“文具ソムリエール”菅未里が振り返る2020年に自腹買いしたベスト文房具5選

2020年は、社会が試された1年でした。言うまでもなく、新型コロナウイルスの影響です。海外旅行もできず、外出や会食も難しくなり、“新しい生活様式”下での不安やストレスに苛まされた方も少なくないでしょう。

 

しかし、文房具は元気でした。ひとりで、お家で楽しめる“趣味”であることも幸いしたと思いますし、自宅勤務をする方が増えた影響もありそうです。

 

その結果、いい文房具が、2020年もたくさん登場しました。

連載「文具ソムリエール・菅 未里の自腹買い文房具」アーカイブ
https://getnavi.jp/author/misato-kan/

 

1.“りくちのいきもの”のホッチキス

動物たちがかわいい、MAX(マックス)の「シリコンカバーホッチキス」は、2019年の文具女子博で1200個を超える売り上げを叩き出した注目作ですが、その第3弾ですね。私は2020年11月にあった「文具女子博2020」で先行販売されていたものを買いました。

 

ひと言で言うなら、ホッチキスに動物のかわいいシリコンカバーをつけたもの、なのですが、この第3弾では、ホッチキス本体だけでなく、ホッチキスの針にもカラフルなシリコンカバーがつくようになりました。失くしがちなホッチキスの針が目立つのはありがたいですね。

 

【商品情報】
マックス
シリコンカバーホッチキス Vol.1 みずべのいきもの
サメ/ワニ/ビーバー
各1200円(税別)

シリコンカバーホッチキス Vol.2 つめたいうみのいきもの
ペンギン/シロクマ/セイウチ
各1500円(税別)

シリコンカバーホッチキス Vol.3 りくちのいきもの
ライオン/パンダ/ゾウ/オオカミ
各1500円(税別)

シリコン針ケース付きカラー針 りくちのいきもの
ライオン/パンダ/ゾウ/オオカミ
各750円(税別)

 

2. ディズニーのカモフラージュホルダー

「カモフラージュホルダー」とは、中に入れた書類の文章が見えないクリアホルダーのことです。情報を守るためのものですが、細かい文字は見えないようにしつつ、タイトルや見出しなど、大きな文字は見えるのもポイントです。中の書類を出さなくても、持ち主にはどういう書類かわかるからです。

 

そのカモフラージュホルダーの限定版です。ディズニーのおなじみのキャラクターたちがあしらわれています。

 

↑挟んだ書類の文字をカモフラージュする柄も、よく見ればディズニーキャラクターという凝りよう

 

↑裏側

 

実は、この商品はサンプルを送って頂いたのですが、あまりの愛らしさに「保存用」を別に購入しました。したがって、「自腹買い文具」に含めてもいいのです。

 

【商品情報】
プラス
カモフラージュホルダー 限定ディズニーデザイン
各300円(税別)

 

3. 段違いに色が濃いゲルインクボールペン

ユニボールワンはごくシンプルなゲルインキボールペンなのですが、色が鮮やかで、黒も濃いことが特徴だと、メーカーは言っています。私は最初、黒以外の色はともかく、「黒が濃い」ということがどういうことなのかピンと来ていなかったのですが、いろいろなボールペンの黒を書き比べたところ、よくわかりました。

 

圧倒的に黒いのです。黒インクが黒いのは当然なのですが、その黒さが段違いというべきでしょうか。試す価値は大きいです。

 

ちなみに、今風の“くすみカラー”の限定色も出ていますので、そちらもおすすめです。

 

【商品情報】
三菱鉛筆
ゲルインクボールペン ユニボール ワン
120円(税別)

※写真は、数量限定モデル(各360円・税別)

 

4.“日本の色見本帖”が付箋に

このシリーズではシールが人気で、今年のISOTの「日本文具大賞デザイン部門」にも選ばれていましたが、私はあえて付箋を推しましょう。

 

デザインや色の素敵さは言うに及ばず、色が「●●系」と、系統でまとめられているのがいいですね。同系統なら異なる色でも統一された印象を与えられますから、たとえば手帳に異なる色のふせんを使っても、全体としてまとまりが出るのです。ガチャガチャしません。色味も落ち着いていてすばらしいです。

 

↑手帳に。全く異なる色のようで、不思議とまとまりが出る

 

【商品情報】
カミオジャパン
日本の色見本帖付箋短冊
各400円(税別)

日本の色見本帖マスキングテープは文房具総選挙2020の準大賞に輝いた
https://getnavi.jp/stationery/496518/

 

5. 定番ノートの専用修正テープ

以前、連載でも取り上げましたが、かなり黄色が強いロルバーンの紙に合わせた修正テープが出たことは、本当に画期的でした。「合う修正テープがないから」という理由でロルバーンを敬遠していた人も、これからはロルバーンを選択肢に入れられるでしょう。

 

ロルバーンは限定柄が多いのが特徴なのですが、修正テープがあれば、コレクションするだけではなく、どんどん使えますね。

 

【商品情報】
デルフォニックス
ロルバーン 修正テープ
330円(税別)

【菅未里の自腹買い文房具】大定番ノート「ロルバーン」がリングノート苦手派にも支持される理由
https://getnavi.jp/stationery/553186/

 

文房具業界も新型コロナによるダメージは受けました。しかし、ユーザーは自宅にいる時間が長くなったので、お手元の文房具を整理したり、しまい込員でいたものを引っ張り出したりと、自分なりのしかたで文房具と向かい合えた一年だったのではないでしょうか。

 

メーカー側も変わった一年でした。特に、SNSやインターネットの力が再認識されたのが大きいですね。子育て中でなかなか文房具店に行けない方や、地方の方にとってはプラスもある一年だったはずです。

 

まだまだ新型コロナの収束は見えず、2021年も厳しい時期が続くはずです。でも、文房具は今までのように、いえ今まで以上に、みなさんを助けてくれるでしょう。どんな一年が待っているのでしょうか。

パコッ! のワンアクションでOK。中身に優先順位をつける高機能ペンケース

【きだてたく文房具レビュー】トレーの構造や本体の切り分けで収納した文房具に優先順位をつけるペンケース

新年度がスタートしてしばらく経つわけだが、異動やら配置換えで仕事環境が今までと変わってしまった、という方も結構おられるんじゃないだろうか。外回り中心から内勤になったとか、これまでフリーアドレス制だったのに固定デスクになった、とか。そういう環境の変化に合わせて替えるといい文房具が、ペンケースだ。

 

可搬性重視の軽いペンケース、狭い机で使いやすい立つペンケース系など、ペンケースは使う場所に合わせると作業効率がアップするものが多いのである。

 

今回は、そんな中でも使うシーンを絞って機能を向上させた「機能特化型ペンケース」を紹介したい。

 

文房具を“取っ替え引っ替え”使いたい人のためのペンケース

必要なものにすぐ手が届く、トレー変形タイプのペンケースは、いま文房具好きの間で密かに人気が高まっている。

 

一昨年ごろから流行した、いわゆる「立つペンケース」よりも面積が要るため場所は選ぶが、消しゴムやふせんなど小さなモノも探しやすいというメリットがある。

 

そんなトレー変形型でも、ちょっと変わったギミックで注目の製品が、カミオジャパンの「パコトレー」だ。

↑カミオジャパン「パコトレー」1620円

 

収納状態ではごく普通のポーチ型だが、ジッパーを開くと同時に中央部のポケットだけが持ち上がり、立体的な2段ペントレーになるという機能付き。

 

フルオープンにすると、底部に仕込まれた磁石同士がパコッとくっついて、開いたままの状態を維持する仕組みとなっている。(ただし、ポーチ状態でスチールデスクにパコトレーを置くと、この磁石が机面にくっついてしまうのがちょっと鬱陶しい)

↑ジッパーを全開にすると……

 

↑中央ポケットが持ち上がって、中の文房具が取り出しやすいように変形

 

必要なものにアクセスしやすいと言っても、実のところ、中の文房具全部にすぐ手が届く必要はない。例えば、いつも使っているペンと蛍光マーカー、ふせんだけすぐ使えれば、あとはまぁ入っていればいいや、程度だということもあるだろう。

 

パコトレーの2段トレーは、まさにそういう使い方向き。トレー型のアクセスの良さをさらに特化させ、中央ポケットに入っているレギュラー文房具数点に絞って、取り出しやすさをアップさせているのだ。

↑取り出しやすさに関して、かなり割り切った作りになっている

 

いつもの文房具を「どうぞお使いください」と捧げ持ってくれているようで気分もいいし、実際にアクセスもいい。

 

会議用と外出用を使い分けられるペンケース

社内で会議に出るならペン数本持てば充分だが、外出用にはもうちょっとしっかり装備を揃えておきたいもの。

 

社内外ともに移動が多いタイプの人だと、やはりひとつのペンケースで満足感を得るのは難しい。かといって複数のペンケースを備えておくのも大仰すぎる気がするし。

 

キングジムの「イッツイ フルオープンタイプ」はそういう人向きの、「使うシーンを絞らない」ことに機能を絞ったペンケースだ。

↑キングジム「イッツイ フルオープンタイプ」2138円

 

見た目は、手帳サイズの四角いペンケースにポケットが付いたような感じ。実はこのイッツイ、本体と小さなペンシースのふたつが一体化しているペンケースなのだ。

 

磁石でくっついているだけなので、分離するときは本体からペンシースをパコッと取るだけ。そして合体させるには同じ場所に戻すだけ。非常にシンプルなので、使い方に悩むということはまずないだろう。

↑本体と分離・合体が可能なペンシースの組み合わせ。日常的にはシースだけで充分、というシチュエーションも多い

 

ペンシースは、メインのボールペンと赤ペン、蛍光マーカーぐらいの組み合わせがちょうどいいぐらいの容量だ。

 

例えば社内の会議とか、上司に呼ばれたときなんかは、本体からこのペンシースをもぎ取って手帳と一緒に持てば、充分に対応可能だ。なにより荷物が少なくなるので、身軽に移動できるのがありがたい。

↑フルオープンにした本体。フルフラットになるので、必要なものが取り出しやすい

 

本体(大ペンケース)は、ジッパーを全開にすることでフラットに開口して、ペントレーとしても使えるようになっている。

 

開いた右側はペンを挿しておくペンポケットになっているが、せっかくのトレー型なので、ペンはそのままザラザラと放り込んでおいた方が使いやすいように思った。

 

左側は仕切り板で2段に仕切られており、定規やハサミ、カッターなどを収納するのに丁度いい感じ。また、板にはわりとしっかりした芯材が入っているので、ポケットに名刺やふせんなどを入れておいても曲がらず、安心感がある。

↑ホームセンターなどで売っている磁石シート(ちょっと強めがいい)を仕込んで、ノートカバーとも合体可能に

 

あと、これは小技的なものだが、社内でいつも使っているノートカバーのポケットに磁石シートを忍ばせることで、ペンシースとノートも一対で使用できるよう改造してみた。

 

キングジムの製品には、磁石内蔵タブで表紙を挟み込んでノートと一体化できるペンケースとして「ペンサム」がすでに存在するが、それよりも取り回しが良い感じで、なかなか使いやすい。

ただそうなってしまうと、本体とペンシースで「イッツイ(一対)」ではなくなってしまうので、改造版はなにか新しい名前を付けた方がいいかもしれない。本体とノートの都合のいい方にくっつく「コウモリ」、というのは語感が悪すぎるか……。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。ブング・ジャムのメンバーとして参画した『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)が発売されたばかり。