メルセデス・ベンツSクラスに48Vシステム搭載の3モデルを追加

メルセデス・ベンツ日本は、フラッグシップサルーンの「Sクラス」に、新技術「ISG(Integrated starter alternator)」を搭載した「S 450」「S 450 エクスクルーシブ」および「S 450 ロング」の3モデルを追加。3月1日に都内で行われた発表会当日より予約注文の受付を開始し、デリバリーは4月中旬を予定しているとのこと。

 

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今回追加された「S 450」「S 450 エクスクルーシブ」および「S 450 ロング」の3モデルについて、新技術説明会のために来日したダイムラー社のM256およびV型ガソリンエンジン統括シニアマネージャーであるDr.ラルフ・ヴェッラー氏によれば、メルセデス・ベンツとしては20年ぶりの採用となる、この新型M256型3.0リッター直6直噴ターボユニット(最高出力367ps/最大トルク500Nm)は、高電圧「48V電気システム」の採用を前提に新開発され、従来はベルト駆動であったエアコンやウォーターポンプ等を電動駆動としてフリクションを低減させるとともに、補器類を左右スペースに配置してコンパクト化も実現。

 

 

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しかも、この直6エンジンとトランスミッションとの間には、オルタネーターとスターターの機能を兼ねた「ISG」を配置。最高出力16kW、最大トルク250Nmを発生させる電気モーターが、従来のハイブリッド車のような回生ブレーキによる発電を行い、約1kWh容量のリチウムイオンバッテリーを充電。しかもターボチャージャーが効果を発揮しにくい低回転時には、その電力を利用した電気モーターの駆動と「電動スーパーチャージャー(eAC)」が協調して動力補助を行い、あらゆる回転域での俊敏なエンジンレスポンスと力強い加速を実現させている。

 

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こうした48V電気システムがもたらすアドバンテージのほかにも、アルミ製クランクケースやシリンダーへのNANOSLIDE®摩擦低減加工、高圧直噴システム、可変制御オイル回路、インテリジェント熱管理システムといった最先端技術を投入することで、先代M276型V6ユニット比で15%以上の出力アップと約20%の排出ガス低減、4気筒エンジンと同等の低燃費という高い効率性も獲得しているとのこと。

 

 

 

当然のことながら、フラッグシップサルーンにふさわしく、本革とウォールナットを用いた上質なキャビンや先進運転支援システム、連続可変ダンパーとエアを電子制御する「AIRマティックサスペンション」を標準搭載。AMGラインなどのパッケージオプションも従来と同様の充実ぶり。車両本体価格(税込)は、S450(ISG搭載モデル)=11,470,000円/S450エクスクルーシブ(ISG搭載モデル)=13,630,000円/S450ロング(ISG搭載モデル)=14,730,000円となる。

 

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S450(ISG搭載モデル)

 

 

 

【Specification※欧州参考値】メルセデス・ベンツS450(ISG搭載モデル)■全長×全幅×全高=5125×1899×1493mm■ホイールベース=3035mm■車両重量=-■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/2999cc■最高出力=367ps(270kW)/5500-6100rpm■最大トルク=500Nm(51.0kgm)/1600-4000rpm■トランスミッション=9速AT■サスペンション(F:R)=4リンク:マルチリンク■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク■タイヤサイズ(F:R)=245/50R18:245/50R18■メルセデス・ベンツ日本:https://www.mercedes-benz.co.jp

 

 

 

新型フォルクスワーゲン・トゥアレグのテスト模様が公開

3月23日に開幕する北京モーターショーで新型トゥアレグのワールドプレミアを予告しているフォルクスワーゲンは、3月1日、新型トゥアレグのテスト走行の模様を公開した。

 

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公開されたのはスペイン・サラゴサで行われたテスト走行の様子。公開された写真は、荒れた路面からオンロードでのテスト走行が収められている。発表前のため、ボディには一部カムフラージュが施されている。

 

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フォルクスワーゲンではすでに、極寒から猛暑までのあらゆる場所で、これまで延べ300万km以上にわたってテストを重ねてきたという。新型には前後アクスルにスタビライザーを装着したほか、後輪操舵システムを搭載しているとのこと。これらによって、大柄なボディながら高い取り回し性と走行安定性を両立させているという。

 

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インテリアではデジタルコックピットの採用がニュース。12インチと15インチのふたつのディスプレイが装備され、インフォテイメントやナビゲーション、空調制御などをコントロールできる。

 

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フルモデルチェンジを受けて3代目に進化したトゥアレグの登場は、目前に迫っている。

 

 

 

物流を支える足もとに、横浜ゴムが100年の技術力を投入する

2017年10月に創立100周年を迎え、同年度連結決算で増収増益と過去最高の売上高を達成した横浜ゴムが、国内では10年ぶりとなる耐摩耗性能重視型トラック・バス用オールシーズンタイヤの新商品「710R(ナナイチマル・アール)」を発表した。
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この「710R」は、従来製品である「ZEN701ZE」よりも耐摩耗性能と耐偏摩耗性能を大幅に向上させることによって、物流や運輸ビジネスに求められる経済性を追求しつつ、多くのドライバーが不安を抱える空荷時の安全性の改善を目指して開発。トレッドに新開発の専用パターンを採用した同製品は、力強いワイドトレッドデザインで耐摩耗性能の向上を実現し、互い違いにブロックを配置した千鳥ブロックレイアウトや「Z」型のブロックを交差配置したセンター「Z」ブロックが偏摩耗を抑制。加えて、ブロック面積の最適化により接地圧を均一化するとともに、ワイドセンターブロックとワイドセンターグルーブが空荷時のグリップ力と排水性の向上に貢献している。

 

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また、コンパウンドに耐摩耗性能に優れるポリマーとウェット性能に貢献するシリカを配合した、新製品「710R」専用のC’ROLL(クロール)製法を採用。これにより、従来品「ZEN701ZE」に比べ耐摩耗性能で20%以上の向上と、空荷時ウェット発進スリップ性能を57%改善したほか、ウェット制動性能や雪上性能も従来品同等レベル以上を確保したとのこと。

 

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発売サイズは全10サイズで価格はオープンプライスとなる。

 

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2月28日に都内で行われた新製品発表会には、横浜ゴム代表取締役社長の山石昌孝氏が登壇。トラック・バス用の超扁平シングルタイヤは広い市場でニーズがあり、ミシシッピ工場を活用した北米への拡販を狙うとともに、ユーザーの満足度をアップさせることで、同製品カテゴリーでの売上を5%程度伸ばしたいとの考えを示した。

 

横浜ゴム:http://www.y-yokohama.com/

 

 

 

トヨタ入魂の新世代パワートレインが公開!

2月26日、トヨタ自動車はTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)によって一新した新型パワートレインを発表した。

 

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今回発表した新世代パワートレインは、グローバル販売の主力となる2リッタークラス向け。CVTには乗用車用CVTとしては世界初の機構となる発信用ギアを採用。走行性能と環境性能が大幅に向上しているという。2023年には日本、米国、欧州、中国市場を対象に、TNGAによるパワートレイン搭載車をトヨタの車両販売台数の約80%に拡大していく構えだ。

 

さっそくパートごとに特徴を見てみよう。

 

●新型2リッター直列4気筒直噴エンジン「ダイナミックフォースエンジン(2.0L)」

 

 

新型エンジンは、高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時などのさまざまなエネルギーロスを少なくして熱効率を向上させるとともに高出力を実現。その結果、新開発の2リッターガソリン車用エンジン/ハイブリッド車(HV)用エンジンは、それぞれ、世界トップレベルの熱効率40%/41%を達成。また、従来型エンジンに比べて、低回転から高回転まで全域でトルクアップを実現すると同時に、各国の排気規制にも先行して対応している。

 

●新型CVT「ダイレクトシフトCVT」

 

 

トランスミッションの基本性能である「伝達効率の向上」と「エンジン高効率領域の活用」、「高応答変速」を強化するため、「機械損失低減」と「ワイドレンジ化」、「変速追従性向上」を追求。ダイレクトでスムースな走りと現行比+6%の優れた燃費性能を実現した。

 

ベルト効率の悪いロー側使用時の伝達効率を向上させるため、乗用車用CVTに世界で初めて発進用ギアを採用。発進時はギア駆動とすることで、力強い加速を実現するとともに、アクセル操作に対して一瞬遅れるようなもたつき感を改善、スムースで気持ちの良い発進性能を実現している。ギアとベルトの切り替えには、AT 技術で培った高応答の変速制御技術を使用。

 

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また、発進用ギアの採用に合わせてベルトをハイ側に設定。より効率よくベルトを使用するとともにワイドレンジ化し、2リッタークラストップの変速比幅7.5 を実現している。

 

さらに、発進用ギアの採用によって入力負荷が軽減されたことでベルトおよびプーリー部の小型化を達成。ベルトを狭角化するとともにプーリーを小径化し、変速速度を20%向上させている。これにより、ドライバーはパワフルでリズミカルな加速を感じることができる。

 

●新型4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」&「新型E-Four」

 

 

さらなる燃費向上と、4WDでの高い操縦安定性、走破性を目指して開発された新しい4WDシステム。エンジン車に採用する新システム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」では、走行状況に応じてリアのトルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」を採用することで、ドライバーの思い通りの旋回性能と、高い悪路走破性を実現。また、前後輪の車輪軸に世界初 の「ラチェット式ドグクラッチ」を備えることで、2WD 走行時には後輪に動力を伝達させる駆動系の回転を停止させて損失を大幅に低減。燃費向上をはかる「ディスコネクト機構」を採用している。

 

ハイブリッド車に採用する「新型E-Four」においては、電気で駆動する後輪の全体トルクを従来型の1.3倍に増加させたうえで、走行状態に応じて適切に後輪にトルクを配分する新制御を採用。高い走破性と優れた操縦安定性を実現する。

 

さらに、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」、「新型E-Four」双方に、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、4WD を統合して制御する「AIM(AWDインテグレーテッド・マネージメント)」を採用し、路面を問わない高い操縦安定性を確保している。

 

●THS II(2.0Lトヨタハイブリッドシステム)

 

 

4代目(現行型)プリウスに採用された小型・軽量・低損失化技術を継承し、高い燃費性能はキープしたまま、より走行性能を向上させた2リッター エンジン用ハイブリッドシステムを新開発。加速時にはエンジンの回転数を下げると同時に電池からの電力を高め、リニアで伸びのある加速感を実現している。

 

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●新型6速マニュアルトランスミッション

 

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欧州をはじめとするグローバルなニーズに応えるために、マニュアルトランスミッションも新規開発。従来型に比べて質量を7kg低減するとともに全長を24mm短縮し、世界トップレベルのコンパクトなサイズにすることで車両の燃費性能向上に貢献。また、伝達効率も世界トップを実現しており、シフトチェンジ時に自動でエンジン回転を合わせるiMT制御を採用することで、ドライバーに不快なショックを感じさせないスムースな変速操作をサポートする。

 

今回発表された新しいパワートレインは、今春以降、搭載車種をグローバルで拡大していく。従来型のエンジン車の環境性能、走行性能の向上に寄与するのはもちろんのこと、その基礎となる技術の一部は、今後トヨタが普及に向けたチャレンジを続けていくハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)といった電動車においても、確実に性能向上に反映されていくものだという。

 

TNGAによって開発したパワートレインについては、2021 年までに、エンジンは9機種・17バリエーション、トランスミッションは4 機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入を予定していることがすでに発表されているが、今回の無段変速機(CVT)、6速マニュアルトランスミッション、2リッターエンジン、2リッターハイブリッドシステムはその中の4機種となる。

 

 

 

次元が違った… “冬の怪物”を謳う「横浜ゴムの最新スタッドレス」を雪上&氷上で試乗

冬まっただなかの某日、自動車メディアを対象とした横浜ゴム「スタッドレスタイヤ勉強会」が北海道・旭川市神居町にある「北海道タイヤテストセンター(TTCH)」で開催された。特に今回は昨年新設した屋内試験場も初披露。同社の自信作「ice GUARD6」(IG60)のほか、この日のために特別に用意したタイヤを使い、圧雪路と氷上という特別な場でタイヤが持つ面白さを体験することができた。その内容をご紹介しよう。

20180228_y-koba2_ph01-02_R↑“冬の怪物”を標榜するヨコハマの最新スタッドレスタイヤ「ice GUARD6」

 

20180228_y-koba2_ph03_R↑横浜ゴム「スタッドレスタイヤ勉強会」は、晴天に恵まれる良好なコンディションの中で行われた

 

溝なしスリックタイヤで雪上走行!?

勉強会で用意されたメニューは、「コンパウンド(ゴム)比較」「パターン比較」「冬用タイヤ3種の屋内氷盤比較」「冬用タイヤ3種のハンドリング比較」の4項目。冬用タイヤの主流となっているスタッドレスタイヤの特性を学習することを目的に、それぞれを自らの運転で体験しながら進められた。体験試乗の場となったのは、新設された屋内試験場と、圧雪された広場の2つ。ここでの試乗車はトヨタプリウス(4WD)であった。

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20180228_y-koba2_ph02-2_R↑今年1月、旭川にある横浜ゴムの「北海道タイヤテストセンター(TTCH)」に建設された屋内試験場。全長119m、全幅24m、室内高(最高部)8.8m、延床面積は約2,860㎡

 

最初に体験したのは「コンパウンド比較」。実はこれが1番面白かった。なんと溝が一切ないスリックタイヤでの比較だったのだ。「スリックタイヤで雪上を走れるの?」そう思われがちだが、体験してみると驚いたことにきちんとグリップする。その理由は気温が低いためにタイヤと圧雪路のすき間にスリップの元となる水膜ができないからで、厳寒地の北海道ならではの走行だから可能となった体験なのだ。

20180228_y-koba2_ph04_R↑興味深かった「コンパウンド比較」。溝なしのスリックタイヤでコンパウンドの違いによるグリップ力の差を体感した

 

ここで用意されたスリックタイヤは、欧州で普及しているウインタータイヤ用と、日本で一般的なスタッドレスタイヤ(IG60)用のコンパウンドで作った2組。どちらもグリップはするわけだが、8の字走行を繰り返していくとやはり外側へのふくらみ方が明らかに違ってくる。当然ながらIG60用のほうがふくらみが小さい。これはIG60の柔らかいゴム素材が路面を包む込むようにしていることに着実なトラクションにつながっているからだ。

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20180228_y-koba2_ph05-02_R↑スリックタイヤ同士で比較するとコンパウンドの違いで、明らかなグリップ力の差が出た

 

また、屋内試験場ではスリックタイヤのまま氷上でのブレーキ性能を試した。当然ながらウインタータイヤよりもIG60スタッドレスのコンパウンドのほうが制動距離は短く済んだ。これはスタッドレス用のゴムが、氷上での巻き上げた水を排出できる特性を備えているためで、コンパウンドの違いでタイヤ性能はこんなにも差が出るのかと思い知らされた。

20180228_y-koba2_ph07_R↑屋内試験場ではスリックタイヤのまま氷上でのブレーキ性能を比較した

 

20180228_y-koba2_ph08-1_R↑IG60とウインタータイヤを氷上で比較した結果。制動距離でこれだけの違いが出た

 

タイヤパターンによる「排水性」の違いで制動距離に差

次に行った体験試乗は「パターン比較」。IG60に採用されたタイヤパターンのメリットを体感するための試乗だ。前モデル「IG50 Plus」のコンパウンドで作ったIG60を用意し、これを製品版であるIG50 Plusと比較した。これはコンパウンドであるゴムの性能を同一とし、パターンの違いでどれだけの性能差が出るかを体験するものだ。ただ、圧雪路での8の字走行では、正直この違いがわかりにくかった。加速して制動することを繰り返すと、IG50 Plusでもしっかりとしたハンドリングを伝えてきたからだ。

20180228_y-koba2_ph06_R↑「パターン比較」では、前モデル「IG50 Plus」のコンパウンドで作ったIG60を用意し、これを製品版であるIG50 Plusと比較した

 

違いがハッキリしたのは氷上での制動テストだった。実際に氷上でのブレーキは制動のタイミングや速度の一時が難しかったが、印象として明らかにIG60のパターンのほうが制動距離は短かった。横浜ゴムによればIG60はIG50 Plusに対して15%の制動距離短縮を実現しているのだそうだ。パターンごとの排水性の違いが制動距離に明らかな差をもたらしたのだ。

20180228_y-koba2_ph08-2_R↑パターンによる違いを氷上で比較。IG60では排水性を高めており、それが好結果を生み出した

 

ちなみに、この屋内試験場は大型車の走行試験も行える。勉強会の後半では大型車による制動テストの様子も公開された。ABSを効かせながら制動していくのは迫力満点だ。ぜひ次の動画をご覧いただきたい。

冬用タイヤ3種比較ではウインタータイヤが健闘するもIG60が圧勝

最後に体験したのが、「冬用タイヤ3種のハンドリング比較」「冬用タイヤ3種の屋内氷盤比較」だ。ここでは、IG60のほか、ウインタータイヤ「BluEarth WINTER V905」、ヨコハマが北米向けに発売するオールシーズンタイヤ「Avid ASCEND S323」を加えた3種類のタイヤで、圧雪路と氷上の2パターンを体験した。ともに日本では未発売のタイヤだ。試乗車はトヨタのミニバン「NOAH」。これを約1kmの圧雪路と屋内氷盤試験路で行った。

20180228_y-koba2_ph09_R↑「冬用タイヤ3種のハンドリング比較」はミニバンのトヨタNOAHで行った

 

20180228_y-koba2_ph10_R↑3種の冬用タイヤ。左からウインタータイヤ「BluEarth WINTER V905」、最新スタッドレスタイヤ「ice GUARD6」、オールシーズンタイヤ「Avid ASCEND S323」

 

結果はIG60の圧勝だった。圧雪路での安定した走り、氷上での制動力の高さ、このいずれもが能力で他を上回ったのだ。ただ、これは当初より予想できたこと。横浜ゴムがわざわざ最新のスタッドレスタイヤを体験走行させて、それが性能的に劣っていたのでは話にならない。そんななか、想像以上に高い走破性を実感させたのがウインタータイヤだった。これは欧州で普及が進んでいるタイヤで、それが雪上でもしっかりとしたグリップ力を示したのだ。

20180228_y-koba2_ph12_R↑最も大きな差となったのが氷上性能。これだけ違うと「ice GUARD6」の安心度が魅力となる

 

もちろんIG60と比較して氷上での性能差は大きかった。しかし、このタイヤは降雪地帯で使うタイヤではなく、むしろ高速走行性能にも気を配った冬用タイヤとして現地では販売されている。東京のように普段は降らない雪が突然襲ったときなどに効果的なタイヤと言っていい。それだけに絶対的なグリップ力ではIG60よりも劣るが、このグリップ力は雨天時などのウェットな路面ではメリットを発揮するだろう。

 

一方のオールシーズンタイヤ。主として北米で普及しているタイヤで、横浜ゴムによれば雪上や氷上性能よりも耐摩耗性を重視して開発されているタイヤなのだという。つまり、除雪が行われている幹線道路までゆっくり走ることさえできれば十分というニーズに応えているのがオールシーズンタイヤなのだ。それだけに3種の中でも最も走破性で見劣りがした。もちろん夏タイヤよりは効果はあるけれど、少しでも雪深い場所を走るとなれば、オールシーズンタイヤでは役不足となることを思い知らされた。

20180228_y-koba2_ph11_R↑冬タイヤとは言え、雪上走行での安心感はタイプによって大きな違いが出た

 

最後にIG60の走行フィーリングだが、圧雪路では路面に対する密着度が高いためにかなり安心して走れる。特にステアリングを切った時の追従性はかなり高く、これが安心感につながっているのは間違いない。しかも圧雪路での突き上げ感もしなやかな印象で、乗り心地はかなり良好な印象だ。スタッドレスタイヤは何かと乗り心地が悪いと言われがちだが、IG60に限ってはそんなことはない。横浜ゴムが自ら“冬の怪物”としてPRしているように、IG60はこれまでと次元の違ったスタッドレスタイヤであることは間違いないようだ。

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日産とDeNAが無人運転車での実証実験を開始!

一般モニターは公式サイトで募集した約300組

日産とDeNAは2月23日、無人運転車両を活用した共同開発中の新しい交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を2018年3月5日(月)より神奈川県横浜市のみなとみらい地区周辺で開始すると発表した。なお、本実証実験には公式サイトで募集した一般モニター約300組が参加する予定となっている。

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この実験では、自動運転技術を搭載した実験車両が一般モニターを乗せ、日産グローバル本社から横浜ワールドポーターズまでの合計約4.5Kmのコースを往復運行する。そして、実験を通じて「Easy Ride」のサービス仕様の評価・確認を行ない、誰もがどこからでも好きな場所へと自由に移動できる新しい交通サービスの実現を目指す。

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また、モニター参加者には目的地の設定や配車などの基本的なサービスに加え、移動だけにとどまらない新しい乗車体験を提供する。たとえば、目的地は専用のモバイルアプリで直接指定する以外に、参加者が「やりたいこと」をテキストや音声で入力。おすすめの候補地を表示させて、その中から目的地を選択することができる。

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さらに、乗車中に走行ルート周辺のおすすめスポットやイベント情報などが車載タブレット端末に表示されるほか(約500件)、店舗などで使えるお得なクーポンも40件程度用意されるという。

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なお、日産とDeNAは参加者に安心して乗車してもらうため走行中の車両の位置や状態をリアルタイムで把握できる遠隔管制センターを新たに設置。両社の先進技術を融合させたシステムによる遠隔管制のテストも行なう。

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乗車後に実施する一般モニター向けアンケートでは、乗降時や乗車中の体験についての評価や周辺店舗と連動したサービスの利用状況、実用化した場合の想定利用価格などの情報を収集。それを基にして、さらなるサービス開発や今後の実証実験に活用する予定としている。

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なお、両社は2020年代早期に本格的なサービス提供を目指し、街の魅力に触れる機会を増やすことで地域経済の活性化にも貢献していくとしている。

 

この実証実験は、横浜市が2017年4⽉に⽴ち上げた「IoTオープンイノベーション・パートナーズ」の取り組みのひとつとして、また、「自動運転ロボット利活用サービス」として、神奈川県の「さがみロボット産業特区」における重点プロジェクトにも位置づけられている。

【中年名車図鑑】セリカから完全独立、ソアラとも性格を変える…80年代後半、トヨタ・スポーツモデルの頂点はこうして生まれた

セリカのFF化が決まった1980年代初頭、その上級版であるセリカXXの次期型はFR方式のままで、しかも次期型ソアラ(Z20型系)と基本コンポーネントを共用化することに決定。セリカの呪縛を解かれた開発陣は、思い切ったハイパフォーマンス・スペシャルティカーの創出を画策した――。今回は「TOYOTA 3000GT」の別名で1986年にデビューした初代(輸出仕様を含めると3代目)スープラで一席。

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【Vol.57 初代トヨタ・スープラ】

 

セリカの上級モデルに位置づけられたセリカXX。その第3世代を企画するにあたり、開発陣には新たな路線が示される。ベースモデルとなるセリカの次期型(4代目。1985年8月デビュー)は、パッケージ効率に優れるFF方式を採用する。一方で長大なストレート6エンジンを搭載するセリカXXをFF化すると、意図する高性能な走りを実現できない。かといって、すべての機構を新開発するのはコスト面でも期間面でも無駄が多い。よって、FR方式の次期型ソアラ(2代目。1986年1月デビュー)と可能な限りコンポーネントを共用化して開発する――。セリカから完全に独立し、かつソアラと性格の異なる上級スペシャルティに仕立てることが、次期型セリカXXの企画方針となったのだ。

 

「これを機に、やりたいことを全部やろう」と考えた和田明広主担率いる開発チームは、次期型セリカXXを「国際水準を超える走りのハイパフォーマンスカー」に昇華させる旨を画策。具体的には、意のままに走るシャシー、スポーティかつパワフルな走りを生み出すエンジン、走りのロマンを感じさせる内外装デザイン、といった内容の実現を目指す。さらに、車名ついてはセリカXXの輸出モデルに冠していた、ラテン語で“超えて”“上に”を意味する「スープラ(Supra)」を日本仕様にも使う決定を下した。

 

■「TOYOTA 3000GT」のキャッチを謳って市場デビュー

20180302_suzuki_01 (72)2代目ソアラとコンポーネントを共用しながらも、ソアラとは性格の違う上級スペシャルティを目指すことが要求された

 

トヨタの新しいハイパフォーマンス・スペシャルティカーとなるスープラは、A70の型式をつけて1986年2月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは「TOYOTA 3000GT」。名車としての誉れも高いトヨタ2000GTの、開発精神と魂を継承して現代に甦らせた新世代のGTであることを、このフレーズに込めていた。

 

シャシーについては、アルミ鍛造のアッパーアームや新開発のボールブッシュなどを組み込んだ専用セッティングの4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用する。ホイールベースは2代目ソアラよりも75mm短い2595mmに設定。ダンパーの減衰力を自動制御する電子制御サスペンションのTEMSや制動時の安定性を高める電子制御式スキッドコントロール装置の4輪ESCも採用した。搭載エンジンは7M-GTEU型2954cc直列6気筒DOHC24V空冷インタークーラー付ターボ(230ps)を筆頭に、1G-GTEU型1988cc直列6気筒DOHC24V空冷インタークーラー付ツインターボ(185ps)、1G-GEU型1988cc直列6気筒DOHC24V(140ps)、1G-EU型1988cc直列6気筒OHC(105ps)という計4機種を用意。トランスミッションには7M-GTEUエンジンに電子制御式2ウェイ・OD付4速AT(ECT-S)、1G-GTEUおよび1G-GEUエンジンに5速MTまたはECT-S、1G-EUエンジンに5速MTまたは2ウェイ・OD付4速ATを組み合わせた。

20180302_suzuki_01 (73)ディメンションは全長4620×全幅1690×全高1310mm。ソアラよりも短くて低い

 

エクステリアに関しては、ハイパフォーマンスを具現化するスタイリングで構成した。造形テーマは“ドラスティック・パフォーマンス・デザイン”。大きな平面絞りのフォルムを基本に、リトラクタブル式のヘッドライトや大きく傾斜したフロントピラー、太いセンターピラー、ラウンドしたリアおよびクォーターウィンドウなどを採用し、力感あふれ、かつ空力特性に優れるエクステリアを実現する。ボディサイズはソアラよりも短くて低い全長4620×全幅1690×全高1310mmに設定した。一方、内包するインテリアは“GTとしての充実感”をテーマにアレンジする。具体的には、大きなカーブを描く超ラップラウンド・インスツルメントパネルや走行状況が色でわかるパノラミックデジタルメーター、調整範囲を広げた新パワースポーツシートなどを導入し、高級感とスポーティ感あふれるキャビン空間を創出していた。

 

■エアロトップとワイドボディを追加設定

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5a9658f0084c2_955161792“GTとしての充実感”をテーマにしたインテリア。大きなカーブを描く超ラップラウンド・インスツルメントパネルや走行状況が色でわかるパノラミックデジタルメーターを導入し、高級感とスポーティ感あふれるキャビン空間を創出した

 

新世代の高性能スペシャルティカーとしてデビューと同時に高い人気を獲得したスープラは、その新鮮味を失わないよう、積極的に車種ラインアップの拡充や機構面の進化を図っていく。まず1986年6月には、脱着式ルーフを備えたエアロトップを発売。1987年1月には7M-GTEUエンジンに5速MTを設定し、さらにブリスター形状のフェンダーを組み込んだ輸出型と同仕様のワイドボディ(全幅1745mm)仕様「3.0GTターボリミテッド」を追加する。同時に、1G-GEUエンジンの改良や一部装備の変更を行った。

 

1988年8月になるとマイナーチェンジを敢行し、内外装デザインの一部変更や3.0モデルの全車ワイドボディ化、1G-EUエンジンから1G-FEエンジン(1988cc直列6気筒DOHC。135ps)への換装、ターボエンジンのハイオク仕様化による性能向上(7M-GTEUが240ps、1G-GTEUが210ps)などを実施。また、同時期にグループAのホモロゲーションモデルとなる「3.0GT ターボA」を500台限定で発売する。搭載エンジンは7M-GTEUユニットをベースに専用開発のターボタービンや大型インタークーラーなどを組み込み、最高出力を270psへとアップ。さらに、フロントバンパー中央部への“ターボAダクト”の採用やブラック基調で彩ったボディカラーおよびアルミホイールの設定、8ウェイレザースポーツシートの装備などでスペシャル度を引き上げていた。ちなみに、ターボAは公認取得後の1988年11月に全日本ツーリングカー選手権第6戦インターTECに出場し、関谷正徳/小河等選手組(ミノルタスープラターボ)が第2位に入るという健闘を見せた。

20180302_suzuki_01 (71)1986年6月に登場した、脱着式ルーフを備えたエアロトップ

 

1989年8月にも一部改良を行い、ボディカラーの設定変更や3.0ターボSおよびワイドボディの2.0GTツインターボの追加などを実施する。1990年8月になると、エンジンの変更をメインメニューとしたマイナーチェンジを敢行。トップユニットの7M-GTEUエンジンに代わって1JZ-GTE型2491cc直列6気筒DOHC24Vツインターボエンジン(280ps)が採用され、グレード名も2.5GTツインターボに改称する。同時に、ビルシュタインと共同開発した専用ダンパーやトルセンLSD、レカロ製シートなども設定した。また、このモデルからフロントエンブレムの七宝焼きがトヨタマークへと変更。コアなファンからは惜しむ声が多く聞かれた。

 

1991年8月には安全装備の拡充を主体とした一部改良を実施。そして、1993年5月になるとフルモデルチェンジを行い、日本市場においては第2世代、輸出モデルを含めると第4世代となるA80型系スープラに移行した。一方、A80がデビューしてからしばらくすると、A70が再評価されるようになる。曲線を多用したグラマラスなエクステリアのA80に対し、直線を基調としたシャープなスタイルを纏うA70は、いかにもスポーツカーらしい精悍なルックスで、またカスタム映えがしたのだ。80年代後半から90年代初頭のトヨタ製スポーツモデルの頂点に位置したA70型系スープラは、生産中止後もその車名通りに時代を“超えて”高い人気を維持し続けたのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【乗車ルポ】この春登場で注目を浴びる「小田急新ロマンスカー」と「京王ライナー」、実際どう?

新宿駅を起点とする小田急電鉄と京王電鉄が、それぞれ新車両・新列車を、この春に登場させて注目を浴びている。小田急は3月17日に新ロマンスカー「GSE(70000形)」を登場させる。京王は2月22日に座席指定制の有料特急「京王ライナー」の運行を始めた。

 

小田急は観光用の特急ロマンスカー、一方、京王は通勤型電車で、シートの向きが転換できる座席指定制特急というスタイルの車両だ。2つの車両の単純な比較はできないものの、未来の鉄道車両と、未来へ向けた運行スタイルの姿が見えてくる。注目される新車両・新列車の乗車ルポをお届けしよう。

 

座れば心がウキウキ! 迫力の前面展望が魅力の新ロマンスカーGSE

小田急ロマンスカーといえば、小田急電鉄の特急の代名詞であり、同社のシンボル的な車両となっている。1957(昭和32)年にSE(3000形)を登場させて以来、時代を象徴する車両を世に送りだしてきた。

 

ところが、2000年代にVSE(50000形)、MSE(60000形)が新造されて以来、2017年にリニューアル車のEXEα(30000形)の投入があったものの、GSE(70000形)という車両の登場まで10年の歳月を待たなければならなかった。

20180302_y-koba2 (2)↑ローズバーミリオンと呼ばれる車体色が目を引くGSE(70000形)。すでに小田急本線や小田急多摩線を使った試運転や、試乗会が行われている

 

この春、待望の新型GSE(70000形)が登場する。GSEとはGraceful Super Expressの略で、“優雅なスーパー特急”という意味になるだろうか。

 

車体は薔薇の色をイメージした「ローズバーミリオン」。一見して華やかなカラーで、これまでのロマンスカー車両に比べてかなり目を引く。そしてこの車両の特徴であり、最大の魅力となりそうなのが、先頭に設けられた展望席。前後車両に展望席を設けたスタイルは、LSE(7000形)、VSE(50000形)といった車両に受け継がれてきた。

 

特急電車の一番前に陣取って展望を楽しむ。鉄道ファンでなくとも、誰もが一度は経験したいと思うはず。座れば心が浮き浮きする、そんな楽しめるスペースが新ロマンスカーにも採用された。

20180302_y-koba2 (3)↑GSE(70000形)の展望席は前後に16席ずつ。人気となること必須で、運転開始当初はかなりの倍率となりそうだ

 

20180302_y-koba2 (9)↑展望席の後ろにある運転室への入口。新車では、棚状のステップを下に設け、登り口の階段をスムーズに登れるように工夫している。運転時には、この上り口が閉じられる

 

20180302_y-koba2 (4)↑GSE(70000形)の先頭部を外から見る。正面だけでなくサイドの窓も広々している。写真の右に見える小さなトビラは乗務員用の乗降扉

 

GSE(70000形)では、展望席を持つ同スタイルのVSE(50000形)に比べて前面のガラスの高さを30cmほど拡大、先頭の座席を35cmほど前に配置した。

 

実際に、短時間ながら筆者も先頭の展望席に座ってみた。試乗会での体験だけに、ゆっくりと楽しめなかったが、 “迫力に圧倒される!”と感じた。正式に走り出したら、展望席の指定券をぜひゲットして乗りたいと思う。

 

この展望席の指定券は運転開始後、高嶺の花になること間違いない。当初は、なかなか指定券が取れそうにない。ただ、心配はご無用。ほかの席でも十分に新ロマンスカーの魅力が満喫できる。

 

通常席にいながらにして前面や後部の展望が楽しめる

中間車の車両であっても、側面の窓はVSE(50000形)やMSE(60000形)よりも広い天地幅は100cm。さらにつなぎ目のない連続窓で、車窓が十分に楽しめる。

20180302_y-koba2 (5)↑4号車の車内。車椅子利用者用の座席が用意される。側面の窓は思った以上に広い。天井も高く造られ広いイメージを強めている。天井の両端には空気清浄機が装着された

 

さらに面白いのがスマホで同列車の前面展望が楽しめること。車内で無料Wi-Fiシステムが使えるとともに、Romancecar Linkというサイトにつなげば、この前面展望が楽しめる。前面展望だけでなく、後部の展望映像も楽しめるというのが面白い。

20180302_y-koba2 (6)↑車内では無料Wi-Fiシステムの利用が可能。Romancecar Linkを使えば、前面の展望映像が楽しめる。2階にある運転室のカメラを使用、展望席とは違う角度の展望が楽しめる

 

筆者はスマホしか持参しなかったが、画面が大きめのタブレット端末を使えば、より迫力のシーンが楽しめそうだ。ちなみにこのシステム、座席の背に解説がある。観光情報なども見ることができて、役立ちそうだ。

 

乗り心地や細やかな配慮にも注目!

つい展望席に注目が集まるが、乗り心地にも触れておきたい。このGSE(70000形)には左右方向の車両振動を低減する「電動油圧式フルアクティブサスペンション」が装着されている。新幹線では東北新幹線E5系などの一部車両に電動式のフルアクティブサスペンションを使用しているが、在来線の量産車では初という電動油圧式のフルアクティブサスペンションの導入となった。今後は、東海道新幹線の新型N700Sにもこのシステムが使われる予定という優れた装置だ。

 

今回の試乗は短時間だったこともあり、電動油圧式フルアクティブサスペンションの性能こそ味わえなかったが、どのぐらいの成果が得られているのか、気になるところだ。

20180302_y-koba2 (7)↑海外からの利用者が多いロマンスカーゆえの配慮。広い荷物収納スペースがほぼ全車両に設けられている

 

20180302_y-koba2 (8)↑シートの上部にある点字の座席指定の番号案内。歩く時に手すりに代わりとなる場所の、こうしたきめ細かい配慮は、さすがロマンスカーと思わせるものがある

 

小田急電鉄では、3月17日(土曜日)にダイヤ改正の予定。下北沢駅付近の改良工事が完成し、代々木上原〜登戸間の複々線工事が完了する。それとともに特急ロマンスカーも、よりスムーズに運行されることになる。

 

GSE(70000形)は主に「はこね」「スーパーはこね」として運行される予定だ。新ロマンスカーに乗車できる日が待ち遠しい。

 

*注:小田急線〜箱根登山鉄道線の区間を直通する特急の料金割引が終了します。そのため、3月17日から新宿駅〜箱根湯本駅の特急料金が1090円と200円、高くなります

 

京王で初めて!座席指定制「京王ライナー」の運行開始

京王電鉄は新宿駅が起点の京王線系統、渋谷駅が起点の井の頭線の2路線を運行する。井の頭線の路線が12.7kmと短いのに比べて、京王線系統は西に路線が延び、新宿駅〜京王八王子間の京王線、調布駅〜橋本駅間の相模原線、北野駅〜高尾山口駅間の高尾線などの路線が広がっている。

 

京王線系統の総延長は71kmと路線の距離はかなりのもの。加えて都営新宿線との相互乗り入れも行われている。

20180302_y-koba2 (10)↑新型の5000系を使っての運行が始まった「京王ライナー」。平日は20時以降、土休日は17時以降、下りのみの運行が開始された

 

20180302_y-koba2 (15)↑車体側面の案内表示には京王ライナーのロゴが入り、また行き先と、停車駅を表示される。なお京王八王子駅に到着後は新宿駅へ回送され、再び京王ライナーとして運転される

 

京王電鉄としては初めて座席指定制の有料特急として2月22日から運行開始されたのが「京王ライナー」。車両は2017年10月から走り始めた新型5000系が使われている。5000系は通常の通勤電車として走るときは、窓を背にして座席が並ぶロングシートに、また座席指定制の有料特急として走る時はクロスシートに座席の向きが変更される。

20180302_y-koba2 (12)↑新宿駅入口に設けられた「京王ライナー」の案内表示。時刻と行き先、各ライナーの停車駅と空席状態が示されている

 

2月22日のダイヤ改正に合わせて設定された「京王ライナー」の運行ダイヤは次の通りだ。

 

運転は夜間の下りのみで、平日は20時以降、30分間隔で新宿駅発→京王八王子駅行き、新宿駅発→橋本駅行きが交互に計10本が運転される。夜は0時20分発の橋本駅行きが最終となる。

 

土休日は、運転時間がやや早めの17時から。17時発の時刻ちょうどが京王八王子駅行きで、各時間20分発が橋本駅行きとなる。運転本数は計10本。土休日の最後は21時20分発の橋本駅行きが最終となる。

 

1席400円。PCやスマホでも購入ができる

座席指定券の料金は400円。運転当日の指定券が、新宿駅にある京王ライナー専用券売機と、Web( PCかスマホ)で購入できる。筆者は、スマホでの予約・購入にチャレンジ、土曜日の17時発の京王ライナーに乗る手配をしてみた。

 

まずは会員登録を行う。仮登録などの多少のやりとりはあるがスムーズ。ログインすると、その日の京王ライナーの発車時間が表示される。乗りたい京王ライナーの「指定券を購入する」で、希望の号車や、座席タイプが指定できる。さらに座席表から、座りたい席が選べる。

20180302_y-koba2 (13)↑スマホの「京王ライナー」の利用画面。会員登録、さらにクレジットカードを登録すれば購入が可能、チケットレスで乗車できる

 

20180302_y-koba2 (14)↑ログインすると、京王ライナーの発車時刻と空き具合が表示される。発車15分前までWebでの購入ができる。15分をきると新宿駅の専用券売機のみでの販売となる

 

筆者は運行開始後、最初となる土曜日の17時発を選択した。さらに先頭車に乗りたいので、念のため朝に予約を入れたが、すでに先頭車の半分以上の席が埋まっていた。座席を決めたら、同意のチェックと、会員登録した際のパスワードが必要となる。パスワードを最後に打つというひと手間があるものの、新宿駅の券売機で買うよりも、早めの座席指定ができて安心だ。

 

確実に座れて快適ながら通勤用車両ならではの気になるポイントも

発車時に独特のミュージックフォーンを奏で、新宿駅2番線ホーム(京王ライナーはすべて同ホームを発車)を17時に出発。週末だったせいか、鉄道好きらしき乗客が多い。隣に座った人に声をかけてみると、やはり鉄道ファンだった。各鉄道会社の座席指定制の特急を比較のため乗車しているという。

 

車内アナウンスの前には、癒し系の音楽がワンフレーズ流される。このあたりも京王ライナーならでは。ちなみに、5000系が通勤時に使われるときはこの音は流れず、シンプルなアナウンスとなる。座席も、ロングシート、クロスシート転換式ならではといった印象だが、座り心地は悪くない。各座席の足元には電源用のコンセントも設けられる。

 

ただ、少し足元が狭く感じた。転換式のため狭くならざるを得ないのかもしれない。

20180302_y-koba2 (16)↑京王ライナーとして走る時のクロスシートの状態。ドアとドアの間にシートがタテ3列で配置される。京王ライナー利用時は室内の照明も暖色系の色合いとなる

 

20180302_y-koba2 (17)↑通勤利用時のロングシートの状態。ロングシートの時は6人掛けで、通常の通勤電車の7人掛けの状態に比べると1人当りの横幅が広くなる。肘掛けもありゆったりした印象

 

発車して22分で最初の停車駅、府中駅に停車する。途中、明大前駅(一時停止の運転停車を行う)と調布駅は停車しない。この府中駅より先は座席指定券が不要となり、誰でも乗車できるようになる。ちなみに橋本駅行きの場合は、京王永山駅から先の座席指定券がいらなくなる。

 

府中駅から乗る人が数人いた。わざわざ乗りに来たと思われる親子づれも。知らない人は、席の向きに戸惑っている様子だ。そして17時39分に終着の京王八王子駅へ到着する。所要時間39分の短い旅は終わった。

 

京王ライナー利用の場合、新宿駅〜京王八王子間は最短35分、新宿駅〜橋本駅間は最短32分と早い。

 

運転開始から1週間、実際の利用率は?

運転開始から1週間あまり。指定席の埋まり具合を確認してみた。

 

最初の数日は、記念に乗ろうと、早めの時間帯の指定券はほぼ満席となった。週が開けて2月26日からは、20時30分、21時30分発の橋本行きは満席となった。傾向として京王八王子行きよりも、橋本駅行きのほうがより利用率が高い。早めに売れ切れる京王ライナーは少なく、発車30分前に座席指定券を求めても十分に購入できるようだ。

20180302_y-koba2 (11)↑運行開始された週の新宿駅での様子。運転開始されたばかりの「京王ライナー」の姿を一目見ようと鉄道ファンだけでなく、多くの人が訪れた

 

京王電鉄にとって最初の有料特急の運転ということで、手探り状態ということもあるのだろう。もしもの話だが、平日朝の上り京王ライナー、また平日の18時台、19時台の下り京王ライナーが運転されればと思う。また都営新宿線からの直通京王ライナーがあれば使い勝手が良さそうだ。ピーク時、同線の飽和状態を見るとなかなか難しいプランかもしれないが。

 

今後、どのように修正が加えられていくのか、京王線沿線に住み、日々、京王線を利用する筆者にとしても期待しつつ見守りたい。

ランドローバー・ディスカバリー並みにタフなスマホ?

ジャガー・ランドローバーはこのほど、ランドローバー・ディスカバリーにインスピレーションを受けたタフなAndroidスマートフォン「ランドローバー・エクスプローラー」をBullittグループと共同開発。4月26日より特設ウェブサイトで発売すると発表した。価格は599〜649ユーロ(約7万9000円〜8万6000円)で、イギリスのほかドイツ、ベルギーで購入が可能となる。

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筐体は海水や泥水を含めた完全防水性能に加えて、1.8mの高さから落としても問題ない耐衝撃性や急激な温度変化にも耐えられるタフな性能が与えられた。5インチサイズのディスプレイは濡れた指や手袋をはめたままで操作ができる。バッテリーは4000mAhで、一般的な使い方であれば2日間もつ。また、GPSを内蔵するナビゲーション機能が搭載されている点も特徴だ。

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4370mAhの大型バッテリーやユニバーサル・バイク・マウントなどのオプションも設定されるという。

 

この新しいタフなスマホは、2月26日から3月1日までバルセロナで開催しているMobile World Congressのほか、3月6日に開幕するジュネーブショーで初公開される。

【中年スーパーカー図鑑】“跳ね馬”はないが、フェラーリ伝説の1モデルであることに間違いはない──

いわゆる“スーパーカー”と呼ばれるクルマにはロマンあふれるエピソードがついてまわるものだが、車名からして逸話となっているモデルがある。今回は「12気筒以外はフェラーリを名乗れない」「早逝した愛息の名を残したかった」「スモール・フェラーリの新ブランドとして確立したかった」などの説から“跳ね馬”のエンブレムを付けずに市場に放たれたディーノ206GT(1967年~)/246GT(1969年~)の話題で一席。

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【Vol.13 ディーノ206GT/246GT】

 

1965年開催のパリ・サロンにおいて、カロッツェリア・ピニンファリーナのブースに1台のGTカーが展示される。車名は「ディーノ206GTスペチアーレ」。スポーツプロトタイプのディーノ206SのシャシーにV型6気筒エンジンを縦置きでミッドシップ搭載し、ノーズ先端に並ぶ4灯のヘッドランプや大きな弧を描くフロントフェンダー、カムテールにとけ込む、流れるようなリアクォーターパネルなどをスタイリングの特徴としたデザインスタディは、実はフェラーリ社が画策した新ジャンルのロードカーだった。そして、1966年開催のトリノ・ショーではより進化したプロトタイプ版が登場。1967年開催の同ショーになると、エンジンを横置きのミッドシップ搭載に変更した最終プロトタイプの「ディーノ206GT」が披露された。

 

■フェラーリ製ロードカー初のV6ミッドシップ車の登場

20180302_suzuki_01 (12)ディーノ206GT。アルミ合金の2座クーペボディに1987cc・V型6気筒DOHCユニットを組み合わせる

 

フェラーリの創業者であるエンツォの愛息で、1956年に他界したアルフレード・フェラーリの愛称“ディーノ(Dino)”をブランド名に冠したディーノ206GTは、1968年より販売を開始する。基本骨格は楕円チューブと角型鋼管で構成したスチール製チューブラーフレームをメインに前後サブフレームとクロスメンバーをセットし、ホイールベースは2280mmに設定。組み合わせる2座クーペボディはアルミ合金で仕立てる。懸架機構には前後ダブルウィッシュボーン/コイル+アンチロールバーを、操舵機構にはラック&ピニオンを、制動機構にはサーボアシスト付き4輪ディスクブレーキを採用した。横置きでミッドシップ搭載するエンジンはバンク角を65度としたアルミ製シリンダーブロック&ヘッドの“ティーポ135B”1987cc・V型6気筒DOHCユニットで、ウェバー40DCNF/1キャブレター×3との組み合わせによって最高出力180hp/8000rpmを発生。エンジン下にはオールシンクロ5速MTのギアボックスおよびファイナルユニットをレイアウトする。エンジンとトランスミッションをいわゆる2階建てとしたため、パワーユニット後方には有効なトランクルームが設置できた。

 

ピニンファリーナがデザインしたエクステリアは、曲面構成の滑らかなボディ形状を基本に、低くスラントしたノーズセクションや丸みを帯びたフェンダー造形、リアフェンダーのカーブに連なるカムテール、リアエンドへときれいに流れるルーフラインなどによって精悍かつ流麗なスタイリングを構築する。ドアパネルからリアフェンダーにかけてのレリーフは、キャブレターへの空気取り入れ口。フロントラゲッジ(スペアタイヤや工具などが収まる)/エンジンルーム/リアトランクルームのリッドはすべて前ヒンジで仕立てられた。ボディサイズは全長4150×全幅1700×全高1115mmで、車重は乾燥重量で900kg(燃料などを入れた状態で約1100kg)。最高速度は235km/hとアナウンスされた。内包するインテリアは当時のフェラーリ製GTの典型といえるデザインで、計器類をアルミパネル付きの楕円形フェイシア内にまとめたインパネに3本スポークのステアリングホイール、ゲートできちっと仕切ったMTの操作レバー、バケット形状のシートなどで構成する。スペース自体はミッドシップスポーツカーとしてはルーミーな部類で、足もとも広め。ドライバーから見える前方の左右フェンダーの峰は、ボディ幅や前輪位置を把握するのに大いに役立った。

 

■より実用に適したスポーツカーへと進化

20180302_suzuki_01 (8)低くスラントしたノーズセクションや丸みを帯びたフェンダー造形、リアフェンダーのカーブに連なるカムテール、リアエンドへと流れるルーフラインが美しい。写真は排気量をアップしたディーノ246GT

 

フェラーリは1969年よりフィアットの傘下に入り(フィアットがフェラーリの株式の50%を取得)、市販車部門をフィアットの管理下に置く一方でレース部門であるスクーデリア・フェラーリの運営を強化および安定化させる。それとほぼ時を同じくして、ディーノはエンジン排気量の拡大を実施。同年11月開催のトリノ・ショーにおいて、「ディーノ246GT」を発表した。

20180302_suzuki_01 (9)アルミパネル付きの楕円形フェイシア内にまとめたインパネに3本スポークのステアリングホイールを組み合わせたインテリアは、当時のフェラーリ製GTの文脈に則ったもの

 

レースシーンにおけるディーノF2ユニットのホモロゲート取得という要件から外れたため、ディーノ246GTの搭載エンジンは生産効率が重視され、ブロックには鋳鉄製が採用される(ヘッドはアルミ製を継続)。V型6気筒DOHCユニットの排気量は2418㏄にまでアップ(エンジン呼称は“ティーポ135CS”)。ウェバー40DCNF/7キャブレター×3との組み合わせによって最高出力195hp/7600rpmを発揮した。また、挙動の安定性を高める目的でホイールベースを60mmほど延長(2340mm)。ボディ材質はスチール材に変更した。

 

■タルガトップの「246GTS」をラインアップ

20180302_suzuki_01 (10)1972年にタルガトップのディーノ246GTSが登場。脱着が可能な樹脂製のルーフパネルを採用する

 

ディーノ246GTは1969年から1974年まで生産されるが、細部の変更によって3シリーズに大別できた。1969年から1970年を通して製造された“Tipo L”、1971年の初めに短期間造られた“Tipo M”、1971年の途中から1974年まで生産された“Tipo E”だ。

 

Tipo Mではリアのトレッドを30mmほど拡大してコーナリング時のスタビリティを向上。また、エンジンとギアボックスの細部もリファインする。さらに、トランクリッド用レリーズキャッチの車内への移設やヘッドレストのシートマウント化など、内外装の一部見直しも図った。Tipo Eになると、エンジンとギアボックスにさらなる改良を加えて完成度をアップ。エアインテークや照明類、ワイパー支点など、外装のアレンジも一部変更する。また、このモデルから北米仕様を設定。現地の法規に合わせたマーカーや排出ガス対策を施したエンジン(最高出力は175hp)などが組み込まれた。

 

Tipo Eの生産期間内の1972年には、タルガトップのディーノ246GTSが新規に設定される。脱着が可能なルーフパネルは樹脂製で、前方2カ所の取り付け穴にボスを差し込んだのち、後方2カ所のロックで固定する方式を採用。クーペボディと比べると、リアクォーターウィンドウがなく、その位置には換気用の3本のスロットルを組み込んだスチール製のクォーターパネルが配されていた。

 

カタログでは「とても小さく(tiny)、光り輝き(brilliant)、安全(safe)――それはスモール・フェラーリカーの絶え間ない開発の証」と称された、紛うことなきフェラーリ伝説の1モデルであるディーノ206/246GTシリーズ。生産台数は206GTが152台、246GTが2487台、246GTSが1274台だった。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

「相乗りタクシー」から「ソニーの配車アプリ」まで… 激化するタクシー改革は成功するのか?

去年の秋にトヨタ自動車が新型タクシー専用車、JPNTAXI(ジャパンタクシー)を発表したことはこのコラムでも紹介したが、その後もタクシー業界ではニュースが相次いでいる。今年に入ってからも4つの大きな動きがあった。

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まずは1月24日から3月11日(日)まで行われる予定の、配車アプリを活用してタクシーを相乗りで割安に利用できるサービス「相乗りタクシー」の実証実験だ。本来は22日スタートだったが雪のため2日遅れで始まった。

 

2つのグループが提供する配車アプリ上で乗車地と降車地を設定し、同方向に向かう利用者同士をマッチングするというもので、運賃は各利用者が単独で乗った場合の推計走行距離に応じた割り勘となる。東京23区および武蔵野市、三鷹市を走る大和自動車交通グループ 4社と日本交通グループ11社の約950台が協力している。

 

続いて2月8日、日本交通グループでタクシー配車アプリ「全国タクシー」を2011年から提供し、前述の実証実験でもアプリを開発したJapanTaxi(トヨタのタクシー車両とは無関係)が、トヨタとの間でタクシー事業者向けサービスの共同開発などを検討する基本合意書を締結。トヨタがJapanTaxiに約75億円の出資をすることで合意した。ちなみにJapanTaxiの資本金は、この時点で3.1億円だった。つまりトヨタの出資比率は同社の約96%を占めるまでになった。

 

さらに昨年11月に中国の配車アプリ会社、滴滴出行(ディディチューシン) とアプリを使ったタクシー配車サービスの導入の連携に向け協議中と発表した第一交通産業は、メディアで報道されているウーバー(Uber)との提携について19日、協議や検討を行っていることは事実と否定はしなかった。

 

第一交通産業はもちろんウーバーや滴滴出行のような、一般ドライバーが自家用車を使ってのライドシェアを認めたわけではなく、あくまで自社のタクシーの配車をこのアプリで行うという内容で協議を進めているという。

そに

そして20日、あのソニーがタクシー配車アプリ開発に参入すると発表した。子会社のソニーペイメントサービスと東京23区および武蔵野・三鷹市のタクシー会社6社が、配車サービスアプリなどを開発・運営する新会社を今年春に設立することを目指しているという。

 

一連のタクシー改革は、業界団体である全国ハイヤー・タクシー連合会のライドシェア問題対策特別委員会がまとめ、2016年11月に了承された11項目の取り組み案に基づくものだろう。

 

その内容とは、

①初乗り距離短縮運賃

②相乗り運賃

③事前確定運賃

④ダイナミックプライシング(変動料金制)

⑤定額運賃

⑥相互評価制度

⑦ユニバーサルデザインタクシー

⑧タクシー全面広告

⑨第2種免許緩和

⑩訪日外国人等の富裕層の需要に対するサービス

⑪乗合タクシー

というものだ。

 

この11項目のうち、①から⑥まではウーバーなどで実用化されている。同社のシステムを使わず自前で構築しようとするところに、ライドシェアを危険な白タクとみなし敵視してきた業界心理が伝わってくる。

 

しかもウーバーの場合、単一のアプリで相乗りか単独乗車かを選べるが、日本交通は別々のアプリを使う。筆者は運賃が割安なら相乗りを選んでもいいと考える。鉄道もバスも相乗りなのだし。それだけに2種類のアプリを起動させて比較しなければならないのは不便に感じる。しかも一部の改革は東京地区限定だ。日々の移動に苦労しているのはむしろ地方の人々なのに、手を差し伸べようという動きはあまり見られない。

 

それにこの11項目の了承後に目立つようになった、中国などからの外国人観光客を運ぶワンボックスタイプの白タクについては、タクシー業界はウーバーのときほど声を挙げていないのが不思議だ。この新種の白タク、利用者は本国でアプリなどを使って配車会社に手配し、その会社が日本の運転手に連絡するという遠隔操作で輸送を行なっているようだ。でもそれを理由に反対の声をトーンダウンするのは腑に落ちない。こちらについて明確な主張をしないのは公平性を欠くと言わざるを得ない。

 

【著者プロフィール】

モビリティジャーナリスト・森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

プジョーがジュネーブでSUVテイストのコンセプトカーを発表

プジョーは3月に開催されるジュネーブ・ショーにおいて、スライドドアを持つマルチパーパスビークルの新型車「リフター」を初公開する。リフターはシトロエン・ベルリンゴの姉妹モデルだ。

 

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そしてこのリフターをベースにSUVのテイスト加えたコンセプトモデル「リフター4×4コンセプト」も、ジュネーブ・ショーで初披露される。

 

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このコンセプトモデルはネーミングの通り4輪駆動を採用するが、コンソールのダイヤル操作によって2WDでの走行も可能としている。最低地上高はベースモデルより80mm引き上げられたほか、オフロード用タイヤを装着し、悪路走破性を高めている。

 

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フロントウインドウ上部に装着されたLEDのライトやボディ前後のマッドガード、そして内外装の随所にあしらわれたイエローのアクセントカラーが目をひく。ボディ後部には専用アタッチメントによってプジョーの新型電動MTBが装着できるようになっている。

 

さらに専用設計のキャンバス製折りたたみ式テントの装着を可能としており、アウトドアシーンでの使い勝手を高めるコンセプトが表現されている。

 

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コンセプトとしては、少々乱暴だがプジョー版のデリカD:5といった趣。ベース車のリフター、そしてその姉妹車のシトロエン・ベルリンゴとともに、日本でも確かなファンを獲得しそうなモデルとして、導入に期待したい。

 

 

 

35年の歴史に幕。BMW3シリーズの南アフリカ生産が終了

BMWはこのほど、南アフリカ・ロスリン工場におけるBMW3シリーズ・セダンの生産が終了したことを発表した。今後このロスリン工場は、BMW X3を生産する。

 

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1983年以来、約35年にわたって3シリーズ・セダンを生産してきたロスリン工場は、延べ119万1604台をラインオフ。第2世代のE30から現行型のF30まで5世代にわたる3シリーズが、ロスリン工場から送り出されたわけである。ちなみに3シリーズ・ツーリングはドイツ・ミュンヘン工場で生産されている。

 

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南アフリカ・ロスリン工場で生産された3シリーズ・セダンは日本市場でも販売されてきたので、ご存知の方もいるだろうが、南アフリカ生産と聞いても心配はいらない。なぜならこの工場から出荷された3シリーの品質は実に高く、2015年にはJ.D.パワーの調査によって、もっとも初期品質の優れた工場に認定。「プラチナプラント品質賞」を受賞するなど、高い評価を受けているからだ。

 

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BMWグループ南アフリカは2015年、ロスリン工場に600億ランド(約5500億円)を、さらに2017年には追加で6000万ランド(約5億5000万円)を投資。生産能力や生産ラインスピードのさらなる向上を図り、数カ月後に始まるX3の生産に備えてきた。

 

今後、X3を購入したオーナーにおかれましては、南アフリカ生産の個体になる可能性があるが、品質に何ら問題はないのでご心配なく。

 

 

 

イギリスの列車の顔はなぜ黄色い? 知られざるイギリスの鉄道事情と日本との違い

日本から1万キロ近く西に位置し、ヨーロッパ本土から離れた島国、イギリス。世界初の公共鉄道であるストックトン・アンド・ダーリングトン鉄道が1825年に開業した「鉄道発祥の地」として広く知られている。そんなイギリスの現在の鉄道は果たしてどのようなものなのか。本記事では、日本の「常識」や「当たり前」から外れた意外なイギリス鉄道事情を紹介していく。

20180221_y-koba7 (1)↑日本の車両メーカーもイギリスの市場に参入している。写真は次世代都市間高速列車として導入が決まった日立レール・ヨーロッパが製造するClass 800。日本で設計されたことに敬意を表し「あずま」という愛称がつけられた。

 

1.似て非なるイギリスと日本の「鉄道民営化」

日本の鉄道は主にJRと私鉄の民営会社が運営しており、イギリスでも複数の民営会社が「National Rail (ナショナル・レール)」という総称の元で列車を運行している。JRは1987年に国鉄から分割民営化されて発足したが、イギリスも同様に1994年頃にイギリス国鉄(British Rail、ブリティッシュ・レール)が分割民営化された。

 

日本ではJRが車両、線路、駅を保有し乗務員や駅員を雇う「上下一体」の民営化がされた一方、イギリスでは「上下分離」方式が採用された。簡潔に説明すると、線路や駅などの鉄道インフラは国有機関である「Network Rail (ネットワーク・レール)」が保有し、列車の運行は鉄道運行会社が行う。

20180221_y-koba7 (1)↑イギリスの上下分離方式と日本の上下一体方式の簡単な図

 

しかし鉄道運行会社も日本のJRや私鉄のような半永続的なものではなく、イギリスの運輸省が定期的に列車の運行権の入札を行う。更に車両は鉄道運行会社が所有しているわけではなく、別の鉄道保有会社からリースして運行する形となっている。

 

鉄道運行会社も民営会社とはいえイギリス運輸省からの干渉が多く、利益が見込める路線を運行する場合はその一部を運輸省に収める義務がある。一方、地方の赤字路線を多く運行する場合は運輸省からの助成金が授与される。イギリスと日本の鉄道が同じく「民営化」されたとしてもそこには大きな違いがある。

20180221_y-koba7 (2)↑イギリスの列車運行には日本の企業も参入している。オランダ国鉄の子会社「アベリオ」と結託し、JR東日本と三井物産がロンドンとイングランド中部の路線で列車を運行する「ウェスト・ミッドランズ・トレインズ」を運営する。写真は同社所属のClass 350

 

2.現地人も把握困難なイギリスの複雑怪奇な運賃制度

日本では運賃が距離別制度となっており、JRも私鉄も基本的には何円払えば何キロ先の駅まで乗車が可能、という形式だ。しかしイギリスは運賃制度が異なり、駅間同士の運賃がそれぞれ設定されている。

 

ナショナル・レールの駅が2500駅近くあることから、その切符の総数は単純計算で300万種類を超える。傾向として移動距離が長くなるに連れて切符の値段も高くなるが、同距離間の駅の運賃を比べてみるとかなりの差が見られることも少なくない。これは路線の需要が価格設定に反映されているため、使用率の高い路線ほど高く、閑散路線ほど安い傾向にあるためだ。

20180221_y-koba7 (3)↑ナショナル・レールの切符は独特なオレンジと黄緑色の配色ですぐに判別できる。左下の矢印のマークは「ダブルアロー」と呼ばれ、イギリスでの鉄道のシンボルになっている。

 

これに加えて同じ駅間同士の切符でも運賃が複数設定されている。基本的には1日中使用できる「Anytime(エニータイム)」、ラッシュ時以外の閑散期に使用できる「Off-Peak(オフピーク)」、そして事前購入し乗車列車が指定される「Advance(アドバンス)」運賃が存在する。オフピーク運賃はエニータイムの半額近くだったり、アドバンスに至ってはエニータイムと比べて9割引になったりと、うまく駆使すれば非常にお得に列車に乗れる。

 

さらに時間制限が設けられた格安の「Super Off-Peak(スーパー・オフピーク)」運賃や、列車指定がないアドバンス運賃も存在したり、オフピークの往復と片道切符がほぼ同額だったりとイギリスの運賃制度の理解は困難を極める。

 

ほかにも日本の運賃制度と異なる点として、イギリスの豊富な割引制度が挙げられる。まず5歳以下の子どもは運賃不要で、15歳以下は子ども運賃扱いとなり半額となる。そして大きな割引要素となるのは「Railcard(レールカード)」システム。様々な条件を満たせば、年間£30(約4500円)払うだけでほとんどの運賃が1/3割引となる。

 

例えば16歳から25歳の人を対象としている「16-25 Railcard」(学生である必要はない)や、60歳以上の方を対象とした「Senior Railcard(シニア・レールカード)」、さらに家族連れ向けの「Family & Friends Railcard(ファミリー・アンド・フレンズ・レールカード)」なども存在する(この場合、子ども運賃は6割引となる)。

 

イギリスのエニータイム運賃は日本と同距離のものと比べると割高だが、このように豊富な割引制度を駆使すれば非常にお得に列車に乗ることができる。

 

また、列車遅延時の切符払い戻しの制度でもイギリスと日本に違いが出てくる。JRでは2時間以上の遅延で特急券のみの払い戻しが行われる。一方イギリスでは「Delay Repay(ディレイ・リペイ)」という払い戻し制度があり、これに加盟している列車運行会社を利用した場合、30分の遅延で片道運賃の半額、60分で全額払い戻しとなる(往復券の場合は30分で1/4、60分で半額、120分以上で全額払い戻し)。

20180221_y-koba7 (4)↑イギリスでは列車遅延時の払い戻し制度が充実している。写真は「ハル・トレインズ」の車両。ロンドンとイングランド北東の都市ハルを結ぶ列車運行会社だが、2017年度の定時率は最下位だった

 

この制度では遅延の原因の分別はなく、鉄道会社の責任の範囲外のものでも払い戻しが適用される。なお鉄道運行会社によってはディレイ・リペイに加盟していない会社もあり、15分の遅延から払い戻しが可能なところもある。一見、素晴らしい制度に思えるが、これが運賃値上げを助長している要因の1つであり鉄道利用者の間では賛否両論だ。

 

3.日本では当たり前の「列車種別」がイギリスにはない!?

日本ではJRにも私鉄にも「普通」、「快速」、「特急」や一部鉄道会社でしか見かけない珍しい列車種別が見られるが、イギリスでは列車種別の概念がほとんどない。もちろんすべての駅に止まる各駅停車タイプや主要駅にしか止まらない速達タイプの列車は存在するが、駅の発車案内板を見上げると、行先、停車駅や列車運行会社は表示されるものの種別にあたる情報はない。

20180221_y-koba7 (5)↑ロンドンのターミナル駅のロンドン・ユーストン駅の発車案内板。停車駅や発車時間は表示してあるものの、種別に相当するものは見当たらない

 

駅員の口頭での案内で「fast service(速達タイプ列車)」や「stopping service(各停タイプ列車)」などの表現はたまに使用されるものの、鉄道会社が公式に種別を案内しているのはロンドン地下鉄のメトロポリタン線の「fast(快速に相当)」と「semi-fast(区間快速に相当)」くらいだ。

20180221_y-koba7 (6)↑イギリスで数少ない種別表示があるロンドン地下鉄のメトロポリタン線の発車案内板。「All Stations(オール・ステイションズ)」は各駅停車、「semi-fast(セミ・ファスト)」は区間快速を意味する

 

列車運行会社によっては往年の伝統列車の名前を特定の列車につけることがある。例えばエディンバラ05:40発のロンドン行列車は「フライング・スコッツマン」の愛称がついているが、これも種別ではなく列車運行会社の遊び心と言える。

 

 

4.日本と異なる列車の内装とサービス――クロスシートや一等車の食事提供

日本の都市圏の通勤車両では乗客を最大限に載せるため進行方向の向きとは直角に座るロングシートが基本だ。地方のローカル列車でもロングシート車両が走る路線も少なくない。対してイギリスでは鉄道車両はごく一部を除いて進行方向と同じ向きに座るクロスシートが採用されている。しかし日本のように転換はできず固定なので進行方向によって座席の向きを変更することはできない。運悪く進行方向と逆向きの座席にしか座れなかった場合は我慢するしかない。

20180221_y-koba7 (7)↑着席率を増やすためイギリスの近郊・通勤列車で広く見られる固定式の2+3列クロスシート。長距離列車は普通車が2+2列、一等車が1+2列配置となっている

 

イギリスではラッシュ時の混雑が日本ほどひどくないのと、列車は座席を提供する交通機関という認識が強いため、座席数が確保できるようにクロスシートが採用されている。日本より狭い車幅に3+2列配置の座席を設置することもあり、かなり窮屈だが座席数を最大限に増やした仕様となっている。ナショナル・レールでは最近になってロンドン近郊の通勤車両にロングシートが登場したが、それ以外はすべてクロスシート車両だ。

 

ハード面だけでなく、ソフト面でもイギリスは日本とおおいにに異なる。特にイギリスでは一等席のサービスが充実している。内容は鉄道運行会社によって差はあるが、長距離都市間列車を運行するところだと列車乗車前に駅のファースト・クラス・ラウンジが使用できる。ここでは飲み物や軽食が提供され、一服することができる。乗車後は一等席のアテンダントからウェルカム・ドリンクと食事がなんと無料で提供される。しかし中距離列車や通勤列車の一等席では上記のようなサービスは一切ないので注意が必要だ。

20180221_y-koba7 (8)↑長距離列車が発着する一部主要駅では一等席の乗客が使用できるラウンジが開設されている。お品書きは駅によって異なるが飲み物とスナックが無料で提供される。写真はロンドン・パディントン駅のラウンジ

 

一部列車では食堂車サービスがあり、普通席の乗客でも追加料金を払えば車内で暖かい食事が食べられる。多くの長距離列車ではビュッフェがあり、カートによる車内販売も実施される。2両編成の気動車で運行される地方のローカル列車でも車内販売が行われることがあり、少々割高だが長い間乗っていても食事や飲み物に困ることはない。

20180221_y-koba7 (9)↑長距離列車の一等席では無料で食事が提供される。写真はヴァージン・トレインズの平日の軽食メニュー。ワインやビールなどのアルコール類も飲むことができる

 

ほかに大きく日本と異なるのは指定席。日本では基本的に指定席と自由席が分かれているが、イギリスではそれらが混在している。座席指定をせずに乗車した場合は座ろうとした座席がすでに予約済かどうかを確認するのが吉だ。座席指定料金は無料なので、混雑が予想される列車に乗る場合は事前に予約するのがいいだろう。しかしこのおかげで使用されない座席指定が多いのも事実だ。

20180221_y-koba7 (10)↑旧型車両では座席が予約されているかどうかはいまだに紙の予約札で示される。より新しい車両では座席上のLED表示で行われる

 

5.イギリスの列車の顔はなぜ黄色い? イギリス独特の鉄道車両の仕組みやインフラ

イギリスで頻繁に列車に乗った人はあることに気がつくかもしれない。それはほとんどの列車の顔が黄色いことだ。これは蒸気機関車が廃止され気動車やディーゼル機関車が導入された際に、蒸気機関車より静かなことから保線員と列車の接触事故が多発した。これを防ぐために接近する列車の視認性を向上させるように顔を黄色い警戒色で塗ったのが現代にも受け継がれているためだ。しかし最近になり一定の明るさのヘッドライトを装備した車両は前面の黄色い警戒色が免除されるようにルールが改訂されたため、これから登場するイギリスの新車は顔が黄色くないものも出てくるだろう。

20180221_y-koba7 (11)↑ナショナル・レールの線区で走る車両は基本的に顔が黄色い警戒色で塗られている。イギリスの鉄道車両の独特なチャームポイントでもある

 

列車の動く仕組みに関してもイギリスや日本で大きな相違点がある。例えば電車のモーターを台車の枠に取り付けて車輪を回す「吊り掛け駆動方式」を採用する電車は路面電車など一部の車両にしか見られなくなってしまったが、イギリスでは本線を時速160キロで走行する車両に採用されている。

20180221_y-koba7 (12)↑写真のClass 321は最高時速160キロで走行可能な吊り掛け駆動電車の一例だ

 

ほかにも電車を動かす電気を車輪が乗るレールに平行して設置された第三のレールから集める第三軌条方式というのがあるが、日本では主に低速の地下鉄路線などでしか使用されていない。一方イギリスではロンドン近郊とイングランド南東地方の路線で広く使用されており、最高時速160キロまで対応している。このようにイギリスは昔鉄道先進国だった故、様々な鉄道技術の試行錯誤を行った結果、独特なシステムができあがり、現在でも継承されている。

20180221_y-koba7 (13)↑ロンドン南部近郊とイングランド南東部の路線は多くが第三軌条方式で電化されており、写真のような複々線の幹線も珍しくない

 

日本ではとうの昔に廃止されたものもイギリスではいまだに現役だ。日本の現役車両はみな自動ドアだが、イギリスの一部車両では手動ドアのままの車両が多く残っている。駅に停車したら窓を開け、腕を外に出して外側のハンドルを使ってドアを開ける仕組みとなっており、初めて乗る乗客には難しい操作だ。

20180221_y-koba7 (14)↑写真のマーク3客車はイギリスでいまだに現役の手動ドアを使用する客車の1つ

 

ほかにも、日本ではもう廃止されてしまった腕木式信号機もイギリスでは現役だ。これらは20世紀の後半にイギリスの鉄道が運輸省により冷遇されて設備や車両更新の資金が足りなかった影響で現在でもしぶとく残っている。

20180221_y-koba7 (15)↑現役の腕木式信号機と新型電車が対照的な画を作る。写真はリトルハンプトン駅の出発信号機

 

しかしイギリスの列車に乗っていてまず気づくのはその速度だろう。日本のJRの在来線は基本的に最高時速130キロで、京成電鉄のスカイライナーのみが最高時速160キロで走行するが、イギリスでは在来線の最高速度が時速200キロとなっている。これはイギリスの在来線の線路幅がJRより大きく、安定して高速走行ができるおかげだ。在来線の時速200キロ運転は欧米では珍しくはないが、イギリスの特異的な面はこれの大部分がディーゼル列車で行われること。幹線の電化が他国より遅れたことにより高速ディーゼル列車が多数登場し、世界的に見ても時速200キロで営業運転を行うディーゼル列車が体験できる国はイギリスだけだ。

20180221_y-koba7 (16)↑1976年より最高時速200キロで運転しているディーゼル列車のHST。イギリス国鉄時代のフラッグシップ列車であり、現在は新型車両に置き換えられつつある

 

6.古き良き時代と鉄道旅を現代に伝える、イギリスの保存鉄道

イギリスでは昔から古い車両、特に蒸気機関車の保存活動が盛んだ。日本でも大井川鐵道や真岡鐵道、一部のJR路線で蒸気機関車が走るがイギリスではその規模が違う。ナショナル・レールとは別に廃線を転用した保存鉄道が全国各地に散らばっており、蒸気機関車や旧型客車、さらには旧型気動車やディーゼル機関車も大量に動態保存されている。主に春から秋にかけて営業し、定期的に「gala(ガーラ)」という祭典が開催され、ゲスト機関車を招待したり、運行列車を大幅に増発させたりして乗客を呼び込む。列車だけでなく駅舎や乗務員の制服なども20世紀初頭のものに統一して鉄道文化を保存している場所も多く、訪問すればまるでタイムスリップしたかのようだ。

20180221_y-koba7 (17)↑イギリス全土にある保存鉄道では春から秋にかけて毎日のように保存された車両で列車が運行される。写真はペイントン・アンド・ダートマス蒸気鉄道のSL列車

 

保存鉄道のほかにも頻繁に蒸気機関車が本線を走る臨時列車も運行される。日本では山口線や肥薩線などの地方ローカル線でしか運転されないが、イギリスでは営業列車が頻繁に行き交う大幹線で運転され、大都市のターミナル駅に蒸気機関車が入線する。12両以上の客車を牽引しながら時速120キロで走行する蒸気機関車には圧倒される。

60103 hauled the Scarborough Flyer organised by the Railway Touring Company from Scarborough (0810) to London King's Cross (1521) via Lincoln and Spalding. Seen here at London King's Cross.↑日本に限らずイギリスでも蒸気機関車は一般人の目を引く人気者。ロンドン・キングズ・クロス駅に到着した「フライング・スコッツマン」を一目見ようと人がホームに押し寄せる

 

ヨーロッパ大陸と離れ、独自の進化を遂げていったイギリス。日本の鉄道と比較すると対象的な面が多く、イギリスを訪問した際には鉄道旅でその違いを楽しんでいただきたい。

中日本高速が新たな凍結防止剤を導入

東京を始め首都圏も大雪に見舞われた今冬、首都高速など都市高速でも多くの凍結防止剤が使われた。雪がなくなっても防止剤の白い粒がそこかしこに残っていたが、この凍結防止剤、安全確保に有用ながら道路やクルマにとってはあまり好ましいものではない。塩化ナトリウムや塩化カルシウムを主剤とするがゆえに塩害により道路(主に橋梁の鉄筋など)の劣化を早め、クルマにとっては錆の原因となってしまう。

 

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そうした負の部分を軽減すべく、中日本高速道路会社が新たな凍結防止剤の開発を進め、プロピオン酸ナトリウム(写真右)という物質を塩化ナトリウムに混合して使用すると金属腐食が抑えられることが判明。今年3月〜4月にかけて東海北陸自動車道(写真左の試験導入区間)で試行散布を行ない、この効果の違いや散布のしやすさ、散布車両への積込みのしやすさも含めて検証していく考えだ。また、プロピオン酸ナトリウムにはわずかな臭気もあるため、その影響なども調べていくことになる。

 

雪道を走行した後は、泥汚れなどに加えて凍結防止剤がびっしりとボディ下部にこびりついて不安になるが、この防止剤によるボディ腐食の恐れが少しでも減るならそれに越したことはない。まだ試行段階だが、その効果が実証され、腐食作用の小さい凍結防止剤がより幅広く使われるようになることを望みたい。

 

 

BMW7シリーズが新作映画、レッド・スパローで象徴的に登場!

3月2日に米国で公開される(日本封切は3月30日)20世紀フォックスの新作スパイ・アクション映画『レッド・スパロー』において、アカデミー賞受賞者のジェニファー・ローレンスと共にBMW 7シリーズが重要な役割を担った。

 

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この映画の撮影は、2017年1月から4月までの間、ロンドン、ブダペスト、ウィーンで行われ、監督をフランシス・ローレンスが務めている。そして、ジェニファー・ローレンスはこの映画で、世界的に有名なロシアのボリショイ・バレエのプリマ・バレリーナ、ドミニカ・エゴロバ役を演じている。

 

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主人公のドミニカは、秘密情報機関の訓練局であるスパロー・スクールの求人に応じる決意をする。訓練期間を終えたとき、彼女はこの訓練プログラムを経た者の中で最も危険なスパイ(=スパロー)となり、彼女自身の人生に立ち向かい、米国CIAの情報局員など彼女がさらされる危険に絡むすべての人たちとの間で立ち回ることになる。

 

この映画には、二つの顔を持つロシア将校役として、英国の俳優でアカデミー賞受賞者のジェレミー・アイアンズのほか、シャーロット・ランプリング、マティアス・スーナールツ、そしてメアリー・ルイーズ・パーカーなどの名優が共演している。

 

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さて、「BMW 7シリーズ」だがエレガントで気品あるプリマ・バレリーナが自信にあふれた秘密情報員になるまでのドミニカと旅をともにする相棒というのが今回の役どころ。ドミニカが秘密訓練機関スパロー・スクールに初めて到着する場面を含め、物語の重要な場面に幾度となく登場。たとえば「BMW xDrive」を搭載した7シリーズが、雪で覆われたロシアの大地を駆けぬける姿はドミニカの神秘的かつ波乱に満ちた未来への歩みを象徴している。

 

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7シリーズセダンは、これまでも秘密情報員やスパイ映画といった魅惑的な世界に数多く登場。「ミッション・インポッシブル」や「007シリーズ」といった象徴的な映画を通じてスクリーンに登場してきた。また、BMWは全米監督協会の長年にわたるパートナーでもあり、毎年発表される全米監督協会賞は、ハリウッドでも映画業界でも高く評価されている。

 

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なお、20世紀フォックスとの協力の一環としてBMWは公式デジタル・チャンネルや印刷物を通じ映画レッド・スパローの告知を行なっている。

 

 

 

レクサスの新型クロスオーバー「UX」の外観が公開!

2月27日、レクサスは3月6日〜18に開催するジュネーブ・ショーにおいて新型コンパクトクロスオーバー「レクサスUX」を公開すると発表。その外観写真とティザー動画を公開した。

 

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UXは、都会派コンパクトクロスオーバーとしてLEXUSのラインアップに新たに加わる。エクステリアでは、タフな力強さを強調する厚みのあるボディや、俊敏な走りを想起させる張り出したフェンダーにより、大胆かつ洗練されたエクステリアを実現。インテリアは、安心して運転できるコクピットと、視覚的な開放感で人とクルマの一体感が強調された。また、高剛性かつ低重心な新プラットフォームを採用し、クロスオーバーらしいシルエットを強調しながら、優れた操舵応答性・操縦安定性を実現している。

 

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ジュネーブ・ショーにおけるレクサスのプレスカンファレンスは、現地時間の3月6日(火)午前10時(日本時間:同日午後6時)に開始する予定。また、その模様は下記サイトにてライブ配信される。

 

https://livestream.com/LexusInternational/geneva2018(英語のみ)

 

 

 

コンコルドの二の舞を回避する! 3Dプリンターを使ってコストを抑えた超音速旅客機を開発する「Boom Technology」

先日、スペースXがファルコン・ベビーの打ち上げに成功しました。スペースXはロケット打ち上げのコストを大幅に抑え、ロケットは高いものだという業界常識を打破した点が画期的です。

 

ジャンルは異なりますが、「超音速機は商業的に成功しない」という航空業界の常識を打破しそうな会社が、今回ご紹介するBoomTechnologyです(以下Boom)。驚くべきは、社員数が55人(2018年1月)というスタートアップ企業である点。設計技術の進化が航空業界への参入を容易にしている側面がありそうです。

 

同社には日本航空(JAL)が既に1000万ドルを投資しており、20機も予約注文していることから、かなり有望視されていることが伺えます。

 

米国ロサンゼルスで2月4~7日に開催されたSOLIDWORKS WORLD 2018では、BoomのCEO、Blake Scholl氏(写真下)が登壇しました。

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超音速旅客機のコンコルドの失敗は記憶に新しいです。巡航速度時速2146キロメートルのコンコルドは燃費効率の悪さ、高額な整備費で運航コストがかさみ、全席の料金は約2万ドルとファーストクラス以上の料金設定になってしまいました。そのため、搭乗できる乗客は富裕層に限られていました。

 

また、超音速で飛行する際のソニックブームという衝撃音があまりにもうるさいと問題視されていました。さらに、2000年に起きた墜落事故で不人気に拍車がかかり、2003年についに運航停止に。

 

コンコルドの失敗もあって航空業界では「超音速旅客機はコストがかさむし、商業的に成功しない」という考えが常識となりました。

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しかし、異業種出身の起業家Blake氏が航空業界に参入したことで、この常識が打破されそうなのです。Blake氏は高校時代より航空機を操縦してきた経験はあったそうですが、元々航空業界で働いていたわけではありません。

 

Blake氏はコンピューターサイエンスを大学で終了後、Amazonのマーケティングオートメーションシステムを開発したり、モバイルEコマースのスタートアップKima Labsを創業したりしてきました。

 

Blake氏はグルーポンにKima Labsを売却した後、次の起業計画を検討。そこで、旧態依然として変化のない航空業界と、コンコルド失敗後に目立ったプレイヤーがあまり存在しなかった超音速機の可能性に目を付け、新たに企業を立ち上げたのです。

 

元々コンコルドは50年前に設計されたのと同じ設計のままでした。この間、超音速飛行のための航空技術は進歩していましたが、それはコンコルドに導入されていなかったのです。

 

そこでBoomは最新の航空技術と設計技術を導入し、超音速旅客機を再設計したのです。

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同社は炭素繊維を使って機体を軽量化することで、燃費効率をコンコルドと比較して75%改善しました。

 

また、翼の形状もコンコルドと比べてシャープで、ソニックブームの発生を抑えるように設計されています。コンコルドはソニックブームによる騒音に悩まされましたが、Boomの場合は騒音を30分の1以下に抑えることができるそうです。

 

さらに、同社 は3Ⅾ‐CADソフトの「SolidWorks」を使って、すべての部品の設計を行い、3Ⅾプリンターで部品のプロトタイプを制作しています。最新の設計技術を導入することで、開発コストも抑えることができたのです。

 

Boomの超音速旅客機は座席55席を擁し、巡航速度はマッハ2.2(時速2335km)に達します。これによって、これまで11時間かかった東京―サンフランシスコ間のフライトが5時間半に短縮される見込み。運賃は5000ドルほどとビジネスクラスの料金設定になる見通しです。

 

Boomの3分の1スケールの試作機「XB-1」は2016年11月に公開されており、2018年以降の飛行を予定しています。フルスケールのBoomは2020年に飛行予定。最新技術を駆使して困難に挑むBoomが超音速旅客機の歴史を変えられるかどうか、世界が注目しています。

 

 

 

マセラティ・レヴァンテがギネス記録を達成! ただし……

マセラティはこのほど、同社のSUVレヴァンテを使った、あるユニークな試みでギネス世界記録を樹立した。それは、氷雪上でスノーボーダーを牽引した状態で最高速に挑むというもの。

 

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2018年2月19日。舞台はスイス・サンモリッツ。一面が氷雪に包まれた湖には、マセラティ・レヴァンテに牽引されたひとりのスノーボーダーの姿が。彼は英国で最速のスノーボーダーの異名を持つ、ジェイミー・バローだ。25歳のジェイミーはイギリスのスノーボードクロスチームに在籍していたが、2013年に事故でチーム離脱を余儀なくされた。しかし、その後クルマや航空機の牽引を含むスピードスノーボードの世界で活躍している。

 

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計測は、ギネス記録の公式認定員立ち会いのもと100mごとに計測機器を設置。車両およびスノーボーダーが安全に停止するためには、片道で全長400mが必要だ。

 

ギネス記録の規定により、往路と復路の双方向で計測し、その平均値が記録となる。果たして往路で早くも最高速の151.57km/hを記録、復路では147.72km/h。平均値の149.65km/hが見事、ギネス世界記録として認定された。

 

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今回の挑戦には、ジェイミーの華麗なるライディングはもとより、レヴァンテのインテリジェント4輪駆動システムや横滑り防止装置をはじめとする各種電子デバイスを含む高いパフォーマンスが貢献している。ちなみに装着していたタイヤは、4mmのスパイクを1本あたり474本打ち込んだピレリ製スパイクタイヤ。氷雪上でも確かなグリップ性能を発揮したことは、この世界記録が雄弁に物語っている。

 

 

 

【Nostalgic 2days】 クラシックモーターショーに現れた3台で3億円オーバー(!)の超高額車とは?

2018年2月17日(土)、18日(日)の2日間、神奈川県のパシフィコ横浜で日本最大級のクラシックモーターショー「Nostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ)」が開催された。

 

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国産クラシックカーを中心とした旧車ショップ、パーツメーカーが集結する同イベントは、今年で10回目となる。今回は会場規模を1.7倍に拡大し、出展ショップや展示車両が例年以上に増えている。

 

注目は、10周年特別企画として会場に設けられた「ジャパンプレミアムゾーン」だ。国産車9台限定の特別展示で、最新の高度なレストア技術で新車同様のコンディションに復元された車両や、現存台数が極めて少ない希少性の高い車両が展示・販売されるというもの。

 

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取材中、思わず見入ってしまったのは「トヨタ2000GT」(1968年式)。2000GTは、1967年から1970年まで生産されたが、総生産台数はわずか337台という“幻の名車”。展示車両は、外装を総剥離して錆を完全に取り除き、七宝焼エンブレムやフェンダーミラーなど、各部新品パーツに交換された新車のような状態。そのお値段は、なんと1億3000万円!(車両:ビンテージカー ヨシノ)

 

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販売価格に圧倒されつつ、“幻の名車”をまじまじと眺めていると、現代の車に見慣れた筆者の目では、2000GTが思ったよりも小さいことに気付いた。全長4175×全幅1600×全高1160mmという2000GTのボディサイズは、現行のプリウスはもちろん、86(4240×1775×1285mm)よりも小さい。だが、ロングノーズショートデッキ、そして、ノーズからテールにかけての美しい流線型のデザインは、古き良きスポーツカーが理想としていた抜群のプロポーション。

 

フロントマスクで特徴的なのは、リトラクタブルヘッドライト(格納式のヘッドライト)と大型のフォグランプ。国産車のリトラクタブルヘッドライトはこの2000GTが初めて採用した。

 

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エンジンは、当時のクラウンなどに搭載されたM型エンジンをベースにヤマハ製のヘッドを組み合わせた2リッター直列6気筒DOHC(150ps)を搭載。4輪ディスクブレーキやマグネシウムホイール、ラック&ピニオン式ステアリングなど当時最先端の装備や機構が備わっていた。最高速度は220km/hで当時の世界トップレベル。

 

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通称「ケンメリ」と呼ばれた「4代目スカイラインGT-R」。ケンメリGT-Rの生産台数は197台といわれ、歴代のスカイラインGT-Rの中でも最も希少な存在。中でも、この純正赤色のGT-R(1973年式)は、日産の資料に生産台数7台と記されているという超希少車。展示車両は走行距離1万5100キロのフルノーマルで、欠品パーツもないという極上車。お値段は9800万円(車両:ロッキーオート)。

 

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ケンメリGT-Rは、レースで太いタイヤを装着するために備えられた前後の黒いオーバーフェンダーが外観の大きな特徴で、そのほかメッシュタイプのフロントグリルやエンブレムにバッジ、リヤスポイラーなどがベースグレードから追加されている。エンジンは、ベースグレードにL20型の2リッター直列6気筒OHCエンジンが搭載されていたのに対し、当時の日産(プリンス)のレーシングカー、R380のエンジンをベースに開発されたS20型の2リッター直列6気筒DOHC(160ps)が搭載されていた。

 

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こちらは「初代フェアレディZ」。S30という車両型式から、ファンの間では「S30(エスサンマル)」や「30Z(サンマルゼット)」などと呼ばれ、漫画「湾岸ミッドナイト」に登場した“悪魔のZ”としてもおなじみ。スカイラインと共にモデルチェンジしながら(フェアレディZは2000年に一時絶版となり、2002年に復活)今も生産が続く日本が誇るスポーツカーの代表格。

 

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鮮やかなオレンジのボディに黒いボンネットのS30(1972年式)は、先ほど紹介したケンメリGT-Rと同じS20型エンジンを搭載する「432」のレーシングモデル(競技ベース車両)「432R」。軽量化を図るために、FRP製のボンネットやアクリルウインドウなどが純正で採用されていた。展示車両にはその特徴でもあるアクリルウインドウに細かな傷がついていたが、これはオリジナル状態で保管されていたという証でもある。お値段は8640万円(車両:オートショップ タキーズ)。

 

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ここで紹介した販売価格上位3台のほか、ジャパンプレミアムブースには、3台の「スカイラインGT-R」と「スカイラインGTS-R」「レパードアルティマ」「いすゞ117クーペ」が展示されていた。それぞれの販売価格を計算すると4億4000万円…。ブース中央には商談スペースも設けられており、直接販売ショップと商談が可能な仕組みになっていた。

 

当時を懐かしみ思い出に浸る人。写真でしか見た事の無かった憧れの名車と出合い感激する人。その金額に驚く人…など、幅広い年齢層のファンで賑わっていた「Nostalgic 2days」。日常ではめったにお目に掛かれない名車たちが一堂に会するこのようなイベントは貴重なチャンスといえるだろう。

 

 

 

ホンダジェットが2017年の小型機ベストセラーに!

ホンダの航空機事業子会社「ホンダ・エアクラフト・カンパニー」は、現地時間2018年2月21日に、「ホンダジェット」の2017年暦年(1月〜12月)におけるデリバリー数が43機となり小型ジェット機カテゴリーにおいて第1位を獲得したことを発表した。これで、2017年上半期(1月〜6月)に続き、通年でもデリバリー数において世界トップを達成したことになる。

 

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2015年12月に米国連邦航空局から型式証明を取得した「ホンダジェット」は、2015年から2017年にかけて欧州、カナダやブラジルなどでも型式証明を取得。さらに2018年1月には中国におけるディーラーが稼動を開始したほか、フランスのエアタクシーサービス提供会社「Wijet S.A.」から、16機のオーダーを受けるなど事業を拡充させている。

 

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「ホンダジェット」は、主翼上面のエンジン配置形態や自然層流翼型、一体成型複合材胴体といったホンダ独自開発の技術により、クラス最高水準の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能、静粛性および室内サイズを実現。これまで13区間において、最短飛行時間記録を更新するなど、優れた実用性能がセールスポイントとなっている。

 

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ホンダ・エアクラフト・カンパニー社長 藤野 道格氏のコメント

「多くのお客様から、「ホンダジェット」の性能、快適性、使い勝手の良さやビジネスジェット機としての完成度の高さなどに対して非常に高い評価が得られていることをうれしく思います。「ホンダジェット」は、先進機能を搭載したスポーティな航空機で、例えるなら空飛ぶスポーツカーといえます。今回の最多デリバリーの達成に関し、「ホンダジェット」を購入してくださったすべてのお客様に感謝したいと思います。今後もビジネス航空の世界で新たな価値を創造していきます」

 

 

三菱「デリカD:5」がPHEV搭載モデルを加えて、11年目の初フルモデルチェンジ!?

2007年に三菱「デリカ スペースギア」の後継モデルとしてデビューして以来、10年以上に渡りロングセラーとして愛され続けている「デリカD:5」。2017年10月の新型投入の正式なアナウンスもあって期待が高まる中、「デリカD:5」次期型プロトタイプが身も凍るスウェーデン北部でキャッチされた。

 

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次期型「デリカD:5」と見られる開発車両は車体前後にカモフラージュが施されているが、現行モデルとは大きく異なる鋭く切れ上がったヘッドライトや大型フォグランプなど、実にアグレッシブなフロントマスクは三菱の次世代「ダイナミックシールド」が見て取れる。またコンパクトなコの字型テールライトも確認出来る。

 

プラットフォームは三菱がオリジナルで開発し、ボディサイズは現行モデルとほぼ同じになるといわれている。また、駆動方式はFFから後輪に駆動力を配分する「電子制御4WD」を ベースにした「S-AWC」を採用し、オン/オフロードともに高い走破性を実現するという。

 

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注目は「アウトランダー」から流用されるPHEVシステム搭載モデルの登場で、2.0リッターのガソリン仕様と2.2リッター・クリーンディーゼルエンジン搭載モデルと共にラインナップされる可能性が高い。なお、2018年内のワールドプレミアが期待されている。

 

 

【中年名車図鑑】伝説のハッチバック「エアロデッキ」は、なぜ一代限りで消滅したのか? 車・交通 大貫直次郎 2018.02.21

本田技研工業のミディアムクラス車であるアコードは、1985年に全面改良を実施して第3世代に移行する。ボディタイプは従来型と同様にセダンとハッチバックを用意したが、ハッチバックには新たに「エアロデッキ」というサブネームがつけられていた――。今回は10代目が北米カー・オブ・ザ・イヤー2018を受賞したのを記念して、ワールドワイドでヒット作となった3代目のCA型系アコードで一席。

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【Vol.56 3代目 ホンダ・アコード】

1980年代中盤の本田技研工業は、日本市場はもとよりアメリカ市場でも大きくシェアを伸ばしていた。その原動力は米国オハイオ工場で生産、さらに日本の狭山工場からも輸出された2代目アコード・シリーズで、1984年までにはアメリカにおける海外ブランド車のトップセールスを記録する。安価で壊れず、しかもスポーティ――アコードに対する米国ユーザーの評価は、非常に高いものだった。本田技研工業はこの勢いをさらに増すための戦略を打ち出す。2代目のデビューから3年9カ月という早いサイクルで、アコードのフルモデルチェンジを実施する決定を下したのだ。

 

3代目となる新型に課せられたテーマは、「ホンダ車らしく、しかも国際戦略車にふさわしい内外装と走りの実現」にあった。エクステリアはスポーティさやアメリカ市場の好みなどを重視して、リトラクタブルライトを採用したロー&ワイドのフォルムで構成。インテリアは広がり感と高度な機能性を持たせた上質なアレンジで仕立てる。メカニズム面ではFF車としては世界初となる4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションに新設計の軽量・高剛性モノコックボディ、新開発のB18A型1834cc直列4気筒DOHC16V(130ps)/B20A型1958cc直列4気筒DOHC16V(160ps)エンジン(ほかに改良版のA18A型1829cc直列4気筒OHC12Vエンジン/110psを設定)、ロックアップ機構付ホンダマチック4速フルオート、4輪アンチロック・ブレーキ=4wA.L.B.、車速感応型パワーステアリングなどの新ハイテク機構を積極的に盛り込んだ。

 

■新しいハッチバックモデルを訴求

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ハッチバックモデルの「エアロデッキ」。シューティングブレークを彷彿させるロングルーフのスタイリング、高い居住性が魅力

 

1985年6月、CAの型式をつけた3代目アコードがついにそのベールを脱ぐ。キャッチフレーズは“時代を抜きさるもの”とし、先進のフォルムとメカニズムを強調。ボディタイプは4ドアセダンと3ドアハッチバックの2タイプを設定し、ハッチバックには「エアロデッキ」という専用のサブネームを付けていた。

 

新型のラインアップを見て、自動車マスコミ界が最も注目したのはハッチバックモデルのエアロデッキだった。かつてのシューティングブレークを現代的に解釈したようなロングルーフのビュレットフォルム(弾丸形状)は非常に斬新で、しかも空力性能(CD×A)は0.64の好数値を達成する。肝心のリアハッチはルーフ部にまで回り込み、後方のスペースが少ない場所でも開閉が可能。リアシートの居住性がセダンと遜色なく、しかも既存のハッチバック車より優れていたことも大きなアピールポイントだった。エアロデッキの販売はセダンより1カ月遅れの1985年7月から始まった。新種のハッチバックはセダンモデル以上にユーザーの注目を集め、販売開始当初は好調なセールスを記録する。走りに対する評価も高く、とくに4輪ダブルウィッシュボーンサスによるロードホールディング性能の高さやB20A型エンジンの高性能が話題を呼んだ。

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セダンの2.0Si。注目度はエアロデッキのほうが高かったが、販売実績はセダンが大きくリード。「ハッチバック=安物グルマ」というイメージを払拭するには至らなかったようだ

 

好成績が続くかに見えたエアロデッキだったが、しばらくすると販売台数は伸び悩みはじめ、セダンに大きく水をあけられる月が続く。斬新すぎるフォルムが保守的なアコード・クラスのユーザーに受け入れられなかった、リアドアが未設定だったためにファミリー層にとっては使い勝手が悪かった、ハッチバック=安物グルマという日本人のイメージを払拭しきれなかった――要因は色々と考えられた。それでも開発陣は、新世代ハッチバックという意欲作に愛着を持ち、様々な改良を加えながら魅力度を高めていく。1986年3月には特別仕様車を設定。1987年6月にはバンパーやレンズ類を変更して新鮮味をアップさせる。1988年9月にはセダンとともに安全機構を装備するなど、セーフティ面を強化した。しかし、これらの改良も残念ながら販売成績の伸びにはつながらなかった。

 

■アコード・シリーズの好調を維持するため、2ドアクーペを投入

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1988年に米国オハイオ工場で生産されていた2ドアクーペの発売を開始。「アコード クーペ」を名乗った

 

一方でアコード・シリーズ全体としては、セダンを中心に好調なセールスを継続。この人気を維持するために、メーカーは車種ラインアップの強化を随時図っていった。まず1987年5月には、一部改良を実施すると同時に、上級グレードのエクスクルーシブを設定する。同年7月には、欧州向けと同様の異型2灯式ヘッドランプを採用したセダンボディの「アコードCA(CAはContinental Accordの略)」を発売。1988年4月には、米国オハイオ工場で生産する3ボックスフォルムの2ドアクーペを輸入し、「アコード クーペ」の名でリリースした。

 

アコードは1989年9月にフルモデルチェンジを実施し、4代目のCB型系に移行する。その車種ラインアップに、エアロデッキの名はなかった。つまり、一代限りで消滅してしまったのだ。ただし、これは日本だけの話。エアロデッキは欧州市場でも販売(北米市場ではファストバックの3ドアハッチバック車を販売)したが、その人気は日本よりも遥かに高かった。やがてホンダのハッチバック車=エアロデッキという図式がユーザーに浸透していく。そのため、4代目アコードで登場したワゴンモデル、さらにシビックのワゴンモデルには欧州で販売する際にエアロデッキのサブネームが付けられた。開発陣のエアロデッキに対するこだわりは、結果的にヨーロッパで花開いたのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

え、青じゃなくてもいいの?免許証写真の背景色を「ピンク」にできる日産自動車の証明写真システム

300 人を対象に日産自動車が独自に実施したアンケートによると、「実は人に見せたくないと思っている写真」の第 1 位は「免許証の写真」(70.6%)とのことである。今の時代、スマホやプリクラで撮った写真は盛り放題ゆえ、警察署や運転免許試験場などで撮影される加工できない免許証の写真は必然的に人に見せたくない写真になるのだろうか。

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満足していない理由としては「顔色が悪い」「背景の色が可愛くない」「顔が丸く見える」「不機嫌に見える」といったことが挙げられている。圧倒的多数で嫌われている免許証の写真であるが、実は免許証に掲載される写真は「持ち込み」でもOKということは、あまり知られていない。さすがにプリクラで盛った写真はダメだが、一般の証明写真なら(スピード写真もOK)持ち込みが可能で、免許証の写真として使うことができる。

 

■ほとんどの都道府県では背景色がピンクでもOK

さらに、その免許証の写真の背景はピンク色でもOKなのである(ただし東京都はグレー・ブルー・ブラウンのいずれか。詳しくは都道府県の免許センターなどで確認のこと)。そう、免許証の写真はおなじみの青い背景色じゃなくてもいいのだ。青でもピンクでも、ほかの色でもOKだが着ている服の色と同化しないことが条件というところもある。

 

そして、ピンクの背景色でも日産自動車が開発した「ナデシコピンク」を背景色として撮影すると、特に写真写りがよくなるそうだ。ナデシコピンクとは「日産マーチ」に設定されたボディカラーのことで、繊細な調整を重ねて女性の肌が最も綺麗に輝ける色として日産が独自に開発したカラーである。ナデシコピンクを背景色にすれば、より美しい証明写真が撮れるのでは?ということで、日産自動車と証明写真ボックス「Ki-Re-i」(大日本印刷)を全国に展開している大日本印刷とが同開発して誕生したのが証明写真機「ナデシコピンク ID-PHOTO」である。

 

■実際、撮影してみた…。うん、確かに気分はアガる!

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そして、日産グローバル本社ギャラリー(横浜市西区)に設置されている証明写真機「ナデシコピンク ID-PHOTO」で撮影した写真がこちら…かなり恥ずかしいが実際撮った写真を公開しないことにはその違いが判らないので晒してみた。現在の免許証の写真と比較してみると、その違いは歴然である。

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ピンクが背景だと顔色も良くなり、気分が上がる!ただし、こちらの写真機はプリント画質や肌色の補正機能、印刷の画像処理技術を活かした証明写真ボックス「Ki-Re-i」をベースにしているので、運転免許試験場や警察で撮る写真よりはもともと綺麗に写る。そしてピンクの背景色にすればさらに「合法的?」に盛れるというわけだ。なお、神奈川県の場合、免許証の写真に「笑顔」はNGなので筆者が撮影した写真は実際に免許証に使うことはできない。

 

■2月20日(火曜日)から全国3500か所に設置される

「ナデシコピンク ID-PHOTO」で撮影できる背景ピンク色の証明写真は2月20日(火)から全国3500か所で撮影が可能となる。また日産グローバル本社ギャラリーに設置されている証明写真機「ナデシコピンク ID-PHOTO」では2月27日までの期間限定となるが無料で撮影ができる。週末はかなり混雑するとのことで撮影のために長蛇の列ができているそうだ。撮影可能時間はグローバル本社ギャラリーの営業時間と同じ朝10時~夜8時までなので、平日の仕事帰りに寄ってみるのがいいかも。

 

なお本社ギャラリーで撮影できるのは、ピンクの背景のみで、全国3500か所の写真機「K-Re-i」では通常の背景色の他に、ステッカーが貼られた筐体ではナデシコピンクの背景力が選択可能となる。3 月末までの期間限定なのでお早めに。

 

■そもそも、なぜ自動車メーカーが証明写真の世界に?

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さて、ここで気になるのがなぜ?自動車メーカーが証明写真の開発に携わるようになったのか?ということである。もともと「ナデシコピンク」 とは、人気のコンパクトカー 「日産マーチ」 のカラーとして生まれた。日産自動車のオリジナル色で「メイクのように、乗るひとの魅力を引き立てる」 ことを目指し、何度も繊細な調整を重ねて開発に至ったボディカラーなのである。

 

乗る人の輝きを引き出す 「ナデシコピンク」の魅力を、クルマ以外にも活かせないか?ということで「証明写真機」の開発がスタートした。もちろんそこには、写真だけではない。女性を綺麗に見せるナデシコピンクのマーチの存在を、改めて女性ユーザーにアピールする目的もあるだろうが。実際、車の色と免許証の写真の色が同じだったら小さな幸せを感じてしまいそうだ。また女性の場合は、車を持っていなくても、身分証明書代わりに免許証を出すケースが多いので、免許証の写真が綺麗であることは重要かもしれない。

 

【著者プロフィール】

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。

神奈川東部方面線/おおさか東線/七隈線ーー開業が近づく「鉄道新路線」3選+α

10年、20年という長い期間をかけて進む鉄道の新線計画。気の長い話ながら、工事が終了に近づいた路線もある。今回は開業を数年後に控えた新線づくりの進捗状況と、未来に向けて描かれる代表的な新線プランをチェックしていこう。そこには鉄道新線による“夢の未来図”も見えてくる。

【その1】相鉄線とJR線、東急東横線を結ぶ「神奈川東部方面線」

本サイトでも以前に新駅の開業情報をお伝えしたように、首都圏で最も完成に近づいている新線が神奈川東部方面線だ。鉄道・運輸機構が整備主体となり、西谷駅〜羽沢横浜国大駅間の2.7kmと、羽沢横浜国大駅〜日吉駅間の10.0kmの工事が進められている。

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相模鉄道(以下・相鉄と略)は横浜駅〜海老名駅間の本線と、二俣川駅〜湘南台駅間のいずみ野線の計35.9kmの路線を持つ。相鉄は大手私鉄としては珍しく、他社との乗り入れを行っていない。将来に向けて、他社と相互乗り入れを行い、自社の電車が東京の都心まで走ることは、相鉄の長年の悲願でもあった。

 

今回の神奈川東部方面線と名付けられた新路線の建設により、いよいよ相互乗り入れが可能になる。

 

工事はまず西谷駅〜横浜羽沢駅間が先行して行われ、2019年度に完成の予定。途中に羽沢横浜国大駅もつくられる。同駅の先でJRの東海道貨物線とのアクセス線が造られ、JRへの路線との相互乗り入れが可能になる。

 

アクセス線がつながるJR東海道貨物線は、横浜羽沢駅からトンネルで横浜市内を抜け、京急の生麦駅付近で地上に出る。完成後の具体的な乗り入れ案はまだ発表されていないが、東海道貨物線がその先、横須賀線とレールがつながっていることから、横須賀線・湘南新宿ラインへの乗り入れが検討されているようだ。

20180222_y-koba11 (3)↑相鉄本線の西谷駅からのトンネルはすでに完成し、羽沢横浜国大駅の地下ホームにはすでに線路が敷かれている。駅の先でJR線とのアクセス線が設けられる

 

新駅の羽沢横浜国大駅の先の東急東横線の日吉駅までの路線も進められ、2022年度に完成の予定だ。すでに東急東横線に乗り入れ用の20000系も誕生し、相鉄線内を走り始めている。ちなみにJRへの乗り入れ用には既存の相鉄10000系や11000系が使われると見られる。両車両ともJR東日本のE231系やE233系をベースに造られていて、共用しやすいからだ。

20180222_y-koba11 (4)↑相模鉄道の新型20000系。東急東横線への乗り入れ用に造られた車両で、すでに2月11日から相鉄線内を走り始めている

 

当初の予定よりも1〜2年ほど、新線の完成が遅れたものの、新横浜駅や都心へのアクセスが便利になる。横浜市近郊に変革の波がやってきそうだ。

 

【その2】新大阪駅からの直通電車でより便利になる「おおさか東線」

大阪でも新線の工事が着々と進んでいる。大阪市の東側を走るJRおおさか東線だ。このおおさか東線、すでに片町線の放出(はなてん)駅と、関西本線の久宝寺(きゅうほうじ)駅間の9.2kmは2008年に開業している。2018年度中の開業を目指しているのが新大阪駅〜放出駅間11.1kmの北新線区間だ。

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おおさか東線の北新線区間だが、実は大半の区間、すでに線路が敷かれていた。吹田貨物ターミナル駅から百済貨物ターミナル駅の間を日々、貨物列車が往復する城東貨物線という路線がすでにあるのだ。

 

第三セクター方式の大阪外環状鉄道株式会社が、この城東貨物線の施設や用地を整備、さらに駅や新大阪駅へのアクセス線の建設を行った。

20180222_y-koba11 (6)↑放出駅〜久宝寺駅間のおおさか東線の南区間はすでに2008年に開業している。大阪外環状鉄道株式会社が線路や駅などを建設、JR西日本が電車の運行を行う

 

20180222_y-koba11 (7)↑城東貨物線の淀川橋梁。こうした既存の施設が生かされた。写真の撮影時は遊歩道が併設され歩けたが、現在は新線建設のため、歩行者は通ることができなくなっている

 

すでにある貨物用の線路を利用して旅客新線に整備して誕生するおおさか東線。なかなか手堅い新線建設の方法と言えるだろう。このことで大阪市の北東にある各区、東大阪市など沿線に住む人たちは、新大阪駅へのアクセスが非常に便利になる。

 

さらに同線は将来的に、大阪駅の北側にできる北梅田駅(仮称)にも電車が乗り入れる計画がある。不便だった地域が一転、脚光を浴びるというのも新線ならではの恩恵といっていいだろう。

20180222_y-koba11 (8)↑大阪駅の北側を通る梅田貨物線。貨物列車と特急の運行本数が多く、開かずの踏切となることが多い。渋滞を改善するため地下化、北梅田駅の工事が進められている

 

20180222_y-koba11 (9)↑2013年までは大阪駅の北側には広大な梅田貨物駅が広がっていた。この跡地に2023年度を目指して、北梅田駅の開業工事が進められている

 

2023年度に開業が予定される北梅田駅(仮称)はおおさか東線の乗り入れだけでなく、今後、大阪の鉄道網に大きな変革をもたらす可能性がある「なにわ筋線」の北側の起点となる。なにわ筋線は市内を南北に通る「なにわ筋」の地下を通る新線計画。北梅田駅から中の島を通りJR難波駅まで至る出来れば非常に便利な路線だ。

 

この計画にはJR西日本だけでなく、南海電気鉄道(南海)や、阪急電鉄も参画を予定しており、新線への期待は大きい。開業は2031年春とかなり先だが、同線ができ上がったら、大阪の人の流れも大きく変わっていきそうだ。

【その3】博多駅への乗り入れを目指す「福岡市営地下鉄七隈線」

福岡市は地下鉄路線が非常に便利な町だ。福岡空港から博多や天神といった繁華街へも地下鉄1本で行けてしまう。

 

とはいえ、福岡市営地下鉄のなかでも便利な空港線、箱崎線にくらべて、やや不便でもあったのが七隈(ななくま)線。現在の東の起点は天神南駅だが、空港線の天神駅からやや歩かなければならない。

 

そんな不便さを解消しようと現在、工事が進められているのが、天神南駅〜博多駅間の約1.4km区間。当初、2020年度までには延伸の予定だったが、道路の陥没事故が起きてしまい、開通は2022年度に延びる見込みとなったのがちょっと残念だ。

20180222_y-koba11 (10)↑福岡市営地下鉄七隈線の3000系。鉄輪式リニアモーター方式の電車で通常の電車よりもやや小ぶりだ。現在の七隈線の路線は橋本駅〜天神南駅間の12km

 

◆4:その他の新線計画の可能性は――?

新線計画といえば、大規模なリニア新幹線や整備新幹線が注目されがちだが、ここでは、都市で計画され、より現実化しそうなプランに関していくつか触れておこう。

 

■羽田空港アクセス線

現在、羽田空港へのアクセスといえば、東京モノレールと、京浜急行電鉄空港線の2つのルートがある。このルートに加えて、都心や成田空港へのアクセスをよりスムーズにしようという新線が「羽田空港アクセス線」だ。

 

計画された路線は、羽田空港新駅と、空港の北側にある東京貨物ターミナル駅の間の約6kmに新線をまずは敷設。この東京貨物ターミナル駅からJR山手線の田町駅へ、またりんかい線の東京テレポート駅と、大井町駅へのアクセス線を整備する。実は、この路線、非常に現実味があると思われる。

20180222_y-koba11 (11)↑JR田町駅東口から見た新線となるだろう予定の敷地。いまは使っていない東海道貨物線の路線が新線となる予定。2016年12月には草が生い茂り、廃線という趣が強かった

 

20180222_y-koba11 (12)↑上写真と同じポイントから見た2018年2月の状況。草がきれいに刈りとられ、東海道新幹線の線路に併設された元東海道貨物線の線路も見えるように整備された

 

上の2枚の写真はJR田町駅東口から見た状況だ。東海道新幹線に沿って敷かれた線路は、以前の東海道貨物線で、古くは汐留駅(1986年に廃止)〜東京貨物ターミナル駅間の貨物列車の運行に使われていた。1998年までは浜松町駅起点で貨車に自家用車を載せ、クルマの所有者は寝台客車に乗車するカートレインという列車の運行にも使われていた。それ以降、この東海道貨物線は休線扱いになっていた。

 

それから20年あまり、雑草が生え、荒れた状況が続いたが、久しぶりに訪れると、きれいに整備された状況になっていた。工事開始という状況ではまだないようだが、新線整備を進める布石ととらえてもよいのかもしれない。

20180222_y-koba11 (13)↑JR田町駅付近からは東海道新幹線の大井車両基地へ向けて伸びる引込線にそって東海道貨物線が伸びている。写真の手前側に東京貨物ターミナル駅がある

 

20180222_y-koba11 (14)↑りんかい線の東臨運輸区。この運輸区の西側に東京貨物ターミナル駅がある。りんかい線は当初、国鉄が武蔵野線なども含め東京外環状線として計画した路線を元に生まれた

 

今回のルートに含まれる東京臨海高速鉄道りんかい線は、国鉄が東京外環状線として計画した鉄道路線で、JR京葉線や東京貨物ターミナル駅へもアクセスできるように路線プランが立てられた。実はいまも新木場駅の先で京葉線と線路がつながっている。また上の写真の東臨運輸区は東京貨物ターミナル駅に隣接しており、線路をつなげるのも難しくない。

 

あとは東京貨物ターミナル駅と羽田空港新駅と新線、ならびに田町駅と、大井町駅のアクセス線の整備ということがカギになるだろう。2024年に全線開業という情報もある羽田空港アクセス線。より便利な空港アクセス線の開設だけに期待したい。

 

■宇都宮LRT(ライトレール)

宇都宮市のLRT計画が本格化しはじめている。路面電車というと古いイメージがつきまとうが、最近、各地の路面電車で導入されるLRT(ライトレール)形路面電車は低床形が主体。乗り降りしやすく、またスムーズに走る軽量形電車というイメージが強くなっている。

 

宇都宮市が新設する路線は、優先着工区間が14.6kmで、道路上を走る併用軌道区間が76%を占め、ほかが専用軌道区間となる。既存の鉄道路線などの転用をしないで、まったくの新規のLRT路線は国内では初めて。2022年の開業と一般の鉄道に比べて工期は短く、また工賃、車両導入など、LRT導入のハードルは鉄道に比べて低い。宇都宮の例が、どのような結果となるのか注目される。

20180222_y-koba11 (15)↑まずはJR宇都宮駅東口と隣接する芳賀町にある本田技研北門間の14.6kmの路線が優先整備区間とされた。将来は西口や東武宇都宮駅前などにも延伸が計画されている

 

20180222_y-koba11 (16)↑写真の福井鉄道のF1000形FUKURAMU(ふくらむ)や、富山ライトレールの低床形車両がLRTを導入するうえで参考にされた

 

■都営大江戸線の延伸計画

都営大江戸線は現在、都内をめぐる環状区間と都庁前駅〜光が丘駅間の路線がある。この光が丘駅から先の新線プランが立てられいる。路線は、ちょうど西武池袋線と東武東上線の中間にあたる地域を走り、JR武蔵野線の東所沢駅まで至る計画。現在は、まだ都や国が優先的に進めるべき路線として位置づけされた段階だが、練馬区の大泉学園町など、鉄道の最寄り駅まで遠い地区では、延伸促進運動が高まりを見せている。

20180222_y-koba11 (17)↑都営大江戸線の終着駅・光が丘。この先、埼玉県まで至る新線の計画が立てられている

 

レクサス、ミラノデザインウィークに出展!

レクサスは、2018年4月17日(火)~22日(日)にイタリア・ミラノで開催される世界最大のデザインイベント、「ミラノデザインウィーク2018」に出展。レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館の一角、カヴァッレリッツェにおいて、「LIMITLESS CO-EXISTENCE」を開催する。

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通算11回目のミラノデザインウィーク出展となる今回は、複数の要素を融合させ、その相乗効果により、既成概念や限界を越えて新しい価値を生み出すレクサスの思想、“CO-(共)”をテーマに、お互いを深く理解し、認め、尊重し合うことで創造される、“Limitless”な(無限の可能性を秘めた)未来を表現することになる。これは、デザインには、平凡を非凡に変容させ、よりよい社会を創造する力があると確信するレクサスが目指す未来の姿でもある。

 

今回、スペースデザイナーとして参画する市川創太氏は、建築空間を緻密に計算するテクノロジーとデザインの融合させた作品を生み出すことで知られている建築家。革新的な探求を続ける市川氏の思想と、レクサスの思想が強く共鳴したことから、今回のコラボレーションが実現した。

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「LIMITLESS CO-EXISTENCE」のメイン・インスタレーションでは、すべての存在が誰一人として影にならないように「共存」する世界が象徴的に表現される。それにより、一見不可能にも思える「完全なる共存の状態」は、アルゴリズムによる緻密な設計で天井から吊るされた無数の糸に、たった一点の光源からひとつの影も作ることなく光を当てることで創り出されている。来場者はこのインスタレーションによって、共存と調和から生まれる可能性に満ちた未来を予感することができる。

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また、メイン・インスタレーションに加えデトロイト・モーターショーでワールドプレミアしたコンセプトカー「レクサス LF-1 Limitless」のデザインをモチーフとした独創的なインスタレーションを展示。進化するレクサスデザインの可能性を提示するほか、新進気鋭のシェフ3人によるミラノの著名なフードコーディネーター「ALTATTO」と市川氏のコラボレーションによる、味覚と視覚を刺激するフードも提供される。

 

さらに、同じく“CO-”をテーマとして開催された「レクサスデザインアワード2018」のファイナリスト12名による、4点のプロトタイプおよび、8点のプレゼンテーションパネルを展示。4月16日のプレスデーには、ファイナリストたちが作品のプレゼンテーションを行ない、グランプリの受賞者が発表される。

 

(イベント詳細は下記を参照)

LEXUS DESIGN EVENT 特設サイト https://lexus.jp/brand/lexus-design/design_events/

LEXUS DESIGN AWARD ウェブサイト https://lexus.jp/brand/lexus-design/design_award/

公式ハッシュタグ

#LexusDesignAward、#MilanDesignWeek、#LexusDesignEvent

【中年スーパーカー図鑑】経営難にオイルショック…苦難を乗り越えた「2+2スーパーカー」

シトロエンの傘下に入って経営の再建を図るマセラティは、1971年デビューのボーラに続いて、新世代のスポーツカーを1972年に発表する。ボーラのプラットフォームをベースに、実用性に富む2+2のパッケージングを構築した「メラク」だ。その機構には、シトロエンSMと共通のパーツが多く使用されていた――。今回は、北斗七星のひとつであるおおぐま座β星の星名に由来する“Merak”の車名を冠したスーパーカーの話題で一席。

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【Vol.12 マセラティ・メラク】

1968年よりシトロエンの傘下に入り、開発体制および車種ラインアップの刷新を図って経営を立て直そうとしたマセラティ。1969年にはカロッツェリア・ビニヤーレのジョバンニ・ミケロッティがデザインした高級4シータースポーツカーの「インディ」、1971年にはイタルデザインのジョルジエット・ジウジアーロがデザインしたミッドシップスポーツカーの「ボーラ」を発表するなど、精力的な活動を展開していった。その攻めの姿勢は、1972年に開催されたパリ・サロンの舞台でも示される。ボーラのひとクラス下に位置する新型V6スポーツカーの「メラク」を雛壇に上げたのだ。

 

■V6エンジン搭載の2+2ミッドシップスポーツの登場

Tipo122のコードネームを冠したメラクは、プラットフォームをボーラと共用しながら、搭載エンジンのV6化(ボーラはV8)によってエンジンコンパートメントを短縮し、その分を後席にあてた2+2のパッケージングを創出する。ボーラと同じくジウジアーロが手がけた車両デザインは、キャビン前の造形をボーラと同イメージに仕立てる一方、リア回りはエンジンフードを露出させたノッチバックスタイルで構成。同時に、ルーフエンドからリア後端にかけて左右1本ずつのバー、通称フライングバットレスを配してファストバック風のルックスを実現した。基本骨格はボーラと同じくスチール製モノコックとマルチチューブラーフレームを組み合わせた構造で、前後ダブルウィッシュボーン/コイルの懸架機構も共通。ボディサイズは全長4335×全幅1768×全高1149mm/ホイールベース2600mmと、ボーラとほぼ同寸だった。

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フロント部はボーラと同様のデザイン。搭載ユニットをボーラのV8からV6に変更することで「+2」のスペースをねん出

 

機構面については、シトロエンSM(1970年開催のジュネーブ・ショーでデビュー)と共通の構成パーツが多く採用される。まず前後ディスクブレーキの制動機構およびラック&ピニオン式の操舵機構には、SMと同様、エンジン駆動の高圧ポンプによる油圧を用いた作動システムを導入。さらに、ステアリングにはパワーセンタリング機構付のアシストシステムを装備する。ミッドシップに縦置きするエンジンは、SMと同様のC114型2965cc・V型6気筒DOHCユニットを専用チューニングして搭載。8.75の圧縮比と3基のウェーバー製42DCNFキャブレターによるスペックは、190hp/26.0kg・mのパワー&トルクを発生した。また、エンジン後部には油圧ポンプとアキュムレーターをセット。トランスミッションには5速MTを組み合わせた。内包するインテリアはSMと同仕様のパーツ、具体的には中心部を楕円形状とした1本スポークのステアリングホイールやセンター部までを一体式としたメーターパネル、幅広のセンターコンソールなどを装備し、スポーツカーというよりも上級サルーン的な雰囲気で仕立てられていた。

 

ちなみに、C114エンジンはマセラティがシトロエンの要請を受けて開発した新世代ユニットだった。2社の提携後、シトロエンはマセラティに新世代グランツーリスモ用(SM)のV6エンジンの開発を、しかも6カ月の短期間で完成させるよう求める。これを受けてマセラティのチーフエンジニアであるジュリオ・アルフィエリは、ボーラ用のV8ユニットから2気筒分を削除してV6化する案を打ち出す。ここで問題となったのが、V6レイアウトにとって振動面で不利となる90度のバンク角。対応策としてアルフィエリは、クランクシャフトに4個のバランスウェイトを組み込むというシンプルかつ経済的な方策を選択した。また、バルブ面積を大きくとったことにより、排気量は当初予定の2.5Lから2.7Lにまで拡大される。結果的に2カ月かからずに完成にこぎつけた新V6ユニットは、エンジン長がコンパクトな310mmに、重量がアルミ合金製のヘッドおよびブロックを採用した効果で軽量な140kgに仕上がり、シトロエン側の要件を十分に満たす仕様となったのである。

 

■独自色を強めた「メラクSS」に進化

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エンジンフードを露出させたノッチバックスタイル。ルーフエンドからリア後端にかけてバーを配したファストバック風のルックスが特徴

 

最高速度225km/h、0→100km/h加速8.0秒という3L級スポーツカーとしての十分なパフォーマンスを発揮し、狭いながらも+2のスペースを備えたメラクは、ボーラ以上の高い人気を獲得する。しかし、外的な要因がその人気に水をかけた。1973年10月に勃発した第4次中東戦争を起因とするオイルショックだ。燃費の悪いスポーツカーには逆風が吹き、必然的にメラクの販売台数は伸び悩む。悪いことはさらに続き、シトロエンの経営が急速に悪化。1974年にはプジョーとシトロエンが企業グループを結成することで合意し、一時はマセラティもプジョーと提携を結ぶものの、経営上のメリットが少ないと判断したプジョーは翌75年に提携を撤回した。

 

窮地に陥ったマセラティだったが、それでも開発陣は不屈のスピリットでメラクの改良を行い、1975年開催のジュネーブ・ショーで進化版の「メラクSS」を披露する。パワーユニットはキャブレターの口径アップ(ウェーバー製44DCNF)や圧縮比の引き上げ(9.0)などにより、パワー&トルクが220hp/27.5kg・mへと向上。合わせて、フロントフードに熱対策のためのルーバーを追加する。シトロエンとの関係を断ったことから、インパネは独自タイプの新デザインに変更した。ほかにも、車両重量の軽量化や装備の拡充などを実施。最高速度は245km/hへとアップしていた。

 

■伊国内の税制を踏まえて「メラク2000GT」を設定

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センター部までを一体式としたメーターパネル、幅広のセンターコンソールなどを装備

 

1975年8月になると、新興メーカーのデ・トマソがマセラティの救済に動く。1973年からデ・トマソの傘下に入っていたベネリが、マセラティの大半の株式を買収したのだ。そして、マセラティのマネージングディレクターにはアレハンドロ・デ・マソが就任した。

 

デ・トマソ・グループに入ったマセラティは、アレハンドロの指揮のもと、既存車種の見直しを図る。ボーラはデ・トマソ・パンテーラと競合することから、生産の中止が決定。一方、メラクに関してはイタリア国内の税制上で有利な排気量2Lクラスのグレードを設定する旨が決まった。

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11年間でボーラの3倍以上となる1830台を生産した

 

2L版メラクは、「2000GT」のグレード名をつけて1976年開催のトリノ・ショーでデビューする。肝心のパワーユニットは1999cc・V型6気筒DOHC+ウェーバー製42DCNFキャブレター×3で、9.0の圧縮比から170hp/19.0kg・mのパワー&トルクを発生。3Lモデルに比べて車重が軽くなったことから、最高速度は220km/hに達した。一方、内外装のアレンジは簡素化が図られ、ブラックアウトしたバンパーやサイドストライプなどを装着していた。

 

相次ぐ会社の経営危機やオイルショックによる逆風など、様々な困難を乗り越えてラインアップされ続けたメラクは、デビューから11年ほどが経過した1983年に生産を終了する。生み出された台数はボーラの3倍以上となる1830台。この数字は、トライデント(マセラティのブランドマーク)の意地と気概で成し遂げられた偉大な記録なのだ。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

民間主導ではもうムリ!「岡山バス路線の大幅廃止」で見えた地域公共交通の実態

岡山県を中心に国内外の交通事業を運営する両備グループ代表の小嶋光信氏が今月8日、県内を走るグループ内の両備バスと岡山電気軌道バス(岡電バス・写真)計31路線を廃止するという重大発表を行なった。

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このニュースを聞いて、他の地域交通の経営危機と同じような話と思った人もいるだろう。しかし両備グループと言えば、県内の中国バスや井笠バス、さらに「たま駅長」で有名になった和歌山電鐵など、さまざまな交通事業者を救済してきたことで有名。その会社が一気に30以上の路線を廃止するわけで、事情はちょっと違う。

 

小嶋氏は今回の発表の理由として、岡山市内で2012年から低運賃の小型バスを走らせる八晃運輸の「めぐりん」を挙げている。筆者も岡山に行った際にめぐりんを見たことがある。見た目はコミュニティバスなのに運行ルートは大部分が他のバスと被っており、棲み分けしていないことを不思議に感じた。

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事の発端はめぐりんが昨年春、両備グループのルーツである西大寺軌道が108年前に結んで以来主力路線となっている、JR岡山駅と市内東部の西大寺間に新路線を開設しようとしたことにある。両備バスや岡電バスも経営面では順風満帆ではなく、過半数の路線は赤字で、岡山駅〜西大寺間などの黒字路線の収益で維持しているとのこと。そこにめぐりんなど低価格の競合バス会社が参入すると、赤字路線の維持が難しくなることから、31路線の廃止を表明したという。

 

両備グループとしては、地域公共交通の実態を知ってもらうとともに、今回のような路線の認可が引き金となって、全国規模での地域公共交通の破壊という懸念すべき事態を阻止するため、あえて赤字路線の廃止届を出したとのこと。つまり問題提起を含んだ発表なのである。

 

しかしながら同じ日の夜、この地域のバス路線を統括する国土交通省中国運輸局は、めぐりんの新路線を認可した。運賃は中心部の東山まで100円、それ以遠が250円となる予定で、東山まで220円、西大寺まで400円の両備バスより大幅に安い。

 

なぜめぐりんは低運賃を実現できるのか。調べてみると、車両が維持費の安い小型であることに加え、7〜20時台と路線バスとしては短い運行時間帯、採用条件の違いなどを発見した。最後については両事業者のウェブサイトにも載っているが、賞与の有無など相応の差がある。

 

今回の問題の根源として、両備グループでは2002年の道路運送法改正によるバスの規制緩和を挙げている。この規制緩和では、観光目的のバスでは低運賃化とそれに伴う下請け事業者の過酷労働・整備不良などが問題となり、関越自動車道でのツアーバス事故、碓氷バイパスでのスキーバス事故をはじめ、さまざまな惨事の引き金になった。

 

今後は地域交通においても、今のような状況が続けば事故が頻発するような気がしてならない。その意味で小嶋代表の主張には納得できる。しかしすべての都市で岡山のような問題が起こっているわけではない。筆者が何度も訪れている富山市では、鉄道、LRT、路線バス、コミュニティバスなどがしっかり役割分担をしている。

 

公共交通はただバスや鉄道を走らせれば良いわけではなく、都市内の移動を安全快適に行えるかが大切。となればやはり富山市のように、自治体が陣頭指揮を取ってコントロールすべきだろう。地域交通が危機的状況に置かれている現在はなおさらだ。なのに岡山市からはこうしたビジョンが伝わってこない。

 

それどころか岡山市では同じ8日、やはり両備グループが運行する岡山電気軌道の路面電車について、駅前交差点の手前で止まっている線路を駅前広場まで乗り入れる事業を今年度から始めると表明した。以前から検討されてきた計画ではあるけれど、話題をそらすようなタイミングでの発表は腑に落ちない。

 

人口減少と高齢化が問題となっている現在の日本で、地域交通が民間企業の競争原理で発展するのは無理だと思う。日本に先駆けて似たような問題に直面した欧米のように、自治体が管理して税金主体で運行する方式に移行すべきだろう。小嶋代表の問題提起がきっかけになれば良いのだが。

 

【著者プロフィール】

モビリティジャーナリスト 森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

THINK MOBILITY:http://mobility.blog.jp/

アストンマーティンが高級ホテルとのコラボで魅力的プログラムを開始

アストン・マーティンはこのほど、米国カリフォルニア州ビバリーヒルズにある高級ホテル「ウォルドルフ-アストリア・ビバリーヒルズ」とコラボレートして、特別プランである「アストン・マーティン・ドライビングエクスペリエンスパッケージ」を展開すると発表した。

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このプランは3月31日までにこのホテルの「ライプ・アストン・マーティン・スイートパッケージ」を予約すると、アストン・マーティンの「ヴァンキッシュS」または「DB11」がレンタルでき、滞在期間中にドライブを楽しむことができるというもの。

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また、同ホテル内には、アストン・マーティンのウエアやアクセサリー、各種グッズなど、多彩なアイテムを取り揃えたポップストアが特別に設置される。

スバル自慢のアイサイトが「科学技術と経済の会会長賞」を受賞

スバルは、一般社団法人科学技術と経済の会(JATES)が主催する「第6回技術経営・イノベーション賞」において同社の運転支援システム、「アイサイト」に対する取り組みが評価され、「科学技術と経済の会会長賞」を受賞したと発表した。なお、表彰式は、2月13日13時30分よりホテル・グランドパレスで行なわれている。

 

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この「技術経営・イノベーション賞」は、日本においてイノベーションを興し、経済成長や産業競争力の強化につなげるための表彰制度。日本発の優れた新規事業を発掘し、そのプロセスを他の技術者・経営者へ紹介。国内でのイノベーションを促進させるために、わが国初の本格的なイノベーション表彰として2012年に創設されている。

 

アイサイトは、世界で初めてステレオカメラのみで、自動車だけでなく歩行者、二輪車までも対象としたプリクラッシュブレーキや、全車速追従機能付クルーズコントロール等を実現したシステム。

 

アイサイトはこれまでも、国土交通省とNASVAが実施する予防安全性能アセスメントにおいて、最高評価であるJNCAP「予防安全性能評価ASV++」に選定されるなど、第三者機関から高い評価を獲得している。

 

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■第6回技術経営・イノベーション賞 「科学技術と経済の会会長賞」

(事業名)運転支援システム”アイサイト”
(受賞者)株式会社スバル
代表取締役社長:吉永 泰之
上級プロジェクトゼネラルマネージャー :樋渡 穣

 

(選考理由)

”アイサイト”は、四半世紀以上の研究開発から生まれた、運転の愉しさと安全性とを両立させるイノベーションである。非常に高い精度を持つステレオカメラ認識技術を、自動車製造ラインに流すための困難克服や、300万キロメートルを超える走行実験、試験、ビッグデータの活用で実現したこのシステムは、多くの類似方式の中で、精度やコスト面で優位にあると考えられ、また究極の安全性に向け進化し続けている点が高く評価された。

 

 

フォルクスワーゲンがジュネーブ・ショーで「I.D.VIZZION」を世界初公開!

フォルクスワーゲンは3月6日から始まる、ジュネーブ・モーターショーに出展する「I.D.VIZZION(I.D.ヴィジョン)」を公開した。このコンセプトカーは、未来のパーソナルモビリティに対するフォルクスワーゲンの取り組みを体現したもの。また、未来のクルマのデザインが、どれほどエレガントでエモーショナルなものであるかをアピールするフォルクスワーゲンの提示でもある。

 

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フォルクスワーゲンの「I.D.」ファミリーとしては4作目となるこのモデルでは、自動運転の可能性を徹底追及。数多くのアシスタンスシステムを備えた「デジタル・ショーファー」は、ステアリングをはじめとする操作系を使わずにクルマを制御することを想定している。運転、各種操作やナビゲーションは自動的に行なわれ、乗員はボイスコントロールやジェスチャーコントロールを介してバーチャルホストとコミュニケーション。バーチャルホストは、デジタル・エコシステムに組み込まれることで乗員の好みを学習、各乗員個別に対応する機能も持つという。

 

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クルマとしてのアウトラインだが、この「I.D. VIZZION」の全長は5.11m。EVのシステムパワーは225kWを発揮し、最高速度は180 km/hをマークする。111 kWhの総電力量となるリチウムイオンバッテリーは、ブレーキ回生を活用した場合で最大665kmの航続距離を実現している。また、電気モーターは2つ搭載。インテリジェントな制御によって駆動は4WDとなる。

 

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この「I.D. VIZZION」は、フォルクスワーゲンによる完全な電気アーキテクチャーである「MEB」の大きな可能性を示すものだが、フォルクスワーゲンでは2025年までに20車種以上の電気自動車導入を計画している。2020年にコンパクトクラスの電気自動車として「I.D.」が発売。その後にSUVの「I.D. CROZZ(アイ.ディ.ク ロス)」、および「I.D. BUZZ(アイ.ディ.バズ)」が続くことになる。

 

 

アウディ・ツイン・カップの日本代表が決定!

アウディ・ジャパンは2018年2月14日(水)、大阪のリーガロイヤルにて「アウディ・ツインカップ2017ジャパン ファイナル」を開催。審査の結果、テクノロジー部門ではアウディ高松が1位を獲得、サービス部門ではアウディ熊本が2年連続の1位に輝いた。

 

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アウディ・ツイン・カップは、アウディ正規ディーラーのサービス品質向上を目的とした技能コンテスト。本国のアウディAGならびにアウディ・ジャパンが、目標のひとつとして掲げる顧客満足度向上に繋がる重要なイベントとなっている。

 

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対象となるのは、全国で125店舗あるアウディ正規ディーラーのすべてのメカニックとサービスアドバイザー。テクノロジーとサービスという2つの部門別に行なわれることから、名称もツインカップとされているわけだ。

 

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今回開催された「アウディ・ツインカップ2017ジャパン」には、2回に渡るオンラインでの筆記試験での予選を経てテクノロジー部門12チーム(36名)、サービス部門12チーム(12名)が出場。テクノロジー部門では実車を使った故障診断や修理、サービス部門では入庫受付を想定し、顧客の指摘から不具合箇所を特定するなどの実技試験に加え、それぞれの部門の学科試験を加えた総合成績で争われた。

 

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その結果、テクノロジー部門の1位チームであるアウディ高松の3名、そしてサービス部門の1~3位の3名が2018年7月に欧州で開催予定の「第14回アウディ・ツインカップ・ワールドチャンピオンシップ」に日本代表として出場。世界一の座を競うこととなった。

 

ちなみに2014年7月にドイツで開催された「第10回アウディ・ツインカップ・ワールドチャンピオンシップ」では、サービス部門において世界38カ国、75チームの中から日本代表が見事に優勝。昨年の第13回も日本代表がテクノロジー、サービス両部門にて、ともに3位入賞を果たしている。

 

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アウディ・ツインカップ2017 ジャパンファイナル審査結果

(テクノロジー部門)
1位アウディ高松
2位アウディ熊本
3位アウディ調布A

(サービス部門)
1位アウディ熊本
2位アウディ箕面
3位アウディ足立B

 

 

ポルシェが3Dプリンターから旧車のパーツを供給

ポルシェクラシックは、パーツ供給問題への解決策として3Dプリンターを活用することを発表した。「スペアパーツの入手不可」という言葉は即座に問題を引き起こし、最悪の場合、クルマを走らせることができなくなる可能性があるだけに、クラシックなポルシェの愛好家にとっては朗報となる。

 

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その解決策となるのが、3Dプリンターを駆使することで少量のみ必要とされる非常に希少なパーツをリプロダクトするというもの。実際、生産されるパーツは技術的にも外観的にも、すべてオリジナルのパーツに対する完璧な忠実性という要件を満たしているという。

 

現在、ポルシェ クラシックでは約52,000点のパーツを揃え、スペアパーツの在庫が少なくなったり在庫切れになると、オリジナルのツールを使って複製している。しかし、需要がごく小数に限られてしまう欠品パーツの供給を確保することは、ポルシェ クラシックのエキスパートにとってさえ大きな課題となっている。

 

そんな非効率な部分を極力減らすため、特定のコンポーネントを製造するプロジェクトに乗り出す際、ポルシェ クラシックでは常に事前に幅広い製造方法を検討している。

 

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「レーザー溶融法」と「SLSプリンター」

実際に3Dプリンターを活用して作られたのは、「レーザー溶融法」を用いて製造されるスチールおよび合金製のパーツと「SLSプリンター」を用いて製造される樹脂製コンポーネントである。

 

「レーザー溶融法」は、不活性ガスの中で、高エネルギーのライトビームを用いて希望する場所で粉末を溶融、スチール層を作り出してプリントされ、3トン近い負荷をかけた圧力試験と、その後の内部欠陥を調べる断層撮影法による検査にも見事にクリア。実地試験と徹底的な走行試験により、コンポーネントの完璧な品質と機能が確認されている。なお、この手法を用いて作られたのはポルシェ959(生産はわずか292台)のクラッチリリースレバーだとか。

 

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一方、「SLS」は「レーザー焼結法」の略で、これは融点の直前まで材料を加熱し、残余エネルギーを用いレーザーで目的とする箇所の樹脂粉末を溶解するという方法。全パーツとも、最低でもオリジナルの品質要件以上に高い基準をクリア。また、取り付けたパーツを用いて試験することで、寸法と嵌め合いの精度が確保。オリジナルと同様、多様な材料で作られた樹脂製パーツは、オイル、燃料、酸、光への耐性を有する必要もあるが、結果はいずれも満足できるものだった。それを踏まえ、ポルシェ クラシックでは、3Dプリントを使って8つのパーツを製造。さらに20のコンポーネントの製造についても3Dプリントが適切であるかどうか、試験している最中だという。そのメリットは、コンポーネントの3次元デザインデータや3Dスキャンがあれば、製造を開始するための十分な基礎となること。したがって、必要に応じ、注文があり次第コンポーネントを製造できるので、ツールと保管コストの節約にもなるというわけだ。

 

ちなみに、この記事に掲載されているパーツだが911スピードスターのミラーベースや959のフューエルキャップ、964型911のクランクアーム、そして356Bおよび356C用のヒートエクスチェンジャーブラケットだ。

 

 

 

MINI初の本格EV市販型プロトタイプを初キャッチ!

2017年のフランクフルトショーでMINIが初公開したピュアEV、「ミニ・エレクトリック」の市販プロトタイプが初めてキャッチされた。3ドアハッチバックのテストミュールにはボディ側面に「Electric Test Vehicle」のステッカーが貼られていた。

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僅かなエアーで冷却可能なEVだからか、六角ラジエターグリルは閉じられ、リアエンドにはエキゾーストパイプが見当たらない。

 

後輪駆動のパワートレインはBMW「i3」のEVテクノロジーが反映されるとの見通しで、最高出力170ps、最大トルク250Nm、0-100km/h加速7.3秒、航続距離は400kmを目指しているとのこと。搭載バッテリーは約40分の急速充電で最大80%のチャージを可能にするという。

 

2008年には実験車両的な電気自動車「MINI E」が発表されているが、高性能な本格EVはMINI初となる。ワールドプレミアは2018年秋、市場投入は2019年からと見られている。

次世代型ポルシェ「911ターボ」に市販型パーツ装着!? 最終デザインが見えてきた!

ポルシェ992世代となる「911ターボ」の最新プロトタイプをスクープ。これまで明らかにされなかった市販型パーツを身につけたボディに注目だ!

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911に初採用となるデュアルLEDデイタイムランニングライトバーおよび、ブリスターフェンダー、スクエア・クワッドエキゾーストパイプ、エアアウトレット、そしてコンパクトになったリアウィングと内蔵ハイマウントストップランプ、点灯するアクセントストリップなども確認できる。

 

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新世代「モジュラー・スポーツカー・プラットフォーム」を採用してトレッドを拡大、搭載パワートレインは3.0リッター水平対向6気筒のツインターボエンジンで最高出力は600ps超えと予想されている。

 

新型「911」のワールドプレミアが3月のジュネーブモーターショー、「911ターボ」は早くとも2018年後半となりそうだ

マツダの最新ガソリンエンジン技術の将来性がイタリアで高く評価

スカイアクティブXは技術史に名を残す?

マツダの次世代ガソリンエンジンである「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」が、イタリアのミラノにおいて、将来性が期待される自動車技術に贈られる「Q Global Tech Award」を受賞した。

 

「Q Global Tech Award」は、創刊1956年のイタリアの自動車専門誌「Quattroruote(クアトロルオーテ)」誌が主催する欧州の自動車業界の重要イベントのひとつ「Quattroruote Day」において選出されるアワード。これには「クアトロルオーテ」誌をはじめ、世界15カ国の自動車専門誌の委員が参加しているが、「SKYACTIV-X」は今年、技術史に最も名前を残すような革新的な技術として評価された。

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今回、受賞の対象になったマツダの「SKYACTIV-X」は、ガソリンエンジンならではの伸びの良さに、ディーゼルエンジンの優れた燃費・トルク・レスポンスといった特長を融合した革新の内燃機関。マツダ独自の燃焼方式「SPCCI(火花点火制御圧縮着火)」により、ガソリンエンジンにおいて圧縮着火を制御する技術の実用化に世界で初めてめどを付けることが可能となった。

 

その結果、シャープなレスポンスやトルクフルで爽快な加速感、これまで以上の低燃費・環境性能を高次元で両立、エンジン単体の燃費率を現行の「SKYACTIV-G」と比べて最大で20~30%程度改善することを目指している。

 

この受賞について、マツダの藤原 清志(ふじわら きよし)専務執行役員は、受賞に際して次のように述べた。「このような素晴らしい賞をいただき、本当に嬉しく思います。この技術の実現に向けてブレークスルーを成し遂げた私たちのエンジニアを心から誇りに思います。量産前のタイミングで、このような高い評価をいただけたことは、これから最後の機能開発や品質確認などを進めていくチームメンバーにとって大きな励みになります。皆さまからの大きな期待を励みとして、最後の作り込みをしてまいります」

BMW「7シリーズ」フェイスリフトモデル開発車両を捉えた!

BMWのフラッグシップサルーンとなる「7シリーズ」のフェイスリフトモデルが、北欧でのウィンターテストで捉えられた。

 

新型のプロトタイプにはダミーと思われるヘッドライトが装着され、キドニー・グリルやバンパーにフルモデルチェンジ級のカモフラージュが施されていたことから、フロントエンドは大きく変更される可能性がある。

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インテリアは「8シリーズ」や「Z4」コンセプトからインスピレーションを得たセンタースタックデザインで、「Live Cockpit」と呼ばれる次世代デジタルクラスターが採用されるかもしれない。またテクノロジー面では、レベル3相当の自動運転システムを備えると予想されている。

 

注目すべきは、プラグインハイブリッド「740e i Performance」の搭載パワートレインが、2.0リッター直4ターボエンジンとアップデートされた電動モーターの組み合わせによって最高出力は390psへ引き上げられる他、EV走行可能距離は60km以上になるとも言われている。

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ライバルとなるアウディ「A8」はフルモデルチェンジ、メルセデス「Sクラス」はフェイスリフトを終えており、改良版「7シリーズ」の開発は急務。おそらくワールドプレミアは2018年秋以降になりそうだ。

【参加無料】夜景を見ながら夜のTOKYOをサイクリング! あさひがビジネスマン向けのロードバイク体験会を開催

自転車専門店のあさひは、都市型サイクリングイベント「NIGHT RIDE」の第1弾として、ビジネスマンを対象としたビギナー向けサイクリング体験会「TOKYO NIGHT RIDE」を3月7日に開催します。会場・集合場所は、東京・五反田のサイクルベースあさひ五反田TOC店。参加費は無料で、定員は10名。

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週末や休日に郊外で楽しむイメージのあるサイクリングですが、近年では通勤に自転車を取り入れるなど、都市型サイクリングが注目を集めています。そこで同社では、平日に行える都市型サイクリングとして「NIGHT RIDE」を企画。多くのビジネスマンに運動不足解消やストレス発散のため平日にスポーツサイクルを楽しんでもらいたいという思いから、NIGHT RIDE第1弾では、ビジネスマンを対象としたビギナー向けサイクリング体験会が開催されます。

 

イベントでは、夜景を楽しみながらロードバイクで東京タワー周辺を巡る特別コースを走ります。自転車やサイクリングウェアは無料で貸出されるので、スニーカーなどの自転車に乗りやすい靴と、タオル、飲み物を持参するだけで手軽に参加可能。時間は19時から21時を予定しているので、仕事帰りに寄ることができますね(着替えのため18時45分までに集合)。

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対象となるのは、運動不足を感じがちな「オフィスワーカー」で、ロードバイクの経験の少ない「サイクリングビギナー・初心者」の男性。応募やイベントの詳細については、下記の特設ページよりチェックできます。ロードバイクに興味がある、サイクリングを始めてみたい、とお考えの方は、ぜひ応募してみて下さい!

 

イベント申込詳細:http://charimen-cb-asahi.com/_ct/17147935

 

【詳細】

「TOKYO NIGHT RIDE」

日時:2018年3月7日(水) 19:00~21:00 ※雨天の場合は中止

集合・会場:サイクルベースあさひ五反田TOC店

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参加費:無料

対象:男性/オフィスワーカー/サイクリングビギナー・初心者

定員:10名

次のスーパーカーSUVとなるか、ブガッティ「シロン」のSUVを大予想!

2017年にはランボルギーニが新型SUV「ウルス」を発表したが、同年の終盤にはロータスから開発中のSUVの画像が流出したり、2018年1月のデトロイトショーでは、フェラーリのCEOが同ブランド初のSUVを2019年から2020年に発売……と言及するなど、世界中のプレミアム市場ではスーパーSUV時代の到来が予想されている。

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ポルシェ「カイエン」、マセラティ「レヴァンテ」、アストン・マーティンは「DBX」を2019年にも発売予定で、残るメジャーなスーパーカーメーカーはマクラーレンとブガッティとなってきそうだ。しかしマクラーレンのチーフデザイナーは「将来SUVを発売することは絶対にない」とメディアに語っていることから、注目はブガッティに集まる。

 

そこでロシアの有名CGアーティスト、Aksyonov Nikita氏がブガッティの最新スーパーカー「シロン」をベースに作成したCGを、SNSに公開して話題となっている。

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ブガッティ特有の馬蹄型フロントグリルやL字のデイタイムランニングライトを備えたシロン風ヘッドライト、バンパーにはワイドはエアダクトを備え、リアではLEDストリップライトや大型ディフューザー、ツインエキゾーストパイプが特徴的。

 

パワートレインは、最高出力1200ps、W型16気筒クワッドターボクラスとなるに違いないが、2009年にも4ドア「16Cガリビエール コンセプト」を発表していることからも、ブガッティ初のSUVは実現の可能性が高いと見られている。

「ナイトタイムエコノミー」はなじまない?日本で公共交通24時間運行が難しいワケ

最近耳にするようになった言葉のひとつに「ナイトタイムエコノミー」がある。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、外国人旅行者が年々増加している中で、東京は海外のメガシティに比べてナイトライフを楽しむ環境が整っていない、具体的には深夜は鉄道もバスも止まってしまうのでナイトライフを楽しもうにも帰りの足がないことを不満に挙げる人がいる。

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ナイトタイムエコノミーが話題に上るとき、必ずといっていいほど登場するのがニューヨークだ。ニューヨークの地下鉄は年中無休で24時間休みなく走り続けるのが基本なのでナイトライフを満喫できる。東京もニューヨークのように地下鉄を24時間走らせよ!という主張を目にすることもある。

 

しかしバスならまだしも地下鉄が年中無休24時間営業している都市は、世界的に見ても数えるほどしかない。道路はもともと24時間営業なので深夜バスを走らせやすいのに対し、地下鉄は深夜時間帯は保線などインフラのチェックの時間に充てられるのが普通だからだ。

 

ニューヨークの地下鉄が24時間営業できるのは、異なる路線が線路でつながっている場所が多かったり、一部が複々線だったりして、保線をしながら列車を走らせることが可能というインフラの工夫のおかげもあるようだ。つまり東京の地下鉄を同レベルにするのは構造的に難しいのだが、それでも話題に上がるのはアメリカファーストならぬニューヨークファーストな人々がいるためではないかとも思っている。ニューヨークこそ世界のメガシティの頂点で東京やロンドンや上海は足元にも及ばないという声だ。

 

■日本人はマインド的にナイトライフと相性が悪い

一方の東京では、コンビニエンスストアが24時間営業を見直したり、デパートやスーパーマーケットが元旦営業を辞めたり、むしろ24時間年中無休からの脱却を目指している。こうした流れは個人的にも歓迎したいと思っている。そもそもニューヨークが未来のメガシティの姿として理想か?という疑問も湧く。

 

それにナイトタイムエコノミーが話題に挙がった理由は外国人観光客対応であり、年々増えてはいるものの日本人に比べればまだ少数派だ。そして日本人はマインド的にナイトライフになじみにくいと思っている。理由はしばしばデータでも証明されている労働生産性の低さだ。「24時間働けますか」を美徳とし、残業代目当てでユルユル仕事をするベテラン社員と、そういう上司を持つために帰りたくても帰れない若手社員。仮に早く仕事が上がっても社員同士で飲み歩く。これではナイトライフなど生まれようもない。

 

そもそも東京はバスについては、24時間の試験運行をしたことがある。猪瀬直樹都知事の時代に、東京メトロと都営地下鉄の一元化などと同時に、六本木〜渋谷間の都営バスの深夜運行を始めたのだ。猪瀬知事はこれに続いて、地下鉄の24時間運行も考えていたという。しかし深夜バスの利用者は低迷。猪瀬知事が辞任したこともあり、1年を待たずに終了となってしまった。その後の都知事が復活させていないところを見ると、財政面に問題がありそうな気がする。

 

過去にこのコラムで紹介したこともあるが、欧米と日本の都市交通では財政事情が大きく異なる。広島市などで公共交通を運行する広島電鉄の鉄軌道部門を見ると、収益の9割以上を旅客運輸収入で占めている。日本では一般的なパターンだ。ところが全米でもっとも住みたい街と言われるオレゴン州ポートランドの公共交通の資料を見ると、運賃収入は約2割に留まり、税金収入が半分以上を占める。

 

欧米の公共交通は税金主体で運行しており、黒字経営を目指すこと以上に、より良い公共サービスを提供することを重視している。公立学校や図書館は税金で運用され、道路も税金で作られているわけだから違和感はない。逆に儲かるかで判断する日本の考え方では、24時間運行は永遠に無理ではないだろうか。

 

ニューヨークが素晴らしくて東京は遅れているとか、そういう問題ではない。日本の公共交通の問題はすべてここに帰結するのである。

 

【著者プロフィール】

ビリティジャーナリスト 森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

THINK MOBILITY:http://mobility.blog.jp/

ディープで面白い「撮り鉄言葉」の用語集! よく見るアレは通称「はえたたき」

鉄道写真を撮りたいけれど、本格的なファンに混じって撮影となるとどうも敷居が高い……と感じている人はいないだろうか。その1つの大きなハードルとなっているのが愛好者同士で交される「撮り鉄言葉」。とてもディープな世界だが、言葉の意味を知ってみると、「は〜、なるほどね!」と思える言葉や笑えるような言葉もある。知って使えば、茶飲み話、酒の場で盛り上がること確実! そんな「撮り鉄言葉」の世界をご紹介しよう。

 

【まずはクイズ】次の言葉の意味を訳してください「今日は狙いの『カモレ』が『ウヤ』だ」

ある撮り鉄氏が言った「今日は狙い『カモレ』が『ウヤ』だ」という言葉。知らない人が聞けば何だか、ちんぷんかんぷんの言葉が並ぶが、訳せば「今日は狙っている貨物列車が運休だ」ということになる。

20180216_y-koba5 (2)↑狙いの「カモレ」と出会う。EF66形式の基本番台ともなれば、注目度も高い。現在、「貨物ちゃんねる」という専門サイトもあり「ウヤ」がチェックできるようになっている

 

ここからは、代表的な撮り鉄言葉をアイウエオ順に挙げていこう。

 

【ウヤ】運転休止(運休)のこと。もとは国鉄時代の鉄道電報用の略語だった。「この列車は、今日は“ウヤ”かな」というように使う。

 

【カブる(カブり)】目標とする列車を撮る場合、運悪く前や後ろを列車がすれ違い、遮られることがある。裏側をかぶった場合(裏カブり)は、まだ救われるが、車両の前をカブったら、撮影のために待った時間は無駄に。この喪失感は並みでない。

20180216_y-koba5 (3)↑複線や複々線の路線で起こりがちな「カブリ」。写真はかなり危なかったカブリの例。裏カブリに比べて、表をカブられると救いようがない

 

【カマ】機関車の俗称。蒸気機関車が釡に石炭をくべて走ったことから出てきた言葉で、いまでは機関車全部をカマと呼ぶことが多い。

 

【カモレ】この言葉も国鉄時代の鉄道電報用語で「貨物列車」の略語。「今日は“カモレ”狙いだ」と親しみを込めて使われることが多い。

 

三脚を「ゲバ」と呼ぶ理由――学生運動の名残がこんなところに

穏当とはやや言いにくい「撮り鉄言葉」もある。そんな言葉が続くのがカ行の「け」だ。

 

【激パ】撮影地が激しく混んで、パニック状態になることを指す。最近は、一部の人気列車に撮影者が集まりがちで激パとなりやすい。

20180216_y-koba5 (4)↑花見の季節、SLの撮影地は「激パ」エリアとなりやすい。ただ、大概が仕切り役の人が表れ、整然と撮影を楽しむ結果になることが多い

 

【ケツ撃ち】けつおい、バックショットとも言われる。列車の正面を撮る人は多いが、後ろを撮る人は少ない。昨今は寝台列車がほぼ消滅し、後ろが絵になる列車が減ってしまった。

20180216_y-koba5 (5)↑鉄道写真の世界では後ろから撮ることを「ケツ撃ち」と呼ぶ。最近は後ろが絵になる列車も極端に減っている。写真はJR東日本の寝台列車カシオペア

 

【ゲバ】三脚のこと。学生運動でゲバルト棒(ゲバ棒)を振りかざした時代、ちょうどSLが各地から消え鉄道写真のブームが激化、三脚を“武器”にして撮影場所の取り合いをした。そんな時代の名残で三脚をゲバと呼ぶようになったとされる。 事前に三脚を置いておくことを「置きゲバ」とも言い、こうしたマナー違反が撮り鉄が嫌われる1つの要因になっているとも言えるかもしれない。

20180216_y-koba5 (6)↑長年、多くのSLファンを受け入れてきた山口線の沿線。行政の対応もしっかりしていて、各所に「置きゲバ」を防ぐ立て札が立てられている

 

甲種、工臨、国鉄色――撮り鉄が熱くなりがちな「こ」絡みの言葉

非常に熱いファンが多いのが「コ」絡みの「撮り鉄言葉」だ。

 

【甲種(輸送)】正式には「甲種鉄道車両輸送」と言う。新造や改造した車両を工場から発注主までJR貨物の機関車が牽引する特別列車を指す。JRが自社の工場で製造・改造した車両を自前の機関車で運ぶ場合は「配給列車」と呼ぶ。

20180216_y-koba5 (7)↑新造された電車を牽くJR東日本のEF64形電気機関車。JR東日本管内の車両輸送は「甲種輸送」と言わず、「配給列車」と呼ぶ。この配給列車も撮り鉄に超人気の列車だ

 

【工臨】「工事臨時列車」のこと。保守作業用に必要なレールやバラストなどを運ぶ列車で、バラストを輸送する列車を「ホキ工臨」、レールを運ぶ列車を「チキ工臨」と呼ぶ。

 

【国鉄色(国鉄原色)】国鉄時代に生まれた車両の多くがJR民営化後は色変えされ使われた。一部車両が国鉄時代の塗装のまま、また国鉄色、国鉄原色に再塗装されており、それらの車両は人気も高い。

20180216_y-koba5 (8)↑いまや希少となった「国鉄色」の189系M51編成。3月以降の動向が注目されている

 

ファンが萌える「スカ色」「セノハチ」

サ行の言葉には、鉄道の世界では専門的、またファン垂涎の言葉も多い。

 

【車扱貨物】1両単位による輸送方式のこと。かつて主流な輸送方式だったが、積み降しの手間がかかるため、現在はコンテナ輸送が主流となっている。タンク車を使った石油の輸送などが車扱貨物にあたる。

 

【スカ色】東海道線を走った湘南色に対して、横須賀線を走る電車はクリーム色と青色の2色で塗られ「横須賀色」と称された。この横須賀色を略して、スカ色と呼ばれた。

20180216_y-koba5 (9)↑かつては数多く走っていた「スカ色」のJR東日本115系(写真)。いまや、しなの鉄道で復刻された1編成のみとなってしまった

 

【スジ】列車の時刻のこと。元は時刻を表すダイヤグラム(列車運行図表)に書かれた斜めの線を指した。

 

【セノハチ】山陽本線の瀬野駅〜八本松駅間のことを指す。勾配が急なことからいまでも上り貨物列車のみ、後ろに補助機関車(補機)を連結、後押しして列車の運行を助けている。

20180216_y-koba5 (10)↑山陽本線の瀬野駅〜八本松駅間を通称「セノハチ」と呼ぶ。上り貨物列車の後ろには補助機関車が連結される。坂を登る電気機関車の唸り音が鉄道ファンの心をくすぐる

 

「た」は「単機」のた~♪

「た」は撮り鉄が気になるモノや列車の運行形態が揃っている。

 

【タイガーロープ】複線区間で上り下り線の間にある黒と黄色の支柱とロープのこと。保線作業の安全確保のために付けられているが、一部の過激なファンが抜き去り問題視された。

20180216_y-koba5 (11)↑複線区間では保線作業の安全確保のために、上下線を区切る「タイガーロープ」が設けられている。必要欠くべからざるものでもあるのだ

 

【単機】後ろに貨車や客車を付けずに機関車が1両のみで走ること。機関車のみが2両で走るときは、重連単機とも呼ばれる。ディーゼルカーや電車が1両で走ることは「単行」と呼ぶ。単機や単行は、写真として形にしにくく、絵づくりに苦労することが多い。

 

【団臨】団体臨時列車の略称。団体臨時列車では、希少な車両がふだん走らない路線を走ることもあり、注目を浴びやすい。

 

【鉄っちゃんバー】三脚上の雲台に取り付けるプレートで、最低2台のカメラを装着しシャッターが切れることから重宝して使われる。

20180216_y-koba5 (12)↑「鉄っちゃんバー」と使った撮影例。三脚+バーを使えばカメラ、ビデオ機器あわせて3台一緒に撮影可能となる。バーはカメラ用具店で販売される

 

よく見かけるアレは「はえたたき」!?

続いてナ行、ハ行にいってみよう。撮り鉄言葉には、長い言い回しをせずに、一部を略した言葉がよく見受けられる。

 

【ネタガマ】一般的な機関車ではなく、希少な国鉄原色機など、その日に目指す特定の機関車を指すときに使う。例えば「今日のネタガマはEF65の2139号機だね」といった具合だ。

20180216_y-koba5 (13)↑EF65形式直流電気機関車の2139号機。最近のJR貨物の機関車は検査に合わせ、国鉄原色に戻される傾向があり、撮り鉄から「ネタガマ」として珍重されている

 

【廃回】廃車回送のこと。解体に向け工場へ自力で回送する姿には寂しさがつきまとう。

 

【はえたたき】線路脇に立っている電柱のこと。まるで「はえたたき」の形のよう、というのでこう呼ばれる。非電化路線でも、この通信回線用の電柱が立っていることがある。撮影の際には隠れるようなアングルが大切となる。

 

【歯ヌケ】貨物列車は現在、コンテナを載せたコキ車を連ねた列車が多くなっている。コンテナが一部で積まれず、歯抜け状態になった様子を歯ヌケと呼ぶ。機関車のすぐ後ろのコンテナの歯ヌケ状態は絵になりにくい。

20180216_y-koba5 (14)↑連休明け月曜日の東海道本線の様子。貨車にほとんどコンテナが載っていないことがわかる。このような日は貨物列車の撮影は避けた方が賢明だろう

 

【ひがはす】東北本線の東大宮と蓮田間の有名撮影地のことを指す。東鷲宮〜栗橋間の撮影地「わしくり」とともに、寝台特急が走る頃には多くの撮影者が訪れ賑わいを見せた。

 

いまや見る機会がほとんどなくなった「マヤ検」

最後にマ行、ラ行を見ていこう。

 

【前パン】電車や電気機関車の先頭部分のパンタグラフが上がっている状態。事前にその部分に余裕も持って構図を作っておかないと、パンタグラフが切れた状態の写真となりがち。

 

【マヤ検】マヤとは国鉄時代に生まれた軌道検測用の車両で、いまはJR北海道とJR九州で使われている。このマヤを使った検査のことを言う。全国でわずか2両となり、その検査風景に出会うこと自体、希少となっている。

20180216_y-koba5 (15)↑北海道で偶然に出会った「マヤ検」。JR北海道で新型検査車両を導入したこともあり、今後はますます出会うことが難しくなりそうな列車だ

 

【レ】「レ」とは“レレレのおじさん”の「レ」ではない。「レ」は列車の「れ」のこと。「今日は23レが遅れているのかなあ」というように使う。列車番号の後ろに「レ」を付け、客車列車では「1レ」「801レ」というように付けて列車名を呼んだ。運転士と司令室間の連絡で「1」だけだと意味がわからないので「1レ(列車)……」と言って判断した名残と言われる。ちなみに電車は列車番号後ろに「M」、気動車は「D」が付く。これらの列車ではレを後ろに付けない。

 

撮り鉄言葉は、鉄道電報用語があったり、SLが消えていったころの経緯があったりと語源はさまざまだ。今回、取り上げた言葉は、そのごく一部。訳してみると難しい言葉は少ない。代表例を知っていれば、撮り鉄の間で交わされるおよその話は理解できるだろう。恐れず、鉄道写真にチャレンジしていただけたら幸いである。

【THE・無骨!】13年ぶりに復活したトヨタの世界的ワークホースの実力

個性派SUVの選択肢としても有望なピックアップトラックを紹介。語るべき長い歴史を持つ両車の魅力を試乗の感想を交えつつ、とことんガイドします。

 

世界的ワークホース、13年ぶりに日本で復活!

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トヨタ

ハイラックス

SPEC【Z】●全長×全幅×全高:5335×1855×1800㎜●車両重量:2080㎏●パワーユニット:2393㏄直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:150㎰/3400rpm●最大トルク:40.8㎏-m/1600〜2000rpm●カタログ燃費:11.8㎞/L●価格:326万7000円(X)〜374万2200円(Z)

 

 

エンジンは2.4Lのディーゼルターボを搭載

トヨタのハイラックスといえば、耐久性の高さに代表される実直な作りが世界的に評価されている銘柄。1968年に初代が登場して以降、これまでに約1730万台が180の国や地域で販売されてきました。日本では04年に販売終了となっていましたが、SUV市場の多様化を睨んで13年ぶりに復活。ボディタイプは、5人乗りのダブルキャブ仕様がセレクトされています。

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エンジンは、2.4ℓのディーゼルターボで、走りは飾り気のない見た目のイメージ通り。全長は5.3m以上、車重が2tを超える巨体とあって小回りは利きませんが、日常域では十二分な扱いやすさを発揮するのは意外でした。

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とはいえ、いわゆる乗用車ではないので、車内で聞こえる音は大きめ。また、積載を前提としているだけに、乗り心地もやや硬い。それだけに、SUVだと思うとそのキャラクターは無骨過ぎる印象も受けますが、何よりも個性を重んじるニーズにはピッタリの一台であることは確かです。

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充実の装備はトヨタ基準

上級グレードとなる「Z」の快適装備は、ピックアップトラックとはいえ乗用車レベル。トヨタ車らしく質感も高いです。

 

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悪路走破性は折り紙付き

堅牢なサスペンションは、長いストロークを持つだけに悪路走破性も秀逸。起伏の激しい路面でも優れた追従性を発揮します。

 

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まさにタフ&シンプル

最大積載重量は500㎏。オプションが豊富とあって、荷台は様々なコーディネートが可能(上)。4WD機構(下)はシンプルなパートタイム式で、通常時は2WDとなります。

 

ホンダの最新セダン、「アメイズ」って何者?

2月7日、ホンダのインド法人であるホンダカーズインディア・リミテッド(以下、HCIL)は、第14回デリーオートエキスポ 2018で新型車「AMAZE(アメイズ)」を初公開したと発表。このモデルは’18年中にインドでの発売を予定している。

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プラットフォームは新開発!

この新型車は2代目にあたるが、初代はアジア市場向けに開発されたコンパクトハッチバックの「BRIO(ブリオ)」をベースとして’12年に発売された「BRIO AMAZE(ブリオ アメイズ)」でタイやインド市場で成功を収めている。そこで、今回の2代目は、インド市場における1クラス上のプレミアムセダンの特長を備えたコンパクトセダンとして開発された。

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新開発のプラットフォームを採用し、全長4m以下とコンパクトな車体サイズでありながら空力にも配慮した洗練されたセダンスタイルに、ゆとりある広々とした室内空間と十分なトランクスペースを備えている。

 

また、優れた走行性能と快適な乗り心地を実現するとともに、最新の安全技術を採用している。

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2月7日に行われたプレスカンファレンスには、ホンダ代表取締役社長 八郷隆弘とHCIL社長 上野洋一郎が登壇し、新型「アメイズとインド市場について以下のスピーチを行なった。

 

・ホンダ代表取締役社長 八郷隆弘のスピーチ骨子

「インド市場は、ホンダの世界販売において重要なマーケットのひとつであり、ホンダは今後3年以内に、新たに6機種をインド市場へ投入する予定です。本日発表する新型アメイズと、グローバルモデルである新型『CR-V』、そして新型『CIVIC(シビック)』はその内の3機種であり、インド市場へのさらなるコミットメントの証です」

 

・HCIL 社長 上野洋一郎のスピーチ骨子

「HCILの2017年度の販売は、前期比17%増と素晴らしい成長を遂げています。今後の新商品投入により、2018年度はさらなる成長を目指します。新型アメイズは、インドの量販車セグメントにおけるホンダブランドの価値を高めることに寄与します。また、インド市場においては、歴代モデルの中で初となる、ディーゼルエンジンをラインアップに加えた新型CR-V、そして新型シビックにより、プレミアムブランドとしての確固たるプレゼンスをさらに強化していきます」

超高級車ならではの苦労?ベントレーが新作ウッドトリムを披露

2月12日、ベントレーはウッドパネルに用いる素材として、新たにアメリカン・レッド・ガム・ツリーから採取可能なリキッドアンバー(液状琥珀)を採用すると発表した。この最高級素材はベントレーにとって7つ目、5年ぶりに追加設定されたものとなる。

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同社の専門チーム「ベニアハンター」によって採取されたリキッドアンバーは、アメリカ南東部のミシシッピ湿地帯に生息するアメリカン・レッド・ガム・ツリー。この湿地帯は自然保護のため、ベニアハンターは1年に2回しか立ち入ることができない。この貴重な機会に収穫したリキッドアンバーは、ベントレーの本拠地である英国クルーまで運ばれる。

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この素材は深く豊かな茶色の光沢をたたえるようになるまでに、数週間にわたってスモーク処理される。その後、ウッドパネルとして使用するために0.6mmの厚さに裁断。ベントレーの厳格なテストを経て、各ベントレー車のインテリアに装着される。車両に装着できる状態に仕上がるまでに、少なくとも18カ月を要するという。

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今回の発表は、細部にまで素材にこだわり抜くベントレーのクルマ作りを明確に表している。ベントレーがラグジャリーブランドであることを改めて認識させるトピックだ。

【中年名車図鑑】日本車で初めて「250km/hクラブ」に名を連ねた“刺激的な”Zカー

クルマのハイテク化が急速に進んだ1980年代初頭の日本の自動車市場。日産自動車は最新の技術を駆使しながら、同社のスポーツカーの代表格であるフェアレディZの全面改良に邁進する。開発ターゲットに据えたのは、欧州の高性能スポーツカーだった――。今回は「較べることの無意味さを教えてあげよう」という刺激的なキャッチを掲げて登場した3代目フェアレディZ(1983~1989年)で一席。

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【Vol.55 3代目 日産フェアレディZ】

2度のオイルショックと厳しい排出ガス規制を乗り越えた日産自動車は、1980年代に入るとクルマのハイテク化を一気に推し進めるようになる。とくに同社のフラッグシップスポーツカーであり、重要な輸出モデルでもあるフェアレディZ、通称Zカーの開発に関しては、先進の技術を目一杯に盛り込む方針を打ち出した。

 

■ターゲットは欧州製スポーツカー

20180209_suzuki_123代目となるZ31型は欧州の高性能スポーツカーをベンチマーク。ロングノーズ&ファストデッキのデザインを踏襲したうえで、エアロダイナミクスを徹底追求した

 

3代目を企画するに当たり、開発陣は欧州の高性能スポーツカーをベンチマークに据える。具体的には、ボディやシャシー、パワートレイン、さらに仕様・装備といった項目で、欧州製スポーツを凌駕する性能を目指した。

 

ボディに関してはロングノーズ&ファストデッキの伝統的な車両デザインを踏襲したうえで、エアロダイナミクスの向上を徹底追求する。世界初のパラレルライジングヘッドライトの装備、バンパーおよびエアダムスカート一体のフロントフェイシアの採用、ボディ全般のフラッシュサーフェス化、後端のダックテール化などを実施し、結果としてCd値(空気抵抗係数)は0.31と、当時の日本車の最高数値を達成した。一方でシャシーについてはS130型系の前マクファーソンストラット/後セミトレーリングアームの形式を基本的に踏襲しながら、全面的な設計変更がなされる。最大の注目は世界初の機構となる3ウェイアジャスタブルショックアブソーバーの装着で、これを組み込んだ仕様を“スーパーキャパシティサスペンション”と称した。同時に制動性能も強化し、大容量の8インチタンデムブレーキブースターをセットする前ベンチレーテッドディスク/後ディスクを採用した。

 

パワートレインはフェアレディZとしては初めてV型レイアウトの6気筒エンジンを搭載し、さらに先進のターボチャージャー機構を組み合わせる。絞り出す最高出力は3L仕様で230ps。Cd値と同様、当時の日本車の最高数値を実現した。ちなみにターボチャージャー付きV6ユニットの量産化は、当時の日本車では初の試みだった。

 

装備面ではメーター脇に配したクラスタースイッチや雨滴感知式オートワイパー、世界初のマイコン制御上下独立自動調整オートエアコン、高級オーディオといった新機構が訴求点で、新世代スポーツカーにふさわしい快適性と先進イメージを打ち出す。室内空間自体も広がり、さらにASCD(自動速度制御装置)などの採用で安全性も向上させた。

 

■刺激的なキャッチコピーを謳って登場

20180209_suzuki_11雨滴感知式オートワイパー、世界初のマイコン制御上下独立自動調整オートエアコン、高級オーディオなど豪華装備をおごる

 

第3世代となるフェアレディZは、Z31の型式をつけて1983年9月に市場デビューを果たす。ボディタイプは先代のS130型系と同様に2シーター(ホイールベース2320mm)と2by2(同2520mm)を用意。搭載エンジンはVG30ET型2960cc・V型6気筒OHCターボ(230ps)とVG20ET型1998cc・V型6気筒OHCターボ(170ps)を設定した。

 

新しいフェアレディZの性能に関して、日産は相当に自信を持っていたのだろう。キャッチコピーには「較べることの無意味さを教えてあげよう」という刺激的な表現を掲げる。事実、VG30ET型エンジンの230ps/34.0kg・mのスペックは最大のライバルであるトヨタ・セリカXXの5M-GEU型2759cc直列6気筒DOHCエンジンの170ps/24.0kg・mを圧倒し、実際の最高速や加速性能も群を抜いていた。さらに欧州仕様ではポルシェ911などの最高速に迫り、自動車マスコミはこぞって「日本車で初めて“250km/hクラブ”へ仲間入り」と称賛した。

 

■マイナーチェンジで米国NDIのデザイン提案を採用

20180209_suzuki_10Z31にも人気のTバールーフ仕様が追加された。先代のS130型の標準ルーフと同じ剛性を確保したとアナウンス

 

大きな注目を集めてデビューしたZ31型系フェアレディZは、その新鮮味を失わないよう矢継ぎ早に新グレードを追加していく。1984年8月には先代で好評だったTバールーフ仕様をZ31型系にも設定。当時のプレスリリースでは、「新しいTバールーフは、S130型系の標準ルーフと同等の剛性を確保した」と豪語する。1985年10月には「走りがおとなしい」と言われた2Lモデルの評判を高めるために、RB20DET型1998cc直列6気筒DOHC24Vセラミックターボエンジン(ネット値180ps)を積む200ZRグレードを追加した。

 

1986年10月になると、Z31型系は大がかりなマイナーチェンジを受ける。最大のトピックはエクステリアの変更で、日産の米国デザインセンターであるNDI(日産デザインインターナショナル)が手がけた丸みを帯びたスタイリングは、“エアログラマラスフォルム”と称した。さらに、VG30DE型2960cc・V型6気筒DOHC24Vエンジン(ネット値190ps)を搭載する300ZRグレードを設定。同時にリアのディスクブレーキをベンチレーテッド化し、制動性能をより向上させた。

 

最大のマーケットである北米市場を意識しながら進化を続けたZ31型系フェアレディZは、1989年7月になるとフルモデルチェンジを実施して4代目のZ32型系へと移行する。その4代目は、Z31型系に輪をかけて高性能を謳うモデルに進化するのであった。

 

■グループCカーでも使われたフェアレディZのネーミング

当時のフェアレディZに関するトピックをもうひとつ。Z31型系の3代目フェアレディZが発表された1983年、サーキットの舞台でもフェアレディZの名を冠したモデルがデビューする。カテゴリーはグループC。日産自動車の支援を受け、セントラル20レーシングが造り上げた国産初の本格的なCカーは、「フェアレディZC」を名乗った。シャシーはル・マン設計のLM03Cで、エンジンは日産製LZ20Bターボを搭載する。ヘッドライトやリアランプのデザインには、市販モデルのZ31のイメージを取り入れた。1985年シーズンに入ると、フェアレディZCはローラT810シャシーにVG30ツインターボエンジンへと刷新。戦闘力をいっそう引き上げていた。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

レンジローバー・スポーツPHEVが「ヘブンズゲート」を踏破!

ジャガー・ランドローバーはこのほど、レンジローバー・スポーツのPHEVモデル「P400e」を使用した、とてもユニークなチャレンジを成功させた。題して「ザ・ドラゴン・チャレンジ」。

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舞台は中国・北京。観光名所にもなっている「ヘブンズゲート」だ。そこに至るまでにはまず、全長11.3kmにわたる「ドラゴンロード」を通らなければならない。ドラゴンロードは99におよぶコーナーの連続。そしてその先に待つのは45度の急勾配を持つ999段の階段だ。

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この場所をレンジローバー・スポーツPHEVで走破するというのが、「ザ・ドラゴン・チャレンジ」。ステアリングを握ったのは、パナソニック・ジャガーレーシングのリザーブドライバーで、ル・マン24時間レースでクラス優勝も達成したHo-Pin Tung選手である。

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レンジローバー・スポーツのPHEVモデル「P400e」のパワートレインは、300psを発揮する2リッター直列4気筒ターボのインジニウム・ガソリンエンジンに116psを発揮するモーターを組み合わせ、システム出力で404ps/640Nmを引き出す。EVでの航続距離は50kmにおよぶ。同ブランドの最新電気駆動パワートレインであるP400eの実力が、今回試されたというわけである。

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地元の人々によれば、ヘブンズゲートに続く999段の階段をクルマで登りきるのは不可能というが……。果たして結果は、見事に登り切ったのである。その様子はぜひ、動画でご確認を。

予想価格7,000万円!? トヨタ「GR」初のオリジナル・ハイパーカーとは

2018年1月の東京オートサロンで初公開された「GRスーパースポーツコンセプト」の市販化が噂されている。その価格はトヨタ市販モデル史上最高額となる7,000万円級とも言われている。

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東京オートサロンで公開された「GRスーパースポーツコンセプト」はWEC(世界耐久選手権)に参戦する「TS050」とほぼ同じパーツで構成されていたが、さすがに市販モデルでの実現には無理がある。

 

そこでこの予想CGだ。空力を意識したフロントはサイドのウレタンを全面に出し、LEDデイタイムランニングライトを装備。ヘッドライトはボディに合わせて2分割した。さらにサイドは大きくえぐられたラインはそのままに、大型エアスクープを備えた。市販化モデルとしてウィンドウを大型化し、リアウィングは若干抑え目にボディと一体化させて流線型を強調させている。

 

パワートレインは2.5リッターV6ツインターボエンジンにレース用ハイブリッドシステム「THS-R」を組み合わせ、最高出力は800psから1,000psを発揮すると予想されている。

 

ライバルは同じレーシングカーのシステムを搭載した「メルセデス AMG プロジェクトONE」で、限定500台以内の限定モデルでの販売となりそうだ。

次期型アストン・マーティン「ヴァンキッシュ」は700馬力のスーパーGTに大きく進化!

アストン・マーティンの次期型「ヴァンキッシュ」のウィンターテストをキャッチ。搭載パワートレインは現行「ヴァンキッシュS」の580psを凌ぐ700psを発揮する模様で、アストン・マーティンの最速モデルになると同時に、セグメントにおけるトップモデルとして大きく進化を遂げるようだ。

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巧妙にカモフラージュされているものの、エアスプリッター付き大口径ベンチレーションがフロントバンパー左右に配され、ボンネットには大径エアーバルジ、リアには開閉式スポイラーやディフューザーを装備するなど、まさしく「究極のGTカー」となるようだ。

 

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想定ライバルにフェラーリ「812スーパーファスト」を据えるだけに、0→100km/h加速は3.8秒にまで向上させるという。なお、この「究極のGTカー」のワールドプレミアは2018年9月が濃厚とされている。

ポルシェのEV戦略がさらに加速!

ポルシェAGはこのほど、プラグインハイブリッドとEVの両方に重点を置きながら、2022年までにE-モビリティに60億ユーロ(約8077億円)を超える投資を行なうと発表した。

 

ポルシェAG社長のオリバー・ブルーメはこのように説明している。
「当社はE-モビリティに対する支出を30億ユーロから60億ユーロ以上に倍増します。今回の決定によって、エンジン搭載モデルの開発と並行して、将来のために重要な進路を設定します」

 

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2022年までに60億ユーロ超を投資

 

30億ユーロの追加額の内訳は、5億ユーロが「ミッションE」とその派生モデルの開発、10億ユーロが既存のプロダクトレンジの電化およびハイブリッド化、数億ユーロが拠点の拡張、そして7億ユーロが新しいテクノロジー、充電インフラおよびスマートモビリティへの投資だ。

 

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ツッフェンハウゼンでは、新設の塗装工場、専用の組み立てエリア、塗装済みボディとドライブユニットを最終組み立てエリアまで運ぶためのコンベアブリッジを現在建設中。既存のエンジン工場はエレクトリックドライブを製造するために拡張されており、車体工場も拡張する予定だ。同時にヴァイザッハ開発センターへの投資も行なわれる。ミッションEプロジェクトでは、新たに約1200の新しい雇用を創出している。

 

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純粋な電気自動車のミッションEスポーツカーは、最高出力600psを発生し、0-100km/h加速は3.5秒以下でこなす。加速と制動を反復しても性能を損なうことがなく、航続距離は500km(NEDC) におよぶ。充電時間は非常に短く、800Vのシステム電圧を採用することによって、わずか15分の充電で400kmを走行することができる。

 

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一方、新型パナメーラの発売を機に、第3世代ポルシェ プラグインハイブリッドを備えたふたつのバージョンが加わっている。両バージョンともに電気駆動のみによる約50kmの航続距離を備えたモデルで、なかでもフラグシップモデルであるパナメーラ ターボS E-ハイブリッドは、4リッターV8エンジンとエレクトリックモーターが680psのシステム最高出力を発生し、卓越した性能と最高の効率性を見事に両立させている。このモデルは、ハイブリッドドライブシステムの採用によりラグジャリーセグメントで最もスポ-ティなモデルとなる。

 

ハイブリッドモデルに対してはカスタマーからも好評を得ている。市場発売以来、欧州で販売されたパナメーラ モデル全車両の約60%がこの最新ドライブを搭載。この数字はスカンジナビア地方でとくに高く、約90%に達しているという。

アルファ・ロメオのジュリアが北米で権威ある賞をゲット

日本カー・オブ・ザ・イヤーでは惜しい結果となってしまったアルファ・ロメオのジュリアですが、北米では権威あるモータートレンド誌のカー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。

 

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26車種46グレードを3種類のコースで改めて検証した結果の受賞で「市販車として最高のハンドリングを持つセダン」という評価。僕もそう思います。

 

 

嶋田智之 T.Shimada/趣味系自動車専門誌の編集長を務め、現在は自動車ライター&エディターとして活躍

 

 

 

ジャガーが往年の名作レーシングカーを丸々復刻!

ジャガー・ランドローバーは、2月7日からパリで開幕したクラシックカーの祭典「レトロモビル」おいて往年のレーシングカー、「ジャガーDタイプ」のフルレストア仕様を出品する。

 

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ジャガーDタイプは1954年から1957年に販売されたレーシングかーで、ル・マン24時間レースで1951年と1953年に優勝したCタイプの後継にあたるマシン。オールアルミ製ボディに3.4リッターの直6エンジンがフロントミッドシップマウントされ、4速MTを組み合わせているこのDタイプも、1955から1957年にル・マンを3年連続で制覇している。ジャガーのレーシングカーヒストリーを語るうえでは不可欠な存在だ。

 

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Dタイプのフルレストア仕様は、同社の「ジャガー・ランドローバー・クラシック・ワークス」で、25台がハンドメイドされる。その1台目が今回のレトロモビルで披露されるわけだ。

 

 

 

 

シトロエンの名作、2CVが70周年を迎える

往年の名車「シトロエン2CV」が今年、70周年を迎える。これを祝して、シトロエンは2月7日から11日までパリで開催するクラシックカーの祭典「レトロモビル」において、1939年製の「2CVタイプA」や1976年製の「2CVスペシャルエディション」を出品する。

 

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シトロエン2CVは1948年のパリ・モーターショーで初披露された。当時のフランス第16代大統領ヴァンサン・オリオールとともに登場。
前輪駆動、ソフト・ロングトラベル・サスペンション、空冷2気筒エンジンなど、当時としては画期的な技術が用いられたほか、ユニークなスタリングも特徴で、瞬く間に人気者に。1990年までの42年間で累計生産台数は510万台にのぼった。

 

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さらに今年のレトロモビルでは、1968年の誕生から50周年を迎える「メアリ」も出品。同ブランド最新の作である「C3エアクロス」とともに、シトロエンブースに展示されている。

 

 

 

えっコレ、キャンピングカーなの? 普段使いできる見た目は「フツーのクルマ」がブームの兆し

アジア最大級と言われるキャンピングカーショー「ジャパンキャンピングカーショー2018」が、幕張メッセ(千葉市)で2月2日~4日の日程で開催された。会場にはキャンピング・トレーラーなど、過去最多の360台以上が集結。同ショーで初お披露目となる新型車が登場したほか、普段使いもできる身近なキャンピングカーも出展され、多くの来場者で賑わった。

20180211_y-koba_ph02_R↑幕張メッセで開催された「ジャパンキャンピングカーショー2018」。会場には360台を超えるキャンピングカーが所狭しと並べられた

 

普段使いもできる身近なキャンピングカーが人気

会場に到着してまず目に入るのは、トレーラーやトラックをキャンピングカーに仕立てたものや、マイクロバスを改造した豪華な造りのもの。これらが会場には所狭しと並んでいる。説明員によれば、「退職した方が日本全国周遊の旅をするなど、それまで叶わなかった夢を実現しようとする方が多いですね。友人達とコミュニケーションを図る空間としてもキャンピングカーは人気です」という。ただ、その価格を見れば1000万円を軽く超えるものが多く、誰もがすぐに買える代物ではない。このサイズだと駐車スペースの確保も大変そうだ。

 

そんななか、最近になって人気が高まっているのが、普段使いもできるキャンピングカーたちだ。そこで本稿では、今後トレンドになりそうな“身近な”キャンピングカーを中心にご紹介したい。

20180211_y-koba_ph01_R↑大型で豪華さを競う一方、普段使いができるキャンピングカーも数多く出展されていた

 

2人が寝られるポップアップルーフを装備! 愛犬と一緒に過ごせる仕掛けが満載

まず見つけたのが、キャンピングカーを手掛けるホワイトハウス(愛知県)とホンダ・アクセスがコラボして作り上げた「FREED+DOG LOVER」だ。ホンダ・フリードをベースに大人2人が寝られるポップアップルーフを備えたうえで、愛犬と快適に過ごせる数々の特別な装備が用意されているのが特徴だ。

 

説明員は「キャンピングカーを買う理由として、愛犬と一緒に過ごせることを理由としている人がとても多い。そんなニーズに応えるために開発しました」と話す。

20180211_y-koba_ph04_01_R↑ホワイトハウス(愛知県)とホンダ・アクセスがコラボして作り上げた「FREED+DOG LOVER」。ベース車はホンダ・フリードで、ハイブリッドとガソリン車から選べる

 

ポップアップルーフを備えたベース車の価格は、上級グレードの「POP HOT Package」のハイブリッド仕様で337万円。それに愛犬仕様として58万円がプラスされて、395万円となる。そのなかにはビルトインウォーターサーバーや、飛び出し防止ネット、わんこの足跡をデザインしたフロアマットなどが含まれる。泊まるとき、人はポップアップしたルーフに寝て、愛犬はウォーターサーバーが付いたフロアで休む。もちろん、上下に人が一緒に寝ても構わない。

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20180211_y-koba_ph04_04_R↑ポップアップしたルーフには大人2人が寝泊まりでき、愛犬と一緒に過ごせる空間を車内に用意。愛犬が快適に過ごせる特別仕様もプラスされている

 

コスパ良し! キャンピングカーとしての実用性を持たせた5人乗り乗用車

次に見つけたのが日産自動車のコーナー。「NV350キャラバン」と「NV200バネット」のアウトドア仕様など計3台を出展。なかでも力が入っていたのは「NV200バネット」の「マルチベッドワゴン仕様」だ。この仕様車は、定員5名がゆったり乗車できる5ナンバー乗用車としての快適性を兼ね備えたのが特徴。左右跳ね上げ式のベッドシステムを備え、フロアパネルには撥水性に優れたロンリューム加工を施す。造り自体はかなりシンプルだが、日常の使い勝手までも意識した設計となっている。

 

説明員によれば、「車中泊しながらドライブするユーザー向けに販売価格を230万円台に抑えた。日常の買い物車としても使え、家族の送り迎えにも役立つ。それでいて、キャンピングカーとしての機能性もあわせ持つ仕様とした」という。

20180211_y-koba_ph05_01_R↑日産が出展した「NV200バネット」の「マルチベッドワゴン仕様」。一見すると単なるバンにしか見えないが、車両は5ナンバー登録できる5人乗り乗用車

 

キャンピングカーとしての実用性はどうか。フラットベッドは折りたたんだリアシートの背面と、跳ね上げ式ベッドを組み合わせるもので、これで大人2人がゆったりと寝られる。よく見るとリアシートの背面部は完全なフラットではないが、むしろ、このぐらいの角度があった方が簡単な枕があれば十分に寝られるはず。何より、基本設計がバンであることによって生み出された広大な空間が、ミニバンとは違ったゆったりとした雰囲気を感じさせる。

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20180211_y-koba_ph05_02_R↑リアには跳ね上げ式のフラットベッドが用意され、オプションで収納可能なテーブルの追加も可能。日常での使い勝手とキャンプに出掛けた際の便利さを兼ね備えた1台だ

 

広い車内空間を生かした“走るカラオケボックス”も登場

そして、キャンピングカーの楽しみ方として外せないのがカラオケだ。キャンピングカー専門店「トイファクトリー」では、カーナビメーカー「アルパイン」と協業して製作した「BADEN×ALPINEコラボモデル」を出展。イエースのロングバンをベースとした“走るカラオケボックス”を実現した。車内には「フローティング・ビッグX11」や12型大画面のリアビジョンがインストールされ、あわせて参考出品のハイエース用「スペースクリエイター」や「後席天井型スピーカー」等が組み合わされる。

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20180211_y-koba_ph06_04_R↑アルパインが「トイファクトリー」と共同で手掛け出展した「BADEN×ALPINEコラボモデル」。「フローティング・ビッグX11」を核に、12型大画面のリアビジョンがインストールされ、ハイエース用「スペースクリエイター」(参考出品)や「後席天井型スピーカー」(参考出品)等が組み合わされる。手に持っているのはヘッドレストに取り付けるサブスピーカー

 

スペースクリエイターは、車内でカラオケが楽しめるBluetoothマイク付きユニットで、ハイエース用は初めて。さらにルーフの左右にはハイエース専用の後席天井型スピーカー(参考出品)を配置し、リアシートのヘッドレストに取り付けるサブスピーカーまで用意する。ハイエースはキャンピングカーとしては人気だが、運転席下にエンジンが搭載されていることから走行中のノイズは比較的大きめ。つまり、そんなハイエースでも曲の旋律がしっかり聴き取れるためのスピーカーとして新たに開発されたものなのだ。

 

システムを開発したアルパインでは、スペースクリエイター対応のカラオケソフトを用意。ヤマハが運営する音楽配信サイト「mysound」のアプリからカラオケ曲をダウンロードして楽しむが、「ハイエースのような広い空間で大画面は必須と感じているユーザーは多い。カラオケはそれを生かせる最適な組み合わせとして人気が高い」(アルパイン)という。

 

キャンピングカーがあれば、思い立ったらすぐに旅に出られるだけでなく、普段生活を共にしているペットも一緒に連れて行けるのが最大の魅力。最近は風呂や料理ができるキャンプサイトも充実していて、温泉施設が付属する道の駅も数多く登場したことで、より手軽にキャンプが楽しめるようになった。自然と交わりながら楽しむキャンプの魅力を実感できたショーだった。

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20180211_y-koba_ph07-02_R↑メルセデス・ベンツはショー会場にいて、V220dスポーツロングをベースとし、ポップアップルーフを装備したミニバンのV220d Marco Polo HORAIZONを発表。3列目シートにフルフラット機能を採用し、車内に広々としたフラットスペースを確保。就寝時には大人3名までが利用できる

 

 

次期型「CLA」を初激写! ノッチバックからファストバックにスタイリング変更!?

メルセデス・ベンツ「Aクラス」をベースとした4ドアセダン「CLA」の次期型の姿がこのほど、スウェーデン北部で捉えられた。その姿はカモフラージュによってノッチバック風ではあるが、情報によれば「AMG GTコンセプト」からインスピレーションを得たように見えるファストバックスタイルへと変貌するという。

 

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ヘッドライトはダミーが装着されているが、「AMG GTコンセプト」のデザインを彷彿とさせるワイドなグリルなどが装備されると予想される。室内はデュアルディスプレイをコックピットに配置する新世代インフォテイメントシステム、「MBUX」(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)の搭載が有力だ。

 

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パワートレインは2.0リッター直4ターボなどのほかに、トップモデルにはコードネーム「プレデーター」と呼ばれる最高出力は400ps超の「AMG CLA45ハイブリッド」が君臨するという。

 

早ければ2019年秋、遅ければ2020年3月のジュネーブモーターショーでワールドプレミアとなりそうだ。

 

 

 

ウィンタースポーツの新提案? フェアレディZの雪上仕様が登場!

北米日産はこのほど、日産370Z(日本名:日産フェアレディZ)をベースにしたワンオフモデルのスノーモービル、「370Zki(370スキー)」を発表。2月10日から19日まで開催するシカゴモーターショーで初披露する。

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この370Zkiはスキー場のゲレンデを走行するスノーモービルとして開発されたもので、ベースはオープンモデルのロードスター。332ps/366Nmを発揮する3.7リッターV6エンジンと7速ATのパワートレインは市販車のままだが、4つのタイヤに代えて、フロントには長さ142cm、幅30cmのスキー板を、リヤには長さ122cm、幅38cm、高さ76cmのクローラーが装着されている。

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これらを装着するためにリアのホイールアーチが拡大されたほか、ブレーキラインやエキゾーストシステムなどがカスタマイズされている。また、エクステリアはボディラッピングが施され、ヘッドライトユニットはスキーのゴーグルに見立ててイエローにペイントされているのが面白い。

地下鉄日比谷線の「車内BGM」は本当に“心地よい”サービスなのか?

筆者の知人で「サウンドスケープ」を専門としている大学の先生がいる。建築業界などで一般的に使われるランドスケープを由来とするジャンルで、日本語に訳せば「音の風景」となるようだ。たしかに海辺にいるときの波の音、山に分け入ったときの川のせせらぎなどは、目を閉じていてもどんな場所かが分かる、その場所になくてはならない音の風景だ。

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筆者もこういう音は大切にしたいと思うひとりであるが、日本の観光地ではしばしば、自然の音をかき消してあまりあるぐらい大音量のBGMを流しまくる土産物店があったりして、ガッカリすることが多い。その点乗り物は、自家用車については好みの音楽を聞きながらドライブすることも多いが、公共交通は自分が乗った経験では、飛行機や船が到着直前にBGMを流すことはあるものの、鉄道やバスを含めて移動中ずっと音楽を流された経験はない。

 

鉄道で言えばガタンゴトンというローカル線の走行音に魅力を感じる人もいるし、そもそも公共交通はその名のとおり公共空間であるから、万人にとって満足できる音環境は静かであるという考えなのだろう。音楽が欲しい人は携帯音楽プレーヤーを持ち歩けば良いわけだし。

 

ところが最近、この常識に対抗するような電車が走りはじめた。東京メトロ日比谷線で、新型車両に導入された高音質の放送システムを活用するかたちで、車内BGMの試験運用を始めたという。もともとこの車両では放送システムのテストのためにBGMを使っていたそうだが、昨年間違って営業列車内でこれを流してしまった。ところが一部の利用者から「心地よかったのでこれからも続けてほしい」という意見があり、営業列車でのBGM試験運用につながったという。当面は日中時間帯の2往復のみBGMを流すとのことで、クラシック音楽とヒーリング音楽が流れる。もちろんボリュームは通常の車内放送より抑えられる。

 

ここまで読んできた方なら想像できるように、筆者は日比谷線のBGMには反対だ。理由は前に書いたように、公共交通の車内は公共の場だからである。公共空間は他人に迷惑を及ぼしたり器物を破損したりしなければ、基本的に過ごし方は自由だ。本を読んでも寝てもいい。音楽を聴きたい人がいれば聴きたくない人もいる。ゆえに聴きたい人は前述のように携帯音楽プレーヤーを持ち歩くことになる。

 

海外の公共交通には「次は〇〇」という案内さえしないところもある。これも公共性を重視しているからだろう。次の駅で降りる人や終点まで乗っていく人など、車内放送が不要な場合はたしかに存在する。そんな場で音楽を流し続けるというのは、押し付けがましいのではないかという感じがする。クラシック音楽やヒーリング音楽というと聞こえはいいけれど、電車に乗るすべての人がこれらの音楽を好むとは限らないし、車内で寝たい人や本を読みたい人にとっては耳障りになる可能性もある。

 

国際線エアラインのようなヘッドホンで聞くサービスをスマートフォンのアプリなどで提供したほうが、場にふさわしいのではないかという気がする。経路検索アプリと統合して、乗り換え駅や目的駅が近づいたらCAのアナウンスのようにメッセージが割り込んで入るようになれば、乗り過ごす心配もなくなる。

 

最初に紹介した先生によれば、日本をはじめとするアジアはランドスケープやサウンドスケープへの関心が薄いという。たしかに駅を筆頭に日本の多くの公共施設は案内と広告と注意書きであふれている。音についても例外ではなく、常になんかしらのアナウンスやBGMが流れている印象だ。ついでに言えば照明は明るすぎ、LEDのイルミネーションは色が派手すぎると感じる。

 

サービスは過剰なほど良い。昔はそういう考えが主流だったかもしれない。でもその結果、音を含めた景観面は確実にマイナスになっている。必要にして十分な、研ぎ澄まされたサービスのほうが心地よいと感じるのは筆者だけではないはずだ。

 

【著者プロフィール】

モビリティジャーナリスト 森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

THINK MOBILITY:http://mobility.blog.jp/

“撮り鉄”が大井川鐵道で起こした2つのトラブルから、嫌われない「撮影マナー」を考える

鉄道写真の愛好家たちは通称“撮り鉄”と呼ばれている。この言葉自体には本来、マイナスの意味合いはないはずなのだが、ここ数年、さまざまなトラブルが各地で報告されたこともあり、どうも世間から好ましくない存在だという風潮が強まっているようにも見える。実は、筆者も鉄道写真を撮るのが大好きな“撮り鉄”の1人であり、撮影していると、近くを通る人たちから冷たい視線を感じることがある。

 

“撮り鉄”という言葉に、付きまとうマイナスのイメージ。こうしたイメージのままで良いのだろうか? SL列車の運転で知られる、静岡県を走る大井川鐵道で2017年に実際に起こった2つのトラブルを例に、“撮り鉄”のマナーを考えてみた。

 

「場所取り」で同好の人たちや鉄道会社を憤慨させた例

2017年10月15日、大井川鐵道本線は、元西武鉄道のE31形電気機関車が復活、特別列車を牽引するということで、賑わいをみせていた。

20180209_y-koba7 (5)↑元西武鉄道のE31形34号機が2017年10月に復活。この電気機関車が特別な客車列車を牽くとあって鉄道ファンの注目を集めた

 

トラブルが起きたのは、島田市川根町の抜里(ぬくり)踏切。抜里駅に近く、編成写真がきれいに撮影できるスポットとしてよく知られている。

20180209_y-koba7 (6)↑抜里踏切で撮ったSLかわね路号。編成写真が良く撮れるポイントとして知られている

 

この日、多くの鉄道ファンが、少しでも良い写真を撮影しようと、場所を確保すべく早めに訪れていた。そんな道沿いにちょっと異質な“場所取り道具”が置かれていた。だいぶ前から置かれたものらしい。

20180209_y-koba7 (2)↑トラブルがあった抜里踏切。踏切の手前のやや広がっているあたりが撮影の好適地とされる。道幅はクルマ1台が通れるぐらいしかない

 

20180209_y-koba7 (3)↑問題となった“場所取り”。折り畳み式の踏み台と小さめの三脚、さらに黄色いテープを張って場所を確保していた(写真提供:大井川鐵道)

 

20180209_y-koba7 (4)↑踏み台には「場所取りをしています」との張り紙が。無断移動・無断撤去は厳禁ですという言葉とともに、「ルール(順番)を守りましょう」とある(写真提供:大井川鐵道)

 

道の端に置いてあるとはいっても、1番上の写真を見ていただくとわかるように、道は細い。踏切の前後で道をやや広げてあるものの、この場に立ってみると、クルマが通行するたびに道端にいても気をつかう。また運転している側も、立っている人や置いてあるものを引っかけないか、気をつかう。

 

ましてや置きっぱなし。場所取りのためとはいえ、通行の妨げになる。さらに踏み台にあった「場所取りをしています」の張り紙には、「最悪の場合は、ポアされることがありますのでご注意ください」と刺激的な言葉があった。

 

この場所取りのやり方に憤慨した同好の人たちが、大井川鐵道の職員に写真を送付した。その写真が上の2枚だ。この場所の取り方を問題視した大井川鐵道では、列車が走った2日後の10月17日に公式ツイッターで先の鉄道ファンから提供された写真と原稿を掲載した。

 

「抜里駅の踏切近くの路上を不法に占拠する事案がありました。(中略)違法性も高く、ファンの方同士及び沿線住民の方とのトラブルにつながるものと判断し、警察に通報済みです」。

 

この話題はネットのニュースにも取り上げられ、瞬く間に拡散された。

 

「98%の“撮り鉄”は良識ある人たちだと思っています」

想定外と思えるほど、反響を呼んだこのツイッター投稿。多くの人たちから声が寄せられたが、大井川鐵道の問題提起を支持する声が圧倒的に多かった。

 

大井川鐵道広報の山本豊福さんは次のように話す。

 

「ここまで大きな反響があるとは思ってみませんでした。私たちは撮り鉄の方を敵視する気持ちは全くありません。写真を撮られる98%の方は良識ある方だと思います。ごく一部の人が、こうした問題のある行動をする。そうした行為が撮り鉄の方々の全体のイメージを損ねることに結びついているのではないでしょうか。」

 

地元経済のために少しでも良かれと特別列車や、きかんしゃトーマス号などを走らせてきたことが、逆に地元の人たちに迷惑をかけているのはないか。大井川鐵道はそうした思いをいだき、鉄道ファンの一人一人に考えてもらおうと問題提起をしたのだった。

 

問題提起が予期せぬほどの大きな反響を呼んだが、 「私たちは単純にマナーを守ろうよ、ということを言いたいだけなのです」と山本さんは言う。

 

地元に住む人たちや、電車に乗る人に迷惑をかけずに、鉄道撮影を楽しむ。マナーを守ってごく一般的な方法で撮影を行い、また注意を払っていれば、問題は生まれないように思える。

20180209_y-koba7 (7)↑抜里踏切では三脚を立てるときも道の端ぎりぎり構え、また通行するクルマにも注意を払いながらの撮影が肝心になるだろう

 

20180209_y-koba7 (8)↑抜里踏切を越えた大井川河畔には大きな駐車スペースもあり、撮影時に利用できる。すぐ隣にはゲートボール場もある

 

写真撮影のために鉄道敷地内に入れば罪に問われる

大井川鐵道の沿線では、2017年6月17日のきかんしゃトーマス号の運転開始日に3人が無断で敷地内に入り、罪に問われている。この問題、どのような状況だったのか、振り返っておこう。

20180209_y-koba7 (11)_2↑2018年は6月から、きかんしゃトーマス号も運転の予定だ。地元・島田市と川根本町では、警察署も含め少しでも盛り上げたいと万全のサポート体制をとっている

 

罪に問われたのは東京都西東京市の男性会社員(62歳)と、川根本町の無職男性(89歳)、島田市の自営業男性(55歳)の3人である。この3人は大井川鐵道本線の福用駅と田野口駅近くの鉄道敷地内に侵入したところを、巡回中の島田警察署の署員に発見された。

20180209_y-koba7 (9)↑線路内への立ち入りが確認された田野口第3踏切。この踏切から線路内を歩き撮影地に向かったとされる

 

20180209_y-koba7 (10)↑大井川鐵道本線が走る地元の島田警察署。きかんしゃトーマス号などの人気列車が走る時は、署員が沿線の巡回を行っている

 

線路内に入る行為は鉄道営業法37条の罪に問われる。

 

第37条 停車場其ノ他 鉄道敷地内二妄二立ち入リタル者ハ 10円以下ノ科料二処ス

 

明治33(1900)年という古い法律のため、文言は難しく、罰金が低額(現状、10円ということはない)だが、要するに「鉄道敷地内にむやみに入ったら罰金ですよ」ということだ。

 

島田署の署員に鉄道敷地内に入っているところをが発見された先の3人は、その後にどのようなことが待ち受けていたのだろう。

 

まず、当日は、鉄道敷地内でカメラを構えていた人は、すぐにその場所から排除された。住所名前などを聞かれ、後日、島田警察署まで出頭させられた。3人のうち2人は沿線の住民だったが、東京都内に住む人は後日に島田警察署を訪れることになったという。その後、3人は10月20日に静岡地検へ書類送致された。

 

島田警察署の水野俊行地域課長と若林貴彦生活安全課長は次のように話す。

 

「3人の方々、皆さん、素直に鉄道敷地内に入ったことは認めています。やはり鉄道敷地内に入って撮影するというのは危険です。電車を止めてしまうということもありますので。善意のファンたちも楽しみに大井川鐵道に来られますので、足を引っ張り、迷惑をかけないようにしていただきたいですね。」

「地域の方も盛り上げていますので、万が一、けが人などが出るなどの問題が起こって、今後列車を運転しないということになったら、取り返しがつかないことになります。観光面などへの悪影響をもたらしてしまう。撮り鉄の方にはぜひともルールを守って楽しんでもらえればと思います。」

 

ちなみに、鉄道敷地内に入る行為への罪は軽微だが、もしそこで電車を止めてしまったら列車往来危険罪に問われ、逮捕という可能性もある。列車に巻き込まれたら最悪の結果につながる。鉄道敷地内に入ることは、それだけ危険性があることを胆に命じておきたい。

 

嫌われない撮り鉄になるために、やっておきたいこと

筆者は普段からいろいろな撮影スポットを訪れ、ほかの撮り鉄の人たちと交流することもある。その経験を踏まえ、自分が全国を撮影で回る上で大切にしていることをいくつかお伝えしたい。

 

■誰にでも「おはようございます」「こんにちは」の声かけ

まずは撮影地で先に構える人がいたら挨拶を心がけている。するとコミュニケーションが格段に取りやすくなる。

 

付近を散歩する人が近づいたら、やはり挨拶する。都会では無視されることも多いが、地元の人への声かけは、嫌われないための一歩のように思う。地元の人たちから撮影に向いた場所など有効な情報を得られることもある。

20180209_y-koba7 (12)↑通行する人に迷惑になる場所では三脚立てなどの行為は慎みたい。写真は高崎線のある撮影地。川の土手のため、一般の人に迷惑にならず、そのため撮り鉄の聖地になっている

 

■自分が持ち込んだゴミは持ち帰る

せっかく訪れた有名な撮影地がゴミだらけで、げっそりすることがある。もちろん撮り鉄だけでなく、一般の人が捨てる例もあるかと思う。だが、明らかにここは撮り鉄しか行かないだろう、という場所でこうした例が見られることがある。

20180209_y-koba7 (13)↑山梨県内の有名撮影地の例。同撮影スポットは線路がより低い位置にあり、気になっていても、降りてゴミを収集することができない。何年にもわたってこの状態が続く

 

逆に、撮り鉄のなかに素晴らしい行動を行う人がいたことについても伝えておきたい。

 

信州上田の有名撮影地で。彼は自分が持ち込んだゴミはもちろん、すでに落ちていたゴミや吸い殻も持参の袋に入れ始めたのである。持ち帰って適切な場所で捨てると言うのだった。海外でのサッカーの試合で日本人はスタンドのゴミを拾って持ち帰るということで称賛された例がある。撮り鉄のなかには、こうしたマナーを大事にする人もいるのだ。

 

■駐車場所には細心の注意を払う

自身にもあった失敗例は駐車場所だ。それによって地元の人に迷惑をかけ、自分もイヤな思いをした経験がある。

 

ということもあり、最近は都市部では駅からなるべく歩いて目的地へ出向き、地方ならば、時間にゆとりを持って、その場所へ行き、駐車場や、確実に迷惑がかからず不法とならない所に駐車する。駅から歩くことは健康にも良いし、何より停めたクルマに気を使わずに済むので、撮影をより楽しむこともできる。

 

マナーの問題というのは、言われた側は、ついうっとうしいな、と感じたりするもの。筆者も、面と向かって言われれば、“カチン”となってしまうときもある。感情のコントロールはなかなか聖人のようにはいかないものだ。とはいえ、どんなときも冷静になって、自らの行動を振り返ってみる必要がある思う。一人一人のそうした心掛けが、撮り鉄へのマイナスイメージ払拭につながるのではないだろうか。

FCAがジープとRAMの魅力的なCMをスーパーボウルで披露!

FCAは2月4日、全米でテレビ中継された第52回スーパーボウルで、新型ジープのラングラーやチェロキー、そしてRAM1500の登場するユニークなコマーシャルを放映した。

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放映されたCMは5種類。新型ラングラーが登場する「Jeep Jurassic」と「Anti-Manifesto」、新型チェロキーが登場する「The Road」、そしてRAM1500が登場する「Built to Serve」と「Icelandic Vikings | We Will Rocj You」だ。

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いずれも60秒または30秒での構成。とくに新型ラングラーの「Jeep Jurassic」は、映画「ジュラシックパーク」のパロディの乗りなのだが、なかなかの作り込み。RAM1500の「Icelandic Vikings | We Will Rock You」は、日本未導入ブランドのクルマが登場するものの、タイトルのとおり有名なナンバーが使われており、見るだけでも面白く、アメリカンブランドならでは。各モデルの世界観が上手く表現されている。

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これらのCMに登場するモデルのうち、新型ラングラーと新型チェロキーはいずれ日本にも上陸するはず。ジープファンにとっても要チェックの動画、いずれもYouTubeで確認できるので、ぜひ。

 

・「Jeep Jurassic」

・「Jeep Jurassic」

・「The Road」

・「Built to Serve」

・「Icelandic Vikings | We Will Rock You」

マツダ・ビジョン・クーペが最も美しいコンセプトカーに選出!

マツダは2月1日、フランスのパリで開催中の「第33回フェスティバル・オートモビルズ・インターナショナル(国際自動車フェスティバル)」において、現地時間の1月30日に「マツダ VISION COUPE(ビジョン・クーペ)」が「Most Beautiful Concept Car of the Year賞」に選出されたことを発表した。

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この賞は、著名な建築家やファッションデザイナーなどの選考委員によって、その美しさ、デザインにおける創造性や新しいトレンドを最も体現しているコンセプトカーに贈られるもの。2016年に「Mazda RX-VISION」が同賞に選出されており、マツダでは次世代デザインを牽引するふたつのコンセプトカーでの受賞となる。

 

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マツダのデザイン・ブランドスタイルを担当する前田育男常務執行役員は受賞に際して次のようにコメントしている。
「ビジョン・クーペでは光のリフレクションで生命感を表現するという、魂動デザインの新しい方向性に挑戦しました。日本の繊細な美意識を反映したこのクルマが、RX-VISIONに続き芸術の都パリで認められ大変光栄に思います。今後も日本の自動車メーカーとしてのアイデンティティを持ち、世界を魅了する美しいクルマを作っていきたいです」

 

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ビジョン・クーペは、2017年に世界初公開されたマツダの次世代デザインビジョンモデル。デザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」を日本の美意識にもとづき深化させ、伸びやかでシンプルなワンモーションフォルムを創造している。また、マツダのデザインヘリテージである「ルーチェロータリークーペ」などの美しさを礎として、エレガントで上質なスタイルを追求したものだ。

 

このビジョン・クーペはオテル・デ・ザンヴァリッドで開催中のコンセプトカー展示会において1月31日から2月4日(現地時間)まで展示された。

 

 

 

間もなくお披露目なるか!? 新型トヨタ「スープラ」とBMW「Z4」による奇跡の2ショット!

現在、トヨタとBMWが共同開発を進めているトヨタ「スープラ」とBMW「Z4」の両モデルの次期型プロトタイプがバックショットながら揃って捉えられた。

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「86」を彷彿とさせるテールライトが印象的な次期型「スープラ」は、トヨタのスポーツ系新ブランド「GR」ブランドから発売される可能性もあることから、いまだネーミングについては断定できないが、欧州の最新レポートによると、この「スープラ」をベースとして高性能な「GR」や「GRMN」モデルがラインナップされそうだ。

 

次期型「スープラ」のプラットフォームにはBMW製「CLAR」を採用して大幅な軽量化を実現する見込みで、搭載パワートレインは250psを発揮する2.0リッター直4ターボのほか、BMW製の3.0リッター直6ターボで最高出力340psのエンジンが予想されており、各々、販売価格は500万円~600万円、700万円~800万円とやや高めに設定されるようだ。

 

一方の次期型「Z4」は、最高出力190psと250psを発揮する 2.0リッター直4ターボと最高出力350psを発揮する3.0リッター直6ターボ、パワーモードで最大240psを発揮するハイブリッドがラインナップ予定という。

 

両モデルともに2018年3月のジュネーブモーターショーでのワールドプレミアとなるか?

【中年名車図鑑】ワールドワイドなジムニー人気を決定づけた記念碑的一台

鈴木自動車工業は1981年にジムニーの全面改良を実施して2代目に切り替える。新設計のラダーフレーム構造にスクエアなボディを架装した新世代のコンパクト4×4は、軽自動車版がSJ30/JA71/JA11/JA12/JA22、小型車版がSJ40/JA51/JB31/JB32へと変遷。海外市場でもSJ410やSJ413、SAMURAIなどの車名でリリースされて高い人気を獲得した。今回はジムニー人気を決定的なものとしたRV志向の第2世代で一席。

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【Vol.53 2代目スズキ・ジムニー】

厳しい排出ガス規制や高まる省燃費への要請に対し、持ち前の創意工夫と高い技術力で対応した1970年代終盤の鈴木自動車工業(現スズキ)。一方で開発現場では、輸出モデルの先兵となるコンパクト4×4車のジムニーの全面改良を画策していた。

 

既存のジムニーではF8A型797cc直列4気筒OHCエンジン(41ps)を搭載したSJ20(日本名ジムニー8。1977年10月発売)が順調に輸出台数を伸ばしていた。ここで現地からは新たな要望が寄せられる。もっと室内を広くできないか――。SJ20は基本的に軽自動車のSJ10と共通のボディだったため、海外に向けた小型車としてはどうしても室内空間が狭かったのだ。次期型のジムニーは、海外のユーザーが満足でき、しかも日本の軽自動車枠に収まるボディ構造に仕立てなければならない――。この目的を達成するために、開発チームは日本のみならず欧米でのリサーチを実施。また、主力メンバーが実際にアメリカなどに赴き、現地での4×4車の使い方などを徹底調査した。

 

■輸出を意識したフルモデルチェンジを画策

2代目のジムニーは世界戦略車としての位置づけ。直線基調のRVっぽいデザインを採用する2代目のジムニーは世界戦略車としての位置づけ。直線基調のRVっぽいデザインを採用する

 

世界戦略車として位置づけた第2世代のジムニーは、まず軽自動車モデルのSJ30が1981年5月にデビューする。キャッチコピーは“Tough&Neat”(Tough=頑強な、Neat=きちんとした、均整のとれた)。ボディタイプはキャンバスドア/ハーフメタルドア/フルメタルドア/バンデラックス/バンと豊富にラインアップした。

 

2代目ジムニーの基本骨格は、角型鋼管フレームをクロスメンバーで補強した新設計のハシゴ型構造に、ホイールベースを従来の1930mmから2030mmにまで拡大したうえで剛性を高めた直線基調の新ボディを架装する。懸架機構は従来型より路面追従性を高めるようにセッティングした前後縦置きの半楕円リーフスプリングを採用した。搭載エンジンには、減速時燃料制御機構を組み込んで省燃費化を図ったLJ50型539cc直列3気筒2サイクルを採用する。最高出力は28psを発生。耐久性などの向上を狙って、新鮮なオイルをエンジン主要部分にポンプで直接給油するCCISもセットした。組み合わせるトランスミッションはフルシンクロの4速MTで、最終減速比は4.777に設定する。駆動機構には耐久性と信頼性を高めたパートタイム式4WD(2H/4H/4L)を採用。制動機構は前ツーリーディング/後リーディングトレーリングで、回路には2系統式を導入した。

軽自動車規格いっぱいまで広げた快適性の高いインテリア軽自動車規格いっぱいまで広げた快適性の高いインテリア

 

エクステリアに関しては、従来のミリタリー調のジープルックから直線基調のレクリエーショナルビークル然としたスタイリングに刷新したことが訴求点となる。また、コーナー部に丸みを持たせ、同時にサイド部にプレスリブを入れるなどして強度をアップ。オープンタイプにはセンターエクステンションと称するロールバーも装備した。ほかにも、インパネ左右両側のレバーを操作するだけで簡単に前倒しできるフロントウィンドウや側面および後部の窓を大型化したソフトトップなど、ジムニーならではの機能装備を設定する。内包するインテリアについては、直線基調のボディを採用して軽自動車枠いっぱいに空間を広げたキャビンルームに性能を引き上げたヒーター&デフロスター、フルリクライングやスライド機構などを内蔵したフロントシート、前向き2名掛けとした格納機構付きのリアシートなどで構成した。

 

■小型車ジムニーのラインアップと進化

ジムニー1000。オーバーフェンダー、専用デザインのバンパーが目を引くジムニー1000。オーバーフェンダー、専用デザインのバンパーが目を引く

 

輸出モデルの新型ジムニーは、1981年半ばよりSJ410として発売される。そして、1982年8月にはSJ410の日本仕様となるSJ40が「ジムニー1000」の車名で発売された。搭載エンジンはF10A型970cc直列4気筒OHCユニットで、52psの最高出力を発生。組み合わせるトランスミッションはフルシンクロの4速MTで、最終減速比は4.111に設定する。駆動システムはパートタイム式4WD。フロントアクスルにはジムニー初のフルフローティング方式を採用した。タイヤには195SR15サイズのラジアルタイヤを装着し、それを収める目的で片側35mmのオーバーフェンダーならびに専用デザインの大型バンパーをセット。トレッドはSJ30比で+20mmの前1210/後1220mmとなった。また、内外装にはサイドストライプや6穴ホワイトホイール、サイドガード、専用シート表地といった新アイテムを装備。ボディタイプはハーフメタルドア/フルメタルドア/バンのほか、ロングホイールベース(2375mm)のピックアップをラインアップした。ちなみに、SJ410およびSJ40は優れた前後重量バランスやトラクション能力の高さなどが好評を博し、後に歴代モデルを代表するエポックメイキングに発展する。また、このSJ410およびSJ40と軽自動車のSJ30はフレームやシャシー、さらにドライブトレインなどが基本的に共通、つまり1L級エンジンのパワーや重量に対応した設計が当初からSJ30にも施されており、この特性が後にオフローダーとしてのSJ30の賛美につながることとなった。

高速走行時の快適性を追求したジムニー1300高速走行時の快適性を追求したジムニー1300

 

1984年8月になると、1.3Lエンジンを搭載した輸出モデルのSJ413がデビューする。そして同年11月には、JA51の型式をつけた「ジムニー1300」が日本でリリースされた。高速走行での快適性を向上させる目的で設定されたJA51は、搭載エンジンにエアインダクションなどを組み込んで燃費向上を図ったG13A型1324cc直列4気筒OHCユニット(70ps)を採用。組み合わせるトランスミッションには、歴代初の5速MTが設定される。ボディタイプはハーフメタルドア/フルメタルドア/バンに加えて乗用車登録のワゴンを用意。さらに、翌’85年12月にはパノラミックルーフワゴンを設定した。

 

■4サイクルターボエンジンの採用と660cc化

1986年1月になると、軽ジムニーに新車種が設定される。電子制御燃料噴射装置のEPIを組み込むF5A型543cc直列3気筒OHCターボエンジン(42ps)を搭載したJA71が登場したのだ。トランスミッションには最終減速比を5.375と低めに設定した5速MTを採用。フロントサスにはトーションバー式スタビライザーをセットする。ボディタイプはフルメタルドア/バンの2タイプを設定した。1987年11月になると一部改良を実施し、インタークーラー付ターボ仕様(52ps)がラインアップに加わる。ボンネットにはエアインテークを新装備。フロントグリルはスロットタイプからラダータイプに刷新された。さらに、新ボディタイプとしてパノラミックルーフを追加する。一方、この一部改良に伴って2サイクルモデルのSJ30はカタログから外れた。

 

1990年3月になると軽自動車の規格改定に則したマイナーチェンジを行い、搭載エンジンをF6A型657cc直列3気筒OHCインタークーラーターボ(55ps)に換装したJA11に切り替わる。フレームやボディなどの基本骨格は従来を踏襲するものの、大型バンパーを前後に装着することで全長は100mmほど伸び(3295mm)、またフロントグリルの意匠も変更した。1991年6月には一部改良が施され、エンジンパワーは58psへとアップ。また、フロントグリルが横スリット1本のタイプに刷新され、全体のフラッシュサーフェス化もいっそう進められた。1992年7月になると、トランスミッションに3速ATを追加。また、パワーステアリング装着車を新規に設定する。そして、1995年2月からは特別仕様車のランドベンチャーを皮切りにエンジンのパワーが64psにまで向上した。

93年に登場したジムニー1300シエラ。大きなオーバーフェンダー、フロントのガイドバーが特徴的93年に登場したジムニー1300シエラ。大きなオーバーフェンダー、フロントのガイドバーが特徴的

 

軽ジムニーの進化を図る一方で、1993年5月には1987年以来国内市場で途絶えていた小型車モデルのジムニーがJB31「ジムニー1300シエラ」の車名で復活する。搭載エンジンにはG13B型1298cc直列4気筒OHCユニット(70ps)を採用。オーバーフェンダーやフロントグリルガードの装着、ワイドトレッド化などによってスタイリングの安定感と押し出し感は軽ジムニーを大きく上回っていた。

 

■懸架機構をコイルスプリングに刷新

95年に大がかりなマイナーチェンジを実施95年に大がかりなマイナーチェンジを実施

 

1995年11月になると、2代目ジムニーで最後の、しかも足回りとしては初の大がかりなマイナーチェンジが行われ、軽自動車版がJA22/JA12、小型車版がJB32に切り替わる。足回りでは懸架機構を従来のリーフスプリングからコイルスプリング(3リンク式)へと刷新し、とくにオンロードにおける路面追従性が向上。また、搭載エンジンはJA22にK6A型658cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラーターボ(64ps)を、JA12にF6A型657cc直列3気筒OHCインタークーラーターボ(64ps)を、JB32にG13B型1298cc直列4気筒OHC16V(85ps)を採用した。

 

コンパクトで機動性が高く、しかも遊びの道具としても存分に使える第2世代のジムニーは、1998年になると軽自動車の規格改定に合わせた第3世代へと移行。小型車版のJB33が同年1月、軽自動車版のJB23が同年10月に登場した。市場や時代の要請に即しながら、17年あまりの長きに渡って生産され続けた2代目は、ワールドワイドでジムニー人気を定着させた、まさに同車の記念碑なのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

アウディスポーツが2020年までにラインナップ拡充

アウディAGの100%子会社であるアウディスポーツGmbHのトップが3月1日に交代する。新CEOのミハエル・ユリウス・レンツ氏はアウディのマーケティング部門を経て、’15年から中国のセールス部門のトップを務めてきた実績を持つ60歳。一方で旧CEOのステファン・ヴィンケルマン氏は53歳の若さながらフランスに本拠を置くブガッティ・オートモビルズのトップに就く。ちなみにヴィンケルマン氏はアウディスポーツの前はアウトモビリ・ランボルギーニのトップを務めていた経験も持つ。

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国際経験も豊富なレンツ氏がトップに立つことで、さらなる世界規模での成長に期待が高まるアウディスポーツ国際経験も豊富なレンツ氏がトップに立つことで、さらなる世界規模での成長に期待が高まるアウディスポーツ

 

モータースポーツ参戦に加えてRSモデルやR8の開発製造と販売、パーツやアクセサリー類の販売などを行なうアウディスポーツのブランド認知は世界的に高まっており、富裕層を中心にセールスも伸びている。アウディAGの業績アップにも貢献し、日本においても正規ディーラーにおけるサブブランド展開が積極的に進められているのはご存じのとおり。

 

今回のトップ交代もその路線を強化するのが狙いで、’20年までにアウディスポーツのラインナップを現在の11モデルから16モデルへと拡充する考えも明らかにしている。グローバルマーケティングを得意とするレンツ氏の就任で、スポーツモデルの展開がどういった方向へと進むのか。高性能コンパクトモデルの設定や電動化への対応など、その手腕がどう発揮されるのか興味深いところだ。

ランボルギーニ初のSUV「ウルス」見参!

以前からウワサされていた通り、ランボルギーニのスーパーSUV、「ウルス」が発表となりました。

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ルックスは見ての通り、いかにもランボルギーニ然としたもの。アヴェンタドールやウラカンとも共通といえる意匠があちこちに見つけられるのがオモシロイです。4枚のドアはLM002以来、テールゲートはランボ初、広々としたゴージャスなキャビンは5人乗り。ここまで実用的と思しきモデルはランボルギーニ史上初といっていいでしょう。

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フロントに搭載されるエンジンは、何とランボ初のターボ付きとなる4リットルV8ツインターボ。自然吸気のV12でもV10でもないのは、悪路をも念頭に置いた低回転域でのトルク対策なのだとか。650㎰/6800rpmに850Nm/2250〜4500rpmというスペックを持つこのエンジンは、アウディRS 6アバントのそれをランボ用にチューンナップしたものと見ていいでしょう。8速ATとの組み合わせで、0→100km/h加速は3.6秒、0→200km/h加速は12.8秒、最高速度は305km/h。

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SUVじゃなくていいじゃんという気もしないでもないけど、並みのクルマじゃない「イチバン!」が好きな人には堪らない強烈な魅力であるのは間違いないでしょうね。 駆動はいうまでもなく悪路にもアジャストできる4WDで、アクティブトルクベクタリングとリヤホイールステアリング付き。 道を選ばず最速な、何ともすごいランボルギーニの誕生です。

 

※車両本体価格=25,740,000円(税別)

【中年名車図鑑】TOYOTAの信頼性を世界中に知らしめた4WD界のレジェンド

“ヨンク”ブームの最中、トヨタ自動車は1989年に旗艦4WDモデルのランドクルーザー60系を全面改良し、新型の80系に移行させる。「4WDの新しい歴史が始まる」と謳った80系は、ユーザーの高級志向や海外での商品力強化など、販売マーケットの情勢を存分に踏まえて開発。大型化したボディに高級感が増した内外装、そして駆動系のフルタイム4WD化や懸架機構のコイルスプリング化などを実施し、世界中のユーザーから高い評価を獲得した。今回は“最高級マルチパーパス4WD”を謳ったランドクルーザー80で一席。

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【Vol.54 7代目トヨタ・ランドクルーザー(80シリーズ)】

1980年代後半の日本の自動車市場ではクロスカントリー(通称クロカン)4WDの人気が急速に高まり、いわゆる“ヨンク”ブームが巻き起こっていた。この状況に対して、ランドクルーザーという伝統ある4WD車をリリースしていたトヨタ自動車は、市場の要請をより踏まえた新しいランクルの開発に邁進する。とくに、国内外の様々なユーザーに向けた多用途性の高いロングボディの60系は1980年8月のデビューから長い期間が経過しており、早急の全面改良が必要とされた。

 

■4WD車の高級志向への対応と海外市場での商品力強化

90年代の“ヨンクブーム”のなか、RVとしての特性と、海外市場のニーズを併せ持つランクルが求められた90年代の“ヨンクブーム”のなか、RVとしての特性と、海外市場のニーズを併せ持つランクルが求められた

 

1990年代に向けたランクルのロングボディを企画するにあたり、開発陣は日本と海外の両方の市場傾向を徹底して分析する。ヨンク・ブームの日本市場では、ファミリーユースやアウトドアユースといったレクリエーショナルビークル(RV)としての特性をいっそう磨き、さらにユーザーの高級志向に対応する必要があった。一方で海外市場では、より大きなボディサイズで、かつ広い室内空間と荷室を有する4WD車が求められた。もちろん、従来から好評を博す機動性や耐久性なども、さらに高いレベルへと引き上げなければならない――。様々な角度から検討した結果、開発陣は次期型の商品テーマに「トレンドの先端を行く最高級マルチパーパス4WD」の創出を掲げ、洗練された車両イメージと伝統のタフさを高次元で両立させた“4WDの頂点”に仕立てる旨を画策した。

 

まず基本骨格については、強靭で耐久性の高いラダーフレーム構造をベースとしたうえで、全長と幅、前後トレッド、ホイールベースを拡大しながら剛性を高めた新ボディを架装する。サスペンションは従来の60系のリーフスプリング式からコイルスプリング式に一新。形式は前リーディングアーム/後ラテラルロッド付4リンクとし、横剛性およびロール剛性のアップや乗り心地の向上を図った。

 

また、上級モデルには減衰力を2段階に切り替えられる2ステージショックアブソーバーをセットする。操舵機構に関しては信頼性の高いボール・ナット式を採用。同時に、ギアボックスのコントロール部に設けた油圧反力室で作用する油圧を巧みに制御する新開発のPPS(プログレッシブパワーステアリング)を組み込んだ。

曲面で構成されたインパネに各種スイッチ類をずらりと並べる。ステアリングフィールは乗用車ライク曲面で構成されたインパネに各種スイッチ類をずらりと並べる。ステアリングフィールは乗用車ライク

 

搭載エンジンは、すべてのパーツの設計を見直したうえでトヨタ独自の燃焼法であるTRB(TOYOTA Reflex Burn)や新素材のFRM(Fiber Reinforced Metal)を使ったハイリングピストン、ニードルが2段階に作動する2スプリング噴射ノズルなどを採用した新開発の1HD-T型4163cc直列6気筒OHCディーゼルターボ(165ps)、1HD-Tとほとんど同一のブロックとユニットを採用したうえで燃焼室を渦流室式とした改良版の1HZ型4163cc直列6気筒OHCディーゼル(135ps)、そしてEFIによる高効率な燃焼とスムーズな吹け上がりを実現したガソリンユニットの3F-E型3955cc直列6気筒OHV(155ps)という計3機種を設定する。ディーゼル車の電気系統には、始動時のみ24Vとなる新機構の12/24ボルテージ・スイッチングシステムを導入した。

 

組み合わせるトランスミッションには、操作感を向上させた新開発の5速MTと2ウェイOD付4速ATを用意。高トルクを誇る1HD-Tエンジン用の5速MTには、1~3速にトリプルコーンシンクロを内蔵した。一方で駆動システムについては、主要グレードにセンターデフ付フルタイム4WDを採用する。センターデフは信頼性の高いベベルギア方式。緊急脱出用として、電動モーター式アクチュエーターを組み込むセンターデフロック機構も装備した。また、開発陣はパートタイム4WDのリファインも敢行。強度や耐久性のアップを図るとともに、異音および騒音の低減や歯車・軸受の小型化と軽量化を実施する。さらに、ワンタッチ2-4セレクターとメカニカルフリーホイールハブも装備した。ほかにも、全車にフロント&リアの電動デフロックとフルフロートリアアクスルを設定。オフロードでの走破性を十分に踏まえた4WD機構とした。

 

内外装のアレンジに関しては、“4WDの頂点”にふさわしい演出を目一杯に施す。エクステリアはフォルム全体を動的で張りのある曲面で構成し、近代的で存在感あふれるルックスを実現。ボディ形式はオーバーフェンダー付きのワイドタイプ(全幅1900mm)と標準タイプ(同1830mm)を用意した。内包するインテリアは、曲面構成のインパネやずらりと並べたスイッチ類、乗用車感覚のステアリングフィール、上質なシート表地、充実した装備アイテムなどで、高級サルーンのような雰囲気を創出する。シート配列はワゴンタイプが2/3/3名乗車の3列式、バンタイプが2(5)名乗車の2列式。1/2列目には、休憩スペースとして活用できるセミフラット機構を盛り込んだ。

 

■「4WDの新しい歴史が始まる」のキャッチで市場デビュー

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ワゴンタイプは2/3/3名乗車の3列式のシート。シート地は上質であたかも高級サルーンのようワゴンタイプは2/3/3名乗車の3列式のシート。シート地は上質であたかも高級サルーンのよう

 

新しいロングボディのランクルは、「ランドクルーザー80」と称して1989年10月に市場デビューを果たす。キャッチコピーは、その先進性を意図して「4WDの新しい歴史が始まる」と表現。車種展開はワゴンタイプで3F-E型エンジンを積むVXリミテッドとVX、バンタイプで1HD-T型エンジンを搭載するVXリミテッドとVX、バンタイプで1HZ型エンジンを採用するGXとSTDをラインアップした。

 

市場に放たれたランクル80を見て、従来からのファンは「ついにランクルもRV志向に走ったか……」とがっかりした。丸みを帯びたボディや高級になったインテリア、オンロード走行時の静粛性の高さと振動の少なさなどが、オフロード4WDの雄であるランクルにふさわしくないと判断されたのだ。同時期にデビューした高級乗用車に倣って、“オフロード車のセルシオ”とも呼ばれたりした。しかし、ランクル80をオフロードで走らせると、そうしたファンの声は一変する。センターデフロックと4Lレンジによる強力なトラクションに、いざというときに真価を発揮する前後デフロック機構、4輪コイルスプリングのよく動く足、そしてより剛性を増したボディなどが、オフロード走行での強力な武器になったのだ。「やっぱりランクル」と思わせるそのパフォーマンスに、ファンは改めて感心させられることとなった。

 

■ガソリンとディーゼルともに新エンジンに移行

新世代の高級4WD車として高い評価を受けたランドクルーザー80は、従来のランクルと同様、デビュー後も着実に進化を図っていく。まず1992年8月には、ガソリンエンジンを新開発の1FZ-FE型4476cc直列6気筒DOHC24V(215ps)に換装。同時に、オートマチックトランスミッションをより緻密な制御を実現したECTに変更する。さらに、4輪ABSや本革シートなどの新アイテムの設定、275/70R16タイヤの装着および全幅の拡大(1930mm)などを実施した。1993年5月になると、ワゴンにベーシック仕様のGXグレードを追加し、同時に全車のエアコン冷媒をR134aに切り替える。翌6月にはキャンパー装備を搭載する特装車の「アクティブバケーション」を発売。さらに、1994年5月にはランドクルーザー・シリーズの生産累計250万台達成を記念した特別仕様車の「メモリアルパッケージ」を、9月には専用ボディ色のアーバンナイトトーニングを採用した特別仕様車の「Gパッケージ」をリリースした。1995年1月にはマイナーチェンジを行い、ディーゼルターボエンジンを1HD-FT型4163cc直列6気筒OHC24Vディーゼルターボ(170ps)に換装する。さらに、フロントグリルおよびエンブレムやバンパーなどの一部デザインを刷新。また、インパネはセンター部を独立させた造形に変更した。1996年8月になると、デュアルSRSエアバッグと4輪ABSを全車に標準化して安全性能の強化を図る。さらに、ワゴンは全車ワイドボディに統一した。

 

高級マルチパーパス4WDとしての性能に磨きをかけ、またその走破性の高さと故障の少なさなどから北米や豪州、さらにはアジアや中近東といった海外市場でも販売を伸ばしたランドクルーザー80。1998年1月にはよりラグジュアリーで高性能な新型のランドクルーザー100に移行するが、80も海外を中心に現役で走り続けた。“TOYOTA”の信頼性の高さを世界中に知らしめた4WD界のレジェンド――。それがランドクルーザー80の真骨頂なのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

テスラ青山で宇宙ドライビング気分を!( 2/12まで)

アメリカ時間の2月6日午後(日本時間7日未明)、米スペースX社のロケット「ファルコンヘビー」によって、テスラの最初となる市販EV、初代テスラ・ロードスターが火星に向かって旅立った。このテスラ・ロードスターは、打ち上げから6時間ほど飛行したのち、地球と火星の公転軌道を遷移する楕円軌道に向かい、半永久的に太陽を周回。スペース・ドライビングのBGMは、デビッド・ボウイの「 Life on Mars? 」。テスラ・ロードスターは宇宙空間でドライブされる史上初のクルマとなった。

 

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初代テスラ・ロードスターは、2008年に発売され(日本は2010年) 世界限定2500台を生産、2012年に販売を終了した。化石燃料依存の社会から、再生可能エネルギー主導の社会への移行を加速するために創業されたテスラは、このロードスターで、ガソリンをイチバン消費しているスポーツカーオーナーから電気自動車に対する認識を変えようとした。その後、同社はスポーツカー並みのパフォーマンスを実現したセダンの「モデルS」とSUVの「モデルX」、さらにアメリカでは「モデル3」を市場に送り出し、その役目を終えた初代ロードスターは火星へ。同社では2020年以降には新しいテスラ・ロードスターを販売開始の予定で現在予約を受付中である。

 

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なお、火星をドライブをするテスラ・ロードスターのドライバー気分を日本の地上の皆さんにも少し楽しんでいただくべく、2月12日(月祝)まで、テスラ青山 (東京都港区南青山2-23-8)に初代ロードスターを展示している。

 

テスラモーターズ ジャパン=0120-982-428/japan@tesla.com

 

 

メルセデスがコートダジュールにデザインセンター開設

グローバル化に沿ってトレンドが早いペースで移り変わる自動車デザインだが、自動車メーカーはその流れをリードすべくさまざまなチャレンジを行なっている。なかでもメルセデス・ベンツは世界各地に「アドバンスド・デザインセンター」を置き、デザイナーが自由な発想でエクステリアやインテリアのデザインを手がけられる環境を整えてきた。ドイツ以外ではイタリア・ナポリ郊外のコモ、アメリカ・カリフォルニアのパロアルトなどに加え、日本でも横浜市都筑区にアドバンスド・デザインセンターがある。

 

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さらに同社はここにきてフランス南海岸一帯のリゾート地として知られているコートダジュールにアドバンスド・デザインセンターを新設。カンヌとニースの間に位置するアンティーブ付近に建設予定のセンターは、松林の中に円筒形を横に置いたようなデザインで、全面ガラス張りの側面から射し込んでくる地中海の陽光がデザイナーのクリエイティビティを喚起する構造となっている。

 

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3000平方メートルの敷地を持つこのセンターは今年中の稼働予定で、次世代車のエクステリアやインテリアを約50人のデザイナー手がけることになる。南フランスの太陽と風が、メルセデスのデザインにどんなエッセンスを加えることになるのか。数年後に出てくるであろう次世代メルセデスにその味わいがあらわれることを期待しよう。

 

 

 

ランボルギーニのEVスポーツコンセプトが進化?

ランボルギーニは1月31日から2月4日まで開催中の「フェスティバル・オートモービル・インターナショナル・イン・パリ」にて、次世代EVスーパースポーツコンセプトの「テルツォ・ミッレニオ」を披露した。

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テルツォ・ニッレニオは、昨年11月に発表されたEVコンセプトで、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)との提携によって研究開発されたモデル。車名の由来は「第3の千年紀」を表す伊語で、西暦2001年から3000年までの1000年間を示す。未来のスーパースポーツ像を示唆するものだ。

 

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このプロジェクトは、「蓄電システム」、「革新素材」、「推進装置」、「先見的なデザイン」、「エモーション」という5のエレメントにおいて、次世代のドリームマシンを創造するためのランボルギーニの取り組みだ。

 

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スタイリングは同社のチェントロ・スティーレ(スタイルセンター)でデザインされ、軽量なカーボンファイバーをボディシェルに採用。このボディシェルはカーボンファイバーによる構造全体を監視する技術とともに、亀裂や損傷を自動的に検出し、修復用化学物質を用いて自己修復する技術が研究・開発中だ。

 

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パワートレインは4輪それぞれに電気モーターを搭載する。蓄電システムにはスーパーキャパシタが用いられている。

 

このモデルの市販化には、まだ多くのブレイクスルーが必要となるが、実現したあかつきには、これまでのスーパースポーツカーでは得られなかった刺激が味わえるのだろう。

 

 

 

タクシーの相乗りを都内で実証実験中

観光地などではよく目にするタクシーの相乗りが、東京都内でも可能となる実証実験が始まっている。国土交通省が音頭を取り、大手タクシー会社の日本交通グループと大和自動車交通グループが参加してスタートしたもので、今年1月22日から3月11日までの期間限定で東京23区および武蔵野市、三鷹市でサービスが始まっている。
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スマートフォンの配車アプリ(相乗り専用アプリ)を使い、出発時刻と目的地方向が同じ複数の顧客をマッチングさせるもので、大和はiPhoneとAndroido、日本交通はiPhoneのみで利用が可能。概算運賃もその場で分かるようになっており、駅など同じ地点からの相乗りはもちろん、ルートの多くが重複していれば異なる地点からの相乗りも可能で、それぞれ距離に応じたワリカン料金を確認のうえ、目的地まで乗ることができる。ちなみに支払いはクレジットカードのみとなる。

 

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大和が649台、日本交通が300台を参加させているのでかなりの確率で利用できるはずで、1万円を超える距離を一人で移動したいときなどは使えそうだ。利用イメージなどは各社のホームページで公開されているので確認できるが、大幅なルート変更や大きな荷物の持ち込みなどは制限され、時間に遅れた場合も運賃は100%請求されるので注意したい。やや手続きは複雑かもしれないが、お得感は強い相乗りタクシー。2カ月足らずでどこまで認知度が高まるのか。実証実験結果のアナウンスに期待しよう

 

 

 

ユーロNCAPが2017年のベスト・イン・クラスを発表

欧州で新車の安全性能評価を行うユーロNCAPが、2017年のベスト・イン・クラスを発表。年間を通じて最も安全性評価が高かったクルマを賞するもので、安全性のカー・オブ・ザ・イヤーといってもいいだろう。なお、同賞は各セグメントのベスト・イン・クラスを表彰するが、カー・オブ・ザ・イヤーのようにその中の1台に大賞(本賞)を授けるようなシステムはとっていない。

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栄冠に輝いたモデルは別表の通りだが、エグゼクティブクラスではフォルクスワーゲン(VW)の最新モデルであるアルテオンが受賞。乗員保護や安全装備の高評価に加え、歩行者保護性能が’17年にテストされたモデルの中でトップだったのが大きかったようだ。 中型および大型のSUVセグメントであるラージ・オフロードクラスではボルボXC60が受賞。XC60は乗員保護および安全装備で他の追随を許さず、同ブランドのV90/S90をも上回ってベスト・イン・クラスに輝いている。

 

スモール・オフロードクラスでは、日本にはまだ入っていないVW T-Rocが受賞。各項目の評価はXC60やアルテオンには劣るものの、このクラスとしては最高の安全性と評価されたようだ。コンパクトカーのカテゴリーであるスーパーミニでもVWポロが受賞。歩行者保護や安全装備ではやや厳しい評価だったが、総合的な評価でベスト・イン・クラスに選ばれたようだ。ちなみに6クラスのうち3クラスをVWが制しており、これはなかなかの快挙といえそうだ。

 

コンパクトSUVのクラスであるスモールMPVではオペル/ボクソールのクロスランドXが受賞。日本への正規輸入はなく、各項目の評価もさほど高くないが、このクラスでは最も安全と結論づいけられている。そしてスモールファミリーカーのクラスではスバル・インプレッサ/XVがベスト・イン・クラスを受賞。小児保護性能では全車トップ、歩行者保護性能でも高評価を得た結果で、日本車では唯一の受賞として誇ってもいいだろう。’18年からは夜間の歩行者検知機能や自転車検知機能も評価基準に加えるなどより厳しくなるユーロNCAPだが、’17年の最高評価を上回るクルマが次々と出てくるのか。期待したい。

 

 

 

初お披露目のエルグランド特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」を徹底分析! 完璧な調和が産む「圧倒的な存在感」

エルグランドは1997年の登場以来、ラグジュアリーなミニバンとして人気を誇るモデル。現在は3世代目へと進化を遂げ、2010年のフルモデルチェンジから8年目を迎えるロングセラーモデルとして愛されています。

 

そこにこのたび、特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」が発表されました。本記事では、2月26日に発売される本車をエルグランドの代表的なグレードと比べ、特別仕様車のデザイナー、有田 翔さんのコメントを交えながら解説していきます。

20181023_Y25↑特別仕様車をデザインした、株式会社オーテックジャパン デザイン部 カラー&マテリアル デザイナー有田 翔さん

 

なお、エルグランド特別仕様車「Highway STAR Jet Black Urban CHROME」が発表されたのは、自動車の祭典として知られる東京オートサロンの初日。発表は単なるお披露目会ではなく、デザイナーである有田さん、KONDO Racingの近藤真彦監督によるトークショーも行われ会場は大盛況。特別仕様車への注目度の高さが伺えると同時に、日産自動車の本気がヒシヒシと伝わってきました。

2月26日に満を持して発売されるエルグランドの特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」

詳細はエルグランドの車種ページから。

 

【そもそもエルグランドとは?】

20181023_Y20↑取材した特別仕様車:250Highway STAR S Jet Black Urban CHROME

エルグランドは日産で最もサイズが大きく、最も高品位なミニバン。エンジンは2.5Lと3.5Lの2種類を用意し、特に3.5L版はエルグランド用にチューニングが施されたVQ35DEエンジンとエストロニックCVT-M6の組み合わせにより、低回転から高回転域までストレスのない走りを実現しています。普段エルグランドを愛用している近藤監督も「低重心から生まれる走りの安定感が抜群」と太鼓判。

 

安全面でも最新の先進機能が充実しています。直感的に周囲の状況を把握できるインテリジェントアラウンドビューモニターや、先行車との車間距離を自動で保つインテリジェントクルーズコントロールなどを搭載。これらの機能によって、運転が苦手な人でも快適にドライブできる安心感がウリです。

 

<SPEC(250Highway STAR S Jet Black Urban CHROMEの場合)>●全長×全幅×全高:4975×1850×1815mm●ホイールベース:3000mm●最低地上高:150㎜●車両重量:1950kg●エンジン形式:直列4気筒DOHC(QR25DE)●総排気量:2488cc●最高出力:170ps/5600rpm●最大トルク:25.0kgf-m/3900rpm●トランスミッション:エストロニックCVT-M6●JC08モード燃費:10.8km/L●価格:415万8000円~565万560円

 

【今回比較したグレード 350Highway STAR Urban CHROME】

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日産のラインナップのなかで、スペシャル装備を多数搭載して特別なポジションに位置するのがハイウェイスターです。そのハイウェイスターをさらにバージョンアップした「Urban CHROME」。取材した特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」はこの「Urban CHROME」と比べ、漆黒フロントグリルなど専用装備を施し、よりダイナミックで高級感のあるスタイルになりました。

 

【比較ポイント01:フロントグリル】

ブラックアウトされたフロントグリルにより精悍さがアップ

20181023_Y22↑特別仕様車「250Highway STAR S Jet Black Urban CHROME」

20181023_Y23↑比較グレード:350Highway STAR Urban CHROME

両グレードともにフロントの基本デザインは共通ですが、今回の特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」はその名の通り“漆黒”のフロントグリルが与えられ精悍さを増しています。左右のヘッドライトを貫通するVモーショングリルは、日産のアイデンティティをしっかりと残しながらもクールな印象へと昇華。ダークになり過ぎない「大人の加減」が絶妙です。有田さんは「ジェットブラックはとても手間がかかる特別な色で、色が濃いぶん、パーツにムラなくブラッククローム処理を施すのが非常に難しい」と生産におけるこだわりと苦労話を教えてくれました。

 

【比較ポイント02:ホイール】

ボディカラーとは異なるブラックで大人の“上品ワイルド”を演出

20181023_Y26↑特別仕様車「250Highway STAR S Jet Black Urban CHROME」

20181023_Y27↑比較グレード:350Highway STAR Urban CHROME

ハイウェイスター・シリーズには18インチのホイールが採用され、10本のWスポーク(合計20本)が特徴。両グレードともサイズ、デザインは共通ですが、細部をみてみると相違点はカラーにありました。Highway STAR Urban CHROMEは「グラファイトフィニッシュ」と呼ばれる濃い目のシルバー。一方、特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」は「ダークグラファイトフィニッシュ」となり、さらにダーク感を増しています。

 

このダークグラファイトは光の加減によってシルバーに見えたり、ブラックに見えたりと表情を変えてくれるのが特徴。「これ以上、黒が強くなるとホイールが暗くなりすぎてしまい、クルマ全体が重たい印象になってしまいます。全体のバランスを整えるべく、ギリギリまで調整しました!」(有田さん)という、デザイナーのこだわりが凝縮した絶品カラーに仕上がっています。

 

【比較ポイント03:シート】

GT-Rを彷彿とさせる「プレミアムタンレザーシート」がゴージャス感と走りへの期待を高める!

20181023_Y28↑特別仕様車「250Highway STAR S Jet Black Urban CHROME」

20181023_Y29↑比較グレード:350Highway STAR Urban CHROME

両グレードに共通することは室内の豪華さ。ミニバンの頂点として君臨するエルグランドの魅力になっています。特に運転席を含めた3列のシートは特筆したい部分。Highway STAR Urban CHROMEのシートはネオソフィールとジャガード素材を組み合わせたものですが、特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」には本革のプレミアムタンレザーが与えられ、そのカラーはGT-Rと共通となる個性的なもの。

 

縫製部分にはギャザーがデザインされ、上質なソファを思わせる仕上がりはライバルたちに大きなアドバンテージを築いています。日産の最高峰ミニバンとして、最高級の居住空間が与えられたシートながら、「走り」にも対応する、人間工学に基づいた設計も大きな魅力と言えるでしょう。

20181023_Y30↑3列目シート。前2列同様、シートカラーが室内と調和しています

 

2月26日に満を持して発売されるエルグランドの特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」

詳細はエルグランドの車種ページから。

 

【比較ポイント04:ステアリング】

シートと同色のタンカラーとなるステッチを採用! 絶妙なアクセントで室内をより上質に仕立てる

20181023_Y31↑特別仕様車「250Highway STAR S Jet Black Urban CHROME」

20181023_Y32↑比較グレード:350Highway STAR Urban CHROME

 

ステアリングホイール部分にもこだわりがあります。デザインや形状、操作スイッチの位置は同じものですが、Highway STAR Urban CHROMEは本革と木目調のコンビネーションとなり、特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」は同様の本革と木目調を採用しながらも、ステッチ部分にはシートと同色となるタン色のアクセントが添えられています。イタリア製の高級バッグをイメージさせる優美かつ個性的なアクセントは車内の雰囲気を演出する重要なスパイスになっています。

 

【比較ポイント05:ドアトリム・シフトノブ】

大人の「遊び心」を刺激するチープにならないモダンさが魅力

20181023_Y33↑特別仕様車「250Highway STAR S Jet Black Urban CHROME」

20181023_Y33↑比較グレード:350Highway STAR Urban CHROME

Highway STAR Urban CHROMEのドアトリムとシフトノブは、レザーと同色の縫製糸を使うことで落ち着きのあるシックなイメージを表現していますが、今回の特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」はステアリングホイールと同様、ドアトリムとシフトノブにもシートカラーに合わせたタン色のステッチが施されています。何気ないポイントですが視覚的な効果は大きく、高級感の中に漂う「遊び心」は車内をドラマチックな空間へと演出し、華やかな印象を与えていることは間違いありません。一切の妥協を許さない“ディテールへのこだわり”こそ、日産の最高級ミニバンたる所以なのです。

 

【まとめ】

完璧に統制されたバランスが真の上質感を産む

東京オートサロンでデビューを果たした同車は、精悍なブラック基調のエクステリアに始まり、GT-Rからインスパイアされたタンレザーのシートなど、そのセンスの良さはハイレベル。一方で、デザイナーの有田さんは「当初はシートと同じタンレザーをドアトリムやステアリングに採用することも考えていましたが、試作の段階で派手になり過ぎることがわかり、タン色のステッチだけにしました」とも。

20180128_Y37↑株式会社オーテックジャパン デザイン部 有田 翔さん(左)と日産自動車 日本マーケティング本部 町田 修一さん(右)

そう、すべてを盛り込むのではなく「大人の相棒」として引き算も施し、バランス良くデザインされたのがHighway STAR Jet Black Urban CHROME。今回は特別仕様ポイントに注力して解説しましたが、インテリジェントアラウンドビューモニターや安全運転支援システムなどが搭載され、走りも円熟の域に達しています。落ち着いた大人の男性の相棒として、最適なモデルと断言できるでしょう。

 

2月26日に満を持して発売されるエルグランドの特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」

詳細はエルグランドの車種ページから。

撮影/山本 智

アストン・マーティンが発祥の地で生産を再開

世界的なセールス増の追い風を受けて生産を拡大するアストン・マーティンが、発祥の地である英国ニューポート・パグネル・ティックフォードでの生産を再開。’03年にアストン・マーティンはイングランドのゲイドンへ本社を移転し、それ以降はヒストリックカーのレストアガレージとなっていたパグネルだが、アストン・マーティンDB4 G.T.の復刻が決まり、60年前に同車が生産されていたパグネルも復活。DB4 G.T.Continuationと名付けられたサーキット専用の復刻モデルが25台限定ながら生産されることになる。

 

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アストン・マーティンはウェールズのセント・アサンに新工場を建設中で、新型クロスオーバーDBXの生産に合わせて’20年の稼働開始を予定している。それに先駆けて始まるパグネルでの生産は量産ではないが、歴史に残るDB4の復刻版ということで期待は大きい。最初のクルマはすでに顧客の手に渡っているというが、残る24台も今年から納車される予定とのこと。

 

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日本でも2017年の販売台数が前年比72.6%増の321台と大幅に伸びているアストン・マーティンは、日本のサプライヤーからの部品調達など親日度も高めている。DBXへの期待も大きいが、アストンならではのシルエットを持つDB4 G.T.Continuationも日本へ何台上陸することになるのか楽しみに待つとしよう。

 

 

 

ポルシェのスポーツカーが70周年を迎える。

ポルシェはこのほど、同ブランドのスポーツカーが誕生して70周年を迎えたことを発表した。ポルシェの名を冠する最初のモデル、356“No.1”ロードスターは1948年6月8に登録。フェリー・ポルシェのスポーツカーの夢を現実へと変えたこの日、ポルシェ・ブランドは産声をあげた。以来70年間、いつも時代も最高レベルでのスポーツカー造りを体現してきたのである。

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1月29日にポルシェ ミュージアムで開催されたニューイヤーレセプションの席上、ポルシェAGの取締役会会長オリバー・ブルーメは、「当時のフェリー・ポルシェのビジョンは、今なおこのブランドの特徴となっている価値観を全て備えていました」とコメント。レセプションにはバーデン=ヴュルテンベルク州とシュトゥットガルト市の代表者をはじめ、政界や経済界などの人々が列席し、「ポルシェスポーツカーの70年」というスローガンとともに、この記念すべき年のスタートを祝った。

 

ブルーメはさらに、このように述べている。

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「伝統とは、コミットメントです。伝統や基本的価値観抜きに、ポルシェが現在の地位を築くことはできなかったでしょう。私たちは、フェリー・ポルシェが設定した厳格な技術水準を今後も守り抜きます。インテリジェントでダイナミックなモビリティは前途有望です。このために、ポルシェにはしっかりとした技術的専門知識、創造力に富んだ従業員が在籍し、類を見ないチームスピリットを持っています。こうした要素により、ポルシェ ブランドは今後さらに70年間、人々を魅了し続けることができるでしょう」

 

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ポルシェ ブランドの歴史は1948年にスタート。ただし、スポーツカーメーカーであるポルシェの基礎は、創業者Dr.フェルディナンド・ポルシェの生涯にわたる仕事の上に築かれており、息子フェリー・ポルシェはこれを受け継いだ。フェルディナンド・ポルシェは、20世紀が始まる前に自動車産業における先駆的な革新技術を生み出した。1900年、フェルディナンド・ポルシェは“ローナー・ポルシェ”として知られるホイールハブ駆動の電気自動車を作り、世界初の全輪駆動を採用した乗用車を作ることも計画。さらに同年、ガソリンと電気を組み合わせたパワートレインを開発し、ハイブリッドカーの基礎を作る。

 

1931年には、フェルディナンド・ポルシェは設計事務所を設立。1939年に発表された「ベルリン・ローマ カー」は、ポルシェの名を冠すスポーツカーのアイデアの始まりとなったが、この夢は1948年、息子フェリーがタイプ356によって実現することになった。

 

そして、フェリー・ポルシェの息子、フェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェが設計した356の後継モデルとなるポルシェ911は、技術的にもデザイン的にも、世界を代表するスポーツカーメーカーとしてポルシェが大躍進を遂げるきっかけとなった。1963年に初めて一般公開されたポルシェ911は、今や100万台以上が生産されている。

 

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さらにブルーメは次のように続ける。
「911は数十年の間、一貫して開発が続けられ、何度も新しい革新技術を用いて改良が重ねられてきました。しかし、911に匹敵するほど、当初からの本質を守ることに成功したモデルは、他に存在しません。現在、また未来にわたって開発されるポルシェの全モデルは、このスポーツカーをベースとすることになります。ブランドの中心的存在である911は、夢のスポーツカーとして世界中のファンの心を虜にしています」。

 

ポルシェのスポーツカーの未来は、すでにミッションEという形でスタートラインに立っている。ツッフェンハウゼンによる初の純粋な電気駆動技術を駆使したこのコンセプトカーは、ポルシェ特有のエモーショナルなデザイン、比類ない走行性能、そして将来を見据えた実用性を兼ね備えたもの。この独立した4つのシートを備える4ドアスポーツカーは、システム合計の最高出力が440 kW(600 PS)以上、航続距離は500 kmを超え、0-100 km/h加速は3.5秒以内、必要な電気エネルギーの80%までの充電時間は約15分となっている。ポルシェはこの未来的なプロジェクトに約10億ユーロを投資し、ミッションEが生産されるシュトゥットガルト・ツッフェンハウゼンの本社だけでも1200人以上の追加雇用を創出。「ポルシェはずっとポルシェであり続けます。エクスクルーシブでスポーティなモビリティのためのリーディングブランドであり続けます」とブルーメは強調している。

 

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記念となる今年、ポルシェは世界中で多くのイベントを予定している。2月3日には、ロサンゼルスのピーターソン自動車博物館で「ポルシェ エフェクト」を開催。また、ドイツでは、3月20~31日、ベルリンの「DRIVE.フォルクスワーゲングループフォーラム」において、初めての「ポルシェスポーツカーの70年」展示会を開催。そしてポルシェ ミュージアムでも、6月9日に特別展を開催する。さらに同じ日、ポルシェは世界中のスポーツカーファンのために「Sports Car Together Day」を開催する。6月16~17日の週末には、従業員、ツッフェンハウゼン地区の住民、そして顧客を、シュトゥットガルトのポルシェ ミュージアム内外での公式祝賀会に招待。7月12~15日には、英国のグッドウッドサーキットでの「Festival of Speed」、9月27~30日にはカリフォルニアの「Rennsport Reunion」によってこの記念の年を祝う。祝賀の締めくくりとして、10月13日には初めてシュトゥットガルトのポルシェ アリーナにおいて「Sound Night」イベントを開催する見通しだ。

 

 

 

2017年の輸入車ランキング、ミニの牙城は崩れず

輸入車セールスが好調だった’17年は、外国メーカー乗用車が前年比3.7%増の30万5043台と、初めて30万台を超えた。輸入車のピークは’96年の32万4973台だが、当時は人気のあったアメリカンSUVやバンが貨物車登録だったこともあり、この台数は外国メーカー車の乗用車・貨物車トータルのもの。外国メーカー乗用車に限れば’96年でも29万9409台と30万台に届いておらず、’17年は新記録となった。当時とはブランド/モデル構成は変わったものの、輸入車ブーム再び、と見ていいだろう。

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乗用車ブランド別ではメルセデス・ベンツが前年比1.2%増の6万8215台と伸び率はやや鈍化しながらも3年連続で首位をキープ。フォルクスワーゲン(VW)が’14年に打ち立てた6万7438台を上回り、輸入乗用車販売記録を塗り替えた。2位BMWは3.9%増と伸び率ではメルセデスを上回ったものの、台数は5万2527台と1万5000台以上も水を開けられている。

 

VWは3年ぶりに前年比プラスとなったが、4万9036台と5万台にも達せず3位に甘んじる。新型ポロが上陸する’18年の奮起に期待したいところだ。続く4位のアウディは0.6%減の2万8336台とやや元気なく、5位にはBMWミニが3.6%増で続いている。ちなみに上位ブランドで伸び率トップは9位ルノーの34.2%増で、年の中盤まで8位プジョーと激しく競い、最終的に後塵を拝する結果となったものの、’18年も伸びが期待できそうだ。

 

そして乗用車の車名別ランキングでは別表の通りミニが’17年に続いて2年連続で首位を獲得。前年比3.6%増の2万5427台は、3万台を超えた最盛期のVWゴルフほどではないものの人気は衰えていないようだ。’17年も新型クロスオーバーの追加に加え、ディーゼル車やエントリーモデルの充実などを図り、ミニの牙城をしっかり守った形だ。

 

ゴルフは、マイナーチェンジ効果が期待していたほどではなかったようだが、わずかに台数を伸ばして2位をキープ。やや行き渡った感はあるものの、特別仕様車の設定などでお買い得感が増すであろう。’18年も伸びを保つのか、興味深いところだ。続く3位と4位にはメルセデス・ベンツが入ってきたが、Eクラスが新型車効果もあって9位からジャンプアップ。ステーションワゴンやクーペの追加が後押しし、上位常連のBMW3シリーズをも上回ったところは特筆できる。さらに10位以下ながらGLCも着々と台数を伸ばしており、一度はベスト20外へ下がったGLAも20位で復帰。各セグメントで手堅く稼ぐこのメルセデスの強さこそが、ブランドトップを維持する原動力となっているのだろう。

 

一方、BMWは3シリーズがやや元気がないものの、5シリーズは新型車効果でベスト20外からいきなり10位へランクイン。台数ではまだEクラスにおよばないものの、デリバリーが安定する’18年は上位へと上がってきそうだ。また、BMWは1シリーズやX1も好調で、まだ新型となって間もないためベスト20には入っていないX3もランクインしてくるはず。加えてニューモデルX2の投入もあり、’18年はBMWの攻勢からも目が離せない。

 

’18年も多くのニューモデル投入が予定される輸入車マーケット。30万台超えを果たした’17年を上回る盛り上がりとなることは間違いないだろう。

 

 

デビュー前夜のジャガー Iペイスが寒冷地テストの模様を公開!

ジャガー・ランドローバーは1月31日、ジャガーの新型電気自動車「ジャガーIペイス」を3月1日に発表するとともに、3月6日に開幕するジュネーブショーで公開すると発表。寒冷地でのテスト風景を公開した。

 

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寒冷地テストは、スウェーデンにあるジャガー・ランドローバーのテスト施設。公開されたのはボディにカムフラージュを施したIペイス。-40度という厳しい環境のなか、AWDシステムの仕上がり具合とともに、雪上でパワフルなパフォーマンスが確認された。

 

バッテリーは急速充電にも対応し、最高45分で充電を完了するとのこと。そのほか、車両スペックなどの詳細は3月1日を待つことになるが、ジャガー・ランドローバーは、スポーツカーのパフォーマンスとSUVの実用性を併せ持つというFペイスやEペイス(日本未導入)と同様のキャラクターを、EVで実現したとアピールしている。

 

 

 

 

自転車ツーリング始めるならコレ! ビギナー仕様のロードバイク「PRECISION R」

自転車専門店のあさひは、ロードバイクの性能を残しつつ、初心者にやさしい仕様を備えたオリジナルバイク「PRECISION R」の2018年モデルを2月5日より発売します。カラーはブライトライム、マットブラック、プルシアンブルーの3色展開で、価格は6万9980円。

20180205-i01 (2)↑マットブラック

↑プルシアンブルー↑プルシアンブルー

 

「PRECISION R」は、運動不足解消やフィットネスのために、ロードバイク本来の性能はそのままに、ビギナーが感じる不安を解消した機能性と長時間運動も考慮したロードバイクとして開発された人気モデル。

↑イエロー↑ブライトライム

 

前傾姿勢になりすぎない乗りやすさを重視したフレーム設計や直進安定性を高くすることで、初めてのドロップハンドルでも安心して走行できます。

20180205-i01 (7)↑乗りやすいフレーム設計

 

また、ビギナーが感じるストレスのひとつである、ロードバイク特有のドロップハンドルをより扱いやすくするために、通常の自転車ハンドルの握り方でもブレーキをかけられる補助ブレーキバーを装備しています。

↑補助ブレーキを搭載↑補助ブレーキバーを搭載

 

さらに、この最新モデルでは、長時間のライドも快適に乗れるように、座面幅が広い肉厚のサドルとハンドルにジェル入りバーテープを採用。

↑クッション性の高いサドル↑クッション性の高いサドル

 

スポーティーなデザインで、安定性と乗り心地を重視した700×25Cの太めのタイヤにするなど、ビギナーがさらに使いやすい仕様にモデルチェンジしています。サイズは450、510、540の3サイズ、身長約158~185㎝まで対応しています。

↑太めのタイヤで安定性を高めている↑太めのタイヤで安定性を高めている

 

ロードバイク初心者の悩みである「サドルが細くお尻が痛い」、「前傾姿勢でこぐのが怖い」、「ドロップハンドルに慣れていない」などの不安要素を解消した「PRECISION R」。スポーティーな走りを試してみたいけどロードバイクは不安という方は、ぜひチェックしてみてください。

 

“TOYOTA5大陸走破EUROPE 2017”のスペシャルサイトを公開

トヨタ自動車は、「もっといいクルマづくり」のためのプロジェクト第4弾、“TOYOTA5大陸走破EUROPE 2017”の活動を記録したスペシャルサイトと欧州走破のダイジェストムービーを公開。

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2014年の豪州大陸から2015~2016年のアメリカ大陸に続き、3大陸目となる欧州において、総計約21,000kmにもおよぶ5大陸走破プロジェクト第4弾を2017年8月下旬にスタート。夏と冬のふたつのステージに分けて2017年12月までの期間で活動した。

5大陸走破プロジェクトは、TOYOTA GAZOO Racing の一環として、日本と現地事業体の従業員が自らステアリングを握り、現地のお客様が日常的に使用する道を走りながら「もっといいクルマづくり」を担う人材の育成を目的としている。4年目となる今回は、自動車文化発祥の地であり、お客様のクルマに対する評価が厳しい欧州でもっといいクルマづくりに役立つヒントを探るほか、テストコースでは得られない走行データの収集・分析を強化し、いいクルマづくりにつながる仕組みづくりを目指した。

 

今後、東京オリンピック・パラリンピックの開催される2020年をマイルストーンとし、継続的な活動を実施していく。

 

走破日程/ルート

【夏走破】TEAM1:8月28日~9月21日、TEAM2:9月20日~10月19日/[スタート]ポルトガル・カエターノ社(欧州初の生産拠点)[ゴール]ベルギー・Toyota Motor Europe NV/SA(欧州地域統括会社)

【冬走破】TEAM3:11月29日~12月22日/[スタート]デンマーク・コペンハーゲン[ゴール]フィンランド・トミマキネンレーシング

【走破車両】C-HRハイブリッド/ヤリス(ヴィッツ) HV/プリウスPHV/アイゴ/カローラ/GT86/ランドクルーザー200/プロエース/オーリスHV/RAV4 HV/MIRAI(計11車種)

 

TOYOTA5大陸走破EUROPE 2017スペシャルサイト

https://toyotagazooracing.com/pages/special/fivecontinentsdrive/

鉄道界に訪れる、ちょっと悲しい春の別れ――静かに消えゆく「古豪車両」と気になる今後

冒頭の写真は、富士山に向かって走るJR東日本の189系電車。富士急行線内に週末、「ホリデー快速富士山号」として乗り入れていたときの“雄姿”である。だが、もうこの姿を見ることが出来ない。「あずさ色」の189系M50編成が1月25日のラストランを最後に引退してしまったからだ。

 

2017年から2018年にかけて、多くの新車が導入された。その一方で、“古豪たち”が舞台から去っていく。新車が増えるということは、引退する車両の増加にも結びつく。この春、静かに消えていく“古豪”に注目した。

 

1.いまや希少な国鉄形特急電車189系も残りわずか

JR東日本の189系は、高い位置に運転台がある国鉄形特急電車の姿を残す貴重な車両である。前述したように「あずさ色」のM50編成がすでに引退。残る189系は6両×3編成となった。気になる今後だが……。

20180202_y-koba5 (2)↑「あずさ色」と呼ばれた水色塗装の189系M50編成。週末は、ホリデー快速富士山号として富士急行線へ乗り入れることが多かった

 

20180202_y-koba5 (3)↑189系のM51編成は国鉄原色の塗り分け。こちらの編成の存続も危ぶまれている

 

残る189系は国鉄原色塗装のM51編成、グレードアップあずさ色のM52編成、もう1編成はあさま色のN102編成のみとなった。

 

残る3編成の気になる今後だが、JR東日本八王子支社のニュースリリースによると、「ホリデー快速富士山号」にはM51編成が3月11日まで、M52編成が3月16日まで使われる予定。3月25日にM51編成とM52編成による新宿駅〜甲府駅間の団体臨時列車が運行されることが発表されている。

 

残念ながら数少ない189系の活躍の場でもあった「ホリデー快速富士山号」には3月17日以降、E257系が使われることになった。3月25日以降の189系はどうなってしまうだろう。いまのところ発表は無い。1970年代から40年にわたり走り続けてきた強者たちの今後が気になるところだ。

 

2.誕生してから25年で消えるE351系「スーパーあずさ」

JR東日本の車両形式名の多くには頭に「E」の文字が付く。EASTという意味で付けられたこの「E」。最初に付けられた車両がE351系だった。中央本線の優等列車、特急「スーパーあずさ」として活躍してきた車両だ。E351系は1993(平成5)年に登場し、車歴は25年と、それほど長くない。ところが、このE351系も2018年3月のダイヤ改正で消えてしまう。

20180202_y-koba5 (4)↑JR東日本で唯一、制御付き自然振子装置を導入したE351系。カーブでは、やや車体を傾けつつ高速で走り抜ける姿が見られる

 

20180202_y-koba5 (5)↑2017年12月暮れから運用が始まった新型E353系。E351系の置き換え用だけでなく、今後、増備されてE257系にかわり「あずさ」や「かいじ」の運用も行われる

 

筆者は制御付き自然振子装置を取り付けたE351系「スーパーあずさ」の軽やかな走り、カーブで適度に傾斜して走る時の感覚や乗り心地が好きだった。まだ四半世紀しか走っていない車両だが、通常の車両よりも複雑な制御付き自然振子装置を備えるだけに、整備の手間や諸経費が問題となったようだ。廃車と報道されているが、車歴が浅いだけにちょっと惜しいようにも感じる。

 

3.関東ではいよいよ見納めとなるJR東日本の115系

115系は1963(昭和38)年に誕生、寒冷地用、急勾配路線用に2000両近くが造られた。いわば国鉄時代の近郊形直流電車としてはベストセラー的な車両で、多くの路線で活躍してきた。

20180202_y-koba5 (6)↑湘南色と呼ばれるオレンジと緑の塗り分け。高崎地区を走る115系もいよいよ終焉の時を迎えている

 

20180202_y-koba5 (7)↑115系に替わり高崎地区の主力電車となった211系。実はこの車両も登場は古く、国鉄時代の1985(昭和60)年に誕生、活躍は30年にわたる古参の電車だ

 

115系は上越線や信越本線などがある高崎地区でも長く活躍。なんと54年にもわたり輸送を支えてきた。そんな115系もこの3月中旬で定期運行が終了する。3月21日(祝日)に走る団体向け専用列車が最後となる予定だ。

 

関東地方周辺の115系は、今後も新潟地区や、しなの鉄道で走り続けるが、お馴染の湘南色で、半世紀にわたり走り続けてきた車両が消えてしまうことには、一抹の寂しさを覚える。

 

4.独特の形状“スラントノーズ”の特急形気動車が消える

関東地区の車両の話題が続いたが、次は北海道の車両の話題。JR北海道の特急として35年にわたり活躍してきた特急形気動車に、キハ183系という車両がある。この基本番台は運転席が高い場所にあり、ノーズの形状が独特で“スラントノーズ”と呼ばれ親しまれてきた。

20180202_y-koba5 (8)↑道内を走り続けてきたキハ183系基本番台。晩年は札幌と網走を結ぶ特急「オホーツク」として活躍した

 

20180202_y-koba5 (9)↑人気の特急「旭山動物園号」もキハ183系基本番台を使用した車両だった。写真は札幌〜富良野間を走った「フラノラベンダーエクスプレス」として走った際のもの

 

20180202_y-koba5 (10)↑JR北海道キハ183系の後期形。現在は道央と北見・網走を結ぶ特急「大雪」や「オホーツク」として活躍している。同車両も2019年度には引退する予定だ

 

すでに通常塗装のキハ183系基本番台の定期運行が終了。3月25日をもってキハ183系を使った「旭山動物園号」も運転終了となる。残るキハ183系は後期形のみ残るが、こちらは前面が平坦なタイプ。石北本線を走る特急「オホーツク」「大雪」のみでの運用となるが、こちらも2019年度での運用終了がすでにJR北海道から発表されている。

 

このキハ183系基本番台だが、クラウドファンディングによる寄付を募り、貴重な車両を保存しようという運動が行われている。1両は道央の安平町に2019年にできる「道の駅あびらD51ステーション」での保存が決定した。さらにもう1両を「安平町鉄道資料館」に保存しようという運動も高まりをみせている。

 

5.静かに消えていきそうな東急の通勤電車

特急車両のように注目を浴び、惜しまれつつ消えていく車両がある一方で、静かに消えていきそうな車両もある。たとえば東急電鉄の田園都市線を走る2000系と8590系がその一例だ。

20180202_y-koba5 (11)↑前面部分に特徴がある2000系。車体よこに赤いラインが入る。10両×3編成しか造られなかった通勤電車だ

 

20180202_y-koba5 (12)↑8590系も東急電鉄の中では希少車だ。2000系と同じで車両数が少なく10両×2編成のみが可動している

 

東急電鉄の田園都市線の主力車両といえば8500系。1975(昭和50)年に誕生した古参ながら、いまもなお多くが活躍している。この田園都市線に2018年春、2020系という新車両が登場する。

 

この新車の増備につれて引退すると見られるのが2000系や8590系だ。両車両とも8500系に比べて生まれてからの車歴は浅いものの、車両数が少ない。保安機器の関係で東武伊勢崎線への乗り入れができないこともあり、現在は、朝と夕方の混雑時間のみ田園都市線と東京メトロ半蔵門線内のみを走っている。

 

乗ったり見たりする機会が少ない車両だが、もし出会ったら注目しておきたい。

 

6.鉄道ファン注目の都営新宿線10-000形も消えていく

1978(昭和53)年の都営新宿線の開通時から走ってきた10-000形(いちまんがた)。徐々にスタイルを変えつつ1997(平成9)年まで製造された。その最終盤に造られた10-000形8次車の世代で、最後に残った10-280編成も、この1月から「さよならステッカー」を付けて走り始めている。都営地下鉄新宿線と、相互乗り入れする京王線が2月22日の同じ日にダイヤ改正を行うことから、これを機会に引退となりそうだ。

20180202_y-koba5 (13)↑京王線に乗り入れて走る都営新宿線の10-000形10-280編成。前面の黄緑ラインの下に細い青ラインが入る8次車で、残存する10-000形最後の編成となる

 

20180202_y-koba5 (14)↑10-000形の後継車両として造られた10-300形(いちまんさんびゃくがた)。3次車以降、大幅に形もかわりスタイリッシュな顔立ちに変更されている

 

都営新宿線の10-000形だが、一部の鉄道ファンからは消えるのを惜しむ声があがっている。その理由は10-000形8次車がチョッパ制御と呼ばれるシステムを使った、国内最後の新造車両だったため。チョッパ制御自体の説明は避けるが、中央線などを走ったオレンジ色の201系が採用した当時の最新技術で、その後の電車の制御方法の礎(いしずえ)となった技術でもある。

 

現在のVVVFインバータ制御が一般化する少し手前の、車両開発のいわば過渡期の電車と言っても良いかもしれない。

 

7.そのほかの今後が気になる車両を紹介

ここまでは、この春にほぼ引退が決定的、または予測される車両をあげてみた。ここからは、今後が気になる車両をあげておきたい。

 

■小田急電鉄LSE(7000形)

新ロマンスカーGSE(70000形)が3月に走り始める。ロマンスカーが増便されるために、しばらくの間はLSE(7000形)も走るとされているが、製造してからすでに30年以上を経ている車両だけに、気になるところ。現在、11両×2編成が残っている。新型GSE(70000形)の第2編成目の導入が2018年度中に予定されているので、その後に何らかの動きがあるかもしれない。

20180202_y-koba5 (15)↑前と後ろに展望席があるLSE(7000形)。LSE以降に造られたHiSE(10000形)、RSE(20000形)が先に引退。逆にLSEが長生きするということなった

 

20180202_y-koba5 (16)↑3月の運行開始を目指して新型ロマンスカーGSE(70000形)の試運転も始まっている。LSEやVSE(50000形)と同じように前後の展望席が魅力となっている

 

■JR西日本103系ほか国鉄形通勤電車

JR西日本は、ほかのJRグループ各社よりも、比較的長く車両を走らせる会社として知られている。国鉄時代に生まれた通勤電車103系や、113系、117系などがいまも京阪神を中心に走り続けている。車両の更新工事を受けているものの、JRグループが生まれてすでに30年以上。さすがに国鉄時代に生まれた車両のなかには引退する例も目立ってきた。

 

いま、気になるのが103系、昨年、大阪環状線と阪和線を走っていた103系が消え、大和路線(関西本線)を走る103系の定期運用が1月24日に終了、阪和線の支線・羽衣線の103系も春までに消える予定だ。

 

残っているのは奈良線、和田岬線など。東京や大阪など多くの路線を走った国鉄形通勤電車の姿を今も留める103系だけに、今後の動向が注目される。

20180202_y-koba5 (17)↑奈良線を走るJR西日本の103系。国鉄の通勤電車を代表するスタイルも、見納めの時期が近づいているようだ

 

【中年スーパーカー図鑑】オイルショックの荒波にもまれた“孤高のV8ロメオ”

1967年にカナダのモントリオールで開催された万国博覧会において、アルファロメオはウニベルサルと称するプロトタイプスポーツを出品する。カロッツェリア・ベルトーネが手がけた流麗なクーペボディを纏ったGTカーは、その後市販化に向けて開発が進められ、1970年開催のジュネーブ・ショーで量産版となるモデルがワールドプレミアを果たした――。今回はアルファロメオ渾身のスーパーカー、「モントリオール」の話題で一席。

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【Vol.11 アルファロメオ・モントリオール】

1960年代中盤の自動車市場は、それまで運転にある程度のスキルを要したレーシングカー直結のスポーツカーが、よりイージードライブで、快適性に富み、しかも見栄えのする高性能GTカー、後にいうスーパーカーへと変貌を遂げた時代だった。この状況を、高性能メーカー車の老舗であるアルファロメオが黙って見過ごすはずはない。同社は早々に新しい高性能GTカーの開発プロジェクトに着手した。

 

■ベルトーネとタッグを組んでスーパーカーを開発

新規の高性能GTカーを造るに当たり、アルファロメオの開発陣はパートナーとしてカロッツェリア・ベルトーネを選択する。ベルトーネが担当するのはボディのデザインおよびコーチワークで、シャシーやエンジンなどのメカニズム関連はアルファロメオが手がけることとした。まず基本シャシーについては、ジュリア・スプリントGT用をモデファイしたものを採用する。懸架機構は前ダブルウィッシュボーン、後トレーリングアームで構成。エンジンは既存の1570cc直列4気筒DOHCユニットをフロントに搭載し、リアを駆動するというオーソドックスな形をとった。内包するインテリアは、大きな円形メーターをドライバー前に据えるなどした機能的なデザインを導入。リアゲートはガラス部分のみの開閉を可能とし、ルーフから両サイドのフェンダー、テールエンドまでは一体構造とした。

 

エクステリアに関しては、ベルトーネのチーフデザイナーの任に就いていたマルチェロ・ガンディーニが造形を主導する。基本フォルムは2+2のクーペスタイルで、低くて長いノーズに強く傾斜したウィンドシールド、流れるようなファストバックのルーフライン、上方へと跳ね上がるサイドウィンドウ形状、テールエンドをすっぱりと切り落としたコーダトロンカ形状など、当時のスポーツカーの流行を存分に取り入れて構成。一方、ブラインド状のヘッドライトガーニッシュや中央に盾を配したフロントグリル、リアピラー部に組み込んだスリットダクト等のディテールで独特のアピアランスを演出した。

 

アルファロメオとベルトーネの合作プロトタイプGTは、ユニークな会場でワールドプレミアを飾る。舞台は1967年にカナダのモントリオールで開催された万国博覧会。アルファロメオは主催者からイタリア政府を介して出展社として選ばれ、自動車技術の最高の理想を具現化したという高性能GTの「アルファロメオ・ウニベルサル(universal)」を出品したのである。会場では「非常に高性能なエンジンを積み、量産の可能なデザインで造られた」という説明がなされたアルファロメオ・ウニベルサル。当初、マスコミなどはアルファロメオの経営状況を鑑みて単なるショーカーで終わると予測していたようだが、実際は違った。モントリオールから帰国後、アルファロメオとベルトーネは本格的に高性能GTの市販化に向けたプロジェクトを推し進めたのだ。

1967年カナダ・モントリオールの万国博覧会に出展した高性能GTの「アルファロメオ・ウニベルサル(universal)」。モントリオールの原型となる1967年カナダ・モントリオールの万国博覧会に出展した高性能GTの「アルファロメオ・ウニベルサル(universal)」。モントリオールの原型となる

 

プロトタイプから最も大きな変更を受けたのは、搭載エンジンだった。1.6L直4DOHCでは高性能GTとしてのインパクトが弱いと考えた開発陣は、ティーポ33用にカルロ・キティが設計した90度のバンク角を持つV型8気筒DOHCユニットの導入を決断する。そのうえでボア×ストロークは80.0×64.5mmのオーバースクエアに、排気量は2593ccに設定。圧縮比は9.0とし、燃料供給装置にはスピカのメカニカルインジェクションを組み込んだ。パワー&トルクは200hp/6500rpm、24.0kg・m/4750rpmを発生。潤滑方式にはオイルパン部分が浅くできるドライサンプ方式を取り入れる。エンジンルーム自体はV8エンジンの採用に即して、大幅に設計を見直した。組み合わせるトランスミッションは専用ギア比のZF製5速MT。リアの駆動部にはリミテッドスリップデフを装備した。足回りについては前ダブルウィッシュボーン/後トレーリングアーム+Tセンターリアクションメンバーをベースに、エンジンの出力アップに応じた専用セッティングを施す。確実な制動力を確保するために、制動機構には4輪ベンチレーテッドディスクブレーキを組み込んだ。

 

開発陣は量産性などを踏まえて、内外装の改良も鋭意実施する。ブラインド形状のヘッドライトガーニッシュは4分割タイプから2分割タイプに変更し、そのうえで圧縮エアによってライトの前を通って下側に収まるように設計。フロントフードにはインジェクションとエアクリーナーを収めるためにNACAダクト付きのパワーバルジを新設した。リアピラー部のスリットダクトは片側7分割/左右計14分割から片側6分割/左右計12分割にリファインし、ドアの開閉部もプッシュボタン式からオーソドックスなノブ式に変える。ほかにも、メッキモールの多用化やサイドウィンドウおよびリアフェンダー部の手直し、アルミ製サイドシルカバーの装着、未来的かつスポーティなアナログメーターやディープコーンタイプのステアリングの採用など、随所に高性能GTにふさわしいアレンジを施した。

 

■プロトタイプの初披露場所を車名に転用

流れるようなファストバックのルーフライン、テールエンドを切り落としたコーダトロンカ形状など、当時のスポーツカーの流行のデザインを採用流れるようなファストバックのルーフライン、テールエンドを切り落としたコーダトロンカ形状など、当時のスポーツカーの流行のデザインを採用

 

アルファロメオとベルトーネが丹精を込めて造った新しい高性能GTのプロダクションモデルは、1970年開催のジュネーブ・ショーで初公開される。車名は初陣を飾ったプロトタイプの発表場所にちなんで「モントリオール」と冠していた。

 

モントリオールのカタログスペックは、ボディサイズが全長4220×全幅1672×全高1205mmで、ホイールベースが2350mm。車重は1270kgと軽めに仕上がっていたため、最高速度は220km/h、0→100km/h加速は7.4秒と公表された。注目の車両価格は570万リラと、当時のポルシェ911などのスポーツカーよりもはるかに高いプライスタグを掲げていた。

大型スピードメーターと大型タコメーターをドライバー前に設置。センター部には空調やパワーウィンドウなどのスイッチ類のほか、ベルトーネの“b”エンブレムが組み込まれる。MTシフトはほぼ直立状態の短いレバーを採用大型スピードメーターと大型タコメーターをドライバー前に設置。センター部には空調やパワーウィンドウなどのスイッチ類のほか、ベルトーネの“b”エンブレムが組み込まれる。MTシフトはほぼ直立状態の短いレバーを採用

 

市場に放たれたモントリオールは、まずアグレッシブかつ魅力的なルックスで注目を集める。エア圧で格納するヘッドライトガーニッシュの動きなども見る人を驚かせた。室内空間に目を移すと、個性的なインパネ造形が乗員を迎える。計器類はkm/h×10で表示した大型スピードメーターとGIRI×1000表示の大型タコメーターをドライバー前に、燃料計/時計/電流計/水温計/油温計/油圧計/各種警告灯類を主眼メーター周囲に配置。センター部には空調やパワーウィンドウなどのスイッチ類のほか、ベルトーネの“b”エンブレムが組み込まれる。MTシフトはほかのアルファ車のような斜めに生える長いタイプではなく、ほぼ直立状態の短いレバーを採用していた。前席には乗員を包み込むような横溝タイプのヘッドレスト一体型バケットシートを装着。後部にも+2スペースのシートを設けていたが、お世辞にも広いとはいえなかった。

全長4220×全幅1672×全高1205mm、公表値の最高速度は220km/h、0→100km/h加速は7.4秒。ポルシェ911などのスポーツカーよりもはるかに高いプライスラグをつけていた全長4220×全幅1672×全高1205mm、公表値の最高速度は220km/h、0→100km/h加速は7.4秒。ポルシェ911などのスポーツカーよりもはるかに高いプライスラグをつけていた

 

内外装の演出以上に当時のクルマ好きを惹きつけたのは、走りの性能だった。著名な自動車誌のクワトロルオーテがモントリオールをテストしたところ、最高速度は224.07km/h、0→100km/h加速は7.1秒と、メーカー公表値を優に超えたのである。また、高速連続走行での平均車速や耐久性においても高レベルをキープ。前後重量配分が適正なために、コーナリング時やブレーキング時の安心感もあった。走行性能は内外装の演出以上に高性能GTの特性を有している――そんな評価が、モントリオールには与えられたのだ。

 

ミラノ(アルファロメオ)とトリノ(ベルトーネ)の血が深く混ざった孤高のV8ロメオは、1973年に勃発したオイルショックという荒波にも揉まれながら、1977年まで生産が続けられる。大きな仕様変更をすることもなく、長めの車歴を刻めたのは、何より量産車としての完成度が高かった証だろう。総生産台数は3925台(3917台という説もあり)と、他社のスーパーカーに比べて堅調な数字を記録したのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

レンジローバーのクーペ仕様がジュネーブで発表!

ジャガー・ランドローバーは3月に開催されるジュネーブ・ショーにおいて、限定モデルとなる「レンジローバーSVクーペ」をワールドプレミアすることを発表。インテリアの写真1点を先行で公開した。

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公開された写真は4名乗車のキャビンを俯瞰で捉えたもので、前後のシートカラーが異なることや、キャビン中央を走るセンターコンソールの凝ったデザインが確認できる。

 

同社によれば、このモデルは世界初となるフルサイズの高級SUVクーペとのこと。車名にSVが入るように、このモデルの開発を担当したのは同社で高性能モデルなどを手がける部門、SVO(スペシャル・ヴィークル・オペレーションズ)。

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写真は現行型のレンジローバーSVオートバイオグラフィー

 

SVクーペは、レンジローバーの血統を祝うもので、1970年に2ドアモデルとして発売されたレンジローバーのユニークなヘリテージを象徴するモデル。伝統的な技術と最先端テクノロジーを組み合わせ、豪華で洗練されたデザインによって仕上げられたという。

 

世界限定999台を生産する予定のレンジローバーSVクーペ。その姿は3月6日に明らかとなる。

次期型BMW「X5」はこれだ! シンプルなフロントエンドが特徴的

2018年9月のフルモデルチェンジが噂されている、BMWのミドルクラスSUV「X5」の次期型のレンダリングCGを入手。それによると、現行モデルよりもフロントエンドはかなりシンプルなデザインになる模様だ。

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この次期型「M5」のレンダリングCGはフルヌードに近い開発車両をベースに起こされているようで、ほぼ市販モデルの最終デザインと言ってもいいだろう。「X2」に近いアウトラインに、BMW最新世代のヘキサゴンLED、存在感のある大型キドニーグリルを装備。またルーフエンドには若干の傾斜を持たせているようだ。

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パワートレインは最大出力251ps、最大トルク350Nmを発揮する2.0リッター直4ターボエンジン、最高出力335ps、最大トルク450Nmを発揮する3リッター直6ターボエンジンや、プラグイン・ハイブリッドがラインナップされると見ているが、その頂点には4.4リッターV8ツインターボエンジンを搭載した「X5 M」が君臨し、そのパワーは600ps、800Nm以上を発揮するという。

【中年名車図鑑】職人の技を忍ばせた、ツウ好みの“商用パイクカー”

1987年に登場した日産のBe-1は、ハイテク技術に重きが置かれた当時の日本の自動車市場にあって、一大“パイクカー”ブームを巻き起こす。確かな手応えをつかんだ日産自動車は、その後継作に乗用車だけではなく、商用モデルのパイクカーも企画した。今回は“新感覚マルチパーパスカー”として開発され、PAO(パオ)と同時期にデビューした「S-Cargo(エスカルゴ)」の話題で一席。

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【Vol.52 日産S-Cargo(エスカルゴ)】

1987年1月に限定1万台で発売され、日本の自動車マーケットにパイクカー(大量生産を前提としない“とんがった=pike”クルマの意)ブームを巻き起こした日産自動車のBe-1。高性能一辺倒でクルマを企画していた当時の開発傾向に一石を投じ、その後も継続される“レトロ調”好きの需要を掘り起こした同車のキャラクターを重視した開発陣は、すぐさま次期型パイクカーの開発を決定する。しかもBe-1のような乗用車モデルだけではなく、商用車カテゴリーにも拡大展開する方策を打ち出した。

 

ちなみに、当時の日産スタッフによると「商用車のパイクカー化はBe-1の開発時にはすでに企画として持ち上がっていた」という。第1弾が成功したら、商用車のパイクカーも造ろう――そうした考えが、開発現場にはあったのである。

 

■“新感覚マルチパーパスカー”の開発

フランス語でかたつむりを意味するescargotと貨物を表すcargoを掛け合わせたネーミング。ボンネットなどは職人の手叩きで仕上げられたフランス語でかたつむりを意味するescargotと貨物を表すcargoを掛け合わせたネーミング。ボンネットなどは職人の手叩きで仕上げられた

 

商用モデルのパイクカーを企画するにあたり、日産のスタッフは「ファッショナブルでユニークな新感覚のマルチパーパスカー」を創出するという開発テーマを掲げる。具体的には、ブティックやフラワーショップなどの店先に停めて絵になるお洒落なクルマ、街を行く人々の視線を集めて人気者となるクルマ――に仕上げることを念頭に置いた。

 

商用パイクカーを造るうえで、開発陣が最も力を入れたのは内外装の演出だった。前マクファーソンストラット/後トレーリングアームのシャシーやFF方式のE15S型1487cc直列4気筒OHCエンジン(73ps)+3速ATなどの基本コンポーネントは同社のパルサー・バンやADバンから流用。その上に被せるボディは、丸目2灯式のユニークなヘッドランプになだらかな孤を描くボンネット、同じく孤でアレンジしたルーフ、広告ボードとして自由に使えるようにデザインしたフラットなリアサイドパネル(市販時は丸型リアクォーターウィンドウ仕様も用意)などで構成する。また、パイクカーの象徴的アイテムともいえるキャンバストップ(電動・手動併用式)も装備した。内装については、テーブルタイプのダッシュボードにセンター配置の大型スピードメーター、インパネ中央付近にレイアウトしたATシフトレバーなど、専用デザインのパーツを満載する。シートはメイン素材に平織の生地を用いたセパレート式のベンチタイプで、助手席にはウォークイン機構を内蔵。サイドウィンドウは開閉部の全開を実現するために2分割式でアレンジした。

 

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 センター配置の大型メーター、インパネ中央のシフトなど独創的なデザインが目を引く。室内空間は開放的
センター配置の大型メーター、インパネ中央のシフトなど独創的なデザインが目を引く。室内空間は開放的

 

商用車版のパイクカーはその性格上、実用性も最大限に考慮された。荷室高は1230mmを確保し、そのうえでフラットな床面や可倒式のリアシート、ルーフ近くから床面まで開く上ヒンジ式の大型リアゲートなどを設ける。耐久性も重視し、前後バンパーやフロントフェンダー、ヘッドランプフィニッシャー、リアフィレットプロテクターには錆びにくくて軽量な高剛性PP(ポリプロビレン)材を採用した。

 

■姿かたちがそのまま車名に――

リアサイドパネルは広告として使えるようにフラットな造形リアサイドパネルは広告として使えるようにフラットな造形

 

商用モデルのパイクカーは、1987年に開催された第27回東京モーターショーで参考出品車として初披露される。車名は「S-Cargo(エスカルゴ)」。フランス語でかたつむりを意味し、スタイリングも似ているescargotと貨物を表すcargoを掛け合わせたネーミングを冠していた。

 

市販版のエスカルゴはPAO(パオ)と同時期の1989年1月に発表され、2年間限定の形で受注生産される。型式はR-G20。量産ラインを担当したのは関連会社の日産車体で、ボンネットなどの一部パーツは職人の手叩きで仕上げられた。ボディサイズは全長3480×全幅1595×全高1835~1860mm/ホイールベース2260mmで、最小回転半径は4.7m。最大積載量は300kgを確保する。標準ボディ色はホワイト/グレー/ベージュ/オリーブの4タイプを設定し、オプションとしてレッド/イエロー/ブルー/ブラックも選択できた。

 

エスカルゴの車両価格は122.0~133.0万円と同クラスの商用車より高めの設定だったが、販売は好調に推移する。走りの面でも予想以上の好評を博し、とくに乗り心地のよさ(4輪独立懸架サスペンションに155R13-6PRLTサイズのミシュラン製商用車用タイヤを装着)がユーザーから高く評価された。一方、ユニークなスタイリングで脚光を浴びたエスカルゴは国内外での様々なイベント会場でも披露される。1989年7月には英国のロンドン美術館にてS-Cargoを展示。また、アーティストの池田満寿夫氏が外装ペイントを手がけたアートカーモデルも製作される。日産自動車のお膝元である神奈川県では、横浜スタジアムのリリーフカーとして特別仕様のエスカルゴが造られ、2000年のシーズンまで活躍した。

 

結果的にエスカルゴは予定通りの2年間、1990年12月まで生産され、累計台数は1万650台あまりにのぼる。また生産中止後もコアな人気を保ち続け、21世紀に入ってもレストアやドレスアップが施されたユーズドカーが市場に並ぶこととなった。ちなみに、知己の板金職人によるとエスカルゴをレストアする際は「意外な発見がある」という。最も印象的なのは緩やかな弧を描くボンネットで、ひとつひとつ手叩きで仕上げられていたため、個体によってプロでしかわからない微妙な違いがあるそうだ。一般的にはスタイリングのユニークさばかりが強調されるエスカルゴだが、一皮むけば職人さんの技術が存分に発揮された通好みの逸品なのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

フォード自慢の高性能モデルがサーキットアタック!

1月29日、フォードはあるユニークな動画を公開した。フォードGTレースカーを頂点とするフォードのハイパフォーマンスモデル8台が揃い、サーキットアタックを試みるというものだ。

 

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舞台はスペイン・バルセロナ近郊にあるモトランドレースサーキット。フィエスタSTからピックアップトラックのF-150ラプターまでの8台をドライブするのは、フォード・チップ・ガナッシ・レーシングチームのドライバーだ。

 

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1周5.345kmのサーキットトラックを不利となるであろうF-150からスタート。もちろん最後発はレーシング仕様のフォードGTだ。

さて、最初に1ラップを終えるのは、いったいどのモデルになったのか。結末は動画でご確認を。

 

 

 

 

ルノーに試乗して「大切な人とふたりで出かける夜空の旅」をゲットしよう!

ルノー・ジャポンでは、2/1(木)から2/28(水)までの期間中に ルノー正規ディーラーで、ルノー車に試乗した方の中から抽選で、「東京ヘリコプタークルーズ」(2組4名)もしくは「星の王子さまミュージアムペア入館券」(50組100名)をプレゼントするキャンペーンを実施。 フランスでは2月=「愛」の月とのこと。「星の王子さま」の著者サン=テグジュペリが作品の中に残した 「愛とは、たがいを見つめあうのではなく、ともに同じ方向を見つめること」(「人間の土地」より引用)に着想を得たルノー・ジャポンでは、愛する人=モナムール(Mon Amour)を想うこの季節に、大切な人とふたりで過ごす特別な時間が当たる試乗キャンペーンを展開する。

 

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【ルノー モナムール キャンペーン概要】
キャンペーン期間中、ルノー・ディーラーでルノー車に試乗した方の中から、A賞として抽選で2組4名様に「大切な人とふたりで出かける夜空の旅」東京ヘリコプタークルーズを、B賞として抽選で50組100名様に「星の王子さまミュージアム ペア入館券」をプレゼント。

 

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対象車種:ルノー車 全モデル
期間:2018年2月1日(木)~2月28日(水)23:59まで
賞品/当選者数

A賞:「大切な人とふたりで出かける夜空の旅」東京ヘリコプタークルーズ(2組4名様)  ※2018年3月31日(土)実施予定。

B賞:星の王子さまミュージアム 箱根サン=テグジュペリ ペア入館券(50組100名様)/住所:〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原909

 

当選発表
A賞:ヘリコプタークルーズ実施会社の株式会社JTBより、当選者にのみメールで連絡。(3月上旬に順次ご連絡をいたします。)

B賞:ルノー モナムール キャンペーン事務局より、当選者へ賞品を発送。

 

応募資格
・上記の期間中に、ルノー正規ディーラーでルノー車に試乗した方。
・日本国内にお住まいの満20歳以上の方。
・メールアドレスをお持ちの方。
・健康上の問題がない方で、実施日に集合場所へお越しになれる方。

 

応募受付
期間中にルノー・ディーラーで試乗した後に渡される応募用ポストカードに記載のQRコードから、専用応募フォームへアクセス。専用応募フォームでルノー・ジャポン メールマガジン登録に同意の上、必要事項と応募コードを入力して応募する。

 

ルノー モナムール キャンペーン詳細

http://www.renault.jp/information/campaign/lp/monamourcp.html

 

 

 

運転中に消し忘れた自宅のエアコンをオフに――「AI音声アシスト」で訪れるクルマの“現実的な”未来

世界最大のIT家電ショーとして知られる「CES(セス)2018」が1月初旬、米国ラスベガスで開催された。近年は家電だけにとどまらず、電動化や自動運転といった最先端の自動車技術を披露する場としても世界的に注目を集めている。そんな「CES2018」で見た自動車の最新テクノロジーを追った。

↑4日間の開催で約20万人が集まる世界最大級のIT家電ショー「CES(セス)」。今年はCESが積み上げてきた51年の歴史の中で過去最大の開催規模となったという↑4日間の開催で約20万人が集まる世界最大級のIT家電ショー「CES(セス)」。今年はCESが積み上げてきた51年の歴史で過去最大の開催規模となったという

 

AI音声アシストがついに車載に

これまでCESに出展されてきた自動車の最先端分野は「自動運転」だった。数年前まで各社はこぞって自動運転に向けた可能性を訴え、そのコンセプトを競い合うフィーバーぶりだったのだ。しかし、一昨年あたりからその熱も冷め、より現実的な路線へと転換し始めた。たとえば、オートパーキングやラストワンマイルの機材、さらにはドライバーに対する様々なアシスト技術といった、より足元の先進技術を充実させる方向へと切り替わったのだ。そんななかで、CES2018で目立った出展が「AI音声アシスト」である。

 

クルマにとって最も使いやすいインターフェースは、これまでにも様々なアプローチが試みられてきた。ディスプレイのタッチパネルや、視線によるコマンド選択もそれらのひとつ。しかし、いずれも画面を視認しなければ操作はできないという問題を抱えていた。一方で、インターフェイスとしての優秀性を理解しながらも、その認識率が課題となって普及してこなかったのが音声認識だ。しかし、その問題はネット接続したクラウドでの処理によって解決の糸口が見えてきた。その最先端に位置するのが「AI音声アシスト」なのだ。

↑話題の中心はAI音声アシスタント。アマゾンのエコーを迎え撃つグーグルは「Google Assistant」専用ブースを用意し、Google Homeが当たるイベントも展開された↑話題の中心はAI音声アシスタント。AmazonのEchoを迎え撃つGoogleは「Google Assistant」専用ブースを用意し、Google Homeが当たるイベントも展開された

 

その急先鋒となっているのがGoogleやAmazon、Appleが提供しているAI音声アシストサービスだ。GoogleやAmazonのスマートスピーカーは、日本にも上陸したことで広く認知されているが、ここアメリカでは近年にない大ヒットを遂げているという。その理由は家庭にある家電をスマートスピーカー経由でコントロールできるから。たとえば照明器具やコンセント、エアコンのON/OFF、テレビの観たいチャンネルが音声操作によって即座に実行される。これらはスマートフォンと接続して外部からでもコントロールでき、それは鍵の解錠/施錠にまで及ぶ。つまり、「便利だから」スマートスピーカーは普及しているわけだ。

↑先行発売した「amazon echo」。音声での商品注文にも対応するなど、多彩な機能が高い支持を得る要因となっている↑先行発売した「Amazon echo」。音声での商品注文にも対応するなど、多彩な機能が高い支持を得る要因となっている

 

↑AI音声アシストで勢いを増している「Google Home」。Android端末との高い親和性が最大のポイントとなっている↑AI音声アシストで勢いを増している「Google Home」。Android端末との高い親和性が最大のポイントとなっている

 

そして、CES2018ではその便利さが自動車の中にまで入り込み始めた。会場では各社がこぞって車内からコントロールするデモを展開しており、車内に乗り込んでそれを体験する姿があちこちで見ることができた。便利な機能だからそれが家だけでなくクルマでも使いたいと思うのは自然な姿。そんな単純明快な理由が車載でのAI音声アシスタント利用を推し進めているのだ。

 

運転しながら自宅の家電を声で操作

そのなかで注目だったのが、音声認識のソフトウェア開発を行っているニュアンス社(アメリカ)だ。同社はPCで使う音声認識ソフト「ドラゴン・スピーチ」を開発したことでも知られ、いまや世界中の大手自動車メーカーが同社の音声認識ソフトを使う、まさにこの分野でのトップメーカーでもある。同社はCES2018開催に合わせ、ラスベガス市内のホテルに特設会場を用意。ここで最先端のAI音声アシストを披露して見せた。

↑ニュアンス社は別ホテルで専用会場を用意。そこではAI音声アシスタントを使って遠隔操作する「Dragon Drive」のデモが披露された↑ニュアンス社は別ホテルで専用会場を用意。そこではAI音声アシスタントを使って遠隔操作する「Dragon Drive」のデモが披露された

 

なかでも注目だったのが、車内のドライバーの声を認識し、サーバーを介して自宅のスマートスピーカーをコントロールする技術だ。車内からコマンドを発するだけで「Amazon Alexa」や「Google Home」につながり、しかも複数のAI音声アシスタントを使い分けられる。そのため、運転中にアップルの「Siri」を使うスマートフォンに話しかけると、そのコマンドによって家にある様々なスマートスピーカーのコントロールを可能とする。もちろん、これもまた家のエアコンや照明のON/OFFを行い、鍵の施錠/解錠まで行える。つまり、ニュアンス社のシステムが多彩な音声アシストに対応するインターフェイスとしての役割を果たすわけだ。

↑外部からAI音声アシストを使い、家のエアコンや照明のON/OFFを行い、鍵の施錠/解錠まで実行。その端末は異なる音声アシストでも構わない↑外部からAI音声アシストを使い、家のエアコンや照明のON/OFFを行い、鍵の施錠/解錠まで実行。その端末は異なる音声アシストでも構わない

 

こうしたAI音声アシストをさっそく採用する自動車メーカーも現れている。トヨタは「CES 2018」に出展された「TOYOTA Concept-愛i」のオートモーティブアシスタントにニュアンス社の音声技術「Dragon Drive」を採用。Concept-愛i向けにカスタマイズしており、トヨタの感情推定エンジンとも連携するのだという。一方、ケンウッドは三菱自動車のエクリプスクロスに採用されたディスプレイオーディオを出展。会場内にはエクリプスクロスの実車を展示してグーグルアシスタントを使ったデモを行った。このディスプレイオーディオは、北米だけでなくグローバルでの展開になるそうで、日本で発売されるエクリプスクロスも同仕様になる予定だという。

↑三菱自動車の最新モデル「エクリプスクロス」に搭載されたディスプレイオーディオ。ケンウッドによるOEMで、CarPlayやAndroidAutoに対応する↑三菱自動車の最新モデル「エクリプスクロス」に搭載されたディスプレイオーディオ。ケンウッドによるOEMで、CarPlayやAndroidAutoに対応する

 

 

パナソニックはAmazonと共同開発した車載システムを公開した。最大のポイントはAlexaをオンラインだけでなく、オフラインでも使えるようにし、車内のエアコン調節や窓の開け閉め、音楽再生、道案内などができる新しい仕組みを取り入れたことだ。しかも驚いたことにパナソニックはこれをGoogleアシスタントでも同様な対応をして見せた。

 

 

また、世界有数の自動車部品サプライヤーであるコンチネンタル(ドイツ)もAmazon Alexaと連動した車載向けAI音声アシスタントを披露し、その使い勝手の良さを強調した。

↑世界有数の自動車部品サプライヤーコンチネンタル(ドイツ)が披露したAmazon Alexaと連動する車載向けAI音声アシスタント↑世界有数の自動車部品サプライヤーコンチネンタル(ドイツ)が披露したAmazon Alexaと連動する車載向けAI音声アシスタント

 

また、車載オーディオのOEMで知られるBoseが披露したのは、オーディオが大音量で鳴り響く車内でもドライバーの声だけを抽出できる技術「ClearVoice(クリアボイス)」。これはオーディオだけでなく、窓を開けた状態だったり、オープンカーでも効果があるという。音声アシストが普及すればするほどこうした技術の後押しは重要となっていく。究極のインターフェイスとして長いこと日の目を見てこなかった車載での音声認識がようやく花開き始めた。CES20108はそんな時代の変化を読み取ることができたショーとなったのだ。

↑Boseが公開した「ClearVoice」は、大音量の音楽を再生中でもドライバーの声を抽出できる新技術で、風切り音などにも対応できる↑Boseが公開した「ClearVoice」は、大音量の音楽を再生中でもドライバーの声を抽出できる新技術で、風切り音などにも対応できる

 

 

順調に販路を拡げるホンダ・ジェット

1月26日、ホンダの航空機事業子会社のホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)は、「ホンダ・ジェット」の中国におけるディーラーであるホンダ・ジェット チャイナが広州白雲国際空港内において稼働を開始したことを受け、ディーラー開所式を開催したと発表した。

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ホンダ・ジェット チャイナはホンサン・ジェネラル・アビエーションにより運営され、香港およびマカオを含む中国本土で小型ビジネスジェット機ホンダ・ジェットの販売・サービスを実施する。

 

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式典には広州市の政府関係者をはじめ、ホンサン・ジェネラル・アビエーション会長の周 玉玺氏、そしてホンダ技研工業の代表取締役社長 八郷隆弘氏、ホンダ・ジェットの開発責任者でHACI社長 藤野道格氏らが出席した。

 

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ホンダ・ジェットは、主翼上面のエンジン配置や自然層流翼型、一体成型複合材胴体など、ホンダの独自開発技術の採用により、小型ジェット機としてクラス最高水準の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能および室内サイズを実現した小型ビジネスジェット機。現在、ホンダ・ジェットはカナダとメキシコを含む北米、欧州、中南米、東南アジアおよび中国で販売されている。

 

 

 

干支は関係なさそうですが、北米スバルの人気CMが復活

スバル・オブ・アメリカはこのほど、新型SUV「スバル・アセント」の発表を記念したテレビスポットCM動画をYouTubeのスバル公式チャンネルで公開した。

 

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このCMのタイトルは「Dog Tested.」、つまり「犬のテスト済み」で、人気の高いペットに焦点をあてたもの。CM動画のバリエーションは「CAR WASH」や「DROP OFF」、「DRIVING LESSON」、「DRIVE WAY」と4パターンを設定され、ぞれぞれ30秒で展開。テーマごとに、犬のファミリー、バークレイズ家が織りなすショートストーリーが楽しめる。

 

愛犬家はもちろんのこと、犬がスバル車をドライブするという、なんともユニークなこれらの動画、気になる方は一度チェックしてみてはいかがだろう。

 

 

 

正式デビューに先駆け、BMW8シリーズ・クーペのテスト模様が公開!

1月24日、BMWは現在開発を進めており2018年内に発表する予定となっている新型「BMW8シリーズ・クーペ」の、開発テストの模様を公開した。

 

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公開されたのはイタリア・アプリリアにある高速試験場での様子。エクステリアには偽装が施されているものの、スタリングはBMWの新世代旗艦クーペを名乗るにふさわしいスポーティでダイナミックな印象をもたらすフォルムを描いていることが確認できる。

 

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テスト内容は高速でのパフォーマンスのほか、制動性能やハンドリング性能など多岐にわたっているが、すでに新型8シリーズ・クーペは高い敏捷性や走りの精度が実現できているという。

 

なお、新型8シリーズは、高性能版の「M8」および、それをベースとするレーシング仕様「M8 GTE」も並行して開発が進められている。ちなみにM8 GTEは1月27〜28日に開催されるデイトナ24時間レースで実戦デビューを飾る予定だ。

 

 

 

【体験動画】ゲレンデを疾走する「タクシー」が本当に楽しすぎ! 上りも下りも迫力満点!!

いまやスキー場での恒例イベントとなりつつある「SUBARUゲレンデタクシー」。5シーズン目を迎える今年は、全4回の開催を予定している。1月20日~21日には安比高原スキー場へと場所を移し、その模様を報道関係者に公開した。今回はその模様を、迫力満点の試乗動画とともにお届けしよう。

20180126_y-koba5_1 (5)↑ゲレンデタクシーが開催されると乗車を希望する人がひっきりなしに訪れているという

 

上りだけでなく下りも!? 遊園地のアトラクションのごとき大迫力

「SUBARUゲレンデタクシー」とは、スキー場のゲレンデでスバルのSUV(XV/フォレスター/アウトバック)をリフト代わりにタクシーとして利用できるというもの。2013年~14年シーズンに菅平高原スキー場でスタートし、以降毎シーズン、場所を変えて開催してきた。利用者は、受付付近のゲレンデタクシー車両と一緒に撮影した写真を「#ゲレンデタクシー」のハッシュタグと一緒にSNSでシェアし、その画面をスタッフに見せれば誰でも無料で乗車できる。

20180126_y-koba5_1 (1)↑こちらがゲレンデタクシーの車体。「タクシー」であることを示す行灯をルーフの上に載せている

 

車両にはTAXI行灯がルーフに取り付けられ、“タクシー”であることを強調。ミシュランのスタッドレスタイヤ「X-ICE XI3」を装着し、スキー道具を載せられるようスーリー(THULE)のキャリアも装備する。ゲレンデタクシーとして専用デカールシールを身にまとってはいるものの、車両そのものは市販されているものそのままだという。

 

体験乗車した安比でのコースは全長約800mの直線路。途中、クルマにとってはキツイ斜面もあるが、スバルの4WDシステムである「シンメトリカルAWD」によって、スキーヤーを乗せて一気に駆け上がる。セントラルクワッド(954m)のリフトの隣にあり、所要時間は50秒ほど。リフトで移動するよりもはるかに速い。しかも、リフト代わりに使う上りだけでなく、現在は下りでも乗車できるのがまた面白い。そのため、ゲレンデタクシーに乗ることを目的に訪れる人も相当数いるようだ。

20180126_y-koba5_1 (4)↑コースはセントラルクワッド(954m)のリフトの隣にある800mほどの直線路

 

20180126_y-koba5_1 (3)↑ドライバーはラリーを経験したテクニシャンばかり

 

実際に乗ってみれば本当に楽しいの一言。スタートした直後こそ通常の圧雪路の雰囲気だが、急勾配に差し掛かると、ラリー経験もあるドライバーが滑りながらも車両を巧みにコントロールしてフルパワーで駆け上がる。路面の凹凸に激しく乗員も揺らされるが、その巧みなハンドルさばきに反応するクルマの動きを体感しているうちにアッという間に上まで到達。まるで遊園地でアトラクションに乗っているかのよう。詳しくは次の動画をご覧いただきたい。

そして下り。今度は上ってくるゲレンデタクシーを優先して走るため、待機時間も含めて時間をかけて下りていく。ただ、直線路をそのまま真っ直ぐ下ると速度が出すぎてしまうため、ここではスキーのボーゲンのようにジグザグに走行。しかし、その際も速度は40km/hを超え、ドライバーがカウンターを当てながらゲレンデを下りていく。ドライバーによれば「XVは絶対パワーこそ大きくはないけれど、足回りとボディとのバランスがすごく良くて下りであってもコントロールがしやすい。これはXVのSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)が成させる技でもある」と説明してくれた。こちらも動画をご覧いただこう。

上り下り合わせても5分足らずの短い時間ではあるが、自分ではなかなか体験できない走りとあって何度でも乗りたくなる。試乗した日は青空も広がり、山の頂を遠くに臨みながらゲレンデをスバルのSUVで走る醍醐味はまさに“未体験ゾーン”だった。

20180126_y-koba5_1 (2)↑一定の間隔をあけて、スバルのSUVがゲレンデを疾走する

 

なお、今シーズンは、北海道 サッポロテイネスキー場でスタートし、1月20日~21日の安比高原スキー場までが終了。次は2月3日~4日の栂池高原スキー場と、2月17日~18日の苗場スキー場での開催が予定されている。

 

 

これが最後になるか、ガソリン「だけ」のフェラーリが発表間近?

フェラーリは2019年以降、すべての市販モデルにハイブリッドモデルをラインナップすると発表しているが、このほど、フェラーリ最後のガソリン「のみ」となるモデルが「488GTB(グランツーリスモ・ベルリネッタ)」に新設定される情報が入った。

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情報の流出元はアメリカ・カリフォルニア州の車排出ガス規制に関する認証手続きなどをしている州政府機関である、カリフォルニア州大気資源局(CARB=California Air Resources Board)。その情報によればフェラーリ「488GTB(グランツーリスモ・ベルリネッタ)」に新たに設定されるとみられるハードコアのモデルは「488スペシャルシリーズ」と記されていて、3.9リッターV8ツインターボエンジンが搭載されるといい、「ハイブリッド」を示唆する記載は見当たらないという。

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また、「458イタリア」のテストミュールがそのスペシャルシリーズの開発車両である可能性が高いことも判明。「488GTB」から30psアップの700psを発揮し、0-100km/h加速は2.7秒という。

 

最後のガソリンのみのモデルとなるこのフェラーリのワールドプレミアは、2018年3月のジュネーブモーターショーが有力だ。

異次元のスピードを出すには尋常じゃない制動力が必要…スペースシャトルよりも“効く”F1のブレーキの秘密

F1が速いのは、モーターのアシストを含めて800馬力以上に達するパワーに負うところが大きい。走り出さないことには速さは生まれない。それは事実だが、止まれる保証があってのことである。速く走るためには、しっかり止まることのできるブレーキが欠かせない。フェラーリなどにブレーキシステムを供給するブレンボの情報などをもとに、F1が搭載するブレーキディスク&パッドの特徴を見ていこう。

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回転するディスクをパッドが挟むことにより、車両の運動エネルギーを熱エネルギー(摩擦熱)に変換し、大気に放出するのがディスクブレーキの役割だ。一部の高性能車を除き、乗用車は一般的に鋳鉄ディスクを採用している。

 

一方、F1はカーボンディスクを使用する。F1はモノコックと呼ぶ車体骨格やエンジンカウル、前後のウイングにも軽量・高剛性の「カーボン」を使用しているが、ブレーキのカーボンとは異なる材料だ。

 

ボディワークなどに用いるカーボンは「カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)」で、シート状のカーボン繊維を重ね、樹脂に浸して高温高圧下で硬化させたものだ。一方、ブレーキに用いるカーボンは「カーボン/カーボン」と呼び、カーボン繊維やカーボンの粉末を樹脂で固め、固めた樹脂が熱で燃えないよう高温で蒸し焼きにして炭素化させた材料である。

 

いずれにしてもカーボンなので、金属の鋳鉄に比べて軽い。外径380mm、厚さ40mmの鋳鉄ディスクは14kgだが、外径278mmのF1用カーボンディスクは1.2kgしかない。ちなみに、リム径13インチのホイールを履くF1のブレーキディスクは技術規則でサイズが定められており、最大径は278mm、最大厚は28mmだ。

 

20インチホイールを履く日産GT-Rの鋳鉄ブレーキディスクの径は390mm、厚さは32.6mmである。重量は11kgを超える。F1のブレーキディスクがいかに軽量かわかるだろう。SUPER GT GT500クラスは2014年から、それまでのスチールディスクからカーボンディスクに切り替えている。フロントのディスク径は380mmで、重量は3.45kg。スチールディスクに対して重量は半減している。

F1のカーボンディスク。「カーボン/カーボン」と呼ばれる素材を用いているF1のカーボンディスク。「カーボン/カーボン」と呼ばれる素材を用いている

 

F1のカーボンディスクには、側面に小さな孔がたくさん開いている。これは冷却と軽量化のためで、最新版のディスクには1000個以上のベンチレーションホールが開いている。 2005年に100個だったホールは2008年には200個になり、2012年に600個になった。短期間に急激にホールの数が増えているのは、加工技術が進歩したからだ。

ディスクサイドに穿たれた孔の数は年々増えてきている。いまや1000以上を数えるディスクサイドに穿たれた孔の数は年々増えてきている。いまや1000以上を数える

 

カーボンディスクはその特性上、350℃を超える温度にならないと制動力を発揮しない(500~650℃に保っておきたい)。一方、1000℃を超えると急激に摩耗が進行するので、効果的な冷却も欠かせない。

 

F1はブレーキパッドもカーボン/カーボン材を使用する。市販車は金属や鉱物など10~20種類の材料を樹脂で固めたパッドを用いるのが一般的だ。カーボンパッドは全体が均一な構造だが、乗用車用のパッドはスチールのバックプレートに摩擦材を載せた構造である。

 

カーボン/カーボンのパッドを用いるのは軽さと制動力のためで、乗用車用ディスク&パッドの摩擦係数が0.4程度なのに対し、F1のカーボンディスク&パッドの摩擦係数は0.7~0.9に達する。パッドの重量は乗用車用が800gなのに対し、F1用は200gだ。

 

そのF1用ブレーキは作動時に-5Gもの減速Gを発生させる。ブレンボが比較に持ち出したのは超高性能車のブガッティ・ヴェイロンで、100km/hから完全停止に要する時間はわずか2.3秒。その際、発生させる減速Gは-1.3Gだ。F1は次元が違うことがわかるだろう。ちなみに、高性能であることを謳わないごく一般的な乗用車は、フルブレーキをかけても-1Gに達しないのがほとんどだ。-0.4Gの減速Gが発生すると、ほとんどの人は「かなり急なブレーキ」と感じるはずだ。

ブガッティ・ヴェイロンよりスペースシャトルより、F1のブレーキパワーは強いブガッティ・ヴェイロンよりスペースシャトルより、F1のブレーキパワーは強い

 

超高性能スポーツカーの一部はカーボンはカーボンでも、「カーボン/セラミック」のブレーキディスクを採用する。これは、カーボン/カーボンのディスクが持つ軽さと高い制動力を公道でも使用可能な状態にしたものだ。カーボン/カーボンは350℃を超える状態に温度を高めてやらないと制動力を発揮しないが、乗用車でそんなことは言っていられず、-50℃の極寒でも踏み始めの一発で制動力の発生を保証しなくてはならない。そのため、カーボン/カーボンのディスク表面をセラミック化して低温時から作動するようにしているのだ。

 

ホンダNSXが標準で装着するブレーキは鋳鉄製だが、1台分で約23.5kg軽く、サーキット走行などで高い耐フェード性を誇るカーボン/セラミックディスクをカスタムオーダーすることが可能。性能と軽さを追求していくと、ブレーキは「カーボン」に行き着く。

 

【著者プロフィール】

モータリングライター&エディター・世良耕太

モータリングライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1世界選手権やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など

世良耕太のときどきF1その他いろいろな日々:http://serakota.blog.so-net.ne.jp/

あの掃除機のダイソンが2020年までにEVスポーツクーペを市販化する!?

サイクロン掃除機やファンヒーターでお馴染みのイギリスの家電大手ダイソンが、なんと電気自動車の開発を開始したことを発表。「スポーツカーでも格安でないもの」という情報以外、その実態は明かされることはなかったが、このたび、2ドアのスポーツクーペになるのではないかという情報が入り、予想CGが作られた。直接的なライバルは「テスラ・ロードスター」あたりになりそうな雰囲気である。

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ショルダー型ボディから2ドアクーペでありながらリアの居住性にも配慮したことが伺えるが、注目はやはりフロントだ。掃除機などで培ったノウハウを活かしたダイソン自慢の大型エアインテークが、サイドにもエアスクープを配置。バンパーのLEDデイタイムランニングライトバーがサイドのラインと一体感を持たせたデザインとなっている。

 

また、バッテリーには既存の2倍の容量に加え、安全性でも有利な「ソリッドステート(全個体)電池」をリチウムイオン電池に代えて採用予定だという。

 

ダイソンはこのプロジェクトのためにアストン・マーティンから技術者を引き抜き、20億ポンド(約3080億円)を投資して、2年以上前から400人体制で開発を進めており、早ければワールドプレミアは2019年秋になるという。

静岡鉄道の「虹色」車両が美しすぎ! 導入理由もステキで堅実だった

静岡鉄道は静岡清水線を運行する鉄道会社。起点の新静岡駅から終点の新清水駅までの全線が静岡市内を走る。路線距離は11km、駅の数は15で、駅間は300m〜1.7kmと短め。朝のラッシュ時には5分間隔、日中でも6〜7分間隔と電車の本数が多く便利だ。

 

2016年3月に43年ぶりの新車A3000形を導入。翌年3月にA3000形の第2編成が、2018年3月21日には第3・第4編成(静岡鉄道社内の呼び方は第3号・4号車)が走り始める予定だ。このほど長沼車庫で、現在まで導入した4編成を揃えたお披露目イベントが開かれた。

 

新車を毎年、導入してきた静岡鉄道。小さめの私鉄ながら、まさに今、元気印の鉄道会社である。その元気の源を確かめるべく、長沼車庫を訪れた。

20180126_y-koba3 (2)↑静岡鉄道の長沼駅に隣接する長沼車庫で行われた新車のお披露目イベント。右はこれまでの主力車両1000形

 

20180126_y-koba3 (3)↑新型A3000形第1編成(写真右)から第4編成までがずらりとならぶ。当日は好天にも恵まれ、800人の来場者があった。鉄道ファンだけでなく親子づれも目立った

 

2019年度中には7色の新型車両が揃う予定。そのモチーフとは?

上の写真のように、静岡鉄道の新型A3000形はすべて色が異なる。「shizuoka rainbow trains」と名付けられ虹色7色の新車両シリーズで、すでに走る第1編成がクリアブルー、第2編成がパッションレッド。新たにお披露目されたのがナチュラルグリーンと、ブリリアントオレンジイエローだった。車庫内に新型A3000形4編成が並ぶ。水色、赤、緑、黄色というカラフルな色使いの電車は、華やかで、見ている側の心も浮き立つようだった。

 

このA3000形。今後も増やしていき2019年度までに7色が揃う。最終的には12編成が造られる予定だという(色の配分は未定)。

20180126_y-koba3 (4)↑新静岡駅の待合室に設けられた新型A3000形紹介のブース。最終的には7色の車両が揃う予定だ

 

この新型車両に使われる予定の7色のカラー、実はそれぞれが静岡県の名物・名産品にちなんだ色となっている。

 

まず第1編成のクリアブルー(水色)は、富士山のイメージ。第2編成のパッションレッドは石垣いちご、第3編成のナチュラルグリーンはお茶、第4編成のブリリアントオレンジイエローは温州みかんをイメージしている。

20180126_y-koba3 (5)↑静岡鉄道のこれまでの主力車両1000形。1973(昭和48)年に導入され40年にわたり静岡市内を走り続けてきた

 

20180126_y-koba3 (6)↑2016年3月に走り始めたA3000形第1編成。最初の車両には静岡と縁が深い富士山をイメージしたクリアブルーが採用された。すでに第2編成のパッションレッドも走っている

 

20180126_y-koba3 (7)↑2018年3月21日に走り始めるのが第3編成ナチュラルグリーンと、第4編成ブリリアントオレンジイエローのA3000形

 

20180126_y-koba3 (8)↑A3000形第1編成のクリアブルー車は、鉄道友の会が選定する2017年ローレル賞に輝いた。ローレル賞の受賞は優秀な車両であることを認められた証でもある

 

さらに今後に登場の予定のフレッシュグリーンは山葵(ワサビ)、プリティピンクは桜エビ、エレガントブルーは駿河湾をイメージしているそう。7色のレインボー電車が走るようになれば、さらに沿線が華やぐことだろう。太平洋に面した静岡の、明るく温暖なイメージによく似合う。

 

静岡鉄道が新造車こだわった理由とは?

静岡鉄道のように自社発注の新造車を作る例は、地方の私鉄の場合、非常に少ない。自治体から補助を受けている鉄道会社を除けば、大手私鉄が使っていた車両を再生して使う例が目立つ。

 

なぜ静岡鉄道でもそういった選択肢をとらなかったのだろうか。ちなみに、新車A3000形の1編成(2両)の金額は3億3100万円と高額。それが12編成となると40億円近い金額となる。

 

巨額の出資をしつつ新車導入に踏み切らせた裏には、静岡鉄道ならではの手堅い営業戦略と、静岡鉄道の路線の特異性があった。

 

当初は、大手私鉄で使われてきた車両を購入しても良いのではという声が社内にあったとのこと。ところが、技術的な制約があったのだ。静岡鉄道を走る車両は2両編成で、1両の全長が18m、幅が2.74m。電気方式は直流600Vとなっている。都市部を走る大手私鉄の電車の場合、多くが全長18~20m、幅が2.8m超で、直流1500V方式が多い。

 

大手私鉄の車両を改造して間に合わせれば、初期費用は少なくてすむ。ところが、こうした電車をそのまま走らせるとなると、ホームを削る、電圧を変えるなど余分な工事が必要になる。導入後に使用できる年数や、メンテナンス費用などを含め総合的に判断し、では独自の新型車両を導入しよう、ということになった。

20180126_y-koba3 (10)↑4色並ぶ姿は壮観。お披露目イベントでは鉄道ファン用に、撮影時間も用意された

 

2019年度に会社創立100周年を迎える静岡鉄道

静岡鉄道の創始は1919(大正8)年にさかのぼる。駿遠電気鉄道という会社が静岡市内(旧清水町)を走る鉄道路線を譲り受け、列車を走らせたことに始まる。1960年代までは静岡市内、清水市内に路面電車路線を所有するなど、総延長100km超の鉄道路線を持つ会社でもあった。

 

1960年代にはモータリゼーションの波が押し寄せる。静岡鉄道では静岡清水線を残し、1975(昭和50)年までにほかの4路線を廃止した。鉄道に固執することなく、素早くバス路線に転換させた。当時の経営陣の先見の明には感服させられる。

 

唯一残った静岡清水線では安全対策に力を注ぎ、連続50年、有責事故ゼロという記録を打ち立て、「中部運輸局優良事業者表彰」を受けている。

 

ここで、静岡清水線の営業成績を見てみよう。鉄道事業の営業収益は平成25年度・26年度が14億円、平成27年度・28年度が15億円と伸びている。とはいえ鉄道事業だけを見ると、営業経費のほうが上回り、ここ数年は1.3億円から2.3億円という赤字を計上している。

 

多くの鉄道会社と同じように、鉄道事業のみだと経営は厳しい。静岡鉄道も鉄道以外の事業に乗り出している。そのなかで不動産事業と索道事業(日本平ロープウェイを運行)が好調で、最終的には静岡鉄道は年に4.7億円~5.3億円という純利益を上げてきた。こうした数字に、同社の手堅さが見てとれるようだ。

20180126_y-koba3 (9)↑1000形車両の多くは地元企業の広告をラッピングした車両も多い。静岡鉄道はこうした地道な営業努力を重ねている会社でもある

 

新車の形式名の頭に付く「A」の意味

会社創業100周年となる2019年度までに導入される予定の新型A3000形。せっかくの新車ならば、静岡鉄道らしい独自の車両にしよう。そんな思いは7色の車体色とともに、車両形式名にも込められた。

 

これまでの主力車両1000形とは異なり、新車A3000形の形式名には「A」が付く。AはActivate(活性化する)、Amuse(楽しませる)、Axis(軸)と3つの単号の頭文字だとされる。

 

鉄道が走る静岡清水エリアを“Activate(活性化)”させ、乗ること、眺めることで“Amuse(楽しい)”気持ちになってもらい、静岡市が目指すコンパクトシティの“Axis(軸)”になるような電車、という意味が「A」には込められている。

 

堅実な経営を続けてきた静岡鉄道が思い切った新車の導入。そこに込められた気持ちは、地域のリーディングカンパニーとしての熱い思いであり、静岡の人たちへのメッセージが込められているようでもある。

20180126_y-koba3 (11)↑イベントでは車内の見学会も開かれた。工場から搬入されたばかりの真新しい第4編成の車内がお披露目された

 

20180126_y-koba3 (12)↑省エネルギーと省メンテナンス化を狙ったA3000形のLED照明。ロングシートには生地に濃淡を付け、1人分の席の区分けがさりげなく図られている

 

20180126_y-koba3 (13)↑運転台はワンハンドルマスコンを中心に配置。ワンマン運転を行う乗務員の扱いやすさを考え、シンプルな機器の配置を心がけた

 

20180126_y-koba3 (14)↑カバーがかけられていたものの、吊り革の形がユニーク。下をにぎっても上をにぎっても良い2段吊り革が導入されている。国内で初めてA3000形で使われた形状でもある

 

「シボレー コルベット テーラーリング・プログラム」で選べるパターンは1億通り以上!

ゼネラルモーターズ・ジャパンでは、スーパースポーツカー「シボレー コルベット」の誕生65周年を記念して、自分だけの1台をオーダーできる「シボレー コルベット テー ラーリング・プログラム」を2月10日(土)から2月25日(日)までの期間限定で、全国のシボレー正規ディーラーネットワークで実施する。

コルベット・テーラーリングプログラム

 

コルベット・テーラーリングプログラム

 

「シボレー コルベット」は、1953年に初代モデルが誕生して以来、7世代に渡ってレーシングマシンの伝統を受け継ぐスーパースポーツモデル。最先端テクノロジーと完璧なパフォーマンス、美しく挑発的なデザインが熱く支持されている。今回のスペシャルプログラムでは、2019年モデルの「コルベット グランスポーツクーペ (7MT/8AT)」「コルベットコンバーチブル (8AT)」「コルベットZ06 クーペ (7MT/8AT) 」「コルベットZ06コンバーチブル (8AT)」の4車種を対象に、ボディカラーやインテリアカラーはもちろん、トランスミッション、ホイール、シート、グランドエフェクトに至るまで、選べる組み合わせは1億通り以上。細部にまで好みを反映させた自分だけの「コルベット」がオーダーできるのだ。

 

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対象ベース車両

 

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「テーラーリング・プログラム」の選択項目

 

エクステリアカラー/インテリアカラー/トップカラー(幌)/シートタイプ/インテリアトリムパネル/シートベルトカラー/カスタムレザーステッチ/バッジパッケージ/ドアミラー/フェンダーハッシュマーク/フードインサート/ベント/ルーフパネル(クーペのみ)/トノインサート(コンバーチブルのみ)/ホイール/ブレーキキャリパー/パフォーマンスパッケージ/ブレーキ/トランスミッション(7MTの選択)/パフォーマンスデータ&ビデオレコーダー等。モデルの選択項目は、PDFカタログで確認できる。注文受付順により生産工場への発注となるので、出荷開始は2018年6月以降の予定だ。

 

コルベット・テーラーリングプログラム

 

 

テーラーリング・プログラムページ

 

http://www.chevroletjapan.com/offers-and-finance/campaign-and-events/corvette-tailoring-program.html

 

 

PDFカタログDLページ

【PC】http://urx.red/IcqH

【モバイル】http://urx.red/IcqU

 

 

 

次期型ポルシェ911に「PHV」が投入!?  EV走行60kmに大幅進化!

ドイツ・ポルシェAGのオリバー・ブルーメCEOは、2023年までにポルシェ「911」のPHV(プラグインハイブリッド)の発表を計画していると語った。ポルシェでは最新の「パナメーラ スポーツ ツーリスモ」に「ターボSE−ハイブリッド」を追加しているが、搭載されているゼロエミッション走行の「Eモード」が911ではさらに進化するらしい。

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最新情報に基づいたレンダリングCG、そしてスパイショットではフロントフェンダーなる通常の給油口とは別に、リアフェンダーに充電口のようなキャップが見られ、黄色い高電圧警告ステッカーもあった。

 

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「ターボSE-ハイブリッド」は4.0リッターV8エンジンに電気モーターの新世代ハイブリッドで、最高出力680ps、最大トルクは850Nmを発揮。0-100km/h加速は3.4秒、最高速度は310km/hという。現行のパナメーラ4SE-ハイブリッドでは、電気モーターのみで走行する「Eモード」の最大航続距離は49kmであるが、次期型911の「Eモード」は大幅に進化し、電気モーターのみで60kmの走行が可能とのこと。なお、ポルシェでは全モデルにPHVの設定を計画しているとも言われている。

 

 

 

メルセデス「AMG GT」4ドアにエントリーモデルが投入!?

厳冬のスカンジナビアに現れたのは、メルセデスの新型フラッグシップ・サルーン「AMG GT」4ドア市販型プロトタイプが現れた。しかし、これまでの開発車両と一部違っている。

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その違いはフラッグシップモデルには大型のスクエア型が装着されるはずのエキゾーストパイプが小型円形のクワッドエキゾーストパイプになっていたところである。ハイエンドモデルには4.0リッターV8ツインターボエンジンに電気モーターの「EQパワー+」を組み合わせたハイブリッドで、最高出力は800psと噂されているが、エントリーモデルでは直6+「EQパワー+」よって最高出力は400ps程度になるらしい。

 

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未だ「AMG GT」4ドア版の正式名称は不明なままと謎も多いが、市販型のワールドプレミアは2018年3月のジュネーブモーターショーと見られているが、2017年3月のジュネーブモーターショーで公開された「AMG GTコンセプト」のデザインを継承するラグジュアリーな4ドアクーペで、ポルシェ「パナメーラ」、BMW「6シリーズ グランクーペ」、アウディ「S7/RS7」をターゲットとたモデルであることは間違いないだろう。

 

 

 

 

ポルシェ初の市販EV「ミッションE」がニュルで7分30秒をマーク!

ニュルブルクリンクの北コースでポルシェ初の市販EV「ミッションE」がテストを行った。タイムは7分30秒と前回の8分から30秒も短縮されており、開発の順調さをうかがわせた。

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カモフラージュ具合は2017年10月時と同等であるが、ボディ下の三角センサーが取り外されていた。電気モーターのみで走る「ミッションE」は800Vのバッテリーを搭載し、最高出力600psで0-100km/h加速は3.5秒を誇る。また、20分のフル充電で530kmの走行が可能であるが、「ポルシェ ターボ・チャージングシステム」により15分で80%の充電を完了、420kmを走るという。

 

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ポルシェは「ミッションE」のために8億2200万ドル(約945億円)を投資して新工場を建設し、1400人以上を雇用しているという。気になるワールドプレミアは2019年秋とみられ、販売予測価格は8万5000ドル(約960万円)になりそうだ。

 

 

 

次期型アウディ「Q3」は新ボディでライバルBMW「X1」に差をつける!

アウディのクロスオーバーSUV「Q3」の次期型プロトタイプが捉えられた。カモフラージュされているものの、ワイドな新グリル、外側へ段差を付けた新デザインのLEDヘッドライト、「A8」を彷彿とさせるテールライトなどが確認できた。

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次期型アウディ「Q3」では、プラットフォームにはフォルクスワーゲングループの「雪日タスMQB」を採用。傾斜が強められたリアウィンドゥによりスポーティなエクステリアを持ちつつ、より広いヘッドルームを確保。さらにホイールベースを50mm延長して広いフットスペースを持たせるなど、快適さをUPさせているようだ。

 

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パワートレインは1.0リッター直列3気筒TFSIターボエンジン、1.4リッター直列4気筒TDIエンジン、2.0リッター直列4.0気筒TFSIエンジンのほか、1.4リッター直列4気筒TFSIエンジンに電気モーターを組み合わせたPHEV「e-tron」もラインナップされるという。さらに、2.5リッター直列5気筒エンジン搭載の「RS Q3」もあるはずで、最高出力394psを発揮する模様だ。

 

ワールドプレミアは2018年前半、後半には発売が開始されるという予想だ。

 

 

 

自転車はロシアでもう古い? キックスケーターの進化系が「バターの上を滑っているようだ」と大人気

世界一大きい国ロシア。当地では、距離の感覚が日本人とはまったく違います。ロシア人の感覚でいう「徒歩圏内」は日本人の感覚からすると徒歩圏内ではないことが多々。たとえば、以前に駅近と紹介されたアパートは実際には駅から徒歩25分の距離にあったことがあります。ロシア人との感覚の違いをひしひしと感じた出来事でした。

 

そんな徒歩圏内の感覚が広いロシアで、筆者が自転車の購入を検討する際に知ったのが大人用キックスクーター(またはキックスケーター)。最近、自転車を上回る勢いで普及しているというのです。子どもの遊び道具だったキックスクーターが進化して、大人にとっても便利な形で進化しているそう。

 

調べてみると、通勤・通学だけでなく、企業がレストランのデリバリーサービス、メッセンジャーサービスなどにキックスクーターを取り入れ始めているようです。今回はロシアでホットな大人用キックスクーター人気の秘訣に迫ります。

 

ちょっとそこまでスクーターで!

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子どもの乗り物だと思っていたキックスクーターですが、街中で大人が乗りこなしているのを最近よく見かけるようになりました。アルミニウム製の車体は、一部にプラスチックを使用している子ども用のスクーターとは明らかに異なり、大人が使用するのにふさわしいスマートな外観。直径20センチの頑丈な車輪は、道路の凹凸に左右されることなく、ひと蹴りでスイスイ運んでくれます。ロシアのクチコミサイトでは、その走行感覚は「まるでバターの上を滑っているようだ」とまで書かれていました。

 

重さは約5キロと女性でも扱いやすい軽量サイズ。大きなホイールは安定感があり、ハンドルの高さは3段階から4段階で調整できます。移動時にさっと肩からかけられるよう、ショルダーホルダーがついているのも扱いやすい理由の1つのようです。後輪を足で踏んでブレーキをかける足踏み式ブレーキが基本ですが、最近は自転車のような手動ブレーキが付いている機種も出てきています。

 

キックスクーターの細長い本体は、自転車のように場所を取らず、アパートの限られた収納場所でも収納可能です。また、地下鉄や電車などの公共交通機関での移動の際にも、軽いので階段などの昇降や持ち運びしやすくなっています。さらに、電動アシストがついたり、折りたたみ式が出たり、大人のスマートなシティライフに合わせて、どんどん改良されています。

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モスクワでも渋滞は悩みの種で、個人だけではなく企業もキックスクーターに注目しているそうです。実際、モスクワの街中ではデリバリーサービスの配達や書類を届けるメッセンジャーたちがスクーターを使用している様子を見かけます。公共交通機関+キックスクーターで渋滞知らずというのが大きなメリットとなっているようです。

 

子育て中のママたちにもキックスクーターは人気です。保育園の登園時、近距離でも子どもとの徒歩移動は大変なもの。筆者の子どもが通っている保育園にも、たくさんの子どもたちがキックスクーターで登園してきますが、子どもが全力でこぐキックスクーターの横をダッシュで追いかけているのが親です……(かくいう私も子どものキックスクーターの横をダッシュしている1人)。

 

ある日、母親と子どもが並んでキックスクーターで登園してくる様子を見たときは衝撃を受けました。普段は子どもを追うことに精一杯で周りをあまり気にしていませんでしたが、注意してみると親子でキックスケーター登園が多いことに驚かされました。確かに同じ速度で横並びになり走行できるというのは、子どもへの安全面でも良いのかもしれません。

 

気になるキックスクーターの価格は2,500ルーブル(日本円で5,000円)から。自転車の相場6,000ルーブル(日本円で12,000円)と比べると半額以下となっています。また、使われている部品が自転車よりも少ないため、あまり壊れることがなく長く使え、いざ修理となっても修理費がかさむことがありません。まさにコスト面でもスマートな乗り物といえるでしょう。

 

次世代の移動はキックスクーターで決まり!

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都会の主な移動手段であったタクシーは、コストがかかる割に渋滞などにつかまってしまい、なかなか到着時間の予測がつかないのが難点です。また、自転車はその大きさから収納場所に困ります。乗り換えの多い公共交通機関との相性が悪いのも難点。自動車や自転車とは異なり、コンパクトでスマートな大人のシティライフにふさわしい次世代の移動手段がキックスクーターなのです。

 

収納場所に困らないこと、移動の負担が軽くなること、女性でも扱いやすいこと、維持費がほとんどかからないこと、公共交通機関との相性が良いことなど、メリットが多いキックスターター。モスクワでの移動で最もネックであった渋滞を回避できることもあり、一般消費者と企業の両方から支持を得ています。モスクワに来たら、この乗り物に注目してみてください。

 

【出遅れたけど!】コンパニオンで振り返る東京オートサロン2018

1月12~14日の3日間に渡って幕張メッセにて開催され、31万9千人の来場者でにぎわった「TOKYO AUTO SALON 2018」。世界最大のカスタムカーイベントということで、チューニングやドレスアップを施した車両が多数展示され、その周りには華やかなコスチュームに身を包んだコンパニオンが登場し、会場を盛り上げました。そんな華やかなコンパニオンの一部をご紹介!

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カーナビもスマホ連携が当たり前に! “彩速ナビ”最上位モデル 新「TYPE Z」を体験してきた

ケンウッドは2018年の春商戦に向け、2月中旬以降に発売する新型「彩速ナビ」の新製品2モデルを東京オートサロン2018に出展した。会場では新製品を取り付けたデモカーや製品の単体展示も行い、いち早く手に触れて新製品の良さを体感できるようになっていた。

↑「東京オートサロン2018」に出展したケンウッドのブース↑「東京オートサロン2018」に出展したケンウッドのブース

 

ケンウッドではこの新型「彩速ナビ」を発表するにあたり、「AV一体型ナビはインフォメーションという領域がより重要になって来ており、従来の画一的な情報を伝えるのではなく、運転状況に最適化した案内や情報を伝えることが欠かせない」とし、それは“AV機能”“ナビゲーション機能”“インフォメーション”“ドライビングコンディション”の4つが重なる領域として反映されるという。そのコンセプトの下で発表された新製品が、“905”のモデル名を与えられた彩速ナビの最上位モデル「TYPE Z」シリーズというわけだ。

↑ケンウッドが「東京オートサロン2018」で発表した、同社のフラッグシップモデル「TYPE Z」シリーズ↑ケンウッドが「東京オートサロン2018」で発表した、同社のフラッグシップモデル「TYPE Z」シリーズ

 

スマホと連携する“スマート連携”がキーワード

「TYPE Z」シリーズは、7V型ワイド画面を備える200mmワイドの「MDV-Z905W」と180mmモデル「MDV-Z905」の2モデルをラインナップ。ケンウッドのフラッグシップモデルとして、DSDやFLAC/WAVに加え、新たに高音質コーデック「LDAC」にも対応することでハイレゾ音源に幅広く対応したことが最大のポイントとなる。特に「LDAC」への対応は、急速に増えているBluetoothワイヤレス接続での利用を重視し、使い勝手の良さとと高音質再生の両立を実現するものとして注目される。

↑「TYPE Z」シリーズは、スマート連携が大きなポイントでその拡張性の広さを訴えていた↑「TYPE Z」シリーズは、スマート連携が大きなポイントでその拡張性の広さを訴えていた

 

さらにスマートフォン(スマホ)用の定額制音楽配信アプリ「SMART USEN」にも対応したのも大きなポイントだ。「SMART USEN」は、1000を超える音楽専用チャンネルで、スマホとBluetooth接続すれば聴きたい楽曲がエンドレスで流れ続けるだけでなく、ナビ画面上ではチャンネル選択やアルバムアートなども表示も可能になる。これにより、音源を持ち込まなくても、最新の楽曲からオールデイズまで気分に合わせて楽曲を再生して楽しめるわけだ。また、昨年10月に発売した「TYPE M」シリーズに続いて、「Apple CarPlay」「Android Auto」などのスマホ連携機能を採用してもいる点も見逃せない。

↑AVシステムのとしての能力の高さもアピール。「LDAC」への対応はもちろん、一般的に需要の高い「Apple CarPlay」「Android Auto」との連携も強くアピールした↑AVシステムのとしての能力の高さもアピール。「LDAC」への対応はもちろん、一般的に需要の高い「Apple CarPlay」「Android Auto」との連携も強くアピールした

 

ナビゲーション機能も進化

新型「TYPE Z」シリーズは、ナビゲーション本来の機能としても大幅な進化を遂げた。その機能のコンセプトは、「ドライバーを真の意味でアシストしナビゲートしてくれる」(ケンウッド)ことにある。その筆頭が新開発の6軸慣性センサーだ。一般的には6軸ジャイロとも呼ばれるものだが、これを搭載したことで、GPS信号の届きにくい山岳路や立体駐車場でも正確に自車位置を割り出す、圧倒的な自車位置精度を発揮するまでになった。この機能は高精度な案内機能の実現にもつながり、これはたとえば「逆走警告」にも対応することともなった。まさに新型「TYPE Z」は社会的な問題としてクローズアップされている事象にもいち早く対応したのだ。

↑「ドライバーを真の意味でアシストしナビゲートしてくれる」ナビとして、スマホ連携で様々な情報を取り込んでくれる↑「ドライバーを真の意味でアシストしナビゲートしてくれる」ナビとして、スマホ連携で様々な情報を取り込んでくれる

 

↑ルートガイドで表示されるINFOウインドウの一例。天気情報や目的地と現在地の位置関係を感覚的に把握できるGUIも表示。写真は180mmサイズの「MDV-Z905」↑ルートガイドで表示されるINFOウインドウの一例。天気情報や目的地と現在地の位置関係を感覚的に把握できるGUIも表示。写真は180mmサイズの「MDV-Z905」

 

そして、もう一つのアシストがドライブレコーダーやETC2.0との連携だ。ケンウッドではこれを「スマート連携」と表現する。実はドライブレコーダーの需要は、“あおり運転”の抑止力としても効果が大きいと昨年あたりから急速に高まっており、その機能強化を進めたのがこの機能だ。注目は前後2つのドライブレコーダーを同時に扱える「ダブル録画機能」で、カーナビ画面には前後どちらかの映像を切り替えて表示することが可能。さらに、リア用の「ナビ連携型ドライブレコーダー」は、後方視界が見えにくい場合はルームミラー代わりになる「バーチャルルームミラー機能」も装備する。ETC2.0とのリンクでは圏央道利用時に割引にも対応した。

↑「TYPE Z」シリーズでは前後二つのドライブレコーダーを接続し、自在に切り替えて表示することができる↑「TYPE Z」シリーズでは前後二つのドライブレコーダーを接続し、自在に切り替えて表示することができる

 

また、会場ではハイレゾ再生に対応しながら手頃な価格帯を実現したカスタムフィットスピーカー「USシリーズ」との組み合わせも介。音の入口から出口までハイレゾの醍醐味を存分に味わえる強力なラインナップをじっくりと体感することができた。

↑視聴位置やスピーカー位置などを、より本格的で精密な音質調整を可能にする「プロモードEQ」搭載↑視聴位置やスピーカー位置などを、より本格的で精密な音質調整を可能にする「プロモードEQ」搭載

 

これとは別に「Google Assistant」によるデモも行われた。これは車載機に「Google Home」の機能を持たせることで実現するもので、車内から登録した自宅などのエアコンや照明のON/OFFをはじめ、鍵などのLOCK/UNLOCKを可能にするものだ。実はGoogle Assistantによるコントロールは、CES2018に出展したケンウッドのブースでも披露されており、市販ナビでの展開としてケンウッドが先鞭を付けた格好となった。

↑Google Homeをコントロールする専用アプリ「Google Assistant」を車載で利用するデモも披露された↑Google Homeをコントロールする専用アプリ「Google Assistant」を車載で利用するデモも披露された

 

多数の先端機能を搭載する新「TYPE Z」は、まさにフラッグシップの名にふさわしいモデルになっているといえる。