「デカトロン」のテントは使える? 4990円、9900円、1万7900円の3つのテントを比較

フランス発祥の総合スポーツ・アウトドアブランド、デカトロン。「どんなスポーツも、手が届きやすくなるように」のコンセプト通り、あらゆるジャンルのスポーツアイテムがあり、いずれも低価格で買いやすいのが魅力です。ただし、世界中で展開しているブランドでありながら日本では西宮店(兵庫県)、幕張店(千葉県)と2店舗のみの展開。まだまだ馴染みが浅いのも事実です。

 

日本では、単に「お手頃」だけでは納得しないはずですが、デカトロンの製品はどうでしょう? 本記事ではオリジナルのテントに注目。テントは使う度に設営・撤収をし、天候の影響も受けやすいので、ここに商品クオリティが如実に表れるのではないかと考えてのことです。実際にデカトロンのテントで設営を使い、スポーツ・アウトドア専門の編集プロダクション・マイヒーローの佐々木一弥さんに細部のレビュー、評価をお願いしました。

 

【その①】入門編の4990円テント、その実力は?

デカトロンのオリジナルテントは数多くありますが、なかでも5千円を切る低価格を実現しているのがこちら。2人用の小ぶりなテントで、構造自体は2本のポールで輪を作るように立てる一般的なドームテントと変わりません。ただし、ドームテントそのものが各メーカーから多くリリースされているため、相対的に失点が出やすいアイテムでもあります。

↑QUECHUA(ケシュア)「キャンプ・登山・ハイキング テント MH100 – 2人用」4990円(税込)。就寝用スペースは130×210cm(65cm幅シュラフ2つ) 、高さ(最高部)が105cmとなる

 

佐々木一弥(以下、佐々木) MH100というテントは、デカトロンのなかでも特にコスパに優れる入門編ラインです。まず重量が2.4kg。この軽さが良いです。テントの中ではシンプルな部類に入るドーム構造なので、設営しやすいのも良いですね。

 

ただ、居住面で見ると、本商品は「2人用」ということですが、身の回りの荷物をテントの中に入れると、1人くらいになるかもしれません。この点は身体の大きい人、小さい人によっても違いますし、どのメーカーもサイズを算出して、なるべく「2人用」と謳うものなので、特別気になるところではありません。また、特に「いいな」と思うのは、この価格でありながら、テントが二重構造になっている点です。

↑フライシートとインナーテントで異なる素材が使われている

 

通常の雨風なら問題なくしのげそうですし、上部の背面にベンチレーションも設置され、通気の工夫がされている点も素晴らしいです。ハイエンドモデルに比べれば、細部が劣る面はどうしてもあります。例えばシート部分は少々弱くて、ゴツゴツした場所では、別途マットシートのようなものを用意したほうが良さそう。しかし、なんと言ってもこの価格ですから、不満はないでしょう。「1泊だけしかしない」や「年に数回しかテントを張らない」、「ソロキャンプしかしない」という方なら、十分ですし最適な商品だと思います。

 

【その②】わずか2秒で立てられるワンタッチテント、その使い勝手は?

続いては、デカトロンのオリジナルテントのなかでも特にヒットしているという2 SECONDS EASY。その名の通り、たった2秒の操作でテントを立ち上げられる商品ですが、設営の便利さに対し、テントそのものの重量が増えてしまったり、テント自体のクオリティが低かったりしたら、本末転倒です。

↑QUECHUA(ケシュア)「キャンプ ワンタッチテント 2 SECONDS EASY FRESH&BLACK 2人用」1万7900円(税込)。就寝用スペースは205× 145cm、 高さ(最高部)が110cmとなる

 

佐々木 まず良いなと思うのは、やはり両サイドのヒモをそれぞれ引っ張るだけで、テントが立ち上がる点です。テントは様々な部品がバラバラにあると混乱しますが、この製品は固まっていますから設営が楽なだけじゃなく、混乱しないところも良いと思います。

↑テントをケースから取り出した状態。一見グチャっと映りますが、部品がバラけておらず、広げればどうやって立てるのかすぐ分かります

 

↑テントに2か所ある、円形パーツから出ている赤い紐をそれぞれ引っ張ればすぐに立ち上がります

 

↑撤収する際は、円形パーツ内のボタンを押すだけで、テントが綺麗にしぼんでくれます

 

佐々木 もちろん、仮に立てた後、ロープとペグで補強する必要はあるのですが、これも楽で良いと思います。この構造を持ちながら総重量4.7kgで、持ち運びが楽な点も美点です。また、テントそのものの充実ぶりもグッド! まずテントの入口にスペースがあって、そこに脱いだ靴を収納できるのが良いです。これがないと、テントの外側に靴を置くか、それともテント内部の寝るスペースに靴を置くしかなくなりますから。そういった細かい配慮はうれしいですね。

↑昼間でもテント内は真っ暗。遮光性と、遮熱性にも優れたフライシートは特許取得済み

 

佐々木 そして、この遮光性抜群の素材が大きな特徴です。朝寝坊してしまうほど光を遮る素材のようですが、それでいて通気口もしっかり確保しています。1万7900円と、デカトロン商品では高額の部類に入りますが、十分優れたテントでしょう。

 

【その③】登山ラインのテント、安心度と信頼度は?

デカトロンで登山に特化した商品を展開するライン「FORCLAZ(フォルクラ)」。トレッキングポール、ブーツ、シェルフほか、登山に必要なアイテムが一挙に揃います。このラインにも気になるテントがありました。TREK100というモデルで、見た目も構造も本格的。

↑FORCLAZ 「キャンプ・トレッキング・登山用テント 3シーズン用 自立式 TREK 100 – 2人用」9900円(税込)。幅は120cm

 

佐々木 これもドーム型テントではあるのですが、作りが本格的。3シーズンの名の通り、強度のある素材と、脚がついている。もちろん、ロープとペグによる補強は必要ですが、設営場所をできるだけ限定しない工夫がなされています。また、フライシートとインナーシートがそれぞれ独立していて、フライシートが手前に伸び、フロントテープポールも設置されています。つまり、前室としてのスペースが用意されており、ここにバックパックやシューズが収納できます。これでテント内のスペースをゆったりと使えるのが良いですね。

↑フライシートとテントがそれぞれ独立した構造。その隙間によって、通気性も確保します

 

佐々木 先ほどのMH100、2 SECONDS EASYよりも本格的でありながら、重量は2.6kgと軽く、そして価格も9900円。なかなか良いアイテムではないでしょうか。

 

コスパが非常に高い、限られた時間を最大限に使える

ーー3アイテムのテントを立ててみたわけですが、これらの商品の評価をお願いします。

 

佐々木 どれも初めて立てましたが、何も迷うことなく一人で簡単に組み立てることができました。初心者でも、一度組み立てれば次からはあっという間に立てられるはずです。キャンプをスムーズに楽しむのに欠かせないのが時間割です。キャンプサイトに到着したら、タープやテントを協力しながら設営するのに30分。そして、最後にテントとタープを撤収するのに30分。しかし、慣れないうちはなかなか予定通りには進みません。初心者には、そこが大きなハードルでしたが、今回紹介したテントなら、あっという間に、しかも一人で簡単に設営・撤収ができますので、限られた時間を有効に使うことができます。

 

ーーずばり、今回のテントから考察するデカトロンの真価のほどはいかがですか?

 

佐々木 簡単に設営・撤収できるテントは、さまざまな種類があります。ピクニックでパッと広げるサンシェードのような安価なものから、高級ブランドの高価なテントまで。そこで求められるのがコスパの高さです。いくら安くても耐水や遮光などの機能性が低ければ、せっかくのキャンプも楽しめません。デカトロンは、ファミリーキャンプから登山などの本格的なシーンまで、それぞれに求められる機能が充実しながら低価格を実現。イメージに合うテントに出合えるとともに、価格の安さに驚くと思いますよ。

 

↑今回立ててみた3つのテント。折りたためば、こんなにコンパクトに!

 

コメント/佐々木一弥(マイヒーロー)、撮影/我妻慶一

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

「350円バッグ」でお馴染みデカトロンの「350円マイクロファイバータオル」が使えるので紹介

吸水性が高くて速乾性のあるマイクロファイバー製のバスタオルは、スポーツシーンで活躍します。スポーツ製品ブランドと350円リュックでお馴染みのデカトロン社もマイクロファイバータオルを製造しており、いずれも手ごろな価格で購入できます。それらの実用性はどうなのか? 実際に購入して調べてみました。

 

薄くて驚きの吸水性、見事なまでの速乾タオル

コスパのよさと消費者ニーズに沿った着眼点で、次々とヒットを飛ばすデカトロン。ということで、このマイクロファイバー製タオルも要注目です。サイズは4種類を展開。80cm×130cmのLサイズ、他にSサイズ(42cm×55cm)、Mサイズ(65cm×90cm)、XLサイズ(110cm×175cm)があります。素材は85%がポリエステル、残りはポリアミド。

 

マイクロファイバーと聞くと、掃除用のふきんなどを思い浮かべる方も多いかもしれません。そのイメージはフランスでも同様で、洗剤いらずで掃除でき、使う水も少量に抑えられる「環境にやさしいエコロジーな布」としても知られています。

 

しかし、マイクロファイバーが活躍するのは掃除に限りません。一般的に1gで10km分の長さがあり、「髪の毛の1/10」程度の細さと言われる極細マイクロファイバー繊維は、吸水性も抜群。汗、プールや海で身体を拭く際にその威力を発揮してくれます。

通常のタオルと異なり、デカトロン製のタオルは速乾性に優れているので、1回の運動でも、何度も乾いたタオルの快適さが実感できます。またスポーツ後も、湿ったタオルの臭いがバッグのなかで充満する事態を遠ざけられるのです。

 

正しい使い方をすれば肌も痛めない

従来のタオルと比べて肌触りはどうでしょうか ? 正直そこは好みの問題になってきますが、綿などの質感に慣れていると、最初は「これで本当に身体を拭くの?」と戸惑うこともあるかもしれません。

 

しかし、慣れてくるとスウェードのような独特の質感も、心地よい肌触りに感じてくるから不思議。マイクロファイバー製のタオルは吸水性が優れているものの、乾燥したスポンジみたいに硬くはならず柔らかな質感のまま。洗濯時に柔軟剤を入れないよう、ただし書きがありますが、柔軟剤なしでもなめらかな肌触りを保ってくれます。

 

このタオルを使用する際の注意点は、決してゴシゴシとこすらず軽く叩くように水分を吸収させること。髪の毛もタオルで包み込むように、押さえながら水気を取るように推奨されています。強くこすると、肌や髪を痛めてしまう可能性もあるので注意が必要です。

かさばらないので旅行やキャンプにも最適

マイクロファイバーのタオルは他のメーカーからも出ていますが、デカトロン製品の大きなポイントは薄さと軽さです。全身をすっぽりと包める大きさのLサイズ(80cm×130cm)でも、薄くてコンパクトにたためるうえ、畳んだときの大きさは約17x12cmとなるのでバッグに入れてもかさばりません。

 

さらに、他社製品のLサイズでは300g前後の重さが多いのに対し、このLサイズは189g。従来のタオルなら10リットルのリュックサック(写真)の半分以上を陣取っていた大判タオルでも、本製品なら1/4程度。しかも軽いので旅行やキャンプにも最適です。

 

本製品は日本でも取り扱いがあり、価格はSサイズが350円(本国フランスでは2ユーロ)、Mサイズが650円(4ユーロ)、Lサイズが890円(6ユーロ)、XLサイズが1490円(10ユーロ)とマイクロファイバータオルにしてはお手ごろ。さすがと言ったところでしょう。2年の製品保証も付き、その強度もお墨付き。Lサイズは、写真のようなターコイズに黄色がアクセントになった組み合わせやマリンブルーにパステルグリーンで縁取りされたバージョンなど、ほかにもカラフルな色合いのものが揃っています。

350円リュックよりもコスパ高かもっ! 仏・デカトロンが作った「トレッキング用携帯食」の味をチェック!

デカトロン社製品のコスパのよさは、以前にも350円リュックでお伝えしましたが、今回ご紹介するのは「フリーズドライの携帯用インスタント食」。近年、フランスではフリーズドライ食品市場が成長を続けています。本製品はトレッキング用に開発されているので、携帯性や利便性が抜群なうえ、エネルギー補給もしっかりできるのが特徴。しかし、実際にはどんな味がするのでしょうか?

 

「メイド・イン・フランス」を謳うデカトロンのフリーズドライ食

夏のバカンスシーズン到来で、スポーツウェア・用品専門店のデカトロン店内も、レジャー用品を買い求める人々で賑わいを見せています。日本の甥や姪にプレゼントしようと、リュックサックを買いに足を運んだのですが、そのとき、ふと目に入ったのが同社のフリーズドライ食品でした。

 

デカトロンのエネルギー食品シリーズにはシリアルバーやスナックなど、ひと通りの携帯用食品が揃っています。フリーズドライ食品には、今回試食した「レンズ豆とハム(の煮込み)」のほか、「鶏肉とショートパスタのカレーソース」、「ショートパスタの挽き肉ソース」、「牛挽き肉入りじゃがいものピュレ」など、エネルギー補給に良さそうなメニューが揃っています。

 

レンズ豆とハムの煮込みを食べてみた

試食に選んだのは、インスタント食品として味の想像がつかなかった「レンズ豆とハム(の煮込み)」。5ユーロ(約650円)です。トレッキングなどの山への携帯食には炭水化物が欠かせないと以前に読んだことがあったのですが、レンズ豆(植物性タンパク質)とハム(動物性タンパク質)の組み合わせで、そのあたりをどうクリアしているのかが気になったという理由もあります。

 

上の写真は、お湯を入れて袋の中を捉えたものです。目盛り6(約280ml)まで湯を注ぎ、チャック式の袋口を閉じて5分間待ちます。お湯が入って食材が水分を含んだ途端、あの軽かった袋(130g)がずっしりと重くなりました(水分を含むと410g)。食べ応えが十分ありそうな重量です。

お湯を入れて5分経ち、袋を開けてみました。乾燥状態の時に白っぽいフレーク状のものがたくさん見えていたのですが、これはじゃがいものフレークでした。つまり、このメニューもじゃがいもを使っているので、炭水化物の補給はしっかりクリアできているわけです。

 

味付けはやや濃い目ですが、ピュレ状になったじゃがいもが程よい食感を残したレンズ豆やにんじんなど、ほかの野菜とよく馴染み、おいしくいただけました。山で歩いた後などに、これを食べたら最高だろうなと思わせる味です。

 

最近は、フランスでもカップ入りインスタント食品などを頻繁に見かけるようになりましたが、このレンズ豆とハムはフランス家庭料理の定番メニューでもあり、フリーズドライとして登場したのは新鮮でした。日ごろからこのメニューを食べ慣れているフランス人にとっては、このフリーズドライ食のレンズ豆にはまだ改善点があると感じている人もいるようですが、たいていの人はこの製品に合格点をつけています(デカトロン公式サイトレビューより)。

近年伸び続けているフランスのフリーズドライ市場

仏フィガロ紙によると、「サバイバリズム(生存主義)」が台頭している近年、防災用の食糧ストックを意識する動きが世界中で起きているとのこと。同様の動きが2012年あたりから始まっているフランスでは、フリーズドライ食品の需要が順調に伸びており、同市場は毎年200~300%にも成長していると同紙は伝えています。元々トレッキングなどのアウトドアスポーツの人気が高く、フリーズドライ食品も携帯食品として愛用されていますが、その一方で、近年販売されたフリーズドライ食のうち約40%は、保存用の非常食として購入されている一面もあるのです。

 

フランスにおいて、フリーズドライ食の平均販売価格は一食に付き、4,5~6,5ユーロ(約600~850円)と、インスタント食品として考えると決して安いとは言えません。しかし、同国のフリーズドライ食品販売サイト・リオフィリズの代表によれば、「フランスのフリーズドライ技術は、10〜25年間保存できる食品が製造可能」になり、数年分をまとめ買いする人もいるのだとか。確かに、今回のようなお湯が必要な製品とお湯が要らないシリアルバーなどをストックしておくと、いざというときに役立ってくれるかもしれません。