うどん、焼き鳥、蒸し餃子に近い!? ウズベキスタンの食文化を探る

ウズベキスタン料理をご存知でしょうか? 国土が5か国に隣接し古くから栄えたシルクロードの中継地エリアにあるウズベキスタンは、中国やヨーロッパ、ロシア、インドなどの周辺国からさまざまな食文化の影響を受けてきました。しかし、実は日本食と類似性があるのです。ウズベキスタンの料理や食文化、外食事情について紹介しましょう。

ウズベキスタンのパロフ

 

ウズベキスタンには日本と似ている料理がたくさんあります。代表的な伝統料理は「パロフ」と呼ばれる米料理。各地で作り方や具材が異なりますが、日本のチャーハンやピラフに似ています。「ラグマン」という麺料理は、スープはトマトベースなものの、日本のうどんのようなイメージ。さらに、日本の蒸し餃子のような「マンティ」や、焼き鳥に似た肉の串焼き「シャシリク」もあります。これらは一例ですが、ウズベキスタン料理は見た目や調理方法が日本食と似ているため、日本人にも好まれやすいと言われています。

 

豚肉は食べないが……

ノンはタンドールと呼ばれる窯で焼く

 

ウズベキスタンの主食は「ノン(ナン)」と呼ばれるパンで、現地の人たちは米料理のパロフも麺料理のラグマンもノンと一緒に食べます。そのため日本人よりも大柄な人が多く、健康に関心が高い日本人からすると「炭水化物の摂りすぎでは?」と思うかもしれません。

 

ただ、イスラム教信者が約90%以上を占めているため、豚肉を摂取しない人が多く見られます。その一方で、同じようにイスラム教を信仰する他国ほど厳格とはいえず、国内ではアルコール類も販売され、結婚式などのお祝いにお酒を飲む人もいます。

 

ウズベキスタンの人たちが好むのは緑茶で、軽食時だけでなく毎回の食事時にもよく飲んでいます。国内では緑茶が生産されていないので、中国やインドからの輸入品になります。

 

首都に本格的な日本料理店がオープン

ウズベキスタンには昼食や夕食を家族と一緒に食べる慣習があり、外食する金銭的余裕がない人も多いことから、以前は外食需要が高くありませんでした。しかし、ウズベキスタンの外食産業市場規模についてジェトロ(日本貿易振興機構)が2015年に実施した調査では「新たに設立された中小企業26900社のうち30.4%が外食産業」という結果が出ていて、外食の市場規模が広がっていることがわかります。また、2020年のウズベキスタン税務国家委員会の発表によれば、国内には13858の飲食店があるとのこと

 

首都タシケントには日本料理をはじめ、韓国料理、中華料理、イタリア料理、ロシア料理など他国料理の店も多いのですが、ウズベキスタン料理の店と比べると価格は高め。そのため、利用客は高収入の人たちや外資関係者など、一部の客層に限られています。

 

タシケントにいくつかある日本料理店のシェフは、一般的にウズベキスタン人や韓国人などです。さらに地方においては、店名は日本にまつわる名称なものの、本格的な日本食を提供する料理店はありません。

 

しかし2022年6月、タシケントに初めて本格的な日本料理店が開店しました。和食が専門で、日本人シェフが常駐し日本人スタッフがサービスや調理管理を行っているそうです。国際機関や各国の外交関係者に利用されてきた隣国のキルギス店舗に続く2号店で、経済成長が著しいウズベキスタンでも人気店になりそうです。

 

日本の食材は韓国人向け市場で入手

ウズベキスタンのバザールの香辛料売り場

 

タシケントでも日本の食材を入手することはできませんが、日本人御用達ともいえるのが韓国食材なら何でもそろうミラバットスキー・バザールという市場です。昔から朝鮮系移民が多く住んでいたタシケントには現在も多くの韓国人が在住しているため、韓国の食材には事欠きません。

 

ミラバットスキー・バザール周辺では豚肉や豆腐、韓国海苔、韓国味噌、韓国醤油、麵つゆ、酢、干し椎茸、昆布、蕎麦など何でも購入できます。ウズベキスタンには日本米はありませんが、ほぼ同じレベルといえる韓国米も売っています。

 

日本ではウズベキスタン料理店が少ないため、ウズベキスタン料理についての知名度はまだ低いのが現状です。ただ、日本が2019年からウズベキスタン労働者の受け入れを開始したこともあって、両国の交流を通じて日本にもウズベキスタン料理が少しずつ浸透していくかもしれません。

 

また、現在のウズベキスタンは日本におけるかつての高度経済成長期にあたり、各国の企業進出が目立ち観光客も増えています。タシケントに本格的な日本料理店ができたことなども追い風となり、日本食への関心が高まる可能性もありそうです。

 

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ウズベキスタン人が日本に最適なヒューマンリソースになる3つの理由

ウズベキスタンという国をご存知でしょうか? 中央アジアに位置し、古くからシルクロードの中継地として栄えてきたエリアにあります。日本政府は海外から労働力を呼び込むプログラムの一環として、2019年にウズベキスタンと協定を結びました。日本へ労働力を送り出すためのウズベキスタンの取り組みや、ウズベキスタン人が日本の労働市場に向くと思われる理由などについて説明します。

 

150人の技能実習生が日本で働く

日本語を学習しているウズベキスタン人たち

 

ウズベキスタンは3500万人と中央アジアで最も多い人口を有する国で、約60%が若者で構成されています。ただ、働きたくても働く場所がないのが現状で、毎年約60万人が海外の労働市場に流出。現在は200万人以上の労働者がロシア、カザフスタン、韓国、トルコ、アラブ首長国連邦、アジアやヨーロッパの諸国で短期労働に従事しています。

 

日本も2019年に、技能実習と特定技能の人材を迎える協定をウズベキスタンと結びました。協定が結ばれたあと、ウズベキスタンの各州には無料で日本語や農業、介護について学習できる環境が整えられています。

 

こういった教室で1日3時間半、週に5日、合計6か月の間無料で学習し、試験に合格すれば日本語能力試験のN4(基本的な日本語を理解することができるレベル)を取得することが可能。試験の受験費用も国が負担しています。

 

2022年現在、ウズベキスタンで取得できる特定技能の資格はまだ農業と介護の2分野だけですが、2022年6月の在留外国人統計によれば、在留資格の「技能実習(1号・2号)」と「特定技能(1号)」を持つウズベキスタン人の数は現在、日本に147人、「技術・人文知識・国際業務」を持つ人は709人。ウズベキスタン政府はこの取り組みを拡大していく方針です。

 

ウズベキスタンの日本人への印象

タシケントにあるナヴォイ劇場

 

ウズベキスタンの首都タシケントにあるナヴォイ劇場は、第二次世界大戦後に抑留された日本人兵などの強制労働によって建てられました。1966年に起きた大きな地震でもこの建物だけが無傷だったことから、ウズベキスタン人は日本人の技術力をとても尊敬しています。

 

また、タシケントには日本庭園や日本人墓地など、日本に関わる場所もいくつかあります。国内では日本のドラマや映画も放送されているため、ウズベキスタンの人たちの多くは日本の技術や風習、文化に大きな関心や興味を抱いているのです。

 

そんなウズベキスタン人が日本の労働市場に向く理由は3つ考えられます。

 

1: 日本語の習得が速い

ウズベキスタンは130以上もの民族が住んでいる多民族国家でさまざまな言語が使われていますが、公用語であるウズベク語は、日本語と文法が似ています。そのため日本語が習得しやすいようで、とても早く上達します。日本人にとっても、ウズベク語は習得しやすい言語といえるかもしれません。

 

2: 日々の生活の中で介護に従事

ウズベキスタンには昔の日本のように家族と同居するという文化があるので、常に高齢者を敬い、優しくて思いやりのある人たちが多いのです。日々の生活の中で高齢者とかかわっているため、介護も自然と身についています。

 

3: 農業に従事している人が多い

ウズベキスタンは世界第6位の綿花生産国であり、世界第2位の綿花輸出国。近年はアラル海の面積と水量が縮小するなど環境の変化により綿花栽培は縮小していますが、穀物や野菜、果物といった農業が盛んです。農業に従事している人やある程度の農業知識を持っている人が多く、日本でも農業に関する仕事に向くといえます。

ウズベキスタンの農場

 

日本とウズベキスタンが協定を結んでからまだ2年程度のため、日本で本格的な労働力となるのはこれから。特定技能分野はいまのところ農業と介護だけですが、今後は他の分野にも拡大していく可能性があります。日本でたくさんのウズベキスタン人たちが労働市場を支える日も、そう遠くないかもしれません。

 

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