早くも2022年ベストバイ文房具認定!? キングジム「ナナメクリ」が斜め上の便利さ!

筆者は、“長い文章を読んだり文面をしっかりチェックしたりする場合、液晶画面より紙で読むほうがラク派”に属する人間だ。例えば、noteなどで面白そうな長文記事があったら基本的にはプリントアウトして読みたいし、原稿の校正もできるかぎりは紙面に手でチェックを入れたい。

 

SDGsだ、ペーパレスだと言っている昨今、あまり褒められた話ではないのかもしれないが、こればかりはどうにも代え難いのである。(“電子書籍も、漫画以外はあまり買いたくない派”でもある)

 

そこで、世の中に意外といるであろう紙の方がラク派同志の皆さんに、この場でお伝えしたいことがある。最近発売されたばかりのとある製品が、まさにプリントアウトで文章を読むのに便利すぎる! のだ。

 

大げさでなく、早くも2022年ベストバイ文房具にエントリー確実。ということで、今回はその最高なやつを紹介させてもらいたい。

 

ホチキス留め不要! 書類を読みやすくするファイル

その最高なやつというのが、キングジムから2022年2月に発売された「ナナメクリファイル」だ。ネーミングは小林製薬テイストというか、ぶっちゃけ、機能そのまんま。名前通り、ファイリングすることで紙がナナメにめくれますよ、というものである。

キングジム
ナナメクリシリーズ
ナナメクリファイル A4サイズ
380円(税別)

 

↑表紙を開いて紙を入れるとこんな感じ。カドのクリップパーツがかなり目立つ

 

ファイルと名乗ってはいるが、構造的にはファイルとクリップボードの中間、といった感じだ。表紙付きの薄い本体には、コピー用紙で20枚ほどがストックできるようになっている。

 

そして見た目に目立ち、機能の上でも最大のポイントとなるのが、左上スミにある灰色のクリップパーツだ。

 

↑使用する際には、束ねた書類のカドを左上のストッパーにスッと挿入

 

読みたい書類をストックする際は、まずこの左上のクリップパーツを跳ね上げるようにスライドさせる。すると下から透明の書類ストッパーが現れるので、ここに書類のカドを挿し込む。あとはクリップパーツを戻せば準備完了となる。

↑そこへ被せるように、クリップパーツをスライドさせる。これで書類の固定は完了だ

 

このクリップパーツが紙の端をしっかり固定してくれるので、まるで書類のカドをホチキス留めしたようにペラペラとめくっていくことができる。

↑書類がナナメにめくっていけるので、閲覧がとても快適。これは良くできている

 

しかもクリップの根元が折れ曲がるような構造なので、書類をめくるのにも邪魔にならない。めくりが非常にスムーズなのだ。

↑もちろん横にしての使用もOK

 

↑根元から自由に折れ曲がるクリップパーツのおかげで、紙がめくられた状態で浮きにくい

 

単に書類を真上にめくるだけなら、従来のクリップボードを使っても構わないかもしれない。とはいえ紙上辺を固定するクリップだと、押さえる面積が大きすぎる。紙が弾力で戻ろうとするし、それが気になって内容に集中しづらいのだ。

 

対してカドだけを固定する「ナナメクリ」なら、バサッとクリップごとナナメ上にめくることで紙の自重が1点に集中するため、まず戻ってくることはない。

 

書類を持ち歩く時は?

書類を持ち歩く時は、右下スミの書類脱落防止ポケットにカドを挿し込み、表紙を閉じる。これで移動中の書類抜け落ちもまず発生しなくなる。

↑クリップでカド留めしているだけでも問題はなさそうだが、右下ポケットに書類カドを挿し込んでおけば、より安定して携帯できるだろう

 

クリップボードとして使えるほどの厚みはないが、クリアホルダーよりははるかに剛性が高いため、カバンの中で折れ曲がるなどの心配もなし。書類持ち歩きファイルとして考えれば、充分な性能と言えるだろう。

↑携帯時はこんな感じ。強く振っても抜け落ちそうな雰囲気はない

 

本質機能だけでなく、ココもよくできている!

よく考えられているなー、と感じたのは、右下に設けられた切り欠きだ。裏からこの切り欠きに指を入れて押し出せば、ポケットから書類のカドをまとめてスパッと抜くことができる。これで、書類が“携帯モード”から“めくりモード”になるわけだ。

 

そのままナナメめくりするだけでも書類を一枚ずつポケットから抜くことはできるが、最初からまとめて抜いておいたほうが、複数枚が重なったままでめくれる確率は減らせる。

↑裏表紙の切り欠きから指を入れれば、全てのページをまとめてポケットから押し出すことができる。ささやかながら、あると嬉しい機構だ

 

もちろん、書類カドをホチキス留めすれば同じことができるのは、間違いない。が、全ての書類にいちいちホチキスを使うのは面倒だ。さらにホチキス留めした書類束をクリアホルダーに入れて持ち歩くとしたら、読む際には取り出す手間もかかる。

 

そう考えれば、カドを固定してのナナメめくり化+書類のファイリング/携帯がまとめて達成できる方が、明らかに便利だろう。これはもう、紙の方がラク派にとってはマストなアイテムと言っても過言ではないと思う。

 

ちなみに筆者は複数運用するため、すでに3冊購入済みだ。たぶんもうちょっと買い増すはず。

もうちょっと軽快に運用するなら「ナナメクリホルダー」

便利なのはなんとなく分かったけど、ファイル単位で書類運用するのはちょっと大げさすぎる……というのであれば、「ナナメクリ ¥ホルダー」はどうだろう。こちらは「ナナメクリ」ギミックを搭載したクリアホルダーである。

キングジム
ナナメクリシリーズ
ナナメクリホルダー 5枚アソートセット
300円(税別)

 

↑書類ストッパーは中で折り返しになっており、カドを挿し込むだけで固定できる

 

↑シンプルな構造ながら、ナナメめくりは可能。ただしクリップが可動ではないので、すこしめくりにくい

 

おおよその構造は「ナナメクリファイル」と同じ。表紙を開いた左上に書類カドを挟みこむストッパー、右下に脱落防止ポケットと書類押しだし用の切り欠きが備わっているため、ほぼ同じように書類をナナメにめくって閲覧することが可能だ。

↑書類携帯時は、表紙の下カドを脱落防止ポケットに挿し込むことで、表紙が勝手に開くのを防げる

 

↑表紙を閉じてしまえば、普通のクリアホルダーとほぼ変わらないルックス

 

ただし、ストッパーは折れ曲がらないので、紙送りするには少し抵抗がある。ホルダー自体の弾力で紙が少し戻ってきてしまうのだ。個人的にはそこがちょっと嬉しくないが、しかし書類数枚ぐらい(最大コピー用紙10枚まで収納可)をペラペラめくって見る程度なら、必要充分と言えるかもしれない。

 

【ギャラリー:写真で「ナナメクリ」をおさらい】

 

筆者・きだてたくによる商品レビューのバックナンバーはこちら

地味に凄すぎ! 最新クリップボードが“挟む”を極めた進化形態を発現

【きだてたく文房具レビュー】立ったままの筆記を究極的に快適化したクリップボード

最新の文房具をいろいろと追いかけていて面白いのは、「えっ、こんなものが進化してんの?」という驚きに出会うことだ。

 

ボールペンやシャープペンシルが進化して便利になりました、というならまだ分かる。でも、ここ数年で紙束をまとめただけのノートだっていろいろと機能アップしてるし、クリアフォルダーだって進化した面白いモノが各メーカーから登場しているのだ。あんな地味なのに!

 

そして、そんな中でも“地味オブ地味”と言われる地味ジャンル……クリップボードだって、もちろん進化しているのだ。ということで今回は、地味だけど機能アップしている進化型クリップボードを紹介したい。

 

アンケートに大活躍するクリップボード

クリップボードと言えば、基本的には屋外など机がないシーンで筆記をするのに便利、というもの。

 

A4サイズの板にバネの紙押さえで紙を挟んで固定して書くわけだが、従来のクリップボードは、紙と板の関係性は1:1で想定されている。つまり、紙が何枚もある場合の管理が面倒くさいのだ。

 

そこで紙と板の関係性を多:1で使いやすく進化させたのが、ナカバヤシの「アンケートクリップボード」である。

↑ナカバヤシ「アンケートクリップボード」788円(税込)

 

表面はまったくいつも通りのクリップボード。側面にペンを挿しておくホルダーがついているが、それぐらいは普通によくある装備だ。

 

じゃあ何が進化しているのかというと、裏面にその秘密がある。

↑コピー用紙50枚が入る裏面ポケット

 

アンケートクリップボードの裏面には、クリアフォルダーのようなA4全面ポケットが備わっている。

 

街頭アンケートなど紙を何枚も管理しなければいけないようなシーンでも、ここに用紙を入れておけば、わざわざ別に封筒などの紙ストッカーを用意しておく手間がかからないのだ。

↑ポケットはインデックス付きシートで仕切られている。未記入用紙と記入済み、のように分けて使えるのは便利

 

この裏面のポケットは、コピー用紙でだいたい50枚ほどは入るようなマチがついており、紙以外にもちょっとした小冊子やカタログなども充分に収納が可能。

 

フチに切れ込みがあるので、口が大きく開いて紙を出し入れできてラクだし、上辺のフラップのおかげで、うっかり逆さに持っても中の紙がバサバサと落ちてこないのもありがたい。

↑書類を一時的に置く場所もない立ったままでの筆記シーンでは、裏面ポケットが非常に役立つ

 

例えば見本市や展示会を回る時も、これひとつを手に持っていれば、商談や新製品チェックがかなり身軽になるはずだ。机がない椅子だけの勉強会や講演会でも、配られた資料の扱いに困ることはないだろう。

 

製品名こそ街頭アンケート専用を思わせるが、実はかなり万能性の高い便利系のクリップボードなのだ。

 

マグネットで強風にも耐える、屋外に強いクリップボード

さて、もうひとつ紹介したいのも、紙と板が多:1で使いやすい製品だ。

 

先の5月に発売されたばかりの新製品、キングジムの「マグフラップ」は、何枚もの紙を挟んだ状態でもマグネットの力で書きやすいクリップボードなのである。

↑キングジム「マグフラップ」950円(税込)

 

クリップボードに複数枚の紙を挟んであり、下の方の紙に書き込みをする場合は“上の紙をめくり上げて裏側に回す”というのがよくある使い方だろう。ただ、めくり上げた紙は手で押さえておかないとバタバタとして安定しないし、屋外で強風でも吹こうものなら巻き上げられてかなり面倒なことになりがち。

 

ところがマグフラップは、裏面に名前の通りマグネットを内蔵したフラップを装備。裏にめくり上げた紙の端を、このフラップでパタンと挟んで固定することができるのだ。

↑マグネットでバタンと閉じる裏面フラップ。端は45°に面取りしてあるので、指をかけて開きやすい

 

↑めくりあげた紙を裏面のフラップで固定。これまで手で押さえていたことを考えると、本当にラク

 

さらにもうひとつ、表面の底部にもマグネットフラップが備わっている。これはいま書いている紙の下辺を挟むことで安定させるものだ。

 

上辺全域をバネの紙押さえ、下辺はマグネットフラップと上下からピンと紙を張ることで、多少の風でも紙は安定。屋外での使いやすさは想像以上である。

 

しかもこの底部フラップは、ボードに紙を挟んだままで鞄に突っ込んだとしても、紙がめくれて鞄の中で折れ曲がってしまうのも防いでくれるのだ。

↑用紙の端をがっちり押さえる底辺フラップ。紙がバタつかず非常に書きやすい

 

さらにさらに、このマグネットフラップは紙を固定する以外にも用途がある。クリップボード自体を、マグネットの力でパーテーションや冷蔵庫の扉などに貼り付けてしまうことも可能なのだ。

↑フラップのマグネットを流用して、壁面掲示も

 

部署内のちょっとした回覧書類を貼っておいて閲覧チェックの書き込みをさせたり、ホワイトボード代わりに家族間の伝言・メッセージを書いたりするのにも使えるわけで、これもまたかなりの万能性を誇るクリップボードと言えるだろう。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。近著にブング・ジャムのメンバーとして参画した『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。