もらえたらうれしい特産品だらけ! 超おトク、ふるさと納税 返礼品6選

普段からたくさんのモノに触れているGetNavi編集部員が、無数の返礼品からオススメをセレクト。なかなか手を出せないけれど、もらえたらうれしい、バラエティに富んだ特産品が揃った。

※こちらの記事は「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【No.1】本格派のいかめしが煮るだけで完成!

北海道森町

森町いかめしキット12尾入(たれ付き)

寄付金額2万1000円

内浦湾に面した森町は海の幸が豊富な街。水揚げされたばかりの新鮮ないかと、もっちりのうるち米、もち米の組み合わせが絶品。調味液と煮るだけですぐに楽しめる。

 

★ココに惚れた!

GetNavi編集部 クルマ担当

上岡 篤

いかめしの駅弁で有名な森駅のある森町。現地にはなかなか行きづらいので、冷凍で届いて煮込むだけで食べられるのはうれしい!

 

【No.2】ドローンを始めるきっかけに!

神奈川県秦野市

ドローン体験60分(基本操作・安全講習)

寄付金額3万4000円

プロの映像制作にも利用される本格派ドローン、DJI Phan tom 4 Proを使って操縦体験ができる返礼品。200×50mの広々とした敷地で、ドローンを思い切り飛ばせる。

 

★ココに惚れた!

GetNavi編集長

川内一史

興味はあるけれど、いきなり購入するのも……という人にピッタリ。操作の基本を学び、ドローンYouTuberを目指す第一歩になるかも!?

 

【No.3】大人気クラフトビールが全部入り!

埼玉県三芳町

コエドビール瓶12本セット(毬花、瑠璃、白、伽羅、漆黒、紅赤 全6種×2本)

寄付金額1万5000円

埼玉県を代表するクラフトビール。三芳町の農家が栽培したサツマイモが原料の「紅赤-Beniaka-」や、華やかな香りが口の中に広がる「瑠璃-Ruri-」など6種がセットに。

 

ココに惚れた!

GetNavi編集部 フード担当

鈴木翔子

元々コエドビールのファンですが、全種揃っているお店はあまりないので、飲み比べできるのがうれしい! 贈り物にも向いています。

 

【No.4】黒毛和牛ならではの旨みを堪能!

佐賀県唐津市

【創業60年】老舗肉屋の特上ハンバーグ10個

寄付金額1万2000円

ふるさと納税サイトの人気ランキング上位常連の逸品。九州産黒毛和牛をふんだんに使った、創業60年の味を自宅で楽しめる。140g×10個入りでボリュームも◎。

 

★ココに惚れた!

GetNavi副編集長

青木宏彰

夫婦2人暮らしなので、生モノではなく、保存しやすい真空パック冷凍のものを選びました。たくさん入っていて家計にもやさしい!

 

【No.5】高級マンゴーが完熟状態で届く!

宮崎県新富町

完熟マンゴー 宮崎県産 太陽のタマゴ

寄付金額2万円

宮崎県産で、糖度15度以上かつ質量350g以上の基準を満たした完熟マンゴーのブランド「太陽のタマゴ」が2玉セットに。濃厚な甘さと滑らかな食感で人気の逸品。

 

★ココに惚れた!

GetNavi編集部 ファッション担当

金矢麻佳

自腹だと躊躇する価格の希少なマンゴーなので、返礼品だからこそ味わえます。届くのは来年4〜7月と先ですが、いまから楽しみ!

 

【No.6】普通の食パンが絶品のトーストに!

兵庫県加西市

アラジン グラファイトトースター AET-GS13B(W)

寄付金額3万円

0.2秒で発熱する特許技術「遠赤グラファイト」を搭載。高温で一気に焼き上げることで、外はカリッ、内はモチモチとしたトーストに。2枚まで同時に焼くことが可能。

 

★ココに惚れた!

GetNavi編集部 デジタル担当

森 有史

おいしいトーストを焼けて、見た目もオシャレだから生活が豊かに! 実売価格と寄付金額を比較すると、おトクに入手できるのもイイ。

高級トースター、どれが買い?――GetNaviが贈るお悩み解決バラエティ番組「クラベスト」第4回放送中!!

GetNaviと、アクトオンTV(J:COM 701ch.などで放送中)がタッグを組んだモノクラベ番組「クラベスト!」(毎月24日更新)。第4回目の今回、目利きたちがプレゼンするのは「空気清浄機」です!!

 

クラベスト第4回「高級トースター」はコチラでご覧いただけます!

http://webcast.actontv.com/movie/1803kurabest.html?ref_e=qr

 

 

 

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MCはこの人
タレント ホリさん

木村拓哉、武田鉄矢、えなりかずき、テリー伊藤などのネタでおなじみのモノマネ芸人。家電好き。

 

 

【今回のお悩み】高級トースター、どれが買い?

 

ゆかこさん
フードコーディネーターとしてレシピ開発やドラマの料理監修などを行う。現在、自身の料理本も制作中。

 

 

【3人の目利きが高級トースターをプレゼン】

 

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タレント 井上咲楽さん
太い眉毛がトレードマークの現役JKタレント。本企画にはSNSなどの情報を元に一般ユーザー代表として参戦。

【咲楽イチオシ】
高級トースターブームの火付け役がこちら!

バルミューダ
BALMUDA
The Toaster
実売価格2万4730円

独自のスチーム技術とセンサーによる徹底した温度制御機能が特徴。パンの表面に薄い水分膜を作ることで、外はカリカリ、中は水分をキープしたままふっくらと焼き上げる。

 

 

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女優・タレント 奈津子さん
芸能活動のかたわら、家電アドバイザー(エグゼクティブ等級)の資格を取得。家電の品評・執筆もしている。

【奈津子イチオシ】
「ヘルシオ」初のウォーターオーブン専用機

シャープ
ヘルシオ グリエ
AX-H2
実売価格3万5810円

過熱水蒸気エンジンを搭載したウォーターオーブン専用機。水を使わないオーブン加熱の約8倍の熱量で、ノンフライ調理から惣菜の温め直しまでおいしく仕上げる。異なる食材の同時調理も可能。

 

 

 

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GetNavi編集長 野村純也
生活家電やデジタル製品の最新トレンド・新作情報に精通。GetNaviのプライドをかけて熱烈プレゼンを行う!

【野村イチオシ】
360°回転あぶり焼きで肉の本格調理も可能!

パナソニック
ロティサリーグリル&スモーク
NB-RDX100
実売価格4万9950円

トースター機能のほか、かたまり肉をゆっくりと360°回転させて焼くロティサリーグリル機能を搭載した個性派。「遠近赤外線ダブル加熱」で、お店レベルの肉料理が手軽に作れる。燻製機能も装備。

 

 

回転炙り焼き機能を搭載した肉好き垂涎の最新調理家電

ホリ さぁ、始まりました「クラベスト!」。この番組では、欲しいモノがあるんだけど何を買えばいいのかわからない、そんな方のために最強の目利きたちがイチオシの逸品をプレゼンします。今回の相談者は、フードコーディネーターのゆかこさんです!

 

ゆかこ よろしくお願いします。

 

ホリ ゆかこさんがトースターを欲しい理由は?

 

ゆかこ 家でもパンを焼き立てみたいにおいしく食べたいなと思って。あと、最近はいろんな調理機能が搭載されているようなので、料理にも使ってみたいです。

 

ホリ なるほど。では早速、プレゼンタイムです。まずは野村編集長、よろしくお願いします!

 

野村 今回私がオススメするのは、パナソニックの「ロティサリーグリル&スモーク」です。

 

ホリ なんだか不思議な形ですね。

 

野村 まさにこの形状が特徴のひとつでして。庫内が広いので食パンは一度に4枚焼けます。また、直径25㎝のピザもカットせずにそのまま焼くことが可能です。

 

ホリ お子さんのいるご家庭にはぴったりですね。

 

野村 そして、ここからがスゴいんです! こちらの商品の最大のウリが「360°回転ロティサリーグリル」機能になります。

 

ホリ ロティサリー? なんですか、それは?

 

野村 庫内にセットしたかたまり肉を、低速回転させながらゆっくり炙り焼きする機能でして、たとえば、ローストビーフや焼き豚などを手軽に、しかもおいしく作ることができるんです。

 

ゆかこ へ〜! これひとつで本格的な肉料理が楽しめるのはいいですね。しかも、じっくり時間をかけて焼き上げるので、ジューシーに仕上がりそう。

 

ホリ ホームパーティなんかにももってこいですね!

 

 

“過熱水蒸気”と“水蒸気”がおいしさを生む2大人気モデル

ホリ 続いては、奈津子さん!

 

奈津子 私が選んだ「ヘルシオ グリエ」のセールスポイントは、「過熱水蒸気調理」機能です。

 

ホリ だから本体に水を入れたタンクがセットされてるんだ!

 

奈津子 そうなんです。ヒーターの熱ではなく、過熱水蒸気で調理するため、トーストはカリふわの絶妙な焼き加減に仕上がります。さらにスゴいのが、異なる食材が混在していてもセンサーでそれぞれの温度を分析して上手に調理してくれる「まかせて調理」。

 

ホリ ズボラ女子の奈津子さんがオススメするからには、よっぽど便利な機能なんだろうね(笑)。

 

奈津子 ズボラ女子代表として自信を持ってオススメします(笑)。例えば、食パンと一緒に卵とソーセージなんかも同時に調理ができて、朝ごはんを作る手間や時間を大幅に短縮できちゃいます。

ゆかこ 冷凍しておいたパンでも大丈夫なんですか?

 

奈津子 もちろん、大丈夫です。

 

ゆかこ すごく使ってみたいです。

 

ホリ おー! パン好きのゆかこさんのハートを掴んだかー!? 最後は咲楽ちゃん、どうぞ!

 

咲楽 私のイチオシは、高級トースターのパイオニア、バルミューダの「BALMUDA The Toaster」です。

 

ホリ オレも持ってる。これでパンを焼くと、びっくりするくらいおいしくなるよね!

 

咲楽 加熱モードは「トースト」「チーズトースト」「フランスパン」「クロワッサン」「クラシック」の5つのモードが用意されていて、最適な温度と加熱時間でそれぞれのパンのおいしさを最大限に引き出します。

 

ゆかこ パンの種類に合わせて温度を細かく設定しなくていいのは、すごく使いやすそう。

 

咲楽 また、パン専用というイメージが強いですが、実はローストビーフなんかも作れちゃいます。

ホリ マジで!? 知らなかった!

 

咲楽 しかも、下味をつけてフライパンで表面を焼いたら、あとは「フランスパン」モードで熱をゆっくりと入れるだけ。家庭で手軽にプロ顔負けの味が楽しめます。

 

ホリ うーん、それぞれに良さがあって悩ましいぞ。果たして、ゆかこさんが選ぶのは!?

 

【結論】
相談者・ゆかこさんが選んだのはコチラ


パナソニック
ロティサリーグリル&スモーク
NB-RDX100

「これ1台でロティサリーグリルや燻製などいろんな調理に挑戦できるところにすごく惹かれました。あと、家族がいるので、トーストを一度に4枚焼ける点もいいですね」(ゆかこさん)

 

 

information

ビックカメラ 新宿西口店では「クラベスト!」コーナーを展開中!!

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ビックカメラ 新宿西口店(東京)では、「クラベスト!」の特設コーナーを展開中。番組内で紹介された製品が展示されており、自由にじっくりお試しできます!

ビックカメラ新宿西口店

http://www.biccamera.co.jp/shoplist/shop-016.html

ビックカメラのネットショップ「ビックカメラ.com」はコチラ!

https://www.biccamera.com/bc/main/

自己満足から“ユーザーがうれしい”モノ作りへ。バルミューダ流「モノ・こと・時間」の作り方

自然界の風を再現する扇風機「The GreenFan」や、最高の香りと食感を実現するトースター「BALMUDA The Toaster」など、斬新なアイデアでヒット商品を生み出しているバルミューダ。創業者である寺尾 玄氏はなんと、元ミュージシャンという異色のキャリアの持ち主だ。

 

ロックスターの夢を諦めた、家電にはまったくの素人が事業を起こし、度重なる倒産の危機を乗り越え、導き出した経営哲学。現在バルミューダが掲げる「ものより体験」というポリシーは、どのように形成していったのでだろうか? 製品の開発エピソードを振り返りながら、ヒットの裏に隠された「寺尾 玄の理念」に迫る。そこから見えてきたのは、この時代を生き抜くためのヒントだった。

 

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値段が高いから売れないんじゃない。人々に必要とされるものを作らないから売れないんだ

——バルミューダは、パソコンの周辺機器から扇風機、トースターやレンジと、これまでいろいろな商品を発売してきました。それに合わせて、ものづくりのポリシーも変わってきたんでしょうか?

寺尾 玄社長(以下、寺尾):はい、変わってきました。創業時と同じポリシーでやっていたら、現在のバルミューダはなかったと思っています。振り返ってみると、大きく3つの段階がありました。ひとつ目は創業時。自分が欲しいと思う、カッコイイものを作ることしか考えていなかった時代です。そんな考えで商品を作っても、人々に受け入れてもらえるはずがないですよね。でも当時の私は、売れない理由を価格のせいにしたり、お客さんのせいにしていました。リーマンショックの影響が残っていた2009年、私を含めて3人の会社で、年商が4500万円、決算が1400万円の赤字で借金が3000万円。そして、注文は1か月間で1件もこない……。これで終わったと思いました。結局、会社が倒産寸前になるまで、ビジネスで最も重要なことに気が付けなかったんですね。

2003年発売の「X-Base」(実売価格3万7584円〜)。アルミから削り出して作られた、ノートPCの冷却台。温度差によって生じる空気の対流を利用し、平均してマイナス7℃という高い冷却性能を確保した↑2003年発売の「X-Base」(実売価格3万7584円〜)。アルミから削り出して作られた、ノートPCの冷却台。温度差によって生じる空気の対流を利用し、平均してマイナス7℃という高い冷却性能を確保した

 

2008年発売のLEDデスクライト「Airline」(実売価格8万6400円)。スプリングとウエイトを内蔵したハイブリッドバランス機構によって、ユーザーによってちょうどいい位置へ、静かに軽く動きぴたりと止まる。アルミ中空構造によるソリッドなデザイン。鏡面仕上げされたホワイトとブラックの2色↑2008年発売のLEDデスクライト「Airline」(実売価格8万6400円)。スプリングとウエイトを内蔵したハイブリッドバランス機構によって、ユーザーによってちょうどいい位置へ、静かに軽く動きぴたりと止まる。アルミ中空構造によるソリッドなデザイン。鏡面仕上げされたホワイトとブラックの2色

 

——それは、どういう気付きだったんでしょうか?

寺尾:会社から自宅への帰り道にファミリーレストランの前を通るんですが、世の中は未曾有の金融危機で自分の会社は潰れそうになっているのに、店内ではお客さんが楽しそうに食事をしているんです。その姿を見たときに、はっきりとわかったんです。商品が高いから売れないんじゃない、人々に必要とされるものを作ってこなかったから売れないんだ、と。もう少し早く気が付けばよかったんですが、タイムマシーンは持っていませんからね。まだ会社が存続しているうちに、人の役に立つものを作って、結果ダメでも前に倒れようと思いました。そんな想いで無心になって開発に取り掛かったのが、「GreenFan」(現在「The GreenFan」)という扇風機でした。

2010年に登場し、バルミューダのブレイクスルーとなった商品が、扇風機「GreenFan」。羽根の構造をイチから見直し、“扇風機の風に直接当たると不快”というイメージを根底から覆した。DCモーターにより消費電力を極限まで抑えられ、2011年の東日本大震災を契機に高まった節電需要にも応え、さらに注目を浴びることとなった。最新モデルは「The GreenFan」(実売価格3万8860円)↑2010年に登場し、バルミューダのブレイクスルーとなった商品が、扇風機「GreenFan」。羽根の構造をイチから見直し、“扇風機の風に直接当たると不快”というイメージを根底から覆した。DCモーターにより消費電力を極限まで抑えられ、2011年の東日本大震災を契機に高まった節電需要にも応え、さらに注目を浴びることとなった。最新モデルは「The GreenFan」(実売価格3万8860円)

 

最大の特徴は、二重構造の羽根。羽根を内周と外周で分割することで、速度の速い風と遅い風を同時に作り出し、元々の風がもつ渦を打ち消すことに成功。これによって“自然界の風”を再現した↑最大の特徴は、二重構造の羽根。羽根を内周と外周で分割することで、速度の速い風と遅い風を同時に作り出し、元々の風がもつ渦を打ち消すことに成功。これによって“自然界の風”を再現した

 

本当はものが欲しいのではなく、使ったときの経験や体験が欲しいんじゃないか

——2010年に発売された「GreenFan」は、普通の扇風機の10倍もする高価格で驚きました。ところが、自然の風を再現する新しい扇風機として、大ヒットしましたね。

寺尾:人に必要とされるものが作れたんだなと思いました。その後、サーキュレーターや空気清浄機などの空調家電でラインナップを広げていくんですが、実はもう一度危機に陥るんです。

——なぜですか?

寺尾:今度は、多すぎる在庫です(苦笑)。「GreenFan」が評価されたので、作れば売れると思ってしまいました。でも扇風機が売れるのは、夏の3か月間だけなんです。例えば、ひと夏で5万台くらいの販売計画を立てるとします。売れ行きを読み間違えると、1万台くらい在庫になってしまう。これらが売れるのは次の年です。つまり、数億円分が倉庫で1年も眠ることになるんです。夏の商品も冬の商品も、季節家電はすべて同じ。在庫を持つことは、恐ろしいほどの事業インパクトになるんです。実際に倉庫まで足を運んで、自分の目で在庫の山を見たとき、“ものを売ろう”と思っていた根性が間違っていたと気付きました。

 

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——“ものを売る”ことが間違っていた、と? では何を売るんですか?

寺尾:例えば30万円の時計を買ったとします。980円で売ってるキャラクター時計でも機能は同じなのに、なぜ人は高価な時計が欲しくなるのか? それは所有する歓びであったり、他人から見られる自分の品質にお金を出しているわけですよね。人はたくさんものを買いますが、本当はものが欲しいのではなく、使ったときの経験や体験が欲しいんじゃないかと、自分なりの仮説を立てたんです。

「ものより体験」。この仮説をもとに開発した商品が、「BALMUDA The Toaster」でした。このトースターは、デザインも音も焼き具合の制御もすべて、パンを口に入れる瞬間のために作ったんです。つまり、体験のためだけ。お客さんが「BALMUDA The Toaster」を使って食べるトーストの素晴らしさを作っているんだという想いで商品を作ったら、すごく上手くいきました。現在も「ものより体験」というポリシーで商品企画をしていますし、今のところそれが上手くいってるんだと思います。

バルミューダが初のキッチン家電として発売し2度目のブレイクスルーをもたらした「BALMUDA The Toaster」(実売価格2万4732円)。最初に注入する5ccの水が焼き始めにパンを蒸気で包み込み、焼き上がりまで細かく温度制御を行うことで、中はふわふわ外はカリッとおいしさが閉じ込められたトーストを焼ける。同製品の大ヒットは、大手家電メーカーが次々と高級トースターを発売するムーヴメントを作り出した↑バルミューダが初のキッチン家電として発売し2度目のブレイクスルーをもたらした「BALMUDA The Toaster」(実売価格2万4732円)。最初に注入する5ccの水が焼き始めにパンを蒸気で包み込み、焼き上がりまで細かく温度制御を行うことで、中はふわふわ外はカリッとおいしさが閉じ込められたトーストを焼ける。同製品の大ヒットは、大手家電メーカーが次々と高級トースターを発売するムーヴメントを作り出した

 

——その「BALMUDA The Toaster」は2015年に発売されましたが、今までにどれくらい売れているんですか?

寺尾:発売から2年半経っていますが、売れ行きは30万台を超え、2017年11月には過去最高のセールスを更新しました。今月(2017年12月取材時)はそれをさらに上回る勢いです。仮説が当たっていたという感覚を、強く抱かせる結果だと思います。でも私は、少し違和感も感じているんですよ。

——右肩上がりで順調に売れている商品なのに、ですか?

寺尾:個人的にはここまで売れると思っていなかったので、現状とのギャップを感じているんです。でもこの“違和感”こそが重要なポイントです。少しでも違和感を感じたとき、自分の予想と違ったときは、徹底的にその理由を考えるようにしています。それは、不調のときも好調のときも同じ。だから予想を上回る販売なら、なぜだ? と徹底的に考え、それを次に生かしていきます。思ってもないことが起こるのが人生ですし、そのときが考えどき。私は少なくともひとつの仮説を立てて、次に行動するときはその仮説を信じて行動します。これを繰り返してきたので、以前と比べると失敗することが減りましたね。以前と比べると、ですけど(笑)

——失敗を回避するための心掛けですね。

寺尾:そうです。でも、失敗を避けるために挑戦をしないという考え方は間違っています。挑戦して失敗するのは、とても大事なことですから。私も失敗は大嫌いだし、したくないことナンバー1です。でも失敗という経験がないと、よりよい自分になれないんですね。失敗は最良の学びの場ですから。

 

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五感で感じられるものを“うれしさ”まで昇華しないと、お客さんの心には残らないと思うんです

——バルミューダの最新作として、2017年末に「BALMUDA The Range」が発売されました。この商品も、「ものより体験」をコンセプトに開発されたわけですよね?

寺尾:「BALMUDA The Toaster」で「ものより体験」というコンセプトを打ち出してから、おいしさに関係する商品を発売してきました。でも、おいしさイコール素晴らしい体験ではないんです。

——違うんですか?

寺尾:はい。「おいしい」が、本当うれしさに直結して選ばれるものなのでしょうか。例えば、仕事の会食で行った星付きレストランと、子供と山登りした帰りに腹ペコで立ち寄ったチェーン店の牛丼屋。味の上質さでは星付きレストランのほうが上でしょう。でも、どっちを体験したいかと聞かれたら、私は後者を選びます。つまり、ものを食べるときは、おいしさよりも大事なものがあると思うんです。それが“うれしさ”。おいしい、美しい、気持ちいいといった五感で感じられるものを、うれしさまで昇華しないと、お客さんの心には残らないと思うんです。

「BALMUDA The Range」の話に戻りますが、電子レンジって便利の象徴ですよね。火を使わず、お湯も沸かさずに、あんなに短時間で簡単に温かい食べ物が出来上がってくる。そんな魔法のような製品は、マイクロウェーブの発明以前は存在しませんでした。もう、そもそも電子レンジというもの自体が素晴らしいですよね。でも、電子レンジが当たり前の家電になって、そのことを忘れてしまっている。箱の中で何かが起きている、そのワクワク。それをどう表現するかが、「BALMUDA The Range」の企画の始まりでした。

2017年12月に新発売された電子レンジ「BALMUDA The Range」(実売価格4万6980円(ホワイト、ブラック)/5万8860円(ステンレス))。バルミューダが送り出す4作目のキッチン家電。搭載されているのはレンジの「温め」「解凍」、オーブン機能とシンプルで、ユーザーを惑わせない。出来上がりには“チン”の代わりにギターの音がモードごとに音階を変えて流れてくる遊び心も↑2017年12月に新発売された電子レンジ「BALMUDA The Range」(実売価格4万6980円(ホワイト、ブラック)/5万8860円(ステンレス))。バルミューダが送り出す4作目のキッチン家電。搭載されているのはレンジの「温め」「解凍」、オーブン機能とシンプルで、ユーザーを惑わせない。出来上がりには“チン”の代わりにギターの音がモードごとに音階を変えて流れてくる遊び心も

https://www.balmuda.com/jp/range/

 

寺尾:ここでもっとも重要視したのが、“簡単さ”です。レンジはキッチンの行動を簡単にするために生まれたのに、操作が複雑すぎると感じていました。これをあるべき姿にしようとしたのが企画の始まりです。それに加えて“ちょっとうれしい”という感覚を、機械で表現できないかと試行錯誤して作り上げた商品なんです。この商品がお客様のご家庭に入って、ちょっとうれしいなって思わせることができるかは、まだわかりません。これからです。ベストは尽くしました。

——バルミューダはものをつくりながら、その先に人を見ているわけですね?

寺尾:そうです。結局、全人類が欲しがるものは、素晴らしい人生なんだと思います。人生は体験の積み上げなので、そのひとつひとつの体験を少しでも素晴らしいものにすることが、メーカーができる最大の社会貢献だと思うんです。私が「ものよりこと」ではなく「ものより体験」と言っている理由は、“時間”という概念にあります。デザイン家電には美しさという“こと”が含まれていますが、その喜びは一瞬で、使ったときにどれだけうれしいか、驚くか。それには、時間が必要なんです。その時間軸の考え方が、私が「ものより体験」と言っている理由なんです。

 

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人生は短い。だからやりたいことをやれるのが幸せなんだと思います

——では、寺尾さんが想う、素晴らしい人生とは?

寺尾:人それぞれだと思いますけど、自分にとっては持てるエネルギーをすべて使って完全燃焼することですね。やりきるということが、私にとっての素晴らしい人生。とにかく燃え尽きたい。

——ミュージシャンとして活動していた頃は、燃え尽きることができなかったのでしょうか?

寺尾:燃え尽きるために必要なのは、やっぱり夢なんですね。やりたいことしか夢中になれないですし、夢中にならないと燃え尽きることはできないですよね。私は最後のバンドが解散したときに、もう自分にできることが残っていないと思ってしまった。つまり、その時点でやりきっていたんですね。夢が終わったと実感したんです。

——もう音楽への未練はないですか?

寺尾:自分がロックスターになろうとは、もうまったく思いません。今は、この会社こそがバンドであり、ひとつひとつの商品が歌なので。つまり、バルミューダがロックスターになればいいんです。世界中の人が、この会社が提供する商品に驚き、喜んでくださるというのが、私が目指しているバルミューダ像です。それは家電メーカーというよりも、ロックスターのイメージですね。

——創業当時はおもしろい商品を作っていたのに、企業規模が大きくなると身軽ではなくなり、迷走してしまう企業も少なくありません。バルミューダは現在社員90名の会社で、今後もますます成長していくことと思います。常におもしろい商品を開発していける企業であるためには、何が大切だと思いますか?

寺尾:今おっしゃった“迷走してしまった企業”とは、大きくなったからという理由だけではないと思います。創業者がいなくなったということも大きな要因じゃないでしょうか。例えば創業者は、会社がまだなかった時期を知っています。2代目や3代目、はたまた6代目の社長は、先代からバトンを引き継いだ時期から社長業が始まる。このバトンだけは死守しなければ、と思うのではないでしょうか。

それに創業者は、わざわざ創業しているので、何か理由があるわけですよね。他の人を喜ばせようという想いから起業に繋がっていくんだと思います。人の役に立ちたいと思って仕事をしている人と、会社を守っていくために仕事をしている人では、目的が違います。人間は人間のことが好き、それが社会基盤です。だから、人の役に立とうという魂が欠如したら、その会社は活躍することができなくなるかもしれません。

——バルミューダにはどんな未来が待っていると思いますか?

寺尾:100年後にはなくなっているかもしれません。繰り返しになりますが、会社は人の役に立つためにあり、続けるためにあるものではないと思います。すべてのものは有限です。永遠のものなんてないんだから、その事実をはっきりと認めたほうがいいと思います。どうやって終わるかわかりませんけれど、この会社はいつか必ず終わります。我が命もまたそう。それがわかっているから、存分に働けるうちに働き、世の中と驚かせる商品を開発していきます。

——最後に、今日もどこかで働いている読者にメッセージをお願いします。

寺尾:自分はやりたいことをやっているか?と自問自答することが大切だと思います。人生は短いです。もたもたしているうちに、引き返せない場所まで行ってしまうかもしれない。だから、やりたいことをやれるのが幸せなんだと思います。やりたいことじゃないと、夢中になって頑張ることはできませんから。

 

【プロフィール】

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バルミューダ 代表取締役 / 寺尾 玄
1973年生まれ。高校中退後、ヨーロッパを放浪。ブルース・スプリングスティーンに憧れ、帰国後に音楽活動を開始する。2001年のバンド解散後、ものづくりの道へ。下町の工場へ飛び込み、設計や製造に関するノウハウを頭と体に叩き込む。2003年、有限会社バルミューダデザイン設立。2011年4月に社名をバルミューダ株式会社へと変更する。近著「行こう、どこにもなかった方法で」(新潮社)

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『行こう、どこにもなかった方法で』
1728円/新潮社

 

取材・文=馬渕信彦、@Living編集部 撮影=真名子

 

何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」

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家電ライターが選ぶ「トースター大賞」はどれ? 話題の高級トースター3モデルを4項目で実力チェック

近年、トースターでは、機能性を高めた高級モデルが登場し注目を集めています。買うなら少しでも自分に合ったものを選び、末永く使いたいところですね。そこで今回は家電ライター小口 覺さんに依頼し、パナソニック、シロカ、バルミューダの高級トースター3機種の「焼き上がり」「調節しやすさ」「メンテナンス性」「使い勝手」の4項目を、各5点満点でテストしてもらいました!

 

味の安定と実用度を 重視して評価した結果は?  

トースターはそれぞれ加熱方式に独自性があります。トーストの焼き上がりに注力したバルミューダ、フライの温めや焼き芋、モチなどもオートキーで設定できるパナソニック、余熱なしでノンフライ調理を可能にしたシロカと、得意技は三者三様。今回は食パンと総菜パンで味の評価を行いました。

 

エントリーその1

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パナソニック

コンパクトオーブン NB-DT51

実売価格1万4540円

外はこんがり、中までしっかり温まる「遠赤外線ダブル加熱」を採用。●サイズ/質量:約W331×H263×D305mm/約3.3kg

 

焼き上がり:4.5/5点

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食パンは外はしっかり、中はしっとりと焼けました。総菜パンも表面が焦げるようなことがありませんでした。

 

調節しやすさ:5/5点

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焼き色は専用のボタンにより5段階に調節できます。タイマー設定もデジタルでわかりやすいです。

 

メンテナンス性:5/5点

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庫内が広く手を入れて掃除しやすいです。パンくずトレイも簡単に引き出せます。焼き網は着脱可能です。

 

使い勝手:5/5点

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庫内に高さがあるので、背の高いパンなども調理可能。奥が見やく、調理状態も確認しやすいです。

 

エントリーその2

シロカ ハイブリッド オーブン トースター ST-G111

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シロカ

ハイブリッド

オーブン トースター ST-G111

実売価格2万4300円

瞬間発熱ヒーターと、熱風循環方式を採用。ノンフライ調理も可能です。●サイズ/質量:約W350×H229×D362mm/約4.2kg

 

焼き上がり:4.5/5点

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食パンの焼き上がりはちょうど良かったです。火力が強く、総菜パンなどは焦げやすい場合があります。

 

調節しやすさ:4.5/5点

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加熱モードの切り替え(4種類)や温度設定が可能です。タイマーはアナログのダイヤル式を採用。

 

メンテナンス性:5/5点

20171122_suzuki20

パンくずトレイは容易に引き出せます。焼き網は固定の線枠に載せるタイプで水洗いもしやすいです。

 

使い勝手:5/5点

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食パンを4枚同時に焼けます。家族の多い、もしくはたくさん食べる家庭にはありがたいですね。

 

その3

バルミューダ BALMUDA The Toaster

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水蒸気でパンの表面をカリッと焼き上げるスチームテクノロジーを採用。●サイズ/質量:約W357×H209×D321mm/約4.3kg

 

焼き上がり:5/5点

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トーストのカリッとした焼き上がりは圧倒的。中もモッチリ。総菜パンでは差が感じられにくい。

 

調節しやすさ:4/5点

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トーストやクロワッサンなど、パン中心の4種類のモードと3つの温度設定が切り替えられます。

 

メンテナンス性:4/5点

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本体を持ち上げないとパンくずトレイが引き出しにくいです。焼き網は着脱できるので水洗い可。

 

使い勝手:4.5/5点

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調理前に専用カップで水を吸水口に注ぎます。ひと手間がかかりますが、これを儀式として楽しみたいです。

 

トースター大賞:パナソニック コンパクトオーブン NB-DT51

総評:どんなパンやメニューも 失敗することなく焼き上げる

NB-DT51は、これといった弱点が見当たらない、オールラウンドなトースター・オーブンです。メンテナンス性など日常的な使い勝手が良く、庫内に高さがあるため、トースト以外の用途にも活用しやすいです。前面には多くのメニューボタンが備わり、料理の初心者もワンタッチで調理できます。反面、デザインはオシャレとは言い切れず、設置スペースもそれなりに必要な点で、シロカやバルミューダを選ぶ余地もあります。

家電ライターが選ぶ「トースター大賞」はどれ? 話題の高級トースター3モデルを4項目で実力チェック

近年、トースターでは、機能性を高めた高級モデルが登場し注目を集めています。買うなら少しでも自分に合ったものを選び、末永く使いたいところですね。そこで今回は家電ライター小口 覺さんに依頼し、パナソニック、シロカ、バルミューダの高級トースター3機種の「焼き上がり」「調節しやすさ」「メンテナンス性」「使い勝手」の4項目を、各5点満点でテストしてもらいました!

 

味の安定と実用度を 重視して評価した結果は?  

トースターはそれぞれ加熱方式に独自性があります。トーストの焼き上がりに注力したバルミューダ、フライの温めや焼き芋、モチなどもオートキーで設定できるパナソニック、余熱なしでノンフライ調理を可能にしたシロカと、得意技は三者三様。今回は食パンと総菜パンで味の評価を行いました。

 

エントリーその1

20171122_suzuki31

パナソニック

コンパクトオーブン NB-DT51

実売価格1万4540円

外はこんがり、中までしっかり温まる「遠赤外線ダブル加熱」を採用。●サイズ/質量:約W331×H263×D305mm/約3.3kg

 

焼き上がり:4.5/5点

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食パンは外はしっかり、中はしっとりと焼けました。総菜パンも表面が焦げるようなことがありませんでした。

 

調節しやすさ:5/5点

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焼き色は専用のボタンにより5段階に調節できます。タイマー設定もデジタルでわかりやすいです。

 

メンテナンス性:5/5点

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庫内が広く手を入れて掃除しやすいです。パンくずトレイも簡単に引き出せます。焼き網は着脱可能です。

 

使い勝手:5/5点

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庫内に高さがあるので、背の高いパンなども調理可能。奥が見やく、調理状態も確認しやすいです。

 

エントリーその2

シロカ ハイブリッド オーブン トースター ST-G111

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シロカ

ハイブリッド

オーブン トースター ST-G111

実売価格2万4300円

瞬間発熱ヒーターと、熱風循環方式を採用。ノンフライ調理も可能です。●サイズ/質量:約W350×H229×D362mm/約4.2kg

 

焼き上がり:4.5/5点

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食パンの焼き上がりはちょうど良かったです。火力が強く、総菜パンなどは焦げやすい場合があります。

 

調節しやすさ:4.5/5点

20171122_suzuki19

加熱モードの切り替え(4種類)や温度設定が可能です。タイマーはアナログのダイヤル式を採用。

 

メンテナンス性:5/5点

20171122_suzuki20

パンくずトレイは容易に引き出せます。焼き網は固定の線枠に載せるタイプで水洗いもしやすいです。

 

使い勝手:5/5点

20171122_suzuki30

食パンを4枚同時に焼けます。家族の多い、もしくはたくさん食べる家庭にはありがたいですね。

 

その3

バルミューダ BALMUDA The Toaster

20171122_suzuki34

水蒸気でパンの表面をカリッと焼き上げるスチームテクノロジーを採用。●サイズ/質量:約W357×H209×D321mm/約4.3kg

 

焼き上がり:5/5点

20171122_suzuki28

トーストのカリッとした焼き上がりは圧倒的。中もモッチリ。総菜パンでは差が感じられにくい。

 

調節しやすさ:4/5点

20171122_suzuki25

トーストやクロワッサンなど、パン中心の4種類のモードと3つの温度設定が切り替えられます。

 

メンテナンス性:4/5点

20171122_suzuki26

本体を持ち上げないとパンくずトレイが引き出しにくいです。焼き網は着脱できるので水洗い可。

 

使い勝手:4.5/5点

20171122_suzuki24

調理前に専用カップで水を吸水口に注ぎます。ひと手間がかかりますが、これを儀式として楽しみたいです。

 

トースター大賞:パナソニック コンパクトオーブン NB-DT51

総評:どんなパンやメニューも 失敗することなく焼き上げる

NB-DT51は、これといった弱点が見当たらない、オールラウンドなトースター・オーブンです。メンテナンス性など日常的な使い勝手が良く、庫内に高さがあるため、トースト以外の用途にも活用しやすいです。前面には多くのメニューボタンが備わり、料理の初心者もワンタッチで調理できます。反面、デザインはオシャレとは言い切れず、設置スペースもそれなりに必要な点で、シロカやバルミューダを選ぶ余地もあります。

「やっぱりレンジは必要でした」とライター痛感! “先祖返り”したシャープ「ヘルシオ グリエレンジ」そのメリットは?

16年10月にシャープから登場したウォーターオーブン専用機「ヘルシオ グリエ」。見た目も大きさもほぼオーブントースターと同等で、トーストはもちろんのこと、買ってきた揚げ物などのお惣菜や冷凍食品などを、出来たてのように美味しく温められるとして、瞬く間に話題になりました。

 

せっかく単機能化したものを、また多機能化するのか?

20171204-s3-(27)↑「ヘルシオ グリエ」に比べて一回り大きくなった「ヘルシオ グリエレンジ」。サイズ/質量はW470×D405×H280mm/約13kgです

 

そして今回、ヘルシオ グリエに電子レンジ機能を加えた「ヘルシオ グリエレンジ AX-HR2」(実売予想価格5万9270円)が、12月中旬に登場すると発表されました。えっ? ヘルシオ グリエは、もともとウォーターオーブン「ヘルシオ」から電子レンジ機能を省いたものだったはず。せっかくわかりやすく単機能にしたのに、また多機能化しちゃうの? そうなると、いったいどんなメリットが? 大きさや使い勝手は? …といろいろと疑問に思ったため、ひと足先に自宅で使わせてもらいました。

 

通常の熱風に比べて約8倍もの熱量がある過熱水蒸気で温める

さて、まずはそもそも従来機の「ヘルシオ グリエ」はどんなものか、確認していきましょう。ひとことでいうと、こちらは過熱水蒸気調理のみができる「ウォーターオーブン専用機」。100℃で気化した飽和水蒸気をさらに加熱した「過熱水蒸気」を熱源として調理するもので、通常の熱風に比べて約8倍もの熱量で温められます。

サイズ/質量:W412×D315×H218mm/約6.3kg↑従来機のヘルシオ グリエ AX-H1。サイズ/質量はW412×D315×H218mm/約6.3kg

 

そのため、食材の表面だけでなく、中までしっかり熱が入り、買ってきた天ぷらや唐揚げの衣はサクッと、中はふっくら、まるで出来たてのように美味しく温められるわけです。さらに食材の脂が外に浮き出し、余分な油が水とともに落ちるため、よりヘルシーに調理できるのも特徴です。

 

しかし、従来機のヘルシオ グリエは「ウォーターオーブン専用機」ゆえ、できるのは過熱水蒸気調理だけで、普通にお弁当や料理などを温めたい場合は、別途、電子レンジが必要でした。そこで一人暮らしや、子どものいない共働きの夫婦世帯など、「買ってきた惣菜や冷凍食品などを温めて食べることが多い」というユーザーから、「冷凍ごはんや煮物なども温められたらいいのに」との要望があり、今回、「レンジ機能」を搭載した「ヘルシオ グリエレンジ」の発売に至ったわけです。

20171204-s3-(26)↑ヘルシオ グリエレンジには「レンジ」ボタンが追加になりました

 

↑トレイは、過熱水蒸気調理とレンジ機能に使えるセラミックトレイ(右)と、過熱水蒸気専用のホーロー焼き網が付属↑ト過熱水蒸気専用のホーロー焼き網(左)に加え、過熱水蒸気調理とレンジ機能の両方に使えるセラミックトレイ(右)が付属

 

大きさは「小型の電子レンジ」で、手軽なレンジ機能はやはり便利

本機の大きさは、従来機のヘルシオ グリエに比べて幅約6cm、奥行9cm、高さ約6cm大きくなったため、オーブントースターというよりは、「小型の電子レンジ」に近い大きさになりました。

 

レンジ用のボタンは「オート」「500W」「600W」「解凍」の4つから選んで使用します。レンジ機能を搭載したことで、過熱水蒸気だけでは難しかったごはんなどの温めや冷凍食品の解凍も可能になったのはうれしい点。また、コンビニ惣菜を温めるときも、通常のお弁当はレンジ機能で、パリッ、サクッとさせたいから揚げやギョーザは過熱水蒸気で、と1台で使い分けることができるようになりました。素早く温めたいときはレンジ、時間がかかってもおいしく食べたいときは過熱水蒸気、と時間に応じて使い分けられるのも便利です。

↑ヘルシオ グリエに比べ、幅約6cm、奥行9cm、高さ約6cm大きくなったため、オーブントースターより小型の電子レンジに近い大きさです

↑大きさは「小型の電子レンジ」というイメージに

 

実際に市販の冷凍チャーハンを温めてレンジ機能をチェックしてみました。熱ムラが出やすいレンジだと、外はアツアツなのに中はまだ冷たい…なんてこともありますが、こちらはしっかり中まで温まっており、レンジ機能はまったく問題ありません。

↑冷凍チャーハンもしっかり↑冷凍チャーハンも70℃近くまでしっかり温められています

 

過熱水蒸気でパンの焼きたての風味が蘇る!

さて、次に過熱水蒸気調理の魅力も、改めてしっかりと見ていきましょう。過熱水蒸気調理を行う場合は、天板部分にはめ込まれた水タンクに入れ、ぐっと押し込みます。これにより過熱水蒸気調理のボタンが操作できるようになるため、水の入れ忘れを防げるというありがたい配慮です。

↑水タンクに水を入れます。この水は、調理温度や時間にもよりますが、一回の調理でだいたい使い切る量です↑水タンクに水を入れます。この水は、調理温度や時間にもよりますが、一回の調理でだいたい使い切る量です

 

↑タンクをぐっと押し込むことで、今まで点いていなかった過熱水蒸気調理用ボタンが点灯。火力を弱(約180℃)、中(約200℃)、強(約250℃)の3段階から選び、ダイヤルで時間をセットします↑タンクをぐっと押し込むことで、今まで点いていなかった過熱水蒸気調理用ボタンが点灯。火力を弱(約180℃)、中(約200℃)、強(約250℃)の3段階から選び、ダイヤルで時間をセットします

 

まずはクロワッサンを焼いてみました。焦げやすいクロワッサンは、弱でじっくり4.5~6分焼けばOKです。過熱水蒸気で焼いたクロワッサンの美味しいこと! 周りは軽くサクサクしながら、中はフワッとバターの風味もたっぷり。一方、トースターで焼いたものは表面が焦げてしまったのに、中は膨らみ切らず、風味も引き出せていません。

↑主なメニューの加熱時間の目安は天板に書いてありまするので、それを参考に加熱。弱で5分焼いたところ、バターの溶けるおいしそうな香りが充満しました↑主なメニューの加熱時間の目安は天板に書いてありまするので、それを参考に加熱。通常のトースターで焼いたクロワッサン(左)は、短時間焼いただけで表面が焦げてしまいましたが、本機で焼いたクロワッサンは表面が焦げず、中まで熱が通ってふっくらしていました

 

さらに過熱水蒸気は、フランスパンも上手に焼いてくれます。レシピには、3~4cmの厚さに切ったもの、とありますが、個人的には丸ごと焼いたほうが、焼きたてを買ってきたようなおいしさが味わえるので気に入っています。肉まんも生地はふっくら、中のお肉はジューシーに美味しく温められました。

20171204-s3 (11)↑フランスパンを丸ごと焼くと皮がパリッと、中がふっくらと焼けます

 

↑肉まんも生地はふっくら、中のお肉はジューシーに美味しく温められました↑肉まんもしっとりジューシーで最高の仕上がり

 

また、温度や食材が違うものを同時に焼くのも過熱水蒸気の得意ワザ。過熱水蒸気には、温度の低いものから先に熱を与えるという性質があるため、最終的に複数の食材を、同じくらいの温度に焼き上げることができるのです。この性質を利用して、モーニングセットを一度で作ることができます。

↑食パンや生卵、野菜をトレイに並べ、火力「中」で8分。身支度などを済ませているうちに、一人前のモーニングセットが完成! 一度で調理できるのは、やっぱりラク↑食パンや生卵、野菜をトレイに並べ、火力「中」で8分。身支度などを済ませているうちに、一人前のモーニングセットが完成! 一度で調理できるのは、やっぱりラク

 

サックサクかつヘルシーな揚げ物の仕上がりに感心しきり

続いて、過熱水蒸気が得意とする揚げ物の温めをやってみました。スーパーで買ってきた天ぷらやコロッケなどの揚げ物は、電子レンジで温めると衣がしんなりしてしまい、もはや別物。正直、揚げ物ならではの美味しさは半減してしまいます。しかし過熱水蒸気で温めれば、中までしっかり温めつつ、表面もしっかり焼けるため、まさに外はサクサク、中はふっくらと焼き上げることができるのです。今が旬のエリンギを使った天ぷらを電子レンジでチンすると、エリンギもしぼんでしまい硬くなってしまいますが、過熱水蒸気で調理すると、外はサクサク、中にジューシーに仕上がりました。コロッケやとんかつも同様、揚げたての味わいが復活!

↑エリンギの天ぷらは外がサクサク、中はジューシーで風味がしっかり閉じ込められています↑エリンギの天ぷらは外がサクサク、中はジューシーに仕上がり、風味がしっかり閉じ込められています

 

↑とんかつもお店で食べるような味になり、家族も家で揚げたのかと思い込んだほど↑とんかつもお店で食べるような味になり、家族も家で揚げたのかと思い込んだほど

 

機会があるごとに揚げ物を買っては温めてみましたが、どれも美味しく温めることができました。いままで、「揚げ物は美味しく温め直せないから…」と敬遠していた人には、ぜひ試してほしいです。さらにヘルシオ グリエレンジは温め直しだけでなく、ノンフライ調理もできます。鶏のから揚げを作ってみたところ、さすがに揚げたほどにパリッとはしませんでしたが、ジューシーなノンフライから揚げが完成! 油もたっぷり落としてくれるので、しつこくなく、これが「ヘルシオ」の実力か、と感心させるヘルシーな仕上がりでした。通常の揚げ物と違って、つきっきりにならずに作れるのもありがたいですね。

↑火力「中」で12~15分。揚げ物と違って、つきっきりにならなくていいのもありがたいです↑ノンフライ調理でから揚げを調理。火力「中」で12~15分ほど。トレイに落ちた油の量にも驚きです

 

価格の面でもスペースの面でもメリットは大きい

…と、今回あらためて過熱水蒸気調理を使ってみて、その魅力を再認識しました。そして、今回追加された電子レンジ機能も、やはり必要な機能だということがよくわかりました。ヘルシオ グリエと違い、マグカップのミルクやちょっとした煮物などの温めが「オート」だとワンボタンでできますし、冷凍ごはんの温めやひき肉などを解凍できるのは便利です(電子レンジだから当たり前なのですが…)。特に、本家のウォーターオーブン「ヘルシオ」ほどの高機能が不要で、よりコンパクトでリーズナブルなものが欲しい…、また、キッチンのスペースの都合上、電子レンジとヘルシオ グリエ(またはオーブントースター)を並べておくのは厳しい…本機が、そんなユーザーのニーズに応えるのは間違いありません。

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