スズキのクーペSUVから、トヨタの新型クラウンまで!プロがヒットを確信する4台

2025年に流行するモノは何か、専門家が大断言する「GetNavi NEXTトレンド」。今回取り上げるのはクルマ部門。2025年ヒット確実の4台を紹介する。

スタイリッシュなデザインに4WDの走破性も好評!

スズキ
フロンクス
254万1000円〜282万7000円

 

グローバル展開するモデルが日本向け仕様になって上陸!

SUVらしい力強さとクーペの流麗なフォルムを融合した「クーペスタイルSUV」。世界70か国で販売されているグローバルモデルだが、日本仕様には悪路や雪道の走行を想定した4WDも用意される。10月末には受注台数が1万台を突破した。

 

SPEC【2WD】●全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm ●車両重量:1070kg ●パワーユニット:1460cc直列4気筒DOHC ●最高出力:101PS/6000rpm ●最大トルク:135Nm/4400rpm ●WLTCモード燃費:19.0km/L

 

 

↑流麗なクーペスタイルに存在感のあるフロントマスクや独特のボディラインによる力強さを演出した足回りが印象的。最小回転半径は4.8mと市街地でも扱いやすいサイズだ。

 

↑コンパクトなボディながら、レイアウトの工夫やホイールベースを長くすることで後席も足元が広く、快適に過ごせる。

 

↑ブラック×ボルドーの配色となる内装は日本仕様専用。安全運転支援装備も充実しており、ヘッドアップディスプレイも備えている。

 

↑5名乗車時でも最大210Lの容量を確保するラゲッジルーム。取り外し可能なラゲッジボードを活用してアレンジもできる。

 

↑K15C型エンジンとマイルドハイブリッド、6速オートマチックを組み合わせる。力強くスムーズ、スポーティな走りを実現する。

 

【ヒット確定の根拠】コンパクトでも存在感は大! 4WDも選べる

「印象的な顔とクーペのようなフォルムによりコンパクトでも存在感が十分。装備が非常に充実していて走りもしっかりしています。それでいてお買い得な価格を実現しているのはさすがスズキです。海外にはない4WDが日本では選べます」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

<コレも注目!>待望のスイスポが間もなくデビュー?

※写真は通常のスイフト

 

スズキ
スイフトスポーツ
価格未定

 

スイフトのコンパクトで軽い車体に強力なエンジンを積んで足まわりを強化した高性能版は、歴代モデルも低価格で楽しいクルマとしてもてはやされてきた。ベース車の登場から約1年、まもなく新型が登場する見込みだ。

↑機能的にまとめられたスイフトスポーツ(現行モデル)のインパネまわり。マニュアルトランスミッションが登場するかも注目だ。

 

クラウン4タイプの“最後の砦”はついに2025年発売!?

トヨタ
クラウン(エステート)
価格未定(2025年発売予定)

 

度々の発売延期を経てワゴン(エステート)スタイルが登場!

2022年に新しいクラウンシリーズが発表されてから2年経った現在、4タイプの最後の砦として発売が待たれるエステート。後席の背もたれを倒せばフルフラットなデッキが現れ、機能的なSUVとして使えるのがウリとなっている。

 

SPEC(開発目標値) ●全長×全幅×全高:4930×1880×1620mm

 

↑後席を倒した際に若干の傾斜は生じるが、凹凸のないフルフラットな空間が出現。後席の足元空間を埋める拡張ボードも設置することが可能だ。

 

【ヒット確定の根拠】高級な内外装と使い勝手に優れるトランクが武器

「現行クラウンシリーズの第4弾は、車体後部のトランク(荷室)がポイント。使い勝手に優れる広々としたトランクは並のSUVとは一線を画します。高級感のある内外装もクラウンならでは。完成度の高いPHEVもラインアップされます」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

日本での登場が待たれる正統派AWD

※写真は北米仕様


SUBARU

フォレスター
価格未定

 

高い燃費効率を誇る「ストロングハイブリッド」採用!?

2023年のロサンゼルスモーターショーで世界初公開となり、北米で販売中の新型フォレスター。現行型よりもシャープなデザインとなり、同社のクロストレックで採用した「ストロングハイブリッド」も搭載される見込みだ。

 

SPEC【Tuoring(米国仕様】●全長×全幅×全高:4656×1828×1730mm ●車両重量:1662kg ●パワーユニット:2.5L水平対向4気筒DOHC ●最高出力:180PS/5800rpm ●最大トルク:178lb-ft/3700rpm ●WLTCモード燃費:非公表

 

↑「ストロングハイブリッド」は状況に応じて動力源であるエンジンとモーターを効率よく使い分ける新世代のハイブリッド方式だ。

 

【ヒット確定の根拠】スバルならではのこだわりに満ちた定番モデルの新型

「スバルならではの水平対向エンジン×シンメトリカルAWDや、このスクエアなフォルムがいいという大勢のファンが新型の登場を待っています。秋に発表された待望のストロングハイブリッドもラインナップに加わる見込みです」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

輸入車販売台数No.1モデルはEVも加わり盤石!


BMW

MINI COOPER E(3ドア)
463万円〜531万円

 

約10年ぶりの全面改良でBEV(電気自動車)も追加

2023年の国内輸入車販売台数No.1に輝くMINI COOPERが約10年ぶりにモデルチェンジして4代目に進化。ガソリンモデルのほかBEV(電気自動車)も登場し、より幅広いラインナップから選べる。5ドアモデルも登場した。

 

SPEC【クーパー SE(3ドア)】●全長×全幅×全高:3855×1755×1460mm ●車両重量:1640kg ●パワーユニット:モーター×1 ●最高出力:218PS/7000rpm ●最大トルク:33.7kg-m/1000〜4500rpm ●一充電走行距離:446km

 

↑SUVタイプの「MINI Countryman」も同時にモデルチェンジ。ガソリンモデルのほかクリーンディーゼル、そしてBEVも選べる。

 

【ヒット確定の根拠】10年ぶりのモデルチェンジ!よりシンプルかつモダンに

「もともと日本でも大人気のMINIですが、新型はMINIらしさを継承しながらもガラリと雰囲気が変わり、とことんシンプルになりました。しかも中身は最新の装備が満載されていて、100%BEV版がついに設定されたのもポイントです」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

モータージャーナリスト:岡本幸一郎さん
26台の愛車を乗り継ぎ、軽から高級車まで幅広く網羅。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。

 

※「GetNavi」2025月2・3月合併号に掲載された記事を再編集したものです。

スズキ「ジムニー ノマド」の人気は間違いなかった。2025年プロが注目する国産車5選!

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の一人でもある、モータージャーナリストの岡本幸一郎さん。その岡本さんがいきなり受注停止のスズキ「ジムニー ノマド」をはじめ、2025年に登場するかもしれない注目すべき国産車5台を紹介します。

 

【その1】発表からわずか4日で受注停止の人気車種

スズキ

ジムニー ノマド

265万1000円(税込)〜

もともと「ジムニー」は、小さいながらも高い走破性能を持つ世界最小の本格的クロスカントリー車として、その性能を本当に必要とする職業や一部のマニアックな層から絶大に支持されていたが、販売台数としてはそれほど多くなかった。ところが、2018年にモデルチェンジした現行型は、愛嬌のあるカジュアルなルックスをはじめ、従来に比べると大幅に改善された乗り心地や周囲に見劣りすることのない先進運転支援装備の採用などが効いて、いきなり一般ユーザーをも巻き込んだ大ヒット車となり、ずっと納車の遅れが伝えられるほどの状況になった。

 

その一方で、現行ジムニーには歴代ジムニーにはなかったロングボディの5ドア版が存在し、先に海外から導入されたことが知られると、日本での販売を望む声がヒートアップした。2025年1月30日、5ドアモデル「ジムニー ノマド」が日本で発売されるや注文が殺到し、発表からわずか4日後にいきなり受注停止という異常事態になった。ただでさえ人気のジムニーに実用性に優れる5ドアがあれば人気が出るのは確実と思っていたら、こんなに早くこうなるとは予想を超えていた。1日も早く受注が再開されるよう願いたい。

 

【その2】6代目フォレスターいよいよ発売!

スバル

フォレスター

価格未定

「日常から非日常まで使えるSUV」をコンセプトに、スバルSUVの中核モデルとしてずっと安定の人気を誇ってきた「フォレスター」。人気の秘訣は、ちょうどよいサイズとクセのないキャラクターとソツのない完成度と使い勝手のよさにある。フォレスターの伝統である、ほどよくスクエアなフォルムや、独自の水平対向エンジンを軸にすべてを左右対称にレイアウトしたシンメトリカルAWD(※)による優れた走行性能に惹かれるファンも少なくない。6代目となる新型もそのあたりをしっかりと受け継いでいる。すでに海外ではモデルチェンジした新型が発売済み。

 

先だって「クロストレック」に初めて搭載され、燃費がよくて力強いことからとても評判のよい2.5リッター水平対向エンジンに、トヨタの技術を応用したスバル独自のシリーズパラレルハイブリッド方式のシステムを組み合わせたストロングハイブリッド「S:HEV」がフォレスターにも搭載されることを期待している人も少なくないはずだ。また、スバルといえば運転支援システム・アイサイトに魅力を感じる人も多い。最新の機能を身に着けたアイサイトが、より安全で快適なドライブを提供してくれるに違いない。

※:スバルによって開発された常時4輪駆動システム

 

【その3】日本車で高級なワゴンがあったら欲しい

トヨタ

クラウンエステート

価格未定

現行16代目「クラウン」は4つの個性がラインアップされるうち、2025年春時点でセダン、スポーツ、クロスオーバーと3つのバリエーションが販売中。残るひとつの「エステート」もそう遠くないうちに発売されるはずだ。エステートと呼ぶとおり、ステーションワゴンとSUVをクロスオーバーさせた新しいタイプの機能的なSUVであり、大人の雰囲気で余裕のある走りとアクティブライフを楽しめるクルマを目指しているという。

 

肝心の荷室スペースは非常に広く、リアシートを倒すとフルフラットデッキになるなど、使い勝手にもこだわっている。パワートレーンは定番の2.5リッターのハイブリッドのほかに、長距離をどっしりゆったりと走れるように味付けされたPHEVが選べる。ワゴンとして見たときに、いまや日本車のワゴンは数えるほどしかないが、輸入プレミアムブランド車は一定の支持を得ていて、日本車で高級なワゴンがあったら欲しいという人は少なくないはずだ。

 

【その4】昭和のデートカーが令和に復活!

ホンダ

プレリュード

価格未定

元祖デートカーとして知られる「プレリュード」が復活するという情報に胸躍らせている人が続出しているようだ。かつて若い頃にプレリュードに乗っていた人たちが結婚し、出産を迎え、子育て時期にはファミリーカーに乗っていた。しかし、実は2ドアクーペに乗りたいと思っていた人は大勢いるだろう。そんな子離れしたタイミングを迎えた2ドアクーペ好きたちが、車名を聞いただけでテンションが爆上がりしそうな魅力的なクーペの登場となる。

 

実車をぜひ見てほしいと感じさせるよう、スタイリッシュさには大いにこだわったという。夫婦で旅行に出かけるときに荷物を積み下ろししやすいよう、過去のモデルとは違ってハッチバックの流麗なファストバックスタイルを採用するのも特徴だ。パワートレーンにはクルマのキャラクターに合わせて専用にチューニングしたハイブリッドのe:HEVを搭載し、4WDもラインアップされる見込みで、走りにも期待できそうだ。

 

【その5】東京オートサロン2025にコンセプトカーが展示されて話題に

ダイハツ

ミライース GRスポーツ

価格未定

東京オートサロン2025にコンセプトカーが展示されて話題となった「ミライース GRスポーツ。ベーシックな軽自動車である「ミライース」に、強力なターボエンジンと5速MTを搭載するとともに、全日本ラリー選手権の参戦マシンから流用したスポーティなデザインの前後バンパーをまとい、足まわりにはBBS鍛造ホイールとブリヂストンのポテンザRE050A、コクピットにはレカロ製スポーツシートなどを装着。走りに特化したホットハッチに仕立てたというクルマである。

 

位置づけとしては、コペンに続いてGRの一員となるとともに、ダイハツがかねてから力を入れている国内ラリー等のモータースポーツ向けのベースモデルとしても市販化に期待する声は小さくない。件のコンセプトカーの反響が非常に大きいので、おそらく市販されることになりそうだが、願わくはミライースがベースなことだし、価格があまり高くならないよう期待したい。

 

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【2024年人気のあった「乗り物」記事ベスト5】1位は安藤なつが語るバイク愛

本稿では2024年、ゲットナビウェブで最も読まれた「乗り物記事ベスト5」をお届けします。新型車のインプレッション記事が並ぶなか、1位となったのはお笑いタレントの安藤なつさんの愛車のインタビュー記事でした。

※2024年1月1日〜2024年12月25日の数値調べ。

 

【第5位】「4WDは超オススメ」期待大のコンパクトSUV スズキ「フロンクス」乗ってみたら予想を超えるデキだった!

第5位は正式発売を前に、日本自動車ジャーナリスト協会会員のカーライフアドバイザー・会田 肇さんが、フロンクスのプロトタイプに試乗したインプレッション記事。2024年秋、スズキから登場したコンパクトSUV「フロンクス」。インドで生産されたこのSUVは、これまでに多くの賞を獲得しており、日本でも大きな期待が寄せられています。

 

【第4位】「都市で乗るならこれで十分」話題の次世代小型モビリティ「Lean3」先行試乗で実用性を実感!

「ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024」が10月に開催され、その会場でひときわ注目されたのがLean Mobility(リーンモビリティ)の「Lean3(リーン3)」。航続距離は100km、最高速度が60km/hというスペックも十分の都市型小型EV。第4位はカーライフアドバイザーの会田 肇さんが、そんなリーン3に試乗したインプレッション記事でした。

 

【第3位】免許返納後の「高齢者の足」となれるか? 16歳以上なら免許なしで乗れるglafitの四輪車試乗レポート

第3位は、電動パーソナルモビリティを提供する「glafit(グラフィット)」の“特定小型原付”四輪車プロトタイプの試乗記事。「この四輪車の商品化が実現できれば、免許を返納して日常の足を必要とする高齢者にとって、新たなモビリティとして役立つことに間違いない」と、カーライフアドバイザーの会田 肇さんは語ります。16歳以上なら、免許不要で誰でも乗れるのも特徴でした。

 

【第2位】クルマ通を唸らすスズキの中で実は売れ筋。「ソリオバンディット」の魅力を改めて深掘りする

第2位は、ライターの安藤修也さんのスズキ「ソリオ」試乗記事。ソリオは2020年末の発売から3年が経とうとしているモデル。それでいて今も販売ランキングベスト20にランクインし続けています(2024年1月)。ライターの安藤さんが試乗した感想は、「ヤングファミリーや独身層が、王道ではないクルマ選びをするには最適の一台」でした。

 

【第1位】安藤なつが愛車・ハーレー・ファットボーイ愛を語る「もう見た目と名前でひと目惚れ。バイクは1台を愛したい」

第1位は、メイプル超合金の安藤なつさんのインタビュー記事。バイク歴20年を誇る安藤なつさん、愛用のハーレーダビットソン・ファットボーイとともに、登場していただきました。アニメ「AKIRA」に出てくるアメリカンバイクへの憧れから始まったバイク愛。これまでのバイク歴を振り返りつつ、ファットボーイへの愛情たっぷりなお話をいただきました。

 

「こんなに万能なファミリーカーはない」プロが絶賛したクルマって? 2024年ファミリー層にオススメの国産車5選

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の一人でもある、モータージャーナリストの岡本幸一郎さん。その岡本さんが2024年に登場したクルマのなかから、比較的手ごろな価格帯を中心に、ファミリー層におすすめしたい国産車を5台紹介します。

 

【その1】こんなに万能なファミリーカーはない

ホンダ

フリード

250万8000円(税込)〜

まずは、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことでも知られるフリードだ。初代からずっと「ちょうどいい」とアピールしているとおり、狭い場所でも取り回しに苦労しない手頃なサイズでありながら、車内は3列目までしっかり使えるほど広々としている。スライドドアの開口部が幅広く高さも十分に確保されていて、ステップの段差もなく乗り降りしやすい。ファミリーカーとして、たしかにこれほど日本で「ちょうどいい」クルマはない。

 

さらにフリードは走りもいい。新たに搭載したホンダ独自のe:HEVと呼ぶハイブリッドシステムにより、スムーズで力強い走りを実現していて、大人数を乗せてもストレスを感じることもない。しかも燃費が抜群にいい。4WD性能も望外に高くて、降雪地の人も不安に感じる必要はないだろう。

 

一方のガソリン車は軽快な走りが持ち味だ。アクセルを踏み込むと、いかにもホンダらしい元気のいいサウンドを楽しめる。乗り心地が快適で、ハンドリングも素直で意のままに操れて、直進安定性も高く、ボディが小さいながらもロングドライブでも疲れ知らずだ。こんなに万能なファミリーカーはない。デザインは万人向けの「エアー」と、SUVテイストの「クロスター」が選べる。

 

【その2】この雰囲気を乗員全員が味わえると思えば割安にすら思える

マツダ

CX-80

394万3500円(税込)〜

SUVでファミリーカーなら、「CX-80」が最強だろう。ひと足先に登場したCX-60の3列シート版であり、後輪駆動ベースで、直列6気筒のディーゼルエンジンや本格的なPHEVの設定など特徴的な部分を共有しつつ、全長とホイールベースを延長。3列目の十分な居住空間の広さを実現しているのが他のクロスオーバーSUVにはないポイントだ。

 

内外装デザインもなかなか見応えがある。インテリアでこれほど高いクオリティ感を達成するには、ヨーロッパのメーカーだったら軽く1000万円を超えるに違いない。その意味では、CX-80も決して安くはないが、この雰囲気を乗員全員が味わえると思えば割安にすら思えてくる。

 

大柄なサイズで後輪駆動ベースのクルマらしく、ドライブフィールは重厚でありながらスポーティだ。特にいまや貴重な直列6気筒ディーゼルエンジンは、直列6気筒ならではの奥ゆかしい響きを味わわせてくれる。

 

【その3】懐かしいけれど新しいイメージの仕上がり

トヨタ

ランドクルーザー250

520万円(税込)〜

より本格的なクロスカントリー車が好みの人には、「ランドクルーザー250」がある。原点回帰を図り、あえて高級路線ではなく質実剛健を追求したところがポイントだ。中身は最新のSUVそのもので、装備も非常に充実していながらも、見た目や走りは新しいけれど懐かしく、懐かしいけれど新しいイメージに仕上がっている。

 

車内や荷室の広さも十分で、並のSUVに比べると座る位置が高い。着座姿勢も立ち気味で、高い目線から周囲を見下ろす形になるのも特徴だ。

 

悪路走破性はとてつもなく高くて、このクルマで走れない道は日本にはないと思っていいだろう。おそらく本領を発揮させる機会は、普通に過ごしている分には訪れないだろうが、それだけの実力を持ったクルマに乗れるのると思えるのは頼もしいことこの上ない。

 

【その4】アクティブなファミリーにもってこい

スズキ

スペーシア

153万100円(税込)〜

小さなファミリーカーには、各メーカーがそれぞれ腕によりをかけた力作が勢ぞろい。なかでも、2024年末の時点でのイチオシは、「スペーシア」だ。軽ハイトワゴンはどれも概ね同じような方向性でまとめられているなかでも、スペーシアはもっとも軽く、マイルドハイブリッドを搭載していて、軽快な走りとクラストップの低燃費を実現。先進運転支援機能が充実しているという強みもある。

 

車内には収納スペースが豊富に設けられていて、ひとつひとつがより使いやすいよう工夫されている。リアシートにリラックスして座れる「オットマンモード」、座面上の荷物の落下を防ぐ「荷物ストッパーモード」、安定した姿勢を支える「レッグサポートモード」という3通りのモードを選べる「マルチユースフラップ」というユニークな機能を採用したのもポイントだ。

 

SUVテイストのギアは遊び心のある内外装デザインのほか、撥水加工シートや防汚タイプのラゲッジフロアを採用しており、ステアリングヒーターが全車に標準装備されている。アクティブなファミリーにもってこいだ。

 

【その5】EV航続距離が100kmを超えた!

三菱

アウトランダーPHEV

526万3500円(税込)〜

電動化モデルに興味のある人には、マイナーチェンジした「アウトランダーPHEV」をすすめたい。大容量化と高出力化した新開発のバッテリーにより、EV航続距離が100kmを超えたのがうれしいかぎり。ふだんはBEVと同じように乗れて、ガソリンを使うのは遠出するときだけという付き合い方ができる。走りにも磨きがかかって、より静かでなめらかで力強くなり、乗り心地がよくなってハンドリングの一体感も増している。

 

新設定された最上級グレードなら、海外のプレミアムブランドにも負けない高級感あるインテリアや、ヤマハと共同開発したという高性能オーディオシステムの卓越したサウンドが楽しめるのもポイントだ。広くはないが、いざとなれば3列目シートもある。

 

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーを活用し、家庭の電力供給源として機能させる先進技術V2HやV2Lにも対応。「走る蓄電池」のような使い方も可能だ。

 

 

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「4WDは超オススメ」期待大のコンパクトSUV スズキ「フロンクス」乗ってみたら予想を超えるデキだった!

2024年秋、スズキからコンパクトSUV「フロンクス」が登場します。インドで生産されるこのSUVは、これまでに多くの賞を獲得しており、日本でも大きな期待が寄せられています。そんな中、正式発売を前にフロンクスのプロトタイプに試乗する機会に恵まれました。今回はそのインプレッションをお届けします。

↑インドで生産されるスズキ「フロンクス」。クローズドされたコースで試乗することができた

 

■今回紹介するクルマ

スズキ フロンクス(試乗グレード:2WD、4WD)

 

インドで大好評のバレーノをベースに開発

新型フロンクスは2023年1月、インドのデリー近郊で開催された「Auto Expo 2023」でデビューしました。その後、同年4月にインド国内でスズキの高級ブランド「NEXA」から発売され、8月から10月にかけて南アフリカや中東、南米の一部でも販売を開始。主に新興国を中心に展開してきました。そうした中で今回、日本への導入が決まり、メディア向けにいち早く試乗会が開催されたというわけです。

 

実はスズキがインドで生産した車両を日本で販売するのは初めてではありません。2016年3月に「バレーノ」を日本に導入したことがありました。残念ながら、日本では思ったほど販売台数が伸びず、2020年7月に日本での販売を終了していますが、インドではこれが大ヒットとなり、2022年には前モデルを受け継いだ2代目が登場。今回のフロンクスはこの2代目バレーノをベースにSUVとして開発されたものとなります。

 

個性的なデザインと扱いやすいボディサイズ

車両を前にして感じるのが抜群の存在感です。開発者によれば、「街中にあっても溶け込まないデザインを狙った」そうで、特にクロームメッキ加飾のバーとピアノブラックを組み合わせたフロントグリルは迫力満点。デイタイムランニングライト/ウインカー兼用のLEDランプの組み合わせも個性的で、さらにその下には左右まで回りこんだブリスターフェンダーにヘッドライトを組み込むなど、そのデザインは一度見たら忘れられない奇抜さがあるといえます。

↑ピアノブラック処理を施したフロントグリルを真一文字に横切るクロームメッキバーとLEDランプが個性的

 

↑ヘッドライトを組み込んでフロントにまで広げたブリスターフェンダーが迫力をさらに増している

 

リアビューはいま流行りの一文字型のテールランプとなっており、光るところ以外はブラックアウトされているのでキリッとした印象。後続車からも好印象となるのではないでしょうか。

↑リアも個性的なデザインに仕上がっている

 

リアゲートは手動式ですが、動作は軽めなので使い勝手も上々。リアフォルムが寝ているものの、フロアが2段構造となっているのでかさばるものも結構いけそうです。

↑カーゴルームのフロアは二段階式

 

↑ボードを上側にセットしてリアシートをたたむとフラットに近い状態となる

 

また、ボディサイズは全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mmとBセグメントのコンパクトSUVになります。全長が4m未満ということでBセグメントの中でも小さめの部類になりますし、なによりも高さが1550mmに抑えられているので、立体駐車場に入れられ、これが都市部で使う人にとってはメリットとなるでしょう。

 

渋滞追従ACCなど日本仕様だけに与えられた先進装備

インテリアはどうでしょう。このクラスのセグメントとしては珍しいぐらい、ピアノブラックやメッキパーツが多用され、そこにボルドーカラーが組み合わされています。それぞれのパーツは樹脂製であるため、素材自体は決して高級なものではないと思います。しかし、それぞれが主張することなく自然に組み合わされていることで、見た目の印象はかなり良いです。

↑腰回りをしっかりホールドしてくれるフロントシート。ブラックとボルドー色を組み合わせたカラーリングもシャレている

 

個人的に気に入ったのは、日本仕様にはヘッドアップディスプレイなど先進機能が標準装備されていることです。スズキはスペーシアやワゴンRでもこれを採用するなど、先進機能の搭載を積極的に進めてきましたが、フロンクスにも搭載となりました。さらにインド本国では手で引くタイプの機械式だったパーキングブレーキが、なんと日本仕様では電動式としたのです。さらにACCも搭載されており、この組み合わせによって全車速追従が可能となり、渋滞時の疲労軽減にも大いに役立ってくれるというわけです。

 

【機能面をフォトギャラリーでチェック】(画像をタップすると閲覧できます)

 

リアシートはセンターにアームレストが装備されておらず、後席用のエアコンの吹き出し口もありません。このあたりはクラスとして標準的な仕様と言えます。それでも後席にUSB端子(Type-A/Type-C)が装備されているのはイイですね。

↑リアシートは基本的にルーミーだが、センターにアームレストがないのが残念

 

広さは大人3人が座っても十分なスペースがあります。ただ、助手席側の後席足元にはマイルドハイブリッド用バッテリーが搭載されているので、その分だけ足元は窮屈に感じるかもしれませんね。

 

軽快でリニアなハンドリングを備える2WD

フロンクスのパワートレインは、1.5リッター直列4気筒の自然吸気エンジン、これにマイルドハイブリッド機構を備えたものとなっており、最高出力は74kW/6000rpm、最大トルクは135Nm/4400rpm。ミッションはアイシン製6速ATが組み合わされています。また、ラインナップには日本仕様のみ4WD仕様が加えられていることも見逃せません。

↑1.5リッター直列4気筒の自然吸気エンジンの最高出力は74kW/6000rpm、最大トルクは135Nm/4400rpm。ミッションはアイシン製6速AT

 

さて、そのフロンクスにいよいよ試乗です。試乗コースは、静岡県・伊豆の国市にあるサイクルスポーツセンターのクローズドコース。ここを通常とは逆回りで走行することとなりました。

 

最初に試乗したのは2WDモデルからです。走り出してまず気付いたのが、ロードノイズが予想以上に低く、かなり静かであるこということ。この日はそこそこ風も吹いていたのですが、風切り音も入って来ません。もちろん、ガソリン車ですからアクセルを踏み込めば、それなりのエンジン音が侵入してきますが、それもうるさいという感じはありません。おそらく車内の遮音がしっかり効いているのでしょう。

 

開発者によると、サイドのガラス厚を前後ともに通常より厚くしてあるとのこと。こういった積み重ねがこの静粛性をもたらしているのでしょうね。

 

ハンドリングもなかなか良好です。試乗コースのコーナリングでもリニアに反応してくれて、思い通りのコースをトレースしてくれます。ブレーキを踏んでアクセルを踏み込むコーナーからの立ち上がりもスムーズで、それほどパワー不足は感じません。それどころか、元気かつ軽快な走りを感じ取れました。サーキットを走ると、一般道に比べてパワー不足を感じやすいのですが、それもほとんど感じることはありません。

 

また、2WD車はリアサスがトーションビームなのですが、嫌な突き上げ感はほとんどなかったのも好印象です。

 

4WDならではの駆動力が安心の走りを生み出す

続いて4WD車の試乗です。この4WDはプロペラシャフトで駆動力を伝えるタイプで、これにより車重は2WD比で60kgほど増えます。とはいえ、それでも1130kgですから、これはスズキならではの軽量設計が活かされている結果とも言えるでしょう。ただ、最高出力は73kW/6000rpmと2WD車に比べて若干低く、最大トルクも134Nm/4400rpmとこれも低くなっています。おそらく4WD化に伴う排気系の取り回しなどで低くなったと思われます。

 

ただし、それが走りに影響が出ているかといえばそうではなく、むしろ駆動力が増えたことで安心感のある走りを楽しめます。特にコーナリングでは路面にピターッ! と車輪が吸い付けられるように駆け抜けていく。この感覚が2WDとの大きな違いですね。2WDにもあるスポーツモードに切り替えてみるとさらに効果的で、キックダウンのレスポンスが向上。そのため、コーナリングを繰り返すうちにどんどんペースが上がっていっちゃうんですね。「ホント、サーキットで良かった」なんて思っちゃいました。

↑4つの車輪がしっかりと路面を捕まえ、連続するコーナリングでも安定した走りをもたらす4WD

 

また、4WDには急な下り坂などで役立つヒルディセントコントロールを装備しているのも見逃せません。

 

それと本来なら4WDにありがちなプロペラシャフトによるノイズも発生するところなのですが、車体の強度を高める部材の最適化やマウント防振ゴムの採用、さらにはプロペラシャフトにダイナミックダンパーを装着することで、驚くほど静粛かつスムーズさを生み出しています。この4WDはかなりオススメですね。あとは価格と燃費のスペックが気になりますが、今秋の正式発表が楽しみです。

SPEC【2WD】●全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm●車両重量:1070kg●パワーユニット:直列4気筒エンジン●最高出力:74kW/6000rpm●最大トルク:135Nm/4400rpm

SPEC【4WD】●全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm●車両重量:1130kg●パワーユニット:直列4気筒エンジン●最高出力:73kW/6000rpm●最大トルク:134Nm/4400rpm

 

撮影/茂呂幸正

 

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フリード、クラウン エステート、ジムニー5ドア、スイスポ――24年下半期のクルマの勝者はどれだ?

前回は「2024年上半期ベストヒット」と題して、クルマのトレンドやヒット車種を紹介しましたが、今回はその下半期版として、「次に何がくるのか?」というネクストトレンドを3つのキーワードでまとめました! クルマ編は、今回もモータージャーナリストの岡本幸一郎さんに解説をしていただいています。

 

キーワード01【フリード】

ホンダのコンパクトミニバン「フリード」の新型モデル(3代目)が6月に発売され、快進撃を続けています。岡本さんも大本命モデルと太鼓判!

 

「ティザーサイトが立ち上がって間もない頃、あるイベントでフリードがちょっと展示されたんですね。そうしたら長蛇の列ですよ! スーパーカーとかじゃないのに、少しでも早く見たい人がこんなに大勢いるんだと驚きました」(岡本さん)

 

そもそもフリードとはどのような車種なのでしょうか?

 

「ちょうどいい、に尽きるかなと思います。取り回しのいいコンパクトなサイズで、だけど室内は広くて3列目までしっかり座れる。絶妙なバランスですね」(岡本さん)

 

今回のモデルチェンジの一番の変更点はどこでしょう?

 

「今まで、結構リコールされた『i-DCD』というハイブリッドシステムを最後まで積んでいたのがフリードだったんですね。今回、モデルチェンジで最新の『e:HEV』という、非常に効率も性能も高いシステムに置き換えられています。なので走りが見違えると思います」(岡本さん)

 

キーワード02【プレミアム価格帯のワゴンに異変?】

プレミアム価格帯、特に輸入車のメルセデスベンツ、BMW、アウディが強いワゴンの領域で異変が起こるのではないか、と岡本さん。

 

「まず、ワゴンってすっかり減っちゃったんですよね。日本も昔は各メーカーがワゴンをラインナップしてたと思うんですけど、今や数えるほどしかない。アメリカのメーカーに至っては一台もありません。みんなSUVになった。そんな中でも比較的健闘しているのはドイツのメーカーのワゴンです」(岡本さん)

 

しかし、岡本さんはトヨタ「クラウン エステート」(2024年発売予定)の復活に注目。「エステート」は「クラウン」のステーションワゴンです。

 

「クラウンはもともとワゴンがあったんですけど、しばらくなかった。今回出る16代目クラウンの実車を見てまいりました。これがひょっとしたらアッパーミドルの輸入車のクラスを食うのではないかと思うような出来栄えですね」(岡本さん)

 

比較対象は大きさ的にはメルセデスの「Eクラス」、BMWの「5シリーズ」、アウディの「A6」あたりとのこと。

 

「プレミアム性のある日本のワゴンって最近なかったんです。そこに名乗りを上げたクラウンが、どう受け入れられるかは非常に興味深い。円安で輸入車の価格が上がっていることもあって、これまでドイツのプレミアムブランドのワゴンを買っていた人が、クラウンのエステートに行くんじゃないかなと私は踏んでおります」(岡本さん)

 

キーワード03【キャラ立ち系続々】

上半期のまとめでは「ランドクルーザー250」「トライトン」と個性が際立っている車種を紹介しましたが、下半期以降もさらに“キャラ立ち系車種”が続々出てくる、と岡本さん。

 

「下半期に間に合うかはわかりませんが、面白そうな車があります。たとえば『ジムニー5ドア』や『スイフトスポーツ』。スズキで価格もそれほど高くならないでしょう。

 

あとは『ランドクルーザー』の小さい版が出るという噂もあります。『カローラ クロス』くらいのサイズと言われてますけど、ランクルに恥じない内容で出てくる。ちゃんとラダーフレームを使って、本格的な悪路走破性もあって、デザインはランクル。これ、めちゃめちゃ売れそうな感じしないですか?」(岡本さん)

 

先に名前が上がったスイフトスポーツはどうでしょうか。

 

「2023年はスイフト全体の中で、スイフトスポーツの販売比率が5割も行ってるんです。2023年はベース車のスイフトがモデル末期だったので特殊な状況かなと思っていたら、そんなことはなくて、新型スイフトになってからも4割ぐらいの高い販売比率だそうです」(岡本さん)

 

では、キャラが立っているクルマが売れる理由とは?

 

「せっかく買うなら面白いものという風に皆さん思ってらっしゃるのではないかと。付加価値ですね。基本性能はもちろん、基本を踏まえた上での付加価値に購入する理由を求めているのではないでしょうか」(岡本さん)

 

多様化して魅力的な選択肢が増えている今、どのようなトレンドが形成されるか、下半期も目が離せません。

 

 

まとめ/柚木安津

Z世代のニーズにジャストフィット! スズキの新型スイフト試乗レポート

スズキの世界戦略車種「スイフト」が2023年12月、7年ぶり5世代目となるフルモデルチェンジを果たしました。世界累計販売台数は900万台ともなり、スイフトはまさにスズキを牽引するグローバルカーとして位置付けられています。新型となったスイフトはZ世代を意識した作りになっていると感じました。その実力を、試乗を通して体験レポートします。

↑新型「スイフト」ハイブリッドMZ(2WD・CVT)

 

■今回紹介するクルマ

スズキ スイフト(試乗グレード:ハイブリッドMZ/2WD・CVT)

価格:216万7000円(税込)

 

目指したのは“スイフト=走り屋のクルマ”からの脱却?

スイフトは2000年に登場した初代からコンスタントに売れ続ける根強い人気を保ってきました。それだけに5代目となる新型もキープコンセプトとなったようで、一目見ただけでは先代と大きく変わらない印象を受けます。しかし、よく見ると新型ならではの進化が随所に見られます。

 

実はここに新型に課せられた大きな命題がありました。商品企画の担当者によれば、メインターゲットであるZ世代から少し上の子育て世代にアンケートを取ったところ、“スイフト=走り屋のクルマ”という印象をもつ人が多かったそうです。これは走り屋をイメージしがちな“スイスポ”がスイフト全体の約半分に迫っていたことが影響しているとも言えます。そのため、「普通に乗れる乗用車が欲しい」人たちからスイフトは敬遠されることが少なくなかったらしいのです。

 

一方でファミリー層のウケを狙うばかりに柔なイメージを作れば、今度は走りを期待するユーザー層が離れてしまいかねません。そんな悩ましい思いの中からこのデザインは誕生したというわけです。

 

エクステリアではヘッドライトとフロントグリルに先代の面影を残しつつも、先代の丸みを帯びていたデザインから直線基調のシャープなボディラインへと変更されています。特に劇的に変わったのがボンネットで、新型は貝殻のように全体を覆うようなクラムシェル型ボンネットを採用。そこからボディサイドへ回り込ませることで、新たなスイフトとしての個性を発揮しています。

↑タイヤはブリヂストンのエコタイヤ「エコピア」を組み合わせる。サイズは185/55R16

 

フロントグリルはクロームメッキとピアノブラック調を組み合わせた凝った造りで、ヘッドランプにはL字型のポジションランプを内蔵。リアテールランプも上質感を伝えるLEDを採用しています。

↑ヘッドランプと組み合わされたLEDポジショニングランプ

 

インテリアは先代のドライバー中心設計の機能性を継承しつつ、インパネとドアトリムをデザイン上でつなげる一体感を演出。インテリアカラーはブラックを取り入れながらも、全体を明るいグレー系でまとめるなどして高品質感と同時に軽快感も生み出しています。特筆すべきはセンタークラスターを運転席側に向けることでドライバーの操作性を高めていること。電動ブレーキが採用されたことも大きなプラスポイントと言えます。

 

【インテリアをギャラリーでチェック】(画像をタップすると閲覧できます)

 

新開発1.2LエンジンとCVTの組み合わせでリニアな加速感

パワーユニットは新開発の直列3気筒1.2Lガソリンエンジンで、最高出力82PS、最大トルク108Nmを発揮。これまでのスイフトと同様に、モーター機能を持たせた発電機「ISG」と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドとなっています。スズキによれば、発電効率と減速時の回生エネルギーを高め、より省エネルギーを図った設計になっているとのことでした。

↑エンジンは新開発「Z12E型」直列3気筒1.2Lガソリンエンジン。最高出力82PS、最大トルク108Nmを発揮する

 

↑モーター機能を持たせた発電機「ISG」と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドを採用

 

トランスミッションは高効率化と軽量化を進めたCVTを採用。これが主力となるのはいうまでもありませんが、見逃せないのはラインナップに5MTを揃えたことです。スズキによれば、マイルドハイブリッドを組み合わせるのは同社として初めてのことになるそうです。スイスポまでの走りは求めないけど、少しはスポーティな走りも楽しみたい。そんなユーザーにはうってつけの一台となるのかもしれません。

 

プラットフォームは先代から引き継いだ高剛性の「ハーテクト」を採用しつつも、実走行でのテスト走行を繰り返すことで実用域でのフィールを向上させたとのこと。サスペンションは捻り剛性を高め、コーナリングでの車体の傾きを抑えて高い操縦安定性を実現したそうです。また、車体の接合部に減衰力を持たせた接着剤を採用したことや、ダッシュパネルの板厚に厚みを持たせたるなどして騒音対策を徹底。これにより先代よりも高い静粛性を確保したということです。

 

リニアな加速感と高いライントレース性がスポーティさを発揮

走り出してすぐにわかったのが、CVTにありがちなアクセルを踏んだときの加速とエンジン音のずれがほとんどなかったことです。アクセルを軽く踏んだだけでスルスルッと走り出し、そのまま気持ちよくエンジンを回していくことができます。CVT嫌いになる人の多くは、このラバーバンドフィールを要因としていることがほとんどですが、新型スイフトに限ってはそうした感覚はほとんど感じずに済むのはないでしょうか。

↑新型スイフトを試乗する筆者

 

サスペンションも走り出した直後から、足腰のしっかりとした感触が伝わってきました。ステアリングのフィールもシャキッとしていて、ラインのトレース性も高いために思ったとおりのコースを走り抜けることができます。コーナリングでのロールもしっかり抑えられており、これなら絶対的なパワーがあるとは言えないまでも、十分にスポーティな走りが楽しめるでしょう。このフィールは「明らかに“スイスポ”の血筋を引いているな」と思ったほどです。

 

それと新型スイフトは、先進安全装備であるADAS機能の性能向上が図られていることも見逃せません。スズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」は、ミリ波レーダーと単眼カメラ、超音波センサーを組み合わせたもの。衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートII」では画角、検知エリアを拡大し、交差点衝突回避支援では右左折と出会い頭での衝突を検知してブレーキ作動を支援します。

↑ADAS機能はミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせ、検知範囲を広げるなどして安全性能を大幅アップ

 

特に、ACCには車線中央を維持する「車線維持支援機能」以外に、カーブ進入時に速度を抑制したり、車線変更時に方向指示器に連動して自動で加減速したりする機能も装備。さらに先行車や対向車に眩しさを与えない「アダプティブハイビームシステム(AHS)」や後方車両を検知する「ブラインドスポットモニター」のほか、後退時に接近する車両を検知してディスプレイや音などで知らせる「リアクロストラフィックアラート」を装備して、安全装備での先進性は大幅に高められたと言っていいと思います。

↑ACCは停止までサポートできるよう電動パーキングブレ機を採用。ホールド機能も備わる

 

より元気にドライブを楽しむのに最適な仕上がり

新型スイフトの試乗を終えて感じたのは、全体としてシャキッとしたシャープな走りが楽しめるということです。絶対的なパワー感こそ得られませんが、リニアな加速感が味わえることでアクセルを踏み込んだときのストレスはほとんど感じません。乗り心地にしてもタイトなサスペンションが低速域でこそ若干固さを感じさせますが、トレース性も高くロールを抑えていることで、気張らずとも誰でも気持ちよい走りが楽しめます。

↑シャープなハンドリングとリニアな加速感が好印象だった新型スイフト

 

こうした点からも新型スイフトは、乗り心地重視の世代ではなく、より元気にドライブを楽しむことを普通に感じるZ世代向けに開発されたクルマなのです。これをベースとした“スイスポ”の登場がとても楽しみになってきました。

SPEC(ハイブリッドMZ/2WD・CVT)●全長×全幅×全高:3860×1695×1500mm●車両重量:950kg●パワーユニット:Z12E型エンジン+モーター●最高出力:82PS(エンジン)、3.1PS(モーター)●最大トルク:108Nm(エンジン)、60Nm(モーター)●WLTCモード燃費:24.5km/L(ハイブリッド燃費)

 

【フォトギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)

 

撮影/松川 忍

もはや「ないものはない」 さらに便利&快適となったスズキ「スペーシア」

今回は日本が生んだ軽の合理性が堪能できるスズキ「スペーシア」を紹介する。

※こちらは「GetNavi」 2024年2.5月号に掲載された記事を再編集したものです

 

さらに便利&快適になってライバルを迫撃!

スズキ スペーシア

SPEC【ハイブリッドX(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1785mm●車両重量:880㎏●パワーユニット:657cc直列3気筒DOHC●最高出力:49PS/6500rpm●最大トルク:5.9kg-m/5000rpm●WLTCモード燃費:23.9km/l

 

後席に新採用された“飛び道具”は効果も十分

2021年には累計販売が100万台を突破、現在は130万台を超えているというスペーシアが3代目へとスイッチ。この新型では持ち前の使い勝手を一層高めるとともに、運転支援機能はもはや「ないものはない」レベルに。走りについてもクラストップの低燃費を実現するなど、全方位的に隙のない進化を遂げている。

 

その外観はベース車、カスタムともに全体の質感が向上している。頑丈な大容量コンテナがモチーフという造形はシンプルでいながら、適度な“塊感”も演出。特にカスタムはフロント回りがスッキリとした相乗効果で、サイズ以上の上質感すら漂わせるようになった。

 

シンプル、という表現は例によって多機能な室内にも当てはまるが、新型では後席に要注目の新装備も採用。座面前方の「マルチユースフラップ」はオットマン、レッグサポート、荷物ストッパーという3つの機能があり、このなかではレッグサポートが走行中の疲労軽減に大きく貢献していることが今回の試乗でも確認できた。

 

その走りは自然吸気、ターボともに満足できる仕上がり。足回りは自然吸気でも頼もしさを感じさせる仕立てとなるだけに、動力性能に余裕があるターボなら、ファーストカーとしてのニーズにも高いレベルで応えられるはずだ。

 

クラストップの低燃費を実現

マイルドハイブリッドとなるエンジンは、先代比でターボ(写真上)が2.1㎞/ℓ、自然吸気(同下)は2.9㎞/ℓWLTCモード燃費が向上。

 

外観は「ツール感」を演出する造形に

先代はスーツケースだったが、新型の外観は大容量コンテナがモチーフ。ボディカラーは新色を含む8色に、ルーフがソフトベージュ(写真)となる4色を加えた合計12色。

 

カスタムは上質感と存在感を重視

先代比では、特にフロント回りがスッキリした印象のあるカスタムの外観はベース車以上に質感が向上した印象。こちらのボディカラーは単色7色、2トーン4色の合計11色。

 

後席の快適性と使い勝手が格段に向上

シート回りのトピックは、後席のマルチユースフラップ。オットマンモード(写真:中)ではリラックスした姿勢が取れるほか、荷物ストッパーモード(写真:下)では買い物かごのずり落ち防止などに重宝する。

 

先代比では荷室高が拡大

荷室は後席格納時の床面が先代以上にフラット化。加えて40㎜の低床化を実現したことで、使い勝手を着実に進化させている。

 

シンプルにして多機能な仕立て

コンパクトな液晶メーターを採用するインパネ回りは、収納関連の装備が充実。助手席前には大きなオープントレイのほか、適度なサイズのインパネボックスも備わる。

クルマ通を唸らすスズキの中で実は売れ筋。「ソリオバンディット」の魅力を改めて深掘りする

ソリオは2020年末の発売から3年が経とうとしているモデル。それでいて今も販売ランキングベスト20にランクインし続ける。その魅力の源泉はどこにあるのか。今回はソリオバンディットを借り出し、実際に見て触って確かめてみた。

 

■今回紹介するクルマ

スズキ ソリオバンディット(試乗グレード:HYBRID MV)

価格:212万5200~231万7700円(税込)

 

スズキの普通乗用車の中で売れ筋なのがソリオ

現在のスズキのラインナップにおいて、普通乗用車(軽自動車以外)は何があるのか? 数えてみると、イグニス、エスクード、クロスビー、ジムニーシエラ、スイフト、そしてこのソリオ(バンディット)と計6車種もあった。

 

トヨタ ノアのOEMであるランディは除いたが、スズキが6車種もラインナップしていることに驚く人もいるかもしれない。

 

この6車種というのが、どれもクルマ通を唸らせる深みを持つ魅力を持つモデルばかりで、イグニスやエスクード、スイフトなどは欧州でも販売されており、本格的な走行性能を備えた味のあるモデルだ。

 

また、クロスビーとジムニーシエラは、それぞれハスラーとジムニーの排気量アップ版であり、キャラのたった存在感のある人気車2台に対して、「軽ではちょっと物足りない」というユーザーの要望を満たしたモデルである。

 

しかし、実はこのなかで最も売れているのが、ソリオ(バンディット含む)だ。2023年1月~6月の乗用車販売台数ランキングのベスト20に入っているのはソリオのみ。

 

ソリオ自体は、名車「ワゴンR」の普通車版である「ワゴンRワイド」の流れを汲む、ハイトワゴンタイプのコンパクトカー。2000年に車名が「ワゴンRソリオ」に、2005年には「ソリオ」となった。

 

2011年に発売された2代目モデル以降は、室内空間の拡大や、前後シート間ウォークスルー、後席スライドドアなどを採用し、一躍人気モデルに。以後、ソリオは国内スズキの屋台骨を支える量販モデルとして君臨し、2020年末に、現行型となる4代目モデルが発売されている。

↑先代から全面改良を施したソリオとソリオ バンディット。今回はソリオ バンディットを試乗しました

 

ダイナミックなエクステリア。カーキを選ぶとオシャレな雰囲気に

ソリオバンディットは2代目ソリオの頃に追加された派生モデルで、ソリオとバンディットの違いは、ぱっちりお目目の大型ヘッドライトが装着されるソリオに対し、若干目を細めたようなシャープな造形のヘッドライトを装着している。スポーティで若者受けしそうな雰囲気にまとめられたモデルだ。

↑細部まで作り込むことで、立体感を目指したフロントグリル

 

簡単にいえば、ファミリーっぽいイメージのソリオに対して、やや都会的な雰囲気で若者や男性ウケを狙ったのがバンディットである。

 

ハイトワゴンタイプのクルマといえば、箱型なため、どうしても単調なデザインになりがちだ。しかしソリオでは、ヘッドライトの下から流れるサイドラインが、一度下に落ちてからグイッと上へ向かっている。この抑揚のあるラインのおかげで、横から車体を見たときにダイナミックな雰囲気が感じられ、前後方向に伸びやかなスタイリングを実現している。

↑ポジションランプとヘッドランプが二段構えのように並んでいるのも特徴的

 

↑シャープで動きのある線がダイナミックさを作り出しています

 

ルーフ(屋根)部分がボディ別色のツートンカラーを選べば、さらに車体が薄く見えてスポーティな雰囲気だ。

 

個人的には今回撮影したボディカラーであるカーキがお気に入りである。白や黒はあまりにも流通量が多いので除いたとして、赤や青はたいていのクルマに設定があるが、カーキはなかなかラインナップされないボディカラーだ。

↑ソリオバンディットのカラバリは全7色11パターンをラインアップ

 

イメージされるのは軍用車ベースのジープなどであり、どこか泥臭さも感じさせながら、現代的なデザインのソリオバンディットでは、これがハズシのオシャレになっている。ちなみにカーキの設定はソリオのほうにもあり、これまたデザインのイメージを変えるくらい素敵なルックスとなるのでご確認いただきたい。

 

スズキの哲学を感じる使い勝手。低燃費&静かな走りも好印象

中身はどうかといえば、これが実に安心感を得られるクルマにまとまっている。先代型よりボディは約70mm延長したことで、もともと広かった室内空間をさらに拡大し、リアシートは大幅な前後スライドが可能。同乗する家族に満足してもらえる快適な後席スペースが広がっている。

 

【インテリアを画像でチェック】(画像をタップすると閲覧できます)

 

スライドドアについても、「HYBRID」系のグレードでは両側、あるいは左側のみ電動式のパワースライドドアとなっていて、使い勝手がいい。このあたりは、スズキの哲学が活きていることを実感させられる。

↑荷物をたくさん持っているときなどに便利なパワースライドドア。また予約ロック機能も追加されており、ドアが閉まるのを待たずに携帯リモコンでドアロックが可能です

 

スズキといえば軽自動車メインの小型車メーカーとして国内で長い歴史と販売実績を持ちながら、ハンガリーやインドでも競争力のあるグローバルモデルを販売している。コストを低く抑えながら、ユーザーのツボを押さえたクルマ造りを得意としており、価格の安い小型車であっても、乗る人の不満が徹底的に改善されている。それが発売から3年経とうとしている現行型ソリオバンディットにもしっかり感じられる。

 

今回試乗したのは「HYBRID MV」というマイルドハイブリッドモデル。最上位のフルハイブリッドモデル「HYBRID SV」に比べると、乗り味はガソリン車感が強く、実際にモーターによるアシストもごく少量となり、EV走行もできない。

 

しかしマイルドハイブリッドであっても十分なほど低燃費(カタログ燃費は19.6km/L)で、静粛性も高い。これこそが長く販売されてきたことで商品力が洗練された結果だ。

 

室内の広大なスペースに反してボディはほどよいサイズにまとめられていることもあり、取り回しの良さは優れている。サスペンションは柔らかめに設定されていて、スポーティな走りは苦手だが、乗り心地は悪くない。このあたりは売れ筋カテゴリーのモデルだけにユーザーの要望を真摯に受けとめた結果といえよう。一方で、ライバルモデルに対して静粛性が高めなのは4気筒エンジンにこだわったスズキらしさだ。

↑パワーユニットは直列4気筒エンジンとモーターの組み合わせで、最高出力は91PS(67kW)/6000rpm、最大トルクは118Nm/4400rpm

 

王道ではないクルマを選ぶなら最適

ライバル車を挙げるなら同クラスの同形状のトヨタ ルーミーになるが、2023年1月~6月の乗用車販売台数で見るとルーミーは約4万6000台、かたやソリオ(バンディット含む)は約2万7000台である。販売力が違いすぎる相手に対して、善戦しているといえよう。ヤングファミリーや独身層が、王道ではないクルマ選びをするには最適の一台だ。

SPEC【HYBRID MV・2WD】●全長×全幅×全高:3790×1645×1745mm●車両重量:1000kg●パワーユニット:1242cc直列4気筒エンジン+モーター●最高出力:91PS(67kW)/6000rpm●最大トルク:118Nm/4400rpm●WLTCモード燃費:19.6km/L

 

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文・撮影/安藤修也

作りこめば最高の相棒に! 楽しいDIY的なクルマ「スペーシア ベース」

継続するアウトドア人気を受けて、メーカーもその動きを意識したモデルを送り出している。今回はスズキ「スペーシア ベース」をプロが診断する!

※こちらは「GetNavi」 2023年6月号に掲載された記事を再編集したものです

 

【私が診断します】

GetNavi乗り物担当・上岡 篤

宅ワークを軸にしつつ、取材などに飛び回る日々を送る。

 

作りこむのが楽しいクルマはアウトドアシーンでも大活躍

スズキ
スペーシア ベース
139万4800円〜166万7600円

ハイトワゴンと商用車の“ちょうど良い中間”を狙い開発されたモデル。登録としては商用車ながら乗り心地の良い足回りなど、乗用車としても十分な資質だ。標準で搭載される「マルチボード」で後席や荷室の幅広い活用が可能。

SPEC【XF・2WD】●全長×全幅×全高:3395×1475×1800mm●車両重量:870kg●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC●最高出力:52PS/6500rpm●最大トルク:6.1kg-m/4000rpm●WLTCモード燃費:21.2km/l

 

頭上にも小物を収納できるスペース

↑乗用モデルのスペーシアでは後席も快適なサーキュレーターを搭載。だが同車では小物が収納できるオーバーヘッドシェルフを装備する

 

愛犬との同乗に便利な分割モードも可能

↑リアシートを愛犬などのペット居住スペースに、荷室部分を荷物積載スペースに分割可能なモードも設定。安心してドライブできる

 

同社軽モデルの豊富な収納スペースが魅力

↑写真のフロントドアポケットを含め、リアスペースの収納スペースも豊富。純正オプションパーツが豊富で、カスタマイズもしやすい

 

標準のマルチボードで後方空間が多彩に変化

↑ワークスペースに適した上段モード(上)、移動販売車などに向く中段モード(中)、フルフラットで車中泊にぴったりな下段モード(下)が設定可能。アイデア次第で車内空間の使い方が大きく広がるのが最大の魅力だ。

 

【上岡’s Check】使い方はアイデア次第!作りこめば最高の一台に

「商用車はバンタイプが多く、使い方も限られてきました。ですが同車はオンでもオフでも活躍できるマルチな存在で、大きな可能性を秘めています。作りこめば最高の相棒です」

 

作りこんでいくのが楽しいDIY的なクルマ

スペーシア ベースは商用車に与えられる4ナンバーのクルマ。だがその性格は、フロントシート回りと、リアシートから後ろの荷室で大きく異なるのが面白い。

 

フロントシートまわりは、他のスペーシアシリーズと変わらない快適さがポイント。足回りも荷物の最大積載量を200kgに抑えたことで乗用車用タイヤの装着が可能となり、ゴツゴツ感もない。

 

一方でリアシートは、スライドやリクライニングも不可能というエマージェンシー的な存在。だがその割り切りと荷室の活用のために標準搭載されるマルチボードが秀逸。ワーキングスペースになったり、フルフラットにして車中泊も可能なモードにもなる。使う人のアイデアで可能性が広がる。

 

同車は「なんとなくアウトドア向きだから」と選ぶのには不適格。であればスペーシア ギアのほうがよりアウトドア向けで快適だからだ。だが「キャンプのベース車にしたい」「移動販売車として使いたい」「動くワーキングスペースにしたい」という目的があり、自分なりに作りこんでいくクルマとして最高のモデルだ。

商用車登録でありながら快適性や遊びが魅力! スズキ・スペーシアの派生モデル「ベース」をチェック

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、商用車登録でありながら乗用車のような快適性を誇る、スペーシアの派生モデル「ベース」を紹介!

※こちらは「GetNavi」 2023年02・03合併特大号に掲載された記事を再編集したものです

 

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感。クルマを評論する際に重要視するように。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわっている。

 

【今月のGODカー】スズキ/スペーシア ベース

SPEC(XF・2WD)●全長×全幅×全高:3395×1475×1800mm●車両重量:870kg●パワーユニット:658cc直列3気筒エンジン●最高出力:52PS(38kW)/6500rpm●最大トルク:6.1kg-m(60Nm)/4000rpm●WLTCモード燃費:21.2km/L

139万4800〜166万7600円(税込)

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

 

走行性能も申し分ない“大人の秘密基地”

安ド「殿! スズキからスペーシア ベースが発売されました!」

 

永福「軽自動車のバリエーションがどんどん増えておるな」

 

安ド「ですね! これは人気の車中泊需要に応えたモデルです!」

 

永福「たしかに、サイド後方の窓がなくなっておる」

 

安ド「その部分の内側の壁に棚やコンセントが付いています!」

 

永福「さすが車中泊仕様だな」

 

安ド「僕が良いなと思ったのは、黒いホイールです。今回借りた上位グレードのアルミホイールも、下位グレードの鉄チンホイールも、どちらも真っ黒に塗ってあってシブいんです!」

 

永福「同感だ。ホイールが黒いだけでたくましく、クロウトっぽく見える」

 

安ド「スズキの方にレクチャーしてもらったんですが、ラゲッジ&リアシートのアレンジが、覚え切れないくらいたくさんあってオドロキました。それらを全部使うことはないと思いますが、自分の使いやすい形を見つけ出せるのは良いですね!」

 

永福「子どものころ、隣の空き地に基地を作って遊んだが、このクルマにはその感覚があるぞ」

 

安ド「通常の軽とは逆で、電動スライドドアが右側だけなんですが、これは、ドライバーのためのクルマだからということでした。自分だけの遊びグルマとして軽を一台所有できる趣味人には、ピッタリではないでしょうか!」

 

永福「うらやましいな」

 

安ド「スペーシア ベースは商用軽自動車なんですが、乗用軽自動車のスペーシアがベースということで、エブリィより快適性が高いそうです。僕はエブリィに乗ったことないので違いがわかりませんが、そんなに違いましたか?」

 

永福「確実に違う。エブリィやアトレーはキャブオーバータイプゆえ、前輪の真上に座る感覚だが、スペーシア ベースは通常の軽と同じなので、快適性や操縦性は大幅に上回っている。最近、スペース性に優れるキャブオーバー軽をアウトドア仕様に仕立てるのも流行っているが、走行性能は確実にスペーシア ベースが勝っている」

 

安ド「直接のライバルはホンダのN-VANだと思いますが、それと比べてはどうですか?」

 

永福「乗り心地に関しては、スペーシア ベースがだいぶリードしている。N-VANには、純粋な商用モデルもあって、貨物を満載した状態を想定し、サスペンションを固めてあるからだ。しかしスペーシア ベースは、商用車であっても実際にはアウトドア専用に開発された乗用モデル。足まわりは断然しなやかなのだ」

 

安ド「殿はダイハツのタントを所有されていますが、それと比べるとどうでしょう?」

 

永福「タントより100kg近く軽いので、ターボなしでも走りが軽快で驚いた。さすがスズキの軽は軽いな。このクルマ、大人の秘密基地として実に魅力的だぞ」

 

安ド「同感です!」

 

【GOD PARTS 1】フロントフェイス

カスタム風デザインもカラー違いで異なる趣き

通常のスペーシアではなく、スペーシア カスタム系のデザインが採用されています。ただ、「カスタム」はギラギラしていてアクが強い感じですが、この「ベース」は大部分が艶消しブラックで落ち着いた雰囲気です。

 

【GOD PARTS 2】ホイール

純正ブラック塗装で映えるカスタム質感!

クルマのホイールといえばシルバーの印象が強いですが、このスペーシア ベースのホイールは真っ黒。カスタマイズの基本とも言えるホイール塗装が最初からされているので、いきなり玄人っぽい雰囲気を醸し出せます。

 

【GOD PARTS 3】片側パワースライドドア

あえて右側を電動化した理由はドライバーのため?

軽自動車では片側のみ電動スライドドアということが多いですが、ほとんどが左側。日本は歩道が左にあるので当然といえば当然ですが、このクルマは運転席を降りてすぐ開ける右側が電動。“すべてはドライバーのために”というわけです。

 

【GOD PARTS 4】フロントシート

室内を有意義に使うため前後移動を可能に!

スペーシアやスペーシア カスタムのオーナーならすぐに気付くと思いますが、このべースではフロントシートがベンチタイプではなく、左右セパレートタイプになっています。車内を前後方向に移動できる、“秘密基地”らしいつくりです。

 

【GOD PARTS 5】リアシート

小さくて補助的で最低限使えるレベル

非常に小さなリアシートがついています。このクルマは商用車(4ナンバー貨物)なので、貨物スペース優先で設計されているため、リアシートは取って付けたような必要最低限のものになっています。かわいいですが快適性は期待できません。

 

【GOD PARTS 6】リアサイドウインドウ

埋められた窓の内側には便利な収納が!

スペーシアとの外観上の大きな違いが、リア(荷室部分)のサイドウインドウがなくなっていること。ベースではこの内側にポケットやフックが付いていて、荷室活用時には便利な棚や小物を置くスペースとして使うことができます。

 

【GOD PARTS 7】エンブレム

工事現場の足場風模様がイカしてる!

リアの「BASE(ベース)」と車名が書かれたエンブレムをよく見ると、文字周囲のシルバーの部分に、まるで工事現場の足場に使う鉄板のような滑り止めっぽい加工が施されています。まさに仕事場! 細かいところにまでこだわっていますね。

 

【GOD PARTS 8】オーバーヘッドシェルフ

高い天井を最大限生かせる収納スペース

商用バンなどで時々見かける装備ですが、スペーシア ベースにも天井に物入れスペースが設置されています。上位グレードのみの設定ですが、天井のデッドスペースを活用するという、軽自動車のなかでも車高が高いモデルに許された特権ですね。

 

【GOD PARTS 9】助手席

ただ前に倒れるだけじゃないシートの工夫

当然のごとく、助手席も道具として使えます。背もたれを前方に倒せばテーブルに(下)。キズが目立ちにくい加工が施されているのもポイントが高いです。座面を外せば、買い物カゴのように持ち運べるアンダーボックスが出現します(上)。

 

【これぞ感動の細部だ!】マルチボード

使い方に合わせて荷室スペースを変化!

クルマの最大の特徴がボード(板)というのは長い自動車史のなかでも初めてかもしれません(笑)。搭載された1枚のボードを荷室内にある様々な凹みや突起に組み合わせて設置することで、荷室がデスクスペースになったり、フラットスペースを生み出せたりします。荷室の上下・前後の分割なんてこともできて、秘密基地気分で愛車を自由に使い倒せます。

 

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撮影/我妻慶一

スズキ「スペーシア ベース」使い方は自在の“移動型秘密基地”

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのは、スズキのスペーシア ベース。軽規格の商用車だが、実用性については見どころが多いモデルだ。

※こちらは「GetNavi」 2023年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【軽バン】

スズキ

スペーシア ベース

SPEC【XF(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1800mm●車両重量:870kg●総排気量:658cc●パワーユニット:直列3気筒DOHC●最高出力:52PS/6500rpm●最大トルク:6.1kg-m/4000rpm●WLTCモード燃費:21.2km/L

 

大型のマルチボード採用で多彩な用途に対応できる!

最近は車中泊を楽しむ人が増えている。なかでも手軽で人気なのが軽自動車による車中泊、いわゆる“軽キャンパー”だ。特に商用車は広い荷物スペースが確保され、アレンジの自由度も高いと好評だ。

 

そんな車中泊を含めて、多用途に使いこなすためのアイデアを満載して投入されたのが、スペーシアカスタムから派生した軽商用車のスペーシア ベース。注目したいのは、荷物スペースへの設置位置を上中下段、および前後分割の4モードから選択可能な大型のマルチボードを標準装備することだ。

 

例えば、下段モードで前席をフルリクライニングすると、前後に2030mmのスペースを確保。大柄な男性でも余裕で車中泊できる。あるいは、上段モードで後席背もたれを前倒しにして座ればマルチボードがデスクにもなる。

 

走りは実用上の不満はない。ターボの設定がないので、周囲の流れに合わせる場面でアクセルを踏み込む機会が多くなるが、音の大きさを感じさせずに必要な力強さを確保。サスペンションは、最大積載量200kgに対応して硬めに設定されている。ただし乗り心地が犠牲になるほどではない。

 

ひとりで車中泊するなら、楽しむためのツールを満載することも可能。安全装備が充実しているだけに、長距離ドライブでも安心だ。

 

[Point 1]豊富な収納スペースを用意して安全装備も充実!

商用車とはいえ、最新モデルらしく安全装備は充実。インテリアはシンプルなデザインながら収納スペースが豊富に設けられるなど、使い勝手に配慮した作り。

 

[Point 2]荷室をペットのケージ代わりに使用可能

マルチボードを縦にセットすれば、荷室を前後に分割することもできる。荷室長は前側セットで、805mm、写真の後方セットでは545mmを確保。

 

[Point 3]外観は“道具感”を演出

スペーシアカスタムをベースとする外観は、ブラック塗装のトリムやリアクォーターパネルなどにより、良い意味での“道具感”を演出。ボディカラーは全5色を用意する。

 

[Point 4]移動式のワークスペースにも!

上段にセットしたマルチボードと、座椅子としても使える後席の組み合わせでワークスペースも作れる。ボードのセット位置は4パターン用意されている。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/ミッション/駆動方式/税込価格)

GF:0.66L/CVT/2WD、4WD/139万4800円(151万8000円)

XF:0.66L/CVT/2WD、4WD/154万7700円(166万7600円)

●( )内は4WDの価格

 

文/萩原秀輝 撮影/宮門秀行

 

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スズキ「ハスラー」はアクティブな乗り方に耐える現代仕様のタフデザイン!

近年、素材整形技術の進化とともに、シャープなデザインを特徴とする“ツリ目”ライトのクルマが増えてきた。一方で、古くから存在し続けているのは“丸目”ライトを持つクルマたち。ファニーな印象を与えがちな丸目ライトだが、その瞳の奥に秘めたトガった魅力を分析していこう。

※こちらは「GetNavi」 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです

 

ワタシが評価しました!

自動車評論家

清水草一さん

これまで50台以上のクルマを愛車としてきたベテラン評論家。専門誌でデザインに関する連載を持っていたほどクルマの見た目にはうるさい。

 

スズキ/ハスラー

136万5100~181万7200円(税込)

2020年に現行型となる2代目モデルへモデルチェンジした、クロスオーバーSUVタイプの軽自動車。使い勝手のいい軽ハイトワゴンに流行りのSUV風のデザインを施し、高レベルの低燃費性能と安全性能、小回り性能を備えている。

SPEC(HYBRID Xターボ・2WD)●全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm●車両重量:840kg●パワーユニット:658cc直列3気筒ターボエンジン●最高出力:47kW/6000rpm●最大トルク:98N・m/3000rpm●WLTC燃費:22.6km/L

 

印象をガラリと変える目尻の付け足しがニクい

ジムニーは3ドアだが、ハスラーは5ドアなので実用性が高い。ジムニーはボディの角が角ばっているが、ハスラーは適度に丸みを帯びている。そして丸目の外側に目尻を付けたハスラーの顔は、ジムニーに比べるとグッとソフトで、ぬいぐるみっぽく感じられる。

 

つまり「ジムニー的な機能オンリーデザインのソフト&カジュアル版」というわけだ。

 

[ココはトガっている] インテリアデザインはギア風!

従来の軽自動車では見たことがなかったような自由度の高いデザイン。インパネ正面に3つのサークルを設けるなど、どこかギアっぽさ、おもちゃっぽさを感じる作りになっている。

 

↑ポケットやトレーなどを備えたアウトドア向けのインテリア。買い物袋を提げられるフックやシート座面下の収納も搭載する

 

↑シート脇のラインなど、内装を彩るホワイト/オレンジ/ブルーといったカラーアレンジもグレードによって選ぶことができる

 

 

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どんな道も力強く駆け抜ける古典的4WD車の最新形スズキ「ジムニー」

近年、素材整形技術の進化とともに、シャープなデザインを特徴とする“ツリ目”ライトのクルマが増えてきた。一方で、古くから存在し続けているのは“丸目”ライトを持つクルマたち。ファニーな印象を与えがちな丸目ライトだが、その瞳の奥に秘めたトガった魅力を分析していこう。

※こちらは「GetNavi」 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです

 

ワタシが評価しました!

自動車評論家

清水草一さん

これまで50台以上のクルマを愛車としてきたベテラン評論家。専門誌でデザインに関する連載を持っていたほどクルマの見た目にはうるさい。

 

スズキ/ジムニー

155万5400~190万3000円(税込)

約20年間販売された先代型に代わり、2018年にモデルチェンジした軽クロスカントリーSUV。登場するや否や爆発的な人気で1年以上の納車待ち状態に。オフロード向きのラダーフレーム構造と、最新の安全装備を採用している。

SPEC(XG・4速AT)●全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm●車両重量:1050kg●パワーユニット:658cc直列3気筒ターボエンジン●最高出力:47kW/6000rpm●最大トルク:96N・m/3500rpm●WLTC燃費:14.3km/L

 

機能に一極集中したパワフルなデザイン

ジムニーのデザインは、余計な工夫を何もしていない。悪路の走破性の高い、いわゆるジープタイプのカタチのまま作っている。

 

ヘッドライトも当然丸い。繰り返すが、ジムニーは余計な工夫を一切排除している。つまり、80年前のジープとまったく同じなのだ。この機能オンリーのデザインパワーは、すさまじい破壊力を持って、我々の心に食い込んでくる。

 

[ココはトガっている] 縦横無尽のオフロード性能!

初代モデルから一貫して採用されているのはパートタイム式の4WD。雪道、荒地、ぬかるみ、登坂路など、様々なシーンに合わせた駆動パターンを選ぶことができて、高い悪路走破性能を発揮する。

 

↑軽自動車ではなく1.5Lエンジンを搭載するワイドボディの「ジムニーシエラ」もラインナップ。よりパワフルな走りを求める人向け

 

↑シンプルにして機能性を徹底追及したインテリアデザイン。骨太なオフロードモデルを欲するユーザーにぴったりだ

 

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やっぱり安心感ある! 「スイフトスポーツ」は欧州車に近い走りのコンパクトハッチバック

スズキの「スイフトスポーツ」といえば、国産車では希少となったMT(マニュアル・トランスミッション)車を設定するコンパクトハッチバック。すでに登場から5年が経過しようとしている同車だが、今改めて乗ってみて感じた魅力を綴る。

 

【今回紹介するクルマ】

スズキ/スイフトスポーツ

※試乗グレード:6MT(全方位モニター用カメラパッケージ装着車)

価格:187万4400円~214万1700円(税込)

 

とりあえずこいつを選んどきゃ間違いない!

さまざまな国産コンパクトスポーツが存在するなか、評論家筋でいつの時代も評価が高いのがスイフトスポーツだ。ライバルはトヨタ「ヤリス(ヴィッツ)」や日産「ノート」、ホンダ「フィット」、マツダ「デミオ」などのスポーツグレードになるが、クルマ選びに悩んだ際、スイフトスポーツには「とりあえずこいつを選んどきゃ間違いない!」という安心感がある。

 

それは、グローバルで販売されて高い評価を得ていること、4モデルが約20年に渡って販売されてきた歴史と伝統があること、モータースポーツに参戦していたことなどからも容易にわかるが、やはり一番の理由は、「運転が楽しい」ことに尽きる。世界中のさまざまなクルマに試乗してきた評論家陣から話を聞けば、最も欧州車に近い走りを味わえるのがスイフトスポーツなのである。

 

デザインはどうか。基本的にはスイフトをベースに、おしゃれにというよりは迫力ある雰囲気に仕立てられている。フロントまわりでは、大口径のグリルやバンパーまわりのラインが強調されていて躍動感を感じさせる。サイドからリアにかけてはブラックのアンダースポイラーが精悍さを表現し、リアディフューザーとデュアルエキゾーストパイプは、リアまわりの存在感を高めている。

↑スイフトの美点であった、Cピラー(サイドウインドウとリアウインドウの間の柱)のブラックパーツのデザイン処理はしっかりと活かされている

 

↑切削加工とブラック塗装を施した新意匠アルミホイール、シルバー塗装の新意匠アルミホイールがそれぞれ対象グレードに採用

 

今回の試乗車のボディカラーは「チャンピオンイエロー4」だったが、イエローは歴代モデルでも中心となってきた同車のイメージカラーだ。「夏は虫が寄ってきて困る」というオーナーの話も聞いたことはあるが(笑)、やはりポルシェやフェラーリにしても、RX-7にしても、イエローはスポーティなクルマによく似合う。街を走るイエローのスイフトスポーツを見たら、クルマに興味のある人ならきっと見入ってしまうはずだ。

↑レッドからブラックへとグラデーションのカラーリングがまさにエキゾチックジャパン!

 

↑荷室容量は5名乗車時で265L

 

まるでスポーツクーペのような感覚で曲がれる!

搭載されるエンジンは、1.4L直噴ターボの「ブースタージェットエンジン」。名称だけでもカッコいいが(笑)、実力もしっかりともなっている。低回転域からターボエンジンらしからぬ高トルク(力強さ)を発揮し、2000~3000回転くらいまでエンジンを回せば、1.4Lとは思えないほどパワフルで余裕のある走りを味わえる。アクセルを踏み込めばリニアに反応して鋭い加速をみせ、1t以下という軽量なボディを、まるで後方から蹴っ飛ばしたかのように押し出してくれる。

↑1.4L直列4気筒ターボエンジン。最高出力140ps、最大トルク23.4kgmで先代のNAエンジンからターボ化とハイオク化で大幅なトルクアップを果たしている

 

このクルマの一番の特徴でもあり、賞賛に値する部分といえば、やはり走りがいいこと。まずコーナーでは、全高が高めのコンパクトカーとは思えないほど路面にビシッと張り付き、まるでスポーツクーペのような感覚で曲がれる。また、「HEARTECT(ハーテクト)」と呼ばれるプラットフォーム、つまりクルマの骨格は、剛性が高く、非常にしっかりしている。ベースのスイフトと比較すると、やはりサスペンションは硬めだが、決して乗り心地は悪くない。

↑スイフトスポーツはやっぱり走っていて楽しい!

 

さらに、MTの操作感がしっかりしていて、スコッスコッと気持ちよく変速できる。このあたりも欧州車らしい味付けだ。フロントシートは、スイフトスポーツ専用デザインになっていて、速い速度でコーナーなどに侵入した際にGで身体が持っていかれそうになっても、しっかり支えてくれる構造になっている。

↑セミバケット形状のフロントシート。背中が当たる部分には“Sport”というロゴが刻まれています。シートスライドは前後に10mmずつ24段階の240mm、運転席シートリフターは上下に60mm調整でき、ドライバーの体格や好みに合わせたきめ細かい設定が可能

 

なお、2020年5月には改良が施され、後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能、リアパーキングセンサーなど、車庫入れなどちょっとした動作の際にやってしまいがちなうっかりミスを助けてくれる機能が追加された(5速MT車を除く)。また、アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付き)やブラインドスポットモニター(車線変更サポート付き)なども全グレードに標準搭載されるなど、安全性能も高められている。これなら、中年になってキビキビ走るスポーツカーに対して不安を抱いているような人であっても安心だ。

 

グレードを選ぶにあたって一番好ましいのはMTモデルだが、家族も運転するとなると、MTはNG……という人も多いだろう。しかし6速ATモデルも(MTの操作感を抜きにすれば)十分気持ちよさを味わえて、街中をストレスなく走ることができる。見た目がちょっとスポーティ過ぎる感もあるが、5ドアハッチバックなので実用性は十分だ。残念ながら3ナンバーでハイオク仕様となっていてランニングコストはすこしかかるが、それほど燃費が悪いわけでもない。幼児などを抱えていて実用性がないと困るが、時には本格的なスポーティ性能を味わいたい。そんなユーザーにベストな選択となる。

↑左側にタコメーター、右側にはスピードメーター。中央にはマルチインフォメーションディスプレイを搭載

 

↑ずっと握っていたくなる6速MTのシフトノブ

 

SPEC【2WD・6MT】●全長×全幅×全高:3890×1735×1500㎜●車両重量:970㎏●パワーユニット:1371㏄直列4気筒直噴ターボ●最高出力:140PS/5500rpm●最大トルク:230Nm/2500-3500rpm●WLTCモード燃費:17.6㎞/L

 

撮影/茂呂幸正 文/安藤修也

 

 

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世界で大注目! 海を航行するだけで「マイクロプラスチックごみ」を回収するスズキの船外機の仕組みが素晴らしすぎた

海洋プラスチックごみ問題――。中でも直径5mm以下のマイクロプラスチックは、海流に乗って世界中に拡散し、海の生態系に甚大な影響を及ぼすと懸念されています。この問題に対してスズキ株式会社が開発するのが、世界初の船外機用マイクロプラスチック回収装置。海を航行するだけでマイクロプラスチックを回収できることで、いま世界中から注目を集めています。

 

戻り水の通り道にフィルターを設置

自動車やバイクメーカーという印象が強いスズキですが、実は船外機(ボート用のエンジン)を取り扱うなど、陸から海まで事業を展開する世界でも珍しい企業です。そんな同社が開発したマイクロプラスチック回収装置とはいかなるものなのか? マリン営業部の小川陽平係長に説明していただきました。

 

「小型船舶に搭載する船外機には、自動車のようなラジエーターはなく、ウォーターポンプで汲み上げた大量の海水でエンジンを冷却しています。冷却に使った海水(戻り水)は、そのまま海中へ戻すため、戻り水の通り道にフィルターを付け、マイクロプラスチックを回収する構造を考えました。

↑マイクロプラスチック回収装置(右)を取り付けた船外機

 

戻り水の通り道にフィルターを付けただけと仕組みは至ってシンプル。しかもエンジンの性能には影響しません。また、フィルターにマイクロプラスチックが詰まった場合も、別の通り道に水が流れる仕組みなので、冷却水路が詰まってしまう心配も無用。溜まったゴミはフィルターを取り外して処分するだけです。当社では、航行100時間ごとにエンジンの定期点検を推奨していますが、その時にフィルターのゴミも処分するので、ゴミ処理をお客様自身が行うケースはほとんどありません。もちろん穴など開いていなければ、フィルターは長く使用できます」(小川さん)

↑マイクロプラスチック回収装置の仕組み。万が一フィルターが詰まった際に備えて、バイパスルート(赤丸で囲んだ部分)も想定されている

 

既存もモデルにも搭載可能

至極、シンプルな構造ながら、今までどの企業も思い付かなかったというから、まさに目からウロコ。アイデアの勝利と言えるでしょう。ただ実用化に至るまでには、やはり試行錯誤を繰り返したそうです。

 

「まず、マイクロプラスチックの定義を確認したり、実態調査を行ったりする作業からスタートしました。当初は、漁網のような装置や、浄水器のようにエンジン冷却水の出口にフィルターを付ける案も出ましたが、それでは走行スピードに影響が出ます。開発にあたり、お客様には普段通りご利用いただけるということを大前提としていたので、エンジン性能や走行性能に影響しないシステムを考え出すのに苦労しました。そして装置の開発後、国内をはじめアジア各国でモニタリングテストを実施。世界中の代理店から問い合わせが多数寄せられるなど、その反響の大きさに手ごたえを感じました。

↑新型船外機「DF140B」をはじめ5機種に標準装備される

 

こちらの装置は、「DF140B」をはじめ、今年7月の生産分以降、5機種の船外機に標準搭載予定です。装置自体は、冷却水が通るホースをフィルター付きのホースに交換するだけなので、構造的には既存モデルの船外機にも設置可能です。つまり、船外機を買い替える必要はありません。ちなみに、現時点での対象機種は100~140馬力の船外機。より大型の船外機にも対応してほしいという要望は多いのですが、設置スペースや他の装置への干渉など、馬力の大きい船外機の場合、まだいくつか課題があるのが現状です。今後はできるだけ早く、より高馬力の船外機にも対応できるようにしていきたいです。

↑海上を航行しているだけでマイクロプラスチックを自動的に回収する

 

もちろん、この装置によってすべてのマイクロプラスチックを回収できるわけではありませんが、お客様自身が環境問題に興味を持っていただくきっかけになったり、知らず知らずのうちに社会貢献活動に参加していることになったりするのではと考えています。世界中のお客様と一緒になってマイクロプラスチックを回収できる今回の装置は、環境保全の観点からもすごく意義があると自負しております」(小川さん)

 

事実、この装置の発表後、10社以上の国内メディア、100社以上の海外メディアから問い合わせを受けているそう。マイクロプラスチック回収装置への関心度の高さや期待の大きさが窺えます。

 

海への感謝を示す「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」

「マイクロプラスチック回収装置が誕生した背景には、“海への感謝を忘れない”という当社の想いがあります」と話すのはマリン営業部の原木理恵さんです。同社はその想いを具現化するために、2010年より、海や河川、湖を中心に清掃活動を行ってきました。さらに近年の社会課題の変化を踏まえ、活動のあり方を見直し、2020年に新たな取り組みとして「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」を立ち上げました。

 

「このプロジェクトは、①水辺の清掃活動 ②製造及び補給部品梱包におけるプラスチックの削減 ③海洋マイクロプラスチックの回収 という3つの活動から成り立っています。原点であるについては、いまや全世界に活動が広がっていて、2021年12月までの参加者数は延べ約1万人に達しました。近年は社員だけでなく、一般のお客様にもご参加いただいています。

↑清掃活動は本社のある静岡県浜松市から始まり、今では世界27代理店で実施

 

②の製品及び補給部品梱包におけるプラスチックの削減に関しては、2020年10月より補給部品梱包、2021年9月より製品梱包に、環境に配慮した梱包材を採用するなど、プラスチックの削減に積極的に取り組んでおり、これまでに11.2トンのプラスチックを削減しました。そしてマイクロプラスチック回収装置の開発が③に該当します」(原木さん)

 

このように「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」のもと、実現に向けて着実に歩みを進める同社。最後に、SDGsが同社に与えた影響について、コーポレート戦略部サステナビリティ推進グループの渋谷俊介さんにうかがいました。

 

スズキらしいアイデアをカタチに

「一般的にCSR活動という言葉が使われ始めた2000年代の社会貢献活動は、ボランティアや寄付が主体でしたが、SDGsが登場すると、企業は“本業を通じて社会課題に貢献していかなければならない”という考え方に変化していきました。これを機に、当社のこれまでの事業を振り返りますと、環境に配慮した小型車を開発・普及させてきたことや、当社のシェアが高い新興国で製造活動を行って雇用を創出していることなど、事業自体を通じてSDGsの目標に貢献できていると認識できたのです。“お客様の立場になって価値ある製品を作ろう”という創業時からの企業理念に沿って続けてきた事業活動に間違いはなかったと改めて自信を持つことができました」(渋谷さん)

↑写真左から、マリン事業本部 マリン営業部 米州・大洋州・企画グループ 係長・小川陽平さん、同グループ・原木理恵さん、コーポレート戦略部 サステナビリティ推進グループグループ長・渋谷俊介さん

 

「現在は、四輪、二輪、マリンなど、あらゆる事業を通じて私たちがどう社会に貢献できるのかを、改めて見つめ直しながら取り組んでいるところですが、マイクロプラスチック回収装置のように、スズキらしい課題解決の仕方やアイデアを活かすことができればと思います。“当社の船外機を使っていただければ、どんどん海が綺麗になる――”。こうした製品やサービスをこれからもどんどん創出していけるよう、全社一丸となって努力していきたいです」(渋谷さん)

一番売れている軽よりもお買い得!? フルオプションで138万円のスズキ「アルト」の魅力に迫る

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、軽自動車「アルト」の新型モデルを取り上げる。大人気のハイトワゴンとは一線を画すアルトの魅力とは?

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】スズキ/アルト

SPEC【HYBRID X・2WD】●全長×全幅×全高:3395×1475×1525mm●車両重量:710kg●パワーユニット:657cc直列4気筒●最高出力:49PS(36kW)/6500rpm●最大トルク:58Nm/5000rpm●WLTCモード燃費:27.7km/L

94万3800円〜137万9400円(税込)

 

控え目の車両重量に申し分ないエンジンを備え軽やかな走り

安ド「殿! 今回は殿の希望で、新型アルトを借りてきました!」

 

永福「アルトは軽自動車の原点。軽くて走りっぷりが良いな」

 

安ド「本当に走りが軽やかでビックリしました!」

 

永福「先代モデルはもっと軽かったが、新型はマイルドハイブリッドが搭載されたので、出足の良さは先代モデルをしのいでいる」

 

安ド「価格も安いですね!」

 

永福「今回の試乗車は上級モデルのハイブリッドX。アルトとしては価格が高い部類だが、それでも126万円くらいなので、最近のクルマとしてはかなり安い」

 

安ド「軽でも総額200万円は当たり前になっていますから、126万円は安いです!」

 

永福「オプションを含めても138万円。その値段でこれだけ走行性能が高くて、装備もほとんど何でも付いている」

 

安ド「全方位モニターが付いていたのには感動しました。こういうクルマって、女性が乗ることが多いでしょうから、すごく便利だと思います!」

 

永福「軽は女性ユーザーが7割と言われるが、アルトの場合、男性の割合が高い気がするぞ」

 

安ド「えっ、なぜ?」

 

永福「営業車として使われることが多いからだ。個人ユーザーはもっと大きい軽を選んでいる」

 

安ド「……考えてみれば、一番売れてる軽は、ハイトワゴンのホンダ・N-BOXですもんね」

 

永福「N-BOXの車両重量は約1t。アルトは約700kg。300kgも軽くてエンジン性能はほぼ同じだから、アルトのほうが軽やかに走るのは当然だ。価格も断然安い。どう考えてもアルトのほうがお買い得だが、多くの人はN-BOXを買っている」

 

安ド「なぜでしょう?」

 

永福「少しでも広い家に住みたいのと同じく、人は少しでも広いクルマが欲しいのだ。軽の場合、床面積は同じだから、広いといっても天井が高いだけだが」

 

安ド「天井が高いと、確かに高級な感じはしますね! ホテルのロビーみたいに」

 

永福「合理的に考えればアルトだが、心情的に考えるとN-BOXになるのだな」

 

安ド「デザインはどうでしょう。キープコンセプトすぎて、クルマに詳しい人じゃないと、先代モデルと見分けがつかないのでは?」

 

永福「デザインは先代モデルのほうが圧倒的に優れていた。なにしろ先代モデルは、アウディでチーフデザイナーを務めた和田 智氏が関わっている」

 

安ド「でも、似てませんか?」

 

永福「ヘッドライトの形状は多少似ているが、それ以外はまるで違う。安ドよ、お前の目は節穴か!」

 

安ド「ヒェ〜、申し訳ありません!」

 

永福「しかし多くの人には、新型のほうが立派に見えるかもしれぬ。新型は天井が5cm高いからな」

 

安ド「やっぱり天井の高さなんですね!」

 

【GOD PARTS 1】フロアコンソールトレー

よく使うティッシュを手元に置いておきたい

運転席横の足元には大きめの小物入れが設置されています。スマホのような小さな物を置いておくと走行中のGで動いてしまいそうですが、ボックスティッシュならピッタリのサイズ。手を伸ばせばそこにティッシュ! って便利です。

 

【GOD PARTS 2】デュアルカメラ

2つのカメラで障害物をキャッチ!

予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」が全車標準搭載されています。前方の障害物を検知して、警告、およびブレーキ踏力をアシストするブレーキサポート機能は、2つのカメラを駆使して夜間の歩行者も検知できるそうです。

 

【GOD PARTS 3】ツートーンカラー

少しでもオシャレさを向上させたい

社用車として購入されることが多いため、白、黒、シルバー系のボディカラーが売れ筋になるでしょう。しかし、レッド、ブルー、ブラウン、ベージュの4色に関しては、ルーフがホワイトのツートーンカラーが選べて、“仕事のクルマ”感が一気に薄れます。

 

【GOD PARTS 4】ヘッドライト

同じような形だけど実は進化

先代モデルではもう少し角が尖っていましたが、外側に向かって広がる長方形という形状は変えずに、角が丸くなりました。なお、上位グレードはHIDランプ、その他はハロゲンランプを使用していて、内部構造まで異なります。

 

【GOD PARTS 5】軽量ボディ

軽さが生み出すキビキビした走り

軽量ボディの恩恵で、ドライビングがとにかく軽快。アクセルペダルの操作に応じて、キビキビ走ります。カーマニアの心情的には、この新型ベースでハイパフォーマンスモデルの「アルトワークス」を作っていただきたいものです。

 

【GOD PARTS 6】全方位モニター表示

4つのカメラが死界をなくす!

車両の前後左右に4つのカメラが搭載されており、クルマの周囲の様々な方向をディスプレイで確認することができます。車両前方、後方、左側のほか、真上から見たような映像や、写真のような3Dビューまで表示可能です。

 

【GOD PARTS 7】インパネ

1クラス上の上質感!

パッと見、軽自動車には見えないほど質感の高いデザインです。コンパクトカーと比べてもチープさは感じられません。ポケットやトレー、小物入れなど収納スペースが充実していて、使い勝手が良いのも特徴です。

 

【GOD PARTS 8】ヘッドアップディスプレイ

前方からせり出す透明パネル

エンジンをかけると、運転席前方のサンダーバードの格納庫のような部分が開き、速度や燃費等の情報を表示する透明な板、ヘッドアップディスプレイがせり上がってきます。標識認識機能もあり、制限速度もすぐわかります。

 

【GOD PARTS 9】USB電源ソケット

多過ぎて損をすることはなし!

撮影車には、ディスプレイ接続用のほか、インパネまわりに3つのUSB電源ソケットが装備されていました。乗車している全員が一斉にスマホの充電をするようなことはなかなかないと思いますが、多いに越したことはありません。

 

【これぞ感動の細部だ!】シートヒーター

寒い時期に重宝するあったか装備

シートの表面が温かくなるシートヒーター機能が運転席にも助手席にも付いていて、寒い時期にはありがたいです。最上位グレード(HYBRID X)は全車に、その他グレードも4WD車にはすべて標準搭載されています。スイッチを入れてから1分もしないうちに温かくなってくるので、かなり実用性が高いです。

 

撮影/我妻慶一

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

トヨタ、スズキの持ち味を生かした仕上がり! 日本が誇る定番車の最新作を試乗レポート

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」は伝統の日本ブランドが放つ最新作をピックアップ。トヨタの「カローラ クロス」は、シリーズ初のSUV。新型「アルト」は、累計で500万台以上を販売しているロングセラーの9代目。いずれも、定番モデルらしい持ち味が実感できる出来栄えだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】「世界のカローラ」に相応しい扱いやすさが魅力!

SUV

トヨタ

カローラ クロス

SPEC【ハイブリッドZ(2WD)】●全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm●車両重量:1410kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[72]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[16.6]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:26.2km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

すべてに不足がない作りだがカローラらしくリーズナブル

多くのSUVをラインナップしているトヨタに、新たに「カローラ」の名が付くSUVが加わった。サイズ的には、「ヤリス クロス」と「RAV4」の間。その仕上がりをひと言で表すと、カローラらしくすべてにおいて不足がない。他のシリーズとの共通性を感じさせる内外装は、多くの人に受け入れられるデザイン。後席や荷室も十分な広さで、ゴルフバッグは4個積載可能。また、装備面では本革を組み合わせた上質なシートや、大開口パノラマルーフのオプションも選べる。

 

「C-HR」と同じTNGA-Cプラットフォームをベースとしつつ、2WDのリアサスはマルチリンクに代わって新たにトーションビーム式を採用したのが特徴。引き締まった乗り味ながら快適性も十分で、動きが素直で乗りやすい。1.8Lハイブリッド、特にE-Fourは上質感が、一方のガソリンモデルは軽快な走りが魅力的だ。これだけ充実した性能ながら価格はカローラらしくリーズナブル。爆売れしているのも納得だ。

 

[Point 1] 車室内はSUVらしい広さを確保

背の高いスクエアなボディ形状とあって、室内はSUVに相応しい広さを確保。フロントにはスポーティな形状のハイバック形状のシートを採用し、カジュアルな雰囲気も演出する。

 

[Point 2] 荷室容量もトップクラス

2WD車の荷室容量は、5名乗車時でも439〜487Lとクラストップレベル。4WDモデルでも407Lを確保する。高機能収納ボックスも備わり、ユーティリティにも優れる。

 

[Point 3] 新開発の足回りで走りもしなやか

2WD車には新開発のリアサスペンションを採用。しなやかで快適なライド感を実現している。最小回転半径を5.2mに抑えたことで、街なかでの使い勝手も上々だ。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

G“X”:1.8L/2WD/CVT/199万9000円

G:1.8L/2WD/CVT/224万円

S:1.8L/2WD/CVT/240万円

Z:1.8L/2WD/CVT/264万円

ハイブリッドG:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/259万円、279万9000円(※)

ハイブリッドS:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/275万円、295万9000円(※)

ハイブリッドZ:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/299万円、319万9000円(※)

※:4WD(E-Four)の価格

 

 

【その2】「素」の魅力が味わえるスズキ伝統のベーシック

軽ハッチバック

スズキ

アルト

SPEC【ハイブリッドX(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1525mm●車両重量:710kg●パワーユニット:657cc直列3気筒DOHC●最高出力:49PS/6500rpm●最大トルク:5.9kg-m/5000rpm●WLTCモード燃費:27.7km/L

 

ハッチバックモデルらしい素直な操縦性も魅力的

「アルト」は、初代が1979年に登場したスズキ伝統のモデル。9代目となる新型モデルでも、軽自動車における基本の“き”とも言うべき堅実な作りは健在だ。ボディは、先代よりスクエアな形状となり室内空間が拡大。同時に内外装の質感が目に見えて向上したこともポイントとなっている。

 

搭載するエンジンは、自然吸気のみ。組み合わせるトランスミッションもCVTの1択だが、アルトでは初めてマイルドハイブリッド仕様を設定。燃費は、軽自動車トップとなる27.7km/Lをマークする。また、最新モデルらしく運転支援系の装備も充実。独自のデュアルカメラブレーキサポートなどは、全車で標準装備となる。

 

今回は2WD仕様に試乗したが、走りは日常を共にするベーシックカーとして満足できる出来栄えだ。現在、軽自動車で主流となっているトールワゴン系より軽量ということもあって常用域の力強さも申し分ない。また、先代より全高が高くなったとはいえ、ハッチバックと呼べる水準に収まるので操縦性も実に素直。日常域はもちろん、望めば積極的に操る場面にも対応できる。前述の質感向上に加え、この新型アルトではボディカラーの選択肢も豊富なだけに、気の利いた普段使いの相棒としても狙い目の1台と言える。

 

[Point 1] 2トーンを含めてボディカラーも多彩

ボディカラーは、新色となる写真のブルーをはじめとする8色。そのうち4色で、2トーンとなるホワイトのルーフも選べる。外観は先代より親しみやすさが強調された。

 

[Point 2] 燃費性能は軽自動車随一

搭載するパワーユニットは自然吸気のみだが、アルトでは初となるマイルドハイブリッド仕様を設定。軽自動車ではトップクラスとなるWLTCモード燃費を実現している。

 

[Point 3] 親しみやすさは室内でもアピール

立体的造形のインパネ回りは、収納スペースも豊富。シートにはデニムをイメージさせる生地を採用。背面のカラーを変えて、カジュアルで親しみやすいイメージも演出できる。

 

[Point 4] 使い勝手も着実に進化

荷室は、開口部の地上高を下げて積載性が向上。先代と比較すると、わずかながら荷室長も拡大されている。リアの背もたれは分割可倒式ではないが、後席を畳めば容量は大幅に拡大できる。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

A:0.66L/2WD、4WD/CVT/94万3800円、107万5800円(※)

L:0.66L/2WD、4WD/CVT/99万8800円、112万9700円(※)

ハイブリッドS:0.66L/2WD、4WD/CVT/109万7800円、122万8700円(※)

ハイブリッドX:0.66L/2WD、4WD/CVT/125万9500円、137万9400円(※)

※:4WDの価格

 

文/岡本幸一郎、小野泰治 撮影/郡 大二郎、宮越孝政

 

 

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「素」の魅力が味わえるスズキ伝統のベーシック、新型アルトに試乗!

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」は伝統の日本ブランドが放つ最新作をピックアップ。新型アルトは、累計で500万台以上を販売しているロングセラーの9代目。定番モデルらしい持ち味が実感できる出来栄えだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ハッチバックモデルらしい素直な操縦性も魅力的

軽ハッチバック

スズキ

アルト

SPEC【ハイブリッドX(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1525mm●車両重量:710kg●パワーユニット:657cc直列3気筒DOHC●最高出力:49PS/6500rpm●最大トルク:5.9kg-m/5000rpm●WLTCモード燃費:27.7km/L

 

「アルト」は、初代が1979年に登場したスズキ伝統のモデル。9代目となる新型モデルでも、軽自動車における基本の“き”とも言うべき堅実な作りは健在だ。ボディは、先代よりスクエアな形状となり室内空間が拡大。同時に内外装の質感が目に見えて向上したこともポイントとなっている。

 

搭載するエンジンは、自然吸気のみ。組み合わせるトランスミッションもCVTの1択だが、アルトでは初めてマイルドハイブリッド仕様を設定。燃費は、軽自動車トップとなる27.7km/Lをマークする。また、最新モデルらしく運転支援系の装備も充実。独自のデュアルカメラブレーキサポートなどは、全車で標準装備となる。

 

今回は2WD仕様に試乗したが、走りは日常を共にするベーシックカーとして満足できる出来栄えだ。現在、軽自動車で主流となっているトールワゴン系より軽量ということもあって常用域の力強さも申し分ない。また、先代より全高が高くなったとはいえ、ハッチバックと呼べる水準に収まるので操縦性も実に素直。日常域はもちろん、望めば積極的に操る場面にも対応できる。前述の質感向上に加え、この新型アルトではボディカラーの選択肢も豊富なだけに、気の利いた普段使いの相棒としても狙い目の1台と言える。

 

[Point 1] 2トーンを含めてボディカラーも多彩

ボディカラーは、新色となる写真のブルーをはじめとする8色。そのうち4色で、2トーンとなるホワイトのルーフも選べる。外観は先代より親しみやすさが強調された。

 

[Point 2] 燃費性能は軽自動車随一

搭載するパワーユニットは自然吸気のみだが、アルトでは初となるマイルドハイブリッド仕様を設定。軽自動車ではトップクラスとなるWLTCモード燃費を実現している。

 

[Point 3] 親しみやすさは室内でもアピール

立体的造形のインパネ回りは、収納スペースも豊富。シートにはデニムをイメージさせる生地を採用。背面のカラーを変えて、カジュアルで親しみやすいイメージも演出できる。

 

[Point 4] 使い勝手も着実に進化

荷室は、開口部の地上高を下げて積載性が向上。先代と比較すると、わずかながら荷室長も拡大されている。リアの背もたれは分割可倒式ではないが、後席を畳めば容量は大幅に拡大できる。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

A:0.66L/2WD、4WD/CVT/94万3800円、107万5800円(※)

L:0.66L/2WD、4WD/CVT/99万8800円、112万9700円(※)

ハイブリッドS:0.66L/2WD、4WD/CVT/109万7800円、122万8700円(※)

ハイブリッドX:0.66L/2WD、4WD/CVT/125万9500円、137万9400円(※)

※:4WDの価格

 

文/小野泰治 撮影/宮越孝政

 

 

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走る道を選ばない、タフなクルマで行こう! プロが証言するワールドクラスのオフローダー4選

“タフそう”なクルマは数多いが、岩場や泥濘路などの本格的なオフロードを安心して走行できる、ガチでタフなクルマは限られている。険しい道を突き進む走破性を備えた、本物のタフなクルマのスゴさをプロが証言!

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

プロがそのタフさを証言! 世界を走破するタフなヤツら!

【その1】高級・高性能でどんな道も快適! すべてがオーバースペックすぎる

メルセデス・ベンツ

Gクラス

1080万円~1530万円(税込)

1979年に初代モデルが登場して以来、メルセデスの本格的オフローダーを一手に担うGクラス。数々の装備による悪路走破性はピカイチだが、その変わらない無骨なデザインも人気で、オンロードユース層からも人気が高い。

SPEC【G 350d】●全長×全幅×全高:4725×1860×1970mm●パワーユニット:2986ccV型6気筒ディーゼルターボ●最高出力:245PS(118kw)/3600rpm●最大トルク:61.2kg-m(600Nm)/1600~2400rpm●JC08モード燃費:10.8km/L

 

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

日本に6台しかない「6×6」や希少なカブリオレなど、様々なG

時代とともに高級化しても受け継ぐ本質は変わらない

40年余り前、元々NATOのために開発された軍用車を民生用にアレンジしたのがGクラスのはじまりだ。そう聞いただけでもどれほどタフであるかがうかがい知れよう。当初のGクラスは、まさしく質実剛健なオフローダーだったのだが、やはりメルセデスの一員らしく高級感や快適性が求められるようになり、時間の経過とともに高級SUVとして進化してきた。

 

とはいえ2018年にアップデートした現行型でも、屈強なラダーフレームにリアリジッドアクスル、LOWモードギアに前後と中央の3つのデフといった伝統の基本構成は変わっていない。それでいて世のオフローダーでダントツの性能を誇るAMGモデルがあるのもGクラスならではである。

 

街なかで乗るにはすべてがオーバースペックに違いない。その点がまたGクラスの魅力でもあるのだ。

 

【岡本さんが証言!】なぜGクラスはタフなのか

[証言1] 鋼鉄製ラダーフレームにフロント独立懸架を直付け

ロの字型の鋼材をMAG溶接した新設計ラダーフレームを採用。ダブルウィッシュボーン化したフロントサスをサブフレームを介さずに取り付け、十分な地上高を確保する。

 

[証言2]「LOWレンジ」モードでは最大の悪路走破性を実現

デフロック、もしくは通常の2倍以上の駆動力を発揮するオフロード向けの低速ギアのLOWレンジを搭載。選択すると足まわりやアクセル特性を最適化できる。

 

[証言3] 3つのデフの作動/解除はワンタッチで自由自在

通常のオフローダーではデフロックの作動/解除には面倒な操作が必要。Gクラスはスイッチひとつで3つのデフを個別にメカニカルロックできる伝統の機能を備える。

 

[証言4] 悪路で役立つ情報を表示するオフロードスクリーン

外見とは逆にインテリアは先進的に。12.3インチワイドディスプレイには勾配、傾き、方位、舵角、デフロックの状況など悪路走行に特化した情報を表示できる。

 

【その2】一輪さえ接地していれば走行可能な世界屈指の絶対的オフローダー

ジープ

ラングラー アンリミテッド ルビコン

658万円(税込)

ジープ ラングラーのなかでも最強の悪路走破性を誇るのがルビコン。2WD/4WD-H/4WD-Lの切り替えができる副変速機はルビコン専用で、最終変速比は4.100。他のラングラーモデルよりも、さらに力強い走破性を生む。

SPEC●全長×全幅×全高:4870×1895×1850mm●パワーユニット:3604ccV型6気筒●最高出力:284PS(209kw)/6400rpm●最大トルク:35.4kg-m(347Nm)/4100rpm●WLTCモード燃費:8.0km/L

 

環境・自動車ジャーナリスト

川端由美さん

工学修士。エンジニアから自動車雑誌の編集記者を経て、自動車ジャーナリストに転身。ルビコン・トレイルを走破した猛者でもある。

世界屈指のオフローダーは難コースで走破性を鍛える

タフなことで知られるジープにおいて抜きん出たオフロード性能を持つのがラングラーであり、そのなかでも最上級の走破性を誇るのがルビコンである。その名の由来は、ルビコン・トレイルと呼ばれるアメリカの難関オフロードコースに由来しており、ここで鍛え上げられた証なのだ。

 

四角四面のスタイリングは、運転席からの見晴らしを重視した設計で、無骨なバンパーも簡単に外せる。機能の詳細を挙げるとキリがないが、実際にルビコンを走破した経験から言えば、一輪が接地しているだけでも走れたり、砂が浮いた岩場のような滑りやすい路面でも駆け上がれたり、ビーバーの住む深い川にジャブジャブ突っ込んだりと、まさに「道なき道を走る」ことができるのが本車だ。

 

ルビコンに乗らずして、タフなクルマを語るなかれ、である。

 

【川端さんが証言!】なぜラングラー アンリミテッド ルビコンはタフなのか

[証言1] スタビライザーを解除して悪路走破性を高められる

電子制御式フロントスウェイバーディスコネクトシステムを搭載。悪路でスタビライザーを任意に解除し、フロントアクスルの動きを拡大。走破性を一層高めている。

 

[証言2] ほぼフラットになる荷室にガンガン荷物が積める

2列目シートを前方に倒せば、ほぼフラットになる広大な荷室が登場。その容量は4ドアモデルで最大約2000L。キャンプでも大きな荷物をガンガン積載できる。

 

[証言3] 悪路走破性の高いギア比はルビコンだけのシステム

独自の4WDシステムである「ロックトラックフルタイム4×4システム」。4Lのギア比を4:1の低レンジにすることで、オフロードの走破性をより向上している。

 

[証言4] バンパーを簡単に外してアングル角を拡大できる

アプローチアングルやデパーチャーアングルは元々大きいが、バンパーを取り外すことでより拡大できる。ラチェットハンドルと対応ソケットがあれば簡単に行える。

 

【その3】タフさはそのまま受け継ぎスタイリッシュに進化!

ランドローバー

ディフェンダー

551万円~1171万円(税込)

70年にわたるランドローバーの歴史を象徴するモデルが、昨年登場した新型ディフェンダーだ。先代のタフな魅力はそのままに、堅牢性をさらに向上。もちろん快適性は天文学的にアップしており、まさに無敵のタフネスだ。

SPEC【110 X-Dynamic SE D300】●全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm●パワーユニット:2993cc直列6気筒ディーゼルターボ●最高出力:300PS(221kw)/4000rpm●最大トルク:66.3kg-m(650Nm)/1500~2500rpm●WLTCモード燃費:9.9km/L

 

自動車ライター

清水草一さん

『そのフェラーリください!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、自動車ライター/道路交通ジャーナリストとして活動。

無敵のタフネスを受け継ぎ都会でも超絶ハマる

先代ディフェンダーは、元をたどれば70年以上作り続けられたイギリスのジープ的存在。世界各国の軍用車両や警察、消防車両などに多数採用され続けてきたモデルで、タフさのカタマリである。

 

新型は、先代のタフさをそのまま受け継ぎつつ、都会にも完璧にマッチするスタイリッシュなデザインと、洗練された快適な乗り味を手に入れた。そのエレガントなボディの至るところに、先代譲りの超タフなメカや意匠が散りばめられている。

 

もちろん悪路の走破性は無敵だ。日本ではサイズが大きすぎて、林道では取り回しに苦労しそうだが、これも真のタフなクルマだと思えば納得。超ヘビーデューティな4WD機構はもちろんのこと、ピカイチなのはその渡河性能だ。なんと水深90cmまで耐えられるように設計されているのである。

 

【清水さんが証言!】なぜディフェンダーはタフなのか

[証言1] クリアサイトグラウンドビューで車体の下を確認可

3つのカメラの映像をリアルタイムで合成し、ボンネットの下の状況をモニターに映し出す。クルマの下にある轍や岩を確認できる、魔法使いのような機能だ。

 

[証言2] ほぼ垂直に切り立ったテールラインが印象的

徹底的に実用性を重視すると、車体は限りなく直方体に近づく。先代ディフェンダーもテールラインは垂直だったが、新型もその設計を受け継いでいる。

 

[証言3] 実用的かつスムーズな直6ディーゼルターボ

エンジンは、2L4気筒ガソリンターボのほかに、3L直6ディーゼルを用意。この性能が素晴らしく、しかもディーゼルとは思えない超絶なる滑らかさだ。

 

[証言4] 電子制御エアサス搭載で水深90cmまで走行可

電子制御エアサスペンションを搭載。標準車高より40mm低いアクセス向け車高から、75mmアップのオフロード向け車高まで変更できる。渡河性能は最大90cmだ。

 

タフなクルマこそキレイな車内を! ナノイーで清潔空間を保てる

ランドローバーの多くのモデルで、カビや菌、花粉、ニオイを抑制できるパナソニックのナノイーを搭載。過酷な道を進むタフなクルマにこそ望まれる装備だ。さらに将来的には、新型コロナウイルスへの抑制効果が検証されているナノイーXの搭載も検討中。今後の進化にも期待だ。

↑広い車内はフロント、2列目シート、3列目シート独立で空調のコントロールが可能。もちろん同期させて調節することもできる

 

↑モニター内の「ion」アイコンをタッチすればナノイーが車内に充満。一般的なイオンより長寿命のため、広い車内でも効果がある

 

【その4】狭い道でも分け入ることができるコンパクトボディとタフな走り

スズキ

ジムニー

148万5000円~190万3000円(税込)

4代目の現行型も、新開発されたラダーフレームをはじめ、FRベースの副変速機付パートタイム4WD、3リンクリジッドアクスル式サスペンションという伝統に則っている。衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も設定。

SPEC【XC 5MT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm●パワーユニット:658cc直列3気筒+ターボ●最高出力:64PS(47kw)/6000rpm●最大トルク:9.8kg-m(96Nm)/3500rpm●WLTCモード燃費:16.2km/L

 

自動車ライター

塚田勝弘さん

新車、中古車、カーナビゲーションなどのカー用品などを中心に取材、執筆している自動車ライター。元GetNavi編集部の乗り物担当。

小さくて軽いのが最大の武器大型トラックでも救出できる

数あるオフローダーのなかでもひときわコンパクトなボディを生かして、林道でもあぜ道でも狭い住宅街でも躊躇なく走れるのがジムニーの魅力だ。軽さも武器で、深い雪でも泥濘路でも容易に発進可能。しかも力持ちで、動画サイトでは歴代ジムニーが雪にハマった大型トラックを牽引して救出している様子を見られる。さらに現行型は、ブレーキLSDトラクションコントロールを標準化し、左右輪どちらかがスリップした際でも脱出しやすくなった。雪深い狭い山道を走らせたら世界最強だろう。

 

ラダーフレームによる高い耐久性やメンテナンス性はもちろん、修理できる専門ショップもパーツも多く、メンテナンスしながら長い年月乗れるタフさもある。中古車を手に入れて直して乗ったり、カスタマイズしながら楽しんだりする愛好家が多いのが特徴だ。

 

【塚田さんが証言!】なぜジムニーはタフなのか

[証言1] 大きな段差でもバンパーや車体の下側に接触しない

悪路走破時に重要な3アングル(アプローチ/ランプブレークオーバー/デパーチャー)に十分な余裕がある。岩場でも、見上げるような急勾配でも楽にクリア可能だ。

 

[証言2] 一定速で坂を降りられるヒルディセントコントロール

凍結した下り坂など滑りやすい路面でも4WD時にスイッチをオンにすることで、ブレーキを踏まなくても一定速でクリアできる機能。ステアリング操作に専念できる。

 

[証言3] いざというとき頼れるのが4WD低速用の「4L」

通常は2WD走行が基本で、豪雨時に「4H」にすれば安定した走りが可能。泥濘路や急勾配、他車を救出する際は「4L」にすることで通常の約2倍の駆動力が得られる。

 

[証言4] 剛性と耐久性を備えるタフなラダーフレーム

ラダー(はしご)型の強固なフレームに車体を載せる。現行型は中央部にX型のフレーム、前後にクロスメンバーを追加し、ねじり剛性を先代よりも約1.5倍向上させた。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

狭い道でも分け入ることができるコンパクトボディとタフな走りが特徴の「ジムニー」

“タフそう”なクルマは数多いが、岩場や泥濘路などの本格的なオフロードを安心して走行できる、ガチでタフなクルマは限られている。険しい道を突き進む走破性を備えた、本物のタフなスズキ「ジムニー」のスゴさをプロが証言!

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

小さくて軽いのが最大の武器大型トラックでも救出できる

スズキ

ジムニー

148万5000円~190万3000円(税込)

4代目の現行型も、新開発されたラダーフレームをはじめ、FRベースの副変速機付パートタイム4WD、3リンクリジッドアクスル式サスペンションという伝統に則っている。衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も設定。

SPEC【XC 5MT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm●パワーユニット:658cc直列3気筒+ターボ●最高出力:64PS(47kw)/6000rpm●最大トルク:9.8kg-m(96Nm)/3500rpm●WLTCモード燃費:16.2km/L

 

プロがそのタフさを証言!

自動車ライター

塚田勝弘さん

新車、中古車、カーナビゲーションなどのカー用品などを中心に取材、執筆している自動車ライター。元GetNavi編集部の乗り物担当。

 

数あるオフローダーのなかでもひときわコンパクトなボディを生かして、林道でもあぜ道でも狭い住宅街でも躊躇なく走れるのがジムニーの魅力だ。軽さも武器で、深い雪でも泥濘路でも容易に発進可能。しかも力持ちで、動画サイトでは歴代ジムニーが雪にハマった大型トラックを牽引して救出している様子を見られる。さらに現行型は、ブレーキLSDトラクションコントロールを標準化し、左右輪どちらかがスリップした際でも脱出しやすくなった。雪深い狭い山道を走らせたら世界最強だろう。

 

ラダーフレームによる高い耐久性やメンテナンス性はもちろん、修理できる専門ショップもパーツも多く、メンテナンスしながら長い年月乗れるタフさもある。中古車を手に入れて直して乗ったり、カスタマイズしながら楽しんだりする愛好家が多いのが特徴だ。

 

【塚田さんが証言!】なぜジムニーはタフなのか

[証言1] 大きな段差でもバンパーや車体の下側に接触しない

悪路走破時に重要な3アングル(アプローチ/ランプブレークオーバー/デパーチャー)に十分な余裕がある。岩場でも、見上げるような急勾配でも楽にクリア可能だ。

 

[証言2] 一定速で坂を降りられるヒルディセントコントロール

凍結した下り坂など滑りやすい路面でも4WD時にスイッチをオンにすることで、ブレーキを踏まなくても一定速でクリアできる機能。ステアリング操作に専念できる。

 

[証言3] いざというとき頼れるのが4WD低速用の「4L」

通常は2WD走行が基本で、豪雨時に「4H」にすれば安定した走りが可能。泥濘路や急勾配、他車を救出する際は「4L」にすることで通常の約2倍の駆動力が得られる。

 

[証言4] 剛性と耐久性を備えるタフなラダーフレーム

ラダー(はしご)型の強固なフレームに車体を載せる。現行型は中央部にX型のフレーム、前後にクロスメンバーを追加し、ねじり剛性を先代よりも約1.5倍向上させた。

 

 

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安全なクルマは好みで選べる!「カテゴリ別」安全+αの最適モデル指南

衝突被害軽減ブレーキをはじめとして安全性能についてはお墨付きのモデルのなかから、より便利に、楽しく使えるモデルをプロがチョイス。スタイルや走り、使いやすさなど自分の好みに合ったモデルを選んで、ワンランク上の快適ドライブを満喫しよう!

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が選びました

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

【タイプ1】SUV

多くの新モデルが登場し、安全運転支援技術も最新のモノが搭載されることが多いSUV。走破性能や使いやすさで優れたモデルもあるが、総合性能で選ぶならトヨタ・RAV4だ。

 

【独創性で選ぶなら】クーペ的なシルエットとインテリアの心地良さが秀逸

マツダ

MX-30

242万円〜305万2500円

SUVでありながらクーペ的シルエットとフリースタイルドアが印象的なモデル。インテリアにはコルクやペットボトルなどサステナブルな素材を用いて心地良さを演出する。

 

↑同社のRX-8以来となる観音開きを採用したフリースタイルドア。ピラーがないぶん後席の乗降もしやすい

 

[岡本’sジャッジ]

 

【先進機能で選ぶなら】e-POWERとプロパイロットの先進性を1台で味わえる

日産

キックス e-POWER

275万9900円〜286万9900円

日産独自のハイブリッド方式であるe-POWERと、安心・快適なドライブを実現するプロパイロットという、2つの先進機能が1台で楽しめる。EV走行時の静粛性も特筆モノだ。

 

↑アクセルペダルひとつで加減速が行えるe-POWER Drive。アクセルとブレーキの踏み替え回数も減ってラク

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】3列シートを備えたモデルは人も荷物も余裕で乗せられる

メルセデス・ベンツ

GLB

512万円〜696万円

コンパクトなサイズながら、身長168cmまでの人が座れる3列目シートが便利なモデル。3列目シート使用時でも130L、シート格納時では500Lの荷室を活用して積載できる。

 

↑大人数で乗車するときに便利な3列目シート。身長168cmの人までに限られるが、あるとやはり便利だ

 

[岡本’sジャッジ]

 

【走破性能で選ぶなら】ジープ最強モデルが誇る世界最高の悪路走破性能

ジープ

ラングラー

499万円〜621万円

高い最低地上高、大径タイヤなどの見た目から想起するとおりのオフロード性能を誇るモデル。なかでも悪路走破性能を強化したアンリミテッド ルビコンは世界最強と言われる。

 

↑マニュアルで切り替えるパートタイム4×4を搭載。自動で前後輪に駆動力を分配するフルタイム4×4も採用する

 

[岡本’sジャッジ]

 

【デザインで選ぶなら】デザインは軽快ながら操縦安定性の良さが光る

 

フォルクスワーゲン

T-Cross

303万9000円〜339万9000円

若々しいデザインとカラーバリエーションが魅力のコンパクトSUV。一見軽快なモデルだが、ドイツ車ならではの高い操縦安定性もポイント。2WDのみなのが少々残念ではある。

 

↑リアシートは140mmスライドが可能。後席の広さを自在に変え、同時にカーゴスペースの拡大にも役立つ

 

[岡本’sジャッジ]

 

【総合性能で選ぶなら】悪路も難なくこなすオールラウンダーSUV

トヨタ

RAV4

274万3000円〜402万9000円

前後左右のタイヤへのトルク配分を変更する独自のダイナミックトルクベクタリングAWDを採用し、悪路走破性が高い。もちろんオンロードでの快適さもトップクラスを誇る。

 

↑路面の状況に応じて最適なトルク配分を行うダイナミックトルクベクタリングAWD。高い走破性を実現する

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ2】コンパクトカー

コンパクトカーでトップを争うトヨタ・ヤリスとホンダ・フィットがモデルチェンジし、走りや使い勝手が一層向上。走りを楽しみたいならスズキ・スイフトスポーツも選択肢のひとつだ。

 

【使いやすさで選ぶなら】広々とした室内空間は使い勝手も良好!

ホンダ

フィット

155万7600円〜253万6600円

広々とした室内空間と快適な乗り味でコンパクトカーらしからぬ心地良さを提供してくれる。後席の座面をはね上げて背の高いモノを積載できるなど、使い勝手も抜群に良い。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【走りの良さで選ぶなら】強力ターボと軽量ボディが刺激的な走りを実現

スズキ

スイフトスポーツ

187万4000円〜214万1700円

1.4Lの強力直噴ターボエンジンと970kgの軽量ボディで刺激的な走りが楽しめ、コスパも抜群に良いモデル。クルマを操るのが好きな人にはうれしい6速MTも選べるのは◎。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【燃費の良さで選ぶなら】操縦安定性に優れた驚異的低燃費モデル

トヨタ

ヤリス

139万5000円〜249万3000円

新形プラットフォームの採用で高い操縦安定性を実現。36.0km/Lというハイブリッド車の驚異的な燃費に目が行きがちだが、ガソリン車でも最高21.6km/Lと優秀な数値だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ3】ミニバン

使い勝手の良い日産・セレナや、走りの良さを楽しめるホンダ・ステップワゴンに注目。独創的な三菱・デリカD:5のクロカン走破性能は他のミニバンにはない優位点だ。

 

【走りの良さで選ぶなら】低床設計が生み出すしっかりとした走りが魅力

ホンダ

ステップワゴン

271万4800円〜409万4200円

ホンダ独自のセンタータンクレイアウトが可能にした低床設計が、低重心のしっかりとしたフットワークを生む。ハイブリッド車の強力な加速と低燃費も大きな魅力だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】シートアレンジが多彩で広い室内を自在に使える

日産

セレナ

257万6200円〜419万2100円

広い室内と、乗り方や使い方によって自由にアレンジできる3列シートが特徴。通常の約半分のスペースがあれば開閉できるハーフバックドアを設定するなど、芸が細かいのも◎。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【独創性で選ぶなら】個性的なフロントマスクと走破性能は唯一無二の存在

三菱

デリカD:5

391万3800円〜447万2600円

SUVとの融合を図った独創的なミニバン。話題となったコワモテのフロントマスクも印象的だ。走行シーンに応じてドライブモードを選択できるなど、ミニバン唯一無二の存在。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ4】軽自動車

販売台数No.1を誇るホンダ・N-BOXの牙城は揺るがないが、遊び心満点のスズキ・ハスラーとダイハツ・タフトが華々しくデビュー。安全で楽しく使える軽が充実した。

 

【快適性で選ぶなら】独特な愛らしさに快適な乗り心地がプラス

スズキ

ハスラー

128万400円〜179万800円

愛らしい独特のデザインはもちろんだが、軽自動車らしからぬ快適な乗り心地にも驚かされる。丸目のヘッドライトと大きな3連フレームを備えたインパネデザインは個性的だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【楽しさで選ぶなら】乗員スペースと荷室を分け多彩な使い方が可能

ダイハツ

タフト

135万3000円〜173万2500円

フロントシートをクルースペースとし、リアシートと荷室を荷物の積載スペースと位置付けることで、快適な室内空間を実現。開放的な天井のスカイフィールトップが魅力的だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】驚異の室内高が生む自由自在の室内空間

ホンダ

N-BOX

141万1300円〜212万9600円

センタータンクレイアウトによる低床設計で、子どもなら立ったままでも余裕で着替えられる室内高に驚き。両側スライドドアとスライドシートで、小さな子どもも乗せやすい。

 

[岡本’sジャッジ]

アクアも意外に高評価! 自動車評論家が選ぶ国産コンパクトカー10傑

前回の記事では、ノート、ヤリス、フィットをガチ採点したが、国産コンパクトカーの注目モデルはそれだけにとどまらない。本記事では、自動車評論家の清水草一さんに登場いただき、最新モデルから登場から10年近く経つモデル末期のものまで、現行車種の中から、コンパクトカー十傑をピックアップした。

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

モータージャーナリスト

清水草一さん

編集者を経て自動車ライターに。大乗フェラーリ教開祖を名乗りつつ、道路交通ジャーナリストとしても活動。

 

【関連記事】

ノート、ヤリス、フィットーー「国内3強コンパクトカー」を厳しく採点! 一番よかったのは?

 

 

【ハッチバック編】

サイズに制限のあるコンパクトカーでも後席を倒して多くの荷物を積め、高い実用性を誇る。サイズ感もつかみやすく運転しやすい。

 

【その01】トヨタの定番小型ハッチバックは欧州で人気アリ!

トヨタ

カローラ スポーツ

216万9000円〜284万1000円

ワイド&ローのスポーティなシルエットのボディに用意されたパワーユニットは、ハイブリッドと1.2Lターボの2種。1.2LターボにはiMTと呼ばれるMTも設定。同社のコネクティッドカーとしての顔も持つ。

 

【ココがスゴイ!】バランスは抜群! 基本性能の高さに納得

カローラというと、日本ではツーリングが人気だが、欧州では断然コレ。ガソリン車にMTが用意されているのも欧州風味でイイ!(清水)

 

【その02】ホンダのEVは原点回帰のシンプルデザイン

ホンダ

Honda e

451万円〜495万円

ホンダの新型EVはタウンユースを強く意識し、1充電あたりの走行距離は最長283km。それまでのEVと違い走行距離を伸ばすよりも、短時間の充電で走れる距離を重視。その結果、わずか30分の充電で200kmを走行可能だ。

 

【ココがスゴイ!】後輪駆動ゆえの小回り性能に驚愕

航続距離は短めだが、それはシティコミューターに徹しているから。軽より小回りが利いて感動! デザインはシンプルの極致で美味だ。(清水)

 

【その03】スズキらしい個性が光る隠れた傑作!

スズキ

イグニス

 142万3400円〜203万600円

クロスオーバーSUV風のコンパクトカー。軽自動車並みの3.7mの全長は街なかで扱いやすいサイズだ。今年の仕様変更ではデュアルカメラブレーキサポートや助手席のシートヒーター、オートライトが全車標準装備となった。

 

【ココがスゴイ!】室内の広さよりも走りとデザインを優先

やんちゃな顔つきに大地を踏ん張る台形のフォルムは、いかにも走りそう。インテリアはイタリアの小型車みたいでセンス抜群だぜ!(清水)

 

【その04】クラス唯一のクリーンディーゼル搭載で我が道を行く

マツダ

マツダ 2

 145万9150円〜266万7500円

デミオから改称された同車は、パワーユニットは直噴ガソリンエンジンとディーゼルエンジンをラインナップ。特にディーゼルモデルはクラス唯一の搭載車種で、その静粛性能には定評がある。落ち着いたデザインも好評だ。

 

【ココがスゴイ!】唯一無二を掲げるマツダの真骨頂

ディーゼルエンジンを積んだコンパクトカーは、世界的に貴重になりつつある。豊かなトルクとしっかりした足周りは長距離向きだ。(清水)

 

【その05】痛快! そして便利! 国民車にもなれる万能型ホットハッチ

スズキ

スイフト スポーツ

 187万4400円〜214万1700円

エスクード用のエンジンに専用チューンを施した140PSを誇る1.4L直噴ターボを搭載。MT比率が比較的高いのも特徴のモデル。後席も使える実用性と軽快な走りは多くのユーザーが認めるところ。200万円以下からという価格設定も魅力だ。

 

【ココがスゴイ!】走りが楽しい! それでいて弱点なし

1.4L直噴ターボエンジンの加速は痛快そのもの。6速MTはもちろん、6速トルコンATでも十分楽しめる。広さや燃費にも不満ナシさ。(清水)

 

【その06】モデル末期でも魅力が褪せないハイブリッドカー

トヨタ

アクア

181万8300円〜219万8900円

2011年デビューのハイブリッド専用車。車両価格も手の届きやすいハイブリッドカーとしてロングセラーに。パワートレインは2代目プリウスをベースにし燃費面でも高評価。低重心で、シャープなハンドリングも意外な魅力だ。

 

【ココがスゴイ!】登場から10年でも売れ続けるモンスター

ものすごくフツーのクルマに見えて、実は重心が低く、曲がるのが得意。ハイブリッドバッテリーの重量配分の妙だ。いまだに魅力アリ!(清水)

 

【SUV編】

SUVは魅力的だけれども、大きなボディはちょっと……と考えるユーザーにはピッタリのコンパクトカー。その視界の良さは特筆モノだ。

 

【その07】無敵の小型オフローダーは世界中で大ヒット

スズキ

ジムニー シエラ

 179万3000円〜205万7000円

クロカンモデルらしい武骨なスタイリングやラダーフレームなど多くの“本格”装備を持つクルマ。ミッションは信頼性の高い5MTと4ATを設定する。欧州にも輸出されるモデルなので、高速走行も構えることなく巡行可能。

 

【ココがスゴイ!】無骨なデザインが走破性能とマッチ

“ミニGクラス”ともいえる武骨なデザインが、シンプルで実にカッコイイ。悪路の走破性能は世界の一級品。無敵の小ささも強力な武器だ。(清水)

 

【その08】ゴツい顔した優しいヤツ、地味だけど憎めないね

ダイハツ

ロッキー

 170万5000円〜236万7200円

ダイハツのクルマづくりの新コンセプト、DNGAに基づいたSUV。エンジンは1Lの直3ターボで98PS。組み合わされるミッションはCVTのみで、すべてのモデルに4WDが設定されている。トヨタ・ライズとは兄弟車。

 

【ココがスゴイ!】走りも居住性も満足のコンパクト

目立ったところはゼロだが、走りも乗り心地も居住性も適度に満足。SUVだと構えずに、フツーの小型車として買って間違いなし。(清水)

 

【その09】ヤリスに足りない部分をすべて満足させました

トヨタ

ヤリス クロス

 179万8000円〜281万5000円

ヤリスとメカニカルコンポーネンツを共有するSUV。コンパクトな分類に入るが全幅で1700mmを超えるので3ナンバーサイズだ。パワーユニットは1.5Lガソリンエンジンとハイブリッドの2本立てで先進安全装備も充実。

 

【ココがスゴイ!】コンパクトだけれど押し出し感は十分さ

大ヒット中のヤリスの弱点は、後席の狭さ。でもヤリス クロスならまったく問題ナシ。見た目もカッコイイし、4WDも選べるぜ。(清水)

 

【その10】オシャレな都会派ながらキラリと光るスバルイズム

スバル

SUBARU XV

220万円〜292万6000円

現行モデルは2017年登場。2020年9月に大幅な改良が加えられた。基本メカニズムはスバルの伝統、水平対向エンジンにシンメトリカルAWDを組み合わせたもの。スバルの先進安全装備アイサイトを全モデルに標準装備。

 

【ココがスゴイ!】オシャレSUVだが走りは本物

XVに乗っていると、オシャレでアクティブな遊び上手に見えるから不思議だよね。もちろんスバル車だけに、走りは地味に本物さ。(清水)

 

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2代目「スズキ・ハスラー」濃厚インプレ! 初代を超える出来栄えか?

2014年の発売以来、6年間で約48万台を販売する大ヒット作となった「スズキ・ハスラー」が2代目へと進化しました。ライバルのダイハツが今年に入り「タフト」を投入。SUV+軽ワゴンのクロスオーバークラスは、今後覇権争いが激化しそうな風向きですがタフトを迎え撃つ「2代目ハスラー」の出来映えはいかに?

 

[今回紹介するクルマ]

スズキ/ハスラー

128万400円~179万800円

※試乗車:ハイブリッドX(2WD、2トーンカラー仕様車)156万2000円

※試乗車:ハイブリッドXターボ(4WD、2トーンカラー仕様車)179万800円

↑丸型2灯の特徴的なヘッドライトを筆頭とするディテールを先代から継承しつつ、外観は一層SUVらしさが強調される造形になりました

 

先代を受け継ぎつつ新鮮味もプラス!

ワゴンR級のユーティリティを実現しながらSUVらしい走破性を両立。それらをアイコニックなスタイリングでまとめた初代「ハスラー」は、軽自動車のクロスオーバー市場を活性化させる大ヒットとなりました。その現役時代における月販台数は、平均で6700~6800台。モデル末期ですら5000台水準をキープしていたと聞けば、軽ユーザーの支持がいかに絶大であったかが分かろうというもの。

 

実際、初代ハスラーがデビューした当時、すでに長野(の田舎)に居を移していた筆者も道行くハスラーの増殖ぶりに驚かされた記憶があります。また、先代ユーザーは女性が6割を占めていたそうですが、乗っている人の年齢層を幅広く感じたことも印象的。高齢とおぼしきご夫婦が、鮮やかなボディカラーの初代で颯爽と出かける姿をしばしば見かけたことは新鮮でもありました。

 

そんな人気作の後を受けて登場した2代目は、当然ながら初代のデザイン要素が色濃く引き継がれた外観に仕上げられています。軽規格、ということで3395mmの全長と1475mmの全幅は変わりませんが、ホイールベースは先代比で35mmプラスの2460mm。全高は15mm高い1680mmとなりましたが、丸目2灯のヘッドライトを筆頭に全体のイメージは先代そのまま。

 

とはいえ、決して変わり映えしないわけではありません。ルーフを後端まで延長し、ボンネットフードを高く持ち上げたシルエットはスクエアなイメージを強調。バンパーやフェンダー回りも良い意味でラギッドな造形とすることで、SUVらしさと新しさが巧みに演出されています。

 

リアピラーにクォーターウインドーを新設。2トーンカラー仕様では、ルーフだけでなくこの部分とリアウインドー下端までをボディ色と塗り分けている点も先代と大きく違うポイントです。この塗り分けは、リアクォーターやルーフなどがボディ本体と別パーツになる「ジープ・ラングラー」などに見られる手法ですが、タフなイメージの演出という点では確かに効果的です。

↑写真のボディカラーはデニムブルー×ガンメタリック。バリエーションはモノトーン5色、2トーン6色の合計11色。2トーンのルーフは、ボディカラーに応じてホワイトの組み合わせもあります

 

初代ハスラーが成功した要因として、その個性的な外観の貢献度が大であることは誰もが認めるところ。となれば、後を受ける2代目が初代のイメージを受け継ぐことは“商品”として必然でもあるわけですが、新鮮味の演出も必須。ヒット作の後継はこのあたりのさじ加減が難題で、クルマに限っても失敗例は数知れず。

 

その点、2代目ハスラーの外観は上出来といえるのでは? という印象でした。ちなみにSUVとしての機能も着実に進化していて、走破性に影響するフロントのアプローチアングル、リアのディパーチャーアングルは先代比でそれぞれ1度と4度向上した29度と50度となっています。

↑タイヤサイズは、全グレード共通で165/60R15。ホイールは「X」グレードが写真のアルミとなり、「G」グレードはスチールが標準となります

 

室内はSUVらしい力強さと華やかさを演出! 装備も充実ぶり

そんな外観と比較すると、室内はSUVらしさを強調するべく一層“攻めた”デザインになりました。インパネはメーター、オーディオ、助手席上部の収納部(アッパーボックス)にシンメトリーを意識させるカラーガーニッシュを組み合わせてタフな世界観を表現。ガーニッシュはボディカラーに応じて3色が用意され、華やかさを演出するのも容易です。シートカラーもブラックを基調としつつ、ガーニッシュと同じ3色のアクセントを揃えて遊び心がアピールされています。

↑インパネは、シンメトリーなイメージの3連カラーガーニッシュが印象的。カラーは写真のグレーイッシュホワイトのほかにバーミリオンオレンジ、デニムブルーとボディカラーに応じて組み合わせられます。収納スペースが豊富に設けられていることも魅力のひとつ

 

↑スピードメーターと組み合わせる4.2インチのディスプレイには、スズキ車初のカラー液晶を採用。走行データをはじめ、多彩な表示コンテンツが用意されています

 

↑フロントシートは、インパネのガーニッシュと同じく3色のアクセントカラーを用意。シートヒーターが標準で装備されることも嬉しいポイントです

 

元々広かった室内空間も、新世代骨格の採用やホイールベースの延長などで拡大されています。後席は着座位置が高くなったにもかかわらず頭上空間が拡大、前席も左右乗員間の距離が広くなりました。また、フロントガラス幅の拡大やリアクォーターウインドーの追加などで視界が良くなっていることも、ユーザー層が幅広い軽ワゴンとしては魅力的ポイントといえるでしょう。

↑後席は座る人の体格や荷物に応じたアレンジが可能なスライド機構付き。一番後方にセットすれば、余裕の足元スペースが捻出できます

 

↑シートバック背面には操作用ストラップが設けられ、後席のスライドが荷室側からでも可能です。荷室の床面と後席背面は汚れや水分を拭き取りやすい素材を採用。荷室左右には販売店アクセサリー用のユーティリティナット(合計6か所)に加え、電源ソケットも装備されています

 

↑後席を完全に畳めば、最大1140㎜の床面長となるスクエアな荷室が出現。床下には小物の収納に便利なラゲッジアンダーボックスも装備されています

 

最新モデルらしく、運転支援システムも充実しています。衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能などがセットになった、「スズキ セーフティ サポート」は全車標準(ベースグレードのみ非装着車を設定)。新型ハスラーのパワーユニットは先代と同じく自然吸気とターボの2本立てですが、後者では全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)と車線逸脱抑制機能がスズキの軽自動車で初採用されました。

 

また、対応するナビゲーションシステムと組み合わせればクルマを真上から俯瞰したような画像を映し出せる全方位モニターの装備も可能です(オプション)。

↑ターボ車には、スズキの軽自動車で初めて全車速追従機能付きのACC(アダプティブクルーズコントロール)が装備。同じくターボ車では運転支援機能のひとつとして車線逸脱抑制機能も標準で備わります(自然吸気は警報のみ)

 

このほか、SUVとしては先代から引き続いて4WD仕様に滑りやすい下り坂などで威力を発揮するヒルディセントコントロールを搭載。新型では、さらに雪道やアイスバーン路面での発進をサポートするスノーモードも新採用されました。新型ハスラーのボディは前述の通り秀逸な対地アングルを実現。最低地上高も180mmが確保されていますから、ジムニーが本領を発揮するような場所に踏み入れるのでもなければ悪路の走破性も十二分といえるでしょう。

↑4WDに装備されるヒルディセントコントロールやグリップコントロール、新機能となったスノーモードの操作はインパネ中央のスイッチを押すだけ

 

新開発の自然吸気エンジン採用。走りのパフォーマンスも進化!

新型ハスラーが搭載するパワーユニットは、前述の通り自然吸気とターボの2種。前者は、燃焼室形状をロングストローク化して燃料噴射インジェクターも気筒当たりでデュアル化。さらにクールドEGRを組み合わせるなどして、全方位的に高効率化された新開発ユニットが奢られました。

 

組み合わせるトランスミッションはどちらもCVTですが、こちらも先代より軽量化や高効率化を実現した新開発品となります。また、近年のスズキ車は電気モーター(ISG)が発進や低速時に駆動をサポートするマイルドHVがデフォになっていますが、新型ハスラーでは先代よりISGの出力が向上。容量こそ変わりませんが、リチウムイオンバッテリーの充放電効率を向上させたことでHV車としての機能が向上しています。

↑自然吸気エンジンはロングストローク化や燃焼室形状のコンパクト化、スズキの軽では初採用となるデュアルインジェクター(気筒当たり)やクールドEGRなどで一層の高効率化を実現。燃費は先代比で約7~8%向上したとのこと

 

↑ターボ仕様のエンジンは、新開発CVTなどとの組み合わせによって燃費性能が先代より約3~5%向上。ロングドライブを筆頭に、幅広い用途に使いたいユーザーにオススメ

 

その走りは、新型車らしく着実な進化を実感できる出来栄えでした。先代も軽ワゴンとしてはなんら不満のないパフォーマンスでしたが、新型ではアクセル操作に対する反応が一層リニアになり静粛性も向上。絶対的な動力性能で選ぶならターボ仕様ですが、日常的な使用環境なら自然吸気でも必要にして十分な動力性能です。

 

新世代プラットフォームのハーテクトや環状骨格構造のボディ、スズキ車で初となった構造用接着剤の採用などの効果か、走りの質感が向上していることも新型の魅力。フロントがストラット、リアはトーションビーム(4WDはI.T.L.=アイソレーテッド・トレーリング・リンク)というサスペションも、先代よりオンロード志向のセッティングとしたことで特に日常域では自然な身のこなしを実現しています。SUVとのクロスオーバーとはいえ、ハスラーは日常のアシという用途が主体の軽ワゴンのニーズに応えるクルマですから、新型の味付けは理にかなったものといえるでしょう。

↑写真は4WDのターボ仕様。絶対的な動力性能は自然吸気でも必要にして十分ですが、ターボなら余裕をもってSUVらしく使うことが可能です。ボディの剛性感や静粛性など、新型は走りの質感が向上していることも魅力的です

 

このように、先代が築いたキャラクターを継承しつつ軽クロスオーバー資質が着実に底上げされた新型ハスラー。とりあえず、ダイハツ・タフトを迎撃する備えは万全といえるのではないでしょうか。

 

SPEC【ハスラー・ハイブリッドX(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1680㎜●車両重量:820㎏●パワーユニット:657㏄直列3気筒DOHC●最高出力:49[2.6]PS/6500[1500]rpm●最大トルク:58[40]Nm/5000[100] rpm●WLTCモード燃費:25㎞/L

 

SPEC【ハスラー・ハイブリッドXターボ(4WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1680㎜●車両重量:880㎏●パワーユニット:658㏄直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64[3.1]PS/6000[1000]rpm●最大トルク:98[50]Nm/3000[100]rpm●WLTCモード燃費:20.8㎞/L

 

撮影/宮越孝政

 

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20年ぶりにモデルチェンジしたジムニーの魅力とは?

スズキの軽自動車・ジムニーが、この度20年ぶりにフルモデルチェンジを行いました。ここでは、本格的なオフロード車として高い人気を誇るジムニーの新型の魅力に迫ります。

 

コンパクトな軽ながらプロも納得のオフロード性能を備える4WD

スズキ

ジムニー

145万8000円〜184万1400円

約20年ぶりのフルモデルチェンジとなった4代目。新開発ラダーフレームや、FRエンジンレイアウト、独自方式のサスペンションなどにより、高い悪路走破性を実現しています。

SPEC【XC・4AT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1725㎜●車体重量:1040㎏●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64PS(47kW)/6000rpm●最大トルク:9.8㎏-m(96Nm)/3500rpm●WLTCモード燃費:13.2㎞/ℓ

 

↑同車伝統のラダーフレーム構造が進化。ねじり剛性を従来の約1.5倍に高めつつ、上下方向に柔らかくすることで乗り心地の良さも追求しました

 

↑シートは幅広のためオフロード走行でも乗り心地は良好。シート表皮には撥水ファブリックを採用するため、少々の水濡れなら問題ありません

 

↑リアシートを倒せば荷室容量は352ℓに。フロアは完全なフラットとなり、スクエアな室内空間と相まってスペースをムダなく使えます

 

本格オフローダーらしいスクエアなフォルムに回帰

ジムニーは軽自動車初の4WDとして1970年に登場。小型ボディならではの取り回しの良さと、それに見合わない悪路走破性の高さで人気となり、世界累計約285万台を販売するロングセラーです。

 

約20年ぶりとなる今回のフルモデルチェンジでは、スクエア型に回帰したボディに注目したいところ。近年のトレンドであるクロスオーバーSUV的な丸みを帯びたデザインとは一線を画し、メルセデス・ベンツ Gクラスのような本格オフローダーとしての風格をたたえています。新開発のラダーフレームなどを採用し、そのスタイリングに悖らない走行性能を備えるのも好印象。

 

衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」をはじめ、安全装備も最新機能を搭載。レジャー用途から山間部や積雪地などの交通手段に至るまで、あらゆるシーンで誰もが快適に使えるクルマに仕上げられています。

 

 

<LINE-UP>

1.5ℓエンジンで動力性能を高めた

ジムニーシエラ

176万400円〜201万9600円

ジムニーのデザインや使い勝手を踏襲しつつ、新開発の1.5ℓ「K15Bエンジン」を採用して動力性能を高めました。ジムニーと同じく、予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を搭載しています。

清水草一がスズキ「スイフトスポーツ」を徹底解剖!「普通のスイフトとはまるで別モノだ!」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、スイフトのスポーツ仕様で、新たにターボエンジンを搭載したコンパクトスポーツをチェック!

 

PROFILE

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今回のクルマ】スズキ スイフトスポーツ

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スズキ

スイフトスポーツ

183万6000円〜190万6200円

SPEC【6速MT】 ●全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm ●車両重量:970kg ●パワーユニット:1371cc直列4気筒DOHCターボエンジン ●最高出力:140PS(103kW)/5500rpm ●最大トルク:23.4kg-m(230Nm)/2500〜3500rpm ●カタログ燃費:16.4㎞/リットル

 

安ド「殿!新型のスイフトスポーツ、いかがでしたか!」

清水「スバラシイな!」

安ド「えっ!確か殿は、新型スイフトの通常モデルに関しては、あまり評価は高くなかったのでは?」

清水「その通り。ボディを軽量化しすぎた影響で、ペナペナ感があった」

安ド「なのにスイフトスポーツはスバラシイのですか?」

清水「スバラシイ!普通のスイフトとはまるで別モノだ!」

安ド「確かに、ボディもしっかり感じましたが……」

清水「実はスイフトスポーツは、普通のスイフトに比べると100kg以上重い。それはボディを強化したためだ」

安ド「そうだったんですね!」

清水「重くはなったが、エンジンは1.4リットルターボ。パワーがまるで違うので、加速も段違いだ!」

安ド「ビックリするくらい速く感じました!」

清水「理由は、本車がハイオク仕様である点にある!」

安ド「そうなんですか!?」

清水「このエンジンは、いわゆる直噴ダウンサイジングターボ。低い回転からのぶ厚いトルクと低燃費が特徴だが、レギュラー仕様だとガックリ元気が出なくなる」

安ド「な、なぜですか!?」

清水「ガソリンのオクタン価が低いと、ダウンサイジングターボはすぐノッキングしてしまうのだ」

安ド「へぇ〜……」

清水「しかしハイオク仕様なら、それを防止できる。欧州製のダウンサイジングターボも、すべてハイオク仕様だろう?」

安ド「ですね」

清水「しかし日本では、ハイオク仕様はゼイタク仕様。それこそが、国産車にダウンサイジングターボが普及しない壁なのだ。普通のスイフトにも、RStという1.0リットルターボモデルがあるが、レギュラー仕様のため、パワーもトルクも物足りなかった」

安ド「そうだったんですか〜」

清水「しかし、本車のようなスポーツモデルなら、ハイオク仕様でも買ってもらえる。この1.4リットルターボエンジンは、ハイオク仕様にすることで、ビックリするくらいパワフルで気持ち良い加速をしてくれる」

安ド「本当にビックリしました! 先代までのスイスポとは、普通のゴルフとゴルフGTIくらいの違いを感じます!」

清水「スイスポの走りはスバラシイ! しかも6速MT仕様がある。実用性も十分!」

安ド「このクルマなら、家族もクルマ好きも納得だと思います!」

清水「価格も、安全装備をフルに付けて約200万円。決して安くはないが、性能を考えれば納得だ」

安ド「デザインもいいですし、輸入車を買う必要がない感じです!」

清水「うむ。お前ももうイタリア車かぶれはやめて、次はコレを狙え。もちろん中古でな!」

安ド「そんな〜!」

 

カーボン調パーツ:戦闘力のありそうなルックス

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フロントグリルやバンパー、サイドアンダースポイラーなどにはカーボン調パーツが用いられています。ここが通常のスイフトとの外観上の大きな違いです。リアルカーボンかどうかは問題ではなく、断然見た目がスポーティになります。

 

17インチアルミホイール:大きくてデザインも特別感あり

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スイフトは16インチ&15インチサイズですが、スイフトスポーツでは17インチサイズの大きなタイヤ&ホイールが採用されています。アルミを削ったようなデザインだったり、一部ブラックに塗られていたり、ワイルドな印象です。

 

マフラー:太く、大きく、男らしく

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排気ガスは嫌われますから、エコカーではマフラーを目立たないようにするのがトレンド。スイフトもそうです。しかし、スイフトスポーツではこんなに太くてたくましいのが2本も、まるで大砲のように備わっています。

フロントサイドウインドウ:オールドポルシェを彷彿させる

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窓を開けたときに初めて気づくこと。窓枠は写真のように曲線なのですが、中のガラスは角が立っています。これ、実は古いポルシェの窓も同じようなつくりで、それだけでもクルママニアの心を奮い立たせてくれます。

 

リアドアハンドル&Cピラー:存在しないかのように配置

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リアドアの取っ手(ハンドル)部分をドア後方上部に配置して、2ドアクーペのように見せる手法は、近年のクルマでよく採用されています。スイフトスポーツではさらにリアピラーからリアウインドウまで同化させています。

 

6速MT:スポーツモデルはやっぱりMTが楽しい

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いまやATのほうがMTよりシフト操作が早いということで、F1でさえAT化されていますが、やっぱりMTは楽しい。歴代モデル同様、スイフトスポーツにはしっかりMT仕様が設定されていて、赤いステッチなど心憎い演出もあります。

 

先進安全技術:充実装備でスポーツモデルでも安心

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オプション装備扱いになりますが、「セーフティパッケージ」を付ければ、ブレーキサポートや車線逸脱抑制機能、誤発進抑制機能など先進安全装備が全搭載されます。コンパクトカーでもスポーティモデルでも、もう安全面で妥協する必要のない時代です。

 

260㎞/hメーター:180㎞/hより上まで刻まれた表示

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スイフトスポーツはヨーロッパでも販売されているグローバルモデルですから、スピードメーターはなんと260km/hまで記載されています。果たしてこんなにスピード出るのでしょうか!?日本ではサーキットじゃないと試せません。

 

グラデーション柄オーナメント:まるで高級スポーツカーのよう

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インパネ正面(エアコン吹出口下)やコンソール(運転席と助手席間の仕切り)、ドアのアームレストにも、赤から黒へと変化するグラデーション柄のオーナメントが付けられています。スポーティなのに高級感があります。

 

これぞ 感動の細部だ!

ブースタージェットエンジン:ターボエンジンらしからぬトルク性能

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現行型に搭載されるエンジンは1.4リットルターボになりました。人によっては従来のスイフトスポーツのようにNA(自然吸気)が良かったと言う人もいます。しかしこのエンジンは、ターボといっても昔のような急加速する“ドッカンターボ”ではなく、低い回転域でも十分なトルクを発揮するので、扱いやすく気持ち良い走りを味わえます。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

【1分でわかる】スズキ スペーシアってどんなクルマ?

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回は軽ハイトワゴンの人気車種スズキ スペーシアをピックアップします。

 

群雄割拠の軽ハイトワゴン市場でダークホースに

スズキ 

スペーシア/スペーシア・カスタム

SPEC【スペーシア・カスタム ハイブリッドXSターボ2WD】●全長×全幅×全高:3395×1475×1785㎜ ●車両重量:900㎏ ●パワーユニット:658㏄ ●直列3気筒DOHC+ターボ ●最高出力:64PS/6000rpm ●最大トルク:10.0㎏-m/3000rpm ●カタログ燃費:25.6㎞/リットル

 

 

後退時ブレーキサポートは軽で初採用となる安全装備

軽ハイトワゴンの国内市場は、まさに群雄割拠。使い勝手も走りも、かなり高いレベルで各モデルがひしめき合っています。スズキの新型スペーシア/スペーシア・カスタムも、ご多分に漏れず仕上がりは上々。大人4人に十分過ぎるほどの室内空間を確保し、荷室の使い勝手も抜群。自然吸気エンジン仕様でも、日常使いなら不満のない動力性能を誇ります。ターボ仕様なら、高速クルーズも余裕です。

 

さらに、安全性能の充実ぶりも光ります。軽自動車として初採用となる後退時ブレーキサポートをはじめとして、運転支援装備は普通車の上級モデル並み。ダイハツ タントやホンダ N-BOXなどのライバルがひしめく同クラスで、一層熾烈な競争が生まれそうです。

【注目ポイント01】荷室は自転車の積載にも配慮

リアシートは素早くたためるダブルフォールディング式で、荷室の使い勝手は秀逸。リアゲート下段のトリムには自転車を積みやすくするガイドも設けられます。

【注目ポイント02】マイルドHVを標準化

写真はカジュアルな装いとなるスペーシア。新型では、スペーシア・カスタムも含めて全車に、モーターのみでの走行が可能なマイルドHVシステムを搭載します。

【2018年春版】激戦区「国産コンパクトSUV」で最も評価が高い一台は? 4大モデルを評論家がシビアに判定

SUVは世界のクルマ市場で大きなトレンドとなっていますが、日本での主流は使い勝手の良いコンパクトSUVです。トヨタ C-HRから王座奪回を狙うホンダ ヴェゼルは改良され、三菱はエクリプス クロスでスズキはクロスビーで参入。覇権を握るのはどれでしょうか? プロがシビアな目でチェックしました。

※採点はすべてガソリンエンジンの4WDモデルで行いました。グレードは、エクリプス クロスがG、ヴェゼルがG Honda SENSING、クロスビーがHYBRID MZ、C-HRがG-T

 

【解説する人】

モータージャーナリスト 岡本幸一郎さん

動画メディア出身の自動車評論家。今年2人目の子どもが誕生し、家族のためのクルマ選びを検討中です。

 

小型SUVのトレンドは個性的な“攻め”のデザイン

かつては大柄なモデルが主流だったSUVですが、ここ数年はダウンサイジング化が顕著。デザインも多様化しており、個性的なモデルが目立つようになりました。オーソドックスなスタイルのヴェゼルに代わって、スポーティなC-HRが2017年のSUV販売台数1位となったのは、その象徴です。

 

三菱自動車が満を持して送り出したエクリプス クロスは、シャープかつダイナミックな佇まい。スズキのクロスビーは、同社の軽自動車ハスラーを踏襲したポップな仕様。好き嫌いが分かれそうな“攻め”のデザインですが、いずれも高い人気を博しています。

 

【その1】三菱4年ぶりとなる新型車は大胆なデザインが特徴

三菱自動車

エクリプス クロス

253万2600円~309万5280円

同社では4年ぶりとなる新型車で、発売前から約5000台もの受注を集めた注目モデル。斬新なリアデザインが特徴です。●全長×全幅×全高/車両重量:4405×1805×1685㎜/1550㎏(4WD・G)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:1498㏄】【カタログ燃費:14.0㎞/ℓ(4WD)】

 

クーペのようなルーフ形状や大胆なサイドラインが特徴。上下2分割されたリアウインドウも印象的です。

 

運転席横にはタッチパッドコントローラーを搭載。運転姿勢のままでオーディオシステムなどの操作が可能です。

 

エンジンは1.5ℓ直列4気筒直噴ターボ。独自の四輪制御技術を採用し、安定感のある走りを実現します。

 

本車は世界約80か国で展開されるグローバルモデル。そのため、インパネデザインはコンサバ仕様です。

 

乗員まわりのスペースには十分な余裕を確保しています。リアシートはスライド&リクライニングが可能。

 

【JUDGEMENT】

独自技術で充実の走りと高い安全性能を実現する

衝突被害ブレーキシステム[FCM]など「Mitsubishi e-Assist」が高い安全性能を実現。デザインは好みが分かれそう。

 

【その2】走りと安全性を高めて王者への返り咲きを狙う

ホンダ

ヴェゼル

207万5000円~247万5000円

2013年登場のベストセラー車がマイナーチェンジ。安全運転支援システム「ホンダセンシング」が全車標準搭載となりました。●全長×全幅×全高/車両重量:4330×1770×1605㎜/1180㎏(4WD・G)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:1496㏄、1496㏄+モーター】【カタログ燃費:19.6㎞/ℓ(4WD・G)】

 

力強いSUVスタイルを磨いたデザイン。インラインLEDライトを採用するなど先進性も高められています。

 

ミニバンのヒットメーカーらしく使い勝手の良さが光る荷室空間。小型ボディながら容量を確保しています。

 

ハイブリッドシステムが改良され、加速フィーリングがスムーズに。ガソリンエンジン車も燃費が向上しました。

 

Apple CarPlayやAndroid Autoに対応。運転中のオーディオ再生や通話操作を容易にします。

 

形状が改良されたフロントシートはホールド性や快適性を向上。ステッチが変更され、質感も高められました。

 

【JUDGEMENT】

走りの課題を改善しつつリーズナブルな価格をキープ

足回りを改善し、乗り心地の硬さを解消。デザインには少し野暮ったさもありますが、200万円台で買えるのはおトクです。

 

 

【その3】大人の遊び心をくすぐるポップなデザイン

スズキ

クロスビー

176万5800円~214万5960円

同社の人気軽自動車ハスラーのデザインを生かしつつボディサイズを拡大。エンジンは1ℓターボのみで、4WDも用意します。●全長×全幅×全高/車両重量:3760×1670×1705㎜/960㎏(HYBRID MZ)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:996㏄】【カタログ燃費:20.6㎞/ℓ(4WD)】

 

ハスラー同様の丸いヘッドライトと横長グリルが特徴。ぶ厚いフェンダーモールがSUVらしさを強調します。

 

荷室の表面には撥水素材を採用し、濡れたものでも気にせず積み込めます。リアシートは5:5の分割可倒式。

 

1ℓ直3ターボエンジンは6速ATとの組み合わせ。最低地上高の高さも相まって、悪路走破性はまずまずです。

 

コンパクトですが全高を高くして乗員の居住性を確保。シートにはボディカラーとマッチしたパイピングが施されます。

 

 

ポップなデザインのインパネ。自動ブレーキや誤発進抑制機能など安全装備は十分。

 

【JUDGEMENT】

縦方向に広がりを感じる室内スペースは独自の魅力

荷室の奥行きが短く、装備の充実度で劣ります。ウインドウが立っていることで広さを感じさせる独特の居住空間が面白いですね。

 

 

【その4】プリウスと共通の車体構造で高い運動性能を実現

トヨタ

C-HR

251万6400円~292万9200円

現行型プリウスと共通の車体構造を採用し、ハイブリッドとターボエンジンを選べる。2017年の販売台数はSUVで1位に輝きました。●全長×全幅×全高/車両重量:4360×1795×1565㎜/1470㎏(G-T)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:1196㏄、1797㏄+モーター】【カタログ燃費:15.4㎞/ℓ(4WD・G-T)】

 

絞り込まれたスタイリングはダイヤモンドがモチーフ。ツートンカラー仕様(メイン写真)は昨夏に追加。

 

プリウスでも採用する同社の新型プラットフォーム(車体骨組)「TNGA」を採用。運動性能を高める効果があります。

 

1.8ℓエンジン+モーターのハイブリッド(写真)と、1.2ℓターボエンジンを用意します。

 

オーソドックスながらスポーティな雰囲気。衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を備えます。

 

上級モデルでは、ファブリックと本革を組み合わせた上質なシートを採用。室内空間はさほど広くはありません。

 

【JUDGEMENT】

視界や居住性を犠牲にしてスポーティなデザインを実現

ハンドリング性能の高さが好印象。後方の視界や後席の乗降性は、デザインのために割り切って犠牲にしています。

 

次期型スズキ・ジムニーに設定される「シエラ」を完全公開!

20年振りのフルモデルチェンジを経て発表が間近とウワサされるスズキの軽自動車「ジムニー」次期型モデルに、トレッドをワイド化した「シエラ」も設定されるという。今回、これまでの情報を盛り込んだ予想CGが制作された。

 

 

ワイドフェンダーやスキッドプレートを装着し、ボンネットにはパワーバルジが与えられたもので、ほぼこのデザインで発売されると思われる。ベースモデルの「ジムニー」同様、強度や耐久性に特化した最新版ラダーフレームの採用で、これまで以上にオフロードの色合いが濃くなったボクシーなスタイルが印象的だ。

 

次期型「シエラ」には「スイフト」をはじめ、「ソリオ」や「イグニス」にも搭載されている1.3リッター直4 NAデュアルジェットエンジンの採用が予想されている。

ワールドプレミアは「ジムニー」が2018年夏、「シエラ」は2019年春が有力視されている。

 

 

 

【中年名車図鑑】ワールドワイドなジムニー人気を決定づけた記念碑的一台

鈴木自動車工業は1981年にジムニーの全面改良を実施して2代目に切り替える。新設計のラダーフレーム構造にスクエアなボディを架装した新世代のコンパクト4×4は、軽自動車版がSJ30/JA71/JA11/JA12/JA22、小型車版がSJ40/JA51/JB31/JB32へと変遷。海外市場でもSJ410やSJ413、SAMURAIなどの車名でリリースされて高い人気を獲得した。今回はジムニー人気を決定的なものとしたRV志向の第2世代で一席。

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【Vol.53 2代目スズキ・ジムニー】

厳しい排出ガス規制や高まる省燃費への要請に対し、持ち前の創意工夫と高い技術力で対応した1970年代終盤の鈴木自動車工業(現スズキ)。一方で開発現場では、輸出モデルの先兵となるコンパクト4×4車のジムニーの全面改良を画策していた。

 

既存のジムニーではF8A型797cc直列4気筒OHCエンジン(41ps)を搭載したSJ20(日本名ジムニー8。1977年10月発売)が順調に輸出台数を伸ばしていた。ここで現地からは新たな要望が寄せられる。もっと室内を広くできないか――。SJ20は基本的に軽自動車のSJ10と共通のボディだったため、海外に向けた小型車としてはどうしても室内空間が狭かったのだ。次期型のジムニーは、海外のユーザーが満足でき、しかも日本の軽自動車枠に収まるボディ構造に仕立てなければならない――。この目的を達成するために、開発チームは日本のみならず欧米でのリサーチを実施。また、主力メンバーが実際にアメリカなどに赴き、現地での4×4車の使い方などを徹底調査した。

 

■輸出を意識したフルモデルチェンジを画策

2代目のジムニーは世界戦略車としての位置づけ。直線基調のRVっぽいデザインを採用する2代目のジムニーは世界戦略車としての位置づけ。直線基調のRVっぽいデザインを採用する

 

世界戦略車として位置づけた第2世代のジムニーは、まず軽自動車モデルのSJ30が1981年5月にデビューする。キャッチコピーは“Tough&Neat”(Tough=頑強な、Neat=きちんとした、均整のとれた)。ボディタイプはキャンバスドア/ハーフメタルドア/フルメタルドア/バンデラックス/バンと豊富にラインアップした。

 

2代目ジムニーの基本骨格は、角型鋼管フレームをクロスメンバーで補強した新設計のハシゴ型構造に、ホイールベースを従来の1930mmから2030mmにまで拡大したうえで剛性を高めた直線基調の新ボディを架装する。懸架機構は従来型より路面追従性を高めるようにセッティングした前後縦置きの半楕円リーフスプリングを採用した。搭載エンジンには、減速時燃料制御機構を組み込んで省燃費化を図ったLJ50型539cc直列3気筒2サイクルを採用する。最高出力は28psを発生。耐久性などの向上を狙って、新鮮なオイルをエンジン主要部分にポンプで直接給油するCCISもセットした。組み合わせるトランスミッションはフルシンクロの4速MTで、最終減速比は4.777に設定する。駆動機構には耐久性と信頼性を高めたパートタイム式4WD(2H/4H/4L)を採用。制動機構は前ツーリーディング/後リーディングトレーリングで、回路には2系統式を導入した。

軽自動車規格いっぱいまで広げた快適性の高いインテリア軽自動車規格いっぱいまで広げた快適性の高いインテリア

 

エクステリアに関しては、従来のミリタリー調のジープルックから直線基調のレクリエーショナルビークル然としたスタイリングに刷新したことが訴求点となる。また、コーナー部に丸みを持たせ、同時にサイド部にプレスリブを入れるなどして強度をアップ。オープンタイプにはセンターエクステンションと称するロールバーも装備した。ほかにも、インパネ左右両側のレバーを操作するだけで簡単に前倒しできるフロントウィンドウや側面および後部の窓を大型化したソフトトップなど、ジムニーならではの機能装備を設定する。内包するインテリアについては、直線基調のボディを採用して軽自動車枠いっぱいに空間を広げたキャビンルームに性能を引き上げたヒーター&デフロスター、フルリクライングやスライド機構などを内蔵したフロントシート、前向き2名掛けとした格納機構付きのリアシートなどで構成した。

 

■小型車ジムニーのラインアップと進化

ジムニー1000。オーバーフェンダー、専用デザインのバンパーが目を引くジムニー1000。オーバーフェンダー、専用デザインのバンパーが目を引く

 

輸出モデルの新型ジムニーは、1981年半ばよりSJ410として発売される。そして、1982年8月にはSJ410の日本仕様となるSJ40が「ジムニー1000」の車名で発売された。搭載エンジンはF10A型970cc直列4気筒OHCユニットで、52psの最高出力を発生。組み合わせるトランスミッションはフルシンクロの4速MTで、最終減速比は4.111に設定する。駆動システムはパートタイム式4WD。フロントアクスルにはジムニー初のフルフローティング方式を採用した。タイヤには195SR15サイズのラジアルタイヤを装着し、それを収める目的で片側35mmのオーバーフェンダーならびに専用デザインの大型バンパーをセット。トレッドはSJ30比で+20mmの前1210/後1220mmとなった。また、内外装にはサイドストライプや6穴ホワイトホイール、サイドガード、専用シート表地といった新アイテムを装備。ボディタイプはハーフメタルドア/フルメタルドア/バンのほか、ロングホイールベース(2375mm)のピックアップをラインアップした。ちなみに、SJ410およびSJ40は優れた前後重量バランスやトラクション能力の高さなどが好評を博し、後に歴代モデルを代表するエポックメイキングに発展する。また、このSJ410およびSJ40と軽自動車のSJ30はフレームやシャシー、さらにドライブトレインなどが基本的に共通、つまり1L級エンジンのパワーや重量に対応した設計が当初からSJ30にも施されており、この特性が後にオフローダーとしてのSJ30の賛美につながることとなった。

高速走行時の快適性を追求したジムニー1300高速走行時の快適性を追求したジムニー1300

 

1984年8月になると、1.3Lエンジンを搭載した輸出モデルのSJ413がデビューする。そして同年11月には、JA51の型式をつけた「ジムニー1300」が日本でリリースされた。高速走行での快適性を向上させる目的で設定されたJA51は、搭載エンジンにエアインダクションなどを組み込んで燃費向上を図ったG13A型1324cc直列4気筒OHCユニット(70ps)を採用。組み合わせるトランスミッションには、歴代初の5速MTが設定される。ボディタイプはハーフメタルドア/フルメタルドア/バンに加えて乗用車登録のワゴンを用意。さらに、翌’85年12月にはパノラミックルーフワゴンを設定した。

 

■4サイクルターボエンジンの採用と660cc化

1986年1月になると、軽ジムニーに新車種が設定される。電子制御燃料噴射装置のEPIを組み込むF5A型543cc直列3気筒OHCターボエンジン(42ps)を搭載したJA71が登場したのだ。トランスミッションには最終減速比を5.375と低めに設定した5速MTを採用。フロントサスにはトーションバー式スタビライザーをセットする。ボディタイプはフルメタルドア/バンの2タイプを設定した。1987年11月になると一部改良を実施し、インタークーラー付ターボ仕様(52ps)がラインアップに加わる。ボンネットにはエアインテークを新装備。フロントグリルはスロットタイプからラダータイプに刷新された。さらに、新ボディタイプとしてパノラミックルーフを追加する。一方、この一部改良に伴って2サイクルモデルのSJ30はカタログから外れた。

 

1990年3月になると軽自動車の規格改定に則したマイナーチェンジを行い、搭載エンジンをF6A型657cc直列3気筒OHCインタークーラーターボ(55ps)に換装したJA11に切り替わる。フレームやボディなどの基本骨格は従来を踏襲するものの、大型バンパーを前後に装着することで全長は100mmほど伸び(3295mm)、またフロントグリルの意匠も変更した。1991年6月には一部改良が施され、エンジンパワーは58psへとアップ。また、フロントグリルが横スリット1本のタイプに刷新され、全体のフラッシュサーフェス化もいっそう進められた。1992年7月になると、トランスミッションに3速ATを追加。また、パワーステアリング装着車を新規に設定する。そして、1995年2月からは特別仕様車のランドベンチャーを皮切りにエンジンのパワーが64psにまで向上した。

93年に登場したジムニー1300シエラ。大きなオーバーフェンダー、フロントのガイドバーが特徴的93年に登場したジムニー1300シエラ。大きなオーバーフェンダー、フロントのガイドバーが特徴的

 

軽ジムニーの進化を図る一方で、1993年5月には1987年以来国内市場で途絶えていた小型車モデルのジムニーがJB31「ジムニー1300シエラ」の車名で復活する。搭載エンジンにはG13B型1298cc直列4気筒OHCユニット(70ps)を採用。オーバーフェンダーやフロントグリルガードの装着、ワイドトレッド化などによってスタイリングの安定感と押し出し感は軽ジムニーを大きく上回っていた。

 

■懸架機構をコイルスプリングに刷新

95年に大がかりなマイナーチェンジを実施95年に大がかりなマイナーチェンジを実施

 

1995年11月になると、2代目ジムニーで最後の、しかも足回りとしては初の大がかりなマイナーチェンジが行われ、軽自動車版がJA22/JA12、小型車版がJB32に切り替わる。足回りでは懸架機構を従来のリーフスプリングからコイルスプリング(3リンク式)へと刷新し、とくにオンロードにおける路面追従性が向上。また、搭載エンジンはJA22にK6A型658cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラーターボ(64ps)を、JA12にF6A型657cc直列3気筒OHCインタークーラーターボ(64ps)を、JB32にG13B型1298cc直列4気筒OHC16V(85ps)を採用した。

 

コンパクトで機動性が高く、しかも遊びの道具としても存分に使える第2世代のジムニーは、1998年になると軽自動車の規格改定に合わせた第3世代へと移行。小型車版のJB33が同年1月、軽自動車版のJB23が同年10月に登場した。市場や時代の要請に即しながら、17年あまりの長きに渡って生産され続けた2代目は、ワールドワイドでジムニー人気を定着させた、まさに同車の記念碑なのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

スズキの軽ハイトワゴン新型「スペーシア」「スペーシア・カスタム」が発売

 

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スズキ株式会社は、ハイトワゴンタイプの軽乗用車、「スペーシア」、「スペーシア・カスタム」を全面改良し12月14日より発売する。フルモデルチェンジを果たした新型「スペーシア」、「スペーシア・カスタム」は、安心・安全な運転を支援するスズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を採用し、安全装備を充実。衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」に加え、軽自動車初となる後退時の衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」を採用するなど、前後の衝突被害軽減ブレーキが全車標準装備に。さらに、フロントガラスに進入禁止の道路標識や車両情報などをカラー表示するヘッドアップディスプレイ、周囲を立体的に360°確認できる「3Dビュー」を軽自動車に初採用するなど、安全運転を支援する機能が充実。

 

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ふたつの個性的なデザインは「スペーシア」が「ワクワク」を、「スペーシア・カスタム」では「圧倒的な迫力と存在感」を表現。より広い室内空間に、低床で開口が広く乗り降りがしやすい後席両側スライドドアや、荷室高を拡大して大きな荷物も入れやすくなったラゲッジルームなど、利便性をさらに向上させたパッケージングを採用。ドライバーだけでなく後席のパッセンジャーにも快適な機能や装備を充実させた。

 

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低燃費性能に加え、軽量で高剛性を両立した新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用し、ISG(モーター機能付発電機)の高出力化とリチウムイオンバッテリーを大容量化したマイルドハイブリッドを全車に搭載。発進時にモーターのみで走行でき、約100㎞/hまでの加速時に、ISGがモーターアシストを行いエンジンの負担を軽減することで、30㎞/ L(JC08モード)の低燃費を達成している。メーカー希望小売価格は、スペーシアが1,333,800~1,589,760円。スペーシア・カスタムが1,576,800~1,908,360円となる。

 

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