電動ハブラシで後悔しない「買いのポイント」がわかったぞ! 最新3大モデル「6項目徹底比較」を総まとめ

いつまでも歯の健康と美しさを保ちたいなら、ぜひ電動歯ブラシを検討すべき。歯垢除去やステイン(着色汚れ)のケアに高い効果を発揮し、時短にも役立ちます。本稿は電動歯ブラシの主要メーカー3社(ブラウン オーラルB、フィリップス ソニッケアー、パナソニック ドルツ)の最上位モデルを徹底検証した連載企画の第3回。第1回では「歯垢除去力」「磨き心地」「ブラッシングモードのバリエーション」をチェックし、第2回では、「サポート機能」「充電のしやすさ」「設置性」の6項目をチェックしてきました。今回はそれらの検証を踏まえたうえで、項目ごとに各モデルがどんなユーザーにおすすめか、考察していきたいと思います。

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【テストする機種はコチラ】

エントリーその1

回転式の丸形ブラシで歯垢を浮かしすばやくかき出す

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ブラウン オーラルB

ジーニアス9000

D7015256XCTBK

実売価格2万4800円

歯科クリーニング器具から着想を得た丸形ブラシを採用した回転式モデル。「3D丸型回転テクノロジー」で、高速上下運動で歯垢をたたいて浮かし、 左右反転運動で浮いた歯垢をすばやくかき出す。押しつけ防止センサーを搭載し、ブラッシング時の圧力が強すぎるとランプが光って、歯と歯ぐきを傷めるのを防ぐ。歯磨き時のブラシのポジションを検知機能を装備し、歯ブラシとアプリを連携させることで、磨きグセを改善し、正しいブラッシングのガイドをしてくれる。歯垢をしっかり除去する「マルチアクションブラシ」と、歯ぐきをいたわりながら歯垢を取り除く「やわらか極細毛ブラシ」が付属。

SPEC●駆動方式:3D丸型回転(回転式)●最大左右反転数:1万500回/分●最大上下振動数:4万8000回/分●ブラッシングモード:6●充電時間:約12時間●使用時間:約48分(約12日間 ※1日2回、2分使用した場合)●付属ブラシ:2本●サイズ/質量(本体):W29×H241×D35mm/133g

 

エントリーその2

「音波水流」で歯間や奥歯など磨きにくい部分の歯垢も除去

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フィリップス

ソニッケアー ダイヤモンドクリーン スマート

HX9934/05

3万8830円

ブラシの超高速振動と幅広い振幅で「音波水流」を発生し、毛先の届きにくい歯間部や奥歯などの歯垢も除去。手磨きと比べ10倍の歯垢除去力を誇る。歯垢除去、歯ぐきケアなどに特化した4本のブラシヘッドが付属。各ヘッドをハンドルに装着すると、5つのモードのなかから、最適なモードに自動設定。専用アプリと連携し、上手なブラッシングや、一人一人のニーズに合わせたオーラルケアの方法を指導してくれる。ブラシの押し付けすぎやハンドルの動かしすぎを検知して注意喚起するセンサーを搭載。スタイリッシュなグラス型充電器も魅力のひとつ。

SPEC●駆動方式:音波式●ブラシ振動数:約3万1000回/分●ブラッシングモード:5●強さ設定:3段階●充電時間:約24時間●使用時間:約56分(約14日間 ※1日2回、2分使用した場合)●付属ブラシ:4本●サイズ/質量(本体):W30.5×H255×D27.8mm/約144g

 

エントリーその3

ヨコ振動×タテ振動の「W音波振動」で歯周ポケットと歯間をしっかりケア

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パナソニック

音波振動歯ブラシ ドルツ

EW-DP51

2万6330円

従来の横振動に新たにタタキ振動が加わった「W音波振動」で高い歯垢除去力を実現。2つのモーターを搭載し、横振動で歯周ポケットに潜む歯周病の病原菌をかきだし、タタキ振動で歯間部の歯垢を強力に除去する。モードは「Wクリーン」モードのほか「ステインオフ」など合計5つのモードを用意するうえ、付属の6種類のブラシを使って、トータルなオーラルケアが可能だ。また、パワーコントロール機能でしっかりとした磨き心地を実現しながら、磨きすぎ防止も実現。リングに本体を挿し込んで充電する「フロートチャージスタイル」は、台座がフラットで手入れしやすい。

SPEC●駆動方式:W音波振動(音波式)●ブラシストローク数:横振動約3万1000回/分、タタキ振動約1万2000回/分●ブラッシングモード:5●充電時間:約1時間(クイックチャージ:約2分)●使用時間:Wクリーンモード時約45分、その他モード時約90分●付属ブラシ:6本●サイズ/質量(本体):W29×H235×D35mm/約110g

 

【検証のまとめ】

[歯垢除去力]

歯並びが悪い人にはヘッドが小さいブラウン、パナソニック

「歯垢除去力」については、今回は各モデルでブラッシングしたあと歯垢染色剤を塗って磨き残しをチェック。筆者が行ったテスト結果では、僅差ながら最も磨き残しが少なかったのがパナソニック。次いでブラウン オーラルB、フィリップスの順番でした。

↑ヘッドは小さめで、歯が1本ずつ磨けるイメージです↑パナソニックのヘッドは小さめで、歯が1本ずつ磨けるイメージです

 

パナソニックとブラウン オーラルBはヘッドが小さく、歯の一個一個を、歯間と歯ぐきのキワを意識しながら磨きやすいこと、裏側の歯間など磨きにくい場所をピンポイントで狙いやすいことが好結果につながったようです。一方、フィリップスはヘッドが大きめで、意識しないでブラッシングすると歯磨きがやや雑になるのと、犬歯の隣の前歯の裏など大きなヘッドだと届きにくい場所があったために、やや磨き残しが多くなりました。ただし、これは歯並びが悪い筆者の場合です。

↑やわらか極細毛ブラシ。先端が青い、外側の柔らかなブラシ毛が歯ぐきのキワにやさしく入り込んで汚れを取ります。中央の白と青のブラシ毛は外側よりコシがあり、歯面の歯垢をしっかり除去します↑ブラウン オーラルBの「やわらか極細毛ブラシ」。先端が青い、外側の柔らかなブラシ毛が歯ぐきのキワにやさしく入り込んで汚れを取ります。中央の白と青のブラシ毛は外側よりコシがあり、歯面の歯垢をしっかり除去します

 

歯並びがキレイで歯ぐきに負担をかけたくない人はフィリップス

この結果を踏まえると、女性など歯が小さめな人や、歯並びが良くない人はパナソニックやブラウン オーラルBがおすすめ。歯並びが比較的キレイな人、また、大きなブラシだと圧力が分散されるので、歯ぐきに負担をかけたくない人にはフィリップスがおすすめといえます。

 

ただ、これらの差はブラッシングのちょっとしたテクニックで十分補えるもの。実際筆者は、磨き残しをしがちな部分を特に意識して磨くようにした結果、フィリップスでもすぐに他機種と遜色ない歯垢除去を実現できました。磨き残しをしがちな部分を知るには、後述するアプリが有効です。

↑プレミアムクリーンブラシヘッド。フィリップス・ソニッケアーのブラシはどれも、中央部が窪んだ凹面型で、ヘッド先端の毛がやや鋭角にカットされているのが特徴です↑フィリップスのプレミアムクリーンブラシヘッド。フィリップス・ソニッケアーのブラシはどれも、中央部が窪んだ凹面型で、ヘッド先端の毛がやや鋭角にカットされているのが特徴です

 

[磨き心地]

総合的な振動の強さはブラウン、パナソニック、フィリップスの順

ブラッシングの歯や歯ぐきにかかる圧力でいうと、最も強力だったのはブラウン オーラルBの「プロクリーン」モード。回転運動に上下振動も加わり、歯垢を力強く除去している印象でした。次に強力だったのはパナソニックの「Wクリーンモード」で、これもヨコ振動に上下振動(タタキ振動)が加わったモードですが、ブラウン オーラルBよりヨコ振動が強く、上下振動が弱い印象でした。一方フィリップスはヨコ振動のみで、総合的な振動強度は一番弱めですが、ヨコ振動のみの強さでは最も強力でした。

↑歯磨きは口の中を上部左、右、下部左、右の4パートに分け、それぞれ表側、裏側、噛み合わせ部の順番で磨いていきました ↑ブラウン オーラルBでのブラッシング

 

ちなみに、どの機種も基本の歯垢除去用モードでは3段階の強度が選べます。つまり、通常の歯垢除去をメインに考えるならどのモデルも弱く調整できるので、強い刺激が苦手な人でも安心です。

 

[ブラッシングモードのバリエーション]

フィリップスはブラッシングが自動で切り替わるモードが便利

歯磨きモードのバリエーションは、どのモデルも基本的には同じ。基本の「歯垢除去」モードがあるほか、ホワイトニング、歯ぐきケア用モード、舌磨きモードなどを搭載しています。ブラウン オーラルBは「プロクリーン」など強さが3段階の歯垢除去モードに加え、「ホワイトニング」「歯ぐきケア」「舌クリーニング」の3モードを搭載。

 

一方、フィリップスは歯垢除去用の「クリーンモード」のほか、ステイン除去力の強い「ホワイトプラスモード」、歯垢除去運転と歯ぐきケアがセットになった「ガムヘルスモード」、歯と歯ぐきの間のケアに適した「ディープクリーンプラスモード」、「舌磨きモード」を搭載しています。付属のヘッド(4種類を用意)をハンドルに装着すると、5つのモードのなかから、ヘッドに応じた最適なモードに自動設定する機能も便利です。「ホワイトプラスモード」と「ガムヘルスモード」は、2種類のブラッシングが組み合わされ、一定時間が経つと自動で切り替わるのが特徴。自分で切り替える手間が不要なのがメリットです。

↑フィリップスのモード↑フィリップスのホワイトプラスモード選択時。ホワイトプラスモードは、ステイン除去の動作のあと、歯を磨き上げるモードです

 

パナソニックは、歯垢除去用に「Wクリーン/ノーマル/ソフト」の3モードを搭載。さらに歯ぐきケアに適した「ガムケア」モードと歯の着色が気になる人向けの「ステインオフ」モードも搭載しています。なお、パナソニックはボタンが1つで、他の2モデルと違い、電源ボタンがモード選択ボタンを兼ねています。その1つのボタンが運転開始後、約5秒までは操作モードの切り替えボタンになり、5秒後からはOFFボタンに変わります。そのため、運転スタート後にすぐ止めたいとき、何度か連続でボタンを押す必要があるのです。停止した状態でモードが変えられないのもやや不便。ただし、そのぶん本体の重さは約110gと3モデルの中では最も軽く(ブラウン オーラルBは本体約133g、フィリップスは本体約144g)、ハンドル部分も細身で扱いやすいです。

 

パナソニックは多彩なブラシできめ細かいケアが可能

ブラウン オーラルBに同梱の歯ブラシは「マルチアクションブラシ」と「やわらか極細毛ブラシ」の2種類ですが、別売で歯間用ブラシやホワイトニングブラシも用意、よりきめ細かなオーラルケアに対応できます。一方、フィリップスは最初から「歯垢除去用」「歯ぐきケア用」「ホワイトニング用」「舌磨き用」の4種類のブラシを付属しています。

 

パナソニックは6種類の多彩なブラシを標準搭載。通常の歯垢除去から歯周ポケットケア、磨き残しの多い歯と歯のすき間を専用のブラシでより丁寧に手入れすることができます。さらにステインケアも歯垢除去と同時にできるブラシのほか、専用ペーストを使った集中ケアができるアタッチメントも付属。なお、歯ぐきケアは「シリコンブラシ」で、舌のケアはステインオフブラシの背面を使い、「ソフト」モードで行います。

↑写真左からマルチフィットブラシ、密集極細毛ブラシ、ポイント磨きブラシ、シリコンブラシ、ステインオフブラシ、ステインオフアタッチメント。このほか、ステイン集中ケア用の「ステインクリーンペースト」も付属しています↑パナソニックの付属ブラシ。写真左からマルチフィットブラシ、密集極細毛ブラシ、ポイント磨きブラシ、シリコンブラシ、ステインオフブラシ、ステインオフアタッチメント。このほか、ステイン集中ケア用の「ステインクリーンペースト」も付属しています

 

これら各モデルの違いを考えると、ブラウン オーラルBは手動でモードを切り替えて、歯垢除去もホワイトニング、歯ぐきケアもある程度自分のペースで行いたい人向き。フィリップスは電動歯ブラシまかせで効率的よくオーラルケアしたい人に最適です。一方パナソニックは、多彩なアタッチメントを使って、歯科医院でやってもらうようなしっかりしたケアを自宅でやりたい人におすすめと言えます。

 

[サポート機能]

時間経過の通知機能、押し付け防止機能は全モデルが装備

より磨き残しの少ない効率的なブラッシングをサポートする機能としては、歯磨きの時間経過を知らせる機能は各モデルが搭載。ブラウン オーラルBとパナソニックは30秒ごと、フィリップスは20秒ごとに音や振動の停止、ライトの点滅で通知します。口内を2分で歯磨きする場合、口の中を4分割して30秒ずつ、あるいは6分割して20秒ずつ丁寧に磨くことを意識しやすいメリットがあります。

 

また、歯や歯ぐきへの過度の負担を減らすブラシの押し付け防止機能も、3モデルすべて採用。ブラウン オーラルBとフィリップスはライトによる注意喚起型、パナソニックは自動で振動を弱めるタイプです。パナソニックに関しては、歯磨きのスタート時は弱い振動からスタートし、約2秒かけて設定の振動まで強める「ソフトスタート機能」を採用しているのがユニークです。

↑手の甲にブラシをギュッと押し当てると、センサーが反応↑ブラウン オーラルBの押し付け防止機能。手の甲にブラシをギュッと押し当ててみると、センサーが反応して本体のスマートリング(ブラシの根元のランプ)が赤く光ります

 

ブラウン、フィリップスはアプリで磨き残しやすい部分を推定できる

さらに、ブラッシングをサポートするうえで有効なのが専用アプリとの連携機能。ブラウン オーラルBとフィリップスがアプリ連携に対応し、歯磨きの達成度のおおまかな把握ができます。歯ブラシの位置情報による判定であり、実際に歯垢の取れ具合をチェックしているわけではないのですが、歯垢染色剤などを塗布する手間も不要で、どこに磨き残しが多いかを推定できるのが便利です。

↑センサーが口内各部位の歯磨き時間を計ってユーザーの歯磨きのクセをチェック。よく磨けた場所は白く、磨き残しのある場所は黄色で表示されます。歯の画像を3次元で表示することも可能です↑フィリップスのアプリ画面。センサーが口内各部位の歯磨き時間を計ってユーザーの歯磨きのクセをチェック。よく磨けた場所は白く、磨き残しのある場所は黄色で表示されます。歯の画像を3次元で表示することも可能です

 

また両機種とも、ブラッシング後にはデンタルフロスなどを行ったかまでリマインドしてくれます。電動歯ブラシの高級モデルは歯垢除去力が高いとはいえ、歯垢を完全に除去できるわけではありません。特に歯間には磨き残しが残りがちで、デンタルフロスを使った“仕上げ掃除”は重要。そういうことを理解はしていてもついつい面倒臭がる人に、リマインド機能は有効です。

↑メニューの設定画面。↑ブラウン オーラルBの設定画面。集中ケアの設定やデンタルフロス、舌クリーニングなどのリマインドも設定できます

 

一方、パナソニックはアプリとの連携はできません。ただ、アタッチメント豊富な同製品を使いたいという人は、オーラルケアへの意識が高いはず。電動歯ブラシのアプリには、丁寧な歯磨きへのモチベーションを喚起するため、という目的が多分にあるので、そうしたモチベーションをすでに持っている人には、アプリは特に必要ないともいえます。

 

以上のことから、よりきめ細かいオーラルケアを心がけたいと思いつつ、モチベーションを常に高く持ち続ける自信のない人はブラウン オーラルBやフィリップスがオススメ。多彩なアタッチメントを駆使してオーラルケアしたいというやる気が十分ある人にはパナソニックがオススメといえます。

 

[充電のしやすさ/設置性]

充電機能ではパナソニックが最も優秀

充電時間を比較すると、最も優秀なのは約1時間で満充電できるパナソニック。ブラウン オーラルBが12時間、フィリップスが24時間かかることを考えると、その差は歴然です。また、パナソニックは完全にバッテリー切れした状態から2分充電するだけで1回の歯磨きができるクイックチャージ機能を持ち、「充電忘れた!」というトラブルがあっても即座に対応できます。

↑充電リングにハンドルをセットすると自動で充電し始めます。ハンドルの底が浮いているので、水垢がつきにくく、充電台についた水滴や汚れも、さっと拭き取れます↑パナソニックの充電中の状態。充電リングにハンドルをセットすると自動で充電し始めます

なお、今回の3モデルはどれもリチウムイオン電池を採用し、継ぎ足し充電してもバッテリー性能が劣化しにくいのが特徴。常にコンセントを挿している状態なら、特に充電時間を気にする必要はないでしょう。

 

フィリップスのグラス型充電器は見た目がオシャレ

充電の仕方で特徴的なのはフィリップスとパナソニック。フィリップスはハンドル収納用のグラスを充電器台の上に設置し、グラスにハンドルを入れるだけで充電が始まって見た目にもオシャレです。パナソニックは充電台のリングにハンドルを挿すフロート型(浮いている状態)でこれまたオシャレ。突起のある充電台と比べ、水滴や汚れをサッと一拭きできれいにできるのも魅力です。一方、ブラウン オーラルBは、ハンドル底部を充電台の突起に挿して立てるオーソドックスなスタイル。他の2モデルに比べるとオシャレ度は低めですが、「充電しやすさ」ではほとんど差はありません。

↑フィリップスのグラス型充電機↑フィリップスのグラス型充電器

 

ブラウンは充電器にブラシホルダーを一体化できる

充電台の設置性はどれも優秀。ブラシホルダー一体型のブラウン オーラルBはややスペースを取ります(約14×9cm)が、ブラシホルダーを外して使うなら充電台が約6.3×4.6cmと省スペース。また、フィリップスのハンドル収納用グラスは設置スペースは約8×8cm、パナソニックの充電台は直径約7cmとなります。なお、パナソニックはブラシスタンドと充電台が分かれており、ブラシスタンドは軽いので、安定感はいまひとつ。フィリップスはブラシホルダーが付属しないので、自分で用意する必要があります(ブラシホルダー付属モデルもあり)。

↑ブラシホルダーには最大4本のブラシを収納可能。ブラシの根元に付属の色付きのリングをつけておけば、どのブラシが誰のものかわかりやすいです↑ブラシホルダーと組み合わせた上体のブラウン オーラルBの充電器。ブラシホルダーを外して使うことも可能です

 

↑スタンドにブラシをセット。スタンドが軽量な割には安定していました↑8本のブラシが収納できるパナソニックのブラシスタンド

 

ブラウンはトラベルケースにスマホ充電用のUSB端子を装備

ちなみに、出張や旅行に持って行く場合、ブラウン オーラルBとフィリップスに付属するトラベルケースに充電機能がついていますが、パナソニックにはついていません。ただ、パナソニックもフル充電すればWクリーンモードで45分(1日2回2分の使用で約11日間)、その他のモードで90分(1日2回2分の使用で約22日間)使えるので、よほどの長旅でなければ心配なさそう。それでも心配な人は(充電台も持って行くか)ブラウン オーラルBかフィリップスを選ぶのがいいでしょう。なお、ブラウン オーラルBは、トラベルケースにスマホ充電用のUSB端子を装備しているのが便利です。

↑トラベルケースにはブラシを2本収納可能。ケース側面に電源アダプター用の端子とUSBポートを搭載し、歯ブラシとスマホを同時に充電することができます。ふたのスリット部分にスマホを差し込んでスマホホルダーに。これを洗面台に置けば、ポジション検知機能も使えます↑ブラウン オーラルBのトラベルケース。ケース側面に電源アダプター用の端子とUSBポートを搭載し、歯ブラシとスマホを同時に充電することができます。ふたのスリット部分にスマホを差し込むと、スマホのホルダーに。これを洗面台に置けば、アプリ機能も使いやすいです

 

【結論】3モデルの主なポイントまとめ

主なポイントをまとめると、ブラウン オーラルBは、歯が1本ずつ磨けるイメージの小さめのヘッドが好みで、より強い振動を求める人。オーソドックスなモードを手動で切り替えてじっくり磨きたい人。また、専用アプリで磨きのクセなどをチェックしつつ、ハブラシのモチベーションを高めたい人。安定感のあるブラシホルダーが付いたシンプルな充電器を好む人。充電機能付き&USB端子付きでスマホ充電もできるトラベルケースが欲しい人などにおすすめといえます。

 

続いて、フィリップスは、ブラシが大きめなので、歯並びが比較的キレイで、ブラシ圧力が弱めが好み、かつそこまで強い振動が必要ない人。モード切り替えはブラシのセットだけで自動設定できるほか、2種類のブラッシングを組み合わせたモードもあるので、ある程度モード切り替えの手間を省いてブラッシングしたい人。専用アプリで磨きのクセなどをチェックでき、充電器にもオシャレを求める人、USBで充電できるトラベルケースが必要な人などにおすすめです。

 

一方、パナソニックは、歯が1本ずつ磨けるイメージの小さめのヘッドが好みで、ある程度強めの振動が好みの人。オーソドックスなモードを手動で切り替えてじっくり磨きたい人。アプリは必要ないが、6種類の多彩なブラシで歯科医のようなしっかりしたケアをしたい人。オシャレで手入れのしやすい充電器を求めており、細身でコンパクトなボディが好み。かつ携帯ケースもなによりコンパクトさを重視する(充電機能は不要)という人などにおすすめとなります。

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歯は食べ物の味を左右し、見た目にも大きな影響を与える大事な部分。いったん傷めてしまうと、元通りに治すことはできないだけに、何よりも日ごろのケアが大事です。ぜひ本稿を参考として最適なケア・パートナーを選び、健康な歯を長くキープしてくださいね。

最新電動ハブラシの「アプリ連携」って実際どう? 「充電」の違いは? 3大ブランドの「磨き性能以外」徹底比較を8000字でレポート!

いつまでも歯の健康と美しさを保ちたいなら、電動歯ブラシを検討してみてはいかがでしょうか。本稿は、なかでも人気の3ブランドであるブラウン オーラルB、フィリップス ソニッケアー、パナソニック  ドルツの最上位モデルを取り上げ、その実力を比較・検証する連載企画の第2回。前回は各モデルの「歯垢除去力」と「磨き心地」、さらに「ブラッシングモードのバリエーション」をチェックしましたが、今回は「磨き」以外の部分を検証。より効率的で快適なブラッシングを実現する「サポート機能」と、各モデルの「充電のしやすさ」「設置性」について見ていきましょう。

 

【テストする機種はコチラ】

エントリーその1

回転式の丸形ブラシで歯垢を浮かしすばやくかき出す

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ブラウン オーラルB

ジーニアス9000

D7015256XCTBK

実売価格2万4800円

歯科クリーニング器具から着想を得た丸形ブラシを採用した回転式モデル。「3D丸型回転テクノロジー」で、高速上下運動で歯垢をたたいて浮かし、 左右反転運動で浮いた歯垢をすばやくかき出す。押しつけ防止センサーを搭載し、ブラッシング時の圧力が強すぎるとランプが光って、歯と歯ぐきを傷めるのを防ぐ。歯磨き時のブラシのポジションを検知機能を装備し、歯ブラシとアプリを連携させることで、磨きグセを改善し、正しいブラッシングのガイドをしてくれる。歯垢をしっかり除去する「マルチアクションブラシ」と、歯ぐきをいたわりながら歯垢を取り除く「やわらか極細毛ブラシ」が付属。

SPEC●駆動方式:3D丸型回転(回転式)●最大左右反転数:1万500回/分●最大上下振動数:4万8000回/分●ブラッシングモード:6●充電時間:約12時間●使用時間:約48分(約12日間 ※1日2回、2分使用した場合)●付属ブラシ:2本●サイズ/質量(本体):W29×H241×D35mm/133g

 

エントリーその2

「音波水流」で歯間や奥歯など磨きにくい部分の歯垢も除去

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フィリップス

ソニッケアー ダイヤモンドクリーン スマート

HX9934/05

3万8830円

ブラシの超高速振動と幅広い振幅で「音波水流」を発生し、毛先の届きにくい歯間部や奥歯などの歯垢も除去。手磨きと比べ10倍の歯垢除去力を誇る。歯垢除去、歯ぐきケアなどに特化した4本のブラシヘッドが付属。各ヘッドをハンドルに装着すると、5つのモードのなかから、最適なモードに自動設定。専用アプリと連携し、上手なブラッシングや、一人一人のニーズに合わせたオーラルケアの方法を指導してれる。ブラシの押し付けすぎやハンドルの動かしすぎを検知して注意喚起するセンサーを搭載。スタイリッシュなグラス型充電器も魅力のひとつ。

SPEC●駆動方式:音波式●ブラシ振動数:約3万1000回/分●ブラッシングモード:5●強さ設定:3段階●充電時間:約24時間(約14日間 ※1日2回、2分使用した場合)●使用時間:約56分●付属ブラシ:4本●サイズ/質量(本体):W30.5×H255×D27.8mm/約144g

 

エントリーその3

ヨコ振動×タテ振動の「W音波振動」で歯周ポケットと歯間をしっかりケア

20180129-s1 (9)

パナソニック

音波振動歯ブラシ ドルツ

EW-DP51

2万6330円

従来の横振動に新たにタタキ振動が加わった「W音波振動」で高い歯垢除去力を実現。2つのモーターを搭載し、横振動で歯周ポケットに潜む歯周病の病原菌をかきだし、タタキ振動で歯間部の歯垢を強力に除去する。モードは「Wクリーン」モードのほか「ステインオフ」など合計5つのモードを用意するうえ、付属の6種類のブラシを使って、トータルなオーラルケアが可能だ。また、パワーコントロール機能でしっかりとした磨き心地を実現しながら、磨きすぎ防止も実現。リングに本体を挿し込んで充電する「フロートチャージスタイル」は、台座がフラットで手入れしやすい。

SPEC●駆動方式:W音波振動(音波式)●ブラシストローク数:横振動約3万1000回/分、タタキ振動約1万2000回/分●ブラッシングモード:5●充電時間:約1時間(クイックチャージ:約2分)●使用時間:Wクリーンモード時約45分、その他モード時約90分●付属ブラシ:6本●サイズ/質量(本体):W29×H235×D35mm/約110g

 

【テストの内容はコチラ】

「サポート機能」はブラッシング/オーラルケアをより快適かつ適切に行えるようガイドしてくれる機能をチェック。特にスマホアプリとの連携機能については、詳しく見ていきます。

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「充電のしやすさ」については、充電時間や充電までの手順をチェックします。さらに「設置性」は本体と替えブラシの収納のしやすさ、設置場所がコンパクトに収まるかを吟味します。合わせて、収納ケースの機能もチェックしました。

 

【検証結果はコチラ】

ブラウン オーラルB

ジーニアス9000

D7015256XCTBK

[サポート機能]

「プロフェッショナルタイマー」が30秒ごとに時間経過を知らせる

本製品は口内を上下・左右に4分割、各30秒ずつ磨いて合計2分でブラッシングを終了するスタイルを推奨。そのために、30秒ごとに一瞬回転速度を緩め、ハンドル上部ライトを点滅させて、時間経過を知らせる「プロフェッショナルタイマー」を搭載しています。このほか、推奨ブラッシング時間の2分が経過すると、回転速度の変化とライト点滅で知らせる「2分間タイマー」に切り替えることも可能です。

 

また、本製品には歯や歯ぐきへのブラシの押し付けすぎを防止する「押し付け防止センサー」も装備。ブラシを強く押し付けるとライトが赤く点滅すると同時に回転速度に一瞬ブレーキがかかります。押し付ける強さは、かなり強めに押し当てないとライトが赤く光りませんでした。

↑手の甲にブラシをギュッと押し当てると、センサーが反応↑手の甲にブラシをギュッと押し当ててみると、センサーが反応して本体のスマートリング(ブラシの根元のランプ)が赤く光ります

 

アプリとの連携で歯の磨き残しや同じ場所の磨きすぎを防止

そして本製品最大の注目ポイントといえるのが、専用アプリとの連携機能。「Oral-B」アプリ内に歯磨き中のブラシのポジション検知機能を搭載し、本体に内蔵のモーションセンサーとスマホのカメラ機能を使って「いまどこを磨いているか」を検知。歯の磨き残しや同じ場所の磨きすぎが防げます。

↑メニューの設定画面。↑設定画面。集中ケアの設定やデンタルフロス、舌クリーニングなどのリマインドも設定できます

 

↑ブラッシング時には、洗面所の鏡にスマホ用ホルダーを取り付けます。吸盤式でしっかり貼り付き、安定感があります↑ブラッシング時には、洗面所の鏡にスマホ用ホルダーを取り付けます。吸盤式でしっかり貼り付き、安定感があります

 

また、ブラッシング終了後にデンタルフロスは行ったか、舌クリーニングはしたか、マウスウォッシュは行ったか、と聞かれるので、自然と口の中をトータルケアするようになります。すべての行程が終了した後には、歯の磨き方を採点してくれるので、毎日の歯磨きのモチベーションもアップ。ブラッシング時間の確認もできます。

↑アプリ上で「ポジション検知機能」を起動し、「カメラの設定」を押したあと、画面中央の円の中に顔が入るように顔の位置を調整します。設定後に磨き始めると、口内を6分割した青の円形表示が徐々に白く変化します。ときにはブラシの位置と白くなっている位置が微妙にずれることも↑アプリ上で「ポジション検知機能」を起動し、「カメラの設定」を押したあと、画面中央の円の中に顔が入るように顔の位置を調整します。設定後に磨き始めると、口内を6分割した青の円形表示が徐々に白く変化します。まれにブラシの位置と白くなっている位置が微妙にずれることも

 

↑アドバイスも↑ブラッシング時間のほか、「これらの場所は、もっとやさしくブラッシングしてください」などのアドバイスも表示してくれます

 

[充電のしやすさ/設置性]

充電方法はシンプルでトラベルケースが充実

充電は歯磨き終了後に、ハンドルを充電器の突起にセットするというシンプルな方法。約12時間で満充電になり、そこから約48分運転できます。毎日2回、2分ずつ使った場合、約12日間使えることになります。充電器は、単体だと約6.3×4.6cm(編集部実測値)。ブラシホルダーと一体化して設置することができます。その場合、設置スペースは約14×9cmです。

↑充電器。本体の根元を↑充電器の突起に本体の底を差し込む形で充電します

 

↑ブラシホルダーには最大4本のブラシを収納可能。ブラシの根元に付属の色付きのリングをつけておけば、どのブラシが誰のものかわかりやすいです↑ブラシホルダーには最大4本のブラシを収納可能。写真のように、充電器と組み合わせることも可能です。ブラシの根元に付属の色付きのリングをつけておけば、どのブラシが誰のものかわかりやすいです

 

また、本製品には充電ができるトラベルケースも同梱。USBポートも装備しており、同時にスマホの充電も可能です。旅先で電源が限られているときは便利ですね。また、ふた部分にスマホが挟めるので、旅先でもアプリと連携してオーラルケアができます。

↑高級感のあるトラベルケース↑高級感のあるトラベルケースが付属。大きさは幅約7cm×長さ23.4cm×高さ3.9cm(編集部実測値)

 

↑トラベルケースにはブラシを2本収納可能。ケース側面に電源アダプター用の端子とUSBポートを搭載し、歯ブラシとスマホを同時に充電することができます。ふたのスリット部分にスマホを差し込んでスマホホルダーに。これを洗面台に置けば、ポジション検知機能も使えます↑トラベルケースにはブラシを2本収納可能。ケース側面に電源アダプター用の端子とUSBポートを搭載し、歯ブラシとスマホを同時に充電することができます。ふたのスリット部分にスマホを差し込むと、スマホのホルダーに。これを洗面台に置けば、ポジション検知機能も使えます

 

エントリーその2

フィリップス

ソニッケアー ダイヤモンドクリーン スマート

HX9934/05

[サポート機能]

初めて使う人にうれしい「イージースタート機能」を搭載

本製品もブラッシングの時間経過を知らせる「ブラシペーサー機能」を搭載。20秒経つごとに運転が一瞬止まり、ビープ音が鳴ります。これにより、口内全体を同じペースで歯磨きすることが可能です。また、各モードごとにブラッシング時間が設定されていて、設定時間がくると自動停止するのも特徴。磨きすぎを防止するのが目的かもしれませんが、筆者のように設定時間よりやや長めにブラッシングしたいユーザーはいちいちボタンを押して運転再開しなければいけないのが面倒でした。「自動停止する」「しない」を選択できればよかったです。

 

さらに本製品は過圧防止センサーを搭載し、ブラッシング中に歯や歯ぐきに圧力をかけすぎると、ランプの点滅で知らせてくれます。手の甲に当てて確認したときは強めに押し付けないとランプが点滅しませんでしたが、実際に歯を磨いていると、ふとしたときにランプが点滅することが2~3度ありました。歯磨き中は、意外に力が入る瞬間があるようです。

↑過圧防止センサーが働くと、ハンドル底部のランプが紫色に点滅。同時にブラッシングの振動が変化します↑過圧防止センサーが働くと、ハンドル底部のランプが紫色に点滅。同時にブラッシングの振動が変化します

 

本製品は歯磨き時の振動の強さを3段階で調節できますが、そのほかに電動歯ブラシを初めて使う人で強い振動に慣れていない人のための「イージースタート機能」も搭載されています。この機能は使い始めは、最初の14回まで通常より弱い振動で歯磨きし、段階的に通常の振動まで強めていく機能です。

 

アプリ連携で磨き残しを減らし、より負担のないブラッシングに導く

また、本製品は「Philips Sonicare」アプリと連携し、より丁寧なオーラルケアをすることが可能。ハンドル部に内蔵されたセンサーが歯磨き中にどこを磨いているか検知するほか、ブラシの押し付けすぎや動かしすぎも記録して、より高精度で負担のないブラッシングに導いてくれます。

↑アプリの画面上で、磨くべき場所を白く囲って表示。ブラシを押し付けすぎるとアプリ内に注意喚起の赤いマークが現れます↑アプリの画面上で、磨くべき場所を白く囲って表示。ブラシを押し付けすぎるとアプリ内に「弱めてください」と注意喚起の赤いマークが現れます

 

ちなみにこのアプリでは、口内を6分割し、時間ごとに磨くべき場所を示すやり方を取っています。本製品が設定したペースに合わせて時間内に終了しなかった場合、リスタートしても「磨き残し」の判定がまたイチからになるので注意しましょう。

↑センサーが口内各部位の歯磨き時間を計ってユーザーの歯磨きのクセをチェック。よく磨けた場所は白く、磨き残しのある場所は黄色で表示されます。歯の画像を3次元で表示することも可能です↑センサーが口内各部位の歯磨き時間を計ってユーザーの歯磨きのクセをチェック。よく磨けた場所は白く、磨き残しのある場所は黄色で表示されます。歯の画像を3次元で表示することも可能です

 

アプリではこのほか、歯磨き終了後にデンタルフロスやマウスウォッシュ、舌磨きのリマインドも可能。また「爽やかな息」「健康な歯ぐき」「ホワイトニング」など、ユーザーごとに目標を設定すると、それに適したメニューを提示してくれます。

 

[充電のしやすさ/設置性]

スタイリッシュなグラス型充電器で設置スペースも少ない

本製品の収納・充電はとても手軽。充電器台の上に専用グラスをセットし、歯磨き終了後にハンドルを中に入れれば、自動的に充電が始まります。満充電までは約24時間かかり、約56分使用可能。1日2回、2分ずつ使うと、約14日間使えることになります。バッテリー切れから満充電まで丸一日かかるので、電源プラグはコンセントに挿したままにして、こまめに充電するほうが便利そうです。設置スペースは見た目にはグラス1個分と、とてもコンパクトです。ちなみに、グラスに水を汲んで口をすすぐ用途に使ってもOK。

↑専用グラスの底に窪みがあって、充電器台にぴったり装着可能。歯ブラシをグラスにただ入れているだけに見えるのに、しっかり充電もできるのがオシャレです↑一見するとただのグラスですが、専用グラスの底に窪みがあって、充電器台にぴったり装着可能。歯ブラシをグラスにただ入れているだけに見えるのに、しっかり充電できるのがオシャレです

 

設置スペースは充電器台が直径約6.6cmで、ハンドル収納用グラスが約8×8cm(編集部実測値)。ブラシホルダーは付属していなため、自分で収納用具を用意する必要があります。ちなみに「ダイヤモンドクリーン スマート」にはブラシホルダーが付属されている機種(HX9964/55など)もあるので、自分で用意するのが面倒な人はそちらを選んでもいいでしょう。

 

同梱のトラベルケースハンドルのほか、ブラシ2本が入ります。トラベルケースはUSB充電タイプで、パソコンなどの端子に繋いで充電が可能です。

↑トラベルケース。長さは約23×幅7×高さ5cm↑トラベルケース。幅約7cm×高さ約5cm×長さは約23cm(編集部実測値)

 

↑トラベルケースの底のフタを開けると給電用のUSBケーブルが↑トラベルケースの底のフタを開けると給電用のUSBケーブルが

 

エントリーその3

パナソニック

音波振動歯ブラシ ドルツ

EW-DP51

[サポート機能]

スタート時に振動を抑える「ソフトスタート機能」が面白い

歯の磨きすぎ防止については、本製品は注意喚起でなく、パワーを自動で弱める機能を採用。歯磨き中にブラシに強い圧力がかかると自動で振幅を抑制するため、普段はパワフルにブラッシングしつつ、歯や歯ぐきに過度な負担がかかることは回避できます。

 

歯磨き時間の通知は、30秒ごとに行います。運転開始後30秒経つと振動が一瞬停止してすぐ再開、これを2分まで続け、2分後には2回停止して、再び運転を続けます。筆者は口内を4分割して歯の表側、裏側、噛み合わせ部とブラッシングしますが、自分が30秒でどれくらい磨けるか、2分でどれくらい磨けるかがわかるのは便利でした。

 

そのほか、本製品で面白いのが「ソフトスタート機能」。これは歯磨きのスタート時は弱い振動からスタートし、約2秒かけて設定の振動まで強める機能。歯磨きが必ず弱い刺激から始められるので、適正なポジションを探るのに便利ですし、強い振動に慣れていない人でも使いやすいと感じました。また、この機能には歯磨き開始時の歯磨き粉の飛び散りを防ぐ目的もあります。

↑スタート時は↑「ソフトスタート機能」でスタート時に強く押し付けすぎる心配もありません

 

[充電のしやすさ/設置性]

充電時間の短さは圧倒的! 携帯ケースの携帯性はNo.1

本製品の充電台は直径約7cmの円形でとてもコンパクト。ハンドルを充電台のリングに挿すだけで充電を開始します。さらに驚くのは充電時間で、なんと1時間で急速充電でき、使用時間も「Wクリーン」モードで約45分、その他のモードで約90分と十分なスタミナです。万が一バッテリーがなくなっていても、2分充電すれば約2分間の使用(クイックチャージ)が可能です。

↑充電リングにハンドルをセットすると自動で充電し始めます。ハンドルの底が浮いているので、水垢がつきにくく、充電台についた水滴や汚れも、さっと拭き取れます↑充電リングにハンドルをセットすると自動で充電し始めます

 

ハンドルの底が浮いているので、水垢がつきにくく、充電台についた水滴や汚れも、さっと拭き取れますハンドルの底が浮いているので水アカがつきにくく、充電台についた水滴や汚れも、さっと拭き取れます

 

ブラシスタンドは4本をセットできるものが2個付属しています。充電台と一体型でないため置き場所は自由が、軽量ですぐ動いてしまうのは気になります。ただし、見た目より倒れにくい作りになっているのが特徴です。

↑スタンドにブラシをセット。スタンドが軽量な割には安定していました↑スタンドにブラシをセットした状態

 

携帯ケースは充電機能がないので、旅行に持って行くときは充電台も持ち歩くか、家でしっかり充電しておく必要があります。素材はプラスチック製で高級感には欠けますが、軽量なうえ長さが18cm台と他の2機種に比べてコンパクト。携帯性を第一に考えるならこの大きさはメリットです。

↑携帯ケースにはハンドル(本体)のほかブラシを2本収納できます。↑携帯ケースにはハンドル(本体)のほかブラシを2本収納できます。幅約5.7cm×高さ3.8cm×長さ18.4cm(編集部実測値)

 

今回の検証のまとめ】

時間経過を知らせる機能、押し付けすぎ防止機能は全機種が装備

サポート機能に関しては、いくつか共通する機能がありました。まず、ブラッシング時間の経過を知らせる機能は全機種が搭載。ブラウン オーラルBとパナソニックは30秒ごと、フィリップスは20秒ごとにライト点灯や振動の変化などで知らせてくれます。特にパナソニックは30秒ごとの経過と2分経過を識別しやすいのが便利でした。また、フィリップスは各モードごとの時間が経つと強制的に運転終了。筆者のように自分のペースで磨きたい場合はやや不便に感じますが、できるだけムダなく短時間で歯を磨きたい人には、便利です。

 

ブラシの押し付けすぎ防止機能は全機種搭載。ブラウン オーラルBとフィリップスはライトと音(振動)で注意を喚起、パナソニックは注意喚起でなく自動でパワーダンすることで、歯や歯ぐきへの負担を減らします。どちらのタイプを選ぶかは、刺激が強いのが好みか否かの問題でしょう。

↑手の甲にブラシをギュッと押し当てると、センサーが反応↑ブラウン オーラルBを強く押し当てると、スマートリングが赤く光ります

 

そのほか、パナソニックは「ソフトスタート機能」が優秀。振動自体が3機種の中で最も控えめなうえ、同機能の採用で、電動歯ブラシ主審者でも多くの人が導入しやすいと思います。

 

アプリ対応のブラウンとフィリップスは自分のクセを把握するのに便利

アプリ連携はブラウン オーラルBとフィリップスが対応。歯磨きの達成度については、歯垢自体の取れ具合をチェックしているのでなく、ブラシの位置から磨いた時間を判断しているので、あくまで「参考」であり、歯垢染色剤によるチェックには及びません。ただ、大まかな歯磨きの達成度やユーザーごとの“クセ”は把握でき、面倒な手間も不要なので、利用価値は高いと思います。デンタルフロスなど歯磨き以外のケアもリマインドしてくれるので、ズボラな性格だけどアプリに指摘されたらケアする、という人には最適でしょう。

↑ブラウン オーラルBの↑ブラウン オーラルBの「集中ケア」設定画面

 

↑フィリップスの↑フィリップスのアプリ画面

 

パナソニックは今回の中では唯一アプリ連携に非対応。ただ、本体だけで歯磨きペースの確認はできますし、前回紹介したように、ポイント磨きブラシなど、豊富なアタッチメントが揃っています。トータルなオーラルケアを意識的に行える人は、アプリなしでも問題ないのかもしれません。

 

充電時間の短さはパナソニックがダントツで優秀

一方、充電に関してはパナソニックがダントツで優秀。充電時間1時間はブラウン オーラルBの12分の1、フィリップスの24分の1時間で、バッテリーが完全に切れていても2分充電すれば1回磨けるというのも安心です。付属のトラベルケースに充電機能がついていないのが気になりますが、1時間のフル充電で「Wクリーン」モードで約11日、その他のモードで約22日(1日2回、各2分で使用するとき)使えるので、1週間程度の出張にはまったく差し支えないといえるでしょう。

↑↑パナソニックの充電台

 

充電の手軽さではグラスに立てかけるだけのフィリップス

充電のしやすさではフィリップスが特に優秀。グラスに立てかけておくだけで充電開始してくれるのがスマートです。他機種もリングに挿したりスタンドに立てるだけで、手間なく充電できます。また、全機種ともリチウムイオン電池を使っていて、こまめに充電しても充電容量が落ちにくいのもうれしい点。ということで、歯ブラシ使用後は常に充電させておく状態で使うなら、満充電に時間のかかるブラウン オーラルBやフィリップスも、それほど問題にはならないとも言えます。

 

充電台の設置性について見ると、3モデルともほぼ問題なし。ブラシホルダー一体型のブラウン オーラルBのみややスペースを取ります(約14×9cm)が、ブラシを頻繁に替えないなら、ブラシホルダーを外してもOK。その場合はブラウン オーラルBの充電台が約6.3×4.6cmです。また、フィリップスのハンドル収納用グラスは約8×8cm、パナソニックの充電台は直径約7cmとなります。

↑フィリップスのグラス型充電機↑フィリップスのグラス型充電器

 

ブラシの収納に関しては、「ブラウン オーラルBは充電台とブラシホルダー一体型にするとやや場所を取る」「フィリップスはホルダー非搭載で別途用意する必要あり」「パナソニックはブラシスタンドが独立しているが、軽量で動きやすい」という特徴があるので、家族で共用したい家庭はこの点を考慮しましょう。

 

次回は第1回、第2回のまとめとして、各モデルがどんな人に適しているかを考えていきたいと思います。

最新電動ハブラシを「汚れ落ち」と「刺激」順に並べてみたら? 3大ブランドの「磨きの違い」が劇的にわかる9000字レポート

いつまでも歯の健康と美しさを保ちたいなら、電動歯ブラシを検討してみては? 高速振動や音波振動で、歯垢を効率的に除去できる電動歯ブラシは、正しく使えばオーラルケアの強力なツールになります。なかでも、各メーカーがその技術を惜しみなく投入した最上位機種は、歯垢除去だけでなく歯ぐきケアや歯のホワイトニング、舌ケアなどお口全体のケアに対応し、時短にも効果的です。

 

そこで今回は、電動歯ブラシ業界の3大ブランドとして知られるブラウン、フィリップス、パナソニックの最上位モデルを取り上げて徹底的に比較・検証。磨き心地や歯垢の除去具合、搭載モードのバリエーションやスマホアプリとの連携機能、操作性や設置性などを2回に分けてチェックしていきたいと思います。第1回となる今回は、基本の歯垢除去能力や磨き心地の違い、ブラッシングモードのバリエーションを見ていきましょう!

20180129-s1 (16)

 

【テストする機種はコチラ】

エントリーその1

回転式の丸形ブラシで歯垢を浮かしすばやくかき出す

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ブラウン

オーラルB ジーニアス9000

D7015256XCTBK

実売価格2万7860円

歯科クリーニング器具から着想を得た丸形ブラシを採用した回転式モデル。「3D丸型回転テクノロジー」で、高速上下運動で歯垢をたたいて浮かし、 左右反転運動で浮いた歯垢をすばやくかき出す。押しつけ防止センサーを搭載し、ブラッシング時の圧力が強すぎるとランプが光って、歯と歯ぐきを傷めるのを防ぐ。歯磨き時のブラシのポジションを検知機能を装備し、歯ブラシとアプリを連携させることで、磨きグセを改善し、正しいブラッシングのガイドをしてくれる。歯垢をしっかり除去する「マルチアクションブラシ」と、歯ぐきをいたわりながら歯垢を取り除く「やわらか極細毛ブラシ」が付属。

SPEC●駆動方式:3D丸型回転(音波式)●最大左右反転数:1万500回/分●最大上下振動数:4万8000回/分●ブラッシングモード:6●充電時間:約12時間●使用時間:約48分(約12日間 ※1日2回、2分使用した場合)●付属ブラシ:2本●サイズ/質量(本体):W29×H241×D35mm/133g

 

エントリーその2

「音波水流」で歯間や奥歯など磨きにくい部分の歯垢も除去

20180129-s1 (5)

フィリップス

ソニッケアー ダイヤモンドクリーン スマート

HX9934/05

3万8830円

ブラシの超高速振動と幅広い振幅で「音波水流」を発生し、毛先の届きにくい歯間部や奥歯などの歯垢も除去。手磨きと比べ10倍の歯垢除去力を誇る。歯垢除去、歯ぐきケアなどに特化した4本のブラシヘッドが付属。各ヘッドをハンドルに装着すると、5つのモードのなかから、最適なモードに自動設定。専用アプリと連携し、上手なブラッシングや、一人一人のニーズに合わせたオーラルケアの方法を指導してれる。ブラシの押し付けすぎやハンドルの動かしすぎを検知して注意喚起するセンサーを搭載。スタイリッシュなグラス型充電器も魅力のひとつ。

SPEC●駆動方式:音波式●ブラシ振動数:約3万1000回/分●ブラッシングモード:5●強さ設定:3段階●充電時間:約24時間(約14日間 ※1日2回、2分使用した場合)●使用時間:約56分●付属ブラシ:4本●サイズ/質量(本体):W30.5×H255×D27.8mm/約144g

 

 

エントリーその3

ヨコ振動×タテ振動の「W音波振動」で歯周ポケットと歯間をしっかりケア

20180129-s1 (9)

パナソニック

音波振動歯ブラシ ドルツ

EW-DP51

2万6330円

従来の横振動に新たにタタキ振動が加わった「W音波振動」で高い歯垢除去力を実現。2つのモーターを搭載し、横振動で歯周ポケットに潜む歯周病の病原菌をかきだし、タタキ振動で歯間部の歯垢を強力に除去する。モードは「Wクリーン」モードのほか「ステインオフ」など合計5つのモードを用意するうえ、付属の6種類のブラシを使って、トータルなオーラルケアが可能だ。また、パワーコントロール機能でしっかりとした磨き心地を実現しながら、磨きすぎ防止も実現。リングに本体を挿し込んで充電する「フロートチャージスタイル」は、台座がフラットで手入れしやすい。

SPEC●駆動方式:W音波振動(音波式)●ブラシストローク数:横振動約3万1000回/分、タタキ振動約1万2000回/分●ブラッシングモード:5●充電時間:約1時間(クイックチャージ:約2分)●使用時間:Wクリーンモード時約45分、その他モード時約90分●付属ブラシ:6本●サイズ/質量(本体):W29×H235×D35mm/約110g

 

【テストの内容はコチラ】

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歯垢除去に最も適したブラシでの歯垢除去力と磨き心地をチェック。「歯垢除去力」は歯磨き後、市販の歯垢染色剤を歯に塗布してうがいし、磨き残しをチェック。磨き時間は、筆者の通常の歯磨き時間と同様、すべて約3分で比較しています。磨き方は、すべての歯を表側、裏側、噛み合わせ部の3方向から磨きました。

 

磨き心地」は、奥歯や歯の隙間、前歯の裏側など磨きにくい部位の磨きやすさのほか、電動歯ブラシの振動の強さ、ハンドルの扱いやすさも吟味しました。

 

ブラッシングモードのバリエーション」は、内蔵するモードの種類と特徴を検証。付属する歯ブラシの種類と使い心地も合わせて見てみました。

 

【テストの結果はコチラ】

エントリーその1

ブラウン

オーラルB ジーニアス9000 D7015256XCTBK

[歯垢除去力/磨き心地]

3機種中で唯一の回転式で、歯と歯ぐきの間、歯間を同時に磨ける安心感あり

本製品には「やわらか極細毛ブラシ」と「マルチアクションブラシ」が同梱されています。「やわらか極細毛ブラシ」は約0.01mmの極細毛が歯のすき間や歯と歯ぐきの間に入り、歯垢を除去できるそう。一方「マルチアクションブラシ」は、ブラシ毛を16度に傾けて植毛しており、この角度により歯ぐきのキワまでブラシ毛が届いて歯垢を取り除けるとのこと。毛の硬さはマルチアクションブラシのほうが硬めです。

 

ともにメインブラシとして使える両ブラシですが、ブラウンは「やわらか極細毛ブラシ」をメインと考えているそうで、まずはこちらを使用。ブラッシングモードは回転力が最も速く、しっかり磨ける「プロクリーン」モードを選びました。

↑やわらか極細毛ブラシ。先端が青い、外側の柔らかなブラシ毛が歯ぐきのキワにやさしく入り込んで汚れを取ります。中央の白と青のブラシ毛は外側よりコシがあり、歯面の歯垢をしっかり除去します↑やわらか極細毛ブラシ。先端が青い、外側の柔らかなブラシ毛が歯ぐきのキワにやさしく入り込んで汚れを取ります。中央の白と青のブラシ毛は外側よりコシがあり、歯面の歯垢をしっかり除去します

 

ブラウンの歯ブラシの特徴はサイズが小さく丸いことです。上下計28本の歯を表側、裏側、噛み合わせ部と各約1秒ずつ、計約3分ブラッシング。ブラシがちょうど歯1本分のサイズ感なので、それぞれの歯を意識しつつ磨けました。

↑歯磨きは口の中を上部左、右、下部左、右の4パートに分け、それぞれ表側、裏側、噛み合わせ部の順番で磨いていきました ↑歯磨きは口の中を上部左、右、下部左、右の4パートに分け、それぞれ表側、裏側、噛み合わせ部の順番で磨いていきました

 

歯磨きは歯のすき間と歯ぐきのキワを磨くことを意識して、ブラシを歯に軽く当てつつ磨き進めました。ブラウンの電動歯ブラシは、「ガッガッ」という感じで、たたくような振動を強く感じますが、これは回転(左右反転)振動だけでなく、上下振動が加わっているため。ただし、ブラシ毛が柔らかいため、歯ぐきなどへの負担はそれほど感じられません。

 

歯磨き後に歯垢染色剤を塗ったところ、上の歯は表も裏も、ほぼ歯垢が取れていました。一方下の歯は、筆者の歯並びがかなり悪いせいもあり、犬歯の歯のすき間と犬歯の隣の前歯の裏、前歯の先端が赤く染まりました。

 

本製品は3機種中唯一の回転式で、ひとつの角度で歯に当てるだけで歯と歯ぐきの間、歯と歯の間を同時に磨ける安心感があります。また、前歯の裏を磨く際にブラシを立てても、回転運動なので歯ぐきや歯間に入り込む角度が同じなのもメリットだと感じました。

 

ブラシが小さいので奥歯の奥にもスムーズに入り込みます。重さは133gで、手に持った感じはパナソニックよりやや重めですが、比較しなければ重く感じることはまずないと思います。何より手磨きと違い、ブラシを細かく動かす必要がないので、3分使ってもまったく疲れはなく、もう少し磨き続けたいと感じるほどでした。

20180129-s1 (34)↑手に持ったイメージ。重く感じることはありませんでした

 

[ブラッシングモードのバリエーション]

「ホワイトニング」「舌クリーニング」なども含む合計6つのモードを用意

本製品は計6つのモードを搭載。先述の回転速度が速く上下振動も強い「プロクリーン」のほか、歯垢除去用では日常の歯磨きにオススメの「クリーン」モード、回転と振動がソフトな「やわらかクリーン」の3モードが選べます。また、ステイン除去に効果的な「ホワイトニング」モード、歯磨きしながら歯ぐきもマッサージできる「歯ぐきケア」、「舌クリーニング」モードも搭載しています。「ホワイトニング」モードは回転数を周期的に変化させて、汚れを除去しやすくしているのが特徴。「歯ぐきケア」モードも回転数を少なくしたうえに周期的に強弱をつけ、歯ぐきに心地いい刺激を与えてくれます。

↑各モードは起動ボタンの下の「∨」ボタンを押して切り替えます。モード表示は上から「プロクリーン/やわらかクリーン/ホワイトニング/歯ぐきケア/舌クリーニング」。何も表示がないときは「クリーン」モードです↑各モードは起動ボタンの下の「∨」ボタンを押して切り替えます。モード表示は上から「プロクリーン/やわらかクリーン/ホワイトニング/歯ぐきケア/舌クリーニング」。何も表示がないときは「クリーン」モードです

 

ちなみに、本製品に同梱の「マルチアクションブラシ」は、「やわらか極細毛ブラシ」と比べるとやや当たりが強く感じます。気になる人は、振動が弱めの「やわらかクリーン」モードを使ったほうがいいでしょう。筆者は歯に当てる圧力を弱めることで調整しましたが、歯ぐきへの負担はそれなりに大きくなったと感じました。なお、歯垢除去能力については、両者にそれほどの差は感じませんでした。

↑マルチアクションブラシ。ブラシの中央部は外側よりやや毛の長さが短めです。また、歯ぐきに当たりやすい外側のブラシ毛は比較的柔らかく、中央に行くほど硬めの毛になっています↑マルチアクションブラシ。ブラシの中央部は外側よりやや毛の長さが短めです。また、歯ぐきに当たりやすい外側のブラシ毛は比較的柔らかく、中央に行くほど硬めの毛になっています

 

エントリーその2

フィリップス

ソニッケアー ダイヤモンドクリーン スマート

HX9934/05

[歯垢除去力/磨き心地]

ブラシがやや大きく、強めの振動を感じる

独自の「音波水流」技術を採用した本製品は、歯と歯の間など毛先が届かない場所もこの水流で磨けるのが特徴。歯垢除去に最適な「プレミアムクリーンブラシヘッド」はブラウンのオーラルBやパナソニックのドルツと比べると、やや大きめです。ブラシの毛もブラウンの「やわらか極細毛ブラシ」に比べるとやや硬めでした。

↑プレミアムクリーンブラシヘッド。フィリップス・ソニッケアーのブラシはどれも、中央部が窪んだ凹面型で、ヘッド先端の毛がやや鋭角にカットされているのが特徴です↑プレミアムクリーンブラシヘッド。フィリップス・ソニッケアーのブラシはどれも、中央部が窪んだ凹面型で、ヘッド先端の毛がやや鋭角にカットされているのが特徴です

 

本製品はブラシをハンドルにセットすると、そのブラシの種類を自動認識し、最適な振動数にセットされます。「プレミアムクリーンブラシヘッド」を挿してみると「クリーンモード」が選択され、振動強度は3段階の「強」になりました(強さの調整は可能です)。そのまま実際に磨いてみると、ブラウンのような「ガッガッ」と当たる感覚はありませんが、かなり強めに振動する印象。ただ、歯ぐきに負担を感じるほどの強さは筆者は感じませんでした。ちなみに、この振動を強すぎると感じる場合は、手動で「中」「弱」に振動強度を調整することもできます。

↑「プレミアムクリーンブラシヘッド」をハンドル部に装着すると、自動で「clean」表示が点灯し、振動強度が3段階の「3」に設定されました。ON/OFFスイッチの下にはモード切り替えスイッチを装備。停止中に押すと「clean」モード以外を選択することも可能です。また、運転中に押すと、振動強度が切り替えられます↑「プレミアムクリーンブラシヘッド」をハンドル部に装着すると、自動で「clean」表示が点灯し、振動強度が3段階の「3」に設定されました。ON/OFFスイッチの下にはモード切り替えスイッチを装備。停止中に押すと「clean」モード以外を選択することも可能です。また、運転中に押すと、振動強度が切り替えられます

 

歯の表側と裏側には歯と歯ぐきの間に45°の角度でブラシを当て、噛み合わせ部は垂直に、前歯の裏は歯ブラシを縦にして磨きました。取扱説明書には「ひとつの場所を約2秒ずつブラッシングして」と書かれているので、ブラシが大きめなこともあり、2本をまとめて磨きました。

↑ブラシがやや大きめなので、2本をまとめて磨くイメージです↑ブラシがやや大きめなので、2本をまとめて磨くイメージです

 

ブラッシング後に歯垢染色剤を使うと、ブラウン同様、犬歯と前歯のすき間に磨き残しが目立つ結果に。また、歯の裏側もブラウンに比べると磨き残しがやや多かったです。やはりブラシが大きめなため、細かい場所にブラシ毛が届きにくかったのではないかと推測します。重さは144gですが、ブラウン同様、手に持って重いと感じることはありません。磨いている間に疲れを感じることもまったくありませんでした。

↑握ったイメージ。ハンドルの太さはブラウンとほぼ同じながら、長さはソニッケアーがひと回り大きくなっています↑握ったイメージ。ハンドルの太さはブラウンとほぼ同じながら、長さはソニッケアーがひと回り大きくなっています

 

[ブラッシングモードのバリエーション]

5種類のモードを用意し、ヘッドの交換で設定が自動で切り替わる

本製品には歯垢除去用の「クリーンモード」のほか、ステイン除去力の強い「ホワイトプラスモード」、歯垢除去運転と歯ぐきケアがセットになった「ガムヘルスモード」、歯と歯ぐきの間のケアに適した「ディープクリーンプラスモード」、「舌磨きモード」を搭載しています。

↑モードを切り替えてすぐは選択したモードのみ点灯。その後2秒ほど経つと全モードがうっすら点灯し、手動でモードを切り替える際に確認がしやすいです↑モードを切り替えてすぐは選択したモードのみ点灯。その後2秒ほど経つと全モードがうっすら点灯し、手動でモードを切り替える際に確認がしやすいです

 

「ホワイトプラス」モードは最初の2分間で2種類の振動が2秒ずつ切り替わりながらステインを落とし、その後振動数が細かく上下する運転モードが40秒続きます。最後に現れる運転モードにより、歯を磨き上げて光沢を与えるのだそうです。

 

「ガムヘルスモード」は、最初の2分間は「クリーンモード」と同じ運転が続き、その後2つの振動が重なった波打つような振動が1分20秒続きます。この“波打つ振動”で、歯と歯ぐきの境目に刺激を与えます。なお、その“波打つ振動”で初めからブラッシングできるのが「ディープクリーンプラスモード」。「ガムヘルスモード」では2分経つと自動的に“波打つ振動”に変わるので、自分のペースで歯を磨きたい人は、最初「クリーンモード」で歯を磨いてから「ディープクリーンプラスモード」に切り替えて歯ぐきケアしてもよいでしょう。

 

歯ブラシの種類は先に紹介した「プレミアムクリーンブラシヘッド」のほか、「プレミアムガムケアブラシヘッド」「プレミアムホワイトブラシヘッド」「舌磨きブラシヘッド」を同梱。どれもハンドルに挿すだけでブラシに合ったモードに自動的に切り替わるので便利です。

↑ヘッドはハンドルに挿すと専用モードに切り替わるのでヘッドの種類がわかりますが、ヘッドの根元にクリーンブラシは「C3」、ガムケアブラシは「G3」、ホワイトブラシは「W3」とイニシャルが書いてあり、これで識別することができます↑付属の4種類のブラシ。ヘッドの根元にあるアルファベットと数字の組み合わせは、ブラシ名と推奨の強さを示しています。クリーンブラシは「C3」、ガムケアブラシは「G3」、ホワイトブラシは「W3」、舌磨きブラシヘッドは「T1」(※Tはtongue=舌の意味)

 

↑舌磨きブラシヘッド。凹凸部分を水で濡らし、舌に当てて前後に動かして汚れを除去します↑舌磨きブラシヘッド。凹凸部分を水で濡らし、舌に当てて前後に動かして汚れを除去します

 

エントリーその3

パナソニック

音波振動歯ブラシ ドルツ

EW-DP51

[歯垢除去力/磨き心地]

「ノーマル」の刺激はソフト。ハンドル部は細身で扱いやすい

本製品は、これまでの横振動に加え、ブラシが上下に動くタタキ振動が可能になったのが特徴。タタキ振動により、これまで以上に歯間部の汚れを除去しやすくなったようです。ヘッドも日本人の歯に合わせて小さめに作られています。

↑ヘッドは小さめで、歯が1本ずつ磨けるイメージです↑ヘッドは小さめで、歯が1本ずつ磨けるイメージです

 

歯垢除去用には歯面、歯間の汚れを取りやすい「マルチフィットブラシ」と歯周ポケットの汚れ除去ができる「密集極細毛ブラシ」の2種類が付属。今回は「Wクリーン」モードで推奨される「マルチフィットブラシ」を選び、同モードで使用しました。

↑「マルチフィットブラシ」(左)と「密集極細毛ブラシ」(右)。どちらもブラシ毛の毛質は柔らかですが、「密集極細毛ブラシ」は先端に3mmの段差毛が採用されていて、歯と歯ぐきへの当たりがよりソフトになっています。また、段差毛は先端が細く尖っていて、歯周ポケット内により入り込みやすいそうです。↑「マルチフィットブラシ」(左)と「密集極細毛ブラシ」(右)。どちらもブラシ毛の毛質は柔らかですが、「密集極細毛ブラシ」は先端に3mmの段差毛が採用されていて、歯と歯ぐきへの当たりがよりソフトになっています。また、段差毛は先端が細く尖っていて、歯周ポケット内により入り込みやすいそうです。

 

「Wクリーン」モードは、「W音波振動」を使ったパワフルモードで、スタートから約2.5秒後にブラウンと同様のたたくような振動が始まります。ブラシの刺激の強さは3機種の中ではブラウンに次ぐ程度。フィリップス同様の磨き方で約3分磨いたあと、歯垢染色剤を塗布。下の前歯の噛み合わせ部の磨き残しはブラウン、フィリップスと同じ程度でしたが、犬歯周りの磨き残しは、3モデルの中では最も少なかったです。また、犬歯の隣の前歯の裏側も比較的きれいに磨けていました。

 

また、最初の1~2秒は弱い振動で運転スタートするので、電動歯ブラシに慣れていない人も比較的抵抗なく使い始められると思います。重さは約110gと3モデルの中では最も軽く、ハンドル部分も細身で扱いやすいと感じました。

↑ハンドルは持ち手の部分が細くデザインされ、手にすっぽりとなじみます↑ハンドルは持ち手の部分が細くデザインされ、手にすっぽりとなじみます

 

[ブラッシングモードのバリエーション]

強い振動の「Wクリーン」など5つのモードを搭載

本製品は、歯垢除去用に「Wクリーン/ノーマル/ソフト」の3モードを搭載。さらに歯ぐきケアに適した「ガムケア」モードと歯の着色が気になる人向けの「ステインオフ」モードも搭載。「ガムケア」モードは2種類の振動切り替えが反復して、歯ぐきを心地よく刺激してくれます。

 

少々気になったのは、ブラウン、フィリップスが電源のON/OFFとモード切り替えボタンが独立しているのに対し、パナソニックのみボタンが1個だったこと。パナソニックは、その1つのボタンが運転開始後、約5秒までは操作モードの切り替えボタンに。5秒後からはOFFボタンに変わります。そのため、運転開始してすぐに止めたいとき、何度か連続でボタンを押す必要があるのです。停止した状態でモードが変えられないのもやや不便。やはりボタン2個のほうが使いやすいと感じました。

↑運転中にボタンを押すたびにモードがチェンジ。ただし5秒以上経ってボタンを押すと運転終了になります↑運転中にボタンを押すたびにモードがチェンジ。ただし5秒以上経ってボタンを押すと運転終了になります

 

歯ブラシは6種類を付属し、3モデルの中では最も豊富。前述の「マルチフィットブラシ」「密集極細毛ブラシ」のほか、磨きにくい歯間用の「ポイント磨きブラシ」、歯ぐきケア用の「シリコンブラシ」、ステインケア用の「ステインオフブラシ」、ステイン集中ケア用の「ステインオフアタッチメント」が同梱されています。舌のケアはステインオフブラシの背面を使い、「ソフト」モードで行います。

↑写真左からマルチフィットブラシ、密集極細毛ブラシ、ポイント磨きブラシ、シリコンブラシ、ステインオフブラシ、ステインオフアタッチメント。このほか、ステイン集中ケア用の「ステインクリーンペースト」も付属しています↑写真左からマルチフィットブラシ、密集極細毛ブラシ、ポイント磨きブラシ、シリコンブラシ、ステインオフブラシ、ステインオフアタッチメント。このほか、ステイン集中ケア用の「ステインクリーンペースト」も付属しています

 

【今回の検証のまとめ】

刺激はブラウンが最も強く、パナ、フィリップスが続く

20180129-s1 (26)

歯垢除去力に関しては、今回の検証で最も優秀だったのはパナソニック。次いでブラウン、フィリップスの順番でした。ただし、その差は小さく、また磨く人のクセによって、磨き残しの程度も変わってきます。逆に言えば、自分のクセを把握して、磨きにくい場所を念入りにブラッシングするよう意識するだけで、今回試した3モデルであれば、どれを使ってもほぼ汚れを除去できるでしょう。

 

磨き心地に関しては、最も刺激が強かったのがブラウン。次いでパナソニック、フィリップスといった順番。なお、パナソニックの「Wクリーン」モードは、たたくような振動があるぶん、性質としてはブラウンに似ています。また、どの機種も歯垢除去に関しては磨き強度を3段階で変えられます。

↑刺激が強めが好みなら、ブラウンがオススメ↑刺激が強めが好みなら、ブラウンがオススメ

 

1本ずつ磨く感覚が好みならブラウンかパナソニック

電動歯ブラシの扱いやすさに関しては、パナソニックが最も軽く、デザインもスリムで、より手にしっくりと収まる感覚がありました。とはいえ、他の2モデルも「扱いにくい」ということはありません。そもそも電動歯ブラシは手磨き用のブラシのように細かく動かす必要がないので、ブラウンやフィリップスの重さやサイズ感がそれほど問題になることはないと思います。

 

ただし、歯ブラシのサイズに関してはフィリップスが大きめで、初心者にはやや扱いづらい印象を持ちました。特に女性など歯が小さめの人は、歯の1本1本を意識しながらブラッシングしやすい丸型ヘッドのブラウンや小型ヘッドのパナソニックのほうが、使いやすいのではないかと思います。

 

ブラッシングモードはフィリップスが最も豊富

ブラッシングモードのバリエーションに関しては、その種類が最も豊富なのはフィリップス。表示されるモードは5種類と、ブラウンの6種類より少ないですが、ブラウンはそのうち3モードが「クリーンモード」の強度違いなのに対し、フィリップスは歯の部位と汚れの種類に応じたまったく異なる5モードを採用しています。さらにクリーンモードだけでなく、ホワイトプラスモードやガムヘルスモードなどすべてのモードで強度を3段階で変えられるのもメリットです。

↑フィリップスのモード↑フィリップスのモード選択時

 

パナソニックは多彩な付属ブラシが魅力

一方、パナソニックは、モードの数が5種類で、先述した通り、他の2機種と違って1つのボタンが電源のON/OFFとモード切り替えを兼ねており、やや不便を感じることも。ちなみに、5種類のモードのうち、「Wクリーン」モードがブラウンとよく似た刺激を実現しているのが特徴。刺激の種類としては、フィリップスとブラウンのどちらのタイプも搭載しているという見方もできるでしょう。また、歯ブラシの種類も豊富で、歯医者でやってもらうような丁寧な歯垢除去に対応できるのも魅力です。

 

次回は快適な歯磨きをサポートする機能、充電のしやすさや設置性、メンテナンス性について見ていきたいと思います。

↑パナソニックには6種類のブラシが付属↑パナソニックには6種類のブラシが付属

 

炊飯器・最新5モデル「4つの結論」がコレだ! 8項目徹底テストまとめが導く「買い」のポイント

本稿は、最新高級炊飯器の主要5モデル(象印、パナソニック、三菱電機、タイガー、日立)を多角的に検証してきた連載企画をまとめたもの。これまで各モデルの「上質炊飯機能」(炊き立て・冷やごはん・冷凍ごはんの食感チェック)「食感炊き分け」「一合炊き」「保温」「操作性・メンテナンス性」「独自機能・設置性」の各項目をチェックしてきた検証結果をまとめ、各機種がどんなタイプのユーザーにオススメか考えていきます。どんな違いがある? どれを選べばいいの?…と感じている方、ぜひ参考にしてみてください!

 

【検証する機種はコチラ】

エントリーその1

発熱性・蓄熱性に優れた南部鉄器の羽釜を採用し大火力で炊き上げる

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象印

圧力IH炊飯ジャー『極め炊き』

“南部鉄器 極め羽釜” NW-AT10

実売価格10万2370円

発熱性・蓄熱性に優れた南部鉄器の羽釜を内釜に使用した炊飯器。大きく伸びた羽根で側面ヒーターの熱を釜内に伝え、最大1450Wの大火力と1.5気圧の圧力炊飯でごはんをふっくらモチモチに炊き上げる。また、前回炊いたごはんの感想を入力することで、121通りのなかから好みの食感に近づける機能「わが家炊き」の炊き分け範囲を拡大。従来機種より固めに、よりモチモチに炊けるなど、幅広い食感に炊き分けられる。

SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:151wh●保温1時間あたりの消費電力量:17.1Wh●加熱方式:プレミアム対流●内釜:南部鉄器 極め羽釜●サイズ/質量:約W305×H245×D400mm/約11.5kg

 

エントリーその2

「Wおどり炊き」に「加圧追い炊き」を加え、甘みとモチモチ感がアップ

20170810-s1-2 (2)

パナソニック

スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器

Wおどり炊き SR-SPX107

実売価格8万2240円

IHの通電切り替えで激しい熱対流を生み出す「大火力おどり炊き」と、釜内を加圧状態から一気に減圧し激しい対流を生み出す「可変圧力おどり炊き」を組み合わせた「Wおどり炊き」を搭載。熱と水分を米に均一に行き渡らせ、ふっくらモチモチの銀シャリに炊き上げる。炊飯工程の終盤にさらに加圧して釜内を高温にする「加圧追い炊き」機能を新たに採用し、ごはんの甘みとモチモチ感がさらにアップした。50銘柄の銘柄炊き分け機能を搭載するほか、釜内を高温洗浄できる「お手入れ機能」も新採用。

SPEC●炊飯容量:0.5〜5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:160wh●保温1時間あたりの消費電力量:14.4Wh●加熱方式:6段全面IH●内釜:ダイヤモンド竃(かまど)釜●サイズ/質量:W266×H233×D338mm/7.0kg

 

エントリーその3

発熱効率が高い「本炭釜」と連続沸騰技術でかまど炊きの味を再現

20170810-s1-3 (3)

三菱電機

IHジャー炊飯器本炭釜

KAMADO NJ-AW108

実売価格10万2370円

IHの発熱効率が高い純度99.9%の炭素材を使った「本炭釜」採用モデル。内釜全体の発熱と噴きこぼれのない連続沸騰技術により、粒感のいいふっくらとしたかまど炊きの味を再現する。沸騰力の向上と高断熱構造の強化で火力をさらにアップ。蒸気口に新搭載した密封弁が蒸らし時の蒸気の流出を抑え、潤いたっぷりのごはんに仕上げる。15通りの食感炊き分け機能「炊分け名人」に加え、35銘柄に対応する「銘柄芳潤炊き」機能も持つ。

SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:162wh●保温1時間あたりの消費電力量:17.2Wh●加熱方式:7重全面加熱+連続沸騰●内釜:本炭釜●サイズ/質量:W285×H249×D320mm/約5.7kg

 

エントリーその4 〔NEW!〕

土鍋に新成分を配合し、熱伝導が大幅に向上!

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タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

実売価格13万8240円

陶器の本場・三重県四日市市 “四日市萬古焼”の本土鍋と本物の土のかまどを本体に搭載した炊飯器。土鍋に「炭化ケイ素」成分を新配合し、熱伝導が従来の約2.5倍に向上した。さらに土かまどの表面積も従来比で約11.4%アップし、高火力でふっくらごはんに炊き上げる。タッチパネル全体がスピーカーとして機能する新構造で、音声ガイドの音質もよりクリアに。

SPEC●炊飯容量:1〜5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:150Wh●保温1時間あたりの消費電力量:15.8Wh●加熱方式:土鍋圧力IH+可変W圧力IH●内釜:プレミアム本土鍋(四日市萬古焼)●サイズ/質量:約W261×H220×D325mm/約7.3kg

 

エントリーその5

内釜の底に鉄の粒子を打ち込み効率的な発熱と高い伝熱性を両立

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日立

圧力スチーム炊き

ふっくら御膳 RZ-AW3000M

実売価格7万2310円

水温を60℃以下で米にしっかり吸水させる「高温浸し」と独自の圧力スチーム技術を搭載。ふっくら艶やかで甘み豊かなごはんに炊き上げる。アルミ合金の内釜の底に発熱性の高い鉄の粒子を打ち込むことで効率的な発熱と高い伝熱性を両立し、内釜全体に素早く熱を伝えることで炊きムラを抑える。0.5合でもおいしく炊き上げる「少量炊き」機能も特徴。「蒸気カット」機能付きで、キッチン棚の中で使っても棚の天面が濡れず、設置場所の自由度が高い。

SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:145wh●保温1時間あたりの消費電力量:13.7Wh●加熱方式:圧力スチーム炊き●内釜:高伝熱 打込鉄・釜●サイズ/質量:約W268×H237×D352mm/約6.6kg

 

【各機種の検証まとめ】

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高級炊飯器の購入動機は、何より「おいしいごはんが食べたい」ということ。従って、炊飯器選びの基本は、ユーザーの食感の好みになります。食感炊き分け機能があるとはいえ、炊き上がりの違いはどうしても出るため、各機種の“クセ”は事前に理解しておきたいところです。

 

一方、操作性やメンテナンス性は、各機種へのユーザーの向き不向きを判断する要因になります。特に内釜の材質はメンテナンス性に大きく関わってくるので、注意が必要。設置性も重要で、高級炊飯器はおしなべて大きく重いうえ、炊飯時に出る蒸気量も考慮し、実際に置けるか否かを確認する必要があります。以上に留意しながら、以下で各機種の特徴をまとめて見ていきましょう。

 

エントリーその1

象印

圧力IH炊飯ジャー『極め炊き』

“南部鉄器 極め羽釜” NW-AT10

「ふっくらもっちり」食感では全機種でトップクラス

ごはんの炊き上がりの特徴は、モチモチの弾力と豊かな甘み。「熟成」メニューで炊いた場合、炊き立ての香りが濃厚で、やや柔らかめに炊き上がりました。冷やごはんも冷凍ごはんを再加熱した場合も、もちもち食感をキープ。一方、1合を「熟成」メニューで炊いた場合、香りと甘みは豊かながら、やや粘りと弾力が少ない、硬めの食感になりました。

↑冷やごはん(おにぎり)。炊き立てごはんがまとっていたつやは、冷やごはんになってもしっかりキープされています。モチモチした弾力も相変わらずでした↑炊き立てごはんがまとっていたつやは、冷やごはんになってもしっかりキープされています。モチモチした弾力も相変わらずでした

 

本機の食感炊き分けは7通り。最も「しゃっきり」で炊くともちもち感を維持しつつ、ほどける食感が前に出てきます。最も「もちもち」で炊いた場合、粘り・弾力に加え、柔らかさが強まりました。さらに初期設定を変えると、「よりもちもち」「よりしゃっきり」の食感も可能です。

 

保温に関しては、ごはんの乾燥や変色を抑える「極め保温」を使用。保温6時間後では香りとみずみずしさは弱まりましたが、もちもちした食感と甘みは維持していました。

 

“わが家好み”のごはんに簡単に調整できる

本機の炊飯における独自機能は「わが家炊き」機能です。手動の食感炊き分けはパナソニックや三菱電機に比べるとやや物足りないですが、「わが家炊き」の場合、炊飯後にアンケートに答えることで、121通りの食感のなかから最適な食感に調整します。玄米をふっくらもっちりの食感に炊き上げる玄米の「熟成」メニューも搭載しています。

↑「わが家炊き選択」ボタンを押すと、上の画面に切り替わり。毎回炊飯したあとに、炊き上がりの「硬さ」と「粘り」の評価を入力すると、次回炊飯時にその評価が反映されます。これを何回か繰り返すことで、段々好みの食感に近づきます↑「わが家炊き選択」ボタンを押すと、上の画面に切り替わります。毎回炊飯したあとに、炊き上がりの「かたさ」と「粘り」の評価を入力すると、次回の炊飯時にその評価が反映されます。これを何回か繰り返すことで、段々好みの食感に近づく仕組み

 

ふたが自動で閉まる「スマートクローズ」機能が便利

操作性は、大型の液晶パネルに全炊飯メニューが表示されるのはわかりやすいですが、「進む/戻る」ボタンを何度も押してのメニュー選択はやや手間。メンテナンス性では、内釜がかなり重いのが難点で、本体も5機種のなかでは圧倒的に重く、持ち運びが大変でした。ちなみに、本機は炊飯器のふたを手で閉じる際に力を入れて押し込む必要があるため、ボタンを押すとふたが自動で閉まる「スマートクローズ」機能が搭載されているのが便利でした。

20170926-s2-27↑本体ふたの前側面にある「CLOSE(クローズ)」ボタン。炊飯器のふたが開いているときにこのボタンを押すと、ふたが自動で閉まります。力の弱い女性や年配の方は、これを押すことで確実にふたを締めることができます

 

上記をまとめると、以下の通りになります。

●とにかくもちもちの食感が好みの人。初期設定で最強の「もちもち」モードも選べる

●自分で食感設定を試行錯誤するのが面倒な人。「わが家炊き」機能で自分好みに調整可能

●玄米もふっくらもっちりに仕上げる。玄米で「熟成」メニューが利用可能

●その他、「スマートクローズ」機能はユニークだが実用性あり

 

エントリーその2

パナソニック

スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器

Wおどり炊き SR-SPX107

バランスのよいごはんに炊き上げ、多数の銘柄炊き分けに対応

上質炊飯の「銀シャリ」コースで炊いたごはんは、ふっくらしつつも柔らかすぎず、弾力と甘みに富んだバランスのよい炊き上がりです。冷やごはんはもちもち食感にしっとり感も加わり、おにぎりやお弁当に最適。冷凍ごはんの再加熱では、炊きたての味と食感がほぼ復活しました。1合炊きは「少量」モードで炊くとさっぱり食感に。銘柄炊き分けの「おすすめ」モードのほうがふっくらもちもちの食感になりました。

↑追い炊き時の高温スチーム投入によって、うまみ成分が米一粒一粒の表面にコーティング。つやつやと輝く炊き上がりは、見るからにおいしそうです↑追い炊き時の高温スチーム投入によって、うまみ成分が米一粒一粒の表面にコーティング。つやつやと輝く炊き上がりに

 

食感炊き分けは10種類。最も「しゃっきり」に炊くとほどける食感ながら硬さは柔らかめ。最ももちもちに炊くと粘りは強いが、ほどける食感も出てくるなど、どんな食感に炊いても食べやすさを感じます。また、50銘柄の炊き分けも魅力で、各銘柄のなかで3種類の食感炊き分けもできます。

↑銘柄米の特性に合わせた火加減をプログラム、米のうまみを引き出す炊飯をしてくれます。本機では従来機種より4銘柄増え、50銘柄の炊き分けが可能になりました↑銘柄の特性に応じた炊き分けを行う「銘柄炊き分けコンシェルジュ」の銘柄選択画面

 

保温の検証では、6時間経つとややモチモチ感が減退するものの、甘みがすっきりして雑味のない、おいしいごはんでした。

 

本機は液晶パネルが大きく、表示も階層式でスムーズに設定できます。米の銘柄の特徴やごはんをおいしく炊くコツをパネルに表示できるのも便利。内釜が軽くお手入れも快適で、圧力式炊飯器の割には内ぶたの手入れもそれほど面倒ではありませんでした。

↑パナソニックの「ダイヤモンド竃釜」はおいしいごはんが炊けるのに軽くて使いやすいとユーザーから高評価を受けています↑パナソニックの「ダイヤモンド竃釜」は軽くて使いやすいとユーザーからは高評価

 

独自機能は銘柄炊き分けや10種類の食感炊き分けなど、前述の通り。また本機はスチーム用の水容器を装備、保温中にスチームを投入してごはんのうるおいを維持、「再加熱」ボタンを押すと、ごはんに炊き立ての食感が戻ります。

 

以上をまとめてみると、以下の通りです。

●ご飯のバランスを重視する人。どんなメニューでも食べやすく炊き上げる

●多くのお米の銘柄を試したい人。50種類の銘柄炊き分けに対応

●お弁当や冷凍ご飯をおいしく食べたい人

●メンテナンスがラクなほうがいい人。内釜が軽く、減圧弁の採用で洗いやすい

 

エントリーその3

三菱電機

IHジャー炊飯器本炭釜

KAMADO NJ-AW108

ほろりとほぐれる食感が心地いい

本機は今回検証した5機種のなかでは唯一の“非圧力式”炊飯器。「銘柄芳潤炊き」の「ふつう」モードで炊飯したごはんは、噛むと口のなかでほどけつつ、しっかり弾力もある独特の食感です。また、香りのみずみずしさは特筆もので、米本来の風味が豊かに感じられました。冷やごはんはモチモチ感が強まり、炊き立てとひと味違うおいしさ。一方、冷凍・再加熱したごはんは、強いしゃっきり感がありつつ、かなり柔らかくなりました。ちなみに、同モードで1合を炊くと、ごはんの粒感はそのままですが、香りがやや控えめに。また、ご飯の場所によって食感にばらつきもありました。

 

食感炊き分けは15通り。最も硬めでしゃっきりな設定だと米の粒感は突出するも「ほどよく硬い」食感で、それほど食べにくさは感じませんでした。一方、最も柔らかでモチモチに炊くと、粘りはかなり強くなりますが、ほぐれる感じもあり、柔らかさもほどほど。この粒感のあるモチモチ加減が本機の特徴といえます。また本機は、パナソニックと同じく銘柄炊き分けが可能。対応銘柄はパナソニックより少ない35銘柄ですが、各銘柄で9通りの食感炊き分けができます。

20170828-s1-2-760x570↑「しゃっきり」モードで炊いたお米。粒感が際立っています

 

パネルの情報量はやや少ないが音声ガイドに安心感あり

保温性能は、温度低めの「たべごろ保温」で検証。6時間後のごはんは、香りは減退したものの、炊き立てごはんのハリや粒感はしっかり維持されていました。

 

操作性は、液晶パネルが象印やパナソニックに比べると小さく、一度に表示できる情報量が少ないのがやや難点。音声ナビが付いているため、特に炊飯器に慣れていない時期は使っていて安心感があると思います。

↑表示はすっきりして見やすいが、一覧性↑表示はすっきりして見やすいですが、一覧性はいまひとつ。ただし、音声ナビ付きなので、現在選択している内容を音声で知らせてくれます

 

内ふたが洗いやすく玄米や麦飯の炊飯メニューが豊富

メンテナンス性は“非圧力”式のため内ぶたが洗いやすいのが特徴。ただ、炭釜を使うため、取扱う際は割れないよう注意が必要です。サイズはそれなりに大きいですが、重さが約5.7kgと5機種中最も軽く、丸みを帯びたデザインも魅力的。設置性はまずまずという印象です。

↑丸みのあるかわいらしいデザイン。キッチンはもちろん、ダイニングテーブルの上に置いてもなじみます↑丸みのあるかわいらしいデザイン。キッチンはもちろん、ダイニングテーブルの上に置いてもなじみます

 

本機は15種類の食感炊き分けや、銘柄炊きでも9通りの食感に炊き分けできるのが特徴。「芳潤炊き(玄米)」「美容玄米」「麦飯(芳潤炊き)」など玄米や麦飯の炊飯メニューも豊富で、ごはんの食感にこだわる人にはオススメです。

 

以上をまとめると、本機にオススメな人は以下の通り。

●とにかくしゃっきりな食感が好きな人。特に米の粒感を重視する人にオススメ

●多彩な機能に慣れていない人。音声ガイドで操作をアシスト

●米の銘柄をいろいろ食べ比べたい人。35種類の銘柄に対応

●冷やご飯、玄米や麦飯を美味しく食べたい人

 

エントリーその4

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

ごはんの香り、ふっくら感、おこげの香ばしさはトップクラス!

土鍋と土かまどの大火力で炊き上げる本機は、ふっくらもっちりの炊き上がりとおこげの香ばしさが楽しめるのが特徴。土鍋の素材を見直すなどして火力がアップし、香りとおこげのつき方がさらにアップしました。

 

「白米」モードで仕上がり標準、火加減「中」で炊飯したごはんは香りが濃厚。鍋肌にしっかりおこげを作りつつ、内側のごはんはふっくら柔らか。しかも弾力、甘みは強く、米の粒感も感じられ、食べ応え満点でした。冷やごはんにするとごはんが締まり、しっとりしつつもモチモチ感と甘みがアップ。冷凍・再加熱したごはんは、おこげの香りは弱まったものの、弾力と甘みは健在です。1合炊飯では、甘みは3合炊きと同等ながら、食感がより柔らかく、弾力も香りも少なめになりました。

 

食感炊き分けは従来の3段階から5段階に増え、より細かく食感設定できるようになりました。最も「しゃっきり」に炊くと柔らかながらほぐれる食感、最も「もっちり」に炊くとモチモチ度が前面に出てきます。「火かげん」キーでおこげの濃さも3段階に調整可能。特に、火加減「弱」にしたときに炊きたてごはんの香りが濃厚になり、味に深みが感じられるようになったのが斬新でした。

↑「火かげん:強」にするとよりおこげがしっかりできています。米粒にもしっかりとしたハリが見られます↑「火かげん:強」にするとよりおこげがしっかりできています。米粒にもしっかりとしたハリが見られます

 

保温性能が格段に向上し、シンプル操作で使いやすい

保温に関しては、保温6時間後でもまだおこげの香りを維持していたのが見事。モチモチ感もキープしており、5機種の中でも6時間までの保温性能は1、2を争う優秀さです。

 

操作性に関しては、炊飯設定は「進む・戻る」ボタンで行いますが、食感(仕上がり)と火加減を専用キーで設定するため、煩雑さはありません。「モーションセンサー」がスリープするまでの時間が20秒から60秒に伸び、実用性が格段に向上。音声ガイド機能も声が聞き取りやすく、使っていて安心感があります。ただし、炊飯器の外ぶたが時々締めにくくなるのはかなり困りました(たまたまテストした機種がそうだったのかもしれませんが)。

↑従来液晶の左側に2列4個並んでいたキーが1列3個になり、右側の「もどる・すすむ」キーも表示が「<|>」になってスリムに。これにより、液晶パネルが大きくなっています↑従来液晶の左側に2列4個並んでいたキーが1列3個になり、右側の「もどる・すすむ」キーも表示が「<|>」になってスリムに。これにより、液晶パネルが大きくなっています

 

土鍋をお手入れするときは丁寧に扱って

お手入れ面では、内ぶたに付いた調圧ボールと安全弁がやや洗いにくいです。土鍋も落として割れたりしないよう丁寧に扱う必要あり。ちなみに、掃除の手間は変わりませんが、新機種からスチームキャップが外ぶたの内側から着脱する方式になりました。サイズは5機種のなかではコンパクトなほうですが、重さがやや重く取っ手もないので、持ち運びがやや面倒です。

↑「プレミアム本土鍋」に炭化ケイ素成分を配合し、より高火力な炊飯が可能に。鍋底には「波紋底」を採用しており、沸騰時の泡立ちを均一にし、お米がムラなく炊き上がります↑「プレミアム本土鍋」に炭化ケイ素成分を配合し、より高火力な炊飯が可能に。鍋底には「波紋底」を採用しており、沸騰時の泡立ちを均一にし、お米がムラなく炊き上がります。お手入れの際は、割れないように注意を

 

まとめると、以下の通りになります。

●好みの食感が決まっていない人。しゃっきりでももっちりでも、香り豊かなふっくらごはんに仕上がる

●香ばしいおこげごはんが好きな人

●仕事の帰りが遅く、家族と食事時間がずれる人。数時間の保温機能が優秀

●多機能炊飯器の操作に慣れていない人。音声ガイドで操作をアシスト

 

エントリーその5

日立

圧力スチーム炊き

ふっくら御膳 RZ-AW3000M

ほどよい弾力や硬さのごはんに炊き上げ、少量炊飯が得意

本機の炊き上がりの食感は、ズバリ「中庸」。「極上炊き分け」の「ふつう」で炊いたごはんはふっくらしながら柔らかすぎず、弾力と粘り、米の粒感のバランスが取れています。

↑米粒のかたちはスリムで、しゃっきり感を感じさせながら、つや感もしっかりあります。食感と味のバランスの良さが、画像からも伝わってきます↑米粒の形はスリム。しゃっきり感を感じさせながら、つや感もしっかりあります

 

最初さっぱりしながら食べるうちに甘みが増してくる味わいも良好です。冷やごはんはややベタつきが出るものの、粒感のなかにモチっと感がもあり。冷凍ごはんを再加熱すると粘りが強くなり、やや硬めの食感に。1合炊飯では「少量」ボタンを使うことで、3合炊きとほぼ同じ味と食感を実現できました。

↑日立の「少量」ボタン↑視認性の高い縦型パネルを採用。パネルの左には「少量」ボタンがあります

 

食感炊き分けは3種類。「しゃっきり」は三菱電機に次ぐしゃっきり感で、「もちもち」で炊いた場合も、もっちり感は象印やパナソニック、タイガーの「標準」で炊いた場合より控えめでした。玄米を3種の食感に炊き分けられるのも特徴です。

 

保温性能は優秀で液晶パネルは視認性が高い

本機はパナソニック同様「スチーム保温」がウリ。保温温度の低いモードで検証したところ、保温6時間後は炊き立ての食感と味をほぼ申し分なく維持していました。

 

操作性では、本機は縦型の液晶パネルを採用。サイズも大きく、視認性は高いです。炊飯設定で、メニューを逆方向から選べるボタンがないのがやや不便でした。

 

「蒸気カット」機能の装備で設置の自由度は最優秀

メンテナンス性については、内ぶたが調圧ボール搭載の放熱板とプレート、蒸気口上ケースの3パーツ構成で洗浄がやや面倒。ただし、内釜が軽く丈夫で洗いやすいのは魅力です。一方、設置性は本機が最も優秀。他機種が炊飯中に大量の蒸気を放出するのに対し、本機は「蒸気カット」機能搭載で通常の炊飯なら蒸気がほとんど出ません。キッチン用収納棚などに置けるのはメリットです。

↑↑日立ふっくら御膳は「蒸気カット」機能により、設置の自由度が高いです

 

上記を踏まえた結果は以下の通りです。

●しゃっきり寄りの食感を好みつつ、バランス重視の人

●玄米を炊き分けて食べたい人。3段階の炊き分け機能や「炊込み」メニューあり

●少量炊飯することが多い人。専用モードあり

●設置スペースが限られている人。「蒸気カット」機能付きで置く場所を選ばない

 

本稿を参考に、条件やごはんの好みを勘案して最適な1台を選んでください。その先にはきっと、幸せな“絶品ごはん生活”が待っていますよ!

「惜しい点が1つだけ…だが、想像以上のデキ!」タイガー最新炊飯器「JPG-X100」、前モデルと徹底的に比べてみたら?

タイガーの高級調理家電ブランド「GRAND X(グランエックス)」シリーズから、新型炊飯器「JPG-X100」が発売されました。本機は、土鍋(内釜)の素材の見直しなどで火力がさらに向上し、音声アシスト機能など使い勝手も向上したといいます。とはいえ、前機種から何がどれだけ進化したのか、細かくその違いがわかる人は少ないはず。その点、筆者はつい先日、タイガーの前機種および他社メーカー4モデルのテストをみっちり行ったばかり。

 

そこで今回、前機種「JPX-102X」とまったく同じ8項目テストを実施し、徹底的に違いを明らかにしてみることにしました。その結果は、大きな不満が1つだけあったものの、炊き上がり、操作性が思った以上に進化していることが判明。以下でその詳細をチェックしてみてください!

 

 

 

【今回テストするのはコチラ】

土鍋に新成分を配合し、熱伝導が大幅に向上!

20171129-s4-(36)

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

実売価格13万8240円

陶器の本場・三重県四日市市 “四日市萬古焼”の本土鍋と本物の土のかまどを本体に搭載した炊飯器。土鍋に「炭化ケイ素」成分を新配合し、熱伝導が従来の約2.5倍に向上した。さらに土かまどの表面積も従来比で約11.4%アップし、高火力でふっくらごはんに炊き上げる。タッチパネル全体がスピーカーとして機能する新構造で、音声ガイドの音質もよりクリアに。

SPEC●炊飯容量:1〜5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:150Wh●保温1時間あたりの消費電力量:15.8Wh●加熱方式:土鍋圧力IH+可変W圧力IH●内釜:プレミアム本土鍋(四日市萬古焼)●サイズ/質量:約W261×H220×D325mm/約7.3kg

 

【比較した前モデルがコチラ】

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

20170926-s2-38

 

【検証内容はコチラ】

前回の炊飯器比較検証連載と同様、「上質炊飯機能」「食感炊き分け」「少量炊飯」「保温性能」「操作性」「メンテナンス性」「独自機能」「設置性」の8項目をチェックしていきます。

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPG-X100

【テストその1 食感・味の傾向は?】

炊飯モードは「白米」、火加減は「中」、仕上がりは「標準」を選び、米3合を炊飯。炊き上がりの香りや味、食感をチェックしました。お米は宮城県産ひとめぼれの新米(平成29年産)を使用。ごはんの甘みやモチモチ感などのバランスの取れた品種です。

 

<炊き上がり>

ごはんのふっくら感もおこげの香りも前機種をしのぐ炊き上がり

本機の特徴は、その高い蓄熱性を活かした香り高いごはんが炊けることと、特におこげごはんが楽しめること。今回、土鍋の熱伝導率が2.5倍になったことで、その香りとおこげのつき方が圧倒的に高まりました。

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ふたを開けるとすでにおこげの香ばしい香り、みずみずしい新米ごはんの香りが周りに広がります。ごはんをほぐそうと、土鍋の鍋肌に沿ってしゃもじを入れると、しっかりおこげができています。前回のJPX-102Xの火加減「強」で炊いたときのおこげが、今回は火加減「中」ですでに実現できている印象。

 

そのおこげの部分はもちろんパリパリですが、鍋肌以外の部分はふっくら柔らかな炊き上がり。ただし、ごはんの粘り・弾力はかなり強く、米の粒感もあって食べ応えのある食感です。お米がひとめぼれということもあり、最初はやや甘みが控えめだと感じましたが、食べるうちにどんどん甘みが増幅。おかずなしでも大満足のおいしさでした。

↑茶碗によそったごはんは、たっぷり水分をまとい、つやもたっぷり。うしろにはパリパリのおこげが↑茶碗によそったごはんは、たっぷり水分をまとい、つやもたっぷり。うしろにはパリパリのおこげが

 

<冷やごはん(おにぎり)>

もちもちかつしっとりした食感はおにぎりに最適

冷やごはんは炊きたてをラップに包み、室温で5時間ほど冷ましたものを試食。炊きたてでは柔らかい食感でしたが、水分が適度に飛んでモチモチ感がより強くなり、しかもしっとり感はたっぷり残っています。甘みもしっかり感じられ、塩むすびにしただけでも十分満足できると感じました。

↑おこげの香りは弱いものの、炊きたてより弾力が増しています。しっとり感も十分で美味!↑おこげの香りは弱いものの、炊きたてより弾力が増しています。しっとり感も十分で美味!

 

<冷凍・再加熱>

食感も味も炊きたてごはんの状態をかなり再現

冷凍ごはんは炊きたてをラップに包んで冷凍保存し、1日経ったものを電子レンジで再加熱しました。冷凍することで、おこげの香りは弱まりましたが、柔らかながらモチモチした粒感のある食感で、ごはんの甘みは健在です。ただし、おこげの部分は水分を含んで柔らかくなり、粘り気も出てきて、やや食べづらくなっていました。

20171129-s4 (9)↑冷凍・再加熱しても、ごはんのつやはかなり復活しています

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

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【テストその2 食感炊き分けの幅は?】

好みに応じた幅広い食感炊き分け機能の搭載は、高級炊飯器の大きな魅力のひとつです。JPG-X100は食感の炊き分けが、前機種の3通りから5通りに細分化。「仕上り」キーを押すことで「しゃっきり/ややしゃっきり/標準/ややもっちり/もっちり」と炊き分けられます。おこげのつき方は前機種同様、「火かげん」キーにより3通りに変えることができます。

 

今回は、その中から「仕上り:しゃっきり/火かげん:弱」と「仕上り:もっちり/火かげん:強」の2通りで炊飯し、食感と味の違いを比較しました。

 

「しゃっきり」ではほぐれる食感に加え米の繊細なうまみを体感

「仕上り:しゃっきり/火かげん:弱」で炊いたごはんは、おこげの香りがなくなりましたが、炊きたてごはんの香りが濃厚。ごはんの甘みがやや控えめになる代わりに、米の甘み以外の繊細な“うまみ”が感じられるようになったのが新鮮でした。食感は柔らかですが粘りは少なく、ふっくらしつつも口の中でほぐれてくれます。この食感は、しゃっきり食感の代表的な機種、三菱電機の「本炭釜 KAMADO NJ-AW108」に近いものがありますが、三菱電機がしゃっきり感の中に弾力があるのに対して、本機はより柔らかで食べやすい炊き上がりです。

↑「仕上り:しゃっきり/火かげん:弱」で炊いたごはん。「仕上り:標準」で炊いたときより、米粒表面の水分量がやや少なめです↑「仕上り:しゃっきり/火かげん:弱」で炊いたごはん。「仕上り:標準」で炊いたときより、米粒表面の水分量がやや少なめです

 

「もっちり」設定で弾力と甘みが、「火かげんアップ」でおこげの香ばしさがより強化

一方、「仕上り:もっちり/火かげん:強」で炊いた場合、おこげの香りがより濃厚になり、土鍋の鍋肌部分はおこげがパリパリに仕上がっていました。食感に関しては柔らかさが減退し(とはいえ「固い」わけではありません)、もちもち感が前面に出てきています。ごはんの甘みもさらに増していますが、それより香ばしさが主張する味わい。おこげ好きにはたまらないごはんだと思います。ただ、おこげの部分が固いと感じるのも事実。おこげをいきなりごはんに混ぜこむのでなく、まずはおこげ化していない柔らかいごはんを楽しみ、おこげの部分は別途お茶漬けやおこげスープで食べるといった、多彩な味わい方も堪能できます。

 

「しゃっきり」「もっちり」両方の炊き上がりを比較すると、その食感の幅は全機種JPX-102Xより大きくなった印象。おこげ好きだけでなく、幅広いユーザーに受け入れられるごはんの炊き分けが可能になったと感じました。

↑「火かげん:強」にするとよりおこげがしっかりできています。米粒にもしっかりとしたハリが見られます↑「火かげん:強」にするとよりおこげがしっかりできています。米粒にもしっかりとしたハリが見られます

 

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土鍋圧力IH炊飯ジャー

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【テストその3 少量炊飯の炊き上がりは?】

独り暮らしや夫婦2人世帯でも毎回炊きたてが食べたいという場合、少量炊飯でもおいしいごはんが炊けるかどうかは気になるところ。ここでは、「仕上り:標準/火かげん:中」でお米1合を炊いて、3合で炊いた場合との味と食感の違いをチェックしました。

 

香りと味はまずまずだがもちもち感がかなり弱まる結果に

炊き上がってふたを開けると、おこげごはんのいい香りが広がりますが、香り自体は3合炊いたときよりやや弱く感じます。食感は3合炊きより柔らかく、弾力も少なめに。味に関しては、最初やや弱くなったかなと感じましたが、口の中に残る味の余韻は3合炊きとほぼ同等でした。

 

結論としては、香りと味では健闘しているものの、食感、特にもちもち感が減退しており、もちもち食感が好みの人には、やや物足りない仕上りになるようです。

↑米の表面に水分をまといつつ、つやはやや弱め。おこげも3合炊きのときより弱くなっていました↑米の表面に水分をまといつつ、つやはやや弱め。おこげも3合炊きのときより弱くなっていました

 

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【テストその4 保温性能は?】

メーカーが推奨する本機の最大保温時間は24時間。ここでは、炊飯後6時間経ったものと、24時間後のごはんの味をチェックしました。

 

6時間後も香ばしさが残る保温性能が見事!

6時間保温したごはんで驚いたのは、香ばしいおこげの香りがまだ残っていたこと。これは冷やごはんや冷凍ごはんにはないメリットです。甘みは炊きたて同様に強く、ごはんの劣化によるニオイも感じられません。柔らかさが炊きたてより少し増しましたが、もちもち感はしっかり残っています。全体にかなり炊きたてのクオリティを維持しており、6時間保温は十分に実用的だと感じました。前機種で試したときに比べると、6時間保温時の味わいは向上していると感じました。

↑つやはややなくなり、米の表面がぐずつき始めていましたが、味はほぼ問題なし。おこげ部分はさすがに蒸気で柔らかくなっていました↑つやはややなくなり、米の表面がぐずつき始めていましたが、味はほぼ問題なし。おこげ部分はさすがに蒸気で柔らかくなっていました

 

一方、24時間後のごはんは、ややごはんの劣化したニオイが立ち始め、おこげの香りもなくなっていました。ただ、ごはんのもちもち感はかなり残っていて、ふっくら感はありませんが、べちゃっとした食感までには至らず、甘みも十分感じられます。ただ、やはり24時間保温したものよりは、炊きたてを冷凍保存したもののほうが、炊きたてのおいしさに近い味と食感を楽しめます。

↑24時間保温後のごはん。見た目はみずみずしいつやをかなり保持しています↑24時間保温後のごはん。見た目はみずみずしいつやをかなり保持しています

 

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【テストその5 操作性/メンテナンス性は?】

炊飯器は炊飯性能や保温性能に注目しがち。ですが、毎日使うのもだけに炊飯設定のしやすさやお手入れのしやすさもしっかりチェックすることが肝心です。

 

<操作性>

操作パネルの配置変更と「モーションセンサー」の改良で操作の快適性が向上

JPG-X100は従来機から操作パネルのレイアウトを変更。液晶表示部の大きさを従来より大きく取れるようになり、視認性もアップしました。「仕上り」と「火かげん」の表示も、従来の操作キーの上部ではなく、液晶表示部内に収められています。一方、人が近づいたのを感知して自動で点灯する「モーションセンサー」は、操作なしで消灯するまでの時間が前機種の20秒から、今回60秒に延長。全機種で気になっていた、「操作に迷っている間に表示が消えてしまう問題」がほぼ解消されました。

↑従来液晶の左側に2列4個並んでいたキーが1列3個になり、右側の「もどる・すすむ」キーも表示が「<|>」になってスリムに。これにより、液晶パネルが大きくなっています↑従来液晶の左側に2列4個並んでいたキーが1列3個になり、右側の「もどる・すすむ」キーも表示が「<|>」になってスリムに。これにより、液晶パネルが大きくなっています

 

↑メニュー選択の場合、「<|>」キーでなく「玄米」などメニュー表示を直接タッチして選択することもできました↑メニュー選択の場合、「<|>」キーでなく「玄米」などメニュー表示を直接タッチして選択することもできました

 

音声ガイド機能も、液晶全体を使って音が出るようになり、音質も向上したとのこと。筆者は両方を交互に聞き比べたわけではないので、どの程度聴きやすくなったかはよくわかりませんが、音声が明瞭に聴こえるのは実感しました。また、タッチパネルに触れると振動が指に伝わり、従来では得られなかったタッチ感が実感できます。キーを押すとわずかに押し返すような刺激があり、クリック感を再現。操作感の向上に貢献する秀逸な工夫です。

 

ひとつ残念なのは、炊飯器の外ぶたが閉めづらいときがあること。圧力式のIH炊飯器は、ふたを閉めるときに内部の圧力を上げるため、ふたを閉めるのに力がいるのですが、本機は特に閉まりにくい場合があります。象印の最上位機種、NW-AT10のような、電動でふたが閉まるボタンの搭載をぜひ検討してほしいところです。

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また、ふたの閉まり方にムラがあり、軽い力で閉まるときと、強く押し込まないとうまく閉まらないときがあります。個体差があるのかもしれませんが、かなりストレスを感じました。

 

タイガー

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<メンテナンス性>

土鍋の強度が上がったものの取り扱いにはなお注意が必要

お手入れするパーツは内釜(土鍋)と内ぶたとスチームキャップの3つ。本モデルから、スチームキャップが外ぶたの外側でなく内側に搭載されるようになりました。内ぶたを外すとその裏にスチームキャップが付いています。

↑写真右から土鍋、内ぶた、スチームキャップ。メンテナンスするパーツはかなり少なめです↑写真右から土鍋、内ぶた、スチームキャップ。メンテナンスするパーツはかなり少なめです

 

内ぶたは調圧ボールと安全弁が付いていて、汚れが付くと洗うのが面倒ですが、白米を3合炊きした限りでは、汚れが付くことはありませんでした。スチームキャップもスチームが凝結した水は溜まりますが、一瞬の水洗いでキレイになります。

 

土鍋の重さは1238g。土鍋を4度焼きすることで、強度も前モデルよりアップしているとのことです。ただ、それでも金属製と違って「割れない」というわけではないので、取り扱いには注意しましょう。

↑調圧ボールのすき間などに汚れがたまると、洗うのがやや大変↑調圧ボールのすき間などに汚れがたまると、洗うのがやや大変

 

↑内釜の重さは前モデルより100g重くなっています↑前機種は1138gで、本機は1238g内釜の重さは前モデルより100g重くなっています

 

フレームのお手入れに関しては、フレーム表面に細かいシボ(凹凸)があります。メーカーの説明では、このシボにより汚れが付いても落ちやすいとのこと。試しに米粒を擦り付け、乾かしたあと乾いた布巾で拭き取ってみたところ、確かに大部分の汚れは簡単に落ちます。わずかに凹凸のすき間に残った汚れも、濡れた布巾で簡単に取れました。

↑乾いた布巾で汚れをふき取ったあと。わずかに汚れのこびりつきがありました↑細かいシボのあるフレーム。乾いた布でこびりついた米粒をふき取ると、わずかに汚れのこびりつきが残りますが、大部分の汚れは落ちました

 

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【テストその6 独自機能/設置性は?】

「独自機能」は、ごはんのおいしさや炊飯のバリエーションアップにつながる、本機ならではの機能や技術をチェックします。使い勝手の向上やメンテナンスの手間を省く機能も見ていきます。「設置性」は横幅と奥行き、重さを確認。また、炊飯器の設置場所の自由度を左右する炊飯中の蒸気の出方もチェックしました。

 

<独自機能>

火力強化や操作性向上のための独自機能がチューンアップ

本機の最大の特徴であり、かつ前機種から進化した点は、熱伝導率が約2.5倍になったことによる火力アップ。これによりおこげごはんの香ばしさが大きく向上しました。また、内ぶたに親水加工を施し、水分がしずくになりにくく、炊き上がり後や保温中のつゆだれを抑制。また、保温中に内ぶたに水分の膜を作ることで、ごはんをしっとり保温できます。

↑「プレミアム本土鍋」に炭化ケイ素成分を配合し、より高火力な炊飯が可能に。鍋底には「波紋底」を採用しており、沸騰時の泡立ちを均一にし、お米がムラなく炊き上がります↑「プレミアム本土鍋」に炭化ケイ素成分を配合し、より高火力な炊飯が可能に。鍋底には「波紋底」を採用しており、沸騰時の泡立ちを均一にし、お米がムラなく炊き上がります

 

↑表面に親水性の高い塗膜をつけた「つや艶内ふた」を採用。加熱時には表面に付いた水分が素早く蒸発します。保温時には内ぶた表面に長く留まり、ごはんの乾燥を防ぎます↑表面に親水性の高い塗膜をつけた「つや艶内ふた」を採用。加熱時には表面に付いた水分が素早く蒸発します。保温時には内ぶた表面に長く留まり、ごはんの乾燥を防ぎます

 

本機では、ごはんの食感(粘り)も5通りに炊き分け可能になりました。これに火かげんキーで3通りのおこげのつき方が調節でき、多彩な香りや食感を楽しめます。火かげん設定を、さらに弱めや強めにシフトすることも、前モデル同様に可能です。

 

炊飯機能では2種類の「麦めし」モードを搭載しているのも特徴。今回、「もち麦」モードで炊飯したところ、もち麦独特の甘みと、プチプチもちもちした食感が楽しい絶品ごはんに炊き上がりました。

↑白米にもち麦3割を混ぜて炊飯。白米だけ炊いたときとは違う粘り気のあるつや、大麦独特の甘い香りが楽しめる麦ごはんができました。パサつきは皆無。日常的に使ってみたいモードです↑白米にもち麦3割を混ぜて炊飯。白米だけ炊いたときとは違う粘り気のあるつや、大麦独特の甘い香りが楽しめる麦ごはんができました。パサつきは皆無。日常的に使ってみたいモードです

 

そのほか、操作の快適さにつながる「モーションセンサー」や「音声ガイド」機能も前機種からさらに実用性がアップ。土鍋ふたも付属し、土鍋ごとおひつとして食卓に出すことができます。

 

<設置性>

前モデル同様、本体はコンパクトだがやや重めで設置場所を選ぶ

本体の横幅は26.1cmで、奥行きは32.5cm。前モデルと比べ、幅が0.4cm狭く、奥行きが1.6cm長くなっていて、大手メーカーの高級炊飯器の中でもコンパクトな部類に入ります。重さは約7.3kgでやや重め。取っ手がないので、移動時は両手で持つことになります。

 

火力がアップしていることで、水蒸気もかなりの量を放出します。上部に十分な空間のある場所かレンジフード(換気扇)の近くで炊飯するのがいいでしょう。

20171129-s4 (31)↑火力が強くなるにつれ、水蒸気の量も増加。特に炊飯中に減圧する際に、大量の蒸気が出ます

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

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【テストのまとめ】

おこげの香り以外にも多彩なおいしさを楽しめる製品に進化!

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タイガーの高級炊飯器「THE炊きたて」シリーズの魅力は、まず第一に「香ばしいおこげごはんが楽しめる」ことだと筆者は考えていました。が、今回最新モデルを使ってその考えが変わりました。本機は火かげん弱にすればおこげなし、炊きたての香り豊かでふっくらもちもちのごはんが楽しめます。また、そこから火かげんを強めることで、おこげの香ばしい香りをプラスすることが可能。「しゃっきり」と「もっちり」の食感の幅も、前機種の段階で最も大きな差が感じられましたが、今回さらにその幅が大きくなった印象です。

 

食感炊き分けも3通りから5通りに増加。柔らかめな炊き上がりの中で「しゃっきり」から「もっちり」までの食感の強弱がしっかりつき、いろいろ設定を変えるたびに、異なるおいしさが楽しめました。おこげだけでなく、より多彩な味わいが表現できるように進化したというイメージです。

 

冷やごはんはもちもち感がアップし、お弁当やおにぎりに最適。冷凍・再加熱したごはんは、炊きたてのふっくらもちもちした食感と甘みが蘇りましたが、おこげの部分はやや粘り気が出過ぎて食べづらく感じました。

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保温機能も6時間までなら極めて優秀!

本機は前機種と比べて保温性能も進化。6時間程度の保温なら、粒感を残したもちもち感や甘みはもちろん、おこげの風味まで維持できていました。ただし、24時間経つとさすがにやや劣化が目立ってくるので、冷凍・再加熱のほうがオススメです。

↑操作パネルやモーションセンサーの改良で炊飯設定がよりスムーズに↑操作パネルやモーションセンサーの改良で炊飯設定がよりスムーズに

 

操作性ではキーのレイアウトが変わったことで、液晶画面が大きくなったのが特徴。食感や火加減の表示も液晶画面内にまとめられました。音声ガイド機能付きで操作に安心感があるのも魅力。モーションセンサーの消灯までの時間が60秒に伸びたことで、操作中のストレスが大幅に軽減されました。ただし、外ぶたの閉めにくさは減点対象です。

 

メンテナンス面では内ぶたの調圧ボール、安全弁に汚れがついたときの手入れがやや面倒。土鍋は強度が増しましたが、そのためか重さも100g増加し、洗うときの扱いにも注意が必要です。

 

独自機能に磨きがかかって製品の魅力もアップ!

独自機能では、火力アップに加え、食感炊き分けのバリエーションが5通りに増加。おこげのつき方も好みや用途に応じて変えられます。また「麦めし」モードは従来機種からの継続機能ですが、パサつきもなく何度でも食べたいと思わせる炊き上がりでした。モーションセンサーの実用性アップも見逃せないポイントです。

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設置性の面では、各メーカーの最上位機の中では小さめなサイズですが、それでもかなりの場所を取ります。また、蒸気も出るので設置場所は相変わらず限定されます。これらの結果を踏まえ、本機がオススメな人を考察してみました。結果は以下の通りです。

●ふっくら柔らかめなごはんが好きな人

●おこげの香り豊かなごはんが好きな人

●好みの食感が決まっていない人、いろいろな食感のごはんを楽しみたい人。炊き分け機能が5通りに増え、より細かな食感の違いが楽しめます

●お弁当、おにぎりを作る機会の多い人

●多機能炊飯器の操作に慣れていない人。液晶パネルやモーションセンサーの改良と音声ガイドでさらに操作性がアップ

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JPG-X100は、前モデルよりもごはんの香りとふっくら感がアップ。「しゃっきり」と「もっちり」それぞれでよりおいしくなりました。炊飯設定もよりわかりやすくなり、ごはん好きにとって、満足感が極めて高い1台です。

日立のいいとこ全部出た! 8項目テストまとめで「ふっくら御膳」は「失敗したくない人」へのベストアンサーと判明

本サイトでは、主要メーカーのハイエンド炊飯器のなかでも人気の高い5機種を集め、徹底的に比較・検証した記事を連載してきました。今回は、日立「ふっくら御膳 RZ-AW3000M」の検証をまとめ、その個性に迫っていきます。検証によると、ご飯の味のバランスが良いほか、少量炊飯や保温など、細かい部分にも配慮が感じられ、あらゆる面でバランスが取れた良機ということが判明。以下で詳しく見ていきましょう!

 

【今回テストするのはコチラ】

内釜の底に鉄の粒子を打ち込み効率的な発熱と高い伝熱性を両立

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日立

圧力スチーム炊き ふっくら御膳

RZ-AW3000M

実売価格10万7780円

水温を60℃以下で米にしっかり吸水させる「高温浸し」と独自の圧力スチーム技術を搭載。ふっくら艶やかで甘み豊かなごはんに炊き上げる。アルミ合金の内釜の底に発熱性の高い鉄の粒子を打ち込むことで効率的な発熱と高い伝熱性を両立し、内釜全体に素早く熱を伝えることで炊きムラを抑える。0.5合でもおいしく炊き上げる「少量炊き」機能も特徴。「蒸気カット」機能付きで、キッチン棚の中で使っても棚の天面が濡れず、設置場所の自由度が高い。

SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:145wh●保温1時間あたりの消費電力量:13.7Wh●加熱方式:圧力スチーム炊き●内釜:高伝熱 打込鉄・釜●サイズ/質量:約W268×H237×D352mm/約6.6kg

 

【テストその1 食感・味の傾向は?

最も上質な炊飯ができるコースで炊き上げ、その香りや味、食感を比較しました。お米は岩手県産ひとめぼれ(無洗米)を使用。コシヒカリの強い味わいと、ササニシキのさっぱりした味の中間にあたる、バランスの取れた味のお米です。米は3合で炊飯。今回は機種の味の傾向を知るために、中庸(ふつう)の食感設定を選択しました。

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また、食感と食味は炊きたてに加え、冷やごはんと冷凍・再加熱したものについてもチェックしています。冷やごはんは、炊きたてをラップに包んでおにぎりにし、室温で5時間ほど冷ましたものを試食。冷凍ごはんは、炊きたてをラップに包んで冷凍庫で冷凍し、1日経ったものを電子レンジで温めました。

 

<炊き上がり>

バランスのいい味と食感で噛むほどに甘みが増してくる

極上炊き分けの「ふつう」で炊飯。他機種と比べるとやや控えめながら、昔ながらの「炊き立て」のいい香りがしっかり広がります。ごはんのハリ、つやもまずまず。食感は柔らかくなりすぎず、ほどよい弾力と粘りがあります。口のなかで米がほどける食感もあり、バランスのいい炊き上がりだと感じました。味は最初甘さやや控えめに感じましたが、噛むほどにどんどん甘みが増します。

↑米粒のかたちはスリムで、しゃっきり感を感じさせながら、つや感もしっかりあります。食感と味のバランスの良さが、画像からも伝わってきます↑米粒のかたちはスリムで、しゃっきり感を感じさせながら、つや感もしっかりあります。食感と味のバランスの良さが、画像からも伝わってきます

 

<冷やごはん(おにぎり)>

ややベタつくが、ほどける食感と雑味のない味が堪能できる

冷やごはんは、ベタつきがやや感じられますが、口の中でほどける食感は健在。モチモチした食感がやや出てきたように感じました。雑味のない甘みも堪能できます。

↑冷やごはんになって、米のつやが一段と増した印象。冷めてもごはんの味と食感のバランスは健在でした↑冷やごはんになって、米のつやが一段と増した印象。冷めてもごはんの味と食感のバランスは健在でした

 

<冷凍・再加熱>

粘りが強く出てきたが、甘みが増してくる特徴は変わらず

一方、冷凍ごはんを温めると粘りがかなり強くなり、少し団子感が出てきました。表面の水分が飛んだせいか、やや固めに感じる部分もあります。最初はさっぱりでどんどん甘さを増すおいしさは、冷凍でもしっかり味わえます。

↑これも炊き立てと比べると、米のつや感とハリがだいぶなくなってしまいました。かたちもやや崩れ始めています↑これも炊きたてと比べると、米のつや感とハリがだいぶなくなってしまいました。かたちもやや崩れ始めています

 

日立

圧力スチーム炊き ふっくら御膳

RZ-AW3000M

【テストその2 食感炊き分けの幅は?】

その炊飯器で「最もしゃっきり硬めの食感に炊き上げるモード」と、「もっとももちもちに炊き上げるモード」で炊飯。それぞれの食感の違いを見ることで、その機種が実現できる食感の幅を確認しました。

さっぱりした食感がベースで、「もちもち」モードでももっちり度は控えめ

本機の白米の炊き分け機能は「極上ふつう」と「極上しゃっきり」「極上もちもち」の3種類のみ。ここでは、「極上しゃっきり」「極上もちもち」を試してみました。

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「極上しゃっきり」で炊いたごはんはその名の通りしゃっきり硬めの食感。わずかに粘り気がありますが、食べるとほろりとほぐれます。甘みはすっきりで、炊き立てのごはんの風味がありながら、粒感が立っている感じです。今回検証した5モデルの中では三菱電機に次いで、しゃっきり感を強く感じました。

米粒の周りにおねばをまとって、口に入れた瞬間は粘り気を感じますが、そのあとしゃっきり食感に変わります。他の機種にはない、独特のしゃっきり感です↑米粒の周りにおねばをまとっており、口に入れた瞬間は粘り気を感じますが、そのあとしゃっきり食感に変わります。他の機種にはない、独特のしゃっきり感でした

 

一方、「極上もちもち」で炊いたごはんのほうは、もちもち度は他機種ほど高くなく、口の中でほぐれる食感が感じられました。パナソニックや象印の食感設定を「ふつう」にして炊いた場合より弾力は弱く、柔らかさも他機種と比べると控えめ。ただし、ごはんの甘みはかなり強くなっていました。

↑見た目のつやは豊かですが、「もちもちモード」で炊いた割には、弾力や粘り気は他機種ほど強くなりませんでした。ただ、茶碗によそってしばらく経つと、少しもちもち感が上がりました↑見た目のつやは豊か。「もちもちモード」で炊いた割には、弾力や粘り気は他機種ほど強くなりませんでした。ただし、茶碗によそってしばらく経つと、少しもちもち感がアップ

 

日立

圧力スチーム炊き ふっくら御膳

RZ-AW3000M

【テストその3 少量炊飯の炊き上がりは?】

これまで同様、米は岩手県産ひとめぼれ(無洗米)を使用。米1合を標準(ふつう)の食感設定で炊飯し、3合炊きしたときのごはんの味・食感との違いをチェックしました。

「少量」ボタンで3合炊飯とほぼ変わらないおいしさに

本機の特徴は、0.5合〜2合の炊飯に適した「少量」ボタンを搭載していること。3合を炊いたときと同じ「極上ふつう」モードで少量1合を選択して炊飯しました。

 

炊き立てを食べた第一印象は、「3合炊飯とほとんど味と食感が同じ」だということです。香りは他機種と比べるとやや穏やかですが、炊き立てごはんのいい香りが広がります。食感は柔らかながら、適度な粘りがあり、食べると口の中でほどよくごはんがほどけます。最初は控えめながら、食べ進むうちにどんどん甘くなっていく味わいも前回と同じでした。

20170822-s3 (9)_R

↑炊き立てはおねばがつやつや光っていましたが、表面の水分がある程度飛ぶと、ツヤが落ち着いてきました。3合を炊いたときと見た目もほとんど同じです↑炊き立てはおねばがつやつや光っていましたが、表面の水分がある程度飛ぶと、ツヤが落ち着いてきました。3合を炊いたときと見た目もほとんど同じです

 

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圧力スチーム炊き ふっくら御膳

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【テストその4 保温性能は?】

最もオーソドックスなモードで、3合炊きしたごはんを24時間保温。炊飯6時間後の味と食感とニオイ、24時間後の味と食感とニオイをチェックしました。

保温6時間後の食感・食味は申し分なし

本機は、「スチーム40時間保温」を搭載しており、炊飯時に出た蒸気を水に変えて備蓄し、保温時に定期的にスチームとして釜内に送り込みます。保温モードは、ごはんの変色や乾燥を防ぐ「保温低」(40時間以内)と、高めの温度でふたの内側や内釜につゆがつくのを抑える「保温高」(12時間以内)の2種類ありますが、今回は保温時間の長い「保温低」で試してみました。

 

保温6時間後のごはんは、炊き立て時の米の弾力と粘り気が持続していました。甘みも変わらず、ニオイもまったくありません。全体の食味・食感は申し分ないです。

↑チェック時にはつやがだいぶなくなった印象でしたが、写真を見るとまだまだつやとハリをキープしています↑6時間の保温後もまだまだつやとハリをキープしています

 

24時間保温したごはんは、さすがにニオイが少し出始めていて、全体の食味はやや劣化した印象。食感もかなり柔らかくなっていますが、食べている間にほどける感覚と、米一粒一粒の弾力はまだ残っていました。

↑24時間経って、色はかなり黄色っぽくなっています。ごはんのハリ、つやもなくなってしまいました↑24時間経って、色は黄色っぽくなっています。ごはんのハリ、つやも少なくなりました

 

日立

圧力スチーム炊き ふっくら御膳

RZ-AW3000M

【テストその5 操作性/メンテナンス性は?】

「操作性」に関しては、炊飯設定する際の液晶パネルの見やすさや、ボタン操作のしやすさをチェック。特に、目的の炊飯設定にするまでの工程に注目し、取扱説明書を見なくても炊飯設定がスムーズにできるかどうかを確かめました。「メンテナンス性」に関しては、炊飯後に洗うパーツの数や洗いやすさ、フレームに付いた汚れや露の拭き取りやすさをチェックしました。

<操作性>

「戻る」ボタンが欲しいが、見やすいパネルと「少量」ボタンは便利

高級炊飯器のなかでは貴重なタテ長の液晶パネルを採用。パネルのサイズが大きく、バックライト式で文字もくっきり表示されます。「お米」ボタンで米の種類や「調理モード」を選択。「メニュー」ボタンで炊飯メニューや調理メニューの選択をします。「お米」ボタンも「メニュー」ボタンも1回押すと右側のメニューに移動する方式で、「戻る」に相当するボタンがなく、特にメニューボタンで1回押しすぎるともう一周する必要があるのが面倒でした。

↑液晶パネルの左に「お米」「メニュー」「少量」ボタンを配置。「少量」ボタンが独立しているのは、少量で炊くことが多い家庭にはメリットです↑液晶パネルの左に「お米」「メニュー」「少量」ボタンを配置。「少量」ボタンが独立しているのは、少量で炊くことが多い家庭にはメリットです

 

↑「お米」「メニュー」ボタンを押すと、選択したメニューが点滅して表示されます。メニュー選択の際に「戻る」ボタンがないのがやや不便なので、時刻設定の左右キーを「戻る・進む」キーと共用できるよう、設定できるとよかったかなと思います↑「お米」「メニュー」ボタンを押すと、選択したメニューが点滅して表示されます。メニュー選択の際に「戻る」ボタンがないのがやや不便なので、時刻設定の左右キーを「戻る・進む」キーと共用できるよう、設定できれば良かったです

 

<メンテナンス性>

内ぶたは洗うパーツが多いが、内釜は軽量で毎日の手入れがラク!

炊飯ごとに洗うパーツは内釜と「給水レスオートスチーマー」(内ぶた)。「給水レスオートスチーマー」はさらにふた加熱板とプレート、蒸気口上ケースに分解して洗います。ふた加熱板の裏には調圧ボールが付いていて、これも丁寧に洗う必要があります。

↑写真左上が内釜、左下がプレート、右下がふた加熱板、右上が蒸気口上ケース↑写真左上が内釜、左下がオートスチーマープレート、右下がふた加熱板、右上が蒸気口上ケース

 

内釜は708gと、今回検証した高級炊飯器の5モデル中最軽量。軽くて丈夫で洗いやすく、扱いやすいです。また、フレームはステンレス製でフラット。つゆ受け部が窪んでいて、つゆが集まるようになっています。

↑内釜はアルミをベースに発熱効率の高い鉄を打ち込んだもの。高火力炊飯を可能にしながら、圧倒的に軽いのが魅力です↑内釜はアルミをベースに発熱効率の高い鉄の粒子を打ち込んだもの。高火力炊飯を可能にしながら、圧倒的に軽いのが魅力です

 

↑ふた可動部の下のつゆが溜まりやすい場所に窪みがある。つゆ受け部も含め、フレーム部表面にはステンレスが使われているので、汚れが拭き取りやすいです↑ふた可動部の下のつゆが溜まりやすい場所に浅い窪みが。つゆ受け部も含め、フレーム部表面にはステンレスが使われているので、汚れが拭き取りやすいです

 

日立

圧力スチーム炊き ふっくら御膳

RZ-AW3000M

【テストその6 独自機能/設置性は?】

「独自機能」は各炊飯器に搭載されている、ごはんのおいしさにつながる独自の機能や技術、炊飯のバリエーションを広げる機能などをチェックします。また、使い勝手向上やお手入れの手間を省く便利機能も見ていきます。

 

「設置性」に関しては、横幅と奥行き、重さを確認します。また、炊飯中の蒸気の出方もチェック。さらに、設置性を高める独自の工夫があれば、それもチェックしていきます。

<独自機能>

玄米の3通りの食感炊き分けができ、「少量炊飯」モードも便利

本機は内ぶたに「給水レス オートスチーマー」を搭載。炊飯中の蒸気を水に戻して回収し、蒸らしや保温時に再びスチームにしてごはんに潤いを与えます。またこれにより、外に出る蒸気の量を少なくしているのも特徴です。

↑内ぶたに「オートスチーマー」を装備。ふた加熱板とプレートの間に貯めた水をヒーター加熱し、7つの穴からスチームとして放出します↑内ぶたに「オートスチーマープレート」を装備。ふた加熱板とプレートの間に貯めた水をヒーター加熱し、7つの穴からスチームとして放出します

 

食感炊き分けは3種類と少なめですが、玄米も3種類の食感に炊き分けられるのはメリット。玄米の「おかゆ」のほか、玄米の「炊込み」メニューを搭載しているのも特徴です。

 

さらに、少量炊き専用のボタンを搭載し、ボタンを押すだけで少量炊飯に適した炊き方に変えられる点は、1〜2人世帯にはうれしい機能です。

↑「少量」ボタンを1回押すと1合用に、2回押すと2合用に切り替わります。3回押すと少量モードが解除されます↑「少量」ボタンを1回押すと0.5~1合用に、2回押すと1.5~2合用に切り替わります。3回押すと少量モードが解除されます

 

ちなみに、内釜の白米(無洗米・雑穀米・発芽玄米)用の水位線には、「やわらかめ」「かため」に炊くための水位線も表示されていて、ユニークです。

↑「かため」の水位線はすしめしやカレー用のごはんに最適。新米を炊くときも「かため」の水位線を目安に少なめの水量にすると、炊き上がりのベタつきが抑えられます↑「かため」の水位線はすしめしやカレー用のごはんに最適。新米を炊くときも「かため」の水位線を目安に少なめの水量にすると、炊き上がりのベタつきが抑えられます

 

<設置性>

「蒸気カット」機能搭載で設置場所の自由度が圧倒的に高い!

本体幅は26.8cmで奥行きは35.2cmというサイズは、今回検証した5モデル中ではパナソニックに近い大きさ。重量は約6.6kgで、三菱電機に次ぐ軽さです。本体に取り付けた「しゃもじ受け」にしゃもじを挿しておけるのも便利です。

↑付属品の「しゃもじ受け」を本体後方下部のフックに取り付けて使用。しゃもじの置き場所に困らず、さっと使えてさっとしまえます↑付属品の「しゃもじ受け」を本体後方下部のフックに取り付けて使用。しゃもじの置き場所に困らず、さっと使えてさっとしまえます

 

他の機種にない設置性での優位点は「蒸気カット」機能を持っていること。これで設置の自由度が圧倒的に高くなります。

↑蒸気口は他機種よりかなり小さめ。白米の炊飯コースではほとんど蒸気が出ていませんでした。ただ、「おこげ」など「蒸気カット」しない炊飯コースもあるので、キッチン用収納棚などに置いて使うときは、注意が必要です↑蒸気口は他機種よりかなり小さめ。白米の炊飯コースではほとんど蒸気が出ていませんでした。ただ、「おこげ」など蒸気カットしない炊飯コースもあるので、キッチン用収納棚などに置いて使うときは、注意が必要です

 

日立

圧力スチーム炊き ふっくら御膳

RZ-AW3000M

【テストのまとめ】

ほどよい弾力や硬さのごはんに炊き上げ、少量炊飯が得意

本機の炊き上がりの食感は、ズバリ「中庸」。「極上炊き分け」の「ふつう」で炊いたごはんはふっくらしながら柔らかすぎず、弾力と粘り、米の粒感のバランスが取れています。

↑米粒のかたちはスリムで、しゃっきり感を感じさせながら、つや感もしっかりあります。食感と味のバランスの良さが、画像からも伝わってきます↑米粒の形はスリム。しゃっきり感を感じさせながら、つや感もしっかりあります

 

最初さっぱりしながら食べるうちに甘みが増してくる味わいも良好です。冷やごはんはややベタつきが出るものの、粒感のなかにモチっと感がもあり。冷凍ごはんを再加熱すると粘りが強くなり、やや硬めの食感に。1合炊飯では「少量」ボタンを使うことで、3合炊きとほぼ同じ味と食感を実現できました。

↑日立の「少量」ボタン↑視認性の高い縦型パネルを採用。パネルの左には「少量」ボタンがあります

 

食感炊き分けは3種類。「しゃっきり」は三菱電機に次ぐしゃっきり感で、「もちもち」で炊いた場合も、もっちり感は象印やパナソニック、タイガーの「標準」で炊いた場合より控えめでした。玄米を3種の食感に炊き分けられるのも特徴です。

 

保温性能は優秀で液晶パネルは視認性が高い

本機はパナソニック同様「スチーム保温」がウリ。保温温度の低いモードで検証したところ、保温6時間後は炊き立ての食感と味をほぼ申し分なく維持していました。操作性の面では、本機は大きめの縦型の液晶パネルを採用しており、視認性は高いです。炊飯設定で、メニューを逆方向から選べるボタンがないのがやや不便でした。

 

「蒸気カット」機能の装備で設置の自由度は最優秀

メンテナンス性については、内ぶたが調圧ボール搭載の放熱板とプレート、蒸気口上ケースの3パーツ構成で洗浄がやや面倒。ただし、内釜が軽く丈夫で洗いやすいのは魅力です。一方、設置性は本機が最も優秀。他機種が炊飯中に大量の蒸気を放出するのに対し、本機は「蒸気カット」機能搭載で通常の炊飯なら蒸気がほとんど出ません。キッチン用収納棚などに置けるのはメリットです。

↑↑日立ふっくら御膳は「蒸気カット」機能により、設置の自由度が高いです

 

上記を踏まえた結果は以下の通りです。

●しゃっきり寄りの食感を好みつつ、バランス重視の人

●玄米を炊き分けて食べたい人。3段階の炊き分け機能や「炊込み」メニューあり

●少量炊飯することが多い人。専用モードあり

●設置スペースが限られている人。「蒸気カット」機能付きで置く場所を選ばない

バランスの良いしゃっきりめのご飯が好みの方に本機はうってつけ。少量炊飯をするケースが多く、設置の自由度が高い蒸気カットタイプということで、少人数世帯にも好まれそうです。このほか、内釜が軽く、日常のお手入れがラクなのもポイントですね。

「おこげ加減」が選べるってスゴくない? タイガー炊飯器「JPX-102X」濃厚レビューで「ご飯の楽しさ」を堪能!

本サイトでは、主要メーカーのハイエンド炊飯器のなかでも人気の高い5機種を集め、徹底的に比較・検証した記事を連載してきました。今回は、炊飯器の老舗、タイガーの「THE炊きたて JPX-102X」を取り上げます。最新機種ではありませんが、そのぶん価格がこなれてきて買いやすくなったのは事実。炊き上がりの傾向をはじめ、操作性や独自機能など、以下で詳細をチェックしてみてください!

 

【今回テストするのはコチラ】

高温で炊き上げて高温で蒸らし、甘みと弾力の強いごはんに仕上げる

20170810-s1-4 (2)

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

実売価格9万9802円

内釜に遠赤効果の高い釉薬を塗った土鍋を採用し、さらに本物の土のかまど「遠赤大土かまど」を本体内に装備。土鍋と土かまどの二重発熱構造と可変圧力によって高温で炊き上げ、200℃以上の「高温蒸らし」で、甘みと弾力の強いご飯に仕上げる。しゃっきりからモチモチまで、好みの粘り加減に調整できるほか、土鍋のおこげが味わえる3段階の火加減調節も可能。「押麦メニュー」と「もち麦メニュー」の2種類の麦めしメニューも搭載する。

SPEC●炊飯容量:1.0~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:148wh●保温1時間あたりの消費電力量:18.3Wh●加熱方式:土鍋圧力IH + 可変W圧力IH●内釜:プレミアム本土鍋(四日市萬古焼)●サイズ/質量:約W265×H233×D309mm/約7.4kg

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストその1 食感・味の傾向は?】

最も上質な炊飯ができるコースで炊き上げ、その香りや味、食感を比較しました。お米は岩手県産ひとめぼれ(無洗米)を使用。コシヒカリの強い味わいと、ササニシキのさっぱりした味の中間にあたる、バランスの取れた味のお米です。米は3合で炊飯。今回は機種の味の傾向を知るために、中庸(ふつう)の食感設定を選択しました。

20171115-s1-0

また、食感と食味は炊きたてに加え、冷やごはんと冷凍・再加熱したものについてもチェックしています。冷やごはんは、炊きたてをラップに包んでおにぎりにし、室温で5時間ほど冷ましたものを試食。冷凍ごはんは、炊きたてをラップに包んで冷凍庫で冷凍し、1日経ったものを電子レンジで温めました。

<炊き上がり>

おこげの香ばしさ、強い弾力と粘りがあって食べ応え満点

蓄熱性の高い土鍋とかまどを本体内に搭載した本機は、その蓄熱性を活かして香ばしい風味のごはんが炊けるのが特徴。おこげが手軽に楽しめるのも魅力です。今回は、「極うま白米」の仕上がり(食感)標準を選択。さらに、火加減は3段階のうちの「中」を選びました。

 

炊き上がってふたを開けると、ほのかなおこげの香りとともに、炊き立てごはんの香りが立ち込めます。やや柔らかめの炊き上がりながらごはんにハリがあり、強い弾力と粘りのある、食べ応え満点の食感。噛むほどに甘みが口のなかに広がります。実は別日に火加減「弱」でも炊いたのですが、これだとおこげがほとんどつきませんでした。なお、火加減「弱」より火加減「中」で炊いたほうが、ごはんのモチモチ感が増した印象です。

↑写真でも米の粘りと弾力がはっきりわかる炊き上がり。鍋肌でできた「おこげ」もうっすらと見えます↑写真でも米の粘りと弾力がはっきりわかる炊き上がり。鍋肌でできた「おこげ」もうっすらと見えます

 

<冷やごはん(おにぎり)>

食べ応えは健在で、水分が飛び引き締まった食感に

冷やごはんもモチモチ感がしっかり感じられ、甘みも強くて食べ応えがありました。ごはんの水分が適度に飛んで、炊きたてよりごはんが引き締まった感もあり、これはまたこれでおいしいです。

↑モチモチ感はそのままに、米一粒一粒が主張する感じが高まっていました。ただし、炊き立ての香ばしい香りは弱まっていました↑モチモチ感はそのままに、米一粒一粒が主張する感じが高まっていました。ただし、炊き立ての香ばしい香りは弱まっていました

 

<冷凍・再加熱>

わずかにベタつくが、独特の粘りとおこげの風味が復活

冷凍ごはんは、再加熱することで独特の粘りとおこげの風味が蘇りました。炊きたてに比べ、さすがにベタつき感が増えましたが、味は十分おいしく、炊きたての新鮮な香りも復活します。

↑ごはんのつや感は炊き立てに近く見えますが、よく見ると米粒同士がよりくっついているのがわかります↑ごはんのつや感は炊き立てに近く見えますが、よく見ると米粒同士がよりくっついているのがわかります

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストその2 食感炊き分けの幅は?】

その炊飯器で「最もしゃっきり硬めの食感に炊き上げるモード」と、「もっとももちもちに炊き上げるモード」で炊飯。それぞれの食感の違いを見ることで、その機種が実現できる食感の幅を確認しました。

「しゃっきり」では米の粒感が際立ち、「もっちり」では粘りと甘みがアップ

食感炊き分けは「極うま白米」モードの「しゃっきり/標準/もっちり」の3種類のみ。これに加えて、おこげの具合を調節する「火かげん」キーが3段階で変えられます。今回は「しゃっきり/火かげん弱」と「もっちり/火かげん強」で炊き比べました。

20170828-s1-(25)

「しゃっきり/火かげん弱」で炊いたごはんは、かなり米の粒感が立った炊き上がりでした。粘り気も少なく、甘みもすっきりした印象です。

↑おねばをまとってつやつやと輝く見た目ですが、食感はしゃっきり硬めです↑おねばをまとってつやつやと輝く見た目で、食感はしゃっきり硬めです

 

一方、「もっちり/火かげん強」で炊いたごはんは、標準モードよりもちもち感がさらにアップ。さらに、おこげの色こそ付きませんでしたが、表面の食感がパリッとなりかけていました。柔らかく粘りと甘みの強いごはんで、特に甘み強いと感じました。

↑米の表面にコーティングされたおねばの量がすごい。もちもち感が写真からも伝わってきます↑米の表面にコーティングされたおねばの量がすごい。もちもち感が写真からも伝わってきます

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストその3 少量炊飯の炊き上がりは?】

これまで同様、米は岩手県産ひとめぼれ(無洗米)を使用。米1合を標準(ふつう)の食感設定で炊飯し、3合炊きしたときのごはんの味・食感との違いをチェックしました。

弾力少なめのごはんにモチっと食感が混じる独特の炊き上がり

「極うま白米」の仕上がり(食感)標準を選択。火加減は3段階のうちの「中」を選びました。全体に3合炊きよりかなり柔らかめ、弾力少なめに炊けており、土鍋の鍋肌と接するおこげになりかけの部分のみ、かなり粘りの強いモチっとした食感になっています。この辺りは、「食感のばらつき」とも捉えられるため、好みが分かれそう。

 

ごはんの甘みは3合で炊いたときよりやや控えめで、香りもほのかにおこげが香る程度と、味・香りとも抑えられていた印象です。

20170822-s3 (7)_R

↑「おねば」をしっかりまとってつやつやした表情。全体的にはモチモチ感が弱くなっていましたが、ところどころにモチモチ感がかなり強い部分があります↑「おねば」をしっかりまとってつやつやした表情。全体的にはモチモチ感が弱くなっていましたが、ところどころにモチモチ感がかなり強い部分があります

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストその4 保温性能は?】

最もオーソドックスなモードで、3合炊きしたごはんを24時間保温。炊飯6時間後の味と食感とニオイ、24時間後の味と食感とニオイをチェックしました。

6時間保温でややベタつきが出始めるが味わいは悪くない

保温機能は連続して保温を行うモードと6時間で保温が切れるモードの2種類がありますが、保温温度は1種類です。

 

6時間保温したあとにごはんを試食すると、食感がかなり柔らかくなり、ベタつきも出てきていました。米粒同士がくっついて団子状態になりはじめていて、ほぐれる感じはありませんでした。ただ、香りに臭みはなく、甘みもあって、味は悪くないと感じました。

↑見た目は、つやがややなくなってきた印象。やや米粒の表面が糊化し始めています↑見た目は、つやがややなくなってきた印象。やや米粒の表面が糊化し始めています

 

保温して24時間後になると、食感はさらに柔らかく、米同士が団子のようにくっつく状態も進行。ごはんの量が少なかったためか、場所によってごはんがべちゃっとしている部分と、乾燥している部分があったのも気になりました。味はよく言えば「おこげの香ばしさが強くなった」とも言えますし、悪く言えば「臭みが出てきた」とも言えます。

↑ごはんは場所によって、乾き気味の部分が出てきています。色もやや黄色くなっていました↑ごはんは場所によって、乾き気味の部分が出てきています。色もやや黄色くなっていました

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストその5 操作性/メンテナンス性は?】

「操作性」に関しては、炊飯設定する際の液晶パネルの見やすさや、ボタン操作のしやすさをチェック。特に、目的の炊飯設定にするまでの工程に注目し、取扱説明書を見なくても炊飯設定がスムーズにできるかどうかを確かめました。「メンテナンス性」に関しては、炊飯後に洗うパーツの数や洗いやすさ、フレームに付いた汚れや露の拭き取りやすさをチェックしました。

<操作性>

タッチパネルと音声ガイド機能を搭載し、スタイリッシュかつ快適操作

本機はタッチパネルを採用。各ボタンに軽く触れるだけで操作ができます。液晶パネルは高級炊飯器のなかでも小さい部類で、文字のサイズも小さめですが、黒地に白い文字で、視認性は高いです。

↑液晶パネルの文字と操作ボタンが黒いボディに浮き上がって表示され、スタイリッシュです↑液晶パネルの文字と操作ボタンが黒いボディに浮き上がって表示され、スタイリッシュです

 

本機は「モーションセンサー」を搭載しているのも特徴。本体に人が近づくとパネルが自動で点灯します。約20秒操作をしないと消灯しますが、取扱説明書を見ながら操作中に20秒経って表示が消えることが多く、やや不便を感じました(ただし、センサー上に手をかざすと再点灯します)。消灯までの時間を設定できれば、と感じましたが、操作に慣れれば操作に20秒かかることも少なくなるでしょう。

↑約20秒操作しないと、すべての表示が消えます。「モーションセンサー」に手をかざすと設定途中の表示に戻ります↑約20秒操作しないと、表示が消えます。「モーションセンサー」に手をかざすと設定途中の表示に戻ります

 

ちなみに本機は音声ガイド機能も装備。炊飯までに必要な操作を音声で教えてくれるのは便利。「音声ガイド」ボタンを押すと、必要な操作を声で教えてくれます。音量は3段階から選択可能。音声ガイドをもう一度聞きたいときは、再度音声ガイドキーを押します。

 

炊飯設定は、「もどる・すすむ」ボタンで希望する設定を選びます。炊飯設定は11モードと多くはないので、「もどる・すすむ」ボタンのみの操作でも、それほど不便は感じませんでした。

↑「もどる・すすむ」ボタンで炊飯モードを選択。選択したモードの下に点線表示がつきます↑「もどる・すすむ」ボタンで炊飯モードを選択。選択したモードの下に点線表示がつきます

 

「極うま白米」モードでは「火かげん」「仕上がり」ボタンで好みの仕上がりの調整が可能です。また「炊き込み」モードでは、「火かげん」の調節のみ可能です。

↑「火かげん」ボタンではおこげのつき方を調整でき、「仕上がり」ボタンでは、ご飯の粘りを「しゃっきり/標準/もっちり」の3段階で調整できます↑「火かげん」ボタンではおこげのつき方を調整でき、「仕上がり」ボタンでは、ご飯の粘りを「しゃっきり/標準/もっちり」の3段階で調整できます

 

無洗米を炊飯するときは、設定の最後に「炊飯/無洗米」ボタンを2回タッチすると、パネル上に「無洗米」と表示され、炊飯が開始されます。

 

<メンテナンス性>

調圧ボールと土鍋を採用しており、手入れはやや大変

お手入れするパーツは内釜(土鍋)と内ぶたとスチームキャップの3つ。内釜と内ぶたは炊飯するたびに台所用洗剤で洗います。特に内ぶたは裏に調圧ボールと安全弁が付いているので、丁寧に洗う必要があります。一方スチームキャップは、通常それほど汚れないので、水で洗えば大丈夫です。

↑写真左が内釜(土鍋)。右下が内ぶたで右上はスチームキャップ(蒸気口)。スチームキャップは2つに分解して洗います↑写真左が内釜(土鍋)。右下が内ぶたで右上はスチームキャップ(蒸気口)。スチームキャップは2つに分解して洗います

 

↑調圧ボールが2個入っているので、汚れがちまったときは洗うのがやや面倒です↑調圧ボールが2個入っているので、汚れがたまったときは洗うのがやや面倒です

 

内釜の重さは1138g。土鍋はセラミックコートで丈夫にはなっていますが、それでも割れる可能性があるので、丁寧に扱う必要があります。

↑内釜の重さは三菱電機の本炭釜よりやや軽い程度です↑内釜の重さは1138g

 

フレームはフラットですが、表面がザラザラしていて、ステンレスよりやや拭き取りにくいです。

↑つゆ受け部の表面には細かな凹凸が入っています。おつゆが乾いて汚れがこびりつく前に拭き取った方が掃除がラクでしょう↑つゆ受け部の表面には細かな凹凸が入っています。つゆが乾いて汚れがこびりつく前に拭き取った方が掃除がラクです

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストその6 独自機能/設置性は?】

「独自機能」は各炊飯器に搭載されている、ごはんのおいしさにつながる独自の機能や技術、炊飯のバリエーションを広げる機能などをチェックします。また、使い勝手向上やお手入れの手間を省く便利機能も見ていきます。

 

「設置性」に関しては、横幅と奥行き、重さを確認します。また、炊飯中の蒸気の出方もチェック。さらに、設置性を高める独自の工夫があれば、それもチェックしていきます。

<独自機能>

おこげのつき方をカンタン調整&モーションセンサーでスタイリッシュに操作!

内釜に土鍋を採用するだけでなく、炊飯器の本体にも土を使ったかまどを内蔵し、高い発熱性と蓄熱性で香り高いごはんに仕上げるのが本機の特徴。「火かげん」キーを使っておこげの程度を調整することができるほか、「仕上り」キーでごはんの粘り調整もできます。

↑おこげの程度とごはんの粘りを設定する専用キーを搭載。直感的な操作で好みの味わいに仕上げられます↑おこげの程度とごはんの粘りを設定する専用キーを搭載。直感的な操作で好みの味わいに仕上げられます

 

「火かげん」キーを最弱にしてもおこげが付きすぎたり、最強にしてもつかなかったりする場合は、より弱めや強めに設定をシフトすることも可能です。

↑おこげの色をより強力に調整したいときは、「極うま白米」を選んでから「予約」キーを3秒以上タッチ、左の数字を「(モード)1」に設定します。右の数字は「2」〜「-2」に設定可能で、数字が大きいほど濃い色のおこげに、小さいほど薄い色のおこげに仕上げます↑おこげの色をより強力に調整したいときは、「極うま白米」を選んでから「予約」キーを3秒以上タッチし、左の数字を「(モード)1」に設定します。右の数字は「2」〜「-2」に設定可能で、数字が大きいほど濃い色のおこげに、小さいほど薄い色のおこげに仕上げます

 

さらに「麦めし」モードは押麦ともち麦の2種類に対応。それぞれの麦に合わせたプログラムでニオイを抑えて炊飯します。

 

ちなみに、本機が採用する内釜(土鍋)は三重県四日市市の萬古焼を使用。土鍋ふたも付属し、土鍋をおひつとして使うこともできます。また、人が近づくとタッチパネルを点灯させるモーションセンサーを搭載するのはタイガーのみ。未来的でスタイリッシュなイメージに貢献しています。「音声ガイド」で操作の確認ができるのも便利。

↑付属の土鍋ふたを使えば、土鍋ごと食卓に置いても炊き上がりの温かさをキープ。実際にテーブルに置く際は、つゆ取り用の市販の布巾と鍋敷きを使ってください↑付属の土鍋ふたを使えば、土鍋ごと食卓に置いても炊き上がりの温かさをキープ。実際にテーブルに置く際は、つゆ取り用の市販の布巾と鍋敷きを使ってください

 

<設置性>

コンパクトかつ落ち着いたデザインだが蒸気量は多く設置場所を選ぶ

本体の横幅は26.5cm、奥行きは30.9cmで、象印を除くとわずかの差ですが、最もコンパクトサイズになっています。一方重さは土鍋、土かまどを採用しているせいか、約7.4kgとやや重め。また、取っ手がないため、移動するときは両手で持つ必要があります。

↑天面がツヤあり、側面がツヤなしの黒の色使いで、取っ手のないシンプルなデザインには、落ち着きも感じられます。シニア世代の家族のオシャレなキッチンにも合いそうです↑天面がツヤあり、側面はツヤなし。取っ手のないシンプルなデザインが、落ち着いたイメージを与えます。シニア世代の家族のオシャレなキッチンにも似合いそう

 

炊き上がりのおいしさを最優先に考えているため、本機も水蒸気をかなり放出します。上に十分な空間がある場所か、レンジフード(換気扇)の近くでの炊飯がオススメです。

↑写真では分かりづらいですが、最も大火力で炊飯している時間帯は、蒸気口から大量の蒸気が出ています↑写真では分かりづらいですが、最も大火力で炊飯している時間帯は、蒸気口から大量の蒸気が出ています

 

タイガー

土鍋圧力IH炊飯ジャー

THE炊きたて JPX-102X

【テストのまとめ】

最も食感の炊き分けの幅が大きく、おこげも楽しい

土鍋と土かまどの大火力で炊き上げる本機。ふっくらもっちりの炊き上がりとおこげの香ばしさが楽しめるのが特徴です。「極うま白米」の仕上がり標準、火加減中で炊飯したごはんは、食感はやや柔らかめですが、弾力、粘り、甘みが強く、食べ応え満点でした。冷やごはんにするとやや柔らかめのごはんが引き締まり、また別のおいしさが出てきます。冷凍・再加熱したごはんは、ベタつき感が出始めたものの、炊き立ての弾力とおこげの香りが復活。一方、1合炊飯では、食感がより柔らかく、弾力も香りも少なめに。おこげになりかけの部分のみモチっとした粘りがありました。

 

食感炊き分けは3段階と少なめ。炊き分けには「仕上がり」キーを使い、さらに「火かげん」キーでおこげの濃度も調整します。実際に炊き分けすると、ごはんは柔らかめながら、「しゃっきり」「もっちり」という設定通りの食感が強く現れ、食感の幅は5機種のなかで最も大きく感じました。本機の魅力は「火かげん」キーを専用につけるなど、おこげにこだわっていること。火加減は3段階ですが、初期設定を変えてより強いおこげも作れます。

↑写真でも米の粘りと弾力がはっきりわかる炊き上がり。鍋肌でできた「おこげ」もうっすらと見えます↑食感を「標準」、火加減「中」で炊いたご飯。中央にうっすらおこげが入っています

 

操作に煩雑な印象はなく、音声ガイドに安心感あり

保温に関しては、保温6時間後のごはんには米にベタつきが出始めていましたが、炊き立ての甘さと香りは維持できていました。

 

操作性に関しては、炊飯設定は「進む・戻る」ボタンで行いますが、食感(仕上がり)と火加減を専用キーで設定するため、煩雑さは感じませんでした。また、音声ガイド機能は使っていて安心感がありました。

20170828-s1-(25)↑「火かげん」と「仕上り」を各3段階で設定できます

 

タッチパネルとモーションセンサーでスマートな外観

お手入れ面では、内ぶたに調圧ボールと安全弁が付いていて、やや洗いにくいです。土鍋もやや重く、落として割れたりしないよう、丁寧に扱う必要があります。サイズは高級炊飯器のなかではコンパクトなほうですが、重さがやや重く取っ手もないので、持ち運びがやや面倒。落ち着いた黒のデザインはオシャレです。タッチパネルとモーションセンサー採用で、スマートな操作性を提示しているのも特徴です。

↑液晶パネルの文字と操作ボタンが黒いボディに浮き上がって表示され、スタイリッシュです↑液晶パネルの文字と操作ボタンが黒いボディに浮き上がって表示され、スタイリッシュです

 

まとめると、以下の通りになります。

●おこげの香ばしさが好きな人

●好みの食感が決まっていない人。炊き分けは3種類ながら、炊き分けの幅が広い

●多機能炊飯器の操作に慣れていない人。音声ガイドで操作をアシスト

●スタイリッシュなデザインが好きな人。タッチパネルとモーションセンサーですっきりとした外観

本機を手に入れれば、香ばしいおこげが楽しめるうえ、炊き分けの食感の幅が広いので、日によってまったく違う食感を味わうことも可能。お手入れはやや大変ですが、その手間を補って余りあるご飯の楽しみが味わえます。