何を準備しておくべき? 防災のプロが指南する“もしもの備え”と防災用品の選び方

2011年3月11日に起こった東日本大震災を機に、防災意識が高まった人も多いのではないでしょうか。あれから10年。災害への備えは万全か、あらためて見直してみませんか?

近年は大震災だけでなく、大雪や豪雨による被害が各地で多発しています。場合によっては10日以上、電気がない暮らしも想定しなくてはいけません。そんなときにあると役立つものは何か、考えていきましょう。

 

今回は、防災のプロを実際の個人宅に招いて、どのような“もしもの備え”をしたらいいか、備品を中心に解説していただくとともに、パナソニックが過去の災害からさまざまな知見を得てこだわりぬいた、“もしもの備え”に加えたいアイテムを紹介します。

 

山田編集長の家を防災のプロが突撃査定!

まず、防災のプロで、マンション防災士として活動する釜石徹さんが、GetNavi webの山田佑樹編集長の自宅を訪問。山田家の防災対策をチェックしていただくとともに、災害時や停電時に備えてふだんから心掛けておくべきことは何か、教えていただきました。

【防災のプロ】
マンション防災士/釜石 徹さん

金融機関に勤務しながら防災対策の研究を続けていたが、防災コンサルタントとして独立後、大地震でも死傷者を出さない備えや長期在宅避難の覚悟と備えに重点をおいて、防災講演やセミナーを通して防災対策の普及に取り組んでいる。近著に『マンション防災の新常識』(合同フォレスト)がある。

 

判定1. 防災備品は必要なものが揃っているか?

まずは、山田編集長が用意している「非常用持出袋」の中身を見せてもらいました。それに対する釜石さんの反応は?

 

山田「最初は、一通りの防災アイテムが入っていたのですが、賞味期限が切れそうなものを出したり、防災時に使えそうだと思ったものを追加したり、少しずつ入れ替えています」

 

釜石「ちなみにこれを持って、どこに避難しようとお考えですか?」

 

山田「避難所に指定されている小学校ですね。1~2日したら、自宅に戻るつもりですが」

 

釜石「そうすると具体的に役に立ちそうなのは……モバイルバッテリーと羊羹ぐらいでしょうか(笑)」

↑一見、非常用持出袋に入っていると安心に思えるものばかりですが……。必要なものはどこに避難するか、何日避難するかで変わってくるそう

 

山田「え! 言われてみれば、ガスボンベはあるけどカセットコンロはなかったり……」

 

釜石「何かの役には立つかもしれませんが、具体的な使い道が見えないものも多いですよね。非常用持出袋を整備するポイントは、「どこで使うか」を考えることです。山田さんの場合、自宅が耐震性の高いマンションですし、避難所に行くより自宅にいたほうが安心です。ならば、非常用持出袋より、「非常用持ち出さない袋」、つまり自宅の備蓄を充実させたほうがいいでしょう」

 

とくに地震では、震度6弱以上の場合は外に出ることは危険! 倒壊してしまったりそのおそれがないなら、“家にとどまる”という選択をすべきだそう。では、その“在宅避難”用の備蓄はどうかというと……?

↑GetNavi webの山田佑樹編集長。自宅は、都心の高層マンションの中層階にあり、大きな窓がある見晴らしのいい部屋だが、釜石さんは開口一番、「気になるところがたくさんありますね!」

 

判定2. 備蓄は万全か? “ローリングストック”って何?

自宅が築年数が浅く高耐震性のマンションのため、「災害時は、自宅にいたほうが安心」とアドバイスされた山田編集長。停電などで自宅に籠城することになった場合、まず用意しておきたいのが食料です。山田家では、どのような食料備蓄をしているのでしょうか?

 

山田「実は、わが家ではふだんから、保存できるものを常に備蓄しながら消費する“ローリングストック”を実践しているんです。レトルトカレーや缶詰は定期的に食べては補充し、米も5㎏の袋を開けたら次の5㎏を注文するように。水は2Lペットボトルを1ダース備蓄し、定期便を利用して毎月届くようにしています」

 

釜石「それは素晴らしいですね! これこそが正しい防災備蓄です。よく非常食として特別に用意している人もいますが、長年しまい込んで賞味期限が切れていたり、食べてみたらまずかった、なんてことも少なくないんです。考えてみたら、卵や納豆、豆腐も意外と賞味期限が長いですよね。わざわざ非常用に作られた特別なものを備蓄するのではなく、日常的に食べているものを切らさないようにすることこそ理想的なんですよ。

ワークショップで、みなさんに『今日、災害が起きたとして、今自宅にある食料で何が作れるか、献立を考えてみてください』と言うと、みなさん3~5日くらいは思いつきます。そこでアイデアが尽きても、ほかの人が考えた献立例を見せてもらって新しいアイデアが湧いてきたり、『鯖缶があると便利なのね』と気づいて今後の買い物リストに加えたりしています。“非常食”を用意するのではなく、ふだんの食生活がどのように応用できるかが大切なんです。自宅での籠城生活が何日になるか分かりませんが、まずは、家族が10日間〜2週間は食べていけるだけのストックをしておき、半分なくなったら半分買い足すようにするといいですね」

ローリングストックしたい食品・飲料

□ 米や餅、乾麺(パスタ、うどん、そば、そうめん など)
□ ホットケーキミックス粉(水を入れて湯煎すると蒸しパンになります)
□ 乾物(切り干し大根、高野豆腐、乾燥ひじき など)
□ ドライパック(大豆、ひじき、コーン、ミックスビーンズ など)

□ シリアル食品
□ 缶詰(ツナ缶、サバ缶、トマト缶、豆缶、コーン缶、果物の缶詰 など)
□ レトルト食品
□ 水などの飲料
□ その他、調味料など平時から使用しているもの

 

判定3. 家具が飛ぶ!? 地震に備えてしっかり固定されているか?

そのほか、山田家の家具や家電の防災で気になったことをご指摘いただきました。

 

釜石:家具や家電が固定されていないのが気になりますね。特に高層マンションは大きく揺れます。

 

山田:そうなんです。先日、東北で震度6弱の地震があったとき、東京は震度3でしたが、うちはペンダントライトが振り子のように大きく揺れて……。

 

釜石:たとえばこの冷蔵庫は、扉に水など重いものを入れていると扉が開き、その重みで前に倒れてきますね。扉が簡単に開かないようにチャイルドロックを取り付けたり、突っ張り棒をしたりするだけで、強い地震でも倒れにくくなりますよ。またパソコンのモニターやテレビ、花瓶なども飛び跳ねて、壊れるだけでなく人に当たってケガをさせる場合があります。阪神淡路大震災では、家具や家電が直撃して亡くなった人も少なくないですから……。そういった家具や家電には、下にジェル状の耐震パッドのようなものを敷けば、安定して倒れにくくなります。

↑たとえば電球もガラス製だと割れて危険ですが、最近のLED電球は樹脂製カバーがついているので割れにくくなっています。「これは大丈夫そうですね」と言われ、山田編集長も一安心

 

判定4. 停電を想定した備えはしているか?

さらに山田編集長は、どのような災害時にも発生しやすい停電に備え、“防災訓練”も行っていると言います。

 

山田「実は以前、停電になったことを想定して、1日電気を使わない生活をしてみよう、とやってみたことがあるんですが、これが難しくて(笑)。トイレすら電気で流れるタイプで、もはや用を足すこともできないのかと。それで取扱説明書を読んだら、実は停電時でも手動で流す方法が分かりました」

 

釜石「試してみたからこそ、その方法が分かったわけですよね。備品も、いざ使おうとしたら上手に使えなかったりしがちですから、平常時の今のうちに試しておきましょう」

停電時に備え最低限用意すべきもの

□ 懐中電灯
□ ランタン(各部屋に1〜2個)
□ ヘッドライト

□ 停電時自動点灯ライト
□ ラジオ
□ 乾電池
□ モバイルバッテリー
□ バッテリーチェッカー

□ 食事の備え(上記のローリングストック)
□ トイレ対策(携帯トイレ など)
□ 水の確保対策(ウォーターサーバー、保存水、水道水の汲み置き など)
□ 寒さ対策(ブランケットなど)

 

プロの防災マストハブは?

では防災のプロである釜石さんはふだん、自宅にどのようなアイテムを準備しているのかというと、やはり「日常的に使っているものを応用して災害時の備えとしているものが多い」とのこと。ただし停電時の備えは充実していました。

 

釜石「災害時にもっとも困るのは停電です。私の場合、自宅のリビングや寝室、廊下のコンセントに停電時自動点灯ライトを設置してあり、停電になると自動で点灯するので、まず足元の安全が確保できます。そして、この停電時自動点灯ライトをコンセントから引き抜いて懐中電灯として使いながら、ほかにもっと明るい懐中電灯やスリッパを探したり、着替えを行ったりするんです。

また、できるだけスマートフォンの電源を切らないよう、モバイルバッテリーも用意しています。各キャリアの携帯電話基地局は、発電用エンジンによる無停電化や大容量バッテリーにより24時間は稼働する態勢になっているため、情報収集や安否確認も24時間が勝負。少なくともその間はスマートフォンの充電は切らさないようにしたいですね」

 

さらに外出時に常に持ち歩いているものも教えていただくと、自宅に備えているものとほほ同じ。やはり災害時は、停電への備えと情報収集が重要であることが分かります。

↑釜石さんが日常的に持ち歩いている防災グッズがこちら。懐中電灯とモバイルバッテリー、充電用ケーブル、携帯ラジオ。いずれも軽量で荷物にならないサイズを選んでいます。一方、自宅に常備しているのは、大ぶりの懐中電灯とモバイルバッテリー、バッテリーチェッカー、停電時自動点灯ライトだそう

 

乾電池さえあればなんとかなる! パナソニックの電池防災グッズが心強かった

釜石さんが防災用に備えているものから見ても、やはり停電時の備えが大切であることが分かりました。冷蔵庫や洗濯機など、家電製品でおなじみのパナソニックでも、もしものときに備え、乾電池で稼働する防災グッズを開発しています。

 

代表的なものが、電池で稼働する「電池がどれでもライト」と「電池式モバイルバッテリー」。いずれも大震災の経験を生かして誕生しました。具体的にどのような製品で、いったいどのようなシーンで活躍するのか、チェックしてみましょう。

 

●単1形〜単4形乾電池の、どれか1本だけでいい!

パナソニック
電池がどれでもライト BF-BM10-W
オープン価格

単1形~単4形の電池がどれでも1本で使用できる懐中電灯兼ランタン。パナソニックの乾電池エボルタNEOを使えば、最長97.5時間使用可能(単1形~単4形全サイズ使用時)。

 

↑単1形~単4形まで、4タイプの電池がどれでも使えます。使い方は電池を入れ、使いたい電池の表示マークを本体のスイッチマークに合わせるだけ。子どもでも持ちやすい大きなハンドルが特徴です

 

↑立てて置けばランタンとしても使え、食事のときに便利。停電時の暗闇の中に明かりが灯るだけで、安心感が得られますね

 

単1形、単2形、単3形、単4形とそれぞれ1本ずつ入れられ、どのサイズの電池でも通電するのが特徴。東日本大震災の際、多くの懐中電灯に使われていた単1形、単2形の電池が入手できず、困っている人がいるのを見て「家庭でよく使われている単3形〜単4形電池1本でも使える究極の防災ライトを!」と開発されました。万一、電池のストックがなくなっても、リモコンや時計、子供のおもちゃなど、家庭内のどこかで使われている電池が使えます。

 

●充電池と乾電池を混ぜて使える!

パナソニック
USB入出力付急速充電器(電池式モバイルバッテリー
BQ-CC87L
オープン価格

USB入出力機能を備え、パナソニックの充電池「エネループ」単3形2本を約2.3時間で急速充電するほか、スマートフォンを充電するモバイルバッテリー、LEDライトとしても活躍します。

 

↑アルカリ乾電池とニッケル水素電池など、種類や容量が異なる乾電池や充電池を使ってスマートフォンに給電。乾電池のストックがなくなっても、リモコンなどの使いかけの乾電池を入れて使うこともできます。

 

↑付属のアタッチメントを付ければ、LEDライトとしても使えます。明るさは35lmで、充電池「エネループ」を使えば約11時間点灯(満充電のエネループ4本使用時)。

 

この「電池式モバイルバッテリー」が便利なのは、単3形充電池・乾電池であれば、種類や容量の違いを問わず使えること。従来、複数の電池を同時に使う場合は、種類や容量が違うものを混在させると先に残量が少なくなった電池に過放電のリスクがあるため、推奨されていませんでした。

 

しかし、大阪北部地震や北海道胆振東部地震での停電時に、スマホが充電できずに困っている多くの人を見てモバイルバッテリーの必要性を感じ、家にあるどの単3形乾電池でも使えるように、と開発されたのがこの製品。電池の状態を1本ずつセンシングし、まんべんなく効率よく出力できるほか、自動停止機能で電池を過放電や漏液リスクから守ります。

 

※BQ-CC87をモバイルバッテリー・LEDライトとしてご使用いただく場合に限り、個別制御機能(電池の状態を個別に判別・制御する機能)が搭載されていますので、乾電池や容量・種類・銘柄の違う電池を混ぜて使用できます。他の機器でご使用いただく場合、電池の混合使用はお控えください。

 

このように万一の停電のときは乾電池が非常に役立つことがよく分かりました。実際、防災のプロ、釜石徹さんも「乾電池のストックは災害への備えの大前提」とし、ローリングストックの一環として、単3形や単4形を各20本、単1形、単2形を各5本は切らさないようにしているといいます。さらに災害時の備えとして考えるなら、「性能がよく長もちする乾電池が安心」とも。

 

そこで編集部がおすすめしたいのが、パナソニックの乾電池「エボルタNEO」です。

 

保存時も液もれしにくい、⽇本が誇る長もち乾電池

パナソニックの乾電池「エボルタNEO」は、パナソニック独自の技術をさらに進化させ、同社のアルカリ乾電池や乾電池「エボルタ」を上回る長もち性能を実現しています。

パナソニック
乾電池 エボルタNEO
オープン価格

単3形アルカリ乾電池において世界一長もちするとして、ギネス世界記録(TM)に認定。10年保存ができ、液もれも抑えるので、防災備蓄としてもおすすめ。パナソニックの乾電池は1931年の自社生産開始以来、グローバルでの累計出荷数量が2020年9月末をもって2000億本を達成するほど、世界でその信頼性が認められています。

 

このように信頼できる乾電池と、電池で給電できる便利な防災グッズを用意しておくことで、もしものときだけでなく、日頃の安心感までも得られます。東日本大震災から10年という時機に、あらためて家の備えを見直してみましょう。

 

取材・文=田中真紀子 写真=下城英悟

全世界2000億個出荷達成! パナソニック乾電池の過酷すぎるチャレンジと90年の歩みを振り返る

2020年9月末、とてつもない記録がひそかに達成されていたのをご存知でしょうか? それは、パナソニックの乾電池が全世界で累計出荷数量2000億個を達成した、というもの! 地球上の人類77億人が各自26個も買って、ようやく達成する数。プロ野球だって、選ばれしほんの一握りの打者が苦労の末、2000本安打を達成できるのに、2000億個なんて想像を絶する数字です。それだけ、パナソニックの乾電池の品質と安全性が、長年にわたって世界で信頼され、愛されてきたという証でしょう。

 

野球と乾電池を比べるのもどうかと思いますが、普段の暮らしのなかで製品にお世話になっている日本メーカーのパナソニックが成し遂げた記録というのは、なんだか誇らしい気持ちになりますね。

2021年は、1931年にパナソニック(当時の社名は松下電気器具製作所)が乾電池の自社生産を開始してから90年、という節目の年。パナソニックの乾電池が、なぜここまでの記録を達成できたのか? 今回はその進化の歴史と、過酷すぎる“チャレンジ”に注目してみたいと思います。これを読めば、乾電池の小さなボディに秘められた凄さがわかりますよ!

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90年の歴史をおさらい! 黎明期の乾電池は三角形だった

まずはパナソニックの乾電池の歴史を一気に振り返っていきましょう。

 

1923年「エキセル乾電池」……三角形!

自社生産ではないものの、最初にパナソニック(当時は松下電気器具製作所)が1923年に発売した乾電池が「エキセル乾電池」。パナソニックの創業者・松下幸之助さんが考案したこの乾電池は、自転車に搭載される「砲弾型電池式ランプ(現代の自転車用ライト)」用のもので、電池寿命30時間以上(当時は2〜3時間が一般的)という画期的なものでした。形はなんと三角形! 現在の感覚から見るとかわいい形ですね。

 

1931年「ナショナル乾電池」……戦前に300万個を売り上げた

その後、1927年に手提げタイプの角型電池式ランプを開発したところこれが大ヒット。ちなみにこのランプが昭和世代にはおなじみの「ナショナル」ブランド第一号となります。

 

この電池を本格的に普及させるため自社生産を開始したのが1931年。当時の名称は「ナショナル乾電池」。乾電池は、戦前、最高300万個を販売するヒット商品となりました。

 

1954年「ナショナル ハイパー」……お馴染みの形に

第二次世界大戦を経て、戦後の復興とともに乾電池も姿を変えます。1954年、日本で初めての完全金属外装乾電池「ナショナル ハイパー」を発売。いわゆる私たちの想像する乾電池のフォルムとなっています。

 

1963年「ナショナル ハイトップ」・1969年「同 ネオ ハイトップ」……マンガン乾電池が登場

1963年に登場したのが、従来の2倍の寿命があるマンガン乾電池「ナショナル ハイトップ」。カミソリ、電卓など幅広い分野に乾電池が使われるようになり、需要はますます増えていきます。その後も改良が重ねられ、1969年には当時の世界最高寿命を誇る「ナショナル ネオ ハイトップ」が完成しました。

 

1983年「ナショナル ウルトラネオ」・1992年「パナソニック アルカリ」……アルカリ乾電池が登場

1983年にはアルカリ乾電池「ナショナル ウルトラネオ」を発売。また、地球にやさしいエコ時代の流れに沿うように、1992年には水銀ゼロ使用のアルカリ乾電池が登場しています。普及が進むデジタル機器用の電池として、強負荷放電性能を大幅にアップした大電流パワーアルカリ乾電池も開発され、マンガン乾電池に代わりアルカリ乾電池が定着していきました

 

2004年「オキシライド乾電池」……長寿命が実現

そして、2004年には正極にオキシ水酸化ニッケルを採用した長寿命電池「オキシライド乾電池」が登場。「オキシライド乾電池・有人飛行プロジェクト」も行われています。この頃から、大胆なチャレンジの萌芽が!

 

2008年「エボルタ」/2017年「エボルタNEO」……最新形が誕生

2008年には、ついにおなじみのアルカリ乾電池「エボルタ」がお目見え! 日本国内では業界初の使用推奨期限10年を実現。2017年には長もち性能10%アップの「エボルタNEO」へと進化を遂げました。エボルタ時代からエボルタNEOまで、「世界一長もちする単3形アルカリ乾電池」のギネス世界記録を13年連続で更新しています。

 

駆け足でおよそ90年にもわたる、パナソニックの乾電池の歴史を振り返ってきました。乾電池に求められる役割が変化するなかで、時代に合わせて開発・進化を続け、日本の乾電池市場をリードしてきたことがよくわかりますね。

 

パナソニック乾電池の性能を示す“チャレンジ”が想像以上に過酷だった!

そんな乾電池が、小さいながら、どれだけ縁の下の力持ちとして働いているか? パッと見ではわからないものを目に見える形で、そして感動をもって伝えてくれるのが、2008年から始まったプロジェクト「エボルタチャレンジ」でした。

 

小さなロボット「エボルタくん」が、その背中に背負った乾電池「エボルタ」(エボルタNEOや充電式エボルタのときも)を動力として、世界を股にかけて記録に挑戦。そのチャレンジの内容は毎回過酷で、人間に置き換えて考えても「それは厳しすぎるだろうよ……」というミッションが並んでいます。パワフルで特別な電源やエンジンを使ってやるべきことを、小さな乾電池だけで成し遂げる姿は、涙なくしては見られません。

 

90年の歴史が培ったパナソニック乾電池の性能を証明すべく、どんな試練が課せられたのでしょうか?

 

乾電池2本だけでグランドキャニオン登頂にル・マン走破!

↑ご存知、グランドキャニオンとはこれほどの断崖絶壁!

 

記念すべき最初の「エボルタチャレンジ」は、2008年の「グランドキャニオンに挑戦」。

↑たった2本の「エボルタ」を動力源に、グランドキャニオンの断崖絶壁を登っていく

 

雨やひょうが降る過酷な環境のなか、6回目の挑戦でついに約530mのロープを6時間46分31秒というタイムで登り切りました! 新たに開発された「エボルタ」のパワーと持続力を世に知らしめたのです。

 

↑2年目はル・マンへ乗り込んだ!

 

2009年はなんと、モータースポーツの聖地ル・マンでの「24時間耐久走行」。この年も2本のエボルタだけを動力源にした車両型のエボルタロボットが、24時間サーキットを休みなく走り続けました。途中故障がありましたが、再走行で見事完走。走行距離23.726kmを記録しました。

↑小さなカラダでひた進む!

 

“天下の険”箱根で苦戦も乗り越える! 61日間に及んだチャレンジ

↑道中、地元の子どもたちとふれあいながら完走

 

2010年には、東京~京都間約500kmを走破する「充電式エボルタ 東海道五十三次」。61日間かけてのゴールでした。2011年は3種類のエボルタロボットが総距離約230kmのスイム・バイク・ランに挑む「充電式エボルタ トライアスロン」。こちらは昼夜ぶっ通し166時間56分で完走。

↑スイム、バイク、ランそれぞれにエボルタくんが取り組んだ

 

壮大なチャレンジが続きますが、徐々に「こう来たか!」と唸らせる工夫を凝らし、人々との関わりを重視した内容になっていきます。

 

プラレールから本物の鉄道まで!

2012年の14日間ノン・ストップでバーベル挙げに挑戦する「長もち年越しチャレンジ」を挟んで、2013年には誰もが子どもの頃1度は遊んだことがある「プラレール」とのコラボが実現しました。

↑小学校の体育館から校舎へと無尽に敷かれたレールをひた走る!

 

たった1本の乾電池を動力源にプラレールの長距離走行にトライ。翌年3月に廃校予定だった滝野川第七小学校の生徒たちが作った絵やメッセージで飾り付けられたコースなんと約5.6kmを駆け抜けました。世界一長いプラスチックレールを走破するギネス世界記録を達成しています。

↑2014年と2015年は、実際の線路を使用して行われた(写真は2014年のチャレンジ)

 

ここからチャレンジは本物の鉄道を使った内容へ! 2014年は「廃線1日復活チャレンジ」。2009年に廃線になった秋田県大館市の旧小坂鉄道小坂線内約8.5kmの区間で、単1形乾電池エボルタ99本を動力源に、総重量約1トンのオリジナル車両が有人走行を敢行。

 

2015年は「世界最長距離 鉄道走行チャレンジ」。川越工業高等学校電気科「電車班」の生徒が作成した車両が22.615kmの区間を2時間47分9秒で走破し、ギネス世界記録を達成しました。

 

とうとう、飛んだ!

↑乾電池パワーで無事離陸

 

そしてついに2016年、チャレンジは空へと羽ばたきます。「世界最長距離 有人飛行チャレンジ」。琵琶湖で東海大学人力飛行機チーム「TUMPA」製作の機体が乾電池エボルタのパワーだけで離陸し、3531mを飛び着水。残念ながら世界記録の達成はなりませんでしたが、動画サイトでの中継も盛り上がり、多くの人の記憶に残る飛行となりました。

 

再びエボルタくんに数々の試練が……

2017年からは「エボルタNEO」の出番。ふたたびロボットが登板し、厳しい環境のなかでも持続的に高いパワーを発揮する「エボルタNEO」のポテンシャルを証明しています。

 

「エボルタNEOフィヨルド1,000m登頂チャレンジ」は、エボルタNEO単3形2本を動力源に長もち実証ロボット「エボルタNEOくん」が、ノルウェーのフィヨルドのロープ登頂にチャレンジ。

 

2018年は「エボルタNEO 世界最長遠泳チャレンジ」。山から海へ舞台を移し、広島県・宮島口から嚴島神社の大鳥居までの約3kmをわずか17cmのエボルタNEOくんが泳ぎ切りました。「乾電池を動力にしたロボットが泳いだ世界最長距離」として、ギネス世界記録を見事達成!

 

そして2019年は「エボルタNEO トライアスロン」。お台場を舞台にエボルタNEOくんがトライアスロンに挑戦し、目標タイムである1時間45分01秒以内をクリアし、1時間26分40秒でフィニッシュしました。

 

数々の過酷すぎるチャレンジで、乾電池ができることの可能性を見せ、夢を与えてくれる「エボルタチャレンジ」。2020年はコロナ禍の影響もあり、残念ながら挑戦は見送られましたが、今後もロマンと驚きに満ちた企画で私たちをワクワクさせてくれることでしょう! 期待してマス!

 

CO2ゼロエミッションでさらにエコな乾電池へ

90年にわたり、私たちの生活と密着しながら歴史を刻んできたパナソニックの乾電池。現在は持続可能な社会の実現のために、すべての生産工場でCO2排出削減が進められ、すでにコスタリカ・ベルギー・ブラジルの3工場ではCO2ゼロエミッション化を実現しています。

 

引き続き、日本発の技術でグローバル市場に向けて、高品質で安心・安全な乾電池を供給していくというパナソニック。これからも小さな乾電池が私たちの未来を豊かにしてくれそうです。

 

パナソニック乾電池2000億個突破記念プレゼントキャンペーンについてはこちら

 

文/柚木安津