フードアナリストが記憶に残る「2017グルメ」は何だった? ベストグルメ5選

日夜、フードのトレンドを追いかける筆者。昨年は「インスタ映え」が「2017ユーキャン新語・流行語大賞」に取り上げられましたが、これはグルメ界でも影響が大きく「チーズタッカルビ」や「ワンハンドスイーツ」などのブームもその一端でしょう。ただ自ら書いた記事を振り返ってみると、ほかにも注目のトピックはありました。そのなかから5つピックアップし、改めて紹介したいと思います!

 

【その1】

新ブランドを立ち上げた理由とは? 鉄板料理の名門「うかい」がロティサリーチキンメインのフレンチをオープン!

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個人的に、2017年はチキンが盛り上がった1年だったと思います。これは「酉年」だったという点も少なからず関係していると思いますが、より深層に迫る記事をふたつご紹介。まずは、トランプ大統領の来日晩餐会でクローズアップされた「うかい亭」の新業態から。記事はこちら:http://getnavi.jp/cuisine/114582/

 

【記事のダイジェスト】
その店名は「Le Poulet Brasserie Ukai」(ル・プーレ ブラッスリーうかい)。大手町に竣工された「大手町パークビルディング」の1階に2月23日オープンしました。なお、この一帯は「大手町ホトリア」として再開発が計画されていた街区で、地下階には十数件の飲食店が同時オープンしています。ただ、玄関口といえる1階に店を構えているのは、ル・プーレ ブラッスリーうかいのみ。それだけの注目店ということです。

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料理の中心は「鶏」。多彩な調理法でその魅力を最大限に引き出した料理が並び、特に看板メニューとなるロティサリーチキンは、旨みが力強いスペイン産若鶏と繊細な味わいの国産地鶏の2種から選べるようになっています。

 

【この記事を選んだ理由】
鶏を軸にした新業態を作った理由は大きくふたつ。フランスにおけるパーティの定番料理・ロティサリーチキンをカジュアルに提供したいという想い、そしてフレンチを得意とするシェフが多数したから。個人的には、一般的に牛肉より安価な鶏肉を「うかいならではのご馳走」として昇華しているスタイルが非常に興味深いです。

 
【その2】

酉年に「鶏」を巡るフード業界の最前線ーーローソン、鳥貴族、焼鳥達人の会の戦略をフードアナリストが追いかける

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鶏のトレンドに密着した記事がこちら。その後を見ても、コンビニではファミリーマートも焼鳥に本格参入し、鳥貴族は2017年12月31日時点で614(取材した2月当時は515店舗だったので、1年経たないうちに約100店舗の拡大!)店舗の体制に。焼鳥達人の会にも大盛況で開催され、今後の盛り上がりにも期待大です。記事はこちら:http://getnavi.jp/cuisine/128122/

 

【記事のダイジェスト】
酉年の鶏料理の盛り上がりはいかに? その実態を明らかにして最前線を知るべく、ローソン、鳥貴族、予約困難の焼鳥店「鳥かど」の各キーマンにインタビューを敢行しました。

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そこで見えてきたのは、各社はトップランナーでありながら、守りではなく攻めていたということ。ローソンは新商品開発に余念がなく、からあげクンが200種を突破。鳥貴族は先述したように100店舗も拡大。鳥かどの人気も相変わらずで、予約が取れない状況が続いているようです。

 

【この記事を選んだ理由】
そもそも手ごろ、ヘルシー、調理法が幅広い、世界中で食べられているなど、素材としてのポテンシャルが高い鶏肉は年々人気が上昇している食材。2018年になり酉年から戌年になりましたが、目が離せない食材であることは変わりません。
【その3】

ウイスキーで“通”を気取るなら「ウッドフォードリザーブ」! スーパープレミアムに格付けされるその魅力とは?

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フードアナリストとしてはお酒のトレンドウォッチも欠かせません。そこで個人的にアツかったトピックは、ウイスキーとビールの各業界で起きているにわかなブーム。まずは前者から紹介しましょう。記事はこちらから:http://getnavi.jp/cuisine/139899/

 

【記事のダイジェスト】
ウイスキーやバーボンのトレンドは活況。ただ海外では大人気だけど、まだ日本であまり知られていない“スーパープレミアム”に格付けされる名酒「ウッドフォードリザーブ」があります。その特徴は、やさしい味わいながらエレガントなフレーバーとリッチな飲み応え。しかも汎用性がズバ抜けており、これも愛される理由なのです。

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日本のバーシーンでも、海外でのスーパープレミアムバーボンやクラフトジンのトレンドが派生してカクテルの人気が上昇中。ということもあり、次第に「ウッドフォードリザーブ」の需要が高まっていくのは明らかなのです。

 

【この記事を選んだ理由】
改めて飲んで学んだ「ウッドフォードリザーブ」でしたが、想像以上に奥深く味わい深いものがありました。バーボンというと男っぽい飲み物というイメージがあると思いますが、このお酒はボトルもスタイリッシュでお洒落。価格はそれなりにしますが、だからこそ特別な日や贈り物にはぴったりといえるでしょう。また、バーボンやジンを革新的に使うお店が増えつつある最先端のバーシーンにも一層注目していきたいです。
【その4】

京都のクラフトビール熱がヤバすぎる! 最新店から醸造所まで観光のときに寄りたい激アツスポット3選

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もうひとつ、お酒のトレンドを語るうえで欠かせないのがクラフトビール。全国的に広がりを見せるなか、古くからの美食の都である京都がその熱で盛り上がっているという記事です。記事はこちらから:http://getnavi.jp/cuisine/187269/

 

【記事のダイジェスト】
紹介したのは、キリンビールが手掛ける「SPRING VALLEY BREWERY」(スプリングバレーブルワリー/以下:SVB)の3号店。こちらは2017年9月7日のグランドオープンの模様を取材。

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さらに、設立20年以上の「京都町家麦酒醸造所」と、おばんざいなど京都らしい料理とのペアリングを提案する「BEER PUB ICHI-YA」(イチヤ)の3店を取材しました。

 

【この記事を選んだ理由】
ビール全体で見ると年々飲まれなくなっているようですが、クラフトビールは元気なカテゴリー。しかもクラフトビール大国であるアメリカでは爆発的に伸びており、ビール全体のシェアの10%を超えています。日本を見ても、酒税を取り巻く今後の環境に関して、クラフトビールにとっては追い風といえる状況。とにかく注目の業界です。そこにあって、京都が関西の拠点として盛り上がっているニュースは非常に興味深いですね。

 
【その5】

ついに「六本木ステーキトライアングル」が完成! その最新店「エンパイア ステーキ ハウス」は肉へのこだわりがスゴイ
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最後は肉。2017年10月17日、NYから六本木に上陸した「エンパイア ステーキ ハウス」のオープンの模様を中心に、この地のステーキ激戦秘話を紹介した記事です。記事はこちらから:http://getnavi.jp/cuisine/187269/

 

【記事のダイジェスト】
2017年、外食業界では“六本木ステーキ戦争が勃発する”といわれてきました。それは2014年2月に上陸した「ウルフギャングステーキハウス」に加え、2017年6月に上陸した「ベンジャミンステーキハウス」、10月上陸した「エンパイア ステーキ ハウス」が人気を追随する形になるからです。

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3店舗を取材してわかったのは、「NYスタイル」の共通点。ひとつが「ドライエイジング」という熟成法で、エンパイアステーキハウスでは21~30日、ウルフギャングステーキハウスとベンジャミンステーキハウスでは約28日間が目安です。そして、皿ごと高温の専用機器で焼き上げるというのも特徴。これがNYステーキのおいしさの秘密なのでしょう。ほかとはひと味違うおいしさを、特別な日にぜひ体験してみましょう!

 

【この記事を選んだ理由】
肉ブームと呼ばれるざっくりとしたトレンドがあるなかで「熟成肉」というジャンルが盛り上がった時期があり、食べた方も少なくないと思います。ただ、それはNYステーキ特有の「ドライエイジング」による芳醇な味を体験しないと熟成肉を食べたことにはならないと言えるでしょう。今後も肉人気は続くと思いますが、肉料理の花形であるステーキを食べるなら、NYスタイルはかなりオススメです。

 

ついに「六本木ステーキトライアングル」が完成! その最新店「エンパイア ステーキ ハウス」は肉へのこだわりがスゴイ

2017年、外食業界では“六本木ステーキ戦争が勃発する”といわれてきました。なぜなら、数年前にオープンして一気に話題となったNYのカリスマ店に加え、今年に入って新たに超名店が2ブランドも上陸したからです。いわば「六本木ステーキトライアングル」。今回は先日オープンした最後の大物・ラストエンペラーを紹介するとともに、この3店舗に共通するおいしさの秘密やNYステーキの神髄をお伝えしたいと思います!

 

「エンパイア ステーキ ハウス」の上陸で六本木のステーキ熱は最高潮に!

六本木ステーキトライアングルを3本の矢に例えると、まず第1の矢は2014年2月に上陸した「ウルフギャングステーキハウス」、第2の矢は今年6月に上陸した「ベンジャミンステーキハウス」。そして第3の矢が、10月17日に上陸した「エンパイア ステーキ ハウス」です。

↑エンパイアステーキハウス 六本木の外観。駅から数分の、「カンデオホテル六本木」の1階にあります↑エンパイアステーキハウス 六本木の外観。駅から数分の、「カンデオホテル六本木」の1階にあります

 

まずは本国での人気ぶりを。NYのエンパイアステーキハウスは、2011年から6年連続で全米No.1レストランガイド「ザガット・サーベイ」に掲載されるなど、その人気と実力は一流。現在はマンハッタンに2店舗を構え、セレブや食通の女性を中心に人気を博しています。

↑六本木店のメインダイニング。1920年代のNYをイメージしています↑六本木店のメインダイニング。1920年代のNYをイメージしています

 

もちろんメインはステーキ。やはりNYスタイルでよく見られる“Tボーン”が名物です。Tボーンという名の由来は、牛肉の部位である「ショートロイン」を骨ごとカットした部分がT型となることからで、骨の片方には脂がのったサーロイン、逆サイドにはしっとりやわらかいヒレ。この2つの部位を同時に味わえるのがTボーンの魅力です。そして同店では、Tボーンのなかでもヒレのサイズが大きいものを仕入れて「ポーターハウス」として使用。

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なお、同店ではTボーンステーキが二枚看板になっています。これはちょっとした特徴といえるでしょう。どちらも米国農務省が認定した格付け最高ランク「プライムグレード」のブラックアンガスビーフをドライエイジングで熟成したものです。

↑エンペラーステーキ/2万4000円(2~3名用)↑エンペラーステーキ/2万4000円(2~3名用)

 

ひとつは、ヒレのなかでも特にやわらかい希少部位・シャトーブリアンを楽しめる「エンペラーステーキ」。もうひとつが、シャトーブリアンではないものの、極厚カットのヒレとサーロインの旨味を存分に味わえる「プライム ポーターハウス ステーキ」です。

↑プライム ポーターハウス ステーキ/1万6000円(2名用)~3万2000円(4名用)↑プライム ポーターハウス ステーキ/1万6000円(2名用)~3万2000円(4名用)

 

さらに同店は、ステーキ以外のサイドメニューも充実。「ジャンボシュリンプカクテル」「フレッシュオイスターオンザハーフシェル」「シーフードプラッター」といった鮮度抜群のシーフードや、米国スタイルでは定番の「クリームスピナッチ(ほうれん草の煮込み)」や「マッシュポテト」、また「ニューヨークチーズケーキ」をはじめとするデザートも豊富にラインナップされています。

↑シーフードプラッター(ジャンボシュリンプ・ロブスター・オイスター)3800円。北海道・厚岸(あっけし)産の臭みがないミルキーなカキなどを使用しており、こちらも贅沢な味わいです↑シーフードプラッター(ジャンボシュリンプ・ロブスター・オイスター)/3800円。北海道・厚岸(あっけし)産の臭みがないミルキーなカキなどを使用しており、こちらも贅沢な味わいです

↑エンパイアサラダ(シュリンプ・オニオン・トマト・カナディアンベーコンのサラダ)/1800円。サラダにも山海の幸がたっぷりでゴージャス!↑エンパイアサラダ(シュリンプ・オニオン・トマト・カナディアンベーコンのサラダ)/1800円。サラダにも山海の幸がたっぷりでゴージャス!

↑特別にふるまわれた盛り合わせ。ニューヨークチーズケーキ、チョコレートムースケーキ、ティラミスなどが並んでいました↑特別にふるまわれた盛り合わせ。ニューヨークチーズケーキ、チョコレートムースケーキ、ティラミスなどが並んでいました

 

そして、ドリンクで注目すべきはカリフォルニアにこだわったワイン。泡はシャンパンなどもあり、パーティ向けのマグナムボトル(1500ml)や、それ以上の大サイズも豊富にそろっています。

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店内にはバーカウンターも用意。世界中のウイスキーやカクテルのほか、クラフトビールや日本の酒もあり、ウェイティングに使ったり、軽く飲んだり。また、おひとり様での食事も可能で、ここでフルコースを食べるのもOKだそうです。

 

ドライエイジングビーフを皿ごと超高温で焼くのがNYの流儀!

冒頭で「六本木ステーキトライアングル」の話をしましたが、この3店舗を取材してある共通点を見つけました。もちろんそれは「NYスタイル」のことなのですが、ステーキに限っていえばほかと明らかに異なる点があります。そのひとつが熟成。エンパイアステーキハウスでは21~30日、ウルフギャングステーキハウスとベンジャミンステーキハウスでは約28日間が目安です。

↑エンパイアステーキハウス 六本木の熟成庫。寝かせるために、わざわざ空調完備の部屋を用意しています。NYスタイルにはそれだけ熟成が欠かせないということでしょう↑エンパイアステーキハウス 六本木の熟成庫。寝かせるために、わざわざ空調完備の部屋を用意しています。NYスタイルにはそれだけ熟成が欠かせないということでしょう

 

なかには熟成させない肉もあるようですが、やはりNYステーキの王道は熟成肉。そして、NYでは冷温のなかで風を循環させながら乾燥熟成させる「ドライエイジング」が用いられます。昨今の日本では熟成肉がブームと言われており、方法は各自で様々。その多くは比較的に手間のかからない「ウェットエイジング」ですが、これではドライエイジング特有の香りや旨味は出ません。これまで何度かドライエイジングの肉を目にしてきましたが、やはりNYステーキは独特の芳香が大切といえますね。

↑手前が熟成後、奥が熟成していないビーフ。ドライエイジングはよりやわらかく、ナッツのような芳しい香りが特徴です↑手前が熟成後、奥が熟成していないビーフ。ドライエイジングはよりやわらかく、ナッツのような芳しい香りが特徴です

 

NYスタイルの共通点は、調理法や提供スタイルにもありました。まず調理法は、皿ごと高温の専用機器で焼き上げます。エンパイアステーキハウスとウルフギャングステーキハウスでは900℃のオーブンで、ベンジャミンステーキハウスでは国内唯一の「高温デッキブロイラー」で一気に焼き上げるとか。ということで、ウルフギャングとベンジャミン、それぞれのステーキも見てみましょう。

↑ウルフギャングステーキハウスの「プライム ステーキ」↑ウルフギャングステーキハウスの「プライム ステーキ」

↑ベンジャミンステーキハウスの「ステーキ」↑ベンジャミンステーキハウスの「ステーキ」

 

皿の上で肉汁が沸騰している様子や、高熱の皿の端に脂が飛んで焦げ付いているのがおわかりいただけるでしょう。そして、提供スタイルに関して共通するものといえば、先述したクリームスピナッチとマッシュポテトの存在。このふたつはステーキだけではなく、例えば「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」で有名な米国式の極厚ローストビーフ「プライムリブ」でもよく添えられます。

↑ウルフギャングステーキハウス 六本木にて↑ウルフギャングステーキハウス 六本木にて

 

ちなみに少々マニアックな話でいえば、六本木ステーキトライアングルの共通点には「ピーター・ルーガー」の存在も。これはNY最高峰と言われる老舗ステーキハウスのことで、エンパイア、ウルフギャング、ベンジャミン、それぞれの創業者は同店出身なのです。名門の誇りがハイクオリティなおいしさを生み出し、多くのステーキファンの心をつかんでいるということでしょう。なにはともあれ、ぜひほかのステーキとは違うNYの味わいを体験してみてください。

 

【SHOP DATA】

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Empire Steak House Roppongi(エンパイアステーキハウス 六本木)

住所:東京都港区六本木6-7-11 カンデオホテル1F

アクセス:東京メトロ日比谷線ほか「六本木駅」3番出口徒歩2分

営業時間:ランチ 11:30~15:00(フードL.O.14:00 ドリンクL.O.14:30)、ディナー 平日・金・土17:00~23:30(フードL.O.22:30 ドリンクL.O.23:00)、日・祝日 17:00~23:00(フードL.O.22:00 ドリンクL.O.22:30)

定休日:なし