トーゴに来た! アフリカに巨大なデジタル経済圏を生む「Google海底ケーブル」

【掲載日】2022年4月18日

20223月、西アフリカ地域に向けたGoogleの海底ケーブル「Equiano」が西アフリカのトーゴに陸揚げされたと報じられました。近年、巨大IT企業によるアフリカへの投資がヒートアップしていますが、Equianoの進展によりアフリカにおけるデジタル経済がまた一歩前進した格好です。

国際海底ケーブル「Equiano」の地図(画像提供/Google)

 

2019年に始まったEquianoプロジェクトは、欧州のポルトガルから西アフリカ各地を経由して南アフリカのケープタウンへの陸揚げを目指しています。18世紀後半にベニン王国(現ナイジェリア南部)で生まれ、奴隷解放運動を行った作家のOlaudah Equiano(オラウダ・イクイアーノ)にちなんで名付けられたこの国際海底ケーブルは、これからナイジェリアとナミビアにも陸揚げされる予定。同プロジェクトは西アフリカのインターネット環境を劇的に改善させ、その結果、巨大なデジタル経済圏が生まれると言われています。

世界の移動通信事業者等から成る国際業界団体GSM(GSM Association)の調査によれば、トーゴは人口(約828万人)の7割以上が携帯電話を所有する一方、世界銀行によるビジネス環境ランキングではアフリカで第6位。しかし、モバイル人口の高さに比較すると、インターネット環境が整っていないことがデジタル経済の推進における大きな課題の1つでした。モバイルのインターネット接続率は36%で、3G通信のカバー率は全人口の66%と、先進国の通信環境とは雲泥の差であります。

 

Googleの海底ケーブルの到達により、世界の潮流である5G通信環境の展開が視野に入るようになるため、トーゴを皮切りとして西アフリカ地域のデジタル経済が飛躍的に改善されることになるでしょう。急激な人口増加で若年層比率が非常に高い西アフリカは、今後の経済成長に伴う巨大市場の出現を狙った各国企業の進出が今後ますます増加すると思われます。

 

Meta(旧Facebook)主導の「2Africa」プロジェクトも進んでおり、アフリカのデジタル経済市場は想像を超えるスピードで発達していきそうです。

 

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「モバイル革命」に新展開! 携帯電話と機械学習が人道支援を改善する

【掲載日】2022年4月7日

コロナ禍において、各国政府や人道支援団体などは、さまざまな支援を行っています。しかし、そこには「誰を支援の対象とするか?」「対象基準はどのように設定するか?」という2つの問題があり、やり方を間違えれば、本当に支援を必要とする人に現金や援助物資が届きません。そんな中、機械学習と携帯電話を使って人道支援のターゲティングを改善するという研究が発表され、専門家の間で注目を集めています。

ケータイが人道支援をより良くする

 

西アフリカのトーゴ共和国は、新型コロナウイルスの流行が自国で表面化してきた2020年4月に、パンデミックの影響を最も受けた貧困層を対象とした現金配布プログラム『Novissi(同国で話されているエヴェ語で「団結」を意味する)』を始めました。トーゴの主要産業は農業で、アフリカの経済成長に伴い近年の国家経済は上昇傾向にありますが、国連の名目GDP国別ランキング(2020年)で213か国中157位となっているように、貧困は深刻な問題。そこで、本プログラムを実施するに当たって、トーゴ政府や支援団体は、貧困層の中から最貧困層を選別して、給付対象者として特定しようとしました。

 

大きな問題の1つは、支給対象者になる最貧困層を何の基準で特定するのか? トーゴでは自給自足で生活している人々が多いうえ、日本のように全国で統一されている住民基本台帳制度や世帯収入の特定なども存在しません。そんな条件を考慮して本プログラムでは、携帯電話を活用した機械学習プログラムをメインの判断基準として導入されました。

 

今回のプログラムをサポートしたのは、米国・カリフォルニア大学バークレー校情報学部の研究チーム。給付はデジタル通貨を対象者の携帯電話に送ることが前提条件で、支援が必要な人たちは、携帯電話とSIMカードを持っている必要があります。この時点で給付から除外されてしまう人も存在するかもしれませんが、成人の約65%、世帯の約85%が携帯電話を保持しているトーゴでは、戸籍や収入が特定できる仕組みが未整備であることも考慮すれば、携帯電話の使用は実現可能な範囲で最善の選択であると考えられます。

 

ターゲティングの主な基準は以下の通り3つ。

(1)携帯電話からNovissiのプラットフォームにダイヤルして基本情報を入力する

(2)特定の地域で投票をしている

(3)投票者登録の職業欄が非正規職業である

 

本プログラムでは、トーゴの主な携帯電話事業者2社が提供するメタデータに機械学習のアルゴリズムを適用し、加入者の財産や消費を測定することも行われています。メタデータに関しては、データの送受信量や通話日時などの記録、電子マネーの消費量、位置データなど、さまざまな情報が含まれており、個人情報やプライバシーの問題を併せ持っています。

 

ビッグデータがもたらす新たな商機

今回の試みは、人道支援だけでなくビジネスの観点からも示唆的です。これまで貧困層はあまり統計データがなかったため、ビジネスの対象になりづらかったのですが、これから彼らの行動などに関するビッグデータが蓄積されていけば、データドリブンによって貧困層向けビジネスのヒントが見えてくる可能性があります。モバイル革命に新展開が生まれるかもしれません。

 

【出典】Aiken, E., Bellue, S., Karlan, D. et al. Machine learning and phone data can improve targeting of humanitarian aid. Nature 603, 864–870 (2022). https://doi.org/10.1038/s41586-022-04484-9

 

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