WATCHNAVI編集長おすすめ。女性が自らに選びたい時計、大事な女性に贈りたい時計傑作選

春の訪れとともに、職場でも新しいシーズンがスタートします。気分を一新するきっかけづくりとして、腕時計も着替えてみませんか。仕事でキャリアを積んできた自分へのごほうびとして、モチベーションを高めてくれるようなちょっと背伸びした高級腕時計を、腕時計専門誌「WATCHNAVI」の 編集長である関口 優さんに選んでいただきました。

 

仕事中にネックレスやリングといった貴金属類の使用が禁止されている職種でも、例外として許されているのが腕時計。時間を確認するだけならスマートフォンで事足りてしまう現代でも、“腕時計はビジネスパーソンにとって唯一のアクセサリー”として重宝されているのもうなずけます。それだけに、腕時計は相手の目をひくもの。愛用している腕時計から、その人のセンスやキャラクター、さらにライフスタイルや経済力までもチェックされているので、かわいい、リーズナブルといったノリだけで決めるのではなく、自分をより輝かせてくれるようなステイタスのある1本を選んでみたいものです。

 

時計選びの基本は、色とサイズ感とデザインといわれていますが、ファッションと同じようにトレンドがあります。「最近は1950-1960年代に誕生した品のあるクラシカルなデザインが人気です。歴史のある名門ブランドが、自社のアーカイブから着想し、リデザインした時計も増えています」(関口さん)。関口さんによれば、時計にもデザインコードがあり、その基本型が白文字盤で針は2本、もしくは3本というオーソドックスなもの。クラシック回帰で、こうしたベーシックなタイプに注目が集まっています。「1950年代以前に生まれた、装飾のないシンプルなデザインのもので、アンティークのような雰囲気も魅力になっているようですね」(関口さん)。

 

それでは、こういったトレンドや選び方の基本をもとに、職種、嗜好別のベストモデルを関口さんにおすすめいただきます。

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業種別・嗜好別に選ぶ“ふさわしい腕時計”リスト

・好感度の高さが求められる接客業・営業職に就いている人

ゴールドやピンクゴールドといった高級素材を使っていたり、文字盤に宝石をあしらったタイプは、どこが自慢げで、嫌味にとられることもあります。接客や営業職には、無難なステンレス素材で、シンプルなデザインの方が好印象を与えるはずです。「商談相手が時計好きだと腕時計から会話が盛り上がることもあり、仕事にもプラスになります」(関口さん)。中でも腕時計ファンに人気が高く、レディースも豊富なオメガ、タグ・ホイヤーがおすすめです。

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オメガ
スピードマスター 38㎜
Ref.324.23
71万2800円
https://www.omegawatches.jp/ja/

オメガはもっとも有名なスイスの腕時計ブランドのひとつ。エレガントなタイムピースも数々生み出しています。その代表的モデル「スピードマスター」は人類初の月面着陸の際に使用されたことからムーンウォッチとも呼ばれています。そんな世界的傑作を、直径38mmと女性でも着けやすいサイズに。文字盤にある3つのインダイヤルもオーバル型になっています。

 

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タグ・ホイヤー
リンク レディ
WBC1318.BA0600
26万4600円
https://www.tagheuer.com/ja-jp

スポーツ&エレガントをテーマに新しいタイムピースを創造する「タグ・ホイヤー」も時計好きにはおなじみのスイスブランド。「リンク」は、ステンレスを鏡面に仕上げたスポーティなデザインと、人間工学にもとづいたS字型ブレスレットを特徴として1987年に生まれたコレクションで、2017年には新たに直径32㎜のエレガントなレディスモデルが誕生しました。装着感がよく、人目を引く強い個性をもっています。

 

・金融・士業など信用が大事な仕事に就いている人

「信用第一の堅い職種では、華美な印象をもたれるものは避けた方がいいでしょう。素材もゴールドではなく、ステンレスを。あるいは値段は高くなりますが、一見するとシルバーに見えるホワイトゴールドという選択肢もあります」(関口さん)。また、金属製のブレスレットではなく、レザーベルトを選べば、予算を抑えることができます。レザーベルトは、ブラックやブラウンといったオーセンティックな色以外に、バリエーションが豊富なことも魅力です。

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IWC
ダ・ヴィンチ
オートマティック・ムーンフェイズ 36
Ref.IW459306
93万4200円
https://www.iwc.com/ja/

IWCは創設150周年を迎えたスイス名門ブランド。その技術の粋を集めて誕生したのが「ダ・ヴィンチ」コレクションです。コレクションの中で、女性用としてつくられたこのモデルはフィット感に優れた直径36mmサイズ。半球形のリューズなどラグジュアリーを極めたデザインも時計の魅力を引き立てます。月齢による月の形の変化を表示するムーンフェーズを搭載。針やインデックスに合わせ、ダークブルーのサントーニ社製アリゲーター・ストラップが採用されています。

 

・ファッションに関わる仕事に就いている人、モードな服装が好きな人

ファッション関係の仕事は、堅い仕事のような制約が少なく、仕事用でも選択の自由度がグッと広くなります。高級素材もOKです。ただ。職業柄どうしてもセンスは問われます。コンサバ寄りではなく、個性の主張もほしいところです。「モードを意識して選ぶことも重要です。あまりにポピュラーなモデルもこの業界ではNG。これからのトレンドをリードしていくモデルがいいですね」(関口さん)。ブランド力、デザインをあわせた総合力で、シャネルの「ボーイフレンド」がイチ推しです。

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シャネル
ボーイフレンド ツイード
58万5900円
https://www.chanel.com/ja_JP/watches-jewelry/watches

マスキュリンとフェミニンを融合した、シャネルの人気コレクション。バリエーションが広がるなか、いまもっとも注目されているのが、金属製ワイヤーをメッシュ状に編み込み、シャネル伝統のツイードパターンをプレスしたストラップが特徴のこちら。ストラップの立体的な型押しも素晴らしく、ファッションに関わる人には不可欠なセンスのよさもアピールできます。

 

・スポーティ、メンズライクなものを好む人

メンズウォッチでは、この10年ビッグフェースといわれる大ぶりの腕時計がヒットしました。その代表的なブランドがパネライです。この流れを受けて女性にも、小ぶりで華奢なレディースではなく、あえてメンズモデルを選ぶ人が増えてきました。マニッシュなスーツスタイルに合わせやすいだけではなく、耐久性にも優れていることも人気の秘密。「周りで使っている人が少なく、カップルで同じ時計を楽しめるという理由で選ぶ方も多いようです。目立つのでファッションアイコンにもぴったりです」(関口さん)。

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パネライ
ルミノール デュエ
3デイズ アッチャイオ−42㎜
97万2000円
http://www.panerai.com/ja/home.html

クッション型ケースが特徴のパネライは、2000年代にはじまるビッグフェースウォッチ人気をリードしたイタリアブランド。世界初の本格ダイバーズウォッチを開発したことでも知られています。そのパネライが新機軸としてリリースしたのがこのモデル。直径42mmとケースは大型ですが厚さは10.5mmとスリムで、フィット感もバツグン。ゼンマイをフルに巻き上げた状態で72時間も動き続けます。パネライらしい堅牢なリューズガードも魅力的です。

 

・コンサバで女性らしい華やかで華奢なデザインを好む人

“冒険もしてみたいけど、やっぱり女性らしく華やかさのあるコンサバ系で”、という方に、関口さんがおすすめするのが、「レクタンギュラー」といわれる四角いケースの腕時計です。品格とラグジュアリー感をそなえたフォルムは、長く腕時計ファンに愛されていますが、丸型だけをつけてきた方は、つけるだけで気分も一新するはず。「女性の華奢な腕にはレクタンギュラーはとても映えます。知的な印象もアップします」(関口さん)。新しい自分に自信をつける、春の着替えにはもってこいですね。

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ジャガー・ルクルト
レベルソ・クラシック・ミディアム
スリム
Ref.Q254 81 20
70万2000円
http://www.jaeger-lecoultre.com/jp/jp/home-page.html

腕時計のムーブメントまで自社で一貫製造する、マニュファクチュールブランドであるジャガー・ルクルト。その代表作が1931年に誕生したロングセラーコレクション「レベルソ」です。文字盤のある表面が裏返る反転式ケースが特徴で、手巻き式である「スリム」のプレーンになった裏面には、文字や図柄などをパーソナライズオーダーによって刻み込めます。アクセサリー感覚で使うには最適です。

 

ミッシェル・エルブラン
アンタレス レクタンギュラー
COF17048-26YB89SL
35万5320円
http://michel-herbelin.jp/

ミッシェル・エルブランは、1947年に誕生したフランスの老舗ブランドです。その日のファッションやシーンに合わせて簡単にストラップを替えられる“着替える時計”「アンタレス」は、ブランドのアイコンともいえるシリーズ。時計本体にはSSブレスとレザーストラップ2本(お好きな色のシングルストラップ2本、またはシングルストラップとロングストラップ各1本ずつ)が付属しています。このモデルは、文字盤にマザーオブパールを、レクタンギュラーケースにダイヤモンドをあしらっています。フランス製。

 

【プロフィール】

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WATCH NAVI 編集長/関口 優
1984年生まれ。芸能雑誌やモノ情報誌「GetNavi」の編集を経て、2016年より時計専門誌「WATCHNAVI」編集長に就任。バーゼルやジュネーヴなど世界的な時計見本市に必ず足を運び、自ら取材。自身で試すことをモットーとしており、腕時計は現在20本超を所有。

 

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『WATCHNAVI 2018 WINTER Vol.68』
880円/学研プラス
巻頭特集は毎年恒例、ウオッチナビ読者200人と全国の有名正規店のプロ32人が選出した“最強”の120本をランキング形式で紹介する「腕時計最強ランキング」。詳細なデータとユーザーたちの声に裏打ちされた、リアルな結果をまとめている。別冊付録として「12大ブランド高画質卓上カレンダー」が付く。

WATCH NAVI Salon  http://watchnavi.jp/

 

文=安藤政弘

 

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【SIHH2018速報】ジャガー・ルクルトの新生ポラリスはユニークなコレクション構成も見どころ

今年のジャガー・ルクルトは、クラフツマンシップを全面に押し出したブースへと大変貌を遂げました。新作については、今年で誕生から50周年を迎える名作「ポラリス」がコレクション化。デザインも機能も多彩になって生まれ変わりました。面白いのは、忠実復刻と現代的な解釈を加えたモデルに大別されたこと。果たして今年の店頭では、どちらが人気になるのでしょうか?
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ポラリス・メモボックス

153万9000円/Ref.Q9038670 自動巻き。ステンレススチールケース。ラバーストラップ。直径42mm、厚さ15.9mm。20気圧防水。世界限定1000本153万9000円/Ref.Q9038670
自動巻き。ステンレススチールケース。ラバーストラップ。直径42mm、厚さ15.9mm。20気圧防水。世界限定1000本

 

 

時計愛好家なら言わずと知れた1968年発表のアラーム付きダイバーズウオッチを復刻。4時位置のリューズでアラームの巻き上げや時刻設定が行えます。水中でも潜水士が気付くようにアラーム音を増幅させつつ防水性能も確保するトリプルケースバックは、復刻版でも健在です。

 

 

ポラリス・デイト

94万5000円/Ref.Q9068670 自動巻き。ステンレススチールケース。ラバーストラップ。直径42mm、厚さ13.1mm。20気圧防水94万5000円/Ref.Q9068670
自動巻き。ステンレススチールケース。ラバーストラップ。直径42mm、厚さ13.1mm。20気圧防水

 

 

こちらも上記モデルと同じく往年のスタイリングを復刻したもの。インナー回転ベゼルを備えているため、リューズは2つあります。視認性の高い文字盤にはデイト表示も。見た目はクラシックながら200m防水を確保しています。裏蓋はクローズドバックで、潜水士の刻印が施されています。

 

 

ポラリス・オートマティック

92万8800円/Ref.Q9008170 自動巻き。ステンレススチールケース&ブレスレット。直径41mm、厚さ11.2mm。10気圧防水92万8800円/Ref.Q9008170
自動巻き。ステンレススチールケース&ブレスレット。直径41mm、厚さ11.2mm。10気圧防水

 

 

新生ポラリス・コレクションでクラシックな意匠はメモボックスとデイトのみ。そのほかのモデルは現代的なアレンジが加えられています。その基本形となるのが、このオートマティック。インデックスの夜光はホワイトになり、裏蓋はシースルー仕様。防水性能は10気圧ですが、厚さも11.2mmまで抑えられているのでビジネス用途などの長期装着でも役立つことでしょう。

 

 

ポラリス・クロノグラフWT

175万5000円/Q905T471 自動巻き。チタンケース。レザーストラップ。直径44mm、厚さ12.5mm。10気圧防水175万5000円/Q905T471
自動巻き。チタンケース。レザーストラップ。直径44mm、厚さ12.5mm。10気圧防水

 

 

最新コレクションで最も多機能な一本。クロノグラフとワールドタイムという文字盤の情報が煩雑になりがちな2大機能を整然と並べるデザインは、さすがスイスを代表するマニュファクチュールといった感があります。ケースにチタンを採用し、厚みもかなり抑えられているので、多機能ながら重厚な印象を受けることはありませんでした。

 

 

ポラリス・クロノグラフ

132万3000円/Q9028180 自動巻き。ステンレススチールケース&ブレスレット。直径42mm、厚さ11.9mm。10気圧防水132万3000円/Q9028180
自動巻き。ステンレススチールケース&ブレスレット。直径42mm、厚さ11.9mm。10気圧防水

 

 

今回の取材で初めて知ったのですが、ジャガー・ルクルトの純粋なクロノグラフで、シースルーバックというのはなかったそうです。その通例を破ったのが、このポラリス・クロノグラフ。裏を返すと名門マニュファクチュールのピュアクロノグラフムーブメントを見ることができます。世界限定1000本のメモボックスは魅力的ですが、実際に購入することまで考えると、個人的には本機が今年のハイライトでした。

 

 

久しぶりのスポーツウオッチは飛躍なるか!?

1968年当時の雰囲気を残す少し無骨なデザインか、シースルーバックで文字盤の雰囲気も現代的な洗練のデザインか。時計好きなら、どちらが好みかで意見が分かれるところでしょう。ただ、腕時計に詳しくなく先入観もない視点なら、モダンな方がサイズ的に使い勝手は良いかもしれませんね。

 

ジャガー・ルクルトにとっては久しぶりとなる本格スポーツウオッチは、特定のターゲットに定めたニッチなコレクション展開ではなく、より多くの人に愛されるコレクションに育てていきたい。そんなジャガー・ルクルとの想いが、新生ポラリスコレクションに込められているような気がします。

 

ジャガー・ルクルト http://www.jaeger-lecoultre.com/