超望遠レンズがこの軽さ&価格!? とにかく撮影が楽しくなる「タムロン 100-400mm」濃厚レビュー

風景や鳥、乗り物などの撮影で被写体を大きく撮りたい場合は、400mm以上の“超望遠レンズ”が必要になるケースが少なくない。従来、そうした超望遠レンズは、大きく重く、そして高価な大口径の(開放F値が小さな)高性能レンズが中心だった。そのため、撮影自体をあきらめてしまうユーザーも少なくなかった。

 

ところがここ数年、開放F値を欲張らずに、比較的軽量で描写性能も高めの超望遠ズームが増えてきて、気軽に超望遠撮影が楽しめるようになってきた。2017年11月に発売された、タムロンの「100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD(Model A035)/以下、タムロン100-400mm)」もそうした製品の1つだ。

 

このレンズはフルサイズ一眼に対応し、約4段という強力な手ブレ補正「VC」を搭載。独自の「eBANDコーティング」によりゴーストやフレアといった余計な光の像が効果的に抑えられ、レンズ表面の汚れに強い防汚コートや簡易防滴構造も採用している。軽量化などのため同社の高品質レンズ「SP」シリーズからは外れているものの、3枚のLD(異常低分散)レンズを用いるなど、画質面にも優れた1本だ。また、焦点距離を伸ばせる専用テレコンバーター(※)など、別売のアクセサリーも豊富で様々な撮影に対応できるのも魅力。今回は、このタムロン100-400mmの魅力を豊富な作例とともに紹介する。

※テレコンバーターとは、使用レンズに装着して焦点距離を伸ばすアクセサリーのこと。テレコンバーターには、レンズ先端に装着するフロントコンバーターとレンズとボディの間に装着するリアコンバーターがあるが、ここでは後者。“テレコン”と略して呼ばれることも多い

20171228_y-koba3_ic2_R↑上の写真では付属のフードと別売の三脚座を装着しているので大きく見えるが、本体は長さ199mm、最大径86.2mm(キヤノン用)で、ドリンクの500ml缶を半回りほど大きくした程度の大きさ。質量も1135g(キヤノン用)で他社の同様のレンズに比べて軽量でハンドリングしやすいのが魅力。ニコン用、キヤノン用が用意されており、参考価格は7万3010円(別売の三脚座は1万3500円)

 

※本記事の作例は、キヤノン用レンズで撮影しています。APS-Cサイズ機使用時における35mm判換算の焦点距離もキヤノン用で表記

 

ライバル製品との違いは? 基本スペックをおさらい

タムロン100-400mmを手にして最初に驚くのが、1135g(キヤノン用)という軽さだ。このレンズと同等の焦点距離をもつ製品は、下記の表にあるようにキヤノン、ソニー、シグマなどから発売されているが、キヤノンとソニーの製品は1400~1600g程度で、シグマの製品が1160g。シグマ製とは僅差だが、それでもタムロン100-400mmが25g軽い。

2011228_y-koba3_hyo_R↑スペック比較表。タムロンはキヤノン用の、シグマはシグマ用のレンズの数値となっている

 

開放F値はキヤノンとソニーがF4.5-5.6で望遠側のF値が明るい。とはいえ、わずか1/3段差で200g以上軽いのはタムロン100-400mmのメリットといえるだろう。最短撮影距離が1.5mとやや長め(キヤノンとソニーは0.98m、シグマは1.6m)なのは気になるところだが、最大撮影倍率が400mm時で約0.28倍と十分な大きさで撮れるので、不満を感じることはあまりないはずだ。加えて、実売価格が7万円台前半となっており、キヤノンやソニーの純正レンズに比べると非常にお買い得。ただし、キヤノンとソニーの製品は、キヤノンが「Lレンズ」、ソニーが「Gマスター」という高画質仕様になっており、価格帯を考えるとシグマの「100-400mm F5-6.3 DG OS HSM (Contemporary)」が、本レンズの直接的なライバル機種といえるだろう。

 

半年ほど先行して発売されたこのシグマ製品も、画質やコスパに定評のあるレンズ。それに対するタムロン100-400mmの優位点はというと、100mm時(広角端)の開放F値がわずかながら明るいほか、別売で三脚座が用意されている点が挙げられる。今回、実際にこの三脚座を使用して撮影してみたが、前後の重量バランスが適度にボディ側(後ろ側)になって操作しやすく、また、横位置と縦位置の変更が素早くできるのが便利であった。このほか、1.4倍と2倍の専用テレコンバーターが用意されている点はシグマも同様だが、2倍テレコン使用時にシグマはAF不可となるのに対し、タムロンは使用機種が限定され、かつ動作が遅めになるというしばりはあるもののライブビュー撮影にすることでAFが機能する。そのため、風景などの動かない被写体を撮る場合にはAFが使用できるぶん便利だ。

20171228_u-koba3_ss_R↑タムロン100-400mm専用の三脚座(別売)。キヤノンやソニーの製品は三脚座がセットになっているが、シグマ製には三脚座が用意されていない。レンズ自体が軽量なので三脚座なしでも問題はないが、これがあると三脚使用時のハンドリングが格段に向上する。三脚へは通常のネジで取り付けられるほか、クランプ式でしっかりと固定できる「アルカスイス互換」の雲台に対応しており、安定したフレーミングが行えるのも魅力

 

20171228_y-koba3 (3)↑1.4倍と2倍の専用テレコンバーター。別売でそれなりに費用もかかるが、さらに望遠で撮りたい場合には有効だ。100-400mm以外にも使用できるレンズがあるので、それらのレンズを持っている(あるいは今後購入する予定がある)ならオススメ。特に1.4倍は撮影上の制約も少なく、「もう少しアップで撮りたい……」というときに役立つ。参考価格はともに4万5460円

 

風景から鉄道まで、幅広いシーンで使いやすい焦点距離

100-400mmのズームレンズなのでズーム倍率は4倍と控えめだが、このくらいの焦点距離は遠くの風景を切り取る場合や鉄道などの乗り物撮影で使いやすい。また、APS-Cサイズの一眼カメラを使用すると160~640mm相当(キヤノン用の場合)となるので、野鳥撮影などでも活躍すする。次の作例は、フルサイズ機とAPS-Cサイズ機それぞれの広角端/望遠端を同じ場所から撮り比べたものだ。

20171228_y-koba3 (4)↑広角端(100mm)

 

20171228_y-koba3 (5)↑APS-Cサイズ機使用時の広角端(160mm相当)

 

20171228_y-koba3 (7)↑望遠端(400mm)

 

20171228_y-koba3 (6)↑APS-Cサイズ機使用時の望遠端(640mm相当)

 

広角端はフルサイズ機では100mmでAPS-Cサイズ機だと160mm相当。解像感が高く、建物の細かい部分までしっかりと描写されている。望遠端の400mmは、APS-Cサイズ機を使うと640mm相当。これだけ違うと、用途に応じてフルサイズ機とAPS-C機を使いわけるのも良さそうだ。400mmでの画質は、100mmに比べると柔らかめの写りだ。

 

強力な手ブレ補正で超望遠域でも手持ち撮影が可能

画質面では、余程の高画素機でなければ解像感は十分。400mmで絞り開放にして使用すると画面の四隅が多少暗く写るものの、そこまで気にはならず、F8~11程度まで絞ればそれも解消する。手ブレ補正も約4段分と強力で、超望遠域でも手持ち撮影が可能なのは大きな魅力だ。

 

実際にAPS-Cサイズ機を用いた640mm相当での撮影でも、1/60秒以上のシャッター速度を確保しつつ、しっかりと構えれば手ブレせずに撮れる印象。ただし、望遠端では画角が狭いため、1/60秒では手ブレよりも被写体ブレが気になるケースが多くなる。静物を撮るのでなければ、1/250秒程度は確保したほうがいいだろう。その意味で、日中の撮影でもISO400~1600程度を常用すれば、手持ちでも失敗なく撮影が楽しめるはずだ。ちなみに、この手ブレ補正は近接撮影時にも有効で、400mmでの最短撮影距離で撮影しても効果が高く、フレーミングも楽に行える。

20171228_y-koba3 (8)↑APS-Cサイズ機を使い、望遠端の640mm相当でシラサギを手持ち撮影。感度をISO800まで上げて、1/500秒としたことで手ブレの心配なく撮影できた。しかも、手ブレ補正のおかげでファインダー内の像が安定し、フレーミングが行いやすいというメリットも

 

20171228_y-koba3 (9)↑航空自衛隊の輸送用ヘリコプターが近づいてきたタイミングを狙って400mmで撮影。思った以上にヘリが近く、アップでの撮影となったが、ISO400、シャッター速度1/320秒でどうにか写し止めることができた。質量が軽く、手持ちでレンズを振りながら撮影しても腕への負担が少ないのは大きな魅力

 

20171228_y-koba3 (10)↑フルサイズ機を使い、400mmの最短撮影距離付近で撮影。最大撮影倍率は約0.28倍で比率にすると1:3.6。本格的なマクロレンズ並みとまではいかないが、このように小さな花も十分大きく撮影できる。絞り開放での撮影だが、背景のボケも自然で美しい

 

本レンズの手ブレ補正は、多くの被写体に適していてファインダー上でも効果を確認できる「モード1」と、流し撮りを行う際に最適な「モード2」の2つのモードが用意されている。そのため、鉄道やクルマなどを流し撮りする際も安心して使用できる。また、この手ブレ補正はテレコンバーター使用時にも有効なので、800mm相当を超える超望遠での手持ち撮影の幅が広がる

20171228_y-koba3 (11)↑APS-Cサイズ機で302mm相当(189mm)で流し撮りを行った。ISO感度を100に下げて、1/60秒の低速シャッターを使って列車の動きに合わせてカメラを振りながら撮影。手ブレ補正を「モード2」にしたことで、上下方向のブレが補正されている。ファインダーでも効果が確認できるので、流し撮りが行いやすい

 

1.4倍&2倍テレコン対応で驚くほど遠くのものを大写しにできる

焦点距離を伸ばせる専用テレコンバーターに対応している点も、本レンズの魅力の1つ。テレコンバーターを使用した場合は、画質的には多少解像感が低下するものの、それでも実用上は問題ないレベル。それ以上に500mmを超える画角が得られる魅力のほうが大きい。1.4倍テレコン使用時は開放絞りがF6.3-9、2倍テレコン使用時はF9-13になるので、できるだけ感度を上げて使用するのがポイントになる。

 

テレコンの使用でどれくらい画角が変わるのか、望遠端を比較した次の作例をご覧いただこう。

20171230_y-koba1_R↑400mm(通常の望遠端)

 

20171228_y-koba3 (12)↑560mm(1.4倍テレコン使用時の望遠端)

 

20171228_y-koba3 (13)↑800mm(2倍テレコン使用時の望遠端)

 

20171228_y-koba3 (14)↑1280mm相当(APS-Cサイズ機+2倍テレコン使用時の望遠端)

 

APS-Cサイズ機で2倍テレコンを使用すると、800mm×1.6倍(キヤノン用の場合)で1280mm相当という驚異的な焦点距離が得られる。これを利用すれば、通常は撮ることが困難な被写体も次の作例のように大きく写すことができる。

20171228_y-koba3 (15)↑APS-Cサイズ機を用いて、1280mm相当でアオサギを撮影。わずか約2度という狭い画角(範囲)を切り取ることができ、遠くの被写体を大きく撮れるが、範囲が狭すぎてどこを撮っているのかわからなくなる場合も少なくない。そのため、カメラに照準器を付けて撮影位置を確認するようにすると、素早くフレーミングが行える

 

20171228_y-koba3 (16)↑今回の撮影ではオリンパスのドットサイト照準器「EE-1」を使用。カメラのアクセサリーシューに取り付けが可能だ。撮影の前に照準の位置を調整しておけば、高精度に被写体をフレーミングできる

 

20171228_y-koba3 (17)↑ドットサイト照準器「EE-1」の視野。ファインダー内で光る照準(ドット)を撮りたい被写体に重ねることでフレーミングできる

 

20171228_y-koba3 (18)↑羽田空港に着陸する直前の飛行機を1280mm相当で撮影。ここではファインダーを使ってMFで撮影したが、かなり離れた位置の被写体なら撮影距離を無限遠(∞)に固定して撮影できる。手前のクレーンや奥に写る船など、望遠レンズならではの強烈な圧縮効果(距離感の喪失)により、独特な写りとなった

 

20171228_y-koba3 (19)↑1280mm相当で月を撮影。月を撮る場合は天体望遠鏡にカメラを付けて撮影するケースが多いが、1000mmを超える望遠なら、このように月を大きく撮ることが可能になる

 

さらに、テレコンを付けても最短撮影距離は変わらないので、近接撮影時の倍率をアップさせたい場合でもテレコンは有効だ。特にAPS-Cサイズ機を使った場合は、本格的なマクロレンズに近い倍率が得られ、35mm判に換算すると、計算上1.4倍テレコン使用で約0.62倍相当、2倍テレコン使用で約0.89倍相当で撮影できる。次の作例も、この組み合わせで花を近接撮影してみた。

20171228_y-koba3 (20)↑640mm相当(APS-Cサイズ機使用)

 

20171228_y-koba3 (21)↑896mm相当(APS-Cサイズ機+1.4倍テレコン使用)

 

20171228_y-koba3 (22)↑1280mm相当(APS-Cサイズ機+2倍テレコン使用)

 

テレコン使用時の注意点としては、開放F値が暗くなるため、1.4倍テレコン使用時はカメラがF8でのAFに対応している必要があり(※)、また、2倍テレコン使用時はファインダー撮影時ではMF専用となり、背面モニターを使用したライブビュー撮影時のみAFが機能する点。この場合も、最近のカメラのほうがピントが合いやすいようだ。とはいえ、2倍テレコン使用時のライブビューでのAFは、かなり動作がゆっくりとしているので、動いている被写体を撮る場合はMFでのピント合わせのほうが快適だろう。

※従来の一眼レフは開放F5.6や6.3よりも暗いレンズではAFが機能しない。キヤノンではEOS 6DマークIIやEOS 80D、ニコンではD750やD7500など、比較的新しい機種では開放F8でもAFが機能するようになってきている。タムロン100-400mmに1.4倍テレコンを装着すると400mmでF9となるが、こうしたカメラならAFが可能という

 

このような撮影上の制約や価格面を考えると、本レンズのためだけに2倍テレコンを購入するのはややもったいない。このテレコンは、同社の「SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2」や「SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2」にも対応しているので、これらのレンズを持っている場合や今後購入したいと考えている人におすすめだ。

 

【結論】軽量でアクセサリーも多く、様々な楽しみ方ができる

タムロン100-400mmは、フルサイズ機で手軽に超望遠撮影を楽しんでみたい人や、APS-Cサイズ機のダブルズームの望遠端に満足できない人、現時点で標準ズームしか持っておらず、望遠ズームを新たに購入したい人などにおすすめの1本。このクラスのズームとしては非常に軽量でアクセサリーも多く、様々な楽しみ方ができる。画質面での満足度も高いはずだ。

 

今回は2つあるテレコンバーターを両方とも試してみたが、どちらか一方を選ぶなら、1.4倍のものをおすすめしたい。倍率という意味では物足りなく感じるかもしれないが、使用上の制限が少なくAFスピードや画質面でも不満なく使用できる。

 

また、アクセサリーという意味では、三脚座はぜひ購入しておきたいアイテムだ。1kg強の軽めのレンズとはいえ、カメラのマウント部にかかる負荷を軽減できる点で安心感が高く、ハンドリングも格段に行いやすくなる。

 

2017年のカメラカテゴリ総決算! プロが意表を突かれたカメラBest5

2017年も数々のカメラ新製品が登場し、市場を賑わせました。本稿ではプロカメラマン・吉森信哉さんが、2017年に発売されたカメラ製品のなかから“意表を突かれたカメラ”という切り口で5製品をピックアップ。選出理由も含め、ランキング形式で紹介してもらいます。

※記事内の価格は2017年12月27日時点の編集部調べによるものです

 

【第5位】富士フイルム GFX 50S

20171227_GFX50S
1kgを切る小型軽量の“中判ミラーレス”

GFX 50Sは、「FUJIFILM G フォーマット」のイメージセンサーを搭載する、小型軽量ボディの中判ミラーレスカメラ。その中判サイズの有効5140万画素CMOSセンサーと、画像処理エンジン「X-Processor Pro」の組み合わせにより、35mm判フルサイズ機を上回る超高画質を実現する。そして、静電式タッチパネルを採用する背面モニターや、防塵・防滴・耐低温構造の高剛性マグネシウム合金製ボディの採用などにより、過酷な屋外撮影での高パフォーマンスも期待できる。

 

【選出理由】

超高画質が期待できる、中判サイズ(43.8×32.9mm)の5140万画素CMOSセンサーを搭載。これだけでも35mm判フルサイズ一眼レフカメラに対するアドバンテージになるが、GFX 50Sのボディの重さは1kgを切る軽量設計だ。この「約740g」という質量は、予想以上の軽さであった。また、EVF(液晶ビューファインダー)は、富士フイルム初の着脱式で、使い方に合わせたボディスタイルが選択できる。このあたりのフレキシブルさも驚いた点である。さらに、液晶モニターはタッチパネル対応なのでメニュー操作や測距点選択などが迅速に行えるし、縦位置にも対応できる3方向チルト機構の採用も機動性の高さにつながっている。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ交換式ミラーレス ●撮像素子サイズ:中判(43.8×32.9mm) ●有効画素数:約5140万画素 ●ISO感度:100~12800(拡張:下限50、上限102400) ●シャッター速度(※は電子式):1/4000(※1/16000)~60分、バルブ、タイム ●AF方式(測距点数):TTLコントラストAF(425点) ●連続撮影速度:約3コマ/秒 ●ファインダー:電子式ビューファインダー(視野率100%・0.85倍) ●液晶モニター:3方向チルト式3.2型・約236万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法:147.5×94.2×91.4mm(最薄部41.6mm) ●質量(本体のみ):約740g ●参考価格(ボディ):80万4060円

 

 

【第4位】キヤノン PowerShot G1 X Mark III

20171227_G1 X Mark III
1.0型機を彷彿とさせる小型軽量ボディにAPS-Cサイズセンサーを搭載

キヤノンのコンパクトデジカメで、初めてAPS-Cサイズのセンサーを採用したモデル。その有効約2420万画素のCMOSセンサーと、新設計の光学3倍ズームレンズにより、美しいボケや豊かな階調を生かした表現が可能だ。さらに、映像エンジンDIGIC7の搭載により、高感度撮影時のノイズ耐性や高解像度を実現し、独自のデュアルピクセルCMOS AFの採用で「AF追従時・約7コマ/秒」の高速・高精度な連続撮影も実現している。

 

【選出理由】

1.0型センサー機のPowerShot G5 Xと見紛うサイズ&デザインの小型ボディに、APS-CサイズのCMOSセンサーと高性能な光学3倍ズームレンズを搭載。筆者のようにG5 Xを使ったことがある人間なら、素直に驚いてしまうだろう。「あれと同程度サイズのAPS-Cズーム機が可能なのか!」と(※高級コンデジのスタンダードは1.0型センサーで、APS-Cサイズセンサーはそれよりも大きい)。しかも、前述の高速・高精度な連続撮影や、「ピクチャースタイル」の搭載、防塵・防滴構造の採用など、一眼レフEOSシリーズのミドルクラス機並の機能や仕様を備えている点も恐れ入る。そして、一眼レフとはひと味違う軽快なサイズ&質量のカメラだけに、より軽快で快適な高品位撮影が堪能できる。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ一体型コンパクト ●撮像素子サイズ:APS-Cサイズ ●有効画素数:約2420万画素 ●搭載レンズ(35mm判相当):24~72mm ●ISO感度:100~25600 ●シャッター速度:1/2000~30秒、バルブ ●AF方式(測距点数):デュアルピクセルCMOS AF(49点) ●連続撮影速度:最高約9コマ/秒 ●ファインダー:電子式ビューファインダー(視野率100%) ●液晶モニター:バリアングル式3.0型・約104万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法:約115.0×77.9×51.4mm ●質量(本体のみ):約375g ●参考価格:12万7460円

 

■PowerShot G1 X Mark IIIの詳細はコチラ↓

センサーは大きく、でもボディはコンパクトに! キヤノン「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」の与えた衝撃

 

 

【第3位】ソニー Cyber-shot DSC-RX0

20171227_ DSC-RX0

アクションカメラと見紛うタフネス仕様の高画質モデル

プレミアムコンパクトRXシリーズの高画質技術を、防水性や堅牢性を備えた小型ボディに凝縮したコンパクトデジタルカメラ。水中や砂ぼこりが舞う環境、限られたスペースでの撮影など、あらゆる過酷な状況下での撮影を実現する。また、ワイヤレス接続や有線接続で複数台を組み合わせての多視点撮影なども可能。

 

【選出理由】

近年、ツーリングやマリンスポーツなどのアウトドアで、小型で堅牢なアクションカメラが活用されている。DSC-RX0はそうしたカメラを彷彿とさせる、小型で斬新なフォルムが目を引く。だが、その中身(実力)は、紛れもなく高画質設計のRXシリーズそのものである。撮像センサーには、高感度・低ノイズで広いダイナミックレンジを実現する、有効約1530万画素のメモリー一体1.0型積層型CMOSイメージセンサーExmor RSを採用。まず、この大型センサーに驚く。そして、搭載レンズは高解像で歪みの少ない広角「ZEISS Tessar T* 24mm」レンズ。こういったハイグレードな主要パーツを、約59.0×40.5×29.8mmの超小型ボディに搭載しているのだ。また、水深10mの防水性能、2.0mの落下耐性、200kgfの耐荷重……というタフネス性能も見逃せない。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ一体型コンパクト ●撮像素子サイズ:1.0型 ●有効画素数:約1530万画素 ●搭載レンズ(35mm判相当):24mm ●ISO感度:125~12800(拡張:下限80) ●シャッター速度:1/32000~1/4秒 ●AF方式(測距点数):ワイド(25点自動測距)など ●連続撮影速度:最高約16コマ/秒 ●ファインダー:- ●液晶モニター:1.5型・約23万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法:59.0×40.5×29.8mm ●質量(本体のみ):約95g ●参考価格:8万3490円

 

■Cyber-shot DSC-RX0の詳細はコチラ↓

超小型なのに1型センサー&ツァイスレンズを搭載! ソニー「Cyber-shot RX0」はいったい何者!?

 

 

【第2位】ニコン D850

20171227_D850
高画素化と高速化を図ったフルサイズ一眼レフの主力モデル

ニコンのデジタル一眼レフで初めて裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、有効4575万画素と高画素ながらISO64~25600の広い常用感度域を実現。また、ボディ単体でも最高約7コマ/秒、マルチパワーバッテリーパック「MB-D18」使用で最高約9コマ/秒の高速連続撮影が可能になる。タッチパネル対応のチルト式液晶モニターも搭載。センサー画素数と高速連写性能を両立させた、ハイレベルな35mm判フルサイズ一眼レフである。

 

【選出理由】

従来モデルに当たるD810も「有効3635万画素」と十分に高画素な一眼レフだったが、本製品は「有効4575万画素」とさらに高画素化。しかも、入射光を効率的にフォトダイオードへ導く裏面照射型CMOSセンサーなので、高感度性能(領域と画質)も大きく進化している。そして、高速連続撮影の性能も、D810の「最高5コマ/秒」から、バッテリーグリップ装着で「最高9コマ/秒」へと大幅スピードアップ。その“高画素化と高速化”のレベルアップに感心する。と同時に、近年ミラーレスカメラに押されぎみの一眼レフの“底力”を見せつけられた思いだ

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ交換式一眼レフ ●撮像素子サイズ:35mm判フルサイズ ●有効画素数:4575万画素 ●ISO感度:64~25600(拡張:下限32、上限102400) ●シャッター速度:1/8000~30秒、バルブ、タイム、X250 ●AF方式(測距点数):TTL位相差検出方式(153点、選択可能55点) ●連続撮影速度:約7コマ/秒、約9コマ/秒(マルチパワーバッテリーパック「MB-D18」装着で電源が「EN-EL18b」の場合) ●ファインダー:一眼レフレックス式ファインダー(視野率約100%・約0.75倍) ●液晶モニター:チルト式3.2型・約236万ドット ●動画記録:4K(3840×2160)対応 ●外形寸法:約146×124×78.5mm ●質量(本体のみ):約915g ●参考価格(ボディ):39万9600円

 

■D850の詳細はコチラ↓

【待ってました!】有効4575万画素のフルサイズ一眼レフ「ニコン D850」正式発表!

 

 

【第1位】ソニー α9

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プロ仕様一眼レフを凌駕する、驚異の高速連写ミラーレス

新開発の有効約2420万画素フルサイズ積層型CMOSイメージセンサーと、進化した画像処理エンジンBIONZ X。この組み合わせにより、AF/AE追従「最高20コマ/秒」の高速連写を実現。また、大容量バッファメモリーの搭載により、20コマ/秒連写で圧縮RAW241枚/JPEG362枚1の大量連続撮影も可能。

 

【選出理由】

ごく一部のプロ仕様35mm判フルサイズ一眼レフならば、毎秒十数コマの高速連写が可能である。が、このα9は、ミラーレス(ミラーがない)構造上のメリットを生かし、AFとAEを追従させつつ「最高20コマ/秒」という驚異的な高速連続撮影を可能にした。その“一眼レフを超える超高速連写が可能なフルサイズ機”という点に、非常に驚きを覚えた。しかも、電子シャッター撮影なので、一眼レフのようなシャッターごとのブラックアウトも発生しない。また、その高速性能だけでなく、圧縮RAWモードで「241枚」という大量の連続撮影が可能である、という点にも度肝を抜かれる。少し大げさに表現すれば、スポーツなど一瞬を捉える撮影に革命をもたらしたカメラ、とも言えるだろう。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ交換式ミラーレス ●撮像素子サイズ:35mm判フルサイズ ●有効画素数:約2420万画素 ●ISO感度:100~51200(拡張:下限50、上限204800) ●シャッター速度(※は電子式):1/8000(※1/32000)~30秒、バルブ ●AF方式(測距点数):ファストハイブリッドAF(693点) ●連続撮影速度:最高約20コマ/秒(電子)、最高約5コマ/秒(メカ) ●ファインダー:電子式ビューファインダー(視野率100%・約0.78倍) ●液晶モニター:チルト式3.0型・144万ドット ●動画記録:4K(3840×2160)対応 ●外形寸法(幅×高さ×奥行き):約126.9×95.6×63.0mm(グリップからモニターまで) ●質量(本体のみ):約588g ●参考価格(ボディ):50万6930円

 

■α9の詳細はコチラ↓

注目ミラーレス一眼の真価を問う! ソニー「α9」対「動きモノ」

 

 

 

コレがコンパクトカメラの生きる道! キヤノン/ソニー/富士フイルムの大型センサー機三つ巴比較

1型以上の大きなセンサーを搭載した高級コンパクトカメラの多くは、携帯性と高画質をバランスよく両立させています。同時に、レンズ交換式にはない独自のギミックや個性が際立ったモデルも多数存在。ここでは、話題の3製品を取り上げ、その革新性を1~5の5段階(5が最高)で評価します。

※記事内の価格は2017年12月末時点の編集部調べによるものです

 

【エントリー①】

APS-Cセンサー&3倍ズームを小型ボディに凝縮して搭載

 

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キヤノン
PowerShot G1 X MarkIII
実売価格12万7460円

APS-Cサイズの大型センサーと光学3倍ズームを装備しながら、従来の1型センサー機と大差ないコンパクトボディを実現した注目の一台。EOSシリーズから継承した高速AFや高性能な画像処理エンジン、明快な操作性なども魅力です。

 

【SPEC】

●センサーサイズ:APS-Cセンサー ●有効画素数:約2420万画素 ●レンズ:24~72mm相当F2.8-5.6 ●モニター:3.0型、約104万ドット ●大きさ・重さ:W115×H77.9×D51.4mm・約399g

 

【CHECK01】独自機能:5

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小型ボディにAPS-Cセンサーを採用しつつ、単焦点ではなく光学ズームを搭載できたことは非常に画期的。

 

【CHECK02】使い勝手:4

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上下左右に回転するバリアングル液晶によって、自由な構図で撮影可能。タッチ操作にも対応しています。

 

【CHECK03】操作性:4

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前面グリップ部にダイヤル、レンズ部にリング、背面にホイールを搭載。各種の設定を直感的に変更できます。

 

【CHECK04】EVF性能:4

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約236万ドットの有機ELを装備する。EVF使用時に液晶をタッチして、測距点を自在に動かすことも可能。

 

 

【エントリー②】

電子式と光学式を切り替えて使える唯一無二のファインダー

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富士フイルム
X100F
実売価格12万8840円

初代X100から数えて4代目となる単焦点レンズ搭載機。高品位なデザインと各種ダイヤルによるアナログ操作や、独自の「ハイブリッドファインダー」を継承しつつ、センサーの高画素化やAF強化などを図り、完成度を高めました。

 

【SPEC】

●センサーサイズ:APS-Cセンサー ●有効画素数:約2430万画素 ●レンズ:35mm相当F2 ●モニター:3.0型、約104万ドット ●大きさ・重さ:W126.5×H74.8×D52.4mm・約469g

 

【CHECK01】独自機能:3

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35mm相当の明るい単焦点レンズを継承。今回のテーマである革新性という点で評価は控えめですが、高性能で魅力的なレンズです。

 

【CHECK02】使い勝手:5

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ジョイスティック型フォーカスレバーを背面に新設。心地よく操作でき、測距点を素早く快適に動かせます。

 

【CHECK03】操作性:4

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直感的なダイヤル操作を継承。絞り値やシャッター速度、露出補正などをダイレクトに設定できます。

 

【CHECK04】EVF性能:4

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特徴的な「ハイブリッドビューファインダー」を搭載。電子式と光学式を自動または手動で切り替えて使用できます。

 

 

【エントリー③】

小さなボディに明るいズームと高精細なEVFを搭載

 

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ソニー
DSC-RX100M5
実売価格11万7930円

シリーズ5代目となる1型センサー搭載の高級コンパクト。胸ポケットにも収まる小型軽量ボディを維持しながら、先代機よりAFと連写が大きく進化しています。レンズにはツァイスブランドの光学2.9倍ズームを搭載。

 

【SPEC】

●センサーサイズ:1型センサー ●有効画素数:約2010万画素 ●レンズ:24~70mm相当:F1.8-2.8 ●モニター:3.0型、約123万ドット ●大きさ・重さ:W101.6×H58.1×D41.0mm・約299g

 

【CHECK01】独自機能:4

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AF/AE追従で約24コマ/秒の高速連写に対応。動画並のスピードであり、狙った瞬間を逃さず撮影しやすくなっています。

 

【CHECK02】使い勝手:4

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シリーズで初めてファストハイブリッドAFを採用。薄暗いシーンや動きのある被写体にも素早く合焦します。

 

【CHECK03】操作性:4

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気軽に持ち運べる小型ボディはシリーズ共通の魅力。ただ手が大きな人には、やや窮屈で操りにくい印象も。

 

【CHECK04】EVF性能:5

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収納式有機ELファインダーを継承。表示は小さめですが、スリムな1型センサー機でEVF内蔵はお見事。

 

 

文・作例/永山昌克  撮影/高原マサキ(TK.c)

青空をより青く! PLフィルターは●●のときに使おう

カメラに詳しい方なら、「フィルター」と聞けば何のことかわかるだろう。カメラに詳しくない方に簡単に説明すると、カメラのレンズの前に付けるものが「フィルター」だ。

29491669 - c-pl filter

フィルターにはさまざまな種類がある。単純に色をオレンジっぽくしたり紫っぽくしたりするものや、光芒を十字型にするクロスフィルター、わざと画面を暗くするNDフィルターなどもある。

 

また、レンズ保護のためのプロテクトフィルターというものもある。これが一番使われているのではないだろうか。

 

 

光の反射を抑える「PLフィルター」

さまざまなフィルターがあるが、風景写真を撮る人の間でよく使われているのが「PLフィルター」だ。

 

PLとは「Polarized Light」(偏光)の略。画面内の不要な光の反射を除去することができるのが、PLフィルターだ。レンズに装着後、PLフィルターを回転させることで効果を増減させることができる。一番利用されるのが、青空の濃度をあげるとき。PLフィルターを使うことで、空に反射している光を抑え、青空をより濃く描写できる。

 

また、水面の反射を抑えたり、葉などの反射を除去して色のコントラストを高くすることができる。新緑や桜、紅葉撮影などにも使われる。僕もPLフィルターを持っている。風景写真をじっくり撮ることがあまりないので、使用頻度は低いが、夏の風景を撮影するときなどに使うことがある。構図を決めたらPLフィルターを回転させて、反射が少なくなったなーというところで止めて撮影。そんな感じで使っていた。

 

 

PLフィルターの効果

しかし、実はPLフィルターは効果的な場合とそうでない場合があるようだ。

 

CAPA 2018年1月号』(CAPA編集部・編/学研プラス・刊)に「レベルアップ撮影術 冬景色にキク! PL活用テクニック」という記事が掲載されている。その記事内に、PLフィルターの役割が記述されている。

 

1つ目は、被写体の放つ偏光を除去して素材の色を引き出すこと。2つ目は、主役以外が放つ偏光を除去して主題をハッキリさせることだ。

『CAPA 2018年1月号』より引用

 

冬景色の場合、雪や氷がメインの被写体となるため、1つ目の効果は期待できない。となると、2つ目の効果のためにPLフィルターを用いることになる。つまり、空にかかった靄というか霞のようなものを除去して青空をはっきりさせて、白い雪や氷をより引き立たせるという使い方だ。

 

 

PLフィルターは斜光で使え!

僕が昔、PLフィルターを使っていたのは、主に夏の空、それも雲を撮るときだ。あまりカメラの知識がなかったが、「PLフィルターを使えば青空が濃くなる」と思い、使っていた。ただ、あまり効果を実感したことはなかった。なぜなのか。この記事内にある記述でわかった。

 

またPL効果の変化は常に得られるわけではなく、被写体とカメラと太陽の位置関係が垂直、つまり横からの光線のときが効果的。故に、順光や逆光ではPLの効果は弱くなる。

『CAPA 2018年1月号』より引用

 

これを読んで気が付いた。僕は空を撮影する際、青く写すためにたいてい順光で撮影している。これではPLフィルターはあまり機能しない。効果が実感できないわけだ……。

 

 

PLフィルターでワンランク上の印象的な写真に

PLフィルターを効果的に使えば、いつもの写真をより印象的に仕上げることができる。デジタル一眼レフやミラーレス一眼を持っている方は、PLフィルターを使ってみよう。使い方自体は難しくない。あとは適切な条件で使いこなすようにすればよい。フィルター1枚で、印象を大きく変えることができるのだから、写真はおもしろいものだ。

 

よし、年末年始はPLフィルターを使って写真を撮ってみようと思う。

 

 

【著書紹介】

GKNB_BKB0000405916682_75_COVERl

CAPA 2018年1月号

著者:CAPA編集部
出版社:学研プラス

デジタル一眼カメラや交換レンズ、周辺機材の最新情報が満載。豊富な作例とわかりやすいハード記事で、多くの一眼カメラファンの支持を集める。撮影テクニック記事やプロ写真家の作品紹介、充実したフォトコンテスト記事も人気。

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これぞレンズ一体型カメラの真骨頂!! 「超望遠+高速AF+高速連写」全部入りのソニー「DSC-RX10M4」実写レビュー

飛行機や鉄道、野鳥といった動きものを撮るには、連写に強い一眼カメラを用意し、さらには超望遠レンズが必要、と考える人は多いだろう。だがそんな重装備ではなく、カメラ1台のみで超望遠による動体撮影を楽々とこなせるモデルがある。それが、ソニーRX10シリーズの新作「DSC-RX10M4」だ。今回はその実写レビューをお伝えする。

20171220_y-koba2 (1)↑2017年10月発売のソニー「DSC-RX10M4」。35mm判換算で24~600mm相当F2.4-4の大口径高倍率ズームレンズを搭載するレンズ一体型カメラだ。実売価格は18万8070円

 

飛行機も電車も子どもバッチリ撮れる! スムーズに追従できるAFが快適

ソニー「RX10」シリーズは、1.0型の大型CMOSセンサーと、大口径の高倍率ズームを搭載したレンズ一体型のカメラだ。2013年に初代機「RX10」を発売して以来、2代目「RX10M2」では動画の4K対応を、3代目「RX10M3」ではズームの倍率アップを図るなど着実に高性能化してきた。今回取り上げる4代目「RX10M4」では、機能と操作性を改善。外観デザインは先代とほぼ同じなので見た目のインパクトこそ少ないものの、実際に使ってみると、別のカメラに生まれ変わったと感じるくらい大きな進化を遂げていることがわかる。

 

まず注目したいのは、これまで以上に軽快になったレスポンス性能だ。試用では電車や飛行機といった動きものを狙ったが、操作はとても快適。ストレスなく合焦するAFと途切れずに撮り続けられる高速連写によって、狙いどおりの構図とタイミングで撮影できた。

20171220_y-koba2 (2)↑424mm相当 ISO100 F5 1/500秒 WBマニュアル

 

20171220_y-koba2 (3)↑600mm相当 ISO100 F4 1/500秒 WBマニュアル

 

AFには、コントラストAFと位相差AFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」をシリーズで初めて搭載。CIPA準拠(※1)のAF速度は前モデルの0.09秒から0.03秒へと高速化し、AF測距点は25点から315点へと大幅に増加した。液晶モニター上では合焦を示す緑の枠が小刻みに動き、正確に追従している状態を確認しながら撮影できる点も便利だ。

※1:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association 略称:CIPA)は、デジタルカメラをはじめとする 映像関連機器の開発、製造・販売に携わる会員によって構成される国際的な業界団体。その活動の1つとして、消費者の利便性が高まるよ う、業界の世界標準を策定している

 

しかも、電車や飛行機といった直線的な動きだけでなく、走りまわる子どものように不規則な動きに対しても確実にピントが合う。

20171220_y-koba2 (4)↑104mm相当 ISO200 F4 1/500秒 WB太陽光

 

20171220_y-koba2 (5)↑フォーカスエリアは、スナップ撮影など幅広い用途に役立つ「ワイド」のほか、人物や風景などを撮る際、画面中央でフォーカスロックして撮影したいときに役立つ「中央」、同じく人物や風景などを撮る際、フォーカスロックせずに好きな位置に測距点を動かして撮影できる「フレキシブルスポット」、動体撮影などで役立つ「拡張フレキシブルスポット」、動く被写体を追尾して撮影したいときに役立つ「ロックAF」が選べる

 

20171220_y-koba2 (6)↑フォーカスエリアの登録機能では、前もって任意のフォーカスエリアを登録し、カスタムキーを押すことで素早くそのフォーカスエリアを呼び出せる。例えば、あらかじめフォーカスエリアの「中央」を登録しておけば、スナップ的な撮り方をするためにフォーカスエリアの「ワイド」で撮影している際、急に特定の被写体にピンポイントでフォーカスを合わせたくなったときに、即座に「中央」に切り替えられる。子どもや動物、野鳥など動体の撮影全般に役立つだろう

 

20171220_y-koba2 (7)↑前面下部にフォーカスモードダイヤルを備えるほか、レンズ鏡胴部にはピント範囲を制限するフォーカスレンジリミッターを新搭載している

 

連写は、AF/AE追従で最高約24コマ/秒に対応。前モデルはAF/AE固定で14コマ/秒、AF/AE追従で5コマ/秒だったので、4倍以上スピードアップしたことになる。乗り物や人、動物などを撮る場合、動きに合わせて連写し、あとからじっくりとベストショットを選ぶ、という使い方ができる。

 

高倍率でも抜群の安定感! 広角から超望遠まであらゆるシーンに対応

ボディは、前モデルRX10M3の基本フォルムを継承。大口径のレンズ部が存在感を主張する迫力あるデザインだ。

20171220_y-koba2 (8)↑防塵防滴に配慮されたボディ。大きく突き出たグリップはしっくりと手になじむ

 

20171220_y-koba2 (9)↑カールツァイスブランドの「バリオ・ゾナーT*」レンズを搭載。ED非球面レンズ2枚やスーパーEDガラス1枚を含む13群18枚のレンズ構成となる

 

レンズには先代から引き続き、35mm判換算で24~600mm相当の焦点距離をもつ光学25倍ズームを搭載する。風景や室内撮影、近距離でのスナップではワイド(広角)側が、スポーツや人物、植物などの撮影ではテレ(望遠)側がそれぞれ重宝するだろう。ズーム倍率が高いだけでなく、開放値がF2.4~4.0と明るいので、暗所でも感度をあまり上げずに高画質を維持できる点もありがたい。

20171220_y-koba2 (10)↑ズーム位置を焦点距離24mm相当にした状態。鏡胴部には、絞りリングのほか、前レンズリングと後レンズリングを装備。初期設定では前レンズリングでフォーカスを、後レンズリングでズームをそれぞれ操作できる。また好みに応じて、フォーカスとズームの割り当てを入れ替えることも可能だ

 

20171220_y-koba2 (11)↑ズーム位置を焦点距離600mm相当にした状態。前玉部分が大きく繰り出すが、ホールドバランスは崩れない。そのためズーム位置を問わず、常にしっかりとカメラを支えて撮影しやすい

 

20171220_y-koba2 (12)↑24mm相当で撮影。遠景の細部までシャープに解像している。ISO100 F4 5秒 WBマニュアル

 

20171220_y-koba2 (13)↑600mm相当で撮影。肉眼では見えなかった展望室の中の人まではっきり写っている。ISO100 F4 15秒 WBマニュアル

 

20171220_y-koba2 (14)↑24mm相当で撮影。レンズシャッターなので、明るい屋外での高速シャッター使用時でもストロボ撮影ができる。ISO100 F8 1/1000秒 WB太陽光

 

20171220_y-koba2 (15)↑600mm相当で撮影。ひまわりを前ボケとして利用した。ひとつ上の写真と同じ位置から撮ったとは思えないくらい、大きな画角の変化が楽しめる。ISO100 F8 1/800秒 WB太陽光

 

光学ズームの倍率は25倍だが、さらに全画素超解像ズームを使用すれば50倍まで、デジタルズームを使用すれば100倍までそれぞれズームアップできる。次の動画は、100倍のデジタルズームで捉えた雲と月だ。クレーターまではっきりと写っている(100倍のデジタルズームで撮影。再生時間33秒)。

動画は、最大で3840×2160/30pの4K記録ができる。画素加算のない全画素読み出しに対応するほか、オプションとして4K動画からの静止画切り出しや、フルHDのスローモーション撮影、Log撮影などの機能を備えている。

20171220_y-koba2 (16)↑動画記録方式の設定画面。ファイル形式は同社製品ではお馴染みのXAVC S。4K撮影時のビットレートは100Mbpsと60Mbpsから選べる

 

チルト可動&タッチ操作対応の液晶モニターで撮影が快適

操作面の進化としては、RX10シリーズでは初めてタッチパネルを採用したことが大きい。液晶モニター使用時はもちろん、EVF使用時でもタッチ操作によってAF測距点を素早く動かすことが可能だ。

20171220_y-koba2 (17)↑ファインダーには0.39型の有機ELファインダーを搭載。35mm判換算のファインダー倍率は約0.70倍と大きく、視認性は良好だ

 

20171220_y-koba2 (18)↑液晶モニターには、上に109度、下に41度まで動くチルト式を採用。液晶のドット数は従来よりも精細化した

 

20171220_y-koba2 (19)↑天面左にはモードダイヤルを、右には露出補正ダイヤルを装備。シャッターボタンには機械式ケーブルレリーズを装着できる

 

20171220_y-koba2 (20)↑天面にはポップアップ式の小型ストロボを内蔵。その後ろには外部ストロボ用のホットシューを備える

 

20171220_y-koba2 (21)↑側面にSDカードなどの記録メディアスロットを、底面にバッテリー室を装備。CIPA準拠の撮影可能枚数は、液晶モニタ使用時で約400枚、ファインダー使用時で約370枚となる

 

20171220_y-koba2 (22)↑シャッターは電子シャッターと機械シャッターの2方式に対応。「オート」を選んだ場合は、撮影条件に応じて最適なシャッター方式が選ばれる

 

20171220_y-koba2 (23)↑天面や背面のボタンの多くは操作カスタムメニューから、割り当て機能の変更ができる。自分の操作しやすいボタンによく使う機能を割り当てるなど、ここをきっちりと設定しておくことが、快適な操作には欠かせない

 

20171220_y-koba2 (24)↑自分の好きなメニュー項目を登録できる「マイメニュー」を新搭載。設定が多くて煩雑なメニューをすっきりと整理することで、必要な機能や設定へのアクセス性を高められる

 

そのほか撮影機能として、最大4.5段の効果を持つ光学式手ブレ補正や、特殊効果を加えるピクチャーエフェクト、ワイド端で約3cmのマクロ、オートHDR、電子水準器、瞳AF、サイレント撮影などを搭載。幅広い撮影シーンに対応可能なかなりの高機能ぶりだ。自分の撮影スタイルに応じて、ボタンやダイヤル、リングの割り当て機能を細かくカスタマイズできる点も使いやすい。

 

【まとめ】レンズとセンサー、エンジンの三位一体による高画質が魅力

撮像素子には1.0型の積層型Exmor RS CMOSセンサーを採用。有効画素数は約2010万画素。画像処理エンジンはBIONZ Xを搭載する。感度はISO100~12800に対応し、拡張設定としてISO64/80が用意されている。

 

写りは、画面四隅までシャープネスの高い像を確認できた。一眼レフやミラーレスとは異なり、レンズとセンサー、エンジンのそれぞれのマッチングを考えながら最適設計ができていることは、レンズ一体型カメラならではの利点といえる。

 

より大きなセンサーを採用したレンズ交換式のαシリーズに比べると、さすがに細部表現力で一歩見劣りするものの、それでも大きなプリント用にも適した実用十分の精細感がある。加えて、クセのないナチュラルな色再現にも好印象を受けた。

20171220_y-koba2 (25)↑600mm相当で撮影。ISO160 F4 1/640秒 WB太陽光

 

20171220_y-koba2 (26)↑600mm相当で撮影。ISO100 F5 10秒 WBマニュアル

 

20171220_y-koba2 (27)↑付属する花形レンズフードを装着

 

トータルとしては、画質とスピード、高機能の3つが揃った、スキのない高倍率ズーム機に仕上がっている。ボディは、標準ズームを付けたエントリークラスの一眼レフと同じくらいのサイズと重量があり、それなりにかさばって重いのは事実。ただ、レンズのズーム倍率や開放値の明るさを考慮すれば、これでも小型軽量といっていい。

 

例えば、ちょっとしたイベントの撮影などで広角から超望遠までの幅広い画角で撮りたいときに特に活躍するだろう。大砲のような一眼レフ用超望遠レンズを持ち出すには大袈裟すぎる場合でも、DSC-RX10M4ならスナップ感覚で軽やかに超望遠撮影が行える。

 

ハードルとなるのは実売20万円近い価格かもしれない。とはいえ、超望遠や高速AF、高速連写を気軽に楽しみたい人なら、値段に見合った価値を実感できるはずだ。

人気のクラシックシリーズにソニーEマウント用が登場「フォクトレンダー NOKTON classic 35mm F1.4 E-mount」

古典的なレンズ構成を最新技術で再構築するというコンセプトを持つ「classicシリーズ」として人気のVMマウントモデル「NOKTON classic 35mm F1.4」を、フルサイズソニーEマウント専用設計にしたコンパクトな大口径広角レンズ。高い剛性感と耐久性を持つ総金属製鏡筒を採用し、確実なピント合わせができるスムーズなMF操作を実現している。2018年2月発売予定。価格は85,000円(税別)

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■優れた光学性能

描写の傾向はVMマウントモデルをそのままに、ソニーEマウントセンサーに最適化すべく、新規に光学設計している。伝統的な対称形(ダブルガウス)のレンズ構成により、クラシックレンズの持つ独特の描写を再現。絞り開放では素直でなだらかなボケ味が立体感を生み出し、柔らかで繊細な描写を楽しめる。

 

■その他の機能

MF・マニュアル絞り専用設計でありながら電子接点を搭載しており、Exif情報の取得が可能。距離エンコーダーを内蔵し、シフトブレ補正に被写体までの距離情報を使用する5軸ボディ内手ブレ補正機能を搭載した機種にも対応する。フォーカスリングの操作によるファインダーの拡大表示機能も使用可能。絞りリングは1/3ストップのクリック付き。専用フードが付属する。

 

専用フード専用フード

 

■主な仕様

●マウント ソニーEマウント ●焦点距離 35mm ●レンズ構成 6群8枚 ●画角 63° ●開放絞り F1.4 ●最小絞り F16 ●最短撮影距離 0.3m ●最大撮影倍率 1:6.3 ●フィルター径 φ58mm ●サイズ(最大径×全長) φ67×39.6mm ●質量 262g ●付属品 フード

キヤノンの新TS-Eレンズ3本が12/22発売に決定

アオリ撮影が可能なキヤノンのTS-Eレンズ3本「TS-E50mm F2.8L マクロ」「TS-E90mm F2.8L マクロ」「TS-E135mm F4L マクロ」が、2017年12月22日(金)発売に決定した。3本とも、希望小売価格は315,000円(税別)。

左から「TS-E50mm F2.8L マクロ」「TS-E90mm F2.8L マクロ」「TS-E135mm F4L マクロ」。3本とも最大撮影倍率は0.5倍で、マクロ撮影が可能。左から「TS-E50mm F2.8L マクロ」「TS-E90mm F2.8L マクロ」「TS-E135mm F4L マクロ」。3本とも最大撮影倍率は0.5倍で、マクロ撮影が可能。

 

レンズの光軸を傾けるティルト機能と、レンズの光軸を平行に移動させるシフト機能により光軸と撮像面の関係を変化させ、フォーカス面の傾きや遠近感を調整するアオリ撮影が可能なTS-Eレンズシリーズ。「TS-E50mm F2.8L マクロ」と「TS-E90mm F2.8L マクロ」は、1991年4月に発売された従来機種から約26年ぶりにリニューアル。新たに「TS-E135mm F4L マクロ」がラインナップに加わった。

 

 

製品の詳細はこちら。

見慣れた景色が輝く「作品」に! 軽量・高画質なミラーレスカメラ「FUJIFILM X-E3」で街スナップ@代官山

スマートフォンのカメラの高画質化が著しい昨今、街スナップのような日常シーンなら「スマホカメラで十分!」と考える人は多いでしょう。一眼カメラは、動きの激しいスポーツや乗り物などを撮る人向けの特別な装備であって、普段使いするようなものではない、といったイメージがあるのかもしれません。今秋、そんなイメージを覆す画期的なミラーレスカメラ「FUJIFILM X-E3」が登場しました。本稿では、日常シーンをキラキラと輝く「作品」へと昇華させる同機の魅力を、写真家・コムロミホさんに解説してもらいます。

【今回紹介するアイテム】

PH-08_R

FUJIFILM
X-E3
オープン価格(直販価格:ボディ 税込 12万3660円)

ファインダー付きのXシリーズでは最小・最軽量となるボディに、フラッグシップモデルと同じ有効2430万画素APS-CサイズCMOSセンサーと画像処理エンジンを搭載したミラーレスカメラ。携帯性と高画質を両立させ、さらに動画は4K/30pの記録にも対応する。カラーはブラックとシルバーの2種類。11月には開放F2の単焦点レンズ「XF23mmF2 R WR」とのキットも発売された(価格はオープンで、直販価格は税込 15万660円)。

●撮像素子:有効約2430万画素APS-CサイズX-Trans CMOSⅢセンサー ●画像処理エンジン:X-Processor Pro ●常用ISO感度:ISO200~12800 ●AFシステム:91点(最大325点) ●連写性能:約8コマ/秒(電子シャッター時:約14コマ/秒) ●ファインダー:約236万ドット有機EL(倍率0.62倍) ●液晶モニター:3.0型約104万ドット(タッチパネル) ●大きさ・質量:幅121.3×高さ73.9×奥行き42.7mm・約337g(バッテリー、記録メディア含む)

 

■詳しい製品情報はコチラ
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_e3/

 

【著者Profile】

20171204_y-koba2 (10)

コムロミホ

アシスタントを経て、人物を中心として広告や雑誌等で撮影をする一方、ライフワークでは海外、国内と街スナップを撮り歩いている。またカメラに関する執筆やカメラ教室の講師としても活躍する。

 

ハイスペックながら撮り疲れしない携行性&操作性

富士フイルムのミラーレスカメラ「Xシリーズ」には、エントリーモデルからハイエンドモデルまで5つのラインナップがあり、今回紹介するX-E3はその中級モデルに位置する。軽量コンパクトながらもハイスペックな本格派。今回はこのX-E3を持って、代官山へスナップに出かけることにした。作例とともにカメラの魅力と撮影テクニックをご紹介したい。

 

まずは、外観や操作性について。カメラを持ち運ぶときは常に首からカメラを下げているため、デザインもカメラを選ぶうえで大事なポイントだ。X-E3は革張りのような質感で高級感があり、カメラらしいクラシカルなデザインを採用。カメラの上部には金属を使用し、重厚感のある見た目だが、質量は約287g(本体のみ)と軽量で携帯性に優れる。今回の撮影では被写体を探しながら1日中代官山を歩いたが、疲れることもなくスナップを楽しむことができた。この身軽さと手軽さがミラーレスカメラのメリットの1つだろう。

20171204_y-koba2 (11)↑「持つ喜び」を感じられるクラシカルな外観ながら、ボディは小型・軽量でスナップ撮影にぴったり。 新キットレンズ「XF23mmF2 R WR」との相性も抜群だ

 

スナップは日常の出来事や出会った光景を一瞬のうちに切り取る撮影方法で、いろいろなところに目を向けて、とにかく迷わずにシャッターを切ることが大切。そのため、カメラには速写性が求められる。その点、X-E3はタッチパネルの背面モニターを搭載しているため、ピント合わせや機能の呼び出しもスマホのような感覚で直感的な操作が可能。さらにスティックタイプのフォーカスレバーを新搭載。上下左右斜めの8方向に可動し、フォーカスエリアの移動もスムーズに行える。そして、EVF(電子ビューファインダー)が搭載されているため、ファインダーを覗きながら被写体を捉えることができ、撮影に集中できるのがうれしい。

20171204_y-koba2 (6)↑背面はボタン数を必要最低限に絞ったシンプルなデザイン。十字キーも省略されているが、タッチパネルと新搭載のフォーカスレバーと呼ばれるスティックで快適に操作できる

 

一眼カメラならではの高精細画質やボケで日常風景を印象的に表現

X-E3は同社の上位機種である「X-T2」、「X-Pro2」と同じ2430万画素のX-Trans CMOSⅢセンサーを搭載し、最新の画像処理エンジンを採用。風景や建物などディテールのある被写体を撮影すると、細部までしっかりと再現してくれているのがわかる。スマホなどで気軽に撮るのもいいが、思い出のワンシーンや旅先での風景などの一瞬一瞬は一眼カメラの高画質で残したいものだ。

20171204_y-koba2 (15)↑建物に書かれた文字やレンガのディテールを細部まで再現しており、画像中央から周辺まで高い解像感を実現している。センサーだけでなく、フジノンレンズの描写力の高さも実感することができた

 

そして、スマホとの大きな違いはボケを生かした撮影を行えること。より大きなボケを作りたいときは単焦点レンズというF値が小さいレンズを使用する。単焦点レンズはズームができないが、大きなボケを作りやすく、暗いところでも手ブレしにくいというメリットがある。

 

X-E3のキットレンズは単焦点レンズの「XF23mmF2 R WR」とズームレンズの「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」のどちらかを選択できる。両者とも描写力の高いレンズなので、どちらを選んでも後悔のない1本といえるが、ボケを生かした写真やスナップには単焦点レンズのXF23mmF2 R WRをおすすめしたい。

20171204_y-koba2 (2)↑今回、新たにX-E3のレンズキットとして登場した単焦点レンズ「XF23mmF2 R WR」。●希望小売価格:6万2000円(税別) ●レンズ構成:6群10枚 ●最短撮影距離:22cm ●最大撮影倍率:0.13倍 ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●フィルター径:43mm ●大きさ・質量:外径60×全長51.9mm・約180g

 

23mmは35mm判換算で35mm相当となる広角で、被写体と背景の両方を際立てやすく、街スナップとして面白みのある画角だ。大きなボケを作りたいときはF2に設定し、できるだけ被写体に近づくことがポイント。そうすることで、被写体が際立ち、主題が伝わりやすい写真になる。またXF23mmF2 R WRは小型軽量でX-E3との相性も良く、軽快にスナップを楽しむことができた。

20171204_y-koba2 (3)↑単焦点レンズのXF23mmF2 R WRを使い、開放F値に設定して撮影。店先にさまざまな雑貨がディスプレイされており、背景がごちゃごちゃしていたが、大きなボケを作ることでアンティークの人形だけが際立つ1枚に仕上がった

 

Xシリーズが誇る「色」へのこだわりとフィルムシミュレーション機能

長年フィルムを作ってきた富士フイルムの色に対するこだわりが、本機の絵作りにも直結している。鮮やかな色も淡い色もグラデーション豊かに再現し、クリアで抜けのいい色表現を実現。印象に近い色表現で、被写体の美しさが素直に伝わりやすい写真になる。特に人物の肌の色の再現性は高く、透明感のある美しい肌の色に仕上げてくれる。

20171204_y-koba2 (13)↑スタンダードのPROVIAで撮影。鮮やかなピンクから淡いトーンまでをグラデーション豊かに表現し、グリーンや紫、青も見た目に近い印象に仕上がっている

 

そして、さまざまな色表現を楽しめるフィルムシミュレーションという機能があり、実際にあるフィルムの特徴を生かした絵作りとなっている。例えば「Velvia」は色鮮やかでシャープネスが高く精密な描写を得意とするフィルムだが、フィルムシミュレーションのVelviaでも同じような効果を得られる。フィルムシミュレーションは全部で15種類の効果があり、被写体やシーンに合わせて選択すれば作品性の高い1枚に仕上げることが可能だ。次の作例は、15種類のフィルムシミュレーションで同じシーンを撮影したもの(クリックすると拡大可能)。

PROVIA/スタンダード Velvia/ビビッド ASTIA/ソフト ACROS ACROS(+Yeフィルター) ACROS(+Rフィルター) ACROS(+Gフィルター) クラシッククローム PRO Neg.Hi PRO Neg.Std モノクロ モノクロ(+Yeフィルター) モノクロ(+Rフィルター) モノクロ(+Gフィルター) セピア

今回、代官山のスナップで個人的に最も気に入って使ったのは「ACROS」という粒状感のある、豊かな階調再現にこだわったモノクロモード。まさにフィルムのACROSらしくシャドーの締まりに粘りがあり、独特な立体感を演出してくれる。代官山といえばオシャレな街の代名詞だが、裏路地は古い住宅街が建ち並び、意外と静かでもの寂しげな雰囲気がある。次の作例では、ACROSモードの粒状感あるモノクロが代官山のおしゃれな雰囲気にも裏路地にもマッチし、フィルムライクな仕上がりが年代を感じさせる1枚に仕上げることができた。

20171204_y-koba2 (8)↑フィルムシミュレーション「ACROS」でピザ屋に入る女性の後ろ姿を切り取った。店内だけを撮影するのではなく、ドアもフレーミングすることで奥行感のある写真に仕上がった。ドアと室内では明暗差があるが、粘りのあるシャドーのおかげで店内の床や自転車の質感も残っている

 

スマホでは難しい、動きモノの撮影や暗所撮影でも大活躍

動く被写体を撮影するときはピント合わせの速さが重要になるが、X-E3はAF(オートフォーカス)性能も向上。広いAFエリアをカバーするフォーカスモード「ゾーン」や「ワイド/トラッキング」を使えば、動く被写体にも高速かつ正確にピントを合わせることができる。そして、AF追従時は被写体の動きや速さに合わせて5つのAF設定を選ぶことができ、複雑に動く被写体でもしっかりとピントを合わせ続けてくれる。次の作例のような動きの速い小型犬はピント合わせが難しいが、激しい動きに強いSET 5を選択することで、きっちり犬にピントが合い、かわいらしい表情を切り取ることができた。

20171204_y-koba2 (12)↑AF-C(シャッターボタンを半押ししている間、動く被写体にピントを合わせ続ける機能)に設定し、連写で撮影。動きの速い被写体だったが、正確で素早いAFのおかげでしっかりとピントを合わせることができた。また、動きの速い被写体を撮影するときは被写体がぶれないように、できる限りシャッタースピードを速く設定しよう

 

冬になると街を賑やかにするイルミネーション。思わず写真を撮りたくなる被写体の1つだろう。しかし、スマホで暗いところを撮ると、写真にザラザラとしたノイズが現れてしまい、見た目の美しさが伝わりにくくなってしまう。そういうシーンもぜひ本機での撮影をおすすめしたい。

 

暗いシーンで撮影するときは手ブレしないようにISO感度の数値を大きくする必要があるが、高感度にするとノイズが発生しやすくなる。しかし、X-E3は高感度性能が高く、高感度のISO3200で撮影しても目立つノイズはなく、高精細に表現。そのため、夜の街や雰囲気のある暗いカフェやバーなどでの撮影でも安心して手持ち撮影を楽しむことができる。そして、イルミネーションであれば電飾のように小さな光源を大きくぼかすことで、丸ボケという丸い光の玉を作ることができる。単焦点レンズを使って開放F値に設定し、オーナメントなどに近づいて撮影すると、キラキラと輝く丸ボケになる。

20171204_y-koba2 (16)↑手ブレしないようにISO感度をISO3200にして撮影。こうした高感度で撮影しても目立つノイズもなく、オーナメントのディテールもしっかりと表現できていることがわかる。また背景を大きくぼかしたことで、イルミネーションが丸ボケとなり、幻想的な写真に仕上がった

 

豊富で高品質なフジノンレンズで撮影の楽しみが広がる

Xシリーズの交換レンズにはさまざまなラインナップがあり、小型ながらも性能の高いレンズが多い。レンズを交換すれば表現の幅も広がり、さらに撮影が楽しくなるだろう。

 

今回はキットレンズに加え、11月末に発売されたばかりの「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」を使用してみた。こちらは等倍撮影可能な中望遠マクロレンズで、防塵・防滴・耐低温構造を採用。レンズ質量が約750gとX-E3に装着するにはやや重めの印象だが、非球面レンズなどの特殊レンズを贅沢に使用したレンズ設計で描写力が高い。等倍付近まで被写体に近づいてもピント面の解像感が高く、ボケも滑らかだ。

20171204_y-koba2 (1)↑2017年11月にに発売された中望遠マクロレンズ「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」。●希望小売価格:16万8500円(税別) ●レンズ構成:12群16枚 ●最短撮影距離:25cm ●最大撮影倍率:1倍 ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●フィルター径:62mm ●大きさ・質量:外径80×全長130mm・約750g

 

中望遠マクロレンズは被写体に接近しなくても小さな被写体を画面いっぱいに捉えることができるため、近づくと逃げてしまうような昆虫などの撮影にも向く。またマクロ撮影だけでなく、F2.8のボケを生かしたポートレート撮影やスナップにも活躍する万能レンズである。

20171204_y-koba2 (9)↑カフェで注文したおしゃれなドリンクをXF80mmF2.8 R LM OIS WR Macroで撮影。上に乗っていたフルーツを画面いっぱいに捉えることで、フルーツのみずみずしさや質感が伝わる写真になった。ここまで大きく被写体を写すことができるのが、マクロレンズの面白さだ

 

【まとめ】軽量・コンパクトで毎日持ち歩きたくなるカメラ

今回、午前中から夜まで1日中歩きながら被写体を探したが、軽量・コンパクトであるおかげで疲れずにスナップを楽しむことができた。街スナップは歩けば歩くだけシャッターチャンスに出会えるため、カメラが小さいということは大事なポイント。X-E3は毎日首からぶら下げて持ち歩きたくなるようなデザインで、さまざまなシャッターチャンスに恵まれそうだ。

 

そして、フィルムシミュレーションを使用すれば、そのシャッターチャンスをより印象的でアーティスティックな1枚に仕上げることができる。カメラのなかでイメージを作りこめるため、被写体にカメラを向けるのが楽しくなる。さらにBluetoothを使用すればパソコンを使わなくてもスマホに直接転送できるため、撮ったその場でSNSなどにシェアすることも可能だ。

 

「スマホで十分派」の人も、本機を手にすればその考えが変わるはず。毎日の記録をぜひX-E3とともにたくさん残してもらいたい。

 

■詳しい製品情報はコチラ
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_e3/

 

※本記事は12月20日発売の「CAPA1月号」との連動企画です。CAPA1月号には、ここでは掲載しきれなかった作例が盛りだくさん!詳しくはコチラをチェックしてみてください(遷移先の情報は12月20日に更新されます)

衝撃デビューの高級コンデジ「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」を従来モデルと比較レビュー!

11月30日についに発売となった本格志向ユーザー向けのレンズ一体型カメラ(コンパクトデジカメ)、キヤノン「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」。前回の記事ではその描写性能やコンパクトなボディに関してのレビューをお届けしたが、今回は従来モデル「PowerShot G1 X Mark Ⅱ」との比較レビューをしてみたい。

20171128_y-koba2 (1)↑小型軽量設計の「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」。その外観デザインは、1.0型センサー機「PowerShot G5 X」に酷似している。レンズは24-72mm相当の新開発キヤノンレンズを搭載。参考価格は13万7700円

 

従来機「PowerShot G1 X MarkⅡ」との比較【ボディ・操作性編】

今回は、実際にG1 X Mark Ⅲと従来機のG1 X Mark Ⅱを一緒に使ってみた。その結果、個人的な印象ではあるが、両者の印象や操作感はかなり異なっていた。

20171128_y-koba2_23↑G1 X Mark Ⅲ(左)とG1 X Mark Ⅱ(右)。ファインダー部分が出っ張る“一眼レフ風デザイン”のボディは大きくなりがちだが、今回のG1 X Mark Ⅲはベースとなる本体が小さい。そのため、フラットな形状ながら本体が大きいG1 X Mark Ⅱと比べると、かなりコンパクトな印象を受ける。ただし、G1 X Mark Ⅱのようなレンズバリアがないのは残念

 

まず、ボディのデザインやボリューム感が大きく違う。G1 X Mark Ⅲのボディは、EVFを搭載していて、その部分が出っ張る一眼レフ風のデザイン。一方、EVF非搭載のG1 X Mark Ⅱのボディ(別売の電子ビューファインダーの装着は可能)は、出っ張りのないフラットな形状のデザインである。だが、全体のボリューム感は、圧倒的にG1 X Mark Ⅱ」のほうが上である……って、誉め言葉かコレは?

20171128_y-koba2_24↑G1 X Mark Ⅲ(左)とG1 X Mark Ⅱ(右)。正面からでもわかるが、こうやって横からみると、レンズ鏡筒部の大きさの違いがよくわかる

 

そのボリューム感の違いは、仕様表の「質量」を見比べても明らかだ。G1 X Mark Ⅲは約399gなのに対して、G1 X Mark Ⅱは約553g。その差は154gにもなり、手にした際の重量感もまったく違う。

 

撮像センサー仕様も大きく異なる。G1 X Mark Ⅱも1.5型のCMOSセンサーを採用していて、大きさの面ではそんなに引けは取らない(1.5型の面積はAPS-Cの約80%弱)。だが、その画素数は大きく違う。前述の通りG1 X Mark Ⅲの有効画素数は「約2420万画素」だが、G1 X Mark Ⅱの有効画素数は「約1280万画素」と約半分なのである。

 

ただし、搭載ズームレンズの仕様は、G1 X Mark Ⅱのほうが魅力的に思える。G1 X Mark Ⅲが24-72mmF2.8-5.6なのに対して、G1 X Mark Ⅱは24-120mmF2.0-3.9と、ズーム域も開放F値も勝っている。

 

従来機「PowerShot G1 X MarkⅡ」との比較【連写性能編】

G1 X Mark ⅢとG1 X Mark Ⅱの撮影機能で大きく違うのが、高速連写の性能である。G1 X Mark Ⅲには、同社の一眼レフ・EOSシリーズで定評のある「デュアルピクセルCMOS AF」が採用されていて(キヤノンのコンパクトデジカメでは初)、撮像面の広範囲で高速・高精度な位相差AFが可能になる。そして、APS-CサイズのCMOSセンサーからの高速信号読み出しもあり、AF固定時には最高約9コマ/秒、AF追従時には最高約7コマ/秒、というハイレベルな高速連写が可能なのである。一方のG1 X Mark Ⅱは、AF固定時には約5.2/秒、AF追従時には約3.0コマ/秒、という標準的な連写性能である。

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20171128_y-koba2_27↑G1 X Mark Ⅲで連写(AF追従、約7コマ/秒)

 

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20171128_y-koba2_30↑G1 X Mark Ⅱで連写(AF追従、約3コマ/秒)

 

上の作例は、向かってくる電車を、ドライブモードを「高速連写」に設定して連続撮影(レンズ画角:G1 X Mark Ⅲの望遠端合わせ、画質設定:RAW+L、AF方式:顔+追尾優先AF、シャッター速度:1/2000秒)。電車が同じ位置からの連続3カットだが、G1 X Mark Ⅲが細かい動きを捉えられているのに対して、G1 X Mark Ⅱは画質設定:RAW+Lが足かせになったのか2カットから大きくペースダウンしている。

 

ここまでG1 X Mark Ⅲと従来機のG1 X Mark Ⅱを比較してきたとおり、レンズについてはG1 X Mark Ⅱのほうが魅力的に感じるものの、そのほかの面、特にコンパクトなボディや撮像センサーの有効画素数、連写性能に関してはG1 X Mark Ⅲで格段に進化していることがわかるだろう。G1 X Mark Ⅲは、PowerShotシリーズのフラッグシップモデルにふさわしい、軽快に使える本格派コンパクトデジカメなのだ。

センサーは大きく、でもボディはコンパクトに! キヤノン「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」の与えた衝撃

11月30日についに発売となったキヤノン「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」。製品名からもわかるとおり、本機は「PowerShot G1 X Mark Ⅱ」の後継モデルであり、本格志向ユーザー向けのレンズ一体型カメラ(コンパクトデジカメ)である。その最大の特徴は、キヤノンのコンパクトデジカメでは初となる“APS-Cサイズ”CMOSセンサーを採用した点(有効画素数は約2420万画素)。そして、映像エンジン「DIGIC 7」との連携により、PowerShotシリーズのフラッグシップモデルにふさわしい高画質を実現している。それでいて、外観デザインや大きさ重さは、1.0型センサー採用モデルの「PowerShot G5 X」と大差ない小型軽量設計というから驚きだ。

20171128_y-koba2 (1)↑小型軽量設計の「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」。その外観デザインは、1.0型センサー機「PowerShot G5 X」に酷似している。レンズは24-72mm相当の新開発キヤノンレンズを搭載。参考価格は13万7700円

 

センサーは大きく、ボディはコンパクトに進化

キヤノンのPowerShot Gシリーズは、2000年に発売された「PowerShot G1」から始まる。このモデルのセンサーは「1/1.8型・有効約334万画素CCD」だった。そのG1の登場から17年。センサーのフォーマットはついにAPS-Cサイズに到達。G1のセンサーと比較すると、大きさ(面積)は約8.7倍、有効画素数は約7.2倍と、その差の大きさに改めて驚かされる。

 

今回、PowerShot G1 X Mark Ⅲに採用された有効画素数約2420万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーは、高い解像感、広いダイナミックレンジ、豊かな階調表現、といった特徴をもっている。また、フォトダイオードの開口率向上や光電変換効率に優れた構造の採用などにより、常用ISO感度は「最高25600」に到達。さらに、デュアルピクセルCMOS AFや最高約9.0コマ/秒の高速連写を実現している。それでいて、ボディサイズは従来モデルからかなりスッキリした印象だ(従来モデルとの比較の詳細は後半部を参照)。

20171128_y-koba2 (2)↑G1 X Mark Ⅲの小ささは、こうやって手にすると、さらに実感できる

 

20171128_y-koba2 (3)↑カメラ本体も小さいが、付属のバッテリーチャージャーCB-2LHもコンパクト!(しかも、差込プラグ一体型だし)

 

24-72mm相当の新開発キヤノンレンズを搭載

ボディサイズもさることながら、搭載されるズームレンズのコンパクトさにも感心する。24-72mm相当(35mm判換算の画角。実焦点距離は15-45mm)F2.8-5.6の光学3倍ズームレンズ。この仕様だけ見ると平凡だが、APS-Cサイズ用のズームレンズとしては驚くほど小さい。最前部鏡筒の直径はわずか40mmくらいなのだ。このコンパクトサイズで“広角端F2.8”の明るさを実現しているのは立派である。もちろん、描写性能にもこだわった光学設計になっている。両面非球面レンズ3枚と、片面非球面レンズ1枚を採用して、諸収差の発生を抑制。また、インナーフォーカス方式の採用により、高速なAF作動も可能にしている。

 

ただ、24mm相当の広角端はともかく、72mm相当の望遠端の画角は、物足りなく感じる人も多いだろう。少し言葉は悪いが「標準に毛が生えた程度の中望遠」の画角なのだから。しかし、このカメラには「プログレッシブファインズーム」と呼ばれる、画質劣化の少ない先進のデジタルズーム機能が搭載されている(ズームバーで黄色に表示される部分。画質設定がRAWの場合は使用不可)。この機能を使用すれば、高い解像感を保ったままで「144mm相当」までの望遠撮影が楽しめるのである。

20171128_y-koba2 (4)↑広角端15mm(24mm相当)

 

20171128_y-koba2 (5)↑望遠端45mm(72mm相当)

 

20171128_y-koba2 (6)↑光学ズーム望遠端(72mm相当)

 

20171128_y-koba2 (7)↑プログレッシブファインズーム望遠端(144mm相当)

 

上の作例を見てもらえばわかるとおり、24mm相当の広角端は、標準ズームレンズの広角としては十分ワイドな画角が得られる。だが、72mm相当の望遠端は、一般的な望遠効果を望むのは難しい。遠くの風景や近づけない被写体などで、思い通りの大きさで撮れない……という不満が出てくる。そんなときには前述の「プログレッシブファインズーム」を活用したい。

 

続いて、ボケ描写について見ていこう。次の作例は“72mm相当の望遠端・開放F5.6”という条件で撮影したもの。正直なところ、ボケ効果を追求するには、画角も開放F値も物足りない値である。だが、APS-Cサイズの大型センサー採用機なので、それなりのボケ効果は得られた。

20171128_y-koba2 (8)72mm相当 絞り優先オート F5.6 1/160秒 WB:オート ISO100

 

操作性を犠牲にせず小型化と多機能化を両立

ボディの小型化と多機能化を両立させようとすると、どうしても操作性が犠牲になりがちだ。しかし、このG1 X Mark Ⅲは、その点も考慮した設計・仕様になっている。

 

まず、上面に露出補正ダイヤルが設置され、前面グリップ上には電子ダイヤルが設置されている。これは1.0型センサー機・G5 Xと同じスタイルである。通常、この手の電子ダイヤルは、グリップ上部や右手側の背面上部に設置されることが多いのだが、G1 X Mark Ⅲの小型ボディだと、その位置に設置するのは少々厳しい。その点、前面グリップ上ならスペース的に無理がないし、操作性も良好である。

20171128_y-koba2 (9)↑露出補正ダイヤルや前面の電子ダイヤルは、ファインダーを覗いてカメラを構えたままでも快適に操作できる。それはレンズ鏡筒基部のスムーズリングも同様である(撮影スタイルや撮影シーンに合わせて設定したい項目の割り当が可能)

 

液晶モニターは、自在に角度が変えられる「バリアングル液晶」を採用。この方式は、上下チルト式とは違い、カメラを縦に構えた際にも対応できる。だから、画面の縦横に関係なく、地面すれすれからのローアングル撮影や、高い位置から被写体を見下ろして撮るハイアングル撮影が快適に行えるのである。

20171128_y-koba2 (12)↑バリアングル液晶の機能と、コンパクト設計(細身のレンズ鏡筒)を生かして、フェンスの隙間からローポジション&ローアングル撮影を敢行

 

20171128_y-koba2 (13)↑こちらが実際に撮れた写真。絞り優先オート 24mm相当 F11 1/60秒 WB:オート ISO160

 

20171128_y-koba2 (14)↑こちらの作例は、石造りのアーチをローポジション&ローアングル撮影することで、この被写体の存在感を高めている。それと同時に、手前に散らばる落ち葉の存在感も高まった。24mm相当 絞り優先オート F11 1/60秒 WB:オート ISO320

 

バリアングル液晶は「タッチパネル」機能も搭載している。画面をタッチしてAF位置が迅速に選択でき(タッチAF)、そのままシャッターを切ることも可能である(タッチシャッター)。また、機能の設定や画像の閲覧なども、タッチ操作で快適に行える。サイズも3.0型と十分な大きさがだが、ボディがコンパクトなぶん、モニター右側のボタン配置が少々窮屈な点がやや惜しい。

20171128_y-koba2 (11)↑タッチパネルが反応する領域を設定することも可能。これによって、ファインダー撮影時に“自分のスタイル”に応じた操作が可能になる

 

20171128_y-koba2 (10)↑3.0型液晶モニターがとても大きく見える、コンパクト設計のG1 X Mark Ⅲボディ。そのため、モニター右側のボタン配置が少々窮屈な印象。ボディをホールドする際に重要になる“親指を置くスペース”も少々物足りない

 

風景撮影などで悩ましい小絞り時の解像感が向上

レンズの絞りを過度に込んだ際に発生する「回折現象(※1)」は、画像の解像感を低下させる原因になる。その点、G1 X Mark Ⅲでは、映像エンジン「DIGIC 7」の高速処理性能による光学情報を活用した補正を実現。これにより、回折現象を高度に軽減することが可能になった。風景撮影などでの、画面全体にピントを合わせる(パンフォーカス)撮影で、細部までシャープに描写することが可能になる。

※1. 光や音などが進む際に、障害物に遮られるとその背後に回り込む現象。絞りの背後に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなるために解像力が低下する

20171128_y-koba2 (17)↑ここでの作画のポイントは遠方の赤く色づいた木(葉)になるが、手前に入れる近くの木の枝もシャープに写したい。そのためには十分に絞り込む必要がある

 

20171128_y-koba2_18_R

20171128_y-koba2_19_R↑F8からの部分切り出し(上)とF16からの部分切り出し(下)の部分比較。F8で撮影したほうと比べると、最も絞ったF16のほうは少し解像感が劣っている印象。だが、その差は通常のカメラほどではない

 

20171128_y-koba2_20↑逆光に映える手前のカツラの葉と、その後ろにそびえるメタセコイアの並木。その両方をシャープに描写するため、最小絞りのF16まで絞って撮影した。24mm相当 絞り優先オート F16 1/80秒 +0.3補正 WB:オート ISO100

 

“最短撮影距離10cm”を生かして被写体に踏み込む

G1 X Mark Ⅲの最短撮影距離は、広角端は10cm、望遠端は30cm(いずれもレンズ先端からの距離)。その際の撮影範囲を仕様表で確認すると、望遠端のほうがわずかに狭い。つまり、クローズアップ度が高くなる。だが、その差は本当に“わずか”である。筆者個人としては“広角端10cm”のほうを評価したい。広角域で被写体の近くまで接近する“肉薄感”は、望遠域とは違うダイナミックな描写・表現が得られるのである。

20171128_y-koba2_21↑渓流脇の岩場に落ちていた一葉の紅葉。広角端で最短撮影距離近くまで接近する。イイ感じ。24mm相当 絞り優先オート F2.8 1/60秒 -0.3補正 WB:太陽光 ISO200

 

20171128_y-koba2_22↑菊花展に展示されていた色鮮やかな棚作りの菊。広角端で最短撮影距離近くまで花に接近しつつ、広い画角で背後の様子も写し込む。これまたイイ感じ。24mm相当 絞り優先オート F2.8 1/250秒 WB:オート ISO100

 

【まとめ】驚くほどコンパクトだが仕様や機能は本格志向

キヤノンのコンパクトデジカメ初の“APS-Cサイズ”CMOSセンサーの採用。広角端で10cmまで接近できる、24-72mm相当の高性能な光学3倍ズームレンズを搭載。約236万ドットの高精細な有機EL 内蔵EVF。AF追従で最高約7コマ/秒の高速連写(実写の結果、画質設定がRAW+Lでも、速度が落ちずに15、16カットは撮影できた)。しかも、雨雪やホコリの多い場所でも安心な「防塵・防滴構造」を採用。

 

こういったハイレベルな仕様や撮影機能を持ちながら、1.0型センサー搭載機と見紛うほどの小型軽量なボディ。PowerShot G1 X Mark Ⅲは、軽快に使える本格派コンパクトデジカメである。

20171128_y-koba2_31↑同梱のネックストラップ NS-DC12とストラップアダプターを装着して、首からPowerShot G1 X Mark Ⅲをぶら下げる。このスタイルで半日ほどブラブラと散策したが、ほとんど負担は感じなかった

 

開放F1.25の明るいライカMレンズ「ライカ ノクティルックス M f1.25/75mm ASPH.」

レンジファインダーカメラ「ライカM」システム用の単焦点レンズとして、開放F値1.25の明るさを持つ「ライカ ノクティルックス M f1.25/75mm ASPH.」が発売される。発売日は2018年初旬予定、価格未定。

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最短撮影距離は0.85m、最大撮影倍率は1:8.8。ライカM8シリーズ装着時は35mm判換算で約100mm相当をカバーする。浅い被写界深度とソフトなボケ味を生かし、背景をぼかして被写体を際立たせたポートレート撮影や接写が楽しめる。

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非球面レンズ2枚と異常部分分散ガラスを含む6群9枚のレンズ構成で、色収差をはじめとする諸収差を補正。フローティング方式を採用し、全撮影距離で安定した描写性能を発揮する。

 

引き出した位置でロック可能なねじ込み式のレンズフード、三脚用アダプターが付属する。

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ライカM10」装着時。

 

■主な仕様

マウント ライカMバヨネットマウント(デジタルライカM識別用6ビットバーコード付き)/ ●焦点距離 75mm(ライカM8シリーズ装着時は35mm判換算 約100mm相当)/ ●レンズ構成 6群9枚(非球面レンズ2枚)/ ●画角(対角線/水平/垂直) [35mm判]32°/ 27°/ 18° [ライカM8シリーズ]24°/ 20°/ 14°/ ●絞り羽根枚数 11枚/ ●開放絞り F1.25/ ●最小絞り F16/ ●最短撮影距離 0.85m/ ●最大撮影倍率 [35mm判]1:8.8 [ライカM8シリーズ]1:8.9/ ●サイズ(最大径×長さ) φ約74×91mm/ ●質量 約1055g

「インスタ映え」の最終兵器–超広角でG-SHOCK譲りのタフカメラ「G’z EYE」をNYで使い倒した

世の中、「インスタ映え」だのなんだのと騒がれていますが、有名な観光地やメニューを前にして、人とまるっきり違う「自分だけの一枚」を撮るのはなかなか難しいですよね。ならばいっそ思いっきり変わりダネのカメラに変えてみたらどうなるでしょう。ということで、人間の視野以上の広角写真が気軽に撮れるというG’z EYEを、世界的な「インスタ映え」スポットが満載のニューヨークで試してきました。

 

お馴染みの景色も超広角で激変

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やってきましたニューヨーク。羽田から飛行機で約12時間。朝10時に出て朝10時には到着です。チェックインできないので、カバンを持ったまま移動。まずは、定番のタイムズスクエアを目指します。JFK空港からLIRRを使ってPenn stationに到着。さらに地下鉄で移動です。※記録写真は主にiPhone 7で撮影しています。

 

目的地に着くまでカメラのチェックです。カシオから出たG’z EYEは、その名の通り、G-SHOCKの耐衝撃技術を応用したものです。落下4mの耐衝撃性能、水深50mの防水性能、防塵性能はIP6X相当、-10℃環境に耐える耐低温性能もあり、サーフィンから雪山でのアクティビティまで広範囲で使えるタフスペックを備えています。

 

20171205_ashida02_img01_l↑カシオG’z EYE/GZE-1、オープン価格(実売価格4万8400円)。FHD動画撮影時170.4度、静止画撮影時190.8度の超広角レンズを搭載。スマートフォン専用アプリを使ってカメラとWi-Fi接続すれば、スマホでリモート撮影ができたり、撮影した写真や動画の確認ができたり、各種設定が行えたりする。サイズ/質量はW74.2×H75×D46.4mm/約172g(電池及びメモリーカード含む)、有効画素数:690万画素、撮像素子:1/2.3型CMOS(裏面照射型)、外部メモリ:microSDの各規格に対応

 

20171205_ashida03_IMG_3532↑G-SHOCK由来の設計で、あらゆる角度での落下からレンズを確実に保護。カメラのレンズを装着するようにカチッと止まる裏蓋。内部にはリチウム電池とmicroSDカードスロット、マイクロUSB端子がある

 

ということで、タイムズスクエアに着きました。ここを、さっそくG’z EYEで撮影してみます。

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まるで全方位から広告が押し寄せてくるようです。突っ立ってカメラを構えただけなのに、なんだか臨場感があります。ちなみに、190度という超広角なので油断するとすぐ指が写り込んできます。手持ち撮影は要注意。

 

次に目指すはウォール街。再び地下鉄へ乗り込みます。せっかくなので、地下鉄も撮影。これもなかなか面白い写真だと思うのですが、どうでしょうか?

20171205_ashida05_CIMG0044↑左/ベンチの上にセットしてスマホでリモート撮影。 右/地下鉄が来たタイミングでシャッターを押してできた画像

 

 

ウォールストリートのウォールっぷりがスゴい

世界的な金融街ウォールストリートに到着です。裏道のような細い道路の両脇に高いビルが立ち並ぶ街並みは、なんというか、すごく圧迫感があります。このエリアをG’z EYEで撮影してみると……

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「ぎゃー、壁が襲ってくる? 逃?げ?ろ?!」と、言いたくなるような写真が撮れました。ついでに少しあるいてバッテリーパークへ。動画モードでリスを撮影してみました。

リス可愛い。

 

 

G’z EYEは、記録用の動画としても使えるか?

2日目。今日は朝活で日の出を狙ってからフェリー乗船。

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タイムラプスモードで船窓からの眺めを動画に収めてみます。

 

このカメラは、被写体が歪むので記録用としては不向きかと思ったのですが、思ったよりもいい感じ。ちなみに、乗ったフェリーは終点がどこかよくわかっておらず、再びウォール街方面に到着したのは秘密です。

 

 

G-SHOCK譲りのタフ設計だから投げても大丈夫!?

帰国日も朝から活動開始。エンパイアステートビルディングでマンハッタンの街並みを撮影です。

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G’z EYEとiPhone7を同じように並べて比較撮影

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どうでしょう、この「地球」感。適当なところに置いてiPhoneからシャッターを押しただけで、この写真です。

 

さて、いろいろ巡ってきましたが、G’z EYEを語るうえで欠かせない耐久性がまったく試せていません。でも、自分は完全にインドア派。いきなりエクストリームなアクションはできないので、カメラにエクストリームなことをさせます。といっても、上に放り投げるだけ。ついでにドラマティックスローも試してみます。

 

4mから落下しても大丈夫というだけあって、キャッチするところまでしっかり収まっています。ただ、動画撮影中にスロー撮影を格好よく挟み込むのはタイミングが難しいので、使いこなすには事前に練習が必要かもしれません。

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いまはアプリなどでいろいろな加工ができてしまうので魚眼ぐらいはたやすくできるでしょう。でも、加工の素材となる写真のクオリティは重要ですよね。素材が変われば、仕上がりも変わる。写真ではなく「作品」を撮りたいなら、190度広角のG’z EYEはオススメです。多少の無茶もできますしね。

 

公式サイト(こちらではエクストリームな動画が観られます)

これはもう手放せない! 唯一無二の“超望遠”高倍率ズーム「タムロン18-400mm」と行く珠玉の撮影旅 in 箱根

一眼レフカメラ用交換レンズは数多くあるが、そのなかでも7倍や10倍といった高いズーム倍率を持ち、1本持っておくとさまざまなシーンに対応できて便利なのが「高倍率ズーム」と呼ばれるカテゴリのレンズだ。こうしたズームレンズは、35mm判換算で28~450mm相当程度の製品が主流となっているが、2017年7月に登場したタムロンの「18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD(Model B028/以下18-400mmと表記)」は、望遠側を大幅に拡張した28~600mm相当(キヤノン用は28.8~640mm相当)を実現。カメラ愛好家の間で瞬く間に大きな話題となった。このようにスペック的には申し分のない同レンズだが、気になるのは実際の描写や使い勝手。そこで今回は、日帰りの旅を想定して神奈川県・箱根町に赴き、その実力をチェックした。

【今回の旅の相棒】

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タムロン
18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD(Model B028)
メーカー希望小売価格/9万円(税抜)

3段繰り出し式鏡筒の採用などで、高倍率ズームレンズとしてはほかに類を見ない超望遠400mmを実現。操作感がスムーズで広角から望遠まで一気にズーミングしても引っ掛かりがなく快適だ。マウント基部に「ルミナスゴールド」と呼ばれるリングをあしらった新デザインの採用で、外観もすっきりとした印象。屋外での撮影に配慮し、簡易防滴構造も施されている。2017年12月現在では、キヤノン用・ニコン用が用意されている。

■詳しい製品紹介はコチラ
http://www.tamron.jp/product/lenses/b028.html

 

※本記事の作例はキヤノン用レンズを用いて撮影しています

 

広角から超望遠まで、この1本で驚異的な画角をカバー

はじめに、本レンズの概要をおさらいしておこう。焦点距離は冒頭にも記したように18~400mmで、APS-Cサイズセンサー採用の一眼レフカメラ用となっているため、画角は28.8~640mm相当(キヤノン用。以下同じ)。1本で本格的な広角撮影から超望遠撮影まで可能となっている。開放絞りはF3.5-6.3で、高倍率ズームレンズとしては標準的な仕様。大口径レンズではないので極端に大きなボケは期待できないものの、円形絞りの採用で自然なボケ描写が得られる。

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持ち歩きの際に気になる質量は、レンズ単体で約710g(キヤノン用)。エントリークラスの一眼レフカメラボディが500~600g程度なので、その場合はボディと合わせても1.5kgを切る軽さとなる。長さは約123.9mm(キヤノン用)と、ダブルズームキットなどの望遠ズームと同程度。実際にボディに装着して手に持ってみると、レンズ鏡筒をしっかりと持ってホールディングすることができ、安定して撮影できる。日帰り旅に持っていくバッグでも十分に収納できる大きさで、当然のことながら、ダブルズームキットを持っていくよりもかなり少ないスペースで済む。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑今回はミドルクラスのボディと組み合わせて使用したが、それでもボディとレンズを合わせて1.5kgを切る軽さで、片手でも無理なく持てる

 

画角変化に驚愕! レンズ交換なしでこれほど違う写真が撮れる

ここからはいよいよ実写編。高倍率ズームでまず注目したいのが画角変化だ。ズーム倍率22.2倍という驚異的な数値をもつ本レンズなら、なおさら気になるところ。そこで早速、広角端と望遠端で芦ノ湖を前景に富士山を撮影してみた。28.8mm相当となる広角端では、芦ノ湖、富士山に加えて青空を広々と写すことができた一方で、640mm相当となる望遠端では富士山の山肌の様子を大きく写すことができ、改めてその画角変化に驚いた。まさに、“超望遠”高倍率ズームレンズと呼ぶにふさわしい。

20171129_y-koba5 (1)↑広角端の18mm(28.8mm相当)で撮影。手前の木々や芦ノ湖、富士山を入れたうえで空を広々と写し込むことができた

 

20171129_y-koba5 (4)↑望遠端の400mm(640mm相当)で撮影。超望遠域らしく、富士山の山頂付近のみを大きく写し、山肌の質感を克明に再現することができた。18mm(28.8mm相当)の写真と見比べると、そのズーム倍率の凄さがわかる

 

一般的な標準ズームに比べると広角端は同等となるが、標準ズームの望遠端は長いものでも70mm(112mm相当)程度までであり、その差は歴然。ダブルズームキットの望遠端に多い300mm(480mm相当)と比べても、1回りほど被写体を大きく撮れる印象だ。

20171129_y-koba5 (2)↑一般的な標準ズームレンズ(キットレンズ)の望遠端は50mmや70mmのものが多い。この写真は70mm(112mm相当)で撮影したものだが、富士山のアップの写真としてはやや物足りない印象だ

 

20171129_y-koba5 (3)↑ダブルズームキットや一般的な望遠ズームの望遠側は200mmから300mm程度のものが多い。この写真は300mm(480mm相当)で撮影したもの。富士山を十分にアップで写せたが、400mm(640mm相当)のほうが1回りほど画角が狭く、迫力のある写真となっている

 

広角~超望遠を生かした多彩な描写が可能

次に芦ノ湖の湖畔に出て遊覧船を撮影。広角・望遠の両方をうまく生かすことで、同じ場所・被写体でありながら異なる印象の写真に仕上げることができた。

20171129_y-koba6 (1)↑まずは18mm(28.8mm相当)で桟橋に停泊する2艘の遊覧船を撮影。適度に遠近感が強調され、船が堂々と見える。また、青空を広く入れたことでさわやかさの感じられる写真になった

 

続いて、出港後かなり遠くまで行った船を400mm(640mm相当)で撮影。どっしり大きく写すことができ、その引き寄せ効果を改めて実感した。

20171129_y-koba6 (2)↑望遠端である400mm(640mm相当)を使って、遊覧船が画面に収まる距離で撮影。肉眼でははっきり確認することはできなかったが、超望遠で引き寄せることで遊覧船の奥を通過しようとしている小型ボートを発見。画面に収まりのいい位置にボートが来るのを待って撮影した

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑撮影位置から見ると、遊覧船までの距離はかなり離れている。このレンズを使えば、これだけ離れていても船を大きく捉えることができる

 

その後、火山活動を続ける大涌谷に移動し、立ち込める白煙の様子を撮影。50mm(80mm相当)付近で白煙全体を、400mm(640mm相当)で白煙の噴出している部分のアップを狙った。こうした中望遠から超望遠での撮影を行う場合、ダブルズームキットではレンズ交換が必要になるケースが多いが、この18-400mmならレンズ交換なく素早く撮影できる。取材時、大涌谷は火山活動の影響でハイキングコースや自然研究路に立ち入ることができず、白煙に近寄って撮ることはできなかった。それでもこのレンズがあれば、その様子を迫力満点に撮ることができるのだ。

20171129_y-koba6 (3)↑中望遠となる50mm(80mm相当)域を使って、白煙が立ち上る様子を撮影。これだけでもその荒々しさが伝わってくる

 

20171129_y-koba5 (8)↑400mm(640mm相当)で白煙が噴出している部分を拡大。中望遠のものに比べると、その勢いが感じられより迫力のある写真になった。こうした画角の違いによる写りの変化を1本で素早く楽しめるのも、本レンズの魅力だ

 

また、大涌谷にはロープウエイが通っており、このロープウェイ越しに山やさらに遠くの街並みを望むことができる。そこで、400mm(640mm相当)を使ってロープウェイのゴンドラと山、遠くの街並みを1枚に収めてみた。200mmや300mmでも同じような構図で撮ることはできるものの、400mmでの圧縮効果は圧倒的で、F11まで絞り込んで撮影することで街並みの様子を大きく写すことができた。

20171129_y-koba5 (9)↑手前のゴンドラから奥の街並みまでは相当な距離があったが、400mm(640mm相当)の圧縮効果を使うことで遠近感が消失し、ゴンドラの眼下に街が広がっているかのような写りとなった。逆に、広角で撮影すれば遠近感を強調した描写が可能

 

マクロレンズ的な使い方やボケを生かした撮影も楽しい

このレンズは、22.2倍というズーム倍率もさることながら、最短撮影距離が45cmと短く、マクロレンズ並みに被写体に近寄って撮れるという点も魅力。加えて、400mmでは約0.34倍の最大撮影倍率で撮れるほか、広角端の18mmでも被写体に近寄って背景を広く入れた写真を撮ることができる。今回の撮影行では、広角で仙石原のススキを背景を生かしながら撮影したり、紅葉の葉1枚を400mmで大きく写したりすることができた。いずれも絞りをできるだけ開けて背景のボケもチェックしてみたが、広角・望遠ともに十分なボケ描写を得ることができた。開放F値が控えめでも、近接撮影ならボケ量が大きくなって被写体を引き立てることができるのだ。

20171129_y-koba5 (10)↑18mm(28.8mm相当)を使用して最短撮影距離付近でススキを撮影。広角域で被写体に近寄ることで、このように手前の被写体を大きく写しつつ、背景を広く写し込むことが可能。絞りを開放付近に設定すれば、適度に背景をぼかすこともできる

 

20171129_y-koba5 (11)↑400mm(640mm相当)を使用し、最短撮影距離付近で紅葉した葉をアップで撮影。背景が大きくぼけ、葉の形を印象的に表現することができた。紅葉を撮るときは、逆光で葉が光に透ける様子を撮ると色鮮やかな印象に撮れる

 

近接撮影という意味では、旅の楽しみの1つである料理や旅先で見つけた小物などを撮る場合にも、このレンズは実力を発揮する。その場合は、焦点距離を30~50mm程度にして被写体に近寄って撮れば適度な距離から被写体を撮ることができ、写りも自然な写真に仕上がる。今回は昼食のハッシュドビーフを写してみたが、50mm(80mm相当)で被写体に近寄って撮ることで、柔らかく煮込まれた牛肉の様子をアップで切り取ることができた。

20171129_y-koba5 (12)↑手持ちでハッシュドビーフを撮影。ズームを標準から中望遠域(35~50mm程度)に設定すると、遠近感による誇張が少なく、見た目に近い印象で撮影できる。また、そうすることで被写体から適度な距離を保っての撮影が可能。ここでは50mm(80mm相当)で撮影した

 

手ブレ補正機構「VC」がブレのない撮影をサポート

夕方には箱根ガラスの森美術館に立ち寄り、屋内に展示されたヴェネチアン・グラスや屋外のライトアップされた(クリスタル)ガラスのオブジェなどを撮影。屋内展示では、フラッシュの使用が禁止のため室内灯での撮影となったが、カメラの高感度を使い、高い評価を得ているタムロンの手ブレ補正機構「VC」を有効にすることによって、アップでもブレなく撮ることができた。

20171129_y-koba5 (13)↑屋内に展示されたヴェネチアン・グラスのフタに施された模様をアップで撮影。準マクロ域でも手ブレ補正が機能し、手持ちでもブレなく撮れた

 

屋外のライトアップされたガラスのオブジェは、主に広角側で撮影。ここでも手ブレ補正機構「VC」を使うことで、三脚を使うことなく撮影を楽しめた。手ブレ補正は日中での望遠撮影で有効なほか、こうした薄暗くなりがちな屋内撮影や夕景・夜景撮影など多くのシーンで有効で、三脚を携行しにくい旅先での撮影の幅を大きく広げてくれる。

20171129_y-koba6 (5)↑広角端の18mmを使って、手前と奥にある木の遠近感を生かしながら幻想的な輝きを撮影。手ブレ補正は搭載されているが、夕景や夜景を撮る場合は、広角側を使うとぶれにくくて安心だ

 

このほかにも、紅葉を撮影して解像感などをチェックしたり、鉄道を撮影して動きモノを追尾する際のAFの作動をチェックしたりしたが、いずれも高倍率ズームレンズとしては良好な結果が得られ、満足できる写真を撮ることができた。画質面では、3枚のLD(異常低分散)レンズやガラスモールド非球面レンズ、複合非球面レンズの採用で収差を抑えつつ十分な解像感を保っており、AFは、タムロン独自の「HLD (High/Low torque-modulated Drive)」が採用され、高倍率ズームレンズとしては高速かつ静かなAFが可能。被写体の追尾もスムーズで、不用意にピンボケになるようなこともなかった。

20171204_y-koba1_01_R↑箱根湯元に向かう特急列車を撮影。AFをコンティニュアスに設定して高速連写モードを使用したが、モーターに独自の「HLD」が採用されたことでAFのレスポンスも良く、快適に撮影できた。精度も高く、今回連写したすべてのカットでピントが合っていた

 

【結論】汎用性が高く、エントリーユーザーからベテランユーザーまでおすすめできる1本

今回はタムロン18-400mmの旅撮影での実力をチェックしたわけだが、実際に1日撮影してみてわかったのは、このレンズの守備範囲が非常に広いということ。広角や超望遠での撮影はもちろん、近接撮影まで楽しめ、室内や夕景・夜景の撮影にも強いのだ。これだけの汎用性があれば、旅撮影に限らず、ほとんどの撮影場面で不自由することはないだろう。

 

ベテランユーザーのなかには、「高倍率ズームはF値が暗い」と敬遠する人もいるかもしれないが、最近のカメラは高感度性能がアップしており、ISO400や800といった少し高めの感度に設定しておけば失敗なく撮影が楽しめるはずだ。超広角やより大きく質の高いボケ描写、あるいは画面の隅々までの高画質を求めるなら、それぞれ専用のレンズが必要になるとは思う。とはいえ、1本でこれほど幅広い被写体に対応でき、手軽かつ必要十分以上の描写力が得られるレンズは、いまのところこのタムロン18-400mm以外に存在しないのではないだろうか。そういった点を踏まえると、エントリーユーザーが最初に買う1本としてはもちろん、機動性を重視したいベテランユーザーまで幅広い人におすすめできる優秀な1本と言える。何かと荷物が増えがちな年末年始の旅行でも、本レンズの守備範囲の広さと機動力が大活躍するはずだ。

 

■詳しい製品紹介はコチラ
http://www.tamron.jp/product/lenses/b028.html

 

【スポット紹介】

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箱根ガラスの森美術館

緑豊かな箱根仙石原にある、日本初のヴェネチアン・グラス専門の美術館。作例に挙げたクリスタル・ガラスのツリーは12月25日まで展示される。

カメラ機材が増えるのはしょうがないことなのだ!

僕は、なぜかカメラ機材が多い。カメラ本体、レンズが多いというのならわかるが、実はそれ以外の機材が多いのだ。

37196720 - bag and appliances for photography top view

たとえば三脚。5本くらい持っている。そしてカメラバッグ。大小合わせると10個くらいは持っているだろうか。

 

三脚が増えてしまう経緯

最初の三脚は、20年ほど前に購入した大きめのアルミ三脚。しかし、これが持ち運ぶには大きくて重い。

 

そこで、もうちょっと軽くて持ち運びに適した三脚を買おうと探し、カーボン製の中型の三脚を購入。

 

しばらくはこの2台体制だったが、「もうちょっと大きめのカーボン三脚があったほうがロケに便利だな」「クルマで移動するときは重さ関係ないからアルミ製の中型三脚があってもいいな」「出張用に超小型の三脚があると便利だ」などというように、どんどん増えていく。同様に雲台も増えてしまっている。

 

カメラバッグが増えてしまう経緯

カメラバッグの場合も同様だ。最初に買ったカメラバッグは、機動性を重視して少々小型のもの。

 

しかし、大きめのレンズなどが入らなくなり、もう少し大きめのバッグを購入。そのうち、ノートPCも持ち運ぶようになったので、ノートPCも入るバッグを追加した。

 

仕事で複数のカメラを持ち歩く必要が増えてきたので、さらに大きめのバッグを購入。機材が増えてきて、ショルダータイプはきついということでリュックタイプも追加。しかし、あまりにも機材が重くて両腕がしびれ、腰への負担もかなりのものになってきたので、トローリータイプを購入。

 

また、たまたま立ち寄ったリサイクルショップにかっこいいカメラバッグが激安であったので買ってしまったりもした。

 

いくつも買う最大の理由は「使い分け」

僕としては、ただ無尽蔵に三脚やカメラバッグを買っているわけではなく、それなりに理由がある。要は「使い分け」をしているのだ。

 

カメラ機材は、そのときそのときで持って行くものが違う。だから三脚やバッグは、持って行く機材の量などによって変える必要があるのだ。

 

「大きめの三脚とバッグだけでいいじゃん」という声もあるだろうが、カメラ1台にレンズ2本というだけのときに、とても大きなバッグと三脚で出かけるのは機動力が下がってしまう。

 

やはり、機材や目的に合わせて三脚もバッグも適したものを使ったほうが効率がよくなる。

 

機材部屋にある大量のカメラバッグを見ながら、そう自分に言い聞かせている。

 

三脚は目的とシーンで選ぼう

カメラ雑誌『CAPA 2017年7月号』(CAPA編集部・編/学研プラス・刊)に「撮影用品ベスト100セレクション」という冊子がついている。三脚やストロボ、カメラバッグ、SDカードなど、撮影用品のベストバイ的な内容となっている。

 

そのなかの三脚の項目に、「三脚は撮影目的とシーンに合わせて選ぼう」というコラムがある。

 

三脚を選ぶ基準は、まず使用目的と載せる機材を明確にすること。重たい一眼レフと望遠レンズの組み合わせで朝夕の風景を狙いたいのか、超軽量ミラーレスカメラが載せられるぐらいの、旅行カバンにすっぽり入るサイズのものが欲しいのかで選ぶべき三脚はまったく違ってくる。

『CAPA 2017年7月号』撮影用品ベスト100セレクションより引用

 

そうなのだ。僕は一眼レフに望遠レンズで風景写真を撮ることもあるし、小さめのカメラでイベント会場を動き回ることもある。

 

そのときそのときで、使う三脚が違うのだから、必然的に三脚が増えてしまうのはしょうがないことなのだ。

 

万能のカメラバッグはない

同じ冊子のカメラバッグの項目では、「万能のカメラバッグは無いので行き先と機材に合わせて選ぼう」というコラムにはこう書かれている。

 

行き先や撮影目的が変われば、持参する機材の選択や組み合わせも変わる。だから、いろんなタイプやサイズのバッグが欲しくなるもの。そう、すべてのシチュエーションに対応可能な万能バッグは存在しないのだから。

『CAPA 2017年7月号』撮影用品ベスト100セレクションより引用

 

そうなのだ。あらゆるシチュエーションに対応できるカメラバッグなどは存在しない。だからいくつも買ってしまうのだ!

 

カメラ機材に終着点はない

ということで、カメラ機材がいつの間にか増えてしまうというのは、どうしようもないことなのだ。なんせ日本でも有数のカメラ雑誌がそう言っているのだから、間違いない。

 

僕は最近、超大型のアルミ三脚が欲しいと思っているし、ミラーレス一眼のシステムにノートPCという組み合わせでしっくりくるカメラバッグもあると便利だなと思っている。

 

そう、カメラ機材に終わりなんてないのだ。写真を撮り続ける以上、カメラ機材は欲しくなるし必要になるもの。だから、いくら三脚やカメラバッグが増えようとも、それはしかたないことなのだ。

 

よし、これからカメラ屋を覗きに行こう。いいカメラバッグ、あるといいな。

 

 

【著書紹介】

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CAPA 2017年12月号

著者:CAPA編集部(編)

出版社:学研プラス

デジタル一眼カメラや交換レンズ、周辺機材の最新情報が満載。豊富な作例とわかりやすいハード記事で、多くの一眼カメラファンの支持を集める。撮影テクニック記事やプロ写真家の作品紹介、充実したフォトコンテスト記事も人気。

Kindleストアで詳しく見る
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BookLive!で詳しく見る
紀伊國屋書店ウェブストアで詳しく見る

小型軽量ミラーレスに開放F2のコンパクトな広角レンズが付属する「富士フイルム X-E3 単焦点レンズキット」

ミラーレス一眼カメラ「富士フイルム X-E3」に、単焦点の広角レンズ「XF23mmF2 R WR」が付属する新レンズキット「X-E3/XF23mmF2 R WR キット」が追加される。2017年11月30日(木)発売予定。価格はオープン価格で、フジフイルムモール直販価格は税込150,660円。

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カラーバリエーションはブラック、シルバーの2色。

 

「X-E3」は、ファインダー付きのXシリーズで最小・最軽量のミラーレス一眼カメラ。フラッグシップモデルと同じ有効2430万画素のローパスフィルターレスAPS-CサイズCMOSセンサー、画像処理エンジンを搭載し、携帯性と高画質を両立させている。製品の詳細はこちら

 

「XF23mmF2 R WR」は、開放F値2.0のコンパクトな広角レンズ。35mm判換算で35mm相当をカバーする。製品の詳細はこちら。

 

カメラボディ、レンズとも小型軽量のため、日常的に持ち歩いて気軽にスナップ撮影が楽しめる。

 

■アクセサリー

X-E3用の撮影アクセサリーとして、ブラウンカラーのボトムレザーケース「BLC-XE3 BW」(税別 11,500円)も同時発売。発売中のブラックと合わせて2色展開となる。

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FUJIFILM X-E3/XF23mmF2 R WR キット + ボトムレザーケース BLC-XE3 BW。ボトムレザーケースには、同じ革素材のショルダーストラップ、ラッピングクロスが付属する。

 

■キャンペーン

X-E3の発売日と同時にスタートした「X-E3発売記念キャンペーン」は、単焦点レンズキットの発売に伴いキャンペーン対象購入期間が2018年1月8日(月)まで、応募締切が2018年1月29日(月)に延長された。

 

詳細はこちら。

レンズ型マグカップ、カメラ型USBメモリー…ファン垂涎のキヤノン公式グッズが続々登場

カメラやレンズなどの製品をモチーフにしたキヤノン公式ファングッズが登場。レンズ型マグカップ、ミニチュアカメラ型USBメモリーなど、普段使いできるさまざまなアイテムを2017年12月14日(木)より順次発売する。

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キヤノンオンラインショップでは全アイテムを販売。一部のアイテムは家電量販店でも取り扱う。

 

キヤノンでは、これまでもミニチュアカメラ型USBメモリーなどのグッズは販売してきたが、種類を増やして欲しいとのユーザーの要望にこたえてラインナップを大拡充。「Canon Official Fan Goods」として、キヤノン製品をモチーフにしたさまざまなグッズを展開していく。

 

その第1弾として、マグカップ2種類、マグカップとコースターをセットにしたプレミアムギフトボックス、USBメモリーの4アイテムを2017年12月14日(木)に発売。2018年春には水筒、ランチバッグ、ピクニックマットの3アイテムを発売予定。12月発売分は、キヤノンオンラインショップで予約受付を開始している。

 

レンズマグ MC-MG001

2017年12月14日発売

オープン価格(直販価格:税別 3,500円)

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「EF70-200mm F2.8L IS II USM」を模したマグカップは、レンズキャップ型のフタ付き。本体は熱が表面に伝わりにくい2層構造の磁器製。フォーカスリングを再現したシリコーンゴム製のすべり止めリングは、洗うときに取り外せる。

 

レンズマグ MC-MG002

2017年12月14日発売

オープン価格(直販価格:税別 2,500円)

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持ち手が付いた磁器製のマグカップは、「EF50mm F1.2 L USM」がモチーフ。カップの下部に、レンズのリアキャップをイメージした溝が刻まれている。

 

プレミアムギフトボックス MC-MUG SET

2017年12月14日発売

オープン価格(直販価格:税別 5,800円)

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レンズマグ MC-MG001とMC-MG002、シリコーンゴム製のカメラ型コースターを専用化粧箱に収めたキヤノンオンラインショップ限定商品。コースターはカメラボディ型1枚とレンズ型2枚のセットで、重ねてもバラしても使える。メッセージカードも同梱される。

 

ミニチュアUSB F-1 16GB

2017年12月14日発売

オープン価格(直販価格:税別 9,980円)

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昭和46年に誕生した一眼レフの名機「F-1」をモチーフにしたミニチュアカメラ型USBメモリー。USB端子はカメラの側面に収納できるスライド式なので、使わないときも飾って楽しめる。キヤノンオンラインショップのみで限定3,000個を販売する。

 

サーマルボトル MC-TB001

2018年3月上旬発売予定

オープン価格(直販価格:税別 3,780円)

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キヤノンの歴代カメラがデザインされた魔法瓶タイプのステンレス水筒。ワンタッチでオープンして直飲みできる。持ち運びに便利なロック機能付き。

 

ランチバッグ MC-LB001

2018年3月上旬発売予定

オープン価格(直販価格:税別 1,580円)

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500mlのペットボトルも収納できる大容量のランチバッグ。本体表面はポリエステル製、内側はアルミシート貼りで保冷・保温効果がある。一眼レフカメラのストラップをイメージした持ち手がアクセント。

 

ピクニックマット MC-PM001

2018年3月上旬発売予定

オープン価格(直販価格:税別 3,780円)

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カメラ、レンズ、プリンターなど、製品カタログに掲載されたシステムマップの線画イラストがズラリと並んだピクニックマット。四隅の穴に市販のペグを通して地面に固定できる。表地はナイロン、裏地はポリプロピレンで撥水加工も施されているので、湿った場所でも安心。

「ルミックス=動画>静止画」は過去のものに! もう1つの最上位ミラーレス一眼「G9 Pro」がそのイメージを覆す

従来、パナソニックのLUMIX(ルミックス)・デジタル一眼は、ハイエンドの「GH」と中・上級機の「GX」、中級機の「G」、入門機の「GF」と4つのシリーズで構成されてきた。このうち現行のハイエンドモデルにあたるのが今春発売の「ルミックス GH5」だ。同機は4K60pで時間制限なく動画が撮れたり、Log記録に対応したりするなど、動画に特化したプロ機として存在感を示している。一方で、写真の愛好家やプロカメラマンからは、もっと写真(静止画)に特化したモデルが欲しいという声が上がっていた。

 

11月16日に国内発表された「ルミックス G9 Pro」は、そうしたユーザーの声を強く意識したモデルとなっており、今回はモデル名にも「Pro」の称号を与えている。ここでは、同日行われたルミックス G9 Proの発表会の様子を交えつつ、同機の魅力を探ってみたい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑ルミックスG9 Pro。発売は2018年1月25日の予定で、実売想定価格は税別21万円前後(ボディ)。ボディ上面に撮影情報表示液晶が搭載された一方で、G8までは内蔵されていたフラッシュがG9 Proでは廃止された。そのぶんシャープな印象のデザインとなっている

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑マイクロフォーサーズ機ということもあり、プロ機として考えると非常に小型・軽量なルミックス G9 Pro。写真のように、女性でも無理なくグリップ可能なサイズでありながら、頑丈かつ最新の機能が存分に楽しめるモデルとなっている

 

「写真」に特化したもう1つのフラッグシップ機

ルミックスGシリーズは、前モデルとなるG8までは中・初級機といった位置付けで、低価格機ながら高精細なEVFを搭載し、必要十分以上の機能を持つお買い得モデルといった印象であった。しかし今回のG9 Proは、冒頭にも記したように、プロカメラマンやハイアマチュアが使うことを強く意識したモデルとなっている。

 

また、G9 Proはマイクローフォーサーズ第1号機となるルミックス G1登場から10年目に発売される記念すべきモデル。パナソニック イメージングネットワーク事業部の山根洋介氏も、「ミラーレスカメラ10年の集大成といえるモデルで、写真(静止画)に特化したフラッグシップ機です」と語る。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑壇上でミラーレス一眼の10年を振り返りつつ、新製品について語る、山根洋介氏

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑「Pro」仕様の証として赤いラインを撮影モードダイヤル基部に配置。外観にモデル名を配していないが、それもG9 Proの高級感に繋がっている。

 

ルミックス史上最高の写真画質と圧倒的な連写&手ブレ補正

まず画質面では、センサーにローパスフィルターレスの有効2030万画素LiveMosセンサーと最新の画像処理エンジン「ヴィーナスエンジン」の採用などにより、ルミックス史上最高の写真画質を実現。高解像で立体感があり、階調特性や色再現にも優れているという。また、G9 Proでは絵作りに新たな思想を導入し、例えば動物などでは、生きているものの生命力や生命美が感じられる絵作りを目指したそう。また、今後登場する同社の一眼についても、こうした思想を反映させた統一感のあるものになるという。

 

連写は、AF追従で約20コマ/秒(メカシャッター使用時は約9コマ/秒)で、AF合焦速度も約0.04とトップクラスだ。ミラーレス一眼でポイントとなるEVFも約368万ドットの有機ELで高精細。視野率約100%なのはもちろん、倍率も約0.83倍と広い視野を実現している。手ブレ補正には、ボディ内手ブレ補正が採用され、ボディ単体で約6.5段分、レンズ内手ブレと協調して補正を行う「Dual I.S.2」対応レンズ使用時なら、望遠側でも約6.5段分の補正効果が得られるとしている。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑約20コマ/秒の連写は、電子シャッター使用時に有効で最大連続50コマまで(2.5秒間)撮影可能。それ以上の連写を行いたい場合は、後述の6Kフォトモードを使うことで実質30コマ/秒、4Kフォトモードを使うことで実質60コマ/秒で撮れる。切り替えは、撮影モードダイヤル基部のドライブモードダイヤルで行う

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑背面のジョイスティックの質感も向上。節度ある動きで、素早くAF測距点の変更が行える。そのAFも画面内の各被写体までの距離を検出し、高速なAFを実現する「空間認識AF」が進化したことで、極めて高速になっている

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑そのほかのボタン、ダイヤル類もクリック感が最適で快適。要望が多かったという上面の撮影情報表示液晶も新設され、現在のカメラ設定が一目でわかるようになった

 

ボディ外装もオールマグネシウム合金製で防塵・防滴仕様。2枚のSDメモリーカードを使用できるダブルスロット(UHS-II対応)も装備され、写真愛好家やプロカメラマンも納得できる仕様となっている。このほか特徴的な機能として、ボディ内手ブレ補正の機構を活用してセンサーを動かしながら8回連続で連写を行って自動合成し、約8000万画素に相当する高解像写真を生成できる「ハイレゾモード」を搭載。約1800万画素で30コマ/秒の連写(動画撮影)を行い、好み位置で写真を切り出せる「6Kフォト」に対応。従来からの「4Kフォト」は、60コマ/秒での撮影が可能だ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑実際に手にしてみると、グリップが深めで持ちやすく、しっかりとグリップできる。シャッターボタンも適度な深さで軽いタッチでレリーズでき、連写も快適だ

 

ライカ銘を冠した超望遠単焦点レンズも発表

交換レンズについては、LEICA DG ELMARIT 200mm F2.8 POWER O.I.S.を発表。希望小売価格42万円(税別)で受注生産となる高級レンズだが、35mm判換算で400mm相当・開放F2.8となり、AF駆動にルミックス初となる「スリーマグネットリニアモーター」を採用したことで、AFが高速でスポーツや動物撮影など動きの素早い被写体の撮影にも有利。1.4倍のテレコンバーターが同梱され、560mm相当F4のレンズとしても使用できるほか、別売の2倍テレコンバーター(800mm相当F5.6)の使用も可能だ。

20171120_y-koba2_1_R↑特殊低分散ガラスを用いた、UEDレンズを2枚採用。色収差が少なく、ハイコントラストな描写を実現している。希望小売価格42万円(税別)で、発売は12月中旬を予定

 

今回の発表会ではG9 Proの実機を試用することができた。ボディの高級感はかなり増しており、外装の質感など、GH5よりも質が高いと感じる部分も多い。シャッターボタンのフィーリングも深すぎず、浅すぎずといった印象で撮影しやすいものであった。4K60pでの動画撮影が10分までという制限があるので、本格的な動画撮影を行うなら制限のないGH5が優れるが、静止画メインで使うならG9 Proのほうが価格面も含めてオススメだ(GH5は参考価格23万6830円)。

スマホカメラの一般常識を覆した――異彩を放つ「ライカ×ファーウェイ」スマホはいかにできたのか?

近年、スマホのスペックのなかでも重要視されているのが、カメラだ。画素数はデジカメ並みとなり、画質のほうも肉薄するほど高画質になっている。そして何より、手軽に撮影ができてその場でSNSなどへのアップも簡単。誰もが手軽に写真を楽しむようになったのは、携帯電話やスマホへのカメラ機能搭載なのは明らかだ。当然、各スマホメーカーはカメラの性能アップや、新機能の搭載による差別化を図っている。そのなかでも、異彩を放っているのがHUAWEI(ファーウェイ)だ。

 

2016年4月に発売された「HUAWEI P9」に、ライカと共同開発したデュアルレンズのカメラユニットを搭載。ライカといえば、カメラファンならば誰もが憧れるブランド。スマホでライカが楽しめるとあって、P9は人気機種となった。現在発売されている「HUAWEI P10」「HUAWEI P10 Plus」にも、ライカのカメラユニットを搭載。さまざまなメーカーがスマホのカメラには力を注いでいるが、「ライカ」という大物ブランドをスマホの世界に担ぎ出したファーウェイの存在感は際立っている。

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20171117_y-koba3 (3)↑HUAWEI P10

 

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20171117_y-koba3 (5)↑HUAWEI P10 Plus

 

いったい、なぜファーウェイはライカとコラボレーションをしようと考えたのか。そしてライカは、なぜファーウェイの申し出を受けたのだろうか。11月8日に開催された「Leica×ファーウェイ共同セミナー」で、その舞台裏が語られた。

 

一度は断られたコラボレーションを実現にこぎつけた

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ライカは、言わずと知れたカメラ界の有名ブランド。1925年に初のカメラ「LEICA I型」を発売。現在の35mmフィルムカメラの基礎となり、多くの写真家に愛用され続けてきた。ライカの特徴は、堅牢なボディとレンズ、そして、そのレンズの描写だ。特に厳しい検査基準が設けられているレンズは、独特の色彩と階調をもっている。

 

ファーウェイがライカと最初にアポイントメントを取ったのは2013年の冬。ライカの優れた光学性能を、スマホで再現したいという思いがあった。

 

しかし、このときはライカ側から断られる。それでもあきらめずに何度かメールで打診。そして2014年夏、ライカのCEOとの面談にこぎつける。ここから両者は歩み寄り、年内にカメラユニットの共同開発の契約が交わされた。

 

ファーウェイがこのとき掲げたスローガンが「スマホカメラの一般常識を覆す、高い品質と芸術性を目指す」というもの。スマホのカメラは、機動力が1番の魅力。正直、画質は二の次という印象だが、同社はあえて画質という領域を極めようとしたのだ。

 

想定以上に厳しいライカ基準と量産化の壁

ライカとの共同開発が始まってからも、さまざまな問題に直面する。

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まずは「高品質ユニットの量産」だ。一般のカメラレンズに比べ、スマホのカメラユニットはかなり小さい。およそ5mmの厚さのなかに、撮像素子やレンズユニット、基板などを納める必要がある。

 

このようにかなり制限されたハードウェアのなかで、「細部」「深み」「輪郭」といったライカの厳しい基準をクリアしたものを作らなければならない。その基準は、ファーウェイが通常定めている基準の数十倍も厳しいものだった。

 

このライカ品質をキープしながら低価格で量産するのは困難を極めた。それでも、開発部隊の頑張りにより、期日には量産化のめどが立つ。開発は、それこそ昼夜問わず行われたという。

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次にぶつかった問題が「ライカスタンダードの再現」だ。通常ファーウェイでテストに使うカラーチャートは数十色だったが、ライカは140個のカラーチャートを使用。それらが正しく再現されていなければ、ライカ品質に満たないとされる。

 

画像品質試験は、色彩、フォーカス、質感、ひずみ、ダイナミックレンジなど多くの項目が設けられており、さらにそれらには客観的評価と主観的評価の両方が行われた。

 

客観的評価は数値で示されるものだが、主観的評価は人間の感性が頼り。画像開発チームは試作機を片手に、100種類以上のシーンを撮影し、評価するという作業を数か月繰り返したという。

 

製品発表直前まで続いたチューニング

2016年1月には試作機が完成。しかし、サンプル機で撮影した写真のクオリティは、ライカが目指していたものとはほど遠かった。

 

そこからまた改善を繰り返し、同年2月の「Mobile World Congress 2016」には、納得のいく製品を展示することができた。そのあとも画質に関してチューニングを行い、晴れて2016年4月6日、ロンドンにて第1号機「HUAWEI P9」を発表することができたという。

 

両社にとってみれば、まさに薄氷を踏む思いであっただろう。しかし、妥協せず画質を追求したことで、HUAWEI P9は人気機種に。その完成度はプロの写真家なども絶賛するほどだ。現在は後継となる「HUAWEI P10」「HUAWEI P10 Plus」が発売されており、こちらも人気を博している。

 

おそらく、世界中で最も手軽にライカ画質を楽しめるデバイス。それがHUAWEI P10/P10 Plusだろう。

 

高画質のキモはカラーとモノクロのデュアルレンズ

ライカと共同開発したレンズユニットは、2つのレンズが並んだデュアルレンズ構造となっている。

 

他社製のデュアルレンズのカメラは、広角と望遠というように、状況に応じてレンズを切り替えて使用するものがほとんどだが、ファーウェイの機種はそうではない。カラーとモノクロのデュアルレンズなのだ。

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カラーだけではなくモノクロ専用ユニットを搭載し、それらを合成することでより解像感の高い画質となっているのが特徴。もちろん、モノクロ側のユニットで味わい深いモノクロ写真を撮影することも可能だ。

 

一度、ファーウェイ機種で撮影された写真を見てほしい。まるでその場にいるかのような臨場感は、他社スマホの画質とはひと味違うということが感じられるはずだ。

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これまでにないスマホを開発したファーウェイだが、歩みを止める気配はない。11月28日には「次世代スマホ」が上陸するとアナウンスされた。ただでさえ、ライカとコラボレーションをするという、ある意味でとんでもないスマホを開発したファーウェイ。今度はどんなスマホを投入してくるのだろうか。11月28日の発表が気になるところだ。

ここがスゴいぞ、オリンパスのミラーレス一眼! 入門機~フラッグシップまで全解説

フィルム時代のカメラを復活させたかのようなデザインのPENシリーズやOM-Dシリーズで、スタイリッシュなカメラというイメージが強いオリンパス。だが、実はライブバルブ、ライブコンポジット、深度合成、ハイレゾショットなど豊富な独自機能も魅力となっている。また、発売後のファームウェアアップデートも頻繁で、機能追加が期待できる点もポイントだ。そうしたオリンパスのマイクロフォーサーズ一眼の代表機種を上級、中級、初級にわけて紹介。それらの特徴について解説する。

↑多くの機種が強力なボディ内5軸手ブレ補正を搭載し、使用レンズを選ばず失敗なく撮影できる。クラスを問わず、コンパクトで質の高いボディが採用されている点も魅力だ↑多くの機種が強力なボディ内5軸手ブレ補正を搭載し、使用レンズを選ばず失敗なく撮影できる。クラスを問わず、コンパクトで質の高いボディが採用されている点も魅力だ

 

【上級機】豊富な機能と耐久性を備えたフラッグシップ

カメラグランプリ2017を受賞した同社のフラッグシップモデル「OM-D E-M1 MarkII」。AF、AEともに追従した状態での秒18コマ連写に対応し、オールクロス仕様の像面位相差センサーを備える。そのほか、最大5.5段の補正が可能な5軸手ブレ補正機能を搭載する。

↑OM-D E-M1 MarkII。カメラグランプリ2017を受賞した同社のフラッグシップモデルだ。AF、AEともに追従した状態での秒18コマ連写に対応し、オールクロス仕様の像面位相差センサーを備えるほか最大5.5段の補正が可能な5軸手ブレ補正機能を搭載。●撮像素子:4/3型、有効約2037万画素LiveMOS センサー ● 背面モニター:3 型約104 万ドット、バリアングル式タッチパネル ●シャッター速度:1/8000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:134.1×90.9×68.9㎜●質量:約574g ●参考価格/23万5440円↑●撮像素子:4/3型、有効約2037万画素Live MOS センサー ● 背面モニター:3 型約104 万ドット、バリアングル式タッチパネル ●シャッター速度:1/8000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:134.1×90.9×68.9㎜ ●質量:約574g ●参考価格/22万1620円

 

↑防塵、防滴、耐低温設計にも関わらずボディは498gと軽量。サイズも小型だが、グリップは大きめで、手の大きさを問わず持ちやすい↑防塵、防滴、耐低温設計にも関わらず、ボディは本体のみで498gと軽量。サイズも小型だが、グリップは大きめで、手の大きさを問わず持ちやすい

 

↑メイン、サブ2つのダイヤルを備え、操作性に優れる。背面のレバーで2つのダイヤルの機能を切り替えられ、4つの設定を即座に変更できる↑メイン、サブ2つのダイヤルを備え、操作性に優れる。背面のレバーで2つのダイヤルの機能を切り替えられ、4つの設定を即座に変更できる

 

こちらもおすすめ! 小型ボディで充実の機能が魅力のPEN-F

↑オリンパスには、OM-Dシリーズのほか、PENシリーズもラインナップされている。そのフラッグシップはPEN-Fだ。OM-Dよりも小型ボディながらEVFを内蔵、充実した機能を備える。●参考価格/12万6900円(ボディ)↑オリンパスには、OM-Dシリーズのほか、PENシリーズもラインナップされている。そのフラッグシップはPEN-Fだ。OM-Dよりも小型ボディながらEVFを内蔵、充実した機能を備える。●参考価格/12万3430円(ボディ)

 

【中級機】ファームアップで機能は最新機種並み

同社の中級機に当たるのが、OM-D E-M5 MarkII。2015年2月の発売だが、フォーカスブラケットの追加などのファームウェアアップデートを重ね、最新機種にも迫る性能を維持。防塵防滴、耐低温ボディにもなっており、過酷な撮影シーンにもしっかりと応えてくれる。ダイヤル配置など、操作系が上位機種とほぼ同じなのもうれしい。

↑OM-D E-M5 MarkII。フォーカスブラケットの追加など、ファームウェアアップデートを重ね、最新機種にも迫る性能を維持。防塵防滴、耐低温ボディにもなっており、過酷な撮影シーンにもしっかりと応えてくれる。ダイヤル配置など、操作系が上位機種とほぼ同じなのもうれしい。●撮像素子:4/3型、有効約1605万画素LiveMOSセンサー●背面モニター:3型約104万ドット、バリアングル式タッチパネル●シャッター速度:1/8000 ~ 60秒、バルブ●サイズ:123.7×85×44.5㎜●質量:約469g ●参考価格/9万8280円↑●撮像素子:4/3型、有効約1605万画素LiveMOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、バリアングル式タッチパネ ●シャッター速度:1/8000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:123.7×85×44.5㎜ ●質量:約469g ●参考価格(ボディ)/8万3740円

 

↑小型・軽量ボディだが、直線の多い安定したデザインで大型ストロボ用のシンクロ接点も備える本格派。バリアングル式の背面モニターも便利↑小型・軽量ボディだが、直線の多い安定したデザインで大型ストロボ用のシンクロ接点も備える本格派。バリアングル式の背面モニターも便利

 

↑別売のパワーバッテリーホルダーはカメラグリップ部とバッテリーホルダー部が分離できる。カメラグリップ部にはヘッドフォン端子を搭載し、動画撮影にも重宝する↑別売のパワーバッテリーホルダーは、カメラグリップ部とバッテリーホルダー部が分離できる。カメラグリップ部にはヘッドフォン端子を搭載し、動画撮影にも重宝する

 

【初級機】ボディ内手ブレ補正や連写などが魅力

今秋にはエントリークラスの最新モデル「OM-D E-M10 Mark III」が登場。410gと小型・軽量ながら、強力な5軸手ブレ補正や秒8.6コマの連写、4K動画撮影などに対応する。「SCN(シーン)」や「AP(アドバンストフォト)」などの4つのカメラアシスト撮影モードにより、カメラ初心者でも簡単にクリエイティブな写真が撮影できる。

↑399gの小型・軽量機ながら、動画撮影にも有効な5軸手ブレ補正や秒8.5コマの連写、タイムラプス動画撮影機能などに対応。高級感のある金属外装を備え、2ダイヤル式の操作系で上位機種にも劣らない素早い操作が可能。EVFも見やすく、使い勝手に優れる。●撮像素子:4/3型、有効約1605万画素LiveMOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:119.5×83.1×46.7㎜ ●質量:約399g ●参考価格/6万5880円↑●撮像素子:4/3型、有効約1605万画素Live MOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:121.5×83.6×49.5mm ●質量:約410g ●参考価格(ボディ)/8万7480円

 

【オリンパス一眼6つの特徴】ボディ内手ブレ補正や画像合成機能が魅力

最新のオリンパスのOM-DシリーズやPENシリーズは、強力なボディ内5軸手ブレ補正を備え、静止画、動画ともにブレなく撮れる。特にOM-D E-M1 MarkIIでは、対応レンズとの組み合わせで最大6.5段分の補正効果が得られる。このほか、深度合成機能など、ボディ内での画像合成機能も魅力だ。

 

特徴1/手ブレ補正

同社の現行一眼の全モデルが5軸のブレに対応した強力な手ブレ補正を搭載している。特にE-M1 MarkIIとM.ZUIKO DIGITAL ED12~100mm F4.0 IS PROとの組み合わせでは、ボディとレンズの手ブレ補正が協調することで最大6.5段分もの補正が可能だ。

↑E-M1マークⅡ+対応レンズでは、レンズ内手ブレ補正とカメラ内の補正機構がシンクロ。最大6.5段の補正効果で、この写真のような1秒を超える夜景の手持ち撮影も可能だ。50ミリ相当 マニュアル露出(F5.6 1.3秒) ISO200 WB:オート↑E-M1 MarkII+対応レンズでは、レンズ内手ブレ補正とカメラ内の補正機構がシンクロ。最大6.5段の補正効果で、この写真のような1秒を超える夜景の手持ち撮影も可能だ。50mm相当 マニュアル露出(F5.6 1.3秒) ISO200 WB:オート

 

特徴2/防塵・防滴

E-M1 MarkIIやE-M5 MarkIIは、ボディのつなぎ目はもちろん、ダイヤルや、シャッターボタンなどの可動部までシーリングが施されている。レンズやバッテリー交換時に水が入らないように注意すれば、ほこりの多い環境や、雨や水しぶきのかかる状況でも安心して使える。

↑赤い線で示されているのがシーリングされた部分。ボディの気密性が高く、対応レンズを使えば、多少の水なら気にせず撮影可能だ↑赤い線で示されているのがシーリングされた部分。ボディの気密性が高く、対応レンズを使えば、多少の水なら気にせず撮影可能だ

 

↑PROシリーズレンズはボディと同じようにシーリングが施されている。E-M1マークⅡなどと組み合わせれば、雨対策は万全だ↑PROシリーズレンズはボディと同じようにシーリングが施されている。E-M1 MarkIIなどと組み合わせれば、雨対策は万全だ

 

特徴3/アートフィルター

カメラ内で画像を加工し、演出を加えるデジタルフィルターを同社では「アートフィルター」と呼ぶ。ポップアート、ファンタジックフォーカスなど種類が多く、設定ごとに効果の強弱が変えられる。バリエーションも豊富で気軽に個性的な写真が楽しめる。

↑部分的にコントラストを強くして明暗差を強調する「ドラマチックトーン」を使用。動物のオブジェを不思議な雰囲気に仕上げた。42mm相当 プログラムオート (F8 1/160秒) -0.7補正 ISO200 WB:オート↑部分的にコントラストを強くして明暗差を強調する「ドラマチックトーン」を使用。動物のオブジェを不思議な雰囲気に仕上げた。42mm相当 プログラムオート (F8 1/160秒) -0.7補正 ISO200 WB:オート

 

特徴4/深度合成モード

ピントをずらして撮影した複数の写真をもとに、広範囲にピントが合った写真を生成する画像合成の一種。マクロ撮影など、被写界深度の浅い被写体で重宝する。これをカメラ内で自動で行えるのが深度合成モード。深度の深い写真を簡単に撮影できる。

↑小さな被写体は、絞り込んでもすべてにピントを合わせることは難しい。深度合成モードなら、画面全体にピントの合った写真にできる↑小さな被写体は、絞り込んでもすべてにピントを合わせることは難しい。深度合成モードなら、画面全体にピントの合った写真にできる

 

特徴5/高速AF

E-M1 MarkIIは、121点オールクロス像面位相差AFセンサーを搭載し、被写体にピントを合わせ続けた18コマ/秒連写が可能。これは、数値的にいえば一眼レフのフラッグシップ機を凌駕している。また、そのほかの機種もコントラストAFの改良により、かなり高速なAFを実現している。

↑列車を約18コマ/秒の高速連写で捉えた。従来のミラーレス機のAFでは厳しい条件だが、EM-1マークⅡなら問題なく撮影できる。80ミリ相当 シャッター速度優先オート(F2.8 1/2000秒) ISO800 WB:オート↑列車を約18コマ/秒の高速連写で捉えた。従来のミラーレス機のAFでは厳しい条件だが、E-M1 MarkIIなら問題なく撮影できる。80mm相当 シャッター速度優先オート(F2.8 1/2000秒) ISO800 WB:オート

 

特徴6/ハイレゾショット

0.5画素単位でセンサーを動かしながら8回撮影し、それらの画像をもとに5000万画素相当の画像を生成するのが「ハイレゾショット」だ。被写体の動きに弱いという弱点もあるが、E-M1 MarkIIでは、最新画像処理エンジン「TruePicⅧ」により被写体の動きによる画像の乱れを最小限に抑え、自然な写りを実現している。

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↑ハイレゾショットは、センサー位置をごくわずかに動かして高画素の画像を生成するため、撮影には三脚が必要だ。被写体の動きには強くなってはいるが、動いた部分の解像が低下することもあるので、動かない被写体が向いている。ハイレゾショット使用(左)と通常撮影(右)を比較すると、約5000万画素となる左の写真のほうが、細かい部分まで描写されているのがわかる↑ハイレゾショットは、センサー位置をごくわずかに動かして高画素の画像を生成するため、撮影には三脚が必要だ。被写体の動きには強くなってはいるが、動いた部分の解像が低下することもあるので、動かない被写体が向いている。ハイレゾショット使用(左)と通常撮影(右)を比較すると、約5000万画素となる左の写真のほうが、細かい部分まで描写されているのがわかる

 

 

写真/吉森信哉 解説/青柳敏史

人気ミラーレス一眼「ソニー α(アルファ)シリーズ」まとめ――入門機/中級機/上級機の違いを一挙解説

ソニーは、他社に先駆けて35mm判フルサイズ仕様のミラーレス一眼カメラを開発・販売。コニカミノルタから受け継いだ既存の一眼レフの流れを汲むAマウント製品もあるが、注目度が高いのはEマウントのミラーレス一眼だ。エントリーユーザーにも使いやすいAPS-Cサイズ機から、プロやハイアマが注目するフルサイズ機まで、ニーズに合わせた幅広いシリーズ展開も魅力。ここでは、そうしたソニー製ミラーレス一眼の現行ラインナップの代表機種を「上級機」「中級機」「入門機」にわけて紹介。その特徴について解説する。

↑高感度撮影に特化したα7SII。高感度での4K動画撮影にも向き、天体撮影などに活用されるケースも多い↑高感度撮影に特化したα7SII。高感度での4K動画撮影にも向き、天体撮影などに活用されるケースも多い

 

【上級機】レンズの性能をフルに生かす4240万画素機

上級機としては、α7シリーズが該当する。なかでもα7RIIは、有効約4240万画素の35ミリ判フルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを採用する、高画素タイプのフルサイズ機。高解像感が得られるローパスフィルターレスセンサーを採用し、同社が誇るツァイスやGマスターなど高性能レンズの能力を最大限に引き出せる。

↑α7RII。有効約4240万画素の35ミリ判フルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを採用する、高画素タイプのフルサイズ機。高解像感が得られるローパスフィルターレスセンサーを採用し、同社が誇るツァイスやGマスターなど高性能レンズの能力を最大限に引き出せる。● 撮像素子:35.9×24.0㎜、有効約4240万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約123万ドット、チルト式 ●シャッター速度:1/8000~30秒、バルブ ●サイズ:126.9×95.7×60.3㎜ ●質量:約582g ●参考価格/33万9980円(ボディ)↑● 撮像素子:35.9×24.0㎜、有効約4240万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約123万ドット、チルト式 ●シャッター速度:1/8000~30秒、バルブ ●サイズ:126.9×95.7×60.3㎜ ●質量:約582g ●参考価格/35万660円(ボディ)

 

↑裏面照射構造を採用した、世界初の35ミリ判フルサイズセンサー。有効約4240万画素で、優れた高感度性能と広ダイナミックレンジも実現した↑裏面照射構造を採用した、世界初の35ミリ判フルサイズセンサー。有効約4240万画素で、優れた高感度性能と広ダイナミックレンジも実現した

 

↑399点の像面位相差AFセンサーは撮像エリアの45%をカバーする範囲で高密度に配置。厳密なピント合わせや高い動体追従性を実現にしている↑399点の像面位相差AFセンサーは撮像エリアの45%をカバーする範囲で高密度に配置。厳密なピント合わせや高い動体追従性を実現にしている

 

信号処理システムを一新した「α7R III」もまもなく発売

20171113_y-koba1_01↑11月25日発売予定のα7シリーズ最新モデル「 α7R III」。イメージセンサーからの読出し速度や画像処理速度が大幅に向上し、α7R IIでは最高約5コマ/秒だったAF/AE追従連写が本機では最高約10コマ/秒と2倍の速度に進化している。●参考価格/39万9470円(ボディ)

 

秒間約20コマ連写が可能なα9も登場

↑世界初のメモリー内蔵積層型CMOSセンサーを搭載するフルサイズ一眼α9。最高約20コマ/秒のブラックアウトフリー連続撮影などが可能だ。●参考価格/52万2620円↑世界初のメモリー内蔵積層型CMOSセンサーを搭載するフルサイズ一眼α9。最高約20コマ/秒のブラックアウトフリー連続撮影などが可能だ。●参考価格/52万2620円

 

【中級機】像面位相差AFなど注目機能“全部入り”小型機のα6500

中級機としては、APS-Cサイズセンサーを搭載した小型ボディに、光学式5軸ボディ内手ブレ補正や425点の像面位相差AFなどを採用したα6500を用意。AF/AE追従で最高約11コマ/秒の高速連写も実現している。高画質な4K動画撮影にも対応。センサーサイズ以外は上級機に近い、いわば“全部入り”の中級機となっている。

↑●撮像素子:23.5×15.6㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約92.1万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:120×66.9×53.3㎜●質量:約453g ●参考価格/14万4190円(ボディ)↑●撮像素子:23.5×15.6㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約92.1万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:120×66.9×53.3㎜●質量:約453g ●参考価格/14万4190円(ボディ)

 

↑画素加算のない全画素読み出しによる高解像4K動画記録の機能を搭載。豊富な情報量を凝縮した映像は、圧倒的な解像力を実現している↑画素加算のない全画素読み出しによる高解像4K動画記録の機能を搭載。豊富な情報量を凝縮した映像は、圧倒的な解像力を実現している

 

↑画面上を指でなぞってフォーカス位置を移動させる「タッチパッド機能」を搭載。ファインダー使用時のスムーズなフォーカス移動が行える↑画面上を指でなぞってフォーカス位置を移動させる「タッチパッド機能」を搭載。ファインダー使用時のスムーズなフォーカス移動が行える

 

【入門機】初心者に最適なタッチパネル採用のα5100

エントリーユーザー向きの小型軽量APS-Cサイズ機としてはα5100がある。連写が6コマ/秒で動画もフルHDまでだが、179点像面位相差AFセンサーの採用によって速くて正確なファストハイブリッドAFを実現。タッチ操作に対応したチルト可動式液晶モニターなど、初心者にも使いやすい機能を持つ。

↑●撮像素子:23.5×15.6㎜、有効約2430万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約92.1万ドット、チルト式 ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:109.6×62.8×35.7㎜ ●質量:約283g ●参考価格/5万2440円(ボディ)↑●撮像素子:23.5×15.6㎜、有効約2430万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約92.1万ドット、チルト式 ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:109.6×62.8×35.7㎜ ●質量:約283g ●参考価格/5万2440円(ボディ)

 

↑チルト式液晶モニターは、上方向に約180度可動する。モニターを跳ね上げることで、画面を見ながらの自分撮りが簡単に行える↑チルト式液晶モニターは、上方向に約180度可動する。モニターを跳ね上げることで、画面を見ながらの自分撮りが簡単に行える

 

【αシリーズ5つの特徴】機種ごとに特徴的な機能を備えるのが魅力

αシリーズの場合、機種ごとに得意ジャンルが設けられている。例えば、α7RIIは有効約4240万画素の高画素、α9は秒間約20コマの高速連写、といった具合。そのため、特徴ある最新機能を全部入れた機種というのは存在せず、APS-Cサイズのα6500が全体のバランスがいい機種といえる程度で、機種ごとの魅力が際立っている。それを前提に5つの機能について紹介する。

 

特徴1/最先端なセンサー

α7RⅡとα9は、裏面照射型35ミリフルサイズCMOSセンサーを搭載。センサーの配線層をフォトダイオードの下に配置する構造で、高画素でも高いダイナミックレンジが得られる。加えて、α9はメモリー一体積層型センサーとすることで、高速データ読み出しも可能だ。

↑α9ではメモリー一体積層型CMOSセンサーを採用。センサーからの信号を高速処理する回路とデータを取り込むメモリーをセンサーと一体にして、これまで以上の高速読み出しを実現した↑α9ではメモリー一体積層型CMOSセンサーを採用。センサーからの信号を高速処理する回路とデータを取り込むメモリーをセンサーと一体にして、これまで以上の高速読み出しを実現した

 

↑α7RIIなどでは、受光面を上にした裏面照射構造に加え、ギャップレスオンチップレンズ構造や反射防止膜を採用。集光率を大幅に向上させ、低ノイズや高い解像感を達成している↑α9やα7RIIなどでは、受光面を上にした裏面照射構造に加え、ギャップレスオンチップレンズ構造や反射防止膜を採用。集光率を大幅に向上させ、低ノイズや高い解像感を達成している

 

↑α7RⅡで撮影。高性能レンズを用いることで約4240万画素の高い解像感を得られただけでなく、裏面照射型センサーによる豊かな階調再現で自然な写りとなった。85mm相当 絞り優先オート(F3.5 1/100秒) ー0.3補正 ISO500 WB:オート↑α7RⅡで撮影。高性能レンズを用いることで約4240万画素の高い解像感を得られただけでなく、裏面照射型センサーによる豊かな階調再現で自然な写りとなった。85mm相当 絞り優先オート(F3.5 1/100秒) ー0.3補正 ISO500 WB:オート

 

特徴2/ボディ内5軸式手ブレ補正に対応

最新のαシリーズミラーレス一眼は、ボディ内に5軸手ブレ補正機構が搭載されている。一般的なレンズ内補正式では対応できるのは角度ブレのみだが、ボディ内5軸式採用により、回転ブレなどにも対応。その補正効果は最高約4.5段分(α9は5.0段分)となっている。

↑角度ブレ(Pitch/Yaw)に加え、マクロ時などに発生するシフトブレ(X/Y)に対応。夜景撮影で目立つ回転ブレ(Roll)も補正される↑角度ブレ(Pitch/Yaw)に加え、マクロ時などに発生するシフトブレ(X/Y)に対応。夜景撮影で目立つ回転ブレ(Roll)も補正される

 

特徴3/高速連写

高速連写に強い機種が多く、中級機のα6500でも約11コマ/秒、高画素なα7RIIでも約5コマ/秒の連写に対応する。なかでもα9は、読み出し速度が高速なメモリー一体積層型CMOSセンサーを採用し、電子シャッター使用で約20コマ/秒の連写を実現。しかも、ファインダー像が撮影中も途切れない、ブラックアウトフリー仕様となっている。

↑α9で撮影。望遠ズームを使用し、マントヒヒ同士がケンカする場面を狙う。最高20コマ/秒の高速連写により、動感溢れる瞬間を逃さず捉えることができた。300mm相当 シャッター優先オート(F5.6 1/2000秒) ISO1600 WB:オート↑α9で撮影。望遠ズームを使用し、マントヒヒ同士がケンカする場面を狙う。最高20コマ/秒の高速連写により、動感溢れる瞬間を逃さず捉えることができた。300mm相当 シャッター優先オート(F5.6 1/2000秒) ISO1600 WB:オート

 

特徴4/高感度

α7SIIでは画素数を約1220万画素に抑え、徹底した低ノイズ設計とすることで最高ISO感度409600を実現。このほかのモデルも、裏面照射型構造を採用するなどして、α9は常用感度ISO51200を達成。センサーの小さなα6500も常用ISO25600、拡張ISO51200で撮影できる。

↑α9で撮影。最高20コマ/秒の連写が注目されるが、高感度性能の高さも魅力。常用感度上限の描写も良好で高感度での高速連写が生きる。24mm相当 絞り優先オート (F5.6 1/15秒) +0.3補正 ISO51200 WB:オート↑α9で撮影。最高20コマ/秒の連写が注目されるが、高感度性能の高さも魅力。常用感度上限の描写も良好で高感度での高速連写が生きる。24mm相当 絞り優先オート (F5.6 1/15秒) +0.3補正 ISO51200 WB:オート

 

特徴5/4K動画

4K動画撮影機能も高性能。6K相当で映像を取り込んで高画質化を図ったα9やα6500、α7RⅡやα6500で可能な、センサーの24×14mmの部分を用いるSuper35㎜時の全画素読み出しで画素補完のない質の高い動画など、高解像で階調再現に優れた撮影が行える。

↑4Kの記録フォーマットには、プロ用の規格を民生用途に拡張した「XAVC S」を採用。高精細で圧縮ノイズの少ない4K映像表現が可能だ。HDMI出力に対応し、非圧縮映像を外部レコーダーに記録することが可能。また、HDMI同時出力で外部モニター確認しながら本体内記録も可能。オプションも豊富でプロ用途にも適した性能を持つ↑4Kの記録フォーマットには、プロ用の規格を民生用途に拡張した「XAVC S」を採用。高精細で圧縮ノイズの少ない4K映像表現が可能だ。HDMI出力に対応し、非圧縮映像を外部レコーダーに記録することが可能。また、HDMI同時出力で外部モニター確認しながら本体内記録も可能。オプションも豊富でプロ用途にも適した性能を持つ

 

 

 

 

これは新たな撮影体験だ! GoPro最新モデル「HERO6 Black」を使ってわかった驚愕の進化

今秋のGoPro新モデル「HERO6 Black」は、より高度な処理を実現する「G1チップ」を搭載して登場した。一見、前モデル「HERO5 Black」との違いはほとんどないように見えるが、中身はまったくの別物。前モデルの2倍を謳うパフォーマンスとシリーズ最高画質を実現しており、その実力の高さは予想をはるかに超えるものだったのだ。

20171107_y-koba2_P1330602_R↑4K/60pや、1080p/240fpsといった高品質な撮影が可能なアクションカメラ「GoPro HERO6 Black」。参考価格は5万9000円

 

4K/60pや1080p・240fpsなどワンランク上の撮影能力を獲得

HERO6 Blackにおける注目ポイントの筆頭が、撮影能力を一段と高めたことだ。HERO5 Blackでは4K/30pだった動画撮影を本機は4K/60pへと進化させ、より滑らかな4K動画を撮影できるようになっている。実際に撮影した動画をPCと組み合わせた4Kモニターで再生してみると、細部まで相当に鮮明に映し出されており、それは4K映像の素晴らしさを改めて実感できるものだった。また、スローモーション効果が出るハイスピード撮影は「1080p・240fps」「1080p・120fps」から選択可能だ。

 

ただし、こうした4K/60pや1080p・240fpsなどはデータサイズがかなり大きくなる点、採用される動画ファイル形式「HEVC/H.265」の再生には、互換性のある対応デバイス(iPhoneであれば7以降のモデル)が必要な点には注意だ。

 

また、暗所での撮影特性も一気に向上。前モデルのHERO5 Blackではノイズが画面全体を覆ってしまうような夜景撮影でも、本機ではそのノイズを大幅に低減。夜景を夜景らしく撮影できるようになったのは、GoProにとってかなり大きなトピックとなるに違いない。

20171107_y-koba2_月夜_R↑ほぼ月明かりのみの夜景、といった光量の少ないシーンでも、問題なく撮影可能だ

 

見比べると一目瞭然! 強力な手ブレ補正がさらに進化

手ブレ補正能力の大幅な進化も見逃せない。その効果は軽く走りながら撮影してもしっかりとブレを補正するほど絶大だ。手ブレ補正をオン/オフで撮影した次の動画を見比べてもらえば、その違いは一目瞭然だろう。

【手ブレ補正機能オフ】

【手ブレ補正機能オン】

映像の周辺部は5%ほどケラれるが、それを知ったうえでなお積極的に使いたくなるほど十分な効果が得られると言っていい。ただし、4K60pなど一部の撮影モードでは手ブレ補正が効かない点には要注意。また、GoProでは手ブレ補正機能を「安定化機能」と表示している点にも留意したい。

 

手軽に作成できるハイライト動画も楽しい

GoProだけに、特殊撮影機能も充実している。ぜひ報告しておきたいのが、撮影した映像を自動でGoProアプリに転送してハイライト動画を作る「QuikStories」が進化したことだ。発表によれば、G1チップの搭載により視覚情報処理能力と機械学習能力が進化し、動画作成時にもより的確に最高の瞬間を選び出せるようになったという。試しにiPhoneに保存した映像を使って「Quik」で編集を試みたが、その扱いやすさには誰もが驚くはず。使いたい映像をタップして選ぶだけで簡単に動画編集ができ、テーマや音楽、テロップなども指先の操作で自在に入れ替えられる。使うほどにどんどん楽しくなってくるはずだ。

 

好評だったタッチパネル&音声操作を踏襲

外観はほとんど前モデルと違いを感じない。操作系もHERO5 Blackで採用されたタッチパネル方式を踏襲し、画角を変えるデジタルズームも指先での操作が可能だ。デジタルズームであるため画質劣化は否めないが、映像に変化を持たせられるという意味では価値ある装備となるだろう。

20171107_y-koba2_Digital_Zoom_R↑デジタルズームもタッチパネルで感覚的に操作できる

 

音声での操作にも対応し、「GoPro」に続けて具体的なコマンドを入れることで、たとえば「GoPro、ビデオ撮影を開始」とか、「GoPro 、電源OFF」と発することでコマンドを実行できる。認識率も高く、手を放せないときなどの操作に使うとかなり便利そうだ。

20171108_y-koba1↑何か行動しながら撮影することの多いアクションカメラにおいて、ボイスコントロールは画期的だ

 

本体のタフネス性能もHERO5 BLACKから踏襲されたもの。防水機能も備え、ハウジングなしで水深10mまで対応できる。一方で、バッテリー容量は1220mAhとあまり大きくはないままで、動画を撮影しているとアッという間に残量が減ってくる。予備バッテリーは必須だろう。本体に備えた端子はUSB Type-CポートとmicroHDMI出力の2つで、USB Type-Cケーブルは標準添付されている。

 

豊富なアクセサリーで撮影領域が広がる

HERO6 Blackの発売に合わせ、新たなオプションも追加された。

 

「Shorty」(参考価格/4860円)は三脚としても使えるミニ延長ポールで、ポケットにも収まるコンパクトさがポイント。最大22.7cmまで伸ばすことができ、自撮りやハイアングル撮影にも効果的だ。「The Handler」(参考価格/3780円)は、水に浮くハンドグリップの最新版で、新たにクイックリリースマウントを採用した。汎用性の高いバイトマウントに簡単装着を可能にしたフロート「Bite Mount + Floaty」(参考価格/3780円)も発売された。

20171107_y-koba2_Shorty_R↑三脚付きミニ延長ポール「Shorty」。ポケットに収まる大きさで、ちょっとしたアクティビティのおともに最適だ。参考価格は4860円

 

こうした30種類以上のアクセサリーに対応する拡張性も、GoProの大きな魅力。工夫しだいでさまざまなシーンで活躍するだろう。今回大きく進化した「HERO6 Black」を手にすれば、いままでにない撮影体験が得られるに違いない。

「ミラーレス一眼」10年史――初号機~最新モデルに見る、ミラーレス一眼の「これまで」と「これから」

ミラーボックスを省くことで小型軽量化を図ったミラーレス一眼の第1号機の発売からまもなく10年目を迎える。現在は国内外合わせて10社以上がミラーレス一眼を発売。CIPAの統計によると、レンズ交換式カメラ市場のなかでの一眼レフとミラーレスの割合は、年々ミラーレスが高くなっており、2016年には総出荷金額ベースで約29%に達している。まずは、そんなミラーレス一眼の歴史を誕生から振り返ったうえで、これからミラーレス一眼が向かう方向を占ってみよう。

↑CIPAが発表したレンズ交換式デジタルカメラの年間出荷金額をグラフ化したもの。全体の金額は年々縮小しているが、ミラーレスの比率は徐々に高まっている↑CIPAが発表したレンズ交換式デジタルカメラの年間出荷金額をグラフ化したもの。全体の金額は年々縮小しているが、ミラーレスの比率は徐々に高まっている

 

↑ソニー α7 RII。2015年8月の登場以来人気を集める有効約4240万画素機。最近はこうした高画素モデルだけでなく、高速連写や高感度など、一眼レフをも凌駕するミラーレス一眼の人気が高まっている↑ソニー α7 RII。2015年8月の登場以来人気を集める有効約4240万画素機。最近はこうした高画素モデルだけでなく、高速連写や高感度など、一眼レフをも凌駕するミラーレス一眼の人気が高まっている

 

【~2008年/ミラーレス前夜】一眼レフでのライブビュー撮影が可能に

1990年代~2000年代前半のデジタル一眼レフは、フィルムカメラと同じように光学ファンダーを覗いて撮ることしかできなかった。そんななか、2004年にフルタイムライブビューを可能にした初の一眼レフ、オリンパスE-330が発売。以後、一眼レフでのライブビューが一般化した。

↑オリンパス E-330の透視図。撮像センサーのほか、光学ファインダーの光路にライブビュー専用のセンサーを組み込むことで撮影タイムラグの少ない撮影を可能にしていた。また、レンズからの光を横に反射させることでボディの高さを抑えたユニークなカメラでもあった↑オリンパス E-330の透視図。撮像センサーのほか、光学ファインダーの光路にライブビュー専用のセンサーを組み込むことで撮影タイムラグの少ない撮影を可能にしていた。また、レンズからの光を横に反射させることでボディの高さを抑えたユニークなカメラでもあった

 

【2008年】マイクロフォーサーズがミラーレス第1号

ミラーレス一眼は、イメージセンサーが常に動作する、ライブビュー状態で使うことが前提であり、そのためには発熱や消費電力を小さく抑える必要があった。それを可能にする低消費電力センサーが開発されたことで、2008年にパナソニックから世界初のミラーレス一眼、ルミックスG1が登場。翌年にはオリンパスからもミラーレス一眼のE-P1が発売された。

↑パナソニック ルミックスG1。世界初のミラーレスカメラ。一眼レフを思わせるデザインながら、既存の一眼レフよりも一回り以上のコンパクト化を実現↑パナソニック ルミックスG1。世界初のミラーレスカメラ。一眼レフを思わせるデザインながら、既存の一眼レフよりも一回り以上のコンパクト化を実現

 

↑一眼レフでは、レンズから入った光をミラーで反射させ、光学ファインダーやAFセンサーへと光を導く必要がある。一方ミラーレスでは、光が直接センサーにあたり、そこからライブ映像が出力され、EVFやモニターに表示される仕組み。ミラーがない分、、フランジバックが短くでき小型軽量化に有利だ↑一眼レフでは、レンズから入った光をミラーで反射させ、光学ファインダーやAFセンサーへと光を導く必要がある。一方ミラーレスでは、光が直接センサーにあたり、そこからライブ映像が出力され、EVFやモニターに表示される仕組み。ミラーがないぶんフランジバックが短くでき、小型軽量化に有利だ

 

【2009~2012年】各社からミラーレス一眼が続々と登場

第1号機の発売以降、さまざまなカメラメーカーや家電メーカーがミラーレス一眼の分野に参入し、数多くの製品が登場。そのほとんどのメーカーは、ミラーレス用に独自のレンズマウント規格を新たに開発・採用しての参入だった。

↑オリンパスはパナソニックと同じマイクロフォーサーズ規格のE-P1を発売。レトロなデザインやアートフィルターで人気を集めた↑オリンパスはパナソニックと同じマイクロフォーサーズ規格のE-P1を発売。レトロなデザインやアートフィルターで人気を集めた

 

↑ソニーは2010年にNEX-3とNEX-5を発売。従来のAマウントとは別に、新たにEマウントを採用。初期はAPS-Cサイズに特化していた↑ソニーは2010年にNEX-3とNEX-5を発売。従来のAマウントとは別に、新たにEマウントを採用。初期はAPS-Cサイズに特化していた

 

→キヤノンは2012年にEOS Mを発売。新開発EF-Mマウントを採用し、アダプターを介して一眼レフ用レンズも使用可能だ↑キヤノンは2012年にEOS Mを発売。新開発EF-Mマウントを採用し、アダプターを介して一眼レフ用レンズも使用可能だ

 

【2012~2016年】ミラーレスカメラの実用性が向上

2012年以降もミラーレスの普及は進んだ。主なユーザー層は、コンパクトカメラからステップアップする人や、一眼レフのサブ機として使用する人たちだ。そのため2010年代前半はエントリークラスやミドルクラスの製品が中心だった。その後、さらに高性能化が進み、2013年には初のフルサイズミラーレスα7/α7Rが登場。中級者以上がサブではなくメイン機として選ぶケースも増えてきた。その間、ミラーレス一眼の弱点であったAF速度や連写速度などの課題も徐々にクリアされてきた。

 

■AFの高速化/像面位相差AFを採用

ミラーレスで一般的な「コントラストAF」は、ピントが合った位置が最も像のコントラストが高くなるという現象を利用。レンズを動かしてコントラストの高い位置を検出する。そのためピントは正確に合うが、AFを速くするのは難しい。一方、一眼レフで使われている「位相差AF」は、いわば三角測量に近い方法で被写体を2点から見たときの位相のズレを検出する方式で高速なAFが可能だ。そこで、イメージセンサー上に位相差検出用のセンサーを複数置いてAFを行う「像面位相差AF」を採用する製品が増加。快適なAF速度と動体追従性を実現している。

 

■連写速度の向上/電子シャッターで超高速連写を実現

ミラーレスでは、電子シャッターを使うことで高速連写ができるモデルが増えている。一眼レフのメカシャッターのようにミラーやシャッター幕を物理的に動かす必要がないので、10コマ/秒クラスの超高速連写ができる製品も少なくない。

20171018_kohno1_009

→メカシャッター(上)では10コマ前後の連写が現在の上限。センサー(下)使用の電子シャッターは、読み出しや画像処理回路の高速化で、さらなる連写が可能に↑メカシャッター(上)では10コマ前後の連写が現在の上限。センサー(下)使用の電子シャッターは、読み出しや画像処理回路の高速化で、さらなる連写が可能に

 

【2016~2017年】中判などの高画質機もミラーレス化が進む

2016年以降は、独自センサー採用のシグマsd Quattroや富士フイルムとハッセルブラッドが手がけた中判ミラーレスなど、一段上の画質を備えた機種も登場。特に大型のセンサーを採用した中判カメラは、ブレが目立ちやすくカメラの内部振動によって画像がぶれてしまうケースもあるため、ミラーボックスがないミラーレスは最適といえる。加えて、一眼レフより設計の自由度が高く、小型化できる点も中判カメラを設計するうえでの魅力だ。

 

このほか、ソニー α9などのように電子シャッターや高速読み出しが可能なセンサーを用い、超高速シャッターや高速連写を実現したカメラも登場。今後、画質と速度の両面で一眼レフを超えるカメラが登場することを予感させる。

↑富士フイルムのGFX 50Sは、32.9×43.8㎜という大きなセンサーを備え、画素数は5000万超。既存の中判デジタルカメラに比べ、大幅なコンパクト化を実現。レンズやファインダーなどのアクセサリーが豊富に用意されているのも魅力だ↑富士フイルムのGFX 50Sは、32.9×43.8㎜という大きなセンサーを備え、画素数は5000万超。そのうえで、既存の中判デジタルカメラに比べ、大幅なコンパクト化を実現。レンズやファインダーなどのアクセサリーが豊富に用意されているのも魅力だ

 

↑ハッセルブラッドX1D-50cも、GFX同様に32.9×43.8mmの5000万画素超のセンサーを使用。世界初の中判ミラーレス一眼だ。スッキリしたデザインでファインダーも内蔵↑ハッセルブラッドX1D-50cも、GFX同様に32.9×43.8mmの5000万画素超のセンサーを使用。世界初の中判ミラーレス一眼だ。スッキリしたデザインでファインダーも内蔵

 

↑シグマsd Quattro Hは、独自に開発したAPS-HサイズのFoveonセンサー「Quattro H」を採用。クリアな発色と5100万画素相当の圧倒的な精細感を誇る↑シグマsd Quattro Hは、独自に開発したAPS-HサイズのFoveonセンサー「Quattro H」を採用。クリアな発色と5100万画素相当の圧倒的な精細感を誇る

 

【ミラーレス一眼のこれから】デジタルならではの付加価値に期待

ミラーレスカメラは9年間で急速に進化し、もはやどの製品を選んでも大きく外すことはなく、クラスに応じた満足感が得られる。画質もスピードも操作面も、一眼レフに追いつきつつあるといっていい。当面の課題はバッテリー持久力くらいだろう。今後も、画質やスピードといったカメラとしての基本部分の高性能化はさらに進むだろうが、このまま単に画素数や連写速度などのスペックを高めるだけでは十分ではない。これからはユーザーに欲しいと思わせる魅力や価値をいかに加えるかがカギになる。幸いにして、センサー以外の主要部分がメカで構成された一眼レフとは異なり、ミラーレスはデジタル化された部分が多いので、まだまだ技術革新の余地はある。あっと驚くような新機能や新製品に期待したい。

 

プロ用一眼を凌駕するミラーレス一眼

↑ソニー α9。初期のミラーレスカメラは動体撮影が苦手だったが、最近では一眼レフに匹敵する動体追従性や、一眼レフを超える連写速度を持つミラーレスカメラが登場。その代表格がソニーα9だ。スポーツやポートレート、ネイチャーなどプロの現場でもα9ユーザーが増加中だ↑ソニー α9。初期のミラーレスカメラは動体撮影が苦手だったが、最近では一眼レフに匹敵する動体追従性や、一眼レフを超える連写速度を持つミラーレスカメラが登場。その代表格がソニーα9だ。スポーツやポートレート、ネイチャーなどプロの現場でもα9ユーザーが増加中だ

 

↑オリンパス OM-D E-M1 MarkII。マイクロフォーサーズのミラーレスカメラは、小型軽量に加えて、4Kなど動画機能の充実、連写の速さ、強力な手ブレ補正などが独自の魅力になっている。なかでも昨年末登場のオリンパスE-M1 Mark IIは、手持ちでの長時間露光という新しい撮影方法を生み出した↑オリンパス OM-D E-M1 MarkII。マイクロフォーサーズのミラーレスカメラは、小型軽量に加えて、4Kなど動画機能の充実、連写の速さ、強力な手ブレ補正などが独自の魅力になっている。なかでも昨年末登場のオリンパスE-M1 Mark IIは、手持ちでの長時間露光という新しい撮影方法を生み出した

 

フェスやライブ鑑賞のお供に! 胸ポケットに入るコンパクトな双眼鏡「雅」

ケンコー・トキナーは、舞台・コンサート鑑賞に最適なフラット双眼鏡「雅(みやび)6×16」「雅 8×18」を11月10日に発売します。本体カラーは、6倍がすず色、8倍が紅殻(べんがら)色。価格は6倍の「雅 6×16」が2万3000円、8倍の「雅 8×18」が2万5000円(いずれも税別)。

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本機は、非球面レンズを使用することにより、視野周辺まで歪みの少ない像を実現し、長時間使用していても疲れにくいコンパクトな双眼鏡。最新の光学設計(フェイズコート・誘電体多層膜・フルマルチコーティング)を使い、光の透過率をアップさせ分解能力を向上し、明るく視界もクリアです。

 

フラットでコンパクトなデザインが特徴的で、バッグに入れてもかさばることなく気軽に持ち運びが可能。手のひらサイズのボディは、118gと軽量のため女性でも負担になることなく使用できます。

20171106-i02 (2)↑胸ポケットに入るコンパクトサイズ

 

 

また、室内での使用を考えて設計されており、縦より横への視界にこだわっています。人間の視界は横方向に広く縦方向に狭いので、縦より横への視界にこだわり、横に広い視界を持たせています。目幅合わせは、横にスライドさせるだけで簡単に調節できます。

20171106-i02 (3)

 

優雅な時を演出するアイテム、それが「雅(みやび)」双眼鏡。その名の通り上品な佇まいは、歌舞伎や舞台、コンサート鑑賞などの優雅なときを共に演出してくれます。スーツのポケットにもすっぽり入る大きさなので、講演会や研修会などのビジネスシーンにも使えそうですね。

 

【SPEC】
●雅 6×16
サイズ/質量:W22×H73×D89mm(伸長時106mm)/118g(本体のみ)
倍率:6倍
対物レンズ有効径:16mm
コーティング:フルマルチコーティング
実視界:9.1°

●雅 8×18
サイズ/質量:W22×H73×D89mm(伸長時106mm)/118g(本体のみ)
倍率:8倍
対物レンズ有効径:18mm
コーティング:フルマルチコーティング
実視界:7°

画質とスピードを磨き上げたフルサイズミラーレス一眼カメラ「ソニー α7R III」

ソニーが、約4240万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラ「α7RⅢ」を発売する。信号処理システムを一新し、画質と高速性能が大幅に向上した。光学式5軸手ブレ補正機構を内蔵し、シャッター速度換算で最高5.5段分の手ブレ補正効果を発揮する。10月31日より予約販売中。オープン価格。

 

20171102_suzuki1

 

■描写性能

光学ローパスフィルターレス仕様の有効約2420万画素フルサイズ裏面照射型CMOSイメージセンサーを搭載。画像処理システムは、画像処理エンジン「BIONZ X」とそれをサポートする「フロントエンドLSI」に一新し、イメージセンサーからの読出し速度が従来機種(α7R II)の約2倍、画像処理速度が約1.8倍に高速化した。

 

ISO感度は、常用でISO 100〜32000、拡張でISO 50~102400の幅広い感度域をカバー。高解像度ながら、高感度・低ノイズと広いダイナミックレンジを実現する。特にポートレート撮影では、肌色の再現性が大幅に向上している。サイレント撮影や連続撮影時の14ビットRAW出力にも対応する。

 

■連写性能

連写性能もAF/AE追従で最高約10コマ/秒と、従来機種の2倍に高速化しており、JPEG/圧縮RAWで約76枚、非圧縮RAWで約28枚まで撮影できる。サイレント撮影時も同じく最高約10コマ/秒、ライブビュー撮影時は最高約8コマ/秒の高速連写が可能。フリッカーレス撮影にも対応する*。

 

* サイレント撮影・BULB撮影・動画撮影時を除く

 

■AF性能

撮像エリアの縦横約68%をカバーする399点の像面位相差AFセンサーと、従来の25点から425点に多分割化したコントラストAFを併用するファストハイブリッドAFを搭載。動体追従性能と低輝度時のAF速度が従来機種の約2倍に向上し、精度も大幅にアップした。特に瞳AFは、うつむいたときや振り向いた瞬間、逆光時などでも瞬時に瞳を検出して追従が可能。AF-Sモード時は、シャッター半押しやAF-ONボタンを押すだけで瞳AFを作動させることができる。

 

■ピクセルシフトマルチ撮影

イメージセンサーを正確に1画素分ずつずらして撮影した4枚の画像から約1億6960万画素分の色情報を得て、細部の色や質感を忠実に再現した1枚の画像を生成する「ピクセルシフトマルチ撮影」機能を搭載。有効約4240万の全画素でR・G・Bの全色情報を得て補間処理を行わないため、偽色の発生を最小限に抑えた高精細な描写を実現する。撮影した画像は、新ソフトウェアシリーズ「Imaging Edge」の「Remote」「Viewer」「Edit」(いずれも近日提供予定)で合成や現像が可能。

 

■操作性

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約144万ドットの3.0型チルト可動式液晶モニターと、有機ELを採用した約369万画素の電子ビューファインダーを搭載。液晶モニターはタッチパネル式で、タッチフォーカスや、ファインダを覗きながら画面をタッチしてフォーカス位置を移動できるタッチパッドにも対応する。

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UHS-II対応のSDカードスロットとSD/MSカードスロットのデュアルスロットを搭載し、メディア間同時記録・リレー記録・振り分け記録・コピーが可能。

 

■動画撮影機能

画素加算のない全画素読み出しによるスーパー35mmフォーマットでの高解像度4K動画の本体内記録が可能。記録フォーマットは、業務用映像制作に使用されているXAVCを民生用途に拡張したXAVC Sを採用し、4K時は最大100Mbpsの高ビットレートで記録できる。4K HDR撮影にも対応する。

 

■その他の機能

防塵・防滴に配慮した設計のフルマグネシウム合金ボディを採用している。Wi-Fi/NFC機能を内蔵し、モバイル機器とワイヤレスで連携が可能。バッテリーは、従来機比約2.2倍の高容量になった。

 

■先行展示

2017年10月31日(火)よりソニーショールーム/ソニーストア銀座、ソニーストア札幌、ソニーストア名古屋、ソニーストア大阪、ソニーストア福岡天神にて先行展示を実施する。予約販売は2017年10月31日(火)10時開始。

「FE 24-70mm F2.8 GM」装着時「FE 24-70mm F2.8 GM」装着時

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■主な仕様

●型名 ILCE-7RM3 ●マウント ソニーEマウント ●有効画素数 約4240万画素 ●撮像素子 35mmフルサイズ(35.9×24.0mm)Exmor R CMOSセンサー ●ISO感度 ISO 100〜32000(拡張:下限ISO 50、上限ISO 102400) ●シャッター速度 1/8000〜30秒、バルブ ●ファインダー 0.5型 3,686,400ドット 電子式ビューファインダー [倍率]約0.78倍 ●画像モニター 3.0型 1,440,000ドット TFT液晶モニター(チルト可動式/タッチパネル) ●記録媒体 メモリースティックPROデュオ/PRO-HGデュオ、メモリースティックマイクロ(M2)、SD/SDHC/SDXCメモリーカード(UHS-I/II対応)、microSD/microSDHC/microSDXCメモリーカード ●サイズ(幅×高さ×奥行き) 約126.9×95.6×73.7mm ●質量 約572g(本体のみ)/約657g(バッテリー、メモリーカードを含む)

高画質・追従性・機動性を追求した超望遠ズームレンズ「タムロン 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD」発売

タムロンのフルサイズデジタル一眼レフカメラに対応する超望遠ズームレンズ「タムロン 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD(Model A035)」の発売日が2017年11月16日(木)、価格は90,000円(税別)に決定した。

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高速制御システム「デュアルMPU(マイクロプロセッサ)システム」の採用による優れたAF追従性と、3枚のLD(Low Dispersion=異常低分散)レンズやeBAND(Extended Bandwidth&Angular-Dependency)コーティングがもたらす高画質、手持ちで超望遠撮影が楽しめるクラス最軽量1115g(ニコン用)の機動性を備えている。

 

2017年9月の開発発表時は、2017年内発売予定となっていた。開発発表時に数値が明らかになっていなかった手ブレ補正効果は、4段分*となる。

 

* キヤノン用は「EOS-5D Mark III」使用時、ニコン用は「D810」使用時。

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別売りの三脚座「Model A035TM」も同時発売。価格は15,000円(税別)。

 

■先進の光学設計

LD(Low Dispersion=異常低分散)レンズ3枚を使用し、超望遠で問題となる軸上色収差をはじめ、各種収差を効果的に補正。高い反射防止性能を発揮する独自の「eBAND(Extended Bandwidth&Angular-Dependency)コーティング」により、クリアでヌケの良い画質を実現している。

 

■優れた機動性

高速制御システム「デュアルMPU(マイクロプロセッサ)システム」の採用により、優れたAF追従性能と4段分の手ブレ補正効果を実現。レンズ鏡筒部材の一部にマグネシウムを使用することで、クラス最軽量*の1115gを達成し、機動性を追求している。

 

* 35mm判フルサイズ対応のデジタル一眼レフカメラ用100-400mm F4.5-6.3レンズにおいて。2017年9月15日現在、タムロン調べ。

 

■その他の機能

最短撮影距離1.5m、最大撮影倍率1:3.6のクローズアップ撮影が可能。レンズ内部に水滴が浸入するのを防ぐ簡易防滴構造、汚れを素早く拭き取れる防汚コートを採用し、屋外での撮影をサポートする。更なる望遠効果が得られるテレコンバーター、各種機能をカスタマイズできる「TAP-in Console(タップインコンソール)」にも対応する。

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別売りの三脚座「Model A035TM」は、アルカスイス互換のクイックシューに対応。

 

■主な仕様

●モデル名 Model A035 ●マウント キヤノン用、ニコン用 ●焦点距離 100~400mm ●レンズ構成 11群17枚 ●画角(対角) 24°24’〜6°12’(35mm判フルサイズ一眼レフカメラ使用時)/ 15°54’〜4°01’(APS-Cサイズ相当デジタル一眼レフカメラ使用時) ●絞り羽根枚数 9枚(円形絞り) ●開放絞り F4.5〜6.3 ●最小絞り F32〜45 ●最短撮影距離 1.5m ●最大撮影倍率 1:3.6 ●手ブレ補正効果 4段(CIPA 規格準拠)※キヤノン用「EOS-5D Mark III」使用時、ニコン用「D810」使用時。 ●フィルター径 φ67mm ●サイズ(最大径×長さ) φ86.2×199mm(キヤノン用)/ 86.2×196.5mm(ニコン用) ●質量 1135g(キヤノン用)/ 1115g(ニコン用) ●付属品 丸型フード HA035、フロントキャップ CF67II

【紅葉シーズン到来!】紅葉で「曇り」だったらどうする? 天候別・キレイな紅葉の撮り方

2017年の紅葉シーズンがやってきた。今年こそ、一眼カメラできれいな紅葉を撮ろうではないか! こちらの記事で紅葉撮影に必要な機材とカメラの設定をチェックしたら、次は最適な天候と光線状態、そして露出の選択を紹介しよう。天候や光によって、狙い方や露出の選択は変わってくる。

↑「これで万全! 風景写真家が教える、紅葉を鮮やかに撮る方法とは?-機材&カメラ設定編-」はコチラ

 

【天候&光①】晴天時は光線状態の見極めが大事

紅葉の鮮やかさを狙うなら、光の効果で輝きが増す晴天がベスト。ただし、晴天時は光線状態によって紅葉の見え方は変わるので、その見極めが大事だ。

 

太陽を背にした順光は、被写体に影が出にくく、平面的になりやすいので、あまり紅葉撮影には適さない。広い風景を狙うなら、適度な影によって立体感が出る斜光やサイド光が最適だ。サイド光では紅葉の色が艶やかになり、PLフィルターを使うと深みのある青空も表現できる。

↑サイドからの光によって、山の斜面に陰影ができている。サイド光は平面の写真で風景を立体的に描き出せるため、広い風景を撮るのに適した光だ↑サイドからの光によって、山の斜面に陰影ができている。サイド光は平面の写真で風景を立体的に描き出せるため、広い風景を撮るのに適した光だ

 

太陽を正面にした逆光は、透過光により紅葉の鮮やかな色を引き出せ、紅葉をアップで狙うのに適している。この際、紅葉を画面いっぱいに捉えるならプラス補正、暗い背景が多ければマイナス補正が必要になる。

 

逆光時は、レンズに直接太陽光が当たることでゴーストが出やすいので要注意。フードだけでは防ぎきれないときは、厚紙などを利用してレンズに当たる不要な光をカットすることで、クリアな紅葉写真に仕上げることができる。

↑逆光を受けた紅葉の鮮やかな色を狙う。日陰の背景を選ぶことで明暗のメリハリが生まれ、紅葉が引き立ち、インパクトのある姿で捉えられた↑逆光を受けた紅葉の鮮やかな色を狙う。日陰の背景を選ぶことで明暗のメリハリが生まれ、紅葉が引き立ち、インパクトのある姿で捉えられた

 

【天候&光②】曇天時は空をフレームアウトしよう

曇天時は、晴天時のような強い影が出ないので、紅葉本来の色を引き出しやすい。鮮やかさはないが、紅葉が持つ繊細な色あいを表現できる。

 

これを生かすには、曇り空を画面に入れないこと。白い空を入れてしまうと、その空間によって間の抜けた印象になってしまう。曇天時は広い風景として撮ることは諦めて、やわらかな光を生かして切り取りやクローズアップに徹しよう。

↑曇天の拡散光により、強い影が出ることなく、カエデの優しい質感を捉えることができた。紅葉といっても橙、緑、黄など、赤以外にもさまざまな色を持っていることが伝わってくる↑曇天の拡散光により、強い影が出ることなく、カエデの優しい質感を捉えることができた。紅葉といっても橙、緑、黄など、赤以外にもさまざまな色を持っていることが伝わってくる

 

【天候&光③】雨天時はPLフィルターでテカリを取り除く

雨天時は、葉が雨にぬれることで紅葉の艶やかさが一段と映えるようになる。しかし、曇天時以上にテカリが強く、白っぽく写りがち。PLフィルターでテカリを取り除くことで、深みのある色を引き出そう。

 

アップめに捉えることで水滴を生かし、雨らしさを引き出すのもおすすめだ。雨天時の撮影は億劫になりがちだが、独自性を出せるチャンス。三脚に傘を取り付けるホルダーなどを活用すると、比較的快適に撮影できる。

↑雨にぬれたカエデを200ミリ相当の望遠レンズで切り取る。PLフィルターを使うことで、艶やかな赤色を捉えられた↑雨にぬれたカエデを200ミリ相当の望遠レンズで切り取る。PLフィルターを使うことで、艶やかな赤色を捉えられた

 

【露出】紅葉の深みを出すときはマイナス補正、空が背景になるときはプラス補正をする

特に曇天時の紅葉は、露出補正なしで撮ると色が浅くなりがちだ。マイナス補正すると全体の濃度が上がり、色の深みを引き出すことができる。この際、マイナス0.3~0.7補正ぐらいを目安とするとよいだろう。

 

これは赤色の紅葉に有効な方法ではあるが、イチョウなどの黄葉ではマイナス補正で濁りが出やすくなるので不適である。黄葉の場合はプラス補正で華やかに仕上げるのがよく似合う

 

また晴天時の逆光で、背景が暗い場合もマイナス補正が必要になるシーンだ。背景が暗いと露出計が暗い被写体と判断するため、露出補正をしないと紅葉が露出オーバーになってしまう。

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↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はマイナス0.7補正したもの。補正なしだと紅葉の色が出ておらず、浅い橙色だ。マイナス0.7補正すると深みのある橙色に仕上げることができた↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はマイナス0.7補正したもの。補正なしだと紅葉の色が出ておらず、浅い橙色だ。マイナス0.7補正すると深みのある橙色に仕上げることができる

 

天候に関わらず、空を背景に紅葉を撮影するときは、露出がアンダーになりやすいのでプラス補正が必要だ。青空を背景にしたときは補正なしで適正になることもあるが、多くの場合、プラス補正すると明るく爽やかな雰囲気を引き出せる。必要な補正量はプラス0.3~0.7補正程度なので大きな失敗をすることは少なく、RAW現像でも対応できる。

 

そして特に注意したいのが、曇り空を背景にして紅葉を見上げるように撮影するときだ。曇り空は見た目には暗いが、紅葉との明暗差は大きく、露出補正をしないと紅葉がかなりアンダーになってしまう。プラス1程度の補正ではなく、プラス2~3補正が必要になることもあるので、撮影後のモニターチェックは欠かせない。

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↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はプラス1.3補正したもの。曇り空を背景にしてブナの黄葉を撮影すると、補正なしではかなり暗く写ってしまった。プラス1.3補正すると明るく爽やかになった↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はプラス1.3補正したもの。曇り空を背景にしてブナの黄葉を撮影すると、補正なしではかなり暗く写ってしまった。プラス1.3補正すると明るく爽やかになる

 

紅葉撮影における最適な天候&光と、露出の選択はわかっただろうか。次回は、ここまで学んできたことをトータル的に解説する実践編だ。より紅葉が映える構図や紅葉ライトアップなどの撮り方を紹介する。

 

プリンター付カメラはARでもう一歩進化する! HPの「Sprocket 2-in-1」で可能になる新しい写真の楽しみ方

チェキやポラロイドといったプリンター付きのインスタントカメラは静かなブームが続いています。結婚式やパーティのときにしか使わない!という人も多いかもしれませんが、使ってみるとノスタルジックな色合いについ惹かれてしまいませんか?

 

さて、PC・プリンター大手のHPからも実は類似の製品が登場しています。ベースになっているのはポータブルプリンター「Sprocket」。これは、自分のスマートフォンに保存されている写真をBluetooth経由で気軽に印刷できるというもの。新製品の「Sprocket 2-in-1」はプリンターにカメラも埋め込まれたデバイスに進化しています。片手で持てる大きさでありながら、同時にプリントアウトまでできるデジタル・インスタントカメラなのです。

 

今やプリンターは一家に一台あり、紙とインクを用意すれば誰でも気軽に写真を印刷できます。それでもプリンターとカメラが一体化して、片手で持てるくらい小型になったデバイスには新たな価値がありそうです。

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この新型ポラロイドカメラはスマートフォンとBluetoothで接続して、テキストを追加したりフレームを飾ったりすることができます。気に入った写真を選んでプリントアウトできるので、台紙の無駄遣いもありません。インクの要らないZinkペーパーに発色させるので、インクの交換も不要。ペーパーはステッカーになっているので、プリントアウトして冷蔵庫や壁にパッと貼り付けることができます。

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今ではアルバムに入った写真を眺めることは少なくなりましたが、「スマホのスクリーンじゃなくて紙の写真を眺めたい」という気持ちが湧き上がってくるときもありますよね。

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パーティや家族の集まりなどのイベントで写真を撮影した瞬間にプリントアウトして、その場で配ったり、壁に飾ったりすることで、日常の中に懐かしい光景を思い出させてくれる写真が増えるかもしれません。

 

さらに今回のバージョンアップによってAR機能も追加されたとのこと。プリントアウトした写真にビデオや画像を対応させて埋め込めるので、後日写真をアプリ経由でスキャンすれば、埋め込んだ写真やビデオを呼び出すことができるのです。

 

つまり、現実世界にプリントアウトされた写真が、あなたをアルバムの中へ連れて行ってくれるような役割を果たすということ。冷蔵庫に貼られた写真を見て、デバイスでそのイベントのビデオや写真をチェックするというリアルとデジタルを行き来する面白いアクションが可能なのです。

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デバイスにはSDカードのスロットもあるので、撮影した画像を保存しておくこともできます。使えるのは最大256GBまでのmicroSDカード。

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大きさもパーティなどに気軽に持っていけるサイズです(約7.7×12×2.9cm〔縦×横×幅〕)。重さは約190g。1つ約1万8000円という値段もスナップ好きには嬉しいですね。

 

AR、音声アシスタント、IoTといったテクノロジーの発展とともに、デバイスはどんどんと物理世界に入り込んできています。それを考えると、その場でプリントアウトできてデジタルのアルバムにもつなげられるプリンター付カメラの誕生は時代の最先端なのかもしれません。

【最終回答】プロ直伝「紅葉を鮮やかに撮る」機材&カメラ設定の超基本

2017年の紅葉シーズンがやってきた。今年こそ、一眼カメラできれいな紅葉を撮ろうではないか! 撮影に出掛ける前に、まずは必要な機材とカメラの設定をチェックしよう。

↑曇天なら、深い色の紅葉が狙える↑曇天なら、深い色の紅葉が狙える

 

【機材】軽装備でも撮影は可能だが、PLフィルターは必需品

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紅葉撮影の初心者なら、まずは一眼カメラと標準ズームレンズ1本を用意しよう。標準ズームの画角は肉眼で見たときの視野に近いため、神社仏閣や庭園、公園などの箱庭的な紅葉風景を、目で見たときの印象に近く捉えることができる。また、比較的コンパクトな製品が多いので、登山や旅行に持っていくのにもおすすめだ。

 

山岳エリアなど広々とした紅葉風景を狙うには、広角レンズと望遠レンズが欲しくなる。広角レンズは広がりや遠近感を生かした撮影を楽しめるが、あれもこれもと欲張ってフレーミングすると散漫になりやすい。主役となる紅葉に近づいて、大きく捉えることを意識しよう。

 

遠くのものを引き寄せられる望遠レンズは、紅葉の迫力ある姿を捉えるのに有効だ。紅葉の樹形を生かしたり、鮮やかな部分を切り取ったりすることができる。

↑妙義山の岩峰を背景にして、紅葉したカエデを広角レンズで見上げるアングルで撮影。広い画角により、空や木々の広がりが生きている↑妙義山の岩峰を背景にして、紅葉したカエデを超広角レンズ(17ミリ相当)で見上げるアングルで撮影。広い画角により、空や木々の広がりが生きている

 

↑逆光線に輝くカラマツを望遠レンズで切り取る。望遠レンズの圧縮効果によって背景の山並みが引き寄せられ、黄葉の木々のボリューム感も出せた↑逆光線に輝くカラマツを、望遠ズームレンズの135ミリ相当で切り取る。望遠レンズの圧縮効果によって背景の山並みが引き寄せられ、黄葉の木々のボリューム感も出せた

 

紅葉についた水滴や霜をまとって色づいた落葉などをアップにするならマクロレンズの出番。しかし、軽装で出掛けたいのであれば、これは省いてもいいだろう。マクロレンズはステップアップのつもりで挑戦してみてほしい。

 

そして、紅葉の鮮やかさや青空の深さを引き出すのに欠かせないのがPLフィルターである。紅葉の表面反射を取り除くことで、紅葉の深みのある色を表現できる。曇天や雨天時にも白い空を映して紅葉は白くテカリがちなので、晴天時以外でも積極的に使用したい。その際は、ファインダーをのぞきながらフィルター枠を回転させ、効果を調整しながら使うこと。

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↑上はPLフィルター未使用、下は使用した写真。PLフィルターを使うことで青空に深みが増しただけでなく、紅葉の鮮やかさもアップしている↑上はPLフィルター未使用、下は使用した写真。PLフィルターを使うことで紅葉の鮮やかさがアップした

 

晴天時の紅葉は光も強くて、手持ち撮影でも対応できるが、曇天や雨天時は暗くなりがちなので三脚が欲しい。PCで画面全体を見ていると問題なくても、拡大してみるとブレやピンボケに気づくことは多い。特に朝夕やライトアップ下の撮影では、ブレを防ぐための三脚とレリーズは必須だ。

 

【カメラ設定】鮮やかな色、繊細な描写を引き出す設定にしよう

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紅葉撮影では絞り優先オートで絞りの効果を生かすとよいだろう。葉のアップなどでボケを生かすなら絞りF2.8~5.6、広大な景色の前景から背景までシャープに捉えるならF8~16程度まで絞り込みたい。

 

手持ち撮影では手ブレが心配だが、1/125秒以上のシャッター速度ならひとまず安心だ。ただし、望遠レンズは手ブレしやすいので、できれば三脚を使いたい。三脚使用時は一眼ならではの最高画質を得られるISO100やISO200にセットし、手持ちならISO400やISO800に感度を上げてシャッター速度を稼ぐといい。

 

ホワイトバランス(WB)は「太陽光(晴天)」モードにして、現場の色や光など臨場感を引き出す。日中の自然な色合いだけでなく、朝夕の赤い光や日陰の青みを帯びた色など、光の効果を生かせる。ただ曇天や雨天時に紅葉の色が青みを帯びてしまうときは、「曇天」モードで暖かみのある色調にしよう。

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↑上はWB「太陽光(晴天)」、下はWB「曇天」で撮影。曇りの日はWB「太陽光(晴天)」で撮るとやや青みを帯びた色合いになりやすい。そこで、WB「曇天」にして撮影。黄葉の深みのある黄色を出すことができた↑上はWB「太陽光(晴天)」、下はWB「曇天」で撮影。曇りの日はWB「太陽光(晴天)」で撮るとやや青みを帯びた色合いになりやすい。WB「曇天」にして撮影すると、黄葉の深みのある黄色を引き出すことができる

 

仕上がり設定は、適度なコントラストと鮮やかさでメリハリのある描写となる「風景」モードがおすすめだ。ただし、紅葉をアップにすると鮮やかすぎることも多いため、そうした場合は「スタンダード」や「ニュートラル」で優しい色合いと滑らかな階調を捉えたい。

 

さらに、空が白とびしたり、影になった紅葉がつぶれて黒くなったりしてしまうのを防ぐために、階調補正機能は通常「オート」にしておこう。明暗差が強すぎる逆光シーンなどでは、「強め」や「より強め」に変更するようにしたい。

 

ピント合わせは、パンフォーカス撮影なら画面の中央付近にピントを合わせて絞り込めばよいが、紅葉をアップにするときは主役の紅葉にしっかりとピントを合わること。設定は、ピンポイントに測距点を選べる「1点AF」と、静止した被写体を撮るのに向く「AF-S(シングルAF)」がベターだ。

↑WB「太陽光(晴天)」で、色濁りのない青空と目で見たイメージに近い紅葉の色を捉える。仕上がり設定は「風景」モードにして、紅葉の鮮やかさを引き出した。↑WB「太陽光(晴天)」で、色濁りのない青空と目で見たイメージに近い紅葉の色を捉える。仕上がり設定は「風景」モードにして、紅葉の鮮やかさを引き出した

 

紅葉撮影における機材とカメラ設定がわかったところで、次回は最適な天候&光と露出を解説する。

 

シグマが、待望のミラーレス用大口径広角レンズ「SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary」を開発発表

シグマが、ミラーレスカメラ用大口径広角レンズ「SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary」の開発を発表した。ソニーEマウントとマイクロフォーサーズマウントを用意し、ソニーEマウントのAPS-Cミラーレスカメラ用としては初めて、35mm判換算で24mm F1.4相当をカバー。マイクロフォーサーズマウントは、35mm判換算で32mm F1.4相当をカバーする。発売日、価格は未定。

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2016年に発売された標準レンズ「30mm F1.4 DC DN | Contemporary」に続いてシグマが放つ、開放F1.4のミラーレスカメラ用大口径レンズ第2弾。シグマでは、今後は望遠レンズも開発し、ミラーレスカメラ用レンズ・システムのラインナップ拡充を目指すとのこと。

フード装着時フード装着時

 

■光学性能

フルサイズ用の大口径レンズに匹敵する13群16枚のレンズ構成で、サジタルコマフレア*や諸収差を抑制。2枚採用しているグラスモールド非球面レンズは、表面を高精度に加工することで渦巻き状の輪線ボケを抑え、画面全体でクリアな描写をもたらす。カメラ内収差補正機能にも完全対応。

 

* 点光源の像が一点に集まらず、尾を引いたような形ににじむ収差。

 

周辺光量を多く取り入れ、画面周辺でも円形のボケを保つことが可能。コーティングは、フレアやゴーストを抑制するスーパーマルチレイヤーコートを施している。

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FLD(“F” Low Dispersion)ガラス3枚、SLD(Special Low Dispersion=特殊低分散)ガラス2枚、グラスモールド非球面レンズ2枚を採用した13群16枚のレンズ構成。

 

■AF性能

静粛性に優れたステッピングモーターの採用により、動画撮影時も快適なAFが可能。ソニーEマウントではファストハイブリッドAFにも対応し、高速性と追従性に優れたAFを実現する。

 

■その他の機能

マウント部にゴムのシーリングを施した簡易防塵防滴構造。精度と堅牢性に優れた真鍮製バヨネット・マウントを採用している。

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付属の花形フード「LH716-01」は、フード部分を持って撮影することに配慮し、滑り止めの溝やラバーを採用している。

 

■主な仕様

●マウント ソニーEマウント、マイクロフォーサーズマウント ●焦点距離 ソニーEマウント 24mm相当 / マイクロフォーサーズマウント 32mm相当(いずれも35mm判換算) ●レンズ構成 13群16枚 ●画角(DC) 83.2° ●絞り羽根枚数 9枚(円形絞り) ●開放絞り F1.4 ●最小絞り F16 ●最短撮影距離 25cm ●最大撮影倍率 1:9.9 ●フィルター径 φ67mm ●サイズ(最大径×長さ) φ72.2×92.3mm ●質量 405g ●付属品 花形フード LH716-01

ライカのインスタントカメラがリモランド柄に! ライカ ゾフォート LimoLand by Jean Pigozzi

インスタントカメラ「ライカ ゾフォート」と、写真家/実業家/アートコレクターのジャン・ピゴッツィ氏とのコラボレーションによる特別限定モデル「ライカ ゾフォート LimoLand by Jean Pigozzi」。

20171027_suzuki3↑2017年11月発売予定。49,680円(税込)

 

「ライカ ゾフォート」のホワイトボディに、ピゴッツィ氏が立ち上げたファッションレーベル「LimoLand(リモランド)」のロゴ「Mr. Limo」がデザインされている。

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製品の仕様は、標準モデルと同じ。

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背面にも「Mr. Limo」が。

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アルティザン&アーティストのキャリングストラップと、カラーフィルムがセットになっている。キャリングストラップは、「Mr. Limo」を配したレザートリムがアクセント。

 

■セット内容

ライカ ゾフォート LimoLand by Jean Pigozzi

キャリングストラップ(ナイロン製)

カラーフィルム ダブルパック(20枚分)

 

「ライカ ゾフォート」は、ライカ初のインスタントカメラ。インスタントフィルムは、富士フイルムのインスタントカメラ「チェキ」でおなじみのinstax miniフィルムを採用している。

 

製品の詳細はこちら

 

藤井智弘さんの実写レビューと作例はこちら