今までの不便は何だったんだ…ミドリ「OPPテープカッター」を使いたくなる目からウロコの仕掛けとは?

ここ数年で「ちょっと変わったな?」と感じるのが、梱包用テープの事情である。もう少し具体的に言えば、ダンボールの梱包に透明なOPPテープ(ポリプロピレンのフィルムに粘着剤を塗布したテープ)を使う人がずいぶん増えてきたのではないか、と感じている。もちろん、昔から流通の現場では定番の存在だった。しかし近ごろでは、会社の荷送りだけでなく、我々一般ユーザーもネットフリマなどで荷物を送る際に、OPPテープを使うケースが増えているように思う。

 

クラフトテープからOPPテープへのシフト

一昔前は、家庭からの梱包といえばクラフトテープ(いわゆるガムテープ)か布粘着テープが主流だったはずだ。だが「耐水性やコスト面を考えると、OPPテープが最適解」という認識が広まりつつあるのかもしれない。

 

実際、100円ショップでもOPPテープの取り扱いが確実に増えているし、さらにいくつかの文房具メーカーがコンシューマー向けのOPPテープ専用カッターを発売し始めている。これはOPPテープの普及が広がっている証拠と言えるだろう。

 

OPPテープのコスパの良さと課題

OPPテープの最大のメリットは、なんといってもコストである。たとえば100均で梱包用テープを選ぶ場合、50mm幅のクラフトテープが50m巻、布テープが10m巻、そしてOPPテープはなんと80m巻。どれも110円で売られていることを考えると、この物量差は非常に大きい。しかも粘着力は申し分なく強く、耐水性も抜群。プロの現場で使われている時点で、その性能の高さは折り紙付きだ。

 

ただし、手で切れないうえに粘着力が強すぎて扱いづらいため、専用のテープカッターが必要になる。この点が、コンシューマー市場での普及の壁となっていた。

 

ミドリの「OPPテープカッター」に注目!

ミドリ
OPPテープカッター
1500円(税別)

 

そんな中でミドリから登場したのが、誰にでも扱いやすい工夫が詰まった「OPPテープカッター」だ。ミドリは3年前に「クラフトテープカッター」を発売しており、外観はほぼ同型。しかし、今回のモデルはOPPテープ専用に設計されており、細部のつくりはまったくの別物である。

 

誰でも楽に装着できる、目からウロコの仕組み

OPPテープは粘着力が強いため、一度切った端がロールに戻ってしまうと、再び剥がすのがとても大変。しかもテープ自体の透明度が高く、切り端を探すには爪で表面をカリカリとこすりながら探す必要がある。これがなかなか面倒だ。そのため、OPPテープ用カッターには、切ったテープの端が戻らないようにする「ローラー」や「テープガイド」といったパーツが付いていることが多い。

 

↑透明度が高いOPPテープは、端を見つけるのが一苦労!

 

↑ローラーが切ったテープを浮かせてくれるので、もうカリカリする必要なし。

 

このローラー、無ければ困るレベルで便利なのだが、装着時にはテープ端をこの隙間に通す必要があり、これが慣れないと難しい。筆者のような不器用者だと、無理に通そうとしてテープがよじれたり、粘着面に指紋をベタベタつけて台無しにしてしまうことも。

↑ただし従来のカッターは、ローラーにテープを通す作業がひと苦労。

 

そこで「OPPテープカッター」は、ローラーを開閉式にすることで装着のしやすさを大幅に改善している。

 

まず底部のクリップで紙管を固定し、ローラーのロックを解除してパカッと開く。あとはテープ端を持ち上げた状態でローラーを閉じ、再びロックすれば装着完了だ。

↑装着はバネ付きのクリップアームで紙管を挟んで固定。

 

↑側面のレバーを引けばロック解除。

 

↑ローラーを開いた状態で通せば超簡単。なんで今まで誰もこれを作らなかったのか!

 

↑これでセッティング完了。今までの苦労が嘘のようだ。

 

ベタベタの強粘着テープを細い隙間に通すストレスを思えば、これはもはや画期的。筆者も初めて装着したときは「あれ?もう終わり?」と拍子抜けしたほどだった。

 

サクッと切れ味&安全性もしっかり確保!

装着の手軽さは画期的だが、使い方は従来のOPPテープカッターと同じ。テープ端をダンボールに貼り付け、必要な長さまで引き出し、カッター刃でカットするだけだ。

↑テープカッターとしての使い方は従来通り。必要な分だけテープを引き出して……

 

↑巻き込む方向にカッターを押し当て、少しねじるようにすればサクッとカット。

 

このカッター刃にはセーフティカバーが装備されており、普段は刃が露出しない設計だ。万一触れてもケガを防げるようになっている。

↑カバーがあるので、うっかり触れても刃は露出せず安心。

 

「OPPテープカッター」がユニークなのは、そのセーフティーの解除方法だ。とはいえ使う側でなにか作業を行う必要はなく、ただテープを切ろうとするだけでなぜかサクッと切れてしまう。カバーは指で押しただけではロックがかかっていて動かない。だが、テープがカバーに当たって少し浮いた状態になると、そこから押し込むことで刃が露出し、テープが切れる仕組みなのだ。

↑テープに押されて刃が露出。離れるとカバーが自動で戻ってロックがかかる。特別な操作なしで安全性を確保できるのは嬉しいポイントだ。

 

面倒に聞こえるかもしれないが、実際には“テープを切る”という自然な動作の中でこれが完結しているため、ユーザーが意識することはない。逆に、それ以外はどうしたってカバーが動かないので、安全性はとても高いのだ。

 

↑アップで見ると、従来の刃よりかなり鋭いことがわかる。

 

さらに刃そのものも従来品とは別物。従来のカッター刃は大きなギザギザでテープを破るような切れ味だったが、「OPPテープカッター」は極細のギザ刃で、端からスーッと裂いていくスタイル。切れ味は鋭く、音も「バリッ」ではなく「サクッ」と軽快だ。もちろん、切るときの力も少なくて済む。

 

両刃仕様で交換も簡単

この刃は両面使用可能で、切れ味が落ちたらカバーを外して前後を入れ替え、再利用できる。刃が細かいため消耗は早そうだが、そのぶん2倍使えるのはありがたい仕様。もちろん替え刃も別売で用意されている。

↑刃はネジを外せば交換可能。両面使えるのも嬉しい。

 

↑ストラップ穴付き。紐を通して吊るしておくと管理しやすい。

 

テープカッターとしてはやや高価だが、装着作業の簡単さや梱包作業の快適さを考えれば、十分に導入の価値がある。ネットフリマやオークションなどで荷物を頻繁に送る人には特におすすめ。従来型のOPPテープカッターを使っていた人なら、一度試しただけで、進化した使い勝手に感動するのではないだろうか。

 

使う分だけ引き金引いてワンハンドでカット! ニチバンの良作を復刻した「プッシュカット」はやっぱり快適だった

愛用していた文房具が、いつの間にか店頭から姿を消している。おかしいな? と思って調べると、メーカーサイトの製品リストからも消えている───そう、廃番(または製造終了)だ。

 

困ったことに、愛用しているからにはそれなりの“使っている理由”があって、つまり他に代替品となるものがないケースが非常に多い。なので、「待って待って、困るよー」とオロオロし、小売店やネットショップで在庫を探し回り、「なんで廃番にした!」と怒りに声を荒げることになる。

 

当然のことながら、メーカーだって好きで廃番にするわけではない。部材の供給が難しくなったり、そもそも単純に売れていなかったり、などと理由は様々にあるだろう。これほど次々に新製品が出ているのだから、その陰で消えていく製品も出ざるを得ないのだ。仕方ないことなのだ。ギギギ……。

 

とはいえ、ごく稀なケースではあるが、「祝! 復刻!」なんてこともないではない。それも「ユーザーの声に押されて復刻」なんてことになれば、廃番を惜しむ声(というか、怨嗟の声)を挙げた甲斐もあったというもの。今回は、まさにそういう復刻を果たしたばかりのおめでたい製品を紹介したいと思う。

 

片手で切り貼りできて快適なテープカッターが復刻

2011年、ニチバンの「ナイスタック ハンドカッター」「メンディング テープハンドカッター」という製品が販売終了となったのをご存じだろうか?

 

これらは、片手でテープが切り貼りできる携帯型テープカッターとして非常に優秀だったのだが、海外生産における部材の安定供給が難しくなったことで、最終的に市場から姿を消してしまった。で、そのハンドカッターが2020年に復刻! という形で、このほど同社から再びの新発売となったのが、「プッシュカット」である。

ニチバン
左:マスキングテープ プッシュカット
右:ナイスタック プッシュカット
各1200円(税別)

 

当時のハンドカッターは商品名の通り、メンディングテープとナイスタック(両面テープ)にそれぞれ専用で対応したものだったが、新発売のプッシュカットは、メンディングテープの代わりにマスキングテープがラインナップ入りした。

 

これは、ハンドカッター販売時のユーザーがDIY・クラフトホビー系や、プロの塗装業者に多かったことを受けてのことだそう。なるほど、特にそのあたりの層から、復刻を願う声が強かったのかもしれない。

 

販売時には、緑のボディにマスキングテープ、赤のボディにナイスタックがそれぞれ装填されているが、機構的に専用ということではなく、どちらのテープでも使用可能だ。

 

↑レバーを引くたびに約12mmずつテープが出てくる機構。動作はスムーズで、テープ詰まりなどのトラブルもなし

 

使い方は簡単。まず本体下のレバーを引くと、内蔵されたテープが約12mmずつ、にょろっと外に飛び出してくる。

 

何度かレバーを引いて必要な長さになったら、上部のボタンをギュッと押し込む。するとテープ排出口内側の刃が降りて、カットできるという仕組みだ。もちろん、レバーを引くのが面倒なときは、にょろっと飛び出たテープ先端を手でぐいっと引き出してもOK。

↑テープを切るにはボタンをギュッと押し込む。テープ断面がギザギザせずフラットに切れるので、塗装マスキングに使いやすい

 

しかも、レバーを引く回数を揃えれば、常に同じ長さのテープを取り出すことが可能となる。これなら、広い面積に複数枚の両面テープを揃えて貼る、といった作業が簡単になるはず。

 

レバー1回12mmというのもなかなか絶妙で、両面テープで“点付け”をするための、小さな正方形に近いテープ片を量産するのがとてもラクなのである。特にナイスタックのような高品質両面テープは、剥離紙が頑丈で小さく切りにくいが、それがサクサク切れる。実際にやってみると、これは非常に快適だ。

↑テープ幅は15mmなので、レバー1回でカットすれば15×12mmのテープ片が量産できる

 

ハンドカッターシリーズからの最大の変更点は、刃を降ろしてのカットがボタンプッシュに変わったところだ。

 

従来は「本体上部のスライダを後ろに引いて切る」だったので、手の動きを考えれば、よりスムーズに使えるようになっている。旧モデルで30分ほどテープを連続して切ったときなどは、親指がクタクタに疲れたもので、少なくともボタンを押し込むほうがはるかに疲労は少なそうだ。

↑旧モデル(ハンドカッター)は、上部のスライダを親指で引いて切る仕組みだった。これ、長時間繰り返しているとけっこうつらい

 

テープの装填は、透明カバーをパカッと外して持ち上げ、引き出したテープを排出口に通しながらリールにセットする。

 

このとき、テープを排出口からはみ出すぐらいの長さに伸ばしておくと、扱いやすい。はみ出した分は、リールにセットしてから巻き取ればいいのだ。また、本体内部でテープが少したるむようにしておかないと、透明カバーをハメたときに干渉してしまうので、その点は要注意である。

↑透明カバーは真上に持ち上げれば簡単に外れる

 

↑再装填時は、写真のパーツにテープが干渉しないよう注意。このパーツの下をテープが通ることで、スムーズなテープ送りができるようになっている

 

ちなみにテープの詰め替えは、マスキングテープ・両面テープともにニチバンの推奨品を使うように、と注意書きにある。これは、本体のテープ送り出し性能がテープの粘着特性に左右されるため、構造が推奨品に最適化されているからだ。

 

とはいってもニチバンのテープだから、両面テープは言うに及ばず、マスキングテープも車両塗装にまで使える高品質な製品である。あえて送り出し性能を落としてまで非推奨品を使う必要はないと思う。

 

↑カット用ボタンに加えて、本体後部にセーフティーコード用の取付穴も追加された。この辺りは工事現場などで使う道具として重要なポイント

 

実は筆者も、従来品のハンドカッターをヘビーに使っていたので、久々に使ってあらためて「やっぱりいい製品だな」と感じた次第である。同じく以前使っていたという人には待望の復刻だろうし、初見の人にも用途がハマれば間違いなく便利なはずだ。ぜひ長く愛用してやってほしい。

 

 

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【菅未里の自腹買い文房具】「KOKUYO ME」のマステカッターが大人買いも納得の名品ぶり

イベントやメディアへの出演、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。仕事柄、文房具を試す機会は多く、手元には山のような文房具が……。そんな菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた、いま本当に気に入っている文房具とは?

 

“大人買い”した名品マスキングテープカッター

皆さんは、マスキングテープを何で切っていますか? もちろん、手で簡単に切れるのがマスキングテープのいいところではあるのですが、切り口を綺麗に整えたいときもありますよね。そんなときは、どうしますか?

↑手でちぎることが多いマスキングテープ。でも、このように切り口をきれいに切れるアイテムがあるのです

 

コクヨの名品「カルカットクリップ」をご存知ですか?

文具メーカーのコクヨから、マスキングテープを切るための「テープカッター カルカット(クリップタイプ)」(以降、カルカットクリップ)が発売されています。マスキングテープ本体に挟んで装着し使うタイプのカッターで、これなら簡単に切ることができますし、小さいので持ち運びも問題ありません。ハサミで切るよりずっと楽です。

 

手帳好きの間では人気のアイテムですが、意外と知られていないようです。似た商品は他にもあるのですが、カルカット刃を採用したカルカットクリップは切れ味が抜群。頭一つ抜けているといっていいでしょう。

 

が、今回ご紹介したいのは、実はカルカットクリップではないのです。

 

KOKUYO MEがカルカットクリップを彩った

↑奥がカルカットクリップ。手前が、今回紹介する「KOKUYO ME」ブランドの「マスキングテープカッター」

 

コクヨに、既存のコクヨ製品をファッショナブルにデザインし直して商品化する「KOKUYO ME」というブランドがあります。カルカットクリップもここから、名前を変えて発売されているのです。

 

それが「マスキングテープカッター」です。名称は地味なのですが、色が絶妙です。淡く明るいカラーが多かったカルカットクリップですが、今らしい、くすんだ色に生まれ変わっているのです。機能としてはカルカットクリップと同じなのですが、より大人っぽく、フォーマルな印象になっています。

KOKUYO ME
マスキングテープカッター
各400円(税別)

 

マスキングテープとの相性を楽しめる

もともと丸いフォルムが特徴のカルカットクリップですが、くすみカラーで彩られたことで、より大人っぽくなっています。私は迷わず写真の5色を大人買いし(ラインナップはこれに「ゴールデングリーン」を加えた全6色。)、マスキングテープとのマッチングを楽しんでいます。ちょうど、万年筆やペンと、インク、ノートの相性を楽しむような感じですね。

↑カッターの側面。刃はサイドについている

 

↑まさにクリップのようにテープを挟む。テープのデザインとカッターのボディカラーとの組み合わせも楽しめる

 

↑クリップを少し浮かせて必要な分だけテープを引き出し、再び挟んで刃でカットするだけ

 

もちろん実用性もばっちりですし、価格もひとつ400円+税と手頃です。場所も取りません。さらには、長く使えますし、デザインも落ち着いている。隠れた名品です。

 

 

「菅未里の自腹買い文房具」バックナンバー
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書けるマステとプチなカッターが出逢ったら……ロール付箋の上位互換となるベストカップルが誕生した!

【きだてたく文房具レビュー】最強のロール付箋が完成するマスキングテープ&テープカッター

 

全面糊タイプのロール付箋は、使ってみると便利さが実感できるアイテムだ。短く切ってノートのインデックスにしたり、長く使って食べかけの菓子袋を仮留めしたりと応用が利くため、ひとつ手元に常備しておくと、なかなか使い勝手が良いのである。

 

とはいえ、その便利なロール付箋にも不満がないわけじゃない。ここはちょっとアレだなー、と感じてもいた。それが、最近立て続けに発売された新アイテムふたつを組み合わせて使うと、なんと驚き、ロール付箋の完全上位互換として機能して、やたらと使いやすくなったのだ。

 

まず紹介したいのが、今年の7月にマークスから発売された「水性ペンで書けるマスキングテープ」。これはまさに製品名のとおり、テープの上から字が書けることを眼目にしたマスキングテープだ。

↑マークス「マステ 水性ペンで書けるマスキングテープ」小巻サイズ 6色 各388円↑マークス「マステ 水性ペンで書けるマスキングテープ」小巻サイズ 6色 各388円

 

マスキングテープといえば、そもそもマスキング、つまり塗装などをするときに塗料を弾くためのもの。文字が書けてしまうのは本来の用途からするとマズいのだが、それでもまぁ、油性インクであれば字が書けないことはない(あくまでも、書けないこともない、レベルの話だが)。

 

なので、マステユーザーの中には、油性ペン+マステをロール付箋のように使う人もいなくはなかった。

↑上ふたつは字が書けるマスキングテープ。紙に書くような感覚で、くっきりと水性インクが乗る。一番下の通常のマステは、インクを弾いてしまってきれいに書けない↑上ふたつは字が書けるマスキングテープ。紙に書くような感覚で、くっきりと水性インクが乗る。一番下の通常のマステは、インクを弾いてしまってきれいに書けない

 

ところが、この字が書けるマスキングテープは、なんと通常のマスキングテープではまず弾かれてしまっていた水性ボールペンや蛍光マーカーでも、くっきり字が書けるのである。

↑水性ペンで書ける意外の使い勝手は、通常のマステとほぼ同じ↑水性ペンで書ける以外の使い勝手は、通常のマステとほぼ同じ

 

これなら、ロール付箋のように好きな長さに切って貼って、上から字を書くのも自由自在。書類にコメントを書き足したり、手帳のマンスリーにスケジュールを追記したりするのにも便利だ。

 

特に筆者は、常用のボールペンが水性のゲルインクボールペンであるため、“いつものペンが使える”というのは非常にありがたい。ただ、普通の紙ほどはインクを吸わないので、書いた後の乾燥時間はややかかる。そこは注意が必要かもしれない。

 

↑粘着力もあるので、ちょっとした仮留めもそつなくこなす↑粘着力もあるので、ちょっとした仮留めもそつなくこなす

 

さて、冒頭にも書いたロール付箋の不満ポイントだが、それは粘着力だ。ロール付箋はあくまでも付箋として作られているため、粘着力が弱い。貼っておいたものが、知らず知らずのうちにへラッと剥がれてしまうこともよくあった。

 

ところが、この字が書けるマスキングテープの粘着力は「ロール付箋以上、普通のマステよりやや弱い」という程度。手帳やノートの上から剥がす時に紙の表層を連れてくることはないが、かといって勝手に剥がれることもない。ちょうどいい、という表現がぴったりくる感じだ。これぐらいの粘着力があれば、仮留め用にもより使いやすいだろう。

 

このマステに相性バッチリ! と感じたのが、11月に発売されたばかりのコクヨ「テープカッター カルカットクリップ」である。

↑コクヨ「テープカッター カルカットクリップ」各3色 10〜15㎜幅用 388円/20〜25㎜幅用 410円↑コクヨ「テープカッター カルカットクリップ」各3色 10〜15㎜幅用 388円/20〜25㎜幅用 410円

 

カルカットと言えば、コクヨから発売されているテープカッターシリーズ。特殊な形状の「カルカット刃」を採用し、テープがスパッと軽く切れて、しかも切り口がギザギザせず真っ直ぐになるということで、2014年の発売以降ずっと人気となっている。

 

つまりこのクリップタイプのマスキングテープカッター(以下、長いのでクリップカッター)は、カルカット刃を搭載した、クリップでマステのロールを挟んで使う、超コンパクトなテープカッターなのだ。

↑軽い力でサクッと切れる↑軽い力でサクッと切れる

 

使い方は、ふっくらした形状のクリップをマステのロールに直交するよう挟むだけ。あとは切りたいところまで回しながら移動させて、テープをちょっと上に引き上げるだけでキレイに切れる。

 

感覚としては手でマステをビリッとちぎるのに近いが、手応えは軽いし、さすがカルカット刃だけあって切り口もフラットだ。

↑左が一般的なテープカッター、右がカルカット刃の切り口。ギザギザが小さく、遠目にはほぼまっすぐに見える↑左が一般的なテープカッター、右がカルカット刃の切り口。ギザギザが小さく、遠目にはほぼまっすぐに見える

 

非常にシンプルな道具に思えるが、よく見るとさまざまな工夫がなされているのが分かる。例えばクリップでマステを挟む時、挟み口の受け側(下側)が動いて大きく開き、ロールに挿し込みやすいようになっている。で、一度挟むと今度はロールが抜けにくいように受けが閉じ、さらにテープがカッター刃に水平に当たるよう固定してくれるのだ。

↑挟む前は、受け側が大きく開く↑挟む前は、受け側が大きく開く

 

↑挟むと、テープが抜けにくいように閉じて固定する↑挟むと、テープが抜けにくいように閉じて固定する

 

さらにこの可動式の受け側は、マステのロールの厚さにも対応しており、テープ巻きの長いもの(ロールが分厚い)も、使い続けて少なくなったものも、常に同じような角度でカッター刃に当たるよう調節してくれる。

 

クリップ形式のカッターなのに、テープ残量によって使い心地が変わらないこの機構は、本当に良くできていると思う。

↑ロールの厚みが変わっても、刃の当たりが変わらない構造↑ロールの厚みが変わっても、刃の当たりが変わらない構造

 

このクリップカッターと、先の字が書けるマステを組み合わせて使うと、まず切り口がフラットになるのが使いやすい。付箋代わりにメッセージを書いて貼る時、テープを手で千切ると見栄えが悪いし、切り口から浮いて剥がれやすくなってしまう。やはり切り口はできるだけキレイな方が、いろいろとありがたいのだ。

 

また、カッターとして非常にコンパクトなのも、相性を高めるポイントのひとつ。文字が書けるマステは応用の幅が広いアイテムだけに、できれば筆箱に放り込んで常備しておきたい。であれば、カッターも筆箱に入って邪魔にならないサイズであるべきだろう。大容量の筆箱ならクリップカッターを挟んだままでも入るし、それが無理ならバラで入れておいてもいい。

 

このふたつを組み合わせて持ち歩くことで、何かの時に助かることもきっとあるはずだ。使い勝手の良さは保証する。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。