「こだわり」か「便利さ」か。一眼レフとミラーレスどちらを選ぶ?――『CAPA 2018年9月号』

レンズ交換式のデジタルカメラには、大別すると2種類存在する。「一眼レフ」と「ミラーレス」だ。

 

いずれも写真を撮る道具という点においては、それほど違いはない。操作性についても、大きな差異はない。カメラにそれほど詳しくない人にとっては、その違いはあまり気にならないだろう。

 

しかし、撮影する上で明らかに異なる点がある。それは「ファインダー」だ。近年では、ボディ背面にある液晶ディスプレイを使って撮影する人も増えている。いわゆる「ライブビュー」を使った撮影だ。

 

その撮影方法では、一眼レフもミラーレスもそれほど違いはない。しかし、ファインダー撮影の場合には、大きな違いがある。

 

 

 

一眼レフとミラーレスのファインダーの違い

CAPA 2018年9月号』(CAPA編集部・編/学研プラス・刊)の「劇的露出を目指すイチガン使いこなし術」という特集の冒頭に、一眼レフとミラーレスのファインダーの違いについての記述がある。

一眼レフの光学ファインダーは、非常に被写体が鮮明に見え、リアルな光を感じられるが、仕上がり結果は一切反映されないので、露出補正やWB(ホワイトバランス)調整が必要かどうかは、撮影画像をチェックして判断する。一方、ミラーレスのEVF(ライブビュー表示)は、露出レベルやWBなどの仕上がり結果が反映され、ほぼ見えているままに撮影できるので、撮影時に適切な露出補正操作が簡単に行えるのが特徴だ。

(『CAPA 2018年9月号』より引用)

 

この記述を見ると、ミラーレスのEVFのほうがとても優れているように感じるだろう。確かに、撮影後の仕上がりを確認しながら撮影できるのは、わかりやすくてよい。ただ、僕はどちらかというと一眼レフの光学ファインダーのほうが好きだ。

 

 

EVFが好きになれない理由

ミラーレスのEVFがあまり好きになれない理由は、タイムラグだ。レンズから取り込んだ光を一度画像に変換してEVF上に表示するため、若干のタイムラグ生じるのだ。最近では、かなり性能が上がっているためそれほど気にならない機種もある。それでも、テレビ画面越しに被写体を見ているような気分になるため、なんとなく気分が上がらないのだ。

 

もうひとつ気になるのは、撮影後にEVFで撮影画像のプレビューが表示されること。これは設定でオフにすることができるので、ミラーレスカメラを使う場合は必ずオフにしている。

 

EVFは便利だけど光学ファインダーが好きだ

とはいえ、これからのレンズ交換式カメラは、ミラーレスがメインになる流れになっている。いずれはミラーレスが主流になり、一眼レフは趣味性の高いもの、もしくはプロ向けのみになるかもしれない。

 

EVFの見え方問題は、EVFに露出やホワイトバランスの設定を反映させないようにできる機種もあるので、ある程度は解決可能。表示のタイムラグも技術が進めば、気にならなくなるだろう。

 

でも僕は、一眼レフの光学ファインダーが好きだ。ファインダーを覗いたときに見える被写体から、仕上がりを想像して露出を変更するというのは、撮影の醍醐味だとも感じているからだ。また、RAWで撮影して、撮影後にパソコンで現像処理をする際に調整するのも、楽しいと感じている。

 

車で言えば、オートマチック車が手軽で便利だけど、マニュアル車のほうが運転している気がするよね、という感じだ。決してミラーレスカメラを否定しているわけでもないし、おそらく数年後にはミラーレスカメラをメインに使っていることだろう。

 

でも、今は一眼レフを使いたい。古いヤツだとお思いでしょうが、長年親しんだ光学ファインダーからは、まだ離れられそうもない。

 

【書籍紹介】

CAPA 2018年9月号

著者:CAPA編集部
発行:学研プラス

写真の良し悪しを左右し、思いどおりの一枚を撮るために必要不可欠なのが「露出機能」です。巻頭特集ではミラーレス&一眼レフの、測光から露出補正、そして仕上げのRAW現像まで、“光と影”で自在な表現をするための最新の露出機能をチェックします。さらに、3人の露出マイスターが極上の露出術を伝授! 「露出補正」の知っておきたい5つのキーポイントも必見です。

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1ボタン1機能という固定概念を捨てよ! プロが教える究極のカスタマイズ方法――『CAPA 2018年8月号』

僕は、普段ニコンのデジタル一眼レフをメインカメラとして使用している。そのほか、ミラーレス一眼やコンパクトデジカメも状況に応じて使い分けている。

 

メインのデジカメに関しては、自分の使いやすいようにボタン類によく使う機能を割り当ててカスタマイズしている。長年使っているので、操作時にそれほど迷ったりすることはほとんどない。

 

 

メインカメラ以外は結局初期設定のまま

問題は、メイン以外のカメラだ。やはり操作に関しては大きく違うことが多い。一応使いやすいように、背面などにあるボタンによく使う機能を割り当てたりしてカスタマイズしているのだが、機種ごとにボタンの数や位置も異なるため覚えられるわけもなく、メインのカメラ以外はほぼ初期設定で使うという感じになっている。

 

例えば、オートフォーカスの測距点を変更した場合。メインカメラはボタン一発で中央に戻すことができるが、他機種の場合は、そもそも測距点の移動方法からして違っていたり、中央に戻すにも違う動作が必要になるなど、ややこしい。

 

また、ISO感度やホワイトバランスの変更なども頻繁に行うため、割り当てるボタンを変えたりするものの、カスタマイズした結果、ボタンにアイコン表記されている機能と異なってしまうため迷ってしまい、結局初期設定のままだったりする。

 

 

複数ボタンに同一機能を割り当てるというカスタマイズ

このようなカスタマイズ問題に対するひとつの答えを、『CAPA 2018年8月号』(CAPA編集部・編/学研プラス・刊)内の特集「俺の/私のカメラ・カスタマイズ」という特集で見つけた。

 

この特集は、プロカメラマンのカメラ設定項目のカスタマイズを紹介している。いろいろ役立つ設定が掲載されているのだが、僕が一番感銘を受けたのが、ポートレート撮影で有名な増田賢一氏のカスタマイズだ。

 

増田氏は、僕と同じニコンのデジタル一眼レフ「D750」と「D500」をメインに使っている。両機種とも操作系統は似ているので、同時に使うのにとてもいいと感じる。

 

しかし、ニコン以外の機種ではやはり戸惑うこともあるようだ。そこで増田氏が編み出したカスタマイズがこちら。

ソニーやルミックスなどは、カスタムキーが多くて自由度が高い反面、覚えきれない場合も多い。そんなとき、一部付近のボタンすべてに同じ機能を割り当て、手探りでも迷わず操作できるようにしている。

『CAPA 2018年8月号』より引用

 

これは目から鱗だった。どうしても、1つのボタンに1つの機能を割り当てるという固定概念があり、4つボタンがあったら4つの機能をそれぞれに割り当てようとしてしまっていた。

 

デジカメの背面にはよく上下左右にボタンが配置された十字ボタンがある。僕なら、上に「ISO」、下に「ホワイトバランス」、右に「セルフタイマー」、左に「連写設定」などというように、それぞれ機能を割り当ててしまう。正直言えば、左右のボタンに割り当てた機能なんかはほとんど使わないのだが、ボタンが余っているからしかたなく割り当てるといった感じだ。

 

しかし、増田氏は違う。例えば、十字キーのボタン4つにすべて「ISO」を割り当てるということなのだろう。これなら、アバウトに十字キーを押すだけで、どれを押しても「ISO」の機能が立ち上がる。

 

頭のよい人というのは、こういう発想ができる人のことを言うのだろう。

 

1ボタン1機能という固定概念よ、さらば

かたくなに、1ボタン1機能ということに無意識にこだわり、使いもしない機能にボタンを無駄遣いしていた自分が恥ずかしい。

 

さっそくデジカメの設定を見直して、ボタンの割り当てについて検討してみたいと思う。これがうまくいけば、かなり撮影のときに迷うことがなくなるはずだ。みなさんも、自分がよく使う機能を複数のボタンに割りあててみてはいかがだろうか。撮影時のストレスが大幅に軽減されるかもしれない。

 

【書籍紹介】

CAPA 2018年8月号

著者:CAPA編集部
発行:学研プラス

デジタル一眼カメラや交換レンズ、周辺機材の最新情報が満載。豊富な作例とわかりやすいハード記事で、多くの一眼カメラファンの支持を集める。撮影テクニック記事やプロ写真家の作品紹介、充実したフォトコンテスト記事も人気。

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画質とスピードを磨き上げたフルサイズミラーレス一眼カメラ「ソニー α7R III」

ソニーが、約4240万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラ「α7RⅢ」を発売する。信号処理システムを一新し、画質と高速性能が大幅に向上した。光学式5軸手ブレ補正機構を内蔵し、シャッター速度換算で最高5.5段分の手ブレ補正効果を発揮する。10月31日より予約販売中。オープン価格。

 

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■描写性能

光学ローパスフィルターレス仕様の有効約2420万画素フルサイズ裏面照射型CMOSイメージセンサーを搭載。画像処理システムは、画像処理エンジン「BIONZ X」とそれをサポートする「フロントエンドLSI」に一新し、イメージセンサーからの読出し速度が従来機種(α7R II)の約2倍、画像処理速度が約1.8倍に高速化した。

 

ISO感度は、常用でISO 100〜32000、拡張でISO 50~102400の幅広い感度域をカバー。高解像度ながら、高感度・低ノイズと広いダイナミックレンジを実現する。特にポートレート撮影では、肌色の再現性が大幅に向上している。サイレント撮影や連続撮影時の14ビットRAW出力にも対応する。

 

■連写性能

連写性能もAF/AE追従で最高約10コマ/秒と、従来機種の2倍に高速化しており、JPEG/圧縮RAWで約76枚、非圧縮RAWで約28枚まで撮影できる。サイレント撮影時も同じく最高約10コマ/秒、ライブビュー撮影時は最高約8コマ/秒の高速連写が可能。フリッカーレス撮影にも対応する*。

 

* サイレント撮影・BULB撮影・動画撮影時を除く

 

■AF性能

撮像エリアの縦横約68%をカバーする399点の像面位相差AFセンサーと、従来の25点から425点に多分割化したコントラストAFを併用するファストハイブリッドAFを搭載。動体追従性能と低輝度時のAF速度が従来機種の約2倍に向上し、精度も大幅にアップした。特に瞳AFは、うつむいたときや振り向いた瞬間、逆光時などでも瞬時に瞳を検出して追従が可能。AF-Sモード時は、シャッター半押しやAF-ONボタンを押すだけで瞳AFを作動させることができる。

 

■ピクセルシフトマルチ撮影

イメージセンサーを正確に1画素分ずつずらして撮影した4枚の画像から約1億6960万画素分の色情報を得て、細部の色や質感を忠実に再現した1枚の画像を生成する「ピクセルシフトマルチ撮影」機能を搭載。有効約4240万の全画素でR・G・Bの全色情報を得て補間処理を行わないため、偽色の発生を最小限に抑えた高精細な描写を実現する。撮影した画像は、新ソフトウェアシリーズ「Imaging Edge」の「Remote」「Viewer」「Edit」(いずれも近日提供予定)で合成や現像が可能。

 

■操作性

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約144万ドットの3.0型チルト可動式液晶モニターと、有機ELを採用した約369万画素の電子ビューファインダーを搭載。液晶モニターはタッチパネル式で、タッチフォーカスや、ファインダを覗きながら画面をタッチしてフォーカス位置を移動できるタッチパッドにも対応する。

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UHS-II対応のSDカードスロットとSD/MSカードスロットのデュアルスロットを搭載し、メディア間同時記録・リレー記録・振り分け記録・コピーが可能。

 

■動画撮影機能

画素加算のない全画素読み出しによるスーパー35mmフォーマットでの高解像度4K動画の本体内記録が可能。記録フォーマットは、業務用映像制作に使用されているXAVCを民生用途に拡張したXAVC Sを採用し、4K時は最大100Mbpsの高ビットレートで記録できる。4K HDR撮影にも対応する。

 

■その他の機能

防塵・防滴に配慮した設計のフルマグネシウム合金ボディを採用している。Wi-Fi/NFC機能を内蔵し、モバイル機器とワイヤレスで連携が可能。バッテリーは、従来機比約2.2倍の高容量になった。

 

■先行展示

2017年10月31日(火)よりソニーショールーム/ソニーストア銀座、ソニーストア札幌、ソニーストア名古屋、ソニーストア大阪、ソニーストア福岡天神にて先行展示を実施する。予約販売は2017年10月31日(火)10時開始。

「FE 24-70mm F2.8 GM」装着時「FE 24-70mm F2.8 GM」装着時

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■主な仕様

●型名 ILCE-7RM3 ●マウント ソニーEマウント ●有効画素数 約4240万画素 ●撮像素子 35mmフルサイズ(35.9×24.0mm)Exmor R CMOSセンサー ●ISO感度 ISO 100〜32000(拡張:下限ISO 50、上限ISO 102400) ●シャッター速度 1/8000〜30秒、バルブ ●ファインダー 0.5型 3,686,400ドット 電子式ビューファインダー [倍率]約0.78倍 ●画像モニター 3.0型 1,440,000ドット TFT液晶モニター(チルト可動式/タッチパネル) ●記録媒体 メモリースティックPROデュオ/PRO-HGデュオ、メモリースティックマイクロ(M2)、SD/SDHC/SDXCメモリーカード(UHS-I/II対応)、microSD/microSDHC/microSDXCメモリーカード ●サイズ(幅×高さ×奥行き) 約126.9×95.6×73.7mm ●質量 約572g(本体のみ)/約657g(バッテリー、メモリーカードを含む)