次世代観光ビジネスの最重要ワード! 「観光デスティネーション」とは【IC Net Report】ドミニカ共和国・青木孝

開発途上国にはビジネスチャンスがたくさんある…とは言え、途上国について知られていないことはたくさんあります。そんな途上国にまつわる疑問に、海外事業開発コンサルティングを行っている、アイ・シー・ネット株式会社所属のプロたちが答える「IC Net Report」。今回ご登場いただくのは、ドミニカ共和国をはじめ中南米での観光ビジネスに造詣が深い青木 孝さんです。

 

中南米でも、コロナ禍で観光に関わる状況が一変。多くの観光地が危機的な状況に直面し、従来の「消費型観光」から「持続可能な体験型観光」への変革が迫られています。例えばドミニカ共和国の場合、いまだ多くは従来型のリゾート観光が目的ですが、一方でアドベンチャーツーリズムやエコツーリズムなど、地域の環境・経済・文化にも配慮した観光への意識が広がりつつあり、「脱」消費型観光への動きが高まっていると言います。いわば新たな「観光デスティネーション(観光地)」づくりともいえるこの動き。そこで青木さんに、こうした地域全体を巻き込んだ持続可能な観光開発について伺いました。

●青木 孝/シニア向け旅行会社でのツアー企画や、青年海外協力隊でカリブの国・セントルシアのエコツーリズム開発支援、ドミニカ共和国のJICA事務所で観光分野の企画調査員などを務めた後、アイ・シー・ネットに入社。シニアコンサルタントとして、15年以上南米カリブ地域でJICAの地域観光開発のプロジェクトに従事。現在はアルゼンチンで日本の一村一品運動を模範にした地域開発プロジェクトを総括している。

 

観光デスティネーションの創造には「官民学」の連携が重要

そもそも外国資本によるリゾート観光開発や利便性が主役だった従来型の観光モデルは、アクセスの良さなど利便性、快適性に主眼を置き、リゾート地でほぼ完結するものでした。

 

「それだと周辺地域に観光客が訪れず、置き去りにされてしまいます。リゾート施設による、オールインクルーシブと呼ばれる囲い込み型スタイルや、ビーチの独占なども課題となっていて、これらがリゾート地と周辺地域を隔離する現状に拍車をかける要因になっています。そこで今、急務となっているのが、より持続可能な観光への転換。つまり、地域とより関わりのある観光、より地域へポジティブな影響を与える観光、そして地域にある魅力的な土地・文化・人を巻き込んだ観光が求められているのです」(青木さん)

 

こうした課題の解決のため、現在進んでいるのが、民間だけでなく官民学が協力して観光開発を主導し、地域資源を活用した、地域主体の観光デスティネーションを創造していこうとする動き。

 

「地域と観光客の関係性を継続して作るマーケティングを徹底して行った上で、地域内のリソースを有機的につなげ、アクター間の関係性を緊密にすることで競争力を高めていこうというものです。それには、地域のコミュニティレベルでの観光ビジネスも不可欠となります。

 

私が取り組んだ事例で挙げると、女性グループによる、地元で採れるカカオを使った手作りチョコレート体験などの農園観光や、地元の若者が楽しんでいた川下りをカヤックツアーとして商品化した取り組みなどです。集客面においても、これまで仲介業者に頼っていたのを直接マーケットに発信できるSNSを活用することで、大きく躍進しています。

 

本来、観光はすそ野の広い産業です。観光施設やホテル・飲食業から、お土産、地元産品、さらに交通機関など、観光客はさまざまな消費を観光地で行い、その結果、地域経済が潤うというビジネスモデル。とりわけ途上国では、観光に大きく依存していく傾向があります。だからこそ、観光と地域・地域産品・地元の人がうまく結びついて、より深みのある観光デスティネーションにしていく努力が重要だと思います」(青木さん)

 

テクノロジーを活用した「観光デスティネーション」の再構築が急務

一方、日本国内に目を向けると、コロナ禍への対応と短期的なリカバリーに向けた支援が優先されている感があります。今こそ、より長期的な視点に立ち、今後、観光とどのように付き合っていくか、観光デスティネーションを明確にし、進むべき方向を整理しておく必要があると青木さん。

 

「ドミニカ共和国では、改めて観光産業の重要性の認識が広がり、国家経済のけん引役としての役割を以前にも増して担っています。それには地域社会の巻き込みも欠かせないということで、地域社会の側からも観光開発に積極的に関わっていこう、モノ申していこうという流れが出てきました。また、地域の多様な関係者がこれまでの関係を超えてつながり、従来とは異なるレベルでマーケットとも直接結びつくなど、さらに広域での取り組みも生まれています。

 

SNSをはじめ、新たなテクノロジーの活用はこうした地域・レベルを超えた関係性の構築に親和性が高いので、単に観光客と観光地だけでなく、住む場所と行く場所の双方で多様な関係が生まれる可能性があります。これまで障害となっていた言葉の壁や時間の壁、距離の壁など様々な障壁もテクノロジーによって乗り越えられるようになってきました」(青木さん)

 

最近は日本でも観光を含めた「関係人口」の増加に力を入れ、地域振興とも関連させることで、リピーターの獲得だけでなく、訪問後もその地の産品を消費したり、将来的には移住をも視野に入れた取り組みを進めている地域もあります。

 

「観光の本質である“人とのつながり”と“新たなテクノロジーによる持続的なつながり”こそが新たな観光デスティネーションの創造に重要」との青木さんの言葉からも窺えるように、多様な“繋がり”の構築こそが、持続的な観光をつくる上で不可欠なのかもしれません。

 

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『NEXT BUSINESS INSIGHTS』を運営するアイ・シー・ネット株式会社(学研グループ)は、150カ国以上で活動し開発途上国や新興国での支援に様々なアプローチで取り組んでいます。事業支援も、その取り組みの一環です。国際事業を検討されている皆様向けに各国のデータや、ビジネスにおける機会・要因、ニーズレポートなど豊富な資料もご用意しています。

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早い成長、低いコスト、高いCO2吸収量。「竹」の可能性に世界が注目

2021年に起きたウッドショック。コロナ禍で伐採労働者が減少した影響もあり、住宅建設に必要な木材が不足し、木材の価格が高騰しました。このような現象が起きた後で、建築材料として俄然注目を集めているのが竹です。現在、世界中で約44億人が都市部に住んでおり、その数は2050年に2倍になると見られていますが、それに伴い増えることが予想される住宅需要を満たすためには、竹の活用が不可欠と言われています。日本人が昔から馴染んできた竹には、一体どのような可能性が秘められているのでしょうか?

世界を救う可能性を持つ竹

 

まず、竹の特徴として成長がとても早いことが挙げられます。一般的な木材の場合、苗木を植えてから木材として使用できるまでに40~50年かかるのに対して、竹は多くの品種で根本を切っても再び芽が伸び、わずか3年で収穫できるほど早く成長するのです。

 

また、竹は成長するときに大気中の二酸化炭素を吸収することも特徴。1ヘクタールの竹林は1年間で約17トンの炭素を吸収するうえ、竹は建物や家具などになった後でも大気中の炭素を吸収して蓄えることが可能。そのため、竹は深刻化する地球温暖化の対策にもなり得るのです。

 

さらに、竹は耐久性があって安価、しかも軽量なので運搬しやすいと言われているほか、水分を多く含んでいるため耐火性があり、加工すれば400℃の高温にも耐えられるようになるそうです。このような理由で、竹はとても魅力的な建築資材であり、気候変動に対応した住宅の建築に役立つ可能性を秘めているのです。

 

世界経済フォーラムや世界資源研究所などの共同イニシアチブによる「気候スマート・フォレスト・エコノミー・プログラム(CSFEP)」は、持続可能な建築資材として竹を活用した住宅建築の取り組みを進めています。その一例が、グアテマラの竹製住宅。2022年10月に熱帯低気圧ジュリアに襲われた際、この住宅は強い風に耐え、しかも高床式の住居だったため浸水も防ぎ、被害を受けずに済んだ建物が多かったのです。

 

他国もこのような竹のポテンシャルに注目し、竹の産業化を推進しています。中国は2012年に竹産業を国家的な優先課題と決定した一方、ケニアは竹の商業化を促進するべく、2020年には竹を植物ではなく「作物」に分類しています。また、エチオピアでは、2030年までにアフリカで主要な竹生産国になることを目指し、竹の植林を進めていると同時に、人工竹材に関する実験も行っている模様。さらに、インドの建築業界でも竹を活用することで建築資材を多角化する動きが見られるなど、竹を利用した試みは世界各国に広がっているのです。

 

日本も負けられない

日本人にとって竹は昔から身近にある植物で、縄文時代から建築素材として使われてきたとされています。しかし、家具やインテリアなどには竹が使われているものの、より安価な資材が生まれたことなどから、日本では竹の消費量自体が減り、管理されないまま放置された竹林が増えているのが現状。

 

それでも、国産の竹100%を原料とした「竹紙」を製造したり、竹から「セルロースナノファイバー」と呼ばれる極小繊維を作る技術を開発したり、日本でも竹を資源として活用する研究が進められています。これらは建築資材ではありませんが、他国と同様に日本でも竹を再評価する機運が高まっているのかもしれません。世界各国がサステナブルな竹を巡り競い合っている中、日本の奮起が期待されます。

 

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【4大リスク】紛争、債務危機、温室効果ガス、SDGs…2023年の途上国が危ない!

新型コロナウイルスのパンデミックから回復基調にあるなか、インフレやエネルギー危機に見舞われている世界の国々。2023年は世界全体で経済成長があまり見込めない年になると予測されています。そんな中、財政面での余力がない途上国は、さらなる逆風を受けることになりかねません。非営利団体である「センター・オブ・サステナブル・ディベロップメント」のアナリストが指摘する、2023年に注目するべき途上国の4つのリスクとはどのようなものなのでしょうか。

 

[1]SDGs:折り返し地点で目標から後退している途上国も

2030年までに達成すべき目標が示されたSDGs。2015年の国連サミットで採択されてから、2023年はちょうど折り返し地点にあたり、9月には各国の首脳が集まり進捗について確認するSDGsサミットが開催されます。しかし17の持続可能な目標のうち、ゴールに向けて進むどころか、後退しているものもあると指摘されています。例えば、極度の貧困状態にある人々は世界で約6億人。食料、教育、医療などを十分に得られない環境下にいる人々は数百万人にものぼります。そのようなリスクを抱えている国には、タンザニア、ウガンダ、マダガスカル、ナイジェリア、バングラデシュなどが挙げられます。途上国がSDGsの目標を達成するためには、「誰一人取り残さない」というSDGsの原則にもとづき、世界各国が資金面での支援をさらに強化する必要性があると言えるでしょう。

 

[2]気候:資金不足により、温室効果ガス削減に黄色信号

中国を除く途上国が排出する温室効果ガスは、世界全体の38%を占めており、2030年には約半分を占めるまでになると予測されています。多くの途上国で、先端技術を活かして地球環境問題の解決を目指す「グリーン・トランスフォーメーション」が進められていますが、資金面の不足などでその動きは鈍りが見られているのです。例えば、途上国(中国を除く)は日照時間が長く恵まれた気候条件の国が多いのに、資金調達に苦労していることから、太陽光発電設備の容量は世界の20%以下。もし十分な資金を確保できてグリーン・トランスフォーメーションを推進できれば、温室効果ガスの排出量をより抑えられるでしょう。このような気候問題に関するリスクがある主要な国として、ブラジル、メキシコ、南アフリカなどの名前が挙げられます。

 

[3]債務:利上げと世界経済の鈍化による債務危機の可能性

途上国が2023年に中長期で負う対外債務は、推定3810億ドルにものぼると見られています。実際、世界銀行は2022年12月、途上国では輸出入収入の10分の1以上を公的機関などの長期対外債務の返済に充てており、2000年以降で最高水準であると指摘。しかも利上げが進み、グローバル経済が鈍化することで、さらに多くの国が債務危機に見舞われるリスクがあると言われているのです。そのようなリスクを抱えている途上国は、アルゼンチン、アンゴラ、スリランカ、エクアドルなど。債務の透明性を高め、債務情報の提供を通じて、途上国の債務リスク管理能力を上げていくことも必要と言われています。

 

[4]紛争・暴力:必要数の半分しか追いついていない人道的支援

2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻のように、世界では武力紛争が起きている地域がまだ少なくありません。また、不安定な政治情勢によって、暴力や貧困に苦しんでいる人々もいます。国際救済委員会(IRC)が発表した「緊急ウォッチリスト2023」で、注視するべき国として挙げられたのは、ソマリア、アフガニスタン、イエメン、シリア、南スーダンなど。いずれも紛争、暴力、災害などに見舞われている国々で、国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、そのうち人道的な問題のおよそ半分しか支援が追い付いていないそうです。世界がそのような人道支援に手を差し伸べ、支援を行きわたらせることが求められています。

 

これらのリスクを抱える途上国として挙げられた30か国は、必要とする資金が、合計で9030億ドルも不足していると指摘されています。その差分は他国から調達する必要があることは間違いありません。世界全体で経済成長が鈍化するとみられる2023年。先進国からの資金面での援助が減少する可能性が高く、途上国はさらなるリスクを抱えることになそうです。

 

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日本車が競争力で劣る、ラオスで中国車・韓国車が人気である裏事情

ラオス人が所有する乗り物は、他の東南アジア諸国と同様に小型バイクが主流。便利な足として「トゥクトゥク」が大活躍しています。ラオスは国土の多くが山岳で占められ、“東南アジア最後の秘境”とも呼ばれますが、近年では高速道路などの交通インフラが整い始め、都市部では舗装道路や信号も十分に整備されるようになりました。しかし、ラオスには独特なクルマの文化があり、図らずもサステナビリティーを体現していたのです。

ラオスの首都・ビエンチャンの風景

 

国民の自動車所有率は低い

ラオスの自動車所有率はとても低く、まだ国民の1~2割程度。そこには、いくつかの原因があります。

 

まず、国民の収入に見合った価格で製造・販売されている自動車がありません。ラオスは自国で自動車を生産していないため、人々は外国から輸入した外車を購入するしかありません。国内で販売する際には当然ながら関税がかかってくるので、どうしても高価になっています。

 

しかも、ラオスでは2012年からトラック、バス、建設機械以外の中古車は輸入禁止になっています。輸入車は全て新車になるためかなり高価であり、一般庶民にとってはとてもハードルが高いのです。

 

すでに国内で流通している中古車の販売は認められていますが、台数も少なく本格的な中古車販売店もないため、販売方法は主にインターネットによる個人売買。通りでは「For Sale」のボードを貼ったクルマを見かけますが、個人売買ということに変わりありません。

 

ミニマムな修理

ラオスの自動車修理工場

 

これらの理由から国内流通の自動車台数は増えず、結果的に一台の車を大切に乗り続けるというスタイルになるのです。

 

ただし、一台の自動車を使用し続けるにはこまめな修理が不可欠です。ラオスの自動車修理事情は、どのようになっているのでしょうか?

 

例えば、パワーウィンドウスイッチの故障が起きたとしましょう。一般的には、日本のディーラーであれば、スイッチパネルごと新品に交換すると思います。顧客を待たせることなく確実に修理が完了できる方法ですが、どうしても修理費用が高くついてしまいます。

 

一方、ラオスではスイッチを分解しピンポイントで故障個所を特定。そして、問題となっている電気的接点を磨くなどの手直しを施すのです。こういった修理方法を行うことで修理代が格段に安く済み、新しい部品を使わずに済みます。

 

ちなみに、パワーウィンドウスイッチの分解修理代は、20万キープ(約1570円※)程度で、もし部品交換が必要になったとしても最低限の交換で完了します。デメリットとしては、故障が再発する可能性があることや、修理の待ち時間が長いことです。

※1キープ=約0.0079円で換算(2022年12月15日現在)

 

日本の顧客サービスではなかなか見られない修理方法かもしれませんが、そこは価値観の違いということもあるのでしょう。

 

故障しにくい日本車のデメリット

エンジンも分解して修理する

 

実は、中古車として購入しても修理費用が高価になるとラオスでいわれているのが日本車なのです。

 

ラオスで利用されている自動車は韓国車、中国車、日本車が中心ですが、その中でも存在感が大きいのは韓国車と中国車。日本車の利用が韓国車や中国車に及ばないのは、現地で日本車を修理する人たちのスキルが低いということや、日本製のリペアパーツが高価であることなどが理由とされています。

 

クルマの購入を自動車修理工場に相談すると、「日本車は故障しにくいが、壊れた場合はお金がかかる」「韓国車は故障しやすいが、修理代は安く済む」といわれます。日本車に関しては、メーカーなどが修理スキルの向上やパーツ価格の見直しなどビジネス面の問題点を改善することにより、存在感をさらに高めていく可能性が生まれると思います。

 

ひと昔前までは日本でもラオススタイルの修理が行われていましたが、最近は大きい単位の部品を丸ごと交換する手法が主流となっています。一方で、必要に迫られてのこととはいえ、一台の車を修理しながら長く使うというラオスのスタイルは、大量消費は減らせるのだということを再確認させてくれます。

 

古い部品を無駄に交換することなく、磨いたり手直ししたりして、自動車を大切に使い切るという精神は、サステナビリティーにも通じるところがありますが、日本人も学ぶべきであるように思います。

 

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セネガルで取り組む「日本式水産資源管理メソッド」の可能性

首都ダカールの北部、カヤールの水揚げ場の風景

 

1年を通して北から南へ流れるカナリア海流(寒流)の影響により湧昇流が発達することから、世界有数の漁場となるアフリカ西岸に位置するセネガル。かつてはイワシやマハタ、タコなど豊富な漁獲量を誇っていましたが1990年代以降、乱獲などの影響で水産資源が次第に減少しつつあるといいます。こうした背景で始まったのが、持続的な水産資源の維持管理を目的とするJICAの「広域水産資源共同管理能力強化プロジェクト(COPAO)」です。

 

セネガルという国名には馴染みがなくても、かつてパリ-ダカール・ラリーのゴールであったダカールが首都というと、だいたいアフリカのどの辺りに位置するか、イメージできる人もいるかもしれません。ダカールは水産業をはじめ、大西洋貿易の拠点として栄えています。

 

「水産物流通の拠点となるダカール中央卸売魚市場は、日本の支援で1989年に建設されました」と語るのは、アイ・シー・ネットのシニアコンサルタントとしてセネガルで漁村振興のための社会調査や資源調査を手掛け、これまでJICAの多くのプロジェクトに関わってきた北窓時男さんです。

現地の人々と。写真右中央が北窓さん

 

北窓時男さん●2001年アイ・シー・ネット入社。専門は海洋社会学、海民研究、零細漁村振興。1996年からセネガルの沿岸地域を幾度となく訪れ、現地の漁村社会・水産資源に係る調査やプロジェクト管理などを行う。

 

「セネガル沿岸部の漁業は、漁家単位でのいわゆる零細漁業が中心です。ピログと呼ばれる小型の木造船が用いられ、日本はピログ用の船外機を供与するなど、1970年代から水産分野の支援が行われています」

沿岸部での漁業に使用される小型船「ピログ」

 

ほかにも訓練船や漁法近代化のための漁具なども供与。1980年代には沿岸部の零細漁業振興のため、ファティック州のミシラに漁業センターを建設し、漁具漁法や水産物加工、養殖、医療など、さまざまな専門家や協力隊員が沿岸部の零細漁村開発と生活改善のために派遣されました。

 

「現地ではアジ、サバ、イワシ類など小型の浮魚のほか、タイやシタビラメなど単価の高い底魚も獲れます。カナリア海流という寒流が流れているので脂がのっているものが多いんです。獲れた魚は、仲買人が買い取って保冷車で運び、冷却したまま出荷できるコールドチェーンが確立されており、ヨーロッパ向けにも輸出されています」

 

コールドチェーン開発の端緒を開いたのも日本の支援でした。1978年に北部内陸地域に小型製氷機と冷蔵設備を供与。ダカール中央卸売魚市場もこの流れで建設されました。

 

その一方、1970年代以降、内陸部では降雨量の減少による干ばつが頻発し、農業生産が大きく減退。砂漠化のため、農地を放棄した多くの人々が都市部や海岸部へ流入。船を持つ漁民と一緒に漁に出れば、その日のうちに歩合給による現金収入が得られる漁業は、農業を放棄した人たちがその日の生活費を得るためのセーフティネットとして機能しました。

 

「1980年代ころまで、日本の支援は漁獲生産力向上の支援が中心でしたが、零細漁業従事者が急増するなどさまざまな要因から、水産資源の減少が危惧されるように。次第に水産資源管理に目が向けられるようになりました。1980年代に15万トンだった小規模漁業セクターの漁獲量は、2000年代には30万トンへ倍増。日本からは漁業海洋調査船が供与され、2003~06年には漁業資源の評価や管理計画調査も行っています」

 

もちろん、漁業資源の減少と、コールドチェーンが繋がったことで海外向けの輸出が増えたことは無縁ではありません。逆に言えば、水産資源の持続可能性を確保することで、今はまだ限られている日本向けの輸出を拡大するなどビジネスチャンスも生まれるでしょう。

 

日本独自の「ボトムアップ型資源管理」を活用

セネガルでの漁業資源の管理には、日本型の「ボトムアップ型資源管理」が向いていると北窓さんは話します。日本の沿岸漁業もセネガルと同様に、小規模の零細漁業が中心。地域の漁業協同組合単位で対象となる資源を管理し、乱獲を防いで持続的に利用する方式が採用されてきました。これは日本が海に囲まれ、政府が一元的に管理することが難しいという歴史的な背景のなかで生まれてきたものです。

 

一方で、ヨーロッパなどでは企業規模での漁業活動が多く、政府が総漁獲量(TAC:Total Allowable Catch)を定め、その漁獲枠を水産企業/漁業者に配分するクォータシステムがとられてきました。セネガルの漁業を取り巻く状況を考えると、日本型のボトムアップ型資源管理が適していると言うのです。

 

「セネガルで実施しているのは、漁業者がイニシアチブをとって対象資源の管理活動を計画・実施し、行政がその活動に法的な枠組みを整備する形で支援する方法です。もちろん、日本でも近年はボトムアップ型の限界から、TAC制度が導入されてきていますので、セネガルでも将来的にはボトムアップ型とヨーロッパ型資源管理方法との融合が必要になってくると考えられます」

 

セネガルではタコ漁について、コミュニティベースの資源管理システムを導入。地域の漁民コミュニティがタコの禁漁期を主体的に決めて、それに県などの行政が法的な枠組みを与える方式で成功を収めています。また、タコの輸出企業から協賛金を得て、漁民が産卵用のたこ壺を毎年海に沈め、資源を増やすといった広域での取り組みも行われています。

 

現在、進めているJICAのプロジェクトでは、シンビウムと呼ばれる大型巻貝の稚貝放流キャンペーンや、大西洋アワビの適正な資源管理手法を策定するための支援活動などを実施。移動漁民との紛争を回避するための夜間操業禁止キャンペーンの支援や、PCを活用して資源管理組織間の連携を強化するための支援活動も行っています。

シンビウムの稚貝を放流

 

「かつてセネガルのプティコートではシンビウムの水揚げ量が多く、シンビウムはセネガルの主要な水産資源の1つでした。ただ、近年は水揚げ量も落ち、サイズも小ぶりになっています。そこで、漁獲したシンビウムのお腹の中で成長した稚貝を沖合に戻して、資源の再生産を促進することに取り組んでいます。スタンプカードを発行し、稚貝を一定数回収・放流するごとに、貝加工作業に必要な手袋やバケツなどの道具を提供することでモチベーションを高め、キャンペーン期間中に40万貝の放流をめざしています」

 

過去にタコでは成功したものの、シンビウムは漁家経営にとって不可欠な水産資源であったことから、広域での禁漁期間を設定することが難しかったとのこと。かつて2000年代に禁漁期間の設定と稚貝放流の取り組みは行われましたが、上記の理由と稚貝放流に燃料費を要するなどの理由から、プロジェクト終了後にこれらの活動は停滞しました。地域コミュニティの特性に合わせた持続的な方法を探る必要があると北窓さんも強調します。

 

求められる水産資源の高付加価値化

零細漁民の持続的な生活水準向上を目指すには、水産資源に高い付加価値を与えることが必要であり、そのためには海外への輸出を視野に入れる必要があります。それは、日本企業から見ればセネガルでの新たなビジネスチャンスにもつながる話です。

 

日本への輸出が期待できる水産資源として、北窓さんはタコ、大西洋アワビ、そしてシンビウムの3つを挙げます。タコは同じ西アフリカに位置するモロッコやモーリタニアからは日本向け輸出が多く行われていますが、セネガル産のものはまだ限られているのが現状。その理由について、北窓さんは漁法と水揚げ後処理の違いによる品質の差にあると分析します。

 

「モーリタニアでは日本が紹介したタコ壺で獲っているのに対して、セネガルでは釣りで獲っている。釣り上げたタコを甲板にたたきつけて殺し、船底の溜水に浸かった状態で放置されていたので品質が良くありませんでした。過去のJICAプロジェクトによって、漁獲後に船上でプラスチック袋に入れ、氷蔵にして持ち帰る方法が導入され、現在は品質の改善が進みました。。資源の回復も徐々に進んでいる一方で、日本向けにはまだあまり輸出されていないので、参入の好機といえるかもしれません」

 

そしてまさに今、資源管理に取り組んでいるのが大西洋アワビです。現地では直径5cmくらいのミニサイズで漁獲され、串焼きなどにして食べられており、価格も安いとのこと。資源管理を通して大型化や高品質化を進めることで、将来的に日本向けの需要につなげることができれば、付加価値化により、プロジェクトの狙いである水産資源の持続的利用と零細漁民の生活向上の両立に結びつけることができるでしょう。

ダカール市内のアルマディ岬で採集されたアワビ

 

「アワビの刺身の美味しさを知っている日本人からすれば、もったいない話です。サイズも徐々に小さくなっていて、地元でもこのままだと獲れなくなるという危機感があります。大きくなってから獲れば日本向けに高く売れる、というルートが確立すれば、資源管理にも積極的に取り組むようになりますし、漁民の現金収入も上がるというポジティブな連鎖につなげていけると考えています」

 

一方、大型巻貝のシンビウムの中でも「シンビウム・シンビウム」と呼ばれる種類は、味も良く、すでに韓国向けなどに輸出されているとのことです。今は資源的に減少していますが、その資源管理を通して資源増加が可能になるなら、日本向けの商材として可能性は高いと北窓さんも期待を寄せています。

 

現地の仲買人システムを尊重したビジネスを

シンビウムの刺し網漁

 

日本企業がセネガルの水産ビジネスへの参入を考えるとき、重要な意味を持つのが現地の仲買人との関係だと北窓さんは指摘します。いわゆる仲買人には、買い叩きなど搾取のイメージもありますが、セネガルではその限りではない関係が成立しているとのこと。

 

「漁民が網などの資材の購入や家族の病気などで現金が必要な際に、仲買人がお金を貸し、助けてもらったことで漁民は優先的にその仲買人に魚を売る、いわゆる“パトロン・クライアント”の関係が成り立っています。もちろん、行き過ぎれば仲買人に対する依存が大きくなるという問題もありますが、セネガルでは比較的対等な関係が構築されています。仲買人の存在が地域に埋め込まれた社会システムになっていると言うこともできるでしょう」

 

現地での水産ビジネスを進めるには、漁民・仲買人・企業がそれぞれウィン・ウィンな関係を築けるようにすること、そして持続的な水産資源の管理方法を確立することが鍵を握ると言えそうです。

 

また、水産資源の持続可能性を考えるとき、漁業だけにフォーカスするのではなく、俯瞰的な視点を持つことの重要性を北窓さんは指摘します。

 

「これまで、水産物の付加価値化やバリューチェーン構築の分野で、JICAの支援はそれなりの成果を上げてきたと思います。それに付け加えるとすれば、水産分野だけにこだわらない、生業の多様性を進めるための選択肢を増やすような施策が必要だと考えます。内陸部の砂漠化によって、農業や牧畜ができなくなったことで、漁業の専業化が進み、それが沿岸漁業資源の減少に拍車をかけました。生業の選択肢を増やすような施策によって、水産資源も守られますし、魚が獲れなくても生計が維持できるような仕掛けづくりが可能になるのではないでしょうか」

 

持続可能なビジネスを展開するには、現地の水産資源はもちろん、漁業従事者だけでなく社会そのものの持続可能性が確保されていることが不可欠。水産資源の管理と高付加価値化を進めることによって、企業はビジネスチャンスを拡大でき、現地の人々は生活水準の向上、そして持続可能な社会を構築することができる”三方良し”のビジネスを展開することが可能になるといえるでしょう。

 

 

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話題の「エシカルファッション」とは? 鎌田安里紗さんに聞く‟服自給率1%の日本”と途上国の現状

近年、「エシカルファッション」や「サステナブルファッション」といった言葉も聞くようになり、手に取った洋服の「どんな過程で作られているのか」「作られている人たちの労働環境は?」といった背景までを意識していこうという消費スタイルが、暮らしの中に増えてきました。誰もが手頃な価格で洋服を購入できるようになった今、私たちが未来に向けて考えるべきこととは?

高校生の頃、アパレルの販売員やモデルの仕事を通じてファッションと関わり、そこから「エシカルファッション」に興味を持つようになったという鎌田安里紗さん。2020年には一般社団法人unistepsを設立。共同代表としてアパレルメーカー・デザイナー・消費者をつなぐ活動を行なっています。今回は、エシカルファッションプランナーである鎌田安里紗さんにエシカルファッションのこと、そして途上国の現状について教えていただきました。

 

鎌田安里紗/1992年徳島市生まれ。「多様性のある健康的なファッション産業に」をビジョンに掲げる一般社団法人unistepsの共同代表を務め、衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響に目を向けることを促す企画を幅広く展開。種から綿を育てて服をつくる「服のたね」など。環境省「森里川海プロジェクト」アンバサダー。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍。TwitterInstagram

 

「この服はどうやって作られている?」疑問を解決すべく世界中の縫製工場へ

──現在は、エシカルファッションプランナーとして幅広く活動されていますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

 

鎌田 高校1年生の頃、高校に通いながら週末はアパレル販売員のアルバイトと、雑誌モデルのお仕事をしていました。ちょうど日本にH&Mの1号店がやってきた頃で、まさにファストファッション全盛期。販売員の仕事をしていても「可愛いけど、似ている服がもっと安く別のお店で売っていたね」と、デザインよりも価格で洋服が選ばれている現場を何度も目の当たりにしてきました。

高校は国際系学科の学校に進学していました。授業でも“フェアトレード(※1)”の話は出ていたので、ファッションのフェアトレードってないのかな? と調べ始めたことがきっかけです。

※1…生産者が人間らしく暮らし、より良い暮らしを目指すため、正当な値段で作られたものを売り買いすること。途上国と先進国、または企業間での取引がフェアじゃないことが起因とされている。「フェアトレード」には、労働者に適正な賃金が支払われることや、労働環境の改善、自然環境への配慮、地域の社会・福祉への貢献などが含まれ、「子どもの権利の保護」および「児童労働の撤廃」も盛り込まれている。

 

──当時、ファッションのフェアトレードについて詳しい情報は見つかったのでしょうか?

 

鎌田 ほとんどありませんでしたが、ピープルツリー(※2)さんが当時から情報発信をしてくれていました。ピープルツリーさんが主催するイベントに参加したり、国内外の縫製工場へ見学に行ったりしました。1本の糸から生地ができて、洋服ができる工程を見ているのが、とっても楽しかったんです。洋服のことをもっと知りたくて、コットン農家さんにお邪魔したり、たくさんの現場に足を運ばせてもらいました。

※2…「ピープルツリー」はフェアトレードカンパニー株式会社のフェアトレード専門ブランド。フェアトレード・ファッションの世界的パイオニアであり、エシカルで地球環境にやさしく、サステナブル(持続的可能)なファッションを、約30年に渡ってつくり続けている。アジア、アフリカ、中南米などの18カ国約145団体と共に、オーガニックコットンをはじめとする衣料品やアクセサリー、食品、雑貨など、できるだけその地方で採れる自然素材を用いた手仕事による商品を企画開発・販売。手仕事を活かすことで、途上国の経済的・社会的に立場の弱い人びとに収入の機会を提供し、公正な価格の支払いやデザイン・技術研修の支援、継続的な注文を通じて、環境にやさしい持続可能な生産を支えている。

紡績工場を訪れた際の鎌田さん

──そういった海外への視察はどれぐらい行かれたのでしょうか?

 

鎌田 バングラディシュ、ネパール、カンボジア、インド、スリランカ、モンゴル……など視察や、生産現場を消費者(生活者)の方と共に巡るスタディーツアーを主宰することで、様々な場所に足を運んでいました。そんななかで次第に繋がりも増え、その体験や経験などの取材や講演依頼を頂くようになり、エシカルファッションプランナーとして活動するようになったんです。

紡績工場ツアーの様子

──とってもフットワークが軽い! 現地に行くモチベーションはどこから湧いてきたのでしょうか?

 

鎌田 店頭や雑誌を通して、服を届け、ファッションの楽しみを発信する立場でしたが、コーディネートを組んで装うことだけではなく、生産背景も含めて一着を着ることを味わう楽しさも知ってほしいと思ったことです。わたし自身がそういう情報をもっと早く知りたかったなと感じていたので、共有できることは共有したいと感じていました。

日本は服自給率1%!? エシカルファッションについて考える

 

──今着ている洋服が、どこでどのように作られているか詳しくわからない人がほとんどだと思います。改めてどのように洋服が作られているのか教えてください。

 

鎌田 コットンのTシャツを例にご紹介すると、素材となるコットン栽培から始まります。広大な農地でコットンを栽培し、収穫。コットンから糸を紡いで、生地を作ります。栽培には、Tシャツ1枚で約2900リットルの水が必要とも言われています。地域によっては、周辺の湖の水が枯れてしまった……なんてこともあるんです。

生地にする過程で染色するものもありますよね。デザインに合わせて生地を断裁、縫製し、やっと1枚のTシャツが完成します。みなさんがよく目にする「MADE IN 〇〇〇〇」は、縫製した国名が記されています。MADE IN JAPANと書いてある洋服でも、コットン栽培はインド、生地を織るのは中国などいろんな国を経由し、日本で縫製しているものも含まれているんです。

収穫したコットン

──素材から日本で作られたものがMADE IN JAPANなわけではないのですね。

 

鎌田 日本で販売されている洋服の99%は海外で作られています。日本における服の自給率はたった1%ほど。さまざまな国、人の手を渡ってTシャツが作られていることを知らない人がほとんどでしょう。この件については、日本国内の業界関係者も課題に感じている部分です。素材から縫製まで工程が細分化され、サプライチェーンをトレースするのが本当に大変で……。洋服のブランド一社だけが頑張ってなんとかなる問題ではないので、仕組み作りから取り組む必要があると考えています。

 

──最近よく耳にする「エシカルファッション」も、そうしたサプライチェーンが明確になっていることが求められているように感じます。改めてエシカルファッションとは何か教えてください。

 

鎌田 エシカルファッションとは、直訳すると「倫理的なファッション」のこと。服が店頭に並ぶまでの過程で、洋服を作る人、素材となる植物や動物、またそれを栽培・飼育する人たちや環境に過剰な負担がかかっていないかを考えて、洋服を選ぶ行為や態度を指します。難しく思われがちなのですが、「買いすぎてない?」「どうしてこんなに安く服が作れるの?」「手放す時はどうする?」など、洋服が届くまで、そして手放した後のことまで考えてファッションを楽しむことと言えるでしょう。

──買う時だけでなく、手放した後も大切なのですね。着古した服は捨てる以外にどんな手放し方がありますか?

 

鎌田 破棄以外には、リユース、リサイクル、寄付などの方法があります。環境省の調査(2020年度)だと、日本の衣類品リサイクル率は約15%(年間12.3万トン)。回収された洋服は、細かく裁断され自動車の内装材などに使われたり、繊維に戻して新しく服を生み出したりします。世界的にみると、ドイツのリサイクル率は60%ほどと高いですが、それ以外の先進国では20%前後とあまり日本とは状況が変わりません。

リユースについては、衣類の回収BOXの設置や、古着屋さんやメルカリで「売る」ことを前提に洋服を購入する人が増えています。洋服を作る技術は発展しましたが、手放す技術についてはまだまだこれからですね。

寄付については、アフリカなど古着の輸入を禁止した国もあるんです。日本のように冬がある寒い地域の衣料品を、常に気温が高いアフリカやアジアに届けても結局ゴミになっていることもあります。もちろんきちんと仕分けして、欲しい人に欲しい洋服を届けている団体もありますが、砂漠に洋服が捨てられていたり、アフリカの海が古着だらけになっていたり、本末転倒なことが起こっているのも事実です。

児童労働、厳しいノルマ……急成長するファッション業界と途上国が抱える課題とは?

──全体的に作りすぎな気が……。なんとか循環できないのでしょうか?

 

鎌田 ファッション産業が急成長したのはここ20年ほどのことです。2000年から2015年の間に、全世界で生産される洋服の量が2倍になったとも言われています。

北九州にある株式会社JEPLAN(旧・日本環境設計)さんは、服から服の水平リサイクルを実施しています。ポリエステル素材100%の洋服から成分を分解し、もう一度ポリエステルの素材にして、洋服を作る技術を持っています。これは世界的にも重要な技術です。

 

──ペットボトルから作られた衣類は見たことがありますが、服から服を作れるとは!

 

鎌田 何度でもリサイクルできるので、資源の枯渇や生産過程でのCO2排出も抑えることができます。ただ、この世の中にある洋服の多くが「混合素材」。例えば、ポリエステル50%、ナイロン30%、コットン20%など複数の素材を使っていることが多いです。今後それらを分けて、それぞれをリサイクルできる技術が発明されれば、「服から服」の水平リサイクルがさらに加速するでしょう。

──これまで洋服を購入するときに「素材」を意識していませんでした。

 

鎌田「都市鉱山」があるように、ご家庭のタンスには「都市コットン」「都市ポリエステル」もいっぱいあるはず! 国内で今まで廃棄されていた服を素材として集められれば、素材調達から製造販売、リサイクルまで国内にある素材だけでグルグル洋服の循環ができるかもしれません。

 

──実現したら素晴らしい取り組みになりますね。手放した後のことも考えるとよりエシカルファッションを楽しめる気がしてきました。しかし現状、日本は99%が海外生産された洋服に頼らざるを得ません。そんななかで日本の洋服のサプライチェーンとして繋がっている途上国が抱える課題について教えていただけますか?

 

鎌田 児童労働や強制労働の課題があります。ファッションだけではないですが、農業で生計を立てるために、家族総出で働かないと利益を得ることができない国もあります。

また裁縫工場の労働環境も改善されていく必要があります。パーツごとに担当が決められていることもあり、「襟担当」になったら毎日襟のミシンがけのみ行うことになり、服全体を作る技術を身につけることができません。時間内に何枚とノルマがあったり、終わるまでは外から鍵をかけられて、トイレに行くことも禁止されている工場があったという報告もあります。バングラデシュの「ラナプラザ」の事故では違法に増築された工場が倒壊し、多くの作業員が命を落としてしまいました。さらに、不当解雇や賃金未払いなどもあるので、発注元の企業と工場が連携して、立場の弱い労働者が声を届けられる仕組みも必要だと感じています。

生産現場を訪問した際の様子

──なんと……。ブランドの方たちは、その現状をご存知なのですか?

 

鎌田 サプライチェーンが明確になっていない場合もあるので、一概には言えません。でも、ブランドが設定した納期に無理があり、立場の弱い従業員たちにしわ寄せがかかってしまったこともあるでしょう。

また日本では、1990年以降、服の価格が下がっています。消費者である私たちが、安さを求めた結果、市場では価格競争が激しくなり、生産工程に無理が生じているとも言えますよね。

小さい違和感を受け流さずに、知ろうとするのが大きな一歩に

──消費者である私たちは、何から始めたらいいのでしょうか?

 

鎌田 今回は「エシカルファッション」がテーマですが、服に興味がなければ自分が普段使っている家電や家具、食事、なんでもいいので好きなものが「どう作られているのか」を知ることからだと思います。

私もベランダでキュウリを育てたのですが、めちゃくちゃ味が薄くて(笑)、美味しくなかったんです。1本作るまでの苦労がわかるからスーパーで安く販売されていると「1本48円でいいんですか?」って感じます(笑)。ちょっとでも作り手を経験すれば、価格の価値も変わります。

──興味のあるものから作り方を知るのは大事ですね。

 

鎌田 洋服に興味のある方が簡単にできるのは、今持っている服をきれいに着続けること。同じ服を2年着るだけで温室効果ガスを24%減少させることもできます。靴を磨いたり、洋服にアイロンをかけたり、手洗いしたり、洋服を丁寧に扱うだけでもなんとなく気持ちが良くて肯定感が上がりますし、環境への負荷も減らすことができます。

また「この服ってどうやって作られているんだろう?」と疑問に感じたらショップに聞いてみるのがおすすめです。小さい違和感を受け流さず、知ろうと行動することが大きな一歩に繋がることもありますから。

鎌田さんが手掛ける「服のたね」での発芽の様子

──鎌田さんが描くファッション業界の未来についても教えてください。

 

鎌田 低価格にデザイン性のある服を購入できるようになってファッションの楽しみが広がったと捉えることもできますが、それによって生まれてしまった課題もあると思います。これからはその課題をブランド・商社・繊維メーカー・販売店・そして消費者が一緒になって向き合って良くしていけるような仕組みが必要だと思っています。

あとは、新品屋さん・古着屋さん・お直し屋さんがブランドごとに同じ価値で提供されるようになると理想的ですよね。作って売るところまでではなく、お直ししたりアップサイクルしたりするところがブランドに求められる仕事の範囲になっていくのではないかと感じています。

 

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読者の皆様、新興国での事業展開をお考えの皆様へ

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撮影/映美

トゥクトゥクもEV化! カンボジアの電気自動車への本気度

【掲載日】2022年6月8日

世界各国でモビリティ革命が進行するなか、カンボジアが持続可能な電気自動車(EV)国家への躍進を目指して、広範囲にわたる普及政策を展開しています。

トゥクトゥクもEVの時代に突入

 

カンボジア政府は2021年12月、長期的なカーボンニュートラル政策の一環として、2050年までに自動車と都市バスの40%、電動バイクの70%をEVにすることをUNFCCC(国連気候変動枠組条約)に盛り込みました。すでにカンボジアでは、2021年よりEVの輸入関税を従来のエンジン車より50%軽減させる措置が取られていると同時に、EV組立工場への投資が強く奨励されています。さらに政府は、EV普及の鍵を握る充電ステーションの設置を既存の給油所に働きかけるなど、積極的な動きを見せています。

 

実際、カンボジアの首都・プノンペンでは、二輪EVや電動モペットのシェアライド事業が行われるようになりました。三輪タクシーのトゥクトゥクやバスなどの公共交通機関もこれからEV化される予定。また、同国では海外の自動車や二輪車メーカーがEVのショールームを開設しています。

 

この背景には、世界中でEVの普及が急速に進んでいることが挙げられます。2021年11月に英国で開催されたCOP26サミット(第26回気候変動枠組条約締約国会議)では、2040年までに全世界で、2035年までには主要国の市場で環境に負荷のないゼロ・エミッションに対応する普通自動車や商用バンなどの新車販売100%を目指す誓約などが締結されました。また、近年の自動車市場においてEVの販売比率が飛躍的に伸長しており、国際エネルギー機関(IEA)によると、2020年時点で普及している世界のEVは1000万台を超え、前年比では43%もの増加。さらに、EVはコロナ禍でも前年比で70%もの販売増加を記録したのです。世界最大のEV大国とされる中国では、EV購入の補助金を制限した結果、価格がやや下がったため、販売数が伸びた可能性があるとのこと。

 

当然ながらEVの普及には数多くのハードルが存在しています。カンボジアは、車道や送電網を含めたインフラの整備、EVバッテリーの廃棄、人材育成などの課題を抱えています。これらを解決するためには、政府や諸外国、国際機関の支援に加えて、民間企業の連携が不可欠。カンボジアは、中国がリードする世界の自動車市場のEV化について行く意思を示しているだけに、日本企業はカンボジアの動向にもっと注意を払うべきでしょう。

 

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世界を襲う「砂クライシス」。危機の回避に向けて国連環境計画が解決策を提言

【掲載日】2022年6月1日

世界各地で発生している急激な都市化と人口の増加は、砂の消費量を激増させており、その価格は年々上昇しています。主にさまざまな建築物で活用される砂は、価格高騰による不正採取が跋扈しており、日本もその例外ではありません。環境保全や気候変動への適応という観点からも砂は重要であり、適切な管理方法の確立が今まで以上に求められています。

途上国の都市化により、ますます需要が高まっている砂

 

2022年4月、国際連合環境計画(UNEP)は「Sand and Sustainability: 10 Strategic Recommendations to Avert a Crisis」というレポートを発表し、砂資源の危機を回避するための戦略を提言しました。現在、世界で必要とされている砂は年間約500億トン程度で、その量は地球全体を高さ27メートルの砂壁で覆うことができる量に匹敵すると言われています。2019年に経済協力開発機構(OECD)が行った調査では、2060年までに世界人口が100億人を超えた場合、建築における砂や砂利、砕石の使用量が調査時と比較して2倍以上になるだろうと予測されています。「砂漠の砂を代用すればいいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、残念ながら風食による細かい粒子の砂は建築資材には活用することができません。

 

新興国では近年、急激な都市化が進行しており、需要が増加したために砂の価格が過去数十年で高騰。例えば、1991年における米国の砂1トンあたりの平均価格は3.96ドル(約503円※)でしたが、2021年には9.9ドル(1257円)を記録しています。

※1ドル=約127円で換算(2022年5月25日現在)

 

砂はコンクリートの製造や住宅、道路、インフラ整備などのさまざまな用途で必要とされており、経済発展には不可欠な資源の1つ。その反面、海岸や河川などから砂を掘り出すことは、海岸などの浸食や塩害、高潮対策の喪失を引き起こす可能性があるほか、生物多様性への影響も危惧されています。さらに、海岸に砂があれば、高潮や海水面の上昇から人類を守ることができるため、UNEPは、砂の保護は「気候変動に適応するうえで最も費用対効果が高い戦略である」と述べています。

 

そこで、同レポートは、循環型経済の枠組みの中で砂を管理するべきだと主張。砂を建設資材だけの問題として片付けるのではなく、環境への影響やロジスティクス、国際公開入札に向けた新しい基準の必要性など、幅広い視点からこの問題を捉えると同時に、政府や産業界、消費者を含めた、すべての利害関係者に考慮しながら適正価格をつけるべきだと論じています。また、循環型経済の構築に向けて、公共調達案件における砂の再利用の奨励や、代替品としての砕石、解体資材のリサイクル、鉱砂など、さまざまなアプローチが提唱されています。

 

砂を適切に管理するために、UNEPは砂資源のマッピングや監視、報告体制の構築などについても言及していますが、これらに向けて、世界各国で官民挙げての取り組みが今後増えていくでしょう。各国ともに最善の対策を模索しているのが現状ですが、「戦略資源としての砂」という認識はどこも揺るぎません。砂は水に次いで世界で2番目に活用されている資源なのですから——。

 

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投資額が210億円を突破! 世界で急成長する「海藻」産業

【掲載日】2022年5月17日

昆布やワカメ、海苔など、古代から日本人にとって馴染み深い存在である海藻。それが近年、世界中で熱視線を浴びています。環境や食料、途上国の経済発展など、さまざまな課題を解決するために、海藻が重要な役割を担いつつあるのです。

海藻が世界を救う

 

海藻の重要な側面の1つが養殖。ニューブランズウィック大学(カナダ)の海洋生物学教授のティエリー・ショパン氏によると、海藻は世界の養殖生産の約51%を占める生産量の高さを誇り、そのうちの99.5%が東〜東南アジアに集中しているとのこと。しかし、2012年に太平洋島嶼(とうしょ)国が国連で提唱した「ブルーエコノミー(循環型経済の概念を取り入れつつ、海洋生態系を維持しながら経済的繁栄と貧困撲滅を目指す経済モデル)」の提唱もあり、海藻の養殖はアジアを超えて拡大しつつあります。国際連合食料農業機関(FAO)の統計によると、世界の海藻養殖生産量が2000年では約1060万トンでしたが、2018年には約3240万トンと約3倍に増加し、現在でも生産量が落ちることなく推移。

 

海藻のさまざまな特徴が、生産量を上げています。現代社会で二酸化炭素の排出量削減は最重要課題の1つですが、海藻の養殖は1ヘクタールあたり熱帯林の約3倍の炭素を吸収することができ、さらに地球上の光合成の約50%は海藻で行われています。また、海藻は栄養価の高い食料としてのみならず、医薬品や有機肥料、燃料など幅広い用途に活用する可能性を有しており、国連をはじめ世界各国の研究機関が海藻に関する施策を打ち出すようになりました。

 

例えば、2022年4月13日から2日間にかけてパラオで開催された「Our Ocean Conference」において、米国国際開発庁(USAID)が24の取り組みを発表し、その中でも630万ドル(約8億1220万円※)の拠出を決めた「NOSY MANGA」プログラムは、海藻とナマコの養殖を通じた持続可能なブルーエコノミーの創出を目指しています。

※1ドル=約128.9円で換算(2022年5月13日現在)

 

海藻養殖への投資は世界的に拡大しており、海藻産業のニュースやデータを提供する「Phyconomy」によれば、2021年の取引件数は前年の17件から34件に倍増し、投資総額は前年比36%増の1億6800万ドル(約216億円)に到達したとのこと。また、同年の取引額の中央値は230万ドル(約2億9600万円)で、同年最大規模の投資案件はノルウェーの海洋バイオテクノロジー企業Alginorに対する協調融資。その規模は約3300万ドル(約42億5000万円)でした。

 

海藻は今後ますます世界で注目されていく模様ですが、その中でも日本は海藻の食文化において長い歴史を持ち、全国各地で養殖を展開しています。海藻を通じた持続可能な社会の実現に向けて、日本企業は大きく貢献することができるでしょう。

 

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