タスク管理に役立つExcel(エクセル)の便利機能を業務効率化のプロが解説

仕事をするうえで欠かすことのできないタスク管理。メモなどで簡単に羅列しておくだけでも十分ですが、より自分にあった管理ができれば、業務効率の向上にもつながります。

 

そこで今回は、誰もが一度は使ったことがある「Excel」でのタスク管理術を紹介。「業務効率化のちゃんりょう」としてYouTubeなどで活躍する原田亮さんに、タスク管理表に使える便利機能について教えていただきました。Excelならではのさまざまな機能を使って、自分だけのタスク管理表をつくってみましょう。

 

Excelでタスク管理をするメリットとは?

 

メモや手帳、アプリなどタスク管理にはさまざまな方法があります。その中でExcelを活用するメリットとは何なのでしょうか?

 

・自分好みのフォーマットがつくれる
「既存のタスク管理ツールを使うと『必要以上に機能がついていて、慣れるまでが大変』と感じる方も多いと思います。Excelであれば自分に必要な項目や機能だけがついた管理表をつくることができます」(原田亮さん、以下同)

 

・フォーマット作成を安価で依頼できる
「たとえ自分で思い通りのフォーマットがつくれなかったとしても、今はさまざまな代行サービスを使うことができます。Excelはユーザー数が多いため、比較的安価に依頼できる点が魅力的です。また、無料のテンプレートもたくさんあるため、表を1から自分でつくったり外部に依頼したりせずとも、Excelでタスク管理を始めることができます」

 

タスク管理表をつくる前にやっておきたい4つのこと

↑Excelを立ち上げると表示される画面。上部にある検索ボックスで「タスク」などと検索すると、タスク管理に使える無料のテンプレートが出てきます。これらをベースとして活用することで、自分好みのフォーマットを簡単につくることができます。

 

Excelでタスク管理表をつくる際に気をつけるべきポイントとして、原田さんは「いきなり表づくりをしないこと」と話します。では一体何から始めるべきなのでしょうか?

 

1.Excelで何ができるのかを知る

「Excelにはたくさんの機能があるものの、ただのメモ帳になっている人が多くいます。例えば、計算式の機能があるのにExcelに書いたデータを電卓で計算していたり、Aという機能があることを知らず、Bという機能をアレンジして無理やりAに寄せていたり……。
たとえ自分では機能を活かした表がつくれなかったとしても、機能の存在さえ知っていれば誰かに頼むことも可能です。そのため、まずはExcelで何ができるのかを知るようにしましょう」

 

2. タスク管理表で何を確認したいのかを考える

「確認したいことを明確にしないと、タスク管理表にどんなデータが必要なのかが判断できません。『期限が短いものを知りたい』『各タスクのステータスを知りたい』など、まずは目的を明確にしましょう。そして設定した目的に合わせて『期日』や『ステータス』などの表の項目を洗い出しましょう」

 

3. 選択肢を考える

「ステータスやカテゴリーなどの項目を設ける場合に『同じ意味を表す別の言葉』(例:着手中と進行中)があると、正しく集計したり並べ変えたりすることができません。場合によってはタスクの確認漏れなどにもつながるので、入力するデータの内容が限られている項目はあらかじめ選択肢を決めてしまいましょう」

 

4. ベースとなる表をつくる

「1~3が済んだらベースとなる表をつくりましょう。あらかじめ洗い出しておいた項目を、表の見出しとして並べていきます。右にいけばいくほど見づらくなるので、重要度の高いものはできるだけ左に配置することをおすすめします。また、項目名が書かれたセルは薄い色で塗りつぶして分かりやすくしておきましょう」

↑このタイミングで罫線を入れたりテキスト位置を統一したりしても、機能を追加する段階で徐々に崩れてしまいます。そのためベース段階ではデザイン的な調整はしなくてOKです。

 

タスク管理表に使える便利機能7選

タスク管理表を使いやすくする便利な機能について、原田さんに教えていただきました。必要な機能を追加して、自分らしくアレンジしていきましょう。

 

便利機能1. 「ウィンドウ枠の固定」で項目名を見やすくする

【操作方法】
固定したい行(2行目)の1つ下の行(3行目)を選択→[表示]→[ウィンドウ枠の固定]

 

「ウィンドウ枠を固定することで、画面をスクロールしても固定された行が表示されたままになります。行数が増えてもタスク管理表を見やすい状態に保つことができます」

 

便利機能2. 「データの入力規則(リスト)」で選択肢を登録

【操作方法】
選択肢を表示したいセルを選択→[データ]→[データの入力規則]→[入力値の種類]から[リスト]を選択→[元の値]に「○○,○○,○○」と選択肢を入力

 

「セルの右下にある[▼]をクリックすると、リストが表示されます。登録した単語以外の言葉が入るとエラーメッセージが表示されるので、同じ意味を表す複数の言葉が混在するのを防げます」

 

便利機能3. 「フィルター」で並べ替え・絞り込みをする

【操作方法】
見出しを含めた表全体を選択→[データ]→[フィルター]

 

「項目名の右下に表示される[▼]をクリックすると、並び替えや絞り込みができます。並び替え機能は辞書順(数字の場合は数字順、文字列の場合は文字列順)のため、選択肢の頭に数字を入れておくと狙い通りの順番(1.未着手→2.着手中→3.完了)にすることが可能です。入力順にタスクが並んだ状態に戻したい場合は、『タスクNo.』を昇順に並び替えてください」

※数字が二桁になる場合には、01、02、03、10、11…とする必要があります。

 

「絞り込み機能によって、チェックボックスのチェックをつけたり外したりすることで一部の選択肢だけを表示させることができます。全表示に戻したい場合は[クリア]を押してください」

 

便利機能4. 「シリアル値」の考え方を応用して、残り日数を表示する

■そもそも「シリアル値」とは?

「実はExcelの日付は数字で管理されています。設定によって異なりますが、大体1900年1月1日から順に1、2、3…と番号が設定されており、これをシリアル値と呼びます。通常、日付を入力すると[ホーム]の[数値]内にある数値の書式が『日付』と表示されますが、それを『標準』に変えることで、その日のシリアル値を知ることができます」

 

「シリアル値の考え方を応用すると、残り日数を計算することができます。期日のシリアル値から今日のシリアル値を引けばいいのです

 

【操作方法】
残り日数のセルに「=IF(期限のセル=””,””,期限のセル-TODAY())」と入力→数値の書式を[標準]に変更

 

「頭についているのは『期限のセルが空白の場合は空白に、空白ではない場合は残り日数を表示する』というIF関数です。
これをつけず『=期限のセル-TODAY()』でも残り日数は表示できますが、期限のセルが空白だと『0-今日のシリアル値』という計算式になり、残り日数が「-○○○○○」と表示されてしまいます。
なお、他のタスクにも残り日数を表示したいときは、残り日数が表示されているセルの右下にある黒い[+]を押し、表の2行目以降をドラッグで選択してください」

 

便利機能5. 「条件付き書式」で、選択肢を色分けする

【操作方法】
色分けしたいセルを選択→[新しいルール]→[指定の値を含むセルだけを書式設定]→[セルの値]と[次の値に等しい]を選択し「○○」と選択肢の1つを入力→[書式]をクリックしてフォントや塗りつぶしの色を設定する

 

「複数の選択肢がある場合は、この設定を何度か繰り返してください。なお、選択肢以外に『残り日数が○日以下の場合』なども色をつけることができます。基本的な操作は同じですが、[次の値に等しい]ではなく[次の値以下]を選択し「3」など何日以下の場合に書式を変えたいのかを入力してください」

 

便利機能6. 「条件付き書式」で、完了したタスクをグレーアウトにする

【操作方法】
タスクNo.1のセルを起点に表全体を選択→[数式を使用して書式設定するセルを決定]→「$[ステータスのセルの列名][表の先頭の行番号]=“○○(完了を表す選択肢)”」と入力→[書式]をクリックしてグレーで塗りつぶす設定をする

 

■ほかのルールが適応されて、完全にグレーアウトにならない場合は?

「便利機能4でご紹介した選択肢の色付けなど、すでにほかの項目に条件付き書式を設定している場合、完全にグレーアウトにならないケースがあります。これはグレーアウトの優先順位が下になっているため起こります。
設定したルールは[ルールの管理]から確認・修正ができるので、表全体を選択し、[ルールの管理]内にある[▲][▼]のボタンで優先順位の高いものが上にくるように調整してください」

 

■優先順位を変えたのに、フォントの色が変わらない場合は?

「優先順位を変えたのに、フォントの色だけが変わらない場合があります。これはグレーアウトの条件付き書式でフォント色が[自動]になっているのが原因です。[自動]は他のルールの文字色に合わせる設定なので、フォントの色を黒に変更してください」

 

便利機能7.「COUNT関数」で、残り件数を確認する

「COUNT系関数は、対象のデータ数を自動で数えてくれる機能です。ただタスクの数を数えるだけではなく、着手中のタスクのみを数える、残り日数が3日以内の完了していないタスクを数えるなど、細かな条件を設定することもできます」

 

=COUNTA(範囲)
対象の範囲内でテキストが入力されているセルの数を数える

 

COUNTIF(ステータスのセル全体, “○○”)
「ステータス」内で「○○」と入力されているセルの数を数える

 

COUNTIFS(残り日数のセル全体, “<=3”,ステータスのセル全体, “<>○○”)
「残り日数」内で「3」以下の数字が書かれたセルのうち、「ステータス」内で「○○」と書かれていないセルの数を数える

※「○○」に完了を示す選択肢を入れることで、完了以外のタスクのみを数えることが可能

 

便利機能8. 「テーブル」で行数を追加しやすくする

【操作方法】
見出しを含めた表全体を選択→[挿入]→[テーブル]→「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にチェックを入れて[OK]をクリック

 

「単に行を挿入するだけでも問題なく行数を増やせる場合もあります。ただ、ときに条件付き書式や数式が崩れてしまうことがあるので、テーブル設定をおすすめします。テーブルの場合、『タスクNo.』の列に数字を追加するだけで新たに行が追加されるうえ、条件付き書式や数式など、設定済みのルールも自動で適用されます

 

タスク管理表に使える機能はまだまだたくさんあります。少しでも業務効率を上げられるように、原田さんのYouTubeなども参考にしながら自分に合ったタスク管理表へとアレンジしてみてください。

 

プロフィール

 

エンジニア・コンサルタント / 原田亮

中学生のときに友人の勧めでプログラミングに出会い、作りたいものを自由に作れて遊べるうえ、無料で利用できる点に感動を覚える。その後、プログラミングの考え方「アルゴリズム」に興味を持ち、情報系の大学を卒業してシステムエンジニアへ。現在はフリーのエンジニア・コンサルタントとしてSNSを中心に「アルゴリズムを広げる活動」を行っている。
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【エクセル】「フィルター」機能と「小計」機能を使えば大量のデータも怖くない!

売上管理の月表から顧客のデータをチェックする際は、「フィルター」機能でデータを抽出するのがオススメす。多くのデータから簡単に絞り込むことができます。また、顧客ごとに売上金額を集計したい場合は、「小計」機能が便利です。SUM関数を使わずに自動で計算できます。あらかじめ顧客名で並べ替えておくのがポイントです。

 

「フィルター」機能でデータを抽出する

「フィルター」機能を使ってデータを抽出するには、フィルターボタンを表示します。

↑表内のいずれかのセルを選択します

 

↑「データ」タブで「フィルター」ボタンをクリックします

 

「フィルター」機能がオンになり、表の項目に「フィルター」ボタンが表示されます。

↑抽出したい項目の「フィルター」ボタンをクリックし、メニューの「(すべて選択)」のチェックを外してから、顧客名にチェックを入れます。最後に「OK」ボタンをクリックします

 

指定した顧客のデータが抽出され、「フィルター」ボタンが抽出中を示すマークに変わります。

↑指定した顧客のデータが絞り込まれます

 

抽出を解除する場合は、「データ」タブで「クリア」ボタンをクリックします。

↑「データ」タブで「クリア」ボタンをクリックすると、抽出が解除されます

 

元の表に戻ります。「フィルター」ボタンを消す場合は、「データ」タブ → 「フィルター」ボタンをクリックして「フィルター」機能をオフにします。

 

顧客ごとに売上金額を集計する

顧客ごとに売上金額を集計する際は、「小計」機能を使います。あらかじめ顧客名で表を並べ替えておきます。また、月表はシートコピーし、コピー後のシートで集計しましょう。

↑シートコピーした月表で、並べ替えたい項目のセルを選択します(ここではB列「顧客コード」のセル)

 

↑「データ」タブで「昇順」ボタンをクリックします

 

データが顧客コード順に並べ替わります。

↑データが並べ替わります

 

次に、「小計」機能を使って売上金額を集計します。

↑「データ」タブで「小計」ボタンをクリックします

 

「集計の設定」画面が表示されます。

↑「グループの基準」で集計の基準にする項目名(ここでは「顧客コード」)、「集計の方法」で「合計」、「集計するフィールド」で「売上金額」にチェックを入れ、「OK」ボタンをクリックします

 

顧客コードごとの売上金額が集計され、アウトラインで表示されます。

↑顧客コードごとに売上金額が集計されます

 

アウトラインを解除する場合は、「データ」タブ → 「グループ解除」の「▼」ボタン → 「アウトラインのクリア」をクリックします。

 

「フィルター」機能や「小計」機能を使うと、手間取るデータの抽出や小計が簡単にできます。大量のデータを使うビジネスで必須のテクニックです。覚えておきましょう。

【エクセル時短術】「重複入力」を回避すれば凡ミスが激減する

リストの入力でよく起きるのが重複入力でしょう。入力したあと重複をチェックすることもできますが、入力する際「入力済み」の警告を表示できれば効率的ですよね。この自動警告は、「データの入力規則」を使い、入力済みのデータと同じものを入力しようとしたら表示します。データの重複チェックは、COUNTIF関数を使います。

 

入力済みデータと同じものを入力する際にエラーを表示する

入力しようとするデータが入力済みかどうかは、COUNTIF関数でチェックします。計算結果が2以上の場合は同じデータがあり、1の場合はデータが1つだけです。「データの入力規則」で1の場合だけ入力を許可し、それ以外では入力を制限します。この際、エラーの原因がわかるメッセージを表示させるのがポイントです。

↑ 入力をチェックする列を選択しします(ここではA列)

 

↑「データ」タブの「データの入力規則」ボタンをクリックします

 

「データの入力規則」画面が表示されます。

↑ 「設定」タブの「入力値の種類」欄で「ユーザー設定」を選択し、「数式」欄に「=COUNTIF(A:A,A1)=1」を入力します。「A:A」はA列を示します

 

↑「エラーメッセージ」タブに切り替え、「タイトル」欄と「エラーメッセージ」欄に入力し、「OK」ボタンをクリックします

 

A列のセルに「データの入力規則」が設定されます。同じデータを入力しようとすると、エラーメッセージが表示されます。

↑ 入力済みのデータと同じものを入力使用とすると、エラーが表示されます

 

重複入力を防ぐワザはいかがでしょうか。リスト入力では欠かせないテクニックです。覚えておきましょう。

エクセルの便利オプション「音声読み上げ」使ってる? データの入力チェックがはかどる!

データの入力にはミスがつきものです。チェックはどうしていますか? 手の空いた人がいれば読み合わせができますが、1人で原本と照合するのは心もとないですね。特に桁数の多い数値は不安です。そんなときは、エクセルの「音声読み上げ」機能を使えば、データが自動で読み上げられ、入力チェックがはかどります。この「音声読み上げ」機能はオプションなので、クイックアクセルツールバーに追加して利用します。

 

「音声読み上げ」機能を追加する

「音声読み上げ」機能を使うには、クイックアクセスツールバーに追加します。

↑「クイックアクセルツールバーのユーザー設定」ボタンをクリックし、メニューから「その他のコマンド」を選択します

 

「Excelのオプション」画面が表示されます。

↑「コマンドの選択」で「すべてのコマンド」を選択し、下の一覧から「セルの読み上げ」を選択したら「追加」ボタンをクリックします。右欄で「セルの読み上げ」を確認し、「OK」ボタンをクリックします

 

画面左上のクイックアクセスツールバーに「音声読み上げ」ボタンが追加されます。

↑「音声読み上げ」ボタンを追加されます

 

データを音声で読み上げる

読み上げしたいデータを選択してから「音声読み上げ」ボタンをクリックします。

↑読み上げしたいデータを選択します

 

↑「音声読み上げ」ボタンをクリックします

 

データが読み上げられます。中断する場合はEscキーを押します。

 

音声読み上げはデータの入力チェックに便利です。特に在宅ワークでは必須のツール。ぜひ利用してみましょう。

【エクセル】同じような表、まだ画面切り替えてみてるの? そんなときは「条件付き書式」を使うべし!

エクセルで表をコピーして使っているとき、どのデータを更新したか忘れてしまった……といったことはないでしょうか。そんなときは「条件付き書式」を使って、新旧の表を比較してみましょう。データが異なるセルを明示することができます。同じ表を別々に更新したときも異なるデータをチェックできます。

 

2つのセルを比較しデータに相違があるかをチェックする

新旧の商品リストのセルを比較してデータに相違があるかをチェックするには、条件付き書式を使います。条件では、セルA=セルB=FALSE(セルAとセルBが同じでない場合)、と指定します。

↑比較したいセルを選択します(ここでは「商品リスト_0801」シートの商品コード)

 

↑「ホーム」タブで「条件付き書式」ボタンをクリックし、メニューから「新しいルール」を選択します

 

「新しい書式ルール」画面が表示されます。

↑「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択し、条件欄に「=A2=商品リスト_0730!A2=FALSE」を入力し、「書式」ボタンをクリックします。ここでは、比較したいセルを「書品リスト_0730」シートのセルA2とします

 

=A2=商品リスト_0730!A2=FALSE

 

上記に数式により、セルA2と、「商品リスト_0730」シートのセルA2が等しいか調べ、等しくない(FALSE)の場合は、指定した書式で表示します。
「セルの書式設定」画面が表示されます。

↑「塗りつぶし」タブをクリックし、背景色を選択し、「OK」ボタンをクリックします

 

「新しい書式ルール」画面に戻ります。

↑指定した書式のプレビューが表示されます。「OK」ボタンをクリックします

 

データが異なるセルに色が付きます。

↑データが異なるセルに色が付きます

 

2つの表でデータをチェックするワザはいかがでしょうか。条件付き書式の条件で、数式に「=」を使う方法はデータチェックに有効です。ぜひ覚えましょう。

エクセルでシフト表を作るには? 「ガントチャート」作成手順をイチから解説

エクセルで店員の勤務表などのシフト表を作成する際、ガントチャートがあれば、手薄な時間帯を一発で発見できて便利です。このガントチャートは、積み上げ横棒グラフを使えば簡単に作成できます。あるいは、条件付き書式を使って、就業時間帯のセルを塗りつぶしてガントチャートを作成することもできます。今回は、ガントチャートを作成するワザを2つ解説します。

↑始業時の帯を透明にし、就業時間を積み上げた横棒グラフで作成したガントチャート

 

↑条件付き書式で就業時間のセルを塗りつぶして作成したガントチャート

 

「積み上げ横棒グラフ」でガントチャートを作る

積み上げ横棒グラフでガントチャートを作るには、就業時間を計算した表を作ります。縦に並ぶ氏名が表と逆になるので、軸を反転させます。就業時間帯を横軸に設定し、始業時のデータ系列を透明(「塗りつぶしなし」と「線なし」)に指定します。

↑氏名、始業時、就業時間の範囲を選択します。就業時間はCtrlキー+ドラッグで範囲を追加します。就業時間のセルD3は、終業時のセルC3から始業時のセルB3を引いています(=C3-B3)

 

↑「挿入」タブで「縦棒/横棒グラフの挿入」ボタンをクリックし、メニューから「積み上げ横棒」を選択します

 

積み上げ横棒グラフが作成されます。グラフタイトルは、セルA1の日付(曜日付き)のデータを参照します。

↑「グラフタイトル」をクリックしてから、数式バーに「=」を入力し、セルA1をクリックして選択しEnterキーを押します

 

グラフタイトルに日付と曜日が表示されます。次に縦に並んだ氏名を表の並びに揃えます。

↑氏名をダブルクリックします

 

「軸の書式設定」画面が表示されます。

↑「軸を反転する」にチェックを入れます

 

氏名の並びが表と同じになります。次は、就業時間を指定します(ここでは8~20時)。

↑横軸をダブルクリックします

 

「軸の書式設定」画面の「軸のオプション」が表示されます。

↑「最小値」に「8」を、最大値」に「20」、「単位」の「主」に「1」を入力します

 

横軸に時刻が表示されます。

↑凡例を選択しDeleteキーを押します。次に、始業時のデータ系列(青帯)をクリックして選択します

 

凡例が削除されます。最後に、選択した始業時の青帯を透明に変えます。

↑「書式」タブで「図形の塗りつぶし」の「▼」ボタンをクリックし、「塗りつぶしなし」を選択します

 

↑「書式」タブで「図形の枠線」の「▼」ボタンをクリックし、「枠線なし」を選択します

 

始業時の青帯が透明になり、ガントチャートが作成されます。

↑ガントチャートが作成されます

条件付き書式でガントチャートを作る

条件付き書式でガントチャートを作るには、勤務時間帯のセルに色を塗ります。条件には、AND関数を使って、「始業時」以降で「終業時-1」以前のセルを指定します。上下の罫線に白色を指定して時間帯を切り離すのがポイントです。

↑ガントチャートを作成する範囲を選択します

 

↑「ホーム」タブで「条件付き書式」ボタンをクリックし、メニューから「新しいルール」を選択します

 

「新しい書式ルール」画面が表示されます。

↑「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択し、条件欄に条件「AND(E$2>=$B3,E$2<=$C3-1)=TRUE 」を半角で入力し、「書式」ボタンをクリックします

 

この場合、時刻のセルE2が始業時のセルB3以上で、しかもセルE2が「終業時-1」以下を満たす場合、という条件をAND関数で指定して満たす(TRUE)ときと指定しています。時間帯の2行目と、始業時の列B列、終業時の列C列は絶対参照で指定します。セルG3では、時刻のセルG2(10)が始業時のセルB3(10)以上になり、終業時のセルC3(16)-1が終業時のセルC3(16)以下になるので、指定した書式で表示されます。

 

「書式」ボタンをクリックすると、「セルの書式設定」画面が表示されます。

↑「塗りつぶし」タブをクリックし、背景色を選択します

 

↑「罫線」タブをクリックし、「色」で「白」を選択し、「罫線」で「上」と「下」をクリックします。最後に「OK」ボタンをクリックします

 

セルの書式が設定され、「新しい書式ルール」画面に戻ります。

↑プレビューを確認し、「OK」ボタンをクリックします

 

ガントチャートが表示されます。

↑勤務時間帯のセルに色が付きます

 

ガントチャート作成のワザはいかがでしょうか。ビジネスではよく使うので、いずれかをマスターしましょう。

【エクセル】残念な資料になってない? 円グラフの訴求力を高める3つのポイント

簡単にグラフを作成できるのがエクセルの優れたところですが、作成したまま資料として提案していませんか? 実はひと工夫加えるだけで、グラフが見やすくなり訴求度がアップします。例えば、円グラフ。項目名をグラフの近くに置けば、凡例の色とグラフを見比べる手間が省けます。加えて、割合(パーセント)も同時に表示したいところ。今回は、円グラフの訴求力を高めるポイントを3つご紹介します。

↑作成したばかり円グラフ。ここからひと工夫して、見やすく加工するのが訴求度アップのポイントです

 

【ポイント①】

項目名をグラフの近くに置く

項目名をグラフの近くに置くには、まず凡例を消します。項目名は、データラベルオプションで「分類名」と「パーセンテージ」をオンにします。項目名をグラフの外に置く場合は、「ラベルの位置」で「外部」を選択します。

↑凡例を選択し、Deleteキーを押します

 

凡例が消えます。次に、項目名をグラフに表示します。

↑「デザイン」タブで「グラフ要素を追加」ボタンをクリックし、「データラベル」 → 「その他のデータラベルオプション」をクリックします

 

「データラベルの書式設定」画面が表示されます。

↑「ラベルオプション」で「分類名」と「パーセンテージ」にチェックを入れ、「値」のチェックを外します。「ラベルの位置」で「外部」を選択します

 

グラフの外部に項目名とパーセントが表示されます。

↑グラフの外部に項目名とパーセントが表示されます

 

【ポイント②】

円グラフの項目を値の大きい順に並べる

値の大きい順に項目を並べる場合は、表を降順に並べ替えます。

↑並べ替える項目のセルを選択します(ここでは「売上高」のセルB3)

 

↑「ホーム」タブの「並べ替えとフィルター」ボタンをクリックし、「降順」を選択します

 

表が売上高の大きい順位並べ替わり、円グラフも変わります:。

↑表に合わせて円グラフの項目も並べ替わります

 

【ポイント③】

目立たせたい項目を切り出す

円グラフの項目を切り出すには、その項目だけを選択し、「データ要素の書式設定」画面の「要素の切り出し」で「20%」などと指定します。

↑切り出したい項目をクリックしたあと、もう一度クリックします

 

指定した項目だけが選択されます。

↑「書式」タブの「選択対象の書式設定」ボタンをクリックします

 

「データ要素の書式設定」画面が表示されます。

↑「要素の切り出し」で切り出し割合を指定します

 

指定した項目が切り出されます。

↑項目が切り出されます

 

円グラフのひと工夫ワザはいかがでしょうか。簡単に加工できるので、ぜひお試しください。

【エクセル】使えるとデキる人っぽい!! データ推移を「バタフライチャート」で見せるワザ

人口動態や売上高、会員数などのデータの推移を表すには、折れ線グラフや積み上げ棒グラフを使うことが多いですよね。しかし、「バタフライチャート」ならデータを左右に振り分けて2つの項目を比較し、データの推移を表現することができます。このバタフライチャートは横棒グラフから作成しますが、一方の数値をマイナスにするのがポイントです。

↑バタフライチャート。横棒を左右に振り分けてデータを比較できます

 

バタフライチャートを作成する

バタフライチャートを作成する前に、まずはシートをコピーし、一方の項目の数値をマイナスにします。グラフは、横棒グラフで作成します。左右の横棒を揃えるには、「系列の重なり」を「100%」に設定します。ラベルをグラフの左側に置く場合は「ラベルの位置」で「下端/左端」を指定し、横軸のマイナス数値は表示形式を変えてプラスにします。

↑1つの項目の数値をマイナスに変え、グラフにする範囲を選択します

 

↑「挿入」タブ → 「縦棒/横棒グラフの挿入」ボタンをクリックし、メニューから「集合横棒」を選択します

 

横棒グラフが作成されたら、まず横棒の位置を揃えます。

↑横棒をクリックして選択します

 

↑「書式」タブ → 「選択対象の書式設定」ボタンをクリックします

 

「データ系列の書式設定」画面が表示されます。

↑「系列の重なり」で「100%」を指定します

 

横棒の位置が揃います。次に、ラベルを左に移動します。

↑横棒の位置が揃います。次に、ラベルを選択します

 

↑「書式」タブ → 「選択対象の書式設定」ボタンをクリックします

 

「軸の書式設定」画面が表示されます。

↑「ラベル」をクリックし、「ラベルの位置」で「下端/左端」を選択します

 

ラベルがグラフ左端に移動します。最後に、横軸のマイナス数値をプラスに変えます。

↑ラベルがグラフ左端に移動します。次に、横軸を選択します

 

↑「書式」タブ → 「選択対象の書式設定」ボタンをクリックします

 

「軸の書式設定」画面が表示されます。

↑「表示形式」をクリックし、「表示形式コード」で「#,##0;#,##0」に修正し、「追加」ボタンをクリックします

 

マイナスの数値がプラスに変わります。

↑マイナス数値がプラスに変わります

 

バタフライチャートは男女別年代別人口グラフなどでよく目にします。作成方法をマスターしましょう。