品薄が続いた「タイガーらしくないタンブラー」、使ってみたらモノ作りは「タイガーそのもの」でした【愛用品コラム41】

本連載ではGetNavi web編集長・山田佑樹が日々の生活で愛用している品々を紹介していきます。

【#愛用品 41:タイガー「タイガーボトル ベンガルタイガー」】

●起

タンブラーはニューノーマルの時代に自分を表現する「メディア」のひとつだ。ミニマリスト志向でシンプルに染め上げたいなら、モノトーンのシンプルなものを選ぶだろうし、オーガニック&エコを価値観として大切にするなら分解できる成分を使用したり。

 

●承

タイガーボトルは発売以降、カラーによっては品薄が続く人気商品だ。メーカーはあのタイガー。シルバーで実用性と機能性の塊みたいなイメージの同社が、ビビッドなカラーを多数取り揃えている。とにかくこの黄色が美しくて物欲を揺すられた。

 

●転

以前、美濃加茂茶舗の湯のみをここで取り上げたときも感じたのだが、在宅勤務において、自発的にひと休みすることは大事だ。切れ目がなくずーっと作業していると、すり減って自分が消費された感覚になる。そんなときに、このビビッドな黄色が目に飛び込んでくると、「あ、コーヒーブレイクしよ」と行動を変えるきっかけになる。

 

●結

ちなみに、美濃加茂茶舗の投稿時は「日々の暮らしに信号機が欲しい」と述べていた。意識的か無意識的かわからないが、このボトルが目に飛び込むときは「黄色信号」だと思って早めにひと呼吸。おかげでさまで無事故だ。ちなみに、タイガーだから保温力をはじめとした性能は十分すぎるほど。環境配慮はもちろん、「つくる責任」がしっかりと実践されている点もタイガーらしい。

 

GetNavi web編集長・山田佑樹の「愛用品コラム」はInstagramでも展開中。週3回公開しています。

なぜおいしく炊ける? なぜ普及しない? タイガーが教える「土鍋炊飯器」3つの魅力と2つの課題

「土鍋で炊いたご飯は美味しい」という話はよく聞きますが、家電量販店などでは本物の「土鍋」を使った炊飯器の種類は多くありません。そんななか、2006年から12年にわたって炊飯器の内鍋に「本物の土鍋」を採用してきたのがタイガー魔法瓶です。そのタイガー魔法瓶が、プレス向けに「土鍋ごはん勉強会」を開催するとのこと。土鍋のご飯が美味しい理由や、市場に土鍋炊飯器があまり出回っていない理由についても聞いてきました。

↑同社炊飯器のフラッグシップモデル「土鍋圧力IHジャー炊飯器 GRAND X THE炊きたて JPG-X100」(実売価格13万8207円)

 

土鍋が「炊飯に強い理由」は「蓄熱性の高さ」「土鍋泡」「遠赤外線効果」の3つ

同社によると、土鍋の炊飯におけるメリットはズバリ3つあるそう。ひとつは「蓄熱性の高さ」。最近の10万円前後する高級炊飯器のほとんどは、内鍋が分厚く重く設計されています。これは、一度取り込んだ熱を逃さず、高温を維持しながら炊飯するため。家庭で土鍋を使った鍋料理をすると、火を消したあともグツグツと沸騰し続けることがありますが、土鍋はこのように「高温をキープ」するのに優れているのです。

↑本土鍋内釜(写真左)と金属製内釜(写真右)の炊飯器で水を沸騰させ、同時にコンセントを抜いて約10秒後。本土鍋内の水は沸騰し続けているのがわかります

 

ふたつめが「土鍋泡」。土鍋は表面に細かな凹凸があるので、沸騰時に細かく均一な土鍋泡を発生させられます。この「細かな泡」が米の間を優しく通り抜けることで、米の一粒一粒にムラなく熱を伝えます。同社によると、最近の炊飯器は「勢いよく沸騰させる」ことで熱ムラを減らす傾向にありますが、激しい対流は米同士がぶつかって傷がつきやすいのだそう。傷ついた米は、傷口から水を吸ってベチョッとした食感のご飯に炊き上がったり、甘み成分が抜けてしまうこともあるそうです。

↑本土鍋内釜(写真左)と金属製内釜(写真右)で沸騰する様子の比較。土鍋の水は下から上に泡が次々と発生するのに対し、金属釜は内部に激しい対流が起き、水面が波立っているのがわかります

 

そして、最後のメリットは土鍋の持つ「遠赤外線効果」。土素材の持つ遠赤外線により米の中心までしっかり加熱できるので、ふっくらとハリのある炊飯ができるといいます。

 

土鍋の課題は「形がコントロールしにくい」「IHに対応させるのが難しい」

このように、メリットの多い「土鍋炊飯」ですが、反面、製造が難しいというデメリットもあります。炊飯ジャーは工業製品であるため、大きさなどの誤差をミリ単位で調整する必要があるのですが、陶器は焼成する際に変形するため、形をコントロールしにくいのです。そこで、同社はこの問題を解消するため、3回以上の「焼き」を実行しているそう。

 

さらに、最近の高級炊飯器は加熱方法にIHを採用していますが、陶器はそのままでは磁性がないのでIHによる加熱はできません。このため、タイガー魔法瓶では銀素材をベースとする発熱体を土鍋にコーティング。この作業も手作業で行っているため、ひとつの鍋ができるのにはなんと約3か月もかかるそうです。なるほど、それだと価格を抑えるのはなかなか難しいですね。

↑会場に展示されていた本土鍋ができるまでの製造工程の一部モデル。土鍋はすべて三重県四日市の「萬古焼」を採用しています

 

一般的な金属の内釜の2倍以上の高火力を実現

ちなみに、同社の炊飯器の上位機種は土素材で作られた「本土鍋」より熱伝導率が約2.5倍高いといわれる「プレミアム本土鍋」を採用しています。プレミアム本土鍋を採用している炊飯器は、なんと内釜だけでなく「遠赤特大土かまど」と呼ばれる釜を包み込む本体内部までが土素材。この「遠赤特大土かまど」と内釜の両方が発熱することで、鍋底の最高温度は約280度まで上昇します。ちなみに、一般的な金属製の内釜の鍋底温度は約110~130度とのこと。つまり、通常の金属の内釜の2倍以上の火力で加熱できるわけですね。

↑プレミアム本土鍋は伝統ある萬古焼に新素材の「炭化ケイ素」を配合。熱伝導性が良いのが特徴です。また、内釜をセットする本体内部も「遠赤特大土かまど」と呼ばれる陶器製。一般的な樹脂製の内部構造より高熱に強いのが特徴です

2つの気圧を使い分け、もっちり粒感のあるごはんに炊き上げる

さらに、プレミアム本土鍋を使った上位機種は土鍋の気圧コントロールにもこだわりがあります。なかでも特徴的なのが「可変W圧力」炊きです。これは大小2つの圧力ボールを配置することで、1.25気圧と1.05気圧の2つの気圧を使い分けて圧力炊飯する機能。炊飯時に1.25気圧の圧力でもちもちした弾力と粘りを作りだし、炊飯後に1.05気圧に減圧することでごはん粒をギュッと炊きしめます。これで、もちっとした弾力があるけれど、べちょべちょとせず粒感があるごはんが炊けるそうです。

↑2つの圧力ボールを搭載するJPG-X100の内ぶた。内ぶたには親水効果のある加工をしており、加熱時は余分な水分を蒸発させ、保温時は水の膜を作って保水。また、水タレが少ないのも特徴です

 

実際に試食したところ、確かにモチッとした柔らかさと弾力が同時に楽しめる食感です。また、土鍋炊飯はおこげができるため、のどを通る際にかすかに香ばしい後味も感じられます。

↑勉強会のあとには試食タイムも。炊きたてはモチモチとしているのに粒離れがよく、食感の良さがとにかく印象的でした

 

一人暮らし向けには「冷凍用ごはん」のモードと「15分時短調理メニュー」を搭載

また、今回は8月21日に発売された一人暮らし向け炊飯ジャー「炊きたて JPF-A550」(実売価格2万7230円)の実演試食会も行われました。本機は3合炊きの小容量炊飯ジャー。内釜はステンレスとアルミを重ねた「5層遠赤特厚釜」に「土鍋コーティング」を施しており、タイガー魔法瓶がこだわる土鍋の「遠赤外線効果」と「土鍋泡」を再現しています。

↑一人暮らしに最適な3合炊きの「JPF-A550」

 

本機の面白いところは2つ。ひとつは、一人暮らし向けに冷凍用ごはんに最適な炊飯モードを搭載していること。冷凍ごはんは「標準」モードで炊飯すると固くなりがち。とはいえ柔らかめに炊飯すると冷凍・再加熱後に水っぽい仕上がりになります。そこで、冷凍用ごはんモードでは、冷凍後に再加熱をしても美味しいごはんに調整しているそうです。

 

もうひとつの特徴が、炊飯器で副菜などが作れる「15分時短調理メニュー」の搭載です。こちらは材料を入れて加熱時間を設定するだけでおかずが一品作れるという、忙しい一人暮らしに最適の機能。勉強会では、この「15分時短調理メニュー」を使った牛肉のチャプチェの調理実演と試食がありました。こちらも作り方は驚くほどカンタンなのに、味のほうもまったく問題なし。冷凍ごはん用のモードも含め、一人暮らしに必要な機能を「わかってる」といった印象です。上位モデルと一人暮らし用のモデル、両者の魅力を改めて確認できた勉強会でした。

↑会場では手早く「チャプチェ」を作る実演も。肉にもやし野菜ミックス、調味料を入れて15分のタイマーを入れたら、あとは放置するだけ。準備時間は5分もかかりませんでした

 

↑JPF-A550は甘酒やもち麦の調理も可能です。会場では実演したチャプチェ(写真左下)のほか、甘酒メニューで作った甘酒を使ったシャーベット(写真上)、麦めしメニューで炊いたもち麦のサラダ(写真右下)の試食もありました

 

RIZAPがまたコミッた! 炊飯器メーカーとの提携で「ごはん風の食品」による新サービスを実現

「結果にコミットする。」をテーマとし、極端なビフォーアフターを示すCMで有名なパーソナルプライベートダイエットジム「RIZAP(ライザップ)」。2018年5月8日、RIZAPはタイガー魔法瓶と連携した新サービスを含む、フード事業の発表会を開催しました。

発表会では、RIZAP株式会社取締役 高谷成夫氏とタイガー魔法瓶株式会社の和田隆弘常務が、両社の提携とその経緯について説明。集まった報道陣には、RIZAP COOK監修のイベント特製幕の内弁当が振る舞われたほか、低糖質のごはんやパスタ、スイーツ類など、RIZAPコレクションメニューの新製品試食会も行わました。

 

「健康にコミット」するための4つの新商品・サービスを発表

↑RIZAPの取締役 高谷成夫氏

 

RIZAPの取締役 高谷成夫氏は、「累計会員数が10万3000名となり、過去最も問い合わせをもらっている」として、事業の好調さをアピール。今回フード事業の強化に至るにあたり、「RIZAPメソッド」と「食のメソッド」が確立できたこと、すでにフード事業の低糖質食品ブランド「LOCA-Labo」が、ゲスト(RIZAPの利用者)を中心に順調に売上げが伸ばしていることを挙げました。

 

このような背景をもとに、今回フード事業の新商品・サービスとして発表されたのは、「RIZAP ”ごはん”で健康コミットプログラム」、デリバリーランチプログラム「zap DELI」、低糖質「そうめん」と「めんつゆ」の提供、「RIZAPプロテインゼリー」の4つです。

↑フード事業で投入する4つの商品

 

タイガー魔法瓶と組み、低糖質な加工食品「とらひめ」を使ったサービスを実施

このうち、「RIZAP ”ごはん”で健康コミットプログラム」とは、タイガー魔法瓶と提携し、加工食品の「とらひめ」を活用したプログラム。国内で合計約4000万人はいるという糖尿病患者およびその予備軍に向けた低糖質ごはんの提供サービスで、2018年5月8日からスタートしています。

↑米粒状加工食品の「とらひめ」と、普通のご飯も炊ける専用調理器

 

なお、「とらひめ」とは、タイガー魔法瓶が開発した米粒状の加工食品のこと。同社の直販サイトで3月から提供を開始しています。タピオカやこんにゃく、うるち米などを原料としており、白米お茶碗一杯分(130g)と比べて糖質は約47%オフ、カロリーは約50%オフ。しかも、食物繊維は約8倍となっています。専用の調理モードを持つ炊飯器「とらひめ調理器」で調理することで、ごはんのような食感になります。

↑「とらひめ」の調理前(左)と調理後(右)

 

「RIZAP ”ごはん”で健康コミットプログラム」の概要は、①タイガー魔法瓶が米粒状の加工食品「とらひめ」と、専用の「とらひめ」調理器をRIZAPのオンラインストアでも販売 ②「とらひめ」の定期配送サービス ③専用調理器を使った健康&低糖質レシピの提供 ④ごはんに関する悩みを専属管理栄養士がサポートする「ごはん診断」 ⑤とらひめ定期配送サービスの利用者に向けたサンプルと健康レシピのプレゼント ⑥専用調理器に対応した商品の販売など。

↑「とらひめ」を使った「健康コミットプログラム」

 

タイガー魔法瓶との提携については「日本の健康寿命を延伸したい」というビジョンへの共鳴があったといいます。高谷氏は「RIZAPとタイガーの得意分野を融合すれば! と話が進んだ」と説明しました。

↑タイガー魔法瓶株式会社 常務 和田隆弘氏

 

タイガー魔法瓶の和田隆弘常務は、「おいしさを我慢しない健康を提案したい」と同社の理念を紹介。「ごはんをお腹いっぱい食べられない」、または「加工食品が口に合わない」という悩みを持つ人たちのために開発したのが「とらひめ」とのこと。

 

「正しく世の中に広めていくのは、RIZAPのほうが得意ということでお願いした。『世界中に幸せな団らんを広める。』というビジョンのためにぜひサービスを成功させたい」とその意気込みを語りました。

↑RIZAPとタイガーのコラボで、新しい低糖質ソリューションを提供

 

法人向けデリバリーランチと個人向け低糖質食品も発表

合わせてRIZAPは、単独で行う法人向けのデリバリーランチプログラム「zap DELI」も発表。RIZAPメソッドに基づいた低糖質、高タンパク、低脂質の日替わりメニューを毎日オフィスにデリバリーするというもので、2018年7月スタート予定です。「これまでのビジネスランチは、簡単に済ませようとするあまり、どうしても選ぶメニューが偏ったり、野菜の摂取量が少ない、栄養バランスが悪いなどの問題があった」と高谷氏。オリジナル健康管理アプリ、専用管理栄養士による食事指導もセットになって「法人健康セミナー」との併用で、社員の健康を促進できるとしています。

↑法人向けのデリバリーランチプログラム「zap DELI」。アプリと専用管理栄養士による食事指導もセットになっているのが特徴

 

↑展示されていたメニューの一例

 

個人向けには、RIZAP低糖質食品ブランド「LOCA-Lab」用に糖質が58%カットされた低糖質「そうめん」と低糖質「めんつゆ」、「RIZAPプロテインゼリー」の販売も発表されました。

 

低糖質の「めんつゆ」は小豆島産の本醸造醤油が使われており、他の調理にも活用できます。高タンパクでヨーグルト風味の「RIZAPプロテインゼリー」は2018年6月25日より、関東地区のドラッグストア等で販売開始とのことです。

↑夏に食べる機会が増えるそうめんにも対応

 

↑ドラッグストアで買えるようになる「RIZAPプロテインゼリー」

 

低糖質なのに美味しいメニューが勢ぞろい!

発表会では、「とらひめ」を使った「ごろっと野菜のスパイシーピラフ」と、低糖質めんつゆを使った「和風ローストビーフ わさびクリームソース」が提供されました。こちらは一般的なお米、調味料で同じレシピ、同じ工程で調理したレシピに対して、糖質量約47%オフ、カロリーは約50%オフになっているとのこと。このほか、ガトーショコラ、ベイクドチーズケーキ、ロールケーキ、ミネストローネ、チャウダー、しらすガーリックオイルパスタ、豆乳たらこクリームなどが用意されました。いずれも糖質、カロリーは控えめなのに美味しいものばかりで、我慢知らずで健康管理ができそうです。

↑「ごろっと野菜のスパイシーピラフ」と「和風ローストビーフ わさびクリームソース」。見た目では通常の白米を使ったように見えます

 

↑これらはすべて低糖質メニュー

今後は、食事の写真を撮影するだけで自動的に糖質量がわかる!

さらにRIZAPでは、今後、テクノロジーも交えてフード×スポーツ、フード×テクノロジーのジャンルで「食のメソッド」をさらに進化させるとのこと。2018年6月からは「RIZAPフードアナライザー」の試験導入を開始。こちらは、写真の画像解析技術を活用し、アプリで食事の写真を撮影すれば自動的に糖質量を表示し、日々の糖質量管理を劇的にラクにしてくれるといいます。

 

食べたい、でも太りたくない……というのは、私たちの変わらぬ望み。美味しくて太らない食事、ダイエットに役立つ技術は、今後もどんどん開発されていってほしいですね。タイガー魔法瓶とRIZAPの取り組みが、そんな流れを加速してくれるのは間違いありません。

↑写真を撮るだけで糖質量がわかるアプリも試験開始

 

「糖質オフ炊飯器」の実力は? 注目の「ヘルシー調理家電」6選をプロがおいしさ+3項目でジャッジした!

世の中の健康志向が高まる昨今、調理家電の中にもヘルシーを売りにする機種が増えてきました。ここでは最近話題の糖質オフ炊飯器など、注目家電の「おいしさ」をメインに、「使える」度を専門家が判定します!

※「おいしさ」+3項目の判定は新井さんと平島さん2人による評価です

 

【私たちが評価します!】

家電ライター

平島憲一郎 さん

調理家電をはじめ生活家電全般の記事を執筆。最近体重が気になっています。

 

フードスタイリスト

新井美代子さん

雑誌や広告を中心に、レシピ開発やスタイリングなどの分野で活躍しています。

 

チェックその1 糖質オフ炊飯器

糖質が33%も少ないごはんが家庭で手軽に炊ける

サンコー

いつものご飯を低糖質に

「糖質カット炊飯器」

実売価格2万9800円

糖質を33%カットしたごはんが炊ける炊飯器。炊飯中にお湯に溶け出した糖質を排出することで、食物繊維量はそのままに糖質を33%カットします。ごはんの再加熱機能や肉や魚、野菜の「蒸し料理」モードも装備。●サイズ/質量:W280×H330×D400㎜/6.9㎏

二重構造の釜で自動で水を入れ替えて炊飯

↑本機の釜は二重構造。炊飯中の湯を茹でこぼしたあと蒸すことで、ふっくら炊き上げます

 

糖分を含む湯を下部タンクに排水する仕組み

↑茹でこぼしたお湯は下部の排水タンクへ。溜まったお湯は糖分を含んで白濁しています

 

↑炊飯メニューはごはんの硬さを5種類から選ぶだけと、超シンプルです

 

↑内釜は底にあいた穴にごはんが詰まるなど、洗うのに少々手間取ります

 

【糖質カット炊飯器の「おいしさ」+3項目を判定!】

味(おいしさ):★×3

操作性:★×4.5

洗いやすさ★×2.5

コスパ:★×4

「お米の糖質を除去したぶんうまみは減るため、味に関しては厳しい評価になります。内釜にこびりつき防止コートがなく、洗いにくいのも残念」(新井さん)

「おかずと一緒に食べると味はそれほど気にならない。糖質カットしてこの味なら私はアリ。シンプル機能で操作も簡単です」(平島さん)

 

【これも要チェック!!】

糖質を約47%オフできる「とらひめ」が炊ける調理器

タイガー魔法瓶

とらひめ調理器

JPE-A10Z

実売価格5万1840円

糖質が白米の約47%オフの米粒状加工食品「とらひめ」が炊ける調理器。とらひめ(別売・10袋4104円)だけでなく、麦めしや玄米、白米もタイガー独自の炊飯技術でおいしく炊き上げます。●サイズ/質量:W272×H211×D329㎜/約4.5㎏

 

チェックその2 油分オフのノンフライヤー

ダブルレイヤー付きで一度に500g分の唐揚げが作れる

フィリップス

ノンフライヤー

HD9216/66

実売価格2万6780円

ノンフライ調理をはじめ多用途に使えるノンフライヤー。庫内に最高200℃の熱風を高速循環、揚げ物だけでなく、グリルやベイク、ローストにも対応します。ダブルレイヤー付きで、唐揚げなどの調理量が2倍に。●サイズ/質量:W315×H384×D287㎜/5.8㎏

↑付属のダブルレイヤーをバスケットのネット上に設置。2層調理が可能に

 

【ノンフライヤーの「おいしさ」+3項目を判定!】

味(おいしさ):★×4.5

操作性:★×4

洗いやすさ:★×3.5

コスパ:★×3.5

「2段で調理できるようになったのが◎。唐揚げでも上段と下段で味付けを変えられます。操作も温度と時間を設定するだけで簡単。ただ形状的に少し洗いにくいですね」(新井さん)

 

チェックその3 野菜麺が作れる電動野菜スライサー

シャキシャキ食感の野菜のスライスでサラダも美味!

ドウシシャ

電動やさいスライサー

ベジ丸 DBS-18IV

実売価格3980円

スイッチを押しつつ本体を押し込むと野菜のクルクルスライスができる機種。ディスクの交換によりクルクルスライスと千切りの2種類が作れます。小麦粉でなく野菜を使ったヘルシー麺メニューも楽しめます。●サイズ/質量:約W160×H195×D123㎜/約720g

↑カップ内で野菜を回しながらカット。長いスライスに子どもも喜びます

 

【電動やさいスライサー「おいしさ」+3項目を判定!】

味(おいしさ):★×4

操作性:★×2.5

洗いやすさ:★×2.5

コスパ:★×3.5

「シャキシャキの野菜サラダに加え、ジャガイモをスライスしてポテトチップスなども作れます。細身の野菜が固定しにくく、刃も着脱しにくいのが残念」(平島さん)

 

チェックその4 カロリー計算炊飯器

ごはんのカロリーを瞬時に表示して食べ過ぎを防ぐ!

アイリスオーヤマ

銘柄量り炊き IHジャー炊飯器

KRC-ID30-R (3合)

実売価格2万3760円

炊飯したごはんをよそうと、そのぶんのカロリーを表示する3合炊き。米の銘柄で異なる最適水量を計算、銘柄ごとに火力と加熱時間も自動調整します。カロリーチェックしながらお米のおいしさを最大限に堪能。●サイズ/質量:W226×H220×D280㎜/4.3㎏

↑ごはんを茶碗によそうと、内釜から減った重さからカロリーが換算され、表示されます

 

【銘柄量り炊きの「おいしさ」+3項目を判定!】

味(おいしさ):★×4.5

操作性:★×4

洗いやすさ:★×4

コスパ:★×5

「高級炊飯器に負けないふっくらした炊き上がりに仰天。下部はIH調理器にも使え、内釜も軽くて洗いやすい。これでカロリー計算もでき、コスパ抜群です」(新井さん)

 

チェックその5 栄養を凝縮させるフードドライヤー

ヘルシーなドライフードが自宅で簡単&たっぷり作れ

ダイアモンドヘッド

ROOMMATE ヘルシーフードドライヤー EB-RM33A

実売価格6980円

最大12時間のタイマー付きフードドライヤー。5段トレイを備え、一度に大量のドライフードができます。温度設定は35〜70℃で、低めの温度設定で、酵素やビタミンが豊富と話題のローフードも作れます。●サイズ/質量:約W303×H237×D248㎜/約1.87㎏

↑冷蔵庫に余った野菜や果物をたっぷり乾燥。食材をムダなく使えます

 

ヘルシーフードドライヤーの「おいしさ」+3項目を判定!】

味(おいしさ):★×4.5

操作性:★×4.5

洗いやすさ:★×4

コスパ:★×4

「薄く切った食材を並べて温度設定するだけで、買いすぎた野菜や果物が絶品ドライフードに。しっかり水気を拭き取って乾燥すれば、ほぼお手入れ不要」(平島さん)

 

チェックその6 油分オフのホットプレート

肉の余分な脂を落としふっくらジューシーに焼ける

レコルト

Home BBQ(オイスターホワイト/限定カラー)

実売価格9720円

テーブルでBBQスタイルを楽しめるクッキングプレート。250℃まで温度調節できる強力ヒーターを搭載、プレート穴から水を張ったトレイに脂を落とし、肉をヘルシーかつジューシーに焼き上げます。●サイズ/質量:約W420×H165×D230㎜(収納時)/約2.95㎏

↑肉や野菜など好きな食材を並べて、自宅にいながら本格BBQを堪能

 

【Home BBQの「おいしさ」+3項目を判定!】

味(おいしさ):★×4

操作性:★×4.5

洗いやすさ:★×3

コスパ:★×4.5

「グリルプレートは波型なうえに穴付きで、余分な脂が落ちて油ハネも少なく使いやすい。洗うパーツが3つあってやや面倒ですが、汚れ落ちは良好です」(新井さん)

「この味でこの価格はおトク」と評価された炊飯器は? 最新8モデルを2人の家電のプロが食べ比べ! 

各メーカーから、数多くの炊飯器が登場していますが、いったいどんな炊き上がりになるのか、実際に炊いてみないとわからないのは困ったものですよね。ここでは、2017年下半期に発売された最新の炊飯器8モデルを一堂に集め、大試食会を決行。家電のプロの二人が炊き上がりを徹底チェックしました!

 

試食したのはこの人

家電コーディネーター 戸井田園子さん

戸井田

幅広い媒体で活躍する家電のプロ。

 

家電ライター 平島憲一郎さん

平島

生活家電中心に性能検証記事などを執筆。

 

【調理ルール】

千葉産のコシヒカリを「白米・標準」モードで炊飯。3.5合炊き以下は2合、それ以外は3合ずつ炊きました。

 

その1

新素材配合の土鍋でより旨み濃厚に炊き上げ

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タイガー魔法瓶

土鍋圧力IH炊飯ジャー 〈THE 炊きたて〉JPG-X100

実売価格13万4520円

土鍋釜に「炭化ケイ素」を新配合し熱伝導が約2.5倍に。かまどと土鍋の熱を米にしっかり伝え、甘みと香り濃厚なごはんに仕上げます。音声ガイド機能で操作も快適。●サイズ/質量:約W261×H220×D325㎜/約7.3kg●炊飯容量:1~5.5合

20180124_yamauchi_21↑内釜の「プレミアム本土鍋」

 

【炊き上がりはコチラ!】

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十分なツヤと強い粘りが、米粒の表面から見て取れます。おこげもしっかり存在!

「炊き上がった瞬間のみずみずしさが印象的。粘りよりも弾力がある感じです。本格派の土鍋ごはんですね」(戸田井)

「米の甘みとおこげの豊かな香りは他の追随を許しません。おこげのパリパリ感も従来よりアップした印象」(平島)

 

【総評】

おこげの香り高い、甘み濃厚なごはんに仕上げます。内釜が土鍋で、やや取り扱い注意。人感センサーの使い勝手は賛否がわかれそうです。

 

その2

加圧追い炊き機能採用でごはんの甘みがさらに向上

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パナソニック

スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器「Wおどり炊き」SR-SPX107

実売価格9万1110円

IH通電の高速切り替えと可変圧力での2つのおどり炊き技術「Wおどり炊き」を搭載。炊飯終盤さらに加圧する「加圧追い炊き」を新採用し、ごはんの甘みともちもち感が向上しました。●サイズ/質量:W266×H233×D338㎜/7.0kg●炊飯容量:0.5~5.5合

20180124_yamauchi_17↑内釜の「ダイヤモンド竃釜」

 

【炊き上がりはコチラ!】

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米一粒一粒が白色のおねばをまとっており、炊き上がりツヤやか。粘りも十分にありました。

「粘り・硬さなど含め、バランスが良い炊き上がりですね。万人受けするタイプのごはんだと思います」(戸田井)

「炊き上がりの食感は柔らかめで程良いモチモチ感。味も甘みの中にコシヒカリの風味が感じられました」(平島)

【総評】

やや柔らかめでモチモチの炊き上がり。ツヤ、甘み、香りも十分。軽い内釜など手入れもしやすく、高度にバランスが取れています。

 

その3

炭釜による大火力で粒立ちよくふっくら炊飯!

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三菱電機

本炭釜 KAMADO NJ-AW108

実売価格12万9600円

発熱効率が高い炭釜を採用し、粒立ちの良いふっくらごはんに炊き上げます。新搭載の密封弁でごはんの潤いを保ちます。15通りの食感炊き分け、35種類の銘柄炊き分けが可能です。●サイズ/質量:W285×H249×D320㎜/約5.7kg●炊飯容量:0.5~5.5合

20180124_yamauchi_29↑内釜の「本炭釜」

 

【炊き上がりはコチラ!】

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米一粒一粒の内部に水分を保持。ハリとツヤがあり、口の中でほどける食感が特徴です。

「非圧力らしいしっかりとした歯ごたえがあります。炊いた直後の香りや粒感が良いです。和食と相性◎」(戸田井)

「香りは鮮烈かつ濃厚で、食べると甘みの中に米本来の味が感じられます。ハリと弾力のある食感も魅力」(平島)

 

【総評】

単なる甘みや香りでなく、米の持つ風味まで感じさせる炊き上がりは圧巻。炭釜は洗う際に割れたりしないよう、注意が必要です。

 

その4

南部鉄器の羽釜が生む熱対流で絶品の炊き上がり

 

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ZOJIRUSHI

圧力IH炊飯ジャー『極め炊き』NP-QT06

実売価格10万7760円

南部鉄器の羽釜を採用。大火力と高圧力で米を豪快にかき回す独自の技術で、少量炊きでも甘み満点に仕上げます。自動で好みの食感に炊ける「わが家炊き」機能も搭載。●サイズ/質量:約W265×H225×D320㎜/約6.0kg●0.5~3.5合

20180124_yamauchi_25↑内釜の「南部鉄器 極め羽釜」

 

【炊き上がりはコチラ!】

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炊き上がったごはんには、しっとりしたツヤ感がありました。ツヤ自体はやや控え目な印象。

「一粒一粒がしっかり膨らみ、ごはんの粒が大きく感じます。もちもちした炊き上がりは象印ならではです」(戸田井)

「蓋を開けると新米の瑞々しい香りが広がりました。程良く柔らかで、モチモチ感の強い炊き上がりです」(平島)

 

【総評】

象印の5.5合炊きの最上位機種に比べると甘みもモチモチ感も控えめ。内釜は南部鉄器だが、小型なのでそこまで重さを感じません。

 

その5

鋳物ホーロー技術と火力調整で極上ご飯を実現

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バーミキュラ

バーミキュラ ライスポット

実売価格8万6184円

高気密の鋳物ホーロー鍋技術とIHの火加減調節技術を融合。3層コートのホーローの遠赤効果などで、米本来の旨みを引き出します。無水調理鍋としても利用可能です。●サイズ/質量:約W311×H208×D296㎜/約6.9kg●炊飯容量:1~5.5合

20180124_yamauchi_08↑同社製の鋳物ホーロー鍋を内釜に使用

 

【炊き上がりはコチラ!】

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ハリとツヤのある炊き上がり。やや冷めてくると、食感に締まりが出た印象がありました。

「米がぎゅっとした感じの、しっかりとした炊き上がりです。噛むと甘みもしっかり感じられます」(戸田井)

「新米のせいか、やや柔らかめの食感。甘みもほどよくほのかにおこげの香りがあり、食べ飽きない味です」(平島)

 

【総評】

ツヤ、甘み、香りともに奥深さが感じられます。炊飯設定は極シンプル。鍋と蓋が重いのと、米粒がこびりつきやすいのが難点です。

 

その6

独自の真空・圧力技術でごはんの甘みと粘りがUP

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東芝

真空圧力IHジャー炊飯器備長炭かまど本羽釜 RC-10ZWL

実売価格9万4220円

独自の真空ひたし・圧力炊飯技術で、ごはんの甘みと粘りを引き出す炊飯器。11通りの食感炊き分けに加え、ごはんの甘みがアップする「甘み炊き」コースも搭載。●サイズ/質量:W245×H228×D328㎜/約7.2kg●炊飯容量:0.5~5.5合

↑内釜の「備長炭かまど本羽釜」↑内釜の「備長炭かまど本羽釜」

 

【炊き上がりはコチラ!】

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ごはんのツヤは文句なしの美しさ。炊飯後、少し時間が経つと米粒にハリも出てきました。

「強い個性は主張しない、食べやすい炊き上がり。真空で米の芯まで吸水させるので早炊きでもおいしい」(戸田井)

「強い粘りがあり、食感は柔らかめな食べ応えのあるごはんです。炊きたてごはんの濃厚な香りも魅力」(平島)

 

【総評】

炊きたてごはんの香り、甘みともに濃厚。圧力式で内蓋の手入れがやや大変です。タッチパネルの文字が小さく、操作はコツがいりそうです。

 

その7

銘柄ごとに給水量を計算最適な炊き上がりに!

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アイリスオーヤマ

銘柄量り炊きIHジャー炊飯器 KRC-ID30-R

実売価格3万5424円

米の銘柄ごとに最適な水量を計算するモデル。各銘柄で火力と加熱時間も自動調整し、米の特徴を引き出す炊飯が可能です。よそったごはんのカロリー表示機能も新搭載。●サイズ/質量:W226×H220×D280㎜/4.3kg●炊飯容量:0.5~3合

内釜の「極厚銅釜」↑内釜の「極厚銅釜」

 

【炊き上がりはコチラ!】

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白く透明感のあるツヤが特徴。食感は適度にしゃっきりしています。冷えてもおいしく食べられます。

「甘み・香り・もちもち感はやや控えめ。ですが、価格を踏まえれば、この炊き上がりは文句なしです!」(戸田井)

「もちもち感がありつつ、やや硬めの炊き上がりで、甘みの余韻も良い。この味でこの価格はおトク!」(平島)

 

【総評】

ツヤは控えめだが透明感のある仕上がりで甘み十分。内蓋も内釜も手入れしやすいです。コスパで考えると超優秀です。

 

その8

高温浸しと圧力スチームでふっくらツヤやかに炊飯!

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日立

IHジャー炊飯器「ふっくら御膳 RZ-AW3000M」

実売価格7万7720円

高めの水温で浸し米の吸水を高めるとともに、独自の圧力スチーム技術でふっくらツヤやかなごはんに炊き上げます。0.5合もおいしく炊く「少量炊き」機能を搭載します。●サイズ/質量:W268×H237×D352㎜/約6.6kg●炊飯容量:0.5~5.5合

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【炊き上がりはコチラ!】

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しっかりと保水した米は、ツヤも上々。口に入れると適度にほどけて食感が良いです。

「甘みもふっくら感もあり、標準的。もちもちとしゃっきりの炊き分けがしっかりできています」(戸田井)

「ほどよい粘りがありつつ、やや硬めの食感。最初は甘み弱めに感じましたが、食べるうちに甘みが増幅」(平島)

 

【総評】

モチモチとしゃっきりの中庸的な食感が特徴。大型縦長の液晶パネルはメニューの視認性が高いです。「戻る」ボタンがないのは惜しいところ。

炊飯器・最新5モデル「4つの結論」がコレだ! 8項目徹底テストまとめが導く「買い」のポイント

本稿は、最新高級炊飯器の主要5モデル(象印、パナソニック、三菱電機、タイガー、日立)を多角的に検証してきた連載企画をまとめたもの。これまで各モデルの「上質炊飯機能」(炊き立て・冷やごはん・冷凍ごはんの食感チェック)「食感炊き分け」「一合炊き」「保温」「操作性・メンテナンス性」「独自機能・設置性」の各項目をチェックしてきた検証結果をまとめ、各機種がどんなタイプのユーザーにオススメか考えていきます。どんな違いがある? どれを選べばいいの?…と感じている方、ぜひ参考にしてみてください!

 

【検証する機種はコチラ】

エントリーその1

発熱性・蓄熱性に優れた南部鉄器の羽釜を採用し大火力で炊き上げる

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象印

圧力IH炊飯ジャー『極め炊き』

“南部鉄器 極め羽釜” NW-AT10

実売価格10万2370円

発熱性・蓄熱性に優れた南部鉄器の羽釜を内釜に使用した炊飯器。大きく伸びた羽根で側面ヒーターの熱を釜内に伝え、最大1450Wの大火力と1.5気圧の圧力炊飯でごはんをふっくらモチモチに炊き上げる。また、前回炊いたごはんの感想を入力することで、121通りのなかから好みの食感に近づける機能「わが家炊き」の炊き分け範囲を拡大。従来機種より固めに、よりモチモチに炊けるなど、幅広い食感に炊き分けられる。

SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:151wh●保温1時間あたりの消費電力量:17.1Wh●加熱方式:プレミアム対流●内釜:南部鉄器 極め羽釜●サイズ/質量:約W305×H245×D400mm/約11.5kg

 

エントリーその2

「Wおどり炊き」に「加圧追い炊き」を加え、甘みとモチモチ感がアップ

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パナソニック

スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器

Wおどり炊き SR-SPX107

実売価格8万2240円

IHの通電切り替えで激しい熱対流を生み出す「大火力おどり炊き」と、釜内を加圧状態から一気に減圧し激しい対流を生み出す「可変圧力おどり炊き」を組み合わせた「Wおどり炊き」を搭載。熱と水分を米に均一に行き渡らせ、ふっくらモチモチの銀シャリに炊き上げる。炊飯工程の終盤にさらに加圧して釜内を高温にする「加圧追い炊き」機能を新たに採用し、ごはんの甘みとモチモチ感がさらにアップした。50銘柄の銘柄炊き分け機能を搭載するほか、釜内を高温洗浄できる「お手入れ機能」も新採用。

SPEC●炊飯容量:0.5〜5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:160wh●保温1時間あたりの消費電力量:14.4Wh●加熱方式:6段全面IH●内釜:ダイヤモンド竃(かまど)釜●サイズ/質量:W266×H233×D338mm/7.0kg

 

エントリーその3

発熱効率が高い「本炭釜」と連続沸騰技術でかまど炊きの味を再現

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三菱電機

IHジャー炊飯器本炭釜

KAMADO NJ-AW108

実売価格10万2370円

IHの発熱効率が高い純度99.9%の炭素材を使った「本炭釜」採用モデル。内釜全体の発熱と噴きこぼれのない連続沸騰技術により、粒感のいいふっくらとしたかまど炊きの味を再現する。沸騰力の向上と高断熱構造の強化で火力をさらにアップ。蒸気口に新搭載した密封弁が蒸らし時の蒸気の流出を抑え、潤いたっぷりのごはんに仕上げる。15通りの食感炊き分け機能「炊分け名人」に加え、35銘柄に対応する「銘柄芳潤炊き」機能も持つ。

SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:162wh●保温1時間あたりの消費電力量:17.2Wh●加熱方式:7重全面加熱+連続沸騰●内釜:本炭釜●サイズ/質量:W285×H249×D320mm/約5.7kg

 

エントリーその4 〔NEW!〕

土鍋に新成分を配合し、熱伝導が大幅に向上!

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タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

実売価格13万8240円

陶器の本場・三重県四日市市 “四日市萬古焼”の本土鍋と本物の土のかまどを本体に搭載した炊飯器。土鍋に「炭化ケイ素」成分を新配合し、熱伝導が従来の約2.5倍に向上した。さらに土かまどの表面積も従来比で約11.4%アップし、高火力でふっくらごはんに炊き上げる。タッチパネル全体がスピーカーとして機能する新構造で、音声ガイドの音質もよりクリアに。

SPEC●炊飯容量:1〜5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:150Wh●保温1時間あたりの消費電力量:15.8Wh●加熱方式:土鍋圧力IH+可変W圧力IH●内釜:プレミアム本土鍋(四日市萬古焼)●サイズ/質量:約W261×H220×D325mm/約7.3kg

 

エントリーその5

内釜の底に鉄の粒子を打ち込み効率的な発熱と高い伝熱性を両立

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日立

圧力スチーム炊き

ふっくら御膳 RZ-AW3000M

実売価格7万2310円

水温を60℃以下で米にしっかり吸水させる「高温浸し」と独自の圧力スチーム技術を搭載。ふっくら艶やかで甘み豊かなごはんに炊き上げる。アルミ合金の内釜の底に発熱性の高い鉄の粒子を打ち込むことで効率的な発熱と高い伝熱性を両立し、内釜全体に素早く熱を伝えることで炊きムラを抑える。0.5合でもおいしく炊き上げる「少量炊き」機能も特徴。「蒸気カット」機能付きで、キッチン棚の中で使っても棚の天面が濡れず、設置場所の自由度が高い。

SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:145wh●保温1時間あたりの消費電力量:13.7Wh●加熱方式:圧力スチーム炊き●内釜:高伝熱 打込鉄・釜●サイズ/質量:約W268×H237×D352mm/約6.6kg

 

【各機種の検証まとめ】

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高級炊飯器の購入動機は、何より「おいしいごはんが食べたい」ということ。従って、炊飯器選びの基本は、ユーザーの食感の好みになります。食感炊き分け機能があるとはいえ、炊き上がりの違いはどうしても出るため、各機種の“クセ”は事前に理解しておきたいところです。

 

一方、操作性やメンテナンス性は、各機種へのユーザーの向き不向きを判断する要因になります。特に内釜の材質はメンテナンス性に大きく関わってくるので、注意が必要。設置性も重要で、高級炊飯器はおしなべて大きく重いうえ、炊飯時に出る蒸気量も考慮し、実際に置けるか否かを確認する必要があります。以上に留意しながら、以下で各機種の特徴をまとめて見ていきましょう。

 

エントリーその1

象印

圧力IH炊飯ジャー『極め炊き』

“南部鉄器 極め羽釜” NW-AT10

「ふっくらもっちり」食感では全機種でトップクラス

ごはんの炊き上がりの特徴は、モチモチの弾力と豊かな甘み。「熟成」メニューで炊いた場合、炊き立ての香りが濃厚で、やや柔らかめに炊き上がりました。冷やごはんも冷凍ごはんを再加熱した場合も、もちもち食感をキープ。一方、1合を「熟成」メニューで炊いた場合、香りと甘みは豊かながら、やや粘りと弾力が少ない、硬めの食感になりました。

↑冷やごはん(おにぎり)。炊き立てごはんがまとっていたつやは、冷やごはんになってもしっかりキープされています。モチモチした弾力も相変わらずでした↑炊き立てごはんがまとっていたつやは、冷やごはんになってもしっかりキープされています。モチモチした弾力も相変わらずでした

 

本機の食感炊き分けは7通り。最も「しゃっきり」で炊くともちもち感を維持しつつ、ほどける食感が前に出てきます。最も「もちもち」で炊いた場合、粘り・弾力に加え、柔らかさが強まりました。さらに初期設定を変えると、「よりもちもち」「よりしゃっきり」の食感も可能です。

 

保温に関しては、ごはんの乾燥や変色を抑える「極め保温」を使用。保温6時間後では香りとみずみずしさは弱まりましたが、もちもちした食感と甘みは維持していました。

 

“わが家好み”のごはんに簡単に調整できる

本機の炊飯における独自機能は「わが家炊き」機能です。手動の食感炊き分けはパナソニックや三菱電機に比べるとやや物足りないですが、「わが家炊き」の場合、炊飯後にアンケートに答えることで、121通りの食感のなかから最適な食感に調整します。玄米をふっくらもっちりの食感に炊き上げる玄米の「熟成」メニューも搭載しています。

↑「わが家炊き選択」ボタンを押すと、上の画面に切り替わり。毎回炊飯したあとに、炊き上がりの「硬さ」と「粘り」の評価を入力すると、次回炊飯時にその評価が反映されます。これを何回か繰り返すことで、段々好みの食感に近づきます↑「わが家炊き選択」ボタンを押すと、上の画面に切り替わります。毎回炊飯したあとに、炊き上がりの「かたさ」と「粘り」の評価を入力すると、次回の炊飯時にその評価が反映されます。これを何回か繰り返すことで、段々好みの食感に近づく仕組み

 

ふたが自動で閉まる「スマートクローズ」機能が便利

操作性は、大型の液晶パネルに全炊飯メニューが表示されるのはわかりやすいですが、「進む/戻る」ボタンを何度も押してのメニュー選択はやや手間。メンテナンス性では、内釜がかなり重いのが難点で、本体も5機種のなかでは圧倒的に重く、持ち運びが大変でした。ちなみに、本機は炊飯器のふたを手で閉じる際に力を入れて押し込む必要があるため、ボタンを押すとふたが自動で閉まる「スマートクローズ」機能が搭載されているのが便利でした。

20170926-s2-27↑本体ふたの前側面にある「CLOSE(クローズ)」ボタン。炊飯器のふたが開いているときにこのボタンを押すと、ふたが自動で閉まります。力の弱い女性や年配の方は、これを押すことで確実にふたを締めることができます

 

上記をまとめると、以下の通りになります。

●とにかくもちもちの食感が好みの人。初期設定で最強の「もちもち」モードも選べる

●自分で食感設定を試行錯誤するのが面倒な人。「わが家炊き」機能で自分好みに調整可能

●玄米もふっくらもっちりに仕上げる。玄米で「熟成」メニューが利用可能

●その他、「スマートクローズ」機能はユニークだが実用性あり

 

エントリーその2

パナソニック

スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器

Wおどり炊き SR-SPX107

バランスのよいごはんに炊き上げ、多数の銘柄炊き分けに対応

上質炊飯の「銀シャリ」コースで炊いたごはんは、ふっくらしつつも柔らかすぎず、弾力と甘みに富んだバランスのよい炊き上がりです。冷やごはんはもちもち食感にしっとり感も加わり、おにぎりやお弁当に最適。冷凍ごはんの再加熱では、炊きたての味と食感がほぼ復活しました。1合炊きは「少量」モードで炊くとさっぱり食感に。銘柄炊き分けの「おすすめ」モードのほうがふっくらもちもちの食感になりました。

↑追い炊き時の高温スチーム投入によって、うまみ成分が米一粒一粒の表面にコーティング。つやつやと輝く炊き上がりは、見るからにおいしそうです↑追い炊き時の高温スチーム投入によって、うまみ成分が米一粒一粒の表面にコーティング。つやつやと輝く炊き上がりに

 

食感炊き分けは10種類。最も「しゃっきり」に炊くとほどける食感ながら硬さは柔らかめ。最ももちもちに炊くと粘りは強いが、ほどける食感も出てくるなど、どんな食感に炊いても食べやすさを感じます。また、50銘柄の炊き分けも魅力で、各銘柄のなかで3種類の食感炊き分けもできます。

↑銘柄米の特性に合わせた火加減をプログラム、米のうまみを引き出す炊飯をしてくれます。本機では従来機種より4銘柄増え、50銘柄の炊き分けが可能になりました↑銘柄の特性に応じた炊き分けを行う「銘柄炊き分けコンシェルジュ」の銘柄選択画面

 

保温の検証では、6時間経つとややモチモチ感が減退するものの、甘みがすっきりして雑味のない、おいしいごはんでした。

 

本機は液晶パネルが大きく、表示も階層式でスムーズに設定できます。米の銘柄の特徴やごはんをおいしく炊くコツをパネルに表示できるのも便利。内釜が軽くお手入れも快適で、圧力式炊飯器の割には内ぶたの手入れもそれほど面倒ではありませんでした。

↑パナソニックの「ダイヤモンド竃釜」はおいしいごはんが炊けるのに軽くて使いやすいとユーザーから高評価を受けています↑パナソニックの「ダイヤモンド竃釜」は軽くて使いやすいとユーザーからは高評価

 

独自機能は銘柄炊き分けや10種類の食感炊き分けなど、前述の通り。また本機はスチーム用の水容器を装備、保温中にスチームを投入してごはんのうるおいを維持、「再加熱」ボタンを押すと、ごはんに炊き立ての食感が戻ります。

 

以上をまとめてみると、以下の通りです。

●ご飯のバランスを重視する人。どんなメニューでも食べやすく炊き上げる

●多くのお米の銘柄を試したい人。50種類の銘柄炊き分けに対応

●お弁当や冷凍ご飯をおいしく食べたい人

●メンテナンスがラクなほうがいい人。内釜が軽く、減圧弁の採用で洗いやすい

 

エントリーその3

三菱電機

IHジャー炊飯器本炭釜

KAMADO NJ-AW108

ほろりとほぐれる食感が心地いい

本機は今回検証した5機種のなかでは唯一の“非圧力式”炊飯器。「銘柄芳潤炊き」の「ふつう」モードで炊飯したごはんは、噛むと口のなかでほどけつつ、しっかり弾力もある独特の食感です。また、香りのみずみずしさは特筆もので、米本来の風味が豊かに感じられました。冷やごはんはモチモチ感が強まり、炊き立てとひと味違うおいしさ。一方、冷凍・再加熱したごはんは、強いしゃっきり感がありつつ、かなり柔らかくなりました。ちなみに、同モードで1合を炊くと、ごはんの粒感はそのままですが、香りがやや控えめに。また、ご飯の場所によって食感にばらつきもありました。

 

食感炊き分けは15通り。最も硬めでしゃっきりな設定だと米の粒感は突出するも「ほどよく硬い」食感で、それほど食べにくさは感じませんでした。一方、最も柔らかでモチモチに炊くと、粘りはかなり強くなりますが、ほぐれる感じもあり、柔らかさもほどほど。この粒感のあるモチモチ加減が本機の特徴といえます。また本機は、パナソニックと同じく銘柄炊き分けが可能。対応銘柄はパナソニックより少ない35銘柄ですが、各銘柄で9通りの食感炊き分けができます。

20170828-s1-2-760x570↑「しゃっきり」モードで炊いたお米。粒感が際立っています

 

パネルの情報量はやや少ないが音声ガイドに安心感あり

保温性能は、温度低めの「たべごろ保温」で検証。6時間後のごはんは、香りは減退したものの、炊き立てごはんのハリや粒感はしっかり維持されていました。

 

操作性は、液晶パネルが象印やパナソニックに比べると小さく、一度に表示できる情報量が少ないのがやや難点。音声ナビが付いているため、特に炊飯器に慣れていない時期は使っていて安心感があると思います。

↑表示はすっきりして見やすいが、一覧性↑表示はすっきりして見やすいですが、一覧性はいまひとつ。ただし、音声ナビ付きなので、現在選択している内容を音声で知らせてくれます

 

内ふたが洗いやすく玄米や麦飯の炊飯メニューが豊富

メンテナンス性は“非圧力”式のため内ぶたが洗いやすいのが特徴。ただ、炭釜を使うため、取扱う際は割れないよう注意が必要です。サイズはそれなりに大きいですが、重さが約5.7kgと5機種中最も軽く、丸みを帯びたデザインも魅力的。設置性はまずまずという印象です。

↑丸みのあるかわいらしいデザイン。キッチンはもちろん、ダイニングテーブルの上に置いてもなじみます↑丸みのあるかわいらしいデザイン。キッチンはもちろん、ダイニングテーブルの上に置いてもなじみます

 

本機は15種類の食感炊き分けや、銘柄炊きでも9通りの食感に炊き分けできるのが特徴。「芳潤炊き(玄米)」「美容玄米」「麦飯(芳潤炊き)」など玄米や麦飯の炊飯メニューも豊富で、ごはんの食感にこだわる人にはオススメです。

 

以上をまとめると、本機にオススメな人は以下の通り。

●とにかくしゃっきりな食感が好きな人。特に米の粒感を重視する人にオススメ

●多彩な機能に慣れていない人。音声ガイドで操作をアシスト

●米の銘柄をいろいろ食べ比べたい人。35種類の銘柄に対応

●冷やご飯、玄米や麦飯を美味しく食べたい人

 

エントリーその4

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

ごはんの香り、ふっくら感、おこげの香ばしさはトップクラス!

土鍋と土かまどの大火力で炊き上げる本機は、ふっくらもっちりの炊き上がりとおこげの香ばしさが楽しめるのが特徴。土鍋の素材を見直すなどして火力がアップし、香りとおこげのつき方がさらにアップしました。

 

「白米」モードで仕上がり標準、火加減「中」で炊飯したごはんは香りが濃厚。鍋肌にしっかりおこげを作りつつ、内側のごはんはふっくら柔らか。しかも弾力、甘みは強く、米の粒感も感じられ、食べ応え満点でした。冷やごはんにするとごはんが締まり、しっとりしつつもモチモチ感と甘みがアップ。冷凍・再加熱したごはんは、おこげの香りは弱まったものの、弾力と甘みは健在です。1合炊飯では、甘みは3合炊きと同等ながら、食感がより柔らかく、弾力も香りも少なめになりました。

 

食感炊き分けは従来の3段階から5段階に増え、より細かく食感設定できるようになりました。最も「しゃっきり」に炊くと柔らかながらほぐれる食感、最も「もっちり」に炊くとモチモチ度が前面に出てきます。「火かげん」キーでおこげの濃さも3段階に調整可能。特に、火加減「弱」にしたときに炊きたてごはんの香りが濃厚になり、味に深みが感じられるようになったのが斬新でした。

↑「火かげん:強」にするとよりおこげがしっかりできています。米粒にもしっかりとしたハリが見られます↑「火かげん:強」にするとよりおこげがしっかりできています。米粒にもしっかりとしたハリが見られます

 

保温性能が格段に向上し、シンプル操作で使いやすい

保温に関しては、保温6時間後でもまだおこげの香りを維持していたのが見事。モチモチ感もキープしており、5機種の中でも6時間までの保温性能は1、2を争う優秀さです。

 

操作性に関しては、炊飯設定は「進む・戻る」ボタンで行いますが、食感(仕上がり)と火加減を専用キーで設定するため、煩雑さはありません。「モーションセンサー」がスリープするまでの時間が20秒から60秒に伸び、実用性が格段に向上。音声ガイド機能も声が聞き取りやすく、使っていて安心感があります。ただし、炊飯器の外ぶたが時々締めにくくなるのはかなり困りました(たまたまテストした機種がそうだったのかもしれませんが)。

↑従来液晶の左側に2列4個並んでいたキーが1列3個になり、右側の「もどる・すすむ」キーも表示が「<|>」になってスリムに。これにより、液晶パネルが大きくなっています↑従来液晶の左側に2列4個並んでいたキーが1列3個になり、右側の「もどる・すすむ」キーも表示が「<|>」になってスリムに。これにより、液晶パネルが大きくなっています

 

土鍋をお手入れするときは丁寧に扱って

お手入れ面では、内ぶたに付いた調圧ボールと安全弁がやや洗いにくいです。土鍋も落として割れたりしないよう丁寧に扱う必要あり。ちなみに、掃除の手間は変わりませんが、新機種からスチームキャップが外ぶたの内側から着脱する方式になりました。サイズは5機種のなかではコンパクトなほうですが、重さがやや重く取っ手もないので、持ち運びがやや面倒です。

↑「プレミアム本土鍋」に炭化ケイ素成分を配合し、より高火力な炊飯が可能に。鍋底には「波紋底」を採用しており、沸騰時の泡立ちを均一にし、お米がムラなく炊き上がります↑「プレミアム本土鍋」に炭化ケイ素成分を配合し、より高火力な炊飯が可能に。鍋底には「波紋底」を採用しており、沸騰時の泡立ちを均一にし、お米がムラなく炊き上がります。お手入れの際は、割れないように注意を

 

まとめると、以下の通りになります。

●好みの食感が決まっていない人。しゃっきりでももっちりでも、香り豊かなふっくらごはんに仕上がる

●香ばしいおこげごはんが好きな人

●仕事の帰りが遅く、家族と食事時間がずれる人。数時間の保温機能が優秀

●多機能炊飯器の操作に慣れていない人。音声ガイドで操作をアシスト

 

エントリーその5

日立

圧力スチーム炊き

ふっくら御膳 RZ-AW3000M

ほどよい弾力や硬さのごはんに炊き上げ、少量炊飯が得意

本機の炊き上がりの食感は、ズバリ「中庸」。「極上炊き分け」の「ふつう」で炊いたごはんはふっくらしながら柔らかすぎず、弾力と粘り、米の粒感のバランスが取れています。

↑米粒のかたちはスリムで、しゃっきり感を感じさせながら、つや感もしっかりあります。食感と味のバランスの良さが、画像からも伝わってきます↑米粒の形はスリム。しゃっきり感を感じさせながら、つや感もしっかりあります

 

最初さっぱりしながら食べるうちに甘みが増してくる味わいも良好です。冷やごはんはややベタつきが出るものの、粒感のなかにモチっと感がもあり。冷凍ごはんを再加熱すると粘りが強くなり、やや硬めの食感に。1合炊飯では「少量」ボタンを使うことで、3合炊きとほぼ同じ味と食感を実現できました。

↑日立の「少量」ボタン↑視認性の高い縦型パネルを採用。パネルの左には「少量」ボタンがあります

 

食感炊き分けは3種類。「しゃっきり」は三菱電機に次ぐしゃっきり感で、「もちもち」で炊いた場合も、もっちり感は象印やパナソニック、タイガーの「標準」で炊いた場合より控えめでした。玄米を3種の食感に炊き分けられるのも特徴です。

 

保温性能は優秀で液晶パネルは視認性が高い

本機はパナソニック同様「スチーム保温」がウリ。保温温度の低いモードで検証したところ、保温6時間後は炊き立ての食感と味をほぼ申し分なく維持していました。

 

操作性では、本機は縦型の液晶パネルを採用。サイズも大きく、視認性は高いです。炊飯設定で、メニューを逆方向から選べるボタンがないのがやや不便でした。

 

「蒸気カット」機能の装備で設置の自由度は最優秀

メンテナンス性については、内ぶたが調圧ボール搭載の放熱板とプレート、蒸気口上ケースの3パーツ構成で洗浄がやや面倒。ただし、内釜が軽く丈夫で洗いやすいのは魅力です。一方、設置性は本機が最も優秀。他機種が炊飯中に大量の蒸気を放出するのに対し、本機は「蒸気カット」機能搭載で通常の炊飯なら蒸気がほとんど出ません。キッチン用収納棚などに置けるのはメリットです。

↑↑日立ふっくら御膳は「蒸気カット」機能により、設置の自由度が高いです

 

上記を踏まえた結果は以下の通りです。

●しゃっきり寄りの食感を好みつつ、バランス重視の人

●玄米を炊き分けて食べたい人。3段階の炊き分け機能や「炊込み」メニューあり

●少量炊飯することが多い人。専用モードあり

●設置スペースが限られている人。「蒸気カット」機能付きで置く場所を選ばない

 

本稿を参考に、条件やごはんの好みを勘案して最適な1台を選んでください。その先にはきっと、幸せな“絶品ごはん生活”が待っていますよ!

「惜しい点が1つだけ…だが、想像以上のデキ!」タイガー最新炊飯器「JPG-X100」、前モデルと徹底的に比べてみたら?

タイガーの高級調理家電ブランド「GRAND X(グランエックス)」シリーズから、新型炊飯器「JPG-X100」が発売されました。本機は、土鍋(内釜)の素材の見直しなどで火力がさらに向上し、音声アシスト機能など使い勝手も向上したといいます。とはいえ、前機種から何がどれだけ進化したのか、細かくその違いがわかる人は少ないはず。その点、筆者はつい先日、タイガーの前機種および他社メーカー4モデルのテストをみっちり行ったばかり。

 

そこで今回、前機種「JPX-102X」とまったく同じ8項目テストを実施し、徹底的に違いを明らかにしてみることにしました。その結果は、大きな不満が1つだけあったものの、炊き上がり、操作性が思った以上に進化していることが判明。以下でその詳細をチェックしてみてください!

 

 

 

【今回テストするのはコチラ】

土鍋に新成分を配合し、熱伝導が大幅に向上!

20171129-s4-(36)

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

実売価格13万8240円

陶器の本場・三重県四日市市 “四日市萬古焼”の本土鍋と本物の土のかまどを本体に搭載した炊飯器。土鍋に「炭化ケイ素」成分を新配合し、熱伝導が従来の約2.5倍に向上した。さらに土かまどの表面積も従来比で約11.4%アップし、高火力でふっくらごはんに炊き上げる。タッチパネル全体がスピーカーとして機能する新構造で、音声ガイドの音質もよりクリアに。

SPEC●炊飯容量:1〜5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:150Wh●保温1時間あたりの消費電力量:15.8Wh●加熱方式:土鍋圧力IH+可変W圧力IH●内釜:プレミアム本土鍋(四日市萬古焼)●サイズ/質量:約W261×H220×D325mm/約7.3kg

 

【比較した前モデルがコチラ】

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

20170926-s2-38

 

【検証内容はコチラ】

前回の炊飯器比較検証連載と同様、「上質炊飯機能」「食感炊き分け」「少量炊飯」「保温性能」「操作性」「メンテナンス性」「独自機能」「設置性」の8項目をチェックしていきます。

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

【テストその1 食感・味の傾向は?】

炊飯モードは「白米」、火加減は「中」、仕上がりは「標準」を選び、米3合を炊飯。炊き上がりの香りや味、食感をチェックしました。お米は宮城県産ひとめぼれの新米(平成29年産)を使用。ごはんの甘みやモチモチ感などのバランスの取れた品種です。

 

<炊き上がり>

ごはんのふっくら感もおこげの香りも前機種をしのぐ炊き上がり

本機の特徴は、その高い蓄熱性を活かした香り高いごはんが炊けることと、特におこげごはんが楽しめること。今回、土鍋の熱伝導率が2.5倍になったことで、その香りとおこげのつき方が圧倒的に高まりました。

20171129-s4 (4)

ふたを開けるとすでにおこげの香ばしい香り、みずみずしい新米ごはんの香りが周りに広がります。ごはんをほぐそうと、土鍋の鍋肌に沿ってしゃもじを入れると、しっかりおこげができています。前回のJPX-102Xの火加減「強」で炊いたときのおこげが、今回は火加減「中」ですでに実現できている印象。

 

そのおこげの部分はもちろんパリパリですが、鍋肌以外の部分はふっくら柔らかな炊き上がり。ただし、ごはんの粘り・弾力はかなり強く、米の粒感もあって食べ応えのある食感です。お米がひとめぼれということもあり、最初はやや甘みが控えめだと感じましたが、食べるうちにどんどん甘みが増幅。おかずなしでも大満足のおいしさでした。

↑茶碗によそったごはんは、たっぷり水分をまとい、つやもたっぷり。うしろにはパリパリのおこげが↑茶碗によそったごはんは、たっぷり水分をまとい、つやもたっぷり。うしろにはパリパリのおこげが

 

<冷やごはん(おにぎり)>

もちもちかつしっとりした食感はおにぎりに最適

冷やごはんは炊きたてをラップに包み、室温で5時間ほど冷ましたものを試食。炊きたてでは柔らかい食感でしたが、水分が適度に飛んでモチモチ感がより強くなり、しかもしっとり感はたっぷり残っています。甘みもしっかり感じられ、塩むすびにしただけでも十分満足できると感じました。

↑おこげの香りは弱いものの、炊きたてより弾力が増しています。しっとり感も十分で美味!↑おこげの香りは弱いものの、炊きたてより弾力が増しています。しっとり感も十分で美味!

 

<冷凍・再加熱>

食感も味も炊きたてごはんの状態をかなり再現

冷凍ごはんは炊きたてをラップに包んで冷凍保存し、1日経ったものを電子レンジで再加熱しました。冷凍することで、おこげの香りは弱まりましたが、柔らかながらモチモチした粒感のある食感で、ごはんの甘みは健在です。ただし、おこげの部分は水分を含んで柔らかくなり、粘り気も出てきて、やや食べづらくなっていました。

20171129-s4 (9)↑冷凍・再加熱しても、ごはんのつやはかなり復活しています

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

【テストその2 食感炊き分けの幅は?】

好みに応じた幅広い食感炊き分け機能の搭載は、高級炊飯器の大きな魅力のひとつです。JPG-X100は食感の炊き分けが、前機種の3通りから5通りに細分化。「仕上り」キーを押すことで「しゃっきり/ややしゃっきり/標準/ややもっちり/もっちり」と炊き分けられます。おこげのつき方は前機種同様、「火かげん」キーにより3通りに変えることができます。

 

今回は、その中から「仕上り:しゃっきり/火かげん:弱」と「仕上り:もっちり/火かげん:強」の2通りで炊飯し、食感と味の違いを比較しました。

 

「しゃっきり」ではほぐれる食感に加え米の繊細なうまみを体感

「仕上り:しゃっきり/火かげん:弱」で炊いたごはんは、おこげの香りがなくなりましたが、炊きたてごはんの香りが濃厚。ごはんの甘みがやや控えめになる代わりに、米の甘み以外の繊細な“うまみ”が感じられるようになったのが新鮮でした。食感は柔らかですが粘りは少なく、ふっくらしつつも口の中でほぐれてくれます。この食感は、しゃっきり食感の代表的な機種、三菱電機の「本炭釜 KAMADO NJ-AW108」に近いものがありますが、三菱電機がしゃっきり感の中に弾力があるのに対して、本機はより柔らかで食べやすい炊き上がりです。

↑「仕上り:しゃっきり/火かげん:弱」で炊いたごはん。「仕上り:標準」で炊いたときより、米粒表面の水分量がやや少なめです↑「仕上り:しゃっきり/火かげん:弱」で炊いたごはん。「仕上り:標準」で炊いたときより、米粒表面の水分量がやや少なめです

 

「もっちり」設定で弾力と甘みが、「火かげんアップ」でおこげの香ばしさがより強化

一方、「仕上り:もっちり/火かげん:強」で炊いた場合、おこげの香りがより濃厚になり、土鍋の鍋肌部分はおこげがパリパリに仕上がっていました。食感に関しては柔らかさが減退し(とはいえ「固い」わけではありません)、もちもち感が前面に出てきています。ごはんの甘みもさらに増していますが、それより香ばしさが主張する味わい。おこげ好きにはたまらないごはんだと思います。ただ、おこげの部分が固いと感じるのも事実。おこげをいきなりごはんに混ぜこむのでなく、まずはおこげ化していない柔らかいごはんを楽しみ、おこげの部分は別途お茶漬けやおこげスープで食べるといった、多彩な味わい方も堪能できます。

 

「しゃっきり」「もっちり」両方の炊き上がりを比較すると、その食感の幅は全機種JPX-102Xより大きくなった印象。おこげ好きだけでなく、幅広いユーザーに受け入れられるごはんの炊き分けが可能になったと感じました。

↑「火かげん:強」にするとよりおこげがしっかりできています。米粒にもしっかりとしたハリが見られます↑「火かげん:強」にするとよりおこげがしっかりできています。米粒にもしっかりとしたハリが見られます

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

【テストその3 少量炊飯の炊き上がりは?】

独り暮らしや夫婦2人世帯でも毎回炊きたてが食べたいという場合、少量炊飯でもおいしいごはんが炊けるかどうかは気になるところ。ここでは、「仕上り:標準/火かげん:中」でお米1合を炊いて、3合で炊いた場合との味と食感の違いをチェックしました。

 

香りと味はまずまずだがもちもち感がかなり弱まる結果に

炊き上がってふたを開けると、おこげごはんのいい香りが広がりますが、香り自体は3合炊いたときよりやや弱く感じます。食感は3合炊きより柔らかく、弾力も少なめに。味に関しては、最初やや弱くなったかなと感じましたが、口の中に残る味の余韻は3合炊きとほぼ同等でした。

 

結論としては、香りと味では健闘しているものの、食感、特にもちもち感が減退しており、もちもち食感が好みの人には、やや物足りない仕上りになるようです。

↑米の表面に水分をまといつつ、つやはやや弱め。おこげも3合炊きのときより弱くなっていました↑米の表面に水分をまといつつ、つやはやや弱め。おこげも3合炊きのときより弱くなっていました

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

【テストその4 保温性能は?】

メーカーが推奨する本機の最大保温時間は24時間。ここでは、炊飯後6時間経ったものと、24時間後のごはんの味をチェックしました。

 

6時間後も香ばしさが残る保温性能が見事!

6時間保温したごはんで驚いたのは、香ばしいおこげの香りがまだ残っていたこと。これは冷やごはんや冷凍ごはんにはないメリットです。甘みは炊きたて同様に強く、ごはんの劣化によるニオイも感じられません。柔らかさが炊きたてより少し増しましたが、もちもち感はしっかり残っています。全体にかなり炊きたてのクオリティを維持しており、6時間保温は十分に実用的だと感じました。前機種で試したときに比べると、6時間保温時の味わいは向上していると感じました。

↑つやはややなくなり、米の表面がぐずつき始めていましたが、味はほぼ問題なし。おこげ部分はさすがに蒸気で柔らかくなっていました↑つやはややなくなり、米の表面がぐずつき始めていましたが、味はほぼ問題なし。おこげ部分はさすがに蒸気で柔らかくなっていました

 

一方、24時間後のごはんは、ややごはんの劣化したニオイが立ち始め、おこげの香りもなくなっていました。ただ、ごはんのもちもち感はかなり残っていて、ふっくら感はありませんが、べちゃっとした食感までには至らず、甘みも十分感じられます。ただ、やはり24時間保温したものよりは、炊きたてを冷凍保存したもののほうが、炊きたてのおいしさに近い味と食感を楽しめます。

↑24時間保温後のごはん。見た目はみずみずしいつやをかなり保持しています↑24時間保温後のごはん。見た目はみずみずしいつやをかなり保持しています

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

【テストその5 操作性/メンテナンス性は?】

炊飯器は炊飯性能や保温性能に注目しがち。ですが、毎日使うのもだけに炊飯設定のしやすさやお手入れのしやすさもしっかりチェックすることが肝心です。

 

<操作性>

操作パネルの配置変更と「モーションセンサー」の改良で操作の快適性が向上

JPG-X100は従来機から操作パネルのレイアウトを変更。液晶表示部の大きさを従来より大きく取れるようになり、視認性もアップしました。「仕上り」と「火かげん」の表示も、従来の操作キーの上部ではなく、液晶表示部内に収められています。一方、人が近づいたのを感知して自動で点灯する「モーションセンサー」は、操作なしで消灯するまでの時間が前機種の20秒から、今回60秒に延長。全機種で気になっていた、「操作に迷っている間に表示が消えてしまう問題」がほぼ解消されました。

↑従来液晶の左側に2列4個並んでいたキーが1列3個になり、右側の「もどる・すすむ」キーも表示が「<|>」になってスリムに。これにより、液晶パネルが大きくなっています↑従来液晶の左側に2列4個並んでいたキーが1列3個になり、右側の「もどる・すすむ」キーも表示が「<|>」になってスリムに。これにより、液晶パネルが大きくなっています

 

↑メニュー選択の場合、「<|>」キーでなく「玄米」などメニュー表示を直接タッチして選択することもできました↑メニュー選択の場合、「<|>」キーでなく「玄米」などメニュー表示を直接タッチして選択することもできました

 

音声ガイド機能も、液晶全体を使って音が出るようになり、音質も向上したとのこと。筆者は両方を交互に聞き比べたわけではないので、どの程度聴きやすくなったかはよくわかりませんが、音声が明瞭に聴こえるのは実感しました。また、タッチパネルに触れると振動が指に伝わり、従来では得られなかったタッチ感が実感できます。キーを押すとわずかに押し返すような刺激があり、クリック感を再現。操作感の向上に貢献する秀逸な工夫です。

 

ひとつ残念なのは、炊飯器の外ぶたが閉めづらいときがあること。圧力式のIH炊飯器は、ふたを閉めるときに内部の圧力を上げるため、ふたを閉めるのに力がいるのですが、本機は特に閉まりにくい場合があります。象印の最上位機種、NW-AT10のような、電動でふたが閉まるボタンの搭載をぜひ検討してほしいところです。

20171129-s4 (18)

また、ふたの閉まり方にムラがあり、軽い力で閉まるときと、強く押し込まないとうまく閉まらないときがあります。個体差があるのかもしれませんが、かなりストレスを感じました。

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

<メンテナンス性>

土鍋の強度が上がったものの取り扱いにはなお注意が必要

お手入れするパーツは内釜(土鍋)と内ぶたとスチームキャップの3つ。本モデルから、スチームキャップが外ぶたの外側でなく内側に搭載されるようになりました。内ぶたを外すとその裏にスチームキャップが付いています。

↑写真右から土鍋、内ぶた、スチームキャップ。メンテナンスするパーツはかなり少なめです↑写真右から土鍋、内ぶた、スチームキャップ。メンテナンスするパーツはかなり少なめです

 

内ぶたは調圧ボールと安全弁が付いていて、汚れが付くと洗うのが面倒ですが、白米を3合炊きした限りでは、汚れが付くことはありませんでした。スチームキャップもスチームが凝結した水は溜まりますが、一瞬の水洗いでキレイになります。

 

土鍋の重さは1238g。土鍋を4度焼きすることで、強度も前モデルよりアップしているとのことです。ただ、それでも金属製と違って「割れない」というわけではないので、取り扱いには注意しましょう。

↑調圧ボールのすき間などに汚れがたまると、洗うのがやや大変↑調圧ボールのすき間などに汚れがたまると、洗うのがやや大変

 

↑内釜の重さは前モデルより100g重くなっています↑前機種は1138gで、本機は1238g内釜の重さは前モデルより100g重くなっています

 

フレームのお手入れに関しては、フレーム表面に細かいシボ(凹凸)があります。メーカーの説明では、このシボにより汚れが付いても落ちやすいとのこと。試しに米粒を擦り付け、乾かしたあと乾いた布巾で拭き取ってみたところ、確かに大部分の汚れは簡単に落ちます。わずかに凹凸のすき間に残った汚れも、濡れた布巾で簡単に取れました。

↑乾いた布巾で汚れをふき取ったあと。わずかに汚れのこびりつきがありました↑細かいシボのあるフレーム。乾いた布でこびりついた米粒をふき取ると、わずかに汚れのこびりつきが残りますが、大部分の汚れは落ちました

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

【テストその6 独自機能/設置性は?】

「独自機能」は、ごはんのおいしさや炊飯のバリエーションアップにつながる、本機ならではの機能や技術をチェックします。使い勝手の向上やメンテナンスの手間を省く機能も見ていきます。「設置性」は横幅と奥行き、重さを確認。また、炊飯器の設置場所の自由度を左右する炊飯中の蒸気の出方もチェックしました。

 

<独自機能>

火力強化や操作性向上のための独自機能がチューンアップ

本機の最大の特徴であり、かつ前機種から進化した点は、熱伝導率が約2.5倍になったことによる火力アップ。これによりおこげごはんの香ばしさが大きく向上しました。また、内ぶたに親水加工を施し、水分がしずくになりにくく、炊き上がり後や保温中のつゆだれを抑制。また、保温中に内ぶたに水分の膜を作ることで、ごはんをしっとり保温できます。

↑「プレミアム本土鍋」に炭化ケイ素成分を配合し、より高火力な炊飯が可能に。鍋底には「波紋底」を採用しており、沸騰時の泡立ちを均一にし、お米がムラなく炊き上がります↑「プレミアム本土鍋」に炭化ケイ素成分を配合し、より高火力な炊飯が可能に。鍋底には「波紋底」を採用しており、沸騰時の泡立ちを均一にし、お米がムラなく炊き上がります

 

↑表面に親水性の高い塗膜をつけた「つや艶内ふた」を採用。加熱時には表面に付いた水分が素早く蒸発します。保温時には内ぶた表面に長く留まり、ごはんの乾燥を防ぎます↑表面に親水性の高い塗膜をつけた「つや艶内ふた」を採用。加熱時には表面に付いた水分が素早く蒸発します。保温時には内ぶた表面に長く留まり、ごはんの乾燥を防ぎます

 

本機では、ごはんの食感(粘り)も5通りに炊き分け可能になりました。これに火かげんキーで3通りのおこげのつき方が調節でき、多彩な香りや食感を楽しめます。火かげん設定を、さらに弱めや強めにシフトすることも、前モデル同様に可能です。

 

炊飯機能では2種類の「麦めし」モードを搭載しているのも特徴。今回、「もち麦」モードで炊飯したところ、もち麦独特の甘みと、プチプチもちもちした食感が楽しい絶品ごはんに炊き上がりました。

↑白米にもち麦3割を混ぜて炊飯。白米だけ炊いたときとは違う粘り気のあるつや、大麦独特の甘い香りが楽しめる麦ごはんができました。パサつきは皆無。日常的に使ってみたいモードです↑白米にもち麦3割を混ぜて炊飯。白米だけ炊いたときとは違う粘り気のあるつや、大麦独特の甘い香りが楽しめる麦ごはんができました。パサつきは皆無。日常的に使ってみたいモードです

 

そのほか、操作の快適さにつながる「モーションセンサー」や「音声ガイド」機能も前機種からさらに実用性がアップ。土鍋ふたも付属し、土鍋ごとおひつとして食卓に出すことができます。

 

<設置性>

前モデル同様、本体はコンパクトだがやや重めで設置場所を選ぶ

本体の横幅は26.1cmで、奥行きは32.5cm。前モデルと比べ、幅が0.4cm狭く、奥行きが1.6cm長くなっていて、大手メーカーの高級炊飯器の中でもコンパクトな部類に入ります。重さは約7.3kgでやや重め。取っ手がないので、移動時は両手で持つことになります。

 

火力がアップしていることで、水蒸気もかなりの量を放出します。上部に十分な空間のある場所かレンジフード(換気扇)の近くで炊飯するのがいいでしょう。

20171129-s4 (31)↑火力が強くなるにつれ、水蒸気の量も増加。特に炊飯中に減圧する際に、大量の蒸気が出ます

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

【テストのまとめ】

おこげの香り以外にも多彩なおいしさを楽しめる製品に進化!

20171129-s4 (43)

タイガーの高級炊飯器「THE炊きたて」シリーズの魅力は、まず第一に「香ばしいおこげごはんが楽しめる」ことだと筆者は考えていました。が、今回最新モデルを使ってその考えが変わりました。本機は火かげん弱にすればおこげなし、炊きたての香り豊かでふっくらもちもちのごはんが楽しめます。また、そこから火かげんを強めることで、おこげの香ばしい香りをプラスすることが可能。「しゃっきり」と「もっちり」の食感の幅も、前機種の段階で最も大きな差が感じられましたが、今回さらにその幅が大きくなった印象です。

 

食感炊き分けも3通りから5通りに増加。柔らかめな炊き上がりの中で「しゃっきり」から「もっちり」までの食感の強弱がしっかりつき、いろいろ設定を変えるたびに、異なるおいしさが楽しめました。おこげだけでなく、より多彩な味わいが表現できるように進化したというイメージです。

 

冷やごはんはもちもち感がアップし、お弁当やおにぎりに最適。冷凍・再加熱したごはんは、炊きたてのふっくらもちもちした食感と甘みが蘇りましたが、おこげの部分はやや粘り気が出過ぎて食べづらく感じました。

20171129-s4 (40)

 

保温機能も6時間までなら極めて優秀!

本機は前機種と比べて保温性能も進化。6時間程度の保温なら、粒感を残したもちもち感や甘みはもちろん、おこげの風味まで維持できていました。ただし、24時間経つとさすがにやや劣化が目立ってくるので、冷凍・再加熱のほうがオススメです。

↑操作パネルやモーションセンサーの改良で炊飯設定がよりスムーズに↑操作パネルやモーションセンサーの改良で炊飯設定がよりスムーズに

 

操作性ではキーのレイアウトが変わったことで、液晶画面が大きくなったのが特徴。食感や火加減の表示も液晶画面内にまとめられました。音声ガイド機能付きで操作に安心感があるのも魅力。モーションセンサーの消灯までの時間が60秒に伸びたことで、操作中のストレスが大幅に軽減されました。ただし、外ぶたの閉めにくさは減点対象です。

 

メンテナンス面では内ぶたの調圧ボール、安全弁に汚れがついたときの手入れがやや面倒。土鍋は強度が増しましたが、そのためか重さも100g増加し、洗うときの扱いにも注意が必要です。

 

独自機能に磨きがかかって製品の魅力もアップ!

独自機能では、火力アップに加え、食感炊き分けのバリエーションが5通りに増加。おこげのつき方も好みや用途に応じて変えられます。また「麦めし」モードは従来機種からの継続機能ですが、パサつきもなく何度でも食べたいと思わせる炊き上がりでした。モーションセンサーの実用性アップも見逃せないポイントです。

20171129-s4 (32)

設置性の面では、各メーカーの最上位機の中では小さめなサイズですが、それでもかなりの場所を取ります。また、蒸気も出るので設置場所は相変わらず限定されます。これらの結果を踏まえ、本機がオススメな人を考察してみました。結果は以下の通りです。

●ふっくら柔らかめなごはんが好きな人

●おこげの香り豊かなごはんが好きな人

●好みの食感が決まっていない人、いろいろな食感のごはんを楽しみたい人。炊き分け機能が5通りに増え、より細かな食感の違いが楽しめます

●お弁当、おにぎりを作る機会の多い人

●多機能炊飯器の操作に慣れていない人。液晶パネルやモーションセンサーの改良と音声ガイドでさらに操作性がアップ

20171129-s4-(35)

JPG-X100は、前モデルよりもごはんの香りとふっくら感がアップ。「しゃっきり」と「もっちり」それぞれでよりおいしくなりました。炊飯設定もよりわかりやすくなり、ごはん好きにとって、満足感が極めて高い1台です。

「おこげ加減」が選べるってスゴくない? タイガー炊飯器「JPX-102X」濃厚レビューで「ご飯の楽しさ」を堪能!

本サイトでは、主要メーカーのハイエンド炊飯器のなかでも人気の高い5機種を集め、徹底的に比較・検証した記事を連載してきました。今回は、炊飯器の老舗、タイガーの「THE炊きたて JPX-102X」を取り上げます。最新機種ではありませんが、そのぶん価格がこなれてきて買いやすくなったのは事実。炊き上がりの傾向をはじめ、操作性や独自機能など、以下で詳細をチェックしてみてください!

 

【今回テストするのはコチラ】

高温で炊き上げて高温で蒸らし、甘みと弾力の強いごはんに仕上げる

20170810-s1-4 (2)

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

実売価格9万9802円

内釜に遠赤効果の高い釉薬を塗った土鍋を採用し、さらに本物の土のかまど「遠赤大土かまど」を本体内に装備。土鍋と土かまどの二重発熱構造と可変圧力によって高温で炊き上げ、200℃以上の「高温蒸らし」で、甘みと弾力の強いご飯に仕上げる。しゃっきりからモチモチまで、好みの粘り加減に調整できるほか、土鍋のおこげが味わえる3段階の火加減調節も可能。「押麦メニュー」と「もち麦メニュー」の2種類の麦めしメニューも搭載する。

SPEC●炊飯容量:1.0~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:148wh●保温1時間あたりの消費電力量:18.3Wh●加熱方式:土鍋圧力IH + 可変W圧力IH●内釜:プレミアム本土鍋(四日市萬古焼)●サイズ/質量:約W265×H233×D309mm/約7.4kg

 

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土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストその1 食感・味の傾向は?】

最も上質な炊飯ができるコースで炊き上げ、その香りや味、食感を比較しました。お米は岩手県産ひとめぼれ(無洗米)を使用。コシヒカリの強い味わいと、ササニシキのさっぱりした味の中間にあたる、バランスの取れた味のお米です。米は3合で炊飯。今回は機種の味の傾向を知るために、中庸(ふつう)の食感設定を選択しました。

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また、食感と食味は炊きたてに加え、冷やごはんと冷凍・再加熱したものについてもチェックしています。冷やごはんは、炊きたてをラップに包んでおにぎりにし、室温で5時間ほど冷ましたものを試食。冷凍ごはんは、炊きたてをラップに包んで冷凍庫で冷凍し、1日経ったものを電子レンジで温めました。

<炊き上がり>

おこげの香ばしさ、強い弾力と粘りがあって食べ応え満点

蓄熱性の高い土鍋とかまどを本体内に搭載した本機は、その蓄熱性を活かして香ばしい風味のごはんが炊けるのが特徴。おこげが手軽に楽しめるのも魅力です。今回は、「極うま白米」の仕上がり(食感)標準を選択。さらに、火加減は3段階のうちの「中」を選びました。

 

炊き上がってふたを開けると、ほのかなおこげの香りとともに、炊き立てごはんの香りが立ち込めます。やや柔らかめの炊き上がりながらごはんにハリがあり、強い弾力と粘りのある、食べ応え満点の食感。噛むほどに甘みが口のなかに広がります。実は別日に火加減「弱」でも炊いたのですが、これだとおこげがほとんどつきませんでした。なお、火加減「弱」より火加減「中」で炊いたほうが、ごはんのモチモチ感が増した印象です。

↑写真でも米の粘りと弾力がはっきりわかる炊き上がり。鍋肌でできた「おこげ」もうっすらと見えます↑写真でも米の粘りと弾力がはっきりわかる炊き上がり。鍋肌でできた「おこげ」もうっすらと見えます

 

<冷やごはん(おにぎり)>

食べ応えは健在で、水分が飛び引き締まった食感に

冷やごはんもモチモチ感がしっかり感じられ、甘みも強くて食べ応えがありました。ごはんの水分が適度に飛んで、炊きたてよりごはんが引き締まった感もあり、これはまたこれでおいしいです。

↑モチモチ感はそのままに、米一粒一粒が主張する感じが高まっていました。ただし、炊き立ての香ばしい香りは弱まっていました↑モチモチ感はそのままに、米一粒一粒が主張する感じが高まっていました。ただし、炊き立ての香ばしい香りは弱まっていました

 

<冷凍・再加熱>

わずかにベタつくが、独特の粘りとおこげの風味が復活

冷凍ごはんは、再加熱することで独特の粘りとおこげの風味が蘇りました。炊きたてに比べ、さすがにベタつき感が増えましたが、味は十分おいしく、炊きたての新鮮な香りも復活します。

↑ごはんのつや感は炊き立てに近く見えますが、よく見ると米粒同士がよりくっついているのがわかります↑ごはんのつや感は炊き立てに近く見えますが、よく見ると米粒同士がよりくっついているのがわかります

 

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土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストその2 食感炊き分けの幅は?】

その炊飯器で「最もしゃっきり硬めの食感に炊き上げるモード」と、「もっとももちもちに炊き上げるモード」で炊飯。それぞれの食感の違いを見ることで、その機種が実現できる食感の幅を確認しました。

「しゃっきり」では米の粒感が際立ち、「もっちり」では粘りと甘みがアップ

食感炊き分けは「極うま白米」モードの「しゃっきり/標準/もっちり」の3種類のみ。これに加えて、おこげの具合を調節する「火かげん」キーが3段階で変えられます。今回は「しゃっきり/火かげん弱」と「もっちり/火かげん強」で炊き比べました。

20170828-s1-(25)

「しゃっきり/火かげん弱」で炊いたごはんは、かなり米の粒感が立った炊き上がりでした。粘り気も少なく、甘みもすっきりした印象です。

↑おねばをまとってつやつやと輝く見た目ですが、食感はしゃっきり硬めです↑おねばをまとってつやつやと輝く見た目で、食感はしゃっきり硬めです

 

一方、「もっちり/火かげん強」で炊いたごはんは、標準モードよりもちもち感がさらにアップ。さらに、おこげの色こそ付きませんでしたが、表面の食感がパリッとなりかけていました。柔らかく粘りと甘みの強いごはんで、特に甘み強いと感じました。

↑米の表面にコーティングされたおねばの量がすごい。もちもち感が写真からも伝わってきます↑米の表面にコーティングされたおねばの量がすごい。もちもち感が写真からも伝わってきます

 

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土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストその3 少量炊飯の炊き上がりは?】

これまで同様、米は岩手県産ひとめぼれ(無洗米)を使用。米1合を標準(ふつう)の食感設定で炊飯し、3合炊きしたときのごはんの味・食感との違いをチェックしました。

弾力少なめのごはんにモチっと食感が混じる独特の炊き上がり

「極うま白米」の仕上がり(食感)標準を選択。火加減は3段階のうちの「中」を選びました。全体に3合炊きよりかなり柔らかめ、弾力少なめに炊けており、土鍋の鍋肌と接するおこげになりかけの部分のみ、かなり粘りの強いモチっとした食感になっています。この辺りは、「食感のばらつき」とも捉えられるため、好みが分かれそう。

 

ごはんの甘みは3合で炊いたときよりやや控えめで、香りもほのかにおこげが香る程度と、味・香りとも抑えられていた印象です。

20170822-s3 (7)_R

↑「おねば」をしっかりまとってつやつやした表情。全体的にはモチモチ感が弱くなっていましたが、ところどころにモチモチ感がかなり強い部分があります↑「おねば」をしっかりまとってつやつやした表情。全体的にはモチモチ感が弱くなっていましたが、ところどころにモチモチ感がかなり強い部分があります

 

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土鍋圧力IH炊飯ジャー

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【テストその4 保温性能は?】

最もオーソドックスなモードで、3合炊きしたごはんを24時間保温。炊飯6時間後の味と食感とニオイ、24時間後の味と食感とニオイをチェックしました。

6時間保温でややベタつきが出始めるが味わいは悪くない

保温機能は連続して保温を行うモードと6時間で保温が切れるモードの2種類がありますが、保温温度は1種類です。

 

6時間保温したあとにごはんを試食すると、食感がかなり柔らかくなり、ベタつきも出てきていました。米粒同士がくっついて団子状態になりはじめていて、ほぐれる感じはありませんでした。ただ、香りに臭みはなく、甘みもあって、味は悪くないと感じました。

↑見た目は、つやがややなくなってきた印象。やや米粒の表面が糊化し始めています↑見た目は、つやがややなくなってきた印象。やや米粒の表面が糊化し始めています

 

保温して24時間後になると、食感はさらに柔らかく、米同士が団子のようにくっつく状態も進行。ごはんの量が少なかったためか、場所によってごはんがべちゃっとしている部分と、乾燥している部分があったのも気になりました。味はよく言えば「おこげの香ばしさが強くなった」とも言えますし、悪く言えば「臭みが出てきた」とも言えます。

↑ごはんは場所によって、乾き気味の部分が出てきています。色もやや黄色くなっていました↑ごはんは場所によって、乾き気味の部分が出てきています。色もやや黄色くなっていました

 

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THE炊きたて JPX-102X

【テストその5 操作性/メンテナンス性は?】

「操作性」に関しては、炊飯設定する際の液晶パネルの見やすさや、ボタン操作のしやすさをチェック。特に、目的の炊飯設定にするまでの工程に注目し、取扱説明書を見なくても炊飯設定がスムーズにできるかどうかを確かめました。「メンテナンス性」に関しては、炊飯後に洗うパーツの数や洗いやすさ、フレームに付いた汚れや露の拭き取りやすさをチェックしました。

<操作性>

タッチパネルと音声ガイド機能を搭載し、スタイリッシュかつ快適操作

本機はタッチパネルを採用。各ボタンに軽く触れるだけで操作ができます。液晶パネルは高級炊飯器のなかでも小さい部類で、文字のサイズも小さめですが、黒地に白い文字で、視認性は高いです。

↑液晶パネルの文字と操作ボタンが黒いボディに浮き上がって表示され、スタイリッシュです↑液晶パネルの文字と操作ボタンが黒いボディに浮き上がって表示され、スタイリッシュです

 

本機は「モーションセンサー」を搭載しているのも特徴。本体に人が近づくとパネルが自動で点灯します。約20秒操作をしないと消灯しますが、取扱説明書を見ながら操作中に20秒経って表示が消えることが多く、やや不便を感じました(ただし、センサー上に手をかざすと再点灯します)。消灯までの時間を設定できれば、と感じましたが、操作に慣れれば操作に20秒かかることも少なくなるでしょう。

↑約20秒操作しないと、すべての表示が消えます。「モーションセンサー」に手をかざすと設定途中の表示に戻ります↑約20秒操作しないと、表示が消えます。「モーションセンサー」に手をかざすと設定途中の表示に戻ります

 

ちなみに本機は音声ガイド機能も装備。炊飯までに必要な操作を音声で教えてくれるのは便利。「音声ガイド」ボタンを押すと、必要な操作を声で教えてくれます。音量は3段階から選択可能。音声ガイドをもう一度聞きたいときは、再度音声ガイドキーを押します。

 

炊飯設定は、「もどる・すすむ」ボタンで希望する設定を選びます。炊飯設定は11モードと多くはないので、「もどる・すすむ」ボタンのみの操作でも、それほど不便は感じませんでした。

↑「もどる・すすむ」ボタンで炊飯モードを選択。選択したモードの下に点線表示がつきます↑「もどる・すすむ」ボタンで炊飯モードを選択。選択したモードの下に点線表示がつきます

 

「極うま白米」モードでは「火かげん」「仕上がり」ボタンで好みの仕上がりの調整が可能です。また「炊き込み」モードでは、「火かげん」の調節のみ可能です。

↑「火かげん」ボタンではおこげのつき方を調整でき、「仕上がり」ボタンでは、ご飯の粘りを「しゃっきり/標準/もっちり」の3段階で調整できます↑「火かげん」ボタンではおこげのつき方を調整でき、「仕上がり」ボタンでは、ご飯の粘りを「しゃっきり/標準/もっちり」の3段階で調整できます

 

無洗米を炊飯するときは、設定の最後に「炊飯/無洗米」ボタンを2回タッチすると、パネル上に「無洗米」と表示され、炊飯が開始されます。

 

<メンテナンス性>

調圧ボールと土鍋を採用しており、手入れはやや大変

お手入れするパーツは内釜(土鍋)と内ぶたとスチームキャップの3つ。内釜と内ぶたは炊飯するたびに台所用洗剤で洗います。特に内ぶたは裏に調圧ボールと安全弁が付いているので、丁寧に洗う必要があります。一方スチームキャップは、通常それほど汚れないので、水で洗えば大丈夫です。

↑写真左が内釜(土鍋)。右下が内ぶたで右上はスチームキャップ(蒸気口)。スチームキャップは2つに分解して洗います↑写真左が内釜(土鍋)。右下が内ぶたで右上はスチームキャップ(蒸気口)。スチームキャップは2つに分解して洗います

 

↑調圧ボールが2個入っているので、汚れがちまったときは洗うのがやや面倒です↑調圧ボールが2個入っているので、汚れがたまったときは洗うのがやや面倒です

 

内釜の重さは1138g。土鍋はセラミックコートで丈夫にはなっていますが、それでも割れる可能性があるので、丁寧に扱う必要があります。

↑内釜の重さは三菱電機の本炭釜よりやや軽い程度です↑内釜の重さは1138g

 

フレームはフラットですが、表面がザラザラしていて、ステンレスよりやや拭き取りにくいです。

↑つゆ受け部の表面には細かな凹凸が入っています。おつゆが乾いて汚れがこびりつく前に拭き取った方が掃除がラクでしょう↑つゆ受け部の表面には細かな凹凸が入っています。つゆが乾いて汚れがこびりつく前に拭き取った方が掃除がラクです

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストその6 独自機能/設置性は?】

「独自機能」は各炊飯器に搭載されている、ごはんのおいしさにつながる独自の機能や技術、炊飯のバリエーションを広げる機能などをチェックします。また、使い勝手向上やお手入れの手間を省く便利機能も見ていきます。

 

「設置性」に関しては、横幅と奥行き、重さを確認します。また、炊飯中の蒸気の出方もチェック。さらに、設置性を高める独自の工夫があれば、それもチェックしていきます。

<独自機能>

おこげのつき方をカンタン調整&モーションセンサーでスタイリッシュに操作!

内釜に土鍋を採用するだけでなく、炊飯器の本体にも土を使ったかまどを内蔵し、高い発熱性と蓄熱性で香り高いごはんに仕上げるのが本機の特徴。「火かげん」キーを使っておこげの程度を調整することができるほか、「仕上り」キーでごはんの粘り調整もできます。

↑おこげの程度とごはんの粘りを設定する専用キーを搭載。直感的な操作で好みの味わいに仕上げられます↑おこげの程度とごはんの粘りを設定する専用キーを搭載。直感的な操作で好みの味わいに仕上げられます

 

「火かげん」キーを最弱にしてもおこげが付きすぎたり、最強にしてもつかなかったりする場合は、より弱めや強めに設定をシフトすることも可能です。

↑おこげの色をより強力に調整したいときは、「極うま白米」を選んでから「予約」キーを3秒以上タッチ、左の数字を「(モード)1」に設定します。右の数字は「2」〜「-2」に設定可能で、数字が大きいほど濃い色のおこげに、小さいほど薄い色のおこげに仕上げます↑おこげの色をより強力に調整したいときは、「極うま白米」を選んでから「予約」キーを3秒以上タッチし、左の数字を「(モード)1」に設定します。右の数字は「2」〜「-2」に設定可能で、数字が大きいほど濃い色のおこげに、小さいほど薄い色のおこげに仕上げます

 

さらに「麦めし」モードは押麦ともち麦の2種類に対応。それぞれの麦に合わせたプログラムでニオイを抑えて炊飯します。

 

ちなみに、本機が採用する内釜(土鍋)は三重県四日市市の萬古焼を使用。土鍋ふたも付属し、土鍋をおひつとして使うこともできます。また、人が近づくとタッチパネルを点灯させるモーションセンサーを搭載するのはタイガーのみ。未来的でスタイリッシュなイメージに貢献しています。「音声ガイド」で操作の確認ができるのも便利。

↑付属の土鍋ふたを使えば、土鍋ごと食卓に置いても炊き上がりの温かさをキープ。実際にテーブルに置く際は、つゆ取り用の市販の布巾と鍋敷きを使ってください↑付属の土鍋ふたを使えば、土鍋ごと食卓に置いても炊き上がりの温かさをキープ。実際にテーブルに置く際は、つゆ取り用の市販の布巾と鍋敷きを使ってください

 

<設置性>

コンパクトかつ落ち着いたデザインだが蒸気量は多く設置場所を選ぶ

本体の横幅は26.5cm、奥行きは30.9cmで、象印を除くとわずかの差ですが、最もコンパクトサイズになっています。一方重さは土鍋、土かまどを採用しているせいか、約7.4kgとやや重め。また、取っ手がないため、移動するときは両手で持つ必要があります。

↑天面がツヤあり、側面がツヤなしの黒の色使いで、取っ手のないシンプルなデザインには、落ち着きも感じられます。シニア世代の家族のオシャレなキッチンにも合いそうです↑天面がツヤあり、側面はツヤなし。取っ手のないシンプルなデザインが、落ち着いたイメージを与えます。シニア世代の家族のオシャレなキッチンにも似合いそう

 

炊き上がりのおいしさを最優先に考えているため、本機も水蒸気をかなり放出します。上に十分な空間がある場所か、レンジフード(換気扇)の近くでの炊飯がオススメです。

↑写真では分かりづらいですが、最も大火力で炊飯している時間帯は、蒸気口から大量の蒸気が出ています↑写真では分かりづらいですが、最も大火力で炊飯している時間帯は、蒸気口から大量の蒸気が出ています

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストのまとめ】

最も食感の炊き分けの幅が大きく、おこげも楽しい

土鍋と土かまどの大火力で炊き上げる本機。ふっくらもっちりの炊き上がりとおこげの香ばしさが楽しめるのが特徴です。「極うま白米」の仕上がり標準、火加減中で炊飯したごはんは、食感はやや柔らかめですが、弾力、粘り、甘みが強く、食べ応え満点でした。冷やごはんにするとやや柔らかめのごはんが引き締まり、また別のおいしさが出てきます。冷凍・再加熱したごはんは、ベタつき感が出始めたものの、炊き立ての弾力とおこげの香りが復活。一方、1合炊飯では、食感がより柔らかく、弾力も香りも少なめに。おこげになりかけの部分のみモチっとした粘りがありました。

 

食感炊き分けは3段階と少なめ。炊き分けには「仕上がり」キーを使い、さらに「火かげん」キーでおこげの濃度も調整します。実際に炊き分けすると、ごはんは柔らかめながら、「しゃっきり」「もっちり」という設定通りの食感が強く現れ、食感の幅は5機種のなかで最も大きく感じました。本機の魅力は「火かげん」キーを専用につけるなど、おこげにこだわっていること。火加減は3段階ですが、初期設定を変えてより強いおこげも作れます。

↑写真でも米の粘りと弾力がはっきりわかる炊き上がり。鍋肌でできた「おこげ」もうっすらと見えます↑食感を「標準」、火加減「中」で炊いたご飯。中央にうっすらおこげが入っています

 

操作に煩雑な印象はなく、音声ガイドに安心感あり

保温に関しては、保温6時間後のごはんには米にベタつきが出始めていましたが、炊き立ての甘さと香りは維持できていました。

 

操作性に関しては、炊飯設定は「進む・戻る」ボタンで行いますが、食感(仕上がり)と火加減を専用キーで設定するため、煩雑さは感じませんでした。また、音声ガイド機能は使っていて安心感がありました。

20170828-s1-(25)↑「火かげん」と「仕上り」を各3段階で設定できます

 

タッチパネルとモーションセンサーでスマートな外観

お手入れ面では、内ぶたに調圧ボールと安全弁が付いていて、やや洗いにくいです。土鍋もやや重く、落として割れたりしないよう、丁寧に扱う必要があります。サイズは高級炊飯器のなかではコンパクトなほうですが、重さがやや重く取っ手もないので、持ち運びがやや面倒。落ち着いた黒のデザインはオシャレです。タッチパネルとモーションセンサー採用で、スマートな操作性を提示しているのも特徴です。

↑液晶パネルの文字と操作ボタンが黒いボディに浮き上がって表示され、スタイリッシュです↑液晶パネルの文字と操作ボタンが黒いボディに浮き上がって表示され、スタイリッシュです

 

まとめると、以下の通りになります。

●おこげの香ばしさが好きな人

●好みの食感が決まっていない人。炊き分けは3種類ながら、炊き分けの幅が広い

●多機能炊飯器の操作に慣れていない人。音声ガイドで操作をアシスト

●スタイリッシュなデザインが好きな人。タッチパネルとモーションセンサーですっきりとした外観

本機を手に入れれば、香ばしいおこげが楽しめるうえ、炊き分けの食感の幅が広いので、日によってまったく違う食感を味わうことも可能。お手入れはやや大変ですが、その手間を補って余りあるご飯の楽しみが味わえます。

「やわらかご飯は食べやすい」は間違った常識だった! タイガーの戦略発表会で判明した「本当に食べやすいご飯」とは

筆者のように50歳を超えるとやはり健康が気になります。最近、仕事先や友人・知人の中に生活習慣病にかかっている人が相次いで現れ(自分より年下の人も!)、「他人事ではない」と戦々恐々としています。生活習慣病を予防するにはやはり食事が大切なので、最近は糖質制限をしたり、食べ過ぎ・飲み過ぎないようにしたりと、少しずつ食生活の見直しを始めました。そんな折、タイガー魔法瓶から炊飯器やホームベーカリーを使った健康分野の新戦略発表会を開催するとの案内が。ただでさえ病気の恐怖におののく年齢だけに、健康と聞いて参加してみないわけにはいきません。

 

タイガーが健康ソリューション事業の強化を発表

発表会の冒頭、あいさつに立ったタイガー魔法瓶の菊池嘉聡社長は、産官学連携によるヘルスケア領域での健康ソリューション「Magical Solutions of Wellness」と名付けたタイガーの新しい試みについて次のように説明しました。

↑タイガー魔法瓶の菊池嘉聡社長↑タイガー魔法瓶の菊池嘉聡社長

 

「厚生労働省の調査によると、健康を意識している人のうち、食事・栄養に気を配っている人は7割。しかし、健康・美容のために美味しい食事を我慢する人も多い。そこで、産官学連携により、調理家電によって美味しさを犠牲にすることなく健康・美容に配慮した提案をしていくことにしました。タイガーだからこそできるこの健康ソリューション事業は、2018年度に売上高108億円、創業100周年となる2023年には200億円の規模まで育てたいです」(菊池社長)

 

タイガーの新しい成長戦略として、単に家電製品というハードを作って売り出すだけではなく、「健康」をキーワードとした食材・食べ方の提案も同時に行っていくとのことです。今回、具体的には次の3種類の提案を示しました。「さらっとご飯」「麦めし」「無添加グルテンフリー米粉100%食パン」です。

↑今回発表した産官学連携の健康ソリューション↑今回発表した産官学連携の健康ソリューション

 

高齢者でも食べやすい「さらっとご飯」を炊く技術を開発

まず、ひとつめの「さらっとご飯」とは何でしょうか。「老化によりのどの筋力が低下して食べ物が飲み込みにくくなる。さらに、反射神経の低下で気管と食道の切り替えがうまくいかずに誤嚥しやすくなります。70歳以上の肺炎の約80%が誤嚥性肺炎が原因と言われていますが、高齢者にいつまでも安心して美味しいご飯をたべてほしい。そんな思いで開発したのが、『さらっとご飯』です」と、開発本部統括マネージャーの金丸 等氏。

↑金丸均マネージャー↑金丸 等マネージャー

 

ご飯はやわらかければ食べやすくなるわけではない

タイガーでは、ご飯の飲み込みにくさはベタつきにあると突き止め、ベタつきのもととなる炊飯時の“おねば”を取り除く技術の開発に、このほど成功したのです。「さらっとご飯」を共同開発したのが兵庫県立大学環境人間学部の坂本薫教授。

 

「高齢者は口の動きが悪くなり、唾液の分泌が減少することで飲み込みづらくなります。口の中に食べ物が残り、口の中を衛生的に保ちにくくなると誤嚥性肺炎の原因にもなる。高齢者にとっては、口の中に残りにくく、ほどよくまとまって飲み込みやすいご飯が良いのです。ところが、一般的な高齢者向けご飯は、水加減を増やしてやわらかめに炊いてしまう。すると、お米が胴割れ状態になり、中からでんぷんが流出してベタベタした糊状のご飯になってしまうのです。これでは、くっついて口の中に残りやすくなるし、味も美味しくありません」。

↑兵庫県立大学環境人間学部の坂本薫教授↑兵庫県立大学環境人間学部の坂本薫教授

 

目からウロコが落ちました。我々はいままで、「高齢者のため」と思って真逆のことをしていたのです。だったら、もっと水加減を増やしてお粥にすれば飲み込みやすくなって良いのではと思う方もいるのでは? でも実は、お粥にも大きな問題があるとのこと。水分量が多いため必要な栄養量が確保しにくいく、必要な栄養量を確保するために大量に食べなければいけないといいます。これも現実的ではありません。

 

飲み込みやすくするには「おねば」を絶妙なバランスで取り除くこと

これまで炊飯器メーカーは、「おねば(=炊飯時に出るねばねばした汁)にお米の旨みが凝縮されているので、炊飯時に蒸気に含まれるおねばを途中で釜に戻す」ということをしてきました。そして今回、同社が開発したのは「“おねば”を取り除く技術」。つまり、これまでの主張と正反対のことをやろうとしているのです。これに関して坂本教授は、「おねばを取り除き過ぎると美味しさが半減するだけでなく、口の中でバラバラになって、かえって飲み込みづらくなる。今回、味を損なわず、さらっとして、それでいてまとまりやすい絶妙なバランスでおねばを取り除く方法を確立しました」と説明しました。

↑タイガーが開発したおねば回収プレートと専用炊飯プログラムで「さらっとご飯」が実現↑「さらっとご飯」を実現する技術。タイガーが開発した「可変おねば回収プレート」と専用炊飯プログラムで「さらっとご飯」が実現

 

↑さらっとご飯はやわらかく、べたべたせず、咀嚼回数・嚥下回数も少なくて済みます。官能評価でも、美味しい、飲み込みやすいなど、基準飯より高い評価を受けています↑さらっとご飯はやわらかく、べたべたせず、咀嚼回数・嚥下回数も少なくて済みます。官能評価でも、美味しい、飲み込みやすいなど、基準飯より高い評価を受けています

 

発表会のあとに、「さらっとご飯」を試食しましたが、確かにお米の表面がサラっとしています。それでいて食感は硬いわけではなく、適度な噛みごたえで甘みがあり、喉をするっと通っていく、とても食べやすいご飯でした。50歳になると若干、嚥下能力が落ちて飲み込みづらく感じますが、このご飯はとても食べやすく飲み込みやすかったです。

↑試食では、やわらかめに炊いたご飯とさらっとご飯の比較ができたが、やわらかめご飯がベタベタして喉に引っかかる感じがしたのに対し、さらっとご飯は喉ごしがよく、スルッと飲み込めて食べやすい↑試食では、やわらかめに炊いたご飯とさらっとご飯の比較。やわらかめご飯がベタベタして喉に引っかかる感じがしたのに対し、さらっとご飯は喉ごしがよく、スルッと飲み込めて食べやすいです

 

この機能を搭載した炊飯器は来年半ばに登場する予定ですが、残念なことに、当初は老人施設など業務用モデルからスタートするとのこと。一刻も早い市販化が望まれます。シニアや、ちょっとだけ嚥下能力が落ちた50代だけでなく、べたべたしたご飯が苦手な人にもニーズもありそうですね。

 

独自の「麦めし」メニューでネガティブなイメージを払拭

2つめの「麦めし」ですが、タイガーは数年前から炊飯器に「麦めしメニュー」を搭載してきました。これは、大麦の持つ食物繊維に注目したからです。「日本人の1日当たりの食物繊維摂取量は、この60年間で約7g減少しています。その主要因が穀類からの摂取の減少。大麦は食物繊維が豊富ですが、上手く炊けない、硬い、臭いがするといったネガティブなイメージがあってあまり好まれてきませんでした。そこで、当社独自の麦めしメニューで美味しくやわらかく、臭いをおさえることに成功しました」(金丸氏)。

↑穀類の中でも大麦の食物繊維量は圧倒的に多く、さまざまな健康効果が期待できる

↑穀類の中でも大麦の食物繊維量は圧倒的に多く、「メタボ解消」や「免疫力の向上」などさまざまな健康効果が期待できます

 

この麦めしメニューを共同開発したのが、穀物の加工食品メーカー株式会社はくばく。同社の長澤重俊社長は「大麦は、日本国民の健康ニーズに応える、まさに国民食」と力説。「特に、もち麦は不溶性・水溶性ともに食物繊維量が圧倒的に多い。便通改善から、血糖値上昇の抑制やコレステロール値の抑制などによる生活習慣病改善に役立ちます」と語りました。

 

日本人は特に、炭水化物を好む腸内細菌を多く持っており、この細菌が増えることで腸内環境が正常化するとのこと。大麦は細菌の餌となる水溶性食物繊維を多く含んでおり、腸内環境を整えるのに最適なのです。

↑「日本人をさらに元気にするのが、水溶性食物繊維を多く含んだ大麦だ」と語るはくばくの長澤重俊社長↑「日本人をさらに元気にするのが、水溶性食物繊維を多く含んだ大麦だ」と語るはくばくの長澤重俊社長

 

↑野菜と比較しても大麦の食物繊維量は圧倒的に多く、特にもち麦は水溶性食物繊維が豊富↑野菜と比較しても大麦の食物繊維量は圧倒的に多く、特にもち麦は水溶性食物繊維が豊富

 

↑水溶性・不水溶性それぞれに食物繊維の働きが異なります ↑水溶性・不水溶性それぞれに食物繊維の働きが異なりますが、大麦は両者の働きを併せ持っています

 

タイガーでは、麦めしメニュー搭載炊飯器の累計販売台数に関して、2017年度末で100万台を見込んでいます。現在、搭載モデルは12機種ありますが、来年度には搭載機種を増やすとともに、押し麦メニュー、持ち麦メニュー、さらに飲み込みやすい麦粥メニューなど、麦めしメニューのバリエーションも増やす考えです。

 

アレルギー対策としてフワフワな米粉パンを焼けるホームベーカリーを開発

最後の3つめ、「無添加グルテンフリー米粉100%食パン」は、タイガー高級ブランド「GRAND X」(グランエックス)のIHホームベーカリー「KBD-X」で実現している機能。グルテンとは小麦に含まれているタンパク質の一種で、その粘着性・弾性により、パンをふっくらと膨らませる役目を持っています。ただ、小麦粉は卵・乳製品とともに3大アレルゲンと言われており、学校給食においても既に70%が米粉パンに切り替えている状況です。しかし、米粉パンの場合、グルテンがないので膨らまないため、増粘剤などの添加物によって膨らませているのが現状です。

↑無添加グルテンフリー食パンが焼けるKBD-X100↑無添加グルテンフリー食パンが焼けるKBD-X100

 

しかし、タイガーのIHホームベーカリー「KBD-X」では、そうした添加物を使うことなくグルテンフリーの米粉100%食パンが焼けます。それを実現したのが農研機構(国立研究開発法人 農業・食品技術総合研究機構)です。農研機構の矢野裕之氏は以下の通り説明しました。

 

「広島大学との共同研究で開発した米粉生地は、メレンゲのように非常にやわらかく潰れやすい。熱を加えると発酵ガスが発生しますが、一般的なホームベーカリーに使用されているシーズヒーターでは電気のオン/オフを繰り返しで温度を保つため、発酵ガスの泡が発生しては消えてを繰り返して大きく育ちません。その点、IHシステムは温度制御に長けており、温度を一定に保つことができるため、小さな泡を徐々に大きく育てることができ、大きくなったら高火力で一気に焼き上げることができる。IHだからこそ、グルテンフリーなのにフワフワなパンが焼けるんです」。

↑農研機構の矢野裕之氏↑農研機構の矢野裕之氏

 

米粉パンをあちこち探し回らずに、家庭でいつでも簡単に作れるのはうれしいですね。また、アレルギー体質により、美味しいものをあきらめていた人はたくさんいるはずですが、タイガーではこうした人々に配慮し、今後も健康と美味しさを兼ね備えた商品の開発に力を注いでいく考えです。

 

タイガー魔法瓶の新キャラクター、佐々木 希さんも登場!

最後に、タイガー魔法瓶の新キャラクター、女優の佐々木希さんがゲスト登場し、トークに花を咲かせました。「私もGRAND Xの炊飯器を使っていますが、もっちりご飯やおコゲの調節などができて本当に美味しい」とのこと。さらに「仕事柄、健康と美容には気を使っています。野菜を多めに摂り、お米・納豆・お味噌汁と栄養バランスのよい食事を心がけています。グルテンフリーのパンが大好きなので、お店で見かけるとすぐに買ってしまう。タイガーさんのホームベーカリーの米粉パンはもちもちして本当に美味しいので、私もこれから自宅で作ってみたいです」とニッコリ。

↑女優の佐々木希さん↑女優の佐々木 希さん

 

実は私も、佐々木さんと同じく健康に気をつけており、生活習慣病を意識して、毎日スーパーフードのチアシードをヨーグルトに混ぜて食べています。50歳を超えるとガンのリスクも増えてくるので、腸内環境やコレステロール、血圧、尿酸値などが気になってしょうがない。でも、やっぱり美味しいものは食べたい…ちょうどそんなことを考えていた折に今回の発表に触れ、とりあえずは麦めしから始めてみようと、さっそくもち麦を買って帰りました。みなさんも他人事と思わず、健康への第一歩を始めてみてはいかがでしょうか?