“普通”が一番幸せ!? 自然体で使えて高性能とはデキるスマートペンだ!

【きだてたく文房具レビュー】気負わずに使えるスマートペン

以前、この連載でNeoLAB「Neo smartpen N2」というスマートペンをご紹介させてもらった。“スマートペン”とは、ノートに書いた文字をそのままデジタルデータとして、スマホやクラウドに取り込めるという、デジタル筆記具のジャンルだ。

 

なかでもこのNeo smartpen N2は、筆記内容と同期して音声を録音・リプレイしてくれる機能や、手書き文字をテキストに変換するOCR機能、手描きのイラストをベジェデータに変換する機能、さらには手帳のスケジュール欄への書き込みをGoogleカレンダーに同期する機能などを備えた高性能モデル。

↑Neo smartpen N2で、リアルタイムに書き込みをデジタル化

 

ライターや編集者にも愛用者が多い、いわばスマートペンの名機と呼べる存在である。もちろん筆者も入手から現在に至るまで、ずっと愛用し続けている。

 

そのNeo smartpenに2年ぶりのニューモデル「Neo smartpen M1」が登場したということで、早速入手してみた次第である。「N2」から「M1」へ、なにがどう進化したのかをここでご紹介したい。

 

より“普通”になったニューモデル

「Neo smartpen M1」(以下、M1)は、前モデルであるN2の正当後継モデルであり、専用ノート「N Notebook」もそのまま受け継ぐことが可能である。

↑NeoLAB「Neo smartpen M1」税込1万4800円。紙筒のパッケージがかわいい

 

特殊なドットパターンが印刷されたN Notebookへ筆記すると、ペン先のカメラでパターンを認識し、リアルタイムで筆記内容を専用アプリ「Neo Notes」に取り込む、という部分も変わらない。もちろん、従来の音声同期やOCRといった機能もそのまま使える。

↑N2(写真上)とM1(写真下)

 

↑N2は三角軸なので手に持った感覚はさほど太く感じないが、それでもM1の方が圧倒的にスリムで普通のペンに近い

 

では、N2とM1の違いはなにか? というと、最も顕著なのは「雰囲気が普通のペンに近づいた」というところだろう。

 

上写真で比較した通り、まず見た目が違う。N2は金属製の三角柱ボディで、M1はFRP(繊維強化プラスチック)軸で円柱ボディ。N2はいかにも“未来ペン”というルックスだが、M1はともすれば普通のペンに見えてしまう“普通っぷり”だ。

↑言われなければ、デジタルガジェットだとも思えないような握り心地

 

重量は、N2の27gに対してM1は21g。数字としてはわずか6gの差(そもそもN2がスマートペンとしてかなり軽量だった)だが、実際に持ち比べてみると、明らかに軽くなったと感じられるだろう。

↑N2とM1の重量比較。約78%の軽量化を果たした

 

ただ、ボディが軽くなった分だけ、バッテリー部の重量感が強調された感もあり、筆記姿勢ではややリアヘビーになった印象もある。紛失の危険性を考えれば、使用時はキャップを後軸に挿したい気もするが、バランスの面で言えば、外しておいた方が書きやすいだろう。

 

↑キャップを外した瞬間に電源オン。これもガジェットっぽさを感じさせない演出として優れている

 

もうひとつ、使い心地で普通のペンに近づいた部分が、キャップによる電源のオンオフ機能だ。

 

M1は、キャップを外せば自動で電源がオンになり、キャップを閉めるとオフになる。つまり、普通に使う限りは電源ボタンを意識する必要がないのである。(使い始めのBluetoothリンクなどには使用する)

↑後軸の裏側に配置されたM1の電源ボタン。一度ペアリングしてしまえば、まず触ることもない

 

N2も筆圧を関知して自動で電源がオンになる機能があったが、電源オフは基本的に電源ボタンを押さなければならなかった。放置しておけばオートオフが効くとはいえ、うっかり電源が入ったまま筆箱にN2を放り込んで、バッテリーを消耗させたことも二度三度ではない。

 

それを思えば、キャップと電源オンオフが連動しているのは、とてもナチュラルで良いと思う。

 

↑左がゼブラの4Cリフィル、右はジェットストリームのD1リフィル。見た目はほぼ同じで、M1はどちらでも使用可能

 

ところで、Neo smartpenシリーズでありがたいのが、リフィルが国際規格のD1リフィル(一般的な多色ペンに使用されているもの)ということで、自分の好きな筆記感のものに替えられる、というところ。

 

ただ、M1、N2とも最初に入っていたのは、D1よりも軸径がわずかに太いゼブラの4Cタイプリフィル(0.7㎜の油性)だった。もちろん、D1リフィルに差し替えても問題なく使えるが、ペン先が紙面に触れた時にややカシャカシャとしたブレを感じることもあるので、できれば交換するなら、ゼブラの4Cリフィルから選んだ方が良いかもしれない。

 

油性が苦手な筆者は、ゼブラの「4Cサラサ0.5㎜リフィル」に交換して快適に使用している。

 

↑N2とM1を併用する場合は、アプリの設定から「ペンの情報」→「ペンマネージャ」→「ペンの登録」でOK。切り替えは画面右上のペンアイコンから行える

 

全体的な感想で言えば、スリムになった軸と、キャップによる電源オンオフはとても使いやすい。

 

N2を使い込んでいるユーザーが、あえてM1に買い替える必要があるか? と言われると微妙(スペック上ではCPUの変更などが見られるが、試用中に性能的な差は感じられなかった)だが、今から新たに購入するならM1を選んで間違いないだろう。

 

なによりこの普通のペンっぽさは、スマートペン初心者にも違和感が少ないはずだ。いかにもデジタルガジェット……という雰囲気が苦手な人でも受け入れやすい、新時代のスマートペンとしてオススメしたい。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。近著にブング・ジャムのメンバーとして参画した『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

空き容量の不足はこれで解消! スマホの写真整理&管理術

“インスタ映え”という言葉が流行語になるほど、インスタグラムをはじめとしたソーシャルネットワークシステム(SNS)は、私たちの生活と深いかかわりをもつツールとなっています。そんなSNSでのコミュニケーションに欠かせないのが写真。スマートフォンの進化に伴って、カメラ機能も格段に向上しており、「いいね!」を求めてプロ顔負けのインスタ映えショットを撮りまくっている、という方も多いのでは?

 

料理に風景、子供の成長……。気づけば、スマホのストレージに写真は溜まる一方。手軽に撮影できるようになったのはありがたいことですが、一方で困るのが、この写真の保存です。スマートフォンの容量が大きくなってきたとはいえ、撮影する写真の枚数も増えているので、結果的にスマホがパンク状態に。

 

そこで活用したいのが、データを外部で保存してくれるクラウドサービスです。

 

スマホ本体ではなく外部のクラウドに保存。
無料で使えるサービスを積極的に活用しよう

そもそも、容量が足りない という問題は、スマートフォン本体の中に写真を保存しようとした場合に起こるもの。ならば、スマートフォン以外の場所にデータを移してしまえば、容量に関係なく、写真を保存しておくことが可能です。しかも、一定の容量までなら無料で使えます! 代表的なクラウドサービスと無料枠は以下のとおり。

・Dropbox/2Gまで無料
・One Drive/5Gまで無料
・Google Drive/15Gまで無料
・Amazon Drive/5Gまで無料

なかでも利用者数が多いのが、「Dropbox」です。写真に限らず、あらゆるデータを集約できるため、必要なものがすぐに見つかるのでとても便利! しかも、すべてのデバイスで安全に同期されるため、いつでもどこでも簡単にアクセス可能。ただ写真を外部保存するだけではなく、整理もできるので、ファイル探しで時間を無駄にすることもなくなります。

 

スマートフォンは、パソコンで言えばデスクトップのようなもの。デスクトップとは、読んで字のごとく“机の上”。つまり、スマートフォンに写真データ、つまり画像を保存しておくということは、机上に写真を出しっぱなしにしておくのと同じことです。そこで、溜まった画像を専用の“フォルダ”に入れて棚にしまいましょうというのが、クラウドサービスなのです。クラウドサービスに写真を移してスマートフォン内のデータを削除していけば、容量オーバーの心配はなくなります。

 

最近、保存している画像が増えてきたなぁとお考えの方は、まず無料で使えるクラウドサービスを利用されてみてはいかがでしょう?

アカウントひとつで、複数のデバイスからアクセス可能になる「Dropbox」。写真やムービー以外にも、あらゆるファイルの保存ができます。アプリを開いてプラスボタンをタップ。「写真をアップロード」で画像データを保存することができます。ちなみに、無料の容量をオーバーすると有料のアップグレードを要求されます↑アカウントひとつで、複数のデバイスからアクセス可能になる「Dropbox」。写真やムービー以外にも、あらゆるファイルの保存ができます。アプリを開いてプラスボタンをタップ。「写真をアップロード」で画像データを保存することができます。ちなみに、無料の容量をオーバーすると有料のアップグレードを要求されます

 

LINEでグループを作れば写真の共有にも便利

無料と言えば、とてもタダとは思えないクオリティーのコミュニケーションツールとして、すっかり定着している無料通信アプリ「LINE」にも、写真の保存に便利な機能が備わっています。

 

たとえば「LINE」のkeep機能。このフォルダに保存すれば、クラウドサービスと同じかたちで外部に写真の保存が可能です。

 

そのほか、「LINE」ならではの使い方として、アルバムの活用があります。「LINE」には、特定のグループでメッセージを共有できるシステムが備わっているのですが、たとえば、そのグループでパーティーを開いたり旅行に行ったりしたときの写真を、グループ「LINE」のアルバムにアップロードすれば、グループ全員で写真を共有できます。グループそれぞれが写真をアップロードすれば、ほかのメンバーが撮影したショットもとっておくことができるので、楽しさも倍増! 容量を気にせず、気の向くまま撮影を楽しめるわけです。

メンバー全員が「LINE」アカウントを持っているなら、LINEグループを作ってトーク上にアルバムを作成すれば、写真を共有できます。グループメンバーにも各自のスマホで撮影した画像をこのアルバムに追加してもらえば、みんなで写真が共有できるのです↑メンバー全員が「LINE」アカウントを持っているなら、LINEグループを作ってトーク上にアルバムを作成すれば、写真を共有できます。グループメンバーにも各自のスマホで撮影した画像をこのアルバムに追加してもらえば、みんなで写真が共有できるのです

 

家族専用SNSや自動でアルバムになるアプリも

ほかにも、写真の保存にうってつけのアプリとして、とくに小さな子どもを持つパパ&ママから絶大な支持を集めているのが、「wellnote」。家族のメンバーだけで写真やムービーを共有し、残していくことができる無料サービスです。

 

「Facebook」をはじめとしたSNSは、情報発信という点で非常に便利なツールですが、いろいろな人に情報が晒されるリスクがあるため、写真のアップロードをためらっている人も少なくないでしょう。一方、「wellnote」を共有できるのは家族のみなので安心です。

 

使い方はカンタン。ログイン後、右上の「家族招待ボタン」をクリックし、「家族の追加」を実行。「家族一覧」に家族が追加されるので、追加した家族の右にある「wellnote」に招待する」ボタンをクリックし、家族にメールで招待するだけ。アプリの場合、右上の黄緑のボタンを押し、家族の招待画面より招待すればOKです。

 

「かわいいこどもの成長を家族に見せたい」「スマートフォンにたまった成長の記録、動画や写真をスッキリ残したい」「SNSで子供の写真を共有するのは抵抗がある」といった方にオススメのアプリです。

「wellnote」は動画も無料でシェアし放題の家族専用SNS。ほかの人に公開することなくメンバーだけで子どもの成長を見守ることができるので安心。スマートフォンはもちろん、タブレットやパソコンでも管理が可能。スマートフォンをお持ちではないシニア世代の方でも利用できます↑「wellnote」は動画も無料でシェアし放題の家族専用SNS。ほかの人に公開することなくメンバーだけで子どもの成長を見守ることができるので安心。スマートフォンはもちろん、タブレットやパソコンでも管理が可能。スマートフォンをお持ちではないシニア世代の方でも利用できます

 

また家族の画像保存に便利なアプリとしては、「Famm」も注目を集めています。

 

最大50枚の画像を超高速でアップロード。さらに、子どもの写真を撮影するときなど、写真1枚ごとに自動で子供の年齢も自動表示されるので、何歳のときの画像なのかが、すぐわかります。保存する画像には、お気に入りやコメントもできます。もちろん、家族で共有できるので両親や親戚にも簡単にシェア可能。外部保存のため、スマートフォンを紛失しても、データが消えることはないので、大切な画像をいつまでも保存することができます。

 

また、普段のやりとりに「Famm」を使えば、チャットのやり取りで送った写真も自動でアルバムに整理されます。そして、最大の特徴は、写真を盛り込んだオリジナルのフォトカレンダーを作成してくれるサービス。しかも、毎月無料でもらえるんです。送られてきたフォトアルバムを会社に持って行ってデスクに置くというお父さんも急増中とか。

 

有料ではありますが、「TOLOT」というサービスを使えば、ベストショットのフォトブックやカレンダーを作成することができます。

「Famm」は写真を選択して住所登録するだけで、フォトカレンダーを毎月1枚無料で作ることができます。容量無制限で画像データを保存することも可能です↑「Famm」は写真を選択して住所登録するだけで、フォトカレンダーを毎月1枚無料で作ることができます。容量無制限で画像データを保存することも可能です

 

撮影はデジタルカメラからスマートフォン。そして、画像は本体保存から外部保存の時代へ。クラウドサービスやアプリの機能を上手に使って、容量を心配せずにどんどん画像を撮影し、サクサク保存、整理しましょう!

 

構成/n.プロジェクト 取材・文/松田高宏

 

何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」

at-living_logo_wada

携帯会社からインフラ会社へ NokiaはAmazonを支えるパートナーになるのか?

テクノロジー業界ではデジタルプラットフォーム革命が起きています。あらゆるものがインターネットでつながりつつあるなか、OSやシステム開発会社、サードパーティー、ユーザーなどが有機的に結びつくエコシステムが次々と誕生しており、このようなプラットフォームに基づいたビジネスモデルを構築することが多くの企業の課題となっています。

 

この分野に含まれるのが「モノのインターネット(IoT)」と「第5世代移動通信システム(5G)」。ともに私たちの生活やモバイルサービスを劇的に変えるとされており、多くの通信企業などが競争していますが、なかでも注目は(やっぱり)eコマースの巨人Amazon。IoTに関しては、同社のクラウドコンピューティングサービス「Amazon Web Service」(AWS)がプラットフォームを構築するサービスを提供しています。

 

そんなAWSが10月に興味深いニュースを発表しました。クラウドサービスなどの強化に向けてNokiaと戦略的パートナーシップを結んだのです。

20171114_kubo17

Nokiaといえば、かつては携帯端末市場において世界最大のメーカーでした。AppleのiPhoneやGoogleのAndroidといったスマートフォンの爆発的な普及に押されて主力の携帯電話端末事業が低迷し、マイクロソフトに売却した話は有名ですが、Nokiaはその後、世界有数の通信インフラ企業へと変化を遂げていました。

 

Nokiaは日本でも次世代移動通信5Gの実現に向けて大手携帯キャリアに技術を提供しながら共同実験を行っており、IoTプラットフォームの「IMPACT」も提供しています。

20171114_kubo15

今回の提携では、「AWS Greengrass」と「Amazon Machine Learning」、Nokiaの「マルチアクセス・エッジ・コンピューティング」、IoT向けプラットフォーム「IMPACT」の4つを組み合わせて、IoTのユースケース(利用方法)の商品化を目指すことが明らかとなりました。

 

来たるIoT時代においては大量のデバイスから大量のデータが収集されます。それらのデータが、すべてクラウドへ送られるとなるとシステムに多大な負担がかかりデータ処理に遅延が生じる可能性があります。そこで、注目されているのが「エッジコンピューティング」。ネットワーク上でユーザーに近い場所に多数のサーバーを配置することで、スマートフォンやIoTデバイスの負荷を軽減するという概念です。

20171114_kubo14

NokiaはNTTと共同で実証実験を行い、監視カメラで撮影した歩行者の顔認識の画像処理にエッジコンピューティングを活用しました。従来の顔認識では、監視カメラで撮影した動画をすべてクラウドへ送信し、クラウド上でデータを解析していましたが、処理量が増大して遅延が発生することがありました。しかし、エッジコンピューティングを使ってみたところ、処理量が削減し、顔認識にかかる時間の短縮にも成功しました(上記の図を参照)。

20171114_kubo13

AWSとNokiaは今回の提携によってお互いの機能を補強し、より堅固でシームレスなIoTプラットフォームを構築することを狙っていると言えそうです。AWSチャンネル・アライアンスのバイスプレジデントを務めるテリー・ワイズ氏は「イノベーションを生み出し、情報技術の全体のコストを削減するために、AWSに移るサービスプロバイダーが現在増えています。パートナー契約を結んだNokiaとクラウドサービスの変革を加速することができて興奮しています」と述べています。

 

Nokiaと組んだことで、AWSがデジタルプラットフォームでも支配的なプレーヤーになりつつあるように見えます。今後もAmazonからは目が離せません。