全世界のWindowsをブルースクリーンにしたCrowdStrike、「最も壮大な失敗」賞を受賞!

先月、全世界でWindowsのブルースクリーン障害を引き起こしたCrowdStrikeは、重大なセキュリティ上の失敗に贈られる「Pwnie Awards」を受賞しました。

↑不名誉な賞ではあるが……

 

この表彰式は欠席するのが恒例ですが、同社のマイケル・セントナス社長は出席し、「最も壮大な失敗(Most Epic Fail)」賞を自ら受け取っています。

 

年次ハッカー会議Def Conで授与されるPwnie Awardsは、セキュリティ研究者およびセキュリティコミュニティの功績および失敗を表彰するものです。セントナス社長は受賞スピーチで「今回のようにひどく間違ったことをした場合は、それを認めることが非常に重要だ」と述べています。

 

さらにセントナス氏は、この賞をCrowdStrikeの本社に持ち帰り、「目立つ場所に飾るつもりだ。なぜなら、出社する社員全員に見てもらいたいからだ」と付け加えています。

 

この「最も壮大な失敗」は、CrowdStrikeが全世界のWindowsマシンにセキュリティソフトのアップデートを行ったところ、ブルースクリーンを発生させた上に再起動を繰り返す結果を招いたことで起こったものです。

 

一時は病院や銀行、交通機関や医療機関などの主要サービスを停止させ、米デルタ航空やユナイテッド航空などの全便が地上待機をする羽目となっていました。マイクロソフトによれば、約850万台のデバイスに影響を与えたとのことです。

 

CrowdStrikeは、今回の不具合はテスト用ソフトウェアのバグが原因だと主張しており、テストとエラー処理の手続きを改めるとともに、今後同じような問題が起きないようアップデートを段階的に行うと約束しています。二度と同じ失敗を繰り返さないためにも、社長があえて賞を受け取りに出向いたのかもしれません。

 

Source:The Verge,TechCrunch

時代はセルフセキュリティ!“MS LifeConnect AIスマートカメラ”がもつ見守り力を6つのチャレンジで検証してわかったこと

ここ数年、悪質な住宅強盗事件を耳にする機会が増え、物騒だなと感じている人は多いのではないだろうか。実際、令和5年の住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数は、前年比で11.3%も増加している(※)。そこで役に立つのが防犯カメラだ。なかでも編集部のイチオシは、「MS LifeConnect AIスマートカメラ」。今なぜこのカメラが“推し”なのか? 何がほかと違うのか? その魅力と実力をお伝えすべく、家電ライターとしてメディア出演が相次ぐ田中真紀子さんの自宅に設置し、検証してもらった!

※出典=警察庁住まいる防犯110番

 

検証するのはコレ!

MS LifeConnect
AIスマートカメラ 屋外用カメラ/屋内用カメラ

三井住友海上が新たに始めた住宅IoTプラットフォームサービス、「MS LifeConnect」の第1弾商品。高度なAI検知能力により、人間や動物、車などを識別。24時間稼働し録画すると同時に、指定した対象物が写り込んだときだけを「クリップ動画」として切り出し、スマホに通知を送れる。検知する対象物は細かく設定できるため、例えば動物が写り込んだ映像だけを検索するなど、後から目的の動画を探しやすい点もメリット。これにより長時間の動画を頭からいちいちチェックする手間が不要になる。

 

2週間導入! 6つのチャレンジで
「MS LifeConnect AIスマートカメラ」の実力検証

今回カメラを設置した田中さんのお宅は、住宅街に立つ一戸建て。道路に面した1階がガレージとなっており、その横の階段を上がった先、つまり2階にあたる場所に庭と住宅の入り口がある。今回はガレージの入り口と、リビングにそれぞれ1台ずつカメラを設置した。

家電ライター/田中真紀子……家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電のスペシャリスト。自宅には最新家電を中心に200以上の家電を所有する。高校生の子どもと夫、犬の3人+1匹暮らし。

 

↑屋外カメラの設置場所は、ガレージの上にあるフェンスの右端。ガレージの入り口と自宅前の道路を撮影できようになっている。(※車両ナンバーはプライバシー確保のためデータ上で加工しています。以下同)

 

チャレンジ1.
人と犬が同時に進入した際、正しく識別できるか?

「まずは、愛犬のクーちゃんを連れて家の前を散歩し、AIによる検知機能の精度をテストしました。検知する内容を細かく設定ができるので、人と動物の両方を検知するように設定。また、検知範囲もラインとエリア(※エリアについてはチャレンジ3でご紹介)の2種類から選べます」(家電ライター・田中真紀子さん、以下同)

↑検出範囲の設定画面。ラインを選んだ場合、対象物が設定したラインを超えたときに検知される。今回は、ラインをガレージの端から道路に対し垂直に設定。このとき、画面上方向からの侵入物のみを検知する、上下両方向からの侵入物を検知するなど、細かなルールも設けられる。

 

【チャレンジ】

↑写真の左側から右側へ、設定ラインを越えるように愛犬を連れて散歩。歩くスピードは通常の犬の散歩と変わらない速度だ。

 

【結果】

「ラインを超えたらすぐに持っていたスマホに通知が届きました。アプリを開くと下の画像のとおり、犬は青い四角、私は人間を示すオレンジの四角で囲まれ、正確に検知されていました」

 

【チャレンジ】

↑今度は、車両も検知されるように設定を変え、田中さんのマイカーで検証。家の前の道路を時速20kmほどで走行した。

 

【結果】

「クルマも車両を表す緑色の四角で囲まれ、正確に検知されました。交通量の多い道路の場合はクルマが検知されないように設定すれば、不要な通知が届くのを防ぐことができます」

↑左が検知したクリップ動画が一覧で表示されるサムネイル画面。サムネイルをタップすると、実際の動画(動画の再生画面では緑色の識別枠は表示されない)が再生される。クルマのナンバーもたしかに読み取れた。

 

【結論】人、動物、車両を正確に識別し、不要な通知が発生しない

「AIが人と動物、車両をそれぞれ見分け、誤認識はありませんでした。道路に張り付いてチェックしていたわけではないので絶対とは言い切れませんが、設置からの2週間を振り返ると、指定した場所に何かが侵入した際はほぼ確実に検知してくれていた気がします。
また、検知する対象物を細かく設定できるので、例えば庭で犬などのペットを飼っている方は、動物には反応しないように設定できます。そもそもAI検知のメリットは、不要な通知を防げること。この機能がない場合、たとえば風で飛んできたゴミなども検出されてしまい、通知が頻繁にくるように。そうなると、次第に『どうせまたゴミでしょ?』と通知のチェックが面倒になり、見なくなってしまいますよね。これなら、本当に必要なときだけ通知を受け取ることができます」

 

MS LifeConnect「AIスマートカメラ」の詳細はこちら

 

チャレンジ2.
夜間、真っ暗ななかでどこまで侵入者を映し出せるか?

「夜間に道路を通行する人がきちんと検知されるかどうか、息子が夜、帰宅するタイミングで検証。不審者がいたときに服装などの特徴を把握できるレベルで撮影されるのかもチェックしました」

 

【結果】

(※プライバシー確保のため、顔にデータ上で加工を施しています。)

 

【結論】夜間の暗い道路でも服装の特徴までバッチリ!

「我が家の前の道路は、街灯が少なく夜間はけっこう暗いのですが、それでも通行人をしっかりと検知してくれました。暗いところでも服装の特徴までしっかり映り、トラブル時に警察に提出する証拠として十分使えると思います。また、夜間の撮影時に赤外線LEDが点灯する『赤外線ナイトビジョン機能』が搭載されているので、カメラがついていることが一目でわかり、侵入リスクを下げることもできます。ちなみに、照明がある場所に設置した場合、画面内に明るい部分と暗い部分が発生してしまいますが、ハイダイナミックレンジ機能をオンにすると、どちらの部分も詳細に撮影されますよ」

 

チャレンジ3.
敷地内に人が入ったらどれくらいのスピードで知らせるか?

「ガレージに不審者が侵入した場合を想定し、ガレージの入口周辺を検知エリアに設定。エリアの場合、線ではなく面で検知場所を設定できます」

↑エリアの設定画面。検知エリアを細かく設定でき、さらに1分以上滞在した場合に検知するなど、検知するまでの滞在時間も設定できる。今回は滞在時間を0.5秒に設定してテストした。

 

【チャレンジ】

↑道路の通行人ではなく侵入者に反応するよう、検知エリアはガレージの敷地内を指定。不審者役にはそのエリアに一歩だけ足を踏み入れてもらった。

 

【結果】

 

【結論】体感5秒以下。検知とほぼ同時に通知が届いた!

「写真の左上の時刻とアプリに表示された時刻が同じことからもわかるように、不審者の侵入を検知すると同時にスマホに通知が届きました。体感としては5秒も経っていないと思います。これならアプリを通じて不審者に警告を出し、犯行を牽制することもできそうです! また、滞在時間を選べるのもポイントで、人通りの多い道路にカメラを設置している場合、検知までの時間を少し長くしておけば、さっと通り過ぎた通行人は検知せず、同じ場所に留まって何かをしている不審者だけを検知することができます」

 

MS LifeConnect「AIスマートカメラ」の詳細はこちら

 

チャレンジ4.
遠隔からどれくらいスムーズに会話が成立するか?

「スピーカーが付いているので、例えば不審者が写り込んだときに声で威嚇することも可能です。とはいえ、取り付け位置が高くてもきちんと内容を聞き取れるレベルなのかが気になるところ。そこで編集部の方にカメラの下に立っていただき、スマホアプリを通じてスムーズに会話ができるかを試してみました」

↑下部にスピーカーを搭載。カメラ自体が小型なぶん内蔵するスピーカーも小さいと予想されるが、その実力はいかに!?

 

【結論】雑談レベルの声量でもスムーズに会話ができる

「雑談をするときと変わらない声のボリュームでも難なく会話ができました。これなら、例えばインターホンが映る位置に設置すれば、外出中に配達に来た宅配業者さんとコミュニケーションをとるといったこともできますし、屋内カメラでも、たとえば帰ってきたお子さんに『おかえり』と声を掛けることもできますよ。また、不審者に対しスピーカーから警告音を鳴らせるのもポイント。一度リビングに設置したカメラで鳴らしたことがあるのですが、クーちゃんが大騒ぎするくらい大音量。聞いていてかなり不快な音だったので効果は抜群だと思います。屋外で鳴らせば近所の人も気がついてくれるはず」

 

チャレンジ5.
スマホでの操作はだれにでも簡単、スマートに行えるか?

「日常的に使うアイテムなので、誰にでも簡単に操作できるかどうかは重要なポイント。導入してからすぐに使いこなせるようになるかどうか、アプリの操作性や機能をチェックしました」

↑スマホアプリのホーム画面。ホーム画面には、2つのカメラのライブ映像が表示されている。

 

【結論】アプリを起動してすぐに映像にアクセスできる!

「ホーム画面にライブ映像が表示されているので、アプリを開くとすぐに映像をチェックできるのは嬉しいポイント。また、アカウントに家族などを追加で招待できるので、それぞれが自分のスマホからアクセスできる点も便利です。ちなみに、アカウントの招待など重要な操作がPCアプリからしかできない点は、一見、手間のように感じられますが、スマホは日々持ち歩くぶんPCよりも誤操作や紛失が起きやすいので、安全面を考えると受け入れられるはず」

 

チャレンジ6.
取り付け・設定は簡単か?

「防犯カメラには自分で設置するタイプと、施工業者の方に来ていただき設置するタイプがありますが、本品は後者のタイプ。実際に取り付けを依頼し、設置までどのくらいの時間がかかったか、また取り付け後の設定のしやすさをチェック」

 

↑カメラの角度は、多少なら手動で調整できるため、設置後に微調整することも可能だ。

 

【結論】“防犯と施工のプロ”の手によって確実に設置できる上、助言をもらえるのは助かる!

「どこに取り付けるのがベストか、取り付け場所に電源があるか、通信に問題はないかなどをチェックする現地調査と、実際の設置で、計2回業者さんに来ていただきました。
最初は日程調整が手間と感じたものの、防犯のプロによる住宅環境・特性に合わせた効果的な設置位置などを相談できて助かりました。また、実際にしばらく運用してみて後日位置の変更にも対応していただけました。設置費用や移設費用はかかりますが、このように現地調査を無料で実施してくれる点も、サービス全体の安心感につながりましたね」

 

MS LifeConnect「AIスマートカメラ」の詳細はこちら

 

「セルフセキュリティ」なら犯行を防げる可能性が高まる!?

―――設置してから2週間が経ちましたが、率直にどう感じましたか?

 

「留守中に家の様子が気になるというときにすぐに確認できるということが、こんなにも安心につながるとは思ってもいませんでした。ちょうど最近、近隣で不審な訪問販売や窃盗被害が増えていて、不安を感じていたので、やっと安心できました。防犯カメラを設置するのって、大袈裟なことのように感じるかもしれませんが、一度設置と設定さえしてしまえば、あとは自動で機能してくれるので、導入したいまは、そんなに大ごとじゃなかったんだなって感じています。いっときの手間よりも未来の安心のほうが大切ですし」

 

―――自宅のセキュリティを高める手段には、警備会社と契約する「ホームセキュリティ」もありますが、自分でセキュリティカメラを導入する「セルフセキュリティ」を選ぶメリットは何でしょうか?

 

「セルフセキュリティは、異常があったときに自分で対処しなければならない点がデメリットと思われがちですが、実はホームセキュリティよりもクイックに対処できるというメリットがあると感じました。
たしかにホームセキュリティには、警備員に駆けつけてもらえるという安心感があります。でも実は、警備員が駆けつけた時点ですでに犯行が終わっているというケースも多いそうなんです。警察への通報は、到着後に行われることになりますから、犯罪を防ぐことまではできませんよね。
その点、本品のような高性能なカメラによるホームセキュリティなら、不審者を検知したらすぐに気がつけるので、その場で警告音を鳴らしたり警察に通報したりできます。つまり、犯行前に被害を防げる可能性が高まります。もちろん犯行が行われてしまった場合も、クラウドに保存した撮影データを証拠として提出することも可能です」

(※1) 警備ユニット、コントローラ・ドア開閉センサー・施錠確認センサー・空間(人感)センサー・火災センサー・非常ボタン・異常発生ライト など。(※2) 家の立地やセンサー数により金額は異なります。(※3) MS LifeConnectの防犯カメラは、設定した範囲に不審な人や車、動物などが検知されると、AIが見分けてプッシュ通知します。また不審者を見つけた際には外出中でも音声通信機能で声をかけたり、サイレン音を鳴らすことができます。

 

見守りカメラとして使うときは、動物検知機能と細かなルール設定が活躍

―――本品は、防犯としてだけでなく、見守りカメラとして活用できるのもポイントです。屋内カメラはリビングに設置されたとのことですが、どのように活用されていますか?

 

「子どもがすでに高校生なので、我が家では子どもの見守りではなく、留守中の愛犬の見守りに活用しています。外出中にクーちゃんが体調を崩してしまったときには、その様子を獣医さんに映像で共有できて助かりました。出先からでもそういった異変に気づけるのは心強いですね。
ペットカメラや見守りカメラは他にもたくさんありますが、動物だけを検知できるよう設定できるものはほとんどないので、その点も魅力的。また、防犯カメラと見守りカメラを別にした場合、それを管理するアプリが増えててしまいますが、本品なら1つのアプリで一元管理ができるのもうれしいポイント」

 

―――動物のみを検知できるとはいえ、ペットがカメラの前を横切るたびにクリップ動画(後から動画を検索しやすくなるように、設定した対象物が検知されたときに切り出して保存される動画のこと)が記録されると、すぐに1か月の記録上限本数に達してしまいそうです(1か月に保存できるクリップ動画の本数には制限があります)。

 

「私もそれが心配だったんですが、検知するルールを細かく設定できるので問題ありませんでした。例えば会社に行っている平日の日中だけ検知するようにしたり、一度検知したらその後1時間は検知をしないように設定したりできるんです。これらを設定すればクリップ動画が増えすぎる心配はありません」

↑姿が見えず心配なときも、スピーカーから呼びかければ、飼い主の声に反応してカメラの前に来てくれて安心だ。

 

↑アプリからクリップ動画で検知する対象を「動物」だけに設定すれば、ペットだけを検知するようになる。

 

MS LifeConnect「AIスマートカメラ」の詳細はこちら

 

サブスクリプションだからこそ手に入る精度と安心感

―――本品はサブスクリプションサービスで、毎月費用がかかりますがその点はいかがでしょうか?

 

「サブスクリプションの魅力は機能が常にアップデートされることと、クラウドが使えること。そもそもAIは、アップデートにより精度が上がるものなので、真価を発揮するためにもサブスクリプションなのは当然だと思います。また、SDカードなどに保存するタイプだと、記録媒体自体が盗まれたり、データを消されたりするリスクがあるので、クラウド保存であることも安心を得るためには欠かせない要素でしょう。
さらにいうと、プライベートを記録するアイテムだからこそ妥協してはいけないセキュリティ性能に関しても、本品では米国国防権限法に準拠した高度なサイバーセキュリティ技術が使われています。これらを鑑みれば、この支出はアリではないでしょうか。ちなみに私は、ペットカメラを導入したら、なぜか他の方の家の映像が映し出されたという衝撃的な体験をしたことがあり、情報漏洩リスクへの対応の大切さを痛感しています。

 

いずれにせよ、万が一がなかったとしても日常的に活用できて安心感を得られるので、価格に対する満足度は高いです。大手保険会社が提供しているという点でも安心ですし。実際に導入してみて、MS LifeConnectは、私の家とペットを守る大切なパートナーだなと感じています。現在は2台までですが、今後3台まで使えるプランが追加されるそうなので、玄関への設置も検討したいですね」

 

MS LifeConnect「AIスマートカメラ」の詳細はこちら

 

取材・文/鈴木翔子 写真/鈴木謙介

米国で「SIMスワップ」により1万7000ドルを騙し取られる事件が発生!PINコードは設定すべし

スマートフォン用アプリなどの2要素認証(2FA)は、データやサービスにアクセスする際に、2種類の本人証明を要求する仕組みです。その典型的なものは、銀行アプリにアクセスしようとすると、登録している電話番号にSMSでパスコードを送ってくるというものでしょう。

↑2要素認証を有効にしていたが……

 

しかし、米マサチューセッツ州在住の女性が、2FAを設定していたにもかかわらず、「SIMスワップ」という手口により1万7000ドル(約250万円)を騙し取られたと報じられています。

 

米メディアWJLA報道によると、シャロン・ハッシーさんはベライゾン(米携帯キャリア)で新しいスマホを購入したお礼のメールを受領。その直後、バンク・オブ・アメリカ(米銀行)はシャロンさんに、口座の連絡先情報の変更を通知してきました。

 

しかし、シャロンさんは新品のスマホを買ったわけでも、口座情報を変更したわけでもありません。そこで銀行に電話して状況を確認しようとすると、彼女のスマホは携帯電話サービスから遮断されていたため、電話をかけることができませんでした。

 

その頃、犯人は彼女と同じ番号のSIMカードを自分のスマホに入れて、2FAから送られてきた全てのコードを受け取っていたようです。

 

シャロンさんはパソコン経由でオンラインの銀行口座にアクセスしようとしましたが、やはり携帯電話による2FAを要求されてしまいました。それから直ぐに固定電話で銀行に電話を掛けたものの、時すでに遅し。数分以内に、彼女の銀行口座から1万7000ドルが盗まれていた次第です。

 

犯人の手口は、まず現地のベライゾンストアに入り、シャロンさんの電話番号を使って新しいスマホを購入してアクティベーションを実行。そのため、彼女の携帯は使えなくなっていたわけです。

 

こうした犯行は、一般的に「SIMスワップ」と呼ばれます。まず標的とする相手の個人情報を調べておき、何らかの手段により身元を偽り、携帯電話会社にSIMを紛失したと連絡し、手持ちのSIMと番号を入れ替えてもらう……というものです。

 

そしてシャロンさんは2FAを有効にしていたため、窃盗犯がSIMカードを有効にした途端、すべての2FAコードはそちらに行ってしまいました。ご本人も「彼らは私の電話を完全にコントロールしていて、私にはどうすることも出来なかった」と振り返っています。

 

バンク・オブ・アメリカは3か月間、シャロンさんの要求を拒否し続けたものの、結局は1万7000ドルの返金に応じています。

 

SIMスワップ被害を避けるための対策として、ロボコール(自動音声による迷惑電話)着信拒否サービスを提供するYouMailのCEOは、SIMにPINコードを設定するよう勧めています。もしもスマホが他人の手に渡ってしまったり、SIMの番号が奪われても、PINを入力しない限り使用できなくなります。

 

また、シャロンさんのように異変に気づいたとき、すぐに携帯キャリアや銀行に固定電話を掛けて、現在の状況を確認することも必須でしょう。

 

Source:WJLA
via:PhoneArena

Androidの銀行アプリを標的にする新たなマルウェアが登場。生体認証をオフにしてPINコードを盗み出す手口

Androidユーザーの銀行アプリや暗号通貨アプリを狙うマルウェアの新種が発見され、生体認証をブロックしてパスワードを盗み出そうとするなど、驚くべき進化を遂げていることが明らかになりました。

↑新種のマルウェアに注意!

 

このマルウェア「Chameleon」は、2023年初めに初めて発見されました。Google Playストアではなくフィッシングサイト(実在のサービスや企業を騙った偽サイト)など様々な手口で、正規のアプリに偽装して配布。主に金融アプリを対象とするため、「バンキング型トロイの木馬」と呼ばれます。

 

その特徴は、被害者のデバイスを操作することで、アカウント乗っ取り(ATO)やデバイス乗っ取り(DTO)攻撃をすること。これらの機能は、アクセシビリティ(ユーザー補助)サービスの悪用に依存しています。

 

さて、最新のChameleon亜種(すでに出回ったマルウェアの一部改変版)は、Chromeブラウザを装っている場合もあるとのこと。元々がオーストラリアとポーランドに限定されていたものの、こちらはイギリスとイタリアで発見。犯罪者が狙う地域が広がっているわけです。

 

インストールすると、Chameleonは「アクセシビリティ・サービスを有効」にしつつ「生体認証プロンプト(指紋認証などを促すメッセージ)をオフ」にします。

 

まずAndroid 13以降であれば、アクセシビリティ・サービスを有効にする案内ページを表示。1つ1つ手順を教えて親切なフリをして、ユーザー自らにスマホのガードを解かせ、PINコードも盗み出すというわけです。

 

そしてKeyguardManager APIとアクセシビリティイベントを使い、ロック画面ににつき生体認証やパターン、パスワードなどの保護状態を評価。そこで一定の条件を満たすと、生体認証からPIN認証に移行。これにより生体認証がバイパスされ、トロイの木馬が自由にデバイスのロックを解除できるようになります。

Image:Threatfabric

 

もしも生体認証が有効であれば、登録したユーザーがスマホで指紋認証や顔認証を行う必要があります。が、生体認証をスルーできるなら、より遠隔操作でPINによりロック解除でき、その後にキーロガー(キーボード入力を記録するソフト)経由で暗証番号や、他のアプリのパスワードも盗み出せることになります。

 

Googleはこのマルウェアを認識しており、自社ストアのPlayプロテクトがユーザーを保護するとThe Hacker Newsに語っています。なるべくGoogle Playストアや、信頼性の高い大手アプリストア以外でのダウンロードは控えたいところです。

 

Source:Threatfabric
via:BGR

iPhoneの新盗難防止機能がiOS 17.3で追加へ……Face IDかTouch IDでの認証を追加

Apple(アップル)は「iOS 17.3」のベータ版にて、iPhoneに新たな盗難防止機能を追加しています。

↑Appleより

 

実は最近、iPhoneのパスコードを覗き見た後にデバイスを盗むという手法が横行しています。この場合、窃盗犯がApple IDのパスワードをリセットしたり、紛失モードをオフにしたり、パスワードを覗き見ることができるなど、iPhoneの強固なセキュリティが無駄になってしまいます。

 

一方でiOS 17.3のベータ版には「盗難デバイス保護(Stolen Device Protection)」という機能が追加されました。これを利用すれば、「iCloud Keychain」に保存されているパスワードの保護、紛失モードのオフ、コンテンツの設定と消去などのアクションに、Face IDかTouch IDでの認証が必要となるのです。

 

またApple IDアカウントのパスワードの変更など特に重要な操作については、「セキュリティ遅延」という機能が追加されています。この場合、まずFace IDかTouch IDで認証し、1時間待ってからまたFace IDかTouch IDで認証する必要があるのです。ただし、自宅や職場などではこのようなアクションは必要ありません。

 

盗難デバイス保護は、設定アプリの「Face IDとパスコード」の項目から利用できます。このような新たなセキュリティ機能で、さらにiPhoneが安心して使えるようになることを期待したいものです。

 

Source: MacRumors

よく分からないQRコード、詐欺リンクの危険もあるのでスキャン厳禁! 米FTCが消費者に警告

最近のスマートフォンは、カメラアプリでQRコードを撮影すると、直ぐにリンク先を確認できるようになっています。そんななか、米連邦取引委員会(FTC)は消費者向けに、どんなに古いQRコードでも詐欺サイトに誘導される等のリスクがあるため、迂闊にスキャンしないよう警告しています。

↑不審なQRコードはスキャンしないで!

 

この警告は、セキュリティとプライバシーに関わるものです。悪質な業者は目立たない場所にQRコードを置いたり、電子メールで送りつけたり、パーキングメーターの中に隠したりして、銀行やログイン情報、その他の機密情報がやって来るのをじっと待っているというわけです。

 

またサイバーセキュリティ企業Trellix社の担当者は、今年第3四半期だけで「6万件以上のQRコード攻撃の例」を発見したと述べています。The New York Timesによれば、最も多かったのは郵便詐欺(米郵便公社を騙るもの)や悪質なファイル共有、給与計算や人事担当者のなりすましだったとのこと。

 

新型コロナ禍が起こって以降は、レストランのメニューから病院まで、日常生活でQRコードが広く使われるようになり、サイバー犯罪者にとって魅力的な道具となっているようです。

 

こうした悪質QRコードから身を守るため、FTCは次のような対策をお勧めしています。

 

  • 予期せぬ場所でQRコードを見かけたら、開く前にURLを確認する。見覚えのあるURLに似ている場合は、スペルミスや文字の入れ替えがないかなど、なりすましでないことチェックする。
  • すぐに行動するよう急かす場合は要注意。もしも本当のメッセージだと思われる場合は、会社であれば、電話番号やウェブから連絡すること
  • スマートフォンのOSをアップデートし、強力なパスワードと多要素認証でアカウントの守りを固めること

 

日常生活の至るところにQRコードがありふれているのは、日本でも米国でも同じことです。何でも手当たり次第にスキャンせず、もしスキャンした場合は正しいURLか、偽サイトへの誘導ではないかを念入りに確認した方がよさそうです。

 

Source:FTC, The New York Times
via:The Verge

メールに大きな画像が貼られていたらクリック厳禁! フィッシング詐欺の新たな手口が明らかに

送信者を偽ってメールを送りつけたり、ニセのサイトに誘導したりするフィッシング攻撃は、しだいに巧妙になりつつあります。そんななか、サイバーセキュリティ企業のCheck Pointが調査結果に基づき、悪意あるハッカーらが使う新たな手口を明らかにしています。

↑フィッシング詐欺の新たな手口とは

 

犯罪者は被害者を詐欺サイトに誘導するため、手の込んだメールを作成し、メッセージの下部にあるリンクをクリックするよう迫ります。たとえばウイルス対策ソフトを緊急にダウンロードする必要がある、という具合です。

 

が、長いメールを書くと誤字脱字や間違った文法で、詐欺がバレてしまうことも珍しくありません。そこで最近のハッカーらは、宣伝用の画像を作るだけとのことです。

 

具体的には大手ショップからダイレクトメールが届いたときのように、テキストの代わりに大きな画像が表示。この画像をクリックすると、パスワードやその他の重要な情報を盗み出されるフィッシングサイトに誘導されるしくみです。

 

画像の上にマウスのポインタを乗せれば、怪しげなハイパーリンクが表示されるため、注意深い人であればすぐに詐欺だと見破ることができます。しかし、調査の結果としては、多くの人々がフィッシングメールを削除するのではなく、画像をクリックして攻撃者のエジキになってしまっているそうです。

 

今回公開された例としては、無料ロイヤリティプログラム(「当選おめでとうございます!」的なもの)やギフトカードを誘い文句とされています。これらのメールの画像をクリックすると、ユーザー名とパスワードを盗むための認証情報取得ページに飛ばされることになります。

 

また、画像内に悪意のあるリンクを隠すことで、GmailやOutlookなどのURLフィルタリング(悪意のあるウェブページをブロック)を回避できるというわけです。

 

こうしたフィッシング詐欺から身を守るには、何より届いたメールを注意深くチェックすることが大切です。まず、送信者のアドレスを確認し、偽メールだと疑われる場合は、その企業に問い合わせること。そしてテキストだけでなく、画像も迂闊にクリックしないよう気をつけるべきでしょう。

 

最後に覚えておきたいのは、ハッカーや詐欺師らは緊急事態だと焦らせて、リンクをクリックさせたり、フィッシングメールに返信させようとすることです。感情に流されず、冷静に対処することで、ありがちな手口に引っかかることが避けやすくなるはずです。

 

Source:Techradar

Pixelスマホを「SIMカードを挿すだけ」でロック解除できる特大バグ発見! 11月のアップデートで解決します

米グーグルは11月初め、月例のAndroidおよびPixelスマートフォン向けセキュリティアップデートを配信開始しました。その中に、Pixelスマホのロックをパスコードや生体認証なしに解除できるバグの修正が含まれていることが明らかとなりました。

↑早急にアップデートを

 

このバグ(CVE-2022-20465)は、セキュリティ研究者のDavid Schutz氏が発見したもの。自らのブログで「物理的にアクセスできる攻撃者は、ロック画面の保護(指紋、パスコードなど)を回避して、ユーザーのデバイスに完全にアクセスできる」と述べています。つまり、実際にPixelスマホを手に取れるハッカーは容易く実行できてしまうわけです。

 

そのやり方は、ざっと次の通りです。

  1. PIN(暗証番号)でロックされたSIMカードをPixelスマホに入れる
  2. PIN入力を3回間違える
  3. PUK(PINロック解除)コードを入力し、新しいPINコードを入力する
  4. Pixelスマホは完全にロック解除される

つまりハッカーは自分のPINロックされたSIMカードを持っていき、被害者のデバイスのSIMを交換し、上記の手順を行うだけ。条件を満たしたSIMカードがあれば、特別なスキルがなくてもPixelスマホを乗っ取れます。

 

今年半ば、Schutz氏はこのバグをグーグル(正確にはAndroidのバグ報奨金プログラム)に報告したものの、実際にグーグルが解決に動いたのは9月のことでした。その報酬として、7万ドルの報奨金が支払われたそうです。

 

11月のセキュリティ更新は、Pixel 4a以降で利用できます。要するに「PUKコードが分かっているSIMカードを持っていれば、ただSIMを交換するだけでPixelスマホが完全にロック解除できる」という特大の不具合のため、該当する製品をお持ちの方は速やかにアップデートをお勧めします。

 

Source:David Schutz,Google
via:9to5Google

 

※Schutzのuは、ウムラウト付きが正式な表記です

TikTokのAndroidアプリ、ワンクリックで乗っ取れる脆弱性が発見! 直ちにアップデートをお勧めします

米マイクロソフト(以下、MS)が、ショート動画サービスTikTokのAndroidアプリに1クリックで乗っ取ることができ、数億人のユーザーに影響が及ぶ恐れがある脆弱性を発見したと報告しました。すでにTikTokはこのバグを修正済みであり、誰かが悪用した形跡は確認されていないそうです。

↑「TikTok」Android版アプリは最新版にアップデートしましょう

 

MSのTanmay Ganacharya氏はテックメディアThe Vergeに「私たちはTikTokに脆弱性に関する情報を提供し、この問題の修正を助けるために協力しました」と語っています。またTikTok側はすばやく対応したとして、「セキュリティチームによる効率的かつ専門的な解決を称賛します」と述べられています。

 

この脆弱性は、TikTokアプリ内のディープリンク機能の不具合にあったそうです。この機能は、特定のURLを特定の方法で処理するようにプログラムする、というもの。たとえばChromeで埋め込みツイートをタップすると、ツイッターのアプリが起動するというぐあいです。

 

ふつうディープリンク機能は特定のアクションを実行するだけに制限されていますが、その制限のため設けていた検証プロセスを避ける方法が見つかったそうです。これによりコンテンツの投稿や他のTikTokユーザーへのメッセージ送信など、アカウントにひも付けられた主な機能が使えるのを発見したとのことです。

 

このバグを含む2つのバージョンは15億回以上ダウンロードされており、もしも修正する前に何者かが発見して悪用した場合の影響はおそろしく広がった可能性がある、と指摘されています。

 

MSは、すべてのAndroid版TikTokユーザーにできるだけ早く最新版アプリをダウンロードするよう勧めています。とりあえず、怪しげなURLをうっかり踏まないように気をつけたいところです。

 

Source:Microsoft
via:The Verge

古めのiPhoneやiPadは今すぐアップデートを! ゼロデイ脆弱性を修正したiOS 12.5.6がリリース

アップルはiOS 13やそれ以降のバージョンを使えない古めのiPhoneやiPadを対象に、iOS 12.5.6を配信開始しました。アップデートが届いていれば通知から、なければ設定アプリから「一般」>「ソフトウェア・アップデート」から利用できます。

↑あなたの端末は大丈夫?

 

今回の更新は、2件のゼロデイ脆弱性に対処した重要なセキュリティアップデートとなっています。対象となるのはiPad Air、iPad mini 2、iPad mini 3、および第6世代iPod touch、iPhone 5s、iPhone 6、iPhone 6 Plusです。これらをお持ちのユーザーは、速やかにアップデートされることをお勧めします。

 

iOS 12.5.6でのセキュリティアップデートは、8月半ばに配信されたiOS 15.6.1と同じく、Webkit(ブラウザの描画エンジン)にあった脆弱性を塞ぐものです。

 

その内容は、悪意をもって細工されたウェブコンテンツを処理することで、任意のコードが実行される可能性があるというもの。要はブラウザで悪質なページを読み込むと、ハッカーが送り込んだ命令が通ってしまう危険があるわけです。

 

アップルはこの脆弱性が「積極的に悪用された可能性がある」と報告されているとのこと。つまり、実際に被害が出ている恐れがあり、該当する製品を愛用している方々は、直ちにアップデートした方がいいでしょう。

 

ちなみにゼロデイ脆弱性とは、ソフトウェアの開発元が不具合があると認識して修正パッチを公開する前に、攻撃に悪用されてしまうバグのことです。アップルのような巨大ハイテク企業でも悪質なハッカーに出し抜かれることは珍しくないため、セキュリティアップデートは速やかにしておきたいところです。

 

Source:Apple

467のAndroidアプリから銀行情報を盗み出すマルウェア見つかる。レンタル代は月額60万円以上!

セキュリティソフトウェア企業のESETは、マルウェア「ESMR」の新バージョンを発見し、467のアプリを標的として金融および暗号通貨アプリから認証情報を盗み出し、お金を奪っていたと報告しています。

 

また、このマルウェアがサイバー犯罪フォーラムで月額5000ドル(約63万円)でレンタルされていたことも明らかにされました。

 

この「ERMAC 2.0」は無害なアプリになりすまして被害者のデバイスに入り込む、いわゆる「トロイの木馬」型マルウェアです。なお、前バージョンの「ERMAC 1.0」は378のアプリを標的として月額3000ドルであり、新たな「2.0」は悪事を働ける幅が広がったことで値上げされたようです。

ESET

 

拡散する手口はGoogle Playストアではなく、偽のWebサイトを経由していたそうです。たとえばポーランドのユーザー向けには、欧州で有名なフードデリバリー「Bolt Food」になりすましたサイトが開設していた、という具合です。また、Webブラウザの偽アップデートサイトを通じても配布されていたとのことです。

 

ダウンロードされた詐欺アプリは、外部ストレージからの読み込みやテキストメッセージ読み取りなど43もの許可や、アクセシビリティサービスを有効にするようユーザーに要求。それらの権限を付与されるや、さっそく悪用が始まります。

 

その後、マルウェアは標的のAndroidデバイス内にあるアプリ一覧をC&Cサーバー(サイバー攻撃者がマルウェアに指令を出したり、盗み出した情報を受信する)に送信。その後、マルウェアは正規のアプリをオーバーレイ(アプリなどの上に画像やボタンを重ね合わせる処理)し、機密データや危険な権限にアクセスするための情報や操作を引き出すわけです。

 

このレポートでは、被害者を騙そうとするフィッシングサイトの一部も報告されているほか、日本のbitbank、インドのIDBI銀行、オーストラリアのGreater Bankなどの金融関連アプリが標的になっていると警告されています。

 

BleepingComputerによれば、Android 11と12ではアクセシビリティ関連サービスの悪用が制限されているため、それほど心配する必要はないそうです。それでもGoogle Playストア以外から、特に正規品ではなさそうなアプリのダウンロードは避けるよう警告されています。

 

月額60万円以上のレンタル代を払うとすれば、サイバー犯罪者たちも元を取ろうとして悪知恵の限りを尽くすはず。素性の怪しい、いわゆる「野良アプリ」には出来るだけ手を出さない方がよさそうです。

 

Source:BleepingComputer
via:PhoneArena

ウイルスを事前に予測して排除。ここまで進化している2018年仕様の「ウイルスバスタークラウド」

トレンドマイクロは今年で設立30周年を迎えるに当たり、セキュリティソフト「ウイルスバスタークラウド」を2018年版にアップデートしました。

 

発売日と価格は?

ウイルスバスタークラウドは、使用する期間に応じて料金を支払うサブスクリプション方式を採用しています。使用する期間は1年~3年から選択可能で、1アカウントにつき3台のデバイスで使用可能。

例えば、

●デスクトップPC+ノートPC+スマホ
●PC+スマホ+タブレット
●自分のPC+自分のスマホ+実家のPC

といった使い方が可能となっています。

 

また、製品のこと以外にもパソコンやネットワークについて、電話やLINEなどで質問ができるサービス「デジタルライフサポートプレミアム」が付属したバージョンも設定されています。ダウンロード版の発売日は9月6日で、価格は以下の通り。

 

ウイルスバスタークラウドには、もちろんパッケージ版も用意されているので、量販店での購入も可能。なお、パッケージ版の発売日は9月13日となっています。

 

また、既にウイルスバスタークラウドを利用中のユーザーは自動的に2018年版にアップデートされますが、手動でも行うことが可能。手動アップデートとバージョンの確認は以下の通り。

 

ウイルスバスタークラウドのメイン画面から、右上のアカウントアイコンをクリックし、「バージョン情報」をクリックします。

↑アイコンをクリックするとメニューが表示されるので「バージョン情報」をクリック

 

次の画面で、新しいバージョンが適用されていなければ、この画面で自動的にアップデートが行われます。アップデートが完了、もしくは既に適用済みの場合は画像のようなメッセージが表示されます

↑ということで、筆者が使用しているウイルスバスターも無事アップデートされました!

 

新しいウイルスバスタークラウドはスキャン性能が強化

ウイルスバスタークラウドは、2017年版から「XGen」と名付けられたAI搭載のセキュリティエンジンが搭載されました。2018年版では新たなサイバー攻撃に対する防御力を高めるために、怪しいファイルの特徴やふるまいを2重に学習するハイブリッドスキャンを新たに実装しています。

↑クロスジェネレーションから名付けられた「Xgen」

 

ウイルスバスタークラウドの大きな特徴として、全世界で日々発生する新しいウイルスや攻撃を検知した場合は、直ちにトレンドマイクロの拠点に送信され、同様の挙動や特徴を解析・学習します。その後、ウイルスバスタークラウドが動作する全てのデバイスにてAIによる予測検知に適用させるという仕組みになっています。

 

これまでのAIスキャンでは、怪しいファイルの特徴を予測してスキャンした後、実行中に挙動のスキャンを行っていましたが、今回搭載されたハイブリッドスキャンでは、ファイルの実行前に特徴と挙動を予測してスキャンすることで、より高精度なセキュリティを実現しました。

 

簡単にいうと、日々新種が発生するウイルスに感染した未知のファイルを実行前に予測して、警告及び排除。デバイスに致命的なダメージが加わる前に防ぐというものです。

 

ウイルスやサイバー攻撃はデバイスやネットワークとともに進化

トレンドマイクロは今年で設立30周年を迎え、その間にもセキュリティ事情は大きく変遷したと同社の大三川彰彦社長は語りました。

↑トレンドマイクロ株式会社 代表取締役社長 大三川 彰彦氏

 

ウイルスバスターが日本で発売が開始されたのが1991年。Windows 3.1が発売されたのが1992年であることを考えると、世の中はDOSの全盛期。インターネットは普及しておらず、ウイルスの侵入経路はフロッピーディスクが主でした。

 

その後、1995年にWindows 95が発売されるころには、日本でも爆発的にインターネットが普及し、脅威の侵入経路はネットに移行。悪意のあるサイトへのアクセスやファイルのダウンロードにより、ユーザーが気づかないうちにウイルスに感染するということが多発しました。

↑ウイルスバスターの歴史

 

筆者はこの時代からウイルスバスターを導入して、脅威に備えていました。ところが、あまりにもネットからの脅威が増えたせいなのか、ウイルスバスターの挙動が重く感じるようになり、他社製品へと乗り換えてしまいました。丁度、Windows XPの時代です。

 

ところが、ウイルスバスタークラウドになってからは「動作が軽くなった」とのことで、昨年版より使用していますが、他社製品に比べても遜色のない軽快性で日常の作業にはまったく影響しないレベル。現在進行形で愛用しているところです。職業柄、筆者はさまざまなファイルをダウンロードして試しているのですが、いまのところウイルスには感染していないところをみると、ウイルスバスタークラウドの防御力が垣間見える気がします。

 

また、筆者の周囲で最近よく耳にするのがFacebookのアカウントを乗っ取られた人が、友達を偽装してスパムページや動画などの不正なURLをメッセンジャーで送信してくるという攻撃です。トレンドマイクロによると、それらの攻撃も防げるとのことで、セキュリティソフトを未導入の方は一考の価値があるといえるでしょう。ウイルスバスターには30日間の無料体験版があるので、まずはそちらからお試しあれ!

 

防犯対策は万全? 家と我が身を守るポイント3点とオススメ防犯グッズ4選

自宅の防犯について、不安に思ったことはありませんか? 都市部では特に、近隣との付き合いが少なく、例えばエレベーターに乗り合わせた人が同じマンションの住人かどうか、わからないこともしばしば。集合住宅につけられた防犯カメラやオートロックが、きちんと機能しているのか知らない人もいるでしょう。

 

夏になると窓を開け放したままにする機会が多くなり、防犯への意識が低くなりがちです。物騒な事件があとをたたない中、家と我が身を守るにはどうしたらいいのか、日本防犯学校の桜井礼子さんに聞きました。

 

防犯意識を持つことがセキュリティの第一

「ホームセキュリティ」と聞くと、まず警備会社のセキュリティを思い浮かべる人が多いかもしれません。実際に賃貸物件でも、警備会社と契約し、インターフォンなどには施錠確認のセンサーがついていたり、火災感知器やボタンひとつで通報できるサービスが付帯していたりなど、安心して暮らせる機能が備わっている物件が増えてきています。ひとり暮らしの人や、子どもの留守番時間が長い家庭、高齢者がひとりでいる時間の多い家では、特にこのようなシステムがあると安心です。

 

「認知されている犯罪件数が大幅に増えているわけではありませんが、近年の傾向として、物を盗むだけの侵入窃盗が、暴行や脅迫をともなう侵入強盗に発展しているなど、犯罪の凶悪化が目立っています。何らかの防犯対策がなされているとわかると、侵入に時間がかかって入りにくさを感じるため、犯罪者のターゲットから外れる可能性が高まりますから、安心して暮らすためにも防犯対策することが重要です」(日本防犯学校・桜井さん、以下同)

 

しかし、セキュリティが施してある物件でも、注意すべき点はあるそうです。

「ここは大丈夫だからと、入居者自身の防犯意識が薄れてしまうことも。セキュリティシステムがあることはもちろん良いのですが、第一に大切なのは、防犯意識を持つことでしょう。たとえば、宅配業者や警察、警備会社などを装った押し込み強盗は、自ら鍵を開けて犯罪者を迎え入れてしまうことで発生します。ホームセキュリティが万全でも、防犯意識が薄いと犯罪被害にあう危険性が高まるのです」

 

安全な賃貸物件を選ぶための3つのポイント

物件を選ぶときにいちばんに気をつけなければならないのは、その物件がどれくらい安全か、でしょう。では、不安の少ない物件にはどのようなポイントがあるのでしょうか?

 

「街や自治体による、侵入犯罪者に狙われにくい住宅を推奨する『防犯優良住宅認定制度』という取り組みが始まってきています。いくつかの審査基準に達した物件が認定され、数年ごとに審査し直し更新されていくものです。このような物件を選ぶのもひとつの手だと思いますが、それ以外にも注意して見ていただきたいポイントが3つあります」

 

1.部屋までの通路は、見通しのよい場所を選ぶ

オートロックや管理人が常駐している集合住宅は、エントランスで人目につきやすいので比較的安全といえますが、そこから部屋にたどり着くまでの道のりに死角がないか、考えてみましょう。

 

「階段の場合、外から見える外階段ではなく、完全に室内になっている内階段がありますよね。内階段は道路などの人目があるところから完全に見えなくなるので、侵入者には好都合な場所と言えます。廊下についても同じことが言えるでしょう。また、集合住宅自体が高いブロック塀で囲まれている場合も、外からの見通しが悪くなるので注意が必要です」

 

2.施されている防犯対策が機能しているか確かめる

オートロック扉があるにもかかわらず、ゴミ集積場へのドアや裏口からは誰もが侵入できるようになっているなど、意味のある防犯対策になっているかどうかについては、確認が必要です。

 

「エレベーターやエントランスについているカメラがフェイクだったり、入口に警備会社のシールが貼ってあっても契約が終了していたり、防犯対策であるはずのものが見せかけだけだったという場合があります。それ自体が防犯になっていないと断言はできませんが、何か起きた場合には何の役にも立たないので、フェイクなのか稼働しているのか知っておくことが最低限必要です」

 

3.正面入口以外の侵入経路がないか確認する

集合住宅の正面が大通りに面していたり、人通りが多かったりして安全に見えても、別の侵入経路があると、犯罪者の目にとまりやすくなります。

 

「ベランダの横に雨どいがあったり、ベランダ越しに隣の部屋へ行ける構造だったり、また、屋上に簡単にあがれる物件は、犯罪者が侵入する経路になりますから、女性のひとり暮らしでは避けたほうが賢明でしょう。近隣の犯罪情勢をインターネットなどで調べて、犯罪が多発している地域は避けるなど、情報収集も必要です。また、玄関ドアに鍵がひとつしかないところ、窓のサッシのクレセント錠がダブルロックではない物件は、鍵つき補助錠をつけるなどの対策をしてください」

 

セキュリティシステムのある家に住むことだけでなく、自身で安心できる空間をつくることが大切です。次は、具体的におすすめの防犯グッズや防犯に対してできることをピックアップしていただきました。

 

自分でできるセキュリティ対策とは?

セキュリティについてできることは、セキュリティシステムのある家に住むことだけではありません。自分でできることを日々続けたり、備えつけられる防犯グッズなどを使ったりしながら、安心できる空間をつくることが大切です。ここでは具体的におすすめの防犯グッズや防犯に対してできることを、引き続き日本防犯学校の桜井礼子さんに聞きました。

 

1.玄関だけでなくポストも施錠する

玄関の鍵はもちろんのこと、外につながる出入り口はすべて施錠すること。

 

「玄関はドアチェーンもきちんとかけ、来訪者が来てもチェーンをかけたまま対応してください。荷物を受け取るときは、どこから何が届いたのかインターフォン越しに尋ねて、思い当たるときにだけ受け取るようにします。また、サッシや、ベランダの履き出し窓には、必ず補助錠をつけましょう」(日本防犯学校・桜井さん、以下同)

 

ポストについては2でも触れますが、ここも鍵は必ず施錠しましょう。ダイヤル式のポストは、数字を合わせたまま施錠せずにいる人も多く見受けられます。ポストには個人情報が詰まっていますから、どんな人物が何人で住んでいるのかなどの情報を犯罪者に与えないようにしましょう。

工具がなくても簡単に取りつけられるサッシ用の補助錠。振動があっても、内部の歯車が固定されているので、緩みません。「補助錠があると、開錠の時間が倍はかかると言われています。侵入というと玄関ドアのピッキングが思いつきますが、窓も入りやすい入口のひとつであることを忘れないようにしましょう」


ベッセル「まど番す(つまみ式)」
733円(編集部調べ)

 

付属の強力両面テープを使い、女性でも簡単に取り付けができる窓用補助錠。スライド式なのでロックをしながら窓を少し開けることも可能です。「鍵式なので、侵入者の手が届いたとしても、ロックを解除される心配がないタイプです」


日本ロックサービス「はいれーぬ 鍵つき」
2355円

 

2.個人情報が外部に漏れないよう注意する

個人情報がわかると、その家に住む人の生活パターンが見えやすくなり、犯罪者に侵入する機会を与えてしまうことがあります。

 

「ポストや玄関の表札は苗字だけにしましょう。女性のひとり暮らしなら、そうだと悟られないよう、玄関先に男物の靴や傘を置くのもおすすめです。玄関先のデコレーションや表札の文字などからも伝わってしまうものがありますし、ひとり暮らしであれば、女性らしい色のカーテンやレースものは避けるなど、外から見えるインテリアにも注意が必要です」

 

3. 近所の人との協力体制をつくる

集合住宅では、どんな人がどの部屋に住んでいるか知ることも大切な防犯対策です。

 

「マンション内で会う人の顔を覚えたり、積極的に挨拶したりすることが、犯罪者が侵入しにくい雰囲気づくりにつながります。町内会やマンションの自治会などがある場合はなるべく顔を出すのも良いでしょう。また、室内の様子がわかるようなホームネットワークシステムを導入しておくと、万が一侵入者があったとき、遭遇してしまう危険を回避することができておすすめです」

スマートフォンと連動して室内を見守るカメラ。会話もできるので、子どもとの会話やペットへの指示などにも使えます。「カメラに内蔵されたセンサーが温度や音を感知すると、スマートフォンに通知がいき、カメラの映像を見ることができます。カメラは最大4台つけられ、赤外線LEDで夜間でも映像を確認できて便利です」

パナソニック「ホームネットワーク システム KX-HJC200K-W」
2万8080円(編集部調べ)

 

4.外から見て留守であることがわからないようにする

出勤時間や帰宅時間などが外から見てわからないようにすることで、部屋への侵入をしにくくする可能性がありますから、留守のときでも人気があるよう装うことも大切です。

 

「外出時は、外から室内が見える部屋の照明をつけておくのも良いでしょう。リモコンつきで、照明の点灯時間がセットできるタイプのものもありますので、外が暗くなる時間に点灯するようセットするなどして使ってみてください」

普段はスイッチとして使用でき、留守のときは照明の留守番タイマーが設定できる仕掛けになっている防犯グッズ。「家にいないときに照明をつけておくと防犯にはなりますが、電気代が気になりますので、タイマー予約して生活パターンを悟られないようにするのが良いでしょう」

パナソニック「あけたらタイマ(2線式)」
7528円(税込)

防犯グッズは上で紹介したもの以外にも、お手軽なものから家全体を守れるようなハイスペックなものまで、さまざまな種類があるので、部屋のタイプに合わせて選んでみてください。

 

また、これから引っ越しを考えているならやはり、ホームセキュリティのある部屋や防犯優良住宅に認定された部屋をリクエストして物件探しをしてみるのは大事な対策です。例えばダイワハウスの賃貸物件「D-room」には、ホームセキュリティシステムを搭載した「防犯配慮型賃貸住宅」が用意されています。

↑センサーが異常を感知、あるいは非常ボタンを押すことでシステムが作動、ALSOKやSECOMといった契約する警備会社から警備員が駆けつけるので、外出時も在宅時も安心です

 

犯罪は、自宅にいるときでさえ、誰でも巻き込まれる可能性があります。常に防犯意識を持つことを心がけましょう。

 

【プロフィール】


防犯アナリスト / 桜井礼子

日本初の女性防犯アナリスト。一般社団法人日本防犯学校講師。防犯界の第一人者で予知防犯提唱者「梅さん」こと梅本正行氏に12年間師事し、事件現場の検証と取材に携わる。女性・母親・高齢者の親を持つ立場で、弱者を犯罪被害から守る予知防犯を提唱する活動を展開している。

 

取材・文=吉川愛歩 構成=Neem Tree

 

GetNavi webがプロデュースするライフスタイルウェブメディア「@Living」(アットリビング)でくわしく読む

at-living_logo_wada

時代を先取りし過ぎたか!? 持ち運びできるセキュリティシステム「nōmad」はクラウドファンディングで不調のワケ

玄関先のセキュリティカメラだけでなく、自宅内のカメラやモーションセンサーなど、セキュリティ面でのスマートホームもどんどんと進歩しています。GetNavi webでは自宅内を飛行して外出先から家の様子を確認できるドローン「Aire」も紹介しました。

 

こうした自宅用のセキュリティデバイスは普及してきていますが、これをポータブルにして持ち運べるプロダクトはまだ多くありません。そんななかいま海外メディアで話題を集めているのが「nōmad」。クラウドファンディングサイト「Crowd Supply」で資金募集中の「nōmad」はカメラ、モーション、サウンドセンサー、ライブ通知などが組み合わさった「ポータブルセキュリティガジェット」となっています。

 

本製品の紹介ビデオでは、「まるで自分専用の警備員が常にあなたを守ってくれるよう」と演出されています。確かにこんなふうに守られてみたいものです。

20180112_kubo12

「nōmad」の仕組みは簡単。メインとなるスティック型のデバイスに付属でついている小型のポッドを外出時に持っておき、ホテルの部屋やロッカーのなか、オフィスの自分のデスクやクルマのなかなど、自分以外が入らない場所やセキュリティ的に気になるスペースに小型ポッドを設置します。

 

それぞれの小型ポッドは音やモーション、振動や照明の変化、さらには煙も検知し、スマートフォンに通知を送ってくれるのです。最近はAirbnbなどの民泊も普及してきて、宿泊先も多様化してきましたが、オンラインでは大丈夫そうに見えた場所も、実際に着いてみると「ここ大丈夫かな……」と不安になることもあります。煙探知器がついていなかったりしても、nōmadのポッドがそれをカバーしてくれます。

20180112_kubo16

小型ポッドは複数使えるので、スーツケースのなかやナイトスタンドの上、洗面所と複数の場所をモニタリングすることも可能。

 

スティック型のデバイスにはカメラも付いているため、こちらも部屋やクルマのなかに設置しておけば、異変があったときにアプリを使ってリアルタイムで何が起きているかを確認することができます。

 

役に立つのはホテルや車から離れたときだけではありません。移動中は小型ポッドを手荷物やスーツケースのなかに入れておけば、一定の距離を離れたときに知らせてくれます。荷物の置き忘れや盗難の防止にも使えるわけです。

20180112_kubo17

nōmadにはLTE通信機能が内蔵されているので、外出先のホテルやオフィスなどのWi-Fiを使う必要がありません。ユーザーとの通信も完全に独立しているので、その面でのセキュリティも確保されているというわけ。海外メディアも「外部のWi-Fiや有線ネットワークに頼らなくてよいnōmadは独立性を非常に真剣にとらえている。これはとっても素晴らしい」「移動をしなくてはいけない、かつセキュリティに真剣なユーザーたちにアピールするはず」とセキュリティ面の強さを評価しています。

昨年末にキャンペーンを開始したばかりのnōmadですが、開発資金の獲得は芳しくありません。本稿執筆時点で残り20日間を切っていますが、目標金額(約1700万円)の2%しかお金が集まっていません。原因の1つは価格が少し高いからかもしれません。小型ポッドなしのメインのスティックデバイスだけで約2万8000円、小型ポッドが2つついたセットが約4万5000円となっています。

 

または、まだニーズがないからかもしれません。自宅用のセキュリティシステムはたくさん登場してきましたが、こうやって持ち運びができるデバイスはまだまだ珍しいのが現状。旅行や出張先でもセキュリティを確保してくれるデバイスへのニーズはこれから生み出されるのか――。まずはnōmadが目標金額を獲得できるかどうかに注目です。

【西田宗千佳連載】顔認証はセキュリティを超えて新しい産業を生み出す

「週刊GetNavi」Vol.61-4

↑Face ID↑Face ID

 

iPhone Xにおいて「Face ID」が導入され、顔の立体構造を使った顔認証が使われたことには大きな意味がある。一番の影響は、「立体構造を把握するセンサーの出荷量と、それを使うソフトの量が劇的に増える」ということだ。技術は使われるほど安くなり、磨かれる。タッチパネルやモーションセンサー、GPSがスマホのブレイクによって当たり前になったように、そして、指紋センサーがiPhoneでの採用以降当たり前になったように、顔認証を使う機器やソフトはどんどん増えていくだろう。

 

iPhoneのFace IDで採用された技術はアップル社の独自性が高く、他社がそのまま真似するのは簡単ではない。しかし、技術は魔法ではないので、アプローチを変えて同じような結果を再現することは十分可能である。開発に10か月程度はかかると想定しても、2018年末以降に登場する高級スマホには、iPhone Xと同じような「高度顔認証」を搭載するものが増えてくることだろう。

 

立体構造を把握する技術には、セキュリティ以外にも多くの展開が考えられる。iPhone Xの「アニ文字」という機能は、顔の表情を取り込んで、CGキャラクターに自分の表情をさせて、他人に送ることができる。これと同じような機能は、チャットソフトなどに続々と搭載されていくことだろう。今でも、Snapchatなどのアプリでは、自分の顔にヒゲやうさ耳を「盛る」ことができるが、そういったエフェクトを、より高度なレベルで施せるようになってくるのだ。現在、ビデオチャットを利用することに気が進まない人の多くは、自分の顔や表情に自信がないからではないだろうか。これは日本人には多く見られる傾向といわれる。だが、CGキャラクターを「アバター」としてコミュニケーションできるようになれば、事情は大きく変わってくるのではないだろうか。

 

スマホの使い方はだいたい決まってきた。そこに新しい変化をもたらすのは「カメラ」をセンサーとして使うことだと考えている。iPhone Xがやっているような「立体把握」は、カメラから取り込んだデータを生かすうえでは、より大きな可能性をもつものである。

 

これは別にスマホだけに限った話ではない。パーツが安くなれば、PCやテレビにも組み込むことが簡単になる。ビデオチャットをPCやテレビで使いやすくなるだろうし、同じ機構を使い、顔認識でなく「指認識」を行えば、リモコンなどの特別な機器を用意することなく、空間で指を動かして機器を操作する……といったことも十分に可能になる。

 

iPhoneという「ヒット商品」に使われることによる数のインパクトが、セキュリティだけでなく、様々な産業への変化を促すことになっていきそうだ。

 

●Vol.62-1は「ゲットナビ」2月号(12月22日発売)に掲載予定です。

 

週刊GetNavi、バックナンバーはこちら

【西田宗千佳連載】セキュリティの担保には「二要素」が必要

「週刊GetNavi」Vol.61-3

↑Face ID↑顔認証システム「Face ID」

 

前回の記事で、「顔認証をはじめとした生体認証は、パスワードと同じ程度の強度しかない」と書いた。実際その通りで、セキュリティを担保するためには、まず「スマートフォンやPCを他人に渡さない」ことが最も重要である。他人の手に渡った時にも「守れる確率を高める」のがパスワードや生体認証の役割ではあるが、それも100%安全というものではない。

 

とはいえ、スマホやPCを他人に渡さないよう気を付けつつ、パスワードや生体認証で守れば、二重の努力で安全性が高まる。どちらかを怠るよりもはるかに安全であることは間違いない。

 

セキュリティの世界には「二要素認証」という考え方がある。これはすなわち、認証するために必要な情報を2つ用意する、というものだ。

 

例えば、ウェブサイトの認証に「IDとパスワード」だけを使うことは一要素認証だ。ID・パスワードが漏れると、自分以外でも簡単にサービスに入れてしまう。店などへの「顔パス」も一要素認証。「顔」という情報しか使っておらず、似た人が来たら通れてしまうかもしれない。

 

しかし、要素が2つになるとかなり難しくなる。実は二要素認証は、我々の生活においてもありふれたもので、決して特別なものではない。例えば、キャッシュカードで現金を引き出すのは二要素認証となる。「カードを持っている」ことと「キャッシュカードの暗証番号を知っている」ことの2つの要素が必要になるからだ。「写真入りの身分証明証を提示する」ことも二要素認証である。「身分証明書を持っている」ことと「本人を顔写真から確認できる」ことという2つの要素があるからである。

 

二要素認証とは、
・本人だけが知っていること
・本人だけが所有しているもの
・本人自身の特性
のうち、二つを同時に満たす必要があることを指すのだ。

 

前出の2つの例も、こうした原則に則っている。スマホやPCのロックも、同様にこれらのうち2つの条件を満たしていることに注目していただきたい。

 

現在、スマートフォンはどんどん「自分だけのもの」であることを前提にしはじめている。家族やパートナーであろうと、渡すこと・見ることはマナー違反になってきた。その理由は、セキュリティ上「自分しか持つことができない」ということが望ましいからだ。

 

いまやスマホは「自分のセキュリティ情報が集まる場所」であり、だからこそ紛失には十分な注意を払わなくてはならない。そして、万が一紛失した時のために、パスコード設定や生体認証の導入が必要なのだ。

 

では、iPhone Xの普及により、生体認証に求められる要素はどう変わっていくのだろうか? 次回のVol.61-4ではそのあたりを解説していこう。

 

週刊GetNavi、バックナンバーはこちら

【西田宗千佳連載】「生体認証」のセキュリティは高くない!

「週刊GetNavi」Vol.61-2

↑Face ID↑顔認証システム「Face ID」

 

iPhone Xでは顔認証が採用された。その前からアップル製品では、指紋認証が基本だ。ほかのPCやスマホも同様で、ちょっと気が利いたものなら、指紋認証センサーが搭載されるようになっている。Windows PCに関しては、マイクロソフトが定めた「Windows Hello」という仕組みがあり、これに則ったセンサーやカメラを搭載することで、顔認証・指紋認証でWindowsにログインできるようになっている。筆者もWindows Hello対応の顔認証を日常的に使っているが、パスワードなどよりずっとすばやく簡単にログインできるので、非常に重宝している。

 

こうした、人間の顔や指紋、虹彩といった情報を使う認証方式のことを「生体認証」という。これらのものは、基本的に「自分の体についている」もので、「簡単にコピーできない」ことを前提としている。映画などでの印象から、「指紋や虹彩認証を使うのは、非常に安全性が高い、秘匿性の高いもの」という印象もあるだろう。

 

だが、それは間違いだ。

 

実際には、生体認証のセキュリティは高いものではなく、パスワードとまったく同じ強さしかない。スマホにしろPCにしろ、生体認証しか使えないシステムというものはなく、必ずパスワードなどが併用されている。生体認証は100%確実なものではないため、トラブルを回避するには、パスワードを併用せざるを得ない。結局のところ、生体認証ができなくても、パスワードを知っていればログインできてしまうのだ。

 

そもそも、生体認証も内部ではパスワードやパスコードのようなものに変換されて処理されている。簡単にいえば「システム内にパスワードが記録されており、生体認証が行われることで入力が代替される」ものだと考えたほうが良い。

 

だから開発している各社も、生体認証を「100%の精度を備えた、完全無欠のセキュリティを目指すもの」とは考えていない。メディアでは、指紋認証や顔認証を「こうやって突破した」というセキュリティ破りの記事が多数公開されているが、そのことは、あまり大きな問題ではない。写真を見せただけで認証できるような、ゆるすぎる顔認証システムはともかく、「本人以外は努力や準備をしないと突破できない認証」というレベルで十分なのだ。むしろ、「本人を確実に見間違わない」ことが大切で、アップルの顔認証であるFace IDも、そこに注力している。

 

では、本当に安全な認証とはなんなのだろう? 次回のVol.61-3以降ではそのあたりを解説していこう。

 

週刊GetNavi、バックナンバーはこちら

【西田宗千佳連載】iPhone Xがもたらした「顔認証」新世代

「週刊GetNavi」Vol.61-1

20171205-i01(1)↑iPhone X

 

顔の立体構造の把握が認識精度と速度を両立

11月に発売されたiPhone Xは、「ホームボタン」を過去のものにした。それと同時に導入されたのが顔認証システム「Face ID」だ。発売前は「指紋認証のほうが使いやすいのでは」との懸念もあったが、それも杞憂に過ぎなかった。とにかく素早く正確なのだ。画面を見つめればすぐにロックが解除され、指紋認証よりも早い。iPhoneが自分を「顔パス」してくれるような感じで、認証があることを意識させない。過去のスマホ用顔認証とは、かなり趣の違うシステムである。

↑Face ID↑顔認証システム「Face ID」

 

多くの「顔認証システム」は、カメラでとらえた平面の画像で顔を識別する。その場合、帽子やメガネの有無、髪型の違い、ヒゲの濃さなど、いろいろな条件で「本人かどうか」の判定が難しくなる場合がある。そこで条件をゆるくすると誤認識が増え、厳しくすると使い勝手が落ちる。精度は認識速度に比例し、安全性を担保しようとするほど、動作が遅くなってしまう。

 

一方でFace IDは、赤外線センサーと画像センサーを組み合わせた「True Depthカメラ」を使い、「顔の立体構造」を把握し、それを元に認証する。だから、メガネや髪型、ヒゲの有無、化粧など、表面的な部分に多少違いがあっても、顔の形の特徴が変わっていなければ「本人」と認識する。立体情報なので分析に時間がかかりそうに思えるが、むしろ「本人を特定するための特徴的な手がかり」が増えるので、認識速度は上げやすい。だから、Face IDは指紋認証と同等以上の使い勝手を実現できたのだ。

 

顔を立体として認識するシステムは、これまでスマホには大規模に導入された例がなく、iPhone Xがもっとも先進的だ。だが、こうした取り組みはIT機器全体では初めてではない。業務用のものでは存在したし、マイクロソフトがWindows 10用の認証システムとして提供している「Windows Hello」の顔認証システムも、赤外線センサーを併用したカメラが使用されている。そのため、マイクロソフトの「Surfaceシリーズ」などのWindows Hello搭載PCは、素早くて快適な顔認証を実現している。

 

ただし、Windows HelloとFace IDにも違いはある。Windows Helloは認証に特化しており、顔を完全な立体データとしてまでは把握していない。認識データは変わらないため、長い間使わないうちに太ってしまったり、あまりに髪型が変わったりすると、再認識が必要になることもある。一方でFace IDは、顔をかなりの精度で立体データとして認識したうえで、認識のたびに学習を続け、常に「最新のその人の風貌」で認識率が高まるようにするという工夫がされている。

 

どちらにしろ、こうした「立体構造を使った顔認識」自体は望ましい技術であり、今後さらに普及していくだろう。

 

だが、顔認識の普及は「セキュリティの向上」を意味しているわけではない。むしろ顔認識とセキュリティの高さにはなんの関係もない、と考えるべきだ。それはなぜなのか? では、セキュリティ向上にはなにが重要なのか? 顔認証に今後どのような広がりがあるのか? そのあたりは次回のVol.61-2以降で解説する。

 

週刊GetNavi、バックナンバーはこちら