袋の開封をスムーズ化!プロ仕様の専用ツール「パッケル」の侮れない快適機能を解説

日常生活におけるイライラのひとつに、「自分の思った通りに食品パッケージが開かないこと」があるだろう。そもそも食品のフィルムパックやレトルトパウチ、袋菓子などを開けようと思うのは、空腹もしくはそれに近いときが多いはず。そのようなときに限って、例の「どこからでも開けられます」に騙され、切り込みからの開き口が大きくズレて、つまんで引っぱったところからフィルムがびよーんと伸びる。イライラが募って当然だ。

↑切り口からまっすぐ切ったつもりが、こんなことに……

 

もちろんハサミを使えば簡単。だがハサミよりも簡単に使えて、一瞬でパッケージの開封ができる専用ツールがあれば便利じゃないだろうか。

 

食品工場のカッターは、台所でも便利だった

そんなニッチな専用ツールがあるのか? と問われれば、もちろんある。一般的に「パックカッター」などと呼ばれており、例えば「和菓子工場であんこの5kg袋を開けて機械に投入する」といった場合に活躍するツールだ。

 

このパックカッターが、カッターナイフでお馴染みのOLFA(オルファ)からあらためて製品として発売されているので紹介しよう。

OLFA(オルファ)
パッケル
オープン価格(
実勢価格390程度・税別)

 

小型のトングのような形状の「パッケル」は、構造も使い方も非常にシンプル。パッケージの切りたい辺りを軽く挟み込み、そのまま横方向にスーッとスライドさせる。以上。これでパッケージがきれいに切り開かれて、開封完了である。

 

作業にかかる時間は、挟むのに1秒、スライドして切るのに1秒。さすが専用ツールだけあって効率の良さは圧倒的だ。

↑レトルトなどのパッケージをトング状のボディで挟んで、横に軽くスライドさせる

 

↑スパッときれいに開封完了

 

仕組みは、トングの内側に高さ2mmほどの高硬度ステンレス刃がついており、これを突き刺して切るという流れ。説明することもないほどのシンプルさである。

↑先端に備わった三角形のステンレス刃

 

使う際のコツは、まずトングで強く挟まないこと。フワッと押さえるぐらいの軽い力加減でないと、刃の先端がフィルムを大きく突き抜けてしまい、逆に切りにくくなってしまうのだ。

 

↑ハサミでは柔らかすぎて切りづらいポリ袋も簡単にカット。切れ味はとても優秀だ

 

↑指置きにある><マークは、刃の位置を示すガイドとなっている

 

もうひとつ、開封時はパッケージの端ギリギリを狙わないこと。端から数mm~1cmほど内側に入った辺りから挟んで切ることで、切り端をパッケージから切り離さずに残すのがポイントなのだ。これによって切り端が食品の中に落ちて混ざってしまう、いわゆる異物混入トラブルを防ぐことができるというわけで、食品工場などでは必ずそうするように指導されるのだとか。

 

当たり前ながら自宅でも異物混入は起きないほうがいいし、パッケージを捨てるときも、切り端がついたままの方が手間が少ないというわけ。

↑端を完全に切り落とさないことで異物混入を予防し、ゴミ捨てもしやすい

 

↑本体後端の穴は、S字フックにかけたり、ストラップで吊すなどの保管に役立つ

 

↑汚れは水洗いでオフ。あとは水気をしっかり拭いておこう

 

汁跳ねなどで汚れた場合は、そのまま水をかけて洗えばOK。ただし刃の固定に接着剤を使用しているようなので、高温となる食洗機は使わない方が安全かもしれない。また、刃の切れ味を長持ちさせたいのであれば、紙類を切るのも避けた方がいいだろう。

 

紙の繊維はフィルムよりもはるかに硬いので、高硬度ステンレス刃とはいえ、切り続けるとどうしても鈍ってしまう。替え刃交換不可の使い捨てタイプなので、できるだけ長持ちさせるように使うことをオススメしたい。

豆腐のパックがスムーズに開けられるパックカッター

ちなみに我が家では、「パッケル」より前から専用のパックカッターを使用していたので、そちらも一緒に紹介しておこう。曙産業の「パックと袋のカッター」である。 

曙産業
パックと袋のカッター
590円(税別)

 

↑いちいち手で開けるよりも圧倒的にラクなので、一度慣れるともう手放せなくなる

 

基本的に“トングで挟んで内側の刃で切る”という構造は同じで、使い勝手もほぼ変わらない。ただちょっとユニークなのが、本体下部をスライドさせる「パックカットモード」。これは、豆腐や茶碗蒸しなどのパックをスムーズに切り開くためのモード。

↑白いパーツを手元側にスライドさせて、パックカットモードに変形

 

↑開けづらい豆腐の充填パックも、フチからきれいに開封できる

 

下部の白いパーツを内側に押し込んでやると、相対的に刃が飛び出したようになる。この状態で豆腐パックのフチに刃を突き刺して、そのまま全周をぐるーっと切り開くと開封完了。「そんなの包丁で切って開けるよ」という人もいるだろうが、やってみると、さすが専用ツールのほうがかなりスムーズだ。

↑マグネットでくっつけておけると定位置が決めやすく、使いたい時にサッと手が届くのがメリット

 

また、底部裏側にはラバーマグネットが付いており、冷蔵庫などにペタンと貼り付けておけるのもありがたい。小さいとはいえ刃物だけに、なるべくあちこちに放置せず、使ったらそのつど定位置に戻すほうが良いのである。

 

ただし、「パッケル」「パックと袋のカッター」ともに、刃はトングの内側にあるとはいえ、決して手に触れない位置ではない。むしろ刃が見えづらいだけに、うっかり手指に当たって怪我をする可能性だってある。特に小さな子どものいる家庭では、手の届く場所に置かないように気をつけたほうがいいだろう。そういったところにさえ注意できれば、家事におけるささやかな手間とイライラが解消できる快適ツールとなるはずだ。

 

握って刺して切る! 手間いらずのクツワ「二刀派ハサミ」で段ボール開梱ツールの使い勝手はここまで進化した

「通販などで届いたダンボール箱を開けるなら、専用の開梱ツールを使うべき!」ということは、この連載で繰り返しお伝えしてきた。というのも、手で開けるとダンボールのフチで指を切ってしまうおそれがあるからだ。カッターナイフやハサミをそのまま突き刺す方法も、中の荷物を傷付けたり、本来の使い方ではないために危険だったり、とトラブルの元になる。とはいえ、開梱のためだけに使い慣れない道具を導入するのも面倒……という人もいるだろう。

 

しかし逆に言えば、その抵抗をあまり感じずに導入できる開梱ツールがあれば良いのではないか、とも思うのである。

↑わりとよくやりがちな、ハサミを突き刺しての開梱。実はかなり危ないので、絶対にやらないで欲しい

 

【関連記事】ハサミ・カッターナイフ・開梱ツール レビュー

 

そのままザクッと突き刺せる開梱ハサミ

新しい道具の “不慣れさ” はどこに由来するのか? ということを考えると、「見た目の違和感」「やったことのない動作」の2点が大きそうだ。つまり、見た目と動作に馴染みがあれば、違和感少なく使えるはず。そこで試してみてほしいのが、クツワ「二刀派ハサミ」である。

クツワ
二刀派ハサミ
シルバー 1800円/ブラック(フッ素コート) 1980円(税別)

 

こちらはダンボールの開梱機能を搭載したハサミということだが、いかがだろうか? まず、見た目からは大きな違和感を覚えることもないだろう。実際のところ、一部を除いてはごく普通のハサミなので当然といえば当然なのだが。その “ごく一部” にして、肝心な開梱機能を司っているのが、刃先の部分である。

 

普通のハサミは、交差した刃が先端で揃っている。対して「二刀派ハサミ」は刃先が揃わず、互い違いになっているのが特徴だ。刃先は、下側の刃が上側よりも4mmほど長く伸びている(下画像参照)。これがまさに重要なポイントで、ダンボールを開梱するときには、この長い方の刃先(開梱カッター刃)を梱包テープに突き刺して切り開く、という仕組みなのだ。

↑片方の刃が長く突き出しており、これを開梱カッター刃として使う仕組みだ

 

ハサミを閉じたままの状態で刃を使うことができるので、一般的なハサミでの開梱とは比べものにならないほど安全だ。開梱機能付きのハサミは他にも発売されているが、「開梱用の刃を出すために、まずスイッチを入れてグリップを握る」といった特殊なセーフティ解除動作が必要となっている。その点、「二刀派ハサミ」なら事前操作が必要ないので、ザクッと刺してズバッと切って開けるだけ、と動作そのものにも違和感を感じにくいはずだ。

↑開梱カッター刃の長さはダンボール自体の厚みと変わらないので、突き刺して中身を傷つける心配も少ない

 

ハサミとしても細かな機能がさまざま

「二刀派ハサミ」は、開梱ツールとしてはもちろん、普段使い用のハサミとしての機能も充分なレベルにある。切れ味はかなりのもので、柔らかなフィルムからコピー用紙、硬いPPバンドまで、幅広く対応できる性能を持っているようだ。実際に切ってみた感覚としては、薄手のビニールやフィルムなどの柔らかいものをスパッと切る力はかなり強い。対して、ダンボールやPPバンドなどの硬めな素材だと少々力が必要かな、という印象だった。

↑切るときのコツは、長い方の刃を動刃(下側)にして握ること。刃の長さの食い違いを意識せず、切りミスも出にくいのだ

 

ちなみに刃自体も、直線刃(長い方)とカーブ刃(短い方)の組み合わせとなっている。これは、切る対象を包丁のように引き切る効果があり、せん断力を高めるためだそう。正直なところ、この引き切り効果がどれだけ働いているのかは実感しづらいが、ホームユースとしてはなんの不満も無く「良く切れるハサミ」と言えるだろう。

 

さらに刃の側面には、細かなリベット穴のような加工が一面にずらっと施されている。これはディンプル構造刃と呼ばれるもので、細かなくぼみによってテープなどの粘着材と接する面積を減らすことで、刃に粘着材が付着しづらくする工夫なのだ。フッ素コートほど強力な効果ではないが、長期間使い続けるうちに「ベタベタが溜まってジワジワ切れ味が落ちていくのを防ぐ」という効果は期待できそうだ。

↑刃の内側に施されたディンプル加工により、粘着材が付着しづらくなっている

 

↑廃棄時には樹脂ハンドルと金属部分をカンタンに分別できる構造になっている

 

↑磁力入りの刃先は、ネジやクリップなどを拾い集める際に便利

 

個人的には、刃先の食い違いが作業時に使いづらく感じられるのでは? という点が気になっていたのだが……実際に使ってみると、そこはさほど気にならなかった。開梱ツールとしてもシンプルに使えて安全かつ効率的と、不満はまったくない。値段は他の開梱ツールよりも少々高めではあるが、違和感少なく導入できるのは大きなメリットなので、気になる方はぜひ試してみて欲しい。

 

「梱包開封シザーズ」バージョンアップと携帯タイプが登場! 開梱時の失敗をなくせそうな優秀機能とは?

これまで言葉を尽くして「ダンボールは “開梱ツール” を使って開けるとラクで安全ですよ」とを伝えてきたのに、いまだに届いた荷物を手でバリバリ開けてしまう人がいる。しかし、 “手でバリバリ人” たちの「わざわざダンボール開けるためだけに専用の道具を買うの、もったいなくない?」という意見に関しては、正直理解できなくもない。一般的な開梱ツールは約1000円前後なので、効果を体感できていない道具に払う金額としては、お安くないと感じるのはもっともだろう。

 

そんな人には、まずは他のツールと一体化している “多機能タイプ” の開梱ツールから試してみて欲しい。

 

便利な開梱ハサミがバージョンアップ&新タイプ登場!

多機能タイプ開梱ツールの代表格といえば、コクヨから2017年に発売された「2Wayハサミ<ハコアケ>」(以下、ハコアケ)だろう。この製品は、ハサミと開梱ツールが一体化したもの。ハサミモードで結束用のPPバンドなどを切ってから、開梱カッターモードでダンボールを開けるなど、これ1丁で効率的に作業ができるのがポイントだった。この「ハコアケ」が、2023年3月にバージョンアップ。加えて、コンパクトに持ち歩ける携帯タイプも登場した。

コクヨ
2Wayハサミ<ハコアケ>
左:チタン・グルーレス刃 1300円(税別)
右:グルーレス刃 950円(税別)

 

コクヨ
2Way携帯ハサミ<ハコアケ>
左:チタン刃 1200円(税別)
右:スタンダード刃 850円(税別)

 

従来の「ハコアケ」は、ハンドルに備えたスイッチをスライドさせると刃先がわずかに露出し、開梱カッターモードとして梱包テープなどをカットすることができた。しかし、安全性に配慮しすぎたのか、刃先の幅がわずか1mmほどしかなく、しっかりとテープに刃先が食い込まないなどして開けづらいと感じることがあった。

↑開梱カッターモードを使用するときは、ハンドルを握りながら中央のスイッチを押し出す。すると刃先(赤丸の部分)が露出してカッターとなる

 

対してバージョンアップ版は刃の出る幅が約1mmから3mmへと変更になったことで、梱包テープなどに刺さりやすく、切り進めるのもラクになった。

↑「ハコアケ」新旧の比較。バージョンアップ版は確実に刃先が大きく飛び出している

 

この刃長の3mmは一般的な梱包用ダンボールの厚みに近いので、中身を傷つけてしまう心配はほとんどない。切り進む際に、ダンボールの合わせ目から刃がはみ出すこともほとんどなく、程よい塩梅で使用できる。たった数mmの差とはいえ、この変化により使い勝手がめちゃくちゃ違ってくるのだ。

↑バージョンアップによって、開梱しやすさも大幅アップ

 

↑ハサミとしても、PPバンドがサクッと気持ち良く切れる高品質っぷりだ

 

もちろん、テープの粘着材を切っても刃がベタつきにくい「3Dグルーレス構造」や、作業時に握る力を弱めると自動で開梱カッターモードが解除される安全設計など、優秀な部分は従来通り。すでに「ハコアケ」を使っている人にも、ぜひ買い替えを推奨したいところだ。

 

今回の本命は「2Way携帯ハサミ」!?

ところで、買い替えを勧めておいてナンだが、実は個人的には新たに登場した携帯タイプの「2Way携帯ハサミ<ハコアケ>」(以下、携帯ハコアケ)の方が本命だと思っていたりする。使用シーンにもよるが、いま買うのならやはりこちらをオススメしたい。

 

その特徴は、コクヨの携帯ハサミとしてはお馴染みのスライド収納方式。

↑普段は刃が完全にグリップに収まっているので、安全に携帯できる。使用時にはまず、黒いスライダーを押し込む

 

↑中央でカチッと止めると開梱カッターモードに

 

↑最後まで押し込むとスライダーがバネで持ち上がり、ハサミモードに変形する

 

使用時はグリップのスライダーハンドルを「Cutter」までスライドさせると「開梱カッターモード」、「scissors」にすると「ハサミモード」へと切り替え可能だ。各モード位置にはクリックがあるので、表示を確認せずノールックで設定できるのも機能的で嬉しい。

↑開梱カッターモードは、新「ハコアケ」と同様に大きく刃が露出して使いやすくなっている

 

↑斜めのガイド面をダンボールに当てると、刃がちょうど良い角度でテープに刺さるので、脱線しづらい

 

ガイド機能に注目!

ここまで基本操作を紹介したところで、「携帯ハコアケ」の何がオススメかという話をしたい。

 

それは、カッター刃を入れる角度が絶妙に決まるガイド機能がものすごく優秀、ということ。例えば、ダンボール天面のテープを切る場合、グリップ底部にある角度が付いた天面用ガイドを箱に添わせると、ちょうど良い角度で切り込めるようになっているのだ。さらに、ダンボール側面に回り込んでいるテープを切るときは、天面用ガイド内側の溝(角用ガイド)をダンボールの角に添わせると、これまたジャストな切り具合になる、という仕組みだ。

↑個人的に「これは便利!」と感じた角用ガイド。側面のテープを切るのがとてもスムーズになる

 

このガイドがあると切り始めがピタッと決まるので、急いで作業するときでも失敗しにくい。また、ダンボール自体を切り込みづらくなるので、箱の再利用もしやすい。従来の開梱ツールには無かった機能なのだが、どうして今まで無かったのか不思議なぐらいに親切な機能だと思う。作業のたびに刃を入れる角度などを気にしなくていいため、サクサクと無造作に開梱できて高効率というわけだ。

 

ちなみに、グリップにはストラップホールが空いているので、吊り下げて保管したり、カラビナでベルトに引っかけておくなどの使い勝手も充分。これから引っ越しの予定などで、大量のダンボールを開けていく予定のある人は、今のうちに「携帯ハコアケ」を作業する人数分揃えておくというのも手だろう。

↑携帯ツールにあると嬉しいストラップホール。使わないときは吊り下げて保管しておくにも便利

 

↑もちろん「携帯ハコアケ」のハサミモードもPPバンドは切断可能

 

↑刃渡りの長さに加えて、立体構造で刃に粘着材が着きにくいグルーレス刃など、ハサミ単体の性能は当然ながら「ハコアケ」の方が良い。結論としては、両方買うべきかも

 

とはいえ、ハサミとしての能力はやはりノーマルの「ハコアケ」が優秀なので……ここは、両方合わせて買うのが正解なのかもしれない、などと思ったりした筆者である。

 

波打つダブルのギザ刃とフッ素コートで敵なし!? ALLEXの段ボールカッターで硬い段ボールもザクザク開梱

開梱ツールとしてのダンボールカッターには、コンシューマー向けとプロ向けの区分が明確に存在する。売り場でそういう分類がされているわけではないものの、その違いは分かっている人からすれば一目瞭然なのだ。

※正確には、一般向け/開梱に慣れた人向け、という区分だが、ここでは端的にコンシューマー/プロとしておく。

↑コンシューマ向け(上)とプロ向け(下)のダンボールカッター。刃のサイズが見分けの目安だ

 

違いはどこで見分けるかと言えば、刃の大きさだ。プロ向けのダンボールカッターは、比較的刃が大きい。コンシューマー向けダンボールカッターの刃は、開梱時に中身にまで切り込んでしまわないよう、だいたい数mmほどの小さなものになっている。誰が使ってもミスしにくい仕様なのだ。

 

プロ向けは形状も、ナイフ然としたものが多い。大きな刃を使ってワンアクションでザックリと大きく効率的に切れる代わりに、注意しないと中身に傷をつけてしまうこともあるだろう。でもそこは「プロだったら上手いやり方ぐらい心得てるよな?」という話なのだろう。

 

Wギザ刃でザクザク開梱できるダンボールカッター

今回紹介するダンボールカッターは、間違いなくプロ向けの方。「ダンボールカッターmini DK-4」(以下、DK-4)は、国産ハサミのアイコンとも言える「ALLEX 事務用はさみ」でお馴染みの林刃物から2022年4月に発売された製品だ。

林刃物
ALLEX ダンボールカッターmini DK-4
540円(税別)

 

グリップから伸びた刃は刃渡り約45mm。やや荒めのトゲトゲしたギザ刃だが、さらにそのギザ刃自体が全体的にギザギザと波打つWギザ刃仕様なのが、最大の特徴だ。フッ素コートされた黒さもあって、やや禍々しい(まがまがしい)というか、“中二マインド”をくすぐる格好良さである。

 

↑細かなギザ刃が全体的にギザギザしている、フラクタルなWギザ刃構造

 

そもそもダンボールは硬くて厚いため、カッターナイフなど鋭い刃物で切ろうとすると、どうしても力がかかってしまう。そこを無理に切ろうとすると、一気に勢いよく刃が走ってしまい、大怪我の元になりがちだ(切れ味の悪い包丁が危険なのと同じ)。

 

だから、ギザ刃をギコギコとノコギリのように動かして少しずつ着実に切っていくのが、安全で、正解と言えるのだ。

↑刃を前後に動かしつつ切ると、ダンボールの分解もあっという間だ

 

さらに刃全体が波打ったWギザ刃仕様なら、ダンボールを切り始める際のフック感が非常に高い。刃を軽く当てただけで「あっ、いまダンボールに食い込んだ!」という感覚が手に伝わってくるし、実際にそこからズレることなくサクッと刃が入っていくのは、とても気持ち良いのだ。

 

また、約1.3mmというゴツい刃厚も重要なポイント。少しばかり強引な切り方になっても、分厚く頑丈な刃に任せてゴリ押しできる、という安心感がある。

↑テープを切るときはかなり寝かせ気味に。ハンドルのフィンガーガードがダンボールに当たるぐらいでちょうどいい

 

↑そのままズズズと引けば、ギザ刃の先端できれいにテープが切れる

 

開梱に使うときのコツは、刃を水平に近いところまで寝かせてテープに当てること。あとはそのまま角度を変えずに最後まで引けば、テープはきれいに切ることができる。もちろん、この切り方なら中身へのダメージもまず心配無用。

 

Wギザ刃は表面ツルツルのクラフトテープやPPテープでも食い込みが良好なので、こういう切り方をするのが効率的なのだ。

↑切り終わると、だいたいこれぐらいは目詰まりしている

 

↑使用後はキッチンペーパーなどで拭うといい。フッ素コートのおかげか、紙粉と一緒に粘着剤のベタベタも取れる

 

フッ素コートに関しては、ひとまず1週間通して開梱に使用したが、粘着剤がベトついて困る、という事態は起こらなかった。

 

ただ、思ったよりも刃の目に紙粉が詰まりやすい傾向もあるように感じた。紙粉が詰まると当然切れ味も落ちるので、小まめに取り除くのがいいだろう。キッチンペーパーで目に沿って何度か拭ってやれば、詰まりは解消できるはずだ。(ギザ刃とはいえ怪我には注意)

 

小さいけれど機能性はバッチリ! プラス「チームデミ」から、かわいいミニ文房具が登場

プラスは、8つのアイテムをコンパクトなケースに収納したステーショナリーセット「チームデミ」から、3アイテムを10月24日に発売します。

↑シザーズ

 

今回発売となる、サクサク切れる「シザーズ」、10 枚とじの「ステープラー」、カッティングに便利な「カッター+ルーラー」は、いずれもペンポーチにすっぽり収まり、持ち運びやすいミニサイズです。

↑ステープラー

 

本体は、セット品とは異なるオリジナルカラーを採用した、くすみカラーの「わかば」「ふじ」、バイカラーの「もも」「くるみ」の、全4色のラインナップ。各アイテムは、既存の「チームデミ」ケースへの収納も可能です。

↑カッター+ルーラー

 

シザーズは、対象物をしっかりとらえて最適な刃角度をキープできるベルヌーイカーブ刃で、刃の根元から刃先まで軽く快適に切ることができます。

 

ステープラーは、10号針を一度に50本セット可能。最大10枚の紙(コピー用紙64g/m2)をとじることができます。針の交換時、閉じきらない構造になっているので、最初の1本まで無駄なく使えます。簡単に針を取り除けるリムーバーも備えています。付属品として、、ホッチキス10号針300本が付いてきます。

 

カッター+ルーラーのカッターは、サビに強いステンレス刃を使用。全面フッ素コートにより、テープを切ってもべたつきません。大型カッターと同じ0.5mm厚刃を採用し、丈夫で折れにくく、切れ味も長続きします。ルーラー(定規)はポーチに入れやすい10cmで、片側の金属板はカッター作業に適しています。裏面シボ加工により、黒い紙の上でも目盛りが見やすくなっています。

 

税込価格は、シザーズが660円、ステープラーが693円、カッター+ルーラーが550円です。

玄関のマストツール認定! サンスター文具「シュット」は段ボールも封筒も中身を傷つけずシュッと開封

ダンボールの開梱ツールは、文房具のなかでも、ここ数年で非常に人気の伸びたジャンルと言えるだろう。以前は流通の現場で使われるプロツールだったのが、通販を利用する機会やコロナ禍の巣ごもり需要などもあって、一般家庭で使われる率が急速に高まっているのだ。

 

もちろん開梱ツール自体もいろいろと発売されており、それぞれに特長がある。

 

例えば、ダンボール梱包に無類の強さを発揮するのが、小型セラミック刃で効率的に梱包テープが切れる「ダンボールカッター」(ミドリ)。「カイコーンPRO」(オルファ)は、レターパックや紙袋梱包にも対応できる万能さが魅力だし、「ローラーケシポン 箱用オープナー」(プラス)は、個人情報保護スタンプ兼用なのが大きなポイントだ。

↑筆者宅で運用中の開梱ツール群。用途に合わせて使い分けているが、妻からは「似たようなツールが多すぎる!」と怒られる……

 

どれを使っても間違いないので、逆に「結局、どれを買えばいいの?」と迷うこともあるだろう。実際、筆者もいまだにどれをメインに使うか決めかねてるところがあるし……。

 

そこへ、さらなる“気になる開梱ツール”が仲間入り。正直、これ以上同じような道具を増やしてどうするんだ? という気もしないではないが……ひとまず試してみよう。

 

荷物も郵便もこれひとつでシュッと開く最新ツール

その“気になる開梱ツール”とは、サンスター文具の「SHUTTO」だ。パッと見は、なにをする道具か分からない地味な雰囲気なのが、実はなかなか実用性の高いマルチツールなのである。

サンスター文具
SHUTTO(シュット)
700円(税別)

 

まずメインの機能が、ダンボールオープナー。梱包テープをサクッと切って開梱できるカッターだ。

 

使う際はまず本体を挟むように持って、人差し指で上部のボタンを押し込む。すると安全ロックが解除されるので、そのまま本体下カドをテープに押し込むと、刃ガードがスライドして金属刃が露出する仕組み。

↑ダンボールのアイコンで示されている部分(刃ガード)が後退して、刃が出てくる

 

この金属刃はかなり鋭いが、長さはたった3mm弱。つまり一般的な輸送用ダンボールの厚み以下なので、梱包の中身に刃が触れる危険はほぼないだろう。刃ガードも含めて、安全性が高いシステムと言えそうだ。

 

あとはダンボールの合わせ目に沿ってスーッと引いていけば、テープが切れて開梱完了である。

 

使ってみて特に印象的だったのは、金属刃の切れ味が非常に鋭い、という点。刃が当たってさえいればテープはほぼ抵抗なしに切れるし、なんならダンボールまで切れてしまう。

↑少し強めに当てないと刃が出てこないので、グイッと押し込む感じで使いたい

 

ただし刃長がかなり短いので、合わせ目から脱線してダンボールに切り込んでしまいがち。こうなるときれいに開梱できなくなるので、少し丁寧にコントロールしてやる必要はありそうだ。

↑力を加減すれば、一枚切りの要領でシュリンクフィルムだけを切り開くことも可能(ただしちょっとコツが必要となる)

 

逆側には「レターオープナー」の機能が備わる

さて、もうひとつ機能として備わっているのが、レターオープナーだ。ダンボールオープナーと逆側にスリットがある(封筒のアイコンで示された場所)ので、ここに封筒を通すと、内蔵の金属刃で開封できる。

 

封筒タブの合わせ目から刃を入れて切る構造なので、カット幅はほぼゼロ。つまりこちらも中身にダメージを与える危険はないタイプだ。

↑封書は本体のスリットに差し込んで引くと……

 

↑切り屑もなく簡単に開封できる。レターオープナーはあると地味に便利なので、できれば備えておきたい

 

実のところ、ダンボールオープナーとレターオープナーが一体化したツールは、これが初! というわけでもないのだが、どちらも不満なく使えるレベルにあるのは珍しいかもしれない。実用性はかなり高いぞ、コレ。

 

さらに本体にマグネットを内蔵しているので、使わないときは金属面に固定しておけるのもありがたい。

↑冷蔵庫でもどこでも場所を決めて貼り付けておけば、ツール自体が紛失する危険性はかなり減らせる

 

例えば玄関ドアに貼り付けておけば、届いたものを受け取ったその場でサクッと開けて処理できるわけで、とても便利なのだ。

 

ダンボールと封書、自宅に届くものがだいたいこれ1つで開けられてしまうのは、どう考えても効率的だろう。特に、現時点でオープナーの類を持っていないという人は、導入すれば確実にQOLが上がるんじゃないだろうか。ぜひお試しあれ。

 

【文房具総選挙2022】ホームセンターでも扱う本格的な「切る・貼る・綴じる」文房具10点がノミネート

仕事や勉強、作業の効率をアップさせる高機能をもつ“はかどり文房具”の年間ナンバーワンを投票によって決定する、「文房具総選挙2022」がスタートしました。ここでは【機能別部門】「切る・貼る・綴じる」部門にノミネートされた10商品を紹介していきます。

 

【ノミネート商品をまずは写真でチェック!】

<投票は4/24 23:59まで! 結果は5/24に発表>

 

【「切る・貼る・綴じる」部門】

開梱用カッターや瞬間接着剤など、ホームセンターに並ぶタフな文房具が多数登場。一方で、持ち運びやすいコンパクトな文房具も選出されています。

 

No.40

東亞合成/コニシ
アロンアルフア「タフパワー」
実売価格534円

「アロンアルフア」シリーズから、耐水性と耐熱性に優れたモデルが登場。水回りや熱がかかりやすい部分の補修などに最適だ。液量調節がしやすい容器を採用し、出しすぎを防げる。

 

No.41

ミドリ
XSコンパクトパンチ
1056円

コンパクトに折り畳める世界最小クラスの二穴パンチ。左右のパーツを開くと本体が立ち上がり、一度でコピー用紙5枚まで穴開けできる。底面にはダストトレーが付いている。

 

No.42

オルファ
替刃式カイコーンPRO
実売価格652円

ハードな現場でも使える、頑丈で握りやすい開梱用のカッター。厚手素材を切るのに十分な刃幅ながらも、刃に手指が触れにくい安心設計だ。ワンタッチで刃を交換できる。

 

No.43

ミドリ
クイックテープカッター
968円

マスキングテープを軽い力で切れるディスペンサー。スライダーを引くと、テープが約2㎝送り出される。テープを対象物に貼り本体を引っ張れば、2㎝以上を引き出すことも可能だ。

 

No.44

UHU
瞬間接着剤 超速乾 ピペット
429円

高い速乾性を備えた強力接着剤。独自開発した容器により、液量を1滴ずつ正確に調節できる。細い溝や継ぎ目にしっかり流し込める細型ノズルを採用。吸い戻し機能で液ダレもしにくい。

 

No.45

スリーエム ジャパン
スコッチ 透明梱包用テープ ポータブル
374円(7m巻)、622円(15m巻)

ポケットに入れて携帯しやすい、厚さ約2㎜の芯を使った透明梱包用テープ。手で真っすぐに切れる特殊フィルムのためハサミは不要だ。テープを引き出すときの音も静か。

 

No.46

川上産業
スパスパ
492円〜

四角い形状の粒が、碁盤の目のように並んだ緩衝材。手で切り込みを入れるだけで真っすぐにカットでき、ハサミなしで梱包作業を行える。耐水性、耐薬品性のあるポリエチレン素材だ。

 

No.47

コクヨ
テープのり〈ドットライナー〉
(強力に貼る・本体)
440円

封とじ性能に優れた新開発のパワードットのりを採用。貼った直後から強力に接着でき、反発にも強く、時間が経っても封が開きにくい。厚みのある封筒や重量物の封とじにも安心して使える。

 

No.48

マックス
中とじホッチキス
「Vaimo11 LONG」
1万450円

軽い力で綴じられる中綴じホッチキス。針足の先端が紙側を向き、針先が手や衣服などに引っかかりにくい「先曲げクリンチ」機構を搭載している。綴じ位置がズレにくいのもうれしい。

 

No.49

ビバリー
まほうのペーパーリボン
440円〜

粘着面同士だけがくっつくペーパーリボン。巻いたモノに粘着剤が付かないため、ラッピングはもちろん、コードなどの結束にも活躍する。サイズやカラーのバリエーションも豊富だ。

 

※価格はすべて税込で表示しています。

トレンドと機能で分類した8部門・100商品!

2013年に始まった「文房具総選挙」は今回で記念すべき10回目。ノミネートされた文房具のラインナップに、その年の世相が見える!? 2021年度のはかどり文房具をフィーチャーした「文房具総選挙2022」は最新の傾向を反映した「トレンド部門」3部門と、機能によって分類した5部門の、合計8部門。部門によってボリュームの差があるものの、およそ10数商品ずつが選出され、合計100もの商品がノミネートされました。

 

【トレンド部門】
在宅・ハイブリッドワークがはかどる文房具&環境整備アイテム 部門

在宅ワーク用ツールは、2021年度も引き続きホットなジャンル。今年は机上だけでなく、仕事環境を整備するインテリア寄りのアイテムまで選出しました。 15商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/716263/

 

【トレンド部門】
キッズの学習がはかどる文房具 部門

子ども向けの学習情報ポータルサイト「学研キッズネット」とコラボした本部門。新しい教育方針を反映し、PCやタブレットと併用できる文房具も登場し始めています。15商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/717396/

 

【トレンド部門】
SDGs文房具 部門

文房具の分野でも、脱プラや森林保全、ペーパーレスなどに貢献できる、SDGsに配慮したアイテムが続々と登場。左利きでも使えるといった多様性にも配慮するなど、企業努力が光るアイテムたちに光を当てました。13商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/717444/

 

【機能部門】
書く 部門

「サラサ」や「ジェットストリーム」、「ボールサイン」など、人気シリーズの新モデルが多数登場。ノミネート商品が最多の16点という、激戦部門でもあります。16商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/717119/

 

【機能部門】
記録する 部門

最新のクリップボードや狭いデスクでも広げやすいノート、メモ帳を中心に選出。ルーズリーフの利便性を高めるアイテムにも注目です。11商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/717178/

 

【機能部門】
収納する 部門

例年はペンケースのノミネートが目立つ部門ですが、今年はドキュメントファイルが豊富に揃いました。小物を一緒に持ち運べる書類ファイルにも注目です。12商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/717298/

 

【機能部門】
切る・貼る・綴じる 部門

開梱用カッターや瞬間接着剤など、ホームセンターに並ぶタフな文房具が多数登場。一方で、持ち運びやすいコンパクトな文房具も選出されています。10商品がノミネート。https://getnavi.jp/stationery/717325/

 

【機能部門】
印をつける・捺す 部門

ハンコ関連商品に名品が多数登場し、部門名を「分類する・印をつける」から「印をつける・捺す」に刷新。もちろん、付箋やタグにも良品が揃っています。
https://getnavi.jp/stationery/717346/

<投票は4/24 23:59まで! 結果は5/24に発表>

https://forms.gle/8fX4AHXHcWbvg7h66

プロ仕様に物欲がうずく! 強度3.5倍のステンレス鋼製ツメでマルチツール化するタジマの最強カッターはこれだ

「文房具店では売られていない文房具」というものがあることをご存知だろうか。謎解きとかいじわるクイズのような話ではなく、単に販路の問題というか、ジャンルの問題……要するに、ホームセンターで売られている“工具寄りの文房具”というやつだ。

 

例えば、ホームセンターで売られているマスキングテープは、本来の用途である塗装マスキング用なので、カワイイ柄なんて一切なし。その代わり、粘着力やテープ自体の硬さ(カーブした面を貼るのに関係してくる)なんかは、あれこれ選び放題だ。建築用や自動車塗装用など、文房具店の棚には基本的に並んでないやつばかりである。

 

こういった“ホムセン文房具”の魅力といえば、まず挙げられるのは「プロスペックである」ということ。建築現場などハードな環境下で使われることが多いため、耐久性とか作業強度が一般的な文房具とは大きく違う。もちろん、我々素人が普通に使うには過剰なことが多いのだけど……でも、どうせなら、そういうプロツールを使ってみたい! という気持ちもあるだろう。

 

そこで今回は、“プロ向けホムセン文房具”の代表格とも言える名品、タジマのカッターナイフを紹介したい。

 

強度3.5倍のツメを持つ! プロのためのカッターナイフ

ホームセンターでカッターナイフの棚を眺めると、やはりお馴染みOLFA(オルファ)の黄色いボディ(ただしL刃ばかり)がズラリと並んでいるのが見て取れるはず。ただ、そのOLFAと同じくらいの勢いで棚を占めているのが、タジマのカッターナイフだ。文房具好きにとっては「えっ、タジマ? どこそれ」だろうけど、工具ジャンルでは超メジャーメーカーである。

タジマ
ドライバーカッター L560 オートロック 黒
940円(税別)

 

そんなタジマのカッターナイフのなかでも、その機能とタフさでファンが多いのが、「ドライバーカッター」の名前で知られる「L560」である。正直、見た目はちょっと野暮ったい雰囲気なのだが、一度ハマってしまうと抜け出せない魅力があるのだ。

 

↑基本的にはタジマの専用L刃(写真は「タジマ凄刃黒」)を使用するが、OLFAなど他メーカー製の刃もほぼ問題なく使える

 

その最大のポイントが、ホルダー先端部分。刃を収納した状態で見える先端が、少し突き出した特殊なツメ状の形をしているのが分かるだろうか? 実はこのホルダー先端のツメが、マイナスドライバーとして使える、タフ過ぎな強度を持っているのである。

 

なにしろホルダー全体が、焼き入れによって硬度を高めた1mm厚のステンレス鋼製。なんと従来のカッターナイフのボディと比較して約3.5倍の強度を持っているのだ。

↑名前の元にもなっているホルダー先端のドライバー状ツメ。こじる・押さえる・挿し込むなど、マルチに活用できる多用途ツールだ

 

これが本当にめちゃくちゃ頑丈で、成人男性が力尽くで固くなったネジを回そうが、ペンキの缶フタに差し込んでグイグイこじ開けようが、ビクともしない。一度使ってみれば、このツメが潰れたり曲がったりするイメージが湧かなくなるほどの頼りがいを感じられるはずだ。

 

普通のカッターナイフのホルダー先端でも同じようなことはできなくもないが、数回もやればグニッと曲がってしまうのは間違いないだろう。

↑充分な強度があるため、ドライバーと変わらない感覚でネジを回すことができる

 

この強靱なホルダー部を包んでいるのが、エラストマー製のボディだ。ボッテリとしていて見た目は良くないが、すべり止め効果は抜群。軍手をつけた状態で握った安定感は、おそらく国産カッターナイフのなかでも最強だと思う。軽く持つだけでも安定して、本当に握りやすい。

 

作業現場ではカッターナイフを腰ホルダーに挿して持ち歩くこともあるが、ボディ全体がすべらないため、ホルダーからの抜け落ちといったトラブルが発生しにくいのもポイントだ。

↑ボディのどこでも、軍手で握って不安を感じないグリップ力がある

 

また、このボディの後端には、予備刃2本をストックできるマガジンを備えている。底部を引き抜くとすぐに予備刃が手に入るため、現場でいちいち刃を交換しに戻る手間がかからない。これもプロツールとして人気の機能だ。

 

“ご家庭DIY”レベルでは、予備マガジンのありがたみはほとんど感じられないかも知れないが、とはいえいざという時のために刃がストックできる安心感はありがたいのではないだろうか。

↑ボディ後端の替え刃マガジン。屋外作業などでは活躍しそうだ

 

正直なところ、見た目は格好良さに欠けている。が、グリップの良さと先端ツメの便利さは他に代え難い。正直なところ、これ1本が手に取れる場所に常備してあれば、「なにかをこじ開けるのに硬いものが欲しい」「ドライバーがいるけど工具箱を出してくるのがめんどくさい」みたいな状況がサッと解決できるわけだ。現場のプロでなくても、わざわざホームセンターにまで買いに行く価値はあると思う。

 

上位モデルは「ドラ」+「フィン」でより使い勝手がアップ!

「便利なのはともかく、もうちょっと見た目にスマートなのはないのか」というのは、ごもっとも。であれば、同じくタジマの「ドラフィン L560」はいかがだろうか。

タジマ
万能ツールカッター ドラフィン L560
1400円(税別)

 

焼き入れステンレス鋼製のドライバー状ツメは先の「L560」と同じだが、予備マガジンを排してボディをスリム化。エラストマーグリップも、握った際に掌に触れる部分だけに限っているため、かなりスッキリとした印象だ。白いボディカラーと合わせて、これならもう“野暮ったボディ”とは言わせないぞ。

 

さらに、「ドラフィン」の「フィン」(「ドラ」は先端のドライバー状ツメ)こと、ボディ後端のヒレ状のツメも大きなポイント。OLFAのハイパーシリーズにも同様のツメを備えた製品があるが、こちらもダンボールの開梱やこじ開け、折り筋つけなど、用途が広いマルチツールである。

↑先端のドライバー状ツメ(左)+後端のツメ(右)。作業によって使い分けるとより便利だ

 

ドライバーとして、もしくは狭い部分に差し込んでのこじ開けは先端の「ドラ」で、力を込めて押し込んだりするなら「フィン」で、と使い分けられるのが便利なのだ。

↑後端のツメは開梱作業にも使える。先端が丸いので、中身を傷つける心配もない

 

個人的には、一般家庭に備えておくなら「ドラフィン」の方がオススメしやすい。価格は「L560」よりも定価ベースで500円ほど高くなるが、使い勝手のよいカッターが欲しいのであれば、間違いないチョイスだ。

 

 

筆者・きだてたく文房具レビューのバックナンバーはこちら

 

いざという時に安心! 老舗の技ありカッター「クランクハイパーAL型」をレビュー【動画ダイジェスト】

仕事や勉強など、作業がはかどる機能をもつ「はかどり文房具」の頂点を、ファンの厳正なる投票で決定する「文房具総選挙」。2021年の文房具総選挙で、機能別部門「切る・貼る・綴じる」部門の部門賞に輝いたのが、オルファ「クランクハイパーAL型」です。

 

GetNaviのYouTubeチャンネル「GetNaviチャンネル」では、同イベントで各部門の1位に輝いたアイテムを新人編集部員・小山雅斗(以下、小山くん)がレビューする動画を公開中。今回は、この「クランクハイパーAL型」のレビュー動画をダイジェストでお届けします。

↑今回レビューする「クランクハイパーAL型」を手にする小山くん

 

検証した商品はコレ!

オルファ
クランクハイパーAL型
実勢価格890円

 

老舗メーカーの安心感とM字型のツメの便利さが好ポイント

「クランクハイパーAL型」は、通常のカッターに、M字型のツメを付属しているもの。

 

小山くんいわく「M字型のツメが万能」なのだそう。「もちろん老舗カッターメーカー・オルファさんだからこその信頼できる製品だと思います」と小山くん。

 

「ちゃんとゴム(のグリップ)がついているので、軍手をつけた上での作業でも滑らずに安心」。

 

さらに、「一段一段ロックが付いているので、事故なんかにも繋がりにくい信頼のおけるカッターなんじゃないかなと思います」と話します。

 

ネット通販を利用する人必見! 万能すぎるM字型のツメ

小山くんによると、このM字型のツメはネット通販を利用し、段ボールが多く届く人に便利なのだそう。

 

実際にテープ部分を切ってみた小山くんは、少し引っ掛かりはあるものの綺麗に切れた様子。

その使用感について「普通に切れちゃいますね。すごいグリップ感も良くて、手汗をめちゃくちゃかいちゃう僕でも、滑らずに使えました」とご満悦。もちろん通常のカッターの方も切れ味抜群です。

 

ちなみに、M字型のツメは斜めになっており、テコの原理でこじ開けられるほか、ネジ穴を潰してしまって空回りしてしまうネジの下に差し込み、ツメを当てながら回すことによってネジも取れるとのこと。

 

これらの機能を紹介した後で「こういう機能がカッターについているのは嬉しい」と話しました。

 

小山くんが実際に使用した感想

実際の商品を試した後で小山くんは「カッターとしては申し分なしですし、何よりもこの(M字型のツメ)工具だけで買うことってあんまりないんですけど、カッターについてきてくれているというので、ちょっとしたところで安心につながるのかなと思いました」と太鼓判。

 

そうして導き出された、小山くんの結論。

 

詳しくは動画をご覧ください

 

文=於 ありさ

「替刃式カイコーンPRO」を最速本格レビュー! 人気の開梱カッターがプロ仕様になったらどう変わった?

何度も言うが、筆者は生活物資の大半を通販で購入している、通販の超ヘビーユーザーである。そんな我が家には、毎日少なくとも1個、多い日だと10個ほどの荷物が届くこともある(コロナ禍で外に出る機会が減った分、通販の利用頻度が超加速した)。

 

それだけの量の荷物をバリバリサクサクと開けるためには、やはり専用の開梱ツールが必須。

 

そんな開梱ツールの中でも人気が高いのが、オルファの「カイコーン」である。2020年には、雑誌『GetNavi』で限定ブラックカラーバージョンが付録になったこともあって、持っているという人も多いかも知れない。ダンボールだけでなく、フィルムシュリンクや厚紙封筒タイプのパックなど、様々な梱包に対応した万能性の高い製品だ。

↑万能開梱ツールとしてお馴染み、オルファの「カイコーン」

 

もちろん筆者も、このカイコーンを普段からガチ愛用しているのだが、ヘビーに使っているためか、部分的にちょっと物足りなさも感じていたのである。「カイコーンPRO的な上位モデル欲しいよー」とあちこちで訴えていたら……なんと本当に発売されちゃったのだ。「替刃式カイコーンPRO」が。

 

しかも触ってみた感じ、従来モデルで物足りないと感じていた部分が全部潰されていて、文句の付けどころが見えない。えっ、もしかしてコレ最強じゃね!?

 

もはや不満なし!?“PRO”は最強の開梱ツールかも

2021年7月5日発売予定のオルファ「替刃式カイコーンPRO」(以下、PRO)は、パッと見の印象だと「従来のカイコーンが一回り大きくなった」感じ。たしかに、カイコーンのシュモクザメっぽい特徴的なシルエットは、相変わらずである。

オルファ
替刃式カイコーンPRO
オープン価格(市場価格1000円前後・税別

 

しかし握ってみると、その違いは歴然。カイコーンが厚さ約4.5mmのペラッとした板状だったのに対して、PROは約15.2mmと、大型カッターナイフのようにゴツくて分厚いボディに。

 

これで、作業時にグッと力を入れて握りやすくなった。いかにもプロツール然としてしっかり握れるボディは、まず嬉しい進化ポイントだろう。

↑従来から3倍以上も分厚くなってゴツッと握れるPROボディ。力を入れた作業でも安定感がある

 

そもそもなぜ力を入れて握りたかったかというと、それがカイコーン最大の不満点だった“スリッター問題”につながる。

 

カイコーンは、先端の尖った部分(スリッター)をダンボールの合わせ目に貼られた梱包テープに突き刺し、引き裂くようにして開梱する仕組みだ。そしてこのスリッターが樹脂製ということで、硬めのPPテープなどに刺すには、なかなか力が必要だったというわけ。

↑スリッター(開梱刃)は、樹脂製のボディ一体型から、金属に変更

 

そこでPROでは、このスリッターを金属化。さらに先端も鋭角になったことで、フィルムテープでも布テープでも、ザクッ、ズバーッ! と気持ち良く開梱できるようになったのだ。

 

あくまで体感的な話だが、樹脂スリッターと比べると、テープに突き刺すのに必要な力が半分以下になったぐらいに感じる。これは非常にありがたい。どれぐらいありがたいかって、ぶっちゃけ、我が家(自宅内3か所)に配備されているカイコーンを、すべてPROに置き換えようと即決したぐらいのレベルだ。

↑スリッターを合わせ目に突き刺してテープを引き切る。これが思った以上にラクになっていて驚いた

 

↑あとは、側面にカッター刃を入れて残ったテープを切れば……

 

↑あっという間に開梱作業完了!

 

もうひとつ、スリッターの位置が先端から後端に移動したことで、「スリッターを刺す」から「カッターで切る」の動作の間に、いちいち握り替える必要がなくなったのも、地味に便利である。

 

物理的に作業時間が●秒短縮できました! というほどの話ではないが、軽い力で作業できる・握り替える手間がない、という気分的な部分での快適性は、確実に大幅にアップしていると思う。

 

使い切り→替え刃式で、刃も大きくバージョンアップ

冒頭でも述べたとおり、カイコーンの優れた点は、ダンボール・フィルムシュリンク・封筒パック・硬いPPバンドなど、流通しているだいたいの梱包方式に対応できる万能ぶりだ。

 

で、その万能性の根幹となっているのが、左右に張り出した金属刃である。さすがオルファの刃だけあって、切れ味は抜群。かつ、先端ガードのおかげで刃が手に触れることもないため、非常に安全だ。

↑先端ガード(刃の先にある黒い滴型のパーツ)によって、子どもが勝手に触っても傷を負う危険は少ない

 

とは言っても、テープの粘着剤が刃に付着するなどで次第に切れ味は落ちていくので、切れなくなったら本体ごと取り替える(使い切り)というシステムだった。よほどヘビーに使うのでない限りはそれなりにもつし、替えるとしても市場価格で140円ぐらいのものなのだが。でも、SDGsが騒がれる昨今、捨てずに済むならそれに越したことはないだろう。

↑スライダでロック解除して引き抜くだけで、分解できる。テープの粘着剤が付着すると一気に切れ味が落ちるので、替え刃式への変更は大歓迎だ

 

ということもあってか、PROは替え刃式に変更されている。ボディの表裏にある赤いスライダを同時に引きつつ、先端をつまんで抜けば、替え刃パーツは簡単に取り外せる。戻すときは新しい替え刃を押し込むだけ。非常に簡単だ。

 

ただ、実はプレスリリースでこれを知ったときにまず考えたのは、「替え刃にするのはいいけど、刃がガタついたらイヤだな」ということ。刃がガタつくと切りづらいし、突然抜けたりすると、安全性の面でも不安。それならいっそ、使い切りの方がマシとも言えるぐらいだ。

↑替え刃パーツだけの状態でも、刃が手に触れない安全仕様。こういうところも気が利いている

 

↑替え刃は2個入りで400円前後。よりお得な10個パックもあるとのことで、購入確定だ

 

しかし、実機を触って安心した。この替え刃、めっちゃガッチリ固定されている! 刃の先をつまんで揺らしてもほぼガタつかず、これなら作業時の切りづらさは感じないはず。

 

刃をくわえて固定するボディ先端は硬いFRP製で、安定感は抜群。そこにかなり大きなカエシのついた替え刃パーツをバチン! とはめ込んでしっかりロックするので、すっぽ抜けも心配しなくて良さそうだ。

↑刃が長くなったおかげで、これぐらいの厚みにも問題なく切り込める。ダンボールカッターとして役立つ機会も増えた感じ

 

さらには、刃周辺もいろいろとバージョンアップされている。まず、露出している刃の長さが約4mmから約7mmへと変更。これは単純に、カットが可能な幅が広くなったと言うこと。つまり、一般的なダンボールを2枚重ねてカットして分解、なんてこともできるようになったわけだ。

 

そもそも刃自体も、厚さが0.6mmから0.7mmと約17%アップ。もともと厚めのがっちりした刃ではあったが、それがさらに頑丈になったのである。

↑先端ガードの形状比較。PRO(右)の方がパーツのサイズは大きいが、先端が削り込まれていることで、より使いやすくなった

 

もうひとつ、シュモクザメの目にあたる刃のガードも、よく見ると先端の上下を削りこんだ、より鋭い形に変更されている。

 

このガードは、尖った先端を切りたい場所に差し込むことで、刃のガイド役も果たしているのだが、当然、鋭いほうが差し込みやすくて使いやすい。本当に、細部にわたって改良されているなーという印象だ。

 

こういった細かいところまでしっかり改良されているあたり、PROに対するオルファの“本気”が感じられる。実際に使いやすさも大幅にアップしているので、もし「安価なのを取り替えつつ使う」ことにこだわりを感じているのでないかぎり、買うなら断然、PROがオススメだ。

 

ほんとコレ、開梱ツールの決定版と言っても過言じゃないと思う。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
https://getnavi.jp/tag/kidate-review/

 

人気カッターの最新モデル登場、安全に配慮した「替刃式カイコーンPRO」

オルファは、ハードな現場でも使えるとうたう開梱用カッター「替刃式カイコーンPRO」を7月5日に発売すると発表。参考価格は1100円前後です。

 

近年、安全意識の高まりから、カッターナイフの使用を制限する企業が増加していますが、それにより作業効率が大きく下がることがあり、企業は万が一のケガのリスクと利便性を天秤にかけることがあるといいます。この背景から、オルファはカッターナイフよりも安全・効率的に開梱できる製品「セーフティシリーズ」を展開してきました。

 

替刃式カイコーンPROは、そんなセーフティシリーズの製品で、安全な開梱作業に特化したプロ仕様の替刃式開梱用カッターです。2019年に発売された従来モデルの「カイコーン」に比べて、刃とグリップが厚くなったうえ、切れ味が悪くなったら刃を交換できる替刃式を採用しています。

 

替刃はワンタッチで交換できる、ケガのリスクを抑えた設計を取り入れており、安心して使用できるとしています。

 

また、刃幅は広く、ゴムシートやカーペットなどの厚手素材を切断可能。それでいて、刃の露出をできるだけ抑えた形状を採用しています。刃の先端も露出していないため、開梱時に荷物の中身や下地を傷付けにくいとのこと。

 

このほか、サビに強いステンレス製の刃や、頑丈かつ握りやすいボディ、本体後部に金属製のテープスリッターを採用。本体サイズは全長172×全幅44×全厚20mmで、重量は54gです。

 

なお、7月5日に2個入りの替刃と10個入りの替刃も発売されます。参考価格は2個入りが440円前後、10個入りが1936円前後です。

 

文房具総選挙2020でも人気を集めたカイコーンの最新モデル。いいカッターを探している人は必見と言えそうです。

通販に必須の傑作オープナーが刷新!「ダンボールカッター」の地味だけどジワジワ効いてくる改善点とは

ライターなどという“自宅引きこもり系”の仕事をしていると、忙しいほど外へ出る機会が失われる。結果、なにが起きるかというと、通販のダンボールがやたらと届くのである。

 

なにしろ買い物にも出られないのだから、欲しいものは通販で手に入れるしかないし、これまで紹介している文房具も、ほぼ通販で買っているし。問題なのは、妻も自宅仕事の自営業者ということ。つまり、届く荷物が単純に2倍になるのだ。

 

そして、荷物が大量に届くことで、筆者宅は「開梱用オープナーのテストフィールド」と化している。とにかく日夜いろいろなツールで片っ端から梱包を切り開いているのだ。

 

そうやって選りすぐられたもののなかで、現時点で一線級として活躍しているのが、オルファの「カイコーン」と、デザインフィルの「ダンボールカッター」の2点。どちらも機能的かつ汎用性があり、家庭用オープナーとしてはとても優秀である。

 

2点とも、すでにこの連載で紹介したものだが、実はその「ダンボールカッター」がこの秋にリニューアルしたという。すでに相当に便利なオープナーではあるが、それがリニューアルしたとなると、どう変わったのか気になるぞ。

【2018年モデル】スッと切れるが中身は無傷! 通販ラヴァー喝采の「カッター」があったー!
https://getnavi.jp/stationery/279206/

 

新「ダンボールカッター」は前モデルの不満点をスパッと解消!

ということで早速入手したのが、デザインフィルがプロダクトブランド、ミドリから発売する「ダンボールカッター」である。リニューアルなので名称は変わらず、今後は店頭でも順次新しい方に切り替わっていくはずだ。

 

本体をカパッと開いて、中にある小さなセラミック刃で梱包テープの合わせ目を切る、という基本的な機能は変わらない(ので、使い方の詳細は前回の記事を参照して欲しい)。まあ、ちょっと大きめのコインみたいな形をしている、というパッと見の印象も一緒だ。

ミドリ(デザインフィル
ダンボールカッター
980円(税別)

 

↑刃をダンボールの合わせ目に挿し込んで切り開くと、簡単に開梱完了。ハサミやカッターより使いやすいし、安全性も高い

 

いや、よく見ると新モデル(2020年版)には「表面のシボ加工が無くなった」「外周全体に凹凸のモールド追加」という変更点はあるようだ。

 

そして実は、この2つの外見変更は、リニューアルされた最大のポイントに端的につながっているのだ。その最大のポイントというのが、ズバリ、開けやすくなった! というところ。

↑リニューアルによる外見の変更点。表面のシボの有無と、側面の凹凸だけで、見た目的にはあまり変わった感は無いが……

 

この「ダンボールカッター」は、コイン型のボディをパカッと割り開くことで、中からセラミック製の開梱刃が露出する……のだが、実は前モデル(2018年版)は、この開閉が少々固くてやりづらいことが、数少ない難点のひとつだったのだ。

 

この固さは、保安上のチャイルドロックとして機能していたようなのだが、グッと指に力を入れて開けるためには、表面のシボ加工(=滑り止め)が必須だったというわけ。

↑内蔵スプリングの弾力で、軽い力でも開くように。これは使いやすさの大幅アップポイントだ

 

対して新モデルでは、開閉機構にスプリングを内蔵。開けていくと最初は少し抵抗があるが、90度近くまで開くと、今度は弾力でスイッと自動で開くようになったのだ。ちょっと開いたぐらいでは、逆にスプリングの弾力で閉じてしまうので、これもある種のチャイルドロックになるのだろう。

 

もちろん前モデルだって、慣れれば別になんてことはなく開閉できるが、それでも軽くスイッと開ける方が、気軽に使えるに決まっている。その際は表面をつまむのではなく、外周に新造された凹凸モールドに指をかけることで、片手で開くことも可能だ。うーん、これはめっちゃラク!

↑少し慣れれば片手でもこの通り。前モデルでは考えられなかったラクさ

 

この簡単オープンだけでもリニューアルとしては充分すぎるぐらいだが、実はまだ改善ポイントはある。

 

「ダンボールカッター」はボディに磁石を内蔵しており、冷蔵庫ドアなど金属面にペタッと貼っておけるのだが、前モデルはコイン型の裏面にしか磁石が効いていなかった。そのため、貼る際はいちいち裏表を確認する必要があり、それがもうひとつ難点に思えていたのである。

 

しかし、新モデルは磁石を大型化して磁力アップ。表裏どちらでも気にせず金属面に貼ることができるようになった。それによって、貼る収納が簡単になった→使用後、元の位置に戻しやすい→紛失の確率が減らせる、ということになる。改善はささやかながら、運用上では確実に扱いやすくなったわけ。

↑裏表を確認せずにホイッと金属面に貼れるのもラク。これだけでも買い替える価値があると思う

 

もうひとつ、セラミック刃も左右対称の形状にリニューアル。もし刃が欠けるなどした場合は、カバーを外して刃を反転させることで、新しい刃として再利用が可能になった。

 

正直、この刃はかなり頑丈かつ小さいので、よほど無茶な使い方をしないかぎり欠けたり割れたりすることなんてないだろうと思っていたのだが、もしかすると実際に刃を欠けさせたユーザーからの要望があったのかもしれない。

 

ただ、万が一のときにすぐ新しい刃が手に入ると思えば損はないが(さらに替え刃も別売り化)、個人的には交換可能な構造にしたことで刃のガタツキが大きくなったのは、いささか惜しい気もする。

↑ネジの固定をひとつ外せば、このように刃が取り出せる。左右対称形なので、裏返してハメなおせば新しい刃として使えるのだ

 

ともあれ、実用性の高いツールにあったわずかな不満点が、リニューアルでスパッとまとめて解消されたのは素晴らしいことだ。デザインフィル、これはお見事!

 

我が家では、開梱する場所に合わせて3個(自室・リビング・玄関前)の「ダンボールカッター」を運用していたのだが、もうすべて新モデルに交換決定である。また、前モデルを悩んでまだ買っていなかった人に対しては、あらためて新モデルを猛プッシュしておきたい。通販を使う機会が多いなら、持っていて絶対に損はしないから。

 

 

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