日本で密かなブームの「プレミアムテキーラ」の正しい楽しみ方

テキーラといえば、メキシコ発祥の蒸留酒。テキーラを世界一消費するのはメキシコのお隣のアメリカですが、実は日本の消費量は世界第5位。想像以上に日本でもよく飲まれているお酒なんです。

 

とはいえ、「テキーラ=ショットで一気飲み」というイメージが強いのも事実。しかし、最近ではこだわりの製法で作られたプレミアムテキーラが増えており、一気飲みするにはもったいないお酒になりつつあるんです。

 

そんなテキーラを450種類以上扱う六本木のテキーラ専門店「六本木AGAVE」にお邪魔して、テキーラのいろんな楽しみ方を教えてもらいました。

↑開店20周年を迎えるテキーラ専門店「六本木AGAVE(アガヴェ)」の佐々木宗彦さん

 

 

規定を満たしたものだけが「テキーラ」と呼ばれる

テキーラの原材料は、「アガベ 」(正式名はアガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバー)という竜舌蘭(リュウゼツラン)の一種です。サボテンが原料だと思っている人もいるかと思うのですが、実はまったくそうではありません。

 

「アガベは放射状に硬い葉が伸びていて、葉を削ぎ落として株の部分だけをテキーラ作りに使います。伝統的な製法の場合、株をレンガの窯で蒸し焼きにして、蒸し上がったら石臼のような道具をロバに引かせて搾汁します。糖分を含んだこのジュースを発酵させ、蒸留することでテキーラが完成するんです」(佐々木さん)

↑現存するテキーラは2000種近くあるが、日本に正規輸入されているのはほんの少し。現地に趣き、ハンドキャリーで持ち帰ったテキーラもAGAVEには多く並ぶ

 

 

実は、テキーラは「テキーラ規制委員会(CRT)」が定めた基準を満たしていないと「テキーラ」と名乗ってはいけないという、厳しい規格が設けられています。その条件は下記の8つ。

 

・ハリスコ州、グアナファト州、タマウリパス州、ナヤリ州、ミチョアカン州で生育されたアガベ・アスールを使用し、蒸留すること

・原料は「アガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバー」を51%以上使用すること

・最低2回蒸留すること

・メチルアルコールは3mg/1ml以下であること

・最終アルコール度数は35%から55%の間であること

・水以外のメローイングは1%以下であること

・ボトルのラベルにNOM番号(生産者識別番号)を記載すること。

 

こんなにも細かい規定のなかで作られたお酒だというのを知らない人も多いのではないでしょうか。

 

 

初心者が選ぶべきテキーラの見分け方とは?

テキーラは、アガベのみを使用した「100%アガベテキーラ」と、サトウキビ由来などの糖分を混ぜて作った「テキーラ」の2種類に分かれます。日本で流通するテキーラはアガベ100%でない「テキーラ」が主流なので、お店でいろんなテキーラを飲んでみて、好みのものを見つけてネットの専門店などで購入するのがおすすめ。

↑100%アガベテキーラのボトルには必ず「100% DE AGAVE」の表記がある

 

そして、テキーラは熟成の段階に応じて4つに分けられます。熟成をしない、もしくはしても60日以内の「ブランコ」、2か月以上1年未満の「レポサド」、1年以上3年未満の「アニェホ」、3年以上熟成した「エクストラ・アニェホ」です。

↑左が2か月以上1年未満熟成した「REPOSADO(レポサド)」、右が熟成をしていない「BLANCO(ブランコ)」。熟成が進むにつれ、茶色く色付く

 

テキーラ初心者がチェックすべき項目は、「味わい」「アガベの使用量」「熟成の段階」だと佐々木さんは言います。

 

「”飲みやすさ”というのは個人でばらつきがあるので一概には言えませんが、口当たりがいいものを最初に選ぶといいでしょう。アルコール度数は35度くらいで、味わいのバランスがいいとされているものを基準として飲み、そこから苦みや甘みを意識して好みのものを見つけてほしいです」

 

また、100%アガベのテキーラであれば、不純物がないので、二日酔いになりにくいというメリットもあるのだとか。アルコール度数の強いお酒は二日酔いになりやすいイメージがありますが、高品質なものを飲むよう心がけることが大切なんですね。

↑テキーラはボトルのデザインの自由度が高い。ジャケ買いならぬ”ジャケ飲み”を楽しむのもひとつの手

 

普段自分がよく飲むお酒に合わせて、熟成の度合いを決めることも大切です。たとえば、ウォッカやジンなど無色透明のお酒を好む人、原材料の味わいを楽しみたい人はブランコを選ぶといいのだとか。逆に、ウイスキーなど熟成したものを好むなら熟成タイプのテキーラを選ぶのが近道です。

 

 

大人なテキーラの楽しみ方を紹介

ストレートで飲む場合、AGAVEでは「スニフター」という口が広い形状のグラスで提供されます。このグラスで飲むと、香りがわかりやすく、舌のなかでも甘みを感じる場所にテキーラが流れるそうです。

↑テキーラは香り、甘み、色以外にも、苦みや辛味、余韻の長さなどが銘柄により異なる

 

もちろん、飲み方はストレートだけでなく、オンザロックやソーダ割りなど多種多様。食中酒として楽しむのであれば、ソーダやトニックで割ることで、口当たりがさっぱりして軽やかにいただけます。

 

カクテルは定番の「マルガリータ」や、オレンジジュースで割ってグレナデンシロップを加えた「テキーラサンライズ」、テキーラ版モヒートの「アガベジュレップ」などがありますが、AGAVEのイチオシは「フローズン・マルガリータ」。いまの季節はスイカやメロンを作った限定メニューもあり、テキーラの香りとフルーツのフレッシュさを存分に楽しめます。

↑「マルガリータ・ドン・アガヴェ」(1400円)は、テキーラとオレンジ風味のリキュールのコアントロー、ライムジュースを使ったカクテル。シンプルなショートカクテルなので、テキーラのおいしさがよくわかる

 

↑「季節のフローズン・フルーツ・マルガリータ」(1800円)はスイカをオーダー。種ごとミキサーにかけたスイカのフレッシュジュースを使用し、まるでデザートのような感覚で飲める。定番のフローズン・マルガリータは、プレーン、ストロベリー、ラズベリー、パイナップル、バナナが選べる

 

テキーラに合わせる食事はやっぱりメキシコ料理が一番ですが、最近では和食に合わせるお店もあるのだとか。和食の場合はソーダ割りにするのがおすすめです。

↑チーズとハラペーニョをトルティーヤに挟んで焼いた「ケサディーヤ」(1200円)。お好みでサルサをかけて食べる。スパイシーなハラペーニョのおかげでテキーラが進む一品

 

↑「ビーフタコス」(1500円)は、香ばしさのあるコーントルティーヤがクセになるおいしさ。メキシコでは小麦粉を使ったフラワートルティーヤでなく、とうもろこしを使ったコーントルティーヤが一般的だそうだ

 

また、カカオ含有量の高いチョコレートと一緒にちびちびとテキーラを楽しむというツウな楽しみ方もできます。チョコレートの苦みや甘みと合わせることで、熟成が進んだテキーラにより深みが生まれるんです。

↑AGAVEが厳選したビターなチョコレートと、樽熟成が進んだテキーラとの相性は抜群。ウイスキーの楽しみ方に近い

 

蒸留技術の進化により、昔よりもおいしいテキーラの種類が増えたことで、その楽しみ方はより広がりを見せつつあります。パーティーシーンはもちろん、ひとりでリラックスタイムを過ごすときのお酒としてもテキーラを嗜んでみませんか。

 

【取材協力】

六本木AGAVE

http://www.agave.jp/

 

 

テキーラに詳しくなりたい人に読んで欲しい、「クエルボ」と「アガヴェ」の話

ウイスキーにジン、コニャックなど、蒸溜酒の人気が高まっている昨今ですが、テキーラも見逃せません。もしかしたらあまり飲まない人もいるかもしれませんが、実は日本は世界で5番目にテキーラを飲んでいる国。また、海外ではハリウッドスターに愛好家が多いことで知られており、セレブなお酒としての地位を確立しています。そんなテキーラを満喫できるイベントが、先日代々木で開催されました。識者によるレクチャーもあり、内容は超充実! その一部をレポートしていきたいと思います。

 

 

600人のテキーラファンが200種のテキーラを堪能!

このイベントは「テキーラの日 Celebration Party」。7月24日が世界的なテキーラ記念日であることを祝し、土曜日の7月21日に開催されました。場所は、駅からすぐの場所にある「代々木VILLAGE by kurkku」。

↑「代々木VILLAGE by kurkku」の入口。敷地内にはいくつかの飲食店があり、筆者のお気に入りは「MUSIC BAR」

 

イベントの大きな目玉は、200種類以上のテキーラとメスカル(テキーラに似たメキシコのお酒)を自由にテイスティングできること。様々なブランドのブースが出ており、大勢の参加者が飲み比べを楽しんでいました。

 

前記の「MUSIC BAR」は、この日限定のスペシャルカクテル(有料)を楽しめるバーに。カリスマ的なバーテンダーが入れ替わりでふるまう形となっており、国内ミクソロジストの第一人者・南雲主于三(しゅうぞう)さん、「BAR TRENCH」のロジェリオ五十嵐さん、「bar Algernon Sinfonia」の小栗絵里加さんなど、計6名が提供していました。

↑南雲主于三さん。六本木の「MIXOLOGY experience」やギンザシックスの「MIXOLOGY Salon」など、数店舗の人気バーを展開しています

 

フードは、タコスや「エローテ」というメキシコの焼きトウモロコシが屋台で売られていたり、メキシコ定番料理の盛り合わせが提供されていたりと、こちらもテキーラとのペアリングを最大限に楽しめる内容。

↑セビーチェ(メキシコ風の魚介マリネ)、ピザ、ナチョスが盛り付けられた「メキシカンプレート」800円

 

 

テキーラの元祖であり世界一売れているのがクエルボだ!

個人的に注目していたのが、テキーラのブランドセミナーです。こちらは「ホセ・クエルボ」、「ドン・フリオ」、「パトロン」、「サウザ」、「フォルタレサ」の5大ブランドをそれぞれ時間帯ごとに区切り、レクチャーしてくれるというもの。筆者はクエルボのカクテル世界チャンピオンが講演するということで、「ホセ・クエルボ」の回に参加しました。

↑江刺幸治さん。2015年にメキシコで開催された第1回「ホセ・クエルボ ドンズ・オブ・テキーラ」の世界大会で、総合優勝を果たした超一流のバーテンダーです

 

テーマは「クエルボブランドとテキーラカクテルの魅力」。まずはクエルボがテキーラの王様であるという話から。これは、テキーラの創設者がクエルボであり、現在稼動している世界最古のテキーラ蒸溜所「ラ・ロヘーニャ」がクエルボの拠点であること。また、クエルボが世界のテキーラの販売数量で約30%というNo.1のシェアであることもその所以です。

↑1795年に当時の統治主であったスペイン王・カルロス4世が、第1号のテキーラ商業製造・販売許可をクエルボに交付。これがテキーラ産業の出発点となったそうです

 

この影響力はテキーラ以外のお酒と比べた場合でも同様。実は、日本で売れているホワイトスピリッツ(焼酎、ウォッカ、ジン、無色のラムなど)部門で2位という人気の高さ。そんなクエルボは、ここ10年で国内販売数量が2倍に拡大しているブランドです。つまり、日本における昨今のテキーラブームは、クエルボがけん引しているといっても過言ではありません。

↑テキーラの原料となる、アガヴェの畑。サボテンと勘違いされますが、そうではなく「竜舌蘭」(リュウゼツラン)属の植物です

 

その後はクエルボの製造方法とこだわりの解説へ。収穫したアガヴェから糖蜜を抽出し、醸造、蒸溜、熟成してブレンドしボトリングして出荷というのがおおまかな流れです。そのなかでクエルボの特徴といえるのが、連続式ではなく単式蒸溜器を使うこと。そしてその素材が銅製であること。

↑テキーラではステンレス製の蒸溜器を使うブランドが多いなか、クエルボは銅製。その違いはわずかなものでありながら「あえて約4倍も高価な銅製を使うクエルボの姿勢が僕は好き!」と江刺さん

 

最後はお待ちかねの試飲。しかも、数あるクエルボ商品のなかでもプレミアムなタイプを飲ませてもらいました。なんとそのお値段、1本1万円を超えるもの!

↑クエルボ・プラティノ/750ml(参考価格1万800円)。10〜12年物のアガヴェを厳選し、さらに特に⾹味の優れた中⼼部のみを使⽤。アガヴェのフレッシュな⾵味と滑らかな飲み⼝が特徴です

 

↑クエルボ・レゼルヴァ・デ・ラ・ファミリ/750ml(参考価格1万9940円)。こちらは10年以上のアガヴェのみを厳選し、熟成にはアメリカンオーク樽とフレンチオーク樽を使⽤。地下のセラーで最低3年以上寝かせた、⻑期熟成ならではの深く複雑な味わいです

 

 

セミナーは30分でしたが、充実の内容。このほかにもイベントではフレアバーテンダーによるショータイムがあったり、人気DJのSARASAとKashi da handsomeによるDJタイムがあったりと、盛りだくさんのコンテンツでした。

↑炎天下のなかでキンキンに冷えたテキーラカクテルを楽しむサイコーのひととき。ガーデンテラスはテキーラパラダイスでした

 

しかも、快晴という絶好のテキーラ日和で大盛況。この様子であれば来年も開催されることは必至でしょう。ただ、気になっていても1年は待てないという人は多いはず。であればいますぐにでもテキーラをゲットし、素“テキ”な夏をお過ごしください!

ショットで一気飲みはもう古い!イマドキの「テキーラ事情」って?

「テキーラ」といえば、バーやクラブでショットで飲んでみんなで盛り上がるためのお酒というイメージが強いはず。なかなか日常的に飲む習慣が少ないお酒なのではないでしょうか。

 

実は、日本は消費量世界5位を誇るほどテキーラがよく飲まれている国のひとつ。また、消費量自体も急増しており、2017年は200万リットルも消費されています。

 

そんなテキーラを使ったカクテル「マルガリータ」を楽しむ日として、日本でも今年から2月22日が「マルガリータの日」に制定されました。このマルガリータの日制定を記念するパーティーが2月21日に赤坂・CROSS TOKYOで開催されると聞きつけ、“お酒ならなんでも大好き”な筆者も大喜びで参加してきました!

 

 

「マンハッタン・マルガリータ」でみんなでサルー!(乾杯!)

テキーラは「ブルーアガヴェ」という竜舌蘭(リュウゼツラン)の一種が原料です。テキーラは、認定機関の規則によりメキシコ国内の限られた地域で生育したアガヴェを51%以上使用しなければないという厳しいルールのもとに作られています。

 

テキーラといえばアルコール度数が高いお酒だと思われがちですが、認定機関の規則で35度~55度。これはウイスキーなどと同じくらいのアルコール度数なんです。

20180228tequila002↑写真は「123スピリッツ」のテキーラ。「1」と書かれたラベルの「ブランコ・ウノ」は、フレッシュなアガヴェの香りと、甘い余韻が特徴。「2」は「レポサヂ・ドス」、「3」は「アネホ・トレ」というテキーラで、それぞれ6か月、18か月間アメリカンホワイトオーク樽で熟成されたものだ

 

そんなテキーラを使ったカクテルであるマルガリータの起源は、1936年にメキシコで始まったという説や、1949年にロサンゼルスで始まったという説など、諸説あります。2月22日はアメリカを中心に「National Tequila Day」として世界中でマルガリータを楽しむ日としてお祝いされており、その流れがついに2018年から日本にも上陸しました。

 

会場について最初に振る舞われたのは、「マンハッタン・マルガリータ」。その名の通りマンハッタンビーチ発祥のレシピで、よく冷やしたボトルからグラスに注ぐだけでそのまま楽しめるのが特徴のブランドです。

20180228tequila003↑「マンハッタン・マルガリータ」は、ボトルから注ぐだけで本格的なカクテルが楽しめる

 

筆者は普段カクテルを飲む機会がほとんどないのですが、そんな筆者でもこのマルガリータのおいしさにはびっくり! マルガリータの基本のレシピは、テキーラ、オレンジ風味のリキュールのコアントロー、レモンジュースもしくはライム・ジュースなのですが、マンハッタン・マルガリータはフルーツ感が強くて飲みやすいんです。

20180228tequila004↑シルバーテキーラにレモン、ライム、オレンジ、クランベリー、パイナップルなど天然素材ジュースのみをブレンドしている

 

 

食事に合わせたくなる「クエルボ・マルガリータ」

大盛況の会場内では、各社のテキーラやマルガリータが振る舞われており、何から飲むか目移りしてしまいます。そんななかで筆者が何度もおかわりしてしまったのが、昨年発売された「クエルボ・マルガリータ」。

20180228tequila005↑「クエルボ・マルガリータ」は、ライムの風味とオレンジリキュール甘さのバランスが絶妙

 

このお酒は世界販売数量No.1のテキーラブランド「クエルボ」を使用したプレミックスリキュールで、ホセ・クエルボ社とアサヒビールが共同開発したもの。氷を入れたグラスに注いだり、ソーダと割ったりするだけで気軽にマルガリータが楽しめます。

 

マルガリータを飲むにはバーに行くしかないと思っていたので、こうやって手軽にカクテルが楽しめるのはいいですね。また、カクテルといえば単体で楽しむもののイメージでしたが、ほどよい爽やかさがあるので食事と一緒にいただくのもおすすめ。ホームパーティーでも大活躍しそうです。

20180228tequila006↑この日提供された有機野菜やオーガニック食材を使った料理との相性も抜群。多少パンチにある料理と楽しみたくなるカクテルだ

 

 

赤いテキーラから紅芋を使ったマルガリータまで

試飲したなかでインパクトが強かったのは「ストーレンキッス」と「紅芋マルガリータ」。どちらも味わいが印象的なだけでなく、なんと言ってもビジュアルでも目を引きます。

20180228tequila007↑「ストーレンキッス」はHacienda MaravatioのBlancoをベースに作られたテキーラ。ワイン樽で熟成することで、ワイン色が移ってピンク色をしている

 

20180228tequila008↑ 「パトロン」のテキーラを使用した「紅芋マルガリータ」。紅芋の甘みとオレンジの爽やかさ、さらにチョコレートのアクセントが加わったデザート系のカクテルだ

 

ほかにも、ドリンクインターナショナル2018の“マルガリータに合う”テキーラブランド第1位として選出された「ドン・フリオ」の「トミーズマルガリータ」や、ワンカップサイズの「テキーラ13(トレッセ)」なども振る舞われ、思わず取材で来ていたことを忘れそうになりました。

20180228tequila009↑「ドン・フリオ」を使った「トミーズマルガリータ」は、サンフランシスコのメキシコ料理店「トミーズ」のフリオ・ベルメオ氏が開発したカクテル。アガベシロップを使用する

 

 

20180228tequila010↑「テキーラ13(トレッセ)」は、業界初となるTEQUILA13の50mlワンカップサイズ。日本のカップ酒がヒントとなっている

 

2015年のメキシカンファストフード「タコベル」の日本上陸以来、じわじわとブームになりつつあるメキシコ料理。そんなメキシコ料理と一緒にテキーラを飲んで、メキシコ人さながらの陽気な宴席を楽しみましょう!

ワンカップのテキーラ登場…「日本フォーマット」は世界に広がるのか?

ワンカップのテキーラが発売される。一般的に750mlのボトルで売られるのが基本のテキーラを50mlのワンショットサイズで売るという発想は、正にカップ酒のフォーマットだ。

出典:「メキシコ大使館」プレスリリースより出典:「メキシコ大使館」プレスリリースより

 

世界初だというのだが、まあ、それはそうだろうなと思う。日本人に比べて、メキシコ人は圧倒的に酒が強い。テキーラなんて酒を日常的に飲んでいるのだ。日本酒とはアルコール度数からして違う。そんな国民性の中にあって、50mlどころかカップ酒の1合(180ml)だって、全然足りないから、商品として発想できないのだ。実際、今回発売されるテキーラ13(トレッセ)のワンショットサイズも、まずは日本での先行販売だ。本気の酒飲みには、割高になってしまうので、そこをどう売っていくかが世界進出の鍵になるのだろう。

 

ワンカップというフォーマットは、日本人にとってとても良くできている。「ちょっと一杯」の基本単位である一合の日本酒を、自販機やコンビニで買えてガラスのコップで飲めるのだ。焼き鳥の缶詰めにワンカップで、家呑みが十分成立する。考えた人は賢いと思うけれど、しかし、これがとてもローカルなフォーマットであることは間違いない。だからこそ、日本の風景に馴染むし、長く日本人に愛されもするのだ。

 

■グローバルに展開する「カップヌードル」

一方で、日本を代表するフォーマットにカップ麺がある。しかし、カップ麺はカップ酒に比べると、当たり前のようにグローバルに展開しているし、カップ麺がある風景が日本ならではという感じもしない。それは当たり前で、元祖カップ麺である日清の「カップヌードル」は、元々、アメリカでインスタント麺を売るために作られたフォーマットだからだ。

 

「チキンラーメン」が大ヒットした日清食品は、これをアメリカで売るのに、どんぶりに箸で食べるスタイルでは普及しないと考えた。ならば、カップにフォークで食べるヌードルというスタイルで売り出そう、という発想がカップヌードルを生んだのだ。だから、あの初代「カップヌードル」や「カップヌードルカレー」、「シーフードヌードル」は、ラーメンとも一言も謳っていない。フォークで食べるカップ入りヌードル、というフォーマットなのだ。

 

昭和40年代以前の生まれであれば、カップヌードルにフォークが付いていたのを覚えているだろう。明らかに箸の方が食べやすいのだけど、あれはフォークで食べることまで含めてスタイルだったのだ。なんて、アメリカン、と、当時の日清食品社長である安藤百福は考えたのだろう。その発売当初(1971年)、小学2年生だった私は、別にそれをアメリカンだとも洒落てるとも思わず、「おいしそうなのが出たなあ」と思っただけだったけれど、その製品としての凄さは、大人になってしみじみ感じている。

 

■フォーマットより大切なもの

世界中で売っていることよりも、未だに売り上げトップであるという事実が物凄い。それは、フォーマットが良かったというよりも、ラーメンではない、新しい食べ物として開発したからだ。新しかったのはスタイルだけではなく、その味を食べたければ、それを食べるしかないというオリジナリティ。今の日本では、多分、そういう企画は通らないであろう、前例の無い製品。

 

フォーマットと言えば、日本ではボールペンはノック式でないと売れないのだが、海外ではキャップ式が売れる。これも、お国柄によるフォーマットの違いだ。あの三菱鉛筆の低粘度油性ボールペン「ジェットストリーム」も、海外でキャップ式を発売した後、3 年以上掛けてノック式を開発後、日本での発売を開始した。パイロットの消せるボールペン「フリクションボール」も、日本で本格的に売れたのはノック式登場以降だ。

 

一方、海外では万年筆に近い書き味の水性ボールペンが人気商品だし、水性インクの書き味ながら、速乾性でにじまないゲルインクボールペンの人気も高い。とはいえ、そんなフォーマットの違いとは関係なく、現在、日本のボールペンの品質は世界一だ。その品質の上に、選べる「フォーマット」がある。

 

そういうことなのだろう。優秀なフォーマットは、大きなビジネスになるかも知れないが、フォーマットはインターフェイスと切り離しては考えにくい。そしてインターフェイスは、お国柄というか、パーソナリティに左右される。ならば、魅力的なオリジナリティがある中身を考えることだ。それがあれば、フォーマットは選択肢として提供できる。そういうことなのだと思う。

 

【著者プロフィール】

小物王 納富廉邦

フリーライター。グッズの使いこなしや新しい視点でのモノの遊び方などを得意とし、「おとなのOFF」「日経トレンディ」「MONOマガジン」「夕刊フジ」「ココカラ」などの雑誌をはじめ、書籍、ネットなど、さまざまな媒体で、文具などのグッズ選びや、いまおすすめのモノについて執筆。グッズの使いこなしや新しい視点でのモノの遊び方、選び方をお伝えします。

2018年は「蒸留酒」が面白い! ジン/ラム/コニャック/テキーラの注目株をプロが解説

いまクラフトジンの国内蒸留所が増加していたり、アメリカのセレブの間でプレミアムテキーラが人気沸騰中だったりと、蒸溜酒が注目されてきています。本記事では、バー業界を中心に世界的な盛り上がりを見せている4つのジャンルを紹介します!

 

[解説してくれた人]

フードライター/ 中山秀明さん

食のトレンドをはじめ様々な事情に詳しい。酒もジャンル問わず情報収集している。

 

新生の“サムライスピリッツ”と 海外の“上流”酒を抑えるべし!

最近、蒸留酒の動きとして面白いのは、“サムライスピリッツ”といえる国産ジンとラムです。前者の先駆者は、2016年に設立された日本初のジン専門ディスティラリー・京都蒸溜所。クラフトジンは世界的に最も盛り上がっているバートレンドのひとつで、今年はニッカとサントリーも新商品を発売しました。そして後者は2013年に滋賀で誕生したナインリーヴズ。設立翌年には海外の品評会で賞を獲得し、入手困難になるほど人気です。

 

一方、海外産の蒸溜酒でアツいのはフランスのコニャックと、メキシコのテキーラ。コニャックは食前や食後酒としてのイメージが強いですが、食時中でもおいしく飲める汎用性が評価されるとともに、日本ではソーダで割ったフレンチハイボールとしての需要も高まっています。またテキーラは、ハリウッドセレブがブランドを立ち上げるなどの影響を受けブレイク。今年、クエルボからは最上級タイプが登場、サウザからは買ってすぐに飲めるRTDタイプの「サウザクーラー」が発売されるなど盛り上がりを見せています。

 

これらに共通するのは、どの蒸溜酒も高品質な味わいが受け入れられているということです。つまり、蒸溜酒は上流酒なのです!自分へのご褒美や贈り物にもぜひどうぞ!

 

【TOPIC01】クラフトジン

クラフトビールのように、小規模生産による個性的なジンが増えています。ロンドンやNYなどを中心に人気だったが近年日本でも注目され、ついに国内大手も本格参入! 爆発的にヒットするのも時間の問題かもしれません。

 

9種のボタニカルを使い鹿児島の多様な自然を表現

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本坊酒造/ Japanese GIN 和美人 /4104円

焼酎やウイスキーなどで有名な本坊酒造が、蒸溜酒の伝統技術を生かし日本ならではの味と自然を表現。金柑や柚子など鹿児島各地の約9種のボタニカルで仕込まれています。

【オススメの飲み方】ロック

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柚子や紫蘇などに由来する滋味深い爽やかさが特徴です。一方で飲み口は柔らかいため、焼酎のようにコクリと楽しみたいところ。

 

英国と日本の技が調和して11種のボタニカルが華やぐ

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京都蒸溜所 /季の美 京都ドライジン/ 5400円

日本初のジン専門の蒸留所から誕生。ロンドンのドライスタイルに京都の伝統を融合させた独自の味わいです。米からつくるスピリッツを軸に11種のボタニカルをブレンド

【オススメの飲み方】ソーダorトニック割り

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ドライジンのキレを楽しむなら、炭酸でシュワっと。後味には生姜や山椒のスパイシーさが泡とともに爽快に抜けていきます。

 

 

【コチラもクラフトジンの注目株】

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ニッカウヰスキー /ニッカ カフェジン /4860円

モルトやコーンなどをカフェスチルで蒸溜した原酒がベース。和の柑橘と山椒の香りが特徴です。

 

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サントリー/ ROKU/ 4320円

日本由来のボタニカル6種を、伝統的なジンのボタニカルにプラスしました。味は複層的で繊細です。

 

【TOPIC02】ジャパニーズラム

ラムといえば海外ブランドをイメージしがちですが、いま世界で話題の日本産ラムがあります。それはナインリーヴズ。ラムづくりではあまり使われない黒糖と、日本の軟水から生まれるピュアな味が魅力で、すでに海外では大人気となっています。

 

滋賀で生まれる南国の恵み! 世界が認めた日本のラム

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ナインリーヴズ/ ナインリーヴズ クリア/ 4860円

異業種から転身した竹内義治さんが設立。滋賀県音羽山系の水と沖縄産黒糖、厳選した国産酵母を使い、スコットランド製の蒸溜器でつくる同社の代表作です。海外で賞も受賞しました。

【オススメの飲み方】モヒート

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ソーダで割り、ミントやライムなどを加える清涼感満点の飲み方です。原酒のほのかな甘さや華やかさがフレッシュに広がります。

【TOPIC03】コニャック

果実の蒸溜酒・ブランデーのなかで、ワインにおけるシャンパンのように、定められた地域や製法でつくられるブドウの蒸溜酒がコニャックだ。フルーティな飲み口や上品なアロマ、汎用性の豊かなキャラクターで人気が上昇中。

スミレやバニラの香り漂うエレガントで濃密な味わい

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カミュ /カミュボルドリーVSOP /8964円

6つに区分されたコニャック地方のなかで、5%と最小面積の「ボルドリー地区」でつくられる希少な銘酒です。香り高く濃密で、滑らかなスミレやバニラのニュアンスを楽しめます。

【オススメの飲み方】 冷やしてストレート

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コニャックらしい優雅な甘さや、エレガントな香りを堪能するならこれです。フードはチョコやドライフルーツなどがマッチします。

 

【TOPIC04】プレミアムテキーラ

副原料を使わず、主原料となる植物「アガヴェ」100%のテキーラのことです。クリント・イーストウッドやジョージ・クルーニーなどのハリウッドスターが愛飲していることで人気に火が付き、日本でも注目度が高まっています。

秘伝の技から生み出される甘くスモーキーなテイスト

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クエルボ/ クエルボ・トラディショナル・レポサド/ 3024円

1795年創業の伝統製法による、世界販売量No.1テキーラブランドのプレミアム商品。アメリカンオーク樽で4か月以上熟成させた、まろやかな味と絶妙ななめらかさが特徴です。

【オススメの飲み方】 ロック

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氷が溶けるにつれて、甘くスモーキーな味に香りの広がりもプラス。細かく砕いた氷を使うミストスタイルもおいしいです。

 

糖度の高いアガヴェを使い2種の樽で寝かせた重厚系

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パトロン/ パトロン アネホ 実売価格/1万1108円

糖度の高いブルーアガヴェを使用し、アメリカンオークとフレンチオークの樽で12か月以上熟成させた原酒をブレンド。スムースな飲み口と、熟成に由来するリッチな余韻が特徴です。

【オススメの飲み方】ストレート

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深みのある濃密な味と、はちみつのようなまろやかな口当たりを堪能しましょう。その後、ロックで味の変化を楽しむのも◎。

 

多彩な味と香りが調和新鮮な旨味が凝縮した名作

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サウザ/テキーラ サウザ ブルー /実売価格2052円

新鮮なうま味あふれるブルーアガヴェを使用。ハーブの香るフローラルな風味や柑橘系の爽やかな味、スパイシーな余韻がバランスよく堪能できる名作です。

【オススメの飲み方】テコニック(トニック割り)

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アガヴェ100%の優雅な味を楽しむなら常温のストレートだが、トニック割りも美味です。ライムを加え、クールに乾杯!