SPRING VALLEY BREWERY(スプリングバレーブルワリー)リブランディングの狙いと意外にも変えなかったこと

キリンビールがチカラコブで推し進める“クラフトビール”事業。その缶ビール商品の大看板「スプリングバレー」が、新たに「スプリングバレーブルワリー」となり、伝説の第二章が幕を開けた。実は、中味は変えずにパッケージだけ変更したという。その「なぜ?」を探るべく、発表会場へ突入した!

 

国内クラフトビール市場が成長鈍化……その原因は?

キリンという大手が「クラフトビールやります!」と狼煙(のろし)を上げたのは2014年のこと。東京・代官山の「スプリングバレーブルワリー東京」を旗艦店に掲げ、ビールづくりと仲間づくりを展開。そして2021年には待望の缶製品を発売。今回の発表会は、この缶製品のリブランディングを発表する場であった。

↑キリンビール クラフトビール事業部マネージャーの久保育子さん。

 

国内におけるクラフトビール販売量は直近10年で4倍に伸長しているが、若干の足踏みも見られる。「国内でのクラフトビール販売量の半数に迫る『スプリングバレー』の果たす役割は大きく、スプリングバレーの伸び悩みが足踏みの一因だと感じています」とは、2024年キリンビールに新設されたクラフトビール事業部のマネージャー、久保育子さんだ。

↑「スプリングバレー」リブランディングの背景。発表会資料より。

 

クラフトビールをメジャー化する挑戦を託されたもう一人は?

クラフトビールとは、作り手の顔が見える“流派”のようなもの。いつでも安定した味わいを手頃に楽しめるレギュラービールに敬意を払いつつ、いつもとちょっと違う味わいを望むファンの“わがまま”(笑)を叶える存在である。

 

だから“クラフトビールをメジャー化する”というのは、実はかなりの無理難題。そこに風穴を開けようとするのが、“スプリングバレーという挑戦”なのである。

 

発表会では久保さんがリブランディングの概要を語ったのち、新CMに出演する俳優・坂東龍汰さんが登壇。ヘッドブリュワー(醸造責任者)の辻峻太郎さんとともに、3種のスプリングバレーブルワリーの特徴や注ぎ方、グラス選びの楽しみを軽快なトークで紹介。会場を沸かせた。

 

特に坂東さんの【うわ、美味しそう~。でも仕事中だから飲んじゃいけないよね。だめだめ自分】という表情がひどく印象的(笑)で、そんな本当のビールファンがスプリングバレーブルワリーのCMに登場するとは、これぞ最高の巡り合わせ!

 

とはいえ仕事は仕事。大規模なリブランディングを任された久保さんの両肩にかかる責任は大きい。

 

「2021年の缶製品発売から4年経ちますが、クラフトビール市場の難しさを痛感しています。当初は量販店で一気に展開して、テレビCMを大量投下する“垂直立ち上げ”を狙いました。でも結果として、クラフトビールにはもっと密なコミュニケーションが必要だとわかりました。今回のリブランディング以降は、そこを徹底していきます!」(久保さん)

 

一部のクラフトマニアからは、この大々的なPR手法に疑問の声もあるだろう。しかし、キリンが本気でクラフトビールに取り組む背景には、「たくさん売って儲けられるから」という打算以上に、ビール=ピルスナーと思ってきたビールファンに、もっと違うビール、もっとユニークなビール、そしてもっと新しいビールがあることを知ってほしい! というキリンビールの“想い”があったはずだ。そのため、大規模な店頭展開やCMを通じてのPRは、実はごく真っ当な選択肢だった。

 

↑シドニーで撮影されたCMのひとコマ。見て下さい、坂東さんの笑顔ったら! スプリングバレーにちなんで、しあわせが「湧きあがる」ワケです。

 

クラフトビールの真骨頂は?

初代「スプリングバレー」缶発売から4年。そこでつかんだ”何か”を活かした新しい「スプリングバレーブルワリー」が、いま船出した。キャッチフレーズは「しあわせ湧きあがるクラフトビール」。坂東さん出演CMのロケ地はシドニーだが、クラフトビールカルチャー盛んな彼の地で「スプリングバレーブルワリー」を楽しむ面々の笑顔がもう、タマラナイ! クラフトビールというとつい蘊蓄を語りがちだが、もっと楽しく、新しく、そしてTPO(時間・場所・機会)をまるごと味わうのが、クラフトビールのトリセツなのだ!

 

キリン
SPRING VALLEY BREWERY
(スプリングバレーブルワリー)
JAPANエール 香/豊潤ラガー 496/シルクエール 白(左から)
350ml各245円(500ml缶もラインナップする)

 

「定番の3本に加え、季節ごとの楽しさを新提案する『シーズナルビアコミュニケーション』を夏と冬に実施します。そして4月1日~5月31日まで、代官山の『スプリングバレーブルワリー東京』でビアガーデン『SVBピクニックテラス』を開催しますので、ぜひ足をお運び頂き、クラフトビールの魅力を新発見して下さい!」(久保さん)

 

ビール大国NIPPONに全力でクラフトビールを定着させようとするキリンビールの至宝「スプリングバレーブルワリー」。「ブランド始動から11年。缶製品発売から4年。今回のリブランディングをあらためての自己紹介の機会として活かしていきます!!」という久保さんの細腕繫盛記に期待、アンド乾杯だ!

↑これまでマーケティング部で「淡麗プラチナW」「グリーンフリー」ほか機能系飲料に携わってきた久保育子さん。「SVBの中でイチオシはJAPANエール 香です!」とのこと。また、それなりにアイドル好き、らしいです。

 

なぜ中味を変えなかったのか?

最後にタイトルの「実は……」について。「なぜ中味を変えなかったか?」への回答で、「実は……2024年に出品したビアコンペティションで合計24個、発売以来累計だと60個もの受賞メダルを頂いております。つまり、味についての評価が非常に高いため、敢えての不変なのです」と久保さん。小鼻を膨らませてえっへん、胸を張ったのでした。

 

第一弾は即完売! 沖縄のクラフトビール醸造所「MAHOWBREW」の個性派缶ビール第二弾

クラフトビール醸造所・MAHOWBREW(沖縄県那覇市)は、第二弾となる缶ビール4種を2025年1月に発売。

 

毎月約4種類のビールをリリースしており、24年1月に発売した第一弾の4種は完売しています。今回も個性あふれるラインナップです。

 

記事のポイント

「ホップ」を大量に使用して作られる「IPA」をはじめ、シークヮーサーや島唐辛子、白麹を使った一杯、IPAよりさらにたくさんのホップを使う「DIPA」など、個性豊かな顔ぶれです。デザインも含め、お気に入りを見つけてみては。

 

苦味と、果実感あふれるアロマが楽しめる「V.I.T.R.I.O.L II(ヴィトリオール ツー)」

 

ノルウェーの伝統的な酵母「Kveik」を使用した、IPAシリーズの第二弾。

 

ホップはAmarillo、Strata、Tangoの3種類を使用。一次発酵中と一次発酵後の2回に分けて投入し、それぞれのホップがもたらすトロピカル、ダンク、マスカットのようなアロマを引き出しているそう。「ガツンとした苦味と、果実感あふれるアロマが調和した、飲みごたえのある味わい」を楽しめるとのこと。

 

V.I.T.R.I.O.L II
原材料   :麦芽(カナダ製造)、ホップ、糖類
ビアスタイル:DDH IPA
内容量   :340ml
アルコール分:7.5%
販売価格  :5040円(税込)※缶ビール6本

 

酸味・辛味・甘味・塩味が調和した「Kaguya(カグヤ)」

 

奈良県のブルワリー・CHORYO Craft Beerとのコラボビールです。名護市産シークヮーサー、中城村産島唐辛子、屋我地島産海塩、白麹を使用し、24年にリリースしたCHORYOの限定ビール「沖縄ゴーゼ」をオマージュしたImperial Goseに仕上げているといいます。

 

酸味・辛味・甘味・塩味が調和。シークヮーサーの爽やかな酸味と、島唐辛子のピリッとした辛さが引き立ち、白麹の風味が全体を深く豊かなものに仕上げているそう。「Imperial Goseならではの高いアルコール度数が飲みごたえを増し、心地よい余韻を残す」としています。

 

Kaguya
原材料   :麦芽(ドイツ製造)、糖類、小麦、シークヮーサー、白麹、島唐辛子、コリアンダー、塩、ホップ
ビアスタイル:Imperial Gose w/ White Koji, Shekwasha, Okinawan Chili Pepper
内容量   :340ml
アルコール分:8.5%
販売価格  :5040円(税込)※缶ビール6本

 

心地よい苦みと甘みが口の中に広がる「Dean Town(ディーンタウン)」

 

Maris Otter(モルト)と、East Kent Goldings(ホップ)という、英国エールらしいコンビネーションに、アメリカの代表的なCentennialホップを組み合わせた一杯。

 

香りには「紅茶や花のニュアンス、アーシーなホップ由来の要素と、ビスケットのようなモルト由来の要素」が感じられるそう。口に含むと穏やかな苦みとモルトの甘みが、絶妙に調和するのを楽しめると言います。

 

Dean Town
原材料   :麦芽(イギリス製造)、ホップ
ビアスタイル:English IPA
内容量   :340ml
アルコール分:6.5%
販売価格  :4500円(税込)※缶ビール6本

 

肉料理と相性の良い「The Cauldron (ザ カルドロン)」

 

Amarillo、Centennial、Mosaicといったホップを使用した、アルコール度数8%のAmerican DIPA。しっかりとした苦みがあり、ほのかなカラメルフレーバーを楽しめるのだとか。

 

「とてもドライでキレが良い」特徴がありながら、少し高めのアルコール感がボディを補完しています。食前・食間・食後などタイミングを選びませんが、特に肉料理と相性が良いそう。

 

The Cauldron
原材料   :麦芽(カナダ・ドイツ製造)、ホップ、糖類
ビアスタイル:American DIPA
内容量   :340ml
アルコール分:8.0%
販売価格  :4500円(税込)※缶ビール6本

シュトーレンを参考に開発したクラフトビール!? キリンビール「SPRING VALLEY 華やぐ冬<香>」期間限定発売

キリンビールは、クラフトビールブランド「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」から、冬限定商品として「SPRING VALLEY 華やぐ冬<香>(期間限定)」(350ml缶、500ml缶)を、2024年12月3日に全国で発売します。

 

先行して、会員制生ビールサービス「キリン ホームタップ」で11月14日から、「Tap Marché(タップ・マルシェ)」)と「スプリングバレーブルワリー東京・京都」で11月25日から、それぞれ提供します。キリンオンラインショップ「DRINX」では11月28日に販売開始する予定です。

 

記事のポイント

2024年10月開催の、世界的なビールのコンペティション「インターナショナル・ビアカップ2024」で、銀賞を獲ったクラフトビール。シナモンの香り、バランスのとれた甘み、飲みやすい味わいが特徴です。煮込み料理や、パイ生地の洋菓子とのペアリングを楽しんでみては。

 

「SPRING VALLEY 華やぐ冬<香>(期間限定)」は、シナモンの香りが特徴。レシピ開発は、ドイツで冬時期に楽しまれている菓子「シュトーレン」を参考にを行ったとのこと。

 

もとは「クラフトビールに馴染みがない方でもおいしくて、新しさのある、冬に気持ちが華やぐようなクラフトビールを造りたい」という、ブリュワーの思いから生まれた商品。ヨーロッパでは冬に、スパイスの入ったビールが楽しまれているという文化から着想を得て、シナモンの使用を検討したと言います。

 

キリンビール
「SPRING VALLEY 華やぐ冬<香>(期間限定)」
アルコール分:5.5%
希望小売価格(税抜): 350ml缶 242円、500ml缶 321円

アニエスベーがクラフトビール作っちゃった!スパイシーな「遊び心」加えた、セゾンスタイルの一杯

アニエスベーから、初のクラフトビール「b. BEER」が2024年7月に登場しました。350ml缶で、アルコール分は5%。価格はいずれも税込で、単品が880円、4缶セットで3520円です。

 

アニエスベー祇園店カフェ、渋谷店カフェ、京都BAL店、公式オンラインブティック、Hobo Beer Storeにて、7月12日から先行販売中です。

 

醸造家、Hobo Brewing協力のもと、香川県・高松の醸造所「SETOUCHI」で製造されている、「セゾン」スタイルのビールです。

 

ホップと酵母からなる、フルーツのようなフレーバーに、とれたての実山椒を加えることでフレッシュな青さとスパイシーさをプラスしています。普遍的でクラシックな要素と、少しの「遊び心」から生まれたとしています。

 

4缶セットは、カラフルな「b.」アイコンがデザインされたスペシャルボックス入り。ビールがひときわおいしい夏に、ギフトとしてぴったりですね。

↑アニエスベー公式オンラインブティックでは、4缶セットのみの取り扱いです

 

アニエスベーのカフェ店舗ではイートイン提供が始まっており、アニエスベー祇園店カフェ、渋谷店カフェ、Hobo Beer Storeなどで7月12日から楽しめますよ。そのほかアニエスベー松屋銀座Rue du Jour店 le café du jour、京都伊勢丹店カフェでも順次提供予定です。

ビールがスイーツにも合う!?7皿×10種のペアリングをプロの解説付きで楽しめる贅沢な新クラフトビール体験が驚きの連続だった

キリンが手掛けるクラフトビール醸造所併設のレストラン「スプリングバレーブルワリー東京」が、2024年5月30日に全館リニューアルを果たした。1階は、エントリー層でも気軽に楽しめるビアパブに。そして2階は、落ち着いた空間でコースを楽しみながら様々なクラフトビール体験ができる空間に進化したのだ。

↑開業初の大幅リニューアルが実施された「スプリングバレーブルワリー東京」。「代官山駅」から徒歩4分、「恵比寿駅」から徒歩8分の場所にある

 

コース主体の2階では、パーティー向けのプランと、専属スタッフがコンシェルジュとなるプランが提供されているが、今回紹介するのはその後者。「ペアリングカウンターコース」を実体験し、全容を明らかにしたい。

 

ビール10種×7皿コースを解説付きでペアリング

「ペアリングカウンターコース」は、コの字型の専用シートで。ひとり1万5000円(税込)の完全予約制だ。店舗限定醸造ビールを含む計10種のクラフトビールを、7皿のコース料理に合わせてスタッフが提供する。

↑担当するのは、ビアコーディネイターの資格を持つプロフェッショナル。この日は2015年の開業当時から同店で働いている、副店長の大和 傑(すぐる)さんが担当

 

提供される料理は、食材の旬に合わせて年4回刷新。今回紹介する夏季メニューは6~8月のシーズナルとなり、9~11月は秋の味覚が登場するという。

 

ちなみにペアリングとは「フードペアリング」のことであり、料理とお酒の美味なる相乗効果を指す。ワインの世界ではマリアージュともいわれる。「スプリングバレー」ブランドでは以前からペアリングの醍醐味を訴求してきた。なぜなら、味わいが個性的かつ多様的なクラフトビールは、ペアリングに着目することでより楽しめるから。

↑1階のメニュー例(発表会用の試食プレート)。「磯のりと山椒の焼鳥ビスマルク」や、市場で商品にならなかった未利用魚を使う「本日の魚介マリネ 3種盛り」など、こちらでもビールとのペアリングをプッシュ

 

「ペアリングカウンターコース」は、この“哲学”をプロの視点から提案するプランといえるだろう。そのうえでのポイントが、コース料理もビールありきで考案されているところ。先に10種の“推しビール”と構成を決め、そこからリストを元にシェフが7皿をクリエイションするのだという。

↑「スプリングバレーブルワリー東京」の統括料理長、斉藤正博シェフ。初代統括料理長である大高英樹シェフの右腕として、長年クラフトビールのペアリングメニューを考案してきた

 

「よく“口内調味(こうないちょうみ)”といわれますが、ビールを飲み込む前に料理をじっくり味わうことで、よりペアリングの面白さがわかりやすくなります」と大和さん。ではどんなビールと料理が組み立てられているのか、一皿ずつ紹介していこう。

 

ビールが複雑な味を面白いハーモニーへと昇華する

まずは3杯のビールが登場。“初めの1杯、飲みやすい、低負荷”がテーマで、パッションフルーツやグレープフルーツのような果実味とアルコール度数4%のライトな「代官山セッションエール」、缶でもおなじみのまろやかなホワイトビール「シルクエール<白>」、あたたかみのある甘みと酸味が調和した「磯崎さんちの小田原みかん」がサーブされた。

↑左から、「代官山セッションエール」「シルクエール<白>」「磯崎さんちの小田原みかん」。なお、磯崎さんとはキリンホールディングスの磯崎功典会長のこと

 

スターターとなる先付は「空豆ポタージュと豆乳エスプーマ」。空豆のコク深い甘みにクリーミーなニュアンスが加わったポタージュは、ほっこりとした口どけと相まって絶品。皿にはドライ、焼き、蒸しと3種の調理で仕上げた空豆ものり、枝豆とは一風異なるリッチなビールペアリングに。

↑「空豆ポタージュと豆乳エスプーマ」。エスプーマとは、素材と亜酸化窒素ガスを混ぜた泡状ムースのこと(または、その調理機器)

 

2皿目は「たらば蟹と日向夏のサラダ仕立て 白インゲン豆のバニラピュレとキャビア添え」。サラダの野菜にはホワイトセロリが主に使われ、レモンベースのドレッシングとともに清々しい爽快感を演出する。

↑「たらば蟹と日向夏のサラダ仕立て 白インゲン豆のバニラピュレとキャビア添え」。バニラピュレを合わせると、どこかファンタジックな味わいになるのが面白い

 

ここでビールは次のテーマ“和食(海鮮など)とよく合う”に。注目は、同店でもこのコースでしか飲めないセゾン(ベルギー生まれの夏ビール。セゾン酵母由来のフルーティーな香りが美味)「特醸〜白麹和え〜」。さらに「ジャパンエール<香>」と、ゆず&山椒で日本ならではのホワイトビール(オレンジ&コリアンダーのベルジャンホワイトに対して)を目指した「デイドリーム」の計3種を味わう。

↑「特醸〜白麹和え〜」。白麹は爽やかなクエン酸を生成するのが特徴で、酒では焼酎で頻用されてきた。ビールで用いるのはなかなか珍しい

 

料理の3皿目は「炙り甘鯛と3種の香り 南高梅/バジル/新ごぼう」。塩を振ってねっとりさせた甘鯛を炙り、3種のプレゼンテーションで味付けを変え、3タイプのビールと組み合わせて多様なペアリング提案を試みている。

↑ソースによる味の変化だけではなく、南高梅には大葉やきぬさや、バジルにはビーツ、新ごぼうにはディルなど、あしらいも工夫されている

 

3種のビールは、どれも和風な味わいを狙って造られているだけあって、食材の繊細なタッチやうまみと調和する。そして4皿目は、「グリーンアスパラガスとパンチェッタベジョータ 鵠沼魚醤のブールノワゼット」。イベリコベジョータのバラ肉塩漬けや、焦がしバターで香り付けした和風フレンチである。

↑「グリーンアスパラガスとパンチェッタベジョータ 鵠沼魚醤のブールノワゼット」。クミンを用いたエスニックオイルも、香り高いアクセントに

 

味は青みをはらんだアスパラのうまみにパンチェッタの甘みが加わり、贅沢なふくよかさ。そこにエスニックオイルを合わせると、ガラリとオリエンタルな表情に。この複雑さを面白いハーモニーへと昇華するのがビールだ。特に「特醸〜白麹和え〜」のスパイシーな果実味は、食材とソースの個性を得意げにまとめ上げる懐の広さを感じられた。

 

メインから締めまでもビールによる驚きと発見が連続

料理はいよいよメインディッシュに。その前に登場した3種のビールは“メイン(肉など)に負けない力強さ”がテーマ。「豊潤<496>」「ジャズベリー」「ジューシーホップ」がサーブされた。

↑左から、「豊潤<496>」「ジャズベリー」「ジューシーホップ」

 

缶商品でもおなじみの「豊潤<496>」は、麦のうまみとホップの上品な香りが特徴。「ジャズベリー」は、ラズベリーの甘やかな香りと酸味がホップの果実味と調和した個性的な銘柄である。

 

そして「ジューシーホップ」は、昨今のクラフトビールで人気のビアスタイルHAZY IPAを思わせる、トロピカル調の風味とエネルギッシュな苦み、濁りのあるスムースな口当たりが魅力。合わせる5皿目は、メインにふさわしい肉料理が登場した。

↑メインの「岩手短角牛のみりんマリネ ペドロヒメネスとみょうが麦みそ」。ペドロヒメネスとは、甘く濃厚なシェリー酒のこと(または、その醸造用ぶどう品種)

日本短角種(和牛品種のひとつ)の名門ブランド「いわて短角和牛」は、高い希少性とうまみ豊かな赤身肉が特徴。グリルする前にマリネされているためよりジューシーかつしっとりした食感で、かむごとに広がる肉のおいしい多幸感もひとしお。

↑付け合わせの野菜グリルや、パートブリック(パリパリとした丸型クレープ状の生地)、ソース類も見事なアクセントに

 

ステーキが、ソースの組み合わせで和風にも洋風にも味が変化するように、合わせるビールも感じ方は三種三様。「豊潤<496>」には香ばしいパートブリックもよく合い、「ジャズベリー」のキュートな果実味は肉の甘みと調和。また、みょうが麦みそはそのままでもビールのアテになる魔性のおいしさを秘めていた。

↑締めでお目見えした6皿目。「雲丹とグリュイエルチーズの焼きリゾット コンソメとトリュフ」

焼きリゾットはジャポニカ米を使っていることもあり、洋風おにぎり茶漬けのような遊び心を感じる一品。チーズのクリーミーなタッチが米と調和し、焼かれた部分は香ばしさを演出。うにの贅沢で力強いうまみはチーズの濃厚なコクとマッチし、ビーフコンソメのふくよかな肉のダシ感が全体をしっかり包み込む。トリュフの香りがさらに贅沢感を醸し出し、ビールとの調和もよりリッチに。

 

そしてラストのビールは、“締めの1杯、甘いデザートなどと調和する”をテーマに、昨冬缶でも限定発売された「アフターダーク」。7皿目の「黒胡麻ムースぎゅうひ包み 黒糖とビターチョコレート」とともに提供されました。

↑「アフターダーク」(右)と「黒胡麻ムースぎゅうひ包み 黒糖とビターチョコレート」(左)

 

「アフターダーク」はラクトース(乳糖)とロースト麦芽を活用した黒ビールで、エレガントな甘みや酸味と重厚な香ばしさが、エスプレッソラテを思わせるおいしさ。もちもち、ほわんとした食感のスイーツはねっとりした口どけと甘さが絶品で、その味わいをコーヒーのようなビールが新感覚のデザートタイムとして体感させてくれる。

 

なお個人的な「アフターダーク」との推しペアリングに、オープン時から「スプリングバレーブルワリー」で人気の「特製焼きチョコレートケーキ」がある。こちらはグランドメニューなので、昼夜問わずぜひ1階でお試しを。

↑以前取材した際の「特製焼きチョコレートケーキ」と「アフターダーク」。フレークソルトがチョコレートの甘さを引き立てる

そんな同店は、2015年の開業から全店の累計来場者が今年6月に200万人を突破。そのお祝いと感謝を伝える目的で、7月12日まで“ENJOY! CRAFT 夏”企画が開催されている。内容は、レギュラーサイズ(350ml)の「豊潤<496>」を通常価格の半額で提供し、さらに、インスタグラムをフォローするとオリジナルステッカーを1枚プレゼントするというもの。「スプリングバレーブルワリー」の東京1階と、京都でも開催されるのでぜひこの機会に。

↑「スプリングバレーブルワリー京都」。「四条駅」から徒歩7分、「京都河原町駅」から徒歩5分の場所にある

「スプリングバレーブルワリー」は来春で誕生10年。その間、日本でもクラフトビールは徐々に広まり、専門店やブルーパブ(醸造所併設型レストラン)も珍しくなくなった。とはいえ、今回紹介した「ペアリングカウンターコース」のようなプランを提供している店はほぼないといえるだろう。ビール好きの人は、ぜひ体験してみてはいかが!?

 

【SHOP DATA】

SPRING VALLEY BREWERY TOKYO(スプリングバレーブルワリー東京)

住所:東京都渋谷区代官山町13-1 ログロード代官山

営業時間:11:00~23:00(L.O.22:00)※テラス席は22:00まで営業(冬期をのぞく)

休業日:不定休

アクセス:東急東横線「代官山駅」北口徒歩4分、JRほか「恵比寿駅」西口徒歩8分

“ヱビス”なのに副原料使用!?ヱビスブルワリー醸造責任者が明かす新作ビールと新規開業「ヱビスブルワリートウキョウ」での挑戦とは

2024年は「ヱビスビール」に再び注目。4月3日に開業した「YEBISU BREWERY TOKYO(ヱビス ブルワリー トウキョウ)」の来場者数は、開業1か月を待たずに3万5000人を突破し、工場限定ビールのほか、ヱビスブランドの新ライン「CREATIVE BREW(クリエイティブブリュー)」にも新作が続々登場しています。

 

そこで、ブルワリーの醸造責任者兼、CREATIVE BREWの開発リーダーでもある有友亮太さんにインタビュー。各施策の特徴を解説するとともに、ヱビスブランドの戦略についてうかがいました。

↑有友亮太さん。YEBISU BREWERY TOKYO内の、“会える” MASTER BREWER’S ROOM(マスターブリュワーズルーム)にて。

 

まずは「ヱビスビール」の成り立ちをおさらい

「ヱビスビール」が誕生したのは1890(明治23)年。1887年に日本麦酒醸造会社(現、サッポロビール)が設立し、1889年に現在の恵比寿(住所は目黒区三田)に醸造場が完成。翌年2月に、ドイツ人醸造技師による本格的なドイツビールとして発売された「恵比寿ビール」がルーツです。

↑「恵比寿ビール」。1900(明治33)年のパリ万国博覧会では、30か国以上から出品されたビールのなかで金賞を獲得した。

 

やがて1901(明治34)年になると、大量のビールを出荷する専用の貨物駅「恵比寿停車場」が開設され、1906(明治39)年には恵比寿駅へと発展。その後1988(昭和63)年、工場は千葉へ移転することになり、跡地は1994年に現「恵比寿ガーデンプレイス」となりました。

 

そして移転から約35年の時を経て、恵比寿で再び醸造を開始することになったのが、新設された施設を備えたYEBISU BREWERY TOKYOです。

 

ここでしか飲めないビールが味わえる“ブルワリウム”

↑YEBISU BREWERY TOKYOがオープンしたのは、かつて「恵比寿ガーデンプレイス」内にあり、2022年に閉館した「ヱビスビール記念館」の跡地。

 

同館は入場無料。ゆとりのある天井高の空間に設計された開放的な施設となっており、ヱビスビールの歴史を展示したスペースや醸造設備を見学できるコーナーなど、見て回るだけでも楽しいコンテンツが充実しています。

↑歴史や過去の商品などが展示された「ミュージアムエリア」。隣には、ブランドのルーツを伝える写真や広告を展示した「ジャーニーラウンジ」も。

 

ビール好きなら、ブルワリー限定ビールを飲める「タップルーム」はぜひ立ち寄りたいところ。なかには期間や数量限定のヱビスビールもあり、訪れるたびに新鮮な出合いがあります。また、2024年5月15日からはガイド付きの有料ツアー「YEBISU the JOURNEY(ヱビス ザ ジャーニー)」もスタートし、いっそうにぎわうこと必至です。

↑写真左奥に見えるのが、リアルな醸造設備が配されたブルワリーエリア。右側はタップルームとなり、写ってはいないものの手前側にはギフトショップも。

 

ビールは、ここでしか飲めないヱビスビールが常時6種程度提供され、1杯1100円から。飲み比べるなら、4種セットの「ビアフライト」(1800円/各220ml)がオススメです。また、フィンガーフードを中心に数量限定のソーセージやスイーツといった一皿まで、軽食も400円からラインナップ。

↑「ビアフライト」。4種類のビールを少しずつ味わえるのが嬉しい。

 

ヱビスブランドから新ラインを立ち上げた狙いは?

一方、CREATIVE BREWは、2023年にヱビスの新ラインとして立ち上がったブランド。「つくろう、驚きを、何度でも。」を合言葉に、これまでのビールの概念にとらわれない新たなビールのおいしさや楽しさに挑戦していくヱビスです。

↑CREATIVE BREWは基本的に期間限定発売。左端がブランド第1弾の「ヱビス ニューオリジン」で、1890年のヱビスビール発売当時に使用されていたとされる、ドイツ産ホップ「テトナンガー」に着目していることが特徴のひとつ。

 

より具体的に、通常の「ヱビスビール」との違いを挙げるなら、自由な発想で醸造すること。例えば、「ヱビスビール」はドイツのビール純粋令にならって麦芽とホップと水(と酵母)を原材料に造りますが、CREATIVE BREWシリーズではときに副原料も使用。

↑CREATIVE BREWの第4弾は、2024年夏季新作の「ヱビス ジューシーエール」。フルーツを用いた高級菓子から着想を得て、ブランドで初めて果汁が使用されている。(参考小売価格258円/税抜)

 

こうして、個性が光る味わいを生み出しているわけですが、歴史も長いヱビスブランドから新ラインを立ち上げた狙いはどこにあるのでしょうか? 有友さんは「ヱビスだからこそお届けできる価値があると考えています」と話します。

↑有友さんは、2012年サッポロビール入社。北海道工場でビール醸造を担当後、酒類技術研究所で酵母の研究に取り組む。2017年にドイツへ留学し、Brewmaster(ブリューマスター)の資格を取得。帰国後は新商品開発や研究を行い、今春からはYEBISU BREWERY TOKYOの醸造責任者も兼任。

 

「ヱビスには130年以上の歴史がありますが、『日本でビールを作るんだ』という立ち上げ当初のベンチャーマインドあふれていたからこそ、成長し続けてこれたのかなと思います。例えば、日本初のビアホールだったり、当時日本では珍しかった黒ビールの発売だったり、挑戦の連続だったと思うんです」(有友さん)

 

そういえば、今年のリニューアルで掲げられたヱビスビールの合言葉は「ヱビスは何度でも完成する。」このメッセージにも挑戦心を感じます。

↑ヱビスの広告に登場している、ブランドアンバサダーの山田裕貴さん。YEBISU BREWERY TOKYO グランドオープン記念イベントにて。

 

「近年でも、プレミアムビールという市場提案など、ビールにおける新たな価値を発信してきた自負があります。そんな、ヱビスがもつ革新性を、伝統を踏まえたうえで知っていただけたら。ヱビスの歴史を現代に紡ぐ、創造的なブランドをつくれたら。そんな願いからCREATIVE BREWは生まれました」(有友さん)

↑「ヱビスビール」は1980年代のリブランディングで「Premium」の文字を缶にデザイン。また、「ヱビス、ちょっと贅沢なビール♪」のキャッチコピーで提案するなど、日本におけるプレミアムビールの先駆けでもある。

 

「クリエイティブブリュー」が目指すもの

CREATIVE BREWでは醸造における自由度が高くなりますが、そのなかにおいても「やらないこと」はあるのでしょうか。判断基準は「お客様にとって価値につながるか否か」。この考え方はYEBISU BREWERY TOKYOのビール造りにも共通しているとか。

 

「どれだけユニークでも、期待から外れたようなビールだったら裏切りになってしまいますよね。結果として、革新的な味だけど軽すぎるとか、個性が強すぎて飲み切れないとか、そういった味の印象につながる造り方はないかなと思っています」

↑YEBISU BREWERY TOKYOの期間限定ビールのひとつ「Foggy ale(フォギーエール)2024」。クラフトビールで昨今大人気のヘイジーIPAを彷彿とさせるトロピカルな香りながら、ほどよくクリアで苦味もマイルド。

 

「一方で、『テトナンガー』だったり、第2弾の『ヱビス オランジェ』で採用したホップの分割添加だったりと、古典的な製法を振り返るようなアイデアは、ビールの面白さの再発見につながると考えており、今後も積極的にトライしていきたいですね」(有友さん)

 

ときにアートや音楽、料理といったクリエイティブを新しいビールレシピのヒントにすると話す有友さん。また、四季で変わるビールの感じ方も意識しており、季節に合ったスタイルを提案したいとも。ということは、夏のビアスタイルとして有名な「セゾン」や、濃厚で高アルコールの冬向けスタイル「ボック」などが今後登場する可能性も?

↑マスターブリュワーズルームには、有友さんのブリューマスターディプロマ(資格証明書)のほか、お気に入りのアートなども飾ってある。

 

「十分ありうると思いますね。ただし名称を含め、ビアスタイルとは違った方向性で提案したいと考えています。あえて枠組みから離れることで、これからのビアスタイルになるような、多彩で独創的なビールをお届けできたらと思います」(有友さん)

 

有友さんが言うビアスタイルとはある種、枠組みとしてのクラフトビールとも近しい観点。つまり、CREATIVE BREWをクラフトビールとは表現はしないということ。

 

「130年以上の知見があるヱビスならではの、上質で豊かなおいしさで、ビール自体の価値を高めていきたいと考えています」(有友さん)

 

有友さん自身はクラフトビールのカルチャーやブルワーにリスペクトを抱きつつ、ヱビスとしてのクラフトマンシップを持ち、独自の個性あふれるビールを造りたいと話します。

↑ここには銅製の仕込み設備が鎮座。ドイツ製で、年間130キロリットルのビールを製造できるとか

 

「YEBISU BREWERY TOKYOは小規模な醸造設備ですし、やっていること、目指す先は同じかもしれません。いずれにせよ、日本のビールをもっと面白くしたい、シーンを盛り上げたいと思う志は変わりませんし、クラフトビールをはじめとする多様性あふれるお酒の浸透によって、お客様の嗜好性も広がっています。そのなかで、私たちはヱビスの可能性をさらに追求し、より魅力的なビールを提案できるよう、これからも挑戦していきます。ご期待ください!」(有友さん)

↑手にしているビールは、第3弾の「ヱビス シトラスブラン」。ホップとレモングラスによる、清涼感あふれる上質な味わいに仕上げられている。(参考小売価格258円/税抜)

 

YEBISU BREWERY TOKYOが開業したことで、より多くの声を商品開発に生かせるようになったと微笑む有友さん。限定ビールは今後も続々発売されるので、ブルワリーにもCREATIVE BREWにも、いっそう注目です。

 

「YEBISU BREWERY TOKYO」
住所:東京都渋谷区恵比寿4-20-1 恵比寿ガーデンプレイス内
営業時間:平日12:00~20:00、土日祝11:00~19:00
定休日:火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
https://www.sapporobeer.jp/yebisu/communication/yebisu-brewery-tokyo/

“生ホップ”の商品化で世界を驚かせた! 日本ビールの立役者“ホップ博士”が語るビールとホップと遠野の物語

キリンのクラフトビール「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」から、ブランド3本目の柱となる「SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>」が、10月24日に全国発売されました。特徴のひとつは、同社が品種開発した2種の日本産ホップ「MURAKAMI SEVEN(ムラカミセブン)」と「IBUKI(イブキ)」を一部使用していること。

 

GetNavi webは今回、この立役者となる重要人物にインタビューする機会に恵まれました。

↑「SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>」。希望小売価格は、350ml缶が242円、500ml缶が321円(ともに税抜)

 

長年、この2種をはじめとするホップの研究に心血を注ぎ、日本を代表するホップ博士として有名な、同社OBの村上敦司(むらかみあつし)さんです。第一線は退いたものの、村上さんはいまもキリンホールディングス飲料未来研究所の技術アドバイザーとしてホップ業界に携わり、週末はジャズ喫茶「BrewNote遠野」のマスターとして充実した日々を過ごしています。

↑村上敦司さん。手にしているのは、2000年に「ホップの品質改良と品種分化に関する育種学的基礎研究」で農学博士号を取得した際の論文

 

ビールにおけるホップの存在感が年々高まるなか、今回は「BrewNote遠野」を訪れ、村上さんにインタビュー。なぜ近年ホップが注目されているのか、村上さんの名を冠した「ムラカミセブン」や「イブキ」はどのように生まれたのか、日本におけるホップの歴史などについて伺いました。

 

ビールの多様化がホップへの熱狂を生み出した

村上さんは、岩手県紫波郡紫波町出身。岩手大学農学部農学研究科修了後、1988年にキリンビールに入社し、1996年までは植物開発研究所(当時)でホップの品質改良に従事。その後、酒類技術研究所に異動し、ホップに焦点を当てた商品開発にも携わるようになります。

↑2016年に行われた、第1回フレッシュホップフェスト発表会時のプロフィール

 

そんな村上さんにまず聞きたかったのは、なぜホップなのか? ということ。そもそも、ビールには麦も欠かせない主原料です。なぜビールに関しては、ホップがやたらとクローズアップされるのでしょうか?

 

「もちろん麦も大事です。でも、ホップは苦みや香りを大きく左右しますし、味の多様性に関しては麦以上に振り幅が大きいんですよ。そのうえホップは麦より種類が多く、新品種がどんどん生み出されています。種類が多ければ多いほど組み合わせも増え、未知なる味の可能性も広がりますよね。だからホップのほうが注目されやすいのだと思います」(村上さん)

↑ホップ。生の状態はデリケートなため、左上の毬花(まりばな)を乾燥、加工し右上のようなペレット状にするのが一般的な使い方です

 

期待されて入社したと思っていたのに空回り

では、村上さんはどのような経緯でキリンビールに入社したのでしょうか?

 

「のちに私の師匠にあたる方が、残り4年でキリンビールを定年退職することになっていたんですね。同時に後継者候補を探しているということで、私が通っていた岩手大学に声がかかり、その縁で採用してもらったのがきっかけです」(村上さん)

1995年、32歳のときの村上さん(右後方)。「江刺ホップ農協40年史」より

 

大学では植物育種学を専攻していた村上さん。「ホップはまだ誰もやったことがない領域もあるし、これは品種研究の余地があるぞ!」と、ワクワクしながら取り組み始めたものの、入社した1988年は、やっと海の向こうでブルックリン・ブルワリー(米国NYを代表するクラフトブルワリーで、ブームの火付け役に数えられる一社)が産声を上げた時期。

 

35年前の日本におけるホップは、風味付け以前に「苦味の付与に必要なもの」といった認識しかされていなかったそうです。加えて、ホップを取り巻く環境は受難の時代を迎えていました。村上さんは、その歴史を次のように話します。

 

「日本では昭和30(1955)年代から国産ホップが急激に普及していきました。一番の理由は為替ですね。輸入ホップが高額だったため、大手ビール各社が日本産ホップを作り始めたんです。加えて高度経済成長とともにビールの消費量も伸びて好循環だったんですけど、昭和40年代からは為替が変わり始めちゃって。さらに昭和50年代になると、むしろ国産が高価になって減反政策に転じていきました

 

期待されて入社したと思っていたんですが、実はそうでもなかったんです。輸入ホップのほうが安くて品質も変わらなければ、それに越したことはないですから。私も、より香り高くて生産者さんが収穫しやすいホップに、と品種改良を重ねたんですけど、海外からも良質な品種が続々出てくるんですよ。国際競争力ではなかなか勝機が見出せず、シビアでしたね」(村上さん)

↑1953年から1954年にかけて、キリンビールが伝統的な日本原産ホップ「信州早生」から品種改良して生み出したのが「キリン2号」。その後2015年に名称を変え「IBUKI」となりました

 

フレッシュホップがもたらしたパラダイムシフト

1996年には、研究対象を農作物(植物開発研究所)から醸造(酒類技術研究所)へと移した村上さん。転機となったのは1999年、実験で造った“生ホップ”のビールが放つ香りでした

 

「それはまさに、フレッシュなホップの芳醇な香り。生で使う手法は海外のビールマニアが自家栽培で試していたという噂は聞いていましたが、決して美味しいという話ではなかったと思います。また、ビール醸造の最高学府のひとつである、ドイツ・ミュンヘン工科大学の研究でもフレッシュホップビールのレポートがありましたが、美味しくないという結論だったようなんですね。でも、私が造ったビールは手前味噌ながら美味しくて、香りの善し悪しは品種によるんだなと実感しました」(村上さん)

 

一方、社内では「ホップ臭が強すぎるのでは?」「いや、このホップ香は魅力だ!」と賛否両論。それでも「村上が面白いビールを造ったらしい」という噂は賛同者を増やすことに。そして、当社は難しいと思われていた大量生産のハードルも、仲間の協力でどんどん下がっていったとか。

 

「たとえば、原料調達部がホップ収穫用の巨大なカゴを一生懸命探してくれたり、ホップを凍結粉砕してくれるパートナーを見つけてきてくれたり。工場のメンバーもやる気満々でしたね。特に通常のホップ添加は機械で行うのですが、生のホップは水分が多いので、手作業で巨大な煮沸釜の麦汁に投入しなきゃならないんです。そこは手作業の経験が豊富なベテラン勢が『任せろ!』と中心になって、好意的に取り組んでくれました。とにかく関係者が一丸になって、商品化を阻む課題を一つひとつクリアしてくれて。そうして2002年に発売されたのが『キリン 毱花一番搾り』です」(村上さん)

↑「一番搾り とれたてホップ生ビール」の前身にあたる「キリン 毱花一番搾り」

 

「キリン 毱花一番搾り」のときから、フレッシュホップには遠野産が用いられています。その理由は設備的な環境にあります。東北では秋田の横手などもホップの一大産地ですが、一か所に集めて処理できる大型施設があるのは遠野だけ。フレッシュホップは鮮度が命なだけに、収穫や配送の拠点が点在していては非効率なため、遠野が最も適していたのです。

↑大量のホップを扱うことができる、遠野市農協ホップ加工処理センター

 

収穫時の鮮烈な香りを閉じ込めた「キリン 毱花一番搾り」は大ヒット。2004年からは「一番搾り とれたてホップ生ビール」と名称を変えて、毎年期間限定発売されるように。同時に、この成功事例は社内外に日本産ホップの可能性を知らしめていくきっかけとなりました

 

「たとえば、麦芽をたっぷり使った『キリン秋味』とはまた違う価値ですよね。しかも、それまで主役になることがなかった日本産ホップの、さらには生という新奇性。なおかつ遠野という地域性を前面に出すという。いまでは珍しくありませんが、ホップで稀少性とテロワールをうたう、新しい価値の打ち出し方だったんです。また、生のホップを使う手法は海外でも面白がってもらえました」(村上さん)

 

フレッシュホップを使ったビールが商品化された噂は、やがて海外に伝播。あるとき村上さんは、ドイツの醸造家から「少量のホームブリューイングならまだしも、大量に造って販売するなんて、キリンはクレイジーだね!」と言われたとか。

 

「キリンのなかでも『とれたてホップ』の取り組みがひとつの転換点になったと思いますし、ホップ研究が見直されたきっかけともいえるでしょう。そのあと日本でも少しずつクラフトビールが浸透していって、ホップの重要性も徐々に知られるようになりましたよね。一方で、アメリカをはじめとする海外ではホップ栽培がどんどん盛んになって、品種の数も増えていきました。いまや世界に300種以上もありますから」(村上さん)

 

博士の秘蔵っ子「ムラカミセブン」のデビュー秘話

村上さんが「とれたてホップ」の可能性に気付いてから「キリン 毱花一番搾り」が誕生するまでの間には、もうひとつ大きなティッピングポイントがありました。それが2000年、農学博士号を取得した論文「ホップの品質改良と品種分化に関する育種学的基礎研究」です。そしてこの研究成果が、のちの「ムラカミセブン」誕生へとつながっていくことになるのです。

↑「ホップの品質改良と品種分化に関する育種学的基礎研究」の、最重要ページ

 

「1991年から基礎研究の材料として交配させ、保存していた品種があったんですけど、2000年ごろになると、ホップを管理していた方が高齢のため引退すると。危うく廃棄寸前だったんですけど、ならばと約900あった個体から20種類だけ選別しました。学術的におかしくならないようランダムに抜き取って、それを遠野の隣町にある、キリンが管轄する岩手ホップ管理センターの裏庭に移し替えてね。そしたら、1本目の畝(うね)の7番目にすごく個性的な子がいたんです!」(村上さん)

 

村上さんがその個体を見つけたのは2006年のこと。放つ香りはいちじくやみかんのような、和のニュアンスを漂わせる印象的な果実感。ただ、日本産ホップの生産者が年々減ってくなか、新品種を積極的に開発することは難しいと思い、商品化までは考えていませんでした。

↑「ムラカミセブン」の毬花

 

しかし、2011年に起きた東日本大震災を期に、村上さんが考えた故郷への恩返しが、「とれたてホップ」に続く新品種の商品化でした。当時、醸造研究所の副所長であり、現在はマスターブリュワーとして活躍する田山智広さんに相談したところ「ぜひやろう!」と即決。増産が始まりました。

↑田山智広さん

 

「ムラカミセブン」の「ムラカミ」は、村上さんの苗字から。「セブン」は7番目の個体だったことから、スプリングバレーブルワリー初代社長の和田 徹さんが命名しました。村上さんは「恥ずかしいから別の名前にしません?」と言ったそうですが、「みんなリスペクトしてるんだからさ」となだめられてしぶしぶ納得したそうです。ホップの株はすぐに増えないため約5年の歳月がかかりましたが、2016年に実を結び「MURAKAMI SEVEN Fresh Hop 2016」としてデビューとなりました。

↑「MURAKAMI SEVEN Fresh Hop 2016」。第1回フレッシュホップフェストの店舗限定で提供されました

 

独自の香りが魅力の「ムラカミセブン」ですが、優位性はほかにもあります。それは、少しでも生産者さんの負担を減らしたいという想いから村上さんが研究を重ねていた、収穫のしやすさ。「蔓下げ(つるさげ)」の必要がなく、省労力で単位面積当たりの収穫量が多いという利点があり、日本産ホップのスター品種としても期待されています。

↑2019年には「MURAKAMI SEVEN IPA」が製品化。現在は生産終了していますが、このDNAは「SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>」をはじめ多くの銘柄に受け継がれていくでしょう

 

ホップ、ステップ、スウィンギング!

キリン時代は勤務地だった横浜に長年住んでいた村上さんでしたが、定年退職を機に地元の岩手へ戻りジャズ喫茶を開業。学生時代はジャズ系のサークルではなく岩手大学合唱団で活躍していたそうですが、音楽はジャズに傾倒。じつは、岩手県は知る人ぞ知るジャズ喫茶の聖地。一関の「ベイシー」を知らないジャズファンはいないでしょう。

 

「『ベイシー』はいまちょっとお休み中ですけど、最初に行ったときの感動は忘れられません。やっぱり憧れですね。私自身も若いころからジャズのレコードやCDを少しずつ集めていって、気が付いたら数千枚の量になっていました。アンプやスピーカーも、元々持っていたサウンドシステムをこの店に設置しましたから、自分の部屋が引っ越してきたような感じです」(村上さん)

↑ジャズのなかでも好きなジャンルはビッグバンド。特にカウント・ベイシー・オーケストラがお気に入り

 

昔から、「たくさんのレコードや貴重な機材は、浪費じゃなく投資だから」と周囲によく言っていたと村上さんは振り返ります。

 

「でもこの前後輩から『村上さんはいつかジャズが流れるお店をやりたいって話してましたもんね』って言われました。『ああそうだったっけ? じゃあ夢が叶ったんだなぁ』としみじみ思いましたね」(村上さん)

↑「BrewNote遠野」では、もちろんビールも提供。写真は遠野におけるホップ栽培60周年を記念した限定銘柄、遠野麦酒ZUMONAの「IBUKI HOP IPA」800円

 

ホップ研究者として名を残し、ジャズ喫茶のマスターとしての夢を叶えた村上さんですが、まだまだやりたいことは尽きないと笑います。そのひとつが、ホップの名産地である遠野をいっそう盛り上げていくこと。

 

キリンは2015年から「ホップの里からビールの里へ」をスローガンとした遠野活性化の取り組みをスタートしましたが、村上さんはこの活動に協力しています。また、遠野ではさらなるホップの新品種が誕生しており、その開発にももちろん携わっています。地元のブルワリーでは試験醸造も始まっており、商品化もそう遠い話ではないでしょう。

 

遠野は有名観光地や郷土料理が多彩で旅行も楽しく、ふるさと納税の返礼品もビールを筆頭に充実しています。村上マスターに会いに行くもよし。ぜひ今度、訪れてみませんか?

↑「BrewNote遠野」は2020年6月に開業。文化施設「とおの物語の館」の敷地の一角にあり、蔵を改築した風情ある空間となっています

 

【SHOP DATA】

BREW NOTE 遠野

住所:岩手県遠野市中央通り2-11
営業時間:11:00~18:00
休業日:月~金曜
アクセス:JR「遠野駅」徒歩6分

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

ビールにおける“ホップ”の重要性は増しているのに…生産量半減の危機に瀕する国産ホップの今と解決への道筋は?

2023年10月に施行された酒税法改正からの値下げで盛り上がるビールの市場。そのビールの味を左右する原材料のひとつが、ホップです。ただ、このホップについてはよく知らない人も多いでしょう。そこで、今回はホップの種類や生産方法、日本の主な産地、国内ビールメーカー各社の取り組み、最新トレンドなどを解説していきます。

↑ホップはアサ科カラハナソウ属の多年草で、ハーブの一種。殺菌効果があるため、日本ではのど飴などにも活用されています。また、ユニークな例では今秋マクドナルドが限定発売した「N.Y.バーガーズ」のバンズにも

 

香りや苦みを生み、腐敗から守るハーブがホップ

ホップの原産地は西アジアだとされますが、ヨーロッパに伝来したのは8世紀半ば。ただ、この時点では栽培だけだったようで、ビールに使用したという正確な記録は残っていません。

↑毬花と、それをむいた根本。黄色い粒状の樹脂が、ビールの苦味や香りの元になる成分を含む「ルプリン」です

 

ビールの誕生は紀元前数千年までさかのぼるといわれ、ホップの登場前からビールには、「グルート」と呼ばれる調合したハーブが香り付けに使われていました。ホップを使ったビールの記録として有名なのは、12世紀初頭の修道院における書物。少なくともこの時代には、ホップがビールに使われるようになっていたといえるでしょう。

↑より有名な文献が、1516年にドイツで制定された『ビール純粋令』。「ビールは、麦芽、ホップ、水、酵母のみを原料とする」という法律で、日本でこの純粋令に則った代表的な銘柄がヱビスビールです

ホップを使う理由は、果実や香草を思わせる芳香や爽快な苦みをまとわせるため。また、泡立ちを良くしたり、菌の繁殖を抑える防腐剤としても重宝されます。

 

後者の“腐敗を防ぐ”目的に起因して生まれた有名なビアスタイルが、苦みの強い「IPA(インディア・ペールエール)」。18世紀にイギリスからインドまでペールエールを運ぶ際、腐らないようホップを大量に使って仕込んだことから生まれたとか。

↑イギリスで生まれた進化型IPAの代表格が、ブリュードッグ「パンクIPA」。日本で紹介された当初は、一般的なIPAで使うホップの40倍以上の量を使うことが謳い文句でした

 

代表的なホップ品種や日本の取り組みを解説

個性的な香りや苦みを放つIPAは、やがてアメリカで大ブレイク。これが近年のクラフトビールムーブメントのきっかけになり、アメリカを中心に世界中でホップの品種開発も盛んになります。

↑米国NY発のカリスマ、ブルックリンブルワリーのIPAといえば「ブルックリンディフェンダーIPA」。ホップには「Cascade(カスケード)」や「Simcoe(シムコー)」「Amarillo(アマリロ)」などが使われています

そのため、クラフトビール界におけるスターホップもアメリカ産が多め。特に有名なのは、「3C」と呼ばれる「Cascade」「Centennial(センテニアル)」「Columbus(コロンブス)」(あるいは「Chinook・チヌーク)」と頭文字に「C」が付く3品種。グレープフルーツを思わせる柑橘系のアロマとビターな刺激が特徴です。

 

一方で、日本におけるホップ生産は後継者不足などによって栽培面積や収穫量が減少しています(2008年→2022年の14年間でおよそ半数以下に)。ただ、ビールメーカーのCSV活動や、近年のクラフトビール人気にともない、造り手が地元産にこだわった「テロワール型ホップ」(筆者による造語)の需要増によって巻き返しがはかられている側面も。

↑キリンビールは2007年から、ホップ名産地である岩手県遠野市を支援。生産者をはじめ、国産ホップを盛り上げる取り組みに力を入れています。加えて、遠野産ホップを使った「一番搾り とれたてホップ生ビール」は2004年から毎年期間限定で販売

また、近年はフレッシュホップ(乾燥させ固めたペレットホップではなく、毬花<きゅうか・まりばな>を生もしくは冷凍させたホップ)を使ったビール造りが年々盛んになっているうえ、「フレッシュホップフェスト」という祭典も開催されています。

↑「フレッシュホップフェスト 2019」のキックオフイベントにて。ホップは8月末~9月が収穫期となるため、イベントはそこから仕込みなどを経て例年秋に開催されます

同イベントは2023年から「クラフトビール ジャパンホップフェスト」に改称され、メインイベントは代官山の「スプリングバレーブルワリー東京」で10月21日、22日に開催されます。

↑「クラフトビール ジャパンホップフェスト 2023」は9月1日~11月30日で開催しており、イベントは代官山で開催(写真は提供されるビールと料理の一例)

 

世界に存在するホップは300品種超

なお、世界中のホップ品種は300を超えるといわれており、日本原産のホップも存在します。伝統的な品種には「信州早生(しんしゅうわせ)」や「かいこがね(甲斐黄金)」があり、遠野では「信州早生」から派生した2種を組み合わせた「IBUKI」や、キリンビールOBのホップ博士・村上敦司さんが育種した「MURAKAMI SEVEN」が多く作られています。そして、世界的にも有名で個性的な日本原産ホップといえば「ソラチエース」。

↑前述のブルックリンブルワリーが惚れ込み商品化した「ブルックリンソラチエース」と、「ソラチエース」の生みの親である、サッポロビールの「SORACHI 1984」

 

日本産ホップに共通する香りの特性は、上品でどこかオリエンタルなニュアンスをもっていること。米国産を代表するホップのような派手さは控えつつも、いぶし銀的な香りを放ち、例えば「MURAKAMI SEVEN」には温州みかんのように和やかな柑橘香が、「ソラチエース」には、ひのきやレモングラスを思わせる個性があります。

 

トレンドは「日本産」や「フレッシュホップ」だが……

ビール大手メーカーでは前述したキリンビールとサッポロビールのほか、アサヒビール、サントリー、オリオンビールもホップ生産や支援を行っており、規模の大小はあるものの北海道から沖縄まで栽培自体は行われています。ホップ栽培は雨の少ない冷涼な気候が適しているといわれますが、沖縄での初収穫は2022年のことであり、多方面での可能性が期待されているといえるでしょう。

 

また、東京では武蔵野市や三鷹市、神奈川では横浜、川崎、湘南など首都圏の都市部でも、小規模ながらホップ栽培は拡大中。これらは主に、マイクロクラフトブルワリーの「テロワール型ホップ」にかける情熱から取り組まれているものですが、ホップは身近な存在になってきているのです。

↑ビアジャーナリスト協会代表であり、現在は京都府与謝野町に移住しホップ栽培にも尽力する藤原ヒロユキさん。西日本でテロワール型ホップ文化を牽引するひとりです

 

日本におけるクラフトブルワリーは年々増えており、その数はこの10年で約3.5倍の700か所以上に。付随してホップ栽培の熱も高まっており、「クラフトビール ジャパンホップフェスト」のイベントにおいても、参加ブルワリーは初回(2015年に開催された「第0回フレッシュホップフェスト」)の12ブルワリーから、2023年は20ブルワリーに増えています。

↑「クラフトビール ジャパンホップフェスト 2023」の代官山会場で提供されるビール一例。ブルワリーもビアスタイルも様々です

 

このように、ホップの主要なトレンドは「日本産」や「フレッシュホップ」であるといえるでしょう。とはいえ、まだまだ国産ホップの未来が明るいとは言い切れません。飲み手である私たちができることのひとつは、日本のホップを知って愛してビールを飲んだり、生産者を応援したりすることだと思います。

↑こちらは2022年版の「一番搾り とれたてホップ生ビール」。2023年版は11月7日から期間限定発売されます

 

何はともあれ、フレッシュホップを使ったビールはいまが旬! 缶ビール以外にも、瓶やクラフトビアバーにおける樽生で味わえる場合もあるので、ぜひこの機会にチェックしてみてください。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

 

「J-CRAFT HOPPING」限定醸造のセッションIPA新発売!白ぶどうのような香りが特徴

三菱食品は、華やかなホップの香りと苦味のバランスが魅力のIPAスタイルを専門に展開する「J-CRAFT HOPPINGシリーズ」より、限定醸造として「J-CRAFT HOPPING セッションIPA」を10月17日(火)から全国発売します。

希少ホップ“ネルソンソーヴィン”を使用した軽やかなビール!

「J-CRAFT HOPPING」は、コーディネーターの田嶋伸浩氏と、ソムリエと利き酒師の資格を持つ三菱食品社員がデザインしプロデュースした、個性的なビールを創るブランドです。クラフトビールのおいしさをもっと身近にしたいと、味のイノベーションが盛んに行われているIPAに注目。ホップの香りを重視し、口から鼻に抜ける、“鼻ごし”の心地よい香りを表現しました。

 

10月17日(火)に発売する「セッションIPA」は、ニュージーランド生まれの希少ホップ、ネルソンソーヴィンを使用し、アルコール度数4.5%に仕上げた軽やかでドリンカブルな限定醸造のIPAです。HOPPINGらしく個性がありながらも、フルーティで飲み続けられる味が魅力です。

 

■IPAスタイル
India Pale Aleの略。18世紀末、インドがイギリスの植民地だったころ、インドにペールエールを送るためにつくられたレシピ。海上輸送中に傷まないよう、防腐剤でもあるホップを大量に投入したため香りと苦みが非常に強いですが、その味と香りが評判になり確立されたスタイルです。現在はさらに進化中。

 

■セッションIPA 
爽やかな香りのホップを使用しアルコール度数を抑えて飲みやすくしたIPAとして近年、セッションIPAがアメリカで着目されています。“drinking session=飲み会”から名付けられたビアスタイルで、飲み会中、飲み飽きることなくずっと飲んでいられるビールが由来とされています。

 

■メーカー:三菱食品
■商品名 :「J-CRAFT HOPPING セッションIPA」
■希望小売価格 :330円(税抜)

希少な日本産ホップ「MURAKAMI SEVEN」「IBUKI」を一部使用! キリン「SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>」

キリンビールは、クラフトビールブランドである「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」から、「SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>」缶商品(350ml缶、500ml缶)を10月24日より新発売します。価格は350ml缶が242円(税別)、500ml缶が321円(税別)です。

 

同商品は、先行する2品(SPRING VALLEY 豊潤<496>、SPRING VALLEY シルクエール<白>)とは異なる味わいで、爽やかな柑橘のような香りが特徴。

 

海外産ホップに加え、同社が品種開発した2種の日本産ホップ「MURAKAMI SEVEN(ムラカミセブン)」と「IBUKI(イブキ)」を一部使用。華やかな香りが感じられる海外ホップと、いちじくやみかん、マスカットのようなユニークで爽やかな香りの日本産ホップを組み合わせ、双方の良いところを引き出し調和させることで、心地よい上質な苦みとすっきりとした後味が楽しめます。

 

パッケージは、香り高さと品質感が感じられる青緑とゴールドカラーを基調にしています。缶側面や裏面には、味覚特長やクラフトビールならではの楽しみ方のワンポイントアドバイスを記載しています。

 

缶商品のほか、「Tap Marche(タップ・マルシェ)」では3Lペットボトルを10月2日から受注開始。会員制生ビールサービス「ホームタップ」では1Lペットボトル10月5日から、「スプリングバレーブルワリー」直営店は15L樽を10月2日から、キリンオンラインショップ「DRINX」では330mlびんを10月26日から、それぞれ販売を開始します。

暑気払いにはやっぱりビール! ビールラバーが厳選した今夏飲むべき My Best Beer

夏本番を迎え、暑気払いにはやっぱりビールが最適だろう。と言うわけで、そんなシーンをテーマに、大のビール好き5人がオススメを紹介!

※こちらは「GetNavi」 2023年9月号に掲載された記事を再編集したものです。
※本特集で紹介しているビールは、数に限りがあるため販売を終了している場合があります

 

【私が選びました】「GetNavi」編集部・鈴木翔子の4本

「GetNavi」フード担当・鈴木翔子
編集者兼バーテンダー。カレーとビールのセットが好き。黒ビールファンだが、夏は酸味のあるビールを欲する。

①Lambiek Fabriek
Organic Geuze Natur-Elle
3800円

■グーズ/Alc 6.2%

サワービールのルーツと言える、野生酵母ビール「ランビック」を手掛けるベルギーの気鋭のブルワリーによる一本。柑橘や干し草のような香りと酸味に、オークの温かみが調和している。

●一度飲むとクセになる個性派
「『ランビック』の新旧を混ぜて造る『グーズ』は、未知のビールに出会いたい人に薦めたいビアスタイル。なかでも本品は、土っぽい香りときれいな酸味、繊細な泡がクセになるおいしさです!」(鈴木)

 

②BLACK TIDE BREWING
Musubi Maru
3168円(4本)

■IPA/Alc 6.5%

気仙沼の名を世界に轟かせたブルワリーが、仙台・宮城の観光PRキャラクター「むすび丸」とコラボ。かわいいルックスとは裏腹に、個性派ホップのクライオをふんだんに使用したジューシーなIPAに仕上げている。

●夏夜の始まりはコレで乾杯
「強い苦味とトロピカル感のバランスが絶妙で、夏の宵の口に飲みたくなる味。チビチビ飲んで温度による味変を楽しむのもアリ。個人的には甘さがほのかに顔を出す少しぬるめも好き」(鈴木)

 

③キリンビール
スプリングバレー ジャズベリー
460円

■フルーツビール/Alc 5%

麦芽とともにラズベリー果汁を発酵させたフルーツビール。ワイン酵母がフルーティさとともに複雑味を生んでいる。パッションフルーツのような爽やかな香りが特徴のギャラクシーホップを使用。

●華やかな味わいの本格フルーツビール
「シャンパンのような華やかさが魅力。ほど良い甘味と酸味にホップが効いていて、ジュースのような甘いフルーツビールが苦手な人にもオススメ。酸味の強いチーズやローストビーフにマッチ」(鈴木)

 

④ベアードブルーイング
スルガベイ インペリアルIPA
実売価格450円

■インペリアルIPA/Alc 8.5%

2000年創業の同ブルワリーは、米国出身のベアード氏が日本でいち早く母国流のクラフトビールを発信したカリスマ。本品の弾けるようなホップの苦味は、駿河湾の夜空を彩る花火大会をイメージしている。

●どっしり構えた重さが心地良い
「苦味とコクが強い重めの味わいながらも、ほのかな甘さが残り、硬派ながら懐の深さを感じる味。度数が高いので、余韻を噛み締めゆっくり飲むのがベスト。つまみは焼きそばやイカ焼きが◎」(鈴木)

 

【私が選びました】「ビール女子」編集長・吉原咲子の3本

ウェブメディア「ビール女子」編集長・吉原咲子さん
記事の企画・編集やイベント運営を担当。20歳のときにベルギービール店で働きビールに魅了され、いまに至る。

①ISLAND BREWERY
ゆず麹エール
800円

■フルーツビール/Alc 5%

ブルワリーがある長崎県壱岐の名産のひとつ、柚子の果汁やピールを使った爽やかな一本。世界が認めた壱岐焼酎の製造に使われる白麹由来のクエン酸で、バランスを調えている。

●穏やかな柑橘香でリラックス
「同ブルワリーは、“魚に合うビールを”をコンセプトに2021年に生まれた醸造所。柚子は冬の果物ですが、オレンジのビビッドな香りとは異なるほっこり穏やかな柑橘香が、夏にも癒しをくれます」(吉原)

 

②KUNITACHI BREWERY
夏のあわい take3
900円

■サワーエール/Alc 5%

レッドプラムを副原料に用い、梅やベリー系果実のような甘酸っぱさを表現したサワーエール。フルーティーなアメリカ産ホップで果実味を底上げし、プラムのタンニンと強めの酸味が味を引き締めている。

●魅惑の色と甘酸っぱさにうっとり
「梅のような酸味と、ベリー系の甘味がかくれんぼしていて、酸味が恋しくなる夏にピッタリ。ルビー色の液色にうっとりしながら、複雑に絡み合う甘酸っぱさをぜひ堪能してみてください!」(吉原)

 

③Be Easy Brewing
Mantsukoi
650円

■モダンケルシュ/Alc 5%

青森県に移住した米国人ブルワーが、ドイツのビアスタイル「ケルシュ」を現代的に昇華。ニュージーランド産ホップでレモン、ライム、パイナップルのような華やかな香りを生かし、津軽弁でいう「まんつこい(=まぶしい)」味を表現した。

●夏疲れした身体を癒してくれる
「容赦なく降り注ぐ夏の太陽に身体が疲れてしまったときにオススメの一本。華やかな香りと、ドイツ生まれのビアスタイル『ケルシュ』ならではのスッキリした味わいで、癒し効果抜群です」(吉原)

 

【私が選びました】フードツーリズムマイスター・今西絢美の3本

フードツーリズムマイスター・今西絢美さん
フードツーリズムマイスターの資格を持つライター。ブルワリーからワイナリーまで幅広くチェックしている。

①ブルックリン・ブルワリー
ブルックリンサマーエール
実売価格385円

ペールエール/Alc 5%

NYを拠点に世界中で人気を博すブルワリーの、夏季限定ビール。ビーチやBBQなどでの飲用をイメージしたペールエールで、明るく華やかな香りとスッキリとした後味が猛暑も吹き飛ばしてくれる。

●夏の到来を告げる爽やかさ
「夏らしい爽やかさが特徴で、酸のある柑橘系の香りが際立つ逸品。飲み心地が強く、シーフードや肉・野菜のグリルと好相性。これを飲むと『今年も夏が来た!』という気持ちになります!」(今西)

 

②カーブドッチブルーイング
Croix La Mer
2420円

■サワーエール/Alc 6%

新潟県を代表するワイナリーが新たに手掛けたクラフトビールの一本。「Croix」はフランス語で海を意味し、あえて果物は使わずにフルーティな香味や酸味を醸し出している。ワイングラスで嗜むのがオススメ。

●苦味が控えめでビールビギナーに◎
「ワインのような酸と果実味が爽やかで、夏にピッタリ。炭酸は控えめで後味に少し苦味を感じる程度なので、普段ビールを飲まない人にもオススメです。酸味のある料理や甘いお菓子とマッチ!」(今西)

 

③ヤッホーブルーイング
インドの青鬼
323円

IPA/Alc 7%

長野県発、国内クラフトビールのビッグネームによるIPAの代表作。ホップのガツンとした苦味とグレープフルーツのような柑橘香が特徴で、濃い味付けのメニューや肉料理、スパイシーな一皿によく合う。

●夏の太陽によく合うフルーティな香り
「ホップの青々しい香りや苦味がしっかり感じられる人気のビアスタイルの一本。グレープフルーツのような香りが、夏の太陽によく合います。スパイシーな中華料理との相性がバッチリ!」(今西)

 

【私が選びました】フードライター・中山秀明の3本

フードライター・中山秀明さん
フード全般のトレンドに詳しく、お酒はクラフトビールが大好き。飲み比べや食べ合わせの取材経験も豊富だ。

①奈良醸造
COCO
実売価格726円

■ココナッツポーター/Alc 3.5%

伝統的な黒ビール系ビアスタイルの「ポーター」に、甘くまろやかなココナッツのニュアンスをプラス。缶内に窒素ガスが充填されており、ふわもこの泡によるクリーミーな口当たりと豊かな甘味を存分に楽しめる。

●低アル軽快でもコク深で夏に旨い黒
「ロースト麦芽ならではのチョコのような甘香ばしさに、乳糖やココナッツのミルキーさがナイス。南国調と低アルで軽やかな飲み口は、夏に最適。シルキーな泡は、ギネスビール好きなら垂涎!」(中山)

 

②リオブルーイング
トーキョーベイコースト セゾン
670円

■セゾン/Alc 6%

ベルギービールの名誉騎士に認定された福岡県出身の奇才が、ベルギーの伝統に革新的な手法を掛け合わせて醸造。直輸入のベルギー産麦芽と酵母のフルーティさやスパイシーさを感じる華やかな一本。

●ヘイジー好きにもオススメのセゾン
「夏の農作業時の飲用目的で生まれたベルギービールがセゾン。この伝統的なビアスタイルが、ジューシーに。爽やかな酸やコリアンダーのスパイス感もゴキゲンで、ヘイジーIPA好きにも◎」(中山)

 

③VERTERE
Passiflora
950円

■ヘイジー・IPA/Alc 7%

豊かな自然と水に恵まれた奥多摩に醸造所を構える、東京屈指の人気ブルワリーのヘイジーIPA。南国を思わせる甘く陽気なアロマとフレーバーに、やわらかな舌触りとほど良い苦味が響き合う。

●味はもちろんデザインも素晴らしい!
「香りは温かみのある柑橘や、パッションフルーツのような完熟果実。そこに、ハーバル感をまとったグラッシーな苦味が交わり絶品!! バテレはロゴやデザインもオシャレで、グッズもオススメ」(中山)

 

【私が選びました】GetNavi web副編集長・和田史子の3本

GetNavi web副編集長・和田史子
2023年よりお酒担当。目下の夢は、スコットランドのブリュードッグ直営ホテルで部屋のタップからビールを飲むこと。

Beer the First
Loop Marunouchi
743円

■アンバーエール/Alc 5%

東京都・丸の内エリアの災害備蓄菓子を活用し、香ばしさが特徴のアンバーエールに仕上げている。モルトの甘味と心地良いビター感、華やかなホップの風味が特徴だ。

●ホップの存在感が強く満足感抜群
「“丸の内の災害備蓄品をアップサイクルした”というストーリーがいまっぽい商品。ホップの香りも苦味も強めで、満足感たっぷり! そこへ焼き菓子の香ばしさと甘味が個性を与えています」(和田)

 

②ブリュードック
HAZY JANE
429円

■ニューイングランドIPA/Alc 5%

スコットランドを代表するブルワリーが造るニューイングランドIPA。苦味を抑えることでホップの華やかさを凝縮し、飲み口はスムース。パイナップルやマンゴーなど南国の果実のようなアロマが華やかだ。

●見て飲んで幸せになれる一本
「無濾過による濁りのある液色と、マンゴーや桃を思わせるフルーティな香り、苦味を抑えた軽やかな味わいが絶妙。通年で自宅にストックしていて、330㎖と少なめなのも個人的にちょうど良い」(和田)

 

③キリンビール
キリン スプリングバレー サマークラフトエール<香>
実売価格273円

■セッションエール/Alc 4.5%

アルコール度数の低い上面発酵ビールのことを指すビアスタイル、「セッションエール」を採用。オーストラリア産の希少なギャラクシーホップを使用し、南国のフルーツのような華やかな香りと心地良い苦味を楽しめる。期間限定販売。

●真夏にふさわしい香りと苦味
「ワインのような芳しい香りとバランスの良い苦味で、スッキリ飲みたい夏に◎。希少ホップを大量に使っているため、現時点では通年供給できないそうですが、その希少性にもそそられます!」(和田)

 

国産ホップ・アジアンブルワリー ・SDGs……クラフトビールの最前線を5つのトレンドでチェック!

サステナブルな取り組みが活性化されたり、グローバル化の波が一層大きくなったり。クラフトビールシーンの最前線で起きている、代表的な5つのトピックを紹介する。

※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【Wave 01】国産ホップがアツい!

“ビールの魂”とも言われるホップは、生産者の減少などで日本産は危機的状況だったが、クラフトビールを愛する人々の力によって近年新たな息吹が! 有名銘柄を中心に紹介しよう。

 

世界を驚かせた日本生まれのホップの凛とした香りが力強く広がる

サッポロビール
サッポロ SORACHI 1984
実売価格272円

■北海道空知郡上富良野町産(※1)

同社が開発し、世界を驚かせたホップ「ソラチエース」100%で造ったビール。その一部に日本産ホップを使っている。ドライホッピング製法で引き出したヒノキやレモングラスを思わせる凛とした香りと、ふくよかに広がる味わいの余韻を楽しめる。

※1:一部に使用

 

国産ホップの繊細な面を生かし苦味を抑えたやさしいビール

サッポロビール
サッポロ ココロクラフト流れ星 ゴールデンエール
実売価格279円

■北海道空知郡上富良野町産

“夜空を眺めながら、一息つきたい”そんなココロに寄り添うビールブランドの第1弾商品。国産ホップ「ふらのほのか」の爽やかな香りと、苦味を抑えた軽やかな味が特徴だ。セブン&アイホールディングス限定で販売中。

 

上品で穏やかな香りが豊潤なおいしさをより昇華

キリンビール
キリン スプリングバレー 豊潤<496>
実売価格273円

■岩手県遠野市産(※2)

同社の叡智を結集した「スプリングバレー」ブランドの代表銘柄。ホップを5種類使用しており、そのうちのひとつが日本産の「IBUKI」だ。上品かつ穏やかな香りが特徴で、好バランスな味わいに寄与している。

※2:「IBUKI」のみ

 

関西が誇るホップ産地発の清々しい香りの一本

ASOBI BEER
ASOBI
2610円(6本)〜

■京都府与謝野町産

関西屈指のホップの産地・京都府与謝野のホップ活用と、天橋立の環境課題解決を目指し、2020年に設立されたブルワリーの第1弾銘柄。オレンジや若草を彷彿とさせる清々しい香りと、苦味に調和する麦芽の豊かな甘味を味わえる。

 

【Wave 02】アジアンブルワリーが続々上陸!

韓国や台湾をはじめアジアのカルチャートレンドは、音楽やドラマ、料理だけでなくクラフトビールにまで! 台風のごとく次々と上陸するなかで、熱狂の渦を生んでいる実力派をピックアップ。

 

【香港】多彩なビアスタイルをウリに日本に上陸し飲食店もオープン

carbon brews
カーボンブリューズ

2021年に日本上陸。ビールらしい味わいの定番からマニアックなビアスタイルまで多彩な銘柄が揃い、2022年には世界第1号店となるタップルーム「carbon brews tokyo」を東京都赤坂にオープンした。

↑専門店には、点心の一種「腸粉」やロースト肉「焼味」など、香港料理がズラリ

 

【韓国】研究開発所から生み出されるクリエイティブな味がモットー

KABREW
カブリュー

2000年の設立以来、韓国のクラフトビールシーンを牽引してきた実力派。研究開発所を併設し、進化を重ねるクリエイティブなビール造りが身上だ。2022年の冬に日本に上陸し、一部スーパーマーケットで発売中。

 

【シンガポール】新星ながら国際的な評価も高いシンガポール屈指のブルワリー

BREWLANDER
ブリューランダー

2017年の創業後、2019年にアジアのビールアワードで金賞に輝き、いまやシンガポールを代表するブルワリーに。2023年から日本での販売を開始。良質な原材料によるクリアな味が魅力だ。

 

【台湾】台湾と世界の食文化を融合させ独創的なビールを醸し出す

TAIHU BREWING
タイフーブリューイング

台湾の食文化をベースに海外の素材を調和させ、既成概念を打ち破るビール造りがテーマ。サングリアを手本にしたり日本の梅酒や桜を使ったり、氷割りを推奨する銘柄もあるなど自由な発想が光る。

↑2020年には東京都神楽坂に飲食店「Taihu Tokyo」を開業。ルーローほうれん草やカキの豆鼓炒めなど、ここならではの美食とのペアリングが楽しめる

 

【Wave 03】ビールで食品ロスを削減

SDGs推進の流れはクラフトビール業界にも。最近は特に廃棄予定の食材をアップサイクルする事例が顕著だ。専門的に行うブルワリーをはじめ、注目の3ブランドを紹介する。

もしもの災害用備蓄米を活用しドライでトロピカルな味わいに

Beer the First
ホワイト サム ライス
748円

アップサイクル専門ブルワリーの商品。本来使用する麦芽の20%を、廃棄間際の災害用備蓄食品のひとつ、アルファ米で代用している。ラガー酵母を使いホップの香りを高めたコールドIPA。

 

【編集部がお試し!】驚きをくれるユニークなビール

「薬草感のある香りが斬新!! ライトな苦味とキレでドライながらも艶のある甘い余韻が漂う、相反する要素を持った個性派。タレ味の焼き鳥や甘めのしょうゆラーメンなど甘香ばしい料理に合わせたい」(編集部)

 

廃棄豆抽出のコーヒーが香るコク深くフルーティな味わい

アサヒユウアス
蔵前BLACK
700円

アサヒグループの企業が手掛ける「UPCYCLE B」プロジェクトの一本。黒ビールを醸造したあとに廃棄コーヒー豆から抽出したコーヒーを加え、アルコール度数4.5%に仕上げている。

 

【編集部がお試し!】コーヒーの魅力が凝縮!

「口を近づけたときに感じる香りと余韻が、予想していた以上にちゃんとコーヒーでビックリ! 苦味と香ばしさがありながらも酸味が効いているので重さはなく、スッと飲めますが、飲み応えは十分」

 

名ブルワリーとタッグを組み、ジャー開発時のごはんをビールに

象印マホービン
ハレと穂
660円

炊飯ジャー開発時の炊飯試験のごはんを原料に、国内ブルワリーの雄「伊勢角屋麦酒」がビールを醸造。白ぶどう果汁を加えた爽やかな味わいで、和食の繊細な味付けにもよく合う。

 

【編集部がお試し!】和食のおいしさを底上げする味わい

「口に入れたときの炭酸感が心地良い、軽やかさが魅力。苦味が控えめで、ほのかに甘味がありながらも後味はさっぱり。寿司や刺身などの繊細な料理はもちろん、トンカツや天ぷらなどの揚げ物にもマッチ」

 

【Wave 04】アメリカではパイント缶ビールが主流に

クラフトビール先進国のアメリカでは近年、12オンス缶(355ml)よりパイント缶(473ml)が主流に。日本でもアメリカの輸入ビールを扱うショップで、取り扱いが増えている。たっぷり飲みたい人にオススメだ。

 

パイント缶にこだわり続ける西海岸ブルワリーの人気IPA

Pizza Port Brewing
スワミズIPA
942円

パイント缶の先駆的ブルワリーの看板銘柄。カラッとした苦味の米国西海岸系IPAで、ホップの爽やかなシトラス香と、モルトのビスケットのようなほのかな甘味が心地良い。

 

【Wave 05】魔法の粉“ファンタズムパウダー”がじわじわキテる!

最近米国で注目されているのが、ソーヴィニヨンブランというワイン向けのぶどうの皮を粉にした「ファンタズムパウダー」。香気成分を増幅させる作用があり、使用銘柄も増加中で、日本にも上陸し始めている。

 

5種のホップと“魔法の粉”でジューシーな果実味が鮮烈に

Topa Topa
TRIP THE LIGHT PHANTASTIC
1335円

ジューシーなIPAを目指し、ホップを5種使用。ファンタズムパウダーで、トロピカルフルーツやぶどうを思わせるフルーティな香りと味わいを強化している。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

希少ホップ「ネルソンソーヴィンホップ」を一部使用! キリンのクラフトビール「スプリングバレー」白ビールがリニューアル

キリンビールは、「SPRING VALLEY シルクエール<白>」の中味とパッケージを、7月製造品より順次リニューアルします。価格は、350ml缶が248円(税別)、500ml缶が330円(税別)。

 

同社は2021年3月にクラフトビールブランド「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」を立ち上げ、今回リニューアルとなる同商品は2022年に発売しています。

 

リニューアルでは、「まろやかさ」と「華やかな香り」がより引き立つようにホップの配合比率を調整。無濾過で仕上げたにごりのある液色で、小麦麦芽を使用した、きめ細かなふわとろの泡、まろやかな口当たりが特徴です。ニュージーランド産の希少ホップ「ネルソンソーヴィンホップ」を一部使用することで、華やかで心地よい香りに仕上げています。

 

パッケージは、「新」ラベルを配し、缶の裏面に味覚特徴を、側面には飲用時の楽しみ方を記載しています。

ドイツで開発製造されたヘイジーIPA! ドイツソーセージと相性抜群の「juicy & hazy IPA」

カイザーキッチンビールのSchmatz(シュマッツ)は、新商品「juicy & hazy IPA」を、シュマッツオンラインショップにて、7月14日に販売開始します。

 

ヘイジーIPAは、その名の通り濁った外観が特徴的なビールで、華やかなホップの香りとジューシーな味わいが特徴です。

 

今回発売となる同商品はドイツで醸造したシュマッツオリジナルのヘイジーIPA。リッチなマンゴー、パイナップル、オレンジを思わせる爽やかな香りが楽しめます。シュマッツレストランでは樽でもjuicy & hazy IPAを提供します。

 

価格は、6本セットが4500円(税込)、24本セットが1万6200円(税込)、同商品3本+ミックス3本セットが3550円(税込)です。

この感動を体験すべし! クラフトビール「スプリングバレー」とコンビニグルメのペアリングが目からウロコのハマり具合だった!

Sponsored by キリンビール株式会社

こだわり抜いたおいしさなのにお手頃……そんな評判でクラフトビール人気をリードする「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」。しかも「食事との相性が抜群!」と聞き、実際どうなの? とGetNavi web編集長の私、山田佑樹がさまざまなコンビニグルメとペアリングして確かめてみました。

キリン

「スプリングバレー 豊潤<496>」
麦芽を「キリンラガービール」の約1.5倍、さらにホップを5種使用するなど素材を贅沢に使用。ホップを7日間漬け込む独自製法を活用し、豊潤な味わいとすっきりとした後味、ふわとろの泡を実現した。

「スプリングバレー シルクエール<白>」
小麦麦芽を使用し、無濾過で仕上げたにごりのある液色、きめ細かなふわとろの泡、まろやかな口当たり。ニュージーランド産の希少ホップを一部使用した、華やかな香りが特徴。

 

「スプリングバレー」を飲んでわかった4つの違い

「スプリングバレー 豊潤<496>」と「スプリングバレー シルクエール<白>」の両方をじっくり堪能して、特に印象的だと思った別格感は4つ。その違いを、ビールに詳しいフードアナリストの中山秀明さんにも、解説してもらいました。

↑左は、新商品レビューや生産現場のレポート、ブリュワーへのインタビューなどビールを題材に取材することが多く、ビールの最新事情に明るい中山さん。私、山田は冷蔵庫に常時缶や瓶をストックし晩酌に欠かさないビールラバーで、2023年はトレンドとしてもビールに注目しています

 

違い1.華やかな香り!

私がいつも飲んでいるビールと比べ、第一に違いを感じられるのが香り高さ。缶を開栓した瞬間にフルーティーなアロマが放たれ、グラスに注げばいっそう凝縮感豊かな芳香が広がります。

↑「シルクエール<白>」は、どこか白ワインを思わせる果実味も。ワイン同様、円を描くようにグラスを回す“スワリング”をしてまずは香りを楽しむべし

 

「『スプリングバレー』の香り高さは、ホップが大きく関係しています。例えば『豊潤<496>』なら上品な香味のIBUKI種など、『シルクエール<白>』なら白ワインのソーヴィニヨンブランを連想させるネルソンソーヴィン種など。これらを一部使用するとともに、ホップの香りを生かす独自の技術を用いることで、華やかで力強い香りを実現しています」(中山さん)

 

違い2.泡がふわとろできめ細かい!

シルキーでボリューミーな泡立ちにも驚かされました。これはグラスに注ぐことで、より堪能できそうです。注ぎ方にこだわれば、いっそうおいしさもアップ。オススメの注ぎ方は公式サイトでもくわしく解説されていますよ。

↑「豊潤<496>」は、最初に一瞬だけ勢いよく注いでたっぷりと泡を立てます。大きな泡が落ち着くまで待ち、グラスのフチに沿わせながらゆっくり注いでいくのがコツ

 

↑グラスで飲むと、いっそう香り、色、温度変化など、ビールの味わいを五感で楽しめます。専用グラスでなくとも、「スプリングバレー」を飲む際にはぜひグラスで味わいましょう

 

「『スプリングバレー』は泡立ちも段違い。ふわとろの泡はリッチな口当たりを演出するだけでなく、フタの役割をして優雅な香りや炭酸ガスを閉じ込める効果も。こうした泡のおいしさも、『スプリングバレー』の魅力です」(中山さん)

 

違い3.豊潤なのに後味はすっきり!

「スプリングバレー」を一口飲んでみてすぐ気づくのが、豊潤な味わい。麦のうまみが口いっぱいに広がります。とはいえ、けっして重たい感じはなく、後味もすっきりとしているので、飲み飽きない味わいとなっています。

↑豊潤な味わいの中に洗練された風味があり、余韻はすっきり。絶妙なバランスで仕上げられていることがわかります

 

「例えば『豊潤<496>』ならキリンラガーの1.5倍量の麦芽で厚みを持たせつつ、すっきりときれいな後味。一方の『シルクエール<白>』は、甘くやわらかな味にしつつ軽やかさをプラス。このような味の足し引きを適切なレベルで行うことで、エレガントかつ飲み飽きないおいしさに仕上げているのです」(中山さん)

 

違い4.クラフトビールらしい個性が食事と引き立て合う!

香り、泡立ち、コク深い味わい……どれも“いつものビール”との違いは明らかで、“クラフトビール”と銘打つだけのこだわりを感じさせるものでした。では食との相性は? ビールはやっぱりおいしい食事とともに楽しみたいけれど、個性が強いビールは食事とケンカしてしまうのでは……。それは杞憂でした。

 

「『スプリングバレー』は、実は食事と一緒に楽しむことでさらに魅力が際立ちます。それは、コク深さと爽快感が高いレベルで調和しているから。甘み、果実味、ビター感、酸味など多彩なニュアンスを持っており、さまざまな料理の味わい要素と結びついたり、または引き立たせたり。ペアリングの楽しみを盛り上げます」(中山さん)

 

続いて、今回山田が実際に試したフードペアリングをたっぷりと紹介します!

 

知っておくべし! ペアリングの3つの条件

スプリングバレーは、いったいどんな料理と合わせればいっそうおいしく感じられるのか? まずはフード選びの考え方を、中山さんに詳しく教えてもらいました。ヒントとなるのは、“3つの条件”だとか。

 

条件1.似た“色”同士を合わせる
濃い色の料理には濃い色のビール、逆に淡い色の料理には淡い色のビールが合うという法則。前者なら「豊潤<496>」が、後者なら「シルクエール<白>」が当てはまります。

条件2.似た“風味”同士を合わせる
味わいが個性豊かなクラフトビールは、銘柄ごとに甘み、苦味、果実味、酸味、塩味など多種多様な要素を持っています。その特性を、料理との共通点という観点から選んでみましょう。

条件3.異なる“風味”で互いを引き立たせる
例えば、甘酸っぱいソースのかかったフードにシャープな苦みのビールを合わせる。あるいは、クリームをたっぷり使ったスイーツに、ロースト香豊かなビールを合わせる、といった選び方。異なる風味同士だからこそ、互いの個性を引き立たせ合い、意外なおいしさが楽しめるのです。そして、このペアリングの妙がクラフトビールの面白さでもあるんですよ。

 

こうも合うとは! コンビニグルメとの王道&意外なペアリング 6選

今回はコンビニグルメとペアリング。バラエティが豊富かつお手頃なのはもちろん、昨今は味のクオリティが驚くほどハイレベル。上記の3条件を念頭に、「豊潤<496>」と「シルクエール<白>」のそれぞれと3品のコンビニフードを合わせ、ペアリングの妙味を体験してみました。

 

「スプリングバレー 豊潤<496>」は香ばしさを持つ料理とドンピシャ

「豊潤<496>」は香ばしい麦のうまみや深いコク、華やかな香りや心地よい苦味などが調和しており、マッチするストライクゾーンがきわめて広いと感じました。そのなかでも香ばしさを持つ料理とドンピシャに合い、濃厚系やこってり系も大得意! また、甘じょっぱい味付けのフードや、チーズなどの乳製品ともよく合います。

 

■ 王道だけに満点の組み合わせ「マルゲリータピザ」

まずはマルゲリータピザ。ビールとピザは王道の組み合わせですが、いつものおいしさを格上げしてくれるのが「豊潤<496>」です。豊潤な味わいが、マルゲリータのチーズのコク、トマトソースの甘さと相性抜群!

 

■ 甘辛ソースに加わる複層的な味わいが絶品「チキン南蛮」

チキン南蛮は、鶏肉とタルタルソースがジューシーで甘辛な味わい。そこに「豊潤<496>」のうまみ、甘み、香ばしさ、酸味、苦味が加わって、多層のレイヤー感が絶品です。こちらも同様に、味わいが重なってはいるものの重たくはありません。次のひと口がまた食べたくなるおいしさです。

 

■ ほろ甘さと苦味の組み合わせが至福「フィナンシェ」

フィナンシェの甘みと「豊潤<496>」のマッチングは想像以上! しかも、フィナンシェならではの焦がしバターの香ばしさとほんのりとした甘さが、ホップの苦味と絡み合うことで至福のおいしさに。これは食後のエンタメ鑑賞タイムのお供にあると、より充実した時間へと彩ってくれるのではないでしょうか。

 

「スプリングバレー シルクエール<白>」は繊細な味わい、フルーティなフードと好相性

「シルクエール<白>」は、上品な甘みや酸味が印象的。一部使用したネルソンソーヴィンホップの華やかな香りや、爽やかでいてまろやかな飲み口も魅力で、こちらも食事と合うストライクゾーンはかなり広そうです。野菜や魚介などの繊細な料理、フルーティーな甘酸っぱさを持ったフードは特に好相性ではないでしょうか。

 

シルキーな飲み口がプリプリ食感と合う「海老マヨ」

いつも飲んでいるビールと定番中華の組み合わせもいいけど、「シルクエール<白>」と海老マヨの組み合わせは、ひと味違う! マヨの甘み・酸味が「シルクエール<白>」の甘み・酸味と絶妙にマッチ。シルキーな飲み口はマヨネーズと海老のプリプリ感とも合致します。

 

■ 爽やかな風味がフルーティな香味と出会う「青じそドレッシングサラダ」

青じそドレッシングサラダは、麦の甘みやフルーティーな香味の上に、和の表情を持った青じその爽やかさが加わり、春の草原を連想させる清々しい余韻が広がります。

 

■ ビールの風味と柑橘感が絶妙「レモンピール」

レモンピールは意外に思えますが、合わせてみると非常にマッチ。フルーティーさやほのかな酸味を持った「シルクエール<白>」の風味と、ほろ苦くて甘酸っぱいレモンピールの柑橘感は、凸凹ピースがピタッと合うかのよう。

 

スプリングバレー×コンビニグルメのペアリングを堪能するチャンス!

全国のセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンで引き換えられる「スプリングバレー」無料クーポンが当たるキャンペーンがスタート! 引き換え時、ぜひともコンビニグルメもピックアップして、あなたも思いもかけないフードペアリングと出会ってみてください。

 

商品についての問い合わせ先:キリンビール株式会社

 

撮影/湯浅立志

ビールにはなぜ「ホップ」が大切なのか?造り手が集う「官能評価会」でわかった理由

2023年は10月1日に酒税率が改正され、ビールの税額が下がり、新ジャンル(第3のビール)の税額がアップします(発泡酒は据え置き)。原材料の高騰などによる値上げがなければ、ビールは実質安くなります。安くなれば、色々な盛り上がりが期待できるというもの。

 

というわけで、注目度がアップするビールにフォーカスして、今回お伝えしたいのは「ビールの味わい」について。各地の造り手が、ビールの魅力を高めたり広めたりするために行っている活動例を紹介します。

↑訪れたのは、クラフトブルワーが中心に集まった官能評価会。取り組みの概要や、造り手たちの声をお届けします

 

クラフトビール全体の品質向上が狙い

本稿で紹介するビールの官能評価会は、キリンビール、スプリングバレーブルワリー、日本産ホップ推進委員会が実施しており、今回は代官山の「スプリングバレーブルワリー東京」で行われたもの。同店は「フレッシュホップフェスト2022」のメインイベント会場ともなり、参加したブルワリーの醸造家を中心に、各自がビールを持ち寄って開催されました。

↑この日は全国から約10社のブルワリーが参加

 

目的は、一同でそれぞれのビールを飲み比べ、相互評価したり意見を交換したりするなかで改善ポイントなどを洗い出し、クラフトビール全体の品質向上につなげるのが狙いです。

 

持ち寄ったビールは、やはりフレッシュホップビール。フレッシュホップとは読んで字のごとく新鮮なホップのことですが、通常のホップとの最大の違いは乾燥させない生(もしくは冷凍)のみずみずしい状態であることです。

↑ホップは非常に傷みやすいため、乾燥させ固めたペレット状で使うのが一般的

 

いわばフレッシュホップビールとは、日本酒でいえば新酒、ワインでいえばヌーヴォー。ビールは原材料や発酵方法などの違いで味も千差万別ですが、フレッシュホップという共通項を通して比べれば、より使い方や製法の学びになるというわけです。

 

ホップはある意味、麦以上に重要

ところで、「なぜ麦ではなくホップなの?」と思う方も少なくないでしょう。ビールの主原料は麦(麦芽)、ホップ、酵母、水。ものによってはフルーツやスパイスといった副原料なども使われますが、ホップは“ビールの魂”と呼ばれるほど味や香りを左右する素材で、麦以上に重要視するブルワーも少なくありません。

↑こちらが摘み取る前のホップ

 

特に近年のクラフトビールムーブメントは個性派ホップの影響が大きく、発信地であるアメリカでは新種の開発や品種改良がきわめて盛ん。日本でもホップの研究や、生産者を応援する活動が行われています。「フレッシュホップフェスト」や、今回の官能評価会もその一環といっていいでしょう。

↑各自が、好みだったビールのTOP3を挙げて理由を発表し合うシーンも。善し悪しを競うものではありませんが、知見や技術を高めるためにこうした意見交換も行われました

 

官能評価は各ブルワーの味覚による意見だけではなく、分析データを基にした定量的なレポートも合わせて行います。なお、この分析はキリンホールディングスの研究機関で行われており、知られているところでは、アルコール度数やIBU(国際苦味単位)、EBC(ビールの色度数)など。専門的な成分としては、pH(水素イオン濃度)、AE(外観エキス)、AAL(外観最終発酵度)などが数値化されていました。

↑データ解説は、ふだんキリンホールディングスの飲料未来研究所でホップの香気成分に関する研究などを行っている加野智槙(かのとものり)さん。水色のシャツの方で、醸造やドイツ留学も経験しています

 

各ブルワーも学びの多さに驚きの声が続出

今回のようなクラフトブルワーを集めた官能評価会は2021年に初めて試み好評だったため、2022年は規模を拡大して実施したとのこと。そこで、参加した造り手の何人かに感想などを聞いてみました。まずは京都・与謝野にある「かけはしブルーイング」の野村京平さんから。

 

「香りの成分が、ここまで数値化された分析結果を見たのは初めてで驚きました。一覧からほかのビールと比較できるのも興味深かったです。また、自分たちの狙ったポイントと近しいスコアもあればズレもあって、『やっぱそうだよな』とも感じた部分もあり、すごく学びになりました」(野村さん)

↑黒い帽子の方が野村さん

 

金沢文庫のブルワリー、「南横浜ビール研究所」の荒井昭一さんは「すごく参考になりますし、飲めば飲むほど聞きたいことが出てきます」と話します。

 

「まだ会の途中ですけど、すでに新たな知見が得られて感動しています。このまま分析を進めていけば、さらに面白いことがわかりそうな気がしますね。ある成分が突出しているブルワリーさんもいて、彼らがどんな製法で仕上げたのかも気になります。いろいろ聞いて、今後に生かしていきたいですね」(荒井さん)

↑左が「南横浜ビール研究所」の荒井さん。右は、次に紹介する「籠屋ブルワリー」の江上さん

 

東京、狛江市初のビール醸造所として知られる「籠屋ブルワリー」の江上裕士さんは、「今日参加して、日本産ホップが持つポテンシャルの高さをより実感しました!」と目を輝かせます。

 

「クラフトブルワリーのほとんどは少人数で醸造しているので、こうしてたくさんの意見が聞けるのは素晴らしい機会ですね。いくつかのヒントも得られ、今後の励みになりました。フレッシュホップビールは、いわば旬の味わい。素材が持つ旬のおいしさを、ビールでも届けてフレッシュホップを定着させていきたいと強く思います」(江上さん)

↑「フレッシュホップフェスト2022」では各地から計50のブルワリーが参加し、イベントを盛り上げました

 

ビールの発展には国内ホップの躍進が大切

官能評価会には、日本ビアジャーナリスト協会の代表であり、京都の与謝野でホップ栽培にも取り組む藤原ヒロユキさんも参加。ホップ生産者としての立場から感想を聞きました。

 

「僕が今日好きだったビールは、いい意味で青っぽさのあるタイプ。ある意味強すぎる香りのもあったけど、そこがフレッシュホップの面白さだとも思うんです。やっぱりフレッシュホップは、摘みたての生き生きとした香りを凝縮させないとね。生産者としても、ホップの魅力をビールに最大限生かしてほしいっていつも思ってます」(藤原さん)

↑国内クラフトビール伝道師の第一人者である藤原さん。いまは地元の前述「かけはしブルーイング」とも協力し合いながら業界を盛り上げています

 

日本が抱える大きな課題のひとつが少子高齢化。国内ホップ生産もビールの消費も伸び悩むことが懸念されていますが、藤原さんは「まあでも、品質やおいしさはもっと高められると思うし、ホップはまだまだできることがたくさんありますよ!」と力説します。

 

「ホップ栽培は、僕らみたいに農業を優先するタイプと、地域コミュニティとしての意味合いも兼ねて行う方々と、大きく分けるとこのふたつがあります。どちらも大切なんですけど、僕らはより品質と生産量を高め、そのぶんブルワーに使ってもらえるように頑張らないと。

 

つまりは質と量の向上。そして、限定品ではなく通年商品として使ってもらえるホップ作りを目指すべき。例えば年に1回の限定品だったら、10年で10回しか仕込めない。それでは、その商品に対するブルワーの経験値も上がりませんから。お互いに技術向上できるよう、コミュニケーションを密にしていくことも大事ですよね。僕も今日、たくさん意見交換したくてここに来ました。これからも、日本のビール発展のためにいろいろ仕掛けていきたいと思います」(藤原さん)

↑この日の評価対象となったフレッシュホップビールがズラリ。毎年秋口から発売されます

 

冒頭で述べた酒税改正は、2023年版のフレッシュホップビールが登場する時季に施行されます。新酒やヌーヴォーを楽しむように、今年はいっそうフレッシュホップビールに注目を!

 

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ビール復権の2023年、ビールに注力し続けてきたキリンが打ち出した策とは?

2023年のお酒トレンドでほぼ間違いないと予言できることは、「ビールの復権」。なぜなら、秋の酒税改正によりビールに追い風が吹く(ざっくり言うと、ビールが安くなる)からです。その見立てもあり、ビール大手が年初に行う発表会はどれもアツい内容でしたが、今回はキリンビールの事業方針発表記者会見の情報をもとに、商品周りの戦略を筆者の見解を踏まえてレポートします。

↑目玉施策のひとつがブランド力の強化。「一番搾り」と「スプリングバレー」シリーズを筆頭に、リニューアルなどを行いさらなる成長を目指すという

 

ブランドと人材を磨き、成長カテゴリーも強力プッシュ

2023年におけるキリンビールの戦略テーマは「ブランドと人材を磨き上げる」。「一番搾り」や「氷結」などボリュームゾーンの大きな商品はより強固に、「スプリングバレー」をはじめとするクラフトビールや自社のウイスキーなどは、新たな成長カテゴリーとして後押ししていくと打ち出されました。

↑キリンビールの堀口英樹代表取締役社長(右)と、山田雄一執行役員 マーケティング部長(左)

 

なお、お酒のカテゴリーとして追い風が吹くのはビールですが、「氷結」などの缶チューハイも引き続き伸長が見込まれるジャンルであり、ウイスキーもキリンビールが手掛ける「富士」や「陸」は、特に成長著しい銘柄です。

↑2022年の「氷結」ブランドは過去最高販売数量を更新。特に「氷結 無糖」は過去20年に発売したキリンブランド最速で5億本を突破するヒットに

 

なかでも具体的な施策が発表されたのは、やはりビールでした。ここでいう「ビール」とは、発泡酒や新ジャンル(第3のビール)ではないガチなビールのことを指しており、酒税改正で追い風が吹くのも、このガチなビールのことです(そのぶん発泡酒や新ジャンルは不利となります)。

 

どのように注力していくのか、詳しくレポートしていきましょう。まずは同社のフラッグシップ銘柄「キリン一番搾り生ビール」から。

 

主力銘柄を中心に、味とデザインが刷新される

「キリン一番搾り生ビール」は、近年では2017年、2019年、2021年とリニューアルを実施。ストレートに「おいしい」を訴求するコミュニケーションなども連動し、ビール離れがささやかれる昨今にあってもファンを増やしてきました。結果、直近の2021、2022年でも成長しているブランドです。そのうえで2023年もリニューアルが行われます。

↑リニューアルは、味とパッケージデザインともに行われる

 

味わいのポイントは、麦のうまみ向上と、仕込み工程の最適化。素材のポテンシャルを最大限に引き出すことで飲み飽きない味わいを実現し、さらに雑味や渋味を軽減することで、飲みやすい後味も実現したとか。

↑パッケージは右が進化版。ロゴやしずくが少し大きくなったり彩度が高められたり、全体の印象が明るくなったことで、よりおいしそうなデザインに

 

この新しい仕様へは、缶がこの1月から、ビンと生樽は2月製造品より順次切り替えられるとか。では次に、キリンのクラフトビールにおけるフラッグシップブランド「スプリングバレー」のポイントも紹介します。

↑左の豊潤<496>は味とパッケージが、右のシルクエール<白>は、パッケージがリニューアルされます

 

ビール離れといわれるなかでも、クラフトビールは全体的に好調なカテゴリー。かつては大型商品がなかったマーケットですが、2021年3月に「スプリングバレー 豊潤<496>」がデビューしたことで活性化され、以降の市場をけん引する存在となりました

↑パッケージは右のように刷新。シルクエール<白>も同様で、上部の3つのメダルをより大きく配し、ブランド名の印象が強く伝わるようにリニューアルされます

 

さらに2022年は9月に「スプリングバレー シルクエール<白>」が仲間入りし、クラフトビールカテゴリーの間口は過去最高水準に。とはいえ、クラフトビールの未飲消費者はまだ約4000万人いるそうで、2023年はさらなる認知と理解促進に向けて広告を売ったり、クラフトビールフェスを開催したり、家庭向けに「ホームタップ」・飲食店向けに「タップ・マルシェ」(後述)を展開するなど、包括的なアプローチをしていくそうです。

↑左が「ホームタップ」、右が「タップ・マルシェ」

 

また、厳密にはビールではないノンアルコールですが、この分野で注力していくビールテイストブランドが「キリン グリーンズフリー」。同銘柄は、2022年4月のリニューアル発売以降に販売数量が3800万本を突破し、前年同期比約2.7倍と、好調に推移しました。

 

また、自社のノンアルコール・ビールテイスト飲料商品と比較してノンアルビールを初めて飲む層や、しばらく飲んでいなかった層を多く獲得できており、カテゴリー全体の活性化に貢献したそうです。そこで2023年は前年比約2倍となる約210万ケースを目標に、中身とデザインリニューアルを実施する(1月製造品から順次切り替え)ほか、飲食店向けに336mlの小ビンが新発売されました。

↑デザインリニューアルと、小ビンはこの通り

 

「キリン グリーンズフリー」の販売強化により、ビールの代替として楽しむ消極的な飲用から、“リフレッシュしたい時に、飲み物の選択肢として好んで飲む”といった積極的な飲用のカテゴリーに進化させていくそうです。

 

個人的にはスプリングバレーの新作に期待!

個人的に今回の発表会で気になったのは、質疑応答時の「『スプリングバレー』ブランドの新フレーバー発売の可能性も模索している」との回答。というのも、「スプリングバレー」は缶としての銘柄は前述の豊潤<496>とシルクエール<白>のみですが、ビンでは黒ビールやフルーツビールなども展開されており、缶で商品化すること自体は難しくないはずなのです。

↑小瓶タイプの「スプリングバレー」は、キリン公式オンライン通販DRINXなどで販売中

 

なにはともあれ、まずは今春の各商品リニューアルに注目。そして本番となる、2023年10月1日の酒税改正に向けて、いっそうアツくなることでしょう。目が離せない2023年のビールシーン、GetNavi webでは今後も新商品発表などの際、積極的にレポートしていきます。

 

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今夏は五感で楽しむクラフトビールで! GetNavi編集長が実感した「スプリングバレー」をちょっといい日に飲みたくなるワケ

Sponsored by キリンビール株式会社

2021年に発売、同年のクラフトビール市場を約1.6倍に拡大した「スプリングバレー 豊潤<496>」。夏といえばビールのおいしい季節だが、GetNaviの川内一史編集長は今夏も「スプリングバレー 豊潤<496>」が選ばれる! と断言。その理由は? 開発担当者との対談を交えながら魅力や楽しみ方を掘り下げる。

 

夏のリラックスタイムを特別なひとときに演出してくれる

子どもは夏休みに入り、大人にとってもお盆やその休みがあるなど、いつもとは違う時間の過ごし方をするのが夏です。家でゆっくり過ごすシーンでも、その時間を贅沢なものにしたいと考える人は多いはず。

 

そんな夏といえば、ビールがよりおいしい季節ですが、いつもより特別な機会が増えるからこそ、ビールも特別なおいしさの銘柄を選びたい。そこで私、川内がオススメするのが、クラフトビールの新定番と言っていいでしょう、「スプリングバレー 豊潤<496>」です。

↑「スプリングバレー 豊潤<496>」はひと口でわかるおいしさが魅力。個性的な香りや味わいと、おかわりしたくなる飲みやすさが調和した傑作です

 

私はそもそもビールに関してはあまり冒険しないタイプなのですが、以前の取材時に飲んで「スプリングバレー 豊潤<496>」のおいしさに感動。“個性的で気難しそう”というクラフトビールのイメージがガラッと変わりました。

 

香りやコクが力強く、エレガントさを感じられながらも重たすぎず後味はすっきり。バランスの良さで、キレや爽快感を求めるビール好きにも刺さる味わいに。この特別なおいしさがあるからこそ、今夏の特別なシーンにふさわしい一本だと考えています。


 

“晴れの日”はもちろん、日常を切り替えるトリガーにも

私が考える、“特別な夏のビールには「スプリングバレー 豊潤<496>」が最適”という選択に確信を得るべく、開発担当者の元を訪ねました。

↑キリンビール 事業創造部 スプリングバレーブランド担当の岡本理沙さん。9月13日に発売される新作「スプリングバレー シルクエール<白>」の開発も担当しています

 

まずは、昨今のトレンドやニーズから。「スプリングバレー 豊潤<496>」がデビューした2021年のクラフトビール市場は、約1.6倍(※1)に拡大しました。本商品はブームの立役者といえますが、ビール市場ではどんなポジションを築いているのでしょうか?

※1:2021年1-12月期、2022年1月キリン調べ。インテージSRI+(業務用酒販店含む)。クラフトビール市場について:大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っています。

 

「ビールのニーズは多様化していますが、嗜好品としての価値は高まっています。“晴れの日”はもちろん、日常のなかでちょっと特別な時間を過ごすための一本として選ばれているのが、より飲みやすくて上質な、誰が飲んでもおいしいビール。そこに合致したのが『スプリングバレー 豊潤<496>』だと考えています」(岡本さん)

 

夏の“晴れの日”を例えるなら、お祭り。またお盆の時期でもあり、親族でご馳走を囲む家族も多いですが、そんな特別なシーンにマッチするのがまさに「スプリングバレー 豊潤<496>」。一方、ふだんでも在宅勤務が増えるなかで、日常生活は単調になりがちです。そこでオフタイムへのスイッチとしたいのもまた、「スプリングバレー 豊潤<496>」。贅沢なビールのおいしさが、マンネリ化しがちな日常を切り替えるトリガーになってくれるのです

 

「お祝いなど数人で集まるシーンはもちろん、おひとりでじっくり晩酌を楽しむときにも、味わいに発見や驚きのあるビールが『スプリングバレー 豊潤<496>』です。思い思いのシチュエーションで、特別なひとときを楽しんでいただきたいですね」(岡本さん)

 

五感すべてで堪能できる稀有なおいしさ

あらためて「スプリングバレー 豊潤<496>」をテイスティングしました。うん、個性がありながらもスッと飲みやすい味わいは、やはり感動的! 岡本さんは、これを“五感に響くおいしさ”だと言います。ひとつずつ教えていただきましょう。

・聴覚に響く!

↑缶は口が小さく、魅惑的な香りが鼻に届きにくくなるためグラスに注ぐのがオススメですよ

 

「まずは開栓時のプシュッという音。また、グラスに注ぐ際のコポコポ、シュワーッという音も魅力です。特に『スプリングバレー 豊潤<496>』はホップをたくさん使っているので泡立ちがよく、きめ細やかに弾ける炭酸ガス、飲んだときのゴクッという音も聴覚を刺激します」(岡本さん)

 

・触覚に響く!

↑泡でフタをすることで炭酸ガスが抜けにくく、最後のひと口まで爽快なおいしさを楽しめます

 

きめ細かな泡が、口に含んだ際に唇や舌をやさしく包み、いっそうリッチな気分に。また、口からのどを通る際の炭酸ガスが、触覚を心地良くなで上げます。また、パッケージには発泡インキという素材を使っており、ザラッとした手触りを感じられるのも隠れたこだわりとなっています」(岡本さん)

 

・嗅覚に響く!

↑一般的なビールとは一線を画す、アロマティックな香りが素晴らしい! これぞクラフトビールならではの魅力です

 

世界中から厳選した5種類のホップを効果的かつ、ふんだんに使うことで、フルーティーでフローラルな香りを実現しました。嗅覚に立体的に感じられる、『スプリングバレー 豊潤<496>』の持ち味のひとつです」(岡本さん)

 

・視覚に響く!

↑ひと目で違いがわかる、鮮やかで濃いビールの色。これをしっかり楽しむためにも、グラスに注ぐのがオススメなのです

 

通常の麦芽に加えて、渋さが出ない絶妙な配分で焙煎した麦芽をブレンド。さらにキリンラガー比で1.5倍の量を使い美しい琥珀色に仕上げました。視覚でも、このおいしそうな色味を感じていただけると思います」(岡本さん)

 

・味覚に響く!

↑そして岡本さんも一緒に乾杯。味覚で伝わるおいしさは言わずもがなです

 

「飲む前から目で楽しめて、注ぐ際には音と香りでも魅力を実感。そして飲んだときは味覚も含めた五感すべてでおいしさを堪能できる『スプリングバレー 豊潤<496>』。全方位で楽しめるところも、このビールの大きな特長だと自信をもっています」(岡本さん)

 

岡本さんにアテンドしていただきながらあらためて飲んでみると、たしかにこれは味・香り・音・感触・ビジュアルと、さまざまな角度からじっくり楽しめるビールです!

 

こうして堪能した「スプリングバレー 豊潤<496>」ですが、実は「スプリングバレー」ブランドのクラフトビールは、国内外のビアコンペティションで計109個のメダルを獲得しているといいます。特に「スプリングバレー 豊潤<496>」は、国際的なコンペティションである「ブリュッセルズ・ビア・チャレンジ 2021」で金賞を受賞(※2)。ビールの味覚におけるプロフェッショナルもこれだけの高評価を与えているとは、この夏のイチオシビールに選出した私の選択は、どうやら間違っていなかったようですね!

※2:リニューアル前の商品で受賞。

↑「ブリュッセルズ・ビア・チャレンジ 2021」のゴールドメダル。「ここで金賞を受賞できたのは大きな自信につながりました。世界中からあまたのビールが出品される大会で高評価をいただき、非常にうれしかったです」(岡本さん)

 

構想10年で試験醸造は250回。“聖域”に挑んだ不屈のビール

この誰もが頷く「スプリングバレー 豊潤<496>」のおいしさは、どうやってつくられているのでしょうか?

 

「さきほどご説明した麦芽へのこだわりに加え、ホップについては独自技術『ディップホップ』製法を採用しているのが大きなポイントです」と、岡本さん。

↑「ディップホップ」は2012年にキリンビールが開発

 

「『ディップホップ』とは、酵母と一緒にホップを添加して発酵中に漬け込む技術のこと。個性的かつトゲのない香り付けが可能となり、泡の保存性も高めてくれます。ただ発酵時のホップ添加は衛生面でリスクを伴うため、一般的には誰も手を付けない“聖域”。この『ディップホップ』を海外の醸造家に話した際、『クレイジー』と驚かれたほどでした」(岡本さん)

 

「スプリングバレー 豊潤<496>」の完成には10年、その間、独自製法開発のための試験醸造は250回にものぼったとか。たしかに若干“クレイジー”……でもそれは賛美でもあるでしょう。

↑こだわりは原料のホップにも。本商品では5種類のホップをブレンドし、上品で穏やかな香りを特長とする希少な日本産ホップ『IBUKI』など個性を活かしながらも、理想の香味を実現しています

 

こうしてつくられた『スプリングバレー 豊潤<496>』は、一般的なビールよりも味に個性があるからこそ、料理をいっそうおいしくします。フードペアリングについて考えてみると、例えば野菜を使った前菜や、淡麗な魚料理、ジューシーな肉料理、濃厚な炭水化物の食事やスイーツなど、ジャンルを問わずマッチ。料理に合わせることで、より特別な体験ができそうです。

↑旨み、甘み、香ばしさ、酸味、苦味など、様々な味覚をバランスよく備えた「スプリングバレー 豊潤<496>」。欧風メニューはもちろん、和食ともよく合うんですよ!

 

あらゆるシーンを楽しく彩る豊潤<496>で乾杯を!

単体で飲んでもおいしい上に、どんな食事とも相性抜群。特別な日の食シーンをより楽しく贅沢に彩ってくれることでしょう。今夏、ちょっといい日のお供には「スプリングバレー 豊潤<496>」を飲みませんか!

 

 

商品についての問い合わせ先:キリンビール株式会社

 

取材・文/中山秀明 撮影/湯浅立志

キリンのクラフトビール「スプリングバレー」から“白”が登場! 「SPRING VALLEY シルクエール<白>」

キリンビールは、クラフトビールブランド「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」から、「SPRING VALLEY シルクエール<白>」缶を9月13日より全国で発売します。

 

税別価格は、350ml缶が248円、500ml缶が330円。また、缶商品の発売に先行して、8月8日からは「Tap Marche(タップ・マルシェ)」(3Lペットボトル)と「スプリングバレーブルワリー」直営店(15L樽)でも提供を開始します。

 

同商品は、無濾過で仕上げたにごりのある液色で、小麦麦芽を使用したきめ細かなふわとろの泡、まろやかな口当たりが特徴。ニュージーランド産の希少ホップ「ネルソンソーヴィンホップ」を一部使用し、華やかで心地よい香りに仕上げています。満足感がありながらも爽やかな味わいで食事にも合わせやすく、様々なシーンで楽しめます。

 

パッケージは、スプリングバレーブランドのベースデザインを踏襲しながら、白ビールの味わいが伝わるような、クリーム×ゴールドの色合いの組み合わせで、高い品質感と新しさを表現しています。

 

※Marcheeは、アキュートアクセント付きが正式な表記です

個性豊かな最旬クラフトビールをテイスティング! いまキテる7銘柄を徹底レポート

個性的かつ多様な味わいで、酔う時間をいっそう楽しくしてくれるクラフトビールが長く流行中。コンビニやスーパーで買える銘柄のなかから、フードアナリストが選んで味をチェックした。お気に入りの1本を見つけよう!

※こちらは「GetNavi」 2022年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が解説します!

フードライター

中山秀明さん

ビール好きのフードアナリスト。クラフトに関する取材も多く、最近は香港発ブルワリーに注目している。

 

【その1】3種の個性的なホップが香る東京生まれの1本

サントリービール

東京クラフト<ペールエール>

オープン価格

従来のカスケードホップ、ギャラクシーホップに加え、マンダリンオレンジを思わせる香りのマンダリーナババリアホップを一部使用。国産麦芽の旨みに爽やかな柑橘系の風味が華やぐ。

 

【中山’s Check】バランスが良くて飲み飽きない入門にも適したクラフトビール

「シトラス系の芳香のほか、コクやボディも十分。泡も豊かでドリンカビリティ(おかわりしたくなるおいしさ)が高く、エントリー層にもオススメです!」

 

【その2】柑橘や松の香りが広がりクリーミーで飲みやすい!

リヴィジョン

リヴィジョンIPA

実売価格754円

米国の気鋭なブルワリーのなかで、高い人気を誇る作り手の代表的な銘柄。口当たりはクリーミーで飲みやすく、苦味よりも柑橘や松のアロマが香りと味わいにしっかりと感じられる。

 

【中山’s Check】鮮烈ながら上品にまとまったフレンドリーなアメリカンIPA

「ビターなオレンジのような香味に、草原のすがすがしさを感じるシャープさが特徴。米国らしいインパクトがありつつも、まとまりがよくフレンドリーです」

 

【その3】ハマのビール好きが絶賛するクロの衝撃的な味わい

横浜ビール

ハマクロ

実売価格350円

“黒ビールのイメージを覆す軽快さ”がテーマの、セッションブラックIPAというビアスタイル。横浜のビールイベントで限定醸造してきた銘柄であり、地元とのつながりを表現している。

 

【中山’s Check】ロースト麦芽のコク深さとホップのフルーティさが絶妙

「IPAらしい柑橘系ホップの香りと、ロースト麦芽の香ばしさが調和。味と香りにインパクトがありますが、アルコール4.5%と軽めでクイッと飲めます」

 

【その4】南国系フルーツの香りがミディアムボディと調和

伊勢角屋麦酒

HAZY IPA

実売価格569円

“世界大会で受賞できるレベルのビールだけを出荷する”を追求した三重県伊勢市のブルワリーで生産。南国系フルーツの香りながら、ホップの重厚感な苦みがミディアムボディを引き締める。

 

【中山’s Check】ブライトでアッパーな苦みがトロピカルな果実味と共存

「トロピカルなジューシー感は、さすがHAZY IPA。果実味とビター感が見事に共存しており、凝縮されたコクやスカッとした陽気な爽快さも魅力的です」

 

【その5】ホップ香を引き出した弾けるジューシーな味

ファーイーストブルーイング

ホップフロンティア ジューシーIPA

実売価格498円

新しいホップ製品「クライオ・ポップ」を軸に合計4種のホップを使用し、科学的なアプローチで香気成分を最大限に引き出した意欲作。クリーミーで、弾けるジューシーな味が楽しめる。

 

【中山’s Check】春夏にピッタリなトロピカル&フローラルな味わい

「ナチュラルでエネルギッシュな苦みの奥に、上品な果実味と花の香りを感じられます。アタックはフレッシュでキレも良く、春夏にビッタリな1本です!」

 

【その6】モルティーで心地良い甘みのアイリッシュな紅いエール

(c)松本零士/零時社・東映アニメーション

ヘリオス酒造

銀河鉄道999エメラルダスのレッドエール

実売価格350円

名作「銀河鉄道999」などに登場する、宇宙海賊のクイーン・エメラルダスをモチーフにした紅色のビール。ビアスタイルは、モルトの甘みが豊かなアイルランドの伝統的なタイプだ。

 

【中山’s Check】明確なキャラクターを出しつつ軽やかで飲みやすい!

「ほのかにロースト香を感じるコクと、フルーティーな甘みと苦味。個性的ながらアルコール度数はクラフトビールで標準的な5%で、飲み口もスムースです」

 

【その7】フランボワーズの香りが華やぐスイート&ライトな味

ヒューガルデン

ヒューガルデン ロゼ 瓶

実売価格322円

ベルジャンホワイトの銘酒・ヒューガルデン ホワイトをベースにフランボワーズの果汁をプラス。甘くほのかな酸味とアルコール度数3%のやさしさで、軽やかな飲み口に仕上がっている。

 

【中山’s Check】甘さの奥に妖艶なボタニカル感のあるロゼの名に相応しいバラ風の香味

「明るく甘めな味わいにひそんだ、バラを思わせるフラワリーな要素が見え隠れ。さりげないボタニカル感が、オトナな表情を醸し出しています!」

 

【Column】クラフトビールの飲み比べがデリバリーでできる!

オトモニ

定期便

4378円~

1900種類以上の銘柄から、毎回違ったクラフトビールを自宅などに届けてくれる定期便。苦手なビアスタイルを避ける機能やコンセプトごとに選べるセットを用意する。好みの味を中心に飲み比べをして楽しめる。

 

↑日本が誇る名ブルワリー・富士桜高原麦酒の代表作「ヴァイツェン」。バナナのような芳しい風味と、クローブ&エステルの香りが心地良い

 

↑同社のオリジナルビール「マイチョコペアリングエール」。チョコと相性が良い、ロースト麦芽や果実味豊かなセンテニアルホップを使用する

キリンが「ビール」で目指す、これまでにない新しいおいしさ。「ビールが、もう一度始まる。」とは?

3月14日、とある決意表明広告が出現した。「ビールが、もう一度始まる。」という意味深なメッセージである。定番のお酒として長く愛され続けるビール、それが「もう一度始まる。」とはどういうことなのか? メッセージの裏側にある思いをお伝えしよう。

 

ビールのおいしさの選択肢を広げる。 ビールの未来への決意

日本でビール産業が産声を上げてから約150年。その一翼を担ってきたメーカーがキリンビールだ。同社のスタンダードビールといえば「一番搾り」だが、同様に注力しているカテゴリーがクラフトビールである。キリンビールは、クラフトビールを「おいしさにこだわった造り手の感性と創造性が楽しめるビール」と位置付けており、その手間暇をかけたこだわりのおいしさには、ビールがもっと魅力的になる可能性が凝縮されていると考えている。 

 

「ビールが、もう一度始まる。」というメッセージからも、伝統と革新の両軸を重んじる姿勢がうかがえる。そして今回、メッセンジャーとして白羽の矢が当たったのが、日本を代表する俳優・吉永小百合。スケール感とキリンビールの本気度が伝わってくる。

 

この決意表明がなされた3月14日、キリンビールの堀口英樹社長は語った。ビール離れなどと言われて久しいが、ワクワクさせる何かが弱まっているのではないか。作り手がおいしさの新たな可能性を追求しきれず、消費者がビールへの興味を失ってしまったのではないか。一番愛されているお酒だからこそ、一番大胆に進化する必要がある。そう力強く訴えた、ビールの未来への決意表明ともいえるものだった。 

 

そして、その中核を担う存在がキリン渾身のクラフトビール、「スプリングバレー 豊潤<496>」である。

 

構想に10年かかった新時代のクラフトビール

「スプリングバレー」とは、キリンビールのクラフトマンシップを代表するブランドだ。素材や手間などに妥協せず、培った技術の粋を結集してクオリティのみを追求する。名称は1870(明治3)年に設立され、日本で初めて商業的に成功したビール醸造所「スプリングバレー・ブルワリー」に由来。

 

新生「スプリングバレー」の構想は2011年にスタート。そこから10年かけて誕生した、新時代のクラフトビールが「スプリングバレー 豊潤<496>」である。飽くなき探求の末、行われた試験醸造は250回(※1)。麦芽は、1888(明治21)年から愛飲される「キリンラガービール」の1.5倍もの量を使用。さらに海外の醸造家から「クレイジー」とも評された独自技術「ディップホップ製法」を採用している。

※1:この商品の特長である製法の開発にかかった試験醸造の回数

 

幾多の困難を乗り越えて生み出された味わいは、クラフトビールならではの1杯で満足できる豊潤な味わいを追求しながら、さらにもう1杯飲みたくなるおいしさが特長だ。ユーザーからの評価も高く、昨年のクラフトビールブームの火付け役となって市場は約2倍(※2)に拡大。また、同商品を筆頭に「スプリングバレー」ブランドのクラフトビールは、国内外のビアコンペティションで計69個のメダルを獲得(2021年年間 ※3)している。

※2:20211-12月期、20221月キリン調べ。インテージSRI+(業務用酒販店含む)。クラフトビール市場について:大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っています。
↑「スプリングバレー 豊潤<496>」は、ベルギーで開催される国際的なビアコンペティション「ブリュッセルズ・ビア・チャレンジ 2021」での金賞をはじめ、数々の栄冠を獲得
※3:受賞歴の詳細はこちら

 

進化した「スプリングバレー 豊潤<496>」の秘密を試飲レビューとともに解説

独自の「ディップホップ製法」を採用していることは前述したが、ホップは“ビールの魂”とも呼ばれるほどに重要。ハーブの一種であり、ビールの鮮度を保つとともに苦みや味わいをも左右する原材料である。

 

昨年の発売当時、「スプリングバレー 豊潤<496>」では、フルーティーでフローラルな品種を中心に、4種のホップを組み合わせて風味づけていたが、新たに「IBUKI」を追加。これは希少な日本産ホップであり、上品で穏やかな香りを特長としている。

↑「スプリングバレー 豊潤<496>」に使われる「IBUKI」は、貴重な日本産ホップ

 

計5種のホップを組み合わせるうえで、その香りをより印象づけるのが前述のディップホップである。具体的には、発酵過程で酵母とともにホップを同時に投入する製法だ。一般的な製法よりも豊かに香り立つうえ、クセやトゲのない、温和かつ個性的な香りづけが可能に。さらに、泡の安定化や保存性も高めてくれる。

 

また、5種のホップの配合割合を最適化し、トップからラストまで味と香りのバランスを向上。こうして「スプリングバレー 豊潤<496>」は、さらに洗練された豊潤な香りと味、スッキリとした余韻の飲み飽きないおいしさに進化した。

 

↑飲む前から鼻孔をくすぐる、甘香ばしくフルーティーなアロマ。シルキーでボリューミーな泡も貫禄十分だ

 

筆者も新生「スプリングバレー 豊潤<496>」を試飲。開封した瞬間にアロマティックな香りがあふれ、グラスに注ぐといっそう濃密な芳香を感じられる。

 

「スプリングバレー 豊潤<496>」を飲むたびに抱く感想は、“フレンドリーなおいしさ”。クラフトビールは総じて個性的であり、それが魅力でもあるが、ものによっては個性が強すぎる場合もある。その点「スプリングバレー 豊潤<496>」はバランスがよく、ドリンカビリティ(おかわりしたくなる飽きないおいしさ)が抜群なのだ。そして、この新生「スプリングバレー」は、さらにそのバランスが突き詰められている。

 

日本産ホップ「IBUKI」は、上品に華やぐフラワリーな柑橘感も魅力である。もともと「スプリングバレー 豊潤<496>」には華やかさやジューシーな風味があったが、「IBUKI」の追加でよりエレガントな香りに磨きがかかった印象も。だれが飲んでもおいしいと思える、わかりやすいクラフトビールだとあらためて感じた。

↑コク深いが重すぎず、苦みはあってもキツすぎず、余韻はすっきりしていてキレもしっかり。全体のまとまりがよく、ついつい杯が進んでしまう味わいだ

 

2021年春の発売からわずか半年で100万ケースを突破(※4)し、クラフトビール市場を約2倍に拡大させた(※5)ブームの火付け役が「スプリングバレー 豊潤<496>」。リニューアルも伴って、2022年はますます存在感を増すはずだ。ビールが、もう一度始まる。その決意にふさわしく、多くのビールファンに驚きと感動をもたらすだろう。

※4:キリンビール出荷実績(20213-9月大びん換算)2021年10月キリン調べ
※5:20211-12月期、20221月キリン調べ。インテージSRI+(業務用酒販店含む)。クラフトビール市場について:大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っています。

 

キリン 「スプリングバレー 豊潤<496>」

 

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取材・文/中山秀明 撮影/湯浅立志(Y2)

 

福島の伝統工芸職人と、台湾のクラフトビール界を牽引するメーカーの出会いで誕生! “二重構造”ビアタンブラー&クラフトビール

セメントプロデュースデザインは、福島県の伝統的工芸品「大堀相馬焼」と、台湾のクラフトビールメーカー「臺虎精釀(タイフーブルーイング)」を繋ぎ、共同開発したプロジェクト「福虎添藝(フーフーテンイー)」を企画し、プロジェクト全体をプロデュース。同プロジェクトから誕生したビアタンブラーとクラフトビールを台湾と日本にて発売します。

 

福島県「ふくしまみらいチャレンジプロジェクト」の事業にて、昨年度の大堀相馬焼4窯元と行なった企画展「ひびのもよう」に続き、今年度は海外進出をテーマにスタート。台湾デザイン研究院(TDRI)の協力により臺虎精釀と出会い、セメントプロデュースデザインの企画・プロデュースのもと、日本と台湾が異文化交流の枠をこえたコラボレーション企画が誕生。一年近くの開発期間を経て、日本と台湾の「食文化×器文化」の文化交流にはじまり、二つのクラフト(技術)を高め合い、ビアタンブラーとクラフトビールを制作しました。

↑制作窯元は左から「あさか野窯」「陶徳窯」「いかりや商店」「京月窯」

 

プロジェクト名の「福虎添藝」は、福島県の頭文字を表す“福”と臺虎精釀のアイコンである“虎”を掛け合わせたネーミング。中国語のことわざにある「如虎添翼(ルゥー フゥー ティェン イー)」、日本語で「まるで虎に翼をつけたようである」が語源となっており、大堀相馬焼と臺虎精釀が出会い、器と食の文化交流に止まらず作り手としての技術を高め合い、より一層良いものをつくっていくという想いが込められているとのこと。

 

陶器ビアタンブラーは、大堀相馬焼の伝統的技法である「貫入(ひび割れ)」「二重構造」「駒の絵」から、臺虎精釀とともに二重構造に着目。クラフトビールをよりおいしく飲めるように保温・保冷効果がある二重構造と、香りをより際立たせる瓢箪(ひょうたん)型の丸みを帯びた形状をデザインしています。制作窯元は、郡山市「あさか野窯」「陶徳窯」、白河市「いかりや商店」、福島市「京月窯」。税込価格は7700円。

 

クラフトビールは、臺虎精釀によって、福島県の日本酒をイメージし、日本酒造りで欠かせない麹菌を使用。台湾の最高級米・池上米と日本酒米麹を使用し、100%自然発酵でさわやかな香りのビールに仕上がっています。ラベルは各窯元のビアタンブラーの釉薬を表現し、日本や福島らしさを取り入れたデザインです。台湾では既に発売されていますが、日本では輸入の関係上、4月上旬の発売が予定されています。

正月休みにだら呑みしたい! 「常陸野ネストビール」の魅力を国際唎酒師が語る

今年の年末年始は、みなさんゆっくりできそうでしょうか? 一年の疲れを発散するには……なんと言ってもお酒!

 

年末年始は、一年間の中でも日本酒などのお酒が最も飲まれるハイシーズンでもあります。そこで本企画ではこの年末年始におすすめの日本酒やクラフトビールなどさまざまなお酒を、国際唎酒師の髙橋理人さんが解説。

 

さらに2021年12月27日に発売したお酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』の、お酒紹介話もお披露めします。おすすめのお酒と、それにちなんだマンガをゆったりとお楽しみください。

 

●解説

髙橋理人さん

全国の酒蔵のサポートおよび情報発信を行っている、酒蔵支援スタートアップ「株式会社蔵楽(クラク)」代表取締役。SSIインターナショナル認定「国際唎酒師」であり、一般社団法人日本ソムリエ協会認定「SakeDiploma」、「ワインエキスパート」とお酒関連の資格を幅広く持つ。大手化学メーカーに就職した最初の赴任地、新潟県糸魚川市にて感動的な日本酒に出会い、その魅力の虜に。日本酒普及に向けた活動を行い、オンラインセミナー「日本史と日本酒」、「日本酒都道府県旅」など日本酒と人を繋げる新たなアプローチを数多く試みている。

 

●年末年始におすすめの一本

常陸野ネストビール だいだいエール/ホワイトエール

↑だいだいエール

 

↑ホワイトエール

 

日本のクラフトビールでも有数の「常陸野ネストビール」は、茨城県那珂市の蔵元・木内酒造が日本酒づくりの英知を活かしてつくられています。クラフトビールの本場である欧米に並ぶ味は、今や世界35か国以上で愛されているものになりました。

 

そんな常陸野ネストビールは、東京では丸の内、エキュート品川、そしてマーチエキュート神田万世橋店で楽しめます。「だいだいエール」は、筑波山の麓、八郷産の福来みかんと、その香りを引き立たせる柑橘系のホップを使用。フルーティーで爽やかな香りと旨味を特徴としています。爽やかな香りとやわらかい味わいが人気の「ホワイトエール」は、世界で知られるフクロウラベルを印象づけた銘柄。

 

そんな日本有数のクラフトビールを髙橋さんが推薦する理由は…

 

常陸野ネストビールは、クラフトビールビギナーにこそ飲んでもらいラインナップばかり。1つ目の「だいだいエール」は、オレンジ香りがするホップにミカンを副原料として使った、柑橘の味わいが際立ち、オレンジジュースカクテルのよう。しっかりとした余韻が楽しめます。一方で「ホワイトエール」は、すっきりタイプで、爽快さが特徴。ほんのり感じられるバナナ風味が美味しさを引き立てます。柑橘漂うジューシータイプかバナナのようなスッキリタイプか。カジュアルに飲めるけども、味わい深いこの2本は少し早めの時間から飲み始める人もいるであろう、年末年始にまったり飲んでほしいと思います。

 

とのこと! 今回紹介した2本は、お酒マンガ『ほろ酔い道草学概論』でも紹介しています。ぜひマンガと合わせて、その魅力を知ってください。マンガは全て12月27日に発売したばかりの単行本に収録されている特別版です!

※マンガ部分が読めるのは、2021年12月30日21時までとなります

 

 

 

 

 

 

 

 

【作品情報】

●ほろ酔い道草学概論 インドアな私が酒と街歩きにハマるまで

漫画:zinbei

刊行:ワン・パブリッシング

うまい酒とエモい散歩は学問だ――。日本全国の足を運ばないとわからない魅力を持った「土地」、その土地でこそ楽しめる「お酒」の楽しみを描いた、今までありそうでなかった「酒×街歩き」コミックがついに単行本に。作中で登場する日本酒やワイン、クラフトビール、健康センターのサワーなど、全て実在のもの。お酒と共に、土地々々の隠れた顔に迫る「エモい街巡り」が描かれます。コロナ禍以降、お出かけの解放感とお酒の楽しみから遠ざかった人、また少しずつでも足を伸ばしてみようと思っている人に寄り添う酒マンガの新境地!

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世界の超一流が認めた! 一切手加減なし、こだわりのおいしさ。2021年を代表するクラフトビール、キリン「スプリングバレー」

2021年、約200%(※1)の市場急拡大で盛り上がりを見せるクラフトビールの人気を決定づけた今年のヒット商品が、キリンビールの「スプリングバレー 豊潤<496>」だ。発売から約半年で出荷数100万ケース(※2)を達成し、クラフトビール市場の急拡大をけん引。コレを飲まずして、2021年は終われない! 今まさに飲むべき一本の魅力をお伝えしよう。

※1:2021年1-10月国産クラフトビール販売数:出典:インテージSRI+(業務用酒販店含む)2021年11月キリン調べ(クラフトビール市場:大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っています)
※2:キリンビール出荷実績(大びん換算)202110月キリン調べ


キリン
スプリングバレー 豊潤<496>
税込実売価格272円(350ml)/363円(500ml)
「キリンラガービール」の約1.5倍の麦芽と、厳選した4種類のホップを贅沢に使用。ホップを7日間漬け込む「ディップホップ」製法により、豊潤な味わいとすっきりとした後味、ふわとろの泡を実現させた。

 

【この3人で検証しました】

GetNavi編集長/川内一史(左)
雑誌『GetNavi』を率いる。“酒=ビール”のビール好きだが、定番の味で満足するためクラフトはあまり飲まない。保守的なビール党。

GetNavi編集部 AV担当/松山葉南(中)
ビールは飲み会などの乾杯で嗜む程度。とはいえお酒は好きで、カクテルや果実酒、日本酒をよく注文する。

フードライター/中山秀明さん(右)
クラフトビール大好き人間。ブルワリーに取材することも多く、取材を通じて奥深い魅力に触れてきた。

 

クラフトビールのイメージがガラッと変わる!
誰もが納得するおいしさを実現

川内『スプリングバレー 豊潤<496>』が超売れているとは聞いていたんですが、ビールに関してはあまり冒険しないタイプなので、ついいつもと同じ定番銘柄に手が伸びてしまっていました。ですが、今日飲んで納得。これはマジでウマい! “個性的で気難しそう”というクラフトビールのイメージがガラッと変わりました」

松山「フルーティな香りと柔らかい飲み口が印象的で、リッチな甘味も感じますね。普段あまりビールを飲まない私でも、親しみやすくてすごく好きな味です」

中山「種類が豊富なクラフトビールのなかで、『スプリングバレー 豊潤<496>』は王道のスタイル。華やかな香りや豊かなコク、印象的な苦味が特徴ですが、一方で余韻の爽快感も抜群ですよね。バランスが良く、誰でもおいしく感じる味の設計になっています

川内「僕はゴクゴク飲めるビールが好きなので、クラフトは手が出にくいんです。でもこれはイイ! 味も香りも力強いですが、重たすぎず後味はすっきり。これがバランスの良さですかね」

中山麦芽をたっぷり使ってコクを深め、4種類のホップで香りや苦味を付けていますそこで活用されているのが、キリン独自の『ディップホップ』という製法。これにより、鮮烈でありながら温和な香りを実現しているんです

松山「『ディップホップ』は通常の製法と何が違うんですか?」

中山「一般的にホップを投入するタイミングは2つあり、1つは麦汁煮沸の終了直前。『レイトホップ』といい、穏やかな香りを付けられます。もうひとつは、煮沸した麦汁を発酵、貯蔵するときに入れる『ドライホップ』。貯蔵時に入れることで刺激的な香りを生み出せます。それに対し『ディップホップ』は両者の中間、発酵工程のときにホップを入れて7日間漬け込みます。つまり2つの良いとこどり。簡単そうに聞こえるかもしれませんが、発酵工程は品質管理が難しく、ホップを添加するのは至難の業。多くの醸造家が取り入れたいと夢に見ながらも手を出せなかった製法で、海外の醸造家には“クレイジー”とまで言われたそうです」

川内「なるほど! 良いとこ取りをしているから、味に個性を感じるのにスッと飲めちゃうんですね」

 

ここで、おいしさへのこだわりをチェック

1.世界的にも珍しい「ディップホップ」製法を採用!


発酵工程でホップを投入し7日間漬け込むという、革新的な製法を採用。ビール醸造の常識では考えられない製法であり、この実現を支えたのは、長年のビール造りによって培われた高い技術力と情熱だ。

 

2.厳選ホップと1.5倍量(※3)の麦芽を惜しみなく使用!


世界中から厳選した4種類のホップと、約1.5倍(※3)もの量の麦芽を使用。さらに全体の温度を徐々に上げる「インフュージョン」方式で麦芽を糖化し、濃厚な味わいとすっきりとした後味を両立している。

※3:キリンラガービール比

 

3.ビールづくりへの情熱を感じる「試験醸造250回(※4)以上」!


完成までにかかった歳月は、なんと10年。しかもその間に行われた試験醸造の回数は250回(※4)にものぼった。開発期間や試験回数だけを見てもクレイジーで、醸造家の夢が詰まったビールといえよう。

※4:本品の特徴である製法の開発にかかった試験醸造の回数

 

川内「すっかり1缶空いちゃいましたよ」

松山「早いですね! でも私もいつもより自然と杯が進んでます。あと、注いでから時間が経ちましたが、泡がまだしっかりあります」

中山クリーミーで持ちの良い泡も製法の特徴なんです

川内「泡の良し悪しは、ビールのおいしさだけじゃなく気分にも影響を与えるもの。これだけクリーミーだと気分がアガります!」

松山「注ぎ慣れていない私でも、キレイな泡ができました! 予想以上に簡単で、家でもできそう。缶とグラスで飲み比べてみると、泡の質感や香りのボリュームが違ってビックリ! 五感をフルに使っておいしさを存分に味わえる気がします」

 

ビール通直伝! おいしさをさらに引き出す「2度注ぎ」の極意

1.缶は口が小さく、魅惑的な香りが鼻に届きにくくなるためグラスは必須。アロマをよりしっかりと受け止めるには、口が広いタイプを用意しよう。ワイングラスもオススメ。きれいに洗って冷やしたグラスに、あえて泡が立つようにして注ぐ。グラスの約1/3まで泡で満たしたら、泡の粒が落ち着くまで数十秒待とう

 

2.缶の飲み口がグラスの縁に付くように当て、今度は泡を立てないようにできるだけやさしく注ぐ。グラスの内側に沿わせるように注ぐのがコツだ

 

3.最後はグラスの上部まで、やさしく一気に注ぐ。泡でフタをすることで炭酸ガスが抜けにくく、最後のひと口まで爽快なおいしさを楽しめるようになる

 

松山「今日はおつまみが豊富ですが、どんな料理が合いますか?」

中山「香味バランスが良いので、肉や魚、野菜、炭水化物と何にでも合いますよ。なかでもチーズなどの乳製品、トマト系のうまみや酸味が豊かな料理、甘味のあるソースには特にマッチします

川内「チョコレートなどの甘いものはどうですか?」

中山「いいですねー!『スプリングバレー 豊潤<496>』には甘やかなコクがあるので、スイーツにもよく合うんですよ

川内「これからパーティシーズンですが、前菜からメインにシメ、食後のスイーツまで、これ一本でずっといけますね。僕はこの年末年始、『スプリングバレー 豊潤<496>』で決まりです!」

松山「缶が華やかなデザインで、パーティの差し入れにもピッタリですし、ふわとろの泡でリッチな気分にもなれます。『ビールが飲みたい』ではなく、『“スプリングバレー 豊潤<496>”が飲みたい』と、指名買いしたくなるビールだなと感じました」

中山「山深い僕の実家のコンビニでは今までクラフトビールが手に入りませんでしたが、『スプリングバレー 豊潤<496>』のおかげで一変。身近なお店でこの味が手に入るのはうれしいですね。年末に帰省したらこの一本でお祝いしますよ。では改めて、乾杯!」

 

 

特別醸造“エール”で“エール”を送る!「COEDO MATSURI YELL PROJECT」第3弾は秩父夜祭

クラフトビールメーカー のCOEDO(コエド)は、新型コロナウイルスの感染拡大により延期が続いている「秩父夜祭」を応援し、復活を祈念する、「秩父夜祭エールプロジェクト」を始動します。​

 

「COEDO MATSURI YELL PROJECT」は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府要請を受け、全国のお祭りが延期となっている事を受け、2月15日から「川越まつり」支援を開始し、東北、秩父夜祭と、日本各地のお祭りを応援するプロジェクト。お祭り復活に向けてYELLを送るべく、ビールの売上の一部(1本あたり20円)を、お祭りの主催者に寄付しています。

 

「秩父夜祭エール」は、埼玉県秩父市のブルワリー「秩父麦酒(BEAR MEET BEER)」とのコラボレーション醸造により、両者の知見を合わせて、より磨きのかかった「祭エール-Matsuri Ale-」を予定しています。秩父麦酒が使用する醸造設備は、かつてコエドブルワリーが使用していたもので、現在は秩父麦酒が活用しているほか、両者共通の愛好家の主催で、富士山に登り山頂にて共に乾杯するなど、縁のあるブルワリー同士でもあります。

 

このような縁が収れんする形で実り、今回のコラボレーションが実現。秩父夜祭エールでは、従来の祭エール-Matsuri Ale-の流れを汲んで、埼玉県秩父市産の米をビールの原材料として使用し、すっきりとした飲み口に。明るい淡い黄金色とクリーンな苦味、ヨーロッパ伝統のノーブルホップの柔らかいアロマにより、バランスの取れた仕上がりを目指すとしています。

 

ラベルは「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(あの花)の秩父夜祭をモチーフにしたデザインとなっており、同作公開から10周年という節目の本年を、「秩父夜祭エールプロジェクト」とのコラボレーションで彩ります。

 

価格は税抜398円。10月8日より、秩父市内の酒販店をはじめとする小売店や市内の観光施設、COEDO ONLINE SHOPなどでの販売を予定しています。

 

秩父夜祭は秩父地方の総鎮守「秩父神社」の例大祭ということもあり、秩父夜祭エールは完成後、秩父神社に奉納される予定です。

2021年を代表するヒット商品!「クラフトビール」ブームを象徴する「スプリングバレー」が100万ケース以上も売れている理由

※一部データを更新して再投稿しました

高付加価値への需要が高まるなか、造り手のこだわりが凝縮した「クラフトビール」がヒットしています。市場成長は約200%(※1)といわれますが、なかでもその勢いを牽引しているのが、キリンビールが2021年3月に発売した「スプリングバレー 豊潤<496>(ほうじゅん ヨンキューロク)」。わずか半年後の9月には、年間販売目標に掲げた約160万ケースの約6割にあたる100万ケースを達成(※2)。スプリングバレーが市場拡大に大きく影響していることがうかがえます。

 

では、なぜ今クラフトビールが、そして「スプリングバレー 豊潤<496>」が支持されるのでしょうか? 「スプリングバレー」ブランドを象徴する、東京・代官山にある直営店「スプリングバレーブルワリー東京」を訪ね、マスターブリュワーの田山智広さんに聞きました。造り手ならではのコツが詰まった「おいしい飲み方」も必見です。

 

(※1:2021年1-9月、10月キリン調べ。出典:インテージSRI+(業務用酒販店含む)。クラフトビール市場について:大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っています。)

(※2:キリンビール出荷実績(大びん換算)2021年10月キリン調べ。)

キリン
スプリングバレー 豊潤<496>

麦芽を「キリンラガービール」の約1.5倍使用しているほか、4種類のホップを使用するなど素材を贅沢に使用。さらにホップを7日間漬け込む独自製法を活用し、豊潤な味わいとすっきりとした後味、ふわとろの泡を実現しています。

 

↑訪れたのは、東京・代官山で2015年にオープンした「スプリングバレーブルワリー東京」。ビール醸造所併設型レストランで、タンクや釜など醸造設備を眺めながら楽しめます

 

常識を覆す製法に挑み、海外醸造家から「クレイジー!」と評された

「スプリングバレー 豊潤<496>」の基盤となるのが、キリンの独自技術「ディップホップ製法」。まずはこの製法について、田山さんに教えてもらいました。

↑キリンビール マスターブリュワーの田山智広さん。1987年キリンビールに入社。工場、R&D、ドイツ留学等を経て、2001年よりマーケティング部商品開発研究所にてビール類の中味開発に携わる。2013年から商品開発研究所所長、2016年4月からキリンビールのビール類・RTDなどの中味の総責任者であるマスターブリュワーに就任

 

「『ディップホップ』は、2012年に当社が開発した製法です。それまでのホップの使用法は基本的に2つが主流でした。1つは、醸造工程における煮沸の後にホップを入れることで穏やかな香りをつける『レイトホップ』。もう1つは、ビール発酵後の貯蔵させるタイミングでホップを添加させ、刺激的な香りを付ける『ドライホップ』です。

 

『ディップホップ』はその2つの中間にあるタイミングで、酵母と一緒にホップを添加し、発酵中に漬け込みます。これによって『レイトホップ』よりも豊かでいて、『ドライホップ』で発生しがちなクセやトゲのない、温和かつ個性的な香り付けが可能に。さらに、泡の安定化や保存性を高めてくれるのが『ディップホップ』です」(田山さん)

 

↑「スプリングバレーブルワリー 東京」では、透明の発酵タンクで「ディップホップ」製法を見ることができます。※写真はイメージ。「スプリングバレー 豊潤<496>」は、キリンビールの工場で製造されています

 

「レイトホップ」と「ドライホップ」のいいとこ取りともいえる「ディップホップ製法」。これを知った海外の醸造家は、「クレイジー」と評したそう。それは、その発想が思い付かない技術だったからでしょうか?

 

「天才じゃないと思い付かないとか、そういう類ではないと思います。例を挙げれば『一番搾り製法』。これは麦汁の過工程で最初に流れ出る、一番搾り麦汁だけを使う製法です。醸造家であれば、一番搾り麦汁で造ればおいしくなるということは想像できるでしょう。ただしコストがかかりますから、大量生産を前提にしたナショナルブランドでの採用は、本来ありえないはずです。

 

『ディップホップ製法』も同様に、考え付くことはあったかもしれません。しかし、発酵させるタイミングでホップを添加することは衛生面でリスキーなんです。クリアするためには設備投資や管理の手間がかかるので、だれもやろうとは思わなかった。一般的なビール醸造では諦めてしまうことにも挑戦したことが、“クレイジー”と思えたんでしょうね」(田山さん)

 

そのクレイジーなこだわりは、原材料の厳選ぶりにも見てとれます。

 

・厳選した4種のホップを使用

「スプリングバレー」で使用するホップは、フルーティーでフローラルなホップを中心に、さまざまな組み合わせを何度も繰り返して4種を厳選。華やかな香りを創出しています。

↑ホップの圃場(ほじょう)。世界には数多くの品種のホップがあり、そのなかから最適な組み合わせを選び抜いて「スプリングバレー 豊潤<496>」に使用しています

 

・「キリンラガー」の1.5倍もの麦芽を使用

麦芽は「キリンラガービール」の約1.5倍もの量。その上ですっきり仕上げることで、「豊潤」と呼ぶにふさわしい濃厚な味わいとすっきりとした後味を両立。さらには見た目にもおいしそうな琥珀の液色に仕上げられています。

↑糖化方法は全体の温度を徐々に上げる「インフュージョン」を採用。これは一般的に、すっきりとしたビールに仕上げたいときに用いる製法です

 

構想10年・試験醸造250回(※3)を費やして味を造り上げた!

「スプリングバレー 豊潤<496>」が完成するまでにかかった歳月は、なんと10年。その間行われた試験醸造の数は250回(※3)と、いち商品の開発に対して行うには、まさに“クレイジー”といえる回数です。やはり、それだけ苦労したということでしょうか?

(※3:この商品の特長である製法の開発にかかった試験醸造の回数)

 

「そうですね。私たちがビール造りに一貫してこだわっているのは、飲み飽きず、また飲みたくなるようなおいしさ。『キリンラガービール』も『キリン一番搾り』も同様です。『スプリングバレー 豊潤<496>』も、クラフトビールならではの1杯で満足できる豊潤な味わいを追求しながら、さらにもう1杯飲みたくなるおいしさを追求しました」(田山さん)

↑究極の味のバランスを目指していることから、完全数である調和のシンボル「496」を商品名にしたといいます

 

「その上で缶で販売することも想定し、500mlを飲み切れて、酔い過ぎない設計にしたことも考慮した点です。また、大量生産できることも条件になりますから、安定してどのホップや麦芽を使えるかも重要でした。そのため、原材料の選定だけでも数え切れないほどの検討を重ねました。これは苦労したことの1つです」(田山さん)

 

250回(※3)の試験醸造では、どのような点をブラッシュアップしていったのでしょうか?

 

「まずは、あまたある完成図のなかから方向性を決めていきます。そこから、どのビアスタイルがふさわしいか。ホップや麦芽のほか、酵母はどう使ってどう組み合わせるのか。製法は何を採用してどう生かすかといったテストですね。原材料と製法の試験では性質が異なりますし、大枠が決まったあとは完成に向けた最終調整もあります。そういったさまざまな試験をカウントしていったら、結果的に250回(※3)になっていました」(田山さん)

(※3:この商品の特長である製法の開発にかかった試験醸造の回数)

 

開発チームは、あらゆるビアスタイルに精通しているビール造りのプロフェッショナル。過去の経験から、ある程度の完成図はイメージできると田山さんは言います。とはいえ、狙った味の基準に達するかどうかは、造ってみないとわかりません。しかも1回の醸造を始めてから完成するまでに、約1か月がかかります。同時に数パターンを試すので250か月かかったわけではありませんが、それはそれは長い道のりだったのです。

「スプリングバレー」のこだわりを動画でチェック

 

マスターブリュワー直伝! おいしさを余すところなく味わう作法とは

田山さんはじめ、ブリュワーたちのこだわりとクレイジーな挑戦がつまった「スプリングバレー 豊潤<496>」を、あますところなく堪能するには、どうしたらいいでしょうか? 田山さんに、よりおいしく飲むためのコツを聞きました。

 

1. グラスに注ぐべし!

「『スプリングバレー 豊潤<496>』の醍醐味である、華やかな香りを楽しんでいただくためには、グラスに注ぐことが大切です。缶は構造上、香りが鼻までダイレクトに届きませんから。ビールの琥珀色、コポコポと注がれて泡がプチプチ弾ける音。ぜひ、五感をフル活用して味わっていただきたいですね」(田山さん)

 

2. 口が広いグラスを選ぶべし!

「このような、口が広いタイプのものであれば基本的にどんなグラスでもOKです。ワイングラスのように口がすぼまったタイプも、凝縮感のある香りを楽しめていいですね。一方、凹凸があるようなグラスは泡が立ちすぎてしまうので、避けたほうがいいです」(田山さん)

 

3. グラスは冷やすべし!

「グラスは内部をしっかり洗ってください。汚れがあると、そこに泡が吸着してしまうんです。また、グラスを冷やしておくこともポイントですね。グラスとビールに温度差があると、これも泡が立つ原因になるからです。理想は氷水で冷やすことですが、冷水でも構いません」(田山さん)

 

4. 泡でおいしさを閉じ込めるべし!

↑最初はあえて泡を立てるように注ぎ、その後はグラスの縁に沿ってできるだけやさしくサーブ。炭酸ガスが抜けないように泡でフタをし、爽快なおいしさをしっかり閉じ込めるのです

 

そのクレイジーなこだわりは100年超えだった!

海外のビール醸造家から「クレイジー」と称賛された、スプリングバレーの製法。その根底には、おいしさへのあくなき探求心があると、田山さんは言います。

 

「目的は、とにかくおいしいビールをお客様にお届けしたい。この一心です。おいしくなるのであれば、いままでになかったおいしさを届けられるなら、どんな困難なハードルも超えますよ。その1つの手段が『ディップホップ』であり、結果的に“クレイジー”なものづくりになっているんでしょうね」(田山さん)

 

脈々と受け継がれる、キリンビールのクラフトマンシップ。その矜持は、商品名である「スプリングバレー」に込められていました。

 

↑「スプリングバレー」は、約150年前に横浜・山手で設立され日本で初めて商業的な成功を収めたビール醸造所「スプリングバレー・ブルワリー」のこと。そしてキリンビールの前身「ジャパン・ブルワリー・カンパニー」は、その跡地に設立されました。(写真:東京大学史料編纂所古写真研究プロジェクト 提供)

 

「『スプリング』は泉。『バレー』は谷。設立したのはノルウェー生まれのアメリカ人、ウイリアム・コープランドですが、彼は横浜の山手にビール造りに最適な水が湧いていることを発見したんでしょうね。ただ山手は丘陵であり、横浜港から近いわけでもありません。輸入した資材や原材料を運ぶのも大変だったはずです。でもおいしいビールを造るためには、良質な水が欠かせなかったんでしょう。そうした苦労の末、『スプリングバレー・ブルワリー』は日本のビール文化を切り拓きました」(田山さん)

 

そのものづくりへのこだわりや情熱が、キリンビールの源流にあります。おいしいビール造りを目指す“クレイジー”な探求心とともに、「スプリングバレー」の名のもとに受け継がれたキリンビールのクラフトマンシップ。先人が日本にビール文化をもたらしたように、クラフトビールで新たなビールカルチャーを根付かせたい、時代を変えたい。その熱い思いが、「スプリングバレー 豊潤<496>」には込められているのです。

 

田山さんの思いあふれる話を聞いて、あらためて筆者も「スプリングバレー 豊潤<496>」を飲んでみました。個性と飲みやすさが調和した味わいです。香りが華やかでコク深く、味のボリュームがありながらも後味はすっきり。飲み疲れがないフレンドリーなテイストに仕上がっています。田山さんが語るクレイジーなこだわりの数々を聞けば、腑に落ちる旨さです。

 

前年比約200%(※1)超の活況に沸くクラフトビール。でもその道はまだ半ば

クレイジーな情熱、クレイジーな製法から生まれた「スプリングバレー 豊潤<496>」は、発売からわずか半年で100万ケースを突破(※2)。しかも、2021年1〜4月で、クラフトビール市場は前年比約200%(※1)と伸長するなど、家庭でのクラフトビールニーズが大きく飛躍しているとか。

(※1:2021年1-9月、10月キリン調べ。出典:インテージSRI+(業務用酒販店含む)。クラフトビール市場について:大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っています。)

(※2:キリンビール出荷実績(大びん換算)2021年10月キリン調べ。)

 

とはいえ、田山さんはクラフトビール飲用拡大への挑戦はまだまだ道半ばだと言います。

 

「『クラフトビール』という言葉の一般認知はすでに9割を超えているそうです。ただし、意味の理解までは十分に進んでいないと思いますし、飲用体験もまだまだ。また知ってはいるものの“身近な世界ではない”と思われている傾向もあります。

 

私たちは、クラフトビールには生活スタイルを変えるほどのインパクトがあると思っていますし、誰にとっても身近で日常的な存在になれると確信しています。これからもクラフトビールのおいしさを探求するとともに、魅力を発信し続けていきますよ!」(田山さん)

 

一部のコアなビール好きが飲むものだったクラフトビールが、すべてのビール好き、すべてのお酒好きの手に。広がりつつあるムーブメントの起爆剤がまさに「スプリングバレー 豊潤<496>」であり、事実として全国にファンが増えています。ビギナーからマニアまで、誰が飲んでも感動できる、ど真ん中のおいしさをもったこのクラフトビールこそ、ニーズを確実にとらえた、2021年を代表するヒット作といえるでしょう。

 

【Twitter感想投稿キャンペーン開催中】

抽選で合計50名に「スプリングバレー 豊潤<496>」感動体験キットが当たる!

 

 

取材・文=中山秀明 人物写真/湯浅立志(Y2)

「COEDO」から夏にピッタリな麹とゆずのIPAが数量限定発売、「UKIYO-E PROJECT」とコラボした新商品

協同商事コエドブルワリーは、浮世絵「時鐘江戸俤(ときのかねえどのおもかげ)」をテーマにしたコラボレーションビールを7月7日に発売します。350ml缶で希望小売価格は438円(税込)です。

 

協同商事コエドブルワリーは、「Beer Beautiful」をコンセプトに掲げるクラフトビールメーカー。パッケージに大きく「COEDO」のロゴが記載されたクラフトビールというと、ピンとくる人も多いのではないでしょうか。

 

今回コラボレーションするのは、浮世絵職人の失われそうな技術の需要を創出し、後世に伝承していくプロジェクト「UKIYO-E PROJECT」。このプロジェクトから、川越市のシンボルである鐘楼「時の鐘」を描いた新作浮世絵「時鐘江戸俤」が販売されます。これにともない、浮世絵にインスピレーションを得たビールを数量限定で醸造するとのこと。

 

コラボレーションビールは、麹とゆずを使って醸造されたJapanese style Brut IPA。5種類のホップとゆずからなる重層的な香りと味わいが口の中で弾けるうえ、米麹を使用することによってドライで軽やかな飲み口に仕上げたとしています。ゆずとホップの苦みや香りと、麹と酵母が醸す後味のキレは、夏にピッタリだそうです。

 

ラベルは「時鐘江戸俤」を用いた風情あるデザインになっています。

 

販売は全国のスーパー、酒販店、百貨店など。なお、6月23日からCOEDO ONLINE SHOP 公式通販サイトで、先行予約受注も開始しています。

 

暑い時期にキンキンに冷やして飲むと、汗がスッと引きそうなビールです。数量限定とのことなので、気になる人はチェックを欠かさないようにしましょう。

もらえたらうれしい特産品だらけ! 超おトク、ふるさと納税 返礼品6選

普段からたくさんのモノに触れているGetNavi編集部員が、無数の返礼品からオススメをセレクト。なかなか手を出せないけれど、もらえたらうれしい、バラエティに富んだ特産品が揃った。

※こちらの記事は「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【No.1】本格派のいかめしが煮るだけで完成!

北海道森町

森町いかめしキット12尾入(たれ付き)

寄付金額2万1000円

内浦湾に面した森町は海の幸が豊富な街。水揚げされたばかりの新鮮ないかと、もっちりのうるち米、もち米の組み合わせが絶品。調味液と煮るだけですぐに楽しめる。

 

★ココに惚れた!

GetNavi編集部 クルマ担当

上岡 篤

いかめしの駅弁で有名な森駅のある森町。現地にはなかなか行きづらいので、冷凍で届いて煮込むだけで食べられるのはうれしい!

 

【No.2】ドローンを始めるきっかけに!

神奈川県秦野市

ドローン体験60分(基本操作・安全講習)

寄付金額3万4000円

プロの映像制作にも利用される本格派ドローン、DJI Phan tom 4 Proを使って操縦体験ができる返礼品。200×50mの広々とした敷地で、ドローンを思い切り飛ばせる。

 

★ココに惚れた!

GetNavi編集長

川内一史

興味はあるけれど、いきなり購入するのも……という人にピッタリ。操作の基本を学び、ドローンYouTuberを目指す第一歩になるかも!?

 

【No.3】大人気クラフトビールが全部入り!

埼玉県三芳町

コエドビール瓶12本セット(毬花、瑠璃、白、伽羅、漆黒、紅赤 全6種×2本)

寄付金額1万5000円

埼玉県を代表するクラフトビール。三芳町の農家が栽培したサツマイモが原料の「紅赤-Beniaka-」や、華やかな香りが口の中に広がる「瑠璃-Ruri-」など6種がセットに。

 

ココに惚れた!

GetNavi編集部 フード担当

鈴木翔子

元々コエドビールのファンですが、全種揃っているお店はあまりないので、飲み比べできるのがうれしい! 贈り物にも向いています。

 

【No.4】黒毛和牛ならではの旨みを堪能!

佐賀県唐津市

【創業60年】老舗肉屋の特上ハンバーグ10個

寄付金額1万2000円

ふるさと納税サイトの人気ランキング上位常連の逸品。九州産黒毛和牛をふんだんに使った、創業60年の味を自宅で楽しめる。140g×10個入りでボリュームも◎。

 

★ココに惚れた!

GetNavi副編集長

青木宏彰

夫婦2人暮らしなので、生モノではなく、保存しやすい真空パック冷凍のものを選びました。たくさん入っていて家計にもやさしい!

 

【No.5】高級マンゴーが完熟状態で届く!

宮崎県新富町

完熟マンゴー 宮崎県産 太陽のタマゴ

寄付金額2万円

宮崎県産で、糖度15度以上かつ質量350g以上の基準を満たした完熟マンゴーのブランド「太陽のタマゴ」が2玉セットに。濃厚な甘さと滑らかな食感で人気の逸品。

 

★ココに惚れた!

GetNavi編集部 ファッション担当

金矢麻佳

自腹だと躊躇する価格の希少なマンゴーなので、返礼品だからこそ味わえます。届くのは来年4〜7月と先ですが、いまから楽しみ!

 

【No.6】普通の食パンが絶品のトーストに!

兵庫県加西市

アラジン グラファイトトースター AET-GS13B(W)

寄付金額3万円

0.2秒で発熱する特許技術「遠赤グラファイト」を搭載。高温で一気に焼き上げることで、外はカリッ、内はモチモチとしたトーストに。2枚まで同時に焼くことが可能。

 

★ココに惚れた!

GetNavi編集部 デジタル担当

森 有史

おいしいトーストを焼けて、見た目もオシャレだから生活が豊かに! 実売価格と寄付金額を比較すると、おトクに入手できるのもイイ。

BBQと相性最高のクラフトビール!「TINY GARDEN 蓼科」が気鋭ブルワリー&ビール愛好家と造った逸品

大手ビールメーカーも参入して、ますます盛り上がりを見せるクラフトビール。消費者の選択肢も増えて、こだわりの味を気軽に楽しめるようになってきました。一方で、地域の市場やコミュニティを活性化させるための手段としても、クラフトビールは注目されています。

 

2020年8月1日に発売された「GARDEN ALE(ガーデンエール)」もそのひとつ。アパレルブランドのアーバンリサーチによるキャンプ施設「TINY GARDEN(タイニーガーデン)蓼科」、長野県茅野市のブルワリー「8Peaks BREWING(エイトピークスブルーイング)」らが共同開発した1本です。誕生の経緯とともに味わいをレポートしていきましょう。

 

↑こちらが「GARDEN ALE」(参考価格:税込800円)。長野県の一部店舗のみで手に入る希少な1本です

 

アーバンリサーチのキャンプ場はビール企画も地元コミュニティも創造

GARDEN ALEは、アーバンリサーチが手がけた宿泊施設・TINY GARDEN 蓼科によって開催されたクラフトビールのワークショップ「BEER CLUB」によって生まれました。このTINY GARDEN 蓼科は、長野県・八ヶ岳のふもと、標高1250mの蓼科湖畔という絶好のロケーションにあります。詳細はこちら

 

↑長野県・八ヶ岳のふもとにある「TINY GARDEN 蓼科」

 

↑蓼科湖畔の開放的なロケーション

 

4800坪の敷地に、テントサイトや棟貸しスタイルのキャビンのほか、地元食材をふんだんに使った料理が楽しめるカフェ、ハイセンスなアウトドアギアを扱うショップ、さらには温浴施設も完備しています。

 

↑温泉旅館をリノベーションしたロッジ。カフェやショップ、温浴施設、宿泊施設が入っています

 

↑オートキャンプのテントサイトも充実

 

また、場内にはワークステーション棟やデッキが設えられたマルチスペースを備え、アクティビティやクラフト体験、ワークショップなどが盛んに開催。そのイベントのひとつがBEER CLUBだったというわけです。キャンプ場がハブとなって、地元・長野県のビール醸造家とビール愛好家のコミュニティが誕生しました。

 

八ヶ岳の食と自然を愛するクラフトビールブランドが参画

ワークショップで生まれた商品企画を実際に製品化したのが、八ヶ岳山麓でクラフトビールを醸造している8Peaks BREWINGです。代表の齋藤由馬(さいとうゆうま)さんは、清酒メーカーやクラフトビールメーカーで修業を重ねた後、2018年に同ブランドを立ち上げました。ちなみに八ヶ岳山麓はおよそ80年前に、日本で初めて大手ビールメーカーによるホップの栽培が行われた土地のひとつだそうです。

 

代表作はモルトの優しいコクが印象的な「ヤイヤイペールエール」、フルーティな香りと軽快なキレが特徴の「メタウィートエール」、国産柚子の皮を使った夏季限定の「アチーラ セゾン」などです。

 

↑「8Peaks BREWING」の代表的商品たち

 

ビール造りのコンセプトは、「ここのビールを飲むために八ヶ岳に来たといわれるような存在になる」こと。地元の食材や自然によく合う、すっきりとした苦みのある、香り高いビールが持ち味です。

 

↑八ヶ岳の自然に寄り添うビール造りがモットー

 

華やかな香りとコクが秀逸。キャンプ場やBBQで飲みたい!

8Peaks BREWINGやビール愛好家、地元の飲食店など約30名が集い、クラフトビール醸造企画がスタートしたのが2020年1月。そこから数多くの議論と試作検討の末に「GARDEN ALE」が完成しました。

 

↑クラフトビール醸造企画・BEER CLUBのワークショップの様子

 

同商品は八ヶ岳のふもと、標高1250mの白樺に囲まれたフィールドを舞台とし、「蓼科で、キャンプ場で飲みたい最初の一杯」というイメージで造られています。

 

原材料はイギリスで製造された麦芽をベースに、4種のホップとアイリッシュモスが使用されています。アイリッシュモスはナデシコ科に属する草丈10cmほどの常緑多年草。伝統的なビールの製法でよく登場する原料で、ビールの濁りを取り除く清澄剤として使われます。麦芽比率や副原料の使用量の関係で、GARDEN ALEは日本の酒税法上の分類では発泡酒になります。

 

↑内容量は330ml、アルコール度数は5.2%。麦芽、ホップに加えて、アイリッシュモスが使用されています

 

実際に飲んでみると、みずみずしい柑橘系のフレーバーと、すがすがしいビター感が同居。苦みの中に、爽やかさ、ジューシーさ、酸味などがバランス良く調和し、4種のホップがそれぞれの特徴を引き出し合っている印象です。

 

麦の甘味も豊かで、飲みごたえはしっかり。それでいてほど良いキレがあって爽快感も高く、アルコール5.2%なので重くなくゴクっと飲めます。

 

↑グラスに注いでみました。きれいな琥珀色をしたエールビールです

 

適度な味の濃さと華やかな香り、シャープなのどごしがあり、バーベキューなどの香ばしいシンプルな料理はもちろん、スパイシーな料理などにもぴったり。カラッとした清澄な空気の中でのバーベキューやガーデンパーティを、心地良く彩ってくれるでしょう。

 

↑苦み、酸味、コクのバランスが良く、アウトドアで飲んだら最高です!

 

GARDEN ALEは8月1日から発売していて、現在ではTINY GARDEN 蓼科のほか、「蓼科高原カントリークラブ」や茅野市のそば店「そば傍」で飲むことができます。また、アーバンリサーチが運営する飲食店舗の一部でも提供予定とのことなので、あわせて要チェックです!

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

秋の夜長を愉しむクラフトビールのいろはを学べる!――「GetNavi 2018年11月号」

この前までの猛暑日は、ウソのように一気に秋の装いになった9月末。

 

あんなに嫌だったセミの鳴き声も、聞こえなくなるとそれはそれで寂しい気持ちになりますよね(とか言いつつ、来年も夏になれば「暑い…」と愚痴ると思います)。

 

秋といえば、実りの秋、食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋と、なんでもかんでも秋と結びつけちゃいそうになりますが、今年の秋はちょっぴり大人に「クラフトビールでほろ酔いの秋」にしてみませんか?

 

 

秋は「クラフトビール」にぴったりな季節?

「ビールといえば、夏でしょ〜!」

 

と思った方も多いかもしれませんが、実は美味しいビールを味わうなら秋がオススメなんだとか。ビアジャーナリスト佐藤翔平さんの解説を「GetNavi 2018年11月号」よりご紹介します。

 

「秋は鮮烈なホップの香りを楽しめるフレッシュホップビール(その年の夏に収穫したホップで造ったビール)の季節です。新米や新そばのように注目が集まります。またのど越しの良さを重視した夏に比べ、止渇需要の少ない秋はビールをゆっくり味わうのに適した季節でもあります。アルコール度数が高いビールや、色の濃いビールがオススメですよ」

(『GetNavi 2018年11月号』より引用)

 

なるほど〜!

 

新米や新そばのように注目度が集まるというのは、納得です。他にも、ビアスタイル・目的・食事に合わせて楽しむクラフトビールが紹介されていたので、詳しくは「GetNavi 2018年11月号」をチェックください!

 

紹介されているなかでも、つるた個人的おすすめビールは、コエドブルワリーの「COEDO-Beniaka-」。瓶ビールってだけでもちょっとテンションが上がっちゃうのですが、原料にサツマイモを使っているので、秋らしい特別感が抜群! 普段ビールよりも焼酎派という方でも、いも焼酎のような味わいも感じられるため「これはイケるなぁ〜」と唸っていただけるはずです。

 

そもそもクラフトビールって?

クラフトビールって普通のビールと何が違うの?と思う方も多いと思いますが、簡単にいうと、小規模な工場で伝統的な手法で作っているビールのこと。

 

日本では、大手メーカーさんが大規模な工場で「ピルスナータイプ」を主に生産しています。スッキリとして、飲んだ後に思わず「ぷは〜っ」と言いたくなるような味わいというと、わかりやすいかもしれませんね。

 

しかし世界には100種類以上のビールが存在しており、日本人が言う「ビールが好き」というのは、「ピルスナータイプのビールが好き」ということで、世界にはまだまだたくさんのビールが存在しているのです。クラフトビールはピルスナータイプ以外のビールを作っている工場もたくさんあるため、まだまだ深掘りできる魅力がいっぱいあるんですよ〜!

 

 

プロが教える美味しいクラフトビールとは?

「GetNavi 2018年11月号」では、クラフトビールのワークショップで講師をしているキリンビールの吉田純さんによるクラフトビールを楽しむヒントが紹介されています。

 

ビールは、喉越しや泡のきめ細やかさに注目しがちだが、実は香りも魅力のひとつ。なかでも様々なビアスタイルを楽しめるクラフトビールは、よりその違いを感じられる。

(『GetNavi 2018年11月号』より引用)

 

他にも、ビールといえば「枝豆」が一番合う食べ物でしょ〜と思う方も多いかもしれませんが、食事に合わせて飲むビールを変えるなんて楽しみ方もできます。例えば、「インディア・ペールエール」ならフルーティーな味わいが楽しめるので、ローストビーフやピザなど味がしっかりしているものと一緒に食べるとさらに美味しく味わえたり、「ホワイトエール」なら華やかな香りと柔らかい口当たりを楽しめるので、カルパッチョなどさっぱりとした食事との相性が良いんだとか。

 

ビールが変わると食事もなんだかオシャレになって、毎日何気なく飲んでいるビールがワンランクアップしちゃうような気がしてきますね♪

 

 

一人もいいけど、一緒にお酒を楽しめる人がいるともっといい

zinbeiさんのマンガ連載『ほろ酔い道草学概論 第二話・東京都「新橋」』では、日本酒の飲み比べができるKURANDで、主人公の秋川千穂ちゃんとその先輩がお酒を愉しむ様子が描かれています。

 

このマンガを読んでいて、普段はコンビニで買って来たクラフト缶ビールで、海外のコメディドラマ等を見ながら「はっ! いつの間にか寝てしまった!」と慌てている時に幸せだなぁ〜と感じてしまうのですが、たまには誰かを誘ってお酒を愉しむのもいいかもな、と思ったのでした。

 

「GetNavi 2018年11月号」には、この他にも秋をさらに盛り上げる最新家電情報もたんぷりと掲載されています。

 

 

【書籍紹介】

GetNavi 2018年11月号

著者:GetNavi編集部
発行:学研プラス

読者の「賢い買い物」をサポートする新製品情報誌。話題のスマートフォンから薄型テレビ、パソコン、デジタルカメラまでベストバイを断言!

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楽天Koboで詳しく見る

プロ直伝の飲み方でビールはますますおいしくなる! クラフトビールをもっと楽しむヒント

クラフトビールは一般的なピルスナータイプのビールと比べると、味わいや香りに特徴がある。ここでは、そんなクラフトビールを楽しむコツをプロが伝授。新しいビールの扉が開くはずだ。

 

 

グランドキリンが教えるビールをもっと面白くする方法

日本でビールといえばピルスナータイプが主流だが、世界には100種類以上のビールがある。そんなビールの奥深さを伝え、日本のビールをもっと面白くしたいと立ち上げられたのがキリンビールのクラフトビールブランド「グランドキリン」だ。「ホップ」の個性を最大限に引き出す「ディップホップ」製法を取り入れ、ユニークな商品を作っている。

 

ここではグランドキリンを例に、ビールの世界をより楽しむ方法をお伝えする。講師は、キリンビールが主宰するクラフトビールセミナー「CRAFT BEER ROOM」で講師を務める吉田 純さん。ちょっとしたコツを知れば、ビールがいままでの何倍も面白くなるはず。

 

【教えてくれた人】

キリンビール・吉田 純さん

クラフトビールのワークショップの講師。ワークショップはキリンビールのオンラインショップDRINXから申し込める。

 

 

【Hint 1】

香りの違いに注目しよう

ビールは、喉越しや泡のきめ細かさに注目しがちだが、実は香りも魅力のひとつ。なかでも様々なビアスタイルを楽しめるクラフトビールは、よりその違いを感じられる。ホップや副原料によって変わる香りに注目してみよう。

 

専用グラスを使うとより楽しめる!

ビールはグラスに移して飲むのがオススメ。特に卵型のグラスを使うと、左の図のようにグラス内に香りが充満し、香りを感じやすくなる。また、ワインのように軽くスワリングすると、グラスの壁にビールの膜ができ、より香りの特徴がわかる。

↑グランドキリンオリジナル 香り比べグラス

 

香り比べにぴったりのセットが登場!

グランドキリン
香り比べるビアパーティーBOX
オープン価格

ビールの香りを感じるのに最適な液量がわかる目盛り付きのグラス、「香り比べグラス」が付いたセット。3種類のグランドキリンが入っているから、買ってすぐ香り比べができる。

 

■セット内容
グランドキリン
JPL、IPA、WHITE ALE(350ml)/各1本
香り比べグラス/1脚

 

 

【Hint 2】

食事と組み合わせよう

ビールといえば枝豆や揚げ物! もちろんそれもナイスな組み合わせだが、それ一辺倒じゃもったいない。実はビアスタイルを変えていくことで、フルコースの最初から最後まで食事と一緒に楽しめる、それがクラフトビールなのだ。

 

ペアリングは色に注目!

ペアリング(食事とビールを組み合わせること)初心者は、まず色に注目しよう。淡い色のビールは白身魚などを使った淡い色の料理、色の濃いビールは牛肉などを使った色の濃い料理と合う。つまりビールと料理の色を合わせるのがコツだ。

 

ペアリングの入門に最適のセットが発売!

クラフトビールペアリングBOX
オープン価格

コストコ限定のビールセット。コストコの食材を例に、「JPL×プルコギビーフ」、「IPA×ピザ」、「WHITE ALE×ハイローラー」のように、ペアリングのコツが書かれたリーフレットが付属する。セットと一緒に食材を買って帰れば、自宅でペアリングパーティができる。

 

■セット内容

グランドキリン JPL(350ml)/3本 グランドキリン IPA(350ml)/3本 グランドキリン WHITE ALE(350ml)/2本
ペアリングガイド/1部

※コストコ限定

 

 

日本の感性を注ぎ込んだジャパン・ペールラガー

グランドキリン
JPL
オープン価格

国産ホップ「いぶき」を一部使った、グランドキリンオリジナルのビアスタイル。国産麦芽による豊かで香ばしい味わいと心地よい余韻、ラガーならではの引き締まった苦みと上質なキレが特徴だ。

【香り】
フローラルな香り

【おすすめのペアリングフード】
ライ麦パン、ゴーヤチャンプルー

ボディ:4/苦味:4/香り:4/甘味:3/酸味:1

 

 

複数のホップの香りが調和したインディア・ペールエール

グランドキリン
IPA
オープン価格

複数の個性豊かなホップを使用した、柑橘の爽やかさを感じる一本。ひと手間かけたホップを漬け込むことで、フルーティな香りとIPAならではの上質な苦味を引き出している。

【香り】
甘く熟した香り

【おすすめのペアリングフード】
ピクルス、ローストビーフ

ボディ:4/苦味:4/香り:5/甘味:3/酸味:1

 

 

まるで白ワインのような柔らかな小麦ビール

グランドキリン
WHITE ALE
オープン価格

一部に小麦麦芽を使用したやさしい味わいのホワイトエールスタイル。ホップは、「ネルソンソーヴィンホップ」を使っている。華やかな香りと柔らかな口当たりが絶妙に調和し、飲みやすい。

【香り】
白ワインを思わせる華やかな香り

【おすすめのペアリングフード】
ヨーグルト、白身魚のカルパッチョ

ボディ:3/苦味:3/香り:5/甘味:2/酸味:2

 

クラフトビールのワークショップ「CRAFT BEER ROOM× GetNavi」をレポート!

8月に代官山で開催された「CRAFT BEER ROOM×GetNavi」では、吉田さんと日本一のコストコブロガー、コス子さんが登壇。その模様をレポートする!

 

1 ビールの基本を学ぶ

まずは吉田さんからビールの基本をレクチャー。実際にホップを手に取って香りをかいだり、グランドキリンで採用している製法と一般的な製法の違いを試したりしながら、ビールへの知識を深めてもらった。

 

 

2 ビールを飲み比べてみる

グランドキリン JPL専用グラスとプラスチックカップの比較からスタート! 同じビールでも、グラスを変えるだけで味や香りがまったく異なり、会場中がびっくり!

 

次にビアスタイルの異なるビール6種を飲み比べ! 好みはもちろん、食事や気分に合わせて選べるのがクラフトビールの楽しさだと学んだ。

 

 

3 フードペアリングを楽しむ

後半はコス子さん考案の「コストコの食材でつくるグランドキリンに合うつまみ」を試食。フードペアリングの奥深さを体験してもらった。

アトランティックサーモンのヨーグルトソース×WHITE ALE(写真左下)
サーモンにヨーグルトソースで爽やかさをプラス。ヨーグルトの酸味とホワイトエールが好相性だ。

チーズたっぷりプルコギビーフ×IPA(写真右上)
濃厚なプルコギビーフにはボディがしっかりしたIPAを。華やかな香りと苦味が牛肉にピッタリだ。

スパイシーロティサリーチキン×JPL(写真下)
チリとパプリカパウダーで仕上げたスパイシーな一品。キレと苦味のあるJPLによく合う味。

 

クラフトビールについてもっと知りたくなったら…多彩なビールの世界を冒険するスマホサイトをチェック!

マイビアクエスト
無料

 

ビールの世界を冒険しながら、ビールの知識を深めるサイト。クイズに答えるなどして経験値やポイントを貯めると、自分のキャラクターが成長したり、豪華賞品が当たる抽選に参加できたりする。

↑クイズを通して遊びながら、クラフトビールの楽しみ方を学ぶことができる

 

https://mybeerquest.jpにアクセス!

 

 

「クラフトビール」の正しい飲み方って知ってる?「グランドキリン」で学ぶクラフトビールの基本

「クラフトビール」が最近、ちょっとしたブームになりつつあります。とはいえ、「苦い……」「料理の邪魔をしそう」といったイメージを抱いている人もまだまだ多いはず。ですが、実はクラフトビールほどバリエーション豊かな楽しみ方ができるビールはないんです。

 

先日、GetNaviが開催したクラフトビールとコストコ食材のマリアージュを楽しむイベントでは、キリンビールの「グランドキリン」を通してクラフトビールをより深く知るための体験セミナーが開催されました。意外と知られていないクラフトビールの基礎知識、知っておいて損はありません!

 

そもそも「クラフトビール」って何? 実はアメリカと日本で異なる

そもそも「クラフトビール」とはどういったビールのことを指すのでしょうか? アメリカの「ブルワーズ・アソシエーション」というビール醸造者の協会では、「小規模であること」「独立していること」「伝統的であること」と定義されています。

 

アメリカのクラフトビールと聞いて日本人が思い浮かべる代表的な銘柄は「ブルームーン」ですが、これは大規模かつ独立していないブルワリーが製造したビールのため、アメリカではクラフトビールとは言えないそうです。

↑今回のイベントの講師の吉田さんはキリンビールでクラフトビール事業を担当している

 

そして、日本におけるクラフトビールの定義はありません。キリンビールでは「作り手の感性と創造性が楽しめるもの」をクラフトビールと呼んでいます。この定義では、ひと昔前に流行った地ビールや、キリンビールが手がけるグランドキリンなども、クラフトビールという一括りにまとめられます。

 

ホップ投入のタイミングがクラフトビールの味を左右する

ビールの基本となる原材料は、麦芽、ホップ、酵母、水です。クラフトビールも同様で、なかでも香りや苦味にとって重要なのが「ホップ」の存在。ホップはアサ科の植物で、ビールに使われるのは受粉前の雌株が持つ毬花(きゅうか)です。ホップを割るとなかに黄色い粉の「ルプリン」があり、これが香りや苦みのもとになります。

↑こちらがホップ。ホップの生産国・ドイツでは、ホップに安眠効果があると言われており、枕に入れたりアロマにしたりするのだとか

 

ホップが担う役割は大きく4つあります。

●ビール特有の「苦み」

●柑橘類や樹脂香などの「香り」

●炭酸が抜けたり酸化したりするのを防ぐための「泡立ち」

●ビール混濁菌の増殖の抑制

これらの効果のためにも、ビール作りにホップは欠かせない存在なのです。そして、ホップを投入するタイミングによって、香りや苦みの出方が大きく異なります。

 

ビール作りは、麦芽と湯をタンクに入れて”糖化”させるところから始まります。この麦汁をろ過→ホップを加えて煮沸→ホップかすの除去→酵母を加えて主発酵→低温で貯蔵した後、ろ過するのが一般的なビールの作り方です。ホップを加えて煮沸することで、香りが柔らかくなるのだとか。

 

それに対し、クラフトビールは貯蔵のタイミングでホップを加える「ドライホップ」製法が主流。低温での貯蔵中なので香りが飛びにくく、少し青臭い樹脂香が付きやすくなります。しかし、グランドキリンでは主発酵の段階でホップを加える「ディップホップ」製法というキリン独自の技術を採用しています。こうすることで、ホップ特有の嫌な匂いに酵母が吸着し、発酵が終わると回収されるため、ホップのいい香りだけが残るそうです。

 

イベントでは実際にドライホッピングと「ディップホッピング」の違いを体験! ホップを入れた容器に「一番搾り」を加えてホップを浸し、即席のドライホッピングを再現してみました。ドライホッピングした「一番搾り」と飲み比べるのは、「ディップホップ」製法で作られた「グランドキリン JPL(ジャパン・ペールラガー)」。

↑ドライホッピングを簡易的に再現。ビールにホップを加えると泡立ちが良くなった

 

ドライホッピングした「一番搾り」はホップ特有の強い香りや苦みがあるのですが、少し過剰な印象。それに対し、JPLのバランスの良さは際立っています。ホップを加えるタイミングひとつでこれだけ香りや味わいに差が出るのには驚かされました。

↑ドライホッピングが好みな人はクラフトビール上級者。香りや苦みの強いものを選ぶといい

 

グラスが違えば香りや味の感じ方が変わる

同じクラフトビールでも、グラスを変えるとまったくの別物になります。今回使用したのは、ドイツの名門グラスブランド「シュピゲラウ」とグランドキリンがコラボした「IPLグラス」。JPLをこのグラスとプラカップに注いで飲み比べます。

↑シュピゲラウは1521年に南ドイツで創業した老舗ブランド。ワイングラスのブランドとしても有名

 

IPLグラスにおいしくビールを注ぐには、グラスを45度に傾けて、ボウルの一番太いところから2〜3cm下あたりに液面がくるように静かに注ぎます。続いて、少し上からJPLを落とすようにして泡の層を3cmほど入れれば完成。残りのビールはプラカップに入れ、飲み比べてみます。

 

IPLグラスは中に香りがとどまりやすい卵型でありながら飲み口もある程度の広さがあり、中に鼻をしっかり入れることでJPLの国産ホップの香りが楽しめます。それに対し、ラッパ型のプラカップは同じビールなのにほとんど香りがしません。

 

また、JPLを口に含んでみても、IPLグラスは甘みが感じられるのに、プラカップだと最初に苦みがきます。これはIPLグラスは上を向いて飲むので舌先から喉までビールがスムーズに流れ込むのに対し、プラカップは下を向いたまま飲めるので口全体にビールが広がってしまうからなのです。

↑舌のどこに当たるかというのが重要。専用グラスとプラカップで香りや味が異なるのはワインと同じだ

 

さらに、IPLグラスは飲み進めていくと、グラスを横から縦に戻す際に泡が立ち、ビールの表面をきちんとフタしてくれます。これにより炭酸が抜けるのを防いだり、酸化による味の変化を抑えてくれたりするので、時間が経ってもおいしいビールが楽しめます。

↑IPLグラスはキリンのオンラインショップ「DRINX(ドリンクス)」で購入可能

 

ビアスタイルごとにグラスを増やすのはちょっと……という人は、ワイングラスで楽しむのもひとつの手です。ちなみに、「一番搾り」のようなスッキリした味わいのピルスナータイプはラッパ型のグラスのほうがおいしく飲めます。

 

料理に合わせたマリアージュを楽しもう

ビールは大きく分けると「ラガータイプ」と「エールタイプ」に分かれます。ラガータイプは「下面発酵」で、発酵が進むと酵母がタンクの底に沈殿します。低温でじっくり時間をかけて発酵させるので、比較的スッキリしたビールに仕上がります。

 

それに対しエールタイプは「上面発酵」。発酵が進むと酵母が上に浮いてきます。常温に近い温度で発酵するので、フルーティーで華やかな香りになりやすく、クラフトビールらしい味わいになります。

 

さらに、水、麦芽、ホップ、副原料を組み合わせていくことで、さまざまなクラフトビールが完成します。クラフトビールのビアスタイルは世界で100種類以上作られています。

↑クラフトビールはラベルのバリエーションが豊富なので、ジャケ飲みするのも楽しい

 

これだけ香りや味わいが異なれば、料理との組み合わせも無限大。今回のイベントでテイスティングしたのは、「グランドキリン WHITE ALE(ホワイトエール)」「COPELAND(コープランド)」「グランドキリン JPL」「よなよなエール」「グランドキリン IPA」「Afterdark(アフターダーク)」の6種類。

↑クラフトビールは料理とのマリアージュを楽しむのに最適なお酒。双方を引き立てる組み合わせを探してみよう

 

ホワイトエールは白ワインのような香りがする「ネルソンソーヴィンホップ」を使用し、小麦を使ったふくよかな優しい苦みとさっぱりした後味が特徴。白身魚のムニエルやカルパッチョ、バニラアイスなどに合うそうです。

 

コープランドは麦芽の甘い香りと品のいい苦みがあり、苦いビールが苦手な人も飲みやすいピルスナータイプ。とんかつやカルボナーラ、マルゲリータピザといった味の濃い料理に組み合わせるといいですよ。

 

JPLは国産ホップ(一部使用)と国産麦芽を使用。少し苦みがあって余韻を楽しめるので、豚の角煮など甘辛い味付けのものに良さそうです。

 

よなよなエールは、アメリカ産のカスケードホップに由来するグレープフルーツのような香りが特徴。フィッシュアンドチップスなどの揚げ物や酢漬けとの相性が良く、ガリに合わせて食べるのがおすすめ。

 

IPAは大量に使用するホップによる、香りと苦みが特徴的。苦みのあるビールなので苦みのある料理との相性がいいそうです。いまの季節なら「茗荷の炭火焼き」をぜひ。

 

アフターダークはラテのような豊かな甘味と少しの苦みが感じられます。チョコレートとのペアリングは試す価値アリ。食事とのペアリングを試す際は、ビール、食事、ビールの順にいただきましょう。こうすることで、最初はビールの残り香があるなかで食事を楽しめ、最後は食事の残り香とともにビールが楽しめます。

 

コストコ食材を使ったおつまみは簡単なのに本格的な仕上がり!

今回のイベントでは、コストコ情報ブログ「コストコ通」の管理人・コス子さんがクラフトビールに合うおつまみを監修。爽やかな口当たりのホワイトエールには「アトランティックサーモンのヨーグルトソース」、少し苦みのあるJPLには「スパイシーロティサリーチキン」、香りと苦みがしっかり効いたIPAには「チーズたっぷりプルコギビーフ」を合わせてました。

↑「アトランティックサーモンのヨーグルトソース」「スパイシーロティサリーチキン」「チーズたっぷりプルコギビーフ」が振る舞われた

 

アトランティックサーモン、ロティサリーチキン、プルコギビーフはコストコの人気商品。ビールの香りや味わいに合わせて、料理の味付けをさっぱりさせたりスパイシーにしたりすることで、ビールと料理がお互いの良さを高めてくれています。これこそがマリアージュ! コストコ食材はいずれもボリュームたっぷりなので、パーティなどでも大活躍です。

 

特に「チーズたっぷりプルコギビーフ」はホットプレートさえあれば完成する手軽さが魅力。プルコギビーフをホットプレートで炒めたら、ピザ用チーズを載せてフタをしてチーズが溶けるのを待つだけ。もともと味がしっかり付いているからこそ、少し手を加えるだけでいいのがうれしいですね。

↑今回はパナソニックの「IHデイリーホットプレート KZ-CX1」で調理。サイズが大きいのでたっぷりのプルコギビーフを一度に炒められる

 

実は今回体験したクラフトビールに関するセミナーは、「CRAFT BEER ROOM びあのわ」として定期的に開催されています。また、代官山、横浜、京都に店舗を構える「SPRING VALLEY BREWERY(以下SVB)」では、その場で醸造されたクラフトビールと料理を楽しむこともできます。SVBでしか飲めないクラフトビールもあるので、興味がある人はぜひ足を運んでみてください!

カルチャーの街・秋葉原…呑み足りない夜の超穴場って知ってた?「ほろ酔い道草学概論」第六話

日本各地には、現地を訪れないとわからない魅力というものがございます。地酒もそんな魅力のひとつ。本連載は、お酒好きOLコンビが地酒に酔って道草を食いながら、土地に根付く不思議な魅力に触れていくショートストーリーです。

 

↑初旅行で地味にはぐれた後輩の秋川千穂(右)と酒好きの先輩・正宗さん。ホンモノの温泉卵を味わいました

 

長野県の諏訪へ旅行に行った2人はいつも通りの日常へ。年の上半期も終わりを迎え、職場の飲み会でほど良く酔っ払っている千穂は、何やら怪しげな正宗さんが気になり…。

 

前のお話はこちら/連載一覧はこちら

 

 

 

 

 

 

 

【今月の一献】

だいだいエール

 

 

日本のクラフトビールでも有数の「常陸野ネストビール」は、茨城県那珂市の蔵元・木内酒造が日本酒づくりの英知を活かしてつくられています。クラフトビールの本場である欧米に並ぶ味は、今や世界35か国以上で愛されているものになりました。

 

そんな常陸野ネストビールは、東京では丸の内、エキュート品川、そしてマーチエキュート神田万世橋店で楽しめます。正宗が味わった「だいだいエール」は、筑波山の麓、八郷産の福来みかんと、その香りを引き立たせる柑橘系のホップを使用。フルーティーで爽やかな香りと旨味を特徴としています。

 

ホワイトエール

 

 

常陸野は木と緑に恵まれていて、昭和初期にはビール麦の生産量が日本一であったビールづくりに適した環境です。

 

常陸野ネストビールは、イギリスやドイツ、アメリカなどから厳選したの欧米から厳選した原料を選び、また地元産のビール麦や、梅の実、古代米、柚子といった日本を感じる味わいと、その土地の文化を背景にしたストーリー性のあるものづくりで、世界に認められています。

 

爽やかな香りとやわらかい味わいが人気の「ホワイトエール」は、世界で知られるフクロウラベルを印象づけた銘柄。

 

「常陸野ブルーイング・ラボ マーチエキュート神田万世橋店」について

赤レンガ造りの旧万世橋駅をリノベーションして誕生した商業施設、「マーチエキュート神田万世橋」にある店舗。かつて文化人から大衆までが集い、交流がさかんに興ったその地は、現在も常陸野ブルーイング・ラボを通じてビールを中心に人々が語らい、文化を作り上げています。店舗では誰では誰でも麦汁造りを体験できるプランも随時予約受付中。

 

常陸野ブルーイング・ラボ マーチエキュート神田万世橋店

■営業時間(月~土/日祝):11時~23時/11時~21時(ラストオーダー:22時30分/20時30分)

■電話番号:03-3254-3434

 

 

さてさて、毎度のことながら若干緊張感が足りないまま、女ふたりで終電を見送ってしまいましたが。秋葉原の今まで見たことない夜の顔、はたしてどんな素顔なのでしょうか? もちろん次回に続きます!

 

連載一覧はこちら

 

(参考文献)

江戸・東京文庫② 江戸の名残と情緒の探訪 江戸・東京 歴史の散歩道2 千代田区・新宿区・文京区/発行:街と暮らし社

神田万世橋まち図鑑/発行:フリックスタジオ

千代田まち事典―江戸・東京の歴史をたずねて/発行:千代田区区民生活部

【8月22日】「クラフトビール×コストコ食材」のマリアージュを堪能できる無料イベント開催決定!!

キリンビールがとことんこだわったクラフトビールシリーズ「グランドキリン」。ここ数年勢いを増しているクラフトビール市場において、特に存在感を放っている注目のブランドです。そのグランドキリンを試飲しながらクラフトビールについて学べる無料イベントが、8月22日(水)に開催されることが決定しました!

クラフトビール×コストコ食材のマリアージュを堪能

新作ビールを試せるだけでなく、本イベントではなんと、あのアメリカ発の会員制スーパー「コストコ」の食材を使った料理とのマリアージュも楽しめます! 料理を監修するのは、人気ブログ「コストコ通」の管理人で、コストコの第一人者としてテレビ出演や雑誌への寄稿なども行っているコス子さん。いったいどんなマリアージュが提案されるのか、非常に気になりますね!

※写真はイメージです

 

さらに、イベント内ではクラフトビールについて基礎から知ることができる講座も開催予定とのこと。こだわりのビールを片手に美味しい料理に舌鼓を打ちながら、クラフトビールのうんちくまで語れるようになる、しかも参加費は無料…!! 「クラフトビールについて知りたい」「コストコ食材とビールのマリアージュが気になる」「とにかく美味しいビールが飲みたい」などなど、少しでも気になるところがあれば要チェックのイベントと言えそうです。

 

【イベント概要】

日時:8月22日(水) 19時~21時ごろ

場所:GOBLIN代官山(代官山駅から徒歩3分)
https://goblinspace.jp/space/goblin-daikanyama/

参加費:無料

定員:40名(事前予約制/応募多数の場合は抽選)

参加は下記の応募フォームよりご応募ください。
https://pf.gakken.jp/user/op_enquete.gsp?sid=GNW&mid=003235Ez&hid=8CBVaBqIW_0

 

 

 

今夏のクラフトビールは「サワー」「副原料」、そして「ブリューパブ」というキーワードで読み解く

トレンドとともに少しずつ認知が広まるクラフトビールですが、より深掘りすると、そのなかでも最先端のトピックがあり、めまぐるしく更新されています。そこで今回は覚えておくと使える重要キーワードを3つ紹介。新商品や店舗といったとれたて情報と一緒にお届けしたいと思います。

 

ビーントゥバーとのコラボで生まれた意外すぎるサワーエール

最初に紹介するのは「T.Y.HARBOR BREWERY」(ティー・ワイ・ハーバーブルワリー)。こちらはクラフトビールブームのずっと前、1997年から醸造している天王洲の名門ですが、今回、画期的なコラボレーションビールを限定発売しました。それが「カカオサワーエール」。

 

 

手を組んだのは、チョコレート専門店の「Minimal」(ミニマル)。クラフト=手づくりといった意味がありますが、チョコレート業界でいえば「ビーントゥバー」がそれにあたるといっていいでしょう。これは、カカオ豆からチョコレートになるまでの工程を一貫して行った商品などのことを示しますが、国内の旗手といえるのが「Minimal」です。

↑昨年筆者が取材した際の「東武池袋 Metro Kitchen & Store」。本店は渋谷の富ヶ谷にあります

 

ビール×チョコといえば液色の黒いタイプを想像するかもしれません。実際にカカオのコクを生かしたビールは見かけます。でも今回はまったく違うビアスタイル。テーマは“夏に飲みたくなるカカオビール”で、見た目は淡い黄金色。味はフルーティで爽やかな、夏らしいテイストなのです。

↑余韻に残るフレーバーに、若干カカオのニュアンスも。ビールの温度が高くなると、よりカカオ風味を感じやすくなるそうです

 

使われているのは、カカオの果肉「カカオパルプ」と、フレーク状の「カカオニブ」というチョコレートの素材。個人的には「さすが『T.Y.HARBOR』!」と思いました。なぜなら、クラフトビール大国・アメリカではサワーエールに人気が出ており、日本でも愛好家を中心に広まっているからなのです。よく「アメリカではIPA(インディアペールエール。ホップを効かせた苦味が特徴で、アメリカでは柑橘的な苦みも)が人気」という話が挙がりますが、いまの米国はサワーエールのほうが新たなトレンド。日本でもいずれ浸透していくと思いますが、カカオのサワーエールはきわめて珍しく、この一杯は注目です!

 

↑天王洲のブルワリーに併設している「T.Y.HARBOR」のほか、系列店の「SMOKEHOUSE」(原宿)ではS(250ml)600円、M(420ml)980円で樽生を提供。「Minimal 富ヶ谷本店」ではボトル1本750円を200本限定で発売しています

 

 

【SHOP DATA】

T.Y.HARBOR (ティー・ワイ・ハーバー)

住所:東京都品川区東品川2-1-3 ボンドストリート

アクセス:りんかい線ほか「天王洲アイル駅」B出口徒歩5分

営業時間:11:30〜14:00 L.O.(土日祝〜15:00 L.O.)、17:30〜22:00 L.O.、17:00~22:00 L.O.(土日祝11:00~)

定休日:なし

 

 

副原料で飲みやすさや料理との相性まで追求する動きも

先ほどのサワーエールはカカオを使ったビールでしたが、今春に施行されたビールの定義拡大(これまで法的に発泡酒とされてきた一部が、ビールとして認められた)により、市販の缶やビンでもフルーツやハーブなどの副原料を使った商品が増えています。つまりは副原料のビールがトレンドのひとつなのですが、個人的に今夏注目した一本が「スプリングバレーブルワリー」(以下SVB)の「HOJICHA Brown Ale」。

↑「HOJICHA Brown Ale」。キリン通販サイト「DRINX」では330mlビン(右)×6本セットが2332円で、SVBの各店では360m(左)が880円で提供されています

 

最近登場している多くの副原料ビールは、果物やハーブなどこれまでにない組み合わせによる斬新なフレーバーが特徴。それに加えて「HOJICHA Brown Ale」は、「ドリンカビリティ」(「飲みやすさ」的な意味)やフードペアリングを追求しているのもポイントです。

↑開発者はSVB京都の三浦太浩ヘッドブリュワー。「HOJICHA Brown Ale」はSVBの新たなスタンダードを目指して造られたそう

 

同商品はファンコミュニティ「CLUB SVB」会員と意見交換しながら、SVB京都の三浦太浩さんが中心となって1年間かけて共創したビール。うまみに着目し、これまでほうじ茶のほかに昆布や玄米などを使って試作を重ね、最終的には「ほうじ茶の特徴をより前面に押し出してほしい」という意見を反映して完成させたそうです。

↑飲んだ後に喉の奥から鼻に抜けるほうじ茶の香ばしさと、やわらかくただよう焙煎した麦芽の風味が特徴的

 

個人的には以前SVBで実験的に提供されたほうじ茶ビール「あがりエール」の知見も生かされていると感じました。自宅で「HOJICHA Brown Ale」を楽しむなら、ぜひ寿司とのペアリングを楽しんでみていただけたらと思います。

↑過去にSVBの「寿司×クラフトビールフェス」で登場した「あがりエール」。ほうじ茶の香ばしさと渋味が、麦芽の甘みと調和してあなごの寿司にベストマッチしていました

 

今回「HOJICHA Brown Ale」の取材時、SVB東京ではビール注ぎの伝道師・福島“茶坊主” 寿巳さんがスタッフに研修中。ということで、特別に茶坊主さんにも最近のクラフトビールシーンについて話を聞いてみました。

↑レクチャーする福島“茶坊主” 寿巳さん。数々の飲食店で経験を積むほか、国内屈指のクラフトビアレストランでマネージャーとして活躍。独立後も研究を重ね、個人や企業に各種ビールセミナーを行っています

 

「クラフトビールの拡大で、様々なビアスタイルで飲むことはそれほど特別ではなくなりました。でも、スタイルによって苦みや爽快感など個性はバラバラですよね。そしてその味の特徴を最大限に楽しむには、ワイン同様に最適なグラスが不可欠であり、注ぎ方や温度にもベストがあるんです。いま、ブリュワリー(ビールの醸造所)や造り手はどんどん増えていますが、多彩なおいしさをしっかり感じていただくためには飲み方も非常に大切。僕ひとりの想いではなかなか難しいですが、提供現場のクオリティも底上げしていけたらと思います」(茶坊主さん)

↑SVBの定番ビール「496」で注ぎ分け。左が茶坊主さんで右が筆者。なるべく泡を立てないように注いだのですがこの結果に。違いは炭酸の密度や、ビール本来の味の強さなどではっきりあらわれました

 

筆者も注いでみたものの、大失敗。日本で最も飲まれている爽快な「ピルスナー」は泡もおいしさのひとつですが、今回試した「496」はコクや苦みが際立っているタイプで、泡はむしろ本来のおいしさを邪魔しかねない存在であることがわかりました。クラフトビールは特徴的なグラスに泡のない状態で注がれることがありますが、それはお店のこだわりのあらわれだといえるでしょう。

 

【SHOP DATA】

SPRING VALLEY BREWERY TOKYO(スプリングバレーブルワリー東京)

住所:東京都渋谷区代官山町13-1 ログロード代官山

アクセス:東急東横線「代官山駅」正面口徒歩4分、JRほか「恵比寿駅」西口徒歩8分

営業時間:月~土 8:00〜24:00(L.O.22:30)、日 8:00〜22:00(L.O.21:00)

定休日:なし

 

 

青山初のブリューパブは場所だけでなくメニューもお洒落!

ラストは、最近増えつつあるブリュワリー併設型のレストラン「ブリューパブ」です。特に、これまではあまりなかった都市型のマイクロブリュワリーが新設ラッシュ。今回はその最新店ということで、青山エリア初のブリューパブを紹介します。

↑「BEER& 246 aoyama brewery」の外観。右に見えるのが醸造タンクで、4本が鎮座しています

 

店名は「BEER& 246 aoyama brewery」(ビアランド ニーヨンロク アオヤマ ブリュワリー)」。“最高のペアリング体験”がコンセプトとのことですが、ペアリングに推奨しているフードがかなり特徴的です。一般的なおつまみもあるのですが、注目したいのはスイーツ。「東京ミッドタウン日比谷」への出店で話題の「Pâtisserie & Café DEL’IMMO」(デリーモ)のショコラティエ・江口和明シェフが考案したメニューがあるのです。

↑写真はイメージですが、「ブラックビールのガトーショコラ」650円や「ショコラオランジュ」950円など専門店レベルのスイーツが用意されています

 

オリジナルのビールは現在醸造中。完成までに時間がかかるため、11月ごろに提供開始とのことです。とはいえもちろんビールはラインナップされていて、シグネイチャーは6タイプ。すべて東京生まれの老舗クラフトビアブランド「アウグスビール」となっていて、価格は270mlが680円、360mlが980円。ちなみに醸造も「アウグスビール」のスタッフが行うとか。

↑左から、「ミックスベリージェノバモヒート」「ニューヨークキューカンバー」「東京グレナディン」。すべて780円

 

また、フルーツ、野菜、コーヒーなど、さまざまな素材を使って自分好みの味にアレンジができる「ビアサワー」も個性的。ホワイトビール×レモネードの「レモンビアサワー」やIPA×エスプレッソの「ポートランドエスプレッソ」など、見た目にも新感覚の味わいを楽しめます。

↑店内は暖色の明かりが灯る大人の空間。カウンター席もあります

 

 

【SHOP DATA】

BEER& 246 aoyama brewery(ビアランド ニーヨンロク アオヤマ ブリュワリー)

住所:東京都港区北青山2-3-1 B1

アクセス:東京メトロ銀座線「外苑前駅」徒歩5分

営業時間:平日11:00~14:00(L.O.13:30)/17:30~23:00(L.O.22:30)、土15:00~22:00(L.O.21:30)

定休日:日祝

 

 

ところで、この6月にアメリカのクラフトビール大手「ブルックリンブルワリー」の創業者であるスティーブ・ヒンディさんが来日しました。その際にヒンディさんは「アメリカのクラフトビールは、いまでこそ約15%を占めるようになりましたが、30年前まではほぼ市場に存在していませんでした。日本ではまだ数%と聞いていますが、アメリカ同様にこれから一層伸びていくと確信しています」と語っています。

↑スティーブ・ヒンディさん。米国クラフトビールカルチャーにおける最重要人物のひとりであり、「東京ビアウィーク2018」に合わせて来日しました

 

今回は、「サワー」「副原料」「ブリューパブ」と、抑えるべき最新クラフトビールトピックスを紹介しましたが、どれもアメリカではすでにおなじみのビアカルチャー。こうして、徐々にその存在を強めていくのでしょう。クラフトビールの最前線には今後も注目していきたいと思います!

アメリカの「クラフトビール」が超ホット! 現地のビール好きがオススメする銘柄5選

アメリカでは最近、クラフトビールの人気が急上昇していて、味も非常においしいものが多いです。現在この国には4000社を超えるクラフトビールの醸造所があり、小規模メーカーだからこそできる、こだわりのビールやユニークなビールが作られています。

日本におけるクラフトビールの売り上げは、ビール全体の売り上げで約5%と言われていますが、アメリカでは、なんと20%もクラフトビールが占めるほど人気。これはビールを醸造する技術の向上により、小さな醸造所でも効率よくビールを作れるようになったこと、「バー併設」の醸造所ででき立てのビールが気軽に楽しめるようになったこと、さらにはSNSで「美味しいクラフトビール」が多く拡散されたことがその理由とされています。いまや個性あふれるれるクラフトビールがたくさん味わえるようになりましたが、今回はパッケージもかわいらしくて、お土産にもオススメなクラフトビールを5本ご紹介します。

 

[No.1] BIG EASY IPA

こちらはレモンピールの香りが爽やかなビール。シトラスとパイン(松ぼっくり)のアロマが入っているせいか、飲んでいるとキャンプをしているような気分になります。アルコール度数は4.5%で飲みやすさは抜群。パッケージもかわいいので、女性へのお土産にオススメです。

 

[No.2] Golden Monkey

インパクトを求めている方に紹介したいのがこちら。ボトルにはフルーツフレーバーと書かれてあり、ここからは「爽やかさ」が連想されますが、実際には甘みやコク、苦味、すべてがかなり強めなビールです。アルコール度数もなんと9.5%。「見ざる(猿)・言わざる・聞かざる」のパッケージも個性的で、お酒に強くパンチが欲しい方にオススメのビールです。

 

[No.3] Dogfish head 60 minute IPA

シトラスのアロマが香るビールで、ほんのり紅茶のような味もします。「60 minute」というのは、ホップを60分沸騰状態にし、ホップの「コク」を最大限に引き出しているということだそう。アルコール度数は6%で炭酸も強めなので、仕事終わりやお風呂上がりにスカーっと飲む一杯としてオススメ。パッケージのサメとホップが印象的な、おしゃれなボトルです。

[No.4] Goose Island Fulton St. Blend Coffee Ale

コーヒーアロマが入ったビールですが、「コーヒー」というより「スモーキーな香り」がすると言ったほうがいいかもしれせん。コーヒーとビールの組み合わせによって苦味が強めなので、普通のビールでは物足りないと感じる方にはいいかもしれません。「ちょっと甘めのBBQリブ」と飲めばバランスは最高。アルコール度数は5.5%ですが、飲み応えがあります。

 

[No.5] 「not your father’s root beer」

「RootBeer」とはアルコールの入っていない炭酸ドリンクで、バニラと薬のようなツンとした香りが特徴です。このビールはRootBeerにアルコールを加えたもので、普通のビールより強い刺激を求める方にオススメ。アルコール度数は5.5%で、歯医者さんの匂いというか、湿布の匂いというか、とにかくクセが強いので、好き嫌いがはっきり別れる味だと思いますが、好きな人にはたまらないでしょう。日本ではまず味わえないビールです。

アメリカのビールは小さなビンで売られているので、サイズ感やかわいいパッケージがお土産にぴったりです。ただしアメリカでお酒を買うときは、必ず身分証明書で21歳以上であることを証明しなければいけません。たとえ90歳のおじいさんであっても確認されるので、ビールを買うときには必ず年齢確認できるものを持って行ってくださいね。

 

味もパッケージも個性あふれるクラフトビールは、中小企業だからできる小回りの良さが感じられます。アメリカでは「ビール好きの人」のことをビールの「ホップ」と麻薬中毒者を意味する「Hophead」をかけて「ホップヘッド(Hophead)」と呼びます(友人同士の冗談で使うセリフなので、発言はくれぐれも慎重に)。ホップの虜になってしまう人の言葉があるほど、クセになるアメリカのクラフトビール。アメリカへ旅行に訪れた際は、ぜひお気に入りを見つけてみたらいかがでしょうか。

 

 

クラフトビールを飲めるお店が急増中! クラフト専用ディスペンサー「タップ・マルシェ」で飲める話題の銘柄4選

最近話題の「クラフトビール」。かつては専門店で楽しむものというイメージの強いお酒でしたが、いまでは一般的な飲食店でも飲めるようになり始めています。

 

そんなクラフトビール市場を牽引するのが、キリンビールが飲食店向けに展開する「タップ・マルシェ」というクラフトビール専用ディスペンサーの存在です。2017年4月には首都圏で1000店舗以上に導入され、2018年3月には全国展開を開始。4月現在、すでに2500店以上がこのディスペンサーを導入しています。

 

 

これまでのタップ・マルシェで飲めたのは13銘柄。今回新たに4銘柄の追加が発表され、計7ブルワリー、17銘柄のクラフトビールが飲めるようになります。新登場の4銘柄を発表会で試飲してきたので、その詳細をお伝えしましょう。

 

 

世界が認めるクラフトビールが手軽に飲める

1つめのブルワリーは「伊勢角屋麦酒(いせかどやビール)」。1575年創業で、もともとは二軒茶屋餅を販売していた角屋ですが、やがて味噌やたまり醤油の醸造を手がけ、1997年からはクラフトビールの製造を始めました。そんな同社からは「ペールエール」と「ヒメホワイト」が登場します。

 

 

ペールエールは伊勢角屋麦酒のフラッグシップビールともいえる存在で、“ビール界のオスカー賞”とも謳われる「ワールドビアカップ(WBC)」での受賞経歴もある、世界に認められた銘柄です。

 

「イセペ」と呼ばれるこのビール、柑橘系の香りが立ち、かなりフルーティーな味わいなんです。それでいて後口のキレが良く、バランスのいいクラフトビールとなっています。

 

そもそも「エール」とはビールの種類を指す言葉で、大麦麦芽を使用しています。香りとコクがあり、フルーティーな味わいが特徴となっており、まさに伊勢角屋麦酒のペールエールは、王道のペールエールだといえます。

↑左が「ペールエール」、右が「ヒメホワイト」。同じクラフトビールでも色合いがこれだけ異なるのは、原材料や製法によるものだ

 

それに対して「ヒメホワイト」は、ベルギースタイルのホワイトエール。やさしい酸味で口当たりが柔らかく、軽やかな飲み心地となっています。柚子とコリアンダーも使われているので、少し和風なテイストがあるのが面白いところ。

 

ちなみにこの銘柄は、伊勢の神域の木の樹液から採取した「KADOYA 1」という野生の酵母を使っているのだとか。クラフトビールの苦みが苦手な人も、このホワイトビールなら抵抗なく飲めそうです。

 

 

新世代のブルワリーが生み出す「東京」をイメージしたビール

2つめのブルワリーは、2017年5月に山梨県小菅村に醸造所を開いたばかりの「ファーイーストブルーイング」です。2011年に設立され、当初はベルギーで「KAGUA」などのクラフトビールを委託製造していましたが、昨年ようやく国内での醸造を開始しました。

 

 

そんな同社の「東京IPA」は、フルーティーで華やかな香りと、しっかりとした苦みを併せ持ったインディア・ペールエール(IPA)です。日本ではまだまだ少ないベルギースタイルの醸造方法を用いており、”これぞクラフトビール”な味わいはクラフトビール好きなら気に入ること間違いなし。

 

↑左が「東京IPA」、右が「東京ホワイト」

 

それに対し、「東京ホワイト」は、フルーティーさが際立つものの、その香りから想像するような甘さはなく、苦みも少なくなっています。爽やかな口当たりで、こちらもヒメホワイトと同様、クラフトビール初心者におすすめです。

 

「ペールエール」「ヒメホワイト」は5月28日から、「東京ホワイト」「東京IPA」は6月18日から発売されます。とはいえ、タップ・マルシェにセットするビールは飲食店が自由に決めるもの。日本各地のタップ・マルシェ導入店で、さまざまなクラフトビールに出会ってみてください。

 

 

 

 

ここ数年、日本で一気に「クラフトビール」が広まった理由

「クラフトビール」という言葉がだいぶ浸透してきた感がある。2012年あたりからマスメディアでもクラフトビールという言葉を見かけるようになったが、ターニングポイントは2015年1月、キリンビールが100%子会社「スプリングバレーブルワリー」を設立したことだろう。このニュースは多くのメディアに取り上げられ、同時にクラフトビールという言葉も浸透していったように思う。

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大手メーカーであるキリンビールは、2014年にもクラフトビール国内最大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)と業務提携をしたり、2017年にはアメリカ・ニューヨークの「ブルックリン・ブルワリー」と資本提携をするなど、クラフトビールに関するニュースを提供している。

 

■発端は、普通のビールじゃ“つまらなくなった”から?

元々、クラフトビールのブームはアメリカで始まり、日本はもとより世界に広まっていった。アメリカでは、1986年には124醸造所だったが、2000年には1,566醸造所、2016年には5,301醸造所まで増えており、空前のクラフトビールブームとなっている。(Brewers Association 発表資料より)

 

これは大手メーカーのビールへのカウンター、つまりライトなラガービールばかりで面白くない、という理由、そして自家醸造が認められているという点が係していると言える。

 

日本でも、アメリカでのブームを受けて、アーリーアダプターとなったビールファンやビールマニア(アメリカではビアギーク Beer Geek と呼ぶ)が、個性的なビールを支持し、広めていった経緯がある。だが、大手メーカーがスポンサーとなっているマスメディアでは、取り上げられづらく、その火は燻っていたと言えるが、そこに大手メーカーであるキリンビールが参入したことで一気に「クラフトビール」が広まった。

 

ただ、大手メーカーが参入すればブームになるというわけもなく、現在のブームにつながったのは、クラフトビールには多様性があり、見た目やネーミング、そして何よりも味わいを「楽しめる」ものだったからだと考える。

 

いくつか個性的なビールを紹介してみよう。

 

【ポーター(スワンレイクビール)】

焙煎した麦芽を使った黒ビールで、クリーミーな泡と香ばしい苦みが特徴。1998年からほぼ毎年、ビールのコンペティションでメダルを受賞し続けている。大手メーカーの黒ビールと一番違うのはその香りで、香ばしさだけではなく、すっきりとした鼻に抜ける香りを楽しむことができる。ペアリングはグリル等、若干の焦げが美味しいとされるもので、あっさりとした和食のようなもの、例えば焼き鳥(タレ)がオススメだが、チーズがこんがりと焼けたピザにもマッチする。

 

【其の十(志賀高原ビール)】

志賀高原ビールの十周年、そして10番目のIPAとして生まれた「其の十」は、IBU(国際苦味指数)75、アルコール度数 7.5% という、数値的には強いビールだが、飲んでみるとフルーティーで飲みやすく、その苦味がクセになる素晴らしいクラフトビールである。透き通るような綺麗な苦味、フルーティーなビールを体験したい人にオススメ。このビールは食事と一緒に楽しむというよりは、ビールだけをじっくりと楽しみたい時にオススメ。

 

【ブルームーン(モルソン・クアーズ・ジャパン)】

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小麦やバレンシアオレンジの皮を使うことでクリーミーな口当たりやフルーティーな香りを特徴としたビール。「ビールは苦くて好きじゃない」と思っていた人に「これなら飲める、むしろ好き!」と、アメリカでも多くの人にビールの多様性を伝えた。明るい時間からリラックスのために飲んでもいいし、鶏肉料理やピザ、パスタなどとの料理とも相性がいい。日本でも樽生が飲めるお店が増えているし、Amazon等で購入して自宅で楽しむこともできる、距離的にも飲みやすいビールと言える。

 

■醍醐味は、フードとの「ペアリング」

ただ“飲む”だけではなく、いろいろな料理とのペアリングを楽しむことができるお酒はそんなに多くはない。苦い、甘い、酸っぱい、こってり、すっきり等、味にも多様性があるクラフトビールだからこそペアリングの楽しみが広がるのである。

 

ペアリングの提案に力を入れているビールブランドの例として、先述のブルームーンが挙げられる。

パクチーたっぷりトムヤムクン鍋パクチーたっぷりトムヤムクン鍋

ムール貝のブルームーン蒸しムール貝のブルームーン蒸し

パクチーたっぷり豚しゃぶの冷製フォー 【出典】ブルームーン公式HPパクチーたっぷり豚しゃぶの冷製フォー 【出典】ブルームーン公式HP

 

日本版公式サイトでは餃子や鍋、ピザやカナッペとのペアリングを紹介している。ブルームーンは小麦を使ったビールなので、小麦を使った料理との相性がいいし、他にもコリアンダーシードやオレンジピールが使われているため、スパイシーな料理のペアリングも楽しめる。ただ、フルーティーなビールとして飲むのもいいが、こうしたペアリングを楽しむことで、さらにクラフトビールの魅力に気づくのではないだろうか。

 

■ビールとフードの相性は「色」でわかる?

クラフトビールとのペアリングは、一概には言えないがビールとフードの色が近いものを選ぶと大きな間違いは無いだろう。淡い色のビールであれば鶏肉、濃い色のビールであれば牛肉、のような感じで色の近いものを試してみてほしい。また、先述のブルームーンのように、コリアンダーシードとパクチー等、原材料と近いものも相性がいいことが多い。

 

ビールは笑顔が似合うお酒、難しく考えずに、何よりも「多様性や個性を楽しむこと」を優先してもらえれば、現在クラフトビール人気の一端を理解してもらえるのではないだろうか。

 

【著者プロフィール】

ビールブロガー タカバシ ショウヘイ

「ビールは笑顔が似合う酒」がモットーのビールブロガー。2005年より生ビールブログを開始。定期的にビール愛好家のためのイベントを開催、ビールメーカーのイベントにゲスト出演するなど、ビールの楽しさを広めるべく日々活動している。

いま、ビール市場は大きく変わりはじめている! 各社の施策で見えた最新トレンドとビールの未来

ビール類全体が減少しているなか、「クラフト系は伸びている」という話は酒好きなら知っている話題かもしれません。筆者もその動向を逐一チェックしているひとりで、今秋はいくつかの面白いトピックスが見られました。そこで本稿では、各社の新商品や取り組みを中心に共通点を探り、ビールの未来を考察していきたいと思います。

 

国内クラフト王者の進化と新作にはホップが大きく貢献!

まずは、国内クラフトビール界のトップランナー「ヤッホーブルーイング」の展開から。実は今秋、「よなよなエール」がリニューアルしたのです。日本で最も有名なクラフトビールといえる同商品ですが、1997年の発売以来初めてレシピが大幅刷新されました。

↑左が旧で右が新(価格は変わらず267円)。パッケージの「香りのエールビール」が「クラフトビール」に変更された部分にも注目です。これは「クラフトビールが一定の知名度を得た」といえる証かもしれません↑左が旧で右が新(価格は変わらず267円)。パッケージの「香りのエールビール」が「クラフトビール」に変更された部分にも注目です。これは「クラフトビールが一定の知名度を得た」といえる証かもしれません

 

味わい面で大きく変わったのが、使用するホップです。よなよなエールの特徴である柑橘類を思わせる香りを最大限に引き出すため、「カスケード」と呼ばれるアロマホップを増量。さらに、これまで使用していたホップの品種を見直し、「カスケード」をより引き立てるためのホップブレンドに変更しました。

↑飲んだ感想としては、香りの輪郭がくっきりとした印象。爽やかな苦みのなかで、グレープフルーツやレモン系の柑橘フレーバーがより明るく鮮やかに広がります↑飲んだ感想としては、香りの輪郭がくっきりとした印象。爽やかな苦みのなかで、グレープフルーツやレモン系の柑橘フレーバーがより明るく鮮やかに広がります

 

さらに、今秋のトピックスとしてヤッホーブルーイングからはもうひとつ、予想外の新商品が発表されました。カエルのイラストが印象的なあのブランドからのニューカマー、「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」です。

↑10月24日より、ローソン系コンビニとポプラで発売されている「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」。価格は288円です↑10月24日より、ローソン系コンビニとポプラで発売されている「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」。価格は288円です

 

もともと「僕ビール、君ビール。」は、普段ビールを飲まない20~30代の若い世代に新たな味の体験を提供することを目指した商品。味の特徴はズバリ「思わずハッとする個性的な味わいと香り」で、ここにきてさらに攻めた商品を投入したのです。ビアスタイルは「ホッピーアンバー」。鮮烈なホップの香りと桃を思わせるフルーティなフレーバー、そしてモルト由来のスウィートなキャラメル感が際立ちながらスムースで飲みやすい味わいです。

↑味の秘密は5種の麦芽とホップ使いにあり。ホップは爽やかな香味の「シムコー」とフローラルな「コメット」が中心(写真の粒はホップのペレット)。さらに、ホップを添加するタイミングを2回に分け、それぞれの使用量を変えて苦味を残さないようにしています↑味の秘密は5種の麦芽とホップ使いにあり。ホップは爽やかな香味の「シムコー」とフローラルな「コメット」が中心(写真の粒はホップのペレット)。さらに、ホップを添加するタイミングを2回に分け、それぞれの使用量を変えて苦味を残さないようにしています

 

「フレーバーホップビール」という新カテゴリーが誕生!

つづいては、サッポロのグループ企業「ジャパンプレミアムブリュー」の新商品を紹介。同社はこれまで「Craft Label THAT’S HOP 伝説のSORACHI ACE(ソラチエース)」などの意欲作を発売しており、今回は「既成概念にとらわれない、ビール新カテゴリー創造への挑戦」と銘打った注目の内容でした。なんと、クラフトビールでもプレミアムビールでもない新ブランド「Innovative Brewer」が立ち上がったのです。

↑ブランドの第1弾となる「Innovative Brewer THAT’S HOP Nelson Sauvinの真髄」と「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」。1都6県に加え、山梨・長野のファミリーマートとサークルK・サンクスで10月3日から先行販売されています。価格はどちらも288円↑ブランドの第1弾となる「Innovative Brewer THAT’S HOP Nelson Sauvinの真髄」と「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」。1都6県に加え、山梨・長野のファミリーマートとサークルK・サンクスで10月3日から先行販売されています。価格はどちらも288円

 

商品名そのままですが、第1弾のテーマは「ホップそのもの」。フレーバーホップビールという新カテゴリーで、ホップを主役にした観点で企画されています。それはつまり、「〇〇ビールの商品である」「クラフトである」「〇〇というビアスタイルである」といった既存の選び方ではなく、ビールの原材料であるホップの種類で選ぶという新提案。

↑使われているホップの乾燥球花を比較。左の「対照ホップ」に比べ、右の「ネルソンソーヴィン」はグリーン系のみずみずしさのなかに、白ブドウや青リンゴのような爽やかで甘いアロマが感じられます↑使われているホップの乾燥球花を比較。左の「対照ホップ」に比べ、右の「ネルソンソーヴィン」はグリーン系のみずみずしさのなかに、白ブドウや青リンゴのような爽やかで甘いアロマが感じられます

 

実際にテイスティングしてみると、その個性がよりよくわかります。「ネルソンソーヴィンの真髄」は苦みが抑えられていて華やかかつ爽やか。クリアながらも上品なフルーティ感があって、飲み応えは十分といった印象です。一方の「絶妙のモザイク&シトラ」は、グレープフルーツなど柑橘系の清涼感が豊か。ただ、アメリカを中心に人気の明るく弾けるような柑橘フレーバーとは異なる繊細なニュアンスです。アルコール度数も4.5%で飲みやすく、確かに“絶妙”といえるおいしさですね。両商品とも日常的な料理に合わせやすく、個性派ビールの入門にもオススメです。

↑液色はほぼ一緒ですが、ファーストインパクトの風味と余韻はけっこう違います。販売チャネルはファミマ系コンビニが中心ですが、ぜひ試してみては↑液色はほぼ一緒ですが、ファーストインパクトの風味と余韻はけっこう違います。販売チャネルはファミマ系コンビニが中心ですが、ぜひ試してみては

 

これまでの2社の新商品に共通するものーーそれはホップです。これはすなわち、ビールのいち原料として語られてきたホップにより注目が集まっているといえるでしょう。そして、ホップへの取り組みでいえば、キリンビールとその傘下のスプリングバレーブルワリー(SVB)にも注目です。前者は毎年「一番搾り とれたてホップ生ビール」を発売していますが、今年も10月24日から数量限定で岩手県遠野産ホップ「IBUKI」を使用した一番搾りを発売中。

↑350ml缶は207円、500ml缶は275円(ともに参考価格)。通常の「一番搾り」よりみずみずしく、華やかな香りが特徴です↑350ml缶は207円、500ml缶は275円(ともに参考価格)。通常の「一番搾り」よりみずみずしく、華やかな香りが特徴です

 

そして後者でいえば、SVBが中心となって秋に「FRESH HOP FEST」という国産ホップの収穫イベントを開催しており、その規模は年を追うごとに拡大しています。

↑今回も大盛況だった「FRESH HOP FEST」。今年は5つの会場で開催され、31ものブルワリーが参加するほどに裾野が広がっています↑今回も大盛況だった「FRESH HOP FEST」。今年は5つの会場で開催され、31ものブルワリーが参加するほどに裾野が広がっています

 

そして個人的には、サッポロビールの新ジャンル「麦とホップ」の存在も見逃せないと感じています。なぜなら、麦とホップは「魅惑のホップセッション」「夏空のホップセッション」「秋の薫り麦」「赤」「彩のモルトセッション」などなど、頻繁に季節限定商品を発売しているからです。価格のリーズナブルな新ジャンルで、ここまで意欲的に挑戦的な味をカジュアル層に提案しているブランドも珍しいでしょう。

↑11月28日から数量限定で全国発売(350ml缶で145円/実勢価格)される、麦とホップ 「彩のモルトセッション」。ミュンヘン麦芽とカラメル麦芽に加え、小麦麦芽と計3種の麦芽を使っており、なめらかな飲み口が特徴のようです ↑11月28日から数量限定で全国発売(350ml缶で145円/実勢価格)される、麦とホップ 「彩のモルトセッション」。ミュンヘン麦芽とカラメル麦芽に加え、小麦麦芽と計3種の麦芽を使っており、なめらかな飲み口が特徴のようです

 

クラフトビール同様にホップの一般的な浸透は道半ばですが、ビール業界全体でホップが有力視されていることは間違いありません。今後、よりホップを効果的に使った新商品の登場や取り組みの開催に期待したいと思います!

いま、ビール市場は大きく変わりはじめている! 各社の施策で見えた最新トレンドとビールの未来

ビール類全体が減少しているなか、「クラフト系は伸びている」という話は酒好きなら知っている話題かもしれません。筆者もその動向を逐一チェックしているひとりで、今秋はいくつかの面白いトピックスが見られました。そこで本稿では、各社の新商品や取り組みを中心に共通点を探り、ビールの未来を考察していきたいと思います。

 

国内クラフト王者の進化と新作にはホップが大きく貢献!

まずは、国内クラフトビール界のトップランナー「ヤッホーブルーイング」の展開から。実は今秋、「よなよなエール」がリニューアルしたのです。日本で最も有名なクラフトビールといえる同商品ですが、1997年の発売以来初めてレシピが大幅刷新されました。

↑左が旧で右が新(価格は変わらず267円)。パッケージの「香りのエールビール」が「クラフトビール」に変更された部分にも注目です。これは「クラフトビールが一定の知名度を得た」といえる証かもしれません↑左が旧で右が新(価格は変わらず267円)。パッケージの「香りのエールビール」が「クラフトビール」に変更された部分にも注目です。これは「クラフトビールが一定の知名度を得た」といえる証かもしれません

 

味わい面で大きく変わったのが、使用するホップです。よなよなエールの特徴である柑橘類を思わせる香りを最大限に引き出すため、「カスケード」と呼ばれるアロマホップを増量。さらに、これまで使用していたホップの品種を見直し、「カスケード」をより引き立てるためのホップブレンドに変更しました。

↑飲んだ感想としては、香りの輪郭がくっきりとした印象。爽やかな苦みのなかで、グレープフルーツやレモン系の柑橘フレーバーがより明るく鮮やかに広がります↑飲んだ感想としては、香りの輪郭がくっきりとした印象。爽やかな苦みのなかで、グレープフルーツやレモン系の柑橘フレーバーがより明るく鮮やかに広がります

 

さらに、今秋のトピックスとしてヤッホーブルーイングからはもうひとつ、予想外の新商品が発表されました。カエルのイラストが印象的なあのブランドからのニューカマー、「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」です。

↑10月24日より、ローソン系コンビニとポプラで発売されている「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」。価格は288円です↑10月24日より、ローソン系コンビニとポプラで発売されている「僕ビール、君ビール。ミッドナイト星人」。価格は288円です

 

もともと「僕ビール、君ビール。」は、普段ビールを飲まない20~30代の若い世代に新たな味の体験を提供することを目指した商品。味の特徴はズバリ「思わずハッとする個性的な味わいと香り」で、ここにきてさらに攻めた商品を投入したのです。ビアスタイルは「ホッピーアンバー」。鮮烈なホップの香りと桃を思わせるフルーティなフレーバー、そしてモルト由来のスウィートなキャラメル感が際立ちながらスムースで飲みやすい味わいです。

↑味の秘密は5種の麦芽とホップ使いにあり。ホップは爽やかな香味の「シムコー」とフローラルな「コメット」が中心(写真の粒はホップのペレット)。さらに、ホップを添加するタイミングを2回に分け、それぞれの使用量を変えて苦味を残さないようにしています↑味の秘密は5種の麦芽とホップ使いにあり。ホップは爽やかな香味の「シムコー」とフローラルな「コメット」が中心(写真の粒はホップのペレット)。さらに、ホップを添加するタイミングを2回に分け、それぞれの使用量を変えて苦味を残さないようにしています

 

「フレーバーホップビール」という新カテゴリーが誕生!

つづいては、サッポロのグループ企業「ジャパンプレミアムブリュー」の新商品を紹介。同社はこれまで「Craft Label THAT’S HOP 伝説のSORACHI ACE(ソラチエース)」などの意欲作を発売しており、今回は「既成概念にとらわれない、ビール新カテゴリー創造への挑戦」と銘打った注目の内容でした。なんと、クラフトビールでもプレミアムビールでもない新ブランド「Innovative Brewer」が立ち上がったのです。

↑ブランドの第1弾となる「Innovative Brewer THAT’S HOP Nelson Sauvinの真髄」と「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」。1都6県に加え、山梨・長野のファミリーマートとサークルK・サンクスで10月3日から先行販売されています。価格はどちらも288円↑ブランドの第1弾となる「Innovative Brewer THAT’S HOP Nelson Sauvinの真髄」と「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」。1都6県に加え、山梨・長野のファミリーマートとサークルK・サンクスで10月3日から先行販売されています。価格はどちらも288円

 

商品名そのままですが、第1弾のテーマは「ホップそのもの」。フレーバーホップビールという新カテゴリーで、ホップを主役にした観点で企画されています。それはつまり、「〇〇ビールの商品である」「クラフトである」「〇〇というビアスタイルである」といった既存の選び方ではなく、ビールの原材料であるホップの種類で選ぶという新提案。

↑使われているホップの乾燥球花を比較。左の「対照ホップ」に比べ、右の「ネルソンソーヴィン」はグリーン系のみずみずしさのなかに、白ブドウや青リンゴのような爽やかで甘いアロマが感じられます↑使われているホップの乾燥球花を比較。左の「対照ホップ」に比べ、右の「ネルソンソーヴィン」はグリーン系のみずみずしさのなかに、白ブドウや青リンゴのような爽やかで甘いアロマが感じられます

 

実際にテイスティングしてみると、その個性がよりよくわかります。「ネルソンソーヴィンの真髄」は苦みが抑えられていて華やかかつ爽やか。クリアながらも上品なフルーティ感があって、飲み応えは十分といった印象です。一方の「絶妙のモザイク&シトラ」は、グレープフルーツなど柑橘系の清涼感が豊か。ただ、アメリカを中心に人気の明るく弾けるような柑橘フレーバーとは異なる繊細なニュアンスです。アルコール度数も4.5%で飲みやすく、確かに“絶妙”といえるおいしさですね。両商品とも日常的な料理に合わせやすく、個性派ビールの入門にもオススメです。

↑液色はほぼ一緒ですが、ファーストインパクトの風味と余韻はけっこう違います。販売チャネルはファミマ系コンビニが中心ですが、ぜひ試してみては↑液色はほぼ一緒ですが、ファーストインパクトの風味と余韻はけっこう違います。販売チャネルはファミマ系コンビニが中心ですが、ぜひ試してみては

 

これまでの2社の新商品に共通するものーーそれはホップです。これはすなわち、ビールのいち原料として語られてきたホップにより注目が集まっているといえるでしょう。そして、ホップへの取り組みでいえば、キリンビールとその傘下のスプリングバレーブルワリー(SVB)にも注目です。前者は毎年「一番搾り とれたてホップ生ビール」を発売していますが、今年も10月24日から数量限定で岩手県遠野産ホップ「IBUKI」を使用した一番搾りを発売中。

↑350ml缶は207円、500ml缶は275円(ともに参考価格)。通常の「一番搾り」よりみずみずしく、華やかな香りが特徴です↑350ml缶は207円、500ml缶は275円(ともに参考価格)。通常の「一番搾り」よりみずみずしく、華やかな香りが特徴です

 

そして後者でいえば、SVBが中心となって秋に「FRESH HOP FEST」という国産ホップの収穫イベントを開催しており、その規模は年を追うごとに拡大しています。

↑今回も大盛況だった「FRESH HOP FEST」。今年は5つの会場で開催され、31ものブルワリーが参加するほどに裾野が広がっています↑今回も大盛況だった「FRESH HOP FEST」。今年は5つの会場で開催され、31ものブルワリーが参加するほどに裾野が広がっています

 

そして個人的には、サッポロビールの新ジャンル「麦とホップ」の存在も見逃せないと感じています。なぜなら、麦とホップは「魅惑のホップセッション」「夏空のホップセッション」「秋の薫り麦」「赤」「彩のモルトセッション」などなど、頻繁に季節限定商品を発売しているからです。価格のリーズナブルな新ジャンルで、ここまで意欲的に挑戦的な味をカジュアル層に提案しているブランドも珍しいでしょう。

↑11月28日から数量限定で全国発売(350ml缶で145円/実勢価格)される、麦とホップ 「彩のモルトセッション」。ミュンヘン麦芽とカラメル麦芽に加え、小麦麦芽と計3種の麦芽を使っており、なめらかな飲み口が特徴のようです ↑11月28日から数量限定で全国発売(350ml缶で145円/実勢価格)される、麦とホップ 「彩のモルトセッション」。ミュンヘン麦芽とカラメル麦芽に加え、小麦麦芽と計3種の麦芽を使っており、なめらかな飲み口が特徴のようです

 

クラフトビール同様にホップの一般的な浸透は道半ばですが、ビール業界全体でホップが有力視されていることは間違いありません。今後、よりホップを効果的に使った新商品の登場や取り組みの開催に期待したいと思います!