6つの竹活用アイテムをDIY!正しい良い子の竹くらべ/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(25)

里山暮らしの難題のひとつは、はびこる竹林だ。ちょっと放っておくと竹藪と化し、本来の生態系を破壊するとも言われている。

そこで、小春日和のある日、里山に集合し、外遊びで使える、竹を使ったもの作りを編集部で実践、遊びついでに、竹害の解消にひと役買おうということになった。

竹フレームのドームハウス、竹スモーカー、竹ルアー、竹竿、竹カトラリー、竹の珈琲ドリッパーなどを製作。

題して、正しい良い子の竹くらべ。結果は…!?

 

正しい良い子は、竹ルアーと竹竿で釣った魚を、竹スモーカーで燻製して竹皿に載せ、竹フォークと竹ナイフで食べ、竹ドリッパーで淹れたコーヒーを飲んでから、竹フレームハウスで寝るのだ

 

今こそ、竹伐採の絶好時期

竹害は、近世に、筍をとるために移入された孟宗竹が放置されることによって生まれたというのが定説になっているようだが、dopaのガーデンスタジオの敷地内でも、油断すると、スギやヒノキに混じって、竹がはびこる。(ただし、孟宗竹ではなく真竹なので、やや細めで、肉厚も少なめ。孟宗竹に比べ、伐採が楽)

そんなわけで、暇を見つけてはせっせと竹を伐採し、これまで、竹フェンスにしたり、竹炭にしたり、竹灯りにしたり、ツリーハウスの外壁材にしたりと、竹材の有効利用に努めてきたが、それでもまだ、竹は増え続けている。これをなんとかしたいと考えたのが、竹を使ったモノ作りだ。それも昔からよく見られるような水鉄砲や竹馬なんかのオーソドックスな竹クラフトじゃなく、よりチャレンジ精神にあふれた外遊びのためのもの作りだ。11~2月の今の時期、竹は水揚げが止まっているため、乾燥が早く、虫もつきにくいので、タイミング的にも悪くはない。

で、ガーデンスタジオに集まったのは編集部の面々。それぞれとっておきのアイデア(?)を持ち寄り、ドゥーパ!スタイルの「竹くらべ」を実践したのだが…。

 

竹ルアーを作る

<用意する材料・道具>
竹、手作りルアーの目玉シール、手作りルアー用の模様をつけるシール、釣り針、手作りルアーのための小さなリング(スプリットリング)、最小サイズのヒートン、竹挽用ノコ、切り出しナイフ、ディスクグラインダー(サンディングディスク装着)、紙ヤスリ、ピンセット、ラジオペンチ、キリ

 

竹の延べ竿を作る

<用意する材料・道具>
竹の先部分(2m程度、年数が経って、なるべく硬くてまっすぐなもの。)、竹挽用ノコ、切り出しナイフ、紙ヤスリ、バーナー、手芸用のリリアン紐、糸、瞬間接着剤

 

竹スモーカーを作る

<用意する材料・道具>
太めの竹、120mmのコーススレッド、竹挽用ノコ、紙ヤスリ、金属製の缶の丸いフタ(直径70mm程度)、キャンピングストーブ&燃料、燻製用チップ、Sカン

 

カトラリーや竹皿も作ってみました

 

これもいける! 超簡単・珈琲ドリッパー

 

竹フレームのドームハウスを作る

<用意する材料・道具>
太めの竹(8~15cm径、4mを5本程度)、針金、竹挽用ノコ、ナタ、ハンマー、インパクトドライバー(10mm径ドリルビット装着)、マジックペン、ペンチ、タープ(ヘキサタイプ)

 

今回のメインイベントが、竹のドームフレームハウス作り。4~6分割した竹材を組んで ドーム型のフレームを作るという作業だ。いろいろな資料を見てみると、基本的な組み方には幾何学的なセオリーがあるようで、そのセオリーを忠実に守る方法がベストだという結論に。また、ここではデッキの上で作ったので、竹で大きな輪を作り、その内側でフレームを組んだが、地面で作る場合は、10本の杭を円状に打ち、その杭にフレームを固定するという方法もあるようだ。

*小さく表示されている画像はタップするとご覧いただけます。

*掲載データは2017年12月時のものです。

 

ちょっと上級なチェンソーの玉切りテクニックを伝授!/DIY工具使いこなし術(13)

チェンソーといえば、イメージされるのはエンジンを動力としたモデルだが、今回紹介するのは、充電式バッテリーを電源とする電動チェンソー。

電源がバッテリーなので、一般的な電動チェンソーのように、コードを引き回す必要がなく、屋外でも軽快に使うことができる。

今回使用したバッテリーチェンソーはSTIHL MSA 160 C-BQ。径20cmの丸太の連続玉切りまで使用できる、高い実用性を持つモデル

 

長い丸太をきれいに玉切りする少し上級の切り方

長さのある丸太を玉切りしていると、切っている途中で材の重さで丸太が折れて落ちてしまうことがある。これを防ぐには、玉切りの途中からガイドバーの上側を使って、丸太を下から上に切るという方法を使う。

丸太を馬に載せて固定したら、切り方は下のイラストAのように丸太に(1)~(4)の部分を設定し、まず普通に上から(1)まで切る。次にキックバックしないよう気をつけながら上から(2)を切る。イラストBのようにガイドバーの先端上部(キックバック危険ゾーン)が材に当たるとキックバックしてチェンソーが自分の方に飛んでくるので、十分に集中して作業する。

(3)の部分はソーチェンの上側を使って下から上に切る。チェンソーの上側のスパイクを丸太に当て支点として切ると安定した作業ができる。(4)の部分は(3)から連続した動きで切り上げる。このときガイドバーの先端は必ず丸太の向こう側に出し、ガイドバー先端の上部が丸太に当たらない、キックバックしない体勢で切ること。

 

<丸太を割らない玉切りテクニック>

 

ガーデンリビング作りに使える小技テクニック

ここでは径10cm程度の丸太を杭に加工して、その杭に看板の板を付けるための溝を掘る。

丸太を杭にするには、丸太の片方の端を尖らす加工が必要。これは馬に固定した丸太の左右2面を斜めに切り取り、90度回転させてまた左右2面を斜めに切ればいい。切る度に安全に切れる位置に、その都度足場を決めることと、スパイクが使いづらいので、チェンソーを腕力で支えるため、しっかりと構えることが大切だ。

丸太に看板の板などはめる溝は、取り付ける板幅で2カ所に切れ目を入れたら、切れ目の底に合わせて、チェンソーの先を突っ込んで向こう側に貫通させて切る。キックバックしないように突っ込みはじめは、真っすぐに突っ込まず少し角度をつけて切り込むとうまくいく。

切り出した面はブラッシングという方法でならす。写真のようにチェンソーを立ててする方法と寝かせる方法がある。

 

<テクニック1、丸太を杭にする>

 

<テクニック2、溝を彫る>

 

日々のメンテナンスでチェンソーはいつも快調!

チェンソーは刃が命なので使用する前か後に必ずメンテナンスする。写真のような方法でメンテナンスすれば、チェンソーはいつも軽快に使うことができる。刃の研ぎは最重要なメンテナンスとなる。きれいに研げれば、振動も騒音も少なく、切断作業も早くなる。ソーチェンは小さなカンナが並んでいる状態で、ソーチェンの刃に向きあうデプスゲージはカンナの台にあたる部分。カンナ刃と台の高低差でカンナの切れ味が変わるように、ソーチェンの刃とデプスゲージの高低差で切れ味を保持するので、写真のように専用のファイルゲージでデプスゲージの高さを測定し、必要なら削って、刃とデプスゲージの高低差を合わせるようにする。

また、ガイドバーは上下7対3の使用率でひっくり返して使うと減りは平均して、ガイドバーの片べりを防いで長期間使うことができる。

写真◎冨士井明史/取材協力◎栗田宏武、スチール

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2012年8月時のものです。

電動だから使いやすい!バッテリーチェンソーの基本と玉切りのやり方/DIY工具使いこなし術(12)

チェンソーといえば、イメージされるのはエンジンを動力としたモデルだが、今回紹介するのは、充電式バッテリーを電源とする電動チェンソー。

電源がバッテリーなので、一般的な電動チェンソーのように、コードを引き回す必要がなく、屋外でも軽快に使うことができる。

今回使用したバッテリーチェンソーはSTIHL MSA 160 C-BQ。径20cmの丸太の連続玉切りまで使用できる、高い実用性を持つモデル

 

バッテリーチェンソーはDIYにぴったり

薪作り、枝払いなど園芸作業、軽度のログワークに使うなら、振動と騒音の少ないバッテリーチェンソーはとても使いやすい。住宅地の庭などで使うとなると、騒音の出るエンジンチェンソーは使えないので、バッテリーチェンソーしか選択肢はない。この、STIHL MSA 160C BQは36Vのハイパワーバッテリーリチウムイオンで駆動する高効率のモーターを搭載し、新型の低振動(=低騒音)ソーチェンを装備したモデル。

長さ30cmのガイドバーは、径20cmまでの樹木を切断するようにデザインされているので、ガーデンDIYで丸太を相手にするにはちょうど手頃なサイズになる。

バッテリーチェンソーは、充電したバッテリーをセットし、ハンドルサイドのセーフティーボタンを押しながら、スロットル(トリガースイッチ)を引けば、シャーッという軽快な音と共にソーチェンが回り出す。ちょうど丸ノコを使うのと同じように使うことができるのは電動ならではの使いやすさだ。

また、体の安全対策も重要なポイント。以下の写真のように頭、目、手、下半身、足は必ず保護して作業する。

 

<始動の仕方>

 

チェンソー作業の基本「玉切り」で扱いに慣れる

直径20cmまでの間伐材を、薪に使いやすい長さに切り分ける。こうした切断は、林業やログワークでは玉切りと呼ぶ。チェンソーの基本的な作業だ。切る材は写真のように馬に乗せ、安定して切れるように準備しておく。

チェンソーは本体と直角になるようにハンドルが付いていて、写真のように、ここを持ってぶら下げると、ちょうどバランスが取れるようになっている。そのままアクセルのハンドルを握り、目線が目、ソーチェン、墨線と一直線になるように構え、材にソーチェンを当てずにチェンソーを始動。すぐ回転が安定するので、目、ソーチェン、墨線を一直線に保ったままソーチェンを材に当てれば切断開始。ちゃんと研いであるソーチェンが付いていれば、チェンソーの重さだけで切れていく。玉切りでは材にチェンソーを押し付ける必要はない。押し付けなければ切れないのは、刃が減っているためなので、すぐ研ぎ直す。

枝払いなども同様に切る場所を決めたら、目、ソーチェン、墨線を真っすぐに構え切る。足元をしっかり決め、枝の落ちる方向を見極めて、なるべく枝の上部から、何回かに分けて切ると安全に切れる。枝払いなど、チェンソーを持ち上げる作業では、チェンソーが肩より上がらないように注意する。

 

<玉切りでのチェンソーの動き>

 

<玉切り作業手順>

写真◎冨士井明史/取材協力◎栗田宏武、スチール

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2012年8月時のものです。

【イベント告知】dopaフィールドで「土壁塗り」を10/23に開催します!

昔ながらの土壁塗りイベントを開催します!

土とワラと砂を混ぜ、建設途中の軸組工法の小屋の壁に塗るイベントです。

どんな様子かは以下の動画をご覧ください!

 

先日、dopa編集部員でこの土壁塗りをやってみたのですが、本当に面白い! これはぜひ読者のみなさんに体験してもらいたい、とイベントを企画しました。また、イベント開催場所は、dopa誌面やYoutubeでお伝えしている森の中ですので、過去に創ったサウナ小屋やカフェ小屋、ガレージ、かまど、焚火プレイスなどもご案内します!

 

【日時】 10月23日(日)9時~17時
【場所 】 「グレイスの森」のdopaフィールド(JR外房線「鎌取駅」から徒歩約20分)車も駐車可能です。
【持ち物】 汚れてもいい服装と着替え、ゴム手袋、帽子、手ぬぐい、昼食、あればマイコテ・マイコテ板、虫よけ
【参加費】 3500円(保険及び税込)
【定員】 10名(先着順)

 

以上です。参加希望の方、以下の内容をメールでお知らせください!
メールはこちら!→ info@camp-18.com

【氏名】フルネームで
【連絡先】当日連絡が取れる連絡先

 

dopa編集部と一緒に土遊びをしましょう!みなさんのご応募お待ちしております!

秋になったら勝負したい!スズメバチ・トラップ大作戦!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(24)

来いや!と叫んでも、その日、スズメバチは来なかった!

逃げたのか!? ビビッたのか!? それともトラップがまずかったのか?

いや、そうじゃなくて、時期が悪かったらしい。でもこの記事を読んでいるあなた、秋になったら、一網打尽のスズメバチ捕獲大作戦、いざ、勝負!

 

オオスズメバチの女王バチ

 

木の枝や軒先にスズメバチ・トラップを吊るす

 

読者から寄せられた「スズメバチ対策」

外で作業中、「スズメバチだ!」の声に逃げ惑う哀しい我らがいる。里山のガーデンDIYはスズメバチとの闘いでもあるのだ。草刈り中に突然鉢合わせ(これがホントのハチ合わせ?)することもあるし、物置のドアをあけると突然飛び出して来ることもある。もし刺されたら!? 痛いのはもちろん、最悪死ぬ(マジっすか?)。

ドゥーパ!スタッフは、今年の5月、キイロスズメバチが我らを偵察飛行しているのを見て、スズメバチ撃退スプレー片手に外階段のペイビング作業をした。6月は、くそ蒸し暑いのに防虫ネットをかぶり、長袖で草刈りをした。7月は離れの小屋の天井にスズメバチが巣を作っているのを発見した。最近では、強力殺虫スプレーで空中戦を闘い抜き、数匹のスズメバチを撃ち落としているが、スプレー臭があたりに蔓延し、こっちも少し気持ちが悪くなった。

ほかに何か手はないのか。そう思っていたら、以前、読者から編集部に寄せられた「スズメバチ対策」の手紙を思い出した。

手紙の主は、愛知県のMさん。いただいた手紙には、スズメバチに刺されないためのアドバイスのほかに、スズメバチを捕獲したり、撃退するためのノウハウが掲載された雑誌の切り抜きなんかも同封されていた。いろいろな説が紹介されていて、どれがいいのか迷うが、とにかくやってみることにした。

 

作戦その1 粘着ねずみ取りシートを使う

ゴキブリホイホイのネズミ取り版を知ってるだろうか? つまりネズミホイホイ。触れると粘着して離れなくなる奴。「粘着ねずみ取りシート」と呼ばれているもので、いろいろなタイプが市販されている。スズメバチは黒いものに向かってくる性質があるから、色は黒いほうがいいかもしれない。これでスズメバチを捕まえる。つまり、スズメバチホイホイ。ネズミが動けなくなるほど強い粘着力があるわけだから、ハチごときがかんたんに脱出できるはずがない。ポイントは、オトリのスズメバチを2~3匹置いておくことだという。空中を飛ぶスズメバチは黒いシートの上で動けない仲間を見つけると「お~い、どうしたの?」と近寄ってきて、ヒョイとシートに下りる。これでOK。もがけばもがくほどネチャネチャになって動けなくなり、悶え死ぬ。う~む、実に残酷な方法だ。

 

作戦その2 ペットボトルでスズメバチ・トラップを作る<一般バージョン>

ペットボトルで仕掛けを作ってスズメバチを捕まえる方法はかなり一般的らしい。市販されているものに似たようなものがある。ただし、ペットボトルに入れる「スズメバチの誘引液」にそれぞれの個性や特徴があるようだ。ポピュラーなのは、「酒、砂糖、酢」を1:1:0・5くらいに混ぜて誘引液にする方法。上部に小さな穴をあけたペットボトルに誘引液を入れ、適当な場所に吊り下げておく。液の香りに誘われ、小さな穴から入り込んだスズメバチが戻れなくなり、溺れて悶え死ぬ。う~む、これも実に残酷な方法だ。

誘引液については、いろいろな人がトライ&エラーを繰り返して実績を残しているはずなので、これがいちばん! などとはなかなか言えない。ただし言えることは、「酸っぱくて甘い香りのするもの」がよさそうだということ。たまに、強い香水をつけている女性が襲われることがあるというのも、「甘酸っぱい強烈な香り」がするからだ。

「酒+砂糖+酢」以外の、いけそうな誘引液をあげてみるとこんな感じだ。

●ワイン2+酢1+砂糖1
●焼酎1+オレンジジュース1+酢1
●グレープジュース4+酒2+酢1

 

作戦その3 ペットボトルでスズメバチ・トラップを作る<北米バージョン>

これも誘引液とペットボトルを使う方法だが、トラップの形が違う。ふたをはずしたペットボトルの上3分の1をカットし、逆さにして、下3分の1の内側に差し込む。中に誘引液を入れ、適当な場所に置く。中に入り込んだスズメバチは外に出られず、液のなかで溺れ、悶えて死ぬ、う~む、北米人も残酷ではないか。

 

作戦その4 三種混合液「ブドウ酢+梅酢+リンゴ酢」を誘引液に

スズメバチをワナにかけ、ワンシーズンで500匹以上捕獲したという方がいる。無農薬の観光ブルーベリー園を運営しているEさんだ。数年前、「イナゴの大群のようにスズメバチが押し寄せ、あまりに危険なので閉園を覚悟した」という経験をお持ちの方だが、そのEさんが試行錯誤を繰り返して行き着いたのが、梅酢、ブドウ酢、リンゴ酢を原液のまま等分にして混ぜた三種混合液を誘引液にする方法。

これをペットボトルの底から40~50mmほど入れ、ペットボトルの上に2カ所、穴をあけ、これを適当な木に吊るしておく。これでOK。Eさんは6ヘクタールあるという園全体に12個くらい仕掛け、500匹以上のスズメバチを捕まえた。もうやるっきゃないでしょ、こっちも。

ちなみに、本誌にスズメバチ対策の情報を届けてくれた愛知県のMさんもこの三種の酢を使ってスズメバチ・トラップを作っているとか。

 

いすみの里で作戦敢行

いろいろやりました。ネズミ取りシート作戦はもちろん、秘密の化学実験のごとく、いろいろな誘引材料を組み合わせ、ペットボトルに入れ、軒先や木に吊るし、じっと待った。1日、2日、3日、そして1週間…それでもスズメバチは来なかった! なぜだ!?

で、思いあまって門を叩いたのが、スズメバチ捕獲名人、Eさん運営のブルーベリー農園だった。彼との一問一答がこれだ。

ドゥーパ!(以下D) 三種混合液が効かない。なぜだ?

Eさん(以下E) 時期が悪い(編集部注:取材時は7月下旬~8月初旬)。6~8月は駄目だ。女王蜂は外に出ない。働き蜂も活発じゃない。今、トラップに集まるのはクワガタやカナブンくらいだ。働きバチが飛びまわる秋か、女王蜂が動き回る春まで待て。

D ベストシーズンはいつだ?

E 越冬した女王バチが巣作りの場所を探したり、巣の材料を運んだりする活動を開始する春~初夏だ。この時期に女王バチを1匹捕まえれば、秋にひと群れ捕まえたのと同じ効果があるのだ。

D 秋はだめなのか?

E 働き蜂が活性化しているので悪くはない。よく捕れる。ただきりがない。

D 場所はどこがいいのか?

E 私の経験では広々とした場所に吊るしておくのがいいようだ。

D わかった。秋まで待つ。そして来春はしっかり勝負したい。

E 幸運を祈る。ちなみに私は1シーズンで500匹のスズメバチを捕まえたゾ。

D ハハーッ。オソレイリマシタ…。

 

かくして、真夏のスズメバチトラップ大作戦は不完全燃焼に終わったが、希望は残った。この記事が公開される9月、つまり、今頃なら大丈夫。強烈な三種混合液はもちろん、強烈な粘着シートおとり作戦をぜひぜひ実行していただきたい。そしてなお、実行してほしいのは、来年春の女王バチ捕獲作戦。幸運を祈る。

 

スズメバチのミニ知識その1 刺されないためには…?

●スズメバチは黒いものを襲う習性がある。春や秋口に外作業するときは白っぽい帽子をかぶり、黒い衣服は避けること。

●巣に近づくと、威嚇飛行したり、カチカチという威嚇音を出す。ゆっくりと頭を低くしてその場を離れること。音の出る草刈り機での作業中は威嚇音が聞こえず、刺されるケースもある。草むらから飛び出すスズメバチは獰猛なオオスズメバチであることが多いことも知っておこう。

●野外作業では、スズメバチを刺激する香水や化粧品はつけないこと。場合によっては虫除けスプレーも逆効果になることもある。

●スズメバチは飛んできた飛行コースを急に変更できないので、後ろから来たら、身を低くかがめてそのまま後ずさりすること。

 

スズメバチのミニ知識その2 刺されちゃったら…!

●刺されたら、応急措置として、刺されたところを絞るようにして毒を外に出し、水で洗い流す。そしてすぐ病院へ。これしかない。

●「スズメバチに2度刺されたら死ぬ」ってホントか? 1度刺されると抗体ができる。もう一度刺されるとこの抗体が過剰に反応し、血圧低下や呼吸困難を起こすことがある。要注意! 1度刺されたことのある人は、病院で抗体の有無を検査してもらうといいだろう。

 

文・写真◎脇野修平

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

 

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ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

ピザ窯や薪ストーブライフの必須設備・薪棚を作ってみた!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(23)

薪ストーブやピザ窯などで使う薪は、生木だと煙が出るので、できるだけ乾燥させたほうがいい。そこで薪を乾燥させながらストックできる薪棚が欲しい。薪棚は薪を収納するだけじゃなく、薪を乾燥させる場所でもあるのだから。

 

簡単に作れる薪棚。できれば薪は間伐した順に並べ、できるだけ乾燥が進んだものから使うようにしたい

 

びっしり並んだ薪の木口群は、薪ストーブのある暮らしのシンボルだ

房総の里山にあるドゥーパ!のガーデンスタジオにはピザ窯もあるし、薪ストーブもあるし、ロケットストーブもある。そこで使用する薪は、玉切りした間伐材を割ったものだが、資材置き場の隅に置いてあったり、ピザ窯の横に積んであったりして定位置がなかった。適当に乾燥した薪を選んで使っていたのだが、乾燥期間がわからないので、薪を放り込んでみたらピザ窯の中が煙だらけになるということもあった。

そこで、風通しがよくて、取り出しやすいところに薪棚を作ることにした。薪は間伐した時期がわかるように順番に並べ、できるだけ乾燥の進んだ薪から使うようにすればいい。

選んだ場所は以前建てた高床式の小屋の軒下。ここなら適当に風が吹き抜け、乾燥しやすい。薪は冬の間、薪ストーブで使ったり、週末ピザ窯に使う程度だからそれほど大規模なものは必要ない。

製作は半日で十分だった。まず、古いブロックやレンガ敷きのテラスに基礎パッキンを置き、その上に1本柱を立てて小屋の壁に固定。これを基準にして、残った柱、横桟、棚板の受け、屋根の下地などを取りつけて骨組みを作る。あとは屋根材を張り、棚板を載せて固定し、最後に塗装をしてできあがり。幅約1800×奥行約400×高さ約1600mmの小さな薪棚だ。棚は2段にした。2×4材、垂木、サイプレス(豪州ヒノキ)などの廃材を活用したから、費用はほとんどかかっていない。屋根材は、以前小屋の製作で使ったオンデュリンの波板の残りだし、基礎パッキンは住宅建設中の現場からもらってきたものを使用。棚板は古くなってはがしたデッキの床板だ。

 

<簡単な薪棚の作り方手順>

 

2×材の接合パーツを使えば、さらに簡単

もちろん、薪棚はいろいろな作り方があっていい。

いちばん簡単なのは、たとえば、プラスチックや金物などを使った2×材の接合パーツを使って組んでいく方法だろう。2018年の夏の終わりに、千葉の幕張メッセで開かれたDIYショウで本誌がプロデュースしたテーマゾーンには、プラスチック製の「シェルフリンクス」というパーツを使った薪棚を飾っていたが、あれは本誌のスタッフが、現場でほんの数十分で組んだもの。シェルフリンクスは1個600~900円程度かかるので、大規模な薪棚を作る場合は、それなりに費用はかかるけれど、DIYビギナーやめんどくさがり屋にはおすすめ。

また、降雪地域など、頑丈で大規模な薪棚が必要になるところでは、単管パイプでガッチリ組んだり、鉄骨構造にしたり、それなりの対応が必要だろう。ほかにも、見た目にもかっこいい薪棚の自作キットや市販の薪棚も用意されているが、これは価格がやや高い傾向にある。

 

DIYショウのテーマゾーンでは、棚の接合パーツ(シェルフリンクス)を使った超簡単な薪棚を置いた

 

さっそく、できあがった薪棚に薪を積み上げてみた。焚きつけに使える細かな薪は、まとめて小さなコンテナに入れ、薪棚の下に。あとは、乾燥期間の新しいものから順番に薪を積んだ。不定形の薪の木口がびっしりと並んだ様もけっこう美しい。

これで冬の薪ストーブライフも安心だ。これなら、薪を割るモチベーションも上がるはず。簡単な薪棚作り、まずは大成功!

 

薪を作るなら、本誌オリジナルの薪割り機が便利

ちょっと宣伝。というよりホントにおすすめしたいのが、dopaの通販コーナー「dopa SHOP」で販売している「オリジナル薪割り機」を使った薪作りだ。大きな節さえなければ、女性でも簡単に薪が割れる画期的なツールで、これは2017年と2018年のDIYショウの実践で証明済み。使い方は、ステンレスの棒をシャカシャカとスライドさせて、玉切りした丸太の木口に打ち込むだけ。大した力はいらず、簡単に薪が作れる。DIYショウで初めて使った人の誰もが「なるほど…」と、納得していたすぐれものツールだ。

 

文・写真◎脇野修平

*掲載データは2018年10月時のものです。

 

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ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

無理のない自給のアイデアを提案!移住と里山ライフの実践的カルチャーマガジン『Soil mag. (ソイルマグ)』第2号が発売!

DIYライフマガジン『ドゥーパ!』のMOOK本として、地方移住と里山ライフをテーマにした雑誌『Soil mag. (ソイルマグ)』を2021年9月30日(木)に創刊。そして、2022年6月30日に、待望の第2号が発売!

第2号の特集テーマは、「“ 小さな自給” のカタログ」。さまざまな不安が渦巻く現代社会。本質的な豊かさを求め、自分の手で衣食住をつくる暮らし方、生き方を模索する人々が増えています。美しい里山を舞台に、季節の恵みを活かし、暮らしをつくっていく楽しみやストーリー、実践的なノウハウについて紹介します。

 

 

<記事内ギャラリー>

 

混迷の時代のなか、本質的な“ 豊かさ” を求めて、都市から地方へと居を移す人の流れが加速しています。また、「田舎でのリモートワーク」「二拠点生活」「ワーケーション」など 多様なライフスタイルが一般化し、 世の中には自分らしいオリジナルの暮らし方、場所を求める機運もこれまでになく高まっています。 住む場所も、生き方も、自分の心のままに選ぶ。自然の営みに寄り添いながら、自らの手で暮らしをつくる。コツコツと、日々を楽しみながら。「Soil mag. (ソイルマグ)が目指したのは、そんな心豊かなライフスタイルへの道筋を照らす、小さな灯台です。

 

 

雑誌タイトルの「Soil」は、Sustainable(持続可能な)、Organic(自然体の)、Innovative(革新的な)、Local(自然に囲まれた地方)というキーワードから頭文字を抽出したもの。もちろん、私たちの暮らしを支える「土」という意味もあります。地球環境への影響を誰もが意識するようになった現在、 自然に優しい暮らし方を模索する人々は急増しています。『Soil mag. 』は、 自然に囲まれた環境で、自分らしく生きるスタイルを見つける、そして、築いていくための具体的なアイディアをグラフィカルに提案する、新しいメディアです。

 

 

◆CONTENTS
002 植物を見て、知る、不思議な共生関係。 —農学者・木嶋利男との対話—
004 漫画 And thenそれから、わたしたちは。
006 理想の土地を求めて。それぞれの移住ストーリー/千葉県南房総市 「AMBESSA&CO」君島悠矢さん・阿久里さん
014 特集 暮らしをつくる、つくるを楽しむ “小さな自給”のカタログ
016 自給農と小さな自給のススメ 無肥料栽培家・岡本よりたか
024 “結い”がある場所へ 〜古民家七代・米山永子さんが紡ぐ、手ざわりのある暮らし〜
030 山の恵みとともに 〜狩猟家・安田佳弘さんが追究する、持続可能な縄文的生き方〜
036 暮らしに、野の草を 〜野草宙が提案する、野草のある暮らし〜
041 里・山・海で紡ぐ、20人の小さな自給術
062 探訪、自給自足の王国 〜食+住+遊+エネルギー 京都・『田歌舎』にみる、暮らしの構築〜
068 繕う、つくる、暮らしの道具〜パーマカルチャーデザイナー・四井真治さんの持続可能な道具考〜
072 蜂と一緒に暮らすには?〜養紡屋・塩見亮太さんに聞く、養蜂を始めるための8ヶ条〜
076 庭先養鶏で自給率UP! ニワトリの恵み
080 生活用品の自給アイデア ヘチマ活用術/服部雄一郎 化粧水、ヘアケア用品、美容オイル/参田あゆみ てづくりほうき/まつもと
086 坂口恭平が描く、畑のある風景
090 [食]と[自給自足] その壮大な変遷 〜縄文、弥生、江戸、大正。時を超えた、仮想インタビューFile〜
094 すでに到来した、「食料がお金で買えない時代」 東京大学大学院・鈴木宣弘
098 電力を自給しよう!オフグリット生活のABC
104 経済思想史研究者・斎藤幸平×SHO Farm 仲野晶子 トークセッション/農の現場で考える、先端的[農ライフ]のありかた。
110 日本全国移住体験ツアー セレクション
114 日本全国地域おこし協力隊File
116 日本全国移住支援策NAVI
120 広葉樹の森に住みたい。
125 DIY雑誌「ドゥーパ!」に聞く LIFE of DIY
126 移住と、私と、クリエイティブ 木工作家・高橋綾子
127 読者プレゼント
128 写真家が焦がれた風景 宇賀神拓也

 

●編集部:株式会社ミゲル
●HP:soilmag.jp
●公式Instagram:@soilmag

 

[商品概要]
Soil mag.(ソイルマグ)02
著者: 株式会社ミゲル
定価: 1,100円(税込)
発売日: 2022年6月30日
判型: A4変形

 

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草刈り達人になろう!刈り払い機の正しい使い方、教えます/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(22)

「夏は雑草との闘いである」。これが菜園ライフや里山暮らしをする人の一致する意見だ。太陽の熱射を受け、ムシムシする空気の中で、刈り払い機を持ち、長袖&長ズボン姿で伸び盛る草に挑む。これが実にツライ。でも、草刈りが終わった後、ひとッ風呂浴びて飲む冷えたビールって、実にカンドー的!

 

 

【記事内ギャラリー】

 

「田舎」と呼ばれている地域では、刈り払い機(草刈り機)の常備が当たり前だ。農家では「一家に1台」どころじゃない。「ひとり1台」のケースだって珍しくないのだ。千葉県いすみ市の里山にあるドゥーパ!のガーデンスタジオも例外ではない。2サイクルのエンジン式と電動式バッテリータイプの2種類の刈り払い機を用意しており、夏が近づくと、とにかく草刈りに追われる。人気はやはりバッテリータイプだ。スイッチひとつで始動するし、軽くて取り回しが楽で静か。ただし、バッテリーが20分ほどでなくなるから、充電する時間帯が必要で、これを休憩時間にしている。

これに対してエンジン式は、ポンピングで燃料を送り込んだり、チョーキングしたり、スターターを引っ張ったりして、始動までにするべき手続きがいろいろある。パワフルだがうるさいし、振動も大きい。やや重い。排気ガスも充満する。ただし中には、エンジン式にこだわる人もいる。聞くと「あの振動とピーキーな2サイクル音がいいのだ」という。確かに、エンジン式刈り払い機で草刈りに集中していると、つい夢中になっちゃって、最後に気持ち悪くなるなんてこともあった。実は、これはかなりヤバイ状態なのだ。独立行政法人「国民センター」によると、刈り払い機の作業中の事故は、60歳代が最も多く、次いで70歳代、50歳代とか。事故の内容も、「刈り刃のキックバックで指を切断」「軍手が絡まり、巻き込まれて指を切断」「刈り刃の回転による飛散物が目に混入」「転倒して刈り刃が身体に接触」など、実にさまざまだ。

そこで、夏の草刈りシーズンを控えた今、気をつけたい草刈り作業をまとめてみた。

 

 

服装について

前述の写真を参照すること。頭のてっぺんからつま先まで油断禁物。刈り払い機の刈り刃による事故のほか、スズメバチへの対策も怠ってはいけない。また、草むらに入るときはマムシに注意すること。

 

作業時間

1日2時間以内、連続30分以内、休憩5~10分を基本にしよう。振動障害予防のためもあるし、熱中症対策にもなる。疲労による事故も防げる。

 

刈り刃に接触する事故対策

キックバックを避けるために、刈り刃の左右往復刈りを避けること。右から左に振りながら、刈り刃の先端から左側の3分の1の部分を使って刈ること。刈り刃の先端から右側の3分の1の部分が障害物にあたるとキックバックを起こしやすい(上写真参照)。できれば、切り株や岩、狭い場所などがある場所では、刈り刃が障害物にあたってもキックバックしにくい、ナイロンコードに変えたほうがいい。ベテランの中には、草などが絡むのを嫌がって、飛散防止カバーをはずす人がいるが、これは飛散物の事故の原因にもなるのでやめること。

 

刈り払い機(草刈り機)と刈り刃の種類と一般的な特徴

 

刈り払い機の草刈り、スペシャル情報

これ、おすすめ!斜面の草刈りで大活躍の「土手歩き」

一度やった人ならわかるはずだが、急斜面での草刈りはけっこう辛い。足元が不安定で、滑ったり、足が痛くなったり、体勢を立て直すために各所に力が入り、疲労の度合いもハンパじゃない。そこで使ってみたのが「土手歩き」という斜面専用草刈りスパイクだ。靴を載せるとほぼ水平になるように、角度をつけた鉄板を組み入れたもので、斜面でも足首を曲げずに作業できる。20~45度位までの斜面に対応でき、靴の脱着も簡単。本誌が実際に試した結果、ホントに楽だし、安全に作業できることがわかった。(イーハトーブ合同会社

これが「土手歩き」(左足用)。山側にスパイクが2本ついていて、地面をしっかりとらえる。靴を履いたまま、下駄の上に載せるようにして固定するだけ

 

谷川の足に「土手歩き」を装着して斜面の草刈り作業をする。驚くほど楽だった。斜面を平行に歩き、山側から刈り降ろしながら進むのが基本

 

肩掛けベルトを2点吊りベルトにすると作業が楽になる

これも「土手歩き」を考案した同社のアイデア。刈り払い機を1点で吊っている肩掛けベルトに1mほどのロープを結んで延長し、ハンドルとシャフトの交差位置に縛って2点吊りベルトにすると、刈り払い機がより自由に動かせ、作業が楽になるとか。一度試す価値あり?

 

チップソーの目立てで切れ味をアップ!

あまり聞いたことはないが、古いチップソーは、ダイヤモンド砥石をつけたディスクグラインダーで目立てすれば、驚くほど切れ味がよくなるそうだ。コツは砥石をほんの1秒くらいずつ、チップソーのチップの「逃げ面」と「すくい面」にあてることらしい。強くあてると削りすぎでチップソーの寿命が短くなってしまうとか。

 

刈った草を「まとめながら」刈る

刈り刃を右から左へ動かして刈り進むとき、左端で刃先を少し左側に倒してやると、刈った草がそこにまとまるので、刈り跡がきれいになるばかりか、あとで刈った草を集めるときに都合がいい。地域住民総出で行なう村道の草刈り作業のときは、これであなたはヒーロー?

左側で少し刃を傾けて、刈った草を寄せておく。これポイントです

 

文・写真◎脇野修平/取材協力◎金綱良行

参考文献/農家が教えるラクラク草刈り・草取り術(農文協刊)

*掲載データは2015年4月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

夏休み目前!猛暑に備えた「涼を創るカーテン作り」(2)/竹&単管パイプのサウンドカーテン編

いよいよ夏本番、じっとしていても暑い日本の夏がやってきた。じっとしていても暑いなら、むしろ体を動かして涼しさを呼び込むグッズを手作りしてしまおう。そこで、「カーテン」をキーワードに編集部員が五感で涼むカーテンのDIYにトライ。どんな作品ができたのか?

 

作品2 風が心やすらぐ癒しの音を奏でるサウンドカーテンを作る

 

暑い夏を乗りきるには「癒しの音しかないでしょ!」と息巻くのは編集部設楽。縁側に座り、セミの鳴き声と涼しげなウインドベル(つまり風鈴)の音に耳を傾け、かき氷を食べる……これしかない!

作ったウインドベルの種類はふたつ。ひとつは銀色に輝くボディがUFOを連想させる単管パイプを使ったもの。もうひとつはその乾いた音から懐かしさを感じさせる竹を使ったバンブーベルだ。

まずUFO風ウインドベルだが、パイプをしっかり挟みこんで固定する土台を、適当な端材で作るのがポイント。ディスクグラインダーでパイプを切断する際、パイプがきっちり固定されていないと非常に危険だ。またキックバックにも気をつけること。切断の際は火花が飛び散るのでエプロンなどで対策をしっかりしたい。

サウンド的な工夫としては、切断した単管パイプ内部にいらないボルトやナットをたこ糸で仕込んだ。これでベルが風で揺れたとき、内側からも涼しげな音がする。

バンブーウインドベルは、作り方の基本はUFO風ウインドベルと一緒。あまり太くない竹を選ぶと作品がスマートな感じになる。また和風の雰囲気を出すため、ここではたこ糸ではなく、麻ひもを使用した。

材料に特殊なものがなく、作り方も簡単。まさに親子で作る夏休みの自由研究に持ってこい! ペイントするとより楽しめるのでみんなでワイワイ作ってほしい。

 

<使用した材料>

青竹(外径30×長さ1500mm程度)2本、単管パイプ(外径25×2500mm程度)1本、角材(200×300×1000mm)1本、ステンレスのボウル(170mm径)、たこ糸・麻ひも適宣、ボルト・ナット・ワッシャー適宣

 

<使用した道具>

ディスクグラインダー(金属用切断砥石装備)、電動ドリル(3mm径の鉄鋼用ドリルビット装備)、クランプ、竹切りノコギリ、ノコギリ、カッター、マーカー、その他やすりなど

 

<UFO風ウインドベルの作業手順>

 

<バンブーウインドベルの作業手順>

写真◎伊勢和人/作◎ナマステ設楽

夏休み目前!猛暑に備えた「涼を創るカーテン作り」(1)/竹のウォーターカーテン編

いよいよ夏本番、じっとしていても暑い日本の夏がやってきた。じっとしていても暑いなら、むしろ体を動かして涼しさを呼び込むグッズを手作りしてしまおう。そこで、「カーテン」をキーワードに編集部員が五感で涼むカーテンのDIYにトライ。どんな作品ができたのか?

 

作品1 庭に渓流の涼しさを呼びこむウォーターカーテンを作る

 

流れる水の周囲は涼しい。そこで小宮は考えた。山道で渓流の側を歩くときに感じる、自然な涼しさをDIYで再現しようと。それがこの作品のテーマ。

材料は編集長宅の端材ボックスにあった40mm径程度の竹、長さは1200mm程度のもの。ここに細かい穴をあけ、節を抜いてホースを差しこみ、水を流せば岩肌を流れ落ちる白糸の滝といった趣となるのだ。

ポイントは竹にあける穴のサイズと、ホースと竹筒との接合方法。

竹にあける穴は、接合部から離れるほど大きくすると水の流れは均一になる。竹筒の長さを大体3等分して、ホースに近い3分の1の穴は2mm径、真ん中の3分の1は2.5mm径の穴、ホースから一番遠い端の3分の1は3mm径の穴をあけている。物体の内部にかかる水圧はどの方向にも均一なはずなので、穴の大きさは均一でいいはずなのだが、たぶんどこかで水が漏れるかしていたのだろう。ホース接合部より離れるにしたがって穴を大きく調整したほうが水の流れは均一になった。

また接合部は思いがけず水圧がかかるようなので、節を抜く径を正確に加工して、ねじこみ式のバルブなどを使ってがっちり取りつければ、作品としての完成度は増すだろう。

半日でできる工作なので、興味のある方はぜひ作ってみてください。うまくいくと気持ちいいですよ。

 

<使用した材料>

青竹(40mm径×長さ1200mm程度)1本、透明ホース(内15mm径×5m、使用する蛇口径にあわせる)1本、ビニールテープ1巻、ペットボトル用給水キャップ(給水くん)1個、麻ひも適宜、接着剤(木とゴムに対応するタイプ)

 

<使用した道具>

竹がまわらず置ける台または木工万力やクランプ、インパクトドライバー、2mm/2.5mm/3mmドリルビット(鉄工用)、鉄筋または全ネジを1m程度、竹切りノコギリ、ノコギリ、カナヅチ、クギシメ、メジャー、チョークライン、マーカーペン

 

<製作手順>

写真◎伊勢和人/作◎ビッグマン小宮

太陽熱を利用したソーラークッカーで簡単クッキング!/太陽を連れて歩こう!~太陽熱編~

大変な時代になった。これまで当たり前と思っていた電気の供給が危ないというのだ。もしかしたら、「大節電時代」の到来!?

そんな不安を解消するためにも、ぜひ、チャレンジしてほしいのが自分でできる太陽エネルギーの活用。ここでは、太陽熱と太陽光を利用した自作エネルギーの作り方を紹介。簡単かつとってもお役立ち、しかも、場所を選ばない携帯性もある画期的な方法を提案してみた。

今回製作したソーラークッカーは、予算、なんと1000円! 製作時間60分でできたカンタン太陽熱調理器で、美味しいランチを作った! 日照30分で、お米が炊けた!

 

ソーラークッカーを作れば、電気やガスをいっさい使わないで本格的な調理ができる。製作を指導してくれたのは富岡裕子さん。「にこネットつくば」副代表としてソーラークッカー紹介はもちろん、環境教育・国際理解教育のための活動を幅広く行なってきている。ソーラークッキング協会の会員でもある

 

アフリカでも大好評だった
富岡式ソーラークッカー「サンピース」を作ってみた

太陽熱を利用して調理するソーラークッカーには、大きく分けると【1】パネル型、【2】ボックス型、【3】パラボラ型の3種類がある。熱効率からいうとパラボラ型が一番すぐれているが、DIYとなるとややハードルが高い。そこで、熱効率は落ちるが、段ボールやアルミシートなど身近な材料で簡単に製作できるパネル型やボックス型がDIY向きということになる。

そこで、今回はチョーお手軽なパネル型クッカー「サンピース」を紹介したい。発案したのは、環境教育や国際理解活動を推進しているグループ「にこネットつくば」の富岡裕子さんだ。

富岡さんがパネル型のオリジナルソーラークッカーを発案したのは2009年のことだった。もちろん、それまでさまざまな形のソーラークッカーが発案され、また販売もされてきていたのだが、富岡さんは「被災地や途上国でも簡単に作れる」ということを前提において考えた。

そのための基本方策のひとつが、「定規で計らずに作れる」だった。そうしてできあがったのがここで紹介する「サンピース(SUN PEACE)」だ。昨年の夏には、アフリカのマダガスカルを訪れ、現地で仲間とサンピースの講習会を開き、大好評を博したという。作り方を知っておくと、庭でも、アウトドアでも、もちろん被災地でも、大活躍するに違いない。

 

サンピースの製作に準備する主な材料、道具など>

プラスチック段ボール900×900mmくらいの正方形(紙の段ボール板でもOK)、防災用アルミシート(アルミホイルや非常用のアルミブランケットなどでもOK)、ガムテープ、梱包用の透明ガムテープ、梱包用のビニールひも、両面テープ、目玉クリップ4個、カッター(ハサミ)、マジックペン、定規(なくてもOK)

 

プラスチックダンボールの加工

 

アルミシートを張る

 

いざ調理実践!「お日様があれば、そこがキッチン」だった!

ソーラークッキングを始めるにあたって、いくつか注意点がある。

まず、熱効率をあげるためにできるだけ外側が黒っぽい鍋を用意しよう。金属性で薄手のものがベスト。さらに、保温のためにOPP袋(ラッピング用の透明な袋)のような耐熱袋で鍋を包み、鍋の下には魚焼き網などを置き、鍋が直接クッカー本体に触れないようにするとよい。

調理時間は、もちろんメニューによっても違うが、天気によって変わってくるのがソーラークッカーの特徴。気温の高低よりは湿気が少なくすっきり晴れる天気のほうが、効率はいいようだ。

また、太陽は移動するので、太陽と正対するようにマメにクッカーの位置を動かして調節することも大切だ。もちろん、何かの影が入るのは避けたい。鍋は熱くなるので軍手もあると便利。また、ソーラークッカーの反射光は直接目に入らないよう注意しよう。できればサングラスをかけて作業したい。

 

ご飯・ゆでタマゴ・ポテトサラダ・プリンを作る

 

いろいろあります!ソーラークッカー・ウォッチング

パネル式<鳥居式携帯用ソーラークッカー>

本誌27号(2002年4月号)で紹介した鳥居ヤス子さん(日本ソーラークッキング協会会長)が発案したパネル型ソーラークッカー。簡単に作れる上、折りたたんで携帯できるのが便利(日本ソーラークッキング協会)

 

パネル式<エデュクッカー003>

足利工業大学の中條祐一教授が設計したソーラークッカー。富岡さんが参考にしたクッカーだ。使わないときは写真のように折りたたむことができる(昭和理化学機械株式会社)

 

ボックス型<サンオーブン>

アメリカ製のボックス型ソーラークッカー。箱の内部に熱を閉じ込めて調理するため、煮込み料理に適しているようだ。反射板を折りたたんでしまうとトランク状になり持ち運びも便利(アンテロープ)

 

パラボラ型<かるぴかIP8C>

ベランダクッキングで手軽に利用できる軽量型(3.1kg)のパラボラ型ソーラークッカー。太陽への照準操作が簡単にできる照準器がパネル内部についている。収納するときは、三脚をはずすのでパラボラ型にしては意外とコンパクトだ(工房あまね)

 

取材・文◎オフィスインクベリー/写真◎伊勢和人

*掲載データは2011年6月時のものです。

移動式ソーラーパネルをDIYして発電をしよう/太陽を連れて歩こう!~太陽光編~

大変な時代になった。これまで当たり前と思っていた電気の供給が危ないというのだ。もしかしたら、「大節電時代」の到来!?

そんな不安を解消するためにも、ぜひ、チャレンジしてほしいのが自分でできる太陽エネルギーの活用。ここでは、太陽熱と太陽光を利用した自作エネルギーの作り方を紹介。簡単かつとってもお役立ち、しかも、場所を選ばない携帯性もある画期的な方法を提案してみた。

今回の太陽光編では、太陽光パネル架台+バッテリー収納一体式移動ボックスを作り、どこでも発電所を実現! 12V用の車載機器はもちろん、安価な車用のDC/ACインバーター導入で、フツーの100V家電やUSB機器も使える!

ライフラインのない場所で優雅に電気のある時間を楽しむ

 

太陽光を受けるためのパネルは、屋根の上に固定するというケースが多いが、それは「1日3〜4時間以上の日照時間」を確保できる場所に限られた話だ。ドゥーパ!が提案するのは、その条件を満たせないさまざまな場所でも太陽光発電の恩恵に浴せるアイデアだ。

そのために、考えたのが簡単木工でできる「太陽光パネル架台兼用のフタつき・移動式バッテリー収納ボックス」だ。

 

 

まず、太陽光パネルは角度を調整できる架台(フタ)に固定。太陽光を受けられる場所に移動し、太陽光を受けやすい角度に架台を起こしてやればいい。この架台は、収納ボックスから取り外しができ、パネルとコントローラーを結ぶケーブルの長さの範囲内なら、架台だけを移動できる。つまり、太陽光を受けやすい位置にパネルのみを動かすことができるというわけだ。

キャスターつきの移動式ボックスには、ディープサイクルバッテリーが収められているばかりでなく、底板にチャージコントローラーが、外側には12Vシガープラグが刺せるコンセントボックスが取り付けられている。これで12V用の電気機器が使用可能。通常の100V用家電を使いたい場合は、コンセントボックスに車のシガーソケットにつないで使うタイプのインバーターを介せばOK。パネルとコントローラーは、脱着が簡単な長い(今回は10m)ケーブルでつながっている。

なお、収納ボックスの作り方は簡単。板材を単純にカットしたり、木ネジで接合する程度の技であっという間に完成するはずだ。(後述参照)

 

覚えておきたい、ソーラー発電の豆知識

太陽光パネル(太陽電池)の発電量は…?

太陽光パネルの発電量は、地域や季節によって日照条件が異なるので一概にはいえないが、国内の日照時間の平均を1日あたり4時間程度と考えた場合、太陽光パネルの定格出力の4時間分くらいだと思えばいい。たとえば、今回の太陽光パネルのような40Wのパネルであれば、1日あたりの発電量は40W×4h=160Wh(ワットアワー)となる。設置場所は南向きが基本で、夏場は水平~30度くらい、冬場は40~60度くらいの設置角度にしたい。

チャージコントローラーの役割は?

チャージコントローラーの役目は、バッテリーの過充電防止と電流の逆流防止。なお、チャージコントローラーとバッテリー間の電線ケーブルは、できるだけ太い物を使って短く接続したい。

なぜ、ディープサイクルバッテリーなの?

ィープサイクルバッテリーは、通常の車用バッテリーに比べ、充電、放電の容量が多く長寿命。今回のバッテリーは、内部が液状でなく密閉タイプなので、液漏れの心配がない。こうした理由で太陽光発電には、ディープサイクルバッテリーが使われることが多い。 容量はAh(アンペアアワー)という単位で表されるが、実際に使用できる容量はその半分程度。今回使っている85Ah容量のバッテリーだと、40Ah程度となる。なお、バッテリーは雨に濡れない、換気のいいところに置いておきたい。

DC/ACインバータの役目は…?

DC/ACインバーターは、バッテリーに蓄電された直流電気を、家庭用電源と同じ交流100Vに変換するための機器。ただし、エネルギーの変換ロスがあるので、直流12V をそのまま使える電気機器を使うほうが理想的だ。

 

いつでも太陽光に正対し、場所移動も簡単にできるために
こんなバッテリー収納ボックスを作ってみた

バッテリー収納ボックスを製作していただいた堀口丈夫さん。東京・世田谷で「みんなの木工房D.I.Y好き。」を主宰

 

<バッテリー収納ボックスの製作に準備する主な資材、金物など>

コンパネ(12×600×1800mm・2枚)、2×4材(1820mm・2本)、キャスター(100mm径・自在&ロックつき・4個)、横長丁番(1個)、六角フランジタッピング(8×25mm・4個入り袋・4袋)、L型金具(4個)、ステンレスコーススレッド(38mm・適宜)、水性工作用塗料(黄色)

 

<木取り表>

材の種類 サイズ(mm) 数量 使用部位
12㎜厚コンパネ(12×600×1800㎜) 600×650 1 フタ兼太陽光パネル架台A
576×626 1 底板B
650×300 1 側板C
576×300 1 側板D
2×4材(SPF) 626 2 キャスターをつける材E
2×4材(SPF)を半分の幅に割いた板 248 4 コーナー材F
630 2 太陽光パネルを受ける材G
490 2 フタを収めるときの留め材H
530 1 太陽光パネル架台の角度調整脚I

 

ボックスの製作

 

太陽光パネル架台(フタ)の製作

 

キャスターの取り付け断面の保護塗装など

 

太陽光パネルの固定

 

*掲載データは2011年6月時のものです。

 

太陽光発電システムの配線&セット

 

さっそく12V用の扇風機と野外ランタンをコンセントボックスにつなげて通電、見事成功でした!

 

いざ通電実践!お日様のある場所で、発電開始!

配線が終了し、いよいよ発電実験。太陽光を十分に受けている状態で、まず、シガーライターソケット用のプラグのある12V用の扇風機や電気ランタンをコンセントボックスに接続してスイッチオンしてみる。見事に通電!

次に車載用のインバーターをコンセントボックスにつなぎ、100Vのパソコンや携帯用充電器をつないでみると、もちろんこれもバッチリ。さらにと調子にのり、アンプをつないでエレキギターをかき鳴らしてみると、もちろんこれもバッチリ。

今回の取材でいろいろと教えていただいたオフグリッドソーラーのスタッフによれば、「インバーターの最大出力(今回は350W)を超えない消費電力の電気機器だったら、まず大丈夫」だとか。

常識的にいえば、通常の明かりやテレビやラジオ等の通信機器、ゲーム機器なら、今回設置したレベルで十分。消費電力が大きい電子オーブンや冷蔵庫、エアコン、調理機器等は難しいということになりそうだ。

 

夏はパネルを上向きにした状態で太陽光を受ける

 

冬はパネルを立て、太陽光を受ける

 

車にもコンパクトに積めるから、
山川やキャンプ場、ガレージでの〝出張発電〟もOK

今回目指した太陽光発電システムは、なによりも携帯性、機動性ということがあげられる。そのため、太陽光パネルの架台とバッテリー収納ボックスとが一体になって移動できたり、あるいは別々でそれぞれが移動できたりという作りにした。

たとえば、車に積んで、ライフラインのないアウトバックに移動して「電気のあるアウトドアライフ」を楽しむこともできるし、家の中にバッテリー収納ボックスを置き、パネルだけ太陽光のあたる場所、2階のベランダなどに移動させたりすることもできる。

ただし、パネルとバッテリー収納ボックスとの距離は、ケーブルの長さの範囲内に限る。今回作った手作り太陽光発電システムは、キャンプや夜釣り、夜のガーデンパーティー、庭での演奏会など、いろいろな場面で大活躍するに違いない。

バッテリー収納ボックスとパネル架台を離し、陽の当たる時間帯を選んで、バルコニーにパネル架台を移動させるということもできる

 

写真◎佐藤弘樹、伊勢和人/取材協力◎ネクストエナジーアンドリソース

鶏小屋の作り方をニワトリ愛に目覚めたログビルダーに教えてもらいました!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(21)

べべ、マリリン、オードリー、ナタリー、イングリッド…。かつて、銀幕をにぎわせた名女優たちの名前がつけられた5羽の雌鶏(メンドリ)たちが元気に庭を走り回っている。「かわいいでしょ…」と目を細めるのは里山新住民のログビルダー、Hさん。そんなHさんに教えてもらった鶏小屋の作り方。

 

「名前つけちゃったら、もうかわいくて…」とHさん。ちなみに、ニワトリはホームセンター(ジョイフル本田八千代店)で、生後2日のヒヨコのときに買ってきた。1羽800円だった。種類はアメリカ種のボリスブラウン

 

ドゥーパ!のガーデンスタジオがある千葉県いすみ市には、都会からの移住者が多く住んでおり、DIY熱も実に高い。その中でもトップクラスのDIYerがHさん(70歳)だ。2年半かけ、独力で本格的な丸太小屋を自作し、さらに怒濤の勢いで物置、薪小屋、露天風呂などを建てた。先日、ふと気がつくと、いつ作ったのか、立派な鶏小屋ができていて、小屋の周りで若い雌鶏が走り回っていた。近づくと、一見コワモテのHさんが、猫なで声で「マリリンちゃん、おいで…」などとつぶやいているのだ。聞けば、3カ月前、ホームセンターで生後2日のヒヨコを5羽購入し、往年の名女優たちの名前をつけて溺愛中だという。両手に雌鶏を抱え、「だって、かわいいよ…」と、ニタニタと笑っているHさんを前に、「マ、タシカニ…」などと若干ヒキ気味に答えるしかないのだが、それにしても、ニワトリ愛に目覚めたログビルダーか…。間違っても「ツブして、鶏鍋にしますか!」などと言っちゃいけない。

でも確かに、全国の新・里山住人には、できればニワトリを飼ってみたいと思う方が相当いるんじゃないか。そんな気持ちもあって、さっそくHさんに鶏小屋の建て方を教えてもらった。この鶏小屋は、朝日があたるように東向きに建てられ、幅2300×奥行1200×最大高さ1500mm。

基本的な建て方は通常の物置や小屋と同じ。基礎石を並べ、根太を組み、柱や桁を組んでから、床、壁、垂木、屋根、金網、建具(ドアやニワトリの出入口)を作る。最後に小屋内部の寝床や止まり木、エサ箱などを作ってやる。最後に外まわりの塗装をしてもいい。

 

<Hさんの鶏小屋平面図>*単位はmm

 

外敵に備え、コーキング剤を使ってすき間をなくす

ポイントは、いくつかある。まず、イタチやハクビシン、ヘビなどの外敵の侵入を防ぐために絶対にすき間を作らないこと。骨組み(柱や桁)の接合部をすべて相欠きにしたのは、金網を張るときにぴったり張って、すき間ができないようにするためだ。金網もしっかりしたものを選びたい。イタチは金網を破って侵入することがあるし、壁の下の地面を掘って侵入してくることもある。ヘビは高いところも平気で上ってくるので、屋根の下地の垂木の間のすき間もコーキング剤などを使って、バッチリ塞ぐこと。

また、ニワトリは暑さに弱いので、風通しをよくすることもポイント。屋根はブリキやトタンではなく、断熱性の高いガルバリウム鋼板にしたのはそのためだ。

その他、小屋内部のレイアウトや設備。これは先ほどのイラストや後述の施工手順写真を見てもらえばわかるように、寝床と止まり木を用意してやればいい。

また、ニワトリ自身が自由に出入りするための出入口をドアとは別に用意した。ニワトリを自由に運動させることも大切だからだ。

購入した資材は、金網、ガルバリウム鋼板、コンパネ、基礎石くらいで、骨組みの木材の多くは、建築現場からもらってきたもの。鶏小屋は小さな構築物だし、こう作らねばならないというものではないから自由度も高い。廃材や端材をうまく利用するのも鶏小屋作りの醍醐味なのだ。

某日某朝。もうすぐ食べられる美味しい生みたて卵を楽しみに、今日もニワトリ愛を貫くHさんの朝が始まった。「べべちゃん、ご飯だよ…。オードリー、こっちこっち…」。

 

<Hさん流・鶏小屋の作り方>

文・写真◎脇野修平

*掲載データは2018年8月時のものです。

 

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「南京結び」完全習得!これであなたも半径5mのヒーロー!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(19)

いろいろなロープテクニックがあるが、ここでは「南京結び」1本に絞りたい。軽トラに荷物を載せ、しっかりと固定するための代表的なロープテクニック。暗闇の中でも、目をつぶっても、すばやくできるようになれば、周囲のリスペクト、独り占めだ!

 

 

ロープはただの便利アイテムじゃない

アウトドア関連の書物やネットなどでチェックすれば、いやになるほど出てくるのがロープテクニックだ。連続写真やイラストなどでていねいに解説され、その種類も実に多彩。だが、どうだろう。その多彩さのため、その場で覚えることを後回しにして、とりあえずあとで役立たせるための「資料」としてとっておき、そのまま現在に至ってはいないだろうか? つまり、何も身についていない、という方はいないだろうか?

何を隠そう、最近までの筆者がそうだ。

たとえば、実際に車に荷物を固定するときにそれまでどうしていたのかというと市販の「タイダウンベルト」を使っていた。歯止めのついたベルトを引っ張るだけで簡単に荷物を固定できる。歯車を組み合わせたラチェット式のものだとさらに簡単に固定できる。大した力のいらない確実な方法だ。じゃあ、それでいいじゃないかと思うかもしれないが、それは違う。タイダウンベルトはただの便利アイテムだが、ロープは里山に生きる男のシンボリックな武器でもある。つまり、ロープ1本を自在に使いこなすことで得る利便性に加え、「俺はロープさえあればダイジョブさ…」という男としての構えがアピールできる。

で、前述の話に戻るのだが、じゃあ、多彩なローピングテクニックのなかで、ひとつだけ覚えるとしたら何がいいか? もちろん、迷わず「南京結び」を選びたい。またの名を「万力結び」、英語では「トラッカーズヒッチ」と呼ばれる、トラックなどの積載物をしっかり固定するためのローピングだ。当然ながら、トラックを使う職人さんや運送業者の方なら、ほぼ100%身についているローピングでもある。レンタルトラックなどで資材を運ぶDIYerにとってもめちゃくちゃ役に立つテクニックで、図解などを見れば、誰もが簡単に覚えられる。だが、しつこいようだが、覚えても身につかなければダメ。

では、身につける秘訣を伝授しよう。

 

軽トラに材木を固定するときの南京結びの手順例

 

まず、前述の手順写真を見ながら3~4回、次に実際に軽トラに資材を積んで実施すること5回。その後、これを使うチャンスが2週間に1回程度ほしい。これで、もう大丈夫。あとは、ギャラリーの前でさりげなくその技を披露するチャンスを待つだけだ。いつの日か、「おっ、やるじゃない」と思わせれば大成功。半径5mのヒーローの誕生だ。もし、これでいい気持ちになったら、ほかのローピングを覚えればいい。欲張らず、とりあえず「南京結び」1本に絞れば、必ずワンステップ進めます。

PS:もしこれで身につかなかったら…やっぱりタイダウンベルトしかないね、一生。

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2018年2月時のものです。

 

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ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

DIYで楽しむ「車中泊&バンライフ」特集!『ドゥーパ!』2022年6月号(148号)発売

日本で唯一のDIY雑誌の最新号「ドゥーパ!2022年8月号」(発行:株式会社キャンプ)が5月7日に発売!

 

 

第1特集は、DIYで楽しむ車中泊&バンライフ情報が満載!「旅とクルマとDIY」

2022年も衰えるどころか勢いを増す気配をビンビン感じる車中泊&バンライフムーブメント。

軽トラ、軽バン、ハイエースにモバイルバス……今年もさまざまなベース車のDIYカスタム実例を集め、それぞれの車にまつわるテクニックやアイデアを大公開。

その他、人気コミック連載「車のおうち」特別編やDIYライターが伝授する車中泊カスタムの基礎知識も収録。

 

 

 

 

編集部のDIY実践リポートは、スズキ・エブリイをベースにした軽バンキャンパー作りの模様を紹介。

Vol.1は車内天井を断熱、木装、電装を施し、本場アメリカのバンライフ車のような車内カスタムを実現。

Vol.2はキャリアを利用したルーフデッキ作りの模様をお届け。

車中も車上も120%楽しむ、ドゥーパ!ならではの旅車カスタムをご覧あれ!

 

 

 

 

第2特集は「自然エネルギーと自然素材の家」

自然エネルギーと自然素材を活用した3件の家を徹底解剖。

オフグリッドでエネルギー自給のシステムを備えた家は、まさに温故知新。

昔からの建築テクニックを取り入れつつ、現代に合わせてアップデートされた家とその暮らしは、これからのセルフビルドやリノベーションのヒントが満載です。

 

 

 

 

 

バラエティあふれる連載にも注目!

トリマー&ルーター木工、レザーソーイングやグリーンウッドワークなど、さまざまなジャンルのもの作りの魅力を個性あふれる作家とともにお届けします。

その他、自給自足の田舎暮らしエッセイなど読み物も充実。こちらもぜひお楽しみください!

[商品概要]
ドゥーパ! 22年6月号(NO.148)
著者:ドゥーパ!編集部
定価:1,100円(税込)
発売日:2022年5月7日
判型:A4変形

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すごいぞ丸太のロケットストーブ!簡単なチェンソーワークで作れます!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(18)

玉切りにした丸太に、チェンソーで簡単な加工を施すだけで、ものすごいロケットストーブができるって知ってますか? 実は、たいしたことないだろうと思って試したら、びっくり仰天! その威力、ハンパじゃありませんでした! 里山の間伐推進のためにも、ぜひ、おすすめします!

 

 

仲間が、これはいい!と感動

2016年秋、八ヶ岳の麓で開催した本誌主催のフリマイベント「Dʼsマーケット」で出会ったOさん(長野県伊那市在住・72歳)から、ヒノキの丸太で作ったロケットストーブをいただいた。これを持ち帰り、使ってみたときの衝撃が忘れられない。点火口に乾燥したスギの葉を敷いて着火すると、ものの2~3分で火柱が上がり、耳を傾けると「ゴーッ」という音さえする。さっそく水を入れた鍋を載せてみると3分で沸騰し、その後、約2時間火柱を出し続けたあと、燃え尽きた。その場にはふたりの仲間がいたが、それぞれが「これ、使える…」「チェンソー1本でできるんだ…」と、ちょっと感動した様子だった。

これに似たログトーチとかスエーデッシュトーチとか呼ばれるものもあるが、多くは丸太の天頂部からチェンソーで切れ目を入れ、上から着火するタイプのもの。Oさんの丸太のロケットストーブは、丸太を2分割、あるいは3分割し、芯部分を削り取り、さらに点火のためのすき間(横穴)を最下部に作ったあと、カスガイを使って、再び丸太に戻し、天頂部には、五徳代わりのカスガイを打ち込んであるというもの。つまり下のすき間から着火すると、煙突効果によって、ものすごい勢いで火柱があがる。強力な調理機器にもなるし、暖房機器にもなる。もちろん、災害時の緊急熱源としても有効に違いない。

ちなみに、先日、前出のOさんのお宅に伺い、実際に丸太のロケットストーブ作りを見せてもらったが、前述の方法以外にも、いくつかの加工パターンがあることもわかった。要は、丸太を分割し、丸太の芯部分を削って、煙突のような溝を作り、なおかつ丸太の根元近くに点火口(横穴)を作ればいいわけだ。さらに、丸太の分割はチェンソー1本でもできるが、場合によっては、クサビを使うとさらに楽だということも知った。

ここでは、チェンソーとクサビを使って、丸太を3分割し、次に3分割したうちのひとつに溝(煙突部)と点火口の加工をするという方法を紹介してみたが、他にもチェンソーでツッコミ切りするとか、大口径のドリルビットを使うとか、いろいろな方法がありそうだ。

 

丸太のロケットストーブの作り方

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

こんな加工パターンもあります

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2017年8月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

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長持ちの秘訣教えます!刈り払い機のDIYメンテナンス/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(17)

里山の朝は空気をつんざくような2サイクルエンジンの轟音から始まる。刈り払い機(草刈り機)を使った雑草刈りだ。鎌(カマ)と比べて圧倒的な機動力を持つこの道具なくして、里山の暮らしは成り立たない、と思うくらいの必携道具だが、刈り払い機を長持ちさせ、安全かつ気持ちよく使うためには、地道なメンテナンスと整備が欠かせない。

 

最近びっくりしたのが、車のタイヤ交換をできない若者が増えたという話。ガソリンスタンドでお金を払ってやってもらうのだとか。おそらくそんな奴はマイカーのエンジンルームだってあけたことがないに違いない。腰が痛くなったジイさんならともかく、いい若いもんがめんどうなことはすべて業者頼り、お金で解決するというのでは、ちょっと情けないと思ったのだが、あなたはどう思います?少なくともそんな奴はJAFの来ないアウトバックには行けないね。

そんなわけで、今回は以前(本誌106号)、本欄で掲載した「刈り払い機の正しい使い方」で触れられなかった「刈り払い機のDIYメンテナンス」。車と同じように、とても簡単な作業なのだが、もしかしたら「自分でやったことがない」という人がいるかもしれない。刈り払い機は刃物がついた危険な道具でもあるわけで、日ごろの保守管理は自分や周囲の安全にもつながるし、もちろん刈り払い機の寿命を延ばすことにもなるのだから、しっかりやっておきたい。具体的には、刈り払い機のメンテナンスは、消耗部品の交換の判断とエンジンの始動不良の予防というのが主な目的だ。

なお、刈り払い機には、2サイクルと4サイクルの2つのエンジンタイプと電動式のバッテリータイプがあるが、ここでは現状では最もポピュラーな混合オイルを使った2サイクルのエンジンタイプをモデルケースにして説明してみた。刈り払い機は、メーカーや機種によって各部の位置が異なっているが、点検ポイント自体は基本的に同じなので、取り扱い説明書などをみてチェックしてほしい。また、4サイクルエンジンの機種も、燃料が違うくらいで、メンテナンスポイントは基本的に2サイクルエンジンとほぼ同じなので、参考になるはずだ。

 

<用意するもの>

左から、太めの針金、プラスドライバー(大小2本)、付属のコンビボックススパナ、付属の六角レンチ、古い歯ブラシ、グリス、ウエス、ダイヤモンドヤスリ

 

最低限やっておきたい!刈り払い機のメンテナンスポイント

POINT1 点火プラグのチェック

毎回ではないが、20~25時間程度の作業ごとにチェックしたい。電極がカーボンなどで汚れていたら歯ブラシなどで軽く掃除する。濡れていたら、ガソリンで洗い、乾かす。なお、電極のすき間(火花の間隔)は0.6~0.7mm(ハガキ3枚分程度)が正常。電極が焼けて黒くなっている場合は交換。

コンビボックススパナでプラグをはずす

 

汚れていたら歯ブラシなどで電極を掃除

 

POINT2 刈り刃の摩耗や破損をチェック

チップが埋め込まれた刃の先端が磨耗したり、変形している場合は、刈り刃の交換。たとえば、任意の3つ並んでいる刃の先端のうち、2個以上が欠けていたり、変形したり、先端のチップがなくなっている場合は、即交換。大丈夫な場合は、磨耗した刃先(チップ)をダイヤモンドヤスリで目立てして切れ味を再生する。

3つ並んだ刃の先端のうち、2個以上のチップが磨耗したり、欠けている場合は、即交換。そうでなければまだ使える。この写真でいうと右は欠けていないが、真ん中と左が欠けているのでNG

 

先端のチップをダイヤモンドヤスリで目立てする

 

POINT3 ギヤケースにグリスを補充する

50時間程度の使用ごとにグリスを補充する。ギヤケースのヘッド部の側面のネジをはずし、そのネジ穴からグリスを注入。ネジを元の穴に取りつけるとき、ゴミやホコリがつかないように気をつけること。

ギヤケースヘッド部の側面のネジをはずす

 

このネジ穴からグリスを注入する

 

POINT4 エアクリーナー内のエアフィルター(クリーナーエレメント)の掃除または交換

普通は25時間程度の使用ごとに、エアクリーナーケースのカバーをあけてチェックするが、ホコリの多いところでは使用後に毎回チェックしたい。汚れがあればはずして軽く叩く程度の掃除でOK。汚れがひどい場合は、混合オイルで洗い、固く絞って、乾燥してから取りつける。一般的には5~8年ごとに交換。

エアクリーナーを取り出して掃除

 

POINT5 アイドリングの調整

エンジンの回転が高すぎたり低すぎたりするときにアイドリング調整ネジを回して調整する。調子がいいときは触らないこと。

プラスドライバーでネジを回す。右回しで回転が高くなり、左回しで回転が低くなる

 

POINT6 燃料フィルターのチェック

汚れなどで詰まっていると燃料が回らずにエンジン不調の原因となる。

燃料の給油口から、太めの針金で燃料フィルターを引き出してチェック。汚れているときは、ガソリンでよく洗っておく。出し入れするとき、ゴミが燃料タンクの中に入らないように注意する

 

POINT7 各部の取りつけ部分をチェック

各部のゆるみを直し、サビやすい箇所はサビ止めスプレー

 

POINT8 刈り刃をはずしてヘッド内部を掃除

古い刃をはずす。ギヤケースの穴(ヘッド部横にある)に付属の六角レンチ(細い鉄の棒でもかまわない)を差し込んで、刃の回転を止めた状態で、コンビボックススパナで六角ボルトをまわして巻きつけ防止カバーや刃の押さえ金具をはずして掃除する。刃を固定している金具とヘッド部のすき間に泥や草が巻きついていたら除去する。なお、刃を固定しているネジは、逆ネジになっており、ゆるめるときは時計回り、閉めるときは逆時計回り。

ギヤケースのネジ穴に六角レンチを差し込み、刃が回転しないようにする

 

付属のコンビボックススパナで六角ボルトを回して刈り刃をはずし、すき間の草などを除去する

 

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2017年6月時のものです。

 

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自作の専用ツールが大活躍!自然薯採ったど~!これがDIYerの山芋堀りだ!?/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(16)

里山の自然薯(じねんじょ)掘りにハマって3年、すでに関東だけで500カ所のポイントを押さえているという自然薯掘り名人に出会った。つい、同行させていただけないかと頼んだのがいけなかったのか…?

今回は、房総の山林で経験した地獄のヤマイモ掘りの顛末。

 

初めて自然薯を自分で採るとこんな顔になります(両端のふたり)

 

自然薯とは?

山野に自生しているツル性のヤマイモ。栽培されているナガイモより細く、長い。葉は先が尖り、根元がハート形になっていて、夏には葉の付け根に花が咲き、葉のわきにムカゴができる。ナガイモよりも粘りがあり、トロロにすると美味。栽培されている自然薯も出回っているが、野生のものは珍重され、採集が難しいことから、価格も高い。

 

パソコンに500カ所、登録

今回の師匠、自然薯掘り名人を紹介したい。A・Kさん、64歳。電子回路設計の仕事に携わりながら、オフの日は神出鬼没に里山を駆け回るという野生の男だが、小学校のころから、真空管ラジオやワイヤレスマイクを組み立てていたという真正の理工系DIYerでもある。したがって、自然薯掘りのアプローチもやや理系。まずインターネットでグーグルマップとストリートビューを駆使し、自然薯ポイントのあたりをつける。後日、現場に行って確認し、自然薯の葉っぱや花、ツルなどを発見するとマーキングし、地中に持参の磁石を埋め込んでおく。次回ここに来たとき、コンパスが反応するので、迷うことはない。こうして確認した自然薯ポイントは、現在500カ所。ツルの太さを見て、それぞれ「ちょい大物」「かなり大物」「大物」と分類して自身のパソコンに登録している。

今回、出かけたのはそんなポイントのひとつ。場所はいえないが、房総の住宅地の裏手に広がる人けのない山林。もちろん土地オーナーの許可を取って入り込んだ。同行したのは名人とその友人親子。それに私の4人。全員、長靴に作業服、手袋に首タオルという〝闘う自然薯ファッション〟だ。

 

名人のパソコンに登録された500カ所の自然薯ポイント

 

ちょっと触るとすぐポッキリ

場に着いて広げたのは、名人手作りの自然薯スコップ。柄が分割式で、穴の深さに応じて、長さを調整できるし、先端部もいろいろあって、状況によって使い分ける。これを使って、いよいよ地面を掘り下げる。自然薯は大きなものだと地下1.5~2m以上に達する。これを折らないように掘り下げるわけで、自然薯の位置を見当しつつ、周りの土を取り除く。つまり2m近く掘るのだが、これだけでかなりの体力を消耗する。

 

ツール
今回持ち込んだ名人手作りの自然薯掘りツール。自然薯スコップは、柄がスチール製で軽く4~5つなぎで長さ調整が可。最長で2m40cm

 

磁石&コンパス
磁石(右)とコンパスは、常に携帯。ポイントを見つけると磁石を地中に埋めておく

 

自転車
自転車で行くときはこんなスタイル。自然薯スコップをフレームのように固定し、残るパーツはリアにくくりつけて走る。自転車も急坂に対応できるように超多段ギアに改造してある

 

自転車の荷台には…
鎌、自然薯スコップの先端、持ち手、マグライトなどが収まる

 

斜面で足場を確保する苦しい姿勢で、穴倉に顔を突っ込み、わけのわからない根や地中の茎を鎌でぶったぎり、指を伸ばして手を差し込み、曲りくねって伸びている自然薯を探るのだが、ちょっと触るとすぐ折れる。ミスを連発し、ポッキリと折れて4分割になった自然薯を手に、「採れた…」とよろよろと立ち上がったのは、穴掘りを始めてから2時間後だったが、私の頭の上で、「次、いきましょか…」の声が…。

その「次」がすごかった。今度は平地だったが、視界ほぼゼロの藪の中での穴掘りが続く。ここでも名人の手ほどきを受けながら、2m近く穴を掘るが、自然薯の先端が出てくるまで、ひたすら忍の一字。穴の入口にマグライトを吊るし、穴の中を照らしながら、ほぼ垂直に穴を掘る。穴の径が細くて、思うように土が持ち出せない。疲れ果て、手が震え、息が切れ、腹が減り、腰が立たず、もうダメ!と叫ぶ寸前、約1時間半後、ついに作業の終わりを示す自然薯の先端を捉えたのだった。

 

こ、こんなとこ、行くの?と思わず聞いてしまった藪の中

 

も…もう少しで…

 

こ、来なけりゃ、よかった……

 

ついに自然薯の頭を発見、その手前をほぼ垂直に掘り、芋の周りの土を慎重に取り除きながら進む。くれぐれも折らないように…

 

こ、腰が…

 

本日の収穫。トロロにしたら、ホントにうまかった

 

最後に名人にマジでいわれたことを伝えておこう。

私有地で掘るときは、必ず許可を取ること。また、現場を立ち去るときは、必ず穴を埋め戻しておくこと。そのとき、そこで根づくように自然薯の先端部分を埋めておくこと。あなたが自然薯掘りに挑戦するときは、この3つは守ってほしい。

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2017年4月時のものです。

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オイル缶を使って初めての竹炭作りに挑戦!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(15)

12月の新月のときに伐採した真竹が乾燥し、ようやく竹炭焼きに取りかかれる時期になった。オイル缶を使った初めての竹炭作り。うまくいくだろうか?やってみなくちゃわからないけど、ちょっとワクワク、ちょっとドキドキ。でも、森のなかの炭焼きって、気持ちいいっす。

 

2~3分割し、乾燥させた真竹。本当は肉厚な孟宗竹のほうがよかったのだが、太めの真竹なら大丈夫と判断

 

窯を取り出し、運命のフタあけ。な、なんと!これは炭なのか!?

 

超簡単な窯作り、前途は明るい…

溝口秀士さんという方が書いた『すぐにできるオイル缶炭焼き術』(創森社刊)という本がある。「すぐにできる」というところが気に入って、さっそく購入し、その実践機会を待っていた。昨年の12月、山から真竹を切り出して2~3分割したものを乾燥させておいたのだ。1カ月以上経ち、ついにその時が来たのだ。

ただし、頼れるのは、溝口さんが書いた『すぐにできるオイル缶炭焼き術』だけ。しっかりと読み、なるべく素直にそのやり方を踏襲することにした。

まず窯を作らなきゃいけない。用意するのは使用済みのオイル缶。これは近くの整備工場でもらってきた。あとは煙突。溝口方式では「波トタンを巻いたもので代用」だったが、これは物置にあったストーブ用の古い煙突をそのまま利用。これをディスクグラインダー、金切りバサミ、ペンチなどで加工し、写真のような窯を作った。ここまでは超簡単。前途は明るい。

 

<オイル缶の窯の作り方>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

森に漂う炭焼きの煙と香り、これが幸せの時間…

某月某日、いよいよ決行の朝がきた。地面に穴を掘り、窯を沈め、煙突をドッキングさせてセッティングする。窯の底に竹を2段に敷き、その上に、竹を立てた状態でびっしりと詰め込む。ついでにお茶の空き缶に松ぼっくりや栗のイガなどを詰め込んだものを入れてみた。これも炭になるらしい。窯の周囲を土で埋め固め、これで準備OK。着火まであと少し。見上げれば、森に陽光が差し込み、小鳥のさえずりなんかも聞こえてくる。まさにイメージどおりの炭焼き日和。

まず、詰め込んだ竹の上に、乾燥したスギの葉や枝などの焚き付けを載せて着火。即うちわで扇ぎ、煙突から煙が噴出してきたのを見届けると同時に、空気口が煙突と反対側になるようにフタを閉め、今度はフタの空気口をあけて、うちわでパタパタと扇ぎ立てる。煙突から白い煙がもうもうと立ち込め、あたりに霞みがかかる。そこに陽光が差し込み、乱反射し、小鳥のさえずりがまた一段と激しくなる。これが、清く正しい、森の暮らしなのだ。

続いて、まだやることがたくさんある。焚き付けがなくなってきたら、空気口からさらに新しい焚き付けを投入し、追い炊きし、窯の温度を高くし、それに合わせて、空気口を少しずつ閉めていき、さらに煙突の煙が透明になってきたら、ふたたび空気口を5分ほど全開し、次にふたたび空気口をふさぎ、窯全体に砂をかけて密封し、最後は煙突まで抜いて、砂で埋める…などということらしいのだが、そのへんから雲行きがおかしくなってきた。

 

<竹炭の焼き方>

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第一、窯の中がどうなっているのかわからない。頼りは煙突の煙だが、透明なのか、ただ単に出ていないのかも不明。意味もなく空気口を開け、うちわで扇いで、煙を出してみたりもしたが、ま、とにかく、「竹炭は2時間でできる」を信じて、じっと待ったあと、意を決して、窯を取り出し、フタを開けてみた。すると、な、なんと、炭らしきものが窯の中でしっかと立ち並んでいるではないか。ただし、正直に言おう。それは、炭らしきものではあったが、天に向かって、これは炭だとは言えないものだったのだ。半分は炭だが半分は茶色かったり、焦げている竹だったり…。思い当たる失敗の原因は多々ある。排煙口のすき間を完全にふさがなかったり、もしかしたら竹の乾燥も足らなかったのかもしれない。うちわのバタバタが足らなかったのかもしれない…などと反省しつつ、青空にリベンジを誓った。

PS:大量の「炭のようなもの」は、部屋の脱臭剤として活躍しています。

 

これは炭と言っていいんだろうか?炭焼きは、何回か失敗を繰り返して覚えるしかない?!

 

松ぼっくりも結構面白い炭になった

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2016年8月時のものです。

 

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デザイン、使い方、遊び方自由…!鉄鍋でファイヤープレイスを作ってみた/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(14)

焚き火が嫌いだという人に会ったことがない。夕闇のなかでチロチロと燃える炎を前に、人はいろいろな想いを馳せ、寡黙になって火を見つめる。そんな時間が人生には必要だと思うのなら、庭にファイヤープレイスを作ろう。都会じゃできない。里山暮らしの特権だ。

 

小さな焚き火の思い出

ファイヤープレイスというと懐かしい思い出がある。ずいぶん昔、若い人類学者とふたりで、東アフリカのサバンナの1本道を果てしなく歩いたことがある。疲れ果て、やがて荒野にポツンと棘の木が1本だけ立っている場所にたどり着き、ここでひと休みすることにした。小さな焚き火の跡があり、我らも石を集めて火床を作り、小枝を集めて、肉を焼いた。そのとき石の下に吸いかけのタバコを発見したのだ。

人類学者が言うには「これは数日前にここを通った人からのプレゼントだ」と。つまりそれは、厳しい自然を生きる旅人同士の連帯の挨拶だという。

我らは暮れゆく光のなかでその吸い殻に火をつけ、スワヒリ語の古い言い伝え「山と山は出会えないが人と人は出会える」(ミリマハイクタニ ラキニビナダムフクタナ)を地でいく体験を楽しんだ。小さな炎にまつわる、アフリカの旅の思い出だ。

 

そんな炎を庭で楽しむために、ファイヤープレイスを作りたい。アフリカでは3個並べた石の上にコッヘルを置き、小さな火をおこすだけだが、庭で灯りを楽しみ、暖を取り、焚き火料理をするなら、やはりある程度大きなファイヤープレイスを作りたい。

いろいろなパターンがある。石、レンガ、枕木、砂利、モルタルなどを組み合わせて、好みのデザインにすればいい。ここでは、たまたま実家の庭で池の代わりに使っていた、大きな古い鉄鍋を掘り出し、焚き火台として使ってみることにした。直径約90cm、深さ約40cm、4~5人が火を囲むにはちょうどいいサイズなのだ。

 

鉄鍋でファイヤープレイスを作った

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

まず地面にくぼみを掘り、鉄鍋をどすんと置く。次に、周りに石(タフステンストーン)を置いた。鉄鍋だけよりも、このほうがデザイン的に落ち着くし、足置きや食器や食材などを置く場所にもなる。次にエキスパンドメタルを丸くカットし、鉄鍋のなかにはめた。すき間が下にでき、この上に置いた薪がよく燃える。まずは成功だ。

後日、雨が降った。雨を避け、屋根つきのデッキで焚き火ができないか?そこで目に入ったのが輪切りにしたドラム缶の残骸。これをデッキに運び、その上に鉄鍋を載せてみた。火を使わないときは板を載せてテーブルにもなりそうだ。これはいい。

 

鉄筋のロープ止めを3本、番線でつないで三脚を作り、ダッチオーブンを吊るし、鍋料理を楽しむバージョンも考えてみた。かっこいいけれど、鍋がひっくり返りそうで怖いかも…

 

夜、雨音を聞きながら、鉄鍋に小さな火をおこし、遠きアフリカを旅した日々を思い出す。どうやら焚き火は記憶を喚起する装置でもあるらしい。そういえば誰かが言っていたな。年を重ねたとき、語るべき旅がない人生なんてつまらない…。DIYer諸君、一度作る手を休めて、旅をしよう。

 

網を載せ、ポトフを温めて食べた

 

日が暮れてきて、ファイヤープレイスに着火。じっと炎を見ていると昔の記憶が蘇る

 

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2016年6月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

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ドゥーパ!が実感した必修ポイント教えます、これが正しい薪割りだ!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(13)

薪ストーブ、囲炉裏、ピザ窯、焚き火、BBQ…。里山暮らしには、何かと薪がいり用だ。そこで斧を振り上げ、せっせと薪作りに励むことになるのだが、けっこうこれが大変。で、今回は正しい薪の割り方、ここがポイント集。けっこう深~い世界なんだぜい…。

 

薪割りは里山暮らしの基本

薪がなくちゃ始まらない。これがD型の里山暮らしの基本だ。そこで薪をいかに要領よく確保するかが大問題になる。ドゥーパ!のガーデンスタジオがある房総の里山の暮らしも、木工で出た端材はもちろん、敷地内の森で間伐した材や立ち枯れた木、近くの山歩きで見つけた倒木などを利用し、せっせと薪作りに精を出すわけなのだが、これがとっても大変。柔らかくて軽いスギ材ならまだしも、コナラやスダジイ、クリの木などの硬木となると、チェンソーを使った玉切りさえもけっこうな作業になる。そしてさらに大変なのが、玉切りした材を薪にするための薪割り。斧でエイ!とやったあと、上半身裸になって、光る汗を拭くのは古い青春映画の話で、実際には、七転八倒、顔を歪め、腰を痛め、空振りし、腕を捻り、疲れ果て、最後に嫌になって斧を放り投げる。そこで、今回そんなあなたに捧げたいのが、里山暮らしの正しい薪の作り方。

 

POINT1 丸太の玉切り台を作ろう

2×4材8本を使って作った玉切り台。丸太を載せて動かないようになればいい。自分が作業しやすい高さにしたい

 

間伐した長めの材を必要な長さに玉切りするためにぜひ用意したいのが専用の玉切り台。丸太を載せて動かないようにしてチェンソーで玉切りする。ある程度の高さがあるので、腰が楽なのが一番。地面に置いたまま玉切りして、ソーチェンを傷めることもない。写真は2×4材で作ったもの。単純構造だから、簡単DIYで作れるはず。

 

丸太を載せてチェンソーで玉切り。安定した作業ができる

 

POINT2 一度使ったら離せない、リフティングトング(丸太はさみ)

リフティングトング。直径270mmまでの丸太をつかめる

 

玉切りした丸太を腰をかがめてつかむとき、腰にけっこうな負担がかかるが、そんなとき涙が出るほど嬉しいのがリフティングトングと呼ばれる丸太はさみ。氷屋さんが使う氷ばさみと同じ原理で、丸太をしっかりつかむツールだ。森から丸太を運ぶときや玉切り台に載せるときなど、あるとないとでは全然違う。たとえば2個用意してふたりで使えば、長くて重い丸太の移動もホントに楽なのだ。ドゥーパ!で使ったのは、ファイヤーサイド(株)から発売されているリフティングトングで、価格は約4200円。腰を痛め、鍼灸治療をすると1回5000円以上かかることを考えたら……おすすめです。

 

丸太をひっかけるとき、腰をかがめないのでとっても楽。この状態で移動できるので、山から丸太を運び出すときにも便利

 

POINT3 感動しました!焚きつけを作るなら、キンドリングクラッカーが超便利

これがキンドリングクラッカー。約1万5000円。ファイヤーサイド(株)から発売中

 

薪を燃やすには、まず細くて火つきがいい焚きつけが必要だが、その焚きつけを作るためにめちゃくちゃ便利なツールが「キンドリングクラッカー」。リングに囲まれた刃に薪を載せ、軽く支えながらハンマーで叩くだけで簡単で安全に細い薪が作れるというもの。力がいらないし、ハンマーの的をはずすこともない。これなら女性でも安心して細い薪が作れるはず。

 

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

POINT4 斧割りは、腕を伸ばして、足の位置を決めるのがポイント

薪材を薪割り台の中心より遠くに置くこと。腕をまっすぐ伸ばして斧を持ち、斧刃が薪材に当たる状態で足の位置を決める。防護メガネ、安全靴、グローブは必要

 

まず太くて硬い丸太を利用した薪割り台は必要。それも割る人の膝より低いものを用意しよう。玉切りした材をこの台に立て、斧で割るのだが、ポイントは薪材を薪割り台の向こう半分に立てること。斧が薪の材に当たり損ねたとき、斧が台に当たるようにするためだ。次に割る人の格好だが、防護メガネと安全靴、滑り止めのグローブは当然必要。ヘルメットがあれば完璧だ。これで準備はOK。

まず、腕を真っすぐ伸ばし、柄のにぎりを両手でしっかりにぎり、斧の刃を薪の材の中心に当てた状態で、足の位置を確認。これが正しい足のポジションだ。続いて、片手は柄の尻を、もう一方は柄の少し中ほどを持ち、斧を肩に担ぐようにして振り上げ、柄の中ほどを軸に回転させるように振り下ろす。スナップを効かせ、力を加減し、斧自体の重さで割るのがコツだ。斧が材を打つ瞬間、斧の柄は水平になっているのが理想的だ。

 

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POINT5 堅い木はクサビを2本使って

薪割り用のクサビ。2個準備したい。写真は、特に割れにくい材に使用する「ねじりクサビ」。価格は1個約2300円。発売元:ファイヤーサイド(株)

 

薪割りとクサビ打ち兼用の「薪割り鎚(中大径木用)。価格は約2万2000円。発売元:ファイヤーサイド(株)

 

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POINT6 やっぱり電動薪割り機は偉大だった

これがMさんの愛機、XL7500R 7トンタイプ。材料の最大処理長さは53cm

 

なんといっても電動薪割り機。当たり前だがこれが一番楽。ただし高価なので、大量に薪を使うプロは別として、それほど普及はしていないはずと思っていたら、けっこう持ってる人がいるらしい。そんな電動薪割り派のうちのひとり、Mさん(51歳・会社員)のお宅にお邪魔して、電動薪割り機の威力を実感させてもらった。Mさんは、本格的ピザ窯を手作りし、週末のピザパーティーで、大量の薪を使うため、2~3カ月に1回、この電動薪割り機で薪割りにはげむ。

Mさんの愛機は、油圧式100V1500Wの7トンタイプ、XL7500Rという機種だ。定価は6万円台だが、ネット通販で7掛けで購入したので実際には4万円台。

さっそく、薪割りスタート。スイッチのオンオフはレバーの上げ下げだけ。薪材をセットし、スイッチをオンするとメリメリと裂け、アレヨアレヨと薪ができてくる。2分割だけでなく、4つ目刃を装着すれば4分割もできる。オーナーのやることといえば、そばに座って、材料をセットするだけ。ちなみに、本誌が持参した堅いコナラの丸太も簡単に割れた。

Mさんの愛機の粉砕力は7トンタイプ。機種によって、それよりも小さいものや大きなものもあるが、人によって「最低でも12トンタイプ」とか「20トンタイプ」とかいう人もいるが、7トンタイプでも十分という感触を得た。価格的にも、ネット通販で購入するとけっこう大幅なディスカウントをしているようだ。ピザ窯や薪ストーブなどで大量に薪を作る人は十分購入の対象にしてよさそうだ。

 

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取材・文◎脇野修平

*掲載データは2016年2月時のものです。

 

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ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

DIYで家を遊ぶ「セルフリノベの強化書」特集!『ドゥーパ!』2022年4月号(147号)発売

日本で唯一のDIY雑誌の最新号「ドゥーパ!2022年4月号」(発行:株式会社キャンプ)が3月8日に発売!

 

第1特集 DIYで家を遊ぶ -セルフリノベの強化書-

リノベーションの常識にとらわれない、遊び心あふれたセルフリノベが大集合! 昭和民家改装したモダンハウス、廃工場を改装したガレージハウス、自然エネルギーを活用した自給する家、クライミングウォールがある型破りな平屋……DIYだからこそ実現できる個性豊かな空間作りの実践術とその魅力的な暮らしぶりを解剖する。

 

 

風景を作るリノベーション・KITORIの空間創造術にズームアップ!

リノベーションは暮らしを便利にするという実利だけでなく、暮らしを楽しくさせる創造的なもの作りである。本企画では「物語を感じる空間」をテーマに、クリエイティブなリノベーションを手掛けるKITORI・山上一郎さんをフューチャー。作例はもちろん、そのデザインや発想の思考法、資材の入手方法や施工方法までを徹底取材。

 

第2特集 捨てない暮らしの作り方 ~循環するもの作りの場を訪ねて~

物をただ捨ててしまうのではなく、循環させることにより、よりよい暮らし・生き方を実践する動きが日本各地で起こり始めた。それは単なるもの作りや建築だけに留まらず、コミュニティをもビルドする。本特集ではそんな静かな生活革命を実践する人々とその暮らしぶりを紹介。物や人を循環させる「循環工場」、自然と寄り添うパーマカルチャーヴィレッジ、廃材を使った建築・家具工房という3つのスポットから、アップサイクルな暮らしの作り方を学ぶ。

 

バラエティあふれる連載にも注目!

車中泊や旅を楽しむための軽バンカスタム、トリマー&ルーター木工、さらにはレザーソーイングやグリーンウッドワークなど、さまざまなジャンルのもの作りの魅力を個性あふれる作家とともにお届けします。その他、自給自足の田舎暮らしエッセイなど読み物も充実。こちらもぜひお楽しみください!

 

<商品概要>
ドゥーパ!2022年4月号(No.147)
著者: ドゥーパ!編集部
定価: 1,100円(税込)
発売日: 2022年3月8日
判型: A4変形

 

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もっと便利に!もっと楽しく!軽トラの荷台活用DIYアイデア集/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(12)

今さらながらの感もあるが、軽トラはやっぱりエライ! よく働くし、コストも安い。軽トラを使わずに何が田舎暮らしなのさ! と興奮ぎみにしゃべる人もいれば、軽トラがなかったら里山では生きていけない! と断言する人も実際にいる。で、もっとすごくて楽しいのは、その軽トラをさらに便利にしようといろいろなDIY的アイデアを凝らすことだ。

 

荷台の収納力をアップしたアイデア軽トラ。オーナーはチェンソーカービングの世界チャンピオン、栗田さん

 

ポイントは荷台の活用

軽トラがエライ理由はいくつかあるが、たとえばこんなことだ。

◎4WDなら田んぼの畔道(あぜみち)だってフツーに走れる。

◎荷台に猟犬を入れたケージを積み、森深く分け入り、猪を撃ちに行く。

◎小回り力がすごい! 最小回転半径が3.6mだって!ちなみに筆者の愛車、スバルの場合は5.5mだ。

◎軽トラにはダンプだってある。以前、ガーデン木工の連載をしていたアポロ佐藤が、運んできた砂を下ろすとき、感動した。中古で35万で買ったらしい。土木系DIY派にはおすすめ。

◎荷台の寸法を知ってるか?内寸で長さ1940mm、幅1410mm。これはサブロク合板を置いてみて、合板の両側に両手が楽に差し込めて荷捌きに都合のいい寸法だ。これをすごいと思わなかったら、君はDIYerじゃない!フルフラットにしたワゴンやSUVの室内にフルサイズの合板を載せるときって、けっこう大変なんだよね。

 

とまあ、挙げればきりがないが、今回はとくに、里山で活躍しているいくつかの軽トラSpl.バージョンを紹介したい。

ポイントは荷台だ。まず、ライトな例から。プラスチック製の結束バンドで、太い塩ビ管を軽トラの鳥居(キャビンのリヤ外側の骨組み)に固定し、ホウキや測量用の標尺など、長尺物の収納にしている建設業者の軽トラ。塩ビ管と結束バンド。これだけで荷台の整理力がめっちゃ違ってくる好例。これはぜひ真似をしたい。

 

千葉県いすみ市のホームセンターの駐車場に停めてあった軽トラの荷台には、太い塩ビ管を結束バンドで鳥居の柱にくくりつけ、中にホウキや計測用の標尺を入れてあった。ぜひ、マネしよう

 

もうひとつ。コンパネで自作のアオリを立てて、積載力を高める方法はよく見るが、これはアングルと木材の骨組みにブリキの波板を打ち留めて左右のアオリにした軽トラ。ブリキを斜めカットしてあるのがなぜかおしゃれ。もちろん、荷台のリヤ側に長尺物を載せるためのフレームもついていた。ちなみにオーナーは建築塗装業。

 

千葉県いすみ市の国道沿いで見た軽トラは、斜めにカットしたブリキを張って高いアオリを装備していた。建築塗装が本職というオーナーの自作だ。長尺物を積むためのフレームはアングル

 

また、もうひとつのポイントは塗装。これはわかりやすい。実用的な工夫じゃなくて、イメージアップあるいはイメージチェンジが狙い。ドゥーパ!本誌のスタッフも元は白かった軽トラの車体を緑に塗っちゃって、けっこう満足してるらしい。写真は千葉県いすみ市で見つけた真っ赤な軽トラ。ボロボロの車体を隠すために自分でスプレー塗装したとか。ラフな塗り方がなんかかっこいい。

 

真っ赤に塗装した軽トラ。とにかく目立つ

 

ハードな例では、荷台にクレーンを取り付けちゃった例。オーナーは釣り好きで、川でFRPのボートを積み下ろしするときに重宝しているとか。このクレーンは荷台の床に支柱をボルトで固定、アームの昇降は油圧式、アームの長さを調整しながら、ハンドウインチで重量物を巻き上げる方式。オーナー曰く最大荷重は500kg。8年前、約1万5000円で購入し、自分で取り付けた。本誌で調べた限りでは、この商品は現在売っていないが、これとかなり似ている「トライパワートラッククレーン」という商品が売られている。ちなみに「トライパワートラッククレーン」は、最大荷重450kg、価格は税込で2万5000円くらい。

 

キャビンの後ろの左側にクレーンを取り付け、重量物の積み下ろしに使用

 

アームは手押しで昇降する油圧式。アーム自体も360度回転できる

 

使用しないときはこの状態。支柱からアーム(赤い部分)をはずすことも可能

 

支柱は荷台の床にボルト締め。補強の鉄材(赤い部分)も入れた

 

荷台の下からも補強の鉄材(赤い部分)を入れた

 

ちょっと流れが違うが、その迫力に負けてつい紹介したくなるのが焼き芋屋の軽トラ。まず荷台に薄い鉄板を張った厚めの板を敷き、その上に断熱ボードと薄い石を敷く。その上にストック用の芋を収納し、さらにその上に自作の鉄板ストーブを載せ、薪をくべ、芋を焼きながら、路地から路地を回る。ちなみにこのストーブ、作ってから25年間、トラブルなしとか。ついでに買っちゃった焼き芋、おいしかったです。

 

鉄板を加工して作った大型のストーブを荷台に載せた軽トラ

 

荷台の右側のアオリを下ろすとしっかり断熱しているのがわかる。薄い鉄板を張った厚めの板を敷き、その上に断熱材を敷き、さらに薄い石を敷く。ここがまだ焼いていない芋の貯蔵スペース

 

これが正統派軽トラDIY仕様

最後に、ドゥーパ!的な実例をひとつ。

これは、去年の107号でも簡単に紹介したことがある軽トラDIY仕様なのだが、あれから進化を重ね、現在はこのような状態になっている。オーナーはドゥーパ!本誌でおなじみのチェンソーカーバー、栗田宏武師匠(千葉県市原市)。チェンソーワークの現場まで資材と道工具を運び、作業し、戻ってくるための軽トラだ。荷台の前にセットしたピックアップ用の大型コンテナに細かい道具を収め、2分割に取り外しできる合板(トノカバー)の下にはチェンソーや燃料、大型工具類、合板の上には長尺物や資材などをロープで固定して運ぶ。

構造はシンプルだ。2×材で脚を立てて、合板を載せるフレームを組む。その上に左右の合板(トノカバー)を載せるだけ。簡単に分解でき、簡単に組み立てられる。これだけで収納力もアップするし、場合によっては合板のトノカバーを作業台代わりにできそうだ。

 

荷台の奥にコンテナボックスを設置。このコンテナボックスは、アメリカ製のもので、ピックアップ(小型トラック)の荷台用のもの

 

2×材で組んだ骨組みをこのようにセット

 

骨組みの左側に合板をセット。合板の出し入れがしやすいように持ち手がついている

 

骨組みの右側に合板をセット。合板がトノカバーの代わりになった。これで完成!

 

合板の上に資材や道具を積み、さらに合板の下にも荷物が積み込める。走るときはロープで荷物を固定する

 

その状態で、アオリは下げられるので、合板下の収納物の出し入れは楽

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年12月時のものです。

 

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竹害解消にひと役!階段アプローチに竹フェンスを作る/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(11)

よく手入れされている竹林は美しいが、放置された竹林は見苦しいばかりじゃなく、樹木の生態系を脅かす竹害として大きな問題になっている。そこで、もし、竹を使ったフェンス作りがポピュラーになれば、竹害対策に悩む里山ライフの一助になるんじゃないかと立ち上がったのだが……!?

 

 

やっぱり和テイスト……!?

房総のいすみ市にあるドゥーパ!のガーデンスタジオは山間の傾斜地にある。入口が階段になっていて、片側は地面がむき出しの切り通し、夏には雑草が伸び放題。もちろん、あまり見栄えがよくない。そこで、竹を使ったフェンスを作ることにした。冬の時期、竹は水分が少なくて、伐採後に虫がつきにくいとか。その竹は敷地内にふんだんにある。敷地内にある竹は、孟宗竹に比べて折れにくく、テーパーの少ない真竹であるのもフェンス作りにはちょうどいい。それになんといっても竹を利用することで竹林の整備にもなるし、他の樹木の保護にもなる。

ただし、竹を使ったフェンスは、どうやっても伝統的な和のイメージがつきまとうので、洋風の庭を目指す場合、デザインが難しい。がんばってもアジア風で、洋にはなりにくい。これをなんとかしたいと、いろいろ考えてみたが、やっぱり無理。そこでせめて少しでもモダンなデザインを心がけたのだが…。

まず、90mm角の柱を立て、その間に、4~6分割して細めに割いた真竹をすき間を作らずに、縦張り&横張りを併用して張っていった。幅広の笠木をかぶせ、下縁には垂木を取り付けた。こうしてできあがった竹フェンス。う~む、やっぱり和テイストか。柱や笠木は黒く塗装したが、思い切って白かブルーグレイにすればよかったとも思ったが、正直、その勇気がなかった。

 

手入れのされていない竹林。樹木の生態系の破壊にも通じる竹害は全国的に広がっている。竹フェンスはそのささやかな解決法…?

 

<真竹フェンス作りの手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

竹挽きノコはすごい!

竹林に入って竹を切るのが、けっこう大変。切るのは簡単だが、樹木が密集していて、枝がかりするのでまず倒れてこない。そこで真下に引っぱり、適当な長さでカット、また引っぱってカットというふうに、だるま落としの要領で引っぱり出すしかなかった。カットは荒めの剪定ノコと竹挽きノコを用意したが、圧倒的に竹挽きノコのほうが楽だった。竹挽きノコはエライ!

岡田金属工業所製の竹挽きノコが大活躍した。想像以上の切れ味

 

乱張り石のペイビングと固まる土で、階段の修復を

当初は予定になかった階段の再構築もやらざるを得なかった。実は、ここ数年、土留めの板だけで踏ん張ってきた土の階段だったのだが、よく見ると左右に土が崩れ、土留めの板そのものも腐りかけている。当然できあがった竹フェンスとのバランスも悪い。そこで、資材置き場をひっくり返して発見した乱張り石、固まる土、板材、杭、砂、砂利、セメントなどを駆使し、できるだけお金をかけないアプローチ階段作りに挑んだ。

まず、適当な板材を探し出して塗装し、各段の土留めの板を補強。これまでは正面だけだったのを左右にも入れて「コの字型」の土留め板とした。続いて砂利を敷き、点圧したあと、モルタルを使って乱張り石を敷いたのだが、圧倒的に量が足りず、仕方がないので各段の端に少しずつ集めて敷き、「これはデザインなのだ」と無理やり思い込むことにした。乱張り石のない、残った部分は、いろいろな色やメーカーの固まる土をごちゃまぜにしてぶちまけ、平らにならし、乱張り石の目地を埋めた。そのあとに水をまいて終了。真竹の伐採から階段ペイビングまで、ほぼひとりで5日間の作業だった。

 

<階段の修復の手順>

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取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年12月時のものです。

 

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自然素材で作られたスーパーオーブン・森とかまどが一体化した森の中のシステムキッチン

不思議なフォルムのアースオーブンは窯とかまどの一体型。材料のほとんどは自然素材で、資源を無駄にしないアイデアが詰まっている

 

<DATA>
Uさん(62歳、宿泊業)
DIY歴…30年
製作期間…約1年
製作費用…約11万円

 

 

窯本体は粘土で基本の形を作り、その上から藁を混ぜた粘土を塗り重ねた二層で形成。丸みを帯びた有機的なデザインは、生命力を感じさせる

 

横から見たアースオーブン。粘土で作るためレンガなどに比べ、デザインの自由度が高い。家を背負って歩くスローなライフスタイルの象徴=かたつむりをイメージし、粘土を張りつけていった

 

まるで縄文時代の土器を思わせる、丸みを帯びた不思議なフォルムの窯。これは安曇野でパーマカルチャー塾を主宰するUさんとその仲間たちが作った、その名もアースオーブン(土窯)。ほぼ地元の自然素材を利用して作ったこの窯は、見た目のインパクトだけでなく、森のシステムキッチンともいえる多彩な機能を持った驚きの作品だ。

粘土で作られたメイン窯ではピザはもちろん、パンやダッチオーブンを使った調理が可能。窯右側は2口のかまどになっており、羽釜を載せれば炊き立てご飯や蒸し料理を楽しめる。さらに煙突の上にペール缶で作った燻製器を設置すれば、調理の際に出た煙で燻製までできちゃうのだ。しかし驚くなかれ。これだけで終わらないのがUさんたちのすごいところ!

煙突内部には銅のコイルを設置し、窯背面に設置したペール缶の雨水タンクとホースで連結。これにより、コイルに蓄えられたオーブン使用時の余熱がホースを伝って雨水タンクを温め、お湯を作る温水器が完成。

さらに窯の煙突横からは雨ドイを利用した長い煙突を回し、冷えた煙から木酢液を抽出。草屋根からろ過されて集まった雨水は、窯の側面に作った流しから利用可能…とまったく無駄がない。

「人が集い、資源が回り、火も回る。色んなものが循環していくから、みんなで“ぐるぐるぐりる”と名づけました」(Uさん)

人と自然が調和して、輪になって踊るように素敵なハーモニーを生み出す。そんな大地の窯が完成した。

 

窯の背面は鍋や窯などを設置する棚。屋根を支える丸太の柱は、チェンソーを使って切り出して、自ら皮むきしたものを使用。各パーツは軸組み工法で組み立てた

 

棚に収納された使い込まれた調理器具。下のバケツは薪や炭の火消しツボとして利用

 

草屋根は合板の上にルーフィングを張り、モルタルと自然石で枠を積み、仕上げに土を入れた。屋根に植えてあるのはハーブやカモミール、苺など

 

窯の煙突横から雨ドイで別の煙突を引き、煙を冷やして木酢液を取る仕組み

 

オーブン脇には雨水を溜める樽を設置。雨水は草屋根を通って、ろ過されたものがストックされる

 

ここまで見せちゃう!これがアースオーブンの製作過程だ!

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写真◎田里弐裸衣

*掲載データは2012年12月時のものです。

薪ストーブ&ピザ窯ライフの必須アイテム・薪棚を作ろう/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(10)

薪ストーブ、ロケットストーブ、ピザ窯、囲炉裏など、火のある暮らしを楽しむために、薪は欠かせない。オンシーズンが来る前に、できるだけたくさんの薪を準備し、安心して次の寒い冬を迎えたい。そんなアナタに捧げる、正しい薪棚の作り方。

 

正しい薪棚とは?

冬場に備えて用意した薪をどう保管するか。家の裏の軒下に適当に置いておいて、湿って腐っちゃったり、虫に食われたり、カビが生えたり、椎茸が生えてきちゃった(!)なんて話を聞くと、やっぱりちゃんとした薪棚が欲しくなる。どうせ作るなら間違いのない薪棚を作りたい。そこで、薪棚作りの名人から聞いた正しい薪棚の条件を挙げてみた。

 

 

・日陰でも日向でもいいが、風通しのよい場所に作る。軒下や建物に沿って設置するときは家側と薪棚の間に必ずすき間を作ること。

・風通しのよい構造にする。棚板を空き空きにする。側板や背板は全面張りにしない。

・屋根は必要。適当な傾斜をつけて、軒の長さは十分に。

・薪の長さは35~40cmが基本。棚の奥行サイズもこれに合わせたい。

・細い薪、太い薪、未乾燥の薪、乾燥した薪、樹種など、薪の分類に沿って区分けできるようにすると便利。

・薪を、奥と手前の2列に並べるときは、手前と裏側の両側から薪を取り出せるようにすると便利。

・なるべく材を無駄にしないようなサイズとする。たとえば、2×材を使うなら、市販されている6ftとか3ftの材をノーカットで使えるようなサイズとする。

・敷地の端に作る場合、隣地に屋根の軒がかからないように注意をする。

 

以上が、薪棚作りのポイントだ。

 

薪が収納されていないときの薪棚。構造がよくわかる。最初に下の枠板を組み、続いて枠の内側に柱(2×4材)を立てて、基礎石を置き、これをベースに組み立てていく

 

斜め後ろから見る。薪は2列に並び、後ろからも取り出せる

 

薪棚ミニウォッチング

軒下の三和土の端に薪を積んでいる例。薪が家壁にぴったりくっつかないようにしたい

 

隣家との境目に作った薪棚。枕木を基礎に、2×4材を棚板&側板、垂木として活用。見にくいが、屋根は透明のポリカを使っている

 

伐採した丸太を柱にした2段&2列の薪棚。方杖を入れて強度を増している。屋根材は塩ビの波板で、軒の出が十分。下地の垂木もたくさん入っている。羽子板付きの基礎石を使用

 

これだって、薪棚。石の上に柱を立て、下に板を引いて薪を積み、とにかく雨をしのぐために屋根を作った、なぜか雰囲気はある

 

高床デッキの下を薪収納にしているケース。通気さえ確保できれば、見た目にも面白い

 

2×材で組んだ薪棚。薪を3列にして収納。高さを抑え、トタンの波板を屋根材にしている

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年10月時のものです。

 

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野外DIYのお助けツール、一輪車(通称:ネコ)はエライ!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(9)

たった1個しかないタイヤだからこそできるパフォーマンス。それが通称ネコとも呼ばれる作業用一輪車の魅力だ。重い資材満タンで、足場の悪い作業場をさっそうと駆け回る。地味だけど、ハードな里山DIYにはなくてはならないアイテムなのだ。

 

タイヤが1本だから機動力アップ!

タイヤが1個しかないからできること。まず細い1本道の走行ができる。たとえばビル施工の高所作業で、細い足場を資材を積んで移動するなんてことは2輪車や3輪車じゃ絶対できない。障害物があるところでも、車体を左右に倒しながら避けて移動できるのも一輪車の得意技だ。もっとすごいのは、タイヤの接地点を支点にして、その場でUターンができる。だからビルの工事現場はもちろん、農地の細いあぜ道でも大活躍するのだ。

 

細い1本道も安心して通過できる

 

車体を傾けて、障害物を避けながら走行できる

 

構造は恐ろしく簡単だ。フレームの前の下に車輪が1個、フレームの後ろの上の両側にハンドルがあり、両手にハンドルを持って押して走行する。荷台はフレームの上にあり、ハンドルの下に固定式のスタンドがある。荷台は、深型と浅型がある。タイヤはゴムチューブ式のものが一般的だが、近年では発泡ゴムを充填したノーパンクタイヤも多く出回っている。フレームの材質はスチール(鉄パイプ)が多いようだが、アルミニウム管を使った上級機種もある。というわけで、スペックによって多少価格帯は広がるが、スチール製なら1台5000~1万円程度、アルミ製なら1台1万円~2万5000円程度が目安。ブレーキ付きのものやエンジン付きのものもあるが、これはやや特殊で高価。一般DIYなら普通の一輪車で十分だ。なお、交換用タイヤは、チューブ入りが1本800円程度が目安、ノーパンクタイヤが1本1300円程度が目安で、タイヤ交換も簡単だ。

 

 

ちょっとアイデアな使い方、教えます

荷台で汚れた左官道具を洗う

 

ハンドルを下にして立てると絶妙なチェアに早変わり。作業の合間の休憩タイムにぜひ! けっこう気持ちいいです

 

荷台がトロフネ!? モルタルを練るのにちょうどいい

 

一輪車に囲炉裏の天板を載せ、「動く野外囲炉裏」を作ったことがあったが評判はイマイチ。中に砂を入れている

 

正しい持ち方、ダメな持ち方

ハンドルを持つ両手は肘を伸ばし、なるべくハンドルを低い位置でつかんで押して歩くというのがセオリー。肘を曲げると腕の筋肉の動きが不安定でバランスを崩しやすいという。確かに腕がフリー状態でふらつくと安定した走行ができない。これは一度やってみるとわかる。

 

なぜネコって呼ばれるの?

いろいろな説があるようだ。インターネットなどで検索してみると、ネコが通るような狭い場所を身軽に動き回れるからという説と逆さに伏せて収納するときの格好がネコの背中みたいだからとする説が有力。なかには、移動するとき、ゴロゴロと猫なで声のような音を出すからという説やネコの両後ろ足を持って歩かせる姿に似ているからという説もあるがホントですかね?

逆さに伏せると、ネコが前足を伸ばし、背中を曲げているように…見えるのかな?

 

サビだらけの一輪車を復活させました!

大切に使いたいと思っても、つい雨ざらしにしてサビつかせてしまいがちなのが作業用一輪車。編集部の一輪車も例外ではなかった! そこでこのぼろぼろ一輪車をサンディングし、2色の鉄部用塗装スプレーでオールペイントしてみました。

 

~用意するもの~
レンチ(24mm)、ミニバール、サンディングディスク装着のディスクグラインダー、潤滑スプレー(KURE5-56)、鉄部用塗装スプレー(グレイ&レッド)、金属用プライマー

左から潤滑スプレー、ディスクグラインダー、 コンビネーションレンチ(24mm)、ミニバール

 

用意した鉄部用スプレー塗料と金属用プライマー

 

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年8月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

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毎朝、美味しい卵をいただこう!ニワトリ小屋の作り方/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(8)

早朝、ニワトリ小屋で産みたての卵を見つけたときの充実感!奇跡のような、まっ白な楕円の球体を手に取ってみると、ほのかにあたたかくて、まだ生命が宿っているのがわかる。そんな感性も田舎暮らしで培われるのだ。今回は正しいニワトリ小屋を作る話。

 

いい加減に作るとあとで後悔する。それがニワトリ小屋だ。では、どんな作りにすればいいのか? それを知るために、実際にニワトリ小屋を自作している里山の先輩たちに話を聞いてみた。

 

case1 Sさんのニワトリ小屋

まず、30年前から、千葉県いすみ市で「自給自足」の農業を目指してきたS夫妻。米や野菜を作るかたわら、20年前からはニワトリ小屋を自作し、その後、失敗と進化を重ね、「何棟作ったか忘れた」くらい、たくさんのニワトリ小屋を作ってきた。

 

ひさしが張り出し、雨水が吹き込むのを防ぐ。網は細めのチキンワイヤーネット。板を16cmほど地中に埋めて、イタチの侵入に備えている

 

 

産卵箱

 

case2 Aさんのニワトリ小屋

続いて、10年前、都内から千葉県大多喜町に移住し、里山暮らしをしながらクラフト製作を行なっているAさん夫妻。Aさん夫妻は、3年前、隣の家から若いニワトリのヒナをもらったことがきっかけになってニワトリを飼い始めた。

 

奥行き2800mm、幅2000mmの小屋に現在オス1羽、メス3羽。十分な広さだ

 

 

奥の部屋と手前の運動場の2室構成(A邸)。奥の部屋の床はコンクリート敷きの上にモミ殻を敷いている

 

case3 Nさんのニワトリ小屋

そしてもうひとりが、やはり千葉県市原市の里山で、ニワトリを飼っているNさん(80歳)だ。元宮大工で、小屋作りはお手のもの。

 

チキンワイヤーネットの下半分はホームセンターで見つけたプラスチックの網が張られ、二重になっている。基礎はみかげ石を布基礎のように並べている

 

 

産卵箱(N邸)。中にワラが敷かれている

 

中は2部屋に分かれており、連絡口で行き来できる。ケンカをしたりイジメがあるときは連絡口を塞ぐ

 

時々外へ出して運動させるが、タカやトンビに狙われるので注意しなければならないとか

 

必要な設備は…?

彼らの話を総合したアドバイスをまとめてみると…。

まず止まり木。夜はここで寝る。高さは1.8mくらいあってもいい。ニワトリはけっこう高く飛ぶらしい。次にエサ箱と給水器。太いモウソウダケの半割なんかを容器にしてもいい。給水器は空き瓶を利用した自作がおすすめ。また産卵箱も必要。これはメスが卵を産む場所。外からの視界を遮る壁を作り、下にモミ殻などを敷く。

 

夜ニワトリがゆっくり休める止まり木は必要な設備。高い所に設置しても大丈夫

 

産卵箱の例。合板で作り、モミ殻を敷いている

 

・部屋を分ける?
世代の違うニワトリを同じ場所で飼ってはダメ。ケンカをして傷ついたり、イジメで死んだりする。世代に合わせて、2、3室あると便利。

・広さは…?
高さは人が中に入って掃除などの作業をしやすくするために2mはほしい。床面積は広ければ広いほどいいだろうが、できれば5羽あたりで1.8×1.8mはほしい。

 

室内は2mほどの高さがほしい。人が立った状態で世話ができる

 

網の下半分を縦格子の竹を張って強化している例

 

・網フェンスは…?
菱形の網は野犬などに壊されやすいから駄目。チキンワイヤーネット(亀甲形の目の細かい網)を張り、ヘビ(アオダイショウやシマヘビ)の侵入に備えたい。2.5cm径の網目を抜けてヘビが入ってくることもある。また、網フェンスの下半分は竹を縦格子状に張って強化したり、二重にして、野犬やハクビシンに備える。ネットはできればステンレスかコーティングされたものがいい。ビニール膜のものは弱い。

・基礎は…?
イタチ除けのために、周囲の地べたを掘って、板やブロックを15cm以上埋め込む。生コンを打ち、ブロックを深めに埋めて布基礎にすれば完璧。

 

チキンワイヤーネットと呼ばれる網を使う。なるべく目の細かいもの

 

 

・すき間は塞ぐ
野ネズミやヘビ対策のため、すき間を見つけたらすみやかに塞ぐ。

・湿気はダメ、暑さもダメ
風通しをよくし、湿気を防ぐ。グチャグチャは禁物。雨除けのひさしはほしい。清潔を保つために小屋の中はこまめに掃除をする。夏の日陰を作るために、小屋のそばに落葉樹を植える。

・運動場はほしいが
ヒナや若いニワトリをタカやカラスが狙うので、囲いだけでなく、天井に防鳥ネットをかける。野鳥との接触も避けられ、鳥インフルエンザ対策にもなる。

 

水が入った空き瓶を逆さにして容器に入れるだけで、適当な給水器ができる

 

エサ箱の例。雨ドイを利用している

 

 

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年6月時のものです。

 

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夜の庭で神秘的な空間を演出しよう。竹の循環利用にでっかい光が見えた!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(7)

里山にとって「竹」とは何だろうと考えたら、いろいろ出てきた。タケノコ、竹炭、竹籠、竹酢液、竹クラフト…、いろいろな有効活用が考えられるし、反対に竹害という深刻なマイナスイメージもある。でも、いちばんロマンチックな活用法は「竹あかり」かもしれない。闇をほのかに照らす、ちょっと神秘的な光。これ、おすすめです!

 

竹あかりでユニークな起業

「竹あかり演出 ちかけん」というウェブサイトが面白い。偶然に見つけたのだが、もしかしたら、全国の里山で起こっている「竹害」対策や地域の活性化にも通ずる動きかもしれないと思ったのだ。

そのサイトのトップページには、小さな穴のあいた竹筒をランプシェードにした「竹あかり」の素晴らしいビジュアルとともに、「人と人・人とまち・人と自然をつなぐ 竹の無限の可能性」という文言が躍っていた。

このサイトを運営するのは、熊本の崇城大学建築学科の研究室で出会ったCHIKAさんとKENさんを中心とする若いスタッフだ。彼らは、地元の住民たちを巻き込み、竹あかりで演出した祭りを立ち上げ、さらに、学校を卒業後、竹あかりを新たな日本文化にしようと、合同会社「ちかけん」を設立。今や、全国を飛び回って、竹あかりのイベントやワークショップをプロデュースしているという。

 

「ちかけん」がプロデュースした京丹後市のツリーハウスの竹あかりイベント(写真提供「ちかけん」)

 

日本庭園を竹あかりが不思議感覚で演出する。ここまでくると竹あかりはすでにアートだ(写真提供「ちかけん」)

 

彼らのウェブサイトにこんなフレーズがある。

「まちでは、まつりやって(竹あかりの)、感動してもらって、山では、竹刈って、里山守って、使い終わった竹は、炭にしたり、堆肥にしたりして、土に返して。そして、その土で、米や野菜作ったら、俺ら、まじカッコよくね?」

カッコいいです。ホントに。

竹あかりは、竹筒にいろいろなサイズの穴をあけ、中にロウソクを立てて点灯したものだ。「ちかけん」のように、何十個も何百個も作って並べるとそれだけで幻想的な雰囲気を醸し出す。庭を竹あかりでライティングし、人を集めて、荘厳な音楽を聴く会とかもやってみたいし、ダイニングテーブルを自作の竹あかりで演出し、誕生日パーティーなんてのも面白い。あかりの形も、丸い穴だけじゃなくて、文字を描いてメッセージにしたり、動物の形にしたりも面白そう。つまり、それぞれが自分のやり方で楽しめる。これが手作りの竹あかりの魅力だ。その流れで、里山の竹害が少しでも和らぎ、さらにその流れで、使い終わった竹筒で堆肥を作ったり、竹炭を作ったりすれば、またまたうれしい。その堆肥で野菜を作れたら、さらにまたまたうれしい。そういうことだ。

 

竹あかりのロマンチックな光の中で、食事をする。これも悪くない

 

ドゥーパ!も作りました。それなりの竹あかり

我らも竹あかり作りに挑戦してみた。竹筒にいろいろな穴をあけて、中にロウソクを立てて点灯するだけだから、とても簡単と思ったのだが、実際やってみると、それなりのノウハウがあることがわかった。「ちかけん」のアート作品とは道具も制作方法も違うし、レベル的にはとてもかなわないけれど、それなりに楽しい竹あかりはできる。そう確信した。

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

ジグソーを使えば文字も書ける

文字を描いて、人の名前やメッセージの光を作るには、曲線用のブレード+ジグソーで穴あけをしよう。

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取材・文◎脇野修平/写真◎佐藤弘樹、ドゥーパ!編集部

*掲載データは2015年2月時のものです。

 

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「廃油ストーブ」って知ってる?エコなストーブの構造・秘密を大公開!

ストーブとひと口に言っても、シンプルなものからマニアックなものまでさまざま。そんな多種多様なストーブの中から、燃料は廃油でOK!という、エコな廃油ストーブを見事に自作することに成功したAさんの事例を紹介。

 

鉄管を燃焼筒にした廃油ストーブ。その小ぶりな姿とは裏腹に、強烈な輻射熱を放出する

 

廃油ストーブは、天ぷら油・エンジンオイル・ギアオイル等、本来使った後、廃棄処分される油を燃料に、表面温度が500℃以上まで上がるハイパワーのストーブだ。廃油を手に入れることのできる環境であれば、燃料代はタダ! 気になるその構造だが、燃焼室内に燃料を送る供給管と送風管がついていることがポイント。廃油は灯油よりも燃焼しづらいため、空気を送り込むことによって、燃焼を持続させる。

今回紹介しているAさんの場合は、この燃料供給管に中古のダイヤフラム式薬注ポンプを使用。シロッコファンと組み合わせることによって、見事、自作の廃油ストーブを完成させた。

 

<Aさんの廃油ストーブ構造図>

 

このストーブは温度が急激に上がるのと、廃油で周囲が汚れる可能性があるため、土間やコンクリートの作業場で使用するのがベスト。なお家の廃油天ぷら油などはペットボトルに燃料として保管。「燃料は1日に約10L使うので、1年間ためた天ぷら油もあっという間に無くなりますがそのまま固めて捨てるより有効活用できていると思います」とのこと。

 

燃料を供給するポンプと空気を送風するエアーパイプがついているのが大きな特徴

 

製作には溶接のテクニックが必要となり、ハードルも高いが、このユニークな構造のストーブ、火遊び好きのあなたも挑戦してみてはいかが?

 

<廃油ストーブの各パーツ>

燃焼筒
燃焼筒にはサイズ300Aの鉄管を使用。厚さは7mm、直径は318.5mm

 

燃焼筒の底には9mm厚の鉄板を使用。厚みがあるので、一度温まると冷めにくい

 

エアーパイプ
エアーパイプは鉄板とステンレスで自作。青くきれいな炎を実現させるため、穴の数と位置、大きさ等のバランスにこだわり、何度も作っては燃焼テストを繰り返した

 

ポンプ
燃料供給にはダイヤフラム式薬注ポンプを使用。中古品を1万5000円で購入。ダイヤルで出力を0~100%に調整可能で、1分間に7~75mlの範囲で正確な燃料の供給ができる

 

<ストーブ点火の手順>

1◎100㏄程度の灯油と少量のガソリン等、揮発性の高い燃料を投入。そこに着火した固形燃料を入れてプレヒートし、燃焼筒の中の温度を上げる。このとき少々煙が上がる。

2◎廃油のポンプを起動して燃料を注入開始。同時にシロッコファンのスイッチを入れ送風も開始。燃えて高温になった廃油はガス化、供給された空気で二次燃焼を起こす。

点火後、ストーブの中はエアーパイプから出る空気で渦巻き状の上昇気流ができる。この時点では、まだ内部の温度が低く、燃料供給も少ない状態

 

ストーブ内部の燃焼が安定した状態。ガス化した廃油は供給された空気で二次燃焼を起こし、青い炎として噴き出す。この状態になると煙も臭いも出ない。Aさんはこの青い炎で燃やすことにこだわった

 

燃焼時は外側も真っ赤になるほど温度が上がる。冬の寒い工場もしっかり暖める高性能のストーブだ

*掲載データは2015年10月時のものです。

サトヤマの田畑を守れ!イノシシ撃退の手作り新兵器を発見!?/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(6)

里山で、日夜繰り広げられている熾烈な闘い。それが獣害対策だ。なかでも対イノシシ戦がすごい! トタンやワイヤーメッシュを立て、電流を流した柵を張り巡らせる。しかし、それでもイノシシはやってくる。そこで立ち上がったのが、手作りの新兵器をひっさげたアイデアマンだった。カモン、イノシシ!ワシが相手じゃあ!

 

 

ひと工夫必要な防止柵

街の人にはピンと来ないかもしれないが、里山の獣害は深刻だ。とくにここ数年、西から東に向かって広がっているというイノシシの被害は甚大で、ドゥーパ!のガーデンスタジオのある千葉県の場合を見ても、農作物の被害額が約1億7000万円(2013年度、千葉県の農村環境整備課調べ)にものぼっている。千葉県の場合は、サルやシカ、ハクビシン、アライグマなどと比べて、イノシシの被害が飛び抜けて多いのだ。

原因はいろいろあるが、人口減少に伴う、里山の耕作放棄地が増えて、イノシシの生息圏が、餌が豊富にある里山に広がったことが大きいらしい。それに、狩猟人口(免許保持者)の激減が輪をかけた。

とにかく、イノシシをなんとかせにゃならん!というわけで、防止柵で田畑を囲ったり、ワナ(箱ワナやくくりワナ)をかけたり、イノシシの嫌がる臭いをばらまいたり(忌避剤散布)、涙ぐましい対抗策をとってきた。柵については、トタン板、ワイヤーメッシュ、ネット、有刺鉄線、電気柵など、さまざまなバリエーションがあるが、柵の周りの草むらを刈り取って視界をよくしたり、柵を高くしたり、柵の足元をジャンプしにくくしたりと、いろいろな工夫をする必要があるという。また、一番効果があるといわれる電気柵は、最近では太陽光パネルを利用したものがポピュラーになってきている。実際「電気柵をセットしてから被害がなくなった」という農業従事者の声も多く聞いた。

 

 

ワイヤーに触れると雷管が爆発……!

しかし「電気柵じゃあダメ!」と声をあげた人がいる。

Nさん(71歳、農園主)。13年前、それまで営んでいた自動車修理業を息子にまかせ、実家のあった今の土地に戻って、稲作を始めた。そこでイノシシ被害の洗礼を受ける。

「電気柵は万全じゃない。柵のそばにある下草や竹の子が伸びて電線に触れて漏電したり、イノシシが触れても効果がないことも多い」(Nさん)

電気柵とは、軽い電気ショックでイノシシを脅かして侵入を防ぐもので、100Vあるいは12Vバッテリーを電源とするパワーユニット(電気牧柵器)と接続した電線にイノシシが触れるとイノシシの体に電流が流れてイノシシを威嚇&撃退する仕掛け。ただし、電線に下草などが触れると漏電して効果が薄くなったり、電線にイノシシの毛深い部位が触れても効果がなかったり(鼻先に触れないとショックを与えにくい)、飛び上がった状態では(イノシシの足が地面に触れていない状態)通電しなかったりして、100%の撃退は難しいという。

 

太陽光発電による電気牧柵器を設置した電気柵。プラス端子を柵に、マイナス端子をアースして電流を流す。柵の周囲はイノシシが嫌がるように視界を広くするのが理想的

 

電線に笹や竹などが触れて漏電している状態。これはよく見かける

 

「これを作ってからイノシシが来なくなった」とNさん(市原市の自宅そばの畑で)

 

で、どうするのか。長年の自動車修理で得たメカの知識と溶接技術などを持っているNさんが、試行錯誤の末、行き着いたのが、鉄パイプや鉄板、スプリング、それに競技用の雷管(スポーツの競技会で使うスタート用の雷管)を使った「イノシシ撃退用爆発装置」だ(後述参照)。

細いワイヤーと連結させ、ワイヤーが引っ張られると撃鉄のストッパーが外れ、雷管が爆発する。ワイヤーを田畑の周囲に張り巡らし、ポイントにこの爆発装置をセットしておく。イノシシが中に入ろうとワイヤーに触れて動くと爆発する仕掛けだ。深閑とした田畑のなかで響き渡るものすごい音。爆発音は、運動会の徒競走を思い起こせばわかるはずだ。それに爆発後の火薬の臭いも獣は嫌がる。

 

雷管をセットし、畑にスタンバイしている状態。イノシシの侵入により、ワイヤーが引っ張られるとトリガー①が動き、続いてトリガー②のストッパー機能が外れ、筒のなかのスプリングが伸びて、撃鉄が雷管に当たる。スプリング①が伸びた状態でスタンバイしているので、ワイヤーのちょっとした動きでもトリガーが反応する

 

 

Nさんによれば、イノシシだけでなく、ハクビシンやカラスにも効くという。夕暮れ時、セットした装置が爆発するのを何度も聞いた。確かに、電気柵と比べて、シンプルで安価、効果もある。当然ほかの人にも使ってもらいたいから、商品化を考える。

Nさんは、昨年9月「鳥獣威嚇撃退装置」の実用新案を出願し、同11月に登録を終えている。溶接や金属加工の技術を持っている人なら手作りも可能だろうが、めんどうならNさんが準備中の「鳥獣威嚇撃退装置」の発売を待てばいい。商品名は「イノハイター」と命名するそうだが、どうせなら「シシオドシ」ならぬ「イノシシオドシ」にしてほしかった…(ダメかな)。

 

これが雷管(上)。「競技用紙雷管」として市販されている。これを木ネジの頭に当て、ビニールで包んで輪ゴムで固定する(下)。これをセットする

取材・文◎脇野修平/イラスト◎丸山孝広/取材協力◎いすみ環境と文化の里
参考文献◎「イノシシから田畑を守る」(江口祐輔著 農文協刊)

*掲載データは2014年4月時のものです。

 

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マジで野鳥を呼べる!巣箱の作り方と掛け方を伝授/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(5)

「巣箱は庭のエクステリア」っていうのも悪くはないけれど、できれば本気で野鳥を呼び寄せ、野鳥観察を楽しみながら、彼らの子孫繁栄に手を貸してみたい。あなたがそう考えているならば、9割以上の確率で野鳥が入るという「まちがいのない巣箱作り」を目指したいものだ。で、今回は巣箱作りのスペシャリストに教えてもらった「正しい巣箱作り」の実践。

 

庭のマツの木に掛けられたシジュウカラの巣箱

 

これは、ビッグサイズのフクロウの巣箱。表面にスギの樹皮を張ってある

 

アオバズク(フクロウの一種)の巣箱。細長い形で、巣穴も大きい

 

子どもが自由な発想で塗装した巣箱も発見

 

3年前から巣箱作りに取り組んでいるというFさんのお宅を訪ねてみた。庭のマツの木に2カ所、母屋の裏手の柿の木に1カ所、シジュウカラ用の巣箱が掛けてあり、営巣する小鳥たちの様子を家の中から家族で観察できるようになっている。この他にも、アオバズク用(フクロウの一種)の大きな巣箱や大型のバードフィーダーなども用意され、かなりサスガな〝スバコロジスト〟(?)の香りが漂っている方なのだが、そんなFさんに、DIYで作る巣箱の作り方や巣箱の正しい掛け方を教えてもらった。

 

巣箱の作り方の基本

  • 素材はスギかヒノキの一枚板がおすすめ。合板は反るからダメ
  • 鳥の種類によって、適切な巣穴や巣箱のサイズの目安がある(下記表参照)
  • 塗装はしてもいいが、原色を使った過剰な模様や目玉のような模様は避ける。バーナーで焦げ目をつけてもいい
  • 屋根から雨水が入らないように気をつける
  • 底板の四隅に水抜き穴をあける
  • クギや蝶番はステンレス製にする

 

*留鳥:年間を通して同じ場所にいる野鳥 夏鳥:春〜夏にやってくる渡り鳥
*表内の数字は、ウェブサイト「森林管理局/巣箱作り資料」を参考としました。

 

1時間でできる、正しい巣箱の作り方

さっそくFさんにかんたんな巣箱を作ってもらった。対象となる鳥はシジュウカラ。日本全国の里山はもちろん、都会でも多く見られる。ヤマガラやスズメと並び、巣箱で繁殖する確率が最も高い野鳥だ。この形が、表にあるサイズの条件を満たしたオーソドックスな巣箱だ。慣れた人なら30分、子どもといっしょでもほんの1時間ほどで完成するはずだ。

 

<用意するもの>

スギ材野地板(12×120×1820mm)、ステンレス・スクリュークギ(32mm/34本程度)、ステンレス製蝶番(38mm程度のもの1枚)

 

<使用工具>

ノコギリ、定規、鉛筆、キリ、カナヅチ、ドライバー、ドリル、インパクトドライバー(ドライバードリル)、ドリルビット(28mm/10mm径)、トーチバーナー

 

 

<作り方手順>

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シジュウカラがやってくる正しい巣箱の掛け方

せっかく作った正しい巣箱も、正しい掛け方をしなければダメ。シジュウカラが巣を作るためにどうしたらいいのか? Fさんに聞いた「必勝ポイント」がこれだ。

ドゥーパ!(以下D) 巣箱を掛ける時期は?
Fさん(以下F) シジュウカラ(留鳥)の場合11〜1月。繁殖期に入った春では遅い。アオバズクのような夏鳥の場合は春(3〜4月)がいいだろう。
 巣箱を掛ける場所は?
F 巣箱を掛ける高さは1.5〜3m。これより高いとスズメと競合して負けることもある。木でも電信柱のような人工物でもいい。木に掛ける場合、枝葉が茂っていないすっきりした場所がいい。枝葉が茂っているところは蛇などの外的侵入があるのでシジュウカラが恐れるからだ。東西南北の位置は関係ない。また、複数の巣箱を掛ける場合、巣箱の間隔は10m以上。ひとつのつがいで10m程度の縄張りがあるからだ。
D 巣箱の掛け方は?
F 巣箱はやや下向きに掛けること。雨水が入ることや明るくなりすぎるのを鳥は嫌うのだ。また、人工物に掛けるなら針金でもいいが、木に掛けるときはシュロ縄などで固定したい。水に浸して湿らせた状態で木に縛りつけると、あとで収縮してがっちり固定できることも知っておきたい。
 ワカリマシタ。
F 成功を祈る…

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2014年2月時のものです。

 

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ドラム缶の窯で竹炭作りに挑戦!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(4)

「調湿作用がある」「嫌な臭いを取る」「水の浄化をする」「微生物を元気にするから堆肥に混ぜるといい」など、竹炭の効用再評価で、全国の里山で竹炭作りの機運が高まっているとか。そこで今回は、地元の人に教わったカンタンな竹炭作りのノウハウを紹介。

 

地元の鉄工所にドラム缶を持ち込む

竹炭作りにはいろいろな方法があるけれど、ここでは房総のいすみ市で、農業を営む金綱良行さんとその仲間が、「いすみ環境と文化のさとセンター」の資料をもとに実践したドラム缶を改造した窯を使う方法を紹介しよう。

用意するのは、燃料用のドラム缶を改造した手作りの窯と竹材(伐採してから2〜3カ月経ったものがベスト。真竹を使用)。あとはシャベル、それに煙突の中の温度を測る温度計があるといい。

ドラム缶の改造は、簡単な穴あけとカット、それに溶接が必要だが、これはドラム缶と鉄板(厚さ1〜2mm程度)を地元の鉄工所などに持ち込んで作ってもらおう(図参照)。ドラム缶や煙突、鉄板はホームセンターで購入できるはずだ。

 

炭作りの手順は後述のとおり。基本的には、炭窯を使って、竹材を「蒸し焼き」にすればOKだ。つまり、空気を少なくした状態で温度を上げればいい。というと簡単だが、ちょっとした加減で燃えすぎて灰になったりする。このあたりは経験ということになるのだが、やってみる価値は十分。金綱さんは炭焼き2回目の挑戦だったが見事成功。できあがった竹炭はハウス栽培の土壌改良に使うという。

なお、読者が実際に自分でやるときは、火災に対する用意を十分にすること。森の中や庭先ではなく、広い畑などで行なうことをおすすめする。

ドラム缶の長さに合わせてカットした 竹(真竹)を半割にする。これが炭材になる

 

半割にした竹材。竹は2〜3カ月前の11〜12月頃に伐採しておいたもの

 

炭焼きの実践ミニドキュメント

取材協力&写真提供◎金綱良行/参考文献◎『エコロジー炭やき指南』(創森社刊)

*掲載データは2014年4月時のものです。

 

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堆肥作りは里山暮らしの基本!コンポストを作ろう/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(3)

菜園作りは里山暮らしの基本。今回は地元の達人に教わった、完全無農薬で野菜を作るためのコンポスト=堆肥の作り方。ドゥーパ!流のコンポストボックスも作ったぞ!

落ち葉や除草した青い草などを集めて堆肥作りに使おう

 

まずはコンポストボックスを作ろう

廃材を使って、コンポストボックスを作ってみた。ポイントは、かんたんに取り外せ、高さを変えられたり、切り返しが楽にできること。また雨が入り込まないように、傾斜のある屋根をつけること。屋根は合板の上に手元にあった半端な中空ポリカを張ったが(傘クギ使用)、普通の波板でかまわない。

このようにばらせる

 

組み立てた状態

 

地面にセットした状態

 

無農薬野菜作りの達人ゆずりのコンポスト

田舎暮らしを実践する人の多くが憧れるのが菜園作りだ。房総のいすみ市の里山にある「ドゥーパ!ガーデン工房」でも、小さな畑を作って、わずかでもいいから野菜を自給しようと試みているが、週末訪れるのがやっとというサイクルでは思うような世話ができない。それでも、葉陰の間からミニトマトやナスの実が覗いているのを見た瞬間などは嬉しくなってしまう。ただし、こうしてできた野菜の多くは、野鳥や虫たちに取られてしまうけれど…。

聞けば、野菜作りは土作りと同義だとか。つまり、土に入れる堆肥=コンポストをいかに確保するかがポイントなんだともいう。そこでいい堆肥はどうやって作ったらいいのかを、地元でおいしい野菜を作っている石井里佳さんに聞いてみることにした。

畑の際で堆肥を積んでおく。発酵が進んで暖かくなったら切り返しをする。ここでは箱ではなく、ビニールでしっかりと覆っている

 

石井さんは、昨年まで、野菜や苗、花などを直売する販売店の運営にかかわっていたが、昨年末から、無農薬による野菜作りのベテランとして知られる近藤立子さんに弟子入りし、実践的に無農薬による有機農業を学んでいる方だ。

今回は、石井さんに聞いた堆肥の作り方を特別公開。

まず、刈り取った雑草(生の植物)や落ち葉(枯れた葉。ただし針葉樹はダメ)を集め、菜園の片隅に仮積みしておく。しばらく野ざらしにしておき、中が発酵してきたころ(触ると少し暖かい)、コンポストボックス(図参照)に入れる。この中に、塩分のない生ゴミやわらなどを混ぜ込み、よく踏み込んで15cmくらいの厚さにする。次にこの上に鶏糞や苦土石灰、油かす、米ぬかを混ぜたものを敷き詰める(厚さ1〜3cmくらい)。落ち葉や雑草が乾燥していたら、少し水を加える。これをもう2回繰り返し、全部で6層にし、最後にもう一度雑草や落ち葉を載せる(図参照)。これでOK。1週間ほどたつと中が発酵し、暖かくなっているはず。ここでスキやクワを使って切り返して混ぜ合わせ、水分が少なければ水を加え、量が少なければ少し土や草を加える。すると再び発酵が進み、暖かくなる。また切り返す。また温度が上がる。これを数回繰り返すと、夏だったら3カ月ほどで完全に熟成して、温度が上がらなくなって臭いもなくなる。これで完成。

*参考文献:「無農薬で作るおいしい野菜」(婦人之友社刊)

 

堆肥を作ろう

コンポストボックスのなかに雑草や落ち葉を積み、その上に鶏糞や苦土石灰、油かす、米ぬかなどを積み、これを3回繰り返す。発酵して温度が上がったら、切り返して、よく混ぜて再度発酵を促す。

写真◎佐藤弘樹、ドゥーパ!編集部/イラスト◎丸山孝広/取材・文◎脇野修平

*掲載データは2014年2月時のものです。

 

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間伐材で山の階段を作る/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(2)

房総の里山で週末DIYライフを実践している本誌スタッフの「したこと」「見たこと」「知ったこと」。里山新住民に捧げる連載2回目は、頼れる助っ人がどどっと押し寄せてきてやってくれちゃった「間伐材で階段作り」だ。マジ、オジサンパワー、ス、スゲー!

参加者全員で、できあがった山の階段を歩いてみました

 

頼れるボランティアグループ「市川里山整備隊」がやってきた!

編集部のDIY実践のベースとなっている房総いすみ市の森に、千葉県市川市のボランティアグループ「いちかわ里山整備隊」の面々がやってきた。同グループは、市川市の市民大学の受講生OBが集まり、受講後も地元の里山の維持活動を続けている総勢30名ほどの団体で、この日はこのうち9名の方たちが集まってくれた。リタイヤ世代が中心で、決して若くはないが、ファイト満々。チェンソーやカケヤ、枝切りバサミ、ヘルメットなどを持参し、この日は「間伐した材を使って、山道に階段を作る」と駆けつけてくれたのだ。

いすみの森は急斜面に雑木が密植し、昼なお暗く、その上、粘土質の土壌で、登り下りが大変。したがって間伐は緊急の課題なのだが、なかなか進まない。こうした助っ人部隊の登場は願ったりかなったりなのだ。

密植された木を間伐し、森を育てる。木を切ることが環境共生につながることも覚えておきたい

 

森で汗を流すことが本当に楽しそうな里山整備隊の面々。メンバーのほとんどはリタイヤ世代。現役時代は里山とは無縁なモーレツサラリーマンが多かったとか…

 

間伐の仕方

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

山道の作り方

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

急斜面に作った階段状の山道。これは、2本の杭によりかかる材を2本にして、土留め効果を高めている

 

間伐材の代わりに余っていた石材を土留めにして山道を作ってみた。これも悪くない

協力◎いちかわ里山整備隊/取材・文◎脇野修平

*掲載データは2013年12月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

 

森のツルでかごを作る/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(1)

房総の里山で、トライ&エラーを繰り返してきたドゥーパ!スタッフのD型行動は、留まることを知らない。森あり山あり仲間あり。「作る」を合い言葉に、今日もいけいけ、楽しいDIY! 里山新住民、必読の新連載、いよいよ発進!

 

ツルかご作りは、11~3月がベストシーズン

初冬の某週末。この日は房総・いすみ市の「ドゥーパ!ベース」に読者&編集スタッフが集まって、楽しいツルかごつくりのワークショップ。講師の大東悠子さんによれば、「山でツルを採るなら、ツルが休眠状態に入って虫がつきにくい11月から翌年の3月までがいい」とかで、いきなり山でツル採集に突入。木にからみつくツルをなるべく長く切り取る作業は、けっこうワイルドだけど、30分ほどで大量のツルをゲット!いい汗かきました。

急斜面でのツル採り。脚立、高枝切りバサミ、剪定バサミは必需品。ツルはなるべく長い状態で採集したい。太さもいろいろあると使いやすい

 

採集したツル。ビナンカズラ、フジ、クズ、アケビなど。ツルの種類は葉っぱで見分ける。採集したツルは、できればまだ柔らかいその日のうちにかご作りに使ったほうがいい。乾燥して硬くなってしまったら水につけて少し柔らかくしてから使う

 

<ツルかごの作り方>

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

講師◎大東悠子(大人の野遊び塾主宰)/取材・文◎脇野修平

*掲載データは2013年10月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

テレワーク時代の「絶対に散らからない家」の作り方「収納DIY」特集!『ドゥーパ!』2021年12月号(145号)発売

日本で唯一のDIY雑誌の最新号「ドゥーパ!2021年12月号」(発行:株式会社キャンプ/代表取締役社長:豊田大作)が本日発売!

 

・第1特集は「収納DIYの極意 2021-2022」
いよいよ2021年も年末目前! 晴れやかな気持ちで1年を終えるために今年もドゥーパ!が収納DIYをご提案。特集の目玉は、編集部の一角を居住空間に見立てて作る収納実践リポート! リビングをイメージした大型壁面収納、趣味の小物に囲まれた書斎、天井まで使った大容量の玄関キャビネットの3作品をとおし、収納作りの基本から目からウロコのプロのテクニックまで、収納DIYの極意、盛りだくさんでお届けします!

 

実践に負けず劣らず充実した作品が集まったのは収納DIY実例集。庭、駐車場、外構から、リビング、キッチン、寝室、書斎、玄関に子ども部屋まで、DIYならではのアイデア満載の作品が集結。DIYだからこそ実現できる、そのフィット感は見ているだけで気持ちいい!

 

・第2特集は「丸太DIY入門」
ウッドショックが叫ばれて久しく、いまだに供給不足や価格高騰に悩まされる材木。そんな今だからこそ注目したい資材が「丸太」。実は購入しても木材より安く、作品にワイルドさやナチュラル感を演出可能。本特集では、この自然が育んだ造形を取り入れた、自由なもの作りやシンプルなもの作りをガイド。基礎知識を皮切りに、チェンソーを駆使した実践リポート、力作のログハウス実例までを網羅。これを読めば、丸太がより身近な存在になることをお約束します。

 

・バラエティあふれる連載にも注目!
溶接を駆使したアイアンDIY、トリマー&ルーター木工、さらにはレザーソーイングやグリーンウッドワークなど、さまざまなジャンルのもの作りの魅力を個性あふれる作家とともにお届けします。その他、自給自足の田舎暮らしエッセイやDIYにまつわる法律相談など読み物も充実。こちらもお見逃しなく!

 

【書籍概要】

著者:ドゥーパ!編集部

定価:1100円(税込)

発売日:2021年11月8日

判型:A4変形

編集部が体当たりで実践!丸太でたいまつ(スウェーデントーチ)作り/火を愉しむDIY

英語でスウェーデントーチと呼ばれる小さな焚火の作り方。丸太にチェンソーで十文字に溝を切り、そこに火をつけると、じわじわしぶとく燃え続ける。火床が地面に着かないので、雪の上に直に置けるし、小さめに作れば持ち歩きもできる。上面が五徳のようになるので湯沸しや煮炊きも可能。燃焼時間に対して使う薪の全体量も少ないエコな焚火だ。

 

[用意した材料]
丸太(長さ330×直径130mm)

[用意した道具]
チェンソー、ガスバーナー、羽子板付き基礎石、インパクトドライバー

 

下がつながっているので、トーチの名前通り、こうして持ち歩くこともできる

 

上面を平らにしておけば、ヤカンや鍋を置いて、湯沸しや料理ができる

 

製作手順

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編集部が体当たりで実践!ペール缶で炭焼き/火を愉しむDIY

本格的な炭焼きといったら、巨大な窯を作り、幾日も見張っていなきゃいけないものらしいが、ここではペール缶を使った超スモールバージョンに挑戦。しかも1日で片をつけてしまおうという安直なプランだ。これなら煙さえ出せる環境があれば、誰でも手軽に炭焼きが可能…なはずなのだが、果たしてそう上手くいくのかどうか!?

 

[用意した材料]
ペール缶(フタ付き)、薪ストーブ用煙突(直筒/T笠106mm径)、赤レンガ、丸太(コナラ)、薪、土

[用意した道具]
ディスクグラインダー(金属用切断砥石)、スコップ、シャベル、マジック、トーチバーナー、火ばさみ、うちわ、燻製用温度計

 

窯前あたふた劇場 ~「窯止めは突然に」の巻~

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窯前あたふた劇場 ~「あきらめずに煙を見よ」の巻~

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タンドール窯作りの記事はこちら!

 

今回のまとめに代えて…
「とはいえ、DIY炭焼き道は始まったばかりだ!」

2度も炭材に着火しながら、偶然にもその後の調整がうまくいき、なんとか炭ができた。この経験を踏まえて推測するのは、「そもそもペール缶の窯に対して106mm径の煙突は太すぎるのでは」ということ。最初からレンガでふさいで煙突を絞り、ゆっくり時間をかけて炭化を進行させたほうがよさそうだ。といっても、炭焼き職人じゃあるまいし、これは全然推測の域を出ない。きっと、ちょっとした条件の違いでも仕上がりが左右されるだろうし、試行錯誤を繰り返しながら自分なりのコツをつかむしかないのだろう。でもそんなふうにトライすることこそ、DIY炭焼きの醍醐味であることは間違いない。だって実際、失敗も込みで、すげえ面白いんだもん。

実はその後、こんな大失敗も。夜中までイイ感じで煙が出ていたので窯止めせずに寝てしまったら、翌日、窯の中にはこれっぽちの灰が残るだけ…。やっぱり放ったらかしは禁物です…。チキショ~

グリーンウッドワーク(生木の木工)本邦初の本格ガイド『生木で暮らしの道具を作る グリーンウッドワーク 増補改訂版』が10月26日に発売

株式会社ワン・パブリッシング(東京都台東区)は、久津輪 雅・著の「生木で暮らしの道具を作る グリーンウッドワーク 増補改訂版」(発行元:株式会社キャンプ)が、明日の10月26日に発売!

 

グリーンウッドワークの基本を完全網羅!

本書は、世界的に注目を集めているグリーンウッドワークの魅力とテクニックをたっぷり収録した、日本初の本格的ガイドブックの増補改訂版です。主な道具や材料の紹介はもちろん、木の伐り方や割り方、斧とナイフの使い方などの基礎知識から日用品の作り方をていねいに解説しています。

 

greenwood=生木、woodwork=木工、
だからグリーンウッドワーク。
他にgreen=エコロジカルな木工、という意味もある。

(手道具を使う)グリーンウッドワークなら、
鋭い刃物は気をつけて使う必要があるけれど、
機械に比べて安全だし、大きな音も出ないし、誰でもどこでも楽しめる。

近くの森に生えている木や、庭の手入れで伐った枝など、
目の前の木がそのままものづくりの素材になる。

自分が作ったスプーンやお皿で、
スープを飲んだりデザートを食べたりすると、なんだか嬉しい。

暮らしの道具は、身近な素材から自分で作る。
きっと昔はみんながそういう暮らしをしていたはずだ。

(まえがきより)

【書籍概要】

著者:久津輪 雅

定価:2750円(税込)

発売日:2021年10月26日

判型:AB版

エンジンがかからないときはココをチェック!チェンソートラブル対処術

よく耳にするチェンソートラブルといえばやっぱり「エンジンがかからない!」。そんなときは落ち着いて、ここに挙げた項目をチェックしてみよう。意外にあっさりと解決してしまうかもしれない。それでもダメなときは、チェンソー販売店に相談を。

 

check 1 燃料をチェックしよう

そんな初歩的な…と思うかもしれないが、実際「半年前に使って燃料を入れたままにしておいたらエンジンがかからなくなった」なんて例は少なくない。この場合、燃料の劣化や結露により適切な燃料ではなくなってしまっている可能性が高い。燃料を入れ替えて再チャレンジしてみよう。

 

check 2 エアフィルター、燃料フィルターをチェックしよう

エアフィルターが詰まるとエンジンへの空気の供給が不足し、燃料フィルターが詰まると同じく燃料の供給が不足して、最悪、エンジンがかからなくなる。それぞれゴミが詰まっていないかチェックし、必要があれば掃除または部品交換をして再チャレンジしてみよう。

 

check 3 キャブレターの設定をチェックしよう

キャブレターの設定がずれていると燃料が適正に供給されず、エンジンがかからない可能性がある。あらためて取扱説明書に書かれているとおりに設定してから再チャレンジしてみよう。

STIHL MS 170 C-Eの場合、取扱説明書に「アイドリングスピード調整スクリューを反時計回りにしっかり止まるまで慎重に回してから、時計回りに2回転回します」とあるので、そのとおりに調整スクリューを回す

 

check 4 スパークプラグをチェックしよう

エンジン始動の際、チョークを引いてキャブレターの空気通路を絞り、燃料を濃くすることで始動しやすくする。ただ、操作手順を間違え、チョークを引いたまま始動操作を繰り返したりすると、供給過多の燃料によってプラグの電極がびしょびしょに濡れ、エンジンがかからなくなることがある(この状態を「プラグがかぶる」という)。そうなってしまった場合は、プラグおよびシリンダー内部をしっかり乾かしてから、正しい操作手順で再チャレンジしてみよう。

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写真◎門馬央典/アドバイザー◎相信武司(STIHL)

これで万全!チェンソーのアフターメンテナンス術13

チェンソーを使用するたびにしっかりとメンテナンスすれば、愛機が好調を保ち続けるだけでなく、いっそう愛着が増して心豊かになるもの。過去にドゥーパ!本誌で好評だったチェンソーメンテナンス企画をさらにボリュームアップして、13のメンテナンス術を紹介。

*すべてのメンテナンス作業はエンジンが冷えてから行なうこと。また火気厳禁。

撮影モデルはSTIHLのMS 170 C-E。ビギナーにも扱いやすい排気量30.1ccの小型機。価格のリーズナブルさも魅力

 

maintenance 1 全体の破損をチェックする

まず使い終わったチェンソーの外観をひと通り見て、破損や部品の欠落がないか確認する。

とくに防振ゴム(ドライバー先端で指している部品)が切れたり、ヒビ割れたりしていないか要注意。防振ゴムが切れると振動が大きくなり、真っすぐ切るのが難しくなる

 

maintenance 2 ファンハウジングを掃除する

エンジンの冷却風を取り込むファンハウジング。とくにヤニが多い木を伐るとここが詰まりやすいので、汚れを取り除いておく。

木クズなどはブラシでこすり落とす。こびりついた汚れはドライバーなどでそぎ落とす

 

maintenance 3 スプロケット周辺を掃除する

スプロケットカバー、ガイドバー、チェンを取り外し、隠れていた部分を掃除する。

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maintenance 4 エアフィルターを掃除する

エアフィルターが詰まるとエンジンに空気を供給しづらくなり、エンジン性能に影響を与えるので、きちんと掃除しておく。エアフィルターを取り外している間にゴミがエンジンのほうに入り込まないよう、周囲を掃除してからエアフィルターを取り外す。

エアフィルターにはさまざまなタイプがあるが、基本的にフィルターが2~3層重なり、内側のフィルターのほうが目が細かい構造なので、エアガンで掃除するときは内側から吹く(外側から吹くと内側の細かいフィルターにゴミが詰まる)。水洗いOKのものもあるので、それぞれの取扱説明書に従って手入れしよう

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maintenance 5 燃料フィルター、チェンオイルフィルターを掃除する

燃料フィルター、チェンオイルフィルターが詰まっていると、それぞれ燃料、チェンオイルの供給が不十分となり、不具合をきたす。状態をチェックし、詰まりがあれば交換する。

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maintenance 6 シリンダーフィンを掃除する

エンジンシリンダー外側は表面積を増やして冷却性能を上げるためフィン状になっている。ここにゴミが詰まると冷却性能が落ちるので、取り除いておく。

ブラシやドライバーでゴミを取り除く

 

maintenance 7 スパークプラグをチェックする

プラグ先端の電極のすき間が大きくなったり、カーボンがたまったりすると本来の性能を発揮できないので、状態をチェックしておく。プラグ交換の目安は100時間使用。交換の際は、最初についていたものと同じ型番のプラグを選ぶこと。異なる型番のものをつけると性能ダウンや故障の原因になりうる。

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maintenance 8 マフラーの吐出口を掃除する

不完全燃焼によるカーボンの発生は、チェンソーに使われている2サイクルエンジンの宿命。マフラーの吐出口にカーボンが詰まっていないかチェックする。なお、メーカー指定のエンジンオイルを使えば、カーボンの発生は比較的抑えられる。

マフラーの吐出口にカーボンが詰まっていたらドライバーなどで取り除く

 

maintenance 9 チェンオイルの吐出口を掃除する

チェンオイルの吐出口にゴミが詰まると、オイルの供給を妨げ、トラブルにつながる可能性も。状態をチェックし、必要があれば掃除する。

ドライバー先端で指しているところがチェンオイル吐出口

 

ゴミが詰まっていたらドライバーなどで取り除く

 

maintenance 10 チェンスプロケットをチェックする

チェンスプロケットは消耗品。ソーチェンによって摩耗し、溝ができてしまう。溝の深さが0.5mmになったら交換すべきなので、状態をチェックしておく。なお、各部品の交換時期の目安として「1:2:4の法則」というものがある。ソーチェンを2本使ったらスプロケットを交換し、スプロケットを2個使ったらガイドバーを交換。つまり、ガイドバー1本:スプロケット2個:ソーチェン4本の使用期間が同じというものだ。

まだソーチェンによる摩耗がない、きれいなチェンスプロケット

 

摩耗したスプロケット

 

摩耗してできた溝の深さが0.5mmになったらスプロケットの交換時期。専用のチェックゲージ(別売)もある

 

maintenance 11 ガイドバーを掃除して、各部をチェックする

ガイドバーの溝やチェンオイル用の穴を掃除する。その際に、ガイドバーが変形していないかチェックしておく。

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maintenance 12 ソーチェンを掃除する

ソーチェンに付着した木のヤニを掃除する。ワイヤーブラシでざっとこすればいいが、ワイヤーブラシによって刃が傷つくので、あとで必ず目立てを行なうこと。また、ソーチェンの各パーツをつないでいるリベット周辺にガタつきがないかチェックしておく。ガタついていたら、リベット穴が広がり、切れやすくなっているということだ。

ワイヤーブラシでこすってヤニを落とす。その後、潤滑・防錆のため、KURE 5-56を吹いたり、オイルに浸けたりしておく

 

からまったチェンをほどくコツ

ソーチェンをはずして作業していると、いつの間にかグチャグチャにからまっていることが。そんなとき、1カ所ずつほどこうとすると、別の所がより複雑にからまってしまうのでNG。輪になっている部分を2カ所持ってほどいていくのがコツだ。

常に2カ所の輪を持ち、順次ほどいていく

 

maintenance 13 ソーチェンの目立てをする

チェンソーは、常に刃の切れ味を良好にしておくことが大切。そのために、こまめに目立てをする。目立て作業は、丸ヤスリで刃を研ぐだけのシンプルなもの。ただ、正確な角度でヤスリを当てる必要があるので、とくにビギナーは補助具を使うと便利だ。また、目立ての後には、刃の出幅を決めるデプスの調整も行なう。

目立て道具セットの例。右から、補助具(やすりホルダー)を取りつけた丸ヤスリ、ファイルゲージ、平ヤスリ。丸ヤスリは、刃のサイズに合う径のものを選ぶ

 

やすりホルダーを、刃の角度および水平に維持するための補助具(ホルダーガイドFF1)もある

 

丸ヤスリによる目立てと、平ヤスリによるデプス調整が同時にできる便利ツール(2-in-1 やすりホルダー)。丸ヤスリと平ヤスリが適正な位置関係で固定されている

 

【目立ての手順】

 

【デプスの調整手順】

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写真◎門馬央典/アドバイザー◎相信武司(STIHL)

DIYライフマガジン『ドゥーパ!』のMOOK本、移住と里山ライフの実践的カルチャーマガジン『Soil mag. (ソイルマグ)』が発売

DIYライフマガジン『ドゥーパ!』のMOOK本として、地方移住と里山ライフをテーマにした雑誌『Soil mag. (ソイルマグ)』が9月30日(木)に発売。発刊第1号の特集テーマは、「“ 耕す暮らし” の創りかた」。日本各地の美しい里山の土地で、日々土に触れ、作物を育てて食べるというプリミティブな歓びに満ちた暮らし。実践者たちの経験に裏付けされた叡智に学びながら、その土台づくりのヒントと実践的なノウハウを紹介します。

 

混迷の時代のなか、本質的な“ 豊かさ” を求めて、都市から地方へと居を移す人の流れが加速しています。また、「田舎でのリモートワーク」「二拠点生活」「ワーケーション」など 多様なライフスタイルが一般化し、 世の中には自分らしいオリジナルの暮らし方、場所を求める機運もこれまでになく高まっています。 住む場所も、生き方も、自分の心のままに選ぶ。自然の営みに寄り添いながら、自らの手で暮らしをつくる。コツコツとたおやかに。「Soil mag. (ソイルマグ)」が目指したのは、そんな心豊かなライフスタイルへの道筋を照らす、小さな灯台です。

 

雑誌タイトルの「Soil」は、Sustainable(持続可能な)、Organic(自然体の)、Innovative(革新的な)、Local(自然に囲まれた地方)というキーワードから頭文字を抽出したもの。もちろん、私たちの暮らしを支える「土」という意味もあります。地球環境への影響を誰もが意識するようになった現在、 自然に優しい暮らし方を模索する人々は急増しています。 自然に囲まれた環境で、自分らしく生きるスタイルを見つける、そして、築いていくための具体的なアイディアを届ける新しいメディアとして『Soil mag. 』はスタートします。

◆CONTENTS
001  Why Cultivate? パーマカルチャーとコンパニオンプランツ
002 土は、語り続ける。—土の研究者・藤井一至との対話ー
004 漫画 それから、わたしたちは。
006 理想の土地を求めて。それぞれの移住ストーリー
岐阜県飛騨市古川町 「ソヤ畦畑」森本悠己さん・恵美さん
岡山県真庭市蒜山 「蒜山耕藝」高谷裕治さん・絵里香さん
018 特集 “耕す暮らし”の創りかた。
020 旅する料理家・三上奈緒が綴る、SHO Farm という理想郷。
024 移住と「農」で人生は変わる! ? 半農半X という生き方を求めて 塩見直紀
028 半農半X のリアル –6 人の移住者、それぞれの「農」と「生活」–
034 自給自足を叶える“カスタマイズ自給菜園” 入門 有機農家・金子勝彦
050 Portrait Of Favors 写真/砺波周平 文/砺波志を美
054 Everyday,Farm to table 農的暮らしに息づく畑の恵み 生活庭園研究家・四井千里
058 有機栽培、自然栽培、自然農法、自然農 その違いと意義
青果ミコト屋・鈴木鉄平
059 生産と消費のサイクルを生むコンポスト考察
鴨志田農園・鴨志田純
060 耕す暮らしを叶える、農地と住処のイロハ
066 ゼロから始める、新規就農の手びき
074 ファッションスタイリスト・岡部文彦さんが楽しむ
移住と、一次産業と、ワークウェアのデザイン
078 家畜×農業 その深淵なる世界 ~馬・合鴨・鶏・山羊~
082 Kiss the ground 三宅洋平 里山ライフ放談。
088 IDEAS FOR THE FUTURE
持続可能な環境をつくりだすための知恵とアイデア
オオカミを野に放て/竹林の未来/テラサイクルという選択
094 群馬で叶える“手放さない”移住
100 注目の移住スポット
108 日本全国移住支援策navi
112 “地方創生推進交付金”とは?
114 日本全国ワーケーションスポットCATALOG
118 暮らしを楽しむ新しい入口「クラシガエ」
122 移住と、私と、クリエイティブ テキスタイルデザイナー・真田 緑
124 BRAND STORY-Jack Wolfskin 環境に優しいモノしか、使いたくない。
125 DIY 雑誌「ドゥーパ!」編集人に聞く LIFE of DIY
126 土中環境を意識した家づくり 建築家・和久倫也
127 読者プレゼント
128 写真家が焦がれた風景。奥山淳志

●編集部:株式会社ミゲル
●公式Instagram:@soilmag

 

【書籍概要】

著者:株式会社ミゲル

定価:1100円(税込)

発売日:2021年9月30日

判型:A4変形

チェンソー木工術Part2・ガーデンテーブルを作る/DIYerのためのチェンソー使いこなし術

田舎暮らしの頼れる相棒、チェンソー。薪作りや枝打ちなど日々の仕事を能率的にこなすには欠かせない道具だが、価値はそれだけにとどまらない。もっとクリエイティブなDIYを楽しませてくれるし、じっくり大切に整備するほどに愛着を感じさせてくれる味わい深い機械でもある。そんな素晴らしきチェンソーライフに誘ういくつかのノウハウを紹介しよう。

今回は、丸太の輪切りを天板にしたワイルドなテーブルを作ってみよう。脚もやっぱり丸太から切り出した角材。天板裏面のホゾ穴に脚を豪快に叩き込めば、シンプルでいて存在感抜群のテーブルのできあがりだ。

 

Step 1 材料を切り出す

丸太から天板材と脚材を切り出す。一般的な木工のように緻密で繊細な作業は無用。ざっくりとした木取りでOKだ。

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Step 2 脚材と天板材を加工して組み合わせる

脚材、天板材をそれぞれ加工し、ホゾ組みする。ホゾ組みといっても、やはり緻密な作業は必要なし。現物合わせでガンガン組み立てていく。

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Step 3 各部を仕上げる

脚の長さをそろえ、各部を面取りすれば完成。どれくらい面取りするかは好みで決めればいい。

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チェンソー木工にはカービング用のガイドバーが有効

チェンソーで丸太に彫刻するチェンソーカービング(またはチェンソーアート)には、カービングバーと呼ばれるガイドバーが使われる。先端が細く、微妙な加工に適したガイドバーだ。この特集では、ホゾ穴を掘るときのみカービングバーを使っているが、サインボード作りなどにおいてもカービングバーのほうが使いやすいだろう。

一番手前がカービングバー(12インチ)。真ん中が18インチ、奥が25インチのノーマルガイドバー。製材に使うなら長いガイドバーのほうが幅広く活躍する

 

栗田さんが最近手がけたチェンソーアート作品。このような繊細な加工はカービングバーでなければ無理だ

写真◎門馬央典

栗田宏武 Hiroaki Kimura

カナダで開催されるチェンソーカービングチャンピオンシップで3年連続チャンピオンに輝いた経歴を持つ、国内チェンソーアーティストの第一人者。

チェンソー木工術Part1・サインボードを作る/DIYerのためのチェンソー使いこなし術

田舎暮らしの頼れる相棒、チェンソー。薪作りや枝打ちなど日々の仕事を能率的にこなすには欠かせない道具だが、価値はそれだけにとどまらない。もっとクリエイティブなDIYを楽しませてくれるし、じっくり大切に整備するほどに愛着を感じさせてくれる味わい深い機械でもある。そんな素晴らしきチェンソーライフに誘ういくつかのノウハウを紹介しよう。

チェンソーで木を加工して家具やオブジェを作る……これほどダイナミックでワイルドな木工はない。せっかくチェンソーを手にしたなら、ぜひその楽しさを味わいたい。入門編として、たとえばサインボード作りなどはいかがだろう。

 

Step 1 文字の輪郭を彫る

立体的な文字が重なりながら連なっているように見えるサインボードを作る。まずは文字全体のアウトラインを彫る。

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Step 2 文字を立体的にする

各文字の右端から左端に向けて傾斜がつくように表面を欠き取り、文字が重なる部分に段差をつける。

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Step 3 仕上げの装飾を施す

最後に好みに応じて装飾を施せば完成。ここではチェンソー木工らしいワイルドさを強調する仕上げに。

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曲面でも作業手順は同じ
文字を彫る面が曲面であっても、作業手順は変わりない。丸太のままサインボードを作るのも面白いだろう。

丸太を製材したときの端材でサインボードを作っているところ

写真◎門馬央典

栗田宏武 Hiroaki Kimura

カナダで開催されるチェンソーカービングチャンピオンシップで3年連続チャンピオンに輝いた経歴を持つ、国内チェンソーアーティストの第一人者。

ウッドショックに負けるな!チェンソーで丸太から木材を切り出す製材テクニックを伝授/DIYerのためのチェンソー使いこなし術

田舎暮らしの頼れる相棒、チェンソー。薪作りや枝打ちなど日々の仕事を能率的にこなすには欠かせない道具だが、価値はそれだけにとどまらない。もっとクリエイティブなDIYを楽しませてくれるし、じっくり大切に整備するほどに愛着を感じさせてくれる味わい深い機械でもある。そんな素晴らしきチェンソーライフに誘ういくつかのノウハウを紹介しよう。

今回はチェンソーを使った製材術を解説。丸太を玉切りして薪を作るのはチェンソーワークの定番だが、丸太を割いて板や角材を切り出すのも面白い。緻密に製材された木材にはないラフな風合いが、いつもとは違う創作意欲をかき立ててくれるだろう。

 

technique 1 フリーハンドで製材する

曲面を切り落とすように丸太を割いて、平面を作る。それを4回繰り返せば、断面が四角の板や角材になる。まずは補助道具を使わずにチェンソーだけで割く方法を紹介。

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ラフな仕上がりでOKなら縦切りもアリ

より簡単に割きたいなら、丸太を立ててフリーハンドで縦切りするという手もある。当然、technique1の方法に比べればラフな仕上がりになるだろうし、熟練度によっても差がつくはずだが、チャレンジしてみるのも面白い。

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バンパースパイク(ガイドバーの根元付近にあるギザギザ)を支点にして切り込み、technique1と同様にガイドバーを斜めにしてカットしていく(*作業現場はオガクズを敷き詰めてあるので材を地面に置いたまま最後までカットできる。そうでない場合は材を安定した台に載せて作業するといい)

 

technique 2 割いた後の切断面を整える

切断面が荒れているときに、チェンソーを使ってきれいに整える方法(ブラッシング)を紹介しよう。

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technique 3 補助道具を使って製材する

市販の補助道具を使えば、チェンソーで、より精密な製材が可能になる。製材用の補助道具は一般的に「ソーミル」や「ランバーメーカー」と呼ばれ、ガイドバーを水平にセットして切るタイプと、縦向きにセットして切るタイプがある。ここではインストラクターの栗田さんが所有する、縦向きタイプを使った作業例を紹介する。

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曲面にガイドレールを設置する場合

ランバーメーカーのガイドレールを丸太の曲面に設置する場合は、水平にすること。そうすればガイドバーが垂直になり、垂直な面を切り出せる。

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写真◎門馬央典

栗田宏武 Hiroaki Kimura

カナダで開催されるチェンソーカービングチャンピオンシップで3年連続チャンピオンに輝いた経歴を持つ、国内チェンソーアーティストの第一人者。

太陽があればどこでも料理ができる、ソーラークッカーでお気楽エコ暮らし!D型ゾーン探訪【1】

日の光を熱源として利用する調理器具・ソーラークッカー愛好者の集い「第2回ソーラークッカー全国大会・山梨太陽熱エネルギーフェスティバル」が、日照に恵まれた土地として知られる山梨県甲府市で2016年の夏開催。全国大会と冠してはいるものの、実際はソーラークッカーや太陽熱温水器の展示・実演、工作体験がメイン。太陽エネルギーの素晴らしさが気軽に体感できるイベントだ。今回はそこで展示されていた個性豊かなソーラークッカーたちを、一部ではあるが紹介していきたい。

三脚にゴトクがついたパラボラ型ソーラークッカー「かるぴか」(右)。アルミフレームで重量は3.1kgと軽いのが魅力。火力が2.5倍の「おやぴか」(左)もある(工房あまね)

 

かるぴかでお湯を沸かしている様子。晴天時の火力はガスコンロの弱火に相当する

 

「かるぴか」のパネル内部には照準器を搭載。ボルトの影が消えていればしっかり太陽の方向に向いていることになる

 

ダンボールの内側にアルミホイルを貼ったダンボール製のパネル型ソーラークッカー。計13枚のパネルを組み立てて作る(山梨英和中学校・高等学校 自然科学同好会)

 

自然科学同好会が一緒に展示していた、折りたためるパラボラ型ソーラークッカー「サニークッカー」という製品。反射クロスを傘のように開いたり閉じたりでき、太陽と角度を合わせたらスライドファスナーで固定して使う(サニークッカードットコム)

 

2種類の自然循環式太陽熱温水器。左は真空ガラス管で、右が水路が並んだ受熱板に透明板を重ねたタイプ。中に水を入れて太陽熱で温め、上部に取り付けた貯湯槽にお湯を貯める。タンクは通常200~300Lほどある(ぐるっ都地球温暖化対策地域協議会/チリウヒーター)

 

貯湯槽内。冷たい水と比べて温かいお湯は比重が軽いので、矢印のように自然と循環される。片方が長いのは煙突効果でより効率的に循環できるようにするため

 

最も身近な自然エネルギーの利用は楽しく、料理も不思議とうまい

会場となった山梨県甲府市は四方が山に囲まれた甲府盆地という土地柄、年間降水量が少ない場所として有名で、日照時間も長く夏場は猛暑日になることが多い。だったらその暑さを逆手に取り、さんさんと降り注ぐ膨大な太陽エネルギーで調理ができるソーラークッカーの展示や、使い方を紹介しようというのが本大会のコンセプトだ。

太陽エネルギーのエコ的な活用法は主に太陽光発電と太陽熱利用のふたつがある。太陽光は電気を生み出して電気機器の使用に、太陽熱は物体に吸収された光を熱源にして調理や給湯、暖房などで活躍する。また、このふたつは「変換効率」と呼ばれる数値に違いがある。太陽のエネルギーを電気・熱エネルギーとして使えるように変える割合が10%程度の太陽光に対して、太陽熱は40~60%と高い数値を誇っているようだ。太陽光と比べて、太陽熱のほうがエネルギーを無駄なく有効活用できることを、参加者たちが声をそろえて話していたのが印象的だった。

各ソーラークッカーは、甲府市リサイクルプラザの屋内外で展示。参加者は興味深そうに出展者の話に耳を傾けている

 

現に、イベント当日は残念ながら雲が多く、太陽が顔を出している時間はほとんどなかったが、温水器内のお湯は60℃を軽く超え、ソーラークッカーでいえば光が集中する部分(鍋を置く位置)に手をかざすと、長い時間とどめることができないぐらいに熱く、ソーラークッカーの能力の高さを実感。条件が整っていれば炒め物や煮物はもちろん、さらにオーブン料理や米まで炊くことができるという。構造もコンパクトに収納できることを前提としているので、料理レパートリーの豊富さも相まって、ソーラークッカーは持ち運び可能なガーデンキッチンと言っていいのかもしれない。

出展者のひとりは、「今日は天気がいいから1品だけ外で作ろう」とベランダでソーラークッカーを広げたり、ある人は「花見のときなど火が使えない公園内でお惣菜を温めています」「日々のご飯とお湯ぐらいはこれで賄うようにしています」と話す。もちろん雨が降っていれば使えないがそこは別段気にしない。朝起きて空模様を見て天気が良ければ、太陽の恵みを頂こうか考える。決して、その日すべての献立を賄うなど無茶な使い方はせず、ときには失敗なんかもしちゃったり。皆、太陽熱だけで調理すること自体を楽しみながら、太陽と寄り添うように生きているかのようだった。

パネル型であればDIYで作るのにもハードルは高くないし、先に述べたスタンスで使ってもいいことを知った今、環境への貢献はほんの少しかもしれないが、これなら自分でも気楽にエコな暮らしというのを始めることができそう。そんなことを帰りの車中で思わせてくれるイベントだった。

 

足利工業大学・中條研究室が設計したパネル型ソーラークッカー「エデュクッカー003」。折りたたみ式でクリップを使って簡単に組み立てられる。ダンボール製で、内側には蒸着シート、表面は透明のポリプロピレンシート仕上げ(エコエナジースタイル 販売:昭和理化学器械)

 

こちらはパラボラ型。素材の大部分はダンボールなので片手で軽く持ち上げられる(エコエナジースタイル 販売:昭和理化学器械)

 

プラスチックダンボール製のパネル型ソーラークッカー。取り付けられたスナップボタンで組み立てるのでエデュクッカー003よりもさらに簡単(エコエナジースタイル 販売:昭和理化学器械)

 

ダンボール製のボックスの上蓋を立てて展開するタイプ。収納時は中に調理器具などを入れて運ぶことができる(エコエナジースタイル 販売:昭和理化学器械)
フランス製のパラボラ型ソーラークッカー「Cook Up200」。木製フレームに三角状のアルミシートを差し込んで組み立てる構造。デザインもおしゃれで、解体するとキャリーバッグ内に収まるサイズになるのが魅力(出展者私物)

 

CookUp200の裏側はこんな感じ

 

アメリカ製のボックス型ソーラークッカー「Solar ven」。素材は自動車のフロントガラスに張る日よけシートに似ている。熱を外に逃がさないように、前面には透明のシートが付随している(出展者私物)

 

アメリカ製の携帯型太陽熱温水器「Solar Kettle」。アルミパネルを広げてスタンドで斜めに置き、ガラス真空管内で約500mlのお湯を沸かせる(出展者私物)

 

アメリカ製の真空ガラス管のソーラークッカー「GoSun Sport」。取っ手つきのスライド皿がついており、中に入れることで蒸し焼き料理などが楽しめる(出展者私物)

 

晴れていればサンマが20分ぐらいで焼ける

 

このソーラークッカーはなんと太陽の動きに合わせて、左右の向き、上下の角度が自動で変わる。土台はOSB合板、廃品のパラボラに反射板を張りつけて製作。動力はソーラーパネルから取っていて、その横に調理したいものを置くスペースがある(あつぎ環境市民の会・ひまわりソーラークッカー研究会)

 

パラボラを取り外した状態。奥の黒いボックスが心臓部。底面に取りつけたターンテーブルで左右に動く

 

自作のギアが左右のフレームを転がることで上下に動く

 

真空ガラス管の太陽熱温水器。太陽の向きに合わせて左右に動かすことができ、かまぼこ型のパネルで効率よく熱を集める(あつぎ環境市民の会・ひまわりソーラークッカー研究会)

 

プラモデルに使われるギアを使用。動力は乾電池

 

こちらは縦型バージョン(あつぎ環境市民の会・ひまわりソーラークッカー研究会)

 

小型温水器「ぬくみちゃん」。背面に反射板、底面に黒色の集熱板、耐候性に優れたアクリル板で周囲をカバー。快晴の朝、2L程度の水を入れた黒いやかんをセットすると、午後には50~80℃のお湯ができるそう(ぬくみねっと)

 

真空ガラス管が手に入ったので、本大会のために急きょ製作したという太陽熱温水器。内側にレンジシートを張ったカマボコ型の木製パネルで熱を集め、上部の貯湯槽にお湯を貯めている(ぬくみねっと)

 

曇りだった当日は50~60℃のお湯が作れ、トウモロコシを茹でていた

 

太陽熱乾燥装置「おひさまドライヤー」。中に食材を入れて天日干しすれば、ドライフルーツ、健康茶、おせんべいなどが自宅で作れる(筑西市商工会エコの木プロジェクト部会)

 

本体はキリ材。背面はオーブン用の黒いシート、食材を置く面はテフロン性のメッシュシートを敷いている。前面の透明の板はガラスだと割れやすく、UVA(紫外線A波)の通過率を考えると、アクリル板がベストだそう

 

側面と上部には風通しをよくするための穴があいている。また、取っ手もついているので持ち運びに便利。なお、重量は小型が5.5kg、中型が10.1kg

 

日本ソーラークッキング協会がこの日持参していた製品は、アメリカ製のボックス型ソーラークッカー「サンオーブン」。ガラスを通して太陽光を取り込み、箱の内部に熱を閉じ込めて調理する。反射板を折りたためばトランク状になるので持ち運びもラク(アメリカ製)

 

ラスクなどが作れるフードドライヤー(左)と、ボックス型の「西川式ソーラークッカー」(中央・右)。発泡スチロール、透明フィルム、レンジカバー、ダンボールなど身近にあるもので作れるというのがポイント(日本ソーラークッキング協会)

 

真空ガラス管によるソーラークッキングが手軽に楽しめる「エコ作」。湯沸かしや魚のホイル包み焼きが約60分、焼き芋や焼き鳥は約45分で作れる。太陽熱はいろんなことに利用できる上、真空ガラス管は冬の寒さにも強いのが魅力だとか(寺田鉄工所)

 

ソーラークッカーの工作教室も大盛況!

 

環境教育教材用ソーラークッカーキット「ひまわり」

環境教育教材用ソーラークッカーキット「ひまわり」。ハサミ、セロテープ、クリップを用意し、台紙の裏面に書かれているとおりに切り抜いたり折り曲げたりすれば完成。使わないときは折りたたんでコンパクトにできる(住環境工房)

 

「鳥居式山梨モデルF型」

材料は牛乳パック3個、ポテトチップスの袋約7枚(またはアルミホイル)、ダンボール、割りばし、ペットボトル、黒く塗った空き缶など。普段なら捨ててしまうようなものでも、立派なパネル型ソーラークッカーが作れる(日本ソーラークッキング協会/サンライト)

 

「いつでもガスレンジシートクッカー」

市販のレンジシートの中央を丸く切り抜き、半分に切ったら2枚をクリップで器状に固定するだけの超簡単構造(甲府市地球温暖化対策地域協議会)

写真◎佐藤弘樹

*この記事のデータや内容は2016年8月時のものです。

セルフビルドの家にベンチつきストーブをIN!DIYerの自作薪スト&ロケスト集【1】

床を撤去して地面に設置
地元の大谷石をフル活用した自給暮らしを支えるベンチつきストーブ

セルフビルドした家の雰囲気に合ったヒートベンチつきストーブ。なお、煙突は2階の寝室まで延ばしており、焚き口と煙突の最上部の高低差は約4.5m。横引きの長さはベンチ部分、2階部分ともに約4mずつある

Profile
七田紹匡さん(54歳)/栃木県在住/材料費…約4万円/製作期間…約3年

 

セルフビルドした家で自給自足の生活を送る「エコヴィレッジみより」の七田紹匡さんは、10年ほど前に農業体験で訪れていたWWOOFer(*欄外参照)が持ってきた本『ロケットストーブ』で初めてロケストの存在を知る。その性能とアイデアに魅せられ、直感的に「これは作るしかない」と思い、本誌の121号でも紹介した石窯暖炉と並行してロケットマスヒーター作りに着手した。

ストーブとヒートベンチはかなりの重さになると予想したので、床の大引きの一部を撤去して直接地面の上に設置することに。土台には解体現場からもらい受けた大谷石、ヒートベンチの煙道の一部には同じく廃材の土管を使用。さらに蓄熱層に使ったベントナイト(粘土の一種)の量をなるべく減らせるよう、庭から採取した砂と石を骨材にして混ぜ、製作コストを抑えた。

「部屋の中もストーブの装置の一部。同じ構造のストーブでも、住んでいる環境、家の構造によってパフォーマンスは変わるので、まずは作ってみて使ってみないとわからない。失敗してもやり直せばいいんです」(七田さん)。

現に、七田さんのストーブも完成から2年が経つが、これまでに煙突の引き方を2回変えており、現在の煙道レイアウトに落ち着いた。満足のいく形になるまで、改造を繰り返してブラッシュアップできるのもDIYロケストの魅力といえる。

*WWOOFer(ウーファー)とは、金銭のやり取りを行なわずに農業体験や人と人との交流をする「WWOOF(ウーフ)」において、ホスト側のお手伝いをする人々のことを指す言葉。

 

天井の梁から網を吊り下げ、ストーブからの輻射熱を利用して食材を乾燥。写真は切り干し大根を作っているところ

 

ストーブ天板は250℃程度まで上昇する。煮込み料理なども可能

 

焚き口は深さがあるので、焚き始めは火バサミで薪の位置を調整する

 

本体は耐火レンガを角筒状に組んだヒートライザーにドラム缶をかぶせた

ストーブ設置部分の下地にはコンクリートを打ち(約100mm厚)、耐火モルタルで接着しながら耐火レンガを積んでヒートライザー&バーントンネルを製作。そして、ヒートライザーの周りをガルバリウム鋼板で筒状に覆い、パーライトとベントナイトを混ぜた断熱材を充填。大谷石とコンクリートで形成した土台にドラム缶を載せ、耐火モルタルですき間を埋めてヒートライザーを囲った。

ストーブ本体。中央の焚き口はカットしたペール缶にラス網を巻き、耐火キャスタブルでコーティング。鉄板は知り合いの鉄工所にドーナツ状にカットしてもらった

 

焚き口の横にコンクリート枡を設置。焚き口からの伝導熱で低温調理が行なえる。夜、食材を入れておくと翌日の昼食のいいおかずになるとのこと

 

ヒートライザーに断熱材をコーティングしたところ。ガルバリウム鋼板は鉄製のボルトで固定した(七田さん撮影)

 

ヒートライザーの周りに大谷石を積み、ベニヤ板の型枠にコンクリートを流し込んで土台を製作。この上にドラム缶を載せてヒートライザーを囲った(七田さん撮影)

 

ヒートライザーの製作。接着用の耐火モルタルは薄く塗り、目地が重ならないように積んだ(七田さん撮影)

 

ヒートベンチの先から延ばした煙突で2階の寝室も同時に暖める

煙突を天井まで延ばす際に、「どうせなら2階も暖房できるのでは?」と思いついた七田さん。2階に延ばした煙突を横引きし、むき出しのままで簡易的なベンチを製作した。

排熱が2階に到達するころには表面温度は30℃台まで下がっているが、最低気温が-15℃を下回るような日でも、小さな石油ストーブを併用するだけで部屋が暖められるようになった

 

煙突の屋外部分には断熱材を巻きつけて凍結を防止。木酢液は煙突のつなぎ目から下にチューブを延ばしてポリタンクにためている

 

大谷石で構成したヒートベンチの煙道は途中から2本に分岐

ヒートベンチは解体材の大谷石を組んで製作。L字形に折れ曲がっており、折れ曲がった先で煙道は2本に分かれる。その煙道には土管を使い、ベントナイト+砂+石を混ぜたものを蓄熱層とし、表面を漆喰で仕上げた。なお、最初の完成以来、煙道は使い心地を確かめながら2度変更している。1度目の変更時は煙の引きがよすぎて熱がもったいなかったので、完成当初のように煙道を分岐することにして排煙の滞留時間を長くしたとのこと。

L字形のヒートベンチ。木製の背もたれがあり、座り心地は上々

 

完成当初の煙道。2階とは別に、居間から続くサンルームにも煙道を延ばしていた(七田さん撮影)

 

1度目の煙道経路変更。以前は火入れすると、サンルームの縦の煙突が冷えすぎたせいか煙がまったく引き込まれず逆流することがあった。そこで、サンルームの暖房は諦め、しっかり機能していた2階の煙突のほうに折り返して1本化することに(七田さん撮影)

 

ヒートベンチの製作の様子。ストーブに近いほうのベンチには点検口を設けている(七田さん撮影)

 

蓄熱材を充填したところ。なるべく多く石を詰めて、ベントナイトはそのつなぎとして使う程度の量に留めている(七田さん撮影)

写真◎佐藤弘樹