世界の最新ITトレンドから見えた、2019年モバイルガジェットの注力点

8月31日〜9月5日にドイツ・ベルリンで開催された、世界最大級の家電展示会「IFA 2018」に行ってきました。白物家電やオーディオ製品が主役のイベントですが、スマートフォンの出展も多く、ソニーモバイル、シャープ、モトローラなど、新モデルを発表するメーカーも。

 

スマホはこれからどのように進化していくのか? IFAで注目を集めたモデルを紹介しつつ、ひと足早く2019年を展望。ハード、OS、通信の3つの視点から見ていきたいと思います。

 

 

【ハード編】ディスプレイの主役は有機ELに

IFA 2018において、最も注目を集めていたスマホは、ソニーモバイルが発表した「Xperia XZ3」でしょう。同社初の有機ELディスプレイを搭載し、画面アスペクト比は18:9で6インチ、解像度はクアッドHD(2880×1440ドット)というハイエンド仕様。

 

↑ソニーモバイルが発表したXperia XZ3。日本発売が予告されており、大手キャリアが秋冬モデルとして発売する可能性が高い

 

Xperia XZ3の有機ELディスプレイは、ソニー製のテレビ「ブラビア」で培った高画質化技術を採用していることがアドバンテージ。従来の液晶ディスプレイ搭載モデルよりも精細で鮮やかな色を表示できるといいます。HDR表示に対応していることもセールスポイント。

 

↑1920万画素のカメラで撮影した花火の動画を再生。黒が締まって表示されることも有機ELの特徴

 

↑デザインはXperia XZ2の流れを汲んでいるが、より薄く、持ちやすくなった

 

かつては “液晶のシャープ” と呼ばれることもあったシャープも、有機ELディスプレイ搭載モデルを参考出展した。まだ、製品名はなく、スペックも公表されていないが、筆者がプロトタイプを見た限りでは、画面サイズは6インチ相当で、上部にはノッチもあった。

 

↑今年、ヨーロッパのスマホ市場に再参入してシャープが参考出展した有機ELディスプレイ搭載モデル。年内の発売が予定されている

 

↑背面にFeliCaマークがあり、日本で発売される可能性はきわめて高い

 

シャープ製の有機ELディスプレイ搭載モデルは、表面に緩やかなカーブが施されていることが特徴。これは、同社が液晶ディスプレイで培った「フリーフォームディスプレイ」技術を生かしたもので、フレームを細くするメリットが得られます。

 

↑シャープ独自の「フリーフォームディスプレイ」技術により、ディスプレイ全体にカーブを施している

 

アップル、サムスン、ファーウェイなど主要なグローバルメーカーは、すでにハイエンドモデルに有機ELディスプレイを採用しています。有機ELはバックライトを要しないので、黒い背景の画面ではほとんど電力を消費しません。スマホの省電力化に貢献し、同時にアプリの仕様にも変化を及ぼすのではないかと予想しています。

 

【ブランド】増加が予想される「Android One」の魅力をあらためて

モトローラは、IFA 2018にて新モデル「motorola one」と「motorola one power」を発表しました。これらは、同社が初めて「Android One」としてリリースするモデル。

 

Android Oneは、Googleが主に新興国向けに展開するブランドです。Androidの純正OSを搭載し、発売から18か月間のOSアップデートを保証し、毎月セキュリティーアップデートが行われます。日本ではワイモバイルが取り扱っており、シャープ、京セラ、HTCが端末を供給。

 

motorola oneは、5.9インチのHD+ディスプレイを搭載し、1300万画素+200万画素のデュアルカメラや指紋センサーも備えるイマドキの仕様。ヨーロッパを含む世界での発売を予定しており、ヨーロッパでの販売価格は299ユーロ(約3万9000円)。高コスパモデルといえるでしょう。

 

↑画面アスペクト比が19:9の縦長ディスプレイを搭載し、上部にはノッチもある。流行のデザインを採用している

 

なお、motorola one plusは、インド市場向けモデルで、約6.2インチのフルHD+ディスプレイや1600万画素+500万画素のデュアルカメラなど、スペックはmotorola oneを上回ります。また、5000mAhの大容量バッテリーがアドバンテージ。

 

↑ミドルハイ仕様のmotorola one plusはインドで発売予定

 

LGは、フラッグシップ「LG G7 ThinQ」の派生モデルとして、「LG G7 One」を発表。これも「Android One」ブランドを冠するモデルです。

 

LG G7 Oneは、CPUにSnapdragon 835を採用し、6.1インチのクアッドHD+(3120×1440ドット)ディスプレイを搭載するなど、Android Oneとしては珍しいハイスペックモデル。左側面にGoogleボタンを搭載し、ワンタッチでGoogleアシスタントを起動したり、Googleレンズを起動して、カメラで写して情報検索できることが特徴です。

 

↑ハイエンド仕様で、IP68の防水・防塵にも対応したLG G7 One。日本発売は未定

 

↑メインカメラは1600万画素。指紋センサーを搭載し、顔認証にも対応している

 

現在、日本では販売していないノキアも、Googleと “がっぷり四つ” の態勢だ。IFA 2018のブースは、さほど広くはなかったが、Android Oneモデルを中心に展示していました。ヨーロッパでは発売済みの「Nokia 7 plus」は6インチのフルHDディスプレイを搭載するミドルハイモデル。

 

↑ノキアはAndroid Oneモデルのラインナップを強化中

 

↑6インチの大画面ディスプレイを搭載するNokia 7 plus。ヨーロッパでは399ユーロ(約5万2000円)。日本発売の予定はないそうだ

 

↑背面には1200万画素のデュアルカメラ(広角+望遠)を搭載

 

ほかにも、日本では馴染みのない端末メーカーのブースでもAndroid Oneモデルを見かけました。GoogleがAndroidブランドの強化に力を入れていることの現れでしょう。

 

Googleは10月9日に新製品発表イベントを予定しており、そこで自社ブランドのスマホ「Pixel 3」シリーズが発表され、日本でも発売されるのではないかと噂されています。AndroidはiOSと並ぶOSではありますが、これまでは「アップル、サムスン、ファーウェイ……」と、端末メーカーが市場を牽引している印象が先行していました。しかし、2019年は「アップル vs Google」という構図が、より鮮明になっていくかもしれません。

 

ファーウェイ、ルーター内蔵スマートスピーカーを発表。通信端末の新たな流れ?

ファーウェイは、Consumer Business GroupのCEO、リチャード・ユー氏がIFA 2018の基調講演に登壇。講演タイトルは「The Ultimate Power of AI」で、AI専用プロセッサーを内蔵する新しいSoC「Kirin 980」を発表しました。

 

Kirin 980は “世界初の7nmプロセスのモバイルAIチップセット” として発表されましたが、9月12日(日本時間は9月13日未明)に、アップルが7nmプロセスの「A12 Bionic」を搭載するiPhoneの新モデルを発表したので、実際に商用モデルに搭載されるのはアップルが世界初となります。

 

アップルは「AI」という言葉は使っていませんが、Kirin 980と同じく、AI関連のデータ処理に優れた「ニューラルエンジン」を搭載しています。クアルコムの最新チップセット「Snapdragon 845」もAIの性能を強化していることを謳っており、スマホの進化にAIは欠かせないものになりそう。

 

↑ファーウェイの最新チップ「Kirin 980」を搭載する「HUAWEI Mate 20」シリーズが、10月16日に発表されることが予告された

 

↑世界的なヒットとなったHUAWEI P20/P20 Proの新色も発表された。日本発売は未定

 

↑イタリアの職人が手がけたというHUAWEI P20 Proのレザーモデルも発表。価格は999ユーロ(約13万円)で、日本発売は未定

 

そんななか、ファーウェイが新しいデバイスとして発表したのが「HUAWEI AI Cube」。Amazon Alexaを搭載するスマートスピーカーなのですが、4G LTEの通信機能を備え、さらにWi-Fiルーターとしても使えるというスグレモノ。4つのマイクを内蔵しているため、音声認識の精度が高いこともアピールしていました。

 

↑販売地域や価格は未定。日本での展開も期待したい

 

日本でも、じわじわと普及しつつあるスマートスピーカー。4Gルーター機能を備えたHUAWEI AI Cubeは、ブロードバンド回線を導入していない環境でも利用でき、省スペースにもつながりそう。次世代のスマートスピーカーとして、今度の動向にも注目したいです。

【2018年版】Xperia XZ2シリーズ、XZ2とCompactとPremiumは何が違う? 比べてわかった3モデルの「カメラ」の意外な差

ソニーモバイルから出揃った2018年の「Xperia」シリーズの主力モデル。今回は前機種とも比べながら「Xperia XZ2 Premium」「Xperia XZ2」、そして「Xperia XZ2 Compact」のカメラ機能の実力をチェックしたいと思います。

 

【関連記事】

【2018年版】Xperia XZ2シリーズ、XZ2とCompactとPremiumは何が違う? 比べてわかった3モデルの「デザイン&サイズ」の意外な差

 

↑4K/HDR動画の撮影&再生を一台で対応する「Xperia XZ2 Premium」

 

↑約5.7インチの18対9/FHD+のディスプレイを搭載する「Xperia XZ2」

 

↑シリーズのコンパクト機として最強クラスのカメラ機能を搭載した「Xperia XZ2 Compact」

 

まずは「レンズ」「センサー」など中身に注目

3機種のうち最もカメラ機能に注力しているのが、最上位のXperia XZ2 Premium。シリーズとして初めて、2つのレンズユニットを持つデュアルカメラシステムを採用した話題のモデルです。

 

シリーズ初の2眼カメラシステムは、静止画撮影時には最高ISO感度51200! 肉眼以上に暗所での被写体の形や色を鮮やかに記録できる、スマホの内蔵カメラとしては未体験のゾーンに到達しています。

 

↑XZ2 Premiumのデュアルカメラ機能はオート/オフが選択可能

 

ちなみにXZ2とXZ2 Compact、そして前機種のXZ Premiumは、静止画撮影時の最高ISO感度が12800までになります。これでも十分な性能に感じますが、実際にXZ2 Premiumと夜景を撮り比べてみると、静止画における情報の豊かさに大きな差があることがわかります。

 

↑同じ場所の夜景を撮り比べてみると、XZ2 Premium(写真左)がXZ Premium(写真右)に比べて、明るく豊かな色を再現できるようになったことは一目瞭然だ

 

↑XZ2(左)とXZ1(右)を比較してみても暗い風景からより多くの情報が引き出せていることがわかる

 

↑XZ2(左)とXZ2 Compact(右)の写真仕上がりはほぼ同じ印象

 

動画撮影のISO感度はXZ2 PremiumがISO12800、XZ2とXZ2 CompactはISO4000になります。

 

XZ2 Premiumに搭載されているデュアルカメラは、約1220万画素の1/2.3型“モノクロ”CMOSイメージセンサーと、約1920万画素の1/2.3型“カラー”CMOSイメージセンサーによる構成です。暗所を撮影する時には、カラーのイメージセンサーで色情報をキャプチャーして、新搭載のモノクロのイメージセンサーで輝度情報を記録します。

 

↑夕焼けをXZ2 Premium(写真上)とXZ Premium(写真下)で撮り比べてみると、XZ2 Premiumの方がやや色のりが濃く、被写体の輪郭が引き締まって見える。しかし、XZ Premiumのあっさりとした色合いと明暗のバランスも悪くないと思う

 

2つのセンサーが連携して捉えた情報をリアルタイムに処理することで、ノイズが少なく明るい静止画/動画撮影が可能になるという仕組みです。記録される写真だけでなく、液晶でのライブビュー表示も明るく高精細なので、暗がりに潜む被写体をフレーミングしながらシャッターが切れます。夜間のポートレート撮影などに効果がありそうです。

 

デュアルカメラ機能はカメラアプリの設定メニューからオート、またはオフが選択できるようになっています。オート設定の場合は周囲の明るさや、近接する被写体の有無によって自動で単眼撮影モードに切り替わります。明るさが十分に得られる環境ではデュアルカメラ撮影による視差移動などが発生して写真の出来栄えに影響を与えることがあるので、これを避けるためにオフ設定も選ぶことができるようになっています。

 

↑XZ2とXZ1のカメラで同じ料理を撮影。XZ2の方が若干彩度が高く美味しそうに写っている

 

デュアルカメラシステムを搭載する他のスマホと同様に、被写体にピントを合わせながら背景をぼかしたり、モノクロのセンサーを活かしたシャープな印象のモノクロ写真撮影にもXZ2 Premiumは対応しています。ただ、それぞれの機能は発売後のソフトウェアアップデートによって提供される予定です。今回の取材ではまだ試すことができませんでした。

スマホ初の「4K/HDR」撮影に対応

続いてXZ2シリーズに共通する機能のハイライトを見ていきましょう。まずは「4K/HDR動画撮影」から。HDR(ハイ・ダイナミックレンジ)とは、映像の輝度を幅広く残しデジタル映像の再現性を高める技術です。撮影時の解像度は4K/2K(フルHD)が選択可能。HDR撮影時のフレームレートは毎秒24フレームに固定されます。

 

↑XZ2 Premiumのカメラアプリの設定画面。解像度は4Kのほか5段階から選ぶ

 

↑4K/HDR撮影の動画ファイルは、アルバムアプリにアイコンが表示される

 

XZ2で撮影した4K/HDRと、従来の4K/SDRでの動画を見比べてみました。HDRモードで撮影した動画はSDRモードと比べて、格段にナチュラルな色合いと滑らかな階調表現を特徴としています。明部・暗部の飛んだりつぶれたりしがちな情報も、4K/HDR撮影ならディテールが明瞭に浮かび上がってきます。コントラスト感も目で見た風景の印象に近付く手応えが得られました。

 

↑XZ2で撮影した4K/HDR動画。自然な色合いと明るさのバランスだ

 

↑XZ2で撮影した4K/SDR動画。4K/HDRの動画に比べるとコントラストが強く色合いが不自然に感じられてしまう

 

↑XZ2で撮影した2K/HDR動画。4K動画ほどの解像感はないが、色合いや明るさが自然なバランスに整っている

 

XZ2 Premiumは、4K/HDR動画をそのまま4K/HDR画質で視聴できます。その他のモデルで4K/HDR動画を楽しむには、動画ファイルをUSBメモリを通じて4K対応テレビで再生する方法があります。筆者宅の「ブラビア KJ-43X8300D」ではこの方法で、4K/HDR動画が見られましたが、他のテレビについてはそれぞれの対応状況を確認してみてください。

 

↑4K動画をUSBメモリにコピーして、ブラビアのUSB端子に挿すとメディアプレイヤーが起動する

 

4Kと2Kの動画ファイルは容量を比べるとそれなりに差があるので、ストレージ容量の節約を考えるなら2K/HDRモードでの撮影が実用的と言えるかもしれません。または4K/HDR撮影時に、カメラアプリから選べる2種類のコーデックのうち、「HEVC/H.265」を選択すると記録されるファイルのサイズが少し抑えられます。XZ2 PremiumはデュアルカメラによるISO12800の高感度動画撮影を優先する場合、画質がフルHD/60fpsまでの対応になることも覚えておくとよいでしょう。

スーパースローモーションや3Dスキャニングが進化

これまで、XZs/XZ Premiumから搭載が始まったハイフレームレート撮影&スーパースローモーション再生機能は、毎秒960フレーム/720pの画質で、約0.2秒録画した動画を約6秒間再生するまでが限界でした。しかしXZ2シリーズからは、毎秒960フレーム/1080p(フルHD)の画質で約0.1秒録画、約3秒間の再生ができる設定も選べる。

 

↑カメラアプリからスローモーション機能の画質を選ぶ

 

↑スローモーション機能を使って撮影したファイルは、アルバムアプリのリストにアイコンが並ぶ

 

スローモーション映像を見比べてみると、フルHD画質の方が水しぶきの粒まで細かく再現できています。実際に使ってみるまで、再生時間が3秒間というのは短いだろうと思っていましたが、6秒間のスローモーション再生と見比べてみると十分な長さだと感じました。流しをたたきつける水しぶきをフルHDと720HD画質で撮って比べてみました。ご覧ください。

 

 

専用アプリによる立体的な被写体の3Dスキャニング機能「3Dクリエイター」は、これまでメインカメラ側でしか使えませんでした。XZ2シリーズではフロントカメラでも、撮影状況をディスプレイで確認しながら「セルフィースキャン」ができるように。

 

↑アプリを起動すると、セルフィ撮影による3Dスキャニングの方法を解説するビデオが再生される

 

メインカメラ側だけだと、被写体の周囲を360度まわってスキャニングできるスペースを確保することが意外に大変でした。しかし、セルフィースキャンなら椅子に座ったまま自分で撮影できるのでかなり楽に扱えます。ただ筆者は不器用のためか、何度か試してみたところやはり上手に3Dスキャニングを撮りきることができませんでした。

 

↑マニュアルに従いながら、自分の顔を3Dスキャニングしてみた。Xperiaを左右の手に持ち替えながら自身の頭部をカメラで読み込んでいく

 

↑データが不足している箇所を繰り返しスキャニングしながら、正確な立体データをキャプチャする

 

↑自分の頭部をスキャンしてみたが、なかなか見栄えのするデータが残せなかった。まだまだ修行が足りないようだ

 

カメラの画質にこだわる人にXZ2シリーズをおすすめしたい

最後に、XZ2シリーズのカメラ機能を試してみた手応えをまとめてみたいと思います。

 

高感度で静止画・動画が撮れるXZ2 Premiumのデュアルカメラは、たしかに魅力的です。画質もさすがXperiaシリーズと言える安定感を実現していました。真っ暗闇の中で風景や人物を撮ることはあまりないと思いますが、ある程度明るさのある夜景や室内でのポートレート撮影でも抜群の安定感を発揮してくれることでしょう。

 

XZ2はXZ1に比べるとカメラ機能に大きな差がないようにも感じられますが、まだ4K/HDR動画撮影ができるスマホがないことを考えると、その先進性をいち早く体験したい人におすすめできそうです。

 

そしてXZ2 Compactは、メインカメラで他の兄弟機とほぼ同じ高度な機能が使えるプレミアムコンパクト機。XZ1 Compactと細かく比較していくとスペックデータ的には変わっているところもありますが、画質など安定感は前進しているように感じました。女性でも片手で手軽に扱えるサイズ感を考えれば、“セルフィー最強”のスマホとして一番に名前が挙がるのではないでしょうか。

 

あとは3機種ともに前モデルからデザインや素材が変わっているので、見た目以上にホールド感が大きく変わっています。前モデルからの買い換えを考えている方は、店頭の実機をぜひ触ってみてから検討を進めてほしいと思います。

 

次回はXZ2シリーズのHDR対応ディスプレイの画質、そしてサウンドまわりの機能をチェックしてみましょう。

【西田宗千佳連載】携帯料金、メーカーは「値下げ」より「おトク」重視に

「週刊GetNavi」Vol.71-1

↑ソニーモバイル「Xperia XZ3」

 

料金はなるべく下げずメリットを増やす方向に

携帯電話料金を巡る動きが活発化している。そのきっかけは、8月末に入り、菅 義偉官房長官が「携帯電話の料金は4割下げられる」と発言したことだった。8月21日に札幌市内での講演で発言した後、8月27日の記者会見でもあらためて言及した。

 

菅官房長官の発言は、携帯電話業界にちょっとした騒ぎをもたらした個人の視点なら、携帯電話の料金が下がるのは結構なことだ。携帯電話事業者、特にNTTドコモ・KDDI・ソフトバンクのいわゆる「大手3社」は業績も好調で、「もうけすぎでないか」という批判もある。一方で、携帯電話事業者から見れば、「4割下げられる、という根拠はどこにあるのか」ということになる。

 

そんなさなか、KDDIとソフトバンクがあいついで新料金プランを発表した。

 

KDDIの発表したプランは「auフラットプラン25Netflixパック」。月額5500円で25GB分の通信+1回5分以内の通話がかけ放題という通信プランに、Netflixのベーシックパック(月額800円)、とauビデオパス(月額562円)という映像系サービスの利用料金をセットにした。

 

そして、ソフトバンクのプランはもっと大胆だった。同社が準備したのは「ウルトラギガモンスター+」という料金パック。月額5980円に50GB分の通信料を含みつつ、YouTube・AbemaTV・TVer・GYAO!・Huluという5つの動画サービスと、LINE・Facebook・インスタグラムという3つのSNSについては、さらに「データ通信量をカウントしない」形にした。しかも、2019年4月7日までに加入した場合、2019年4月のキャンペーン終了時期まで、上記8つのサービス以外、すなわち「すべてのアプリやサービス」のデータ通信量がカウントされなくなる。PCなどをつないで使う、いわゆる「テザリング」で消費する容量も含んでおり、この間は完全な「使い放題」となるわけだ。

 

どちらも安くはない。しかし、従来の通信料金に比べるとあきらかに「おトク」だ。KDDIは「映像配信の利用料金まで考えるとおトク」という考え方であり、ソフトバンクは「これ以上料金が発生しづらい、安心して使い放題に出来る」という点でおトク度を増している。

 

別の言い方をするならば、これらの大手は単純に携帯電話料金を下げるのではなく、同じような料金であるが、より消費者メリットが高くなる方向へと舵を切っているわけだ。

 

彼らがこのような選択をしているのは、事業者として売り上げを落としたくない……という発想が根底にある。だが、それはただの事業者側のわがまま、というわけではない。

 

現在は、低価格なサービスも存在しており、MVNO(いわゆる格安スマホ)や低価格プランを使えば安く済ませることはできる。結局のところ、「たくさん通信を使いつつ安く」という要請には応えづらいということであり、大手の携帯電話事業者は、「通信をたくさん使ってもらう未来」をベースに、施策を考えているのである。

 

それはなぜなのか? 携帯電話料金は値下げできる、という意見の根拠は? そうした疑問には、次回のVol.71-2以降で答えよう。

 

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【2018夏の3強スマホ】Xperia XZ2 Premium、Galaxy S9+、HUAWEI P20 Proで撮り比べまとめ!

今年は、高性能なカメラを搭載したスマートフォンが続々とリリースされています。なかでも「もはやコンパクトデジカメは不要」と思えるほどの高画質を実現していると言われるのが、Xperia、Galaxy、HUAWEIのフラッグシップモデルです。まずは、その3モデルのカメラのスペックをチェックしましょう。

 

 

↑NTTドコモがウェブページで公表する、静止画撮影時のスペックに基づく

 

Xperia XZ2 PremiumとGalaxy S9+はデュアルカメラ、HUAWEI P20 Proはトリプルカメラを搭載していますが、開発の狙いや画質へのこだわりはそれぞれ異なります。まずは、それぞれのモデルのカメラの特徴について、ざっくりと紹介しましょう。

 

■Xperia XZ2 Premium

 

 

Xperia初のデュアルカメラ搭載モデル。ソニー独自の画像融合処理プロセッサー「AUBE」により、暗い場所でもノイズが少ない美しい写真が撮れることがセールスポイント。4Kディスプレイを搭載し、世界で唯一、4K画質で撮影したビデオを4K画質のままで再生できます。

 

Galaxy S9+

 

 

ダブルレンズは「広角+望遠」の組み合わせで、幅広い撮影シーンに対応。広角レンズは撮影シチュエーションによってF値1.5とF値2.4が切り替わるギミックを備える。暗い場所で明るく撮れることはもちろん、明るい場所でも白飛びがなく、鮮やかな色で撮れることが特長。

 

■HUAWEI P20 Pro

 

 

世界的なカメラの老舗メーカー・ライカが監修したトリプルカメラを搭載。スマホのカメラとして最大級の画像センサーを搭載し、デジタル一眼レフカメラ並みの高感度撮影にも対応。AIによる手ぶれ補正機能を備え、手持ちで鮮明な夜景を撮ることも可能。最大5倍までは、画質が劣化しないハイブリットズームで撮影できます。

 

でも、何よりも気になるのは、実際の画質ですよね? そこで、3つのシチュエーションで撮影した写真を比べてみました。

 

 

【2018夏の3強スマホ】Xperia XZ2 Premium、Galaxy S9+、HUAWEI P20 Proで撮り比べ!〜昼間編〜

【2018夏の3強スマホ】Xperia XZ2 Premium、Galaxy S9+、HUAWEI P20 Proで撮り比べ!〜夜景編〜

【2018夏の3強スマホ】Xperia XZ2 Premium、Galaxy S9+、HUAWEI P20 Proで撮り比べ!〜屋内編〜

 

結論を先に言うと、どの機種もすごいです。自分好みの画質で撮れるモデルを見極めてくださいね。

【2018夏の3強スマホ】Xperia XZ2 Premium、Galaxy S9+、HUAWEI P20 Proで撮り比べ!〜屋内編〜

今年の夏は、高性能カメラを搭載したAndroidスマートフォンが続々とリリースされました。その中から、ライカが監修するトリプルカメラを搭載した「HUAWEI P20 Pro」、デュアルカメラを搭載し、F値1.5とF値2.4の切り替えに対応した「Galaxy S9+」、そしてXperiaシリーズ初のデュアルカメラを搭載し、高感度撮影を実現した「Xperia XZ2 Premium」を3強モデルとしてピックアップ。

 

 

カメラの撮り比べレポートとして、これまでに「夜景編」と「昼間編」を公開しました。

 

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【2018夏の3強スマホ】Xperia XZ2 Premium、Galaxy S9+、HUAWEI P20 Proで撮り比べ!〜夜景編〜

 

↑4000万画素(カラー)+2000万画素(モノクロ)+800万画素(ズーム)のトリプルカメラを搭載するHUAWEI P20 Pro(左下)。1920万画素(カラー)+1220万画素(モノクロ)のデュアルカメラを搭載するXperia XZ2 Premium(右)、1220万画素(広角)+1220万画素(望遠)のデュアルカメラを搭載するGalaxy S9+(中上)

 

最終回は「室内編」。お店や自宅、オフィスなどで撮った写真を比べてみました。建物の中では、照明が画質に大きく影響を及ぼします。カメラまかせでも最適な設定が行われて、明るくキレイに撮れるのはどの機種か? さっそく、実際に撮った作例を比べてみましょう。

比較1●ショッピングセンターの内観を撮ってみた!

 

東京・六本木の東京ミッドタウンで撮影しました。屋内とはいえ、自然光も差し込む、比較的明るいエリアでした。

 

HUAWEI P20 Pro

↑HUAWEI P20 Proの「写真」モードで撮影。明るさのバランスがよく、その場の雰囲気が伝わる写真が撮れた

 

Galaxy S9+

↑Galaxy S9+の「自動」で撮影。十分に明るい場所だったので、レンズのF値は2.4に設定されたが、HUAWEI P20 Proよりも明るく撮れた

 

Xperia XZ2 Premium

↑Xperia XZ2 Premiumの「プレミアムおまかせオート」で撮影。ややアンバー系が強く出て、建物に使われている木が際立つ写真になった

 

比較2●ラーメンを撮ってみた!

続いて、筆者がお気に入りの店のラーメンを撮影。Galaxy S9+には「食事」というモードがあるので、それに設定して撮ってみました。

 

HUAWEI P20 Pro

↑「写真」モードで撮影。AIによって「フード」と認識された。スープに浮かぶ油まで美味しそうに撮れた

 

Galaxy S9+

↑「食事」モードで撮影。「自動」でも明るく美味しそうに撮れたが、「食事」モードでは、暖色系が補われて、インスタ映えしそうな写真に

 

Xperia XZ2 Premium

↑「プレミアムおまかせオート」で撮影。現物に近い色で、美味しそうに撮れた

 

比較3●職場でスナップを撮ってみた!

筆者の職場の蛍光灯の部屋で、同僚を撮ってみました。比較的暗く、本来はフラッシュなしでの撮影には適さないシチュエーションですが、あえてフラッシュはオフにして撮ってみました。

 

HUAWEI P20 Pro

↑「写真」で撮影。AIで「ポートレート」と認識され、肌が補正された

 

Galaxy S9+

↑Galaxy S9+の「自動」で撮影。実際よりも明るく撮れて、顔にかかる影も気にならないように撮れた

 

Xperia XZ2 Premium

↑「プレミアムおまかせオート」で撮影。明るさとしては適正だが、ほかの2モデルような肌の補正は行われなかった

 

比較4●蛍光灯下で静物を撮ってみた!

最後に、リビングルームで招き猫を撮ってみました。厳密に計測したわけではないですが、HUAWEI P20 ProとGalaxy S9+は、被写体から約10cmほど離れて撮影しました。Xperia XZ2 Premiumは他モデルよりも画角が狭いので、もう少し離れて撮影しました。

 

HUAWEI P20 Pro

↑「写真」で撮影。スマホの画面では鮮明に撮れたように見えたが、実際にはややピントがあまい写真になっていた

 

Galaxy S9+

↑「自動」で撮影。明るく撮れていたが、顔に合わせてつもりのピントが、座布団に合っていたり……

 

Xperia XZ2 Premium

↑「プレミアムおまかせオート」で撮影。明るさや色も適切で、ピントもバッチリ。招き猫の質感も伝える写真になった

結論●物撮りに適したXperia XZ2 Premiumはメルカリ向き!?

ここに掲載した写真のほかにも、屋内でさまざまな被写体や料理を撮り比べてみましたが、ある程度明るい場所ではXperia XZ2 Premiumがキレイに撮れるように思えたり、されど、料理ではGalaxy S9+で撮った写真のほうが美味しそうに見えたりと、甲乙をつけがたい結果となりました。

 

個人的には、人を撮ることが多いならHUAWEI P20 ProかGalaxy S9+、物を忠実に撮ることが多いならXperia XZ2 Premiumがいいかなぁと思いました。インスタグラムに料理を写真をアップしたいならHUAWEI P20 ProかGalaxy S9+、メリカリに出品することが多い人はXperia XZ2 Premiumを検討するといいかもしれませんね。

【2018夏の3強スマホ】Xperia XZ2 Premium、Galaxy S9+、HUAWEI P20 Proで撮り比べ!〜夜景編〜

ハイエンドスマホで搭載が増えているデュアルカメラ。2つのレンズやセンサーの組み合わせは機種によって異なりますが、今夏のスマホ商戦で、新しいトレンドとなっているのが「高感度」です。

 

 

明るい場所でキレイに撮れるのは、もはや当たり前。暗い場所でもノイズを抑えて、鮮明な画質で撮れることをアピールするモデルが続々とリリースされました。

 

本企画では、筆者がとりわけ「3強」と独断で思う3スマホを、様々なシチュエーションで撮り比べています。

 

【関連記事】

【2018夏の3強スマホ】Xperia XZ2 Premium、Galaxy S9+、HUAWEI P20 Proで撮り比べ!〜昼間編〜

 

ドコモから発売中の「HUAWEI P20 Pro」は、老舗カメラメーカー・ライカの監修を受けたトリプルカメラを搭載し、光学3倍ズームにも対応しています。独自の「夜景モード」を搭載し、三脚を使わずに、鮮明な夜景を撮影できることをセールスポイントとしています。

 

↑ファーウェイ製の「HUAWEI P20 Pro」は、4000万画素(カラー/F値1.8)+2000万画素(モノクロ/F値1.6)に800万画素のズームレンズカメラ(F値2.0)を加えたトリプルカメラを搭載。AIによるシーン自動選択や手ブレ補正にも対応

 

ドコモとauから発売中の「Galaxy S9+」は、撮影シチュエーションによって、レンズのF値が1.5と2.4に切り替わる「デュアルアパチャー」機能を備えていることが特徴。暗い場所では、自動でF値1.5となり、効率よく光を取り込み、クリアな夜景写真が撮れる仕組みです。

 

↑サムスン「Galaxy S9+」は、1220万画素(広角)+1220万画素(望遠)という構成。メインカメラとして使われる広角カメラが、F値1.5とF値2.4の切り替えに対応

 

同じくドコモとauから発売中の「Xperia XZ2 Premium」は、Xperiaシリーズ初のデュアルカメラ搭載モデル。静止画は最高ISO感度51200、動画は最高ISO感度12800で撮影でき、夜景を低ノイズで撮影できることをセールスポイントとしています。

 

↑ソニーモバイルコミュニケーションズ「Xperia XZ2 Premium」は、1920万画素(カラー/F値1.8)+1220万画素(モノクロ/F値1.6)という構成。ソニー独自の画像融合処理プロセッサー「AUBE」で、2つのセンサーで捉えた画像データを融合する仕組み

 

今回は、3強スマホで撮影能力の真価が問われる「夜景」を撮り比べてみました。

 

比較1●東京駅丸の内駅舎を撮ってみた!

まずは、夜景の撮影スポットとしても人気が高い、東京駅の丸の内駅舎を撮り比べてみました。

 

HUAWEI P20 Pro

↑HUAWEI P20 Proの「夜景」モードで撮影。約4秒間に連続で撮影された画像から、明るくバランスが撮れた画像が合成される仕組み。ISOは640に設定された。細部までクッキリと、多くの人に好まれるであろう鮮明な色で撮影できた

 

Galaxy S9+

↑Galaxy S9+の「自動」で撮影。自動的にF値1.5に切り替わり、ISOは400に設定されて、非常に明るく撮影できた。肉眼で見えるよりも明るく撮れて、色調もナチュラルな印象

 

Xperia XZ2 Premium

↑Xperia XZ2 Premiumの「プレミアムおまかせオート」で撮影。「夜景」と認識された。ISOは640に設定された。空の暗さは最もリアル。ピントを合わせる個所によって写真全体の明るさが変わり、オートでも撮影者の意図を反映しやすい印象を受けた

 

比較2●賑やかな渋谷の夜景を撮ってみた!

次に、夜になっても街頭や広告ディスプレイなどが明るい、渋谷のスクランブル交差点で撮ってみました。

 

HUAWEI P20 Pro

↑「夜景」モードで撮影。明るく撮影でき、看板の文字などもはっきり読み取れた。ISOは160で、「夜景」モードでの画像処理により、歩いている人もさほどブレずに撮影できた

 

Galaxy S9+

↑「自動」で撮影。夜の空の暗さと、繁華街の派手な照明とのコントラスが際立つ写真になった。ISOは320で、シャッタースピードは1/100秒。手持ちでの撮影だが、細部までブレずに撮影できた

 

Xperia XZ2 Premium

↑「プレミアムおまかせオート」で撮影。ISOは200で、シャッタースピードは1/50秒。他の2機種に比べると、全体的に暗い写真に。逆に、最も肉眼で見る明るさ・色に近いバランスで撮れるともいえる

 

比較3●暗い場所で人物を撮ってみた!

最後に、夜道で人物スナップを撮影してみました。近くに照明があり、肉眼でも顔の表情などが判別できる場所で撮りました。

 

HUAWEI P20 Pro

↑「写真」モードで撮影。AIによる「ポートレート」と認識され、顔が明るく撮れた。ISOは640に設定された

 

Galaxy S9+

↑「自動」で撮影。夜の空の暗さと、繁華街の派手な照明とのコントラスが際立つ写真に。手持ちでの撮影だが、細部までブレずに撮影できた。ISOは400に設定された

 

↑「プレミアムおまかせオート」で撮影。ISOは800に設定されて最も明るく撮れたが、若干画質が粗くなった

 

結論●一般受けがよさそうなのはHUAWEI P20 ProとGalaxy S9+

どの機種も、「夜景は苦手」という、これまでのスマホカメラの常識をくつがえす明るい画質で撮影できました。しかし、色調や明暗バランスは機種によって、かなり差があるように感じられました。

 

SNSなどに公開した時に、多くの人に「いいね!」と言ってもらえそうなのは、HUAWEI P20 ProとGalaxy S9+でしょう。ですが、実際に自分の目で見た明るさや色調に近いトーンで撮れるXperia XZ2 Premiumを好む人も多いでしょう。なお、Xperia XZ2 Premiumは、撮影者による露出補正などがしやすい反面、撮影シチュエーションによってはピント合わせが難しいようにも感じました。

 

スマホのカメラが活躍するのは夜間だけではないですよね? 次回は意外と撮影機会の多い、室内での撮り比べレポートです!

【2018夏の3強スマホ】Xperia XZ2 Premium、Galaxy S9+、HUAWEI P20 Proで撮り比べ!〜昼間編〜

ここ1〜2年の進化が著しいスマホのカメラ。ハイエンドモデルではデュアルカメラ搭載が当たり前になり、トリプルカメラを登場するモデルも登場しました。

 

 

今夏、進化が著しいスマホカメラのなかでも、筆者がとりわけ「3強」と独断で思っているモデル「HUAWEI P20 Pro」「Galaxy S9+」「Xperia XZ2 Premium」。

 

↑4000万画素(カラー)+2000万画素(モノクロ)+800万画素(ズーム)のトリプルカメラを搭載するHUAWEI P20 Pro(左)。1200万画素(広角)+1200万画素(望遠)のデュアルカメラを搭載するGalaxy S9+(右)。1920万画素(カラー)+1220万画素(モノクロ)のデュアルカメラを搭載するXperia XZ2 Premium(上)

 

その3強モデルの撮影力を徹底的に見極めるため、「昼間」「夜景」「室内」という3シチュエーションで撮り比べてみました。今回は、昼間の撮影画質を比較。景色や建物、人物などを撮ってみました。旅行やお出かけの際に写真を撮ることが多い人にとっては、最も重視すべき撮影シチュエーションといえるでしょう。

 

比較1●空や緑を撮ってみた!

東京・六本木の東京ミッドタウンの公園エリアで撮影しました。

 

HUAWEI P20 Pro

↑HUAWEI P20 Proの「写真」で撮影。空はより青く、木の葉はより濃い緑に、補色される印象を受けた

 

Galaxy S9+

↑Galaxy S9+の「自動」で撮影。全体的に明るく写真が撮れた。空の青や葉の緑は比較的肉眼で見える色に近く、落ち着いた色調になった

 

Xperia XZ2 Premium

↑Xperia XZ2 Premiumの「プレミアムおまかせオート」で撮影。樹木ごとの葉の色の違いまできっちりと描写され、空や雲の色もナチュラルに撮れた

 

比較2●国立新美術館を撮ってみた!

続いて、黒川紀章氏が設計を手掛けた国立新美術館へ。その独特な姿をフレームに収めてみました。

 

HUAWEI P20 Pro

↑HUAWEI P20 Proの「写真」モードで撮影。曇り空だったが、建物の色やガラスの質感が伝わる鮮明な写真が撮れた

 

Galaxy S9+

↑Galaxy S9+の「自動」で撮影。HUAWEI P20 Proに比べると、やや青みを抑えた落ち着いた色に。また、全体的に色味が薄くなったためか、露出がアンダー寄りになり、実際に見えるよりも暗めに写った

 

Xperia XZ2 Premium

↑Xperia XZ2 Premiumの「プレミアムおまかせオート」で撮影。落ち着いた色で明るく撮れたが、もう少しコントラストが強く出てほしい気もした。ほかのの2機種に比べると、画角が若干狭いため、建物の撮影では苦労することがありそうだ

 

比較3●花を撮ってみた!

晴天の日に、花壇で咲き誇る花を撮ってみました。

 

HUAWEI P20 Pro

↑HUAWEI P20 Proの「写真」で撮影。AIによって「花」と認識され、鮮やかな色で撮影できた。人によっては、やや眩しく感じるほどの明るさだ

 

Galaxy S9+

↑Galaxy S9+の「自動」で撮影。明るくナチュラルな色で撮れた。多くの人に好まれる色で撮影できる印象

 

Xperia XZ2 Premium

↑Xperia XZ2 Premiumの「プレミアムおまかせオート」で撮影。晴天での撮影だったが、3モデルの中では、最も落ち着いた色調で、光が当たる部分が飛び気味になることもなかった

 

比較4●人物を撮ってみた!

最後に、ポートレート写真も撮ってみました。どの機種も「写真」「自動」などのオートで撮影したところ、HUAWEI P20 Proは「ポートレート」モードに切り替わり、背景をぼかした写真が撮れました。なお。Galaxy S9+も「ライブフォーカス」という機能で背景をぼかした写真が撮れます。Xperia XZ2 Premiumも今後のアップデートで、背景ぼかし撮影に対応することが予告されています(2018年8月6日時点)。

 

HUAWEI P20 Pro

↑HUAWEI P20 Proの「写真」で撮影。AIによって「ポートレート」と認識され、背景が自然にぼけた。肌の色・明るさなども適切な印象

 

Galaxy S9+

↑Galaxy S9+の「自動」で撮影。美肌モードなどを設定したわけではないが、明るく健康的な肌色で撮影できた

 

Xperia XZ2 Premium

↑Xperia XZ2 Premiumの「プレミアムおまかせオート」で撮影。「ソフトスナップ」と認識された。3モデルの中では、最も実際に見える色に近い色で撮影できたが、人物の肌はもう少し明るく写ったほうがうれしいかも……

 

結論●どれも優秀で決め手は好みの色となる! 望遠用途とディスプレイも考慮に入れよう。

個人的な印象としては、どの機種もコンパクトデジカメに匹敵する撮影画質を実現していると感じました。空の青、木々の緑、鮮やかな花の色……、機種によって色の表現には若干差があります。ある程度、補正することはできますが、好みの色で撮れる機種を選ぶとよいでしょう。

 

Xperia XZ2 Premiumは、ほかの2モデルに比べると画角が狭いことに弱点を感じました。景色を広く捉える写真を撮りたい人には、HUAWEI P20 ProとGalaxy S9+のほうが有利でしょう。また、望遠でも撮りたい人は、ズームレンズを搭載したHUAWEI P20 Proがおすすめです。

 

だたし、比較項目には入れませんでしたが、3モデルはディスプレイの解像度がそれぞれ異なります。HUAWEI P20 Proは2240×1080ドット、Galaxy S9+は2960×1440ドット、Xperia XZ2 Premiumは3840×2160ドットです。撮った写真を高精細生まで楽しめるという意味では、Xperia XZ2 Premiumに軍配が上がります。

 

次回はさらにカメラの真価が問われる「夜景編」! ぜひチェックしてくださいね。

【2018年版】Xperia XZ2シリーズ、XZ2とCompactとPremiumは何が違う? 比べてわかった3モデルの「デザイン&サイズ」の意外な差

人気のスマホ、ソニーのXperiaシリーズの2018年夏モデルが出揃いました。中核モデルの「Xperia XZ2」と片手に収まるコンパクトサイズが魅力の「Xperia XZ2 Compact」は約半年ぶりに、高精細4Kディスプレイを搭載する「Xperia XZ2 Premium」は約1年を経て入れ替わります。

 

↑2018年にソニーが発売するXperiaの新製品、「Xperia XZ2 Premium」(右)「Xperia XZ2」(中央)「Xperia XZ2 Compact」(左)の3機種の実力をチェックしてみた

 

前のモデルからどこが進化したのか、差分をチェックしながらそれぞれの実力を全3回のレポートに分けて明らかにしていきましょう。最新Xperia XZ2シリーズの中であなたにオススメのモデルはどれでしょうか? 今回は簡単な基本スペックに触りつつ、外観とデザインを中心に紹介していきたいと思います。

 

【基本スペック】最新のSnapdragon搭載やワイヤレス充電対応などが押さえどころ

3つの新しいXperiaはともにクアルコムのモバイルデバイス向けハイエンドSoC(システム化されたICチップ)である「Snapdragon 845」を搭載しています。CPUやモデムの処理性能が高く、受信時最大1Gbpsに迫る通信速度を叩き出せる実力を備えています。XZ2 PremiumとXZ2 Compactはメインメモリが前のモデルよりも強化されているので、アプリの動作やマルチタスク処理のサクサク感も高まっています。

 

XZ2 PremiumとXZ2はワイヤレス充電に対応しました。iPhone X/8/8 Plusと同じQi規格に対応したワイヤレス充電ができます。もし家族が最新のiPhoneユーザーならワイヤレス充電器をシェアして使えます。

 

生体認証によるセキュリティロックは、3機種とも今では一般的になった指紋認証に対応です。虹彩認証や顔認証が搭載されていないのは少し物足りない感じもしますが、そこは堅実な進化を一歩ずつ辿ってきたXperiaらしくもあります。本体はIPX5/IPX8相当の防水、IP6X相当の防塵対応です。内蔵バッテリーは3機種ともに前モデルよりも容量がアップしています。

 

↑XZ2は4色のカラバリが登場

 

↑XZ2 Compactもカラバリは4色

 

【画面サイズ】3機種ともに前モデルからサイズアップ。なのに本体はスリムなまま

ソニーのXperiaはこれまでにも基本的に3つのサイズに分かれてそれぞれが進化してきました。2015年の秋まで展開してきたフラグシップの「Xperia Z」シリーズを受け継いだXperia XZ2は画面のサイズが約5.2インチから約5.7インチに大型化。

 

↑約5.7インチ、アスペクト比18対9と縦長にして持ちやすくなったXZ2

 

↑中核モデルのXZ2とXZ1(左側)のサイズ感などを比べてみた。やはりXZ2は縦長になっていることが見た目にもよくわかる

 

↑本体のサイズもXZ2はやや縦方向に伸びている

 

↑その分横幅はXZ2の方がややスリムに

 

コンパクトサイズのXZ2 Compactも従来の約4.6インチから約5.0インチにサイズアップ。とりわけXZ2 Compactは画面が5.0インチにサイズアップしたとはいえ、前モデルのXZ1 Compactから本体サイズをキープしています。最近では女性も片手で持って操作しやすいコンパクトなスマホが少なくなっているので、良い選択肢の一つになりそうです。

 

↑コンパクトサイズのXZ2 Compact。ポリカーボネート素材によるさらっとした手触りのリアパネルとしている

 

最上位機のXZ2 Premiumも、前機種「XZ Premium」の約5.5インチに比べて、約5.8インチにひと回り大きくなっています。

 

↑XZ2 PremiumとXZ Premium(右側)を比較。画面のサイズは約5.5インチから約5.8インチへ大型化

 

全機種ともにいま流行りの「ベゼルレス=全画面ディスプレイ」は採用しなかったものの、ベゼル(=ディスプレイ周囲の縁)のサイズをギリギリまで狭くして、さらにディスプレイのアスペクト比を縦長な18対9としました。XZ2、XZ2 Compactは解像度も従来モデルより高くなり、スクリーンサイズの大型化と本体のスリム化を同時に実現した格好です。

使い込むと実感がわいてくる、大きく変わったデザイン

XZ2シリーズは新しく「アンビエントフロー」と呼ぶデザインの基本コンセプトを採用しました。“流れるようなシームレスなかたち”を表現したというボディは、背面側にかまぼこ型のアールがついています。手のヒラをお椀型に構えながら持つとぴったりとハマる感じです。

 

↑背面は両端から中央に向かった緩やかに全面がカーブした3D曲面ガラスを採用した「かまぼこ型」としています

 

アンビエントフローは本体のカラーリングや素材にも関係しています。上位のXZ2 PremiumとXZ2はリアパネルに3Dカーブドガラスを使って、受けた光を反射(XZ2 Premium)、または透過(XZ2)させてリアパネルのカラーに深みを持たせています。

 

XZ2 Compactのメイン素材はポリカーボネートですが、ザラメのフロスト仕上げの手触りが心地よく、光を拡散させる淡い色合いが個性も引き立てます。側面のアルミフレームはアンテナパターンが目立たないように配置されているので、全体にスキのない高級感があります。ただ、リアパネルはとてもサラサラとした手触りなので、特に片手持ちの時は滑り落ちそうになることもあったので、何かしらのケースは用意したいところです。

 

XZ2 PremiumとXZ2は本体の素材にガラスを使っているので、XZ1とXZ Premiumと手に持った時に感じる重みを比べると、やはりずっしりとくるものがあります。そしてリアパネルがかまぼこ型なので、平置きのワイヤレス充電台に置くと本体が左右に揺れます。さらにテーブルの上に置いたままパネルをタッチして操作しようとするとグラグラっとします。指紋の付着を抑えたいことも考えると、こちらもまた何かしら置き方も改善できるケースが見つけられたらベターだと思いました。ケースを探すときには素材など、ワイヤレス充電対応のものであるかを確認しながら選びましょう。

 

↑背面のデザインが一新されたXZ2 Premium。使い込むほどに違いを実感する

 

指紋センサーがリアパネルにあるスマホも少なくないので、慣れればさほど気にならないと思いますが、デュアルレンズユニットを持つXZ2 Premiumは、本体を縦に構えた時にセンサーの位置が少し低く感じられました。ロック解除の反応はとても良いです。

 

従来のXperiaから乗り換えると、特に使い始めの頃はデザインやハンドリングが実はけっこう大きく変わった実感がわいてくるでしょう。だからこそ新しいスマホに買い換えた変わった手応えがしっかりと得られるのだと言い換えることもできそうです。

 

次回は新しいXZ2シリーズのカメラ性能に深く切り込んでみたいと思います。

 

「Xperia Hello!」を無料で2か月レンタルできる、体験モニター募集中!

ソニーモバイルは、コミュニケーションロボット「Xperia Hello!」のモニターキャンペーンを開始しました。抽選で25名のモニターに、約2か月間、無料でレンタルされます。キャンペーンページにて、7月1日23時59分まで応募を受け付けています。

 

Xperia Hello!は、ニュースや天気予報を聞いたり、LINEやSkypeで通話したりできる家庭用コミュニケーションロボットです。声での操作に対応し、スマートフォンの操作に慣れていなくても利用できます。

 

↑Xperia Hello!、直販価格16万1870円

 

ニュースや天気、LINEなどの新着情報は自発的に読み上げて通知。表情やしぐさで感情を表すこともできるので、まるでペットのように親しめるロボットになっています。

 

キャンペーンにあわせて、ソニーは「Xperia Hello!」をテーマにしたムービー「離れて暮らす家族をつなぐ Xperia Hello! 篇」を公開しました。田舎で暮らすおじいさんにプレゼントされたXperia Hello!が少年に変身。Xperia Hello!を通じて都会にいる家族との交流していく様子を描くなかで、Xperia Hello!の機能を紹介しています。

 

 

Xperia Hello!が気になるけど購入検討で踏みとどまっていた方、この機会にぜひキャンペーンに応募してみてください!

auの夏スマホは「デュアルカメラ」がトレンドに! そのなかでもプロが驚いた一機は?

auは5月14日、2018年夏モデルを発表しました。スマホの新機種としては、6モデルが登場。注目したいのは、デュアルカメラを搭載する機種の多さです。各メーカーのアプローチの違いに着目しながら、概要を追ってみましょう。

 

↑auの2018年夏モデル。AQUOS senseは新色が登場。かんたんケータイは本記事では割愛

ソニーモバイルは暗所撮影に注力、インカメラで3Dモデリングが可能に

ソニーモバイルの「Xperia XZ2」シリーズは、デザインを大幅に刷新。上位モデルの「Xperia XZ2 Premium」は、背面にデュアルカメラを搭載し、超暗所撮影を可能にしました。ちなみに、イヤホンジャックが廃止されたことには留意が必要。

 

↑Xperia XZ2 Premium SOV38(8月中旬以降発売予定)。サイズは5.8型で、幅はやや広めの80mm(暫定値)カメラの構成は1920万画素(カラー)+1320万画素(モノクロ)となっており、ISO51200での静止画撮影、ISO12800での動画撮影を実現する

 

↑Xperia XZ2 SOV37(5月下旬以降発売予定)。サイズは5.7型で、Premiumよりも縦長でコンパクト。セルフィーでの3D撮影や、フルHDでのスーパースローモーション撮影にも対応した

 

シャープは動画専用カメラを搭載、静止画もAIが同時に撮影

また、新たに2眼カメラを搭載したシャープの「AQUOS R2」も、2眼カメラを搭載。2つのカメラのうち、片方が動画専用カメラになっているのが特徴です。動画撮影中に、自動で静止画を捉える「AIライブシャッター」機能がユニークです。

 

↑AQUOS R2 SHV42(6月上旬以降発売予定)。サイズは6.0型。2260万画素の標準カメラと、1630万画素の動画専用カメラを備える

 

GalaxyはF値1.5の超明るいレンズを採用、スーパースローもサポート

Galaxy S9/S9+のメインカメラには、F値を1.5と2.4で機械的に切り替えるレンズを採用。暗いシーンでは、F値1.5で明るく撮影でき、明るいシーンではF値2.4に自動で切り替わる仕組みとなっています。そのほか、ステレオスピーカーになったこともポイント。

 

↑Galaxy S9+ SCV39(5月18日発売予定)。サイズは6.2型で縦長。1220万画素の広角カメラと1220万画素の望遠カメラを搭載する。960fpsのスーパースローモーション撮影も新たにサポート

 

↑Galaxy S9 SCV38(5月18日発売予定)。サイズは5.8型で縦長。S9+のメインカメラと同じ1220万画素の広角カメラを搭載する

 

ファーウェイはデュアルレンズ搭載の高コスパモデルを投入

ファーウェイからは、「HUAWEI P20 lite」が登場しました。デュアルカメラを活用し、被写体の背景をぼかせる「ポートレート」撮影が可能。撮影後に焦点位置やぼけ具合を調整できる「ワイドアパーチャー」にも対応します。

 

↑HUAWEI P20 lite HWV32(6月上旬以降発売予定)。5.8型の高コスパなミッドレンジモデルだ。カメラは1600万画素のメインカメラと約200万画素のサブカメラを搭載。インカメラの美顔撮影もユニーク

 

昨年はiPhoneやGalaxyを筆頭に、デュアルカメラ化が進んだキャリアスマホ。今夏モデルからは、ソニーやシャープのフラグシップも、ついにデュアルカメラ搭載スマホとなりました。それぞれ個性的な機能を搭載し、「使ってみたい!」と思える楽しさがありますね。

 

例えば、Xperia XZ2 Premiumは、暗所でも明るく”動画が撮れる”というアプローチに。会場では、実機のカメラを使ったデモが設置されていましたが、非常に明るい映り具合に驚きました。同機の発売は8月中旬以降とのこと。秋からはSNS上に夜景動画が増えるかもしれませんね。

 

とは言え、やはりフラッグシップ機は「お値段」も気になるところ。派手な最新機能・性能にこだわらずコストパフォーマンスを優先させるなら、ミッドレンジの「HUAWEI P20 lite」や、新色ノーブルレッドが登場した「AQUOS sense」なども、忘れずにチェックしておきましょう。

決して割高では…ない? AI特化の完全ワイヤレス「Xperia Ear Duo」一週間身につけ続けてジャッジ

ソニーモバイルは「Xperia Ear Duo」を4月に発売しました。同製品は、耳をふさがないことで周囲の音が聴けるという完全ワイヤレスイヤホン。どんな機能があるのか、どんなシーンで便利なのか、実際に1週間使ってみた筆者が、その使い勝手や気づいたことをお届けします。なお、本記事では同機をGalaxy Feel SC-04Jとペアリングして検証しました。

 

秘密は穴の開いた構造

Xperia Ear Duoの最大の特徴は、耳の穴に入れる部分がリング状になっていること。この構造により、再生する音楽と周囲の音の両方が聴こえます。音楽を聴いていても、インターフォンの音、家族や同僚の声を聞き逃しません。

 

↑穴の開いたイヤーピースが特徴的

 

また、音声操作にも対応。ソニーのアシスタント「Assistant for Xperia」を呼び出し、声で操作できます。アシスタントは、設定で「Googleアシスタント」や「Siri(iOS端末の場合)」に変更可能です。

 

Xperia Ear Duoは平たく丸いケースに入っています。大きさは手のひらからほんの少し余る程度。ズボンのポケットなどに入れるにはやや苦しいサイズです。マグネット式のふたをパカッと開けると、イヤホンが左右の並びで収まっています。

 

↑ケースのサイズは直径約89mm、厚さ約25mm、重量は約76g

 

ペアリングには専用の「Xperia Ear Duo」アプリが必要です。AndroidはGoogle Playストアから、iOSはAppstoreからインストールしておきましょう。画面指示に従って右のイヤホンを取り出すと、自動でペアリング設定が始まります。ペアリングが成功したら、イヤホンを装着。使用する言語やニックネームを登録したら、初期設定は完了です。

 

↑特徴的な下掛けスタイル。耳たぶを下からはさむように装着。走ってもズレないほど安定感は抜群

 

音楽を聴きながらでも問題なし!

まずは、会社でラジオを聴きながら仕事をしてみました。「radiko.jp」をインストールし、Xperia Ear Duoアプリで「機器の設定」→「アシスタント」→「声で起動するアプリ」と進んだら、radikoを選んで起動するワードを設定。

 

↑「ラジコ」と設定

 

起動方法は、まず右のイヤホンのタッチパッドを長押し。「お話し下さい」と音声が聞こえたら、「ラジコを起動して」と言います。これでradikoが起動しました。

 

使ってみるとすぐにデュアルリスニングを実感。ラジオの音とともに、周囲の声も聞こえました。相手が何を話しているかはっきりとわかるので、コミュニケーションに支障はありません。電話やインターフォンが鳴っても聴き逃すことはありませんでした。さすがに音量を最大まであげると聴き取りづらいですが、それでもたいていの音は聴き取れました。

 

穴の開いた構造にもかかわらず、音漏れがほとんどないことも魅力。約50cmの距離で音量を最大にすると、わずかに聴こえる程度でした。

 

次に、今日の予定をチェックしました。カレンダーアプリと連携していれば、直近の予定を知らせてくれます。機能を呼び出すには、タッチパッドをタップすればOK。タッチパッドに割り振る機能の設定は、Xperia Ear Duoアプリの「機器の設定」→「タッチパッドの設定」から変更可能。どの機能を割り当てるか、自分の使い方に合わせてカスタマイズしましょう。

 

↑左右と、タップの仕方によって機能を割り当てられる

 

メールやSNSのメッセージ通知も読み上げてくれます。わざわざスマホを取り出さなくても、予定やメッセージを確認できるのは非常に便利でした。通知するアプリは個別に設定できるので、たとえば、業務連絡用に使っている「Slack」アプリを追加してもよし。反対に、仕事中煩わしいLINEの通知をオフにしてもよいでしょう。

 

↑読み上げるアプリの設定画面。オン/オフ、追加が可能

 

屋外ならではの機能

屋外でも使ってみました。車通りの多い道や人混みの中、駅のホームなどでは、室内よりも周囲の音が大きいためにイヤホンの音も聴き取りづらくなりました。

 

実はXperia Ear Duoには、周囲の環境に合わせて自動的に音量を調節できる「アダプティブボリュームコントロール」機能が備わっています。そこで、こちらをオンにした状態でも検証してみました。

 

↑「機器の設定」から変更できる

 

同機能を有効にすると、交通量の多いところや踏切の近くだと音量は大きく、静かな場所に移ると小さくなりました。

 

筆者の体感では、イヤホンの音量と周囲の音の割合は通常2:8ほど。車や電車が通った瞬間は、イヤホンの音はほぼ聴こえません。屋外では、周囲の状況に注意しなければならないため、安全面から音量のバランスも配慮されているかもしれませんね。

 

そのほか、ナビゲーション機能との連携も検証してみました。タッチパッドを長押ししてから、「ナビして」と伝えます。目的地と移動手段を順に聞かれるので、それぞれ答えると、スマートフォンでGoogleマップが起動し、経路を案内してくれます。しかし、音声案内ではなく最終的にスマホを取り出す必要があるので、これなら最初からスマホで設定した方が早そうです。

 

↑ケースの充電は付属のUSBケーブルを接続して行う

 

イヤホンのバッテリーは、4時間ほど使ったところで切れました。これはメーカーの公称値と一致します。ケースに収納すると充電される仕組み。3回分の充電が可能なので、こまめに充電すれば、丸一日使えるでしょう。バッテリー残量はXperia Ear Duoアプリから確認できますし、「バッテリー残量は?」と聞けば、「アクセサリー○%、スマートフォン○%です」と音声でも答えてくれます。

 

ちなみに、iPhoneでもペアリングして使ってみました。iOSでは利用できるボイスアシスタントがSiriのみであったり、タッチ操作のカスタマイズ、読み上げ機能が利用できないなどの制限がありました。そのため、Xperia Ear Duoを最大限活用したい場合には、Androidスマホとペアリングする方がよいでしょう。

 

Xperia Ear Duoの実売価格は3万2270円。完全ワイヤレスイヤホンの相場を考えると、やや高価な部類ではありますが、周囲の音との両立や、アシスタント機能の充実度、操作の簡単さを考えれば満足いく製品です。あなたもXperia Ear Duoで新しいリスニングを体験してみてはいかがでしょうか。