スズキのクーペSUVから、トヨタの新型クラウンまで!プロがヒットを確信する4台

2025年に流行するモノは何か、専門家が大断言する「GetNavi NEXTトレンド」。今回取り上げるのはクルマ部門。2025年ヒット確実の4台を紹介する。

スタイリッシュなデザインに4WDの走破性も好評!

スズキ
フロンクス
254万1000円〜282万7000円

 

グローバル展開するモデルが日本向け仕様になって上陸!

SUVらしい力強さとクーペの流麗なフォルムを融合した「クーペスタイルSUV」。世界70か国で販売されているグローバルモデルだが、日本仕様には悪路や雪道の走行を想定した4WDも用意される。10月末には受注台数が1万台を突破した。

 

SPEC【2WD】●全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm ●車両重量:1070kg ●パワーユニット:1460cc直列4気筒DOHC ●最高出力:101PS/6000rpm ●最大トルク:135Nm/4400rpm ●WLTCモード燃費:19.0km/L

 

 

↑流麗なクーペスタイルに存在感のあるフロントマスクや独特のボディラインによる力強さを演出した足回りが印象的。最小回転半径は4.8mと市街地でも扱いやすいサイズだ。

 

↑コンパクトなボディながら、レイアウトの工夫やホイールベースを長くすることで後席も足元が広く、快適に過ごせる。

 

↑ブラック×ボルドーの配色となる内装は日本仕様専用。安全運転支援装備も充実しており、ヘッドアップディスプレイも備えている。

 

↑5名乗車時でも最大210Lの容量を確保するラゲッジルーム。取り外し可能なラゲッジボードを活用してアレンジもできる。

 

↑K15C型エンジンとマイルドハイブリッド、6速オートマチックを組み合わせる。力強くスムーズ、スポーティな走りを実現する。

 

【ヒット確定の根拠】コンパクトでも存在感は大! 4WDも選べる

「印象的な顔とクーペのようなフォルムによりコンパクトでも存在感が十分。装備が非常に充実していて走りもしっかりしています。それでいてお買い得な価格を実現しているのはさすがスズキです。海外にはない4WDが日本では選べます」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

<コレも注目!>待望のスイスポが間もなくデビュー?

※写真は通常のスイフト

 

スズキ
スイフトスポーツ
価格未定

 

スイフトのコンパクトで軽い車体に強力なエンジンを積んで足まわりを強化した高性能版は、歴代モデルも低価格で楽しいクルマとしてもてはやされてきた。ベース車の登場から約1年、まもなく新型が登場する見込みだ。

↑機能的にまとめられたスイフトスポーツ(現行モデル)のインパネまわり。マニュアルトランスミッションが登場するかも注目だ。

 

クラウン4タイプの“最後の砦”はついに2025年発売!?

トヨタ
クラウン(エステート)
価格未定(2025年発売予定)

 

度々の発売延期を経てワゴン(エステート)スタイルが登場!

2022年に新しいクラウンシリーズが発表されてから2年経った現在、4タイプの最後の砦として発売が待たれるエステート。後席の背もたれを倒せばフルフラットなデッキが現れ、機能的なSUVとして使えるのがウリとなっている。

 

SPEC(開発目標値) ●全長×全幅×全高:4930×1880×1620mm

 

↑後席を倒した際に若干の傾斜は生じるが、凹凸のないフルフラットな空間が出現。後席の足元空間を埋める拡張ボードも設置することが可能だ。

 

【ヒット確定の根拠】高級な内外装と使い勝手に優れるトランクが武器

「現行クラウンシリーズの第4弾は、車体後部のトランク(荷室)がポイント。使い勝手に優れる広々としたトランクは並のSUVとは一線を画します。高級感のある内外装もクラウンならでは。完成度の高いPHEVもラインアップされます」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

日本での登場が待たれる正統派AWD

※写真は北米仕様


SUBARU

フォレスター
価格未定

 

高い燃費効率を誇る「ストロングハイブリッド」採用!?

2023年のロサンゼルスモーターショーで世界初公開となり、北米で販売中の新型フォレスター。現行型よりもシャープなデザインとなり、同社のクロストレックで採用した「ストロングハイブリッド」も搭載される見込みだ。

 

SPEC【Tuoring(米国仕様】●全長×全幅×全高:4656×1828×1730mm ●車両重量:1662kg ●パワーユニット:2.5L水平対向4気筒DOHC ●最高出力:180PS/5800rpm ●最大トルク:178lb-ft/3700rpm ●WLTCモード燃費:非公表

 

↑「ストロングハイブリッド」は状況に応じて動力源であるエンジンとモーターを効率よく使い分ける新世代のハイブリッド方式だ。

 

【ヒット確定の根拠】スバルならではのこだわりに満ちた定番モデルの新型

「スバルならではの水平対向エンジン×シンメトリカルAWDや、このスクエアなフォルムがいいという大勢のファンが新型の登場を待っています。秋に発表された待望のストロングハイブリッドもラインナップに加わる見込みです」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

輸入車販売台数No.1モデルはEVも加わり盤石!


BMW

MINI COOPER E(3ドア)
463万円〜531万円

 

約10年ぶりの全面改良でBEV(電気自動車)も追加

2023年の国内輸入車販売台数No.1に輝くMINI COOPERが約10年ぶりにモデルチェンジして4代目に進化。ガソリンモデルのほかBEV(電気自動車)も登場し、より幅広いラインナップから選べる。5ドアモデルも登場した。

 

SPEC【クーパー SE(3ドア)】●全長×全幅×全高:3855×1755×1460mm ●車両重量:1640kg ●パワーユニット:モーター×1 ●最高出力:218PS/7000rpm ●最大トルク:33.7kg-m/1000〜4500rpm ●一充電走行距離:446km

 

↑SUVタイプの「MINI Countryman」も同時にモデルチェンジ。ガソリンモデルのほかクリーンディーゼル、そしてBEVも選べる。

 

【ヒット確定の根拠】10年ぶりのモデルチェンジ!よりシンプルかつモダンに

「もともと日本でも大人気のMINIですが、新型はMINIらしさを継承しながらもガラリと雰囲気が変わり、とことんシンプルになりました。しかも中身は最新の装備が満載されていて、100%BEV版がついに設定されたのもポイントです」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

モータージャーナリスト:岡本幸一郎さん
26台の愛車を乗り継ぎ、軽から高級車まで幅広く網羅。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。

 

※「GetNavi」2025月2・3月合併号に掲載された記事を再編集したものです。

スズキ「ジムニー ノマド」の人気は間違いなかった。2025年プロが注目する国産車5選!

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の一人でもある、モータージャーナリストの岡本幸一郎さん。その岡本さんがいきなり受注停止のスズキ「ジムニー ノマド」をはじめ、2025年に登場するかもしれない注目すべき国産車5台を紹介します。

 

【その1】発表からわずか4日で受注停止の人気車種

スズキ

ジムニー ノマド

265万1000円(税込)〜

もともと「ジムニー」は、小さいながらも高い走破性能を持つ世界最小の本格的クロスカントリー車として、その性能を本当に必要とする職業や一部のマニアックな層から絶大に支持されていたが、販売台数としてはそれほど多くなかった。ところが、2018年にモデルチェンジした現行型は、愛嬌のあるカジュアルなルックスをはじめ、従来に比べると大幅に改善された乗り心地や周囲に見劣りすることのない先進運転支援装備の採用などが効いて、いきなり一般ユーザーをも巻き込んだ大ヒット車となり、ずっと納車の遅れが伝えられるほどの状況になった。

 

その一方で、現行ジムニーには歴代ジムニーにはなかったロングボディの5ドア版が存在し、先に海外から導入されたことが知られると、日本での販売を望む声がヒートアップした。2025年1月30日、5ドアモデル「ジムニー ノマド」が日本で発売されるや注文が殺到し、発表からわずか4日後にいきなり受注停止という異常事態になった。ただでさえ人気のジムニーに実用性に優れる5ドアがあれば人気が出るのは確実と思っていたら、こんなに早くこうなるとは予想を超えていた。1日も早く受注が再開されるよう願いたい。

 

【その2】6代目フォレスターいよいよ発売!

スバル

フォレスター

価格未定

「日常から非日常まで使えるSUV」をコンセプトに、スバルSUVの中核モデルとしてずっと安定の人気を誇ってきた「フォレスター」。人気の秘訣は、ちょうどよいサイズとクセのないキャラクターとソツのない完成度と使い勝手のよさにある。フォレスターの伝統である、ほどよくスクエアなフォルムや、独自の水平対向エンジンを軸にすべてを左右対称にレイアウトしたシンメトリカルAWD(※)による優れた走行性能に惹かれるファンも少なくない。6代目となる新型もそのあたりをしっかりと受け継いでいる。すでに海外ではモデルチェンジした新型が発売済み。

 

先だって「クロストレック」に初めて搭載され、燃費がよくて力強いことからとても評判のよい2.5リッター水平対向エンジンに、トヨタの技術を応用したスバル独自のシリーズパラレルハイブリッド方式のシステムを組み合わせたストロングハイブリッド「S:HEV」がフォレスターにも搭載されることを期待している人も少なくないはずだ。また、スバルといえば運転支援システム・アイサイトに魅力を感じる人も多い。最新の機能を身に着けたアイサイトが、より安全で快適なドライブを提供してくれるに違いない。

※:スバルによって開発された常時4輪駆動システム

 

【その3】日本車で高級なワゴンがあったら欲しい

トヨタ

クラウンエステート

価格未定

現行16代目「クラウン」は4つの個性がラインアップされるうち、2025年春時点でセダン、スポーツ、クロスオーバーと3つのバリエーションが販売中。残るひとつの「エステート」もそう遠くないうちに発売されるはずだ。エステートと呼ぶとおり、ステーションワゴンとSUVをクロスオーバーさせた新しいタイプの機能的なSUVであり、大人の雰囲気で余裕のある走りとアクティブライフを楽しめるクルマを目指しているという。

 

肝心の荷室スペースは非常に広く、リアシートを倒すとフルフラットデッキになるなど、使い勝手にもこだわっている。パワートレーンは定番の2.5リッターのハイブリッドのほかに、長距離をどっしりゆったりと走れるように味付けされたPHEVが選べる。ワゴンとして見たときに、いまや日本車のワゴンは数えるほどしかないが、輸入プレミアムブランド車は一定の支持を得ていて、日本車で高級なワゴンがあったら欲しいという人は少なくないはずだ。

 

【その4】昭和のデートカーが令和に復活!

ホンダ

プレリュード

価格未定

元祖デートカーとして知られる「プレリュード」が復活するという情報に胸躍らせている人が続出しているようだ。かつて若い頃にプレリュードに乗っていた人たちが結婚し、出産を迎え、子育て時期にはファミリーカーに乗っていた。しかし、実は2ドアクーペに乗りたいと思っていた人は大勢いるだろう。そんな子離れしたタイミングを迎えた2ドアクーペ好きたちが、車名を聞いただけでテンションが爆上がりしそうな魅力的なクーペの登場となる。

 

実車をぜひ見てほしいと感じさせるよう、スタイリッシュさには大いにこだわったという。夫婦で旅行に出かけるときに荷物を積み下ろししやすいよう、過去のモデルとは違ってハッチバックの流麗なファストバックスタイルを採用するのも特徴だ。パワートレーンにはクルマのキャラクターに合わせて専用にチューニングしたハイブリッドのe:HEVを搭載し、4WDもラインアップされる見込みで、走りにも期待できそうだ。

 

【その5】東京オートサロン2025にコンセプトカーが展示されて話題に

ダイハツ

ミライース GRスポーツ

価格未定

東京オートサロン2025にコンセプトカーが展示されて話題となった「ミライース GRスポーツ。ベーシックな軽自動車である「ミライース」に、強力なターボエンジンと5速MTを搭載するとともに、全日本ラリー選手権の参戦マシンから流用したスポーティなデザインの前後バンパーをまとい、足まわりにはBBS鍛造ホイールとブリヂストンのポテンザRE050A、コクピットにはレカロ製スポーツシートなどを装着。走りに特化したホットハッチに仕立てたというクルマである。

 

位置づけとしては、コペンに続いてGRの一員となるとともに、ダイハツがかねてから力を入れている国内ラリー等のモータースポーツ向けのベースモデルとしても市販化に期待する声は小さくない。件のコンセプトカーの反響が非常に大きいので、おそらく市販されることになりそうだが、願わくはミライースがベースなことだし、価格があまり高くならないよう期待したい。

 

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「こんなに万能なファミリーカーはない」プロが絶賛したクルマって? 2024年ファミリー層にオススメの国産車5選

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の一人でもある、モータージャーナリストの岡本幸一郎さん。その岡本さんが2024年に登場したクルマのなかから、比較的手ごろな価格帯を中心に、ファミリー層におすすめしたい国産車を5台紹介します。

 

【その1】こんなに万能なファミリーカーはない

ホンダ

フリード

250万8000円(税込)〜

まずは、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことでも知られるフリードだ。初代からずっと「ちょうどいい」とアピールしているとおり、狭い場所でも取り回しに苦労しない手頃なサイズでありながら、車内は3列目までしっかり使えるほど広々としている。スライドドアの開口部が幅広く高さも十分に確保されていて、ステップの段差もなく乗り降りしやすい。ファミリーカーとして、たしかにこれほど日本で「ちょうどいい」クルマはない。

 

さらにフリードは走りもいい。新たに搭載したホンダ独自のe:HEVと呼ぶハイブリッドシステムにより、スムーズで力強い走りを実現していて、大人数を乗せてもストレスを感じることもない。しかも燃費が抜群にいい。4WD性能も望外に高くて、降雪地の人も不安に感じる必要はないだろう。

 

一方のガソリン車は軽快な走りが持ち味だ。アクセルを踏み込むと、いかにもホンダらしい元気のいいサウンドを楽しめる。乗り心地が快適で、ハンドリングも素直で意のままに操れて、直進安定性も高く、ボディが小さいながらもロングドライブでも疲れ知らずだ。こんなに万能なファミリーカーはない。デザインは万人向けの「エアー」と、SUVテイストの「クロスター」が選べる。

 

【その2】この雰囲気を乗員全員が味わえると思えば割安にすら思える

マツダ

CX-80

394万3500円(税込)〜

SUVでファミリーカーなら、「CX-80」が最強だろう。ひと足先に登場したCX-60の3列シート版であり、後輪駆動ベースで、直列6気筒のディーゼルエンジンや本格的なPHEVの設定など特徴的な部分を共有しつつ、全長とホイールベースを延長。3列目の十分な居住空間の広さを実現しているのが他のクロスオーバーSUVにはないポイントだ。

 

内外装デザインもなかなか見応えがある。インテリアでこれほど高いクオリティ感を達成するには、ヨーロッパのメーカーだったら軽く1000万円を超えるに違いない。その意味では、CX-80も決して安くはないが、この雰囲気を乗員全員が味わえると思えば割安にすら思えてくる。

 

大柄なサイズで後輪駆動ベースのクルマらしく、ドライブフィールは重厚でありながらスポーティだ。特にいまや貴重な直列6気筒ディーゼルエンジンは、直列6気筒ならではの奥ゆかしい響きを味わわせてくれる。

 

【その3】懐かしいけれど新しいイメージの仕上がり

トヨタ

ランドクルーザー250

520万円(税込)〜

より本格的なクロスカントリー車が好みの人には、「ランドクルーザー250」がある。原点回帰を図り、あえて高級路線ではなく質実剛健を追求したところがポイントだ。中身は最新のSUVそのもので、装備も非常に充実していながらも、見た目や走りは新しいけれど懐かしく、懐かしいけれど新しいイメージに仕上がっている。

 

車内や荷室の広さも十分で、並のSUVに比べると座る位置が高い。着座姿勢も立ち気味で、高い目線から周囲を見下ろす形になるのも特徴だ。

 

悪路走破性はとてつもなく高くて、このクルマで走れない道は日本にはないと思っていいだろう。おそらく本領を発揮させる機会は、普通に過ごしている分には訪れないだろうが、それだけの実力を持ったクルマに乗れるのると思えるのは頼もしいことこの上ない。

 

【その4】アクティブなファミリーにもってこい

スズキ

スペーシア

153万100円(税込)〜

小さなファミリーカーには、各メーカーがそれぞれ腕によりをかけた力作が勢ぞろい。なかでも、2024年末の時点でのイチオシは、「スペーシア」だ。軽ハイトワゴンはどれも概ね同じような方向性でまとめられているなかでも、スペーシアはもっとも軽く、マイルドハイブリッドを搭載していて、軽快な走りとクラストップの低燃費を実現。先進運転支援機能が充実しているという強みもある。

 

車内には収納スペースが豊富に設けられていて、ひとつひとつがより使いやすいよう工夫されている。リアシートにリラックスして座れる「オットマンモード」、座面上の荷物の落下を防ぐ「荷物ストッパーモード」、安定した姿勢を支える「レッグサポートモード」という3通りのモードを選べる「マルチユースフラップ」というユニークな機能を採用したのもポイントだ。

 

SUVテイストのギアは遊び心のある内外装デザインのほか、撥水加工シートや防汚タイプのラゲッジフロアを採用しており、ステアリングヒーターが全車に標準装備されている。アクティブなファミリーにもってこいだ。

 

【その5】EV航続距離が100kmを超えた!

三菱

アウトランダーPHEV

526万3500円(税込)〜

電動化モデルに興味のある人には、マイナーチェンジした「アウトランダーPHEV」をすすめたい。大容量化と高出力化した新開発のバッテリーにより、EV航続距離が100kmを超えたのがうれしいかぎり。ふだんはBEVと同じように乗れて、ガソリンを使うのは遠出するときだけという付き合い方ができる。走りにも磨きがかかって、より静かでなめらかで力強くなり、乗り心地がよくなってハンドリングの一体感も増している。

 

新設定された最上級グレードなら、海外のプレミアムブランドにも負けない高級感あるインテリアや、ヤマハと共同開発したという高性能オーディオシステムの卓越したサウンドが楽しめるのもポイントだ。広くはないが、いざとなれば3列目シートもある。

 

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーを活用し、家庭の電力供給源として機能させる先進技術V2HやV2Lにも対応。「走る蓄電池」のような使い方も可能だ。

 

 

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フリード、クラウン エステート、ジムニー5ドア、スイスポ――24年下半期のクルマの勝者はどれだ?

前回は「2024年上半期ベストヒット」と題して、クルマのトレンドやヒット車種を紹介しましたが、今回はその下半期版として、「次に何がくるのか?」というネクストトレンドを3つのキーワードでまとめました! クルマ編は、今回もモータージャーナリストの岡本幸一郎さんに解説をしていただいています。

 

キーワード01【フリード】

ホンダのコンパクトミニバン「フリード」の新型モデル(3代目)が6月に発売され、快進撃を続けています。岡本さんも大本命モデルと太鼓判!

 

「ティザーサイトが立ち上がって間もない頃、あるイベントでフリードがちょっと展示されたんですね。そうしたら長蛇の列ですよ! スーパーカーとかじゃないのに、少しでも早く見たい人がこんなに大勢いるんだと驚きました」(岡本さん)

 

そもそもフリードとはどのような車種なのでしょうか?

 

「ちょうどいい、に尽きるかなと思います。取り回しのいいコンパクトなサイズで、だけど室内は広くて3列目までしっかり座れる。絶妙なバランスですね」(岡本さん)

 

今回のモデルチェンジの一番の変更点はどこでしょう?

 

「今まで、結構リコールされた『i-DCD』というハイブリッドシステムを最後まで積んでいたのがフリードだったんですね。今回、モデルチェンジで最新の『e:HEV』という、非常に効率も性能も高いシステムに置き換えられています。なので走りが見違えると思います」(岡本さん)

 

キーワード02【プレミアム価格帯のワゴンに異変?】

プレミアム価格帯、特に輸入車のメルセデスベンツ、BMW、アウディが強いワゴンの領域で異変が起こるのではないか、と岡本さん。

 

「まず、ワゴンってすっかり減っちゃったんですよね。日本も昔は各メーカーがワゴンをラインナップしてたと思うんですけど、今や数えるほどしかない。アメリカのメーカーに至っては一台もありません。みんなSUVになった。そんな中でも比較的健闘しているのはドイツのメーカーのワゴンです」(岡本さん)

 

しかし、岡本さんはトヨタ「クラウン エステート」(2024年発売予定)の復活に注目。「エステート」は「クラウン」のステーションワゴンです。

 

「クラウンはもともとワゴンがあったんですけど、しばらくなかった。今回出る16代目クラウンの実車を見てまいりました。これがひょっとしたらアッパーミドルの輸入車のクラスを食うのではないかと思うような出来栄えですね」(岡本さん)

 

比較対象は大きさ的にはメルセデスの「Eクラス」、BMWの「5シリーズ」、アウディの「A6」あたりとのこと。

 

「プレミアム性のある日本のワゴンって最近なかったんです。そこに名乗りを上げたクラウンが、どう受け入れられるかは非常に興味深い。円安で輸入車の価格が上がっていることもあって、これまでドイツのプレミアムブランドのワゴンを買っていた人が、クラウンのエステートに行くんじゃないかなと私は踏んでおります」(岡本さん)

 

キーワード03【キャラ立ち系続々】

上半期のまとめでは「ランドクルーザー250」「トライトン」と個性が際立っている車種を紹介しましたが、下半期以降もさらに“キャラ立ち系車種”が続々出てくる、と岡本さん。

 

「下半期に間に合うかはわかりませんが、面白そうな車があります。たとえば『ジムニー5ドア』や『スイフトスポーツ』。スズキで価格もそれほど高くならないでしょう。

 

あとは『ランドクルーザー』の小さい版が出るという噂もあります。『カローラ クロス』くらいのサイズと言われてますけど、ランクルに恥じない内容で出てくる。ちゃんとラダーフレームを使って、本格的な悪路走破性もあって、デザインはランクル。これ、めちゃめちゃ売れそうな感じしないですか?」(岡本さん)

 

先に名前が上がったスイフトスポーツはどうでしょうか。

 

「2023年はスイフト全体の中で、スイフトスポーツの販売比率が5割も行ってるんです。2023年はベース車のスイフトがモデル末期だったので特殊な状況かなと思っていたら、そんなことはなくて、新型スイフトになってからも4割ぐらいの高い販売比率だそうです」(岡本さん)

 

では、キャラが立っているクルマが売れる理由とは?

 

「せっかく買うなら面白いものという風に皆さん思ってらっしゃるのではないかと。付加価値ですね。基本性能はもちろん、基本を踏まえた上での付加価値に購入する理由を求めているのではないでしょうか」(岡本さん)

 

多様化して魅力的な選択肢が増えている今、どのようなトレンドが形成されるか、下半期も目が離せません。

 

 

まとめ/柚木安津

アジアを代表する高級車となったミニバンの王者「ヴェルファイア」を深掘り【クルマの神は細部に宿る】

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、現代ミニバンの王者とも言えるヴェルファイアを紹介。兄弟車であるアルファードとの違いとは?

※こちらは「GetNavi」 2024年2.5月号に掲載された記事を再編集したものです

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。

安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。

 

【今月のGODカー】

 

TOYOTA
VELLFIRE

SPEC【Zプレミア・ターボガソリン車】●全長×全幅×全高:4995×1850×1945mm●車両重量:2180kg●パワーユニット:2393cc直列4気筒+ターボ●最高出力:279PS(205kW)/6000rpm●最大トルク:430Nm/1700〜3600rpm●WLTCモード燃費:10.3km/L

655万円〜892万円

 

アジアを代表する高級車

安ド「殿! 今回は殿も高く評価されている、ヴェルファイアの2.4Lターボエンジン搭載モデルです!」

永福「うむ。ミニバンの王者であるな」

安ド「ミニバンの王者と言えば、どちらかというと兄弟車のアルファードのほうという気もしますが」

永福「たしかにヴェルファイアの先代モデルは、販売台数でアルファードに大差をつけられ、消滅すら噂された」

安ド「でしたよね」

永福「しかし新型は、ヴェルファイアが王者の名にふさわしい」

安ド「それはデザイン的に、ということでしょうか」

永福「違う」

安ド「新型アルファードのグリルは魚の鱗みたいでギョッとするので、僕はこのヴェルファイアのほうが好きなんですが……」

永福「グリルのデザインは、魚の鱗のようなアルファードのほうが断然迫力があり、全体のフォルムにもマッチしている。それに比べるとヴェルファイアの横桟グリルは凡庸だ。しかしアルファードには、2.4Lターボエンジン搭載モデルがない。このエンジンはヴェルファイア専用だ」

安ド「つまり、エンジンがミニバンの王者なんですね!」

永福「エンジンもそうだが、スポーティで乗り心地の良い専用の足まわりも、王者にふさわしい」

安ド「たしかに、車両重量も重心の高さもそれほど気にせず、スイスイ走れました」

永福「先代と比べたら、ボディ剛性やサスペンションのセッティング、エンジンレスポンス、すべてにおいて段違いだ」

安ド「そんなにですか!」

永福「そんなにだ。先代アルファード/ヴェルファイアは、一般ユーザーから芸能人や経営者などのセレブにまで大人気だったが、ボディ剛性が足りなかったから、乗り心地がドタンバタンした」

安ド「でも、みんなすごく快適だって言ってましたけど」

永福「それは本物の贅沢を知らないからだ」

安ド「そうなんですか!」

永福「あれが快適というなら観光バスで良い」

安ド「まあ、観光バスも快適ですけど……」

永福「観光バスが飛ばすと、乗客は気持ち悪くなるだろう?」

安ド「アッ、そうか!」

永福「新型ヴェルファイアは、飛ばしても快適なのだ」

安ド「そういうことなんですね!」

永福「真の高級車はこうではくてはいけない」

安ド「じゃ、新型ヴェルファイアは、ミニバンの王者と共に、真の高級車になったんですね!」

永福「アジアを代表する高級車と言えるな」

安ド「日本じゃなくアジア代表なんですか?」

永福「アルファード/ヴェルファイアは、日本国内だけでなく、アジア全域で大人気なのだ」

 

【GOD PARTS 神】フロントグリル

従来からの進化型でありながら大人っぽい雰囲気を獲得

アルファードとの一番の違いはグリルのデザインです。アルファードは縦横両方向に区切られていて刺激的な面持ち、一方ヴェルファイアは従来の高級ミニバンの集大成的な横仕切り&メッキの超大型グリルになっています。この抑揚のある全体的なボディラインには、アルファードのグリルのほうが合っている気がします。

 

【GOD PARTS 1】パワーサイドサンシェード

高級車らしさを感じさせる所作

下から上へあげるタイプのサンシェードはよくありますが、こちらはウインドウ上側から下降してくるタイプです。当然電動で、途中で止めることも可能。「障子を閉じるときのマナーを参考にした」ということで、ゆっくり静かに閉まります。

 

【GOD PARTS 2】スーパーロングオーバーヘッドコンソール

すべてのスイッチを天井に集約

照明や空調のスイッチ、収納などがすべて天井センター部分に集約されていて、ムーンルーフは左右独立式になっています。白いラインのところはカラーイルミネーションLEDで、車内を好きなカラーに彩ることができます。

 

【GOD PARTS 3】リアバンパー

下方向にグッと力が入っているイメージ

リアバンパーの左右および下部がメッキパーツで縁取られていて、非常に踏ん張り感のあるデザインにまとめられています。アルファードにはこれがなく、のっぺりした面で構成されています。

 

【GOD PARTS 4】パワーユニット

燃費の良さを取るか走りの良さを取るか

2.5lハイブリッドと2.4lターボエンジンの2種類が用意されています。カタログ燃費値が約7㎞/ℓも違いますが、このクルマに乗るような人はあまり燃費を気にしないような気もします。

 

【GOD PARTS 5】パワーバックドアスイッチ

ボディ側面に配置した優しさ

車両のリアランプ下側面にあるスイッチで、バックドアを電動開閉できます。操作の際に車両横に立つことで、開ける際に後方に下がったりする必要がなくなります。先代にはなかった便利な装備です。

 

【GOD PARTS 6】リアスポイラー

兄弟で共通した帽子のつば

リアウインドウには帽子のつばのようにかぶさる形でリアスポイラーが付けられていて、左右両端はまるで鬼の角のようにちょこんと盛り上がっています。ちなみにココのデザインはアルファードと共通です。

 

【GOD PARTS 7】エグゼクティブパワーシート

上には上があるプレミアムシート

「Zプレミア」グレードでは、肌触りのよいプレミアムナッパーレザーを使用し、最大530㎜も前後スライドできる豪華シートが採用されています。しかし「エグゼクティブラウンジ」グレードのシートはもっと豪華です。

 

【GOD PARTS 8】ワンタッチシーソースイッチ

前後の矢印があって直感的に使える

トヨタ初搭載というシーソースイッチが、リアのスライドドアの取っ手に付いています。前後方向を示すボタンを押すことで半分開いて止めたり、そこから開いたり、または閉じたりと、感覚的に操作できるようになります。

 

【GOD PARTS 9】ユニバーサルステップ

トヨタのおもてなし精神を体現

スライドドアを開けると、自動でステップがせり出してきます。自然と一歩目の足の高さが低くなるので、お年寄りや子どもでも乗り降りしやすくなります。このあたりもトヨタのおもてなしの精神が感じられます。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

「日本ウイスキーが確実に来る」2024年ヒットアイテム12ジャンルで大胆予想!

コロナによる様々な制限が緩和され、以前の姿に戻り始めた、いや大きく変わり始めた2023年。2024年の干支は辰年。“昇龍” のような勢いで急上昇するヒットアイテムは何か。本記事では、アニバーサリー継続で新顔も登場予定のジャパニーズウイスキーから、話題の「FF7」リメイク三部作の2作目など、12ジャンルのヒット予想を、それぞれのジャンルのプロが大胆に予想してみた!

※こちらは「GetNavi」 2024年1月号に掲載された記事を再編集したものです

 

【ヒット予想その1】使いやすさの進化と存在感あるデザインに注目

象印マホービン マルチロースター

ヒット確率:80%

 

家電ライター 小口 覺さん

「フィッシュロースターはあれば便利かつ手放せなくなる家電。使用後に洗いやすく触媒フィルターの搭載により煙やニオイが気になりません。本製品は魚だけではなく、肉や野菜のグリル調理にも使えるマルチロースターへと進化。存在感あるデザインとともに注目されそうです」

 

【ヒット予想その2】ストリートトレンドに代わり支持されるシックな着こなし

テーラードジャケット

ヒット確率:90%

 

ファッションバイヤー・動画クリエイター MBさん

「スニーカーブームなどのストリートトレンドが鎮静化しており、徐々にシックな着こなしが支持されるようになりました。2023年AWの重衣料でもダウンやブルゾンなどではなく、ジャケットコートなどが多く見られるようになっており、2024年への確かな流れを感じさせます」

 

【ヒット予想その3】アニバーサリー継続に加え新顔も登場し人気継続!

ジャパニーズウイスキー

ヒット確率:100%

 

フードアナリスト 中山秀明さん

「2024年はニッカ創業90周年、サントリーシングルモルト山崎が40周年、同白州が30周年。そして朝ドラ『マッサン』が放送10周年とアニバーサリーが続きます。さらに八海山が米を主原料とする『ライスグレーンウイスキー』を発売予定であるなど目が離せません」

 

【ヒット予想その4】HMDの新体験デバイスは超高級機となるが……

Apple Vision Pro

ヒット確率:75%

 

モバイルライター 井上 晃さん

「Appleが発表したデバイス。 “空間コンピュータ” と称するように、既存のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)類とはひと味違った体験が提供される見込みです。約52万円という超高級機ゆえに、 “ひとり1台” のような存在にはならないでしょうが、コンピュータの新しい形として動向は見逃せません」

 

【ヒット予想その5】高い疲労回復効果が期待できる入浴剤が100均でも買える!

重炭酸入浴剤

ヒット確率:85%

 

ライター 佐々木 舞さん

「高い疲労回復効果が期待され、新しい入浴剤としてその位置を確立しつつある重炭酸入浴剤。いまはまだ高級入浴剤という認識で一般層は横目で見るだけですが、ダイソーなどの100円ショップでも入手できることが周知されたら、そこをきっかけにヒットするに違いない!」

 

【ヒット予想その6】2000品目以上が揃うイオンの冷食専門店

@FROZEN

ヒット確率:90%

 

フードツーリズムマイスター 今西絢美さん

「共働き世帯が増えたことで “冷凍食品=お弁当のおかず” というイメージが変わるいま、ディナーやスイーツのラインナップも充実しているのが強み。店舗はまだ少ないですが、2023年度内に首都圏で5店舗がオープン予定です。店舗が増えることで一気に人気が加速するはず」

 

【ヒット予想その7】YouTubeでの人気を経て多国籍ユニットがデビュー

BABY MONSTER

ヒット確率:85%

 

エンタメ系ライター えんどうまいさん

「韓国の大手事務所・YGエンターテインメントが、BLACKPINK以来約7年ぶりに輩出するガールズユニット。ついに11月27日デビューしますが、公式YouTubeチャンネルの登録者が300万人超えの大注目株です。日本人メンバーも2名在籍しているので、活躍が楽しみ!」

 

【ヒット予想その8】兄貴ぶんをキャンセルして乗り換える人多数?

トヨタ ランドクルーザー 250

ヒット確率:100%

 

モータージャーナリスト 岡本幸一郎さん

「『プラド』の名前から変更されたのを機に、より力強いオフローダーデザインに。本気のオフロードモデルらしい機能と装備も目白押しです。兄貴ぶんランドクルーザー300の納車までの長さから、300をキャンセルして250にチェンジを決めたという人が大勢いるそうです」

 

【ヒット予想その9】クレカ積立によるポイント獲得機会が増加

クレカ積立

ヒット確率:80%

 

「クレジットカードDB」編集長 大澤日出男さん

「新NISAなど拡大するマーケットを見据えて、証券会社とクレジットカード会社が提携、プロモーションを展開。クレジットカード会社は投資信託の積立金額に対するポイント付与を競い合っています。資産形成を通じてポイント獲得の機会が増加する点には注目です」

 

【ヒット予想その10】PS5を牽引する「FF7」のリメイク第2弾

FINAL FANTASY VII REBIRTH

ヒット確率:95%

 

ゲームコラムニスト 卯月 鮎さん

「『FF7』リメイク三部作の2作目。デートイベントが起こる娯楽施設ゴールドソーサーやエアリスの悲劇など、『FF7』のコアとも言える内容が詰まっています。前作は世界累計700万本の大ヒット! 本作は単体でも遊べるため、前作と並ぶセールスが期待できそうです」

 

【ヒット予想その11】観光庁も力を入れ始めた旅行の新スタイル

ガストロノミー ツーリズム

ヒット確率:80%

 

トラベルライター 澄田直子さん

「その土地の気候風土が生んだ食材を生かした料理を中心に観光を楽しむ旅のスタイル。観光庁も力を入れ始め、2023年度は13の地域の事業に補助金を出し推進しています。体験プログラムなども用意され、地域をより深く知るという旅行スタイルが人気を集めそう!」

 

【ヒット予想その12】新規募集開始後はすぐに枠が埋まるほど!

funds

ヒット確率:90%

 

経済ジャーナリスト 頼藤太希さん

「FIREブーム以降、保有しているだけで “不労所得” を得られる高配当株などの金融商品が人気。fundsは、新しく募集開始されるとすぐに枠が埋まってしまうほどかなり注目されているサービスです。手軽に運用でき、利回り2%前後の利息でコツコツと増やせるのもメリット」

「クロスオーバー」とはまったく別モノ。クラウン「スポーツ」「セダン」の存在感が際立ってイイ!

クラウン4兄弟の次男と三男である「スポーツ」と「セダン」がついにデビュー。ショートボディでSUV風スタイルのスポーツと、大本命ともいえるセダンが、クラウン全体のイメージに与える影響を、従来のクラウンとは「まったく別のクルマ」と評する筆者がレポートしていく。

 

■今回紹介するクルマ

トヨタ クラウン

セダン 価格:730万~830万円

スポーツ 価格:590万~765万円

 

デザイン第一のクラウンスポーツ

クラウンが「クラウンクロスオーバー」に生まれ変わって約1年半。SUV風になるなんてビックリ仰天したが、早くも街でしょっちゅう見かけるようになった。

 

2023年の販売台数は、約4万台。先代末期は年間2万台前後だったから倍増! と言いたいところだが、先代のピーク時には約5万台売れていたので、「微減」とも言える。クラウンの大変身は、いまのところ大成功とまでは言えない。

 

が、クロスオーバーだけで現在の16代目クラウンを語ることはできない。現行型クラウンは、4モデルへの分化が決まっている。今回は、クロスオーバーに続いて登場した「スポーツ」と「セダン」に乗ることができた。

 

クラウンスポーツは、クラウンクロスオーバーに対して、文字通り「よりスポーティ」という位置づけだ。クロスオーバーもデザイン優先で作られたが、スポーツはさらにカッコ第一。グラマラスで速そうであることを、なによりも優先して作られている。

↑クラウンスポーツ

 

「コ」の字型の薄目ヘッドライトはクロスオーバーと共通のイメージだが、ボディはコンパクトかつ豊満。特にリアフェンダーのグワッとしたふくらみは、一瞬「くどすぎないか?」と思ったりもする。

↑ヘッドライトを薄くすることで、よりシャープで精悍な表情を実現したといいます

 

↑リアフェンダーのふくらみは、スポーツの1番の特徴。大きいタイヤの存在感を高めるうえに、ダイナミックで低重心な印象を与えるとうたっています

 

ところが、実際に走っているクラウンスポーツを斜め後ろから見ると、迫力満点でカッコいい。発表当時からフェラーリの新型SUV「プロサングエ」に似ていると評判だったが、クラウンがフェラーリと比較されるだけで驚天動地だ。

↑ボディサイズは全長4720×全幅1880×全高1565mmで、車両重量は1810kg。またボディカラーは、モノトーンカラー6色とバイトーンカラー5色を用意しています

 

インテリアもスポーティ&ゴージャスで、従来のクラウンのようなおっさんくささは微塵もない。従来のクラウンファンには異世界なので、なじめないかもしれないが、それは仕方ないだろう。

↑包まれるような感覚を意識したコックピット

 

エンジンはグッと洗練、しかも燃費は21.3km/Lでかなりエコ

パワートレインは、クロスオーバーにも採用されているFFベースのエンジン横置き2・5Lハイブリッドだ。クロスオーバーでは、特にスポーティでもなく、かといって高級なフィーリングでもなく、インパクトに欠けたが、スポーツに積まれたソレは、1年半の熟成の成果なのか、ぐっと洗練されてスポーティだ。ハンドリングも明らかにスポーティなので、今どきのエリートにピッタリな雰囲気である。

↑スポーツ Zグレードのパワーユニットは2487cc直列4気筒エンジン+モーターで、エンジン最高出力は186PS/6000rpm、エンジン最大トルクは221Nm/3600-5200rpm。

 

それでいてWLTCモード燃費は21.3km/Lと良好で、実燃費でも16km/L前後は走るから、かなりエコ。システム最高出力は234馬力なので、加速がそれほど凄いわけではないが、アクセルに対する反応がいいので、クルマの流れに乗って気持ちよく走るぶんには不満はない。

 

これで590万円という価格は、輸入車のライバルたち、たとえばスポーツSUVのBMW X4(852万円~)に比べると断然安い。もっと加速がほしい人には、今後追加される予定のPHEVモデルがおすすめだ。

ラゲージは容量397Lで、通常でゴルフバッグ1個分、後席前倒し時には4個まで収納可能とのこと

クラウンセダンは真横のシルエットはカッコいいけど……

一方のクラウンセダンは、クラウンシリーズの中で最もフォーマルなモデルだが、実物を見ると、これはこれでスポーティだ。

↑クラウンセダン

 

なにしろ全長は5mを超えている(5030mm)。それだけで「うわ、長っ!」という迫力が出る。しかもリアピラーが傾斜したファストバックスタイルなので、真横から見ると、アウディA7スポーツバックあたりがライバルというイメージ。クラウンクロスオーバーより高級なのはもちろん、クラウンスポーツと比べても、むしろシュッとスポーティに見える。

↑伸びやかで美しい佇まいを実現したというデザイン。ボディサイズは、全長5030×全幅1890×全高1475mmです

 

真横のシルエットがとてもカッコいいのに対して、フロントやリアはやや凡庸で物足りない。ヘッドライトが「コ」の字型ではなく、シンプルな薄目に見えることも、印象を薄めている。従来のクラウンのイメージはほとんど捨てているので、今後どうやってクラウンらしい「顔」を構築していくかが課題だろう。

↑縦基調のグリルを採用したフロント

 

↑リアはワイド感を強調した横一文字のテールランプを採用

 

↑スポーツのようなふくらみはなく、すっきりとした佇まいです

 

魔法の絨毯に乗っているような乗り心地

クラウンセダンは、クロスオーバーやスポーツと違って、エンジン縦置きのFR(後輪駆動)だ。つまりまったく別のクルマと言っていい。同じクラウンの中で別のモデルを作り分けるなんて、トヨタにしかできない贅沢な芸当だ。

 

FRなので、車体中央にはドライブシャフトが貫通しており(FCEVモデルは水素タンクが貫通)、リアシートの足元中央部は大きく膨らんでいる。定員は5名だが、4人乗りと考えたほうがいい。4人までならゆったりくつろげる。

↑後部座席。中央のアームレストにタッチパネルを内蔵し、オーディオをはじめ、エアコン、シート機能、リラクゼーション機能、サンシェードの操作などが可能です

 

フロントに縦置きされるのは、2.5Lのハイブリッド(730万円)だが、タンクに積んだ水素と空気中の酸素を反応させて発電してモーターを回して走るFCEV(燃料電池車:830万円)も用意される。

 

FCEVのメカは基本的にMIRAIと同じだが、これが驚くほどイイ。水素ステーションの設置が進んでいないこともあって、MIRAIは極端な販売不振に喘いでいるが、クラウンセダンのFCEVは、EVだけに静かさや滑らかさはハイブリッドとは比較にならないし、加速はダイレクトそのものだ。仮に自分が社長で、社長車にクラウンを導入するなら、FCEVがベストかもしれない。水素ステーションは運転手が探せばいいのだから。

↑FCEVのモーター最高出力は182PS/6940rpm、最大トルクは300Nm/0~3267rpm

 

しかし自分で運転するなら、やはりハイブリッドだ。エンジンが4気筒なので、アクセルを深く踏み込んだときの唸り声が少々安っぽいのは残念だが、それを除けばとても快適で、ハンドリングもサイズを考えれば軽快だ。

↑大型の杢目調パネルを採用するなど、上質感を追求したコックピット

 

なにしろクラウンセダンは、乗り心地が素晴らしい。足まわりはクラウンらしく適度にソフトだが、ピッチング(前後の傾き)を徹底的に抑えたセッティングゆえに、魔法の絨毯に乗っているようなフラットライド感なのである。

↑ハイブリッドのラゲージ容量は450Lで、ゴルフバッグ3個を収納可能。一方のFCEVは400Lで、ゴルフバッグを2個収納できます

 

スポーツ、セダンともに断然魅力的

クラウンは、スポーツ、セダンともに、従来とはまったく別のクルマになり、断然魅力的になった。反面、クロスオーバーが中途半端な存在に思えてくる。スポーツとセダンの存在感が際立っているからだ。是非もなし。

 

若返りを目論むクラウンだが、価格を考えると、若返ってもせいぜい40代まで。しかし、おっさんは見た目が9割。クラウンスポーツやクラウンセダンなら、見た目を気にする都会派エリートのおっさんも、愛車として検討対象になるはずだ。

(セダン)SPEC【Z】●全長×全幅×全高:5030×1890×1475mm●車両重量:2020kg●パワーユニット:2487cc直列4気筒エンジン+モーター●エンジン最高出力:185PS(136kW)/6000rpm●エンジン最大トルク:225Nm/4200-5000rpm●WLTCモード燃費:18.0km/L

 

(スポーツ)SPEC【SPORT Z(ハイブリッド)】●全長×全幅×全高:4720×1880×1565mm●車両重量:1810kg●パワーユニット:2487cc直列4気筒エンジン+モーター●エンジン最高出力:186PS(137kW)/6000rpm●エンジン最大トルク:221Nm/3600-5200rpm●WLTCモード燃費:21.3km/L

 

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撮影/清水草一

フルモデルチェンジで注目度アップ!2023年大ヒットのミニバン&軽自動車をプロが解説

コロナによる制限が緩和し、人気観光地には多くの観光客が訪れ賑わった2023年。GetNaviヒットセレクションのレジャー部門から、本記事では大人気のトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」とホンダ「N-BOX/N-BOX カスタム」を紹介しよう。フルモデルチェンジを遂げた両モデルの注目ポイントとは? 2台を選んだモータージャーナリストの岡本幸一郎さんと本誌乗り物担当がじっくり解説する。

※こちらは「GetNavi」 2024年1月号に掲載された記事を再編集したものです

 

私たちが解説します

モータージャーナリスト 岡本幸一郎さん
軽自動車から高級車まで続々と登場する新型車のほぼすべてに試乗し、原稿の締め切りに追われる生活を送る。消費者目線の評価が身上。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

本誌乗り物担当 上岡 篤
2023年は撮影絡みのキャンプしかできず残念。仮にデリカミニを所有したらどんな体験ができるのだろうと想像を膨らませて、2024年こそはキャンプに出かけようと計画中。

 

大人気の両モデルが揃ってフルモデルチェンジ

人気モデルのフルモデルチェンジとあって注目度は抜群。アルファード/ヴェルファイアは工場出荷目処が明示されず、販売店に問い合わせの状態に。N-BOXも先行受注で約1万7000台と人気だ。

 

ミニバン

プラットフォームを全面刷新してより快適な移動を後押し

トヨタ
アルファード/ヴェルファイア
540万円〜892万円
2023年6月発売

乗る人すべてが快適に過ごせることを目指して、プラットフォームとパワートレインを一新。モデルチェンジを機にヴェルファイアはより走りを重視した志向になり、専用のサスペンションやパワートレインが設定されている。

↑最上級の「エグゼクティブ ラウンジ」の車内。全席本革シートとなるほか、2列目シートでは照明や空調を個別に設定できるモードも

 

↑優れた動力性能と省燃費を実現する2.5Lダイナミックフォースエンジンをハイブリッドモデルに搭載。アクセル操作に的確に反応する

 

極めて高い完成度に感心。兄弟車の差別化も巧い

「トヨタ2モデルは期待超えの高級感と快適性を実現して驚き。歴代初となる走りの差別化もポイントです。ターボを搭載したヴェルファイアの鮮烈な走りは特筆です」(岡本さん)

 

軽自動車

コンセプトはキープしつつより上質&安全性能を強化

ホンダ
N-BOX/N-BOX カスタム
164万8900円〜236万8200円
2023年10月発売

8年連続軽四輪販売台数日本一を誇る、ホンダ軽の屋台骨がフルモデルチェンジ。前モデルまでで評価されてきたコンセプトをキープしつつ、後席シートの居住性や収納スペースの見直しが図られた。安全運転支援技術も進化している。

↑ホンダの軽として初となる7インチTFT液晶モニターを採用。Honda SENSINGの作動状態などをわかりやすく表示してくれる

 

↑助手席前は小物類をディスプレイしたくなるようなインパネトレーを装備。N-BOXにはコルクカラーが用意されており、質感が高められている

 

先代の良さを徹底研究し、さらに上質さをプラス

「N-BOXは日本一売れている同車の良さを徹底的に検証し、キープすべき点は継承。そのうえで使いやすさや上質さを磨いたのがポイントで、安全運転支援技術も進化しています」(上岡)

ラージ級ミニバン日本代表に相応しい完成度!トヨタ・アルファード/ヴェルファイア

今回は日本を代表するラージ級ミニバンのトヨタ・アルファード/ヴェルファイアをピックアップ。

※こちらは「GetNavi」 2023年11月号に掲載された記事を再編集したものです

 

ラージ級ミニバン日本代表に相応しい完成度!

トヨタ
アルファード/ヴェルファイア

SPEC【ヴェルファイア Zプレミア(ガソリン・2WD)】●全長×全幅×全高:4995×1850×1945mm●車両重量:2180kg●パワーユニット:2393cc直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:279PS/6000rpm●最大トルク:43.8㎏-m/1700〜3600rpm●WLTCモード燃費:10.3km/l

 

パワーユニットは2種類

パワーユニットは、2.5lハイブリッドと2.4lターボの2種。後者はガソリンがハイオク指定なのが少し気がかりだが、長距離を走る機会が少ない人なら影響は少ないはず。

 

シートアレンジ次第で広さは十分

3列目シートを展開させるとさすがにミニマムなスペースだが、シートアレンジ次第ではボディサイズに相応しい広さも実現可能。床下にも大きな収納スペースが備わる。

 

一層ラグジュアリーな空間に変化!

インパネと前席回りは程度なタイト感を演出。プレミアムなセダンにも通じる上質感を誇る。ガラスルーフやオーバーヘッドコンソールなど、ラグジュアリーな装備も充実。

 

装備面と見た目で棲み分け!

ヴェルファイアと比較すると、アルファードの外観はフォーマルな仕立て。先代比では高級車らしい上品さも向上した。両者では装備面も差別化され、価格帯は540〜872万円となる。

 

快適性と使い勝手も申し分ナシ!

シートはたっぷりとしたサイズで座り心地も上々。左右スライドドア下には、機械式の格納式ステップが装備され乗降性を向上させるなど、使い勝手への細かな配慮も行き届く。

 

見た目に相応しい快適性

外観は、リア回りも華やかさを感じさせる仕立て。ボディサイドの造形も先代より大胆になった。その走りは2トン超えの巨体ながら十分な速さと快適性の高さが印象的だ。

 

見た目の質感はミニバンの域を超えた!

精悍な顔つきに代表される押し出しの強い佇まいは相変わらず。しかし、新型を前にして最初に気付かされるのは質感の高さに一層の磨きがかかっていること。そんな印象は、室内に入るとより鮮明になる。試乗車はヴェルファイアの一番ベーシックなガソリン仕様だったが、適度なタイト感を演出する前席回りはもはやミニバンというよりプレミアムなセダン級。3列目に至るまでゆったりとしたサイズのシートはナッパレザー仕立てで、座り心地もすこぶる良い。特にオットマン付きの2列目は、快適な空調システムやシェード付きガラスルーフの恩恵もあって、極上の居心地を実現している。

 

新型のエンジンは、2.5lガソリン+電気モーターのハイブリッドと2.4lガソリンターボの2本立て。車重は2WDでも優に2t超えとなるが、動力性能はガソリンターボでも何ら不足はなく、フル乗車の状態でもなければパワフルな感触すら実感できる。それを受け止めるシャーシは穏やかな味付けで、乗り心地は速度域を問わず快適。一方、高速域でも過不足のない安定性も兼ね備える。

 

見た目も含めて全方位的に進化した中身と同様、現状では価格まで大幅に高くなった点こそ気にはなる。だが、新型が先代と同じくラージ級ミニバンの決定版であることは間違いない。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

改めてトヨタの「RAV4 PHV」に乗って考える、ほかのSUVとの差は?

長い歴史を持ち、これまで世界を席巻してきたシティSUVのトヨタ「RAV4」は今も高い人気をほこる。その理由を分析するべく、今回はトップグレードでもあるプラグインハイブリッドモデルを試乗した。ほかのSUVに勝っている部分はどこか、パワーユニットによる違いとはなんだろうか?

 

■今回紹介するクルマ

トヨタ RAV4 PHV(BLACK TONE)

価格:563万3000円(Zグレード)

 

世界で人気を誇るクロスオーバーSUVのプラグインハイブリッドモデル

世界中でこれだけ多くのSUVが販売されているなかで、トヨタのクロスオーバーSUV・RAV4は今も昔も世界トップクラスの人気を誇っている。1994年の初代モデルデビュー時は革命児のような存在で、当時はまだSUVが「クロカン(クロスカントリー車)」と呼ばれていた時代。街中でも映える「ライトクロカン」の先駆けとして、またたく間にヒットモデルとなった。

 

時代を経て、いつしか街の風景に似合うクロカンが、「シティSUV」や「クロスオーバーSUV」などと呼ばれるようになるのだが、グローバルモデルであったRAV4は北米でも好評で、モデルチェンジのたびに北米市場に合わせるかのようにサイズが大きくなっていった。現在では間違っても「ライトクロカン」とは呼べない、全幅1855mmの立派な「ミドルサイズSUV」である。

↑ボディサイズは全長4600×全幅1855×全高1695mm。また、現在販売されているZグレードのカラバリは7色展開となっています。写真はメーカーオプションのアティチュードブラックマイカとエモーショナルレッドを組み合わせたカラーリング

 

日本ではサイズ感が合わなくなってしまったため、実は先代型は国内販売されなかったのだが、2019年に登場した現行型は、登場するやいなや驚くほど好調なセールスを記録した。当初は、ガソリンエンジンモデルとハイブリッドモデルのみの設定で、翌20年6月に追加されたのが、今回紹介するプラグインハイブリッドモデルのRAV4 PHVである。

 

エクステリアもインテリアもこだわりの見えるデザイン

今回試乗した車両のグレード名は「BLACK TONE(ブラックトーン)」。実はこれ、2022年10月でカタログ落ちしてしまったグレードで、現在、RAV4のPHVモデルは「Z」という新グレードのみ販売されている状態なのだが、基本性能はBLACK TONEから変更されていない。

 

RAV4のラインナップのなかでも、PHVモデルはトップグレードの位置に置かれており、グリルやバンパーまわりなどフロント部に専用のメッキモールやLEDランプなどが装着され、高級感が高められている。

↑スポーティなイメージを強めたとするフロント。専用のLEDライトは先進性を強調しているそうです

 

↑新たに意匠した19インチ専用アルミホイール。都会のシーンにも合うよう、塗装と仕上げにもこだわっています

 

RAV4自体のデザインについては、直線基調でカクカクしていて、なんだか変形ロボットのようなイメージ。その世界観をうまく壊さないように上質にまとめられているが、幼少時に変形ロボットアニメを見て育った30~40代にとってはこのカクカクデザインが、懐かしくもあり、なんだか新しくもあり、支持される理由のひとつになっているようだ。

 

一方でSUVらしさ、たくましさといった力強い雰囲気はトレンドをしっかり押さえていて、常に世界のトップセールスを争っているトヨタのデザインここにありという自信が伝わってくる。

↑後ろから見てもカクカクとしたデザインが目立ちますね

 

インテリアもこのクラスのSUVのなかではデザインが凝っている。外観に合わせた力強さとモダンさを合わせたような上質な雰囲気ながら、物入れや装備もかなり充実していて、王道のSUVらしい堂々とした佇まいと、使いやすさが両立している。

 

操作部はそれぞれが使いやすい場所へ配置され、あらゆる人にしっくりくるように設計されている。また、SUVらしく着座位置が高いため運転自体はイージーだが、前述のとおり全幅がそれなりに広いため、あまり運転に慣れていない人は、狭い路地や駐車場などですこし苦労するかもしれない。

↑手元のダイヤルで「エコ」「ノーマル」「スポーツ」とドライブモードを変更できます。また、専用の「TRAIL」スイッチも装備

 

↑合成皮革シート表皮採用のスポーティシートを標準装備。横基調のキルティング意匠とレッドリボン加飾で上質さを演出しています

街乗りは超快適、スポーツモードにすれば強力な加速を楽しめる

EVモードにおける、フロントとリアのダブルモーター+CVTによる乗り味は非常にマイルドで、騒音についてもタイヤと路面が生み出すロードノイズしか感じられないほど。快適極まりない。ダイヤル式のドライブモードを「ノーマル」モードから「スポーツ」モードに変更すれば、一転ハイブリッド車となり、エンジンの力強さも加わったトルク感あふれる強力な加速を楽しむことも可能だ。また、電気容量が少なくなってくると自動でハイブリッドに切り替わり、エンジンを使って走りながらある程度充電もされるようになる。

↑RAV4 PHVは2.5L直列4気筒エンジンに加えて、フロントとリアにモーターを搭載。システム最高出力は225kW(306PS)を実現しています

 

車内も乗員の空間が広く感じられ、ロングドライブも快適。当然ながら燃費だってガソリンエンジン車より優れている。PHEVということで、今回はすっかりモーター走行を堪能させてもらったが、低速域や高速道路での走行時もパワー不足を感じることはなかった。さらにSUVでありながらコーナリング姿勢が安定しており、これは、重量物であるバッテリーを床下に搭載していることも貢献しているのだろう。

 

プラグインハイブリッドであることのマイナス面はなかなか見当たらない。荷室スペースについては、少々ガソリン車やハイブリッド車より容量が減っているものの十分使えるサイズだし、これだけ荷物が積めればアウトドアやレジャーでも不足はないだろう。また、荷室内にはAC100Vのコンセントも搭載されているので、出かけた先で家電などを使用することも可能だ。このあたりはSUVであることと、プラグインハイブリッドであることがうまくマッチングしている。

↑荷室スペースの容量は約490L。アウトドアなどで必要十分な装備は積めるでしょう

 

SUV+プラグインハイブリッド搭載モデルといえば、かつてはアウトランダー一択だったが、RAV4 PHVの登場で選択肢が広がった。ただし、ガソリンエンジン車やハイブリッド車であれば300万円くらいから買うこともできるが、このPHVは約560万円。どんなクルマを買うにしてもトップグレードを手に入れたい人や、時代の変化に敏感でEVの購入も視野に入れているような人に相応しい1台といえよう。

SPEC【BLACK TONE】●全長×全幅×全高:4600×1855×1695mm●車両重量:1920kg●パワーユニット:電気モーター+2.5L直列4気筒エンジン●エンジン最高出力:177PS(130kW)/6000rpm●エンジン最大トルク:219Nm/3600rpm●WLTCモード燃費(ハイブリッド):22.2km/L●WLTCモード一充電走行距離:95km

 

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文・撮影/安藤修也

常識を覆す衝撃の走り……ヴェルファイアとアルファードの差別化を決定づけた2.4Lターボ

都心でクルマを運転していると、見ない日はないくらい街中を走っているのが、トヨタのアルファードと兄弟車のヴェルファイアだ。今や庶民の憧れ、到達点として、かつてのクラウンのレベルに並んでいるか、下手したら凌駕しているような状態である。そして今夏、この2車に4代目となる新型が発売された(ヴェルファイアは3代目)。頂点を極めたクルマの進化とはいったいどんなものか?

 

■今回紹介するクルマ

トヨタ アルファード/ヴェルファイア

価格:540万~872万円(アルファード)、655万~892万円(ヴェルファイア)

 

ルックスはアルファードの圧勝だが……

今や日本を、いやアジアを代表する高級車に上り詰めたアルファード。レクサスLSやクラウンの後席でふんぞり返っていると、周囲からなんとなく冷たい視線が注がれ、センチュリーを公用車にすると袋叩きにされたりするけれど、アルファードなら誰も文句を言わず、むしろ憧れの視線が注がれるのだから素晴らしいじゃないか。

 

従来型の国産高級車が売れなくなって久しいが、アルファードは一人勝ちで売れまくってきた。そのフルモデルチェンジともなれば、クルマ関連では今年最大級のイベントである。

 

兄弟車のヴェルファイアも、同時にフルモデルチェンジされた。アルファード人気のあおりを食って、先代モデル末期にはアルファードの3%程度しか売れなくなり、今回は消滅・統一されると思われていたが、豊田章男会長の鶴の一声で生き残りが決定したという。先代まではルックスの違いが2台の棲み分けポイントだったが、新型では走りのキャラクターで差別化を図っている。

 

まずはルックスの評価からいこう。新型アルファードのスタイリングは、大人気だった先代型のイメージを強くキープしているが、非常に洗練された印象だ。先代型は巨大な銀歯のようなオラオラ顔にばかり目が行ったが、新型のグリルはメッキ量を減らして威圧感をほどよく抑え、逆にボディフォルムはふくよかにうねらせ跳ね上げつつ、尻下がりのウエストラインでフォーマル感も出している。先代型のほうがインパクトは強かったが、新型のデザインは全体の完成度がとても高い。

↑フロント部は「突進するような力強さを生み出すべくエンブレム部分が最先端になる逆傾斜の形状」を採用

 

↑ボディのサイドにはリアからフロントにかけて流線形を取り入れている。サイズは全長4995×全幅1850×全高1935mm

 

新型ヴェルファイアは、デザイン面ではアルファードのグリル違いに徹している。スタンダード感の強い横桟グリルは、アルファードの鱗グリルに比べるとかなり平凡な印象だ。個人的には、「今回も見た目でアルファードの圧勝だな」と感じたが、ヴェルファイアのスタンダード感を好む方も少なくないらしく、新型は受注の約3割をヴェルファイアが占めているという。

↑横に伸びたグリルが印象的なヴェルファイア

 

↑ヴェルファイアのZプレミアグレードは黒色の「漆黒メッキ」を基調とした金属加飾を施し、モダンかつ上質なデザインにしたとのこと。サイズは全長4995×全幅1850×全高1945mm

 

常識を覆す走りと秀逸な操縦性のヴェルファイア

最初に乗ったのは、ヴェルファイア Zプレミアの2.4L 4気筒ターボエンジン搭載モデル(FF)。最高出力は279馬力だ。このエンジンはアルファードには用意されず、「走りのヴェルファイア」を象徴するグレードになっている。

 

走り出してすぐに衝撃を受けた。ほとんどスポーツサルーンのごとく意のままに走り、曲がり、止まってくれる。これまでのミニバンの常識を引っ繰り返す走りである。

↑走行イメージ。「運転する喜びを感じるための走行性能」を実現したという

 

従来のアルファード/ヴェルファイアは、ルックスの威圧感のわりに加速が物足りなかったが、このエンジンは、先代型の3.5L V6エンジンと比べてもパワフルでレスポンスがいい。バカッ速くはないが、意のままに加速する。燃費も思ったより良好で、燃費計の数値は10km/L弱を示していた。

↑高い加速応答性能と十分な駆動力をそなえ、ペダル操作に対して気持ちよく伸びるという2.4L直列4気筒ターボエンジンを搭載

 

操縦性がまたすばらしい。ミニバンという乗り物は基本的に重心が高く、ボディ剛性も出しにくいから、操縦性はイマイチなのがアタリマエだが、ヴェルファイア2.4ターボは違う。とにかくハンドルの反応がシャープで気持ちいい。ヴェルファイアは、19インチタイヤやスポーティなサスペンションに加えて、車体骨格の前部に補強を施してある。それがこの秀逸な操縦性を生んでいるようだ。

 

しかも、乗り心地も非常にイイのである。足まわりはやや固めだが、路面から伝わる車体の揺れが一発で収まるし、カーブでの車体の傾き(ロール)も小さめなので、結果的にこのグレードが最も快適に感じられた。

↑コックピットには12.3インチの大画面液晶のほか、カラーメーター、同時に複数の情報を見られるマルチインフォメーションディスプレイなどが搭載(画像はExecutive Loungeグレード)

 

↑プライベートジェットのような空間を設えたとする室内

 

クルマ好きが乗っても納得のアルファード

ヴェルファイア2.4ターボの走りの良さに感動しつつ、アルファードの2.5ハイブリッドE-Four「エグゼクティブラウンジ」に乗り換える。エグゼクティブラウンジは贅沢な2列目シートが売りの「動く応接間」。そこに座っていれば、まさにエグゼクティブ気分だが、アルファードの走りは、ヴェルファイアに比べるとだいぶ穏やかで当たり障りがない。ボディ剛性アップの恩恵により、先代に比べればはるかに快適性は高いが、ヴェルファイア2.4ターボの素晴らしさを知った後では、加速や操縦性だけでなく、乗り心地すら若干平凡に感じてしまった。

↑走行イメージ。新モデルは基本骨格を見直すと同時に、乗員に伝わる振動・騒音の低減に徹底している

 

↑運転席と2列目シートおよび3列目シートとの距離は従来型比でそれぞれ5mm/10mm広い前後席間距離を確保した、ゆとりのある空間を実現

 

ただし、2.5ハイブリッドのパワーユニットは先代型から大幅に進化し、システム出力は197馬力から250馬力にアップしている。先代ハイブリッドの走りはかなり眠い印象だったが、新型のハイブリッドは加速のダイレクト感があり、クルマ好きが乗っても「悪くないね」と言えるレベルになっている。

↑システム最高出力250PSの「2.5L A25A-FXSエンジン」。燃費性能も高められており、E-FourエグゼクティブラウンジはWLTCモードで16.5km/Lとなっている

 

↑コックピットは「隅々まで心づかいを施した」と自信をのぞかせる

 

アルファードには、2.5L 4気筒自然吸気エンジン搭載のベーシックなグレードも用意されている。加速はぐっと控え目になるが、「走りはそこそこでいいから、とにかくアルファードが欲しい!」というユーザーも少なくないはず。ハイブリッドより80万円安い価格は魅力的だ。

 

それでもお値段は540万円。ちなみに2.5ハイブリッドのエグゼクティブラウンジE-Four は872万円。10年前なら中古フェラーリが買えた金額なのだから、「うーむ」と唸るしかない。

 

結論として、ルックスは個人的にアルファード推しだが、走りや快適性はヴェルファイア2.4ターボFF(655万円)が抜きん出ていた。見た目を取るか走りを取るか。それ以前にお財布との相談が必要だが、すでに納車待ちは1年以上、ヘタすると2年とか。「KINTO(リース)なら半年後の納車も可能」というトヨタ側の提案を検討せざるを得ないほど、人気大爆発のアルファード/ヴェルファイアなのであった。

SPEC【ヴェルファイア/Zプレミア・ターボガソリン車・2WD】●全長×全幅×全高:4995×1850×1945mm●車両重量:2180㎏●パワーユニット:2393cc直列4気筒ターボエンジン●最高出力:279PS(205kW)/6000rpm●最大トルク:430Nm/1700-3600rpm●WLTCモード燃費:10.3㎞/L

 

一部撮影/清水草一

 

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フルモデルチェンジで納車は1年先!?「5代目プリウス」人気のヒミツ【2023年上半期売れたモノSELECTION 乗り物編】

『GetNavi』が選ぶ「2023年上半期売れたものSELECTION」。今回は「乗り物編」から、トヨタ 5代目プリウスをピックアップ。フルモデルチェンジをして納車は1年先とも言われる人気のヒミツに迫ります!

※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです

 

ハイブリッドカーのパイオニアは走りとスタイルが大変身!

トヨタ
プリウス
320万円〜460万円

8年ぶりにフルモデルチェンジ。歴代モデルでもっともスポーティなデザインを採用している。スポーティさはデザインだけでなく最高出力152PSの2ℓエンジンを新開発するなど、高い走行性能も魅力となった。

↑外部からの充電も可能なPHEVモデルも登場。バッテリー搭載位置などで、いまのところ2WDモデルのみだ

 

↑近未来的なインパネ。メーターは独立した7インチ、センターディスプレイはグレードによりサイズが異なる

 

↑新たに設定された2lエンジンのハイブリッドモデル。システム最高出力は従来比1.6倍の196PSを誇る

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>自動車ライター・海野大介さん
専門誌からフリーに転向しウェブを中心に活動。1級小型船舶操縦免許や国内A級ライセンスを持つ。

納車は1年先とも言われる人気っぷり

「日本自動車販売協会連合会の5月新規登録台数では9233台で、トヨタのヤリスに次ぐ2位に浮上。受注台数は非公開ですが、1〜5月までに月販基準台数の約1.7倍になる3万5000台以上は販売済みです」(海野さん)

売れ行き:★★★★
革新性:★★★★★
影響力:★★★★

 

元祖ハイブリッドカーはデザインと走りが激変!

今年1月にフルモデルチェンジしたプリウスは「ハイブリッド・リボーン」が基本コンセプト。それは同車の強みでもある燃費をはじめとする高い環境性能に加え、「ひと目惚れするデザイン」や「虜にさせる走り」を兼ね備えたモデルに変化させたことだ。

 

「特にボンネットからAピラーが一直線につながるあたりは、まさにスポーツカー。さらに先代よりも45mmも低くした全高は1420mmと、こちらもまさしくスポーツカー並みです」(海野さん)

 

プリウスのアイコン的デザインと言える、「モノフォルムシルエット」を引き継ぎながら低重心かつスタイリッシュなプロポーションにしているのが新型の特徴だ。

 

走りの良さも人気のポイント。第2世代となったTNGAのプラットフォームは高い剛性と低重心化を実現しており、新しく搭載された2lエンジンは従来モデルの1.6倍の最高出力を誇る。

 

「走り出せば、パワフルな加速はもちろんのことステアリングのレスポンスも俊敏です」(海野さん)

 

タイヤは19インチながらも幅を狭くして空気抵抗を減らすなど細かいところも抜かりがない。先進安全・運転支援システム「トヨタセーフティーセンス」も標準装備し、全方位的に魅力のあるクルマに仕上がっている。ヒットも納得だ。

 

元祖ハイブリッドカーの歴史をおさらい!

■初代(1997〜2003)
世界初の量産ハイブリッドカー。1.5lエンジンにモーターを組み合わせ、当時の10・15モード燃費では28km/lを実現した。

 

■2代目(2003〜2009)
5ドアハッチバックへ変化。ハイブリッドシステムも進化し、4人乗りハイブリッドカーとしては世界最高の燃費35.5km/lを実現。

 

■3代目(2009〜2015)
エンジンが1.8lへ拡大し、燃費は世界トップクラスの38.0km/lに。また大きくなったボディで室内の快適性も向上している。

 

■4代目(2015〜2023)
新プラットフォームを採用。ハイブリッドシステムの小型軽量化を図るなどの改良で、驚異的な40.8㎞/ℓの燃費を達成した。

 

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クルマの神は細部に宿る。【GRカローラ限定モデル「モリゾウエディション」編】すでに完売! 会長肝いりの限定車の実力は?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、すでに買うことができなくなった、GRカローラの限定モデル「モリゾウエディション」を取り上げる!

※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。

安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。

 

【今月のGODカー】

TOYOTA
GR COROLLA

SPEC【RZ・MORIZO Edition】●全長×全幅×全高:4410×1850×1475㎜●車両重量:1440kg●パワーユニット:1618㏄直列3気筒+ターボ●最高出力:304PS(224kW)/6500rpm●最大トルク:400Nm/3250〜4600
rpm●WLTCモード燃費:非公表

715万円(通常のGRカローラ RZは525万円)

 

豊田章男会長の肝入りの絶滅危惧種

安ド「殿! 今回のクルマは、“マシン”と呼んだほうがふさわしい気がします!」

永福「うむ。まさしくマシンだ」

安ド「ホンダのシビックタイプRもすごかったですが、コレはもっと戦闘的ですね!」

永福「新型シビックタイプRは見た目がジェントルだが、このGRカローラは、かつてのランサーエボリューションを彷彿とさせる」

安ド「リアウイングはないですが、重武装した感じが、どことなくガンダムっぽいですね!」

永福「考えてみれば、ランエボが消滅してはや8年。インプレッサWRX STIもなくなった。GRカローラは、GRヤリスとともに、いまや貴重なガンダム系マシンというわけだ」

安ド「絶滅危惧種ですね!」

永福「なかでもこのモリゾウエディションは、モリゾウことトヨタの豊田章男会長の肝入りだ」

安ド「なにしろ軽量化のために、リアシートは取り外されていて、定員2名です!」

永福「うむ。リアシートのあった部分にバーが渡されているが、あれは間違って人が座らないためなのか?」

安ド「いえ、ボディ補強バーらしいです!」

永福「確かにボディ剛性がすごかった。ポルシェかと思ったぞ」

安ド「ものすごくしっかりしてますね! 304馬力の加速も凄くて、身体がシートに押さえつけられました! でも、どこか安心感があるのは、優秀な4WDシステムや、電子制御のおかげなんでしょうか」

永福「大雨のなかで走っても、微塵も不安を感じなかった。すごいマシンだ。しかし、もうとっくに買えないらしいな」

安ド「モリゾウエディションは70台限定の抽選販売でしたが、宝くじ並みの倍率だったようです!」

永福「マニア垂涎の希少マシンというわけだ」

安ド「715万円もするのに、欲しい人がいくらでもいるのは不思議ですね!」

永福「800万円出せばレクサスIS500が買えると思うと715万円はずいぶん高いが、なにしろこんなモデル、もう二度と出ないだろうからな」

安ド「このクルマで走り屋が集まる首都高速の大黒パーキングエリアにいたら、カーマニアたちがわらわら集まってきました!」

永福「心温まる話だ」

安ド「トヨタの古いホットハッチ乗りや、インプレッサのWRX乗りの人たちだったんですが、インプレッサのグループは、『もうラリー系のスポーツモデルはこれくらいですから!』と、目を輝かせて写真を撮りまくってました」

永福「三菱やスバルは撤退したが、トヨタは世界ラリー選手権で頑張っているからな」

安ド「トヨタってすごいですね!」

永福「うむ。トヨタがコケれば日本がコケる」

安ド「コケないで欲しいです!」

 

【GOD PARTS 神】リアシートレス

スポーツ走行のために必要ないモノを撤去!

「モリゾウエディション」を開発するにあたり、ボディ剛性の強化が徹底されました。しかしそうなると車体が重くなってしまうのですが、このようにリアシートを撤去することで約30㎏も軽量化されています。利便性より走行性能、見るだけで気持ちがたかぶります。もちろんメーカーによる改造ですから、内装の内張りもしっかりしていてチープさは感じられません。

 

【GOD PARTS 1】ブレーキ

本来の性能はもちろん色と文字もスポーツ性高し!

赤いカラーが戦闘的な雰囲気を感じさせるだけでなく、そこに刻まれた「GR」の文字が国産車好きやラリークルマ好きカーマニアの目を惹きます。対向キャリパー式ということで、コントロール性が高く、安定感のある制動力を発揮してくれます。

 

【GOD PARTS 2】ハイグリップタイヤ

幅広タイプでより速く安定した走りを楽しめる

「モリゾウエディション」には、ベースのGRカローラより10㎜幅広いタイヤが装着されています。ベース車でも235㎜とスポーツ走行には十分なくらい幅広いのですが、これでコーナリング時の安定性やブレーキ性能もさらに高めてくれそうです。

 

【GOD PARTS 3】マットスティール

高級感あふれる特別なボディカラー

「モリゾウエディション」だけに特別に設定された「マットスティール」という名前からしてカッコ良いボディカラーが採用されています。このようなツヤ消しのメタリックブラックは、近年メルセデスなどの高級車でもよく見かけます。

 

【GOD PARTS 4】エンジン

特別チューンされたターボで武装

「3気筒」と聞くと非力そうですが、これはラリーベースのGRヤリスに搭載されたターボエンジンをさらに強化したもの。4WDシステム「GR-FOUR」とともにリセッティングされていて、速さと伸びの良さを実感できます。

 

【GOD PARTS 5】トランスミッション

モリゾウエディションでさらに高められた効率性

「モリゾウエディション」では、通常のGRカローラよりギア比を最適化。運動性能が向上し、素早いシフト操作がしやすくなっています。さらに、「iMT」ボタンを押せば、自動でエンジン回転数を調整してくれます。

 

【GOD PARTS 6】セミバケットシート

スポーツシートながら使いやすい仕様

バケットシートは身体を包み込む形状で、コーナリング中などに着座位置がズレるのを防いでくれます。しかしこれは「セミバケット」。リクライニングもできるし、ホールド性も若干の余裕があって日常使用でも使いやすい仕様です。

 

【GOD PARTS 7】モリゾウサイン

ウインドウガラスにサイン入り

GRカローラは当初一般販売予定でしたが、コロナ禍や半導体不足の影響により500台のみ抽選販売されました(現在追加販売を検討中)。サインが入った「モリゾウエディション」は最初の70台限定。貴重です!

 

【GOD PARTS 8】バンパー&ボンネット

戦闘的でラリーカーの装い

冷却効果や空力性能強化のために、バンパー形状はワイルドになっていて、ボンネットフードとフェンダーにはアウトレット(空気穴)が設けられています。フェンダーも拡幅され、筋肉質に仕上がっていて、ラリーカーイメージがビンビンです!

 

【GOD PARTS 9】ステアリング

滑りにくくて操作も安心

「モリゾウエディション」のみの装備として、ステアリングに「ウルトラスエード」と呼ばれる毛羽だった表皮が採用されています。これは見た目のスポーティさを向上しながら、滑りにくく、ドライビング操作を確実なものにしてくれます。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

注目はキレキレのデザインだけじゃない! 新型トヨタ「プリウス」試乗レビュー

ハイブリッドの選択肢が豊富ななか、その元祖であるプリウスが独自の魅力を満載して登場。今回は劇的に生まれ変わったトヨタ「プリウス」をピックアップ。

※こちらは「GetNavi」 2023年7月号に掲載された記事を再編集したものです

 

大胆なスタイリングに相応しい走りも楽しめる!

トヨタ
プリウス

SPEC【Z(FF)】●全長×全幅×全高:4600×1780×1430mm●車両重量:1420kg●パワーユニット:1986㏄直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:152[113]PS/6000rpm●最大トルク:19.2[21.0]kg-m/4400〜5200rpm●WLTCモード燃費:28.6km/l
●[ ]内は電気モーターの数値

 

見よ、この劇的に生まれ変わった姿を! 低くワイドでフロントウインドウの角度はスーパーカー並み。タイヤも19インチを履く。乗降性や後席の居住性は推して知るべしだが、こんなにスタイリッシュになるとは予想外だった。

 

それだけではない。スポーティなルックスに相応しく、走りもスポーツカー顔負けの仕上がりだ。新たに主力に位置づけられた2lハイブリッドは、従来型と同等の低燃費を達成しつつ胸のすくような加速感や俊敏なレスポンスを実現している。ハンドリングも、まさに意のまま。ドライブフィールも、これまでとは一線を画する出来映えだ。また4WDのE-Fourでは走りの一体感がより高まり、舗装路しか走らない人にも積極的に薦めたくなる。

 

さらに新型はPHEV(プラグイン・ハイブリッド)もスゴい。EV走行距離が最大105kmと大幅に向上したのも大したものだが、ハイブリッド比で約1.5倍の出力を持つ強力なモーターを搭載。6.7秒という0〜100km/h加速は、ハイブリッドより0.8秒も速く静粛性にも優れる。加えて外部給電機能も標準装備だ。

 

いまやハイブリッドの選択肢が豊富ななか、その元祖であるプリウスが独自の魅力を満載して登場したことは大いに歓迎したい。

 

PHEV仕様は一層高性能に!

19インチタイヤ装着車では87㎞だが、17インチ仕様ではEV航続距離が105㎞に。2WDのみだが電気モーターも高性能化されている。

 

サイズを考えると少し控えめ

荷室容量は、後席を使用する通常時で284〜370l(バックドアガラス下端まで)。ボディサイズに対しては若干ながら控えめだ。

 

パワーユニットは2タイプ

ハイブリッドシステムのエンジンは、KINTO専用車が1.8ℓ。その他のグレードはPHEVも含めて新開発の2lユニットを搭載する。

 

受け継いだのはボディ形状だけ?

5ドアハッチバックというボディ形状こそ先代と変わらないが、モノフォルムを強調する外観は実にスタイリッシュ。個性的な造形のライトまわりはフルLED化されている。

 

電気駆動モデルらしさを強調する作り

インパネはドライバー正面に7インチのトップマウントメーターを装備するなど、電気駆動モデルらしさを強調する仕立て。室内は前後席ともに十分な広さを確保する。

 

構成/小野泰治 文/岡本幸一郎 撮影/郡 大二郎

専門家が厳選! スポーティな走りを楽しめるステーションワゴン6選

セダンの利便性はそのままに、荷室スペースを拡大した2ボックスモデルがステーションワゴン。その魅力は使い勝手の良さがおもにクローズアップされがちだが、美しいデザイン、そして低い重心がもたらすスポーティな走りこそ真骨頂。今回は、自動車ライター・海野大介さんに、低重心のスタイルが生む安定した走りが魅力な6台のステーションワゴンを選んでもらった。

※こちらは「GetNavi」 2023年6月号に掲載された記事を再編集したものです

 

【私が選びました】

自動車ライター・海野大介さん

ウェブを中心に活動する自動車ライター。国内A級ライセンスと1級小型船舶という、趣味性の高い資格を保持。

 

水平対向エンジンを搭載するスポーティワゴン

SUBARU
レヴォーグ
310万2000円〜414万7000円

レガシィツーリングワゴンに代わるステーションワゴンとして2014年にデビュー。現行モデルは2020年にデビューした2代目になる。低重心を生み出すSUBARU伝統の水平対向エンジンを搭載し、スポーティな走りが魅力だ。

SPEC【GT-H EX】●全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm●車両重量:1570kg●パワーユニット:1795cc水平対向4気筒DOHC直噴ターボ●最高出力:177PS/5200〜5600rpm●最大トルク:30.6kg-m/1600〜3600rpm●WLTCモード燃費:13.6km/l

 

↑運転支援システム「アイサイト」は全モデルに標準装備。グレードによってはより進化した「アイサイトX」を装備するモデルもある

 

↑荷室床下に290㎜の深さを持つ大型のサブトランクを装備。底面からルーフまでは最大1105㎜の高さがあり、大きな荷物も積載可能だ

 

↑主力エンジンは177PS/300Nmを発揮する1.8l直噴ターボ。低回転域から最大トルクを発揮するので扱いやすいのが特徴だ

 

【ココがスポーティな意匠】低重心のエンジンとAWDの安定した走り

なんといっても低重心を生み出す水平対向エンジンとSUBARU独自のシンメトリカルAWD。コーナー進入時もしっかりと路面を捉え続け、立ち上がりの良さも抜群だ。

 

マイルドハイブリッドが高い環境性能を実現

メルセデス・ベンツ
Cクラス ステーションワゴン
622万円〜1202万円

無駄を削ぎ落としたスポーティなデザインが魅力のモデル。現行モデルでは全グレードでマイルドハイブリッドを採用する。モーターによる高効率なエネルギー回生やブースト機能が、高度な環境性能と気持ち良い走りを実現。

SPEC【C 200 Stationwagon AVANTGARDE】●全長×全幅×全高:4755×1820×1455㎜●車両重量:1700kg●パワーユニット:1494cc直列4気筒DOHC●最高出力:204PS/5800〜6100rpm●最大トルク:30.6kg-m/1800〜4000rpm●WLTCモード燃費:14.2km/l

 

↑エンジンは1.5l直4ターボと2l直4ディーゼルターボの2つ。いずれも9速ATが組み合わされ、スムーズな加速を実現している

 

↑ディスプレイを多用したインパネ。正面は12.3インチ、コクピット中央のものは11.9インチだ。後者はドライバー側に傾けて設置される

 

【ココがスポーティな意匠】スポーツカー並みの旋回性能が楽しめる

メルセデスの特徴でもあるボディ剛性の高さは、足回りの安定感をより感じさせる。それはハンドリングの良さにもつながり、ロールの抑えられたコーナリングを楽しむことが可能だ。

 

伸びやかなルーフラインがスポーティさを強調

トヨタ
カローラ ツーリング
207万円〜304万8000円

いまや数少ないトヨタブランドのステーションワゴン。伸びやかなルーフラインがスポーティさを演出している。2021年にマイナーチェンジ。ガソリンエンジンとハイブリッドがあり、ハイブリッドのみE-Fourの4WDが設定される。

SPEC【W×B(ハイブリッド・2WD)】●全長×全幅×全高:4495×1745×1460mm●車両重量:1390kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+モーター●最高出力:98[95]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[18.9]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:27.3km/l

※[ ]内はモーターの数値

 

↑すべての電動モジュールを刷新したハイブリッドシステム。モーター出力は従来比+16%を実現した。パワーと燃費の高バランスが特徴だ

 

↑後席はワンタッチで格納可能な60:40の分割可倒式を採用。G以上のグレードにはセンターコンソール背面にUSB端子が備わる

 

【ココがスポーティな意匠】アクセル操作に忠実なパワー出力が魅力

アクセルやステアリング操作に対する反応が素直で扱いやすく、低重心パッケージのシャーシ特性と相まって気持ちの良いコーナリングが楽しめる。意外に低いドラポジも魅力。

 

クリーンディーゼルの追加で魅力が増したワゴン

アウディ
A4 アバント
508万円〜693万円

アウディを代表する人気車種、A4のワゴン版がアバントだ。A4としては5代目になり、2015年にデビュー。2020年には大幅なマイナーチェンジを受けた。ディーゼルエンジン搭載車もラインナップに追加され、魅力がいっそう高まった。

SPEC【35 TDI advanced】●全長×全幅×全高:4760×1845×1435mm●車両重量:1610kg●パワーユニット:1968cc直列4気筒DOHCターボ●最高出力:163PS/3250〜4200rpm●最大トルク:38.7kg-m/1500〜2750rpm●WLTCモード燃費:17.1km/l

 

↑デザインは同じだが、アバントの後席はセダンよりも座面から天井までの高さがある。35TFSI以外は3ゾーンのエアコンを標準装備する

 

↑ラゲッジルームは後席を使用した状況で495ℓの容量を確保。40:20:40の可倒式後席を倒せば1495ℓの大容量荷室が出現する

 

【ココがスポーティな意匠】実用域でも楽しめるエンジンとハンドリング

ディーゼル特有の厚いトルクは低回転域での加速に優れ、クルマはステアリング操作に対し正確に反応する。正確だが穏やかなレスポンスなのでリラックスして運転できる。

 

独自の車両制御技術で卓越した操縦性を誇る

マツダ
MAZDA 6 ワゴン
296万2300円〜385万8800円

2019年のマイナーチェンジ時にアテンザから世界共通名のMAZDA 6に名称変更。現行モデルは2012年にデビューした。マツダ独自の車両制御技術により、ステーションワゴンながらスポーツカー並みのハンドリングが魅力だ。

SPEC【XD Sport Appearance】●全長×全幅×全高:4805×1840×1450mm●車両重量:1630kg●パワーユニット:2188cc直列4気筒DOHCディーゼルターボ●最高出力:200PS/4000rpm●最大トルク:45.9㎏-m/2000rpm●WLTCモード燃費:17.8km/l

 

↑ソフトパッドを多用し高いインテリアの質感も定評があるマツダ6。8インチのセンターディスプレイはスマホとの連携も可能だ

 

↑豊かなトルクで力強い走りを実現するディーゼルエンジン。それまでの回らないディーゼルの概念を変えたパワーユニットでもある

 

【ココがスポーティな意匠】ドライバーの意図に忠実で安定した挙動が堪能できる

ホイールベースが短くても安定した直進性を持ち、ドライバーの意図に忠実でリニアなステアリングフィールを誇る。安定した挙動はロードスターに通じる爽快感が感じられる。

 

PHEVが追加されたバカンスの国のワゴン

プジョー
308SW
362万1000円〜576万6000円

コンパクトモデルの308に設定されるワゴンがSW。現行モデルは2022年に発表され308としては3代目になるモデルだ。パワー・オブ・チョイスのコンセプトに基づいてガソリン、ディーゼル、PHEVと合計3つのパワートレインを設定する。

SPEC【GT・ハイブリッド】●全長×全幅×全高:4655×1850×1485mm●車両重量:1720kg●パワーユニット:1598cc直列4気筒DOHCターボ+モーター●最高出力:180[110]PS/6000rpm●最大トルク:25.4[32.6]kg-m/1750rpm●WLTCモード燃費:17.5km/l

●[ ]内はモーターの数値

 

↑インパネはステアリングの上下がフラットで包まれ感のあるi-Cockpitを採用。308のものはディスプレイを多用した最新進化版だ

 

↑シートの良さに定評ある308。現行モデルで採用されたシートはAGR(ドイツ脊椎健康推進協会)に認められた人間工学に基づくもの

 

【ココがスポーティな意匠】帰ってきた「ネコ足」は剛性感たっぷりで快適

一時はドイツ車的な固い足回りのセッティングだったが、柔らかく深くロールし、粘りのある走りが特徴の「ネコ足」が復活。高い剛性感が特徴だが、都市部でも快適に走行可能だ。

「お高いハリアーPHEVに価値ある?」→超快適な乗り心地にV8を積んでいるかの加速で大アリ

国産ラグジュアリーSUVの先駆として1997年に国内市場に登場したトヨタ ハリアー。2020年に発売された現行型である4代目モデルは、質感やデザイン性が従来モデルからさらに高められ、販売も好調だ。その人気を維持、向上すべく、2022年10月には一部改良が施されると同時に、PHEV(プラグインハイブリッド車)が追加された。SUVとしては早くからハイブリッドモデルが投入されていたハリアーだが、シリーズ初となるPHEVモデルの完成度ははたしてどれほどのものか?

 

■今回紹介するクルマ

トヨタ ハリアーPHEV

価格:620万円(税込)

 

衝撃的な売れ行きのハリアー。でもお高いPHEVモデルに価値はあるの?

トヨタの高級SUVであるハリアーが猛烈に売れている。少し前まで、アルファードが月に1万台レベルで売れまくり、「狂ったように売れている」と話題になった。だが、いまはハリアーがメチャメチャ売れている。上級モデルでありながら、月平均7000台を超えているのだから、衝撃的な売れ行きと言っていい。

 

ハリアーの魅力は、高級感あふれるエレガントな内外装と、乗り心地の良さだろう。いまやどんなクルマも、加速や燃費はそこそこよくて当たり前。勝負は高級感と快適さなのである。

 

そのハリアーに、PHEVが加わった。シャシーベースが共通のRAV4には、以前からPHEVの設定があったが、ハリアーは、今回のマイナーチェンジのタイミングで追加された。

↑側面には「PLUG-IN-HYBRID」のロゴがあしらわれています

 

前述のように、ハリアーの魅力は内外装と乗り心地にあった。加えて、最安312万円(税込)からという価格も競争力抜群だ。一方、ハリアーPHEVの価格は620万円。最安グレードが2台買える値段である。それだけの価値はあるのか?

 

乗り心地のフワフワ感とトルク満点の走りで気分は大富豪である

乗って驚いた。すばらしくイイのである。内外装はハリアーのトップグレード「Zレザーパッケージ」に準ずるが、乗り心地はふんわりソフトで超絶快適!

↑シートは本革で見た目にも高級感が漂います。シートに施されたダークレッドのステッチもアクセントに

 

クルマは重量が増せば増すほど乗り心地を良くすることが可能だが、ハリアーPHEVは、バッテリー搭載によってハイブリッドに比べて約200kg増えた重量をうまく使って、すばらしい乗り心地を実現している。ほかのハリアーも快適ながら、PHEVはその一段上。思わず「えええ~っ!」と声が出るほど快適なのである。

 

しかも、加速がものすごい。エレガントな乗り心地とは裏腹に、暴力的なまでに出足がイイ。それもそのはず、2.5Lのダイナミックフォースエンジン(177ps/219Nm)と、フロント270Nm、リア121Nmのモーターを使ったシステム最高出力は、なんと306psに達する。

 

馬力もすごいが、それよりすごいのがトルクだ。乗り心地がフワフワと快適でトルク満点の走りは、かつての大排気量アメ車を彷彿とさせる。特にスポーツモードでは、アクセルレスポンスがウルトラシャープで、思わず「うおおおお!」と叫んでしまう。見晴らしのいいSUVでこの加速が炸裂すると、気分は大富豪である。

 

ハリアーには従来、2.0Lガソリンモデルと2.5Lハイブリッドモデルがあった。2.0Lガソリンは、排気量のわりに低速トルクがあり、重量級のボディをそれなりに走らせてくれるが、高速道路での加速は物足りなかった。2.5Lハイブリッドなら、全域でぐっと力強い加速を見せるが、こちらも特段速い部類ではない。

 

しかし今回追加されたハリアーPHEVは、明確に速い! V8でも積んでいるのか? と思うほど速いのである。実際、モーターのトルク特性は大排気量V8エンジンに近い。

↑2.5Lの直列4気筒DOHCエンジンを搭載。エンジンのみの最高出力は130kW(177ps)を実現しており、そこにフロントとリアのモーターが加わります

 

620万円という価格は決して安くはない。しかし従来のトップグレードだった「Z レザーパッケージE-Four」は514万円だ。プラス106万円でこの乗り心地と加速なら、高くないのではないだろうか?

外観の差別化は小さい

ハリアーPHEVの外観上の特徴は、ブラックアウトされたメッシュフロントグリルや、19インチ(タイヤサイズ:225/55R19)の大径ホイール、そしてPHEVバッヂ程度。

↑前面はメッシュフロントグリルのほかに、ワイドに広がるヘッドランプも特徴

 

今回の試乗車はボディカラーがガンメタだったため、ほかのグレードとの見分けは難しい印象だったが、ハリアーのエクステリアはもとから十分カッコいいので、差別化が小さいことに対する不満はない。内装に関しては、赤のステッチやパイピングがシートやダッシュボードまわりにアクセントとして入る。

↑外観デザインを見ると、フロントからリアに流れるようなシルエットが印象的です。なお、ボディサイズは4740×1855×1660mm

 

↑フラットなラゲージスペースは、ゴルフバッグ3個分収納できます。また、スライド式のデッキボックスを装備し、デッキボード下収納にアクセスしやすいほか、ハリアーPHEVには充電ケーブル用の収納スペースを用意

 

燃費は見劣りするが、EVモードなら近所にお出かけ可能(ただしゼイタク者に限る)

では、燃費はどうか。ハリアーハイブリッドは、WLTCモード21.6km/L(E-Four)。PHEVは車両重量が210kg重いため(1950kg)、WLTC燃費は20.5km/Lと若干落ちるが、これはPHEVのEVモード走行を無視した数値だ。

 

PHEVの駆動用バッテリーは18.1kWhの容量があり、EVでの航続可能距離は93kmある。実際にはその7掛け、つまり60km程度がEVモードの走行可能距離になり、近所のおでかけならEVモードでカバーできる。

↑充電は付属の充電ケーブルとコンセントをつなぎます。200V/16Aで充電時間は約5時間30分。ただし専用の配線工事が必要で、工事なしだと100V/6Aで充電可能。その場合は約33時間で満充電となります

 

もちろんそのためには、車庫に普通充電設備が必要。つまり、車庫付き一戸建ての住人にのみ許されたゼイタクではある。ハリアーでゼイタクを満喫したいなら、間違いなくPHEVがベストだ。

 

最後に、残念なお知らせ。ハリアーPHEVは注文の殺到と生産能力不足によって、発売前から受注停止となり、当分発注すらできそうにない。早くなんとかしてもらいたいものだ。

 

SPEC【プラグインハイブリッド E-Four・Z】●全長×全幅×全高:4740×1855×1660mm●車両重量:1950㎏●パワーユニット:2487cc直列4気筒エンジン+フロント&リアモーター●エンジン最高出力:130kW(177ps)/6000rpm●最大トルク:219Nm/3600rpm●WLTCモード燃費:20.5km/L●電力使用時走行距離:93km

 

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クルマの神は細部に宿る。【LEXUS IS編】中高年カーマニアにとって、これ以上のクルマはない!?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回はレクサスのスポーツセダン「IS」に追加された新グレード、IS500をピックアップ! 永福ランプが惚れた理由は?

※こちらは「GetNavi」 2023年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。

安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。

 

【今月のGODカー】

LEXUS IS

SPEC【IS500“Fスポーツパフォーマンス ファーストエディション”】
●全長×全幅×全高:4760×1840×1435㎜●車両重量:1720㎏●パワーユニット:4968㏄V型8気筒エンジン●最高出力:481PS(354kW)/7100rpm●最大トルク:535Nm/4800rpm●WLTCモード燃費:9.0㎞/L

481万円〜850万円

 

中高年カーマニアにとって、これ以上のクルマはない!?

安ド「殿! 今回は殿の強い要望にお応えして、レクサスのIS500を取り上げます!」

永福「うむ。激しいまでの要望、いや欲望であった」

安ド「いまどき5.0L V8エンジンを積んだセダンなんて、ほかにないですよね!」

永福「そもそも、大排気量マルチシリンダー自然吸気エンジンそのものが絶滅寸前だ。メルセデスやBMWなどの欧州勢は、すべてターボ化しているので、地球上に残っているのは、コルベットやカマロなどのアメリカンV8と、トヨタの5.0L V8だけと言っていい。豪快かつ繊細なエンジンフィールは、まさに世界遺産級だ!」

安ド「同感です! 首都高に乗ってアクセルをベタ踏みしたら、強烈な加速で意識が遠のきました! 排気音の音量も上がり快音が聞こえてきて、なんというか、脳内でドバーッと汁が出た感じで、超気持ち良かったです!」

永福「うむ。これほど気持ち良いのは、自然吸気だからだ」

安ド「なぜドイツ勢は、みんなターボ化したんですか?」

永福「ターボのほうがパワーアップしやすいし、エンジンも軽量化できて、燃費を多少改善できるから……ということだろう。確かにIS500の最高出力は481馬力。対するBMW M3は550馬力だ」

安ド「それほど違わないじゃないですか!」

永福「たしかにそれほど違わない。カタログ燃費だってほとんど変わらない。実は今回IS500で燃費アタックをしてみたのだが、なんと14・5㎞/Lも走ったぞ」

安ド「ええっ! 僕のパジェロの2倍じゃないですか!」

永福「普通に走ったらリッター7〜8㎞だが、可変バルブタイミング機構により低速域でもトルクがあるから、ゆっくり巡航すれば驚くほど低燃費だ。トヨタの内燃エンジン技術はスゴイな」

安ド「こんなにパワフルなのに、その気になれば低燃費でも走れるなんて、本当にスゴイですね!」

永福「コーナリングも最高だ。フロントにはデカいV8エンジンを積んでいるから、曲がりずらいかと思ったら真逆で、常に前輪に重みがかかっているから、面白いように曲がる」

安ド「コーナーでは路面に張り付くように走れますね!」

永福「アクセルを踏めば無敵、ハンドルを切っても無敵。乗り心地も驚くほど良いし、ATだから渋滞でもラクチン。中高年カーマニアにとって、これ以上のクルマはないと断言できる」

安ド「ひょっとして、買うおつもりですか?」

永福「うむ。売ってくれればな」

安ド「えっ、これもやっぱり買えないクルマなんですか!!」

永福「最初の500台は競争率12倍で抽選になった。私も次の抽選に参加したいと思っているが、果たして抽選に混ぜてもらえるかどうか……」

 

【GOD PARTS 神】5.0L V8エンジン

名車の条件を満たすラインナップ数!

IS350は3.5L V6エンジン、IS300hは2.5L直4エンジン+モーターのハイブリッド、IS300は2.0L直4ターボエンジン、そしてこのIS500には、最もパワフルな5.0L V8エンジンが搭載されています。BMW3シリーズしかり、たくさんのエンジンがラインナップされていることは名車の条件ですね。

 

【GOD PARTS 01】ボンネット

気付く人は少ない!?フード上の細かな違い

スタンダードなISとはボンネットフードの形状が異なっています。通常は八の字のラインがある部分に縦のラインを2本走らせていて、スポーティさが強調されています。外観の変更がほぼないこのグレードにとって、数少ない特別な部分です。

 

【GOD PARTS 02】アルミホイール&ブレーキ

イケイケの専用ホイールと映えるブラック塗装

今回取材のために借りた500台限定の特別仕様車「ファーストエディション」には、細くて、しかし頑丈そうな専用19インチアルミホイールが採用されています。また、ブレーキキャリパーがブラック塗装されているのはIS500だけの特徴です。

 

【GOD PARTS 03】リアスポイラー

存在感は希薄だが計算されたサイズと形状

トランクの先端にちょこんと乗せただけのような薄くて小さなスポイラーが付いています。空気力学を研究し尽くして設計されたシロモノなのでしょう。スポーツセダンとしてはこれくらいがベストサイズなのかもしれません。

 

【GOD PARTS 04】リアパフォーマンスダンパー

足まわりだけでなくボディ全体の振動を吸収

IS500では「パフォーマンスダンパー」がフロントに加えてリアにも搭載されています。前後バンパー付近の左右にまたがる形で装着され、走行中、繰り返し発生している車体の変形や振動を抑えて、上質な乗り心地と操作性を実現します!

 

【GOD PARTS 05】フロントグリル

トヨタのヒストリーを感じさせる形状

クルマの印象を決定づけるグリルは、レクサスの特徴でもある「スピンドル」形状が採用されています。スピンドルとは紡績機の糸を巻き取る軸のことで、トヨタが自動織機業から身を起こしたことに通じていて、歴史のロマンが感じられます。

 

【GOD PARTS 06】ドアミラー

ブラック塗装が左右を引き締めスポーティな印象に

本来はボディ同色のドアミラーですが、この特別仕様車「ファーストエディション」では、特別にブラック塗装が施されています。よく愛車のボンネットなどを黒く塗装する人もいますが、これによってスポーティな雰囲気が増します。

 

【GOD PARTS 06】Fスポーツパフォーマンス専用エンブレム

よく見ると色が異なる小さな部分に見つける喜び

フロントフェンダーに装着されたこのエンブレムは、IS500の「Fスポーツパフォーマンス」にのみの装備で、IS350の「Fスポーツ」のそれとはカラーが異なっています。非常に小さな差異ですが、オーナーにとっては誇って良い部分かもしれません。

 

【GOD PARTS 07】4連エキゾーストマフラー

後方から見た人に強烈な印象を与える4本出し!

ボディ後方から見ると、吹き出し口が4本もあって強烈な印象です。これだけで後方を走っているクルマはビビります(笑)。また、ISには「ロアガーニッシュ」と呼ばれるディフューザーが付いていて、車体の下を通る空気を整えます。

 

【GOD PARTS 08】スエード&木目素材

特別仕様車だけに許された特別な質感と肌ざわり

やはり特別仕様車「ファーストエディション」のみの装着となってしまいますが、インテリアにはウルトラスエードと呼ばれる、肌触りが良くて滑りにくい素材があちこちに使われています。ステアリングのアッシュ木目も良い感じです。

トヨタのマルチプレイヤー「シエンタ」が愛される理由とは?

「NEW VEHICLE REPORT」はコンパクトミニバンの人気モデル、トヨタ「シエンタ」の新型をピックアップ。日本の環境にマッチした万能性に注目だ。

 

※こちらは「GetNavi」 2023年3.5月号に掲載された記事を再編集したものです

 

ミニバンの機能を凝縮したマルチプレイヤーぶりが魅力!

【ミニバン】

トヨタ

シエンタ

SPEC【ハイブリッドZ (7人乗り 2WD)】●全長×全幅×全高:4260×1695×1695mm●車両重量:1370kg●総排気量:1490cc●パワーユニット:直列3気筒DOHC+電気モーター●最高出力:91[80]PS/5500rpm●最大トルク:12.2[14.4]kg-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:28.2km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

ハイブリッドとガソリンとで走りの味付けを差別化

最大で7人が乗れる3列シートのミニバンでは、もっともコンパクトなシエンタが生まれ変わった。従来とはガラリと変わり、四角くて丸い造形となったのはご覧の通り。各部の黒い部分は見た目のアクセントとなっているだけでなく、ぶつけやすい部分のキズを目立たなくする効果もある。

 

コンパクトならではの取り回しの良さはシエンタの強み。このサイズが良いというユーザーの声に応え、車体形状はスクエアになりながらも全長と全幅に変更はなく、全高だけ20mm高くなった。

 

これによりスライドドア開口部の天地高が増して乗り降りしやすくなったほか、室内高も拡大して頭まわりの余裕が増していることが、特に2列目に乗るとよくわかる。ソファのような生地のシートの座り心地も申し分ない。

 

ボディ後部の車内空間が極めて合理的な作りとなっているのは従来通り。3列目シートは小さくて簡素なものだが、成人男性もそれほど苦もなく座れ、いざというときには助かる。もちろん不要なときは2列目床下に格納でき、荷室を広く確保することもできる。

 

その走りは、新世代プラットフォームであるTNGAを導入したことも効いて、見た目からイメージするほど重心の高そうな感覚はない。正確でしっかりとした手応えのあるステアリングフィールを実現し、走りの質も高まった。

 

ハイブリッドは出足のレスポンスが良く、力強くて乗りやすい。3気筒ながら各部に施された対策により音や振動が小さく抑えられているので、走行中も車内でストレスなく会話できる。また、ライド感はしっとりとしていて、特に新たに後輪をモーター駆動するE-Fourとなった4WDの上質感は、非降雪地に住むユーザーにも積極的に勧めたいほどだ。

 

一方のガソリン車は軽快なドライブフィールに加え、エンジンの吹け上がりをより楽しめるような味付け。キャラクターはかなり異なるが、どちらも燃費が非常に良い点は共通している。

 

トヨタの最新モデルらしくインフォテインメントや先進運転支援装備も充実。このクラスでこれ以上マルチなクルマはない。

 

[Point 1]ボディは5ナンバーサイズをキープ

「シカクマル」がデザインテーマという新型のボディは、全高こそ拡大されたが日本の5ナンバーサイズをキープ。随所に先代の面影を残しつつ、ミニバンらしい合理性を感じさせる仕立てになった。

 

[Point 2]親しみやすさと実用性がハイレベルで調和した作りに

デザイン性の高さも感じさせるドアポケットなど、随所に設けられた収納スペースは実用性の追求だけにとどまらない作り。背の高いミニバンということで、後席へ送風する天井サーキュレーターを装備できる点も日本のミニバンらしい。

 

[Point 3]細部に至る使い勝手の良さはニッポンのミニバンならでは

絶対的な広さに加え、2列目シート(スライド機構付き)の使い勝手に配慮した1列目シートバックの仕立てなど、細部に至る配慮は日本生まれのミニバンらしい。サイズを考えれば3列目も納得の広さだ。

 

[Point 4]ユーティリティの高さは外観のイメージ通り

ウッドデッキ風のフロアボードを用意する荷室は、もちろん絶対的な広さも十分。7人乗りの3列目シートは、2列目下にコンパクトに格納可能だ。5人乗りと同等の使い勝手を実現している。

 

[Point 5]2本立てとなるパワートレイン

パワートレインは1.5Lハイブリッド(写真)と1.5Lガソリンの2本立て。先に登場したヤリス クロスなどと同じ構成だ。

 

[Point 6]最新世代のTNGA採用で基本性能を底上げ

最新のTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)採用で、クルマとしての性能も全方位的に底上げ。その走りは、先代より質感が向上していることも実感できる。

 

[ラインナップ]

 

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文/岡本幸一郎 撮影/市 健治、篠原晃一

トヨタ「クラウン」が新時代に突入! 大改革を果たしつつ従来の機能の美点は継承した国際派へ

今回の「NEW VEHICLE REPORT」は「クラウン」の新機軸について特集。「クラウン」はトヨタのブランドのひとつだが、長い歴史に裏打ちされた伝統がある。その一方で歴史あるブランドを守り続けるからこそ、それ相応の変化も必要となる。トヨタ「クラウン」の新機軸に触れてみた。

 

※こちらは「GetNavi」 2023年02・03合併特大号に掲載された記事を再編集したものです

 

大変革の16代目は国際派へと転身か

【SUV】

トヨタ

クラウン・クロスオーバー

SPEC【RS アドバンスト】●全長×全幅×全高:4930×1840×1540mm●車両重量:1920kg●総排気量:2393cc●パワーユニット:直列4気筒DOHC+ターボ+電気モーター×2●最高出力:272(82.9/80.2)PS/6000rpm●最大トルク:46.9(29.8/17.2)kg-m/2000〜3000rpm●WLTCモード燃費:15.7km/L

 

大変革しながらも従来の機能の美点は継承

トヨタでは最長寿の乗用車ブランドにして、保守派高級セダンの筆頭格でもあったクラウンに大変革の大ナタが振るわれた。2022年7月の発表時には4種ものボディ形態が揃えられることも明らかになったが、その先陣を切って発売されたのが今回の「クロスオーバー」。外観はネーミング通りにセダンとSUVを融合させた個性的な佇まいが印象的で、先代から受け継いだ要素は感じられない。しかし、高級セダンとしての後席の空間作りや独立した荷室、そして後輪操舵の採用で実現した取り回しの良さといった機能上の持ち味はしっかり継承されている。

 

エンジンは、ガソリンの2.5L自然吸気と同2.4Lターボの2種で、いずれも前後にモーターを搭載。駆動システムはグレードを問わずハイブリッドの4WDとなる。また、後者では6速AT採用している点も目新しい。

 

その走りは、確かにクラウンが新時代に突入したことを実感させるものだ。たとえば、従来モデルは(一部例外はあったが)良くも悪くも路面から切り離されたようなライド感が特徴だったが、新型のそれは欧州車の風味付けに変化。一方、静粛性の高さは相変わらずで2.4Lターボでは高級車らしい操舵感やダイレクトなアクセルレスポンスも楽しめる。その意味で新型クラウンは、全般的に作りが国際派になったことが最大の変化と言えるかもしれない。

 

[Point 1]機能的でカジュアルな風情も演出

ハイブリッドらしく、インパネ回りの設計は多機能ディスプレイが主体。運転支援関連の装備も、当然ながら最先端レベルだ。内装のカラーについても豊富な選択肢を用意する。

 

[Point 2]外観は個性的でボディカラーの選択肢も豊富!

近年欧州車で流行のクーペ風SUVにも通じるテイストの外観は実に個性的。ボディカラーも大胆な塗り分けの2トーンが6色、モノトーンが6色の合計12色と豊富な選択肢を用意する。

 

[Point 3]セダンの機能を継承して荷室はキャビンから独立

荷室はキャビンから独立。容量は450Lで、後席中央のアームレスト部分にトランクスルー機能を備える。長尺物の積載も可能だ。

 

[Point 4]パワートレインは全車ハイブリッド4WD

エンジンはガソリンの2.5L(写真)と2.4Lターボの2種。いずれも前後に電気モーターを組み合わせたハイブリッド4WDとなる。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/ミッション/駆動方式/税込価格)

RS:2.4L+ターボ電気モーター×2/6速AT/4WD/605万円

RSアドバンスト:2.4L+ターボ電気モーター×2/6速AT/4WD/640万円

G:2.5L+ 電気モーター×2/電気式無段変速/4WD/475万円

Gレザーパッケージ:2.5L+ 電気モーター×2/電気式無段変速/4WD/540万円

Gアドバンスト:2.5L+ 電気モーター×2/電気式無段変速/4WD/510万円

Gアドバンスト・レザーパッケージ:2.5L+ 電気モーター×2/電気式無段変速/4WD/570万円

X:2.5L+ 電気モーター×2/電気式無段変速/4WD/435万円

 

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文/小野泰治 撮影/市 健治、郡 大二郎

改めて「カローラ スポーツ」に乗ってみたら…ハッチバックの最新存在意義

過日、カローラ クロスの試乗記事でも紹介したが、カローラは日本のスタンダードカーとして長期に渡って販売されてきたモデル。そのカローラシリーズのなかでも、ハッチバックタイプの「カローラ スポーツ」は現行型で最初に登場した。ハッチバックならではの魅力はどこにあるのか、ピックアップして見ていこう。

 

■今回紹介するクルマ

トヨタ/カローラ スポーツ

※試乗グレード:G “Z”(ガソリン・2WD)

価格:220万円~289万円(税込)

 

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日本ではブームが終わっているけども……

現行型カローラは、まずこのハッチバックの「カローラ スポーツ」が2018年にデビューしたのを皮切りに、セダンの「カローラ」とワゴンの「カローラ ツーリング」が登場。その後、2021年にSUVタイプの「カローラ クロス」が発売され、現在は4兄弟という構成になっている。

 

クルマ自体は、カローラらしくすごくまっとうに、それでいて現代的に作りました! という最新モデルだが、4種類ものボディタイプから選べるクルマは、ほかを探してもなかなかない。実はこのハッチバックはカローラファミリーに復帰したモデルであり、先代型は「オーリス」という車名で販売されていた。余談だが、現行型も海外の一部地域では当初「オーリス」という名称で販売されたが、現在では改めて「カローラ」という名称に統一されている。

 

しかし4つのボディタイプがあるとはいえ、後になって追加されたSUV以外、セダンもワゴンも、そしてハッチバックも、正直なことを言えば、日本ではすでにブームが終わっているジャンル。個人的にオーリスが好きだったこともあり、「もしまたなくなってしまったら……」と考え、「今のうちに乗らなきゃいかん」という衝動に駆られて(笑)、借りだしてみた。なお、2022年10月にマイナーチェンジを受けて、パワートレインを刷新、安全・快適装備をアップグレードしている。

↑ラゲージスペースは9.5インチゴルフバッグが2個積める、352Lの容量を備えています

 

トヨタのこだわり、演出が随所に感じられるデザイン

フロントまわりのデザインは、ひと言でいってシャープだ。セダンやワゴンも同様のテイストだが、極力キャラクターラインを減らし、面は面として強調しつつも、ヘッドライトやグリルなど顔全体の構成物が中央のエンブレムに収束されている感じ。キリッとしていて、若干怒っているような表情に見えるのは、現在のカーデザインのトレンドにのっとったもの。

↑LEDライトを横方向に配置したヘッドライト。1灯の光源でロービームとハイビームの切り替えが行えるBi-Beam(バイ-ビーム)LEDを採用しています

 

一方、リアまわりは下部分をふっくらさせつつもシャープに見せるようなキャラクターラインがたくさん入っていてにぎやかな装い。また、リアウインドウは結構前方へ傾斜していて、スポーティさが強調されている。ハッチバックモデルのリアデザインというは、そのクルマの特徴であり、他車との違いをアピールできる部分でもある。そういった意味では、トヨタなりのこだわりが見てとれる。

↑いくつものラインが入ってはいるものの、全体を見るとシンプルなデザインに仕上がっています

 

↑ヘッドライトと同様に、切れ長でシャープな光を放つリヤコンビネーションランプ

 

全体的なスタイリングは、重心が低くてワイド。わかりやすくいえば、平べったく幅広になった印象だが、これはいわゆるスポーツカーの定番プロポーションである。フロントのシャープなデザインを基調に考えれば、セダンは重心が高そうに見えるし、ワゴンでは全長が長すぎて俊敏さが感じられない(実際の運動性能はそんなことないが)。ハッチバックのスタイリングは「低くてワイド」が実にしっくりきている。これもトヨタによるスポーティさの演出である。

↑全長4375×全幅1790×全高1460mm。また試乗モデルの総重量は1655kg

 

↑G“Z”グレードはタイヤ225/40R18、18×8J(切削光輝+ダークグレーメタリック塗装/センターオーナメント付)のホイールを標準装備

 

新時代設計思想「TNGA」に裏打ちされた快適な走り

で、実際の走りはどうかというと、これがまたいい。想像していたより静かで、快適。さらに乗り心地も悪くない。クラストップレベルの上質感といっても決して言い過ぎではない。ハンドリングも素直でコーナーでは気持ちよく曲がってくれる。そもそも、全長の短いこのハッチバックは、カローラファミリーでは一番コーナリング性能が高いのだ。

 

この走りの良さというのは、トヨタの新時代設計思想「TNGA」から生まれている。TNGA(Toyota New Global Architecture)は、パワートレーンやプラットフォーム(車体)をはじめ、クルマの基本性能を飛躍的に向上させるための車体設計や取り組みをまとめたもの。トヨタによる新時代のクルマづくりにおける構造改革の名称だ。2015年の先代型プリウスに初採用されたTNGAだが、それから3年後となる後出しだけに、カローラシリーズでは、よりセッティングが熟成されたように感じられる。

↑TNGAによって優れた重量バランスと車両安定性を実現。これによって意のままに走行でき、快適さを感じられます

 

そんなカローラ スポーツに搭載されるパワーユニットは、2.0L直列4気筒ガソリンエンジンと、1.8L直列4気筒エンジンに電気モーターを加えたハイブリッドの2種類。今回試乗させてもらったのは前者のガソリンエンジンモデルであったが、2.0Lエンジンに組み合わされるCVTのフィーリングがよかった。

↑従来のCVTに発進用ギヤを追加し、発進から高速域まで力強くダイレクトな走りと低燃費を実現。ガソリンエンジンモデルの燃料消費率はWLTCモードで17.2km/Lとなっています

 

速いかどうかと言われれば、驚くほど速いということはない。しかしこれは一般道を走るにはちょうどいいくらい。もし速さにこだわるようなら、後から追加販売されたGRカローラを選ぶといい。2022年にわずか500台のみ発売されたモデルで、入手するのは難易度が高いモデルだが、ベースはカローラ スポーツで、それだけの価値がある走りの魅力を備えたクルマである。

 

総合的に考えると、オワコンどころか核家族世帯にピッタリ

居住性に関しては、セダンやワゴンと比べると、前席はほぼ変わらないが、後席は前後長が短いハッチバックはすこし分が悪い。しかし、取り回しのよさや使い勝手の良さなどを総合的に考えるなら、これが小さな子どものいる家庭にはちょうどいい。筆者がオーリスがいいなと考えたのも子どもがまだ小さいからである。ハッチバックは“オワコン”なんかじゃなかった。現代社会の中心的存在である核家族世帯にぴったりのジャンルだったのだ。

↑広い視界を確保すべく、ダッシュボードやAピラーの形状などに工夫がなされています。高精細なHDワイドディスプレイを搭載するとともに、T-Connectのオプションサービス「コネクティッドナビ」に対応

 

↑試乗車のG “Z”はスポーツシート。黒と赤の色使いがスポーティでテンションが上がります

 

SPEC【G “Z”(ガソリン・2WD)】●全長×全幅×全高:4375×1790×1460㎜●車両重量:1380㎏●パワーユニット:1986cc直列4気筒ガソリンエンジン●最高出力:170PS(125kW)/6600rpm●最大トルク:202Nm/4900rpm●WLTCモード燃費:17.2㎞/L

 

文/安藤修也、撮影/木村博道

 

 

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車格と装備内容を考えてみれば、コスパも高いトヨタ「カローラ クロス」

2022年の普通車販売台数ランキングで2位となったのはトヨタ・カローラだが、その販売の中心となっているのは、ミドルサイズクロスオーバーSUVの「カローラ クロス」だ。発売から1年以上が経過した今、改めてその魅力を探ってみたい。

 

■今回紹介するクルマ

トヨタ/カローラ クロス

※試乗グレード:ハイブリッドZ(2WD)

価格:199万円~319万9000円(税込)

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50年以上売られてきた超ロングセラーモデル「カローラ」

現代の若者たちは知らないかもしれないが、トヨタの「カローラ」といえば、一時期日本で最も売れていたクルマであり、日本を代表するスタンダードカー、そして50年以上売られてきた超ロングセラーモデルでもある。売れるクルマというのは、つまりそれだけの魅力を備えているとも言えるが、万人受けするつくりを「平凡でつまらない」と評する人もいた。

 

しかし、現代のカローラの印象はどうだろう。現行型は、2018年にハッチバック(カローラ スポーツ)が登場し、約1年後にセダン(カローラ)とワゴン(カローラ ツーリング)が発売されている。サイズは3ナンバー化し従来型より大きくなったものの、切れ長のヘッドライトやスマートなボディラインがモダンにまとめられた。さらに、ネット接続機能を特徴とした「コネクテッドカー」として、新世代モデルの象徴として誕生した。

 

そして、これら3つのボディタイプから約3年遅れで2021年に追加されたのが、このカローラ クロスである。なんといってもカローラとしては歴代初のSUVモデルということで注目を集めたが、SUVブームももう10年近く続いているので、どうして今まで出なかったのか不思議なくらいだった。ちなみに、前年の2020年にはタイで先行販売されているが(日本仕様とはデザインが若干異なる)、先に東南アジアの国で販売されるというのは国産車としては珍しい売り方である。

↑カローラ クロスのボディカラーは全8色。写真のプラチナホワイトパールマイカは、太陽の光に反射するたびに真珠のような輝きを見せる

 

カローラのクロスオーバーSUVモデル……つまり、「カローラ クロス」となるわけだが、当然SUVタイプならではの恩恵があり、アイポイントが高く、荷室もそれなりに大きい。他のカテゴリーのクルマと比べて最低地上高も高いため、さまざまなシーンでそれほど高低差を気にせずに走り抜けることができるのもSUVらしい魅力である。

 

顔つき(フロントフェイス)については、現行型カローラの特徴をしっかり受け継いでいる。ボディサイズは、同社のSUVとしては、「C-HR」よりすこし大きく、「RAV4」より少し小さい。2016年末に発売されて以降、若干、販売にかげりが見えてきたC-HRを補完する形で、同等のミドルサイズモデルとしてラインナップされた。

↑ヘッドランプは、Bi-Beam LEDランプと2灯のバルブランプを採用しています。フロントフォグランプはLED

 

アニメチックでチャレンジングなデザインが特徴のC-HRに対して、このカローラクロスのデザインは、非常にオーソドックスだ。現代のSUVらしく、オフロードっぽさより都会的な雰囲気で、筋肉質でたくましく躍動的なボディラインや、大きなグリルにツリ目のヘッドライトが組み合わされている。前後フェンダーの盛り上がりなどもあるが、これらは近年のSUVのトレンドであり、どこか特別奇抜なデザインがあるわけではない。正統派で、奇をてらわないよさがある。ここはいい意味で「カローラ」なのだ。

↑1.8Lハイブリッド車(2WD)は、225/50R18タイヤ&18×7Jアルミホイールを履く

 

ネガティブな要素は見当たらず、すべてが快適!

インテリアは、水平基調のデザインでバランスがよく、乗員を安心させてくれる心地よさがある。質感はそれほど高いとは言えないが、決して低くはない。なにより使い勝手がよく、使用感がいい。なお、外から見るとそれなりに大きさを感じたが、実際に車内へ乗り込んでみると、車体はそれほど大きく感じられず、運転しやすい。

↑ディスプレイオーディオはセンター上方に配置。ドアの解錠・施錠、ドアの開閉時には照明が自動的に点灯・消灯し、乗る人を優しく迎える「イルミネーテッドエントリーシステム」

 

前席はそれなりに広くて窮屈さはない。シートは立派な仕立てで身体を包み込むような形状をしている。後席はもう少し前後長があれば足もとも快適だが、同クラスのSUVでは広いほうである。リクライニング機構が付いているのは、腰が痛くなりがちな筆者のような中年世代にはありがたい(笑)。

↑本革とファブリックのコンビシート。パワーバックドアや運転席の電動シートが標準装備なのはZグレードだけです

 

↑膝まわりに十分なスペースを確保し、座り心地にこだわったリヤシート

 

↑電動のサンシェードがついたサンルーフは、ZとSグレードのみのオプション。開口部がかなり大きくデザイン性も高い

 

全幅が広めなこともあってか、走りはずっしり安定していて、重心の低さと全体のバランスの良さを感じさせるが、この走りの安心感はミドルサイズモデルにしては珍しい。今回の試乗車が18インチタイヤ装着グレードだったためか、多少路面のデコボコを拾うような感覚もあるが、うまく足まわり(サスペンション)で処理してくれて、乗員に嫌な印象は与えない。今回は高速走行も試してみたが、高速巡航時の安定感も高めで、背の高いSUVらしからぬ安定感があった。

↑ハイブリッド車の2WDはWLTCモード26.2km/Lの低燃費。E-FourでもWLTCモード24.2km/Lを実現しています。また、ガソリン車はWLTCモード14.4 km/Lとなっています

 

ラインナップされるパワーユニットは、今回試乗した1.8Lエンジンベースのハイブリッドモデルと同じく1.8Lエンジンのガソリンエンジンモデル。ハイブリッドモデルには4WDの設定もある。ガソリンエンジンモデルと比べて多少高額だが、販売の主流はやはりハイブリッドモデルとなっているようだ。

↑高出力と燃費を同時に追求するバルブマチックを採用

 

ある意味、日本の中心だった「カローラ」のど真ん中。ネガティブな要素は見当たらず、すべてが快適で扱いやすく、乗員を困らせるようなことがない。車格と装備内容を考えてみれば、コストパフォーマンスも高い。いろいろと「クセが強い!」時代だが、それが苦手な人にはぴったりのモデルだ。

↑リヤシート通常時でも、ゴルフバッグが4個入るラゲージスペース。最大荷室容量は487L

 

↑後席を倒すと、奥行き1885mm×最大幅1369mm×高さ957mmと広いスペースに。ロードバイクも積載可能です

 

SPEC【ハイブリッドZ(2WD)】●全長×全幅×全高:4490×1825×1620㎜●車両重量:1410㎏●パワーユニット:1797cc直列4気筒エンジン+電気モーター●エンジン最高出力:98PS(72kW)/5200rpm[モーター:フロント72PS/リヤ7.2PS]●エンジン最大トルク:142Nm/3600rpm[モーター:フロント163Nm/リヤ55Nm]●WLTCモード燃費:26.2㎞/L

 

撮影/茂呂幸正 文/安藤修也

 

 

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2022年、プロがもう一度乗りたいとウズウズする国産車5選!スポーツカーばかりと思いきや……

新車試乗会以外にも、さまざまなクルマに乗る機会がある自動車評論家やライター。本稿では、さまざまなクルマを見て乗ってきた自動車評論家・岡本幸一郎さんに、今年(2022年)出会ったクルマのなかから、最も「もう一度乗りたくてウズウズする」国産車5台をピックアップしてもらいました。おすすめグレード付でお届けします。

 

【その1】FFなのにアクセルを遠慮なく踏める

ホンダ

シビック タイプR

「シビック タイプR」といえば、FF量販車で世界でも1、2を争う速さを身につけたクルマだけあって、まずエンジンフィールがすばらしいのなんの。アクセルと一体化したかのような俊敏なレスポンスと、踏み込んだときの力強い加速と、トップエンドにかけての痛快な吹け上がりと、控えめな中にも野太く吠えるエキゾーストサウンドに惚れ惚れ。2リッター4気筒エンジンとして世界屈指の仕上がりだ。

 

それを引き出すシフトフィールも、シフトを操ること自体にも喜びを感じられるほどよくできている。330PSのパワーを前輪だけで受け止めるとなると、普通なら空転してしまいそうなところ、トラクション性能も十分すぎるほど確保されているおかげで、遠慮なくアクセルを踏んでいける。

 

ハンドリングはまさしくオン・ザ・レールという言葉がピッタリ。意のままに気持ちよく操ることができて、舵を切った方向にグイグイと進んでいく。さすがは「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー」でパフォーマンス部門賞に輝いただけのことはある、最高にエキサイティングなクルマだ。

 

【その2】登場7年ですげーグレードが出た!

マツダ

ロードスター

おすすめグレード:990S

「ロードスター」は登場からまもなく7年というタイミングで、持ち前の走りの楽しさをさらに高めるための大きな動きがあった。ひとつはKPC(=キネマティック・ポスチャー・コントロール)という新技術の採用だ。これによりGが強めにかかるようなコーナリングでのロールが抑えられ、旋回姿勢が安定してドライバーとクルマの一体感がより高まった。

 

もうひとつは、軽さにこだわりある走りに特化した特別仕様車「990S」の追加だ。1トン切りを印象づけるモデル名のとおり、車両重量を990kgにとどめるとともに、軽量の鍛造ホイールの装着をはじめシャシーやエンジン、ブレーキなどが専用にセッティングされている。

 

軽量コンパクトなロードスターは、2シーターでホイールベースが短いことも効いて、もともと手の内で操れる感覚が高いが、「990S」はさらに軽やかで気持ちのよい人馬一体感を実現している。既存のロードスターでなんとなく感じられた、ステアリングとタイヤの間に何か挟まっているような感覚が払拭されて、よりダイレクト感のある走り味になっているのだ。グリップ感が高く、フラット感もあり、ロールだけでなくブレーキング時のピッチングも抑えられている。

 

こうした改良と特別仕様車の追加が効いて、売れ行きのほうも発売から時間が経過したスポーツカーではありえないような増え方をしているらしい。中でも件の「990S」の販売比率がかなり高いというのも納得だ。

 

【その3】FFベースでつまらなくなった? 全然そんなことない!

トヨタ

クラウン クロスオーバー

おすすめグレード:RS

ガラリと変わって話題騒然の新型「クラウン」は、それだけでも乗ってみたい気持ちになるのはいうまでもないが、中でも「RS」モデルは走りっぷりも予想を超えていて驚いた。

 

いかにも速そうな名前のとおりエンジンもモーターも強力なデュアルブーストハイブリッドは、272PSの2.4リッターターボエンジンと前後に約80PSのモーターを組み合わせ、システム最高出力で349PSを発揮するというだけあってけっこう速い。モーターならではのレスポンシブでシームレスな加速フィールも気持ちがよい。さらにコーナリングでは、リアモーターで積極的に後輪の左右の駆動力に差をつけるとともに、4輪操舵機構や電子制御デバイスを駆使することで、クイックな回頭性を実現しているのもポイントだ。

 

クロスオーバーの2.5リッター自然吸気エンジンにTHSを組み合わせた他グレードとは別物で、大柄でけっして軽くないクルマでありながら、加減速もハンドリングがとても俊敏に仕上がっている。そのあたり、FFベースになってつまらなくなったとは言わせたくないという開発陣の意地を感じる。スタイリッシュなルックスだけでなく、走りのほうも鮮烈な仕上がりだ。

 

【その4】最新CVTの実力、いい感じ

スバル

WRX S4

おすすめグレード:sport R EX

もとはモータースポーツ由来だった「WRX」が、時代の流れで今では高性能ロードゴーイングカーという位置づけに。本稿執筆時点では3ペダルのMTを積む「WRX STI」の販売が終了し、将来的にもラインアップされるかどうかわからない。しかし、2ペダルの「WRX S4」はしっかり進化している。

 

275PSと375Nmを発揮する2.4リッター直噴ターボのFA24型に、「スバルパフォーマンストランスミッション」と呼ぶ最新のCVTが組み合わされるのだが、これがなかなかのもの。駆動力の伝達にかかるタイムラグが払拭されているほか、従来とは比べものにならないほどダイレクト感があり、マニュアルシフト時のシフトチェンジも驚くほど素早い。エンジン回転が先に上昇して、あとから加速がついてくる感覚もほとんど気にならない。

 

さらにはリアよりに駆動力を配分するVTD-AWDも効いて、小さな舵角のままコーナーをスムーズに立ち上がっていけるのも、WRX S4ならでは。2グレードあるうち、44万円(税込)高い「STI Sport R」は、「GT-H」に対して装備が充実しているのに加えて、走りの面ではZF製の電子制御ダンパーが与えられるほか、SIドライブではなく、より細かく設定できるドライブモードセレクトが搭載されるのが大きな違いとなる。

 

【その5】サーキットのちょい乗りだけでもう惚れてます

日産

フェアレディZ

おすすめグレード:バージョンST

この往年の雄姿を思い出すスタイリングを目にしただけで、乗りたくてたまらない気持ちになる。実のところ本稿執筆時点では筆者はサーキットでちょっとだけ乗った程度なのだが、見た目の魅力はもちろん、400PSオーバーを誇るV6ターボエンジンの刺激的なパフォーマンスや、全面的に見直したという洗練されたシャシーチューニングにより、かなり走りもよさそうな雰囲気がヒシヒシと伝わってきた。だからこそ、もう一度乗りたくてうずうずしているところです……(笑)。

 

 

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ミニバン2トップ買うならどっち? フルモデルチェンジした「ノア/ヴォクシー」と「ステップワゴン」をプロが“買いたい度”でジャッジ!

1月にトヨタの「ノア/ヴォクシー」、4月にはホンダの「ステップワゴン」がフルモデルチェンジし、絶好調だ。小さい子どもの父親でもあるモータージャーナリストが両車をジャッジ。どちらのモデルに心惹かれるのか?

※こちらは「GetNavi」 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです

 

KEY TREND ≪ミニバン復権≫

家族ドライブ……その象徴であるミニバンの代表的モデルが揃ってモデルチェンジし、いずれも好調だ。世界的にSUV活況のなかでミニバンが依然人気なのは、日本特有の傾向と言える。

 

私がジャッジしました!

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

幼い子どものためにミニバン購入を検討中のモータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

【エントリーNo.1】持ち前の強みを生かしながらすべてをアップデート

■ノア

■ヴォクシー

トヨタ

ノア/ヴォクシー

267万円〜396万円(税込)

トヨタのミドルクラスミニバンが8年ぶりにフルモデルチェンジ。広い室内空間や、より快適・便利に使える装備や進化した安全運転支援技術が人気を集めている。発売後4か月で両車合わせて約15万台を受注するほどの爆売れモデルに。

SPEC●【ノア ハイブリッドS-Z 2WD】●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●車両重量:1670kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒+モーター●最高出力:98PS(72kW)[95PS(70kW)]/5200rpm●最大トルク:14.5kg-m(142Nm)[18.9kg-m(185Nm)]/3600rpm●WLTCモード燃費:23.0km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

【エントリーNo.2】デザインが激変し、見ても乗ってもやさしいクルマに

■ステップワゴン AIR

■ステップワゴン SPADA

ホンダ

ステップワゴン

299万8600円〜384万6700円(税込)

初代ステップワゴンが登場してから26年。4月にデビューした6代目は初代へのオマージュを込め、直線を生かしたクールなデザインに変化。AIRとSPADAの2ラインが用意され、外装をはじめインテリアの装備も異なっている。

SPEC●【e:HEV AIR】●全長×全幅×全高:4800×1750×1840mm●車両重量:1810kg●総排気量:1993cc●パワーユニット:直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:145[184]PS/6200[5000〜6000]rpm●最大トルク:17.8[32.1]kg-m/3500[0〜2000]rpm●WLTCモード燃費:20.0km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

見た目だけでなく作りもしっかり確認することが重要

人気の高いMクラスミニバンを代表する2台が今年、偶然にもほぼ同時期にモデルチェンジした。さらには日産の「セレナ」も、というウワサもあるが、まずはこの2台、色々と対照的で実に興味深い。

 

デザインテイストがまったく異なるのは見ての通りで、キープコンセプトのノア/ヴォクシーに対し、ステップワゴンはガラリと変わった。コワモテが好まれる時代に一石を投じるやさしい雰囲気に、共感する声も多いようだ。

 

一方の中身は、ステップワゴンがプラットフォームやパワートレーンをキャリーオーバーして大幅に“改良”したのに対し、ノア/ヴォクシーはTNGAの採用による“全面刷新”となる。両車ではハイブリッドの仕組みもまったく異なるが、ドライバビリティや燃費に優れる点では共通している。

 

ミニバンであれば車内の作りの違いも気になるところ。同じ3列シートを有する空間でも細かな装備や使い勝手は当然異なるため、それぞれ得意とする部分をチェックしてみるべきだろう。

 

購入検討の際は、買ってからどう使いたいのかを具体的にイメージしながら選んだほうが良い。

 

【ジャッジ1】デザイン……引き分け!

見た目の印象はまったく別物で好みがはっきり分かれそう

ノアを含めトヨタ勢は従来の路線を踏襲。ヴォクシーは薄めのライトとグリルによる派手な顔となったのに対し、ステップワゴンはシンプルでクリーンなデザインに一変。新設の「AIR」はそれがより顕著だ。引き分け。

 

■ノア/ヴォクシー

↑ヴォクシーは先鋭かつ独創的なスタイルを追求。怪しく光る特徴的な薄いフロントランプによって夜でもその存在感を強調している

 

■ステップワゴン

↑売れ筋のSPADAと比べても、AIRはよりクリーンでシンプルなデザインとされている。細いメッキモールがさりげなく施されている

 

【ジャッジ2】走り……ステップワゴン勝利!

ハイブリッドのメカニズムは異なるがどちらも良くできていて感心!

ノア/ヴォクシーのプラットフォームおよびパワートレーンは従来からの全面刷新。対してステップワゴンは従来のものをベースに大改良したもので、完成度の高さで一歩リードしている印象だ。ステップワゴンの勝ち!

 

■ノア/ヴォクシー

↑独自のシリーズパラレルハイブリッドの進化した最新版を搭載。後輪をモーターで駆動する「E-Four」が設定されたのも特徴だ

 

■ステップワゴン

↑モーター走行を中心に状況に応じ様々なドライブモードを使い分け、効率の良い走りを実現。クルーズ走行時はエンジンを直結する

 

【ジャッジ3】後席の居住性……ステップワゴン勝利!

ノア/ヴォクシーも十分だがステップワゴンが上回る

ノア/ヴォクシーも十分すぎるが、従来よりもサイズアップしたステップワゴンのほうが広さ感で上回る。乗り心地の良さも加味すべきポイントだ。ステップワゴンに軍配。

 

■ノア/ヴォクシー

↑7人乗り仕様の2列目シートがスゴい。横にスライドさせることなく745mmもの超広々とした足元空間を実現したことには驚くばかり

 

■ステップワゴン

↑3列目の着座位置を高くするとともに前方のシート形状を工夫することで開放的な視界を実現。乗り物酔いさせないための配慮も◎

 

【ジャッジ4】使い勝手……引き分け!

3列目シートを使わないときのしまい方は重要なポイント

3列目シートを使わないときに左右に跳ね上げるのか床下に収納するのかで、使い勝手はまったく違う。ただし、どちらも一長一短あるので優劣はつけられず。よって引き分け!

 

■ノア/ヴォクシー

↑両車ともパワーバックドアが設定。ノア/ヴォクシーは任意の角度で保持できる機構や、ボディサイドにもスイッチがあり重宝する

 

■ステップワゴン

↑3列目シートを床下に収納できるので、使わないときでも側面がスッキリとして広く使える。シンプルな操作で簡単にアレンジできる

 

【ジャッジ5】運転支援……ノア/ヴォクシー勝利!

両社の最新の装備を搭載現状ではトヨタがややリード

共に最新の機能は非常に充実していて、不足はない。その上でノア/ヴォクシーが条件付きでハンズオフドライブを可能とした点や、リモート駐車/出庫を可能とした点で優位だ。

 

■ノア/ヴォクシー

↑運転者が前を向いて眼を開いていることをドライバーモニターカメラで確認。ハンズオフが可能かどうか、システムが判断する

 

■ステップワゴン

↑ACCが渋滞追従機能付きへと進化。さらに、低速走行時に前走車に合わせて車間距離を保ちながら車線の中央付近を維持する機能も

 

【総合判定】私が買いたいのは……ステップワゴン

デザインや3列目シートの使い勝手はさておき、僅差だがステップワゴンが優位

どちらも完成度は十分に高く、買って後悔することはない。それを大前提にどちらか一方を選ぶとなると、わずかにステップワゴンに軍配だ。動力性能や燃費は互角だが、静粛性や乗り心地などの快適性や走りの上質な仕上がりには、乗るたび感心せずにいられないからだ。

 

 

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トヨタ「クラウンクロスオーバー」はスポーティなわりにフォルムが膨よかで貫禄がある!

2022年7月、トヨタが世界に向けて発表したのは、フラッグシップモデル「クラウン」の新型モデル。しかし、従来のセダンタイプだけでなく、SUVのエステート、ハッチバックのスポーツ、ワゴンのエステートと新たなボディバリエーションも同時に初公開された。そのうち、まず第一弾としてすでにデリバリーが始まっているのがクロスオーバーだ。これを早くも試乗した自動車評論家の評価とは!?

 

■今回紹介するクルマ

トヨタ/クラウンクロスオーバー

※試乗グレード:RS

価格:435万円~640万円(税込)

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第一印象は「まあまあカッコいいな」

新型クラウンの発表は衝撃的だった。「今度のクラウンはSUV風になるらしい」という噂だけを頭に発表を待っていたら、なんと一気に4つのボディタイプが公開され、しかもどれもが個性的でカッコよかった! 4つのボディタイプは、セダン、エステート、スポーツ、そしてクロスオーバーだが、販売のメインになるのはセダンではなく、SUV風味のクロスオーバーだ(トヨタの目論見通りなら)。

 

トヨタ・クラウンと言えば“おっさんセダン”。昔は「いつかはクラウン」などと言われたが、さすがに誕生から60年以上経てば時代も変わる。クラウンクロスオーバーの初期受注台数を見ると、市場の反応はそれほど熱狂的ではないが、先代型クラウンの売れ行きは、ピーク時(バブル期)の10分の1程度にまで落ちていた。つまりトヨタとすれば、失うものは何もない。思い切ってバクチを打つには最高の環境だったのである。

 

発表会では、クラウンの激変ぶりに度肝を抜かれ、「トヨタ、やるなぁ」と唸らされたが、実物のクラウンクロスオーバーの第一印象は、「まあまあカッコいいな」というところだった。すごくカッコいいではなく「まあまあ」な理由は、スポーティなわりにフォルムが膨よかで貫禄があり、ややおっさんっぽいからだ。もっとスリークにシュッとさせれば、「文句なくカッコいい!」となったような気もするけれど、トヨタはそうはしなかった。

↑セダンだった先代クラウンと比べてクロスオーバーは全高が85mm高くなった。ホイールベースは2850mmと後輪駆動の先代モデル(2920mm)に比べれば短くなっている

 

21インチという大径タイヤを履き、思い切りスタイリッシュに振ってはいるが、クラウンという名前から来るイメージを完全に捨てるわけにはいかなかったのだろう。クラウンとして最大限頑張ったけれど、やっぱりクラウンはクラウン、貫禄も大事! ということなのですね。

↑21インチ アルミホイール(切削光輝+ブラック塗装)&センターオーナメント※RSの場合

 

クラウンクロスオーバーは、クラウンの伝統であるFRレイアウトを捨て、エンジン横置きのFFベース4WDにリボーンしたが、それによってフロントノーズは若干短くなり、ヘッドライトは思い切り薄くなり、今どきのスタイリッシュなファストバック車に生まれ変わった。

 

ただ、テールゲートはハッチバックではなく、独立したトランクを持っている。トランク部の出っ張りはほとんどないので、開口部はやや小さく、荷物の出し入れはあまりしやすいとは言えないが、開口部の大きいハッチバックでは、セダンのような静粛性の確保は難しい。大きく生まれ変わったとは言え、クラウンのウリである静粛性や快適性を捨てるわけにもいかなかったのだ。

↑12.3インチHDDディスプレイやステアリングヒーターを装備。ディスプレイ・メーター・操作機器を水平に集約し、運転中の視線移動や動作を最小化している

 

クラウンクロスオーバー走行した印象は?

では、この「スタイリッシュでまあまあカッコいい」クラウンクロスオーバー、走った印象はどうだったのか。

 

スタンダードな2.5Lハイブリッドモデル(電気式4WD)のパワートレインは、「カムリ」などに搭載されているものと基本的には同じで、わりとフツーだった。特に速いわけではないし、特にスポーティでもなく、トヨタのハイブリッドらしく、静かに淡々と走行する。乗り心地もどことなくカムリに近く、大径タイヤの重さもあって、それほど極上というわけではない。

 

ただ、違うのはコーナリングだ。4WS(四輪操舵)システムの恩恵もあり、ハンドルを切れば切っただけキレイに曲がってくれる。「えっ、こんなに曲がるの!?」というくらいスイスイ曲がる。このコーナリングの良さが、クラウンにとってどれほどアドバンテージになるかは未知数だが、4WSによる小回り性の高さは、確実にメリットだ。

 

というわけでクラウンクロスオーバーのスタンダードグレードは、全体に可もなく不可もなく、デザインとコーナリングが目立つ、穏やかなクルマに仕上がっていた。

 

続いてスポーティクレードである「RS」だ。クラウンのために新開発された2.4Lのデュアルブーストハイブリッドモデル(電気式4WD)を試す。

↑単体で最高出力272PSを発生する2.4リッター直4直噴ターボエンジン

 

こちらは、ハイブリッドのシステム最高出力は349馬力に達する(2.5Lハイブリッドは234馬力)。アクセルを踏めば圧倒的にパワフルで、昔風に言えば大排気量のアメ車のごとく、低い回転からズドーンと加速し、そのまま高い回転域までシュオーンと突き抜ける。エンジンは2.5L同様4気筒だが、振動はしっかり抑え込まれていて、従来のV6並みの滑らかなフィーリングが味わえる。まさにスポーツセダン!

 

だけど燃費はがっくり落ちる。WLTCモード燃費は15.7km/Lとなっているが(2.5Lハイブリッドは22.4km/L)、実燃費は10km/L程度だろうか。山道を元気に走り回った時の燃費は6km/L台。トヨタのハイブリッド車としては、びっくりするほど悪い。

 

しかし、燃費を重視するならスタンダードモデルを選べばいいわけで、RSの狙いは、このスポーティな走りなのだ。RSは加速がいいだけじゃない。コーナリングも素晴らしい。これまた4WSの恩恵で、超オンザレール感覚でシュオーンと曲がってくれる。従来の古典的なクラウンと比べると、「魔法のようなコーナリング」とすら言っていい。

 

先代型クラウンは、FRレイアウトを維持しつつ、BMW3シリーズのようなスポーティな走りを目指したが、そこにはまったく届いていなかった。しかし新型クラウンクロスオーバーには、もうBMW3シリーズやメルセデスCクラスの影はない。これは、まったく別カテゴリーのスポーツセダンなのだ。その狙いは、「RS」に関しては、8割くらいは達成できているのではないだろうか。

 

SPEC【CROSSOVER RS(クロスオーバーRS)】●全長×全幅×全高:4930×1840×1540㎜●車両重量:1900㎏●パワーユニット:2393㏄直列4気筒エンジン+電気モーター●エンジン最高出力:272PS/6000rpm●エンジン最大トルク:460Nm/2000-3000rpm●WLTCモード燃費:15.7㎞/L

 

撮影/池之平昌信

 

 

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トヨタ新型「シエンタ」は買って絶対に間違いのない、完全無欠のファミリーカー

2022年8月、トヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」がフルモデルチェンジして、3代目になった。そして、なにを隠そう自動車評論家の私、清水草一は2代目シエンタの元オーナー。その元オーナーから見て、新型シエンタの進化の度合いはどうなのか? 試乗レビューした。

 

【今回紹介するクルマ】

トヨタ/シエンタ

※試乗グレード:ハイブリッド・X(7人乗り)・2WD

価格:195万円~310万8000円(税込)

 

清水的に新型のデザインはかなりストライク!

全方位的に正常進化しております! 私が先代型のシエンタを買ったのは、なによりもスタイリングが気に入ったからだった。先代シエンタは、明らかにシトロエンのデザインの影響を受けていた。シトロエンっぽいアバンギャルド感のある、かなり尖ったデザインで、当時のトヨタとしては画期的だったのである。ボディカラーも、蛍光イエローをはじめとして攻めたラインナップが揃い、しかも2トーンが主役だった。私は迷わず蛍光イエローと黒の2トーンを選びました。

 

新型のデザインはどうかというと、シトロエンというよりもフィアットやルノーっぽく、アバンギャルドというよりもポップでお洒落さんである。デザインの方向性は微妙に変わっているが、ラテン系(イタリアやフランス)の方向性はそのままで、高級感よりもセンスの良さや親しみやすさでアピールしている。個人的には、かなりストライクだ。

↑ヘッドライトは、1灯の光源でロービームとハイビームの切り換えが行えるBi-Beam(バイ ビーム)を採用

 

↑ライン状に発光するテールランプとドット柄ストップランプが印象的なリアのコンビネーションランプ。蜂の巣みたい

 

先代シエンタのルックスは、ちょっと頑張って背伸びした感がなきにしもあらずだったが、新型は、ラテン系のデザインを完全に着こなしている。ボディカラーも、カーキなど渋いアースカラーが中心で、日本の風土に馴染んでいるような気がする。

 

先代シエンタが登場してからの7年間で、トヨタのデザイン力は目を見張るほど向上し、明らかに自信を付けている。絶好調時の打者はボールが止まって見えると言うが、そういう状態ではないだろうか?

 

5ナンバー枠を守ったボディサイズや、室内のパッケージングは、先代型からあまり変わっていない。トヨタによれば、「ボディサイズを変えることなく2列目スペースを大幅に拡大。1列目~2列目席間距離が80mm、ヘッドクリアランスが25mm広くなり、ノアやヴォクシーと同等サイズのスペースを確保できました」とのことだが、先代型オーナーにも、その点はあまり実感できなかった。

↑ステアリングヒーターを装備。一方、直射日光を遮る「後席サンシェード/セラミックドット(スライドドアガラス)」(Zに標準装備)は、後席の人に快適なひとときを与えてくれる

 

シエンタは、先代型ですでに究極とも言えるパッケージングを実現しており、全長わずか4200mm台のボディの中に3列シートを飲み込ませ、しかも3列目でもギリギリ大人が座れる程度の広さを確保していた。そこからさらに大幅に改良するなど、物理的に不可能なのだ。

↑シートのアレンジ次第で収納スペースもしっかり確保できる。ベビーカーや自転車なども収納できるぞ

 

このクラスのミニバンの3列目シートは、基本的に緊急用。いざというときだけ使うもので、普段は収納し、そのぶんをラゲージスペースとして使うのが合理的だ。

↑7人乗りの場合のラゲージスペース。開口部が広くて低床のラゲージで、荷物の積み込みがラクラク! 荷室高1105mm、荷室フロア高505mm、荷室長1525mm(セカンドシートクッションからの長さ)、荷室長990mm(シートスライド最前端時)

 

シエンタの3列目シートは、先代モデルから2列目の下に「ダイブイン」させることが可能だったが、新型もそれを踏襲している。この機能は、改善の余地がないほど素晴らしい。ライバルのホンダ・フリードは、3列目シートを跳ね上げて収納するタイプなので、そのぶんラゲージの天井や左右寸法が制限される。3列目ダイブイン収納は、シエンタ伝統の美点なのである。

↑「天井サーキュレーター」(オプション)は、車内の空気を効率的に循環させ、室内を均一に快適にしてくれる

 

走りが気持ち良いし、アクセルを軽く踏み込んだ時の加速感も力強い

では、走りはどうか。試乗したのは、ハイブリッドモデル。3気筒1.5Lエンジンとモーターを組み合わせた、トヨタ伝統のTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)である。先代シエンタのハイブリッドは4気筒の1.5Lだったが、今回は3気筒。より効率が高められている。

 

ヤリスから採用されたこの3気筒ハイブリッドシステムは、実に恐るべきパワーユニットである。3気筒と言ってもフィーリングに安っぽさは微塵もなく、逆にコロコロと適度なビートを奏で、回転フィールが心地よい。4気筒時代と比べても、断然走りが気持ち良くなっているし、アクセルを軽く踏み込んだ時の加速感も力強くなった。

↑試乗車は1.5Lハイブリッドシステム。走りの良さと優れた燃費性能を両立している

 

シエンタハイブリッド(7人乗り・X)の車両重量は、1350kg(FFモデル)。同じパワーユニットを積む「ヤリスハイブリッド」に比べると約300kg重い。そのぶん加速が遅いわけだが、日常使用で遅さを感じることは皆無だ。さすがにアクセルを床まで踏み込んだ時の加速感は、「あれ、こんなもん?」とはなるが、それは車両重量を考えれば仕方ない。とにかく普通に使うかぎり、「加速が快感です!」とすら言える。

 

足まわりは、やや引き締まっていてスポーティ。低速域では、路面からの突き上げがそれなりにある。このクルマの用途を考えれば、もうちょっとソフトでもよかった気はするが、このサスペンションのしっかり感が、高速道路では安心感に変わる。ある程度速度を上げると、乗り心地の固さはまったく気にならなくなり、安定感が増していく印象だ。

↑地上から330mm「低床&フラットフロア」(Zに標準装備)を採用。高さはもちろん、段差もなくフラットでお子さんやお年寄りの方にも優しく、安心して乗り降りすることができる。最小回転半径は5.0mだ

 

新型シエンタは、トヨタの新世代ボディ骨格であるTNGAが採用されている。TNGA採用車は、どれもこれも走りの質が見違えるほどよくなっているが、シエンタも例外ではない。先代型も悪くはなかったが、新型はさらに一、二段向上している。

 

燃費は、ハイブリッドのFF(2WD)モデルで、 WLTCモード28.5km/L。ヤリスハイブリッドの36.0km/Lに比べると大幅に見劣りするが、実燃費で20km/L程度は楽勝で、ちょっとエコランに徹すれば30km/Lくらいまで伸びる。これ以上燃費が良くても、あまり意味はないかも……と言うほどの低燃費だ。

 

大人が7人乗れて、これだけ燃費がよければ、ヘタなEVよりはるかにエコ。新型シエンタは、買って絶対に間違いのない、完全無欠のファミリーカーではないだろうか。

 

SPEC【ハイブリッド・X(7人乗り)・2WD】●全長×全幅×全高:4260×1695×1695㎜●車両重量:1350㎏●パワーユニット:1490㏄直列3気筒エンジン●エンジン最高出力:91PS/5500rpm●エンジン最大トルク:120Nm/3800-4800rpm●フロントモーター最高出力:80PS●WLTCモード燃費:28.5㎞/L

 

撮影/池之平昌信

 

 

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トヨタ製BEVの先陣を切る「bZ4X」。試乗でわかった高い完成度

トヨタは2021年12月、東京・お台場で合計16モデルものBEV(電気自動車)を一気に公開して大きな注目を浴びました。それまで“BEVには消極的”と言われていたトヨタがここで反転攻勢に転じたのです。bZ4Xはそんな中で、まさにトヨタの歴史にも残るエポックメイキングカーとして登場しました。

 

ただ、発売を発表して間もなく、ハブボルトの不具合によって、リコールと出荷停止という誰もが予想していなかった事態に陥ってしまいました。今のところ、販売再開の見通しは立っておらず、発表したばかりの16代目クラウンが販売延期となったのも同じハブを使っていることではないかと言われています。

 

しかし、bZ4Xを公道試乗すると、初のBEVとは思えない高い完成度にはビックリ!トヨタの電動技術がハイレベルな領域にあることを実感させられたのです。今回はそんなbZ4Xの試乗レポートをお届けしたいと思います。

 

【今回紹介するクルマ】

トヨタ/bZ4X

※試乗車:Z(4WD)

KINTO月額利用料合計:869万7480円(税込)※CEV補助金飲み適用の場合、申込金77万円は含まれておりません

 

安定したデザインと広い車内をもたらしたロングホイールベース

試乗したルートは、軽井沢から東京都内までの約200kmの道のり。一般道と高速道を交えて走行し、途中、充電スタンドでの急速充電も行い、その際の使い勝手も検証しました。bZ4Xはラインナップを「Z」のワングレードとしており、今回試乗したのはその4WDです。なお、bZ4Xはトヨタのサブスク「KINTO」での提供のみとなっています。

 

bZ4Xのデザインテイストは最近のトヨタ車に共通するものですが、それでも冷却のための空気取り入れが必要ないBEVらしく、フロントグリルの高さを最小限にとどめるなど、独自の雰囲気を醸し出しています。ボディ寸法は全長4690mm×全幅1860mm×全高1650mmで、ホイールベースは2850mm。トヨタのSUVである「RAV4」よりもかなり大きいサイズとなりました。

 

特にホイールベースを長くしてタイヤを可能な限り四隅に配置したデザインは、接地性・走破性の高さを表現しつつもスタイリッシュなプロポーションを表現。これがゆったりとした安定感のあるデザインも生み出したと言えるでしょう。

↑フロントグリルを最小化した独特のデザインを持ち、電動車らしいロングホイールベースで安定感のあるデザインを生み出した(写真はいずれも2WD)

 

パワートレーン系は、FWDモデルがフロントに150kWの出力を誇るモーターを搭載するのに対し、4WDモデルはフロント/リア共に80kWのツインモーターを搭載します。搭載したバッテリー(リチウムイオン)は71.4kW/hとし、航続距離はWLTCモードでFWDが500km前後、4WDが460km前後としています。特にこの駆動用バッテリーについては10年後も90%の電池容量維持率を目指したロングライフ設計となっているのも大きな特徴です。

↑試乗した4WDのフル充電時での航続距離は、カタログスペックで460km前後

 

低いダッシュボードとパノラマルーフが開放的な空間を生み出す

車内に入ると、全体に低くしたダッシュボードと、大開口部を持つパノラマルーフが開放的な空間をもたらしていることを実感できます。メーターは視認性を重視するために、ステアリングの上側越しの奥にレイアウトする「トップマウントメーター」をトヨタで初めて採用。これは運転中の視線移動を可能な限り減らせる効果があります。

↑低いダッシュボードにより、広い室内空間を実現している。インパネの運転席側吹き出し口から室内へ放出され、車室内を快適な空気環境に導く「ナノイー X」を搭載(写真はFWD)

 

↑ステアリングの上側越しにメータを配置して、ヘッドアップディスプレイに匹敵する視認しやすさを実現した(写真はFWD)

 

↑12.3インチディスプレイを備えたナビゲーション&オーディオシステム。T-Connectのオプションサービス「コネクティッドナビ」に対応

 

一方で、センターコンソールは中央部に左右を分けるコンソールが配置された一般的なデザインとなっています。最上段には大型ディスプレイを配置し、そこからエアコンの操作パネル、ベンチレーターの吹き出し口、シフトノブがレイアウトされます。ダッシュボードには落ち着いた室内を演出するようにファブリック貼りとなっていました。

↑センターコンソールには、今どきの装備らしく、USB type-Cが装備されていた。一方、音楽再生用としてのUSB端子はスマホの充電スペースに配置された

 

↑オーディオはサブウーファーを含む9つのスピーカー「JBLプレミアムサウンドシステム」

 

室内はとにかく広い! の一言です。特に後席は前席とのレッグスペースがゆったりとしていて、脚を組んで乗車するのも楽々。若干、フロアが高めにはなっており、後席ヒップポイントとの段差が少なめであるのが気になりますが、レッグスペースの余裕がこれを充分カバーしてくれています。ラゲッジスペースもフロアが高めであることはあっても、かさばるものも問題なく収納できる十分な容量がありました。

↑広々とした室内空間を持ちながら、ガソリン車から乗り換えても違和感がない実用性。後席は脚を組めるほどの広いレッグスペースを確保した(写真はいずれもFWD)

 

↑ラゲージスペースはフロアが少し高めだが、かさばるものも収められる十分な容積を確保。幅最小967/最大1288×長さ985×高さ757mm(写真はFWD)

 

ストレスなくスーッと加速するジェントルかつ強力な加速

↑FFモデルはフロントに150kWの出力を誇るモーターを搭載。4WDモデルはフロント/リア共に80kWのツインモーターを搭載する

 

いよいよ試乗のスタートです。起動スイッチを押してシステムを立ち上げると、メーター上に「READY」のマークが表れ走行可能となりました。ここで戸惑ったのがダイヤル式のシフトノブです。ただ、それは最初だけでした。「P」から「D」に切り替えるときは、ブレーキを踏んで右回し、「R」にするときはその逆、左に回転させます。「P」にするときはダイヤル上にある「P」を押せばOK。とてもシンプルで使い始めるとすぐに慣れました。

 

走り始めるととてもスムーズかつ静かであることが伝わってきました。よくBEVではモーターによる低速トルクの強さが強調されますが、bZ4Xはそういった感覚とは異なり、ストレスなくスーッと速度を上げていく感じです。しかもBEVらしい加速が欲しいときはアクセルを強めに踏めば強大なトルクが一気に放たれ、鋭い加速フィールとなって現れます。ただ、これもひたすらジェントルな中で行われ、そこが他のBEVとの大きな違いと言えるでしょう。

 

4WDモデルには、スバルが開発した「Xモード」と言われるドライビングモードが装備されていました。これは主に雪道やぬかるんだ道でのコンディションに適合させたもので、時速40km/h以下でしか作動しません。一般道での利用というより、オフロードを走行するときに使うべきモードと思って良いと思います。

 

ガソリン車から乗り換えても違和感なく使える「回生ブースト」

↑高い完成度に驚かされたトヨタの第一弾となるBEV「bZ4X」

 

ハンドリング操作に対するクルマの動きはとてもスムーズに感じました。低重心と高剛性のシャーシとも相まって、意のままにコントロールできたのです。しかも快適。フロアの剛性が高いこともあって、路面からの遮音もしっかりとしていて、ざらついたコンクリート路面を走ってもその感じがほとんど伝わってこないです。この快適度はBEVの中でもトップクラスにあり、それはレクサスの高級セダンをも凌駕していると言っても過言ではないでしょう。

 

ブレーキング時もどんなタイミングで踏んでも、安定して確実に止まる感じで安心感がありました。万一の急減速に対してもスムーズに反応するし、「回生ブースト」と呼ばれる回生ブレーキも適度な減速Gで、これならガソリン車から乗り換えても違和感はないのではないかと思います。

 

ただ、ペダル一つでコントロールしようとすると物足りなさを感じるかもしれません。「回生ブースト」をONしても効果はそれほど高いものではなかったからです。スバル「ソルテラ」に装備されていて、より細かく回生Gを制御できるパドルシフトがないのも残念に思いましたね。

 

とはいえ、bZ4XはBEVとしてもきわめて高い完成度を発揮しているのは間違いありません。それでいてデザイン性や使い勝手においてもガソリン車から乗り換えても違和感なく使えるのが、いかにもトヨタらしい造り込みをしていると言えます。

 

その昔、トヨタはクルマ作りにおいて決して外さない完成度の高さを誇ってきましたが、このBEVの第一弾となるbZ4Xにもその精神は脈々と引き継がれていることが実感できます。トヨタのBEV戦略の先陣として、その完成度の高さをまずは評価したいと思います。

 

SPEC【Z(4WD)】●全長×全幅×全高:4690×1860×1650mm●車両重量:2010kg●モーター:フロント・リヤ交流同期電動機●最大出力:フロント・リヤ80+80kW/109+109PS●最大トルク:フロント・リヤ169+169N・m/17.2+17.2kgf・m●WLTCモード一充電走行距離:540km[487km]●WLTCモード交流電力量消費率:134Wh/km[148Wh/km]

※[]内は235/50R20タイヤ&20×7.5Jアルミホイールを装着した場合の数値

 

 

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アウトドアでの便利さに“惚れ”るクルマを深“掘り”! キャンプの相棒5選

クルマはキャンプの相棒として欠かせない存在であり、より個性的なアウトドアライフを楽しみたいならキャンプギアだけでなく“クルマ選び”も重要なポイントになる。ここでは専門家を魅了する5台のモデルを解説する。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が選びました!

自動車ライター

並木政孝さん

元輸入車雑誌編集長である希代の自由人。アウトドアにも精通し、キャンプやカヌー、バス釣りにも傾倒する。

 

選ぶならアウトドアで活躍する機能性と個性を重視

猛威を振るうコロナ禍の影響もあり、野外で楽しめる開放的なキャンプが爆発的なブームを迎えている。週末のキャンプ場が満員御礼の状態になっているいま、ほかのキャンパーとはひと味違うクルマを選ぶことで個性を主張するのもオススメだ。

 

しかし、形ばかりのクルマでは意味を成さず、スタイルに伴う性能を備えていなければならない。オートキャンプや車中泊での利便性、遊び道具を満載できる積載性能、悪路の走破力などアウトドアならではの使い勝手は欠かせない。そして、キャンプという非日常だけでなく、日々の暮らしで使える快適性を合わせ持った二面性を備えたクルマを選ぶことも重要なポイントだ。

 

尖り過ぎない実用性と快適性、そしてキャンプ使用で威力を発揮してくれる個性的なクルマ選びこそが、快適なキャンプには大切だ。それに適した5モデルを紹介しよう。

 

 

「現代アウトドアにピッタリなパワーソース」に“ホレ”る

【その1】家電も使える未来のクルマ電気の力でキャンプを満喫

三菱

アウトランダー PHEV

462万1100円〜532万700円

存在感を示すアウトランダー PHEVは、その名の通り、プラグインハイブリッドのメリットを生かした1台だ。バッテリーからは最大1500Wの電気がアウトップットでき、家庭用の電気調理器や暖房器具の使用を可能とする。

SPEC【P】●全長×全幅×全高:4710×1860×1745mm●車両重量:2110kg●パワーユニット:2359cc直列4気筒+ツインモーター●最高出力:133[116/136]PS/5000rpm●最大トルク:19.9[26.0/19.9]kg-m/4300rpm●WLTCモード燃費:16.2km/L●EV走行換算距離:83km

●[ ]内は電気モーター(前/後)の数値

 

↑フロアコンソールとラゲッジルームの2か所にACコンセントを備え、最大1500Wの電力を供給。ホットプレートや暖房器具も使える

 

↑4輪の駆動力、制動力を最適にコントロールするS-AWC。ツインモーターをと呼ばれる4WD機能が快適かつ安全な走行性能を提供

 

↑開口部の段差をなくした広大なラゲッジスペース。多彩なシートアレンジを可能とし、フラットにすることで荷物を満載できる

 

[ココに“ホレ”た!] 自然にもやさしいPHEVは万一の災害時でも実力発揮

災害時にも威力を発揮するのが大きな魅力。ガソリンが満タン状態なら通常の家庭で、エンジンで発電しながらV2H機器を介して約12日間分の電気を供給可能です!(並木さん)

 

 

「走破性と醸し出す雰囲気」に“ホレ”る

【その2】質実剛健な新型ラングラーでアウトドアの王道を突き進め

ジープ

ラングラー アンリミテッド

704万円〜743万円

2018年にJKからJLへと進化を遂げたものの、ラングラーとしての基本スタイルは踏襲。操縦性、安定性、質感を向上させることで先代モデルの不満を解消している。日常と非日常の楽しさを両立できる憧れの存在だ。

SPEC【RUBICON】●全長×全幅×全高:4870×1895×1850mm●パワーユニット:3604ccV型6気筒●最高出力:284PS(209kw)/6400rpm●最大トルク:35.4kg-m(347Nm)/4100rpm●WLTCモード燃費:8.0km/L

 

↑約800mmの奥行きを持つスクエアなラゲッジは荷物を積みやすい。セカンドシートを倒せば2000Lへと容量を拡大できる

 

↑独立したラダーフレームは負荷にも強く、悪路を走行するジープらしい設計。ボディ自体の耐久性も高くなりライフスパンが長くなる

 

[ココに“ホレ”た!] 年式を経ても味が出て一生付き合える良き相棒

ジープのイメージを踏襲し、時代や年式に左右されることなく乗り続けることができるロングライフは大きな魅力。4WDの走破性能が安心感を提供してくれます。(並木さん)

 

 

「フランス車らしい優雅さ」に“ホレ”る

【その3】キャンプをバカンスに変えるフランス生まれの人気モデル

シトロエン

ベルランゴ

335万8000円〜374万9000円

キュートなスタイルと実用的な室内アレンジを融合させた、フランスのエスプリが漂う一台。「マルチアクティビティビークル」をコンセプトに誕生したモデルだけに、アウトドアでの使い勝手はパーフェクトと言える。

SPEC【SHINE XTR PACK】●全長×全幅×全高:4405×1850×1850mm●パワーユニット:1498cc直列4気筒ディーゼル+ターボ●最高出力:130PS(96kw)/3750rpm●最大トルク:30.5kg-m(300Nm)/1750rpm●WLTCモード燃費:18.0km/L

 

↑約90cmの奥行きを誇るラゲッジ。床下にリヤシートを収納すれば1.7mの長尺モノも収納でき、容量は最大2126Lまで拡大する

 

↑エアチュープ構造のフレームを付属のポンプで膨らませる純正タープを用意。完成サイズはW2500×H1800×D2500mmとなる

 

[ココに“ホレ”た!] フランスは商用車もシャレオツであります!

フルゴネットという商用車をベースに開発され使い勝手は良好。「モジェット」と呼ばれるパノラミックガラスルーフとストレージを一体化した開放的なルーフは絶品です。(並木さん)

 

 

「カスタマイズ性の高さ」に“ホレ”る

【その4】商用車ながらも快適性は抜群でカスタムベースとしても最適!

トヨタ

プロボックス

149万1000円〜201万4000円

アウトドアフリークの間でただいま人気急上昇中なのが、商用ベースの本車。リフトアップキットやキャリアなどのカスタムパーツが続々とリリースされ、手を加えることで精悍なアウトドア仕様へとモディファイ可能だ。

SPEC【F・ハイブリッド】●全長×全幅×全高:4245×1690×1525mm●車両重量:1160kg●パワーユニット:1496cc直列4気筒+モーター●最高出力:74[61]PS/4800rpm●最大トルク:11.3[17.2]kg-m/3600〜4400rpm●WLTCモード燃費:22.6km/L

 

↑商用車として生産されたモデルだけに開口部も広く積載能力は高い。シンプルなラゲッジルームはフラットで、DIYにも最適な設計

 

↑カスタムのトレンドはアウトドアに似合う武骨なスタイル。バンパーガードや大型のパイプ製キャリア、リフトアップに加えマットな塗装を施すことも

 

[ココに“ホレ”た!] 商用バンを大変身させる絶妙なカスタムセンス!

キャンプでの実用性を考えれば商用車の選択もアリ。乗り心地の悪さは新型モデルでは解消されました。カスタマイズすれば快適なアウトドア仕様へ変身します!(並木さん)

 

 

「経済性と遊びゴコロ」に“ホレ”る

【その5】必要最低限とは呼ばせない軽バン王者の底力を知る!

ホンダ

N-VAN

127万6000円〜187万2200円

人気の軽バンとしてアウトドアマンたちからの信頼度は抜群。低床プラットフォーム助手席側のBピラーをなくしたことで利便性を拡大した。仕事に遊びに活躍してくれるモデルだ。

SPEC【+STYLE FUN・ターボ】●全長×全幅×全高:3395×1475×1960mm●パワーユニット:658cc直列3気筒+ターボ●最高出力:64PS(47kw)/6000rpm●最大トルク:10.6kg-m(104Nm)/2600rpm●WLTCモード燃費:18.8km/L

 

↑アレンジが多彩なシートは運転席以外のすべてに荷物が積める。テールゲートから助手席までフラットに設計された室内は使いやすさに優れる

 

↑フルフラットにできる車内は車中泊に最適。社外パーツも豊富で自分らしいスタイルへとカスタムする楽しさを持つ。コスパは抜群だ

 

[ココに“ホレ”た!] キャンプに最適な構造はオリジナリティが光る!

高い経済性と唯一無二のオリジナリティが光る傑作モデル。キャンプや釣り、サーフィンなどのソト遊びをサポートする“秘密基地”的な雰囲気が男心を刺激します。(並木さん)

 

 

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商用車ながらも快適性は抜群でカスタムベースとしても最適!

クルマはキャンプの相棒として欠かせない存在であり、より個性的なアウトドアライフを楽しみたいならキャンプギアだけでなく“クルマ選び”も重要なポイントになる。本稿では専門家を魅了するトヨタ「プロボックス」を解説する。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が選びました!

自動車ライター

並木政孝さん

元輸入車雑誌編集長である希代の自由人。アウトドアにも精通し、キャンプやカヌー、バス釣りにも傾倒する。

 

「カスタマイズ性の高さ」に“ホレ”る

トヨタ

プロボックス

149万1000円〜201万4000円

アウトドアフリークの間でただいま人気急上昇中なのが、商用ベースの本車。リフトアップキットやキャリアなどのカスタムパーツが続々とリリースされ、手を加えることで精悍なアウトドア仕様へとモディファイ可能だ。

SPEC【F・ハイブリッド】●全長×全幅×全高:4245×1690×1525mm●車両重量:1160kg●パワーユニット:1496cc直列4気筒+モーター●最高出力:74[61]PS/4800rpm●最大トルク:11.3[17.2]kg-m/3600〜4400rpm●WLTCモード燃費:22.6km/L

 

↑商用車として生産されたモデルだけに開口部も広く積載能力は高い。シンプルなラゲッジルームはフラットで、DIYにも最適な設計

 

↑カスタムのトレンドはアウトドアに似合う武骨なスタイル。バンパーガードや大型のパイプ製キャリア、リフトアップに加えマットな塗装を施すことも

 

[ココに“ホレ”た!] 商用バンを大変身させる絶妙なカスタムセンス!

キャンプでの実用性を考えれば商用車の選択もアリ。乗り心地の悪さは新型モデルでは解消されました。カスタマイズすれば快適なアウトドア仕様へ変身します!(並木さん)

 

 

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ファミリーキャンプで快適に遊べるクルマはどっちだ!? ミニバン両雄徹底解剖

4〜5人が多いファミリーキャンプは当然荷物も多くなる。そんなとき便利なのはやはりミニバンだ。今年モデルチェンジしたミニバンの代表的モデルを、父親モータージャーナリストがキャンプ目線でチェックした。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私がチェックします!

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

幼い男女二児の父。あらゆるカテゴリーの新型車を幅広く網羅する気鋭の日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

【エントリーNo.1】シンプルなデザインに回帰! 進化したe:HEVにも期待

ホンダ

ステップワゴン

299万8600円〜384万6700円(税込)

誕生から25周年を迎えた今年フルモデルチェンジ。初代のデザインをオマージュした直線的でシンプルなデザインが印象的だ。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトから生まれる車内高は圧倒的で、大きな荷物も載せやすい。

●スペックは未発表(4月13日現在)

 

乗り物酔いを起こしにくいインテリアに要注目

ステップワゴンは新型も先代までの「スパーダ」は継続。新たに「エアー」というモデルも加わった。

 

質感が高められたインテリアは、水平基調でノイズレスなデザインとすることで視野を安定させ、乗り物酔いを起こしにくくするという新しい着眼点で設計されている。実は我が家も4歳の娘が乗り物酔いしやすいので、どれぐらい効果があるのか大いに気になるところ。より心おきなく遠出できるようになるなら願ってもないことだ。

 

使い勝手では、出先で広い車内を自在にアレンジできるのがありがたい。従来型で話題となった独自の「わくわくゲート」の採用は見送られたが、床下格納式の3列目シートは踏襲している。このほうが格納したとき側面がスッキリするので、大きくて背の高い荷物を積みやすいというメリットもある。

 

走りについても、進化したe:HEVが遠出でも真価を発揮してくれることに期待したい。

 

[Point 1] 乗員が自由に居場所を選べるシートアレンジ

1列目から3列目まで、それぞれに求められる機能に対応する柔軟なアレンジが可能。広くフラットなスペースを作り出すこともできる。

 

[Point 2] 3列目の乗員にもより快適な居住性を提供

着座位置を高めるとともに、目障りにならないよう前方のシートやヘッドレストの形状を工夫。後席からの開放的な視界を実現している。

 

[Point 3] 床下格納式ならではの便利な使い方ができる

3列目シートを分割して床下に格納可能。格納すると床下は使えなくなるが、側面が空くので背の高い荷物を端に寄せて積むことができる。

 

[Point 4] 右席75mm、左席115mmの中寄せスライドが可能に

2列目シートは左右にもスライド可能。内側と外側で前後スライド量を変えたことで、どの位置でもロングスライドできるようになっている。

 

岡本’s CHECK!

素直になったデザインはより多くの人に受けそう

従来型も完成度は高かったが、クセのあるデザインが賛否両論だった。新型はより多くの人に受け入れられそうなデザインになったので、販売も伸びるはず。本誌発売直後に予定されている試乗の機会が楽しみだ。

※:未試乗なので予想値

 

 

【エントリーNo.2】コンセプトをキープしながら中身を全面的に刷新

トヨタ

ノア

267万円〜389万円(税込)

7人乗り、8人乗りを設定する人気のミニバン。モーターとバッテリーの高効率化を実現した新世代ハイブリッドの設定をはじめ、スマホアプリで駐車を遠隔操作できる機能や、車内Wi-Fiなどの先進装備を満載している。

SPEC【S-Z(ハイブリッド・2WD)】●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●車両重量:1670kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒+電気モーター●最高出力:98PS/5200rpm●最大トルク:14.5kg-m /3600rpm●WLTCモード燃費:23.0km/L

 

最先端技術を積極的に導入し誰にでも使いやすく配慮

新型ノアは全面的に刷新。プラットフォームにTNGAが採用され、ハイブリッドシステムも新しくなり、走行性能が大きく向上した。待望のE-Fourを選べるのも、未舗装路を走る機会のあるハイブリッド派にとって朗報だ。

 

さらに先進運転支援装備もこれ以上ないほど充実した。一定条件下でのハンズオフ走行を可能とした「アドバンスドドライブ」もノアの目玉だ。遠出する際にもドライバーの負荷を軽減してくれる。

 

使い勝手においても、よくぞここまで配慮したものだと感心する。3列目シートはワンタッチで跳ね上げられるようになったほか、バックドアには任意の角度で保持できるよう進化。パワーバックドア装着車ではスイッチをドアではなく車体両側の後端に設置したおかげで、より使いやすくなった。キャンプに出かけて大きな道具を積み下ろしする際などに、ありがたみを実感できるはずだ。

 

[Point 1] ボディ骨格の最適化で広い室内空間を実現

左右のCピラー間距離が従来に比べて75mmも拡大した。1400mmを超える室内高と相まって、室内空間は広々としており開放感バツグンだ。

 

[Point 2] 運転席からの視界は良好でストレスフリー

ピラーやダッシュボードまわりの形状の工夫で運転席からの視界は非常に良好。インテリアの質感や各部の使い勝手も大きく向上している。

 

[Point 3] 2列目シートのために快適装備をクラス初採用

2WDの7人乗りの2列目キャプテンシートにオットマン機構とシートヒーターを採用。超ロングスライド機構はより使いやすく進化。

 

[Point 4] インフォテインメント系やハイテク装備も大幅進化

スマホ操作で駐車および出庫できるリモート機能をハイブリッド車に設定。狭い枠に駐車したいときでも車外から操作できる。

 

岡本’s CHECK!

人が乗降しやすく荷物の積載もラクラク

パワースライドドア設定車は助手席側のユニバーサルステップを搭載。子どもや高齢者でも乗降しやすい。室内高は最大1405mmを実現し、背の高い荷物も積みやすく、キャンプなどで多くなる荷物にも十分対応する。

 

 

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コンセプトをキープしながら中身を全面的に刷新したトヨタ新型「ノア」

4〜5人が多いファミリーキャンプは当然荷物も多くなる。そんなとき便利なのはやはりミニバンだ。今年モデルチェンジしたミニバンの代表的モデルのひとつトヨタ「ノア」を、父親モータージャーナリストがキャンプ目線でチェックした。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私がチェックします!

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

幼い男女二児の父。あらゆるカテゴリーの新型車を幅広く網羅する気鋭の日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

最先端技術を積極的に導入し誰にでも使いやすく配慮

トヨタ

ノア

267万円〜389万円(税込)

7人乗り、8人乗りを設定する人気のミニバン。モーターとバッテリーの高効率化を実現した新世代ハイブリッドの設定をはじめ、スマホアプリで駐車を遠隔操作できる機能や、車内Wi-Fiなどの先進装備を満載している。

SPEC【S-Z(ハイブリッド・2WD)】●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●車両重量:1670kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒+電気モーター●最高出力:98PS/5200rpm●最大トルク:14.5kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:23.0km/L

 

新型ノアは全面的に刷新。プラットフォームにTNGAが採用され、ハイブリッドシステムも新しくなり、走行性能が大きく向上した。待望のE-Fourを選べるのも、未舗装路を走る機会のあるハイブリッド派にとって朗報だ。

 

さらに先進運転支援装備もこれ以上ないほど充実した。一定条件下でのハンズオフ走行を可能とした「アドバンスドドライブ」もノアの目玉だ。遠出する際にもドライバーの負荷を軽減してくれる。

 

使い勝手においても、よくぞここまで配慮したものだと感心する。3列目シートはワンタッチで跳ね上げられるようになったほか、バックドアには任意の角度で保持できるよう進化。パワーバックドア装着車ではスイッチをドアではなく車体両側の後端に設置したおかげで、より使いやすくなった。キャンプに出かけて大きな道具を積み下ろしする際などに、ありがたみを実感できるはずだ。

 

[Point 1] ボディ骨格の最適化で広い室内空間を実現

左右のCピラー間距離が従来に比べて75mmも拡大した。1400mmを超える室内高と相まって、室内空間は広々としており開放感バツグンだ。

 

[Point 2] 運転席からの視界は良好でストレスフリー

ピラーやダッシュボードまわりの形状の工夫で運転席からの視界は非常に良好。インテリアの質感や各部の使い勝手も大きく向上している。

 

[Point 3] 2列目シートのために快適装備をクラス初採用

2WDの7人乗りの2列目キャプテンシートにオットマン機構とシートヒーターを採用。超ロングスライド機構はより使いやすく進化。

 

[Point 4] インフォテインメント系やハイテク装備も大幅進化

スマホ操作で駐車および出庫できるリモート機能をハイブリッド車に設定。狭い枠に駐車したいときでも車外から操作できる。

 

岡本’s CHECK!

人が乗降しやすく荷物の積載もラクラク

パワースライドドア設定車は助手席側のユニバーサルステップを搭載。子どもや高齢者でも乗降しやすい。室内高は最大1405mmを実現し、背の高い荷物も積みやすく、キャンプなどで多くなる荷物にも十分対応する。

 

 

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同じSUVでも性能は対照的! ジープ「グランドチェロキー L」、トヨタ「bZ4X」の乗り味を検証

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのは、プレミアムSUVの草分け的存在であるジープ「グランドチェロキー」の新型と、トヨタ初の本格ピュアEVとなる「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」のプロトタイプ。どちらもカテゴリー的にはSUVに分類できるが、その中身はパワーユニットと同じく対照的だ。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】3列シート採用で一層“使える”高級SUVに!

SUV

ジープ

グランドチェロキー L

SPEC【サミットリザーブ】●全長×全幅×全高:5200×1980×1795mm●車両重量:2250kg●パワーユニット:3604ccV型6気筒DOHC●最高出力:286PS/6400rpm●最大トルク:35.1kg-m/4000rpm●WLTCモード燃費:非公表

 

注目の3列目シートは大人でも十分の広さを確保

日本でのジープ販売は、このところずっと右肩上がり。その旗艦であるグランドチェロキーが、10年ぶりにモデルチェンジした。導入されたのは、新設定となる3列シート仕様の「L」だ。その外観は、存在感があり堂々たるもの。また、上質な素材や数々の豪華装備が投入された室内も高級SUVとしてひと際目を引く出来栄えだ。

 

気になるサードシートは、広いとは言えないまでも成人男性でも座れるスペースを確保。高めに設定された着座位置もあって見晴らしも良い。さらに大柄な車体の恩恵で、3列目使用時でも結構な量の荷物が積める点も助かる点だ。

 

いまや貴重な自然吸気の3.6LV6ガソリンエンジンは扱いやすく、上質な吹け上がりを披露。ジープらしく悪路走行をアシストする装備も満載している。これまでが安かったためか、新型は価格がグッと高くなった印象を受けるが、中身はそれ以上に充実。なおかつ高級SUVとして洗練されたことは強調しておきたい。

 

[Point 1]ATセレクターにはジープ初の機構を採用

ATセレクターには、ジープ初となるダイヤル式のロータリーセレクトを採用。上質な仕立てとなる室内は、新しさの演出も十分だ。セカンドシートは写真の2人掛けのほか(サミットリザーブ)、3人掛けも選べる(リミテッド)。

 

[Point 2]走りは扱いやすく、なおかつ上質

日本仕様のパワーユニットは、いまのとろ3.6LのV6ガソリンのみ。全長が5mを超える堂々たるボディとの組み合わせながら、必要十分な動力性能を発揮し、上質感を披露してくれる。

 

[Point 3]サイズに相応しい大容量を確保

荷室は、3列目シート使用時でも実用的な広さを確保。写真は3列目をたたんだ状態だが、2列目までたためば容量は最大で2400Lまで拡大する。

 

[ラインナップ](グレード:エンジン/駆動方式/ミッション/税込価格)

リミテッド:3.6L/4WD/8速AT/788万円

サミットリザーブ:3.6L/4WD/8速AT/999万円

 

 

【その2】その性能は、すでにピュアEVの最前線!

プロトタイプ

トヨタ

bZ4X

SPEC【4WD】●全長×全幅×全高:4690×1860×1650mm●車両重量:2005kg〜●パワーユニット:電気モーター(交流同期電動機)×2●バッテリー総電力量:71.4kWh●最高出力:218㎰(システムトータル)●一充電最大航続距離:460km前後

 

4WDモデルでは緻密な駆動制御も実感できる!

bZ4Xは、間もなく日本でもリリースが始まる(※)トヨタ初の本格ピュアEVだ。ボディはRAV4より全長が長く、若干ながら幅広く、そして背が低いという適度なボリューム。ご覧のように、外観はSUVらしさとクーペ的な風情がミックスされたスタイリッシュな仕上がりとなっている。

 

EVとしてのパワートレインは、フロントモーターのみの2WDと、リアにもコンパクトなモーターを追加した4WDの2種。組み合わせるリチウムイオンバッテリーは、総電力量71.4kWhで1充電当たりの最大航続距離は460km前後。つまり、最新のピュアEVらしく実用性は十分というわけだ。

 

今回はサーキット限定の試乗だったが、走りはナチュラル志向の味付けであることが確認できた。もちろん、静粛性の高さや加速の滑らかさ、そして強固なボディの剛性感といったEVらしい美点はしっかり実感できるが、それ以上に印象的だったのはアクセル操作に対する反応が自然に仕上げられていること。加えて、前後の駆動配分を緻密に制御する4WDモデルでは、車重を意識させない操舵性の良さも好印象だった。製品としての完成度はすでにハイレベルだ。新作が相次ぐEV界にあって、リリースが楽しみなモデルであることは間違いない。

※:5月12日より申込受付を開始した。法人の場合は法人専用リースでの提供、個人契約の場合はサブスク(フルサービスリース)の「KINTO」での提供となる

 

[Point 1]「ステアバイワイヤ」を採用

ステアリングとタイヤが機械的に繋がらない、完全電子制御の「ステアバイワイヤ」はステアリング形状(下写真)にも注目。日本でも、発売以降に追加設定の予定とか(当初は中国向けのみ)。

 

[Point 2]すべての座席で平等な居心地を実現?

バッテリーを床下に収める関係上、着座位置に対して床面が高い感もあるが広さ自体は前後席ともに十分以上。全席に同じ価値を等しく提供する空間に仕上げた、とはトヨタの弁。

 

[Point 3]外観はSUVらしさとクーペテイストが融合

外観はSUVの力強さとクーペのスポーティなテイストが融合した仕立て。兄弟車となるスバル・ソルテラとは、フロントマスクを中心とした細部のデザインで差別化が図られる。

 

[Point 4]SUVに期待される実用性も確保する

グラスエリアをコンパクトにまとめたボディ形状ながら、ラゲッジスペースは床面の広さがそれをフォロー。SUVとして満足できる使い勝手が実現している。

 

[Point 5]システム出力は2WDと4WDでほぼ同等

システム出力は、フロントモーターのみの2WDが204PS。リアにもモーターを積む4WDは218PSと極端な差はないが、車重は後者が85kg重いのが特徴だ。

 

文/岡本幸一郎、小野泰治 撮影/郡 大二郎、宮越隆政

 

 

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トヨタ「bZ4X」の性能は、すでにピュアEVの最前線!

今回は、トヨタ初の本格ピュアEVとなる「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」のプロトタイプ。ミドルサイズのSUV型BEVの中身はどうなのでしょうか。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

4WDモデルでは緻密な駆動制御も実感できる!

プロトタイプ

トヨタ

bZ4X

SPEC【4WD】●全長×全幅×全高:4690×1860×1650mm●車両重量:2005kg〜●パワーユニット:電気モーター(交流同期電動機)×2●バッテリー総電力量:71.4kWh●最高出力:218㎰(システムトータル)●一充電最大航続距離:460km前後

 

bZ4Xは、間もなく日本でもリリースが始まる(※)トヨタ初の本格ピュアEVだ。ボディはRAV4より全長が長く、若干ながら幅広く、そして背が低いという適度なボリューム。ご覧のように、外観はSUVらしさとクーペ的な風情がミックスされたスタイリッシュな仕上がりとなっている。

 

EVとしてのパワートレインは、フロントモーターのみの2WDと、リアにもコンパクトなモーターを追加した4WDの2種。組み合わせるリチウムイオンバッテリーは、総電力量71.4kWhで1充電当たりの最大航続距離は460km前後。つまり、最新のピュアEVらしく実用性は十分というわけだ。

 

今回はサーキット限定の試乗だったが、走りはナチュラル志向の味付けであることが確認できた。もちろん、静粛性の高さや加速の滑らかさ、そして強固なボディの剛性感といったEVらしい美点はしっかり実感できるが、それ以上に印象的だったのはアクセル操作に対する反応が自然に仕上げられていること。加えて、前後の駆動配分を緻密に制御する4WDモデルでは、車重を意識させない操舵性の良さも好印象だった。製品としての完成度はすでにハイレベルだ。新作が相次ぐEV界にあって、リリースが楽しみなモデルであることは間違いない。

※:5月12日より申込受付を開始した。法人の場合は法人専用リースでの提供、個人契約の場合はサブスク(フルサービスリース)の「KINTO」での提供となる

 

[Point 1]「ステアバイワイヤ」を採用

ステアリングとタイヤが機械的に繋がらない、完全電子制御の「ステアバイワイヤ」はステアリング形状(下写真)にも注目。日本でも、発売以降に追加設定の予定とか(当初は中国向けのみ)。

 

[Point 2]すべての座席で平等な居心地を実現?

バッテリーを床下に収める関係上、着座位置に対して床面が高い感もあるが広さ自体は前後席ともに十分以上。全席に同じ価値を等しく提供する空間に仕上げた、とはトヨタの弁。

 

[Point 3]外観はSUVらしさとクーペテイストが融合

外観はSUVの力強さとクーペのスポーティなテイストが融合した仕立て。兄弟車となるスバル・ソルテラとは、フロントマスクを中心とした細部のデザインで差別化が図られる。

 

[Point 4]SUVに期待される実用性も確保する

グラスエリアをコンパクトにまとめたボディ形状ながら、ラゲッジスペースは床面の広さがそれをフォロー。SUVとして満足できる使い勝手が実現している。

 

[Point 5]システム出力は2WDと4WDでほぼ同等

システム出力は、フロントモーターのみの2WDが204PS。リアにもモーターを積む4WDは218PSと極端な差はないが、車重は後者が85kg重いのが特徴だ。

 

文/小野泰治 撮影/宮越隆政

 

 

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どれもハイレベルな完成度! ボディタイプの異なる新車3モデルに試し乗り

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのはトヨタの新型「ノア/ヴォクシー」とBMWのピュアEVである「iX3」、そして新型フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」の3モデル。ミニバンにSUV、ハッチバックとボディタイプは異なるが、どれも人気モデルだけに完成度はハイレベルだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】まさに横綱相撲! 使い勝手は究極の域に到達

SUV

トヨタ

ノア/ヴォクシー

SPEC【ヴォクシーS-Z(ハイブリッド2WD)】●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●車両重量:1670kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[95]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[18.9]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:23.0km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

走りの面でオススメなのは最新世代のハイブリッド仕様

新型ノア/ヴォクシーは基本骨格を一新し、運転支援システムも最新モデルに相応しい充実ぶりを誇る。だが、実車に接してとりわけ印象的だったのは使い勝手に配慮した作り込みの徹底ぶりだ。パノラミックと表現したくなる前席の視界の良さや、電動スライドドアに装備できる機械式サイドステップ、そして開口位置を選べるバックドアなど、実用性に優れた細やかな配慮はもはや究極の域。ノアとヴォクシーでは前後の造形でキャラクターを差別化しているが、見た目の洗練度も先代より着実に進化している。

 

パワーユニットは、最新世代となるハイブリッドと2Lガソリンの2本立て。その動力性能は後者でも不足はないが、走らせて楽しいのは間違いなく前者だ。絶対的な力強さに加え、アクセル操作に対する自然な反応は先代より引き締まった足回りにもピッタリ。ハイブリッドは装備まで考慮すると事実上の値下げとなり、コスパの面でも絶対にオススメだ。

 

[Point 1] 先進装備と実用度はトップレベル

視界の良さが特徴のインパネ回りは運転支援システムや使い勝手もハイレベル。2列目シートは3人掛け仕様も設定された。電動スライドドアの助手席側には機械式サイドステップも装備できる。

 

[Point 2] ヴォクシーはノアよりもアグレッシブ

外観がノアよりアグレッシブになるヴォクシーは、基本的なグレード構成もS-ZとS-Gの2種に絞られる。価格はノアの同グレードよりも若干高めの設定だ。

 

[Point 3] 荷室の使い勝手も向上

バックドアの開口位置を選べる(電動と機械式の2タイプ)荷室は容量、形状ともに申し分ない。3列目シートの格納操作も先代より容易になったのはうれしい。

 

[ラインナップ](グレード:エンジン/駆動方式/ミッション/税込価格)

X:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/267万円、(286万8000円)[305万円、(327万円)]

G:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/297万円(316万8000円)[332万円(354万円)]

Z:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/324万円(343万8000円)[359万円(381万円)]

S-G:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/304万円(323万8000円)[339万円(361万円)]

S-Z:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/332万円(351万8000円)[367万円(389万円)]

●[ ]内はハイブリッド車、( )内は4WD(E-Four)の価格

 

【その2】スポーティでありながら貫禄も旗艦級!

 

【その2】ピュアEVでも伝統的なBMWらしさが楽しめる!

EV

BMW

iX3

SPEC●全長×全幅×全高:4740×1890×1670mm●車両重量:2200kg●パワーユニット:交流電気モーター●最高出力:286PS/6000rpm●最大トルク:40.8kg-m/0〜4500rpm●WLTCモード最大航続距離:508km

 

走りの性能は最新EVに相応しいレベルを確保!

ほぼ同時期に上陸したBMWの最新ピュアEVでも、iXと比較すれば伝統的なBMWらしさが色濃いのがiX3。そのベースはSUVのX3で、内外装には随所に独自デザインを採用するが、一見する限りEVであることは意識させない。電気モーターはリアに搭載。組み合わせるバッテリーの総電力量は80kWhで、満充電時の最大航続距離は508km。最新のEVらしく高い数値となっている。

 

その走りは、見た目のイメージ通りだ。EVならではの静かさや滑らかな加速を実感させる一方、アクセル操作の反応やスポーティな身のこなしはBMWの伝統に通じる味付け。普段の生活においてEVを楽しみたい、というニーズにはピッタリの1台だ。

 

[Point 1] 内装はX3に準じたスポーティな仕立て

外観と同じく、内装も基本的な作りはX3と変わらない。BMWの内燃機関各車に通じるスポーティなテイストが持ち味となっている。

 

[Point 2] 外観は随所が独自の造形に

外観はMスポーツ仕様ということでスポーティ。随所にブルーのアクセントが入り、EVであることを主張する。税込価格は862万円。

 

[Point 3] 荷室は通常時510Lと十分な広さを確保

エンジンモデルのX3比には若干劣るが、荷室容量は通常時でも510Lと十分な広さ。後席をたたんだ最大時は1560Lまで拡大する。

 

 

【その3】軽快で力強い走りは伝統の旗艦ならでは

ハッチバック

フォルクスワーゲン

ゴルフ GTI

SPEC●全長×全幅×全高:4295×1790×1465mm●車両重量:1430kg●パワーユニット:1984cc直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:245PS/5000〜6500rpm●最大トルク:37.7kg-m/1600〜4300rpm●WLTCモード燃費:12.8km/L

 

積極的に操る魅力を備えた万能スポーツハッチバック

単に高性能というだけではなく、ゴルフのイメージリーダー的存在でもあったGTIが最新世代へとスイッチ。ベースとなる8代目はマイルドハイブリッドの投入でも話題を呼んだが、GTIは引き続きハイスペックな2Lのガソリンターボを搭載。駆動方式も先代と同じくFF方式を踏襲する。

 

その走りは、もちろんGTIの称号に相応しいレベルにある。2Lターボは、パワフルなだけではなく全域での扱いやすさを両立。トラクション性能にも優れるだけに、積極的に操る場面では能力を使い切る喜びも見出せる。また、先代比では身のこなしが一層軽快な点も持ち味のひとつ。快適性も上々とあって“万能なハッチバック”としての魅力度は高い。

 

[Point 1] 新しさと伝統が融合する

室内はメーターのグラフィックなどが専用仕立てとなるほか、伝統的なチェックのシート柄などでGTIらしさを演出。装備も充実している。

 

[Point 2] 走りはパワフルで軽快

GTIは“押し”の強いフロントマスクに加え、リアゲート中央の車名ロゴが「GOLF」ではなくなる(税込466万円)。軽快かつパワフルな走りが楽しめる。

 

[Point 3] パワーユニットは歴代でも最強レベル

一部例外を除けば、搭載する2Lガソリンターボのアウトプットは歴代GTIでも最強レベル。速さに加え、フレキシビリティの高さも魅力。

 

文/小野泰治 撮影/郡 大二郎、市 健治

 

 

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まさに横綱相撲! 新型ノア/ヴォクシーの使い勝手は究極の域に到達

気になる新車を一気乗り! 今回は今年1月にフルモデルチェンジを果たし、4代目に進化したトヨタの大人気ミニバンである「ノア/ヴォクシー」を紹介します。

※こちらは「GetNavi」 2022年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

走りの面でオススメなのは最新世代のハイブリッド仕様

SUV

トヨタ

ノア/ヴォクシー

SPEC【ヴォクシーS-Z(ハイブリッド2WD)】●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●車両重量:1670kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[95]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[18.9]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:23.0km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

新型ノア/ヴォクシーは基本骨格を一新し、運転支援システムも最新モデルに相応しい充実ぶりを誇る。だが、実車に接してとりわけ印象的だったのは使い勝手に配慮した作り込みの徹底ぶりだ。パノラミックと表現したくなる前席の視界の良さや、電動スライドドアに装備できる機械式サイドステップ、そして開口位置を選べるバックドアなど、実用性に優れた細やかな配慮はもはや究極の域。ノアとヴォクシーでは前後の造形でキャラクターを差別化しているが、見た目の洗練度も先代より着実に進化している。

 

パワーユニットは、最新世代となるハイブリッドと2Lガソリンの2本立て。その動力性能は後者でも不足はないが、走らせて楽しいのは間違いなく前者だ。絶対的な力強さに加え、アクセル操作に対する自然な反応は先代より引き締まった足回りにもピッタリ。ハイブリッドは装備まで考慮すると事実上の値下げとなり、コスパの面でも絶対にオススメだ。

 

[Point 1] 先進装備と実用度はトップレベル

視界の良さが特徴のインパネ回りは運転支援システムや使い勝手もハイレベル。2列目シートは3人掛け仕様も設定された。電動スライドドアの助手席側には機械式サイドステップも装備できる。

 

[Point 2] ヴォクシーはノアよりもアグレッシブ

外観がノアよりアグレッシブになるヴォクシーは、基本的なグレード構成もS-ZとS-Gの2種に絞られる。価格はノアの同グレードよりも若干高めの設定だ。

 

[Point 3] 荷室の使い勝手も向上

バックドアの開口位置を選べる(電動と機械式の2タイプ)荷室は容量、形状ともに申し分ない。3列目シートの格納操作も先代より容易になったのはうれしい。

 

[ラインナップ](グレード:エンジン/駆動方式/ミッション/税込価格)

X:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/267万円(286万8000円)[305万円(327万円)]

G:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/297万円(316万8000円)[332万円(354万円)]

Z:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/324万円(343万8000円)[359万円(381万円)]

S-G:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/304万円(323万8000円)[339万円(361万円)]

S-Z:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/332万円(351万8000円)[367万円(389万円)]

●[ ]内はハイブリッド車、( )内は4WD(E-Four)の価格

 

文/小野泰治 撮影/郡 大二郎

 

 

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メーカー直系カスタムカーは完成度が抜群! 個性的な4ブランドを紹介

クルマ好きにとって愛車を自分流に仕立てることはひとつのテーマだ。アフターパーツメーカーも数多くあるけれど、それならばいっそのことメーカー直系のカスタムカーはいかが? 個性的な4つのブランドをここに紹介する!

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

クルマにピッタリ合った完成度の高さが魅力

その昔、クルマのオプションはアルミホイールやフォグランプが大半だったころ、メーカーが直接カスタマイズしたクルマはショーモデルや競技車両がほとんどだった。レースではワークス、市販はアフターパーツと線引きされていたのだ。それが最近ではメーカー直系のチューニングパーツやコンプリートカーが購入可能になった。メーカー直系ということはメーカークオリティが保たれているということ。アフターパーツながらも品質保証がつくモノもあり、新車購入時にオーダーすれば納車時には希望のスタイルになっている。

 

メーカー直系のカスタムカーは大きなアドバンテージがある。例えばベース車両の開発段階から積極的に関われるため様々なテストデータなどを入手でき、クルマに合ったパーツが開発可能という点だ。またそのパーツは単体でもディーラーで購入可能。ベース車を知り尽くしているからこそ、バツグンの完成度を誇るカスタムカーが手に入るのだ。

↑メーカー直系カスタムのメリットは納車時には“完成”していること。オリジナルのシルエットを崩さないのも魅力だ

 

【その1】RALLIART

ラリーアート from 三菱

ラリーアートは三菱自動車のワークスチーム。同社のモータースポーツ活動を支えるブランドで、ギャラン、ランエボでのWRC、パジェロでのパリダカなどラリーやレースで大活躍した。

 

そんなモータースポーツのイメージを受け継ぎながら、自分らしい走りスタイリングを求めるユーザーにワクワク感を届けるべく、純正アクセサリーの販売を展開していくという。またモータースポーツへの参戦も再度検討するというから期待大である。

 

[History] 活動休止を経て復活したラリーアートに注目!

1984年に設立。三菱のモータースポーツ活動のブランドであり、自動車メーカーチームとして競技への参加や競技用部品の開発、ドライバーの支援などを行ってきた。2010年に活動を休止したが2021年、純正アクセサリーとして幅広いモデルへの展開で復活が発表された。

 

【イチオシモデル】復活ラリーアートのカスタマイズカーに注目!

アウトランダー RALLIART Style

パーツ価格未定

「昨年発売したアウトランダーのPグレードに、今春発売予定のラリーアート純正アクセサリーを装着した『ラリーアートスタイル』です。かつてのラリー活動からインスパイアした同ブランドを印象付ける、マッドフラップやサイドデカールで走りにかける情熱を表現。ブラックで統一されたホイールやルーフスポイラーとボディの赤いアクセントカラーで、スポーティなスタイルを提案しています!」(ラリーアート)

 

ラリーアートのコンセプトモデルが続々!

写真上はエクリプス クロス・ラリーアートスタイル。同ブランドの方程式に沿ったカラーリングやマッドフラップを装備。写真下はビジョン・ラリーアート・コンセプト。オンロードのイメージを強く出し、新しいラリーアートの可能性を表現する。

 

【その2】MODELLISTA

モデリスタ from トヨタ/レクサス

トヨタのメーカー直系カスタマイズブランド。イタリア語で“デザイナー”を意味するモデリスタの最大の特徴はそのデザイン。コンセプトは「Resonating Emotion~響感の創造~」で、感性に訴求するデザインだ。デザインをクルマと“響鳴”させて、新たな価値へと昇華させる。

 

ベース車の造形やデザインと対話して造られる同ブランドのエアロパーツは独創的なデザインが多い。また実用性重視のパーツも発売している。

 

[History] ユーザーの「もっと」に応える

“あなたの「もっと」に応えたい”をモットーにユーザーの願いを叶えるブランドとして1997年にスタート。設立当初は特別仕様のクルマ製造がメインだったが、2008年頃よりトヨタやレクサスなどのアフターパーツによるカスタムカーの製造がメインになった。

 

【イチオシモデル】躍動的で生命力のあるデザインがウリ!

ノア/ヴォクシー

パーツ価格3300円(税込)~26万4000円(税込)

「ノア、ヴォクシーともフロントフェイスに注目してください。ノーマルからガラリと印象が変化するパーツをリリースしています。またリアのイルミルーフスポイラーもオススメのパーツ。LEDライトがリアビューを先進的な雰囲気にドレスアップしているのがポイントです!」(モデリスタ)

 

↑東京オートサロン 2022で初披露されたモデリスタのノアとヴォクシー。メッキの加飾パーツがアクセントだ

 

【その3】AUTECH

オーテック from 日産

オーテックジャパンは日産グループ内の特装車メーカー。あの「西部警察」の劇中車を作っていた会社であり、生粋の技術者集団といわれる。初代社長はスカイラインの父として知られる桜井眞一郎氏だ。

 

カスタムカーブランドの「AUTECH」は同社のクラフトマンシップを継承しつつ、スポーティでありながらも高級感漂うスタイリングが特徴。ブランドアイコニックカラーは創業地である茅ヶ崎の海と空をイメージしたブルーだ。

 

[History] いまやNISMOも手がける名門

日産グループ内の特装車メーカーとして1986年に設立。当初はトラックなどの商用車中心だったが、のちに乗用車もラインナップ。いまも人気の「ハイウェイスター」は同社製が発祥。近年ではスポーツドライビング向けのNISMOシリーズの開発も行っている。

 

【イチオシモデル】高級感漂うスタイリングと細部までこだわったインテリアが自慢

ノート AUTECH CROSSOVER

253万7700円(税込)~279万6200円(税込)

「先進コンパクトであるノートをベースに、オーテックブランドのプレミアムスポーティなコンセプトとSUVの機能やスタイルを融合。内外装ともに専用品を盛り込んだオーテック仕様の、走りまでにもこだわった、すべてに上質感のあるコンパクトクロスオーバーモデルです!」(オーテック)

 

↑同社専用シートやウッド調のフィニッシャーなど上質さに定評がある。車内はクラスを超えた雰囲気を持つ

 

【その4】Modulo X

モデューロ X from ホンダ

ホンダの4輪車純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスが作り上げたコンプリートカーブランドがモデューロ X。メインのコンセプトは、ホンダ車を知り尽くしたエンジニアが匠の技で熟成させたカスタムカー。開発アドバイザーはあの“ドリキン”こと土屋圭市氏だ。特にエアロ開発では実効空力を重視し、低速度域でも効果が感じられるエアロパーツを搭載。サスやホイールも専用に仕立てたもので、あらゆる路面環境でも高い接地感が魅力だ。

 

[History] アルミホイールのブランドとしてスタート

モデューロは、ホンダアクセスのアルミホイールブランドとして1994年に誕生。1990年代後半にはエアロパーツやサスペンションなどラインナップを拡大した。2013年にはHonda純正のコンプリートカーブランド、モデューロ Xシリーズがデビューした。

 

【イチオシモデル】空力効果のある“エアロ”と専用の足まわりで意のままに走れる

FIT e:HEV Modulo X

286万6600円(税込)

「FIT e:HEV Modulo Xは土屋圭市さんと開発担当者による徹底した走り込みによって完成しました。ビギナーから腕に覚えのある方までドライビングが楽しめる1台です。また年内発売を目指して、ヴェゼル e:HEVのモデューロ Xも開発中です。お楽しみに!」(モデューロ X)

 

↑パワートレインに手を加えず、エアロパーツ、ホイール、サスペンションで走りの質を高めることが信条だ

 

 

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「モデリスタ」は躍動的で生命力のあるデザインがウリ!

クルマ好きにとって愛車を自分流に仕立てることはひとつのテーマだ。アフターパーツメーカーも数多くあるけれど、それならばいっそのことメーカー直系のカスタムカーはいかが? 本稿ではトヨタ/レクサス車のカスタマイズブランド「モデリスタ」を紹介する!

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

MODELLISTA

モデリスタ from トヨタ/レクサス

トヨタのメーカー直系カスタマイズブランド。イタリア語で“デザイナー”を意味するモデリスタの最大の特徴はそのデザイン。コンセプトは「Resonating Emotion~響感の創造~」で、感性に訴求するデザインだ。デザインをクルマと“響鳴”させて、新たな価値へと昇華させる。

 

ベース車の造形やデザインと対話して造られる同ブランドのエアロパーツは独創的なデザインが多い。また実用性重視のパーツも発売している。

[History] ユーザーの「もっと」に応える

“あなたの「もっと」に応えたい”をモットーにユーザーの願いを叶えるブランドとして1997年にスタート。設立当初は特別仕様のクルマ製造がメインだったが、2008年頃よりトヨタやレクサスなどのアフターパーツによるカスタムカーの製造がメインになった。

 

【イチオシモデル】躍動的で生命力のあるデザインがウリ!

ノア/ヴォクシー

パーツ価格3300円~26万4000円(税込)

「ノア、ヴォクシーともフロントフェイスに注目してください。ノーマルからガラリと印象が変化するパーツをリリースしています。またリアのイルミルーフスポイラーもオススメのパーツ。LEDライトがリアビューを先進的な雰囲気にドレスアップしているのがポイントです!」(モデリスタ)

 

↑東京オートサロン 2022で初披露されたモデリスタのノアとヴォクシー。メッキの加飾パーツがアクセントだ

 

【ゲットナビ的】永久不滅のマスターピース! トヨタ「カローラ」

本稿では「コレ押さえときゃ間違いない!!」的ブランドと、そのアイコニックなモデルをフィーチャー。生まれては姿を消していく商品が多いなかで、世代を超えて愛され、文化的価値さえ備えた一流のクルマ、トヨタ・「カローラ」にクローズアップしました。

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

トヨタ カローラ

DATA

初代モデル発売 1966年
累計販売台数 約5100万台
現行ラインナップ数 6モデル

 

世界累計5000万台超を販売! ニッポンが誇る偉大なファミリーカー

トヨタ

カローラ クロス

199万9000円〜319万9000円

カローラシリーズ初のSUVで、RAV4とヤリス クロスの中間に位置するモデル。プラットフォームやパワートレインはカローラと同じものを採用した。エントリーモデルは200万円を下回る価格設定に設定され、幅広いユーザーに人気。

SPEC【ハイブリッドZ(2WD)】●全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm●車両重量:1410kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[72]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[16.6]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:26.2km/L
●[ ]内は電気モーターの数値

 

常に“ライバルの少し上”へ 今後はSUVが主役になる?

生誕から55年余りで5000万台超が国内外で親しまれてきたカローラは、日本でもかつて“国民車”と呼ばれ、33年連続で国内の年間販売ランキング首位の座を維持した、定番の中の定番に違いない。

 

当初掲げた“80点主義+α”の思想を受け継ぎ、ただ欠点が少ないだけでなく、プラス100ccの余裕や充実した装備などに象徴されるように、ライバルに対して常に少し上を行っていたのも特徴だ。

 

よく普通のクルマの代名詞としてカローラの車名が用いられるのは、それだけソツがなく信頼性が高いことの裏返しでもある。

 

現行モデルにはついにカローラの名の付くSUVまで加わった。従来のカローラシリーズと共通こそあれど一線を画したモデルだが、実はこのクルマこそ将来のカローラの中心になる存在とトヨタでは位置づけている。定番であり続けるためには、むしろ変えていくことが大事と考えているのだ。

↑荷室の開口部は身長が低いユーザーにも対応できる高さに配慮。後席を倒すと寝転がれるスペースに。荷室の容量は487ℓだ

 

↑背の高いSUVのボディスタイルの恩恵で、頭上スペースに余裕のある後席。リクライニングが可能で足元も広く、快適な空間だ

 

↑星を眺めたり採光に使えたりする大開口部のパノラマルーフはオプション設定。電動サンシェード付きで暑さ対策も万全だ!

 

↑FFモデルのリアはトーションビーム式サスペンションを採用。大容量のゴムブッシュを使い構造や取り付け角度に配慮したという

 

↑フロントのエンブレムは車名の頭文字「C」をモチーフにしたもの。「C」の上部にはカローラの語源となっている花冠のモチーフをあしらっている

 

時代に呼応した名車がズラリ! 歴代カローララインナップ

カローラは2021年に世界累計販売台数が累計5000万台を超える大ベストセラーモデル。時代のニーズに応えた歴代の各モデルを紹介していこう。

 

【1966】初代

マイカー元年をもたらした金字塔的な初代

まだ珍しかったフロアシフトやセパレートメーターを採用。排気量を1.1Lにアップさせるなどファミリーカーの存在需要を掘り起こし大ヒットした。

 

【1970】2代目

高速巡航を視野に大きく快適になったモデル

高速巡航性能や快適性能の向上を目的にエンジンやボディが大きくなった2代目。スポーツモデルのレビン/トレノも派生車種として登場した。

 

【1974】3代目

海外への輸出を本格化し車名別生産台数世界一を達成

当初は先代が並行販売される異色のモデルチェンジだった。排ガス規制をクリアし、国内だけでなく海外でも大ヒット。幅広い世代に人気だった。

 

【1979】4代目

ボディのバリエーションはカローラ史上最多となった

全長はカローラ初の4mに。ボディバリエーションも豊富で、セダン、ハードトップ、クーペ、リフトバック、バンなど全部で7種類も用意された。

 

【1983】5代目

カローラ初のFFに変更して居住性が格段にアップした

セダンモデルはそれまでのFRから室内区間に利のあるFFに変更。1.6Lモデルにはクラス初となる電子制御式4ATを採用した。

 

【1987】6代目

コンパクトカーのクラスを超えた世界のハイクオリティ車となる

5ドアリフトバックが廃止され、2BOXのFXがデビュー。同車初の4WDも登場。開発テーマに沿う、クラスを超えた装備と品質が支持されたモデルだ。

 

【1991】7代目

高級化路線をたどった頂点に相応しいモデル

開発時期がバブル経済だったこともあり、金メッキ処理の配線電気式のメーターを採用。高級車並みの先進技術が惜しみなく投入された。

 

【1995】8代目

軽量化を実現してコンパクトセダンの原点回帰へ

主要コンポーネントの多くは7代目から継承したが、50kgの軽量化を実現。軽量化の恩恵もありクラストップの低燃費車に。安全性能も向上した。

 

【2000】9代目

ミレニアムに登場した9代目は室内の快適性が大きく向上

プラットフォームをはじめ、エンジンなど主要コンポーネンツを一新。上位モデルのプレミオと同じ全幅になるなど室内の快適性も大きく向上した。

 

【2006】10代目

アクシオのサブネームが付いた日本専用設計に変更したモデル

先代までは世界共通のプラットフォームを採用していたが、日本専用設計に変更して5ナンバー枠を維持。バックモニターを全車に標準装着した。

 

【2012】11代目

カローラシリーズ初となるハイブリッド車が設定された

同車の原点でもある「大人4人が安心、安全、快適に長距離移動できるコンパクトカー」をテーマに開発された。ハイブリッド車の登場もトピックだ。

 

【2018】12代目(現行)

カローラ史上初となる3ナンバーサイズに進化

世界共通のTNGAプラットフォームで3ナンバー化。しかし最小回転半径は先代と同様で日本の道路事情に配慮するなど、使い勝手は良いままだ。

 

数字で驚く! カローラトリビア

V33

ニーズへのきめ細かい対応や、世界一と誉れ高い信頼性などそのクオリティが評価され、1969年から2001年までの33年間、連続国内登録車販売台数1位を記録した。また世界累計販売台数も1位だ。

 

150か国以上

日本仕様のイメージのあるカローラだが、実は世界で販売されるワールドワイドな1台で、トヨタの重要な世界戦略車だ。最初の展開は1966年のオーストラリア。デビュー当初から海外で販売されていた。

 

約34秒に1台

シリーズ累計販売台数は2021年になんと5000万台を達成した。1966年の初代発売から21年7月までの累計秒数をもとに計算すると、カローラは約34秒に1台も販売されてきたことになるのだ!

 

チーフエンジニアに聞く カローラってこんなクルマ

トヨタ自動車株式会社
TC製品企画ZE チーフエンジニア
上田泰史さん

1991年トヨタ自動車入社。駆動関係の実験部署に配属。その後製品企画を経て、2011年より欧州開発拠点TMEに赴任した。15年、日本に帰任しカローラの開発を担当。

 

累計5000万台以上販売した“世界のカローラ”について、チーフエンジニアが語る

 

Q カローラに携わる前の印象は?

A 私の叔父2人が、それぞれカローラ(6代目)、カローラFX(初代)を乗っていて、とても身近な憧れの存在でした。カローラの主査を任命されたときは、大変そうだなぁと思うと同時にワクワクしたのを憶えています。

 

Q カローラらしさを貫いている点は?

A ひとつは良品廉価。より良いクルマを手に入りやすい価格で、より多くのお客様に提供することです。2つ目が、時代ごとのお客様の期待の半歩先にある価値を加えること。3つ目の価値が、時代に応じて変わっていくことです。

 

Q 現行モデルの狙いはどこにある?

A 若い方にも乗っていただけるようなクルマを目指して開発しました。ワクワクするクルマ、見てカッコ良い、乗って楽しいクルマを目指し、カローラをステップアップさせています。走りが楽しいカローラにご注目ください!

 

Q どんなところにカローラらしさを感じてもらいたい?

A より多くの方にクルマに乗る楽しさを感じていただきたいです。1クラス上の性能を、できるだけお求めやすい価格で提供できればと考えています。お客様がカローラと生活を共にすることで、暮らしが豊かになれば幸いです。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

時代に呼応した名車がズラリ! 歴代「カローラ」ラインナップ

「カローラ」は2021年に世界累計販売台数が累計5000万台を超える大ベストセラーモデル。時代のニーズに応えた歴代の各モデルを紹介していこう。

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【1966】初代

マイカー元年をもたらした金字塔的な初代

まだ珍しかったフロアシフトやセパレートメーターを採用。排気量を1.1Lにアップさせるなどファミリーカーの存在需要を掘り起こし大ヒットした。

 

【1970】2代目

高速巡航を視野に大きく快適になったモデル

高速巡航性能や快適性能の向上を目的にエンジンやボディが大きくなった2代目。スポーツモデルのカローラレビン/スプリンタートレノも派生車種として登場した。

 

【1974】3代目

海外への輸出を本格化し車名別生産台数世界一を達成

当初は先代が並行販売される異色のモデルチェンジだった。排ガス規制をクリアし、国内だけでなく海外でも大ヒット。幅広い世代に人気だった。

 

【1979】4代目

ボディのバリエーションはカローラ史上最多となった

全長はカローラ初の4mに。ボディバリエーションも豊富で、セダン、ハードトップ、クーペ、リフトバック、バンなど全部で7種類も用意された。

 

【1983】5代目

カローラ初のFFに変更して居住性が格段にアップした

セダンモデルはそれまでのFRから室内区間に利のあるFFに変更。1.6Lモデルにはクラス初となる電子制御式4ATを採用した。

 

【1987】6代目

コンパクトカーのクラスを超えた世界のハイクオリティ車となる

5ドアリフトバックが廃止され、2BOXのFXがデビュー。同車初の4WDも登場。開発テーマに沿う、クラスを超えた装備と品質が支持されたモデルだ。

 

【1991】7代目

高級化路線をたどった頂点に相応しいモデル

開発時期がバブル経済だったこともあり、金メッキ処理の配線電気式のメーターを採用。高級車並みの先進技術が惜しみなく投入された。

 

【1995】8代目

軽量化を実現してコンパクトセダンの原点回帰へ

主要コンポーネントの多くは7代目から継承したが、50kgの軽量化を実現。軽量化の恩恵もありクラストップの低燃費車に。安全性能も向上した。

 

【2000】9代目

ミレニアムに登場した9代目は室内の快適性が大きく向上

プラットフォームをはじめ、エンジンなど主要コンポーネンツを一新。上位モデルのプレミオと同じ全幅になるなど室内の快適性も大きく向上した。

 

【2006】10代目

アクシオのサブネームが付いた日本専用設計に変更したモデル

先代までは世界共通のプラットフォームを採用していたが、日本専用設計に変更して5ナンバー枠を維持。バックモニターを全車に標準装着した。

 

【2012】11代目

カローラシリーズ初となるハイブリッド車が設定された

同車の原点でもある「大人4人が安心、安全、快適に長距離移動できるコンパクトカー」をテーマに開発された。ハイブリッド車の登場もトピックだ。

 

【2018】12代目(現行)

カローラ史上初となる3ナンバーサイズに進化

世界共通のTNGAプラットフォームで3ナンバー化。しかし最小回転半径は先代と同様で日本の道路事情に配慮するなど、使い勝手は良いままだ。

 

数字で驚く! カローラトリビア

V33

ニーズへのきめ細かい対応や、世界一と誉れ高い信頼性などそのクオリティが評価され、1969年から2001年までの33年間、連続国内登録車販売台数1位を記録した。また世界累計販売台数も1位だ。

 

150か国以上

日本仕様のイメージのあるカローラだが、実は世界で販売されるワールドワイドな1台で、トヨタの重要な世界戦略車だ。最初の展開は1966年のオーストラリア。デビュー当初から海外で販売されていた。

 

約34秒に1台

シリーズ累計販売台数は2021年になんと5000万台を達成した。1966年の初代発売から21年7月までの累計秒数をもとに計算すると、カローラは約34秒に1台も販売されてきたことになるのだ!

 

チーフエンジニアに聞く。カローラってこんなクルマ

トヨタ自動車株式会社
TC製品企画ZE チーフエンジニア
上田泰史さん

1991年トヨタ自動車入社。駆動関係の実験部署に配属。その後製品企画を経て、2011年より欧州開発拠点TMEに赴任した。15年、日本に帰任しカローラの開発を担当。

 

累計5000万台以上販売した“世界のカローラ”について、チーフエンジニアが語る

 

Q カローラに携わる前の印象は?

A 私の叔父2人が、それぞれカローラ(6代目)、カローラFX(初代)を乗っていて、とても身近な憧れの存在でした。カローラの主査を任命されたときは、大変そうだなぁと思うと同時にワクワクしたのを憶えています。

 

Q カローラらしさを貫いている点は?

A ひとつは良品廉価。より良いクルマを手に入りやすい価格で、より多くのお客様に提供することです。2つ目が、時代ごとのお客様の期待の半歩先にある価値を加えること。3つ目の価値が、時代に応じて変わっていくことです。

 

Q 現行モデルの狙いはどこにある?

A 若い方にも乗っていただけるようなクルマを目指して開発しました。ワクワクするクルマ、見てカッコ良い、乗って楽しいクルマを目指し、カローラをステップアップさせています。走りが楽しいカローラにご注目ください!

 

Q どんなところにカローラらしさを感じてもらいたい?

A より多くの方にクルマに乗る楽しさを感じていただきたいです。1クラス上の性能を、できるだけお求めやすい価格で提供できればと考えています。お客様がカローラと生活を共にすることで、暮らしが豊かになれば幸いです。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

世界累計5000万台超を販売! ニッポンが誇る偉大なファミリーカー「カローラ」

本稿では「コレ押さえときゃ間違いない!!」的ブランドと、そのアイコニックなモデルをフィーチャー。生まれては姿を消していく商品が多いなかで、世代を超えて愛され、文化的価値さえ備えた一流のクルマ、トヨタ・「カローラ」にクローズアップしました。

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

常に“ライバルの少し上”へ 今後はSUVが主役になる?

トヨタ カローラ

DATA

初代モデル発売 1966年
累計販売台数 約5100万台
現行ラインナップ数 6モデル

トヨタ

カローラ クロス

199万9000円〜319万9000円(税込)

カローラシリーズ初のSUVで、「RAV4」と「ヤリス クロス」の中間に位置するモデル。プラットフォームやパワートレインはカローラと同じものを採用した。エントリーモデルは200万円を下回る価格に設定され、幅広いユーザーに人気。

SPEC【ハイブリッドZ(2WD)】●全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm●車両重量:1410kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[72]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[16.6]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:26.2km/L
●[ ]内は電気モーターの数値

 

生誕から55年余りで5000万台超が国内外で親しまれてきたカローラは、日本でもかつて“国民車”と呼ばれ、33年連続で国内の年間販売ランキング首位の座を維持した、定番の中の定番に違いない。

 

当初掲げた“80点主義+α”の思想を受け継ぎ、ただ欠点が少ないだけでなく、プラス100ccの余裕や充実した装備などに象徴されるように、ライバルに対して常に少し上を行っていたのも特徴だ。

 

よく普通のクルマの代名詞としてカローラの車名が用いられるのは、それだけソツがなく信頼性が高いことの裏返しでもある。

 

現行モデルにはついにカローラの名の付くSUVまで加わった。従来のカローラシリーズと共通こそあれど一線を画したモデルだが、実はこのクルマこそ将来のカローラの中心になる存在とトヨタでは位置づけている。定番であり続けるためには、むしろ変えていくことが大事と考えているのだ。

 

↑荷室の開口部は身長が低いユーザーにも対応できる高さに配慮。後席を倒すと寝転がれるスペースに。荷室の容量は487Lだ

 

↑背の高いSUVのボディスタイルの恩恵で、頭上スペースに余裕のある後席。リクライニングが可能で足元も広く、快適な空間だ

 

↑星を眺めたり採光に使えたりする大開口部のパノラマルーフはオプション設定。電動サンシェード付きで暑さ対策も万全だ!

 

↑FFモデルのリアはトーションビーム式サスペンションを採用。大容量のゴムブッシュを使い構造や取り付け角度に配慮したという

 

↑フロントのエンブレムは車名の頭文字「C」をモチーフにしたもの。「C」の上部にはカローラの語源となっている花冠のモチーフをあしらっている

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

トヨタ、スズキの持ち味を生かした仕上がり! 日本が誇る定番車の最新作を試乗レポート

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」は伝統の日本ブランドが放つ最新作をピックアップ。トヨタの「カローラ クロス」は、シリーズ初のSUV。新型「アルト」は、累計で500万台以上を販売しているロングセラーの9代目。いずれも、定番モデルらしい持ち味が実感できる出来栄えだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】「世界のカローラ」に相応しい扱いやすさが魅力!

SUV

トヨタ

カローラ クロス

SPEC【ハイブリッドZ(2WD)】●全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm●車両重量:1410kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[72]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[16.6]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:26.2km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

すべてに不足がない作りだがカローラらしくリーズナブル

多くのSUVをラインナップしているトヨタに、新たに「カローラ」の名が付くSUVが加わった。サイズ的には、「ヤリス クロス」と「RAV4」の間。その仕上がりをひと言で表すと、カローラらしくすべてにおいて不足がない。他のシリーズとの共通性を感じさせる内外装は、多くの人に受け入れられるデザイン。後席や荷室も十分な広さで、ゴルフバッグは4個積載可能。また、装備面では本革を組み合わせた上質なシートや、大開口パノラマルーフのオプションも選べる。

 

「C-HR」と同じTNGA-Cプラットフォームをベースとしつつ、2WDのリアサスはマルチリンクに代わって新たにトーションビーム式を採用したのが特徴。引き締まった乗り味ながら快適性も十分で、動きが素直で乗りやすい。1.8Lハイブリッド、特にE-Fourは上質感が、一方のガソリンモデルは軽快な走りが魅力的だ。これだけ充実した性能ながら価格はカローラらしくリーズナブル。爆売れしているのも納得だ。

 

[Point 1] 車室内はSUVらしい広さを確保

背の高いスクエアなボディ形状とあって、室内はSUVに相応しい広さを確保。フロントにはスポーティな形状のハイバック形状のシートを採用し、カジュアルな雰囲気も演出する。

 

[Point 2] 荷室容量もトップクラス

2WD車の荷室容量は、5名乗車時でも439〜487Lとクラストップレベル。4WDモデルでも407Lを確保する。高機能収納ボックスも備わり、ユーティリティにも優れる。

 

[Point 3] 新開発の足回りで走りもしなやか

2WD車には新開発のリアサスペンションを採用。しなやかで快適なライド感を実現している。最小回転半径を5.2mに抑えたことで、街なかでの使い勝手も上々だ。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

G“X”:1.8L/2WD/CVT/199万9000円

G:1.8L/2WD/CVT/224万円

S:1.8L/2WD/CVT/240万円

Z:1.8L/2WD/CVT/264万円

ハイブリッドG:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/259万円、279万9000円(※)

ハイブリッドS:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/275万円、295万9000円(※)

ハイブリッドZ:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/299万円、319万9000円(※)

※:4WD(E-Four)の価格

 

 

【その2】「素」の魅力が味わえるスズキ伝統のベーシック

軽ハッチバック

スズキ

アルト

SPEC【ハイブリッドX(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1525mm●車両重量:710kg●パワーユニット:657cc直列3気筒DOHC●最高出力:49PS/6500rpm●最大トルク:5.9kg-m/5000rpm●WLTCモード燃費:27.7km/L

 

ハッチバックモデルらしい素直な操縦性も魅力的

「アルト」は、初代が1979年に登場したスズキ伝統のモデル。9代目となる新型モデルでも、軽自動車における基本の“き”とも言うべき堅実な作りは健在だ。ボディは、先代よりスクエアな形状となり室内空間が拡大。同時に内外装の質感が目に見えて向上したこともポイントとなっている。

 

搭載するエンジンは、自然吸気のみ。組み合わせるトランスミッションもCVTの1択だが、アルトでは初めてマイルドハイブリッド仕様を設定。燃費は、軽自動車トップとなる27.7km/Lをマークする。また、最新モデルらしく運転支援系の装備も充実。独自のデュアルカメラブレーキサポートなどは、全車で標準装備となる。

 

今回は2WD仕様に試乗したが、走りは日常を共にするベーシックカーとして満足できる出来栄えだ。現在、軽自動車で主流となっているトールワゴン系より軽量ということもあって常用域の力強さも申し分ない。また、先代より全高が高くなったとはいえ、ハッチバックと呼べる水準に収まるので操縦性も実に素直。日常域はもちろん、望めば積極的に操る場面にも対応できる。前述の質感向上に加え、この新型アルトではボディカラーの選択肢も豊富なだけに、気の利いた普段使いの相棒としても狙い目の1台と言える。

 

[Point 1] 2トーンを含めてボディカラーも多彩

ボディカラーは、新色となる写真のブルーをはじめとする8色。そのうち4色で、2トーンとなるホワイトのルーフも選べる。外観は先代より親しみやすさが強調された。

 

[Point 2] 燃費性能は軽自動車随一

搭載するパワーユニットは自然吸気のみだが、アルトでは初となるマイルドハイブリッド仕様を設定。軽自動車ではトップクラスとなるWLTCモード燃費を実現している。

 

[Point 3] 親しみやすさは室内でもアピール

立体的造形のインパネ回りは、収納スペースも豊富。シートにはデニムをイメージさせる生地を採用。背面のカラーを変えて、カジュアルで親しみやすいイメージも演出できる。

 

[Point 4] 使い勝手も着実に進化

荷室は、開口部の地上高を下げて積載性が向上。先代と比較すると、わずかながら荷室長も拡大されている。リアの背もたれは分割可倒式ではないが、後席を畳めば容量は大幅に拡大できる。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

A:0.66L/2WD、4WD/CVT/94万3800円、107万5800円(※)

L:0.66L/2WD、4WD/CVT/99万8800円、112万9700円(※)

ハイブリッドS:0.66L/2WD、4WD/CVT/109万7800円、122万8700円(※)

ハイブリッドX:0.66L/2WD、4WD/CVT/125万9500円、137万9400円(※)

※:4WDの価格

 

文/岡本幸一郎、小野泰治 撮影/郡 大二郎、宮越孝政

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

カローラ クロスは「世界のカローラ」に相応しい扱いやすさが魅力!

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」は伝統の日本ブランドが放つ最新作をピックアップ。トヨタのカローラ クロスは、シリーズ初のSUV。定番モデルらしい持ち味が実感できる出来栄えだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

すべてに不足がない作りだがカローラらしくリーズナブル

SUV

トヨタ

カローラ クロス

SPEC【ハイブリッドZ(2WD)】●全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm●車両重量:1410kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[72]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[16.6]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:26.2km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

多くのSUVをラインナップしているトヨタに、新たにカローラの名が付くSUVが加わった。サイズ的には、「ヤリス クロス」と「RAV4」の間。その仕上がりをひと言で表すと、カローラらしくすべてにおいて不足がない。他のシリーズとの共通性を感じさせる内外装は、多くの人に受け入れられるデザイン。後席や荷室も十分な広さで、ゴルフバッグは4個積載可能。また、装備面では本革を組み合わせた上質なシートや、大開口パノラマルーフのオプションも選べる。

 

「C-HR」と同じTNGA-Cプラットフォームをベースとしつつ、2WDのリアサスはマルチリンクに代わって新たにトーションビーム式を採用したのが特徴。引き締まった乗り味ながら快適性も十分で、動きが素直で乗りやすい。1.8Lハイブリッド、特にE-Fourは上質感が、一方のガソリンモデルは軽快な走りが魅力的だ。これだけ充実した性能ながら価格はカローラらしくリーズナブル。爆売れしているのも納得だ。

 

[Point 1] 車室内はSUVらしい広さを確保

背の高いスクエアなボディ形状とあって、室内はSUVに相応しい広さを確保。フロントにはスポーティな形状のハイバック形状のシートを採用し、カジュアルな雰囲気も演出する。

 

[Point 2] 荷室容量もトップクラス

2WD車の荷室容量は、5名乗車時でも439〜487Lとクラストップレベル。4WDモデルでも407Lを確保する。高機能収納ボックスも備わり、ユーティリティにも優れる。

 

[Point 3] 新開発の足回りで走りもしなやか

2WD車には新開発のリアサスペンションを採用。しなやかで快適なライド感を実現している。最小回転半径を5.2mに抑えたことで、街なかでの使い勝手も上々だ。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

G“X”:1.8L/2WD/CVT/199万9000円

G:1.8L/2WD/CVT/224万円

S:1.8L/2WD/CVT/240万円

Z:1.8L/2WD/CVT/264万円

ハイブリッドG:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/259万円、279万9000円(※)

ハイブリッドS:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/275万円、295万9000円(※)

ハイブリッドZ:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/299万円、319万9000円(※)

※:4WD(E-Four)の価格

 

文/岡本幸一郎 撮影/郡 大二郎

 

 

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男前なフロントデザインに熱視線! 納車まで2年待ちの新型「ランドクルーザー」をチェック

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、2年以上の納車待ちになっていると言われる“砂漠のロールスロイス”、新型ランドクルーザーを取り上げる!

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】トヨタ/ランドクルーザー

SPEC【ZX 7人乗り】●全長×全幅×全高:4985×1980×1925mm●車両重量:2500kg●パワーユニット:3.5LV型6気筒+ツインターボ●最高出力:415PS(305kW)/5200rpm●最大トルク:650Nm/2000〜3600rpm●WLTCモード燃費:7.9km/L

510万〜800万円(税込)

 

デカいボディと“オラオラ顔”が人目を引くカッコ良さ

安ド「殿! 新型ランクルはやっぱりスゴいですね!」

 

永福「うむ」

 

安ド「まず、デカさがハンパないです! なにしろ全長約5m、全幅約2mですから!」

 

永福「たしかにデカいな」

 

安ド「パジェロのロングに乗ってる僕も、デカさにビビリました!」

 

永福「カウンタックを持っている私もビビッたぞ。しかしサイズは、先代ランクルとほとんど変わっていないのだ」

 

安ド「そ、そーなんですか!? ランクルって前からこんなにデカかったですか!?」

 

永福「そうらしい。正確な数値は覚えていないが」

 

安ド「あと、顔のオラオラ感がスゴいです!」

 

永福「男前のオラオラ顔だな。頬髭のような周囲のグリルがカッコ良いぞ」

 

安ド「自宅の近所でリフトアップしたランドクルーザー プラドに乗るタトゥー入りのニーチャンに、『超カッコ良いっすね!』と話しかけられました!」

 

永福「いまは新型ランクルに乗っていればヒーローだな」

 

安ド「なにしろ納車まで2年待ちとも、4年待ちとも言われてますからね!」

 

永福「街を走っていても注目度が凄まじい。カウンタックより振り返る人が多かったくらいだ」

 

安ド「ホントですか?」

 

永福「メルセデス・ベンツ Gクラスのドライバーからも強烈な視線が突き刺さった。新型ランクルにはGクラスもたじたじなのだ」

 

安ド「日本人として誇らしい気持ちになれますね!」

 

永福「付け加えると、アルファードのオーナーからも凄まじい勢いで注目されている」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「これまでオラオラ顔の帝王は同社のアルファードだったが、新型ランクルの登場で、王座が入れ替わったのだ」

 

安ド「そうだったんですか!」

 

永福「アルファードのオーナーの多くが、ランクルに買い替えたがっているらしい」

 

安ド「考えてみればランクルには、7人乗りがありますからね!」

 

永福「実はミニバンの代わりも務まるのだ」

 

安ド「ただ、燃費はイマイチですね。3.5LV6ツインターボで415馬力。カタログ燃費は7.9km/Lですけど、実燃費は5km/Lちょいでした!」

 

永福「先代型は4.6LのV8で、4km/Lくらいしか走らなかったから、かなりの改善だがな」

 

安ド「あと怖かったのは、周囲から『盗まれるから注意しろ』って言われたことです。借りている間じゅう、ハラハラドキドキでした」

 

永福「私も、一度もクルマから離れなかったくらいだ」

 

安ド「新型は指紋認証システムが導入されましたけど、果たして盗難防止に役立ちますかね?」

 

永福「ドロボウさんに聞いてみないとわからんな」

 

【GOD PARTS 1】指紋認証スタートスイッチ

窃盗団もお手上げ? の新世代盗難防止機能

先代のころから「盗難車ナンバーワンモデル」という不名誉な称号を獲得していたランクルが導入した新兵器です。3人までの指紋を登録できて、それ以外のユーザーがスタートスイッチをタッチしてもエンジンが始動しません。

 

【GOD PARTS 2】盗難防止グッズ

アナログアイテムで視覚的にもクルマを守る

撮影車には「ハンドルロック」と「タイヤロック」が搭載されていました。メーカーが用意してくれる広報車を長年借りてきましたが、初の経験です。物理的な盗難防止グッズというのは、窃盗団に心理的な抑止力をかけられて効果的です。

 

【GOD PARTS 3】10速AT

ゴツい見た目でスムーズな変速を実現

ATは段数が多いほど変速時のつながりが滑らかになりますが、10段というのはなかなかレアです。まあATなのでシフトチェンジは機械が行ってくれますが、MTだったら大変なところでした。脇には副変速機の操作レバーなどもあります。

 

【GOD PARTS 4】後席用コントロールパネル

ボタンも数多く高級車らしい

車幅がかなり広いクルマなので、フロントシート間にあるセンターコンソールボックスも大型です。両開き構造のため後席からでも使いやすく、デザイン的にも重厚な雰囲気ですが、背面にはボタンがたくさんあって高級車らしいです。

 

【GOD PARTS 5】ドライブモードダイヤル

アナログ感覚の操作でモードセレクト

ドライブモードは「AUTO(自動調整)」「DIRT(未舗装路)」「SAND(砂地)」「MUD(泥濘路)」「DEEP SNOW(深雪路)」「ROCK(岩場)」があり、路面に合わせて6つのモードからセレクトできます。ダイヤルや上下のボタンで設定しますが、ダイヤルというのはアナログ感があって良い感じです。

 

【GOD PARTS 6】アンダーフロアビュー

激烈な悪路では足下を確認して走る

ディスプレイに車体下の画像「アンダーフロアビュー」を表示できます。これが何のために必要かといえば、悪路を走る際に路面の凸凹や前輪の位置などを確認するためです。相当な荒地でも安全に配慮しながら走行できるのです。

 

【GOD PARTS 7】エンジン

排気量を小さくして環境性能を向上

SUVにピッタリの個性を持つディーゼルエンジンと、ガソリンエンジン(写真)が設定されています。後者は先代型より排気量が減って3.5LV6になりました。アクセルを踏み込むと多少ウルサイですが、そのぶん環境性能は良いと思います。

 

【GOD PARTS 8】スペアタイヤ

シティ派を気取りつつも車体下にしっかり搭載

オフローダーながら、スペアタイヤをボディ背面ではなく車体後部のボディ下に搭載しています。ジムニーやパジェロなどとは違い、そこは都会的なスタイルを崩さないようです。ただ、車高が高いので取り外しはラクそうです。

 

【GOD PARTS 9】3列シート

ミニバンから乗り換えても安心

車内への乗り込み方など、ミニバンと比べると利用しにくい部分はありますが、3列シートの存在を頼りにミニバンから乗り替えるユーザーもいるようです。電動収納式で荷室側からボタン操作で完全収納できます。

 

【これぞ感動の細部だ!】フロントデザイン

何本もの水平ラインで重厚さをアピール

オフロード走行が得意なクルマですが、高級車ということもあって、重厚に何段も組まれた大型グリルが採用されています。人を寄せ付けないオラオラさがありながら、シャープで品格のようなものも感じられます。かなり凸凹していそうですが、実際に触れてみると意外と平坦でした。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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国産車らしい独自性が魅力のスバル「BRZ」、トヨタ「アクア」の新車をレポート!

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのは、国産らしい独自性が際立つ2モデル。SUBARU「BRZ」は、いまや世界的にも希少な後輪駆動クーペ。トヨタ「アクア」は、自慢のハイブリッドシステムに一層の磨きがかかっている。両車とも、まさにいまが旬のニューモデルだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【No.1】自然吸気エンジンが生む操舵性の高さが秀逸!

クーペ

SUBARU

BRZ

SPEC【S(6MT)】●全長×全幅×全高:4265×1775×1310mm●車両重量:1270kg●パワーユニット:2387cc水平対向4気筒DOHC●最高出力:235PS/7000rpm●最大トルク:25.5kg-m/3700rpm●WLTCモード燃費:11.9km/L

 

新しい2.4Lエンジンは積極的に操りたくなる!

新型BRZは、先代とほぼ変わらないサイズのボディに後輪駆動(FR)レイアウトを継承。また、エンジンは自然吸気の水平対向4気筒を搭載する世界的にも希少なコンパクトクーペだ。先代と大きく違うのは、そのエンジンが2Lから2.4Lに排気量を拡大されたことだが、走らせればそれがよくわかるほど余裕を感じられる。

 

パワー、トルクともにアップしたことで扱いやすさが増しているのはもちろん、何よりもうれしいのは、積極的に回す喜びが見出せること。アクセル操作に対する自然な反応も、自然吸気エンジンならではだ。ターボなどの過給機付きが当然の現在では、このエンジンだけでも味わう価値は十分にある。

 

それを受け止めるシャーシ回りも、先代より格段に洗練度が増した。スポーティでいながら、決して乗り心地が荒くない点はオトナのクルマ好きも納得の出来映え。FR駆動、という点まで含めればまさにクルマへの感度が高い幅広い層にオススメできる。

 

[Point 1]先代のイメージを踏襲しつつ質感はアップ!

全体の佇まいは先代のイメージを継承しつつ、外観はクーペとしての質感が向上。グレードはRとSの2タイプで、ボディカラーは写真のレッドを含めて合計7色を揃える。

 

[Point 2]いまや貴重な自然吸気の2.4L

先代の2Lに代わり、新型では排気量を2.4Lに拡大した自然吸気の水平対向4気筒を採用。ターボが主流の現代にあっては、もはや貴重な存在だ。

 

[Point 3]クーペとしては実用的な広さが確保

トランク容量は237Lと、2人分程度の荷物なら十分に収容できる広さ。後席を畳めば長尺物やスポーツ走行用のタイヤなども積むことができる。

 

[Point 4]室内はスポーティなブラック基調

室内はスポーツクーペらしい、適度なタイト感を演出。後席は完全な非常用だが、前席の広さは必要にして十分。液晶ディスプレイのメーターは、走行モードに応じて表示が変わる。

 

[ラインナップ]

R:2.4L/2WD/6速MTまたは6速AT/308万円(税込)【324万5000円(税込)】

S:2.4L/2WD/6速MTまたは6速AT/326万7000円(税込)【343万2000円(税込)】

●【 】内は6速ATの価格

 

 

【No.2】新型はハイブリッド専用モデルらしさを実感!

ハッチバック

トヨタ

アクア

SPEC【Z(2WD)】●全長×全幅×全高:4050×1695×1485mm●車両重量:1130kg●パワーユニット:1490cc直列3気筒DOHC+電気モーター●最高出力:91[80]PS/5500rpm●最大トルク:12.2[14.4]kg-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:33.6km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

ダウンサイザーを意識した充実装備と高い質感も嬉しい

プリウスの弟分だった初代の登場から約10年。トヨタ内でも多くの車種にハイブリッドが用意され、なかでもヤリスとの差別化を明確にする必要に迫られたアクアは、この新型でよりダウンサイザーに配慮したクルマになった。

 

ホイールベースと全高を拡大し、後席の居住空間をより広く確保すると同時に、ややチープだった内外装も質感が大幅に向上。その結果、新型は車格が上がった印象を受けるほど。乗り心地も快適性重視に味付けされているが専用のスウィングバルブダンパーを備えた「Z」だけは、欧州車のようなキビキビとした走りが楽しめる。装備面では、トヨタのコンパクトカー初の10.5インチ大型ディスプレイオーディオやヘッドアップディスプレイ、電子制御インパネシフトの設定も新しい。最新の予防安全パッケージはもちろん、ボタン操作で全自動駐車する「アドバンストパーク」も秀逸だ。

 

エンジンとモーターはヤリス系と共通だが、大きな電流を瞬時に出せるバイポーラ型ニッケル水素バッテリーの採用が効いて、瞬発力は段違い。加速の鈍さに閉口した初代とは別物になった。さらに、降雪地ユーザー待望の4WDがようやく設定されたのも朗報だ。

 

時代の要望を積極的に取り入れたアクアが、人気なのも頷ける。

 

[Point 1]ホイールベースは先代より50mm延長

ボディサイズは先代と変わらないが、ホイールベースは50mm拡大。外観は上質感を高めるとともに、一層伸びやかな佇まいになった。基本骨格にもトヨタ最新のTNGAを採用。

 

[Point 2]ハイブリッドはさらに高効率に!

ハイブリッドシステムには、最高レベルの熱効率を誇る1.5Lエンジンやバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載。2WDのWLTCモード燃費は33.6〜35.8km/Lと高いレベルを実現する。

 

[Point 3]荷室は必要にして十分な容量

荷室容量は205〜691L。コンパクトなハッチバックとしては、必要にして十分な容量が確保されている。2WDのフロアは、高さも変えられる仕様となり、使い勝手の良さも上々だ。

 

[Point 4]サイズはそのままに室内を拡大

ホイールベースを50mm拡大したことで、特に後席は居住空間が拡大。グレードによっては、シート表皮のデザイン性が高くなった。

 

[Point 5]室内もクラスレスといえる質感に

コンパクトカーに相応しい使い勝手を確保しつつ、室内はクラスを超える上質感も追求されている。トヨタのハイブリッド車を象徴するシフトセレクターも新意匠に変更された。

 

[ラインナップ]

B:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/198万円(税込)【217万8000円(税込)】

X:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/209万円(税込)【228万8000円(税込)】

G:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/223万円(税込)【242万8000円(税込)】

Z:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/240万円(税込)【259万8000円(税込)】

●【 】内は4WD(E-Four)の価格

 

文/小野泰治、岡本幸一郎 撮影/市 健治、小林俊樹

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

新型「アクア」は車格が上がった印象で、ハイブリッド専用モデルらしさを実感!

今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのは、トヨタ「アクア」。自慢のハイブリッドシステムに一層の磨きがかかっている、まさにいまが旬のニューモデルだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ダウンサイザーを意識した充実装備と高い質感も嬉しい

ハッチバック

トヨタ

アクア

SPEC【Z(2WD)】●全長×全幅×全高:4050×1695×1485mm●車両重量:1130kg●パワーユニット:1490cc直列3気筒DOHC+電気モーター●最高出力:91[80]PS/5500rpm●最大トルク:12.2[14.4]kg-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:33.6km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

プリウスの弟分だった初代の登場から約10年。トヨタ内でも多くの車種にハイブリッドが用意され、なかでもヤリスとの差別化を明確にする必要に迫られたアクアは、この新型でよりダウンサイザーに配慮したクルマになった。

 

ホイールベースと全高を拡大し、後席の居住空間をより広く確保すると同時に、ややチープだった内外装も質感が大幅に向上。その結果、新型は車格が上がった印象を受けるほど。乗り心地も快適性重視に味付けされているが専用のスウィングバルブダンパーを備えた「Z」だけは、欧州車のようなキビキビとした走りが楽しめる。装備面では、トヨタのコンパクトカー初の10.5インチ大型ディスプレイオーディオやヘッドアップディスプレイ、電子制御インパネシフトの設定も新しい。最新の予防安全パッケージはもちろん、ボタン操作で全自動駐車する「アドバンストパーク」も秀逸だ。

 

エンジンとモーターはヤリス系と共通だが、大きな電流を瞬時に出せるバイポーラ型ニッケル水素バッテリーの採用が効いて、瞬発力は段違い。加速の鈍さに閉口した初代とは別物になった。さらに、降雪地ユーザー待望の4WDがようやく設定されたのも朗報だ。

 

時代の要望を積極的に取り入れたアクアが、人気なのも頷ける。

 

[Point 1]ホイールベースは先代より50mm延長

ボディサイズは先代と変わらないが、ホイールベースは50mm拡大。外観は上質感を高めるとともに、一層伸びやかな佇まいになった。基本骨格にもトヨタ最新のTNGAを採用。

 

[Point 2]ハイブリッドはさらに高効率に!

ハイブリッドシステムには、最高レベルの熱効率を誇る1.5Lエンジンやバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載。2WDのWLTCモード燃費は33.6〜35.8km/Lと高いレベルを実現する。

 

[Point 3]荷室は必要にして十分な容量

荷室容量は205〜691L。コンパクトなハッチバックとしては、必要にして十分な容量が確保されている。2WDのフロアは、高さも変えられる仕様となり、使い勝手の良さも上々だ。

 

[Point 4]サイズはそのままに室内を拡大

ホイールベースを50mm拡大したことで、特に後席は居住空間が拡大。グレードによっては、シート表皮のデザイン性が高くなった。

 

[Point 5]室内もクラスレスといえる質感に

コンパクトカーに相応しい使い勝手を確保しつつ、室内はクラスを超える上質感も追求されている。トヨタのハイブリッド車を象徴するシフトセレクターも新意匠に変更された。

 

[ラインナップ]

B:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/198万円(税込)【217万8000円(税込)】

X:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/209万円(税込)【228万8000円(税込)】

G:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/223万円税込(税込)【242万8000円(税込)】

Z:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/240万円税込(税込)【259万8000円(税込)】

●【 】内は4WD(E-Four)の価格

 

文/岡本幸一郎 撮影/小林俊樹

 

 

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「買って間違いなし!」と断言する2021年コンパクトSUV5選。おすすめグレード付き

近年、「クロスオーバーSUV」の人気は高く、SUVといえばクロスオーバーSUVを指す場合も多く見られます。クロスオーバーSUVとはクロスカントリー車の高い走破性と、乗用車の快適性を「融合(クロスオーバー)させる」という意味が込められています。

 

そのクロスオーバーSUVのジャンルのひとつであるのが、コンパクトSUV。ボディサイズはミドルサイズSUVよりも小さくてコンパクトカーサイズ、欧州でいうとBセグメントにあたります。日本では近年、ラインアップが拡充しており、人気ジャンルのひとつとなっています。今回は自動車評論家の岡本幸一郎さんが断言する、2021年に登場した「買って間違いなし!」のコンパクトSUVを5台紹介します。

 

【その1】このサイズの中で考えられることはすべてやりつくした

ホンダ

ヴェゼル e:HEV Z(4WD)

311万8500円(税込)

2021年4月に「ヴェゼル」の2代目モデルが発売した。このサイズの中で考えられることはすべてやりつくしたという完成度が光る1台。手ごろなサイズを初代から踏襲しながらも、これがヴェゼル!? と思うほど雰囲気はガラリと変わって、まるで車格が上がったかのよう。流麗なクーペスタイルながらも車内は広く開放的で、独自のセンタータンクレイアウトによる低くフラットなフロアのおかげで高さのある荷物もラクに積み下ろし可能。エアコンの「そよ風モード」のようなユニークなアイデアも光る。

 

初代とは別物の「e:HEV」によるスムーズな加速と低燃費も魅力。乗り心地もいたって快適で、実は4WD性能も想像以上に高い。見た目のオシャレな「PLaY」も魅力的だが、なぜか4WDの設定がなく、納期にも時間を要することから、現時点では「Z」の4WDをイチオシとしたい。

 

 

【その2】カローラの名にふさわしくあらゆる面でそつのない仕上がり

トヨタ

カローラ クロス ハイブリッド(4WD)

279万9000円(税込)〜

トヨタは2021年9月、カローラシリーズ初のSUVである「カローラクロス」を発売した。コンパクトとミドルの中間的なサイズ感だが、充実した装備内容のわりに価格はコンパクトクラス並みにリーズナブル。一連のカローラシリーズとの共通性を感じさせるスッキリした内外装デザインをはじめ、各部の広さも走りもカローラの名にふさわしくあらゆる面でそつのない仕上がりで、なんら気になるところがない。

 

SUVとしてのニーズに応えるべく居住空間も荷室も十分な広さが確保されていて、リアシートを倒すとロードバイクだって積めるほどだ。ガソリン車とハイブリッドのどちらにもよさがあるが、イチオシはハイブリッドの後輪をモーターで駆動するE-Four。非常時給電モードを備えたAC100V/1500W電源コンセントが設定されているのも魅力。

 

 

【その3】ノートの魅力をさらに昇華させる上品さも感じられる

日産

ノート AUTECH CROSSOVER FOUR(4WD)

279万6200円(税込)

バリエーションを多彩に揃える新型「ノート」。そのラインアップのひとつとして加わったのがカスタムグレードの「AUTECH」で、コンパクトSUVクラスに数ある車種の中でも異彩を放っている。AUTECHブランドの一員と位置づけているのは、カタログモデルにはない特別感を表現するため。

 

とっつきやすいコンパクトなサイズ感はそのままに、専用に仕立てられた内外装は、並み居る競合車に対してひと味違う雰囲気を感じさせる。動力源をe-POWERのみにわりきったのも特徴で、内燃エンジン車にはない瞬発力のある加速はモーター駆動ならでは。さらに、従来車とは別でリアに高出力モーターを配した現行型の4WDは、ハンドリングの仕上がりも抜群によくなっていてオススメだ。

 

 

【その4】新型は粗削りだった走りも洗練された

ダイハツ/トヨタ

ロッキー ハイブリッド(2WD)/ライズ ハイブリッド(2WD)

211万6000円〜(税込)/216万3000円〜(税込)

ダイハツの5ナンバーサイズのSUVが「ロッキー」。トヨタ「ライズ」は、ロッキーのOEM車になる。貴重な5ナンバーのSUVであり、最小回転半径が5.0mと小回りが利きながらも、クロカンテイストのたくましいフォルムと、5ナンバーサイズながら車内や荷室の十分な広さが確保されているのが強み。予想していたとおり大人気を博す。

 

発売から2年が経過。これまでエンジンが1.0Lターボのみだったが、2021年に1.2Lの自然吸気とハイブリッドが加わった。当初は全体的に粗削りだった走りも最新版はずいぶん洗練されていて、「e-SMART」と名づけられたダイハツ独自のシリーズ式ハイブリッドは、バッテリー容量もモーター性能も控えめでエンジンは頻繁にかかるものの、モータードライブならではのスムーズで静かで上質な走りを実現している。

 

 

【その5】キャプチャーを選ぶなら「インテンス テックパック」

ルノー

キャプチャー インテンス テックパック

319万円(税込)

ルノー「キャプチャー」はすでに欧州ベストセラーSUVになったほどの実力の持ち主で、あらゆる点でクラスを超えている。スタリッシュな外観は見てのとおりで、内装の質感もなかなか高い。上級車からのダウンサイザーに向けて最適なスペースを確保すべく全長とホイールベースが長く確保されているほか、リアシートが16cmも前後にスライド可能で、荷室容量はクラストップの536Lと圧倒的な広さを誇る。

 

このクラスの量販モデルとしてはかなり速い154PSで270Nmを発揮する1.3L直4ターボエンジンは、4気筒らしい上質な吹け上がりを実現。極めて俊敏なハンドリングも持ち味。20万円差で操舵支援や電動レザーシートの付く「インテンス テックパック」を選ばない手はない。

 

 

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「ランドクルーザー トゥループキャリア」にひと目惚れしたオーナーが“週末の最愛の相棒”たる魅力を分析

オーストラリアの環境は、過酷だ。北部の熱帯雨林地域では雨季に道路が冠水したり、内陸部では乾燥した赤土のダート路を延々と走らされたりすることもしばしば。オーストラリア向けに作られたトヨタ・ランドクルーザーに乗るオーナーに、そのタフさを聞いた。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

オーストラリアで活躍する姿を見てひと目惚れ! その強さに絶対の信頼を寄せる

「タフなクルマだからこその飾り気のなさも魅力です」(白柏さん)

 

この人に聞きました!

白柏信弥(しらかし しんや)さん

「トゥループキャリアーズ・オブ・ジャパン」という会に携わり、オーナーが集まるイベントなどで主催者として活躍している。趣味はキャンプと料理。

 

豪雪地帯でも余裕の走破性と積載力の高さが最大の魅力

茨城県在住の白柏信弥さんは、ランドクルーザーのオーストラリア向け、なかでもトゥループキャリアというレア車を所有している。

 

「いまは単身赴任で茨城在住ですが、自宅は新潟です。豪雪地帯のため、走破性の高さは絶対に必要。以前はランドクルーザー70系の77、その前は73と、ずっとランドクルーザーです」(白柏さん)

 

現在所有するトゥループキャリアは、雑誌などで情報を仕入れてオーストラリアのケアンズまで足を運び、実車を見てひと目惚れ。帰国後日本のショップで購入した。

 

「2000年式で、購入時で8万6000kmの走行歴。ですが現在も快適に走ります。1HZというディーゼルエンジンが名機で、信頼を寄せています」(白柏さん)

 

トゥループキャリアの特徴は、対面式の座席を配置したリア部分。大きくて重いキャンプ道具をどんどん載せても、まったく苦にしない走行性能の高さは特筆モノだ。

 

「現代のクルマにはない、飾り気のなさも魅力です。タフでもありシンプルなクルマなので、いじり甲斐がある。大切に乗って、息子に継がせたいですね」(白柏さん)

 

【ランドクルーザートゥループキャリアとは?】

通称“トゥルーピー”と呼ばれるランドクルーザーの限定仕様車。直訳すると「軍隊輸送車」の名の通り、リア部分は対面式の横向きシートを装備する。観音扉のロングボディが特徴で、カーマニア憧れのモデルとなっている。

 

このタフさにホレた! 白柏さんお気に入りポイント

【Point 1】シンプルなインパネと視界の良さでストレスフリー

インパネまわりはムダを削ぎ落としたシンプルなデザイン。高い車高による視界の良さもポイントで、悪路走行時でも先が見やすい。渋滞時でも数台先が見えるので、イライラも減少するという。

 

【Point 2】絶対的な信頼を寄せているディーゼルエンジンの名機

ディーゼル車を好む白柏さんが信頼する4.2L直列6気筒の1HZ型ディーゼルエンジン。最高出力135PS、最大トルク28.5kg-mのパワーを誇り、大きなボディに重い荷物を載せても余裕だ。

 

【Point 3】余裕の高さと太いタイヤで雪道や砂地での走行も安心

元々トゥループキャリアは最低地上高が高いが、スプリングコイルを入れてさらに車高を上げている。これに太いタイヤを組み合わせることで、豪雪地帯や砂地でも安心して走行できる。

 

【point 4】奥行きと幅のある荷室は荷物の積載も車中泊も余裕

トゥループキャリアの特徴は奥行きと幅のある荷室。キャンプ道具をどんどん積載しても余裕で収納できる。対面型のベンチシートを活用し、ボードを渡して車中泊を楽しむことも可能だ。

 

 

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14年ぶりに刷新された新型「ランドクルーザー」を全方位チェック!

中東やオーストラリア、ロシア、アフリカなど世界で絶大なる信頼を得ているランドクルーザーが14年ぶりに刷新。高い剛性を確保しつつ大幅な軽量化を実現し、オンロードでの操縦安定性や乗り心地と、悪路走破性を両立する。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

誕生から70年を迎えた“陸の巡洋艦”が14年ぶりにフルモデルチェンジ!

トヨタ

ランドクルーザー

510万円~800万円(税込)

この夏、14年ぶりに待望のフルモデルチェンジ。エンジンは全モデルV6に変更され、ディーゼルエンジンモデルも復活した。GR SPORTグレードが加わったことでも話題を呼び、早くも納車まで1年以上かかるほどの人気だ。

SPEC【ZX ガソリンエンジン】●全長×全幅×全高:4985×1980×1925mm●車両重量:2500kg●パワーユニット:3444ccV型6気筒+ターボ●最高出力:415PS/5200rpm●最大トルク:66.3kg-m/2000~3600rpm●WLTCモード燃費:7.9km/L

 

自動車ライター

寺田昌弘さん

ランドクルーザーでダカールラリー参戦をはじめ、5大陸を走破している世界を旅するライター。愛車は70系とプラドの2台のランクル。

威風堂々たる存在感が圧巻! 意のままに走る爽快感に感動

タフなクルマの代表格ランドクルーザーは、開発において信頼性、耐久性、悪路走破性の高さを鍛え上げ、唯一無二のクルマとして世界じゅうで愛されている。

 

新型ランドクルーザーは、新設計のラダーフレームや一部ボディのアルミニウム化、コンパクトで高出力のエンジンの搭載により約200kgの軽量化を実現した。そしてパワートレインをより低くセンターに搭載することで低重心化。さらにリアサスペンションのショックアブソーバーをより縦位置に配置し、乗り心地の良さと操縦安定性が格段に向上している。

 

エンジンは3.5LV6ツインターボに加え、国内待望の3.3LV6ツインターボディーゼルエンジンも選べる。試乗したところ、低回転から発揮する大きなトルクが軽量化されたランドクルーザーを軽々と走らせる。油圧に電動式アクチュエーターを組み合わせたパワーステアリングや電子制御ブレーキのおかげで、ドライバーの意のままだ。ランドクルーザーを構成するすべてを磨き上げたことで素性を刷新し、疲れないドライビングを実現しているのである。

 

【Check Point 1】デザイン

空力性能と悪路走破性を考え洗練された大人の魅力を表現

最上級SUVとしての洗練された風格と、オフロードでライトを破損しにくい上部に配置したりバンパーコーナーを絞ったりする伝統の機能美を融合。空力性能を上げるためにキャビンやリアコーナーを絞るなど、歴代のヘリテージを継承しながら機能性を追求している。

↑全車サイドアンダーミラーなし仕様となり、フロントデザインがスッキリとした。全グレードでモニターとカメラを標準装備する

 

↑水平を基調としながら、キャビンを絞ったほか、バンパーを切り上げたデザインに変更。グラマラスなリアビューが魅力的だ

 

【Check Point 2】インテリア

ドライビングの高揚感と最上級の快適性を演出

ボリューム感あるセンターコンソールと、操作性に優れるレイアウトの各スイッチ類のおかげでドライビングに集中できる運転席。車両の傾斜がわかりやすいよう水平を基調としたインテリアデザインが、ランドクルーザーに乗っていることを実感させてくれる。

↑長時間のドライビングでも疲れにくい上質なシートを採用。ガソリン仕様は7人乗りが選択でき、ディーゼル仕様は5人乗りのみだ

 

↑7人乗りの3列目シートはフロアアンダー格納タイプでカーゴスペースが広く取れる。ゴルフバッグも4つ詰めて便利だ

 

【Check Point 3】新型モデルの注目ポイント

指紋認証スタートスイッチと前後デフロックが唯一無二

世界的に人気のランドクルーザーはセキュリティ対策にも注力。指紋を登録したドライバーがスマートキーを持ち、ブレーキを踏んで指紋認証してようやくエンジン始動できる。本格派オフローダーの証ともいえる前後デフロックをGR SPORTに装備する点にも注目だ。

↑GR SPORTのみだが、リアだけでなくフロントデフロックも装備。前後ともデフロックすることで比類なき悪路走破性が得られる

 

↑GXのみオプションとなるが、トヨタ初となる指紋認証スタートスイッチを採用。セキュリティを高めるランクルオーナー待望の装備だ

 

【Check Point 4】走破性

200kg軽量化し、サスペンションとエンジンの刷新で意のままに走る

伝統のラダーフレーム構造を継承しながら、TNGAの考えに基づくGA-Fプラットフォームを採用。日本の匠の高い溶接技術で堅牢性、高剛性と軽量化を両立した。剛性が上がったことでサスペンションのセッティングがしやすくなり、特にリアサスペンションのレイアウトを最適化。路面からの衝撃にリニアに反応し、優れた乗り心地と操縦安定性、悪路走破性を実現。

↑超ハイテンションスチール材を含め部分的に最大5mm厚の鋼板を随所に採用。サスペンションレイアウトを最適化し、悪路走破性が格段に向上した

 

↑超ハイテンションスチール材を骨格にアルミ材などを適材適所に採用。ボディで約80kg軽量化と低重心化を実現し、ワインディングも軽快に走る

 

↑80系から続くホイールベースはそのままキープ。対地障害角は前モデル同等以上を維持することで高い悪路走破性を確保する

 

【Column】ランドクルーザーは高速のパトロールカーとしても活躍中

高速道路で見かける黄色いパトロールカーにはランドクルーザーが多い。走行性能の高さはもちろんだが、牽引力の高さも理由。故障などで止まってしまった大型トラックを牽引して渋滞発生を防ぐこともある。

↑ランクルが採用される理由には、ボディの頑丈さも挙げられる。高速で走るクルマから隊員の生命を守る使命も課せられている

 

 

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日本のベストセラー「アクア」の新型を深掘り! ブラッシュアップされた魅力を先代モデルのオーナーが語る

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、かつて日本のベストセラーとなったハイブリッド専用コンパクトカー、アクアの新型を取り上げる!

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】トヨタ/アクア

SPEC【Z 2WD】●全長×全幅×全高:4050×1695×1485mm●車両重量:1130kg●パワーユニット:1.5Lエンジン+モーター●エンジン最高出力:91PS(67kW)/5500rpm●エンジン最大トルク:12.2kg-m(120Nm)/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:33.6km/L

198万(税込)〜259万8000円(税込)

 

先代より断然洗練されたデザインに加え、走りも燃費も高水準と死角なし

安ド「殿! 殿は先代アクアのオーナーでしたね!」

 

永福「うむ。ディーラーで一番に予約して新車を購入し、4年半乗った」

 

安ド「フェラーリ乗りで有名な殿がなぜアクアに? というのは、皆に言われたと思いますが、一体なぜですか?」

 

永福「10年前、私は“燃費”に燃えていた。プリウスより軽くて小さいアクアは、プリウスより燃費が良いはず。つまり世界一燃費が良いはずだ! と思って買ったのだ」

 

安ド「で、どうでした?」

 

永福「4年半の平均でリッター20kmほど。プリウスよりほんのわずか下だったようだ。その点は期待外れだったが、先代アクアは見かけによらずハンドリングが非常に良かった」

 

安ド「そういうイメージ、ないですよね!」

 

永福「世間的には、すごく平凡なクルマ、というイメージだったが、クルマは見かけによらないな」

 

安ド「で、新型はどうですか?」

 

永福「まったく弱点のない、素晴らしいクルマだ」

 

安ド「素晴らしいですか!」

 

永福「何よりもまず、デザインが良くなった。キープコンセプトだが、先代のアクアより数段洗練されている」

 

安ド「ヌメッとしてるけど、どことなく上品ですよね」

 

永福「写真ではわからないかもしれないが、実物はフランス車のようなエスプリがある」

 

安ド「走りも良いですね! きっと遅いんだろうと思って乗ったら、加速の反応が良いので驚きました」

 

永福「パワープラスモードに入れると、アクセルの反応がシャープになり、日産『ノート』のように、回生ブレーキも強くなる。つまり、アクセルだけでかなり速度をコントロールできるから、ブレーキを踏む回数が減るな」

 

安ド「あれは楽しいですね!」

 

永福「運転していると楽しいが、助手席では若干クルマ酔いしてしまった」

 

安ド「えっ!? 自動車評論家なのにクルマ酔いですか?」

 

永福「実は乗り物に弱いのだ。しかし燃費はスバラシイ!」

 

安ド「今度こそ世界一でしょうか?」

 

永福「いや、新型は『ヤリスハイブリッド』に負けているが、その差はわずかだ。気合の燃費アタックを行えば、リッター40km近くいくぞ」

 

安ド「さすがトヨタのハイブリッドカーですね!」

 

永福「EVよりもエコだ。しかもAC100V給電システムが標準装備されている」

 

安ド「キャンプで便利そうです!」

 

永福「私はキャンプはしない。使うとしたら災害による停電時だ」

 

安ド「車内で生活するんですか?」

 

永福「いや、アクアの車内から延長コードを伸ばして自宅に引き込み、冷蔵庫を稼働させるのだ」

 

安ド「なるほど! 食料をダメにせずに済みますね!」

 

【GOD PARTS 1】マルチインフォメーションディスプレイ

中央にドーンと構えたインテリアの象徴

インテリアの中心には、トヨタのコンパクトカーとしては初採用となる10.5インチの大型ディスプレイが鎮座しています。同ディスプレイを中心に操作系が並べられていてクリーンな印象です。

 

【GOD PARTS 2】ハイブリッドシステム

ヤリスと同様のシステムながら走りには違いが見られる

ヤリスハイブリッドとほぼ同じシステムを積んでいますが、車重が少々(約40kg)重いため、燃費は若干負けています。一方で重心は低く、ヤリスより走りに安定感があります。乗り心地もアクアのほうがしなやかで上質でした。

 

【GOD PARTS 3】アクセサリーコンセント

非常時には電池として活躍してくれる!

いつ大災害が起きてもおかしくない国ニッポン! ということで、国内専用車となるこのアクアには、停電などの際に家庭用電気製品が使えるAC100V電源が全車標準装備されています(1500Wまで使用可能)。

 

【GOD PARTS 4】バイポーラ型ニッケル水素電池

新型電池の採用はモーターにも良い影響を与える

従来はニッケル水素電池でしたが、新型アクアでは、不足気味のレアメタルをあまり使わずに作れるバイポーラ型のニッケル水素電池が採用されました。これにより出力が向上し、EV走行可能速度域も拡大されています。

 

【GOD PARTS 5】ボディカラー

ゴールドを除けば地味で大人向けの色味ばかり

新型では全9色がラインナップ。この「プラスゴールドメタリック」を除いて、だいぶ平凡なラインナップです。「アーバンカーキ」は素敵な色でしたが、やはり地味系。ヤリスと比べると、大人向けなクルマだからでしょうか。

 

【GOD PARTS 6】カラーヘッドアップディスプレイ

視線を逸らさずに運転できる便利な表示

新型は先代型のようなセンターメーターではなく、オーソドックスなメーターです。フロントガラスに各種情報が映し出されるヘッドアップディスプレイもオプションで選べます。

 

【GOD PARTS 7】快感ペダル

アクセルを緩めると減速する、日産同様のシステム

走行モードで「POWER+」を選択すると、アクセルペダルを緩めた際に回生ブレーキの減速感が強まります。エンジンブレーキのような感覚で、日産『ノートe-POWER』のワンペダルと同様のシステムですが、ノートより減速度は弱く、マイルドな味つけです。

 

【GOD PARTS 8】室内スペース

先代アクアと比べて前後に広くなった

ボディサイズをほとんど変えることなく、先代モデルよりホイールベース(前後タイヤ間の距離)を拡大したことで、ヤリスよりも広い室内空間を確保しています。特にリアシートの居住空間は広めで、足元も窮屈な感じはありません。

 

【GOD PARTS 9】アドバンスト パーク

手足を離したまま自動で駐車スペースへ

駐車が苦手な人にうれしい駐車支援システムがオプション設定されています。かつては高級車向け機能でしたが、これはアクアが小型車のなかでも上質なモデルということでしょう。動きは素早く正確で、実用的でした。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアデザイン

まるでフランス車のような上質な雰囲気

初代アクアのデザインはいま思うとダサかったのですが、新型アクアはキープコンセプトながら、格段に洗練されました。ボディサイドは抑揚が増し、スピード感が強調されています。そしてリアまわりは、張り出したフェンダーと嫌味のないリアライト形状の組み合わせが、シンプルかつ知性を感じさせる仕上がり。見れば見るほど好きになる上質な雰囲気で、まるでフランス車のような趣が感じられます。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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世界じゅうで愛されるキング・オブ・SUV! ランドクルーザーが14年ぶりにフルモデルチェンジ

ランドクルーザーは世界170か国で愛されるSUVの“王様”。その走破性に寄せられる信頼は絶対のものになっている。誕生から70年の今年、14年ぶりにフルモデルチェンジ。「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」を使命とする同車の新型は、早くも人気沸騰中だ。

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【SUV】2021年8月発売

トヨタ

ランドクルーザー

510万円~800万円

運転しやすく、疲れないクルマを目指した世界屈指の4WD。パワーユニットは先代のV8が姿を消し、全モデルV6エンジンに変更。ディーゼルエンジン搭載車の復活や、GR SPORTグレードが加わったことが話題になっている。

 

SPEC【ZX ガソリンエンジン】●全長×全幅×全高:4985×1980×1925mm●車両重量:2500kg●パワーユニット:3444ccV型6気筒+ツインターボ●最高出力:415PS/5200rpm●最大トルク:66.3kg-m/2000~3600rpm●WLTCモード燃費:7.9km/L

 

モータージャーナリスト

清水草一さん

フェラーリと首都高をこよなく愛する自動車ライター。クルマのほか交通ジャーナリストとしても活動中。メディア連載も多数。

 

伝統はしっかり継承しつつ悪路走破性をさらに高めた

ランドクルーザーは「キング・オブ・SUV」。日本ではオフロードを走る機会はめったにないが、中東諸国や途上国では絶対的な信頼とステータスを得ている。特にアフリカでは4WD=ランドクルーザーと言われるほどだ。

 

「道路事情の悪い国では、ランドクルーザーこそ最強であり最高級。途上国での絶大な人気が日本など先進国にも飛び火し、名声は高まる一方です」(清水さん)

 

新型の開発テーマは“継承と進化”。耐荷重性、耐衝撃性に優れたラダーフレームは剛性を上げながら軽量化して継承。さらにボディ各所にアルミ材を使用することで、車両重量を約kg軽量化した。

 

「オフロードでは車両の軽さは重要で、ぬかるみにはまったときも脱出しやすくなります。ランドクルーザーはさらに生きます」(清水さん)

 

路面状況に合わせて最適なドライブモードを選べる「マルチテレインセレクト」はさらに進化し、利用可能なシーンがより広がっている。

 

エンジンはガソリン、ディーゼルともにV6に変更された。

 

「燃費の良さを求められるクルマではありませんが、新型では向上しました。特に復活したディーゼルターボモデルは、力強いトルクと9.7km/L(WLTCモード)という燃費を実現していて、環境性能も向上しています」(清水さん)

 

【トレンドのツボ】世界じゅうで争奪戦がぼっ発? 日本では納車まで1年以上の見込み

ランドクルーザーは世界各国で使われており、このクルマでないと安心して走行できないという地域も多い。早くも世界じゅうからオーダーが入っており、争奪戦となっている。日本では納車まで1年以上かかる見込みとアナウンスされた。

 

↑観光客を乗せて砂漠を走る「デザートツアー」。故障は命取りになるため、ほぼランドクルーザーが使われる

新型ランドクルーザーはココが進化!

新型モデルでは絶対的な悪路走破性をさらに高め、安心してオフロード走行ができるように進化。先代から14年を経たフルモデルチェンジの革新はココに凝縮されている。

 

1.高剛性を高めながら大幅な軽量化を実現

新開発のGA-Fプラットフォームを採用。伝統のラダーフレームは剛性を高めつつ軽量化。さらにルーフや全ドアパネルの素材をアルミ化することで、車両重量が従来より約200kg軽量に。

 

↑従来よりも20%剛性がアップした新しいラダーフレーム。TNGAプラットフォーム思想により、最新の溶接技術などを導入したことで実現している

 

↑新開発のサスペンション。サスペンションアームの位置を変えることで、ブレーキング時の車両姿勢や悪路でのタイヤの浮きづらさが向上した

 

2.充実したマルチテレイン性能でオフロード走行をサポート

悪路走破性を高めるマルチテレインセレクトを全モデルに標準装備。路面状況に合わせて走行モードを選択すれば、駆動力やサスペンション、ブレーキなどを自動で制御し、走破性を確保してくれる。

 

↑モードセレクトの動作範囲は通常の4WDであるハイレンジ(H4)モードでも選べる。より広いオフロード走行で使用可能になった

 

↑周囲の状況を4つのカメラでサポートするマルチテレインモニター。車両を停止させれば車両下の状況も確認でき、進むべき方向も教えてくれる

 

3.GR SPORTグレードにはラリーで培った技術を投入

新型モデルの目玉がGR SPORTグレードの設定。いままでにないほどオフローダーとしての性能を重視しているのが特徴だ。ダカールラリー参戦ドライバーの声を反映した専用装備が設定される。

 

↑前後のスタビライザーを独立して自動で電子制御し、前後輪それぞれの状況に応じその効果を変化させるE-KDSSを搭載。オンロードでの安定した走行と高い悪路走破性を実現する

 

↑本格的4WDではおなじみの、シャフトで左右両輪をつなぎ駆動力を生むデフロック走行。GR SPORTは前輪でも設定可能

 

【Column】ランドクルーザーを撮り続けているカメラマンがそのタフさを語る!

 

カメラマン

難波 毅さん

新聞社のカメラマンを経てフリーに。オーストラリアでランドクルーザーに出会い、以来過酷な環境下で働く姿を撮り続けている。

 

ランドクルーザーが止まればオーストラリアの生活が止まる

オーストラリアはランドクルーザーがランドクルーザーらしく活躍する場所。地下の銅鉱山では悪路、泥水、高湿度という環境で一生を過ごし、未整地の牧場では人車一体となって牛の群れを追う。産業界や官公庁で広く利用されており、「ランドクルーザーが止まればオーストラリアの生活が止まる」といっても過言ではないほどの信頼度だ。

 

↑放牧する牛の群れを追いながら移動させるのは馬に乗ったストックマンの仕事だったが、ランドクルーザーが馬の代わりとなることも。道なき牧場内を走り回るのは想像以上にタフである

 

↑オーストラリアの地下鉱山。その坑道は地下1900mに達する。地下で働くクルマは大型重機を除けばランドクルーザーだけ。いったん地下に下りたら基本的には2度と太陽を見ることはない

 

LAND CRUISER 70 YEARS HISTORY

1951

ジープBJ

自衛隊の前身である警察予備隊向けに開発された。車名の由来はB型エンジン搭載のジープ型モデル。性能は十分だったが、実績から納入は見送られた。

 

1955

ランドクルーザー 20

乗用車テイストに変化。ホイールベース違いのモデルもラインナップしていた。末期にはバンモデルも導入し、海外への輸出も本格的に開始された。

 

1967

ランドクルーザー 55

それまでのタフさ一辺倒ではなく、ランドクルーザーに求められた快適さを具現化したモデルが55型。高い快適性を持つステーションワゴンとなった。

 

1980

ランドクルーザー 60

55型の後継モデルが60型。より快適性能が向上した。エアコンやパワステ、国産4WDとしては初のATを採用するなど、より個人ユーザー向けになった。

 

1984

ランドクルーザー 70

悪路走破性能を保ちつつ快適性は乗用車と同様レベルに向上。日本での販売は終了してしまったが少しずつ進化し、海外ではいまも第一線で活躍中だ。

 

1989

ランドクルーザー 80

ラグジュアリー系RVとして地位を確立。仕様や装備は高級セダンと遜色ないうえ、耐久性や走破性能もランドクルーザーの名に恥じないものだった。

 

1998

ランドクルーザー 100

その異名は「悪路のセルシオ」。高級4WDモデルとして豪華な装備を誇った。海外ではレクサスブランドとして「シグナス」も追加されている。

 

2007

ランドクルーザー 200

ボディサイズを100型より拡大した200型。悪路などで超低速域を維持するクロールコントロールなど、先進機能を多く装備するのも特徴だった。

出力2倍のバッテリーでEV走行がより快適に! 新型「アクア」は電気出力“倍ブリッド”コンパクト

“いま”爆売れ中のモノを「乗り物」からセレクト。モータージャーナリスト清水草一さんがヒットの背景を解説する。消費者ニーズに“ビッタビタ”な“ゴン攻め”クルマの数々、知らないとマジでヤバいです!!

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

滑らかに減速できる「快感ペダル」が大好評!

【コンパクトハイブリッド】2021年7月発売

トヨタ

アクア

198万円〜259万8000円(税込)

初のフルモデルチェンジを果たしたハイブリッド専用コンパクト。アクセルペダルを緩めるだけで回生によって減速度を増大させ、滑らかに減速することが可能な「快感ペダル」を採用する。燃費を20%向上させ、35.8km/Lを達成した。

 

モータージャーナリスト

清水草一さん

フェラーリ、ランボルギーニから軽自動車まで所有経験あり。常にコスパを優先して愛車をチョイスしている。

すべてを兼ね備えた日本のためのコンパクトカー

初代アクアは10年間売れ続けたモンスターだったが、7月に登場したばかりの新型アクアはさらに魅力的。すべてを満たす超お買い得カーだ。ボディはコンパクトで使い勝手の良いサイズが自慢。

 

「同じトヨタのヤリスに比べると、後席やラゲージの余裕が段違い。ボディサイズはそのままに、全モデルよりホイールベースを50mm拡大したので、より余裕が生まれています」(清水さん)

 

パワーユニットはヤリスと同じ3気筒1.5Lのハイブリッド。だが新型アクアは出力が先代の約2倍となったバッテリーを搭載し、EVでの走行速度域を向上させた。

 

安全装備も最新バージョンへ進化し、トヨタセーフティセンスを標準装備。オプションのパーキングサポートブレーキは、車両周囲の静止物への衝突も回避してくれる。

 

「100V電源を全グレードで標準装備しています。ガソリン満タンなら、5日間くらいは家庭用電源として活用でき、災害時の停電対策にもなります」(清水さん)

 

これらの装備はすべて、日本市場の要望に応えたもの。アクアは近年珍しい、日本のために開発されたコンパクトカーである。

 

↑コンパクトなバイポーラ型ニッケル水素電池を、駆動用車載電池として世界初採用。従来型アクアよりバッテリー出力が約2倍に向上している

 

↑AC100V・1500Wのアクセサリーコンセントを全車に標準装備。駐車時でも電化製品が利用できる「非常時給電モード」も装備する

 

↑EVモードで「POWER+モード」を選ぶと、回生による減速度が増大。アクセルペダルを緩めるだけで滑らかな減速が可能になる

 

↑機能を集約させ、よりシンプルになった室内。ボックスティッシュなどを入れられる助手席アッパーボックスなど、収納スペースも多い

 

【トレンドのツボ】登場から10年が経っても販売台数上位に食い込む怪物

初代アクアは2011年の登場から順調に販売台数を伸ばし、一時期はプリウスと首位を競っていた。モデル末期の2018年に登録車の販売台数では2位に入るほど人気。新型が販売台数上位に食い込むのは必至だ。

●出典:日本自動車販売協会連合会の新車販売台数データ

 

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燃料電池車の未来は?トヨタ「MIRAI」を徹底検証

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、「FCV」こと燃料電池車であるトヨタのMIRAIを取り上げる。永福ランプが提唱する、燃料電池車の未来とは?

※こちらは「GetNavi」 2021年7月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】トヨタ/MIRAI

SPEC【Z“エクスクルーシブパッケージ”】●全長×全幅×全高:4975×1885×1470mm●車両重量:1950kg●パワーユニット:永久磁石式同期型モーター●最高出力:182PS(134kW)/6940rpm●最大トルク:300Nm(30.6kg-m)/0-3267rpm●WLTCモード燃費:135km/kg

710万円〜860万円

 

乗用車向きではないが、EVにはない個性を感じるFCV

安ド「殿! 新型MIRAIはいかがでしたか?」

 

永福「安ドはどう思った?」

 

安ド「僕ですか?  そうですねぇ、MIRAIは燃料電池車ですけど、それってEVの一種じゃないですか。最近EVに慣れてきているので、走りに関しては、ものすごく静かだという点以外、特に感想を抱きませんでした。殿も仰ってましたけど、電気モーターにはエンジンみたいに個性がないので、そのせいでしょうか」

 

永福「バッカモーン!」

 

安ド「えっ?」

 

永福「MIRAIは、EVとはまったくフィーリングが違う!」

 

安ド「ち、違いますか?」

 

永福「違う! 私にはV8エンジンを積んだメルセデス・ベンツのように感じたぞ!」

 

安ド「ど、どのあたりがですか?」

 

永福「燃料電池車は、確かにEV同様、電気でモーターを回して走る。がしかし、普通のEVと違うのは、車内で電気を生み出しておる点だ!」

 

安ド「はぁ……」

 

永福「水素タンク内の水素と、大気中の酸素とを反応させて電気を発生させ、それで走るのが燃料電池車。バッテリーも積んでいるが、サポート役に過ぎぬ。よってMIRAIは、他のEVのように、アクセルを踏むと同時にドーンとトルクが出るのではない。我々人間と同じく、息を吸ってからパワーを出すのだ!」

 

安ド「す、吸ってますかね?」

 

永福「吸っておる! だからそこには、微妙なタイムラグが発生する! まるで内燃エンジンのように! 加えてアクセルを深く踏み込むと、心地良い吸気音が聞こえ、ターボエンジンのようなパワーの盛り上がりも感じる!」

 

安ド「殿。その吸気音というのは、アクティブサウンドコントロールによる人工音では?」

 

永福「ガーン! そうだったのか……。しかし私はMIRAIに、人間的なぬくもりを感じた!」

 

安ド「そうなんですね!」

 

永福「普通に街なかを走っているとひたすら静かなクルマだが、アクセル全開ではV8のメルセデス・ベンツに豹変するのだ!」

 

安ド「殿、レクサスじゃなくメルセデスなんですか?」

 

永福「そうだ!」

 

安ド「どのあたりが?」

 

永福「なんとなくだ!」

 

安ド「ではMIRAIは成功しますかね?」

 

永福「いや、MIRAIに未来はないだろう」

 

安ド「ガクッ! ど、どうして?」

 

永福「燃料電池は、乗用車向きのパワーユニットではないからだ。乗用車にはEVのほうが断然有利。しかしFCVは大型トラックやバスには向いている。大型車専用なら、設置費用がかかる水素ステーションも大規模なモノを拠点配置すれば良いわけで、コストを大幅に削減できる!」

 

安ド「なるほど。MIRAIの未来はトラックやバスなんですね!」

 

【GOD PARTS 1】FCスタック

爆発ではなく化学反応でクルマが走る時代

FCVの仕組みを簡単に言うなら、高圧水素タンクに貯蔵した水素を燃料電池へ送り、化学反応で電気と水を発生させ、その電気を使用してモーターを駆動させて走行します。よく勘違いされるようですが、水素を爆発させてはいません。

 

【GOD PARTS 2】ホイール

グルグルと回る異次元的なイメージ

全体的には比較的オーソドックスな印象のボディデザインですが、ホイールはかなり未来的な雰囲気です。数多くの曲線スポークが放射線状に配置されており、ウルトラマンのオープニングを思い出させます。

 

【GOD PARTS 3】パノラミックビューモニター

普段は見ることができない斜め上からの角度も表示

ボディの前後左右に搭載されたカメラで撮った映像を処理することで、真上だけでなく、斜め上空から見たビジュアルを表示することも可能です。車体周辺を注視できて助かるのはもちろん、日ごろ、自分では見ることのできない角度なので、カーマニア的にはちょっとうれしくなります。

 

【GOD PARTS 4】リア席用充電ソケット

分け隔てすることなくすべての乗員に充電を

センターコンソールの後部には、アクセサリーコンセントと充電用のUSB端子が2基搭載されているので、後席の乗員もドライブ中に気兼ねなく充電できます。コンセントはAC100V・1500W対応となっており、家電製品などが使用可能。災害など非常時には電源として利用することもできます。

 

【GOD PARTS 5】水排出機構

したくなったらいつでも車外に排出

FCVは排気ガスが出ないので、マフラーが付いていません。ただし、水素を化学反応させた際に発生する水を車体中央の下部から排出することになります。通常時は貯められていますが、リリーススイッチを押せば、好きなタイミングで排水することが可能です。

 

【GOD PARTS 6】水素充填口

燃料を補給する口は見たことのない形

ガソリン車のような大きな穴もなく、EVのようなソケットもなく、水素充填口はこのような形をしており、ここから70Mpa(大気圧の約700倍)で水素を充填します。1回最大3〜4分程度の充填で、約500km走行できます。

 

【GOD PARTS 7】アクティブサウンドコントロール

意図的な走行音がマニア心を刺激

モーターで走行するため、パワーユニットの走行音はほぼありません。が、若いころからエンジンで育ったカーマニアらを納得させるため、アクセル操作に応じて作られた排気音(のようなもの)が聞こえてくる装置を搭載しています。

 

【GOD PARTS 8】ヘッドライト&グリル

まるで水生生物のような鋭い眼光と垂れた口

水生生物を思わせる「ヌルッ」とした顔です。ヘッドライトはかなり切れ長で、その下には常時点灯されるLEDのデイタイムランニングランプが搭載されています。グリルは山型でバンパー下部まで伸び、ワイド感が演出されています。

 

【GOD PARTS 9】水素ステーション表示

充電施設ほど多くなくても絶対欲しい充填施設情報

10年ほど前にEVが市販され始めたころ、ディスプレイに表示される充電施設の存在がドライバーとしては本当に心強かったものです。現在、FCVにおいても、しっかり水素ステーションが表示されます。ただしその数はまだ少ないです。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアシート

長距離走行を実現するためには割り切りも必要

先代モデルは4人乗りでしたが、新型はなんと5人乗りになりました。これはリアシートの定員数が2人から3人になったためですが、実際に後席中央シートに座ってみると、写真のようにオジサンでは頭が天井に付いてしまうため、子ども用という割り切りが必要です。ボディサイズのわりに室内が狭く感じるのは、水素タンク容量が141Lもあって、それにスペースを割いているからです。

燃料電池車の未来は?トヨタ「MIRAI」を徹底検証

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、「FCV」こと燃料電池車であるトヨタのMIRAIを取り上げる。永福ランプが提唱する、燃料電池車の未来とは?

※こちらは「GetNavi」 2021年7月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】トヨタ/MIRAI

SPEC【Z“エクスクルーシブパッケージ”】●全長×全幅×全高:4975×1885×1470mm●車両重量:1950kg●パワーユニット:永久磁石式同期型モーター●最高出力:182PS(134kW)/6940rpm●最大トルク:300Nm(30.6kg-m)/0-3267rpm●WLTCモード燃費:135km/kg

710万円〜860万円

 

乗用車向きではないが、EVにはない個性を感じるFCV

安ド「殿! 新型MIRAIはいかがでしたか?」

 

永福「安ドはどう思った?」

 

安ド「僕ですか?  そうですねぇ、MIRAIは燃料電池車ですけど、それってEVの一種じゃないですか。最近EVに慣れてきているので、走りに関しては、ものすごく静かだという点以外、特に感想を抱きませんでした。殿も仰ってましたけど、電気モーターにはエンジンみたいに個性がないので、そのせいでしょうか」

 

永福「バッカモーン!」

 

安ド「えっ?」

 

永福「MIRAIは、EVとはまったくフィーリングが違う!」

 

安ド「ち、違いますか?」

 

永福「違う! 私にはV8エンジンを積んだメルセデス・ベンツのように感じたぞ!」

 

安ド「ど、どのあたりがですか?」

 

永福「燃料電池車は、確かにEV同様、電気でモーターを回して走る。がしかし、普通のEVと違うのは、車内で電気を生み出しておる点だ!」

 

安ド「はぁ……」

 

永福「水素タンク内の水素と、大気中の酸素とを反応させて電気を発生させ、それで走るのが燃料電池車。バッテリーも積んでいるが、サポート役に過ぎぬ。よってMIRAIは、他のEVのように、アクセルを踏むと同時にドーンとトルクが出るのではない。我々人間と同じく、息を吸ってからパワーを出すのだ!」

 

安ド「す、吸ってますかね?」

 

永福「吸っておる! だからそこには、微妙なタイムラグが発生する! まるで内燃エンジンのように! 加えてアクセルを深く踏み込むと、心地良い吸気音が聞こえ、ターボエンジンのようなパワーの盛り上がりも感じる!」

 

安ド「殿。その吸気音というのは、アクティブサウンドコントロールによる人工音では?」

 

永福「ガーン! そうだったのか……。しかし私はMIRAIに、人間的なぬくもりを感じた!」

 

安ド「そうなんですね!」

 

永福「普通に街なかを走っているとひたすら静かなクルマだが、アクセル全開ではV8のメルセデス・ベンツに豹変するのだ!」

 

安ド「殿、レクサスじゃなくメルセデスなんですか?」

 

永福「そうだ!」

 

安ド「どのあたりが?」

 

永福「なんとなくだ!」

 

安ド「ではMIRAIは成功しますかね?」

 

永福「いや、MIRAIに未来はないだろう」

 

安ド「ガクッ! ど、どうして?」

 

永福「燃料電池は、乗用車向きのパワーユニットではないからだ。乗用車にはEVのほうが断然有利。しかしFCVは大型トラックやバスには向いている。大型車専用なら、設置費用がかかる水素ステーションも大規模なモノを拠点配置すれば良いわけで、コストを大幅に削減できる!」

 

安ド「なるほど。MIRAIの未来はトラックやバスなんですね!」

 

【GOD PARTS 1】FCスタック

爆発ではなく化学反応でクルマが走る時代

FCVの仕組みを簡単に言うなら、高圧水素タンクに貯蔵した水素を燃料電池へ送り、化学反応で電気と水を発生させ、その電気を使用してモーターを駆動させて走行します。よく勘違いされるようですが、水素を爆発させてはいません。

 

【GOD PARTS 2】ホイール

グルグルと回る異次元的なイメージ

全体的には比較的オーソドックスな印象のボディデザインですが、ホイールはかなり未来的な雰囲気です。数多くの曲線スポークが放射線状に配置されており、ウルトラマンのオープニングを思い出させます。

 

【GOD PARTS 3】パノラミックビューモニター

普段は見ることができない斜め上からの角度も表示

ボディの前後左右に搭載されたカメラで撮った映像を処理することで、真上だけでなく、斜め上空から見たビジュアルを表示することも可能です。車体周辺を注視できて助かるのはもちろん、日ごろ、自分では見ることのできない角度なので、カーマニア的にはちょっとうれしくなります。

 

【GOD PARTS 4】リア席用充電ソケット

分け隔てすることなくすべての乗員に充電を

センターコンソールの後部には、アクセサリーコンセントと充電用のUSB端子が2基搭載されているので、後席の乗員もドライブ中に気兼ねなく充電できます。コンセントはAC100V・1500W対応となっており、家電製品などが使用可能。災害など非常時には電源として利用することもできます。

 

【GOD PARTS 5】水排出機構

したくなったらいつでも車外に排出

FCVは排気ガスが出ないので、マフラーが付いていません。ただし、水素を化学反応させた際に発生する水を車体中央の下部から排出することになります。通常時は貯められていますが、リリーススイッチを押せば、好きなタイミングで排水することが可能です。

 

【GOD PARTS 6】水素充填口

燃料を補給する口は見たことのない形

ガソリン車のような大きな穴もなく、EVのようなソケットもなく、水素充填口はこのような形をしており、ここから70Mpa(大気圧の約700倍)で水素を充填します。1回最大3〜4分程度の充填で、約500km走行できます。

 

【GOD PARTS 7】アクティブサウンドコントロール

意図的な走行音がマニア心を刺激

モーターで走行するため、パワーユニットの走行音はほぼありません。が、若いころからエンジンで育ったカーマニアらを納得させるため、アクセル操作に応じて作られた排気音(のようなもの)が聞こえてくる装置を搭載しています。

 

【GOD PARTS 8】ヘッドライト&グリル

まるで水生生物のような鋭い眼光と垂れた口

水生生物を思わせる「ヌルッ」とした顔です。ヘッドライトはかなり切れ長で、その下には常時点灯されるLEDのデイタイムランニングランプが搭載されています。グリルは山型でバンパー下部まで伸び、ワイド感が演出されています。

 

【GOD PARTS 9】水素ステーション表示

充電施設ほど多くなくても絶対欲しい充填施設情報

10年ほど前にEVが市販され始めたころ、ディスプレイに表示される充電施設の存在がドライバーとしては本当に心強かったものです。現在、FCVにおいても、しっかり水素ステーションが表示されます。ただしその数はまだ少ないです。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアシート

長距離走行を実現するためには割り切りも必要

先代モデルは4人乗りでしたが、新型はなんと5人乗りになりました。これはリアシートの定員数が2人から3人になったためですが、実際に後席中央シートに座ってみると、写真のようにオジサンでは頭が天井に付いてしまうため、子ども用という割り切りが必要です。ボディサイズのわりに室内が狭く感じるのは、水素タンク容量が141Lもあって、それにスペースを割いているからです。

SUV購入検討時に必ずチェックしておきたい7つの項目

車高が少し高く、荷物もたくさん積めるカッコ良いクルマ——SUVのイメージはほぼ同一だが、運転のしやすさや使い勝手はやはり異なる。SUVの購入検討時に必ずチェックすべき点を、多くのSUVに乗車経験があるプロが伝授する!

※こちらは「GetNavi」 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【私が解説します!】

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

1968年生まれ。コロナ後に家族で旅するためのSUVの購入を検討中。メカニズム関連にも詳しい。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

【Point.1】エンジン車 or ハイブリッド車

燃費だけでなくドライビングフィールにどんな違いがあるか

いくらハイブリッドが低燃費でも、価格差の元を取るのはまず無理で、むしろ走り味の好みで選ぶべき。最近ではレスポンスが良くトルクフルで走りが気持ち良いハイブリッドが増えているので、そこに価値を見出せるかどうかでどちらを選ぶか決めたほうが賢明だ。

 

<トヨタ・CH-Rの場合>

トヨタのコンパクトSUV。リアのドアノブをCピラーに隠すなどクーペライクなデザインが特徴。1.2Lモデルには6MTも用意され、その走りをアピールする。

 

■エンジン車

価格:238万2000円〜271万5000円

燃費:14.9km/L(WLTCモード)

ターボ搭載の1.2Lエンジンはアクセルの操作に応じて瞬時に反応。滑らかに素早く伸びていく加速フィーリングを楽しめる。

 

■ハイブリッド車

価格:274万5000円〜304万5000円

燃費:25.8km/L(WLTCモード)

モーターが生み出すトルクをフル活用。動き出しの瞬間からアクセルに反応してスムーズに走行できる気持ち良さを実感できる。

 

【Point.2】運転のしやすさ

・乗降がしやすくドライビングポジションを取りやすいか

・前方だけでなく後方や斜め後方の視界も良いか

地上高が高いので、まずは乗降性が大切。最近ではサイドシルの下まで回り込んでドアが開閉するタイプが増えており、乗り降りしやすく服が汚れにくいなどメリットが多い。乗り込んでからは、ドライビングポジションの取りやすさや全方位の視界を確認しよう。

 

↑セダンなどに比べ床の位置が高いSUVは、当然シート位置も高くなる。乗車時の頭上空間と降車時の膝の動く量やグリップなどは要チェックだ

 

↑運転席で最適なポジションを取れるかをチェック。モデルによって異なるがステアリングのチルト&テレスコ、シートの高さ調整も忘れずに確認

 

↑背の高いSUVにとって後方視界は特に重要。ルームミラーの死角をカバーする補助ミラーの見え方や、その位置などはチェックしておきたい

 

【Point.3】フロントシートまわり

・どのような収納スペースがあるか

・いまや必要不可欠なUSBなどの端子類はあるか

運転環境と同じく、利便性も大切。USB端子がどこにあり、スマホがどこに置けて、コードをどのように取り回せるかなどもイメージしてみると良い。さらにスイッチ類の設定がどうなっているか、車種によって様々なタイプがあるので、しっかり確認しておくべきだ。

 

↑インパネまわりの収納力はある程度欲しいもの。またそれらの位置やフタの有無も使い勝手に影響するので、使い方を想定して見ておきたい

 

↑スマホ全盛の時代、充電やインフォテインメントシステムへの接続を考えるとUSBの位置は重要。ケーブルの取り回しも考慮して確認したい

 

↑Qi規格のワイヤレス充電器が装備可能なモデルも増加。ここではその位置や置きやすさ、取り出しやすさも併せて試してみたいところだ

 

【Point.4】リアシート

・乗降性と、着座したときにどれだけの余裕スペースがあるか

・快適にドライブできる装備はあるか

前席と同様、まず乗降性が大切。特に後席はドアの開く角度やドアの内張り、シートの角の形状の影響を受けやすい。さらに着座時の各部のクリアランスを確認。フロア中央部の張り出し具合や、リクライニングできるかどうかも一応調べておいたほうが良い。

 

↑普段3人以上で乗る場合には後席の乗降性は重要。凝ったデザインのモデルだと乗降がしにくいことも。ドアの開く角度も試しておきたい

 

↑座り心地や前席との距離、頭上スペースを確認。またシートのリクライニングやスライドが可能かもチェック。調整可能なクルマは多いのだ

 

↑いまや後席専用のエアコン吹き出し口は高級車だけの装備でなくなりつつある。その風向きや風量、USBや12V電源端子の有無を確認したい

 

【point.5】ラゲッジスペース

・テールゲートの開口形状やフロアの地上高

・リアシートを前倒ししたときの拡張性はどれだけか

テールゲートがどのように開くか、開くとどのような形状になっているか、ゴルフをする人はバッグが積みやすそうかどうか等をチェック。さらにリアシートを前倒しするとどうなるのか、フロア下のアンダーボックスがどのような形状になっているかもチェックしたい。

 

↑テールゲートは使い勝手に大きく影響する。地上高や荷物の載せやすさは必ず確認したい。荷室内部左右の張り出し幅も要確認ポイントだ

 

↑最近ではスペアタイヤを搭載しないモデルが増加し、そのぶん収納スペースを広くするモデルも。その広さや深さ、使い勝手をチェック

 

↑頻繁には使わないかもしれないが、後席を倒した時の段差は確認ポイント。長尺物の積載時に段差が影響するため、しっかりチェックしたい

 

【Point.6】安全運転支援技術

・機能の内容と他社との違いは何か

・高速道路でのACCはスムーズか

どのような機能があるか、他社との違いは何か、どんなセンサーを使っているか、得意/不得意な点をできるだけ詳しく理解しておいたほうが良い。試乗時に高速道路に乗れれば、ACCの追従のスムーズさや、車線維持機能がどのように利くかも確認してみよう。

 

↑衝突被害軽減ブレーキの対象は知っておきたい。メーカーごとに夜間の歩行者検知などに違いがあるからだ。万一の装備こそしっかり把握したい

 

↑死角を補ってくれる後側方車両検知機能もチェック。これもモデルによってその検知範囲に違いがある。後退時の安全支援装置も確認したい

 

↑高速道路走行時の運転をラクにしてくれるACCの範囲は確認事項のひとつ。稼働可能な車速帯、渋滞追従機能の有無なども併せてチェック

 

【Point.7】快適・便利機能

・グレードごとの標準装備と、オプションで必要な費用はどのくらいか

車種によっては他車にない特徴的な装備が設定されているケースもある。同じ車種でもグレードによって設定が異なり、好みのオプションが選べないこともあるので、そのあたりはできるだけ詳しく情報を収集すべし。上級グレードを選んでおけばほぼ間違いはない。

 

○……標準装備 △……メーカーオプション ×……装着不可

 

↑寒い季節に便利なシートヒーター。寒冷地仕様では標準装備が増えてきたが、オプションで設定可能かどうかもチェックしておきたい

ホンダ・ヴェゼルと並ぶ実力派! 国内4強SUVの実力をプロがチェック!

フルモデルチェンジしたホンダ・ヴェゼルと同クラスの国内4強SUVの実力をプロがチェック。コンパクトサイズながら使い勝手を向上させた室内や走り、デザインなど、創意工夫が盛り込まれたモデルばかりだ。

※こちらは「GetNavi」 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【私がチェックしました!】

モータージャーナリスト

清水草一さん

フェラーリ、ランボルギーニから軽自動車まで所有経験のある自動車ライター。常にコスパを優先して愛車をチョイスしている。

【エントリーNo.1】コレ1台あればあらゆるニーズを満たせる

トヨタ

ヤリス クロス

179万8000円〜281万5000円

2020年販売台数:15万1766台(※)

※:コンパクトカーのヤリスと合計の販売台数

●出典:一般社団法人 自動車販売協会連合会

大激戦のコンパクトSUV市場。そこにトヨタが投入したモデルがヤリス クロスだ。街なかで使い勝手の良いサイズと、エントリーモデルは180万円を切る価格設定、充実した装備が魅力だ。

SPEC【HYBRID Z・2WD】●全長×全幅×全高:4180×1765×1590mm●車両重量:1190kg●パワーユニット:1490cc直列3気筒+モーター●最高出力:91PS/5500rpm●最大トルク:12.2㎏-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:27.8km/L

 

さすがは天下のトヨタ! クルマづくりにスキがない

ヤリス クロスは、良くできたSUVというよりも、弱点のない実用車だ。後席やラゲッジスペースが狭いヤリスの弱点を補いつつ、車高を少し上げ、かつスタイルを万人向けにカッコ良く仕上げたクルマと言えば分かりやすいだろう

 

パワーユニットは、1.5Lのガソリンとハイブリッドの2種類。どちらもFFと4WDが選べる。グレードも合計14種類と豊富だ。価格帯は幅広く、全体的にリーズナブル。もちろん燃費も良い。内装だけは少々チープな感じが否めないが、ほぼすべての点で満足度が高く、誰が乗っても間違いない。さすがトヨタの人気SUVである。

 

【ヤリス クロスのココがスゴイ!】

走り、安全性能、荷室容量とすべてが最高レベルです!

「ヤリスシリーズならではの軽快な走りと先進の安全装備が自慢。コンパクトSUVとしては最大級の荷室容量で、後部座席を倒すことなく大型スーツケース2個を収納可能です」(トヨタ広報PR)

 

↑インパネの基本デザインはヤリスと同様。ヤリス クロスではセンターコンソールからディスプレイにかけて縦の流れを強調する

 

↑ヤリスよりクッション性が高く、高い天井など後席の快適性は◎。4:2:4の分割可倒式を採用するグレードもあり使い勝手も良い

 

【清水’s Check】

デザイン ★★★★

パワーユニット ★★★★★

乗り心地 ★★★★

使い勝手 ★★★★

コスパ ★★★★★

 

【エントリーNo.2】デザイン命のSUVはカッコ良さで選んで良し!

マツダ

CX-30

239万2500円〜371万3600円

2020年販売台数:2万7006台

CX-30はCX-3とCX-5の中間に位置するモデル。流麗なDピラーはクーペライクなデザインで、世界一美しいSUVを目指したというデザイナーの意気込みを感じる仕上がりだ。

SPEC【XD L Package・2WD】●全長×全幅×全高:4395×1795×1540mm●車両重量:1460kg●パワーユニット:1756cc直列4気筒+ターボ●最高出力:130PS/4000rpm●最大トルク:27.5㎏-m/1600〜2600rpm●WLTCモード燃費:19.2km/L

 

そのスタイルは美しくインテリアの上質さも破格

マツダは“デザインはクルマの命”と考えて、デザインを重視したクルマづくりを進めている。そのひとつの集大成がCX-30だ。このクルマのウリは、なによりもスタイルの美しさにある。買う側もデザイン優先で選ぶべきだろう。

 

エンジンは3種類あるが、オススメはマツダ自慢のクリーンディーゼルモデル(1.8L)だ。太いトルクはSUV向きだし、ロングドライブなら燃費性能もハイブリッド並みに良い。

 

サイズはライバルたちよりひと回り大きいが、デザイン優先ゆえ、室内の広さはほぼ互角。ただし、インテリアの上質感は断トツだ。

 

【CX-30のココがスゴイ!】

人が使う際の“ちょうど良さ”を考え抜かれた上品なインテリア

「ファミリーカーとしての”ちょうど良さ”です。サイズや走りの良さは当たり前。“人が使う”を考えたインテリアは上品さを演出。また、ライブ感ある音響が移動の満足感をより高めます」(マツダ広報PR)

 

↑メッキ加飾やソフトパッドを多用した室内。前席、後席とも広く窮屈さは感じない。後席背もたれは6:4の分割可倒式を採用する

 

↑新世代エンジンのSKYACTIV-X。ガソリンエンジンながらも圧縮着火を採用。さらにモーターを組み合わせて高い環境性能を誇る

 

【清水’s Check】

デザイン ★★★★★

パワーユニット ★★★★

乗り心地 ★★★

使い勝手 ★★★

コスパ ★★★

 

【エントリーNo.3】この安さは破壊力抜群! 走りや快適性にも不満ナシ

トヨタ

ライズ

167万9000円〜228万2200円

2020年販売台数:12万6038台

2020年に単一車種としては驚きの12万台超を販売。5ナンバー枠に収まる取り回しの良いボディサイズとSUVらしいデザインが特徴で、走りも軽快だ。SUVながら1tを切る軽さも魅力。

SPEC【Z・2WD】●全長×全幅×全高:3995×1695×1620mm●車両重量:980kg●パワーユニット:996cc直列3気筒+ターボ●最高出力:98PS/6000rpm●最大トルク:14.3kg-m/2400〜4000rpm●WLTCモード燃費:18.6km/L

 

ガソリンエンジンで十分じゃないか!

トヨタ・ライズは、小型車に強みを持つダイハツが開発・生産を担当している。サイズは4モデルのなかで最もコンパクトで、パワーユニットはガソリンエンジンのみ。すべてのニーズを適度に満たしつつ価格が非常に手ごろなので、ヤリス クロスの登場までは、SUV販売台数ナンバーワンだった。

 

3気筒の1Lターボエンジンはトルクがあり、軽量ボディを軽快に走らせる。角張ったデザインはサイズ以上の押し出し感もある。内装のチープ感は価格なりだが、4WDモデルも用意されていて死角はない。気軽に買えて不満のない、良くできたSUVだ。

 

【ライズのココがスゴイ!】

5ナンバーサイズを超える使い勝手と力強さが自慢

「5ナンバーサイズSUVながらクラストップレベルの荷室容量。ワンランク上の大径タイヤでSUVらしい力強いスタイルを叶えながら、小回りの利く優れた取り回しを実現しています」(トヨタ広報PR)

 

↑想像以上に広い後席。前後席の間隔は900mmと普通のセダンよりも余裕がある。またスクエアなボディで頭上スペースも余裕だ

 

↑荷室容量は369Lでアンダーラゲッジも装備する。デッキボードは2段階に高さを調整できて便利。4人ぶんの荷物を楽に収納できる

 

【清水’s Check】

デザイン ★★★★

パワーユニット ★★★★

乗り心地 ★★★★

使い勝手 ★★★★★

コスパ ★★★★★

 

【エントリーNo.4】進化形e-POWERで一点突破を狙う日産の刺客

日産

キックス

275万9900円〜286万9000円

2020年販売台数:1万8326台

2016年より海外で販売されているモデル。日本向けにe-POWERを搭載し、足回りを再チューニングして昨年発売が開始された。軽快な走りと、広く品の良い内装、使い勝手の良さが魅力だ。

SPEC【X】●全長×全幅×全高:4290×1760×1610mm●車両重量:1350kg●パワーユニット:電気モーター+1198cc直列3気筒●最高出力:129(82)PS/4000〜8992rpm●最大トルク:26.5(10.5)㎏-m/500〜3008rpm●WLTCモード燃費:21.6km/L

●( )内は発電用エンジンの数値

 

この静かさはまるで電気自動車だ

爆発的なヒットになったノートe-POWERのパワートレインを大幅に進化させて、SUVに積んでみました——。それがキックスの成り立ちだ。

 

エンジンで発電してモーターで走るハイブリッドだが、エンジン音がとても静かになったので、純粋な電気自動車のようにも感じる。日産自慢の安全運転支援システム「プロパイロット」も標準装備だ。

 

ただ、4WDの設定はなくFFのみ。グレードは事実上ひとつだけと選択肢が狭い。価格もライバルに比べると割高だが、走りは静粛かつ軽快なので、もっと売れて良いモデルだと感じている。

 

【キックスのココがスゴイ!

レスポンスの良い加速はやみつきになること請け合い

「日産独自のe-POWERを採用。100%モーター駆動ならではの力強くレスポンスの良い加速で、これまでにない軽快でやみつきになるドライビング体験をお楽しみいただけます!」(日産広報PR)

 

↑ゴルフバッグは楽に3つも入る荷室。後席を倒すとかなり大きな荷物も積載可能。トノボードも大きく、使い勝手も良い

 

↑室内は肌触りの良いシートなどのほかに、高品質の素材を使用したインパネやドアクロスを採用。ステッチはその質感にもこだわっている

 

【清水’s Check】

デザイン ★★★

パワーユニット ★★★★★

乗り心地 ★★★★★

使い勝手 ★★★★

コスパ ★★★

デンソーの「新世代運転支援」で今のクルマはどう変わる? LSとMIRAIの場合

デンソーは4月9日、乗員に安心感を与える高度運転支援技術の実現と、車両の安全性能向上に貢献する製品を開発したと発表しました。合わせて、その技術がレクサスの新型「LS」および、トヨタの新型「MIRAI(ミライ)」の高度運転支援技術Advanced Drive(アドバンスドドライブ)に新機能として採用されたことも紹介し、その概要についてオンラインにて説明会を開催しました。

↑デンソーが開発したLiDARやECUを搭載することで、ハンズオフでの走行を実現するAdvanced Driveを搭載したレクサスの新型「LS」(左)とトヨタの新型「ミライ」

 

高精度ロケーター機能を有するLiDARと望遠カメラで前方200m先までを検知

新型LSと新型ミライに搭載された新しいAdvanced Driveで可能となるのは、高速道路や自動車専用道路の本線上でステアリング、アクセル、ブレーキの全てをアシストし、ドライバーはステアリングから手を離して走行することができる(ハンズオフ)というものです。また、車線変更をシステム側から提案も行い、ドライバーが周囲を確認してステアリングを保持すると自動で車線変更することが可能となりました。

↑Advanced Driveで実現する自動追い越し機能。前方に遅い車両がいるとシステムが追い越しを提案。ドライバーが承認すると追い越し行動に入り、終わると元の車線に戻る

 

今回、デンソーが発表したのは、この機能を実現するために開発された製品です。車両や道路の形状を検知する「LiDAR」、2つのカメラで前方を検知する「ロケーター望遠カメラ」に加え、高精度で自車位置を特定する「SIS ECU」、それらの製品などから得られる情報を高速処理する「ADS ECU」「ADX ECU」となります。

↑レクサスの新型「LS」とトヨタの新型「ミライ」のAdvanced Driveを支えるデンソーの製品群(資料提供:デンソー)

 

LiDARとロケーター望遠カメラはこの二つを組み合わせることで、前方200m以上先までを120°もの広範囲で検知できる製品として開発されました。中でもLiDARはデンソーにとって6世代目となる製品で、新型LSや新型ミライではこれをフロント部に装備。レーザー光の高出力化、受光センサーの高感度化により、遠方までの検出能力で世界最高レベルの性能を備えたとしています。

↑世界最高レベルの車両検知距離200mを実現したLiDARはフロントに搭載。ヒーターやウォッシャー機能も備える(資料提供:デンソー)

 

LiDARのスキャン方式はメカニカルな平面ミラーを用いており、物体を検出する水平の角度も広いことも特徴です。照射するレーザービーム間に隙間がない設計としたことで遠距離の小さな物体を見落としにくいメリットも生み出したと言います。また、デンソーとしては初めて、LiDARに汚れを落とすためのヒーターとウォッシャーを装備したことも明らかにされました。

↑フロントバンパーに埋め込められているLiDAR

 

また、ロケーター望遠カメラは、近距離用と遠距離用に2種類のカメラを搭載し、LiDARを超える長い撮像可能距離と高画素数を備えています。特に遠距離用のカメラでは検知角度を狭めることで角度あたりの画素数を向上させており、これがより鮮明な映像の実現に貢献することになったということです。

 

デンソーの先端技術を搭載したECUが高度な運転支援を可能にした

このLiDARと望遠カメラなどによって得られたデータは高精度な自車位置を特定するロケーターとして使われます。その処理の中枢を司るのが「SIS ECU」です。高精度地図データやGNSS(GPSなど全地球測位衛星システム)、6軸ジャイロセンサーから得られる位置情報と組み合わせることで、自車が走行する位置情報を車線レベルで取得。LSやミライが車線ごとに高度に制御できるのもこの技術が活きているからと言えるでしょう。

↑自車位置の高精度測位を実現する中枢が「SIS ECU」。OTA更新に対応し、高精度マップやプログラムデータのアップデートに対応する(資料提供:デンソー)

 

そして、ここで得られた車線レベルの高精度ロケーター情報は、車両を制御する「ADS ECU」と「ADX ECU」に送られます。ADS ECUのADSは「Advanced Driving System」のことで、つまり、このECUが自動運転につながる制御を行うのです。デンソーによれば、このECUは「認識/自車位置推定/運動制御などの自動運転の基本ロジック搭載」「安全性確保のため複数のSoC、MCUで冗長性を確保」する役割を備えているということです。

↑「ADS ECU」「ADX ECU」は「SIS ECU」から受け取った測位データをもとに、自動運転の車両制御を司る。冷却はエアコンの空調を使う(資料提供:デンソー)

 

↑自動追い越しの概念図。ドライバーがステアリングを保持し車線変更先を確認、承認操作を行うことで、自動的に車線変更を行う

 

↑車線が減少する際のAdvanced Driveが動作する流れ

 

↑追い越し時に大型車などが車線いっぱいに走っている際は、車線内で軽く避けて走行するアルゴリズムも備えた

 

一方、ADX ECUは「Advanced Driving Extension」を表すもので、「AIを活用した機能の追加・性能向上」としての役割を担います。加えて、いずれも通信でアップデートするOTA(Over The Air)機能にも対応しているということも見逃せません。これは現時点でこそAdvanced Driveが運転支援であるレベル2にとどまりましたが、近い将来、システムがレベル3に発展する際にはアップデートで対応できることを意味しているのです。

↑Advanced Driveはあくまで運転支援である自動運転レベル2であり、ドライバーが一定時間、前方から視線を外すと警告が出る

 

実は3月にホンダは世界初となるレベル3の型式認定を受けた新型レジェンドを発売しました。そういう状況下においてもAdvanced Driveでは、どうしてレベル2にとどめたのでしょうか。そこには自動運転に対する考え方の違いがあったと言えます。

 

自動運転の次のステップへの可能性を秘めたAdvanced Drive

トヨタ自動車は新型LSと新型ミライの発表記者会見で、「自動運転のレベルを上げることよりもドライバーが運転を安心して任せられるかどうかが重要」と、トヨタ自動車 CTOの前田昌彦氏はコメントしています。また、トヨタ先進技術開発カンパニーの「ウーブン・プラネット・ホールディングス」でCTOを務める鯉渕 健氏も「オーナーカーは自分で運転を楽しみながら、運転したくない場面を任せられるミックスされたシステムが合うのではないか」としています。

 

つまり、システムとして自動運転レベル3に対応できる伸びしろは残しつつも、まずは現時点でユーザーが受容できるシステムを提供したのが、新しいAdvanced Driveなのです。デンソーとしてはサプライヤーとして、OEMが必要とする仕様を粛々と進めていくことが基本です。ただ、そういう中でも「初期段階で先を見据えた方がトータルの面でよりコスト効果が大きい」との提案は行っていくとしました。

↑オンラインでの説明会で製品説明を行ったデンソーAD&ADAS事業部長の渡辺浩二氏と、経営役員の武内裕嗣氏

 

こうして振り返るとAdvanced Driveの開発は、インターフェースで「アイシン精機」などが参画していますが、仕様検討の段階からトヨタとデンソーが一体となって取り組むことで完成されたものと言えます。自動運転の実用化はまさに今スタートしたばかり。デンソーが自動運転の発展に果たす役割はますます大きくなっていくと言えるでしょう。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

コンパクトカーの変貌ぶりを徹底ガイド!

コンパクトカーは取り回しの良さや燃費の面で有利なのは当然だが、スポーツカーばりのパワフルな走りを誇るモデルや、快適な装備や先進の安全運転装置を搭載するモデルも多くなってきた。その変貌ぶりは、これまでのコンパクトカーに対する概念を変える大きなインパクトだ。

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ボディサイズが小さくても装備や使いやすさは向上

ひと昔前はコンパクトカーと言えば営業車という印象や、オシャレなモデルがあるものの実用車というイメージが多かったかもしれない。しかしいまはまったく違う。

 

コンパクトカーの取り回しの良さや使い勝手の良さに磨きがかかり、そこに先進安全装備のアシストも入れば苦手な車庫入れだってラクに完了。室内や荷室も工夫されているため大人4人でも余裕で乗れるし、ドライブを楽しく、ラクにする快適装備も充実している。コンパクトカーほどその進化ぶりに驚くクルマはないのだ。

 

【1】取り回しが良いボディサイズで運転がラク!

クルマのサイズが大きくなっても日本の道路幅はなかなか広がらないのが現状。その点コンパクトカーは小回り性能の基準となる最小回転半径が、ほとんどのモデルで5mを下回っている。狭い路地も、混み合うスーパーの駐車場も、ラクに運転することが可能だ。

横1695mm、縦1500mm
横3940mm

 

5ナンバーサイズで立体駐車場もラク!

コンパクトを謳うクルマでも全幅1700mmを超える3ナンバーサイズが多いが、トヨタ・ヤリスは5ナンバーサイズだ。立体駐車場も難なく利用可能。

 

↑クルマの小回り性能の目安となるのが最小回転半径。一般的には5m以下ならば小回りが利くとされる。ヤリスの最小回転半径は4.8mで取り回しがしやすい(ヤリス X・2WD)

 

【2】コンパクトなボディが生むインパクト大な走り

クルマは軽い方が良いというのは、レーシングカーも市販車も同じ。コンパクトカーは車重が軽く、キビキビした走りを味わえる。そこにパワフルかつレスポンスの良いエンジンを載せれば楽しくないはずがない。クルマが持つパワーを使い切る魅力もそこにはある。

 

価格良し、走り良し、軽くて税金も燃費も良しの優等生

走りの良さで多くの人を魅了するスズキ・スイフトスポーツ。軽量ボディ+ターボエンジンが刺激的なドライビングを実現する。

 

↑スイフトスポーツに搭載されるエンジンは1.4L直噴ターボで140PS/230Nmを誇る。実にリッターあたり100PSの大出力エンジンだ

 

↑スイフトスポーツの走りを支える超高張力鋼板と高張力鋼板を組み合わせたボディ。強靭なボディながら990kgという軽さを実現した

 

【3】燃料にかかるコストもコンパクト

排気量の小さなエンジンは燃費が良い。特にコンパクトカーは車重も軽くでき、同じ排気量の大きなクルマよりも燃費に分がある。ガソリン代ばかりでなく、自動車税などの税制面でも有利だ。また軽自動車よりも車両価格が安いモデルもあり、コストパフォーマンスが高い。

【コンパクトサイズSUV】トヨタ ライズ(ガソリン・2WD) WLTCモード燃費18.6km/L

 

【ミドルサイズSUV】トヨタ RAV4(ガソリン・2WD) WLTCモード燃費15.8km/L

 

【4】コンパクトカーにこそ搭載が進む安全装備

かつては高級車の高価なオプションだった先進安全装備が、コンパクトカーにも続々と標準搭載されている。コンパクトカーを選ぶ運転初心者や、運転に対して不安を感じる人、ミニバンなどからコンパクトカーに乗り換えるシニア層にこそ求められる装備だからだ。

 

マツダのエントリーモデルは安全装備が上級車並みに充実

最適なドライビングポジションやサスペンションにもこだわるマツダ2の安全性能。最新の安全装置も充実している

 

<コンパクトカー「マツダ2」でもこんなに充実!>

マツダ2にはハイ・ビーム・コントロール以外、多くが全モデルに標準装備される。その充実ぶりは高級セダンのマツダ6にも匹敵するものだ。

 

■アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート

ブレーキを自動制御し衝突回避を支援。対車両だけでなく対歩行者もカメラで検知している。

 

■AT誤発進抑制制御

前後進時にアクセルが一定以上踏み込まれると警告。エンジン出力を制御し加速を抑制する。

 

■リア・クロス・トラフィック・アラート

駐車場や路地などでバックする際、自車に接近する車両をドライバーに音などで警告する。

 

■SRSエアバッグシステム

側面から衝突された場合にも乗員を守るサイドエアバッグ、カーテンエアバッグを標準装備。

 

■車線逸脱警報システム

車線をウィンカーなしに踏み越えようとすると、音とステアリングの振動でドライバーに警告。

 

■ブラインド・スポット・モニタリング

自車に隣接する車線後方約50mを検知。接近車がいる状況でウィンカー操作を行うと警告する。

 

■ハイ・ビーム・コントロール・システム

対向車や先行車、ライトなどを検知して自動でハイビームとロービームを切り替えるシステム。

 

【5】これがコンパクトカー? と、驚く快適装備

ひと昔前のこのクラスの装備は上級モデルに明らかに見劣りし、エアコンひとつ見てもオートエアコンが付いていれば良いほうだった。それがいまや美肌効果も期待できるエアコンやUVカットガラスなど快適装備も充実。ひとクラス上の豪華装備を誇るクルマも多くなった。

 

使い勝手の良い室内空間に快適装備をトッピング

“皆に心地良い室内空間”を目指したホンダ・フィット。室内の広さが好評の同車をさらに快適にする装備が充実している

 

↑フィットでは、いまや必需品のUSBポートをセンタコンソールに用意。急速充電対応タイプの設定もある

 

↑スイッチでパーキングブレーキを操作できる電子制御パーキングブレーキ。フィット全モデルに標準装備

 

↑開口部の大きなフィットの荷室は豊富な後席のシートアレンジと相まって使い勝手◎。床面もほぼフラットに

 

↑イオンを放出して車内の空気を浄化するプラズマクラスター搭載エアコン。フィットではグレード別に設定

 

安全なクルマは好みで選べる!「カテゴリ別」安全+αの最適モデル指南

衝突被害軽減ブレーキをはじめとして安全性能についてはお墨付きのモデルのなかから、より便利に、楽しく使えるモデルをプロがチョイス。スタイルや走り、使いやすさなど自分の好みに合ったモデルを選んで、ワンランク上の快適ドライブを満喫しよう!

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が選びました

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

【タイプ1】SUV

多くの新モデルが登場し、安全運転支援技術も最新のモノが搭載されることが多いSUV。走破性能や使いやすさで優れたモデルもあるが、総合性能で選ぶならトヨタ・RAV4だ。

 

【独創性で選ぶなら】クーペ的なシルエットとインテリアの心地良さが秀逸

マツダ

MX-30

242万円〜305万2500円

SUVでありながらクーペ的シルエットとフリースタイルドアが印象的なモデル。インテリアにはコルクやペットボトルなどサステナブルな素材を用いて心地良さを演出する。

 

↑同社のRX-8以来となる観音開きを採用したフリースタイルドア。ピラーがないぶん後席の乗降もしやすい

 

[岡本’sジャッジ]

 

【先進機能で選ぶなら】e-POWERとプロパイロットの先進性を1台で味わえる

日産

キックス e-POWER

275万9900円〜286万9900円

日産独自のハイブリッド方式であるe-POWERと、安心・快適なドライブを実現するプロパイロットという、2つの先進機能が1台で楽しめる。EV走行時の静粛性も特筆モノだ。

 

↑アクセルペダルひとつで加減速が行えるe-POWER Drive。アクセルとブレーキの踏み替え回数も減ってラク

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】3列シートを備えたモデルは人も荷物も余裕で乗せられる

メルセデス・ベンツ

GLB

512万円〜696万円

コンパクトなサイズながら、身長168cmまでの人が座れる3列目シートが便利なモデル。3列目シート使用時でも130L、シート格納時では500Lの荷室を活用して積載できる。

 

↑大人数で乗車するときに便利な3列目シート。身長168cmの人までに限られるが、あるとやはり便利だ

 

[岡本’sジャッジ]

 

【走破性能で選ぶなら】ジープ最強モデルが誇る世界最高の悪路走破性能

ジープ

ラングラー

499万円〜621万円

高い最低地上高、大径タイヤなどの見た目から想起するとおりのオフロード性能を誇るモデル。なかでも悪路走破性能を強化したアンリミテッド ルビコンは世界最強と言われる。

 

↑マニュアルで切り替えるパートタイム4×4を搭載。自動で前後輪に駆動力を分配するフルタイム4×4も採用する

 

[岡本’sジャッジ]

 

【デザインで選ぶなら】デザインは軽快ながら操縦安定性の良さが光る

 

フォルクスワーゲン

T-Cross

303万9000円〜339万9000円

若々しいデザインとカラーバリエーションが魅力のコンパクトSUV。一見軽快なモデルだが、ドイツ車ならではの高い操縦安定性もポイント。2WDのみなのが少々残念ではある。

 

↑リアシートは140mmスライドが可能。後席の広さを自在に変え、同時にカーゴスペースの拡大にも役立つ

 

[岡本’sジャッジ]

 

【総合性能で選ぶなら】悪路も難なくこなすオールラウンダーSUV

トヨタ

RAV4

274万3000円〜402万9000円

前後左右のタイヤへのトルク配分を変更する独自のダイナミックトルクベクタリングAWDを採用し、悪路走破性が高い。もちろんオンロードでの快適さもトップクラスを誇る。

 

↑路面の状況に応じて最適なトルク配分を行うダイナミックトルクベクタリングAWD。高い走破性を実現する

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ2】コンパクトカー

コンパクトカーでトップを争うトヨタ・ヤリスとホンダ・フィットがモデルチェンジし、走りや使い勝手が一層向上。走りを楽しみたいならスズキ・スイフトスポーツも選択肢のひとつだ。

 

【使いやすさで選ぶなら】広々とした室内空間は使い勝手も良好!

ホンダ

フィット

155万7600円〜253万6600円

広々とした室内空間と快適な乗り味でコンパクトカーらしからぬ心地良さを提供してくれる。後席の座面をはね上げて背の高いモノを積載できるなど、使い勝手も抜群に良い。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【走りの良さで選ぶなら】強力ターボと軽量ボディが刺激的な走りを実現

スズキ

スイフトスポーツ

187万4000円〜214万1700円

1.4Lの強力直噴ターボエンジンと970kgの軽量ボディで刺激的な走りが楽しめ、コスパも抜群に良いモデル。クルマを操るのが好きな人にはうれしい6速MTも選べるのは◎。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【燃費の良さで選ぶなら】操縦安定性に優れた驚異的低燃費モデル

トヨタ

ヤリス

139万5000円〜249万3000円

新形プラットフォームの採用で高い操縦安定性を実現。36.0km/Lというハイブリッド車の驚異的な燃費に目が行きがちだが、ガソリン車でも最高21.6km/Lと優秀な数値だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ3】ミニバン

使い勝手の良い日産・セレナや、走りの良さを楽しめるホンダ・ステップワゴンに注目。独創的な三菱・デリカD:5のクロカン走破性能は他のミニバンにはない優位点だ。

 

【走りの良さで選ぶなら】低床設計が生み出すしっかりとした走りが魅力

ホンダ

ステップワゴン

271万4800円〜409万4200円

ホンダ独自のセンタータンクレイアウトが可能にした低床設計が、低重心のしっかりとしたフットワークを生む。ハイブリッド車の強力な加速と低燃費も大きな魅力だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】シートアレンジが多彩で広い室内を自在に使える

日産

セレナ

257万6200円〜419万2100円

広い室内と、乗り方や使い方によって自由にアレンジできる3列シートが特徴。通常の約半分のスペースがあれば開閉できるハーフバックドアを設定するなど、芸が細かいのも◎。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【独創性で選ぶなら】個性的なフロントマスクと走破性能は唯一無二の存在

三菱

デリカD:5

391万3800円〜447万2600円

SUVとの融合を図った独創的なミニバン。話題となったコワモテのフロントマスクも印象的だ。走行シーンに応じてドライブモードを選択できるなど、ミニバン唯一無二の存在。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ4】軽自動車

販売台数No.1を誇るホンダ・N-BOXの牙城は揺るがないが、遊び心満点のスズキ・ハスラーとダイハツ・タフトが華々しくデビュー。安全で楽しく使える軽が充実した。

 

【快適性で選ぶなら】独特な愛らしさに快適な乗り心地がプラス

スズキ

ハスラー

128万400円〜179万800円

愛らしい独特のデザインはもちろんだが、軽自動車らしからぬ快適な乗り心地にも驚かされる。丸目のヘッドライトと大きな3連フレームを備えたインパネデザインは個性的だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【楽しさで選ぶなら】乗員スペースと荷室を分け多彩な使い方が可能

ダイハツ

タフト

135万3000円〜173万2500円

フロントシートをクルースペースとし、リアシートと荷室を荷物の積載スペースと位置付けることで、快適な室内空間を実現。開放的な天井のスカイフィールトップが魅力的だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】驚異の室内高が生む自由自在の室内空間

ホンダ

N-BOX

141万1300円〜212万9600円

センタータンクレイアウトによる低床設計で、子どもなら立ったままでも余裕で着替えられる室内高に驚き。両側スライドドアとスライドシートで、小さな子どもも乗せやすい。

 

[岡本’sジャッジ]

安全なクルマ“四天王”の先進技術を徹底診断!

高級車から軽自動車まで多くのクルマに導入が進んでいる予防安全技術。そのなかでも交通事故ゼロを目指して、予防安全にいち早く着目して独自の技術開発を進めてきた「安全なクルマ」四天王の先進技術のスゴさを診断する。

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私たちが解説します

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美

工学博士。エンジニアから自動車専門誌の編集部員に転身し、現在はフリーランスのジャーナリスト。テクノロジーとエコロジーを専門とする。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

 

【No.1】SUBARU/アイサイト

追突事故発生率はわずか0.06%! 高速道路で活躍する新機能も便利(川端)

SUBARU

レヴォーグ

310万2000円〜409万2000円

高速道路でのステアリング操舵支援や渋滞時ハンズオフ運転機能、自動車線変更などを実現する「アイサイトX」をオプションで設定。大型11.6インチのセンターディスプレイや12.3インチのフル液晶メーターなどが採用されている。

 

1999年から安全ひと筋 事故ゼロを目指し続ける

アイサイトは1999年からスバルがコツコツ開発してきた技術の蓄積から生まれた機能だ。実際の事故データでも驚く数字が出ており、アイサイトVer.3搭載車の追突事故発生率は、なんと0.06%(※)。一般的な事故発生率と比べると、ひとケタ小さい値だ。

 

新型レヴォーグに搭載された新世代のアイサイトはさらに進化。事故防止のためだけでなく、渋滞時のハンズオフ運転や料金所手前での自動減速など、高速道路で日常的に使える機能が充実した。レーダーにより交差点での飛び出しにも自動ブレーキがかかるなど、その性能はさらに向上している。

※:2014〜2018年の間に国内で販売したアイサイトVer.3搭載車の人身事故件数について調査した結果。公益財団法人 交通事故総合分析センターのデータを基にSUBARUが独自算出した

 

↑ステレオカメラの視野を広げ、コーナーレーダーを搭載。デジタルマップと複合させて、目では見えにくい物体まで検知する

 

↑アイサイトXでは、デジタルマップのデータとGPS情報を活用。高速道路のカーブ手前で、自動で減速する

 

↑前側方プリクラッシュセーフティでは、死角から近づく車両を検知。警告に加えて、自動ブレーキまで支援する

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

 

【No.2】トヨタ/トヨタ セーフティセンス

高級車からコンパクトカーまで幅広く充実させるのはさすが(川端)

トヨタ

ヤリス クロス

179万8000円〜281万5000円

レーダークルーズコントロールをはじめとする高度な駐車支援システムや、もしものときにドライバーやクルマを助けるヘルプネットなど充実した装備を誇る。ハイブリッドモデルで最高30.8km/Lの燃費性能も優秀だ。

 

安全装備を幅広く展開して多くの人の安心につなげる

さすがトヨタ! と思うのは、クラウンのような高級車はもちろん、ヤリスのようなコンパクトカーまで安全装備を充実させている点。なぜなら、この種のエントリーカーの需要は、初心者や高齢者など運転技術に不安を抱くドライバーにこそ高いからだ。ヤリスなどで採用される駐車支援機能は、初心者にうれしい機能だろう。

 

交差点右折時に直進してくるクルマを検知するだけでなく、その先の横断歩道を渡る歩行者も検知してブレーキ操作支援を行うのは、優れたセンシング技術の賜物。これをコンパクトカーにも導入するのは、さすがトヨタ! である。

 

↑注目すべきは街灯のない夜の道でも自動ブレーキが作動する点。視野の悪い状況でのドライバー支援の機能も充実している

 

↑交差点を横断する歩行者を検知して、自動ブレーキをかける機能も搭載。優れたセンシング技術で実現した

 

↑駐車スペースへの誘導を行う機能を搭載。メモリ登録した区画線のない駐車スペースへも誘導してくれる

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.3】ボルボ/インテリセーフ

独自の視点で予防安全を研究し先進技術を実現させる先駆者(岡本)

ボルボ

XC60

639万円〜949万円

車両や歩行者、サイクリスト、大型動物との衝突を回避、または衝突被害を軽減するための警告およびブレーキ作動を行うシティ・セーフティを搭載。全ラインナップが電動化を実現し、48Vマイルドハイブリッドとプラグ・イン・ハイブリッドモデルが揃う。

 

衝突軽減ブレーキの先駆者でいち早く歩行者などにも対応

日本では自動停止する機能が認められていなかったところ、その突破口を開いたのは日本のメーカーではなくボルボだ。完全停止可能なブレーキを日本で初めて導入したのが2009年のこと。以降、先進技術を次々に取り入れるとともに、いち早く歩行者やサイクリスト、大型動物なども検知できるようにした。最新の技術は被害軽減ブレーキの作動を自車線内に入ってきた対向車や右折時の対向車にも対応させたほか、ステアリングを制御して障害物との衝突回避や対向車線へのはみ出しからの復帰なども実現。より多くのシーンに対応できるように進化している。

 

↑様々な対象物を検知可能。交差点での右折時には対向車の動きを監視し、万一の際には被害軽減ブレーキを作動させる機能も

 

↑後方から追突の危険を検知した場合、ブレーキ力を高めて二次被害を予防する。シートベルトの巻き取りも行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.4】メルセデス・ベンツ/レーダーセーフティ

事故を検証することで生まれる予防安全技術は最先端をいく(岡本)

メルセデス・ベンツ

Eクラス

769万円〜1144万円

前方約250m、側方約40m、後方約80mを検知するレーダーと、約90mの3D視を含む約500m前方をカバーするステレオカメラを搭載。衝突時の衝撃音の鼓膜への影響を低減する「PRE-SAFEサウンド」技術も採用する。

 

SクラスからAクラスまで同等の機構を惜しみなく搭載

メルセデス車が関わった事故現場に急行してあらゆる形態の事故を検証してきた知見を活かし、安全性の向上に取り組んできたメルセデス・ベンツ。その答えのひとつがレーダーセーフティだ。自然現象の影響を受けにくいミリ波レーダーなどによって、周囲のクルマや状況を認識してドライバーをサポートする安全運転支援システム。これをすべてのモデルで搭載しているのも同社ならではだ。

 

最近では他社に先駆けてARナビも採用。カメラで捉えた前方風景をナビ画面に重ねることで運転に余裕を生む技術は、やはりメルセデスの知見が成せる先進性である。

 

↑移動したい方向へウィンカーを点滅させるだけで自動で車線変更が可能。高速道路などでの運転をラクにする

 

↑衝突時のダメージを最小限に抑える「PRE-SAFE」。わずか数秒の間に乗員の命を守りやすい状態に調整する

 

↑天候や周囲の明るさに影響を受けることなく高度な検知が可能なミリ波レーダー。多目的カメラと複数のセンサーを組み合わせて安全運転支援を行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

安全なクルマ“四天王”の先進技術を徹底診断!

高級車から軽自動車まで多くのクルマに導入が進んでいる予防安全技術。そのなかでも交通事故ゼロを目指して、予防安全にいち早く着目して独自の技術開発を進めてきた「安全なクルマ」四天王の先進技術のスゴさを診断する。

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私たちが解説します

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美

工学博士。エンジニアから自動車専門誌の編集部員に転身し、現在はフリーランスのジャーナリスト。テクノロジーとエコロジーを専門とする。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

 

【No.1】SUBARU/アイサイト

追突事故発生率はわずか0.06%! 高速道路で活躍する新機能も便利(川端)

SUBARU

レヴォーグ

310万2000円〜409万2000円

高速道路でのステアリング操舵支援や渋滞時ハンズオフ運転機能、自動車線変更などを実現する「アイサイトX」をオプションで設定。大型11.6インチのセンターディスプレイや12.3インチのフル液晶メーターなどが採用されている。

 

1999年から安全ひと筋 事故ゼロを目指し続ける

アイサイトは1999年からスバルがコツコツ開発してきた技術の蓄積から生まれた機能だ。実際の事故データでも驚く数字が出ており、アイサイトVer.3搭載車の追突事故発生率は、なんと0.06%(※)。一般的な事故発生率と比べると、ひとケタ小さい値だ。

 

新型レヴォーグに搭載された新世代のアイサイトはさらに進化。事故防止のためだけでなく、渋滞時のハンズオフ運転や料金所手前での自動減速など、高速道路で日常的に使える機能が充実した。レーダーにより交差点での飛び出しにも自動ブレーキがかかるなど、その性能はさらに向上している。

※:2014〜2018年の間に国内で販売したアイサイトVer.3搭載車の人身事故件数について調査した結果。公益財団法人 交通事故総合分析センターのデータを基にSUBARUが独自算出した

 

↑ステレオカメラの視野を広げ、コーナーレーダーを搭載。デジタルマップと複合させて、目では見えにくい物体まで検知する

 

↑アイサイトXでは、デジタルマップのデータとGPS情報を活用。高速道路のカーブ手前で、自動で減速する

 

↑前側方プリクラッシュセーフティでは、死角から近づく車両を検知。警告に加えて、自動ブレーキまで支援する

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

 

【No.2】トヨタ/トヨタ セーフティセンス

高級車からコンパクトカーまで幅広く充実させるのはさすが(川端)

トヨタ

ヤリス クロス

179万8000円〜281万5000円

レーダークルーズコントロールをはじめとする高度な駐車支援システムや、もしものときにドライバーやクルマを助けるヘルプネットなど充実した装備を誇る。ハイブリッドモデルで最高30.8km/Lの燃費性能も優秀だ。

 

安全装備を幅広く展開して多くの人の安心につなげる

さすがトヨタ! と思うのは、クラウンのような高級車はもちろん、ヤリスのようなコンパクトカーまで安全装備を充実させている点。なぜなら、この種のエントリーカーの需要は、初心者や高齢者など運転技術に不安を抱くドライバーにこそ高いからだ。ヤリスなどで採用される駐車支援機能は、初心者にうれしい機能だろう。

 

交差点右折時に直進してくるクルマを検知するだけでなく、その先の横断歩道を渡る歩行者も検知してブレーキ操作支援を行うのは、優れたセンシング技術の賜物。これをコンパクトカーにも導入するのは、さすがトヨタ! である。

 

↑注目すべきは街灯のない夜の道でも自動ブレーキが作動する点。視野の悪い状況でのドライバー支援の機能も充実している

 

↑交差点を横断する歩行者を検知して、自動ブレーキをかける機能も搭載。優れたセンシング技術で実現した

 

↑駐車スペースへの誘導を行う機能を搭載。メモリ登録した区画線のない駐車スペースへも誘導してくれる

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.3】ボルボ/インテリセーフ

独自の視点で予防安全を研究し先進技術を実現させる先駆者(岡本)

ボルボ

XC60

639万円〜949万円

車両や歩行者、サイクリスト、大型動物との衝突を回避、または衝突被害を軽減するための警告およびブレーキ作動を行うシティ・セーフティを搭載。全ラインナップが電動化を実現し、48Vマイルドハイブリッドとプラグ・イン・ハイブリッドモデルが揃う。

 

衝突軽減ブレーキの先駆者でいち早く歩行者などにも対応

日本では自動停止する機能が認められていなかったところ、その突破口を開いたのは日本のメーカーではなくボルボだ。完全停止可能なブレーキを日本で初めて導入したのが2009年のこと。以降、先進技術を次々に取り入れるとともに、いち早く歩行者やサイクリスト、大型動物なども検知できるようにした。最新の技術は被害軽減ブレーキの作動を自車線内に入ってきた対向車や右折時の対向車にも対応させたほか、ステアリングを制御して障害物との衝突回避や対向車線へのはみ出しからの復帰なども実現。より多くのシーンに対応できるように進化している。

 

↑様々な対象物を検知可能。交差点での右折時には対向車の動きを監視し、万一の際には被害軽減ブレーキを作動させる機能も

 

↑後方から追突の危険を検知した場合、ブレーキ力を高めて二次被害を予防する。シートベルトの巻き取りも行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.4】メルセデス・ベンツ/レーダーセーフティ

事故を検証することで生まれる予防安全技術は最先端をいく(岡本)

メルセデス・ベンツ

Eクラス

769万円〜1144万円

前方約250m、側方約40m、後方約80mを検知するレーダーと、約90mの3D視を含む約500m前方をカバーするステレオカメラを搭載。衝突時の衝撃音の鼓膜への影響を低減する「PRE-SAFEサウンド」技術も採用する。

 

SクラスからAクラスまで同等の機構を惜しみなく搭載

メルセデス車が関わった事故現場に急行してあらゆる形態の事故を検証してきた知見を活かし、安全性の向上に取り組んできたメルセデス・ベンツ。その答えのひとつがレーダーセーフティだ。自然現象の影響を受けにくいミリ波レーダーなどによって、周囲のクルマや状況を認識してドライバーをサポートする安全運転支援システム。これをすべてのモデルで搭載しているのも同社ならではだ。

 

最近では他社に先駆けてARナビも採用。カメラで捉えた前方風景をナビ画面に重ねることで運転に余裕を生む技術は、やはりメルセデスの知見が成せる先進性である。

 

↑移動したい方向へウィンカーを点滅させるだけで自動で車線変更が可能。高速道路などでの運転をラクにする

 

↑衝突時のダメージを最小限に抑える「PRE-SAFE」。わずか数秒の間に乗員の命を守りやすい状態に調整する

 

↑天候や周囲の明るさに影響を受けることなく高度な検知が可能なミリ波レーダー。多目的カメラと複数のセンサーを組み合わせて安全運転支援を行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

アクアも意外に高評価! 自動車評論家が選ぶ国産コンパクトカー10傑

前回の記事では、ノート、ヤリス、フィットをガチ採点したが、国産コンパクトカーの注目モデルはそれだけにとどまらない。本記事では、自動車評論家の清水草一さんに登場いただき、最新モデルから登場から10年近く経つモデル末期のものまで、現行車種の中から、コンパクトカー十傑をピックアップした。

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

モータージャーナリスト

清水草一さん

編集者を経て自動車ライターに。大乗フェラーリ教開祖を名乗りつつ、道路交通ジャーナリストとしても活動。

 

【関連記事】

ノート、ヤリス、フィットーー「国内3強コンパクトカー」を厳しく採点! 一番よかったのは?

 

 

【ハッチバック編】

サイズに制限のあるコンパクトカーでも後席を倒して多くの荷物を積め、高い実用性を誇る。サイズ感もつかみやすく運転しやすい。

 

【その01】トヨタの定番小型ハッチバックは欧州で人気アリ!

トヨタ

カローラ スポーツ

216万9000円〜284万1000円

ワイド&ローのスポーティなシルエットのボディに用意されたパワーユニットは、ハイブリッドと1.2Lターボの2種。1.2LターボにはiMTと呼ばれるMTも設定。同社のコネクティッドカーとしての顔も持つ。

 

【ココがスゴイ!】バランスは抜群! 基本性能の高さに納得

カローラというと、日本ではツーリングが人気だが、欧州では断然コレ。ガソリン車にMTが用意されているのも欧州風味でイイ!(清水)

 

【その02】ホンダのEVは原点回帰のシンプルデザイン

ホンダ

Honda e

451万円〜495万円

ホンダの新型EVはタウンユースを強く意識し、1充電あたりの走行距離は最長283km。それまでのEVと違い走行距離を伸ばすよりも、短時間の充電で走れる距離を重視。その結果、わずか30分の充電で200kmを走行可能だ。

 

【ココがスゴイ!】後輪駆動ゆえの小回り性能に驚愕

航続距離は短めだが、それはシティコミューターに徹しているから。軽より小回りが利いて感動! デザインはシンプルの極致で美味だ。(清水)

 

【その03】スズキらしい個性が光る隠れた傑作!

スズキ

イグニス

 142万3400円〜203万600円

クロスオーバーSUV風のコンパクトカー。軽自動車並みの3.7mの全長は街なかで扱いやすいサイズだ。今年の仕様変更ではデュアルカメラブレーキサポートや助手席のシートヒーター、オートライトが全車標準装備となった。

 

【ココがスゴイ!】室内の広さよりも走りとデザインを優先

やんちゃな顔つきに大地を踏ん張る台形のフォルムは、いかにも走りそう。インテリアはイタリアの小型車みたいでセンス抜群だぜ!(清水)

 

【その04】クラス唯一のクリーンディーゼル搭載で我が道を行く

マツダ

マツダ 2

 145万9150円〜266万7500円

デミオから改称された同車は、パワーユニットは直噴ガソリンエンジンとディーゼルエンジンをラインナップ。特にディーゼルモデルはクラス唯一の搭載車種で、その静粛性能には定評がある。落ち着いたデザインも好評だ。

 

【ココがスゴイ!】唯一無二を掲げるマツダの真骨頂

ディーゼルエンジンを積んだコンパクトカーは、世界的に貴重になりつつある。豊かなトルクとしっかりした足周りは長距離向きだ。(清水)

 

【その05】痛快! そして便利! 国民車にもなれる万能型ホットハッチ

スズキ

スイフト スポーツ

 187万4400円〜214万1700円

エスクード用のエンジンに専用チューンを施した140PSを誇る1.4L直噴ターボを搭載。MT比率が比較的高いのも特徴のモデル。後席も使える実用性と軽快な走りは多くのユーザーが認めるところ。200万円以下からという価格設定も魅力だ。

 

【ココがスゴイ!】走りが楽しい! それでいて弱点なし

1.4L直噴ターボエンジンの加速は痛快そのもの。6速MTはもちろん、6速トルコンATでも十分楽しめる。広さや燃費にも不満ナシさ。(清水)

 

【その06】モデル末期でも魅力が褪せないハイブリッドカー

トヨタ

アクア

181万8300円〜219万8900円

2011年デビューのハイブリッド専用車。車両価格も手の届きやすいハイブリッドカーとしてロングセラーに。パワートレインは2代目プリウスをベースにし燃費面でも高評価。低重心で、シャープなハンドリングも意外な魅力だ。

 

【ココがスゴイ!】登場から10年でも売れ続けるモンスター

ものすごくフツーのクルマに見えて、実は重心が低く、曲がるのが得意。ハイブリッドバッテリーの重量配分の妙だ。いまだに魅力アリ!(清水)

 

【SUV編】

SUVは魅力的だけれども、大きなボディはちょっと……と考えるユーザーにはピッタリのコンパクトカー。その視界の良さは特筆モノだ。

 

【その07】無敵の小型オフローダーは世界中で大ヒット

スズキ

ジムニー シエラ

 179万3000円〜205万7000円

クロカンモデルらしい武骨なスタイリングやラダーフレームなど多くの“本格”装備を持つクルマ。ミッションは信頼性の高い5MTと4ATを設定する。欧州にも輸出されるモデルなので、高速走行も構えることなく巡行可能。

 

【ココがスゴイ!】無骨なデザインが走破性能とマッチ

“ミニGクラス”ともいえる武骨なデザインが、シンプルで実にカッコイイ。悪路の走破性能は世界の一級品。無敵の小ささも強力な武器だ。(清水)

 

【その08】ゴツい顔した優しいヤツ、地味だけど憎めないね

ダイハツ

ロッキー

 170万5000円〜236万7200円

ダイハツのクルマづくりの新コンセプト、DNGAに基づいたSUV。エンジンは1Lの直3ターボで98PS。組み合わされるミッションはCVTのみで、すべてのモデルに4WDが設定されている。トヨタ・ライズとは兄弟車。

 

【ココがスゴイ!】走りも居住性も満足のコンパクト

目立ったところはゼロだが、走りも乗り心地も居住性も適度に満足。SUVだと構えずに、フツーの小型車として買って間違いなし。(清水)

 

【その09】ヤリスに足りない部分をすべて満足させました

トヨタ

ヤリス クロス

 179万8000円〜281万5000円

ヤリスとメカニカルコンポーネンツを共有するSUV。コンパクトな分類に入るが全幅で1700mmを超えるので3ナンバーサイズだ。パワーユニットは1.5Lガソリンエンジンとハイブリッドの2本立てで先進安全装備も充実。

 

【ココがスゴイ!】コンパクトだけれど押し出し感は十分さ

大ヒット中のヤリスの弱点は、後席の狭さ。でもヤリス クロスならまったく問題ナシ。見た目もカッコイイし、4WDも選べるぜ。(清水)

 

【その10】オシャレな都会派ながらキラリと光るスバルイズム

スバル

SUBARU XV

220万円〜292万6000円

現行モデルは2017年登場。2020年9月に大幅な改良が加えられた。基本メカニズムはスバルの伝統、水平対向エンジンにシンメトリカルAWDを組み合わせたもの。スバルの先進安全装備アイサイトを全モデルに標準装備。

 

【ココがスゴイ!】オシャレSUVだが走りは本物

XVに乗っていると、オシャレでアクティブな遊び上手に見えるから不思議だよね。もちろんスバル車だけに、走りは地味に本物さ。(清水)

 

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ノート、ヤリス、フィットーー「国内3強コンパクトカー」を厳しく採点! 一番よかったのは?

ヴィッツの名を改称したトヨタ・ヤリス、ホンダ・フィット、日産・ノートが揃ってフルモデルチェンジ。販売台数でトップを競う国内3強コンパクトカーがもたらす衝撃度を、プロが厳しい目でジャッジ。採点項目は、デザイン/走り/インテリアの上質さ/コスパ/安全性能の5項目で各20点満点で評価した。

 

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

軽自動車から高級輸入車まで、ユーザー視点をモットーに広く深く網羅。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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【その1】日産ならではの先進技術を満載した未来感あふれる新顔

日産

ノート e-POWER

202万9500円〜218万6800円

モーターは先代ノートに比べ、トルクを10%、出力を6%向上。よりパワフルで気持ちの良い発進加速と、中高速からの追い越しでの力強い加速感を実現する。エンジンの作動頻度低減や、車体の遮音性能向上により静粛性もアップ。

SPEC【X】●全長×全幅×全高:4045×1695×1520mm●車両重量:1220kg●パワーユニット:電気モーター+1198cc直列3気筒DOHC●最高出力:116[82]PS/2900〜10341rpm●最大トルク:28.6[10.5]kg-m/0〜2900rpm●WLTCモード燃費:28.4km/L ※[ ]内は発電用エンジンの数値

 

動力源はe-POWERのみ! プロパイロット搭載も魅力

8年ぶりにモデルチェンジしたばかりのノートは、ガラリと雰囲気が変わった。フラットながら豊かな面の抑揚を持つ斬新な外観とともに、ハイテク感満載のインテリアもかつてない雰囲気。個性的な柄のシートの質感も高い。

 

動力源は、日産お得意のエンジンで発電した電気により100%モーターで走るe-POWERのみという割り切りよう。既存の簡易版ではなく、前後に2基の強力なモーターを搭載して4輪を駆動する本格電動4WDが選べるのも新しい。

 

高速道路での自動制御を行う「プロパイロット」をコンパクトカーとして初搭載。しかもカーナビと連携して急なカーブの手前であらかじめ減速する等の、日産初の機能を備える点にも注目だ!

 

日産独自のVモーションが精悍な顔つきを作り出す

↑薄型のヘッドライトから繋がる日産独自のVモーションフロントグリルが印象的。新しくなったロゴマークを市販車として初採用する

 

直線的なラインが印象的な上質感あふれるインテリア

↑1本の直線がインパネの一体感を生む。ナビゲーションとメーターは1枚の板で繋がったようなつくりで、視線の移動を少なくしている

 

360度に渡り周囲を見回す全方位運転支援システム

↑カメラとレーダーによってクルマの周囲を見回して安全運転を支援する、全方位運転支援システムを搭載。プロパイロットも備える

 

岡本’s ジャッジ
ついにこのクラスにもプロパイロットを搭載! 先進的なインテリアの質感は上々だが、斬新なスタイリングは好みが分かれるかも。e-POWERのみとなり価格が上がったのは否めず。
【衝撃度21】
・デザイン 4
・走り(予想) 4
・インテリアの上質さ 4.5
・安全性能 5
・コスパ 3.5
※各項目5点満点、計25点満点で採点(以下同)

 

【その2】改名とTNGA化で心機一転!キャラの立つデザインも光る

トヨタ

ヤリス

139万5000円〜249万3000円

コンパクトカー向け新プラットフォーム「TNGA」を採用し、軽量かつ高剛性、低重心なボディを実現。軽快なハンドリングを実現するとともに、ハイブリッド車では最高36.0㎞/Lの燃費を誇る。

SPEC【HYBRID X・2WD】●全長×全幅×全高:3940×1695×1500mm●車両重量:1050kg●パワーユニット:1490cc直列3気筒+モーター●最高出力:91[80]PS/5500rpm●最大トルク:12.2[14.4]kg-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:36.0km/L  ※[ ]内はモーターの数値

 

どの動力でも驚異の低燃費! ハイブリッドは瞬発力抜群

他の2モデルよりもコンパクトで、内外装とも個性的なデザインが光る。車内は前席重視のつくりで、ファミリー層には不向き。その意味では他の2モデルと市場で競合するものの、ガチンコのライバルではなさそう。ワンタッチで好みのポジションに戻せる運転席シートはアイデア賞モノだ。

 

高いボディ剛性は走りの良さにも寄与している。3種類から選べるパワーソースの燃費はいずれも上々で、ハイブリッドは意外なほど瞬発力にも優れる。3モデルで唯一MTの設定があるのも特徴だ。

 

ボタンを押すだけで駐車操作をアシストする

↑駐車の際ステアリング・アクセル・ブレーキ操作を自動で制御。ドライバーの負担を大きく軽減してくれる

 

ムダをそぎ落として高い操縦安定性を実現

↑コンパクトカーとして初めてTNGAを採用。低重心化することで操縦安定性が高まり、運転もしやすい

 

岡本’s ジャッジ
燃費は驚異的。思い切った内外装デザインや、トヨタのハイブリッドの先入観を打破する瞬発力ある走りにも驚いた。半面、インテリアや走り味がややチープなところが気になる。
【衝撃度18】
・デザイン 4.5
・走り 3
・インテリアの上質さ 3
・安全性能 3.5
・コスパ 4

 

【その3】「心地良さ」をテーマに開発された万能モデル

ホンダ

フィット

155万7600円〜253万6600円

視界の広さや、座りやすさ、運転しやすさといったユーザビリティを追求。特に低床設計が生む使い心地の良さは特筆モノで、多彩なシートアレンジが可能。長いモノから背の高いモノまで余裕で積載できる。異なる5つのタイプから選べるのも◎。

SPEC【e:HEV BASIC・2WD】●全長×全幅×全高:3995×1695×1515mm●車両重量:1180kg●パワーユニット:1496cc直列3気筒+モーター●最高出力:98[109]PS/5600〜6400rpm●最大トルク:13.0[25.8]kg-m/4500〜5000rpm●WLTCモード燃費:29.4km/L ※[ ]内はモーターの数値

 

低いフロアが生む広い室内が優れた使い心地を実現する

独自のセンタータンクレイアウトによる低いフロアを実現。コンパクトながら、広々とした室内空間をより有効に使えるのが特徴だ。後席の居住性には特に優れ、シートを跳ね上げて背の高い荷物を積むこともできる。

 

e:HEVのエンジンは高速クルーズ時など以外はほぼ発電機として機能し、モーターが駆動力を担う仕組み。リニアで効率にも優れている。柴犬をイメージしたという親しみやすい外観が想起させる通り、触れるほどにジワジワと心地良さを実感させるモデルだ。

 

モーター+エンジンでパワフルな走行が可能

↑発電用と走行用2つのモーターとエンジンを搭載。加速時や高速クルーズ時などパワフルな走行が可能だ

 

使い勝手の良い荷室は十分な高さを確保する

↑前席下部に燃料タンクを置くことで実現した低床設計。荷室の高さも十分で、背の高いモノも積載できる

 

岡本’s ジャッジ
プラットフォームは他モデルの流用ながら、完成度の高い快適な走り味を楽しめる。極細ピラーにより視界が極めて良好で、車内は外見から想像するよりも広々としているのも強み。
【衝撃度21.5】
・デザイン 4
・走り 4.5
・インテリアの上質さ 4
・安全性能 4.5
・コスパ 4.5

 

トヨタとLIXILが共同開発した「モバイルトイレ」。全ての人の「行動力」を変えるその凄すぎる内部。

かねてから車いす用のキッチンを販売するなど、バリアフリーに力を入れているLIXILと、車いすごと乗れるジャパンタクシーを販売しているトヨタは移動型バリアフリートイレの「モバイルトイレ」を共同開発した。

 

2019年に『首都圏バリアフリーなグルメガイド』という出版物を制作した際、ヒアリングした車いすユーザーは「飲食店は、自分が使えるトイレがあるかどうかで決める」と言っていた。どのトイレでも使える健常者だと普段意識はしないが、数の少ない多目的トイレしか使えない方たちは、自宅を出る前にトイレの場所を確認するそうだ。しかしそのトイレも着替えや雑談、一時話題になったような不貞行為に使われてなかなか空かなかったり、あまりに汚くて使えなかったりする。

 

トイレがあることは外出する際の必須条件だろう。最近は野外イベントなどの仮設トイレにもバリアフリー型のトイレが設置されるようになってきた。広く、手すりやオストメイト(人工肛門・人工膀胱)対応の洗浄器がついているトイレは、車いすだけではなく、歩けるけれども足腰の弱い方、内部障害がある方、子ども連れ、男女に別れたトイレに入りづらいトランスジェンダーの方など、ニーズはたくさんある。

 

モバイルトイレは、様々な人の外出の可能性を広げるプロダクトだ。本記事ではその内部を紹介していこう。

↑移動型バリアフリートイレ「モバイルトイレ」外観

 

けん引して目的の場所まで移動し、設置する

見た目も華やかだが、すごいのは設備だ。オストメイト対応流しはもちろん、大人が寝ることのできるユニバーサルベッドまで設置してある。ベビーベッドはあってもユニバーサルベッドを設置しているトイレは大型のビルでもほとんどない。

↑前室の広さはL1650×W1980mm、ユニバーサルシート(大型ベッド) を開いた時のサイズW1500×D696×H480mm

 

例えば六本木ヒルズでも、車いすで入れるトイレは12箇所、オストメイト対応は3箇所、ユニバーサルベッドは1箇所だ。備えている設備を見ると、開発にあたり、丁寧に当事者にヒアリングしたことが伺える。

↑トイレの広さはL2000×W1980mm。搭載衛生機器は大便器1、手洗い2、オススメイト対応流し1

 

個室の扉は左右どちらからでも開けることができ、約2m×2mと個室内で車いすの方向転換ができる広さ。便器の左右に手すり、片方は上に上げることができる。便器、洗面台などは車いすを進入させることができるよう下部に空間を作ってある。体温調整が難しい人のために冷暖房完備だ。非常用ボタンも低い位置に設置してある。

↑いろいろな装備が低い位置に設置されている

 

バリアフリー、多目的トイレと謳われているトイレでも、設置されている機器や広さはまちまちだ。『首都圏バリアフリーなグルメガイド』のヒアリングで「自分が入れるトイレかどうかは実際に見ないとわからない」という意見があった。ひとくちに「障害」と言っても身体の機能は人それぞれ。マヒなどがあり両側に手すりがあると便器に座れない人、オストメイトの人は対応洗浄器が必要だし、ユニバーサルベッドが必要な人もいる。無条件ですべてのトイレに入れるわけではないのだ。

 

しかしこのモバイルトイレの認知度が高まれば、「このトイレなら大丈夫」という安心感が生まれるはずだ。誰もが、好きなときに、好きな場所に行ける社会になって欲しいと思う。

 

現在は貸し出し、販売などの方法は未定。

 

■車両

全長×全幅×最高地上高:約L5300×W2500×H2900mm/トイレの広さ:L2000×W1980mm/前室の広さ:L1650×W1980mm/総重量:2.3t/乗り口地上高:250mm/スロープ長さ(角度): 4700mm(3°)/電力:バッテリー、ソーラーパネル(非常用)

■トイレ機能

給排水容量:各200L/連続使用回数:約30回/使用中表示:室内の人感センサーと連動し、 使用中(赤)、空室(青)と表示

 

 

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販売台数が好調なトヨタ「ハリアー」を探る

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、発売後1か月で目標販売台数の10倍以上もの受注を獲得した、トヨタのラグジュアリーSUVについて論じる!

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】トヨタ/ハリアー

SPEC【ガソリン・G・2WD】●全長×全幅×全高:4740×1855×1660mm ●車両重量:1570kg ●パワーユニット:2.0L直列4気筒エンジン ●最高出力:171PS(126kW)/6600rpm ●最大トルク:207Nm/4800rpm ●WLTCモード燃費:15.4km/L

299万円〜504万円

 

内装の質感は段違いに高いし、装備も満点

永福「安ドよ。ハリアーが売れているそうだな」

 

安ド「7月は乗用車販売台数第4位だったみたいです!」

 

永福「1位ヤリス、2位ライズ、3位カローラ、そして4位がハリアー。6位にはアルファードもいる。ハリアーとアルファードは、現代のハイソカーだな」

 

安ド「殿の言われるハイソカーとは、かつてのマーク2に代表される、バブル期に大流行した国産高級車のことですね!」

 

永福「うむ。当時ハイソカーは若者の憧れで、女子にも大人気だったから、みんな無理して買ったものだ。いまハリアーを買っているのは、さすがに若者中心とは言えまいが」

 

安ド「トヨタは、『幅広い年齢層からご注文をいただいている』と言ってます!」

 

永福「つまり、高額なクルマにもかかわらず、比較的若い層も購入しているということだろう」

 

安ド「このクルマ、カッコいいし、モテそうですもんね」

 

永福「つまりハリアーは、現代のスペシャルティカーでもある」

 

安ド「現代のソアラですね!」

 

永福「当時のソアラのようにはいかんだろうが、少なくとも女子に喜ばれることは間違いない」

 

安ド「イマドキの女子は、どんなクルマを喜ぶのでしょう」

 

永福「それはもう、ひたすらカイテキであることだ。加えて車高が高く、見下ろし感があること。これは災害に強そうな安心感にも結び付く」

 

安ド「僕の愛車のパジェロがまさにそれですね!」

 

永福「たぶんな。オーナーの腹が出ていなければ」

 

安ド「すいません、出てます」

 

永福「とにかく、カイテキであることが第一だ」

 

安ド「確かにすごく快適ですし、室内もビックリするほど高級感がありました」

 

永福「私も驚いた。これは先代ハリアーとは大違いだ」

 

安ド「先代もゴージャスで人気ありましたよね?」

 

永福「人気はあったが、合成皮革の質感をはじめとして、かなりニセモノぽかった。走りも、特にガソリン車は全体にヌルく、シロート騙しのクルマだった」

 

安ド「キビシイですね!」

 

永福「私は6年前、この連載ではっきりそう言っているから、確認してみなさい」

 

安ド「でも、新型は違うんですね!」

 

永福「うむ。新型はまるで違う。内装の質感は段違いに高いし、装備も満点。そして、ガソリン車でも十分走りに満足できる。乗り心地はしなやかで高級だ。ただ、今日の撮影車には、惜しい点がひとつだけある」

 

安ド「何でしょう?」

 

永福「超カイテキなシートベンチレーションが付いていないグレードなのだ。あれほど女子にウケる装備はないからな」

 

安ド「惜しいですね!」

 

【GOD PARTS 1】リアシート

リクライニング可能でゆったり座れる

快適さが魅力のクルマらしく、リアシートは広く、座り心地も良好です。さらに、若干の角度ながら後方にリクライニングさせることができます。また、前方に背もたれを倒せばラゲッジルームを拡大して使うことも可能です。

 

【GOD PARTS 2】ドライブモードスイッチ

ドライバーの意思に合わせて最適な走りを選べる

高級、ラグジュアリーなどと謳いつつ、ドライブモードを選ぶためのスイッチもこっそり付けられています。燃費優先の走りから、鋭い加速感を味わえるスポーティな走りまで、ドライバーの意思に合わせて走行モードを選ぶことが可能です。

 

【GOD PARTS 3】パワーユニット

ダイレクト感があって好フィーリング

新型ハリアーにラインナップされるのは、2.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドと、2.0Lエンジン。特に今回乗らせてもらった2.0Lエンジンはかなりフィーリングが良く、CVTとの相性も抜群でした。

 

【GOD PARTS 4】フロントフェイス

シャープな造形がエレガントさを主張

一体化したライトとグリルが先代型よりシャープになって、よりクールな印象になりました。L字型のデイランプも個性的です。力強いイメージのSUVが多いなかで、ハリアーは知的でエレガントな雰囲気を主張しています。

 

【GOD PARTS 5】エンジンスイッチ

重要なスイッチだから強調されている?

エンジンをスタート/ストップさせるスイッチは、インパネ中央の右下あたりに配置されていますが、この部分だけ上からぶら下がる特異な形で独立しています。それだけこのスイッチはほかのスイッチより重要ということなのかもしれません。

 

【GOD PARTS 6】フロントシート

寒さも暑さもなんのその 快適仕様シートを設定

中央部に色や模様が施され、形状も高級感のある雰囲気にまとめられています。また、グレードにもよりますが、シートヒーター&ベンチレーション(送風)機能が設定されているので、寒い日も暑い日も快適にドライブを楽しめます。

 

【GOD PARTS 7】ドア内張り

上質な空間を演出する内装の素材と加飾

ハリアーを高級SUVたらしめているのが、この内装の質感の高さです。肌触りの良い素材にパイピングオーナメントが飾られ、ドイツ製の高級SUVにも匹敵するほどの上質感を演出しています。内装色はブラウン、グレー、ブラックから選べます。

 

【GOD PARTS 8】デジタルインナーミラー

カメラ画像を表示して記録だってできちゃう

ドライブレコーダー(前後方録画)機能付きのミラーは、デジタルインナーミラーということで、車両後方のカメラが捉えた映像を映し出すことができます。どちらの機能も、きっとこれから主流になっていくのでしょう。

 

【GOD PARTS 9】USBソケット

モバイル機器を車内で使うための必需品

今回の試乗車には前席用に2つ、後席用に2つ、合計4つもUSBソケットがついていました。時代に即した装備です。また、ラゲッジルーム内には、1500W以下の電気製品が使えるコンセントを装着することも可能だそうです。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアスタイル

クーペのような美しいボディラインは見事な出来映え

ボディサイドの抑揚ある美しいラインが、Bピラー(前席と後席のウインドウ間の柱部分)からCピラー(後席とリアのウインドウ間の柱部分)にかけて流れるように絞り込まれてくるラインと、リアで見事に結実しています。シャークフィンアンテナやリアスポイラー、薄型のリアライトも流線型を強調していて、とにかくスタイリッシュです。

100万円台のVW車は本当にお得か? 「クルマ&カー用品」4製品をプロが○×チェック

価格が安い、安すぎてちょっと心配になってしまうくらいの格安アイテムを、プロ・専門家が徹底的にチェック! 独自機能やおすすめポイントなど、良いところも悪いところも含めて惜しみなくレビューをお伝えしていきます。

 

クルマというとどうしてもハードルの高い買い物と思いがちですが、今ではデザインと実用性にこだわった国産ミニバンと、上質なスタイリングと走りを両立する輸入ハッチバックはいずれもU-200万円と、意外とお手ごろな価格で手に入ります。話題のドラレコや電アシも含めて、専門家がシビアに〇✕判定しました。

 

【○×判定した人】

クルマ編集・ライター 安藤修也さん

元ゲットナビ編集部員。スーパーカーから軽自動車まで、幅広いジャンルのクルマに日々触れています。

軽より少し高いだけの価格ではるかに凌ぐ満足度を得る

近年の新車ランキング上位で多くを占めるのは軽自動車ですが、人気の理由はもちろんコスパの高さ。車両価格が安いだけでなく、燃料代や税金、保険料などの維持費も普通車に比べてリーズナブルです。

 

とはいえ、高速道路を走行するときなどは、軽自動車ののんびりとした加速感に不満を感じる人も多い。また、ボディ剛性にはどうしても不安が残る。これらを解消するためにターボエンジン搭載グレードを選んだり、安全装備をオプションで付けたりすると価格が大きく跳ね上がり、結局200万円を超えてしまうこともままあります。

 

ここで紹介するトヨタ シエンタとフォルクスワーゲン up!は、いずれも普通車ながらエントリーグレードなら100万円台で購入できる。前者は、ミニバンらしからぬスポーティなデザインと3列シート7人乗り、後者はVWらしい質感の高いスタイリングと走りが特徴です。最近の軽自動車は、全体に性能が高められているのも事実。とはいえ、それらに少し上乗せした価格で、はるかに凌ぐ満足度を手に入れられるクルマとしてオススメしたい。

 

【その1 トヨタ シエンタの場合】

スポーティなコンパクトボディに余裕のある3列シートを搭載

トヨタ

シエンタ

168万9709円〜

「ユニバーサルでクールなトヨタ最小ミニバン」をコンセプトとし、従来の“ハコ型”イメージを覆すスポーティな外観が特徴。小型ながら3列目までゆとりある室内空間や、高齢者や子どもにやさしい乗降性も備えています。SPEC【X“Vパッケージ”・FF】●全長×全幅×全高:4235×1695×1675㎜●車両重量:1310㎏●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHCエンジン●最高出力:109PS(80kW)/6000rpm●乗車定員:7人●JC08モード燃費:20.6㎞/ℓ

 

↑後方に絞ったキャビンと、コーナーが張り出したアンダーボディが特徴のリアデザイン。安定感のあるスタンスです

 

【Check!】

デザイン:〇

有機的でシトロエンのよう!

「まるでシトロエンのような有機的なデザインは、ミニバンのイメージとは一線を画します。カラーリングもアバンギャルド!」

 

走り:×

走りは凡庸だが燃費性能は高い

「走りは凡庸で高速走行には向きません。ただ、街乗りがメインなら問題なく、ハイブリッドでもガソリンでも燃費性能は◎」

 

快適性:〇

3列目シートは床下収納式

「このコンパクトボディに3列シートを収めたのは素晴らしい。3列目は床下収納式で、使わないときは室内をかなり広く使えます」

 

総評

「デザインに面白みの欠けるミニバンのなかではユニークな存在。最もリーズナブルな価格で買える7人乗りカーとして高く評価したいです」

【その2 フォルクスワーゲン up!の場合】

VWのエントリーモデルながら質感の高いスタイリングが魅力

ハッチバック

フォルクスワーゲン up!

159万9000円〜

スタイリッシュなデザインが人気の小型ハッチバック。軽自動車よりひと回り大きいほどのサイズで、大人4人が無理なく乗れる室内スペースを確保します。ユーロNCAPで最高評価5つ星の安全性能も魅力。SPEC【move up! 2ドア】●全長×全幅×全高:3610×1650×1495㎜●車両重量:930㎏●パワーユニット:999㏄直列3気筒DOHCエンジン●最高出力:75PS(50kW)/6200rpm●乗車定員:4人●JC08モード燃費:22.0㎞/ℓ

 

【Check!】

内外装の質感:〇

上質かつポップなスタイリングが魅力

「エントリーモデルといえども、内外装は輸入車らしく質感高い仕上がり。ドライバーを選ばないポップなスタイリングも魅力的です」

 

走り:〇

路面に吸いつくように走る!

「同クラスの国産車と比べて、シャーシ性能がかなり高いです。運転操作にリニアに反応するだけでなく、路面に吸いつくように走ります」

 

パワーユニット:×

パワーは物足りなさを感じる

「1ℓ3気筒エンジンに5速ASG(セミAT)の組み合わせ。先代からギクシャク感は改良されましたが、パワーに物足りなさを感じることも」

 

総評

「200万円以下で買える輸入車が少ないなか、本車はかなり割安感あり。トランスミッションも改善され、普通に乗れる良いクルマとなりました」

 

 

【その3 オウルテックのドライブレコーダーの場合】

証拠映像に使うのは厳しいが基本性能は必要十分

オウルテック

OWL-DR05-BK

実売価格6790円

W71×H69×D31㎜の小型サイズながら、視認性が高い2.4インチTFT液晶モニターを搭載。画質はHD/30fpsですが、LED信号対策や、地デジ放送受信時に影響を及ぼさないノイズ低減など、基本性能を押さえています。

 

【Check!】

操作性:〇

物理ボタンの操作が快適

「タッチ操作には非対応ですが、画面下部にまとめられた物理ボタンによる操作は快適。ボタンピッチも適度で誤操作が少なくなります」

 

画質:×

細かい文字は視認しづらい

「HD画質のため解像感は低く、ナンバープレートなどは読み取れないことも。サイズのわりに画面が大きくて見やすいのは好印象でした」

 

機能性:○

車上荒らしなども録画できる

「モーションセンサーが動くものを検知すると、自動で録画がスタート。いざというときの録り逃しを防げます」

 

総評

「画質の粗さやGPS非搭載など“省略点”は多いものの、ドラレコとしての機能性は及第点。『とりあえず付けたい』という人にオススメです」

 

 

【その4 電動アシスト自転車の場合】

各パーツにこだわって快適な走りを実現

21Technology

DA246

実売価格5万4800円

3段階のアシストモードを搭載し、走行環境によって使い分けて節電可能。CST製の高品質タイヤや、軽量アルミクランク、肉厚のU字型サドルなど、一つひとつのパーツにこだわった。カラバリは4色を用意します。

 

【Check!】

乗り心地:〇

シフトチェンジが滑らか

「シマノ製6段変速ギアが、滑らかなシフトチェンジを実現。街乗りなら快適な走りを楽しめます。グリップシフターもシマノ製です」

 

アシスト力:〇

バッテリーは小型でも高性能

「最新ではないものの、小型軽量のパナソニック製リチウムイオンバッテリーを採用。約3.5時間の充電で最長約60㎞走行可能です」

 

デザイン:×

ママチャリ感は否めない

「いかにもママチャリなデザイン。スーツスタイルでのライドも訴求していますが、スタイリッシュではないです」

 

総評

「子どもの送り迎えや買い物時などに乗る、実用車としての用途なら十分な性能。一般的な電アシの半額程度と考えればかなりお買い得に思えます」

 

 

清水草一がトヨタ「ヴェルファイア」を徹底解剖!「マイホームのような安らぎを覚える一台」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。今回はトヨタの“フラッグシップミニバンブラザーズ”の弟分、ヴェルファイアに試乗しました。「なぜか心が安らぐ」というこの車の真価とは?

 

【登場人物】

永福ランこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今月のクルマ】トヨタ ヴェルファイア

SPEC【ハイブリッド・エグゼクティブ ラウンジZ】●全長×全幅×全高:4930×1850×1950㎜●車両重量:2220㎏●パワーユニット:2493㏄直列4気筒DOHCエンジン+2モーター●エンジン最高出力:152PS(112kW)/5700rpm●エンジン最大トルク:21.0㎏-m(206Nm)/4400〜4800rpm●カタログ燃費:18.4㎞/ℓ●335万4480円〜750万8160円

 

マイホームにいるような安らぎを覚える

安ド「殿! 今回はマイナーチェンジしたヴェルファイアです!」

清水「アルファードではないのか?」

安ド「弟分のヴェルファイアです!」

清水「アルファードのほうが好きなのだが」

安ド「な、なぜですか!?」

清水「それは、あの銀歯を剥き出したような顔が好きだからだ」

安ド「ええ〜〜〜〜っ! エレガントなフェラーリを愛する殿が、あんなイカツい顔が好きなんですかぁ!?」

清水「フェラーリはクルマ界の究極形だが、アルファードの顔もまた究極。何ごとも究極は尊い。一方、ヴェルファイアの顔は従来の延長線上にあり、斬新さはない」

安ド「すいません、取材車がヴェルファイアしか空いてなかったもので……」

清水「なら仕方ないな」

安ド「今回はヴェルファイアのなかでも、一番ゴージャスなグレードの“ハイブリッド・エグゼクティブ ラウンジZ”ですので、ご勘弁ください!」

清水「うむ。実にゴージャスな装備だった」

安ド「運転席での乗り心地が良くてビックリしましたが、2列目はさらに快適だったのでは?」

清水「いや、あまり快適ではなかった」

安ド「ええ〜〜〜っ!?」

清水「このクルマは重心が高すぎる。だから少しの段差を乗り越えるときでも、大きく揺れる。クルマは重心が高すぎると乗り心地が悪くなるのだ」

安ド「ま、そう言われれば」

清水「バカデカいスライドドアのせいで、ボディ剛性も低い。これも乗り心地に悪影響を及ぼす」

安ド「僕はメチャメチャ乗り心地が良いと思ったんですが……」

清水「平坦な道を走っているときは、フワフワ快適なのだが」

安ド「考えて見れば、このクルマ、フェラーリ好きの殿の好みに合うはずないですよね!」

清水「いや、2列目はともかく、運転するのはわりと楽しかった」

安ド「ええ〜〜〜っ! 2列目でふんぞり返るよりですか?」

清水「うむ。このクルマを運転していると、なぜか心が安らぐのだ」

安ド「デカすぎて、杉並区の狭い道では、あまり心が安らぎませんでしたが……」

清水「いや、ボディが四角いため見切りが良く、狭い道でも大きな問題はなかった。宅配便のトラックのような感覚だ」

安ド「見切りが良いから安らぐんですか?」

清水「言うなれば、このクルマはヤドカリなのだ。ヴェルファイアに乗っていると、家ごと移動しているような感覚があるだろう?」

安ド「確かに、部屋が動いているようです」

清水「どこか、マイホームにいるような安らぎを覚える。人気があるのもうなずけるな」

安ド「こんなゴージャスなマイホームが欲しいです……」

 

【注目パーツ01】ラゲッジ床下収納

床板をはがすと隠し収納が出現

 3列目シートの下には大容量(148ℓ)の床下収納が隠されています。これだけ広いと漬物でも貯蔵したくなりますね。スライドレールの下にあるので、収納を開けない時は3列目シートを後ろのほうまで下げることもできます。

 

【注目パーツ02】シルバー木目加飾

 新感覚のメタリックなウッドデザイン 

インテリアのパネルには3Dプリント技術によって立体の陰影を組み合わせたシルバーの木目加飾が施されています。樹木のような細かな紋様がありながら、光が当たると金属的な輝きをみせる見応えのあるデザインです。

 

【注目パーツ03】リアサスペンション

ラグジュアリーな乗り味を演出

 

高級セダンなどに採用される「ダブルウィッシュボーン」という形式のリアサスペンションが搭載されています。コストはかかりますが、優れた乗り心地と操縦安定性を実現します。新時代の高級ミニバンとして象徴的な装備ですね。

 

【注目パーツ04】LEDルーフカラーイルミネーション

 車内をムーディな雰囲気に

天井にはライン状のイルミネーションが搭載されており、夜の車内空間にムードのある雰囲気を生み出してくれます。カラーは16色から選ぶことができますが、あまり派手な色にしておくと周囲から怪しい人だと思われそうです。

 

【注目パーツ05】ヘッドランプ&グリル

 押し出し感をアピール

 

豪華さや重厚感を特徴としてきた歴代ヴェルファイアですが、最新型ではさらなるインパクトを生み出すべく、二段ヘッドライトの下にビローンと伸びた盾のようなパネルを採用しました。何かがぶつかってもはね返しそうです。

 

【注目パーツ06】アシストグリップ

 バリアフリー対応もバッチリ

2列目シートの乗降時に便利な“取っ手”が備えつけられています。先代よりグリップが大型化したそうで、子どもから高齢者までうれしい装備です。ちなみに乗降口のステップも低くなっていて、やはり乗り降りしやすくなっています。

 

【注目パーツ07】トヨタ・セーフティ・センス

ステアリング操作もアシストしてくれる

 

カメラやミリ波レーダーを用いた衝突回避支援システムで、自転車の運転者や夜間の歩行者回避にも対応します。車線逸脱を避けるためのステアリング操作アシスト機能も追加されており、超常現象のように自動でぐいぐいハンドルが動きます。

 

【注目パーツ08】ウェルカムパワースライドドア

 近づくだけで開く自動ドア

 

事前に設定しておけば、スマートキーを持ったまま車両に近づくだけで、スライドドアが自動開錠して開くという、まるで手品のような新機能が搭載されています。開くスピードはゆっくりですがリッチな気分が味わえます。

 

【注目パーツ09】サイド&リアウインドウ

 ボディサイズを感じさせないデザイン手法

 運転席&助手席後方のピラー(窓間の柱)より後方のピラーがすべてブラックアウトされているので、フロントウインドウ以外のすべてのウインドウがつながっているかのよう。重厚なボディをスマートに見せるアイデアです。

 

【これぞ感動の細部だ】エグゼクティブパワーシート

広く柔らかく乗り心地も最上級

 

上級グレードにのみ設定される、ラグジュアリー仕様のエグゼクティブなシートです。シート幅は通常のものより広く、クッション性も高いので座り心地は抜群です。そのうえ、電動式のオットマンや温熱機能、ベンチレーション機能、格納式テーブルまで備えています。車高の高さからくる揺れは気になりますが、くつろいで乗っていられます。

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

【2018年春版】激戦区「国産コンパクトSUV」で最も評価が高い一台は? 4大モデルを評論家がシビアに判定

SUVは世界のクルマ市場で大きなトレンドとなっていますが、日本での主流は使い勝手の良いコンパクトSUVです。トヨタ C-HRから王座奪回を狙うホンダ ヴェゼルは改良され、三菱はエクリプス クロスでスズキはクロスビーで参入。覇権を握るのはどれでしょうか? プロがシビアな目でチェックしました。

※採点はすべてガソリンエンジンの4WDモデルで行いました。グレードは、エクリプス クロスがG、ヴェゼルがG Honda SENSING、クロスビーがHYBRID MZ、C-HRがG-T

 

【解説する人】

モータージャーナリスト 岡本幸一郎さん

動画メディア出身の自動車評論家。今年2人目の子どもが誕生し、家族のためのクルマ選びを検討中です。

 

小型SUVのトレンドは個性的な“攻め”のデザイン

かつては大柄なモデルが主流だったSUVですが、ここ数年はダウンサイジング化が顕著。デザインも多様化しており、個性的なモデルが目立つようになりました。オーソドックスなスタイルのヴェゼルに代わって、スポーティなC-HRが2017年のSUV販売台数1位となったのは、その象徴です。

 

三菱自動車が満を持して送り出したエクリプス クロスは、シャープかつダイナミックな佇まい。スズキのクロスビーは、同社の軽自動車ハスラーを踏襲したポップな仕様。好き嫌いが分かれそうな“攻め”のデザインですが、いずれも高い人気を博しています。

 

【その1】三菱4年ぶりとなる新型車は大胆なデザインが特徴

三菱自動車

エクリプス クロス

253万2600円~309万5280円

同社では4年ぶりとなる新型車で、発売前から約5000台もの受注を集めた注目モデル。斬新なリアデザインが特徴です。●全長×全幅×全高/車両重量:4405×1805×1685㎜/1550㎏(4WD・G)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:1498㏄】【カタログ燃費:14.0㎞/ℓ(4WD)】

 

クーペのようなルーフ形状や大胆なサイドラインが特徴。上下2分割されたリアウインドウも印象的です。

 

運転席横にはタッチパッドコントローラーを搭載。運転姿勢のままでオーディオシステムなどの操作が可能です。

 

エンジンは1.5ℓ直列4気筒直噴ターボ。独自の四輪制御技術を採用し、安定感のある走りを実現します。

 

本車は世界約80か国で展開されるグローバルモデル。そのため、インパネデザインはコンサバ仕様です。

 

乗員まわりのスペースには十分な余裕を確保しています。リアシートはスライド&リクライニングが可能。

 

【JUDGEMENT】

独自技術で充実の走りと高い安全性能を実現する

衝突被害ブレーキシステム[FCM]など「Mitsubishi e-Assist」が高い安全性能を実現。デザインは好みが分かれそう。

 

【その2】走りと安全性を高めて王者への返り咲きを狙う

ホンダ

ヴェゼル

207万5000円~247万5000円

2013年登場のベストセラー車がマイナーチェンジ。安全運転支援システム「ホンダセンシング」が全車標準搭載となりました。●全長×全幅×全高/車両重量:4330×1770×1605㎜/1180㎏(4WD・G)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:1496㏄、1496㏄+モーター】【カタログ燃費:19.6㎞/ℓ(4WD・G)】

 

力強いSUVスタイルを磨いたデザイン。インラインLEDライトを採用するなど先進性も高められています。

 

ミニバンのヒットメーカーらしく使い勝手の良さが光る荷室空間。小型ボディながら容量を確保しています。

 

ハイブリッドシステムが改良され、加速フィーリングがスムーズに。ガソリンエンジン車も燃費が向上しました。

 

Apple CarPlayやAndroid Autoに対応。運転中のオーディオ再生や通話操作を容易にします。

 

形状が改良されたフロントシートはホールド性や快適性を向上。ステッチが変更され、質感も高められました。

 

【JUDGEMENT】

走りの課題を改善しつつリーズナブルな価格をキープ

足回りを改善し、乗り心地の硬さを解消。デザインには少し野暮ったさもありますが、200万円台で買えるのはおトクです。

 

 

【その3】大人の遊び心をくすぐるポップなデザイン

スズキ

クロスビー

176万5800円~214万5960円

同社の人気軽自動車ハスラーのデザインを生かしつつボディサイズを拡大。エンジンは1ℓターボのみで、4WDも用意します。●全長×全幅×全高/車両重量:3760×1670×1705㎜/960㎏(HYBRID MZ)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:996㏄】【カタログ燃費:20.6㎞/ℓ(4WD)】

 

ハスラー同様の丸いヘッドライトと横長グリルが特徴。ぶ厚いフェンダーモールがSUVらしさを強調します。

 

荷室の表面には撥水素材を採用し、濡れたものでも気にせず積み込めます。リアシートは5:5の分割可倒式。

 

1ℓ直3ターボエンジンは6速ATとの組み合わせ。最低地上高の高さも相まって、悪路走破性はまずまずです。

 

コンパクトですが全高を高くして乗員の居住性を確保。シートにはボディカラーとマッチしたパイピングが施されます。

 

 

ポップなデザインのインパネ。自動ブレーキや誤発進抑制機能など安全装備は十分。

 

【JUDGEMENT】

縦方向に広がりを感じる室内スペースは独自の魅力

荷室の奥行きが短く、装備の充実度で劣ります。ウインドウが立っていることで広さを感じさせる独特の居住空間が面白いですね。

 

 

【その4】プリウスと共通の車体構造で高い運動性能を実現

トヨタ

C-HR

251万6400円~292万9200円

現行型プリウスと共通の車体構造を採用し、ハイブリッドとターボエンジンを選べる。2017年の販売台数はSUVで1位に輝きました。●全長×全幅×全高/車両重量:4360×1795×1565㎜/1470㎏(G-T)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:1196㏄、1797㏄+モーター】【カタログ燃費:15.4㎞/ℓ(4WD・G-T)】

 

絞り込まれたスタイリングはダイヤモンドがモチーフ。ツートンカラー仕様(メイン写真)は昨夏に追加。

 

プリウスでも採用する同社の新型プラットフォーム(車体骨組)「TNGA」を採用。運動性能を高める効果があります。

 

1.8ℓエンジン+モーターのハイブリッド(写真)と、1.2ℓターボエンジンを用意します。

 

オーソドックスながらスポーティな雰囲気。衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を備えます。

 

上級モデルでは、ファブリックと本革を組み合わせた上質なシートを採用。室内空間はさほど広くはありません。

 

【JUDGEMENT】

視界や居住性を犠牲にしてスポーティなデザインを実現

ハンドリング性能の高さが好印象。後方の視界や後席の乗降性は、デザインのために割り切って犠牲にしています。

 

【中年名車図鑑】若者向け上級ハッチバックとして登場した“2BOXカローラ”

FRの駆動方式にこだわっていたトヨタ自動車工業は、80年代に入ると大衆車を次々とFFに変更していく。1983年5月には屋台骨を支えるカローラが、シリーズ史上で初めてFF方式を採用。その約1年5カ月後には、FFの特性を活かした2BOXのカローラが市場デビューを果たした――。今回はニューヨーク国際自動車ショー2018で新型のカローラハッチバックが発表されたのを記念して、“2BOX上級生”を謳って登場した初代「カローラFX」の話題で一席。

【Vol.62 初代トヨタ・カローラFX】

今でこそあらゆる面で臨機応変なクルマ造りを実践するトヨタ自動車だが、80年代初頭まではメカに関してかなり頑固な主張を持ったメーカーだった。その代表例がフロントエンジン・リアドライブ(FR)に対するこだわりだ。優れた走りを実現するためには操舵輪と駆動輪を同一にするべきではない、変速フィールが自然で自動変速機の組み込みも容易、メンテナンスがしやすい――そんなFRのメリットを最大限に重視していたのである。一方、FRには大きなデメリットがあった。フロントエンジン・フロントドライブ(FF)のレイアウトに比べて縦方向に長いエンジンルームを要し、さらにトランスミッションユニットと駆動シャフトがキャビン内に大きく侵入したのである。限られたボディ寸法のなかでキャビン空間をできるだけ広くするには、FFのほうが有利だった。

 

ライバルメーカーがパッケージ効率に優れるFF方式を続々と採用するなか、ついにトヨタも大衆車のカテゴリーにこの方式を導入する方針を打ち出す。まず1978年8月には同社初のFFモデルとなるAL10型系ターセル/コルサを発売。ただし、エンジンの搭載方式はメンテナンスや自動変速機の採用などを鑑みて縦置きとした。80年代に入ると、横置きエンジンのFF車の開発を急ピッチで進めるようになる。そして1983年5月、同社の屋台骨を支えるカローラ、さらに兄弟車のスプリンターがFFに一新された。ちなみにFF方式を採用したのはセダン系や5ドアハッチバック系などの実用モデルで、スポーツ系のカローラ・レビン/スプリンター・トレノはFR方式を継続した。

 

■ターセル/コルサの上を目指した2BOXカローラ

1984年10月に登場した「カローラFX」。Fは未来のフューチャー、Xは未知数の意。ボディサイズは全長3970×全幅1635×全高1385mm/ホイールベース2430mm

 

FF方式に移行して広い室内空間を確保した第5世代のカローラ。しかし開発陣は、これだけでは満足しなかった。せっかく横置きFF方式を新規に開発したのだから、その特性を存分に活かしたモデルも設定したい――。そこで注目したのが、BD型マツダ・ファミリア(1980年6月デビュー)やホンダ“ワンダー”シビック(1983年9月デビュー)などによって当時シェアを高めていた “2BOX車”カテゴリーだった。販売戦略上でも、スターレットやターセル/コルサの上をいく若者向けの上級ハッチバック車が望まれていた。

 

FFカローラのデビューから約1年5カ月後の1984年10月、3/5ドアハッチバックボディの2BOXカローラが市場デビューを果たす。車名は「カローラFX」。Fは未来のフューチャー、Xは未知数を意味していた。ボディサイズは全長3970×全幅1635×全高1385mm/ホイールベース2430mmに設定。プラットフォームはセダンなどと基本的に共通で、リアボディを切り詰めたディメンションとする。搭載エンジンは1.5Lと1.6Lを用意。4輪ストラットの足回りは、ボディのコンパクト化に合わせて専用セッティングを施した。

 

数あるグレードのなかでユーザーが最も注目したのは、3ドアハッチバックに設定された「GT」(AE82)だった。外観はエアロパーツ類で武装。内装も本革巻きステアリングや7ウェイバケットシートなどでスポーティに仕立てる。さらにエンジンは、AE86型カローラ・レビン/スプリター・トレノに採用する4A-GEUユニットを横置きFF用に設計し直した4A-GELU型1587cc直列4気筒DOHC16Vユニット(130ps/15.2kg・m)を搭載していた。

 

■日本での販売は苦戦したものの欧州市場では大好評

3ドアハッチバックに設定された「GT」。本革巻きステアリングや7ウェイバケットシートなどでスポーティな雰囲気を演出

 

FF車らしい2BOXスタイルで、しかもスポーツ仕様のホットハッチもラインアップする――万全の車種展開で勝負したカローラFXだったが、販売成績はデビュー当初を除いて今一歩だった。ライバルが多かった、カローラの名前が若者から敬遠された、スタイリングがやや地味だった、スポーツ仕様のGTのスペックがシビックSiに劣っていた……要因は色々と挙げられた。

 

テコ入れ策として、トヨタはGTのモータースポーツへの参戦や特別仕様車の設定などを実施してユーザーにアピールする。なかでも1986年開催の全日本ツーリングカー選手権Hi-land TOURING CAR 300km CHAMPIONSHIP RACE(仙台ハイランドスポーツウェイ)では、関谷正徳/鈴木利男選手組のミノルタα7000トムスFXが雨中の激戦を制して総合優勝を飾り、走り好きから喝采を浴びた。しかしそれでも販売自体は伸びず、結局同社の2BOXユーザーはスターレットやターセル/コルサ/カローラⅡ兄弟に流れたままだった。

 

一方、2BOXのカローラを大歓迎して受け入れた市場もあった。ハッチバック車の人気が高い欧州マーケットだ。トヨタとしても2BOXカローラは欧州がメイン市場になると予想し、その志向を捉えてクルマを開発していた。

 

結果的にカローラFXは、セダンなどの実用モデルの全面改良に合わせて1987年5月に2代目に移行する。日本での人気はいまひとつだったが、欧州では好評――上級ハッチバック車におけるこの市場動向は、その後のカローラの企画に大きく影響していく。そしてセダンやワゴンは日本メイン、ハッチバックは欧州メインという体制が整えられていったのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

日本仕様とは別モノな新型カローラハッチバックがNYデビュー

トヨタは3月30日に開幕するニューヨーク・ショーにおいて、新型「カローラハッチバック」(米国車名・米国仕様、日欧名オーリス)を初披露すると発表した。米国では「カローラiM」の後継モデルとして2018年夏に「カローラハッチバック」として発売する。また日本では2018年初夏から、トヨタカローラ店を通じて販売がスタートする予定だ。

カローラは1966年の日本での発売以降、50年以上にわたり進化を続け、世界で累計4500万台以上を販売した「グローバルベストセラーカー」。現在もトヨタの世界戦略車として、セダン、ハッチバック、ワゴンの各車型あわせて、グローバルで年間120万台以上を販売している。

新型カローラハッチバックのエクステリアは、スポーティさに磨きをかけるとともに、たくましさや力強さを付与。インテリアでは、シンプルかつ上質なデザインを実現。走行性能については、トヨタが進めるクルマづくりの構造改革「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」(TNGA)のもとで開発したプラットフォームや新型パワートレイン(2.0L Dynamic Force Engine、Direct Shift-CVT、6速MT)により、走りの基本性能や環境性能を大幅に向上させている。

新型カローラハッチバックのボディサイズは、全長4370×全幅1790×全高1435mm、ホイールベースは2640mm。現行型と比べて全長およびホイールベースは40mm、全幅は30mm拡大する一方で、全高は25mm低くなり、踏ん張り感のある低重心でワイドなシルエットを実現している。インテリアはすっきりとした上質さで感性に響く空間が追求された。デザインは従来のカローラのイメージを一新さるほどスポーティなものだ。

プラットフォームはTNGAのGA-C。上質な走りや乗り心地、静粛性、安全性能などの基本性能が大きく向上させている。そのほか、第2世代版へと進化した予防安全パッケージの「トヨタセーフティセンス」や、8インチタッチスクリーンを組み合わせるマルチメディア&コネクティッド機能が採用されている。

市販型トヨタ「スープラ」最新プロトタイプの走りを動画でチェック!

ジュネーブショーで世界初公開となった「GRスープラ レーシングコンセプト」が話題をさらう中、市販型トヨタ「スープラ」の最新プロトタイプが動画でキャッチされた。

 

 

 

 

 

動画では豪雪のスカンジナビアの草原でスノードリフトを楽しみ、縦横無尽に走る姿に加え、心地よいエキゾーストノートまで確認できる。

 

 

 

パワートレインは最高出力200ps版と250ps版の2.0リッター直4ターボエンジン、そして最高出力340psの3.0リッター直6オーバーブースト付きターボエンジンと予想されており、トランスミッションには8速オートマチックが組み合わされることになりそうだ。

 

 

 

現地から最新レポートによれば、ボディサイズは全長4380mm×全幅1860mm×全高1290mm、ホイールベースは2485mmで車重は1496kg。ホイールは、フロントが225/50の17インチ、リアが255/45の17インチが装着されるという。

 

 

 

 

トヨタ・スープラがレーシングコンセプトで蘇る!

トヨタは、ジュネーブ・ショーで「GR Supra Racing Concept(GRスープラ・レーシング・コンセプト)」をワールドプレミアした。

「スープラ」の名は、「2000GT」などと並びトヨタの歴史において長らくフラッグシップスポーツとして親しまれてきたがロードカーは2002年に生産を中止している。今回初公開した「GRスープラ・レーシング・コンセプト」は、その「スープラ」を16年ぶりにレーシングカーとして蘇らせたコンセプトモデルだ。

欧州のモータースポーツ活動拠点である「トヨタモータースポーツ(Toyota Motorsport GmbH)」が開発を担当したこのモデルは、ロングノーズ&ショートデッキの伝統的スポーツカーのフォルムとなるフロントエンジン・リアドライブの2ドアクーペというボディ形態を採用。

そのコンパクトなボディには、レースの最前線で使われる軽量かつ高剛性なカーボン・コンポジット材などを採用し、左右に大きく張り出したフェンダーや大型リヤウィング、リアディフューザーなどは、優れた空力性能と走行性能とを狙って開発されている。

サスペンション、ホイール、タイヤ、ブレーキなどは、レース専用部品を装備し、インテリアも、後方確認モニターがついたダッシュボードやレーシングシートに加え、パドルシフト付きステアリングホイール、コラム、ペダル、ロールケージなど、各種レース用装備を組み込んでいる。

「ザ・スポーツ・オブ・トヨタ」として、四半世紀にわたり世界中のファンから愛され続けた「スープラ」は、モータースポーツの世界でも確かな足跡を残している。特に、1993年に発売された第4世代のスープラは、全日本GT選手権(現在のSUPER GT)のGT500クラスで4回の年間チャンピオンを獲得。また、1980年代にはアメリカのIMSA、1990年代にはル・マン24時間レースに参戦するなど、多くのファンを魅了した。

なお、「GRスープラレーシングコンセプト」は、ゲームソフト「グランツーリスモSPORT」に、2018年4月のアップデートで追加される予定となっている。

 

参考主要諸元(社内測定値)

全長/全幅/全高:4,575/2,048/1,230(mm)
駆動形式:FR
ホイールベース:2,470mm
タイヤサイズ:フロント30/68-18、リヤ 31/71-18
FIA LM-GTE規定に対応

「スープラ」年表

1978-1981年:初代(A40/A50型)「Supra」北米で発売。日本国内では「セリカXX」として販売
1981-1986年:第2世代(A60型)北米で発売。日本国内では「セリカXX」として販売
1986-1993年:第3世代(A70型)世界各国で発売
1993-2002年:第4世代(A80型)発売
2002年:生産中止

トヨタ「オーリス」後継モデルのテスト車両を動画で初キャッチ!

トヨタのCセグメントハッチバック「オーリス」の後継モデルが摂氏マイナス20度のスカンジナビアで捉えられた。

 

 

 

アイスバーンをしっかりと走る様子がビデオに納められたが、リアウィンドーを寝かせたスポーティなスタイリングが確認できるほか、夕暮れ時の撮影とあって、3眼フルLEDヘッドライトやテールライトの新グラフィックの一部を確認することもできる。

 

 

次期型では、トヨタの次世代プラットフォーム「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)採用で、軽量化と居住空間の向上が図られたとのこと。また、パワートレインは、「C-HR」と共有する1.2リッター直4ターボエンジン、1.8リッター直4+モーターのハイブリッドが予想されている。

 

 

そして気になる高性能バージョンが、「GT」モデルなのか、「GR」ブランドとなるのかは不明だが、最高出力260psを発揮するモデルが登場するという噂も出ている。

 

 

 

トヨタ新型「スープラ」の最終デザインはこれだ!

トヨタの新型「スープラ」のプロトタイプが、これまでで最もカモフラージュがそぎ落とされた状態で豪雪のスカンジナビアで目撃された。その姿から量産型デザインがほぼ見えたといっていいだろう。

新型「スープラ」の車名にはこれまで様々な憶測が流れていたが、最終的にはこれまでの「スープラ」のままとなるようだ。また、キャッチされたテスト車両からはブーメラン状の細いエアインテークに囲まれた3連LEDヘッドライトや、ボンネット中心に伸びるデイタイムランニングライトが初めて確認されるなど、コンセプトモデル「FT-1」のデザインが大きく反映されている。

新たに大口エアダクトの形状や、リアフェンダーのブレーキ冷却用エアスクープも確認できたほか、高い空力性能を発揮する「ダブルバブルルーフ」や、筋肉質なフェンダーも加えられ、グラマラスなボディとなることが予想される。

しかしながら、ここに来て「スープラベースのレーシングカーバージョン」についての噂が飛び込んできた。しかし、3月のジュネーブモーターショーではベースモデルは見当たらず、レーシングカーのみの公開となる可能性が高い。そうなるとベース車両の披露は9月のフランクフルト・モーターショーへ持ち越しとなりそうだ。

 

Courtesy of Apollo News Service

トヨタ入魂の新世代パワートレインが公開!

2月26日、トヨタ自動車はTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)によって一新した新型パワートレインを発表した。

 

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今回発表した新世代パワートレインは、グローバル販売の主力となる2リッタークラス向け。CVTには乗用車用CVTとしては世界初の機構となる発信用ギアを採用。走行性能と環境性能が大幅に向上しているという。2023年には日本、米国、欧州、中国市場を対象に、TNGAによるパワートレイン搭載車をトヨタの車両販売台数の約80%に拡大していく構えだ。

 

さっそくパートごとに特徴を見てみよう。

 

●新型2リッター直列4気筒直噴エンジン「ダイナミックフォースエンジン(2.0L)」

 

 

新型エンジンは、高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時などのさまざまなエネルギーロスを少なくして熱効率を向上させるとともに高出力を実現。その結果、新開発の2リッターガソリン車用エンジン/ハイブリッド車(HV)用エンジンは、それぞれ、世界トップレベルの熱効率40%/41%を達成。また、従来型エンジンに比べて、低回転から高回転まで全域でトルクアップを実現すると同時に、各国の排気規制にも先行して対応している。

 

●新型CVT「ダイレクトシフトCVT」

 

 

トランスミッションの基本性能である「伝達効率の向上」と「エンジン高効率領域の活用」、「高応答変速」を強化するため、「機械損失低減」と「ワイドレンジ化」、「変速追従性向上」を追求。ダイレクトでスムースな走りと現行比+6%の優れた燃費性能を実現した。

 

ベルト効率の悪いロー側使用時の伝達効率を向上させるため、乗用車用CVTに世界で初めて発進用ギアを採用。発進時はギア駆動とすることで、力強い加速を実現するとともに、アクセル操作に対して一瞬遅れるようなもたつき感を改善、スムースで気持ちの良い発進性能を実現している。ギアとベルトの切り替えには、AT 技術で培った高応答の変速制御技術を使用。

 

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また、発進用ギアの採用に合わせてベルトをハイ側に設定。より効率よくベルトを使用するとともにワイドレンジ化し、2リッタークラストップの変速比幅7.5 を実現している。

 

さらに、発進用ギアの採用によって入力負荷が軽減されたことでベルトおよびプーリー部の小型化を達成。ベルトを狭角化するとともにプーリーを小径化し、変速速度を20%向上させている。これにより、ドライバーはパワフルでリズミカルな加速を感じることができる。

 

●新型4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」&「新型E-Four」

 

 

さらなる燃費向上と、4WDでの高い操縦安定性、走破性を目指して開発された新しい4WDシステム。エンジン車に採用する新システム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」では、走行状況に応じてリアのトルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」を採用することで、ドライバーの思い通りの旋回性能と、高い悪路走破性を実現。また、前後輪の車輪軸に世界初 の「ラチェット式ドグクラッチ」を備えることで、2WD 走行時には後輪に動力を伝達させる駆動系の回転を停止させて損失を大幅に低減。燃費向上をはかる「ディスコネクト機構」を採用している。

 

ハイブリッド車に採用する「新型E-Four」においては、電気で駆動する後輪の全体トルクを従来型の1.3倍に増加させたうえで、走行状態に応じて適切に後輪にトルクを配分する新制御を採用。高い走破性と優れた操縦安定性を実現する。

 

さらに、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」、「新型E-Four」双方に、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、4WD を統合して制御する「AIM(AWDインテグレーテッド・マネージメント)」を採用し、路面を問わない高い操縦安定性を確保している。

 

●THS II(2.0Lトヨタハイブリッドシステム)

 

 

4代目(現行型)プリウスに採用された小型・軽量・低損失化技術を継承し、高い燃費性能はキープしたまま、より走行性能を向上させた2リッター エンジン用ハイブリッドシステムを新開発。加速時にはエンジンの回転数を下げると同時に電池からの電力を高め、リニアで伸びのある加速感を実現している。

 

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●新型6速マニュアルトランスミッション

 

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欧州をはじめとするグローバルなニーズに応えるために、マニュアルトランスミッションも新規開発。従来型に比べて質量を7kg低減するとともに全長を24mm短縮し、世界トップレベルのコンパクトなサイズにすることで車両の燃費性能向上に貢献。また、伝達効率も世界トップを実現しており、シフトチェンジ時に自動でエンジン回転を合わせるiMT制御を採用することで、ドライバーに不快なショックを感じさせないスムースな変速操作をサポートする。

 

今回発表された新しいパワートレインは、今春以降、搭載車種をグローバルで拡大していく。従来型のエンジン車の環境性能、走行性能の向上に寄与するのはもちろんのこと、その基礎となる技術の一部は、今後トヨタが普及に向けたチャレンジを続けていくハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)といった電動車においても、確実に性能向上に反映されていくものだという。

 

TNGAによって開発したパワートレインについては、2021 年までに、エンジンは9機種・17バリエーション、トランスミッションは4 機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入を予定していることがすでに発表されているが、今回の無段変速機(CVT)、6速マニュアルトランスミッション、2リッターエンジン、2リッターハイブリッドシステムはその中の4機種となる。

 

 

 

【中年名車図鑑】セリカから完全独立、ソアラとも性格を変える…80年代後半、トヨタ・スポーツモデルの頂点はこうして生まれた

セリカのFF化が決まった1980年代初頭、その上級版であるセリカXXの次期型はFR方式のままで、しかも次期型ソアラ(Z20型系)と基本コンポーネントを共用化することに決定。セリカの呪縛を解かれた開発陣は、思い切ったハイパフォーマンス・スペシャルティカーの創出を画策した――。今回は「TOYOTA 3000GT」の別名で1986年にデビューした初代(輸出仕様を含めると3代目)スープラで一席。

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【Vol.57 初代トヨタ・スープラ】

 

セリカの上級モデルに位置づけられたセリカXX。その第3世代を企画するにあたり、開発陣には新たな路線が示される。ベースモデルとなるセリカの次期型(4代目。1985年8月デビュー)は、パッケージ効率に優れるFF方式を採用する。一方で長大なストレート6エンジンを搭載するセリカXXをFF化すると、意図する高性能な走りを実現できない。かといって、すべての機構を新開発するのはコスト面でも期間面でも無駄が多い。よって、FR方式の次期型ソアラ(2代目。1986年1月デビュー)と可能な限りコンポーネントを共用化して開発する――。セリカから完全に独立し、かつソアラと性格の異なる上級スペシャルティに仕立てることが、次期型セリカXXの企画方針となったのだ。

 

「これを機に、やりたいことを全部やろう」と考えた和田明広主担率いる開発チームは、次期型セリカXXを「国際水準を超える走りのハイパフォーマンスカー」に昇華させる旨を画策。具体的には、意のままに走るシャシー、スポーティかつパワフルな走りを生み出すエンジン、走りのロマンを感じさせる内外装デザイン、といった内容の実現を目指す。さらに、車名ついてはセリカXXの輸出モデルに冠していた、ラテン語で“超えて”“上に”を意味する「スープラ(Supra)」を日本仕様にも使う決定を下した。

 

■「TOYOTA 3000GT」のキャッチを謳って市場デビュー

20180302_suzuki_01 (72)2代目ソアラとコンポーネントを共用しながらも、ソアラとは性格の違う上級スペシャルティを目指すことが要求された

 

トヨタの新しいハイパフォーマンス・スペシャルティカーとなるスープラは、A70の型式をつけて1986年2月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは「TOYOTA 3000GT」。名車としての誉れも高いトヨタ2000GTの、開発精神と魂を継承して現代に甦らせた新世代のGTであることを、このフレーズに込めていた。

 

シャシーについては、アルミ鍛造のアッパーアームや新開発のボールブッシュなどを組み込んだ専用セッティングの4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用する。ホイールベースは2代目ソアラよりも75mm短い2595mmに設定。ダンパーの減衰力を自動制御する電子制御サスペンションのTEMSや制動時の安定性を高める電子制御式スキッドコントロール装置の4輪ESCも採用した。搭載エンジンは7M-GTEU型2954cc直列6気筒DOHC24V空冷インタークーラー付ターボ(230ps)を筆頭に、1G-GTEU型1988cc直列6気筒DOHC24V空冷インタークーラー付ツインターボ(185ps)、1G-GEU型1988cc直列6気筒DOHC24V(140ps)、1G-EU型1988cc直列6気筒OHC(105ps)という計4機種を用意。トランスミッションには7M-GTEUエンジンに電子制御式2ウェイ・OD付4速AT(ECT-S)、1G-GTEUおよび1G-GEUエンジンに5速MTまたはECT-S、1G-EUエンジンに5速MTまたは2ウェイ・OD付4速ATを組み合わせた。

20180302_suzuki_01 (73)ディメンションは全長4620×全幅1690×全高1310mm。ソアラよりも短くて低い

 

エクステリアに関しては、ハイパフォーマンスを具現化するスタイリングで構成した。造形テーマは“ドラスティック・パフォーマンス・デザイン”。大きな平面絞りのフォルムを基本に、リトラクタブル式のヘッドライトや大きく傾斜したフロントピラー、太いセンターピラー、ラウンドしたリアおよびクォーターウィンドウなどを採用し、力感あふれ、かつ空力特性に優れるエクステリアを実現する。ボディサイズはソアラよりも短くて低い全長4620×全幅1690×全高1310mmに設定した。一方、内包するインテリアは“GTとしての充実感”をテーマにアレンジする。具体的には、大きなカーブを描く超ラップラウンド・インスツルメントパネルや走行状況が色でわかるパノラミックデジタルメーター、調整範囲を広げた新パワースポーツシートなどを導入し、高級感とスポーティ感あふれるキャビン空間を創出していた。

 

■エアロトップとワイドボディを追加設定

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5a9658f0084c2_955161792“GTとしての充実感”をテーマにしたインテリア。大きなカーブを描く超ラップラウンド・インスツルメントパネルや走行状況が色でわかるパノラミックデジタルメーターを導入し、高級感とスポーティ感あふれるキャビン空間を創出した

 

新世代の高性能スペシャルティカーとしてデビューと同時に高い人気を獲得したスープラは、その新鮮味を失わないよう、積極的に車種ラインアップの拡充や機構面の進化を図っていく。まず1986年6月には、脱着式ルーフを備えたエアロトップを発売。1987年1月には7M-GTEUエンジンに5速MTを設定し、さらにブリスター形状のフェンダーを組み込んだ輸出型と同仕様のワイドボディ(全幅1745mm)仕様「3.0GTターボリミテッド」を追加する。同時に、1G-GEUエンジンの改良や一部装備の変更を行った。

 

1988年8月になるとマイナーチェンジを敢行し、内外装デザインの一部変更や3.0モデルの全車ワイドボディ化、1G-EUエンジンから1G-FEエンジン(1988cc直列6気筒DOHC。135ps)への換装、ターボエンジンのハイオク仕様化による性能向上(7M-GTEUが240ps、1G-GTEUが210ps)などを実施。また、同時期にグループAのホモロゲーションモデルとなる「3.0GT ターボA」を500台限定で発売する。搭載エンジンは7M-GTEUユニットをベースに専用開発のターボタービンや大型インタークーラーなどを組み込み、最高出力を270psへとアップ。さらに、フロントバンパー中央部への“ターボAダクト”の採用やブラック基調で彩ったボディカラーおよびアルミホイールの設定、8ウェイレザースポーツシートの装備などでスペシャル度を引き上げていた。ちなみに、ターボAは公認取得後の1988年11月に全日本ツーリングカー選手権第6戦インターTECに出場し、関谷正徳/小河等選手組(ミノルタスープラターボ)が第2位に入るという健闘を見せた。

20180302_suzuki_01 (71)1986年6月に登場した、脱着式ルーフを備えたエアロトップ

 

1989年8月にも一部改良を行い、ボディカラーの設定変更や3.0ターボSおよびワイドボディの2.0GTツインターボの追加などを実施する。1990年8月になると、エンジンの変更をメインメニューとしたマイナーチェンジを敢行。トップユニットの7M-GTEUエンジンに代わって1JZ-GTE型2491cc直列6気筒DOHC24Vツインターボエンジン(280ps)が採用され、グレード名も2.5GTツインターボに改称する。同時に、ビルシュタインと共同開発した専用ダンパーやトルセンLSD、レカロ製シートなども設定した。また、このモデルからフロントエンブレムの七宝焼きがトヨタマークへと変更。コアなファンからは惜しむ声が多く聞かれた。

 

1991年8月には安全装備の拡充を主体とした一部改良を実施。そして、1993年5月になるとフルモデルチェンジを行い、日本市場においては第2世代、輸出モデルを含めると第4世代となるA80型系スープラに移行した。一方、A80がデビューしてからしばらくすると、A70が再評価されるようになる。曲線を多用したグラマラスなエクステリアのA80に対し、直線を基調としたシャープなスタイルを纏うA70は、いかにもスポーツカーらしい精悍なルックスで、またカスタム映えがしたのだ。80年代後半から90年代初頭のトヨタ製スポーツモデルの頂点に位置したA70型系スープラは、生産中止後もその車名通りに時代を“超えて”高い人気を維持し続けたのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【THE・無骨!】13年ぶりに復活したトヨタの世界的ワークホースの実力

個性派SUVの選択肢としても有望なピックアップトラックを紹介。語るべき長い歴史を持つ両車の魅力を試乗の感想を交えつつ、とことんガイドします。

 

世界的ワークホース、13年ぶりに日本で復活!

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トヨタ

ハイラックス

SPEC【Z】●全長×全幅×全高:5335×1855×1800㎜●車両重量:2080㎏●パワーユニット:2393㏄直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:150㎰/3400rpm●最大トルク:40.8㎏-m/1600〜2000rpm●カタログ燃費:11.8㎞/L●価格:326万7000円(X)〜374万2200円(Z)

 

 

エンジンは2.4Lのディーゼルターボを搭載

トヨタのハイラックスといえば、耐久性の高さに代表される実直な作りが世界的に評価されている銘柄。1968年に初代が登場して以降、これまでに約1730万台が180の国や地域で販売されてきました。日本では04年に販売終了となっていましたが、SUV市場の多様化を睨んで13年ぶりに復活。ボディタイプは、5人乗りのダブルキャブ仕様がセレクトされています。

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エンジンは、2.4ℓのディーゼルターボで、走りは飾り気のない見た目のイメージ通り。全長は5.3m以上、車重が2tを超える巨体とあって小回りは利きませんが、日常域では十二分な扱いやすさを発揮するのは意外でした。

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とはいえ、いわゆる乗用車ではないので、車内で聞こえる音は大きめ。また、積載を前提としているだけに、乗り心地もやや硬い。それだけに、SUVだと思うとそのキャラクターは無骨過ぎる印象も受けますが、何よりも個性を重んじるニーズにはピッタリの一台であることは確かです。

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充実の装備はトヨタ基準

上級グレードとなる「Z」の快適装備は、ピックアップトラックとはいえ乗用車レベル。トヨタ車らしく質感も高いです。

 

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悪路走破性は折り紙付き

堅牢なサスペンションは、長いストロークを持つだけに悪路走破性も秀逸。起伏の激しい路面でも優れた追従性を発揮します。

 

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まさにタフ&シンプル

最大積載重量は500㎏。オプションが豊富とあって、荷台は様々なコーディネートが可能(上)。4WD機構(下)はシンプルなパートタイム式で、通常時は2WDとなります。

 

予想価格7,000万円!? トヨタ「GR」初のオリジナル・ハイパーカーとは

2018年1月の東京オートサロンで初公開された「GRスーパースポーツコンセプト」の市販化が噂されている。その価格はトヨタ市販モデル史上最高額となる7,000万円級とも言われている。

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東京オートサロンで公開された「GRスーパースポーツコンセプト」はWEC(世界耐久選手権)に参戦する「TS050」とほぼ同じパーツで構成されていたが、さすがに市販モデルでの実現には無理がある。

 

そこでこの予想CGだ。空力を意識したフロントはサイドのウレタンを全面に出し、LEDデイタイムランニングライトを装備。ヘッドライトはボディに合わせて2分割した。さらにサイドは大きくえぐられたラインはそのままに、大型エアスクープを備えた。市販化モデルとしてウィンドウを大型化し、リアウィングは若干抑え目にボディと一体化させて流線型を強調させている。

 

パワートレインは2.5リッターV6ツインターボエンジンにレース用ハイブリッドシステム「THS-R」を組み合わせ、最高出力は800psから1,000psを発揮すると予想されている。

 

ライバルは同じレーシングカーのシステムを搭載した「メルセデス AMG プロジェクトONE」で、限定500台以内の限定モデルでの販売となりそうだ。

間もなくお披露目なるか!? 新型トヨタ「スープラ」とBMW「Z4」による奇跡の2ショット!

現在、トヨタとBMWが共同開発を進めているトヨタ「スープラ」とBMW「Z4」の両モデルの次期型プロトタイプがバックショットながら揃って捉えられた。

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「86」を彷彿とさせるテールライトが印象的な次期型「スープラ」は、トヨタのスポーツ系新ブランド「GR」ブランドから発売される可能性もあることから、いまだネーミングについては断定できないが、欧州の最新レポートによると、この「スープラ」をベースとして高性能な「GR」や「GRMN」モデルがラインナップされそうだ。

 

次期型「スープラ」のプラットフォームにはBMW製「CLAR」を採用して大幅な軽量化を実現する見込みで、搭載パワートレインは250psを発揮する2.0リッター直4ターボのほか、BMW製の3.0リッター直6ターボで最高出力340psのエンジンが予想されており、各々、販売価格は500万円~600万円、700万円~800万円とやや高めに設定されるようだ。

 

一方の次期型「Z4」は、最高出力190psと250psを発揮する 2.0リッター直4ターボと最高出力350psを発揮する3.0リッター直6ターボ、パワーモードで最大240psを発揮するハイブリッドがラインナップ予定という。

 

両モデルともに2018年3月のジュネーブモーターショーでのワールドプレミアとなるか?

【中年名車図鑑】TOYOTAの信頼性を世界中に知らしめた4WD界のレジェンド

“ヨンク”ブームの最中、トヨタ自動車は1989年に旗艦4WDモデルのランドクルーザー60系を全面改良し、新型の80系に移行させる。「4WDの新しい歴史が始まる」と謳った80系は、ユーザーの高級志向や海外での商品力強化など、販売マーケットの情勢を存分に踏まえて開発。大型化したボディに高級感が増した内外装、そして駆動系のフルタイム4WD化や懸架機構のコイルスプリング化などを実施し、世界中のユーザーから高い評価を獲得した。今回は“最高級マルチパーパス4WD”を謳ったランドクルーザー80で一席。

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【Vol.54 7代目トヨタ・ランドクルーザー(80シリーズ)】

1980年代後半の日本の自動車市場ではクロスカントリー(通称クロカン)4WDの人気が急速に高まり、いわゆる“ヨンク”ブームが巻き起こっていた。この状況に対して、ランドクルーザーという伝統ある4WD車をリリースしていたトヨタ自動車は、市場の要請をより踏まえた新しいランクルの開発に邁進する。とくに、国内外の様々なユーザーに向けた多用途性の高いロングボディの60系は1980年8月のデビューから長い期間が経過しており、早急の全面改良が必要とされた。

 

■4WD車の高級志向への対応と海外市場での商品力強化

90年代の“ヨンクブーム”のなか、RVとしての特性と、海外市場のニーズを併せ持つランクルが求められた90年代の“ヨンクブーム”のなか、RVとしての特性と、海外市場のニーズを併せ持つランクルが求められた

 

1990年代に向けたランクルのロングボディを企画するにあたり、開発陣は日本と海外の両方の市場傾向を徹底して分析する。ヨンク・ブームの日本市場では、ファミリーユースやアウトドアユースといったレクリエーショナルビークル(RV)としての特性をいっそう磨き、さらにユーザーの高級志向に対応する必要があった。一方で海外市場では、より大きなボディサイズで、かつ広い室内空間と荷室を有する4WD車が求められた。もちろん、従来から好評を博す機動性や耐久性なども、さらに高いレベルへと引き上げなければならない――。様々な角度から検討した結果、開発陣は次期型の商品テーマに「トレンドの先端を行く最高級マルチパーパス4WD」の創出を掲げ、洗練された車両イメージと伝統のタフさを高次元で両立させた“4WDの頂点”に仕立てる旨を画策した。

 

まず基本骨格については、強靭で耐久性の高いラダーフレーム構造をベースとしたうえで、全長と幅、前後トレッド、ホイールベースを拡大しながら剛性を高めた新ボディを架装する。サスペンションは従来の60系のリーフスプリング式からコイルスプリング式に一新。形式は前リーディングアーム/後ラテラルロッド付4リンクとし、横剛性およびロール剛性のアップや乗り心地の向上を図った。

 

また、上級モデルには減衰力を2段階に切り替えられる2ステージショックアブソーバーをセットする。操舵機構に関しては信頼性の高いボール・ナット式を採用。同時に、ギアボックスのコントロール部に設けた油圧反力室で作用する油圧を巧みに制御する新開発のPPS(プログレッシブパワーステアリング)を組み込んだ。

曲面で構成されたインパネに各種スイッチ類をずらりと並べる。ステアリングフィールは乗用車ライク曲面で構成されたインパネに各種スイッチ類をずらりと並べる。ステアリングフィールは乗用車ライク

 

搭載エンジンは、すべてのパーツの設計を見直したうえでトヨタ独自の燃焼法であるTRB(TOYOTA Reflex Burn)や新素材のFRM(Fiber Reinforced Metal)を使ったハイリングピストン、ニードルが2段階に作動する2スプリング噴射ノズルなどを採用した新開発の1HD-T型4163cc直列6気筒OHCディーゼルターボ(165ps)、1HD-Tとほとんど同一のブロックとユニットを採用したうえで燃焼室を渦流室式とした改良版の1HZ型4163cc直列6気筒OHCディーゼル(135ps)、そしてEFIによる高効率な燃焼とスムーズな吹け上がりを実現したガソリンユニットの3F-E型3955cc直列6気筒OHV(155ps)という計3機種を設定する。ディーゼル車の電気系統には、始動時のみ24Vとなる新機構の12/24ボルテージ・スイッチングシステムを導入した。

 

組み合わせるトランスミッションには、操作感を向上させた新開発の5速MTと2ウェイOD付4速ATを用意。高トルクを誇る1HD-Tエンジン用の5速MTには、1~3速にトリプルコーンシンクロを内蔵した。一方で駆動システムについては、主要グレードにセンターデフ付フルタイム4WDを採用する。センターデフは信頼性の高いベベルギア方式。緊急脱出用として、電動モーター式アクチュエーターを組み込むセンターデフロック機構も装備した。また、開発陣はパートタイム4WDのリファインも敢行。強度や耐久性のアップを図るとともに、異音および騒音の低減や歯車・軸受の小型化と軽量化を実施する。さらに、ワンタッチ2-4セレクターとメカニカルフリーホイールハブも装備した。ほかにも、全車にフロント&リアの電動デフロックとフルフロートリアアクスルを設定。オフロードでの走破性を十分に踏まえた4WD機構とした。

 

内外装のアレンジに関しては、“4WDの頂点”にふさわしい演出を目一杯に施す。エクステリアはフォルム全体を動的で張りのある曲面で構成し、近代的で存在感あふれるルックスを実現。ボディ形式はオーバーフェンダー付きのワイドタイプ(全幅1900mm)と標準タイプ(同1830mm)を用意した。内包するインテリアは、曲面構成のインパネやずらりと並べたスイッチ類、乗用車感覚のステアリングフィール、上質なシート表地、充実した装備アイテムなどで、高級サルーンのような雰囲気を創出する。シート配列はワゴンタイプが2/3/3名乗車の3列式、バンタイプが2(5)名乗車の2列式。1/2列目には、休憩スペースとして活用できるセミフラット機構を盛り込んだ。

 

■「4WDの新しい歴史が始まる」のキャッチで市場デビュー

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ワゴンタイプは2/3/3名乗車の3列式のシート。シート地は上質であたかも高級サルーンのようワゴンタイプは2/3/3名乗車の3列式のシート。シート地は上質であたかも高級サルーンのよう

 

新しいロングボディのランクルは、「ランドクルーザー80」と称して1989年10月に市場デビューを果たす。キャッチコピーは、その先進性を意図して「4WDの新しい歴史が始まる」と表現。車種展開はワゴンタイプで3F-E型エンジンを積むVXリミテッドとVX、バンタイプで1HD-T型エンジンを搭載するVXリミテッドとVX、バンタイプで1HZ型エンジンを採用するGXとSTDをラインアップした。

 

市場に放たれたランクル80を見て、従来からのファンは「ついにランクルもRV志向に走ったか……」とがっかりした。丸みを帯びたボディや高級になったインテリア、オンロード走行時の静粛性の高さと振動の少なさなどが、オフロード4WDの雄であるランクルにふさわしくないと判断されたのだ。同時期にデビューした高級乗用車に倣って、“オフロード車のセルシオ”とも呼ばれたりした。しかし、ランクル80をオフロードで走らせると、そうしたファンの声は一変する。センターデフロックと4Lレンジによる強力なトラクションに、いざというときに真価を発揮する前後デフロック機構、4輪コイルスプリングのよく動く足、そしてより剛性を増したボディなどが、オフロード走行での強力な武器になったのだ。「やっぱりランクル」と思わせるそのパフォーマンスに、ファンは改めて感心させられることとなった。

 

■ガソリンとディーゼルともに新エンジンに移行

新世代の高級4WD車として高い評価を受けたランドクルーザー80は、従来のランクルと同様、デビュー後も着実に進化を図っていく。まず1992年8月には、ガソリンエンジンを新開発の1FZ-FE型4476cc直列6気筒DOHC24V(215ps)に換装。同時に、オートマチックトランスミッションをより緻密な制御を実現したECTに変更する。さらに、4輪ABSや本革シートなどの新アイテムの設定、275/70R16タイヤの装着および全幅の拡大(1930mm)などを実施した。1993年5月になると、ワゴンにベーシック仕様のGXグレードを追加し、同時に全車のエアコン冷媒をR134aに切り替える。翌6月にはキャンパー装備を搭載する特装車の「アクティブバケーション」を発売。さらに、1994年5月にはランドクルーザー・シリーズの生産累計250万台達成を記念した特別仕様車の「メモリアルパッケージ」を、9月には専用ボディ色のアーバンナイトトーニングを採用した特別仕様車の「Gパッケージ」をリリースした。1995年1月にはマイナーチェンジを行い、ディーゼルターボエンジンを1HD-FT型4163cc直列6気筒OHC24Vディーゼルターボ(170ps)に換装する。さらに、フロントグリルおよびエンブレムやバンパーなどの一部デザインを刷新。また、インパネはセンター部を独立させた造形に変更した。1996年8月になると、デュアルSRSエアバッグと4輪ABSを全車に標準化して安全性能の強化を図る。さらに、ワゴンは全車ワイドボディに統一した。

 

高級マルチパーパス4WDとしての性能に磨きをかけ、またその走破性の高さと故障の少なさなどから北米や豪州、さらにはアジアや中近東といった海外市場でも販売を伸ばしたランドクルーザー80。1998年1月にはよりラグジュアリーで高性能な新型のランドクルーザー100に移行するが、80も海外を中心に現役で走り続けた。“TOYOTA”の信頼性の高さを世界中に知らしめた4WD界のレジェンド――。それがランドクルーザー80の真骨頂なのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

トヨタC-HR風のヘッドライトのオーリス後継モデルとは!?

トヨタのコンパクトハッチバック「オーリス」の後継モデル開発車両がスペイン北部で捉えられ、ヘッドライトが「C-HR」風であることが判明した。

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未だ前後バンパーは厳重にカモフラージュされているが、そのほかにも薄くコンパクトになるテールライトの一部が確認できるほか、リアクオーターウィンドウの廃止により、シンプルでスポーティなエクステリアが伺える。

 

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トヨタの新プラットフォーム「TNGA」採用でホイールベースは延長されるとみられる。またパワートレインは「C-HR」からの流用となる1.2リッター直列4気筒ターボエンジン、及び1.8リッター直列4気筒に電気モーターのハイブリッドとされている。

 

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気になる名称はグローバルでの販売強化を図るために「オーリス」から「カローラ・ハッチバック」に変更されると噂される。ワールドプレミアは2018年内となりそうだ。

 

 

 

スープラを彷彿とさせるトヨタ「GR ハイブリッドスポーツ」の市販化は2019年!?

トヨタのFRハイブリッドスポーツカーとして、2017年の東京モーターショーでワールドプレミアとなった「GR ハイブリッドスポーツ コンセプト」が2019年にも市販化されるとの情報が入り、このほどその予想CGが制作された。

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注目は「スープラ」を彷彿とさせるコンセプトモデルでも見られた「エアロトップ(タルガトップ)」で、市販化でも採用されるだろう。アンダーグリル全体にインパクトを与えることで前への張り出しを押さえながらも押し出し感をキープ。LEDヘッドライトも個性的なコンセプトモデルのデザインを引き継ぎながら一部デザインを変更し、縦長の下部に3本のフィンを装着してスポーツ感を演出。サイドはフロント部とドア部分に段差をつけ、迫力があるデザインとなっている。

 

2020年には「86」次期型の登場も予想されており、もし2019年に登場となればそのインパクトは絶大だろう。

MJブロンディがトヨタ カムリを徹底解剖! 「北米でのライバルは起亜のオプティマだ」

ベテラン自動車ライターのMJブロンディとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。今回は、発売されたばかりの新型カムリに試乗しました。「セダンの時代」を再来させるほどの魅力はあるのか!?

 

【登場人物】

MJブロンディ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今月のクルマ】トヨタ カムリ

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SPEC【G“レザーパッケージ”】●全長×全幅×全高:4885×1840×1445㎜●車両重量:1600㎏●パワーユニット:2487㏄直列4気筒DOHC+モーター●最高出力:178PS(131kW)/5700rpm●最大トルク:22.5㎏-m(221Nm)/3600-5200rpm●カタログ燃費:28.4㎞/ℓ●329万4000〜419万5800円

 

「米国でのライバルは起亜のオプティマ」

安ド「殿! オッサンセダンのカムリが生まれ変わりました!」

MJ「うむ」

安ド「赤いボディカラーがいいですね!これがイメージカラーだそうですけど、オッサンもこれ乗ってハッスルしてほしいです!」

MJ「お前ももうすでにオッサンではないか」

安ド「はい!(41歳) ですから次のクルマは赤にしました!」

MJ「赤は人をハッスルさせるからな。速度取締りのパトカーもハッスルさせる」

安ド「その点は気をつけます!スタイルもいいですね!この低くてワイドなスタイリング、若々しいです!家族に媚びないイメージで。そんなに広そうに見えないけれど、実際には広い。そのあたりはさすがです!」

MJ「なにしろこれはアメリカのカローラ。大柄な国を代表するファミリーセダンであるからな」

安ド「それを変身させたトヨタはさすがですね!」

MJ「いや、遅すぎたくらいだ」

安ド「そうなんですか?」

MJ「北米でのカムリの最大のライバルは、ホンダのアコード……でもあるが、実は韓国車である」

安ド「そうなんですか!?」

MJ「新型カムリがターゲットにしたのは、ズバリ、起亜のオプティマと見た!」

安ド「まったく知りません!」

MJ「日本人はまったく知らぬであろう。俺もよく知らぬ」

安ド「ガクー!」

MJ「しかし起亜車をアメリカで見ると、明らかに日本車よりスタイリッシュでイケている。なにせデザイン総括はドイツ人。アウディのデザイナーだったペーター・シュライアーだ。いまや起亜は彼が社長を務めている」

安ド「デザイナーが社長ですか!」

MJ「それほどデザインに力を入れておるのだ。そしてこのクラスの北米向けファミリーセダンを、〝ビューティフルモンスター〟に変えたのだ」

安ド「起亜が先にですか?」

MJ「もう10年くらい前からだ。起亜の謳い文句は“タイガーノーズ”だが」

安ド「じゃ、カムリの“ビューティフルモンスター”は、その二番煎じなんですか!?」

MJ「ビューティフルモンスターという言葉は日本向けだろうが、まあそうだな」

安ド「それはショッキングです! で、走りのほうはどうでしょう?」

MJ「トヨタのハイブリッドとしてはパワフルなセッティングだな。特にパワーモードにすると、文字通りパワフルに走る。エコカーというイメージではないぞ」

安ド「ステアリングがボタンだらけで使いにくそうなのに、実際に乗ってみるとすぐ身体に馴染んで使いやすかったです。さすがトヨタ車という感じでした!」

MJ「まあ、なんだかんだいってオッサンはオッサンだがな。ちょっと若返ったオッサンだ」

安ド「ガクー!」

 

【注目パーツ01】インパネ加飾パネル

宝石をイメージした 雰囲気の良い内装

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国産高級車のインパネにはよく木目パネルが採用されていますが、この加飾パネルはなんとも不思議な風合いの紋様です。なんでも宝石のタイガーアイをイメージしたそうですが、いい雰囲気で高級感を演出しております。

 

【注目パーツ02】ヘッドランプ

刃物を想像させる鋭い形状

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最近トヨタ車で多く採用されているのが“キーンルック”。V字型のグリルとつり上がったヘッドライトの組み合わせで、知的なイメージを演出しています。ライトの形状は触るものを皆傷つけそうな鋭利な刃物のようです。

 

【注目パーツ03】アクセサリーコンセント&ソケット

これもトヨタのおもてなし

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インパネ中央の付け根あたりにこっそりシガーソケットとUSB端子が設置されています。ドライバーからするとかなり使いやすい位置にふたつを並べているあたり、いかにも親切でユーザーフレンドリーな日本車らしさが感じられます。

 

【注目パーツ04】トランク

ターゲットユーザーはゴルフ好き

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セダンといえばトランク。カムリはハイブリッドカーですが、バッテリーをリアシート下に設置しているので、トランクはゴルフバッグが4個入るほど広く設計されています。ゴルフ好きなオッサンたちも満足の一台です。

 

【注目パーツ05】トヨタ・セーフティ・ センスP

最新運転支援システムを総ざらい

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ミリ波レーダーと単眼カメラを用いることで、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報、自動切替式ハイビームなど、様々な運転支援システムを搭載しています。クルーズコントロール用スイッチも整理されていて使いやすいです。

 

【注目パーツ06】ホイール

普通に見えてもかなりデカい

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今回試乗したレザーパッケージには18インチアルミホイールが装着されています。20年前は18インチなんてスーパーカーか改造車しか履いていなかったものですが、いまやフツーのオッサンセダンも履くようになりました。

 

【注目パーツ07】ハイブリッドシステム

同クラスでトップレベルの低燃費

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2.5ℓエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、かなりの小型軽量設計。そのぶん居住スペースを広くすることに成功しています。もちろん燃費性能もミドルセダンとしてはトップクラスを誇っています。

 

【注目パーツ08】2段グリル

大胆な大型グリルは半分ダミー

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キーンルックによるスリムなアッパーグリルと、大胆過ぎるほど大きなロアグリルが対照的で、かなりインパクトがあるように見えます。しかしこのロアグリル、実は半分くらいしか穴が空いておらず半分はダミーです。

 

【注目パーツ09】おくだけ充電

挿さなくてもいい 簡単充電システム

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オプション設定で、最新装備の「おくだけ充電」を装着できます。これは、その名のとおりこのトレイのうえにスマホをおくだけで勝手に充電されるという代物ですが、ワイヤレス充電規格Qiに対応したアイテムしか使えません。

 

【これぞ感動の細部だ】Cピラー

デザインの真価はピラーにあり

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フロントの大胆なデザインに注目が集まりがちなカムリですが、このリアのCピラー(窓と窓の間の柱部分)にもデザインのポイントが潜んでいます。まず、トランクから続くラインが果敢にもCピラーの中央をぶった切るように突き通っていること。さらに、リアウインドウがピラーに合わせて湾曲しているあたりにも造形美が感じられます。

 

 

「あえてモデルチェンジしない」のはなぜ?ハイエースが50年も愛され続ける納得の理由

少し前にこのコラムで取り上げた本田技研工業(ホンダ)の原付バイク、スーパーカブと同じように、日本の街の風景の一部になっている乗り物のひとつがトヨタ自動車のワンボックスカー、ハイエースだ。来年誕生60周年を迎えるスーパーカブに対し、ハイエースは今年50周年と、キャリアの長さでも引けを取らない。

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なぜハイエースはここまで愛され続けているのか。やはり信頼性と耐久性がもっとも大きな理由になりそうだが、それは偶然の産物ではなく、トヨタがその点に注力して開発していることが、今年11月のマイナーチェンジを機に行われた発表会で明らかになった。

 

ちなみに今回の改良は、環境性能と安全性能をさらに向上したことがトピックになる。前者では2年前にランドクルーザープラドに初搭載した新世代のクリーンディーゼルエンジンを採用。燃費が向上し、一部車種でエコカー減税の適用を受けられるようになった。後者では衝突被害軽減ブレーキなどを含めた予防安全装備のトヨタ・セーフティ・センスPを設定した。

 

トヨタ・セーフティ・センスにはCとPがある。Cはカローラ、Pはプリウスなどが搭載している。乗用車以上に価格競争力が重視される商用車のハイエースであれば、Cを導入してもおかしくない。ところが新型ハイエースはあえてPをチョイスしている。実はこれも壊れないクルマを目指した結果だという。商用車は事故などを起こして動かなくなると仕事に支障を及ぼす。使用者だけではなく取引先など多くの人々が影響を受ける。そこでなによりもまず、事故を起こしにくいクルマにしようと考え、CではなくPを導入したのだそうだ。

世界的に信頼性の高いトヨタ車のなかでも、ハイエースの信頼性、耐久性は抜きんでている世界的に信頼性の高いトヨタ車のなかでも、ハイエースの信頼性、耐久性は抜きんでている

 

さらにボディの基本骨格などでは、「ハイエース・クオリティ」と呼ぶ独自の品質基準を設定しているとのこと。たとえばスライドドアの耐久性は、同じトヨタの乗用車とはひと桁違う基準を設定しているそうだ。もともと信頼性では定評のあるトヨタ車の中でも、ハイエースは抜きん出た存在なのである。

 

ハイエースは日本以外でも各地で活躍している。筆者も東南アジアなどでマイクロバスとして使われるハイエースに乗ったことがある。しかし生産工場は数カ所に留めており、日本以外は主要部品を輸入して組み立てを行うノックダウン工場としている。これも群を抜く信頼性や耐久性を維持するためだ。

 

発表会での説明でさらに興味深かったのは、走る・曲がる・止まるという自動車の基本性能については、いきなり壊れて止まることがなく、事前に異音を発生するなどして使用者に不調を伝えるような設計が込められているということ。他国の自動車エンジニアがこんなことを考えるだろうか。日本の商用車ならではのきめ細かい配慮である。

初代ハイエース ワゴン。1967年「日本初の新分野のキャブオーバーバン」をコンセプトに誕生した初代ハイエース ワゴン。1967年「日本初の新分野のキャブオーバーバン」をコンセプトに誕生した

 

そんなハイエース、モデルチェンジの間隔が長いことも特徴のひとつで、50年間で4回しかフルモデルチェンジしていない。5代目となる現行型は2004年デビューだから、13年が経過している。にもかかわらず今回マイナーチェンジに留めたのはどうしてか。実はこれも信頼性・耐久性向上のためだった。

 

フルモデルチェンジをすると多くの部品が切り替わる。そのたびに自動車整備工場などでは多くの部品を確保しなければならない。モデルチェンジがひんぱんに行われれば部品の数が増える。海外の地方などでは新型の部品の供給が行き届かないこともある。しかしマイナーチェンジに留めておけば、多くの部品が旧型と共通なので、部品の確保がしやすい。壊れてもすぐに直せるから、仕事に支障を及ぼす可能性が少ないことを意味する。

 

ハイエースのチーフエンジニアである野村淳氏は発表会で、「商用車はモデルチェンジしないことも商品力のひとつ」と語っていた。モデルチェンジをすることで商品力を高めていく乗用車とはまったく逆の発想に衝撃を受けた。でも部品のことまで考えれば腑に落ちる考えだ。

 

壊れにくさのためなら先進装備も積極的に投入し、壊れるときは事前に教えてくれる。仮に壊れても部品の確保を容易にして、仕事に穴を開けないようにしている。ハイエースの根強い人気は、愚直なまでの信頼性・耐久性追求の気持ちがユーザーにしっかり伝わっているからだと確信した。

 

【著者プロフィール】

モビリティジャーナリスト 森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

THINK MOBILITY:http://mobility.blog.jp/

トヨタがSUVの新コンセプト、FT-ACをLAショーに出展

トヨタは現在開催中(12月10日まで)のロサンゼルス・オートショーにて、小型SUVのコンセプトカー「FT-AC(Future Toyota Adventure Concept)」を公開した。

FT-ACは、山岳地帯でのキャンプや川下り、マウンテンバイク走行など、本格アウトドア活動を楽しむユーザーをターゲットに、アクティブな休日の過ごし方を提案するデザインコンセプトとして企画。具体的には、「ランドクルーザー」などトヨタSUVの伝統を踏襲した力強く大胆なデザインとSUVならではの悪路走破性に加えて、取り外し可能なフォグランプやサイドミラー付属のカメラのほか、撮影映像をクラウドにアップロードする車載Wi-Fiなどを装備することで、アウトドアをいっそう楽しくするようなクルマを目指したという。

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エクステリアデザインでは、拡幅したフロントグリルと側面まで回り込んだLEDヘッドライトが特長となるフロントスタイルのほか、ロングホイールベースとワイドフェンダーに20インチホイールを装着し、SUVらしい力強く大胆なスタイリングを強調しているのが特色となっている。

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また、最低地上高の高さに加えフロントとリアにアンダーガードを装備することで、多彩な「冒険」を可能にする悪路走破性を表現。ボディカラーには、鮮やかなグリーンとグレーの2色のコントラストを出すことで、アウトドアにおけるアクティブさが表現されている。

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アウトドアに必要なアイテムを搭載するルーフラックには、モバイル端末で調光可能なLEDライトを装着。ライトは夜間や悪天候時の走行をサポートするだけではなく、サイドミラー付属の赤外線カメラのフラッシュとしても使用可能。また、マウンテンバイク搭載用に、格納可能なラックをリアに装備。フォグランプは取り外し可能とし、懐中電灯やマウンテンバイク用ライトとしても活用できるようになっている。

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サイドミラーには取り外し可能な小型カメラを装着し、悪路走行の記録などに活用可能。撮影データは、車載Wi-Fiからクラウド上のストレージに自動でアップロードし、スマートフォンなどのモバイル端末からリアルタイムでの写真・動画の編集やSNSへの投稿を可能としている。また、車両の位置情報を発信することで、FT-ACをベースキャンプとした周辺探索が安心して楽しめるようになっている。

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コンセプトモデルとしては、パワートレインにガソリンエンジンを想定。ドライブトレインには、左右後輪に駆動トルクを適切に配分するトルクベクトル式4WDシステムを設定し、最適なトラクションコントロールにより路面に応じたセッティング切替機能やディファレンシャルロック機能を可能とする。これにより四輪の最適なグリップ制御を行ない、優れた操縦安定性とダイナミックな走行性能を実現。さらに、低燃費と4WDシステムの走破性を両立した次世代ハイブリッドパワートレインの搭載も想定しているとのことだ。

トヨタが第二世代版の予防安全パッケージを発表!

11月29日、トヨタは予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」の第2世代版を2018年より導入すると発表した。

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第2世代版の「トヨタセーフティセンス」では、従来の「トヨタセーフティセンスP」で採用している単眼カメラ+ミリ波レーダーの構成はそのままに、カメラやレーダーの性能向上などによって検知対象を拡大して機能を向上させたほか、高度運転支援機能・レーントレーシングアシスト(LTA)を採用。さらにユニットの小型化を図り、搭載性を高めている。

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先行車または歩行者との衝突回避支援または被害軽減を図る「プリクラッシュセーフティ(PCS)」には、夜間歩行者、自転車運転者を新たに検知対象として追加した。

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また、カメラが主要な道路標識を読み取り、インスツルメントパネル内に表示する「ロードサインアシスト(RSA)」が導入され、制限速度や一時停止、進入禁止、はみ出し禁止などの交通規制の見落とし軽減を促し、安全運転をサポートする。

 

LTAは、レーダークルーズコントロール使用時に、同一車線内中央を走行できるようドライバーのステアリング操作をアシストする。レーダークルーズコントロールの機能と相まって、自動車専用道路等でのドライバーの負担を軽減し、より余裕を持った運転に寄与する。同時に、LTAは「レーンディパーチャーアラート(LDA)」の機能も有し、白線の無い直線道路でも道路端を認識することにより、路外逸脱の警報と、回避操舵のアシストを実施する。

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第2世代の「トヨタセーフティセンス」は、2018年初に発売を開始する新型車から日本、北米、欧州を中心に順次導入していく見通し。その他の地域については、地域の使用環境等の確認を通じ、順次導入を検討していくとのこと。なお、レクサス版の「レクサスセーフティシステム+」も同様の内容で第2世代版に進化し、こちらも2018年より順次導入していく。

 

トヨタはこれまで、運転支援機能に関しては他社と比べると慎重なスタンスを取ってきていたが、第2世代の「トヨタセーフティセンス」では、自動運転技術を用いた機能を盛り込んだ。昨今、発生している交通事故、そして他社メーカーの導入状況を踏まえ、トヨタの予防安全に対する取り組みがさらに加速したといえる。

【中年名車図鑑】日本人のための高級車──センチュリーが30年以上愛され続けた理由

第45回東京モーターショー2017において、トヨタ自動車は3代目となる新型センチュリーのプロトタイプを公開した。今や日本を代表するショーファー(chauffeur=お抱え運転手)ドリブンカーに君臨するセンチュリーが初めて登場したのは、いざなぎ景気の好況で沸いていた1967年のこと。神社仏閣を連想させる荘厳な外装に、贅を尽くした内装部品の数々は、まさに日本ならではの高級車の仕立てだった――。今回は30年あまりに渡って生産され、多くのVIPを運んだ初代センチュリーの話題で一席。

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【Vol.43 初代トヨタ・センチュリー】

1967年9月4日、“白いクラウン”と呼ばれた3代目クラウン(MS50/RS50)がデビューする。社用車やハイヤーとして使われるパターンが多かった2代目に対し、3代目はオーナードライバーに的を絞ったクルマ作りを実践していた。一方、2代目には3代目にない大きな特徴があった。V8エンジン搭載車のクラウン・エイトの設定である。エイトはクラウンの最上級モデルとして、主に運転手付きのVIPカー、つまりショーファードリブン車として活躍していた。それが3代目にはない……。そんな懸念は、3代目がデビューした21日後の新型車発表会で払拭される。新しいボディを身にまとったショーファードリブン専用車が姿を現したからだ。車名は“トヨタ自動車の父”豊田佐吉の生誕100年を記念して、「センチュリー(VG20型)」と名づけられていた。

日本におけるショーファードリブンの需要に応え誕生。“トヨタ自動車の父”豊田佐吉の生誕100年を記念して「センチュリー」と名付けられた日本におけるショーファードリブンの需要に応え誕生。“トヨタ自動車の父”豊田佐吉の生誕100年を記念して「センチュリー」と名付けられた

 

■日本でしかできないアレンジの数々

センチュリーの外装には既存のクルマにはなかった荘重な雰囲気、それも日本の伝統文化を随所に感じさせるアレンジが施されていた。鳳凰を模したエンブレムに神社仏閣の建物を連想させる趣あるスタイリング、贅を尽くした内装など、どこをとってもジャパンオリジナルの高級車の風格を備えていた。また、6タイプのボディカラーも訴求点で、いずれもが日本の誇る名所の色合いを規範にして塗料を配合した専用色で仕立てる。ノーブル・ホワイトは富士、エターナル・ブラックは神居(カムイ)、グレーシアス・マルーンは平安、ルーシド・グリーンは蓬莱、カーム・ブルーは摩周、ミスティ・グレーは雲仙をイメージした。さらに、宇治平等院の鳳凰を元にデザインしたエンブレムは、フロントが金色、リアはグレード別にバイオレット(Dタイプ)、アクアマリン(AとCタイプ)、クリムソン(Bタイプ)と色分けしていた。

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シートは本革とクロス地を用意。生地、縫製ともに通常のモデルとは一線を画していた。エアコン、パワーウィンドウ、空気清浄機まで装備シートは本革とクロス地を用意。生地、縫製ともに通常のモデルとは一線を画していた。エアコン、パワーウィンドウ、空気清浄機まで装備

 

機構面も非常に凝っていた。3V型2981cc・V型8気筒OHVエンジン(150ps)はブロックとヘッドともにアルミ合金を使用。バルブをV字型に配置したクロスフロー方式も採用する。さらにパレードなどでの使用も考慮し、低速走行を数時間続けてもオーバーヒートにならないようにチューニングした。サスペンションも注目点だ。フロントは国産乗用車初のローリングダイヤフラム型エアばねを使ったストラットを採用。リアはトレーリングアームにコイルスプリングを組み合わせた形式だが、ラテラルロッドの代わりにロアアームとデフキャリアのあいだに左右ストラットバーを入れている。横方向の動きをロアアームで抑える仕組みだ。このあたりは後席の乗員の快適性を重視した結果だろう。

 

エクイップメントの充実度は、当時の最上レベルだった。エアコンやオートドアロックに加え、パワーウィンドウ、自動点滅機構付きヘッドライト、空気清浄装置などを装備する。シートは上級グレードに本革を採用。それ以外のグレードはクロス地だが、生地は専用の高級素材で、縫製も通常のクルマとは別ラインで入念に仕上げていた。

 

■長い間モデルチェンジしなかった理由

マイナーチェンジ後の1973年モデル。搭載ユニットが変更されたが、エクステリアに大きな変化はないマイナーチェンジ後の1973年モデル。搭載ユニットが変更されたが、エクステリアに大きな変化はない

 

では、走りはどんな印象だったのか。1960年代から30年あまり、政治家を後ろに乗せていたベテラン運転手に話を聞くと、「とにかく静かで快適だった。運転もしやすいし、故障も少ない。当時の欧米の高級車と比べても、決して引けをとらなかったと思います。後席の先生(政治家)たちにも好評でした」という。さらに、こうも付け加えた。「欧米車よりも、なぜか馴染みやすかったですね。塗装色や内装の素材が、日本人の感覚に合っていたんだと思います」。

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 1973年モデルのインテリア。日本の風土、日本人の感覚にあわせた素材を採用したことも、長く愛された理由のひとつ1973年モデルのインテリア。日本の風土、日本人の感覚にあわせた素材を採用したことも、長く愛された理由のひとつ

 

国産VIPカーの旗艦に成長したセンチュリーは、1973年4月になると搭載エンジンを3V型から4V型3376cc・V型8気筒OHVユニット(170ps)に変更(車両型式はVG21)。70年代後半の排出ガス対策を経て(同VG30)、1982年10月にはマイナーチェンジによって内外装のリファインと5V-EU型3994cc・V型8気筒OHVエンジン(190ps)への換装を実施する(同VG40)。そして1990年9月には、ホイールベースを150mmほど延長したロングボディのLタイプ(同VG45)を追加設定した。

 

ところで、初代センチュリーは「なかなかフルモデルチェンジしないクルマ」としても業界で有名だった。対外的には「いずれは……」とか「機会があれば……」と説明していたトヨタのスタッフ。一方で開発現場では、1990年代に入ると全面改良の企画が本格的に推し進められるようになった。なぜ、センチュリーの全面改良が決断されたのか? 背景には、日本の高級車に対する志向の変化があった。1980年代後半から本格化したハイソカー(ハイソサエティカー)の隆盛によって、高級車はユーザーにとってより身近な存在に発展する。メーカー側もこの傾向を重視し、いっそう質の高い高級車を企画していった。その代表格が、トヨタが1989年10月にリリースした「セルシオ」(UCF11/UCF10型)だ。“いつかはクラウン”の上をいく新世代高級車のセルシオは、高品質で豪華な内外装の仕立てや1UZ-FE型3968cc・V型8気筒DOHCエンジンをはじめとする先進メカニズムの採用などで注目を集め、たちまち多くのバックオーダーを抱える大ヒットモデルに昇華した。市場はより豪華で高性能な高級車を求めている。フォーマルサルーンであり、ショーファードリブン車でもあるセンチュリーも例外ではない――そう判断したトヨタの上層部は、ついにセンチュリーの全面改良にゴーサインを出したのである。

1982年に内外装の大きな変更を実施。ヘッドライト、グリル、バンパーの形状をリファインしている。同時に搭載ユニットも変更1982年に内外装の大きな変更を実施。ヘッドライト、グリル、バンパーの形状をリファインしている。同時に搭載ユニットも変更

 

精緻な改良を施しながら、1997年までフルモデルチェンジすることなく造り続けられた初代センチュリー。30年もの超ロングセラーを達成した理由は、メカニズムや生産工程が優れていただけではなく、日本の風土にマッチした性格を併せ持っていたからなのかもしれない。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

3年ぶりの国内復活となるか、トヨタRAV4の次期型情報!

トヨタのコンパクト・クロスオーバーSUV「RAV4」が国内で復活するという。現在、欧州、北米、南米などワールドワイドに人気モデルとなっている「RAV4」だが、満を持して日本市場に投入されるのは次期型の発表、2019年になるという。

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「RAV4」は1994年に登場し、その後ホンダ「CR-V」や日産「エクストレイル」の誕生のきっかけになったとも言われているが、2005年に登場した3代目を最後に国内販売は終了となり、バトンは「C-HR」へと繋げられた。

 

次期型「RAV4」の予想CGによると、クロスオーバー的ボクシーなシルエットが印象的。タイヤハウスに膨らみを持たせて迫力とハードさをアピール。フロントは現行型からやや押し出し感を強調、左右には大型吸気口、クラウンにも採用されたV型のウイングバーが配置されている。ライトは3連プラスLEDとした。次期型では、プリウスから流用される「TNGA」プラットフォームを採用すると見られる。

 

パワートレインは、新型カムリにも搭載されたA25A型、直列4気筒ガソリンエンジン「Dynamic Force Engine」やハイブリッドモデルが有力だという。

 

 

 

 

トヨタがコネクティッドカー向けの自動車保険を開発

11月8日、トヨタ自動車とあいおいニッセイ同和損害保険は、トヨタが展開するコネクティッドカー(トヨタが定める走行データが取得できるナビを搭載しており、かつインターネットの接続機能を有する車両)の一部を対象に、テレマティクス技術で取得した走行データに基づき、毎月の安全運転の度合いを保険料に反映。基本保険料と運転分保険料からなるトータル保険料のうち、最大で運転分保険料の80%を割引く、日本国内初となる運転挙動反映型テレマティクス保険を共同で開発したことを発表した。

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「運転特性による割引」のほか、『楽しむ』『得する』『見守る』をコンセプトとしたさまざまなサービスも提供していくとのことで、販売開始は2018年1月15日(保険責任開始は2018年4月)の予定だ。

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商品名は「トヨタつながるクルマの保険プラン(トヨタ販売店)」や「G-Link 連動自動車保険(レクサス販売店)」で、対象車両はトヨタのコネクティッドカーのうち、当方が定める走行データが取得できる車両(レクサス車含む)で、トヨタ車では2018年夏頃以降に発売予定の「クラウン」より順次拡大。レクサス車では2018年1月以降販売の新車全車対象(HS・LC を除く。既販車も一部対象車あり)となる。

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トヨタのコネクティッドカーは、クルマに関するさまざまな情報を車載通信機のDCM(データコミュニケーションモジュール)を通じてトヨタスマートセンターに自動送信している。あいおいニッセイ同和損保では、この車両運行情報を活用することでトヨタならではの新しいサービスを提供する。

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これまでの自動車保険は、「事故を起こしたユーザー」に安心を届けることがサービスの主眼だったが、あいおいニッセイ同和損保では、テレマティクス技術を活用したサービスを提供することで「事故を起こさないユーザー」にも付加価値(予防安全)を提供していくことを目指すとのこと。ユーザーひとりひとりの運転状況に応じた「安全運転診断サービス」をタイムリーに提供することで、ドライバーに安全運転を促し、交通事故を未然に防いでいく方針だ。

 

 

【中年名車図鑑】格好は奇抜だが走りは…絶版後に再評価された小型スペシャルティ

好景気を謳歌する1980年代終盤の日本。トヨタ自動車は豊富な開発資金を背景に、新しい小型スペシャルティを鋭意企画する。若者のさまざまな嗜好を捉え、目一杯に詰め込んだその1台は、1990年3月に市場デビューを果たした――。今回は「日常生活の枠を超えた胸を躍らせるような体感」を狙いに開発された小型スペシャルティカーのセラ(1990~1995年)で一席。

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【Vol.40 トヨタ・セラ】

東京の晴海で開催される最後の年になった1987年の第27回東京モーターショー。後にバブルといわれる好景気を背景に、各自動車メーカーは華やかな演出と渾身の新型車を精力的に披露した。そのなかでトヨタ自動車は、斬新なFF小型スペシャルティのコンセプトカーを雛壇に乗せる。車名は「AXV-Ⅱ」。ガラスを多用したラウンディッシュなボディにガルウィングドアを装着したそのスタイリングは、“小型車クラスのスーパーカー”として来場者の熱い視線を集めた。

 

■新しいFF小型スペシャルティの提案

ルーフ部まで回りこむガルウィングドアとサイドガラス、大きな3次曲面リアガラスを組み込んだパノラミックハッチが特徴的ルーフ部まで回りこむガルウィングドアとサイドガラス、大きな3次曲面リアガラスを組み込んだパノラミックハッチが特徴的

 

コンセプトカーの企画内容を市販モデルに活かすトヨタの方針は、このAXV-Ⅱでもきちっと貫かれることになる。ショーの後、開発陣は早速市販化に向けての部品選定に乗り出した。プラットフォームについては開発の途中だった4代目スターレット用をベースとすることに決定。被せるボディはコンセプトカーの具現化を目指し、ルーフ部にまで回りこむガルウィングドアとサイドガラス、そして大きな3次曲面リアガラスを組み込んだパノラミックハッチを採用した。ドアの操作性やボディ剛性、さらに安全性といった項目も重視し、幾度となくテストを繰り返す。ガラス自体の遮熱性にもこだわった。また、全体のフォルムは曲面基調で構成し、スポーティなスタイリングに仕立てる。ボディサイズは全長3860×全幅1650×全高1265mm/ホイールベース2300mmとコンパクトに設定した。

 

横置き搭載するエンジンについては、スターレット用の4E-FE型1.3lユニットをそのまま流用するわけにはいかなかった。ガルウィングドアの剛性確保やガラス面を多用した結果、ボディが重くなってしまったのだ。外観はスタイリッシュでスポーティなのに、加速は悪い――。トータルでの高性能を重視するトヨタにとって、これは見過ごせないポイントだった。開発陣は鋭意、改良に着手し、4E-FE型の排気量アップを計画する。通常ならボアアップで対処するところだが、エンジニアが選んだ手法はロングストローク化(77.4mm→87.0mm)だった。低中速トルクを厚くしやすい、ブロック剛性を有効に確保できる、といった理由がピストン行程にこだわった理由である。新たに開発されたエンジンは5E-FHE型と名づけられ、1496cc直列4気筒DOHC16Vの第2世代ハイメカツインカムからは110ps/13.5kg・mのパワー&トルクが絞り出された。

 

■豪華でオリジナリティ性の高い装備群を採用

ベースグレードの5速MT車で160万円と、チャレンジングな価格設定だった。若者に乗ってほしいという開発陣の想いが伝わってくるベースグレードの5速MT車で160万円と、チャレンジングな価格設定だった。若者に乗ってほしいという開発陣の想いが伝わってくる

 

1990年3月、トヨタの新しい小型スペシャルティカーが満を持してデビューする。車名はフランス語のetre(~である)の未来形で、「未来に向けて羽ばたく夢のあるクルマ」の意を込めて「セラ(SERA)」と名乗った。

 

EXY10の型式をつけて市場に放たれたセラの注目ポイントは、軽飛行機のキャノピーを思わせるグラッシーキャビンやドア操作力温度補償ステーを組み込んだガルウィングドアだけではなかった。乗車定員4名のインテリアでは室内ルーフの形状やトリムに合わせて音響解析し、最適配置のスピーカーとオーディオユニットを装着したスーパーライブサウンドシステムや造形美豊かな専用アレンジの内装パーツなどを装備。エクステリアでは新開発のカラフルなボディカラー(全6色)やプロジェクターヘッドビーム等が話題を呼ぶ。ちなみに、イメージカラーのグリニッシュイエローマイカメタリックを纏った仕様は、曲面基調のスタイリングや羽のように開閉するガルウィングドアから、“コガネムシ”“カナブン”といったニックネームがついた。

 

これだけの豪華&専用装備を実現しながら、セラの車両価格は非常にリーズナブルだった。ベースグレードの5速MT車で160万円、最上級のスーパーライブサウンド付き4速AT車でも188万1000円に抑える(いずれも東京標準価格)。渾身の小型スペシャルティカーをひとりでも多くの若者に楽しんでほしい――開発陣のそんな願いが、この価格設定には込められていたのだ。

 

■特異なキャラクターは生産中止後に再評価

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20171110_suzuki8航空機のガラスキャノピーを連想させる開放感あふれるインテリア。反面、夏場の温度上昇が問題となった

 

“未知への翼”のキャッチコピーを冠して華々しくデビューしたセラ。しかし、販売成績は予想外に伸び悩む。当時の若者は高性能のスポーツモデルやハイソカー、クロカン4WDなどに興味を抱くユーザーが多く、格好は奇抜だが走りは平凡だったセラにあまり触手が動かなかったのだ。また、真夏に走行した際の室内の過度な温度上昇なども、ウィークポイントとして指摘された。

 

販売の打開策として開発陣は、セラに細かな改良を施していく。1991年5月にはボディカラーの見直しや新シート表地の採用、熱線反射金属薄膜コーティング付きドアガラスの設定などを実施。1992年6月には再びボディカラーを見直し、同時に電気式ドアロックの標準装備化などを敢行する。1993年12月には新冷媒エアコンの採用やリア3点式シートベルトの標準装備化などを行った。

 

さまざまな改良を加えて完成度をアップさせていったセラ。しかし、販売成績は改善しなかった。さらにバブル景気も崩壊し、トヨタは業績回復のために不採算車種の整理を余儀なくされる。そして1995年12月、ついにセラの生産は中止となった。

 

絶版車となってしまったセラだが、そのユニークで特異なキャラクターは後に再評価され、結果的に中古車市場で熱い支持を受け続ける。トヨタのチャレンジングな小型スペシャルティカーは、その車名にふさわしい存在価値を生産中止後に誇示したのだ。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

東京モーターショー2017|FCVやEVスポーツ、AI搭載のコンセプトなど、次世代の交通環境を見据えるトヨタ

トヨタは、燃料電池バスの「SORA」をはじめ、FCVの美点を最大限に引き出した「Fine-Comfort Ride」、LPGハイブリッドの「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」といった、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックを見据えた公共交通機関および乗用車のありかたを提案。さらには、人工知能を搭載して新たな交通手段のツールとなる「Concept-愛i」シリーズなど、次世代の交通環境の核となる技術をイメージできる提案を行った。

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SORA
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2018年から市販が予定されているトヨタのFCバスの「SORA」。モーター駆動による変速ショックのないスムースな加速や、バス停へ自動で近接する機能、全方位の安全確認システムなどを搭載。車イスやベビーカーの搭乗を意識した室内デザインや、外部への電力供給システムなども備える。環境都市に向けた、乗りに行きたくなるバスが登場する。

 

JPN TAXI/Fine-Comfort Ride

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Concept-愛i

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人工知能を搭載し、乗員とより密接なコミュニケーションを図るConcept-愛iシリーズだ。ドライバーを中心に、個性やクセなどを学習し、体調などを含めた情報を察知し、さまざまな提案を行ってくれるもの。クルマ側がドライバーを見守り、必要な時は運転支援や自動運転などにシフトしてサポートする。ドライバーの感情や嗜好に合わせて会話を誘導するなど、新たなツールとなる。2020年頃には、機能の一部を公道実証実験される見込みだ。

 

もちろん走りの楽しさを目指すべく、次世代スポーツモデルをマットブラックのボディで具現化した「GR HV SPORTS concept」をワールドプレミア披露。一方で、20年ぶりのモデルチェンジが予定されている最上級ショーファーモデルの「センチュリー」や、コネクティッド技術を投入してIoT社会に対応する「新型クラウン」のコンセプトモデルなど、近未来に市場に投入されるモデルを公開している。

 

GR HV SPORTS concept

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EVでスポーツモデルに挑んだコンセプトカー。トヨタはWECにハイブリッドレーシングマシンの「TS050 HYBRID」で挑んでいるが、その技術を市販化に結びつけている。バッテリーの搭載位置の最適化や、マニュアルシフト化でタイムラグを感じさせないなど、実際にテスト走行を重ねてフィーリングの熟成なども行っているとか。GR86と共通のパーツを使うなど、GRブランドの牽引役を担う可能性もありそうだ。

 

センチュリー
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20年ぶりのモデルチェンジが確定している「センチュリー」は、日本の最先端技術を結集させたショーファーモデル。スムースで快適な居住空間を実現させるために、より繊細なコントロールが可能となる動力特性に仕上げられている。一方で、最先端の安全技術を余すところなく搭載。快適で安全なモデルに仕上げられている。後席の居住性には最大限の配慮が施され、フラットで乗降性のいいフロア形状とし、吸音材や遮音性の高いガラスを採用してトップクラスの静粛性を実現。シートは、ソファと同様のスプリングを採用したクッションを採り入れている。

 

クラウン・コンセプト

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「CROWN Concept」は、「走行性能の追求」と「コネクティッド技術の進化」を追求したモデルだ。嘗めるように走り、目線のぶれないフラットな乗り心地、そして意のままに操れる運動性能を実現。信号の情報やクルマ同士とつながる「ITS Connect」や、ETCゲートからETCゲートまでを自動運転する機能なども搭載。コネクティッドカーならではのリモート技術を活かし、モビリティサービスの進化も提供していくという。市販化は2018年の夏頃の予定。

 

(レポート:田草川弘之)

【中年名車図鑑】「かっとび」「韋駄天」「辛口」…さまざまなキャッチを冠したFFハッチバック

コンパクトカーのFF化の流れに抗い、FRの駆動システムで販売され続けたKP61型系スターレットは、1984年になるとついにFFレイアウトに刷新した3代目のEP71型系へと切り替わる――。今回は“かっとび”や“韋駄天”のキャッチフレーズで人気を集めた第3世代のスターレット(1984~1989年)で一席。

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【Vol.38 3代目 トヨタ・スターレット】

トヨタ自動車のエントリーカーに位置する“小さな星”ことスターレットは、続々とFF(フロントエンジン・フロントドライブ)化するコンパクトカー群のなかにあって、FR(フロントエンジン・リアドライブ)の駆動レイアウトを貫いていた。メカニズムの信頼性や開発スタッフの豊富な経験値などがFRを踏襲してきた理由だったのだが、1980年代が進むとパッケージ効率に優れる2ボックスのFFコンパクトカーが人気を集めるようになり、FRのままでは市場の多様化に対応しきれなくなっていた。こうした市場の動きを鑑みたトヨタの開発陣は、次期型スターレットのFF化を決断する。開発テーマは新時代をリードする“ハイコンパクト&スポーティ”の創出。これを具現化するために、プラットフォームからシャシー、ボディ、エンジンなど、すべてを新規に開発する方針を打ち出した。

 

■“ハイコンパクト&スポーティ”をテーマにエントリーカーを全面改良

3代目は“かっとびスターレット”のキャッチフレーズで登場した。3ドアと5ドアの2タイプのボディ構成。スポーツグレードには「12VALVE」のステッカーを装備する。3代目は“かっとびスターレット”のキャッチフレーズで登場した。3ドアと5ドアの2タイプのボディ構成。スポーツグレードには「12VALVE」のステッカーを装備する。

 

FF化した3代目スターレットは、EP71の型式をつけて1984年10月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは“かっとびスターレット”。スポーティで軽快な走りが楽しめる新世代コンパクトカーに仕立てたことを、この刺激的な言葉に込めていた。ボディタイプは3ドアハッチバックと5ドアハッチバックの2タイプを設定。グレード展開は3ドアにスポーティ系のSiリミテッド/Si/Riと上級および標準仕様のXLリセ/XL/DX/DX-A/STDを、5ドアにスポーティ系のSiと上級および標準仕様のSE/XLリセ/XL/DX/DX-Aを、バンモデル(3ドアハッチバック)にCD-L/CD/CSをラインアップした。ちなみに、3代目スターレットはCMでも注目を集める。藤山一郎が歌う『丘を越えて』をBGMに、アメリカの伝説的な喜劇俳優のバスター・キートンが出演した映画シーンを絡ませてスターレットの躍動的な走りを見せる映像は、“かっとび”ぶりが見事に表現されていた。

 

車両デザインについては空力特性に優れたオーバルフラッシュフォルムとワイドトレッドを基本に、端正かつ親しみやすい2ボックススタイルを構築。スポーティグレードにはエアロパーツ類やサイドマッドガード、テープストライプなどを装備する。ボディサイズは従来比でホイールベースが同寸法(2300mm)ながら55~120mm短く(3700mm)、55mm幅広く(1590mm)なった。FF化によって広さが増したインテリアは、余裕のある居住空間を確保するとともに質感をアップ。また、スポーティグレードの前席にはホールド性の良い新開発シートを、女性向け仕様のリセにはカーブスライド式ドライバーズシートを装着した。

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20171027_suzuki7FF化したことで居住スペースの快適性は大幅に向上。スポーツグレードのフロントシートはホールド性に優れていた。

 

搭載エンジンにはOHCクロスフローやデュアルインテークの3バルブ(吸気バルブ×2/排気バルブ×1)、ツインスキッシュ型の燃焼室といった新技術を組み込んだ新設計のレーザー2E-12VALVEユニットの3タイプを設定する。スポーティグレードにはEFI-D(電子制御燃料噴射装置)およびマイコン制御方式のTCCSをセットした2E-ELU型1295cc直列4気筒OHC12Vエンジン(93ps/11.3kg・m)を搭載。上級および標準仕様には2E-LU型1295cc直列4気筒OHC12Vエンジン(81ps/11.0kg・m)を採用し、燃費志向ユニットとしてパーシャルリーンシステム付き(76ps/10.7kg・m。10モード走行燃費23.0km/l)を設定する。バンには2E-LJ型1295cc直列4気筒OHC12Vエンジン(81ps/11.0kg・m)を積み込んだ。組み合わせるトランスミッションには、2E-ELU型ユニットに5速MT、2E-LU型ユニットに5速MT/4速MT/3速AT、2E-LJ型ユニットに4速MTをセット。懸架機構は新世代のPEGASUSサスペンションで、フロントにL型ロアアームを配したマアクファーソンストラット式を、リアにトレーリングツイストビーム式を採用する。操舵機構はラック&ピニオン式で、スポーティグレードにはクイックなギア比を、SEおよびリセにはエンジン回転数感応型パワーステアリングを導入。スポーティグレードの足回りには、前ベンチレーテッドディスクブレーキや60扁平タイヤなどを奢っていた。

 

■“韋駄天ターボ”の登場でさらに人気がアップ

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スターレットの人気を決定づけたターボモデル。キャッチフレーズは“韋駄天ターボ”。写真のターボSとターボRを用意する。スターレットの人気を決定づけたターボモデル。キャッチフレーズは“韋駄天ターボ”。写真のターボSとターボRを用意する。

 

デビュー当初から好調なセールスを続けたかっとびスターレットは、1986年1月になるとその人気をさらに高めるスポーツモデルを追加する。2E-ELU型ユニットにインタークーラー付きターボチャージャーを組み込んだ2E-TELU型1295cc直列4気筒OHC12Vターボエンジンを搭載するターボS/ターボRだ。キャッチフレーズは“韋駄天ターボ”。過給圧が2段階に切り替えられる2モード・ターボシステムを採用し、パワー&トルクは標準モードで105ps/15.2kg・m、ローモードで91ps/13.4kg・mを発生した。また、外装には大型ルーフエンドスポイラー等のエアロパーツやINTERCOOLER turboデカールなどを、足回りにはストラット頂部パフォーマンスロッドや強化ダンパー&コイルスプリングなどをセット。ターボSには5速MTのほかに2ウェイOD付4速ATを用意した。

 

1986年12月にはマイナーチェンジを行い、内外装の一部変更とともに1N型1453cc直列4気筒OHCディーゼルエンジン(55ps/9.3kg・m)搭載車のNP70型を追加する。1987年12月になると再度のマイナーチェンジを実施。ターボモデルはエンジンのセッティング変更によって最高出力が標準モード110ps/ローモード97psにまでアップし、同時にグリル一体フォグランプやリアツインスポイラーなどを装備してホットハッチ感を引き上げる。また、キャッチフレーズは“辛口ターボ”に刷新された。さらに、1988年4月にはキャンバストップ仕様を追加。キャッチフレーズは辛口ターボとの対比で“甘口キャンバストップ”と称した。そして、1989年12月になってフルモデルチェンジが行われ、第4世代のEP82/NP80型“青春のスターレット”に移行したのである。

 

ところで、3代目スターレットは車歴を通してモータースポーツで活躍したモデルでもあった。ベース車は自然吸気のRiと過給器付きのターボR。参加カテゴリーは多岐に渡り、ラリーやダートラ、ジムカーナ、サーキットレースなどで活用される。また、TRD(Toyota Racing Development)の企画開催によるワンメイクレースも行われた。当時のモータースポーツ界では、「FFの基本を覚えるなら、まずK10(マーチ)かEP71(スターレット)に乗れ!」というのが定説だったのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる!日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。