美容皮膚科医が解説する“朝ビタ夜レチ”の正解とおすすめコスメ

女性にとって永遠のテーマともいえる“美容”。年齢を重ねてお肌の悩みが深刻化する前に、早めにケアすることが大切です。とくにいまスキンケアの世界で注目なのが「朝ビタ夜レチ」というキーワード。人気の美容成分「ビタミンC」と「レチノール」を活用したスキンケアのことで、手頃な価格で人気の無印良品から高濃度配合製品が登場したことで話題となっています。

 

健康できれいなお肌作りは毎日のスキンケアから。ということで、今さら聞けないスキンケアの新常識「朝ビタ夜レチ」について、美容皮膚科医の本多釈人(ほんだおくと)先生に教えていただきました。おすすめの最新スキンケアとともに紹介します。

 

「朝ビタ夜レチ」って?

 

昨今耳にするようになった「朝ビタ夜レチ」。これはどういったスキンケア法なのでしょうか?

 

「朝にビタミンCを、そして夜にレチノールを肌に与えるスキンケア法のことです。とはいえ、朝にビタミンC、夜にレチノール“だけ”を使いましょう、というわけではありません。本来は、どちらも朝にも夜にも使えればお肌には良いものです。ですが最近は、どちらも“高濃度”で配合されている製品が増えており、高濃度のビタミンCと高濃度のレチノールを同時に使うと、お肌への刺激が強すぎるため、朝と夜で使い分けるのが主流になっています」(美容皮膚科医・本多釈人、以下同じ)

 

そもそも、ビタミンCとレチノールは、それぞれどういった効果をお肌に与えてくれるのでしょうか?

 

◾ 朝ビタ=ビタミンC

「ビタミンCは“美肌の王様”と言われていて、お肌に良い作用をたくさんもたらす成分です。代表的なのは、抗酸化作用やメラニン色素の抑制、コラーゲン生成の促進、皮脂分泌の抑制など。シミ、くすみ、シワ、たるみなど、気にしている方が多いお肌悩みをひと通りケアできる成分とも言えます」

 

なかでも注目したいのは、抗酸化作用。

 

「お肌は、紫外線を浴びると酸化して炎症が起き、メラニンができてシミになります。その酸化を防いでくれるのが、抗酸化作用のあるビタミンCです」

 

◾ 夜レチ=レチノール

「レチノールはビタミンAの一種で、シワの改善を期待できる成分が含まれています。レチノール自体はいろいろなスキンケア製品に入っていますが、高濃度でなければシワ改善効果はあまり期待できません。また、肌への刺激が強い成分なので、はじめて使う場合は毎日ではなく数日置きに使う、もしくは少量に抑えるなどする必要があります。お肌が慣れてきたら徐々に使用頻度や量を増やすのがおすすめです」

 

朝・夜で使い分ける理由は?

それぞれの美容効果がわかったところで、もう少し具体的に朝と夜の使い分けが必要な理由をみていきましょう。また、なぜビタミンCは朝で、レチノールが夜なのかもうかがいました。

 

・高濃度同士のかけあわせが刺激に

「どんな成分でも、高濃度になればなるほど、お肌への刺激は増えてしまいます。ピリつきを感じたり、ひどい場合には、赤みが出たり痒くなったりしてしまうことも。そのため、高濃度と高濃度を掛け合わせるのはあまりよろしくありません。1度のスキンケアで取り入れる美容成分は1種類に留めるのが基本。もしどうしても一度に複数の成分を取り入れたい場合は、複数の成分が1本にまとまっている製品を使うのがおすすめです」

 

・紫外線に対する特性が決め手

「ピュアレチノールは紫外線に当たると分解されて効果がなくなってしまうので、日中よりも夜に使うのが主流になっています。その一方で、お肌の酸化を防いでくれるビタミンCは、紫外線を浴びる前に塗るのが効果的。この2つの理由から、朝はビタミンC、夜はレチノールを取り入れたスキンケア習慣が定着してきています」

 

スキンケア化粧品選びのポイントと注意点

スキンケア製品の成分についてくわしく理解するのは、なかなか難しいもの。でも、日本の製品にはわかりやすく作られているものがたくさんあるそう。

 

「日本の製品は、パッケージにニキビ、乾燥、シミ、シワ、毛穴、くすみ、赤み、たるみといったお悩みキーワードや、アンチエイジングといった得られる効果が、記載されているものが多いので、それらを目印に選ぶのがおすすめです。また、よほど成分が強いものでない限り、日本の製品は万人が安全に使えるような成分量のものが一般的です。それに対し、海外の製品は少し注意が必要。海外の製品が悪いというわけではありませんが、薬事法により成分表記の仕方が日本の製品とは異なるので誤解しやすいことがあるということを理解しておきましょう」

 

また、化粧品の情報をSNSなどから得る際にも注意が必要です。

 

「 “流行っているもの”=“自分に合うスキンケア”ではないということを忘れないでください。
もちろん、流行っているものには流行っているなりに優れている理由があります。ですが製品を紹介している人の肌には合っても自分の肌には合わない、ということもあるので、情報を鵜呑みにしすぎないことが重要です」

 

医師おすすめの美容液 4選

「朝ビタ夜レチ」を取り入れるときの注意点までわかったところで、本多先生がおすすめする美容液を紹介します。

 

無印良品

お手頃価格で万人におすすめ
肌の悩みに応じて選べるスキンケア
2024年6月に発売された、無印良品の「高濃度スキンケアシリーズ」。ビタミンC誘導体やレチノール誘導体、セラミドといった、今注目の成分を高配合(※)した美容液が揃うシリーズです。SNSなどでは、「低価格なのに優秀な美容液」として大きな話題となっています。
※高濃度・高配合=無印良品の商品との比較

 

保湿成分としてビタミンC誘導体を高配合(※)。毛穴やキメが気になる肌にうるおいを与え、透明感のあるなめらかな肌に導きます。
高濃度美容液ビタミンC誘導体配合」30ml 2,290円(税込)

 

保湿成分としてレチノール誘導体を高配合(※)。乾燥などのエイジングサインが気になる肌に、ハリと弾力を与えます。
高濃度美容液レチノール誘導体配合」30ml 2,290円(税込)

 

保湿成分としてセラミドを高配合(※)。乾燥や肌荒れが気になる肌にうるおいを与え、透明感のある肌に導きます。
高濃度美容液セラミド配合」30ml 2,290円(税込)

 

問い合わせ=無印良品 銀座 03-3538-1311

 

エリクシール

本格的な夜レチを体感するならコレ
日本で唯一、シワを改善する純粋レチノール

資生堂が展開するエイジングケアブランド「エリクシール」の「レチノパワー リンクルクリーム」。2017年の誕生以来、数々のコスメランキングで殿堂入りしています。レチノール類において日本で唯一、シワ改善効果が認められた薬用有効成分「純粋レチノール」を配合した商品です。

 

 

このリンクルクリームが、2023年9月に9年ぶりのリニューアル。純粋レチノールを取り入れることで肌自らヒアルロン酸を生み出し、水分量を増やすことで柔軟な肌へ導きます。
レチノパワー リンクルクリーム L」22g 8,690円(税込)
レチノパワー リンクルクリーム S」15g 6,490円(税込)

 

問い合わせ=エリクシール(エリクシールお客さま窓口)0120-770-933

 

エンビロン

オクト先生も長年愛用のC-クエンスシリーズをはじめ
エイジングケアに特化した製品が揃う
「エンビロン」は、サンケア先進国の南アフリカ共和国で誕生したドクターズコスメです。現在は世界70ヵ国以上で愛用され、日本国内でも多くのクリニックやサロンなどで取り扱いがあります。ビタミンAが配合されている製品には、独自の「ステップアップシステム」が採用されていて、肌の状態にあわせて濃度を選べるようになっています。

 

高浸透のビタミンCが高濃度に配合されたクリーム美容液。くすみ、つや不足、乾燥によるカサつきが気になる方におすすめです。
C-ブーストクリーム」25ml 6,930円(税込)

 

リニューアルしてパワーアップした上級者向け美容液。レチノールをはじめとする3種類のビタミンAを高濃度に配合しています。
A-ブーストセラム」30ml 10,450円(税込)
A-ブーストセラムインテンス」30ml 11,550円(税込)

 

プロピオン酸レチノールなどのレチノール誘導体(※)やペプチドなど、多彩な美容成分を贅沢に配合した1本。夜だけでなく、朝も使用できるセラムです。
C-クエンスセラム」135ml 18,040円(税込)

※レチノール誘導体とは…
レチノールに別の物質を組み合わせて安定化させたもので、肌の中でレチノールに変換される。パルミチン酸レチノールなど、種類によっては紫外線から皮膚を保護する働きを持ち、朝晩使用することができる。

 

問い合わせ=エンビロン(プロンティア・ジャパン)

 

クオリティファースト

価格以上に期待できる高濃度成分
最高コスパの身近なスキンケア

種類豊富なシートマスクで有名な「クオリティファースト」。手に取りやすい価格帯で、全国のドラッグストアで購入できます。さらっとしたテクスチャーでベタつきが少なく、伸びが良いので、美容液初心者の方にもおすすめです。

 

レーザー美容発想の集中ケアシリーズ「ダーマレーザー」のエイジングケア美容液。シリーズ最高濃度のレチノールをナノカプセルに配合した美容液です。
ダーマレーザー* ウルセラR」30ml 2,200円(税込)

 

シリーズ最高峰の毛穴ケア美容液。4種の高濃度ビタミンCとナイアシンアミド25%を配合。全方位の毛穴悩みに対応した、集中毛穴美容液です。
ダーマレーザー* ウルセラC」30ml 2,200円(税込)

 

問い合わせ=クオリティファースト

 

「大切なのは日々お肌と会話をすること」

日々お肌の観察をすることが、美肌習慣の第一歩。

 

「お肌は、年齢はもちろん、季節や体調によっても変わります。その変化にできるだけ早く気がつくためにも、お肌を触って状態をチェックする習慣を付けましょう。余裕があれば、額やあごなど、お顔の部位別にチェックをしてあげるのがベスト。そうやって今の肌の状態をしっかり認識して、それに合うスキンケア製品を選ぶことが大切です。

 

お肌のターンオーバーは通常28~30日周期と言われているので、新しいスキンケアを使うときはとりあえず約1ヵ月試してみてから評価をするのがオススメ。とはいえ、赤みや痒みが出るなど、お肌に異常が現れた場合はすぐに使用を中止することも忘れずに」

 

人のお肌も十人十色。相性を見極めるのが、憧れ美肌への近道です。

 

「化粧品は、自分との相性はもちろん、季節や体調などそのときの“状態”との相性、さらにはメイク用品や日焼け止めなどとの相性もあります。そういったことを日々研究していくことが重要です。大切なのは日々お肌と会話をすること。そうして自分自身に合った製品を見つけて、美肌習慣を見つけてください」

 

Profile


美容皮膚科医 / 本多釈人(ほんだ・おくと)

日々進歩する美容医療の世界で、一人一人の美の価値観に寄り添った医療を提案。産婦人科医・ドラァグクイーンとしての経験も活かし、女性の悩みを解決するお手伝いを行っている。肌や美容についての話を、メンズという立場から面白く楽しく発信するためにYouTubeも配信中。現在はアンジークリニックと表参道スキンクリニックに勤務している。
「Dr.オクト」
「ANGIE | アンジークリニック」
「表参道スキンクリニック」

日焼け止めが海と地球を脅かす!肌と環境にやさしい日焼け止めの選び方とおすすめブランド

日焼けをはじめとする紫外線の肌への影響を気にして、日常的に使われるようになった日焼け止め。ジェルやスプレーなど、テクスチャや形状もさまざまあり、シーンに合わせて使い分けが可能ですが、やはり夏の海や川を訪れる際には、いつも以上にUVカット効果が高い日焼け止めを使うはず。

 

ところが近年、この日焼け止めが海に悪影響を与えていると言われるようになりました。いったいなぜ? どんな日焼け止めならセーフ? サンゴ礁保全と観光産業の持続可能な発展を目的とした、国際的なダイビング・シュノーケリングのガイドライン「Green Fins」の日本導入を担当する積田彗加さんにうかがいました。

 

海遊びに必須な日焼け止めが
サンゴを弱らせている?

 

日焼け止めから、年間約6000〜1万4000トンもの化学成分が海に流れ込んでいるそう。スタンフォード大学の論文「Conversion of oxybenzone sunscreen to phototoxic glucoside conjugates by sea anemones and corals(イソギンチャクとサンゴによって日焼け止めに含まれるオキシベンゾンが光毒性のあるグルコシド結合体へ変換される)」によると、この日焼け止めに含まれる化学物質が、海洋生態系に致命的な影響を与えることが証明されています。

 

研究グループの実験によると、サンゴと似た生態のイソギンチャクや、サンゴの仲間であるクサビライシを使って、多くの日焼け止め成分に含まれる「オキシベンゾン」と疑似太陽光の影響について調査を実施。オキシベンゾンを取り入れ、疑似太陽光を当てた条件では、17日以内に全滅するという結果が出たのです。

 

「米国ハワイ州では、2021年1月より紫外線吸収剤の「オキシベンゾン」や「オクチノキサート」を含んだ日焼け止めの販売を禁止する法案が施行されました。さらに西大西洋に浮かぶパラオ諸島では、紫外線吸収剤に加え、「フェノキシエタノール」をはじめとする10種類の化学物質が含まれる日焼け止めもサンゴへの悪影響があるとみなし、2020年1月より、国内での販売および持ち込みを禁止する徹底ぶりをみせています。それだけ、日焼け止めによるサンゴへの悪影響を重んじているといえます」(「Green Fins」導入担当・積田彗加さん、以下同)

 

さらに、多くの日焼け止め成分に含まれている「酸化亜鉛」と「酸化チタン」ですが、近年ナノ粒子化された商品が多く出ています。成分が非常に小さいとサンゴが吸収してしまい、正常に成長することができなくなってしまうのだとか。禁止されていない成分でも、ナノ粒子化されることでマイクロプラスチックのように目には見えない影響が出てきていると言えるでしょう。

 

サンゴへ悪影響を及ぼす原因は、日焼け止めのほかにも、温暖化による気候変動、沿岸開発、レジャー時の踏む、蹴るなどによる人的被害など、さまざま考えられます。すべて私たちでコントロールすることはできませんが、日焼け止めに関しては、自分たちの意思と知識さえあれば、環境にやさしいものを積極的に選択できるはず。日焼け止めを購入する前に、どんな成分が含まれているか確認することから始めてみましょう。

 

なぜサンゴ礁を守らないといけないの?

 

そもそもなぜサンゴ礁を守る必要があるのでしょうか? 人間たちを魅了するような観光資源だけでなく、サンゴ礁は、海の生態系を支え、私たちの生活に不可欠な役割を担っていると、積田さんは話します。

 

「サンゴ礁は赤道近くに分布しています。地球の表面積のうちわずか0.1〜0.2%程度にしかなりませんが、地球上の海洋生物の約25%の種類が生息する場所でもあります。つまりサンゴ礁がなくなってしまうことは、海洋生物にも大きな影響を与えてしまうのです」

 

サンゴ礁の役割

・生き物の棲家(生物多様性を支える)
・温暖化の抑制
・防波堤
・観光および漁業資源

 

サンゴ礁が減少するとどうなる?

・海洋生物の25%の種類が生息する重要な生態系が破壊される
・食料が減る可能性がある
・防波堤の役割を果たせなくなる
・観光業への経済的な打撃も大きくなる

 

「私が駐在する沖縄県恩納村にも、さまざまなサンゴが生息しています。この村は、もずくやあおさ、海ぶどう養殖が盛んです。実は村のサンゴが大規模白化した年に、養殖物の漁獲量が一気に下がってしまったことがあったそうです。地元の漁師さんの中には、サンゴの状態と漁獲高の関係性を意識してサンゴの養殖を始めた人がいます。サンゴを守ることで、漁師さんの暮らしを守り、きれいなサンゴを見たいと観光客がやってくる。サンゴ保全の意識を高めることは、そこに住まう人だけでなく、観光で訪れる人にも大切な営みです」

 

普段使いできる
海の生き物たちにやさしい日焼け止め

私たちがサンゴを守るための一番身近な手段のひとつに、日焼け止めがあります。積田さんは、海遊びの時だけでなく日常的に使う日焼け止めやUVカットの化粧下地の成分もチェックしてほしいと言います。

 

「日焼け止めは、体や顔を洗った後に下水へ排出され、最後は海に流れていきます。食器や洗濯洗剤の成分、洗濯時に繊維から落ちるマイクロプラスチックが海に流れていくことと同じですね。海で遊ぶ際に使う日焼け止めだけでなく、日常的に使用するものも、地球環境にやさしい成分を選べると良いでしょう」

 

日焼け止めを選ぶ際には、この2つのキーワードが入っているかチェックしましょう。

 

【選ぶ際にチェックしたい表示】

・紫外線吸収剤不使用
・ノンナノ(酸化チタンや酸化亜鉛をナノ粒子化していないもの)

「表示を見てもわからないという人は、パラオで販売されている日焼け止めを購入するのがおすすめです。パラオはサンゴ保全国最先端の一つで、10種類の成分を規制しています。規制されている成分が入った日焼け止めを、パラオ国内に持ち込むことすらできません。つまりパラオで売っている日焼け止めは、すべて環境にやさしいものであると言えます」

 

ここからは積田さんおすすめの海の生き物たちにやさしい日焼け止めを4つ紹介します。

 

・「Protect Land + Sea(海や山を守る)認証」を取得!海にも川にもやさしい


BADGER「Adventure Mineral Sunscreen Cream – SPF 50」
$17.99(USD)=2609円($1 USD = 145円で換算・ 8月29日時点)
紫外線予防効果:SPF50

サンゴやウミガメ、その他の水生生物に無害な製品にしか与えられない「Protect Land + Sea(海や山を守る)認証※」の日焼け止め。肌の新陳代謝を促すビタミンE配合で美肌効果もあり。石けんでオフ可能。

※サンゴや環境に有害な日焼け止めの法規制を高めた論文の一つを発表した「米国バージニア州のハエレティクス環境研究所では、海洋および淡水の小川や川も含めた生態系に悪影響を及ぼす有害物質のリストを発表。このリストにある有害物質をすべて排除した製品に与えられるのが、「Protect Land + Sea(海や山を守る)認証」です。

 

環境にやさしいノンナノの酸化亜鉛を使用しているがゆえに白浮きしやすいですが、そのおかげで水をはじき、約80分の耐水時間を誇ります。

 

・海とサンゴを思う気持ちが名前にも込められた日焼け止め


ジーエルイー「サンゴに優しい日焼け止め ホワイト40g」
3273円(税込)
紫外線予防効果:SPF50+、UVA★★★★

100パーセント自然由来成分でできた日焼け止め。自社ブレンドのラベンダーやユーカリ等4種の精油が保湿効果とリラックス効果をもたらします。ウォータープルーフ仕様ですが、石鹸とぬるま湯でオフすることができます。容器は再資源化が容易なスチール缶です。

 

「沖縄出身の金城由希乃さんによって開発された日焼け止め。ビーチでシュノーケリングをしようとしていた時に、『日焼け止めを塗ると、サンゴが死んじゃうんだよ』と近くにいたダイバーに教えてもらったのが開発のきっかけだそうで、商品名からも思いが込められていることが伝わってきますね」

 

・ハワイ産の良質な天然成分だけで生まれたカバー力抜群の日焼け止め

リトルハンズハワイ「【ベージュ】スティックタイプLittle Hands Hawaii(リトルハンズハワイ)」
4400円(税込)
紫外線予防効果:SPF35~40

ハワイの豊かな自然環境に育まれた、100%天然素材のみを使用した日焼け止め。紫外線予防効果で未来のシミ、しわも防ぎます。ウォータープルーフなのに石けんでするっとオフできる使いやすさも魅力です。パッケージは、プラスチックフリーで環境負荷を最小限に抑えています。

 

「ノンナノ成分の日焼け止めは、環境にはやさしい一方で、伸びにくかったり、白浮きしやすかったりと使用感がネックになることも。でも、この商品は自然に色がつくので使いやすいです。私はベージュカラーを日焼け止め兼ファンデーションとして使っています。手が汚れないスティックタイプは、ササッと塗れて忙しい朝や、アウトドア時にも便利」

 

・国内最高レベルのUV指数なのに肌にも自然環境にもやさしい


モアニオーガニクス「DAILY ESSENTIAL SUNSCREEN」
3960円(税込)
紫外線予防効果:SPF50+、PA++++

国際的な有機認定機関「ECOCERT」による厳しいオーガニック基準に合格した日焼け止め。100%天然由来成分でできていながら、紫外線B波(UVB)、A波(UVA)ともに高い予防効果があり、紫外線が強い野外にも安心です。汗や水にも強いのに、石けんで簡単に落とすことができます。

 

「ミルクタイプのテクスチャーで、肌によく伸びて使用感もいいです。べたつかずさらっとしていて着け心地も抜群ですよ」

 

サンゴや環境に配慮した日焼け止めを使うことは大切ですが、そもそも肌をださない様にするのも対策のひとつ。「シュノーケリングや海遊びをするときには、長袖のラッシュガードを着るようにすれば、日焼け止めを塗る面積もセーブできて、肌にも海にも優しいですよ」と、積田さん。少しの工夫を楽しみながら、環境にも自分にも優しくいられるといいですね。

 

Profile

「Green Fins」 / 積田彗加

神奈川県出身。早稲田大学卒業。新卒でIT企業に入社するものの、ダイビング好きが高じ、ダイビングの楽しみ方を広げたいという思いで海とダイビングのウェブメディア「ocean+α」に2018年に転職。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。「Green Fins」の導入推進を担当している。同団体の日本窓口でアセッサー。

美容家が解説するジェンダーレスコスメ&美容家電の選び方とおすすめ10選

2023年、WBC(ワールドベースボールクラシック)の開催期間に合わせて、コーセーがハイプレステージブランド「コスメデコルテ」の広告モデルに大谷翔平選手を起用。広い世代に、そして性別の枠を超えて大きな話題を呼びました。すでに“メンズ美容”のジャンルでは、保湿・美白・エイジングケアなどアイテムが充実していますが、さらに最近では、ジェンダーを謳わないコスメも存在感を増しています。男女問わず、パートナーとシェアして使える“ジェンダーレス美容”の時代が到来したと言っていいでしょう。

 

美容家として活躍されているEBATOさんに、ジェンダーレス美容の今と、おすすめのアイテムを紹介していただきました。

 

 

ジェンダーレス美容が注目されるようになった理由

性別に関わらず使える美容アイテムに人気が集まっていますが、どのような背景があるのでしょうか?

 

「まず、ジェンダーレス美容の出発地点であるメンズ美容のトレンドとしては以下のような影響があると思います」(美容家・EBATOさん、以下同)

 

・韓流アイドルの人気の高まり

「2013年ごろから男性アイドルグループBTSを始めとしたKPOPアイドルたちが時代のアイコンになったことで、流行に敏感な若者たちが彼らに憧れ、そのファッションを模倣しました。例えば、髪型はセンターパート、洋服はオーバーサイズにするスタイルなどです」

・コロナ禍によるリモート会議の増加

「30代40代の働く世代の方たちは、オンラインのリモート会議によって、日常の中で、カメラで自分の顔を見る機会がとても多くなりました。それまでは自分の容姿を意識してみ見ることの少なかった男性も、モニターに映った自分の肌質やヘアスタイルを意識するようになりました。美容を意識している男性たちからは、『リモート会議で初めて自分の容姿の老化に気づき、危機感を持って興味を持ち始めた』という声も聞いています」

・インフルエンサーマーケティング市場の増加

「YouTubeやInstagramなど、SNSマーケティングは年々右肩上がりで成長しています。それに伴い、インフルエンサーなどのいわゆる一般人が有名になりやすくなりましたよね。自己ブランディングや企業とのタイアップもあり、イメージをよくするためにメンズ美容も欠かせなくなりました。そして相対するようにメンズ美容の需要も高まりを見せています」

・今を輝くアスリートを美容広告として起用

「WBCで日本中の注目を集めた大谷選手がコーセーの高級化粧品ブランドであるコスメデコルテの広告に抜擢されたことも、メンズ美容が一気に普及するきっかけとなりました。野球と化粧品という一見まったく違った世界のコラボレーションがむしろ注目を集めたのではないでしょうか。コーセーは2019年に化粧品『雪肌精』に羽生結弦選手を起用したことでも話題となりました。コーセーでは年代や性別にとらわれないブランドイメージを展開し、2010年以降、時代を作ってきた憧れの男性アスリートたちが美容の広告に起用されてきたことは、一般男性の間でも美容に対する意識が広まることに、大きく貢献しました」

 

ジェンダーレスな美容アイテム選びのポイント

続いて、ジェンダーレスコスメや美容家電など、アイテムを選ぶポイントについて教えていただきました。

 

「美容というものは人生の満足度を高めてくれるものであり、生活をよりよくしてくれるものだと僕は思っています。人生の価値観は人それぞれであり、『これを使ってください』と言うよりかは、自分の価値基準で選んでもらいたい。その際に大切にしてほしいポイントは以下の3つです」

 

1.なりたい自分をイメージする

「どのような自分を演出したいか目的をはっきりすることから始めてみましょう。自分の抱えている悩みやコンプレックス、例えば、『自分の肌悩みを解消できたら毎日が楽しくなるであろう』とイメージしてください。このように自分の価値基準を明確にしていくことが大切です。
インフルエンサーやSNSで紹介されている話題の商品はたしかに試してみる価値はありますが、はたしてそれが自分にとって本当に必要なものなのかと冷静になって考えてみることも大切です。その商品が、必ずしも自分を満たしてくれるとは限りません。トレンドを追いかけることは決して悪いことではありませんが、そればかりだと疲れてしまいますし、自分の価値観を見失う可能性も。自分の軸をしっかりと持つことで本当に必要なものが明確になります」

 

2.実際に手に取って試してみる

「コスメや美容グッズを選ぶとき、私はいつも実際に手に取って試してみることをおすすめしています。現代はいつでもどこでもネットを介して商品を買うことのできる時代ですが、自分にとって本当によいものは実際に手に取ってみなければわかりません。時間や労力は確かにかかりますが、実店舗で試すのが一番。商品を手に取ったときの質感や重さ、そして使用感などの機能面も、手に触れて初めてわかることがたくさんあります。
また、店頭にはブランドのエキスパートアドバイザーがいます。アドバイザーの話を聞くことで新しい視点を持つことができ、自分の価値基準もそこで形成されていきます。
あえて五感で触れて感じ選び抜くという体験は、脳の活性化にもつながります。このように経験を積み上げることによって、自分の価値基準に沿ったものを選ぶ審美眼が磨かれていくのだと思います」

 

3.シェアして使う場合には話し合いを

「家族やパートナーと一緒に使う場合は、対話がとても大切になります。お互いのこだわりや、ここだけは譲れないというポイントもあるでしょう。そこを明確にしてから商品選びをすることで、候補も絞りやすくなりますし、悩むことも少なくなると思います。このとき注意していただきたいのが、相手の価値観を否定しないこと。そしてお互いに譲歩することが、よりよいものを選ぶうえで大切です。例えば、どちらかは機能面を、どちらかがデザイン面を決めることで、お互いの満足度も高まります。ぜひお互いの意見を尊重し、より満足感の高いアイテムを選んでもらいたいですね」

ジェンダーレスコスメ&美容家電 10選

ジェンダーにしばられず、誰もが自分のために、あるいは誰かといっしょに使える美容グッズを、コスメからドライヤーなど美容家電にいたるまで、EBATOさんがリストアップ。おすすめポイントを紹介していただきました。

 

1.マッサージ効果が期待できる目元専用の“美容液”

コスメデコルテ「リポソーム アドバンスト リペアアイセラム」
8,250円(税込)

「僕もよく使っている目元専用の美容液です。アイテム先端の球体が目元のくぼみに心地よくフィットしてくれるので、マッサージがしやすく血行を促進。浸透力も高く、たるみやこじわの改善も期待できます。目元は皮膚が薄くとてもデリケートなのに対し、デスクワークや乾燥などでダメージを受けやすい部位です。お顔を印象づける目元のケアは日頃から大切にしてもらいたいです」

 

2.敏感肌に対応した“日焼け止め”

NALC「パーフェクトウォータープルーフ日焼け止めジェル」
2,729円(税込)

「NALCは、もともとジェンダーレスを意識してきたブランドです。こちらは2歳以上のお子さまから使える日焼け止めです。敏感肌にも対応した商品で、軽い塗り心地と肌なじみのよさは格別です。今までUV対策をしてこなかった男性たちも抵抗感なく使える日焼け止めなので、10年、20年後のシミを防ぐ対策として、ケアを始めるきっかけにしてもらえたらと思います」

 

3.スティックタイプで自然な仕上がりを叶える“ファンデーション”

FIVEISM × THREE「ネイキッドコンプレクション バー」
5,720円(税込)

「FIVEISMのファンデーションは、カラーバリエーションがとても多く自分にあった色を見つけることができます。スティックタイプで塗りやすく、ファンデーションを初めて使う方にもおすすめです。カバー力が高く、ニキビ跡や毛穴、クマ、男性なら青ひげなどもナチュラルに補正。さらにきれいに仕上げたいならば、スポンジでぽんぽんと軽くたたき込んでいくと、ツヤ感がある陶器のような肌に仕上がります」

 

4.するすると描きやすい“アイブロウ”

GIVENCHY「ミスター・アイブロウ・ペンシル」
3,630円(税込)

「眉メイクに慣れていない方には、ペンシルタイプがおすすめです。なぜなら、眉一本一本を描きやすいからです。眉メイクはメイクアップのなかでもとくに難しいと工程ですが、メイクスキルを上げるためにも、眉一本ずつを丁寧に描くことが大切です。こうした描きやすいアイブロウペンシルを手に入れて、楽しみながらメイクスキルを上達させていただきたいと思います」

 

5.豊富なカラーと色名まで楽しめる“ネイルポリッシュ”

iLLO「ネイルポリッシュ」
1,650円(税込)

「Z世代の男性たちのなかにはネイルを楽しむ人も増えています。クリアやナチュラルな色味よりも、はっきりとした色だちのカラーを選ぶことが多いですね。ジェンダーレスを強みとしたこちらのブランドの魅力のひとつがカラータイトルです。『Glacier blue(氷河の青)』や『Nightporter(夜の案内人)』など、イマジネーションが広がるネーミング。これまでにない色選びをお楽しみください」

 

6.リフレッシュと美姿勢を保つ“ガン型ボディケアツール”

DOCTORAIR「エクサガン ハンディPRO」
1万7,600円(税込)

「パワフルな振動で、首・肩・背中をケアできるガン型ボディケアツールです。こちらのモデルは形を自在に変えることができるので、肩甲骨や腰など、手が届きにくい部位にもしっかりと当てることができます。デザインもシンプルですし、身体のケアは男女問わず大切になるので、選ばせていただきました。パソコンやスマホを長時間したあとの首や背中をケアすることによって美しい姿勢を保つこともできるのでおすすめです」

 

7.潤いをぎゅっと包み込んでくれる優秀“ドライヤー”

Panasonic「ヘアードライヤー ナノケア EH-NA0J」
3万8,610円(税込) ※編集部調べ

「『ドライヤーといえばこちら』というほどおすすめしたいアイテムです。使用するたびに髪のうるおいと艶やかさを実感することができます。カラーリングやパーマをするとどうしても傷みやパサつきが出てしまいますが、高浸透ナノイーが髪の内側まで水分補給し、傷みを抑えてくれます。毎日使うものだからこそ、いいものを選んでいただきたいですね」

 

8.毛穴汚れをオフしてくれる“スチーマー”

ヤーマン「ブライトクリーン」
3万9,600円(税込)

「毎日のクレンジングやメイク前はもちろん、丁寧なディープケアをしたいときにも使っていただる美顔器です。特筆すべきは、たっぷりのスチーム量。この濃密なスチームが毛穴に入り、毛穴目立ちを抑制します。デスクワークでカサつきが気になるときにサイドにおいたり、かかとケアに使ったりと、顔以外にも使えます」

 

9.好みの固さを選べる“頭皮ブラシ”

uka「scalp brush kenzan」
2,420円(税込)

「頭皮は気づかないうちにこり固まってしまう部位です。意識してケアするようにしましょう。僕のおすすめの使い方は、2つの頭皮ブラシを用意して両手に持ち、マッサージすること。頭皮のコリの解消し、リフレッシュできます。scalp brushには4種類の硬さがあり、自分の好みによって選ぶことができます。僕は2番目に硬い『kenzan』を愛用しています」

 

10.シンプルでインテリアを選ばない“アロマディフューザー”

@aroma「ピエゾディフューザー ソロ」
1万6,500円(税込)

「心地よさを与えてくれる“香り”も、美容に欠かせない要素だと思っています。こちらは、サイズ感がとてもよくてパソコンの横にも置いておくことができるコンパクトな設計のディフューザーです。シンプルなデザインが魅力で、カラーはホワイトとグレーの2色展開。お好みの香りをリラクゼーションとして楽しむのにいいと思います」

 

ジェンダーレス美容との向き合い方

最後に、ジェンダーレス美容において大切な考え方についてEBATOさんに伺いました。

「僕は『ジェンダーレス美容』という言葉の枠組みに囚われて欲しくないとも思っています。ジェンダーレスとはそもそも性別や年齢を問わずに使えるものであるはずなのに、ジェンダーレスというカテゴリを作ろうとしている風潮もあります。そこで『ジェンダーレスを謳っているものしか選ばない』となると本末転倒になるわけです。女性向けに作られたアイテムであっても、自分が満足して使えるのであれば男性が使ってもいいわけですし、その逆も然りです。周りの目を気にせずに、『自分はこれが好き』というものを自由に選んでいって欲しいですね。
ジェンダーレスだからということではなく、世の中にあるすべての商品を誰が使っていい。それが本当の意味での『ジェンダーレス美容』だと思います」

情報の多い時代だからこそ、「自分にとって何が大切なのか」ということには敏感でありたいもの。ジェンダーレス美容を通してお気に入りの美容グッズを見つけることは、あらためて自分の価値観を考えるきっかけになるかもしれません。

 

Profile

美容家 / EBATO

2019年にメンズ向け美容ブログ『Be-LOG』を開設。元美容部員の知識と経験を活かし、男性の肌ケアや頭皮ケアについて300本以上の記事を執筆。数々の検索キーワードで1位を獲得し、総読者は10万人を超える。コスメコンシェルジュ、化粧品上級スペシャリストの資格を持ち、科学的根拠に基づいた独自の美容メソッドを考案。テレビや雑誌など各種メディアにも多数出演。プロデュース、講師業など活動は多岐にわたる。

 

美容家が解説するジェンダーレスコスメ&美容家電の選び方とおすすめ10選

2023年、WBC(ワールドベースボールクラシック)の開催期間に合わせて、コーセーがハイプレステージブランド「コスメデコルテ」の広告モデルに大谷翔平選手を起用。広い世代に、そして性別の枠を超えて大きな話題を呼びました。すでに“メンズ美容”のジャンルでは、保湿・美白・エイジングケアなどアイテムが充実していますが、さらに最近では、ジェンダーを謳わないコスメも存在感を増しています。男女問わず、パートナーとシェアして使える“ジェンダーレス美容”の時代が到来したと言っていいでしょう。

 

美容家として活躍されているEBATOさんに、ジェンダーレス美容の今と、おすすめのアイテムを紹介していただきました。

 

 

ジェンダーレス美容が注目されるようになった理由

性別に関わらず使える美容アイテムに人気が集まっていますが、どのような背景があるのでしょうか?

 

「まず、ジェンダーレス美容の出発地点であるメンズ美容のトレンドとしては以下のような影響があると思います」(美容家・EBATOさん、以下同)

 

・韓流アイドルの人気の高まり

「2013年ごろから男性アイドルグループBTSを始めとしたKPOPアイドルたちが時代のアイコンになったことで、流行に敏感な若者たちが彼らに憧れ、そのファッションを模倣しました。例えば、髪型はセンターパート、洋服はオーバーサイズにするスタイルなどです」

・コロナ禍によるリモート会議の増加

「30代40代の働く世代の方たちは、オンラインのリモート会議によって、日常の中で、カメラで自分の顔を見る機会がとても多くなりました。それまでは自分の容姿を意識してみ見ることの少なかった男性も、モニターに映った自分の肌質やヘアスタイルを意識するようになりました。美容を意識している男性たちからは、『リモート会議で初めて自分の容姿の老化に気づき、危機感を持って興味を持ち始めた』という声も聞いています」

・インフルエンサーマーケティング市場の増加

「YouTubeやInstagramなど、SNSマーケティングは年々右肩上がりで成長しています。それに伴い、インフルエンサーなどのいわゆる一般人が有名になりやすくなりましたよね。自己ブランディングや企業とのタイアップもあり、イメージをよくするためにメンズ美容も欠かせなくなりました。そして相対するようにメンズ美容の需要も高まりを見せています」

・今を輝くアスリートを美容広告として起用

「WBCで日本中の注目を集めた大谷選手がコーセーの高級化粧品ブランドであるコスメデコルテの広告に抜擢されたことも、メンズ美容が一気に普及するきっかけとなりました。野球と化粧品という一見まったく違った世界のコラボレーションがむしろ注目を集めたのではないでしょうか。コーセーは2019年に化粧品『雪肌精』に羽生結弦選手を起用したことでも話題となりました。コーセーでは年代や性別にとらわれないブランドイメージを展開し、2010年以降、時代を作ってきた憧れの男性アスリートたちが美容の広告に起用されてきたことは、一般男性の間でも美容に対する意識が広まることに、大きく貢献しました」

 

ジェンダーレスな美容アイテム選びのポイント

続いて、ジェンダーレスコスメや美容家電など、アイテムを選ぶポイントについて教えていただきました。

 

「美容というものは人生の満足度を高めてくれるものであり、生活をよりよくしてくれるものだと僕は思っています。人生の価値観は人それぞれであり、『これを使ってください』と言うよりかは、自分の価値基準で選んでもらいたい。その際に大切にしてほしいポイントは以下の3つです」

 

1.なりたい自分をイメージする

「どのような自分を演出したいか目的をはっきりすることから始めてみましょう。自分の抱えている悩みやコンプレックス、例えば、『自分の肌悩みを解消できたら毎日が楽しくなるであろう』とイメージしてください。このように自分の価値基準を明確にしていくことが大切です。
インフルエンサーやSNSで紹介されている話題の商品はたしかに試してみる価値はありますが、はたしてそれが自分にとって本当に必要なものなのかと冷静になって考えてみることも大切です。その商品が、必ずしも自分を満たしてくれるとは限りません。トレンドを追いかけることは決して悪いことではありませんが、そればかりだと疲れてしまいますし、自分の価値観を見失う可能性も。自分の軸をしっかりと持つことで本当に必要なものが明確になります」

 

2.実際に手に取って試してみる

「コスメや美容グッズを選ぶとき、私はいつも実際に手に取って試してみることをおすすめしています。現代はいつでもどこでもネットを介して商品を買うことのできる時代ですが、自分にとって本当によいものは実際に手に取ってみなければわかりません。時間や労力は確かにかかりますが、実店舗で試すのが一番。商品を手に取ったときの質感や重さ、そして使用感などの機能面も、手に触れて初めてわかることがたくさんあります。
また、店頭にはブランドのエキスパートアドバイザーがいます。アドバイザーの話を聞くことで新しい視点を持つことができ、自分の価値基準もそこで形成されていきます。
あえて五感で触れて感じ選び抜くという体験は、脳の活性化にもつながります。このように経験を積み上げることによって、自分の価値基準に沿ったものを選ぶ審美眼が磨かれていくのだと思います」

 

3.シェアして使う場合には話し合いを

「家族やパートナーと一緒に使う場合は、対話がとても大切になります。お互いのこだわりや、ここだけは譲れないというポイントもあるでしょう。そこを明確にしてから商品選びをすることで、候補も絞りやすくなりますし、悩むことも少なくなると思います。このとき注意していただきたいのが、相手の価値観を否定しないこと。そしてお互いに譲歩することが、よりよいものを選ぶうえで大切です。例えば、どちらかは機能面を、どちらかがデザイン面を決めることで、お互いの満足度も高まります。ぜひお互いの意見を尊重し、より満足感の高いアイテムを選んでもらいたいですね」

ジェンダーレスコスメ&美容家電 10選

ジェンダーにしばられず、誰もが自分のために、あるいは誰かといっしょに使える美容グッズを、コスメからドライヤーなど美容家電にいたるまで、EBATOさんがリストアップ。おすすめポイントを紹介していただきました。

 

1.マッサージ効果が期待できる目元専用の“美容液”

コスメデコルテ「リポソーム アドバンスト リペアアイセラム」
8,250円(税込)

「僕もよく使っている目元専用の美容液です。アイテム先端の球体が目元のくぼみに心地よくフィットしてくれるので、マッサージがしやすく血行を促進。浸透力も高く、たるみやこじわの改善も期待できます。目元は皮膚が薄くとてもデリケートなのに対し、デスクワークや乾燥などでダメージを受けやすい部位です。お顔を印象づける目元のケアは日頃から大切にしてもらいたいです」

 

2.敏感肌に対応した“日焼け止め”

NALC「パーフェクトウォータープルーフ日焼け止めジェル」
2,729円(税込)

「NALCは、もともとジェンダーレスを意識してきたブランドです。こちらは2歳以上のお子さまから使える日焼け止めです。敏感肌にも対応した商品で、軽い塗り心地と肌なじみのよさは格別です。今までUV対策をしてこなかった男性たちも抵抗感なく使える日焼け止めなので、10年、20年後のシミを防ぐ対策として、ケアを始めるきっかけにしてもらえたらと思います」

 

3.スティックタイプで自然な仕上がりを叶える“ファンデーション”

FIVEISM × THREE「ネイキッドコンプレクション バー」
5,720円(税込)

「FIVEISMのファンデーションは、カラーバリエーションがとても多く自分にあった色を見つけることができます。スティックタイプで塗りやすく、ファンデーションを初めて使う方にもおすすめです。カバー力が高く、ニキビ跡や毛穴、クマ、男性なら青ひげなどもナチュラルに補正。さらにきれいに仕上げたいならば、スポンジでぽんぽんと軽くたたき込んでいくと、ツヤ感がある陶器のような肌に仕上がります」

 

4.するすると描きやすい“アイブロウ”

GIVENCHY「ミスター・アイブロウ・ペンシル」
3,630円(税込)

「眉メイクに慣れていない方には、ペンシルタイプがおすすめです。なぜなら、眉一本一本を描きやすいからです。眉メイクはメイクアップのなかでもとくに難しいと工程ですが、メイクスキルを上げるためにも、眉一本ずつを丁寧に描くことが大切です。こうした描きやすいアイブロウペンシルを手に入れて、楽しみながらメイクスキルを上達させていただきたいと思います」

 

5.豊富なカラーと色名まで楽しめる“ネイルポリッシュ”

iLLO「ネイルポリッシュ」
1,650円(税込)

「Z世代の男性たちのなかにはネイルを楽しむ人も増えています。クリアやナチュラルな色味よりも、はっきりとした色だちのカラーを選ぶことが多いですね。ジェンダーレスを強みとしたこちらのブランドの魅力のひとつがカラータイトルです。『Glacier blue(氷河の青)』や『Nightporter(夜の案内人)』など、イマジネーションが広がるネーミング。これまでにない色選びをお楽しみください」

 

6.リフレッシュと美姿勢を保つ“ガン型ボディケアツール”

DOCTORAIR「エクサガン ハンディPRO」
1万7,600円(税込)

「パワフルな振動で、首・肩・背中をケアできるガン型ボディケアツールです。こちらのモデルは形を自在に変えることができるので、肩甲骨や腰など、手が届きにくい部位にもしっかりと当てることができます。デザインもシンプルですし、身体のケアは男女問わず大切になるので、選ばせていただきました。パソコンやスマホを長時間したあとの首や背中をケアすることによって美しい姿勢を保つこともできるのでおすすめです」

 

7.潤いをぎゅっと包み込んでくれる優秀“ドライヤー”

Panasonic「ヘアードライヤー ナノケア EH-NA0J」
3万8,610円(税込) ※編集部調べ

「『ドライヤーといえばこちら』というほどおすすめしたいアイテムです。使用するたびに髪のうるおいと艶やかさを実感することができます。カラーリングやパーマをするとどうしても傷みやパサつきが出てしまいますが、高浸透ナノイーが髪の内側まで水分補給し、傷みを抑えてくれます。毎日使うものだからこそ、いいものを選んでいただきたいですね」

 

8.毛穴汚れをオフしてくれる“スチーマー”

ヤーマン「ブライトクリーン」
3万9,600円(税込)

「毎日のクレンジングやメイク前はもちろん、丁寧なディープケアをしたいときにも使っていただる美顔器です。特筆すべきは、たっぷりのスチーム量。この濃密なスチームが毛穴に入り、毛穴目立ちを抑制します。デスクワークでカサつきが気になるときにサイドにおいたり、かかとケアに使ったりと、顔以外にも使えます」

 

9.好みの固さを選べる“頭皮ブラシ”

uka「scalp brush kenzan」
2,420円(税込)

「頭皮は気づかないうちにこり固まってしまう部位です。意識してケアするようにしましょう。僕のおすすめの使い方は、2つの頭皮ブラシを用意して両手に持ち、マッサージすること。頭皮のコリの解消し、リフレッシュできます。scalp brushには4種類の硬さがあり、自分の好みによって選ぶことができます。僕は2番目に硬い『kenzan』を愛用しています」

 

10.シンプルでインテリアを選ばない“アロマディフューザー”

@aroma「ピエゾディフューザー ソロ」
1万6,500円(税込)

「心地よさを与えてくれる“香り”も、美容に欠かせない要素だと思っています。こちらは、サイズ感がとてもよくてパソコンの横にも置いておくことができるコンパクトな設計のディフューザーです。シンプルなデザインが魅力で、カラーはホワイトとグレーの2色展開。お好みの香りをリラクゼーションとして楽しむのにいいと思います」

 

ジェンダーレス美容との向き合い方

最後に、ジェンダーレス美容において大切な考え方についてEBATOさんに伺いました。

「僕は『ジェンダーレス美容』という言葉の枠組みに囚われて欲しくないとも思っています。ジェンダーレスとはそもそも性別や年齢を問わずに使えるものであるはずなのに、ジェンダーレスというカテゴリを作ろうとしている風潮もあります。そこで『ジェンダーレスを謳っているものしか選ばない』となると本末転倒になるわけです。女性向けに作られたアイテムであっても、自分が満足して使えるのであれば男性が使ってもいいわけですし、その逆も然りです。周りの目を気にせずに、『自分はこれが好き』というものを自由に選んでいって欲しいですね。
ジェンダーレスだからということではなく、世の中にあるすべての商品を誰が使っていい。それが本当の意味での『ジェンダーレス美容』だと思います」

情報の多い時代だからこそ、「自分にとって何が大切なのか」ということには敏感でありたいもの。ジェンダーレス美容を通してお気に入りの美容グッズを見つけることは、あらためて自分の価値観を考えるきっかけになるかもしれません。

 

Profile

美容家 / EBATO

2019年にメンズ向け美容ブログ『Be-LOG』を開設。元美容部員の知識と経験を活かし、男性の肌ケアや頭皮ケアについて300本以上の記事を執筆。数々の検索キーワードで1位を獲得し、総読者は10万人を超える。コスメコンシェルジュ、化粧品上級スペシャリストの資格を持ち、科学的根拠に基づいた独自の美容メソッドを考案。テレビや雑誌など各種メディアにも多数出演。プロデュース、講師業など活動は多岐にわたる。

 

環境にも人・動物の健康にも配慮した「ヴィーガンネイル」とおすすめブランド

マニキュアとも呼ばれる「ネイルポリッシュ」。最近では、ビューティ業界でも「サステナビリティ」を重視しようという考え方がトレンドとなっており、このネイルポリッシュなどネイルケア製品を扱う企業やブランドでも、環境や人権に配慮した取り組みが進みつつあります。そのひとつが「ヴィーガンネイル」です。

 

環境問題やSDGsに関心を持ち続け、サステナブルな暮らしなどをテーマに活動しているエコライター・エディターの曽我美穂さんに、サステナビリティの観点からネイルを中心としたビューティ業界を取り巻く現状と、ヴィーガンネイルの特徴、いま買えるヴィーガンネイルブランドについて、教えていただきました。

 

サステナビリティに配慮した化粧品とは?

 

2015年、サステナブルな(持続可能な)社会の実現に向け、国連のサミットで、2030年までに世界各国が取り組むべき17の目標「SDGs(持続可能な開発目標)」が掲げられました。この中には、環境問題や貧困、経済など幅広いジャンルの目標が含まれており、ビューティ業界においても無視することのできない課題がたくさんあります。

 

では、化粧品ではSDGsにどのようなアプローチをしているのでしょうか? 曽我さんは、「製造段階から環境に配慮することが大切」と話します。

 

「化粧品は、製造段階から動物実験や工場から排出される有害な物質の処理などの課題を抱えています。また、深刻化している海洋プラスチック問題のことを考えると、容器に使用するプラスチックの使用削減への取り組みも重要です。」(曽我美穂さん、以下同)

 

この問題に対して、企業はどのような取り組みを行なっているのでしょうか?

 

「動物実験を行わないことを『クルエルティフリー』と呼びますが、今これを掲げている企業が増えていて、認証マークを製品に表記しています。また、プラスチック容器の不使用や、自然エネルギーの活用、量り売りなどの取り組みをしている企業もあります」

 

取り組みの実例を、曽我さんに教えていただきました。

 

【AVEDA(アヴェダ)】
・プラスチックボトルのリサイクル使用
・製造過程で動物実験を行わない
・すべての製品をヴィーガン素材のみで製造

 

【NEAL’S YARD REMEDIES(ニールズヤードレメディーズ)】
・絶滅の危機に瀕している、ボスウェリアサクラ種のフランキンセンス精油について、種の存続を図るべく、植樹から栽培、精油抽出に至るまでの全工程を管理する独自の取り組み「プロジェクトフランキンセンス」を実施
・店舗の運営において自然エネルギーを活用
・表参道の店舗は100%自然エネルギーのみで運営

 

【LUSH(ラッシュ)】
・空容器回収率100%を目指したプログラム「BRING IT BACK」を実施

 

LUSHのプログラムでは、空の容器を店舗に持っていくと、対象容器1つにつき30円を買い物に使う事ができ、5つでフレッシュフェイスマスクと交換できるそう。もちろん、「返却」した容器は新たなLUSHの製品に生まれ変わるというわけです。

 

一方、消費者の環境意識も少しずつ高まってきているようです。2022年8月10日~15日に、化粧品や美容フードなどを中心とした美容コンサルティングを提供する株式会社EcoVia Intelが実施した「サステナブル化粧品に関する実態調査」では、「サステナビリティという言葉をよく聞く」と回答した消費者が22%と昨年度の18%より4ポイントアップ。また「環境配慮に対する具体的な策については「なかなか実行できていない」と回答した人が昨年度は全体の74%だったのに対して、今年は55%と低下し、意識の変化を着実に感じられる結果となっています。

 

自分の体も守るために。知っておきたいネイル成分の有害物質

このように企業も消費者もサステナブルな化粧品への意識を高めているなか、消費者として私たちが知っておくべきこととは何でしょうか? 曽我さんは、「ネイルの有害物質」をそのひとつに挙げます。ネイルの成分に有害物質が含まれているということは、近年ニュースでも取り上げられたことがあるので知っている人も多いでしょう。では、具体的にどのような物質が「有害」なのでしょうか?

 

曽我さんによると、「とくにリスクが高いのは、トルエン、フタル酸ジプチル、ホルムアルデヒド」だそう。購入前にネイルの成分表を見て、確認してみましょう。

 

【ホルムアルデヒド】
・発がんリスクがもっとも高い化学物質として、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)により、「グループ1(人に対する発がん性が認められる)」に指定されている。
・日本では「化粧品」への配合が禁止されている。

 

【トルエン】
・ラッカーなどの塗料を薄める有機溶剤である「シンナー(うすめ液)」として使用される。
・過剰に摂取すると、腎臓や肝臓に損傷を与えるリスクがある。
・生殖能又は胎児への悪影響のおそれがある。

 

【フタル酸ジプチル】
・アレルギー性皮膚反応を起こすおそれや呼吸器への刺激のおそれがある。
・生殖能や胎児への悪影響の危険性も指摘されている。
・欧州を中心に規制が高まっている。

 

自然由来の爪にも環境にも配慮した、「ヴィーガンネイル」とは?

こうした懸念を払拭し人体にも環境にも配慮する取り組みのひとつに「ヴィーガンネイル」があります。 ヴィーガンネイルとは、上記の有害物質のほか、動物由来の成分を使用せず、動物実験を行っていないクルエルティフリーのネイルのこと。その中身も容器も、できるかぎり製造、廃棄の際に自然に戻っていく素材を使う事を目指しています。

 

「ヴィーガンネイルはSGDsの17目標のうち3つの目標にかかわりがあると思っています」と曽我さんは言います。その目標とは以下の3つ。

 

【ヴィーガンネイルとかかわりの深いSDGs目標】

目標12 つくる責任つかう責任
目標14 海のゆたかさを守ろう
目標15 陸のゆたかさも守ろう

↑SDGsの17目標 外務省「持続可能な開発目標(SGDs)と日本の取り組み」より

 

「とくに、目標12は大切なことだと思います。製造過程においてできるかぎり自然由来の成分を使うこと、そして動物実験を行わないことを目指しているヴィーガンネイルは、まさに目標12で掲げる『つくる責任』を大切にしているといえるでしょう。
『つかう責任』は、私たち消費者が意識すべき点です。次々にネイルを買って結局最後まで使い切れなかった、なんてこともあるかもしれませんが、廃棄の際に環境への負担を少なくするためには、そうしたことは避けた方がいいですね。瓶も各自治体の分別方法を守って、しかるべきかたちでリサイクルされるように廃棄することが大切です」

 

ヴィーガンネイルを選び、さらに責任を持って使い、廃棄することが求められています。

 

日本で手に入る注目のヴィーガンネイル3選

オシャレを楽しみながらサステナブル社会の実現へアプローチするヴィーガンネイル。曽我さんが今注目しているヴィーガンネイルブランドのなかから、比較的日本でも手に入りやすいブランドをピックアップしていただきました。

 

・10フリーのヴィーガンネイルで豊富なカラバリが楽しめる「ZAO」

「じゃがいもやとうもろこしなど野菜由来の成分を74%~84%使用したZAOのヴィーガンネイルは、体に悪影響を与える可能性のある10の成分(パラベン、フタル酸ジブチル、トルエン、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド樹脂、キシレン、ロジン、カンファー、スチレン、ベンゾフェノン)を含まないことを明記しています。豊富なカラーバリエーションも魅力のひとつで、絶妙な色合いのネイルを楽しめます」

 

・フランス発の美しい輝きと仕上がり「Nailmatic」

「地産地消のために工場近くのビジネスパートナーとともに生産を進めていること、動物実験をおこなっていないこと、そして安心・安全な素材を使っていることなどを公約としているブランドです。ネイルは、植物由来の成分を最大84%まで配合していて、環境負荷が低い処方でありながら、伸びの良いテクスチャーや発色の良さなど従来のネイルの特性にもこだわっています」

 

・圧巻!400色以上のラインナップ展開が魅力の「ZOYA」

「米国発のネイルブランドで、1992年の発売以来トルエン、ホルマリン、フタル酸ジブチルなど人体に害があるとされている成分を極力使わないヴィーガンネイルを作っています。何と400色以上ものラインナップが展開されているので、眺めているだけでも楽しくなりますね。日本では東急ハンズやロフトなどで購入できます」

 

もうひとつ、「ヴィーガン素材ではないかもしれませんが……」と紹介していただいたのは、ホタテの貝殻を再利用したという「サステナブルネイル」です。

 

・ホタテの貝殻からできた水性ネイル「CYAN」

「青森県にある山神という会社が展開している、ホタテの貝殻を使用して作られた、自然素材成分を含むネイルを展開しているブランドです。青森県陸奥湾で養殖されているホタテから排出される、約5万トンもの貝殻を再利用するという試みからスタートしたそうです。環境に配慮した7フリー(トルエン、フタル酸ジブチル、カンファー、キシレン、ホルムアルデヒド、スチレン、パラベン)を掲げています。また、爪が弱くて従来のマニキュアやジェルネイルを付けることが難しい人でも使えることを目指して、作られているそうです」

 

身近なちょっとしたことから意識して、アクションを起こしてみる。そのきっかけは、 “我慢” ではなく積極的に取り組める気持ちをもてることがおすすめです。第一歩として、ヴィーガンネイルを使って、おしゃれをしながら地球環境を意識してみてはいかがでしょうか。

 

【プロフィール】

エコライター・エディター / 曽我美穂

子どもの頃から環境問題に関心を持ち続け、英語学校の広報を勤めながらライター活動を開始。2008年にエコライター・エディターとして独立し、現在は雑誌やウェブサイトの編集、撮影、執筆や、企業のCSR支援をおこなっている。主なテーマはサステナブルな暮らしやSDGs、環境問題。

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

2022-2023秋冬「リップメイク」とマスクで落ちにくいコツをプロが解説

マスク姿が当たり前になった2020年以降、アイメイクが重視され、リップメイクはオフが常識となりました。でもやっぱり、リップメイクも楽しみたい———反動と、マスクプルーフのリップやリップが付着しにくい立体型マスクが登場したこともあり、いまマスクの下でリップを楽しむ人が増えています。

 

そして「屋外では条件次第でマスクを外しても良い」という政府の発表を受け、いよいよ“フルメイク回帰”が起きている模様。そこで、リップメイクの押さえるべきコツと今シーズンのトレンドについて、資生堂ヘアメイクアップアーティストの西森由貴さんに聞きました。

 

コロナ禍以降、メイクトレンドはどう移り変わった?

ヘア&メイクのトレンド情報分析を得意とする西森さんは、定期的に10代後半~70代までのメイクを楽しむ女性へのヒアリング調査や雑誌、コレクションから、時代が求めているニーズをキャッチしているといいます。マスク生活になって以降、メイクトレンドはどのように移り変わったのでしょうか?

 

・2021年春夏シーズン

「甘さのあるかわいらしいメイクが流行りました。ピンク系のやわらかい色味のアイメイクを、ふわっとぼかす感じです。マスク生活になったこともあり、目元を強調したくなる心理から、アイラインもマスカラも力を入れすぎてしまう傾向だったので、いかに引き算して抜け感を出すかがポイントでした」(資生堂ヘアメイクアップアーティスト・西森由貴さん、以下同)

 

・2021/2022年秋冬シーズン

「目元にラメを足すことで、かわいらしさから華やかさへと移行していきます。2021年はコロナ禍のマスク生活がすっかり定着したことで、リップの売れ行きが低迷した一方、雑誌では、気持ちを高揚させるアイテムとしてリップメイクの特集が増えました」

 

・2022年春夏シーズン

「甘さや抜け感、軽やかさというよりも、キリッとした女性像へとシフトしました。目元のアイラインにポイントを置いて、メイクでかっこいい印象に仕上げる傾向に」

 

2022/2023年秋冬シーズンのコンセプトは“同性があこがれる、かっこいい女性”

「今シーズンは、マスクの有無に関わらず、リップもチークも含めたフルメイクをプランニングすることに回帰していきそうです。カラーアイテムは、ほんのり足して肌なじみのよい雰囲気を演出。血色を出しながら、女性があこがれるかっこいい女性『ガールクラッシュ』へのニーズが求められています。媚びない力強さや、同性が見惚れる魅力がキーワードです」

 

ポイントを強調するのは、もう古い!?コロナ前と今シーズンのリップメイクはどう変わる?

フルメイクが当たり前だった2020年以前と、フルメイク回帰の2022年は、そのこだわり方に大きな違いがあるそう。

 

「2020年以前は、赤リップで口元を強調して目元はシンプルにする、逆に、目元を強調して口元はヌーディにするというような、ワンポイントを強調しつつ、全体でバランスを調整する傾向が好まれていました。

それが今シーズンは、すべてのパーツで“肌なじみ感”を大切にするのが特徴です。リップで言えば、輪郭をしっかりと描いて境目を作るのではなく、ナチュラルな色味が自然になじんでいるように仕上げていきます。全体の色味も肌との相性を見ていき、その人が持つ顔の雰囲気やパーツの魅力を引き出すように仕上げていくイメージです。

以前はまつ毛のボリュームアップとカールの強調がブームでしたが、今期は韓国メイクの影響もあり単純に濃さで際立たせるのではなく、自然なカールや長さなど、本来のまつ毛を生かして仕上げるのがトレンドです」

 

カラーや質感はなにが正解?最新のリップトレンド

なじみ感や血色感が最新トレンドというメイク。では、リップはどんな色味を選べばいいのでしょうか?

 

「数年前から、パーソナルカラー診断で自分の肌の色の傾向やどんな色が似合うのかを知ることができるようになりました。それにより、自分がイエベ(イエローベース)なのか、ブルベ(ブルーベース)なのか判断した上で、肌や唇の色味が映えるカラーのリップを選ぶ傾向が好まれるように。

今期は青みピンク系のリップが人気で、自分の肌の色の特徴を知りつつ、好きなカラーのリップ選ぶのがトレンドです。ちなみに青みピンク系とは、ローズやチェリーピンク、マゼンダなど、ほんのりと青みを感じる色合いのことで、顔の透明感のアップにも役立ってくれます」

 

・見た目以上に肌なじみがいい、淡いローズピンクリップ

SHISEIDO メーキャップ カラージェル リップバーム 104」3850円(税込)

「一見、ピンク味が強そうに感じますが、つけてみると肌なじみのよいタイプ。唇の色味が強い方は、ファンデーションで軽く元の唇の色味を抑えた上から塗ると、よりナチュラルな印象に」

 

温かみと艶をプラス血色感を引き出すティントリップ

マキアージュ ドラマティックリップティント BE203」2530円(税込)

「血色感のあるベージュで唇の色味を引き立てます。艶が出るティントタイプで乾燥せずに色持ちが良いのも魅力です」

 

大人女性のこなれ感に。秋冬カラーの赤みブラウン系リップ

クレ・ド・ポーボーテ ルージュアレーブル 22」6600円(税込)

「唇の色になじみつつも、しっかりと発色する赤みのあるブラウン系のリップ。大人の女性の血色アップにおすすめです。グロスタイプのリップを重ねて艶感をアップすれば、今季らしさがアップします」

 

洗練されたうるおいを満たすリップグロス

クレ・ド・ポーボーテ ブリアンアレーブルエクラ 2」4400円(税込)

「肌なじみの良いカラー。艶感が出て華やかな印象に。上の『クレ・ド・ポーボーテ ルージュレーブル 22』を軽くテイッシュオフしてから、重ね付けすると大人の洗練された唇が演出できます」

リップメイクからすっかり遠ざかっていた人も多いはず。リップメイクの手順やマスクに付着させないコツなど、プロのノウハウを教えていただきましょう。

プロが直伝! こなれ感が出せるリップメイクの手順

リップメイクからすっかり遠ざかっていた人も多いはず。さらに、こなれ感やなじみ感が求められる今期だからこそ、過去の塗り方では古臭さが出てしまう可能性もあります。プロのノウハウを参考に、流行りのリップメイクを極めていきましょう。

 

1.美容成分配合のリップを全体に塗る

「リップメイクをする際には、まず無色のリップクリームで唇に潤いを与えておきます。美容成分配合のものがおすすめです。ドラックストアで買えるような薬用リップでも大丈夫です」

 

2.使用する口紅を太めのブラシか指先に取る

「さきほどご説明したように、なじみ感がポイント。リップブラシを使う際には、こちらのような先端が太めで丸いタイプを使うことをおすすめします」

 

3.下唇の中央に色を置き、輪郭に向けて左右に伸ばしていく

「口紅を取ったブラシまたは指先を下唇の中央に置き、そこから左右に伸ばしてなじませていきましょう」

 

4.上唇の中央に置き、同じく輪郭に向けて左右へ

「再び、口紅をリップブラシか指先に取り、下唇と同様に、中央から輪郭への流れで左右に伸ばしていきます」

 

5.全体のバランスを見て、完成

「塗り残しやムラがないか、全体のバランスを確認すれば完成です。唇の色味が強くて、口紅の色味がうまく発色しない場合は、リップを塗る前に、ファンデーションで唇の色味を抑えてから3の工程に進みましょう」

 

マスクへの付着や落ちを抑えるリップメイクのコツ

マスクを付けた際にリップの色落ちを抑えるコツも、マスターしましょう。

 

「最近はマスクプルーフ対応の落ちにくいリップが出ているので、そちらを活用するのがおすすめです。普段のリップメイクで対策をする場合は、ティッシュオフをした後、唇中央のみに重ね塗りをしておくのがいいでしょう」

 

1.リップメイク完了後に唇の上からティッシュオフをする

「唇の上に半分に折ったティッシュペーパーを置き、親指で唇全体を軽くなぞるようにして表面の口紅を押さえます」

 

2.マスクに付きづらい唇中央に口紅を重ねる

「マスクに擦れづらい唇中央に色を足すイメージで口紅を重ね塗りします。この重ね塗りをすることで、色もちがよくなり、マスクにも口紅が付着しづらくなります」

 

今シーズンのメイクのテーマは、各パーツを丁寧に仕上げること。なじみ感と艶感を意識し、内側からの魅力を引き立てるようなカラーを選ぶのがポイントのようです。リップのトレンドカラーは青みピンク系ですが、自分好みの色で肌になじむように塗っていくのがコツだそう。

 

マスクをつけていても外していても、すべてのパーツのフルメイクで、大人っぽいクールな女性モードを楽しみましょう。

 

プロフィール

資生堂ヘアメイクアップアーティスト / 西森由貴

ニューヨーク、パリ、東京のファッションウィークでヘアメイクとして活動。2014年入社、資生堂ヘアメイクアップアーティスト。5年のサロン経験を経て、資生堂によるヘアメイクアップアーティスト育成所「SABFA」卒業。資生堂ではトレンド情報分析を担当し、定期的にメイク好きな女性たちへの聞き取り調査を行っている。そこで培った知識をヘアメイクに落とし込んで表現するのが得意。趣味はライブやフェスに行くこと。
資生堂ヘアメイクアップアーティスト HP