バレンタインにチョコレート不使用!? グルテンフリーでノンオイルのバレンタインスイーツレシピ

2月14日はバレンタインデー。SNS映えするような見た目の凝ったスイーツも楽しいですが、今年は誰でもおいしく食べられるスイーツを手作りしてみませんか?

 

ノンオイル料理研究家として活躍する茨木くみ子さんに、ノンオイル&グルテンフリーなバレンタインレシピを教えていただきました。グルテンを控えている人はもちろん、カロリーが気になる人にもおすすめの、身体にやさしいスイーツ3品です。

 

“ノンオイル” はなぜ身体にやさしい?

茨木さんは、バターやオイルといった脂質の多い食材を使うことなく、和食や中華、お菓子、パンなどをつくるノンオイル料理研究家。自らの身体のためにノンオイル料理をはじめたそうですが、そもそも低脂質の料理は、私たちの身体にどんないいことがあるのでしょうか?

 

「エネルギー源になったり、細胞膜やホルモンをつくったりする脂質は、私たちの身体にとって欠かせない栄養素の一つです。農林水産省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考にすると、女性は一日に45~65g程度(※)の脂質をとるべきと考えられます。45~65gが多いのか少ないのか、あまり想像がつかない方も多いと思いますが、木綿豆腐1丁(350g)で約18g、サンマ1匹で約20g、たまご1個で約5.7gです。

 

ところが、今はバターやオイルを使った料理にあふれていて、多くの人が脂質をとりすぎています。例えば、朝にクロワッサンを1つ、昼にミックスサンドを1つ、おやつにショートケーキを食べて、夜にとんかつ定食……それだけで脂質量は約80gです。マヨネーズやドレッシングをかければ、さらに増えていきます。

 

脂質をとりすぎると、エネルギー源として燃焼されずに身体にたまっていき、高脂血症や肥満、脂肪肝といった生活習慣病の原因に。さらに油は、熱することでトランス脂肪酸が増えたり酸化しやすくなったり、身体によくない要素が増えていきます。日本にアトピーやアレルギーのある方が増えているのは、こうした身体によくない油が原因とも言われているんですよ。

 

ノンオイル料理は、その名の通りバターやオイルなどを使わず、素材に含まれている脂質だけをとります。そのため過剰摂取になりにくく、身体によくない油も避けられるので、健康に良いのです」(ノンオイル料理研究家・茨木くみ子さん、以下同)

 

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で目標とされている、一日の食事のカロリーに対する脂質のエネルギー比は20%以上30%未満。女性が一日に2000kcalの食事をとった場合、そのうちの20~30%は45~65gになる計算です。

↑約20年前、どんなダイエットもうまくいかずに悩んでいた茨木さんが最後にたどり着いたのがノンオイル料理だったそう。以来、健康的な体型をキープされています。

 

グルテンフリーでなくとも取り入れるべき? 「米粉」の魅力

小麦粉の代わりになる米粉は、グルテンフリーの強い味方です。でも実は、グルテンフリーに取り組んでいない人にとっても米粉を使うメリットはたくさんあるのだとか。

 

米粉の魅力1.日本人の体質に合っている
「古くから日本人はお米を主食としてきたので、身体もお米やお米を原料とする食材に合った体質になっています。その一例が、腸内細菌です。個人差はあるとは思いますが、少なくとも私はお米を食べないと腸の水分量が減って便秘気味になると感じます。ですから、小麦粉よりも米粉のほうが、日本人の身体にやさしいと考えています」

 

米粉の魅力2.国産なので安心
「約90%を輸入に頼る小麦に対し、お米の自給率はほぼ100%。国産だとポストハーベスト農薬(カビや害虫防止のために収穫後にかける農薬)がかかっている心配がないので、より身体にやさしいと言えます」

 

米粉の魅力3.病気を予防する
「最近わかったことなのですが、お米を食べている民族がもつ腸内細菌には肥満や糖尿病を予防する効果があるそうです。米粉もお米の一種ですので、病気の予防効果を期待できます」

 

米粉の魅力4.時短でお菓子づくりができる
「小麦粉を使ってクッキーをつくると、必ず『冷蔵庫で生地を寝かせる』という工程がありませんか? 小麦粉に含まれるグルテンにはギュッと固まる性質があるので、時間を置いてゆるませないと生地が伸ばしにくいからなのです。でも米粉にはグルテンが入っていないので、生地を寝かせる手間がかかりません」

 

代替する材料選びのポイントは?

お菓子づくりにはバターや小麦粉が欠かせません。ではノンオイル&グルテンフリーの場合、いったい何で代用したらいいのでしょうか? 茨木さんに、材料選びのポイントについて教えていただきました。

 

・バターの代わりに「みずあめ」「コンデンスミルク」

「みずあめを使うことで、焼き菓子はしっとり、ケーキはどっしりと仕上がります。また、時間が経ったときにパサつくのも防止できます。コンデンスミルクは、バターのような風味を出したいときにおすすめです」

 

・小麦粉の代わりに「米粉」

「一口に米粉と言ってもさまざまな種類がありますが、必ず『お菓子用』と書かれているものを選んでください。なかでも、熊本県産のお米『ミズホチカラ』でつくった米粉はきめ細やかで吸水性が高いので、焼き菓子などはよりサクサクふわふわな食感に仕上がります」

 

・チョコレートの代わりに「ココアパウダー(無糖)」

「バレンタインといえばチョコレート。チョコレートは脂質が多いため、ココアパウダーで代用します。水あめと混ぜれば、味だけではなく食感もチョコレートに近づきます」

 

・砂糖は上白糖をチョイス

「ちなみに砂糖は『上白糖』を使っています。精製していない自然な色味のてんさい糖のほうが身体にやさしいイメージがあるかもしれませんが、精製してできる白色の上白糖も100%自然の色味なんですよ。精製することで、農薬などのあまり身体によくないものも取り除かれるのでおすすめです」

 

茨木さんはこんな話も。「私はシフォンケーキをつくるとき、サラダ油の代わりに水を入れます。よく『水で大丈夫?』と聞かれるのですが、サラダ油を入れたシフォンケーキよりふわふわしっとりに焼きあがります。意外とうまくいっちゃうものです! バターや小麦粉を使わないとおいしいお菓子にならない……というのは思い込みかもしれないですね」

 

ノンオイル&グルテンフリーのスイーツレシピ

ここからは、バレンタインデーにおすすめしたい、ノンオイル&グルテンフリースイーツのレシピを紹介します。茨木さんに、「ノンオイルチョコバナナのチャンククッキー」「ココアで生チョコトリュフ」「豆乳のなめらかチョコプリン」の3レシピを考案、教えていただきました。

 

■ ナッツのザクザク感で食べごたえ抜群! 「ノンオイルチョコバナナのチャンククッキー」

茨木さんが有名カフェチェーン店のチャンククッキーをイメージしてつくったというレシピ。ココアとバナナのほんのりとした甘さが口に広がります。カロリー、脂質ともに市販品の1/3ほどなので、罪悪感なく食べられます。

 

【カロリーと脂質】

1枚あたり100kcal、脂質4g

 

【材料(8枚分)】

・卵黄……1個
・砂糖……30g
・みずあめ……10g
・バナナ……60g

 

〈A〉
・米粉……70g
・ココア……15 g
・アーモンドプードル……10g
・ベーキングパウダー……2g
・塩……1つまみ

・バニラオイル……適量
・ミックスナッツ……30 g
・飾り用ナッツ……10g

 

【下準備】

・生のナッツは170℃で10分空焼きする
・みずあめは電子レンジ(500w)で10秒加熱して溶かす

 

【作り方】

1.卵黄に砂糖とみずあめを加え、白っぽくなるまで手早くすり混ぜる

「卵黄と砂糖を合わせるとダマができやすくなります。ダマになるのを防ぐために、砂糖が溶けるまでは手を止めずに一気に混ぜてください」

 

2.一口大にちぎったバナナを加え、つぶしながら混ぜる

「冷凍バナナを使うときは、軽く電子レンジで溶かすか自然解凍で半解凍程度まで溶かしてください」

 

3.Aをふるい入れたらゴムベラで混ぜ、まとまったらバニラオイルとナッツを入れて軽く練る

「粉っぽさが残ってまとまらないときは、豆乳や水を少し加えてください」

 

4.クッキングシートの上に生地を8個に分けて置き、指で丸く伸ばす

「大体5mmくらいの薄さにします。生地が指にくっついてしまうときは、指先に軽く米粉をつけると伸ばしやすくなりますよ」

 

5.ナッツを飾り、180℃に余熱したオーブンで14分程度焼く

「ナッツの種類や量は自分好みにアレンジしてみてくださいね」

 

■ チョコレートでつくるよりも簡単! 「ココアで生チョコトリュフ」

チョコレートでトリュフをつくるとき、溶かす温度を間違えて分離してしまったことはありませんか? ココアを使うこのレシピなら温度管理はいっさい必要ありません。誰でも簡単につくることができるのです。

 

【カロリーと脂質】

1個あたり46kcal、脂質1g

 

【材料(10個分)】

・粉ゼラチン……2g
・冷水……大さじ1

・ココア……45g
・粉糖……65g
・豆乳……40g
・ラム酒……2g

・仕上げのココア……適量

 

【下準備】

・ゼラチンは冷水でふやかしておく

 

【作り方】

1.ボウルにココアと粉糖をふるい入れ、豆乳を少しずつ加えてゴムベラで練る

「ココアと粉糖に水分が均等にいきわたるよう、粉っぽさが残っている部分に豆乳を加えるようにしてください」

 

2.ゼラチンを電子レンジ(500w)で10秒加熱して溶かし、1に加え混ぜる

「ゼラチンを加熱しすぎると蒸発してしまうので、溶けたらすぐに電子レンジから出すようにしてください」

 

3.ラム酒を加えてよく練り、氷水で冷やす

「ボウルに貼り付けるように塗っておくことで、より早く冷えます」

 

4.固くなったらスプーンで丸くし、仕上げのココアを広げたバッドに置く

「スプーンを水にぬらすとトリュフの生地がくっつかなくなるので、形をつくりやすくなります」

 

5.ココアを全体にまぶしたら、手のひらで転がして形を整える

「とってもやわらかいので、やさしい力で形を整えてください」

 

■ とろ~り濃厚、なのにペロッと食べられる! 「豆乳のなめらかチョコプリン」

バレンタインの定番と言えば焼き菓子ですが、「今年は例年と違うスイーツを作ってみたい」と思う人には、チョコプリンがおすすめ。ほろ苦いキャラメルソースがかかっている上、豆乳でさっぱりしているので、甘いものが苦手でもペロッと食べきれます。

 

【カロリーと脂質】

1個あたり145kcal、脂質3.3g

 

【材料(4個分)】

〈キャラメル〉
・砂糖……30g
・水……大さじ1
・熱湯……11g

※プラカップに熱いキャラメルを注ぐと容器が溶ける可能性があります。プリンだけでも十分美味しいので、プラカップでつくる場合はキャラメルなしのレシピでつくってください。

 

〈プリン〉
・粉ゼラチン……5g
・冷水……大さじ2
・豆乳(牛乳でも可)…… 270ml
・みずあめ……20g
・ココア……17g
・砂糖……40g
・バニラ……適宜
・ラム酒……小さじ1

 

【下準備】

・ゼラチンは冷水でふやかしておく
・砂糖とココアは一つのボウルにまとめ、軽く手でまぜておく

 

【キャラメルの作り方】

1.砂糖と水を鍋に入れ、中火にかける。いい焦げ色になりはじめたら火を止め、熱湯を加える

「焦げやすいので、火をつけたら必ず鍋をゆすってください」

 

2.冷めないうちに容器に流し入れ、冷やす

「冷めると固まってしまうので早めに容器に移しましょう。常温に置いておけば次第に冷めていきますが、急ぐときは氷水に浸してください」

 

【プリンの作り方】

1.ボウルに砂糖とココアをふるい入れ、豆乳を少しずつ注ぎ混ぜる

「ココアはダマになりやすいので要注意。ふるい入れることで、口当たりがなめらかになります」

 

2.濾しながら鍋に移したら中火にかけ、混ぜながら加熱する。途中でみずあめを溶かす

「プリン液を混ぜながらへらを温めることで、みずあめが入れやすくなります」

 

3.湯気が出たら火を止め、ゼラチン、バニラ、ラム酒を加え混ぜる

「ゼラチンはすぐに溶けるので、一気に入れて大丈夫です」

 

4.キャラメルが固まっていることを確認し、容器へ。プリン液が冷めたら冷蔵庫で2~3時間冷やす

「容器に流し入れたあとに表面の泡をスプーンなどで取っておくと、つるんとした見た目に仕上がります。平皿に移すときは、よく固まってからさかさまにして出してください。フチを少し指で押すと出しやすくなりますよ」

 

「お菓子はあくまで間食なので、15時に食べたら夜ごはんまでにお腹がすくのが理想的。150kcalがおよそ1時間で空腹になる量と言われているので、食べるときには150kcal以下を意識してみてくださいね。身体にやさしいお菓子を健康的に食べて、罪悪感のないバレンタインを過ごしましょう」

 

プロフィール

ノンオイル料理研究家 / 茨木くみ子

東京會舘、今田美奈子お菓子教室などで経験を積んだ後、茨木クッキングスタジオをオープン。油脂を使用しないパン、お菓子、料理のレシピ開発に加え、講師として指導も行っており、教室歴は25年にのぼる。保健師、看護師、心理相談員の資格も持ち、生活習慣病指導、メタボ対策、正しいダイエットの普及などにも尽力。近著に「ふとらないクリームのお菓子」(エムディエヌコーポレーション)、「ふとらない米粉のお菓子」「こねないふとらない食パン」(ともに文化出版局)などがある。
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小麦粉高騰時代の救世主!?「米粉」のモチモチ食感を活かしたグルテンフリーレシピ

「グルテンフリー」という単語が浸透し、スーパーなどでも手に取りやすくなった米粉(こめこ)。最近では、小麦粉の価格高騰で代替品としての注目も集めています。一方で、小麦粉の代わりとしてではなく、もちもちとした食感を楽しむためにあえて米粉を選ぶ人も。今回は、米粉レシピを長年に渡り研究してきた、料理研究家の今別府靖子さんに、“米粉らしさ”を活かしたレシピを教えていただきました。

 

米粉にはどんな種類がある?

米粉とは、お米を砕いて粉末にしたもの。日本における歴史は古く、奈良時代には米粉を練って揚げた煎餅のようなものが大陸から伝わって来たことをはじめ、お団子などの和菓子の材料としても広く使われるようになりました。

 

米粉には、もち米を原料とした白玉粉や道明寺粉うるち米から作られる上新粉菓子・料理用の米粉などがあります。一般的にスーパーで売られているものは、うるち米から製造されたもので、菓子用やパン用など用途別に表示されています。ちなみに、菓子・パン用の米粉は上新粉と違って粒子がかなり細かく、ダマになりにくいので料理にも扱いやすくなっています。

 

「今回紹介するレシピに使っている米粉も微細粒タイプで、菓子・料理用と表記されているものです。上新粉ではうまくできない場合もあるので、『米粉』と書いてあるものを使いましょう」(料理研究家・今別府靖子さん、以下同)

 

ではここからは、米粉のもちもちとした食感がアクセントとなるレシピを、今別府さんに解説していただきます。「米粉のグルテンフリー肉まん」「もちっと米粉ニョッキのトマトソースがけ」「高野豆腐ときのこの米粉グラタン」の3種です。

 

もちもちの皮が絶品! 「米粉のグルテンフリー肉まん」

米粉の味ともちもち感を楽しみたいなら、いちばんおすすめしたいのが肉まんの皮。むっちりとして食べごたえがあり、腹持ちもよくて満足感の高い一品です。

 

「米粉で作る肉まんは、小麦粉のものと違ってずっしりとした仕上がり。米粉によって水分量が若干変わってくるので、耳たぶの硬さくらいになるよう、水を調節しながら練ってください。蒸し上がったあと冷めると硬くなっていくので、その場合は蒸し直してから食べましょう。一度蒸したものは一か月程冷凍保存ができるので、いつでも手軽に蒸し直して食べられますよ」

 

【材料(6個分)】

〈皮〉
・米粉……200g
・片栗粉……40g
・ドライイースト……6g
・砂糖……大さじ1
・塩……ひとつまみ
・牛乳(人肌に温める)……150ml
・米油……大さじ2
*打ち粉用片米粉……適量

〈具〉
・豚ひき肉……200g
・長ねぎ……1/3本
・生しいたけ(軸も使う)……2枚
・しょうが……1かけ
・しょうゆ……大さじ3
・砂糖……大さじ2
・ごま油……大さじ1
・塩、こしょう……各少々

【下準備】

ボウルに豚ひき肉とみじん切りした野菜と調味料を入れ、よく混ぜ合わせて具を作る。

 

【作り方】

1. ボウルに牛乳以外の皮の材料を入れ、泡立て器で混ぜ合わせる。

「泡立て器でぐるぐると混ぜながら、粉類のダマをほぐします」

 

2. 牛乳と米油を加えてへらで混ぜる。

「粉に牛乳と米油を馴染ませるように混ぜていきます」

 

3. 粉気がなくなったら手でこね、ひとまとめにしてラップをして約15分発酵させる。

「耳たぶくらいの硬さになりつるんとしたら、ひび割れないようにきれいに丸めて発酵させます。固すぎたり柔らかすぎたりしたら、米粉と水で調節しましょう」

 

4. 生地が1.5倍の大きさまで膨らんだら、生地を6等分して丸める。

「たくさん膨らむわけではありませんが、発酵後は生地が柔らかくなり、具を包みやすくなります」

 

5. 広げたラップの上に打ち粉をして生地をのせ、上からもラップをかぶせたら、生地を円形に薄く伸ばす。

「ややぼろぼろしやすい生地なので、ラップでサンドして伸ばしていくようにしましょう」

 

6. 生地に用意した具をのせ、四方を折りたたむようにして包む。

「小麦粉の皮と違い、伸びづらいので、しっかり伸ばした生地で覆うように包んでいきます」

 

7. カットしたオーブンペーバーに肉まんをのせて、蒸し器で約20分蒸す。

「おいしく蒸すコツは、蒸気がしっかり上がってから蒸しはじめること。蒸気が上がっていなかったり温度が低かったりすると失敗してしまうので、強火でしっかりお湯を煮立たせておきましょう。ステンレスの蒸し器の場合は、肉まんに水滴が落ちてこないよう、フタにふきんを巻いて蒸します」

 

皮の作り方さえ覚えてしまえば、中にあんこを入れてあんまんにすることもできます。お好みのオリジナル中華まんを作ってみても楽しいですよ!

 

次のページでは、ニョッキやグラタンのレシピを紹介していただきます。

おもてなしや週末のご褒美にぴったり! 「もちっと米粉ニョッキのトマトソースがけ」

じゃがいもと米粉を合わせて作るニョッキは、もちもちですが歯切れがよく、おもてなしや特別な日のメニューにもぴったり。ゆっくりできる週末のランチにもおすすめしたいレシピです。

 

「ニョッキは茹でる前の状態でも、茹でてからでも冷凍できます。こちらも一ヶ月を目安に消費してください。市販のパスタソースを使えばより手軽ですし、ホワイトソースやオイルベースなど、お好みのソースで食べてみてくださいね。じゃがいもをかぼちゃやさつまいもに変えると、色がついてかわいいニョッキになりますよ」

 

【材料(2人分)】

・じゃがいも……2個
・たまご……1個
・米粉……100g
・市販のトマトソース……300g
・粉チーズ……適量
・生バジル……適宜
*打ち粉用片米粉……適量

 

【作り方】

1. じゃがいもは皮をむいて茹で、水分を飛ばして粉ふき芋の状態にしてから、マッシャーで潰す。

「熱いうちにできるだけ形が残らないように潰しておくと、なめらかで食感のよいニョッキに仕上がります」

 

2. 溶きたまごを入れてゴムべらでよく練る。

「じゃがいもにしっかりたまごがなじみ、生地全体が黄色くなるまで混ぜます」

 

3. 米粉を入れて混ぜ、粉気が少なくなってきたら手でこねる。

「生地がなめらかにまとまるまで、しっかりこねましょう。硬さの目安は耳たぶくらいです」

 

4. 生地を親指の太さくらいに伸ばし、打ち粉をしながら包丁で2cmの長さに切って丸める。

「打ち粉をしすぎると、生地がぽろぽろしてきてきしまうのと、硬くなってしまうので、台にくっつかない程度にふりましょう」

 

5. 丸めたニョッキにフォークを当て、模様をつける。

「模様はなくても構いませんが、あった方がソースも絡みやすく、見た目もかわいいですよね。ぜひやってみてください」

 

6. たっぷりのお湯でニョッキを茹でる。浮いてきたらさらに1分程茹でてから、ざるにあげる。

「あとはニョッキを器に盛りつけ、温めたトマトソースをかけたらできあがりです。粉チーズをかけてバジルをのせていただきましょう」

 

ホワイトソースの“ダマになる”問題は米粉で解決! 「高野豆腐ときのこの米粉グラタン」

バターと小麦粉を練って作るホワイトソースも、溶けやすい米粉を牛乳に溶かしておく方法で作るとダマになりにくく、簡単です。

 

「高野豆腐や野菜をたっぷり入れた、栄養価も高いグラタンにしました。高野豆腐が入ると、食べ応えが出て満腹感も得られるのでおすすめです。お好みの具で作ることもできますし、牛乳を豆乳に替えてもOKです。粉チーズの代わりにマヨネーズにしてもおいしいですよ」

 

【材料(2人分)】

・高野豆腐……2個
・玉ねぎ……1/4個
・しめじ……1/2袋
・エリンギ……小1本
・ハム……1枚
・サラダ油……大さじ1/2
・牛乳……250ml
・米粉……大さじ2
・鶏がらスープの素……小さじ1
・塩、こしょう……各少々
・パン粉……適量
・粉チーズ……適量
・パセリ(みじん切り)……適宜

 

【下準備】

高野豆腐は1個半を水に浸して戻したら、水気を絞って約1cm角切りにする。残りはすりおろしておく。

 

【作り方】

1. 玉ねぎは薄切り、しめじとエリンギは粗みじん切り、ハムは細切りにして油で炒める。

「あとでオーブンに入れますが、時間が短いので、ここでしっかり火を通しておきましょう」

 

2. 牛乳に米粉と鶏がらスープの素を入れて混ぜ、1に加えて混ぜる。

「ここで牛乳にしっかり米粉を溶かしておくのが、ダマにならずじょうずにホワイトソースを作るポイントです」

 

3. 戻した高野豆腐を加えて中火でとろみがつくまで混ぜる。

「しっかりと高野豆腐にもソースが絡み、とろんとするまで混ぜながら加熱します」

 

4. 塩・こしょうで味を調えてグラタン皿に盛り付ける。

「グラタン皿に盛り付けるときには、平らにならして入れましょう」

 

5. すりおろした高野豆腐と粉チーズ、パン粉をふって250度のオーブンで約2分、アルミホイルをかぶせて約5分焼く。

「焼きあがったら、仕上げにパセリをちらします。ホワイトソースには焼き色がつきませんが、パン粉が香ばしい色になったらできあがりです」

 

米粉は国産のものが多く、米粉用の米作りを研究し続けている米農家もたくさんあります。一方で、日本は米の自給率が100%にもかかわらず、消費量が年々減少し続けています。農林水産省によると、米1人当たりの年間消費量はピーク時の1962年度に118kgあったものが、2020年度には半分以下の50.8kgにまで減少しています。また、家庭における年間支出金額においても、2014年以降はパンの支出額の方が上回っているとか。 お米は日本の食文化の代表格です。その食文化を継承していくという意識で、ぜひ料理に米粉を取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

プロフィール

料理研究家・栄養士 / 今別府靖子(いまべっぷやすこ)

健康と美味しいを基本としたレシピ開発から撮影、コーディネートまで行う。各メディアを始め料理教室やイベントなどでも広く活動。米粉に関しては、娘の小麦アレルギーをきっかけに1999年頃からレシピ開発を始める。震災後の宮城県南三陸町、福島県相馬市への米粉シチューなど炊き出し、学校給食関係者や一般向者向けの料理講習会、米粉食品コンテストの審査員を努めるなど各地で講演やイベント、料理講習会を通して米粉普及活動を行っている。また、米粉のレシピ本と電子書籍も出版している。農水省主体の東京米粉普及推進連絡会(とうきょう米粉ネットワーク)・栃木県米粉食品普及推進協議会に所属。
http://www.foods.thinknext.co.jp