、番組中でも本当にギリギリで生きてることがあって(笑)。どうしても我慢できない時は、インターバル中にこそっとパンやお菓子を食べています。

 

──おにぎりを食べてからの番組再開後に、急にテンションが戻っていた時は面白かったです。

 

戸北 神戸牛のおにぎりですね。飯テロで私のダメージが相当深いのを感じたのか、スタッフさんが、“ごめんなさい”っていう感じで差し入れてくださって(笑)。おかげですごく元気になりました。

 

──また、最近は飯テロだけでなく、戸北さんが一緒に暮らしているウサギのわたげちゃんの写真を使ってスタッフさんたちが遊んでいるのも楽しいです。

 

戸北 わたげさんの切り抜き写真を画面に出してくださったりして、嬉しいですね。番組内では写真だけですが、“戸北わたげキャスター”もデビューしましたし(笑)。わたげさんはすべてがかわいくて、私にとっては本当に天使なんです。名前を呼んでも気が向いた時にしか近くに来てくれないところもかわいいですし、眠そうな時はフル無視する姿も愛おしくて(笑)。

──かまってほしいとアピールしてくることもあるんですか?

 

戸北 あります。ずっと私の足の周りをグルグルしていて。しかも、わたげさんの毛がフワッフワなので、足が幸せになります(笑)。特にそれを仕事の準備をしている朝にされることが多いので、“私、もう仕事に行けない!”って思ってしまうんですが、でも、“わたげさんのご飯代を稼ぐためにも行かなきゃ!”って、心を鬼にしています(笑)。

 

──(笑)。そういえば、ウサギって横に寝転がる時、気絶したかのように倒れると聞いたことがあるんですが、本当ですか?

 

戸北 そうなんです。バタン!って。リラックスしている証拠らしいのですが、最初はびっくりしました。それもまた、かわいいんですけどね。

 

──これからも番組内でのほっこりするトークを楽しみにしています。では最後に、キャスターとしての今後の目標を教えていただけますか?

 

戸北 まだ1年目なので日々勉強中の身ですが、いつか皆さんにとって、見ているだけで安心感を持ってもらえるキャスターになりたいなと思っています。私自身がそうなのですが、やはり災害が起きたり、非常事態の時などは、家族や友人の顔を見たり、声を聞くだけでホッとできると思うんです。私も視聴者さんにとってそうした存在でありたいと思っていますので、普段から飾ることなく、いつもの自分のままでいられるように意識しています。それと、やはり気象の勉強ももっとしっかりと頑張っていきたいです。知識があれば、言葉にも自信が宿ると思いますし、そうやって皆さんから信頼されるキャスターになりたいなと思っています。

 

──ありがとうございます。さて、次回の連載は特別編となり、気象解説員の山口剛央さん白井ゆかりキャスターの対談となります。戸北さんからお二人のご紹介をいただけますか?

 

戸北 お二人はなんだか似た雰囲気をまとっているなというイメージがあります。山口さんもゆかりんさんもすごく物腰が柔らかく温かいお人柄なんですが、私がどんなお話を振ってもどんな質問をしても、優しく受け止めてウィットに富んだお返事をくださるんです。このお二人といるとすごく安心感があって。山口さんには気象解説の時間に何を質問してもすぐに詳しい解説をしていただけるので、「頭の中にどれだけ膨大なデータが入っているんだろう」といつも驚いてしまいます(笑)。ゆかりんさんには「白井に頼るな」と言う言葉もあるくらいですが、どんな場面でも、ゆかりんさんのコメントやリアクションで番組がまとまったり、盛り上がったりしていて。いつも勉強させていただいています。優しく柔らかいお人柄で、かつ頼れるかっこいい一面も持つお二人だから、少し似た雰囲気を感じるのかもしれません!

 

《戸北キャスターに17の質問!》

Q01.ご自身ではどんな性格だと思いますか?

戸北 番組で見せているそのまんまです。あれがほぼ素なんです(笑)。友達からも、「番組でもあんまり変わらないね」「美月のありのままが出てるね」とよく言われます。もちろん、素とはいえ、いつも緊張感を持って番組を進行していますし、お家にいる時みたいにゆるみきっているということはないですよ(笑)。

 

Q02.“パブリックイメージとはここが違う”というところはありますか?

戸北 そんなにないんじゃないかな……。ただ、違いというか、たまに勘違いをされていることがあって。以前、「レッグプレスで100kgを持ち上げられる」という話を番組でしたことがあるのですが、ベンチプレス100kgと思っている方がいらっしゃるみたいなんです。似て非なるものなので、これはちょっと訂正したいですね(笑)。ベンチプレスは最低でも20kgからなので持ち上げられなくて。同じく胸や腕の筋肉を使うダンベルプレスは、最高でも片手に8kgずつで16kgくらいです。

 

Q03.これまでで忘れられない天気はありますか?

戸北 今年の中秋の名月の時、全国の広いエリアでお月見ができたのですが、見られない地域の方も少しだけいらっしゃったんです。そうした方々と一緒に番組内のお天気カメラでお月見ができた時間が忘れられないですね。映像の月が、肉眼で見るよりもきれいなんじゃないかと思えて。それに、私の名前が美月なので、「お月見はできなかったけど、“美月見”ができたからいいや」と言ってくださる方もいて。嬉しかったですし、本当に素敵な視聴者さんたちだなって改めて思いました。

Q04.最近、食事で“ひとり○○”をしたものは?

戸北 “ひとりラーメン”は当然のように行ってますね。ラーメンは私にとって食べるものではなく、輸血ですから(笑)。それ以外だと、ちょっと前に“ひとり回転寿司”に行きました。その時は10皿ぐらいとデザートをおいしくいただきました。私のことを大食いだと思っていらっしゃる方が多いようなのですが(笑)、実際はそれほどでもないんです。……いや、でもラーメンだと別かな。二郎系だともともとが500gで、茹でると多分1kgほどになるんですが、それぐらいであれば食べれちゃいますね。

 

Q05.苦手な食べ物はありますか?

戸北 唯一食べられないのがゴーヤと銀杏です。唯一じゃなく唯二ですね(笑)。ただ、年齢を重ねると食の好みが変わるといいますし、いつかおいしく食べられる日が来るのを楽しみに待っています。そもそも学校の給食以来、食べていないので、もしかしたら食べられるようになっているかもしれないですし。お酒のあてとしても最高らしいので、近々挑戦してみます。

 

Q06.休日の過ごし方は?

戸北 わたげさんとたわむれています(笑)。部屋の中で追いかけっこしたり、おやつをあげたり、なでなでしたり。それに、動画をため込んで、少し前からわたげ専用のInstagramのアカウントも作って、たくさん載せています。

Q07.普段の筋トレメニューを教えてください。

戸北 やっぱりレッグプレスが一番好きなので、最初は80kgから10セットやって、少しずつ重量を上げていき、最後は100kgを3セットくらいやります。それと、上半身と下半身のバランスも良くしたくてチェストプレスもやっています。

 

Q08.では、マシンがなくても手軽に自分の部屋でできるおすすめの筋トレは?

戸北 ウェザーニュースのオーディションで自己PRの時間があり、その時に一升瓶を使ってショルダープレスを披露したんです。それは、水を入れたペットボトルなどでも代用できるのでおすすめです。また、同じくペットボトルを使ったものであれば、キックバックという筋トレでは上腕三頭筋を鍛えることができます。二の腕のプルプルが気になる方はぜひトライしてみてください。

 

Q09.好きな方言を一つ教えてください。

戸北 博多弁の「食べり〜」。“食べてー”といった意味で、母がよく使っています。優しさが詰まっている感じがして、耳にするとほっこりします。

Q10.最近のお気に入りのお酒の飲み方は?

戸北 連勤が終わって、次の日がお休みの時にお家で一人で飲むのが大好きです。お酒はたいてい日本酒かサワー。福岡で有名な「ごま鯖」や「酢もつ」をよく自分で作っておつまみにしていますね。

 

Q11.好きな酒蔵を一つ教えてください。

戸北 京都の伏見にある藤岡酒造さん。酒蔵バーが併設されていて、ガラス越しに仕込蔵を眺めながらお酒を飲むことができるんです。3種類のお酒の飲み比べもできて、一つひとつにお米の旨みがぎゅっと詰まっていて最高でした。特に無濾過生原酒がめちゃくちゃおいしかったです。あと、酒粕アイスクリームもあって。お酒を飲んでちょっと火照った体をアイスで冷やしてからお家に帰るというのもまたいいんです。

 

Q12.番組のインターバル中によく食べるお気に入りのパンは?

戸北 以前、番組でもお話ししていましたが、宮崎名物の「じゃりぱん」が大好きです。でも最近は番組の準備で忙しくて、あまり食べている時間がないんです。ですので、手軽に食べられておすすめのパンがありましたら、ぜひ教えてください!

 

Q13.学生の頃、パンを一度に15個食べたという噂がありますが本当ですか?

戸北 これは本当ですね。アルバイトをしていた時によくいただいていたんです。といっても、小さいパンですよ。……あー、でもそこそこの大きさはありましたね。食べ盛りでした(笑)。

Q14.今、新たに趣味にしたいことは?

戸北 ドライブ。卒業間際だった大学4年生の3月に免許を取ったんですが、それから全然ドライブをしていないんです。お休みの日にレンタカーを借りてひとりドライブとか行ってみたいですね。

 

Q15.ドライブに行くならどこがいいですか?

戸北 富士山が大好きなので、静岡に行きたいです。大学と会社を往復していた頃はいつも新幹線の中から富士山を見ていました。存在感や雄大さがやっぱりほかの山とは全然違っていて、いつも見るたびに圧倒されていました。

 

Q16.では、最近「トキトキが足りない」と感じている視聴者にメッセージをお願いします。

戸北 これはどういうことなんでしょう(笑)。懐かしいですね。私がまだ学生をしながらキャスターをしていた時のことですよね。ドキドキしながら番組を進行していたので、それを「トキトキしてきた」と表現していて。そうしたら、いつからか視聴者さんからも「トキトキが足りない!」というコメントが届くようになって、楽しかったです。でも、私は今も番組をしている時はトキトキしていますよ。そういうふうには見えないかもしれませんが、頑張って皆さんも感じとってください!(笑)

 

Q17.最後に、GetNavi webということで、普段愛用しているアイテムをご紹介いただけますか?

戸北 私も最近知ったアイテムなのですが、スカートやパンツのウエストを簡単に絞れるクリップがあるんです。会社にあるお衣装を着させていただく際、ときどきウエストが合わないなと感じることがあるんですが、そんな時にすぐに調整できて。しかも見た目がかわいいのでカメラに写り込んでも大丈夫なので愛用していますね。

 

 

戸北美月さんのサイン入り生写真を3名様にプレゼント!

<応募方法>
下記、応募フォームよりご応募ください。
https://forms.gle/Unwh9yzgLa5XiJqa7

※応募の締め切りは12月20日(火)正午まで。
※当選は発送をもってかえさせていただきます
※本フォームで記載いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的での使用はいたしません。また、プレゼント発送完了後に情報は破棄させていただきます。

 

『ウェザーニュースキャスターカレンダー2023』が12月1日(木)発売!

価格:卓上 …2,000円(税込)
壁掛け …3,000円(税込)
セット …4,800円(税込) ※セット販売にはクリアファイルが特典としてつきます(先着3,000セット)。
販売:SORASHOP、Amazon
SORASHOPにて12月1日10時より販売開始、順次Amazonでも販売します。
※ セット販売はSORASHOPのみになります(特典のクリアファイルもSORASHOPのみ)。

↑卓上

 

↑壁掛け

 

「ウェザーニュース」HP https://weathernews.jp/
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撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ

小林李衣奈「目指すのは、先輩方の素晴らしいところと自分らしさを組み合わせたハイブリッドなキャスター!」ウェザーニュースキャスター連載・第6回

24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は90万人目前、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第6回にご登場いただくのは今年9月にデビューしたばかりの小林李衣奈キャスターです。まだまだ謎のベールに包まれた小林さんに、気になるあれこれをたっぷりとうかがいました!!

 

小林李衣奈●こばやし・りえな…1999年11月17日生まれ。兵庫県出身。AB型。2022年にウェザーニューズ入社。現在、同社が配信する「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍中。趣味・特技はミュージカル鑑賞・クラシックバレエ・タップダンスなど。TwitterIntagram

 

<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>

題字・駒木結衣

第6回・小林李衣奈キャスター

【小林李衣奈さん撮り下ろし写真】

トークではオチをつけて話すことをいつも意識しています(笑)

──小林さんは9月にキャスターデビューしたばかりということもあり、読者からの注目度も高く、連載の登場を待ち望む声がたくさんありました。

 

小林 本当ですか!? それは嬉しいような、プレッシャーのような…(苦笑)。

 

──読者の要望に応えるためにもいろいろとお話をうかがっていきたいと思うのですが、その前にまずは前回ご登場いただいた高山奈々キャスターから小林さんへの紹介コメントをお伝えします。高山さんは小林さんのことを、「デビュー日から堂々としていて、それにとても聞きやすい声をしているので、視聴者に安心感を届けられるキャスターです」とおっしゃっていました。

 

小林 もったいないお言葉です! ありがとうございます!!

 

──また、「これから番組内で意外な一面が出てくることを期待しています」とも。

 

小林 ……おぉ、なるほどぉ、これはプレッシャーですね(苦笑)。ななさんに限らず、先輩方からは研修の時からとても優しくしていただきました。今回、新キャスターとして採用されたのが私一人で、同期がいなかったこともあり、ことあるごとに気にかけてくださって。本当に嬉しかったです。

 

──皆さんとはすぐに打ち解けられたんですか?

 

小林 はい、たくさんお話をさせていただきました。私から皆さんに相談したり、話しかけたりするというより、研修期間中、私が一人で黙々と勉強していることが多かったので、「あの子は今、何をしているんだろう?」「大丈夫かな?」と心配してくださっていたみたいなんです。それもあって、私の姿を見つけるといつも声をかけてくださり、皆さんお一人ずつとマンツーマンでお話する機会をたくさんいただきました。

──「研修は大変だった」という思い出話をよく先輩キャスターの皆さんが番組内でもされていますが、小林さんはいかがでしたか?

 

小林 たしかに大変でした(苦笑)。実践に沿った練習として、実際の放送を想定し、自分で25分間の番組構成を考えるというものがあったんです。初めてのことですし、最初は本当にうまくできなくて。ただ、デビューして分かったのですが、本来はスタッフさんが構成を組んでくださるんですね。それを知って、研修で苦労しただけに、「やっていただけるんだ!? なんてありがたい!」と感謝の気持ちでいっぱいになりました(笑)。また、特に難しかったのがフリートークの練習でした。テーマを1つ決めて、それについて10分間しゃべり続けるという訓練なんです。最初は1分から始めて、3分、5分と延ばしていくんです。自分についてのことであればどれだけでも話せるものの、テーマが《ペットボトル》とか《コーヒー》とかになると全く話が続かなくて。

 

── 一人で10分間しゃべり続けるって、想像以上に難しいですよね。

 

小林 びっくりするぐらい長く感じます。最初の頃はたった3分すらもたなくて、かなり落ち込みました。それも、1つのテーマに対して数珠つなぎのように自分が持っている知識を総動員させて、いろんな切り口で語っていったんです。にも関わらず、全く足りなくて。スタッフさんからは「切り口も1つにして、10分以上話せるようになるのが目標だね」と言われ、それが最初にぶつかった壁でしたね。

 

──テーマに対する知識量もそうですが、10分間の話の構成を頭の中で組み立てる作業も大変そうです。

 

小林 そうなんです。“たくさん話さなきゃ”と思って話を二転、三転させていると、次第に自分が何をしゃべっているのか分からなくなっちゃうんです(笑)。でもある時に「話の締めが一番大事だよ」と教わり、それからは、話を膨らませつつ、そこからいかにオチを見つけて着地させていくかを意識するようにしました。関西出身なのもあって、オチを見据えたうえで話していくほうが私としても内容を組み立てやすかったですし、聞いている側もオチがないと、“結局、なんの話だったんだろう……?”と思ってしまうので、たしかに締めって大事だなと痛感しました。

 

──関西人はやっぱり話にオチがないとダメなんですか?

 

小林 いえ、そんなことはないです(笑)。そうですよね、関西出身だからって、勝手に全部をひと括りにしてしまうと怒られちゃいますね。でも、少なくとも私は気になっちゃうタイプで、周りの友人たちも同じような人ばかりでした。といっても、必ず話にオチを要求されるというようなシビアな世界ではないんですけどね(笑)。ただ、そういう場合はまず先に言います。「ごめん、この話、オチないねんけど」って(笑)。

 

──やはり気になるものなんですね(笑)。会話の話題で思い出しましたが、研修ではクロストークの練習もあると、以前、白井ゆかりキャスターと番組中にお話しされていましたね。

 

小林 はい。研修中にゆかりんさんが偶然いらっしゃって、私の練習相手になってくださいました。その時は、“体調が悪く、とにかく無愛想で、不機嫌な白井ゆかりキャスター”を演じていただいて(笑)。私が何を聞いても、どんな話題を振っても「はい」か「いいえ」しか答えてくれなかったんです。

 

──本番中、そんな無愛想な態度を取るキャスターはいないと思うのですが、それはどういう意図の練習なんでしょう?

 

小林 例えば、イベントなどで司会進行をする際、お客様の中には緊張してうまく会話ができない方もいらっしゃるかもしれないので、どんな状況でも、いかに逃げずに話を広げられるかという練習でした。この研修は私の代から始まったそうで、ノリノリでやってくれたゆかりんさんの姿が面白かったですね。今でこそ笑って話せるものの、その時はゆかりんさんの演技が迫真すぎて心が折れそうでしたけど(笑)。

ほぼ毎日台風が訪れていたデビューの1か月間は多くの経験をさせていただきました

──小林さんのキャスターデビューは9月1日でしたが、その前日の8月31日にお披露目を兼ねて、1時間だけ番組を担当するプレデビューがありました。当日のことは覚えていますか?

 

小林 とにかく緊張していて、自分がどんな感じだったのかまでは、実はあんまり覚えていないんです。

 

──デビューする日はいつ頃聞かされたんでしょう?

 

小林 9月のどこかでという話は、漠然とですが、研修の時からうかがっていました。ですので、“最速だと9月1日の可能性もあるのか……”と心構えだけはしていたんです。ただ、具体的に日にちが決まったのが一週間前くらいで。しかも、「31日にプレデビューをして、1日に正式デビューだから」と言われ、急なことだったのでちょっと戸惑っていたんですが、「1日くらい早くなってもそんなに変わらないから大丈夫だよ」と、ドーンと放り込まれました(笑)。

 

──(笑)。放送を拝見していた感じでは先ほどの高山キャスターのコメントにもあったように、ものすごく堂々と番組を進行されているようでした。

 

小林 いえ、全然そんなことないです。本当に緊張しっぱなしでしたから。ただ、頑張ろうとすればするほど気負っちゃうと思ったので、とにかく笑顔で姿勢良くハキハキとしゃべることだけを意識していたんです。そうしたら、あっという間に1時間が過ぎていました。

 

──翌日の本デビューでは3時間の放送を担当されましたが、多少は緊張もほぐれていたのでしょうか?

 

小林 翌日のほうがもっと緊張してましたね。やはり、“今日からデビューなんだ!”という気持ちもありましたし。それに、その日は少し天候が荒れていたこともあり、デビュー日とはいえ、ほかの時間帯の先輩方と同じようにしっかりと情報をお伝えしなければいけないという使命感もありましたので、より緊張感と緊迫感を持って臨みました。

 

──デビューして2か月になりますが、今の心境はいかがですか?

 

小林 本当にあっという間だったなという気持ちが大きいです。特に最初の1か月はいろんなことを経験させていただきました。きっとまだ皆さんの記憶にも新しいと思うのですが、今年の9月は台風が多く、日本に台風が上陸していない日が3日しかなかったんです。ですから、お休みの日も常に気象情報をチェックして、日々勉強でした。また、放送後にはいつも反省点やアドバイスをスタッフさんからいただくのですが、ダメだったところは二度と言われないようにということをいつも意識していて。そうした課題をこなすことに集中していたら、気づけばもう2か月も経っていたという感じです。

──警報などが出ている天候の日の放送は、やはり気持ちも違いますか?

 

小林 気持ちもそうですが、表情の作り方も違います。私は普段から口角が上がり気味なので、普通にしているだけで笑顔っぽくなってしまうんです。ですから、誤解を与えないように緊張感のある表情を作らないといけないのですが、これまでそうした表情を意識したことがなかったので、最初は苦戦しました。また、言葉の使い方に関しても気をつけなければいけないことが多いです。例えば、「〜のおそれがある」と「〜の可能性がある」では似たようなニュアンスでも意味合いが異なる。状況に応じて使い分けをしなければならず、その都度、隣に座っていらっしゃる気象予報士さんがアドバイスをくださったりするのですが、もっと自分の口から瞬時に判断して伝えられるようにならないといけないなと思っています。

 

──学ぶこと、経験することの多かった2か月だったということは、見方を変えれば大変な時期にデビューしたことになりますね。

 

小林 皆さん、そう言って労ってくださいます(笑)。でも、9月は台風の時期ですし、荒れた天候が続くのは、ある意味で想定していたことなんですね。そのうえで、あえてこの時期をデビューに当ててくださったみたいです。というのも、出水期を経験しないまま来年になって初めて台風の時期の放送に臨むのと、最初にたとえ苦労しても、一度経験しておいて一年後に再びこの時期を迎えるのとでは、スキルの面で大きく違うだろうという判断だったようです。

 

──ということは、心構えもしていたんですね。

 

小林 そうなんですけど、やっぱり大変なことには変わりませんでしたね(苦笑)。番組担当のシフト表をもらって週間天気予報を見るたびに、「あ、今週も台風だ」「あれ? もしかして来週も!?」という感じで、心の休む暇がなかったです(笑)。

 

──では、これまでで特に印象的だった放送を挙げていただくと?

 

小林 デビューして2日目に、自分が担当する時間のラスト30分あたりで雨量の増加に伴う警報や緊急安全確保が発令されたことがあったんです。もちろん、気象速報への対応も研修で学んできましたが、スタッフさんたちも想定していた以上のレベルの雨量だったようで、いきなりバックヤードがバタバタし始めて。秒刻みでどんどんと新しい情報が入ってくるし、私も冷静に伝えていかないといけないと気持ちを引き締めていったのですが、そうした経験を最初の頃にできたことは大きかったなと思います。

 

──今はどんなことに意識して番組に臨んでいますか?

 

小林 当然ながら、私はどの先輩方よりも気象に関する知識が少ないので、番組中に気象予報士さんに質問する際も、素朴な疑問を聞くことが多いんです。そのことである時、あいりんさん(山岸愛梨キャスター)に、「それは視聴者さんに一番近い感覚でもあるんだから、いつまでも大事にしないといけないよ」と言っていただいて。それに、「素朴な疑問が生まれるのは今のうちだけだから、気になったことは全部メモしておいたほうがいいよ」ともアドバイスをいただいたんです。 “自分が知っていること=誰もが知っていること”では決してないですし、知識がつくとそうしたことを忘れがちになってしまうので、あいりんさんのその言葉を受けてからは、番組中でもちょっとした疑問や気になったことを書き留めて、あとで見返すようにしていますね。

キャスターオーディションへの挑戦は“最後の悪あがき”という感じでした(笑)

──話が前後しますが、小林さんがウェザーニュースのキャスターになろうと思われたきっかけは何だったのでしょう?

 

小林 小さい頃からミュージカルに出ていたこともあり、表に出る仕事に憧れていた時期があったんです。それで、高校生ぐらいの時から有料のオーディションサイトにも登録をしていて。ただ、少額だったこともあってそのことをすっかり忘れていて、社会人になってから課金し続けていたことに気づいて、退会しようとサイトをのぞいたんですね。そうしたら、そこにウェザーニュースキャスターの募集告知があったんです。

 

──すごいタイミングですね。

 

小林 とはいっても、大学を卒業して働き始めたばかりの頃でしたし、自分が今さら表に出る仕事に就けるとは思っていなくて。それで一瞬、諦めかけたのですが、その募集告知に登場していた駒木結衣キャスターがものすっっっっごく素敵だったので、“サイトを退会する前に最後の悪あがきだ!”と思い、挑戦してみることにしました。

 

──駒木キャスター、ナイスプレイですね(笑)。キャスターという仕事にも興味はお持ちだったんですか?

 

小林 あるアーティストさんが行なっていたナレーションのレッスンを受けていたりもしたので、自分の声や体を使って表現することをやってみたいという思いはありました。それに、「ウェザーニュースLiVE」のことも前から知っていて、いろんなキャスターさんがそれぞれの個性を出しながら情報を届けている姿を見て、“もしかしたら自分の個性がうまくはまる可能性があるかもしれない”という思いもありました。まさか本当に受かるとは想像していませんでしたけど……(笑)。

──それまでオーディション自体の経験は?

 

小林 ありました。ただ、キャスターのオーディションは初めてでしたので、一体どんなことを求められるんだろうと、見当がつかなかったんです。書類審査を通って、いざオーディション会場に行っても、周りはみんなかわいい子ばかりで。「あ〜、あの子はキャスターっぽいなぁ」って、なぜか審査員目線で周りを見ていたりもして(笑)。本音を言うと自信はなかったのですが、でも、やるからにはしっかりと自分の力を発揮したいと思い、敵が何を求めているのかいろいろ分析してましたね。

 

──敵というのは審査員のことですか?

 

小林 あ〜、違います! 敵なんかじゃないです!(笑)

 

──オーディションとはいえ勝負ごとですし、ある意味、敵で間違いないかもしれませんが(笑)。

 

小林 いえ……本当にすみません、言葉を間違えました(笑)。つまりは、どういう人材が必要とされているのかを自分なりに考えてみたんです。でも、どれだけ考えても結局分からなくて。それで、やっぱり最後は人と人との巡り合わせに違いないと思い、必要最低限の準備だけをして、あとは小細工なしにありのままの自分を出すことにしました。

 

──具体的にはどのような対策を?

 

小林 事前にいただいたオーディション概要に《自己紹介・自己PR・原稿読み》をトータルで3分間行うと書かれていて、その時間配分は個人に委ねられていたんです。そこで、キャスターという仕事である以上、やはり時間に正確じゃないといけないと思い、家で何度もストップウォッチで計って3分きっちりで終わるように練習してオーディションに臨みました。でも、当日会場に行ったら、「時間をオーバーしても大丈夫ですよ」と言われて(笑)。“なんだぁ、そうなんだぁ”ってちょっと気が抜けちゃったんですけど、でも、そのことで逆に気持ちがラクになりましたね。

──プロフィールにはクラシックバレエとタップダンスが得意と書かれていますが、自己PRではダンスを披露されたんでしょうか?

 

小林 いえ、オーディション会場がどんな広さなのかが分からなかったので、思いっきり踊れないかもしれないリスクを避けて歌にしました。でも会場に行ったら、ほかの応募者はみんな大きな荷物も持ってきていたので、焦っちゃいましたね(笑)。しかも控室で順番を待っている間、隣の審査室から大きな笑い声が聞こえてくるんです。そこでも“うわ〜、めっちゃウケてる……”とまた焦って。“これ以上、みんなウケないで〜”って祈ってました(笑)。

 

──それはプレッシャーですね。オーディションに応募してからは家族や友人たちも応援してくれていたんですか?

 

小林 それが、就職して都内で働いていたということもあって、地元の友達には伝えていなかったんです。そもそも受かるとも思っていませんでしたから、家族に話したのも最終面接の直前でした。“ここまできてしまったからには、一応言っておこう”と思って(笑)。

 

──では、こうしてキャスターとしてデビューしたことに、ご家族も喜んでいるんじゃないですか?

 

小林 家族はすごく喜んでくれています。最初は驚いていましたけど。大学を卒業して上京して、一人暮らしを始めたばかりだったのに、まさか数か月後に職が変わるとも思っていなかったでしょうし。それに、受かった後も電話で連絡しただけだったので、ウェザーニュースのことをあまりよく分かっていなかったみたいなんです。ですから、両親や祖父母は「本当に大丈夫なのか」とすごく心配していたそうで。ただ、デビューする前に帰省する機会があり、そこで改めてしっかりと説明できたことと、母が一度会社に見学に来て仕事内容の説明を受けたことで安心してくれたようですね。

 

──今は番組をご覧になっているんですか?

 

小林 はい! 祖母はおばあちゃん仲間にめっちゃ自慢しているみたいです(笑)。電話で「今日も自慢してきちゃった!」って楽しそうに話すんですが、それを聞くのが私も面白くて、嬉しくて。家族がこんなにも喜んでくれるお仕事に就けて本当に良かったなと思っています。

 

──番組とは別に、切り抜き動画とかを見て驚かれていませんか?

 

小林 あ〜、見てるのかなぁ。どうなんでしょう。でも、きっと見てますよね。そこに関しては感想を聞くのがちょっと怖いですね(笑)。友人たちからは「見たよ」という連絡がありました。というより、大学時代の友人たちには最後まで結局誰にも言わなかったので、みんな驚いていたみたいです。今でも、「YouTubeを見てたら、急に李衣奈が出てきてビックリした!」とか、「大学の頃の友達がみんなざわついてるよ」っていう報告がたくさん届きますね(笑)。

同期がいない分、すべての先輩方の優しさにいつも支えられています

──「ウェザーニュースLiVE」では朝5時から夜の11時までキャスターさんが3時間ごとに生放送を担当されています。小林さんはどの時間帯がお好きですか?

 

小林 デビューしてから「コーヒータイム」(午前11:00〜午後2:00)を担当することが多いので、この時間帯が一番体になじんでいるかもしれません。ほかの時間帯ももちろん大好きですが、「モーニング」(午前5:00〜8:00)と「ムーン」(午後8:00〜11:00)はまだ経験がないので、いつか担当できる日がくればいいなと思っています。

 

──「コーヒータイム」はちょうどお昼時ですし、視聴者さんからおいしそうなランチの写真がリポートで届くと、こちらもお腹が空いちゃいますよね。

 

小林 分かります。私、めっちゃお腹鳴ってますから(笑)。間違いなく、隣に座っている(気象予報士の)山口(剛央)さんには聞かれていると思います(笑)。そもそも、お腹がいっぱいになると集中力が保てなくなるので、研修の時からあまり食べすぎないようにしていたんです。でも、そうすると、どうしてもお腹が鳴っちゃって。それにスタッフさんから「しっかりと食べたほうが声の出方も違うよ」と教えていただいてからは、事前にある程度の食べ物を口に入れるようにしていていますね。

 

──ほかのキャスターさんたちは放送中のインターバルの間にちょっとしたお菓子などを食べて、糖分を取っているという話をされていますよね。

 

小林 そうなんですか!? 私は食べたことがなかったです。というよりも、食べる余裕がまだないです。番組は30分を1ブロックとした構成になっているのですが、インターバル中は次のブロックにどういうコーナーがあるのかを確認したり、原稿読みの練習をしたり、別の映像の収録をしたりと、やらないといけないことが多いので、今はまだ何かを口にするという気持ちの余裕がないですね。

──では、番組の中で好きなコーナーはありますか?

 

小林 お天気の情報をお伝えするのも大好きなのですが、視聴者さんから送られてくる写真を見るのが楽しいです。それこそランチのお写真や、ご自宅の庭から見える空の景色などは、それぞれのライフスタイルが垣間見えて、“あ〜、こういう方たちと一緒に番組を作れているんだなぁ”って嬉しくなります。

 

──そういえば、デビューして間もない頃に、視聴者さんから届いたウェザーリポートの写真を誤って画面上から全部消してしまっていましたね。その時も落ち着いて対応されていたのが印象的でした。

 

小林 ありましたね(笑)。言われてみれば、あの時ってあまり焦るようなことはなかったです。「あれ? パソコン、どうしちゃったんだろう?」と思ったぐらいで(笑)。それもきっと研修の成果だと思います。「どんなことがあっても冷静に」と教えられたので。それに、“私のせいじゃないよ”という顔をしていれば、視聴者の皆さんはパソコンの不具合と思ってくれるんじゃないかなと思ったりもしてました(笑)。いざとなったら、百戦錬磨の頼もしいスタッフさんが助け舟を出してくれるかもしれませんし。もちろんそれは本当に最後の手段ですし、可能な限り自分の力でなんとかしようと努力しますが、あの時も復旧作業をしてくださり、信頼と安心感のあるスタッフさんが常にいてくれることに改めて心強さを感じました。

 

──では、先輩キャスターからのアドバイスで印象に残っていることはありますか?

 

小林 それはもう、数え切れないほどあります。特にデビュー日はあいりんさんやさやねさん(江川清音キャスター)をはじめ、皆さんから「研修が一番大変で、デビューしたら後はやるだけだから自信を持ってね」と言っていただいて、気持ちがすごくラクになりました。檜山沙耶キャスターからは当日に、「緊張していると思うけど、たくさん研修を頑張ってきたはずだからリラックスしてやれば大丈夫だよ」というメールもいただいて。それに、大島璃音キャスターはお菓子を差し入れてくださったんです。そこに「デビュー、おめでとう。不安なことがあったらいつでも聞くよ」というお手紙も添えられていて、それは今も手帳に挟んで持ち歩いていますね。また、どのキャスターさんも今も会うたびに、「何か分からないことある?」と声をかけてくださるので、本当にいつも皆さんに助けられています。

 

──内田侑希キャスターはいつもクロストークの時に見守るような眼差しを送っていますよね。

 

小林 はい(笑)。ゆっきーさんは、私に同期がいないからか、研修の時から会うといつも声をかけてくださるんです。また、ゆいさん(駒木結衣キャスター)も研修の初日から優しくしてくださって。その日は天候が荒れ気味で、スタッフさんも慌ただしくされていて、私が一人でいる時間が多かったんですね。そんな私を見て、「モーニング」の番組終わりにわざわざ残って、原稿の作り方を教えてくださったんです。ななさんも、時間があると「勉強に付き合ってあげるよ」と言ってくれて、時には私が別の研修が終わるまでずっと待っていてくださったりして。皆さんの心遣いと優しさには感謝しかないです。

 

──また、同期がいないなか、同じ歳の戸北美月キャスターがいるというのはすごく大きいのではないかと思います。

 

小林 本当に大きいです。初めてお会いした時から、「先輩といっても半年ぐらいしかデビューが変わらないし、私のことを同期だと思ってね」と言ってくださって。お話をしている時も、「ほら、また私に敬語になってる!」ってよく注意されてました(笑)。今でも私にとって先輩であることは変わらないのですが、“みーちゃん”と呼べるようになりましたし、同年代ということですごく相談しやすい存在になっていますね。

 

──最後に、キャスターとしての今後の目標を教えてください。

 

小林 先輩方と比べて語彙力や表現の引き出しの数が少ない分、同じ情報を伝えるにも、私は内容が浅くなってしまうところがあって、そのことで落ち込むことがありました。でも、多くの経験を積まれている皆さんと新人の自分を比べること自体がおこがましいと思うようになり、それからは昨日の自分と比べて、一つでも多くのことをできるようにと気持ちを切り替えたんです。まずは、そうやって経験を増やしていこうって。その一方で、先輩方のすごいところはどんどんと盗んでいきたいなと思っています。特にあいりんさんやさやねさんの言葉は、一人の視聴者として番組を見ている時でもスッと心に入ってきますし、すごく信頼感を持てる。ほかのキャスターさんも、それぞれにご自身の言葉や話し方のリズムをお持ちで、情報ごとでの表情の切り替えも素敵なので、毎日、生放送やアーカイブを見ながら参考にさせていただいています。そうやって、いつか皆さんのいいところを組み合わせたハイブリッドなキャスターになっていければいいなと思っていますね。

 

──楽しみにしています。さて、次回の連載にご登場いただくのは、先ほど話題に出た戸北美月キャスターになります。改めて小林さんからどんなキャスターかご紹介いただけますか?

 

小林 みーちゃんは初対面の時からフランクに話しかけてきてくれましたし、いつも明るさと優しさを周りに与えてくれる本当に素敵な女性です。一度、私の母が会社の見学に来た時、たまたまみーちゃんがいたのですが、ちょっと挨拶をしただけだったのに、あとで母が「あの子は絶対にええ子やで」と言ってました(笑)。「あんまりしゃべってへんけど、間違いないわ」って。まさかそんなことを母が言っていたとはみーちゃんも知らないと思うのですが(笑)、母の言葉どおり、どれだけ粗を探そうとしても、悪いところが一つもないんです。それに、研修の時からずっと助けてもらっているので、これからもどんどん仲良くなって、いつか私のほうからパワーを与えられるようになれればなと思っています。

 

《小林キャスターに17の質問!》

Q01.ご自身ではどんな性格だと思いますか?

小林 明るく、ポジティブ! 嫌なことがあっても、寝れば忘れます(笑)。仮に翌日に残っていたとしても、前向きに変換しちゃうタイプですね。

 

Q02.“パブリックイメージとはここが違う”というところはありますか?

小林 う〜ん……そもそも、皆さんは私に対してどのようなイメージをお持ちなんでしょうね(笑)。あ、意外と思われるかもしれませんが、緊張すると話し方がゆっくりになります。普段はもっとチャキチャキ、ランランでしゃべりますし、関西弁も頻繁に出ます。いつかみーちゃんと番組で関西弁トークもしてみたいですね。でも、みーちゃんは話し方がおっとりしているから、つられちゃうかも(笑)。

 

Q03.学生時代はどんな性格でしたか?

小林 小学生の頃はめっちゃ活発でした。中学生になると目立ちたくてクラス委員になったり、生徒会に入ったりしていましたね。高校は公立で、勉強のレベルもみんな同じぐらいだったこともあって友達がたくさんいましたし、一緒に遊びに行くことも多かったです。ただ、大学に入ってからはコロナ禍で学校に半分ぐらいしか行けなくて。それでも友達はいましたし、会うとおしゃべりもするんですが、基本的にはチャイムが鳴るギリギリに教室に入って、一番前の席で授業を受け、終わったらすぐに帰るという感じでした。そういえば、友人と同じゼミに入ったんですが、特にしゃべることもなく別々の場所に座っていたら、先生から授業後に「何かあったの?」心配されたことがありました(笑)。女の子はいつもみんな一緒にいるのが当たり前というイメージがあったのかもしれないですね。決して人付き合いが嫌になったわけじゃなく、なんとなく群れなくなっただけなんですけど。

Q04.今も行動する時は一人が多い?

小林 人並みに友達と遊びに行きます。大学時代は“勉強しに行く場所だから”と割り切っていたのが大きかったです。学生生活もきっとこれで最後だろうし、高い学費を払ってもらっていたので、もっと勉強したいという気持ちが強くなっていったんです。

 

Q05.学生時代のあだなは?

小林 あまりなかったですね。男女関係なく、下の名前の「りえな」で呼ばれることが多かったです。珍しい名前なので、あだ名にするのが難しかったのかもしれないですね。あ、でもなぜか男の子からは“さんづけ”で呼ばれることが多かったです(笑)。

 

Q06.番組内では“会長”があだ名として定着しそうな気配がありますが……。

小林 それについては、ちょっと困惑しています(苦笑)。デビューをして2週間ぐらい経った頃に番組内で中学時代の話題となり、和太鼓同好会で会長を務めていたというお話をしたんですね。そうしたら翌日ぐらいから番組のチャットで“会長”と書かれることが増えていって。一番新人なのに“会長”はさすがになぁ……という思いと、せめて“部長”ならあだ名っぽくてよかったなぁという思いがあり、今も恐縮な気持ちでいっぱいです。

Q07.犬や猫にさわれないこと以外で弱点はあるんですか?(千葉市美浜区・高山奈々さんからの質問)

小林 まさかのななさん!(笑) え、こんなパターン、あるんですか? 弱点ですか……多分、絶対にあるはずなんですけど、何があったかなぁ。高いところも得意ですし、虫も大丈夫ですし。クロストークでも言いましたが、多分、虫を食べるのも平気です。あと、怖いものも大丈夫ですね。お化け屋敷に入ると、「みんなついてこい!」みたいな感じで、先頭に立って引っ張っていくタイプです(笑)。辛いものも好きですし……苦手なもの、苦手なもの……。あ、今は標準語が弱点です。放送中でも、“あれ? 今のはもしかして関西弁!?”って分からなくなることがありますし。以前、みーちゃんが「方言天気予報」をしていましたけど、私も関西弁であればいつでもいけます!

 

Q08.では、好きな虫は?

小林 特別これという決まった虫はいないのですが、夏の昆虫はかっこいいなって思います。クワガタやカブトムシがいたら、つい捕まえたくなります。実家がマンションで、上のほうの階にあるんですが、ある夏の日に廊下にコクワガタがいて。「君はどっからきたんだ!?」とテンションが上がりました(笑)。その時も捕まえて、家族に見せに行きましたね。

 

Q09.普段の休日の過ごし方は?

小林 友人と出かけるか、お部屋の掃除をした後に食事を作る。今はまだ上京して一年も経っていませんし、一人で遊びに行くにもどこに何があるのかがよく分からなくって。せっかく千葉にある会社で働くことになったわけですし、千葉出身のスタッフさんも多いでの、お仕事終わりに遊びに行ける観光スポットを今、いろいろと教えてもらっているところです。学生時代からクルマを運転するのが好きなので、いつかクルマを買って千葉のいろんなところをドライブしたいですね。

Q10.毎日欠かさずにすることは?

小林 柔軟体操とストレッチ。寝る前もそうですが、家の中では日常的に大股歩きのランジスクワットをしています。例えば、顔を洗うために洗面台に移動する時でも片方の膝が地面に着くぐらいまで大股で歩いているんです。足とお尻を鍛えるトレーニングなのですが、ちょっと誰にも見せられない姿ですね(笑)。あとは出勤の時、階段を二段飛ばしで上る。そうやって、ちょっとした時でも体を動かすようにしています。

 

Q11.眠れない時にすることは?

小林 ものすごく寝付きがよくて、眠れないということがないんです。たまに“寝れないなぁ”と思うことがありますが、それでも数分後には熟睡しています(笑)。ただ、先輩方からよく、「昨日は眠れなかった」という話を聞くので、この先、私にもそんな日がくるのかもしれないですね。その時は先輩方に相談します。

 

Q12.好きなミュージカル作品は?

小林 印象深く残っているのは、ブロードウェイで観た『キンキー・ブーツ』と『アラジン』。ものすっごく楽しかったです。どちらもストーリーは頭に入っていたので、英語でも全然平気でした。最近だとボブ・フォッシーの『ピピン』の日本語版が良かったです。

Q13.では、好きなミュージカルナンバーは?

小林 タップダンスを習っていたこともあって、タップシーンのあるミュージカルが好きなんです。『アラジン』にもありますが、“どのナンバーも全部好き!”と思うのは『ニュージーズ』と『ムーラン・ルージュ』。ちなみにオーディションの時は『リトル・マーメイド』の「パート・オブ・ユア・ワールド」を英語歌詞で歌いました。

 

Q14.好きな関西弁は?

小林 口癖のようについポロッと出ちゃうのは「おもろい」。いつも“おもろいって言わんようにせな”って気をつけているんですが、その頭の中の言葉がすでに関西弁になってます(笑)。それと、「めっちゃ」も使いがちですね。どちらも誰が聞いても意味が通じるだけに、つい口にしてしまっています。

 

Q15.最近大笑いしたことは?

小林 地元の友達と会ってめっちゃふざけあってた時に大笑いした記憶があります。内容は全く覚えていません(笑)。何がそんなにおかしかったんだろう……。

Q16. GetNavi webということで、ご自身を家電に例えると?

小林 ラジオ。歌が大好きですし、普段はすっごくおしゃべりなので。それに、“ラジオのようにいろんな話題が次々と出てきますよ!”という願いも込めています(笑)。

 

Q17.最後に、普段愛用しているアイテムをご紹介いただけますか?

小林 いつも持ち歩いてるのは無印良品の「磁器ツボ押しボール」です。全身に使えるんです。出勤してパソコン作業をしたあとに、隠れてこっそりと首や耳のうしろや鎖骨回りをほぐしたりしています(笑)。足の甲に当てても気持ちいいですし、脇に挟んで血行を良くしたり、膝裏に使ったり。お家でもヨガマットの上に置いて足の裏で動かしたりしていますね。それと、このボールを入れているポーチもお気に入りなんです。私の地元である神戸で創業した「familiar」という子供服のブランドで、大人でも使えるバッグや小物入れがあるんです。このポーチも地元ではすぐに売り切れたので、都内にあるショップで購入しました。

 

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撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ