【プロが推す高コスパ家電】「ぱりジュワッ」な仕上がりに感動! 約5万円オーブンレンジの2ヒート調理が便利すぎる

「コスパ」=「激安」とは限らない——。ここでは、家電のプロたちが実体験を踏まえた各自の指標で、「価格以上のパフォーマンス」を保証できる逸品を厳選。その魅力を語り尽くす。今回紹介するのはシロカの「シロカのおりょうりレンジ ぱりジュワッ」。

※こちらは「GetNavi」2023年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【私が推します!】

家電プロレビュアー・石井和美さん

白物家電や日用品を中心に鋭いレビューを行う。戸建てのテストスペース「家電ラボ」を運営し、大型の家電もレビュー。

 

商品名に一切の偽りなし!! 主婦の味方「2ヒート」がスゴい

シロカ
シロカのおりょうりレンジ ぱりジュワッ
SX-23G151

実売価格:4万9800円

独自の「2ヒート技術」を搭載し、予熱と裏返し不要で“外ぱりっ、中ジュワッ”を実現。上部のヒーターと、マイクロ波で温度が上昇する特殊な「2ヒート皿」により、上下から食材を加熱、事前の解凍も要らずムラなく焼き上げる。

SPEC●定格消費電力:1400W●庫内容積:23l●出力:1000W、600W、500W、200W相当、100W相当●サイズ/質量:約W468×H338×D429mm(ハンドル含む)/約15.0kg(付属品含まず)

 

↑「刺身解凍」「酒かんあたため」など11種類の用途別メニューと、「照り焼きチキン」「マカロニグラタン」など66種類のお料理メニューを搭載。あたためや解凍から本格料理まで、調理の幅が広がる。80品掲載のレシピブックも付属

 

↑上段では2ヒート皿に食材をセットしてグリル調理、下段(庫内中央)では通常の電子レンジ調理を行う2段調理も可能。加熱方法の異なる2品を同時に調理できて大幅な時短に

 

↑出力を細やかにコントロールする独自の「やさしさ解凍」により、熱の通しすぎや加熱ムラを防止。ひき肉や刺身のサクといった加減の難しい食材も、解凍ムラを抑える

 

まさに製品名通りの“ぱりジュワッ”な仕上がりに

とにかく便利なのが付属の2ヒート皿。コレで焼き上げると、製品名の通り“ぱりジュワッ”な仕上がりに。某ファミレスでテイクアウトした辛味チキンが、2ヒート調理によりお店で食べるよりも“ぱりジュワッ”食感に仕上がったのには感動しました。おかずにもつまみにもなるのでお試しあれ。塩サバなどは、事前にレンジで解凍しなくてOKで、冷凍した状態のまま焼くことができます。時短性能も抜群です。

 

ほかにも、ボウルに材料と調味料を入れて加熱するだけの簡単レシピも実用的です。私がいつも作っているのは「トマトエビチリ」。火加減おまかせで失敗がなくエビはプリプリの食感に仕上がり、フライパン調理より油も少ないのでヘルシーになるのも魅力です。

 

レシピはヘルシーでやさしい味や簡単にできる品が多いので、子どもが自立するときに持たせたい家電のひとつ。本体がコンパクトで設置しやすいのも助かります。

 

スチーム機能を省いて、価格は抑えめ。2ヒート調理の汎用性が高すぎるので、文句なしのお値打ち品と言えます。

加熱性能が向上! 外見もシュっとした「BALMUDA The Range」新モデルを見てきた

バルミューダは「BALMUDA The Range」(バルミューダ ザ・レンジ)の新モデル(K09A)を6月1日に発売しました。こちらは2017年に発売された旧モデル(K04A)の後継機種で、ブラック・ホワイトおよび限定カラーのダークグレーは実売価格5万3900円(税込)、ステンレスは 6万2700 円(同)です。

↑「BALMUDA The Range」の本体寸法は幅 456 × 奥行 435 × 高さ 331mm(ハンドル含む)、幅 456 × 奥行 387 × 高さ 331mm(ハンドル含まない)。庫内寸法は幅 352 × 奥行 314 × 高さ 177mmです。本体重量は約15.3kg

 

レンジ・オーブン機能とも加熱性能が向上

「BALMUDA The Range」は容量20Lのオーブンレンジ。シンプルな機能で直感的な操作が可能なほか、操作や運転時のギター音、まるでステージのようなライトアップによってキッチンに楽しさを届けるものとなっています。

↑ハンドルに内蔵されたLEDライトもリニューアル

 

使用時に複雑な設定は不要で、6種類のモードから直感的に選んでダイヤルを回すだけで調理を開始できます。シンプルで直感的な操作方法で誰でも手軽に料理を楽しめます。

新モデルは庫内構造を見直すことによって、レンジ・オーブン機能とも加熱性能が向上したとのこと。旧モデルでは、レンジ機能で温めた際、食材の温度ムラを指摘されることもあったそうですが、新モデルでは庫内中心部が正確に加熱されることにより、より均一な温めが可能になりました。また、オーブン機能は、ヒーター管を1本から2本に増やして庫内上部に内蔵することにより、均一な焼き上がりになるそうです。そのため、パンやお菓子類などを作るのにも適しているとのこと。開発者は、BALMUDA The Rangeによってオーブン料理をシンプルでハードルの低いものにしていきたいそうで、その言葉通りの設計となっています。

↑説明会では、実際にBALMUDA The Rangeで作られたフォカッチャが提供されました。しっとりモチモチした食感に仕上がり、焼き目もムラがありません。

 

また、旧モデルは庫内天井部分にヒーター管がむき出しで、メンテナンス時に破損させてしまうリスクもあったそうですが、今回はヒーター管を内蔵することにより、手入れのしやすさも実現させています。このほか、通気口の位置を背面から上部に変更。側面の設置制約がなくなり、設置の自由度が高まりました。

↑新モデル(左)と旧モデル(右)の背面の比較。新モデルでは背面の上部に通気口が設置されています。そのため左右の側面を壁にピッタリとくっつけて設置できるようになりました

 

デザインもクラシック&モダンにアップデート

新モデルは、クラシックな要素を取り入れながらも、モダンで無駄のないデザインにアップデート。ハンドルやダイヤル、窓枠などの細部に改良が加えられ、より洗練されたデザインとなりました。なお、開発段階では、扉と本体の質感が違うなどの課題があり、担当者が工場のある中国に7か月間滞在して金型を作りなおすなど、試行錯誤を重ねたとか。

↑左が旧モデル、右が新モデル。新モデルはハンドルが細くなり、クラシックな意匠が施されているのが特徴。金属の質感表現にもこだわったそうです。また、ハンドルが細くなったぶん、LEDを埋め込むのに苦労したとのこと。このほか、窓枠には段差が設けられてよりシャープな印象を演出しています

 

カラーバリエーションは4色。旧モデルでも人気色だったブラック・ホワイト、プロの厨房をイメージした特別モデルのステンレスカラー、限定カラーのダークグレーが販売されるとのこと。

↑左からホワイト、ブラック、ステンレス、ダークグレー

 

同梱されている角皿はフッ素加工からホーロー加工に変更。傷の目立たない上品な質感となっています。また、保温性と冷却性にも優れており、料理の幅を広げてくれます。テーブルにそのまま出すことができるそう。

↑同梱されているホーロー加工の角皿

 

シンプルで直感的な操作方法はそのままに、加熱性能やデザインがアップデートされたBALMUDA The Rangeの新モデル。ギターの操作音、洗練されたデザインとともに、手軽に調理を楽しんでみてはいかがでしょうか。

オーブンレンジはコレで十分! 「最安値クラスで実用的」家電ライターが太鼓判を押すモデル

オーブンレンジは過熱水蒸気など多機能化が進んでいますが、その機能をあまり使わず、レンジ機能のみ日常使いしているユーザーも多く見られます。東芝ER-R6は、こうしたレンジ機能を使いたい人に最適。価格を抑えて必要な家電を揃えたい…そんな、新生活を始める方にもぴったりです。今回は家電ライターの平島憲一郎さんに解説してもらいながら、その魅力を紹介していきます!

 

レンジ機能を中心にトースト機能など毎日使う機能が充実

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東芝

スチーム(角皿式)オーブンレンジ石窯オーブン ER-R6

実売価格2万6640円

間口39㎝のワイドかつフラットな庫内で、出し入れ・お手入れがしやすいです。最高温度250℃の強力なオーブン・グリル機能で、ヘルシーなノンフライ調理も行えます。下ごしらえの手間が省ける時短・お手軽調理を含む70種類の自動メニューを搭載。

SPEC●庫内容量:23リットル ●オーブン・グリル出力:1150W(オーブン)・800W(グリル) ●最大レンジ出力:1000W ●センサー:温度センサー ●サイズ/質量:W480×H325×D390㎜/約13kg

 

家電ライター・平島憲一郎さんのレコメンド

ワイド&フラットの快適さが2万円台とはお買い得!

「本機は、実用性と価格のバランスの良いのが魅力。ワイドな間口かつ庫内フラットで、2万円台は最安値クラス。フラットテーブルは大きなコンビニ弁当の温めなどもしやすく、手入れもラクです。さらに、ノンフライ調理や惣菜の天ぷらなどの『カラッとあたため』、トースター機能など、実用的なスペックが豊富です」

 

【できるコト、できないコトは?】

できるコト

●庫内はフラットで大きめの料理も調理・あたため可能

●オーブン機能でノンフライやトーストが手軽に行える

●オートメニューを搭載し本機で調理中にほかの作業も!

 

割り切ったコト

●スチーム方式は角皿式で本格的なスチーム調理は不可

●ハイブリッド調理は一部オートメニューに限定

 

【安くてもココがいい!】

高度な調理機能は省略しつつ広い庫内など実用性が高い

過熱水蒸気機能などはカットしつつ、広々とした庫内、オーブン機能を使った惣菜の温め直しなど実用性の高いスペックを残しました。フラットテーブルで掃除がしやすいのもメリット。

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庫内扉についた結露を受け、外して洗えるワイド水受けを搭載。扉と本体の間に落ちた食品カスもラクに除去できます。

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オーブン機能を使い、油を使わないノンフライ調理が可能。鶏のから揚げやエビフライもカラッと仕上がります。

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トースト機能を搭載し、食パン2枚を5分45秒でサクサクに焼き上げます。ただし、途中で一度裏返す必要あり。

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庫内は間口390×奥行320㎜。フラットテーブルで回らないので、大きなコンビニ弁当もそのまま温められます。

41才独身宅に、バルミューダのオシャレンジがやってきた! 3週間使ったら、最高すぎて「買う」以外の選択が見当たらない…

筆者は41才独身、彼女ナシ。そんな筆者が今年の9月、バルミューダがオシャレな電子レンジ「BALMUDA The Range(バルミューダ ザ・レンジ)」を発売すると聞いたとき、コレは欲しい! と思いました。

 

私事で恐れいりますが、筆者の狭小アパートは、玄関のドアを開けると「レンジと目が合う」といったイメージで、冷蔵庫の上の電子レンジが、事実上の玄関の「顔」となっています。現在、その「顔」となっているのが、中古5000円で買った古ぼけたモデル。風水でも「玄関は重要」といいますから、これでは運気が上がりそうもありません。

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代わりにこのオシャレンジBALMUDA The Range(以下The Range)を置いたなら、筆者宅のイメージが劇的に変わるのではないか。もしかしたら、運気も良くなったりして…そんな妄想を働かせた筆者は「長期レビューをします」という建前でメーカーに依頼し、本機を使わせてもらうことにしました。

 

そして、3週間ほどともに生活して返却したいま、深刻な「ロス」に苦しんでいる状況です。以下で「The Range」と過ごした、黄金の日々を振り返っていきましょう。

 

大ヒットしたトースターと同様、やっぱりデザインに注目

さて、まずは本機を開発した「バルミューダ」とはどんな会社なのか、製品を知るために、少々触れていきましょう。バルミューダは2003年、寺尾 玄(てらお・げん)氏によって創業。オシャレなPC冷却台やLEDデスクライトなどを開発していましたが、リーマンショックの影響で倒産の危機に。しかし2010年、自然に近いやさしい風を実現する扇風機「GreenFan」を開発し、起死回生の大ヒットを飛ばします。

↑バルミューダの社長、寺尾 玄氏。基本、ジーンズに洗いざらしのシャツというスタイルです↑バルミューダの社長、寺尾 玄氏。基本、ジーンズに洗いざらしのシャツというスタイルです

 

以降は加湿器、ヒーター、空気清浄機など優れたデザインの空調家電で定評を得て、2015年、オーブントースター「BALMUDA The Toaster」で調理家電に進出。「BALMUDA The Toaster」は2万円台という高額ながら、累計20万台以上を販売する大ヒットに。続いて「BALMUDA The Pot」(電気ケトル)、「BALMUDA The Gohan」(炊飯器)を次々と発売し、今回、同社4番目の調理家電「BALMUDA The Range」の発売に至りました。

20170906-s4 (4)↑バルミューダのキッチンシリーズ。左からBALMUDA The Pot、BALMUDA The Gohan、BALMUDA The Range、BALMUDA The Toaster

 

寺尾氏がプロデュースする同社の製品は、とにかくデザインがいい。「BALMUDA The Toaster」は、「世界一うまいトーストが焼ける」との謳い文句でしたが、筆者からすると、機能以上にトータルのデザインが印象的。外観、質感から操作音、ツマミのアイコンひとつとっても従来の品とは一線を画していて、このチューニングが絶妙なのです。そして、今回の「The Range」のコンセプトは、「キッチンを楽しくするオーブンレンジ」。外観のイメージは「レストラン」とのこと。さて実物はいかなるものか? 期待が高まります。

 

やはり違う……! 置いただけで空気がシックに変わった

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とある休日、筆者宅に「The Range」が到着。本体カラーは一番高い「ステンレス」でお願いしました。箱から出してみると…おお、意外にデカイですね。ネットで見た上の写真(写真はブラック)では引き締まった印象で、トースターくらいの大きさかと思っていたのですが……。意外に「ハコ」感があり、奥行きも結構あります。

 

ただ、設置してみると、う~ん、やっぱりたたずまいが違う。置いただけで明らかに空気感がシックに変わりました。新しいのに、ずっとそこにあるかのような……。表面の微妙なシボ(凹凸)加工、真鍮を思わせる温もりのあるカラーリング、黒みがかった取っ手の渋い光沢に、なんだか品格が感じられます。

20171215-s5-(19)↑筆者宅のコンパクト冷蔵庫の上にもしっかり設置できました。本体の下にはスカートのような黒い土台が。ディスプレイのレトロなフォントも特徴です

 

20171215-s5 (13)↑側面から見た本機

 

本機はトビラを開けると、電源が入る仕組み。操作音がギターの音だそうだけど、実際どんな感じ? とモードスイッチ(モード切替のレバー)をいじってみると…ジャララン、ジャララン、ポロロン…という音が。「OVEN」のときだけくぐもった音になるのも小憎らしいです。

20171215-s5 (8)↑モードスイッチ。アイコンはわかりやすく、かわいらしいです

 

「キャンセル(CANCEL)ボタン」や「START/OKボタン」を押す(決定する)と、硬くて小さなドラムを叩いたような、「タンッ」という音。元ミュージシャンという寺尾氏のこだわりが見てとれます。うん、これは楽しい。子どもが夢中でレバーを回す姿や、思い悩んだ大人がぼんやりとレバーを回して癒される…といったシーンも目に浮かびますね。ちなみに、温めたものを庫内に放置しておくと、1分ごとにギター音が鳴ります。通常のレンジの、あおるような警戒音に比べて、やさしく促してくれるのがうれしいです。

↑庫内はフラットでお手入れしやすかったです↑庫内底面はフラットで、ふき取りもラク

 

冷凍ごはんとアツカンはややぬるいが、気になるほどではない

さっそく、握りこぶし大の冷凍ごはんを温めてみました。操作はモードスイッチをごはんのアイコンに合わせて「1杯」か「2杯」をダイヤルで選択し、「START/OKボタン」を押すだけ。温めが始まると、レンジからツッツッ…カッツ、ツッツカカッ、とリズムを取る音が聞こえてきます。このときは、必要に応じて、指パッチン(フィンガースナップ)を織り交ぜるのもオススメ。気分が盛り上がりますよ。

 

なお、このリズム音は30秒経つと消えるので、無人の台所でずっとリズムを刻んでいる…ということもありません。ちなみに、ギター音がイヤだという方は、通常の「BEEP」音に設定することが可能。音量は無音を含む4段階で調整できます。

20171215-s5 (9)↑CANCEL(キャンセル)ボタンとダイヤル。CANCELを長押しすると各種設定が可能

 

操作音がわかる動画はコチラ(※音声が出ます)

「ジャララン」と鮮明なギター音がしたら、冷凍ご飯の温めが完了。ちなみに、オペレーションが終わると、ディスプレイには「ENJOY」(楽しんで)の表示が出ます。「good luck」や「bon voyage」に通じる粋な計らいに、ちょっぴり心が温かくなりますね。さて、ご飯の仕上がりはというと、まだ温めが足りない印象。冷凍ご飯の「1杯」は150gが目安で、今回、それよりは少ないと思うのですが……。おそらく、長期間の冷凍でカッチカチになっていたためでしょう。もう一回「1杯」で温めるとちょうどよく温められました。

 

そして、冬の楽しみといえば、日本酒の熱燗ですね。その点、本機はドリンク用のモードとして「コーヒー」と「ミルク」のほかに、「アツカン」を用意しています。さすがオトナのレンジ、わかっている! なお、この「アツカン」は「1杯」(1合目安)のみ選択可能。徳利に日本酒1合を入れ、「アツカン」モードで温めたところ…徳利がちょっと大きかったからでしょう、ややぬるめの仕上がりに。もう一回「アツカン」で温めると、ちょうどいい熱さになり、まろやかでおいしく仕上がりました。

 

設定の「仕上がり温度調節機能」で低(低め)/標準/高(高め)を選択することもできますが、筆者はそれ以上のあっつあつが好きなので、他のドリンクと同様、「2杯」以上も選択できれば良かったな…と。とはいいつつ、やっぱり手軽で楽しいので、従来は湯せんしていたところを、本機で温めることが多くなりました。

20171215-s5 (2)↑アツカンは1杯のみ選択可能。コーヒー、ミルクは3杯まで選択できます

 

その温もりに救われる日もある

「The Range」を借りて1週間。機械っぽくないところがいいな、と思うようになりました。たとえば平日の夜、仕事帰りに焼き鳥の缶詰を買って温めたとき。本機を開けたとき、筆者の手元を照らしたオレンジ色の光が温かく、まるで「オカエリ」と言っていてくれているようで……。「アツカン」とともに楽しむわびしい晩酌が、少しだけ救われた気がします。

↑取っ手のウラにLEDを搭載し、手元を照らしてくれます。上からやわらかな光が落ちるさまは、いかにも地元洋食店の夜のたたずまいを思わせ、温かさと親しみを感じます。外観はレストランをイメージしたというのも納得

 

風邪で会社を休み、コンビニ弁当を温めたときは、ガラス越しのコンビニ弁当がとてもキレイに見え、うっとり見つめていると解像度の高いのギター音が……。だるくて気分も落ち込んでいたのですが、これまたちょっと救われました。こういった感覚は、普通のレンジでは味わえませんね。

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角皿を使ってリア充のようなオーブン料理が簡単にできた

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さて、本機でもうひとつ、忘れてはならないのが、オーブン用の角皿の存在です。幅365×奥行264×高さ42mmというちょうどいいサイズ。ネット上でその使い方の例(上写真)を見て震えました。なんてリア充(※)なんだろう……。陽だまりのなかで、丸鶏にナイフを入れるかッ…!

※リア充…リアル(現実の世界)が充実している状態、またはその人物

 

筆者もやってみたい…とはいえ、丸鶏を手に入れるのは難しい…そこでネットで調べて「村井さんちのぎゅうぎゅう焼き」という料理を見つけて、これを作ることにしました。こちらは滋賀県在住の翻訳家、村井理子さんという方がSNSにアップして話題になったメニュー。材料をぎゅうぎゅうに詰めて焼くだけの料理で、簡単かつ見栄え良し。角皿のままで出してもOKとのことで、今回の趣旨にはぴったりです。

20171215-s5 (3)↑付属の角皿。サイズ比較用にティッシュを置いてみました

 

今回は、鶏もも肉を使ったぎゅうぎゅう焼きを作りました。市販のハーブ塩で下味をした鶏もも肉と、味がよく出るソーセージやベーコン、きのこやパプリカ、じゃがいもやにんじん、玉ねぎ、冷凍ブロッコリーなどをテキトーに敷きつめて塩、こしょう、オリーブオイルを回しかけ、「The Range」で焼くだけ。ちなみに、火が通りにくいじゃがいもやにんじんは、「The Range」でレンジ加熱しておくと失敗がありません。

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オーブン調理は「余熱あり」「余熱なし」が選べるので、今回は「余熱あり」を利用。まずはなにも入れずにスタートすると、やがて例のギター音が鳴って余熱が完了。あとは食材を載せた角皿を入れて、もう一度スタートボタンを押せばOKです。焼き始めると、いままでの我が家では決してかぐことのなかったかぐわしい香りが……。ああ、これがリア充の家庭に流れる香りなのですね……。

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「ジャララン」とギター音が鳴って完成。ちょっと焼きすぎてしまいましたが、上出来ではないでしょうか。食べてみると、全部の食材がジューシーで香ばしいです。玉ねぎひとつとっても最高にウマイ。時は土曜の昼下がり、先日の風邪は抜けきっていませんが、これは飲むしかないでしょう!

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大量の「ぎゅうぎゅう焼き」をつまみに、始めはビール、その後は赤ワインでほろよい気分を楽しみました。いままでこういう休日を過ごしたことはありませんでしたが、なかなかいいものですね。今度、友人を招いて振舞ってみようか。あ、来てくれる人いないか……。一瞬、自分がリア充だと錯覚させてくれるのも、「The Range」のなせる魔法かもしれません。

 

振り返ればThe Rangeがいる幸せ。返却したら「ロス」がひどすぎる…

楽しい月日はあっという間に過ぎ去るもの。初めて会ったその日から3週間が経ったころ、「The Range」との日々は、あっけなく終わりを迎えました(返却の期日が来ました)。使ってみて思うことは、「やっぱりデザインいいな」と。確かに、本機は温めに多少の温度ムラはありますし、温めの仕上がりがイメージよりちょっとぬるいこともあります。「必要十分な機能が整理されて搭載されている」といった印象で、他社の上位機種のように、スチームオーブンや高精度のセンサーがあるわけでもありません。でも、それが一体何だというのでしょう。そういう問題ではないのです。

 

たとえば一人、仕事から帰って玄関のドアを開けると、本機が目に入って、ほらカッコイイ。キッチンで作業していて、何気なく振り返ると…ほらカッコイイ。振り返ればヤツ(The Range)がいる幸せ……。そのせいか、本機が来てからレンジを使う機会も増えましたし、レビュー抜きにしても「今日は何を焼こうか」と考えたり、「友達呼ぼうか」と血迷ってみたりと、生活の意識の部分が変わりました。つまり、The Rangeには、人を変えるだけの力があるということ。本機に出会って、改めて「モノを持つ喜び」ってこういうことなんだなあ、と実感した次第です。

20171215-s5 (15)_edited-1↑ありし日の「The Range」

 

しかし、あまりにも愛着を持ってしまったばかりに、「The Rangeロス」が大きすぎました。玄関を開けると、アレ、何かが足りない……。この部屋、こんなにしょぼかったっけ? と夢から覚めたような状態です。だから、筆者は決心しました。これはもう「買おう」と。でも、5万4500円(税抜)の一括はムリ……。というわけで、一刻も早く「The Range」のある日に戻りたい、でもいまはまだ…と苦悩の日々を送っているわけなのです。

 

BALMUDA The Range

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●サイズ/質量:W450mm×D412mm×H330mm(突起物含む)/約12kg●庫内寸法:W353× D293×H168mm●カラー:3色(ブラック、ホワイト、ステンレス)●価格(直販サイト):ブラック、ホワイト4万3500円(税抜)、ステンレス5万4500円(税抜)●総庫内容量・庫内形状: 18L フラット庫内●消費電力:電子レンジ1270W、オーブン1130W●電子レンジ手動出力:100W、500W、600W、800W●オーブン温度調節:40°C(発酵)、100〜250°Cまで10°C単位●コード長:約1.4m●パッケージ内容:本体、角皿(W365×D264×H42mm)、取扱説明書(保証書付)