「クルトガ」シリーズ初、木製グリップ軸シャーペン!より安定した書き味「KURUTOGA Wood」

三菱鉛筆は、シャープペンシル「クルトガ」シリーズから、初の木製グリップを採用した「KURUTOGA Wood(クルトガ ウッド)」を2025年3月21日より店頭で順次発売。天然木ならではの温かみと、アルミ製の後軸が調和した上質なデザインが魅力です。

 

記事のポイント

クルトガは、芯が回転することで偏減りを防ぎ、常にトガった芯で書き続けられる点が特徴。2008年の発売以来、学生を中心に人気を集めています。デザイン性もさることながら書き味も良いので、自分用にはもちろん、ギフトにしても喜ばれそうですね。

 

「KURUTOGA Wood」は木製グリップ部分に、美しい木目と重厚感のある黒褐色が特徴の“ウェンジュ”を採用。天然素材のため、一本一本異なる色みや木目を楽しめます。また、グリップはペン先に向かって太くなる形状で、握りやすく滑りにくい仕様です。

 

後軸は「KURUTOGA Metal」と同様のアルミ製で、ブラスト処理により洗練された外観に。木と金属の異素材を組み合わせることで、スタイリッシュな印象に仕上がっています。

より安定した書き味も魅力です。筆記中のブレを軽減する「クルトガエンジン」に加え、「KURUTOGA Metal」で好評の樹脂製パーツ「ニブダンパー」を搭載。これにより、筆記時の衝撃を和らげるそう。

 

三菱鉛筆
KURUTOGA Wood(クルトガ ウッド)
軸色:フォレストグリーン、スチールグレー
芯径:0.5mm
参考価格:1本 3850円(税込)

地味ながら傑作と讃えたい!ゼブラの200円シャーペン「ノックペンシル M-1700」の驚くべきコスパの全容

日本筆記具工業会の統計によれば、シャープペンシルの販売本数・売上金額は2020年頃から右肩上がりとなっている。中学生・高校生の少子化傾向が続いているにもかかわらず、このような推移を示しているということは、現役の中高生がシャープペンシルを積極的に購入し、数千円台の高機能シャープも支持されているということを表している。

 

しかし、全ての中高生が高機能シャープペンシルに熱中しているわけではないだろう。「勉強道具として使用しているが、高価な製品を使う意義が見出せない」と考える層も少なからずいるはずだ。そこで今回は、高機能シャープ全盛の今だからこそ注目したい、“安くて性能もいい、これ1本でずっと使える”……いわば「コストパフォーマンスに優れた、長期使用可能なシャープペンシル」を紹介したい。

 

昭和のお買い得シャープは、
新機能搭載を搭載した令和版も超高コスパ

シャープペンシルの歴史を振り返ると、1960年代の最初期のノック式は高額で、一般への普及は限定的だった。

 

転機となったのは1980年、ゼブラが100円の「ノックペンシル」(2001年に廃番)を発売し大ヒットしたことだ。これを機に、他メーカーも低価格化を進め、シャープペンシルは一気に普及したというわけだ。

↑1980年発売の初代「ノックペンシル M-1300」。100円シャープの登場は当時かなりの衝撃だった

 

そして2024年春、そのシンプルさ、コスパの良さを受け継ぎながら現代的な機能を搭載した「ノックペンシル M-1700」が登場した。200円(税別)という価格設定は、現在の500円超が当たり前の市場では「比較的安価」な部類だが、機能面から見ると驚くべきコストパフォーマンスを誇っている。

↑令和に復活したゼブラ「ノックペンシル M-1700」200円(税別)

 

ゼブラ
ノックペンシル M-1700
200円(税別)

 

まず注目したいのが、軸を振ることで芯出しができるフリシャ機能の搭載だ。芯が減った際に軸を握ったまま上下に振ることで、内蔵するオモリがカチャカチャと大きく跳ね戻り、その衝撃がノック代わりとなって芯が出る、という構造である。

 

従来のノック操作が不要なため、筆記の効率が格段に向上するのは大きなメリットだ。

 

もちろん普通にノックして芯を出すこともできるが、一度慣れると「シャープはフレシャ(他社ではフレフレ、フレノックなど)機能付きじゃないと困る」と感じてしまうほど、便利な機能なのだ。

↑軸を大きく振ることで内部のオモリ(銀色のパーツ)が前後に移動する

 

↑フレシャ機構は、オモリが前側に落ちた際にその衝撃を先端バネが受け止めることで芯を出す仕組み

 

ただし、振動で芯が出ると言うことは、筆箱の中に入れて持ち運んでいると勝手に芯が出ている、というトラブルにもつながってしまう。1000円以上の高級モデルで芯振り出し機能付きの場合、ノック部を固定するロック機構を搭載しているものもあるが、残念ながら200円の「ノックペンシル」には使われていない。

 

その代わり、オモリの衝撃を受け止めるノックバネを硬くすることで、軽い振動では芯が出ないようなチューニングを施しているようだ。

↑実際にペンケースに入れて半日持ち歩いたところ。勝手に芯が出て中を汚すようなトラブルは発生しなかった

 

試しに筆箱に入れた状態で半日持ち歩いてみたが、芯の不用意な飛び出しはゼロ。通常の使用では問題はないことが確認できた。

 

ただし、その分、意図的に芯を出す際は少し強めの振動が必要となる。使用のコツは、ペン先を真下に向けて「カチャ!カチャ!」と音がするまでしっかりと振ること。軽い振動や斜めの状態では芯が出にくいため、多少の慣れは必要だろう。

 

たっぷり使える消しゴム付きで
これ1本携行するだけでいい

もうひとつのポイントが、軸後端に備えた消しゴムである。

 

軸後端には約15mmの長いタイプを搭載。側面の突起を使って時計回りに回転させることで繰り出すことができる。替えゴムも3個100円(税別)で販売されているため、気兼ねなく使用できる。このため、場合によってはペンケースなしで本製品1本だけを携行する使い方も可能だ。

↑ロングタイプの繰り出し消しゴム。消字力にも不満はない

 

十分な大きさの消しゴムを備えているため、このノックペンシル1本だけを持ち歩くという使い方も可能だ。手帳との相性も良い。

 

消しゴムは繰り出し式を採用しているため、ノックノブにキャップは不要。筆者のように小物の紛失が気になる人にとっては、この設計も安心感につながる。なお、芯の補充は、ノックノブを引き抜いて行う仕様となっている。

↑ロング消しゴムを収納するため、ノックノブはかなりの長さがある。初めて引き抜く際には、その長さに驚くかもしれない

 

ここまで本製品の特徴的な機能を中心に紹介してきたが、それらの機能を度外視しても、これは非常に書きやすいシャープペンシルだと言える。

 

本体はプラスチックパーツを中心とした軽量設計でありながら、フレシャ機構用の真ちゅう製オモリにより低重心を実現している。この組み合わせが絶妙なバランスを生み出しているのだ。

 

グリップ部分がツルツルしているのがやや気になるものの、軽量かつバランスの良さから、そのグリップ感を特に意識することなく長時間の筆記が可能である。この点も本製品の優れた特徴の一つと言えるだろう。

↑全体的に軽く、かつ重心位置は低め。長時間書き続けても指に疲労感を感じにくいタイプだ

 

↑プラパーツ中心で全体的には超軽量なので、握った際に中のオモリの重さがはっきり感じられる

 

率直に言えば、このシャープペンシルは、その控えめな外観から店頭での指名買いは多くないかもしれない。しかし、価格の手頃さから手に取った使用者が、日々の使用を重ねるうちに「あれ? このシャープ、実はすごくいいじゃない?」と気付くことだろう。

 

高機能シャープのような華やかさはまったくないが、控えめな佇まいの中に確かな実力を秘めた一本として、自信を持ってお勧めしたい製品である。

 

1本で4種の書き心地だと!?プラチナ万年筆のハイスペすぎるシャーペン「PRO-USE241」はまさにプロユースに耐える全部のせ仕様

筆記具メーカーのプラチナ万年筆は、製図用シャープペンの書きやすさと使いやすさを追求し開発した「PRO-USE(プロユース)」シリーズに、付加価値を盛り込んだ「PRO-USE 241(プロユース241)」を新しくラインナップし、8月1日より発売をスタート。

1999年から発売されている「PRO-USE」シリーズは、製図用シャープペンの書きやすさ・使いやすさを追求し開発されており、今回の「PRO-USE 241」は機能をふんだんに盛り込んだ今までにないシャープペンとして完成させたといいます。

 

新モデルの特徴は、筆記中に芯が先端パイプから見えなくなると筆記と共に芯パイプがスライドして筆記できる「ハヤーイ機構」や、筆記中に一定の筆圧をかけると芯がパイプに戻る「シンスイッチ機構」を搭載している点。どちらの機能も、シーンに合わせてON/OFFが調整でき、組み合わせ次第で4種の筆記感を体験できます。

 

「ハヤーイ機構」では、芯パイプ可動ONの場合、筆記中に芯パイプから芯が見えなくても右写真の状態まで芯パイプが下がって、即座に筆記が可能になります。

 

 

もうひとつが「シンスイッチ機構」。芯クッションONでは筆圧をかけすぎると芯がクッションにより芯パイプ内に戻る仕組みです。

 

ほかに「PRO-USE 241」では、外部衝撃から芯を守る「オ・レーヌガード機構」も引き続き搭載されており、 筆記時に起こる芯折れのストレスから守ります。

 

まさに“プロユース”にふさわしいハイスペック仕様。製図作業だけでなく、日常使いとしても使い込めそうです。

 

プラチナ万年筆
製図用シャープペン「PRO-USE 241」
2750円(税込)

クルトガ誕生から16年…フルメタル軸採用の「クルトガメタル」を“クルトガの完成形”と評価する理由

昨今、中高生の間でとにかく人気が高いのが、シャープペンシルだ。彼ら彼女らにとっては日常で最も使用頻度の高いツールだから、こだわりを持つのは当然だが、それにしたって我々大人からすると「えっ、そんなに!?」と驚くほどの注目度合いなのである。

 

実際、シャープペンシルの新製品が発売された直後にちょっと大きめの文房具店へ行くと、中高生(どらちかというと男子が多いが、女子もいる)が、「売り場にあのシャープペンシルが無いが、売り切れか?」「次の入荷日はいつか?」「予約は可能か?」「取り寄せは可能か?」……などと店員に詰め寄っているシーンをほぼ確実に見ることができる。あまりにアツすぎて、製品によっては1人1本制限は普通だし、店頭で抽選販売となっているケースだってザラなのだ。

 

このシャープペンシルブームの火付け役はといえば、それはまず間違いなく2008年に発売された三菱鉛筆「クルトガ」シリーズと言って間違いないだろう。書く度に少しずつ自動で芯先を回転させる「クルトガエンジン」を搭載し、偏減りなく鋭い筆跡が得られるこのシャープペンシルは、今でもとにかく人気が高い。

 

そんなクルトガシリーズに新たに金属軸モデルがラインアップしたということで、今回は(筆者が発売日の朝から店頭に並んでなんとかゲットしてきた)その最新版クルトガを紹介しよう。

 

クルトガにハイグレードなフルメタル軸登場

4月に発売された「クルトガメタル」は、その名の通り、フルメタル軸を採用した高級モデルだ。

 

クルトガの高級モデルといえば、2022年に発売された「クルトガダイブ」を思い出す人も多いだろうが、正直なところ「ダイブ」は本来のクルトガシリーズよりはるかに高度な機構を搭載しており、系統的にちょっと別物では? といった感もある。対してこの「クルトガメタル」は、機構やルックスも含めて“現行クルトガの正統ハイエンド”と言えるものだ。

三菱鉛筆
クルトガメタル 0.5mm
2,500円(税別)

↑雰囲気はKSモデルを踏襲しつつ、ワンポイントでダイブっぽさを取り入れた印象。

 

ルックスは、2023年発売の新しいスタンダード版「クルトガKSモデル」の雰囲気を継承しつつ、金属軸ならではのスリムさがあり、さらにクリップ部は「クルトガダイブ」と同様のシンプルな板バネクリップを採用。このあたりは、端的に「スタンダードに高級感をプラス」という方向性のデザインなのだと思われる。

 

加えて、軸表面には全体に微細な溝の切削とブラスト加工が施されており、これが程よく光を拡散させることでテカテカ感を打ち消し、ドッシリとした重厚感の演出になっているようだ。

↑軸表面は全体に細かな溝が彫り込まれており、光を穏やかに反射している。

 

↑グリップはサラサラしているが、指先に力を入れて握るとジワッと吸い付く感じ。とても不思議なグリップ感だ。

 

グリップは一見するとシンプルに溝を彫っただけのようだが、握るとその見た目以上にがっちりとすべり止めが効いている。これは、先に述べた微細溝加工がグリップにまで入っており、大きな溝と組み合わさることで、まるで指紋に食い込むかのような強いグリップ感を生んでいるのだ。

 

筆者はメタルグリップとはとにかく相性が悪い(手汗でスルスルとすべる)のだが、これは文句の付けようがない安定感で、今まで握った金属軸の中でも間違いなくトップクラスに握りよいグリップだと感じた。

↑後ろ側に搭載されているクルトガエンジンと、重量感のある真ちゅう製口金とでバランスが取れている。

 

握った際の重心位置は、「KSモデル」と比べるとわずかに前重心気味といったところ。バランス的には特に不満はなく(もうちょっと低くてもいいが)、グリップ感の良さと相まって、手の中にしっとりと収まる感じがとても心地よい。

 

「KS モデル」以降はクルトガエンジンが軸後方に配置されているため、やや重心位置が上がるのだが、対抗して口金に真ちゅうを使うなどして重さを調えているようだ。重量は17.6gと重めだが、コントロールも十分に利いて、握り心地の満足度は非常に高いように感じた。

 

「これこそクルトガの完成形では!?」と驚く筆記感

肝心の筆記感はどうかというと、これがまた想像以上に良かった。クルトガは芯を自動回転させる構造上、どうしても書く度に微妙なカチャカチャとしたブレが発生してしまう。正直、筆者はこの芯先のブレが苦手で、クルトガを長らく避けていたぐらいだ。

 

しかし、新スタンダードこと「KSモデル」はこのブレをかなり抑制できており、筆記感は大幅に向上していた。

↑芯先のブレの少なさはKSモデル以上で、これは本当に優秀。

 

↑ツヤのある樹脂パーツがニブダンパー。こんな小さなパーツだがブレ抑制効果はかなり大きい。

 

では「メタル」はというと、ブレの抑制具合は「KSモデル」以上で、体感的にはほぼ普通のシャープペンシルといった感じ。ブレによる不快感もほぼ無く、これはかなり驚かされた。機構的に「KSモデル」と同じクルトガエンジンを積んでいるのは間違いないだろうが、それに加えて、口金とペン先の間に挟まれた樹脂製の“ニブダンパー”というパーツが効果を発揮しているらしい。

 

正直なところ、このパーツがどういう理屈で効いているのかはハッキリ分からないが……おそらくはパーツ間の隙間をほどよく埋めることでカチャつきを伝わりづらくしているのではないだろうか。

↑クルトガに苦手意識を持っていた筆者ですら「これで書きたい!」と思うほどの筆記感。間違いなく“買い”の1本だ。

 

バランス良く、握りやすく、筆記感も文句なし。かつ、クルトガならではの芯先の鋭さのおかげで、整った文字が書きやすいというメリットも確実に享受できるんだから、とても優秀な筆記具であることは間違いない。

 

超人気製品ということでしばらく品薄は続きそうだが、ともあれ見つけたら即確保すべきだろう。

 

トンボ鉛筆「ZOOM」が果たした“知的なリブランディング”。「コインの裏表」と表現される魅力は?

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される “手書きツール” を、1点ずつピックアップしている。第33回となる今回は?

2024

第33話

トンボ鉛筆
ZOOM
7700円(左/C1)、4400円(中央/L1)、3520円(右/L2)

 

今春、「1本の、美学。」をコンセプトにリブランディングされた、1986年誕生の筆記具ブランド。日本の技術と感性が融合した自由で新しいスタイルの筆記具を3種類揃える。C1、L2は油性ボールペンとシャープペン、L1は水性ボールペンをラインナップする。

 

あのデザインペンの名作が知的にリニューアル。

今年2月、トンボ鉛筆の筆記具「ZOOM」シリーズのリブランディグモデルが発売されました。  オリジナルは1986年発売。国産デザイン筆記具の先駆け的存在であり、歴代ラインナップのなかでも、特にキャップ式・太軸の「505」や極細軸の「707」は、今でも現役の人気製品。現在売られているどのボールペンと比べても遜色ないほど、鮮烈でキャッチーなルックスを誇っています。

 

そして2023年。爛熟とも言える現在のボールペン界のなかで、満を持してのこのリブート。その出発にあたり、現状のボールペン界を「ユーザーのリテラシーが高まり、質の高いものを受け入れやすい土壌が整っている」と捉えるか、あるいは「いや、いまは安いボールペンでもそれなりにデザイン化されている。そのなかで差別化を打ち出すのは難しい」と捉えるかで、立てる問いと答えが変わってきます。実際このふたつはコインの裏表。さて、今回のZOOMはどちらに軸足を置くのでしょう?

 

発表された3つの製品のうち、メインは油性ボールペンの「C1」。ボディは表面にアルマイト加工を施したジュラルミン製。サラサラと手触りが良く、高級感は申し分なし。さらにデザインの最大の特徴は、ノック部と胴軸が切り離され、まるでノックパーツが浮いているかのように見えること。手に持って書いているとき、ふと目を落とすと隙間から机がチラ見えする「抜け感」(文字どおり!)は前代未聞。クリップは金属性で剛性が高く、それでいて重さもさほどないため重心バランスも悪くありません。大胆なギミックではあるものの、決して使いやすさは犠牲にしていないのです。

 

続いてゲルインクボールペンの「L1」。こちらはシルバーの本体にDURABIO TMという透明なプラスチック素材をレイヤードしており、太軸・キャップ式という外見はまさに「505」の正統後継者。それだけに安心感と安定感があり、今回のなかでは最も扱いやすく感じました。また、特筆すべきは、C1、L1ともに新しいリフィルが開発されており、これが従来のトンボ鉛筆のボールペンと比べて桁違いの書きやすさであること。実はこのリフィルの誕生こそ、今回のリブランディング最大の功績と言っていいぐらいです。

 

そして個人的に最も気に入ったのがシャープペン/0.5mmボールペンの「L2」。スリムな外見は「707」の遺伝子を感じさせつつ、よりソリッドなフォルム。ネオラバサンという塗料はまるでヌバック革のようなソフトな手触りで、トグルスイッチ風のノックパーツや細身のクリップと合わせ、使い手に繊細な扱いを要求します。この造りは、シャープペンのボディとしてとても理にかなっています。

 

こうして今回のZOOMリブートを見渡してみると、全体的に外見のインパクトは控えめ。初代707のようなエキセントリックさはありません。そのかわり、こだわりの新素材とディテールのアイデア、トータルのまとまりで勝負。また、ハイレベルなリフィルや優れた重心バランスといった実用性、そして油性/ゲル/シャープでそれぞれ適切なデザインを配する合理性など、すべての要素が噛み合った、極めて完成度の高いプロダクトとなっています。何より、 “奇をてらわずともこの良さは伝わるはずだ” 、というユーザーへの信頼感さえ透けて見えます。前述したように、ユーザーのリテラシーと製品レベルはコインの裏表のようなもの。新生ZOOMは、その幸せな相関関係のカーブの頂点にそっと腰を下ろした、知的なリブート製品と言えます。

ペン先がブレないだけじゃない!ゼブラ「ブレン4+S」の“隠れ”機能で強化された価格以上の使い心地

2019年に発売されたゼブラ「ブレン」は、ノック式ボールペンでは避けられないとされていた “筆記時の微細なペン先ブレ” を解消した、非常に高機能なボールペンだ。実際に書いてみると、確かにブレない……むしろ、他のボールペンってこんなにブレてたのか!? と、気付かされたほどだ。高い剛性感で長時間の筆記が快適になるということで、発売後すぐに多くのファンを獲得したのも納得である。

 

3色の「ブレン3C」、2色+シャープの「ブレン2+S」と、多機能化によって展開を広げてきた同シリーズだが、ついに多機能のMAXモードとも言える4色+シャープ(S)を搭載した「ブレン4+S」が発売された。シャープユニットと合わせて合計5本ものリフィルを詰め込んでもなお、低重心でブレのない筆記感を生み出す「ブレンシステム」は従来通り機能するのか?

 

今回は、4+Sでブレン独自の “どっしりしつつなめらか” という希有な書き味が感じられるのかどうかを中心に試用してみた。

 

ついに登場、ブレンの4色+シャープ

2024年2月末に発売されたゼブラ「ブレン4+S」は、冒頭でも述べたとおり、お馴染みブレンシリーズの最新ラインナップとなる多機能ペンだ。機能の配置は、まず長楕円になっている軸後端の円周に黒・赤・青・緑のエマルジョンインクのサイドノックが並び、楕円頂点にあるクリップがシャープのノックを兼用している。4+Sの構造として珍しいものではないが、もともと楕円をイメージしているブレンのフォルムからは大きく変えずに、各ノックを配置したデザインはなかなかに上手い。

ゼブラ
ブレン4+S(0.5mm/0.7mm)

1000円(税別)

 

グリップは実測で直径約13.3mmと、かなり太軸。とはいえ、ブレン3Cと比べると、2機能も追加されたほどの太さは感じない(後端のサイズはかなり違うが)。これは、軸の板厚を強度が落ちないギリギリにまで薄くする、というスリム化の工夫の賜物のようだ。また、デザイン的に凹凸が少ないので、すっきりスリムに対する視覚的要素もあるだろう。

↑軸後端から見たノック配置。周囲に4色ノック+シャープ用クリップノック計5機能を備えている

 

↑ブレン3Cとの比較。軸径自体は「確かに4+Sの方が太いかな?」程度の印象。ただし、ノック機構が集中する軸後端にはかなりサイズ差があった

 

↑比べて見ると、4+Sは軸の肉厚がかなり薄くなっている。これで内径を稼いで5本のリフィルを詰め込んでいるのだ

 

握ってみると、筆記時の安定感はかなり高い。これは、前軸全体に金属パーツを取り付けたことで、思い切った低重心化を果たしているからだ。多機能ペンはどうしても機構が後ろに集まってしまうため、重心位置が高くなってフラフラしがち。そこをしっかり抑え込めていることには “ブレンらしさ” を感じられた。

↑多機能ペンとしては画期的なぐらいに重心バランスが取れており、安定していて握りやすい

 

何より、ブレンらしさといえば、ペン先のカチャカチャとしたブレをどこまで抑えられているか、が重要なところ。多色/多機能ペンは、軸の内縁からペン先に向けてリフィルを突き出すという構造上、どうしても飛び出したペン先が傾くし、その分だけ口金の先端でブレが生じやすい……というか、ブレをゼロにするのはかなりの無理筋と言えるだろう。

 

もちろん、ブレン4+Sも、ブレを完全に抑え込めているとは言い難いが、口金先端でリフィルをホールドするダイレクトタッチがきちんと効いているので、他の多機能ペンと比べたら、圧倒的にガッチリと剛性感のある書き味となっている。この差は、誰でもはっきり体感できるはずだ。

↑前軸は口金まで通して金属化されており、重心位置を下げるオモリとして機能している

 

特に、ペン先を紙に当てたときの “逃げ” がないので、手帳などの小さい紙面でも狙った位置からピタッとズレなく書き始められるのはとても快適。この辺りは、3Cや2+Sから変わらず、「さすが多機能でもちゃんとブレン!」といったところだ。

↑先端の白いパーツでリフィルを包んで口金との隙間を無くし、カチャカチャとしたブレを抑制している

 

↑剛性感のあるブレの少ない書き味は、細かい文字をびっしり書いたり、長時間筆記したりする際のストレスを軽減してくれる

 

シャープペンシルの芯出しノックはクリップ部で併用

シャープペンシルを使う際は、クリップ部をグッと押し込んでペン先を出し、さらにそこからもう一段階の押し込みで芯出しノックとなる。ただし、多機能の構造上、どうしてもペン先を出した時点でクリップが少し軸側に引き込まれてしまうため、手がかりが減って、芯出しノックが少々やりにくいようには感じた。正直、これは慣れるか、自分なりに押しやすい方法を模索するしかないだろう。

↑シャープノックは、この状態からノブをもう一段階カチッと押し込んで芯出しを行う。正直、指のサイズが大きい人には押しにくい

 

芯の補充については、一般的な多機能と同じく、前軸を外してからシャープユニット自体を抜き取って行う。ユニット自体が細いので、芯は最大でも2本ぐらい。無理をすると簡単に詰まってしまうので、ほどほどでおさめておいたほうが安心だろう。

 

ブレないだけじゃない、細かな機能も山盛り!

シャープ機能で意外と気付かれていないのが、軸後端のキャップをポコッと引っ張り外すと出てくる消しゴムだ。消しゴム自体はサイズが小さくて超便利! と言うほどではないが、あって嬉しいおまけ要素と言えそう。

↑実は気付いている人が少ない、軸後端の消しゴム。2+Sには無かった嬉しいサービスだ

 

さらにもうひとつ、おまけ要素として嬉しかったのが、クリップが可動式のバインダークリップ仕様なところ。多色/多機能は手帳とセットにするケースが多いので、厚めの表紙でも挟んでおけるバインダークリップがあると地味に助かるのである。

↑実は気付いている人が少ない、軸後端の消しゴム。2+Sには無かった嬉しいサービスだ

 

思い返せば、ゼブラの多機能4+S「クリップ-オン マルチ」「サラサマルチ」「スラリマルチ」には、可動式バインダークリップが搭載されている。どうやらゼブラには「4+Sにはバインダークリップが必須でしょ!」と、いう感覚が共有されているようだ。もちろん、ユーザー的にもありがたいので、ぜひ今後もその線で続けていただきたい。

 

4色+シャープが、低重心かつペン先がブレないブレンシステムで書きやすく、さらに消しゴムとバインダークリップというおまけまで付いている……まさに機能盛り盛りである。これだけ機能が盛り込まれていて、税込1100円はコスパがかなり高い。

 

特に、ペンケース無しで1本だけ筆記具を胸ポケットなどに差して持ち歩きたい派(これは意外と世間的にマジョリティなのだ)には、ドンピシャで刺さること間違いなしだ。本記事を読んでなんとなくピンと来た人は、迷わず購入を決めて損はないだろう。

 

大人の悪筆も矯正!「ポジットペンシル」を字にコンプレックスを抱える筆者が試してみたらどうなった?

「字が汚い」とか「落ち着きのない子どもっぽい字になってしまう」ことにコンプレックスを抱えている人は、意外に多く存在するのではないだろうか。実は、筆者もその一人。この連載の筆記具レビューでは、いつも落ち着きのない汚文字を読者諸氏にさらすことになるのが、本当に恥ずかしいのである。……などとボヤいていると、知人から「今さらだけど、筆記具の握り方が間違っているんじゃない?」という指摘を受けた。

 

そこで改めてネットで調べた “正しいペンの握り方” と自分の握りを比較してみると……確かにちょっと違っていた。そして正しい握り方だと、ペン先が自由に動かしやすく、ほんのちょっとだけれどマシな字が書けているように思えたのだ。それならば、正しくペンを握るための矯正グリップなどで握り方を矯正すれば、もっときれいな字が身につくのではないか?

↑左が以前までの筆者の握り方。中指以下を強く握り込んでしまっているため、窮屈でペン先が動かしにくかった

 

自然に正しい握り方ができる矯正シャープペンシル

しかし、矯正グリップ導入にはひとつ問題がある。握り方矯正グリップのほとんどは幼児〜小学校低学年向けに作られていて、鉛筆に装着して使う前提のものばかりなのだ。鉛筆を削る度にいちいち矯正グリップを外して、また着け直して、というのはボールペン・シャープペンシルに慣れた身ではどうしても面倒くささが先立ってしまう。では他に何か良いものはないか、と探していたところ、2023年9月に発売されたソニック「ポジットペンシル」に行き当たった。

SONiC
ポジットペンシル(芯径1.3mm/0.7mm)
850円(税別)

 

ポジットペンシルは、太芯(0.7mm/1.3mm)の三角軸シャープペンシルと矯正グリップが一体化した筆記用具だ。当然ながら芯を削る必要がないので、グリップの着け外しもしなくて済む。シリコン製のグリップからは、左右に各1本のリングが飛び出しており、握る際にはそれぞれのリングに親指と人差し指を下から上へ通す形となる。

↑ポジットペンシルを装着した状態。リングのねじれに合わせて指を沿わせると自動的に最適な握りになる仕組み

 

グリップ下部には凹凸があり、軸を握ったときに中指の側面から腹側までがフィットする。左右リングで親指と人差し指を固定しつつ、下部の凹凸に中指をハメ込むように持つことで、自動的に最適な握り方が決まるという仕組みだ。しかも、リング固定のおかげで軸を握るのに指の力はまったく必要なく、ただ軽く指を添えるだけでOK。

↑下部のくぼみに中指をはめることで、さらにペン先が動かしやすくなる

 

この力加減が身につけば、字が汚い人にありがちな「つい無駄に力を込めてグリップを握る」→「力が入りすぎて指が上手く動かせない」→「字が汚くなる」という負のコンボを元から絶つ効果も期待できるのではないだろうか。また、無駄な力を抜くことができるので、長時間筆記がラクになる可能性も高いだろう。

↑指にはほとんど力を入れず、グリップに沿わせるだけ。おかげでペン先がかなりスムーズに動かせるようになった

 

加えて、線を引くための指の動かし方も、このグリップなら理解しやすい。右利きの場合、ペンで縦線を引くには人差し指で軸を下に押すように、横線は親指で右側に押すように、上側に跳ねるには中指で持ち上げるようにコントロールするのが基本。これもリングと下部の凹凸を意識することで、力を使わず効率的にペン先の移動を制御することができるのだ。筆者は特に、横線が極端な右上がりになるクセがあるのだが、しばらく使っているうちに意識ひとつでかなりコントロールできるようになった。

↑指先で操作しやすくなったため、線の上がり癖も少し緩和された気が……

 

シャープペンシルは1ノックで長く書けるセミオートマ機構を搭載

シャープペンシル自体は、“セミオートマチック”とでも言うべき機構を搭載している。これは、筆記によって芯が減ると先端の金属パイプが紙に当たってわずかに後退し、その後退分だけ芯が新たに露出するという仕組みだ。そう聞くと最近人気のオートマチック機構のように思えるが、後退したパイプは自動で元の位置に復帰せず、再びノックし直すまではただ後退し続けるだけ。なので、オートマではなくセミオートマと呼ぶのがしっくり来る感じだ。

↑セミオートマ機構は、金属パイプが後退しきるまでノックせずに書き続けることが可能

 

リングに指を通している都合上、握り変えてのノックにやや手間があるため、この機構を搭載しているのだろう。せっかくならオートマ機構にしてくれたら良かったのに……と思わないこともないが、これでも普通のシャープと比べて1ノックで書ける距離は2.5倍ぐらい長くなるので、そこはまぁ我慢かな、というところ。太芯だけに偏芯も気になるのだが、偏芯対策として軸を回転させることが一切できないのは個人的に残念である。

 

ところで、ボールペンを日常筆記具として使っている我々のような字が汚い大人は、この便利なグリップを普段のボールペンと合わせて使ってみたい、と思うんじゃないだろうか? それなら、偏芯も気にしなくて済むわけだし。

↑個人的には、シャープペンシルよりもボールペンに装着して使いたい。グリップがツルツルしたペンに着けるとより効果的だ

 

結論から言うと、このグリップを軸径の合う別のペンに付け替えることも、可能といえば可能だ。グリップは大パーツと小パーツに分割されているため、外す場合は大パーツを先に動かすのがコツ。装着する場合は、逆に小パーツを先に動かす、と覚えておくと作業がしやすい。

 

ただし、メーカーが認める使い方ではないため、万が一破損などしても自己責任。もし試す場合には、そこは承知のうえでお願いしたい。

↑着け外しをする場合は、分割によってリングが伸びきらないように気をつけるとやりやすい

 

ポジットペンシルは学童用グリップであるため、ややファンシーな外見なのは仕方がない。個人的には、そこを押してでも字がきれいになるなら使うべきだと考えている。ただし、すでに自分の握り方が完成していて自筆に不満がない人が使うと、単に指が固定されて窮屈なだけの拘束具になってしまうので、そこは注意して欲しい。

 

話題沸騰中のオートマチックシャープペンの人気が継続!【NEXTトレンド2024】

“いま”の生活様式にマッチする身近なアイテムのトレンドを予想。今回は文房具ライター・きだてたくさんに2024年の文房具のトレンドについて聞いてみた。

※こちらは「GetNavi」 2024年2・3月合併号に掲載された記事を再編集したものです

 


文房具ライター・きだてたく

最新の機能系からオモシロ雑貨系まで、ひとまずじっくり遊び倒してから語りたい派の文房具ライター。文房具に関する著書も多数。

 

シャープペンシル史上に残る超精密・完全自動機構

三菱鉛筆
クルトガ ダイブ
5500円

先端パイプが紙に当たることで芯を出す従来のオートマに対して、筆記量に連動して芯を出す完全自動化を実現。芯を自動回転させてシャープさを保つ「クルトガ機構」も併せ持ち、集中して「書く」にのめり込める筆記感だ。

↑通常の4倍以上となる45点もの部品で精密な芯の回転・自動繰り出しを制御。芯量も5段階から好みで調整できる

 

迫力のデュアルグリップで筆記の安定感も抜群

ぺんてる
オレンズAT
デュアルグリップタイプ
2200円

フラッグシップである「オレンズネロ」の書き味を踏襲しつつ、自動芯出し機構の心臓部を再設計することで低価格化を実現したモデル。廉価版の枠に収まらない高精度なパイプスライドは、オレンズファンからの評価も高い。

↑ラバー+金属の「デュアルグリップ」は、剛性感の高い握り心地。金属の重みによって低重心化にもひと役買っている

 

オートマをワンコインで!! 高コスパすぎる機能派シャープ

サンスター文具
ノクフリー
495円

しっとり握りやすいラバーグリップと自動芯出し機構の組み合わせで、集中力を切らさず長時間筆記が可能。本体質量は12gと軽量だ。数千円が一般的なオートマチックシャープでは異例の500円切りで高コスパだ。

↑筆記時にペン先が紙に触れて上下動することで芯を繰り出す機構。使い始めにノックすれば、あとは芯1本ぶんをノックレスで書ききれる

 

【ヒットアナリティクス】「オートマ+α」のメガヒットが続くかも

「メインユーザーである中高生からの人気は圧倒的で、『クルトガ ダイブ』などは店頭で抽選販売になるほど。今後はオートマ+αの高機能シャープペンが予想され、怪物級のヒット商品が生まれる可能性もあります」(きだてさん)

先進技術:3 顧客ニーズ:5 市場の将来性:5 独自性:4 コスパ:3

 

話題沸騰中のオートマチックシャープペンはまだまだ新商品ラッシュが継続する

2023年の文具トレンドとしてまず挙げられるのが、高機能シャープペンシル。なかでも特に注目なのが、ノック不要で芯が自動的に繰り出される「オートマチックシャープペン」です。

 

オートマ機構自体は何十年も前からあるものですが、23年になって、精密な完全自動タイプや、高コスパな製品が立て続けに発売されたことから、中高生を中心に爆発的な人気となりました。

 

24年以降は一層の低価格化&高機能化という両軸の進化がほぼ確実視されており、新商品ラッシュが続くのは間違いないところ。

 

さらには「あの人気シャープシリーズもオートマ化するのでは!?」といった噂もチラホラ……。話題のタネはまだ尽きないようです。

 

【このトレンドも見逃せない!】
いつでも推しの姿が拝める“祭壇”型収納ファイル

リヒトラブ
myfa コレクションスタンド L
3960円

アクリルキーホルダーや缶バッジ、カード類がすっきり収納できて、立てた状態で飾れるコレクションスタンド。閉じれば書類ファイルと区別がつかないため、周囲に知られずこっそりと推し活を楽しみたい派から注目が集まりそうだ。

買い忘れてない? プロが選んだ2023年マストバイの文房具5点を発表

実質的にウイルスも感染例もなくなったというわけではないが、人の流れはだいぶ元に戻ってきた感のある2023年だった。文房具業界も、昨年の凪ぎ傾向から比べると勢いもやや上向きな印象で、興味深い製品がいくつも登場している。

 

そこで、あらためて一年のシメとして、「そろそろ年末だけど、あの文房具買い忘れてない!?」という注意喚起の意味も含め、2023年発売のマストバイ文房具5選を紹介しようと思う。今年はいろいろとユニークな製品が発売されていただけに、買い逃しているともったいない物が多かった。本記事を見てまだ持ってないものがあったなら、忘れないうちに早めの購入をオススメしたい。

 

2023年はシャープペンシルの当たり年!

あくまでも個人の感想ではあるけれど、2023年はシャープペンシルの年だったと言っても過言ではないと思う。特に、自動で芯を繰り出すオートマチックシャープが人気の主軸だったが、非自動でもユニークな機能を備えた製品が目白押しだった。全体的にバラエティ豊富でハズレなし! という印象で、なんならシャープペンシルだけで今年の5選枠が全て埋まってしまいそうな勢いなのである。

 

そんな中でも、絶対に外せないものを選ぶとしたら、何と言っても、2023年初頭から話題となった、ぺんてる「オレンズAT デュアルグリップタイプ」だろう。商品名の「AT」とはAutomatic Technologyの略で、ノック不要のオートマ機構搭載を表している。

ぺんてる
オレンズAT(オレンズエーティー) デュアルグリップタイプ
0.5mm径
2000円(税別)

 

書き始めにまず軽くノックして芯を出したら、あとは芯1本を書ききるまで自動的に芯を出し続けてくれる。これによって、書けなくなる度にノックを強いられて集中力を削がれることがなくなり、長時間の筆記が続けやすくなったというわけ。「オレンズAT」の特徴は、このオートマ機構の心臓部を従来のものから再設計し、ローコストでも芯出しの精度を維持しているところだ。

↑軸内で芯を固定するボールチャックを金属の削り出しからプラに替え、オートマ機構を低コスト化した。性能はこれでまったく問題なし

 

合わせて特徴的なのが、金属の外装にゴムの突起を組み合わせたデュアルグリップ。重みを活かした低重心化とゴムによるグリップ性能を併せ持ち、さらに見た目のインパクトも増し増しになった、というなんとも印象に残る製品となっている。

↑12角形の金属グリップからゴム突起が突き出したデュアルグリップ。無骨なルックスがとにかく印象的だ

 

新開発のシャープ芯は滑らか高性能

もうひとつ、「オレンズAT」と同時期に発売された新型のシャープ芯「Pentel Ain(ぺんてるアイン)」も、注目の製品として語っておきたい。ぺんてるのシャープ芯としては13年ぶりのブランド刷新ということになるが、ただ単にパッケージを変えただけ……といったものではなく、芯の製法を新たにし、原材料に特殊なオイルを混ぜ込む新製法を用いるなど、性能も大幅に向上した

ぺんてる
Pentel Ain(ぺんてるアイン)
各220円(税別)
芯径0.2/0.3/0.4/0.5/0.7/0.9/1.3

 

シャープ芯は「黒の濃さ」と「芯の減りにくさ」、「書き味の滑らかさ」と「折れにくさ」などがそれぞれトレードオフの関係にある。例えば、濃い芯はすぐに減りやすいし、滑らかな芯は筆記中に折れやすい。これはもう根本的な部分なので仕方のない話なのだが、「Pentel Ain」は新製法によって、それらの性能をかなり高いところでバランスさせた優れものなのだ。

↑なめらかで粉が出にくく、発色クッキリ。書き比べると「違うな…!」と体感できる

 

特に、書き味の滑らかさは素晴らしく、ただスルスルと芯先を動かしているだけで、もうっとりする気持ち良さ。従来の替え芯と書き比べても、おそらくほとんどの人が違いを体感できるはずだ。この滑らかさは、ノンストップで長時間書き続けることになりがちなオートマ機構ととても相性が良い。ぶっちゃけると、オートマチックシャープを使うならこの芯がマスト、というレベルでオススメしたい高機能芯だ。

 

1100円で買える超高性能シャープペンシル

もう一点シャープペンシルを選ぶとしたら、トンボ鉛筆「モノグラフファイン」を紹介したい。こちらはオートマ機構を搭載していないが、その代わりに “ちょっと驚くレベルの高コスパ” であることがポイントだ。

トンボ鉛筆
モノグラフファイン
各1100円(税別)
2色展開

 

まず、口金を含む前軸全体が真ちゅうを削り出した一体成形なので、口金が緩んでガタつくなどのブレ感がゼロ。加えて、この前軸パーツの重量がかなりすごい。机に落とすと「ゴトン」と重い音がするほどで、かなりの低重心化が図られている。また、グリップ部には特殊なソフトフィール塗装が施されており、金属ながらツルツルと滑ることなく、しっとりとした手触りが得られる工夫も。つまり、徹底的な高剛性・低重心・高グリップ性能によって、筆記時の安定感は抜群。もちろん好き好みはあるだろうが、この筆記性能に不安を感じる人はいないのではないだろうか。

↑剛性の高い前軸には、薄くゴム引きをしたような手触りのソフトフィール塗装が施されている

 

さらに、軸後端のMONOカラーリングからも分かる通り、ノックノブ内にはφ3.6mmの繰り出し式MONO消しゴムを搭載。しかも、この消しゴムは軸を逆さすると、内蔵のスイッチによって自動的にノックノブがロックされる。ゴシゴシと圧をかけて消しゴムをかけてもノブが押し込まれず、スムーズに字を消せるのは地味に嬉しい機構である(ちなみに、ペン先を下に向ければ、ロックは自動解除)。

↑軸を逆さにするとノック周りがロックされる「ファインイレース機構」を搭載

 

これだけ機能が盛り込まれていて、価格が1100円なのだ。前述した通り「コスパ高すぎ!」としか言いようがないアイテムであることが、お分かりいただけたであろう。

 

たっぷりインクで書きやすい静音ボールペン

ボールペンにもいくつか注目したい製品があるが、個人的にハマッたのが、サンスター文具のゲルボールペン「ミュートンである。こちらは、一昨年からのペントレンドである静音機構を搭載し、ノックしてもカチカチと大きな音がしない、というのが最大の特徴となっている。

サンスター文具
mute-on(ミュートン)
240円(税別)
8色展開

 

一般的なノック式ボールペンと比較すると、ノック音が20db以上小さく、普通の環境下ならノックした本人に聞こえるかどうかギリギリ、という静音ぶり。これなら、図書館のような静かな場所でも、なんの気兼ねもなくペン先の出し入れができるだろう。各社から発売されている静音ボールペンの中でも、ミュートンはトップクラスの静音性能と言って間違いはなさそうだ。

↑カチッ! という耳障りな高音域がカットされており、ノック音はほぼ意識できないレベル

 

と、静音性の話をしてきたが、実は筆者がミュートンを気に入ったのは、静音性能ではなく書き味の良さの部分だったりする。とにかくたっぷりとインクが出るつゆだく系のフローで、とても軽く、サラサラと気持ちよく書けるのだ。つまり、筆者のように書き味の良さで選んだとしても、ついでに周囲にノック音で迷惑をかける心配も無くなるわけで。これは、まさに選ぶ価値のあるボールペンだと自信を持っておすすめできる。

↑静音性もありがたいが、個人的には書き味のサラサラ感も素晴らしいと感じた

 

今年も進化が止まらない開梱カッター

さて、筆記具ばかりが続いたが、5つ目に紹介したいのはハサミ兼開梱カッターのコクヨ「2Way携帯ハサミ<ハコアケ>」(以下、携帯ハコアケ)だ。こちらは、開梱用ハサミ「ハコアケ」シリーズから、ペンケースに入れて携帯できるモデルとして発売されたものである。

コクヨ
2Way携帯ハサミ<ハコアケ>
左:チタン刃 1200円(税別)
右:スタンダード刃 850円(税別)

 

フォールディングナイフの柄のような形状で、本体側面にあるスライダーを動かすことで、連動して本体内から刃がニュッとせり出す。このスライダーを中央で止めると開梱カッターモード、最奥まで押し込み刃が飛び出すとハサミになるという仕組みだ。

↑スライダーの押し込みによってモードチェンジ!

 

開梱カッターモードでは、露出した刃を梱包テープに突き刺して引き切ることで開梱作業を行う。このとき、段ボールの上面および側面にカッター刃が最適な角度で入るよう、本体にガイド機構が付いているのがポイント。これがなかなか効果的で、開梱カッターを使い慣れてない人でも手間取ることなく、サクッと素早く作業を行うことができるのだ。ハサミの方も、硬いPPバンドが切れるぐらいの性能があり、これひとつ手元にあれば、家庭レベルの荷開けなら間違いなくかなり効率的になるだろう。というわけで、商品名には “携帯” とあるが、個人的には自宅の玄関脇に備えておくことをぜひオススメしたい。

↑ナナメになった本体底部を梱包テープに当てると、ジャストな角度で刃が入るガイド機構が便利

 

最後に、来年の文房具動向予想も添えておこう。確度が高そうなのは、「来年もシャープペンシルが面白そう」という辺りだ。ぺんてるが「オレンズAT」用に開発したオートマ機構の心臓部(ボールチャック)は、おそらく次に出てくる新製品にも搭載されるはず。より廉価な量産機になるか、オートマ+αの高機能機になるかは定かではないが、どちらにしても興味深いシャープになることは間違いない。

 

また、これだけオートマチックシャープの注目度が高まっているにも関わらず、まだ現時点で参戦していない筆記具メーカーがあるのも気になるところだ。

 

他にどのジャンルが盛り上がるかはまだ分からないが、2024年も引き続き新製品をチェックし続けていきたい。

持ち替え不要! 押さずに引いて芯を出すシャープペンシル「トプルS」の小粋な工夫とは?

これはあくまでも個人的な感覚なのだが、シャープペンシルにオートマチックはいらないかな、と思っている。筆者は極端に集中力が続かないタチなので、書き物をしているとすぐに「一息入れたいなー」と弱音を吐きがち。そういうとき、シャープの芯を出すノックがいい感じに “一瞬の休憩” になるというわけ。対してオートマチックだと、芯が1本なくなるまで休憩タイミングが来ない。これだと集中力を欠いたままダラダラと書き続けることになるので、メリハリが付かなくて、あまりよろしくないのだ。

 

なので、ひとまず「シャープにノックは欲しい派」なのだが……軸後端のノックノブを押すとき、イチイチ軸を握り直す手間が発生するのがどうも釈然としない。もうちょっと効率の良いノック方法があってもいいんじゃない? とも思うのだ。

 

先端引っ張りノックのユニークなシャープペンシル

過去には、軸側面にノックボタンを付けたサイドノック式や、軸を中程から少し折り曲げるボディノック式など、いろいろなノック方式のシャープが存在した。ただ、機構的にトラブルが起きやすかったり、コストが高い割にあまり売れなかったり……などの問題から、現在ではそのほとんどが廃番となっているのである。そんななかで、久々に登場した“変態ノック機構”のシャープとして注目されているのが、サンスター文具の「トプルS」だ。

サンスター文具
トッププルシャープ topull S(トプルS)
各360円(税別)
8色展開

 

トプルSは、見た目からしてなかなかにユニークだ。先端の金属製の口金(?)・プラの細い軸・軸、と三段で構成されたペン先が目に付くが、他にも前軸の不思議な分割や、それ以外にはほとんど凹凸のないデザインなども気になるところ。もちろん、後端にノックノブなんか存在しない。そして、肝心のノック機構に直接関係してくるのが、三段のペン先と前軸分割である。

↑この筆記状態からほとんど握り直さずにノック(芯出し)ができるのがポイントだ

 

↑3段のペン先と、パーツがS字に噛み合ったような分割線がとにかく目立つ

 

ノックする際には、まず先端の細軸・軸の段差に人差し指と中指をかける。指をかけるときは、第一関節に近いあたりをひっかけるようにすると、やりやすいだろう。あとはそのまま手を握り込むようにして引き込むと、前軸の分割線のところから押し込まれて、カチッとノックされるという仕組みだ。これがサンスター文具独自の、先端を引き込んでノックする「トッププル機構」である。

↑ペン先の段差に人差し指と中指をかけてグッと引くと、カチッとノックされて芯が出る

 

 

ノックする際に軸を持ち替える手間はほとんどないため、効率の点ではかなり良さそう。筆記体勢のまま1ノックして、また筆記に戻るまでの所要時間は確実に1秒以下。かなりスピーディーにノックできるし、すぐさま筆記に戻りやすい。

 

ただし、ノック感がかなり重めなので、それを指先で操作するのはちょっとしんどいかな? と感じられた。さらに、段差が小さすぎて指の引っかかりが悪く、それをフォローするために、より指の力が必要になる。結果として、何度かノックしていると指がダルくなってしまうのだ。これに関しては、ある程度は慣れによって気にならなくなる……ような気はするが、できれば購入前にいちどノック感を試したほうが良いと思う。

 

意外な構造でコストダウンを図っている?

実際に試してみて感じたのは、まず先端視界の良さだ。トッププル機構のため、軸先に段差がついて細くなっている分、通常のコーンタイプの口金よりもペン先周辺が見やすい。重心は高めだが、トッププル用の分割線に指が掛からないようにすると、自動的に軸のやや上めを握る姿勢になるので、さほど気にならなかった。

↑先端が細く絞られているので、ペン先周囲の視界は良好だ

 

ちなみに芯の補充は、細軸をつまんでひねって軸から分離し、シャープリフィルを抜き出して行う。リフィル自体がかなり細いので、芯は2〜3本でいっぱい。誤動作防止のためには、入れておく芯は無理せず2本で止めておくのが良さそうだ。

↑芯は軸からリフィルを抜き出して補充する

 

ところでこのリフィル、なにか既視感がある。もしかして、多機能ペンで使われている汎用品のシャープユニットをそのまま転用しているのではないか、と思われる。おそらくは生産コストを下げるための試みなのだろうが、わりと思い切った作りである。

 

他にないユニークなノック機構でありつつ300円台という低価格を実現するには、こういう工夫が必要なのだろう。さまざまな面で非常にチャレンジブルなシャープペンシルといった印象なので、文房具好きならひとまず試しておく価値はあると思う。

 

2023年コスパ最強シャープでは? トンボ鉛筆「モノグラフファイン」は4段階で削り出したペン先が生み出すお値段以上の使い心地

まだ1年の振り返りをするには少し早いが、2023年はシャープペンシルの当たり年だったということで間違いなさそうだ。1月にはぺんてるが、高コスパなオートマチックシャープ「オレンズAT」と合わせて新しい機能芯「Ain」を発売。三菱鉛筆からは超ハイスペックシャープ「クルトガダイブ」が継続品となり、加えてペン先ブレを抑制した「クルトガKSモデル」も登場……など、とにかくシャープペンシル周りのトピックが多かった。

 

5000円超えのクルトガダイブは脇に置くとしても、全体的には「高機能かつ低価格」がポイントになっていたようにも思える。つまり、2023年に発売されたシャープペンシルは、どれも総じてお買い得だったということ。

 

コスパ高すぎのハイクラス・シャープペンシル

そんな中でも、発売直後から「これ、2023年コスパ最強シャープでは!?」と話題になっているのが、10月末に発売されたトンボ鉛筆の「モノグラフ ファイン」だ。こちらは、2014年に発売された初代「モノグラフ」以降、常に高い人気を誇る “繰り出し消しゴム付きシャープ” シリーズの、ハイクラスモデルという位置づけ。

トンボ鉛筆
モノグラフ ファイン(芯径0.3mm/0.5mm)
各1100円(税別)
2色展開

 

軸全体の雰囲気がシンプルなだけに、まず目を引くのが先端コーン周りの緻密な形状だろう。こちらはまずΦ10mmのボディをΦ8.8mmに削っている。これを逆アール加工でΦ4.8mmに削り、さらにΦ3.4mmに削り段差をつけてから、再び逆アール加工でΦ1.6mmまで削って先端パイプにつなげる、という4段のテーパー加工になっている。この加工によってシルエットをスリムにし、ペン先周りの見通しを良くしよう、という狙いのようだ。

↑複雑に削られたペン先が特徴的だ

 

しかもこの複雑な先端コーンは、別パーツではなくフルメタルの前軸を削り出したもの。つまりグリップからペン先までが一体化しているので、ガタ付きやブレのようなものはほとんど伝わらない。また、前軸自体に重量があるため、重心が非常に低く、筆記時にどっしりとした安定感が得られるのも大きなポイントだ。おかげで筆記感はとても落ち着いたもので、シャッと走り書くときにも、筆圧をかけてグイグイ書くときにも、安定して応えてくれる。

↑金属製の前軸は、机に置くと「ゴトン」という音がするぐらいに重量感がある

 

↑筆記の安定感はさすがのひとこと。テーパー加工のおかげでペン先の見通しも良好だ

 

また、グリップも9.6mmとボディより一段削られており、指の収まりが良いように設計されている。

 

使用感への配慮は塗装にもある。前軸全体には「ソフトフィール塗料」と呼ばれる、耐加水分解に優れた特殊塗料を塗装。これにより、ほのかにしっとりとした手触りが与えられるだけでなく、長時間の使用でもベタつきが発生しないのだ。「手汗をかいても滑らない!」というほどガッチリとしたものではないが、それでもシンプルな外観を保ちつつグリップ感を高める工夫としては、なかなかに面白いアプローチだと思う。

↑一見するとツルツル滑りやすく見えるが、しっとり感のある特殊な塗料のおかげでグリップ性能は悪くない

 

オートロック機構付き消しゴムだから、力を入れてゴシゴシ消せる

「モノグラフ」シリーズと言えば、消しゴム機能も重要なポイント。当然ながら「モノグラフ ファイン」も、軸後端に回転繰り出し式のロングな消しゴムを搭載している。使う際は、ノックノブを時計回りにひねるようクリクリ回すと、中からΦ3.6mmの細い消しゴムがスーッと出てくる仕組みだ。

↑消しゴムは消字力優先でさほど固くないので、長く繰り出しすぎないことがコツ

 

ひとつ面白いのは、消しゴム使用時に自動でノックノブの押し込みを防ぐロック機構が備わっている点だ。軸を逆さま(ペン先を上)にすると、軸内部のスイッチが重力によって動き、ノックノブが軸に潜り込まないよう固定してくれる。同タイプの消しゴムユニットを持つエントリーモデル「モノグラフライト」では、消しゴムを少し強めにかけるとノックが押されて芯が勝手に出てしまう、なんてこともあったので、このロック機構はシンプルにありがたい。

↑軸を逆さまにすると自動的にノックノブがロック。これなら安心してゴシゴシと強めにこすることができる

 

消しゴムはやや硬めながら、さすがMONOブランドだけあって、消字力は間違いない。スリムさを活かして細かな部分修正も簡単にこなせる。ちなみに、消しゴム自体は消耗部品として別売り(モノグラフライト/ファイン用)されているので、気兼ねなくガンガン使えるのも嬉しい。

↑別売の専用消しゴムは3本入り100円(税別)

 

消しゴムの交換は、ノブを回して消しゴムをいっぱいまで出し切ったら指でつまんで取り出し、新しい消しゴムを装着するだけ。芯の入れ替えをする場合には、消しゴム内蔵のノックノブをそのまま引き抜くと、芯タンクへの穴がオープンになる。最初は少し迷うかもしれないが、一度やれば簡単に分かるはずだ。

↑消しゴムユニット(ノックノブ)をスポッと引き抜くと、芯の補充が可能に

 

そのほかにも、クリップが手に当たらない短くされたショートクリップなど、細部まで気の効いた作りは素晴らしい。

↑ショートクリップは、シャープペンシルを回しながら書く派に嬉しい仕様だ

 

なにより、金属前軸による剛性感の高さと落ち着いた書き味を体験したあとでは、「これで1100円ってさすがにコスパ良すぎじゃない?」という気持ちにもさせられる。要するに、ハイクラスモデルのシャープペンとして十分満足できるアイテムだということ。これを買って損した気分になる人がいるとは考えにくいので、見つけたらまず購入! で間違いないと思う。

 

神秘的な輝きを帯びたオーロラカラー! 自動で芯が出るシャープペンシル「KURUTOGA DIVE」に新色「オーロラパープル」登場

三菱鉛筆は、書き始めから書き終わりまでノックすることなく書き続けられる世界初の機能が搭載されたキャップ式シャープペンシル「KURUTOGA DIVE(クルトガ ダイブ)」の新しい軸色オーロラパープルを、11月24日に発売します。芯径は0.5mm。価格は5000円(税別)です。

 

KURUTOGA DIVEは、“芯が回ってトガり続けるシャープ”「クルトガ」シリーズから、“「書く」にのめり込む”をテーマに開発され、「のめり込む」を意味する「DIVE」から名付けられています。没入できるような雄大な景色や情景を想起させる軸色を採用することで、テーマである“「書く」にのめり込む”の世界観をより濃く表しています。

 

今回発売する新軸色オーロラパープルは、クルトガシリーズで初となる偏光塗装を施し、オーロラが浮かぶ神秘的な夜空を表現。見る角度によって鮮やかな表情から深みのある色味まで見え方が変化する仕様です。

 

筆記に合わせオートマチックに芯が繰り出される機構を搭載しているので、筆記中のノックによって思考が途切れるといったことがなくなります。一定の画数で芯が自動的に繰り出されることで、パイプが紙面に当たることがなく、筆感を損なわずにそのままの書き心地で書き続けることができます。

 

筆記時の芯の摩耗量は、使う人の筆圧の強弱や、シャープ芯の硬度の種類、使用シーンによって様々であるため、自分好みの書き心地に合わせて、芯の自動繰り出し量を5段階で調節できます。

 

キャップの中には新開発の初筆芯繰り出し機構を搭載し、キャップを外す所作と同時に一定量の芯が繰り出されるので、筆記前のノックや、芯の長さを調節する煩わしさを軽減しています。キャップ式にすることにより、落下時の衝撃等から繊細なペン先を保護する機能も併せ持っています。キャップは吸着感のあるマグネット式でスムーズに閉めることができ、「カチリ」という音とともにクセになりそうな心地よさも演出。

 

クルトガシリーズの特徴である自動芯回転機構「クルトガエンジン」を搭載し、書くたびに芯が少しずつ回転することで、芯先が“いつもとがった状態をキープ”でき、一定の筆記描線で、精密にくっきりと、滑らかに書き続けることが可能です。

自動で芯が出るオートマチックシャープ! ノックの煩わしさから解放されたシャープペンシル「nocfree」

サンスター文具は、オートマチックシャープ「nocfree(ノクフリー)」を、10月下旬から全国の文房具取扱店やオンラインショップなどで発売します。価格は495円(税込)。

 

同製品は、自動で芯が出てくる“自動芯出し機構”を採用。筆記時にペン先が紙面に当たり上下運動することで自動で芯が送り出される仕組みです。

 

本体サイドのノックをするのは使い始めの1回だけで、ノックの煩わしさを気にせずに書き続けることができます。ガイドパイプ付きで、芯折れを防いでくれます。

 

従来のシャープペンと比べて、ノックから解放されることで、タイパ(タイムパフォーマンス)の向上にもつながります。持ち手部分もラバーグリップで滑りにくく、筆記に集中しやすくなり、勉強や仕事の効率化も期待できます。

 

本体のカラーバリエーションは、クールブラック、コーラルレッド、アイスホワイト、ナイトネイビー、オーキッドピンク、ミントブルー、ラテベージュ、セピアバイオレットの全8色。

持ち運び時にペン先を傷めない「ダブルノック機構」搭載! ペン先を完全収納できるシャープペンシル「Writoll」

サクラクレパスは、ダブルノック機構のシャープペンシル「Writoll(ライトル)」を、11月中旬から、全国の文具店・書店などで販売開始します。

 

従来の、ペン先が細いタイプのシャープペンシルは、筆記時の文字の視認性は高いものの、ペンケースなどに収納して持ち運んでいるときにペン先の折れや曲がりが生じるという悩みもありました。

 

今回発売となる同製品は、ペン先を完全に収納できるダブルノック機構を搭載。ペン先を収納できるダブルノック機構と、“書く”ことに集中できる視認性の高い細いペン先を併せ持っており、持ち運び時の折れや曲がりの不安をなくしています。

↑ダブルノック機構

 

製品名は、英語のWrite(書く)とドイツ語のtoll(素晴らしい、最高)をかけ合わせた造語で、「“書く”という行為に素晴らしく集中できる」という意味が込められているそうです。

 

ラインナップは、落ち着いた色味の全6色(芯径0.3mm…ホワイト、ダークグレー、ダークグリーン/芯径0.5mm…ブラック、ダークレッド、ダークブルー)。価格は550円(税込)です。

↑左から、ホワイト、ダークグレー、ダークグリーン、ブラック、ダークレッド、ダークブルー

芯が尖るお馴染みのシャープペン「クルトガ」唯一の欠点を解消!「クルトガ KS」の完成度を検証

三菱鉛筆の「クルトガ」といえば、書くたびに芯を自動で回転させる機能でお馴染みの、高機能シャープペンシルだ。ペン先が紙に触れることで内部のメカが働き、1画ごとに約9度(「クルトガアドバンス」は18度)ずつ芯を回転させる。この仕組みにより、芯先端の偏減り(接地面が偏って摩耗すること)を防ぎ、常にシャープな美しい字が書けるというのが最大のポイントだ。

↑一時期は「中高生の所持率70%・認知度100%」だったという伝説級のシャープペンシル「クルトガ」シリーズ

 

これが実に素晴らしく効果のある機能で、使用中は常に芯先が気持ちよく尖るため、繊細で美しい字が書きやすくなる。一方で、この機構のせいで芯先がカチャカチャとブレる、という問題もあったりする。このブレが気になる人だと、どうしてもクルトガを使いづらく感じてしまうのだ。

 

芯ブレを抑制した新しいクルトガ・スタンダードモデル

芯が紙に押しつけられる力を利用してギアを動かしているので、ブレに関しては機構的に仕方ない部分ではある。でも、集中してノートを取りたいときほど、書くたびにこの “カチャカチャ” が邪魔に感じられてしまう。クルトガの機能が優秀なだけに、逆にこのささやかな芯ブレというネガティブな部分が目に付くのだ。

三菱鉛筆
クルトガ KS
各550円(税別)
0.3mm/0.8mm 各4種、全8種展開

 

そこで紹介したいのが、2023年2月に登場した、三菱鉛筆「クルトガ KSモデル」こと新スタンダードモデルである。こう名乗っているからには、つまり今後はこれがクルトガシリーズのスタンダードタイプになりますよ、ということなのだろう。初代が2008年に発売されたので、15年めの大リニューアルというわけだ。

↑カチャつきが完全にゼロになったわけではないが、それでもかなり抑えられているのがハッキリ認識できた

 

リニューアルの内容は明確で、冒頭でも述べた、クルトガ独自のカチャカチャとしたブレの軽減である。試しに書いてみると、まだ先端からほんのわずかに “カチャッ” とした振動は感じるけれど、集中して書いていれば気にならなくなるレベル。それでいて、芯先は確実に回転しているので、クルトガらしく鋭い筆跡がきちんと残る。


プレスリリースには「クルトガエンジンを改良し、筆記中のブレを軽減」とだけある。ここから考えると、芯先のカチャカチャという上下動を回転運動に変える機構、つまり「クルトガエンジン」を調整して、少ない上下動でもギアが回るように精度を高めたのだろうか。先端パイプの根元パーツ(パイプと共に上下動する部分)が、従来のプラスチックから金属へと変更されていることからも、その線で合っているような気はする。

↑パイプの根元にあるパーツが変更されているのも、クルトガエンジンの精度向上に関係していそう

 

“見せるクルトガ” を廃して握りやすさをアップ!

もうひとつ、このKSモデルで個人的に評価したいのが、ゴムグリップが搭載されたこと。従来のクルトガ スタンダードモデルは、クルトガエンジンの機構を可視化するため、グリップ周りが透明になっていた。これによって上下動が回転運動に変えられるのが逐一観察できたわけだ。(ちなみに、スタンダードではないが、非透明のゴムグリップやローレットモデルは存在する。)

 

しかし、クルトガ発売から今年でもう15年。正直なところ、今さらそれをアピールされてもなぁ……という気はするわけで。それならいっそ、見えなくてもいいからゴムグリップにしてもらったほうが、指が滑らず握れてありがたいと思っていた。

↑クルトガエンジンの動きが見える透明グリップの従来モデル(下)に対して、ゴムグリップとなったKSモデル(上)。グリップ力は当然ゴムの方が高い

 

クルトガ KSは、表面モールドもないゴムグリップだが、それでもツルツルのプラスチックよりは確実に握りが安定する。また、グリップ自体も先に向かってほんのりと太くなる逆テーパー形状で、筆記中に指の位置がずり落ちていくのを防ぐ効果があるのだ。

↑絶妙な逆テーパーで指の位置が安定。なによりゴムグリップの握りやすさがありがたい

 

カチャつき軽減で書きやすく、さらにグリップ変更で握りの安定感もアップ。実際に書き比べてみると、もう今までのクルトガに戻るのイヤだなー、と思える品質向上を感じられた。そもそもクルトガ独自の価値である “偏減りを防止してシャープな線が書ける” という機能は変わらないので、今回のスタンダードモデル改変は、シンプルに「大成功」以外の評価はなさそう。

 

特に、これまでクルトガのカチャつきでイラッとしたことがある人や、それでクルトガから離れてしまった人には、改めて一度は試してみてほしい。

 

シャープペンシルの常識を変える!? 2本の指先で“引いて”出す、次世代型シャープペンシル「topull S」

サンスター文具は、次世代型シャープペンシル「topull S(トプルS)」を、8月上旬に発売します。価格は396円(税込)。

 

同製品は、ペン先にノック機構があり、2本の指で引いて芯を出す“トッププル機構”を搭載したシャープペンシル。親指でノックして芯を出さず、先端を引いて芯を出す新しい仕組みが特徴です。「トプル」という名前は、トッププル機構に由来しています。

 

シャープペンシルは通常、手首を大きくひねって本体を持ち替えてノックをするのに対し、同製品はペンの先端にノック機構が搭載されているので、本体を持ち替えずに2本の指で引いて芯を出すことができます。従来のノックと比べて、先端にノック機構を持ってくることで、タイパ(タイムパフォーマンス)の向上にもなるとしています。

 

頭部がフラットなシンプルなデザインで、カラー展開はブラック、ネイビー、レッド、ホワイト、ブルー、ベージュ、ミント、バイオレットの全8色です。

台湾発! 天然木材の独特な質感を味わえる木軸ペン「フュージョン カラーウッド」ゲルインクボールペンとシャープペンシルが登場

インターアクトは、台湾の筆記具ブランド「IWI」のフュージョンシリーズ最新作、フュージョン カラーウッド、0.5mmゲルインク ボールペンとシャープペンシルを、7月3日に発売しました。

 

本体は天然木材を使用しており、自然な風合いと温かみが特徴。木の独特な質感で、ペン自体の個性を引き立てています。

 

カラーバリエーションはカラーウッドブラス、カラーウッドブラックの2種類。

 

価格はゲルインク、シャープペンシルともに3000円(税別)です。

落ち着いたニュートラルトーンでキメる! 「MONO消しゴム」などトンボ鉛筆の人気アイテムが全5色の「ASH COLOR」で限定登場

トンボ鉛筆は、ブランドMONOとPiTの6アイテムを、ニュートラルカラー「ASH COLOR(アッシュカラー)」で展開。トープ、セージ、スチール、モーブ、ラベンダーの5色で、6月30日から限定発売します。

 

今回発売となるのは、MONOからシャープペンシル「モノグラフ」、油性ボールペン「モノグラフライト」、修正テープ「モノポケット」、消しゴム「モノPE04」。PiTからスティックのり「消えいろピットXS」、テープのり「ピットエアーミニつめ替えタイプ」。

 

モノグラフは、回転くり出し式の長さ26mmの「MONO消しゴム」を搭載したシャープペンシル。軸を上下に振って芯を出す「フレノック機構」や、ペン先周りが見やすく細字に適した先金パイプの製図用ペン先などを搭載しています。芯径は0.5mm。価格は450円(税別)です。

 

モノグラフライトは、5.2mmロングニードルチップを搭載し、ペン先周りが明るく、精密な筆記が可能です。摩擦抵抗が業界標準より約20%低く、軽く滑らかな筆記感を味わえます。超低粘潤滑油性インク採用。長さ33mmの同系色高密度テクスチャーグリップを採用。ボール径は0.5mmです。価格は220円(税別)。

 

モノポケットは、消しゴム感覚で使用できる小型の修正テープ。机の上で転がりにくく、ペンケースにおさまりよい角型が特徴。フルカバーキャップ付きで、手ブレ補正スケルトンヘッドを採用しています。テープは幅5mm×長さ4m。価格は250円(税別)です。

 

モノPE04は、同社のロングセラー消しゴムの3色ストライプをアッシュカラーで展開し、同時発売のシャープペンシルやスティックのりとコーディネートできます。サイズは幅23×厚さ11×全長55mm/重量19g。価格は120円(税別)です。

 

消えいろピットXSは、淡いブルーののり色で、塗った箇所が見えるので、ムラやムダのないのり付けがしやすくなっています。紙を貼り合わせるなど、のりが乾燥するとのり色が消えます。サイズは直径17×長さ71mm/重量12g。のり容量約5g。価格は120円(税別)です。

 

ピットエアーミニ つめ替えタイプは、最後まで軽く引くことができて、静かな走行の「エアータッチシステム 」搭載の手のひらサイズテープのり。つめ替えタイプです。
テープ幅は6mm×11m巻で、価格は330円(税別)。

洗練された上質なミニマルデザイン! 操作感にもこだわったフルメタル製ケースのシャープ替芯「uni メタルケース」

三菱鉛筆は、シャープ替芯「uni(ユニ)」から、スタイリッシュな外観とスライド開閉の操作感にこだわった、「uni(ユニ) メタルケース」を発売しました。税別価格は1500円で、硬度はHBのみ。芯径は0.3mm(25本入)と、0.5mm(40本入)の2種類です。

 

同製品は、既存の「uni(ユニ)」のスライド式を踏襲しながら、ステンレス素材のメタルパーツだけで組み上げたフルメタル製ケースを採用。ケースにスプリングを内蔵し、スライド開閉時の動きをアシストする、心地良い操作感が特徴です。

 

デザインは、スクエアな形状やアイコンとなっているケース正面の円形のくぼみなど、既存製品のデザインコンセプトを維持しながら、あらゆる要素をそぎ落として、よりミニマルに。ケースから芯径・硬度表示をなくし、uniロゴのみをレーザー印字することで、メタルの素材感を生かした、スタイリッシュな外観に仕上げています。

↑シャープ替芯「uni(ユニ)」

使いやすさとデザイン性が向上! 改良「クルトガエンジン」を搭載した「クルトガ 新スタンダードモデル」

三菱鉛筆は、「クルトガ」から、「クルトガ KSモデル(新スタンダードモデル)」全8種を発売しました。

 

実売価格は550円(税別)で、芯径は0.3mmと0.5mmの2種類。カラーバリエーションは、0.3mmがブルー、ブラック、アイスブルー、ライトグレー、0.5mmがブルー、ネイビー、アイスブルー、ライトグレーの各4種類です。

 

「クルトガ」は2008年3月発売。シャープペンシルの芯先に着目し、新開発した機構「クルトガエンジン」を搭載した、“芯が回ってトガり続けるシャープ”。今回発売されたクルトガ 新スタンダードモデルは、従来のスタンダードモデルでは先端側にあったエンジンを軸中央部に配置することで、デザイン性や機能面も向上しています。

 

芯を回転させ、芯先をトガらせるクルトガエンジンを改良。筆記中に起こるブレをさらに軽減することで、筆記中のストレスが減り、より仕事や勉強に集中できるようサポートします。

 

ユーザーから要望が多かったという、長時間の筆記に適したグリップを新搭載。エンジンを軸の後端にずらしたことでグリップを搭載しても太くなり過ぎず、握りやすく最適な形状と太さに仕上げています。グリップ部分は先端に向かって少しずつ太くなることで、長時間使用しても指の位置が下がることなく、持ちやすい位置をキープすることができます。

↑グリップの形状

 

シームレスですっきりとしたシンプルなデザインが特徴。クルトガブランドイメージカラー「ブルー」を中心とした、ワントーンで日常になじむ配色や、クルトガエンジンの回転が確認できる小窓、緩やかに先端が細くなることでペン先が見やすく書きやすい設計など、従来モデルの良さを残しつつ、デザイン性も向上させています。

ノック1回だけで書き続けられるシャープペン「オレンズ」の新作ATがフラッグシップより優れているポイントは?

高性能なシャープペンシルには、自動芯出し機能を搭載している製品がある。自動芯出し機能とは、「いちいちノックをしなくとも、芯を常に最適な長さで露出させる」という機能で、“オートノック”なんて呼ばれ方もしている。

 

特に試験などで1秒のロスも減らしたい! といったシーンだと、もしかしたらわずか数回のノック時間を省くことで、合否が分かれる可能性だってあるだろう。大げさと思われるかもしれないが、少なくとも神社で学業御守りを買うよりは、自動芯出しシャープを買う方が現実的な合格ルートへの道かもしれない。

 

オートマ仕様の新「オレンズ」登場!

筆記具メーカーのぺんてるから、2023年1月24日に発売された「オレンズAT デュアルグリップタイプ」(以下、オレンズAT)は、自動芯出し機能を搭載した新型シャープペンシルだ。「AT」とは「Automatic Technology」の頭文字である。

ぺんてる
オレンズAT(オレンズエーティー) デュアルグリップタイプ
0.5mm径
2000円(税別)

 

ぺんてるの自動芯出しシャープといえば、同シリーズのフラッグシップとして2017年に発売された「オレンズ ネロ」を思い出す人も多いだろう。ただ、こちらは金属の削り出しチャック(芯を固定するための、シャープペンシルの心臓部)を搭載するなど、ハイスペックながら量産には向かない構造の、いわばスポーツカーのようなものだった。

↑オレンズネロ(下)との比較。外見上の大きな違いはグリップだけだが、内部構造はパーツ数なども含めて別物となっている

 

対して新しいオレンズATは、チャックを樹脂化し、より普及モデルらしい造りになっているのがポイントだ。

 

そう聞くと、オレンズネロの単なる廉価モデルかと思えるが、さにあらず。メーカー曰く「樹脂チャックでも精度を落とさないよう、かなりの開発期間をかけて製品化した」とのことで、むしろ普及モデルとはいえ非常に手のかかった1本と言えそう。

↑書き出しで一度ノックをすれば、あとは芯切れまで延々と書き続けることが可能

 

オレンズシリーズの自動芯出しは“パイプスライド式”と呼ばれる方式だ。まず書き出す際にノックを1回。するとコーンに収納されていたガイドパイプと芯がスルッと出てきて、筆記可能となる。

 

あとは筆記によって芯が減るにつれてパイプも一緒に軸内に後退し、芯先が紙から離れると、バネの力でパイプと芯が元の位置まで引き出される……という仕組み。

 

つまり、最初にワンノックだけしたら、以降は書き続ける限り芯が1本なくなるまでノック不要、ということになる。

↑ずっと書き続けると、芯の減り具合に合わせて先端パイプがどんどん後退し……

 

↑ペン先を紙から離すと、パイプと芯は元の長さに復帰。ペン先が紙に触れると芯先が露出して、また書き始めることができる

 

パイプスライド式は、ものによっては紙にパイプが引っかかる感覚が出てしまい、それを不快に感じることもある。(パイプスライドが苦手、という人は意外と一定数存在する。)

 

ただ、個人的な感覚ではあるが、オレンズATのパイプスライドはノイズが少なく使いやすい印象。少なくとも、普通に文字を書き続けるぐらいであれば、ほぼパイプスライドを意識せずに済むのではないだろうか。

 

低重心、かつグリップ感抜群のグリップもメリット

このシャープでもうひとつ特徴的なのが、金属とラバーを組み合わせたぺんてる独自の「デュアルグリップ」だ。

↑低重心ですわりが良く、さらにグリップ力も強いデュアルグリップ

 

↑よく見ると、グリップ(十二角形)のカドに合わせて、ラバーの頭も山型になっている。細かな部分だが、カッコイイ作り込みだ

 

十二角形の金属グリップに開けられた穴からラバーの突起が付き出しており、さながら鬼の金棒もしくは釘バットといった、やたらと強そうな風貌である。

 

もちろん見た目のインパクトだけでなく、金属の重みで低重心化を狙いつつ、ラバーでグリップ感を出す。このコンビは強度の“指スベラー”(手汗などで指が滑りやすい人)の筆者も納得の握りやすさだ。

自動芯出し機能+なめらか純正芯が好相性!

もうひとつ、オレンズATの発売とタイミングを合わせて、ぺんてるのシャー芯ブランドが13年ぶりのリニューアルを果たしたのも、見逃せないところ。

ぺんてる
Pentel Ain(ぺんてるアイン)
200円(税別)
0.5mm芯 40本入り。芯径0.2〜1.3mmがラインアップ。

 

↑開閉は縦→横の2段階スライドで、勝手に開かないよう安全性を確保。大きく開くので、芯も1本ずつつまみ出しやすい

 

シャープペンの替え芯はそもそも「濃さ」と「減りにくさ」、「なめらかさ」と「折れにくさ」、「消しやすさ」と「汚れにくさ」のように、それぞれ性能にトレードオフ関係がある。例えば濃い芯は減りやすいし、折れにくい芯はなめらかさに欠ける、といったような感じ。

↑従来のAin シュタイン芯(左)と書き比べると、新Ain芯(右)のスルスルと走る感覚に驚かされる

 

新しい「Pentel Ain」は、新製法によってそのすべてを高い次元でバランス良く達成しているのがポイント。特になめらかさが大きく向上しており、芯のエッジが筆記によって崩れてきたあたりからのスルスル感がとても気持ちいい。

 

このなめらかさは、ぺんてるの従来芯や他メーカー品と書き比べてはっきり認識できるレベルで違いが感じられるはずだ。

↑芯詰まりなどのトラブルも減らせるはずなので、特にこだわりがない限りは純正の組み合わせが良さそうだ

 

このスルスル軽く書けるなめらかなAin芯と、止まらず書き続けられる自動芯出しのオレンズATは、かなりの好相性。なにより、メーカーもシャープペンシルの動作確認や耐久チェックは自社の芯で行っているわけで、製品本来の性能をフルに味わいたいのであれば、やはりメーカー純正芯を使うのが正解だろう。

 

この組み合わせで損をすることはまずないはずなので、できればオレンズATとAin芯、セットでの購入をオススメしたい。

 

振動で芯が出るのを防ぐ「フレフレロック」搭載! 静音設計シャープペンシル「THE Dr.Grip」

パイロットコーポレーションは、「ドクターグリップ」シリーズの新モデルとして、12月16日に「THE Dr.GRIP(ザ・ドクターグリップ)」を発売します。税別価格は900円。

 

「ドクターグリップ」は、人間工学に基づいた、握りやすさを追求した太い軸径と弾力性のあるラバーグリップにより“疲れにくい”のが特徴の筆記具シリーズ。シャープペンシルには、ペンを振るだけで簡単に芯を送り出せる、同社独自のフレフレ機構を搭載しています。

↑左から、ネイビー、ダークグレー、オリーブ、ボルドー、シルバー

 

今回発売する同製品は、移動中の衝撃などで、フレフレ機構により芯が出てしまうことを防止する「フレフレロック」機構を搭載。フレフレロックをオンにすると、フレフレ機構が作動せず、ペンを振っても芯が出ることがありません。ロックをオンにしたままでも、ノックすることでの芯の繰り出しは可能です。フレフレロックは、グリップ部分を回すことでオン・オフを切り替え可能。同機構により、携帯時の振動により誤って芯が出てしまい、ペンケース内やバッグの中を汚してしまうことを防げます。

 

従来品と比べ、芯の繰り出しにおけるノック音とフレフレ機構の操作音をそれぞれ約50%低減した静音設計を採用。ノック音は部品の形状を見直し、フレフレ機構の音はボディ内部のスプリングの強度を調整して、部品同士の接触を抑えることで、操作音を低減させています。

 

デザインは、マット調のメタリック塗装のボディに合わせて、金属パーツには光沢を抑えたパールブライトメッキを採用し、ドクターグリップシリーズ上位モデルとしての上質な質感を表現。芯径は0.5mmです。

MONO×Campus×Dr.Grip/FRIXION……文房具4ブランドがコラボ! ゆるかわ大人カラーの「シアーストーン」リンクコーデを提案

コクヨは、2023年春の「限定キャンパスノート」にて、トンボ鉛筆「MONO(モノ)」、パイロットコーポレーション「Dr. Grip(ドクターグリップ)」「FRIXION(フリクション)」と、学びアイテムを通じたコラボレーションを実施。コラボ製品を含めた3種の限定デザインのパックノート5冊を12月8日に、限定ソフトリングノートを12月26日に、それぞれ数量限定で発売します。

 

“書くもの(筆記具)”、“書かれるもの(ノート)”、“消すもの(消しゴムなど)”を通じて、学生の学びの時間を総合的に応援したいという思いから、2022年に初めて実施された、キャンパスノート、MONO、Dr. Gripのコラボ。第2弾ではFRIXIONを加えた4ブランドでの実施となります。それぞれのアイテムで、淡いカラーの洗練されたストーン柄「シアーストーン」のおそろいデザインを採用し、色や柄を組み合わせることができるので、さらに幅の広がるリンクコーデを楽しめます。

↑「限定スマートキャンパスノート <シアーストーン> 5色パック(ドット入り罫線)」パウダーブルー、ピンクベージュ、アッシュグレー、ミストグリーン、ペールパープル

 

今回のコラボでは、ドット入り罫線のキャンパスノートから、「スマートキャンパス」と、やわらかいソフトリングを採用した「キャンパス ソフトリングノート」の2種類が登場。

↑「限定キャンパス ソフトリングノート <シアーストーン> (ドット入り罫線)」パウダーブルー、ピンクベージュ、アッシュグレー、ミストグリーン、ペールパープル

 

コラボ限定柄のほか、こんがりと焼いたような色の「ベイクドカラー」と、グミやガム、ポテトチップなどの菓子をモチーフにした「スナックモチーフ」の2種類も用意。それぞれ教科別に使いやすい5色パックで、ドット入り罫線の仕様となっています。

↑「限定キャンパスノート <ベイクドカラー> 5色パック(ドット入り罫線)」

 

税別価格は、スマートキャンパス(限定パックノート)がオープン価格、限定キャンパス ソフトリングノートが300円です。

↑「限定キャンパスノート <スナックモチーフ> 5色パック(ドット入り罫線)」

 

MONOの6アイテムは2023年2月中旬に、ドクターグリップとフリクションは2023年2月16日に発売を予定しています。製品画像は、以下のギャラリーをご覧ください(画像をタップすると閲覧できます)。

アウトドア×都会的なデザイン! 「ユニ アルファゲル スイッチ」と替芯「uni」、数量限定モデル発売

三菱鉛筆は、使用シーンに合わせて“クルトガモード”と“ホールドモード”を切り替えられるシャープ「ユニ アルファゲル スイッチ」と、書いた後のノートをキレイに保つ新開発のシャープ替芯「uni(ユニ)」から、ブラックとトレンドカラーを取り入れた数量限定モデルを、5月18日に発売します。

 

今回発売となるユニ アルファゲル スイッチは、ブラックを基調にトレンドのグリーンとサンドカラーを組み合わせ、アウトドアの雰囲気がありながらシティー感覚もあるデザイン。ダークグリーンは芯径0.5mm、サンドベージュは芯径0.3mmです。税別価格は1000円。

↑クルトガモード

 

クリップ部を回して、「クルトガモード」と「ホールドモード」を切り替えることで、使用シーンによって使い分けが可能。クルトガモードでは、書くたびに芯が少しずつ回転し、芯の先がいつもトガった状態に。書いた文字が太くなることがなく、キレイに書くことができます。軸に開いた窓から、内部に搭載されたクルトガエンジンの色が変わることによって、芯が回転していることを確認できます。ホールドモードでは文字の太さの違いや濃淡を気にせず、ノート全面に早くたくさん書きたいときに、安定した筆記感で書くことができます。

↑ホールドモード(ロゴがクリップで隠れる)

 

グリップ部に、衝撃吸収アルファゲルを使うことにより、筆記中も指の疲れを軽減します。グリップのかたさは「かため」を採用。握り始めはアルファゲル特有のやわらかさがあり、筆記中はゲルの反発力が強く、かたさを感じるゲルグリップで、握った際の安定感が味わえます。

↑筆記実験中(20分間)の脳活動を測定した結果(平均値)

 

シャープ替芯「uni」のスライドケースは、オフホワイトを基調としたシンプルな外観から、同時発売のシャープと揃えて使えるカラーリングに。ブラックをベースカラーに採用した、初の限定色です。芯径は0.5mmと0.3mmを用意。税別価格は200円です。

 

独自成分配合により、芯粉が紙面に高密着し、くっきり濃い文字を書くことができます。こすれに強く、紙面同士の擦過や手の接触による紙面の汚れを抑制します。芯粉の広がりを抑制するので、蛍光ペンなどのマーカーを引いても文字がにじみにくく、マーカーのペン先に付着する芯粉による汚れも軽減します。

↑従来品とuniの比較

 

ケースはあえて中身を見せない不透明でマットな質感を採用。中央には円形のくぼみがあり、視覚的なアクセントとなっているほか、スライドしてケースを開閉するときの指掛かりにもなります。シンプルなスライド操作で開閉でき、スムーズに芯を取り出せます。0.3mm芯は、従来品と比べて10本増となる25本入り。

シャーペン界に“Dr.”が登場して30年! パイロット「ドクターグリップ」から初代モデルベースの30色が限定販売

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第19回となる今回は?

 

第19話

パイロット
ドクターグリップ 30カラーズ
500円〜(税別)

“疲れにくい筆記具”として登場した人気シャープペンの30周年記念モデル。初代モデルをベースに、発売当初の復刻カラーや1999年前後に流行したスケルトンカラー、新色のネオンカラーなど30色を揃える。振ると芯が出る「フレフレ機構」を搭載。

●2021年10月より数量限定販売中のため、すでに在庫切れの店舗もあります 

 

駆け出し時代から変わらず信頼を置く相棒

1991年に発売された、パイロットのボールペン&シャープペンシリーズ「ドクターグリップ」。2021年には発売30周年を記念した歴代カラーモデルが発売され、そのなかには懐かしい初代モデルもラインナップされていました。当時画期的だった「人間工学に基づいた軸径」──その効果もさることながら、そもそもこうしたうんちくを筆記具に持ち込んだこと自体が画期的だった──を強調するためだったという、医療用品をイメージしたカラーリング。当時もいまも、なんぞ? という印象そのまま、しかしいまとなっては時代を超えた貫禄さえ感じさせます。

 

個人的にドクターグリップと言えば、初代シャープペンが発売された当時(92年!)から愛用していた思い入れの深い一本。学生生活の終わりからライターの駆け出し時代、つまり最も不安で最も期待に満ちた時期、常に身近にいてくれた頼もしい仕事仲間でありました。握り込んで飴色に光るグリップから、「文房具へ愛着を持つこと」の歓びを学んだと言っても過言ではありません。

 

今回、10数年ぶりに初代モデルを使ってみたのですが、あまりの現役ぶりに驚き、そしてうれしくなりました。旧モデルならではの、硬いゴム製グリップの安定感たるや! これまで何度もお勧めのペンを尋ねられては、「量を書くならまずはドクターグリップを」と答えてきたのは間違いじゃなかった。これからもずっと、迷える若者の頼れる相棒であり続けてください。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第17話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第18話】珍奇な「回転繰り出し式の高級太軸マーカー」が予想外! ゼブラ「フィラーレ ディレクション」が常備したくなる使い勝手だった

https://getnavi.jp/stationery/703519/

 

パーツを組み替えて最適化! お馴染みのシャーペン「Dr.グリップ」の重心と重量をカスタムできる新モデルが快適

「低重心」が、2021年下半期の文房具トレンドワードだった。これまで、文房具マニアしか気にしてこなかった“筆記具の重心バランス”が、ここまでフィーチャーされるとは。300円帯ボールペンをはじめ、重心バランスをポイントにした製品が立て続けにここまで発売されるとは。なんとも驚かされたものである。

 

2022年を占う! 2021年「文房具」業界を席巻した二大トレンドのおさらい

 

正直なところ、見た目のデザインやインク色と違って、筆記具のバランスというのは実際に手に持って書いてみないと分からない。体感的というかフィジカルな部分であるため、作り手であるメーカーや我々のような紹介記事を書く側も、その利点を伝えるのがなかなか難しいのだ。

 

……というのは、単に文房具ライターとしての愚痴であって。一人の文房具好きとしては、重心バランスが筆記具の良さを語る論点としてあらためて持ち出されたことは、素直に嬉しいのである。書き味を構成する上で、とても重要なパラメータなのだし。

 

そこで今回は、そんな重心バランスがテーマの新しいシャープペンシルを紹介したい。

 

重心のポイントと重量を自分で決められる「ドクターグリップ CL プレイバランス」

パイロット「Dr.Grip(ドクターグリップ)」は、2021年に発売から30周年を迎えた。人間工学に基づいた握りやすい太軸+疲労を軽減するシリコングリップの組み合わせで、発売当時から現在までずっと高い人気を誇るシリーズだ。

 

ここで新たに登場したのが、グリップに重心位置変更ギミックを搭載したシャープペンシルモデル「ドクターグリップ CL プレイバランス」である。

パイロット
ドクターグリップ CL プレイバランス
0.3mm/0.5mm
各770円(税込)

 

基本的には、筆記具は低重心の方が安定して書きやすい。確かに、高重心(ペン後端に重みが片寄っている)では、ペン先がふらついてコントロールしにくかったり、長時間筆記で疲労が出やすかったりというデメリットはある。

 

とはいえ、低重心でも先端だけが重すぎるようだと、これはこれでコントロール性が下がるし、疲れも出る。また、個人それぞれのペンを持つ好みの位置というのもあって、これが重心的にバランスの良いところと一致するとは限らない……こういう部分が難しいのだ。

 

「だったらもう各々が好きに調整すればいいじゃん」というのが、重心位置変更ギミックというわけ。

 

グリップの内部構造とカスタマイズの仕組みは?

↑重心位置変更ギミックの核となる金属パーツ×3とシリコンパーツ×3。これを本体に3つ組み合わせて装着する

 

「ドクターグリップ CL プレイバランス」は、グリップが二重構造になっている。まず表面にあるのがシリコン製の外グリップで、これはペン先を外して下に引っ張ると、簡単にスポッと抜ける。その際に外グリップの中に残っているのが、内グリップパーツ。購入時はシリコンパーツ×1と金属パーツ×2の構成になっているはず。

 

この計3つの内グリップパーツの順番と組み合わせを変更することで、重心位置がカスタムできる仕組みなのだ。

 

↑シャープペンシルは重心が低すぎないほうが好みの筆者は、前にシリコン×1、後ろに金属×2の構成がお気に入り

 

最初から軸に搭載されているのに加えて、パッケージ内にはシリコンパーツ×2と金属パーツ×1も同梱されている。つまり各素材とも3つずつパーツが揃っているので、これを組み合わせてみよう。

 

まず、最も重くなるのが、当然ながら金属×3の組み合わせ。金属パーツは1つあたり約2.9gでシリコンパーツが約0.4gだから、シリコン×3の組み合わせよりも全体重量が約7.5g重くなる、という計算だ。

 

↑設定次第で重心位置・全体重量ともにかなり変わる。体感的にかなりの差を感じられるので、いろいろ試してみると楽しい

 

普通にずっしりしたペンが好き、という人であれば、シンプルに金属×3で解決だろう。重心位置も60mm以下で、この状態がもっとも低重心になっている。これでは全体的に重すぎるが、重心位置は低い方がいいというのであれば、前側に金属×1か2が良さそう。重心位置は1mmほど上がるが、かなり軽く動かせるようになるはずだ。

 

パーツ交換の手順は?

↑パーツ交換は、まず口金を外すところから。下向きに作業しないとタンク内の芯が軸内に落ちるので、そこは注意だ

 

↑あとは外グリップごとスポッと抜く。中のパーツはトントンと衝撃を加えれば取れる

 

↑装着時は先にパーツを軸に通してから、外グリップ・口金の順で戻す

 

パーツ交換は、まず口金をねじって芯タンクごと引き抜く。あとは外グリップを引き抜けば、内グリップパーツもそれについて抜けるはずだ。外グリップ内に残ったパーツは、口を下に向けて何度か軽くトントンと机に落とせば、順番に落ちてくる。奥の方にあるシリコンは摩擦でなかなか取れないかもしれないが、無理せず根気よくトントンするのがコツ。

 

装着する際は順番に軸側にパーツを差し込んで、外グリップを被せればOKだ。

 

グリップの重心と重量を変えるとどんな変化があるのか

↑重心が移動すると、筆記角も変わる。まずは自分がどういう握りで、どういう角度で書くのがラクか、を考えたい

 

重心位置が変わると、握りやすい位置も変わる。であれば当然の話、筆記角度も変わってくる。低重心で低い位置を握ればより紙に対して立った状態に。高重心で高い位置を握れば寝た状態になるというわけ。つまり重心位置は「自分はどういう角度で筆記するのが快適か」を考えながら調整すると、目安が付けやすい。

 

ちなみに、一般的にシャープペンシルは50~60度で書くのが正しいとされているが、それも絶対的な正解と言うわけではない。あくまでも、自分の書きやすさを中心に考えるべきだろう。

↑上下に振ると内蔵のオモリが移動することによって芯を出す“フレフレ機構”。ノックするたびに集中力が途切れる、という人にもおすすめ

 

シャープペンシルそのものの機能としては、やはりパイロット自慢のフレフレ機構がとてもありがたい。ノックノブを押さずに軸を上下に振るだけで芯が出るため、筆記時の芯の継ぎ足しが一瞬で済み、快適。一度これに慣れてしまうと、もうフレフレ機構のないシャープペンシルを使う気になれないほどに便利なのである。

 

自分にベストな重心バランスさえ確定できれば、このフレフレ機構の快適さと相まって、長時間の筆記もかなりスムーズにできるはずだ。

 

 

筆者・きだてたく文房具レビューのバックナンバーはこちら

 

ボールペン派の物欲も刺激!? 速記や強筆圧に耐えるシャープペン「オレンズネロ 0.5」をレビュー【動画ダイジェスト】

仕事や勉強など、作業がはかどる機能をもつ「はかどり文房具」の頂点を、ファンの厳正なる投票で決定する「文房具総選挙」。2021年の文房具総選挙で、トレンド部門「勉強がはかどる! 学生応援文房具」部門の部門賞に輝いたのが、ぺんてる「オレンズネロ 0.5」です。

 

GetNaviのYouTubeチャンネル「GetNaviチャンネル」では、同イベントで各部門の1位に輝いたアイテムを新人編集部員・小山雅斗(以下、小山くん)がレビューする動画を公開中。今回は、この「オレンズネロ 0.5」のレビュー動画をダイジェストでお届けします。

↑今回レビューする「オレンズネロ 0.5」を手にする小山くん

 

ぺんてる
オレンズネロ 0.5
3300円(税込)

 

芯が折れないシャープペン

「オレンズネロ 0.5」は、ぺんてるの人気シャープペンシリーズ「オレンズ」の最上位モデル「オレンズネロ」の芯径0.5mmモデル。

スタイリッシュでカッコいいデザインと、芯がなくなるまで折れずに書き続けられるのが特長です。

 

本当に芯は折れないのか、検証 

社会人になってからは、もっぱらボールペン派だという小山くん。今回は、本当に芯が折れることなく使い切ることができるのか、検証していきます。

通常のシャープペンシルは、2〜3回ノックした状態で筆記をするのに対し、「オレンズネロ 0.5」は最初のワンノックだけで、あとは芯を繰り出さずに使用するとのこと。

 

↑「オレンズネロ 0.5」で紙に文章を書いていく小山くん

 

「本当なのかチェックしていきます……」と半信半疑で紙に文章を書いてみたところ、しっかりと文章が書けました。

 

このあと、小山くんは4行にもわたる文章を筆記。その間、一度も芯が折れることはありませんでした。

 

小山くんが実際に使用した感想

実際に書いてみた感想を小山くんは「芯がなくなるまで、書き続けられちゃうんじゃないかと思いました。しかも僕、結構筆圧が強めなんですけど、全然芯が折れる感じがなかったです。これはね、ボールペンから変えてもいいかなって思っちゃいました」と満足そうに話しました。

 

さらに「学生さんとか、たくさんノートを取る授業もあると思うので、これを使うの、めちゃくちゃ良いと思います。さらに見た目もスタイリッシュでカッコ良いので、見た目にこだわりたい方にも良いと思います」と太鼓判。

 

そうして導き出された、小山くんの結論。

 

詳しくは動画をご覧ください

 

文=於 ありさ

 

鉛筆の六角軸とシャープペンの快適さ、上質な艶やかさ! イイトコどりしたコクヨ「鉛筆シャープ」は大人こそ使うべき筆記具

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第9回となる今回は?

 

第9話

コクヨ
鉛筆シャープ
198円(税込)

ペン先に鉛筆を削ったような細かな質感を施した、六角軸のシンプルなシャープペン。ノック部分の穴に直接芯を入れられる「スピードイン機構」を採用している。芯は0.3mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm、1.3mmから選べる。

 

分類しがたい絶妙なデザインは、筆記具の新たな可能性

芯の太さはまるで鉛筆。けれど、ノック一発で書き出せる快適さはシャープペンそのもの。そんな鉛筆とシャープペンの良いとこどりをした筆記具が、各社から発売されています。ある製品は木軸で鉛筆らしさを表現、かたやある製品はシャープペン風の見た目ながら太い芯でガシガシ書ける……と、「鉛筆⇔シャープペン」間のどの座標に身を置いているかで、その製品のアイデンティティが透けて見えるのが面白いです。

 

さて、それでは2020年11月に発売されたコクヨの「鉛筆シャープ」はどうでしょうか。

 

ボディは六角軸で鉛筆風、しかし材質は光沢のある艶やかな質感で、これはかなり“非・鉛筆”的。特にブラックモデルはカドのエッジが際立ち、タイトでキリッと引き締まった凛々しい外見で、これは既存のシャープペンにはなかなかない凜々しさ。大人の普段使いにもイケるデザインだと思うのですが、皆さんどうでしょうか。

 

ふと思い出したのは、ユーザーインターフェースの世界で使われる「フラットデザイン」という考え方です。例えばスマホのアイコンなら、昔は見た目を既存のモチーフに寄せることで機能の説明をしていたのに対し、フラットデザインでは元イメージから距離を取り、抽象的でシンプルな見た目を指向しています。それに倣って言えば、本製品は、言わば「フラットデザイン的筆記具」。実は新しい座標に置くべき筆記具かもしれません。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第7話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第8話】万年筆入門にうってつけ!丸くカーブしたペン先が特徴のミドリ「MD万年筆」

https://getnavi.jp/stationery/551859/

ボールペンかシャープか、メイン機能で選ぶべき最新個性派「多機能ペン」

最近、あらためて「面白いなぁ」と感じているのが、多機能ペン。いわゆる「ボールペン+シャープペンシル」の複合筆記具だ。

 

実は、自分自身では多機能ペンを使いこなした経験が非常に少ない。学生時代にシャープペンシルを使っていたときは「ボールペン邪魔だな」と思っていたし、社会に出てボールペンをメインに使うようになると「シャープペンシルいらないな」と思っていた。つまり、常にどちらかが無駄だと感じていたわけで、そりゃ使うわけがないよなあ、ってなもんだ。

 

それがなぜ唐突に心変わりしたかというと、仕事の関係である。他媒体の話で申し訳ないが、筆者は高校生向けの冊子で「勉強に役立つ文房具」を紹介する連載、というのをやらせてもらっている。その関係で、最近の高校生はかなり多機能ペンに興味を持っている、というのが分かってきた。実際、今の生徒はノートを取るのにボールペンを使うケースも多い(我々の世代はほぼ100%シャープペンシルだった)ため、多機能ペンがあると便利なのだ。

 

そこで、紙面で紹介するようにあれこれ使いこんでみた結果が、冒頭の「面白いなぁ」というわけ。実際、最新の多機能ペンはユニークな発想で作られたものもあり、面白いのだ。そこで今回は、そういった面白い多機能ペンを2点紹介したい。

 

学生に必要なものを詰め込み! シャープペンシルがメインの多機能ペン「examy」

多機能ペンを使うにあたってまず考えたいのが、ボールペンとシャープペンシル、どっちを使う機会が多いのか、ということ。当然ながら、メインで使う機能を重視したペンのほうが、満足感が高くなるからだ。

 

シャープペンシル重視の多機能ペンでいえば、サンスター文具「examy シャープ&シャープ&赤ボールペン」(以下、examy)の振り切りっぷりがとても興味深い。

サンスター文具
examy(イグザミー) シャープシャープ赤ボールペン
600円(税

 

なにが振り切っているかというと、まず多機能の構成が名前の通り「0.5mmシャープ+0.3mmシャープ+0.7mm赤ボールペン」という部分だ。

 

従来にも、シャープばかり0.3/0.5/0.7mmという多機能ペン(ぺんてる「ファンクション357」)はあったが、examyは0.7mmを赤ボールペンにしている。なぜかって、そりゃ当然、勉強する場合にはそれがいいからに決まっている。

 

↑本文や作図、赤字まで1本でできるので、ノート作りがかなり効率的になる

 

examyというのは、サンスター文具が展開している「勉強がはかどる文房具」シリーズ。つまりこの多機能ペンも、想定ユーザーは中高生が中心だ。

 

であれば、ノートを取るのにまずシャープ0.5、図表や細かい書き込みにも便利なシャープ0.3、そして丸付けや見出しに使える赤ボールペンという構成は、最適解のひとつと言えるのでは。正直、なんでこれ今までなかったの? という気すらしてしまう。

 

しかも、それが1本にまとまっていると来たら、筆箱がいつもギチギチでパンク寸前の中高生にとっては、嬉しい話だろう。ついでに言うと、消しゴムも太めで消しやすいものを備えているのがナイスだ。

↑ついでに消しゴムも大きめで、消しやすい

 

機能の切り替えは、後軸を回転させて行うツイスト式だ。

↑後軸を「赤・0.5・0.3」の順に回して切り替える。ノックも後軸全体を押し込んで行う

 

ただし、現時点でどの機能が選択されているかを表すようなインジケーターは存在しない。しかもシャープは、0.5/0.3のどちらが出ているか、見た目では判断できないので、少しまぎらわしい。

↑ここまで拡大すると0.3と0.5の見分けがつくが、肉眼では難しい

 

とはいえ、そういった機能を省いてでも定価で600円という学生向けの価格設定にした、という判断は理解できる。「そんなの使ってれば慣れるし、それよりは安い方がいいよねー」という話である。

 

ボールペンがメインならやはり“書きやすさ”重視! 注目の多機能ペン「ブレン 2+S」

対して、ボールペンがメインの多機能ペンは、従来からの主流派ということで選択肢が多い。その中でも個人的にチェックしたいのが、軸の太さ。あくまでも筆者の嗜好の話だが、昔から太軸がなんとなく苦手なのだ。

 

その点でイイなと思ったのが、ゼブラ「ブレン 2+S」である。

ゼブラ
ブレン 2S
500円(税

 

何しろ軸径が単色ブレンと変わらない11.8mmなので、多機能ペンとしてはスリムな部類に入るのだ。ブレンは3色タイプが出たときも単色と同じ軸径をキープしていたので、そのあたりはデザイナーであるnendo・佐藤オオキ氏のこだわりなのかもしれない。

↑軸径は単色の「ブレン」(写真左)と一緒。手帳のペンホルダーにも入れやすいサイズだ

 

そしてなによりありがたいのが、ブレないブレンシステム。

↑ペン先ががっちりと固定されているので、安定感は多機能ペンの中でも最高
↑口金の先にある黒い輪が、ペン先固定用パーツ。これがあることで非常に書きやすいのだ

 

多機能でもペン先がカチャカチャと振動しないのは、とても書きやすいのである。この感覚は、一度別の多機能/多色ペンを使ってからブレンに戻ると、非常によく分かるはずだ。口金の先でリフィルを固定させているので、もちろんボールペンだけでなくシャープにも、効果は発揮されている。

 

機能の切り替えはノック式で、ボールペンは左右の小ノックノブ、シャープは中央の大ノックノブを使用する。

↑ノブがかなり沈んでしまうため、一度スライドさせてからの芯出しノックがしづらい。これはちょっと改善して欲しい部分だ

 

シャープは切り替えだけでなく芯出しでもノックするので、大きなノブは使いやすそうだな、と思っていたのだが……このノブ、切り替えでスライドさせた時点で、軸に大きく沈み込んでしまう。そのため、芯出しノックがかなりしづらいのだ。さらに上面に丸みがついているため、指掛かりも悪い。

 

毎回、芯出しをするたびにノックノブに指を強く押しつける必要があるのは、ちょっとマイナス要素に感じられた。

 

 

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文房具ブームの火付け役「クルトガ」に「アルファゲル」の最強タッグ実現! 三菱鉛筆「ユニ アルファゲル スイッチ」に込められた逆転の発想とは?

2021年春、シャープペンシル業界に激震が走った。

 

と、そこまで大げさな事態でもないが、筆者としてはかなり驚いたのである。なにがあったのかというと、三菱鉛筆が「“クルトガモード”をオフにできるシャープペンシル」を発売したのだ。これは、本当に驚いた。えー、そんなことある!?

↑もはや伝説級に有名なシャープペンシル「クルトガ」(三菱鉛筆)

 

そもそもの話から説明しよう。「クルトガ」というのは、2008年から三菱鉛筆が発売している超絶大ヒットシャープペンシル。書くたびに、芯が9度ずつ回転することで偏減りせず、常にシャープな芯先を保つという機能「クルトガエンジン」を搭載し、均一に細い線が書けるのが特徴だ。

 

これが、メインユーザーとなる中高生の認知度100%・所有率70%以上(2013年調査)というバケモノみたいな人気で、シリーズ累計販売数も2018年末の時点で9000万本超え! おそらく一億本突破も間違いないところだろう。

 

それなのに、そこまで人気の高い機能をわざわざ“オフ”にできると謳った新製品が出るとは、つまり“メーカーによるクルトガの否定”ではないのか!? マジで!? どういうこと!?

 

……と、つまりそういうことで驚いていたわけだ。

 

クルトガモードをオフにすると、一体なにが起きるのか?

その驚きの製品というのが「ユニ アルファゲル スイッチ」(以下、スイッチ)である。

 

ちなみに「アルファゲル」というのは、グリップに衝撃吸収素材である「α GEL」を採用した、これまた三菱鉛筆の人気シリーズ。2010年には、両者を合体させた「アルファゲル クルトガエンジン搭載タイプ」も発売されている。

 

今回発売されたスイッチは、つまり「アルファゲル クルトガエンジン搭載タイプ」のクルトガオフ機能付き、という立ち位置になるのだろうか。それにしたって、製品名にクルトガと一切入っていないのには、なにか意図的なものを感じる。

三菱鉛筆
ユニ アルファゲル スイッチ 0.5mm
1000円(税別)

 

先から何度も勝手に“クルトガ機能オフ”と連呼しているが、正しくは「クルトガモード」と「HOLDモード」が切り替えられる、という表現となっている。クリップを軸後方のロゴが見える位置にセットすると、芯が回転する「クルトガモード」、ロゴを隠す位置に動かすと、芯固定の「HOLDモード」として機能する仕組みだ。

↑クリップを90度回転させてモードを切り替え。このとき、最後にカチッというまで回す必要がある

 

ここで問題となるのが、芯が尖って均一な線が書きやすいんだから、クルトガモードのままでいいんじゃない? という話。逆に言うと、HOLDモードにするメリットってなんなの? ってことだ。

 

もちろん、HOLDモードにはきちんとメリットがある。書いても芯がカチャカチャと振動せず、安定した筆記感が得られるのである。実際に筆者も、シャープペンシルをメイン使いする中高生からも、「クルトガは書くとカチャカチャいうのが気になるから使わない」と聞いたことがある。あの書き味に苦手意識を持つ層が一定数いるのは、おそらく間違いないだろう。

↑HOLDモードがあるためか、通常のクルトガよりもカチャカチャ振動する気がする

 

クルトガは、芯を紙に押しつける力を利用してギアを回転させているため、どうしても芯が戻る際にカチャカチャというブレが発生してしまう。これにロックをかけて固定するのが、HOLDモードというわけ。

 

なので、クルトガモードからHOLDモードに切り替えると、「あっ、さっきまですごいカチャカチャしてたんだ!」と気付かされる。芯の微振動が完全に抑制されているので、落ち着いた書き味となるのだ。(要するに、普通のシャープペンシルなのだが。)

↑クルトガモード中は、ペン軸中央の窓の色が芯の回転に合わせて変わり続ける

 

ところが、しばらくHOLDモードで書いていると、徐々に線が太くなってくるのが気になり出す。書き味の面でも、芯が偏減りしているのが違和感として手に感じられるはずだ。

 

もちろん、そういうときは軸を手の中で少し回転させて、自前で芯の偏減りを解消させてやればいいのだが……すっかりクルトガに慣れきった身だと、それもちょっと面倒くさいのである。結果として「あー、やっぱりクルトガって便利だな」なんて思ったり。

 

もしかして否定どころか、これによってクルトガの良さを再確認させるのが、三菱鉛筆の目論見だったりするのかもしれない。

↑比べてみると、やはり偏減りしないクルトガは文字が潰れずシャープだ

 

普段は均一な線できれいな字が書きやすいクルトガモードがいいし、板書のように集中してガーッと早書きしたい場合はHOLDモードの安定感が欲しい。つまり、その時の気分次第でクルトガエンジンをオンオフできるのは、意外とアリなんじゃないだろうか。どちらにもメリットがある以上は、切り替えができるならそれだけお得ってことだし。

↑かためアルファゲルは、握った際のグリップ力もあり、気持ち良いクッション性もありで、本当に優秀なグリップだ

 

集中してガーッと書くといえば、そういった用途に、衝撃吸収素材のグリップはとても効果的だ。

 

スイッチのグリップは、アルファゲルシリーズの中でも人気の高い「かため」を採用している。握った指への当たりはフニッと柔らかだが、ほどよい反発感もあって、筆記中のブレが少ない。個人的にも、筆記具史に残る名品だと感じるほどに大好きなグリップである。

 

長時間筆記でも指が疲れにくいため、集中力も長続きする。モードを切り替えてまで筆記感に注意を払いたい、というタイプの人が使うシャープペンシルには、ベストな装備と言えそうだ。

「UNI」の名を冠したシャープ芯

実はもうひとつ、三菱鉛筆からシャープペンシル関連の新製品が登場している。それが、13年ぶりの新芯ブランド「UNI」である。

三菱鉛筆
シャープ芯 uni
0.5mm(40本入り)、0.3mm(25本入り)
各200円(税別)
硬度にはHB、B、2Bがある。

 

三菱鉛筆のシャープ芯としてこれまでお馴染みだったのが、「ユニ ナノダイヤ」シリーズ。内部に超微粒のダイヤを練り込むことで芯強度を高めた、折れにくい芯だ。ちなみに発売はクルトガと同年の2008年。

 

以降、これまでずっと三菱の芯といえばナノダイヤ、だったわけだ。そこへ13年ぶりとなる芯の新ブランド登場。しかも三菱鉛筆のブランドネームである「uni」をそのまま名乗るのだから、これは三菱側もかなり本気だな? と感じさせる。

↑同等の力でこすり比べると、uni芯のスレ耐性の強さが分かる

 

その最大の特徴は、汚れにくさだ。今まで、シャープペンシルで書いたあとのノートが、うっすらと汚れているように感じたことはなかっただろうか? あれは紙に付着しきれなかった芯の微細な粉が、手に触れるなどして散り、紙面を汚していたのである。

 

対してuni芯は、芯に特殊な成分を配合することにより、芯の粉がしっかりと紙面に密着して飛び散りを防ぐ、とのこと。なるほど、試してみると確かに擦れたときの芯粉の広がりがまったく違う。手で触ってもスレが少なく、あきらかに汚れにくいのが見て取れるだろう。

↑タテにスライドさせると、途中から斜め後ろに動く新しい方式

 

芯ケースももちろん、これまでとは一新されている。ナノダイヤは、横スライド式のキャップを採用していたのに対し、UNI芯はケース自体をタテに大きくスライドさせて開ける方式になった。

 

横スライドキャップは、ケース自体をトントンと軽く振って少量の芯を出す構造だったが、うっかりドバッと大量の芯がこぼれ落ちる、なんてトラブルもたまにあったのだ。

↑従来(ナノダイヤ)の横スライド式開口。振り出す際に芯がドバッと出すぎることも

 

↑対してuniは、開口が大きいため、芯が1本ずつつまみやすい

 

タテスライドは開口が大きいため、そもそも振って芯を出すことがない。そのまま指で芯1本だけつまみ出せばいいので、芯ドバトラブルが起きにくいのである(寒さで指がかじかんでいると、逆に芯が取り出しにくい場合もありそうだが)。

 

芯ケースのキャップギミックは、メーカーやブランドごとに様々な方式があるので、こういう新しい構造を見るのもなかなかに面白い。

 

 

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芯1本使い切るまでノック不要! メカまでシャープな「オレンズネロ」に真打登場

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す放送作家の古川耕氏による新連載は、「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される、手書きツールを1点ずつピックアップしている。第4回となる今回は?

 

第4話

ぺんてる
オレンズネロ 0.2/0.3/0.5
各3000円(税別)

1回ノックするだけで、芯を1本使いきるまで書き続けられる、「自動芯出し機構」を備えたシャープペン。ストレートのパイプが、紙と芯の設置面の視認性を高めている。パイプ先端を研磨し、滑らかな書き心地も実現。

 

名作シャープペンに待望の0.5mmが追加

グラフ1000、グラフレット500、PG5、スマッシュ……ぺんてるが誇る名作シャープペンの系譜の突端に位置しているのが、2017年発売の「オレンズネロ」。発売当時にはあまりの人気で入手困難になったほどだ。

 

「私は『かっこいい』ものを作りたかったわけじゃない。ネロはもっと大きなものを背負っているのだと思うのです」

 

とは、そのオレンズネロのプロダクトデザイナー 柴田智明氏の弁。ここで言う“大きなもの”とは、つまり前述したようなぺんてるの名作シャープペンが築いてきた遺産のことだ。こうした責任感、あるいは使命感を持って生まれたプロダクトだけに、ネロは近年のシャープペンブームのなかにあって目先のトレンドには目もくれず、どっしりと風格のあるデザインに仕上がっている。手にしていて「ここはちょっと緩いな」というパーツがひとつもなく、特に金属粉と樹脂を混ぜたという独自素材は、重さと手触りも込みで本当に見事なもの。

 

それでいて自動芯出し機構や芯折れを防ぐスライド式のパイプなど、現代シャープペンに求められる機能も兼ね備えており、使い勝手も申し分ない。これまでは芯径が0.2と0.3mmだけだったが、2020年10月には待望の0.5mmモデルが発売され、これでいよいよすべての状況は整った。

 

ぺんてるだけではない、日本産シャープペンのすべての歴史の最先端に、オレンズネロが躍り出た。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話・第2話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第3話】知る人ぞ知る200円の傑作! パイロット「Vペン」は“無骨な書き味”が気持ちまで文字に反映する

https://getnavi.jp/stationery/544312/

文房具を知り尽くしたプロが選んだ「LAMY(ラミー)」の傑作ペンカタログ

万年筆ブームに沸く日本で、新作や限定モデルが登場するたびに話題になるなど人気を博しているのが、ドイツの筆記具メーカー「LAMY(ラミー)」。創業は1930年ですが、1966年から“装飾ではなく機能を重視したモダンデザイン様式”であるバウハウスの理念を取り入れ、以降50年以上経った現在まで変わることなく、美しいデザインのペンを数々生み出しています。

 

文房具の専門誌『趣味の文具箱』(枻出版)の編集長を務める清水茂樹さんに、ラミーが創り出した傑作の数々を紹介いただくとともに、美しさを感じるポイントや使い心地、ひいてはこの“デジタル時代における手書きの楽しみ”について、語っていただきました。

 

ラミーの根底にあるのは「バウハウス」の精神

↑バウハウスらしさが凝縮されている「LAMY aion(ラミー アイオン)」。潔いほど簡素なつくり

 

ドイツ・ハイデルベルクで誕生したラミーが、モダンデザイン様式であるバウハウスデザインを取り入れたのは1966年のこと。「LAMY 2000(ラミー 2000)」が登場した、今から50年以上前にさかのぼります。

 

「ラミー 2000は、『西暦2000年になっても古びない』というコンセプトで発表されたデザインの万年筆です。ここからラミーの新しい歴史は始まり、ラミー 2000はその名の通り、2000年を超えて20年経った今でも、変わらず愛され続けています。この美しさが50年以上も前に考えられていたことには、驚きを感じるばかりです。

 

シリーズによってデザイナーが変わったり、外部デザイナーが参加したりするのですが、著名な外部デザイナーであっても完全に委託してしまうのではなく、ラミーと外部デザイナーで共同開発しているそうです。ですから、すべての製品に間違いないラミーの理念を感じられ、筆記具の中でもラミーの人気は群を抜いていて、性別や年齢問わずに愛されています」(『趣味の文具箱』編集長・清水茂樹さん、以下同)

 

ラミーが愛される3つのポイントとは?

自身でもラミーの筆記具を数多く所有している清水さんに、ラミーの魅力を知る上で欠かせないポイントを、3つ挙げていただきました。

 

1. 考え尽くされた機能性

ラミーの製品は、すべてにおいて“装飾せず機能に徹している”そう。単にシンプルにしたりあるべきものをなくしたりするのではなく、取り出す・キャップを開ける・書く・キャップを閉める・しまう、という一連の流れがよりスムーズに行えるよう考え抜かれています。

 

「一番の魅力は、書くまでのアクセスがとても良いということ。まるで指先からインクが流れ出てくるかのように、書きたいと思ったら瞬時に書けるので、ひらめきを文字にするまでの時差がありません。雨の日や電車の中、いつでもさっと取り出して書くことができ、その身体との一体感がとても心地いいのです」

 

2. 4つの要素から突き詰められたデザイン

機能重視のデザインは、材料・色・形・テクスチャーの4つの視点から考え抜かれています。デコラティブなデザインはこれまでにひとつもなく、半世紀を過ぎてもその考えが守られ続けている、そのブランディングにも心を動かされます。

 

「万年筆のなかには、キャップ上部にロゴマークが入っていて、胸ポケットに挿してもそれが見えるようにデザインされているものも多いのですが、ラミーは、そのロゴさえも目立ちません。頑固なまでに機能重視で、あくまでも書くための目的に従って作られています。しかも、それでいてラミーらしい個性を感じられるところが、デザインの優れた点です。装飾をしないということは、言わばスッピンで勝負しているのと同じですよね。それでも、美しさと輝きを強く放っていることに魅力を感じます」

 

3. ラミーらしい個性

機能をより重視してデザインされているラミーのペン。ミサイルを思わせるなめらかなボディラインのものや、見た目にはさほどわからないのにグリップだけ素材が変えられているもの、それぞれのクリップのデザインにも、デザイナーの意志を感じます。

 

「雑誌にペンのシルエットだけを並べて掲載したことがあります。ラミーのシルエットは一番簡素なのですが、見てすぐに、どのモデルであるかわかりました。シンプルな中にもそれだけではない、ラミーならではの美しさと格好の良さがしっかり反映されています。触れてみると、重さや素材の感触など、細部にわたってこだわりを持って作られていることがよくわかりますよ」

 

“手書き”は暮らしを楽しむためのエッセンス

美しい文房具を手にしたい気持ちはあっても、デジタル機器が中心となりつつある現代の暮らしのなかで、どのように“手書き”を取り入れていくかに悩む人は多いのではないでしょうか? 続いて、手書きすることのメリットや楽しさを語っていただきました。

 

・アナログ感を楽しめる

ここ数年、デジタル機器の使用時間が伸びていく一方で、フィルムカメラやレコード、ラジカセといったアナログなものにも注目が集まっています。

 

「最近、レコードの売り上げがCDを抜いたという話題がありました。それだけCDが売れていないということでもありますが、レコードを愛している方の多さをあらためて知ったニュースでもありましたよね。我々の世代だとリバイバルになりますが、20-30代にはレコードやフィルムカメラが新しいものとして受け入れられています。手書きはアナログの最たるもの。紙やペンを扱うときの所作を楽しむことが、デジタルな道具に囲まれた日常に彩りを与えるかもしれません」

 

・保存に適している

仕事での議事録やメモはもちろん、プライベートの買い物リストやTODOリストなどをデジタルで管理している方も多いでしょう。それにはそれで便利さがありますが、手書きのよいところは、実は保存に適している点なのです。

 

「データが消えてしまったり、インターネット上のデータにアクセスできなかったりと、便利な一方でデジタルツールでの管理にはデメリットも伴います。手書きのものは、いったん書いてしまえばずっと保存しておける確実さと、アクセスの良さがあります。またラミーのような、取り出してすぐに書けるペンなら、いつでもどこでもさっと書いて見返すことができますから、“手書き=スローライフ”ではなく、日常をスムーズにするツールでもあるのです」

 

・豊かな表現ができる

効率の良さを追究する場面では、デジタル機器を使用することが多くなりますが、それだけでは「誰が書いたのかわからない文字ばかりが並ぶ日常になる」と、清水さんは話します。

 

「文字を書くことは、表現のひとつでもありますよね。その人なりの表情がある手書き文字からは、汲み取れるものが言葉以上にあります。人に伝えるときだけでなく、胸のうちにあることを書き殴ることは、精神的なバランスを取ったりストレスを解消したりすることにもつながります。
個人的には、PCのキーボードで入力している最中にも新しいメールがどんどん届く環境より、メモとペンを持って静かに考えた方が集中できるので、集中したいときこそ手書きを選択しています」

 

ラミーの魅力、そしてラミーなどペンを使って手書きする楽しさをたっぷり語っていただいたところで、次のページでは、清水さんが愛用する数々のラミーコレクションから、おすすめのモデルを紹介していただきます。

 

ラミービギナーにおすすめの万年筆

数多くのシリーズが登場しているラミーの中でも、ビギナーに向いている万年筆について、清水さんのおすすめを教えていただきました。フォルムや色の好みなどから最初の一本を決めてもかまいませんが、気をつけなくてはならないのが、“万年筆は一本一本の書き味が違うこと”。

 

「まったく同じ万年筆でも、ペン先の書き心地はわずかにそれぞれ違います。できれば店頭で試し書きをし、自分の筆圧や持ち方に合った万年筆を選んでください。また、試し書きをしに行くときは、普段使っているノートや、これから書きたいノートを用意していくといいですよ。店頭にあるものと紙質が違うだけでも、インクの乗りやペンの滑りが違うのです」

 

1. ドイツの小学生も使う基本の万年筆


LAMY safari(ラミー サファリ) / LAMY AL-star(ラミー アルスター)
4000円+税 / 5000円+税
※写真はラミー サファリ

 

1980年に登場して以来、最も多くの本数が生産されているというサファリシリーズ。ドイツの小学生が愛用するだけあって、筆圧をかけなくても美しい文字を書きやすく、安価で購入しやすいモデルです。

 

「限定カラーがあるのも、人気の理由のひとつです。写真左のミントグリーンは2019年の限定色で、同時に同じくパステル調のピンクとブルーが発売されました。重厚感がある万年筆とは違い、シャープペンやボールペンのように普段使いができます。デザインや機能がほぼ同じであるアルスターは、子ども向けに開発されたサファリの兄弟モデル。アルミ製でやや重みがあり、わずかに大きくて大人の手に馴染みやすく作られています」

 

2. 長く使ってペン先を育てていく万年筆


LAMY 2000(ラミー 2000)
3万円+税

 

50年以上前に作られたラミー 2000は、とてもシンプル。ボディにある継ぎ目は触ってもまったくわからないシームレスなデザインで、まるで一体型のように見えます。

 

「ペン先は14金製で、スチール製のサファリやアルスターとは書き心地がひと味違います。14金のペン先は、自分の書き癖や書く角度、筆圧に合わせて馴染んでいきますので、使えば使うほど書きやすくなっていきます。14金のペン先は劣化しにくく長く使い続けられるので、サファリやアルスターを使ってみて、万年筆の楽しみ方がわかってきたら2000を使ってみるとよいでしょう」

↑こちらはラミー 2000のペンシル。ほかにローラーボールペン、ボールペン、4色ボールペンなども展開

 

万年筆のほかにも傑作がいろいろ

最後に、万年筆以外のラミー製品についてご紹介いただきました。デザインのコンセプトは変わりませんが、使う人のことを考えた機能が随所に見られます。

 

1. クリップのデザインが秀逸


LAMY dialog 2(ラミー ダイアログ2)ローラーボール
2万8000円+税

 

このキャップレスの水性ボールペンは、キャップをしなくてもインク漏れやペン先による汚れがないように開発されたデザイン。

↑「ボディをひねるとペン先が出てくる仕組みですが、ペン先が出るとクリップがボディの中に収まるようにできています。つまり、ペン先が出ているときは胸ポケットに挿すことができません。このとき、ボディ中央にある2つの突起が揃うので、視覚的にも指先でも“書ける状態になっている”と確認することができます」

 

↑「筆記を終えてペン先をしまうと、クリップが現れます。ペン先で洋服を汚してしまわないよう、持つ人のことを考えて作られていることに感動する一本です。とにかくフォルムが美しい」

 

2. どんな持ち方をしても書きやすい


LAMY scribble(ラミー スクリブル)ボールペン・ペンシル
各6000円+税

 

持ってみると、そのマットな素材がきゅっと指に馴染むのが実感できる、丸みのあるボディ。それぞれクリップが着脱でき、どのような握り方をしても持ちやすく感じられます。

 

「“スクリブル”とは、走り書きや落書きを意味する言葉で、その名の通り、とにかくペン先を滑らせやすい感覚があります。ペンシルはノック式とドロップ式があるのですが、ドロップ式のボディにはグリップのような凹みがあり、指先を置きやすいデザインになっています」

↑こちらは清水さんが“毎日酷使している”という3.15mm芯を使うペンシル。硬度4Bの芯は紙面を滑るように書くことができ、メモやラフスケッチなどにも便利なのだとか。ただし、全身ブラックのこのモデルは残念ながらすでに廃盤となっています

 

3. ノックすると一瞬でペン先が出て全身が伸びる


LAMY pico(ラミー ピコ)ボールペン
各7000円+税

 

限定カラーが出るたびに買いたくなってしまうサイズ感のピコシリーズ。

 

「ミニペンのジャンルだと思われてしまいがちなのですが、手の大きい男性も十分に使えます。閉じているときは93mmしかないのですが、伸縮性がありワンノックすると124mmになります。ポケットに入れておいて、ちょっとメモしたいときや思いついたときにシュポッと出せ、即書きにとても向いているペンです」

 

4. 極細の携帯用ペン


LAMYラミー スピリット(ボールペン・シャープペン)
※販売終了

 

こちらは、すでに生産が終了したペンシル(他にボールペンもあり)。金属製のユニークな極細の形をしています。

 

「直径は6mmに満たないくらいの細さですが、実際に書くときはその細さを感じさせない製品です。手帳に沿わせて携帯するのに便利で、ペンケースに入れても場所を取りません。1枚の鉄板を巧妙に丸めて作っているため、全身フルメタルな容姿をしています。この重量感が、細軸らしからぬよい書き心地を生んでいるのです。廃盤となったラミーのペンの中で、もっとも復活してほしいモデルです」

 

ラミーや文房具のことをもっと知るための“教科書”


『ラミー パーフェクトブック』1600円+税(枻出版)

 


『趣味の文具箱』1600円+税(枻出版)

清水さんが編集長を務める月刊誌『趣味の文具箱』。2020年10月号は万年筆のインクを特集しています。万年筆を買ったらインクにもこだわりたい! という人には必見の情報を凝縮。
また、ムック『ラミー パーフェクトブック』では、歴代のラミー製品について詳しく解説されているだけでなく、工場の様子や本国・ドイツの小学生が使っている筆記具など、現地で取材したレポートも掲載されています。

 

お気に入りの文房具は、日々のモチベーションを高めてくれる大事なツール。デジタル時代のいまこそ、“指先から生まれるひらめき”は筆記具で残していきたいものですね。縁遠い存在だと思っていた万年筆も、ラミーなら普段着のように暮らしに取り入れられそうです。

 

【プロフィール】

「趣味の文具箱」編集長 / 清水茂樹

株式会社枻出版社で、文房具に関するムックや書籍を担当。2004年に「趣味の文具箱」創刊し、世界中の文具メーカーの取材を精力的に続け、最新の文具情報を発信。筆記具や文房具の魅力と、手で書くことの楽しさを伝えている。2009年からISOT「日本文具大賞」審査委員を務める。

趣味文CLUB http://shumibun.jp/